(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-12-24
(54)【発明の名称】再生可能エネルギ施設内の電気設備用の導電体
(51)【国際特許分類】
H01B 5/02 20060101AFI20241217BHJP
H01B 5/00 20060101ALI20241217BHJP
H01R 31/06 20060101ALI20241217BHJP
【FI】
H01B5/02 Z
H01B5/00
H01R31/06 A
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024532205
(86)(22)【出願日】2022-11-29
(85)【翻訳文提出日】2024-07-26
(86)【国際出願番号】 DK2022050250
(87)【国際公開番号】W WO2023093962
(87)【国際公開日】2023-06-01
(32)【優先日】2021-11-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DK
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】524201860
【氏名又は名称】コーコー ウインド ソリューションズ アクティーゼルスカブ
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100108903
【氏名又は名称】中村 和広
(74)【代理人】
【識別番号】100123593
【氏名又は名称】関根 宣夫
(74)【代理人】
【識別番号】100208225
【氏名又は名称】青木 修二郎
(74)【代理人】
【識別番号】100217179
【氏名又は名称】村上 智史
(72)【発明者】
【氏名】ポウル ティング
(72)【発明者】
【氏名】ヤアアン デール ベスタゴー
(72)【発明者】
【氏名】ビャアン ラーネスタズ
【テーマコード(参考)】
5G307
【Fターム(参考)】
5G307AA01
5G307CA03
5G307CB03
5G307CC01
(57)【要約】
本発明は、電気設備用の導電体に関する。該導電体は、第1の端部セグメントと;第2の端部セグメントと;中間セグメントとを含む。中間セグメントは、前記第1の端部セグメントと前記第2の端部セグメントを電気的に結合しかつ機械的に結合する複数の導体分岐によって形成されている。第1の端部セグメントおよび前記複数の導体分岐のうちの導体分岐は、連結部によってモノリシックに一体化され、こうして前記第1の端部セグメントと前記複数の導体分岐のうちの導体分岐との間で凹状に隅を整形し、かつ前記複数の導体分岐のうちの導体分岐を2つの異なる横断方向で空間的に分離している。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気設備用の導電体(1)において:
第1の端部セグメント(2)と;
第2の端部セグメント(3)と;
前記第1の端部セグメント(2)と前記第2の端部セグメント(3)を電気的に結合しかつ機械的に結合する複数の導体分岐(5a~5d)によって形成された中間セグメント(4)と;
を含む導電体(1)であって、
前記第1の端部セグメント(2)および前記複数の導体分岐(5a~5d)のうちの導体分岐が、連結部によってモノリシックに一体化され、こうして前記第1の端部セグメント(2)と前記複数の導体分岐(5)のうちの導体分岐(5)との間に入隅(6)を整形し、かつ前記複数の導体分岐(5)のうちの導体分岐(5)を2つの異なる横断方向(8a、8b)で空間的に分離している、
導電体(1)。
【請求項2】
前記導電体(1)が、再生可能エネルギ施設内の電気パネル内に設置されるように構成されている、請求項1に記載の導電体(1)。
【請求項3】
前記入隅(6)が凹状に丸味の付いた入隅(6)として形成されている、請求項1から2のいずれか1項に記載の導電体(1)。
【請求項4】
前記複数の導体分岐が前記第1の端部セグメントを介しかつ前記第2の端部セグメントを介してモノリシックに一体化されている、請求項1から3のいずれか1項に記載の導電体。
【請求項5】
前記第2の端部セグメントと前記複数の導体分岐のうちの導体分岐が、丸味の付いた連結部によりモノリシックに一体化され、こうして前記第2の端部セグメントと前記複数の導体分岐のうちの導体分岐との間に凹状に丸味の付いた入隅を整形し、かつ前記複数の導体分岐のうちの導体分岐を前記2つの異なる横断方向で空間的に分離している、請求項1から4のいずれか1項に記載の導電体。
【請求項6】
前記複数の導体分岐(5)が、前記第1の端部セグメント(2)と前記第2の端部セグメント(2)との間でウェブ構造(31)を形成している、請求項1から5のいずれか1項に記載の導電体(1)。
【請求項7】
前記第1の端部セグメント(2)および前記第2の端部セグメント(3)が少なくとも部分的にウェブ構造(31)として形成されている、請求項1から6のいずれか1項に記載の導電体(1)。
【請求項8】
前記複数の導体分岐(5)が、前記中間セグメント(4)の前記中間セグメントの前記長手方向で前記個別の導体分岐の間の物理的接触無しで相互に撚合されている、請求項1から7のいずれか1項に記載の導電体(1)。
【請求項9】
前記中間区分(4)の前記長手方向から延在する冷却用構造(27)を含んでいる、請求項1から8のいずれか1項に記載の導電体(1)。
【請求項10】
2つの冷却用構造(27)間でのフェライトコア(30)の組付けを容易にする距離で離隔されている複数の冷却用構造(27)を含む、請求項1から9のいずれか1項に記載の導電体(1)。
【請求項11】
前記冷却用構造(27)が前記フェライトコア(30)よりも前記導電体(1)から遠く離れて延在している、請求項1から10のいずれか1項に記載の導電体(1)。
【請求項12】
前記複数の導体分岐のうちの1つ以上の導体分岐が内部冷却チャネルを有する、請求項1から11のいずれか1項に記載の導電体(1)。
【請求項13】
前記複数の導体分岐のうちの2つの導体分岐が、横断方向分岐派生部分によって機械的に結合されかつ電気的に結合されている、請求項1から12のいずれか1項に記載の導電体。
【請求項14】
前記中間セグメントが第1の中間セグメントであり、前記導電体がさらに、前記第1の端部セグメントおよび前記第2の端部セグメントを同様に電気的に結合しかつ機械的に結合する第2の複数の導体分岐によって形成された第2の中間セグメントを含んでいる、請求項1から13のいずれか1項に記載の導電体。
【請求項15】
前記第2の端部セグメントと前記第2の複数の導体分岐のうちの導体分岐が、丸味の付いた連結部によりモノリシックに一体化され、こうして前記第2の端部セグメントと前記第2の複数の導体分岐のうちの導体分岐との間に凹状に丸味の付いた入隅を整形し、かつ前記第2の複数の導体分岐のうちの導体分岐を前記異なる横断方向で空間的に分離している、請求項14に記載の導電体。
【請求項16】
モノリシックである、請求項1から15のいずれか1項に記載の導電体。
【請求項17】
少なくとも部分的に積層造形プロセスによって製造される、請求項1から16のいずれか1項に記載の導電体。
【請求項18】
2つ以上の中央本体セグメント(21)を含み、前記同じ中央本体セグメント(21)に連結された導体部分の幾何形状が異なっている、請求項1から17のいずれか1項に記載の導電体(1)。
【請求項19】
誘導子部分(32)で連結された2つの中央本体セグメント(21)を含んでいる、請求項1から18のいずれか1項に記載の導電体(1)。
【請求項20】
フェライトコア(30)が前記誘導子部分(32)を介して連結されている、請求項1から19のいずれか1項に記載の導電体。
【請求項21】
前記複数の導体分岐のうちの1つの導体分岐の分岐直径が3cm未満、例えば2.5cm未満、例えば2cm未満、例えば1.5cm未満である、請求項1から20のいずれか1項に記載の導電体。
【請求項22】
前記複数の導体分岐のうちの1つの導体分岐が、丸味の付いた連結部を有し、この導体分岐の少なくとも0.2分岐直径、例えば少なくとも0.3分岐直径、例えば少なくとも0.5分岐直径、例えば少なくとも0.8分岐直径、例えば少なくとも1.2分岐直径の隅半径を有する1つ以上の凹状に丸味の付いた入隅を整形している、請求項1から21のいずれか1項に記載の導電体。
【請求項23】
前記複数の導体分岐のうちの2つの隣接する導体分岐のうちの1つの導体分岐が、丸味の付いた連結部を有し、前記2つの隣接する導体分岐の少なくとも0.05隣接離隔距離、例えば少なくとも0.1隣接離隔距離、例えば少なくとも0.2隣接離隔距離、例えば少なくとも0.3隣接離隔距離、例えば少なくとも0.4隣接離隔距離の隅半径を有する1つ以上の凹状に丸味の付いた入隅を整形している、請求項1から22のいずれか1項に記載の導電体。
【請求項24】
前記第1の端部セグメントと前記第2の端部セグメントの間の相対的動きに付随する共鳴振動周波数を有し、
前記共鳴振動周波数が、多くとも300Hz、例えば多くとも150Hz、例えば多くとも70Hz、例えば多くとも30Hz、例えば多くとも20Hzであるか、または少なくとも300Hz、例えば少なくとも500Hz、例えば少なくとも1kHz、例えば少なくとも5kHzである、
請求項1から23のいずれか1項に記載の導電体。
【請求項25】
内側バルク構造および外側表面構造を含み、前記内側バルク構造および前記外側表面構造が異なる材料組成を有する、請求項1から24のいずれか1項に記載の導電体。
【請求項26】
前記第1の端部セグメントおよび前記第2の端部セグメントのいずれかが、電気端子に前記導電体を電気的および機械的に連結するための少なくとも1つの締結孔を含んでいる、請求項1から25のいずれか1項に記載の導電体。
【請求項27】
第1の外径を有する第1の部分および第2の外径を有する第2の部分を含み、前記第1の直径が前記第2の直径よりも大きい、請求項1から26のいずれか1項に記載の導電体(1)。
【請求項28】
電気設備の内部で、導電体の第1の端部セグメントを前記導電体の第2の端部セグメントに結合する方法において:
前記第1の端部セグメントと複数の導体分岐のうちの導体分岐とを連結部を介してモノリシックに一体化して、前記第1の端部セグメントと前記複数の導体分岐のうちの導体分岐との間に入隅を整形し、かつ2つの異なる方向で前記複数の導体分岐のうちの導体分岐を空間的に分離するステップと、
前記複数の導体分岐によって形成された前記導電体の中間セグメントを介して前記第1の端部セグメントと前記第2の端部セグメントを電気的に結合しかつ機械的に結合するステップと;
を含む方法。
【請求項29】
前記電気設備が、再生可能エネルギ施設に含まれている、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
前記連結部が、前記第1の端部セグメントと前記複数の導体分岐のうちの前記導体分岐との間で凹状に丸味の付いた入隅を整形する丸味の付いた連結部である、請求項28または29に記載の方法。
【請求項31】
前記導電体が請求項1から27のいずれか1項に記載の導電体である、請求項28から30のいずれか1項に記載の方法。
【請求項32】
前記導電体のデジタル表現を確立するステップを含む、請求項28から31のいずれか1項に記載の方法。
【請求項33】
前記導電体の前記デジタル表現のデジタル幾何形状最適化を行なって、少なくとも部分的に前記複数の導体分岐を形成するステップを含む、請求項28から32のいずれか1項に記載の方法。
【請求項34】
前記導電体の前記デジタル表現に基づいて前記導電体を積層造形するステップを含む、請求項28から33のいずれか1項に記載の方法。
【請求項35】
前記導電体を積層造形する前記ステップが、選択的レーザ溶融を含む請求項34に記載の方法。
【請求項36】
前記導電体を積層造形する前記ステップが、ワイヤアーク積層造形を含む、請求項34または35に記載の方法。
【請求項37】
請求項1から27のいずれか1項に記載の導電体を含む、再生可能エネルギ施設のための電気設備。
【請求項38】
請求項1から27のいずれか1項に記載の導電体を含む電気設備を含む、再生可能エネルギ施設。
【請求項39】
再生可能エネルギ施設の電気設備の導電体を少なくとも部分的に製造するための積層造形の使用。
【請求項40】
前記導電体が請求項1から27のいずれか1項に記載の導電体である、請求項39に記載の積層造形の使用。
【請求項41】
長手方向に細長い導電体において:
内側バルク構造と、
外側表面構造と、
を含み、
前記内側バルク構造および前記外側表面構造が異なる材料組成を有し、前記外側表面構造のコンダクタンスが前記内側バルク構造のコンダクタンスよりも大きい、
導電体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば再生可能エネルギ施設内の電気設備用の導電体に関する。本発明はさらに、このような導電体の端部セグメントを結合するための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
再生可能エネルギ施設は、環境に配慮した持続可能なエネルギ生産への移行に決定的な役割を担っている。この移行は、気候変動の見通しが切迫したものであることに起因して、世界中で強く求められている。
【0003】
再生可能エネルギ施設は典型的に、自然環境によって直接提供されるエネルギ源に依存していることから、強い振動や極端な気象条件にさらされる可能性がある。一例は、潜在的には猛暑および厳寒を含めた外部の天候に一年中曝露されている太陽発電所である。別の例は、極端な力が関与する風力タービンである。
【0004】
複雑化する1つの要因は、天候および振動と同時に取り組む必要のある再生可能施設内の高電流および/または高電圧の存在にある。
【0005】
天候、振動および電力条件は概して、再生可能エネルギ施設内で使用すべき機器および構成要素の要件を高くする傾向をもつ。
【0006】
したがって、再生可能エネルギ施設の条件を許容できる安価な機器および構成要素に対するニーズが存在する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
発明人らは、再生可能施設の構成要素に関連した上述の問題および課題を識別し、その後、このような構成要素を改善できる以下で説明する発明を行なった。
【0008】
本発明の一態様は、電気設備用の導電体において:
