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特表2024-546469廃プラスチックベースの熱分解フィードおよびそれをアップグレードするための方法
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  • 特表-廃プラスチックベースの熱分解フィードおよびそれをアップグレードするための方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-12-24
(54)【発明の名称】廃プラスチックベースの熱分解フィードおよびそれをアップグレードするための方法
(51)【国際特許分類】
   C10G 9/00 20060101AFI20241217BHJP
   C10G 9/36 20060101ALI20241217BHJP
   C07C 11/04 20060101ALI20241217BHJP
   C07C 4/10 20060101ALI20241217BHJP
   C07C 4/22 20060101ALI20241217BHJP
【FI】
C10G9/00
C10G9/36
C07C11/04
C07C4/10
C07C4/22
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024533134
(86)(22)【出願日】2022-09-07
(85)【翻訳文提出日】2024-08-05
(86)【国際出願番号】 EP2022074849
(87)【国際公開番号】W WO2023099054
(87)【国際公開日】2023-06-08
(31)【優先権主張番号】20216242
(32)【優先日】2021-12-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FI
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】505081261
【氏名又は名称】ネステ オサケ ユキチュア ユルキネン
(74)【代理人】
【識別番号】110001896
【氏名又は名称】弁理士法人朝日奈特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ヤミエソン、ヨン
(72)【発明者】
【氏名】オヤラ、アンチ
(72)【発明者】
【氏名】モレリウス、バレリア
(72)【発明者】
【氏名】パーシカッリオ、ビッレ
【テーマコード(参考)】
4H006
4H129
【Fターム(参考)】
4H006AA02
4H006AC26
4H006BC31
4H129AA02
4H129CA22
4H129DA03
4H129FA02
4H129FA09
4H129NA02
4H129NA04
4H129NA15
4H129NA20
(57)【要約】
本発明は、液化廃プラスチックをアップグレードするための方法に関し、該方法は、液化廃プラスチックフィードを提供する工程、液化廃プラスチックフィードを熱分解リアクター中で熱分解する工程、および、熱分解リアクターの流出物から、エチレンを含む少なくとも1つの画分を分離する工程を含み、ここで、液化廃プラスチックフィードは、3.0以下のn-オレフィンに対するi-オレフィンの含有比を有する。本発明はさらに、熱分解のための液化廃プラスチックフィードを提供する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
液化廃プラスチックをアップグレードするための方法であって、以下の
(a)液化廃プラスチックフィードを提供する工程、
(b)前記液化廃プラスチックフィードを熱分解リアクター中で熱分解する工程、および
(c)前記熱分解リアクターの流出物から、エチレンを含む少なくとも1つの画分を分離する工程
を含み、
前記液化廃プラスチックフィードが、3.0以下のn-オレフィンに対するi-オレフィンの含有比を有することを特徴とする方法。
【請求項2】
前記液化廃プラスチックフィードが、2.5以下、2.0以下、1.5以下、1.0以下、0.80以下、0.60以下、または0.50以下のn-オレフィンに対するi-オレフィンの含有比を有する請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記液化廃プラスチックフィードが、少なくとも40wt%、好ましくは少なくとも50wt%、少なくとも55wt%、少なくとも60wt%、少なくとも65wt%または少なくとも70wt%のi-オレフィン、n-オレフィン、i-パラフィンおよびn-パラフィンの総計の含有量を有する請求項1または2記載の方法。
【請求項4】
前記液化廃プラスチックフィードが、1.5wt.-%以下、好ましくは1.0wt.-%以下、より好ましくは0.5wt.-%以下のガス状(NTP)成分の総計の含有量を有する請求項1~3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
前記液化廃プラスチックフィードが、10wt.-%以上、例えば15wt.-%以上、20wt.-%以上、または30wt.-%以上の総計のオレフィン含有量を有し、および、好ましくは90wt.-%以下、より好ましくは80wt.-%以下、70wt.-%以下、または60wt.-%以下の総計のオレフィン含有量を有する請求項1~4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
前記液化廃プラスチックフィードが、10以上、好ましくは12以上、15以上、または20以上のジオレフィンに対するモノオレフィンの含有比を有する請求項1~5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
前記液化廃プラスチックフィードが、2.0以下、好ましくは1.7以下、1.5以下、1.0以下、0.90以下、0.80以下、0.70以下、0.60以下、0.50以下、0.40以下、0.30以下、0.20以下、0.15以下、0.10以下、0.09以下、0.08以下、0.07以下、0.06以下、0.05以下、または0.04以下のn-パラフィンに対するi-パラフィンの含有比を有する請求項1~6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
前記液化廃プラスチックフィードが、5wt.-%以上、好ましくは10wt.-%以上、12wt.-%以上、15wt.-%以上、17wt.-%以上、19wt.-%以上、または20wt.-%以上の総計のパラフィン含有量を有する請求項1~7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
前記液化プラスチックフィードが、20wt.-%以上、好ましくは23wt.-%以上、25wt.-%以上、27wt.-%以上、または30wt.-%以上のn-パラフィンおよびn-オレフィンの総計の含有量を有する;および/または
前記液化廃プラスチックフィードが、0.40以上、好ましくは0.50以上、0.60以上、0.70以上、0.80以上、0.90以上、1.00以上、1.20以上、1.40以上、1.60以上、1.80以上、2.00以上、2.50以上、または3.00以上の総計のi-パラフィンおよびi-オレフィンに対する総計のn-パラフィンおよびn-オレフィンの含有比([nP]+[nO])/([iP]+[iO])を有する;および/または
前記液化廃プラスチックフィードが、60wt.-%以下、好ましくは55wt.-%以下、または50wt.-%以下のn-オレフィン、i-オレフィンおよびジオレフィンの総計の含有量([nO]+[iO]+[diO])を有する;および/または
前記液化廃プラスチックフィードが、5以上、好ましくは8以上、または10以上のジオレフィンに対する総計のn-オレフィンおよびi-オレフィンの含有比(([nO]+[iO])/[diO])を有する;および/または
前記液化廃プラスチックフィードが、50wt.-%以下、好ましくは40wt.-%以下、30wt.-%以下、または20wt.-%以下のi-パラフィンおよびi-オレフィンの総計の含有量を有する
請求項1~8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
前記液化廃プラスチックフィードが、10wt.-%以下、好ましくは8wt.-%以下、6wt.-%以下、または5wt.-%以下のC9 i-オレフィンの総計の含有量を有する;および/または
前記液化廃プラスチックフィードが、5.0wt.-%以下、好ましくは4.0wt.-%以下、3.0wt.-%以下、2.5wt.-%以下、2.0wt.-%以下、1.5wt.-%以下、または1.0wt.-%以下のジオレフィンの含有量を有する;および/または
前記液化廃プラスチックフィードが、5.0wt.-%以下、より好ましくは4.0wt.-%以下、3.0wt.-%以下、2.0wt.-%以下、1.0wt.-%以下、0.75wt.-%以下、または0.50wt.-%以下の共役ジオレフィンの含有量を有する
請求項1~9のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
前記液化廃プラスチックフィードが、2wt.-%以上、好ましくは5wt.-%以上、10wt.-%以上、15wt.-%以上、20wt.-%以上、または25wt.-%以上のn-オレフィンの含有量を有する請求項1~10のいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
