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特表2024-546460一体的に形成されたガイドパッドを有する付加製造された切削部分を有する切削工具部品及びその製造方法
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  • 特表-一体的に形成されたガイドパッドを有する付加製造された切削部分を有する切削工具部品及びその製造方法 図1
  • 特表-一体的に形成されたガイドパッドを有する付加製造された切削部分を有する切削工具部品及びその製造方法 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-12-24
(54)【発明の名称】一体的に形成されたガイドパッドを有する付加製造された切削部分を有する切削工具部品及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   B23B 51/00 20060101AFI20241217BHJP
   B23B 51/06 20060101ALI20241217BHJP
   B22F 3/24 20060101ALI20241217BHJP
   B22F 10/28 20210101ALI20241217BHJP
   B22F 10/25 20210101ALI20241217BHJP
   B33Y 80/00 20150101ALI20241217BHJP
【FI】
B23B51/00 K
B23B51/06 C
B23B51/00 T
B23B51/00 J
B22F3/24 102Z
B22F10/28
B22F10/25
B33Y80/00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024532193
(86)(22)【出願日】2022-11-14
(85)【翻訳文提出日】2024-05-29
(86)【国際出願番号】 IL2022051211
(87)【国際公開番号】W WO2023112015
(87)【国際公開日】2023-06-22
(31)【優先権主張番号】63/288,672
(32)【優先日】2021-12-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】514105826
【氏名又は名称】イスカル リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110004358
【氏名又は名称】弁理士法人NYTパートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】ゼトラー,マーティン ウルリッヒ
(72)【発明者】
【氏名】ポウジオス,ニコラオス
(72)【発明者】
【氏名】ドジウバス,ヘナー ミヒャエル
【テーマコード(参考)】
3C037
4K018
【Fターム(参考)】
3C037AA02
3C037BB16
3C037CC04
3C037CC06
3C037DD03
3C037DD07
4K018AA10
4K018AA24
4K018BA13
4K018BA20
4K018FA06
4K018FA24
4K018KA15
4K018KA70
(57)【要約】
切削工具部品は切削部分(38)を含む。切削工具部品は、切削部分から径方向外側に突出する複数のガイドパッド(56)をさらに含む。少なくとも切削部分及び複数のガイドパッドは付加製造によって製造され、複数のガイドパッドは、一体型のワンピース構造で前記切削部分に一体的に形成される。切削工具部品に取り外し可能に取り付けられた切削インサートを有する回転切削工具が提供される。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
反対の前方向(D)及び後方向(D)と、反対の回転方向の先行方向(D)及び後続方向(D)と、を規定する工具部品長手方向軸線(B)回りに回転するように構成された切削工具部品(22)であって、前記先行方向(D)は切削方向であり、前記切削工具部品(22)は、
工具部品前端面(28)、工具部品後端面(30)、並びに、前記工具部品前端面(28)及び前記工具部品後端面(30)の間で延在し、かつ、前記工具部品長手方向軸線(B)周りに延在する工具部品周面(36)と、
切削部分材料を含み、かつ、前記切削工具部品(22)の前端(32)に配置された、付加製造された切削部分(38)であって、前記工具部品周面(36)から形成された切削部分周面(40)を含む切削部分(38)と、
前記切削部分(38)から後方に延在するシャンク部分(46)と、
複数の付加製造されたガイドパッド(56)であって、各ガイドパッドは、ガイドパッド材料を含み、かつ、前記切削部分周面(40)から突出するガイドパッド(56)と、を備え、
複数の前記ガイドパッド(56)は、一体型のワンピース構造で前記切削部分に一体的に形成される、切削工具部品(22)。
【請求項2】
前記切削部分材料と前記ガイドパッド材料とが同じである、請求項1に記載の切削工具部品(22)。
【請求項3】
前記切削部分材料と前記ガイドパッド材料とが異なる、請求項1に記載の切削工具部品(22)。
【請求項4】
前記切削部分材料及び/又は前記ガイドパッド材料が超硬合金又はサーメットではない、請求項1~3のいずれか1項に記載の切削工具部品(22)。