第1の端部セグメントと;
第2の端部セグメントと;
前記第1の端部セグメントと前記第2の端部セグメントを電気的に結合しかつ機械的に結合する複数の導体分岐によって形成された中間セグメントと;
を含む導電体であって、
前記第1の端部セグメントおよび前記複数の導体分岐のうちの導体分岐が、連結部によってモノリシックに一体化され、こうして前記第1の端部セグメントと前記複数の導体分岐のうちの導体分岐との間に入隅を整形し、かつ前記複数の導体分岐のうちの導体分岐を2つの異なる横断方向で空間的に分離している、
導電体に関する。
【0009】
本発明の一実施形態において、前記導電体は、再生可能エネルギ施設内の電気パネル内に設置されるように構成されている。
【0010】
本発明の一実施形態において、前記入隅は凹状に丸味の付いた入隅として形成されている。
【0011】
以下で言及する通り、導体分岐は、端部セグメントの横断方向に実質的に直交して端部セグメントから「成長」してよい。しかしながら、導電体の構造的強度を増大させるために、端部セグメントおよび導体分岐は、丸味の付いた連結部によってモノリシックに一体化され、こうして端部セグメントと導体分岐との間に凹状に丸味の付いた入隅を整形する。
【0012】
本発明に係る導電体は、有利にも、例えば電気設備における振動の減衰を促すために使用されてよい。詳細には、導体分岐を2つの異なる横断方向で空間的に分離されたモノリシックに一体化する丸味の付いた連結部を介して、複数の導体分岐によって端部セグメントが電気的および機械的に結合されている導電体を有することによって、該導電体は、有利にも、構造的損傷のリスクを潜在的に最小限に抑えながらいずれの横断方向においても振動減衰を改善する能力を有することができる。
【0013】
さらに、2つの横断方向での導体分岐の空間的分離は、有利にも、上述の構造的損傷のリスクを潜在的に最小限に抑えながら熱放散を改善することを可能にすることができる。
【0014】
大量の電流および変動する気候条件は、再生可能エネルギ施設において広い温度範囲を結果としてもたらす可能性がある。複数の導体分岐を丸味の付いた連結部により第1の端部セグメントに対してモノリシックに一体化させ、2つの横断方向に分布させることによって、導電体は、有利にも、このような条件下で熱膨張をよりうまく許容することができる可能性がある。
【0015】
いわゆる表皮効果とは、交流電流が主として導体の表面近くを流れようとする傾向のことである。この効果は、導体内に追加の交流抵抗率を導入し得る。複数の導体分岐を有することによって、少なくとも中間セグメント内で局所的に、潜在的に表面積が増大し、こうして有利にも交流抵抗率が低下する可能性がある。同時に、丸味の付いたモノリシック連結部は、有利にも、そうでなければ鋭い隅および/または界面で発生し得る伝導損失を最小限に抑えながら中間セグメント内での複数の導体分岐の形成を容易にすることができる。
【0016】
さらに、導体分岐を空間的に分離することにより、有利にも、そうでなければ導電体の装置が発生させる妨害は削減される。導体分岐間の空間的分離は、導電体の背後に位置設定された構成要素および素子に対する視覚的アクセスを可能にする。さらに、ワイヤまたは耐力構造を、空間的分離を通して導くことができる。さらに、空間的分離は、工具、例えばネジ回しなどを電気素子の背後の構成要素に適用することを可能にし得る。工具または構成要素を、空間的分離を通って導くことが意図されている場合、分岐の少なくともいくつかは、任意には、電気的絶縁によって電気的に絶縁されてよい。導電体妨害の削減は、さらに有利にも、より容易な設置を可能にする。
【0017】
さらに、丸味の付いた連結部により第1の端部セグメントとモノリシックに一体化された複数の導体分岐は、有利にも、隅における応力集中に起因する構造的損傷のリスクを実質的に増大させることなく、材料節約の可能性を保証する。例えば、空間的分離を伴う複数の分岐により形成された中間セグメントが全く無いロッドまたは超直方体の形状を有する従来の導電体と比べて、材料の節約を考慮することができる。材料を節約することによって、導電体は、製造コストがより低くなると同時に環境に対する影響がより少なくなる可能性がある。
【0018】
振動減衰、構造的損傷に対する感受性、および/または通電能力に関する要件を有する導電体などの構成要素の材料の重量および量を削減することは、極めて困難であるという点に留意されたい。単に材料を除去することは、導電体の能力を所与の利用分野、例えば特定の再生可能エネルギ施設内の特定の電気設備についてのその要件より低く低下させる可能性があるため、実現不可能である場合がある。したがって、材料の節約/除去の見込みは、導電体の他の属性の最小限の削減、維持さらには改善と組合せて、評価されてよい。
【0019】
導電体とは、電荷の流れを容易にするような物体または素子として理解されてよい。導電体の一例はバスバーである。導電体の他の例は、ケーブルまたはワイヤ配設である。バスバーは、例えば、風力タービン内部の電気変換器設備内で高電圧および/または大電流機器または端子を接続するために使用されてよい。典型的には、導電体の材料は金属、例えば銀、銅、金、アルミニウム、他の1つ以上の金属またはそれらの任意の組合せである。
【0020】
導電体を例えば、再生可能エネルギ施設内の電気設備内に設置/統合してよい。電気設備の一例は、AC-DC変換器、DC-AC変換器、AC-AC変換器またはDC-DC変換器などの変換器である。このような変換器は多くの場合、電力を例えば再生可能エネルギ施設と電力網との間で一方から他方に適正かつ高い信頼性で変換するために極めて重要である。電気設備の他の例としては、無停電電源装置(UPS)、電源装置、スイッチモジュール、および電気キャビネット内に具備される電気設備全般がある。
【0021】
再生可能エネルギ施設の例としては、再生可能エネルギパワープラント、例えば風力タービン、太陽光発電所、水力発電パワープラント、バイオエネルギパワープラント、および地熱エネルギパワープラントがある。再生可能エネルギ施設の他の例としては、電力貯蔵施設、例えばバッテリを使った電力貯蔵施設、およびPower-to-x施設、例えば電解施設がある。
【0022】
導電体の第1の端部セグメントおよび第2の端部セグメントとは、互いに遠位にある導電体の2つの端部として理解してよい。したがって、例えば第1の端部セグメントを1つの端子/コネクタに連結し第2の端部セグメントをもう一方の端子/コネクタに連結することによって、そうでなければ連結解除されている電気的端子/コネクタを電気的かつ機械的に結合するために、導電体を使用してよい。
【0023】
中間セグメントとは、第1および第2の端部セグメントを電気的および機械的に結合するセグメントとして理解してよい。いくつかの実施形態において、中間セグメントは、必ずしも両方の端部セグメントと直接接触している必要はないと考えられる。例えば、中間セグメントは、単に第1の端部セグメントとモノリシックに一体化されているだけで、その一方で第2の端部セグメントと中間セグメントの間には、第4のセグメントが位置設定されていてよい。
【0024】
本発明の実施形態が、2つの端部セグメントしか有していないことに限定されるものではない、という点に留意されたい。いくつかの導電体は、いくつかの電気端子および/または回路に対して電流および/または電圧を供給/分配する分配導体として機能してよい。このような導電体は、3つ以上の端部セグメントを有していてよい。さらに、本発明の実施形態は、複数の明確に異なる中間セグメントを有していてよい。したがって、本発明の実施形態は、単に2つの端部セグメントと1つの中間セグメントよりも多くのセグメント、例えば第2の端部セグメントと中間セグメントの間に位置設定された第4のセグメントを含んでいてよい。
【0025】
導体分岐とは、(典型的には他の導体分岐と組合わせた形で)電荷の流れを促進し振動を減衰させるための細長い突起として理解されてよい。いくつかの実施形態において、各々の導体分岐は、(端部セグメントに対するその連結によって丸味が付けられている第1の端部セグメントとのその連結部を除いて)円筒形ロッドの形状を有している。他の実施形態においては、導体分岐は、例えば樹木の枝と類似させて、より不規則な形状を有する。導体分岐は、2つの、さらには3つ以上の発散する導体分岐枝線に枝分かれしてよい。このような発散する導体分岐枝線は、他の導体分岐と連結できる。
【0026】
第1の端部セグメントおよび導体分岐はモノリシックに一体化されているとは、導体分岐と第1の端部セグメントが単一のユニット、部分または部品で構成されているものとして理解されてよい。例えば、導体分岐は、シームもジョイントも無く第1の端部セグメントと一体化されてよい。例えば導体分岐と第1の端部セグメントを単一の部品として鋳造すること、導体分岐および第1の端部セグメントをバルク材料の単一の部品から機械加工(例えばCNC機を介したフライス加工)すること、または導体分岐および第1の端部セグメントを積層造形することなど、このようなモノリシックな一体化を実現するためのいくつかの製造方法が存在する。一例として、鋳造を行なう場合、複雑な導体分岐形状を製造するために、ロストコア射出成形および/またはサイドアクション/サイドプルを伴う成形を利用してよい。しかしながら、本発明は、これらの例示的方法に限定されない、という点に留意されたい。さらに、第1の端部セグメント全体および中間セグメント全体がモノリシックであることに限定されておらず、導体分岐の少なくともいくつかが第1の端部セグメントとモノリシックに一体化されていなければならないという点に留意すべきである。
【0027】
本発明の実施形態によると、導体分岐は、第1の端部セグメントと丸味の付いた連結部によってモノリシックに一体化され、こうして第1の端部セグメントと導体分岐の間に凹状に丸味の付いた入隅を整形する。このような丸味の付いた連結部は代替的に、隅肉と呼ぶことができる。そして、隅肉を伴う導体分岐を、隅肉付き導体分岐と呼んでもよい。凹状に丸味の付いた入隅のため、(丸味の付いた隅を含めた)導体分岐の幅は典型的に、その第1の端部セグメントとの連結部において、その第1の端部セグメントとの連結部から離れたところよりも大きい。
【0028】
第1の端部セグメントと導体分岐の間に凹状に丸味の付いた入隅が存在することにより、導体分岐の少なくともいくつかを横断方向において或る程度空間的に分離することができる。本発明の実施形態においては、少なくとも2つの導体分岐が、1つの横断方向で空間的に分離されており、少なくとも2つの分岐が別の横断方向で空間的に分離されている。
【0029】
横断方向は、大部分の導体分岐の配向に対して実質的に横断方向であるかまたは実質的に直交していてよい。および/または、それは、長さ方向に対して実質的に横断方向であるかまたは実質的に直交していてよい。および/または、それは、第1の端部セグメントと第2の端部セグメントとの間の電気的および/または機械的結合の方向に対して実質的に横断方向であるかまたは実質的に直交していてよい。
【0030】
概して、前記複数の導体分岐のうちの導体分岐に言及する場合、このような言及は必ずしも複数の導体分岐の全ての導体分岐を意味せず、複数の導体分岐のサブセット(例えば少なくとも2つの導体分岐)だけを意味してよい。
【0031】
本発明の実施形態において、前記複数の導体分岐は、前記第1の端部セグメントを介しかつ前記第2の端部セグメントを介してモノリシックに一体化されている。
【0032】
本発明の実施形態において、前記第2の端部セグメントと前記複数の導体分岐のうちの導体分岐は、丸味の付いた連結部によりモノリシックに一体化され、こうして前記第2の端部セグメントと前記複数の導体分岐のうちの導体分岐との間に凹状に丸味の付いた入隅を整形し、かつ前記複数の導体分岐のうちの導体分岐を前記2つの異なる横断方向で空間的に分離している。
【0033】
第2の端部セグメントと複数の導体分岐のうちの導体分岐との間の丸味の付いた連結部は、第1の端部セグメントと複数の導体分岐のうちの導体分岐との間の丸味の付いた連結部と類似の特性および特徴を有していてよい。第1の端部セグメントと複数の導体分岐のうちの導体分岐との間に丸味の付いた連結部を有することに加えて、第2の端部セグメントと複数の導体分岐のうちの導体分岐との間に丸味の付いた連結部を有することによって、例えば、第1の端部セグメントと複数の導体分岐のうちの導体分岐との間に丸味の付いた連結部を有することで導電体を改良できるのと類似の理由で、導電体をさらに改良することができる。
【0034】
本発明の実施形態において、前記複数の導体分岐は、前記第1の端部セグメントと前記第2の端部セグメントとの間でウェブ構造を形成している。
【0035】
本発明の実施形態において、前記第1の端部セグメントおよび前記第2の端部セグメントは、少なくとも部分的にウェブ構造として形成されている。
【0036】
このことは、重量が削減され熱放散が増強させられるという点において、有利である。端子において充分な構造的強度を保証するために、端子を含む端部セグメントの部分は典型的に中実形態で製造される。この部分は、端子を取囲む、例えば端部セグメントを通る孔を取り囲む小さい部分に限定されてよい。
【0037】
本発明の実施形態において、前記複数の導体分岐は、中間セグメントの長手方向で個別の導体分岐の間の物理的接触無しで相互に撚合されている。
【0038】
導体分岐は端部セグメントにおいて電気的および機械的の両方で連結されているが、中間セグメントの長手方向に沿っては、この実施形態では、個別の導体区分の間に電気的および機械的連結が全く存在しない。換言すると、導体分岐は、撚合されていても(電気的にも機械的にも)連結されていない。
【0039】
相互に撚合された導電体設計は、高周波巻線内の交流損失の削減、効率の増大、表皮効果の軽減、最小の渦電流損、動作温度の低下、最終製品の設置面積の削減および実質的な重量の削減といった利点のうちの1つ以上の恩恵を受けることができる。
【0040】
撚合された導体の設計は、このような設計が、側面および軸中の両方の長手方向において許容誤差を得ることを可能にするという点において有利である。
【0041】
本発明の実施形態において、前記導電体は、前記中間区分の長手方向から延在する冷却用構造を含んでいる。
【0042】
冷却用構造は、中間区分の長手方向に実質的に直交する方向で導電体から延在していてよい。冷却用構造は、高い熱放散能力を有するウェブまたはそれに類するものとして設計されてよい。冷却用構造は、冷却用構造を通って空気流の一部を強制する空気案内フィンを含んでいてよい。