前記工程(b)における前記熱分解が、水蒸気分解を含む請求項1~11のいずれか1項に記載の方法。
【請求項13】
前記工程(b)における前記熱分解が、コフィード、好ましくは炭化水素コフィード、より好ましくは化石ナフサコフィード、例えばフルレンジナフサまたは軽質ナフサから選択される化石ナフサフィードなどの存在下で行われる請求項1~12のいずれか1項に記載の方法。
【請求項14】
前記液化廃プラスチックフィードを提供する前記工程(a)が、液化廃プラスチックまたはその画分が前処理に付される少なくとも1つの前処理段階を含み、ならびに、前記前処理が、好ましくは、前記液化廃プラスチックまたはその画分を、乾燥、脱塩、反応性抽出、溶媒抽出、吸着、酸化、還元、前記液化廃プラスチックからの固体粒子の分離、前記液化廃プラスチックからのガス状(NTP)成分の分離、および、前記液化廃プラスチックの選択的なおよび/または温和な水素化からなる群より選択される少なくとも1つの処理へと付すことを含む請求項1~13のいずれか1項に記載の方法。
【請求項15】
前記液化廃プラスチックフィードが、40wt.-%~100wt.-%、例えば50wt.-%~100wt.-%、55wt.-%~100wt.-%、60wt.-%~100wt.-%、65wt.-%~100wt.-%、70wt.-%~100wt.-%の範囲である、i-オレフィン、n-オレフィン、i-パラフィンおよびn-パラフィンの総計の含有量を有している請求項1~14のいずれか1項に記載の方法。
【請求項16】
3.0以下である、n-オレフィンに対するi-オレフィンの含有比を有する、熱分解のための液化廃プラスチックフィード。
【請求項17】
前記液化廃プラスチックフィードが、請求項2~11または15のいずれか1項においてさらに規定される請求項16記載の液化廃プラスチックフィード。
【請求項18】
ポリエチレンに富む廃プラスチックの解重合を含むプロセスから得られる任意的に前処理された液化廃プラスチックまたはその画分である熱分解のための液化廃プラスチックフィード。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に、液化廃プラスチックをアップグレードするための方法に関し、および、具体的には、液化廃プラスチックに基づく熱分解フィード、ならびに、このフィードストックを熱分解し、および、分解流出物から少なくともエチレンを含む画分を分離する方法、ならびにさらに、この手順で得られる生成物に関する。
【背景技術】
【0002】
より価値のある(あるいは純粋な)物質を得るための液化廃プラスチック(LWP)の精製、および、例えば化学工業における原料として使用され得る軽質オレフィンなどのより価値のある物質への液化廃プラスチックの変換は、数年前から研究されてきた。
【0003】
LWPは廃プラスチックの解重合生成物であり、典型的には、廃プラスチックの水熱液化(HTL)または熱分解によって製造される。廃プラスチックの供給源によって、LWPには様々なレベルの不純物が含まれている。典型的な不純物成分には、塩素、窒素、硫黄、酸素などがある。これらの不純物はまた、プラスチック廃棄物の大規模な発生源である使用済みの包装廃棄物にもよく見られる。
【0004】
燃料としての利用のほかに、LWPをプラスチックまたはモノマーに戻す化学的リサイクルは興味深い選択肢であり、これは、ここ数年、石油化学業界では大きな関心を呼んでいる。またこの方法では、LWPに含まれる不純物の一部が有害である可能性があり、少なくともその一部を除去する必要がある。
【0005】
不純物の側面に加えて、運転時間の低減につながる、例えばエチレン、プロピレンまたはブチレンなどのモノマーの性能、例えば一次製品収率のばらつきまたはコーキング傾向の促進などの製造プロセスにも影響を及ぼし得る、例えばオレフィン、芳香族、および構造異性体の存在などのLWPの組成上の特徴の違いが存在する。
【0006】
例えば、実際の製造方法にもよるが、LWPは総計のオレフィン含有量が高いか非常に高い。このようなオレフィンは、通常、例えば水蒸気分解などの熱転化プロセスではコークス促進剤とみなされ、従来、例えば全水素化によって除去される。しかし、この方法は大量の水素を消費する。水素製造は、製油所における大量のCO2エミッターおよび大量エネルギー製造ユニットであるため、水素の消費を避けることは、コストを回避し、およびより持続可能性が高い。
【0007】
特許文献1は、プラスチック廃棄物をスチームクラッカー中でリサイクルするためのプロセスを開示しており、ここで、溶融されたプラスチック廃棄物は、400~550℃に加熱され、および、留分がスチームクラッカーに供給される。
【0008】
特許文献2は、プラスチック廃棄物から軽質オレフィンを製造するためのプロセスを開示しており、廃プラスチックの粘度を調整するための熱前処理と、それに続く700~1100℃での熱処理とを含んでいる。
【0009】
特許文献3は、水蒸気分解の前に液化廃プラスチックフィード中の例えばオレフィンなどの不純物を最小限にするための2段階の水素化処理法を開示している。
【0010】
特許文献4は、炭化水素ガス流および炭化水素液体流を提供するための混合廃プラスチックの同時熱分解および脱塩素化を含む混合廃プラスチックを処理するためのプロセスを開示する。炭化水素液体流は、そのオレフィン含有量を最小にするために、水素化処理され得る。水素化処理された炭化水素液体流は、水蒸気分解に供され得る。
【0011】
特許文献5は、廃プラスチックを石油化学製品に変換するためのプロセスであって、液体流を得るための廃プラスチックの熱分解、該液体流を芳香族含有量の高いストリームと芳香族含有量の低いストリームとに分離すること、および芳香族含有量の低いストリームを水素化分解装置に送ることを含むプロセスを開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】米国特許第5,731,483号明細書
【特許文献2】米国特許第5,639,937号明細書
【特許文献3】国際公開第2021/110395号
【特許文献4】国際公開第2018/025104号
【特許文献5】欧州特許第3110912号明細書
【発明の概要】
【0013】
本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであり、本発明の目的は、液化廃プラスチックをアップグレードするための改良された方法、およびそのような方法に使用するための廃プラスチックベースの熱分解フィードを提供することである。
【0014】
液化廃プラスチックをアップグレードするための改良された方法を提供するというこの本問題は、請求項1記載の方法によって解決される。さらなる有益な発展は、後続の請求項に記載されている。
【0015】
概略すると、本発明は、1または複数の以下の項目に関する:
【0016】
1.液化廃プラスチックをアップグレードするための方法であって、以下の
(a)液化廃プラスチックフィードを提供する工程、
(b)前記液化廃プラスチックフィードを熱分解リアクター中で熱分解する工程、および
(c)前記熱分解リアクターの流出物から、エチレンを含む少なくとも1つの画分を分離する工程
を含み、
前記液化廃プラスチックフィードが、3.0以下のn-オレフィンに対するi-オレフィンの含有比を有することを特徴とする方法。
【0017】
2.前記液化廃プラスチックフィードが、2.5以下、2.0以下、1.5以下、1.0以下、0.80以下、0.60以下、または0.50以下のn-オレフィンに対するi-オレフィンの含有比を有する項目1記載の方法。
【0018】
3.前記液化廃プラスチックフィードが、少なくとも40wt%、好ましくは少なくとも50wt%、少なくとも55wt%、少なくとも60wt%、少なくとも65wt%または少なくとも70wt%のi-オレフィン、n-オレフィン、i-パラフィンおよびn-パラフィンの総計の含有量を有する前記項目のいずれか1つに記載の方法。
【0019】
4.前記液化廃プラスチックフィードが、液化廃プラスチックの任意的に前処理された画分、または、液化廃プラスチックの任意的に前処理された画分の2つまたはそれ以上の組み合わせである前記項目のいずれか1つに記載の方法。
【0020】
5.前記液化廃プラスチックフィードが、液化廃プラスチックの任意的に前処理された脱気画分である前記項目のいずれか1つに記載の方法。
【0021】
6.前記液化廃プラスチックフィードが、液化廃プラスチックの任意的に前処理された液体またはワックス状の画分、またはそれらの組み合わせである前記項目のいずれか1つに記載の方法。
【0022】
7.前記液化廃プラスチックフィードが、液化廃プラスチックの任意的に前処理されたナフサ画分、または、液化廃プラスチックの任意的に前処理された中間留分、好ましくは液化廃プラスチックの任意的に前処理されたナフサ画分である前記項目のいずれか1つに記載の方法。
【0023】
8.前記液化廃プラスチックフィードが、液化廃プラスチックの非ガス状(NTP)炭化水素を含む前記項目のいずれか1つに記載の方法。
【0024】
9.前記液化廃プラスチックフィードが、1.5wt.-%以下、好ましくは1.0wt.-%以下、より好ましくは0.5wt.-%以下のガス状(NTP)成分の総計の含有量を有する前記項目のいずれか1つに記載の方法。
【0025】
