(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-12-20
(54)【発明の名称】太陽電池用の半導体基板を洗浄する方法及び対応する洗浄システム
(51)【国際特許分類】
H01L 21/304 20060101AFI20241213BHJP
【FI】
H01L21/304 642C
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024539591
(86)(22)【出願日】2022-12-09
(85)【翻訳文提出日】2024-06-28
(86)【国際出願番号】 EP2022085157
(87)【国際公開番号】W WO2023126153
(87)【国際公開日】2023-07-06
(32)【優先日】2021-12-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523246639
【氏名又は名称】レック ソーラー プライベート リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110002572
【氏名又は名称】弁理士法人平木国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】チャン,チュウイ ユー
(72)【発明者】
【氏名】タン,ムジー
【テーマコード(参考)】
5F157
【Fターム(参考)】
5F157AA09
5F157AA22
5F157AA29
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5F157CF34
5F157CF99
(57)【要約】
太陽電池用の半導体基板を洗浄する方法であって、本方法は、半導体基板を提供することと、基板を予備酸化溶液で予備酸化することと、基板を酸化溶液で酸化して、基板の表面上に酸化物を形成することと、酸化物除去溶液で基板の表面から酸化物を除去することと、を含み、予備酸化溶液は、基板の表面上への酸化物の形成の前に、基板の表面から金属イオンを除去するように構成されており、予備酸化溶液は、塩化水素を含み、かつ他の酸形成成分を含まない酸溶液である。
【選択図】
図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
太陽電池用の半導体基板を洗浄する方法であって、前記方法が、
半導体基板を提供することと、
前記基板を予備酸化溶液で予備酸化することと、
前記基板を酸化溶液で酸化して、前記基板の表面上に酸化物を形成することと、
酸化物除去溶液で前記基板の前記表面から前記酸化物を除去することと、を含み、
前記予備酸化溶液が、前記基板の表面上の前記酸化物の前記形成の前に、前記基板の前記表面から金属イオンを除去するように構成されており、前記予備酸化溶液が、塩化水素を含み、かつ他の酸形成成分を含まない酸溶液である、方法。
【請求項2】
前記基板を予備酸化する工程が、前記基板を予備洗浄液で予備洗浄し、その後、前記基板を洗浄液で洗浄することを含み、前記予備洗浄液及び洗浄液の各々が、塩化水素を含有し、かつ他の酸形成成分を含有しない酸溶液である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記洗浄液中の塩化水素の濃度が、前記予備洗浄液中よりも大きい、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記予備洗浄液が、少なくとも0.1重量%かつ/又は最大2.5重量%、任意選択で、少なくとも0.4重量%かつ/又は最大2.0重量%、更に任意選択で、0.8重量%の塩化水素濃度を含む、請求項2又は3に記載の方法。
【請求項5】
前記洗浄液が、少なくとも2.5重量%かつ/又は最大10重量%、任意選択で、少なくとも3.0重量%かつ/又は最大7.0重量%、更に任意選択で、5.0重量%の塩化水素濃度を含む、請求項2~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記予備洗浄液が、前記洗浄液の温度と実質的に等しいか、又は前記洗浄液の温度よりも高い温度である、請求項2~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記予備洗浄液が、少なくとも20℃かつ/又は最大60℃の温度に加熱される、請求項2~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記洗浄液が、少なくとも15℃かつ/又は最大25℃、任意選択で、20℃の温度である、請求項2~7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記方法が、前記予備洗浄工程と前記洗浄工程との間のリンス工程を含み、前記リンス工程が、前記基板に脱イオン水を導くことを含む、請求項2~8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記酸化溶液が、少なくとも0.001重量%かつ/又は最大0.1重量%、任意選択で、少なくとも0.005重量%かつ/又は最大0.05重量%の塩化水素濃度を含む、先行請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記方法が、前記基板に乾燥流体を導くことを含み、前記乾燥流体が、前記表面から残存する溶液を除去するように構成されている、先行請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記乾燥流体が、不活性ガス、任意選択で、窒素ガスである、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記乾燥流体が、少なくとも50℃かつ/又は最大90℃の温度に加熱される、請求項11又は12に記載の方法。
【請求項14】
前記方法が、前記基板に前記乾燥流体を導く前にリンス工程を含み、前記リンス工程が、前記基板に脱イオン水を導くことを含む、請求項11~13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記脱イオン水が、少なくとも15℃かつ/又は最大25℃、任意選択で、20℃の温度である、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記方法が、前記予備酸化方法工程と前記酸化方法工程との間、及び/又は前記酸化方法工程と前記除去方法工程との間に実施されるリンス工程を含む、先行請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
前記基板を酸化する工程が、フッ化水素を用いて前記酸化溶液を構成することを含む、先行請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
前記酸化溶液が、最大0.03重量%のフッ化水素濃度を含む、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記予備酸化方法工程、前記酸化方法工程、及び前記除去方法工程のうちの少なくとも1つが、前記基板を関連付けられた溶液中に浸漬することを含む、先行請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
前記予備酸化方法工程、前記酸化方法工程、及び前記除去方法工程のうちの少なくとも1つが、前記基板を関連付けられた溶液の膜でコーティングし、前記基板を回転させて、前記溶液を遠心除去することを含む、先行請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項21】
