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特表2024-546375電気透析装置および電気透析装置の給液枠
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-12-20
(54)【発明の名称】電気透析装置および電気透析装置の給液枠
(51)【国際特許分類】
   C25B 9/00 20210101AFI20241213BHJP
   C25B 1/16 20060101ALI20241213BHJP
   C25B 9/21 20210101ALI20241213BHJP
【FI】
C25B9/00 J
C25B1/16
C25B9/21
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024537502
(86)(22)【出願日】2022-11-03
(85)【翻訳文提出日】2024-06-20
(86)【国際出願番号】 KR2022017156
(87)【国際公開番号】W WO2023120962
(87)【国際公開日】2023-06-29
(31)【優先権主張番号】10-2021-0184019
(32)【優先日】2021-12-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522492576
【氏名又は名称】ポスコ カンパニー リミテッド
(71)【出願人】
【識別番号】592000705
【氏名又は名称】リサーチ インスティチュート オブ インダストリアル サイエンス アンド テクノロジー
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100111235
【弁理士】
【氏名又は名称】原 裕子
(74)【代理人】
【識別番号】100195257
【弁理士】
【氏名又は名称】大渕 一志
(72)【発明者】
【氏名】パク、 クワン ス
【テーマコード(参考)】
4K021
【Fターム(参考)】
4K021AB01
4K021BC01
4K021CA04
4K021CA08
4K021CA09
4K021DB06
4K021DB48
(57)【要約】
電気透析装置(ELECTRODIALYSIS)は、一方向に積層され、それぞれに互いに異なる溶液の通る複数のガスケットと、前記複数のガスケットの間に位置する複数のイオン交換膜と、前記複数のガスケットの前記一方向上に位置し、前記複数のガスケットそれぞれに前記互いに異なる溶液を供給する給液枠とを含み、前記給液枠は、前記複数のガスケットと前記一方向に重畳する中央モジュールと、前記中央モジュールの上部に結合され、前記複数のガスケットと連通して、前記複数のガスケットを経た前記互いに異なる溶液が排出される複数の排出流路を含む上部モジュールとを含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一方向に積層され、それぞれに互いに異なる溶液の通る複数のガスケットと、
前記複数のガスケットの間に位置する複数のイオン交換膜と、
前記複数のガスケットの前記一方向上に位置し、前記複数のガスケットそれぞれに前記互いに異なる溶液を供給する給液枠と
を含み、
前記給液枠は、
前記複数のガスケットと前記一方向に重畳する中央モジュールと、
前記中央モジュールの上部に結合され、前記複数のガスケットと連通して、前記複数のガスケットを経た前記互いに異なる溶液が排出される複数の排出流路を含む上部モジュールと
を含む電気透析装置。
【請求項2】
前記複数の排出流路は、
前記複数のガスケットと直接連通する複数の第1貫通ホールと、
前記複数の第1貫通ホールに直接連結された複数の第1流路と
を含む、請求項1に記載の電気透析装置。
【請求項3】
前記上部モジュールは、前記中央モジュールに比べて異なる材料を含む、請求項1に記載の電気透析装置。
【請求項4】
前記上部モジュールは、前記一方向に前記複数のガスケットと非重畳である、請求項1に記載の電気透析装置。
【請求項5】
前記給液枠は、前記中央モジュールの下部に結合された下部モジュールをさらに含む、請求項1に記載の電気透析装置。
【請求項6】
