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特表2024-546414自己乳化型架橋剤の分散方法、得られた架橋剤分散体および焼付温度の低いe-コートへの該分散体の適用
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-12-24
(54)【発明の名称】自己乳化型架橋剤の分散方法、得られた架橋剤分散体および焼付温度の低いe-コートへの該分散体の適用
(51)【国際特許分類】
   C09D 201/00 20060101AFI20241217BHJP
   C08J 3/03 20060101ALI20241217BHJP
   C09D 7/63 20180101ALI20241217BHJP
   C09D 163/00 20060101ALI20241217BHJP
   C09D 171/00 20060101ALI20241217BHJP
   C08G 18/32 20060101ALI20241217BHJP
   C08G 18/42 20060101ALI20241217BHJP
   C08L 75/02 20060101ALI20241217BHJP
   C08L 75/04 20060101ALI20241217BHJP
   C08K 3/24 20060101ALI20241217BHJP
   C08K 5/09 20060101ALI20241217BHJP
   C08L 71/02 20060101ALI20241217BHJP
   C08L 63/00 20060101ALI20241217BHJP
   B32B 27/00 20060101ALI20241217BHJP
   B32B 27/40 20060101ALI20241217BHJP
   B32B 27/42 20060101ALI20241217BHJP
   C09K 23/52 20220101ALI20241217BHJP
【FI】
C09D201/00
C08J3/03 CEZ
C09D7/63
C09D163/00
C09D171/00
C08G18/32 003
C08G18/42
C08G18/32 071
C08G18/32 025
C08L75/02
C08L75/04
C08K3/24
C08K5/09
C08L71/02
C08L63/00 A
B32B27/00 Z
B32B27/40
B32B27/42
C09K23/52
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024526861
(86)(22)【出願日】2022-10-18
(85)【翻訳文提出日】2024-06-26
(86)【国際出願番号】 EP2022078910
(87)【国際公開番号】W WO2023078665
(87)【国際公開日】2023-05-11
(31)【優先権主張番号】PCT/CN2021/128758
(32)【優先日】2021-11-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】390008981
【氏名又は名称】ビーエーエスエフ コーティングス ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】BASF Coatings GmbH
【住所又は居所原語表記】Glasuritstrasse 1, D-48165 Muenster,Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100100354
【弁理士】
【氏名又は名称】江藤 聡明
(74)【代理人】
【識別番号】100167106
【弁理士】
【氏名又は名称】倉脇 明子
(74)【代理人】
【識別番号】100194135
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 修
(74)【代理人】
【識別番号】100206069
【弁理士】
【氏名又は名称】稲垣 謙司
(74)【代理人】
【識別番号】100185915
【弁理士】
【氏名又は名称】長山 弘典
(72)【発明者】
【氏名】タンビジットサクル,パッタラサイ
(72)【発明者】
【氏名】ユエ,タイ チエ
(72)【発明者】
【氏名】チャン,トン ユワン
(72)【発明者】
【氏名】シン,スー チエ
(72)【発明者】
【氏名】ワン,リン
【テーマコード(参考)】
4D077
4F070
4F100
4J002
4J034
4J038
【Fターム(参考)】
4D077AA03
4D077AB03
4D077AB06
4D077DC26Z
4D077DD46Z
4F070AA53
4F070AC12
4F070AC39
4F070AC40
4F070AE28
4F070AE30
4F070CA03
4F070CB01
4F070CB12
4F100AH02A
4F100AH03A
4F100AK36A
4F100AK41A
4F100AK45A
4F100AK51A
4F100AK53A
4F100AK54A
4F100AT00B
4F100CA02A
4F100EJ42A
4F100EJ50A
4F100GB32
4F100JB05A
4F100JB13A
4F100YY00A
4J002CD132
4J002CH022
4J002CK011
4J002CK021
4J002CM011
4J002DD016
4J002DF026
4J002DK006
4J002EF026
4J002EF076
4J002EF096
4J002GH00
4J002GH01
4J034AA01
4J034BA01
4J034BA02
4J034BA03
4J034CA03
4J034CA04
4J034CA11
4J034CA13
4J034CB03
4J034CC03
4J034CC12
4J034CC67
4J034CD01
4J034DA05
4J034DF01
4J034DF02
4J034HA02
4J034HC12
4J034HC63
4J034HC64
4J034HD01
4J034JA02
4J034JA12
4J034JA32
4J034KA01
4J034KB02
4J034KC17
4J034KE02
4J034SA01
4J034SA05
4J038DD002
4J038DF001
4J038DG032
4J038DG262
4J038DJ012
4J038GA09
4J038KA03
4J038MA10
4J038PA19
4J038PB07
(57)【要約】
本発明は、少なくとも2つの工程:i).自己乳化型架橋剤の水性酸分散体(I)を調製する工程であって、前記水性酸分散体(I)の液相の微細構造が油中水型である、工程、およびii).前記水性酸分散体(I)に水を添加して水性酸分散体(II)を得る工程であって、前記水性酸分散体(II)の液相の微細構造が水中油型である工程、を含む、自己乳化型架橋剤の分散方法を提供する。さらに本発明は、本発明の方法によって調製された自己乳化型架橋剤分散体も提供し、そして前記自己乳化型架橋剤分散体は50~200nm、および好ましくは60~160nmのZ-平均粒径を有する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも2つの工程:
