IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ロナウク, インク.の特許一覧

<>
  • 特表-無細胞基材及び其れを作製する方法 図1
  • 特表-無細胞基材及び其れを作製する方法 図2
  • 特表-無細胞基材及び其れを作製する方法 図3
  • 特表-無細胞基材及び其れを作製する方法 図4
  • 特表-無細胞基材及び其れを作製する方法 図5
  • 特表-無細胞基材及び其れを作製する方法 図6
  • 特表-無細胞基材及び其れを作製する方法 図7
  • 特表-無細胞基材及び其れを作製する方法 図8
  • 特表-無細胞基材及び其れを作製する方法 図9
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-12-19
(54)【発明の名称】無細胞基材及び其れを作製する方法
(51)【国際特許分類】
   A61L 27/36 20060101AFI20241212BHJP
   A61L 24/00 20060101ALI20241212BHJP
   A61L 27/14 20060101ALI20241212BHJP
   A61L 27/52 20060101ALI20241212BHJP
   A61L 27/56 20060101ALI20241212BHJP
   A61L 27/58 20060101ALI20241212BHJP
   A61L 27/44 20060101ALI20241212BHJP
   A61L 27/24 20060101ALI20241212BHJP
   A61L 27/22 20060101ALI20241212BHJP
   A61L 27/20 20060101ALI20241212BHJP
   A61L 27/18 20060101ALI20241212BHJP
   A61L 27/00 20060101ALI20241212BHJP
   A61K 35/12 20150101ALI20241212BHJP
   A61P 11/00 20060101ALI20241212BHJP
   A61P 17/00 20060101ALI20241212BHJP
   A61P 19/00 20060101ALI20241212BHJP
   A61P 21/00 20060101ALI20241212BHJP
   A61P 25/00 20060101ALI20241212BHJP
【FI】
A61L27/36 130
A61L24/00 240
A61L24/00 250
A61L24/00 260
A61L24/00 310
A61L27/14
A61L27/52
A61L27/56
A61L27/58
A61L27/44
A61L27/24
A61L27/22
A61L27/20
A61L27/18
A61L27/00
A61K35/12
A61P11/00
A61P17/00
A61P19/00
A61P21/00
A61P25/00
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024561736
(86)(22)【出願日】2023-01-04
(85)【翻訳文提出日】2024-08-05
(86)【国際出願番号】 US2023010091
(87)【国際公開番号】W WO2023133124
(87)【国際公開日】2023-07-13
(31)【優先権主張番号】63/296,274
(32)【優先日】2022-01-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】524252105
【氏名又は名称】ロナウク, インク.
【氏名又は名称原語表記】RONAWK, INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100107364
【弁理士】
【氏名又は名称】斉藤 達也
(72)【発明者】
【氏名】メロット,アダム ジェイ.
【テーマコード(参考)】
4C081
4C087
【Fターム(参考)】
4C081AB01
4C081AB11
4C081BA12
4C081BA13
4C081BA16
4C081CD011
4C081CD021
4C081CD041
4C081CD051
4C081CD121
4C081CD151
4C081CD31
4C081CD34
4C081CE05
4C081DA01
4C081DA04
4C081DA06
4C081DA12
4C081DB03
4C087AA01
4C087AA02
4C087BB63
4C087CA03
4C087CA13
4C087CA14
4C087CA16
4C087CA19
4C087CA20
4C087MA67
4C087NA06
4C087NA14
4C087ZA01
4C087ZA59
4C087ZA89
4C087ZA94
4C087ZA96
4C087ZC51
(57)【要約】
様々な細胞及び/又は組織の連続的な3D成長をもたらす無細胞基材、並びに其れを作製する方法が提供される。此の無細胞基材は、第1の対象細胞型に関連した細胞外マトリックス(ECM)材料の連続マトリックスと、第1の対象細胞型に関連したECM材料の連続マトリックス全体に広がる微孔質チャネル及び/又はチャンバーの網状組織とによって規定される3次元(3D)マクロ構造を有する。患者自身の細胞を使用して個別化された移植片を形成する方法も提供される。
【選択図】図1

【特許請求の範囲】
【請求項1】
無細胞基材であって、
第1の対象細胞型に関連した細胞外マトリックス(ECM)材料の連続マトリックスと、前記第1の対象細胞型に関連した前記ECM材料の連続マトリックス全体に広がる微孔質チャネル及び/又はチャンバーの網状組織とによって規定される3次元(3D)マクロ構造
を含み、
此処で、前記3Dマクロ構造は、上面、下面、及び前記上面から前記下面へと延びる少なくとも1つの側縁部によって規定される厚さを備える、
無細胞基材。
【請求項2】
前記無細胞基材は、少なくとも1つの連結用オス型構成要素及び少なくとも1つの連結用メス型構成要素を更に備える、請求項1に記載の無細胞基材。
【請求項3】
前記少なくとも1つの連結用オス型構成要素は、前記少なくとも1つの側縁部から外側に延びる第1の連結用オス型構成要素を含む、請求項2に記載の無細胞基材。
【請求項4】
前記少なくとも1つの側縁部は、第1の側縁部及び第2の側縁部を含み、此処で、前記少なくとも1つの連結用オス型構成要素は、前記第1の側縁部から外側に延びる第1の連結用オス型構成要素と、前記第2の側縁部から外側に延びる第2の連結用オス型構成要素とを含む、請求項2に記載の無細胞基材。
【請求項5】
前記少なくとも1つの連結用オス型構成要素は、前記上面から外側に延びる第3の連結用オス型構成要素を含む、請求項2~4の何れか一項に記載の無細胞基材。
【請求項6】
前記少なくとも1つの連結用メス型構成要素は、前記3Dマクロ構造の内部に向かって前記少なくとも1つの側縁部から内側に延びる第1の連結用メス型構成要素を含む、請求項2~4の何れか一項に記載の無細胞基材。
【請求項7】
前記少なくとも1つの側縁部は、第3の側縁部及び第4の側縁部を含み、此処で、前記少なくとも1つの連結用メス型構成要素は、前記3Dマクロ構造の内部に向かって前記第3の側縁部から内側に延びる第1の連結用メス型構成要素と、前記3Dマクロ構造の内部に向かって前記第4の側縁部から内側に延びる第2の連結用メス型構成要素とを含む、請求項4~6の何れか一項に記載の無細胞基材。
【請求項8】
前記第1の側縁部及び前記第3の側縁部は、対向する側縁部の第1のペアを規定する、請求項7に記載の無細胞基材。
【請求項9】
前記第2の側縁部及び前記第4の側縁部は、対向する側縁部の第2のペアを規定する、請求項7又は8に記載の無細胞基材。
【請求項10】
前記少なくとも1つの連結用メス型構成要素は、前記3Dマクロ構造の内部に向かって前記下面から内側に延びる第3の連結用メス型構成要素を含む、請求項7~9の何れか一項に記載の無細胞基材。
【請求項11】
前記少なくとも1つの連結用オス型構成要素及び前記少なくとも1つの連結用メス型構成要素を除く前記3Dマクロ構造は、立方体、四角柱、又は三角柱を規定する、請求項1~10の何れか一項に記載の無細胞基材。
【請求項12】
前記少なくとも1つの連結用オス型構成要素及び前記少なくとも1つの連結用メス型構成要素を除く前記3Dマクロ構造は、3面~12面の側縁部、例えば少なくとも約3面、少なくとも約4面、少なくとも約5面、少なくとも約6面、少なくとも約7面、及び少なくとも約8面の側縁部、並びに/又は次の何れか:最大約12面、最大約11面、最大約10面、最大約9面、及び最大約8面の側縁部を有する多角柱を規定する、請求項1~10の何れか一項に記載の無細胞基材。
【請求項13】
前記少なくとも1つの側縁部は、第1の側縁部、第2の側縁部、及び前記第1の側縁部と前記第2の側縁部との間に隣接して位置するアーチ状の側縁部を含む、請求項1に記載の無細胞基材。
【請求項14】
前記第1の側縁部は、前記第1の側縁部から外側に延びる前記少なくとも1つの連結用オス型構成要素を備え、且つ前記第2の側縁部は、前記3Dマクロ構造の内部に向かって前記第2の側縁部から内側に延びる前記少なくとも1つの連結用メス型構成要素を備える、請求項13に記載の無細胞基材。
【請求項15】
前記少なくとも1つの連結用オス型構成要素は、前記上面から外側に延びる第2の連結用オス型構成要素を含む、請求項13又は14に記載の無細胞基材。
【請求項16】
前記少なくとも1つの連結用メス型構成要素は、前記3Dマクロ構造の内部に向かって前記下面から内側に延びる第2の連結用メス型構成要素を含む、請求項13~15の何れか一項に記載の無細胞基材。
【請求項17】
前記少なくとも1つの連結用オス型構成要素及び前記少なくとも1つの連結用メス型構成要素を除く前記3Dマクロ構造は、1/8円筒~1/2円筒、例えば1/8円筒、1/4円筒、1/3円筒、又は1/2円筒等の半円筒を規定する、請求項13~16の何れか一項に記載の無細胞基材。
【請求項18】
