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特表2024-546426臨床予測を実行するためのコンピュータ実装方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-12-24
(54)【発明の名称】臨床予測を実行するためのコンピュータ実装方法
(51)【国際特許分類】
   G16H 50/00 20180101AFI20241217BHJP
   A61B 5/055 20060101ALI20241217BHJP
   G01N 33/483 20060101ALI20241217BHJP
   G01N 33/48 20060101ALI20241217BHJP
【FI】
G16H50/00
A61B5/055 390
G01N33/483 C
G01N33/48 M
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024527542
(86)(22)【出願日】2022-12-15
(85)【翻訳文提出日】2024-05-10
(86)【国際出願番号】 EP2022086023
(87)【国際公開番号】W WO2023111121
(87)【国際公開日】2023-06-22
(31)【優先権主張番号】21215586.5
(32)【優先日】2021-12-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.ブルートゥース
(71)【出願人】
【識別番号】591003013
【氏名又は名称】エフ. ホフマン-ラ ロシュ アーゲー
【氏名又は名称原語表記】F. HOFFMANN-LA ROCHE AKTIENGESELLSCHAFT
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100173565
【弁理士】
【氏名又は名称】末松 亮太
(72)【発明者】
【氏名】クライマン,エルダド
(72)【発明者】
【氏名】ラヒアニ,アマル
【テーマコード(参考)】
2G045
4C096
5L099
【Fターム(参考)】
2G045AA24
2G045CB01
2G045CB02
2G045DA13
2G045DA14
2G045DA36
2G045FA13
2G045FB12
4C096AA18
4C096AD14
5L099AA04
(57)【要約】
臨床予測を実行するためのコンピュータ実装方法が開示される。本方法は、以下のステップ、すなわち、i)患者の複数の異なるモダリティを含む入力データを、処理装置(166)の少なくとも1つの通信インターフェース(164)を介して取り出すステップ(110)と、ii)処理装置(166)を使用することによって入力データを処理するステップ(114)であって、処理は、少なくとも1つの訓練可能データ埋め込み器を使用することによって入力データから埋め込みモダリティ表現を生成することを含み、処理は、少なくとも1つの集約ネットワークを使用して埋め込みモダリティ表現を組み合わせることによって臨床予測を生成することを含み、集約ネットワークは、少なくとも1つのアテンション層および/または少なくとも1つのトランスフォーマ層を含む、入力データを処理するステップ(114)と、iii)処理装置(166)を使用することによって臨床予測の出力を生成するステップ(118)とを含む。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
臨床予測を実行するためのコンピュータ実装方法であって、
i)患者の複数の異なるモダリティを含む入力データを、処理装置(166)の少なくとも1つの通信インターフェース(164)を介して取り出すこと(110)と、
ii)前記処理装置(166)を使用することによって前記入力データを処理すること(114)であって、前記処理は、少なくとも1つの訓練可能データ埋め込み器を使用することによって前記入力データから埋め込みモダリティ表現を生成することを含み、前記処理は、少なくとも1つの集約ネットワークを使用して前記埋め込みモダリティ表現を組み合わせることによって前記臨床予測を生成することを含み、前記集約ネットワークは、少なくとも1つのアテンション層および/または少なくとも1つのトランスフォーマ層を含む、前記入力データを処理すること(114)と、
iii)前記処理装置(166)を使用することによって前記臨床予測の出力を生成すること(118)と
を含む、方法。
【請求項2】
前記臨床予測の出力は、前記患者のための薬物に関する情報、患者の生存に関する情報、少なくとも1つの特定の処置に対する反応に関する情報、患者の診断を確認する情報、欠落している患者データポイントを予測することによって患者データをキュレートするおよび/または完成させる情報、のうちの1つ以上を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
少なくとも1つの出力インターフェース(168)を介して前記臨床予測を提供することを含む少なくとも1つの出力ステップを含み、
前記訓練可能データ埋め込み器の出力は、モダリティごとのジェネリック患者レベル埋め込み表現、または各々のモダリティについての複数のインスタンス埋め込みである、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
患者の前記複数のモダリティは、少なくとも1つの組織学的組織画像、生検および/または外科標本の少なくとも1つの全面顕微鏡画像、磁気共鳴画像法(MRI)およびコンピュータ断層撮影法(CT)などの放射線画像、ゲノムデータ、遺伝子発現データ、プロテオミクス、患者臨床データ、および人口統計のうちの1つ以上を含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記アテンション層および/または前記トランスフォーマ層が最適な組み合わせおよび/またはアテンション戦略を逆伝播を通じて学習することを含む、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記入力データは、前記異なるモダリティの各々からの少なくとも1つのデータポイントを含み、前記方法は、前記データポイントの各々から埋め込みモダリティ表現を生成することと、前記集約ネットワークを使用して前記臨床予測を前記異なるモダリティの前記埋め込みモダリティ表現から生成することとを含み、かつ/または
前記入力データは、前記異なるモダリティのうちの少なくとも1つについて、単一の患者に関する同じモダリティからの複数のデータポイントを含み、
前記方法は、各々のデータポイントから埋め込みモダリティ表現を生成することと、前記異なるモダリティの各々について別々に前記生成された埋め込みモダリティ表現を組み合わせることと、前記集約ネットワークを使用して前記臨床予測を前記組み合わせられた埋め込みモダリティ表現から生成することとを含み、かつ/または
前記方法は、前記複数のデータポイントを組み合わせ、前記異なるモダリティの各々について前記組み合わせたデータポイントからグローバル埋め込みモダリティ表現を生成することと、前記集約ネットワークを使用して前記臨床予測を前記グローバル埋め込みモダリティ表現から生成することと
を含む、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記異なるモダリティは、一次アテンションマルチインスタンス学習(MIL)ネットワーク層によって埋め込みモダリティ表現に変換され、その後に、前記埋め込みモダリティ表現を臨床予測へと組み合わせる二次アテンションMILネットワークに入力される、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記異なるモダリティは、一次アテンションMILネットワーク層によって埋め込みモダリティ表現に変換され、その後に、前記埋め込みモダリティ表現を臨床予測へと組み合わせる二次ビジョン・トランスフォーマ・ネットワークに入力される、請求項1~7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記異なるモダリティは、一次ビジョン・トランスフォーマ・ネットワーク層によって埋め込みモダリティ表現に変換され、その後に、前記埋め込みモダリティ表現を臨床予測へと組み合わせる二次ビジョン・トランスフォーマ・ネットワークに入力される、請求項1~8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記異なるモダリティは、一次ビジョン・トランスフォーマ・ネットワーク層によって埋め込みモダリティ表現に変換され、その後に、前記埋め込みモダリティ表現を臨床予測へと組み合わせる二次アテンションMILネットワークに入力される、請求項1~9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記異なるモダリティは、埋め込み器ネットワークへと入力され、得られた埋め込みモダリティ表現が、前記埋め込みモダリティ表現を臨床予測へと組み合わせる一次アテンションMILネットワーク層へと入力される、請求項1~10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記異なるモダリティは、埋め込み器ネットワークへと入力され、得られた埋め込みモダリティ表現が、前記マルチモーダル生データを臨床予測へと組み合わせる一次ビジョン・トランスフォーマ・ネットワーク層へと入力される、請求項1~11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
