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特表2024-546399コーティングセパレータ、コーティングセパレータの製造方法及び電池
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  • 特表-コーティングセパレータ、コーティングセパレータの製造方法及び電池 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-12-23
(54)【発明の名称】コーティングセパレータ、コーティングセパレータの製造方法及び電池
(51)【国際特許分類】
   H01M 50/457 20210101AFI20241216BHJP
   H01M 50/434 20210101ALI20241216BHJP
   H01M 50/443 20210101ALI20241216BHJP
   H01M 50/451 20210101ALI20241216BHJP
   H01M 50/446 20210101ALI20241216BHJP
   H01M 50/414 20210101ALI20241216BHJP
   H01M 50/426 20210101ALI20241216BHJP
【FI】
H01M50/457
H01M50/434
H01M50/443 M
H01M50/451
H01M50/446
H01M50/414
H01M50/426
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024541210
(86)(22)【出願日】2022-09-26
(85)【翻訳文提出日】2024-07-09
(86)【国際出願番号】 CN2022121422
(87)【国際公開番号】W WO2023155436
(87)【国際公開日】2023-08-24
(31)【優先権主張番号】PCT/CN2022/077087
(32)【優先日】2022-02-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】PCT/CN2022/108551
(32)【優先日】2022-07-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】518279484
【氏名又は名称】シェンチェン シニア テクノロジー マテリアル カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110002952
【氏名又は名称】弁理士法人鷲田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ワン イェンチエ
(72)【発明者】
【氏名】リャオ ジヘン
(72)【発明者】
【氏名】シェン チエンチアン
(72)【発明者】
【氏名】コン デビン
(72)【発明者】
【氏名】ジャン シャオミン
【テーマコード(参考)】
5H021
【Fターム(参考)】
5H021CC01
5H021CC03
5H021CC04
5H021EE02
5H021EE03
5H021EE08
5H021EE09
5H021EE10
5H021EE21
5H021HH01
5H021HH03
5H021HH06
(57)【要約】
コーティングセパレータ、コーティングセパレータの製造方法及び電池であって、サイズが近い各第1のナノファイバー(21)を第1のコーティング層(20)に混合し、サイズが近い各第2のナノファイバー(31)を第2のコーティング層(30)に混合することにより、異なるナノファイバーの間のサイズの差が大き過ぎることによる、その表面エネルギーの差が大きいため表面エネルギーが近いナノファイバーが凝集しやすいという問題を回避し、ナノファイバーの間の混合均一度を大幅に向上させる。且つ第1のコーティング層(20)を、大きいサイズの第1のナノファイバー(21)と大きい粒子径の第1のセラミックス粒子(22)とを混合したものとすることにより、第2のコーティング層(30)を、小さいサイズの第2のナノファイバー(31)と小さい粒子径の第2のセラミックス粒子(32)とを混合したものとすることにより、第1のコーティング層(20)を、細孔径が大きく且つ骨格構造が強固なものとし、コーティングセパレータを、高い耐熱特性と高い透過性を維持するように維持することができ、小さい細孔径の第2のコーティング層はリチウムイオンに対する伝導能力を向上させることができ、高温放置又は長時間サイクルによる電気化学的安定性のリスクを低減させる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベース膜及び前記ベース膜の少なくとも1つの表面に設置されたコーティング層構造を含むコーティングセパレータであって、
前記コーティング層構造は第1のコーティング層及び第2のコーティング層を少なくとも含み、ここで、前記第1のコーティング層は前記ベース膜の表面に設置され、前記第2のコーティング層は前記第1のコーティング層の前記ベース膜から離れる側に設置され、前記第1のコーティング層は第1のナノファイバー材料及び第1のセラミックス粒子を含み、前記第2のコーティング層は第2のナノファイバー材料及び第2のセラミックス粒子を含み、
前記第1のナノファイバー材料はいくつかの第1のナノファイバーを含み、前記第2のナノファイバー材料はいくつかの第2のナノファイバーを含み、
前記いくつかの第1のナノファイバー同士の長さの差は500nm以下であり、前記いくつかの第2のナノファイバー同士の長さの差は200nm以下であり、且つ第1のナノファイバーの長さは第2のナノファイバーの長さより大きく、前記第1のセラミックス粒子の平均粒子径は前記第2のセラミックス粒子の平均粒子径より大きいことを特徴とする、コーティングセパレータ。
【請求項2】
前記第1のナノファイバーの長さは500~1000nmであり、前記第1のセラミックス粒子の平均粒子径は100~600nmであることを特徴とする、請求項1に記載のコーティングセパレータ。
【請求項3】
前記第1のナノファイバー材料と前記第1のセラミックス粒子との質量比は5:1~1:5であることを特徴とする、請求項2に記載のコーティングセパレータ。
【請求項4】
前記第2のナノファイバーの長さは100~300nmであり、前記第2のセラミックス粒子の平均粒子径は10~60nmであることを特徴とする、請求項1に記載のコーティングセパレータ。
【請求項5】
前記第2のナノファイバー材料と前記第2のセラミックス粒子との質量比は5:1~1:5であることを特徴とする、請求項4に記載のコーティングセパレータ。
【請求項6】
前記第1のナノファイバーの直径は5~50nmであり、前記第2のナノファイバーの直径は5~50nmであることを特徴とする、請求項1に記載のコーティングセパレータ。
【請求項7】
前記第1のコーティング層と前記第2のコーティング層との厚さの比は2より大きいことを特徴とする、請求項1に記載のコーティングセパレータ。
【請求項8】
前記第1のコーティング層と前記第2のコーティング層との間には少なくとも1層の付加的なコーティング層がさらに含まれることを特徴とする、請求項1~7のいずれか1項に記載のコーティングセパレータ。
【請求項9】
前記第2のセラミックス粒子の表面に高速リチウムイオン伝導性官能基がグラフトされ、
さらに、前記高速リチウムイオン伝導性官能基は、ヒドロキシル(-OH)、カルボニル(-C=O)、フッ素(-F)、カルボキシル(-COOH)のうちのいずれか1種を含むことを特徴とする、請求項1~7に記載のコーティングセパレータ。
【請求項10】
前記第1のセラミックス粒子及び/又は前記第2のセラミックス粒子は、200℃以上の融点を有し、電気絶縁性を有し、リチウム電池の使用範囲内で電気化学的に安定した無機化合物であることを特徴とする、請求項1~7に記載のコーティングセパレータ。
【請求項11】
前記コーティングセパレータは少なくとも、
a)イオン導電率≧1.2mS/cm、
b)容量維持率≧98%、
c)180℃/hでの熱収縮≦5%、
という条件のいずれか1つを満たすことを特徴とする、請求項1に記載のコーティングセパレータ。
【請求項12】
請求項1~11のいずれか1項に記載のコーティングセパレータを製造するためのコーティングセパレータの製造方法であって、前記製造方法は、ペーストの製造及びコーティングによる製膜を含み、
ペーストの製造においては、第1のセラミックス粒子及び第1のナノファイバー材料を含む第1のペーストを製造し、第2のセラミックス粒子及び第2のナノファイバー材料を含む第2のペーストを製造し、
コーティングによる製膜においては、前記第1のペーストを前記ベース膜の少なくとも1つの表面にコーティングして第1のコーティング層を形成し、第2のペーストを前記第1のコーティング層の前記ベース膜から離れる側にコーティングして第2のコーティング層を形成し、
さらに、
第1のペーストの製造は、第1のセラミックス粒子を第1の溶媒に分散させて第1のセラミックス分散液を得、第1のナノファイバー材料を第2の溶媒に分散させて第1のナノファイバー分散液を得、第1のセラミックス分散液と第1のナノファイバー分散液を混合して第1のペーストを得ることを含み、
第2のペーストの製造は、第2のセラミックス粒子を第3の溶媒に分散させて第2のセラミックス分散液を得、第2のナノファイバー材料を第4の溶媒に分散させて第2のナノファイバー分散液を得、第2のセラミックス分散液と第2のナノファイバー分散液を混合して第2のペーストを得ることを含むことを特徴とする、コーティングセパレータの製造方法。
【請求項13】
前記ペーストの製造の前に、前記方法は、さらに、セラミックスの選別を含み、
セラミックスの選別においては、異なる粒子径の第1のセラミックス粒子及び第2のセラミックス粒子を選択し、ここで、前記第1のセラミックス粒子の平均粒子径を100~600nmとし、前記第2のセラミックス粒子の平均粒子径を10~60nmとし、
さらに、セラミックスの前処理をさらに含み、セラミックスの前処理においては、前記第2のセラミックス粒子に対してグラフト対象物とのグラフト反応を行い、前記第2のセラミックス粒子の表面に高速リチウムイオン伝導性官能基をグラフトさせることを特徴とする、請求項12に記載のコーティングセパレータの製造方法。
【請求項14】
前記グラフト対象物は、ポリカーボネート、ポリ乳酸、ポリウレタン、パーフルオロプロピルビニルエーテル、メチルイソプロピルケトンのうちのいずれか1種を含むことを特徴とする、請求項13に記載のコーティングセパレータの製造方法。
【請求項15】
請求項1~11のいずれか1項に記載のコーティングセパレータを含むか、又は請求項12~14のいずれか1項に記載のコーティングセパレータの製造方法で製造して得られたコーティングセパレータを含む電池であって、
さらに、前記電池はリチウム電池であることを特徴とする、電池。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は電池セパレータ技術の分野に関し、特にコーティングセパレータ、コーティングセパレータの製造方法及び電池に関する。
【背景技術】
【0002】
セパレータはリチウム電池の主要部材の1つであり、その性能の良否がリチウム電池の全体性能に非常に重要な影響を与え、リチウム電池の発展を制約するキー技術の1つである。リチウム電池の応用分野が絶えず拡大しリチウム電池製品の人々の生活における影響が絶えず深刻になることにつれて、人々のリチウム電池性能に対する要求もますます高まっている。リチウム電池の発展要求を満たすために、セパレータはリチウム電池の重要な部材として良好な化学的安定性、低い製造コストを有すべきのことだけでなく、さらにリチウムイオン電池の安全性能を向上させることが現在のリチウム電池発展の重要な傾向となる。
【0003】
従来の関連技術において、コーティングセパレータはベース膜及びベース膜の少なくとも1つの表面にコーティングされたコーティング層を含むことができ、且つセパレータの耐熱性を向上させるために、コーティングセパレータの表面にセラミックス層をコーティングすることができる。しかし、セラミックス層とセパレータの二相界面は結合が弱く、高温で分離が発生しやすく、これによってセラミックス層が剥離し、セパレータ基材が融解し、耐熱性が低下してしまう一方、表面のセラミックス層はリチウムイオンの伝導距離を増加させ、さらにリチウムイオンの導電率を低減させ、且つ孔隙が大きくなると液体電解液を良好に維持することができなくなる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、セパレータの性能を向上させるために、コーティングセパレータ、コーティングセパレータの製造方法及び電池を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の第1の態様によれば、コーティングセパレータが提供され、前記コーティングセパレータは、ベース膜及び前記ベース膜の少なくとも1つの表面に設置されたコーティング層構造を含み、前記コーティング層構造は少なくとも第1のコーティング層及び第2のコーティング層を含み、ここで、前記第1のコーティング層は前記ベース膜の表面に設置され、前記第2のコーティング層は前記第1のコーティング層の前記ベース膜から離れる側に設置され、前記第1のコーティング層は第1のナノファイバー材料及び第1のセラミックス粒子を含み、前記第2のコーティング層は第2のナノファイバー材料及び第2のセラミックス粒子を含み、
前記第1のナノファイバー材料はいくつかの第1のナノファイバーを含み、前記第2のナノファイバー材料はいくつかの第2のナノファイバーを含み、
前記いくつかの第1のナノファイバー同士の長さの差は500nm以下であり、前記いくつかの第2のナノファイバー同士の長さの差は200nm以下であり、且つ第1のナノファイバーの長さは第2のナノファイバーの長さより大きく、前記第1のセラミックス粒子の平均粒子径は前記第2のセラミックス粒子の平均粒子径より大きい。
【0006】
選択的に、前記第1のナノファイバーの長さは500~1000nmであり、前記第1のセラミックス粒子の平均粒子径は100~600nmである。
【0007】
選択的に、前記第1のナノファイバー材料と前記第1のセラミックス粒子との質量比は5:1~1:5である。
【0008】
選択的に、前記第2のナノファイバーの長さは100~300nmであり、前記第2のセラミックス粒子の平均粒子径は10~60nmである。