前記上面は、約0.25cm~約25cm、例えば、次の何れか:少なくとも約0.25cm、少なくとも約0.5cm、少なくとも約0.75cm、少なくとも約1cm、少なくとも約1.5cm、少なくとも約2cm、少なくとも約5cm、少なくとも約8cm、少なくとも約10cm、及び少なくとも約12cm、並びに/又は次の何れか:約25cm、約22cm、約20cm、約18cm、約15cm、及び約12cmの巨視的表面積を含む、請求項1~17の何れか一項に記載の無細胞基材。
【請求項19】
前記下面は、約0.25cm~約25cm、例えば、次の何れか:少なくとも約0.25cm、少なくとも約0.5cm、少なくとも約0.75cm、少なくとも約1cm、少なくとも約1.5cm、少なくとも約2cm、少なくとも約5cm、少なくとも約8cm、少なくとも約10cm、及び少なくとも約12cm、並びに/又は次の何れか:約25cm、約22cm、約20cm、約18cm、約15cm、及び約12cmの巨視的表面積を含む、請求項1~18の何れか一項に記載の無細胞基材。
【請求項20】
前記3Dマクロ構造の前記厚さは、約0.5cm~約3cm、例えば、次の何れか:少なくとも約0.5cm、少なくとも約0.75cm、少なくとも約1cm、少なくとも約1.25cm、及び少なくとも約1.5cm、並びに/又は次の何れか:最大約3cm、最大約2.5cm、最大約2cm、及び最大約1.5cmである、請求項1~19の何れか一項に記載の無細胞基材。
【請求項21】
前記少なくとも1つの連結用メス型構成要素の其々は、第2の無細胞基材の対応する少なくとも1つの連結用オス型構成要素を受容する様に構成されている、請求項2~22の何れか一項に記載の無細胞基材。
【請求項22】
前記ECM材料の連続マトリックス全体に広がる微孔質チャネル及び/又はチャンバーの網状組織は、約100ミクロン~約800ミクロン、例えば、次の何れか:少なくとも約100ミクロン、少なくとも約120ミクロン、少なくとも約150ミクロン、少なくとも約180ミクロン、少なくとも約200ミクロン、少なくとも約220ミクロン、及び少なくとも約250ミクロン、並びに/又は次の何れか:最大約800ミクロン、最大約780ミクロン、最大約750ミクロン、最大約720ミクロン、最大約700ミクロン、最大約680ミクロン、最大約650ミクロン、最大約620ミクロン、最大約600ミクロン、最大約580ミクロン、最大約550ミクロン、最大約520ミクロン、最大約500ミクロン、最大約480ミクロン、最大約450ミクロン、最大約420ミクロン、最大約400ミクロン、最大約380ミクロン、最大約350ミクロン、最大約320ミクロン、最大約300ミクロン、最大約280ミクロン、及び最大約250ミクロンの平均直径を有する、請求項1~21の何れか一項に記載の無細胞基材。
【請求項23】
前記ECM材料の連続マトリックス全体に広がる微孔質チャネル及び/又はチャンバーの網状組織は、前記3Dマクロ構造の少なくとも約40体積%、例えば、次の何れか:前記3Dマクロ構造の少なくとも約40体積%、少なくとも約50体積%、少なくとも約60体積%、及び少なくとも約70体積%、並びに/又は次の何れか:前記3Dマクロ構造の最大約90体積%、最大約85体積%、最大約80体積%、最大約75体積%、及び最大約70体積%を含む、請求項1~22の何れか一項に記載の無細胞基材。
【請求項24】
無細胞基材を形成する方法であって、
(i)モールド内に分解性ヒドロゲル材料を含むマイクロストランド及び/又はマイクロポッドの網状組織を形成又は配置する事と、
(ii)前記マイクロストランド及び/又はマイクロポッドの網状組織を収容する前記モールド内に対象細胞型の細胞を含む初期培養培地を加える事によって、前記マイクロストランド及び/又はマイクロポッドの網状組織に播種する事と、
(iii)新鮮な培養培地を前記モールドに灌流させる事によって前記細胞に供給して、組織が成長し拡大して前記モールドを満たす迄細胞に栄養を与える事と、
(iv)前記モールド内に位置する前記組織に対して脱細胞化操作を行って、前記対象細胞型に関連したECM材料の連続マトリックスを形成する事と、
(v)前記マイクロストランド及び/又はマイクロポッドの網状組織を分解及び除去する事によって前記対象細胞型に関連した前記ECM材料の連続マトリックス全体に広がる微孔質チャネル及び/又はチャンバーの網状組織を形成して、前記無細胞基材を得る事と、
を含む、方法。
【請求項25】
前記マイクロストランド及び/又はマイクロポッドの網状組織の形成又は配置は、デジタル光合成プリントの3Dプリント等のアディティブマニュファクチャリング技術の実施を含む、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
前記マイクロストランド及び/又はマイクロポッドの網状組織の構造は、前記対象細胞型の細胞形態に基づいて選択され、前記細胞形態は、標的マトリックス構造と、チャネル及び/又はチャンバーの標的微孔質網状組織とを有し、此処で、前記マイクロストランド及び/又はマイクロポッドの網状組織の前記構造は、前記チャネル及び/又はチャンバーの標的微孔質網状組織に似ているか又は其れと同一である、請求項24又は25に記載の方法。
【請求項27】
前記マイクロストランド及び/又はマイクロポッドの網状組織は、約100ミクロン~約800ミクロン、例えば、次の何れか:少なくとも約100ミクロン、少なくとも約120ミクロン、少なくとも約150ミクロン、少なくとも約180ミクロン、少なくとも約200ミクロン、少なくとも約220ミクロン、及び少なくとも約250ミクロン、並びに/又は次の何れか:最大約800ミクロン、最大約780ミクロン、最大約750ミクロン、最大約720ミクロン、最大約700ミクロン、最大約680ミクロン、最大約650ミクロン、最大約620ミクロン、最大約600ミクロン、最大約580ミクロン、最大約550ミクロン、最大約520ミクロン、最大約500ミクロン、最大約480ミクロン、最大約450ミクロン、最大約420ミクロン、最大約400ミクロン、最大約380ミクロン、最大約350ミクロン、最大約320ミクロン、最大約300ミクロン、最大約280ミクロン、及び最大約250ミクロンの平均直径を有する、請求項24~26の何れか一項に記載の方法。
【請求項28】
前記マイクロストランド及び/又はマイクロポッドの網状組織は、生物由来の1種以上のバイオポリマー等の1種以上の分解性ポリマーを含む選択的に分解可能なヒドロゲル材料を含む、請求項24~27の何れか一項に記載の方法。
【請求項29】
生物由来の前記1種以上のバイオポリマーは、ポリヌクレオチド、多糖類、ポリペプチド、又は其れ等の任意の組合せを含む、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
前記1種以上のバイオポリマーは、コラーゲン、ゼラチン、ラミニン、アルギン酸塩、グリコサミノグリカン、オリゴヌクレオチド(例えば、DNA、RNA)、炭水化物、脂質、セルロース、アルギン酸塩、並びに前記バイオポリマー鎖を破壊するタンパク質特異的酵素、イオン性溶媒、中性デタージェント、弱酸、及び過酸化物を使用する事等によって穏やかに分解する事が出来るタンパク質を含む、請求項28又は29に記載の方法。
【請求項31】
前記1種以上のバイオポリマーは、ヒドロキシブチレート、乳酸、グリコール酸、及びカプロラクトン等のエステル、アジピン酸及びセバシン酸等の無水物、セルロース、アルギン酸塩、ペクチン、デキストリン、キトサン、ヒアルロナン、コンドロイチン硫酸、及びヘパリン等の糖類、タンパク質、ヌクレオチド(DNA、RNA)、コラーゲン、ゼラチン、シルク、及びフィブリン等のペプチド、ウレタン、ホスフェート、カーボネート、及び塩化ビニルを含む分解性モノマーを含む、請求項28~30の何れか一項に記載の方法。
【請求項32】
前記選択的に分解可能なヒドロゲル材料は、ポリエステル、ポリ無水物、ポリカーボネート、ポリウレタン、ポリホスフェート、又は其れ等の組合せ等の合成ポリマーを更に含む、請求項28~31の何れか一項に記載の方法。
【請求項33】
前記モールド内に配置された前記組織に対する前記脱細胞化操作の実施は、前記組織をデタージェントで処理し、続いて前記対象細胞型に関連した前記ECM材料の連続マトリックスを透析する事を含む、請求項24~32の何れか一項に記載の方法。
【請求項34】
前記対象細胞型に関連した前記ECM材料の連続マトリックスを凍結乾燥する工程を更に含む、請求項24~33の何れか一項に記載の方法。
【請求項35】
電子線照射操作又はガンマ線照射操作等によって前記無細胞基材を滅菌する工程を更に含む、請求項24~34の何れか一項に記載の方法。
【請求項36】
前記無細胞基材を前記モールドから取り出す工程を更に含む、請求項24~35の何れか一項に記載の方法。
【請求項37】
個別化された移植片を形成する方法であって、
(i)請求項1~23の何れか一項に記載の1個以上の無細胞基材を準備又は形成する(此処で、前記第1の対象細胞型は、特定の器官組織等の異常を有する患者の組織に関連している)事と、
(ii)前記1個以上の無細胞基材に、異常を有する前記患者の組織に関連した健康なネイティブ細胞を播種する事と、
(iii)前記健康なネイティブ細胞に培養培地を供給し、前記無細胞基材の前記微孔質チャネル及び/又はチャンバーの網状組織全体に前記健康なネイティブ細胞を増殖させて、前記個別化された移植片を形成する事と、
を含む、方法。
【請求項38】
前記1個以上の無細胞基材は、第1の無細胞基材及び第2の無細胞基材を含み、此処で、前記第1の無細胞基材と前記第2の無細胞基材とは同じである、請求項37に記載の方法。
【請求項39】
前記第1の無細胞基材を前記第2の無細胞基材に接合させることで、多重無細胞足場を得て、前記多重無細胞足場の微孔質チャネル及び/又はチャンバーの集合体網状組織全体に前記健康なネイティブ細胞を増殖させて、前記個別化された移植片を形成する、請求項37に記載の方法。
【請求項40】
