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特表2024-546420感熱性基材のための高速粉末コーティングライン
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-12-24
(54)【発明の名称】感熱性基材のための高速粉末コーティングライン
(51)【国際特許分類】
   B05C 19/04 20060101AFI20241217BHJP
   B05D 7/24 20060101ALI20241217BHJP
   B05D 3/02 20060101ALI20241217BHJP
   B05C 9/14 20060101ALI20241217BHJP
【FI】
B05C19/04
B05D7/24 301A
B05D3/02 B
B05C9/14
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024527315
(86)(22)【出願日】2022-11-04
(85)【翻訳文提出日】2024-05-09
(86)【国際出願番号】 US2022079262
(87)【国際公開番号】W WO2023086751
(87)【国際公開日】2023-05-19
(31)【優先権主張番号】63/278,329
(32)【優先日】2021-11-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】399074983
【氏名又は名称】ピーピージー・インダストリーズ・オハイオ・インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】PPG Industries Ohio,Inc.
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】弁理士法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ディマジオ、エバン アール.
(72)【発明者】
【氏名】クロス、ケビン シー.
【テーマコード(参考)】
4D075
4F042
【Fターム(参考)】
4D075BB21X
4D075BB21Z
4D075BB23X
4D075BB37X
4D075EA02
4F042AA16
4F042AB03
4F042DA09
4F042DB17
4F042EC04
4F042EC09
(57)【要約】
少なくとも1つの放射オーブン、少なくとも1つの対流オーブン、および粉末塗布システムを含み得る、粉末コーティングを感熱性基材に塗布するためのシステム。粉末塗布システムは、感熱性基材が水平配向で配向されている間に、感熱性基材の少なくとも上面に粉末を塗布するように構成された複数の粉末塗布デバイスを含み得る。
【選択図】図1A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
粉末コーティングを感熱性基材に塗布するためのシステムであって、前記システムが、
少なくとも1つの放射オーブンと、
少なくとも1つの対流オーブンと、
前記感熱性基材が水平配向で配向されている間に、前記感熱性基材の少なくとも上面に粉末を塗布するように構成された複数の粉末塗布デバイスを含む、粉末塗布システムと、を備える、システム。
【請求項2】
前記少なくとも1つの放射オーブンが、前記粉末塗布デバイスの前に位置付けられており、前記粉末の前記塗布の前に前記感熱性基材を予熱するように構成されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記少なくとも1つの放射オーブンが、前記感熱性基材を30秒以内の間に予熱する、請求項1または2に記載のシステム。
【請求項4】
前記少なくとも1つの放射オーブンが、前記感熱性基材を赤外線で予熱する、請求項1~3のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項5】
前記少なくとも1つの放射オーブンが、第1の放射オーブンおよび第2の放射オーブンを備え、前記第1の放射オーブンが、前記粉末塗布システムの前に位置付けられており、前記第2の放射オーブンが、前記粉末塗布システムの後に位置付けられている、請求項1~4のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項6】
前記第1の放射オーブンが、前記粉末の前記塗布前に前記感熱性基材を予熱するように構成されており、前記第2の放射オーブンが、前記粉末の前記塗布後に前記感熱性基材を硬化温度に加熱するように構成されている、請求項5に記載のシステム。
【請求項7】
前記第1の放射オーブンが、前記感熱性基材を赤外線放射で30秒以内の間に予熱し、前記第2の放射オーブンが、前記感熱性基材を赤外線放射で30秒以内の間に加熱する、請求項5または6に記載のシステム。
【請求項8】
前記少なくとも1つの対流オーブンが、前記粉末塗布デバイスの前に位置付けられており、前記粉末の前記塗布の前に、前記感熱性基材を加熱するように構成されている、請求項1~7のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項9】
前記少なくとも1つの対流オーブンが、前記感熱性基材を4分以内の間に加熱する、請求項1~8のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項10】
前記少なくとも1つの対流オーブンが、前記感熱性基材を熱対流式加熱で加熱する、請求項1~9のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項11】
前記少なくとも1つの対流オーブンが、第1の対流オーブンおよび第2の対流オーブンを備え、前記第1の対流オーブンが、前記粉末塗布システムの前に位置付けられており、前記第2の対流オーブンが、前記粉末塗布システムの後に位置付けられている、請求項1~10のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項12】
前記第1の対流オーブンが、前記粉末の前記塗布前に、前記感熱性基材を粉末コーティング温度に加熱するように構成されており、前記第2の対流オーブンが、前記粉末の前記塗布後に、前記感熱性基材を硬化温度に加熱するように構成されている、請求項10または11のいずれかに記載のシステム。
【請求項13】
第1の対流オーブンが、前記感熱性基材を4分以内の間に加熱し、前記第2の放射オーブンが、前記感熱性基材を12分以内の間に加熱する、請求項10~12のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項14】
前記少なくとも1つの放射オーブンが、前記粉末塗布システムの前に位置付けられた第1の放射オーブンと、前記粉末塗布システムの後の第2の放射性オーブン位置と、を備え、
前記少なくとも1つの対流オーブンが、前記粉末塗布システムの前の第1の対流オーブン位置と、前記粉末塗布システムの後に位置付けられた第2の対流オーブンと、を備え、
前記第1の放射オーブンおよび前記第1の対流オーブンが、前記粉末の前記塗布前に組み合わせて前記感熱性基材を加熱するように構成されており、
前記第2の放射オーブンおよび前記第2の対流オーブンが、前記粉末の前記塗布後に前記感熱性基材を組み合わせて加熱するように構成されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項15】
前記第1の放射オーブンが、前記感熱性基材を予熱するように構成されており、前記第1の対流オーブンが、前記粉末の前記塗布前に、予熱された前記感熱性基材を粉末コーティング温度に加熱するように構成されている、請求項14に記載のシステム。
【請求項16】
前記第2の放射オーブンおよび前記第2の対流オーブンが、前記粉末の前記塗布後に、前記感熱性基材を硬化温度に加熱するように構成されている、請求項14または15のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項17】
前記複数の粉末塗布デバイスが、第1のタイプの粉末塗布デバイスおよび第2のタイプの粉末塗布デバイスを備え、前記第1のタイプの粉末塗布デバイスおよび前記第2のタイプの粉末塗布デバイスの両方が、前記粉末を前記感熱性基材の前記上面に塗布するように構成されている、請求項1~16のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項18】
前記第1のタイプの粉末塗布デバイスが、第1の複数の粉末塗布器を含み、前記第2のタイプの粉末塗布デバイスが、第2の複数の粉末塗布器を含み、前記第1のタイプの粉末塗布器が、前記第2の複数の粉末塗布器の塗布器直径未満の塗布器直径を有する、請求項17に記載のシステム。
