(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-12-24
(54)【発明の名称】マウスピースを備えたコミュニケーション装置
(51)【国際特許分類】
H04R 1/44 20060101AFI20241217BHJP
B63C 11/26 20060101ALI20241217BHJP
H04B 11/00 20060101ALI20241217BHJP
【FI】
H04R1/44 320
B63C11/26
H04B11/00 D
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024527621
(86)(22)【出願日】2022-11-10
(85)【翻訳文提出日】2024-07-08
(86)【国際出願番号】 EP2022081448
(87)【国際公開番号】W WO2023083952
(87)【国際公開日】2023-05-19
(32)【優先日】2021-11-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】524175859
【氏名又は名称】52 ハーツ
【氏名又は名称原語表記】52 HERTZ
(74)【代理人】
【識別番号】100103894
【氏名又は名称】家入 健
(72)【発明者】
【氏名】ゲルシュ ジョナス
(72)【発明者】
【氏名】ゲルシュ ガブリエル
(72)【発明者】
【氏名】ド クリグニス ディラン
(57)【要約】
本発明は、使用者によって噛まれるように構成された音伝導プレート(20)と、音声入力を音響出力に変換するように構成された振動素子(3)とを備えた、対象者の口に装着するように構成されたマウスピース(1)を備えたコミュニケーション装置に関し、振動素子(3)は、音響出力を音伝導プレート(20)に伝達するように、音伝導プレート(20)に接続される。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象者の口に装着するように構成されたマウスピース(1)を備えたコミュニケーション装置であって、
使用者によって噛まれるように構成された音伝導プレート(20)と、
音声入力を音響出力に変換するように構成された振動素子(3)とを備え、
前記振動素子(3)は、前記音響出力を前記音伝導プレート(20)に伝達するように、前記音伝導プレート(20)に接続された、
コミュニケーション装置。
【請求項2】
前記対象者によって咬まれるように構成された音伝導プレート(20)は、複数の突起(21)を備えており、
前記音伝導プレート(20)は、弾性コーティングを備え、
前記突起(21)の頂部における弾性コーティングの厚さは、2つの突起(21)の間の弾性コーティングの厚さよりも小さい、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記振動素子(3)は、振動方向(A)に振動するように構成され、
前記振動素子は、
前記振動方向(A)の前記振動素子(3)の振動を前記音伝導プレート(20)に伝達するように構成された第1の停止壁(31)と、
前記第1の壁に実質的に平行な第2の壁(32)との間に収容され、
前記コミュニケーション装置は、前記振動素子と前記第2の壁(32)との間に、吸収性材料層(33)を備えることを特徴とする、請求項1又は2に記載の装置。
【請求項4】
前記マウスピース(1)は、レギュレータのマウスピースであり、
前記マウスピースはさらに、前記対象者の音声を取得するためのマイクロホン(5)を備えることを特徴とする、請求項1~3のいずれか1項に記載の装置。
【請求項5】
前記レギュレータのマウスピース(1)はさらに、
前記使用者の唇を入れるための唇部(42)と、
前記唇部(42)の中を通って空気を通すための2つの管(61,62)とを備え、
前記唇部(42)は、2つの通気管(61,62)の間に凹部(42)を備える、請求項4に記載の装置。
【請求項6】
前記マイクロホン(5)は、2つの管(61,62)の開口部の間に配置される、請求項5に記載の装置。
【請求項7】
前記使用者の唇を入れるための唇部(42)と、
