(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-12-23
(54)【発明の名称】電気部品用のキャリア基板及びそのようなキャリア基板の製造方法
(51)【国際特許分類】
H01L 23/36 20060101AFI20241216BHJP
【FI】
H01L23/36 C
【審査請求】有
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2024535371
(86)(22)【出願日】2022-12-13
(85)【翻訳文提出日】2024-07-05
(86)【国際出願番号】 EP2022085608
(87)【国際公開番号】W WO2023110861
(87)【国際公開日】2023-06-22
(31)【優先権主張番号】102021132945.0
(32)【優先日】2021-12-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】515063390
【氏名又は名称】ロジャーズ ジャーマニー ゲーエムベーハー
【氏名又は名称原語表記】Rogers Germany GmbH
【住所又は居所原語表記】Am Stadtwald 2, D-92676 Eschenbach, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100116322
【氏名又は名称】桑垣 衛
(72)【発明者】
【氏名】ギル、ビタリ
(72)【発明者】
【氏名】ヴィーゼント、ヨハネス
(72)【発明者】
【氏名】ヴァーグル、ファビアン
【テーマコード(参考)】
5F136
【Fターム(参考)】
5F136BB04
5F136CB07
5F136CB08
5F136DA34
5F136EA23
5F136FA12
5F136GA12
(57)【要約】
電気部品(4)用のキャリア基板(1)は、ヒートシンク(20)と、セラミック要素(71)と、を備える。セラミック要素(71)は、少なくとも部分的にヒートシンク(20)に接合されている。製造されたキャリア基板(1)において、ヒートシンク(20)とセラミック要素(71)との間に、はんだ材料を含まない接合層が形成されている。接合層の接着剤層は、5オーム/sqより大きい、より好ましくは10オーム/sqより大きい、最も好ましくは20オーム/sqより大きいシート抵抗を有する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気部品(4)用のキャリア基板(1)であって、
-ヒートシンク(20)と、
-セラミック要素(71)であって、少なくとも部分的に前記ヒートシンク(20)に接合されている、セラミック要素(71)と、を備え、
製造された前記キャリア基板(1)において、前記ヒートシンク(20)と前記セラミック要素(71)との間に、はんだ材料を含まない接合層が形成されており、
前記接合層の接着剤層は、5オーム/sqより大きい、より好ましくは10オーム/sqより大きい、最も好ましくは20オーム/sqより大きいシート抵抗を有する、キャリア基板(1)。
【請求項2】
前記セラミック要素(71)が、直接接合法によって接合することができない材料組成を含む、請求項1に記載のキャリア基板(1)。
【請求項3】
前記セラミック要素が、Si
3N
4を含む、請求項1又は2に記載のキャリア基板(1)。
【請求項4】
前記ヒートシンク(20)が、裏面メタライゼーション(74)を介して前記セラミック要素(71)に接合されており、前記接着剤層が、前記裏面メタライゼーション(74)と前記セラミック要素(71)との間に形成されている、請求項1~3のいずれか一項に記載のキャリア基板(1)。
【請求項5】
前記裏面メタライゼーション(74)の結晶粒径が、前記ヒートシンク(20)の結晶粒径と異なる、請求項1~4のいずれか一項に記載のキャリア基板(1)。
【請求項6】
前記セラミック要素が、300μm未満、より好ましくは250μm未満、最も好ましくは200μm未満の厚さを有する、請求項1~5のいずれか一項に記載のキャリア基板(1)。
【請求項7】
前記ヒートシンクが、直接接合法、特に無はんだ直接接合法によって互いの上に結合された少なくとも第1の金属層(21)及び第2の金属層(22)から形成されており、前記第1の金属層(21)及び/又は前記第2の金属層(22)は、製造された前記キャリア基板(1)内に冷却チャネルを形成する凹部を有する、請求項1~6のいずれか一項に記載のキャリア基板(1)。
【請求項8】
積層方向(S)に測定され、所定の領域内の複数の測定点にわたって、又は主延長面に対して平行に進む若しくは走る複数の領域内で平均された前記接合層又は接着剤層の厚さが、1000nm未満、より好ましくは600nm未満、最も好ましくは350nm未満の値を有する、請求項1~7のいずれか一項に記載のキャリア基板(1)。
【請求項9】
請求項1~8のいずれか一項に記載のキャリア基板(1)の製造方法であって、
-金属セラミック基板を形成するために、熱間等方加圧によって、裏面メタライゼーション(74)及び好ましくは部品メタライゼーション(72)をセラミック要素(71)に接合するステップと、
-ヒートシンク(20)、特に冷却チャネル構造を有するヒートシンク(20)を提供するステップと、
-直接接合法、特にDCB(直接銅接合)法によって、前記ヒートシンク(20)を前記裏面メタライゼーション(74)に接合するステップと、を含む、方法。
【請求項10】
第1の金属層(21)及び/又は第2の金属層(22)内の空隙が、エッチング、浸食、及び/又はミリングによって実現され、少なくとも前記第1の金属層(21)及び前記第2の金属層(22)が、DCBプロセスによって互いに結合されて前記ヒートシンク(20)を形成し、
前記少なくとも第1の金属層(21)及び/又は第2の金属層(22)を前記裏面メタライゼーションに接合するステップと、前記第1の金属層(21)及び前記第2の金属層(22)を接合して前記ヒートシンク(20)を形成するステップとが、少なくとも部分的に同時に実行される、請求項1~9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記接合層を形成するための活性金属層が、一方での前記セラミック要素(71)と、他方での前記部品メタライゼーション(72)及び/又は前記裏面メタライゼーション(74)との間に配置される、請求項1~10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記活性金属層の厚さと前記第1の金属層(21)及び/又は第2の金属層(22)の厚さとの間の比が、0.0001~0.005、より好ましくは0.005~0.003、最も好ましくは0.001~0.0015の値を有する、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記金属セラミック基板(70)が、熱間等方加圧によって製造され、その後、前記ヒートシンク(20)を前記裏面メタライゼーション(74)に接合する前記ステップが実現される、請求項1~12のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気部品用のキャリア基板及びそのようなキャリア基板の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
電気部品又は電子部品、特にレーザダイオードなどの半導体を冷却するためのヒートシンクは、従来技術からよく知られている。電気部品又は電子部品は、動作中に熱を発生し、この熱は、電気部品又は電子部品の長期機能性を保証するためにヒートシンクによって放散される。これは、特に、わずか数℃の温度差が性能及び/又は耐用年数の著しい低下をもたらし得るレーザダイオードに当てはまる。
【0003】
部品を冷却するために、通常は部品に接合されるヒートシンクは、典型的には、冷却流体チャネルシステムを有し、電気部品又は電子部品から発する熱を吸収及び除去するために、動作中に冷却流体がこの冷却流体チャネルシステムを通って流れる。好ましくは、フィン構造がここで使用され、フィン構造では、冷却流体との可能な限り大きな接触面を提供するために、いくつかのブリッジ状要素が冷却流体チャネルシステム内に突出し、したがって、冷却流体チャネルシステムを制限するか、又はその中に突出する壁から冷却流体への熱伝達を改善する。例えば、ヒートシンクはレーザダイオードを冷却するために使用される。
【0004】
金属セラミック基板として形成されるプリント回路基板を冷却するためにヒートシンクを使用することも一般的である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
電気部品を部品側で絶縁するために、典型的には、ヒートシンクが一体化されているキャリア基板に絶縁要素が埋め込まれており、セラミック要素は、その高い絶縁強度のために特に好ましいことが証明されている。しかしながら、電気絶縁のために使用されるセラミック要素のための材料の選択は、キャリア基板の製造プロセスによって、特にヒートシンクの接合によって制限され、その結果、例えば、Si3N4基板の正の熱特性は、そのようなキャリア基板のために利用することができない。