前記下部モジュールは、前記複数のガスケットと連通して、前記複数のガスケットに前記互いに異なる溶液を供給する複数の供給流路を含む、請求項5に記載の電気透析装置。
【請求項7】
前記複数の供給流路は、
前記複数のガスケットと直接連通する複数の第2貫通ホールと、
前記複数の第2貫通ホールに直接連結された複数の第2流路と
を含む、請求項6に記載の電気透析装置。
【請求項8】
前記下部モジュールは、前記中央モジュールに比べて異なる材料を含む、請求項5に記載の電気透析装置。
【請求項9】
前記下部モジュールは、前記一方向に前記複数のガスケットと非重畳である、請求項5に記載の電気透析装置。
【請求項10】
前記複数の供給流路の面積は、前記複数の排出流路の面積と異なる、請求項5に記載の電気透析装置。
【請求項11】
前記複数の供給流路の面積は、前記複数の排出流路の面積に比べて大きい、請求項10に記載の電気透析装置。
【請求項12】
前記複数のガスケットを挟んで離隔した両電極をさらに含む、請求項1に記載の電気透析装置。
【請求項13】
一方向に積層され、それぞれに互いに異なる溶液の通る複数のガスケットと、前記複数のガスケットの間に位置する複数のイオン交換膜と、前記複数のガスケットの前記一方向上に位置し、前記複数のガスケットそれぞれに前記互いに異なる溶液を供給する給液枠とを含む電気透析装置の給液枠において、
前記複数のガスケットと前記一方向に重畳する中央モジュールと、
前記中央モジュールの上部に結合され、前記複数のガスケットと連通して、前記複数のガスケットを経た前記互いに異なる溶液が排出される複数の排出流路を含む上部モジュールと
を含む電気透析装置の給液枠。
【請求項14】
前記中央モジュールの下部に結合された下部モジュールをさらに含む、請求項13に記載の電気透析装置の給液枠。
【請求項15】
前記下部モジュールは、前記複数のガスケットと連通して、前記複数のガスケットに前記互いに異なる溶液を供給する複数の供給流路を含む、請求項14に記載の電気透析装置の給液枠。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本記載は、電気透析装置および電気透析装置の給液枠に関する。
【背景技術】
【0002】
電気透析装置(Electrodialysis)は、陽イオン交換膜と陰イオン交換膜とを交互に配列し、その両端に直流で電圧を流すと、流入水(原水)中の陽イオンおよび陰イオンがそれぞれのイオン交換膜を透過して移動することによって、脱塩水および濃縮液を含む処理水がそれぞれ交互にセル内に生成されて流出する装置をいう。
【0003】
電気透析装置に含まれている給液枠は、電気透析装置において電気透析でイオン交換分離をしなければならない溶液を供給する装置である。
【0004】
従来の電気透析装置に含まれている給液枠は、溶液の通る流路形成のための複数の層が積層された一体型構造を有している。
【0005】
従来の電気透析装置の給液枠が一体型構造を有することによって、使用者の側面で熱によって流路中の一部が変形する場合、給液枠全体を取替えなければならない問題がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
一実施例は、溶液の通る給液枠の流路の一部が変形しても給液枠全体を取替える必要なく、変形した給液枠の一部だけを取替えることができる電気透析装置および電気透析装置の給液枠を提供する。
【0007】
また、溶液の特性を考慮して、溶液の通る給液枠の流路の一部面積を変更できる電気透析装置および電気透析装置の給液枠を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
一態様は、一方向に積層され、それぞれに互いに異なる溶液の通る複数のガスケットと、前記複数のガスケットの間に位置する複数のイオン交換膜と、前記複数のガスケットの前記一方向上に位置し、前記複数のガスケットそれぞれに前記互いに異なる溶液を供給する給液枠とを含み、前記給液枠は、前記複数のガスケットと前記一方向に重畳する中央モジュールと、前記中央モジュールの上部に結合され、前記複数のガスケットと連通して、前記複数のガスケットを経た前記互いに異なる溶液が排出される複数の排出流路を含む上部モジュールとを含む電気透析装置を提供する。