前記唇部(42)の中を通って空気を通すための管(6)であって、前記唇部(42)の壁によって少なくとも部分的に形成された管とをさらに備え、
前記唇部(42)は、
前記唇部の前記壁(421)が、通気管(6)による通気を可能にするように前記唇部の対向する壁が接触していない第1の構成と、前記唇部の対向する壁が接触している第2の構成に変形可能であり、
前記唇部の壁(421)の外面が静止時に凹形状となうように、
設計された、請求項1~6のいずれか1項に記載の装置。
【請求項8】
前記装置は、
レギュレータに接続されるように構成された第1の部分(23)と、
前記音伝導プレート(20)に接続された第2の部分(27)と、
フレームの前記第1の部分(23)から前記第2の部分(27)に延在する少なくとも1つの剛性の横方向の接続アーム(24)と
を備えたフレームを備え、
前記唇壁(421)は、前記横方向の接続アーム(24)を覆うことにより、前記フレームの前記第1の部分(23)から前記第2の部分(27)に延在することを特徴とする、請求項7に記載の装置。
【請求項9】
前記第1の部分(23)及び前記第2の部分(27)は、それぞれ環状部を備えており、前記環状部から前記唇壁(421)が延在する、請求項8に記載の装置。
【請求項10】
前記唇壁は、前記通気管を通過する空気の流れに適応するように変形するように設計された、請求項7~9のいずれか1項に記載の装置。
【請求項11】
前記唇部は、それぞれが前記使用者の唇に接触するように構成された2つの対向する唇壁を備える、請求項7~10のいずれか1項に記載の装置。
【請求項12】
前記マイクロホン(5)は、前記マウスピースの弾性コーティングと少なくとも部分的に一体化される、請求項4に記載の装置。
【請求項13】
電気リボンケーブル(28)によって前記振動素子及び/又は前記マイクロホンに電気的に接続された信号伝送手段をさらに備え、
前記電気リボンケーブルは、前記音伝導プレートを備えたフレームに接着され、弾性コーティングを用いてオーバーモールディングすることによって覆われたている、請求項4に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水中のコミュニケーションに適したマウスピース、特にダイビングレギュレータ用のマウスピースに関する。
【背景技術】
【0002】
水中環境は、空気よりも波の伝導性が低いため、2人のダイバーの間のコミュニケーションが困難である。
【0003】
米国特許出願公開第2012/0213034号及び米国特許第5,706,251A号明細書には、口に装着されるレギュレータのマウスピース用のマウスピースが記載されており、マイクロホンと、音伝導プレートを振動させて使用者の歯を介して信号を通過させる骨伝導イヤーピースとを備えている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
この種の装置の第1の課題は、音響信号の骨伝導が最適でないことである。第2の課題は、マウスピースの唇部が、使用者の唇の十分な動きを妨げるため、取得された信号がほとんど理解できないことである。
【0005】
本発明は、従来技術の上述した課題を解決するマウスピースを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
発明の概要
一態様によれば、本発明は、使用者によって噛まれるように構成された音伝導プレートと、音声入力を音響出力に変換するように構成された振動素子とを備えた、対象者の口に装着するように構成されたマウスピースを備えたコミュニケーション装置に関し、振動素子は、音響出力を音伝導プレートに伝えるように、音伝導プレートに接続される。
【0007】
その利点は、ダイバーの歯を介して音響信号を伝えて、骨伝導イヤーピースを形成することである。
【0008】
一実施形態では、対象者によって噛まれるように構成された音伝導プレートは、複数の突起を含む。その利点は、プレートの突起が歯の上部の溝を埋めることである。
【0009】
一実施形態では、音伝導プレートは、弾性コーティングを備えており、突起の頂部における弾性コーティングの厚さは、2つの突起の間の弾性コーティングの厚さよりも小さい。利点の1つは、骨伝導と使用者の快適性との間の理想的な妥協点を提供することである。