【請求項5】
前記ガイドパッド材料が鋼である、請求項1~4のいずれか1項に記載の切削工具部品(22)。
【請求項6】
少なくとも複数の前記ガイドパッド(56)上に形成されたコーティング層(68)をさらに備える、請求項1~5のいずれか1項に記載の切削工具部品(22)。
【請求項7】
前記コーティング層(68)はPVDコーティング層である、請求項6に記載の切削工具部品(22)。
【請求項8】
前記PVDコーティング層は低温PVDコーティング層である、請求項7に記載の切削工具部品(22)。
【請求項9】
前記低温PVDコーティング層はTiNである、請求項8に記載の切削工具部品(22)。
【請求項10】
前記切削部分(38)は、
前記切削部分周面(40)に凹んだ複数の角度間隔を空けた縦溝(44)と、
複数の角度間隔を空けたランド(50)であって、各ランド(50)は、関連の回転方向先行縦溝(44P)と関連の回転方向後続縦溝(44S)との間に延在し、前記関連の回転方向先行縦溝(44)は前記関連の回転方向後続縦溝(44S)よりも回転方向前方に位置する、複数の角度間隔を空けたランド(50)と、を備え、
各ランド(50)にはそれぞれのガイドパッド(56)が形成され、
任意のランド(50a)について、それぞれの前記ガイドパッド(56)は、その前記ランドの関連の回転方向先行縦溝(44P)から離間される、請求項1~8のいずれか1項に記載の切削工具部品(22)。
【請求項11】
それぞれの前記ガイドパッド(56)は、所定の前記ランドの関連の回転方向後続縦溝(44S)から離間される、請求項10に記載の切削工具部品(22)。
【請求項12】
各ランド(50)にはそれぞれ単一のガイドパッド(56)が形成される、請求項10又は11に記載の切削工具部品(22)。
【請求項13】
各ランド(50)における前記切削部分周面(40)は、
関連の前記回転方向先行縦溝(44P)に沿って延在するランド隆起面(52)と、
前記ランド隆起面(52)に対して凹み、かつ、前記ランド隆起面(52)から関連の前記回転方向後続縦溝(44S)まで延在するランド逃げ面(54)と、を備え、
それぞれの前記ガイドパッド(56)は、所定のランドのランド逃げ面(54)上に形成される、請求項10~12のいずれか1項に記載の切削工具部品(22)。
【請求項14】
前記切削工具部品(22)は複数の冷却チャネル(82)を備え、各冷却チャネル(82)はチャネル出口(86)を有し、
各ランド(50)にはそれぞれのチャネル出口(86)が形成され、それぞれの前記チャネル出口(86)は、それぞれの前記ガイドパッド(56)に冷却剤を導くように構成される、請求項10~13のいずれか1項に記載の切削工具部品(22)。
【請求項15】
それぞれの前記チャネル出口(86)は、それぞれの前記ガイドパッド(56)と、所定のランドの関連の前記回転方向先行縦溝(44P)との間に形成される、請求項14に記載の切削工具部品(22)。
【請求項16】
複数の前記ガイドパッド(56)が、前記工具部品長手方向軸線(B)周りに螺旋状に延在する、請求項1~15のいずれか1項に記載の切削工具部品(22)。
【請求項17】
前記切削部分(38)は、前記切削部分周面(40)に凹んだ複数の角度間隔を空けた縦溝(44)を備え、複数の前記ガイドパッド(56)は、前記工具部品長手方向軸線(B)周りに螺旋状に延在し、
複数の前記ガイドパッド(56)は、複数の角度間隔を空けた螺旋状に延在する前記縦溝(44)と同じ方向に前記工具部品長手方向軸線(B)周りに螺旋状に延在する、請求項16に記載の切削工具部品(22)。
【請求項18】
螺旋状の各ガイドパッド(56)はパッド螺旋角(θ)を有し、前記パッド螺旋角(θ)は20°以上かつ40°以下である、請求項16又は17に記載の切削工具部品(22)。
【請求項19】
各ガイドパッド(56)は、パッド長手方向軸線(C)に沿って長尺であり、かつ、2つの両側のパッド端部(58)と、2つの両側の前記パッド端部の間に延在する長尺のパッド中間部分(60)と、を有する、請求項1~18のいずれか1項に記載の切削工具部品(22)。
【請求項20】
一方の前記パッド端部(58)が他方の前記パッド端部(58)よりも前記シャンク部分(46)に近い、請求項19に記載の切削工具部品(22)。
【請求項21】
各ガイドパッド(56)は、
中央の径方向外向きに面するパッド接触面(62)と、
前記ガイドパッド(56)の両側の軸線方向端部において前記パッド接触面(62)から前記切削部分周面(40)まで延在する2つの両側のパッド端面(64)と、
前記ガイドパッド(56)の両側の回転側において前記パッド接触面(62)から前記切削部分周面(40)まで延在する2つの両側のパッド側面(66)と、を備える、請求項1~20のいずれか1項に記載の切削工具部品(22)。
【請求項22】
2つの前記パッド端面(64)及び2つの前記パッド側面(66)はいずれもパッド突出軸線(D)に対して傾斜し、各ガイドパッド(56)が前記パッド突出軸線(D)に沿って前記切削部分周面(40)から突出する、請求項21に記載の切削工具部品(22)。
【請求項23】
前記パッド接触面(62)はバックテーパ状である、請求項21又は22に記載の切削工具部品(22)。
【請求項24】
前記パッド接触面(62)は平行四辺形の基本形状を有する、請求項21~23のいずれか1項に記載の切削工具部品(22)。
【請求項25】