太陽電池用の半導体基板を洗浄するための洗浄システムであって、請求項1~20のいずれか一項に記載の方法に従って前記基板を洗浄するように構成されている、洗浄システム。
【請求項22】
太陽電池用の半導体基板を洗浄するための洗浄システムであって、前記システムが、
前記基板上に予備酸化溶液を導くように構成された予備酸化器と、
前記基板上に酸化溶液を導いて、前記基板の表面上に酸化物を形成するように構成された酸化器と、
前記基板上に酸化物除去溶液を導いて、前記基板の前記表面から前記酸化物を除去するように構成された酸化物除去器と、を備え、
前記予備酸化溶液が、前記基板の表面上の前記酸化物の前記形成の前に、前記基板の前記表面から金属イオンを除去するように構成されており、前記予備酸化溶液が、塩化水素を含み、かつ他の酸形成成分を含まない酸溶液である、洗浄システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、太陽電池用の半導体基板を洗浄する方法、及び太陽電池用の半導体基板を洗浄するための洗浄システムに関する。
【背景技術】
【0002】
太陽光から電気エネルギーを提供するための太陽光モジュールは、各々がシリコン(例えば、シリコンウェハ)などの半導体材料から形成された基板を備える、太陽電池のアレイを備える。太陽電池を形成するために、基板の表面上に半導体材料の追加の層が堆積される。
【0003】
太陽電池開発のための一般的な目的は、生産コストの削減に対する必要性とバランスのとれた高い変換効率を達成することである。注意深い製作手順にもかかわらず、半導体基板の表面が有機及び/又は金属汚染物質(例えば、ほこり、汚れ、アニオン、カチオン、及び他の粒子など)で汚染され得ることが知られている。
【0004】
太陽電池の性能を改善する1つの方法は、デバイスの他の半導体層を堆積させる前に、基板の表面からできるだけ多くの汚染物質を除去することである。これを達成するための試みは、ウェットベンチ化学技法及び方法論を使用した半導体基板の洗浄に焦点を当てている。
【0005】
表面汚染物質を除去するための1つのアプローチは、基板を「オゾン水」に浸漬することである。そのオゾン水は、有機物質を酸化的に分解することを可能にする非常に高い酸化電位を有する。また、フッ化水素を含む水溶液(すなわち、HF酸)を使用して、汚染物質が埋め込まれている薄い自然酸化物をリフトオフすることによって汚染物質を除去するが知られている。
【0006】
これらの試みにもかかわらず、製作された太陽電池の性能を向上させるために、基板表面から汚染物質を除去する方法を改善する必要が依然としてある。
【発明の概要】
【0007】
本発明の目的は、シリコンウェハなどの半導体基板を洗浄して、基板の表面から汚染物質を除去する方法を提供することである。
【0008】
本発明の第1の態様によれば、太陽電池用の半導体基板を洗浄する方法であって、半導体基板を提供することと、基板を予備酸化溶液で予備酸化することと、基板を酸化溶液で酸化して、基板の表面上に酸化物を形成することと、酸化物除去溶液で基板の表面から酸化物を除去することと、を含み、予備酸化溶液が、基板の表面上における酸化物の形成の前に、基板の表面から金属イオンを除去するように構成されており、予備酸化溶液が、塩化水素を含み、かつ他の酸形成成分を含まない酸溶液である、方法が提供される。
【0009】
予備酸化方法工程は、酸化方法工程の前に行われる方法(例えば、手順/プロセス)を規定することが理解されよう。予備酸化方法工程は、基板の表面を酸化するように明示的に構成された酸化方法工程とは異なり、酸化方法工程ではない。したがって、予備酸化溶液は、酸化溶液とは異なり、基板の表面を酸化するようには構成されていない。
【0010】
本発明のプロセスは、半導体基板を洗浄する強化された方法を提供することが見出されている。特に、予備酸化工程は、基板の表面から汚染物質を除去する際の酸化工程及び酸化物除去工程を補完するものである。特に、予備酸化工程は、基板の早期の切断及びテクスチャ加工中に基板の表面上に堆積された汚染物質金属イオンを除去するのに特に有益である。
【0011】
基板の表面から金属イオンを除去することによって、後続の酸化工程及び酸化物除去工程で使用される溶液の金属汚染を低減する。その結果、後続の酸化溶液及び酸化物除去溶液中の塩化水素の濃度を低減することができる。
【0012】
例示的な方法では、酸化溶液及び酸化物除去溶液のうちの少なくとも1つ又は各々が、塩化水素を含んでもよい。この状況では、予備酸化溶液中の塩化水素の存在は、他の溶液中の塩化水素の濃度を低減することができることを意味する。驚くべきことに、このことは、洗浄方法における塩化水素の使用を、全体的に、塩酸予備酸化工程を含まない洗浄方法と比較して、低減することができることを意味する。更に、本発明は、他の全ての酸形成成分を予備酸化方法工程から除外することができることを意味する(例えば、予備酸化溶液は、それがやはり任意の他の酸形成成分を含むように構成されてもよい)。特に、予備酸化溶液は、フッ化水素(HF)を含まないように構成されてもよい。HFは、人間にとって非常に危険であり、そのため、本発明による予備酸化方法工程からのHFの除去は、有利なことに、基板洗浄方法の使用者に害又は傷害を引き起こすリスクを低減し得る。
【0013】
更なる例示的な構成では、基板は、太陽電池の製作で使用することが意図され得る。この場合、本発明は、上記の方法に従って洗浄された基板を使用して製作される太陽電池の性能の改善につながる。例えば、この方法によって洗浄された基板は、予備酸化工程を含まない洗浄方法を使用して生産された同等の太陽電池よりも効率的に動作する太陽電池を生産することが示される。
【0014】
特に、上記の方法に従って洗浄された基板を備える太陽電池は、予備酸化方法工程を含まない方法に従って洗浄された基板で製作されたデバイスと比較して、増加した開放電圧(Voc)を呈することが示される。
【0015】
次に任意選択の機能について述べる。これらは、単独で、又は任意の態様との任意の組み合わせで適用可能である。
【0016】
説明の態様は、シリコン材料(例えば、シリコンウェハ)を含む半導体基板を対象とする。しかしながら、本発明は、シリコン半導体材料から作成された洗浄基板に限定されないことを明確に理解されたい。また、シリコンと同様の表面特性を有する知られている半導体材料(例えば、ゲルマニウムなど)の任意のものを、記載された方法によって洗浄することができる。
【0017】
本方法は、テクスチャ加工された表面を基板に提供することを含んでもよい。テクスチャ加工された表面は、複数のピラミッド構造を含んで(例えば、複数の直立ピラミッド構造又は反転ピラミッド構造を含んで)もよい。テクスチャ加工された表面は、酸化物が形成及び除去された表面であってもよい。
【0018】
本方法は、基板の表面をテクスチャ加工する(例えば、複数のピラミッド構造を形成するように)ことを含んでもよい。表面テクスチャ加工は、フォトリソグラフィー技法、機械的(例えば、のこぎり)技法、及びレーザー加工技法の使用を含む、任意の好適な表面テクスチャ加工方法によって達成されてもよい。代替的に、基板の表面をテクスチャ加工する方法は、基板が形成される材料の特定の結晶面に沿って選択的にエッチングするための化学エッチング剤の使用を含んでもよい。そのようなエッチング技法は、基板の表面からの材料の有意な除去を必要とするため、本発明の予備酸化方法工程とは異なることが理解されよう。一方、予備酸化方法工程は、有利なことに、基板の表面から汚染物質(例えば、金属イオン)を除去するように構成されている。
