(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-12-24
(54)【発明の名称】高剛性二軸配向ポリエチレンフィルム
(51)【国際特許分類】
C08J 5/18 20060101AFI20241217BHJP
B32B 27/32 20060101ALI20241217BHJP
C08F 10/02 20060101ALI20241217BHJP
【FI】
C08J5/18 CES
B32B27/32 E
C08F10/02
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024526606
(86)(22)【出願日】2022-11-09
(85)【翻訳文提出日】2024-05-20
(86)【国際出願番号】 US2022079549
(87)【国際公開番号】W WO2023086825
(87)【国際公開日】2023-05-19
(32)【優先日】2021-11-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】502141050
【氏名又は名称】ダウ グローバル テクノロジーズ エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100092783
【氏名又は名称】小林 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100095360
【氏名又は名称】片山 英二
(74)【代理人】
【識別番号】100120134
【氏名又は名称】大森 規雄
(72)【発明者】
【氏名】ワン、ジエン
【テーマコード(参考)】
4F071
4F100
4J100
【Fターム(参考)】
4F071AA16X
4F071AA81X
4F071AA82X
4F071AA88X
4F071AF20Y
4F071AF30Y
4F071AH04
4F071BB06
4F071BB08
4F071BC01
4F071BC12
4F100AK05A
4F100AK05B
4F100AK05C
4F100AK63D
4F100AK63E
4F100AR00A
4F100AR00C
4F100BA03
4F100BA05
4F100BA10A
4F100BA10C
4F100BA10D
4F100BA10E
4F100BA16
4F100EH202
4F100EH20A
4F100EH20B
4F100EH20C
4F100EH20D
4F100EH20E
4F100EJ38
4F100JA06A
4F100JA06B
4F100JA06C
4F100JA07A
4F100JA07B
4F100JA07C
4F100JA13A
4F100JA13B
4F100JA13C
4F100JK07
4F100JN30
4F100YY00
4F100YY00A
4F100YY00B
4F100YY00C
4J100AA02P
4J100AA16Q
4J100DA01
4J100DA04
4J100DA05
4J100DA15
4J100DA42
4J100DA49
4J100DA62
4J100FA09
4J100FA10
4J100JA58
4J100JA59
(57)【要約】
少なくとも1つの層を有するフィルムであって、層は、0.8g/10分~5.0g/10分であるメルトインデックス(I2)と、0.950g/cc~0.965g/ccである密度と、10~20である多分散度(Mw/Mn)と、500,000g/mol~1,000,000g/molである分子量(Mz)と、を含む多峰性高密度ポリエチレンを含む、フィルム。フィルムは、二軸配向ポリエチレンフィルムである。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの層を含むフィルムであって、前記少なくとも1つの層は、
0.8g/10分~5.0g/10分であるメルトインデックス(I
2)と、
0.950g/cc~0.965g/ccである密度と、
10~20である多分散度(Mw/Mn)と、
500,000g/mol~1,000,000g/molである分子量(Mz)と、を含む、多峰性高密度ポリエチレンを含み、
前記フィルムは、二軸配向ポリエチレンフィルムであり、
前記フィルムは、元の長さの5~6倍の延伸比で機械方向に延伸され、元の幅の6~8倍の延伸比で横方向に延伸される、フィルム。
【請求項2】
前記多峰性高密度ポリエチレンは、1.0g/10分~3.0g/10分であるメルトインデックス(I
2)を含む、請求項1に記載のフィルム。
【請求項3】
前記多峰性高密度ポリエチレンは、0.955g/cc~0.960g/ccである密度を含む、請求項1又は2に記載のフィルム。
【請求項4】
前記多峰性高密度ポリエチレンは、10~15である多分散度(Mw/Mn)を含む、請求項1~3のいずれか一項に記載のフィルム。
【請求項5】
前記多峰性高密度ポリエチレンは、550,000g/mol~900,000g/molである分子量Mzを含む、請求項1~4のいずれか一項に記載のフィルム。
【請求項6】
前記多峰性高密度ポリエチレンは、5.0~15.0であるメルトインデックス比(I
10/I
2)を含む、請求項1~5のいずれか一項に記載のフィルム。
【請求項7】
前記多峰性高密度ポリエチレンは、110,000g/mol~135,000g/molである分子量Mwを含む、請求項1~6のいずれか一項に記載のフィルム。
【請求項8】
前記多峰性高密度ポリエチレンは、9,000g/mol~10,000g/molである分子量Mnを含む、請求項1~7のいずれか一項に記載のフィルム。
【請求項9】
二軸配向多層フィルムであって、
多峰性高密度ポリエチレンを含むコア層であって、前記多峰性高密度ポリエチレンは、
0.8g/10分~5.0g/10分であるメルトインデックス(I
2)と、
0.950g/cc~0.965g/ccである密度と、
10~20である多分散度(Mw/Mn)と、
500,000g/mol~1,000,000g/molである分子量(Mz)と、を含む、コア層と、
前記コア層の第1の側に位置付けられた第1の層と、
前記コア層の第2の側に位置付けられた第2の層と、を含む、二軸配向多層フィルム。
【請求項10】
前記第1の層及び前記第2の層のうちの少なくとも1つは、
0.8g/10分~5.0g/10分であるメルトインデックス(I
2)と、
0.950g/cc~0.965g/ccである密度と、
10~20である多分散度(Mw/Mn)と、
500,000g/mol~1,000,000g/molである分子量(Mz)と、を含む多峰性高密度ポリエチレンを含む、請求項9に記載の二軸配向した二軸配向多層フィルム。
【請求項11】
前記第1の層及び前記第2の層は、同じ材料から作製される、請求項9又は10に記載の二軸配向多層フィルム。
【請求項12】
前記第1の層の第1の側は、前記コア層の前記第1の側に位置付けられ、前記第2の層の第1の側は、前記コア層の前記第2の側に位置付けられ、
第3の層は、前記第1の層の第2の側に位置付けられ、
第4の層は、前記第2の層の第2の側に位置付けられる、請求項9~11のいずれか一項に記載の二軸配向多層フィルム。
【請求項13】
前記多層フィルムは、2%~70%のヘイズを含む、請求項9~12のいずれか一項に記載の二軸配向多層フィルム。
【請求項14】
前記多層フィルムは、500MPa~2500MPaであるMD(機械方向)における1%割線弾性係数を含む、請求項9~13のいずれか一項に記載の二軸配向多層フィルム。
【請求項15】
請求項1~8のいずれか一項に記載のフィルム又は請求項9~14のいずれか一項に記載の多層フィルムを含む物品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、2021年11月12日に出願された「HIGH STIFFNESS BIAXIALLY ORIENTED POLYETHYLENE FILMS」と題する米国特許出願第63/278,749号の利益及び優先権を主張するものであり、その内容全体が参照により本開示に組み込まれている。
【0002】
(発明の分野)
本開示の実施形態は、全般的には、二軸配向ポリエチレン(biaxially oriented polyethylene、BOPE)フィルムに関し、特に、高い剛性を有するBOPEフィルムに関する。
【背景技術】
【0003】
包装のリサイクルを容易にするために、積層可撓性食品包装にBOPEフィルムを使用することが市場で望まれている。いくつかの市販のBOPEフィルムは、優れた光学特性及び靭性を提供するが、剛性及び耐熱性の欠如により、そのようなBOPEフィルムの使用が比較的狭い範囲の用途に限定されている。積層BOPE可撓性包装における剛性を増加させる際の課題は、ロバストな加工ウィンドウを依然として維持しながら全体的なフィルム密度/剛性を可能にするフィルム構造に組み込むことができる、高密度ポリエチレン(high density polyethylene、HDPE)のレベルである。
【0004】
したがって、リサイクル可能であり、好適な剛性及び良好な加工性を有するBOPE多層フィルムが依然として必要とされている。
【発明の概要】
【0005】
本明細書に記載されるHDPEを組み込むBOPEフィルムの実施形態は、改善された剛性及び加工性ウィンドウを有するBOPEフィルムを提供することによって、これらの必要性を満たす。
【0006】