【請求項19】
前記第1のタイプの粉末塗布デバイスが、前記第2のタイプの粉末塗布デバイスよりも高い密度で前記粉末を塗布する、請求項17または18のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項20】
前記第1のタイプの粉末塗布デバイスが、前記第2のタイプの粉末塗布デバイスによる前記粉末の前記塗布前に、前記粉末を塗布するように構成されている、請求項17~19のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項21】
前記複数の粉末塗布デバイスが、前記粉末を前記感熱性基材の側面に塗布するように構成された第3のタイプの粉末塗布デバイスを更に備える、請求項17~20のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項22】
粉末コートを感熱性基材に塗布するための方法であって、前記方法が、
前記基材を第1の搬送速度で水平方向に搬送することと、
前記基材を前記第1の搬送速度で水平配向で放射加熱することと、
前記基材を第2の搬送速度で前記水平配向で対流加熱することであって、前記第2の搬送速度が、前記第1の搬送速度未満である、対流加熱することと、
粉末を前記水平配向で前記基材に塗布することと、を含む、方法。
【請求項23】
前記第1の搬送速度が、毎分100フィートを超える、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記基材が、前記粉末の前記塗布前に、30秒以内の間の前記放射加熱によって予熱される、請求項22または23のいずれか一項に記載の方法。
【請求項25】
前記基材が、前記粉末の前記塗布前に、4分以内の間に対流加熱される、請求項22~24のいずれか一項に記載の方法。
【請求項26】
前記基材が、前記対流加熱の前に放射加熱され、前記基材が、前記粉末の前記塗布前に対流加熱される、請求項22~25のいずれか一項に記載の方法。
【請求項27】
前記基材が、前記粉末の前記塗布後、30秒以内の間の前記放射加熱によって加熱される、請求項22~26のいずれか一項に記載の方法。
【請求項28】
前記基材が、前記粉末の前記塗布後、12分以内の間に対流加熱される、請求項22~27のいずれか一項に記載の方法。
【請求項29】
前記基材が、前記粉末の前記塗布後および前記対流加熱前に、放射加熱される、請求項22~28のいずれか一項に記載の方法。
【請求項30】
前記対流加熱が、
前記基材を横方向の距離にわたって横方向に搬送するステップと、
1つまたは1つより多くの追加の基材に関して前記基材を積み重ねるステップと、
積み重ねられた前記基材を垂直方向に搬送するステップと、
滞留時間中、前記基材を静止状態に保持するステップと、を含む、請求項22~29のいずれか一項に記載の方法。
【請求項31】
前記第2の搬送速度が、前記横方向搬送、前記積み重ね、前記垂直搬送、および前記滞留時間中の前記基材の前記保持の各々を含む、請求項30に記載の方法。
【請求項32】
前記粉末の前記塗布が、第1の粉末塗布および第2の粉末塗布を含み、前記第1の粉末塗布が、前記基材の上面に粉末を塗布し、前記第2の粉末塗布が、前記基材の側面に粉末を塗布する、請求項22~31のいずれか一項に記載の方法。
【請求項33】
前記第1の粉末塗布が、粉末の第1の層および粉末の第2の層を塗布することを含み、前記粉末の第1の層が、前記粉末の第2の層よりもより密に塗布される、請求項32に記載の方法。
【請求項34】
前記粉末コートが、毎分50~125フィートの範囲内の線形速度で前記基材に塗布される、請求項22~33のいずれか一項に記載の方法。
【請求項35】
前記粉末コートが、毎分100フィート以上の線形速度で前記基材に塗布される、請求項22~32のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、参照によりその全体が組み込まれる、2021年11月11日に出願された米国仮特許出願第63/278,329号の米国特許法第119条(e)に基づく利益を主張する。
【0002】
本開示は、感熱性基材に粉末コーティングを塗布するためのプロセス、および、具体的には、高速ラインでのそのような基材の粉末コーティングを可能にする粉末コーティングシステムに関する。
【背景技術】
【0003】
粉末コーティングは、様々な異なる基材に塗布することができ、塗布された粉末コーティングは、高耐久性、望ましい外観、表面保護、ならびに/または表面改質および質感などの有益な特性を示し得る。従来の粉末コーティング方法は、オーブン、粉末室、および冷却トンネルなどの装置の使用を伴っていた。この場合、ドアなどの大きい基材に粉末コーティングを塗布する方法は、基材を吊り下げることと、コーティング塗布プロセスを通して基材を搬送することと、を含んでいた。粉末コーティングの更なる方法はまた、コーティングを塗布する前に基材を静電的に帯電させることを含んでいた。
【発明の概要】
【0004】
本開示の第1の実施形態では、感熱性基材に粉末コーティングを塗布するためのシステムが提供される。この場合、システムは、少なくとも1つの放射オーブン、少なくとも1つの対流オーブン、および粉末塗布システムを含み得る。粉末塗布システムは、感熱性基材が水平配向で配向されている間に、感熱性基材の少なくとも上面に粉末を塗布するように構成された複数の粉末塗布デバイスを含み得る。
【0005】
本開示の第2の実施形態では、粉末コートを感熱性基材に塗布するための方法が提供される。この場合、方法は、第1の搬送速度で感熱性基材を水平方向に搬送することを含み得る。方法はまた、第1の搬送速度で、水平配向で感熱性基材を放射的に加熱することを含み得る。方法はまた、第2の搬送速度で、水平配向で感熱性基材を対流的に加熱することを含み得る。場合によっては、第2の搬送速度は、第1の搬送速度未満であり得る。方法はまた、水平配向で感熱性基材に粉末を塗布することを含み得る。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】本開示に記載される粉末コーティングシステムの一実施形態のトップダウン図を例示する。
図2A】本開示に記載される放射オーブンの一実施形態の正面図を例示する。
図2B】本開示に記載される放射オーブンの一実施形態の側面図を例示する。
図3】本開示に記載の対流オーブンの一実施形態の側面図を例示する。
図4A】本開示に記載される粉末塗布システムの一実施形態の正面図を例示する。
図4B】本開示に記載される粉末塗布システムの一実施形態の側面図を例示する。
図5A】本開示に記載される放射オーブンの一実施形態の正面図を例示する。
図5B】本開示に記載される放射オーブンの一実施形態の側面図を例示する。
図6】本開示に記載される対流オーブンの一実施形態の側面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0007】
本明細書に記載される本発明は、水平方向に(平坦)配向された基材の高速粉末コーティングを可能にする処理ステップの組み合わせを含み、これは、典型的な連続粉末コーティングシステムよりも小さい物理的空間で達成することができる。しかしながら、本明細書で論じられる特定の実施形態は、本発明を作成および使用する方法の単なる例示であり、必ずしも本発明の範囲を限定するものではない。
【0008】
本粉末コーティング方法は、他の粉末コーティング技術に優る利点を提供し得る。例えば、粉末コーティングの分野における一般的な慣行は、電荷が基材に加えられ、粉末コーティングが塗布されるとき、粉末コーティング粒子が吊り下げられた基材を均等にコーティングするように、搬送システムから基材を吊り下げることである。しかしながら、この方法にはいくつかの欠点がある。この場合、吊り下げを利用するそのような粉末コーティングプロセスは、典型的には遅く(例えば、基材のスループット率が低く)、これらの粉末コーティングラインによる処理速度を増加させる試みは、基材上のコーティングの不均一性および/または不十分な接着力、ならびに最終製品の十分でない審美性をもたらし得る。更に、そのような基材の予熱、硬化、および冷却は、典型的には、建物内の大量の床面積を必要とする(例えば、横の長さが長い)システムで行われる。したがって、従来の設計を利用する現在の粉末コーティング技術は、大きくて遅いと見なされ得、そのようなシステムのライン速度を増加させる試みは、粉末コーティング性能を損なう可能性がある。
【0009】
本発明は、従来の連続粉末コーティング技術よりも少ない床面積を必要とし得る、得られた粉末コートされた最終製品の品質を維持しながら、粉末コーティングプロセスを通して水平方向に配向された基材の比較的高いスループットを可能にする、処理ステップの組み合わせを利用することによって、これらの問題を解決しようとする。したがって、本明細書に記載される本発明は、従来の粉末コーティング技術よりも速く、かつ小さくすることができ、そのような従来の技術と少なくとも同等、またはそれ以上の粉末コーティング塗布性能を達成することができる。