前記切削工具部品(22)の側面視において、
前記パッド接触面(62)は、前記パッド長手方向軸線(C)の方向に測定されたパッド接触長さ(L)と、前記パッド接触長さ(L)に垂直な方向に測定されたパッド接触幅(W)と、を有し、
前記パッド接触幅(W)は前記パッド接触長さ(L)の半分未満である、請求項21~24のいずれか1項に記載の切削工具部品(22)。
【請求項26】
前記パッド接触幅(W)は前記パッド接触長さ(L)の4分の1未満である、請求項25に記載の切削工具部品(22)。
【請求項27】
前記パッド接触幅(W)が4mm未満である、請求項26に記載の切削工具部品(22)。
【請求項28】
前記切削工具部品(22)の側面視において、
前記パッド接触面(62)は、前記工具部品長手方向軸線(B)の方向に測定されたパッド接触軸線方向高さ(H)を有し、
前記パッド接触面(62)は、前記工具部品前端面(28)からパッド距離(d)だけ離間され、
前記パッド距離(d)は前記パッド接触軸線方向高さ(H)よりも大きい、請求項21~26のいずれか1項に記載の切削工具部品(22)。
【請求項29】
前記切削部分(38)に一体的に形成された切れ刃(26)を備える、請求項1~28のいずれか1項に記載の切削工具部品(22)。
【請求項30】
インサートポケット(42)を備える、請求項1~28のいずれか1項に記載の切削工具部品(22)。
【請求項31】
請求項30に記載の切削工具部品(22)と、
切れ刃(26)を有し、前記インサートポケット(42)内に取り外し可能に保持される切削インサート(24)と、を備える回転切削工具(20)。
【請求項32】
前記切削インサート(24)は切削インサート材料を含み、
前記切削インサート材料は、前記切削部分材料及び/又は前記ガイドパッド材料と異なり、前記切削インサート材料は前記切削部分材料及び/又はガイドパッド材料よりも硬い、請求項31に記載の切削工具(20)。
【請求項33】
請求項1~30のいずれか1項に記載の切削工具部品(22)を製造する方法であって、
第1付加製造プロセスを使用することによって前記切削部分(38)を製造するステップと、
前記切削部分(38)を製造するステップ中又はステップ後に、第2付加製造プロセスを使用することによって複数の前記ガイドパッド(56)を製造するステップと、を含む方法。
【請求項34】
複数の前記ガイドパッド(56)を製造するステップは、前記切削部分(38)を製造するステップ中に実行される、請求項33に記載の方法。
【請求項35】
第3付加製造プロセスを使用することによって前記シャンク部分(46)を製造するステップをさらに含む、請求項33又は34に記載の方法。
【請求項36】
少なくとも複数の前記ガイドパッド(56)にコーティング層(68)を塗布するステップをさらに含む、請求項33~35のいずれか1項に記載の方法。
【請求項37】
少なくとも複数の前記ガイドパッド(56)に低温PVDコーティング層を塗布するステップをさらに含む、請求項33~36のいずれか1項に記載の方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願の主題は、概して、回転切削工具部品に関し、特に、回転金属切削作業を実行する場合に切削工具部品をガイドするための複数のガイドパッドを有するそのような切削工具部品に関し、さらに特に、切削工具部品とワンピース構造を有するように一体的に形成されたそうした複数のガイドパッドに関する。
【背景技術】
【0002】
金属切削の分野で知られているように、回転切削工具には、孔内で回転金属切削作業を実行する場合に切削工具をガイドするためにガイドパッドが設けられ得る。
【0003】
そのような回転切削工具は、インサートホルダと、インサートホルダに取り外し可能に取り付けられた切削インサートと、を含む。このようなある切削工具では、ガイドパッドが一体的に形成されている。米国特許出願公開第2010/040425号明細書及び米国特許出願公開第2011/008116号明細書には、ろう付け技術によってインサートホルダ上の凹状パッドポケット内に固定して保持されたガイドパッドを開示している。他のそのようなインサートホルダでは、ガイドパッドが切削インサート自体に一体的に形成されているので、(前述したタイプの)パッドポケットは必要とされない。例えば、米国特許第8,317,439号明細書を参照されたい。
【0004】
代替として、ガイドパッドは、締結部材によって、インサートホルダ上の凹状パッドポケット内に取り外し可能に保持され得る。このような回転切削工具の例は、米国特許第7,896,588号明細書及び米国特許第10,201,861号明細書に開示されており、留めねじによってパッドポケット内に取り外し可能に保持されるガイドパッドが示されている。
【0005】
ある他の回転切削工具は、モノリシック構造(切れ刃が切削工具と一体的に形成されている)を有しており、また、切削工具に一体的に形成されたガイドパッドも有している。このような回転切削工具の一例が米国特許出願公開第2020/376570号明細書に開示されている。
【0006】
本願の主題の目的は、改良されたガイドパッドを有する切削工具部品を提供することである。
【0007】
本願の主題のさらに別の目的は、切削工具部品にガイドパッドを取り付けるための製造後の組み立てを必要としない切削工具部品の製造方法を提供することである。
【発明の概要】
【0008】