第1の態様では、本発明は、少なくとも1つの層を含むフィルムに関し、少なくとも1つの層は、0.8g/10分~5.0g/10分であるメルトインデックス(I2)と、0.950g/cc~0.965g/ccである密度と、10~20である多分散度(Mw/Mn)と、500,000g/mol~1,000,000g/molである分子量(Mz)と、を含む多峰性高密度ポリエチレンを含み、フィルムは、二軸配向ポリエチレンフィルムである。
【0007】
第2の態様では、本発明は、多峰性高密度ポリエチレンが、1.0g/10分~3.0g/10分であるメルトインデックス(I2)を含む、第1の態様に記載のフィルムに関する。
【0008】
第3の態様は、多峰性高密度ポリエチレンが、0.955g/cc~0.960g/ccである密度を含む、第1又は第2の態様に記載のフィルムを含む。
【0009】
第4の態様は、多峰性高密度ポリエチレンが、10~15である多分散度(Mw/Mn)を含む、第1~第3の態様のいずれか1つに記載のフィルムを含む。
【0010】
第5の態様は、多峰性高密度ポリエチレンが、550,000g/mol~900,000g/molである分子量Mzを含む、第1~第4の態様のいずれか1つに記載のフィルムを含む。
【0011】
第6の態様は、多峰性高密度ポリエチレンが、5.0~15.0であるメルトインデックス比(I10/I2)を含む、第1~第5の態様のいずれか1つに記載のフィルムを含む。
【0012】
第7の態様は、多峰性高密度ポリエチレンが、110,000g/mol~135,000g/molである分子量Mwを含む、第1~第6の態様のいずれか1つに記載のフィルムを含む。
【0013】
第8の態様は、多峰性高密度ポリエチレンが、9,000g/mol~10,000g/molである分子量Mnを含む、第1~第7の態様のいずれか1つに記載のフィルムを含む。
【0014】
第9の態様は、多層フィルムであって、0.8g/10分~5.0g/10分であるメルトインデックス(I2)と、0.950g/cc~0.965g/ccである密度と、10~20である多分散度(Mw/Mn)と、500,000g/mol~1,000,000g/molである分子量(Mz)と、を含む多峰性高密度ポリエチレンを含むコア層と、コア層の第1の側に位置付けられた第1の層と、コア層の第2の側に位置付けられた第2の層と、を含む多層フィルムを含む。
【0015】
第10の態様は、第1の層及び第2の層のうちの少なくとも1つが、0.8g/10分~5.0g/10分であるメルトインデックス(I2)と、0.950g/cc~0.965g/ccである密度と、10~20である多分散度(Mw/Mn)と、500,000g/mol~1,000,000g/molである分子量(Mz)と、を含む多峰性高密度ポリエチレンを含む、第9の態様に記載の多層フィルムを含む。
【0016】
第11の態様は、第1の層及び第2の層が、同じ材料から作製される、第9の態様又は第10の態様に記載の多層フィルムを含む。
【0017】
第12の態様は、第1の層の第1の側が、コア層の第1の側に位置付けられ、第2の層の第1の側が、コア層の第2の側に位置付けられ、第3の層が、第1の層の第2の側に位置付けられ、第4の層が、第2の層の第2の側に位置付けられる、第9~第11の態様のいずれか1つに記載の多層フィルムを含む。
【0018】
第13の態様は、多層フィルムが、2%~70%のヘイズを含む、第9~第12の態様のいずれか1つに記載の多層フィルムを含む。
【0019】
第14の態様は、多層フィルムが、500MPa~2500MPaであるMD(機械方向)における1%割線弾性係数を含む、第9~第13の態様のいずれか1つに記載の多層フィルムを含む。
【0020】
第15の態様は、第1~第8の態様のいずれか1つに記載のフィルム又は第9~第14の態様のいずれか1つに記載の多層フィルムを含む、可撓性パッケージ、サシェ、パウチ、又はスタンドアップパウチを含む。
【0021】
これらの及び他の実施形態は、以下の発明を実施するための形態及び図面においてより詳細に説明される。
【発明を実施するための形態】
【0022】
ここで、本出願の特定の実施形態を説明する。しかしながら、本開示は、異なる形態で具体化されてもよく、本開示に記載される実施形態に限定されると解釈されるべきではない。むしろ、これらの実施形態は、この開示が、徹底的かつ完全なものとなり、本主題の範囲を当業者に十分に伝えるものとなるように提供される。
【0023】
定義
「ポリマー」という用語は、同じ又は異なる種類のモノマーにかかわらず、モノマーを重合することによって調製された重合体化合物を指す。したがって、ポリマーという総称は、1つの種類のモノマーのみから調製されたポリマーを指すために通常用いられる「ホモポリマー」という用語、同様に2つ以上の異なるモノマーから調製されたポリマーを指す「コポリマー」を包含する。本明細書で使用される場合、「インターポリマー」という用語は、少なくとも2つの異なるタイプのモノマーの重合によって調製されたポリマーを指す。したがって、インターポリマーという総称は、コポリマーと、ターポリマーなどの3つ以上の異なる種類のモノマーから調製されたポリマーとを含む。
【0024】
「ポリエチレン」又は「エチレン系ポリマー」は、50モル%超のエチレンモノマーに由来している単位を含むポリマーを意味するものとする。これは、ポリエチレンホモポリマー又はコポリマー(2つ以上のコモノマーに由来する単位を意味する)を含む。当該技術分野において周知のポリエチレンの一般的な形態としては、低密度ポリエチレン(Low Density Polyethylene、LDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(Linear Low Density Polyethylene、LLDPE)、極低密度ポリエチレン(Ultra Low Density Polyethylene、ULDPE)、超低密度ポリエチレン(Very Low Density Polyethylene、VLDPE)、中密度ポリエチレン(Medium Density Polyethylene、MDPE)、及び高密度ポリエチレン(HDPE)が挙げられる。
【0025】
「LDPE」という用語はまた、「高圧エチレンポリマー」又は「高度分岐ポリエチレン」と称されてもよく、ポリマーが、ペルオキシドなどのフリーラジカル開始剤を用いて、14,500psi(100MPa)超の圧力でオートクレーブ又は管型反応器中で部分的又は完全にホモポリマー化されるか、又はコポリマー化されることを意味するように定義される(例えば、参照により本明細書に組み込まれる米国特許第4,599,392号を参照のこと)。LDPE樹脂は、典型的には、0.916~0.935g/cmの範囲内の密度を有する。
【0026】
「LLDPE」という用語は、チーグラー・ナッタ触媒系を使用して作製される樹脂、並びに限定されるものではないが、ビス-メタロセン触媒(「m-LLDPE」と称されることもある)及び幾何拘束型触媒を含むシングルサイト触媒を使用して作製される樹脂、及びポスト-メタロセン、分子触媒を使用して作製された樹脂を含む。LLDPEには、線状の、実質的に線状の、又は不均一な、ポリエチレンコポリマー又はホモポリマーが含まれる。LLDPEは、LDPEよりも少ない長鎖分岐を含有し、米国特許第5,272,236号、同第5,278,272号、同第5,582,923号、及び同第5,733,155号に更に定義されている、実質的に直鎖状エチレンポリマー;米国特許第3,645,992号のものなどの、均質に分岐した線状エチレンポリマー組成物、米国特許第4,076,698号に開示されているプロセスに従って調製されるものなどの不均質分岐エチレンポリマー、及び/又はこれらのブレンド(米国特許第3,914,342号又は同第5,854,045号に開示されているものなど)が挙げられる。LLDPE樹脂は、当該技術分野において既知の任意の種類の反応器又は反応器構成を使用して、気相、溶液相、若しくはスラリー重合、又はそれらの任意の組み合わせを介して作製され得る。
【0027】
「MDPE」という用語は、0.926~0.945g/ccの密度を有するポリエチレンを指す。「MDPE」は、典型的には、クロム若しくはチーグラー・ナッタ触媒、を使用して、又はビス-メタロセン触媒及び拘束幾何形状触媒を含むがこれらに限定されないシングルサイト触媒を使用して調製される。
【0028】
「HDPE」という用語は、概して、チーグラー・ナッタ触媒、クロム触媒、又はビス-メタロセン触媒及び拘束幾何触媒を含むがこれらに限定されないシングルサイト触媒を用いて調製される、約0.945g/cc超で最大約0.980g/ccの密度を有するポリエチレンを指す。
【0029】
「ULDPE」という用語は、概して、チーグラー・ナッタ触媒、限定されるものではないが、ビス-メタロセン触媒及び拘束幾何触媒を含むシングルサイト触媒、並びにポストメタロセン、分子触媒で調製される、0.880~0.909g/ccの密度を有するポリエチレンを指す。本明細書で使用される場合、「プロピレン系ポリマー」という用語は、プロピレンモノマーに由来する50重量%を超える単位を含むポリマーを指す重合形態で、含むポリマーを指す。これは、プロピレンホモポリマー、ランダムコポリマーポリプロピレン、インパクトコポリマーポリプロピレン、プロピレン/α-オレフィンインターポリマー、及びプロピレン/α-オレフィンコポリマーを含む。これらのポリプロピレン材料は、概して、当該技術分野において既知である。
【0030】