前記1個以上の無細胞基材は、互いに接合されて多重無細胞足場を規定する少なくとも2個の無細胞基材、又は次の何れか:少なくとも約2個、少なくとも約3個、少なくとも約5個、少なくとも約10個、少なくとも約20個、少なくとも約30個、少なくとも約40個、少なくとも約50個、少なくとも約60個、少なくとも約70個、少なくとも約80個、少なくとも約90個、及び少なくとも約100個の無細胞基材を含む、請求項37~39の何れか一項に記載の方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、2022年1月4日に出願された米国仮特許出願第63/296,274号に対する優先権を主張するものであり、此れは参照により其の全体が本明細書に明示的に援用される。
【0002】
本開示の発明の実施形態は一般に、様々な細胞及び/又は組織の連続的な3D成長をもたらす無細胞基材、及び其れを作製する方法に関する。此の無細胞基材は、第1の対象細胞型に関連した細胞外マトリックス(ECM)材料の連続マトリックスと、第1の対象細胞型に関連したECM材料の連続マトリックス全体に広がる微孔質チャネル及び/又はチャンバーの網状組織とによって規定される3次元(3D)マクロ構造を有する。患者自身の細胞を使用して個別化された移植片を形成する方法も提供される。
【背景技術】
【0003】
骨、軟骨、皮膚、神経、肺、筋肉等の結合組織、及び其の他の多くには、細胞外マトリックス(ECM)タンパク質を分泌して組織化して、細胞が移動し、増殖し、そして組織化して組織を形成する事を可能にするスキャフォールドを作る細胞が含まれている。ECMの構成の組織化と構造との間の相互作用は文書により十分に裏付けられている。例えば、各組織は、細胞型にどの様に配置し、組織化し、そして機能するかを指示する様々な構成及び組織化構造を有する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
当該技術分野に於いて、患者からの自家細胞を受容して個別化された移植片を構築する事が出来るECMスキャフォールド(例えば、無細胞基材)等の任意の対象結合組織から生物学的スキャフォールドを作る事を可能にするスキャフォールドの開発が依然として求められている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の1つ以上の実施形態は、上述の問題の1つ以上に対処する事が出来る。本発明による或る特定の実施形態は、第1の対象細胞型に関連した細胞外マトリックス(ECM)材料の連続マトリックスと、第1の対象細胞型に関連したECM材料の連続マトリックス全体に広がる微孔質チャネル及び/又はチャンバーの網状組織とによって規定される3次元(3D)マクロ構造を含む無細胞基材(例えば、足場)を提供する。3Dマクロ構造は、上面、下面、及び上面から下面へと延びる少なくとも1つの側縁部によって規定される厚さを含み得る。
【0006】
別の態様に於いて、本発明による或る特定の実施形態は、無細胞基材を形成する方法であって、(i)モールド内に分解性ヒドロゲル材料を含むマイクロストランド及び/又はマイクロポッドの網状組織を形成又は配置する事と、(ii)マイクロストランド及び/又はマイクロポッドの網状組織を収容するモールド内に対象細胞型の細胞を含む初期培養培地を加える事によって、マイクロストランド及び/又はマイクロポッドの網状組織に播種する事と、(iii)新鮮な培養培地をモールドに灌流させる事によって細胞に供給して、組織が成長し拡大してモールドを満たす迄細胞に栄養を与える事と、(iv)モールド内に位置する組織に対して脱細胞化操作を行って、対象細胞型に関連したECM材料の連続マトリックスを形成する事と、(v)マイクロストランド及び/又はマイクロポッドの網状組織を分解及び除去する事によって対象細胞型に関連したECM材料の連続マトリックス全体に広がる微孔質チャネル及び/又はチャンバーの網状組織を形成して、無細胞基材を得る事とを含む、方法を提供する。
【0007】
別の態様に於いて、本発明による或る特定の実施形態は、個別化された移植片を形成する方法であって、(i)本明細書に記載及び開示される様な1個以上の無細胞基材を準備又は形成する(此処で、第1の対象細胞型は、特定の器官組織等の異常を有する患者の組織に関連している)事と、(ii)1個以上の無細胞基材に、異常を有する患者の組織に関連した健康なネイティブ細胞を播種する事と、(iii)健康なネイティブ細胞に培養培地を供給し、無細胞基材の微孔質チャネル及び/又はチャンバーの網状組織全体に健康なネイティブ細胞を増殖させて、個別化された移植片を形成する事とを含む、方法を提供する。
【0008】
次に、添付図面を参照して本発明を以下で更に詳しく説明する。添付図面には、本発明の実施例の一部が示されているが、其の全てが示されている訳ではない。実際、本発明は多くの様々な形態で実施する事が出来、本明細書に示される実施形態に限定されると解釈されるべきではなく、寧ろ、此れらの実施形態は、本開示が当該法的要件を満たす様に提供されるものである。全体を通じて同じ番号は同じ要素を指す。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の或る特定の実施形態による無細胞基材を示す図である。
図2】マイクロチャネル及び/又はマイクロポッドの網状組織が内部に3Dプリントされた又は内部に配置された立方体様のモールドを示す図である。
図3】マイクロチャネル及び/又はマイクロポッドの網状組織上に対象細胞型を播種し、対象細胞型の細胞外マトリックスを成長させて立方体様のモールドを満たす様子を示す図である。
図4】脱細胞化された組織と、其れに続くヒドロゲル材料の分解又は溶解によって中間無細胞基材が形成される様子を示す図である。
図5】中間無細胞基材を凍結乾燥し、引き続き立方体様のモールドから取り出した後、滅菌する様子を示す図である。
図6】乃至
図9】本発明の或る特定の実施形態による接合された複数の無細胞基材の様々な構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
次に、添付図面を参照して本発明を以下で更に詳しく説明する。添付図面には、本発明の実施形態の一部が示されているが、其の全てが示されている訳ではない。実際、本発明は多くの様々な形態で実施する事が出来、本明細書に示される実施形態に限定されると解釈されるべきではなく、寧ろ、此れらの実施形態は、本開示が当該法的要件を満たす様に提供されるものである。本明細書及び添付の特許請求の範囲に於いて使用される場合、単数形「1つの(a)」、「1つの(an)」、「其の(the)」は、文脈上特段の明確な規定が無い限り、複数の指示対象を含む。
【0011】
本開示の発明は一般に、組織を形成する為に細胞がどの様に振る舞うかを指示する構造構成要素及び手掛かりを含む3次元(3D)無細胞基材に関する。此の点に関して、各組織は、細胞型にどの様に配置し、組織化し、そして機能するかを指示する様々な構成及び組織化構造を有する。従って、本発明の或る特定の実施形態には、任意の対象結合組織から生物学的スキャフォールドを作る事を可能にする無細胞基材及び其れを作製する方法が含まれる。以下でより詳細に説明される様に、分解性反転ヒドロゲルモールドを滅菌し、例えば、立方センチメートルから立方デシメートル迄の容積の範囲であって良い、例えば立方体様のモールド内に配置する事が出来る。此のモールドに特定の組織からの細胞を加え、モールドに培地を灌流させて細胞に栄養を与える事によって、完全な組織が形成される迄培養する。完全な組織が形成されたら、弱性デタージェント(mild detergent)を適用してECMを透析する事による脱細胞化を通じて細胞を除去する。其の後、ECMを多数回の凍結融解サイクルに掛けて、残りの細胞破片を一切除去する事が出来る。其の後、ECMを弱性デタージェントで洗浄し、再度透析する事が出来る。其の後、ヒドロゲル反転モールドを、例えば光分解を介して溶解する事が出来る。其の後、ECMを凍結乾燥し、使用する迄貯蔵する事が出来る。ECMスキャフォールド(例えば、無細胞基材)を、例えば構成要素として使用して、特定の組織を作る事が出来る。例えば、最初にケラチノサイトからECMスキャフォールド(例えば、無細胞基材)を作製し、患者からの人工多能性幹細胞をECMスキャフォールド(例えば、無細胞基材)に加えると、ECMスキャフォールド(例えば、無細胞基材)を使用して、新しい自己表皮移植片を形成する事が出来る。或る特定の実施形態によれば、例えば、本発明は、患者からの自家細胞を受容して個別化された移植片を構築する事が出来るECMスキャフォールド(例えば、無細胞基材)の生産への使用を提供する。
【0012】
本発明の或る特定の実施形態によれば、無細胞基材は、特定の患者用のカスタムECMスキャフォールドを形成する為に使用される細胞を培養する様に設計されたカスタムスキャフォールドを含み得る。例えば、細胞をECMスキャフォールドから除去し、患者自身の細胞を其の細胞用に設計されたECMスキャフォールドに加える。つまり、患者が組織に異常を有する場合、カスタムモールド(例えば、当該組織の組織形態に基づき、ヒドロゲル材料から形成されたマイクロストランド及び/又はマイクロポッドの3D網状組織)を作って異常を修復し、其の患者用のカスタムスキャフォールド(例えば、マイクロストランド及び/又はマイクロポッドの3D網状組織を形成するヒドロゲル材料の溶解又は分解)個別化移植片を作る事が出来る。此の点に関して、組織のマイクロ構造を使用して、成長因子カクテルを必要とせずに幹細胞を必要な細胞に分化させる事が出来る。つまり、本発明の或る特定の実施形態に従って、幹細胞の分化運命を指示して患者用に個別化された組織移植片を作って組織異常を修正するカスタムスキャフォールドの設計を提供する事が出来る。例えば、磁気共鳴画像法及び3Dプリントを使用する事により、本発明の或る特定の実施形態によって、カスタムヒドロゲルモールド(当該組織の組織形態に基づき、ヒドロゲル材料から形成されたマイクロストランド及び/又はマイクロポッドの3D網状組織)を調製してカスタムECMスキャフォールド(例えば、無細胞基材)を作る事が提供され得る。此れ迄、組織を形成する様に分化させ、細胞運命を制御するには、構造だけでは十分であると見なされていなかった。細胞運命の制御の裏側に在る主なメカニズムは、成長因子及びシグナルに基づいていると常に考えられてきた。然しながら、本発明の或る特定の実施形態によれば、基材及び構造が細胞運命を制御する事が明らかと成っており、此れを利用して、患者の組織異常を治療するカスタム移植片を構築する為の新規のスキャフォールドを作り上げる事が出来る。