i).自己乳化型架橋剤の水性酸分散体(I)を調製する工程であって、前記水性酸分散体(I)の液相の微細構造が油中水型である、工程、および
ii).前記水性酸分散体(I)に水を添加して水性酸分散体(II)を得る工程であって、前記水性酸分散体(II)の液相の微細構造が水中油型である、工程
を含む、自己乳化型架橋剤の分散方法。
【請求項2】
前記自己乳化型架橋剤が、好ましくは、カチオン性ポリ芳香族ウレタン、カチオン性ポリ脂肪族ウレタン、水系アミノ樹脂、カチオン性ポリエステルポリウレタン、カチオン性ポリエステルポリウレアおよびカチオン性ポリカーボネートポリウレタンから選択される少なくとも1つである、請求項2に記載の自己乳化型架橋剤の分散方法。
【請求項3】
工程i)において、好ましくは、前記自己乳化型架橋剤、酸および水を500~2000rpmの速度の撹拌下で混合することによって前記水性酸分散体(I)を調製し、そして工程ii)において、好ましくは、200~1500rpmの速度の撹拌下で前記水性酸分散体(II)を調製する、請求項1または2に記載の自己乳化型架橋剤の分散方法。
【請求項4】
工程i)における前記水性酸分散体(I)の固形分含量が、前記水性酸分散体(I)の総質量に対して45質量%~75質量%、および好ましくは50質量%~70質量%である、請求項1または2に記載の自己乳化型架橋剤の分散方法。
【請求項5】
工程ii)における前記水性酸分散体(II)の固形分含量が、前記水性酸分散体(II)の総質量に対して20質量%~30質量%である、請求項1または2に記載の自己乳化型架橋剤の分散方法。
【請求項6】
工程ii)における前記水性酸分散体(II)の検出最高温度(Tmax)が40℃以下、および好ましくは30℃以下である、請求項1または2に記載の自己乳化型架橋剤の分散方法。
【請求項7】
前記水性酸分散体(I)を調製するための工程i)において使用される酸が、好ましくは、希塩酸、希硫酸、リン酸、希硝酸、ホウ酸、過塩素酸、ギ酸、酢酸、乳酸、シュウ酸、グリコール酸、クエン酸、リンゴ酸、アジピン酸、コハク酸、プロピオン酸、フマル酸および安息香酸から選択される少なくとも1つである、請求項1または2に記載の自己乳化型架橋剤の分散方法。
【請求項8】
前記水性酸分散体(I)中の酸の質量パーセンテージが0.1質量%~5.0質量%、および好ましくは0.5質量%~2.0質量%である、請求項1または2に記載の自己乳化型架橋剤の分散方法。
【請求項9】
請求項1または2に記載の方法によって調製される自己乳化型架橋剤分散体であって、50~200nm、および好ましくは60~160nmのZ-平均粒径を有する、自己乳化型架橋剤分散体。
【請求項10】
前記自己乳化型架橋剤分散体が、0.2未満、および好ましくは0.1未満のPDI(多分散性指数)を有する、請求項9に記載の自己乳化型架橋剤分散体。
【請求項11】
前記自己乳化型架橋剤分散体の固形分含量が20質量%~30質量%である、請求項9に記載の自己乳化型架橋剤分散体。
【請求項12】
前記自己乳化型架橋剤分散体が、カチオン性ポリ芳香族ウレタン、カチオン性ポリ脂肪族ウレタン、水系アミノ樹脂、カチオン性ポリエステルポリウレタン、カチオン性ポリエステルポリウレアおよびカチオン性ポリカーボネートポリウレタンから選択される少なくとも1つを含む、請求項9に記載の自己乳化型架橋剤分散体。
【請求項13】
少なくとも1つのベース樹脂分散体および請求項9または10に記載の少なくとも1つの自己乳化型架橋剤分散体を含む、e-コート組成物。
【請求項14】
前記ベース樹脂が、好ましくは、ポリエーテルアミンおよびポリエーテルアミンベースのエポキシ樹脂から選択される少なくとも1つである、請求項13に記載のe-コート組成物。
【請求項15】
前記e-コート組成物が80℃~140℃の硬化温度を有する、請求項13に記載のe-コート組成物。
【請求項16】
80℃~140℃の温度で硬化させた後に、請求項13に記載のe-コート組成物から得られるe-コート層。
【請求項17】
請求項16に記載のe-コート層で被覆された基材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、低温焼付e-コート組成物、特に自動車産業用e-コートに使用される自己乳化型架橋剤の分散方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
自動車産業において、e-コートの硬化温度は、通常は160℃より高い。しかしながら、エネルギーおよびコストの削減を目的として、e-コートに低温焼付の傾向が現れている。すなわち、OEM(相手先商標製品製造)およびASM(自動車供給金属)市場では、80℃~140℃の硬化温度が望まれている。
【0003】
低温焼付e-コートを実現するために、現在行われているのは、架橋剤(例えばブロックイソシアネート)をベース樹脂(例えばポリエーテルアミン)でカプセル化し、そして水と酸の混合物中で乳化して、e-コートバインダーのミセルを得ることである。しかし、このような方法で得られたe-コートに使用されるバインダーは、貯蔵期間中に安定ではない。架橋剤とベース樹脂は、ミセル中で互いに反応しやすい。よって1つの解決策は、架橋剤をベース樹脂から分離することである。このような溶液で使用される架橋剤は、いわゆる「自己乳化型架橋剤」である。前記自己乳化型架橋剤の一例は、カチオン性ポリウレタン架橋剤(ブロックイソシアネート)である。
【0004】
e-コートを塗布する際、金属基材上に沈着させるミセルは2種類、すなわち、ベース樹脂分散体および自己乳化型架橋剤分散体となる。2つの分散体の粒径は同じ範囲(例えば60nm~160nm)でなければならない。そうでないと、比率が不均衡であることから金属基材上のe-コート膜の架橋密度が不均一になり、さらにe-コート膜の機械的特性の欠陥がもたらされる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
良好に分散したベース樹脂エマルションを調製するのは容易である。しかしながら、自己乳化型架橋剤の良好な分散体を得るための満足のいくアプローチは、先行技術にはない。従って、粒径が小さく且つ粒径分布が狭い自己乳化型架橋剤のエマルションを得るための分散方法を提供することが依然として求められている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
一態様において、本発明は、少なくとも2つの工程:
i).自己乳化型架橋剤の水性酸分散体(I)を調製する工程であって、前記水性酸分散体(I)の液相の微細構造が油中水型である、工程、および
ii).前記水性酸分散体(I)に水を添加して水性酸分散体(II)を得る工程であって、前記水性酸分散体(II)の液相の微細構造が水中油型である、工程
を含む、自己乳化型架橋剤の分散方法を提供する。
【0007】
別の態様において、本発明は、本発明の方法によって調製された自己乳化型架橋剤分散体を提供するものであり、そして前記自己乳化型架橋剤分散体は、50~200nm、および好ましくは60~160nmのZ-平均粒径を有する。
【0008】