【0009】
選択的に、前記第2のナノファイバー材料と前記第2のセラミックス粒子との質量比は5:1~1:5である。
【0010】
選択的に、前記第1のナノファイバーの直径は5~50nmであり、前記第2のナノファイバーの直径は5~50nmである。
【0011】
選択的に、前記第1のコーティング層と前記第2のコーティング層との厚さの比は2より大きい。
【0012】
選択的に、前記第1のコーティング層と前記第2のコーティング層との間には少なくとも1層の付加的なコーティング層がさらに含まれる。
【0013】
選択的に、前記第2のセラミックス粒子の表面に高速リチウムイオン伝導性官能基がグラフトされ、
さらに、前記高速リチウムイオン伝導性官能基は、ヒドロキシル(-OH)、カルボニル(-C=O)、フッ素(-F)、カルボキシル(-COOH)のうちのいずれか1種を含む。
【0014】
選択的に、前記第1のセラミックス粒子及び/又は前記第2のセラミックス粒子は、200℃以上の融点を有し、電気絶縁性を有し、且つリチウム電池の使用範囲内で電気化学的に安定した無機化合物である。
【0015】
選択的に、前記コーティングセパレータは少なくとも、
a)イオン導電率≧1.2mS/cm、
b)容量維持率≧98%、
c)180℃/hでの熱収縮≦5%、
という条件のいずれか1つを満たす。
【0016】
本発明の第2の態様によれば、第1の態様及びその選択的な解決手段に係るコーティングセパレータを製造するためのコーティングセパレータの製造方法が提供され、前記製造方法は、ペーストの製造及びコーティングによる製膜を含み、
前記ペーストの製造においては、第1のセラミックス粒子及び第1のナノファイバー材料を含む第1のペーストを製造し、第2のセラミックス粒子及び第2のナノファイバー材料を含む第2のペーストを製造し、
前記コーティングによる製膜においては、前記第1のペーストを前記ベース膜の少なくとも1つの表面にコーティングして第1のコーティング層を形成し、第2のペーストを前記第1のコーティング層の前記ベース膜から離れる側にコーティングして第2のコーティング層を形成し、
さらに、
第1のペーストの製造は、第1のセラミックス粒子を第1の溶媒に分散させて第1のセラミックス分散液を得、第1のナノファイバー材料を第2の溶媒に分散させて第1のナノファイバー分散液を得、第1のセラミックス分散液と第1のナノファイバー分散液を混合して第1のペーストを得ることを含み、
第2のペーストの製造は、第2のセラミックス粒子を第3の溶媒に分散させて第2のセラミックス分散液を得、第2のナノファイバー材料を第4の溶媒に分散させて第2のナノファイバー分散液を得、第2のセラミックス分散液と第2のナノファイバー分散液を混合して第2のペーストを得ることを含む。
【0017】
選択的に、前記ペーストの製造の前に、前記方法は、さらに、セラミックスの選別を含み、
前記セラミックスの選別においては、異なる粒子径の第1のセラミックス粒子及び第2のセラミックス粒子を選択し、ここで前記第1のセラミックス粒子の平均粒子径は100~600nmであり、前記第2のセラミックス粒子の平均粒子径は10~60nmであり、
さらに、前記方法は、セラミックスの前処理を含み、前記セラミックスの前処理においては、前記第2のセラミックス粒子に対してグラフト対象物とのグラフト反応を行い、前記第2のセラミックス粒子の表面に高速リチウムイオン伝導性官能基をグラフトさせる。
【0018】
選択的に、前記グラフト対象物は、ポリカーボネート、ポリ乳酸、ポリウレタン、パーフルオロプロピルビニルエーテル、メチルイソプロピルケトンのうちのいずれか1種を含む。
【0019】
本発明の第3の態様によれば、電池が提供され、前記電池は、第1の態様及びその選択的な解決手段に係るコーティングセパレータを含むか、又は第2の態様及びその選択的な解決手段に係るコーティングセパレータの製造方法で製造して得られたコーティングセパレータを含み、
さらに、前記電池はリチウム電池である。
【0020】
本発明にて提供されるコーティングセパレータ、コーティングセパレータの製造方法及び電池において、サイズが近い各第1のナノファイバーを第1のコーティング層に混合し、サイズが近い各第2のナノファイバーを第2のコーティング層に混合することにより、異なるナノファイバーの間のサイズの差が大き過ぎることによる、その表面エネルギーの差が大きいため表面エネルギーが近いナノファイバーが凝集しやすいという問題を回避し、ナノファイバーの間の混合均一度を大幅に向上させる。且つ第1のコーティング層を、大きいサイズの第1のナノファイバーと大きい粒子径の第1のセラミックス粒子とを混合したものとすることにより、細孔径が大きくて均一な第1の混合材料層を形成し、当該第1の混合材料層はベース膜の表面に設置され、その細孔径が大きく且つ骨格構造が強固なため、コーティングセパレータを、高い耐熱特性と高い透過性を維持するように維持することができ、第2のコーティング層を、小さいサイズの第2のナノファイバーと小さい粒子径の第2のセラミックス粒子とを混合したものとすることにより、細孔径が小さくて均一な第2の混合材料層を形成し、このように、小さい細孔径のものはその毛細管作用のため電解液に対して強い吸着能力を備え、それによりリチウムイオンに対する伝導能力を向上させることができ、その結果、リチウムデンドライトが発生する可能性を低減させ、高温放置又は長時間サイクルによる電気化学的安定性のリスクを低減させる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
本発明の実施例又は従来技術における技術的解決手段をより明確に説明するために、以下、実施例又は従来技術の説明に使用する必要がある図面を簡単に紹介し、明らかに、以下の説明における図面は本発明のいくつかの実施例に過ぎず、当業者であれば、創造的な労力を行わない前提で、これらの図面に基づいてその他の図面を得ることができる。
図1】本発明の一実施例におけるコーティングセパレータの局所構造の概略図である。
図2】本発明の一実施例におけるコーティングセパレータの製造方法のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の実施例に係る図面を参照し、本発明の実施例における技術的解決手段を明瞭且つ完全に説明し、明らかに、説明される実施例は本発明の一部の実施例に過ぎず、その全ての実施例ではない。本発明における実施例に基づき、当業者が創造的な労力を行わない前提で得た全ての他の実施例は、いずれも本発明の保護範囲に属するものとする。
【0023】
本発明の明細書の説明において、理解すべきものとして、「上部」、「下部」、「上端」、「下端」、「下面」、「上面」などの用語が指示した方位又は位置関係は図面に示された方位又は位置関係に基づくものであり、本発明を説明しやすく且つ説明を簡略化するためのものに過ぎず、示される装置又は素子が特定の方位を有し、特定の方位で構造及び操作されなければならないことを指示又は示唆するものではないため、本発明を限定するものとして理解できない。
【0024】
本発明の明細書の説明において、用語「第1」、「第2」は説明のためにのみ用いられ、相対的な重要性を指示若しくは暗示するか、又は指示される技術的特徴の数を暗黙的に示すものとして理解できない。これにより、「第1」、「第2」で限定される特徴は1つ又は複数の当該特徴を明示的又は暗黙的に含むことができる。
【0025】
本発明の説明において、「複数」の意味は、特に明確且つ具体的に限定されていない限り、複数あり、例えば2つ、3つ、4つなどである。
【0026】
本発明の明細書の説明において、用語「接続」などは、特に明確な規定及び限定がない限り、広義に理解されるべきであり、例えば、固定接続であってもよいし、取り外し可能な接続、又は一体化されたものであってもよいし、機械的接続であってもよいし、電気的接続又は互いに通信可能であってもよいし、直接的な接続であってもよいし、中間媒体を介した間接的な接続であってもよいし、2つの素子内部の連通又は2つの素子の相互作用関係であってもよい。当業者であれば、具体的な状況に応じて上記用語の本発明における具体的な意味を理解することができる。
【0027】
以下、具体的な実施例を用いて本発明の技術的解決手段を詳細に説明する。以下のいくつかの具体的な実施例は互いに結合することができ、同一又は類似の概念又は過程についていくつかの実施例では説明を省略する可能性がある。
【0028】
出願人は本願を提案する前に、従来のセパレータに対して一連の研究及び実験を行い、
そのうち、セラミックス層が剥離しやすいという問題を解決するために、本分野においてコーティング層に1次元ナノ材料を添加できることを提案する。
【0029】
コーティング層における1次元ナノ材料の堆積方式が乱雑で不規則であり、隙間が多過ぎ、接触点が少ないなどの問題を解決するために、出願人は対応する解決手段を提案し、1次元ナノ材料の長さを、コーティング層に従って層ごとに減少させる(各材料層の1次元ナノ材料の長さの記述値の減少に具現化される)ことによって、長いナノ材料が堆積するときの孔隙が大きいため、下層であればあるほど、その隙間が大きくなり、1つ上の層の短いナノ材料はこれらの隙間をある程度充填することができ、層ごとに堆積すると、コーティング層の内部に隙間が多過ぎず、且つより多くの接触点があるため、熱が加えられる時、コーティング層の緊密な構造でもってセパレータの熱変形の発生を抑制することができ、それによりコーティングセパレータの耐熱性を向上させる。当該解決手段について、出願人は特許出願(出願番号:PCT/CN2022/077087、出願日:2022.02.21)をも提案し、本願はPCT/CN2022/077087の全ての内容を本明細書に組み込ませ、すなわちPCT/CN2022/077087の全ての内容はいずれも本願のサポートとすることができる。
【0030】
1次元ナノファイバーが層ごとに減少するという堆積方式による、1次元ナノファイバーの堆積密度が大き過ぎ、リチウムイオンの伝導チャネルを阻害し、リチウムイオンの伝導率に影響を与え、セパレータの性能が制限されるという問題を解決するために、出願人は対応する解決手段を提案し、1次元ナノ材料コーティング層にセラミックス粒子を導入することによりイオン伝導速度を効果的に高めることができる。当該解決手段について、出願人は特許出願(出願番号:PCT/CN2022/108551、出願日:2022.07.28)をも提案し、本願はPCT/CN2022/108551の全ての内容を本明細書に組み込ませ、すなわちPCT/CN2022/108551の全ての内容はいずれも本願のサポートとすることができる。
【0031】
しかしながら、出願人はさらなる研究において、上記解決手段はセラミックス粒子を利用して1次元ナノ材料の積層密度が大き過ぎることを回避することができ、それにより効果的なリチウムイオン伝導チャネルを形成することができ、リチウムイオンの伝導率を向上させるが、セパレータ全体の性能が依然として十分に理想的ではないことを発見した。研究及び試験により、出願人は、異なるナノファイバーの間のサイズの差が大き過ぎると、その表面エネルギーの差が大きいため表面エネルギーが近いナノファイバーが凝集しやすくなり、すなわち小さいサイズのナノファイバーの表面エネルギーが大きくなり、互いに凝集して凝集体を形成しやすく、そして大きいサイズのナノファイバーと接触混合することにその原因があることを発見した。このように小さいサイズのナノファイバーはそのあるべき性能を十分に発揮できなくなり、また、異なるサイズのナノファイバーに応じたセラミックス粒子の区分もされていないため、セパレータの性能が制限されるようになっている。
【0032】
この発見に基づき、出願人は一連の研究、試験及び検証により、本願の技術的解決手段を得た。1次元ナノファイバーの整然とした配列は出願人の1つの主要な技術的革新であるため、整然とした配列に基づいてさらに研究した問題及び得られた解決手段も主要な技術的革新であり、その研究過程全体は本解決手段の不可欠な一部とすべきであり、本願の進歩性を評価する時に1つの完全体として考慮されるべきである。
【0033】
図1を参照し、本発明の実施例はコーティングセパレータを提供し、前記コーティングセパレータは、ベース膜10及び前記ベース膜10に設置されたコーティング層構造を含み、前記コーティング層構造は第1のコーティング層20及び第2のコーティング層30を含み、ここで、第1のコーティング層20はベース膜10の表面に設置され、第2のコーティング層30は第1のコーティング層20のベース膜10から離れる側に設置され、第1のコーティング層20は第1のナノファイバー材料及び第1のセラミックス粒子22を含み、第2のコーティング層30は第2のナノファイバー材料及び第2のセラミックス粒子32を含み、第1のナノファイバー材料はいくつかの第1のナノファイバー21を含み、第2のナノファイバー材料はいくつかの第2のナノファイバー31を含み、各第1のナノファイバー21同士の長さの差は500nm以下であり、各第2のナノファイバー31同士の長さの差は200nm以下であり、且つ第1のナノファイバー21の長さは第2のナノファイバー31の長さより大きく、第1のセラミックス粒子22の平均粒子径は第2のセラミックス粒子32の平均粒子径より大きい。
【0034】
本発明の実施例は、異なるナノファイバーのサイズの差が大き過ぎることにより、その表面エネルギーの差が大きいため表面エネルギーが近いナノファイバーが凝集しやすくなり、すなわち小さいサイズのナノファイバーの表面エネルギーが大きくなり、互いに凝集して凝集体を形成しやすく、そして大きいサイズのナノファイバーと接触混合する。このように小さいサイズのナノファイバーはそのあるべき性能を十分に発揮できなくなることに鑑みて、サイズが近いナノファイバーを混合することにより、混合の均一度を大幅に向上させ、サイズの差を減少させる。且つ第1のコーティング層を、大きいサイズの第1のナノファイバーと大きい粒子径の第1のセラミックス粒子とを混合したものとすることにより、細孔径が大きくて均一な第1の混合材料層を形成し、当該第1の混合材料層はベース膜の表面に設置され、その細孔径が大きくて骨格構造が強固なため、コーティングセパレータを、高い耐熱特性と高い透過性を維持するように維持することができ、第2のコーティング層を、小さいサイズの第2のナノファイバーと小さい粒子径の第2のセラミックス粒子とを混合したものとすることにより、細孔径が小さくて均一な第2の混合材料層を形成し、このように小さい細孔径のものはその毛細管作用のため電解液に対して強い吸着能力を備え、それによりリチウムイオンに対する伝導能力を向上させることができ、その結果、リチウムデンドライトが発生する可能性を低減させ、高温放置又は長時間サイクルによる電気化学的安定性のリスクを低減させる。それによりセパレータの性能を効果的に改善する。