【0010】
I.定義:
以下の詳細な説明の目的のために、本発明が、明示的に反対の定めがある場合を除き、様々な代替の変形およびステップの順序をとり得ることが理解されるべきである。更に、任意の実施例以外で、または別段の指示がない限り、例えば、本明細書および特許請求の範囲で使用される成分の量を表す全ての数は、「約」という用語によっていかなる場合も修飾されているものとして理解されるべきである。したがって、相反することが示されない限り、以下の明細書および添付の特許請求の範囲に記載される数値パラメータは、本発明によって得られる所望の特性に応じて変動し得る近似値である。少なくとも、かつ、等価物の見解の適用を特許請求の範囲に限定しようとするものではなく、各数値パラメータは、少なくとも報告された有意な桁の数に照らし合わせて、かつ通常の四捨五入技法を適用することによって解釈されるべきである。
【0011】
本発明の広い範囲を記載する数値範囲およびパラメータは、近似値であるにもかかわらず、特定の例において記載される数値は、できる限り正確に報告される。しかしながら、任意の数値は、それらのそれぞれの試験測定値に見られる標準変動から必然的に得られる特定の誤差を本質的に含有する。
【0012】
また、本明細書に記載される任意の数値範囲は、その中に包含される全ての部分範囲を含むことを意図していることを理解されたい。例えば、「1~10」の範囲は、記載された最小値1と記載された最大値10との間の(およびそれらを含む)全ての部分的な範囲、すなわち、1に等しいまたは1を超える最小値と、10に等しいまたは10未満の最大値と、を有することが意図される。
【0013】
本出願では、別段の明記がない限り、単数形の使用は複数形を含み、複数形は単数形を包含する。加えて、本出願では、「および/または」がある特定の場合において明示的に使用され得るが、別段の明記がない限り、「または」の使用は、「および/または」を意味する。更に、本出願では、「1つの(a)」または「1つの(an)」の使用は、別段の明記がない限り、「少なくとも1つの」を意味する。例えば、「1つの(a)」ポリマー、「1つの(a)」顔料などは、これらの項目のうちのいずれかのうちの1つまたは1つより多くを指す。
【0014】
II.粉末コーティングプロセス:
図1は、粉末コーティングシステム100の例示的な実施形態である。粉末コーティングシステム100は、基材101に粉末コーティングを塗布するように構成することができる複数の構成要素を備える。これらの構成要素は、インフィード105、搬送システム106、第1の放射オーブン110、第1の対流オーブン115、粉末塗布システム120、第2の放射オーブン145、第2の対流オーブン150、冷却トンネル155、およびアウトフィード160を含むことができる。これらの構成要素の各々は、本明細書で更に記載されるように、水平配向(例えば、平坦)であり得、場合によっては、比較的高速でコート基材101であり得る、粉末コート基材101に組み合わせて使用され得る。
【0015】
図1に例示されるように、粉末コーティングシステム100は、直線的に配置され得る。例えば、粉末コーティングシステム100は、直線的に構成されてもよく、約525フィート長または約525フィート未満とすることができる長さ102と、約60フィート幅または約60フィート未満とすることができる幅103とを有する。本明細書で更に記載されるように、長さ102および幅103のいずれかまたは両方は、従来の連続粉末コーティング技術よりも小さくてもよい。しかしながら、粉末コーティングシステム100の構成が、それが配置されている部屋のサイズに適応するための様々な形状および/またはサイズ(例えば、非線形構成、部分的に線形構成など)であり得ることが理解されるべきである。したがって、線形配向で示されているが、粉末コーティングシステム100は、任意の数の配向を備えることができる。これらの場合のいずれにおいても、粉末コーティングシステム100が占める全体的な床面積は、従来の連続粉末コーティング技術よりも小さい可能性がある。
【0016】
粉末コーティングシステム100は、基材101を含む。基材101は、感熱性基材とすることができる。感熱性基材は、基材101の外面、内部構造、および/または化学組成がそのような加熱によって損傷され得る一方で、過度の加熱(例えば、温度が高すぎる)および/または過度の急速な加熱のいずれかの適用によって有害に影響され得る基材組成物を含む。感熱性基材の例としては、木材、木質系材料(例えば、中密度繊維板(MDF)、合板、パーティクルボードなど)、複合材、およびプラスチックが挙げられる。粉末コーティング感熱性基材の場合、粉末コーティングの塗布前に、基材101を所望の粉末コーティング温度に予熱することが望ましい。この場合、予熱は、粉末コーティング粒子の基材101への所望の接着特性を可能にし、これは、より高い性能の結果として生じる粉末コーティングに寄与する。しかしながら、基材101が予熱および硬化される方法は、過度の加熱および/または過度の急速な加熱のいずれかによって引き起こされ得る有害な影響を回避すべきである。
【0017】
基材101はまた、比較的大きなサイズであり得、比較的長い横方向の長さおよび/または水平方向の幅を有する。そのような大きな基材101の例は、ドア、建築製品、ベニヤ材、プレス成形された木材、パネル、保護および装飾用のスキン、暖炉、ならびに保護シートであり得る。前述のように、大型基材を粉末コーティングするために利用される従来の粉末コーティングシステムは、基材が垂直配向にある間、基材を吊り下げ、粉末コーティングを塗布することを必要とし得る。この場合、垂直配向ではなく平坦(例えば、水平)配向にある間に、これらの比較的長いおよび/または広い基材101を粉末コートして、そのような幾何学形状に適応させることが有益であり得る。
【0018】
粉末コーティングシステム100は、搬送システム106を含む。搬送システム106は、基材101を粉末コーティングシステム100の様々な構成要素との間で移動させるように動作可能な搬送システムであってもよい。搬送システム106は、粉末コーティングシステム100を中心とした基材101の水平移動を可能にするラインタイプのコンベヤであり得る。例示的には、搬送システム106は、基材101を長さ102の周りに横方向に移動させるが、場合によっては(例えば、粉末コーティングシステム100の構成要素の異なる配置に基づいて)、搬送システム106は、基材101を長さ102に対して様々な方向に(例えば、隣接して、接線方向など)移動させることができる。
【0019】
搬送システム106は、粉末コーティングシステム100を中心に、比較的高速で基材101を移動させることを可能にする。例えば、搬送システム106は、毎分10フィート超、毎分50フィート超、毎分75フィート超、毎分100フィートまたは100フィート未満、毎分125フィートまたは125フィート未満、毎分150フィートまたは150フィート未満の、あるいはこれらの終点によって包含される任意の範囲または値の搬送速度を可能にし得る。したがって、搬送システム106は、そのような高いライン速度によって基材101の高い処理速度に寄与し得る。
【0020】
粉末コーティングシステム100は、インフィード105を含む。インフィード105は、基材101が粉末コーティングシステム100に入る点であり得、したがって、搬送システム106の入口点であり得る。インフィード105は、基材101でロードされ、これは、手動プロセス、自動プロセス、または手動および自動プロセスの組み合わせによるものであり得る。基材101は、水平(例えば、平坦)配向にある間、インフィード105にロードされ得る。インフィード105は、基材101の高速処理を可能にするが、インフィード105によって搬送システム106に供給される基材101の量(例えば、数量)は、粉末コーティングシステム100の処理速度に基づき得る。この場合、インフィード105は、基材101の処理に基づいて、毎分100フィートを超える速度で、基材101を供給するように設計することができる。
【0021】
粉末コーティングシステム100は、第1の放射オーブン110を含む。図1は、第1の放射オーブン110のトップダウン図を例示し、図2Aおよび2Bは、第1の放射オーブン110の正面図および側面図を更に例示する。組み合わせて、図1、2A、および2Bの各々は、水平搬送システム107、オーブンエンクロージャ112、第1の放射線エミッタ113、および第2の放射線エミッタ114を含む第1の放射オーブン110の構成要素を例示する。第1の放射オーブン110の構成要素の各々は、基材101が水平(平坦)配向にある間、基材101の外面を急速に予熱するために使用され得る。