【0006】
したがって、本発明は、特にセラミック要素に関して改善された材料選択により、最適化された熱放散を達成することができる改善されたキャリア基板を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この目的は、請求項1に記載のキャリア基板及び請求項9に記載の方法によって達成される。更なる設計及び実施形態は、従属請求項、説明、及び図面に見出すことができる。
本発明の第1の態様によれば、
-ヒートシンクと、
-セラミック要素であって、少なくとも部分的に当該ヒートシンクに接合されている、セラミック要素と、を有し、
当該製造されたキャリア基板において、当該ヒートシンクと当該セラミック要素との間に、はんだ材料を含まない接合層が形成されており、
当該接合層の接着剤層は、5オーム/sqより大きい、より好ましくは10オーム/sqより大きい、最も好ましくは20オーム/sqより大きいシート抵抗を有する、電気部品用のキャリア基板が提供される。
【0008】
ヒートシンク及びセラミック要素を有する従来技術から知られているキャリア基板とは対照的に、本発明によれば、セラミック要素とヒートシンクとの間に形成されたはんだ材料を含まない接合層が設けられ、この接合層は比較的高いシート抵抗を有する。換言すれば、セラミック要素への接合のために使用される接合プロセスは、はんだ材料なしで済まされており、製造プロセスは、比較的高いシート抵抗が生成されるという結果ももたらしている。これは、特に、セラミック要素への接合が熱間等方加圧、より好ましくは活性金属層がセラミック要素と接合される金属層との間に配置される熱間等方加圧によって行われる場合である。これにより、均質に分布した比較的薄い厚さ(積層方向に沿って寸法決めされた)を有する接合層が得られ、この厚さは、特に本質的に接着剤層によって決定又は確立される。
【0009】
はんだ材料を含まない接合層は、特に、本質的に又は排他的に活性金属に起因し、はんだベース材料又は活性金属を含有するはんだ材料に起因する追加の成分を有さない接合層として理解されるべきである。換言すれば、より好ましくは、接合層は、本質的に接着剤層のみによって形成される。接合プロセスの結果として、使用中の活性金属層は、接合層又は接合層の一部になる。
【0010】
これは、適用された活性金属層の純度及び/又はセラミック要素の粗さなどの他のパラメータと共に、対応して生じるシート抵抗に寄与する。金属層をセラミック要素に接合する際にはんだ材料を使用しないことの利点(請求項に記載の特性をもたらす)は、ヒートシンクの接合プロセス中に必要とされる温度が、金属層とセラミック要素との間の接合に影響を及ぼさないことである。ヒートシンクは、金属層をセラミック要素に接合した後の後続のステップにおいて接合され、このステップでは、はんだ材料を介して接合された場合にはんだ材料を再び溶融させる温度が支配する。はんだ材料から作製された接合層、すなわち、はんだ材料を含有する接合層とは対照的に、必要なシート抵抗を有するこのような接合層は、ヒートシンクを金属セラミック基板に接合するときに存在する温度に対して耐性があることが証明されている。これにより、有利なことに、はんだ系、特にヒートシンクの接合に必要な温度に耐えることができないはんだ系を介してしか金属層に接合することができなかったので、セラミック要素が以前は不適切であったキャリア基板を提供することが可能になる。
【0011】
記載された結合層は、ヒートシンクとセラミック要素との間に配置され、特に、セラミック要素の冷却側に形成されるか、又はそれに隣接することが強調される。特に、製造プロセスに起因して、少なくとも1つの金属部分が、積層方向に見て、(接合プロセスに提供される形態の)ヒートシンクとセラミック要素との間に、又は設置されたヒートシンクとセラミック要素との間に形成され得ることが強調される。この金属部分が、製造プロセスで使用されるヒートシンクと同じ材料で作られる場合、ヒートシンクとこの金属部分との間に滑らかな遷移が存在し得る。したがって、当業者は、最初に使用されたヒートシンクに起因するものではなく、製造された状態で提供されるヒートシンクに一体的に結合されるこの金属部分を、製造された状態のヒートシンクに起因させるか、又は更なる金属層若しくは更なる金属部分がヒートシンクとキャリア基板との間に形成されてもよいことを認識するであろう。
【0012】
キャリア基板は、例えばプリント回路基板とすることができ、このプリント回路基板では、電気部品を接合するために、特に電気回路を形成するために設けられた導体経路及び/又は接続領域がその部品側に形成される。代替的に、キャリア基板は、例えばレーザダイオード又はレーザダイオード装置を冷却することができる冷却システムであることが考えられる。好ましくは、ヒートシンクは、少なくとも第1及び第2の金属層を互いの上に積層することによって形成され、第1及び第2の金属層は、直接接合法によって互いに結合される。第1の金属層及び第2の金属層内の対応する空隙は、キャリア基板から熱を放散させるために、動作中に冷却流体、例えば冷却液又は冷却ガスを流すことができる冷却チャネルシステムを作製するために使用することができる。例えば、ヒートシンクが異なるように製造されること、及び/又はフィン構造を提供することも考えられる。提供の形態にかかわらず、それは、ヒートシンク内の開放又は閉鎖冷却構造であり得る。
【0013】
シート抵抗を決定するために、まず、金属層及び場合によってははんだベース層が、例えばエッチングによって、製造されたキャリア基板から除去される。次に、4点測定によって、少なくとも1つの金属層及びはんだベース層から解放されたキャリア基板の上側又は下側でシート抵抗が測定される。特に、材料サンプルのシート抵抗は、正方形の表面積に対するその抵抗として理解されるべきである。単位Ω/sq(平方)で表面抵抗を特徴付けることが慣例である。シート抵抗の物理的単位はオームである。
【0014】
好ましくは、キャリア基板は、製造された状態において、セラミック要素に接合された少なくとも1つの金属層が構造化されるプリント回路基板として形成される。例えば、この目的のために、接合ステップの後に、例えばレーザ加工、エッチング、及び/又は機械的処理によって構造化も実行され、それによって、電気部品又は電子部品のための導体経路及び/又は接続が実現される。好ましくは、更なる金属層、特に裏面メタライゼーションが、製造された金属セラミック基板上の金属層の反対側のセラミック要素上に設けられる。裏面メタライゼーションは、好ましくは、たわみに対抗する働きをし、ヒートシンクは、裏面メタライゼーションに接合され、プリント回路基板又は金属セラミック基板に接合された電気部品又は電子部品から動作中に発する熱を効果的に放散する働きをする。
【0015】
銅、アルミニウム、モリブデン、タングステン、ニッケル、及び/又はCuZr、AlSi、若しくはAlMgSiなどのそれらの合金、並びにCuW、CuMo、CuAl、及び/又はAlCuなどの積層体、あるいはCuW、CuM、若しくはAlSiCなどのMMC(金属マトリックス複合材(metal matrix composite))が、金属セラミック基板における金属層のため、又はヒートシンクの金属のための材料として考えられる。更に、より好ましくは、製造された金属セラミック基板上の少なくとも1つの金属層は、特に部品メタライゼーション部として表面改質される。表面改質としては、例えば、貴金属、特に銀及び/若しくは金、又は(無電解)ニッケル若しくはENIG(無電解ニッケル浸漬金(electroless nickel immersion gold))によるシーリング、あるいは亀裂形成若しくは膨張を抑制するためのメタライゼーション部上のエッジカプセル化が挙げられる。
【0016】
好ましくは、当該積層方向に測定され、所定の領域内の複数の測定点にわたって、又は主延長面に対して平行に進む若しくは走る複数の領域内で平均された当該接合層又は接着剤層の厚さが、1000nm未満、より好ましくは600nm未満、最も好ましくは350nm未満の値を有する。「複数の領域」という用語が使用される場合、特に、金属層が同じサイズの領域に細分され、厚さについての少なくとも1つの値、より好ましくはいくつかの測定値が、金属層を細分するこれらの領域の各々において記録されることを意味する。このようにして異なる点で決定された厚さは算術平均される。
【0017】