10.前記液化廃プラスチックフィードが、1000wt.-ppm以下、好ましくは100wt.-ppm以下、より好ましくは10wt.-ppm以下の固体成分の含有量を有する前記項目のいずれか1つに記載の方法。
【0026】
11.前記液化廃プラスチックフィードが、10wt.-%以上、例えば15wt.-%以上、20wt.-%以上、または30wt.-%以上の総計のオレフィン含有量を有する前記項目のいずれか1つに記載の方法。
【0027】
12.前記液化廃プラスチックフィードが、90wt.-%以下、好ましくは80wt.-%以下、70wt.-%以下、または60wt.-%以下の総計のオレフィン含有量を有する前記項目のいずれか1つに記載の方法。
【0028】
13.前記液化廃プラスチックフィードが、10以上、好ましくは12以上、15以上、または20以上のジオレフィンに対するモノオレフィンの含有比を有する前記項目のいずれか1つに記載の方法。
【0029】
14.前記液化廃プラスチックフィードが、2.0以下、好ましくは1.7以下、1.5以下、1.0以下、または0.90以下のn-パラフィンに対するi-パラフィンの含有比を有する前記項目のいずれか1つに記載の方法。
【0030】
15.前記液化廃プラスチックフィードが、0.80以下、例えば0.70以下、0.60以下、0.50以下、0.40以下、0.30以下、0.20以下、0.15以下、0.10以下、0.09以下、0.08以下、0.07以下、0.06以下、0.05以下、0.04以下のn-パラフィンに対するi-パラフィンの含有比を有する前記項目のいずれか1つに記載の方法。
【0031】
16.前記液化廃プラスチックフィードが、任意的に前処理された液化分別廃プラスチックまたはその画分を含む前記項目のいずれか1つに記載の方法。
【0032】
17.前記液化廃プラスチックフィードが、任意的に前処理された液化ポリオレフィン富化廃プラスチックまたはその画分を含む前記項目のいずれか1つに記載の方法。
【0033】
18.前記液化廃プラスチックフィードが、任意的に前処理された液化ポリエチレン富化廃プラスチックまたはその画分を含む前記項目のいずれか1つに記載の方法。
【0034】
19.前記液化廃プラスチックフィードが、5wt.-%以上、好ましくは10wt.-%以上、12wt.-%以上、15wt.-%以上、17wt.-%以上、19wt.-%以上、または20wt.-%以上の総計のパラフィン含有量を有する前記項目のいずれか1つに記載の方法。
【0035】
20.前記液化廃プラスチックフィードが、30wt.-%以下、好ましくは25wt.-%以下、20wt.-%以下、または15wt.-%以下の総計のモノ芳香族含有量を有する前記項目のいずれか1つに記載の方法。
【0036】
21.前記液化プラスチックフィードが、20wt.-%以上、好ましくは23wt.-%以上、25wt.-%以上、27wt.-%以上、または30wt.-%以上のn-パラフィンおよびn-オレフィンの総計の含有量を有する前記項目のいずれか1つに記載の方法。
【0037】
22.前記液化廃プラスチックフィードが、0.40以上、好ましくは0.50以上、0.60以上、0.70以上、0.80以上、0.90以上、1.00以上、1.20以上、1.40以上、1.60以上、1.80以上、2.00以上、2.50以上、または3.00以上の総計のi-パラフィンおよびi-オレフィンに対する総計のn-パラフィンおよびn-オレフィンの含有比([nP]+[nO])/([iP]+[iO])を有する前記項目のいずれか1つに記載の方法。
【0038】
23.前記液化廃プラスチックフィードが、60wt.-%以下、好ましくは55wt.-%以下、または50wt.-%以下のn-オレフィン、i-オレフィンおよびジオレフィンの総計の含有量([nO]+[iO]+[diO])を有する前記項目のいずれか1つに記載の方法。
【0039】
24.前記液化廃プラスチックフィードが、5以上、好ましくは8以上、または10以上のジオレフィンに対する総計のn-オレフィンおよびi-オレフィンの含有比(([nO]+[iO])/[diO])を有する前記項目のいずれか1つに記載の方法。
【0040】
25.以下の式:
[iO]×[diO]<α
ここで、[iO]は前記液化廃プラスチックフィード中のi-オレフィンの含有量であり、および、[diO]は前記液化廃プラスチックフィード中のジオレフィンの含有量であり、および、αは100、好ましくは90、80または75である
が満たされる前記項目のいずれか1つに記載の方法。
【0041】
26.以下の式:
([iO]+2×[iP])×[diO]<β
ここで、[iO]は前記液化廃プラスチックフィード中のi-オレフィンの含有量であり、[diO]は前記液化廃プラスチックフィード中のジオレフィンの含有量であり、[iP]は前記液化廃プラスチックフィード中のi-パラフィンの含有量であり、および、βは150、好ましくは130、120、100、90、80、または75である
が満たされる前記項目のいずれか1つに記載の方法。
【0042】
27.前記液化廃プラスチックフィードが、50wt.-%以下、好ましくは40wt.-%以下、30wt.-%以下、または20wt.-%以下のi-パラフィンおよびi-オレフィンの総計の含有量を有する前記項目のいずれか1つに記載の方法。
【0043】
28.前記液化廃プラスチックフィードが、20℃以上、好ましくは25℃以上、または30℃以上のT5温度(5vol-%回収、EN ISO 3405-2019)を有する前記項目のいずれか1つに記載の方法。
【0044】
29.前記液化廃プラスチックフィードが、10wt.-%以下、好ましくは8wt.-%以下、6wt.-%以下、または5wt.-%以下のC9 i-オレフィンの総計の含有量を有する前記項目のいずれか1つに記載の方法。
【0045】
30.180℃以下、好ましくは165℃以下のT95温度(95vol-%回収、EN ISO 3405-2019)を有する液化廃プラスチックフィードの画分が、10wt.-%以下、好ましくは8wt.-%以下、6wt.-%以下、または5wt.-%以下のC9 i-オレフィンの総計の含有量を有する前記項目のいずれか1つに記載の方法。
【0046】
31.前記液化廃プラスチックフィードが、5.0wt.-%以下、好ましくは4.0wt.-%以下、3.0wt.-%以下、2.5wt.-%以下、2.0wt.-%以下、1.5wt.-%以下、または1.0wt.-%以下のジオレフィンの含有量を有する前記項目のいずれか1つに記載の方法。
【0047】
32.前記液化廃プラスチックフィードが、5.0wt.-%以下、より好ましくは4.0wt.-%以下、3.0wt.-%以下、2.0wt.-%以下、1.0wt.-%以下、0.75wt.-%以下、または0.50wt.-%以下の共役ジオレフィンの含有量を有する前記項目のいずれか1つに記載の方法。
【0048】
33.前記液化廃プラスチックフィードが、10.0mgKOH/g以下、好ましくは8.0mgKOH/g以下、6.0mgKOH/g以下、4.0mgKOH/g以下、2.0mgKOH/g以下、1.5mgKOH/g以下、1.0mgKOH/g以下、0.9mgKOH/g以下、0.8mgKOH/g以下、0.7mgKOH/g以下、0.6mgKOH/g以下、または0.5mgKOH/g以下である酸度を有する前記項目のいずれか1つに記載の方法。
【0049】
34.前記液化廃プラスチックフィードが、1.50wt.-%以下、好ましくは1.40wt.-%以下、1.30wt.-%以下、1.20wt.-%以下、1.10wt.-%以下、1.00wt.-%以下、0.90wt.-%以下、または0.80wt.-%以下の酸素含有量を有する前記項目のいずれか1つに記載の方法。
【0050】
35.前記液化廃プラスチックフィードが、廃プラスチックの解重合によって得られ、次いで気液分離および任意的なさらなる分画および任意的なさらなる前処理によって得られる前記項目のいずれか1つに記載の方法。
【0051】
36.前記液化廃プラスチックフィードが、廃プラスチック熱分解油(WPPO)またはその画分を含む前記項目のいずれか1つに記載の方法。
【0052】
37.前記液化廃プラスチックフィードが、廃プラスチック水熱液化(HTL)油またはその画分を含む前記項目のいずれか1つに記載の方法。
【0053】
38.前記工程(b)における前記熱分解が水蒸気分解を含む前記項目のいずれか1つに記載の方法。
【0054】
39.前記熱分解リアクターへのフィードが、20~300重量ppm、好ましくは20~250重量ppm、より好ましくは20~100重量ppm、およびさらにより好ましくは50~65重量ppmの硫黄を含む前記項目のいずれか1つに記載の方法。
【0055】
40.前記熱分解工程(b)が、750℃~920℃、好ましくは750℃~890℃、より好ましくは800℃~880℃、およびさらにより好ましくは820℃~860℃の範囲から選択されるコイル出口温度(COT)で実施される前記項目のいずれか1つに記載の方法。
【0056】
41.前記熱分解工程(b)が、1.3bar~6.0bar、好ましくは1.3bar~3.0barの範囲内のコイル出口圧力(COP)で実施される前記項目のいずれか1つに記載の方法。
【0057】
42.前記熱分解工程(b)が、0.10~1.00、好ましくは0.25~0.85の範囲内の分解希釈剤、好ましくは水蒸気と総計のクラッカーフィードとのフローレート比(希釈剤のフローレート[kg/h]/総計のクラッカーフィードのフローレート[kg/h]で表される)で行われる前記項目のいずれか1つに記載の方法。
【0058】
