(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-12-24
(54)【発明の名称】呼吸可能な空気を環境に安定的に供給するためのサバイバル装置
(51)【国際特許分類】
A62B 33/00 20060101AFI20241217BHJP
【FI】
A62B33/00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024527710
(86)(22)【出願日】2022-11-09
(85)【翻訳文提出日】2024-07-10
(86)【国際出願番号】 NO2022050254
(87)【国際公開番号】W WO2023085947
(87)【国際公開日】2023-05-19
(32)【優先日】2021-11-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】NO
(32)【優先日】2022-02-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】NO
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】520164714
【氏名又は名称】セーフバック アー・エス
【氏名又は名称原語表記】Safeback AS
【住所又は居所原語表記】Lars Hilles gate 30, 5008 Bergen, Norway
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】トア ベルゲ
(72)【発明者】
【氏名】シグムンド アンドレアセン
(72)【発明者】
【氏名】アンドレ ミェルフス
【テーマコード(参考)】
2E185
【Fターム(参考)】
2E185BA02
2E185CA03
2E185CB07
2E185CB09
(57)【要約】
本開示は、呼吸可能な空気を環境に安定的に供給するためのサバイバル装置(10,20,30,40,60)に関し、このサバイバル装置は、ハウジング(131)であって、少なくとも1つの入口(4,83,120,132)、少なくとも1つのポンプ/ファン(3,85,170,171)、少なくとも1つの電力リソース(5,121,150)、コントローラ(6,182)を備えているハウジング(131)を備えていることを特徴とし、サバイバル装置(10,20,30,40,60)は、少なくとも1つの出口(1,80,134)をさらに備えており、少なくとも1つの入口(4,83,120,132)がポンプ/ファン(3,85,170,171)の入口に接続されており、少なくとも1つの出口(1,80,134)が、剛性のフォームファクタを有している給気管(7’’,89,133)を介して少なくとも1つのポンプ/ファン(3,85,170,171)の出口に接続されており、出口(1,80,134)は、出口(1,80,13)の安定した柔軟なフォームファクタを提供する内部補強要素(144)をさらに備えている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
呼吸可能な空気を環境に安定的に供給するためのサバイバル装置(10,20,30,40,60)であって、
前記サバイバル装置(10,20,30,40,60)は、ハウジング(131)を備え、
前記ハウジング(131)は、
少なくとも1つの入口(4,83,120,132)と、
少なくとも1つのポンプ/ファン(3,85,170,171)と、
少なくとも1つの電力リソース(5,121,150)と、
コントローラ(6,182)と、
を備えており、
前記サバイバル装置(10,20,30,40,60)は、少なくとも1つの出口(1,80,134)をさらに備えており、
前記少なくとも1つの入口(4,83,120,132)は、ポンプ/ファン(3,85,170,171)の入口に接続されており、
前記少なくとも1つの出口(1,80,134)は、剛性のフォームファクタを有している給気管(7’’,89,133)を介して前記少なくとも1つのポンプ/ファン(3,85,170,171)の出口に接続されており、前記出口(1,80,134)は、前記出口(1,80,13)の安定した柔軟なフォームファクタを提供する内部補強要素(144)をさらに備えている、
サバイバル装置(10,20,30,40,60)。
【請求項2】
前記少なくとも1つの出口(1,80,134)は、自身の外端部に配置されている、使用者の顔の領域に近い位置に固定的に前記少なくとも1つの出口(1,80,134)を配置するための取り付け手段(135)をさらに備えている、
請求項1記載のサバイバル装置(10,20,30,40,60)。
【請求項3】
前記取り付け手段(135)は、ハーネス/ストラップの周囲に配置するための把持コネクタ(145)を備えている、
請求項2記載のサバイバル装置(10,20,30,40,60)。
【請求項4】
前記サバイバル装置(10,20,30,40,60)は、利用可能な/選択された動作モードで前記ポンプ/ファン(3,85,170,171)を作動させる作動ユニット(181,11)をさらに備えている、
請求項1から3までのいずれか1項記載のサバイバル装置(10,20,30,40,60)。
【請求項5】
前記サバイバル装置(10,20,30,40,60)は、
作動レバー(136)と、
ブラケット(146)と、
ワイヤスリーブ(137)内のワイヤ(137’)と、
をさらに備えており、
前記ワイヤスリーブ(137)は、ブラケット(146)に結合されたワイヤ導管要素(149)のワイヤスリーブ空間(149’)によって第1の端部において保持されており、
前記ワイヤ(137’)は、前記作動レバー(136)に含まれている固定要素(147)に、第1の端部において接続されており、
前記ワイヤスリーブ(137)は、前記ハウジング(131)に、第2の端部において接続されており、
前記ワイヤは、前記ハウジング(131)に含まれているコネクタ(160)に、第2の端部において接続されており、
前記作動レバー(136)が前記ブラケット(146)に対して引っ張られると、引っ張り運動が前記ワイヤスリーブ(137)内の前記ワイヤ(137’)、前記コネクタ(160)および前記作動ユニット(181,11)に伝達されるように、前記コネクタ(160)は、前記作動ユニット(181,11)に接続されている、
請求項4記載のサバイバル装置(10,20,30,40,60)。
【請求項6】
前記作動レバー(136)および前記ワイヤ導管要素(149)は、付加的な装置の作動をコントロールするための付加的なワイヤ(137’)およびワイヤスリーブ(137)のための空間をさらに備えている、
請求項5記載のサバイバル装置(10,20,30,40,60)。
【請求項7】
前記ハウジング(131)は、少なくとも2つのバッテリコネクタ(151,151’)と、バッテリエンクロージャの蓋(140)と、を備えている、
請求項1から6までのいずれか1項記載のサバイバル装置(10,20,30,40,60)。
【請求項8】
前記サバイバル装置(10,20,30,40,60)は、1つまたは複数のセンサ(8,152,185)をさらに備えており、
前記センサは、雪崩によって生じた動き、予め設定された閾値を上回るCO
2レベル、重量負荷/圧力、重力加速度、予備バッテリ容量などの電力リソースレベル、または作動閾値に交差するセンサの入力、例えば、人の血流中の酸素含有量、心拍数もしくは体温のうちの1つまたは複数に感応し、
前記1つまたは複数のセンサ(8,152,185)は、センサ入力インタフェース(8’)を介して、前記コントローラ(6,182)の自動作動ユニット(11,181)に接続されており、前記コントローラ(6,182)は、前記センサ(8,152,185)の読み取りを監視し、それに応じて、前記サバイバル装置(10,20,30,40,60)の動作モードをコントロールするプログラムを含んでいる、
請求項1から7までのいずれか1項記載のサバイバル装置(10,20,30,40,60)。
【請求項9】
前記自動作動ユニット(11,181)は、手動スイッチ(11’)/コネクタ(160)を備えており、前記手動スイッチ(11’)/コネクタ(160)は、前記センサ(8,152,185)の入力を無効にし、選択された動作モードで前記ポンプ/ファン(3,85,170,171)を手動で作動させるために使用され得る、
請求項1から8までのいずれか1項記載のサバイバル装置(10,20,30,40,60)。
【請求項10】
前記付加的なワイヤ(137’)およびワイヤスリーブ(137)は、膨張するバルーン/雪崩エアバッグの作動をコントロールするために使用される、
請求項6記載のサバイバル装置(10,20,30,40,60)。
【請求項11】
前記サバイバル装置(10,20,30,40,60)は、セイフティテザー(166)をさらに備えており、前記セイフティテザー(166)は、前記セイフティテザー(166)が引っ張られたときに前記サバイバル装置(10,20,30,40,60)を作動させるように前記作動ユニット(181)に結合されている、
請求項4から10までのいずれか1項記載のサバイバル装置(10,20,30,40,60)。
【請求項12】
前記コントローラ(6,182)は、通信装置をさらに備えており、前記通信装置は、装置(10,20,30,40,60)の状態を、離れている通信ユニット(101,104,105,107)に送ることができる、
請求項1から11までのいずれか1項記載のサバイバル装置(10,20,30,40,60)。
【請求項13】
前記サバイバル装置(10,20,30,40,60)は、
・バッテリ状態
・HW状態
・セルフテストコントロール
・ファン状態
・動作状態
・通信状態
のうちの1つまたは複数をチェックするためのテストを含んでいる、セルフテストプログラムの包括的なセットと、セルフテストプログラムの実行および結果を識別するためのさらなる信号と、をさらに含んでいる、
請求項1から12までのいずれか1項記載のサバイバル装置(10,20,30,40,60)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、呼吸可能な空気を環境に安定的に供給するためのサバイバル装置に関する。より具体的には、本開示は、請求項1の導入部および請求項1において規定される、呼吸可能な空気を環境に安定的に供給するためのサバイバル装置に関する。
【背景技術】
【0002】
高山および山岳領域における雪崩によって、毎年多くの人や動物が死亡し、これは多くの救助技術およびサバイバル技術の開発の動機となっている。これらの技術の中には、遭難者の正しい場所に救助隊が迅速に到着できるように支援するために、遭難信号のビーコンを送る無線機器が含まれている。他には、進行中の雪崩の頂上部に浮上し、埋もれないようにするために人の能力を増進するエアバッグなどの浮上装置が含まれる。また、酸素タンクおよび呼吸機器を備えている機器を促進する技術もある。
【0003】
先行技術における問題は、これらの信頼性が低いことであり、なぜなら、例えば、これらの多くが、助けを必要としている人の認識および機器を利用するために取られるべき特定の行動を必要とするからである。他の問題は、効率が十分でないこと、またはこれらの装着/使用が過度に複雑であることに関連している。
【0004】
雪崩のリスクがある環境において動き回る人は、しばしば、複数のリスク緩和機器に頼る必要がある。これらのタイプの機器を緊急時に実行する必要がある場合、全ての機器が適切に作動していることを確実にすることが問題となる。例えば雪崩などの事故が発生した場合、時間は制限されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の課題は、上述の問題のうちの1つまたは複数を軽減するまたは排除する解決手段を提供することである。