本願の主題の第1態様によれば、反対の前方向及び後方向並びに反対の回転方向の先行方向及び後続方向を規定する工具部品長手方向軸線回りに回転するように構成された切削工具部品が提供され、前記先行方向は切削方向であり、前記切削工具部品は、
工具部品前端面、工具部品後端面、並びに、前記工具部品前端面及び前記工具部品後端面の間で延在する工具部品周面であって、前記工具部品周面は、前記工具部品長手方向軸線周りに延在する、工具部品前端面、工具部品後端面及び工具部品周面と、
切削部分材料を含み、かつ、前記切削工具部品の前端に配置される、付加製造された切削部分であって、前記切削部分は、前記工具部品周面から形成された切削部分周面を備える、切削部分と、
前記切削部分から後方に延在するシャンク部分と、
ガイドパッド材料を含み、かつ、前記切削部分周面から突出する、複数の付加製造されたガイドパッドと、を備え、
複数の前記ガイドパッドは、一体型のワンピース構造で前記切削部分に一体的に形成される。
【0009】
本願の主題の第2態様によれば、前述したタイプの切削工具部品と、
前記インサートポケット内に取り外し可能に保持される、切れ刃を有する切削インサートと、を備える回転切削工具が提供される。
【0010】
前記切削インサートは、インサートポケット内に前記切削インサートを保持するためのクランプねじを受け入れるように構成された貫通孔を有しない、自己クランプ式の切削インサートであってもよい。
【0011】
本願の主題の第3態様によれば、前述したタイプの前記切削工具部品を製造する方法が提供され、当該方法は、
第1付加製造プロセスを使用することによって前記切削部分を製造するステップと、
前記切削部分を製造するステップ中又はステップ後に、第2付加製造プロセスを使用することによって複数の前記ガイドパッドを製造するステップと、を含む。
【0012】
上記は概要であること、また、以下に記載される特徴は、本願の主題に任意の組み合わせで適用可能であってもよいこと、例えば、以下の特徴のいずれかが、切削工具部品及び/又は切削工具及び/又は切削工具部品の製造方法に適用可能であってもよいことが理解される。
【0013】
前記切削部分材料及び前記ガイドパッド材料は同じであってもよい。
【0014】
前記切削部分材料及び前記ガイドパッド材料は異なっていてもよい。
【0015】
前記切削部分材料及び/又は前記ガイドパッド材料は超硬合金又はサーメットでなくてもよい。
【0016】
前記ガイドパッド材料は鋼であってもよい。
【0017】
前記シャンク部分は、付加製造されたシャンク部分であってもよい。
【0018】
前記切削工具部品は、少なくとも複数の前記ガイドパッド上に形成されたコーティング層をさらに備えてもよい。
【0019】
前記コーティング層はPVDコーティング層であってもよい。
【0020】
前記PVDコーティング層は低温PVDコーティング層であってもよい。
【0021】
前記低温PVDコーティング層はTiNであってもよい。
【0022】
前記切削部分は、前記切削部分周面に凹んだ角度間隔をあけた複数の縦溝と、前記切削部分周面によって径方向外向き方向に区切られた角度間隔をあけた複数のランドと、を備えてもよく、各ランドは、関連の回転方向先行縦溝と関連の回転方向後続縦溝との間で延在し、関連の前記回転方向先行縦溝は関連の前記回転方向後続縦溝よりも回転方向前方に位置する。各ランドは、その上に形成されたそれぞれのガイドパッドを有してもよい。任意の所定のランドについて、それぞれの前記ガイドパッドは、所定のランドの関連の回転方向先行縦溝から離間されてもよい。
【0023】
それぞれの前記ガイドパッドは、所定のランドの関連の回転方向後続縦溝から離間されてもよい。
【0024】
各ランドは、その上に形成された単一のそれぞれのガイドパッドを有してもよい。
【0025】
各ランドにおける前記切削部分周面は、関連の前記回転方向先行溝に沿って延在するランド隆起面と、前記ランド隆起面に対して凹み、かつ、前記ランド隆起面から関連の前記回転方向後続縦溝まで延在するランド逃げ面と、を備えてもよい。それぞれの前記ガイドパッドは、所定のランドのランド逃げ面上に形成されてもよい。
【0026】
前記切削工具部品は複数の冷却チャネルを備えてもよく、各冷却チャネルはチャネル出口を有する。各ランドは、その上に形成されたそれぞれのチャネル出口を有してもよく、それぞれの前記チャネル出口は、それぞれの前記ガイドパッドに冷却剤を導くように構成される。
【0027】
それぞれの前記チャネル出口は、それぞれの前記ガイドパッドと、所定のランドの関連の前記回転方向先行縦溝との間に形成されてもよい。
【0028】
複数の前記ガイドパッドは、前記工具部品長手方向軸線を中心に螺旋状に延在してもよい。
【0029】
複数の前記縦溝は、前記工具部品長手方向軸線を中心に螺旋状に延在してもよい。
【0030】
複数の前記ガイドパッドは、複数の角度間隔をあけて螺旋状に延在する縦溝と同じ方向に、前記工具部品長手方向軸線を中心に螺旋状に延在してもよい。
【0031】
螺旋状の各ガイドパッドはパッド螺旋角を有してもよい。前記パッド螺旋角は20°以上40°以下であってもよい。
【0032】
各ガイドパッドは、パッド長手方向軸線に沿って長尺であってもよく、かつ、2つの両側のパッド端部と、両側のパッド端部の間で延在する長尺のパッド中央部分と、を有してもよい。
【0033】
一方の前記パッド端部は、他方の前記パッド端部よりも前記シャンク部分に近くてもよい。
