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特表2024-546422ランダムでスパースな光フェーズドアレイを用いたフォトニック集積回路
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-12-24
(54)【発明の名称】ランダムでスパースな光フェーズドアレイを用いたフォトニック集積回路
(51)【国際特許分類】
   G02F 1/295 20060101AFI20241217BHJP
【FI】
G02F1/295
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024527338
(86)(22)【出願日】2022-11-10
(85)【翻訳文提出日】2024-06-25
(86)【国際出願番号】 US2022049606
(87)【国際公開番号】W WO2023086513
(87)【国際公開日】2023-05-19
(31)【優先権主張番号】63/278,024
(32)【優先日】2021-11-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】520435267
【氏名又は名称】レイセオン ビービーエヌ テクノロジーズ コープ
【氏名又は名称原語表記】RAYTHEON BBN TECHNOLOGIES CORP.
【住所又は居所原語表記】10 Moulton Street Cambridge Massachusetts 02138 US
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100229448
【弁理士】
【氏名又は名称】中槇 利明
(72)【発明者】
【氏名】ソルタニ,モエ,ディー.
(72)【発明者】
【氏名】リーザム,ジェイムズ,ジー.
(72)【発明者】
【氏名】スミス,デュアン,ディー.
(72)【発明者】
【氏名】ニエチャエフ,アレキサンダー
【テーマコード(参考)】
2K102
【Fターム(参考)】
2K102BA01
2K102BA09
2K102BB04
2K102BB08
2K102CA20
2K102DC08
2K102DC09
2K102EB01
2K102EB16
2K102EB20
2K102EB22
2K102EB24
(57)【要約】
フォトニック集積回路(PIC)がここに開示される。当該PICは、基板と、基板によって支持された主光導波路とを含み得る。主光導波路は、電磁放射線源と通信することができ、電磁放射線源から電磁放射線を受信するように構成され得る。第一分岐光導波路が、第一位置で主光導波路に光結合され得る。光フェーズドアレイ(OPA)は複数のアレイ素子を含むことができ、複数のアレイ素子のそれぞれが、光アンテナ及び光位相変調器を含むことができる。複数のアレイ素子の第一サブセット内の少なくとも一部のアレイ素子を第一分岐光導波路に光結合することができ、複数のアレイ素子のうちの少なくとも一部の位置は、基板上の1つ以上の方向で非周期である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板と、
前記基板によって少なくとも部分的に支持された導波路であって、当該導波路は電磁放射線源及び受信器のうちの少なくとも一方と通信し、光信号ビームの伝播を容易にするように構成される、導波路と、
複数のアレイ素子を含む光フェーズドアレイ(OPA)であって、前記複数のアレイ素子のそれぞれが、
光アンテナ、及び
前記光アンテナに関連し、前記光アンテナと通信する前記導波路のセグメント内の前記光信号ビームを変調するように動作可能である、光位相変調器、
を有する、光フェーズドアレイと、
を含み、
前記複数のアレイ素子のうちの少なくとも一部のアレイ素子は前記基板上の非周期位置で前記導波路に光結合される、
フォトニック集積回路(PIC)。
【請求項2】
前記光フェーズドアレイは、前記アレイ素子間の距離が前記電磁放射線源からの電磁放射線の波長の1/2よりも大きいように前記複数のアレイ素子が位置決めされたスパースアレイである、請求項1に記載のフォトニック集積回路(PIC)。
【請求項3】
前記光フェーズドアレイ(OPA)内の前記アレイ素子の前記非周期位置は、前記複数のアレイ素子からの放射光信号ビーム、または受信ビームゲインエンベロープが所定の閾値よりも大きいピーク対サイドローブ比を有するように設定され、
前記ピーク対サイドローブ比は、前記放射ビームでのピークビーム強度/ゲイン対グレーティングローブ強度/ゲインの比を有する、請求項1に記載のフォトニック集積回路(PIC)。
【請求項4】
前記光フェーズドアレイ(OPA)内の前記アレイ素子の前記非周期位置は、前記複数のアレイ素子からの放射光信号ビーム、または受信ビームゲインエンベロープが前記放射光ビームの複数の走査角度のそれぞれで所定の閾値よりも大きいピーク対サイドローブ比を有するように設定された疑似ランダム位置である、請求項3に記載のフォトニック集積回路(PIC)。
【請求項5】
前記放射光ビームの前記複数の走査角度、または前記受信ビームゲインエンベロープは、-60度から+60度の間の角度を有し、
前記アレイ素子の前記疑似ランダム位置は、前記複数のアレイ素子からの前記放射光信号ビームまたは前記受信ビームゲインエンベロープが-60度から+60度の間の前記複数の走査角度のそれぞれで所定の閾値よりも大きいピーク対サイドローブ比を有するように設定される、請求項4に記載のフォトニック集積回路(PIC)。
【請求項6】
前記アレイ素子の前記疑似ランダム位置は、前記放射光信号ビームまたは前記受信ビームゲインエンベロープが前記光位相変調器のうちの1つ以上によって行われる位相調整の制御によって、前記複数の走査角度にわたって連続してステアリング可能であるように設定される、請求項3に記載のフォトニック集積回路(PIC)。
【請求項7】
前記アレイ素子の前記疑似ランダム位置は、前記電磁放射線源から供給される単一のコヒーレント波長の電磁放射線を用いて、前記光位相変調器のうちの1つ以上によって行われる前記位相調整の制御によって、前記複数のアレイ素子からの前記放射光信号ビームまたは前記受信ビームゲインエンベロープが前記複数の走査角度にわたって連続してステアリング可能であるように設定される、請求項6に記載のフォトニック集積回路(PIC)。
【請求項8】
前記アレイ素子の前記疑似ランダム位置は、前記複数のアレイ素子からの前記放射光信号ビームまたは前記受信ビームゲインエンベロープが前記光位相変調器のうちの1つ以上によって行われる前記位相調整の制御によって、2次元でステアリング可能であるように設定される、請求項6に記載のフォトニック集積回路(PIC)。
【請求項9】
前記複数のアレイ素子のうちの少なくとも一部の位置は、前記基板上の1つ以上の方向で非周期である、請求項1に記載のフォトニック集積回路(PIC)。
【請求項10】
光エネルギーを発生するように構成された前記電磁放射線源としてのソースレーザーであって、前記アンテナ素子は前記光エネルギーに基づいて前記光信号ビームを送信するように構成される、前記ソースレーザーと、
前記アンテナ素子によって受信された前記光信号ビームを受信して処理するように構成された受信器と、
のうちの少なくとも一方をさらに含む、請求項1に記載のフォトニック集積回路(PIC)。
【請求項11】
前記ソースレーザーは単一のコヒーレント波長で光エネルギーを発生する、請求項10に記載のフォトニック集積回路(PIC)。
【請求項12】
前記導波路は光導波路である、請求項1に記載のフォトニック集積回路(PIC)。
【請求項13】
前記基板上に配置され、前記複数のアレイ素子のそれぞれの前記光位相変調器と電気通信するオンチップ電子回路を含み、前記オンチップ電子回路は、前記光アンテナと通信する前記導波路のセグメント内の前記光信号ビームを変調するために前記光位相変調器のそれぞれに電圧を印加するように構成される、請求項1に記載のフォトニック集積回路(PIC)。
【請求項14】
複数の層を含み、
前記複数の層は、
前記光フェーズドアレイ(OPA)及び前記導波路を含むフォトニック層、
前記アレイ素子の前記光位相変調器のそれぞれと電気通信するデジタル読み込み集積回路(DRIIC)を含む電子層であって、前記デジタル読み込み集積回路は電圧を印加して前記光位相変調器のそれぞれを制御するように構成される、電子層、
を含む、
請求項1に記載のフォトニック集積回路(PIC)。
【請求項15】
前記電子層は1つ以上のCMOS回路を含む、請求項14に記載のフォトニック集積回路(PIC)。
【請求項16】
電磁放射線源、及び
フォトニック集積回路(PIC)、
を含むフォトニック集積システムであって、
前記フォトニック集積回路は、
基板と、
前記基板によって少なくとも部分的に支持された導波路であって、当該導波路は電磁放射線源及び受信器のうちの少なくとも一方と通信し、光信号ビームの伝播を容易にするように構成される、導波路と、
複数のアレイ素子を含む光フェーズドアレイ(OPA)であって、前記複数のアレイ素子のそれぞれが、
光アンテナ、及び
前記光アンテナに関連し、前記光アンテナと通信する前記導波路のセグメント内の前記光信号ビームを変調するように動作可能である、光位相変調器、
を有する、光フェーズドアレイと、
を含み、
前記複数のアレイ素子のうちの少なくとも一部のアレイ素子は前記基板上の非周期位置で前記導波路に光結合される、
フォトニック集積システム。
【請求項17】
前記光フェーズドアレイは、前記アレイ素子間の距離が前記電磁放射線源からの電磁放射線の波長の1/2よりも大きいように前記複数のアレイ素子が位置決めされたスパースアレイである、請求項16に記載のフォトニック集積システム。
【請求項18】
前記光フェーズドアレイ(OPA)内の前記アレイ素子の前記非周期位置は、前記複数のアレイ素子からの放射光信号ビーム、または受信ビームゲインエンベロープが所定の閾値よりも大きいピーク対サイドローブ比を有するように設定され、
前記ピーク対サイドローブ比は、前記放射ビームまたは前記受信ビームゲインエンベロープでのピークビーム強度対グレーティングローブ強度の比を有する、請求項16に記載のフォトニック集積システム。
【請求項19】
前記光フェーズドアレイ(OPA)内の前記アレイ素子の前記非周期位置は、前記複数のアレイ素子からの放射光信号ビーム、または受信ビームゲインエンベロープが前記放射光ビームまたは前記受信ビームゲインエンベロープの複数の走査角度のそれぞれで所定の閾値よりも大きいピーク対サイドローブ比を有するように設定された疑似ランダム位置である、請求項18に記載のフォトニック集積システム。
【請求項20】
フォトニック集積回路(PIC)を構成する方法であって、
前記フォトニック集積回路(PIC)を、基板を含むように構成することと、
前記フォトニック集積回路(PIC)を、前記基板によって少なくとも部分的に支持された導波路を含むように構成することであって、前記導波路は電磁放射線源及び受信器のうちの少なくとも一方と通信し、前記導波路は光信号ビームの伝播を容易にするように構成される、構成することと、
前記フォトニック集積回路(PIC)を、複数のアレイ素子を有する光フェーズドアレイ(OPA)を含むように構成することであって、前記複数のアレイ素子のそれぞれが、
光アンテナ、及び
前記光アンテナに関連し、前記光アンテナと通信する前記導波路のセグメント内の前記光信号ビームを変調するように動作可能である、光位相変調器、
を含む、構成することと、
前記複数のアレイ素子のうちの少なくとも一部のアレイ素子を、前記導波路に光結合されるように構成することであって、前記複数のアレイ素子のうちの少なくとも一部の位置は前記基板上の1つ以上の方向で非周期である、構成することと、
を含む方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2021年11月10日に出願された米国仮出願第63/278,024号の利益を主張するものであり、この内容全体は参照により本明細書に援用される。
【背景技術】
【0002】
光フェーズドアレイ(OPA)は、光信号ビームの送信または受信を容易にするために、フォトニック集積回路(PIC)で使用されることがある。フォトニック集積回路は、フォトニック集積回路に集積された複数のフォトニックまたは光に基づいた機能を有することができる。OPAは、アンテナ素子を利用して光信号ビームをフォーミングすることによって、光信号ビームを送信するために使用され得る。アンテナ素子から送信される光信号ビームに関連する位相及び/または振幅は、1つ以上の光位相及び/または振幅変調器によって制御または調整され、1次元以上でビーム整形、ビームポインティング、及び/またはビームステアリングを実行することができる。
【0003】
しかし、従来のOPAでは、光学及び電気ルーティング(例えば、導波路及び電気配線のルーティング)の課題のため、アンテナ素子の数が多くなりすぎると、2次元の遠方場ビームステアリングを実行することができない。これらのようなアレイでは、アンテナ素子が多くなった結果、回路トポロジのスケーリングが不可能になり、PIC上の光及び電気ルーティングを可能にする空間が限られているため、OPA上の光及び電気ルーティングに干渉する。光及び電気ルーティングのための空間を大きくすることを可能にするためにアレイ素子間の距離を増大させることは、光信号ビームまたは受信ビームゲインエンベロープからのグレーティングローブが大きくなり、光信号ビームのステアリングレンジが狭くなる望ましくない結果となる。したがって、光信号に重大な劣化を引き起こすことなく、OPAのスケーラビリティを実現できないことが多い。