【0022】
インフィード105を通して処理された後、基材101は、搬送システム106に沿って移動し、第1の放射オーブン110に供給される。この場合、基材101は、水平(平坦)配向で水平搬送システム107によって受け入れられ、オーブンエンクロージャ112を通して移動される。第1の放射オーブン110は、第1の放射線エミッタ113および第2の放射線エミッタ114の2つのタイプの放射線エミッタを含み得、これらの両方は、基材101の外面に接触する赤外線放射を放出し得、基材101が第1の放射オーブン110を通って横方向に移動する間、基材101の上面および側面を加熱し得る。例えば、第1の放射線エミッタ113は、基材101の上方に垂直方向に位置付けられ、基材101の上面上に垂直方向に下向きに放射線を放出することができ、一方で、第2の放射線エミッタ114は、基材101の上面に斜めに(例えば、基材101の上面に対して45度の角度で)位置付けられ、基材101の側面に向かって放射線を放出することができる。この場合、第1の放射線エミッタ113および第2の放射線エミッタ114の組み合わせは、基材101がオーブンエンクロージャ112を水平配向に通過している間、基材101の上面および側面を放射加熱するために使用されてもよい。
【0023】
基材101の予熱は、粉末コーティング粒子の基材101の表面への効果的な接着を可能にする。この点で、赤外線オーブンは、粉末コーティングプロセス中に粉末コーティング粒子を基材101の表面に効果的に接着させるために、基材101の表面温度を温度設定値まで迅速かつ効率的に上昇させるのに有効である。この場合、赤外線加熱は、基材101の内側部分に影響を与えることなく、基材101の表面を迅速かつ効率的に予熱し得、したがって、基材101の表面と基材101の表面の直下の領域との間に大きな温度勾配を作成する。例えば、第1の放射オーブン110は、基材101の表面を華氏約280~325度の設定値の表面温度に予熱し得る。
【0024】
第1の放射オーブン110は、目標時間(例えば、滞留時間、共振時間など)の間、基材101を予熱するように構成されている。この場合、基材101は、所望の滞留時間の間、第1の放射オーブン110の活性加熱ゾーンの内側に留まり、これは、基材101の外部または内部構造のいずれかへの損傷を回避しながら、基材101の表面を目標温度に予熱するのに必要な時間量に基づき得る。例えば、基材101の表面を華氏280~325度の目標温度に加熱するのに必要な滞留時間は、約30秒であり得る。この場合、基材101は、第1の放射オーブン110の活性加熱ゾーン内に30秒間留まるが、基材101の表面は、華氏280~325度の予熱設定値に達する。しかしながら、他の場合では、予熱温度に達するために必要な滞留時間は、基材101の目標表面温度(例えば、より高い滞留時間を必要とするより高い目標温度)、基材101の組成物(例えば、より長い滞留時間を必要とするより低い熱伝導性組成物)、および/または任意の他の適用可能な要因を含む様々な要因に基づいて、30秒よりも長くまたは短くてもよい。したがって、30秒の滞留時間は、異なる動作条件および/または基材101の組成に基づいて調整され得る。更に、赤外線放射のみを利用すると記載されているが、基材101の予熱は、赤外線、紫外線、または熱対流/伝導放射線の任意の組み合わせを含む他の方法を含むことができる。したがって、放射オーブンであると記載されているが、第1の放射オーブン110は、短時間で効果的に基材101を予熱するために任意の種類の加熱方法を利用することができる。例示的な実施形態として、第1の放射オーブン110は、短波赤外線放射、中波赤外線放射、または短波および中波赤外線放射の組み合わせを使用して基材101を加熱し得る。
【0025】
第1の放射オーブン110は、高いライン速度、したがって、粉末コーティングシステム100の高い処理速度を可能にするように設計される。この場合、第1の放射オーブン110は、基材101が第1の放射オーブン110に供給される高速速度(例えば、搬送システム106の高速ライン速度)に適応することができ、基材101を目標表面温度まで急速に予熱することができる。例えば、第1の放射オーブン110は、毎分100フィート以上の基材送り速度に適応することができ、単独でまたは組み合わせて、基材101の表面に照射された放射線の強度、基材101の表面に照射された放射線の波長、および/または放射線が基材101の表面に照射されて目標表面温度を満たす時間を調整することができる。したがって、第1の放射オーブン110は、他の粉末コーティング方法よりも大きな柔軟性を提供し得、特に、粉末コーティングシステム100の高いライン速度/基材処理能力に適応する柔軟性を提供し得る。
【0026】
粉末コーティングシステム100は、第1の対流オーブン115を含む。図1は、第1の対流オーブン115のトップダウン図を例示し、図3は、第1の対流オーブン115の側面図を更に例示する。組み合わせて、図1および3は、水平搬送システム117および層118を含む第1の対流オーブン115の構成要素を例示する。この場合、第1の対流オーブン115を使用して、基材101が水平配向である間、所望の粉末コーティング温度に、かつ所望の時間の間、基材101を加熱することができる。
【0027】
第1の放射オーブン110によって予熱された後、基材101は、搬送システム106によって第1の対流オーブン115に移送される。第1の対流オーブン115は、熱対流オーブンであってもよく、一方、熱エネルギー源(例えば、燃焼室)によって提供される熱エネルギーは、1つまたは1つより多くの循環デバイス(例えば、送風機、ファンなど)によって第1の対流オーブン115の加熱ゾーンを通して循環され、対流的に基材101を加熱する。しかしながら、対流熱加熱のみを利用すると記載されているが、第1の対流オーブン115による基材101の加熱は、熱対流/導電放射、赤外線放射、および/または紫外線放射の任意の組み合わせを含む他の方法を含むことができることが理解される。したがって、対流オーブンであると記載されているが、第1の対流オーブン115は、任意の種類の加熱方法を利用して、基材101を所望の粉末コーティング温度に効果的に加熱することができる。
【0028】
水平搬送システム117は、基材101を受け入れ、基材101は、第1の対流オーブン115の加熱ゾーン内に水平配向に移動する。第1の対流オーブン115は、基材101を所望の粉末コーティング温度設定値まで加熱し続けるように構成されている。前述のように、粉末コーティングが基材101の表面に塗布される温度は、得られる粉末コーティングの品質に影響を及ぼし得る。しかしながら、感熱性基材101を過熱することは、基材101の内部構造または外部構造のいずれかの損傷をもたらし得る。この場合、第1の放射オーブン110は、最初に基材101の表面を所望の予熱温度に予熱してもよく、第1の対流オーブン115は、効果的な粉末コーティング塗布のために基材101を所望の粉末コーティング温度に加熱し続けてもよい。例えば、第1の放射オーブン110は、基材101の外部表面を華氏280~325度に加熱し得る。しかしながら、第1の放射オーブン110によって提供される放射加熱は、限られた厚さの貫通基材101のみを有し得、したがって、第1の基材101を所望の粉末コーティング温度まで効果的に加熱する(例えば、基材101を基材101内の所望の厚さで粉末コーティング温度まで加熱する)ために追加の加熱が必要とされ得る。この場合、第1の対流オーブン115によって提供される熱エネルギーは、赤外線エネルギーによる放射加熱よりも基材101の表面をよりゆっくりと加熱するが、より大きな範囲で基材101の表面を貫通し得るため、第1の放射オーブン110よりも第1の基材101をより徹底的に加熱する。このように、第1の放射オーブン110および第1の対流オーブン115は、基材101を所望の粉末コーティング温度まで効果的に加熱するために組み合わせて使用され得る。
【0029】
例示的な実施形態では、第1の対流オーブン115は、同時に多くの個々の基材101を処理および加熱できる多段対流オーブンである。例えば、第1の対流オーブン115は、水平搬送システム117から基材101を受け入れ、電荷のグループで水平層119上に基材101の各々をロードする。基材101の電荷は、層119上に水平方向に移動され、第1の対流オーブン115の加熱ゾーン内に移動される。層119の各々は、基材101の電荷の定義された量に適応し、電荷の量が層119上にロードされると、層119は、第1の対流オーブン115の加熱ゾーン内で垂直方向に上昇または下降し始める。層119が上昇または下降すると、追加の層119上への基材101の追加の電荷の更なる負荷が開始される。
【0030】