特に、セラミック要素は、直接接合法によって接合することができない材料組成を有する。好ましくは、セラミック要素が窒化ケイ素を含む。特に、セラミック要素は、60重量パーセント超、より好ましくは80重量パーセント、最も好ましくは90重量パーセント超の窒化ケイ素を含む。窒化ケイ素は、高い耐熱衝撃性をもたらし、高い曲げ強度を提供するので、特に有利であることが判明している。加えて、増大した熱膨張係数により、熱機械的応力の形成が低減される。加えて、改善された熱伝導率は、熱放散の効率を改善することができる。金属セラミック基板の製造に使用される熱間等方加圧のために、窒化ケイ素もそのようなキャリア基板に使用できることが特に有利であることが分かる。最後に、窒化ケイ素は、直接接合法を使用して金属層、特に銅層に接合することができず、必要とされるはんだ材料は、1000℃未満の溶融温度を有するので、ヒートシンクの直接接合法では、はんだ材料を再び溶融する。したがって、表面抵抗が増加した無はんだ接合層に構造的に反映される本方法は、対応するキャリア基板における窒化ケイ素の使用も可能にする。更に、好ましくは、セラミック要素、特に窒化ケイ素セラミックは、90W/mKより大きい、より好ましくは110W/mKより大きい、最も好ましくは120W/mKより大きい熱伝導率を有する。更に、セラミック要素は、300μm未満、より好ましくは250μm未満、最も好ましくは200μm未満の厚さを有すると考えられる。
【0018】
代替的に、セラミック要素は、セラミックの材料としてAl2O3、AlN、HPSXセラミック(すなわち、xパーセントのZrO2を含むAl2O3マトリックスを有するセラミック、例えば、9%ZrO2を有するAl2O3=HPS9又は25%ZrO2を有するAl2O3=HPS25)、SiC、BeO、MgO、高密度MgO(理論密度の>90%)、TSZ(正方晶安定化酸化ジルコニウム)を有する。また、セラミック要素が化合物セラミック又はハイブリッドセラミックとして形成されていることも考えられ、この場合、様々な所望の特性を組み合わせるために、それらの材料組成に関して異なるいくつかのセラミック層が互いの上に配置され、互いに接合されて、セラミック要素を形成する。好ましくは、セラミック要素はパリレンを含まない。
【0019】
特に、当該ヒートシンクは、裏面メタライゼーションを介して当該セラミック要素に接合され、好ましくは、当該接着剤層は、当該裏面メタライゼーションと当該セラミック要素との間に形成される。ヒートシンクに割り当てられる裏面メタライゼーションは、予備製造ステップにおいてセラミック要素に接合され、ヒートシンクは、裏面メタライゼーションが接合された後にのみ接合される。結果として、裏面メタライゼーション部分及びヒートシンクは、異なる温度処理を受け、これは異なる結晶粒径に反映される。結果として、これらの部分は完成した基板上で認識することができる。
【0020】
好ましくは、裏面メタライゼーションにおける結晶粒径は、ヒートシンクにおける結晶粒径とは異なる。裏面メタライゼーションはまた、製造プロセスにおいて、熱間等方圧プレス中に、金属バッグ内に接合される金属層を固定することによって達成することができ、これは、金属層と金属バッグの一部とが接合されることになるので、金属層と金属バッグとに異なる純粋な金属材料が使用される場合、構造上の差異を検出することもできる。
【0021】
例えば、裏面メタライゼーションとセラミック要素との間の接合層は、製造プロセスで使用される活性金属層に由来し得る活性金属含有量を含む。
更に、裏面メタライゼーションは、ヒートシンクに対して主延長面に沿って突出することが考えられる。ヒートシンクは、セラミック要素に既に接合されている裏面メタライゼーションに接合され、好ましくはセラミック要素の裏面全体にわたって延びないので、裏面メタライゼーションをより大きくすることができる。これは、好ましくは表面全体にわたってセラミック要素に接合される裏面メタライゼーションが、再び部分的に除去される必要がないことを意味する。これはまた、絶対的に一致する配置を有する必要がないので、製造中の裏面メタライゼーションに対するヒートシンクの位置決めを簡略化する。
【0022】
好ましくは、当該ヒートシンクは、好ましくは、直接接合法、特に無はんだ直接接合法によって互いの上に結合される少なくとも第1の金属層及び第2の金属層から形成され、当該第1の金属層及び/又は当該第2の金属層は、当該製造されたキャリア基板内に冷却チャネルを形成する凹部を有する。冷却チャネルがセラミック要素まで延びること、及び/又はセラミック要素と冷却チャネルとの間に、ほとんど排他的に、より好ましくは例外なく、残留金属層の厚さが設けられることも考えられる。キャリア基板又はセラミック要素まで延びる冷却チャネルを形成するために、製造プロセスにおいて、裏面メタライゼーションをセラミック要素に接合した後、ヒートシンクの裏面メタライゼーションへの接合プロセスが行われる前に、セラミック要素上の対応する領域を露出させるために、裏面メタライゼーションが構造化される。
【0023】
好ましくは、冷却チャネルを画定する側面間の距離は、0.5mm未満、より好ましくは0.4mm未満、最も好ましくは0.3mm未満である。特に、これは、主延長面に平行な方向に離間された側面を指す。そのような比較的薄いチャネル及び側面間の距離は、例えば、それぞれの金属層における浸食又はワイヤ切断によって生成することができる。このような薄い冷却チャネルは、熱の伝達における高い効率を保証し、冷却側で可能な特に均一かつ均質に分配された冷却又は熱伝達を提供することもできるので、特に有利であることが分かる。
【0024】
好ましくは、当該積層方向に測定され、所定の領域内の複数の測定点にわたって、又は主延長面に対して平行に進む若しくは走る複数の領域内で平均された当該接合層又は当該接着剤層の厚さが、1000nm未満、より好ましくは600nm未満、最も好ましくは350nm未満の値を有する。「複数の領域」という用語が使用される場合、特に、金属層が可能な限り等しいサイズの領域に細分され、厚さについての少なくとも1つの値、より好ましくはいくつかの測定値が、少なくとも1つの金属層を細分するこれらの領域の各々において記録されることを意味する。このようにして異なる点で決定された厚さは算術平均される。
【0025】
したがって、従来技術から知られているキャリア基板と比較して、比較的薄い接合層は、少なくとも1つの金属層とセラミック要素との間に形成される。接合層の関連する厚さを決定するために、測定された厚さが、所定の又は規定された領域又は複数の領域内にある複数の測定点を介して平均化される。
【0026】
特に、活性金属を含む接着剤層は、実質的に一定の厚さを有する。特に、1つ又は複数の領域内で決定された厚さの測定値は、0.2μm未満、より好ましくは0.1μm未満、最も好ましくは0.05μm未満の標準偏差が割り当てられる分布を有する。特に、活性金属層及び結果として生じる結合層の物理的及び/又は化学的蒸着は、特に接着剤層のみからなる結合層の均質で均一に分布した厚さを達成することを可能にする。また、接着剤層は、はんだベース材料に加えて形成される場合、一定の厚さを有することができる。
【0027】
本発明の更なる目的は、本発明による基板の製造方法であって、熱間等方加圧によって、裏面メタライゼーション及び好ましくは部品メタライゼーションをセラミック要素に接合して金属セラミック基板を形成するステップと、
-ヒートシンク、特に冷却チャネル構造を有するヒートシンクを提供するステップと、
-直接接合法、特にDCB法によって、当該ヒートシンクを当該裏面メタライゼーションに接合するステップと、を含む。
【0028】
キャリア基板の説明した全ての利点及び特性は、本方法にも同様に適用及び転用することができ、逆もまた同様である。
好ましくは、熱間等方加圧中に、金属容器又は金属層は、100~2000バール(10~200MPa)、より好ましくは150~1200バール(15~120MPa)、最も好ましくは300~1000バール(30~100MPa)のガス圧、及び300℃から金属層の溶融温度まで、特に溶融温度未満の温度までの処理温度にさらされる。有利なことに、金属層、例えば部品メタライゼーション及び/又は裏面メタライゼーションを、直接金属接合プロセス、例えばDCB又はDABプロセスの必要な温度なしに、かつはんだベース材料又は能動はんだ付けに使用されるはんだ材料なしに、セラミック要素に接合することが可能であることが示された。加えて、適切なガス圧の使用又は適用は、可能な限り空隙のない、すなわち金属層とセラミック要素との間にガス含有物のない金属セラミック基板を製造することを可能にする。特に、独国特許出願公開第2013113734号明細書において言及されているプロセスパラメータが使用され、このプロセスパラメータは、本明細書において明示的に参照される。このようにして製造されたセラミック要素と金属層との間の接合は、1050℃を超える温度に耐えることができることも示されている。
【0029】
特に、本発明の方法は、裏面メタライゼーションのセラミック要素への接合が、はんだ付けプロセスの一部としてではなく、熱間等方加圧プロセスの一部として行われるという事実によって特徴付けられる。これにより、一方の側の部品メタライゼーション又は裏面メタライゼーションと他方の側のセラミック要素との間の接合がより耐性になり、特に、ヒートシンクを金属セラミック基板に接合するときに使用される温度に関してより耐性になる。特に、ヒートシンクは、熱間等方加圧によって製造された金属セラミック基板の裏面メタライゼーションに接合される。結果として、直接接合法によって金属層に接合することができないセラミック要素を使用するために、はんだベースの接合方法に依存する必要がなくなる。したがって、記載された方法はまた、使用されるはんだ材料がヒートシンクの接合プロセスにおいて損傷されるか、又は破壊されることさえあるので、記載されたキャリア基板を形成するために以前に使用され得なかったそのようなセラミック要素の接合を可能にする。