【0013】
本発明の或る特定の実施形態によれば、無細胞基材を形成する方法により、患者自身の解剖学的構造からカスタムスキャフォールドを作って、患者自身の細胞の適用から移植片を形成する事が可能と成る。此の点に関して、例えば、磁気共鳴画像法及び立体リソグラフィー(3Dプリント)を使用して、患者自身の組織に基づいて、カスタム細胞外マトリックススキャフォールドを形成する事を目的として内部に細胞が播種され得る反転ヒドロゲルスキャフォールドモールドをプリントする事が出来る。例えば、反転ヒドロゲルスキャフォールドモールドは、対象細胞系統の組織形態に基づいて構造化されたマイクロストランド及び/又はマイクロポッドの網状組織である。更に、本発明の或る特定の実施形態による方法により、ヒドロゲルスキャフォールドモールドに播種された細胞の堆積及び比率に基づいて、細胞外マトリックスの様々な配合からテーラーメイドのスキャフォールドを作製する事が可能と成る。此の点に関して、単一の無細胞基材に多数の対象細胞系統を播種しても良く、又は1個の無細胞基材に第1の対象細胞系統を播種し得る一方で、隣接する無細胞基材に第2の対象細胞系統を播種し、一緒に成長させて、2つの対象細胞系統の間に界面を形成させても良い。1つ又は複数の対象細胞を使用して、グリコサミノグリカン(GAG)、プロテオグリカン、ヒアルロン酸(HA)、ヘパリン硫酸(HS)、コンドロイチン硫酸(CS)、ケラタン硫酸(KS)、コラーゲンの種類(例えば、線維型(I、II、III、V、XI)、Facit型(IX、XII、XIV)、短鎖(VIII、X)、基底膜(IV)、及び其の他(VI、VII、XIII)、エラスチン、DNA、RNA、フィブロネクチン及び糖タンパク質、ラミニン-111(ラミニン-1)、ラミニン-211(ラミニン-2)、ラミニン-121(ラミニン-3)、ラミニン-221(ラミニン-4)、ラミニン-332/ラミニン-3A32(ラミニン-5/ラミニン-5A)、ラミニン-3B32(ラミニン-5B)、ラミニン-311/ラミニン-3A11(ラミニン-6/ラミニン-6A)、ラミニン-321/ラミニン-3A21(ラミニン-7/ラミニン-7A)、ラミニン-411(ラミニン-8)、ラミニン-421(ラミニン-9)、ラミニン-511(ラミニン-10)、ラミニン-521(ラミニン-11)、ラミニン-213(ラミニン-12)、ラミニン-423(ラミニン-14)、ラミニン-522、ラミニン-523(ラミニン-15)等の個々の細胞外マトリックス成分又は其れ等の組合せを含む連続的細胞外マトリックスを形成する事が出来る。
【0014】
本発明の或る特定の実施形態によれば、カスタム形成された細胞外マトリックスは、細胞外マトリックススキャフォールド上での患者の幹細胞の組織化及び配列を容易にする。更に、細胞外マトリックススキャフォールドにより、患者の幹細胞を組織形成に必要な細胞に分化させる事が可能と成る。上述の様に、本発明の或る特定の実施形態による方法により、合成的に作製された組織又はドナー組織に頼るのではなく、特定の患者と生体適合性のある患者自身の細胞を使用して組織移植片をカスタム形成する事が可能と成る。
【0015】
本発明の或る特定の実施形態によれば、本明細書に開示された方法により、合成組織、ドナー組織、又はドナー組織から作製された生物工学で作られた組織に頼ることなく、再生用途の為に生物工学で作られた患者組織を作製、又は治療用細胞を送達する事が可能と成る。例えば、本発明の或る特定の実施形態は、患者自身の幹細胞及び/又は体細胞を使用してカスタム自家移植片を作製する方法を提供する。本発明の或る特定の実施形態によれば、本発明は、組織がドナー又は合成材料ではなく患者から生成される為、患者が免疫抑制薬を服用する必要性を有益に排除する。
【0016】
本発明による或る特定の実施形態は、第1の対象細胞型に関連した細胞外マトリックス(ECM)材料の連続マトリックスと、第1の対象細胞型に関連したECM材料の連続マトリックス全体に広がる微孔質チャネル及び/又はチャンバーの網状組織とによって規定される3次元(3D)マクロ構造を含む無細胞基材(例えば、足場)を提供する。3Dマクロ構造は、上面、下面、及び上面から下面へと延びる少なくとも1つの側縁部によって規定される厚さを含み得る。例えば、図1は、ECM材料の連続マトリックス10と、ECM材料の連続マトリックス全体に広がる微孔質チャネル及び/又はチャンバーの網状組織30とによって規定される3Dマクロ構造を有する無細胞基材1を示している。図1のECM材料の連続マトリックス10は、其の全体に広がる微孔質チャネル及び/又はチャンバーの網状組織30を示す為に透明にレンダリングされている。
【0017】
本発明の或る特定の実施形態によれば、無細胞基材は、少なくとも1つの連結用オス型構成要素及び/又は少なくとも1つの連結用メス型構成要素を更に備えても良く、各構成要素を使用して、2個以上の個別の無細胞基材を互いに連結又は接合する事が出来る。一例として、少なくとも1つの連結用オス型構成要素(存在する場合)は、少なくとも1つの側縁部から外側に延びる第1の連結用オス型構成要素を含み得る。例えば、少なくとも1つの側縁部は、第1の側縁部及び第2の側縁部を含み、此処で、少なくとも1つの連結用オス型構成要素は、第1の側縁部から外側に延びる第1の連結用オス型構成要素と、第2の側縁部から外側に延びる第2の連結用オス型構成要素とを含む。追加的に又は代替的に、少なくとも1つの連結用オス型構成要素は、上面から外側に延びる第3の連結用オス型構成要素を含む。本発明の或る特定の実施形態によれば、無細胞基材は、3Dマクロ構造の内部に向かって少なくとも1つの側縁部から内側に延びる第1の連結用メス型構成要素を備えて良い。例えば、少なくとも1つの側縁部は、第3の側縁部及び第4の側縁部を含み、此処で、少なくとも1つの連結用メス型構成要素は、3Dマクロ構造の内部に向かって第3の側縁部から内側に延びる第1の連結用メス型構成要素と、3Dマクロ構造の内部に向かって第4の側縁部から内側に延びる第2の連結用メス型構成要素とを含む。本発明の或る特定の実施形態によれば、第1の側縁部及び第3の側縁部は、対向する側縁部の第1のペアを規定し、一方で、第2の側縁部及び第4の側縁部は、対向する側縁部の第2のペアを規定する。追加的に又は代替的に、少なくとも1つの連結用メス型構成要素は、3Dマクロ構造の内部に向かって下面から内側に延びる第3の連結用メス型構成要素を含む。
【0018】
本発明の或る特定の実施形態によれば、少なくとも1つの連結用オス型構成要素及び少なくとも1つの連結用メス型構成要素(存在する場合)を除く3Dマクロ構造は、立方体、四角柱、又は三角柱を規定する。本発明の或る特定の実施形態によれば、少なくとも1つの連結用オス型構成要素及び少なくとも1つの連結用メス型構成要素(存在する場合)を除く3Dマクロ構造は、3面~12面の側縁部、例えば少なくとも約3面、少なくとも約4面、少なくとも約5面、少なくとも約6面、少なくとも約7面、及び少なくとも約8面の側縁部、並びに/又は次の何れか:最大約12面、最大約11面、最大約10面、最大約9面、及び最大約8面の側縁部を有する多角柱を規定する。
【0019】
本発明の或る特定の実施形態によれば、少なくとも1つの側縁部は、第1の側縁部、第2の側縁部、及び第1の側縁部と第2の側縁部との間に隣接して位置するアーチ状の側縁部を含む。例えば、第1の側縁部は、第1の側縁部から外側に延びる少なくとも1つの連結用オス型構成要素を含んで良く、且つ第2の側縁部は、3Dマクロ構造の内部に向かって第2の側縁部から内側に延びる少なくとも1つの連結用メス型構成要素を含んでも良い。追加的に又は代替的に、少なくとも1つの連結用オス型構成要素は、上面から外側に延びる第2の連結用オス型構成要素を含む。追加的に又は代替的に、少なくとも1つの連結用メス型構成要素は、3Dマクロ構造の内部に向かって下面から内側に延びる第2の連結用メス型構成要素を含む。単なる例示として、少なくとも1つの連結用オス型構成要素及び少なくとも1つの連結用メス型構成要素を除く3Dマクロ構造は、1/8円筒~1/2円筒、例えば1/8円筒、1/4円筒、1/3円筒、又は1/2円筒等の半円筒を規定する。
【0020】
本発明の或る特定の実施形態によれば、上面は、約0.25cm~約25cm、例えば、次の何れか:少なくとも約0.25cm、少なくとも約0.5cm、少なくとも約0.75cm、少なくとも約1cm、少なくとも約1.5cm、少なくとも約2cm、少なくとも約5cm、少なくとも約8cm、少なくとも約10cm、及び少なくとも約12cm、並びに/又は次の何れか:約25cm、約22cm、約20cm、約18cm、約15cm、及び約12cmの巨視的表面積を含む。追加的に又は代替的に、下面は、約0.25cm~約25cm、例えば、次の何れか:少なくとも約0.25cm、少なくとも約0.5cm、少なくとも約0.75cm、少なくとも約1cm、少なくとも約1.5cm、少なくとも約2cm、少なくとも約5cm、少なくとも約8cm、少なくとも約10cm、及び少なくとも約12cm、並びに/又は次の何れか:約25cm、約22cm、約20cm、約18cm、約15cm、及び約12cmの巨視的表面積を含む。追加的に又は代替的に、3Dマクロ構造の厚さは、約0.5cm~約3cm、例えば、次の何れか:少なくとも約0.5cm、少なくとも約0.75cm、少なくとも約1cm、少なくとも約1.25cm、及び少なくとも約1.5cm、並びに/又は次の何れか:最大約3cm、最大約2.5cm、最大約2cm、及び最大約1.5cmである。追加的に又は代替的に、少なくとも1つの連結用メス型構成要素の其々は、第2の無細胞基材の対応する少なくとも1つの連結用オス型構成要素を受容する様に構成されている。
【0021】