基材101の電荷の各々は、所望の滞留時間の間、第1の対流オーブン115の加熱ゾーン内に留まり、基材101を目標粉末コーティング温度まで加熱する。例えば、第1の対流オーブン115は、基材101を約280~325度の所望の粉末コーティング設定値温度に、および4分の所望の滞留時間の間、加熱するように構成されてもよい。この場合、基材101の電荷は、第1の対流オーブン115の層119の周りの基材101の電荷の水平および垂直移動によって可能になるように、滞留時間の全体にわたって加熱ゾーン内に留まり得る。
【0031】
目標滞留時間に達すると、基材101の電荷の各々は、そのような電荷の負荷に反比例する順序で層119からオフロードされる。例えば、対流オーブン115の層119上にロードされた第1の電荷は、対流オーブン115の層119からオフロードされた第1の基材であり得る。4分の滞留時間に関して記載されているが、基材101が第1の対流オーブン115の加熱ゾーン内に留まる時間の量は、基材101の目標粉末コーティング温度(例えば、より高い滞留時間を必要とするより高い目標温度)、基材101の組成物(より長い滞留時間を必要とするより低い熱伝導性組成物)および/または任意の他の適用可能な要因を含む様々な要因に基づき得る。したがって、前述の場合のいずれかにおいて、滞留時間は、基材101の目標粉末コーティング温度に達するように調整され得る。
【0032】
対流オーブン115の積層108の使用、特に、対流オーブン115の加熱ゾーン全体にわたる基材101の水平および垂直移動の組み合わせは、基材101が、従来の対流オーブンと比較して、オーブンの線形長さに対して比較的長い滞留時間の間、第1の対流オーブン115の加熱領域に留まることを可能にし得る。この場合、層119の使用は、移動の単一線形方向を利用する従来の対流オーブンと比較して、第1の対流オーブン115の効果的な水平長さを増加させ、したがって、第1の対流オーブン115は、基材101を所望の粉末コーティング温度に加熱するために使用される同様の対流オーブンよりも小さくてもよい(例えば、より短い線形長さを有する)。したがって、より小さい第1の対流オーブン115は、従来の粉末コーティングシステムと比較して、粉末コーティングシステム100の長さ102の減少に寄与し得る。
【0033】
更に、第1の放射オーブン110および第1の対流オーブン115の組み合わせは、他の粉末コーティング技術に優る利点を提供し得る。前述のように、第1の放射オーブン110は、基材101の外部表面を所望の予熱温度まで急速に(例えば、30秒間)予熱するが、第1の対流オーブン115は、第1の対流オーブン115内で水平および垂直基材101の移動を使用することによって、基材101の加熱を所望の粉末コーティング温度まで継続する。この場合、第1の放射オーブン110による基材101の急速な予熱は、基材101を粉末コーティング温度に加熱するために必要な熱エネルギーの量を低減し、したがって、基材101が所望の粉末コーティング温度に達するために第1の対流オーブン115に留まるために必要な滞留時間の量を短縮する。この場合、滞留時間が比較的短いため、第1の対流オーブン115は、基材を加熱するために使用される従来のオーブンよりも小さくすることができる。なぜなら、基材を粉末コーティング温度に加熱するために必要な熱エネルギーが少ないからである。更に、かつ前述のように、第1の放射オーブン110および第1の対流オーブン115は、搬送システム106の高速処理/ライン速度に適応することができる。したがって、組み合わせて、第1の放射オーブン110および第1の対流オーブン115の使用は、従来の粉末コーティング技術よりも高いスループット(例えば、より多くの基材101の処理)およびより高いライン速度(例えば、搬送システム106のより高い横方向速度)に同時に適応しながら、従来の粉末コーティングラインよりも小さい機械的フットプリント(例えば、より小さい長さ(L)102)を可能にする。
【0034】
粉末コーティングシステム100は、粉末塗布システム120を含む。図1は、粉末塗布システム120のトップダウン図を例示し、図4Aは、粉末塗布システム120の正面図を例示し、図4Bは、粉末塗布システム120の側面図を例示する。組み合わせて、図1、4A、および4Bの各々は、粉末回収エンクロージャ125、粉末送達システム130、第1の粉末塗布デバイス135、第2の粉末塗布デバイス140、第3の粉末塗布システム142、水平搬送システム122、粉末回収デバイス132、および粉末塗布デバイスマウント434を含む粉末塗布システム120の構成要素を例示する。これらの構成要素の各々は、水平配向(例えば、平坦配向に配向された基材101)で基材101を粉末コートするために組み合わせて使用することができ、前述のように、高い処理速度で使用することができる。
【0035】
対流オーブン115を出た後、基材101は粉末塗布システム120に入る。高い粉末コーティング性能は、他の要因の中でも、基材101の予熱と粉末コーティングの塗布との間の時間量に依存すると理論化される。この場合、基材101が所望の粉末コーティング温度に近いほど、粉末コーティング粒子の基材101の表面への接着度が高くなる。したがって、基材101の予熱と粉末コートの塗布との間の時間を短縮することで、より高い粉末コーティング性能につながり得る。
【0036】
前述のように、インフィード105、搬送システム106、第1の放射オーブン110、および第1の対流オーブン115の組み合わせは、粉末コーティングシステム100の加熱部分を通る基材101の高いスループット速度(例えば、100フィート/分を超えるライン速度)を可能にする。基材101が予熱された後に粉末塗布システム120に入るのにほとんど時間がかからないため、これらの高いライン速度はまた、基材101の加熱(例えば、第1の対流オーブン115の出口)と粉末コーティングの塗布との間の時間量を最小限に抑える。この場合、高いライン速度は、基材101の表面温度損失を最小限に抑え、一方、基材101は、粉末コーティング設定値温度にできるだけ近い粉末塗布システム120に入る。
【0037】
粉末塗布システム120は、水平搬送システム122において搬送システム106から基材101を受け取る。水平搬送システム122は、基材101を粉末塗布システム120を通して横方向に移動させるが、一方、粉末コーティングは、基材101が水平搬送システム122について水平(平坦)配向にある間、基材101に塗布される。前述のように、従来の粉末コーティングシステムは、基材の外側表面を効果的に粉末コートするために、基材を吊り下げる必要があり得る。粉末塗布システム120の場合、基材101は水平/線形方式で移動するが、粉末コーティングは、基材101を垂直方向に再配向する必要なしに基材101に塗布される(例えば、基材101の吊り下げは必要ない)。したがって、粉末コーティングシステム100は、粉末コーティング時に基材101を垂直配向に再配向する必要がなく、むしろ、基材101が粉末塗布システム120を水平方向にすばやく移動できるため、少なくとも部分的に高いスループット速度を達成することができる。
【0038】
粉末塗布システム120は、粉末回収エンクロージャ125を含む。粉末回収エンクロージャ125は、粉末コート基材101に使用される様々な構成要素を収容するエンクロージャであり、粉末回収デバイス132に関連して以下に更に詳細に記載するように、粉末コーティングプロセス中に過剰噴霧された粉末コーティングの回収を可能にする。粉末回収エンクロージャ125はまた、空調されてもよく、一方、コンディショニングは、粉末コーティングプロセスに最適であり得る一定の温度を維持する。例えば、粉末回収エンクロージャ125は、粉末コーティングプロセス中に華氏約80度の内部温度を維持するように調節され得る。図4は、箱型エンクロージャとしての粉末回収エンクロージャ125を例示するが、粉末回収エンクロージャ125は、任意の数の幾何学形状(ドームなど)に配置することができる。
【0039】
粉末塗布システム120は、粉末送達システム130を含む。粉末送達システム130は、粉末回収エンクロージャ125の外部であり、粉末塗布システム120の粉末噴霧塗布の各々に粉末を供給する粉末回収エンクロージャ125に動作可能に結合される(例えば、流体的におよび/または空気圧的に結合される)。例示的な実施形態では、粉末送達システム130は、一次バルク粉末フィーダ、冗長バルク粉末フィーダ、ならびに粉末篩および分配ホッパーを備える。一次バルク粉末フィーダ、冗長バルク粉末フィーダ、および粉末篩および分配ホッパーの組み合わせは、第1の粉末塗布デバイス135、第2の粉末塗布デバイス140、および第3の粉末塗布デバイス142を含む粉末塗布システム120の様々な粉末塗布デバイスを供給するために使用される。粉末送達システム130が粉末塗布システム120の様々な噴霧デバイスに供給する速度は、粉末コーティングシステム100のライン速度(例えば、より速いライン速度のためのより高い供給速度)、基材101上の所望の量の粉末コーティング厚さ(例えば、より高い供給速度を必要とするより高い厚さ)、基材101のサイズ(例えば、より多くの粉末を必要とするより長い/より厚い基材101)、および/または任意の他の適用可能な要因を含む様々な要因に基づき得る。したがって、粉末送達システム130は、様々なライン速度、基材サイズ、および粉末コーティング仕様に適応するように設計され得る。