【0034】
各ガイドパッドは、中央径方向外向きに面するパッド接触面と、前記ガイドパッドの両側の軸線方向端部で前記パッド接触面から前記切削部分周面まで延在する2つの反対側のパッド端面と、前記ガイドパッドの両側の回転側で前記パッド接触面から前記切削部分周面まで延在する2つの両側のパッド側面と、を含んでもよい。
【0035】
2つの前記パッド端面及び2つのパッド側面が、いずれも、各ガイドパッドがそれに沿って前記切削部分周面から突出するパッド突出軸線に対して傾斜してもよい。
【0036】
前記パッド接触面はバックテーパ状であってもよい。
【0037】
前記パッド接触面は平行四辺形の基本形状を有してもよい。
【0038】
前記切削工具部品の側面視において、前記パッド接触面は、前記パッド長手方向軸線の方向に測定されたパッド接触長さと、前記パッド接触長さに垂直な方向に測定されたパッド接触幅と、を有する。前記パッド接触幅は、前記パッド接触長さの半分未満であってもよい。
【0039】
前記パッド接触幅は、前記パッド接触長さの4分の1未満であってもよい。
【0040】
前記パッド接触幅は4mm未満であってもよい。
【0041】
前記切削工具部品の側面視において、前記パッド接触面は、前記工具部品長手方向軸線の方向に測定されたパッド接触軸線方向の高さを有する。前記パッド接触面は、前記工具部品前端面からパッド距離だけ離間されてもよい。前記パッド距離は、前記パッド接触軸線方向高さよりも大きくてもよい。
【0042】
前記切削工具部品は、前記切削部分に一体的に形成された切れ刃を備えてもよい。
【0043】
代替として、前記切削工具部品はインサートポケットを備えてもよい。
【0044】
前記インサートポケットは、前記切削インサートを保持するためのクランプねじを受け入れるように構成されたねじ孔を有していなくてもよい。
【0045】
前記切削インサートは、切削インサート材料を含んでもよい。前記切削インサート材料は、前記切削部分材料及び/又は前記ガイドパッド材料とは異なってもよい。前記切削インサート材料は、前記切削部分材料及び/又は前記ガイドパッド材料よりも硬くてもよい。
【0046】
複数の前記ガイドパッドを製造するステップは、前記切削部分を製造するステップ中に実行されてもよい。
【0047】
前記方法は、第3付加製造プロセスを使用することによって前記シャンク部分を製造するステップをさらに含んでもよい。
【0048】
前記方法は、少なくとも複数の前記ガイドパッドにコーティング層を塗布するステップをさらに含んでもよい。
【0049】
前記方法は、少なくとも複数の前記ガイドパッドに低温PVDコーティング層を塗布するステップをさらに含んでもよい。
【0050】
本願をより良く理解し、かつ、本願が実際にどのように実施されるかを示すため、添付の図面を参照する。
【図面の簡単な説明】
【0051】
図1】本願に係る回転切削工具の斜視図である。
図2図1の回転切削工具の分解図である。
図3図1の切削工具部品の端面図である。
図4図3の切削工具部品の切削部分の側面図である。
図4a図4の詳細である。
図5図4の類似図であり、切削部分が工具部品長手方向軸線を中心に90°回転している。
図6図5のVI-VI線に沿った切削部分の径方向断面図である。
【0052】
説明を簡潔かつ明確にするため、図に示されている要素は必ずしも正確な縮尺で描かれているわけではないことに留意されたい。例えば、明確にするため、要素の一部の寸法が他の要素に比べて誇張されている場合がある、又は、複数の物理的なコンポーネントが1つの機能ブロック又は要素に含まれている場合がある。さらに、適切と判断される場合、対応の要素又は類似の要素を示すために、図同士の間で参照番号が繰り返される場合がある。
【発明を実施するための形態】
【0053】
以下の説明では、本願の主題のさまざまな態様について説明する。説明の目的のため、本願の主題を完全に理解することができるように、特定の構成及び詳細を十分に詳細に説明する。ただし、本明細書で提示された特定の構成及び詳細がなくても本願の主題を実施可能であることも当業者には明らかである。
【0054】
まず、本願の一態様を図示する、切り屑除去用の回転切削工具20を示す図1に着目する。切削工具20は工具長手方向軸線Aを有する。切削工具20は工具長手方向軸線Aに沿って長尺である。切削工具20は回転切削工具である。すなわち、切削工具20は、回転軸線(工具長手方向軸線A)を中心に回転するように設計される。図面に示される非限定的な例では、切削工具20は穿孔工具である。ただし、本願の主題は、穿孔工具のみに限定されず、例えば、リーミング工具にも適用可能であるが、これに限定されない。
【0055】
切削工具20は切削工具部品22を含み、切削工具部品22は本明細書でさらに詳細に説明される。本願の主題のある実施形態によれば、切削工具20は切削インサート24を含んでもよい。切削インサート24は、プレスや焼結などの一般的な方法で製造されてもよい。切削インサート24は切削インサート材料を含む。切削インサート24は、金属切削作業を実行するように設計された切れ刃26を有する。切削インサート24は、切削工具部品22に取り外し可能に取り付けられてもよい。切削インサート24は、インサートポケット内に切削インサートを固定するためのクランプねじを受け入れるように構成された貫通孔を有しない、自己クランプ式の切削インサートであってもよい。本願の主題の他の実施形態によれば、切れ刃26は切削部分38に一体的に形成されてもよい。