【0004】
さらに、2次元ビームステアリングを達成する大規模OPAは、OPAに入力されるソースレーザーの波長を掃引して、ビームを2方向のうちの1方向にステアリングすることによって、これを達成する。このため、固定レーザー波長または有限同調レンジのレーザー波長を必要とする用途には、大規模OPAは機能できない。上記の問題を軽減するために、フォトニック集積回路(PIC)の分野では、OPAのスケーラビリティ及びサイドローブ抑制を可能にする、OPAの光及び電気ルーティングでの代替の配置が必要である。
【図面の簡単な説明】
【0005】
主題技術の特徴及び利点は、主題技術の特徴を一例として共に例示する添付図面と併せて、以下の詳細な説明から明らかである。
【0006】
図1】本開示の一例による、光送信器及び/または光受信器を含む1対の光トランシーバノードの概略図を示す。
図2】本開示の一例による、光送信器及び/または光受信器を収容する光学装置の等角図を示す。
図3】本開示の一例による、フォトニック集積回路ベースの光デバイスの斜視図を示す。
図4図3のフォトニック集積回路ベースの光デバイスの内部の斜視図を示す。
図5図3のフォトニック集積回路ベースの光デバイスの部分分解図を示す。
図6図3のフォトニック集積回路の光フェーズドアレイ(OPA)の概略図を示す。
図7】本開示の一例による、図6の光フェーズドアレイの一部の平面図を示す。
図8図7の光フェーズドアレイの一部の平面図を示す。
図9図8の光フェーズドアレイの一部の平面図を示す。
図10】本開示の一例による、フォトニック集積回路の光フェーズドアレイから放射される光信号ビームの図を示す。
図11】本開示の一例による、光信号ビームのメインローブ及びサイドローブの強度のグラフを示す。
図12】本開示の一例による、光フェーズドアレイから放射される光信号ビームのメインローブ及びサイドローブのシミュレーションを示す。
図13図3のフォトニック集積回路の斜視図を示す。
図14】本開示の一例による、光フェーズドアレイ上の導波路ルーティングの平面図を示す。
図15】本開示の一例による、光フェーズドアレイ上の導波路ルーティングの平面図を示す。
図16】本開示の一例による、フォトニック集積回路を構成する方法を示す。
【0007】
次に、例示した例を参照して、本明細書では同じものを説明するために特定の言語を用いる。しかしながら、それによって範囲を限定することは意図されていないことを理解されたい。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明の考え方の最初の概略を以下に示し、その後、特定の例についてより詳細に説明する。この最初の概要は、読み手が例をより迅速に理解することを助けることを目的としているが、例の重要な特徴または本質的な特徴を特定することは意図しておらず、特許請求の範囲に記載された対象の範囲を限定することも意図していない。
【0009】
上記を考慮すると、多数のアンテナ素子によって2次元の遠方場ビームステアリングができる光フェーズドアレイを用いたフォトニック集積回路が必要である。本明細書に記載のフォトニック集積回路及び光フェーズドアレイは、上記の問題を解決することができる。本明細書に記載の光フェーズドアレイ(OPA)は、アレイ素子(例えば、ナノアンテナ素子)を有し、これらアンテナ素子は、放射される電磁放射線(すなわち、光エネルギー)の半波長よりも大きい距離で離隔されるが、それでも十分なサイドローブ抑制を提供する。またOPAは、光及び電気ルーティング用の空間を追加することを可能にするために、より大きいサイズにスケーリング可能である。さらに光フェーズドアレイには、ナノアンテナ素子が含まれ、光信号ビームの複数の走査角度でOPAから放射される光信号ビーム(または受信ゲインエンベロープ)のサイドローブ干渉を最小にするように、遺伝的アルゴリズムによってアレイ内に位置決めされる。さらに本明細書に記載のOPAは、ソースレーザー入力の波長を多波長にわたって掃引することなく、2次元ビームステアリングを実現する大規模OPAである。OPAは、単一のコヒーレント波長の電磁放射線を受信し、個々のナノアンテナ素子の位相変調によって光信号ビームをステアリングすることができる。
【0010】
本開示の一例では、フォトニック集積回路(PIC)は、基板と、基板によって少なくとも部分的に支持される導波路とを含むことができる。導波路は、電磁放射線源(光エネルギー源)及び受信器のうちの少なくとも一方と通信することができる。導波路は、光信号ビームの伝播を容易にするように構成され得る。さらにPICは、複数のアレイ素子を有する光フェーズドアレイ(OPA)が含むことができ、複数のアレイ素子のそれぞれが、光アンテナと、光アンテナに関連する光位相変調器を含み得る。光位相変調器は、光アンテナと通信する導波路のセグメント内の光信号ビームを変調するように動作可能である。複数のアレイ素子のうちの少なくとも一部のアレイ素子は、基板上の非周期位置で導波路に光結合され得る。
【0011】
いくつかの例では、光フェーズドアレイは、スパースアレイであり、このスパースアレイでは、複数のアレイ素子は、アレイ素子間の距離が電磁放射線源からの電磁放射線の波長の1/2よりも大きくなるように位置決めされ得る。
【0012】
いくつかの例では、光フェーズドアレイ(OPA)内のアレイ素子の非周期位置は、複数のアレイ素子からの放射光信号ビーム、または受信ゲインエンベロープが所定の閾値よりも大きいピーク対サイドローブ比を有するように設定できる。ピーク対サイドローブ比は、放射ビームまたは受信ゲインエンベロープでのピークビーム強度対グレーティングローブ強度の比とし得る。
【0013】
いくつかの例では、光フェーズドアレイ(OPA)内のアレイ素子の非周期位置は、複数のアレイ素子からの放射光信号ビーム、または受信ゲインエンベロープが放射光ビームまたは受信ゲインエンベロープの複数の走査角度のそれぞれで所定の閾値よりも大きいピーク対サイドローブ比を有するように設定された疑似ランダム位置とし得る。
【0014】
いくつかの例では、放射光ビームまたは受信ゲインエンベロープの複数の走査角度は、-60度から+60度の間の角度を有することができる。
【0015】
いくつかの例では、アレイ素子の疑似ランダム位置は、複数のアレイ素子からの放射光信号ビームまたは受信ゲインエンベロープが-60度から+60度の間の複数の走査角度のそれぞれで所定の閾値よりも大きいピーク対サイドローブ比を有するように設定できる。
【0016】
いくつかの例では、アレイ素子の疑似ランダム位置は、放射光信号ビームまたは受信ゲインエンベロープが光位相変調器のうちの1つ以上によって行われる位相調整の制御によって、複数の走査角度にわたって連続してステアリング可能であるように設定できる。
【0017】
いくつかの例では、アレイ素子の疑似ランダム位置は、電磁放射線源から供給される単一のコヒーレント波長の電磁放射線を用いて、光位相変調器のうちの1つ以上によって行われる位相調整の制御によって、複数のアレイ素子からの放射光信号ビームまたは受信ゲインエンベロープが複数の走査角度にわたって連続してステアリング可能であるように設定できる。
【0018】
いくつかの例では、アレイ素子の疑似ランダム位置は、複数のアレイ素子からの放射光信号ビームまたは受信ゲインエンベロープが光位相変調器のうちの1つ以上によって行われる位相調整の制御によって、2次元でステアリング可能であるように設定できる。
【0019】
いくつかの例では、複数のアレイ素子のうちの少なくとも一部の位置は、基板上の1つ以上の方向で非周期とし得る。
【0020】
いくつかの例では、さらにフォトニック集積回路(PIC)は、光エネルギーを発生するように構成された電磁放射線源としてのソースレーザー、光エネルギーに基づいて光信号ビームを送信するように構成されたアンテナ素子、及びアンテナ素子によって光信号ビームを受信して、受信した光信号ビームを処理するように構成された受信器のうちの少なくとも1つを含むことができる。
【0021】
いくつかの例では、ソースレーザーは単一のコヒーレント波長で光エネルギーを発生することができる。
【0022】
いくつかの例では、導波路は光導波路である。
【0023】
いくつかの例では、オンチップ電子回路は、基板上に配置され得、複数のアレイ素子のそれぞれの光位相及び/または振幅変調器と電気通信することができる。オンチップ電子回路は、光位相及び/または振幅変調器のそれぞれに電圧を印加して、光アンテナと通信する導波路のセグメント内の光信号ビームを変調するように構成され得る。
【0024】
いくつかの例では、フォトニック集積回路(PIC)は複数の層を含むことができる。複数の層は、光フェーズドアレイ(OPA)及び導波路を有するフォトニック層を含むことができる。さらに複数の層は、アレイ素子の光位相及び/または振幅変調器のそれぞれと電気通信するデジタル読み込み集積回路(DRIIC)を有する電子層を含むことができ、このデジタル読み込み集積回路は、電圧を印加して光位相及び/または振幅変調器のそれぞれを制御するように構成され得る。
【0025】
いくつかの例では、電子層は1つ以上のCMOS回路が含むことができる。
【0026】
本開示の別の例では、フォトニック集積システムは、電磁放射線源(すなわち、光エネルギー源)を含むことができる。さらにシステムは、フォトニック集積回路(PIC)を含むことができる。フォトニック集積回路(PIC)は、基板と、基板によって少なくとも部分的に支持される導波路とを含むことができる。導波路は、電磁放射線源及び受信器の少なくとも1つと通信することができる。導波路は、光信号ビームの伝播を容易にするように構成され得る。さらにPICは、複数のアレイ素子を有する光フェーズドアレイ(OPA)を含むことができ、複数のアレイ素子のそれぞれが、光アンテナと、光アンテナに関連する光位相及び/または振幅変調器を含み得る。光位相変調器は、光アンテナと通信する導波路のセグメント内の光信号ビームを変調するように動作可能である。複数のアレイ素子のうちの少なくとも一部のアレイ素子を導波路に光結合することができ、複数のアレイ素子のうちの少なくとも一部の位置は基板上の1つ以上の方向で非周期とし得る。
【0027】
フォトニック集積システムのいくつかの例では、光フェーズドアレイは、スパースアレイであることができ、スパースアレイでは、複数のアレイ素子は、アレイ素子間の距離が電磁放射線源からの電磁放射線の波長の1/2よりも大きくなるように位置決めされる。
【0028】
フォトニック集積システムのいくつかの例では、光フェーズドアレイ(OPA)内のアレイ素子の非周期位置は、複数のアレイ素子からの放射光信号ビームまたは受信ゲインエンベロープが所定の閾値よりも大きいピーク対サイドローブ比を有するように設定できる。ピーク対サイドローブ比は、放射ビームまたは受信ゲインエンベロープでのピークビーム強度対グレーティングローブ強度の比とし得る。
【0029】
フォトニック集積システムのいくつかの例では、光フェーズドアレイ(OPA)内のアレイ素子の非周期位置は、複数のアレイ素子からの放射光信号ビームまたは受信ゲインエンベロープが放射光ビームまたは受信ゲインエンベロープの複数の走査角度のそれぞれで所定の閾値よりも大きいピーク対サイドローブ比を有するように設定された疑似ランダム位置とし得る。
【0030】
本開示の別の例では、方法は、フォトニック集積回路(PIC)を構成するステップを含むことができる。方法は、フォトニック集積回路(PIC)を、基板を含むように構成するステップを含むことができる。さらに方法は、フォトニック集積回路(PIC)を、基板によって少なくとも部分的に支持された導波路を含むように構成するステップを含むことができ、導波路は電磁放射線源及び受信器のうちの少なくとも一方と通信し、導波路は光信号ビームの伝播を容易にするように構成され得る。さらに方法は、フォトニック集積回路(PIC)を、複数のアレイ素子を有する光フェーズドアレイ(OPA)を含むように構成するステップを含むことができる。複数のアレイ素子のそれぞれが、光アンテナと、光アンテナに関連する光位相及び/または振幅変調器を含み得る。光位相及び/または振幅変調器は、光アンテナと通信する導波路のセグメント内の光信号ビームを変調するように動作可能である。さらに方法は、複数のアレイ素子のうちの少なくとも一部のアレイ素子を導波路に光結合するように構成するステップをさらに含むことができ、複数のアレイ素子のうちの少なくとも一部の位置は基板上の1つ以上の方向で非周期とし得る。
【0031】
光フェーズドアレイ及びフォトニック集積回路の配置
以下で説明される図1から図16、及び本開示の原理を説明するために使用される種々の例は、例示に過ぎず、決して本開示の範囲を限定するものと解釈されるべきではない。当業者であれば、本開示の原理が、適切に配置された任意のタイプのデバイスまたはシステムに実装できることが理解されよう。