別の態様において、本発明は、少なくとも1つのベース樹脂分散体および本発明の方法によって調製された少なくとも1つの自己乳化型架橋剤分散体を含むe-コート組成物を提供する。
【0009】
さらなる態様において、本発明は、e-コート層で被覆された基材を提供するものであり、そして前記e-コート層は、少なくとも1つのベース樹脂分散体および本発明の方法によって調製された少なくとも1つの自己乳化型架橋剤分散体によって形成される。
【0010】
驚くべきことに、本発明の方法を用いることにより、粒径が小さく且つ粒径分布が狭い自己乳化型架橋剤分散体が得られることが判明した。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に本発明を詳細に記載する。本発明は、様々な方法で具体化でき、そして本明細書に記載された実施形態に限定して解釈されないことを理解されたい。特に言及されない限り、本明細書で使用されるあらゆる技術用語および科学用語は、本発明が属する技術分野における当業者によって一般的に理解されるものと同じ意味を有する。
【0012】
本出願の文脈において、単数形「a」、「an」および「the」には、文脈上明らかにそうでない場合を除き、複数の参照語が含まれる。
【0013】
本出願の文脈において、用語「含む(comprise(s))」、「含む(comprising)」は、非限定的且つ開放的に解釈される。すなわち、さらなる成分または要素が存在し得る。
【0014】
本出願の文脈において、「ベース樹脂」という用語は、架橋剤と反応してe-コートバインダーを形成するe-コート組成物の主成分を意味し、そしてベース樹脂の一例はポリエーテルアミンである。
【0015】
本出願の文脈において、「自己乳化型架橋剤」という用語は、水溶液中で乳化し、ベース樹脂と反応することができる官能基を有する架橋剤を意味する。自己乳化型架橋剤の一例はカチオン性ポリウレタンである。
【0016】
本出願の文脈において、「検出最高温度(Tmax)」という用語は、溶媒(例えば水と酸の混合物)を撹拌しながら添加するプロセス中の、分散溶液の検出された最高温度を意味する。
【0017】
本出願の文脈では、「容器(container)」および「ベッセル(vessel)」という用語は、同じ意味を有して代替的に使用される。
【0018】
自己乳化型架橋剤は、低温焼付e-コートのための1つの潜在的なアプローチである。分散したポリウレタン架橋剤の小さな粒径と狭い粒径分布は、貯蔵安定性に必要である。本発明は、小さな粒径と狭い粒径分布を得るために、重要な処理パラメータをどのように微調整するかを見出すものである。さらに、先行技術では、ポリウレタン架橋剤の合成および分散が異なるベッセルで行われるが、本発明では、合成および分散の両方の工程を1つのベッセルで実施することが可能であり、実生産におけるコストが削減される。
【0019】
本発明は、少なくとも2つの工程:
i).自己乳化型架橋剤の水性酸分散体(I)を調製する工程であって、前記水性酸分散体(I)の液相の微細構造が油中水型である、工程、および
ii).前記水性酸分散体(I)に水を添加して水性酸分散体(II)を得る工程であって、前記水性酸分散体(II)の液相の微細構造が水中油型である、工程
を含む、自己乳化型架橋剤の分散方法を提供する。
【0020】
本発明によれば、カチオン性ポリウレタン架橋剤の分散効果を分析したところ、平均粒径が小さく(60nm~160nm)且つ粒径分布が非常に狭い、すなわちPDI(多分散性指数)が0.2未満であることが判明した。平均粒径および粒径分布は、貯蔵安定性にも金属基材へのe-コートの均一な沈着にも有利な許容範囲内にある。これは自動車OEMおよびASM市場に大きな利点をもたらす。
【0021】
本発明の分散方法は、カチオン性ポリウレタン架橋剤に適用可能であるだけでなく、他の架橋剤にも使用することができる。架橋剤のミセルの粒径および粒径分布に影響を与える重要なパラメータは、主に2つある。すなわち、水性酸分散体(I)の固形分含量、および工程ii)における分散中の検出最高温度(Tmax)である。水性酸分散体(I)の固形分含量は、水性酸分散体(I)の総質量に対して少なくとも45質量%でなければならない。Tmaxは、架橋剤の初期温度および撹拌速度に影響される。好ましくは、Tmaxは40℃を超えてはならず、そしてより好ましくは30℃を超えてはならない。本発明の重要な要素は、自己乳化型架橋剤の分散体またはエマルションが、分散プロセス中にw/o(油中水型)からo/w(水中油型)への相転移を有することである。このような相転移は、ドウ(dough)様物体が見られることから観察され得る。
【0022】
さらに、自己乳化型架橋剤の合成および分散を別々に行うために2つのベッセルを使用する代わりに、本発明では、ポリウレタン架橋剤の合成および分散プロセスの両方を行うために必要なベッセルは1つだけであり、そしてミセルの小さな粒径および狭い粒径分布が達成されることが証明された。有機ポリウレタン架橋剤の合成および分散プロセスを1つのベッセルで行うことは、製造のエネルギーとコストの節約に大きな利点をもたらす。しかし、カチオン性ポリウレタン分散体に2つのベッセルを使用することにより、本発明の方法を介して小さな粒径および狭い粒径分布を得ることもできる。
【0023】
前記自己乳化型架橋剤の例には、カチオン性ポリ芳香族ウレタン、カチオン性ポリ脂肪族ウレタン、水系アミノ樹脂、カチオン性ポリエステルポリウレタン、カチオン性ポリエステルポリウレアおよびカチオン性ポリカーボネートポリウレタンが含まれる。
【0024】
選択されたアミンは、架橋剤に組み込まれて自己乳化機能をもたらし、その一方でベース樹脂に対して反応性である。前記アミンの例には、N-メチルジエタノールアミン、N-ブチルジエタノールアミン、ジエタノールアミン、N,N-ジメチルアミノプロピルアミン、ビス-(N,N-ジメチルアミノプロピルアミン)、2-[[2-(ジメチルアミノ)エチル]メチルアミノ]エタノール、2-(2-アミノエトキシ)エタノール、トリエタノールアミン、ピリジンジエタノールアミン、エタノールアミン、ジエタノールアミン、N,N-ジメチルエタノールアミンが含まれる。
【0025】
カチオン性ポリウレタン架橋剤の合成法は公知である。その調製方法は、Saimani Sundarらが、「Aqueous dispersions of polyurethane cationomers:a new approach for hydrophobic modification and crosslinking」,Colloid Polym Sci(2004年)283:209-218において開示している。
【0026】
得られたカチオン性ポリウレタン架橋剤を希釈するために、水と酸の混合物を使用するが、ここでは無機酸も低分子有機酸も使用できる。無機酸の例には、希塩酸、希硫酸、リン酸、希硝酸、ホウ酸および過塩素酸が含まれる。有機酸の例には、ギ酸、酢酸、乳酸、シュウ酸、グリコール酸、クエン酸、リンゴ酸、アジピン酸、コハク酸、プロピオン酸、フマル酸および安息香酸が含まれる。好ましくは、酸は、水と酸の混合物の総質量に対して0.1質量%~5.0質量%、およびより好ましくは0.5質量%~2.0質量%の量で水に添加される。
【0027】