【0056】
ここで、本願の別の態様を示す切削工具部品22を示す図2を参照する。切削工具部品22は、反対の前方向D及び後方向Dを規定する工具部品長手方向軸線Bを有する。切削工具部品22は、工具部品長手方向軸線Bに沿って長尺である。切削工具部品22は、工具部品長手方向軸線Bを中心に回転するように構成される。工具部品中心軸線Bは、回転方向の先行方向D及び後続方向Dも規定する。先行方向Dは、切削工具部品22の切削方向である。本願の主題のある実施形態によれば、切削工具20と切削工具部品22とは互いに同軸であってもよい。2つの要素(例えば、この場合は切削工具20及び切削工具部品22)は、それらの長手方向軸線が一致する(互いに整列する)場合に互いに同軸であることに留意されたい。
【0057】
さらに、本説明及び請求の範囲を通じて使用される「前方」及び「後方」という用語は、図4図4a及び図5でそれぞれ、左に対する及び右に対する工具部品長手方向軸線Bの方向における相対位置を指すことにさらに留意されたい。一般的に言えば、前方向は、切れ刃26に向かう方向である。
【0058】
図1及び図2を参照すると、切削工具部品22は、工具部品前端面28と、工具部品前端面28の反対側にある工具部品後端面30と、を含む。工具部前端面28は、切削工具部品22の前端32に配置される。工具部品後端面30は、切削工具部品22の後端34に配置される。工具部品後面30は平面であってもよい。工具部品前面28及び工具部品後面30は工具部品長手方向軸線Bに交差してもよい。切削工具部品22は、工具部品前端面28と工具部品後端面30との間に延在する工具部品周面36をさらに含む。工具部品周面36は工具部品長手方向軸線B周りに延在する。
【0059】
図2図4に戻ると、切削工具部品22は、付加製造された切削部分38を含む。切削部分38は、付加製造によって製造され、かつ、切削部分材料を含む。切削部分38は、切削工具部品22の前端32に配置される。切削部分38は、工具部品周面36から形成された切削部分周面40を含む。言い換えれば、切削部分38において工具部品周面36は切削部分周面40を形成する。切削部分周面40は、工具部品周面36の全周(すなわち、360°)部分から形成される。切削部分周面40は、工具部品前端面28に交差し、かつ、工具部品前端面28の境界を形成する。本願の主題のある実施形態によれば、切削部分38は、切削インサート24を受け入れるためのインサートポケット42を含んでもよい。インサートポケット42は、工具部品周面36と工具部品前端面28との交線に配置されてもよい。切削工具20の組み立て位置では、切削インサート24はインサートポケット42内に取り外し可能に保持されてもよい。インサートポケット24には、その中に切削インサートを固定するためのクランプねじを受け入れるように構成されたねじ孔が設けられていなくてもよく、及びしたがって、自己クランプ式の切削インサートを収容してもよい。
【0060】
本説明及び請求の範囲を通じて「付加製造された」という用語が使用されている場合、これは、物体を作成するために材料の層が形成される3次元物体を作成するために使用される1以上の付加製造プロセスを使用して形成されたコンポーネントのタイプを指すことに留意されたい。このような付加製造プロセスの例としては、選択的レーザ溶融法(SLM)、選択的レーザ焼結法(SLS)、直接金属レーザ焼結法(DMLS)、熱溶解積層法(FDM)及び3D印刷などが挙げられるが、これらに限定されない。当業者は、後処理(研削など)の前に、材料上に見える層の存在によって、特定のコンポーネントが付加製造されたコンポーネントであるかどうかを検出することができる。
【0061】
本願の主題のある実施形態によれば、切削部分38は、工具部品周面36に凹んだ、角度間隔を空けて配置された複数の縦溝44を含んでもよい。複数の縦溝44は、工具部品長手方向軸線Bを中心に螺旋状に延在してもよい。
【0062】
本願の主題のある実施形態によれば、切削部分38は、角度間隔を空けて配置された複数のランド50を含んでもよい。複数のランド50は、工具部品長手方向軸線B周りで複数の縦溝44と交互に配置されてもよい。
【0063】
図6を参照すると、本願の主題のある実施形態によれば、各ランド50は、角度的に隣接する1対の関連の縦溝44の間に延在してもよい。角度的に隣接する1対の関連の縦溝44は、回転方向の先行方向Dでランド50に隣接する関連の回転方向先行縦溝44Pと、回転方向の後続方向Dでランド50に隣接する関連の回転方向後続縦溝44Sと、を含む。したがって、各ランド50について、関連の回転方向先行縦溝44Pは、関連の回転方向後続縦溝44Sよりも回転方向前方にある。縦溝は、1つのランド50については回転方向先行縦溝44Pであり、別の縦溝50については回転方向後続縦溝44Sであってもよいことに留意されたい。
【0064】
図5を参照すると、本願の主題のある実施形態によれば、各ランド50は、切削部分周面40によって径方向外向きの方向に区切られてもよい。各ランド50における切削部分周面40は、関連の回転方向先行縦溝44Pに沿って延在するランド隆起面52を含んでもよい。各ランド50は、ランド隆起面52に対して径方向内向きに凹んだランド逃げ面54を含んでもよい。ランド逃げ面54は、ランド隆起面52から、関連の回転方向後続縦溝44Sまで延在してもよい。ランド逃げ面54は、工具部品前端面28から離間されてもよい。