【0019】
予備酸化溶液は、塩化水素の水溶液(すなわち、塩酸溶液)を規定する。したがって、予備酸化溶液中の塩化水素は、溶液の酸形成成分として使用されることが理解されよう。これは、塩化水素が水に導入されると、それぞれのHCl分子とH2O分子とが結合して、可逆的な化学反応を通じて、ヒドロニウムカチオンH3O+(すなわち、H+イオン)及び塩化物アニオンCl-を形成するためである。本発明による予備酸化溶液は、水と反応して解離したカチオン及びアニオンを形成することができるいかなる他の物質、元素、分子、又は成分も含まない。
【0020】
予備酸化方法工程の持続時間は、少なくとも50秒かつ最大250秒であるように構成されてもよい。
【0021】
基板を予備酸化する方法工程は、基板を予備洗浄液で予備洗浄することを含んでもよい。基板を予備酸化する方法工程は、基板を洗浄液で洗浄することを含んでもよい。基板を予備酸化する方法工程は、基板を予備洗浄液で予備洗浄し、続いて、基板を洗浄液で洗浄することを含んでもよい。予備洗浄液及び洗浄液のうちの少なくとも1つ又は各々は、塩化水素を含有し、かつ他の酸形成成分を含有しない酸溶液を含んでもよい。したがって、予備洗浄方法工程及び洗浄方法工程は、それぞれ、第1及び第2の予備酸化方法工程を規定してもよく、したがって、予備洗浄液及び洗浄液は、それぞれ、第1及び第2の予備酸化溶液を規定してもよい。
【0022】
本発明の例示的な方法は、半導体基板を提供することと、基板を予備洗浄液で予備洗浄することと、基板を洗浄液で洗浄することと、基板を酸化溶液で酸化して、基板の表面上に酸化物を形成することと、酸化物除去溶液で基板の表面から酸化物を除去することと、を含んでもよく、予備酸化溶液は、基板の表面上への酸化物の形成の前に、基板の表面から金属イオンを除去するように構成されており、予備洗浄、洗浄、及び予備酸化溶液の各々は、塩化水素を含み、かつ他の酸形成成分を含まない酸溶液である。
【0023】
洗浄液中の塩化水素の濃度は、予備洗浄液の塩化水素濃度よりも高くてもよい。より低い塩化水素濃度を有する予備洗浄液の提供は、洗浄プロセスのコストを削減する。
【0024】
予備洗浄液は、少なくとも0.1重量%かつ/又は最大2.5重量%の塩化水素濃度を含んでもよい。代替的な方法では、塩化水素濃度は、少なくとも0.4重量%かつ/又は最大2.0重量%であってもよい。更なる代替的な方法によれば、塩化水素濃度は、およそ0.8重量%(例えば、0.8重量%)であってもよい。溶液の残りは、水(例えば、脱イオン水)で作成されてもよい。
【0025】
洗浄液は、少なくとも2.5重量%かつ/又は最大10重量%の塩化水素濃度を含んでもよい。代替的な例示的な方法では、塩化水素濃度は、少なくとも3.0重量%かつ/又は最大7.0重量%であってもよい。更なる代替的な方法によれば、塩化水素濃度は、およそ5.0重量%(例えば、5重量%)であってもよい。溶液の残りは、水(例えば、脱イオン水)で作成されてもよい。
【0026】
洗浄液中の塩化水素の濃度が増加すると、H+イオン及びCl-イオンが多量になり、強い原子価結合によって基板表面上に保持されている汚染物質に分極作用を誘起することが考えられる。この分極作用は、原子価結合に打ち勝ち、それによって、基板の表面から汚染物質を除去する。
【0027】
予備洗浄方法工程の持続時間は、洗浄方法工程の持続時間よりも長くてもよい。代替的に、予備洗浄方法工程の持続時間は、生産におけるボトルネックを防止するために、他の洗浄工程及び/又はリンス工程と実質的に同じであってもよい。
【0028】
予備洗浄方法工程の持続時間は、少なくとも50秒かつ最大250秒であるように構成されてもよい。洗浄方法工程の持続時間は、少なくとも50秒かつ最大250秒であるように構成されてもよい。
【0029】
予備洗浄液は、洗浄液の温度と実質的に等しい(例えば等しい)か、又は洗浄液の温度よりも高い温度であってもよい。洗浄液は、予備洗浄液の温度よりも高い温度であってもよい。予備洗浄液及び/又は洗浄液の温度が高いほど、それぞれの予備洗浄工程及び/又は洗浄工程の速度を上昇させる作用がある。
【0030】
予備洗浄液は、少なくとも20℃かつ/又は最大60℃の温度に加熱されてもよい。洗浄液は、少なくとも15℃かつ/又は最大25℃の温度であってもよい。代替的な例示的な方法では、洗浄液は、およそ20℃(例えば、20℃)の温度であってもよい。したがって、この洗浄方法は、洗浄液を加熱しないことを含んでもよく、すなわち、洗浄液を室温に維持してもよい。
【0031】
予備洗浄工程の温度が上昇すると、H+イオンの速度が増加し、H+イオンの汚染物質への移動がより速くなり得ると考えられる。H+イオンは、それ自体を汚染物質と交換し、したがって、それ自体を基板の表面の陰イオン化された部分にしっかりと付着させることができる。移動が発生する部位が負に帯電する場合には、これらの部位は、中性化され、正に帯電した汚染物質が基板の表面から遊離する。
【0032】
酸化溶液は、酸化剤又は酸化化合物を含んでもよい。酸化溶液の残りは、脱イオン水で構成されてもよい。酸化剤は、オゾン(O3)又は過酸化水素(H2O2)であってもよい。したがって、酸化溶液は、オゾン含有溶液を規定してもよい。酸化溶液の目的は、基板の表面のテクスチャ加工中に使用される添加剤から残った有機元素を酸化する(例えば、ピラミッド構造を形成する)ことである。オゾンは、有機材料を酸化的に分解することを可能にする非常に高い酸化電位を有する。オゾンはまた、基板の表面(すなわち、ピラミッド構造の外側露出表面)を酸化する。
【0033】
酸化溶液は、少なくとも0.001重量%かつ/又は最大0.1重量%の塩化水素濃度を含んでもよい。代替的な方法では、塩化水素濃度は、少なくとも0.005重量%かつ/又は最大0.05重量%であってもよい。溶液の残りは、水(例えば、脱イオン水)で作成されてもよい。
【0034】
上述したように、予備酸化方法工程は、酸化溶液の塩化水素濃度を低下させることができることを意味する。有利なことに、酸化溶液の塩化水素濃度は、予備酸化工程(すなわち、本発明によって定義されるように、基板の表面を酸化する前に基板を予備酸化溶液に曝さない方法)を含まない同等の方法に必要とされるものよりも低い場合がある。
【0035】
基板を酸化する工程は、酸化溶液(すなわち、オゾン含有溶液)をフッ化水素で構成することを含んでもよい。酸化溶液は、最大0.03重量%のフッ化水素濃度を含んでもよい。フッ化水素は、同時に、酸化溶液中の酸化剤によって基板の表面上に形成された酸化物を除去する。
【0036】
酸化方法工程の持続時間は、少なくとも50秒かつ最大250秒であるように構成されてもよい。酸化物除去方法工程の持続時間は、少なくとも50秒かつ最大250秒であるように構成されてもよい。
【0037】
酸化物除去溶液は、フッ化水素と塩化水素との混合物を含んでもよい。除去方法工程は、フッ化水素、塩化水素、及び脱イオン水で酸化物除去溶液を構成することを含んでもよい。フッ化水素は、少なくとも3重量%かつ/又は最大9重量%の濃度で含まれてもよい。塩化水素は、少なくとも0.2重量%かつ/又は最大4重量%の濃度で含まれてもよい。溶液の残りは、水(例えば、脱イオン水)で作成されてもよい。
【0038】