【0009】
前記複数の排出流路は、前記複数のガスケットと直接連通する複数の第1貫通ホールと、前記複数の第1貫通ホールに直接連結された複数の第1流路とを含むことができる。
【0010】
前記上部モジュールは、前記中央モジュールに比べて異なる材料を含むことができる。
【0011】
前記上部モジュールは、前記一方向に前記複数のガスケットと非重畳であってもよい。
【0012】
前記給液枠は、前記中央モジュールの下部に結合された下部モジュールをさらに含むことができる。
【0013】
前記下部モジュールは、前記複数のガスケットと連通して、前記複数のガスケットに前記互いに異なる溶液を供給する複数の供給流路を含むことができる。
【0014】
前記複数の供給流路は、前記複数のガスケットと直接連通する複数の第2貫通ホールと、前記複数の第2貫通ホールに直接連結された複数の第2流路とを含むことができる。
【0015】
前記下部モジュールは、前記中央モジュールに比べて異なる材料を含むことができる。
【0016】
前記下部モジュールは、前記一方向に前記複数のガスケットと非重畳であってもよい。
【0017】
前記複数の供給流路の面積は、前記複数の排出流路の面積と異なっていてもよい。
【0018】
前記複数の供給流路の面積は、前記複数の排出流路の面積に比べて大きくてよい。
【0019】
前記複数のガスケットを挟んで離隔した両電極をさらに含むことができる。
【0020】
また、一態様は、一方向に積層され、それぞれに互いに異なる溶液の通る複数のガスケットと、前記複数のガスケットの間に位置する複数のイオン交換膜と、前記複数のガスケットの前記一方向上に位置し、前記複数のガスケットそれぞれに前記互いに異なる溶液を供給する給液枠とを含む電気透析装置の給液枠において、前記複数のガスケットと前記一方向に重畳する中央モジュールと、前記中央モジュールの上部に結合され、前記複数のガスケットと連通して、前記複数のガスケットを経た前記互いに異なる溶液が排出される複数の排出流路を含む上部モジュールとを含む電気透析装置の給液枠を提供する。
【0021】
前記中央モジュールの下部に結合された下部モジュールをさらに含むことができる。
【0022】
前記下部モジュールは、前記複数のガスケットと連通して、前記複数のガスケットに前記互いに異なる溶液を供給する複数の供給流路を含むことができる。
【発明の効果】
【0023】
一実施例によれば、溶液の通る給液枠の流路の一部が変形しても給液枠全体を取替える必要なく、変形した給液枠の一部だけを取替えて取替費用が節減された電気透析装置および電気透析装置の給液枠が提供される。
【0024】
また、溶液の特性を考慮して、溶液の通る給液枠の流路の一部面積を変更して生産性が向上した電気透析装置および電気透析装置の給液枠が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】一実施例による電気透析装置を概略的に示す図である。
図2】一実施例による電気透析装置に含まれている給液枠を示す平面図である。
図3】一実施例による電気透析装置に含まれている給液枠の排出流路およびモジュール供給流路を示す図である。
図4】一実施例による電気透析装置の効果を説明するためのイメージである。
図5】他の実施例による電気透析装置の給液枠を示す平面図である。
図6】他の実施例による電気透析装置の給液枠の効果を説明するためのイメージである。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、添付した図面を参照して、本発明の実施例について、本発明の属する技術分野における通常の知識を有する者が容易に実施できるように詳しく説明する。本発明は種々の異なる形態で実現可能であり、ここで説明する実施例に限定されない。
【0027】
本発明を明確に説明するために説明上不必要な部分は省略し、明細書全体にわたって同一または類似の構成要素については同一の参照符号を付す。
【0028】
また、明細書全体において、ある部分がある構成要素を「含む」とする時、これは特に反対の記載がない限り、他の構成要素を除くのではなく、他の構成要素をさらに包含できることを意味する。
【0029】
以下、図1図4を参照して、一実施例による電気透析装置を説明する。
【0030】