43.前記工程(c)が、前記熱分解流出物からリサイクル流を回収する工程、および、1または複数の任意の水素化処理および/またはさらなる後処理の後、LWPフィードとのコフィードとして、前記リサイクル流を前記熱分解工程(b)中の熱分解に付す工程を含む前記項目のいずれか1つに記載の方法。
【0059】
44.前記工程(c)が、前記熱分解リアクターの前記流出物からプロピレンを含む少なくとも1つの画分を分離する工程をさらに含む前記項目のいずれか1つに記載の方法。
【0060】
45.前記工程(c)のあいだに、CO、CO2、MAPD、およびC22の少なくとも1つを除去するために、前記熱分解流出物の少なくとも一部を精製処理に付す段階を含む前記項目のいずれか1つに記載の方法。
【0061】
46.複数の熱分解炉を提供する工程、および
前記熱分解工程(b)を前記複数の熱分解炉の少なくとも1つで行う工程
を含む前記項目のいずれか1つに記載の方法。
【0062】
47.前記複数の熱分解炉から分解流出物を得る工程、任意には前記熱分解流出物の少なくとも1つを後処理する工程、および
複合分解生成物を形成するために、得られた熱分解流出物を混合する工程、および
任意には、CO、CO2、MAPD、およびC22の少なくとも1つを除去するために、前記複合分解生成物の少なくとも一部を精製処理に付す工程
を含む前記項目に記載の方法。
【0063】
48.前記工程(b)における前記熱分解が、コフィードの存在下で行われる前記項目のいずれか1つに記載の方法。
【0064】
49.前記工程(b)における前記熱分解が、炭化水素コフィードの存在下で行われる前記項目のいずれか1つに記載の方法。
【0065】
50.前記工程(b)における前記熱分解が、化石炭化水素コフィード、好ましくは化石ナフサコフィード、より好ましくはフルレンジナフサまたは軽質ナフサから選択される化石ナフサフィードの存在下で行われる前記項目のいずれか1つに記載の方法。
【0066】
51.前記コフィードが、以下の標準仕様:
15℃における比重が、最大で0.735g/mL、
リード蒸気圧が、最大で12.5psi、
色が、少なくとも+20セイボルト、
初留点が、少なくとも30℃、
最終沸点が、最大で180℃、
パラフィン含有量が、少なくとも65体積%、オレフィン含有量が、最大で1体積%、残りがナフテンおよび芳香族である、
硫黄含有量が、最大で500ppm、
2S含有量が、最大で10ppm、
鉛含有量が、最大で50ppb、
有機塩化物の含有量が、最大で3ppm、
MTBE含有量が、最大で50ppmである、
総計の酸素含有物含有量が、最大で100ppm、
水銀含有量が最大で5ppb
を満たす化石ナフサフィードである2つの前記2項目のいずれか1つに記載の方法。
【0067】
52.前記工程(b)における前記熱分解が、最大で35wt.-%、好ましくは最大で30wt.-%、最大で25wt.-%、最大で20wt.-%、最大で15wt.-%または最大で10wt.-%の芳香族およびナフテンの総計の含有量を有するコフィードの存在下で行われる前記項目のいずれか1つに記載の方法。
【0068】
53.前記工程(b)における前記熱分解が、最大で3.0wt.-%、好ましくは最大で1.0wt.-%、最大で0.75wt.-%、最大で0.50wt.-%、最大で0.30wt.-%または最大で0.10wt.-%の総計のオレフィン含有量を有するコフィードの存在下で実施される前記項目のいずれか1つに記載の方法。
【0069】
54.前記工程(b)における前記熱分解が、最大で1.0wt.-%、好ましくは最大で0.50wt.-%、最大で0.30wt.-%、最大で0.10wt.-%または最大で0.05wt.-%の総計の酸素含有物含有量を有するコフィードの存在下で行われる前記項目のいずれか1つに記載の方法。
【0070】
55.前記工程(b)における前記熱分解が、再生可能な炭化水素コフィード、例えば水素化処理された植物油および/または動物脂肪(HVO)の炭化水素コフィードの存在下で行われる前記項目のいずれか1つに記載の方法。
【0071】
56.前記工程(b)における前記熱分解が、フィッシャー・トロプシュ炭化水素コフィードの存在下で行われる前記項目のいずれか1つに記載の方法。
【0072】
57.前記液化廃プラスチックフィードを提供する工程が、液化廃プラスチックを提供するために固体廃プラスチックを解重合する段階を含む前記項目のいずれか1つに記載の方法。
【0073】
58.前記液化廃プラスチックフィードを提供する工程が、固体廃プラスチックを前処理する段階をさらに含む項目57に記載の方法。
【0074】
59.前記固体廃プラスチックの前処理が、前記固体廃プラスチックを、例えば紙、金属および/または堆肥化可能な廃棄物などの他の廃棄物から分離する工程を含む項目58に記載の方法。
【0075】
60.前記固体廃プラスチックの前処理が、前記固体廃プラスチックを乾燥させる工程を含む項目58~59のいずれか1つに記載の方法。
【0076】
61.前記固体廃プラスチックの前処理が、例えば前記固体廃プラスチックを切断すること、前記固体廃プラスチックを細断すること、および/または、前記固体廃プラスチックを粉砕することなどの前記固体廃プラスチックのサイズを減少させる工程を含む項目58~60のいずれか1つに記載の方法。
【0077】
62.前記固体廃プラスチックの前処理が、前記固体廃プラスチックを溶融する工程を含む項目58~61のいずれか1つに記載の方法。
【0078】
63.前記固体廃プラスチックを解重合する段階が、廃プラスチック熱解重合油を提供するための熱解重合を含む項目57から62のいずれか1つに記載の方法。
【0079】
64.前記固体廃プラスチックを解重合する段階が、廃プラスチック水熱液化油を提供するための水熱液化を含む項目57~63のいずれか1つに記載の方法。
【0080】
65.前記固体廃プラスチックを解重合する段階が、廃プラスチック熱分解油(WPPO)を提供するための熱分解を含み、前記熱分解が、熱的非触媒性熱分解または熱的触媒性熱分解であり得る項目57~64のいずれか1つに記載の方法。
【0081】
66.前記液化廃プラスチックフィードが、解重合された固体廃プラスチック、好ましくは廃プラスチック熱分解油(WPPO)または固体廃プラスチックからの水熱液化油のうちの少なくとも1つを含む項目57~65のいずれか1つに記載の方法。
【0082】
67.前記固体廃プラスチックが、選別された廃プラスチックを含む項目57~66のいずれか1つに記載の方法。
【0083】
68.前記固体廃プラスチックが、ポリオレフィンに富む廃プラスチックを含む項目57から67のいずれか1つに記載の方法。
【0084】
69.前記固体廃プラスチックが、ポリエチレンに富む廃プラスチックを含む項目57~68のいずれか1つに記載の方法。
【0085】
70.前記固体廃プラスチックが、前記固体廃プラスチックの総計の重量に対して、元素Oとして決定されて、15wt.-%以下、好ましくは10wt.-%以下、より好ましくは5wt.-%以下の酸素含有量を有する項目57~69のいずれか1つに記載の方法。
【0086】
71.前記固体廃プラスチックが、DSCによって測定されて、50%以上、好ましくは60%以上、または70%以上である、70~130℃の温度範囲における溶融エンタルピーと130~180℃の温度範囲における溶融エンタルピーとの間の比(E70-130℃/E130-180℃)を有する項目57~70のいずれか1つに記載の方法。
【0087】
72.前記固体廃プラスチックが、0.3以下、好ましくは0.2以下である、1168cm-1におけるFT-IRピークの強度I1168と1168cm-1および716cm-1におけるピークの総計の強度I1168+I716との間の強度比(I1168/[I1168+I716])を有する項目57から71のいずれか1つに記載の方法。
【0088】
73.前記液化廃プラスチックフィードを提供する工程が、液化廃プラスチックから少なくともガス状(NTP)成分を分離する段階を含む前記項目のいずれか1つに記載の方法。
【0089】
74.前記液化廃プラスチックフィードを提供する工程が、液化廃プラスチックから少なくともガス状(NTP)成分を分離する段階と、前記ガス状(NTP)成分から少なくとも1つのガス状(NTP)オレフィン種、好ましくは少なくともエチレンを回収することとを含む前記項目のいずれか1つに記載の方法。
【0090】
75.前記ガス状(NTP)成分から回収されたエチレンを、前記工程(c)で得られた画分と、または工程(c)で得られた画分由来の精製エチレン画分と、組み合わせる工程をさらに含む前記項目に記載の方法。
【0091】
76.前記液化廃プラスチックフィードを提供する段階(a)が、液化廃プラスチックを分画する段階、好ましくは、前記液化廃プラスチックフィードとして、中間留分および/またはナフサ留分、より好ましくはナフサ留分を産生する段階を含む前記項目のいずれか1つに記載の方法。
【0092】
77.前記液化廃プラスチックフィードを提供する段階(a)が、液化廃プラスチックから高沸点成分を分離する段階、好ましくは、450℃を超える沸点を有する成分を分離する段階を含む前記項目のいずれか1つに記載の方法。
【0093】
78.前記液化廃プラスチックフィードを提供する段階(a)が、液化廃プラスチックまたはその画分が前処理に付される少なくとも1つの前処理段階を含む前記項目のいずれか1つに記載の方法。
【0094】