本発明の或る特定の実施形態によれば、ECM材料の連続マトリックス全体に広がる微孔質チャネル及び/又はチャンバーの網状組織は、約100ミクロン~約800ミクロン、例えば、次の何れか:少なくとも約100ミクロン、少なくとも約120ミクロン、少なくとも約150ミクロン、少なくとも約180ミクロン、少なくとも約200ミクロン、少なくとも約220ミクロン、及び少なくとも約250ミクロン、並びに/又は次の何れか:最大約800ミクロン、最大約780ミクロン、最大約750ミクロン、最大約720ミクロン、最大約700ミクロン、最大約680ミクロン、最大約650ミクロン、最大約620ミクロン、最大約600ミクロン、最大約580ミクロン、最大約550ミクロン、最大約520ミクロン、最大約500ミクロン、最大約480ミクロン、最大約450ミクロン、最大約420ミクロン、最大約400ミクロン、最大約380ミクロン、最大約350ミクロン、最大約320ミクロン、最大約300ミクロン、最大約280ミクロン、及び最大約250ミクロンの平均直径を有し得る。
【0022】
別の態様に於いて、本発明による或る特定の実施形態は、無細胞基材を形成する方法であって、(i)モールド内に分解性ヒドロゲル材料を含むマイクロストランド及び/又はマイクロポッドの網状組織を形成又は配置する事と、(ii)マイクロストランド及び/又はマイクロポッドの網状組織を収容するモールド内に対象細胞型の細胞を含む初期培養培地を加える事によって、マイクロストランド及び/又はマイクロポッドの網状組織に播種する事と、(iii)新鮮な培養培地をモールドに灌流させる事によって細胞に供給して、組織が成長し拡大してモールドを満たす迄細胞に栄養を与える事と、(iv)モールド内に位置する組織に対して脱細胞化操作を行って、対象細胞型に関連したECM材料の連続マトリックスを形成する事と、(v)マイクロストランド及び/又はマイクロポッドの網状組織を分解及び除去する事によって対象細胞型に関連したECM材料の連続マトリックス全体に広がる微孔質チャネル及び/又はチャンバーの網状組織を形成して、無細胞基材を得る事とを含む、方法を提供する。
【0023】
本発明の或る特定の実施形態によれば、マイクロストランド及び/又はマイクロポッドの網状組織の形成又は配置は、デジタル光合成プリントの3Dプリント等のアディティブマニュファクチャリング技術の実施を含む。追加的に又は代替的に、
マイクロストランド及び/又はマイクロポッドの網状組織の構造は、対象細胞型の細胞形態に基づいて選択される。例えば、対象細胞型の細胞形態は、標的マトリックス構造と、チャネル及び/又はチャンバーの標的微孔質網状組織とを有し、此処で、マイクロストランド及び/又はマイクロポッドの網状組織の構造は、チャネル及び/又はチャンバーの標的微孔質網状組織に似ているか又は其れと同一である。追加的に又は代替的に、マイクロストランド及び/又はマイクロポッドの網状組織は、約100ミクロン~約800ミクロン、例えば、次の何れか:少なくとも約100ミクロン、少なくとも約120ミクロン、少なくとも約150ミクロン、少なくとも約180ミクロン、少なくとも約200ミクロン、少なくとも約220ミクロン、及び少なくとも約250ミクロン、並びに/又は次の何れか:最大約800ミクロン、最大約780ミクロン、最大約750ミクロン、最大約720ミクロン、最大約700ミクロン、最大約680ミクロン、最大約650ミクロン、最大約620ミクロン、最大約600ミクロン、最大約580ミクロン、最大約550ミクロン、最大約520ミクロン、最大約500ミクロン、最大約480ミクロン、最大約450ミクロン、最大約420ミクロン、最大約400ミクロン、最大約380ミクロン、最大約350ミクロン、最大約320ミクロン、最大約300ミクロン、最大約280ミクロン、及び最大約250ミクロンの平均直径を有する。
【0024】
本発明の或る特定の実施形態によれば、マイクロストランド及び/又はマイクロポッドの網状組織は、生物由来の1種以上のバイオポリマー等の1種以上の分解性ポリマーを含む選択的に分解可能なヒドロゲル材料を含む。例えば、生物由来の1種以上のバイオポリマーは、ポリヌクレオチド、多糖類、ポリペプチド、又は其れ等の任意の組合せを含み得る。本発明の或る特定の実施形態によれば、1種以上のバイオポリマーは、コラーゲン、ゼラチン、ラミニン、アルギン酸塩、グリコサミノグリカン、オリゴヌクレオチド(例えば、DNA、RNA)、炭水化物、脂質、セルロース、アルギン酸塩、並びにバイオポリマー鎖を破壊するタンパク質特異的酵素、イオン性溶媒、中性デタージェント、弱酸、及び過酸化物を使用する事等によって穏やかに分解する事が出来るタンパク質を含む。本発明の或る特定の実施形態によれば、1種以上のバイオポリマーは、ヒドロキシブチレート、乳酸、グリコール酸、及びカプロラクトン等のエステル、アジピン酸及びセバシン酸等の無水物、セルロース、アルギン酸塩、ペクチン、デキストリン、キトサン、ヒアルロナン、コンドロイチン硫酸、及びヘパリン等の糖類、タンパク質、ヌクレオチド(DNA、RNA)、コラーゲン、ゼラチン、シルク、及びフィブリン等のペプチド、ウレタン、ホスフェート、カーボネート、及び塩化ビニルを含む分解性モノマーを含む。追加的に又は代替的に、選択的に分解可能なヒドロゲル材料は、ポリエステル、ポリ無水物、ポリカーボネート、ポリウレタン、ポリホスフェート、又は其れ等の組合せ等の合成ポリマーを更に含む。本発明の或る特定の実施形態によれば、選択的に分解可能なヒドロゲル材料は、0重量%~25重量%の合成ポリマー、例えば、次の何れか:少なくとも約0重量%、少なくとも約1重量%、少なくとも約3重量%、少なくとも約5重量%、少なくとも約8重量%、及び少なくとも約10重量%の合成ポリマー、並びに/又は次の何れか:最大約25重量%、最大約20重量%、最大約15重量%、及び最大約12重量%の合成ポリマーを含む。
【0025】
本発明の或る特定の実施形態によれば、モールド内に配置された組織に対して脱細胞化操作を実施する工程は、組織をデタージェントで処理し、続いて対象細胞型に関連したECM材料の連続マトリックスを透析する事を含む。此の点に関して、ECM材料の構造を維持しながら、初代細胞を選択的に除去する事が出来る。脱細胞化後、此の方法は、対象細胞型に関連したECM材料の連続マトリックスを凍結乾燥する工程を含む事が出来る。此の方法は更に、無細胞基材をモールドから除去する工程、及び/又は電子線照射操作若しくはガンマ線照射操作等によって無細胞基材を滅菌する工程を含む事が出来る。
【0026】
図2図5は、無細胞基材を作製する一般的な方法を示している。図2は、マイクロストランド及び/又はマイクロポッドの網状組織130が内部に3Dプリントされた又は内部に配置された立方体様のモールド100を示している。マイクロストランド及び/又はマイクロポッドの網状組織130は、本明細書に記載及び開示される物等の分解性又は溶解性のヒドロゲル材料から形成され得る。図3は、マイクロチャネル及び/又はマイクロポッドの網状組織130上に対象細胞型33を播種し、対象細胞型の細胞外マトリックスを成長させて、少なくとも1つの連結用オス型構成要素及び/又は少なくとも1つの連結用メス型構成要素(示していない)を備え得る立方体様のモールドを満たす様子を示している。立方体様のモールド100に細胞外マトリックス材料が満たされた後、図4に示される様に脱細胞化組織10が生成されるだけでなく、引き続きヒドロゲル材料(例えば、マイクロストランド及び/又はマイクロポッドの網状組織)30も分解又は溶解されて中間無細胞基材が形成される。図5は、中間無細胞基材を凍結乾燥し、引き続き立方体様のモールドから取り出した後、滅菌する様子を示している。図1は、本発明の或る特定の実施形態により形成された得られた無細胞マトリックスを示している。
【0027】
別の態様に於いて、本発明による或る特定の実施形態は、個別化された移植片を形成する方法であって、(i)本明細書に記載及び開示される様な1個以上の無細胞基材を準備又は形成する(此処で、第1の対象細胞型は、特定の器官組織等の異常を有する患者の組織に関連している)事と、(ii)1個以上の無細胞基材に、異常を有する患者の組織に関連した健康なネイティブ細胞を播種する事と、(iii)健康なネイティブ細胞に培養培地を供給し、無細胞基材の微孔質チャネル及び/又はチャンバーの網状組織全体に健康なネイティブ細胞を増殖させて、個別化された移植片を形成する事とを含む、方法を提供する。例えば、第1の細胞型の細胞をECM材料から除去し、患者自身の細胞を其の細胞用に設計された無細胞基材に加える事が出来る。つまり、患者が組織に異常を有する場合、カスタムモールド(例えば、当該組織の組織形態に基づき、ヒドロゲル材料から形成されたマイクロストランド及び/又はマイクロポッドの3D網状組織)を作って異常を修復し、其の患者用のカスタムスキャフォールド(例えば、マイクロストランド及び/又はマイクロポッドの3D網状組織を形成するヒドロゲル材料の溶解又は分解)個別化移植片を作る事が出来る。従って、本発明の或る特定の実施形態による方法は、患者自身の解剖学的構造からカスタムスキャフォールドを作って、患者自身の細胞の適用から移植片を形成する事を提供する。
【0028】
本発明の或る特定の実施形態によれば、1個以上の無細胞基材は、第1の無細胞基材及び第2の無細胞基材を含み、此処で、第1の無細胞基材と第2の無細胞基材とは同じである。例えば、第1の無細胞基材は第2の無細胞基材に接合されていて良く、こうして多重無細胞足場が得られる。此の方法は、多重無細胞足場の微孔質チャネル及び/又はチャンバーの集合体網状組織全体に健康なネイティブ細胞を増殖させて、個別化された移植片を形成する事を含み得る。本発明の或る特定の実施形態によれば、1個以上の無細胞基材は、互いに接合されて多重無細胞足場を規定する少なくとも2個の無細胞基材、又は次の何れか:少なくとも約2個、少なくとも約3個、少なくとも約5個、少なくとも約10個、少なくとも約20個、少なくとも約30個、少なくとも約40個、少なくとも約50個、少なくとも約60個、少なくとも約70個、少なくとも約80個、少なくとも約90個、及び少なくとも約100個の無細胞基材を含む。図6図9は、本発明の或る特定の実施形態による接合された複数の無細胞基材の様々な構成200の非限定的な例を示している。図6図9に示される様に、無細胞基材は、多数の様々な3D幾何学的形状で連結されていても、又は其の他の方法で互いに接合されていても良い。