図1は、一実施例による電気透析装置を概略的に示す図である。
【0031】
図1を参照すれば、一実施例による電気透析装置1000は、複数のガスケット100と、複数のイオン交換膜200と、両電極300と、給液枠400とを含む。
【0032】
複数のガスケット100は、一方向(図1中の水平方向)に積層されている。複数のガスケット100は、それぞれに互いに異なる溶液が通る。一例として、図1に示された複数のガスケット100のうち、左側ガスケットはAcid流路を形成して水(HO)が通り、右側ガスケットはSalt流路を形成して水(HO)が通り、中間ガスケットはBase流路を形成して硫酸リチウム(LiSO)が通ることができるが、これに限定されない。
【0033】
複数のイオン交換膜200は、複数のガスケット100の間に位置する。複数のイオン交換膜200は、選択的にイオンを透過させる。一例として、図1に示された複数のイオン交換膜200のうち左側に位置する陰イオン交換膜は、Base流路を形成する中間ガスケットを通る硫酸リチウムからSO 2-イオンを、Acid流路を形成する左側ガスケットを通る水(HO)に透過させる。左側ガスケットを通る水に透過したSO 2-イオンは、電極300によって加水分解されたHと反応して硫酸(HSO)として生産される。また、図1に示された複数のイオン交換膜200のうち右側に位置する陽イオン交換膜は、Base流路を形成する中間ガスケットを通る硫酸リチウムからLiイオンを、Salt流路を形成する右側ガスケットを通る水(HO)に透過させる。右側ガスケットを通る水に透過したLiイオンは、電極300によって加水分解されたOHと反応して水酸化リチウム(LiOH)として生産される。
【0034】
両電極300は、複数のガスケット100を挟んで離隔しており、互いに異なる直流電圧を供給する。両電極300は、公知の多様なバイポーラ膜を含むことができるが、これに限定されない。また、図1で、両電極300は、複数のガスケット100と給液枠400との間に位置するが、これに限定されず、両電極300は、給液枠400および複数のガスケット100を挟んで離隔してもよい。
【0035】
給液枠400は、複数のガスケット100の一方向上に位置する。給液枠400は、複数のガスケット100それぞれに互いに異なる溶液を供給する。一例として、給液枠400は、互いに異なる溶液のそれぞれが通る供給流路および排出流路形成のために複数の層が積層された形態を有することができる。また、給液枠400は、複数のガスケット100のうちAcid流路を形成する左側ガスケットに供給流路を介して水(HO)を供給し、左側ガスケットから電気透析によって生産された硫酸(HSO)を、排出流路を介して排出し、Base流路を形成する中間ガスケットに供給流路を介して硫酸リチウム(LiSO)を供給し、中間ガスケットから電気透析に用いられた硫酸リチウム(LiSO)を、排出流路を介して排出し、Salt流路を形成する右側ガスケットに供給流路を介して水(HO)を供給し、右側ガスケットから電気透析によって生産された水酸化リチウム(LiOH)を、排出流路を介して排出することができる。
【0036】
一方、他の実施例において、給液枠400が複数のガスケット100に供給する互いに異なる溶液は、公知の多様な電気透析に用いられる公知の多様な互いに異なる溶液であってもよい。
【0037】
給液枠400は、一方向と交差する他方向の垂直方向に一体型構造ではない2個のモジュールが結合されたモジュール型構造を有している。給液枠400は、複数のガスケット100および複数のイオン交換膜200と一方向の水平方向に重畳する中央モジュール410と、中央モジュール410の上部に結合されて、複数のガスケット100および複数のイオン交換膜200と一方向の水平方向に非重畳である上部モジュール420とを含む。上部モジュール420が複数のガスケット100と非重畳であることによって、中央モジュール410に結合された上部モジュール420を容易に取替えることができる。
【0038】
図2は、一実施例による電気透析装置に含まれている給液枠を示す平面図である。
【0039】