「多層フィルム」とは、2つ以上の層を有する任意の構造体を意味する。例えば、多層構造体は、2、3、4、5、又はそれ以上の層を有し得る。多層フィルムは、文字で示される層を有するものとして説明され得る。例えば、コア層B、並びに2つの外側層A及びCを有する3層構造体は、A/B/Cとして示され得る。同様に、2つのコア層B及びC、並びに2つの外部層A及びDを有する構造は、A/B/C/Dとして示すことになる。追加的に、当業者は、更なる層E、F、Gなどもまた、この構造体に組み込まれ得ることを知るであろう。
【0031】
本明細書で使用される場合、「多峰性」は、様々な密度及び重量平均分子量を有する少なくとも2つのポリマー副成分を有することを特徴とすることができ、任意選択的に、異なるメルトインデックス値も有し得る組成物を意味する。一実施形態では、多峰性は、分子量分布を示すゲル浸透クロマトグラフィ(Gel Permeation Chromatography、GPC)のクロマトグラムにおいて少なくとも2つの異なるピークを有することによって定義され得る。別の実施形態では、多峰性は、短鎖分岐分布を示す結晶化溶出分別(Crystallization Elution Fractionation、CEF)クロマトグラムにおいて、少なくとも2つの別個のピークを有することによって定義され得る。多峰性には、2つのピークを有する樹脂、及び3つ以上のピーク、例えば、3つのピーク又は4つのピークを有する樹脂が含まれる。
【0032】
ここで、本開示のBOPEフィルムの実施形態を詳細に参照し、BOPEフィルムは、本明細書に開示かつ記載される多峰性HDPEを含む。いくつかの実施形態は、本明細書に開示かつ記載される多峰性HDPEを含む少なくとも1つの層を有する多層フィルムを含む。
【0033】
本明細書に開示かつ記載されるBOPEフィルムは、0.5g/10分~10.0g/10分であるメルトインデックス(I2)と、0.940g/cc~0.965g/ccである密度と、10~20である多分散度(Mw/Mn)と、500,000g/mol~1,000,000g/molである分子量(Mz)と、を有する多峰性HDPEを含む、少なくとも1つの層を有する。
【0034】
高密度ポリエチレン
実施形態では、多峰性HDPEは、0.8g/10分~5.0g/10分、例えば、1.0g/10分~5.0g/10分、1.5g/10分~5.0g/10分、2.0g/10分~5.0g/10分、2.5g/10分~5.0g/10分、3.0g/10分~5.0g/10分、3.5g/10分~5.0g/10分、4.0g/10分~5.0g/10分、4.5g/10分~5.0g/10分、0.8g/10分~4.5g/10分、1.0g/10分~4.5g/10分、1.5g/10分~4.5g/10分、2.0g/10分~4.5g/10分、2.5g/10分~4.5g/10分、3.0g/10分~4.5g/10分、3.5g/10分~4.5g/10分、4.0g/10分~4.5g/10分、0.8g/10分~4.0g/10分、1.0g/10分~4.0g/10分、1.5g/10分~4.0g/10分、2.0g/10分~4.0g/10分、2.5g/10分~4.0g/10分、3.0g/10分~4.0g/10分、3.5g/10分~4.0g/10分、0.8g/10分~3.5g/10分、1.0g/10分~3.5g/10分、1.5g/10分~3.5g/10分、2.0g/10分~3.5g/10分、2.5g/10分~3.5g/10分、3.0g/10分~3.5g/10分、0.8g/10分~3.0g/10分、1.0g/10分~3.0g/10分、1.5g/10分~3.0g/10分、2.0g/10分~3.0g/10分、2.5g/10分~3.0g/10分、0.8g/10分~2.5g/10分、1.0g/10分~2.5g/10分、1.5g/10分~2.5g/10分、2.0g/10分~2.5g/10分、0.8g/10分~2.0g/10分、1.0g/10分~2.0g/10分、1.5g/10分~2.0g/10分、0.8g/10分~1.5g/10分、1.0g/10分~1.5g/10分、又は0.8g/10分~1.0g/10分のメルトインデックス(I2)を有する。
【0035】
1つ以上の実施形態では、多峰性HDPEは、0.950g/cc~0.965g/cc、例えば、0.952g/cc~0.965g/cc、0.955g/cc~0.965g/cc、0.958g/cc~0.965g/cc、0.960g/cc~0.965g/cc、0.962g/cc~0.965g/cc、0.950g/cc~0.962g/cc、0.952g/cc~0.962g/cc、0.955g/cc~0.962g/cc、0.958g/cc~0.962g/cc、0.960g/cc~0.962g/cc、0.950g/cc~0.960g/cc、0.952g/cc~0.960g/cc、0.955g/cc~0.960g/cc、0.958g/cc~0.960g/cc、0.950g/cc~0.958g/cc、0.952g/cc~0.958g/cc、0.955g/cc~0.958g/cc、0.950g/cc~0.955g/cc、0.952g/cc~0.955g/cc、0.950g/cc~0.952g/ccの密度を有する。
【0036】
実施形態では、多峰性HDPEは、10~20、例えば、11~20、12~20、13~20、14~20、15~20、16~20、17~20、18~20、19~20、10~19、11~19、12~19、13~19、14~19、15~19、16~19、17~19、18~19、10~18、11~18、12~18、13~18、14~18、15~18、16~18、17~18、10~17、11~17、12~17、13~17、14~17、15~17、16~17、10~16、11~16、12~16、13~16、14~16、15~16、10~15、11~15、12~15、13~15、14~15、10~14、11~14、12~14、13~14、10~13、11~13、12~13、10~12、11~12、又は10~11の多分散度(Mw/Mn)を有する。
【0037】
実施形態では、多峰性HDPEは、5.0~15.0、例えば、6.0~15.0、7.0~15.0、8.0~15.0、9.0~15.0、10.0~15.0、11.0~15.0、12.0~15.0、13.0~15.0、14.0~15.0、5.0~14.0、6.0~14.0、7.0~14.0、8.0~14.0、9.0~14.0、10.0~14.0、11.0~14.0、12.0~14.0、13.0~14.0、5.0~13.0、6.0~13.0、7.0~13.0、8.0~13.0、9.0~13.0、10.0~13.0、11.0~13.0、12.0~13.0、5.0~12.0、6.0~12.0、7.0~12.0、8.0~12.0、9.0~12.0、10.0~12.0、11.0~12.0、5.0~11.0、6.0~11.0、7.0~11.0、8.0~11.0、9.0~11.0、10.0~11.0、5.0~10.0、6.0~10.0、7.0~10.0、8.0~10.0、9.0~10.0、5.0~9.0、6.0~9.0、7.0~9.0、8.0~9.0、5.0~8.0、6.0~8.0、7.0~8.0、5.0~7.0、6.0~7.0、5.0~6.0であるメルトインデックス比(I10/I2)を有する。
【0038】
1つ以上の実施形態では、多峰性HDPEは、60~80、例えば、62~80、65~80、68~80、70~80、72~80、75~80 78~80、60~78、62~78、65~78、68~78、70~78、72~78、75~78、60~75、62~75、65~75、68~75、70~75、72~75、60~72、62~72、65~72、68~72、70~72、60~70、62~70、65~70、68~70、60~68、62~68、65~68、60~65、62~65、又は60~62であるメルトインデックス比(I21/I2)を有する。
【0039】
実施形態では、多峰性HDPEは、9,000g/mol~10,000g/mol、例えば、9,100g/mol~10,000g/mol、9,200g/mol~10,000g/mol、9,300g/mol~10,000g/mol、9,400g/mol~10,000g/mol、9,500g/mol~10,000g/mol、9,600g/mol~10,000g/mol、9,700g/mol~10,000g/mol、9,800g/mol~10,000g/mol、9,900g/mol~10,000g/mol、9,000g/mol~9,900g/mol、9,100g/mol~9,900g/mol、9,200g/mol~9,900g/mol、9,300g/mol~9,900g/mol、9,400g/mol~9,900g/mol、9,500g/mol~9,900g/mol、9,600g/mol~9,900g/mol、9,700g/mol~9,900g/mol、9,800g/mol~9,900g/mol、9,000g/mol~9,800g/mol、9,100g/mol~9,800g/mol、9,200g/mol~9,800g/mol、9,300g/mol~9,800g/mol、9,400g/mol~9,800g/mol、9,500g/mol~9,800g/mol、9,600g/mol~9,800g/mol、9,700g/mol~9,800g/mol、9,000g/mol~9,700g/mol、9,100g/mol~9,700g/mol、9,200g/mol~9,700g/mol、9,300g/mol~9,700g/mol、9,400g/mol~9,700g/mol、9,500g/mol~9,700g/mol、9,600g/mol~9,700g/mol、9,000g/mol~9,600g/mol、9,100g/mol~9,600g/mol、9,200g/mol~9,600g/mol、9,300g/mol~9,600g/mol、9,400g/mol~9,600g/mol、9,500g/mol~9,600g/mol、9,000g/mol~9,500g/mol、9,100g/mol~9,500g/mol、9,200g/mol~9,500g/mol、9,300g/mol~9,500g/mol、9,400g/mol~9,500g/mol、9,000g/mol~9,400g/mol、9,100g/mol~9,400g/mol、9,200g/mol~9,400g/mol、9,300g/mol~9,400g/mol、9,000g/mol~9,300g/mol、9,100g/mol~9,300g/mol、9,200g/mol~9,300g/mol、9,000g/mol~9,200g/mol、9,100g/mol~9,200g/mol、又は9,000g/mol~9,100g/molであるGPCにより測定された分子量(Mn)を有する。