【0010】
一実施形態では、振動素子は、一方向に振動するように構成され、振動素子は、この方向において振動素子の振動を音伝導プレートに伝えるように構成された少なくとも1つ又は少なくとも2つの停止壁の間に収容される。振動方向は、音伝導プレートの平面に実質的に平行であることが好ましい。利点は、音伝導プレートへの振動素子の衝撃を回避しつつ、ダイバーの歯への音響信号の伝達を改善することである。
【0011】
別の代替例では、振動方向は、音伝導プレートの平面に実質的に垂直であることが好ましい。
【0012】
一実施形態では、振動素子は、
-この振動方向において振動素子の振動を音伝導プレートに伝えるように構成された第1の停止壁と、
-この第1の停止壁に実質的に平行な第2の壁との間に収容され、
この装置は、振動素子と第2の壁との間に吸収性材料の層を備えることを特徴とする。
【0013】
一実施形態では、マウスピースは、レギュレータのマウスピースであり、対象者の声を取得するためのマイクロホンを含む。
【0014】
一実施形態では、レギュレータのマウスピースは、使用者の唇を入れるための唇部を備え、唇部を貫通する2つの通気管と、2つの通気管の間の唇部の凹部を有する。
【0015】
利点の1つは、唇部の実質的に中央に凹部を設けて、唇の動きの自由度を向上させ、これにより、受信された信号の明瞭度を向上させることである。
【0016】
一実施形態では、マイクロホンは、2つの管の開口部の間に配置される。
【0017】
一実施形態では、レギュレータのマウスピースはさらに、使用者の唇を受けるための唇部と、唇部の中を通って空気を通過させ、少なくとも部分的に唇部の壁によって形成される管とを備える。
【0018】
一実施形態では、装置の唇部は、唇部の壁が、
-空気が通気管6を通過できるように、唇部の対向する壁が接触していない第1の構成と、
-唇部の対向する壁が接触している第2の構成に変形できるように設計される。
【0019】
一実施形態では、唇壁の外面は、静止時に凹形状である。
【0020】
凹形状を有する変形可能な唇壁の利点は、使用者が唇を閉じるために加える力を低減することである。したがって、使用者の理解度及び快適性が促進される。
【0021】
一実施形態では、装置は、
-レギュレータに接続されるように構成された第1の部分と、
-音伝導プレートに接続された第2の部分と、
-フレームの第1の部分から第2の部分に延在する少なくとも1つの剛性の横方向の接続アームと
を備えたフレームを備える。
【0022】
一実施形態では、唇壁は、横方向の接続アームを覆うことによってフレームの第1の部分から第2の部分に延在する。
【0023】
一実施形態では、第1の部分及び第2の部分はそれぞれ、環状部を備え、そこから唇壁が延在する。
【0024】
一実施形態では、唇壁は、通気管を通過する空気の流れに適応するように変形されるように構成される。
【0025】
一実施形態では、唇部は、それぞれが使用者の唇に接触するように構成された2つの対向する唇壁を含む。
【0026】
一実施形態では、マイクロホンは、マウスピースの弾性コーティングと少なくとも部分的に一体化される。
【0027】
一実施形態では、マウスピースはさらに、電子ケーブル又は電子リボンケーブル等の、振動素子及び/又はマイクロホンに接続された信号伝送手段を備える。この伝送手段は、マウスピースの弾性コーティングと少なくとも部分的に一体化できる。
【0028】
一実施形態では、装置はさらに、電気リボンケーブルによって振動素子及び/又はマイクロホンに電気的に接続された信号伝送手段を備え、電気リボンケーブルは、音伝導プレートを備えるフレームに接着され、弾性コーティングを用いてオーバーモールディングによって覆われる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【
図1】使用者の口に配置されるように設計されたレギュレータのマウスピースのフレームの斜視図である。
【
図2】本発明の第2の実施形態に係るマウスピースの斜視図である。
【
図3】本発明の第2の実施形態に係るマウスピースの斜視図である。
【
図4】本発明の第3の実施形態に係る装置の斜視図である。
【