図2および図1を参照すれば、給液枠400の中央モジュール410は、複数のガスケット100と連通して、複数のガスケット100に互いに異なる溶液を供給する複数のモジュール供給流路411を含む。複数のモジュール供給流路411は、複数のガスケット100と直接連通する複数のモジュール貫通ホール411aと、複数のモジュール貫通ホール411aに直接連結されて中央モジュール410の内部に位置する複数のモジュール流路411bと、複数のモジュール流路411bに直接連結されて中央モジュール410の外部に位置する複数のモジュール供給部411cとを含む。モジュール供給部411cを介して外部の溶液が供給される。
【0040】
給液枠400の上部モジュール420は、中央モジュール410の上部に結合される。上部モジュール420は、公知の多様な結合手段を用いて中央モジュール410の上部に結合される。上部モジュール420は、複数のガスケット100と連通して、複数のガスケット100を経た互いに異なる溶液が排出される複数の排出流路421を含む。複数の排出流路421は、複数のガスケット100と直接連通する複数の第1貫通ホール421aと、複数の第1貫通ホール421aに直接連結されて上部モジュール420の内部に位置する複数の第1流路421bと、複数の第1流路421bに直接連結されて上部モジュール420の外部に位置する複数の排出部421cとを含む。
【0041】
上部モジュール420は、中央モジュール410に比べて異なる材料を含むことができる。一例として、上部モジュール420は、中央モジュール410に比べて耐酸性および耐アルカリ性がより高い高分子材料を含むことができる。また、上部モジュール420は、中央モジュール410に比べて耐熱性がより高い高分子材料を含むことができる。
【0042】
上部モジュール420が中央モジュール410に比べて異なる材料を含むことによって、上部モジュール420が排出流路421を通る溶液の酸性、アルカリ性、熱によって変形することが抑制できる。
【0043】
図3は、一実施例による電気透析装置に含まれている給液枠の排出流路およびモジュール供給流路を示す図である。図3の(A)は、給液枠の排出流路およびモジュール供給流路を示す図であり、(B)は、Salt流路を形成する排出流路およびモジュール供給流路を示す図であり、(C)は、Acid流路を形成する排出流路およびモジュール供給流路を示す図であり、(D)は、Base流路を形成する排出流路およびモジュール供給流路を示す図である。
【0044】
図3を参照すれば、Acid流路を形成するガスケット100に給液枠のモジュール供給流路411を介して水(HO)が供給され、ガスケット100から電気透析によって生産された硫酸(HSO)が給液枠の排出流路421を介して排出され、Base流路を形成するガスケット100にモジュール供給流路411を介して硫酸リチウム(LiSO)が供給され、ガスケット100から電気透析に用いられた硫酸リチウム(LiSO)が排出流路421を介して排出され、Salt流路を形成するガスケット100にモジュール供給流路411を介して水(HO)が供給され、ガスケット100から電気透析によって生産された水酸化リチウム(LiOH)が排出流路421を介して排出されてもよい。
【0045】
図4は、一実施例による電気透析装置の効果を説明するためのイメージである。
【0046】
図4を参照すれば、電気透析装置の場合、高電流および高電圧を用いる。供給された電源が、電極を介して電極液からイオン交換膜およびイオン交換を経て排出の順に、仕事をするが、一実施例による電気透析装置は、給液枠の中央モジュールの下部のモジュール供給流路を介して複数のガスケットに供給された互いに異なる溶液が重力を利用して最大限に電気透析イオン交換を行った後、上部モジュールの排出流路を介して給液枠に排出される。したがって、一実施例による電気透析装置は、下部から溶液を供給し、電気透析の完了した溶液が上部へあふれて排出される垂直型構造である。これによって、給液枠の下部では、連続的に新しい溶液が供給されて温度が高くないが、給液枠の上部では累積された温度によってPVCなどの材料を含む給液枠の上部が熱によって変形などを起こしやすい。ここで、給液枠の材料としてPVCなどの高分子材料を使用する理由は、PVCが酸とアルカリに対する耐薬品性が非常に優れ、大部分の電気透析装置の給液枠はPVCなどの高分子材料が使用されている。図4に示されたイメージのように、現在使用中の給液枠の上部を分解してみた結果、上部の排出流路が高い温度によって変形したことを確認した。給液枠の上部に位置する排出流路が熱によって変形することによって、排出流路を構成する流路の整列(align)がずれてしまい、これは生産性の低下を起こすことがある。