【実施例
【0029】
本開示を以下の実施例により更に例示するが、此れ等の実施例は決して限定するものと解釈されるべきではない。即ち、以下の実施例で説明される特定の特徴は単なる例示に過ぎず、限定するものではない。
【0030】
必要に応じて液体が適用及び吸引される独自の閉鎖系が設計されている。反転ヒドロゲルモールド(例えば、マイクロストランド及びマイクロポッドの網状組織)を、最初に立方体様のモールド内に堆積させた。次に、滅菌生理食塩水を其々5分間の間に亘って2回適用した。其の後、1mL当たり100万個の細胞を含む細胞培地を各モールドに適用する。培地を24時間毎に灌流により完全に交換した。最低7日後、細胞培地を除去し、モールドを滅菌生理食塩水で洗浄する。ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)及びパルミチン酸ナトリウム(SP)を穏やかに掻き混ぜながら最大72時間に亘って各モールドに適用する。SDS及びSPを吸引し、ECMを滅菌脱イオン水(DI)で最大72時間に亘って透析した。次いで、ECMを6日間に亘って-170℃~37℃で循環させた。SDS及びSPを穏やかに掻き混ぜながら最大72時間に亘って各モールドに適用した。SDS及びSPを吸引し、ECMを滅菌DI水で最大72時間に亘って透析した。次いで、反転モールド(例えば、マイクロストランド及びマイクロポッドの網状組織)を光分解に因って溶解させた。ECMを、滅菌生理食塩水及び10%の抗生物質により紫外光の下で60分間の間に亘って3回洗浄した。ECMを滅菌生理食塩水で洗浄した。次いで、ECMを包装し、凍結乾燥して貯蔵した。
【0031】
当業者であれば、本発明の趣旨及び範囲から逸脱する事なく、本発明に対する此れらの変更及び変形、並びに其の他の変更及び変形を行う事が出来、本発明は、添付の特許請求の範囲に更に詳細に示される。更に、様々な実施形態の態様を全体的又は部分的に入れ替える事が出来る事が理解されるべきである。更に、当業者であれば、上述の説明は例示のみを目的としており、此の様な添付の特許請求の範囲に於いて更に記載される本発明を限定する事を意図したものではない事を理解するであろう。従って、添付の特許請求の範囲の趣旨及び範囲は、本明細書に含まれる解釈の例示的な説明に限定されるべきではない。
【符号の説明】
【0032】
1 無細胞基材
10 ECM材料の連続マトリックス
30 微孔質チャネル及び/又はチャンバーの網状組織
100 立方体様のモールド
130 マイクロストランド及び/又はマイクロポッドの網状組織
133 対象細胞型
200 様々な構成

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
【手続補正書】
【提出日】2024-08-05
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
無細胞基材であって、
第1の対象細胞型に関連した細胞外マトリックス(ECM)材料の連続マトリックスと、前記第1の対象細胞型に関連した前記ECM材料の連続マトリックス全体に広がる微孔質チャネル及び/又はチャンバーの網状組織とによって規定される3次元(3D)マクロ構造を含み、
前記3Dマクロ構造は、上面、下面、及び前記上面から前記下面へと延びる少なくとも1つの側縁部によって規定される厚さを備える、
無細胞基材。
【請求項2】
前記無細胞基材は、少なくとも1つの連結用オス型構成要素及び少なくとも1つの連結用メス型構成要素を更に備え、
前記少なくとも1つの連結用オス型構成要素は、前記少なくとも1つの側縁部から外側に延びる第1の連結用オス型構成要素を含み、及び/又は、
前記少なくとも1つの連結用メス型構成要素は、前記3Dマクロ構造の内部に向かって前記少なくとも1つの側縁部から内側に延びる第1の連結用メス型構成要素を含む、
請求項1に記載の無細胞基材。
【請求項3】
前記少なくとも1つの側縁部は、第1の側縁部及び第2の側縁部を含み、此処で、前記少なくとも1つの連結用オス型構成要素は、前記第1の側縁部から外側に延びる第1の連結用オス型構成要素と、前記第2の側縁部から外側に延びる第2の連結用オス型構成要素とを含む、請求項2に記載の無細胞基材。
【請求項4】
前記少なくとも1つの側縁部は、第3の側縁部及び第4の側縁部を含み、此処で、前記少なくとも1つの連結用メス型構成要素は、前記3Dマクロ構造の内部に向かって前記第3の側縁部から内側に延びる第1の連結用メス型構成要素と、前記3Dマクロ構造の内部に向かって前記第4の側縁部から内側に延びる第2の連結用メス型構成要素とを含み、任意に、前記第1の側縁部及び前記第3の側縁部は、対向する側縁部の第1のペアを規定し、前記第2の側縁部及び前記第4の側縁部は、対向する側縁部の第2のペアを規定する、請求項3に記載の無細胞基材。
【請求項5】
(i)前記上面は、約0.25cm ~約25cm 、例えば、次の何れか:少なくとも約0.25cm 、少なくとも約0.5cm 、少なくとも約0.75cm 、少なくとも約1cm 、少なくとも約1.5cm 、少なくとも約2cm 、少なくとも約5cm 、少なくとも約8cm 、少なくとも約10cm 、及び少なくとも約12cm 、並びに/又は次の何れか:約25cm 、約22cm 、約20cm 、約18cm 、約15cm 、及び約12cm の巨視的表面積を含み、
(ii)前記下面は、約0.25cm ~約25cm 、例えば、次の何れか:少なくとも約0.25cm 、少なくとも約0.5cm 、少なくとも約0.75cm 、少なくとも約1cm 、少なくとも約1.5cm 、少なくとも約2cm 、少なくとも約5cm 、少なくとも約8cm 、少なくとも約10cm 、及び少なくとも約12cm 、並びに/又は次の何れか:約25cm 、約22cm 、約20cm 、約18cm 、約15cm 、及び約12cm の巨視的表面積を含み、
(iii)前記3Dマクロ構造の前記厚さは、約0.5cm~約3cm、例えば、次の何れか:少なくとも約0.5cm、少なくとも約0.75cm、少なくとも約1cm、少なくとも約1.25cm、及び少なくとも約1.5cm、並びに/又は次の何れか:最大約3cm、最大約2.5cm、最大約2cm、及び最大約1.5cmであり、又は、
(iv)上記(i)、(ii)、(iii)のいずれかの組み合わせである、
請求項1~4の何れか一項に記載の無細胞基材。
【請求項5】
前記少なくとも1つの連結用メス型構成要素の其々は、第2の無細胞基材の対応する少なくとも1つの連結用オス型構成要素を受容する様に構成されている、請求項2~5の何れか一項に記載の無細胞基材。
【請求項7】
(i)前記ECM材料の連続マトリックス全体に広がる微孔質チャネル及び/又はチャンバーの網状組織は、約100ミクロン~約800ミクロン、例えば、次の何れか:少なくとも約100ミクロン、少なくとも約120ミクロン、少なくとも約150ミクロン、少なくとも約180ミクロン、少なくとも約200ミクロン、少なくとも約220ミクロン、及び少なくとも約250ミクロン、並びに/又は次の何れか:最大約800ミクロン、最大約780ミクロン、最大約750ミクロン、最大約720ミクロン、最大約700ミクロン、最大約680ミクロン、最大約650ミクロン、最大約620ミクロン、最大約600ミクロン、最大約580ミクロン、最大約550ミクロン、最大約520ミクロン、最大約500ミクロン、最大約480ミクロン、最大約450ミクロン、最大約420ミクロン、最大約400ミクロン、最大約380ミクロン、最大約350ミクロン、最大約320ミクロン、最大約300ミクロン、最大約280ミクロン、及び最大約250ミクロンの平均直径を有し、
(ii)前記ECM材料の連続マトリックス全体に広がる微孔質チャネル及び/又はチャンバーの網状組織は、前記3Dマクロ構造の少なくとも約40体積%、例えば、次の何れか:前記3Dマクロ構造の少なくとも約40体積%、少なくとも約50体積%、少なくとも約60体積%、及び少なくとも約70体積%、並びに/又は次の何れか:前記3Dマクロ構造の最大約90体積%、最大約85体積%、最大約80体積%、最大約75体積%、及び最大約70体積%を含み、又は、
(iii)上記(i)及び(ii)の両方である、
請求項1~6の何れか一項に記載の無細胞基材。
【請求項8】
無細胞基材を形成する方法であって、
(i)モールド内に分解性ヒドロゲル材料を含むマイクロストランド及び/又はマイクロポッドの網状組織を形成又は配置する事と、
(ii)前記マイクロストランド及び/又はマイクロポッドの網状組織を収容する前記モールド内に対象細胞型の細胞を含む初期培養培地を加える事によって、前記マイクロストランド及び/又はマイクロポッドの網状組織に播種する事と、
(iii)新鮮な培養培地を前記モールドに灌流させる事によって前記細胞に供給して、組織が成長し拡大して前記モールドを満たす迄細胞に栄養を与える事と、
(iv)前記モールド内に位置する前記組織に対して脱細胞化操作を行って、前記対象細胞型に関連したECM材料の連続マトリックスを形成する事と、
(v)前記マイクロストランド及び/又はマイクロポッドの網状組織を分解及び除去する事によって前記対象細胞型に関連した前記ECM材料の連続マトリックス全体に広がる微孔質チャネル及び/又はチャンバーの網状組織を形成して、前記無細胞基材を得る事と、
を含む、方法。
【請求項9】
前記マイクロストランド及び/又はマイクロポッドの網状組織の形成又は配置は、デジタル光合成プリントの3Dプリント等のアディティブマニュファクチャリング技術の実施を含む、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記マイクロストランド及び/又はマイクロポッドの網状組織の構造は、前記対象細胞型の細胞形態に基づいて選択され、前記細胞形態は、標的マトリックス構造と、チャネル及び/又はチャンバーの標的微孔質網状組織とを有し、此処で、前記マイクロストランド及び/又はマイクロポッドの網状組織の前記構造は、前記チャネル及び/又はチャンバーの標的微孔質網状組織に似ているか又は其れと同一である、請求項8又は9に記載の方法。
【請求項11】