【0032】
上述のように、OPAの送信は、アンテナ素子を使用して、送信光信号ビームをフォーミングし、アンテナ素子に関連する位相は、ビーム整形、ビームポインティング、またはビームステアリングを実行するように制御され得、または調整され得る。OPAの、またはOPAに関連するアンテナ素子及びその他のさまざまなコンポーネントは、1つ以上のPICを使用して実装できる。本開示は、PICベースの通信光信号ビーム伝送システムをサポートするために設けられる小型でスケーラブルな設計を提供する。設計は、さまざまな宇宙、空中、及び地上ベースのシステムをサポートするために、さまざまな配置で提供され得る。
【0033】
OPAには、シリコンナノアンテナ素子またはその他のアンテナ素子の2次元(2D)疑似ランダムスパースアレイ(RSA)が含まれ得、アンテナ素子の相対位相は、高速の非機械的なビームフォーミング及びビームステアリングをサポートするように電子制御され得る。またアンテナ素子のランダムスパースアレイ(RSA)は、送信光信号ビームまたは受信ゲインエンベロープの高いサイドローブ抑制、送信または受信時の固定波長レーザーソース、有限の可同調波長範囲のレーザー、光及び電子ルーティングに十分な空間、OPAの動作中の擾乱または劣化を誘起しないスケーラビリティなどの特徴もサポートすることができる。場合によっては、アレイは、低電力共振マイクロリングまたはその他の変調器を備えたユニットセルアーキテクチャをサポートすることができるため、各アンテナ素子を独立して較正し、制御することができる。必要に応じて、スーパーセル設計(複数のアンテナ素子及び関連コンポーネントを複数のスーパーセルに論理的に群化する)は、ルーティングの簡素化に有用であり得、サイズのスケーラビリティを可能にする。また、場合によっては、テイラー重み付け及びその他の技法など、各スーパーセルの振幅変調を使用して、電力伝送を制御し、ビームを整形することができる。
【0034】
本明細書に記載の原理は、実装に応じてさまざまな利点または利益を有することができる。例えば、本明細書に記載のランダムでスパースな光フェーズドアレイにより、OPAの効率的な電気及び光ルーティングが可能であり、大量のアンテナ素子があっても、OPA及びPICのスケーラビリティに十分な空間及び柔軟性であることが可能である。さらに、OPA上のアンテナ素子のランダムでスパースな配置によって、光信号ビームのサイドローブを抑制することができる。さらに、固定波長または有限範囲波長のレーザー源を使用して、2D光ビームステアリングを実現することができる。
【0035】
図1は、本開示によるフォトニック集積回路ベースの通信をサポートする例示的なシステム100を示す。図1に示されるように、システム100は、光で相互に通信する2つのノード102及び104を含むことができる。各ノード102及び104は、光通信を使用してデータを送信する、及び/または受信することができる地上、空中、または宇宙ベースのシステムを表す。ノード102及び104は、少なくとも互いに関して、ノード102または104の1つのみが送信し、もう1つのノード104または102のみが受信する、単方向通信を相互に行うことができる。しかし、図1に示されるように、ノード102及び104の両方が光信号ビームの送信及び受信の両方ができる場合、ノード102及び104が相互に双方向通信を行うことができることが理解されよう。
【0036】
この例ではノード102は光送信器106を含み、この光送信器は、通常、通信またはその他の目的に使用される光信号ビーム108を生成するように動作する。例えば、光送信器106は、適切な光の振幅、位相、周波数、及び/またはその他の変調(複数可)などを使用することによって、光信号ビーム108に情報をエンコードすることができる。光信号ビーム108は、自由空間またはその他の伝送媒体を介してノード104に伝送され、そこで光受信器110が光信号108を受信して処理する。例えば、光受信器110は、光信号ビーム108内の光の振幅、位相、周波数、及び/またはその他の変調(複数可)を識別し、識別された変調(複数可)を使用して、光信号ビーム108にエンコードされた情報を回復することができる。ここでは、光信号ビーム108をエンコードしてデコードするために、任意の適切なタイプの変調/復調スキームを使用することができる。この例では、ノード102及び104が双方向であるため、同じプロセスが、反対方向に使用され得、つまり、ノード104の光送信器112は光信号ビーム114を生成し、ノード102の方に送信し、ノード102の光受信器116はその光信号ビームを受信し、処理する。
【0037】
なお、ここでは光送信器106及び光受信器116が別々のコンポーネントとして示されているが、同じPICベースの構造を光信号ビームの送信と受信との両方に使用することを可能にするように、これらは単一の光トランシーバ118に集積されることができる。同様に、ここでは光送信器112及び光受信器110が別々のコンポーネントとして示されているが、同じPICベースの構造を光信号ビームの送信と受信との両方に使用することを可能にするように、これらは単一の光トランシーバ120に集積されることができる。以下でより詳細に説明されるように、光送信器106及び112、光受信器110及び116、または光トランシーバ118及び120のそれぞれは、光信号ビーム108及び114を送信する、及び/または受信するために使用される、少なくとも1つのPICベースの光フェーズドアレイを含む。
【0038】
本開示で説明される光送信器、受信器、及びトランシーバは、多数の用途に使用され得る。例えば、光送信器、受信器、またはトランシーバは、非常に長距離にわたる大量の情報の転送を含む、位置間で情報を迅速に転送する、データセンターまたはテレコミュニケーションシステムに使用され得る。光送信器、受信器、またはトランシーバは、家庭用または市販の電子機器、生体医療デバイス、またはアドバンストコンピューティングデバイスに使用され得る。光送信器、受信器、またはトランシーバは、飛行機、ドローン、衛星、自律走行車、ロケット、ミサイル、またはその他の市販もしくは防衛関連システムに使用され得る。一般に、本開示は、光送信器、受信器、及びトランシーバのいかなる特定の用途にも限定されない。
【0039】
図1はフォトニック集積回路ベースの通信をサポートするシステム100の一例を示しているが、図1にはさまざまな変更を加えることができる。例えば、ここでは2つのノード102及び104のみが示されているが、システム100は、任意の適切な単方向、双方向、またはその他の通信を相互に行う、任意の適切な数のノードを含むことができる。また、システム100の各ノードは、任意の数の光信号ビームを介して通信する任意の適切な数の光送信器、受信器、またはトランシーバを含むことができる。さらに、システム100は、ここでは単純な形式で示されており、必要に応じて、または要望どおり、任意の数の追加コンポーネントを任意の適切な構成に含むことができる。
【0040】
図2は、本開示によるフォトニック集積回路ベースの通信をサポートする例示的な装置200を示す。説明を簡単にするために、装置200は、図1のシステム100内の1つ以上のノード102及び104の一部として表されるもの、または使用されるものとして説明され得る。ただし、装置200は、その他の任意の適切なデバイスまたはシステムとして、その内で、またはそれと共に使用され得る。
【0041】
図2に示されるように、装置200はハウジング202を含むことができ、このハウジングを使用して、PICベースの通信をサポートするその他のコンポーネントを収容して保護することができる。ハウジング202は、1つ以上の金属などの任意の適切な材料(複数可)から、任意の適切な方法で形成され得る。またハウジング202は、任意の適切なサイズ、形状、及び寸法を有することもできる。ハウジング202は、支持構造204に固定され得、この支持構造は、その上に、またはそこにハウジング202を固定することができる任意の適切な構造を表す。カバー206は、ハウジング202の内部空間への選択的なアクセスを提供するために、ハウジング202に取り外し可能に連結され得る。ハウジング202は少なくとも1つのアパーチャ208を画定することができ、この少なくとも1つのアパーチャは、光信号ビーム108及び114など、出射するまたは入射する光信号ビームを通過させることができる。この特定の例では、アパーチャが単一であるが、ハウジング202は複数のアパーチャを画定することができる(例えば、1つが送信用アパーチャであり、1つが受信用アパーチャである)。
【0042】
少なくとも1つの光送信器、光受信器、及び/または光トランシーバは、ハウジング202内に位置決めされ、少なくとも1つのアパーチャ208を介して通信する。例えば、場合によっては、装置200は、少なくとも1つの光送信器210a(光送信器106または112の少なくとも一例を表すことができる)と、少なくとも1つの光受信器210b(光受信器110または116の少なくとも一例を表すことができる)を含むことができる。一例では、光送信器210a及び光受信器210bを共通の支持体212上に並置して位置決めすることができることにより、光送信器210a及び光受信器210bはそれぞれアパーチャ208を介して光信号ビームを送信すること、または受信することが可能になる。他の場合には、装置200は、支持体216上に少なくとも1つの光トランシーバ214(光トランシーバ118または120の少なくとも一例を表すことができる)を含むことができ、光トランシーバ214はアパーチャ208を介して通信することができる。光トランシーバ214は、1つ以上の波長での光信号ビームの送信と、1つ以上の異なる波長での光信号ビームの受信をサポートすることができる。当業者であれば、装置200では、少なくとも2つの光送信器(複数可)、光受信器(複数可)、及び/または光トランシーバ(複数可)の任意の適切な組み合わせも使用され得ることが理解されよう。
【0043】
図2はフォトニック集積回路ベースの通信をサポートする装置200の一例を示しているが、図2にはさまざまな変更を加えることができる。PICベースの通信は、広範囲のデバイスに、またはそれらによって使用され得、ここに示される特定の装置に限定されない。例えば、ハウジング202は代替に回転可能なジンバルとして形成され得、この回転可能なジンバルは、必要に応じて、または要望どおり、1つ以上の光送信器、光受信器、または光トランシーバを再指向することができる。さらに、装置200は、ビーコン光信号ビームの発生及び送信及び/または受信及び処理をサポートするコンポーネントを含むことができ、これらのコンポーネントは、装置200が光通信を行う、またはその他の信号を送るために向けるべき位置を特定するのに役立つように使用され得る。
【0044】
図3図5は、本開示によるフォトニック集積回路ベースの光デバイス300の一例を示す。説明を簡単にするために、光デバイス300は、図1のシステム100で使用され得る、図2の光送信器210a、光受信器210b、または光トランシーバ214のうちの1つを実装するために使用されるものとして説明されている。ただし、光デバイス300は、その他の任意の適切な装置及びその他の任意の適切なシステムに使用され得る。
【0045】
図3に示されるように、光デバイス300はパッケージ302を含み、このパッケージは、光送信器210a、光受信器210b、または光トランシーバ214の電子コンポーネント及び光学コンポーネントを包囲して保護する。パッケージ302は、1つ以上の金属などの任意の適切な材料(複数可)から、任意の適切な方法で形成され得る。またパッケージ302は、任意の適切なサイズ、形状、及び寸法を有することができ、いかなる制限も意図されることなく、任意の適切な形態を有することができる。
【0046】
パッケージ302は、光デバイス300から送信される光信号ビーム、または光デバイス300によって受信される光信号ビームに対して少なくとも部分的に光学的に透明である光学窓306を含むことができる。光学窓306は、ホウケイ酸ガラスまたはその他のガラスなどの任意の適切な材料(複数可)から、任意の適切な方法で形成され得る。また光学窓306は、任意の適切なサイズ、形状、及び寸法を有することもできる。
【0047】
またパッケージ302は、パッケージ302の内部と外部との間で1つ以上の電気信号を運ぶために使用され得る、1つ以上の電気接続308も含むことができる。ここで、1つ以上の電気信号は、光デバイス300の1つ以上の動作を制御するためなど、任意の適切な目的に使用され得る。具体的な例として、1つ以上の電気信号を使用して、位相及び/または振幅変調器を制御して、光デバイス300内のフォトニック集積回路のアンテナ素子からの光信号ビームの位相または振幅を制御することができる。さらにパッケージ302は、1つ以上の光入力/出力部310(例えば、光ファイバ)を含み、これらを使用して、光デバイス300に1つ以上の入力信号を提供すること、及び/または光デバイス300から1つ以上の出力信号を受信することができる。1つ以上の入力信号は、光デバイス300から送信される情報を搬送することができる。1つ以上の出力信号は、光デバイス300に受信され、それによって回復された情報を搬送することができる。この例では、2つのファイバ入力/出力部310があるが、光デバイス300は、単一ファイバ入力/出力部310または2つより多いファイバ入力/出力部310を含むことができる。ただし、すべての光発生及び処理がパッケージ302内のコンポーネントを使用して行われる場合、ファイバ入力/出力部310が必要とされないことに留意されたい。この場合、電気接続308を使用して、光デバイス300との間で情報を運ぶすることができる。