【0035】
好ましい実施形態として、第1のナノファイバー21の長さは500~1000nmであり、例えば500nm、600nm、700nm、800nm、900nm、1000nmなどであってもよく、第1のセラミックス粒子22の平均粒子径は100~600nmであり、例えば、100nm、200nm、300nm、400nm、500nm、600nmなどであってもよい。第1のナノファイバー及び第1のセラミックス粒子を含む第1のコーティング層をベース膜の表面に設置して、大きい細孔径と強い骨格構造を形成することで、コーティングセパレータを、高い耐熱特性と高い透過性を維持するように維持することができる。
【0036】
好ましい実施形態として、第1のナノファイバー材料と第1のセラミックス粒子22との質量比は5:1~1:5であり、第1のナノファイバー材料と第1のセラミックス粒子22との質量比を当該範囲内に設定することにより、コーティング層を、優れた耐熱性及びリチウムイオン導電率を有するものに維持することができる。具体的な実施例として、第1のナノファイバー材料と第1のセラミックス粒子22との質量比は例えば5:1、4:1、3:1、2:1、1:1、1:2、1:3、1:4、1:5のうちのいずれか1つ又はいずれか2つの間の範囲であってもよい。当然のことながら、第1のナノ材料と第1のセラミックス粒子との質量比は他の値であってもよく、具体的な数値は本発明を限定するものではなく、比が5:1~1:5の間であれば、いずれも本発明の保護範囲内にある。
【0037】
好ましい実施形態として、第2のナノファイバー31の長さは100~300nmであり、例えば100nm、150nm、200nm、250nm、300nmなどであってもよく、第2のセラミックス粒子32の平均粒子径は10~60nmであり、例えば、10nm、20nm、30nm、40nm、50nm、60nmなどであってもよい。第2のコーティング層は、第1のコーティング層に対してベース膜から離れる側に設置され、第2のナノファイバーと第2のセラミックス粒子との混合体であり、このように小さい細孔径のものはその毛細管作用のため電解液に対して強い吸着能力を備え、リチウムイオンに対する伝導能力を向上させ、その結果、リチウムデンドライトが発生する可能性を低減させ、高温放置又は長時間サイクルによる電気化学的安定性のリスクを低減させる。
【0038】
好ましい実施形態として、第2のナノファイバー材料と第2のセラミックス粒子32との質量比は5:1~1:5であり、第2のナノファイバー材料と第2のセラミックス粒子32との質量比を当該範囲内に設定することにより、コーティング層は優れた電池容量維持率及びリチウムイオン導電率を有するものになる。具体的な実施例として、第2のナノファイバー材料と第2のセラミックス粒子22のとの質量比は例えば5:1、4:1、3:1、2:1、1:1、1:2、1:3、1:4、1:5のうちのいずれか1つ又はいずれか2つの間の範囲であってもよい。当然のことながら、第2のナノ材料と第2のセラミックス粒子との質量比は他の値であってもよく、具体的な数値は本発明を限定するものではなく、比が5:1~1:5の間であれば、いずれも本発明の保護範囲内にある。
【0039】
好ましい実施形態として、第1のナノファイバーの直径は5~50nmであり、第2のナノファイバーの直径は5~50nmである。
【0040】
好ましい実施形態として、第1のコーティング層20と第2のコーティング層30との厚さの比は2より大きくすることによって、コーティングセパレータの耐熱性をより効果的に向上させることができる。
【0041】
好ましい実施形態として、第1のコーティング層20と第2のコーティング層30との間には少なくとも1層の付加的なコーティング層がさらに含まれる。例えば、第1のコーティング層20と第2のコーティング層30との間には、1層の付加的なコーティング層、例えば第3のコーティング層がさらに含まれてもよく、又は2層の付加的なコーティング層、例えば第3のコーティング層及び第4のコーティング層が含まれてもよい。当然のことながら、他の数の付加的なコーティング層が含まれてもよい。ここで、付加的なコーティング層は、第1のコーティング層又は第2のコーティング層と同じ材料、サイズのものを選択してもよいし、異なる材料及びサイズのものを選択してもよい。すなわち、第1のコーティング層と第2のコーティング層との間に第3のコーティング層が設置され、前記第3のコーティング層は平均粒子径が100~600nmの第3のセラミックス粒子及び長さと直径との比が≦200の第3のナノファイバーを含み、且つ前記第3のセラミックス粒子及び第3のナノファイバーは第2のコーティング層とは材料及びサイズがいずれも異なるようにするか、又は第1のコーティング層と第2のコーティング層との間に第3のコーティング層が設置され、前記第3のコーティング層は平均粒子径が10~60nmの第3のセラミックス粒子及び長さと直径との比が≦60の第3のナノファイバーを含み、且つ前記第3のセラミックス粒子及び第3のナノファイバーは第1のコーティング層とは材料及びサイズがいずれも異なるようにする。なお、コーティングセパレータにおけるコーティング層の層数、異なる層間材料の選択及びサイズの設定は実際の要求に応じて調整することができ、それは本発明を限定するものとして理解できない。
【0042】
好ましい実施形態として、第2のセラミックス粒子32の表面に高速リチウムイオン伝導性官能基がグラフトされ、第2のセラミックス粒子の表面に大量に含まれる高速リチウムイオン伝導性官能基によりリチウムイオンの伝導能力を大幅に向上させることができる。さらに、前記高速リチウムイオン伝導性官能基は、ヒドロキシル(-OH)、カルボニル(-C=O)、フッ素(-F)、カルボキシル(-COOH)のうちのいずれか1種を含む。
【0043】
好ましい実施形態として、前記第1のセラミックス粒子22及び/又は前記第2のセラミックス粒子32は、200℃以上の融点を有し、電気絶縁性を有し、リチウム電池の使用範囲内で電気化学的に安定した無機化合物である。例えば、アルミナ、シリカ、酸化チタン、ジルコニア、マグネシア、セリア、イットリア、酸化亜鉛などの酸化物系セラミックス、窒化ケイ素、窒化チタン、窒化ホウ素などの窒化物系セラミックス、炭化ケイ素、炭酸カルシウム、硫酸マグネシウム、硫酸アルミニウム、塩基性アルミナ(Aluminum hydroxide oxide)、チタン酸カリウム、タルク、カオリナイト、カオリン、ナクライト、ハロイサイト、パイロフィライト、モンモリロナイト、セリサイト、マイカ、アメサイト、ベントナイト、アスベスト、ゼオライト、ケイ酸カルシウム、ケイ酸マグネシウム、珪藻土、ケイ砂などのセラミックスが挙げられ、これらは単独で使用されてもよいし、又は複数種を組み合わせて使用されてもよい。
【0044】
好ましい実施形態として、前記コーティングセパレータは少なくとも、
a)イオン導電率≧1.2mS/cm、
b)容量維持率≧98%
c)180℃/hでの熱収縮≦5%、
という条件のいずれか1つを満たす。
【0045】
また、図2を参照し、本発明の実施例は、第1の態様及びその選択的な解決手段に係るコーティングセパレータを製造するためのコーティングセパレータの製造方法をさらに提供し、前記製造方法は、第1のペーストの製造、第2のペーストの製造、及びコーティングによる製膜を含み、
S1、第1のペーストの製造においては、第1のセラミックス粒子及び第1のナノファイバー材料を含む第1のペーストを製造し、
S2、第2のペーストの製造においては、第2のセラミックス粒子及び第2のナノファイバー材料を含む第2のペーストを製造し、
S3、コーティングによる製膜においては、前記第1のペーストを前記ベース膜の少なくとも1つの表面にコーティングして第1のコーティング層を形成し、第2のペーストを前記第1のコーティング層の前記ベース膜から離れる側にコーティングして第2のコーティング層を形成する。
【0046】
具体的には、第1のペーストの製造は、第1のセラミックス粒子を第1の溶媒に分散させて第1のセラミックス分散液を得、第1のナノファイバー材料を第2の溶媒に分散させて第1のナノファイバー分散液を得、第1のセラミックス分散液と第1のナノファイバー分散液を混合して第1のペーストを得ることを含み、
第2のペーストの製造は、第2のセラミックス粒子を第3の溶媒に分散させて第2のセラミックス分散液を得、第2のナノファイバー材料を第4の溶媒に分散させて第2のナノファイバー分散液を得、第2のセラミックス分散液と第2のナノファイバー分散液を混合して第2のペーストを得ることを含む。
【0047】
ここで、第1の溶媒、第2の溶媒、第3の溶媒、第4の溶媒は、同じタイプの溶媒であってもよく、異なってもよいことが言うまでもなく、本発明はそれを限定しない。
【0048】
ここで、本発明は第1のペーストの製造と第2のペーストの製造の順序を限定せず、まず第2のペーストを製造し、そして第1のペーストを製造するようにしてもよい。
【0049】
一例では、第1の溶媒及び第3の溶媒としては、水、N-メチルピロリドン、エタノール、アセトンなどを選択する。第1のセラミックス粒子及び第2のセラミックス粒子は、分散方式としては、高速撹拌、高圧均質化、サンドミル分散などの方式を採用して溶媒に均一に分散され、第1のセラミックス粒子、第2のセラミックス粒子の分散液における質量濃度は2%~40%である。
【0050】
一例では、第2の溶媒及び第4の溶媒としては、水、N-メチルピロリドン、エタノール、アセトンなどを選択する。第1のナノファイバー材料と第2のナノファイバー材料は、分散方式としては、高速撹拌、高圧均質化、サンドミル分散などの方式を採用して分散剤に均一に分散され、第1のナノファイバー、第2のナノファイバーの分散剤における質量濃度は2%~30%である。
【0051】
ここで、第1のナノファイバーの長さは、長さの差が500nm以下であれば、すなわちほぼ同じサイズ範囲内であれば、それぞれ異なってもよい。同様に、第2のナノファイバーの長さは、長さの差が200nm以下であれば、すなわちほぼ同じサイズ範囲内であれば、それぞれ異なってもよい。
【0052】
ここで、異なる長さのナノファイバーは、ナノファイバーの原料の選択に基づいて実現され、例えば、異なる材料のナノファイバー材料が選択される場合に、長さの異なるナノファイバーを形成できる可能性がある。
【0053】
他の部分の例では、異なる長さのナノファイバーは、対応する技術的解決手段により形成されてもよい。
【0054】
ナノファイバー材料の原料又は切断されたナノファイバー材料を切断し、1回又は複数回の切断により、長さの異なるナノファイバーを形成する。
【0055】
ここで、ナノファイバー材料の切断により、1種の長さのナノファイバー材料の原料に基づき、短いナノファイバー材料を形成することができ、例えば、ナノファイバー材料を原料の半分に切断してもよく、他の例において、半分切断の方式を採用せず実現してもよい。
【0056】
ナノファイバー材料の切断を実現できる任意の既存の手段又は改良手段は、いずれも本発明の実施例の具体例とすることができる。具体例において、ナノファイバー材料に対するエッチングにより実現してもよく、例えば、ナノファイバーに対するエッチングによりそれを原料の半分の長さにエッチングしてもよい。
【0057】
所望の階層化に基づき、原料に対する1回の切断、又は複数回の切断を実現することができ、例えば、まずナノファイバー材料を原料の長さの半分にエッチングし、次に長さの半分のナノファイバー材料を保留し、他部分の長さの半分のナノファイバー材料を切断し、四分の一の長さのナノファイバー材料を得、他の例において、長さの四分の一のナノファイバー材料の一部をさらに切断してもよく、切断回数は需要に応じて任意に設定することができる。
【0058】
当然のことながら、
ナノファイバー材料の原料の、他の原料の一端への接合、
接合されたナノファイバー材料の、前記原料の一端への接合、
接合されたナノファイバー材料の、他の接合されたナノファイバー材料の一端への接合、の少なくとも1つの接合過程を実施し、1回又は複数回の接合により、長さの異なるナノファイバー材料を形成してもよい。
【0059】
このように、接合の対象は、原料の一端と他の原料の一端であってもよく、原料の一端と接合されたナノファイバー材料の一端であってもよく、接合されたナノファイバー材料の一端と他の接合されたナノファイバー材料の一端であってもよい。
【0060】
ここで、ナノファイバー材料に対する接合により、1種の長さのナノファイバー材料の原料に基づいて、長いナノファイバー材料を形成することができ、例えば、2つの原料を接合することによって、2倍の長さのナノファイバー材料を形成してもよく、他の例では、長さの異なる原料(又は接合されたナノファイバー材料)を用いて実現してもよい。
【0061】
ナノファイバー材料の接合を実現できる任意の既存の手段又は改良手段は、いずれも本発明の実施例の具体例とすることができる。
【0062】
例えば、ヒドロキシル基官能基が大量に含まれた材料(例えばポリエチレングリコールPEG)に基づき、ナノファイバー材料の接合を実現してもよく、さらに、以上言及した接合は、
結合対象のナノファイバー材料とヒドロキシル基官能基が大量に含まれた材料(例えばPEG)を溶液に混合することと、
前記溶液にモレキュラーシーブ粒子を触媒として添加することと、
前記溶液を加熱し、そして冷却し、モレキュラーシーブスを濾過して除去し、接合されたナノファイバー材料を得られることと、を含んでもよい。
【0063】
具体例では、ナノセルロースを例とする。ナノセルロースの端部は中間領域よりヒドロキシルの含有量が明らかに高い。ナノセルロースの長さを増加させるために、ヒドロキシルの活性を十分に生かせることができ、そのやり方は、
(1)ナノセルロースをポリエチレングリコール(PEG)と混合し、PEGの分子量が50000~1000000g/molであり、PEGがナノセルロースの1%を占め、両者を十分に均一に撹拌し、対応する溶液を形成し、
(2)上記溶液に13Aモレキュラーシーブ粒子を加え、粒子のサイズが1mm~10mmであり、当該モレキュラーシーブが触媒であり、
(3)1~2時間かけて80度まで水熱で加熱し、