前記マイクロストランド及び/又はマイクロポッドの網状組織は、約100ミクロン~約800ミクロン、例えば、次の何れか:少なくとも約100ミクロン、少なくとも約120ミクロン、少なくとも約150ミクロン、少なくとも約180ミクロン、少なくとも約200ミクロン、少なくとも約220ミクロン、及び少なくとも約250ミクロン、並びに/又は次の何れか:最大約800ミクロン、最大約780ミクロン、最大約750ミクロン、最大約720ミクロン、最大約700ミクロン、最大約680ミクロン、最大約650ミクロン、最大約620ミクロン、最大約600ミクロン、最大約580ミクロン、最大約550ミクロン、最大約520ミクロン、最大約500ミクロン、最大約480ミクロン、最大約450ミクロン、最大約420ミクロン、最大約400ミクロン、最大約380ミクロン、最大約350ミクロン、最大約320ミクロン、最大約300ミクロン、最大約280ミクロン、及び最大約250ミクロンの平均直径を有する、請求項8~10の何れか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記マイクロストランド及び/又はマイクロポッドの網状組織は、生物由来の1種以上のバイオポリマー等の1種以上の分解性ポリマーを含む選択的に分解可能なヒドロゲル材料を含む、請求項8~11の何れか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記1種以上のバイオポリマーは、コラーゲン、ゼラチン、ラミニン、アルギン酸塩、グリコサミノグリカン、オリゴヌクレオチド、炭水化物、脂質、セルロース、アルギン酸塩、並びに其れ等のバイオポリマー鎖を破壊するタンパク質特異的酵素、イオン性溶媒、中性デタージェント、弱酸、及び/又は過酸化物を使用する事等によって分解する事が出来るタンパク質を含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記選択的に分解可能なヒドロゲル材料は、ポリエステル、ポリ無水物、ポリカーボネート、ポリウレタン、ポリホスフェート、又は其れ等の組合せ等の合成ポリマーを更に含む、請求項12又は13に記載の方法。
【請求項15】
前記モールド内に配置された前記組織に対する前記脱細胞化操作の実施は、前記組織をデタージェントで処理し、続いて前記対象細胞型に関連した前記ECM材料の連続マトリックスを透析する事を含む、請求項8~14の何れか一項に記載の方法。
【請求項16】
(i)前記対象細胞型に関連した前記ECM材料の連続マトリックスを凍結乾燥する工程、
(ii)電子線照射操作又はガンマ線照射操作等によって前記無細胞基材を滅菌する工程、
(iii)前記無細胞基材を前記モールドから取り出す工程、又は、
(iv)上記(i)、(ii)、(iii)のいずれかの組み合わせ、
をさらに含む、請求項8~15の何れか一項に記載の方法。
【請求項17】
個別化された移植片を形成する方法であって、
(i)請求項1~7の何れか一項に記載の1個以上の無細胞基材を準備又は形成する(此処で、前記第1の対象細胞型は、特定の器官組織等の異常を有する患者の組織に関連している)事と、
(ii)前記1個以上の無細胞基材に、異常を有する前記患者の組織に関連した健康なネイティブ細胞を播種する事と、
(iii)前記健康なネイティブ細胞に培養培地を供給し、前記無細胞基材の前記微孔質チャネル及び/又はチャンバーの網状組織全体に前記健康なネイティブ細胞を増殖させて、前記個別化された移植片を形成する事と、
を含む、方法。
【請求項18】
前記1個以上の無細胞基材は、第1の無細胞基材及び第2の無細胞基材を含み、此処で、前記第1の無細胞基材と前記第2の無細胞基材とは同じである、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記第1の無細胞基材を前記第2の無細胞基材に接合させることで、多重無細胞足場を得て、前記多重無細胞足場の微孔質チャネル及び/又はチャンバーの集合体網状組織全体に前記健康なネイティブ細胞を増殖させて、前記個別化された移植片を形成する、請求項17に記載の方法。
【請求項20】
前記1個以上の無細胞基材は、互いに接合されて多重無細胞足場を規定する少なくとも2個の無細胞基材、又は次の何れか:少なくとも約2個、少なくとも約3個、少なくとも約5個、少なくとも約10個、少なくとも約20個、少なくとも約30個、少なくとも約40個、少なくとも約50個、少なくとも約60個、少なくとも約70個、少なくとも約80個、少なくとも約90個、及び少なくとも約100個の無細胞基材を含む、請求項17~19の何れか一項に記載の方法。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0031
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0031】
当業者であれば、本発明の趣旨及び範囲から逸脱する事なく、本発明に対する此れらの変更及び変形、並びに其の他の変更及び変形を行う事が出来、本発明は、添付の特許請求の範囲に更に詳細に示される。更に、様々な実施形態の態様を全体的又は部分的に入れ替える事が出来る事が理解されるべきである。更に、当業者であれば、上述の説明は例示のみを目的としており、此の様な添付の特許請求の範囲に於いて更に記載される本発明を限定する事を意図したものではない事を理解するであろう。従って、添付の特許請求の範囲の趣旨及び範囲は、本明細書に含まれる解釈の例示的な説明に限定されるべきではない。
〔付記1〕
無細胞基材であって、
第1の対象細胞型に関連した細胞外マトリックス(ECM)材料の連続マトリックスと、前記第1の対象細胞型に関連した前記ECM材料の連続マトリックス全体に広がる微孔質チャネル及び/又はチャンバーの網状組織とによって規定される3次元(3D)マクロ構造
を含み、
此処で、前記3Dマクロ構造は、上面、下面、及び前記上面から前記下面へと延びる少なくとも1つの側縁部によって規定される厚さを備える、
無細胞基材。
〔付記2〕
前記無細胞基材は、少なくとも1つの連結用オス型構成要素及び少なくとも1つの連結用メス型構成要素を更に備える、付記1に記載の無細胞基材。
〔付記3〕
前記少なくとも1つの連結用オス型構成要素は、前記少なくとも1つの側縁部から外側に延びる第1の連結用オス型構成要素を含む、付記2に記載の無細胞基材。
〔付記4〕
前記少なくとも1つの側縁部は、第1の側縁部及び第2の側縁部を含み、此処で、前記少なくとも1つの連結用オス型構成要素は、前記第1の側縁部から外側に延びる第1の連結用オス型構成要素と、前記第2の側縁部から外側に延びる第2の連結用オス型構成要素とを含む、付記2に記載の無細胞基材。
〔付記5〕
前記少なくとも1つの連結用オス型構成要素は、前記上面から外側に延びる第3の連結用オス型構成要素を含む、付記2~4の何れか一項に記載の無細胞基材。
〔付記6〕
前記少なくとも1つの連結用メス型構成要素は、前記3Dマクロ構造の内部に向かって前記少なくとも1つの側縁部から内側に延びる第1の連結用メス型構成要素を含む、付記2~4の何れか一項に記載の無細胞基材。
〔付記7〕
前記少なくとも1つの側縁部は、第3の側縁部及び第4の側縁部を含み、此処で、前記少なくとも1つの連結用メス型構成要素は、前記3Dマクロ構造の内部に向かって前記第3の側縁部から内側に延びる第1の連結用メス型構成要素と、前記3Dマクロ構造の内部に向かって前記第4の側縁部から内側に延びる第2の連結用メス型構成要素とを含む、付記4~6の何れか一項に記載の無細胞基材。
〔付記8〕
前記第1の側縁部及び前記第3の側縁部は、対向する側縁部の第1のペアを規定する、付記7に記載の無細胞基材。
〔付記9〕
前記第2の側縁部及び前記第4の側縁部は、対向する側縁部の第2のペアを規定する、付記7又は8に記載の無細胞基材。
〔付記10〕
前記少なくとも1つの連結用メス型構成要素は、前記3Dマクロ構造の内部に向かって前記下面から内側に延びる第3の連結用メス型構成要素を含む、付記7~9の何れか一項に記載の無細胞基材。
〔付記11〕
前記少なくとも1つの連結用オス型構成要素及び前記少なくとも1つの連結用メス型構成要素を除く前記3Dマクロ構造は、立方体、四角柱、又は三角柱を規定する、付記1~10の何れか一項に記載の無細胞基材。
〔付記12〕
前記少なくとも1つの連結用オス型構成要素及び前記少なくとも1つの連結用メス型構成要素を除く前記3Dマクロ構造は、3面~12面の側縁部、例えば少なくとも約3面、少なくとも約4面、少なくとも約5面、少なくとも約6面、少なくとも約7面、及び少なくとも約8面の側縁部、並びに/又は次の何れか:最大約12面、最大約11面、最大約10面、最大約9面、及び最大約8面の側縁部を有する多角柱を規定する、付記1~10の何れか一項に記載の無細胞基材。
〔付記13〕
前記少なくとも1つの側縁部は、第1の側縁部、第2の側縁部、及び前記第1の側縁部と前記第2の側縁部との間に隣接して位置するアーチ状の側縁部を含む、付記1に記載の無細胞基材。
〔付記14〕
前記第1の側縁部は、前記第1の側縁部から外側に延びる前記少なくとも1つの連結用オス型構成要素を備え、且つ前記第2の側縁部は、前記3Dマクロ構造の内部に向かって前記第2の側縁部から内側に延びる前記少なくとも1つの連結用メス型構成要素を備える、付記13に記載の無細胞基材。
〔付記15〕
前記少なくとも1つの連結用オス型構成要素は、前記上面から外側に延びる第2の連結用オス型構成要素を含む、付記13又は14に記載の無細胞基材。
〔付記16〕
前記少なくとも1つの連結用メス型構成要素は、前記3Dマクロ構造の内部に向かって前記下面から内側に延びる第2の連結用メス型構成要素を含む、付記13~15の何れか一項に記載の無細胞基材。
〔付記17〕
前記少なくとも1つの連結用オス型構成要素及び前記少なくとも1つの連結用メス型構成要素を除く前記3Dマクロ構造は、1/8円筒~1/2円筒、例えば1/8円筒、1/4円筒、1/3円筒、又は1/2円筒等の半円筒を規定する、付記13~16の何れか一項に記載の無細胞基材。
〔付記18〕