【0040】
粉末塗布システム120は、第1の粉末塗布デバイス135、第2の粉末塗布デバイス140、および第3の粉末塗布デバイス142を含む、粉末コート基材101に使用される複数の粉末塗布システムを含む。第1の粉末塗布デバイス135、第2の粉末塗布デバイス140、および第3の粉末塗布デバイス142は、粉末回収エンクロージャ125内に配置され、基材101が水平(平坦)配向で粉末回収エンクロージャ125を通って横方向に移動するときに、粉末コーティングを基材101に塗布するように構成される。
【0041】
第1の粉末塗布デバイス135および第2の粉末塗布デバイス140は、粉末コーティングを垂直方向に塗布するように構成される。この場合、第1の粉末塗布デバイス135および第2の粉末塗布デバイス140は、基材101の上方に垂直方向に位置付けられ、基材101の上面の上方に垂直配向から基材101に粉末コーティングを塗布する。例えば、第1の粉末塗布デバイス135および第2の粉末塗布デバイス140は、粉末塗布デバイスマウント434に取り付けられてもよく、一方、粉末塗布デバイスマウント434は、水平搬送システム122の上方の垂直に位置に配置される。この場合、粉末塗布デバイスマウント434は、第1の粉末塗布デバイス135および第2の粉末塗布デバイス140を動作させるために必要な粉末ライン、電気ライン、データライン、流体ライン、粉末コーティングライン、または他の同様のラインを運ぶことができる、水平搬送システム122の上に延びる一連の横方向のバーを備える。粉末塗布デバイスマウント434は、第1および第2の粉末塗布デバイス135および140を受け入れることができる取り付け穴または他の構成された取り付け面を有する平板であり得ることも可能である。
【0042】
前述のように、水平搬送システム122は、粉末塗布システム120を通って基材101を横方向に移動させる。第1の粉末塗布デバイス135は、粉末回収エンクロージャ125への入口に最も近い位置に配置されてもよく、したがって、基材101が粉末塗布システム120を通して横方向に移動する間、基材101の上面に粉末の第1の塗布を塗布する。例えば、第1の粉末塗布デバイス135は、基材101が水平搬送システム122によって粉末塗布システム120を通して横方向に移動される間に、基材101の上面上に粉末を噴霧する、約15~20の自動、高出力オーバーヘッド回転噴霧器などの複数の自動、高出力オーバーヘッド回転噴霧器を含み得る。第2の粉末塗布デバイス140は、第1の粉末塗布デバイス135に近接し、粉末回収エンクロージャ125の入口からより大きな横方向の距離に配置される。この場合、第2の粉末塗布デバイス140は、基材101が粉末塗布システム120を通して横方向に移動する間、基材101の上面に粉末の第2の塗布を塗布する。例えば、第2の粉末塗布デバイス140は、約4つの自動高出力オーバーヘッド回転噴霧器などの複数の自動高出力オーバーヘッド回転噴霧器を含んでもよく、基材101が水平搬送システム122によって粉末塗布システム120を通して横方向に移動する間、および第1の粉末塗布デバイス135による粉末の第1の塗布後に、基材101の上面上に粉末を噴霧する。
【0043】
第1の粉末塗布デバイス135および第2の粉末塗布デバイス140は、基材101の少なくとも上面に均一な粉末コーティング層を塗布するために組み合わせて使用され得る。例えば、第1の粉末塗布デバイス135の噴霧器に使用されるノズルの直径は、第2の粉末塗布デバイス140の噴霧器に使用されるノズルの直径よりも小さい直径であり得る。したがって、第1の粉末塗布デバイス135の噴霧器の各々によって分配されたスプレーの分布の直径は、第2の粉末塗布デバイス140の噴霧器の各々によって分配されたスプレーの分布の直径よりも小さくてもよい。更に、第2の粉末塗布デバイス140(例えば、4つの噴霧器)と比較して、第1の粉末塗布デバイス135に含まれるより多くの噴霧器(例えば、15~20個の噴霧器)があり得る。したがって、第1の粉末塗布デバイス135は、第2の粉末塗布デバイス140よりも高い密度の粉末コーティングを基材101に提供し得る。第1の粉末塗布デバイス135および第2の粉末塗布デバイス140の組み合わせは、基材101に塗布される粉末コーティングの均一な密度を可能にするが、一方、基材101の前縁部、上面、および後縁部は、基材101が水平(平坦)配向で粉末塗布システム120を通って横方向に移動するにつれて、粉末で均等にコーティングされる。
【0044】
第3の粉末塗布デバイス142は、基材101が粉末塗布システム120を通って横方向に移動する間に、基材101の側面に粉末コーティングを塗布するように構成されている。例えば、第3の粉末塗布デバイス142は、各々が基材101の対向する垂直側面に横方向に隣接して位置付けられた、水平方向に対向する一対の噴霧器を含む。この場合、各噴霧器は、基材101の側面上に水平方向に粉末コーティングを噴霧する一方で、基材101は、水平搬送システム122によって粉末塗布システム120を通って横方向に移動する。例示的に、第3の粉末塗布デバイス142は、第2の粉末塗布デバイス140とほぼ一致している(例えば、粉末回収エンクロージャ125の入口から同じ水平距離にある)が、第3の粉末塗布デバイス142は、他の実施形態では異なって配置され得る。場合によっては、第3の粉末塗布デバイス142は、複数の標準的な自動塗布器を含み、第3の粉末塗布デバイス142の各側面は、合計4つの塗布器のために、水平搬送システム122の周りに互いに反対側に位置付けられた2つの塗布器を含む。しかしながら、いくつかの実施形態では、より多くのまたはより少ないアプリケータが利用され得ることを理解できる。
【0045】
基材101が水平(平坦)配向にある間、第1の粉末塗布デバイス135、第2の粉末塗布デバイス140、および第3の粉末塗布システム142の各々は、基材101の上部および側面を効果的に粉末コートするために組み合わせて使用され得る。例えば、前述のように、第1の粉末塗布デバイス135は、基材101が水平搬送システム122によって粉末回収エンクロージャ125を通って移動し始めるときに、粉末の初期高密度コーティングを基材101に塗布する。第1の高密度粉末コーティング層の塗布後、第2の粉末塗布デバイス140は、粉末の密度の低いコーティングを基材101の上部に塗布し得、一方、第3の粉末塗布デバイス142は、同時に粉末コーティングを基材101の側面に塗布する。したがって、第1、第2、および第3の粉末塗布デバイス135、140、および142の組み合わせを組み合わせて使用して、基材101が水平(平坦)配向にある間、基材101が粉末回収エンクロージャ125を通って移動する間、基材101の上面および側面(例えば、上面および2つの側面)に粉末コーティングを塗布することができる。この場合、第1、第2、および第3の粉末塗布デバイス135、140、および142の各々は、粉末コーティングシステム100の高いライン速度および/またはスループットに適応するように設計され得る。
【0046】
粉末塗布システム120は、粉末回収デバイス132を含む。粉末回収デバイス132は、粉末コーティングプロセス中に基材101に付着しなかった広がりすぎた粉末を回収するために使用される。例えば、粉末回収デバイス132は、フィルタ構成物(例えば、サイクロンフィルタ)を有する一対の送風機であってもよく、一方、粉末回収エンクロージャ125の内部からの粉末および空気混合物が、フィルタを通して引き出されて、空気から非付着粉末を除去する。例えば、粉末回収デバイス132は各々、送風機およびフィルタを含み得るが、粉末回収デバイス132への入口は、粉末回収エンクロージャ125の内部空間と空気圧的に結合され、送風機によって供給される負圧は、粉末が空気から除去される一方で、空気および粉末混合物をフィルタに引き込む。この場合、回収された粉末は、粉末塗布プロセスで再利用することができる。
【0047】
前述のように、第1の放射オーブン110および第1の対流オーブン115の組み合わせは、高速ライン速度での基材101の急速な予熱を可能にする。更に、粉末塗布システム120は、基材101が水平配向にある間、基材101の高速かつ効果的な粉末コーティングを可能にする。したがって、第1の放射オーブン110、第1の対流オーブン115、および粉末塗布システム120の組み合わせは、建物内でより少ないスペースを占有し(例えば、より短い長さ(L)102を有し)ながら、従来の粉末コーティング技術と比較して、基材のより高いスループット(例えば、より多くの基材101の処理)およびより高いライン速度(例えば、搬送システム106のより高い横方向速度)を可能にすることによって、従来の粉末コーティングシステムよりも有利であり得る。