好ましくは、前記自己乳化型架橋剤の分散は撹拌下で行われ、そして撹拌速度は、好ましくは、第1の工程では500~2000rpmの範囲、および第2の工程では200~1500rpmの範囲である。分散の第2の工程における撹拌速度は、Tmaxに大きく影響した。撹拌速度が高いほど分散体のTmaxが高くなり、そしてTmaxが高いと粒径が大きく且つ粒径分布が広くなる傾向がある。
【0028】
好ましくは、前記自己乳化型架橋剤の初期温度は35℃未満である。前記自己乳化型架橋剤の初期温度が室温より高い、例えば35℃の場合、Tmaxは明らかに高くなり、そしてTmaxが高いと粒径が大きく且つ粒径分布が広くなる傾向がある。
【0029】
好ましくは、工程i)における前記水性酸分散体(I)の固形分含量は、前記水性酸分散体(I)の総質量に対して45質量%~75質量%、および好ましくは50質量%~70質量%である。そして工程ii)における前記水性酸分散体(II)の固形分含量は、前記水性酸分散体(II)の総質量に対して20質量%~30質量%である。水性酸分散体(I)の固形分含量が重要であった。水性酸分散体(I)の固形分含量が49%より高い場合(例えば58%)、前記分散体の微細構造は油中水型であり、前記分散体の粘度はかなり高かった。対照として、水性酸分散体(I)の固形分含量が49%より低い場合(例えば38%)、前記分散体の微細構造は水中油型であった。分散体の二相転移、すなわち微細構造レベルにおける油中水型から水中油型への転移は、より小さいZ-平均粒径およびより狭い粒径分布をもたらす。このような相転移がない場合、得られた分散体は、大きな粒径且つ広い粒径分布を有する傾向がある。
【0030】
好ましくは、前記自己乳化型架橋剤分散体は、50~200nm、およびより好ましくは60~160nmのZ-平均粒径を有する。
【0031】
好ましくは、前記自己乳化型架橋剤分散体は、0.2未満、およびより好ましくは0.1未満のPDI(多分散性指数)を有する。
【0032】
本発明によれば、架橋剤分散体を1つの容器またはベッセルで調製することが有利であるが、前記自己乳化型架橋剤の分散体は、2つ以上の容器またはベッセル、例えば2つの容器で調製することもできる。そして重要な問題は、用いる容器(単数又は複数)またはベッセル(単数又は複数)の数に関わらず、分散体の二相転移が起こらなければならないことである。
【0033】
比較として、2つの容器またはベッセルを使用することによる一工程の分散アプローチが行われる。一工程の分散アプローチは、次のように定義される:自己乳化型架橋剤を1つの容器(第1の容器)に入れ、そして酸水溶液を別の容器(第2の容器)に調製し、第1の容器のカチオン性ポリウレタン架橋剤を第2の容器に撹拌しながら連続的に添加して或る一定の固形分含量に達する。2つのベッセルと一工程の分散アプローチを用いることにより、得られた分散体は大きな粒径且つ広い粒径分布を有した。その理由は、一工程の分散アプローチでは、分散体の微細構造レベルにおける相転移、すなわち油中水型から水中油型への相転移の機会がなかったからである。
【0034】
さらに、本発明は、少なくとも1つのベース樹脂分散体および少なくとも1つの本発明による自己乳化型架橋剤分散体を含むe-コート組成物も提供する。前記ベース樹脂は、好ましくは、ポリエーテルアミンおよびポリエーテルアミンベースのエポキシ樹脂から選択される少なくとも1つである。前記e-コート組成物は、80℃~140℃の温度で硬化させてe-コート層を形成できる。そして、このような層は様々な基材、特に金属基材上に形成される。
【0035】
実施形態
様々な実施形態を以下に列挙する。以下に列挙する実施形態は、本発明の範囲に従って、あらゆる態様および他の実施形態と組み合わせ得ることが理解されるであろう。
【0036】
実施形態1
少なくとも2つの工程:
i).自己乳化型架橋剤の水性酸分散体(I)を調製する工程であって、前記水性酸分散体(I)の液相の微細構造が油中水型である、工程、および
ii).前記水性酸分散体(I)に水を添加して水性酸分散体(II)を得る工程であって、前記水性酸分散体(II)の液相の微細構造が水中油型である、工程
を含む、自己乳化型架橋剤の分散方法。
【0037】
実施形態2
前記自己乳化型架橋剤が、好ましくは、カチオン性ポリ芳香族ウレタン、カチオン性ポリ脂肪族ウレタン、水系アミノ樹脂、カチオン性ポリエステルポリウレタン、カチオン性ポリエステルポリウレアおよびカチオン性ポリカーボネートポリウレタンから選択される少なくとも1つである、実施形態2に記載の自己乳化型架橋剤の分散方法。
【0038】
実施形態3
工程i)において、好ましくは、自己乳化型架橋剤、酸および水を500~2000rpmの速度の撹拌下で混合することによって前記水性酸分散体(I)を調製し、そして工程ii)において、好ましくは、200~1500rpmの速度の撹拌下で前記水性酸分散体(II)を調製する、実施形態1から2のいずれか1つに記載の自己乳化型架橋剤の分散方法。
【0039】
実施形態4
工程i)における前記水性酸分散体(I)の固形分含量が、前記水性酸分散体(I)の総質量に対して45質量%~75質量%、および好ましくは50質量%~70質量%である、実施形態1から3のいずれか1つに記載の自己乳化型架橋剤の分散方法。
【0040】
実施形態5
工程ii)における前記水性酸分散体(II)の固形分含量が、前記水性酸分散体(II)の総質量に対して20質量%~30質量%である、実施形態1から4のいずれか1つに記載の自己乳化型架橋剤の分散方法。
【0041】
実施形態6
工程ii)における前記水性酸分散体(II)の検出最高温度(Tmax)が40℃以下、および好ましくは30℃以下である、実施形態1から5のいずれか1つに記載の自己乳化型架橋剤の分散方法。
【0042】
実施形態7
前記水性酸分散体(I)を調製するための工程i)において使用される酸が、好ましくは、希塩酸、希硫酸、リン酸、希硝酸、ホウ酸、過塩素酸、ギ酸、酢酸、乳酸、シュウ酸、グリコール酸、クエン酸、リンゴ酸、アジピン酸、コハク酸、プロピオン酸、フマル酸および安息香酸から選択される少なくとも1つである、実施形態1から6のいずれか1つに記載の自己乳化型架橋剤の分散方法。
【0043】
実施形態8
前記水性酸分散体(I)中の酸の質量パーセンテージが0.1質量%~5.0質量%、および好ましくは0.5質量%~2.0質量%である、実施形態1から7のいずれか1つに記載の自己乳化型架橋剤の分散方法。
【0044】
実施形態9
実施形態1から8のいずれか1つに記載の方法によって調製される自己乳化型架橋剤分散体であって、50~200nm、および好ましくは60~160nmのZ-平均粒径を有する、自己乳化型架橋剤分散体。
【0045】
実施形態10
前記自己乳化型架橋剤分散体が、0.2未満、および好ましくは0.1未満のPDI(多分散性指数)を有する、実施形態9に記載の自己乳化型架橋剤分散体。
【0046】
実施形態11
前記自己乳化型架橋剤分散体の固形分含量が20質量%~30質量%である、実施形態9から10のいずれか1つに記載の自己乳化型架橋剤分散体。
【0047】
実施形態12
前記自己乳化型架橋剤分散体が、カチオン性ポリ芳香族ウレタン、カチオン性ポリ脂肪族ウレタン、水系アミノ樹脂、カチオン性ポリエステルポリウレタン、カチオン性ポリエステルポリウレアおよびカチオン性ポリカーボネートポリウレタンから選択される少なくとも1つを含む、実施形態9から11のいずれか1つに記載の自己乳化型架橋剤分散体。