図6】音伝導プレートの表面に垂直な面に沿ったマウスピースの断面を表す図である。
【
図7】音伝導プレートの表面に垂直な面に沿ったマウスピースの断面を表す図である。
【
図8A】音伝導プレートの表面に垂直な面に沿ったマウスピースの断面を表す図である。
【
図8B】音伝導プレートの表面に垂直な面に沿ったマウスピースの断面を表す図である。
【
図9】別の実施形態に係るマウスピースの断面図を示す図である。
【
図11】信号伝送手段を備えたマウスピースを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
本発明の実施形態について、使用者の口に配置されるように設計されたレギュレータのマウスピースのフレームの斜視図である
図1を参照して、以下に説明する。明確にするために、弾性コーティングは、この図には示されていない。
【0031】
フレーム
マウスピース1は、フレーム2を含む。
【0032】
フレーム2は、好ましくは、弾性コーティング(図示せず)を含む。弾性コーティングは、使用者の快適性を有利に向上させる。弾性コーティングは、フレームをオーバーモールドすることによって得られることが好ましい。
【0033】
フレームは、ダイビングのレギュレータ等の機器と協働するように設計された第1の接続部分6を含む。この第1の部分6は、環状形状を有することが好ましい。
【0034】
フレームはまた、使用者によって噛まれるように設計された、少なくとも1つ、好適には2つの音伝導プレート20を備える。
【0035】
フレームの第1の部分6は、少なくとも1つのサイドアーム24に機械的に接続される。この接続は、口の中の部品(第2の部分)とレギュレータに接続された部品(第1の部分)との間のマウスピースの剛性を確保するため有利である。
【0036】
マウスピース1は、唇部42を備える。唇部42は、使用時に、使用者の唇で覆われるように構成される。この唇部42は、通気を可能にする管6を、唇部の両側に備える。この管6は、使用時に、レギュレータのチャネルから対象者の口へ空気が通過するのを可能にするため有利である。唇部42は、使用者の唇によって外部環境と通気管6との間をしっかりと密閉することができる。
【0037】
唇部は、フレームの第1の部分23と音伝導プレート20との間に配置されることが好ましい。
【0038】
唇部42は、音伝導プレート20を含む呼吸領域と接続手段43との間に延在する。接続手段43は、マウスピースがダイビングレギュレータと協働可能であるため有利である。接続手段43は、その壁が剛性を有する管状形状であることが好適である。
【0039】
図1に示すように、接続手段は、フレーム2と共に、単一の部品を形成し、1つのアーム24又は2つのアーム24によって互いに接続可能である。
【0040】
図10に示すように、フレームは、通気を可能にする管6の入口を画定する第2の環状部27を備えてもよい。そして、唇部は、第1の部分6と第2の部分27との間に画定される。
【0041】
フレームは、2つのアーム24の間に、接続バー25を備えてもよい。
図1に示す実施形態では、この接続バーは、マイクロホン5を受けるための位置を含む。
【0042】
図10に示す別の代替的な実施形態では、フレームは、音伝導プレート20の一方側方に配置されたマイクロホンを受けるための位置51を含む。
【0043】
コーティングは、フレーム2のオーバーモールディングを含むことができる。特に、オーバーモールディングされたコーティングは、使用者の歯と唇の間に配置されるように構成された唇壁41を含むことができる。
【0044】
マウスピース1は、スロット26を含むことができる。スロット26は、接続手段43に沿って延在することができる。スロット26は、例えば、異なるモデルのレギュレータと協働できるように、接続手段43の部分を変形できるため有利である。
【0045】
したがって、通気管6は、唇部42及び接続手段43を通って延在する。
【0046】
フレーム2は、少なくとも1つの音伝導プレート20を備える。音伝導プレート20は、マウスピース1を装着した使用者によって噛まれるように配置される。
【0047】
振動素子
マウスピース1は、トランスデューサ型の振動素子をさらに備える。振動素子は、振動素子の振動を音伝導プレートに伝えるように、音伝導プレートに接続される。