【0048】
図4に示されるように、フォトニック集積回路402は、パッケージ302内、すなわち、フォトニック集積回路402が光学窓306を介して光信号ビームを送信する及び/または受信することができる位置に位置決めされる。以下に説明されるように、フォトニック集積回路402を使用して、フォトニック集積回路402の設計に応じて、光信号ビームの送信及び/または受信をサポートすることができる。またフォトニック集積回路402は、必要に応じて、または要望どおり、いくつかの追加の光学機能をサポートすることもできる。フォトニック集積回路402は、シリコン、リン化インジウム、またはヒ化ガリウムなどの任意の適切な材料(複数可)から、任意の適切な方法で形成され得る。またフォトニック集積回路402は、任意の適切なサイズ、形状、及び寸法を有することもできる。具体的な例として、フォトニック集積回路402は正方形で、約40mmの辺の長さを有するが、ここではその他の任意の適切なサイズ及び形状を使用することができる。
【0049】
ファイバマウント404を使用して、光ファイバ406が光信号をフォトニック集積回路402に提供する及び/またはそこから光信号を受信することができる位置で、光ファイバ406に結合することができる。例えば、光ファイバ406は、光信号ビームの送信の出射中に使用するために、ソースレーザーからの光信号をフォトニック集積回路402に提供することができる。そのうえ、または代替に、光ファイバ406は、フォトニック集積回路402によって受信された光信号を、処理のために受信器に提供することができる。各ファイバマウント404は、光ファイバ406に結合されるように構成された任意の適切な構造を含むことができる。各光ファイバ406は、光信号をフォトニック集積回路402との間で転送するように構成された任意の適切な長さの光媒体を表す。ここでは4つのファイバマウント404及び光ファイバ406が示されているが、光デバイス300が1つ、2つ、3つ、または4つを超えるファイバマウント404及び光ファイバ406を含むことができることに留意されたい。また、すべての光発生及び処理がフォトニック集積回路402のコンポーネントを使用して行われる場合、ファイバマウント404及び/または光ファイバ406が必要とされないことに留意されたい。
【0050】
電子制御盤408は、フォトニック集積回路402の動作を制御する、1つ以上の集積回路チップ及びその他のコンポーネントなど、電子コンポーネントを含む。例えば、電子制御盤408は、フォトニック集積回路402のアンテナ素子によって発生する光信号ビームの所望の位相を計算する1つ以上のコンポーネントを含むことができることにより、電子制御盤408は、PICからビームフォーミングまたはビームステアリング操作を制御することが可能になる。さらに、または代替に、電子制御盤408は、フォトニック集積回路402のアンテナ素子によって受信される光信号に適用される所望の位相を計算する1つ以上のコンポーネントを含むことができることにより、電子制御盤408は、波面再構成操作を制御することが可能になる。電子制御盤408は、フォトニック集積回路402に関連する1つ以上の所望の機能を実行するように構成された任意の適切なコンポーネントを含む。
【0051】
図5に示されるように、フォトニック集積回路402はそれ自体が、フォトニック集積回路402のPICユニットセルを表すいくつかのアレイ素子502を含むことができる。各アレイ素子502は、1つ以上の光信号を送信するまたは受信するように構成され得る。フォトニック集積回路402は、任意の適切な数のアレイ素子502を含むことができ、場合によっては、非常に多数のアレイ素子502まで、またそれを含むことができる。いくつかの実施形態では、例えば、フォトニック集積回路402は、最大1024×1024のサイズ(つまり、100万超のアレイ素子502)またはそれ以上の素子502のアレイを含むことができる。フォトニック集積回路402のサイズは、アレイ素子502の数及びサイズに少なくとも部分的に基づいている。上述のように、場合によっては、フォトニック集積回路402は、辺の長さが約40mmの正方形であり得る。しかしながら、フォトニック集積回路402は、より小さいサイズまたはより大きいサイズ(例えば、約2.5cm×約2.5cm)にスケーリングされ得、さらに、製造能力に応じて、さらに大きいサイズ(例えば、約20cm×約20cmまたは約30cm×約30cm以上、これらのサイズは決して限定することを意図したものではない)までスケールアップされ得る。
【0052】
各アレイ素子502は、アンテナ素子504を含むことができ、このアンテナ素子は、1つ以上の外部デバイスまたはシステムとの間で1つ以上の光信号ビームを物理的に送信する及び/または受信するように構成される。例えば、各アンテナ素子504は、レンズなしで、または少なくとも1つの光信号ビームを集束させる、もしくはその他の方法で処理するように構成された、1つ以上のレンズもしくはその他の光デバイスを伴って、アレイゲインエンベロープ内で少なくとも1つの光信号ビームレットを送信するまたは光エネルギーを受信するナノフォトニックアンテナまたはその他のアンテナ素子を表すことができる。実装に応じて、アンテナ素子504は、送信アレイ内のエミッタまたは受信アレイ内の受信器と呼ばれることもあり得る。各アンテナ素子504は、任意の適切なサイズ、形状、及び寸法を有することができる。場合によっては、アンテナ素子504の放出/受信面は、約2μmから約4μmの直径であり得る。
【0053】
ここで、各アンテナ素子504は信号経路506に結合される。信号経路506は、アンテナ素子504との間で光信号を輸送するように構成される。例えば、信号経路506は、送信用の光信号をアンテナ素子504に提供することができる。さらに、または代替に、信号経路506は、アンテナ素子504によって受信した光信号を、処理のために光検出器またはその他のコンポーネントに提供することができる。各信号経路506は、光導波路など、光信号を輸送するように構成された任意の適切な構造を含む。関連するアレイ素子502がどのように設計され、フォトニック集積回路402内に位置決めされるかに基づいて、信号経路506が変わり得るため、図5には信号経路506の一部のみが示され得ることに留意されたい。
【0054】
アンテナ素子504ごとに1つ以上の変調器508が設けられ、これら変調器を(とりわけ)使用して、関連するアンテナ素子504によって、送信されるまたは受信される光信号の位相及び/または振幅、あるいはその両方を(配置及び用途または使用に応じて)制御することができる。例えば、アンテナ素子504が送信している例では、変調器508を使用して、出射光信号ビームの所望の位相を達成し、ビームフォーミングまたはビームステアリングを実行することができる。アンテナ素子504が受信している例では、変調器508を使用して、受信される光信号の入射波面に位相制御を適用し、波面を分解する、または再構成することができる。受信と送信との両方が行われる例では、変調器508を使用して、出射光信号ビームの所望の位相を達成し、受信光信号の入射波面に位相制御を適用することができる。各変調器508は、共振マイクロリング変調器またはPN接合マイクロリング変調器など、光信号の位相及び/または振幅を変調するように構成された任意の適切な構造を含むことができる。場合によっては、各変調器508は、直径が約4~6μmの共振マイクロリング変調器であり得るが、その他のサイズの変調器を使用することもできる。
【0055】
フォトニック集積回路402の変調器508は、デジタル読み込み集積回路(DRIIC)層510に電気結合され得、この層を使用して、変調器508によって入射または出射する光信号に適用される位相及び/または振幅変調を制御するための電気信号を変調器508に提供する。本明細書に記載の(DRIIC)設計は、光フェーズドアレイの固有の特性に合わせて調整され得る。大型のブレイクアウト回路基板及びデジタル-アナログコンバータを使用する代わりに、DRIIC設計は、低いプロファイルを有することができ、フォトニック集積回路へのフリップチップボンディングなどの操作をサポートすることができる。場合によっては、DRIIC設計は、PIC関連のすべての電子コントロールをハイブリッドまたはモノリシック設計に集積する。また、DRIIC設計はユニットセルアーキテクチャをサポートすることができ、このユニットセルアーキテクチャでは、各DRIICユニットセルは対応するPICユニットセルに対応し、それとインタラクトする。これは、任意の適切なサイズへのPIC設計だけでなくDRIIC設計のスケーラビリティをサポートする。全体として、DRIIC設計は、ビームフォーミング及びビームステアリングなど、さまざまな機能をコンパクトなパッケージでサポートするのに役立つ。フォトニック集積回路PIC402とDRIIC層510とを電気結合するための任意のメカニズムを使用して、フォトニック集積回路402をDRIIC層510に結合することができる。
【0056】
この例ではDRIIC層510は、いくつかの個別のDRIICセル512を含み、各DRIICセル512は、アレイ素子502のうちの対応する1つに関連付けられることができる(場合によっては、その対応する1つとほぼ同じサイズを有することができる)。DRIICセル512は、アレイ素子502の変調器508によって適用される位相変調を制御する。DRIICセル512は、基本的にはデジタル-アナログ変換デバイスとして機能することができ、デジタルプログラミング(1ビット、2ビット、8ビット、またはその他のデジタル値など)を、特定の電圧範囲にわたる適切にスケーリングされた直流(DC)アナログ電圧に変換する。具体的な例として、DRIICセル512は、デジタル値を0V~3.3Vの間の適切なDCアナログ電圧に変換するように動作することができるが、実装に応じてその他の電圧(負の電圧を含む)もサポートすることができる。
【0057】
この例では、各DRIICセル512はレジスタ514を含むことができ、このレジスタは、その対応するアレイ素子502の変調器508によって適用される異なる位相シフト及び/または振幅変化に関連する値を格納するように構成され得る。所望の位相シフトを与えるために、レジスタ514から適切な値が、選択され、2つの増幅器516及び518に与えられると、これら増幅器は、出力電圧を発生させ、関連する変調器508に供給する。出力電圧は、関連する変調器508によって与えられる位相シフトを制御する。経時的にレジスタ514から異なる値が増幅器516及び518に与えられるため、関連する変調器508に異なる出力電圧が印加される。このようにして、各DRIICセル512はその関連する変調器508に経時的に異なる位相シフトを与えさせ得ることにより、ビームフォーミング、ビームステアリング、または波面再構成のようなさまざまな機能をサポートすることができる。
【0058】
いくつかの実施形態では、各DRIICセル512を使用して、その関連する変調器508に比較的少数の異なる出力電圧を供給することができる。例えば、場合によっては、各DRIICセル512は関連する変調器508に、4つ、またはさらには2つの異なる位相シフトを与えさせ得る。ただしここでは、最大256個以上の異なる位相シフトをサポートする場合など、その他の数の出力電圧及び関連する位相シフトをサポートすることができる。また、出力電圧は、異なるDRIICセル512内の変調器508に供給されると、それらの変調器508が同じ位相シフトを与えている場合でも、異なってよく、これは製作公差などの要因によるものであり得る。変調器508ごとに使用される実際の出力電圧は、較正中に選択され得るため、各レジスタ514に適切な値を格納することができる。
【0059】
この例では、レジスタ514によって経時的に増幅器516及び518に与えられる各DRIICセル512の実際の値は、デマルチプレクサ520を使用して制御され得る。各デマルチプレクサ520は、計算されたアレイ位相シフト522のストリームを受信し、そのDRIICセルに関連する変調器508によって適用される必要がある位相シフト522を出力する。デマルチプレクサ520によって出力された位相シフト522がレジスタ514から特定の値を識別し、またはその他の方法でそれら位相シフトを使用してそれら特定の値を選択し、増幅器516及び518に出力することができる。ここで計算されたアレイ位相シフト522は、電子制御盤408、または電子制御盤408と通信する外部コンポーネントなど、1つ以上の外部コンポーネントによって与えられることができる。ここでは示されないが、アレイレベルのデシリアライズ回路を使用して、高速デジタル信号を個々のDRIICセル512のアレイに分離してファンアウトすることができる。
【0060】