【0006】
今日市場に出回っている多くの雪崩救急キット製品は、好ましくは、被災者が窒息する前に、雪崩被災者を見つけ出すことを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の目的は、従来技術における上述の欠点および不利点のうちの1つまたは複数を軽減、緩和または排除し、少なくとも上述の問題を解決することである。第1の態様によれば、呼吸可能な空気を環境に安定的に供給するためのサバイバル装置が提供され、このサバイバル装置は、ハウジングであって、少なくとも1つの入口、少なくとも1つのポンプ/ファン、少なくとも1つの電力リソース、コントローラを備えているハウジングを備えていることを特徴とし、サバイバル装置は、少なくとも1つの出口をさらに備えており、少なくとも1つの入口がポンプ/ファンの入口に接続されており、少なくとも1つの出口が、剛性のフォームファクタを有している給気管を介して少なくとも1つのポンプ/ファンの出口に接続されており、出口は、出口の安定した柔軟なフォームファクタを提供する内部補強要素をさらに備えている。
【0008】
いくつかの実施形態によれば、少なくとも1つの出口は、自身の外端部に配置されている、使用者の顔の領域に近い位置に固定的に少なくとも1つの出口を配置するための取り付け手段をさらに備えている。
【0009】
いくつかの実施形態によれば、取り付け手段は、ハーネス/ストラップの周囲に配置するための把持コネクタを備えている。
【0010】
いくつかの実施形態によれば、サバイバル装置は、利用可能な/選択された動作モードでポンプ/ファンを作動させる作動ユニットを備えている。
【0011】
いくつかの実施形態によれば、サバイバル装置は、作動レバーと、ブラケットと、ワイヤスリーブ内のワイヤと、を備えており、ワイヤスリーブは、ブラケットに結合されたワイヤ導管要素のワイヤスリーブ空間によって第1の端部において保持されており、ワイヤは、作動レバーに含まれている固定要素に、第1の端部において接続されており、ワイヤスリーブは、ハウジングに、第2の端部において接続されており、ワイヤは、ハウジングに含まれているコネクタに、第2の端部において接続されており、作動レバーがブラケットに対して引っ張られると、引っ張り運動がスリーブ内のワイヤ、コネクタおよび作動ユニットに伝達されるように、コネクタが作動ユニットに接続されている。
【0012】
いくつかの実施形態によれば、作動レバーおよびワイヤ導管要素は、付加的な装置の作動をコントロールするための付加的なワイヤおよびワイヤスリーブのための空間をさらに備えている。
【0013】
いくつかの実施形態によれば、ハウジングは、少なくとも2つのバッテリコネクタと、バッテリエンクロージャの蓋と、を備えている。
【0014】
いくつかの実施形態によれば、サバイバル装置は、1つまたは複数のセンサを備えており、センサは、雪崩によって生じた動き、予め設定された閾値を上回るCO2レベル、重量負荷/圧力、重力加速度、予備バッテリ容量などの電力リソースレベル、または作動閾値に交差するセンサの入力、例えば、人の血流中の酸素含有量、心拍数もしくは体温のうちの1つまたは複数に感応し、1つまたは複数のセンサは、センサ入力インタフェースを介して、コントローラの自動作動ユニットに接続されており、コントローラは、センサの読み取りを監視し、それに応じて、装置の動作モードをコントロールするプログラムを含んでいる。
【0015】
いくつかの実施形態によれば、自動作動ユニットは、手動スイッチ/コネクタを備えており、この手動スイッチ/コネクタは、センサの入力を無効にし、選択された動作モードでポンプ/ファンを手動で作動させるために使用され得る。
【0016】
いくつかの実施形態によれば、付加的なワイヤおよびワイヤスリーブが、膨張するバルーン/雪崩エアバッグの作動をコントロールするために使用される。
【0017】
いくつかの実施形態によれば、コントローラは通信装置をさらに備えており、通信装置は、装置の状態を、離れている通信ユニットに送ることができる。
【0018】
いくつかの実施形態によれば、サバイバル装置は、
・バッテリ状態
・HW状態
・セルフテストコントロール
・ファン状態
・動作状態
・通信状態
のうちの1つまたは複数をチェックするためのテストを含んでいる、セルフテストプログラムの包括的なセットと、セルフテストプログラムの実行および結果を識別するためのさらなる信号と、を含んでいる。
【0019】
本開示は、さらなる第2の因子である、雪崩被災者が雪に埋もれている場合の生存時間をどのように延ばすかに関する。
【0020】
この技術は、例えば、雪に含まれている呼吸可能な空気の質および含有量が、人を長時間にわたって生存させるのに十分であるという知識に基づいている。例えば、人が雪崩に埋もれている事例における難題は、周囲の雪に含まれている空気の含有量ではなく、人によって吐き出された空気の熱および凝縮物が口および鼻の領域の周囲に層を作ることであり、この層は水で飽和状態になるか、さらに悪いことに凍結して氷になり、ひいては空気に対して不透過性になる。これによって、人の呼吸活動によって作られた不透過性層の反対側にある雪の層に含まれている酸素が、人にとって利用できないものになってしまう。
【0021】
本開示の筆者は、さらに、実際に雪崩の被災者となった人の多くが、ほとんどの場合、迅速に手足の動きのコントロールを失うこと、例えば、腕がいかなる救急機器も操作できなくなること、または被災者が雪崩に巻き込まれる過程において意識不明になる場合さえあることを認識している。そのため、従来技術によって提示されている装置のほとんど、そして、おそらく被災者が従う物理的な作動手順を必要とする技術は、実際の状況ではあまり効率的ではない、またはまったく機能しないこともある。
【0022】
本開示に記載されたサバイバル装置は、必要とされる被災者の意識的な行動を減らし、さらには排除することができ、この装置は、十分な電力を受け取る限り動作する。この装置はさらに、被災者の周囲に含まれている豊富な呼吸可能な空気を利用する。
【0023】
雪崩対応の経験則によれば、雪崩被災者10人中9人が、酸素供給の不足によって死亡するリスクが避けられなくなる前に、約15分間は生存できる可能性がある。被災者の顔の前にエアポケットがない限り、被災者が吐き出した同じ空気を吸い込むことによって、最終的に被災者が窒息してしまう可能性が高い。
【0024】
本開示における装置の目標は、生存時間を最大で90分以上に大幅に長くすることであり、これによって、被災者が生存する確率が高くなり、救助隊が被災者を時間内に見つけ出す時間が長くなる。
【0025】
本開示は、以降の詳細な説明から明らかになるであろう。詳細な説明および特定の例は、単に例示として、本開示の好ましい実施形態を開示している。当業者であれば、詳細な説明における手引きから、本開示の範囲内で変更および修正を行うことができることを理解する。
【0026】
したがって、本明細書における開示が、記載された装置の特定の構成要素部分または記載された方法のステップに限定されないことが理解されるべきである。なぜなら、このような装置および方法は変化し得るからである。本明細書において使用される用語が、特定の実施形態を説明することのみを目的としており、限定することを意図していないことも理解されたい。明細書および添付の特許請求の範囲において使用される場合、冠詞「a」、「an」、「the」および「said」は、文脈が別段の明示的な指示をしない限り、1つまたは複数の要素が存在することを意味することを意図していることに留意すべきである。したがって、例えば「a unit」または「the unit」との言及は、複数の装置などを含み得る。さらに、「comprising」、「including」、「containing」および同様の単語は、他の要素またはステップを排除するものではない。
【0027】
本明細書では、1つのタイプの実施形態を説明するために呼吸可能な空気が使用されるが、装置が様々な環境において使用され得ることを理解されたい。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【
図2】発明の概念を示す図である(二重チャネル)。
【
図3A】発明の概念の一実施形態を示す図である(スタンバイ状態)。
【
図3B】発明のバックパックシステムを示す図である。
【
図5】代替的な使用事例を示す図である(雪洞およびテント)。
【
図8】バックパックの実施形態を示す図である(複数の入口チャネル)。
【
図9】バックパックおよびヘルメットを示す図である。
【
図10】バックパックの側面に取り付けられている発明の実施形態を示す図である。
【
図11】側面に取り付けられている発明の実施形態の詳細を示す図である。
【
図12】発明のバックパックの実施形態を装着しているスキーヤーを示す図である。
【
図13】発明の実施形態およびヘルメットを装着しているスノーモービルの運転者を示す図である。
【
図14】バックパックにおける本発明の実施形態を装着している雪崩被災者を示す図である。
【
図15】単独の実施形態におけるサバイバル装置を示す図である。
【
図16A】
図15のサバイバル装置の清浄空気吸気側の側面図を示す図である。
【
図16B】
図15のサバイバル装置の清浄空気吸気側の端面図を示す図である。
【
図16C】
図15のサバイバル装置の清浄空気出口側の側面図を示す図である。
【
図18A】
図15のサバイバル装置の清浄空気吸気側のハウジングの下半部に配置されている内部要素の実施形態を示す図である。
【
図18B】
図15のサバイバル装置の清浄空気吸気側のハウジングの下半部に配置されている内部要素の実施形態を示す図である。
【
図19】
図15のサバイバル装置の清浄空気出口側の詳細を示す図である。
【
図20】
図15のサバイバル装置の清浄空気出口側の詳細を示す図である。
【
図21】
図15のサバイバル装置の清浄空気出口側の詳細を示す図である。
【
図22】作動レバーを解放するための引っ張りピンアレンジメントの例を示す図である。
【
図23】スノーモービルにおける使用者の実施形態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
次に、本開示の好ましい例示的な実施形態が示されている添付の図面を参照して、本開示を説明する。しかし、本開示は、他の形態において具体化することができ、本明細書において開示された実施形態に限定されると解釈すべきではない。開示された実施形態は、本開示の範囲を当業者に完全に伝えるために提供されている。
【0030】
次に、本発明を、非限定的な図面を参照してより詳細に説明する。
【0031】
図15~
図23は、本発明および本開示による装置30の詳細を示している。1つの使用事例では、サバイバル装置は、雪崩における雪によって閉じ込められた場合に、使用者が呼吸可能な空気の安定的な供給を得るのを支援するサバイバル装置として使用される。これらの特徴のいくつかは、本開示のいくつかの実施形態においてのみ説明されるが、任意の特徴が、説明された任意の実施形態において組み合わせられ、含まれ得ることが理解されるべきである。任意の実施形態において説明した任意の特徴が、実施形態自体が本発明の概念を逸脱することなく、省略され得ることも理解されるべきである。
【0032】
雪は拡散性であるため、雪が圧縮される大きな雪崩においてさえ、口と、最も近い空気出口134と、の間の距離が25cmを超えても、本開示による装置30から雪を通して空気を取り込むことができる。
【0033】