(4)常温まで冷却し、13Aモレキュラーシーブ粒子を濾過して除去すると、接合されたナノセルロースを得るようになっている。
【0064】
以上の解決手段において、ヒドロキシル基官能基が大量に含まれた材料(例えばPEG)を加えることにより、ナノセルロース同士を架橋結合させることができ、モレキュラーシーブ(例えば13Aモレキュラーシーブ)を触媒とすることにより、PEGとナノセルロースとの間の重合反応を加速させることができ、最後にナノセルロース-PEG-ナノセルロースの構造を形成する。所望の階層化に基づき、原料に対する1回の接合、又は複数回の接合を実現することができ、例えば、まずナノファイバー材料の原料を原料の2倍に接合し、そして2倍の長さのナノファイバー材料の一部を保留し、他方の2倍の長さのナノファイバー材料を原料又は2倍の長さのナノファイバー材料に接合し、3倍の長さ又は4倍の長さのナノファイバー材料を得、他の例において、さらに接合してもよく、接合回数は必要に応じて任意に設定することができる。
【0065】
ここで、第1のセラミックス分散液と第1のナノファイバー分散液を混合して第1のペーストを得ることと、第2のセラミックス分散液と第2のナノファイバー分散液を混合して第2のペーストを得ることは両方とも以下をそれぞれ含む。第1のセラミックス分散液と第1のナノファイバー分散液を混合し、第1の混合溶液を得、第2のセラミックス分散液と第2のナノファイバー分散液を混合し、第2の混合溶液を得、混合方式としては、高速撹拌、高圧均質化、サンドミル分散などの方式を採用する。その後に第1の混合溶液と第2の混合溶液の両方に接着剤をそれぞれ加え、第1のペーストと第2のペーストを得る。ここで、接着剤は、ポリビニルアルコール、ポリアクリロニトリル、ポリアクリル酸、スチレンブタジエンゴム、カルボキシメチルセルロース、ポリフッ化ビニリデン、ポリビニルピロリドン及びポリイミドのうちの少なくとも1種である。接着剤はそれぞれ第1の混合溶液と第2の混合溶液中の固体質量の1%~10%を占める。
【0066】
一例では、コーティングによる製膜は、コーティング方式により、上記製造した第1のペーストをまずベース膜にコーティングし、乾燥して第1のコーティング層を得、その後に第1のコーティング層に第2のペーストをコーティングし、乾燥して前記コーティングセパレータを得ることである。コーティング方式は、スプレーコーティング、ディップコーティング、マイクログラビアロールコーティング、印刷コーティング、押出コーティング、ワイヤーバーコーティングである。ベース膜は例えばポリオレフィンベース膜であり、厚さは3~30ミクロンであり、乾燥温度は40~130度であり、コーティング速度は10~200m/minである。
【0067】
当然のことながら、乾燥は第1のペースト/第2のペーストから第1のコーティング層/第2のコーティング層を形成する方式の1種に過ぎず、第1のペースト/第2のペーストは相転移の方式により第1のコーティング層/第2のコーティング層を形成してもよい。第1のペースト/第2のペーストからどのように第1のコーティング層/第2のコーティング層を形成するかの方式に対して、本発明はその制限を行わない。
【0068】
ここで、好ましい形態として、セラミックスの分散の前に、セラミックスの選別及びセラミックスの前処理をさらに含み、具体的には以下のとおりである。
セラミックスの選別は具体的に、異なる粒子径の第1のセラミックス粒子及び第2のセラミックス粒子を選択し、ここで、前記第1のセラミックス粒子の平均粒子径を100~600nmとし、前記第2のセラミックス粒子の平均粒子径を10~60nmとすることであり、
セラミックスの前処理は具体的に、前記第2のセラミックス粒子を反応釜に加え、グラフト対象物を加えてグラフト反応を行い、前記第2のセラミックス粒子の表面に高速リチウムイオン伝導性官能基をグラフトすることである。具体的には、第2のセラミックス粒子を溶媒に加え、そして一緒に反応釜に入れ、さらにグラフト対象物を加え、一定の反応温度、反応圧力、反応時間をかけて、第2のセラミックス粒子に高速リチウムイオン伝導性官能基をグラフトすることができる。
【0069】
第2のセラミックス粒子については、特に限定せず、200℃以上の融点を有し、電気絶縁性が高く、リチウム電池の使用範囲内で電気化学的に安定した物質が好ましい。例えば、アルミナ、シリカ、酸化チタン、ジルコニア、マグネシア、セリア、イットリア、酸化亜鉛などの酸化物系セラミックス、窒化ケイ素、窒化チタン、窒化ホウ素などの窒化物系セラミックス、炭化ケイ素、炭酸カルシウム、硫酸マグネシウム、硫酸アルミニウム、塩基性アルミナ(Aluminum hydroxide oxide)、チタン酸カリウム、タルク、カオリナイト、カオリン、ナクライト、ハロイサイト、パイロフィライト、モンモリロナイト、セリサイト、マイカ、アメサイト、ベントナイト、アスベスト、ゼオライト、ケイ酸カルシウム、ケイ酸マグネシウム、珪藻土、ケイ砂などのセラミックスが挙げられ、これらは単独で使用されてもよいし、又は複数種を組み合わせて使用されてもよい。
【0070】
第1のセラミックス粒子についても特に限定せず、200℃以上の融点を有し、電気絶縁性が高く、リチウム電池の使用範囲内で電気化学的に安定した物質が好ましく、且つ第2のセラミックス粒子と同じ又は異なる無機材料を選択することができる。溶媒は、水、エタノール、アセトン、NMPなどであり、グラフト対象物は、ポリカーボネート、ポリ乳酸、ポリウレタン、パーフルオロプロピルビニルエーテル、メチルイソプロピルケトンなどである。反応温度は100~200℃であり、反応圧力は0.1~0.5Mpaであり、反応時間は10~50minである。反応が終了した後、液体溶媒を除去し、固体を残すと、高速リチウムイオン伝導性がグラフトされた第2のセラミックス粒子を得ることができる。
【0071】
これに基づき、セラミックスの分散は、具体的に、
前記第1のセラミックス粒子と前処理された第2のセラミックス粒子を第1の溶剤と第3の溶剤にそれぞれ分散させ、それぞれ第1のセラミックス分散液と第2のセラミックス分散液を得ることである。
【0072】
さらに、本発明の実施例は、本発明の第1の態様及びその選択的な解決手段に係るコーティングセパレータ又は本発明の第2の態様及びその選択的な解決手段を利用して製造されたコーティングセパレータを含む電池をさらに提供する。ここで、当該電池は例えばリチウム電池である。
【0073】
以下、本発明のいくつかの実施例の製品性能を実験により分析する。
【実施例1】
【0074】
本実施例は以下のステップによりコーティングセパレータを製造して得る。
【0075】
セラミックスの選別において、異なる粒子径の第1のセラミックス粒子及び第2のセラミックス粒子を選択し、ここで、前記第1のセラミックス粒子の平均粒子径を300nmとし、前記第2のセラミックス粒子の平均粒子径を40nmとし、前記第1のセラミックス及び第2のセラミックスはいずれもアルミナである。
【0076】
セラミックスの分散において、第1のセラミックス粒子、第2のセラミックス粒子を高速撹拌の方式によりN-メチルピロリドンにそれぞれ均一に分散させ、第1のセラミックス分散液及び第2のセラミックス分散液を得、ここで第1のセラミックス粒子の第1のセラミックス分散液における質量濃度、及び第2のセラミックス粒子の第2のセラミックス分散液における質量濃度はいずれも20%である。
【0077】
ナノ材料の分散において、異なる長さの第1のナノファイバー、第2のナノファイバーをN-メチルピロリドンにそれぞれ分散させ、第1のナノファイバー分散液及び第2のナノファイバー分散液を得る。ここで、第1のナノファイバーの長さL50は600nmであり、第2のナノファイバーの長さL50は300nmであり、分散方式は高速撹拌であり、第1のナノファイバー、第2のナノファイバーの分散剤における質量濃度はいずれも15%である。
【0078】
混合によるペーストの製造において、第1のセラミックス分散液と第1のナノファイバー分散液を混合し、第1の混合溶液を得、第2のセラミックス分散液と第2のナノファイバー分散液を混合し、第2の混合溶液を得、混合方式としては高速撹拌を採用し、その後に第1の混合溶液と第2の混合溶液に接着剤をそれぞれ加え、第1のペーストと第2のペーストを得る。接着剤はポリビニルアルコールであり、接着剤は第1の混合溶液と第2の混合溶液中の固体質量の8%をそれぞれ占め、第1のナノファイバーと第1のセラミックス粒子との質量比は1:1であり、第2のナノファイバーと第2のセラミックス粒子との質量比は1:1である。
【0079】
コーティングによる製膜において、コーティング方式により、第1のペーストを前記ベース膜の1つの表面にコーティングして乾燥し、ベース膜の表面に第1のコーティング層を形成し、半製品のコーティングセパレータを得、第1のコーティング層に前記第2のペーストをコーティングして乾燥し、第1のコーティング層の表面に第2のコーティング層を得、それによりコーティングセパレータを得る。ここで、ベース膜はポリエチレンベース膜であり、厚さは9ミクロンであり、乾燥温度は100度であり、コーティング速度は100m/minである。得られた第1のコーティング層の厚みは0.8ミクロンであり、第2のコーティング層の厚みは0.3ミクロンである。
【0080】
ここで、第1のナノファイバー及び第2のナノファイバーは具体的に1次元ナノファイバーであり、それらはベース膜の表面に堆積し、層状構造(すなわち階層化された長さの異なるナノ材料)を形成し、ベース膜上に堆積する過程において、表面エネルギーのため、最も長い1次元ナノ材料(その表面エネルギーが最も大きく、最も不安定で、一旦小さい表面エネルギーの界面に接触すると、最も付着しやすい)は最初に堆積し、2番目に長いのはその次に堆積し、最も短いナノファイバーは最後に堆積し、このように、長い順に、徐々に堆積した層状構造が形成される。本発明は、サイズが近いナノファイバーを混合することにより、混合均一度を大幅に向上させ、サイズの差を減少させる。
【0081】
同様の手段を利用して実施例2~12及び比較例1~5を得、ここで、実施例1~12及び比較例1~5で得られた対応するセパレータの性能は表1を参照されたい。表1に示した製造パラメータの差以外に、全ての実施例及び比較例は他の点においていずれも実施例1と一致するため、ここでは説明を省略する。
【0082】
ここで、表1に示す実施例12は、S2のセラミックスの分散の前に第2のセラミックス粒子に対してセラミックスの前処理のステップを行った点のみが実施例1と異なり、第2のセラミックス粒子を溶媒に加え、そして一緒に反応釜に入れ、さらにグラフト対象物を加え、一定の反応温度、反応圧力、反応時間を維持し、第2のセラミックス粒子に高速リチウムイオン伝導性官能基をグラフトした。溶媒はアセトンであり、グラフト対象物はポリカーボネートである。反応温度は150℃であり、反応圧力は0.3Mpaであり、反応時間は20minである。反応が終了した後、液体溶媒を除去し、固体を残すと、高速リチウムイオン伝導性がグラフトされた第2のセラミックス粒子を得ることができる。
【0083】
【表1-1】
【表1-2】
【表1-3】
【表1-4】
【0084】
表1から、実施例1~12の比較により分かるように、第1のナノファイバーと第1のセラミックス粒子が混合され、第2のナノファイバーと第2のセラミックス粒子が混合されると、180℃での熱収縮が5%より小さく、リチウムイオンの導電率が1.2mS/cmより大きく、30日間の電池の容量維持率が98%以上であった。第1のコーティング層の厚さが薄くなり、第2のコーティング層の厚さが増加すると、耐熱性が低下し(実施例1、2、3)、これは主に第1のナノファイバー及び第1のセラミックス粒子が主骨格であり、ベース膜と直接に接触するため、第1のナノファイバーと第1のセラミックス粒子からなる第1のコーティング層は耐熱性が直接に向上し、第1のコーティング層の厚さが薄くなると、耐熱性の低下が直接に具現化される。第2のナノファイバーと第2のセラミックス粒子からなる第2のコーティング層は極板と直接に接触し、且つその均一性が電池の容量維持率を直接に決定し、均一性が高ければ高いほど、電池の容量維持率が高くなり、第2のコーティング層の厚さはコーティング層構造全体の均一性を大幅に向上させることができるため、第2のコーティング層の厚さの増加につれ、電池の容量維持率は向上している(実施例1、2、3)。
【0085】
実施例1、実施例5、比較例3の比較から分かるように、第2のコーティング層中の第2のセラミックス粒子の粒子径が大き過ぎると、高温放置された電池の容量維持率は低下し(比較例3)、第2のコーティング層中の第2のセラミックス粒子の粒子径が小さくなると、リチウムイオンの導電性は低下している(実施例1、実施例5)。実施例1、実施例7の比較から分かるように、第2のコーティング層中の第2のナノファイバーの長さが減少すると、リチウムイオンの導電率は低下し、この現象を引き起こす原因は、第2のナノファイバーの長さが増大することにより、第2のコーティング層における細孔径分布の不規則さが増加し、電池の容量維持率が低下し、第2のナノファイバーの長さが小さくなることにより、細孔径が狭くなり、リチウムイオン伝導チャネルが小さくなることである。しかし、実施例12に示すように、第2のセラミックスに高速リチウムイオン伝導性官能基をグラフトすることにより、リチウムイオンの導電率をさらに向上させることができる。
【0086】
実施例1、比較例2、比較例4の比較から分かるように、第1のコーティング層中の第1のセラミックス粒子径が増加すると、セパレータの耐熱性が低下し、第1のコーティング層中の第1のナノファイバーの長さが長くなると、セパレータの耐熱性も低下している。この現象を引き起こす主な原因は、サイズが増加し過ぎると、コーティング層材料の間の隙間が増大し、ベース膜との接触点が限られるようになることであり、セパレータに熱が加えられる時、その収縮を効果的に抑制できないことで具現化される。
【0087】
実施例1、比較例1、比較例5の比較から分かるように、ナノファイバーとセラミックス粒子が不規則に分布される場合に、高温放置された電池の容量維持率は95%に過ぎず、階層化の場合よりはるかに低い。第1のナノファイバーと第2のセラミックス粒子、第2のナノファイバーと第1のセラミックス粒子が混合されると、リチウムイオンの導電率、高温放置された電池の容量維持率、耐熱性はさらに低下している。この現象を引き起こす原因はナノファイバーとセラミックスが不規則に分布される場合に、コーティング層の細孔径の均一性が低くなり、細孔径の大きさが異なり、高温放置された電池の容量維持率の低下をもたらすことである。第1のコーティング層が第2のナノファイバーであり、第2のコーティング層が第1のナノファイバーである場合に、ナノファイバーとセラミックスとのサイズの差が大きくなるため、混合の一致性が低下する一方、第2のコーティング層への第2のナノファイバーの導入は細孔径及びその不一致性を大幅に増加し、これにより高温放置された電池の容量維持率は大幅に低下する。第1のコーティング層への第1のナノファイバーの導入は骨格の剛性を低下させ、高温での耐熱性は低下する。