【0043】
本発明の実施形態において、前記導電体は、2つの冷却用構造間でのフェライトコアの組付けを容易にする距離で離隔されている複数の冷却用構造を含む。
【0044】
冷却用構造でフェライトコアを離隔することは、冷却用構造を介して導電体がなおも熱を放散できる一方、フェライトコアが所定の場所に保持されるという効果を有するという点において、有利である。
【0045】
本発明の実施形態において、前記冷却用構造は、前記フェライトコアよりも前記導電体から遠く離れて延在している。
【0046】
冷却用構造をフェライトコアよりも長く導体から延在させることは、冷却用構造が冷却のために使用される空気流と接触しているという点において有利である。したがって、たとえ導体がフェライトコア内に包み込まれていても、導体を冷却することはなおも可能である。
【0047】
本発明の実施形態において、前記複数の導体分岐のうちの1つ以上の導体分岐は、内部冷却チャネルを有する。
【0048】
内部冷却チャネルはさらに、第1の端部セグメント内に開放する冷却チャネルおよび/または第2の端部セグメント内に開放する冷却チャネルを通して外部環境と流体結合されてよい。
【0049】
内部冷却チャネルは、有利にも、導電体の、詳細には導体分岐の冷却を促進し改善することができる。さらに、有利にも、冷却チャネルが材料のさらなる削減を可能にする場合がある。
【0050】
内部冷却チャネルは、空気冷却および/または液体冷却を促進し得る。いずれにせよ、チャネル内の流体流を生成するために、ポンプまたはファンなどの流動生成手段に対して内部冷却チャネルを結合してよい。
【0051】
さらに、内部冷却チャネルは、構成要素、例えば電気設備の構成要素間における冷却用流体の輸送を促進することができる。例えば、流体ポンプから冷却液を必要とするプロセッサに対して流体を輸送する必要があり、導体分岐内に冷却チャネルを統合することによって、有利にも流体をそこから輸送するための別個の流体導管を電気設備内に設置する必要がなくなるかもしれない。
【0052】
冷却チャネルはさらに、有利にも、導電体を製造するために使用する材料を削減することができる。
【0053】
いくつかの実施形態においては、1つの導体分岐のみが冷却チャネルを有し、いくつかの実施形態では複数の導体分岐が冷却チャネルを有し、いくつかの実施形態では、全ての導体分岐が冷却チャネルを有する。
【0054】
概して、端部セグメントのいずれかの任意の位置に、さらには導体分岐内にさえ、内部冷却チャネルの入口と出口を設置することができる。入口と出口は任意には、導電体のバルクとこの導電体に取付けられた冷却用パイプとの間にガルバニック絶縁を提供するための電気的絶縁を含んでいてよい。
【0055】
本発明の実施形態において、前記複数の導体分岐のうちの2つの導体分岐は、横断方向分岐派生部分によって機械的に結合されかつ電気的に結合されている。
【0056】
本発明の実施形態において、前記中間セグメントは第1の中間セグメントであり、前記導電体はさらに、前記第1の端部セグメントおよび前記第2の端部セグメントを同様に電気的に結合しかつ機械的に結合する第2の複数の導体分岐によって形成された第2の中間セグメントを含んでいる。
【0057】
本発明の一実施形態において、前記第2の端部セグメントと前記第2の複数の導体分岐のうちの導体分岐は、丸味の付いた連結部によりモノリシックに一体化され、こうして前記第2の端部セグメントと前記第2の複数の導体分岐のうちの導体分岐との間に凹状に丸味の付いた入隅を整形し、かつ前記第2の複数の導体分岐のうちの導体分岐を前記異なる横断方向で空間的に分離している。
【0058】
本発明の実施形態において、前記導電体は、モノリシックである。
【0059】
本発明の実施形態において、前記導電体は、少なくとも部分的に積層造形プロセスによって製造される。
【0060】
複雑な形状を製造するためには積層造形が好適であり、したがって、複数の導体分岐によって形成される中間セグメントを製造するために利用するのが有利である。
【0061】
本発明の実施形態において、前記導電体は、2つ以上の中央本体セグメントを含み、同じ中央本体セグメントに連結された導体部分の幾何形状が異なっている。
【0062】
本発明の一実施形態において、前記導電体は、誘導子部分で連結された2つの中央本体セグメントを含んでいる。
【0063】
本発明の一実施形態において、フェライトコアが前記誘導子部分を介して連結されている。
【0064】
中央本体セグメントに連結された導体の異なる導体幾何形状は、追加の電気システムに対する導電体の異なるタイプの連結を可能にするという点において有利である。さらに、それにより、例えばフェライトコアが中を通って延在できる誘導子などの特定の目的のための導電体の部分を設計することが可能となる。このようにして、複数のフェライトコアに対するニーズを1つのフェライトコアに制限することが可能となり得る。
【0065】
本発明の実施形態において、前記複数の導体分岐のうちの1つの導体分岐の分岐直径は、3cm未満、例えば2.5cm未満、例えば2cm未満、例えば1.5cm未満である。
【0066】
このような例示的分岐直径は、有利にも、求められている必要な機械的および電気的特性を提供でき、これは有利なことである。
【0067】
分岐直径は、分岐の最小直径において測定される。
【0068】
本発明の実施形態において、前記複数の導体分岐のうちの1つの導体分岐は、丸味の付いた連結部を有し、この導体分岐の少なくとも0.2分岐直径、例えば少なくとも0.3分岐直径、例えば少なくとも0.5分岐直径、例えば少なくとも0.8分岐直径、例えば少なくとも1.2分岐直径の隅半径を有する1つ以上の凹状に丸味の付いた入隅を整形している。
【0069】
本発明の実施形態において、前記複数の導体分岐のうちの2つの隣接する導体分岐のうちの1つの導体分岐は、丸味の付いた連結部を有し、前記2つの隣接する導体分岐の少なくとも0.05隣接離隔距離、例えば少なくとも0.1隣接離隔距離、例えば少なくとも0.2隣接離隔距離、例えば少なくとも0.3隣接離隔距離、例えば少なくとも0.4隣接離隔距離の隅半径を有する1つ以上の凹状に丸味の付いた入隅を整形している。
【0070】
隣接離隔距離との関係における少なくとも特定のサイズの半径(つまり分岐直径)を伴う1つ以上の丸味の付いた隅を有することで、応力集中に起因する損傷のリスクを最小限に抑えながら振動に耐えるこれらの隅の能力が保証される。
【0071】
しかしながら、本発明が円形、楕円形、放物線状、双曲線状または他の任意の形状の隅に限定されない、という点に留意されたい。それでもなお、少なくともいくつかの実施形態は、丸味の付いた連結部を伴う隅を有し、ここで導電体の材料は、所与の丸味の付いた連結部の外側表面が、特定の半径を伴って円の円弧の外側に存在するような形で空間的に配置される。
【0072】
本発明の実施形態において、前記導電体は、前記第1の端部セグメントと前記第2の端部セグメントの間の相対的動きに付随する共鳴振動周波数を有する。
【0073】
前記共鳴振動周波数は、多くとも300Hz、例えば多くとも150Hz、例えば多くとも70Hz、例えば多くとも30Hz、例えば多くとも20Hzである。
【0074】
前記共鳴振動周波数は、少なくとも300Hz、例えば少なくとも500Hz、例えば少なくとも1kHz、例えば少なくとも5kHzである。
【0075】
本発明の実施形態において、前記導電体は、内側バルク構造および外側表面構造を含み、前記内側バルク構造および前記外側表面構造が異なる材料組成を有する。
【0076】
本発明の実施形態において、前記第1の端部セグメントおよび前記第2の端部セグメントのいずれかは、電気端子に前記導電体を電気的および機械的に連結するための少なくとも1つの締結孔を含んでいる。
【0077】
例えば、電気設備の電気端子。締結孔を導電体の端子と呼ぶこともできる。
【0078】
本発明の一実施形態において、前記導電体は、第1の外径を有する第1の部分および第2の外径を有する第2の部分を含み、前記第1の直径は、前記第2の直径よりも大きい。
【0079】
第1および第2の部分は、撚合部分である。外径は、撚合導体全体の外径、すなわちノギスによって測定可能な外径である。これには、巻回部分が小さい直径を有する場合、コアのより小さなウインドウが巻回部分の巻付けの中心となる部分/脚部を有するという要件が導かれるという利点がある。こうして、サイズ、重量およびコストが削減されたよりコンパクトなコアが得られる。
【0080】
本発明の一態様は、電気設備の内部で、導電体の第1の端部セグメントを前記導電体の第2の端部セグメントに結合する方法において:
前記第1の端部セグメントと複数の導体分岐のうちの導体分岐とを連結部を介してモノリシックに一体化して、前記第1の端部セグメントと前記複数の導体分岐のうちの導体分岐との間に入隅を整形し、かつ2つの異なる方向で前記複数の導体分岐のうちの導体分岐を空間的に分離するステップと、
前記複数の導体分岐によって形成された前記導電体の中間セグメントを介して前記第1の端部セグメントと前記第2の端部セグメントを電気的に結合しかつ機械的に結合するステップと;
を含む方法に関する。
【0081】
本発明に係る導電体の第1の端部セグメントと第2の端部セグメントを結合するための方法は潜在的に、本発明に係る導電体のあらゆる利点を提供することができる。
【0082】
本発明の実施形態において、前記電気設備は、再生可能エネルギ施設に含まれている。
【0083】
本発明の実施形態において、前記連結部は、前記第1の端部セグメントと前記複数の導体分岐のうちの前記導体分岐との間で凹状に丸味の付いた入隅を整形する丸味の付いた連結部である。
【0084】
本発明の実施形態において、前記導電体は、本開示の実施形態のいずれかに係る導電体である。
【0085】
本発明の実施形態において、前記方法は、前記導電体のデジタル表現を確立するステップを含む。
【0086】
本発明の実施形態において、前記方法は、前記導電体の前記デジタル表現のデジタル幾何形状最適化を行なって、少なくとも部分的に前記複数の導体分岐を形成するステップを含む。
【0087】
本発明の実施形態において、前記方法は、前記導電体の前記デジタル表現に基づいて前記導電体を積層造形するステップを含む。
【0088】
積層造形は、有利にも、本発明に係る導電体などの複雑な幾何学的形状の簡略化した生産を可能にする。詳細には、導体分岐などの導電体の幾何学的特徴部は、2つの異なる横断方向での導体分岐の空間的分離を確立しながら、直接積層造形されてよい。
【0089】
その上、積層造形は、有利にも、製造に必要とされるステップ数を削減できる。しかしながら、本発明の実施形態が特定の数の製造ステップに限定されないことに留意すべきである。
【0090】
本発明の実施形態において、前記導電体を積層造形する前記のステップは、選択的レーザ溶融を含む。
【0091】
選択的レーザは代替的に、直接金属レーザ溶融および粉末床溶融結合と呼ばれるかまたはこれらが関与するものである。
【0092】
本発明の実施形態において、前記導電体を積層造形する前記ステップは、ワイヤアーク積層造形を含む。
【0093】
ワイヤアーク積層造形は、本発明に係る導電体を比較的安価に製造するために極めて好適であり得る。
【0094】
異なる材料の異なる構造を有する本発明の実施形態において、これらの異なる構造は、積層造形されてもされなくてもよい。いくつかの実施形態において、導電体の1つの構造は積層造形され、一方で別の構造は異なるプロセスによって製造される。
【0095】
本発明の一態様は、本開示の実施形態のいずれかに係る導電体を含む、再生可能エネルギ施設のための電気設備に関する。
【0096】
電気設備は例えば、変換器、無停電電源、電源およびスイッチモジュールのいずれかであってよい。
【0097】
本発明に係る導電体を有する電気設備は、導電体の利点を促すことができる。
【0098】
本発明の一態様は、本開示の実施形態のいずれかに係る導電体を含む電気設備を含む再生可能エネルギ施設に関する。
【0099】
再生可能エネルギ施設は例えば、風力タービン、太陽光発電所、水力発電パワープラント、バイオエネルギパワープラント、地熱エネルギパワープラント、電力貯蔵施設、およびPower-to-x施設のいずれかであってよい。
【0100】
本発明に係る導電体を有する再生可能エネルギ施設は、導電体の利点を促すことができる。
【0101】
本発明の一態様は、再生可能エネルギ施設の電気設備の導電体を少なくとも部分的に製造するための積層造形の使用に関する。
【0102】
再生可能エネルギ施設の導電体を製造するために積層造形を使用することは、それが、再生可能エネルギ施設の条件に導電体を適合させることを可能にし得ることから、有利である。
【0103】
本発明の実施形態において、前記導電体は、本開示の実施形態のいずれかに係る導電体である。
【0104】
本発明の一態様は、長手方向に細長い導電体において:
内側バルク構造と、
外側表面構造と、
を含み、
前記内側バルク構造および前記外側表面構造が異なる材料組成を有し、前記外側表面構造のコンダクタンスが前記内側バルク構造のコンダクタンスよりも大きい、
導電体に関する。
【0105】
本発明のさまざまな実施形態について、以下で図面を参照しながら説明する:
【図面の簡単な説明】
【0106】
【
図1a】
図1a~cは、本発明の一実施形態に係る導電体を例示する。
【
図1b】
図1bは、本発明の一実施形態に係る導電体を例示する。
【
図1c】
図1cは、本発明の一実施形態に係る導電体を例示する。
【
図2】
図2は、本発明に係る一実施形態およびさまざまな測定値の定量化方法の側面図を例示する。
【
図3】
図3は、本発明の一実施形態に係る方法ステップを例示する。
【
図4a】
図4aは、本発明の一実施形態の側面図および異なる横断面図を例示する。
【
図4b】
図4bは、本発明の一実施形態の側面図および異なる横断面図を例示する。
【
図4c】
図4cは、本発明の一実施形態の側面図および異なる横断面図を例示する。
【
図4d】
図4dは、本発明の一実施形態の側面図および異なる横断面図を例示する。
【
図5a】
図5aは、本発明に係る冷却チャネルを伴う実施形態を例示する。
【
図5b】
図5bは、本発明に係る冷却チャネルを伴う実施形態を例示する。
【
図6a】
図6aは、本発明に係る内側バルク構造および外側表面構造を伴う一実施形態を例示する。