79.前記前処理が、例えば相分離、蒸発および/または吸湿剤による乾燥などの前記液化廃プラスチックを乾燥させる工程を含む項目78に記載の方法。
【0095】
80.前記前処理が、脱塩、反応性抽出、溶媒抽出、吸着、酸化および還元からなる群より選択される少なくとも1つの処理に前記液化廃プラスチックを付すことを含む項目78~79のいずれか1つに記載の方法。
【0096】
81.前記前処理が、前記液化廃プラスチックからの例えばチャーなどの固体粒子の分離、例えば沈降、デカンテーション、遠心分離および/または濾過による分離などを含む項目78~80のいずれか1つに記載の方法。
【0097】
82.前記前処理が、前記液化廃プラスチックからのガス状(NTP)成分の分離、例えば気液分離および/または分画などを含む項目78~81のいずれか1つに記載の方法。
【0098】
83.前記前処理が、前記液化廃プラスチックの選択的なおよび/または温和な水素化、例えば、ジエンおよび/またはアルキンのモノオレフィンまたはアルカンへの選択的なおよび/または温和な水素化、および/または、MAPDのモノオレフィンまたはアルカンへの選択的なおよび/または温和な水素化を含む項目78~82のいずれか1つに記載の方法。
【0099】
84.前記液化廃プラスチックフィードが、2wt.-%以上、好ましくは5wt.-%以上、10wt.-%以上、15wt.-%以上、20wt.-%以上、または25wt.-%以上のn-オレフィンの含有量を有する前記項目のいずれか1つに記載の方法。
【0100】
85.前記液化廃プラスチックフィードが、35wt.-%以下、好ましくは30wt.-%以下、25wt.-%以下、20wt.-%以下、または15wt.-%以下の総計の芳香族含有量を有する前記項目のいずれか1つに記載の方法。
【0101】
86.3.0以下である、n-オレフィンに対するi-オレフィンの含有比を有する、熱分解のための液化廃プラスチックフィード。
【0102】
87.前記液化廃プラスチックフィードが、任意的に前処理された液化廃プラスチックまたはその画分、例えば任意的に前処理された廃プラスチック熱解重合油またはその画分を含む項目86に記載の熱分解のための液化廃プラスチックフィード。
【0103】
88.ポリエチレンに富む廃プラスチックの解重合を含むプロセスから得られる任意的に前処理された液化廃プラスチックまたはその画分である熱分解のための液化廃プラスチックフィード。
【0104】
89.項目1~85のいずれか1つに記載の液化廃プラスチックフィードのために定義されている特性をさらに有する項目86~88のいずれか1つに記載の液化廃プラスチックフィード。
【図面の簡単な説明】
【0105】
図1図1は、実施例で採用されたベンチスケールの熱分解装置を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0106】
本発明は、液化廃プラスチックをアップグレードするための方法に関する。本方法は、液化廃プラスチックフィードを提供する工程(工程a)と、液化廃プラスチックフィードを熱分解リアクター中で熱分解する工程(工程b)と、熱分解リアクターの流出物からエチレンを含む少なくとも1つの画分を分離する工程(工程c)とを含む。本発明によれば、液化廃プラスチックフィードは、3.0以下のn-オレフィンに対するi-オレフィンの含有比を有する。
【0107】
本発明において、液化廃プラスチック(LWP)とは、廃プラスチックを解重合して得られ得る液化プロセスからの生成物流出物を意味する。LWPは、通常、高い総計のオレフィン含有量を有する。オレフィンは従来、ダウンストリーム処理におけるコーキングの主な原因と考えられてきた。従来、LWPは、コーキング傾向を低減するために、例えば全水素化などのパラフィンへのオレフィンの厳しい水素化、または、さらに処理される前に他のワークアップ付されていた。
【0108】
本発明者らは、驚くべきことに、i-オレフィン含有量がエチレンおよびプロピレンの収率と相関し、ならびに、i-オレフィン含有量の低い液化廃プラスチックフィードを熱分解する際に、特にエチレンの高収率が達成され得ることを見出した。本発明者らはさらに、共役ジオレフィンが特に強力なコークス促進剤であることを見出した。
【0109】
この知見に基づき、本発明は、水素化を全く必要としない、またはより低い水素化しか必要としないにもかかわらず、価値の高い生成物、特にはエチレンの高い収率を達成する改良された方法を提供する。
【0110】
本発明の液化廃プラスチックフィードは、液化廃プラスチックに由来する。液化廃プラスチックとは、少なくとも廃プラスチックを解重合することを含む液化プロセスからの生成物流出物を意味する。液化プロセスは、典型的には、高温で、および好ましくは非酸化的条件下で実施される。液化プロセスは、高圧で行われてもよい。液化プロセスは、触媒の存在下で行われてもよい。液化プロセスからの流出物又はその画分は、そのまま液化廃プラスチックフィードとして適用されてもよく、又は、好ましくは、液化廃プラスチックフィードを提供するために少なくとも1つの前処理に付されてもよい。好適な前処理が以下に記載される。本発明において、液化廃プラスチックフィードを構成する材料について言及する場合、これは前処理された材料も包含することを意味する。換言すると、液化廃プラスチック原料を構成する材料とは、液化廃プラスチック原料を構成する任意に前処理された材料を意味するものである。例えば、LWPフィードが熱水液化油またはその留分であると記載する場合、これは、前処理された熱水液化油、熱水液化油の前処理された画分、前処理された熱水液化油の画分、および前処理された熱水液化油の前処理された画分を包含する。換言すると、任意の前処理は、分画の前、または分画の後、またはその両方で行われ得る。同様に、複数の分画が行われ得る。加えて、LWPフィードを得るために、LWPの2つまたは複数の任意的に前処理された画分が組み合わせられてもよい。2つまたは複数の画分は、同じまたは類似の沸点範囲を有していてもよいし、異なる沸点範囲を有していてもよい。
【0111】
液体(NTP)炭化水素、すなわち常温および常圧(NTP;20℃、絶対圧101.325kPa)で液体である炭化水素に加えて、液化プロセスからの典型的な生成物流出物は、ガス状(NTP)炭化水素、およびNTPではワックス状または固体であるが、例えば80℃への加熱などの加熱に際して液体になる炭化水素を含む。
【0112】
本開示の文脈において、廃プラスチックの解重合とは、出発廃プラスチックと比較してより小さい分子量のポリマーおよび/またはオリゴマー種をもたらす程度まで、典型的には少なくとも熱的に、廃プラスチックのポリマー骨格を分解または減成するが、依然として少なくとも液体(NTP)炭化水素を含むことを意味する。換言すると、本明細書で使用される場合、液化廃プラスチックは、これらがポリマー骨格の十分な開裂を含んでおらず、また廃プラスチックがモノマーレベルまで完全には解重合されておらず、およびしたがってガス状(NTP)形状ではないため、単なる溶融によりまたは溶媒中への溶解により得られ得る液体形態のプラスチックを含まない。廃プラスチックを解重合することは、任意的に存在するヘテロ原子含有化合物からの、例えばO、S、Nなどの共有結合したヘテロ原子の開裂もまた含む。
【0113】
当初、液化に付される廃プラスチック又は混合廃プラスチック中のそれぞれの廃プラスチック種は、固体状態であり、典型的には、下記に引用されるLarsenらの文献に記載されているように、DSCによって測定されて、100℃以上の範囲の融点を有する。しかしながら、廃プラスチックまたはそれぞれの廃プラスチック種は、解重合前および/または解重合のあいだに溶融され得る。
【0114】
固体廃プラスチックは、例えば充填剤、顔料、印刷、インク、難燃剤、安定剤、酸化防止剤、可塑剤、潤滑剤、ラベル、金属、紙、ボード、セルロース系繊維、ガラス繊維、さらには砂やその他のダートなどを含む、例えば添加剤、補強材などの様々なさらなる成分を含み得る。望ましい場合は、さらなる成分の一部は、一般的に知られている方法を用いて、固体廃プラスチックから、溶融廃プラスチックから、および/または、液化廃プラスチックから除去され得る。
【0115】
好ましくは、解重合に付され、およびしたがってLWPフィードのベース材料となる固体廃プラスチックは、固体廃プラスチックの総計の重量に対して、15wt.-%以下、好ましくは10wt.-%以下、より好ましくは5wt.-%以下の酸素含有量を有する。酸素含有量は、0wt.-%であってもよく、および、好ましくは0wt.-%~15wt.-%または0wt.-%~10wt.-%の範囲であってもよい。wt.-%で表される酸素含有量は、式(100wt.-%)-(CHN含有量+灰分含有量)を用いた差分によって決定され得、ここで、CHN含有量は、ASTM D5291に従って決定されて、炭素、水素および窒素の複合含有量を指し、ならびに、灰分含有量は、ASTM D482/EN15403に従って決定される灰分含有量を指す。本開示において、すべての規格は、それに反する記載がない限り、2021年12月1日で入手可能な最新版を指す。
【0116】
廃プラスチックを解重合することにより得られる液化廃プラスチックは、主として、典型的にはLWPの総計の重量に基づいて50wt.-%より多い、炭化水素を含み、である。典型的には、LWPは、パラフィン、オレフィン、ナフテンおよび芳香族から選択される2またはそれ以上の炭化水素を含む。LWPの組成は、例えば、固体廃プラスチックの組成、液化プロセスの種類および条件、ならびに任意の追加の処理などによって変わり得る。さらに、様々な種類の固体廃棄物プラスチックおよび回収された廃棄物に関連する不純物の組み合わせが、LWP中に様々な量のケイ素、硫黄、窒素、ハロゲン、および酸素関連物質を含む不純物の存在をもたらし得る。