【0088】
本明細書の説明において、「一実施形態」、「一実施例」、「具体的な実施過程」、「一例」などの用語を使用した説明は、当該実施例又は例を参照して説明した具体的な特徴、構造、材料、又は特性が、本発明の少なくとも1つの実施例又は例に含まれることを意味する。本明細書において、上記用語の例示的な表現は、必ずしも同じ実施例又は例を指すものではない。さらに、説明された具体的な特徴、構造、材料、又は特性は、いずれか1つ又は複数の実施例又は例において適切な方式で結合することができる。
【0089】
最後に、以上の各実施例は本発明の技術的解決手段を説明するためのみに用いられ、それを制限するものではなく、前述した各実施例を参照して本発明について詳細に説明したが、当業者であれば、依然として前述した各実施例に記載の技術的解決手段を修正し、又はその中の一部又は全部の技術的特徴に対して等価置換を行うことができ、これらの修正又は置換が対応する技術的解決手段の本質を本発明の各実施例の技術的解決手段の範囲から逸脱させないことを理解できるであろう。
【符号の説明】
【0090】
10、ベース膜
20、第1のコーティング層
21、第1のナノファイバー
22、第1のセラミックス粒子
30、第2のコーティング層
31、第2のナノファイバー
32、第2のセラミックス粒子
図1
図2
【手続補正書】
【提出日】2024-07-09
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は電池セパレータ技術の分野に関し、特にコーティングセパレータ、コーティングセパレータの製造方法及び電池に関する。
【背景技術】
【0002】
セパレータはリチウム電池の主要部材の1つであり、その性能の良否がリチウム電池の全体性能に非常に重要な影響を与え、リチウム電池の発展を制約するキー技術の1つである。リチウム電池の応用分野が絶えず拡大しリチウム電池製品の人々の生活における影響が絶えず深刻になることにつれて、人々のリチウム電池性能に対する要求もますます高まっている。リチウム電池の発展要求を満たすために、セパレータはリチウム電池の重要な部材として良好な化学的安定性、低い製造コストを有すべきのことだけでなく、さらにリチウムイオン電池の安全性能を向上させることが現在のリチウム電池発展の重要な傾向となる。
【0003】
従来の関連技術において、コーティングセパレータはベース膜及びベース膜の少なくとも1つの表面にコーティングされたコーティング層を含むことができ、且つセパレータの耐熱性を向上させるために、コーティングセパレータの表面にセラミックス層をコーティングすることができる。しかし、セラミックス層とセパレータの二相界面は結合が弱く、高温で分離が発生しやすく、これによってセラミックス層が剥離し、セパレータ基材が融解し、耐熱性が低下してしまう一方、表面のセラミックス層はリチウムイオンの伝導距離を増加させ、さらにリチウムイオンの導電率を低減させ、且つ孔隙が大きくなると液体電解液を良好に維持することができなくなる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、セパレータの性能を向上させるために、コーティングセパレータ、コーティングセパレータの製造方法及び電池を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の第1の態様によれば、コーティングセパレータが提供され、前記コーティングセパレータは、ベース膜及び前記ベース膜の少なくとも1つの表面に設置されたコーティング層構造を含み、前記コーティング層構造は少なくとも第1のコーティング層及び第2のコーティング層を含み、ここで、前記第1のコーティング層は前記ベース膜の少なくとも1つの表面に設置され、前記第2のコーティング層は前記第1のコーティング層の前記ベース膜から離れる側に設置され、前記第1のコーティング層は第1のナノファイバー材料及び第1のセラミックス粒子を含み、前記第2のコーティング層は第2のナノファイバー材料及び第2のセラミックス粒子を含み、
前記第1のナノファイバー材料はいくつかの第1のナノファイバーを含み、前記第2のナノファイバー材料はいくつかの第2のナノファイバーを含み、
前記いくつかの第1のナノファイバー同士の長さの差は500nm以下であり、前記いくつかの第2のナノファイバー同士の長さの差は200nm以下であり、且つ第1のナノファイバーの長さは第2のナノファイバーの長さより大きく、前記第1のセラミックス粒子の平均粒子径は前記第2のセラミックス粒子の平均粒子径より大きい。
【0006】
選択的に、前記第1のナノファイバーの長さは500~1000nmであり、前記第1のセラミックス粒子の平均粒子径は100~600nmである。
【0007】
選択的に、前記第1のナノファイバー材料と前記第1のセラミックス粒子との質量比は5:1~1:5である。
【0008】
選択的に、前記第2のナノファイバーの長さは100~300nmであり、前記第2のセラミックス粒子の平均粒子径は10~60nmである。
【0009】
選択的に、前記第2のナノファイバー材料と前記第2のセラミックス粒子との質量比は5:1~1:5である。
【0010】
選択的に、前記第1のナノファイバーの直径は5~50nmであり、前記第2のナノファイバーの直径は5~50nmである。
【0011】
選択的に、前記第1のコーティング層と前記第2のコーティング層との厚さの比は2より大きい。
【0012】
選択的に、前記第1のコーティング層と前記第2のコーティング層との間には少なくとも1層の付加的なコーティング層がさらに含まれる。
【0013】
選択的に、前記第2のセラミックス粒子の表面に高速リチウムイオン伝導性官能基がグラフトされ、
さらに、前記高速リチウムイオン伝導性官能基は、ヒドロキシル(-OH)、カルボニル(-C=O)、フッ素(-F)、カルボキシル(-COOH)のうちのいずれか1種を含む。
【0014】
選択的に、前記第1のセラミックス粒子及び前記第2のセラミックス粒子のうちの少なくとも1つは、200℃以上の融点を有し、電気絶縁性を有し、且つリチウム電池の使用範囲内で電気化学的に安定した無機化合物である。
【0015】
選択的に、前記コーティングセパレータは少なくとも、
a)イオン導電率≧1.2mS/cm、
b)容量維持率≧98%、
c)180℃/hでの熱収縮≦5%、
という条件のいずれか1つを満たす。
【0016】
本発明の第2の態様によれば、第1の態様及びその選択的な解決手段に係るコーティングセパレータを製造するためのコーティングセパレータの製造方法が提供され、前記製造方法は、ペーストの製造及びコーティングによる製膜を含み、
前記ペーストの製造においては、第1のセラミックス粒子及び第1のナノファイバー材料を含む第1のペーストを製造し、第2のセラミックス粒子及び第2のナノファイバー材料を含む第2のペーストを製造し、
前記コーティングによる製膜においては、前記第1のペーストを前記ベース膜の少なくとも1つの表面にコーティングして第1のコーティング層を形成し、第2のペーストを前記第1のコーティング層の前記ベース膜から離れる側にコーティングして第2のコーティング層を形成し、
さらに、
第1のペーストの製造は、第1のセラミックス粒子を第1の溶媒に分散させて第1のセラミックス分散液を得、第1のナノファイバー材料を第2の溶媒に分散させて第1のナノファイバー分散液を得、第1のセラミックス分散液と第1のナノファイバー分散液を混合して第1のペーストを得ることを含み、
第2のペーストの製造は、第2のセラミックス粒子を第3の溶媒に分散させて第2のセラミックス分散液を得、第2のナノファイバー材料を第4の溶媒に分散させて第2のナノファイバー分散液を得、第2のセラミックス分散液と第2のナノファイバー分散液を混合して第2のペーストを得ることを含む。
【0017】
選択的に、前記ペーストの製造の前に、前記方法は、さらに、セラミックスの選別を含み、
前記セラミックスの選別においては、異なる粒子径の第1のセラミックス粒子及び第2のセラミックス粒子を選択し、ここで前記第1のセラミックス粒子の平均粒子径は100~600nmであり、前記第2のセラミックス粒子の平均粒子径は10~60nmであり、
さらに、前記方法は、セラミックスの前処理を含み、前記セラミックスの前処理においては、前記第2のセラミックス粒子に対してグラフト対象物とのグラフト反応を行い、前記第2のセラミックス粒子の表面に高速リチウムイオン伝導性官能基をグラフトさせる。
【0018】
選択的に、前記グラフト対象物は、ポリカーボネート、ポリ乳酸、ポリウレタン、パーフルオロプロピルビニルエーテル、メチルイソプロピルケトンのうちのいずれか1種を含む。
【0019】
本発明の第3の態様によれば、電池が提供され、前記電池は、第1の態様及びその選択的な解決手段に係るコーティングセパレータを含むか、又は第2の態様及びその選択的な解決手段に係るコーティングセパレータの製造方法で製造して得られたコーティングセパレータを含み、
さらに、前記電池はリチウム電池である。
【0020】
本発明にて提供されるコーティングセパレータ、コーティングセパレータの製造方法及び電池において、サイズが近い各第1のナノファイバーを第1のコーティング層に混合し、サイズが近い各第2のナノファイバーを第2のコーティング層に混合することにより、異なるナノファイバーの間のサイズの差が大き過ぎることによる、その表面エネルギーの差が大きいため表面エネルギーが近いナノファイバーが凝集しやすいという問題を回避し、ナノファイバーの間の混合均一度を大幅に向上させる。且つ第1のコーティング層を、大きいサイズの第1のナノファイバーと大きい粒子径の第1のセラミックス粒子とを混合したものとすることにより、細孔径が大きくて均一な第1の混合材料層を形成し、当該第1の混合材料層はベース膜の表面に設置され、その細孔径が大きく且つ骨格構造が強固なため、コーティングセパレータを、高い耐熱特性と高い透過性を維持するように維持することができ、第2のコーティング層を、小さいサイズの第2のナノファイバーと小さい粒子径の第2のセラミックス粒子とを混合したものとすることにより、細孔径が小さくて均一な第2の混合材料層を形成し、このように、毛細管作用のため、小さい細孔径によりコーティングセパレータが電解液に対して強い吸着能力を備え、それによりリチウムイオンに対する伝導能力を向上させることができ、その結果、リチウムデンドライトが発生する可能性を低減させ、高温放置又は長時間サイクルによる電気化学的安定性のリスクを低減させる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
本発明の実施例又は従来技術における技術的解決手段をより明確に説明するために、以下、実施例又は従来技術の説明に使用する必要がある図面を簡単に紹介し、明らかに、以下の説明における図面は本発明のいくつかの実施例に過ぎず、当業者であれば、創造的な労力を行わない前提で、これらの図面に基づいてその他の図面を得ることができる。
図1】本発明の一実施例におけるコーティングセパレータの局所構造の概略図である。
図2】本発明の一実施例におけるコーティングセパレータの製造方法のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の実施例に係る図面を参照し、本発明の実施例における技術的解決手段を明瞭且つ完全に説明し、明らかに、説明される実施例は本発明の一部の実施例に過ぎず、その全ての実施例ではない。本発明における実施例に基づき、当業者が創造的な労力を行わない前提で得た全ての他の実施例は、いずれも本発明の保護範囲に属するものとする。
【0023】
本発明の明細書の説明において、理解すべきものとして、「上部」、「下部」、「上端」、「下端」、「下面」、「上面」などの用語が指示した方位又は位置関係は図面に示された方位又は位置関係に基づくものであり、本発明を説明しやすく且つ説明を簡略化するためのものに過ぎず、示される装置又は素子が特定の方位を有し、特定の方位で構造及び操作されなければならないことを指示又は示唆するものではないため、本発明を限定するものとして理解できない。
【0024】
本発明の明細書の説明において、用語「第1」、「第2」は説明のためにのみ用いられ、相対的な重要性を指示若しくは暗示するか、又は指示される技術的特徴の数を暗黙的に示すものとして理解できない。これにより、「第1」、「第2」で限定される特徴は1つ又は複数の当該特徴を明示的又は暗黙的に含むことができる。
【0025】
本発明の説明において、「複数」の意味は、特に明確且つ具体的に限定されていない限り、複数あり、例えば2つ、3つ、4つなどである。
【0026】
本発明の明細書の説明において、用語「接続」などは、特に明確な規定及び限定がない限り、広義に理解されるべきであり、例えば、固定接続であってもよいし、取り外し可能な接続、又は一体化されたものであってもよいし、機械的接続であってもよいし、電気的接続又は互いに通信可能であってもよいし、直接的な接続であってもよいし、中間媒体を介した間接的な接続であってもよいし、2つの素子内部の連通又は2つの素子の相互作用関係であってもよい。当業者であれば、具体的な状況に応じて上記用語の本発明における具体的な意味を理解することができる。
【0027】
以下、具体的な実施例を用いて本発明の技術的解決手段を詳細に説明する。以下のいくつかの具体的な実施例は互いに結合することができ、同一又は類似の概念又は過程についていくつかの実施例では説明を省略する可能性がある。
【0028】
出願人は本願を提案する前に、従来のセパレータに対して一連の研究及び実験を行い、
そのうち、セラミックス層が剥離しやすいという問題を解決するために、本分野においてコーティング層に1次元ナノ材料を添加できることを提案する。
【0029】