この方法は、リンス流体を基板に導くこと(例えば、基板をリンス流体に浸漬すること)を含んでもよい。このことは、洗浄方法のリンス方法工程を規定してもよい。洗浄流体は、基板(例えば、基板の表面)から、残存する活性溶液のいずれか(例えば、予備酸化(例えば、予備洗浄及び/又は洗浄)、酸化、酸化物除去溶液のいずれか1つ)を除去するように構成されてもよい。
【0039】
したがって、リンス方法工程は、基板が活性溶液から除去された後に、化学反応が継続することを防止するように構成されてもよい。洗浄方法工程は、異なる活性溶液間の汚染を低減する。また、リンス方法工程は、後続の太陽電池製作プロセスの汚染を防止する。
【0040】
リンス方法工程の持続時間は、少なくとも50秒かつ最大250秒であるように構成されてもよい。
【0041】
リンス流体は、液体(すなわち、固体又はガスではない)を含んでもよい。例えば、リンス流体は、脱イオン水などの水を含んでもよい。リンス流体は、脱イオン水の均一な溶液(すなわち、溶液中に他の液体又は固体粒子が実質的に存在しない)であってもよい。リンス流体は、少なくとも15℃かつ/又は最大25℃の温度で構成され得る。代替的な例示的な方法では、リンス流体は、およそ20℃(例えば、20℃)の温度で構成されてもよい。したがって、リンス方法工程は、リンス流体を加熱しないことを含んでもよく、すなわち、リンス溶液は、室温で維持されるように構成されてもよい。
【0042】
この方法は、予備酸化方法工程と酸化方法工程との間で実施されるリンス工程(例えば、更なるリンス工程)を含んでもよい。この方法は、酸化方法工程と除去方法工程との間に実施されるリンス工程を含んでもよい。リンス工程のうちの少なくとも1つ又は各々は、溶液の交差汚染を防止するために、基板の表面から過剰な又は残留した溶液(例えば、予備洗浄液、洗浄液、予備酸化溶液、酸化溶液、及び/又は酸化物除去溶液)を除去するように構成されてもよい。
【0043】
この方法は、予備洗浄方法工程と洗浄方法工程との間で実施されるリンス工程(例えば、更なるリンス工程)を含んでもよい。このリンス工程は、基板の表面にリンス流体を導いて、基板の表面から過剰な予備洗浄液を除去し、それによって、異なる溶液の汚染を防止することを含んでもよい。
【0044】
リンス工程又は各リンス工程は、リンス流体で満たされた収容器中で基板を浸漬すること(例えば、浸漬し、取り出すこと)を含んでもよい。代替的に、リンス工程は、リンス流体分注アセンブリから基板にリンス流体を導くこと(例えば、スプレーすること)を含んでもよい。リンス流体分注アセンブリは、加圧圧力容器などの、リンス流体の供給源に、(例えば、流体導管によって)流体的に結合されてもよい。代替的に、リンス流体は、当業者なら理解するように、制御可能な流体ポンプによって流体分注アセンブリにポンプ給送されてもよい。
【0045】
この方法は、基板に乾燥流体を導くことを含んでもよい。このことは、洗浄方法の乾燥方法工程を規定してもよい。
【0046】
乾燥流体は、液体(例えば、水)又は蒸気(例えば、窒素ガス)であってもよい。乾燥方法工程は、基板の表面に液体乾燥流体を導くことを伴い得る液体乾燥方法工程を含んでもよい。液体乾燥方法工程は、酸化物除去方法工程の後、及び/又は後続の蒸気乾燥方法工程の前に実施されてもよい。液体乾燥方法工程は、リンス流体(例えば、浴)で満たされた収容器(例えば、タンク)中で基板を浸漬することを含んでもよい。基板は、ある期間(例えば、50~250秒)浸漬され、その後に、リンス流体から基板を取り出し(例えば、徐々に取り出し)てもよい。液体乾燥流体は、脱イオン水を含んでもよい。液体乾燥流体は、周囲室温(例えば、20℃付近)で提供されてもよい。液体乾燥方法工程は、基板を部分的に乾燥させ、かつ液体乾燥流体からの基板のゆっくりとした取り出しに起因して、実質的に一様に濡れた表面を与えるように構成されてもよい。
【0047】
乾燥方法工程は、(例えば、乾燥流体が蒸気である)蒸気乾燥方法工程を含んでもよい。乾燥流体(例えば、蒸気乾燥流体)は、基板から任意の残存する液体(例えば、予備洗浄液、洗浄液、予備酸化溶液、酸化溶液、酸化物除去溶液、リンス流体、及び/又は液体乾燥流体)を除去するように構成されてもよい。蒸気乾燥工程は、粒子及び/又は汚染物質を基板に引き寄せることになる可能性がある、基板表面上に残った残留液体を低減する。乾燥流体は、窒素ガスなどの不活性ガスであってもよい。代替的に、例えば、アルゴンを含む他の好適な不活性ガスが使用されもよい。
【0048】
乾燥方法工程(例えば、蒸気乾燥方法工程)の持続時間は、少なくとも600秒かつ最大800秒であるように構成されてもよい。
【0049】
乾燥方法工程の一部として、蒸気(例えば、窒素ガス)が、少なくとも50℃かつ/又は最大90℃の温度に加熱されてもよい。乾燥流体の昇温は、基板が乾燥される速度を増加させ、それによって、洗浄方法の全体的な持続時間を短縮する。
【0050】
蒸気乾燥方法工程は、蒸気乾燥流体分注アセンブリから基板に蒸気乾燥流体を導くこと(例えば、吹き付けること)を含んでもよい。蒸気乾燥流体分注アセンブリは、加圧圧力容器などの、乾燥流体の供給源に、(例えば、流体導管によって)流体的に結合されてもよい。蒸気乾燥流体のフローは、当業者なら理解するように、蒸気乾燥流体供給源と蒸気乾燥流体分注アセンブリとの間の流体導管に沿って配置された可変バルブによって制御されてもよい。
【0051】
予備酸化方法工程、酸化方法工程、及び酸化物除去方法工程のうちの少なくとも1つ又は各々は、基板をそれぞれの溶液中に浸漬する工程を含んでもよい。代替的な方法によれば、予備酸化(例えば、予備洗浄及び/又は洗浄)方法工程、酸化方法工程、及び酸化物除去方法工程のうちの少なくとも1つ又は各々は、基板を関連付けられた溶液の膜でコーティングし、次いで、基板を回転させて、溶液を遠心的に除去する工程を含んでもよい。
【0052】
例示的な方法では、予備酸化方法工程は、基板を予備酸化溶液の膜でコーティングし、次いで、基板を回転させて、溶液を遠心的に除去することを含んでもよく、かつ/又は酸化方法工程は、基板を酸化溶液の膜でコーティングし、次いで、基板を回転させて、溶液を遠心的に除去することを含んでもよく、かつ/又は除去工程は、基板を酸化物除去溶液の膜でコーティングし、次いで、基板を回転させて、溶液を遠心的に除去することを含んでもよい。
【0053】
予備酸化(例えば、予備洗浄及び/又は洗浄)方法工程、酸化方法工程、及び除去方法工程のうちの少なくとも1つは、基板を関連付けられた溶液中に浸漬することを含んでもよい。例示的な方法では、予備酸化方法工程は、基板を予備酸化溶液中に浸漬することを含んでもよく、かつ/又は酸化方法工程は、基板を酸化溶液中に浸漬することを含んでもよく、かつ/又は除去工程は、基板を酸化物除去溶液中に浸漬することを含んでもよい。
【0054】
この方法は、ウェットベンチ洗浄システムを使用して行われ得るものなどの、バッチ浸漬洗浄プロセスに適用されてもよい。この状況では、方法工程の少なくとも1つ又は各々は、複数の収容器を使用して(すなわち、異なる溶液などを保持するために)実施されてもよい。1つ以上の基板は、洗浄方法工程の所定のシーケンスに従って、溶液の各々に浸漬されてもよい。
【0055】
代替的に、洗浄方法工程のうちの2つ以上が、単一の収容器内で実施されてもよく、それによって、溶液(例えば、予備洗浄液、洗浄液、予備酸化溶液、酸化溶液、及び/又は酸化物除去溶液)の各々が、洗浄方法工程の所定のシーケンスに従って、順番に、1つ以上の基板上に導かれる(例えば、スプレーされる)。例えば、この方法は、スピンコーティング洗浄システムを使用して実施され得るような、単一基板洗浄プロセスで使用されてもよい。
【0056】