【0030】
好ましくは、第1の金属層又は第2の金属層内の空隙は、エッチング、浸食、及び/又はミリングによって実現され、少なくとも第1及び第2の金属層を互いに結合してヒートシンクを形成する。これは、接合のためのヒートシンクを提供し、対応するヒートシンクは、製造されたキャリア基板内の熱を放散させるために冷却流体を案内することができる冷却チャネルシステムを提供する。
【0031】
好ましくは、活性金属層が、セラミック要素と、他方の側の部品メタライゼーション又は裏面メタライゼーションとの間に配置されている。これは、熱間等方加圧中に裏面メタライゼーションとセラミック要素との間に特に強い接合を提供し、活性金属層は、接着剤層又は接合層の形成に著しく寄与する。特に、活性金属層は、製造プロセス後に接着剤層、特に接合層になる。
【0032】
特に、別個に設計された活性金属層を使用することによって、活性金属層を比較的薄くすることが可能であり、したがって、特に画定された1つ又は複数の領域内の異なる測定値を介して平均化された、特許請求の範囲による接合層の比較的薄い厚さを実現する。活性金属の例は、チタン(Ti)、ジルコニウム(Zr)、ハフニウム(Hf)、クロム(Cr)、ニオブ(Nb)、セリウム(Ce)、タンタル(Ta)、マグネシウム(Mg)、ランタン(La)、及びバナジウム(V)である。金属La、Ce、Ca、及びMgは容易に酸化され得ることに留意すべきである。元素Cr、Mo、及びWは、古典的な活性金属ではないが、少なくとも1つの金属層、例えば銅と金属間相を形成せず、固溶性を有さないので、Si3N4と少なくとも1つの金属層又ははんだ系若しくははんだ材料との間の接触層として好適であることにも留意されたい。
【0033】
好ましくは、活性金属は、比較的薄い活性金属層を生成するために、物理的及び/又は化学的蒸着によって、例えばスパッタリングによって、はんだベース材料及び/又は少なくとも1つの金属層及び/又はセラミック要素上に堆積され、これは、次に、比較的薄い接合層、特に均質で薄い接着剤層をもたらす。プラズマを使用して、真空中で、及び/又は蒸着によって、セラミック要素並びに/又は部品メタライゼーション及び/若しくは裏面メタライゼーションのための金属層上に活性金属層を設けることも考えられる。電気めっきによって活性金属層を実現することも考えられる。最も好ましくは、活性金属層は箔として提供される。
【0034】
活性金属層は、特にガス物理堆積によって設けることができ、したがって、比較的薄い活性金属層を実現することができ、これはまた、必要な表面抵抗を達成することに寄与することができる。ガルバニック堆積、無電解堆積、及び/又は熱堆積、又はコールドガススプレーによる堆積も考えられる。
【0035】
好ましくは、当該活性金属層の厚さと当該第1の金属層及び/又は第2の金属層の厚さとの間の比は、0.0001~0.005、より好ましくは0.005~0.003、最も好ましくは0.001~0.0015の値を有する。したがって、活性金属の消費を制限しながら効果的な接合層を実現するためには、比較的薄い活性金属層が有利である。
【0036】
好ましくは、ヒートシンクの裏面メタライゼーションへの接合は、金属セラミック基板を形成した後に熱間等方加圧によって実現される。金属セラミック基板は、裏面メタライゼーション及び部品メタライゼーションの厚さが可能な限り等しいか又は同等であることを確実にすることによって、金属セラミック基板の形成プロセス中に金属セラミック基板内の熱機械的応力による曲げが防止されることを確実にするために、最初に形成される。換言すれば、部品メタライゼーション及び裏面メタライゼーションを有する金属セラミック基板は、セラミック要素及び金属層の異なる熱機械的膨張係数の結果である、接合プロセス後又はその間の金属セラミック基板の曲げを防止するために、最初に製造される。その場合、ヒートシンクを、特にそのカバー層を介して、そのような本質的に平坦で均一な金属セラミック基板に接合することがより容易になる。そうでなければ、金属セラミック基板は、これが依然として可能であるならば、苦労して矯正されなければならない。加えて、セラミック要素に接合された0.4mmより大きい金属層は、冷却後により大きな熱機械的応力を引き起こし、これも冷却後に残ることが示されている。
【0037】
更なる利点及び特性は、添付の図面を参照して、本発明による主題の好ましい実施形態の以下の説明からもたらされる。以下を示す。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【
図1】本発明の例示的な実施形態によるキャリア基板の概略図である。
【
図2】本発明の例示的な実施形態のキャリア基板の概略分解図である。
【
図3】
図1のヒートシンクのための第1の金属層の概略図である。
【
図4】本発明の更なる例示的な実施形態のキャリア基板の概略図である。
【
図5】分配構造を有するキャリア基板を備えるシステムの詳細図である。
【
図6】分配構造を有するキャリア基板を備えるシステムの詳細図である。
【
図7】分配構造を有するキャリア基板を備えるシステムの詳細図である。
【
図8】分配構造を有するキャリア基板を備えるシステムの詳細図である。
【発明を実施するための形態】
【0039】
図1は、本発明の好ましい実施形態によるキャリア基板1を概略的に示す。このようなキャリア基板1は、特に、電気部品4がそれらの部品側5で接合されることを可能にするために提供される。例えば、キャリア基板1は、回路が実現される複数の接続領域及び導体経路及び接触領域が設けられたプリント回路基板であってもよい。キャリア基板1が、本質的に、レーザダイオード又はレーザダイオード装置などの電気部品を具体的に冷却するために設けられた冷却構造であることも考えられる。動作中に電気部品4によって生成される熱を放散するために、キャリア基板1はヒートシンク20を備える。このヒートシンク20は、部品側5とは反対側の冷却側6に形成されている。好ましくは、ヒートシンク20は、少なくとも第1の金属層21と第2の金属層22とを互いの上に積層し、次いで少なくとも1つの金属層21と第2の金属層22とを結合することによって形成される金属構造体である。第1の金属層21及び/又は第2の金属層22に埋め込まれた凹部によって、ヒートシンク20内にチャネルシステムを実現することが可能である。冷却流体、例えば冷却ガス又は冷却液は、キャリア基板1から熱を適切に放散するために、このチャネルシステムを通って案内され得る。電気部品4を特に金属ヒートシンク20から絶縁するために、キャリア基板1はセラミック要素71を備える。好ましくは、キャリア基板1は金属セラミック基板70とヒートシンク20とを有しており、これらは互いに結合されてキャリア基板1を形成している。好ましくは、金属セラミック基板70は、セラミック要素71の部品側に部品メタライゼーション72を提供し、部品側5の反対側の金属セラミック基板70のセラミック要素71の冷却側6に裏面メタライゼーション74を提供する。部品メタライゼーション72及び裏面メタライゼーション74の厚さは、特に、部品メタライゼーション72及び裏面メタライゼーション74のセラミック要素71の部品側への接合が行われる製造ステップにおいて、一方の側の裏面メタライゼーション74/部品メタライゼーション72と他方の側のセラミック要素71との異なる熱膨張係数によって引き起こされる熱機械的応力を補償するために、互いに対応する。このような補償がなければ、金属セラミック基板70がたわむ傾向がある。したがって、ヒートシンク20は、金属セラミック基板70に、特に、既に製造された金属セラミック基板71の裏面メタライゼーション74に接合されることが好ましい。裏面メタライゼーション74へのヒートシンク20のカバー層の接合は、裏面メタライゼーション74とヒートシンク20のカバー層との間に形成される共晶を生成するために1068℃を超える温度を必要とする直接接合法、特に無はんだ直接接合法によって実行されることが好ましい。図示の実施形態では、第1の金属層21がカバー層を形成する。
【0040】
好ましくは、第1の金属層21及び第2の金属層22は、金属セラミック基板1へのヒートシンク20の接合プロセス中に既に互いに複合されている。代替的に、第1の金属層21と第2の金属層22との間の接合、及びヒートシンク20のカバー層と裏面メタライゼーション74との間の接合は、同時に、又は少なくとも時間的に重複して実行されることが考えられる。第1の金属層21がカバー層(
図1の実施形態参照)を形成すること、及び/又はカバー層がヒートシンク20の上側に接合される追加の層であることが考えられる。例えば、カバー層が空隙のない連続した金属層を形成することが考えられる。
【0041】