データタイプに応じて、各々のモダリティは、一次アテンションMILネットワーク層によって埋め込みモダリティ表現に変換され、あるいは埋め込み器ネットワークへと入力され、得られた埋め込みモダリティ表現が、前記埋め込みモダリティ表現を臨床予測へと組み合わせる二次アテンションMILネットワークへと入力される、請求項1~12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
データタイプに応じて、各々のモダリティは、一次アテンションMILネットワーク層によって埋め込みモダリティ表現に変換され、あるいは埋め込み器ネットワークへと入力され、得られた埋め込みモダリティ表現が、前記埋め込みモダリティ表現を臨床予測へと組み合わせる二次ビジョン・トランスフォーマ・ネットワークへと入力される、請求項1~13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
入力データを取り出すように構成された少なくとも1つの通信インターフェース(164)を有する少なくとも1つの処理装置(166)を備えており、
前記入力データは、患者の複数の異なるモダリティを含み、
前記処理装置(166)は、前記入力データを処理するように構成され、
前記処理は、少なくとも1つの訓練可能データ埋め込み器を使用することによって前記入力データから埋め込みモダリティ表現を生成することを含み、前記処理は、少なくとも1つの集約ネットワークを使用して前記埋め込みモダリティ表現を組み合わせることによって前記臨床予測を生成することを含み、
前記集約ネットワークは、少なくとも1つのアテンション層および/または少なくとも1つのトランスフォーマ層を含み、
前記処理装置(166)は、前記臨床予測の出力を生成する
ように構成されている、臨床予測装置(170)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、臨床予測を実行するためのコンピュータ実装方法、ならびに本発明による方法を実行するためのコンピュータプログラムおよびコンピュータ可読記憶媒体に関する。本方法および装置を、とりわけ、臨床研究および薬物開発の分野で使用してよい。しかしながら、本発明について、他の適用分野も実現可能である。
【背景技術】
【0002】
臨床研究および薬物開発の分野において、さまざまなソースからさまざまなモダリティで入手可能な大量の患者データが存在する。入手可能な典型的なデータタイプは、患者の臨床データ、生検および外科標本の全面顕微鏡画像、遺伝子発現データ、プロテオミクス、磁気共鳴画像法(MRI)およびコンピュータ断層撮影法(CT)などの放射線画像、ならびに人口統計である。個人に合わせた医療は、患者にとって最も有益となり得る最良の薬物を特定し、患者に適合させることを目的とする。これを行うために、特定の処置に対する患者の生存および反応を予測するためのアルゴリズムが開発されている。患者の診断を予測または確認し、あるいは欠落した患者データポイントを予測することによって患者データをキュレートするおよび/または完成させるために、他のアルゴリズムを開発することができる。
【0003】
これまでのところ、これらのタイプの予測アルゴリズムは、典型的には、異なるタイプのデータモダリティを組み合わせるプロセスに固有の複雑さを回避するために、入力データのただ1つのモダリティについて訓練されてきた。しかしながら、各々のモダリティが異なる情報を含むことができ、これらの情報の各々が、最終的な予測およびシステムの性能に追加の価値をもたらすことができる。さらに、複数のモダリティを使用することは、患者データを分析するときの臨床医の行動のより良好な近似となり得る。したがって、異なる患者モダリティを組み合わせることは、予測システムの品質を改善することができ、専門家からのより多くの信頼を得ることを助けることができる。
【0004】
マルチモーダル融合のための方法は、例えば、Cheerla,Anika,and Olivier Gevaert.“Deep learning with multimodal representation for pancancer prognosis prediction.”Bioinformatics 35.14(2019):i446-i454、Vale-Silva,Luis A.,and Karl Rohr.“Long-term cancer survival prediction using multimodal deep learning.”Scientific Reports 11.1(2021):1-12、およびSun,Li,et al.“Brain tumor segmentation and survival prediction using multimodal MRI scans with deep learning.”Frontiers in neuroscience 13(2019):810から知られている。
【0005】
マルチモーダル融合のための既知の方法の成果にもかかわらず、データマルチモーダル融合のための適切な機構は、依然として困難であり、マルチインスタンス学習(MIL)と同様に、マルチモーダル表現(MILにおけるインスタンス表現)の融合は、アルゴリズムにおける重要なステップであり、性能および精度に大きく影響する可能性がある。
【発明の概要】
【0006】
したがって、上述の技術的課題に対処する方法を提供することが望ましい。具体的には、データマルチモーダル融合の性能および精度の向上を可能にする方法が提案されるべきである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この問題は、独立請求項の特徴を備える臨床予測を実行するためのコンピュータ実装方法によって対処される。単独で実現されても、任意の組み合わせにて実現されてもよい好都合な実施形態が、従属請求項ならびに明細書全体に挙げられる。
【0008】
以下で使用されるとき、用語「・・・を有する」、「・・・を備える」、または「・・・を含む」、あるいはこれらの任意の文法的変種は、非排他的なやり方で用いられる。したがって、これらの用語は、これらの用語によって紹介される特徴の他に、この文脈において説明されるエンティティにさらなる特徴が存在しない状況、および1つ以上のさらなる特徴が存在する状況の両方を指し得る。例として、「AはBを有する」、「AはBを備える」、および「AはBを含む」という表現はいずれも、B以外に他の要素がAに存在しない状況(すなわち、AがBのみで排他的に構成される状況)、およびB以外に要素C、要素CおよびD、あるいはまたさらなる要素など、1つ以上のさらなる要素がエンティティAに存在する状況を指し得る。
【0009】
さらに、特徴または要素が1回または複数回存在してよいことを示す「少なくとも1つ」または「1つ以上」という用語あるいは同様の表現は、典型的には、それぞれの特徴または要素を紹介するときに一度だけ使用されることに留意されたい。以下では、ほとんどの場合、それぞれの特徴または要素を指すとき、それぞれの特徴または要素が1回または複数回存在してもよいという事実にもかかわらず、「少なくとも1つ」または「1つ以上」という表現を繰り返さない。
【0010】
さらに、以下で使用されるとき、「好ましくは」、「より好ましくは」、「とくには」、「さらにとくには」、「具体的には」、または「より具体的には」という用語、あるいは同様の用語は、随意による特徴に関して使用され、代替の可能性を制限しない。したがって、これらの用語によって紹介される特徴は、随意による特徴であり、特許請求の範囲の技術的範囲をいかなるやり方でも限定することを意図していない。本発明は、当業者であれば理解できるとおり、代替の特徴を使用することによって実行されてもよい。同様に、「本発明の実施形態において」または同様の表現によって紹介される特徴は、随意による特徴であることが意図され、本発明の代替の実施形態に関していかなる制限も伴わず、本発明の範囲に関していかなる制限も伴わず、そのようなやり方で紹介される特徴を本発明の他の随意による特徴または随意ではない特徴と組み合わせる可能性に関していかなる制限も伴わない。