【0040】
1つ以上の実施形態では、多峰性HDPEは、110,000g/mol~135,000g/mol、例えば、112,000g/mol~135,000g/mol、115,000g/mol~135,000g/mol、118,000g/mol~135,000g/mol、120,000g/mol~135,000g/mol、122,000g/mol~135,000g/mol、125,000g/mol~135,000g/mol、128,000g/mol~135,000g/mol、130,000g/mol~135,000g/mol、132,000g/mol~135,000g/mol、110,000g/mol~132,000g/mol、112,000g/mol~132,000g/mol、115,000g/mol~132,000g/mol、118,000g/mol~132,000g/mol、120,000g/mol~132,000g/mol、122,000g/mol~132,000g/mol、125,000g/mol~132,000g/mol、128,000g/mol~132,000g/mol、130,000g/mol~132,000g/mol、110,000g/mol~130,000g/mol、112,000g/mol~130,000g/mol、115,000g/mol~130,000g/mol、118,000g/mol~130,000g/mol、120,000g/mol~130,000g/mol、122,000g/mol~130,000g/mol、125,000g/mol~130,000g/mol、128,000g/mol~130,000g/mol、110,000g/mol~128,000g/mol、112,000g/mol~128,000g/mol、115,000g/mol~128,000g/mol、118,000g/mol~128,000g/mol、120,000g/mol~128,000g/mol、122,000g/mol~128,000g/mol、125,000g/mol~128,000g/mol、110,000g/mol~125,000g/mol、112,000g/mol~125,000g/mol、115,000g/mol~125,000g/mol、118,000g/mol~125,000g/mol、120,000g/mol~125,000g/mol、122,000g/mol~125,000g/mol、110,000g/mol~122,000g/mol、112,000g/mol~122,000g/mol、115,000g/mol~122,000g/mol、118,000g/mol~122,000g/mol、120,000g/mol~122,000g/mol、110,000g/mol~120,000g/mol、112,000g/mol~120,000g/mol、115,000g/mol~120,000g/mol、118,000g/mol~120,000g/mol、110,000g/mol~118,000g/mol、112,000g/mol~118,000g/mol、115,000g/mol~118,000g/mol、110,000g/mol~115,000g/mol、112,000g/mol~115,000g/mol、又は110,000g/mol~112,000g/molであるGPCにより測定された分子量(Mw)を有する。
【0041】
1つ以上の実施形態では、多峰性HDPEは、600,000g/mol~1,300,000g/mol、例えば、650,000g/mol~1,300,000g/mol、700,000g/mol~1,300,000g/mol、750,000g/mol~1,300,000g/mol、800,000g/mol~1,300,000g/mol、850,000g/mol~1,300,000g/mol、900,000g/mol~1,300,000g/mol、950,000g/mol~1,300,000g/mol、1,000,000g/mol~1,300,000g/mol、1,050,000g/mol~1,300,000g/mol、1,100,000g/mol~1,300,000g/mol、1,150,000g/mol~1,300,000g/mol、1,200,000g/mol~1,300,000g/mol、1,250,000g/mol~1,300,000g/mol、600,000g/mol~1,250,000g/mol、650,000g/mol~1,250,000g/mol、700,000g/mol~1,250,000g/mol、750,000g/mol~1,250,000g/mol、800,000g/mol~1,250,000g/mol、850,000g/mol~1,250,000g/mol、900,000g/mol~1,250,000g/mol、950,000g/mol~1,250,000g/mol、1,000,000g/mol~1,250,000g/mol、1,050,000g/mol~1,250,000g/mol、1,100,000g/mol~1,250,000g/mol、1,150,000g/mol~1,250,000g/mol、1,200,000g/mol~1,250,000g/mol、600,000g/mol~1,200,000g/mol、650,000g/mol~1,200,000g/mol、700,000g/mol~1,200,000g/mol、750,000g/mol~1,200,000g/mol、800,000g/mol~1,200,000g/mol、850,000g/mol~1,200,000g/mol、900,000g/mol~1,200,000g/mol、950,000g/mol~1,200,000g/mol、1,000,000g/mol~1,200,000g/mol、1,050,000g/mol~1,200,000g/mol、1,100,000g/mol~1,200,000g/mol、1,150,000g/mol~1,200,000g/mol、600,000g/mol~1,100,000g/mol、650,000g/mol~1,100,000g/mol、700,000g/mol~1,100,000g/mol、750,000g/mol~1,100,000g/mol、800,000g/mol~1,100,000g/mol、850,000g/mol~1,100,000g/mol、900,000g/mol~1,100,000g/mol、950,000g/mol~1,100,000g/mol、1,000,000g/mol~1,100,000g/mol、1,050,000g/mol~1,100,000g/mol、600,000g/mol~1,050,000g/mol、650,000g/mol~1,050,000g/mol、700,000g/mol~1,050,000g/mol、750,000g/mol~1,050,000g/mol、800,000g/mol~1,050,000g/mol、850,000g/mol~1,050,000g/mol、900,000g/mol~1,050,000g/mol、950,000g/mol~1,050,000g/mol、1,000,000g/mol~1,050,000g/mol、600,000g/mol~1,000,000g/mol、650,000g/mol~1,000,000g/mol、700,000g/mol~1,000,000g/mol、750,000g/mol~1,000,000g/mol、800,000g/mol~1,000,000g/mol、850,000g/mol~1,000,000g/mol、900,000g/mol~1,000,000g/mol、950,000g/mol~1,000,000g/mol、600,000g/mol~950,000g/mol、650,000g/mol~950,000g/mol、700,000g/mol~950,000g/mol、750,000g/mol~950,000g/mol、800,000g/mol~950,000g/mol、850,000g/mol~950,000g/mol、900,000g/mol~950,000g/mol、600,000g/mol~900,000g/mol、650,000g/mol~900,000g/mol、700,000g/mol~900,000g/mol、750,000g/mol~900,000g/mol、800,000g/mol~900,000g/mol、850,000g/mol~900,000g/mol、600,000g/mol~850,000g/mol、650,000g/mol~850,000g/mol、700,000g/mol~850,000g/mol、750,000g/mol~850,000g/mol、800,000g/mol~850,000g/mol、600,000g/mol~800,000g/mol、650,000g/mol~800,000g/mol、700,000g/mol~800,000g/mol、750,000g/mol~800,000g/mol、600,000g/mol~750,000g/mol、650,000g/mol~750,000g/mol、700,000g/mol~750,000g/mol、600,000g/mol~700,000g/mol、650,000g/mol~700,000g/mol、又は600,000g/mol~650,000g/molであるGPCによって測定される分子量(Mz)を有する。
