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特表2024-546447構造体、光電子デバイス、及び構造体の製造方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-12-24
(54)【発明の名称】構造体、光電子デバイス、及び構造体の製造方法
(51)【国際特許分類】
   G02B 5/20 20060101AFI20241217BHJP
   H01L 33/50 20100101ALI20241217BHJP
   B82Y 20/00 20110101ALI20241217BHJP
   B82Y 40/00 20110101ALI20241217BHJP
【FI】
G02B5/20
H01L33/50
B82Y20/00
B82Y40/00
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024528565
(86)(22)【出願日】2022-11-10
(85)【翻訳文提出日】2024-05-14
(86)【国際出願番号】 EP2022081456
(87)【国際公開番号】W WO2023088774
(87)【国際公開日】2023-05-25
(31)【優先権主張番号】17/530,568
(32)【優先日】2021-11-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】599133716
【氏名又は名称】エイエムエス-オスラム インターナショナル ゲーエムベーハー
【氏名又は名称原語表記】ams-OSRAM International GmbH
【住所又は居所原語表記】Leibnizstrasse 4, D-93055 Regensburg, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】110002952
【氏名又は名称】弁理士法人鷲田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】カリロ マシュー ジェイ.
(72)【発明者】
【氏名】トレッドウェイ ジョセフ
【テーマコード(参考)】
2H148
5F142
【Fターム(参考)】
2H148AA00
2H148AA07
5F142DA14
5F142DA22
5F142DA63
5F142DA64
5F142DA73
(57)【要約】
構造体、光電子デバイス、及び構造体を製造する方法が開示される。実施形態では、構造体は、少なくとも1つの半導体材料を含む第1のナノ粒子を含む。第1のナノ粒子は、第1の波長範囲で発色団であり、第2の波長範囲で放射性である。この構造体は、複数の第2のナノ粒子をさらに含む。第2のナノ粒子は、第1の波長範囲及び第2の波長範囲において非発色団である。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
構造体(1)であって、
少なくとも1つの半導体材料を含む第1のナノ粒子(2)であって、前記第1のナノ粒子(2)が、第1の波長範囲で発色団であり、第2の波長範囲で放射性である、前記第1のナノ粒子(2)と、
複数の第2のナノ粒子(3、3’)であって、前記第2のナノ粒子(3、3’)が、前記第1の波長範囲及び前記第2の波長範囲で非発色団である、前記複数の第2のナノ粒子(3、3’)と、
を含む、構造体(1)。
【請求項2】
前記第1のナノ粒子(2)は、コアと、少なくとも1つのシェルとを含む、請求項1に記載の構造体(1)。
【請求項3】
前記第2のナノ粒子(3、3’)は、金属粒子、半導体粒子、カルコゲニド粒子、ニクタイド粒子、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される粒子を含む、請求項1または2に記載の構造体(1)。
【請求項4】
カプセル化物(4)をさらに含む、請求項1~3のいずれか1項に記載の構造体(1)。
【請求項5】
前記第1のナノ粒子(2)と前記第2のナノ粒子(3、3’)とは、前記カプセル化物(4)内で間隔を置いて配置される、請求項4に記載の構造体(1)。
【請求項6】
前記複数の第2のナノ粒子(3、3’)の各第2のナノ粒子(3、3’)は、直接、前記第1のナノ粒子(2)、及び前記複数の第2のナノ粒子(3、3’)のさらなる第2のナノ粒子(3、3’)のうちの少なくとも1つに接触する、請求項1~5のいずれか1項に記載の構造体(1)。
【請求項7】
前記第2のナノ粒子(3、3’)は、凝集、非共有結合、共有結合、溶融、焼結、集塊、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される少なくとも1つの方法によって、前記第1のナノ粒子(2)に結合される、請求項1~6のいずれか1項に記載の構造体(1)。
【請求項8】
前記第1のナノ粒子(2)の表面は、前記第2のナノ粒子(3、3’)によって部分的に覆われている、請求項1~7のいずれか1項に記載の構造体(1)。
【請求項9】
前記第1のナノ粒子(2)の表面は、前記第2のナノ粒子(3、3’)によって完全に覆われている、請求項1~8のいずれかの1項に記載の構造体(1)。
【請求項10】
前記第2のナノ粒子(3、3’)は、少なくとも1つの表面部分(8、9)を含む、請求項1~9のいずれか1項に記載の構造体(1)。
【請求項11】
前記第2のナノ粒子(3、3’)は、第1の表面部分(8)及び第2の表面部分(9)を含み、前記第1の表面部分(8)が、前記第2の表面部分(9)によって、前記第2のナノ粒子(3、3’)に結合される、請求項10に記載の構造体(1)。
【請求項12】
前記構造体(1)は、前記第1のナノ粒子(2)に近接して少なくとも1つの内部ペイロード種(A、B)を含む、請求項1~11のいずれか1項に記載の構造体(1)。
【請求項13】
前記少なくとも1つの内部ペイロード種(A、B)は、前記第2のナノ粒子(3、3’)の内部にある、請求項12に記載の構造体(1)。
【請求項14】
前記第1のナノ粒子(2)は、第1のカプセル化物(6)内にカプセル化されており、
前記第2のナノ粒子(3、3’)は、第2のカプセル化物(7)内にカプセル化されており、
前記第1のカプセル化物(6)と前記第2のカプセル化物(7)とは、互いに直接接触している、請求項1~13のいずれか1項に記載の構造体(1)。
【請求項15】
前記第1のカプセル化物(6)と前記第2のカプセル化物(7)とは、同じカプセル化物材料を含む、請求項14に記載の構造体(1)。
【請求項16】
光電子デバイス(100)であって、
一次放射線を放出するように構成された半導体チップ(101)と、
前記一次放射線の少なくとも一部を二次放射線に変換するように構成された変換要素(103)と、を備え、
前記変換要素(103)は、請求項1~15のいずれか1項に記載の構造体(1)を少なくとも1つ備える、光電子デバイス(100)。
【請求項17】
構造体(1)を製造するための方法であって、
少なくとも1つの半導体材料を含む第1のナノ粒子(2)を提供することであって、前記第1のナノ粒子(2)が、第1の波長範囲で発色団であり、第2の波長範囲で放射性である、前記提供することと、
複数の第2のナノ粒子(3)を提供することであって、前記第2のナノ粒子(3、3’)が、前記第1の波長範囲及び前記第2の波長範囲で非発色団である、前記提供することと、
前記第1のナノ粒子(2)と前記第2のナノ粒子(3、3’)とを互いに近接して配置することと、
を含む、方法。
【請求項18】
前記第2のナノ粒子(3、3’)を、凝集、非共有結合、共有結合、溶融、焼結、集塊、及びそれらの組み合わせを含む群から選択される少なくとも1つの方法によって、前記第1のナノ粒子(2)に結合させることをさらに含む、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
カプセル化物(4)を適用することをさらに含む、請求項17または18に記載の方法。
【請求項20】
第1のカプセル化物(6)内に前記第1のナノ粒子(2)をカプセル化することと、
第2のカプセル化物(7)内に前記第2のナノ粒子(3、3’)をカプセル化することと、