コーティング層における1次元ナノ材料の堆積方式が乱雑で不規則であり、隙間が多過ぎ、接触点が少ないなどの問題を解決するために、出願人は対応する解決手段を提案し、1次元ナノ材料の長さを、コーティング層に従って層ごとに減少させる(各材料層の1次元ナノ材料の長さの記述値の減少に具現化される)ことによって、長いナノ材料が堆積するときの孔隙が大きいため、下層であればあるほど、その隙間が大きくなり、1つ上の層の短いナノ材料はこれらの隙間をある程度充填することができ、層ごとに堆積すると、コーティング層の内部に隙間が多過ぎず、且つより多くの接触点があるため、熱が加えられる時、コーティング層の緊密な構造でもってセパレータの熱変形の発生を抑制することができ、それによりコーティングセパレータの耐熱性を向上させる。当該解決手段について、出願人は特許出願(出願番号:PCT/CN2022/077087、出願日:2022.02.21)をも提案し、本願はPCT/CN2022/077087の全ての内容を本明細書に組み込ませ、すなわちPCT/CN2022/077087の全ての内容はいずれも本願のサポートとすることができる。
【0030】
1次元ナノファイバーが層ごとに減少するという堆積方式による、1次元ナノファイバーの堆積密度が大き過ぎ、リチウムイオンの伝導チャネルを阻害し、リチウムイオンの伝導率に影響を与え、セパレータの性能が制限されるという問題を解決するために、出願人は対応する解決手段を提案し、1次元ナノ材料コーティング層にセラミックス粒子を導入することによりイオン伝導速度を効果的に高めることができる。当該解決手段について、出願人は特許出願(出願番号:PCT/CN2022/108551、出願日:2022.07.28)をも提案し、本願はPCT/CN2022/108551の全ての内容を本明細書に組み込ませ、すなわちPCT/CN2022/108551の全ての内容はいずれも本願のサポートとすることができる。
【0031】
しかしながら、出願人はさらなる研究において、上記解決手段はセラミックス粒子を利用して1次元ナノ材料の積層密度が大き過ぎることを回避することができ、それにより効果的なリチウムイオン伝導チャネルを形成することができ、リチウムイオンの伝導率を向上させるが、セパレータ全体の性能が依然として十分に理想的ではないことを発見した。研究及び試験により、出願人は、異なるナノファイバーの間のサイズの差が大き過ぎると、その表面エネルギーの差が大きいため表面エネルギーが近いナノファイバーが凝集しやすくなり、すなわち小さいサイズのナノファイバーの表面エネルギーが大きくなり、互いに凝集して凝集体を形成しやすく、そして大きいサイズのナノファイバーと接触混合することにその原因があることを発見した。このように小さいサイズのナノファイバーはそのあるべき性能を十分に発揮できなくなり、また、異なるサイズのナノファイバーに応じたセラミックス粒子の区分もされていないため、セパレータの性能が制限されるようになっている。
【0032】
この発見に基づき、出願人は一連の研究、試験及び検証により、本願の技術的解決手段を得た。1次元ナノファイバーの整然とした配列は出願人の1つの主要な技術的革新であるため、整然とした配列に基づいてさらに研究した問題及び得られた解決手段も主要な技術的革新であり、その研究過程全体は本解決手段の不可欠な一部とすべきであり、本願の進歩性を評価する時に1つの完全体として考慮されるべきである。
【0033】
図1を参照し、本発明の実施例はコーティングセパレータを提供し、前記コーティングセパレータは、ベース膜10及び前記ベース膜10に設置されたコーティング層構造を含み、前記コーティング層構造は第1のコーティング層20及び第2のコーティング層30を含み、ここで、第1のコーティング層20はベース膜10の表面に設置され、第2のコーティング層30は第1のコーティング層20のベース膜10から離れる側に設置され、第1のコーティング層20は第1のナノファイバー材料及び第1のセラミックス粒子22を含み、第2のコーティング層30は第2のナノファイバー材料及び第2のセラミックス粒子32を含み、第1のナノファイバー材料はいくつかの第1のナノファイバー21を含み、第2のナノファイバー材料はいくつかの第2のナノファイバー31を含み、各第1のナノファイバー21同士の長さの差は500nm以下であり、各第2のナノファイバー31同士の長さの差は200nm以下であり、且つ第1のナノファイバー21の長さは第2のナノファイバー31の長さより大きく、第1のセラミックス粒子22の平均粒子径は第2のセラミックス粒子32の平均粒子径より大きい。
【0034】
本発明の実施例は、異なるナノファイバーのサイズの差が大き過ぎることにより、その表面エネルギーの差が大きいため表面エネルギーが近いナノファイバーが凝集しやすくなり、すなわち小さいサイズのナノファイバーの表面エネルギーが大きくなり、互いに凝集して凝集体を形成しやすく、そして大きいサイズのナノファイバーと接触混合する。このように小さいサイズのナノファイバーはそのあるべき性能を十分に発揮できなくなることに鑑みて、サイズが近いナノファイバーを混合することにより、混合の均一度を大幅に向上させ、ナノファイバー(長さの差による)の凝集によるその分布均一性の差を減少させる。且つ第1のコーティング層を、大きいサイズの第1のナノファイバーと大きい粒子径の第1のセラミックス粒子とを混合したものとすることにより、細孔径が大きくて均一な第1の混合材料層を形成し、当該第1の混合材料層はベース膜の表面に設置され、その細孔径が大きくて骨格構造が強固なため、コーティングセパレータを、高い耐熱特性と高い透過性を維持するように維持することができ、第2のコーティング層を、小さいサイズの第2のナノファイバーと小さい粒子径の第2のセラミックス粒子とを混合したものとすることにより、細孔径が小さくて均一な第2の混合材料層を形成し、このように小さい細孔径のものはその毛細管作用のため電解液に対して強い吸着能力を備え、それによりリチウムイオンに対する伝導能力を向上させることができ、その結果、リチウムデンドライトが発生する可能性を低減させ、高温放置又は長時間サイクルによる電気化学的安定性のリスクを低減させる。それによりセパレータの性能を効果的に改善する。
【0035】
好ましい実施形態として、第1のナノファイバー21の長さは500~1000nmであり、例えば500nm、600nm、700nm、800nm、900nm、1000nmなどであってもよく、第1のセラミックス粒子22の平均粒子径は100~600nmであり、例えば、100nm、200nm、300nm、400nm、500nm、600nmなどであってもよい。第1のナノファイバー及び第1のセラミックス粒子を含む第1のコーティング層をベース膜の表面に設置して、大きい細孔径と強い骨格構造を形成することで、コーティングセパレータを、高い耐熱特性と高い透過性を維持するように維持することができる。
【0036】
好ましい実施形態として、第1のナノファイバー材料と第1のセラミックス粒子22との質量比は5:1~1:5であり、第1のナノファイバー材料と第1のセラミックス粒子22との質量比を当該範囲内に設定することにより、コーティング層を、優れた耐熱性及びリチウムイオン導電率を有するものに維持することができる。具体的な実施例として、第1のナノファイバー材料と第1のセラミックス粒子22との質量比は例えば5:1、4:1、3:1、2:1、1:1、1:2、1:3、1:4、1:5のうちのいずれか1つ又はいずれか2つの間の範囲であってもよい。当然のことながら、第1のナノファイバー材料と第1のセラミックス粒子との質量比は他の値であってもよく、具体的な数値は本発明を限定するものではなく、比が5:1~1:5の間であれば、いずれも本発明の保護範囲内にある。
【0037】
好ましい実施形態として、第2のナノファイバー31の長さは100~300nmであり、例えば100nm、150nm、200nm、250nm、300nmなどであってもよく、第2のセラミックス粒子32の平均粒子径は10~60nmであり、例えば、10nm、20nm、30nm、40nm、50nm、60nmなどであってもよい。第2のコーティング層は、第1のコーティング層に対してベース膜から離れる側に設置され、第2のナノファイバーと第2のセラミックス粒子との混合体であり、このように小さい細孔径のものはその毛細管作用のため電解液に対して強い吸着能力を備え、リチウムイオンに対する伝導能力を向上させ、その結果、リチウムデンドライトが発生する可能性を低減させ、高温放置又は長時間サイクルによる電気化学的安定性のリスクを低減させる。
【0038】
好ましい実施形態として、第2のナノファイバー材料と第2のセラミックス粒子32との質量比は5:1~1:5であり、第2のナノファイバー材料と第2のセラミックス粒子32との質量比を当該範囲内に設定することにより、コーティング層は優れた電池容量維持率及びリチウムイオン導電率を有するものになる。具体的な実施例として、第2のナノファイバー材料と第2のセラミックス粒子32のとの質量比は例えば5:1、4:1、3:1、2:1、1:1、1:2、1:3、1:4、1:5のうちのいずれか1つ又はいずれか2つの間の範囲であってもよい。当然のことながら、第2のナノファイバー材料と第2のセラミックス粒子との質量比は他の値であってもよく、具体的な数値は本発明を限定するものではなく、比が5:1~1:5の間であれば、いずれも本発明の保護範囲内にある。
【0039】
好ましい実施形態として、第1のナノファイバーの直径は5~50nmであり、第2のナノファイバーの直径は5~50nmである。
【0040】
好ましい実施形態として、第1のコーティング層20と第2のコーティング層30との厚さの比は2より大きくすることによって、コーティングセパレータの耐熱性をより効果的に向上させることができる。
【0041】
好ましい実施形態として、第1のコーティング層20と第2のコーティング層30との間には少なくとも1層の付加的なコーティング層がさらに含まれる。例えば、第1のコーティング層20と第2のコーティング層30との間には、1層の付加的なコーティング層、例えば第3のコーティング層がさらに含まれてもよく、又は2層の付加的なコーティング層、例えば第3のコーティング層及び第4のコーティング層が含まれてもよい。当然のことながら、他の数の付加的なコーティング層が含まれてもよい。ここで、付加的なコーティング層は、第1のコーティング層又は第2のコーティング層と同じ材料、サイズのものを選択してもよいし、異なる材料及びサイズのものを選択してもよい。すなわち、第1のコーティング層と第2のコーティング層との間に第3のコーティング層が設置され、前記第3のコーティング層は平均粒子径が100~600nmの第3のセラミックス粒子及び長さと直径との比が≦200の第3のナノファイバーを含み、且つ前記第3のセラミックス粒子及び第3のナノファイバーは第2のコーティング層とは材料及びサイズがいずれも異なるようにするか、又は第1のコーティング層と第2のコーティング層との間に第3のコーティング層が設置され、前記第3のコーティング層は平均粒子径が10~60nmの第3のセラミックス粒子及び長さと直径との比が≦60の第3のナノファイバーを含み、且つ前記第3のセラミックス粒子及び第3のナノファイバーは第1のコーティング層とは材料及びサイズがいずれも異なるようにする。なお、コーティングセパレータにおけるコーティング層の層数、異なる層間材料の選択及びサイズの設定は実際の要求に応じて調整することができ、それは本発明を限定するものとして理解できない。
【0042】
好ましい実施形態として、第2のセラミックス粒子32の表面に高速リチウムイオン伝導性官能基がグラフトされ、第2のセラミックス粒子の表面に大量に含まれる高速リチウムイオン伝導性官能基によりリチウムイオンの伝導能力を大幅に向上させることができる。さらに、前記高速リチウムイオン伝導性官能基は、ヒドロキシル(-OH)、カルボニル(-C=O)、フッ素(-F)、カルボキシル(-COOH)のうちのいずれか1種を含む。
【0043】
好ましい実施形態として、前記第1のセラミックス粒子22及び/又は前記第2のセラミックス粒子32は、200℃以上の融点を有し、電気絶縁性を有し、リチウム電池の使用範囲内で電気化学的に安定した無機化合物である。例えば、アルミナ、シリカ、酸化チタン、ジルコニア、マグネシア、セリア、イットリア、酸化亜鉛などの酸化物系セラミックス、窒化ケイ素、窒化チタン、窒化ホウ素などの窒化物系セラミックス、炭化ケイ素、炭酸カルシウム、硫酸マグネシウム、硫酸アルミニウム、塩基性アルミナ(Aluminum hydroxide oxide)、チタン酸カリウム、タルク、カオリナイト、カオリン、ナクライト、ハロイサイト、パイロフィライト、モンモリロナイト、セリサイト、マイカ、アメサイト、ベントナイト、アスベスト、ゼオライト、ケイ酸カルシウム、ケイ酸マグネシウム、珪藻土、ケイ砂などのセラミックスが挙げられ、これらは単独で使用されてもよいし、又は複数種を組み合わせて使用されてもよい。
【0044】
好ましい実施形態として、前記コーティングセパレータは少なくとも、
a)イオン導電率≧1.2mS/cm、
b)容量維持率≧98%
c)180℃/hでの熱収縮≦5%、
という条件のいずれか1つを満たす。
【0045】
また、図2を参照し、本発明の実施例は、第1の態様及びその選択的な解決手段に係るコーティングセパレータを製造するためのコーティングセパレータの製造方法をさらに提供し、前記製造方法は、第1のペーストの製造、第2のペーストの製造、及びコーティングによる製膜を含み、
S1、第1のペーストの製造においては、第1のセラミックス粒子及び第1のナノファイバー材料を含む第1のペーストを製造し、
S2、第2のペーストの製造においては、第2のセラミックス粒子及び第2のナノファイバー材料を含む第2のペーストを製造し、
S3、コーティングによる製膜においては、前記第1のペーストを前記ベース膜の少なくとも1つの表面にコーティングして第1のコーティング層を形成し、第2のペーストを前記第1のコーティング層の前記ベース膜から離れる側にコーティングして第2のコーティング層を形成する。
【0046】
具体的には、第1のペーストの製造は、第1のセラミックス粒子を第1の溶媒に分散させて第1のセラミックス分散液を得、第1のナノファイバー材料を第2の溶媒に分散させて第1のナノファイバー分散液を得、第1のセラミックス分散液と第1のナノファイバー分散液を混合して第1のペーストを得ることを含み、
第2のペーストの製造は、第2のセラミックス粒子を第3の溶媒に分散させて第2のセラミックス分散液を得、第2のナノファイバー材料を第4の溶媒に分散させて第2のナノファイバー分散液を得、第2のセラミックス分散液と第2のナノファイバー分散液を混合して第2のペーストを得ることを含む。