【0042】
1つ以上の実施形態では、多峰性HDPEは、5.0~10.0、例えば、5.5~10.0、6.0~10.0、6.5~10.0、7.0~10.0、7.5~10.0、8.0~10.0、8.5~10.0、9.0~10.0、9.5~10.0、5.0~9.5、5.5~9.5、6.0~9.5、6.5~9.5、7.0~9.5、7.5~9.5、8.0~9.5、8.5~9.5、9.0~9.5、5.0~9.0、5.5~9.0、6.0~9.0、6.5~9.0、7.0~9.0、7.5~9.0、8.0~9.0、8.5~9.0、5.0~8.5、5.5~8.5、6.0~8.5、6.5~8.5、7.0~8.5、7.5~8.5、8.0~8.5、5.0~8.0、5.5~8.0、6.0~8.0、6.5~8.0、7.0~8.0、7.5~8.0、5.0~7.5、5.5~7.5、6.0~7.5、6.5~7.5、7.0~7.5、5.0~7.0、5.5~7.0、6.0~7.0、6.5~7.0、5.0~6.5、5.5~6.5、6.0~6.5、5.0~6.0、5.5~6.0、又は5.0~5.5である分子量比(Mz/Mw)を有する。
【0043】
実施形態では、本明細書に開示かつ記載される多峰性HDPEは、任意の好適なプロセスによって作製することができる。1つ以上の実施形態では、本明細書に開示かつ記載される多峰性HDPEは、気相重合、スラリー重合、又は気相重合とスラリー重合との組み合わせによって作製することができる。実施形態では、本明細書に開示かつ記載される多峰性HDPEは、気相重合によって作製することができる。例えば、本明細書に開示かつ記載される多峰性HDPEは、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、米国特許第8,455,594号に開示される方法によって作製することができる。
【0044】
1つ以上の実施形態では、本明細書に開示又は記載されるHDPEは、二重逐次重合システム、例えば、連続して動作する第1の気相反応器及び第2の気相反応器を使用して作製されてもよい。エチレン、1種以上のα-オレフィンコモノマー、水素、触媒、例えば、鉱油中でスラリー化されたチーグラー・ナッタ触媒、N2、及びイソペンタンは、第1の反応器に連続的に供給されてもよい。続いて、助触媒、例えば、トリエチルアルミニウム(triethylaluminum、TEAL)を第1の反応器に供給して触媒を活性化してもよい。次いで、1-ヘキセンの存在下でのエチレンの第1の重合反応を、以下の表1に示す条件下で第1の反応器中で行い、それによって第1の成分-触媒複合体を生成する。第1の成分-触媒複合体は、第2の反応器に移される。追加のエチレン、水素、共触媒、例えば、TEAL、N2、及びイソペンタンを第2の反応器に供給してもよい。実施形態では、追加の触媒は、第2の反応器に添加されない。エチレンの第2の重合反応は、以下の表1に示される条件下で第2の反応器中で行われてもよく、それによって第1の成分-触媒-第2の成分複合体を生成する。第1の成分-触媒-第2の成分複合体は、バッチで第2の反応器から生成物チャンバ内へと除去されてもよく、残留炭化水素を除去するためにパージされてもよく、次いで、ドラムに移送されてもよい。ドラムを加湿窒素でパージしてもよい。
【0045】
【0046】
フィルム及び多層フィルム
上記の特性の組み合わせを有する多峰性HDPEは、いくつかの実施形態によるフィルムにおいて優れた加工性及び調整可能な性能を示す。上述の多峰性HDPEの延伸性能は、典型的な他の従来のHDPEよりも安定であり、他の樹脂よりもわずかに良好である。上記の多峰性HDPEは、いくつかの実施形態では、コア層中に50%~100%で問題なく実施することができる。上記の多峰性HDPEはまた、いくつかの実施形態では、他の従来のHDPE樹脂よりも、同じrpm/生産量で押出すのに必要なトルクが低い。既存の二軸配向ポリプロピレン(biaxially oriented polypropylene、BOPP)配向ラインの多くは、ほとんどのポリエチレンが取り扱うことができるよりも低いトルクを使用するポリプロピレンを押出すように設計されたので、これは非常に重要な特徴である。したがって、ポリエチレンを用いてBOPP配向ラインを運転する場合、ラインは、典型的には、生産量の著しい低下、時には60%~70%の低下を被る。更に、ポリエチレンを収容するために押出機システムをアップグレードすることは、非常に費用がかかる可能性がある。したがって、生産速度を低下させることなく100%運転することができるHDPEは、著しくより魅力的でリサイクル可能な、ポリプロピレンの代替品を提供することができる。
【0047】
市販のHDPEが評価されており、それらのいくつかは十分な延伸性能を有するが、それらのほとんどは、0.4g/10分~0.9g/10分I2の範囲にある分別メルトインデックス(MI)HDPEである。本発明のいくつかの実施形態において使用されるHDPEは、1.5g/10分でのより高いMI(I2)及び高いMzを有する。いかなる特定の理論にも束縛されることを望むものではないが、増加したMI(I2)と高いMzとの組み合わせは、本発明のいくつかの実施形態における使用のために本明細書に開示かつ記載されるHDPEにおいて見られる堅固な延伸性能を提供すると考えられる。また、比較的低い密度は、結晶化速度を低下させ、したがってウェブをより安定にし、MDO段階及びTDO段階の両方でより延伸しやすくする重要な因子であると考えられる。
【0048】
実施形態では、二軸配向ポリエチレンフィルムは、上述されたHDPEを唯一の層として含む単層フィルムである。
【0049】
フィルムが単層フィルムである場合、層は、一般に知られているように、1つ以上の添加剤を含有してもよい。そのような添加剤としては、IRGANOX1010及びIRGAFOS168(BASFから市販)などの酸化防止剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、顔料、染料、成核剤、充填剤、スリップ剤、難燃剤、可塑剤、加工助剤、潤滑剤、安定剤、発煙抑制剤、粘度制御剤、表面改質剤、及びブロッキング防止剤が挙げられる。いくつかの実施形態では、層組成物は、例えば、層の重量に基づいて、10合計重量パーセント未満、及び他の実施形態では、5重量パーセント未満の1つ以上の添加剤を含み得る。実施形態では、多層フィルム中の層は、本明細書に記載されるHDPEと、LLDPE、LDPE、エチレン-プロピレンコポリマー、ポリエチレンプラストマーなどのうちの1つ以上とのブレンドであってもよい。
【0050】
フィルムが本明細書に開示されるHDPEを含む単層フィルムである実施形態では、フィルム層は、実施形態によれば、少なくとも40重量%の本明細書に開示されるHDPE、例えば、少なくとも45重量%の本明細書に開示されるHDPE、少なくとも50重量%の本明細書に開示されるHDPE、少なくとも55重量%の本明細書に開示されるHDPE、少なくとも60重量%の本明細書に開示されるHDPE、少なくとも65重量%の本明細書に開示されるHDPE、少なくとも70重量%の本明細書に開示されるHDPE、少なくとも75重量%の本明細書に開示されるHDPE、少なくとも80重量%の本明細書に開示されるHDPE、少なくとも90重量%の本明細書に開示されるHDPE、又は少なくとも95重量%の本明細書に開示されるHDPEを含む。フィルムが本明細書に開示されるHDPEを含む単層フィルムである実施形態では、フィルム層は、実施形態では、本明細書に開示されるHDPEからなるか、又は本質的になる。
【0051】
いくつかの実施形態では、二軸配向ポリエチレンフィルムは、少なくとも1つの層が本明細書に開示されるHDPEを含む多層フィルムである。例えば、多層フィルムは、本明細書に開示されるHDPEを含む層を含むことができ、例えば、シーラント層、バリア層、結合層、他のポリエチレン層、ポリプロピレン層などを含む用途に応じて、多層フィルムに典型的に含まれる他の層を更に含む。フィルムが多層フィルムである実施形態では、本明細書に開示かつ記載されるHDPEを含む層は、多層フィルムのコア層である。
【0052】
一例として、いくつかの実施形態では、多層フィルムは、本明細書に開示されるHDPEを含む前述の層(B層)と、別の層(A層)と、を含むことができる。A層は、上部表面及び下部表面を含み、A層の上部表面は、B層の下部表面に接着接触している。
【0053】
いくつかのそのような実施形態では、A層は、シーラント層内での使用に好適であることが当業者に既知である1つ以上のエチレン系ポリマーから形成されるシーラント層であり得る。
【0054】