【0011】
本発明の第1の態様において、臨床予測を実行するためのコンピュータ実装方法が開示される。
【0012】
本明細書において使用されるとき、「コンピュータ実装方法」という用語は、広義の用語であり、当業者にとっての一般的かつ普通の意味が与えられるべきであり、特殊な意味または特別な意味に限定されるべきではない。この用語は、具体的には、限定はされないが、少なくとも1つのコンピュータならびに/あるいは少なくとも1つのコンピュータネットワークまたはクラウドが関与する方法を指し得る。コンピュータおよび/またはコンピュータネットワークおよび/またはクラウドは、本発明による方法の方法ステップのうちの少なくとも1つを実行するように構成された少なくとも1つのプロセッサを備えてよい。好ましくは、方法ステップの各々が、コンピュータおよび/またはコンピュータネットワークおよび/またはクラウドによって実行される。本方法は、完全に自動的に、具体的にはユーザの相互作用を必要とせずに、実行されてよい。本明細書において使用されるとき、「自動的に」という用語は、広義の用語であり、当業者にとっての一般的かつ普通の意味が与えられるべきであり、特殊な意味または特別な意味に限定されるべきではない。この用語は、具体的には、限定はされないが、少なくとも1つのコンピュータおよび/またはコンピュータネットワークおよび/またはクラウドおよび/または機械によって、とくには手動の動作および/またはユーザとの相互作用を必要とせずに完全に実施されるプロセスを指し得る。
【0013】
本明細書において使用されるとき、「臨床予測」という用語は、広義の用語であり、当業者にとっての一般的かつ普通の意味が与えられるべきであり、特殊な意味または特別な意味に限定されるべきではない。この用語は、具体的には、限定はされないが、少なくとも1つの患者エンドポイントの推定を指し得る。患者エンドポイントは、少なくとも1つの処置の有効性の尺度、少なくとも1つの処置の忍容性の尺度、少なくとも1つの処置の有用性の尺度、少なくとも1つの処置の有害性の尺度、死亡率、罹患率、副作用、健康関連の生活の質、などのうちの1つ以上を含み得る。臨床予測は、少なくとも1つの予想値を含み得る。例えば、臨床予測は、疾患の処置に対する反応を予測すること、疾患を有する患者のリスクを予測すること、転帰を予測すること、バイオマーカーを誘導すること、および薬物開発のための標的を同定すること、などのうちの1つ以上を含み得る。開示される技術を、さまざまなタイプのがんなどのさまざまなタイプの疾患の処置、および/または他の臨床上の疑問への回答、などに使用することができる。例えば、臨床予測は、患者が、例えばがんに対する薬物治療に抵抗性または感受性であり得るかどうかを予測することを含み得る。例えば、臨床予測は、がんなどの疾患に対するさまざまなタイプの処置(例えば、免疫療法、化学療法、など)についての患者の生存率を予測することを含み得る。本技術は、他の疾患分野および他の臨床仮説にも適用することができる。臨床予測は、例えば、臨床予測を表し、あるいは臨床予測に関連する少なくとも1つの変数の時間につれての推移を示すヒストグラムとして生成および/または提供され得る。
【0014】
本明細書において使用されるとき、「患者」という用語は、広義の用語であり、当業者にとっての一般的かつ普通の意味が与えられるべきであり、特殊な意味または特別な意味に限定されるべきではない。この用語は、具体的には、限定はされないが、ヒトまたは動物を指し得、ヒトまたは動物が健康な状態であるか、あるいは1つ以上の疾患を抱えているかどうかは無関係である。
【0015】
本方法は、一例として、所与の順序で実行されてよい以下のステップを含む。しかしながら、異なる順序も可能であることに留意されたい。さらに、方法ステップのうちの1つ以上を1回または繰り返し実行することも可能である。さらに、2つ以上の方法ステップを同時に、または時間的に重なって実行することが可能である。本方法は、挙げられていないさらなる方法ステップを含んでもよい。
【0016】
本方法は、以下のステップ、すなわち、
i)患者の複数の異なるモダリティを含む入力データを、処理装置の少なくとも1つの通信インターフェースを介して取り出すステップ、
ii)処理装置を使用することによって入力データを処理するステップであって、処理は、少なくとも1つの訓練可能データ埋め込み器を使用することによって入力データから埋め込みモダリティ表現を生成することを含み、処理は、少なくとも1つの集約ネットワークを使用して埋め込みモダリティ表現を組み合わせることによって臨床予測を生成することを含み、集約ネットワークは、少なくとも1つのアテンション層および/または少なくとも1つのトランスフォーマ層を含む、入力データを処理するステップ、および
iii)処理装置を使用することによって臨床予測の出力を生成するステップ
を含む。
【0017】
本明細書において一般的に使用されるとき、「処理装置」という用語は、広義の用語であり、当業者にとっての一般的かつ普通の意味が与えられるべきであり、特殊な意味または特別な意味に限定されるべきではない。この用語は、具体的には、限定はされないが、コンピュータまたはシステムの基本的な動作を実行するように構成された任意の論理回路を指し得、さらには/あるいは、一般的には、計算または論理演算を実行するように構成された装置を指し得る。とくには、処理装置は、コンピュータまたはシステムを駆動する基本的な命令を処理するように構成されてよい。例として、処理装置は、少なくとも1つの算術論理演算装置(ALU)、数値演算コプロセッサまたは数値コプロセッサなどの少なくとも1つの浮動小数点ユニット(FPU)、複数のレジスタ、具体的にはALUにオペランドを供給し、演算結果を格納するように構成されたレジスタ、ならびにL1およびL2キャッシュメモリなどのメモリを含み得る。とくには、処理装置は、マルチコアプロセッサであってよい。具体的には、処理装置は、中央処理装置(CPU)またはグラフィック処理装置(GPU)であってよく、あるいはこれらを備えてよい。これに加え、あるいはこれに代えて、処理装置は、マイクロプロセッサであってよく、あるいはマイクロプロセッサを備えてもよく、したがって、具体的には、処理装置の要素が1つの単一の集積回路(IC)チップに含まれてよい。これに加え、あるいはこれに代えて、処理装置は、1つ以上の特定用途向け集積回路(ASIC)および/または1つ以上のフィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)などであってよく、あるいはこれらを備えてもよい。処理装置は、具体的には、ソフトウェアプログラミングなどによって、1つ以上の評価動作を実行するように構成されてよい。
【0018】
本明細書において使用されるとき、「通信インターフェース」という用語は、広義の用語であり、当業者にとっての一般的かつ普通の意味が与えられるべきであり、特殊な意味または特別な意味に限定されるべきではない。この用語は、具体的には、限定されないが、情報を転送するように構成された境界を形成するアイテムまたは要素を指し得る。とくには、通信インターフェースは、例えば別の装置へと情報を送信または出力するなどの目的で、例えばコンピュータなどの計算装置から情報を転送するように構成されてよい。これに加え、あるいは代えて、通信インターフェースは、例えば情報を受信するために、例えばコンピュータなどの計算装置へと情報を転送するように構成されてよい。通信インターフェースは、具体的には、情報を転送または交換するための手段を提供し得る。とくには、通信インターフェースは、例えば、ブルートゥース、NFC、誘導結合、などのデータ転送接続を提供し得る。例として、通信インターフェースは、ネットワークまたはインターネットポート、USBポート、およびディスクドライブのうちの1つ以上を備える少なくとも1つのポートであってよく、あるいはそのような少なくとも1つのポートを備えてもよい。通信インターフェースは、少なくとも1つの表示装置をさらに備えてよい。通信インターフェースは、少なくとも1つのウェブインターフェースであってよい。
【0019】
本明細書において使用されるとき、「取り出す」という用語は、広義の用語であり、当業者にとっての一般的かつ普通の意味が与えられるべきであり、特殊な意味または特別な意味に限定されるべきではない。この用語は、具体的には、限定はされないが、データを生成し、かつ/またはデータ記憶装置、ネットワーク、あるいはさらなるコンピュータまたはコンピュータシステムなどの任意のデータソースからデータを取得するシステム、具体的にはコンピュータシステムのプロセスを指し得る。取り出しは、具体的には、例えばシリアルポートまたはパラレルポートなどのポートを介して、少なくとも1つのコンピュータインターフェースによって行われ得る。取り出しは、例えばプロセッサを使用することにより、一次情報の1つ以上のアイテムを取得し、例えば1つ以上のアルゴリズムを一次情報に適用することで、一次情報を利用することによって二次情報を生成するサブステップなど、いくつかのサブステップを含み得る。取り出しは、少なくとも1つの医療装置、例えば磁気共鳴画像法(MRI)、コンピュータ断層撮影法(CT)、などを使用して、少なくとも1つの測定を実行することを含み得る。