本開示の第1の態様は、呼吸可能な空気を環境に安定的に供給するためのサバイバル装置20,30,40,60を示しており、このサバイバル装置は、ハウジング131であって、少なくとも1つの入口4,83,120,132、少なくとも1つのポンプ/ファン3,85,170,171、少なくとも1つの電力リソース5,121,150、コントローラ6,182を備えているハウジング131を備えていることを特徴とし、サバイバル装置10,20,30,40,60は、少なくとも1つの出口1,80,134をさらに備えており、少なくとも1つの入口4,83,120,132がポンプ/ファン3,85,170,171の入口に接続されており、少なくとも1つの出口1,80,134が、剛性のフォームファクタを有している給気管7’’,89,133を介して少なくとも1つのポンプ/ファン3,85,170,171の出口に接続されており、出口1,80,134は、出口1,80,13の安定した柔軟なフォームファクタを提供する内部補強要素144をさらに備えている。
【0034】
要するに、本開示による装置30は、入口132を介して雪から空気を引き込む、ハウジング131内に位置する、高度にコントロールされるポンプ/ファン170,171である。このポンプ/ファン170,171から、1つ、2つまたは3つ以上の管/ホース133が、ポンプ/ファン170,171によって圧送された空気を1つまたは複数のホース/管133の端部に設けられている空気出口134へ搬送するために配置されている。これらの出口134は空気を出力し、次に、空気は、顔の領域の周囲の雪を通過し、被災者の口および鼻に到達する。生命維持に必要な要素は、ホース/管133が、周囲の雪からの高い圧力に崩壊することなく耐え得る材料および剛性のフォームファクタで提供されていることである。同時に、ホース/管133は、有利には、使用者の背面下部から前面上部まで肩にわたって配置されるように曲げることが可能であるという意味で柔軟に形成されている。代替手段は、人に合わせて個々に予め付形された形状の剛性の固定形状のホース/管133を提供することである。ホース/管133に外圧/圧搾を加える雪圧またはその他の対象によって変形されていない空気出口134へポンプ/ファン170,171から空気通路を提供することが鍵である。
【0035】
本開示による装置30は、頑丈なバッテリ(例えば、再充電可能なバッテリよりも良好な耐寒性を有するAAバッテリ)によって給電され、作動レバー136を介してトリガされる。
【0036】
本開示による装置30の総重量は、構成要素必需品、予想寿命、動作時間必需品(バッテリパック、ファンなど)に応じて変化し得るが、重量を最小限にすることは目標であり、到達可能な目標は、本開示による装置30を、900グラム未満、より有利には約400グラムで提供することである。
【0037】
本開示による装置30は、動作中の使用者/被災者からの行動を必要としない。自動的にまたは作動レバー136を引っ張ることによって、本開示による装置30が作動させられると、被災者が意識しているかどうかにかかわらず、装置30は空気を被災者へ供給する。
【0038】
本開示による装置30の新規の作動レバー136が、レバー136を引っ張ることを伴う同じ作動行動において、より多くのセキュリティ装置、例えば雪崩バルーンを作動させてよい。このことは、同じレバー136によって操作される、複数の配線のためのハウジングを含む独特なレバー136設計によって達成される。つまり、レバー136を引っ張ると、複数の装置が作動させられる。
【0039】
本開示による装置30の
図15において、レバー136が、ブラケット146に配置されていることが見て取れ、ブラケットは、ハーネスまたはバックパックなどの衣類またはギアに固定するための固定手段135’を備えている。レバーは、スリーブ137の内側に配置されているワイヤ137’の第1の端部に配置されており、ワイヤの第2の端部は、サバイバル装置ハウジング131内のワイヤコネクタ160に接続されている。これは、ハウジング131内部の下部を示している
図18Aおよび
図18Bから明らかである。ハウジング131の上部は、取り外し可能に、下部に取り付けられていてよく、これによって、ハウジング131を、整備および検査のために2つの部分に分けることができる。本開示による装置30は、さらに、2つの給気ホース/給気管133を備えており、これらの給気ホース/給気管133は、第1の端部において、サバイバル装置ハウジング131に接続されており、第2の端部において、装置出口134に接続されている。ホース/管は、ファンおよびファン空気ガイド172からホース/管133を通って装置出口134へと続く導管を提供する。図示されているファン空気ガイド172の部分は、単に、空気ガイドの長手方向下半部である。ハウジング131の上半部の内部は、ファン空気ガイド172の上部を備え、したがって、ハウジング131の下部と上部とが取り付けられたときに、ファン空気ガイド172は、ファンの出口とホース/管133の入口との間に空気のための気密チャネルを備える。ハウジング131のファン170の入口部分の側面には、構成要素プリントカード180またはバッテリ区画の周囲の空気がファン入口チャネル内に逃げ出すことができないように保護するための空気分離フィルム172’が設けられていてよい。装置出口134は、サバイバル装置ハウジング131内に配置されているファンモータ170およびファン171によって提供される空気を出力するように設計されている。少なくとも1つの出口1,80,134は、自身の外側端部に配置された取り付け手段135を備えていてよく、取り付け手段135は、少なくとも1つの出口1,80,134を使用者の顔の領域に近い位置に固定的に配置するためのものである。取り付け手段135は、例えばハーネス/ストラップの周囲に配置するための把持コネクタ145を含んでいてよい。
【0040】
別の実施形態では、
図16Cから見て取れるように、作動レバー136におけるセイフティテザー166のための任意選択的な取り付け手段165が提供されている。セイフティテザー166は、一方の端部において、作動レバー上/作動レバー内に配置されている取り付け手段165に固定されており、他方の端部において、
図23に例示されているように、例えば、スノーモービル、スノートレイルマシンなどにおけるアンカーポイントアレンジメントに固定されている。使用者が高リスク環境において運転を行い、サバイバル装置20,30,40,60がスタンバイモードにセットされている場合、例えば使用者および車両が雪崩に巻き込まれたときに、運転者が、車両アンカーポイントからセイフティテザー166を解放せずに車両から離されると、セイフティテザー166がサバイバル装置20,30,40,60を始動させる。
【0041】
さらに別の実施形態では、作動ユニット181を作動させるための付勢された作動スイッチを保持する安全ピン(図示せず)にセイフティテザー166を取り付けることができ、これは、安全ピンが引っ張られたときに、モードセレクタがスタンバイモードにセットされていると、ファン171を作動させる。付勢された作動スイッチは、セイフティテザー作動ワイヤを保持する作動レバーに配置されていてよく、セイフティテザー作動ワイヤは、作動ユニットに接続されているスイッチと共に伸長されたばねアレンジメントに接続されており、これによって、作動レバー136において、安全ピンがそのアレンジメントから引き出されると、セイフティテザー作動ワイヤが、ばねアレンジメントにおいてその保持を解除し、作動ユニット181に接続されているスイッチがサバイバル装置20,30,40,60を作動させる。
図22に例示されているようなアレンジメントでは、安全ピンは、例えば、作動レバーにおける、緊張状態のコイルばねアレンジメントを保持してよく、安全ピン167が引っ張られると、作動レバー136はその受動的な状態から能動的な引っ張り状態に押し出され、これによって、使用者によって引っ張られたのと同様の引っ張り行動においてワイヤが引っ張られ、サバイバル装置20,30,40,60が作動させられる。
【0042】
別の実施形態では、セイフティテザー166およびまたは安全ピン167は、作動レバーに結合される代わりに、対応する作動モジュールを有していてよく、この作動モジュールは、ハウジングにおいて、作動ユニット181(図示せず)のより近く配置されており、セイフティテザー166は、この作動モジュールに直接的に接続されている。作動モジュールは、作動レバーと組み合わされて、上述したのと同様または同等の特徴を備えていてよい。
【0043】
サバイバル装置20,30,40,60のハウジング131は、少なくとも2つのバッテリコネクタ151,151’と、バッテリエンクロージャの蓋140と、を備えていてよい。
【0044】
図15は、バッテリエンクロージャの蓋140および動作モードセレクタ/セルフテストボタン138などの、サバイバル装置ハウジング131のいくつかの細部も示している。動作モードセレクタ/セルフテストボタン138によって、使用者は、本開示による装置30をオンおよび/またはオフにすることができ、例えば機能的なセルフテストモードを選択することができてよい。他のモードが提供され、選択されてよい。サバイバル装置ハウジング131には、グリッドパターン化された空気入口132も設けられている。グリッドパターンは、様々な形態であってよく、空気は流入させるが、障害物および雪は空気取り入れ口から遠ざけることを意図している。図中のバージョンはグリル状のパターンを示している。一実施形態では、本開示による装置30は、バッテリホルダにバッテリを挿入するとスタンバイモードにセットされ、次いで、レバーを引っ張ることによっていつでも作動させることができる。
【0045】
本開示による装置30の
図16Aおよび
図16Bには、バッテリエンクロージャの蓋140およびバッテリエンクロージャの蓋のロック141がより詳細に示されている。バッテリエンクロージャの蓋のロック141は、バッテリエンクロージャの蓋140の偶発的な開放を阻止するための安全特徴を提供する。
【0046】
動作モードセレクタ/セルフテストボタン138は、動作モードの選択を提供し、1つまたは複数の動作モード表示LED139は、選択されている動作モードを示す。
図16Aには、グリッドパターン化された空気入口132内の入口フィルタ132’が示されている。入口フィルタ132’は、ファンおよびファンモータの障害物のない内部をさらに確保するために設けられている。
【0047】
図16Cは、サバイバル装置30の清浄空気出口側を詳細に示しており、出口取り付け手段135が、装置出口134の外側端部に配置されている。取り付け手段135は、少なくとも1つの出口134を使用者の顔の領域に近い位置に固定的に配置するために使用される。このアレンジメントは、ハーネス/バックパックのストラップ、ストラップバンド/クイックドロースリングなどを結合する、ジャケット/ハーネス/バックパックにおけるギア結合アレンジメントのうちの1つであり得るが、これらに限定されない。
【0048】
出口取り付け手段135は、この実施形態では、例えば、カスタムハーネスまたはバックパックなどのショルダストラップなどであるハーネス/ストラップの周囲に配置するための把持コネクタ145を有している。ここに示されておらず、クリックロックコネクタ、ジッパーコネクタ、ベルクロタイプのアタッチメント、カラビナフックなどによって制限されない様々なアタッチメントの選択肢が選択されてよい。
【0049】
図17Aは、本開示による装置30を、使用者の肩の上に配置されているかのような形態で示している。これは、ホース/管の可撓性を強調し、本開示による装置30が展開され得る多数の使用場面を例示するものである。
【0050】
このような展開の1つは、
図17Bおよび
図17Cに示されており、これらの図では、本開示による装置30は、バックパックまたは例えば雪崩バルーン/雪崩エアバッグ装置と共に配置されている。
【0051】
本開示による装置30の