【0048】
振動素子3は、音声入力を音響出力に変換し、ダイバーの上歯及び/又は下歯に音響的に接続され、ダイバーが、マウスピースを口に装着したときに、ダイバーの上歯からの音響出力を、頭蓋骨を介して伝達し、頭蓋骨及び顎骨を介してダイバーの内耳まで音響信号を伝達するように、構成される。
【0049】
使用者との骨伝導
音伝導プレート20は、使用者の上歯に音響的に接続され、ダイバーの上歯の音響出力を、頭蓋骨を介して蝸牛に伝達し、ダイバーがマウスピース1を装着したときに、ダイバーの内耳の少なくとも一方において可聴音を生成するように、設計及び配置される。
【0050】
音伝導プレート20は、ダイバーの歯の表面に音響的に係合して接続するように構成され、また、電気信号に応じて振動素子3の振動を伝導するように構成される。振動素子3の振動は、音響出力信号を生成し、この信号は、音伝導プレートを介してダイバーの歯に音響的に伝達され、次いで、ダイバーの顎及び頭蓋骨を介して、蝸牛を含む内耳に伝達され、ここで音として知覚される。
【0051】
音伝導プレート20の材料は、セラミック、金属若しくは金属合金、又は弾性ポリマー等のポリマー材料を含み得る。音伝導プレートは、プランジャーの1以上の歯との音響的な接続を可能にするサイズ及び形状とすることができる。
【0052】
特定の実施形態では、音伝導プレート20は、ダイバーの歯列弓の湾曲に部分的に対応する湾曲した水平形状を有することができ、音伝導プレート20と歯との接触を容易にする。
【0053】
音伝導プレート20はまた、プランジャーの歯との音響的な接続及び伝導を改善するように構成された1以上の突起又はパッド、又は他の突起形状21を備え得る。特定の実施形態では、突起又はスタッド21は、プランジャーの歯の中央の凹部と接触するように配置することができる。
【0054】
音伝導プレート20は、使用者の快適性を向上させるために弾性材料のコーティングを備えることが好ましい。
【0055】
パッド21の頂部における、このコーティングの厚さは、2つのパッド21の間のコーティングの厚さよりも小さいことが好ましい。
【0056】
コーティング層610の異なる厚さ形状が、音伝導プレート620の表面に垂直な面に沿ったマウスピース1の断面を表す
図6~
図8Bに示されている。これらの図は、パッド又は突起621を備えた音伝導プレート620のフレームを示す。コーティング層は、弾性材料を含むことが好ましい。音伝導プレート620は、2つのパッド621の間に、平らな部分622又は実質的に平らな部分を備えることが好ましい。
【0057】
図に示すパッド621は、凹形状を有する。パッドの形状は、音伝導プレート620の表面622から突出する、球形若しくは半球形、円筒形又は長方形とし得る。この球形又は凹形状は、歯の溝と協同可能であるため有利である。
【0058】
図6に示す第1の実施形態では、コーティング層は、音伝導プレート620の表面622と接触するコーティング612の厚さよりも小さい、パッド621と接触するコーティング611の厚さ有する。
【0059】
パッド621と接触するコーティング611の厚さは、2つのパッド621の間の表面622と接触するコーティング612の厚さよりも2から10倍小さくすることが好ましい。
【0060】
この第1の実施形態では、コーティング層610の外側面は、パッド621のレベルで湾曲している。
【0061】
この形状の利点の1つは、振動素子からの信号の骨伝導の質と、使用者の口腔内の快適さとの良好な妥協点を見出すことである。
【0062】
図7に示す第2の実施形態では、パッド621の頂部723は、コーティング層610から突出している。したがって、パッド621の頂部723を含む領域におけるコーティング層の厚さは0である。
【0063】
コーティング層610の厚さは、パッド621の頂部723のレベルに向かって減少して0になる。
【0064】
この例では、コーティング層610は、音伝導プレート620のパッド621が突出する平らな表面又は実質的に平らな表面を形成することが好ましい。
【0065】
この実施形態の利点の1つは、骨伝導の質を最適化することである。
【0066】