前記第1のカプセル化物(6)と前記第2のカプセル化物(7)とを、互いに直接接触して配置することと、
をさらに含む、請求項17~19のいずれか1項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
構造体、光電子デバイス、及び構造体を製造する方法が開示される。
【背景技術】
【0002】
性能を向上させた構造体が望まれる。性能を向上させた構造体を備える光電子デバイスが望まれる。性能を向上させた構造体を製造する方法が望まれる。
【発明の概要】
【0003】
少なくとも1つの実施形態によれば、構造体が提供される。構造体は、特定の特性、特に異なる特性を備えた異なる要素、構成要素、または部分を含む場合がある。
【0004】
少なくとも1つの実施形態によれば、構造体は、少なくとも1つの半導体材料を含む、またはその半導体材料からなる第1のナノ粒子を含む。例えば、第1のナノ粒子は、III-V族化合物半導体材料またはII-VI族化合物半導体材料を基にした材料を含むか、またはその材料からなる。
【0005】
特に、構造体は、正確に1つの第1のナノ粒子、または正確に2つの第1のナノ粒子、または複数の第1のナノ粒子、例えば10以上の第1のナノ粒子を含む。
【0006】
少なくとも1つの実施形態によれば、第1のナノ粒子は、第1の波長範囲で発色団であり、第2の波長範囲で放射性である。ここで、及び以下において、発色団とは、第1のナノ粒子が特定の波長範囲で電子的に励起可能であることを意味する。換言すれば、第1のナノ粒子は、特に電子を基底状態から励起状態に励起することによって、第1の波長範囲内の波長を有する電磁放射線を吸収するように構成または設計される。ここで、及び以下において、放射性とは、第1のナノ粒子が特定の波長範囲の放射線を放出することを意味する。換言すれば、第1のナノ粒子は、特に励起電子を励起状態から基底状態に戻すことによって、第2の波長範囲内の波長を有する電磁放射線を放出するように構成または設計される。
【0007】
特に、第1のナノ粒子は、波長変換特性を備える。換言すれば、第1のナノ粒子は、第1の波長範囲の電磁放射線を吸収し、第2の波長範囲の電磁放射線を放出する能力を有する。さらなる実施形態では、第2の波長範囲は、第1の波長範囲と少なくとも部分的に異なる。例えば、第1のナノ粒子は、400nm~490nmの第1の波長範囲(両端含む)、例えば450nmなどで発色団である。例えば、第1のナノ粒子は、500nm~2000nmの第2の波長範囲(両端含む)、例えば500nm~700nmの範囲(両端含む)で放射性である。
【0008】
少なくとも1つの実施形態によれば、構造体は複数の第2のナノ粒子を含む。言い換えれば、この構造体は、2個以上の第2のナノ粒子、例えば10個以上の第2のナノ粒子を含む。複数の第2のナノ粒子の各第2のナノ粒子は、他の第2のナノ粒子と比較して、サイズ、組成、及び形状のうちの少なくとも1つにおいて同一、類似、または異なっていてもよい。特に、複数の第2のナノ粒子は、異なる種類の第2のナノ粒子を含む場合があり、異なる種類の第2のナノ粒子は、例えば、異なる組成を有する。
【0009】
構造体中の第2のナノ粒子の数は、第1のナノ粒子のサイズと比較した第2のナノ粒子のサイズに依存し得ることに留意されたい。第1のナノ粒子と比較して第2のナノ粒子が小さいほど、より多くの第2のナノ粒子が構造体中に存在する必要がある。第2のナノ粒子が、第1のナノ粒子と同じ大きさであるか、または第1のナノ粒子より大きい場合、第1のナノ粒子と比較してほぼ同じ量の第2のナノ粒子が構造体中に存在し得る。
【0010】
少なくとも1つの実施形態によれば、第2のナノ粒子は、第1の波長範囲及び第2の波長範囲において非発色団である。ここで、及び以下において、非発色団とは、第2のナノ粒子が特定の波長範囲で電子的に励起可能ではないことを意味する。したがって、第2のナノ粒子は、第1の波長範囲及び第2の波長範囲の両方において、上記の波長範囲の少なくとも1つにおいて発色団である粒子と比較して、著しく少ない電磁放射線を吸収する。換言すれば、第2のナノ粒子は、第1のナノ粒子の励起波長範囲と発光波長範囲との両方において、著しく少ない電磁放射線を吸収する。
【0011】
本明細書で定義されるように、「著しく少ない電磁放射線を吸収する」とは、第2のナノ粒子が、第1の波長範囲及び第2の波長範囲の少なくとも一方において発色団である粒子と比較して、第1の波長範囲及び第2の波長範囲において電磁放射線のエネルギーをそれほど吸収しないことを意味する。特に、第2のナノ粒子は、発色団粒子と比較して、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、または少なくとも90%少ない電磁放射線のエネルギーを吸収する。
【0012】
第2のナノ粒子は、第1の波長範囲及び第2の波長範囲とは異なる波長範囲で発色団であってもよいことに留意されたい。例えば、第2のナノ粒子は、250nm~400nmなどの紫外(UV)波長範囲では、放射性ではなく、発色団であるが、400nm~490nmの第1の波長範囲(両端含む)、及び500nm~2000nmの第2の波長範囲(両端含む)では、非発色団である。
【0013】
特に、第2のナノ粒子は、例えば、第1のナノ粒子を分解する可能性が高い分解種に対して化学反応性を示すことによって、分解種に対して同等以上の親和性を有するように構成または設計される。換言すれば、第2のナノ粒子の非発色団材料は、通常であれば第1のナノ粒子の最外部の表面を分解するはずである分解種を遮断し得る。分解種は、例えば、酸素、水、高温、及びそれらの組み合わせであるが、これらに限定されない。分解種の存在下で、第2のナノ粒子は、分解種が第1のナノ粒子と反応する前に、化学反応を通じて分解種を消費し得る。したがって、第2のナノ粒子は、第1のナノ粒子と分解種との間の保護スクリーンとして機能し得る。あるいは、第2のナノ粒子の材料は、第1のナノ粒子を分解する可能性が高い種、例えば、これに限定されないが水に対して物理的親和性を示し、その分解種が第1のナノ粒子の表面に到達し得る前に吸収することができる。
【0014】
例えば、第2のナノ粒子は、以下のメカニズムの1つ以上を通じて、マルチシェル量子ドットなどの第1のナノ粒子の最外シェルの分解を安定化させる。第2のナノ粒子は、第1のナノ粒子の近くの最外シェルと同じ種の一定レベルの溶解イオンを提供することによって、最外シェルの溶解を防止または遅らせることができる。さらに、第2のナノ粒子は、部分的に腐食した第1のナノ粒子上にシェル材料を再堆積させるために、最外シェルのモノマー源を提供することもできる。さらに、第2のナノ粒子は、オージェプロセスによる光酸化などの材料の老化中に光生成される有害な酸化還元等価物の貯蔵所を提供することもできる。さらに、第2のナノ粒子は、スーパーオキシド、ヒドロキシラジカル、及び他の活性酸素種を捕捉し得る。
【0015】
少なくとも1つの実施形態によれば、構造体は、少なくとも1つの半導体材料を含む第1のナノ粒子を含む。第1のナノ粒子は、第1の波長範囲で発色団であり、第2の波長範囲で放射性である。この構造体は、複数の第2のナノ粒子をさらに含む。第2のナノ粒子は、第1の波長範囲及び第2の波長範囲において非発色団である。
【0016】
ここで説明される構造体では、第2のナノ粒子は、第1のナノ粒子を分解する可能性が高い分解種に対して同等以上の親和性を有することによって、第1のナノ粒子の分解に対する障壁を提供する。第2のナノ粒子は、分解種と化学的に反応するか、または分解種を化学的に吸収することによって、分解種を遮断し、結果として、高湿度及び高温などの環境的に厳しい条件下で第1のナノ粒子を安定化させる。
【0017】
少なくとも1つの実施形態によれば、第1のナノ粒子は、コアと、少なくとも1つのシェルとを含む。コア及び/またはシェルは、少なくとも1つの半導体材料を含む。さらなる実施形態では、コアは、シェルとは異なる半導体材料を含む。特に、少なくとも1つのシェルは、コア上にエピタキシャル成長する。さらに、第1のナノ粒子は、さらなるシェル及び/または層を含んでもよい。例えば、第1のナノ粒子は、量子ドット、特にコアシェル量子ドットである。
【0018】