しかしながら、上記のように、A層は、任意の数の他のポリマー又はポリマーブレンドを含むことができる。例えば、多層フィルムがバリア層を含む場合、A層は、外層とバリア層との間に付着接触している結合層であってもよく、別の結合層が、バリア層とシーラント層との間にあってもよい。実施形態の多層フィルムは、2つのA層を含むことができ、B層のそれぞれの主表面上に1つあり、主表面は、大きな表面積を有する表面を表し、フィルムは、互いに対向しかつ平行な2つの主表面を有することもまた理解すべきである。したがって、実施形態では、多層フィルムは、A/B/Aフィルムとして記載され得る3層BOPEフィルムである。実施形態では、それぞれのA層は、同じ組成を有してもよく、他の実施形態では、2つのA層は、異なる組成を有してもよいことを理解すべきである。
【0055】
実施形態では、多層フィルムは、本明細書に開示かつ記載されるHDPEから作製される(コア層などの)B層を有する5層BOPEフィルムであってもよい。B層の主表面上に存在するのは、第1の結合層(D層)及びB層の第2の主表面上の第2の結合層(同様にD層)である。第1の結合層は、B層の反対側の主表面上にスキン層(A層)を有し、第2の結合層は、B層の反対側の主表面上にスキン層(C層)を有する。5層フィルムは、A/D/B/D/Cフィルムとして記載され得る。
【0056】
1つ以上の実施形態では、結合層であるD層は、同じ材料である。いくつかの実施形態では、結合層であるD層は、B層と同じ材料から作製される。したがって、1つ以上の実施形態では、B層及び結合層であるD層は全て、本明細書に開示かつ記載される多峰性HDPEから作製されるか、又はそれを含む。しかしながら、他の実施形態では、結合層であるD層は、B層と同じ材料から作製されない。実施形態では、D層は、LLDPE及びHDPE(本明細書に開示かつ記載されるHDPE若しくは別のHDPEのいずれか)のブレンドを含むか、又はD層は、結合樹脂(例えば、エチレン-プロピレンコポリマー若しくは無水マレイン酸変性ポリマー)であってもよい。
【0057】
実施形態では、スキン層であるA層及びC層は、同じ材料から作製されてもよい。他の実施形態では、スキン層であるA層及びC層は、異なる材料から作製されてもよい。一実施形態では、スキン層であるA層及びC層は両方とも、the Dow Chemical Companyによって製造されるINNATEなどのBOPEから作製される。実施形態では、A層及びC層は、LLDPE、LLDPEとHDPE(本明細書に開示かつ記載されるHDPE又は別のHDPEのいずれか)とのブレンド、HDPE(本明細書に開示かつ記載されるHDPE又は別のHDPEのいずれか)、ポリプロピレン、エチレン-プロピレンコポリマー、又はポリイミドのうちの1つ以上を含む。
【0058】
前述の層のいずれも、例えば、酸化防止剤、紫外線安定剤、熱安定剤、滑剤、ブロッキング防止剤、顔料又は着色剤、加工助剤、架橋触媒、難燃剤、充填剤、及び発泡剤などの当業者に既知の1つ以上の添加剤を更に含み得ることを理解すべきである。
【0059】
フィルムが多層フィルムである実施形態では、多層フィルムの少なくとも1つの層は、本明細書に開示されるHDPEを含む。本明細書に開示されるHDPEを含む少なくとも1つの層は、実施形態によれば、本明細書に開示されるHDPEの少なくとも40重量%、例えば、本明細書に開示されるHDPEの少なくとも45重量%、本明細書に開示されるHDPEの少なくとも50重量%、本明細書に開示されるHDPEの少なくとも55重量%、本明細書に開示されるHDPEの少なくとも60重量%、本明細書に開示されるHDPEの少なくとも65重量%、本明細書に開示されるHDPEの少なくとも70重量%、本明細書に開示されるHDPEの少なくとも75重量%、本明細書に開示されるHDPEの少なくとも80重量%、本明細書に開示されるHDPEの少なくとも90重量%、又は本明細書に開示されるHDPEの少なくとも95重量%を含む。実施形態では、本明細書に開示されるHDPEを含む少なくとも1つのフィルム層は、本明細書に開示されるHDPEからなるか、又は本質的になる。
【0060】
多層フィルムは、任意の好適なプロセスによって形成かつ配向(例えば、二軸配向)されてもよい。これらのプロセスについての情報は、例えば、the Kirk Othmer Encyclopedia、the Modern Plastics Encyclopedia、又はthe Wiley Encyclopedia of Packaging Technology,2d edition,A.L.Brody and K.S.Marsh,Eds.,Wiley-Interscience(Hoboken,1997)などの参考文献において見出され得る。例えば、多層フィルムは、シートキャスティング又は任意の他の好適なキャスティング手順によって形成されてもよい。好適な配向プロセスとしては、テンタフレーム技術が挙げられる。フィルムが多層フィルムである場合、様々なフィルム層は、任意の好適な手段によって共押出しされてもよい。
【0061】
(単層か又は多層かにかかわらず)そのようなポリエチレンフィルムは、二軸配向前に、例えば、層の数、フィルムの意図される用途、及び他の要因に応じて、様々な厚さを有し得る。そのようなポリエチレンフィルムは、いくつかの実施形態では、二軸配向前に0.8~1.0mmの厚さを有する。
【0062】
いくつかの実施形態では、ポリエチレンフィルムは、テンタフレーム逐次二軸配向プロセスを使用して二軸配向される。そのような技術は、概ね、当業者に既知である。全般的に、テンタフレーム逐次二軸配向プロセスでは、テンタフレームは、多層共押出ラインの一部として組み込まれる。フラットダイから押出した後、フィルムを冷却ロール上で冷却し、室温の水を充填した水浴に浸漬する。次いで、キャストフィルムは異なる回転速度を有する一連のローラ上に通されて、機械方向における延伸を達成する。製作ラインのMD延伸セグメントには数対のローラがあり、それらは全て油加熱されている。対のローラは、予熱ローラ、延伸ローラ、並びに弛緩及びアニーリング用ローラとして逐次作動する。ローラの各対の温度は、別々に制御される。機械方向における延伸後、フィルムウェブが、加熱ゾーンを有するテンタフレーム熱風炉に通されて、横断方向における延伸を実行する。最初のいくつかのゾーンは予熱用であり、その後に延伸用のゾーン、次いでアニーリング用の最終ゾーンが続く。
【0063】
一軸配向フィルムを、毎分約20~28メートルのライン速度で幅出機に導入し、約140℃~155℃で予備加熱し、元の幅の約6~8倍の延伸比で、約120℃~130℃で横方向に延伸させ、次いで、約105℃~120℃で熱固定又はアニーリングして、配向による内部応力を低減させ、最終フィルムの熱収縮を最小限に抑え、相対的に熱安定性の二軸配向フィルムを得ることができる。
【0064】
実施形態では、フィルムは、4.5:1~6.5:1、例えば、4.8:1~6.5:1、5.0:1~6.5:1、5.2:1~6.5:1、5.5:1~6.5:1、5.8:1~6.5:1、6.0:1~6.5:1、6.2:1~6.5:1、4.5:1~6.2:1、4.8:1~6.2:1、5.0:1~6.2:1、5.2:1~6.2:1、5.5:1~6.2:1、5.8:1~6.2:1、6.0:1~6.2:1、4.5:1~6.0:1、4.8:1~6.0:1、5.0:1~6.0:1、5.2:1~6.0:1、5.5:1~6.0:1、5.8:1~6.0:1、4.5:1~5.8:1、4.8:1~5.8:1、5.0:1~5.8:1、5.2:1~5.8:1、5.5:1~5.8:1、4.5:1~5.5:1、4.8:1~5.5:1、5.0:1~5.5:1、5.2:1~5.5:1、4.5:1~5.2:1、4.8:1~5.2:1、5.0:1~5.2:1、4.5:1~5.0:1、4.8:1~5.0:1、4.5:1~4.8:1の機械方向における延伸比で延伸されてもよい。
【0065】
実施形態では、フィルムは、6.0:1~9.0:1、例えば、6.2:1~9.0:1、6.5:1~9.0:1、6.8:1~9.0:1、7.0:1~9.0:1、7.2:1~9.0:1、7.5:1~9.0:1、7.8:1~9.0:1、8.0:1~9.0:1、8.2:1~9.0:1、8.5:1~9.0:1、8.8:1~9.0:1、6.0:1~8.8:1、6.2:1~8.8:1、6.5:1~8.8:1、6.8:1~8.8:1、7.0:1~8.8:1、7.2:1~8.8:1、7.5:1~8.8:1、7.8:1~8.8:1、8.0:1~8.8:1、8.2:1~8.8:1、8.5:1~8.8:1、6.0:1~8.5:1、6.2:1~8.5:1、6.5:1~8.5:1、6.8:1~8.5:1、7.0:1~8.5:1、7.2:1~8.5:1、7.5:1~8.5:1、7.8:1~8.5:1、8.0:1~8.5:1、8.2:1~8.5:1、6.0:1~8.2:1、6.2:1~8.2:1、6.5:1~8.2:1、6.8:1~8.2:1、7.0:1~8.2:1、7.2:1~8.2:1、7.5:1~8.2:1、7.8:1~8.2:1、8.0:1~8.2:1、6.0:1~8.0:1、6.2:1~8.0:1、6.5:1~8.0:1、6.8:1~8.0:1、7.0:1~8.0:1、7.2:1~8.0:1、7.5:1~8.0:1、7.8:1~8.0:1、6.0:1~7.8:1、6.2:1~7.8:1、6.5:1~7.8:1、6.8:1~7.8:1、7.0:1~7.8:1、7.2:1~7.8:1、7.5:1~7.8:1、6.0:1~7.5:1、6.2:1~7.5:1、6.5:1~7.5:1、6.8:1~7.5:1、7.0:1~7.5:1、7.2:1~7.5:1、6.0:1~7.2:1、6.2:1~7.2:1、6.5:1~7.2:1、6.8:1~7.2:1、7.0:1~7.2:1、6.0:1~7.0:1、6.2:1~7.0:1、6.5:1~7.0:1、6.8:1~7.0:1、6.0:1~6.8:1、6.2:1~6.8:1、6.5:1~6.8:1、6.0:1~6.5:1、6.2:1~6.5:1、又は6.0:1~6.2:1の横方向における延伸比で延伸されてもよい。