本発明の第2の態様によれば、太陽電池用の半導体基板を洗浄するためのシステムが提供され、洗浄システムは、先述のいずれか1つの方法に従って基板を洗浄するように構成されている。
【0057】
本発明の第3の態様によれば、太陽電池用の半導体基板を洗浄するための洗浄システムが提供され、このシステムは、基板上に予備酸化溶液を導くように構成された予備酸化器と、酸化溶液を基板上に導いて、基板の表面上に酸化物を形成するように構成された酸化器と、基板上に酸化物除去溶液を導いて、基板の表面から酸化物を除去するように構成された酸化物除去器と、を備え、予備酸化溶液は、基板の表面上に酸化物を形成する前に、基板の表面から金属イオンを除去するように構成されており、予備酸化溶液は、塩化水素を含み、かつ他の酸形成成分を含まない酸溶液である。
【0058】
予備酸化器は、基板上に予備洗浄液を導くように構成された予備洗浄器を含んでもよい。予備酸化器は、基板上に洗浄液を導くように構成された洗浄器を含んでもよい。予備洗浄液及び洗浄液の少なくとも1つ又は各々は、塩化水素を含み、他の酸形成成分を含まなくてもよい。
【0059】
予備酸化器(例えば、予備洗浄器及び/又は洗浄器)、酸化器、及び酸化物除去器のうちの少なくとも1つ又は各々は、ウェットベンチ洗浄システムの収容器を含んでもよい。収容器は、当業者なら理解するように、基板を関連付けられた溶液に浸漬することができるように、基板を受容するように構成されてもよい。収容器は、例えば、複数の基板が基板ホルダ又はクレードルによって支持される場合に、複数の基板を同時に受容するように構成されてもよい。
【0060】
予備酸化器、酸化器、及び酸化物除去器の少なくとも1つ又は各々は、スピンコーティング洗浄システムの構成要素を備えてもよい。例えば、酸化器は、ある体積の予備酸化溶液を保持するように構成された貯蔵容器に流体的に結合された出口を備えてもよい。予備酸化器のポンプが、予備酸化流体を貯蔵容器から出口に、及び基板上に導くように構成されてもよい。洗浄システムは、当業者なら理解するように、基板を回転させて、基板の表面から予備酸化溶液を遠心的に除去するように構成されている回転可能な基板支持体(又はクランプ)を備えてもよい。
【0061】
当業者は、相互に排他的な場合を除き、上記の態様のいずれか1つに関連して記載された特徴又はパラメータが任意の他の態様に適用され得ることを理解するであろう。更に、相互に排他的である場合を除き、本明細書に記載される任意の特徴又はパラメータは、任意の態様に適用され得、かつ/又は本明細書に記載される任意の他の特徴又はパラメータと組み合わされ得る。
【図面の簡単な説明】
【0062】
次に、図面を参照しながら、実施形態を例としてのみ説明する。
【0063】
【
図1】基板洗浄方法の異なる段階における基板洗浄システムの概略図(その1)である。
【
図2】基板洗浄方法の異なる段階における基板洗浄システムの概略図(その2)である。
【
図3】基板洗浄方法の異なる段階における基板洗浄システムの概略図(その3)である。
【
図4】基板洗浄方法の異なる段階における基板洗浄システムの概略図(その4)である。
【
図5】基板洗浄方法の異なる段階における基板洗浄システムの概略図(その5)である。
【
図6】基板洗浄方法の異なる段階における基板洗浄システムの概略図(その6)である。
【
図7】
図1~6に示されるような、基板を洗浄する方法を例示するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0064】
次に、本開示の態様及び実施形態を、添付図面を参照して考察する。更なる態様及び実施形態は、当業者には明らかであろう。
【0065】
図1~6は、本発明の一態様に従って半導体基板20を洗浄するための基板洗浄システム10を示す。基板20は、シリコンなどの半導体材料で形成されている。基板20は、当業者なら理解するように、太陽電池の構成要素として使用することが意図されている。基板20としては、シリコンウェハが挙げられ得るが、本発明の範囲から逸脱することなく、本洗浄方法を他の好適な半導体材料に適用し得ることが理解されよう。
【0066】
太陽電池の製作において基板を使用する前に、基板の表面を洗浄して、付着した粒子及び有機/無機不純物を除去しなければならない。また、自然酸化ケイ素表面層を除去しなければならない。基板の表面上の汚染物質は、吸着したイオン及び元素、薄膜、離散粒子、粒子状物質(例えば、粒子)、及び吸着したガスとして存在し得る。
【0067】
洗浄システム10は、4つの収容器12、14、16、18、又は容器を含み、これらは各々、液体溶液を保持するように構成されている。本発明の洗浄方法に従って、液体溶液の各々に基板20を潜没させる。システムは、基板20から液体溶液を除去し、かつ基板20を乾燥させるように構成された乾燥アセンブリ50を更に備える。
【0068】
洗浄システム10はまた、リンス流体(例えば、脱イオン水)を含むリンスタンクを含むリンスアセンブリ(図示せず)を含む。基板20は、リンスタンクに受容され、そこで、基板20をリンス流体に潜没させて、基板の表面から任意の残留溶液を除去する。当業者なら理解するように、各洗浄工程の後に使用するために、別個のリンスアセンブリが提供されてもよい。
【0069】
乾燥アセンブリ50は、
図5に示されるように、液体乾燥タンク32(例えば、水乾燥機)を含む。基板20は、液体乾燥タンク32に受容され、そこで、基板を液体乾燥流体42に潜没させて、基板の表面から任意の残留溶液を除去する。液体乾燥流体42にある期間(例えば、50~250秒)潜没させた後、基板20を液体乾燥流体42からゆっくりと取り出して、基板20を部分的に乾燥させ、実質的に一様に濡れた表面を提供する。液体乾燥流体42は、脱イオン水であり、これは、室温(例えば、20℃付近)に保持される。液体乾燥流体42は、リンスアセンブリで使用されるリンス流体と実質的に同じである。
【0070】
乾燥アセンブリ50はまた、
図6に示されるように、乾燥タンク34及び蒸気乾燥流体分注出口38、又はノズルを含む。基板20は、乾燥タンク34に受容され、分注出口38から基板の表面に向けて乾燥流体44を導いて(例えば、ブローして)、任意の残留液体を除去し、それによって、基板20を乾燥させる。乾燥アセンブリ50は、乾燥タンク34の最下部に位置し、流体フローは、液体が排出されることを可能にするために乾燥タンク34の最上部に位置付けられたドレイン40(例えば、流体出口)を介して基板20から上向きに、かつ離れるように導かれる。
【0071】
収容器12、14、16、18の各々、リンスタンク及び乾燥タンク32、34は、ポリプロピレン(PP)又はポリフッ化ビニリデン(PVDF)などの化学的に不活性な材料から作成されている。オゾンを保持するように構成された収容器は、PVDFがより化学的に不活性であるため、好ましくは、PVDFから作成され得る。したがって、収容器及びリンス/乾燥タンクは各々、洗浄プロセス中に遭遇し得る洗浄液と反応しないように構成されている。
【0072】
収容器12、14、16、18の各々には、収容器に収容された液体溶液の温度を制御するように構成されている加熱システム(図示せず)が備えられている。加熱システムは、電気抵抗加熱要素を備えるが、本発明の範囲から逸脱することなく、他のタイプの加熱システムも使用され得ることが理解されよう。
【0073】