ヒートシンク20を金属セラミック基板1に、特に裏面メタライゼーション74に、直接接合法によって、したがって対応する温度で接合する必要性は、セラミック要素71と部品メタライゼーション72又は裏面メタライゼーション74との間に既に形成された接合が、ヒートシンク20を金属セラミック基板1に接合するための製造条件にも耐えなければならないことを意味する。そうでなければ、金属セラミック基板70へのヒートシンク20の接合の一部として必要とされる、使用される製造条件が、裏面メタライゼーション74又は部品メタライゼーション72とセラミック要素71との間の接合を再び緩めるか、又は少なくとも損なうことになる。これは、特に、溶融温度が1000℃未満であるはんだ材料が、部品メタライゼーション72又は裏面メタライゼーション74をセラミック要素71に接合するために使用されなければならない場合である。
【0042】
しかしながら、これはまた、そのようなセラミック要素71が、はんだ材料を介して金属層(すなわち、部品メタライゼーション72又は裏面メタライゼーション74)にのみ接合され得る、説明されるキャリア基板1における使用から除外されるという結果を有する。これは、例えば、直接接合法を使用して金属に接合することができない窒化ケイ素に当てはまる。そうでなければ除外する必要がある、このようなセラミック要素を上述のキャリア基板にも使用するために、本発明は、部品メタライゼーション又は裏面メタライゼーションをセラミック要素に無はんだ接合プロセス、特に無はんだ熱間等方加圧によってセラミック要素71に接合することを提供する。
【0043】
特に、接合プロセスの一部として、熱間等方加圧中に、セラミック要素71と部品メタライゼーション72との間、及び/又はセラミック要素71と裏面メタライゼーション74との間に活性金属層が配置される。これは、例えば熱間等方加圧の前に、例えばガス物理堆積法によって、例えばスパッタリングプロセスによって、又は電気化学的方法によって、セラミック要素71の部品側5若しくは冷却側6上に、並びに/又は部品メタライゼーション72及び/若しくは裏面メタライゼーション74上に堆積される。セラミック要素71と部品メタライゼーション72又は裏面メタライゼーション74との間の接合が可能であり、特に、直接金属接合プロセスではアクセスできないセラミック要素71に対しても可能であることが分かっている。同時に、結合は、ヒートシンク20の金属セラミック基板70への直接接合法に必要な温度にも耐えることができることも分かっている。これは、特に、セラミック要素と金属層との間の接合が、この場合、はんだ材料又ははんだベース材料なしで実行され得るという事実による。
【0044】
活性金属層は、活性金属の割合が15重量パーセントより大きい、より好ましくは30重量パーセントより大きい、最も好ましくは70重量パーセントより大きい活性金属層であることが再度強調される。したがって、それは、部品メタライゼーション72をセラミック要素71に接合するときに、通常であるような活性金属含有はんだ層ではない。これにより、例えば、高い熱伝導率のために特に好ましいか、又は対応するキャリア基板1を形成するのに有利であるセラミック要素71を使用することが可能になる。これは、特に、セラミック要素71が窒化ケイ素を含むか、又は80%を超える窒化ケイ素から形成されるキャリア基板1に当てはまる。
【0045】
記載された接合方法は、好ましくは、接合層が、
-セラミック要素71と部品メタライゼーション部72との間、及び/又はセラミック要素71と裏面メタライゼーション74との間に接合層を有し、そのシート抵抗は、5オーム/sqより大きく、より好ましくは15オーム/sqより大きく、最も好ましくは20オーム/sqより大きい、という事実によって特徴付けられる。記載されたシート抵抗は、特に、均一に適用された活性金属層及び熱間等方加圧による接合の結果である。これに対して、活性金属成分を有するはんだ材料を用いて製造された接合層は、より低いシート抵抗を有する。特に、裏面メタライゼーション74又は部品メタライゼーション72とセラミック要素71との間に、接合層として接着剤層のみが形成される、すなわち、製造されたキャリア基板1において、はんだ材料に起因するサブ領域を識別することができない。
【0046】
直接接合法の一部としてのヒートシンク20のカバー層への裏面メタライゼーション74の接合プロセスは、裏面メタライゼーション74とヒートシンク20の上側との間の製造された遷移において境界線/遷移領域を識別することができないことを意味するので、裏面メタライゼーション74は、製造された状態においてヒートシンク20の一部である。したがって、セラミック要素71とヒートシンク20との間にシート抵抗が形成され、製造された状態で金属セラミック基板1の元の裏面メタライゼーション74がこれに加えられる。したがって、本発明の方法に従って製造された金属セラミック基板は、対応するシート抵抗がセラミック要素71とヒートシンク20との間に形成されるという事実によって認識することができる。加えて、特に、はんだ材料に起因しない接着剤層としてのみ形成される接合層が形成される。
【0047】
更に、蛇行又はループ形状のチャネルシステムが
図1に形成され、その中に、例えば、冷却流体を入口Eを介して導入することができ、冷却流体は、ループ又は蛇行形状の動きでヒートシンク20を通って案内され、最終的に出口開口部Aを通って再びヒートシンク20から出る。以下の図では、本発明の特定の実施形態のために提供することができ、金属セラミック基板70、特にその裏面メタライゼーションに接合することができるヒートシンクの更なる例が与えられる。
【0048】
図2は、本発明による主題のための第1の好ましい実施形態によるヒートシンク1の分解図を概略的に示す。特に、ヒートシンク1は、電子部品又は電気部品(図示せず)、特に半導体要素、最も好ましくはレーザダイオードを冷却するために設けられるものである。電気部品又は電子部品を冷却するために、製造されたヒートシンク1は、冷却流体チャネルシステムを形成し、冷却流体チャネルシステムを通して、動作中に冷却流体を伝導することができ、それにより、冷却流体は、動作中に電子部品又は電気部品によって放出される熱を吸収及び除去することができる。
【0049】
この目的のために、供給領域及び排出領域が、ヒートシンク1内に、特に冷却流体チャネルシステム(図示せず)内に設けられることが好ましく、冷却流体は、供給領域を介して導入され、排出領域を介して再び排出される。好ましくは、冷却流体チャネルシステムは、供給領域から排出領域への遷移中に冷却流体1がフィン構造25を通過するように設けられ、フィン構造25は、特に冷却流体チャネルシステム内に突出する。フィン構造25は、好ましくはウェブ状要素7であり、ウェブ状要素7は、流体に対して可能な限り大きな接触面を提供するために冷却流体チャネルシステム内に突出し、ウェブ状要素7又は冷却チャネルシステムの壁から流体への効果的な熱伝達が可能である。
【0050】
好ましくは、ヒートシンク1は、少なくとも1つの第1の金属層11、少なくとも1つの第2の金属層12、及び/又は少なくとも1つの第3の金属層13を備える。冷却流体チャネルシステムを形成するために、少なくとも1つの第1の金属層11、少なくとも1つの第2の金属層12、及び/又は少なくとも1つの第3の金属層13は、積層方向Sに沿って一方を他方の上に積層するか、又は一方を他方の上に置くことによって冷却流体チャネルシステムを形成するように、少なくとも1つの空隙21、22によって構造化される。
【0051】
特に、少なくとも1つの第1の金属層11、少なくとも1つの第2の金属層12、及び/又は少なくとも1つの第3の金属層13は、各々異なる方法で構造化されるか、又は異なる経路の空隙21、22を備えて提供される。特に、少なくとも1つの第1の金属層11、少なくとも1つの第2の金属層12、及び/又は少なくとも1つの第3の金属層13は、少なくとも1つの空隙21、22内に少なくとも1つの第1の部分21を形成し、この第1の部分21は、特に積層方向Sに対して垂直に延びる主延長面HSE内に延びるウェブ状要素7を有する。少なくとも1つの第1の金属層11内の少なくとも1つの空隙21、22の第1の部分21に加えて、少なくとも1つの第1の金属層11内の少なくとも1つの空隙21、22の第2の部分22が、第1の部分21内への若しくは第1の部分21からの冷却流体の供給若しくは排出のために設けられるか、又は供給領域及び/若しくは排出領域の一部を形成することが好ましい。
【0052】
ヒートシンク1は、好ましくは、上部カバー層15及び下部カバー層14によって積層方向Sに制限され、少なくとも1つの第1の金属層11、少なくとも1つの第2の金属層12、及び/又は少なくとも1つの第3の金属層13は、積層方向Sに見て、下部カバー層14と上部カバー層15との間に配置される。特に、少なくとも1つの第1の金属層11、少なくとも1つの第2の金属層12、及び/又は少なくとも1つの第3の金属層13の形成は、上部カバー層15と下部カバー層14との間にサンドイッチ状に配置される。第1の部分21及び第2の部分22から構成される少なくとも1つの空隙21、22に加えて、ヒートシンク1又は少なくとも1つの第1の金属層11が、フィン構造25を有する、冷却流体チャネルシステムの一部ではない更なる空隙24を有することが好ましい。更に、上部カバー層15及び/又は下部カバー層14に接続領域30が設けられることが好ましい。特に、電気部品又は電子部品は、特に積層方向Sに見て、好ましくは積層方向Sに垂直な方向に延びるフィン構造25の上又は下で、この接続領域30に接合される。換言すれば、フィン構造25、特にそのウェブ状要素7は、接続領域30の下に、好ましくはそれに平行に延びる。ウェブ状要素7のフィン構造25を接続領域30の上又は下に対応して配置することにより、電気部品又は電子部品をフィン構造25によって効果的に冷却することができる。