【
図6b】
図6bは、本発明に係る内側バルク構造および外側表面構造を伴う一実施形態を例示する。
【
図6c】
図6cは、本発明に係る内側バルク構造および外側表面構造を伴う一実施形態を例示する。
【
図7a】
図7aは、本発明の変形実施形態を例示する。
【
図7b】
図7bは、本発明の変形実施形態を例示する。
【
図9】
図9は、本発明の一実施形態に係る冷却用構造を伴う導電体を例示する。
【
図10】
図10は、本発明の一実施形態に係る冷却用構造およびフェライトコアを伴う導電体を例示する。
【
図11】
図11は、本発明の一実施形態に係る撚合導電体を例示する。
【
図12】
図12は、本発明の一実施形態に係るウェブ導電体設計を例示する。
【
図13】
図13は、本発明の一実施形態に係る誘導子部分を伴う撚合設計の導電体を例示する。
【発明を実施するための形態】
【0107】
図1a~cは、本発明の一実施形態に係る導電体を例示する。詳細には、
図1aは、導電体1の斜視図を例示し、
図1bは、導電体1の正面図を例示し、
図1cは導電体1cの側面図を例示する。
【0108】
図1a~cの各々は、さらに、長さ方向9、第1の横断方向8aおよび第2の横断方向8bを標示する軸を示す。
【0109】
導電体は、第1の端部セグメント2および第2の端部セグメント3を含み、第2の端部セグメント3は、第1の端部セグメント2に対し遠位にある。これら2つの端部は、例えば、再生可能エネルギ施設内の電気設備のそれぞれの端子に対して、ガルバニック結合され、こうして導電体が電流および/または電圧の伝達を促すことができるようになっていてよい。
【0110】
第1および第2の端部セグメント2、3は、中間セグメント4によって電気的および機械的に結合されている。中間セグメント4は複数の導体分岐5a~5dによって形成されている。この特定の実施形態は、2×3の2次元アレイの形で分布した合計6個の導体分岐5a~5dを含む。導体分岐のうちの2つは、他の導体分岐5b、5cの背後に隠されていることから、
図1a中でほとんど見ることができない。
【0111】
導体分岐5a~5dの各々は、少なくとも第1の端部セグメント2とモノリシックに一体化されている。このことはすなわち、それぞれ導体分岐、端部セグメントそしてそれらの間の遷移部分の所望の構造を構築する目的で層の寸法を変更することによって、導体分岐と共に端部セグメントとが構築されることを意味している。第1および中間のセグメント2、4は、導電体1を提供するために機械加工された単一材料のバルク部品から製造されることから、モノリシックに一体化される。ここで材料のバルク部品は、導電体1を作っている材料として理解されるべきである。
【0112】
導電体1の製造は、積層造形プロセスによって行なわれてよい。このような製造プロセスは、3Dプリンティング、レイヤーバイレイヤープリンティング、ワイヤアーク積層造形、熱溶解積層法、指向性エネルギ堆積法、直接金属堆積法、焼結ベースのプロセス、レーザーベースのプロセスなどの積層造形プロセスのうちの1つに基づくものであってよいが、これらに限定されない。大部分のタイプ/幾何形状についての導電体を印刷または構築するために使用される実際の積層造形プロセスは、導電体を構築している材料が導電性材料であるかぎり重要ではない、ということに言及しておかなければならない。
【0113】
図1bおよび1cにおいて、導体分岐5は端部セグメント2から構築されている。破線は、端部セグメント2の周囲を例示するのに役立つ。
図2では、端部セグメント2、3と導体分岐5の間の破線は、導電体1がモノリシックに一体化されていることを例示するために削除可能と考えられる。しかしながら、隅半径12を例示する目的でこれらも同様に
図2に含まれている。
図4aでは、ラインは、導体がモノリシックに一体化されていることを例示するために削除されている。
【0114】
図1a-1cに例示された導体分岐5a-5dは各々、丸味の付いた連結部を介して第1の端部セグメントとモノリシックに一体化されていてよい。これらの丸味の付いた連結部の各々が、第1の端部セグメントと導体分岐の間に凹状に丸味の付いた入隅6を整形する。
【0115】
この特定の実施形態において、丸味の付いた連結部および結果として生じる凹状に丸味の付いた入隅6は、第2の端部セグメント3と導体分岐5a~5dとの間の連結部とは異なるものであり、第2の端部セグメント3と導体分岐5a~5dとの間に凹状に丸味の付いた入隅を整形しない(
図1bおよび1c参照)。
【0116】
別の特定の実施形態においては、導体分岐5a~5dは、凹状に丸味の付いた入隅6無しで、両方の端部セグメント2、3に連結される(
図2参照)。
【0117】
したがって、導体分岐5a~5dは、凹状に丸味の付いた入隅6を介して両方の端部セグメント2、3に、凹状に丸味の付いた入隅6を介して端部セグメント2、3のうちの1つに、または凹状に丸味の付いた隅6無しで連結されてよい。
【0118】
凹状に丸味の付いた入隅6は、端部セグメント2、3の1つから1つ以上の層のサイズを連続的に増減させることによって確立され、これにより、端部セグメントの構築から導体分岐の構築へと漸進的に進む。
【0119】
端部セグメントと導体分岐の間の非凹状に丸味の付いた連結部は、方形などの同じ幾何形状を伴う複数の層を構築することによって確立されてよく、こうして、端部セグメントの最後の層から導体分岐の最初の層まで「瞬時に」、端部セグメントの構築から導体分岐の構築へと進む。
【0120】
端部セグメントと導体分岐の間の連結部が、原則として、(1つの層を別の層に付加できるほどに直交する)「層レベル」で連結部を見た場合に、つねに実質的に直交しているという点に留意すべきである。しかしながら、本発明の内容の中で連結部に言及する場合、3つ以上の連続層、すなわち端部セグメントと導体分岐の間の連結部/遷移部分の形状を共に形成する複数の層が言及されている。
【0121】
したがって、端部セグメント、導体分岐5a~5dおよび端部セグメントと導体分岐の間の遷移部分は、積層造形によって製造可能なあらゆる所与の幾何形状を有していてよい。
【0122】
丸味の付いた連結部の幾何形状はさらに、導体分岐5a~5dを相互に空間的に分離する。詳細には、導体分岐5a~5dは、単一の横断方向でのみ空間的に分離されていない。それどころか、導体分岐5a~5dは、第1の横断方向8aで第1の空間的分離7aによって分離されると同時に、第2の横断方向8bで第2の空間的分離7bによって分離されている。このような分離は同様に、導電体を設計するときに確立されてもよく、したがって、このような分離は同様に、端部区分と導体分岐の間の直交する遷移部分を用いて得ることも可能である。
【0123】
各々の個別の導体分岐は、残りの導体分岐から両方の横断方向8a、8bで必ずしも空間的に分離されていないという点に留意されたい。例えば、
図1aおよび1c中に例示された実施形態において、「5c」とラベル付けされた導体分岐に焦点をあてると、この導体分岐は、「5a」および「5b」とラベル付けされた導体分岐から第1の横断方向8aで空間的に分離されているものの、「5d」とラベル付けされた導体分岐からは第1の横断方向8aで空間的に分離されていない。その代りに、「5c」とラベル付けされた導体分岐は、第2の横断方向8bで「5d」とラベル付けされた導体分岐から空間的に分離されているものの、第2の横断方向8bでは「5a」および「5b」とラベル付けされた導体分岐から空間的に分離されていない。
【0124】
中間セグメント4は、導体分岐5a~5dによって形成され、したがって該実施形態は、導体分岐5a~5dを介して2つの端部セグメント2、3の電気的および機械的結合を提供している。
【0125】
図1a~1c内の導体分岐5a~5dは、多少の差こそあれ均一な導体として例示されているにせよ、設計/幾何形状は、機械加工可能/印刷可能な任意の形状を取ることができる、という点に留意すべきである。このような形状は、通電電流(表皮効果)、空気案内を含めた冷却などに応じて最適化されてよい。
【0126】
図1a~cの特定の導電体1は銅製であってよいが、アルミニウム、チタンなどの他の導電性ある材料で作ることも可能であると考えられる。
【0127】
図2は、一実施形態に係る導電体および本発明に係るさまざまな測定値の定量化方法の側面図を例示している。
【0128】
この特定の図では、3つの導体分岐5a~5cが見える。さらに、該実施形態は、3つの目に見える導体分岐5a~5cが視界を遮っていることから、この特定の図からは視認できない追加の分岐を有する可能性がある。換言すると、この特定の視野角から、追加の導体分岐が、視認可能な導体分岐5a~5cの背後に位置設定されている可能性がある。
【0129】
図は、導体分岐5aの分岐直径10をいかに定量化できるかを例示している。詳細には、特定の分岐5aが長さ方向に沿って(横断方向で測定された)極めて不均一な直径を有するにせよ、それでも、明確に定義された分岐直径10を決定することは可能である。すなわち、分岐直径10は、分岐がその最も小さい直径を有している横断方向平面において決定されてよい。この特定の図では、この平面は、導体分岐5aの(長さ方向で)おおよその中央に対応する。導体分岐5aの直径がこの中央から離れて測定された場合、より大きい直径が測定されることになると考えられる。したがって、この中央は、分岐直径10が測定される場所である。
【0130】
図はさらに、2つの隣接する導体分岐5a、5bの隣接離隔距離11をいかに定量化し得るかを例示している。分岐直径に関しては、導体分岐の直径が不均一である結果として、2つの導体分岐5a、5bの間の距離が不均一となる可能性がある。それでも、2つの所与の導体分岐の間に最大の空間的分離が存在している横断方向平面において測定することによって、明確に定義された隣接離隔距離11を決定することができる。この特定の図においては、最大の空間的分離は、隣接する導体分岐5a、5bの(長さ方向における)おおよその中央にある。これら2つの導体分岐間の距離がこの中央から離れた横断方向平面内で測定された場合、より小さい距離が測定されると考えられる。したがって、中央は、隣接離隔距離11が測定される場所である。
【0131】
この特定の実施形態において、隣接離隔距離11および分岐直径10は、同じ横断方向平面で測定される。しかしながら、他の実施形態では、導体分岐の形状のため、隣接離隔距離および分岐直径は、異なる横断方向平面内で(長さ方向に沿った異なる位置で)測定される。
【0132】
この図はさらに、凹状に丸味の付いた入隅6の隅半径12をいかに定量化できるかを例示している。第1の端部セグメント2と導体分岐5bの間の丸味の付いた連結部は、入隅6を形成しており、この入隅6はこの隅半径12によって特徴付け可能である。例示的図は、この入隅の隅半径を図の平面内でどのように決定できるかを示している。隅半径は、異なる平面の間で変動し得る。第1のライン18aは、分岐直径が測定される(すなわち分岐が横断方向でその最小の直径を有している)点に対する接線として図の平面内で長さ方向に描かれている。第2のライン18bは、中間セグメント4と第1の端部セグメント2が一体化されている図の平面内で横断方向に描かれている。このライン18bは、例えば、第1の端部セグメント2と第2の端部セグメント3の間の長さ方向の空隙/空間的分離に対する接線であってよい。(長さ方向の空間的分離は、導体分岐5a~5cによって形成された中間セグメント4を有していることの結果である)。次に、接線として第1のライン18aおよび第2のライン18bを有する円(または円の一部分)が描かれてよい。第1のライン18aおよび第2のライン18bとの2つの交差点24の間の円の部分が完全に入隅6の内部に入る可能な限り最大の円の半径が、このとき、隅半径12である。
【0133】
図2の例示的実施形態において、隅半径12は1.0分岐直径10に等しい。2つの隣接する導体分岐5a、5bの隣接離隔距離11とこれらの導体分岐5a、5bの一方の分岐直径10の比率は2.0である。
【0134】
図3は、本発明の一実施形態に係る導電体を機械加工するための方法ステップを例示する。特定の方法は、導電体の2つのセグメント、すなわち第1の端部セグメントおよび第2の端部セグメントを導体分岐と結合することに関係する。
【0135】
これには、両方の端部セグメントと導体分岐の印刷ステップが含まれてよいという点に言及すべきである。したがって、該方法は、1つの端部セグメントを印刷することから始まり、次に、導体への遷移部分、次に導体、次に第2の端部セグメントへの遷移部分そして最後に第2の端部セグメントが印刷される。
【0136】
代替的には、端部セグメントは、中間区分を介して連結される別個の要素であってよい。中間区分は、印刷されてよく、この中間区分は、その製造中、端部区分上に印刷されるなど、端部セグメントに対し取付けられてよい。中間区分は、溶接、印刷、はんだづけなどの手段を用いて、端部区分に接合されていてよい。
【0137】
端部セグメントは、電気システムの他の電気部分/導体に対し完成した導電体を連結するための端子を含んでいてよいという点に留意すべきである。
【0138】
この特定の方法のステップS1において、第1の端部セグメントおよび複数の導体分岐のうちの導体分岐の形をした中間セグメントは、丸味の付いた連結部を含み得る個別の遷移部分を介してモノリシックに一体化されて、第1の端部セグメントと複数の導体分岐のうちの導体分岐との間に凹状に丸味の付いた入隅を整形し、かつ前記複数の導体分岐のうちの導体分岐を空間的に分離する。
【0139】
第1の端部セグメントと導体分岐をモノリシックに一体化するステップは、さまざまな方法、例えば3D印刷などの積層造形、鋳造およびバルク金属スラブから機械加工を介して単に材料を除去して第1の端部セグメントと一体化された導体分岐を形成することなどの方法を用いて実装可能である。
【0140】
該方法のステップS2において、第1の端部セグメントおよび第2の端部セグメントは、複数の導体分岐によって形成された導電体の中間セグメントを介して電気的に結合されかつ機械的に結合される。
【0141】
中間セグメントは、原則として、いかなる設計/幾何形状を有していてもよい。これは、中実な導体分岐によって形成されていてよく、あるいは、導電体を製造するために必要とされる材料の量を削減するために内部キャビティを有していてもよい。それは、1つのウェブによって形成されてよく、あるいは導体分岐間のハイブリッドまたはウェブとして形成されてもよい。
【0142】