各レジスタ514は、値を格納して取得するように構成された任意の適切な構造を含む。各増幅器516及び518は、入力に基づいて制御電圧またはその他の制御信号を発生するように構成された任意の適切な構造を含む。各デマルチプレクサ520は、値を選択して出力するように構成された任意の適切な構造を含む。
【0061】
これがアレイ素子502の変調器508を制御することができる方法の一例を表すことに留意されたい。一般に、任意の適切な技法が、変調器508が与える位相シフトを制御する際に使用するために適切な制御電圧またはその他の制御信号を変調器508に与えるために使用され得る。例えば、図5に示されるアプローチでは、増幅器516及び518に適用される値をレジスタ514に格納し、必要に応じて取得することが可能になるため、外部コンポーネントは、取得される所望の値のインジケータをDRIICセル512に与えることが可能になる。他の実施形態では、外部コンポーネントは、異なる回路によってアナログ値に変換されるデジタル値を与えることができる。
【0062】
さまざまな電気接続524がDRIIC層510内またはそれと共に設けられる。電気接続524を使用して、DRIICセル512の計算されたアレイ位相シフト522を含む高速デジタル信号を受信する場合など、電気接続524を使用して、DRIICセル512に電気信号を与えることができる。ここでは、電気接続524の任意の適切な数及び配置を使用することができる。サーマルスプレッダ526が、DRIIC層510及びフォトニック集積回路402にわたってより一貫した温度を与えるようにDRIIC層510と熱的に接触して位置決めされ得る。またサーマルスプレッダ526は、DRIIC層510に熱エネルギーを供給して、DRIIC層510及びフォトニック集積回路402を加熱することができ、フォトニック集積回路402の温度をほぼ一定に保つのに役立つことができる。サーマルスプレッダ526は、銅のような1つ以上の金属など、任意の適切な材料(複数可)から、任意の適切な方法で形成され得る。サーマルスプレッダ526は、任意の適切なサイズ、形状、及び寸法を有することができる。
【0063】
図3図5は、フォトニック集積回路ベースの光デバイス300の一例を示しているが、図3図5にはさまざまな変更を加えることができる。例えば、1つ以上のフォトニック集積回路は、その他の任意の適切な方法でパッケージ化され、その他の任意の適切な方法でその他のコンポーネントに対して配置され、その他の任意の適切な方法でその他のコンポーネントに結合され得る。また、その他の任意の適切な変調制御アプローチ及びその他の任意の適切な熱管理アプローチは、1つまたは複数のフォトニック集積回路と共に使用され得る。
【0064】
図6及び図7は、本開示による図3図5のフォトニック集積回路ベースの光デバイス300を含むフォトニック集積回路ベースの光学系のより具体的な実装例を示す。特に、図6及び図7は、光デバイス300内に実装できる例示的なアーキテクチャ600を示す。図6に示されるように、アーキテクチャ600は、ソースレーザー602、OPA604、及び受信器606を含むことができる。ソースレーザー602は電磁放射線源(すなわち、光エネルギー源)であり、この電磁放射線源は、一般に光信号(例えば、電磁放射線、または換言すれば、光エネルギー)を発生し、OPA604に与えるように動作すると、OPAはそれらの光信号を使用して、出射光信号を送信する。OPA604は、一般的に、出射光信号を送信し、入射光信号を受信するように動作する。一般的に受信器606は、入射光信号を処理するように動作する。これらのコンポーネントにより、アーキテクチャ600は光トランシーバ機能をサポートすることが可能になるが、光送信器のみ、または光受信器のみの機能が望ましい場合、一部のコンポーネント(例えば、ソースレーザー602か受信器606かいずれか)をアーキテクチャ600から取り除くことができる。
【0065】
この例では、ソースレーザー602は、低電力入力ビームを生成するように動作するレーザー608を含むことができる。レーザー608は、分布帰還型(DFB)ダイオードレーザーなど、レーザー出力を生成するように構成された任意の適切な構造を含むことができる。低出力入力ビームは、特定の用途に使用されるレーザー602に基づいて、任意の適切なパワーレベルを有することができる。場合によっては、低出力入力ビームは、十または数十ミリワットから百または数百ミリワットのパワーレベルを有することができるが、これらの値は説明のみを目的としたものである。また、場合によっては、レーザー602は、少なくとも1つのIII族元素及び少なくとも1つのV族元素を使用して製造され得るため、「III-V」レーザーと称され得る。ただし、レーザー602を製造するために、その他の任意の適切な材料を使用することもできる。低出力入力ビームが電気光学変調器(EOM)610に供給されると、低出力入力ビームは入力電気信号に基づいて変調され得る。EOM610が振幅変調を与えるマッハツェンダ変調器(MZM)として実装される場合など、EOM610はここで任意の適切な変調を与えることができる。
【0066】
スプリッタ612は、通常、変調された入力ビームを異なる光路を介して伝わる光信号に分割するように動作する。この例では、スプリッタ612は、スプリッタ612a~612nの階層配置を含み、各スプリッタは光入力を受信して分割し、実質的に等しいパワーの2つの光出力を生成することができる。スプリッタ612a~612nの数と、スプリッタ612a~612nの階層レベルの数が生成される光信号の数に基づいて変わることができることに留意されたい。例えば、32個の光信号が必要な場合には5つのレベルのスプリッタ、または64個の光信号が必要な場合には6つのレベルのスプリッタが存在することができる。ただし、任意の適切な数のスプリッタを使用して、他の数の光信号を生成することができることに留意されたい。また、マルチモード干渉計またはカプラツリーなど、その他の任意の適切な構造(複数可)を使用して光信号を分割することができることにも留意されたい。
【0067】
スプリッタ612からの光信号は、位相シフタ614のアレイを使用して位相シフトすることができ、各位相シフタ614は光信号のうちの1つの位相をシフトさせることができる。各位相シフタ614は、共振マイクロリング変調器など、光信号を位相シフトさせるように構成された任意の適切な構造を含む。いくつかの実施形態では、共振マイクロリング変調器は、シリコン系であってよく、約5ミクロンから約6ミクロンの直径を有することができるが、位相シフタ614のその他の実装も使用してもよい。
【0068】
位相シフトした光信号は、半導体光増幅器増幅器(SOA)616のアレイに与えられる。各半導体光増幅器616は、位相シフトした光信号のうちの1つを増幅させて、その光信号の高出力バージョンを生成する。各半導体光増幅器616は、光信号を増幅させるように構成された任意の適切な半導体ベースの増幅器を表す。増幅させた光信号のそれぞれは、使用されている半導体光増幅器616に基づいて、任意の適切なパワーレベルを有することができる。場合によっては、増幅させた光信号はそれぞれ約100mWのパワーレベルを有することができるが、この値は説明のみを目的としたものである。増幅させた光信号は、光導波路618を介して結合され、伝送され得ることにより、半導体光増幅器616からの出力のソースコヒーレント結合が可能になる(増幅器616がSOAの位相ロックアレイを形成するため)。結合された信号はサーキュレータ620に与えられ、このサーキュレータは結合された信号をOPA604に与える。
【0069】
OPA604では、結合された信号はスプリッタ622によって分割されるため、結合された信号の実質的に等しい第一部分が2つの導波路624a~624bに与えられる。ここでは導波路624a~624bは実質的に同じ長さを有することができるため、導波路624a~624bを出る結合された信号の第一部分間に位相差はほとんど、またはまったくない。この例では、フォトニック集積回路402はスーパーセル626を使用して実装され、各スーパーセル626はアレイ素子502のサブセットを含む。いくつかの実施形態では、例えば、各スーパーセル626は、32×32配置のアレイ素子502を含むことができるが、各スーパーセル626では、その他の数及び配置のアレイ素子502を使用することもできる。この特定の例では、フォトニック集積回路402は、64個のスーパーセル626を含むが、その他の数のスーパーセル626を使用することもできる。複数のスーパーセル626は、ソースレーザー602からの結合信号の同じ部分を使用して駆動され得るため、アーキテクチャ600での位相制御及びその他の操作を単純にするのに役立つ。スーパーセル626内のすべてのアレイ素子502を合わせて駆動する機能は、例えば、各スーパーセル626の振幅変調によって、そのスーパーセル626内のアレイ素子502の送信電力を制御することを可能にする。
【0070】
OPA604では、ソースレーザー602からのレーザー出力はスプリッタ622によって分割され得るため、結合された信号の実質的に等しい第一部分が2つの導波路624a及び624bに与えられる。ここでは導波路624a及び624bは実質的に同じ長さを有することができるため、導波路624a及び624bを出る結合された信号の第一部分間に位相差はほとんど、またはまったくない。この例では、フォトニック集積回路402はスーパーセル626を使用して実装され得、各スーパーセル626はアレイ素子502の一部分を含む。いくつかの実施形態では、例えば、各スーパーセル626は、32×32配置のアレイ素子502を含むことができるが、各スーパーセル626では、その他の数及び配置のアレイ素子502を使用することもできる。この特定の例では、フォトニック集積回路402は、64個のスーパーセル626を含むが、その他の数のスーパーセル626を使用することもできる。複数のスーパーセル626は、ソースレーザー602からの結合信号の同じ部分を使用して駆動され得るため、アーキテクチャ600での位相制御及びその他の操作を単純にするのに役立つ。スーパーセル626内のすべてのアレイ素子502を合わせて駆動する機能は、例えば、各スーパーセル626の振幅変調によって、そのスーパーセル626内のアレイ素子502の送信電力を制御することを可能にする。
【0071】
ソースレーザー602からの結合信号を使用してスーパーセル626を駆動するために、導波路624a及び624bは、結合信号の第一部分をスプリッタ628a及び628b(1×8光スプリッタなど)に与え、結合信号の第一部分を結合信号のより多数の第二部分に分割する。追加のスプリッタ630a及び630b(8×32スプリッタなど)は、結合信号の第二部分を結合信号のさらにより多数の第三部分に分割する。この結果、スーパーセル626を駆動するために使用され得る、64個の光信号が作成される。1×8及び8×32スプリッタのこの配置がこの特定のフォトニック集積回路402内のスーパーセル626を駆動することができる方法の単なる一例であることに留意されたい。フォトニック集積回路402を駆動するために、その他の数または配置のスプリッタを使用するアプローチを含む、その他のアプローチを使用することもできる。図6に示される特定のアプローチは、この特定のフォトニック集積回路402のスーパーセル626を駆動することができる方法の単なる一例である。
【0072】
異なるスーパーセル626に到達するように異なる光路長を補償するために、スプリッタ630a及び630bとスーパーセル626との間に時間遅延路632a及び632bが設けられる。例えば、フォトニック集積回路402内のスーパーセル626の各ロウがスプリッタ630aからの4つの出力及びスプリッタ630bからの4つの出力を使用して駆動されると仮定すると、補償がなければ、スプリッタ630a及び630bからの異なる出力は、異なる時間に異なるスーパーセル626に到達することにより、望ましくない位相差が生じて、アーキテクチャ600のスループットが低下し得る。時間遅延路632a及び632bは、螺旋状またはその他の光経路を表し、これらの光経路は、スプリッタ630a及び630bからの出力はすべてのスーパーセル626にほぼ同時に到達するように、スプリッタ630a及び630bからの出力の少なくとも一部を遅延させる。例えば、時間遅延路632a及び632bは、より近いスーパーセル626への信号をより大きい量だけ遅延させることができ、より遠いスーパーセル626への信号をより少ない量だけ遅延させる、またはまったく遅延させないことができる。スーパーセル626で受信される光信号を、スーパーセル626が使用して出射光信号を生成する。
【0073】
スーパーセル626は、入射光信号を受信することができ、これら入射光信号は、導波路624a~624bを介してサーキュレータ620に通して受信器606に伝送され得る。この例では、受信器606は、受信した入射光信号を電流に変換する少なくとも1つのフォトダイオードなど、少なくとも1つの光検出器634を含むことができる。トランスインピーダンス増幅器636は、電流を電圧に変換することができ、そして、その電圧がさらに処理され得る(例えば、入射光信号に含まれる情報を回復するなど)。
【0074】