少なくとも1つの実施形態によれば、第1のナノ粒子は、コア-シェル-シェル構造を含む。例えば、第1のナノ粒子は、CdSe/CdS/ZnSフォトルミネセンス量子ドットである。
【0019】
少なくとも1つの実施形態によれば、第1のナノ粒子は、20nm~50nmの直径(両端含む)を備える。
【0020】
少なくとも1つの実施形態によれば、第2のナノ粒子は、2nm~50nmの直径(両端含む)を備える。特に、第2のナノ粒子は、サイズが、第1のナノ粒子よりも小さいか、または第1のナノ粒子に匹敵する。換言すれば、第2のナノ粒子は、第1のナノ粒子と比較して同桁内の大きさである。
【0021】
少なくとも1つの実施形態によれば、第2のナノ粒子は、金属粒子、半導体粒子、カルコゲニド粒子、ニクタイド粒子、及びそれらの組み合わせのうちの少なくとも1つである。特に、第2のナノ粒子は、Zn含有粒子を含むか、またはZn含有粒子からなる。
【0022】
金属粒子は、周期表のdブロックの遷移金属などの金属を含む、またはその金属からなる。
【0023】
半導体粒子は、II-VI族半導体またはIII-V族半導体などの半導体材料を含む、またはその半導体材料からなる。
【0024】
カルコゲニド粒子は、カルコゲニドを含む、またはカルコゲニドからなる。カルコゲニドは、周期表の第16族元素の少なくとも1つのカルコゲンアニオンと、金属などの少なくとも1つ以上の陽性元素からなる化学化合物である。例えば、カルコゲニドは、酸化物、硫化物、セレン化物、テルル化物、及び/またはポロニウム化物である。
【0025】
例えば、カルコゲニド粒子は、酸化亜鉛、特にナノZnOを含む、またはその酸化亜鉛、特にナノZnOからなる。ZnOから形成された第2のナノ粒子は、特にZnSなどの関連材料を含む第1のナノ粒子の最外シェルとは異なるバンド構造を有し得る。バンド構造の違いにより、酸化還元電位の違いが生じる。異なるバンド構造を有し、その結果、第1のナノ粒子の最外シェルとは違う酸化還元電位が生じる第2のナノ粒子は、酸化還元等価物に損傷を与えて活性酸素種を捕捉するための貯蔵庫を第1のナノ粒子の近傍に提供するのに特に有利である。
【0026】
あるいは、またはさらに、カルコゲニド粒子は、硫化亜鉛、特にナノZnSを含むか、または硫化亜鉛、特にナノZnSからなる。ZnSから形成される第2のナノ粒子は、ZnSの最外シェルを含む第1のナノ粒子にとって特に有利である。酸化還元等価物に損傷を与えて活性酸素種を捕捉するための貯蔵庫を提供することに加えて、ZnSの第2のナノ粒子は、第1のナノ粒子の最外シェルの溶解を遅らせるために、第1のナノ粒子の近くにZn2+イオン及びS2-イオンの形で一定レベルの溶解ZnSを提供してもよい。さらに、ZnSの第2のナノ粒子は、部分的に腐食した第1のナノ粒子上に再堆積させるためのZnSモノマーの供給源を提供することができる。
【0027】
ニクタイド粒子は、ニクタイドを含む、またはニクタイドからなる。ニクタイドは、周期表の第15族元素の少なくとも1つのニクトゲンアニオンと、金属などの少なくとも1つ以上の陽性元素からなる化学化合物である。例えば、ニクタイドは、窒化物、リン化物、ヒ化物、アンチモン化物、及び/またはビスマス化物である。
【0028】
少なくとも1つの実施形態によれば、第1のナノ粒子及び第2のナノ粒子は、構造体内で近接して配置される。言い換えれば、第1のナノ粒子と第2のナノ粒子とは、互いに非常に近く、または近接して配置される。特に、第1のナノ粒子と第2のナノ粒子とは、互いに30μm未満離れている。例えば、第1のナノ粒子と第2のナノ粒子との間の距離は、0μm~30μm(両端含む)である。換言すれば、第1のナノ粒子と第2のナノ粒子とは、直接接触して配置されてもよく、または最大30μmの間隔を置いて配置されてもよい。第1のナノ粒子に近接して配置された第2のナノ粒子は、分解種に対する障壁を提供し、第1のナノ粒子の安定性を高める。
【0029】
少なくとも1つの実施形態によれば、第1のナノ粒子と第2のナノ粒子とは、構造体内の同じ位置に配置される。換言すれば、第1のナノ粒子と第2のナノ粒子とは、同じ場所にあるように、または例えば同じ位置で互いに近接するように、配置される。特に、同じ位置に配置されるナノ粒子は、0μm~30μm(両端含む)のナノ粒子間距離を有する。第1のナノ粒子と第2のナノ粒子とが同じ位置にあることで、分解種に対する構造体の安定性、特に第1のナノ粒子の安定性が高まる。
【0030】
少なくとも1つの実施形態によれば、構造体は、さらにカプセル化物を含む。特に、カプセル化物は、第1のナノ粒子及び/または第2のナノ粒子を分解から保護するために提供される。カプセル化物は、第1のナノ粒子及び/または第2のナノ粒子を、少なくとも部分的に、または完全に取り囲むことができる。第1のナノ粒子及び/または第2のナノ粒子は、全ての側面からカプセル化物によって囲まれていてもよい。特に、第1のナノ粒子及び/または第2のナノ粒子は、直接カプセル化物材料に接触していてもよい。
【0031】
少なくとも1つの実施形態によれば、カプセル化物は、金属酸化物及びそれらの混合物を含む材料、または金属酸化物及びそれらの混合物からなる材料を含む。例えば、カプセル化物材料は、シリカを含むか、またはシリカからなる。
【0032】
少なくとも1つの実施形態によれば、第1のナノ粒子及び第2のナノ粒子は、カプセル化物内に共カプセル化される。共カプセル化されたナノ粒子は、カプセル化物材料が、第1のナノ粒子と第2のナノ粒子との両方を、少なくとも部分的に、または完全に取り囲むように、カプセル化物材料内で同じ位置に配置され、または共に封じ込められる。換言すれば、カプセル化物は、第1のナノ粒子と第2のナノ粒子との両方の周囲に、少なくとも部分的に、または完全に層を形成する。特に、第2のナノ粒子は、第1のナノ粒子と第2のナノ粒子とがカプセル化物内で共に移動できるように、第1のナノ粒子に近接してカプセル化物材料内に封じ込められる。特に、共カプセル化されたナノ粒子を含む構造体は、その後化学化合物で処理されるカプセル化物材料にカプセル化された第1のナノ粒子を含む構造体とは異なる特性を示す。さらに、第2のナノ粒子のナノスケールサイズは、第1のナノ粒子と同じ付近にある第2のナノ粒子を封じ込める手段を提供し得る。この手段は、シリカなどのカプセル化物材料を通してある程度自由に拡散するイオンまたは小分子とは対照的であり得る。
【0033】
少なくとも1つの実施形態によれば、第1のナノ粒子と第2のナノ粒子とは、カプセル化物内で間隔を置いて配置される。特に、第1のナノ粒子は、第2のナノ粒子のいずれとも直接、接触しない。カプセル化物内の第1のナノ粒子と第2のナノ粒子との間の距離は、最大30μmである。このように、第1のナノ粒子と第2のナノ粒子とが直接物理的に接触していなくても、第2のナノ粒子が第1のナノ粒子に単に近接しているだけで、構造体内に保存効果を生み出すのに十分である。
【0034】
少なくとも1つの実施形態によれば、各第2のナノ粒子は、直接、第1のナノ粒子、及び複数の第2のナノ粒子のさらなる第2のナノ粒子のうちの少なくとも1つに接触する。第1のナノ粒子と第2のナノ粒子とは、第1のナノ粒子と第2のナノ粒子との表面が接触するほど近接している。換言すれば、第1のナノ粒子と第2のナノ粒子とは、集合体を形成している。特に、集合体は、第1のナノ粒子と第2のナノ粒子との間の静電引力によって形成されてもよく、または集合体は、第1のナノ粒子と第2のナノ粒子とに熱を加えることによって形成されてもよい。特に、第1のナノ粒子と第2のナノ粒子とは、互いに電子的に接触する。第1のナノ粒子と直接接触する第2のナノ粒子は、構造体中の第2のナノ粒子の保存効果を高めることができる。
【0035】
少なくとも1つの実施形態によれば、第2のナノ粒子は、凝集、非共有結合、共有結合、溶融、焼結、集塊、及びそれらの組み合わせなどの少なくとも1つの方法によって、第1のナノ粒子に結合される。特に、第2のナノ粒子は、第1のナノ粒子及び/または第2のナノ粒子をカプセル化物材料中にカプセル化する前に、第1のナノ粒子に結合される。この場合、第1のナノ粒子と第2のナノ粒子とは、カプセル化の前に事前集合体を形成する。
【0036】