加熱システムは、加熱要素の動作を調節し、それによって、収容器内の溶液の温度を調整するように構成された温度コントローラを含む。温度コントローラは、溶液の温度を検出するように構成された温度センサ(例えば、熱電対)を含む。コントローラは、温度センサから入力信号(例えば、液体溶液の温度を示す)を受信し、制御信号(例えば、電流/電圧信号)を出力して、入力信号に依存して収容器を加熱するように加熱素子を制御するように構成されている。したがって、コントローラは、溶液の温度を、洗浄方法によって必要とされるような所定の温度、又はある温度範囲内に維持するように、加熱要素を制御することができる。
【0074】
収容器12、14、16、18は、基板20が完全に浸漬される(例えば、完全に潜没する)ことを可能にするのに十分な溶液を保持することができるように寸法設定されている。リンスタンク32と乾燥タンク34の各々とは、任意の残留溶液及び/又はリンス/乾燥流体がそれぞれのタンクから飛散するリスクも低減しながら、それらが基板20を受容することができるように、全て寸法設定されている。
【0075】
図1を参照すると、第1の収容器12は、塩化水素及び脱イオン水を含む、予備洗浄液22(すなわち、第1の溶液)を含む。したがって、第1の収容器12は、洗浄システム10の予備洗浄器を規定する。塩化水素は、溶液の重量に基づいて、少なくとも0.4%かつ最大2%の濃度で予備洗浄液22に含まれる。予備洗浄液22の温度は、少なくとも20℃かつ最大60℃であるように構成されている。洗浄システム10の例示的な構成では、予備洗浄液22は、少なくとも30℃かつ最大45℃、任意選択で、およそ30℃(例えば、30℃)、の温度に加熱される。
【0076】
第2の収容器14は、
図2に示されるように、塩化水素及び脱イオン水を含む洗浄液24(すなわち、第2の溶液)を含む。したがって、第2の収容器24は、洗浄システム10の洗浄器を規定する。塩化水素は、溶液の重量に基づいて、少なくとも3%かつ最大7%の濃度で洗浄液24に含まれる。洗浄液24の温度は、およそ20℃(例えば、20℃)などの室温(すなわち、洗浄システムの周囲の周囲空気温度)となるように制御される。
【0077】
本発明の洗浄方法によれば、基板を酸化溶液に浸漬することによって基板が酸化される前に、基板が溶液の各々に浸漬されるため、予備洗浄液及び洗浄液22、24の両方が予備酸化溶液を規定する。したがって、第1及び第2の収容器12、14は各々、洗浄システム10の予備酸化器を規定する。
【0078】
図3を参照すると、第3の収容器16は、オゾン、フッ化水素、塩化水素、及び脱イオン水を含む、酸化溶液26(すなわち、第3の溶液)を含む。フッ化水素は、溶液の重量に基づいて、少なくとも0%かつ最大0.03%の濃度で酸化溶液26に含まれる。塩化水素は、溶液の重量に基づいて、少なくとも0.005%かつ最大0.05%の濃度で酸化溶液26に含まれる。
【0079】
オゾンは、少なくとも1かつ最大100ppmの濃度で第3の溶液26内に含まれる(すなわち、溶解している)。代替的な構成では、オゾン濃度は、最大50ppm、又は代替的に、最大20ppm、であるように構成されている。酸化溶液中のオゾンは、基板20の表面を酸化するように構成されている。したがって、第3の収容器26は、洗浄システム10の酸化器を規定する。
【0080】
酸化溶液26の温度は、少なくとも20℃かつ最大40℃であるように構成されている。洗浄システム10の例示的な構成では、酸化溶液26は、少なくとも20℃かつ最大35℃、任意選択で、およそ23℃(例えば、23℃)、の温度に加熱される。
【0081】
図4を参照すると、第4の収容器18は、フッ化水素、塩化水素、及び脱イオン水を含む、酸化物除去溶液28(すなわち、第4の溶液)を含む。フッ化水素は、溶液の重量に基づいて、少なくとも3%かつ最大9%の濃度で酸化物除去溶液28に含まれる。塩化水素は、溶液の重量に基づいて、少なくとも0.2%かつ最大4%の濃度で酸化物除去溶液28に含まれる。酸化物除去溶液28の温度は、室温になるように制御される。
【0082】
酸化物除去溶液28中のフッ化水素は、酸化溶液26中のオゾンによって基板表面上に形成された酸化物を除去するように構成されている。したがって、第4の収容器28は、洗浄システム10の酸化物除去器を規定する。
【0083】
溶液22、24、26、28の各々は、別個に予備混合され、好適な貯蔵容器に保管される。予備混合された溶液22、24、26、28の各々は、基板洗浄プロセスの開始前に、溶液の貯蔵容器からそれぞれの収容器12、14、16、18に直接移送される。代替的に、当業者なら理解するように、溶液の各々を、洗浄システムのハウジング内で、その場で混合することができる。溶液は、超純水(例えば、脱イオン水)源を含む、超高純度半導体グレードの試薬を使用して形成される。
【0084】
オゾンは、オゾン含有ガス(例えば、オゾンガス、O3)のフローを第3の収容器16に導くことによって、酸化溶液26内に溶解する。洗浄システム10は、オゾン含有ガスをオゾンガス供給源から第3の収容器16に供給するように構成されているガス送達装置(図示せず)を備える。オゾンガスは、当業者なら理解するように、酸化溶液26を通してバブリングされる。
【0085】
オゾンガス供給源は、電解オゾンガス生成アセンブリであるが、オゾンガスの任意の好適な供給源が使用され得る。例えば、オゾンガスの供給は、酸素(O2)供給ガスが供給されるオゾン発生器から生成される。ガス送達装置には、第3の収容器16へのオゾンガスの供給を制御するように構成されているガス調節器(例えば、制御可能なバルブ)を備えている。これにより、第3の溶液26中のオゾン濃度を、洗浄プロセス全体を通して維持され得る所定の濃度又は濃度範囲に正確に調整することができる。
【0086】
乾燥アセンブリ50の蒸気乾燥流体分注出口38は、
図6に示されるように、基板20が乾燥タンク34内に配置されているときに、蒸気乾燥流体44のフローを基板20に向けて方向付けるように配置されている。蒸気乾燥流体44は、窒素ガスなどの不活性ガスである。蒸気乾燥流体分注出口38は、別個の流体導管(図示せず)を介して、加圧ガス貯蔵容器又はタンクなどの窒素ガス源に流体結合されている。出口38への窒素ガスのフローは、可変バルブ(図示せず)によって制御され、それによって、基板20に向けて方向付けられているガスのフローが制御される。可変バルブは、
図6に示されるように、基板20が乾燥タンク34内に位置付けられているときに、分注出口38にガスを供給するだけのために構成可能である。
【0087】
乾燥システム50は、出口38から分注される乾燥流体の温度を制御するように構成されている乾燥アセンブリ加熱システムを含む。特に、加熱システムは、第2の分注出口38に窒素ガスを供給するガス導管に導電結合された電気抵抗加熱要素を含む。加熱要素は、当業者なら理解するように、導管を通って流れる窒素ガスを加熱するように動作可能である。
【0088】
乾燥アセンブリ加熱システムは、洗浄流体加熱システムに関連して上述したような温度コントローラを含む。例えば、加熱システムは、基板20に向けて方向付けられているガスの温度を判定するように構成された温度センサを含む。コントローラは、感知されたガス温度信号に応じて、加熱素子の動作を制御する。このようにして、コントローラは、窒素ガスの温度を所定の温度に維持するように構成されている。
【0089】
乾燥アセンブリ加熱システムは、乾燥流体44を少なくとも50℃かつ最大90℃の温度に加熱するように構成されている。洗浄システム10の例示的な構成では、乾燥流体44は、少なくとも65℃かつ最大75℃、任意選択で、およそ70℃(例えば、70℃)の温度に加熱される。
【0090】
洗浄システム10の代替的な配置では、乾燥アセンブリ加熱システムは、乾燥タンク34を加熱して、乾燥流体44の温度を制御するように配置されている。この場合、乾燥タンク34には、洗浄流体加熱システムに関連して上述したような加熱要素が取り付けられている。