内部キャビティは、冷却チャネルおよび/または高周波電流を伝導するための追加の表面として使用可能である。したがって、端部セグメントおよび中間セグメントは、それが使用される特定のパネル/電気システムのために、伝導すべき特定の電流タイプのために、所望のまたは2重の機能性を有するために、といった目的のために設計されてよい。
【0143】
このような1つの機能性は、上述のもの以外に、構造的支持体としての機能性であり得る。したがって、必要な場合、導電体は、それに連結される電気的構成要素の重量を担持するのを支援するように設計されていてよい。したがって、その寸法は、所要電流を通電するためにそれが必要とする寸法よりも大きいものであってよい。同様にして、その幾何形状は、機械的支持および電気コンダクタンスを組合わせた目的で設計されてよい。
【0144】
導電体1は、2つ以上の解像度で製造可能であるという点に言及しておくべきである。積層造形の場合、解像度は、導電体を構築する層の厚みによって定義される。導電体とそれが連結される部分との間の界面を製造する場合には、第2の解像度よりも精細な、すなわちより薄い層サイズを有する第1の解像度を使用してよい。このような界面は、他の部分と接触する端子の部分であってよい。代替的には、使用される積層造形のタイプに応じて、材料被着率、材料流率などによって解像度を決定してよい。
【0145】
2つの導電体間の連結部内の電気損失を回避するためには、2つの部分が平坦な表面を有していることが重要である。これらの界面が精細に製造されればされるほど、充分に平坦な表面を保証するために必要とされる製造後の処理がより良く/より少なくなる。こう言った上で、2つの導電体の端部セグメントを係合歯、スライダロック、トングおよび溝などの手段によって接合してよいという点を指摘しておかなければならない。これにより、電気システム内のバスバーなどの導電体の組立てがより容易になる可能性がある。
【0146】
例えばより厚い層で製造される第2の解像度は、より粗くなり、より大きい表面積を導く。少なくとも中および高周波数の電流については、これが、導体の材料/寸法についてのニーズを増大させることなく、より多くの電流のコンダクタンスを導く可能性がある。実際、中間セグメントは、例えば波形表面によって創出される冷却用空気流の乱流に起因するより効率の良い冷却を理由として、導電体の外側表面に通電する電流(中および高周波数で通電する電流)を増大させるために、意図的に波形表面を伴って製造されてよい。導体が内部空間を含む場合、このような内部空間を創出する導体の内側表面も同様に、同じ目的のために波形になっていてよい、という点を指摘しておくべきである。波形表面には、空気などの冷却用流体の流動の中に乱流を導入するという効果がある。冷却用流体の速度増加は、より高い冷却効果を導く可能性がある。
【0147】
一例として、中および高周波数で電流を伝導するために使用される導体内への深さは、具体的実施形態において、およそ1.5mmである。この具体的例においては、導体は、およそ1.68μΩcmの抵抗率、2kHzの周波数でおよそ1の比透磁性を有する銅で作られている。したがって、この特定の実施形態のための導体は、1.5mmの2倍の導体厚みを有し中空であってよい。実際には、このような導体は、4~5mmの厚みで製造されて、内部に冷却のための余地または導体材料の削減ひいては重量の削減を残してよい。
【0148】
表皮効果は、例えば50Hzででも現われることが分かっていることから、表面効果に関する中周波数への言及は、導体の設計で表皮効果を考慮できる場合、500Hz前後で始まる周波数に対する言及である。中周波数範囲は、500Hz~10kHzであってよく、10kHzより上は、表皮効果が事実である高周波数と呼ぶことができる(周波数が高ければ高いほど、電流は表面により近いところで伝導されることになる)。
【0149】
さらに、外側表面が同様に、導電体からの熱放散を増大させるためにフィンを伴って設計されるかまたは波形になっていてよいという点に言及しておくべきである。
【0150】
本方法の結果として得られる導電体は、電気設備の導電体として使用されてよい。電気設備は、風力タービンなどの再生可能エネルギ施設の一部であり得る電気パネルであってよい。しかしながら、導電体を製造することひいては第1の端部セグメントと第2の端部セグメントの間の電気的および機械的結合を達成することは、典型的には、電気設備内に導電体を設置する前、そして再生可能エネルギ施設内に電気設備を設置する前に行なわれる。したがって、本発明の典型的実施形態によると、電気的および機械的結合は、導電体の設置/統合に先立って行なわれる。それでも、本発明に係る方法は、必ずしも特定のステップシーケンスに限定されない。さらに、本発明に係るさまざまな方法は、追加のステップ、例えばデジタル幾何形状最適化を行なうステップ、導電体を積層造形するステップおよび電流を伝導するステップを含んでいてよい。
【0151】
要するに、設計者は、例えばSolidworksなどの3D CADソフトウェア中の電気的、機械的、構造的要件などにしたがって、導体のデジタル表現を設計している。このような3D開発ツールからのファイル(デジタル表現)は、例えば3Dプリンタへとエクスポートされ、ここで導体はCADファイルにしたがって印刷される。
【0152】
図4a~dは、本発明の一実施形態に係る導電体の側面図および異なる横断面図を例示している。すなわち、
図4aは、3つの横断方向平面15a~15cが水平ラインとして表示された、本発明の一実施形態に係る導電体1の側面図を例示している。
図4b~4dは、これら3つのそれぞれの横断方向平面15a~15c内の導電体1の横断面図を例示し、ここで
図4bは最上位の横断方向平面15c内の横断面図を例示し、
図4cは、中間横断方向平面15b内の横断面図を例示し、
図4dは、最下位の横断方向平面15aの横断面図を例示している。
【0153】
例示された導電体1は、4つの導体分岐5a~5dを有し、そのうち
図4aでは2つの導体分岐5a~5bのみが見えている。4つの導体分岐5a~5dの各々は、分岐ステム13a~13dが2つの発散する分岐枝線14a~14hへと枝分かれしている、枝分かれ分岐である。
【0154】
所与の導体分岐5aが、この実施形態では丸味の付いたものである単一の連結部の形で第1の端部セグメント2とモノリシックに一体化されており、この連結部から、導体分岐5aの分岐ステム13aが突出している。第1の端部セグメント2から離れて、長さ方向でのその延在部分に沿って、導体分岐5aは最終的に2つの分岐枝線14a、14bへと枝分かれする。このことは、
図4c~4dに明確に例示されており、ここで1つの横断方向平面15a内の導体分岐5aの分岐ステム13aは、別の横断方向平面15b内の2つの分岐枝線14a、14bへと分割されている。その結果として、この特定の実施形態において、所与の導体分岐5aは、第1の端部セグメント2との丸味の付いた連結部を1つしか有しておらず、一方、第2の端部セグメント3とは複数の連結部を有している。同様に、この特定の実施形態において、第2の端部セグメント3および分岐枝線14a~14hの各々は、丸味の付いた連結部によってモノリシックに一体化され、こうして第2の端部セグメント3と分岐枝線14a~14hの間で凹状に丸味の付いた入隅を整形している。
【0155】
図4a~4dはさらに、導電体の断面積を中間セグメント4においてどのように削減できるかを例示している。これは、
図4cおよび
図4dのいずれかと
図4bを比較することによって極めて明白になる。
図4bは、最大の断面積を有する。さらに、断面積は実際には中間セグメント4を横断して変動する。ここで、
図4c内の断面積が
図4d内の断面積よりも小さいという点において、これは明白である。概して、中間セグメントの各部分を横断して漸進的変化する断面積によって、有利にも、導電体1を製造するのに必要とされる材料を最小限に抑えながら導電体のロバスト性を保証することができる。
【0156】
その上、
図4a~4dは、長さ方向の異なる位置において、周囲長さが横断方向平面15a~15c内でいかに変動し得るかを例示している。所与のセグメント2~4の周囲長さは、所与の横断方向平面内の部域の周囲長さ全ての総和として簡単に測定可能である。この実施形態において、第2の端部セグメント3の周囲長はこうして、
図4b中に例示されている横断面の周囲の長さである。そして、中間セグメント4の周囲長は、
図4c中の全ての個別の分岐枝線14a~14hの周囲長さ、または
図4d中の全ての個別の分岐ステム13a~13dの周囲長さの総和である。(ここであてはまるように)中間セグメントについて多数の異なる周囲長さが考えられる場合、好ましくは最小の周囲長さが使用されてよい。
【0157】
例示された実施形態において、周囲長さと断面積の比率は、第1および第2の端部セグメント2、3のいずれかよりも中間セグメント4においてより大きいものである。
【0158】
概して、断面積、周囲長さおよびそれらの比率は、(より均一な設計を有するバスバーに比べて)どれほど多くの材料が中間セグメントから除去されるかの尺度である。
【0159】
例えば
図2~4に例示されている導電体が均一の導体分岐5を含んでいるという点に留意すべきである。しかしながら、変形実施形態においては、2つの分岐直径のみが同じであるかまたはいずれの分岐直径も同じでなく、2つの隣接離隔距離11のみが同じであるかまたはいずれの隣接離隔距離11も同じでなくなるように、1つの導電体1の導体分岐5は全て異なる幾何形状を有してよい、という点に留意すべきである。同様に、中間セグメント、すなわち代替的には導体分岐は、ウェブ様構造の導体分岐を横断する均一な周囲長さを伴う均一なウェブ様構造として、製造されてよい、という点に留意すべきである。ウェブ様構造の一例としては、ハニカム構造が考えられる。
【0160】
図5a~bは、本発明に係る冷却チャネル16を伴う導電体1の実施形態を例示する。2つの実施形態の各々は、長さ方向軸および横断方向軸に跨る平面内の横断面図を介して例示されている。
【0161】
図5aでは、第1の端部セグメント2と第2の端部セグメント3の両方が、チャネル開口部17を有し、これにより、水または空気などの冷却用流体が冷却チャネル16を通って流動することができる。冷却チャネルはそれ自体、導電体1の導体分岐5bの1つを通過する。このとき、この導体分岐は、極めて効率よく冷却される。冷却に関しては、2つの隣接する導体分岐の間の離隔距離も同様に、例えばこれらの離隔距離を通して空気流を提供することによって導電体を冷却するために使用される、という点にも留意すべきである。
【0162】
冷却チャネル16を伴う導体分岐5bが導電体1の電流電力移送の大部分を促進することができるかもしれないにせよ、他の分岐5a、5cは有利には機械的支持を提供し、こうして導電体は、応力および/または振動を伴う条件下での使用中に変形しないようになっている。
【0163】
このような構造的支持および冷却を考慮することにより、異なる幾何形状を伴う導体分岐を有する導電体の設計が導かれる可能性がある。実際、導電体は、電気的に絶縁され構造的支持の機能のみを有し電気コンダクタンス支持の機能を全く有さない構造的支持分岐を伴って製造されてよい。このようなステムまたは枝線は同時に、構造的支持としての機能と同時に、熱放散部分としても役立ってよい。
【0164】
内部冷却チャネルの無い導体分岐5a、5cは、これらの分岐が内部冷却チャネル無しでも充分に冷却されることを保証する相対的表面積を有していてよい。または、代替的に、導電体の熱伝導率は、導体分岐のサブセットを通過する冷却チャネルが提供する冷却が、導電体の全ての部分を冷却するのに充分なものであることを保証することができる。
【0165】
図5bでは、
図5aと同様、第1の端部セグメント2および第2の端部セグメント3の両方がチャネル開口部17を有する。しかしながら、冷却チャネル16の経路は
図5bでは異なっている。それは、単一の導体分岐を通過するだけでなく、複数の導体分岐5a~5cを通過している。その結果として、単一の冷却チャネル16が、有利にも、複数の導体分岐に対する冷却を提供する能力をもつ。さらに、有利にも、冷却は、導電体全体にわたり均等に分配され得、例えば第1の端部セグメント2および第2の端部セグメントの中でより均等に分配され得る。端部セグメント2、3間での均等な冷却分配は、冷却チャネルが端部セグメント2、3に交互に出入りできることから、有利な形で増強されて得る。
【0166】
端部セグメントにおいてチャネル開口部17に対し、例示されていない冷却システムを連結してよい、ということに言及しておくべきである。この連結部は例えば、同じく端部セグメントとモノリシックに一体化されてよい、すなわち端部セグメントの一部としてまたは端部セグメントと一体のものとして製造されてよいナットまたは他の取付け具のための陥凹であるネジ山付き部分を含んでいてよい。
【0167】
他の実施形態においては、単一の冷却チャネルが導体分岐を介して偶数回中間セグメントを横断し、こうして、冷却チャネルの両方のチャネル開口部を第1および第2の端部セグメントのうちの同じ端部セグメント内に位置設定できるようになっている。これにより、例えば2つのチャネル開口部が同じセグメント上で互いの直ぐ隣りに設置されている場合に、チャネル開口部17に対する流体継手のより容易な結合を保証することができる。このことは、(例えば空気に比べて)水などの冷却用液体を用いる場合に、特に関連する。液体冷却を用いる場合にさらに関連性があるのは、導電体のバルクから冷却チャネルの内部をガルバニック絶縁する内部冷却チャネル絶縁層を有することである。
【0168】
図5bでは、冷却チャネル16内に空気流26の一部を案内するための空気案内フィン25が破線で例示されている。空気案内フィン25は、導体1の残りの部分として積層造形によって確立され、冷却チャネル16内に空気流26の必要な部分を正確に案内するように設計されていてよい。
【0169】
本発明の実施形態は、1つ以上の内部冷却チャネルを介した冷却に限定されないという点に留意されたい。他の実行可能な冷却源は、ヒートシンク(例えば、導電体の1つ以上のセグメントとモノリシックに一体化された1つ以上のヒートシンク、
図9および以下の説明を参照のこと)の取付け、電気端子への端部セグメントの取付けを介した熱放散、および外部空気流を介した冷却、である。
【0170】