【0020】
本明細書において使用されるとき、「入力データ」という用語は、広義の用語であり、当業者にとっての一般的かつ普通の意味が与えられるべきであり、特殊な意味または特別な意味に限定されるべきではない。この用語は、具体的には、限定はされないが、ステップii)において処理することができる少なくとも1つの値、パラメータ、画像データ、などのデータを指し得る。
【0021】
入力データは、患者の複数の異なるモダリティを含む。入力データは、マルチモーダル臨床データを含み得る。本明細書において使用されるとき、「モダリティ」という用語は、広義の用語であり、当業者にとっての一般的かつ普通の意味が与えられるべきであり、特殊な意味または特別な意味に限定されるべきではない。この用語は、具体的には、限定はされないが、入力のチャネル、例えば入力の独立したチャネルを指し得る。入力データは、単一のモダリティからの単一のデータポイント、または単一の患者に関する同じモダリティからの複数のデータポイントを含み得る。患者の複数のモダリティは、少なくとも1つの組織学的組織画像、生検および/または外科標本の少なくとも1つの全面顕微鏡画像、磁気共鳴画像法(MRI)およびコンピュータ断層撮影法(CT)などの放射線画像、ゲノムデータ、遺伝子発現データ、プロテオミクス、患者臨床データ、および人口統計のうちの1つ以上を含み得る。マルチモーダル臨床データは、一般に、分子データ、生検画像データ、などのさまざまなタイプの臨床データを指し得る。
【0022】
ステップii)における入力データの処理は、少なくとも1つの訓練可能データ埋め込み器を使用することによって入力データから埋め込みモダリティ表現を生成することを含む。埋め込みモダリティ表現は、患者レベル埋め込みとも称される患者レベル表現であってよい。本明細書において使用されるとき、「データ埋め込み器」という用語は、「埋め込み器」とも称されるが、広義の用語であり、当業者にとっての一般的かつ普通の意味が与えられるべきであり、特殊な意味または特別な意味に限定されるべきではない。この用語は、具体的には、限定はされないが、入力データを連続ベクトル表現に変換するように構成された少なくとも1つのネットワーク層を指し得る。例えば、入力データは、画像であってよく、データ埋め込み器は、画像を画像の低次元表現に変換するように設計される。訓練可能データ埋め込み器の出力は、モダリティごとのジェネリック埋め込み表現、または各々のモダリティに関する複数のインスタンス埋め込みであってよい。
【0023】
本明細書において使用されるとき、「訓練可能データ埋め込み器」という用語は、広義の用語であり、当業者にとっての一般的かつ普通の意味が与えられるべきであり、特殊な意味または特別な意味に限定されるべきではない。この用語は、具体的には、限定はされないが、埋め込み器を追加の訓練用データに基づいてさらに訓練および/または更新することができるという事実を指し得る。具体的には、埋め込み器は、訓練用データセットで訓練される。埋め込み器は、機械学習を使用して訓練され得る。各々のモダリティに対して少なくとも1つの埋め込み器が使用されてよい。モダリティのためのそれぞれの埋め込み器は、モダリティからの履歴データについて訓練され得る。例えば、それぞれの埋め込み器は、組織学的組織イメージング、全体スライド顕微鏡イメージング、または放射線イメージングからの履歴データ、あるいは履歴ゲノムデータ、履歴遺伝子発現データ、履歴プロテオミクス、履歴患者臨床データ、または履歴人口統計について訓練され得る。埋め込み器は、新たに受信した入力データを使用することによって更新され得る。
【0024】
訓練用データは、各々が異なるデータモダリティおよび既知のグラウンドトゥルー転帰を有する複数の患者からのデータを含み得る。例えば、訓練用データは、少なくとも1つの組織学的全体スライド画像(例えば、H&E)を含み得る。スライドは、専門家注釈および/または組織検出マスクを有し得る。全体スライド画像は、高解像度画像であり、タイル画像を、全体スライド全体から、および/または特定の専門家注釈から、および/または組織マスクから抽出し、画像モダリティデータポイントを生成することができる。患者は、ゲノムデータポイントまたはプロテオミクスデータポイントをさらに有することができる。これらは、生の浮動小数点値または正規化された浮動小数点値のベクトルであり得る。訓練用データは、年齢、性別、などの患者メタデータ、および臨床データ、例えば診断、HER2陽性状態、などを含み得る。訓練用データは、異なる分析システムで生成された1つまたは複数の患者埋め込みを含み得る。
【0025】
処理は、少なくとも1つの集約ネットワークを使用して埋め込みモダリティ表現を組み合わせることによって臨床予測を生成することを含む。埋め込みモダリティ表現は、アテンション層および/または変換器層へと入力として導入され得る。本明細書において使用されるとき、「組み合わせる」という用語は、広義の用語であり、当業者にとっての一般的かつ普通の意味が与えられるべきであり、特殊な意味または特別な意味に限定されるべきではない。この用語は、具体的には、限定はされないが、データ融合および/またはデータ集約を指し得る。本明細書において使用されるとき、「集約ネットワーク」という用語は、広義の用語であり、当業者にとっての一般的かつ普通の意味が与えられるべきであり、特殊な意味または特別な意味に限定されるべきではない。この用語は、具体的には、限定はされないが、複数のモダリティからの埋め込みモダリティ表現を組み合わせることによって臨床予測を生成するように設計されたディープ・ニューラル・ネットワーク・アーキテクチャを指し得る。組み合わせることは、変換されたデータポイントの合計を考慮すること、変換されたデータポイントの最大値を考慮すること、アテンションMILモデルを使用すること、およびビジョントランスフォーマを使用すること、のうちの1つ以上を含み得る。
【0026】
集約ネットワークは、少なくとも1つのアテンション層および/または少なくとも1つのトランスフォーマ層を備える。アテンション層および/またはトランスフォーマ層は、セルフアテンション機構を実行し得る。セルフアテンション機構は、マルチモーダルデータのための最適な組み合わせ戦略を生成することを可能にし得る。
【0027】
本明細書において使用されるとき、「アテンション層」という用語は、広義の用語であり、当業者にとっての一般的かつ普通の意味が与えられるべきであり、特殊な意味または特別な意味に限定されるべきではない。この用語は、具体的には、限定はされないが、入力データの少なくとも1つの重要な部分を強化し、他の部分をフェードアウトするように設計されたニューラルネットワークの層を指し得る。入力データの重要性は、モダリティに依存し得る。入力データの重要性は、訓練用データを通じて学習され得る。アテンション層は、ドット積アテンションおよび/またはマルチヘッドアテンションを使用してよい。
【0028】
本明細書において使用されるとき、「トランスフォーマ層」という用語は、広義の用語であり、当業者にとっての一般的かつ普通の意味が与えられるべきであり、特殊な意味または特別な意味に限定されるべきではない。この用語は、具体的には、限定はされないが、セルフアテンションの機構を採用し、入力データの各部分の重要度に異なる重みを与える深層学習モデルの層を指し得る。例えば、トランスフォーマ層は、ビジョン・トランスフォーマ・モデルに基づき得る。ビジョン・トランスフォーマ・モデルは、トランスフォーマ・エンコーダ・アーキテクチャに基づき、入力として画像パッチの埋め込みを使用する画像分類モデルである。ビジョン・トランスフォーマ・モデルにおいて、画像はパッチに分割されてよく、次いでパッチは平坦化され、低次元埋め込みに投影され、位置埋め込みに追加され、トランスフォーマ・エンコーダ・ネットワークに供給される。トランスフォーマエンコーダの出力は、最終的な予測を生成するための多層パーセプトロン(MLP)ヘッドへの入力として使用されてよい。MLPヘッドは、一連の線形変換層を備えてよい。トランスフォーマエンコーダは、n個のエンコーダを備えてよい。各エンコーダは、マルチヘッドアテンション層、正規化層、およびMLP層を備えてよい。本明細書において使用されるとき、「多層パーセプトロンニューラルネットワーク」または「MLPニューラルネットワーク」という用語は、広義の用語であり、当業者にとっての一般的かつ普通の意味が与えられるべきであり、特殊な意味または特別な意味に限定されるべきではない。この用語は、具体的には、限定はされないが、一種のフィードフォワード人工ニューラルネットワークを指し得る。異なるレベル表現間の相互作用を可能にし、勾配消失問題を防止するために、エンコーダのサブレイヤ間に残差スキップ接続がさらに使用され得る。マルチヘッドアテンションは、セルフアテンション機構を複数回実行することに基づいてよい。マルチヘッドアテンションのさらなる設計に関して、Vaswani,A.,Shazeer,N.,Parmar,N.,Uszkoreit,J.,Jones,L.,Gomez,A.N.,...&Polosukhin,I.(2017),“Attention is all you need in Advances in neural information processing systems”,pp.5998-6008を参照することができる。セルフアテンションは、異なる入力間の関係を学習し、モデル訓練中にこれらの関係を考慮に入れることを可能にする機構である。異なるモダリティ埋め込みを集約するための二次ネットワークとしてビジョントランスフォーマを使用することが、このカテゴリのモデルを使用する新たなやり方である。本発明は、異なるモダリティ間の関連する関係を発見し、訓練における追加情報として使用することを提案する。