本明細書に記載されるように、第1のナノ粒子と第2のナノ粒子とを凝集させるとは、第1のナノ粒子と第2のナノ粒子とが凝集体を形成するように、第1のナノ粒子と第2のナノ粒子とを結合させることを意味する。凝集体は、第1のナノ粒子と第2のナノ粒子とを、例えばクラスター状に、集約させることによって、形成されてもよい。特に、凝集とは、第1のナノ粒子と第2のナノ粒子とが、必ずしも化学量論的に結合することを意味するわけではない。
【0037】
本明細書に記載されるように、第1のナノ粒子と第2のナノ粒子との非共有結合は、第1のナノ粒子と第2のナノ粒子との間で物理的及び/または化学的相互作用が起こり、その結果、第1のナノ粒子と第2のナノ粒子との間に非共有結合が生じることを意味する。非共有結合は、供与結合、イオン結合、水素結合、双極子間相互作用、インターカレーション、及びファンデルワールス相互作用などの非共有結合である任意の結合を包含し得る。
【0038】
例えば、第1のナノ粒子及び第2のナノ粒子は、2つのナノ粒子タイプが逆帯電するように調製され得る。逆帯電したナノ粒子は、凝集してヘテロ構造を形成し得る。特に、第1のナノ粒子及び/または第2のナノ粒子は、表面上に有機リガンドなどの結合リガンド及び荷電リガンドを含み得る。有機リガンドは、正か負かに帯電し得る。あるいは、第1のナノ粒子は、自然に負に帯電している第1のナノ粒子を取り囲むカプセル化物を含み得る。この場合、負に帯電した第1のナノ粒子は、イオン結合に基づく非共有結合のため、正に帯電した第2のナノ粒子と結合することができる。
【0039】
あるいは、第1のナノ粒子及び第2のナノ粒子は、疎水性リガンドを挿入することによって第1のナノ粒子及び第2のナノ粒子が非共有結合することができるように、長い疎水性鎖を有するリガンドを含み得る。
【0040】
本明細書に記載されるように、第1のナノ粒子と第2のナノ粒子との共有結合は、第1のナノ粒子及び/または第2のナノ粒子の間に共有結合が形成されることを意味する。特に、共有結合は、第1のナノ粒子及び/または第2のナノ粒子のリガンド間に形成される。第1のナノ粒子及び/または第2のナノ粒子間の共有結合は、2つのリガンドを結合する任意の化学反応、例えば、光反応化学、ペプチド化学、メタクリレート化学、ポリエステル化学などによって形成され得る。例えば、エーテル結合またはエステル結合、及び炭素-炭素結合、シリコン-炭素結合、硫黄-炭素結合、リン-炭素結合、または窒素-炭素結合を使用して、第1のナノ粒子及び/または第2のナノ粒子のリガンドを互いに連結させることができる。
【0041】
本明細書に記載されるように、溶融によって第2のナノ粒子を第1のナノ粒子に結合させることは、第2のナノ粒子が少なくとも部分的に溶融した構造として第1のナノ粒子の表面に結合するように、第1のナノ粒子に近接する第2のナノ粒子が少なくとも部分的に溶融することを意味する。特に、第1のナノ粒子の構造的完全性は、溶融によって第2のナノ粒子を第1のナノ粒子に結合させることによって損なわれない。
【0042】
本明細書に記載されるように、第1のナノ粒子及び第2のナノ粒子の焼結は、第1のナノ粒子及び/または第2のナノ粒子を液化点まで溶融させることなく、熱または圧力によって第1のナノ粒子及び第2のナノ粒子が圧縮され、材料の固体塊を形成することを意味する。第2のナノ粒子は、第1のナノ粒子の表面上に焼結構造を形成することができる。特に、第1のナノ粒子の構造的完全性は、焼結によって第2のナノ粒子を第1のナノ粒子に結合させることによって損なわれない。
【0043】
特に、第1のナノ粒子及び第2のナノ粒子は、90℃~400℃(両端含む)の温度を適用することによって、焼結されるか、または少なくとも部分的に溶融される。
【0044】
特に、溶融または焼結によって第2のナノ粒子を第1のナノ粒子に結合させることにより、構造体、特に第1のナノ粒子と第2のナノ粒子との間には、有機メディエータが存在しない。言い換えれば、この構造体には、有機メディエータが存在しない。
【0045】
本明細書に記載されるように、集塊とは、第1のナノ粒子と第2のナノ粒子とを結合させることとして理解されるべきである。換言すれば、第1のナノ粒子と第2のナノ粒子とは、集塊物を形成する。集塊物においては、第1のナノ粒子と第2のナノ粒子との空間的形態を認識することができる。したがって、第1のナノ粒子及び第2のナノ粒子の空間的形状は、集塊後も無傷のまま残る。
【0046】
少なくとも1つの実施形態によれば、第1のナノ粒子の表面は、第2のナノ粒子によって部分的に覆われる。第1のナノ粒子は、第2のナノ粒子によって少なくとも部分的に取り囲まれてもよい。換言すれば、第1のナノ粒子の表面は、少なくとも所々第2のナノ粒子で修飾される。特に、第1のナノ粒子の表面は、少なくとも所々で第2のナノ粒子と直接接触する。
【0047】
少なくとも1つの実施形態によれば、第1のナノ粒子の表面は、第2のナノ粒子によって完全に覆われる。第1のナノ粒子は、第1のナノ粒子の表面の全体が第2のナノ粒子で修飾されるように、第2のナノ粒子によって取り囲まれる。
【0048】
少なくとも1つの実施形態によれば、第2のナノ粒子は、第1のナノ粒子の周囲に層を形成する。第2のナノ粒子の層は、第1のナノ粒子を少なくとも部分的に、または完全に、取り囲み得る。第2のナノ粒子の層は、凝集した第2のナノ粒子、集塊させた第2のナノ粒子、共有結合した第2のナノ粒子、または非共有結合した第2のナノ粒子を含んでもよい。この場合、個々の第2のナノ粒子の形状は、依然として識別可能なままである。あるいは、第2のナノ粒子の層は、溶融構造及び/または焼結構造を含んでもよい。
【0049】
特に、第1のナノ粒子の周囲の第2のナノ粒子の層の表面は、粗さを備える。特に、第2のナノ粒子の層の粗さは、第1のナノ粒子の表面の粗さと比較して増加する。
【0050】
特に、第1のナノ粒子の周囲の第2のナノ粒子の層の表面は、第1のナノ粒子の表面の表面積または粗さと比較して増加した表面積を備える。表面積の増加は、表面反応の促進に有利である。
【0051】
少なくとも1つの実施形態によれば、第2のナノ粒子の層は、1nm~100nm(両端を含む)、特に1nm~20nm(両端を含む)、または1nm~10nm(両端を含む)の厚さを備える。第2のナノ粒子の層は、第2のナノ粒子の1層の単層、または第2のナノ粒子の2層以上の単層を含んでもよい。
【0052】
少なくとも1つの実施形態によれば、第2のナノ粒子は、少なくとも1つの表面部分を含む。表面部分は、有機物または無機物であり得る。表面部分は、第1のナノ粒子を分解する可能性が高い種に対して親和性を有するように構成または設計され得る。特に、少なくとも1つの表面部分は、第2のナノ粒子の表面に直接的または間接的に結合される。例えば、表面部分はポリエチレングリコールである。ポリエチレングリコールで修飾された第2のナノ粒子は、水に対する親和性により、第1のナノ粒子の近くの環境の湿気を高め、それによって第1のナノ粒子の光分解を防ぐのに役立ち得る。別の分類の表面部分は、ボラン、水素化ホウ素、クエン酸塩、シュウ酸塩、還元糖、アルデヒド、またはヨウ化ヒドラジン、亜硫酸塩、チオ硫酸塩、及びジチオン酸塩などの還元剤及び酸化剤のうちの少なくとも1つを含む。
【0053】
少なくとも1つの実施形態によれば、少なくとも1つの表面部分を含む第2のナノ粒子は不活性である。この場合、第2のナノ粒子は、それらの表面部分の担持能力のために、より利用され得る。換言すれば、第2のナノ粒子は、第1のナノ粒子を分解する可能性が高い種と相互作用せず、したがって、そのような種に対して親和性を持たない。例えば、不活性な第2のナノ粒子は、シリカナノ粒子またはポリマーナノ粒子である。
【0054】
少なくとも1つの実施形態によれば、少なくとも1つの表面部分を含む第2のナノ粒子は活性である。換言すれば、第2のナノ粒子及び表面部分は、第1のナノ粒子を分解する可能性が高い種と相互作用する。したがって、第2のナノ粒子及び表面部分の両方が、第1のナノ粒子の保護に有益である。例えば、活性な第2のナノ粒子は、ZnSまたはZnOナノ粒子などの第1のナノ粒子を分解する可能性が高い分解種に対して同等以上の親和性を有するように構成または設計された第2のナノ粒子である。
【0055】