【0053】
図3は、例えば
図1に設置された少なくとも1つの第1の金属層11の概略図を示す。図示の実施形態では、フィン構造25はウェブ状要素7から形成され、ウェブ状要素7は、主延長面HSEで見たときに異なる長さに延びる。特に、ウェブ状要素7の長さは、少なくとも1つの第1の金属層11の中心軸Mに向かって増加する。結果として、特に接続領域30の中央領域において、冷却効果を最大化することが有利に可能である。更に、ウェブ状要素は、中心軸Mに対して平行及び/又は角度をなして延びることが考えられる。好ましくは、ウェブ状要素7の形状、特に主延長面HSEに沿った中心軸Mに対するウェブ状要素7の長さ及び/又は傾斜は、対応する電気部品又は電子部品を冷却するための対応する要件プロファイルによって決定又は定義される。
【0054】
2つの隣接するウェブ状要素7間の可能な限り小さい距離A1を達成するために、例えば、少なくとも1つの第1の金属層11内の少なくとも1つの空隙21、22の第1の部分21が、浸食、特にスパーク浸食によって生成される。特に、これはワイヤ浸食による製造を含む。
【0055】
更に、少なくとも1つの空隙21、22の第2の部分22がエッチングによって実行される。好ましくは、エッチングは、特に、空隙21、22の第2の部分22の大面積領域において、すなわち、冷却流体を供給及び排出するために形成される後の供給及び/又は排出領域において実行される。対照的に、特に、浸食は、空隙21、22、すなわち空隙21、22の第1の部分21の微細構造化成形のために提供される。これにより、2つのウェブ状要素7間の可能な限り小さい距離を実現するために互いの上に積層されなければならない、少なくとも1つの空隙21、22のエッチングされた第1の部分21を有するいくつかの第1の金属層11に依存する必要なく、ウェブ状要素7間の比較的非常に小さい距離を製造することが可能になることが分かっている。好ましくは、2つのウェブ状要素7間の対向する側壁間の距離A1は、0.4mm未満、より好ましくは0.3mm未満、最も好ましくは0.2mm未満である。これにより、できるだけ多くのウェブ状要素7をフィン構造25に組み込むことが可能になる。したがって、冷却流体と冷却流体チャネルシステムの壁との間の接触面を適宜増大させることができるので、冷却効果を増大させることが可能である。
【0056】
好ましくは、少なくとも1つの第1の金属層11、少なくとも1つの第2の金属層12、少なくとも1つの第3の金属層13、上部カバー層15、及び/又は下部カバー層14は、積層方向Sに測定して、0.2~0.7mm、より好ましくは0.35~0.6mm、最も好ましくは0.3~0.4mmの厚さを有する。好ましくは、少なくとも1つの第1の金属層11、少なくとも1つの第2の金属層12、及び/又は少なくとも1つの第3の金属層13は、各々同じ厚さを形成する。更に、好ましくは、少なくとも1つの第1の金属層11、少なくとも1つの第2の金属層12、及び/又は少なくとも1つの第3の金属層13の微細構造が、対応する温度処理によって互いに融合又は融着することによって、少なくとも1つの第1の金属層11、少なくとも1つの第2の金属層12、及び/又は少なくとも1つの第3の金属層13が、一体的な冷却流体チャネルシステムを形成するために焼結プロセスの一部として形成される。
【0057】
更に、上部カバー層15及び/又は下部カバー層14も各々、少なくとも1つの空隙21、22及び/又は更なる空隙24を有し、上部カバー層15及び/又は下部カバー層14は、好ましくはウェブ状要素7又は後のフィン構造25の部品を含まない。更なる空隙24は、ヒートシンク1を取り付ける又は固定するために使用されることが好ましい。
【0058】
図4は、本発明の更なる例示的な実施形態による、金属セラミック基板70を概略的に示す。このような金属セラミック基板1は、好ましくは、金属セラミック基板70に接続され得る電子部品又は電気部品4のキャリアとして機能する。このような金属セラミック基板1の必須部品は、主延長面HSEに沿って延びるセラミック要素71と、セラミック層71に接合された部品メタライゼーション部72とである。セラミック要素71は、セラミックを含む少なくとも1つの材料から作られる。部品メタライゼーション部72及びセラミック要素は、主延長面HSEに対して垂直に延びる積層方向Sに沿って互いの上に配置され、材料接合によって互いに結合される。製造された状態において、部品メタライゼーション部72は、電気部品4のための導体経路又は接続点を形成するために、金属セラミック基板70の部品側5上に構造化される。図示の実施形態では、金属セラミック基板70は、二次層73と、セラミック要素71と二次層73との間に配置された金属中間層75とを備える。セラミック要素71、金属中間層75、及び二次層13は、積層方向Sに沿って互いの上に配置される。更に、金属中間層75は、セラミック要素71及び/又は二次層73よりも厚い。好ましくは、金属中間層75は、1mmより厚く、より好ましくは1.5mmより厚く、最も好ましくは2.5mmより厚い。しかしながら、金属セラミック基板を形成するために、部品メタライゼーション72及び裏面メタライゼーションを有するセラミック要素71のみが形成されることも考えられる。セラミック要素71は、好ましくはセラミック製であり、十分な絶縁強度を形成し、金属セラミック基板1を補強するように設計されるが、二次層73は、ここでは顕著な絶縁強度が必要とされないので、例えばタングステン又はモリブデン製であってもよい。これは材料コストを低減する。代替的に、二次層73もセラミックを含む材料で作られる。
【0059】
金属ヒートシンク20は、部品側5の反対側の金属セラミック基板1の冷却側6に設けられている。金属ヒートシンク20は、二次層73に直接接合されることが好ましい。しかしながら、ヒートシンク20が、金属セラミック基板1の裏面メタライゼーションに、又は金属セラミック基板1のセラミック要素71に直接接合されることも考えられる。これにより、そうでなければ熱伝導率に悪影響を及ぼし、したがって部品側5から冷却側6への熱除去を制限する、対応する接続材料との間に形成される界面を回避することが可能になる。
【0060】
例えば、冷却構造20は、AMB法、DCB(直接銅接合(direct copper bonding))法、又はDAB(直接アルミニウム接合(direct aluminium bonding))法によって、二次層73、裏面メタライゼーション、及び/又はセラミック要素71に直接接合される。特に、複数の流体チャネル30が金属冷却構造20に一体化される。明確にするために、これらの流体チャネル30のうちの1つのみが
図1に例として示されている。流体チャネル30は、流体、特に冷却流体を、金属冷却構造20内で目標を定めて案内する役割を果たす。流体は、分配構造40を介して冷却構造20に供給され、分配構造40を介して再び排出される。好ましくは、分配構造40は、この目的のために入口部分41及び出口部分42を有する。
【0061】
特に、流体チャネル30は、入口開口部31と、入口開口部31から離間した出口開口部32とを有する。入口開口部31及び出口開口部32は、分配構造40に面する冷却構造20の外側Aの一部である。特に、分配構造40の入口部分31は、入口開口部31に隣接し、出口部分42は、出口開口部32に隣接する。
【0062】
図4~
図6では、金属冷却構造20及び分配構造40のみが斜視図で示されており、
図7及び
図8では、2つの異なる側面図で示されている。図では、冷却構造20全体の代わりに、冷却構造20のいくつかの流体チャネル30が示されている。換言すれば、流体チャネル30は、ここでは、それらが埋め込まれる金属体なしで示されている。更に、積層方向Sに見て、供給構造50が分配構造40の下側に隣接している。したがって、積層方向Sに見て、分配構造は、冷却構造と供給構造との間に配置される。このような供給構造50は、第1の主流れ方向HS1を予め定めるために設けられることが好ましい。例えば、供給構造はチャネル形状である。更に、供給構造50は、流体回路が接続され得る少なくとも1つの入口及び1つの出口(ここでは図示せず)、又は冷却流体供給部及び冷却流体廃棄部を備える。分配構造40は、好ましくは、流体を、第1の主流れ方向HS1に沿って流れる流れから冷却構造20内に逸らすか、又はそこに導入するように設計される。更に、明確にするために、図は、流体チャネル30の単一の列のみを示す。好ましくは、複数の列が、列方向RRに対して垂直かつ主延長面HSEに対して平行な方向において、互いに隣接して又は相前後して配置されており、これらの列の各々に、対応する分配構造40、例えば単一の分配構造を介して流体が供給される。好ましくは、これらの複数の列は、分配構造に面する冷却構造20の外側Aを完全に通って延びる。