図18において、サバイバル装置ハウジング131の内部レイアウトが、例示的な実施形態において示されている。バッテリコネクタ151,151’内に保持されているバッテリ150、構成要素プリントカード180、ファンモータ170、ファン171、ファン空気ガイド172、ワイヤコネクタ160などとして種々の構成要素が認識されてよく、ワイヤコネクタ160においては、ワイヤスリーブ137内に配置されているワイヤ137’の第2の端部が接続されている。バッテリ150は、装置ハウジング131内の構成要素に給電する。他の電源を設けることができ、例えば、リモートバッテリパックを設けることができ、これは、装置ハウジング131とは別個に携帯され、装置ハウジング131の構成要素と、有線または無線の電力伝送を行うように接触している。バッテリは、充電ポートおよび配線(図示せず)を介して再充電可能であってよい、または交換可能であってよい。外側のバッテリコネクタ151’は、バッテリエンクロージャの蓋140が閉じられたときにバッテリを所定の位置に確実に保持するバッテリ安全ロック特徴151’’によって所定の位置に保持されていてよい。
【0052】
構成要素プリントカード180は、電源回路153を含んでいてよく、ここには、予備電源、例えばコンデンサまたは小型の再充電可能なバッテリが含まれていてよい。コントローラ/処理装置6,182が含まれており、プログラムおよびルーチン、GPSに類似の装置、携帯電話および他の特徴を実行するための処理およびHW/SWを提供する。
【0053】
サバイバル装置10,20,30,40,60は、利用可能な/選択された動作モードでポンプ/ファン3,85,170,171を作動させる作動ユニット181,11を備えていてよい。ワイヤコネクタ160は、典型的には、作動ユニット181に接続されていてよく、作動ユニット181はモードセレクタがスタンバイモードにセットされている場合、レバーが操作されるとファン171を作動させる。
【0054】
本開示による装置30は、様々なセンサ152,185も備えていてよく、限定するわけではないが、ジャイロセンサ、振動センサ、圧力/真空センサ、水分センサ、電力センサ、温度センサ、CO2センサ、酸素センサ、光センサ、ノイズセンサなどのうちの1つのセンサも備えていてよい。
【0055】
サバイバル装置20,30,40,60は、1つまたは複数のセンサ8,152,185を備えていてよく、これらのセンサは、雪崩によって生じた動き、予め設定された閾値を上回るCO2レベル、重量負荷/圧力、重力加速度、予備バッテリ容量などの電力リソースレベル、または作動閾値に交差するセンサの入力、例えば、人の血流中の酸素含有量、心拍数もしくは体温のうちの1つまたは複数に感応し、1つまたは複数のセンサ8,152,185は、センサ入力インタフェース8’を介して、コントローラ6,182の自動作動ユニット11,181に結合されており、コントローラ6,182は、センサ8,152,185の読み取りを監視し、それに応じて、装置10,20,30,40,60の動作モードをコントロールするプログラムを含んでいてよい。
【0056】
自動作動ユニット11,181は、手動スイッチ11’/コネクタ160を備えていてよく、この手動スイッチ11’/コネクタ160は、センサ8,152,185の入力を無効にし、選択された動作モードでポンプ/ファン3,85,170,171を手動で作動させるために使用され得る。
【0057】
典型的には、一実施形態では、使用者は環境を分析し、高リスク環境へと移動している場合には、高リスク環境にいる期間の間、サバイバル装置10,20,30,40,60を作動させるか、またはスタンバイモードにする。
【0058】
代替的に、作動ユニット181,11は、センサ8,152,185のデータを受け取る、コントローラ/処理装置6,182によってコントロールされてよく、これによって、コントローラ/処理装置6,182は、緊急状況が検出されたときに装置を作動させるように構成され得る。
【0059】
次に、典型的には、コントローラは、サバイバル装置10,20,30,40,60が完全に静止していることを検出すると、サバイバル装置10,20,30,40,60を自動的に作動させる。これには、任意選択的に、サバイバル装置10,20,30,40,60が雪に埋もれており、携行者が完全に静止している/動いていない状況に適合した検出器データが伴う。これは、雪崩に埋もれている場合の使用者の典型的な状況である。安全装置を手動で作動させる時間は非常に短く、不可能な場合がほとんどである。雪崩に埋もれてしまうと、使用者は体の一部を動かすことはほとんどできなくなり、スイッチなどに到達できる可能性が非常に低くなる。したがって、サバイバル装置の本開示によるサバイバル装置の実施形態は、使用者が雪崩に巻き込まれ、雪に埋もれ、装置を移動させることができないまたは手動で作動させることができないときに、装置を自動的に作動させることおよび始動させることができる。
【0060】
自動的なセンサ駆動作動が機能しない場合の他の可能性は、例えば、使用者が休憩などのために停止しているときに自身のサバイバル装置10,20,30,40,60を休止状態にしている場合である。この場合、装置は絶対的に静止状態になるが、センサデータは、例えば、装置が、日光があたる領域において静止していること、暖房が行われている部屋において静止していることまたは酸素が豊富な戸棚において静止していることを識別し得る。このような状況では、装置は作動させられるべきではない。装置が作動させられるべきではない他の場面が検出されることがある。
【0061】
短期間の停止が計画/実行されると、装置を非作動状態にする/一時停止させるために、別個のスイッチ(図示せず)が使用されてよい。
【0062】
コントローラ6,182は、節電特徴を備えていてよく、使用される/選択される、いくつかのポンプ/ファン電力レベルを提供してよい。これは、例えば、電源150内に残っている電力に基づいて自動的にコントロールされてよい、または使用者もしくはリモートコントローラのいずれかによって手動でコントロールされてよい。
【0063】
サバイバル装置10,20,30,40,60は、作動レバー136と、ブラケット146と、ワイヤスリーブ137内のワイヤ137’と、を備えていてよく、ワイヤスリーブ137は、第1の端部において、ブラケット146に結合されているワイヤ導管要素149のワイヤスリーブ空間149’によって保持され、ワイヤ137’は、第1の端部において、作動レバー136に含まれている固定要素147に接続されており、ワイヤスリーブ137は、第2の端部において、ハウジング131に接続されており、第2の端部においてコネクタ160に接続されているワイヤは、ハウジング131内に含まれており、作動レバー136がブラケット146に対して引っ張られると、引っ張り運動がスリーブ137内のワイヤ137’、コネクタ160および作動ユニット181,11に伝達されるように、コネクタ160が作動ユニット181,11に接続されている。
【0064】
作動レバー136およびワイヤ導管要素149は、さらに、付加的な装置の作動をコントロールするための付加的なワイヤ137’およびワイヤスリーブ137のための空間を備えていてよい。さらなる付加的なワイヤ137’およびワイヤスリーブ137が、膨張するバルーン/雪崩エアバッグの作動をコントロールするために使用されてよい。
【0065】
装置10,20,30,40,60のコントローラ6は、通信装置をさらに備えていてよく、通信装置は、装置10,20,30,40,60の状態を、離れている通信ユニット101,104,105,107に送ることができる。通信装置は、装置自体とは物理的に別個であってよく、例えば、Bluetooth、NFCなどの短距離通信チャネルを介して装置と通信するアプリを実行するスマートフォンであってよい。アプリまたは離れている通信ユニットは、遭難信号および装置データを1つまたは複数の救急サービスに伝達するようにセットされ得る。救急サービスは、雪崩の現場に到着する最初のヘルパー、医療ユニット、位置特定サービスなどであってよい。
図7には、種々の救急サービスが示されている。
【0066】
図19は、サバイバル装置30の清浄空気出口側を示しており、ここでは作動レバー136の内部レイアウトが、一実施形態において提供され得るように例示されている。ワイヤスリーブ137の内側に配置されているワイヤ137’は、第1の端部においてワイヤ固定要素147に接続されており、ワイヤ固定要素147は、細い通路147および任意選択的に固定ねじ147’によって構成されており、これによって、作動レバーが操作されると、ワイヤがワイヤスリーブ137に対して動き、ワイヤ137’の動きがコネクタ160に中継され、次に作動ユニット181をトリガする。ワイヤ137’は、典型的には、周縁の端部にワイヤ止めノブを有する。ブラケット146には、さらに、ワイヤ137’が引っ張られてワイヤスリーブ137内で動くときにワイヤスリーブ137を受け入れて保持するように配置されているワイヤ導管要素149が配置されている。この図は、空気出口134をブラケット146に固定するように配置されている出口クランプ148も示している。
【0067】
図20は、
図19において見て取れるサバイバル装置30の清浄空気出口側および作動レバー136の他方の側を示している。ここでは、ワイヤ導管要素149内の占有されていないワイヤおよびワイヤスリーブ空間149’において、さらにワイヤ/作動要素が接続され得る空間がどのように設けられるかが明らかにされる。
【0068】
本開示による装置30の
図21において、空気出口134の内部が、1つの代替的な実施形態において示されている。補強要素144は、ホース/管133の出口に配置されている。補強要素144の機能は、空気出口の安定した柔軟なフォームファクタを提供することであり、これによって、氷および雪の圧力が空気出口の外側に加えられた場合に、空気を環境に送ることができる形状が維持される。第2の出口クランプ148’が示されており、これは、この実施形態の2つのホース/管133間のより良好な接続を提供する。代替的に、先行する図において見られるように、ホース/管133が分離され、この場合、ブラケットに接続されているホース/管133がなくなる、または1つだけになり得る。
【0069】
サバイバル装置10,20,30,40,60は、
・バッテリ状態
・HW状態
・セルフテストコントロール
・ファン状態
・動作状態
・通信状態
のうちの1つまたは複数をチェックするためのテストを含んでいる、セルフテストプログラムの包括的なセットと、セルフテストプログラムの実行および結果を識別するためのさらなる信号と、をさらに含んでいてよい。
【0070】
セルフテストプログラムは、コントローラ、離れている装置、または本開示において規定された任意のモジュールにおいて実装されてよい。セルフテストは、装置の起動時に、アクティブな使用の合間に、オンボードSWからの要求に応じて、またはリモートアプリケーションプログラムなどによって提供される所定のセルフテスト間隔に従って実行されてよい。典型的に、セルフテストの結果は、格納される、または離れているサービス/ストレージに伝達される。セルフテストが、何らかの動作上の危険または他の故障を検出した場合、セルフテストルーチンは、適切な緩和活動を開始することができる。これは例えば、バッテリの充電/交換の必要性、通信の切断、故障したファンなどを知らせるアラーム音である。下記を参照。
【0071】
一実施形態では、LEDライト139は、以降の、限定されるものではないメッセージを知らせるように動作することができ、これらのメッセージは、例えば、新しいバッテリが挿入されたとき、またはセルフテストボタンが押されたとき与えられる。
OK NEW BAT:10秒間にわたって緑色の光が点灯し、短いビープ音で終了する。新しい良好なリチウムバッテリおよび正常なハードウェアを示す。