アーキテクチャ600で異なる光パワーレベルを使用することを可能にするために、OPA604及びソースレーザー602のさまざまなコンポーネントを異なる材料から製造することができることに留意されたい。例えば、ソースレーザー602のコンポーネントは、窒化ケイ素、ゲルマニウム、またはソースレーザー602がOPA604用に比較的高出力の結合ビームを生成することを可能にするその他の材料を使用して製造され得る。OPA604では、導波路624a及び624bならびにスプリッタ628a及び628bは、同様に、ソースレーザー602からの比較的高出力の結合ビームの伝送及び分割をサポートする窒化ケイ素またはその他の材料を使用して、製造され得る。スプリッタ630a及び630bは、シリコン(窒化ケイ素ではなく)または低出力光信号を分割することができるその他の材料を使用して製造され得る(この時点では、ソースレーザー602からの光エネルギーは既に分割されているため)。ただし、アーキテクチャ600のコンポーネントは、その他の任意の適切な材料から製造され得る。また、アーキテクチャ600のさまざまなコンポーネントが1つ以上の共通材料を使用して製造されても、または製造されなくてもよいことに留意されたい。
【0075】
いくつかの実施形態では、図6のアーキテクチャ600内のすべてのコンポーネントは、単一に集積された電気及びフォトニックチップを使用して実装される場合など、集積された方法で実装できる。上述のように、例えば、アーキテクチャ600のさまざまなコンポーネントは、シリコン及び窒化ケイ素を使用して製造され得ることにより、標準的なシリコン系プロセスを使用した製造が可能になる。集積された方法で実装される場合、アーキテクチャ600は、単一のフォトニック集積回路チップを使用して実装され得、ファイバ入力/出力部310、ファイバマウント404、及び光ファイバ406などのコンポーネントを必要としない可能性がある。ただし、アーキテクチャ600内のコンポーネントの集積は必ずしも必要とされない。したがって、例えば、ソースレーザー602は、オフチップに実装されること、または標準のエルビウムドープファイバ増幅器レーザーもしくはその他の外部レーザーを使用して置換され得る。別の例として、受信器606はオフチップに実装できる。
【0076】
図6及び図7図3図5のフォトニック集積回路ベースの光デバイスの特定の実装のもう1つの例を示しているが、図6及び図7にはさまざまな変更を加えることができる。例えば、この特定の実施形態は、2つの導波路624a~624b、2セットのスプリッタ628a~628b、630a~630b、及び2セットの時間遅延路632a~632bを使用することによって、フォトニック集積回路402を論理的に半分に分割する。ただし、フォトニック集積回路402は、他の数の部分に論理的に分割してもよく、または論理的に分割されなくてもよい。また、図6及び図7のさまざまなコンポーネントは、組み合わされ得、さらに細分化され得、複製され得、省略され得、または再配置され得、さらなるコンポーネントが特定のニーズに応じて追加され得る。
【0077】
スーパーセル626のうちの1つの部分638は、図6で識別され、少なくとも1つの例示的な配置で、図7により詳細に示される。図7に示されるように、スーパーセル626のこの部分638は、8×8配置のアレイ素子502を含み、各アレイ素子502は、図5に示されるものと同様の構造を有する。ここでわかるように、アレイ素子502の構造は、必要に応じて、または要望どおり変更され得る。これらのアレイ素子502は、導波路700を使用して給電される。図示のように、導波路700は主導波路702を含むことができる。主導波路702は、ソースレーザー602と光通信することができ、ソースレーザー602からの電磁放射線(例えば、光信号)を受信するように構成され得る。スプリッタ704は、主導波路702に沿って位置決めされ、主導波路702内で伝播する光信号の一部分を分割して離すことができる。主導波路702から分割して離された光信号のこれらの部分は分岐導波路706a~706hを介して与えられ、これら分岐導波路は、主導波路702に沿って互いに異なる複数の位置で主導波路702に光結合され、スプリッタ704によって主導波路702に結合される。分岐導波路706a~706hに沿ってスプリッタ708を位置決めして、それぞれの分岐導波路706a~706h内に光信号の部分をさらに分割して離すことができる。理想的には、スプリッタ704及び708は、アレイ素子502のそれぞれが主導波路702に入力される光信号のほぼ等しい部分を受信するように構成される。いくつかの実施形態では、主導波路702、分岐導波路706a~706h、及びスプリッタ704、708はシリコンから形成され得るが、その他の材料を使用することができる。
【0078】
各スーパーセル626が32×32配置のアレイ素子502を含む場合、各スーパーセル626が32ロウのアレイ素子502を含み、各ロウが32個のアレイ素子502を含むことに留意されたい。したがって、図7に示される部分638は、各スーパーセル626内で16回複製される。ただし、必要に応じて、または要望どおり、スーパーセル626のそれぞれが異なる数及び配置のアレイ素子502を有することが可能である。
【0079】
図7では、主導波路702の入力部(図7では主導波路702の下に位置している)と異なるアレイ素子502との間に異なる経路長が存在することがわかる。この特定の例では、最短経路長は主導波路702の入力部と左下のアレイ素子502との間に存在し、最長経路長は主導波路702の入力部と右上のアレイ素子502との間に存在する。スーパーセル626自体と同様に、補償がなければ、これらの異なる経路長により、光信号の異なる部分が異なる時間にアレイ素子502に到達する。場合によっては、アレイ素子502内の変調器508によって与えられる位相シフトを使用して、主導波路702の入力部と各アレイ素子502との間の異なる経路長を補償することができる。さらに、または代わりに、線形またはその他の位相シフタを使用して、主導波路702の入力部701と各アレイ素子502との間の異なる経路長を補償することができる。
【0080】
光フェーズドアレイにおけるアンテナ素子の間隔
図7に示されるように、OPA604の部分638の各アレイ素子502は、導波路700に沿って不規則な(例えば、非周期)位置に離隔され得る。言い換えれば、アレイ素子502は、互いに一定の距離の間隔に置かれていない。この例では、各分岐導波路706a~706hは、それぞれのアレイ素子サブセット502a~502hに光結合され得る。第一アレイ素子サブセット502a内の各アレイ素子502は、第一分岐導波路706aに光結合され得る。さらに、第二アレイ素子サブセット502b内の各アレイ素子502は第二分岐導波路706bに光結合され得、第三アレイ素子サブセット502c内の各アレイ素子502は第三分岐導波路706cに光結合され得、以下同様にされ得、第八アレイ素子サブセット502h内の各アレイ素子は第八分岐導波路706hに光結合され得る。図7には、8つのサブセット(例えば、502a~502h)及び8つの分岐導波路(例えば、706a~706h)が示される。ただし、ここでは任意の適切な数及び配置の分岐導波路及びアレイ素子のサブセットを使用することができることを理解されたい。
【0081】
図7図9は、OPA604の部分638内のアレイ素子502の配置及び間隔の非周期性を示す。図7を見てわかるように、アレイ素子502は、OPA604内で、規則的で認知できるパターンを有しない位置に離隔され得る。各アレイ素子502はOPA604内で、隣接するアレイ素子502とは異なる間隔を他の隣接するアレイ素子502から置かれて位置決めされ得る。
【0082】
図8は、図7のアレイ素子502の一部分を示す。示されるように、個々のアレイ素子502のそれぞれは、隣接する/隣接したアレイ素子502と異なる間隔を有することができる。例えば、アレイ素子の第一サブセット502aは、それぞれ第一分岐導波路706aに結合される、アレイ素子a1~a8を含むことができる。示されるように、アレイ素子a1及びa2は、軸Nに沿って互いにx1の距離で離隔される。さらに、アレイ素子a2及びa3は、互いにx2の距離で離隔される。アレイ素子a3及びa4は、互いにx3の距離で離隔される。アレイ素子a4及びa5は、互いにx4の距離で離隔される。アレイ素子a5及びa6は、互いにx5の距離で離隔される。アレイ素子a6及びa7は、互いにx6の距離で離隔される。アレイ素子a7及びa8は、互いにx7の距離で離隔される。アレイ素子a1~a8の間隔から、認知できるパターンは見られない。距離x1~x7のそれぞれは相互に異なってよく、アレイ素子a1からアレイ素子a8に移動しても距離x1~x7の累進または減少は見られない。したがって、アレイ素子a1~a8間の間隔は、ランダム、またはより具体的には疑似ランダムである。
【0083】
本明細書で使用される場合、「疑似ランダム」は、アレイ素子502の間隔がアレイ内に明らかな間隔のパターンまたは周期を伴わないことを意味することを意図したものである。代わりに、各アレイ素子502は、隣接するアレイ素子間で設定された距離、間隔、または位置決めが規定されないような方法で、互いに対して離隔される。ただし、アレイ素子502を配置すべき位置を考慮または計画せずにOPA604内にアレイ素子502を配置することを疑似ランダムが意味するものではないことを理解されたい。代わりに、アレイ素子は、アレイ素子502の位置決めに基づいて、OPA604の特定の目標、メトリック、またはプロパティを達成するように計算される位置に位置決めされる。本開示では、アレイ素子502のアンテナ素子504から送信された放射光信号ビーム内のサイドローブまたはグレーティングローブを抑制するために、アレイ素子が「疑似ランダム」に位置決めされる。さらに、これらの位置は、所定の閾値を上回るように放射光ビームのピーク対サイドローブ強度比を確立するためのアルゴリズムを使用して決定される。所定の閾値は、当業者によって特定の用途に適していると知られている任意の値に設定できる。例えば、閾値は、60dBまたはほぼ60dBであり得るが、より大きい値及び/またはより小さい値が適することがある。例えば、閾値は、用途に応じて、30~90dBの範囲内、または30~90dBの間の範囲内の値であり得る。より小さい値が設定され得、例えば、図11(d)に示される9.6dBなど、30dB未満の値、及び図12(B)に示される約30dB以下の値が閾値として使用され得る。さらにグレーティングローブを抑制する必要がある場合、30dB以下の値を使用することができる。一般に、メインローブの強度とグレーティングローブの強度との比較は、グレーティングローブの強度がメインローブよりもはるかに小さくなることを確保するために、1000:1に設定できる。ただし、用途に応じて、異なる閾値またはピーク対サイドローブ比を、ユーザがそのように要望する場合に使用することができることを理解されたい。いかなる意図した制限もなく、任意の望ましい比率または強度の閾値を使用することができる。
【0084】
サブセット502aのアレイ素子a1~a8と同様に、サブセット502b及び502cのそれぞれの内のアレイ素子b1~b8及びアレイ素子c1~c8は、アレイ素子の間隔に認知できるパターンが見られないように擬似ランダム位置に位置決めされる。これはサブセット502d~502hにも当てはまることができる。
【0085】
さらに、1サブセット(例えば、502a)内の各アレイ素子502は、別のサブセット(例えば、502b、502cなど)内のアレイ素子502に対して疑似ランダム(例えば、非周期)間隔を有することができる。例えば、図8に示されるように、サブセット502a、502b、及び502cのそれぞれの内の第一アレイ素子(例えば、a1、b1、及びc1)は、互いに対して非周期に位置決めされる。図8に示される例では、アレイ素子b1は、アレイ素子a1及びc1の両方よりも主光導波路702に近い。さらに、アレイ素子a1は、アレイ素子c1よりも主光導波路702に近い。アレイ素子a1、b1、及びc1の相互に対する位置は、軸Mに沿って認知できるパターンを示さず、疑似ランダムである。アレイ素子の他のカラム(例えば、サブセット502a、502b、及び502cのそれぞれにおける順序による対応するアレイ素子)の位置及び間隔も非周期かつ疑似ランダムであることが理解されよう。換言すれば、アレイ素子a2、b2、及びc2は互いに対して非周期な間隔に置かれ、アレイ素子a3、b3、及びc3は互いに対して非周期な間隔に置かれ、以下同様に置かれ、アレイ素子a8、b8、及びc8は互いに対して非周期な間隔に置かれる。
【0086】