【0091】
収容器12、14、16、18、リンスタンク及び乾燥タンク32、34は各々、基板洗浄システム10の異なる洗浄ステーション又は洗浄領域を規定する。洗浄ステーションは全て、基板20及び洗浄装置の汚染を防止するように構成されたハウジング(図示せず)内に配置されている。ハウジングは、洗浄ステーションが配置されているハウジングの中央内室へのアクセスを可能にするための複数の開口部を伴って構成されている。開口部は、ユーザが、本発明の洗浄方法に従って、異なる洗浄ステーション間で基板20を移動させることを可能にする。
【0092】
基板20を、ウェハハンドリング棒又はトングなどの基板ツールを使用して、手動でハンドリングすることができる。代替的に、システム10は、ハウジング内で基板20を保持及びリフトするための基板ハンドリングロボットを備えてもよい。したがって、基板ハンドリングロボットは、ハウジング内に配置され、異なる洗浄ステーション間で基板20を移動させるように構成されてもよい。そのようなロボットを使用することによって、洗浄方法中にハウジングを閉じることができ、このことは、粒子及び他の空気中の汚染物質が溶液22、24、26、28に入り、及び/又は基板表面上に沈降するリスクを低減するのに役立つ。
【0093】
図1~6には単一の基板20のみが示されているが、洗浄システム10は、複数の基板20を同時に洗浄することができるように構成されてもよいことが理解されよう。複数の基板20は、基板20が異なる洗浄ステーションの間でリフトされている間に、基板20の各々を所定位置に支持するように構成された基板キャリア又はクレードルに配置されてもよい。収容器12、14、16、18の各々、リンスタンク及び乾燥タンク32、34が、複数の基板20を支持する基板キャリアを受容するように構成されてもよいことが理解されよう。
【0094】
基板キャリアはまた、当業者なら理解するように、収容器(例えば、PTFE)と同じ材料で形成されてもよい。基板キャリアは、基板20が互いに離間して配置されるように基板20を支持するように構成されてもよく、これにより、溶液が基板の表面に達することが可能になる。したがって、キャリアにおける基板の各々は、他の基板と実質的に平行に整列される。
【0095】
基板20又は複数の基板は、本発明による洗浄方法200の所定の順序で異なる洗浄ステーション間で移動される。ここで、基板20を洗浄する方法について
図7に示されるフローチャートを参照し、かつ
図1~6に示される洗浄システム10を参照して記載する。
【0096】
以下の説明は、単一の基板を洗浄する方法を対象とする。しかしながら、本発明から逸脱することなく、同じ方法の工程を複数の基板20の洗浄に等しく適用することができることを理解されたい。
【0097】
本方法は、洗浄される半導体基板20を提供することを含む第1の工程202から始まる。この第1の方法工程202はまた、
図1~5に示されるように、溶液22、24、26、28、42をそれらのそれぞれの収容器12、14、16、18、34に提供することを含む。これは、
図5及び6に示されるように、乾燥アセンブリ50を提供することを更に含む。
【0098】
後続の方法工程204では、基板を予備洗浄液22に50~250秒(例えば、215秒)浸漬する。上述したように、予備洗浄液22は、少なくとも0.4%かつ最大2%の酸濃度を有する、塩化水素及び脱イオン水のみを含有する酸溶液である。方法工程204の一部として、酸溶液を少なくとも20℃かつ最大60℃の温度に加熱する。
【0099】
次いで、洗浄方法は、方法工程204に進み、この方法工程は、基板20を洗浄液24に50~250秒(例えば、215秒)浸漬することを含む。洗浄液24はまた、塩化水素及び脱イオン水のみを含有する酸溶液である。洗浄液24の酸濃度は、少なくとも3%かつ最大7%である。方法工程206は、洗浄液24を加熱することを含まず、洗浄液24は、代わりに周囲室温に維持される。
【0100】
更なる方法工程208では、基板を酸化溶液26に50~250秒(例えば、215秒)浸漬する。酸化溶液26は、上述したように、オゾン、フッ化水素、塩化水素、及び脱イオン水を含む。方法工程208は、酸化溶液26を通してオゾンガスをバブリングして、「オゾン溶液」を形成することを含む。方法工程208の一部として、第3の溶液26は、少なくとも20℃かつ最大40℃の温度に加熱される。
【0101】
このオゾン洗浄の目的は、基板の表面のテクスチャ加工中に使用される添加剤から残った有機元素を酸化して、ピラミッド構造を形成することである。オゾンはまた、基板の表面(すなわち、ピラミッド構造の表面)を酸化させる。
【0102】
酸化溶液26中のフッ化水素は、オゾンによって形成されている酸化物を除去する。同時に形成される酸化物を同時に除去するこのプロセスは、「丸め」と称される。代替的な例示的な方法では、酸化物除去溶液28にフッ化水素が存在しないため、方法工程208中に丸めを起こすことはない。この状況では、以下に記載されるように、オゾンによって形成された酸化物は、後続の酸化物除去工程中に除去される。
【0103】
次いで、この方法は、方法工程210に進み、この方法工程は、基板20を酸化物除去溶液28に50~250秒間浸漬することを含む。酸化物除去溶液28は、上述したように、フッ化水素、塩化水素、及び脱イオン水を含む。方法工程210は、酸化物除去溶液28を加熱することを含まない。逆に、溶液を周囲室温に維持する。
【0104】
方法工程210に続いて、洗浄プロセスは、方法工程212に進み、ここで、基板20は、リンス流体を収容したリンスタンク(図示せず)に移動し、それにより、基板を50~250秒間リンスすることができる。リンス方法工程212は、基板20をリンス流体中に浸漬し/潜没させることを含み、基板の表面から任意の残留溶液を除去する。このリンス工程はまた、方法工程204、206、及び208の各々に組み込まれてもよい。したがって、基板20を予備洗浄液、洗浄液、及び酸化溶液22、24、及び26の各々に浸漬した後、基板20をある期間(例えば、50~250秒)リンス流体に浸漬することができる。各リンスの後、基板20は、シーケンスにおける次の方法工程に進む。
【0105】
リンス流体(例えば、脱イオン水)は、溶液22、24、26、28によって引き起こされた化学反応を迅速に停止するように構成されている。リンス流体はまた、他の溶液を汚染する可能性がある基板20から任意の化学残留物を除去する。
【0106】
洗浄プロセスは、液体乾燥方法工程214へと続き、この方法工程は、
図5に示されるように、基板20を、液体乾燥タンク32に収容された液体乾燥流体42(例えば、脱イオン水)に浸漬することを含む。基板20が液体乾燥流体42にある期間(例えば、50~250秒)浸漬されると、タンク32からゆっくりと取り出されて、均一に濡れた表面を伴って基板を構成する。
【0107】
予備洗浄、洗浄、酸化、除去、リンス方法工程(例えば、204、206、208、210、212、214)の各々は、洗浄プロセスにボトルネックが生じないように、同じ持続時間実施される。
【0108】
基板20がリンスされ(例えば、方法工程212)、液体乾燥される(例えば、方法工程214)と、基板20は、方法工程216で、乾燥タンク34に移送され、それにより、基板20は、蒸気乾燥流体44の急速なフローで600~800秒間乾燥される。方法工程216はまた、蒸気乾燥流体44、したがって乾燥タンク34、を少なくとも50℃かつ最大90℃に加熱することを含む。