OK USED BAT:10秒間にわたって緑色の光が点滅し、短いビープ音で終了する。良好なバッテリおよび正常なハードウェアを示す。
BAT LOW:10秒間にわたって赤色の光が点滅し、3回の短いビープ音で終了する。バッテリは交換されるべきであるが、行程は完了可能であることを示す。
BAT DEPLETED:10秒間にわたって赤色の光が点灯し、5秒間の1回の間断のないビープ音で終了する。バッテリをただちに交換する必要があることを示す。
FATAL ERROR:赤色の間断のない光およびビープブザー音。ハードウェア障害を示す。ユニットを使用してはならない。ビープ音(250ミリ秒オン、250ミリ秒オフ)および赤色の光は、セルフテストボタンが再度押されるまで、または20秒経過するまで続く。
【0072】
動作モードセレクタ/セルフテストボタン138がセルフテストボタンとして使用される場合、バッテリを取り外して再挿入するか、または1秒を超えてセルフテストボタンを押すことによって、セルフテストが開始されてよい。これの一例は、ファンを約1秒間加速させ、3秒間100%で動作させ、1秒間にわたって減速させることを含んでいてよい。エラーの状態がチェックされ、テスト後にLEDおよびブザーにおいて表示が行われる。セルフテスト中は、バッテリの状態に応じて、OK NEW AT、OK USED BATまたはBAT LOWが表示される。
【0073】
実装され得る他の特徴および操作され得る他の特徴には、以降のものが含まれ得るが、これらに限定されない。
【0074】
使用事例
新しいリチウムバッテリを挿入する
新しいLiバッテリ(10.74V)を挿入すると、ファンのセルフテストが開始され、「OK NEW BAT」が表示される。この行動はログに記録され、バッテリ容量推定のリセットに使用される。新しいバッテリを挿入した後、シリアルポートでの報告される容量は100%であるべきである
(Liバッテリは1.79~1.83Vを有する。6個のセルは、10.74V~10.98Vを有する。5%の誤差範囲の場合、限界は10.2V(1.7V*6)であるべきである。アルカリバッテリは、1.65V*6=9.9Vより小さい電圧を有する)。
【0075】
80%より大きい推定残存充電量および9.3Vより大きいバッテリ電圧を有する、使用されたLiバッテリを挿入する
6*1.55V=9.3Vを超える電圧および80%を超える推定残存充電量を有するバッテリを挿入する。
「OK USED BAT」が表示されるべきである。セルフテストが自動的に実行される
(これは、飛行機で移動した後の通常の場面である。この際には、飛行機内でバッテリを取り外さなければならない。これは、アルカリバッテリが挿入された場合にも起こる)。
【0076】
80%より大きい推定残存充電量およびバッテリ電圧9.3~10.2Vでセルフテストを行う
「OK USED BAT」が表示されるべきである。セルフテストが自動的に実行される
(1.55Vのセル電圧は、回復したが消耗したセルを示している。ごく最近重い負荷がかかった良好なセルも1.55Vを下回るが、5~10分で回復する)。
【0077】
推定残存充電量70~80%およびバッテリ電圧9.3~10.2Vを有するバッテリを挿入する
「BAT LOW」が表示されるべきである。セルフテストが自動的に実行される。
【0078】
推定残存充電量70~80%およびバッテリ電圧9.3~10.2Vでセルフテストを行う
「BAT LOW」が表示されるべきである。セルフテストが自動的に実行される
(バッテリは交換されるべきであるが、行程は完了可能であることを示す。これは、アルカリバッテリが挿入された場合にも起こる)。
【0079】
9.3Vより小さい電圧または70%より小さい推定残存充電量を有するバッテリを挿入する
「BAT DEPLETED」とのメッセージが与えられるべきである。ファンのセルフテストは実行されない
(1.55Vのセル電圧は、回復したが消耗したセルを示している。ごく最近重い負荷がかかった良好なセルも1.55Vを下回るが、5~10分で回復する)。
【0080】
ファンのセルフテスト中にバッテリが7.8Vを下回る
ファンのセルフテスト中に、電圧が1.3V×6=7.8Vを下回った場合、「BAT DEPLETED」が表示されるべきである
(1Aを負荷したセルは、典型的には数秒後に1.45Vに低下する。これが1.3V*6=7.8Vを下回った場合、これは、残りが25%未満のセルを示す。これは室温を想定したものである)。
【0081】
再充電可能なリチウムイオンセルまたは塩化チオニルリチウムセルを挿入する
これらのセルは、ファンおよび/または電子機器に損傷を与える。バッテリ電圧が11.5Vを上回っていることが検出された場合、ユニットはFATAL ERRORを表示すべきであり、ファンのセルフテストは実行されない
(ファンがオンにされると、これは、構成要素の一部をほぼ確実に破壊する。ファンをオンにしなくてもユニットが故障する可能性がある。しかし、少なくとも、使用者にアラームを与えるように努めるべきである)。
【0082】
セルフテスト中に、作動中のボタンを解放する
セルフテスト中に解放ボタンが押下されると、セルフテストが中止させられて通常の解放動作が開始させられる。これはファンの動作中およびテスト後のアラーム中の両方で生じる。
【0083】
タコ信号がない状態でセルフテストを行う
これは、ファンのブロックまたはファンへの接続の中断が原因である可能性がある。(ピン4)。起動時に、上述のようにバッテリの状態によって表示が決定される。タコ信号がない状態が2秒続いた後、「FATAL ERROR」が表示される。
【0084】
ユニットが作動させられていないときに、セルフテストボタンを操作する
セルフテストボタンを1秒未満押しても、セルフテストは開始させられない。セルフテストボタンを1秒を超えて押すと、セルフテストが始まる。
【0085】
ユニットが作動させられているときに、セルフテストボタンを操作する
セルフテストボタンを1秒未満押しても何も起こらない。セルフテストボタンを1秒を超えて押すと、動作が中断され、スリープモードに入る。
【0086】
ファン障害時にファンを再作動させる
作動後にファンが停止する場合(または始動しない場合)、ユニットはファンの再作動を試みる。
タコ信号が3秒間1%未満であった場合、電力は3秒間除去され、その後、さらに3秒間全電力が再び印加される。このシーケンスは、ファンが始動するまで繰り返される
(作動前にファンをブロックすることによって、これをテストすることができる。供給電流は、3秒ごとに一時的に0.5~2Aに上昇する。ブロックが解除され、ファンが正常に始動することを検証する。停止できることを検証するために、セルフテストボタンを2秒間押す。ログエントリを検証する)。
【0087】
動作中の(作動中の)バッテリを中断する
振動または機械的な衝撃によって、バッテリの接続が中断される可能性がある。ファンの動作中に非常に短い中断が発生すると、プロセッサがリセットされ、ファンが停止する。
中断後にファンが動作を継続することが有利である。これを実現するために、CPUはログをチェックする。手動の始動が、ログにおける最後のエントリだった場合、CPUはファンを自動的に再び始動させる
(解放トリガを引っ張り、バッテリを外し、これを再度接続することによってテストが行われた。切断の持続時間は重要ではない。1~2秒で良い。動作が再び始まったことを検証する。このテストは少なくとも2回繰り返されるべきである)。
【0088】
生産テストモードを開始する
ユニットが分配された後に工場生産テストを実行することは不可能であるため、工場生産テストを開始する方法が提供される。PWMピンとTACHOピンとが互いに短絡しているかどうかをチェックすることによって、検出テストモードを選択する。これは、ファンが接続されている場合は不可能である。
短絡が見つけられた場合、ファームウェアは工場テストモードに入り、コマンドがシリアルポート上で予想される。コマンドが受け取られない場合、セルフテストは30秒後に自動的に終了し、通常の動作が始まる
(ピンを接続し、電力を印加し、30秒後までファンの動作が起こらないことを確認することによってテストが行われた)。
【0089】
放電を推定する
ログから、バッテリの放電状況を推定することができる。時計が常に動いていると仮定する。放電は次の3つの部分で構成される。
・スリープ時間での消費 1日当たり0.0005Ah
・セルフテストでの消費 1テスト当たり0.003Ah
・解放時間 1時間当たり1.0Ah
ここで、時間は、ログをスキャンすることによって検出可能である。バッテリがしばらく取り外されていたために時間がリセットされた場合、唯一のエラーはスリープ時間になるが、これは他の要因と比較してあまり影響を与えない。
バッテリの容量は、約3.5Ahである(Energizer L91バッテリをベースにする)
(この機能は、ファンの動作時間以外はテストが困難である。選択肢の1つは、シリアルポートを介してログにフェイクデータを挿入することである。ファンは2時間作動させることができ、その後、セルフテスト中にアラームが発せられるかテストする。
いくつかのテスト場面は以下の通りである。
・動作中に電力が一時的に中断され、RTCクロックが再作動した
・セルフテストの回数が非常に多く、バッテリを使い果たしている
・保管期間が非常に長い(>5年))。
【0090】
ログイベント
NEW_BATTERY(1) 新たなバッテリが挿入された(パワーアップ)。これは、リアルタイムクロックがリセットされたことも示す。
SELF_TEST_OK(2) セルフテストがエラーを伴わずに終了した。
LOADED_BAT_LOW(3) ファン駆動を伴うセルフテスト中のバッテリ電圧が過度に低かった(<1.4V)。
CHARGE_LOW1(4) 推定残存充電量が容量の70~80%であった。
CHARGE_LOW2(5) 推定残存充電量が容量の70%未満であった。
BAT_DEPLETED(6) 無負荷の初期バッテリ電圧が過度に低かった、または推定残存充電量が70%より小さかった。
RELEASE_MAN(7) ユニットは、解放ハンドルを引っ張ることによって作動させられた。
RELEASE_AUTO(8) ユニットは、加速度計/高度計によって作動させられた(まだ使用されていない)。
TERMINATED(9) 使用者がセルフテストボタンを押すことによって動作が中断された。
FAN_SLOWDOWN(10) このイベントは、バッテリ電圧が5.5Vを下回り、ファンのPWMが低下し始める最初の時点で発生する。これは、バッテリがほとんど消耗されていることを示す。
AUTO_RESTART(11) バッテリ接続が短時間中断され、これが解放されて、セルフテストを行わずに動作を継続すべきであることをユニットが検出した場合にこのイベントが記録される。
FAN_RUNNING(12) ファンが動作中である(ユニットが作動させられている)間、このイベントは、1分の動作ごとに記録される。これは、バッテリ容量の推定に使用される。
FAN_FAILED(13) ファンのタコが検出されなかった。ファンに何か問題がある。
OVERVOLTAGE(14) セルあたり1.85Vより大きい電圧を有するバッテリが挿入された。
FAN_RESTART(15) ファンの自動再作動が実行された。
【0091】
ログサイズおよびオーバーフロー処理
ログは、現在、64kのプロセッサ(最も小さい利用可能なプロセッサ)を使用して、5300エントリの長さである。約2500回のセルフテストに十分なスペースがある。これは、毎日使用して、ほぼ7年である。
電流が、これが解放される分ごとにログに記録される場合、41時間にわたってデータを格納することができる。これは、約20回の雪崩に相当する!