【0065】
図1及び図2に戻ると、切削工具部品22は、切削部分38から後方に延在するシャンク部分46を含む。シャンク部分46は、工具ホルダ(図示せず)に切削工具部品22を取り付ける手段を含む。具体的には、シャンク部分46は、工具ホルダの工具受け凹部に配置され、かつ、その中に取り外し可能にクランプされるように構成される。図4及び図5a~図5bを参照すると、シャンク部分46における工具部品周面36は、シャンク径方向センタリング面48を形成する。シャンク径方向センタリング面48は、工具ホルダ内の切削工具部品22の正確な径方向の位置合わせを確保するように機能する。本願の主題のある実施形態によれば、シャンク径方向センタリング面48は、工具部品長手方向軸線Bを中心に円筒形又は円錐形であってもよい。好ましくは、シャンク径方向センタリング面48は、工具部品長手方向軸線Bを中心に円筒形であってもよい。シャンク部分46は、付加製造によって形成されてもよい。
【0066】
切削工具部品22は、付加製造された複数のガイドパッド56を含む。複数のガイドパッド56は、切削部分周面40から突出する。複数のガイドパッド56は、付加製造によって形成され、かつ、ガイドパッド材料を含む。複数のガイドパッド56は、一体型のワンピース構造で切削部分38に一体的に形成される。本明細書で用いられる場合、そのアイテムの付加製造中に複数の材料が使用されている場合であっても、アイテムが付加製造プロセスから生じた場合、「一体型のワンピース構造」を有するものと言われる。
【0067】
本願の主題のある実施形態によれば、複数のガイドパッド56は、工具部品長手方向軸線B周りに螺旋状に延在してもよい。螺旋状の構成によれば、特に穿孔された孔に交差孔がある場合に、直線パッドに比べてガイド性が向上する。複数のガイドパッド56は、複数の螺旋状の縦溝44と同じ方向に、工具部品長手方向軸線B周りに螺旋状に延在してもよい。螺旋状の各ガイドパッド56はパッド螺旋角θを有してもよい。パッド螺旋角θは20°以上40°以下であってもよい。
【0068】
本願の主題のある実施形態によれば、各ランド50には、それぞれのガイドパッド56が形成されてもよい。特に、各ランド50には、それぞれ単一のガイドパッド56が形成されてもよい。
【0069】
任意の所定のランド50aについて、それぞれのガイドパッド56は、所定のランド50aの径方向の最も外側の部分であってもよい。特に、それぞれのガイドパッド56は、所定のランド50aのランド隆起面52よりもさらに径方向外向きに突出してもよい。それぞれのガイドパッド56は、所定のランドの関連の回転方向先行縦溝44Pから離間されてもよい。それぞれのガイドパッド56は、所定のランドの関連の回転方向後続縦溝44Sから離間されてもよい。それぞれのガイドパッド56は、所定のランドのランド逃げ面54上に形成されてもよい。
【0070】
図4を参照すると、本願の主題のある実施形態によれば、ガイドパッド56はパッド長手方向軸線Cに沿って長尺であってもよい。各ガイドパッド56は、2つの両側のパッド端部58と、2つの両側のパッド端部58の間に延在する長尺のパッド中間部分60と、を有してもよい。一方のパッド端部58は、他方のパッド端部58よりもシャンク部分46に近くてもよい。複数の螺旋状のガイドパッド56を有する構成では、パッド長手方向軸線Cは、パッド中間部分60に接する(仮想)線であってもよい。
【0071】
本願の主題のある実施形態によれば、各ガイドパッド56は、中央の径方向外向きに面するパッド接触面62を含んでもよい。パッド接触面62はバックテーパ状に形成されてもよい。すなわち、各パッド接触面62は、後方向Dにおいて、切削部分長手方向軸線Bに向かって内向きにテーパ状であってもよい。パッド接触面62は、短い対角線と長い対角線とを有する平行四辺形の基本形状を有してもよい。各ガイドパッド56は、ガイドパッド56の両側の軸線方向端部において、パッド接触面62から切削部分周面40まで延在する2つの両側のパッド端面64を含んでもよい。各ガイドパッド56は、ガイドパッド56の両側の回転側でパッド接触面62から切削部分周面40まで延在する2つの両側のパッド側面66を含んでもよい。2つのパッド側面66は、対向する2つのパッド端面64を接続してもよい。2つのパッド端面64及び2つのパッド側面66は、いずれも、それに沿って各ガイドパッド56が切削部分周面40から突出するパッド突出軸線Dに対して傾斜してもよい。これにより、各ガイドパッド56は切削部分38に滑らかに合流してもよい。図4図6を参照すると、パッド突出軸線Dは、工具部品長手方向軸線Bに垂直に配向され、かつ、工具部品長手方向軸線B及びパッド長手方向軸線Cに交差する径方向平面内に包含されてもよい。
【0072】
本発明の主題のある実施形態によれば、切削工具部品22の側面視において、パッド接触面62は、パッド長手方向軸線Cの方向に測定されたパッド接触長さLと、パッド接触長さLに垂直な方向に測定されたパッド接触幅Wと、を有する。パッド接触幅Wは、パッド接触長さLの半分未満であってもよい。特に、パッド接触幅Wは、パッド接触長さLの4分の1未満であってもよい。パッド接触幅Wは4mm未満であってもよい。パッド接触幅Wは2mm未満であってもよい。ガイドパッドの寸法をこのように小さくすると、穿孔ランド上にガイドパッドを配置することを可能にすると同時に、穿孔されるべき孔の円筒状の壁に対して適切なサポートを提供し、かつ、それらの壁との摩擦を最小限に抑えることを可能にする。