図8Aに示す第3の実施形態では、パッド621の頂部823は、コーティング層610の表面と同一平面上にある。そして、パッドの頂部におけるコーティング層610の厚さは、0又は実質的に0である。2つのパッド621の間のコーティング層812の厚さは、パッド621の高さに等しいか、又は実質的に等しいことが好ましい。図示しない別の代替例では、2つのパッドの間のコーティング層の厚さは、パッド823の頂部の高さよりも小さい。
【0067】
図8Bに示す第4の実施形態では、コーティング層610は、平坦又は実質的に平らな表面を有し、コーティング層の厚さは、パッド923の頂部より上であり、2つのパッド912の間のコーティング層の厚さよりも小さい。
【0068】
この第3の実施形態の利点の1つは、音伝導プレート620と使用者の歯との間の骨伝導の質と使用者の快適さとのより良い妥協点を得ることであり、この場合、骨伝導の質が優先される。
【0069】
コーティング層は、弾性材料を含む。ここで、「弾性」という用語は、音伝導プレートの剛性と対照的に理解されなければならない。言い換えれば、コーティング層の材料のヤング率は、音伝導プレートの材料のヤング率よりも低い。
【0070】
コーティング層は、ポリジメチルシロキサン(頭字語「PDMS」として知られる)等、ポリシロキサンとしても知られるシリコーンプラスチック材料、又はその誘導体を含むことが好ましい。代替的に、コーティング層は、ポリウレタン等の熱可塑性エラストマーに基づく材料を含む。このような材料は、生体適合性があり、オーバーモールディングにおける使用が容易であるため、有利である。
【0071】
フレームは、振動素子によって生じる信号の伝導を可能にする硬質のプラスチック材料を含む。
【0072】
フレームは、ポリプロピレン(「PP」)、アクリロニトリルブタジエンスチレン(「ABS」)又はそれらの誘導体の1つで構成されることが好ましい。これら2つの材料は、シリコーン材料に基づくコーティング層との化学的な接着を作り出すことができるため有利である。化学的な接着は、補強材とコーティング層との間の密着を高めることができる。特に、熱可塑性のエラストマーに基づく材料は、フレームのPP又はABSとの化学的な接着を作り出すために選択される。
【0073】
一実施形態では、補強材の硬度は、ショアA10から30である。
【0074】
一実施形態では、振動素子3は、振動方向Aに振動するように配置される。そして、振動素子3は、振動方向Aの少なくとも2つの壁31の間に収容され、振動素子の振動を音伝導プレート20に伝達することができる。
図1及び
図2に示すように、振動方向Aは、音伝導プレート20の平面に実質的に平行であることが好ましい。
【0075】
図5に示す一実施形態では、振動素子は、振動方向Aに、停止壁31と第2の壁32の間に収容される。この方式では、装置は、振動素子3と第2の壁32の間に配置される吸収性材料33の層を含む。吸収性材料33は、振動素子3と第2の壁との間の衝撃を吸収するように設計される。
【0076】
吸収性材料は、例えば、発泡体又はエラストマーを含む。
【0077】
振動素子3が振動すると、振動素子3は停止壁31に接触して、振動素子3から音伝導プレートに振動を伝える。
【0078】
吸収性材料層33の利点は、振動素子3と、第2の壁32を介した音伝導プレート20との間の振動の伝達を低減することである。吸収性材料層は、振動素子が壁に直接接触しながら振動して音伝導プレートに振動を伝えるのに十分な隙間を有する空間を提供することが有利である。したがって、吸収材料は、振動素子が壁に対して少なくとも1自由度と得る。また、吸収材料は、振動素子が静止しているときに、当該材料が当接壁と接触したままにすることができる。
【0079】
さらに、吸収材料は、停止壁31と第2の壁32によって音伝導プレートに伝達される複数の振動における位相シフト効果を低減するため有利である。
【0080】
他の利点は、従来技術よりも簡単で、信頼性が高く、安価な方法で、停止壁31に向かう復元力と、2つの壁の間の移動を作り出すことである。
【0081】
別の実施形態では、振動方向Aは、音伝導プレート20の平面に対して垂直でもよい。
【0082】
マイクロホン