少なくとも1つの実施形態によれば、少なくとも1つの表面部分は、第2のナノ粒子及び第1のナノ粒子を取り囲むカプセル化物材料中に拡散される。換言すれば、表面部分は、カプセル化前に第2のナノ粒子に結合することができ、カプセル化中またはカプセル化後にカプセル化物材料中に拡散することができる。特に、表面部分は、カプセル化中またはカプセル化後に、第2のナノ粒子と直接接触しなくなる。
【0056】
少なくとも1つの実施形態によれば、第2のナノ粒子は2つの表面部分を含み、第1の表面部分は第2の表面部分によって第2のナノ粒子に結合される。第2の表面部分は、非共有結合または共有結合によって、第2のナノ粒子の表面に結合され得る。第2の表面部分は、第1の表面部分に対して親和性を有するポリマー種または分子種であってもよい。第1の表面部分は、第2の表面部分と非共有結合または共有結合を形成することによって、第2のナノ粒子に結合され得る。このようにすると、第2のナノ粒子の表面への結合親和性をほとんどまたは全く持たない第1の表面部分にとっては、特に有利になる。
【0057】
少なくとも1つの実施形態によれば、構造体は、第1のナノ粒子に近接した少なくとも1つの内部ペイロード種を含む。内部ペイロード種は、例えば、銅(I)、鉄(II)、及び水銀などのイオンを含む。第1のナノ粒子に近接した内部ペイロード種は、第1のナノ粒子を分解する可能性が高い分解種に対して同等以上の親和性を有するように構成または設計される。
【0058】
少なくとも1つの実施形態によれば、少なくとも1つの内部ペイロード種は、第2のナノ粒子の内部にある。換言すれば、内部ペイロード種は、第2のナノ粒子の表面には付着していないが、第2のナノ粒子の格子に置換的または侵入的に組み込まれている。第2のナノ粒子は、第1のナノ粒子の近傍に内部ペイロード種のイオンの流れを提供する緩衝剤として機能し得る。内部ペイロード種は、第2のナノ粒子上及び/または第2のナノ粒子内に結合した場合ではなく、第1のナノ粒子の近くで解放された場合に、その効果を発揮することに留意されたい。特に、第2のナノ粒子は、徐放性薬剤として機能する第1のナノ粒子の近くに内部ペイロード種をもたらすための担体として機能する。
【0059】
少なくとも1つの実施形態によれば、第2のナノ粒子の少なくとも1つは第1の内部ペイロード種を含み、第2のナノ粒子の少なくとも1つは第2の内部ペイロード種を含む。特に、第1の内部ペイロード種と第2の内部ペイロード種とは、組成及び電荷数のうちの少なくとも1つにおいて互いに異なる。これに関連して、組成は、1つ以上の元素、特に1つの金属元素を含むものとして理解されるべきである。第1のナノ粒子に近接した2つの異なる内部ペイロード種は、分解に対する保護への内部ペイロード種の有利な効果を増大させる可能性がある。
【0060】
少なくとも1つの実施形態によれば、第1のナノ粒子は第1のカプセル化物にカプセル化され、第2のナノ粒子は第2のカプセル化物にカプセル化され、第1のカプセル化物と第2のカプセル化物とは互いに直接接触している。換言すれば、カプセル化された第1のナノ粒子及びカプセル化された第2のナノ粒子は、集塊物もしくは凝集体を形成する、またはカプセル化されたナノ粒子が互いに近接するように融合される。したがって、この構造体は、予めカプセル化されたナノ粒子の集合体であり得る。特に、第1のナノ粒子は個別にカプセル化され、複数の第2のナノ粒子が1つのカプセル化物に共にカプセル化されてもよく、または、代わりに、各第2のナノ粒子が個別にカプセル化されてもよい。特に、第1のカプセル化物及び第2のカプセル化物の少なくとも一方は、金属酸化物及びそれらの混合物からなる群から選択されるカプセル化物材料を含むか、またはその材料からなる。特に、第1のナノ粒子及び/または第2のナノ粒子は、均一にカプセル化される。
【0061】
少なくとも1つの実施形態によれば、第1のカプセル化物及び第2のカプセル化物は、同じカプセル化物材料を含む。特に、第1のカプセル化物及び第2のカプセル化物のカプセル化物材料は、金属酸化物及びそれらの混合物からなる群から選択される。例えば、第1のカプセル化物及び第2のカプセル化物のカプセル化物材料はシリカである。
【0062】
別の実施形態は、光電子デバイスに関する。さらなる実施形態では、ここで説明される光電子デバイスは、上述の少なくとも1つの構造体を含む。したがって、光電子デバイスの特徴及び実施形態は、構造体についても開示され、その逆の場合も同様である。
【0063】
少なくとも1つの実施形態によれば、光電子デバイスは、一次放射線を放出するように構成された半導体チップと、一次放射線の少なくとも一部を二次放射線に変換するように構成された変換要素とを備える。変換要素は、上述の少なくとも1つの構造体を含む。
【0064】
半導体チップは、デバイスの動作中に一次放射線を放出する活性領域を含む活性層スタックを備え得る。例えば、半導体チップは、発光ダイオードチップまたはレーザダイオードチップである。半導体チップ内で生成された一次放射線は、半導体チップの放射線放出面を通して放出され得る。特に、半導体チップは、動作中に、400nmを超える波長などの可視波長範囲の一次放射線を放出する。例えば、半導体チップは、400nm~490nmの波長範囲(両端含む)、例えば450nmなどの一次放射線を放出する。
【0065】
変換要素内の構造体は、一次放射線を少なくとも部分的に、または完全に、二次放射線に変換するように構成される。特に、二次放射線は、一次放射線の波長範囲とは少なくとも部分的に異なる、または完全に異なる波長範囲を有する。例えば、二次放射線の波長範囲は、可視または赤外の波長範囲内、例えば、500nm~2000nmの波長範囲内(両端含む)である。
【0066】
構造体の特徴は、構造体に関連してすでに開示されており、光電子デバイス内の構造体にも適用される。
【0067】
このような光電子デバイスは、白色光または有色光を放出するために使用され得る。変換要素内の構造体は、非発色団の第2のナノ粒子と、発色団であり放射性の第1のナノ粒子とが同じ位置にあることにより、高湿度及び高温などの環境的に厳しい条件において安定性が向上する。したがって、ここで説明する光電子デバイスは、腐食条件下での動作寿命が延びる。
【0068】
別の実施形態は、構造体の製造方法に関する。ここで説明される方法は、上述の光電子デバイスに使用され得る上述の構造体を製造するために使用され得る。したがって、方法の特徴及び実施形態は、構造体及び光電子デバイスについても開示され、その逆の場合も同様である。
【0069】
少なくとも1つの実施形態によれば、構造体を製造する方法は、少なくとも1つの半導体材料を含む第1のナノ粒子を提供することを含む。第1のナノ粒子は、第1の波長範囲で発色団であり、第2の波長範囲で放射性である。この方法は、複数の第2のナノ粒子を提供することをさらに含む。第2のナノ粒子は、第1の波長範囲及び第2の波長範囲において非発色団である。この方法はさらに、第1のナノ粒子と第2のナノ粒子とを近接して配置することを含む。
【0070】
ここで説明する構造体を製造する方法のステップは、この順序に限定されない。しかしながら、さらなる実施形態によれば、それらのステップは、この順序で実行される。
【0071】
このような方法により、第1のナノ粒子を分解する可能性が高い分解種に対して同等以上の親和性を有する第2のナノ粒子に第1のナノ粒子を近接させることによって、第1のナノ粒子が分解種から保護される構造体が製造され得る。
【0072】
少なくとも1つの実施形態によれば、本方法は、第2のナノ粒子を、凝集、非共有結合、共有結合、溶融、焼結、集塊、及びそれらの組み合わせなどの少なくとも1つの方法によって、第1のナノ粒子に結合させることをさらに含む。特に、第2のナノ粒子は、第1のナノ粒子の表面を少なくとも部分的に、または完全に覆う。第2のナノ粒子は、例えば、凝集、非共有結合、共有結合、集塊、またはそれらの組み合わせなどの方法によって、第1のナノ粒子の周囲に層を形成することができる。あるいは、第2のナノ粒子は、第1のナノ粒子の周囲に第2のナノ粒子の溶融構造または焼結構造を含む層を形成し得る。
【0073】