ログが満杯状態に近づいたら、最も古いデータが消去されるべきである。最後の、ニューバッテリ・イベントは消去してはならない
(ログを埋めるスクリプトを使用して、回帰テストの一部としてテストが行われるべきである)。
【0092】
ここで、
図1~
図14に示されている、この装置の前のバージョンは、本開示の以降のセクションにおいて参照のために含まれており、それらの全ての特徴は、独立して、上述した本開示による装置30の特徴と組み合わせられ得る。
【0093】
図1に概略的に示された本開示における装置の前のバージョンの一実施形態では、呼吸可能な空気の質を改良する装置10は、少なくとも、入口4と、ポンプ3と、電源5と、出口1と、ポンプを介して、入口4から出口1への呼吸可能な空気の流れの経路を提供するための要素を接続する管または導管7’,7’’,7’’’と、を備えている。ポンプ3は、バッテリなどの電源5からの十分な電力によって作動させられると、入口4から出口1への呼吸可能な空気の流れを提供する。
【0094】
少なくとも1つの入口4が、ポンプ3のポンプ入口31に接続されており、少なくとも1つの出口1が、ポンプ3のポンプ出口32に接続されており、ポンプは、作動させられると、空気を入口4から出口1へ圧送し得る。
【0095】
ポンプは、手動スイッチ11’または自動作動ユニット11で構成され得るコントローラ6によって作動させられてよい。典型的には、コントローラ6は、雪崩状況検出機構/センサ8を備え、雪崩状況検出機構/センサ8は、スイッチ11を自動的に作動させ、したがって、呼吸可能な空気の質を改良する装置を作動させる。雪崩状況検出機構/センサ8は、呼吸可能な空気の質の改良が必要とされる非雪崩状況において、呼吸可能な空気の質を改良する装置10,20を作動させるために、無効にされ得る。
【0096】
手動スイッチ11’は、呼吸可能な空気の質を改良する装置10の携帯用ストラップにラッチされるように配置されてよい。
【0097】
ポンプは、高、中、低など、複数のモードで動作させられてよく、低モードは省電力モードであってよい。コントローラ6,182が、例えば、検出器(図示せず)によって検出された、予備バッテリ容量などの電力リソース容量の結果として、ポンプの動作モードを自動的に調整するために検出器および作動器を備えていてよい。一例にすぎないが、これは、電力リソースの残りが50%となるまでポンプ3が完全に効果を発揮し、ポンプの動作モードが、電力リソースの残りが25%となるまで続く中モードに自動的に切り替わり、次いで、省電力モードすなわち低モードに自動的に切り替わるよう促進されてよい。
【0098】
ポンプの動作モードの選択は、ローカルまたはリモートで接続されている調整器スイッチ11’によって手動で選択されてよい。
【0099】
このようなモードコントロール方式は、呼吸可能な空気の質を改良する装置10のための電力リソースの容量が限られている場合、動作時間をかなり延ばすことができる。
【0100】
図2に示されているように、本開示における装置の前のバージョンの別の代替的な実施形態では、二重の、呼吸可能な空気の質を改良する装置20が提供されている。このようなシステムでは、提供された空気などである呼吸可能な空気の容量は、入口4の周囲の環境の分散された負荷を必要とする環境に適合するように増加させられてよい。例えば、人が雪崩に閉じ込められている緊急状況では、周囲の雪が、1箇所だけでは十分な量の空気/酸素を提供しない場合があり、複数の位置に入口を設けることが必要となる場合がある。
【0101】
本発明は、出口1の周囲の環境における呼吸可能な空気の質を改良するために協働するように配置されている、複数の呼吸可能な空気の質を改良する装置10の事例を有していてよい。
【0102】
呼吸可能な空気の質を改良する装置10を二重にする、または複数個有する別の理由は、冗長性であり得る。冗長性をもたらすアレンジメントは、例えばコントローラ6に実装されたテスト機能を備えていてもよい。テスト機能は、メインの呼吸可能な空気の質を改良する装置10の動作状態を頻繁にテストし、誤作動が検出された場合に、冗長性設定において利用可能な別の呼吸可能な空気の質を改良する装置10を作動させる。
【0103】
複数の呼吸可能な空気の質を改良する装置10を備えている冗長性設定におけるコントローラ6が、
図2に示されているように、呼吸可能な空気の質を改良する装置10の全てまたは一部のために用いられてよい。他の実施形態におけるコントローラが、複数の装置において配置されていてよく、例えば、呼吸可能な空気の質を改良する装置10,20ごとに1つ配置されていてよい、または動作スイッチ11が多機能ユニット6に含まれていてよく、他方で、センサ8が、別個のモジュール/装置において配置されてよく、呼吸可能な空気の質を改良する装置ごとの固有のモジュール/装置において編成されてよいことが理解されるべきである。複数のコントローラ6が存在する場合、これらは階層的に、次のように、例えば第2のコントローラが、緊急状況を識別する最初のコントローラであり、これによって第1の空気の質を改良する装置10の作動が開始され得るように結合可能であってよい。センサは、階層的な設定における1つ、複数または全てのコントローラ6に接続されてよい。このような設定によって、冗長性容量を増やすことができる。
【0104】
呼吸可能な空気の質を改良する装置10は、呼吸可能な空気を浄化するためのフィルタ2を備えていることによって、出力される呼吸可能な空気の質を改良することができる。フィルタは、管または導管7’,7’’,7’’’内、例えば、出口管7’’’内に配置されてよい。フィルタは、呼吸可能な空気の質を改良する装置10の位置、例えば、入口ダクト7’内に配置されてよい。
【0105】
呼吸可能な空気の質を改良する装置10によって空気が供給される場合、典型的なフィルタはCO2フィルタであってよい。例えば水/雪/氷を除去するフィルタなどの他のフィルタが設けられてよい。
【0106】
本発明の一実施形態では、呼吸可能な空気の質を改良する装置10,20は、出口1の周囲の空間から空気を引き込んで、ポンプ(3)およびCO2フィルタ(2)を通してそれを再循環させるためのフィードバックダクト110を備えている。コントローラ6は、出口1の領域において検出されたCO2のレベルが予め設定されたレベルに達したときに、ポンプ3に空気を供給するフィードバックダクト110の動作をコントロールすることができる。
【0107】
CO2フィルタなどのフィルタは、様々な理由で誤作動することがあり、フィルタを通る空気の流れを妨げる場合がある。呼吸可能な空気の質を改良する装置10,20の一実施形態は、バイパスダクト111を備えていてよく、これは、例えば予測された、ポンプを通る空気流を下回る空気流を検出することによって、フィルタが誤作動していると検出された場合に、コントローラ6によって作動させられて、ポンプから出口1に直接空気を供給する。他のセンサが、フィルタの誤作動を検出してよい。例えば、出口1の周囲の空気の質のレベルがクリチカルなレベルを安全に下回り、ポンプ3を通る空気流が許容可能な質を有している場合にバイパスダクト111が作動させられてもよい。
【0108】
典型的なCO2フィルタは、バッテリなどの利用可能な電力リソース5によって圧送される潜在的な空気量の何倍もの容量を有するように選択され得る。
【0109】
電力リソース5が、バッテリ、または他の発電装置、例えばバッテリの代わりの、またはバッテリと組み合わせた燃料電池で構成されていてよい。
【0110】
呼吸可能な空気の質を改良する装置10の典型的な実施形態は、雪、水または他の物質による詰まりから入口を保護するための入口保護装置4’を備えている入口4も備えている。入口保護装置は、軽量保護メッシュによって、例えば、硬質プラスチックまたは炭素材料によって形成されていてよく、メッシュは、ポリウレタンスポンジなどのガス透過性材料で充填されていてよい。別の実施形態では、入口保護装置4’は、ガス透過性であるが、流体不透過性である。保護装置は、耐衝撃性であってよい。
【0111】
出口1が、呼吸可能な空気の質を改良する装置10,20を装着している人の鼻/口に近い位置を確保するように、ウェアラブル装置/機器114に配置されてよい。ウェアラブル装置は、例えば、ジャケットの襟/バックパックのストラップまたは例えばヘルメットの内側に配置された、固定装置(図示せず)を備えていてよい。
【0112】
次に、呼吸可能な空気の質を改良する装置10の典型的な実施形態について説明する。
【0113】
本発明の呼吸可能な空気の質を改良する装置10の典型的な使用は、雪崩が発生しやすい領域において時間を過ごす登山者のための救急パックを提供することである。雪崩状況では、雪の表面の下に閉じ込められた人に、周囲の雪からの酸素が最大でも数分しか供給されない。人が口/鼻の近くにおいて雪に封じ込められた酸素にアクセスできる場合、雪自体はほとんどの場合、人が生存できるほどの十分な余剰酸素を含んでいる。しかし、ここではこれが当てはまらない。なぜなら、雪に埋もれている人の呼吸からの凝縮物が、頭の周囲の環境を湿気で非常に急速に飽和させ、これが近くの雪を不透過性材料に変える氷の層または水飽和層を非常に頻繁に作るからである。口/鼻の領域の周りのこの不透過性シェルは、近くの雪の塊からの酸素が、埋もれている人に到達するのを妨げ、呼吸環境に蓄積したCO2のために、人は非常に急速に窒息する。緊急使用用の酸素補給品を携行するのは、被災者が救助されない場合の避けがたい結果を先延ばしするかもしれないが、生命維持用の酸素を長期間供給できる酸素補給品を携行するのは煩わしい。
【0114】
図3Aは、スキーヤー/登山者がバックパック40として装着している、本開示における装置の前のバージョンの呼吸可能な空気の質を改良する装置10を示している。一実施形態におけるバックパック40のアセンブリを
図3Bに示す。バックパック40は、バックパック40の装着者の顔の領域から離れた入口4,4’の環境を提供する。出口1は、バックパック40の装着者の顔の領域の近くに位置するように配置されている。ポンプ3、バッテリなどの電源5、およびコントローラ6は、バックパック40の内側に配置されていてよい。
【0115】
呼吸可能な空気の質を改良する装置10を備えているバックパック40は、外部の力または衝撃による誤作動を回避するために、本発明の部品の周囲に保護ケースをさらに提供してよい。管および/または導管7’,7’’,7’’’は、屈曲に強いように設計されてよく、装着者が緊急状況にあるとき、例えば雪崩に巻き込まれた場合または雪の下に埋もれている場合に、破損または漏洩を回避するように強化されていてもよい。
【0116】
本発明の呼吸可能な空気の質を改良する装置10は、典型的には、シャットオフ状態、スタンバイ状態、またはアクティブ状態のうちの1つにある。
【0117】
シャットオフされている場合、典型的には保管されている場合、空気の質を改良する装置10のいずれの要素もアクティブではない。
【0118】
スタンバイ状態にある場合、呼吸可能な空気の質を改良する装置10のコントローラ6は、自動作動ユニットと手動オン/オフスイッチ11’との両方のスイッチ11の状態を監視している。いずれかが作動させられると、コントローラ6はポンプ3を始動させ、空気が入口4から出口1へ圧送される。空気の質を改良する装置10は、アクティブ状態に切り替えられている。
【0119】
雪崩によって生じると予想される運動パターンに等しい運動パターンを検出するジャイロセンサ8をコントローラ6が備えていてよい。例えば、
図4に例示されているように携行者が雪崩に巻き込まれた場合、ジャイロセンサ8によって自動作動ユニットが作動させられてよく、コントローラがポンプ3を始動させる。ポンプは、バックパック40を携行している人の背面にある入口4から、顔の領域の近くにある出口1に空気を圧送し、これによって、氷の層または水飽和層の外側の周囲から、被災者の顔の領域に酸素を運ぶ。こうすることで、被災者の呼吸によって形成された氷のバリアが、顔周辺の環境を妨げず、雪に含まれている、酸素が豊富な周囲の空気へのアクセスを遮断することがなくなる。圧送された空気流も、鼻および口の周囲のCO
2飽和空気を移動させる。
【0120】
このような事例において、入口が、携行者の鼻および口の領域から遠くに、例えば、バックパック40内で可能な限り低い位置に配置されているのは有利である。雪が入口の周囲で密に詰まるのを防止するフィルタまたは材料などの入口保護装置4’によって入口が包囲されている場合、入口4は、さらに効率を改良するであろう。入口保護装置4’の面積が大きいほど、周囲の雪から空気を取り込むために、より多くの表面が提供される。
【0121】
呼吸可能な空気の質を改良する装置10,20が作動させられており、被災者の頭部の領域の周囲に氷の層が形成されると、CO2レベルは、呼吸環境において急速に上昇する。呼吸可能な空気の質を改良する装置10,20は有利には、CO2を捕捉するためのフィルタなどの、空気を浄化するための1つまたは複数のフィルタ2を備えていてよい。フィルタ2は、出口1の近くに配置されていてよいが、「悪い」空気が流入空気の質を汚染するのを防ぐために入口4の近くに配置されていてもよい。