さらに、実施形態が複数の冷却チャネルを含んでいてよいこと、そして冷却チャネルが複数の発散する冷却用サブチャネルに枝分かれできるという点にも留意されたい。例えば、第1の端部セグメント内の単一の冷却チャネルは、異なるそれぞれの導体分岐を通過し端部セグメントのうちの1つの中で再び単一の冷却チャネルに共に合流する複数の冷却用サブチャネルに枝分かれしてよい。
【0171】
さらに、本発明のいくつかの実施形態において、1つ以上の内部冷却チャネルは各々、ガルバニック絶縁する絶縁層を含んでいる。あらゆる絶縁材料が使用可能であり、こうして導電体の通電部分と内部冷却チャネル内のあらゆる液体との間のバリアを形成する。
【0172】
図6a~cは、本発明に係る内側バルク構造19および外側表面構造20を伴う一実施形態を例示している。すなわち、
図6aは、本発明の一実施形態に係る導電体1の横断側面図を例示し、横断方向平面15を水平ラインとして表示している。
図6bは、該実施形態の個別の導体分岐5a~5fを特に強調する、この横断方向平面内の導電体1の横断面図を例示している。そして
図6cは、導電体の一部(例えば導体分岐の一部)の斜視図を例示している。
【0173】
内側バルク構造19と外側表面構造20の材料は異なっている。この特定の実施形態において、外側表面構造は主として銅を含み、一方内側バルク構造は主としてアルミニウムを含む。したがって、表皮効果に起因して主として交流電流が伝導されている導電体1の表面は、導電体のバルク全体を通して主として銅を含む類似の材料の導電体と比べて必要とされる銅の量を大幅に削減しながら、比較的高いコンダクタンスを有する。
【0174】
内側バルク構造19はそれ自体、2つの端部セグメントとこれらの端部セグメントを結合する複数の導体分岐によって形成された中間セグメントとを有し、ここで導体分岐は丸味の付いた連結部によりモノリシックに一体化され、こうして凹状に丸味の付いた入隅を整形し、かつ異なる横断方向で導体分岐を空間的に分離している、という点に留意されたい。そしてさらに、外側表面構造20はそれ自体2つの端部セグメントとこれらの端部セグメントを結合する複数の導体分岐によって形成された中間セグメントとを有し、ここで、導体分岐は、丸味の付いた連結部によってモノリシックに一体化され、こうして凹状に丸味の付いた入隅を整形し、かつ異なる横断方向で導体分岐を空間的に分離している。他の実施形態においては、2つの構造19、20のうちの一方だけがこのような特性を有していてよい。
【0175】
図6cは、導体分岐の一部といった導電体の一部の斜視図を例示している。原則として、例示されているような部分は、単独でも使用可能である。すなわち、
図6cに例示されている部分は、原則としてそれ自体、必ずしも端部セグメントとモノリシックに一体化される必要なく導電体として使用可能である。それでも、このような複数の分岐の無い導電体は、本開示の利点のうちの1つ以上を有していてよい。詳細には、内側バルク構造19および外側表面構造20の材料が異なることから、付加的に内側バルク構造の材料の利点、例えば価格、重量、製造および振動特性、ならびに構造的特性(例えば弾性/剛性、可塑性など)などを有しながら、比較的高い交流コンダクタンスが達成される。
【0176】
図7a~bは、本発明の変形実施形態を例示する。詳細には、
図7aは、中間セグメントの各々が複数の導体分岐5によって形成されている、いくつかの中間セグメント4a、4bを伴う一実施形態を例示する。そして
図7bは、導電体1が角度付けされている一実施形態を例示する。
【0177】
図7aにおいて、導電体1は、第1の中間セグメント4aに対し直接結合された第1の端部セグメント2を含む。同様にして、導電体は、第2の中間セグメント4bに直接結合された第2の端部セグメント3を含む。これら2つの中間セグメント4a、4bの各々は、このとき、中央本体セグメント21に直接結合される。したがって、第1の端部セグメント2および第2の端部セグメント3は、第1の中間セグメント4a、中央本体セグメント21および第2の中間セグメント4bを介して電気的に結合されかつ機械的に結合される。
【0178】
詳細には、複数の導体分岐によって形成されたいくつかの中間セグメントが、単一の中間セグメントが別の形で提供することになると思われる利点のうちのいずれかを促進しかつ潜在的にさらに改善することができる。さらに、いくつかの中間セグメントは、導電体の付加的設計を可能にできる。例えば、一定の制約(例えば空間的制約)によって、単一の中間セグメントに許容される空間的広がりが制限されてよい。したがって、いくつかの中間セグメントを有することで、有利な特性を有する導電体を、他の形ではそれらを利用できないと思われる状況および構成で実装できるようになるかもしれない。
【0179】
図7bでは、導電体7bは、中間セグメント4によって結合された第1の端部セグメント2と第2の端部セグメント3を含む。この特定の実施形態において、第1の端部セグメントは角度付けされている。複数の導体分岐5およびそれらが端部セグメントを結合している方向は、導電体1の長さ方向を決定する。第1の端部セグメント2の屈曲/角度付けは、導電体1がこの長さ方向から逸脱することを可能にする。このことはそれ自体、導電体1の代替的な構造的設計を可能にし、電気設備内部で導電体1を連結する可能性を改善することができる。いくつかの実施形態において、端部セグメント2、3は両方共、1つおよび/またはそれ以上の屈曲/角度を含む。いくつかの実施形態において、中間セグメントは、屈曲/角度を含み、一方で、第1の端部セグメントおよび第2の端部セグメントを長さ方向で電気的および機械的に結合させる。
【0180】
図8は、本発明の別の実施形態を例示する。本開示中で例示されている他の実施形態と比べて、この特定の実施形態の導電体の導体分岐は、全体的に丸味の付いた設計を有する。
【0181】
他の実施形態については、中間セグメント4は複数の導体分岐5によって形成されている。例示中、正面の導体分岐5は、他の導体分岐が見えるのを妨げている。導体分岐5の多くが、例えばそれ自体他の導体分岐と一体化している2つの発散する導体分岐へと枝分かれする導体分岐を介してか、または他の形では空間的に分離される2つの導体分岐を結合する横断方向の分岐派生部分22を介して、互いに連結している。
【0182】
さらに、第1および第2の端部セグメント2、3の各々は、締結孔23(端子とも呼ばれる)を含み、これが、電気設備内の異なる端子に対する導電体の端部セグメント2、3の締結を可能にしている。
【0183】
図9に例示されている本発明の実施形態は、冷却用構造27が取付けられている導電体1である。導電体1は、上述の積層造形プロセスにしたがって製造されるかまたは、中実銅製導体などの標準的導体であってよい。導体1は、締結孔23を含む第1の端部セグメント2および、別の導体に連結されるように構成されている第2の端部セグメント3を含むか、あるいは、他の電気的構成要素が例示された導体1に連結されるように単にさらに延在していてよい。
【0184】
中から高周波数のドメイン内で使用される場合、上述の表皮効果に起因して導体の外側部分のみが電流伝導に使用可能であるという点において、例えば導体を3D印刷することが有利であるかもしれない。
【0185】
冷却用構造27は、積層造形により標準的導体に取付けられてよく、あるいは、製造中に導体とモノリシックに一体化されてもよい。
【0186】
冷却用構造27および導体1は、積層造形によって製造される場合、例えば電気パネル内の自由空間を利用することができる。したがって、冷却用構造27は、それが例えば電気パネルの換気装置によって確立される空気流などを「援用」できるような形で設計/製造されてよい。
【0187】
例示されている冷却用構造27は、製造中に冷却チャネル(図示せず)が作られてよい導体1の内部に空気流を案内できる冷却用ウェブとして例示されている。端部セグメント3は、別の導体1に連結されてよく、冷却チャネルは、例示された導体1から次の導体へと連続していてよい。
【0188】
図10に例示された導電体1は、
図9で例示されたものと類似している。見えるのは2つの端部セグメント2、3と冷却用構造である。可撓性バスバー28などの追加の電気構成要素が、ナットおよびボルト29によって第1の端部区分2に連結されている。
【0189】
冷却用構造27の間に複数のフェライトコア30が例示されており、これらは、第2の部分に対して連結可能な第1の部分を含み、これにより導電体1の中間部分を取り囲んでいる。このようにして、導体1からの電気的雑音を削減または除去することができる。
【0190】
冷却用構造27はフェライトコア30よりも長く延在していること、すなわち、冷却用構造27は、考えられる冷気の流動と直接接触し、これにより、それがフェライトコアによって包み込まれている場合でさえ導電体1からの熱放散がなおも可能である、ということが指摘される。
【0191】
さらに、冷却用構造27間の距離は、導体1上の所望の場所にフェライトコア30を位置付けするのを支援するように、フェライトコアの厚みによって決定されてよい。このことは、輸送中および振動する環境での動作中にあてはまることである。
【0192】
図11に例示されている本発明の実施形態は同様に、導電体1である。この実施形態も同様に、各々1つの締結孔23を伴う2つの端部セグメント2、3および中間区分4を含む。この特定の実施形態において、導電体は、導体の外側表面に応じて最適化される。これは、2つの端部セグメント2、3を連結する複数の導体分岐5に起因して、容易に考察できる。
【0193】
この特定の実施形態において、複数の導体分岐5は、3つのセットに分割される。他の実施形態では、導体は5、7、9といった追加のセット、さらには、より多くの撚合セットのセットを含んでいてよい。これら3つのセットでは、導体分岐は撚合されており、撚合された導体分岐5の3つのセットも同様に撚合されている。個別の導体分岐全てが、端部セグメント2、3に連結されている。これは、丸味の付いた隅を介してかまたは導体分岐5と端部セグメント2、3の間の直交する連結部を介して行なうことができる。例示された設計には、抵抗の削減を導き得る線形電流路を促進にするという利点があるかもしれない。この設計は、このワイヤタイプの利点を達成するために、リッツ線から着想を得たものである。
【0194】
例示された導体1は、積層造形によって製造されており、したがって、個別の導体分岐5各々の間の距離を確保することが可能である。このタイプの導電体は、いわゆるリッツ線の利点から着想を得ている。これは例えば3D印刷によって製造可能であることから、例えば電気パネル内の自由空間を利用する任意の形状に整形可能である。
【0195】
図11および13に例示されているもののような撚合導体の設計は、それが効果を有し、電気システムに対し融通性を追加するという点において有利である。したがって、導電体およびそれが連結されることになる追加の電気構成要素の孔/端子の精度は、さほど高くなくても許容され得る。これは、引くか押すかすることによって、端子/孔が移動し、こうして他の構成要素に適合することができるからである。さらに、電気構成要素に対して作用する張力または力は、撚合設計によって側面および軸中の両方の長手方向において許容誤差を得ることが可能になるという点において、削減され得る。このことは、振動によって導入される力の観点から見ても、また例えば追加の電気構成要素に組付けることのできる位置まで導電体を強制することで発生する静的力の観点から見ても、あてはまることである。
【0196】
本明細書中で提示されている本発明のこの実施形態および他の実施形態の両方について、導電体1のために電気的絶縁が必要とされる場合に、導電体1を液体様の絶縁材料の浴中に浸漬してよいという点に言及しておくべきである。このようにして、中間セグメントおよび端部セグメントの両方の全ての外側表面を電気的に絶縁することができる。
【0197】
図12に例示されている導体1の導体分岐は、ウェブ様の構造31として製造される。したがって、内部で電流が導体1を通して伝導され得るこのようなウェブ様または構造としての導体分岐は全く存在しない。
【0198】
このような設計には、標準的な公知の導体に比べて大きな表面を有するという利点がある。この大きな表面は、中から高周波数の利用分野において、特に有利である。さらに、冷却に関しては、ウェブ様の構造は、空気が導体を通過して大きな部域を効率良く冷却できるという点において有利である。
【0199】
使用する材料が少ないという明白な事実は、材料コストのみならず重量も削減されるという点において有利である。重量の削減は、導体1を固定するのに必要とされるブラケットの削減につながり、組付けられる導体/パネルが振動にさらされる環境においても安全な動作が保証される。同様に、重量が小さくなればなるほど、輸送費用が安くなることが期待される。
【0200】
例示されたコンパクトな導体は、そのコンパクトな設計のためだけではなく、必要に応じてそれを設計できるという点においても有利である。したがって、別の導体が例示された導体を通過する必要がある場合、例示された導体は、他の導体が通過できる自由空間を伴って設計されその後製造されてよい。
【0201】
ウェブ様の構造の導体1の端子23を含む端部区分2、3も同様に、少なくとも部分的にウェブ様設計で製造されてよい、という点に言及しておくべきである。したがって、中間セグメントの長手方向と端部セグメントとの間の遷移部分は、多少の差こそあれ消去される。
【0202】
しかしながら、端部セグメント2、3の一部分は、少なくとも導体1を追加の電気構成要素に連結するためにナットおよびボルトが使用される場合、中実部分を含んでいなければならない。端部セグメントは、例えば追加の電気構成要素への連結がツイスト&ターンによってかまたは他の急速係止原理によって行なわれる場合、完全にウェブ様の設計のものであってよい。
【0203】
図12に例示されている実施形態における端部セグメント2、3の端子部分は、中実当接プレート(第1の端部セグメントを参照)を含み、これに接して追加の電気構成要素を連結することができる。端部セグメントのもう一方の側(第2の端部セグメントを参照)で、連結用ボルト用の孔の周りに、端部セグメントは、追加の電気構成要素に対して導体1を締結するためにナットおよびボルトを使用する場合に充分な強度を保証するべく、端部セグメントを通って延在する中実部分を含む。
【0204】
図13に例示されている実施形態は、以上で例示/説明された実施形態のいくつかの組合せであると言うことができる。
図13に例示されている導体1は、