【0029】
本発明は、複数のモダリティから患者エンドポイントを予測することに専用のディープ・ニューラル・ネットワーク・アーキテクチャを使用することを提案する。具体的には、本発明は、マルチモーダル表現融合のためのアテンションベースのプーリング方法および/またはマルチモーダル表現融合のためのトランスフォーマベースのプーリング方法を使用することによって、マルチモーダルデータ表現とも呼ばれる埋め込みモダリティ表現を融合することを提案する。患者のマルチモーダルデータ表現は、このデータセットのための最適な組み合わせおよび/またはアテンション戦略(パラメータ)を逆伝播を通じて学習し得るアテンション層および/またはトランスフォーマ層への入力として導入され得る。提案されるネットワークアーキテクチャは、アテンションMILモジュールおよび/またはトランスフォーマ・モジュール・アーキテクチャを利用し得る。これは、例えばトランスフォーマ・モジュール・アーキテクチャにおいて利用可能なセルフアテンション機構を介してマルチモーダルデータのための最適な組み合わせ戦略を作成することを可能にし得る。
【0030】
MILネットワークは、訓練用インスタンスがバッグにグループ化され、ラベルが単一のインスタンスにではなくバッグに割り当てられる弱教師あり学習モデルの一種である。アテンションベースのMILネットワークは、アテンション機構に従って異なるインスタンス出力を集約し、したがって最終的なバッグ出力に対するバッグ内の各インスタンスの寄与を評価することを可能にし得る。予測ネットワークおよびアテンションネットワークの両方が同時に学習されてよい。
【0031】
本方法は、例えばデータセットのパラメータを決定するための最適な組み合わせおよび/またはアテンション戦略を、逆伝播によって学習し、例えば訓練および/または最適化するアテンション層および/またはトランスフォーマ層を備え得る。
【0032】
入力データは、複数の異なるモダリティの各々からの少なくとも1つのデータポイントを含んでよい。例えば、少なくとも1つのデータポイントは、単一の生検からの少なくとも1つの画像タイル、少なくとも1つの遺伝子配列、放射線画像からの少なくとも1つのタイル、などを含み得る。入力データは、例えば、単一の生検からの複数の画像タイル、複数の遺伝子配列、放射線画像からの複数のタイル、など、単一の患者の同じモダリティからの複数のデータポイントを含み得る。例えば、入力データは、複数の異なるモダリティの各々からの単一のデータポイントを含み得る。例えば、入力データは、複数の異なるモダリティの各々からの複数のデータポイントを含み得る。例えば、入力データは、1つ以上のモダリティからの単一のデータポイントと、他の少なくとも1つのモダリティからの複数のデータポイントとを含み得る。
【0033】
本方法は、各々のデータポイントから埋め込みモダリティ表現を生成することを含み得る。例えば、異なるモダリティの各々からの単一のデータポイントの場合、本方法は、単一のデータポイントの各々から埋め込みモダリティ表現を生成することを含み得る。本方法は、異なるモダリティの埋め込みモダリティ表現から、集約ネットワークを使用して臨床予測を生成することをさらに含み得る。
【0034】
本方法は、各々のデータポイントから埋め込みモダリティ表現を生成することと、モダリティの各々について別々に、生成された埋め込みモダリティ表現を組み合わせることと、組み合わせた埋め込みモダリティ表現から、集約ネットワークを使用して臨床予測を生成することとを含んでよい。
【0035】
例えば、入力データは、単一の患者に関する同じモダリティからの複数のデータポイントを含み得る。本方法は、各々のデータポイントから埋め込みモダリティ表現を生成することと、異なるモダリティの各々について別々に、生成された埋め込みモダリティ表現を組み合わせることと、組み合わせた埋め込みモダリティ表現から、集約ネットワークを使用して臨床予測を生成することとを含み得る。これに加え、あるいは代えて、本方法は、複数のデータポイントを組み合わせることと、異なるモダリティの各々について組み合わせたデータポイントからグローバル埋め込みモダリティ表現を生成することと、グローバル埋め込みモダリティ表現から集約ネットワークを使用して臨床予測を生成することとを含み得る。
【0036】
本方法は、複数のデータポイントを組み合わせることと、モダリティの各々について組み合わせたデータポイントからグローバル埋め込みモダリティ表現を生成することと、グローバル埋め込みモダリティ表現から集約ネットワークを使用して臨床予測を生成することとを含み得る。例えば、単一の患者について同じモダリティからの複数のデータポイントの場合、本方法は、各々のデータポイントから埋め込みを作成することと、各々のモダリティについての埋め込みを別々に組み合わせることと、ネットワーク層を使用して患者レベルマルチモーダルデータポイントを患者レベル予測に変換することとを含み得る。これに加え、あるいは代えて、単一の患者について同じモダリティからの複数のデータポイントの場合、マルチモーダルデータからの複数のデータポイントは、互いに直接組み合わせられてもよく、最初にそれらを1つの患者レベルモダリティデータポイントに組み合わせることなく、それらを患者レベル予測に変換するために、ネットワーク層が使用されてよい。
【0037】
一実施形態において、異なるモダリティは、一次アテンションMILネットワーク層によって患者レベル埋め込みに変換され、次いで、マルチモーダル患者レベルデータを患者レベル予測に組み合わせる二次アテンションmilネットワークに入力される。逆伝播を使用して、ネットワークは訓練および最適化され得る。
【0038】
一実施形態において、異なるモダリティは、一次アテンションMILネットワーク層によって患者レベル埋め込みに変換され、次いで、マルチモーダル患者レベルデータを患者レベル予測に組み合わせる二次ビジョン・トランスフォーマ・ネットワークに入力される。逆伝播を使用して、ネットワークは訓練および最適化され得る。
【0039】
一実施形態において、異なるモダリティは、一次ビジョン・トランスフォーマ・ネットワーク層によって患者レベル埋め込みに変換され、次いで、マルチモーダル患者レベルデータを患者レベル予測に組み合わせる二次ビジョン・トランスフォーマ・ネットワークに入力される。逆伝播を使用して、ネットワークは訓練および最適化され得る。
【0040】
一実施形態において、異なるモダリティは、一次ビジョン・トランスフォーマ・ネットワーク層によって患者レベル埋め込みに変換され、次いで、マルチモーダル患者レベルデータを患者レベル予測に組み合わせる二アテンションMILネットワークに入力される。逆伝播を使用して、ネットワークは訓練および最適化され得る。
【0041】
一実施形態において、異なるモダリティは、埋め込み器ネットワークに直接入力され、得られた埋め込みが、マルチモーダル生データを患者レベル予測に組み合わせる一次アテンションMILネットワーク層に入力される。逆伝播を使用して、ネットワークは訓練および最適化され得る。
【0042】
一実施形態において、異なるモダリティは、埋め込み器ネットワークに直接入力され、得られた埋め込みが、マルチモーダル生データを患者レベル予測に組み合わせる一次ビジョン・トランスフォーマ・ネットワーク層に入力される。逆伝播を使用して、ネットワークは訓練および最適化され得る。
【0043】
一実施形態において、データタイプに応じて、各々のモダリティは、一次アテンションmilネットワーク層によって患者レベル埋め込みに変換され、あるいは埋め込み器ネットワークに直接入力され得る。得られたすべての埋め込みは、マルチモーダルデータを患者レベル予測に組み合わせる二次アテンションmilネットワークに入力される。逆伝播を使用して、ネットワークは訓練および最適化され得る。
【0044】