【0047】
ここで、第1の溶媒、第2の溶媒、第3の溶媒、第4の溶媒は、同じタイプの溶媒であってもよく、異なってもよいことが言うまでもなく、本発明はそれを限定しない。
【0048】
ここで、本発明は第1のペーストの製造と第2のペーストの製造の順序を限定せず、まず第2のペーストを製造し、そして第1のペーストを製造するようにしてもよい。
【0049】
一例では、第1の溶媒及び第3の溶媒はそれぞれ水、N-メチルピロリドン、エタノール、アセトンなどのうちの少なくとも1つから選ばれる。第1のセラミックス粒子及び第2のセラミックス粒子は、分散方式としては、高速撹拌、高圧均質化、サンドミル分散などの方式を採用してそれぞれ溶媒に均一に分散され、第1のセラミックス粒子、第2のセラミックス粒子の分散液における質量濃度はいずれも2%~40%である。
【0050】
一例では、第2の溶媒及び第4の溶媒はそれぞれ水、N-メチルピロリドン、エタノール、アセトンなどのうちの少なくとも1つから選ばれる。第1のナノファイバー材料と第2のナノファイバー材料は、分散方式としては、高速撹拌、高圧均質化、サンドミル分散などの方式を採用してそれぞれ溶媒に均一に分散され、第1のナノファイバー及び第2のナノファイバーの分散における質量濃度はいずれも2%~30%である。
【0051】
ここで、複数の第1のナノファイバーの長さは、長さの差が500nm以下であれば、すなわち適当なサイズ範囲内であれば、それぞれ異なってもよい。同様に、複数の第2のナノファイバーの長さは、長さの差が200nm以下であれば、すなわち適当なサイズ範囲内であれば、それぞれ異なってもよい。
【0052】
ここで、異なる長さのナノファイバーは、ナノファイバーの原料の選択に基づいて実現され、例えば、異なる材料のナノファイバー材料が選択される場合に、長さの異なるナノファイバーを形成できる可能性がある。
【0053】
他の部分の例では、異なる長さのナノファイバーは、対応する技術的解決手段により形成されてもよい。
【0054】
ナノファイバー材料の原料又は切断されたナノファイバー材料を切断し、1回又は複数回の切断により、長さの異なるナノファイバーを形成する。
【0055】
ここで、ナノファイバー材料の切断により、1種の長さのナノファイバー材料の原料に基づき、短いナノファイバー材料を形成することができ、例えば、ナノファイバー材料を原料の半分に切断してもよく、他の例において、半分切断の方式を採用せず実現してもよい。
【0056】
ナノファイバー材料の切断を実現できる任意の既存の手段又は改良手段は、いずれも本発明の実施例の具体例とすることができる。具体例において、ナノファイバー材料に対するエッチングにより実現してもよく、例えば、ナノファイバーに対するエッチングによりそれを原料の半分の長さにエッチングしてもよい。
【0057】
所望の階層化に基づき、原料に対する1回の切断、又は複数回の切断を実現することができ、例えば、まずナノファイバー材料を原料の長さの半分にエッチングし、次に一部分の長さの半分のナノファイバー材料を保留し、他部分の長さの半分のナノファイバー材料を切断し、四分の一の長さのナノファイバー材料を得、他の例において、長さの四分の一のナノファイバー材料の一部をさらに切断してもよく、切断回数は需要に応じて任意に設定することができる。
【0058】
当然のことながら、
1つのナノファイバー材料の原料の、他のナノファイバー材料の原料の一端への接合、
1つの接合されたナノファイバー材料の、ナノファイバー材料の原料の一端への接合、
1つの接合されたナノファイバー材料の、他の接合されたナノファイバー材料の一端への接合、の少なくとも1つの接合過程を実施し、1回又は複数回の接合により、長さの異なるナノファイバー材料を形成してもよい。
【0059】
このように、接合の対象は、ナノファイバー材料の原料の一端と他のナノファイバー材料の原料の一端であってもよく、ナノファイバー材料の原料の一端と接合されたナノファイバー材料の一端であってもよく、接合されたナノファイバー材料の一端と他の接合されたナノファイバー材料の一端であってもよい。
【0060】
ここで、ナノファイバー材料に対する接合により、1種の長さのナノファイバー材料の原料に基づいて、長いナノファイバー材料を形成することができ、例えば、2つのナノファイバー材料の原料を接合することによって、2倍の長さのナノファイバー材料を形成してもよく、他の例では、長さの異なるナノファイバー材料の原料(又は接合されたナノファイバー材料)を用いて実現してもよい。
【0061】
ナノファイバー材料の接合を実現できる任意の既存の手段又は改良手段は、いずれも本発明の実施例の具体例とすることができる。
【0062】
例えば、ヒドロキシル基官能基が大量に含まれた材料(例えばポリエチレングリコールPEG)に基づき、ナノファイバー材料の接合を実現してもよく、さらに、以上言及した接合は、
結合対象のナノファイバー材料とヒドロキシル基官能基が大量に含まれた材料(例えばPEG)を溶液に混合することと、
前記溶液にモレキュラーシーブ粒子を触媒として添加することと、
前記溶液を加熱し、そして冷却し、モレキュラーシーブスを濾過して除去し、接合されたナノファイバー材料を得られることと、を含んでもよい。
【0063】
具体例では、ナノセルロースを例とする。ナノセルロースの端部は中間領域よりヒドロキシルの含有量が明らかに高い。ナノセルロースの長さを増加させるために、ヒドロキシルの活性を十分に生かせることができ、そのやり方は、
(1)ナノセルロースをポリエチレングリコール(PEG)と混合し、PEGの分子量が50000~1000000g/molであり、PEGの質量比がナノセルロースの1%を占め、両者を十分に均一に撹拌し、対応する溶液を形成し、
(2)上記溶液に13Aモレキュラーシーブ粒子を加え、粒子のサイズが1mm~10mmであり、当該モレキュラーシーブが触媒であり、
(3)1~2時間かけて80まで水浴で加熱し、
(4)常温まで冷却し、13Aモレキュラーシーブ粒子を濾過して除去すると、接合されたナノセルロースを得るようになっている。
【0064】
以上の解決手段において、ヒドロキシル基官能基が大量に含まれた材料(例えばPEG)を加えることにより、ナノセルロース同士を架橋結合させることができ、モレキュラーシーブ(例えば13Aモレキュラーシーブ)を触媒とすることにより、PEGとナノセルロースとの間の重合反応を加速させることができ、最後にナノセルロース-PEG-ナノセルロースの構造を形成する。所望の階層化に基づき、原料に対する1回の接合、又は複数回の接合を実現することができ、例えば、まずナノファイバー材料の原料を原料の2倍に接合し、そして2倍の長さのナノファイバー材料の一部を保留し、他方の2倍の長さのナノファイバー材料を原料又は2倍の長さのナノファイバー材料に接合し、3倍の長さ又は4倍の長さのナノファイバー材料を得、他の例において、さらに接合してもよく、接合回数は必要に応じて任意に設定することができる。
【0065】
ここで、第1のセラミックス分散液と第1のナノファイバー分散液を混合して第1のペーストを得ることと、第2のセラミックス分散液と第2のナノファイバー分散液を混合して第2のペーストを得ることは両方とも以下をそれぞれ含む。第1のセラミックス分散液と第1のナノファイバー分散液を混合し、第1の混合溶液を得、第2のセラミックス分散液と第2のナノファイバー分散液を混合し、第2の混合溶液を得、混合方式としては、高速撹拌、高圧均質化、サンドミル分散などの方式を採用する。その後に第1の混合溶液と第2の混合溶液の両方に接着剤をそれぞれ加え、第1のペーストと第2のペーストを得る。ここで、接着剤は、ポリビニルアルコール、ポリアクリロニトリル、ポリアクリル酸、スチレンブタジエンゴム、カルボキシメチルセルロース、ポリフッ化ビニリデン、ポリビニルピロリドン及びポリイミドのうちの少なくとも1種である。接着剤はそれぞれ第1の混合溶液と第2の混合溶液中の固体質量の1%~10%を占める。
【0066】
一例では、コーティングによる製膜は、コーティング方式により、上記製造した第1のペーストをまずベース膜にコーティングし、乾燥して第1のコーティング層を得、その後に第1のコーティング層に第2のペーストをコーティングし、乾燥して前記コーティングセパレータを得ることである。コーティング方式は、スプレーコーティング、ディップコーティング、マイクログラビアロールコーティング、印刷コーティング、押出コーティング、ワイヤーバーコーティングのうちの少なくとも1つである。ベース膜は例えばポリオレフィンベース膜であり、厚さは3~30ミクロンであり、乾燥温度は40~130であり、コーティング速度は10~200m/minである。
【0067】
当然のことながら、乾燥は第1のペースト及び又は第2のペーストから第1のコーティング層及び又は第2のコーティング層を形成する方式の1種に過ぎず、第1のペースト及び又は第2のペーストは相転移の方式により第1のコーティング層及び又は第2のコーティング層を形成してもよい。第1のペースト及び又は第2のペーストからどのように第1のコーティング層及び又は第2のコーティング層を形成するかの方式に対して、本発明はその制限を行わない。
【0068】
ここで、好ましい形態として、セラミックスの分散の前に、セラミックスの選別及びセラミックスの前処理をさらに含み、具体的には以下のとおりである。
セラミックスの選別は具体的に、異なる粒子径の第1のセラミックス粒子及び第2のセラミックス粒子を選択し、ここで、前記第1のセラミックス粒子の平均粒子径を100~600nmとし、前記第2のセラミックス粒子の平均粒子径を10~60nmとすることであり、
セラミックスの前処理は具体的に、前記第2のセラミックス粒子を反応釜に加え、グラフト対象物を加えてグラフト反応を行い、前記第2のセラミックス粒子の表面に高速リチウムイオン伝導性官能基をグラフトすることである。具体的には、第2のセラミックス粒子を溶媒に加え、そして一緒に反応釜に入れ、さらにグラフト対象物を加え、一定の反応温度、反応圧力、反応時間をかけて、第2のセラミックス粒子に高速リチウムイオン伝導性官能基をグラフトすることができる。
【0069】
第2のセラミックス粒子については、特に限定せず、200℃以上の融点を有し、電気絶縁性が高く、リチウム電池の使用範囲内で電気化学的に安定した物質が好ましい。例えば、アルミナ、シリカ、酸化チタン、ジルコニア、マグネシア、セリア、イットリア、酸化亜鉛などの酸化物系セラミックス、窒化ケイ素、窒化チタン、窒化ホウ素などの窒化物系セラミックス、炭化ケイ素、炭酸カルシウム、硫酸マグネシウム、硫酸アルミニウム、塩基性アルミナ(Aluminum hydroxide oxide)、チタン酸カリウム、タルク、カオリナイト、カオリン、ナクライト、ハロイサイト、パイロフィライト、モンモリロナイト、セリサイト、マイカ、アメサイト、ベントナイト、アスベスト、ゼオライト、ケイ酸カルシウム、ケイ酸マグネシウム、珪藻土、ケイ砂などのセラミックスが挙げられ、これらは単独で使用されてもよいし、又は複数種を組み合わせて使用されてもよい。
【0070】
第1のセラミックス粒子についても特に限定せず、200℃以上の融点を有し、電気絶縁性が高く、リチウム電池の使用範囲内で電気化学的に安定した物質が好ましく、且つ第2のセラミックス粒子と同じ又は異なる無機材料を選択することができる。溶媒は、水、エタノール、アセトン、NMPなどのうちの少なくとも1つであり、グラフト対象物は、ポリカーボネート、ポリ乳酸、ポリウレタン、パーフルオロプロピルビニルエーテル、メチルイソプロピルケトンなどのうちの少なくとも1つである。反応温度は100~200℃であり、反応圧力は0.1~0.5Mpaであり、反応時間は10~50minである。反応が終了した後、液体溶媒を除去し、固体を残すと、高速リチウムイオン伝導性がグラフトされた第2のセラミックス粒子を得ることができる。
【0071】
これに基づき、セラミックスの分散は、具体的に、
前記第1のセラミックス粒子と前処理された第2のセラミックス粒子を第1の溶剤と第3の溶剤にそれぞれ分散させ、それぞれ第1のセラミックス分散液と第2のセラミックス分散液を得ることである。
【0072】
さらに、本発明の実施例は、本発明の第1の態様及びその選択的な解決手段に係るコーティングセパレータ又は本発明の第2の態様及びその選択的な解決手段を利用して製造されたコーティングセパレータを含む電池をさらに提供する。ここで、当該電池は例えばリチウム電池である。
【0073】
以下、本発明のいくつかの実施例の製品性能を実験により分析する。
【実施例1】
【0074】
本実施例は以下のステップによりコーティングセパレータを製造して得る。
【0075】
セラミックスの選別において、異なる粒子径の第1のセラミックス粒子及び第2のセラミックス粒子を選択し、ここで、前記第1のセラミックス粒子の平均粒子径を300nmとし、前記第2のセラミックス粒子の平均粒子径を40nmとし、前記第1のセラミックス及び第2のセラミックスはいずれもアルミナである。
【0076】
セラミックスの分散において、第1のセラミックス粒子、第2のセラミックス粒子を高速撹拌の方式によりN-メチルピロリドンにそれぞれ均一に分散させ、第1のセラミックス分散液及び第2のセラミックス分散液を得、ここで第1のセラミックス粒子の第1のセラミックス分散液における質量濃度、及び第2のセラミックス粒子の第2のセラミックス分散液における質量濃度はいずれも20%である。
【0077】
ナノ材料の分散において、異なる長さの第1のナノファイバー、第2のナノファイバーをN-メチルピロリドンにそれぞれ分散させ、第1のナノファイバー分散液及び第2のナノファイバー分散液を得る。ここで、第1のナノファイバーの長さL50は600nmであり、第2のナノファイバーの長さL50は300nmであり、分散方式は高速撹拌であり、第1のナノファイバー、第2のナノファイバーの分散剤における質量濃度はいずれも15%である。
【0078】
混合によるペーストの製造において、第1のセラミックス分散液と第1のナノファイバー分散液を混合し、第1の混合溶液を得、第2のセラミックス分散液と第2のナノファイバー分散液を混合し、第2の混合溶液を得、混合方式としては高速撹拌を採用し、その後に第1の混合溶液と第2の混合溶液に接着剤をそれぞれ加え、第1のペーストと第2のペーストを得る。接着剤はポリビニルアルコールであり、接着剤は第1の混合溶液と第2の混合溶液中の固体質量の8%をそれぞれ占め、第1のナノファイバーと第1のセラミックス粒子との質量比は1:1であり、第2のナノファイバーと第2のセラミックス粒子との質量比は1:1である。