【0047】
しかし、図2および図1を参照すれば、一実施例による電気透析装置1000は、給液枠400が一方向と交差する他方向の垂直方向に2個のモジュールである上部モジュール420および中央モジュール410が結合されたモジュール型構造を有することによって、上部モジュール420に含まれている排出流路421が熱によって変形しても給液枠400全体を取替える必要なく、上部モジュール420だけを中央モジュール410から分離させて取替えることができるため、給液枠400の部分取替による部品費の節減効果が実現される。
【0048】
つまり、溶液の通る給液枠400の流路の一部である排出流路421が熱によって変形しても給液枠400全体を取替える必要なく、変形した給液枠400の一部である上部モジュール420だけを取替えて保守費用が節減された電気透析装置1000および電気透析装置1000の給液枠400が提供される。
【0049】
以下、図5および図6を参照して、他の実施例による電気透析装置を説明する。以下、上述した一実施例と異なる部分について説明する。
【0050】
図5は、他の実施例による電気透析装置の給液枠を示す平面図である。
【0051】
図5を参照すれば、他の実施例による電気透析装置の給液枠402は、一方向と交差する他方向の垂直方向に一体型構造ではない3個のモジュールが結合されたモジュール型構造を有している。給液枠402は、複数のガスケットおよび複数のイオン交換膜と一方向の水平方向に重畳する中央モジュール410と、中央モジュール410の上部に結合されて、複数のガスケットおよび複数のイオン交換膜と一方向の水平方向に非重畳である上部モジュール420と、中央モジュール410の下部に結合されて、複数のガスケットおよび複数のイオン交換膜と一方向の水平方向に非重畳である下部モジュール430とを含む。上部モジュール420および下部モジュール430が複数のガスケット100と非重畳であることによって、中央モジュール410に結合された上部モジュール420および下部モジュール430を容易に取替えることができる。
【0052】
給液枠402の下部モジュール430は、中央モジュール410の下部に結合される。下部モジュール430は、公知の多様な結合手段を用いて中央モジュール410の下部に結合可能である。給液枠402の下部モジュール430は、複数のガスケットと連通して、複数のガスケットに互いに異なる溶液を供給する複数の供給流路431を含む。複数の供給流路431は、複数のガスケットと直接連通する複数の第2貫通ホール431aと、複数の第2貫通ホール431aに直接連結されて下部モジュール430の内部に位置する複数の第2流路431bと、複数の第2流路431bに直接連結されて下部モジュール430の外部に位置する複数の供給部431cとを含む。複数の供給部431cを介して外部の溶液が複数の供給流路431に供給される。
【0053】
給液枠402の上部モジュール420は、中央モジュール410の上部に結合される。上部モジュール420は、複数のガスケットと連通して、複数のガスケットを経た互いに異なる溶液が排出される複数の排出流路421を含む。複数の排出流路421は、複数のガスケットと直接連通する複数の第1貫通ホール421aと、複数の第1貫通ホール421aに直接連結されて上部モジュール420の内部に位置する複数の第1流路421bと、複数の第1流路421bに直接連結されて上部モジュール420の外部に位置する複数の排出部421cとを含む。複数の排出部421cを介して給液枠402の内部の溶液が外部に排出される。
【0054】
上部モジュール420は、中央モジュール410に比べて異なる材料を含むことができる。一例として、上部モジュール420は、中央モジュール410に比べて耐酸性および耐アルカリ性がより高い高分子材料を含むことができる。また、上部モジュール420は、中央モジュール410に比べて耐熱性がより高い高分子材料を含むことができる。
【0055】