【0122】
任意選択的に、コントローラ6が、図示されていない遭難信号送信器、および図示されていない他の信号送信装置または視覚的/物理的な追跡装置を開始させてもよい。任意選択的な送信器が、呼吸可能な空気の質を改良する装置10,20の様々なセンサ8からのデータ、例えば電力レベル、フィルタ状態、誤作動の測定のために装置10,20に設けられているセンサからのデータを送ってもよい。
【0123】
任意選択的な実施形態では、呼吸可能な空気の質を改良する装置10,20には、例えば、呼吸可能な空気の質を改良する装置10,20を携行している人の身体状態を検出することができる、身体に取り付けられたセンサ8に接続するための、1つまたは複数のセンサ入力インタフェース8’が設けられている。コントローラ6は、情報を処理し、任意選択的に、
図7に示されているように、離れている通信ユニット101,104,105に情報を伝達し、また、離れている通信ユニット101,104,105からコントロール命令を受け取ることができてよい。コントローラは、センサ8によって提供されたデータの変化またはレベルに基づいて、呼吸可能な空気の質を改良する装置10,20を通る給気レベルを変更することができてよい。
【0124】
呼吸可能な空気の質を改良する装置10,20を、上述の雪崩緊急使用用のバックパック40などの多くの有利な使用場面に適合させることができる。バックパック40、またはバッグのような他の、呼吸可能な空気の質を改良する装置10,20の実施形態を、
図5に例示されているように、例えば緊急用雪洞またはテントキャンプ50において使用するために最適化することができる。スキーヤーなどが、例えば、予期せずに、嵐に巻き込まれ、粗雑な/浅い雪洞を掘る時間しかない場合、給気は、生存のためのクリチカルな要素になり得る。この場合、顔の領域から離れたところから空気を引き込むために、呼吸可能な空気の質を改良する装置10,20が使用されてよく、これは、呼吸可能な空気の質を改良する装置10,20を浅い雪洞の外側に配置でき、延長可能な出口管7’’,7’’’をスキーヤーの顔の領域の近くに配置できるように延長可能な出口管7’’,7’’’を設けるか、顔の領域から、例えば洞/テント50の外側から十分な距離に配置できる延長可能な入口管7’を設けるかのいずれかによって行われ、さらに、呼吸可能な空気の質を改良する装置10,20を所望の圧送モードへ切り替えるために、コントローラ6の手動スイッチ11’が設けられていてよい。遭難者が自身の周囲に掘ることができた自由空間の大きさに応じて、動作モードは、可変に、十分な給気を提供するようにセットされてよく、同時に可能な限り長い時間使用するためにエネルギーを節約するようにセットされてよい。
【0125】
その他の利用法は、例えば、テント50であってよく、これは吹雪で雪に埋もれていることがあり、これによって、通常の換気特徴が遮断されている。入口が、テント生地の周囲に形成された氷の外側から給気を引き込むのに十分なほど遠い外側まで延長されてよい。
【0126】
自動作動ユニット11が、種々の検出されたイベント、例えば、自動作動ユニット11に接続された1つまたは複数のセンサ/検出器8によってトリガされてよく、これは、雪崩によって生じた動き、予め設定された閾値を上回るCO2レベル、重量負荷/圧力、重力加速度、または作動閾値に交差する他のセンサ8の入力、例えば、人の血流中の酸素含有量、心拍数もしくは体温などを含むが、これらに限定されない。
【0127】
一実施形態では、本発明は、例えば、人が浅い雪洞で時間を過ごしているときに、バックアップ酸素供給装置として使用される。CO2含有量の高い環境で時間を過ごしている人は、危険に気づかず、窒息する可能性がある。本開示における装置の前のバージョンである呼吸可能な空気の質を改良する装置10,20は、CO2含有量のセンサ8を備えていてよく、危険なほど低いと考えられるレベルに達すると、制限領域の外側から引き込まれた空気の供給を自動的に開始してよい。呼吸可能な空気の質を改良する装置10,20は、付加的に、アラーム112を備えていてよく、これは例えば、音響アラーム、可視光アラームなどであり、アラーム112は、検出された危険なCO2レベルを人に警告するためにコントローラ6によって作動させられてよい。アラーム112は、コントローラ6に組み込まれていてよい、または別個に接続されたアラーム装置として配置されていてよい。アラーム112は、呼吸可能な空気の質を改良する装置10,20のより良好な電力使用方式を保証することができる。なぜなら、これは、出口1の領域における空気の質に基づいて、手動または自動で、呼吸可能な空気の質を改良する装置10,20のオンおよびオフの切り替えを、使用者またはコントローラ6ができるようにし得るからである。
【0128】
本開示における装置の前のバージョンの別の実施形態では、呼吸可能な空気の質を改良する装置10,20は、1つまたは複数のさらなる救命機器特徴/装置、例えば、雪崩状況において膨張するように設けられているバルーン/雪崩エアバッグ安全装置と組み合わせて使用されてよい。さらなる救命機器は、呼吸可能な空気の質を改良する装置10,20の自動作動ユニット11によって、または呼吸可能な空気の質を改良する装置10,20の手動スイッチ11’によってコントロールされてよい。他のさらなる救命特徴は、例えば、遭難ビーコン無線信号、緊急フラッシュライト、サイレンなどであってよい。
【0129】
圧縮O2タンクからの酸素の膨張によって作動させられるバルーン/雪崩エアバッグ安全装置と組み合わせた呼吸可能な空気の質を改良する装置10,20の別の実施形態では、バルーン/雪崩エアバッグの内側をポンプ3に接続するように配置されている付加的な入口115が設けられており、ここで、バルーン/雪崩エアバッグの内側からの酸素の流れは、バルーン/雪崩エアバッグが酸素で満たされたときに開放され、他の入口4,4’からの酸素の余剰は、呼吸可能な空気の質を改良する装置10,20を通した十分な酸素の流れを提供しない。
【0130】
呼吸可能な空気の質を改良する装置10,20のさらに別の実施形態では、入口4,4’が十分な酸素を提供しないときにポンプを通じて酸素を提供するために、圧縮酸素で充填された容器116が追加されてよい。付加的な供給は、コントローラと、流量または酸素レベルを測定する、または出口環境においてCO2を測定する、入口4,4’に配置されている、許容できないレベルを識別するセンサと、によってコントロールされてよい。
【0131】
呼吸可能な空気の質を改良する装置10,20のさらに別の実施形態では、付加的な入口115を介したバルーン/雪崩エアバッグバックアップ特徴と圧縮酸素を保持する付加的な容器116とを組み合わせて、呼吸可能な空気の質を改良する装置10,20の動作時間範囲をさらに提供することができる。
【0132】
呼吸可能な空気の質を改良する装置10,20のさらに別の実施形態では、第2の救命機器が、呼吸可能な空気の質を改良する装置10,20と協働するように配置されていてよく、第2の救命機器は、例えば、雪崩浮力用の空気膨張バルーン/雪崩エアバッグ、圧縮酸素を含む容器、身体保護用のエアバッグ、任意選択的に、呼吸可能な空気の質を改良する装置10,20の電力リソース5によって給電される身体加熱機器などであってよい。
【0133】
図6は、本発明の任意選択的な実施形態の動作様式を説明するフローチャートであり、呼吸可能な空気の質を改良する装置10,20がオンにされると、コントロールスイッチの作動200が、作動のための自動緊急検出器201の入力信号か、スイッチ202からの手動でコントロールされる信号かのいずれかを待機する。そのような入力信号を受け取ると、コントロールユニットは、バッテリのセルフテストおよび/または電力状態の読み取りを実行すること203によって、動作を開始することができる。本発明が複数の呼吸可能な空気の質を改良する装置10,20を備えている場合、コントローラは、どの装置が作動させられるべきかを選択する204。この決定は、電力レベルまたは他のセンサの入力の影響を受ける場合がある。ポンプを異なる容量レベルで動作させることができる場合、センサによって読み取られたデータおよび電力レベルが、ポンプを動作させるレベルを規定する205ために付加的に評価されてよい。ポンプのレベルが変更されるべき場合、ポンプは、新しいレベルで動作するように指示される206。コントローラ6は、ポンプ作動動作203~206に対するセルフテストを、予め設定された時間間隔で、例えば30秒ごとに再実行する。
【0134】
ポンプ容量レベルの設定をコントロールする1つの方式は、電源の寿命を最大化するために、人をかろうじて生存させておくのに十分な呼吸可能な空気のみを提供することによって、電力消費を下げることを考慮してよい。気がかりとなる心拍をセンサが検出した場合、呼吸可能な空気の流量が一定期間にわたって増加させられてよい。別の方式は、到着時間を推定し得る、離れている救助グループとの通信を含んでいてよく、電力消費が、推定された救助までの時間にわたって平均化されてよい。
【0135】
呼吸可能な空気の質を改良する装置10,20は、上述の雪崩/雪環境とは別の環境において有利な救命支援を提供してよい。このような環境は、例えば、井戸、管、這い回る空間、洞、肥料貯蔵所などの、限られた給気の下で労働者が作業を行う逼迫した環境であり得る。
【0136】
図7は、コントローラ6が、捜索隊105によって捜索可能なビーコン106を伝達できる無線通信ユニットを備えている本発明のシステムの実施形態を示している。無線通信ユニットは、捜索隊が、緊急搬送機関107を要請するなどの賢明な決定を下せるように、センサ8の読み取りを送る103こともできる。通信ユニットはさらに、クラウドまたは広域ネットワーク100と通信することができ、この通信102を介して、サーバサービス101、捜索チーム105、搬送機関107またはローカルアラームステーション104と通信することができてよい。これは、典型的には、遭難信号に反応することができる救急サービスであってよく、緊急サービスは、適切なコントロール救助チーム105および緊急搬送機関107と通信する102ことができる。
【0137】
通信伝達媒体102,103,106は、無線LANもしくはWAN、Bluetooth、WiFi、モバイルネットワーク、無線通信、または他の通信媒体のうちの1つであってよい。
【0138】
別のシステム特徴は、例えば選択された山岳地点などの現場に設けられているローカルアラームステーション104を備えていてよい。発明の各装置10,20は、存在および非遭難信号を識別するために、予め設定された間隔でローカルアラームステーション104との通信103を行ってよい。ローカルアラームステーション104は、緊急状況が検出されると、危険を脱した人、および危険区域にいる人のリストを提供するようにプログラムされていてよい。
【0139】
発明の別の実施形態が
図8に示されている。入口チャネルは、例えばバックパック40のバックプレートなどのフレームと一体化されており、入口チャネルは、複数の分配されている入口チャネル82として構成されており、複数の分配されている入口チャネル82は、自身の最も周縁の端部で、対応する入口開口83を備えており、これらの入口開口83は、各入口開口83の異なる周囲から空気を収集できるように、分散パターンで離れてセットされている。これによって、入口が1つの位置だけにある場合よりも大きい周囲領域から空気を収集することが可能になる。複数の分配されている入口チャネル82は、自身の中央端部で、任意選択的に中央入口チャネル81を介して、ポンプ85に結合されている。各分配されている入口チャネル82は、自身の周縁の端部で、対応する空気入口(83)を接続接合部81’において中央入口チャネル81に接続することができ、中央入口チャネル81は、分配されている入口チャネル(82)のそれぞれまたはグループに接続する1つまたは複数の接続接合部81’を有していてよい。一実施形態では、中央入口チャネル81および/またはより小さい複数の分配されている入口チャネル82および対応する入口開口83の一部または全てが、成形可能な空気透過性発泡材料用に構成され、成形可能な空気透過性発泡材料で充填されていてよく、これによって、チャネルによって搬送された空気が、同時にフィルタリングされる。フィルタリング特性は、必要性、ポンプ容量などに応じて変化してよい。成形可能な発泡材料は、チャネル81,82の形状の維持に部分的に寄与してもよく、これによって、チャネル81,82の壁において使用される材料に対する要件も低くなる。例えば、軽量のポリベースの材料、軽量の織り気密材料などのチャネル壁材料を使用すれば十分である。
【0140】