【0073】
図4を参照すると、本願の主題のある実施形態によれば、切削工具部品22の側面視において、パッド接触面62は、工具部品長手方向軸線Bの方向に測定されたパッド接触軸線方向高さHを有してもよい。パッド接触面62は、工具部品前端面28からパッド距離d(同じ方向に測定)だけ離間されてもよい。パッド距離dは、パッド接触軸線方向高さHよりも大きくてもよい。パッド距離dは、パッド接触軸線方向高さHの2倍よりも大きくてもよい。
【0074】
本願の主題のある実施形態によれば、切削部分材料とガイドパッド材料とは同じであってもよい。切れ刃26が切削部分38に一体的に形成された構成では、切削部分材料とガイドパッド材料とは、両方とも超硬合金又はサーメットであってもよい。インサートポケット内に取り外し可能に保持される、切れ刃を有する切削インサートを有する構成では、切削部分材料は典型的には鋼である。ガイドパッド材料は鋼であってもよい。
【0075】
代替的に、切削部分材料とガイドパッド材料とは異なってもよい。切削部分材料は超硬合金又はサーメットでなくてもよい。例えば、切削部分材料は鋼であってもよい。同様に、ガイドパッド材料も超硬合金又はサーメットでなくてもよい。ガイドパッド材料は、鋼よりも耐摩耗性に優れたステライトであってもよい。
【0076】
本願の主題のある実施形態によれば、切削インサート材料は切削部分材料と異なってもよい。切削インサート材料は切削部分材料よりも硬くてもよい。切削インサート材料はガイドパッド材料と異なってもよい。切削インサート材料はガイドパッド材料よりも硬い。
【0077】
本願の主題のある実施形態によれば、切削工具部品22は、少なくとも複数のガイドパッド56上に形成され得るコーティング層68を含んでもよい。すなわち、コーティング層68は、少なくともガイドパッド材料に塗布されてもよい。コーティング層68は、複数のガイドパッド56の耐摩耗性を高めるように機能し、これは、ガイドパッドが例えば鋼から形成される場合に重要である。コーティング層68は、任意選択的に、切削部分38及び/又はシャンク部分46上に形成されてもよい。コーティング層68はPVDコーティング層であってもよい。すなわち、コーティング層68は、PVDプロセスを介して堆積されてもよい。PVDコーティング層は低温PVDコーティング層であってもよい。すなわち、PVDコーティング層は、比較的低温で堆積されてもよい。低温PVDコーティング層はTiNであってもよい。
【0078】
図6を参照すると、本願の主題のある実施形態によれば、切削工具部品22は複数の冷却チャネル82を含んでもよい。各冷却チャネル82は、互いに流体連通するチャネル入口(図示せず)とチャネル出口86と、を有する。各ランド50には、それぞれのチャネル出口86が形成されてもよい。それぞれのチャネル出口86は、それぞれのガイドパッド56に冷却剤を導き、それによって、耐摩耗性を向上させるように構成される。それぞれのチャネル出口86は、それぞれのガイドパッド56と、所定のランドの関連の回転方向先行縦溝44Pとの間に形成されてもよい。それぞれのチャネル出口86はランド逃げ面54上に形成されてもよい。
【0079】
本発明の第3態様は、前述した切削工具部品22の製造方法に関する。当該方法は、第1付加製造プロセスを使用することによって切削部分38を製造するステップを含む。当該方法は、切削部分38を製造するステップ中又はステップ後に、第2付加製造プロセスを使用することによって複数のガイドパッド56を製造する工程をさらに含む。好ましくは、前述のステップは、切削部分38を製造するステップ中(すなわち、ステップと同時)に実行され、その場合、第1付加製造プロセス及び第2付加製造プロセスが同時に実行される。本願の主題のある実施形態によれば、当該方法は、第3付加製造プロセスを使用することによってシャンク部分46を製造するステップをさらに含んでもよい。したがって、切削工具部品22全体は、複数の付加製造プロセスが採用されているにもかかわらず、付加製造によって製造されてもよく、かつ、一体型のワンピース構造を有してもよい。当該方法は、パッド接触面62がバックテーパ状になるように、複数のガイドパッド56を研磨するステップをさらに含んでもよい。当該方法は、少なくとも複数のガイドパッド56にコーティング層を塗布するステップをさらに含んでもよい。少なくとも複数のガイドパッド56にコーティング層を塗布するステップは、切削部分38全体にコーティング層を塗布するステップを含んでもよい。
【0080】
前述したガイドパッド56のサイズは、通常の取り外し可能なガイドパッドの場合のように、(保持ねじを受け入れるための)貫通孔を必要とすることによって制限されないことに留意されたい。
【0081】
また、前述したガイドパッド56を有する切削部分38は、切削部分に凹状パッドポケットを必要とする取り外し可能なガイドパッドとは異なり、切削部分38とともに滑らかに移行してもよいことにも留意されたい。ガイドパッドとパッドポケットとの間の任意の隙間は、小さな切り屑を捕まえ得、穿孔された孔の表面仕上げを損傷させ得る。
【0082】
本願の主題をある程度詳細に説明したが、以下に請求される発明の精神又は範囲から逸脱することなく、さまざまな変更及び修正を行うことができることを理解されたい。

図1
図2
図3
図4
図4a
図5
図6
【国際調査報告】