少なくとも1つの実施形態によれば、この方法は、カプセル化物を適用することをさらに含む。カプセル化物は、第1のナノ粒子と第2のナノ粒子とを近接して配置する前、配置中、または配置後に適用されてもよい。例えば、第1のナノ粒子及び/または第2のナノ粒子は、ナノ粒子を近接して配置する前にカプセル化される。あるいは、第1のナノ粒子と第2のナノ粒子とは、共にカプセル化され、したがってカプセル化物中に非常に近接して配置される。この場合、第1のナノ粒子と第2のナノ粒子とは、共カプセル化される。特に、この共カプセル化は、ナノ粒子の周囲にカプセル化物を形成する前に、第1のナノ粒子と第2のナノ粒子とを混合することを含み得る。このような方法は、第1のナノ粒子と第2のナノ粒子との統計的に分布したランダムな共カプセル化を提供するのに十分であり得る。あるいは、第1のナノ粒子及び第2のナノ粒子は、例えばカプセル化前に、第2のナノ粒子を第1のナノ粒子の表面に結合させることによって、近接して配置され、すなわち予め組み立てられ得る。
【0074】
少なくとも1つの実施形態によれば、この方法は、第1のナノ粒子を第1のカプセル化物にカプセル化することと、第2のナノ粒子を第2のカプセル化物にカプセル化することと、第1のカプセル化物と第2のカプセル化物とを直接接触して配置することとをさらに含む。換言すれば、第1のナノ粒子と第2のナノ粒子とを近接して配置する前に、第1のナノ粒子と第2のナノ粒子との両方がカプセル化される。
【0075】
構造体、光電子デバイス、及び構造体を製造する方法の有利な実施形態及び発展形態は、図と併せて以下に説明する例示的な実施形態から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0076】
図1】異なる例示的な実施形態による構造体の概略図を示す。
図2】異なる例示的な実施形態による構造体を製造する方法の概略図を示す。
図3】例示的な実施形態による構造体の透過型電子顕微鏡(TEM)顕微鏡写真を示す。
図4A】異なる例示的な実施形態による構造体の概略図を示す。
図4B】異なる例示的な実施形態による構造体の概略図を示す。
図5A】異なる例示的な実施形態による構造体を製造する方法の概略図を示す。
図5B】異なる例示的な実施形態による構造体を製造する方法の概略図を示す。
図5C】異なる例示的な実施形態による構造体を製造する方法の概略図を示す。
図6】異なる例示的な実施形態による構造体の概略図を示す。
図7A】異なる例示的な実施形態による構造体を製造する方法の概略図を示す。
図7B】異なる例示的な実施形態による構造体を製造する方法の概略図を示す。
図8】異なる例示的な実施形態による構造体の概略図を示す。
図9】異なる例示的な実施形態による構造体を製造する方法の概略図を示す。
図10】異なる例示的な実施形態による構造体の概略図を示す。
図11】異なる例示的な実施形態による構造体を製造する方法の概略図を示す。
図12】異なる例示的な実施形態による構造体の概略図を示す。
図13】異なる例示的な実施形態による構造体を製造する方法の概略図を示す。
図14】例示的な実施形態による光電子デバイスの概略図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0077】
例示的な実施形態及び図において、同様のまたは同様に作用する構成部分には同じ参照符号が与えられている。図に示されている要素、及びそれらの相互間の大きさ関係は、縮尺どおりであると見なされるべきではない。むしろ、より良好に表現するために、及び/またはより深く理解するために、個々の要素は誇張された大きさで表される場合がある。
【0078】
図1は、構造体1の概略図を示す。構造体1は、第1のナノ粒子2を含む。第1のナノ粒子2は、少なくとも1つの半導体材料を含む。例えば、第1のナノ粒子は、CdSe/CdS/ZnSコア-シェル-シェル量子ドットなどのフォトルミネセンス量子ドットである。第1のナノ粒子2は、第1の波長範囲で発色団であり、第2の波長範囲で放射性である。換言すれば、第1のナノ粒子2は、第1の波長範囲の電磁放射線を吸収し得、第2の波長範囲の電磁放射線を放出し得る。例えば、第1の波長範囲は400nm~490nmの波長(両端含む)を含み、第2の波長範囲は500nm~2000nmの波長(両端含む)、特に500nm~700nmの波長(両端含む)を含む。
【0079】
この構造体は、複数の第2のナノ粒子3をさらに含む。第2のナノ粒子3は、第1の波長範囲及び第2の波長範囲において非発色団である。換言すれば、第2のナノ粒子3は、第1の波長範囲の波長も第2の波長範囲の波長も吸収しない。あるいは、第2のナノ粒子3は、第1の波長範囲及び第2の波長範囲の両方において、上記の波長範囲において発色団である粒子よりも著しく少ない電磁放射線を吸収する。例えば、第2のナノ粒子3は、金属粒子、II-VI族半導体などの半導体粒子、ナノZnSまたはナノZnOなどのカルコゲニド粒子、ニクタイド粒子、及びそれらの組み合わせである。第2のナノ粒子3は、構造体1内で第1のナノ粒子2と同じ位置に配置されており、このことは、第2のナノ粒子3が第1のナノ粒子2に近接して配置されていることを意味する。具体的には、第1のナノ粒子2と第2のナノ粒子3との間の距離は、0μm~30μm(両端含む)である。第2のナノ粒子3は、第1のナノ粒子2を分解する可能性が高い分解種に対して、分解種を遮断して、分解種と化学反応すること、及び/または分解種を吸収することによって、同等以上の親和性を有する。
【0080】
任意選択で、構造体1は、第1のナノ粒子2及び第2のナノ粒子3を、少なくとも部分的に、または完全に取り囲むカプセル化物4を含んでもよい。この場合、第1のナノ粒子2及び第2のナノ粒子3は、カプセル化物4内に共カプセル化されてもよい。カプセル化物4は、シリカなどの金属酸化物を含む、またはシリカなどの金属酸化物からなるカプセル化物材料を含むか、またはそのカプセル化物材料からなり得る。
【0081】
図1による構造体1は、ナノ粒子の周囲にカプセル化物4を形成する前に、第1のナノ粒子2と第2のナノ粒子3とを混合することによって、図2に従って製造することができる。このようにすることで、第2のナノ粒子3と第1のナノ粒子2との統計的に十分に分布したランダムな共カプセル化を提供する。
【0082】
図1による構造体1のさらなる実施形態では、第1のナノ粒子2はCdSe/CdS/ZnSフォトルミネセンス量子ドットであり、第2のナノ粒子3はナノZnS粒子である。任意選択で、第1のナノ粒子2及び第2のナノ粒子3は、シリカのカプセル化物4内に共カプセル化される。この場合、ナノZnSは、いくつかのメカニズムのうちの1つ以上を通じて、マルチシェル量子ドットのZnS層の分解を安定化させる。ナノZnSは、量子ドット付近に一定レベルの溶解ZnS(Zn2+及びS2-)を提供し、溶解を遅らせることができる。ナノZnSはまた、材料の老化中に、例えば、オージェプロセスによる光酸化中に光生成される有害な酸化還元等価物の貯蔵所を提供することもできる。ナノZnSは、スーパーオキシド、ヒドロキシラジカル、及び他の活性酸素種を捕捉し得る。ナノZnSはさらに、部分的に腐食した量子ドット上に再堆積させるためのZnSモノマーの供給源を提供することができる。
【0083】
図3は、ナノZnSの第2のナノ粒子3と共にシリカカプセル化物4内に共カプセル化されたCdSe/CdS/ZnSの第1のナノ粒子2を含む構造体1のTEM顕微鏡写真を示す。ナノZnSの第2のナノ粒子3が単に近接しているだけで、CdSe/CdS/ZnSの第1のナノ粒子2の複合系に保存効果を生じさせるのに十分である。
【0084】
図4A及び図4Bによる構造体1は、各第2のナノ粒子3が第1のナノ粒子2及びさらなる第2のナノ粒子3の少なくとも1つと直接接触している点で、図1による構造体とは異なる。第1のナノ粒子2と第2のナノ粒子3とは、集合体を形成している。任意選択で、この集合体は、カプセル化物4でカプセル化されてもよい。第1のナノ粒子2の表面は、第2のナノ粒子3で部分的に(図4A)、または完全に(図4B)、覆われてもよい。言い換えれば、第2のナノ粒子3は、第1のナノ粒子2の周囲に層を形成する。第2のナノ粒子3の層は、1nm~100nmの厚さ(両端含む)、例えば、1nm~20nmの厚さ(両端含む)、または1nm~10nmの厚さ(両端含む)を有し得る。