【0048】
粉末コーティングシステム100は、第2の放射オーブン145を含む。図1Aおよび1Bは、第2の放射オーブン145のトップダウン図を例示し、図5Aおよび5Bは、第2の放射オーブン145の正面図および側面図を更に例示する。組み合わせて、図1A、1B、5A、および5Bの各々は、水平搬送システム146、オーブンエンクロージャ147、第1の放射線エミッタ148、および第2の放射線エミッタ149を含む第2の放射オーブン145の構成要素を例示する。第2の放射オーブン145の構成要素の各々は、基材101が水平(平坦)配向にある間、基材101の粉末コートされた外面を急速に加熱するために使用され得る。
【0049】
粉末塗布システム120によって粉末コートされた後、基材101は、搬送システム106に沿って移動し、第2の放射オーブン145に供給される。この場合、基材101は、水平(平坦)配向で水平搬送システム146によって受け入れられ、オーブンエンクロージャ112を通して移動される。第2の放射オーブン145は、第1の放射線エミッタ148および第2の放射線エミッタ149の2つのタイプの放射線エミッタを含み得、これらの両方は、基材101の外面に接触する赤外線放射を放出し得、基材101が第2の放射オーブン145を通って横方向に移動する間、基材101の上面および側面を加熱する。例えば、第1の放射線エミッタ148は、基材101の上方に垂直方向に位置付けられ、基材101の上面上に垂直方向に下向きに放射線を放出し得、一方、第2の放射線エミッタ149は、基材101の上面に斜めに(例えば、基材101の上面に対して45度の角度で)位置付けられ、基材101の側面に向かって放射線を放出する。この場合、第1の放射線エミッタ148および第2の放射線エミッタ149の組み合わせは、基材101がオーブンエンクロージャ147を水平配向に通過している間、基材101の上面および側面を放射加熱するために使用されてもよい。
【0050】
粉末コートされた基材101の加熱は、塗布された粉末コーティングの成分を基材101上で硬化させる。例えば、塗布された粉末コーティングの加熱は、粉末コーティングの成分を結合させ、液化させ、架橋させ、基材101上に最終粉末コーティング表面を形成する。この場合、赤外線オーブンは、基材101の表面温度を硬化温度設定値まで迅速かつ効率的に上昇させるのに有効である。粉末コートされた基材101の表面の初期加熱は、基材101の表面上の粉末コーティング成分の硬化を開始し得る(例えば、粉末コーティング粒子をゲル化させ得る)が、一方、追加の熱は、粉末コーティングを硬化させ続けるために提供することができる。例えば、赤外線加熱は、粉末コーティングの表面粒子を華氏約280~325度の表面温度まで迅速に効率的に加熱し得る一方で、粉末コーティング成分は、基材101の上面および側面上でゲル化し始める。場合によっては、硬化温度は、予熱温度(例えば、第2の対流オーブン145によって第1の対流オーブン115と同じ予熱温度に予熱された基材101)と同じであってもよく、または他の場合には、異なる温度であってもよい(例えば、第2の対流オーブン145は、基材101を第1の対流オーブン115の予熱温度よりも高い、またはそれよりも低い温度に加熱する)。
【0051】
第2の放射オーブン145は、目標時間(例えば、滞留時間)にわたって基材101を加熱するように構成される。この場合、基材101は、所望の滞留時間の間、第2の放射オーブン145の活性加熱ゾーンの内側に留まり、これは、基材101の外部または内部構造のいずれかへの損傷を回避しながら、基材101の表面を目標硬化温度に加熱するのに必要な時間量に基づき得る。例えば、基材101の表面を華氏280~325度の目標温度に加熱するのに必要な滞留時間は、約30秒であり得る。この場合、基材101は、第2の放射オーブン145の活性加熱ゾーン内に30秒間留まるが、基材101の表面は、華氏280~325度の硬化設定値に達する。しかしながら、他の場合では、予熱温度に達するために必要な滞留時間は、基材101の目標表面温度(例えば、より高い滞留時間を必要とするより高い目標温度)、粉末コーティングの組成物(より長い滞留時間を必要とするより低い熱伝導性組成物)、および/または任意の他の適用可能な要因を含む様々な要因に基づいて、30秒よりも長くても短くてもよい。したがって、30秒の滞留時間は、異なる動作条件に基づいて調整され得る。更に、赤外線放射線のみを利用すると記載されているが、基材101の加熱は、赤外線、紫外線、または熱対流/伝導放射線の任意の組み合わせを含む他の方法を含むことができる。したがって、放射オーブンであると記載されているが、第2の放射オーブン145は、基材101を効果的に加熱するために任意の種類の加熱方法を利用することができる。例示的な実施形態として、第2の放射オーブン145は、短波赤外線放射、中波赤外線放射、または短波および中波赤外線放射の組み合わせを使用して基材101を加熱し得る。
【0052】
第2の放射オーブン145は、高いライン速度、したがって、粉末コーティングシステム100の高い処理速度を可能にするように設計される。この場合、第2の放射オーブン145は、基材101が第2の放射オーブン145に供給される高速速度(例えば、搬送システム106の高速ライン速度)に適応することができ、粉末コートされた基材101を目標硬化温度まで迅速に加熱することができる。例えば、第2の放射オーブン145は、毎分100フィート以上の基材送り速度に適応することができ、単独でまたは組み合わせて、基材101の表面に照射された放射線の強度、基材101の表面に照射された放射線の波長、および放射線が基材101の表面に照射されて目標表面温度を満たす時間を調整することができる。したがって、第2の放射オーブン145は、他の粉末コーティング方法よりも多大な柔軟性を提供し得、特に、粉末コーティングシステム100の高いライン速度/基材処理能力に適応する柔軟性を提供し得る。
【0053】
粉末コーティングシステム100は、第2の対流オーブン150を含む。図1Bは、第2の対流オーブン150のトップダウン図を例示し、図6は、第2の対流オーブン150の側面図を更に例示する。組み合わせて、図1および6は、水平搬送システム152および層154を含む第2の対流オーブン150の構成要素を例示する。この場合、第2の対流オーブン150を使用して、粉末コートされた基材101が水平配向にある間、基材101を所望の粉末コーティング硬化温度に、および所望の時間にわたって加熱してもよい。
【0054】
第2の放射オーブン145によって加熱された後、基材101は、搬送システム106によって第2の対流オーブン150に移送される。第2の対流オーブン150は、熱対流オーブンであってもよく、一方、熱エネルギー源(例えば、燃焼室)によって提供される熱エネルギーは、1つまたは1つより多くの循環デバイス(例えば、送風機、ファンなど)によって第2の対流オーブン150の加熱ゾーンを通って循環され、対流的に基材101を加熱する。しかしながら、対流熱加熱のみを利用すると記載されているが、第2の対流オーブン150による基材101の加熱は、熱対流/導電放射、赤外線放射、および/または紫外線放射の任意の組み合わせを含む他の方法を含むことができることが理解される。したがって、対流オーブンであると記載されているが、第2の対流オーブン150は、任意の種類の加熱方法を利用して、基材101を所望の硬化温度に効果的に加熱することができる。
【0055】
水平搬送システム152は、基材101を受け入れ、基材101は、第2の対流オーブン150の加熱ゾーン内に水平配向で移動する。第2の対流オーブン150は、基材101を硬化温度設定値まで加熱し続けるように構成される。前述のように、塗布された粉末コーティングは、定義された温度で硬化を開始し得、その温度で粉末コーティングを保持することで、粉末コーティング粒子の基材101の表面への硬化を可能にし得る。しかしながら、感熱性基材101を過熱することは、基材101の内部構造または外部構造のいずれかの損傷をもたらし得る。これらの場合、第2の放射オーブン145は、基材101の表面を所望の硬化温度に最初に加熱してもよく、第2の対流オーブン150は、基材101上の粉末コーティングを完全に硬化させるための時間の間、所望の硬化温度で基材101を加熱し続けることができる。例えば、第2の放射オーブン145は、基材101の外面を華氏280~325度に加熱した可能性があり、第2の対流オーブン150は、基材101を基材101の表面上に粉末コーティングを完全に硬化させるために必要な時間の量の間、硬化温度で基材101を保持してもよい。したがって、第2の放射オーブン145および第2の対流オーブン150は、基材101の表面上に粉末コーティングを効果的に硬化させるために組み合わせて使用され得る。