一実施形態において、データタイプに応じて、各々のモダリティは、一次アテンションmilネットワーク層によって患者レベル埋め込みに変換され、あるいは埋め込み器ネットワークに直接入力され得る。得られたすべての埋め込みは、マルチモーダルデータを患者レベル予測に組み合わせる二次ビジョン・トランスフォーマ・ネットワークに入力される。逆伝播を使用して、ネットワークは訓練および最適化され得る。
【0045】
本方法は、少なくとも1つの前処理ステップをさらに含み得る。前処理ステップは、生データを新たなフォーマットに変換することを含み得る。このステップは、モダリティタイプに依存し得る。例えば、予め訓練された埋め込み器を使用することによって、組織学的タイル画像を異なる空間に投影することが可能である。これは、生データ内の関連情報をキャプチャし、おそらくは訓練プロセスを高速化する役に立つことができる。
【0046】
臨床予測の出力は、患者のための薬物に関する情報、患者の生存に関する情報、少なくとも1つの特定の処置への反応に関する情報、患者の診断を確認する情報、欠落した患者データポイントを予測することによって患者データをキュレートし、かつ/または完成させる情報、のうちの1つ以上を含み得る。本方法は、少なくとも1つの出力インターフェースを介して臨床予測を提供することを含む少なくとも1つの出力ステップを含む。用語「出力インターフェース」は、本明細書において使用されるとき、処理装置から別のエンティティへと情報を転送するように構成された任意のユニットに関し、別のエンティティは、さらなるデータ処理装置および/またはユーザであってよい。したがって、出力インターフェースは、適切に構成されたディスプレイなどのユーザインターフェースを備えてよい、あるいはプリンタであってよい。
【0047】
コンピュータまたはコンピュータネットワーク上で実行されるときに本明細書に含まれる実施形態のうちの1つ以上における本発明による方法を実行するコンピュータ実行可能命令を含んでいるコンピュータプログラムが、本明細書にさらに開示および提案される。具体的には、コンピュータプログラムは、コンピュータ可読データ担体および/またはコンピュータ可読記憶媒体に格納されてよい。
【0048】
本明細書において使用されるとき、「コンピュータ可読データ担体」および「コンピュータ可読記憶媒体」という用語は、具体的には、コンピュータ実行可能命令を格納したハードウェア記憶媒体などの非一時的データ記憶手段を指し得る。コンピュータ可読データ担体または記憶媒体は、具体的には、ランダムアクセスメモリ(RAM)および/または読み出し専用メモリ(ROM)などの記憶媒体であってよく、あるいは、そのような記憶媒体を含み得る。
【0049】
したがって、具体的には、上記で示した方法ステップi)~iii)のうちの1つ、複数、またはすべてでさえ、コンピュータまたはコンピュータネットワークを使用し、好ましくはコンピュータプログラムを使用することによって、実施され得る。
【0050】
本明細書において、コンピュータプログラム製品がさらに開示および提案され、コンピュータプログラム製品は、プログラムがコンピュータまたはコンピュータネットワーク上で実行されるときに本明細書に含まれる実施形態のうちの1つ以上における本発明による方法を実行するために、プログラムコード手段を有している。具体的には、プログラムコード手段は、コンピュータ可読データ担体および/またはコンピュータ可読記憶媒体に格納されてよい。
【0051】
例えばコンピュータまたはコンピュータネットワークの作業メモリまたはメインメモリにロードされるなど、コンピュータまたはコンピュータネットワークへとロードされた後に、本明細書に開示の実施形態のうちの1つ以上による方法を実行し得るデータ構造を格納したデータ担体が、本明細書においてさらに開示および提案される。
【0052】
プログラムがコンピュータまたはコンピュータネットワーク上で実行されるときに本明細書に開示の実施形態のうちの1つ以上による方法を実行するためにプログラムコード手段を機械可読担体に格納して有するコンピュータプログラム製品が、本明細書においてさらに開示および提案される。本明細書において使用されるとき、コンピュータプログラム製品は、取引可能な製品としてのプログラムを指す。製品は、一般に、紙フォーマットなどの任意のフォーマットで存在してよく、あるいはコンピュータ可読データ担体および/またはコンピュータ可読記憶媒体上に存在してもよい。とくには、コンピュータプログラム製品は、データネットワークを介して配布され得る。
【0053】
最後に、本明細書に開示される実施形態のうちの1つ以上による方法を実行するためのコンピュータシステムまたはコンピュータネットワークにとって可読な命令を含む変調されたデータ信号が、本明細書において開示および提案される。
【0054】
本発明のコンピュータ実装態様に関して、本明細書に開示の実施形態のうちの1つ以上による方法の方法ステップのうちの1つ以上またはすべてが、コンピュータまたはコンピュータネットワークを使用することによって実行されてよい。したがって、一般に、データの提供および/または操作を含む方法ステップのいずれも、コンピュータまたはコンピュータネットワークを使用することによって実行されてよい。一般に、これらの方法ステップは、典型的には試料の提供および/または実際の測定を実行する特定の態様などの手作業を必要とする方法ステップを除いて、任意の方法ステップを含み得る。
【0055】
具体的には、本明細書において、
少なくとも1つのプロセッサを備え、プロセッサは、本明細書に記載の実施形態のうちの1つによる方法を実行するように構成されているコンピュータまたはコンピュータネットワーク、
コンピュータにロード可能なデータ構造であって、コンピュータ上で実行されているときに本明細書に記載の実施形態のうちの1つによる方法を実行するように構成されたデータ構造、
コンピュータ上で実行されているときに、本明細書に記載の実施形態のうちの1つによる方法を実行するように構成されたコンピュータプログラム、
コンピュータまたはコンピュータネットワーク上で実行されているときに本明細書に記載の実施形態のうちの1つによる方法を実行するためのプログラム手段を備えているコンピュータプログラム、
先行の実施形態によるプログラム手段を備えているコンピュータプログラムであって、プログラム手段は、コンピュータ可読記憶媒体に格納されているコンピュータプログラム、
データ構造を格納しており、データ構造は、コンピュータまたはコンピュータネットワークの主記憶部および/または作業記憶部にロードされた後に本明細書に記載の実施形態のうちの1つによる方法を実行するように構成されている記憶媒体、および
プログラムコード手段を有しており、プログラムコード手段は、記憶媒体に格納可能または格納されており、コンピュータ上またはコンピュータネットワーク上で実行された場合に、本明細書に記載の実施形態のうちの1つによる方法を実行するコンピュータプログラム製品
がさらに開示される。
【0056】
本発明のさらなる態様において、臨床予測装置が開示される。臨床予測装置は、入力データを取り出すように構成された少なくとも1つの通信インターフェースを有する少なくとも1つの処理装置を備える。入力データは、患者の複数の異なるモダリティを含む。処理装置は、入力データを処理するように構成される。処理は、少なくとも1つの訓練可能データ埋め込み器を使用することによって入力データから埋め込みモダリティ表現を生成することを含む。処理は、少なくとも1つの集約ネットワークを使用して埋め込みモダリティ表現を組み合わせることによって臨床予測を生成することを含む。集約ネットワークは、少なくとも1つのアテンション層および/または少なくとも1つのトランスフォーマ層を備える。処理装置は、臨床予測の出力を生成するように構成される。
【0057】
臨床予測装置は、本発明による臨床予測を実行するための方法を実行するように構成され得る。したがって、臨床予測装置の定義および実施形態に関して、本方法に関して説明した定義および実施形態が参照される。
【0058】
要約すると、さらなる実施形態の可能性を排除することなく、以下の実施形態が想定され得る。
【0059】
実施例1.臨床予測を実行するためのコンピュータ実装方法であって、
i)患者の複数の異なるモダリティを含む入力データを、処理装置の少なくとも1つの通信インターフェースを介して取り出すことと、
ii)処理装置を使用することによって入力データを処理することであって、処理は、少なくとも1つの訓練可能データ埋め込み器を使用することによって入力データから埋め込みモダリティ表現を生成することを含み、処理は、少なくとも1つの集約ネットワークを使用して埋め込みモダリティ表現を組み合わせることによって臨床予測を生成することを含み、集約ネットワークは、少なくとも1つのアテンション層および/または少なくとも1つのトランスフォーマ層を含む、入力データを処理することと、
iii)処理装置を使用することによって臨床予測の出力を生成することと