【0066】
いくつかの実施形態では、配向後、二軸配向フィルムは、10~60マイクロメートルの厚さを有する。いくつかの実施形態では、二軸配向フィルムは、10~30マイクロメートルの厚さを有する。
【0067】
いくつかの実施形態では、例えば、最終用途に応じて、二軸配向ポリエチレンフィルムは、当業者に既知である技術を使用して、コロナ処理、プラズマ処理、又は印刷することができる。
【0068】
多層フィルムの性質
実施形態では、少なくともコア層において本明細書に開示かつ記載される多峰性HDPEを含む層を含む多層フィルムは、2%~70%、例えば、5%~70%、10%~70%、15%~70%、20%~70%、25%~70%、30%~70%、35%~70%、40%~70%、45%~70%、50%~70%、55%~70%、60%~70%、65%~70%、2%~65%、5%~65%、10%~65%、15%~65%、20%~65%、25%~65%、30%~65%、35%~65%、40%~65%、45%~65%、50%~65%、55%~65%、60%~65%、2%~60%、5%~60%、10%~60%、15%~60%、20%~60%、25%~60%、30%~60%、35%~60%、40%~60%、45%~60%、50%~60%、55%~60%、2%~60%、5%~60%、10%~60%、15%~60%、20%~60%、25%~60%、30%~60%、35%~60%、40%~60%、45%~60%、50%~60%、55%~60%、2%~55%、5%~55%、10%~55%、15%~55%、20%~55%、25%~55%、30%~55%、35%~55%、40%~55%、45%~55%、50%~55%、2%~50%、5%~50%、10%~50%、15%~50%、20%~50%、25%~50%、30%~50%、35%~50%、40%~50%、45%~50%、2%~45%、5%~45%、10%~45%、15%~45%、20%~45%、25%~45%、30%~45%、35%~45%、40%~45%、2%~40%、5%~40%、10%~40%、15%~40%、20%~40%、25%~40%、30%~40%、35%~40%、2%~35%、5%~35%、10%~35%、15%~35%、20%~35%、25%~35%、30%~35%、2%~30%、5%~30%、10%~30%、15%~30%、20%~30%、25%~30%、2%~25%、5%~25%、10%~25%、15%~25%、20%~25%、2%~20%、5%~20%、10%~20%、15%~20%、2%~20%、5%~20%、10%~20%、15%~20%、2%~15%、5%~15%、10%~15%、2%~10%、5%~10%、又は2%~5%のヘイズを有する。
【0069】
1つ以上の実施形態では、少なくともコア層において本明細書に開示かつ記載される多峰性HDPEを含む多層フィルムは、500MPa~2500MPa、例えば、750MPa~2500MPa、1000MPa~2500MPa、1250MPa~2500MPa、1500MPa~2500MPa、1750MPa~2500MPa、2000MPa~2500MPa、2250MPa~2500MPa、500MPa~2250MPa、750MPa~2250MPa、1000MPa~2250MPa、1250MPa~2250MPa、1500MPa~2250MPa、1750MPa~2250MPa、2000MPa~2250MPa、500MPa~2000MPa、750MPa~2000MPa、1000MPa~2000MPa、1250MPa~2000MPa、1500MPa~2000MPa、1750MPa~2000MPa、500MPa~1750MPa、750MPa~1750MPa、1000MPa~1750MPa、1250MPa~1750MPa、1500MPa~1750MPa、500MPa~1500MPa、750MPa~1500MPa、1000MPa~1500MPa、1250MPa~1500MPa、500MPa~1250MPa、750MPa~1250MPa、1000MPa~1250MPa、500MPa~1000MPa、750MPa~1000MPa、又は500MPa~750MPaである機械方向(MD)における1%割線弾性係数を有する。
【0070】
物品
様々な実施形態では、本明細書に開示される多層フィルムは、包装などの物品を形成するために使用され得る。かかる物品は、本明細書に記載の多層フィルムのいずれかから形成することができる。様々な実施形態の多層フィルムから形成することができる包装の例には、可撓性包装、小袋、パウチ、自立型パウチ、及び既製の包装又はパウチを含むことができる。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の多層フィルムは、肉、チーズ、シリアル、ナッツ、ジュース、ソース、チップス、スナック、及び同様のものに関する包装などの食品包装に使用することができる。このような包装材は、本明細書の教示に基づいて、かつ包装材の特定の用途(例えば、食品の種類、食品の量など)に基づいて、当業者に既知の技法を使用して形成され得る。
【0071】
試験方法
試験方法は、以下を含む。
【0072】
ヘイズ
ヘイズは、ASTM D1003に従って測定した。Hazegard Plus(BYK-Gardner USA、Columbia,MD)を試験に使用する。全体ヘイズは、5回の測定の平均として報告する。
【0073】
密度
密度測定用の圧縮成形試料を、ASTM D 4703に従って調製した。成形から2時間以内にASTM D792、メソッドBに従って密度測定を行った。
【0074】
メルトインデックス
メルトインデックス(I2)は、190℃及び2.16kgの負荷でASTM D-1238に従って測定した。I2値は、dg/分の単位で報告される。
【0075】
割線弾性係数
割線弾性係数は、ASTM D882による引張試験に基づいて測定した。フィルムは、ASTM規格に従って23℃(+/-2℃)及び50%R.H+/-10%)でフィルム製造後少なくとも40時間調節される。標準試験条件は、ASTM標準に従って、23℃(+/-2℃)及び50%R.H(+/-10%)である。引張試験ストリップは、フィルムから機械方向及び横断方向(MD及びCD)に切断される。ストリップの幅は、1インチ、長さは、約8インチである。2インチのゲージ長さ(ライングリップからライングリップの距離)に設定されたライングリップジョー(ジョーの一方の側に平らなゴム、他方の側にライングリップ)を使用して、試料を引張試験フレームにロードする。次いで、試料を、20インチ/分のクロスヘッド速度で歪ませる。得られた応力-歪み曲線から、弾性率(応力-歪み曲線の最初の部分から、ヤング率と呼ばれることが多い)並びに1%歪み及び2%歪みでの割線係数を計算する。
【0076】
ゲル浸透クロマトグラフィ(GPC)
分子量(Mw、Mz、Mnなど)は、別段の指示がない限り、GPCを使用して測定した。
【0077】
クロマトグラフィシステムは、内部IR5赤外線検出器(IR5)を装備するPolymerChar社(スペイン、Valencia)製GPC-IRの高温GPCクロマトグラフから構成された。オートサンプラオーブンコンパートメントを160℃に設定し、カラムコンパートメントを150℃に設定した。使用したカラムは、4本のAgilent「Mixed A」30cm、20マイクロメートルの線形混床式カラムであった。使用されたクロマトグラフィ溶媒は、1,2,4-トリクロロベンゼンであり、200ppmのブチル化ヒドロキシトルエン(butylated hydroxytoluene、BHT)を含有していた。溶媒源を、窒素スパージした。採用した注入体積は、200マイクロリットルであり、流量は、1.0ミリリットル/分であった。
【0078】
GPCカラムセットの較正を、580~8,400,000の範囲の分子量を有する21個の狭い分子量分布のポリスチレン標準物質を用いて行い、個々の分子量の間に少なくとも10倍の間隔を有する6つの「カクテル」混合物中に配置した。標準物質を、Agilent Technologies社から購入した。1,000,000以上の分子量については、50ミリリットルの溶媒中の0.025グラムで、1,000,000未満の分子量については、50ミリリットルの溶媒中の0.05グラムで、ポリスチレン標準物質を調製した。ポリスチレン標準物質を、穏やかに撹拌しながら80℃で30分間溶解させた。ポリスチレン標準物質のピーク分子量を、(Williams and Ward,J.Polym.Sci.,Polym.Let.,6,621(1968)に記載のとおり)式1を使用してポリエチレン分子量に変換した。
Mポリエチレン=A×(Mポリスチレン)B (式1)
式中、Mは、分子量であり、Aは、0.4315の値を有し、Bは、1.0に等しい。
【0079】
五次多項式を使用して、それぞれのポリエチレン等価較正点に当てはめた。Aに対してわずかな調整(約0.375~0.445)を行い、カラム分解能及びバンド拡張効果を、線状ホモポリマーポリエチレン標準物質が120,000Mwで得られるように補正した。
【0080】
GPCカラムセットの合計プレートカウントは、デカン(50ミリリットルのTCB中0.04gで調製され、穏やかに撹拌しながら20分間溶解した)を用いて実行した。プレートカウント(式2)及び対称性(式3)を、200マイクロリットル注入で以下の式に従って測定した。