図11に例示された撚合タイプのものである。それは3つの中央本体セグメント21を有し、その1つは、より大きな撚合導体部分を、個別により大きい撚合導体よりも小さい直径を有する6つの撚合導体部分に分離している。他の2つの中央本体セグメントは、第1および第2のより大きな撚合導体部分を誘導子部分32に連結している。6つの撚合導体部分は各々、第1の端部セグメント2で終結する。これら6つの第1の端部セグメント2は、ナットおよびボルト29連結を介して追加の電気構成要素28に連結されている。第2の端部セグメント3は同様に、ナットおよびボルト29連結を介して追加の電気構成要素28に連結されている。
【0205】
例示されている通り、導体1は5つの巻線を伴う誘導子部分32を含む。これらの巻線の各々を通って、1つのフェライトコア30が延在し、
図10に例示されている実施形態と実質的に同じ雑音低減を導く。したがって、例示された導体1設計により、雑音低減を損なうことなく4つのフェライトコアが回避される。
【0206】
図13に例示されている実施形態は、異なる寸法を有する導電体の一例であり、厚い部分が第2の端部セグメント3に対してそしてより薄い誘導子部分32に対して連結され、この薄い部分は、再度厚い部分に連結されている。導電体を設計するこの方法は、効果があること、そして導電体のより薄い部分(
図13上の誘導子部分32)をコアの周りに巻回することができるという点において、有利である。コアは、例示されているようにフェライトコアであってよいが、例えば変圧器コアなどであってもよく、あるいは、導電体を巻回してリアクタを形成してもよい。
【0207】
より薄い部分を伴う導電体を製造しかつより厚い部分を巻回する代りにこのより薄い部分を使用して巻回することによって、フェライトコア、変圧器コア、リアクタなどのサイズの削減が導かれている。これは、より厚い部分が巻回される場合、より薄い部分の巻回部分に比べて、例えばフェライトコア内のウインドウがより大きくなる必要があり、かつコイル内を進む必要があるからである。コアはより小さく、よりコンパクトであってよく、これにより重量は削減され、こうして電気システムのコストおよび設置面積は節約される。
【0208】
直径の削減には当然のことながら、同じ電流が2つの部分を通って走っていることから、より厚い部分よりもより薄い部分の方が、温度が高くなっていくという欠点が付随する。しかしながら、導電体は、巻回部分の開始直前で直径が削減され、かつ巻回部分が終了した直後に直径が再びより厚い直径に戻るように再整形されるように(
図13に例示されている通り)に設計されてよい。このような設計では、熱は、巻回部分/誘導子部分(より薄い部分)からより厚い部分に向かってかつその中へと放散されてよい。さらに、巻回部分は小さく、したがって、導体の残りの部分よりも高い抵抗を有するこの部分は発熱を低減させるものとなる。さらに、撚合導体分岐を通して空気を循環させることが可能であり得る例示された設計は、より優れた冷却を促すことができる。
【0209】
以下では、本発明のさまざまな実施形態について説明する。
【0210】
本発明の実施形態において、前記複数の導体分岐は、前記第1の端部セグメントおよび前記第2の端部セグメントを前記導電体の長さ方向に電気的に結合しかつ機械的に結合し、ここで前記異なる横断方向は実質的に前記長さ方向に直交している。
【0211】
したがって、導体分岐は、長さ方向を決定/画定することができ、ひいては、横断方向がこの長さ方向に基づいて決定されてよい。
【0212】
本発明の実施形態において、前記2つの異なる横断方向は、第1の横断方向と第2の横断方向であり、ここで前記第1の横断方向および前記第2の横断方向は両方共、前記長さ方向に対し実質的に直交しており、前記第1の横断方向と前記第2の横断方向とは実質的に直交している。
【0213】
本発明の実施形態において、前記複数の導体分岐のうちの導体分岐は、前記2つの異なる横断方向の両方に分布させられている。
【0214】
換言すると、導体分岐は全て、単に縦列の(横断方向の)直線横列内に分布しているわけではなく、2つの異なる横断方向に跨る横断方向平面の両方の横断方向に分布している。
【0215】
このような分布は、有利にも、両方の横断方向での振動に曝されている間の構造的損傷のリスクの削減を保証することができる。
【0216】
本発明の実施形態において、前記複数の導体分岐のうちの導体分岐は、前記長さ方向に沿った前記2つの異なる横断方向において異なる形で分布している。
【0217】
例えば、2つの異なる横断方向に跨っているものの長さ方向に沿って異なる位置を有する異なる平行な横断方向平面内では、導体分岐の分布はこれらの異なる平面に沿って異なるものであってよい。
【0218】
このような変動する分布は同様に、有機的またはバイオニック分岐構造として特徴付けされてよい。
【0219】
このような構造は、有利にも、両方の横断方向において振動に曝されている間の構造の損傷リスクを削減することができる。
【0220】
より具体的には、前記長さ方向に沿って異なる形で分布している導体分岐は、異なる位置、異なる導体数(例えば分岐枝線に起因する)、異なる断面サイズ、異なる形状、またはこれらの任意の組合せを有する導体分岐として理解されてよい。
【0221】
本発明の実施形態において、前記導体分岐のうちの2つの隣接する導体分岐の凹状に丸味の付いた入隅は、前記2つの隣接する導体分岐の間に位置設定される。
【0222】
本発明の実施形態において、前記2つの隣接する導体分岐の間に位置設定された前記凹状に丸味の付いた隅は、前記2つの隣接する導体分岐の間にアーチ構造を形成する。
【0223】
例えばアーチ構造を形成している隣接する導体分岐の間の凹状に丸味の付いた入隅を有することによって、有利にも、この領域内の応力集中を削減することができる。
【0224】
本発明の実施形態において、前記内部冷却チャネルは、前記第1の端部セグメントと前記第2の端部セグメントを流体結合する。
【0225】
本発明の実施形態において、前記内部冷却チャネルは、前記複数の導体分岐のうちのいくつかの導体分岐を連続的に通過する。
【0226】
いくつかの導体分岐内に冷却チャネルを連続的に通過させることによって、有利にも、導電体に対して新たな流体結合を導入する必要なく、これらの導体分岐の各々を冷却することができる。
【0227】
本発明の実施形態において、前記内部冷却チャネルは、ガルバニック絶縁する絶縁層を含む。
【0228】
水冷などの液体冷却を用いる場合、絶縁層が有用である。絶縁層は、冷却チャネルの内側筐体を導電体の残りの部分からガルバニック絶縁することができる。したがって、それは、導電体のバルクから、冷却チャネルを通過する液体内へ電圧/電流が通過するのを制限することができる。
【0229】
本発明の実施形態において、前記複数の導体分岐のうちの1つの導体分岐は、枝分かれ分岐であり、ここで分岐ステムは少なくとも2つの発散する分岐枝線へと枝分かれしている。
【0230】
本発明の実施形態において、前記横断方向の分岐派生部分は、前記長さ方向で、前記第1の端部セグメントおよび前記第2の端部セグメントから空間的に分離されている。
【0231】
1つ以上の枝分かれ分岐および/または横断方向分岐派生部分を有することによって、有利にも、振動減衰ために必要とされる材料の所要量を削減しながら、振動減衰の促進を改善することができる。さらに、このような特徴は、有利にも、せん断、曲げおよびねじれ変形を削減できる。
【0232】
本発明の実施形態において、前記導電体は、1つ以上の内部空間空隙を含む。
【0233】
導電体内部の空間空隙は、所要材料量を削減できる。それは、有利にも、逆起電力が削減され得ることから、表皮効果を同時にまたは代替的に削減できる。
【0234】
本発明の実施形態において、前記第1の中間セグメントおよび前記第2の中間セグメントは、中央本体セグメントによって機械的に結合され、電気的に結合される。
【0235】
中央本体セグメントは、任意には、導電体を他の構成要素に電気的および/または機械的に結合できる固定点または締結孔を含んでいてよい。これは、例えば、有利にも、電気的端子へのその連結部以外の点を通して部分的にまた主として導電体の重量を支持することを可能にし得る。さらに、中央本体セグメントは、電流プローブなどの測定器具の取付けを容易にする可能性がある。
【0236】
本発明の実施形態において、前記第1の端部セグメントは、第1の端部断面積を有し、前記第2の端部セグメントは第2の端部断面積を有し、前記中間セグメントは中間断面積を有し、ここで前記中間断面積は、前記第1の断面積および前記第2の断面積のいずれよりも小さい。
【0237】
本発明の実施形態において、前記中間断面積と前記第1の断面積および前記第2の断面積のうちのいずれかとの比率は、1未満、例えば0.8未満、例えば0.6未満、例えば0.4未満、例えば0.3未満である。
【0238】
相対的断面積の概念は、本発明の実施形態によって提供される特別なトポロジーおよび幾何形状を定量化するための1つの方法である。概して、中間断面積の相対的削減は、有利にも、導電体の体積ひいては質量の削減に付随している。
【0239】
本発明の実施形態において、前記複数の導体分岐のうちの1つの導体分岐の分岐直径は、少なくとも0.1cm、例えば少なくとも0.2cm、例えば少なくとも0.3cm、例えば少なくとも0.5cm、例えば少なくとも0.8cmである。
【0240】
本発明の実施形態において、前記複数の導体分岐は、少なくとも4つの導体分岐、例えば少なくとも6つの導体分岐、例えば少なくとも8つの導体分岐、例えば少なくとも10の導体分岐を含む。
【0241】
このような例示的数の導体分岐は有利にも、求められる必要な機械的および電気的特性を提供することができ、これは有利である。
【0242】
枝分かれ分岐および/または横断方向分岐派生部分を伴う実施形態においては、分岐の数は、第1の端部セグメントと複数の導体分岐の間の連結部の数として定量化されてよい。
【0243】
本発明の実施形態において、前記複数の導体分岐のうちの2つの隣接する導体分岐は、前記異なる横断方向のうちの1つにおいて少なくとも0.3cm、例えば少なくとも0.5cm、例えば少なくとも0.7cm、例えば少なくとも1cm、例えば少なくとも1.5cmの隣接離隔距離だけ空間的に分離されている。
【0244】
例えば丸味の付いた連結部に起因する分岐の不均一な厚みは、結果として、長さ方向の異なる点に沿った導体分岐間の距離の変動をもたらす可能性がある。隣接する導体分岐間の距離は、横断方向において最大のそれらの空間的分離で測定を行なうことによって、定量化可能である。
【0245】
2つの隣接する導体分岐は例えば、これらの2つの隣接する導体分岐のうちの1つと、残りの導体分岐のいずれかとの間の他の任意の空間的分離よりも小さい距離だけ空間的に分離されているいずれかの2つの導体分岐として理解されてよい。
【0246】
本発明の実施形態において、前記複数の導体分岐のうちの2つの隣接する導体分岐の隣接離隔距離と前記2つの隣接する導体分岐のうちの1つの分岐直径との比率は、少なくとも0.5、例えば少なくとも1、例えば少なくとも1.5である。
【0247】
このような例示的な空間的分離は、有利にも、熱放散または材料の削減を改善することができ、これは有利である。
【0248】
本発明の実施形態において、前記第1の端部セグメントは第1の端部周囲長さを有し、前記第2の端部セグメントは第2の端部周囲長さを有し、前記中間セグメントは中間周囲長さを有し、
ここで前記中間周囲長さと前記中間断面積との比率は、前記第1の端部周囲長さと前記第1の端部断面積との比率および前記第2の端部周囲長さと前記第2の端部断面積との比率のうちのいずれよりも、少なくとも1.5、例えば少なくとも2、例えば少なくとも2.5、例えば少なくとも3、例えば少なくとも4、例えば少なくとも5の倍率で相対的に大きいものである。
【0249】
中間周囲長さと中間断面積の相対比率は、本発明の実施形態の空間幾何形状を定量化する1つの方法であってよい。概して、周囲長さと断面積の比率が中間区分内でより大きいことは、材料の削減を標示する尺度である。
【0250】
本発明の実施形態において、前記導電体の総重量は、200キログラム未満、例えば150キログラム未満、例えば120キログラム未満、例えば100キログラム未満、例えば80キログラム未満である。
【0251】
本発明の実施形態において、前記導電体の総重量は、少なくとも1kg、例えば少なくとも2kg、例えば少なくとも5kg、例えば少なくとも10kg、例えば少なくとも30kg、例えば少なくとも100kgである。
【0252】
本発明の原理を利用することは、重量のある導電体のために極めて有利であるが、それは、ここでより多くの材料が節約でき、熱放散がより困難であり得るからである。さらに、従来の原理にしたがった重い導体は、潜在的に実質的量の他の機器に対するアクセスを妨害する可能性があり、このことは、本発明に係る導体分岐間の空間的分離によって潜在的に解決できる。
【0253】
本発明の実施形態において、前記複数の導体分岐のうちの導体分岐の周囲は各々、前記異なる横断方向に跨がる平面内で、実質的に円形の形状を有する。
【0254】
導体分岐の円形形状は、有利にも、これらの導体分岐が特定の横断方向にいかなる構造的脆弱性も有さないことを保証することができる。
【0255】
本発明の実施形態において、前記複数の導体分岐のうちの1つの導体分岐の丸味の付いた連結部における応力集中係数は、5未満、例えば4未満、例えば3未満、例えば2未満、例えば1.5未満である。
【0256】
応力集中係数は、応力集中を定量化したものである。
【0257】
応力集中係数Ktは、最大応力Smaxと公称応力Snomとの比率として、Kt=Smax/Snomで定義されてよい。
【0258】
無限に鋭い隅については、応力集中係数は、理論的に無限である。丸味の付いた入隅を整形する丸味の付いた連結部を有することにより、応力集中係数は相応して削減され得、こうして、導体分岐の丸味の付いた連結部における応力集中係数は、例えば5未満となる。
【0259】
一部の実施形態において、いくつかの導体分岐のいくつかの丸味の付いた連結部は、5未満、例えば4未満、例えば3未満、例えば2未満、例えば1.5未満の応力集中係数を有する。
【0260】
本発明の実施形態において、前記第1の端部セグメントと前記第2の端部セグメントの間の前記相対的動きは、前記異なる横断方向のいずれかと結び付けられる。
【0261】
本発明の実施形態において、前記第1の端部セグメントと前記第2の端部セグメントの間の前記相対的動きは、前記長さ方向と結び付けられる。