【0079】
コーティングによる製膜において、コーティング方式により、第1のペーストを前記ベース膜の1つの表面にコーティングして乾燥し、ベース膜の表面に第1のコーティング層を形成し、半製品のコーティングセパレータを得、第1のコーティング層に前記第2のペーストをコーティングして乾燥し、第1のコーティング層の表面に第2のコーティング層を得、それによりコーティングセパレータを得る。ここで、ベース膜はポリエチレンベース膜であり、厚さは9ミクロンであり、乾燥温度は100であり、コーティング速度は100m/minである。得られた第1のコーティング層の厚みは0.8ミクロンであり、第2のコーティング層の厚みは0.3ミクロンである。
【0080】
ここで、第1のナノファイバー及び第2のナノファイバーは具体的に1次元ナノファイバーであり、それらはベース膜の表面に堆積し、層状構造(すなわち階層化された長さの異なるナノ材料)を形成し、ベース膜上に堆積する過程において、表面エネルギーのため、最も長い1次元ナノ材料(その表面エネルギーが最も大きく、最も不安定で、一旦小さい表面エネルギーの界面に接触すると、最も付着しやすい)は最初に堆積し、2番目に長いのはその次に堆積し、最も短いナノファイバーは最後に堆積し、このように、長い順に、徐々に堆積した層状構造が形成される。本発明は、サイズが近いナノファイバーを混合することにより、混合均一度を大幅に向上させ、サイズの差を減少させる。
【0081】
同様の手段を利用して実施例2~12及び比較例1~5を得、ここで、実施例1~12及び比較例1~5で得られた対応するセパレータの性能は表1を参照されたい。表1に示した製造パラメータの差以外に、全ての実施例及び比較例は他の点においていずれも実施例1と一致するため、ここでは説明を省略する。
【0082】
ここで、表1に示す実施例12は、S2のセラミックスの分散の前に第2のセラミックス粒子に対してセラミックスの前処理のステップを行った点のみが実施例1と異なり、第2のセラミックス粒子を溶媒に加え、そして一緒に反応釜に入れ、さらにグラフト対象物を加え、一定の反応温度、反応圧力、反応時間を維持し、第2のセラミックス粒子に高速リチウムイオン伝導性官能基をグラフトした。溶媒はアセトンであり、グラフト対象物はポリカーボネートである。反応温度は150℃であり、反応圧力は0.3Mpaであり、反応時間は20minである。反応が終了した後、液体溶媒を除去し、固体を残すと、高速リチウムイオン伝導性がグラフトされた第2のセラミックス粒子を得ることができる。
【0083】
【表1-1】
【表1-2】
【表1-3】
【表1-4】
【0084】
表1から、実施例1~12の比較により分かるように、第1のナノファイバーと第1のセラミックス粒子が混合され、第2のナノファイバーと第2のセラミックス粒子が混合されると、180℃での熱収縮が5%より小さく、リチウムイオンの導電率が1.2mS/cmより大きく、30日間の電池の容量維持率が98%以上であった。第1のコーティング層の厚さが薄くなり、第2のコーティング層の厚さが増加すると、耐熱性が低下し(実施例1、2、3)、これは主に第1のナノファイバー及び第1のセラミックス粒子が主骨格であり、ベース膜と直接に接触するため、第1のナノファイバーと第1のセラミックス粒子からなる第1のコーティング層は耐熱性が直接に向上し、第1のコーティング層の厚さが薄くなると、耐熱性の低下が直接に具現化される。第2のナノファイバーと第2のセラミックス粒子からなる第2のコーティング層は極板と直接に接触し、且つその均一性が電池の容量維持率を直接に決定し、均一性が高ければ高いほど、電池の容量維持率が高くなり、第2のコーティング層の厚さはコーティング層構造全体の均一性を大幅に向上させることができるため、第2のコーティング層の厚さの増加につれ、電池の容量維持率は向上している(実施例1、2、3)。
【0085】
実施例1、実施例5、比較例3の比較から分かるように、第2のコーティング層中の第2のセラミックス粒子の粒子径が大き過ぎると、高温放置された電池の容量維持率は低下し(比較例3)、第2のコーティング層中の第2のセラミックス粒子の粒子径が小さくなると、リチウムイオンの導電性は低下している(実施例1、実施例5)。実施例1、実施例7の比較から分かるように、第2のコーティング層中の第2のナノファイバーの長さが減少すると、リチウムイオンの導電率は低下し、この現象を引き起こす原因は、第2のナノファイバーの長さが増大することにより、第2のコーティング層における細孔径分布の不規則さが増加し、電池の容量維持率が低下し、第2のナノファイバーの長さが小さくなることにより、細孔径が狭くなり、リチウムイオン伝導チャネルが小さくなることである。しかし、実施例12に示すように、第2のセラミックス粒子に高速リチウムイオン伝導性官能基をグラフトすることにより、リチウムイオンの導電率をさらに向上させることができる。
【0086】
実施例1、比較例2、比較例4の比較から分かるように、第1のコーティング層中の第1のセラミックス粒子径が増加すると、セパレータの耐熱性が低下し、第1のコーティング層中の第1のナノファイバーの長さが長くなると、セパレータの耐熱性も低下している。この現象を引き起こす主な原因は、セラミックス粒子径及びナノファイバーのサイズが増加し過ぎると、コーティング層材料の間の隙間が増大し、ベース膜との接触点が限られるようになることであり、セパレータに熱が加えられる時、その収縮を効果的に抑制できないことで具現化される。
【0087】
実施例1、比較例1、比較例5の比較から分かるように、ナノファイバーとセラミックス粒子が不規則に分布される場合に、高温放置された電池の容量維持率は95%に過ぎず、階層化の場合よりはるかに低い。第1のナノファイバーと第2のセラミックス粒子、第2のナノファイバーと第1のセラミックス粒子が混合されると、リチウムイオンの導電率、高温放置された電池の容量維持率、耐熱性はさらに低下している。この現象を引き起こす原因はナノファイバーとセラミックス粒子が不規則に分布される場合に、コーティング層の細孔径の均一性が低くなり、細孔径の大きさが異なり、高温放置された電池の容量維持率の低下をもたらすことである。第1のコーティング層のナノファイバー材料が第2のナノファイバーからなり、第2のコーティング層のナノファイバー材料が第1のナノファイバーからなる場合に、ナノファイバーとセラミックスとのサイズの差が大きくなるため、混合の一致性が低下する一方、第2のコーティング層への第のナノファイバーの導入は細孔径及びその不一致性を大幅に増加し、これにより高温放置された電池の容量維持率は大幅に低下する。第1のコーティング層への第のナノファイバーの導入は骨格の剛性を低下させ、高温での耐熱性は低下する。
【0088】
本明細書の説明において、「一実施形態」、「一実施例」、「具体的な実施過程」、「一例」などの用語を使用した説明は、当該実施例又は例を参照して説明した具体的な特徴、構造、材料、又は特性が、本発明の少なくとも1つの実施例又は例に含まれることを意味する。本明細書において、上記用語の例示的な表現は、必ずしも同じ実施例又は例を指すものではない。さらに、説明された具体的な特徴、構造、材料、又は特性は、いずれか1つ又は複数の実施例又は例において適切な方式で結合することができる。
【0089】
最後に、以上の各実施例は本発明の技術的解決手段を説明するためのみに用いられ、それを制限するものではなく、前述した各実施例を参照して本発明について詳細に説明したが、当業者であれば、依然として前述した各実施例に記載の技術的解決手段を修正し、又はその中の一部又は全部の技術的特徴に対して等価置換を行うことができ、これらの修正又は置換が対応する技術的解決手段の本質を本発明の各実施例の技術的解決手段の範囲から逸脱させないことを理解できるであろう。
【符号の説明】
【0090】
10、ベース膜
20、第1のコーティング層
21、第1のナノファイバー
22、第1のセラミックス粒子
30、第2のコーティング層
31、第2のナノファイバー
32、第2のセラミックス粒子
【手続補正2】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベース膜及び前記ベース膜の少なくとも1つの表面に設置されたコーティング層構造を含むコーティングセパレータであって、
前記コーティング層構造は第1のコーティング層及び第2のコーティング層を少なくとも含み、ここで、前記第1のコーティング層は前記ベース膜の少なくとも1つの表面に設置され、前記第2のコーティング層は前記第1のコーティング層の前記ベース膜から離れる側に設置され、前記第1のコーティング層は第1のナノファイバー材料及び第1のセラミックス粒子を含み、前記第2のコーティング層は第2のナノファイバー材料及び第2のセラミックス粒子を含み、
前記第1のナノファイバー材料はいくつかの第1のナノファイバーを含み、前記第2のナノファイバー材料はいくつかの第2のナノファイバーを含み、
前記いくつかの第1のナノファイバー同士の長さの差は500nm以下であり、前記いくつかの第2のナノファイバー同士の長さの差は200nm以下であり、且つ第1のナノファイバーの長さは第2のナノファイバーの長さより大きく、前記第1のセラミックス粒子の平均粒子径は前記第2のセラミックス粒子の平均粒子径より大きいことを特徴とする、コーティングセパレータ。
【請求項2】
前記第1のナノファイバーの長さは500~1000nmであり、前記第1のセラミックス粒子の平均粒子径は100~600nmであることを特徴とする、請求項1に記載のコーティングセパレータ。
【請求項3】
前記第1のナノファイバー材料と前記第1のセラミックス粒子との質量比は5:1~1:5であることを特徴とする、請求項2に記載のコーティングセパレータ。
【請求項4】
前記第2のナノファイバーの長さは100~300nmであり、前記第2のセラミックス粒子の平均粒子径は10~60nmであることを特徴とする、請求項1に記載のコーティングセパレータ。
【請求項5】
前記第2のナノファイバー材料と前記第2のセラミックス粒子との質量比は5:1~1:5であることを特徴とする、請求項4に記載のコーティングセパレータ。
【請求項6】
前記第1のナノファイバーの直径は5~50nmであり、前記第2のナノファイバーの直径は5~50nmであることを特徴とする、請求項1に記載のコーティングセパレータ。
【請求項7】
前記第1のコーティング層と前記第2のコーティング層との厚さの比は2より大きいことを特徴とする、請求項1に記載のコーティングセパレータ。
【請求項8】
前記第1のコーティング層と前記第2のコーティング層との間には少なくとも1層の付加的なコーティング層がさらに含まれることを特徴とする、請求項1に記載のコーティングセパレータ。
【請求項9】
前記第2のセラミックス粒子の表面に高速リチウムイオン伝導性官能基がグラフトされ、
さらに、前記高速リチウムイオン伝導性官能基は、ヒドロキシル(-OH)、カルボニル(-C=O)、フッ素(-F)、カルボキシル(-COOH)のうちのいずれか1種を含むことを特徴とする、請求項1に記載のコーティングセパレータ。
【請求項10】
前記第1のセラミックス粒子及び前記第2のセラミックス粒子のうちの少なくとも1つは、200℃以上の融点を有し、電気絶縁性を有し、リチウム電池の使用範囲内で電気化学的に安定した無機化合物であることを特徴とする、請求項1に記載のコーティングセパレータ。
【請求項11】
前記コーティングセパレータは少なくとも、
a)イオン導電率≧1.2mS/cm、
b)容量維持率≧98%、
c)180℃/hでの熱収縮≦5%、
という条件のいずれか1つを満たすことを特徴とする、請求項1に記載のコーティングセパレータ。
【請求項12】
請求項1に記載のコーティングセパレータを製造するためのコーティングセパレータの製造方法であって、前記製造方法は、ペーストの製造及びコーティングによる製膜を含み、
ペーストの製造においては、第1のセラミックス粒子及び第1のナノファイバー材料を含む第1のペーストを製造し、第2のセラミックス粒子及び第2のナノファイバー材料を含む第2のペーストを製造し、
コーティングによる製膜においては、前記第1のペーストを前記ベース膜の少なくとも1つの表面にコーティングして第1のコーティング層を形成し、第2のペーストを前記第1のコーティング層の前記ベース膜から離れる側にコーティングして第2のコーティング層を形成し、
さらに、
第1のペーストの製造は、第1のセラミックス粒子を第1の溶媒に分散させて第1のセラミックス分散液を得、第1のナノファイバー材料を第2の溶媒に分散させて第1のナノファイバー分散液を得、第1のセラミックス分散液と第1のナノファイバー分散液を混合して第1のペーストを得ることを含み、
第2のペーストの製造は、第2のセラミックス粒子を第3の溶媒に分散させて第2のセラミックス分散液を得、第2のナノファイバー材料を第4の溶媒に分散させて第2のナノファイバー分散液を得、第2のセラミックス分散液と第2のナノファイバー分散液を混合して第2のペーストを得ることを含むことを特徴とする、コーティングセパレータの製造方法。
【請求項13】
前記ペーストの製造の前に、前記方法は、さらに、セラミックスの選別を含み、
セラミックスの選別においては、異なる粒子径の第1のセラミックス粒子及び第2のセラミックス粒子を選択し、ここで、前記第1のセラミックス粒子の平均粒子径を100~600nmとし、前記第2のセラミックス粒子の平均粒子径を10~60nmとすることを特徴とする、請求項12に記載のコーティングセパレータの製造方法
【請求項14】
ラミックスの前処理をさらに含み、セラミックスの前処理においては、前記第2のセラミックス粒子に対してグラフト対象物とのグラフト反応を行い、前記第2のセラミックス粒子の表面に高速リチウムイオン伝導性官能基をグラフトさせることを特徴とする、請求項12に記載のコーティングセパレータの製造方法。
【請求項15】
前記グラフト対象物は、ポリカーボネート、ポリ乳酸、ポリウレタン、パーフルオロプロピルビニルエーテル、メチルイソプロピルケトンのうちのいずれか1種を含むことを特徴とする、請求項14に記載のコーティングセパレータの製造方法。
【請求項16】
請求項1~11のいずれか1項に記載のコーティングセパレータを含むか、又は請求項12~15のいずれか1項に記載のコーティングセパレータの製造方法で製造して得られたコーティングセパレータを含む電池であって、
さらに、前記電池はリチウム電池であることを特徴とする、電池。
【国際調査報告】