【0085】
図4A及び図4Bによる構造体1は、図5A及び図5Bに従って、第1のナノ粒子2及び第2のナノ粒子3の集合体を形成し、任意選択でその集合体をカプセル化物4でカプセル化することによって、製造され得る。
【0086】
集合体は、第2のナノ粒子3が、凝集、非共有結合、共有結合、及び集塊のうちの少なくとも1つによって、第1のナノ粒子2に結合されるように、調製され得る。例えば、第1のナノ粒子2及び第2のナノ粒子3は、結合リガンド及び荷電リガンドを考慮して、ナノ粒子2、3が逆帯電するように、調製することができる。逆帯電したナノ粒子2、3を凝集させて構造体1にしてもよい。あるいは、さらに高いレベルの制御を達成するために、第1のナノ粒子2と第2のナノ粒子3とを、例えば、互いに化学反応する第1のナノ粒子2及び第2のナノ粒子3の表面に結合した有機リガンドを介して共有結合させてもよい。
【0087】
図5Cに示すように、第1のナノ粒子2との集合体を形成するために、2つの異なる種類の第2のナノ粒子3、3’が提供されてもよい。2つの異なる種類の第2のナノ粒子3、3’は、サイズ、組成、及び形状のうちの少なくとも1つが、互いに異なる。例えば、第2のナノ粒子3は、第2のナノ粒子3’とは異なる組成を有する。その場合、構造体1は、第1のナノ粒子2の表面上に2種類の第2のナノ粒子3、3’の混合層を備える。
【0088】
図6は、第2のナノ粒子3が、第1のナノ粒子2に対して、部分的に溶融しているか、または軽く焼結している点で、図4A及び図4Bによる構造体1とは異なる構造体1を示す。部分的に溶融または軽く焼結した第2のナノ粒子3は、第1のナノ粒子2を、少なくとも部分的に、または完全に取り囲む溶融構造または焼結構造5を形成する。溶融構造または焼結構造5は、1nm~100nmの厚さ(両端含む)、例えば、1nm~20nmの厚さ(両端含む)、または1nm~10nmの厚さ(両端含む)を有する、第1のナノ粒子2を取り囲む層の形態を有し得る。
【0089】
図6による構造体は、第1のナノ粒子2に近接して第2のナノ粒子3を設けることによって、図7Aに従って製造され得る。例えば、90℃~400℃の温度(両端含む)を加えることによって、第2のナノ粒子3を、第1のナノ粒子2の表面に溶融及び/または焼結させて、溶融構造または焼結構造5を形成する。さらに温度を加えることによって、複数の焼結イベントを起こし、溶融構造または焼結構造5による第1のナノ粒子2の被覆範囲を拡大させる。さらなる実施形態では、第1のナノ粒子2の表面は、溶融構造または焼結構造5によって完全に覆われる。任意選択で、第1のナノ粒子2及び第2のナノ粒子3は、様々な程度の溶融または焼結の後、カプセル化物4内に共カプセル化されてもよい。
【0090】
1種類の第2のナノ粒子3を使用する代わりに、図7Bに示すように、2つの異なる種類の第2のナノ粒子3、3’を提供して、これらを第1のナノ粒子2に溶融及び/または焼結させ、それによって第1のナノ粒子2の表面に溶融構造または焼結構造5’を形成してもよい。溶融構造または焼結構造5’は、両種類の第2のナノ粒子3、3’の混合層である。
【0091】
図8は、第1のカプセル化物6にカプセル化された第1のナノ粒子2と、第2のカプセル化物7にカプセル化された第2のナノ粒子3とを含む構造体1を示す。第1のカプセル化物6と第2のカプセル化物7とは直接接触しており、したがって第1のナノ粒子2と第2のナノ粒子とは近接している。第1のカプセル化物6及び第2のカプセル化物7は、同じカプセル化物材料、例えばシリカを含んでもよい。
【0092】
図8による構造体1は、図9に従って、第1のナノ粒子2を第1のカプセル化物6中に、具体的には均一に、カプセル化することと、第2のナノ粒子3を第2のカプセル化物7中に、具体的には均一に、カプセル化することとによって、製造することができる。各第2のナノ粒子3を個別にカプセル化してもよく、または複数の第2のナノ粒子3を共にカプセル化してもよい。次に、予めカプセル化されたナノ粒子2、3を混合し、集塊させ、または凝集させ、または融合させて、構造体1を形成する。
【0093】
図10は、表面部分8、9を含む第2のナノ粒子3の中間構造体10を有する構造体1を示しており、第1の表面部分8は第2の表面部分9によって第2のナノ粒子3に結合している。第2の表面部分9は、第1の表面部分に結合する親和性を有するポリマー種または分子種であってもよい。第1の表面部分8は、有機または無機の分子または種であってもよい。第1の表面部分8は、例えば、水に対するその親和性により、第1のナノ粒子2の近くの環境の湿気を高めることができるポリエチレングリコールである。あるいは、第1の表面部分8は、ボラン、水素化ホウ素、クエン酸塩、シュウ酸塩、還元糖、アルデヒド、またはヨウ化ヒドラジン、亜硫酸塩、チオ硫酸塩、及びジチオン酸塩などの還元剤及び酸化剤であってもよい。
【0094】
図10の例示的な実施形態では、第2のナノ粒子3自体は不活性であってもよく、このことは、第2のナノ粒子3が、第1のナノ粒子2を分解する可能性が高い種と相互作用を持たないことを意味する。この場合、第2のナノ粒子3は、その表面部分の担持能力のために、より利用される。あるいは、第2のナノ粒子3は活性であってもよく、このことは、第2のナノ粒子3が、第1のナノ粒子2を分解する可能性が高い種と相互作用を有することを意味する。どちらの場合も、第2のナノ粒子3のナノスケールサイズは、第1のナノ粒子2と同じ付近にある表面部分8、9と共に第2のナノ粒子3を封じ込める手段を提供する。この手段は、シリカカプセル化物などの周囲媒体を通してある程度自由に拡散し得るイオンまたは小分子とは対照的である。
【0095】
図10による構造体1は、図11に従って、第2の表面部分9を第2のナノ粒子3の表面に結合させることにより、また第1の表面部分8を第2の表面部分9に結合させることにより、表面部分8、9で修飾された第2のナノ粒子3を含む中間構造体10を調製することによって、製造され得る。続いて、表面部分8、9で修飾された第2のナノ粒子3を第1のナノ粒子2に近接して配置し、任意選択で第1のナノ粒子2と共にカプセル化物4内にカプセル化する。
【0096】
図12は、第2のナノ粒子3の少なくとも1つが内部ペイロード種Aを含み、第2のナノ粒子3の少なくとも1つが第2の内部ペイロード種Bを含む構造体1を示す。第1の内部ペイロード種Aと第2の内部ペイロード種Bとは、組成及び電荷数の少なくとも1つにおいて互いに異なる。それぞれの内部ペイロード種A、Bは、第2のナノ粒子3の表面に付着するのではなく、第2のナノ粒子3の内部にある。具体的には、内部ペイロード種A、Bは、第2のナノ粒子3の格子に置換的に、または侵入的に組み込まれる。内部ペイロード種A、Bには、例えば、銅(I)、鉄(II)、水銀、及びこれらの組み合わせが含まれる。
【0097】
図12の構造体1では、第2のナノ粒子3は、第1のナノ粒子2の近傍に内部ペイロード種A、Bのイオンの流れを提供する緩衝剤として機能することができる。内部ペイロード種A、Bは、第2のナノ粒子3上及び/または第2のナノ粒子3中に結合した場合ではなく、第1のナノ粒子の近傍で解放された場合に、その効果を発揮することに留意されたい。特に、第2のナノ粒子3は、徐放性薬剤として機能する第1のナノ粒子2の近くに内部ペイロード種A、Bをもたらすための担体として機能する。
【0098】
図12による構造体1は、図13に従って、ナノ粒子2、3の周囲にカプセル化物4を形成する前に、第1のナノ粒子2と、内部ペイロード種A、Bを含む第2のナノ粒子3とを混合することによって、製造され得る。カプセル化中及びカプセル化後に、第2のナノ粒子3は、第1のナノ粒子2に近接して内部ペイロード種A、Bを提供する。
【0099】
図14は、活性層スタック及び活性領域(ここでは明示的に示されていない)を有する半導体チップ101を備える光電子デバイス100の概略図を示す。動作中、半導体チップ101は、例えば放射線放出面102から一次放射線を放出する。具体的には、一次放射線は、第1の波長範囲の電磁放射線である。例えば、半導体チップ101は、可視波長範囲、特に青色波長範囲、例えば400nm~490nmの波長範囲(両端含む)の電磁放射線、例えば450nmなどの電磁放射線を放出する。