【0063】
特に、いくつかの流体チャネル30が互いに隣接して配置される。特に、図示の実施形態では、流体チャネル30は、図示の実施例では第1の主流れ方向HS1に対して本質的に垂直に延びる列に沿って配置されている。基本的に、列は、第1の主流れ方向HS1に対して0~90°の角度で傾斜した列方向RRに沿って延びることも考えられる。好ましくは、この角度は45°未満である。
【0064】
図4~
図8に示す実施形態では、分配構造40は、流体の少なくとも一部が最初に第1の主流れ方向HS1から列方向に平行に延びる横方向Qに偏向された後に入口開口部31に向けられるように、流体を偏向させる。加えて、流体は、冷却構造20の方向に、すなわち上方に、入口開口部31の方向に偏向される。結果として、分配構造は、異なる流体チャネル30のいくつかの入口開口部31に同じ温度の流体を供給することができる。この目的のために、入口部分41は、図示の実施形態では列方向RRに本質的に平行に延びる壁状構造として設計される。好ましくは、供給構造50は、分配構造40の一部のみに流体を供給する。図示の実施形態では、第1の主流れ方向HS1に沿って見て、入口部分41の本質的に第1の部分、特に左半分が、冷却流体によって流される。しかしながら、流体チャネル30の列全体には、分配構造40によって流体が供給される。好ましくは、入口部分は、列方向RRに見て傾斜した、特に主延長面HSEに対して傾斜したランプ状構造を含む。
【0065】
流体チャネル30を通過した後、流体は、出口開口部32を介して冷却構造20を出て、分配構造の出口部分42内に案内される。分配構造40の出口部分42もまた、列方向RRに実質的に平行に延びる壁状構造として設計される。特に、出口部分42は、出口開口部から出る流体を収集し、それを第2の主流れ方向HS2に逸らして供給構造50内に戻すように構成される。例えば、出口部分42は、列方向RRに傾斜した、特に分配構造40の入口部分41におけるランプ状構造とは反対方向に傾斜したランプ状構造を含む。更に、第1の主流れ方向HS1と第2の主流れ方向HS2とは互いに平行にオフセットされる。換言すれば、分配構造40を出た後、流体の流れは、分配構造40に向かって流れるときの流れに対して横向き又は横方向にオフセットされる。
【0066】
図示の実施形態では、分配構造40の入口部分41は、第1の主流れ方向HS1に沿って見て、分配構造40の出口部分42の前方に配置される。しかしながら、出口部分42は、第1の主流れ方向HS1に沿って見て、分配構造40の入口部分31の前方に配置される。
【0067】
個々の流体チャネル30は、好ましくはU字形であり、U字形流体チャネル30は、主延長面HSEに対して実質的に垂直に延びる2つのリム領域34と、2つのリム領域34を結合する横断領域33とを有する。特に、横断領域33は、流体を偏向させる役割を果たし、設置状態において二次層13又はセラミック層11に最も近い。好ましくは、横断領域33と、冷却構造20に隣接するセラミック層11又は二次層13との間の距離は、0.2~1.5mm、より好ましくは0.4~1、最も好ましくは0.6mm~0.8mmの値を有する。好ましくは、流体チャネル30、特にそれらのリム領域34は、流体が流体チャネル30内で旋回するように設計される。この目的のために、例えば、主延長面HSEに平行に進むリム領域34の開口断面Q1、Q2は、流体チャネル30内、特にリム領域34内の流体の流れ方向に沿って横方向に変位される。リム領域34は、第1の開口断面Q1を有する第1のサブセクションT1と、第2の開口断面Q2を有する第2のサブセクションT2とを備え、第1の開口断面Q1は、主延長面HSEに平行な方向に見たときに、オフセット距離Vだけ第2の開口断面Q2からオフセットされている。好ましくは、第1の開口断面Q1と第2の開口断面Q2とは同じサイズである。しかしながら、第1の開口断面が第2の開口断面と異なることも考えられる。特に、第1のサブセクションT1及び第2のサブセクションT2は各々、例えば製造中に互いの上に積層される金属層に割り当てられる。個々の金属層は、同じ厚さであってもよいし、異なる厚さであってもよい。例えば、個々の層の厚さが部品側の方向に減少及び/又は増加することも考えられる。
【0068】
特に、第1の開口断面Q1及び第2の開口断面Q2は、第1の主流れ方向HS1又は第2の主流れ方向HS2に平行な方向、及び列方向RRに平行な方向、すなわち互いに平行でない2つの方向において、互いに対してオフセットされる。好ましくは、第1の開口断面Q1及び第2の開口断面Q2が積層方向Sに見て一方が他方の上に配置される重複領域と、第1の開口断面Q1又は第2の開口断面Q2との比は、0.5~0.9、より好ましくは0.5~0.8、最も好ましくは0.5~0.7の値を有する。特に、入口開口部及び/又は出口開口部の開口断面は、第1の開口断面及び/又は第2の開口断面よりも大きいことが考えられる。これは、漏斗状の入口領域及び出口領域が流体チャネルのために形成されることを可能にする。
【0069】
しかしながら、第1の開口断面Q1と第2の開口断面Q2とが異なるサイズであることも考えられる。好ましくは、第1及び第2の開口断面は、流体チャネル30のための本質的に螺旋状の経路を形成するように設計される。流体チャネル30は、例えば、対応する開口部を有する金属層、すなわち少なくとも第1の金属層11及び第2の金属層12を積層することによって、又は3D印刷プロセスによって実現することができる。更に、入口開口部13は、第1の開口断面を有し、その直径及び/又は縁部長さは、0.1mm~2.5mm、より好ましくは0.5mm~1.5mm、最も好ましくは本質的に1mmの値を有する。好ましくは、第1の開口断面Q1又は第2の開口断面Q2は、流体チャネル30のリム領域34内で変化しない。
【0070】
更に、好ましくは同じ流体チャネルの2つの隣接するリム領域間の更なる距離A2は、0.1mm~5mm、より好ましくは0.2mm~2mm、最も好ましくは実質的に1.5mmの値を有する。第1の断面開口部Q1又は第2の断面開口部Q2の2つの中心間の更なる距離A2は、積層方向Sに見て同じ高さで測定される。
【0071】
上述したヒートシンク20又はキャリア基板1に加えて、異なる幾何形状を有する他のヒートシンク20も考えられる。例えば、ヒートシンク20が、本質的に平坦な構造化されていない金属体20から形成されることも考えられる。しかしながら、ヒートシンク20の構造化された様式が好ましく、それは、例えば、その冷却側に対して開いている、及び/又は少なくとも部分的に閉じられている、又は完全に閉じられている。好ましくは、製造されたヒートシンク20内にマイクロチャネルが形成され、そのマイクロチャネルを通して冷却流体、好ましくは冷却液を動作中に流すことができる。これにより、例えば部品側4で発生した熱、又は接続領域30に取り付けられたレーザダイオードによって引き起こされた熱を放散させることができる。金属製のヒートシンク20が時間の経過と共に腐食するのを防止するために、ヒートシンク20は少なくとも部分的に腐食防止層30を有する。そうでなければ、腐食は、ヒートシンク20に漏れを生じさせ、及び/又はマイクロチャネル若しくは冷却領域を詰まらせる。
【0072】
1…キャリア要素
4…電気部品
5…部品側
6…冷却側
7…ウェブ状要素
11…第1の金属層
12…第2の金属層
13…第3の金属層
14…下部カバー層
15…上部カバー層
21…第1の部分
22…第2の部分
24…更なる空隙
25…フィン構造
30…接続領域
33…横断領域
34…リム領域
40…分配構造
41…入口部分
42…出口部分
50…供給構造
70…金属セラミック基板
71…セラミック要素
72…部品メタライゼーション部
75…中間層
73…二次層
A1…距離
A2…更なる距離
S…積層方向
T1…第1のサブセクション
T2…第2のサブセクション
Q…横方向
Q1…第1の開口断面
Q2…第2の開口断面
M…中心軸
D…厚さ
V…オフセット距離
RR…列方向
HS1…第1の主流れ方向
HS2…第2の主流れ方向
HSE…主延長面
【手続補正書】
【提出日】2023-12-12
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気部品(4)用のキャリア基板(1)であって、
-ヒートシンク(20)と、
-セラミック要素(71)であって、少なくとも部分的に前記ヒートシンク(20)に接合されている、セラミック要素(71)と、を備え、
製造された前記キャリア基板(1)において、前記ヒートシンク(20)と前記セラミック要素(71)との間に、はんだ材料を含まない接合層が形成されており、
前記接合層の接着剤層は、5オーム/sqより大きい、より好ましくは10オーム/sqより大きい、最も好ましくは20オーム/sqより大きいシート抵抗を有する、
キャリア基板(1)において、