【0048】
実施形態13
少なくとも1つのベース樹脂分散体および実施形態9から12のいずれか1つに記載の少なくとも1つの自己乳化型架橋剤分散体を含む、e-コート組成物。
【0049】
実施形態14
前記ベース樹脂が、好ましくは、ポリエーテルアミンおよびポリエーテルアミンベースのエポキシ樹脂から選択される少なくとも1つである、実施形態13に記載のe-コート組成物。
【0050】
実施形態15
前記e-コート組成物が80℃~140℃の硬化温度を有する、実施形態13から14のいずれか1つに記載のe-コート組成物。
【0051】
実施形態16
80℃~140℃の温度で硬化させた後に、実施形態13から15のいずれか1つに記載のe-コート組成物から得られるe-コート層。
【0052】
実施形態17
実施形態16に記載のe-コート層で被覆された基材。
【実施例
【0053】
以下、実施例により本発明をさらに説明するが、これらは本発明の範囲を限定するものではない。また、実施例で使用した原材料は全て市販されているものである。
【0054】
実施例1~3は、カチオン性ポリウレタン架橋剤の調製方法を記載する。Lupranate(登録商標)M20Sは、BASF社のオリゴマーメチレンジフェニルジイソシアネート(MDI)である。メチルエチルケトオキシム(MEKO)はブロック剤として作用し、メチルイソブチルケトン(MIBK)は溶媒として作用し、ジブチルスズジラウレート(DBTL)は触媒として作用する。N-メチルジエタノールアミン、N-ブチルジエタノールアミン、ジエタノールアミン(DEOLA)、N,N-ジメチルアミノプロピルアミン(DMAPA)、ビス-(N,N-ジメチルアミノプロピルアミン)(BDMAPA)、2-[[2-(ジメチルアミノ)エチル]メチルアミノ]エタノール(DMAEA)、2-(2-アミノエトキシ)エタノール(AEEOL)、トリエタノールアミン、ピリジンジエタノールアミン、エタノールアミン、ジエタノールアミン、N,N-ジメチルエタノールアミンは、窒素原子を含有するアミンであり、中和剤として作用する。
【0055】
実施例1:中和のためのアミンビルディングブロックとしてN,N-ジメチルアミノプロピルアミン(DMAPA)を用いたMEKOブロック化Lupranate(登録商標)M20Sの調製
コンデンサー、窒素ガス入口および出口を備えた反応器に、400質量部のLupranate(登録商標)M20S、126.1質量部のMIBK、および0.18質量部のDBTLを装入した。この初期装入物を30℃に加熱した。その後、153.0質量部のビスフェノールA6EOを、一定の撹拌で60分以内で均一な速度で反応器に投入した。次いで378.3質量部のMIBKを反応器に添加し、並行して反応温度を30℃に冷却した。反応温度30℃で、150.5質量部のMEKOを20分以内でゆっくりと反応器に投入した。MEKOの投入終了後、反応温度を60℃まで上げ、そしてさらに30分間反応を続けた。次いで反応温度を再び30℃に冷却し、そして53.0質量部のDMAPAを反応器に素早く装入して次の工程を開始した。装入終了20分後、反応温度を再び60℃に設定し、そしてさらに30分間撹拌を続けた。ポリウレタン架橋剤が得られた。
【0056】
実施例2:中和のためのアミンビルディングブロックとしてビス-(N,N-ジメチルアミノプロピルアミン)または(BDMAPA)を用いたMEKOブロック化Lupranate(登録商標)M20Sの調製
500質量部のLupranate(登録商標)M20S、139.9質量部のMIBK、および0.23質量部のDBTLを、コンデンサー、窒素ガス入口および出口を備えた反応器に装入した。この初期装入物を30℃に加熱した。その後、30.7質量部の1,2-プロパンジオール(PD)を、一定の撹拌で60分以内で均一な速度で反応器に投入した。次いで419.7質量部のMIBKを反応器に添加し、並行して反応温度を30℃に冷却した。反応温度30℃で、187.5質量部のMEKOを20分以内でゆっくりと反応器に投入した。MEKOの投入終了後、反応温度を60℃まで上げ、そしてさらに30分間反応を続けた。次いで反応温度を再び30℃に冷却し、そして120.9質量部のBDMAPAを反応器に素早く装入して次の工程を開始した。装入終了20分後、反応温度を再び60℃に設定し、そしてさらに30分間撹拌を続けた。ポリウレタン架橋剤が得られた。
【0057】
実施例3:中和のためのアミンビルディングブロックとして2-[[2-(ジメチルアミノ)エチル]メチルアミノ]エタノール(DMAEA)を用いたMEKOブロック化Lupranate(登録商標)M20Sの調製
500質量部のLupranate(登録商標)M20S、135.5質量部のMIBK、および0.23質量部のDBTLを、コンデンサー、窒素ガス入口および出口を備えた反応器に装入した。この初期装入物を30℃に加熱した。その後、30.7質量部のPDを連続撹拌しながら60分以内で一定速度で反応器に投入した。続いて406.4質量部のMIBKを反応器に添加し、並行して反応温度を30℃に冷却した。反応温度30℃で、187.5質量部のMEKOを20分以内でゆっくりと反応器に投入した。MEKOの投入終了後、反応温度を60℃まで加熱し、そしてさらに30分間反応を続けた。次いで反応温度を再び30℃に冷却し、そして94.4質量部のDMAEAを反応器に素早く装入して次の工程を開始した。装入終了20分後、反応温度を再び60℃に設定し、そしてさらに30分間撹拌を続けた。ポリウレタン架橋剤が得られた。
【0058】
実施例4~14:実施例1から得られたカチオン性ポリウレタン架橋剤の分散体の1つの容器における調製
カチオン性ポリウレタン架橋剤の分散体の調製は、2つの転移段階:i).自己乳化型架橋剤の水性酸分散体(I)を調製する段階であって、前記水性酸分散体(I)の液相の微細構造が油中水型である、段階、およびii).前記水性酸分散体(I)に水を添加して水性酸分散体(II)を得る段階であって、前記水性酸分散体(II)の液相の微細構造が水中油型である、段階、を伴う。
【0059】
実施例4~6において、実施例1から得られた固形分含量60%を有するカチオン性ポリウレタン架橋剤を、室温下(1気圧で20~25℃)でプラスチック容器に入れた。26.84質量部の水および16.68質量部のギ酸水溶液(86質量%)の混合物を、1500rpmの撹拌速度で容器に添加して、固形分含量58%を有する油中水相を得た(第1の段階)。その後、1723.3質量部の水を撹拌しながら容器に添加して、固形分含量25%を有する水中油相を得た(第2の段階)。実施例4~6の間の違いは第2の段階における撹拌速度であり、すなわち、実施例4~6でそれぞれ500rpm、1500rpmおよび2500rpmであった。
【0060】
実施例7では、固形分含量60%を有する実施例1から得られたカチオン性ポリウレタン架橋剤を、35℃でプラスチック容器に入れた。26.84質量部の水および16.68質量部のギ酸水溶液(86質量%)の混合物を、1500rpmの撹拌速度で容器に添加して、固形分含量58%を有する油中水相を得た(第1の段階)。その後、1723.3質量部の水を500rpmの撹拌速度で容器に添加して、固形分含量25%を有する水中油相を得た(第2の段階)。