【0262】
本発明の実施形態において、前記共鳴振動周波数は振動減衰と結び付けられ、ここで前記共鳴振動周波数減衰は、少なくとも0.001、例えば少なくとも0.01、例えば少なくとも0.03、例えば少なくとも0.05である。
【0263】
特定の共鳴振動周波数を有することによって、導電体に一定の減衰特性を保証でき、これは有利なことであり得る。詳細には、共鳴周波数よりも高い周波数での振動は、典型的に大きく減衰される。さらに、共鳴振動周波数が特定の最小振動減衰を有することを保証することは、タワー内の振動に対するロバスト性を保証するために有利であり得る。
【0264】
風力タービンのブレードロータは典型的に、数秒の回転周期を有する。しかしながら、風力タービンのギアボックスは、100:1またはさらに大きいギア比を有していてよく、これによって関連する周波数レジームが拡張される。したがって、この関連する周波数レジームより低い共鳴振動周波数を有することで、振動の減衰を保証することができる。代替的には、共鳴振動周波数は、関連する周波数レジームよりはるか上にあるように設計されて、破壊的な共鳴振動が全く発生しないようにすることもできる。
【0265】
共鳴振動減衰は同様に、導電体を被動減衰型単調和振動子とみなすことによって理解されてもよく、代替的には減衰比と呼ぶこともできる。
【0266】
本発明の実施形態において、前記導電体は、少なくとも0.1キロアンペア、例えば少なくとも0.3キロアンペア、例えば少なくとも1.0キロアンペア、例えば少なくとも3キロアンペアの通電能力を有する。
【0267】
通電能力を有することによって、導電体がその要求されたタスクを行なえるように保証することができる。詳細には、本発明の実施形態は、有利にも、大きな通電能力をなおも有しながら、より少ない材料の使用または断面積の削減を可能にすることができる。
【0268】
任意には、通電能力の上限は、多くとも100キロアンペア未満、例えば多くとも80キロアンペア、例えば多くとも50キロアンペア未満である。
【0269】
本発明の実施形態において、前記外側支持構造のコンダクタンスは、前記内側バルク構造のコンダクタンスよりも大きい。
【0270】
本発明の実施形態において、前記外側支持構造の質量密度は、前記内側バルク構造の質量密度よりも大きい。
【0271】
異なる材料組成を有する導電体構造を有することにより、有利にも、導電体の価格および重量の低減を可能にすることができ、これは有利なことである。
【0272】
例えば、外側表面構造は、銅などの高いコンダクタンスを有する材料で形成されてよく、一方、内側バルク構造は、アルミニウムまたはスズなどの比較的小さい質量密度を有する材料で形成される。交流電流は、表面効果に起因して主として表面を流れる可能性があることから、有利には、内部部分を軽量材料で置換することで、構造的強度を維持し交流コンダクタンスを大幅に削減することなく、重量および価格を低減することができる。
【0273】
本発明の実施形態において、前記中間セグメントの総表面積は主として前記外側表面構造によって形成される。
【0274】
本発明の実施形態において、前記異なる材料組成は、異なる金属などの異なる金属組成である。
【0275】
代替的には、異なる材料組成は、異なるポリマ/樹脂であってよい。
【0276】
本発明の実施形態において、前記外側表面構造の材料は銅、銀または金である。
【0277】
本発明の実施形態において、前記内側バルク構造の材料はアルミニウムまたはスズである。
【0278】
本発明の実施形態において、前記導電体はバスバーである。
【0279】
本発明の実施形態において、前記複数の導体分岐のうちの各々の導体分岐は、中実である。
【0280】
本発明の典型的な実施形態において、複数の導体分岐のうちの導体分岐は、撚り線で形成されているのとは対照的に、かつホイル状/層状/シート状/プレート状/ラミネート加工導体によって形成されているのとは対照的に、中実である。
【0281】
本発明の実施形態において、前記導電体は非絶縁導電体である。
【0282】
本発明の実施形態において、前記導電体の少なくとも1つの材料は少なくとも1つの金属である。
【0283】
本発明の実施形態において、前記少なくとも1つの金属は、銅、スズ、アルミニウム、鉄、銀、チタンおよび金のいずれかを含む。
【0284】
さらに、導体は、真ちゅうまたは鋼などの1つ以上の合金をベースとするものであってよいという点に留意されたい。同様に、導体は、炭素充填樹脂系の材料といった、例えば印刷可能なポリマなどの導電性ポリマをベースとしていてよいという点にも留意されたい。
【0285】
本発明の実施形態において、2つの導電体は、係合歯、スライダロック、タングアンドグルーブなどを用いて接合される。これにより、電気システム内のバスバーなどの導電体の組立て、特にバスバーの隅接合部を容易にすることができる。このような接合部はより強固なものであってよい。
【0286】
以下では、電気設備内部で導電体の第1の端部セグメントを前記導電体の第2の端部セグメントに結合するための方法のさまざまな実施形態について説明する。
【0287】
本発明の実施形態において、前記導電体は、前記導電体の前記デジタル表現に基づくものである。
【0288】
本発明の実施形態において、前記デジタル幾何形状最適化は、トポロジー最適化を含む。
【0289】
本発明の実施形態において、前記デジタル幾何形状最適化は、形状最適化を含む。
【0290】
本発明の実施形態において、前記デジタル幾何形状最適化は、ジェネレーティブデザインプロセスを含む。
【0291】
デジタル幾何形状最適化を利用することによって、概して導電体を改良することができる。詳細には、有利にも、導電体の構造的特性および振動特性を考慮に入れながら、材料を節約することができる。
【0292】
本発明の実施形態において、前記デジタル幾何形状最適化は、1つ以上の最適化基準に基づいている。
【0293】
本発明の実施形態において、前記1つ以上の最適化基準には、前記導電体のサイズ制約が含まれる。
【0294】
サイズ制約は、有利にも、導電体の適合が想定されている物理的場所に導電体が適合することを保証し得る。
【0295】
本発明の実施形態において、前記1つ以上の最適化基準には、前記導電体の表面積が含まれる。
【0296】
表面積に関係する最適化基準は、例えば、有利にも、空冷を改善するための、前記導電体の表面積の最大化、詳細には導体分岐の表面積の最大化に関するものであってよい。
【0297】
本発明の実施形態において、前記1つ以上の最適化基準には、前記導電体の体積が含まれる。
【0298】
体積に関係する最適化基準は、例えば、有利にも、空冷を改善するための、前記導電体の面積の最小化、詳細には導体分岐の表面積の最大化に関するものであってよい。
【0299】
本発明の実施形態において、前記1つ以上の最適化基準は、前記導電体の前記表面積と前記体積の比率を含む。
【0300】
表面積と体積との間の比率を最大化することによって、有利にも、充分な冷却を保証しながら材料の最小限の使用を保証することができる。
【0301】
本発明の実施形態において、前記1つ以上の最適化基準には、前記第1の端部セグメントと前記第2の端部セグメントの間の相対的動きに結び付けられた共鳴振動周波数が含まれる。
【0302】
共鳴振動周波数を含み入れることにより、この共鳴振動周波数が有利にも(周波数空間内で)好適に位置設定されることを保証できる。
【0303】
本発明の実施形態において、前記1つ以上の最適化基準には、前記共鳴振動周波数と結び付けられた振動減衰が含まれる。
【0304】
振動減衰は、例えば共鳴振動周波数と結び付けられた最小振動減衰であってよい。これにより、有利にも、導電体の破壊的共鳴振動のリスクを低減することができる。
【0305】
本発明の実施形態において、前記1つ以上の最適化基準には、前記導電体の通電能力が含まれる。
【0306】
通電能力は、例えば、導電体が危険無く第1の端部セグメントから第2の端部セグメントまで伝導できる最小電力、例えば最小交流電力であってよい。このような最小電力はさらに、例えば1メガワットあたり300平方ミリメートルといった、導電体の最小断面積と(交流)電力の比率を介したものであってよい。例えば、導電体が2メガワットを通電しなければならない場合、この導電体は、最低で600平方ミリメートルの最小断面積を有していなければならない。
【0307】
本発明の実施形態において、前記1つ以上の最適化基準には、前記複数の導体分岐のうちの導体分岐の最小厚みが含まれる。
【0308】
最小厚みを含み入れることで、有利にも、導電体の(例えば積層造形を介した)より容易な製造および/または最小ロバスト性を保証することができる。
【0309】
本発明の実施形態において、前記最小厚みは、0.1mm~1cm、例えば0.2mm~0.6cmである。
【0310】
共鳴振動周波数を1つの制約とすることによって、有利にも、導電体の望ましくない共鳴振動周波数を回避することが可能となり得、これは有利なことである。さらに、典型的に共鳴振動周波数より高い周波数で減衰が発生することから、このことは有利にも、振動減衰が発生するおおよその周波数を定義することを可能にし得る。
【0311】
共鳴振動周波数は、例えば、長さ方向および横断方向のいずれであってもよい。
【0312】
本発明の実施形態において、前記方法は、前記第1の端部セグメントと前記第2の端部セグメントの間で電流を伝導するステップを含む。
【0313】
本発明の実施形態において、前記第1の端部セグメントと前記第2の端部セグメントの間で電流を伝導する前記ステップは、前記第1の端部セグメントと前記第2の端部セグメントの間で交流電流を伝導するステップである。
【0314】
本発明の実施形態において、前記第1の端部セグメントと前記第2の端部セグメントの間で電流を伝導する前記ステップは、前記第1の端部セグメントと前記第2の端部セグメントの間で直流電流を伝導するステップである。
【0315】
本発明の実施形態において、電流を伝導する前記ステップは、AC電力を移送するステップを含み、前記導電体の最小断面積と前記交流電力との比率は、多くとも1メガワットあたり350平方ミリメートル、例えば多くとも1メガワットあたり300平方ミリメートル、例えば多くとも1メガワットあたり250平方ミリメートル、例えば多くとも1メガワットあたり200平方ミリメートルである。
【0316】
本発明の実施形態によって提供される幾何形状は、潜在的に、伝導される電流との関係において導電体の最小断面積を有利にも削減することを可能にし得る。最小断面積は、長さ方向に直交する平面内におけるあらゆる断面積のうちの最小のものとして理解されてよい。
【0317】
本発明の一態様は、少なくとも導電体のデジタル表現を少なくとも部分的に形成するためのデジタル幾何形状最適化の使用において、再生可能エネルギ施設の電気設備の物理的導電体が、前記導電体の前記デジタル表現に基づくものである使用に関する。
【0318】
再生可能エネルギ施設の導電体を形成/設計するためにトポロジー最適化、形状最適化またはジェネレーティブデザインプロセスなどのデジタル幾何形状最適化を使用することは、それが再生可能エネルギ施設の条件に合わせて導電体を調整することを可能にし得ることから、有利である。
【0319】
物理的導電体は、デジタル表現から得た設計に基づいた物理的導電体の製造を介したデジタル表現に基づくものであってよい。
【0320】
本発明の実施形態において、前記物理的導電体は、本開示の実施形態のいずれかに係る導電体である。
【0321】
以下では、異なる材料組成を有する本発明に係る導電体のさまざまな実施形態について説明する。
【0322】
本発明の実施形態において、前記異なる材料組成は、異なる金属といった異なる金属組成である。
【0323】
本発明の実施形態において、前記外側支持構造の質量密度は、前記内側バルク構造の資料密度よりも大きいものである。
【0324】
本発明の実施形態において、前記外側表面構造の材料は銅、銀または金である。
【0325】
本発明の実施形態において、前記内側バルク構造の材料はアルミニウムまたはスズである。
【0326】
内側バルク構造よりも大きいコンダクタンスを有する外側表面構造を伴う導電体を有することは、それによって内側バルク構造の構造的支持を維持しながら、外側表面構造の余剰の材料を削減できる可能性があることから、有利である。このような導電体は例えば円筒形の形状を有していてよく、円筒形状の軸が長手方向にあり、外側表面構造は内側バルク構造の周りの中空円筒形状に対応している。
【0327】
以上のことから、今や、本発明が、分岐したトポロジーを伴う中間セグメントを有するバスバーなどの導電体に関するものであることは明白である。これにより潜在的に、所要の材料の量を削減する可能性を有しながら、振動減衰、熱放散、熱膨張能力、コンダクタンスおよび可視性の改善が可能となり得る。
【0328】
本発明は、導電体および方法の具体的例に関して、制限よりはむしろ例示を目的として以上で実証されてきた。具体的方法およびシステム構造などの詳細が、本発明の実施形態を理解する目的で提供されてきた。本発明の説明を不要な詳細であいまいにしないように、周知のシステム、デバイス、回路および方法の詳細な説明が割愛されているという点に留意されたい。本発明は以上で説明された特定の例に限定されず、当業者であれば、これらの具体的詳細無く他の実施形態においても本発明を実装することができる、という点を理解すべきである。したがって、図および明細書中で開示された実施形態は、あらゆる方法で組合せ可能である。したがって本発明は、クレーム中に規定されている本発明の範囲内で多数の変形形態で設計および改変されてよい。
【符号の説明】
【0329】
1 導電体
2 第1の端部セグメント
3 第2の端部セグメント
4 中間セグメント
5 導体分岐
6 入隅
7 空間的分離
8 横断方向
9 長さ方向
10 分岐直径
11 隣接離隔距離
12 隅半径
13 分岐ステム
14 分岐枝線
15 横断方向平面
16 冷却チャネル
17 チャネル開口部
18 ライン
19 内側バルク構造
20 外側表面構造
21 中央本体セグメント
22 横断方向分岐派生部分
23 締結孔
24 交差点
25 空気案内フィン
26 空気流の方向
27 冷却用構造
28 追加の電気構成要素(例えば中実または可撓性のバスバー)
29 ナットおよびボルト
30 フェライトコア
31 導体のウェブ様構造
32 誘導子/巻回部分
【国際調査報告】