を含む、方法。
【0060】
実施例2.臨床予測の出力は、患者のための薬物に関する情報、患者の生存に関する情報、少なくとも1つの特定の処置に対する反応に関する情報、患者の診断を確認する情報、欠落している患者データポイントを予測することによって患者データをキュレートするおよび/または完成させる情報、のうちの1つ以上を含む、先行の実施形態による方法。
【0061】
実施例3.少なくとも1つの出力インターフェースを介して臨床予測を提供することを含む少なくとも1つの出力ステップを含む、先行の実施形態のいずれか1つによる方法。
【0062】
実施例4.訓練可能データ埋め込み器の出力は、モダリティごとのジェネリック患者レベル埋め込み表現、または各々のモダリティについての複数のインスタンス埋め込みである、先行の実施形態のいずれか1つによる方法。
【0063】
実施例5.埋め込みモダリティ表現は、アテンション層および/またはトランスフォーマ層へと入力として導入される、先行の実施形態のいずれか1つによる方法。
【0064】
実施例6.患者の複数のモダリティは、少なくとも1つの組織学的組織画像、生検および/または外科標本の少なくとも1つの全面顕微鏡画像、磁気共鳴画像法(MRI)およびコンピュータ断層撮影法(CT)などの放射線画像、ゲノムデータ、遺伝子発現データ、プロテオミクス、患者臨床データ、および人口統計のうちの1つ以上を含む、先行の実施形態のいずれか1つによる方法。
【0065】
実施例7.アテンション層および/またはトランスフォーマ層が最適な組み合わせおよび/またはアテンション戦略を逆伝播を通じて学習することを含む、先行の実施形態のいずれか1つによる方法。
【0066】
実施例8.入力データは、異なるモダリティの各々からの少なくとも1つのデータポイントを含み、本方法は、データポイントの各々から埋め込みモダリティ表現を生成することと、集約ネットワークを使用して臨床予測を異なるモダリティの埋め込みモダリティ表現から生成することとを含む、先行の実施形態のいずれか1つによる方法。
【0067】
実施例9.入力データは、異なるモダリティのうちの少なくとも1つについて、単一の患者に関する同じモダリティからの複数のデータポイントを含む、先行の実施形態のいずれか1つによる方法。
【0068】
実施例10.各々のデータポイントから埋め込みモダリティ表現を生成することと、異なるモダリティの各々について別々に生成された埋め込みモダリティ表現を組み合わせることと、集約ネットワークを使用して臨床予測を組み合わせられた埋め込みモダリティ表現から生成することとを含む、先行の実施形態による方法。
【0069】
実施例11.複数のデータポイントを組み合わせ、異なるモダリティの各々について組み合わせたデータポイントからグローバル埋め込みモダリティ表現を生成することと、集約ネットワークを使用して臨床予測をグローバル埋め込みモダリティ表現から生成することと、を含む、先先行の実施形態による方法。
【0070】
実施例12.異なるモダリティは、一次アテンションMILネットワーク層によって埋め込みモダリティ表現に変換され、その後に、埋め込みモダリティ表現を臨床予測へと組み合わせる二次アテンションMILネットワークに入力される、先行の実施形態のいずれか1つによる方法。
【0071】
実施例13.異なるモダリティは、一次アテンションMILネットワーク層によって埋め込みモダリティ表現に変換され、その後に、埋め込みモダリティ表現を臨床予測へと組み合わせる二次ビジョン・トランスフォーマ・ネットワークに入力される、先行の実施形態のいずれか1つによる方法。
【0072】
実施例14.異なるモダリティは、一次ビジョン・トランスフォーマ・ネットワーク層によって埋め込みモダリティ表現に変換され、その後に、埋め込みモダリティ表現を臨床予測へと組み合わせる二次ビジョン・トランスフォーマ・ネットワークに入力される、先行の実施形態のいずれか1つによる方法。
【0073】
実施例15.異なるモダリティは、一次ビジョン・トランスフォーマ・ネットワーク層によって埋め込みモダリティ表現に変換され、その後に、埋め込みモダリティ表現を臨床予測へと組み合わせる二次アテンションMILネットワークに入力される、先行の実施形態のいずれか1つによる方法。
【0074】
実施例16.異なるモダリティは、埋め込み器ネットワークへと入力され、得られた埋め込みモダリティ表現が、埋め込みモダリティ表現を臨床予測へと組み合わせる一次アテンションMILネットワーク層へと入力される、先行の実施形態のいずれか1つによる方法。
【0075】
実施例17.異なるモダリティは、埋め込み器ネットワークへと入力され、得られた埋め込みモダリティ表現が、マルチモーダル生データを臨床予測へと組み合わせる一次ビジョン・トランスフォーマ・ネットワーク層へと入力される、先行の実施形態のいずれか1つによる方法。
【0076】
実施例18.データタイプに応じて、各々のモダリティは、一次アテンションMILネットワーク層によって埋め込みモダリティ表現に変換され、あるいは埋め込み器ネットワークへと入力され、得られた埋め込みモダリティ表現が、埋め込みモダリティ表現を臨床予測へと組み合わせる二次アテンションMILネットワークへと入力される、先行の実施形態のいずれか1つによる方法。
【0077】
実施例19.データタイプに応じて、各々のモダリティは、一次アテンションMILネットワーク層によって埋め込みモダリティ表現に変換され、あるいは埋め込み器ネットワークへと入力され、得られた埋め込みモダリティ表現が、埋め込みモダリティ表現を臨床予測へと組み合わせる二次ビジョン・トランスフォーマ・ネットワークへと入力される、先行の実施形態のいずれか1つによる方法。
【0078】
実施例20.少なくとも1つの前処理ステップを含み、前処理ステップは、生データを新たなフォーマットに変換することを含む、先行の実施形態のいずれか1つによる方法。
【0079】
実施例21.命令を含んでいるコンピュータプログラムであって、命令は、プログラムが処理装置によって実行されるときに、先行の実施形態のいずれか1つによる方法のステップi)~iii)を処理装置に実行させる、コンピュータプログラム。
【0080】
実施例22.処理装置によって実行されるときに方法に関する先行の実施形態のいずれか1つによる方法のステップi)~iii)を処理装置に実行させる命令を含んでいるコンピュータ可読記憶媒体。
【0081】
実施例23.入力データを取り出すように構成された少なくとも1つの通信インターフェースを有する少なくとも1つの処理装置を備えており、入力データは、患者の複数の異なるモダリティを含み、処理装置は、入力データを処理するように構成され、処理は、少なくとも1つの訓練可能データ埋め込み器を使用することによって入力データから埋め込みモダリティ表現を生成することを含み、処理は、少なくとも1つの集約ネットワークを使用して埋め込みモダリティ表現を組み合わせることによって臨床予測を生成することを含み、集約ネットワークは、少なくとも1つのアテンション層および/または少なくとも1つのトランスフォーマ層を含み、処理装置は、臨床予測の出力を生成するように構成されている、臨床予測装置。
【0082】
実施例24.臨床予測を実行するための方法であって、方法に関する先行の実施形態のいずれか1つによる方法を実行するように構成された、先行の実施形態による臨床予測装置。
【0083】
図面の簡単な説明
さらなる随意による特徴および実施形態が、好ましくは従属請求項と併せて、実施形態の後続の説明においてさらに詳細に開示される。開示において、それぞれの随意による特徴は、当業者であれば理解できるとおり、独立した様相ならびに任意の実行可能な組み合わせにて実現されてよい。本発明の範囲は、好ましい実施形態によって限定されるわけではない。実施形態は、図中で概略的に示されている。ここで、これらの図における同一の参照番号は、同一または機能的に同等の要素を指す。
【図面の簡単な説明】
【0084】
図1】本発明による方法のワークフローの一実施形態を示している。
図2】各々の患者について3つの選択されたモダリティを有するさらなる例示的なワークフローを示している。
図3】混合グローバルマルチモーダルトランスフォーマに基づく融合セットアップの一例を示している。
図4】視覚エンコーダのアーキテクチャを示している。
図5A】本発明による方法のさらなる例を示している。
図5B】本発明による方法のさらなる例を示している。
図5C】本発明による方法のさらなる例を示している。
図5D】本発明による方法のさらなる例を示している。
【発明を実施するための形態】
【0085】