【0117】
本発明の液化廃プラスチックフィードは、それが3.0以下のn-オレフィンに対するi-オレフィンの含有比を有する限り、特に限定されない。
【0118】
本発明において、特に断られていない限り、「含有比(content ratio)」とは、2つの成分の含有量の重量ベースの比を意味する。すなわち、請求項1に係る、3.0以下のn-オレフィンに対するi-オレフィンの含有比を有する液化廃プラスチックフィードとは、液化廃プラスチックフィード中のn-オレフィンの重量含有量で除された液化廃プラスチックフィード中のi-オレフィンの重量含有量が、3.0以下であることを意味する。
【0119】
本発明において、特に断られていない限り、「含有量(content)」とは、重量ベースの含有量であり、および、例えば液化廃プラスチックフィードの総計の重量などのベース材料の総計の重量に対して算出される。
【0120】
本発明において、i-オレフィンは分岐の非環状モノオレフィンを指し、n-オレフィンは直鎖の非環状モノオレフィンを指す。本明細書において、i-オレフィンはまた、イソオレフィンとも称され、および、n-オレフィンはまたノルマルオレフィンとも称される。少なくとも1つの炭素-炭素二重結合を有する全ての非芳香族化合物は、「総計のオレフィン(total olefins)」または単に「オレフィン(olefins)」と総称される。したがって、総計のオレフィン含有量は、少なくとも1つの炭素-炭素二重結合を有するすべての化合物の含有量の合計を意味する。
【0121】
液化廃プラスチックフィードは、好ましくは、2.5以下のn-オレフィンに対するi-オレフィンの含有比を有する。含有比は、より好ましくは、2.0以下、1.5以下、1.0以下、0.80以下、0.60以下、0.50以下である。特には、液化廃プラスチックフィードは、0~3.0、好ましくは0~2.0、0~1.5、0.01~1.0、0.02~0.80、0.03~0.60、または0.05~0.50のn-オレフィンに対するi-オレフィンの含有比を有し得る。
【0122】
n-オレフィンに対するi-オレフィンの低い含有比は、エチレン収率をさらに向上させ、および、コーキング傾向を低減し得る。
【0123】
液化廃プラスチックフィードは、好ましくは少なくとも40wt.-%、より好ましくは少なくとも50wt.-%、少なくとも55wt.-%、少なくとも60wt.-%、少なくとも65wt.-%、または少なくとも70wt.-%のi-オレフィン、n-オレフィン、i-パラフィンおよびn-パラフィンの総計の含有量を有する。例えば、液化廃プラスチックフィードは、40wt.-%~100wt.-%、例えば50wt.-%~100wt.-%、55wt.-%~100wt.-%、60wt.-%~100wt.-%、65wt.-%~100wt.-%、70wt.-%~100wt.-%、例えば、40wt.-%~99wt.-%、50wt.-%~99wt.-%、55wt.-%~99wt.-%、60wt.-%~99wt.-%、65wt.-%~99wt.-%、70wt.-%~99wt.-%、または70wt.-%~95wt.-%のi-オレフィン、n-オレフィン、i-パラフィンおよびn-パラフィンの総計の含有量を有し得る。
【0124】
本発明において、複数の成分の「総計の含有量(total content)」とは、個々の成分の含有量の合計を意味する。したがって、少なくとも40wt.-%であるi-オレフィン、n-オレフィン、i-パラフィンおよびn-パラフィンの総計の含有量を有する液化廃プラスチックフィードとは、液化廃プラスチックフィードの総計の重量に対するi-オレフィン、n-オレフィン、i-パラフィンおよびn-パラフィンの重量での合計の含有量が、40wt.-%以上、すなわち40wt.-%~100wt.-%の範囲内であることを意味する。
【0125】
本発明では、i-パラフィンおよびn-パラフィンを総称してパラフィンと呼ぶため、パラフィンの含有量はi-パラフィンおよびn-パラフィンの総計の含有量に対応する。この点において、i-パラフィンは分枝の非環状アルカンを指し、一方、n-パラフィンは直鎖の非環状アルカンを指す。本明細書では、i-パラフィンはイソパラフィンとも呼ばれ、および、n-パラフィンはノルマルパラフィンとも呼ばれる。
【0126】
LWPフィードは、これらの材料が分解されやすいため、パラフィンおよびオレフィンを多く含んでいることが特に好ましい。一方、芳香族は、非常に低い分解傾向をもち、およびしたがって、所望の高価値生成物、特にはエチレンには寄与しない。その非オレフィン部分が燃料目的とされる場合には特に、ベンゼン含有量の規制上の制約により、過剰な芳香族、特にベンゼンをLWPフィードからまたは分解生成物から除去することがさらに好ましいかもしれない。本発明において芳香族とは、縮合芳香族を含む、少なくとも1つの芳香環を有する化合物を指す。
【0127】
加えて、ナフテンは、有価値な材料へと分解することが難しく、さらに、かなり高いコーキング傾向を示す。したがって、LWPフィード中のi-パラフィン、n-パラフィン、i-オレフィンおよびn-オレフィンの含有量がより高くなると、例えばエチレンおよびプロピレンなど、特にはエチレンなどの有価値な生成物のより高い収率が期待される。
【0128】
本発明において、ナフテンとは、複数の不飽和を含む環状非芳香族分岐のまたは非分岐のアルカン、アルケンまたはアルキンを指す。パラフィン系ナフテンとは、環状の分岐または非分岐アルカンを指す。オレフィン系ナフテンとは、複数の不飽和を含む環状非芳香族分岐のまたは非分岐のアルケンを指す。
【0129】
液化廃プラスチックフィードは、典型的には、10wt.-%以上、例えば15wt.-%以上、20wt.-%以上、または30wt.-%以上の総計のオレフィン含有量を有する。オレフィンを多く含むことは、下流プロセスにとっては好ましくないが、LWPはもともと極めて高い含有量のオレフィンを含んでいる。実際、LWP製造プロセスに関して、高いオレフィン含有量は、より効果的な解重合プロセスの指標であり、最終的には、価値ある材料の全体的な収率の向上をもたらす。驚くべきことに、本発明の方法、特には熱分解工程は、このような困難なフィードを扱うことができる。換言すると、オレフィンの飽和または全水素化を含む例えば水素化などの特定の手段によってオレフィン含有量を顕著に低下させることは必要でなく、また望ましくもない。しかしながら、当然のこととして、温和なまたは選択的な水素化は本発明によって排除されない。このような温和なおよび/または選択的な水素化は、例えば、ジオレフィン、特には共役ジオレフィンをモノオレフィンに変換するために使用され得る。このような温和なおよび/または選択的な水素化は、同様に、アルキンをアルケンおよび/またはアルカンに変換するため、および/または、MAPDすなわちメチルアセチレンおよびプロパジエンを単純なモノオレフィンに変換するために使用され得る。温和な水素化はまた、金属およびハロゲンの除去にも有用である。このような温和なおよび/または選択的な水素化は、前述の材料が強力なコークス促進剤であることが判明したため、特に好ましい。
【0130】
それにもかかわらず、液化廃プラスチックフィードは、90wt.-%以下、好ましくは80wt.-%以下、70wt.-%以下、または60wt.-%以下の総計のオレフィン含有量を有することが好ましい。例えば、液化廃プラスチックフィードは、10wt.-%~90wt.-%、例えば15wt.-%~80wt.-%、20wt.-%~70wt.-%、20wt.-%~60wt.-%、または30wt.-%~60wt.-%の範囲の総計のオレフィン含有量を有し得る。
【0131】
液化廃プラスチックフィードは、好ましくは、10重量%以上、より好ましくは12重量%以上、15重量%以上、または20重量%以上のジオレフィンに対するモノオレフィンの含有比を有する。特定の上限はないが、含有比は、例えば、1000以下、例えば100以下であり得る。本発明者らは、驚くべきことに、ジオレフィンに対するモノオレフィンの高い相対的含有量が、コーキング傾向を顕著に低減することを見出した。具体的には、従来、一般にオレフィンは高いコーキング傾向をもたらすと想定されていたが、本発明者らは、ジオレフィンの割合が高い場合にオレフィンが主に、高いコークス量を生成する傾向があり、特に共役ジオレフィンが高いコーキング傾向をもたらすことを発見した。
【0132】
本発明の液化廃プラスチックフィードは、好ましくは、0~2.0、より好ましくは1.7以下、1.5以下、1.0以下、または0.90以下のn-パラフィンに対するi-パラフィンの含有比を有する。請求項1において規定されるi-オレフィン/n-オレフィン比を有することに加えて、i-パラフィンの比較的低い割合を有するこのようなLWPフィードを適用することは、分解工程のエチレン収率をさらに向上させ得る。n-パラフィンに対するi-パラフィンの含有比は、特には、0.80以下、例えば0.70以下、0.60以下、0.50以下、0.40以下、0.30以下、0.20以下、0.15以下、0.10以下、0.09以下、0.08以下、0.07以下、0.06以下、0.05以下、または0.04以下であり得る。
【0133】