【0061】
実施例8では、固形分含量60%を有する実施例1から得られたカチオン性ポリウレタン架橋剤を、50℃でプラスチック容器に入れた。26.84質量部の水および16.68質量部のギ酸水溶液(86質量%)の混合物を、1500rpmの撹拌速度で容器に添加して、固形分含量58%を有する油中水相を得た(第1の段階)。その後、1723.3質量部の水を1500rpmの撹拌速度で容器に添加して、固形分含量25%を有する水中油相を得た(第2の段階)。
【0062】
実施例9では、固形分含量58%を有する実施例1から得られたカチオン性ポリウレタン架橋剤を、室温下(1気圧で20~25℃)でプラスチック容器に入れた。26.84質量部の水および16.68質量部のギ酸水溶液(86質量%)の混合物を、1500rpmの撹拌速度で容器に添加して、油中水相を得た(第1の段階)。その後、1723.3質量部の水を1500rpmの撹拌速度で容器に添加して、固形分含量25%を有する水中油相を得た(第2の段階)。
【0063】
実施例10では、固形分含量49%を有する実施例1から得られたカチオン性ポリウレタン架橋剤を、室温下(1気圧で20~25℃)でプラスチック容器に入れた。266.6質量部の水および16.68質量部のギ酸水溶液(86質量%)の混合物を、1500rpmの撹拌速度で容器に添加して、油中水相を得た(第1の段階)。その後、1483.5質量部の水を1500rpmの撹拌速度で容器に添加して、固形分含量25%を有する水中油相を得た(第2の段階)。
【0064】
実施例11では、固形分含量38%を有する実施例1から得られたカチオン性ポリウレタン架橋剤を、室温下(1気圧で20~25℃)でプラスチック容器に入れた。713.9質量部の水および16.68質量部のギ酸水溶液(86質量%)の混合物を、1500rpmの撹拌速度で容器に添加して、油中水相を得た(第1の段階)。その後、1036.2質量部の水を1500rpmの撹拌速度で容器に添加して、固形分含量25%を有する水中油相を得た(第2の段階)。
【0065】
実施例12では、固形分含量58%を有する実施例1から得られたカチオン性ポリウレタン架橋剤を、室温下(1気圧で20~25℃)でプラスチック容器に入れた。24.8質量部の水および18.7質量部の酢酸の混合物を、1500rpmの撹拌速度で容器に添加して、油中水相を得た(第1の段階)。その後、1723.3質量部の水を1500rpmの撹拌速度で容器に添加して、固形分含量25%を有する水中油相を得た(第2の段階)。
【0066】
実施例13では、固形分含量49%を有する実施例1から得られたカチオン性ポリウレタン架橋剤を、室温下(1気圧で20~25℃)でプラスチック容器に入れた。264.6質量部の水および18.7質量部の酢酸の混合物を、1500rpmの撹拌速度で容器に添加して、油中水相を得た(第1の段階)。その後、1483.5質量部の水を1500rpmの撹拌速度で容器に添加して、固形分含量25%を有する水中油相を得た(第2の段階)。
【0067】
実施例14では、固形分含量38%を有する実施例1から得られたカチオン性ポリウレタン架橋剤を、室温下(1気圧で20~25℃)でプラスチック容器に入れた。711.9質量部の水および18.7質量部の酢酸の混合物を、1500rpmの撹拌速度で容器に添加して、油中水相を得た(第1の段階)。その後、1036.2質量部の水を1500rpmの撹拌速度で容器に添加して、固形分含量25%を有する水中油相を得た(第2の段階)。
【0068】
実施例15~20:実施例2から得られたカチオン性ポリウレタン架橋剤の分散体の1つの容器における調製
実施例15では、固形分含量58%を有する実施例2から得られたカチオン性ポリウレタン架橋剤を、室温下(1気圧で20~25℃)でプラスチック容器に入れた。6.8質量部の水および41.5質量部のギ酸水溶液(86質量%)の混合物を、1500rpmの撹拌速度で容器に添加して、油中水相を得た(第1の段階)。その後、1910.1質量部の水を1500rpmの撹拌速度で容器に添加して、固形分含量25%を有する水中油相を得た(第2の段階)。
【0069】
実施例16では、固形分含量49%を有する実施例2から得られたカチオン性ポリウレタン架橋剤を、室温下(1気圧で20~25℃)でプラスチック容器に入れた。272.6質量部の水および41.5質量部のギ酸水溶液(86質量%)の混合物を、1500rpmの撹拌速度で容器に添加して、油中水相を得た(第1の段階)。その後、1644.3質量部の水を1500rpmの撹拌速度で容器に添加して、固形分含量25%を有する水中油相を得た(第2の段階)。
【0070】
実施例17では、固形分含量38%を有する実施例2から得られたカチオン性ポリウレタン架橋剤を、室温下(1気圧で20~25℃)でプラスチック容器に入れた。768.4質量部の水および41.5質量部のギ酸水溶液(86質量%)の混合物を、1500rpmの撹拌速度で容器に添加して、油中水相を得た(第1の段階)。その後、1148.5質量部の水を1500rpmの撹拌速度で容器に添加して、固形分含量25%を有する水中油相を得た(第2の段階)。
【0071】
実施例18では、固形分含量58%を有する実施例2から得られたカチオン性ポリウレタン架橋剤を、室温下(1気圧で20~25℃)でプラスチック容器に入れた。1.7質量部の水および46.5質量部の酢酸の混合物を、1500rpmの撹拌速度で容器に添加して、油中水相を得た(第1の段階)。その後、1910.1質量部の水を1500rpmの撹拌速度で容器に添加して、固形分含量25%を有する水中油相を得た(第2の段階)。
【0072】
実施例19では、固形分含量49%を有する実施例2から得られたカチオン性ポリウレタン架橋剤を、室温下(1気圧で20~25℃)プラスチック容器に入れた。267.5質量部の水および46.5質量部の酢酸の混合物を、1500rpmの撹拌速度で容器に添加して、油中水相を得た(第1の段階)。その後、1644.3質量部の水を1500rpmの撹拌速度で容器に添加して、固形分含量25%を有する水中油相を得た(第2の段階)。
【0073】
実施例20では、固形分含量38%を有する実施例2から得られたカチオン性ポリウレタン架橋剤を、室温下(1気圧で20~25℃)でプラスチック容器に入れた。763.3質量部の水および46.5質量部の酢酸の混合物を、1500rpmの撹拌速度で容器に添加して、油中水相を得た(第1の段階)。その後、1148.5質量部の水を1500rpmの撹拌速度で容器に添加して、固形分含量25%を有する水中油相を得た(第2の段階)。
【0074】
実施例21~26:実施例3から得られたカチオン性ポリウレタン架橋剤の分散体の1つの容器における調製
実施例21では、固形分含量58%を有する実施例3から得られたカチオン性ポリウレタン架橋剤を、室温下(1気圧で20~25℃)でプラスチック容器に入れた。26.0質量部の水および20.7質量部のギ酸水溶液(86質量%)の混合物を、1500rpmの撹拌速度で容器に添加して、油中水相を得た(第1の段階)。その後、1849.6質量部の水を1500rpmの撹拌速度で容器に添加して、固形分含量25%を有する水中油相を得た(第2の段階)。