図7及び図8は、OPA604上の水平方向におけるアレイ素子502の相互に対する非周期位置決めを示す。図9に示される追加の図では、垂直方向におけるアレイ素子502の相互に対する位置決めも非周期であってよい。例えば、サブセット502cでは、アレイ素子c1、c2、及びc3のそれぞれは、軸Yに沿って分岐導波路706a、706b、及び706cに対して異なる高さで離隔される。同様に、サブセット502bでは、アレイ素子b1、b2、及びb3のそれぞれは、分岐導波路706a、706b、及び706cに対して異なる高さで離隔される。同様に、サブセット502aでは、アレイ素子a1及びa2は、分岐導波路706a、706b、及び706cに対して、アレイ素子a3とは異なる高さで離隔される。2つ以上の隣接するアレイ素子502が別のアレイ素子または導波路に対して同じ距離で離隔される場合でも、アレイ素子502の間隔及び位置決めが擬似ランダムであることを理解されたい。例えば、第一サブセット502a内のアレイ素子a1及びa2は、導波路706aから同じ距離を有してもよい。これは、アレイ素子502のOPA604の間隔の疑似ランダム性を壊さない。言い換えれば、複数のアレイ素子502は、アレイ内の特定のランドマーク(例えば、導波路及び/またはその他のアレイ素子)に対して同様な位置決めを有してよく、それでも疑似ランダムの間隔/位置決めとみなされ得る。
【0087】
サイドローブ抑制とアレイのスケーラビリティ
上述のように、アレイ素子502の擬似ランダム間隔は、干渉及び/または望ましくない強度の原因となり得るサイド/グレーティングローブを抑制しながら、OPA604から放射される狭い光信号ビームを達成することを意図したものである。信号が電磁放射線を使用して伝播され、アンテナによって送受信される、アンテナ技術の分野では、主信号ビーム上のグレーティングローブ干渉を適切に抑制するために、アレイ内のアンテナ素子間の距離は、信号を搬送するために使用される電磁放射線の半波長である必要がある。例えば、電磁放射線が約1メートルから10キロメートルの波長を有し得る、RFスペクトル内の周波数の場合、アレイ素子を半波長間隔(例えば、1メートルから5キロメートル)で離隔することが容易に達成可能である。波長が1cm(つまり30GHz)の場合でも、アレイ素子を半波長距離で離隔することが容易に達成可能である。しかし、光信号の波長が0.5~10マイクロメートル程度であるフォトニック集積回路(PIC)及び光フェーズドアレイ(OPA)の場合、製造上の難しさ及びPIC上の空間の不足により、サイドローブ干渉を抑制するためにアレイ素子を1次元超で半波長以下の距離に離隔することは技術的に困難になる。
【0088】
図10は、フォトニック集積回路(PIC)800からの光信号ビームの放射の問題の実証的な図を提供する。示されるように、PIC800は光フェーズドアレイ(OPA)801を含むことができ、この光フェーズドアレイは、主光信号ビーム803を含むステアリング可能な光信号ビーム802を放射する複数のアンテナ素子を含むことができる。OPA801では、アンテナ素子間の間隔は、光信号ビーム802の波長の半分よりも大きいため、主光信号ビーム803に加えて、サイドローブの一種である大きいグレーティングローブ804も放射される。グレーティングローブ804は、特に、光信号を高い正確度かつ複数の望ましい軌跡で所望の位置に指向させることを意図したものである、ステアリング可能で指向性の光信号ビームにとっては望ましくない。信号干渉を防ぎ、決定論的なビームフォーミング及び制御を提供するために、光信号ビーム802のサイドローブ804を抑制することが望ましい。
【0089】
図11は、(a)が近接場のアンテナ素子504、(b)がエミッタ(アンテナ素子)504の規則的なアレイからフォーミングされた放射光信号ビーム802の遠方場パターンを示す。ここでは、近接場(a)での光放射線の放射が示され、(b.)804での結果としてのグレーティングローブが示される。図11のグラフ(c)及び(d)は、実際(c)及び理論上(d)の遠方場ビームパターンに従って主光ビーム803ならびにグレーティング及びサイドローブ804の例示的な強度を示す。図11からわかるように、サイドローブ804は、かなりの強度を有することができるため、受信器による主光ビーム803のステアリング及び受信時に、サイドローブ804からの干渉と明瞭性の欠如の原因となり得る。したがって、主光信号ビーム803の通信ビームの指向性の制御を維持し、信号への干渉を回避するために、光信号ビーム802のサイドローブ804を抑制することが望ましい。
【0090】
上述のように、グレーティングローブ804を抑制するために、OPA内のナノアンテナの間隔は光信号ビーム802の半波長である必要がある。しかし、光信号ビーム802の波長が非常にごくわずか(例えば、数マイクロメートル)である光学用途では、波長がアレイ素子502の物理サイズよりも小さいため、これは実用的ではない。したがって、グレーティングローブ804によって起こる干渉を回避するために、本明細書に記載のように、アレイ素子が光信号ビームの半波長よりも大きい間隔だけ離隔される擬似ランダムスパースアレイを設計して実装することができる。これにより、光信号ビームメインローブ803の周囲のサイド/グレーティングローブ804を抑制することができるという利点が得られる。本明細書に記載のOPA604のナノアンテナの擬似ランダム間隔により、主光信号ビームのサイドローブが互いに破壊的に干渉することができるため、サイドローブが抑制されることにより、OPA604からの主光信号ビームが望ましくないグレーティング/サイドローブなしに遠方場平面に到達することが可能になる。
【0091】
適切なサイドローブ抑制を確保するために、ナノアンテナ504及び位相変調器508を含むアレイ素子502のそれぞれの配置はランダムではない。つまり、アレイ素子502の配置には認知できるパターンがないように見えるが、アレイ素子は、実際には反復アルゴリズムを使用して決定論的に位置決めされると、OPA604内のアレイ素子502の望ましいレイアウト及び位置決めが確立されるため、アレイのいくつかの特性及び利点がもたらされる。
【0092】
OPA604のアレイアーキテクチャ(アレイ素子502及びナノアンテナ504の配置を含む)を設計するには、遺伝的最適化アルゴリズムを使用して、所望の仕様でOPA604を提供するアレイレイアウトまたはアーキテクチャを探索することができる。所望の仕様を生成するために、アンテナ素子の間隔を1/2波長より大きく離す制約、所望の平均サイドローブレベルを閾値として定義する制約、所望のピークサイドローブレベルを閾値として定義する制約、所望のピーク対サイドローブ比(例えば、比率形式でサイドローブ強度と比較した光信号ビームのピークの強度)を閾値として定義する制約などの制約セットをアルゴリズムで定義することができる。例えば、メインビームに対する最大サイドローブピークは、メインビームの近くでは-16dB、及び光信号ビームの視野のエッジでは-10dBを上回ると許容されないように制約され得る。さらなる制約は、ビーム幅、消費電力、または設計者が望むその他の制約を含むことができる。
【0093】
遺伝的アルゴリズムは、自然選択に基づいている制約付き及び制約なしの最適化問題の両方を解決するためのアルゴリズムである。遺伝的アルゴリズムは、個々の解の母集団を繰り返し変更する。各ステップでは、遺伝的アルゴリズムは解の現在の母集団から「親」となる個々の解を選択し、それらを使用してその次の世代の「子」を生成する。世代を重ねるごとに、母集団は最適解に向かって「進化」する。遺伝的アルゴリズムを適用して、目的関数が不連続、微分不可能、確率的、または高非線形である問題など、標準的な最適化アルゴリズムにあまり適していない、さまざまな最適化問題を解くことができる。
【0094】
例えば、ナノフォトニックアンテナの疑似ランダムスパースアレイ内のアレイ素子の位置決めを決定する際、グリッドのノードに可能な配置位置を含むグリッドにこの問題をマッピングすることができる。グリッドは、グリッド内の交点に、設計されるOPAに使用されるアレイ素子の数よりも多数のノードを含むことができる。各ノードは、アレイ素子が存在する充填ノードか、アレイ素子が存在しない空のノードかいずれかであり得る。光ビーム及びアレイ特性のモデリングを使用して、光ビーム及びアレイの動作特性を決定することができる。次に、定義された各制約を、アレイ素子配置のさまざまな解を使用して監視し、特定の解が所望の設計制約を満たすかどうかを確認することができる。その後、解の反復を実行して、定義された制約を満たすアレイ素子の配置に最良適合解を見つけることができる。
【0095】
言い換えれば、アレイ素子502の配置を設計するための遺伝的アルゴリズムは、ランダムに生成された可能な解のセットから開始し、アレイ素子及びナノアンテナの配置の最適解または許容解に向かって進むことができる。すべての制約は、OPA内のアレイ素子の配置に可能な解を一意に表すバイナリ値のシーケンスであるDNAにエンコードされ得る。最初に、遺伝的アルゴリズムは、解の第一世代としてランダム解のセットを生成する。第一世代の解は、まず、解が設計基準にどの程度マッチングするかに基づいて適合度について評価され得る。次に、最適化基準(定義された制約など)に従って、最も適合した解が社会に保持され、他の解は社会から除去される(自然選択に類似)。自然選択後に社会に残っている可能性のある解を交叉させる反復を通じて、解の社会の新しいメンバー(「子」)ごとに親解のペアを使用して、解の社会の次世代を生成することができる。子解は、解の特定のビットをランダムに反転することによって、さらに「突然変異」し、将来の反復で考慮される新しい解を生成することができる。後続の反復では、各解が設計制約にどの程度適合するかを計算することに基づいて新しい解の適合度を評価することができる。その後、自然選択、親選択、子世代、突然変異、及びさらなる反復のプロセスを実行することができる。このプロセスが繰り返されるにつれて、社会解は進化し、設計の目標を達成するためのアンテナ素子の配置に関する大域的最適解及び/または許容解に近づく。遺伝的アルゴリズムは、グリッドのノードにおける各素子の存在または非存在をシングルビット(素子が存在する場合には1、素子が存在しない場合には0)で表すことができると、DNAの長さが短くなり、複数の可能な解の高速探索及び徹底探索(thorough search)が行われるため、グリッド上のスパースアレイ設計に適している。
【0096】
例示的な設計制約は、アレイによって放射される光信号ビームのピーク対サイドローブ比、アレイ素子間の半波長を超える間隔、アレイ素子502の最大寸法、最大ユニットセルサイズ、最大アレイグリッド間隔、及び異なる走査角度での位相中心位置の最大平均誤差半径(CEP)を含むことができる。
【0097】
本開示の擬似ランダムスパースアレイを設計する場合、解は、光信号ビームの1回の放射に関するピーク対サイドローブ比だけでなく、光信号ビームの複数の走査角度を考慮して決定され得る。例えば、本開示のOPA604は、2次元でステアリング可能な光信号ビームの放射のためのものである。光信号ビームは、複数の異なる走査角度を含む走査角度の範囲にわたってステアリング可能であることを意図したものである(例えば、ビームは+60度から-60度までの走査角度の範囲にわたってステアリング可能であり得る)。遺伝的アルゴリズムの1つの解は1つの走査角度のピーク対サイドローブ比の基準を満たし得るが、当業者であれば、ビームを他の角度にステアリングすると、サイドローブの強度に影響することにより、サイドローブが光信号ビームの特定の走査角度では大きくなることができ、光信号ビームの他の走査角度では抑制されることが理解されよう。したがって、本開示の原理によれば、光信号ビームの複数の走査角度(例えば、-60、-59、-58、...58、59、60度など)のそれぞれにおける光信号ビームのピーク対サイドローブ比を決定するための遺伝的アルゴリズムを使用して、OPA604内のアレイ素子502の配置を決定することができる。
【0098】
光信号ビームの複数の走査角度におけるピーク対サイドローブ比を計算することにより、OPA604のアレイ素子502の配置を決定し、以下の特性を有する疑似ランダムスパースアレイを提供することができる。光フェーズドアレイ(OPA)内のアレイ素子の非周期位置は、複数のアレイ素子からの放射光信号ビームが放射光ビームの複数の走査角度のそれぞれで所定の閾値(例えば、遺伝的アルゴリズムにおける設計制約として設定された所望の値)よりも大きいピーク対サイドローブ比を有するように疑似ランダム位置に設定される。
【0099】
さらにアレイ素子の疑似ランダム位置は、複数のアレイ素子からの放射光信号ビームが-60度から+60度の間、またはアレイの設計者が望む走査角度のその他の任意の範囲の複数の走査角度のそれぞれで所定の閾値よりも大きいピーク対サイドローブ比を有するように設定できる。
【0100】
アレイ素子の疑似ランダム位置は、放射光信号ビームが光位相変調器のうちの1つ以上によって行われた位相調整の制御によって、複数の走査角度にわたって連続してステアリング可能であるように設定される。本開示では「連続してステアリング可能」は、複数の走査角度の間に中間の不定状態が存在しないことを意味することを意図したものである。
【0101】