液化廃プラスチックフィードは、好ましくは、5wt.-%以上、10wt.-%以上、12wt.-%以上、15wt.-%以上、17wt.-%以上、19wt.-%以上、20wt.-%以上の総計のパラフィン含有量を有する。総計のパラフィン含有量は、例えば、5wt.-%~100wt.-%、例えば5wt.-%~80wt.-%、5wt.-%~60wt.-%、または20wt.-%~60wt.-%であり得る。パラフィンの高い含有量は、エチレン収率を好適に高め得、一方、芳香族は、熱分解によっては軽質オレフィンに転化されにくい。従って、液化廃プラスチックフィードは、好ましくは、0wt.-%~35wt.-%、より好ましくは30wt.-%以下、25wt.-%以下、20wt.-%以下、または15wt.-%以下の総計の芳香族含有量を有する。液化廃プラスチックフィードは、好ましくは、0wt.-%~30wt.-%、より好ましくは25wt.-%以下、20wt.-%以下、または15wt.-%以下の総計のモノ芳香族含有量を有する。モノ芳香族とは、正確に1つの芳香環を有する、すなわち縮合芳香環または複数の非縮合芳香環を含まない化合物を指す。
【0134】
液化廃プラスチックフィードは、好ましくは、20wt.-%~100wt.-%、より好ましくは23wt.-%以上、25wt.-%以上、27wt.-%以上、30wt.-%以上、例えば30wt.-%~100wt.-%、または30wt.-%~95wt.-%のn-パラフィンおよびn-オレフィンの総計の含有量を有する。液化廃プラスチックフィードは、好ましくは、0.40以上、より好ましくは0.50以上、0.60以上、0.70以上、0.80以上、0.90以上、1.00以上、1.20以上、1.40以上、1.60以上、1.80以上、2.00以上、2.50以上、または3.00以上である、総計のi-パラフィンおよびi-オレフィンに対する総計のn-パラフィンおよびn-オレフィンの、重量による含有比([nP]+[nO])/([iP]+[iO])を有する。含有比([nP]+[nO])/([iP]+[iO])は、特に限定されないが、例えば、0.40~1000.00、例えば0.40~100.00、又は0.40~50.00であり得る。液化廃プラスチックフィードは、好ましくは、60wt.-%以下、より好ましくは55wt.-%以下、または50wt.-%以下、例えば0wt.-%~60wt.-%、5wt.-%~60wt.-%、または10wt.-%~60wt.-%である、n-オレフィン、i-オレフィンおよびジオレフィンの総計の含有量([nO]+[iO]+[diO])を有する。液化廃プラスチックフィードは、好ましくは、5以上、より好ましくは8以上、または10以上である、ジオレフィンに対するn-オレフィンおよびi-オレフィンの総計の含有比(([nO]+[iO])/[diO])を有する。上記の範囲は、好ましい生成物の収率をさらに向上させる。
【0135】
LWPフィードに関しては、以下の式:
[iO]×[diO]<α
ここで、[iO]はLWPフィード中のi-オレフィンの重量含有量であり、および、[diO]はLWPフィード中のジオレフィンの重量含有量であり、および、αは100、好ましくは90、80、または75である
が満たされることが好ましい。
【0136】
LWPフィードに関しては、以下の式:
([iO]+2×[iP])×[diO]<β
ここで、[iO]はLWPフィード中のi-オレフィンの重量含有量であり、および[diO]はLWPフィード中のジオレフィンの重量含有量であり、およびβは150、好ましくは130、120、100、90、80、または75である
が満たされることが好ましい。
【0137】
本発明者らは、驚くべきことに、ジオレフィン、および特には共役ジオレフィンと組み合わされたi-オレフィンおよび/または総計の異性体の高い含有量が、ジオレフィンの絶対量が比較的低い場合であってさえも、高いコーキング傾向をもたらすことを見出した。
【0138】
好ましくは、液化廃プラスチックフィードは、0wt.-%~5.0wt.-%、より好ましくは4.0wt.-%以下、3.0wt.-%以下、2.5wt.-%以下、2.0wt.-%以下、1.5wt.-%以下、または1.0wt.-%以下のジオレフィンの含有量を有する。好ましくは、液化廃プラスチックフィードは、0wt.-%~5.0wt.-%以下、より好ましくは4.0wt.-%以下、3.0wt.-%以下、2.0wt.-%以下、1.0wt.-%以下、0.75wt.-%以下、または0.50wt.-%以下である共役ジオレフィンの含有量を有する。
【0139】
液化廃プラスチックフィードが、0~10.0mgKOH/g、より好ましくは8.0mgKOH/g以下、6.0mgKOH/g以下、4.0mgKOH/g以下、2.0mgKOH/g以下、1.5mgKOH/g以下、1.0mgKOH/g以下、0.9mgKOH/g以下、0.8mgKOH/g以下、0.7mgKOH/g以下、0.6mgKOH/g以下、または0.5mgKOH/g以下である酸度を有することがまた好ましい。酸度は、ISO6619に準拠して測定され得る。液化廃プラスチックフィードは、0wt.-%~1.50wt.-%、好ましくは1.40wt.-%以下、1.30wt.-%以下、1.20wt.-%以下、1.10wt.-%以下、1.00wt.-%以下、0.90wt.-%以下、または0.80wt.-%以下の酸素含有量を有し得る。酸素含有量(wt.-%)は、式(100wt.-%)-(CHN含有量+灰分含有量)を用いた差分によって測定され得、ここで、CHN含有量とは、ASTM D5291に準拠して測定される炭素、水素および窒素の複合含有量を指し、ならびに、灰分含有量とは、ASTM D482/EN15403に準拠して測定される灰分含有量を指す。イソパラフィンおよびi-オレフィンは、非分岐の炭化水素よりも酸化反応に対してより脆弱であり、したがって、LWPフィード中の酸素含有量をできるだけ低くすることが有益である。
【0140】
液化廃プラスチックフィードは、好ましくは、0wt.-%~50wt.-%、より好ましくは40wt.-%以下、30wt.-%以下、または20wt.-%以下である、i-パラフィンおよびi-オレフィンの総計の含有量を有する。
【0141】
液化廃プラスチックフィードは、好ましくは、0wt.-%~10wt.-%、より好ましくは8wt.-%以下、6wt.-%以下、または5wt.-%以下のC9 i-オレフィン含有量を有する。本発明者らは、驚くべきことに、特にC9 i-オレフィンが、分解工程におけるエチレンの収率を著しく低下させる傾向があることを発見した。
【0142】
液化廃プラスチックフィードは、好ましくは、2wt.-%以上、より好ましくは5wt.-%以上、10wt.-%以上、15wt.-%以上、20wt.-%以上、または25wt.-%以上のn-オレフィンの含有量を有する。
【0143】
液化廃プラスチックフィードは、好ましくは、35wt.-%以下、より好ましくは30wt.-%以下、25wt.-%以下、20wt.-%以下、または15wt.-%以下の総計の芳香族含有量を有する。
【0144】
好ましくは、180℃以下、好ましくは165℃以下のT95温度を有する液化廃プラスチックフィードの画分は、10wt.-%以下、好ましくは8wt.-%以下、6wt.-%以下、または5wt.-%以下のC9 i-オレフィンの総計の含有量を有する。T95温度(95vol-%回収)は、EN ISO 3405-2019に従って測定される。
【0145】
好ましくは、液化廃プラスチックフィードは、本質的に、廃プラスチック液化プロセスの液体生成物またはその画分から構成される。換言すると、液化廃プラスチックフィード(LWPフィード)は、好ましくは、少量または無視できる量のガス状(NTP)成分および例えばチャーなどの固体/非蒸発材料のみを含む。LWPフィードの製造方法に依存して、廃プラスチック液化プロセスの流出物は、多量のガス状(NTP)成分を含み得、場合によっては、流出物すなわち液化生成物の50wt.-%を超えることさえある。本明細書において「本質的に構成される(consisting essentially of)」という用語は、少なくとも95wt.-%の含有量を意味し、および、100wt.-%までであり得る。
【0146】
特には、液化廃プラスチックフィードは、好ましくは、1.5wt.-%以下、好ましくは1.0wt.-%以下、より好ましくは0.5wt.-%以下の、ガス状(NTP)成分含有量を有する。ガス状(NTP)成分の含有量は、例えば、0wt.-%~1.5wt.-%であり得る。ここで、ガス状(NTP)成分とは、常圧101.325kPaおよび絶対温度20℃(NTP)においてガス状である成分をいう。このようなガス状(NTP)成分は、典型的には、高い割合の軽質オレフィン、特にはエチレン、プロピレン、ブテンおよびブタジエンを含み、これらはより良好には分解前に利用/分離され得る。さらに、ガス状(NTP)成分中の炭化水素は、非ガス状(NTP)成分と比較して、大きく異なる最適熱分解条件を有する傾向があり、したがって、ガス状(NTP)成分を非ガス状(NTP)成分と一緒に分解することは好ましくない。
【0147】
同様に、液化廃プラスチックフィードは、このような成分は分解段階において問題を引き起こしうるため、好ましくは、1000wt.-ppm以下、好ましくは100wt.-ppm以下、より好ましくは10wt.-ppm以下の、固体成分含有量を有する。固体成分は含まれなくともよい(含有量が0wt.-ppm)。本発明において、固体成分とは、LWPフィード中において不溶性である成分を指す。したがって、それらの含有量は、ISO 663に従って決定され得る。LWPフィード中の固体成分の例としては、加熱管から生じるコークス粒子、腐食による鉄スケール、例えば鉄、ヒ素、カルシウムを含有する化合物などの溶解性不純物、塩化ナトリウム、上流の添加剤に含まれるケイ素、および上流プロセスからのその他の不純物などが挙げられる。