図1が、本発明による臨床予測を実行するためのコンピュータ実装方法の一般的な上位レベルのワークフローを示している。この実施形態において、ステップi)110は、各々の患者について複数のモダリティを受信することを含む。モダリティは、異なるタイプのモダリティにすることができ、例えば、組織学的組織画像(例えば、H&Eおよび/またはIHCおよび/または蛍光染色スライド画像)、遺伝子配列データ(例えば、RNA-Seq、mRNA)、臨床データ(例えば、腫瘍タイプ、組織タイプ)など、異なる情報を保持することができる。図1に、元の生データを新たなフォーマットに変換することを含む前処理ステップ112が示されている。このステップ112は、随意であり、モダリティのタイプに依存する。例えば、予め訓練された埋め込み器を使用することによって、組織学的タイル画像を異なる空間に投影することが可能である。これは、生データ内の関連情報をキャプチャし、おそらくは訓練プロセスを高速化する役に立つことができる。ステップii)114は、有意義な埋め込みモダリティ表現を得るために、モダリティの各々を訓練可能なデータ埋め込み器に入力することを含んでよい。このステップ114において、出力は、データの性質および選択された実施形態に応じて、モダリティごとのジェネリック患者レベル埋め込み表現、または各々のモダリティについての複数のインスタンス埋め込みのいずれかであり得る。次いで、ステップ116において、これらのすべての出力された埋め込みが、集約ネットワークを使用して組み合わせられる。例えば平均または最大演算子、アテンションネットワーク、トランスフォーマなど、多数の集約の選択肢が存在する。さらに、ステップiii)118が、臨床予測の出力を生成することを含む。
【0086】
図2が、各々の患者について3つの選択されたモダリティ、すなわち組織学的全体スライド画像(WSI)120、遺伝子配列122、および臨床データ124を有する例示的なワークフローを示している。本方法は、各々のデータポイントから埋め込みモダリティ表現を生成することと、モダリティの各々について別々に、生成された埋め込みモダリティ表現を組み合わせることと、組み合わせた埋め込みモダリティ表現から、集約ネットワークを使用して臨床予測を生成することとを含んでよい。この例において、各々のモダリティは、埋め込みモダリティ表現を生成するための一連のステップ126を経る。WSI 120の場合、高解像度のWSIは、典型的にはきわめて大きく、メモリに収めることができないため、本方法は、スライドを非重複パッチにタイル化することを含んでよい。次いで、各々のパッチは、事前に訓練された埋め込み器(例えば、Resnet)を使用して異なる空間に投影される。これらのタイルレベルの埋め込みは、WSIの患者レベルの埋め込みを生成するために、訓練可能な集約ネットワーク(例えば、アテンションMIL)に入力される。遺伝子配列122および臨床データ124の各々は、各々のモダリティについて代表的な患者レベルの埋め込みを生成するために、訓練可能な埋め込み器に渡される。次いで、すべての患者レベルの埋め込みは、全体的な患者レベルの埋め込みおよび最終的な患者予測を生成するために、第2の集約モデル128に渡される。
【0087】
図3が、混合グローバル・マルチモーダル・トランスフォーマに基づく融合セットアップの一例を示している。図3の上部には、使用される構成要素の一般的な例が示されており、下部には、各々の患者について3つの選択されたモダリティ、すなわち組織学的全体スライド画像(WSI)120、遺伝子配列122、および臨床データ124を使用する適用が示されている。モダリティA129(図3の下部のWSI120)は、例えば埋め込み器130などの埋め込み投影、および訓練可能なアテンションネットワーク132を通過して、患者レベル表現134を生成し得る。モダリティB136(図3の下部の臨床データ124)およびC138(図3の下部の遺伝子配列122)は、訓練可能な埋め込み器140、142を通過して、患者レベル表現144、146を生成し得る。次いで、患者レベル表現134、144、146は、グローバル・マルチモーダル・ビジョン・トランスフォーマ148に渡されて、マルチモーダル患者表現150および患者レベル予測152を生成する。
【0088】
図4が、Dosovitskiy,A.,Beyer,L.,Kolesnikov,A.,Weissenborn,D.,Zhai,X.,Unterthiner,T.,…&Houlsby,N.(2020).An image is worth 16x16 words:Transformers for image recognition at scale.arXiv preprint arXiv:2010.11929に記載のとおりのトランスフォーマエンコーダのアーキテクチャを示している。
【0089】
図5A図5Dが、3つのモダリティについての本発明による方法のさらなる例を示している。
【0090】
図5Aは、受信したモダリティA129、モダリティB136、およびモダリティC138を示している。モダリティA129、モダリティB136、およびモダリティC138の各々は、各々のモダリティについてのモダリティ表現134、144、146を生成するために、埋め込み器130、140、142および訓練可能なアテンションネットワーク132、154、156を通過し得る。次いで、モダリティ表現134、144、146は、マルチモーダル患者表現150および患者レベル予測を生成するために、グローバルマルチモダリティ埋め込み器158およびグローバル・モダリティ・アテンション・ネットワーク160に渡される。
【0091】
図5Bは、受信したモダリティA129、モダリティB136、およびモダリティC138を示している。モダリティA129、モダリティB136、およびモダリティC138の各々は、各々のモダリティについてのモダリティ表現134、144、146を生成するために、埋め込み器130、140、142および訓練可能なアテンションネットワーク132、154、156を通過し得る。次いで、モダリティ表現134、144、146は、マルチモーダル患者表現150および患者レベル予測を生成するために、グローバル・マルチモーダル・トランスフォーマ162に渡される。
【0092】
図5Cは、受信したモダリティA129、モダリティB136、およびモダリティC138を示している。モダリティA129、モダリティB136、およびモダリティC138の各々は、各々のモダリティについてのモダリティ表現134、144、146を生成するために、埋め込み器130、140、142を通過し得る。次いで、モダリティ表現134、144、146は、マルチモーダル患者表現150および患者レベル予測を生成するために、グローバル・マルチモーダル・トランスフォーマ162に渡される。
【0093】
図5Dは、受信したモダリティA129、モダリティB136、およびモダリティC138を示している。モダリティA129、モダリティB136、およびモダリティC138の各々は、各々のモダリティについてのモダリティ表現134、144、146を生成するために、埋め込み器130、140、142を通過し得る。次いで、モダリティ表現134、144、146は、マルチモーダル患者表現150および患者レベル予測を生成するために、グローバルマルチモダリティ埋め込み器158およびグローバル・モダリティ・アテンション・ネットワーク160に渡される。
【0094】
図5A図5Dに高度に概略的に示されるように、入力データは、処理装置166の少なくとも1つの通信インターフェース164を介して受信される。処理装置166は、入力データを処理するように構成される。臨床予測を、例えば処理装置166の出力インターフェース168、あるいはディスプレイおよび/またはプリンタなどのさらなる装置を介して提供し得る。図5A図5Dには、通信インターフェース164および処理装置166を備える臨床予測装置170の一実施形態がさらに示されている。臨床予測装置170は、出力インターフェース168をさらに備えてよい。
【符号の説明】
【0095】
110 ステップi)
112 前処理ステップ
114 ステップii)
116 組み合わせ
118 ステップiii)
120 全体スライド画像
122 遺伝子配列
124 臨床データ
126 埋め込みモダリティ表現を生成するためのステップ
126 グローバル患者レベル埋め込みおよび予測の生成
128 集約モデル
129 モダリティA
130 埋め込器
132 訓練可能なアテンションネットワーク
134 モダリティ(患者レベル)表現
136 モダリティB
138 モダリティC
140 埋め込器
142 埋め込器
144 モダリティ(患者レベル)表現
146 モダリティ(患者レベル)表現
148 グローバル・マルチモーダル・ビジョン・トランスフォーマ
150 マルチモーダル患者表現
152 患者レベル予測
154 アテンションネットワーク
156 アテンションネットワーク
158 グローバルマルチモダリティ埋め込器
160 グローバル・モダリティ・アテンション・ネットワーク
162 グローバル・マルチモーダル・トランスフォーマ
164 通信インターフェース
166 処理装置
168 出力インターフェース
170 臨床予測装置
図1
図2
図3
図4
図5A
図5B
図5C
図5D
【国際調査報告】