【0081】
【数1】
式中、RVは、ミリリットル単位での保持体積であり、ピーク幅は、ミリリットル単位であり、ピーク最大値は、ピークの最大高さであり、1/2高さは、ピーク最大値の1/2の高さである。
【0082】
【数2】
式中、RVは保持体積(ミリリットル単位)であり、ピーク幅はミリリットル単位であり、ピーク最大値はピークの最大位置であり、1/10高さはピーク最大値の1/10の高さであり、後方ピークはピーク最大値よりも後の保持体積でのピークテールを指し、前方ピークはピーク最大値よりも早い保持体積でのピークフロントを指す。クロマトグラフィシステムのプレートカウントは、18,000超になるべきであり、対称性は、0.98~1.22となるべきである。
【0083】
試料を、PolymerChar社製「Instrument Control」ソフトウェアを用いて半自動様式で調製し、2mg/mLを試料の目標重量とし、PolymerChar社製高温オートサンプラを介して、予め窒素スパージされたセプタム付きのキャップが付いたバイアルに溶媒(200ppmのBHTを含有)を添加した。試料を「低速」振盪下で、160℃で2時間溶解した。
【0084】
Mn(GPC)、Mw(GPC)、及びMz(GPC)の計算は、PolymerChar社製GPCOne(商標)ソフトウェア、各等間隔のデータ回収点(i)におけるベースラインを差し引いたIRクロマトグラム、及び式1の点(i)についての狭い標準物質較正曲線から得られるポリエチレン等価分子量を使用して、式4~6に従って、PolymerChar社製GPC-IRクロマトグラフの内部IR5検出器(測定チャンネル)を使用した、GPC結果に基づいた。
【0085】
【0086】
経時的な偏差を監視するために、PolymerChar社製GPC-IRシステムで制御されたマイクロポンプを介して、各試料に流量マーカー(デカン)を導入した。この流量マーカー(flowrate marker、FM)を用いて、試料中のそれぞれのデカンピーク(RV(FM試料))と、狭い標準物質較正(RV(FM較正済み))内のデカンピークのそれとを、RV整合させることによって、各試料のポンプ流量(流量(見かけ))を直線的に補正した。次いで、デカンマーカーピークの時間のいかなる変化も、実行の全体にわたって流量(流量(有効))における線形シフトに関連すると推測される。流量マーカーピークのRV測定の最高精度を促進するために、流量マーカー濃度クロマトグラムのピークを二次方程式に当てはめる最小二乗適合ルーチンが使用される。次いで、二次方程式の一次導関数を使用して、真のピーク位置を解く。流量マーカーのピークに基づいてシステムを較正した後、(狭い標準較正に対する)有効流量を、式7のとおりに計算する。流量マーカーピークの処理を、PolymerChar社製GPCOne(商標)ソフトウェアを介して行った。許容可能な流量補正は、有効流量が見かけの流量の±1%以内になるはずであるようにする。
流量(有効)=流量(見かけ)×(RV(FM較正済み)/RV(FM試料))(式7)
【実施例】
【0087】
以下の実施例は、本開示の特徴を例示するものであるが、本開示の範囲を限定することを意図するものではない。
【0088】
5層二軸配向ポリエチレンフィルムを、2.1メートル幅のパイロットテンタフレームラインを用いて製造した。フィルムは、およそ3.1mmのダイギャップを有する5層(ADBDC)ダイを使用して、エアナイフピナーを使用して冷却ドラム上にキャストして製造された。フィルムを、一連の加熱された差動速度のロールを介して、機械方向に5.5~6.0:1の延伸比で延伸させ、続いて、横方向に8:1の延伸比で延伸させる。それぞれの押出機の構成を以下の表2に示す。
【0089】
【0090】
280mm~290mmの幅と、0.8mm~1.0mmの厚さと、を有する多層フィルムを、5層ダイを介して約240℃~260℃の処理温度で共押出しして、表面温度が40℃~90℃に制御される冷却ドラム上にキャストして、毎分約4メートル~毎分6メートルのキャスト速度で無配向フィルムを固化させた。無配向フィルムを、約65℃~130℃で延伸中に機械方向に予熱し、元の長さの5~6倍の延伸比で約110℃~130℃で機械方向に延伸させた。得られた延伸シートを、約30℃~70℃でアニーリングして、熱収縮を低減させ、一軸配向フィルムを得た。
【0091】
一軸配向フィルムを、毎分約20メートル~毎分28メートルのライン速度でテンタに導入し、約140℃~155℃で予備加熱し、元の幅の約6~8倍の延伸比で、約120℃~130℃で横方向に延伸させ、次いで、約105℃~120℃で熱固定又はアニーリングして、配向に起因する内部応力を低減させ、最終フィルムの熱収縮を最小限に抑え、相対的に熱安定性の二軸配向フィルムを得ることができた。二軸配向後、共押出フィルムの厚さは、全体として名目上約20マイクロメートルであり、外層(押出機A及びC)は、それぞれ約1マイクロメートルの厚さであり、結合層(2つの層に分割された押出機D)は、それぞれ約0.65マイクロメートル~0.8マイクロメートルの厚さであり、コア層(押出機B)は、約16マイクロメートル~17マイクロメートルの厚さであった。二軸配向多層フィルムは、ロール状に巻かれてもよい。機械方向配向緩和率は、3%~5%であってもよく、横方向配向緩和率は、3%~6%であってもよい。
【0092】
全ての実験において、コア層(押出機B)及び結合層(押出機D)は、同じHDPE材料を使用した。スキン層(押出機A及びC)は、同じLLDPE材料を使用した。最終的なフィルム幅は、約1.1mである。
【0093】
スキン層に使用したLLDPE材料は、1.7g/10分のメルトインデックス及び0.926g/ccの密度を有するThe Dow Chemical Company製のINNATE(商標)TF80であった。結合層及びコア層に使用されるHDPE材料の特性を以下の表3に列挙する。HDPE-1は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、米国特許第8,445,594号の実施例6に記載されるプロセスに従って、複式反応器プロセスを介して生成された二峰性HDPEであった。
【0094】
【0095】
特に、HDPE-1は、連続して動作する第1の気相反応器及び第2の気相反応器を含む複式逐次重合システムを使用して作製された。エチレン、1種以上のα-オレフィンコモノマー、水素、鉱油中でスラリー化されたチーグラー・ナッタ触媒、N2、及びイソペンタンを第1の反応器に連続的に供給した。続いて、トリエチルアルミニウム(TEAL)共触媒を第1の反応器に連続的に供給して触媒を活性化した。次いで、1-ヘキセンの存在下でのエチレンの第1の重合反応を、以下の表4に示す条件下で第1の反応器中で行い、それによって第1の成分-触媒複合体を生成した。第1の成分-触媒複合体を第2の反応器に連続的に移送した。追加のエチレン、水素、TEAL共触媒、N2、及びイソペンタンを第2の反応器に連続的に供給した。追加の触媒は、第2の反応器に添加しなかった。エチレンの第2の重合反応を、第2の反応器中で以下の表4に示す条件下で行い、それによって第1の成分-触媒-第2の成分複合体を生成した。第1の成分-触媒-第2の成分複合体を第2の反応器からバッチで生成物チャンバ内へと除去し、パージして残留炭化水素を除去し、次いでドラムに移送した。ドラムを加湿窒素でパージした。
【0096】
【0097】
ポリマーをミキサ/ペレタイザで更に処理した。400ppmのIrganox1010及び500ppmのIrgafos168などの追加の添加剤をポリマーに添加した。ポリマーをミキサ中で溶融し、添加剤をその中に分散させた。
【0098】
HDPE-Aは、複式溶液反応器プロセスによって製造された二峰性HDPEであった。HDPE-Bは、クロム型触媒による単一反応器プロセスによって製造された単峰性HDPEである。HDPE-Cは、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、国際出願PCT/US2021/024140号に説明されるプロセスに従って、複式溶液反応器プロセスを介して生成された二峰性HDPEであった。
【0099】
本明細書に開示かつ記載される実施形態に従って調製された実施例1、並びに比較例A、比較例B、及び比較例Cの配合を表5に列挙する。表5はまた、TDOでの延伸性能、TDO後のウェブ外観、メインコア押出機Bでのトルク要件、並びにそれぞれのフィルムのヘイズ及び弾性係数を含む。表5に示すように、結合層及びコア層中にHDPE 1を有する試料は、TDOにおける最良の延伸安定性、TDO後の低いウェブ弛み、最も均質なウェブ外観、及び同時に低いゲージ変動を示した。延伸安定性、ウェブ外観及び低いゲージ変動は、大型の工業規模テンタフレームラインで高品質BOPEフィルムを製造するために最も重要な要件に挙げられる。HDPE 1を使用する試料はまた、メインコア押出機において低トルクを必要とした。これはまた、大型の工業規模テンタフレームラインにおいて高生産量を維持するために重要である。
【0100】
【表5】
*TDOでの延伸安定性順位付け:1-最良、4-最悪
【0101】
添付の特許請求の範囲で定義される本開示の範囲から逸脱することなく、修正及び変更が可能であることは明らかであろう。より具体的には、本開示のいくつかの態様は、本明細書において、好ましいか、又は特に有利なものとして特定されるが、本開示は、必ずしもこれらの態様に限定されないことが企図される。
【国際調査報告】