さらに、アレイは、電磁放射線源から供給される単一のコヒーレント波長の電磁放射線を用いても、光位相変調器のうちの1つ以上によって行われる位相調整の制御のみによって、複数のアレイ素子からの放射光信号ビームが複数の走査角度にわたって2次元で連続してステアリング可能であるように、アレイ素子の疑似ランダム位置が設定されるように設計され得る。例えば、レーザー602(例えば、光エネルギー源レーザー608)は、単一のコヒーレント波長の電磁放射線を放射するように構成され得る。多くの一般的なビームステアリングアレイでは、異なる波長の光にわたってソースレーザーを走査することによって、ステアリングが実行される。ただし、異なる波長にわたって走査すると、サイドローブが大きくなり、主光信号ビームと干渉する可能性があるだけでなく、入射放射線の受信モードでは受信波長が変動する可能性がある。しかしながら、本開示の原理では、レーザー光の波長を単一のコヒーレント波長に維持し、位相調整のみを使用してビームをステアリングすることにより、レーザー光源光の波長を変更することなく、複数の角度範囲にわたる完全走査を可能にするように、OPA内のアレイ素子の配置を設計して構成することが可能になる。言い換えれば、ビームをステアリングするために電磁放射線の異なる波長にわたって走査する必要がなく、位相変調器のみの操作でビームステアリングを達成することができる。さらに、本明細書に記載の擬似ランダムスパースアレイアーキテクチャと、光アレイに固有の多数のエミッタ502を用いると、アレイ素子の光位相変調器によって適用される2ビットまたは1ビットの位相調整のみを使用してビームステアリングが可能である。例えば、ビームをステアリングするために操作することができるアレイ素子の数が多い場合、ビームを適切にステアリングするには、各変調器によって適用される位相シフト値は、0またはπのみである必要がある。
【0102】
OPA604内のアレイ素子502の配置を決定するために、その他の任意の設計基準及び制約を使用することができる。例えば、光信号ビームのビーム幅を所望の幅に制約することができる。光信号ビームの走査角度の範囲ではなく、遺伝的アルゴリズムの解を反復することで、ビームが走査角度の範囲にわたってどこにステアリングされても、設計基準及び制約を満たすことができる。
【0103】
本明細書に記載の擬似ランダムスパースアレイ設計によって実現されるサイドローブ抑制により、PIC402は、実際のパッケージ化の制約によってのみ制限される任意のサイズにスケーリング可能であり得る。サイドローブ抑制がアレイ素子502(例えば、フォトニック集積回路402のPICユニットセル)の疑似ランダム配置によって達成されるため、ユニットセル及びPIC402全体は、電磁放射線の半波長のユニットセル間の間隔を維持することに制限されなくなる。半波長より大きい間隔でサイドローブを抑制することができる。したがって、これにより、光ビーム信号の劣化のリスクなしに、本明細書に記載のアレイ素子のOPA、PIC、及びユニットセルのスケーラビリティが容易になる。言い換えれば、遺伝的アルゴリズムによるアレイ素子502の決定論的配置により、所望の任意のサイズで光学アレイ内のサイドローブが抑制され得、例えば、スパースアレイの場合、アレイのベースライン次元を、エミッタの数から切り離すことが可能になる。またこのスケーラビリティにより、ルーティングの干渉またはオーバーラップのリスクなしに、余裕をもって光及び電気ルーティングを収容することが可能になる。
【0104】
本明細書に記載の原理によって達成されるサイドローブ抑制を示す一例を図12に示す。図12のプロット(A)には、本明細書に記載の原理に従って、1024×1024疑似ランダムスパースアレイ(RSA)設計からの角度パワー分布のシミュレーションが示されている。プロット(B)は、プロット(A)の中央0.6×0.6度部分の拡大表示である。ビーム902は、プロット(A)では十分に確認するには狭すぎるが、プロット(B)には示される。プロット(A)からわかるように、プロット(A)には有意な強度のサイドローブが示されない。さらに、プロット(B)の拡大図にも、有意なサイドローブは示されていない。光信号ビーム902の狭く明確に画定されたメインローブが狭い幅で示される。
【0105】
図13は、アレイ素子502の位相変調器508とフォトニック集積回路402の電子層510(例えば、DRIIC層510)との間の電気接続を示す。アレイ素子502は、複数のアレイ素子502のOPA604のアレイの一部であり得る。OPA604、アレイ素子502、及び導波路700は、フォトニック集積回路402のフォトニクス層を構成することができる。フォトニック層(OPA604、アレイ素子502、及び導波路700を含む)は、基板603によって支持され得る。本開示の他の箇所で説明されているように、DRIIC層510内またはそれと共に、さまざまな電気接続が設けられることができる。DRIIC層は、CMOS電子機器、または位相変調器508を制御するのに適したその他の任意の電子機器を含むことができる。DRIIC層510は、電子層510とも呼ばれることができる。DRIIC層510は、フォトニック層(例えば、OPA604)の表面上に配置され得る。DRIIC510は、アレイ素子502の光位相変調器508のそれぞれと電気通信する回路基板を含むことができる。デジタル読み込み集積回路は、光位相変調器508のそれぞれを制御するために電圧を印加するように構成され得る。光位相変調器508はそれぞれ、基板603を貫通して形成された1つ以上のビア(例えば、シリコン貫通電極またはTSV)によってDRIIC層510に電気接続され得る。
【0106】
代替の配置では、オンチップ電子回路が、基板603上に配置され得、複数のアレイ素子502のそれぞれの光位相変調器508と電気通信することができることが理解されよう。オンチップ電子回路は、光位相変調器508のそれぞれに電圧を印加して、光アンテナ504と通信する導波路のセグメント506内の光信号ビームを変調するように構成され得る。
【0107】
代替の導波路ルーティング構造も、本開示の範囲内にあり、ソースレーザー(例えば、レーザー602)からの電磁(光)エネルギーを図14及び図15に示されるアレイ素子502’及び502”に指向させる。図14及び図15には、それぞれのOPA部分638’及び638”内のアレイ素子502’及び502”に電磁放射線を指向させるための導波路のHツリー構造が示される。図14に示されるように、OPA部分638’は、電磁放射線を受信するための入力部701’を備えた導波路702’を含むことができる。導波路702’は、導波路702’に沿った複数の位置で導波路702’を2つのほぼ等しい部分に分岐させる一連の分岐部(分岐部703’、704’、705’、及び706’を含む)を含むことができる。分岐部706’は導波路を2つのセグメント(例えば、セグメント506’)に分岐させ、各セグメントは他のアレイ素子502’から外方に向くアレイ素子502’に給電する。アレイ素子502’は、セグメント506’、光位相変調器508’、及びアンテナ素子504’を含むことができる。このアーキテクチャは受信モードでも等しく使用され得る。
【0108】
同様に、図15に示されるように、OPA部分638”は、その内に電磁放射線を受信するための入力部701”を備えた導波路702”を含むことができる。導波路702”は、導波路702”に沿った複数の位置で導波路702”を2つのほぼ等しい部分に分岐させる一連の分岐部(分岐部703”、704”、705”、及び706”を含む)を含むことができる。分岐部706”は導波路を2つのセグメント(例えば、セグメント506”)に分岐させ、各セグメントは他のアレイ素子502”の方に向くアレイ素子502”に給電する。アレイ素子502”は、セグメント506”、光位相変調器508”、及びアンテナ素子504”を含むことができる。
【0109】
図14及び図15はアンテナ素子504’及び504”を互いから等間隔の距離に示しているが、図7に示されているアレイ素子の同じ疑似ランダム間隔が図14及び図15に示されるアレイ素子502’及び502”に適用され、部分638の部分638’及び638”に同じ設計目的を達成することができることを理解されたい。カスケードツリーまたはその他の配置など、導波路の他のルーティングも本開示の範囲内に含まれることを意図したものである。
【0110】
さらに本開示では、フォトニック集積回路(PIC)を構成する方法1000も企図されている。方法は図16に示される。方法は、フォトニック集積回路(PIC)を、基板を含むように構成するステップ1002を含むことができる。さらに方法は、基板によって少なくとも部分的に支持される導波路を含むようにフォトニック集積回路(PIC)を構成するステップ1004を含むことができる。導波路は、電磁放射線源(すなわち、光エネルギー源)及び受信器の少なくとも1つと通信することができ、導波路は、光信号ビームの伝播を容易にするように構成され得る。さらに方法は、フォトニック集積回路(PIC)を、複数のアレイ素子を有する光フェーズドアレイ(OPA)を含むように構成するステップ1006を含むことができる。複数のアレイ素子のそれぞれは、光アンテナと、光アンテナに関連する光位相変調器を含むことができる。光位相変調器は、光アンテナと通信する導波路のセグメント内の光信号ビームを変調するように動作可能である。さらに方法は、複数のアレイ素子のうちの少なくとも一部の位置が基板上の1つ以上の方向で非周期であるステップ1008を含むことができる。
【0111】
さらに方法は、本明細書に記載の遺伝的アルゴリズムからの解に基づいて、非周期位置で複数のアレイ素子の位置を決定するステップを含むことができる。さらに方法は、所定の閾値を上回るピーク対サイドローブ比を複数のアレイ素子からの放射光信号ビームが有するように、光フェーズドアレイ(OPA)内の非周期位置にアレイ素子を位置決めするステップを含むことができ、ピーク対サイドローブ比は、放射ビームでのピークビーム強度対グレーティングローブ強度の比を含む。
【0112】
さらに方法は、放射光ビームの複数の走査角度のそれぞれで所定の閾値を上回るピーク対サイドローブ比を複数のアレイ素子からの放射光信号ビームが有するように、光フェーズドアレイ(OPA)内の非周期位置内にアレイ素子を位置決めするステップを含むことができる。さらに方法は、-60度から+60度の間の複数の走査角度のそれぞれで所定の閾値を上回るピーク対サイドローブ比を複数のアレイ素子からの放射光信号ビームが有するように、光フェーズドアレイ(OPA)内の非周期位置内にアレイ素子を位置決めするステップを含むことができる。さらに方法は、光位相変調器のうちの1つ以上によって行われる位相調整の制御によって、放射光信号ビームが複数の走査角度にわたって連続してステアリング可能であるように、光フェーズドアレイ(OPA)内の非周期位置内にアレイ素子を位置決めするステップを含むことができる。
【0113】
さらに方法は、電磁放射線源から供給される単一のコヒーレント波長の電磁放射線を用いて、光位相変調器のうちの1つ以上で行われる位相調整の制御によって、複数のアレイ素子からの放射光信号ビームが複数の走査角度にわたって連続してステアリング可能であるように、光フェーズドアレイ(OPA)内の非周期位置内にアレイ素子を位置決めするステップを含むことができる。さらに方法は、光位相変調器のうちの1つ以上によって行われる位相調整の制御によって、複数のアレイ素子からの放射光信号ビームが2次元でステアリング可能であるように、光フェーズドアレイ(OPA)内の非周期位置内にアレイ素子を位置決めするステップを含むことができる。
【0114】
さらに方法は、レーザー源によって供給される電磁放射線の波長に対してアレイ素子が互いから離れて半波長よりも大きい間隔に置かれるように、光フェーズドアレイ(OPA)内の非周期位置にアレイ素子を位置決めするステップを含むことができる。
【0115】
図面に例示した例を参照し、これらを説明するために本明細書では特定の言語を用いた。しかしながら、それによって本技術の範囲を限定することは意図されていないことを理解されたい。本明細書で例示した特徴の修正及びさらなる変更、ならびに本明細書で例示した例のさらなる応用例は、説明の範囲内であると考えるべきである。
【0116】
本開示では、本明細書に記載のいくつかの実施形態または特徴が、本明細書に記載の他の実施形態または特徴と組み合わせられ得ることを明示的に開示していない場合があるが、本開示は、当業者によって実行可能な任意のそのような組み合わせを説明するために読まれるべきである。本開示において「または」を用いることは、本明細書において特に断りのない限り、非排他的または、すなわち「及び/または」を意味すると理解すべきである。
【0117】
さらに、記載した特徴、構造、または特性は、1つ以上の例において任意の好適な方法で組み合わせてもよい。前述の説明では、記載した技術の例の十分な理解を得るために、種々の構成の例など、多くの特定の詳細が提供された。しかし本技術は、特定の詳細の1つまたは複数を用いずに、または他の方法、コンポーネント、デバイスなどを用いて、実施され得ることが理解される。他の場合では、本技術の態様が不明瞭になることを避けるために、良く知られた構造または動作は図示することも詳細に説明することもしていない。
【0118】
主題は、構造的特徴及び/または動作に固有の言語で説明してきたが、添付の特許請求の範囲において規定される主題は、必ずしも前述した具体的な特徴及び動作に限定されないことを理解されたい。むしろ、前述した具体的な特徴及び作用は、特許請求の範囲を実施する形態例として開示される。記載した技術の趣旨及び範囲から逸脱することなく、多くの変更及び代替的な配置が考案され得る。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
【国際調査報告】