上部モジュール420が中央モジュール410に比べて異なる材料を含むことによって、上部モジュール420が排出流路421を通る溶液の酸性、アルカリ性、熱によって変形することが抑制できる。
【0056】
下部モジュール430は、中央モジュール410に比べて異なる材料を含むことができる。一例として、下部モジュール430は、中央モジュール410に比べて耐酸性および耐アルカリ性がより高い高分子材料を含むことができる。また、下部モジュール430は、中央モジュール410に比べて耐熱性および耐衝撃性がより高い高分子材料を含むことができる。
【0057】
下部モジュール430が中央モジュール410に比べて異なる材料を含むことによって、下部モジュール430が供給流路431を通る溶液の酸性、アルカリ性、熱、圧力によって変形することが抑制できる。
【0058】
下部モジュール430の供給流路431の面積は、上部モジュール420の排出流路421の面積と異なっていてもよい。下部モジュール430の供給流路431の面積は、上部モジュール420の排出流路421の面積に比べて大きくてよい。
【0059】
下部モジュール430の供給流路431の面積が上部モジュール420の排出流路421の面積に比べて大きく形成されて供給流路431を介してガスケットに供給される流路が拡張されることによって、供給流路431を介してガスケットに移動する溶液に流動場(turbulence)が発生することが最小化されて、供給流路431からガスケットに移動する溶液の速度均一度が向上するため、電気透析装置の生産性が向上する。
【0060】
図6は、他の実施例による電気透析装置の給液枠の効果を説明するためのイメージである。図6の(A)は、既存のモデルおよび流路拡張モデルのAcid流路を通る溶液の速度分布およびベクトルを示す流動解析を示すイメージであり、(B)は、既存のモデルおよび流路拡張モデルのBase流路を通る溶液の速度分布およびベクトルを示す流動解析を示すイメージである。
【0061】
図6を参照すれば、既存のモデルである従来の給液枠の場合、流動解析結果のとおり、ガスケットに供給される溶液の流量が膜の電気透析性能に応じて流動場が形成されて電気分解性能に良くない影響を与えることが確認される。一体型構造で製造された従来の給液枠の供給流路の面積は容易に変更できないことから、投入流速の変化だけで生産を調節しなければならないという矛盾がある。電気透析性能を示すイオン交換能力は、イオン交換膜および溶液の種類によって異なり、その時に発生する溶液の流量も変化し続けることから、実験により予測されるイオン交換能力に合わせたカスタマイズ型供給流路のサイズモジュール化が必要である。
【0062】
流路拡張モデルである他の実施例による電気透析装置の給液枠は、上部モジュールの熱変形に対応して上部モジュールを取替えることによって、部分取替による部品費の節減効果を有すると同時に、イオン交換膜のイオン交換性能に応じた流動量調節のために供給流路の面積を変更した下部モジュールを取替えることによって、部分取替による生産性の向上効果を有する。
【0063】
これによって、故障時の取替容易性の確保およびイオン交換能力による溶液の流動場最小化が可能な他の実施例による給液枠および給液枠を含む電気透析装置が提供される。
【0064】
つまり、溶液の通る給液枠402の流路の一部である排出流路421が熱によって変形しても給液枠402全体を取替える必要なく、変形した給液枠402の一部である上部モジュール420だけを取替えて保守費用が節減されると同時に、給液枠402の流路の一部である供給流路431の面積を変更した給液枠402の一部である下部モジュール430を取替えて生産性が向上した電気透析装置1000および電気透析装置1000の給液枠402が提供される。
【0065】
以上、本発明の実施例について詳細に説明したが、本発明の権利範囲はこれに限定されるものではなく、以下の特許請求の範囲で定義している本発明の基本概念を利用した当業者の様々な変形および改良形態も本発明の権利範囲に属する。
【符号の説明】
【0066】
ガスケット100、イオン交換膜200、給液枠400、中央モジュール410、上部モジュール420、下部モジュール430
図1
図2
図3(A)】
図3(B)】
図3(C)】
図3(D)】
図4
図5
図6
【国際調査報告】