図8に示されているように、バックパック40のフレームに、中央入口チャネル81とより小さい複数の入口チャネル82とが組み込まれている例では、より小さい入口はバックプレートの周縁に配置され、入口開口83は、バックパック40のバックプレートの側面か、バックパック40を携行している人に向いている側面におけるバックプレートの側縁のすぐ近くのいずれかにある。各入口開口83は、各入口開口83から中央入口チャネル81内へ空気を容易に吸い込めるように、分配されている入口チャネル82によって中央入口チャネル81に結合されている。
【0141】
ポンプ85は、分配されている入口チャネル82および中央チャネル81を介して入口開口83に取り付けられている密閉ケーシング84内のバッテリと一体化されていてよい。ポンプ85は、作動させられると、分配されている入口チャネル82および中央チャネル81において真空を発生させ、分配されている入口チャネル82と中央チャネル81とが組み合わされてチャンバを形成する、またはチャンバとして作用し、これによって、入口開口83を介して、かつ分配されている入口チャネル82および中央チャネル81を通じて周囲から空気を吸い込む。チャネル81,82および成形可能な発泡材料を含んでいる任意選択的な充填材の組み合わせられた強度は、潰れることなく真空に耐えるのに十分な形状を維持できなければならない。
【0142】
図に示されている実施形態の別の利点は、ポンプ85から顔の領域に空気を搬送するための給気管89を、バックパック40およびショルダハーネス91、胸骨ストラップ92、スタビライザストラップなどのうちの1つまたは複数と一体化することによって得られる。したがって、ポンプ85からの給気が、給気管89を通じて搬送されてよく、給気管89は、バックパック40のバックプレートおよび/またはショルダハーネスおよび/または胸骨ストラップおよび/またはスタビライザストラップ内に隠され、これによって周囲からの損傷から保護される。
【0143】
給気管89の出口開口90を提供する出口装置80が、給気管89の端部に、すなわち、ポンプ85に接続されている端部とは反対側の給気管89の端部に設けられていてよい。出口80は、携行者の顔の領域の近くに配置されている。出口装置80には、出口に雪や氷が詰まらないことを確実にするために、さらなる出口フィルタリング材料が設けられていてよい。出口フィルタリング材料に、空気出口開口90の着氷による詰まりを防止するための加熱装置(図示せず)が付加的に設けられていてよい。
【0144】
空気の質を改良する装置の使用者がフルフェイスヘルメット93を装着しており、かつ空気がヘルメット内に供給されなければならない場合などに、より正確に規定されたエンクロージャでの改良された空気の提供を容易にするために、管延長部94が、例えばクイックスナップロックによって、一方の端部において、出口装置80の出口開口90に接続され、他方の端部において、ヘルメット93の内側、例えばヘルメット出口装置(図示せず)に接続されていてよい。一実施形態では、ヘルメット出口装置は、ヘルメットに、例えば顎保護部分95に組み込まれていてよい。
【0145】
別の実施形態では、
図8に示されているようなポンプ、バッテリ、分配されている入口チャネルおよび開口が複合型ポンプユニット120に含まれていてよく、複合型ポンプユニット120は、チャンバ120’、ポンプ85、バッテリ、周囲に面しているチャンバ120’の開口123で構成されている空気入口ならびにフィルタを含んでいる。これらは全て、
図10および
図11に示されているように、バックパックなどの側面に組み込まれるように適合させられている1つの装置である。この後者の実施形態では、入口開口を取り囲むためにバックパック40などの運搬装置の部分または孔側が使用されてよい。有利には、複合型ポンプユニットの入口の間に空気透過性バリアを提供する一体化されたサイドカバーが設けられていてよく、サイドカバーは、外力および物品に対する追加の保護をもたらす。ポンプユニット120内のポンプ85は、周囲の空気を入口開口からポンプ入口82内へ吸い込み、ポンプ85の出口122に接続されていて、空気を出口装置80に搬送する給気管89に供給する。成形可能な空気透過性発泡材料でチャンバを部分的または完全に充填することによって、さらなる空気フィルタリングおよび支持がチャンバにもたらされてよく、これによって、ポンプに吸い込まれる破片、雪、流体および他の粒子に対するさらなるバリアがもたらされる。
【0146】
図8に示されている装置は、入口チャネルおよび中央チャネルを取り囲むためのバックプレート、またはバックプレート上のキャリー(図示せず)などを備えたウェアラブルジャケットにおいて実装されてよい。
【0147】
図12、
図13および
図14に示された使用場面は全て、ポンプユニット120を明確に識別する図面の便宜上、このポンプユニット120の後者の実施形態を示している。しかし、発明者らは、例えばバックパックのバックフレームに一体化された入口チャネル82および中央チャネル81を介した入口開口83を備えている、
図8に示された実施形態が、
図12に示されているようにダウンヒルスキーヤーがバックパックを着用している、示されている場面、または
図13に示されている、ヘルメット93も使用しているスノーモービルの運転者によって着用され、1つの端部において出口装置80に接続されている管延長部94を備えているバージョン、または
図14に示されているような、人が雪崩に埋まっている場合のバージョンにおいて使用され得ることを意図している。
【0148】
以降の実施形態は、本開示における装置の前のバージョンを規定していてよく、環境中の呼吸可能な空気の質を改良する装置10,20は、
少なくとも1つの入口4、
少なくとも1つのポンプ3、
少なくとも1つの電力リソース5、
コントローラ6および
少なくとも1つの出口1を備えており、
少なくとも1つの入口4は、ポンプ3のポンプ入口31に接続されており、
少なくとも1つの出口1は、ポンプ3のポンプ出口32に接続されており、
ポンプは、作動させられると、入口4から出口1へと空気を圧送する。
【0149】
少なくとも1つの入口4とポンプ入口31との間の接続部は、ポンプ入口31に対するより遠い、入口4の配置を可能にする入口管セグメント7’をさらに備えている、装置10,20。
【0150】
少なくとも1つの出口1とポンプ出口32との間の接続部は、ポンプ出口32に対するより遠い、出口4の配置を可能にする出口管セグメント7’’,7’’’をさらに備えている、装置10,20。
【0151】
管セグメント7’,7’’,7’’’、入口4、出口1またはポンプ3のうちのいずれかが、装置10によって供給される空気をフィルタリングするフィルタ2をさらに備えている、装置10。
【0152】
フィルタ2は、装置10によって供給された空気からCO2を除去するためのCO2フィルタである、装置10,20。
【0153】
コントローラ6は、ポンプ3の動作モードを設定およびコントロールするための自動作動ユニット11を備えている、装置10,20。
【0154】
装置10,20は、1つまたは複数のセンサ8をさらに備えており、これらのセンサは、雪崩によって生じた動き、予め設定された閾値を上回るCO2レベル、重量負荷/圧力、重力加速度、予備バッテリ容量などの電力リソースレベル、または作動閾値に交差するセンサの入力、例えば、人の血流中の酸素含有量、心拍数もしくは体温のうちの1つまたは複数に感応し、
1つまたは複数のセンサ8は、センサ入力インタフェース8’を介して、コントローラ6の自動作動ユニット11に接続されており、コントローラ6は、センサ8の読み取りを監視し、それに応じて、装置10,20の動作モードをコントロールするプログラムを含んでいる。
【0155】
自動作動ユニット11は、手動スイッチ11’を備えており、この手動スイッチ11’は、センサ8の入力を無効にし、選択された動作モードでポンプ3を手動で作動させるために使用され得る、装置10,20。
【0156】
入口4は、雪、水または他の物質による詰まりから入口4を保護するための入口保護装置4’をさらに備えている、装置10,20。
【0157】
入口保護装置4’は、軽量保護メッシュによって形成されている、装置10,20。
【0158】
メッシュは、硬質プラスチックまたは炭素材料のうちの1つで構成されている、装置10,20。
【0159】
入口保護装置4’は、ガス透過性材料で充填されていてよい、装置10,20。
【0160】
ガス透過性材料は、ポリウレタンスポンジである、装置10,20。
【0161】
出口1を取り囲んでいる環境から空気をポンプ3に供給して、出口1を通して戻すフィードバックダクト110をさらに備えている、装置10,20。
【0162】
フィルタ2をバイパスするためのバイパスダクト111をさらに備えている、装置10,20。
【0163】
装置はバックパック40のアセンブリ内に配置されており、入口4および入口保護装置4’が、バックパック40の下端部に配置されており、出口1が、携行者の口および鼻の領域の近くに位置するように配置されている、装置10,20。
【0164】
装置はバッグまたはバックパック40のアセンブリ内に配置されており、入口4および入口保護装置4’が、バックパック40またはバッグのアセンブリ内に配置されており、入口4が人から離れるように配置され、出口1が人の顔の領域近くに配置されるように装置10,20が配置可能であるように、入口4が延長可能な入口管7’を備えている、または出口1が延長可能な出口管7’’,7’’’を備えている、装置10,20。
【0165】
ウェアラブル装置をさらに備えており、ウェアラブル装置114は、装置10,20を装着している人の鼻/口に近い位置に存在し得るように出口1を保持している、装置10,20。
【0166】
アラーム112をさらに備えており、検出器8が、出口1の近くで過度に高いCO2レベルを検出した場合、電力リソースレベルが予め設定された閾値を下回った場合、または任意の検出器が、予め設定された許容可能なレベル外のレベルを検出した場合、コントローラ6によってアラーム112が作動され得る、装置10,20。
【0167】
膨張したバルーン/雪崩エアバッグからポンプ3に酸素を提供するための付加的な入口115をさらに備えている、装置10,20。
【0168】
酸素が充填されている容器116をさらに備えており、酸素が充填されている容器116は、酸素が充填されている容器116からポンプ3へ酸素を提供する、装置10,20。
【0169】
コントローラ6は通信装置をさらに備えており、通信装置は、装置10,20の状態を離れている通信ユニット101,104,105,107に送ることができる、装置10,20。
【0170】
通信装置は、離れている通信ユニット101,104,105,107から動作命令を受け取ることができる、装置10,20。
【0171】
雪崩の被災者に延命支援を提供するシステムの実施形態であって、システムは、1つまたは複数の装置10,20を備えており、システムは、離れている通信ユニット101,104,105,107および通信伝達媒体102,103,106をさらに備えている、システムの実施形態。
【0172】
離れている通信ユニット101,104,105,107は、装置10,20の存在および非遭難信号を識別することができるローカルアラームステーション104、他の離れている通信ユニット101,104,105,107を監視するおよび他の離れている通信ユニット101,104,105,107と通信することができる、離れているサーバ101、装置10,20によって送られたビーコン106を単に受け取ることによって装置10,20の位置を特定することができる捜索隊105または緊急搬送機関107のうちの1つである、システム。
【0173】
装置10,20は、他の救命機器とさらに組み合わせられる、システム。
【0174】
他の救命機器は、雪崩浮力用の空気膨張バルーン/雪崩エアバッグ、圧縮酸素を含む容器、身体保護用のエアバッグ、身体加熱機器のうちの1つまたは複数である、システム。
【0175】
装置10,20を使用して、環境中の呼吸可能な空気の質を改良する方法であって、この方法は、
使用者が装置10,20をオンにするステップ、
自動緊急検出器201または手動スイッチ202のいずれかが作動させられると、装置10,20を作動させるステップ、
ポンプを始動させるステップ206
を含んでいる。
【0176】
ポンプを始動させるステップ206は、ポンプの始動206前に実行される、
a)装置10,20のコントローラ6が、正常なセルフテストを実行し、電源状態および/またはセンサ状態を読み取るステップ203、
b)コントローラ6が、どの装置10,20を作動させるのかを選択するステップ204、
c)コントローラ6が、選択されたポンプ3のポンプレベルを選択するステップ205、
のうちの1つまたは複数のステップ、
選択されたポンプレベルでポンプを始動させるステップ206、および
ポンプレベルまたは変更装置10,20を調節するために、ステップaからステップcを予め設定された間隔で繰り返すステップ
を含んでいる、方法。
【0177】
これらの実施形態は本発明の原理を説明しているだけであり、本発明を実装する付加的な手法があり得ることが理解されるべきである。本発明の保護範囲を規定するのは関連する特許請求の範囲である。
【国際調査報告】