前記上面は、約0.25cm ~約25cm 、例えば、次の何れか:少なくとも約0.25cm 、少なくとも約0.5cm 、少なくとも約0.75cm 、少なくとも約1cm 、少なくとも約1.5cm 、少なくとも約2cm 、少なくとも約5cm 、少なくとも約8cm 、少なくとも約10cm 、及び少なくとも約12cm 、並びに/又は次の何れか:約25cm 、約22cm 、約20cm 、約18cm 、約15cm 、及び約12cm の巨視的表面積を含む、付記1~17の何れか一項に記載の無細胞基材。
〔付記19〕
前記下面は、約0.25cm ~約25cm 、例えば、次の何れか:少なくとも約0.25cm 、少なくとも約0.5cm 、少なくとも約0.75cm 、少なくとも約1cm 、少なくとも約1.5cm 、少なくとも約2cm 、少なくとも約5cm 、少なくとも約8cm 、少なくとも約10cm 、及び少なくとも約12cm 、並びに/又は次の何れか:約25cm 、約22cm 、約20cm 、約18cm 、約15cm 、及び約12cm の巨視的表面積を含む、付記1~18の何れか一項に記載の無細胞基材。
〔付記20〕
前記3Dマクロ構造の前記厚さは、約0.5cm~約3cm、例えば、次の何れか:少なくとも約0.5cm、少なくとも約0.75cm、少なくとも約1cm、少なくとも約1.25cm、及び少なくとも約1.5cm、並びに/又は次の何れか:最大約3cm、最大約2.5cm、最大約2cm、及び最大約1.5cmである、付記1~19の何れか一項に記載の無細胞基材。
〔付記21〕
前記少なくとも1つの連結用メス型構成要素の其々は、第2の無細胞基材の対応する少なくとも1つの連結用オス型構成要素を受容する様に構成されている、付記2~22の何れか一項に記載の無細胞基材。
〔付記22〕
前記ECM材料の連続マトリックス全体に広がる微孔質チャネル及び/又はチャンバーの網状組織は、約100ミクロン~約800ミクロン、例えば、次の何れか:少なくとも約100ミクロン、少なくとも約120ミクロン、少なくとも約150ミクロン、少なくとも約180ミクロン、少なくとも約200ミクロン、少なくとも約220ミクロン、及び少なくとも約250ミクロン、並びに/又は次の何れか:最大約800ミクロン、最大約780ミクロン、最大約750ミクロン、最大約720ミクロン、最大約700ミクロン、最大約680ミクロン、最大約650ミクロン、最大約620ミクロン、最大約600ミクロン、最大約580ミクロン、最大約550ミクロン、最大約520ミクロン、最大約500ミクロン、最大約480ミクロン、最大約450ミクロン、最大約420ミクロン、最大約400ミクロン、最大約380ミクロン、最大約350ミクロン、最大約320ミクロン、最大約300ミクロン、最大約280ミクロン、及び最大約250ミクロンの平均直径を有する、付記1~21の何れか一項に記載の無細胞基材。
〔付記23〕
前記ECM材料の連続マトリックス全体に広がる微孔質チャネル及び/又はチャンバーの網状組織は、前記3Dマクロ構造の少なくとも約40体積%、例えば、次の何れか:前記3Dマクロ構造の少なくとも約40体積%、少なくとも約50体積%、少なくとも約60体積%、及び少なくとも約70体積%、並びに/又は次の何れか:前記3Dマクロ構造の最大約90体積%、最大約85体積%、最大約80体積%、最大約75体積%、及び最大約70体積%を含む、付記1~22の何れか一項に記載の無細胞基材。
〔付記24〕
無細胞基材を形成する方法であって、
(i)モールド内に分解性ヒドロゲル材料を含むマイクロストランド及び/又はマイクロポッドの網状組織を形成又は配置する事と、
(ii)前記マイクロストランド及び/又はマイクロポッドの網状組織を収容する前記モールド内に対象細胞型の細胞を含む初期培養培地を加える事によって、前記マイクロストランド及び/又はマイクロポッドの網状組織に播種する事と、
(iii)新鮮な培養培地を前記モールドに灌流させる事によって前記細胞に供給して、組織が成長し拡大して前記モールドを満たす迄細胞に栄養を与える事と、
(iv)前記モールド内に位置する前記組織に対して脱細胞化操作を行って、前記対象細胞型に関連したECM材料の連続マトリックスを形成する事と、
(v)前記マイクロストランド及び/又はマイクロポッドの網状組織を分解及び除去する事によって前記対象細胞型に関連した前記ECM材料の連続マトリックス全体に広がる微孔質チャネル及び/又はチャンバーの網状組織を形成して、前記無細胞基材を得る事と、
を含む、方法。
〔付記25〕
前記マイクロストランド及び/又はマイクロポッドの網状組織の形成又は配置は、デジタル光合成プリントの3Dプリント等のアディティブマニュファクチャリング技術の実施を含む、付記24に記載の方法。
〔付記26〕
前記マイクロストランド及び/又はマイクロポッドの網状組織の構造は、前記対象細胞型の細胞形態に基づいて選択され、前記細胞形態は、標的マトリックス構造と、チャネル及び/又はチャンバーの標的微孔質網状組織とを有し、此処で、前記マイクロストランド及び/又はマイクロポッドの網状組織の前記構造は、前記チャネル及び/又はチャンバーの標的微孔質網状組織に似ているか又は其れと同一である、付記24又は25に記載の方法。
〔付記27〕
前記マイクロストランド及び/又はマイクロポッドの網状組織は、約100ミクロン~約800ミクロン、例えば、次の何れか:少なくとも約100ミクロン、少なくとも約120ミクロン、少なくとも約150ミクロン、少なくとも約180ミクロン、少なくとも約200ミクロン、少なくとも約220ミクロン、及び少なくとも約250ミクロン、並びに/又は次の何れか:最大約800ミクロン、最大約780ミクロン、最大約750ミクロン、最大約720ミクロン、最大約700ミクロン、最大約680ミクロン、最大約650ミクロン、最大約620ミクロン、最大約600ミクロン、最大約580ミクロン、最大約550ミクロン、最大約520ミクロン、最大約500ミクロン、最大約480ミクロン、最大約450ミクロン、最大約420ミクロン、最大約400ミクロン、最大約380ミクロン、最大約350ミクロン、最大約320ミクロン、最大約300ミクロン、最大約280ミクロン、及び最大約250ミクロンの平均直径を有する、付記24~26の何れか一項に記載の方法。
〔付記28〕
前記マイクロストランド及び/又はマイクロポッドの網状組織は、生物由来の1種以上のバイオポリマー等の1種以上の分解性ポリマーを含む選択的に分解可能なヒドロゲル材料を含む、付記24~27の何れか一項に記載の方法。
〔付記29〕
生物由来の前記1種以上のバイオポリマーは、ポリヌクレオチド、多糖類、ポリペプチド、又は其れ等の任意の組合せを含む、付記28に記載の方法。
〔付記30〕
前記1種以上のバイオポリマーは、コラーゲン、ゼラチン、ラミニン、アルギン酸塩、グリコサミノグリカン、オリゴヌクレオチド(例えば、DNA、RNA)、炭水化物、脂質、セルロース、アルギン酸塩、並びに前記バイオポリマー鎖を破壊するタンパク質特異的酵素、イオン性溶媒、中性デタージェント、弱酸、及び過酸化物を使用する事等によって穏やかに分解する事が出来るタンパク質を含む、付記28又は29に記載の方法。
〔付記31〕
前記1種以上のバイオポリマーは、ヒドロキシブチレート、乳酸、グリコール酸、及びカプロラクトン等のエステル、アジピン酸及びセバシン酸等の無水物、セルロース、アルギン酸塩、ペクチン、デキストリン、キトサン、ヒアルロナン、コンドロイチン硫酸、及びヘパリン等の糖類、タンパク質、ヌクレオチド(DNA、RNA)、コラーゲン、ゼラチン、シルク、及びフィブリン等のペプチド、ウレタン、ホスフェート、カーボネート、及び塩化ビニルを含む分解性モノマーを含む、付記28~30の何れか一項に記載の方法。
〔付記32〕
前記選択的に分解可能なヒドロゲル材料は、ポリエステル、ポリ無水物、ポリカーボネート、ポリウレタン、ポリホスフェート、又は其れ等の組合せ等の合成ポリマーを更に含む、付記28~31の何れか一項に記載の方法。
〔付記33〕
前記モールド内に配置された前記組織に対する前記脱細胞化操作の実施は、前記組織をデタージェントで処理し、続いて前記対象細胞型に関連した前記ECM材料の連続マトリックスを透析する事を含む、付記24~32の何れか一項に記載の方法。
〔付記34〕
前記対象細胞型に関連した前記ECM材料の連続マトリックスを凍結乾燥する工程を更に含む、付記24~33の何れか一項に記載の方法。
〔付記35〕
電子線照射操作又はガンマ線照射操作等によって前記無細胞基材を滅菌する工程を更に含む、付記24~34の何れか一項に記載の方法。
〔付記36〕
前記無細胞基材を前記モールドから取り出す工程を更に含む、付記24~35の何れか一項に記載の方法。
〔付記37〕
個別化された移植片を形成する方法であって、
(i)付記1~23の何れか一項に記載の1個以上の無細胞基材を準備又は形成する(此処で、前記第1の対象細胞型は、特定の器官組織等の異常を有する患者の組織に関連している)事と、
(ii)前記1個以上の無細胞基材に、異常を有する前記患者の組織に関連した健康なネイティブ細胞を播種する事と、
(iii)前記健康なネイティブ細胞に培養培地を供給し、前記無細胞基材の前記微孔質チャネル及び/又はチャンバーの網状組織全体に前記健康なネイティブ細胞を増殖させて、前記個別化された移植片を形成する事と、
を含む、方法。
〔付記38〕
前記1個以上の無細胞基材は、第1の無細胞基材及び第2の無細胞基材を含み、此処で、前記第1の無細胞基材と前記第2の無細胞基材とは同じである、付記37に記載の方法。
〔付記39〕
前記第1の無細胞基材を前記第2の無細胞基材に接合させることで、多重無細胞足場を得て、前記多重無細胞足場の微孔質チャネル及び/又はチャンバーの集合体網状組織全体に前記健康なネイティブ細胞を増殖させて、前記個別化された移植片を形成する、付記37に記載の方法。
〔付記40〕
前記1個以上の無細胞基材は、互いに接合されて多重無細胞足場を規定する少なくとも2個の無細胞基材、又は次の何れか:少なくとも約2個、少なくとも約3個、少なくとも約5個、少なくとも約10個、少なくとも約20個、少なくとも約30個、少なくとも約40個、少なくとも約50個、少なくとも約60個、少なくとも約70個、少なくとも約80個、少なくとも約90個、及び少なくとも約100個の無細胞基材を含む、付記37~39の何れか一項に記載の方法。
【国際調査報告】