【0100】
変換要素103は、半導体チップ101の放射線放出面102上に配置される。具体的には、変換要素は、放射線放出面102に直接接触して配置される。変換要素103は、一次放射線を吸収し、一次放射線の少なくとも一部を二次放射線に変換するように構成または設計される。二次放射線は、一次放射線とは少なくとも部分的に、または完全に異なる波長範囲を有する電磁放射線である。具体的に、二次放射線は、例えば、500nm~2000nm(両端含む)、例えば500nm~700nm(両端含む)などの波長を有する第2の波長範囲の電磁放射線である。
【0101】
変換要素103は、少なくとも1つの構造体1を含むか、または少なくとも1つの構造体1からなる。例えば、変換要素103は、図1、3、4A、4B、6、8、10、及び12に関連して示されるように、少なくとも1つの構造体1、特に複数の構造体1を含む。具体的に、少なくとも1つの構造体1は、シリコーン、ポリシロキサン、またはエポキシなどのマトリックス材料に埋め込まれてもよい。
【0102】
図に関連して説明した特徴及び例示的な実施形態は、全ての組み合わせが明示的に説明されていなくても、さらなる例示的な実施形態に従って互いに組み合わせることができる。さらに、図に関連して説明した例示的な実施形態は、概要部分で説明したような代替的または追加的な特徴を有することができる。
【0103】
本発明は、上記の例示的な実施形態に基づいた説明によって、例示的な実施形態に限定されるものではない。むしろ、本発明は、任意の新しい特徴を包含するとともに、特徴の任意の組み合わせをも包含するものであり、特に、本発明は、この特徴またはこの組み合わせ自体が特許請求の範囲または例示的な実施形態に明示的に規定されていないとしても、特許請求の範囲における特徴の任意の組み合わせ、及び例示的な実施形態における特徴の任意の組み合わせを含む。
【0104】
本特許出願は、米国特許出願及び17/530,568の優先権を主張するものであり、この開示の内容を参照により本明細書に援用する。
【符号の説明】
【0105】
1 構造体
2 第1のナノ粒子
3、3’ 第2のナノ粒子
4 カプセル化物
5、5’ 溶融構造または焼結構造
6 第1のカプセル化物
7 第2のカプセル化物
8 第1の表面部分
9 第2の表面部分
10 中間構造体
A 第1の内部ペイロード種
B 第2の内部ペイロード種
100 光電子デバイス
101 半導体チップ
102 放射線放出面
103 変換要素
図1
図2
図3
図4A
図4B
図5A
図5B
図5C
図6
図7A
図7B
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
【手続補正書】
【提出日】2024-05-14
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
構造体(1)であって、
少なくとも1つの半導体材料を含む第1のナノ粒子(2)であって、前記第1のナノ粒子(2)が、第1の波長範囲で発色団であり、第2の波長範囲で放射性である、前記第1のナノ粒子(2)と、
複数の第2のナノ粒子(3、3’)であって、前記第2のナノ粒子(3、3’)が、前記第1の波長範囲及び前記第2の波長範囲で非発色団である、前記複数の第2のナノ粒子(3、3’)と、
カプセル化物(4)と、を含
前記第1のナノ粒子(2)及び前記第2のナノ粒子(3、3’)は、前記カプセル化物(4)内に共カプセル化される、構造体(1)。
【請求項2】
前記第1のナノ粒子(2)は、コアと、少なくとも1つのシェルとを含む、請求項1に記載の構造体(1)。
【請求項3】
前記第2のナノ粒子(3、3’)は、金属粒子、半導体粒子、カルコゲニド粒子、ニクタイド粒子、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される粒子を含む、請求項1または2に記載の構造体(1)。
【請求項4】
前記第1のナノ粒子(2)と前記第2のナノ粒子(3、3’)とは、前記カプセル化物(4)内で間隔を置いて配置される、請求項に記載の構造体(1)。
【請求項5】
前記複数の第2のナノ粒子(3、3’)の各第2のナノ粒子(3、3’)は、直接、前記第1のナノ粒子(2)、及び前記複数の第2のナノ粒子(3、3’)のさらなる第2のナノ粒子(3、3’)のうちの少なくとも1つに接触する、請求項1に記載の構造体(1)。
【請求項6】
前記第2のナノ粒子(3、3’)は、凝集、非共有結合、共有結合、溶融、焼結、集塊、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される少なくとも1つの方法によって、前記第1のナノ粒子(2)に結合される、請求項1に記載の構造体(1)。
【請求項7】
前記第1のナノ粒子(2)の表面は、前記第2のナノ粒子(3、3’)によって部分的に覆われている、請求項1に記載の構造体(1)。
【請求項8】
前記第1のナノ粒子(2)の表面は、前記第2のナノ粒子(3、3’)によって完全に覆われている、請求項1に記載の構造体(1)。
【請求項9】
前記第2のナノ粒子(3、3’)は、少なくとも1つの表面部分(8、9)を含む、請求項1に記載の構造体(1)。
【請求項10】
前記第2のナノ粒子(3、3’)は、第1の表面部分(8)及び第2の表面部分(9)を含み、前記第1の表面部分(8)が、前記第2の表面部分(9)によって、前記第2のナノ粒子(3、3’)に結合される、請求項に記載の構造体(1)。
【請求項11】
前記構造体(1)は、前記第1のナノ粒子(2)に近接して少なくとも1つの内部ペイロード種(A、B)を含む、請求項1に記載の構造体(1)。
【請求項12】
前記少なくとも1つの内部ペイロード種(A、B)は、前記第2のナノ粒子(3、3’)の内部にある、請求項11に記載の構造体(1)。
【請求項13】
前記第1のナノ粒子(2)は、第1のカプセル化物(6)内にカプセル化されており、
前記第2のナノ粒子(3、3’)は、第2のカプセル化物(7)内にカプセル化されており、
前記第1のカプセル化物(6)と前記第2のカプセル化物(7)とは、互いに直接接触している、請求項1に記載の構造体(1)。
【請求項14】
前記第1のカプセル化物(6)と前記第2のカプセル化物(7)とは、同じカプセル化物材料を含む、請求項13に記載の構造体(1)。
【請求項15】
光電子デバイス(100)であって、
一次放射線を放出するように構成された半導体チップ(101)と、
前記一次放射線の少なくとも一部を二次放射線に変換するように構成された変換要素(103)と、を備え、
前記変換要素(103)は、請求項1に記載の構造体(1)を少なくとも1つ備える、光電子デバイス(100)。
【請求項16】
構造体(1)を製造するための方法であって、
少なくとも1つの半導体材料を含む第1のナノ粒子(2)を提供することであって、前記第1のナノ粒子(2)が、第1の波長範囲で発色団であり、第2の波長範囲で放射性である、前記提供することと、
複数の第2のナノ粒子(3)を提供することであって、前記第2のナノ粒子(3、3’)が、前記第1の波長範囲及び前記第2の波長範囲で非発色団である、前記提供することと、
前記第1のナノ粒子(2)と前記第2のナノ粒子(3、3’)とを互いに近接して配置することと、
カプセル化物(4)を適用することと、を含
前記第1のナノ粒子(2)及び前記第2のナノ粒子(3、3’)は、前記カプセル化物(4)内に共カプセル化される、方法。
【請求項17】
前記第2のナノ粒子(3、3’)を、凝集、非共有結合、共有結合、溶融、焼結、集塊、及びそれらの組み合わせを含む群から選択される少なくとも1つの方法によって、前記第1のナノ粒子(2)に結合させることをさらに含む、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
第1のカプセル化物(6)内に前記第1のナノ粒子(2)をカプセル化することと、
第2のカプセル化物(7)内に前記第2のナノ粒子(3、3’)をカプセル化することと、
前記第1のカプセル化物(6)と前記第2のカプセル化物(7)とを、互いに直接接触して配置することと、
をさらに含む、請求項16または17に記載の方法。
【国際調査報告】