【0056】
例示的な実施形態では、第2の対流オーブン150は、同時に多くの個々の基材101を処理および加熱できる多段対流オーブンである。例えば、第2の対流オーブン150は、水平搬送システム152から基材101を受け入れ、電荷のグループで水平層154上に基材の各々をロードする。基材101の電荷は、層154上に水平方向に移動され、第2の対流オーブン150の加熱ゾーン内に移動される。層154の各々は、基材101の電荷の定義された量に適応し、電荷の量が層154上にロードされると、層154は、第2の対流オーブン150の加熱ゾーン内で垂直方向に上昇または下降し始める。層154が上昇または下降すると、追加の層154上への基材の追加の電荷の更なる負荷が開始される。
【0057】
基材101の電荷の各々は、所望の滞留時間の間、第2の対流オーブン150の加熱ゾーン内に留まり、粉末コートされた基材101を目標硬化温度まで加熱する。例えば、第2の対流オーブン150は、粉末コートされた基材101を、約280~325度の所望の硬化設定値温度まで、および12分の所望の滞留時間にわたって加熱するように構成され得る。基材101の電荷は、第2の対流オーブン150の層154の周りの基材101の電荷の水平移動および垂直移動によって可能になるように、滞留時間の全体にわたって加熱ゾーン内に留まり得る。
【0058】
目標滞留時間に達すると、基材101の電荷の各々は、そのような電荷の負荷に反比例する順序で層154からオフロードされる。例えば、第2の対流オーブン150の層154にロードされた基材101の第1の電荷は、第2の対流オーブン150の層154上からオフロードされた第1の基材101であり得る。12分の滞留時間に関して記載されているが、基材101が第2の対流オーブン150の加熱ゾーンに留まる時間の量は、粉末コーティングの目標硬化温度(例えば、より長い滞留時間を必要とするより高い目標温度)、粉末コーティングの組成物(例えば、より長い滞留時間を必要とするより低い熱伝導性組成物)、および/または任意の他の適用可能な要因を含む様々な要因に基づいてもよい。したがって、上記の場合のいずれかにおいて、停留時間は、粉末コートされた基材101の目標硬化温度に達するように調整され得る。
【0059】
第2の150の積層154の使用、特に、第2の対流オーブン150の加熱ゾーン全体にわたる基材101の水平移動および垂直移動の組み合わせは、基材101が、従来の対流オーブンと比較して、線形長さに対して比較的長い滞留時間の間、第2の対流オーブン150の加熱領域に留まることを可能にし得る。この場合、層154の使用は、移動の単一線形方向を利用する従来の対流オーブンと比較して、第2の対流オーブン150の有効水平長を増加させ、したがって、第2の対流オーブン150は、基材101を所望の粉末コーティング温度に加熱するために使用される同様の対流オーブンよりも小さくてもよい(例えば、より短い線形長を有する)。したがって、より小さい第2の対流オーブン150は、典型的な粉末コーティングシステムと比較して、粉末コーティングシステム100の長さ102の減少に寄与し得る。この場合、第2の対流オーブン150は、第2の対流オーブン115の滞留時間(例えば、12分)が第1の対流オーブン115(例えば、4分)よりも大きいため、第1の対流オーブン115よりも大きい(例えば、より長い線形長さを有する)場合がある。しかしながら、どちらの場合も、第1の対流オーブン115および第2の対流オーブン150の両方の床サイズ(例えば、長さ)は、従来の対流オーブンよりも小さくてもよい。
【0060】
更に、第2の放射オーブン145および第2の対流オーブン150の組み合わせは、他の粉末コーティング技術に優る利点を提供し得る。前述のように、第2の放射オーブン145は、基材101の外部粉末コーティング層を所望の硬化温度まで急速に(例えば、30秒間)加熱し、第2の対流オーブン150は、粉末コートされた基材101の加熱を所望の時間継続して、基材101への粉末コーティングを完全に硬化させる。この場合、第2の放射オーブン145による基材101の急速な加熱は、基材101を硬化温度に加熱するために必要な熱エネルギーの量を低減し、したがって、粉末コーティングが完全に硬化するために基材101が第2の対流オーブン150に留まるために必要な滞留時間の量を短縮する。この場合、滞留時間が比較的短いため、第2の対流オーブン150は、基材を硬化温度に加熱するために必要な熱エネルギーが少ないため、基材を硬化するために使用された従来のオーブンよりも小さくすることができる。更に、前述のように、第2の放射オーブン145および第2の対流オーブン150は、搬送システム106の高速処理/ライン速度に適応することができる。したがって、第2の放射オーブン145および第2の対流オーブン150の使用を組み合わせることで、従来の粉末コーティング技術よりも高いスループット(例えば、より多くの基材101の処理)およびより高いライン速度(例えば、搬送システム106のより高い横方向速度)に同時に適応しながら、従来の粉末コーティングラインよりも小さな機械的フットプリント(例えば、より小さい長さ(L)102)を可能にする。
【0061】
粉末コーティングシステム100は、冷却トンネル155を含む。基材101への粉末コーティングを効果的に硬化させるために一定時間にわたって第2の対流オーブン150内に保持された後、基材101は、搬送システム106の周囲を冷却トンネル155まで移動する。冷却トンネル155は、硬化された基材101を急速に冷却するために強制対流冷却を利用するトンネルであり得る。例えば、冷却トンネル155は、箱型(またはドーム型)のトンネルであってもよく、一方、冷気は、(例えば、送風機、ファンなどによって)冷却トンネル155内に強制され、粉末コートされた基材101と空気との間の温度差によって供給される対流熱伝達は、粉末コートされた基材101の少なくとも表面を、粉末コートされた基材101の積み重ねおよび/または取り扱いを可能にする温度まで急速に冷却する。例えば、冷却トンネル155は、非常に短い時間で、粉末コートされた基材101を華氏280~325度の硬化温度から華氏100度まで冷却し得る。この場合、冷却トンネルの設計は、粉末コーティングシステム100の高いライン速度/処理速度を可能にし得る。
【0062】
粉末コーティングシステム100は、アウトフィード160を含む。アウトフィード160は、粉末コートされた基材101が粉末コーティングシステム100を出る点であり得、したがって、搬送システム106の出口点であり得る。冷却トンネル155によって冷却された後、アウトフィード160は、粉末コートされた基材101をオフロードし、出荷のために粉末コートされた基材101を積み重ねてもよい。この場合、オフロードは、手動プロセス、自動プロセス、または手動および自動プロセスの組み合わせによって行われ得、積み重ねることで、出荷の準備ができているパレット化された粉末コートされた基材101が結果的に得られ得る。この場合、基材101は、水平(例えば、平坦)配向でアウトフィード160によってオフロードされ得る。アウトフィード160は、基材101の高速処理を可能にするが、アウトフィード160によってオフロードされた基材101の量(例えば、数量)は、粉末コーティングシステム100の処理速度に基づき得る。この場合、アウトフィード160は、粉末コートされた基材101を毎分100フィートを超えるライン速度でオフロードするように設計され得る。
【0063】
前述のように、インフィード105、搬送システム106、第1の放射オーブン110、第1の対流オーブン115、粉末塗布システム120、第2の放射オーブン145、第2の対流オーブン150、冷却トンネル155、およびアウトフィード160を組み合わせて使用して、従来の粉末コーティング技術よりも高いライン速度(例えば、毎分100フィート以上のライン速度)および小さい領域(例えば、より短い縦方向長さ102)で、水平(平坦)配向で感熱性基材を粉末コートしてもよい。しかしながら、粉末コーティングシステム100が、必ずしも、インフィード105、搬送システム106、第1の放射オーブン110、第1の対流オーブン115、粉末塗布システム120、第2の放射オーブン145、第2の対流オーブン150、冷却トンネル155、およびアウトフィード160の全ての特徴を含む必要はなく、むしろ、これらの特徴のいくつかのみを含むことができ、各個々の構成要素に関連して記載された水平方向に配向された感熱性基材の有利な高速処理を依然として達成することができることが理解されるべきである。
【0064】
したがって、本発明の特定の実施形態が、例示の目的で上に記載されてきたが、添付の特許請求の範囲に定義される本発明から逸脱することなく、本発明の詳細に多数の変更が行われ得ることは、当業者に明らかであろう。
図1A
図1B
図2A
図2B
図3
図4A
図4B
図5A
図5B
図6
【国際調査報告】