マウスピース1はさらに、マイクロホン5を備える。マイクロホン5は、ダイバーの音声に基づいて電気信号を生成することができる。マイクロホン5は、フレーム2の弾性コーティングと少なくとも部分的に一体化でき、また、マイクロホンのセンサの前に配置された少なくとも1つの保護壁によって保護できる。保護壁は、フレームのオーバーモールディングの段階においてマイクロホンをコーティングと一体化する難しさを軽減できるため有利である。保護壁は、オーバーモールディングからセンサを保護する。一実施形態では、マイクロホン、又は少なくともその検出面は、保護層に埋め込まれる。フレームが弾性材料でオーバーモールディングされてコーティング層を形成するときに、保護層は、マイクロホンの検出面を保護し、当該検出面に穴が空くのを防ぐため有利である。
【0083】
マイクロホンは、フレームの収容部51内に収容され、この収容部は、フレームのオーバーモールディングの際に、マイクロホンの検出面を保護する少なくとも1つの面を備えること好ましい。
【0084】
マウスピース1はさらに、マイクロホン5及び/又は振動素子3に接続された信号伝送手段を備えることができる。この伝送手段は、電子ケーブル及び/又はリボンケーブルを含むことができる。これらの伝送手段は、フレームの弾性コーティングと少なくとも部分的に一体化できる。
【0085】
一実施形態では、この伝送手段は、リボンケーブルを備える。
図10に示す実施形態では、リボンケーブル28は、マイクロホン5に電気的に接続される。リボンケーブルはまた、少なくとも振動素子3に接続される。リボンケーブルはまた、遠隔通信装置70に接続される。例えば、リボンケーブルは、リボンケーブル28を遠隔通信装置70に電気的に接続する電気ケーブルに接続することができる。
【0086】
リボンケーブルは、コーティング層によって被覆される前に、オーバーモールディング工程中にフレームと同時にフレームに配置されるように設計される。リボンケーブルは、接着剤等の接着層によってフレームに固定されることが好ましい。リボンケーブルは、接着面を備えることが非常に好ましい。接着面は、保護フィルムで覆うことができる。組み立てるために、保護フィルムが除去され、リボンケーブルの接着面がフレームに対して維持されながら、リボンケーブルがフレームに接着される。最終段階では、リボンケーブルを備えるフレームは、コーティング層によってオーバーモールディングされる。このような製造過程は、より速く、より信頼性が高く、より安価であるため有利である。
【0087】
図10に示すように、リボンケーブルは、フレームの第1の部分23を少なくとも部分的に取り囲み、フレームのアーム24に沿って、音伝導プレート20のレベルに配置された、マイクロホン及び/又は振動素子まで延在する幾何学的形状を有する。
【0088】
遠隔通信装置70は、特に海洋環境において、信号を送信及び/又は受信可能な任意の装置を含むことができる。遠隔通信装置70は、限定ではなく、音響通信、無線通信、Bluetooth、Wi-Fi装置を含み得る。
【0089】
通気管
図2及び
図3を参照して、本発明の第2の実施形態について以下に説明する。
【0090】
図2は、本発明の第2の実施形態に係るマウスピースの斜視図であり、本図では、明確にするために、コーティングが示されていない。
【0091】
図3は、本発明の第2の実施形態に係るマウスピースの斜視図であり、本図では、コーティングが示されている。
【0092】
本発明の第2の実施形態に係るマウスピース1は、第1の実施形態のマウスピースと同様である。しかしながら、唇部42は、2つだけではなく、2つの通気管(61及び62)を含む。さらに、唇部42は、2つの管61及び62の間に凹部63を含む。この凹部63により、ダイバーの唇の自由度が大きくなり、マイクロホンで録音される音声の明瞭度が向上するという利点がある。凹部63は、貫通していてもよく、換言すると、2つの管の間の凹部63が、唇部42の他方の側に開口する。この実施形態では、マウスピースは、ダイバーの下唇と上唇との間の接触を可能にし、マウスピースのマイクロホン5によって記録される音声の明瞭度をさらに高めるため有利である。
【0093】
凹部は、マウスピース1を装着した使用者の唇の中心に面するように配置されることが好ましい。
【0094】