【0109】
第1の基板20(又は第1の基板セット)について洗浄方法200が完了すると、次いで、本方法は、上述したのと同じ順序で進む前に、第1の方法工程202(例えば、更なる基板20、又は基板セットの提供を含む)に戻る。
【0110】
予備洗浄、洗浄、酸化、除去、リンス、及び乾燥工程(204、206、208、210、212、214、216)の各々についてのパラメータを、以下の表1にまとめる。方法工程204、206は、主となる酸化及び除去洗浄方法工程208及び210に先行し、したがって、これらの方法工程は、洗浄方法200の予備酸化方法工程を規定する。
【表1】
【0111】
本発明のプロセスは、半導体基板20を洗浄する強化された方法を提供することが見出されている。予備洗浄方法工程及び洗浄方法工程204、206(すなわち、予備酸化方法工程)の各々は、基板の表面から汚染物質を除去するために、酸化工程及び酸化物除去工程208、210を補完表するように構成されている。
【0112】
予備洗浄液及び洗浄液22、24は、基板20の表面から金属イオンを除去するように構成されており、これにより、後続の酸化方法工程及び酸化物除去方法工程208、210で使用される溶液(すなわち、酸化溶液及び酸化物除去溶液26、28)の金属汚染が低減される。その結果、酸化溶液及び酸化物除去溶液26、28中の塩化水素の濃度を低減することができる。驚くべきことに、このことは、洗浄方法200についての塩化水素の総使用量が、酸予備酸化工程を含まない洗浄方法と比較して減少することができることを意味する。
【0113】
本発明の利益はまた、洗浄方法200を使用して洗浄された基板20を使用して製作された太陽電池の性能特性の改善によって実証される。特に、この方法によって洗浄された基板は、予備酸化方法工程を含まない同等の洗浄方法(すなわち、上記で定義されるように、予備洗浄方法工程又は洗浄方法工程204、206のいずれも含まない方法)を使用して生産された太陽電池よりも効率的に動作する太陽電池を生産することが示されている。
【0114】
いくつかの例示的な太陽電池デバイスA、B、C、D、及びEのデバイスパラメータを以下の表2に示す。デバイスA~Eの各々は、結晶シリコンヘテロ接合太陽電池(HJT)である。デバイスA~Eの基板の各々は、デバイスを製作する前に、異なる洗浄プロセスを経ている。表2に示される性能パラメータは、デバイス性能の相対的な差を示すために、デバイスAに関して正規化されている。例えば、デバイスB、C、D、及びEのパラメータ値の各々は、デバイスAの対応するパラメータ値に対するパーセンテージ差(+/-%)として示されている。したがって、デバイスAのパラメータ値は、全て0.0%として示されている。
【0115】
デバイスA及びBは、予備酸化方法工程を含まない洗浄方法に従って洗浄された基板から作成されている。デバイスAの基板を合計180秒間洗浄したのに対して、デバイスBの基板を合計215秒間洗浄した。
【0116】
本発明の洗浄方法200に従って洗浄された基板20を備える太陽電池は、表2のデバイスC、D、及びEとして識別されている。デバイスCの基板は、洗浄工程206が省略された本発明の例示的な洗浄方法を使用して洗浄されている(すなわち、この方法は、予備洗浄方法工程204のみを含む)。この場合、洗浄方法200の合計持続時間は、180秒であった。
【0117】
デバイスD及びEに使用される基板は、両方とも、予備洗浄方法工程及び洗浄方法工程204、206を含む本発明の例示的な方法に従って洗浄された。デバイスDの基板を合計180秒間洗浄したのに対して、デバイスEの基板を合計215秒間洗浄した。
【0118】
デバイスA~Eで使用される基材の各々について、対応する洗浄方法(例えば、酸化、酸化物除去、リンス、及び乾燥工程)の残りの方法工程は、実質的に同じであった。
【表2】
【0119】
表2を参照すると、デバイスC、D、及びE(すなわち、本発明の方法に従って洗浄された基板を有する)は各々、デバイスA及びB(すなわち、予備酸化方法工程を含まない方法に従って洗浄された基板を有する)と比較して増加した開放電圧(Voc)を呈することが示されている。
【0120】
表2の結果は、太陽電池C~Eの変換効率(CE)及び曲線因子(FF)がデバイスA及びBのものよりもわずかに低いことを示す。このことは、太陽電池製造プロセス(例えば、セル印刷)の軽微な変動に起因していた。
【0121】
上記に加えて、本発明の驚くべきかつ予想外の結果は、方法論の単純さにあると考えられる。例えば、本方法は、個々の方法工程のいずれを繰り返す必要もなく、半導体基板の強化された洗浄を達成する。このことは、洗浄方法を迅速に完了し、異なる溶液同士の汚染を減らすことができ、これにより、廃棄物が低減されることを意味する。したがって、この洗浄方法は、それによって、全体的な基板洗浄コストを低減し、結果として生じる太陽電池デバイスの動作パラメータを改善する。
【0122】
上記の説明は、本発明による洗浄方法及び洗浄システムを、溶液の特定の濃度と、特定の処理期間と、処理中に基板を浸漬する特定の頻度と、リンスのための特定の期間と、乾燥のための特定の期間(例えば、液体乾燥及び蒸気乾燥)と、を伴って概説する。しかしながら、本発明は、そのように限定されない。表面汚染の程度と、洗浄される半導体基板のサイズ及び量と、必要とされる清浄度の程度と、を考慮しながら、様々な変更が行われてもよい。また、本記載の方法を、他の洗浄技法と組み合わせることができる。
【0123】
上述した洗浄方法は、ウェットベンチ洗浄セットアップを使用して行われ得るものなどの、バッチ浸漬洗浄プロセスを含む。しかしながら、洗浄方法200は、規定の方法に従って、基板20で同じ溶液22、24、26、28を導くように構成され得る代替的な洗浄システム及び装置の使用を含んでもよいことが理解されよう。
【0124】
例えば、方法工程204、206、208、及び210(すなわち、予備洗浄、洗浄、酸化、及び除去方法工程)の各々は、スピンコーティング洗浄システムを使用して実施されてもよい。この例示的な構成では、基板20は、基板を実質的に水平方向に配置して、回転プラットフォームに堅固に固定されてもよい。次いで、基板の表面を、その表面から溶液を遠心的に除去するために基板を回転させる前に、それぞれの溶液(例えば、予備洗浄液、洗浄液、酸化溶液、又は酸化物除去溶液22、24、26、28)の膜でコーティングする。同様に、リンス方法工程及び/又は液体乾燥方法工程は、当業者なら理解するように、そのようなスピンコーティング洗浄システムを使用して実施されてもよい。
【0125】
本発明は、上述した実施形態には限定されず、様々な修正及び改良が、本明細書に記載された概念から逸脱することなく行うことができることが理解されるであろう。相互に排他的な場合を除いて、いかなる特徴も、任意の他の特徴とは別個に、又はそれらと組み合わせて用いることができ、本開示は、本明細書に記載された1つ以上の特徴の全ての組み合わせ、及び部分組み合わせに拡張され、これらを包含する。
【符号の説明】
【0126】
10 洗浄システム
12 第1収容器
14 第2収容器
16 第3収容器
18 第4収容器
20 基板
22 予備洗浄液
24 洗浄液
26 酸化溶液
28 酸化物除去溶解液
30 液体乾燥アセンブリ
32液体乾燥タンク
34蒸気乾燥タンク
36、38 流体分注出口
40 蒸気乾燥タンクドレイン
42 リンス流体
44 乾燥流体
50 蒸気乾燥アセンブリ
200 洗浄方法
202、204、206、208、210、212、214、216 洗浄方法工程
【国際調査報告】