前記ヒートシンク(20)が、裏面メタライゼーション(74)を介して前記セラミック要素(71)に接合されており、前記接着剤層が、前記裏面メタライゼーション(74)と前記セラミック要素(71)との間に形成されている、キャリア基板(1)。
【請求項2】
前記セラミック要素(71)が、直接接合法によって接合することができない材料組成を含む、請求項1に記載のキャリア基板(1)。
【請求項3】
前記セラミック要素が、Si
3N
4を含む、請求項1又は2に記載のキャリア基板(1)。
【請求項4】
前記裏面メタライゼーション(74)の結晶粒径が、前記ヒートシンク(20)の結晶粒径と異なる、請求項1~
3のいずれか一項に記載のキャリア基板(1)。
【請求項5】
前記セラミック要素が、300μm未満、より好ましくは250μm未満、最も好ましくは200μm未満の厚さを有する、請求項1~
4のいずれか一項に記載のキャリア基板(1)。
【請求項6】
前記ヒートシンクが、直接接合法、特に無はんだ直接接合法によって互いの上に結合された少なくとも第1の金属層(21)及び第2の金属層(22)から形成されており、前記第1の金属層(21)及び/又は前記第2の金属層(22)は、製造された前記キャリア基板(1)内に冷却チャネルを形成する凹部を有する、請求項1~
5のいずれか一項に記載のキャリア基板(1)。
【請求項7】
積層方向(S)に測定され、所定の領域内の複数の測定点にわたって、又は主延長面に対して平行に進む若しくは走る複数の領域内で平均された前記接合層又は接着剤層の厚さが、1000nm未満、より好ましくは600nm未満、最も好ましくは350nm未満の値を有する、請求項1~
6のいずれか一項に記載のキャリア基板(1)。
【請求項8】
請求項1~
7のいずれか一項に記載のキャリア基板(1)の製造方法であって、
-金属セラミック基板を形成するために、熱間等方加圧によって、裏面メタライゼーション(74)及び好ましくは部品メタライゼーション(72)をセラミック要素(71)に接合するステップと、
-ヒートシンク(20)、特に冷却チャネル構造を有するヒートシンク(20)を提供するステップと、
-直接接合法、特にDCB(直接銅接合)法によって、前記ヒートシンク(20)を前記裏面メタライゼーション(74)に接合するステップと、を含む、方法。
【請求項9】
第1の金属層(21)及び/又は第2の金属層(22)内の空隙が、エッチング、浸食、及び/又はミリングによって実現され、少なくとも前記第1の金属層(21)及び前記第2の金属層(22)が、DCBプロセスによって互いに結合されて前記ヒートシンク(20)を形成し、
前記少なくとも第1の金属層(21)及び/又は第2の金属層(22)を前記裏面メタライゼーションに接合するステップと、前記第1の金属層(21)及び前記第2の金属層(22)を接合して前記ヒートシンク(20)を形成するステップとが、少なくとも部分的に同時に実行される、請求項1~
8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記接合層を形成するための活性金属層が、一方での前記セラミック要素(71)と、他方での前記部品メタライゼーション(72)及び/又は前記裏面メタライゼーション(74)との間に配置される、請求項1~
9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記活性金属層の厚さと前記第1の金属層(21)及び/又は第2の金属層(22)の厚さとの間の比が、0.0001~0.00
5の値を有する、請求項
10に記載の方法。
【請求項12】
前記金属セラミック基板(70)が、熱間等方加圧によって製造され、その後、前記ヒートシンク(20)を前記裏面メタライゼーション(74)に接合する前記ステップが実現される、請求項1~
11のいずれか一項に記載の方法。
【手続補正書】
【提出日】2024-07-12
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気部品(4)用のキャリア基板(1)であって、
-ヒートシンク(20)と、
-セラミック要素(71)であって、少なくとも部分的に前記ヒートシンク(20)に接合されている、セラミック要素(71)と、を備え、
製造された前記キャリア基板(1)において、前記ヒートシンク(20)と前記セラミック要素(71)との間に、はんだ材料を含まない接合層が形成されており、
前記接合層の接着剤層は、5オーム/sqより大きい、より好ましくは10オーム/sqより大きい、最も好ましくは20オーム/sqより大きいシート抵抗を有する、キャリア基板(1)において、
前記ヒートシンク(20)が、裏面メタライゼーション(74)を介して前記セラミック要素(71)に接合されており、前記接着剤層が、前記裏面メタライゼーション(74)と前記セラミック要素(71)との間に形成されている、キャリア基板(1)。
【請求項2】
前記セラミック要素(71)が、直接接合法によって接合することができない材料組成を含む、請求項1に記載のキャリア基板(1)。
【請求項3】
前記セラミック要素が、Si
3N
4を含む、請求項
1に記載のキャリア基板(1)。
【請求項4】
前記裏面メタライゼーション(74)の結晶粒径が、前記ヒートシンク(20)の結晶粒径と異なる、請求項
1に記載のキャリア基板(1)。
【請求項5】
前記セラミック要素が、300μm未満、より好ましくは250μm未満、最も好ましくは200μm未満の厚さを有する、請求項
1に記載のキャリア基板(1)。
【請求項6】
前記ヒートシンクが、直接接合法、特に無はんだ直接接合法によって互いの上に結合された少なくとも第1の金属層(21)及び第2の金属層(22)から形成されており、前記第1の金属層(21)及び/又は前記第2の金属層(22)は、製造された前記キャリア基板(1)内に冷却チャネルを形成する凹部を有する、請求項
1に記載のキャリア基板(1)。
【請求項7】
積層方向(S)に測定され、所定の領域内の複数の測定点にわたって、又は主延長面に対して平行に進む若しくは走る複数の領域内で平均された前記接合層又は接着剤層の厚さが、1000nm未満、より好ましくは600nm未満、最も好ましくは350nm未満の値を有する、請求項
1に記載のキャリア基板(1)。
【請求項8】
請求項1~7のいずれか一項に記載のキャリア基板(1)の製造方法であって、
-金属セラミック基板を形成するために、熱間等方加圧によって、裏面メタライゼーション(74)及び好ましくは部品メタライゼーション(72)をセラミック要素(71)に接合するステップと、
-ヒートシンク(20)、特に冷却チャネル構造を有するヒートシンク(20)を提供するステップと、
-直接接合法、特にDCB(直接銅接合)法によって、前記ヒートシンク(20)を前記裏面メタライゼーション(74)に接合するステップと、を含む、方法。
【請求項9】
第1の金属層(21)及び/又は第2の金属層(22)内の空隙が、エッチング、浸食、及び/又はミリングによって実現され、少なくとも前記第1の金属層(21)及び前記第2の金属層(22)が、DCBプロセスによって互いに結合されて前記ヒートシンク(20)を形成し、
前記少なくとも第1の金属層(21)及び/又は第2の金属層(22)を前記裏面メタライゼーションに接合するステップと、前記第1の金属層(21)及び前記第2の金属層(22)を接合して前記ヒートシンク(20)を形成するステップとが、少なくとも部分的に同時に実行される、請求項
8に記載の方法。
【請求項10】
前記接合層を形成するための活性金属層が、一方での前記セラミック要素(71)と、他方での前記部品メタライゼーション(72)及び/又は前記裏面メタライゼーション(74)との間に配置される、請求項
8に記載の方法。
【請求項11】
前記活性金属層の厚さと前記第1の金属層(21)及び/又は第2の金属層(22)の厚さとの間の比が、0.0001~0.005の値を有する、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記金属セラミック基板(70)が、熱間等方加圧によって製造され、その後、前記ヒートシンク(20)を前記裏面メタライゼーション(74)に接合する前記ステップが実現される、請求項
8に記載の方法。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0007
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0007】
この目的は、請求項1に記載のキャリア基板及び請求項8に記載の方法によって達成される。更なる設計及び実施形態は、従属請求項、説明、及び図面に見出すことができる。
本発明の第1の態様によれば、
-ヒートシンクと、
-セラミック要素であって、少なくとも部分的に当該ヒートシンクに接合されている、セラミック要素と、を有し、
当該製造されたキャリア基板において、当該ヒートシンクと当該セラミック要素との間に、はんだ材料を含まない接合層が形成されており、
当該接合層の接着剤層は、5オーム/sqより大きい、より好ましくは10オーム/sqより大きい、最も好ましくは20オーム/sqより大きいシート抵抗を有する、電気部品用のキャリア基板が提供される。
【国際調査報告】