【0075】
実施例22では、固形分含量49%を有する実施例3から得られたカチオン性ポリウレタン架橋剤を、室温下(1気圧で20~25℃)でプラスチック容器に入れた。283.3質量部の水および20.7質量部のギ酸水溶液(86質量%)の混合物を、1500rpmの撹拌速度で容器に添加して、油中水相を得た(第1の段階)。その後、1592.2質量部の水を1500rpmの撹拌速度で容器に添加して、固形分含量25%を有する水中油相を得た(第2の段階)。
【0076】
実施例23では、固形分含量38%を有する実施例3から得られたカチオン性ポリウレタン架橋剤を、室温下(1気圧で20~25℃)でプラスチック容器に入れた。763.5質量部の水および20.7質量部のギ酸水溶液(86質量%)の混合物を、1500rpmの撹拌速度で容器に添加して、油中水相を得た(第1の段階)。その後、1112.1質量部の水を1500rpmの撹拌速度で容器に添加して、固形分含量25%を有する水中油相を得た(第2の段階)。
【0077】
実施例24では、固形分含量58%を有する実施例3から得られたカチオン性ポリウレタン架橋剤を、室温下(1気圧で20~25℃)でプラスチック容器に入れた。23.4質量部の水および23.3質量部の酢酸の混合物を、1500rpmの撹拌速度で容器に添加して、油中水相を得た(第1の段階)。その後、1849.6質量部の水を1500rpmの撹拌速度で容器に添加して、固形分含量25%を有する水中油相を得た(第2の段階)。
【0078】
実施例25では、固形分含量49%を有する実施例3から得られたカチオン性ポリウレタン架橋剤を、室温下(1気圧で20~25℃)でプラスチック容器に入れた。280.8質量部の水および23.3質量部の酢酸の混合物を、1500rpmの撹拌速度で容器に添加して、油中水相を得た(第1の段階)。その後、1592.2質量部の水を1500rpmの撹拌速度で容器に添加して、固形分含量25%を有する水中油相を得た(第2の段階)。
【0079】
実施例26では、固形分含量38%を有する実施例3から得られたカチオン性ポリウレタン架橋剤を、室温下(1気圧で20~25℃)でプラスチック容器に入れた。760.9質量部の水および23.3質量部の酢酸の混合物を、1500rpmの撹拌速度で容器に添加して、油中水相を得た(第1の段階)。その後、1112.1質量部の水を1500rpmの撹拌速度で容器に添加して、固形分含量25%を有する水中油相を得た(第2の段階)。
【0080】
実施例27:実施例1から得られたカチオン性ポリウレタン架橋剤の分散体の2つの容器を用いた調製
固形分含量60%の実施例1から得られたカチオン性ポリウレタン架橋剤を、室温下(1気圧で20~25℃)でプラスチック容器(第1の容器)に入れた。266.6質量部の水および16.68質量部のギ酸水溶液(86質量%)の混合物を別の容器(第2の容器)に調製した。第1の容器のカチオン性ポリウレタン架橋剤を第2の容器に1500rpmの撹拌速度で添加すると固形分含量が49%に達し、その後続いて、1483.5質量部の水を第2の容器に1500rpmの撹拌速度で添加すると固形分含量が25%に達した。
【0081】
実施例28:実施例2から得られたカチオン性ポリウレタン架橋剤の分散体の2つの容器を用いた調製
固形分含量60%の実施例2から得られたカチオン性ポリウレタン架橋剤を、室温下(1気圧で20~25℃)でプラスチック容器(第1の容器)に入れた。272.6質量部の水および41.5質量部のギ酸水溶液(86質量%)の混合物を別の容器(第2の容器)に調製した。第1の容器のカチオン性ポリウレタン架橋剤を第2の容器に1500rpmの撹拌速度で添加すると固形分含量が49%に達し、その後続いて、1644.3質量部の水を第2の容器に1500rpmの撹拌速度で添加すると固形分含量が25%に達した。
【0082】
実施例29:実施例3から得られたカチオン性ポリウレタン架橋剤の分散体の2つの容器を用いた調製
固形分含量60%の実施例3から得られたカチオン性ポリウレタン架橋剤を、室温下(1気圧で20~25℃)でプラスチック容器(第1の容器)に入れた。283.3質量部の水および20.7質量部のギ酸水溶液(86質量%)の混合物を別の容器(第2の容器)に調製した。第1の容器のカチオン性ポリウレタン架橋剤を第2の容器に1500rpmの撹拌速度で添加すると固形分含量が49%に達し、その後続いて、1592.2質量部の水を第2の容器に1500rpmの撹拌速度で添加すると固形分含量が25%に達した。
【0083】
実施例30~31:実施例1から得られたカチオン性ポリウレタン架橋剤の分散体の2つの容器を用いた1工程での調製
実施例30では、固形分含量60%の実施例1から得られたカチオン性ポリウレタン架橋剤を、室温下(1気圧で20~25℃)でプラスチック容器(第1の容器)に入れた。1750.1質量部の水および16.68質量部のギ酸水溶液(86質量%)の混合物を別の容器(第2の容器)に調製した。第1の容器のカチオン性ポリウレタン架橋剤を第2の容器に1500rpmの撹拌速度で連続的に添加すると固形分含量が25%に達した。
【0084】
実施例31では、固形分含量60%の実施例1から得られたカチオン性ポリウレタン架橋剤を、室温下(1気圧で20~25℃)でプラスチック容器(第1の容器)に入れた。1748.1質量部の水および18.7質量部の酢酸の混合物を別の容器(第2の容器)に調製した。第1の容器のカチオン性ポリウレタン架橋剤を第2の容器に1500rpmの撹拌速度で連続的に添加すると固形分含量が25%に達した。
【0085】
実施例32~33:実施例2から得られたカチオン性ポリウレタン架橋剤の分散体の2つの容器を用いた1工程での調製
実施例32では、固形分含量60%の実施例2から得られたカチオン性ポリウレタン架橋剤を、室温下(1気圧で20~25℃)でプラスチック容器(第1の容器)に入れた。1916.8質量部の水および41.46質量部のギ酸水溶液(86質量%)の混合物を別の容器(第2の容器)に調製した。第1の容器のカチオン性ポリウレタン架橋剤を第2の容器に1500rpmの撹拌速度で連続的に添加すると固形分含量が25%に達した。
【0086】
実施例33では、固形分含量60%の実施例2から得られたカチオン性ポリウレタン架橋剤を、室温下(1気圧で20~25℃)でプラスチック容器(第1の容器)に入れた。1911.8質量部の水および46.5質量部の酢酸の混合物を別の容器(第2の容器)に調製した。第1の容器のカチオン性ポリウレタン架橋剤を第2の容器に1500rpmの撹拌速度で連続的に添加すると固形分含量が25%に達した。
【0087】
実施例34~35:実施例3から得られたカチオン性ポリウレタン架橋剤の分散体の2つの容器を用いた1工程での調製
実施例34では、固形分含量60%の実施例3から得られたカチオン性ポリウレタン架橋剤を、室温下(1気圧で20~25℃)でプラスチック容器(第1の容器)に入れた。1875.5質量部の水および20.7質量部のギ酸水溶液(86質量%)の混合物を別の容器(第2の容器)に調製した。第1の容器のカチオン性ポリウレタン架橋剤を第2の容器に1500rpmの撹拌速度で連続的に添加すると固形分含量が25%に達した。
【0088】