図4に示す別の実施形態では、マウスピース1は、単一の通気管6を含み、唇部ストップ43と接続手段43との間の唇部42は、変形可能な部分を有する。
【0095】
変形可能な唇部
図4は、本発明の第3の実施形態に係る装置の斜視図である。
【0096】
この方式では、唇部の変形可能な部分は、通気管6による通気を可能にするように唇部の対向する壁が接触していない第1の構成と、唇部の対向する唇壁421が接触している第2の構成において、唇部42の唇壁421の移動を可能にする。
【0097】
第1の構成は、対象者が息を吸うとき又は吐くときに唇部の壁を反対方向に押す、管を通る空気の圧力によって得られる。
【0098】
第2の構成は、対向する2つの壁が接触するまでの、特に唇部の両側の唇壁421における唇の圧力によって得られる。
【0099】
唇部は、これらの口唇壁421の弾性変形によって第1と第2との間の通路を実現にするように設計されている。
【0100】
この変形により、ダイバーの唇に、より多くの自由度を与え、これにより、マイクロホンによって記録される音声の明瞭度を向上させるため、有利である。この実施形態では、マウスピースは、ダイバーの下唇と上唇との間の間接的な接触を可能にし、マウスピースのマイクロホン5によって記録される音声の明瞭度をさらに向上させるため有利である。
【0101】
図9は、別の実施形態に係るマウスピースの断面図を示す。
【0102】
この実施形態では、唇壁は、フレームの第1の部分23からフレームの第2の部分27まで延在しており、これにより、通気を可能にする管6を形成する。第1の部分23及び第2の部分27は、環状部又は管状部を含み、唇壁は、双方の部分(第1の部分及び第2の部分)の当該環状部から延在することが好ましい。
【0103】
複数の唇壁421は、横方向のアームの周りに配置されることが好ましい(これにより、横方向のアームは、可撓性の唇壁に対する機械的な支持部として機能する)。
【0104】
唇壁421は、マウスピースの外側に凹形状を有することが好ましくい。換言すると、2つの唇壁の間の空間は、フレームの第1の部分23及び第2の部分から屈曲点(例えば、第1の部分と第2の部分との間のセグメントの中央)まで、減少又は厳密に減少する形状を有する。
【0105】
この形状を実現するために、各唇壁の長さは、第1の部分と第2の部分との間の距離よりも大きい。これは、使用者が、適用される力を低減して唇部を変形できるため有利である。壁の移動の一部は、壁が弾性変形することなく行われる。
【0106】
このような形状の実現を可能にする唇部壁は、成形によって製造できる。
【0107】
上述したフレームは、
図12に示す成形システムに配置される。
【0108】
成形システムは、フレームの第1の部分23と第2の部分27との間で熱弾性プラスチック材料を成形するように設計される。上述のフレームは、このフレームを受けるように設計された2つの主型121及び122の間に配置される。
【0109】
互いに一体化されていない2つの追加の成形片123及び124が、一方が他方に対向するフレームの2つの部分23、27の間に挿入され、通気用の管を形成する。
【0110】
これら2つの追加の成形部品123,124は、互いに接触して、フレームの第1の部分23からフレームの第2の部分27まで、2つの凹面を形成することが好ましい。これらの凹面は、プラスチック射出により、主型121及び122の相補的な表面と協働して唇壁421を形成する。
【0111】
通気管内の2つの追加の金型123,124は、通気管の一方側から各追加の金型を取り外すことができるように、一体化されていない。
【0112】
追加の型は、管部分の高さが最も低い点で互いに接触することが好ましい。
【0113】
これにより、射出後に通気管の他方側から各型を取り除くことができるため有利である。
【0114】
本発明は、上述したマウスピースの製造方法を保護することを目的とする。
【0115】
本発明はまた、対象者の口に挿入されるように構成された任意のタイプのコミュニケーション装置に関する。マウスピースは、スキューバのレギュレータのマウスピースのみに限定されるべきではない。例えば、本発明に係るコミュニケーション装置のマウスピースは、マウスガードに関することができる。
【国際調査報告】