実施例35では、固形分含量60%の実施例3から得られたカチオン性ポリウレタン架橋剤を、室温下(1気圧で20~25℃)でプラスチック容器(第1の容器)に入れた。1873質量部の水および23.3質量部の酢酸の混合物を別の容器(第2の容器)に調製した。第1の容器のカチオン性ポリウレタン架橋剤を第2の容器に1500rpmの撹拌速度で連続的に添加すると固形分含量が25%に達した。
【0089】
性能試験
<Tmax
maxは、溶媒(例えば、水と酸の混合物)を撹拌しながら添加するプロセス中の、分散溶液の検出された最高温度である。Tmaxは温度センサーを含むIKA RET basic S025で試験される。
【0090】
<Z-平均粒径>
分散体のZ-平均粒径は、標準規格DIN ISO13321に従って、粒径分析器、Malvern,Zetasizer Nano zs90(モデルZEN3690)を用いて試験される。
【0091】
<PDI>
分散体のPDI(多分散性指数)は、標準規格DIN ISO13321に従って、粒径分析器、Malvern,Zetasizer Nano zs90(モデルZEN3690)を用いて試験される。
【0092】
<貯蔵安定性>
各分散体の貯蔵安定性は、或る一定の温度で一定時間静置させた後、透明容器中の分散体の外観を目視観察することにより評価した。相分離(重度)または沈降(軽度)が生じた場合、分散体は「不安定」と評価される。
【0093】
実施例4~35の性能試験結果を表1にまとめる。
【0094】
【表1】
【0095】
表1から分かるように、カチオン性ポリウレタン架橋剤の初期温度が室温の場合、分散の第2の段階で撹拌速度を上げると、Tmaxが著しく影響を受けた。また、カチオン性ポリウレタン架橋剤の初期温度が室温よりも高い場合、例えば35℃または50℃の場合、Tmaxも明らかに上昇した。結論として、カチオン性ポリウレタン架橋剤の初期温度および第2の段階の撹拌速度の両方が、第2の段階の分散体のTmaxに直接影響した。架橋剤の初期温度が高く、撹拌速度が速いほど、分散体のTmaxが上昇した。Tmaxが高いと、大きな粒径且つ広い粒径分布が得られ、例えば撹拌速度が第2の段階で1500rpm、架橋剤の初期温度が50℃の場合、Z-平均粒径は1006nmであり、そしてPDIは0.36であった。
【0096】
カチオン性ポリウレタン架橋剤のTmaxを35℃~40℃の範囲に制御した場合、得られた分散体のZ-平均粒径は劇的に変化し、特に第1の段階の分散体の固形分含量が38%であった例では顕著であった。
【0097】
実施例1から得られたカチオン性ポリウレタン架橋剤について、ギ酸水溶液を添加して第1の段階の分散体の固形分含量がそれぞれ58%および49%に達した場合、第2の段階の分散体のZ-平均粒径は、それぞれ99nm(PDIは0.08)および102nm(PDIは0.11)であった。対照的に、第1の段階の分散体の固形分含量が38%の場合、得られた第2の段階の分散体のZ-平均粒径は337nm(PDIは0.26)であった。また、ギ酸水溶液を酢酸水溶液に変更した後、第1の段階の分散体の固形分含量がそれぞれ58%、49%および38%の場合、第2の段階の分散体のZ-平均粒径は、それぞれ100nm(PDIは0.13)、99nm(PDIは0.12)および210nm(PDIは0.21)であった。
【0098】
実施例2から得られたカチオン性ポリウレタン架橋剤について、ギ酸水溶液を添加して第1の段階の分散体の固形分含量がそれぞれ58%および49%に達した場合、第2の段階の分散体のZ-平均粒径は、それぞれ92nm(PDIは0.12)および88nm(PDIは0.05)であった。対照的に、第1の段階の分散体の固形分含量が38%の場合、得られたZ-平均粒径は278nm(PDIは0.13)であった。また、ギ酸水溶液を酢酸水溶液に変更した後、第1の段階の分散体の固形分含量がそれぞれ58%、49%および38%の場合、第2の段階の分散体のZ-平均粒径は、それぞれ72nm(PDIは0.17)、78nm(PDIは0.11)および298nm(PDIは0.18)であった。
【0099】
実施例3から得られたカチオン性ポリウレタン架橋剤について、ギ酸水溶液を添加して第1の段階の分散体の固形分含量がそれぞれ58%および49%に達した場合、第2の段階の分散体のZ-平均粒径は、それぞれ98nm(PDIは0.13)および94nm(PDIは0.05)であった。対照的に、第1の段階の分散体の固形分含量が38%の場合、第2の段階の分散体のZ-平均粒径は298nm(PDIは0.14)であった。また、ギ酸水溶液を酢酸水溶液に変更した後、第1の分散体の固形分含量がそれぞれ58%、49%および38%の場合、第2の分散体のZ-平均粒径は、それぞれ101nm(PDIは0.12)、86nm(PDIは0.11)および365nm(PDIは0.19)であった。
【0100】
第1の段階の分散体の固形分含量が重要であった。第1の段階の分散体の固形分含量が49%より高い場合(例えば58%)、前記分散体の微細構造は油中水型であり、そして前記分散体の粘度はかなり高かった。対照的に、第1の段階の分散体の固形分含量が49%より低い場合(例えば38%)、前記分散体の微細構造は水中油型であった。
【0101】
分散体の二相転移、すなわち微細構造レベルでの油中水から水中油への転移は、Z-平均粒径を小さくし、且つ粒径分布を狭くする。もしこのような相転移がなければ、大きな粒径を有する分散体が得られるであろう。
【0102】
また、ギ酸水溶液を酢酸水溶液に変更した場合、実施例1~3から得られたカチオン性ポリウレタン架橋体は、Z-平均粒径の点で同様の結果を示した。
【0103】
さらに、本発明によれば、架橋剤分散体を1つの容器またはベッセルで調製することが有利であるが、実験は2つ以上の容器またはベッセル、例えば2つの容器で実施され得る。そして重要な問題は、用いる容器(単数又は複数)またはベッセル(単数又は複数)の数に関わらず、分散体の二相転移が起こらなければならないことである。
【0104】
実施例27~29では、実施例1~3から得られたカチオン性ポリウレタン架橋剤の分散体の、2つの容器および二段階の分散アプローチを用いることによるそれぞれの調製を記載した。そしてその試験結果から、これらの分散体も小さな粒径(例えば60nm~160nmの範囲)を有し、狭い粒径分布(例えば0.1未満)を備えることが示された。第2の分散体で観察されたTmaxは約30℃であった。分散プロセス中に二相転移が観察された。従って、二段階の分散アプローチを用いることにより、2つの容器またはベッセルが必要となるものの、より小さな粒径および狭い粒径分布を有する分散体が得られた。
【0105】
比較として、2つの容器またはベッセルを使用することによる一工程の分散アプローチを行った。実施例30~35では、実施例1~3から得られたカチオン性ポリウレタン架橋剤の分散体の、2つの容器および一工程の分散アプローチを用いることによる調製を記載した。そしてそれらの試験結果から、2つのベッセルおよび一工程の分散アプローチを用いることにより、ギ酸水溶液または酢酸水溶液のいずれを使用しても、得られた分散体は大きな粒径および広い粒径分布を有することが示された。その理由は、一工程の分散アプローチでは、分散体の微細構造レベルにおける相転移、すなわち油中水型から水中油型への相転移の機会がなかったからである。
【国際調査報告】