【0148】
固体成分は、液化廃プラスチック中に多く含まれる可能性がある。従って、LWPフィードを提供するために、LWPまたはその画分が前処理されることが好ましく、ここで、前処理は固体成分の除去を少なくとも含む。従来の技術および装置が、固体成分を除去するために適用され得る。このような装置としては、例えば、脱塩装置、フィルター、コアレッサーなどが挙げられる。このような装置は、例えば、熱分解装置のフィードトレイン内に設けられ得る。したがって、熱分解装置に入るフィード中の低い固体含有量が確実なものとされ得る。
【0149】
液化廃プラスチックフィードは、任意的に前処理された廃プラスチック熱分解油(WPPO)もしくはその任意的に前処理された画分、または、任意的に前処理された廃プラスチックベースの水熱液化油(HTL油)もしくはその任意的に前処理された画分であり得る。廃プラスチックベースのHTL油(waste plastic-based HTL oil)との用語は、廃プラスチックの水熱液化によって製造される油を指す。
【0150】
液化廃プラスチックフィードは、好ましくは、廃プラスチック液化の生成物、好ましくはポリオレフィン富化廃プラスチックの液化の生成物、より好ましくはポリエチレン富化廃プラスチックの液化の生成物の任意的に前処理された画分を含む。本発明の文脈において、「ポリオレフィン富化(polyolefin-rich)」という用語は、50wt.-%~100wt.-%、好ましくは少なくとも60wt.-%、または少なくとも70wt.-%である、液化に付される全廃プラスチックに対するポリオレフィン含有量を意味する。同様に、「ポリエチレン富化(polyethylene-rich)」という用語は、50wt.-%~100wt.-%、好ましくは少なくとも60wt.-%、または少なくとも70wt.-%である、液化に付される全廃プラスチックに対するポリエチレン含有量を意味する。ポリオレフィンおよび/またはポリエチレンの含有量は、例えばDSC、融解エンタルピー、FT-IR、NMR、特には固体NMRなどの一般的に知られている方法を用いて決定され得る。
【0151】
より特には、70~130℃におけるDSC融解エンタルピーE70-130℃、および130~180℃におけるDSC融解エンタルピーE130-180℃が、ポリプロピレンおよびポリエチレンを測定し、および、区分けするために使用され得る。DSCすなわち動的走査熱量測定は、毎分5℃の昇温条件下で実施され得、および、好ましくは解重合に付される固体廃プラスチックの均質化サンプルで測定される。この点において、70~130℃のDSC溶融エンタルピーは、廃プラスチック中のポリエチレン材料に対応し、130~180℃のDSC溶融エンタルピーは、廃プラスチック中のポリプロピレン材料に対応する。
【0152】
1168cm-1および716cm-1におけるFT-IRピークもまた、ポリエチレンベースの材料の相対的な含有量を測定するために使用することができる。
【0153】
しかしながら、本発明の文脈において、産業廃棄物プラスチック選別プラントで一般的に適用される、すなわち近赤外(NIR)分析に基づく含有量の決定が完全に十分であり、および、本発明において好ましく適用される。高い割合のポリオレフィン、特にはポリエチレンを適用することは、LWPフィードの組成に好適に影響し、および、特には、熱分解工程におけるエチレン収率を増加させる。
【0154】
液化廃プラスチックフィードは、好ましくは、液化廃プラスチックのナフサ留分または液化廃プラスチックの中間留分を含む、またはそれらから構成される。特に好ましくは、それは、液化廃プラスチックのナフサ留分を含むか、またはそれから構成される。本発明者らは、驚くべきことに、LWPのナフサ留分がより少ないコーキングを引き起こすことを発見した。
【0155】
液化廃プラスチックフィードを提供する工程は、液化廃プラスチックから少なくともガス状(NTP)成分を分離する段階、すなわち、常圧および常温(「NTP」)でガス状である成分を少なくとも分離する段階を含み得る。少なくともガス状(NTP)成分を分離する段階は、単に、脱気と称され得る。脱気の結果は、脱気された液化廃プラスチックと称され得る。従って、好ましくは、上述の、低い含有量のガス状(NTP)成分が達成され得る。液化廃プラスチックフィードを提供する工程は、特には、液化廃プラスチックから少なくともガス状(NTP)成分を分離する段階と、ガス状(NTP)成分から少なくともオレフィンを回収する段階とを含んでいてもよい。したがって、価値の高い材料であるガス状(NTP)成分中の軽質オレフィンは、熱分解工程に付されるよりも、バリューチェーンに添加され得、したがって、プロセス全体の収率、特にはエチレン収率を向上させる。
【0156】
液化廃プラスチックフィードを供給する工程は、例えば粗LWPすなわち液化プロセスの任意には脱気された流出物などの液化廃プラスチックを分画する段階を含み得、これによりLWPの画分が提供される。分画段階は、好ましくは、中間留分および/またはナフサ画分、より好ましくはナフサ画分をもたらす。次いで、これらの画分のそれぞれが、任意の前処理の後、本発明の液化廃プラスチックフィードとして提供され得、および、分解工程に付され得る。
【0157】
液化廃プラスチックフィードを提供する工程は、好ましくは、液化廃プラスチックまたは液化廃プラスチックの画分を前処理することを含む。適切な前処理は、分画の前および/または後に実施され得る。参照を容易にするために、任意的に前処理された液化廃プラスチックは単純に液化廃プラスチックと称され得、および、任意的に前処理された液化廃プラスチックの画分は単純に液化廃プラスチックの画分と称され得る。
【0158】
液化廃プラスチックフィードを提供する工程は、液化廃プラスチックから高沸成分を分離する段階を含んでいてもよい。「高沸点(high-boiling)」成分、または単純に「重質成分(heavies)」は、好ましくは、常圧で450℃より高い温度で沸騰する成分である。使用される液化変換技術に依存して、LWPは、重質成分を含んでいてもよく、含んでいなくてもよい。実質的な量が例えば粗LWP中などに存在している場合、重質成分は、それらがエチレンおよび/またはプロピレンに容易に変換しないため、熱分解段階の前に好ましくは除去される。代替的には、液化変換技術は、潜在的な重質成分が処理され、したがって液化変換流出物中、すなわち粗LWP中に入らないように、選択され得る。
【0159】
液化廃プラスチックフィードを提供する工程は、廃プラスチックを熱的解重合する段階を含み得る。すなわち、熱解重合は、LWPを製造するための標準的な方法である。熱重合法の中では、水熱液化(HTL)および例えば高速熱分解などの熱分解を挙げることができる。
【0160】
液化廃プラスチックフィードは、選別された廃プラスチックに基づいてもよい。換言すると、固体廃プラスチック、すなわち液化に付される前の廃プラスチックは、選別された廃プラスチックを含み得るか、本質的にそれから構成され得るか、またはそれから構成され得る。特には、消費者向けプラスチックリサイクルにおいて、選別されたグレードの廃プラスチックは容易に入手可能である。従って、固体廃プラスチックの組成、およびその結果としてのLWPフィードの組成および/または特性は、異なる液化条件を使用することのみならず、種々の固体廃プラスチックのグレード、例えば種々のグレードの選別廃プラスチック使用することによっても同様に調整され得る。
【0161】
固体廃プラスチックはまた、種々の種類の選別廃プラスチックの混合物を含み得る。同様に、液化廃プラスチックは、種々の種類の任意的に前処理された液化選別廃プラスチックを含み得る。液化廃プラスチックフィードは、任意的に前処理された液化廃プラスチックの種々の画分の混合物および/または任意的に前処理された液化選別廃プラスチックの種々の画分の混合物を含み得る、それらから本質的に構成され得る、またはそれらから構成され得る。
【0162】
固体廃プラスチックは、特に好ましくは、ポリオレフィン富化廃プラスチック、より好ましくはポリエチレン富化廃プラスチックを含む。ポリエチレン(PE)は、例えばLLDPE(直鎖の低密度PE)、LDPE(低密度PE)またはHDPE(高密度PE)などの任意の種類のポリエチレンであり得る。ポリオレフィン富化廃プラスチックは、好ましいi-オレフィン、n-オレフィン、i-パラフィンおよびn-パラフィンの総計の含有量ならびにn-オレフィンに対するi-オレフィンの比を有するLWPフィードへより容易に変換され得るので、そこからLWPフィードが導かれ得る固体廃プラスチックとして好ましい。さらに、このような材料は、ジオレフィンの低い含有量を有する傾向がある。さらに、固体廃プラスチック中の高いポリオレフィン含有量は、LWPフィード中のより低い酸素含有物含有量を結果としてもたらす傾向があり、特には熱分解のあいだの低い一酸化炭素生成に寄与し、したがって特に望ましいエチレン製造に有利に働き、および、重合触媒に有害であることが知られている不純物種を少なくすることによりダウンタイムを短縮する。ポリエチレン富化固体廃プラスチックは、n-オレフィンに対するさらにより低いi-オレフィンの比さえも可能にするためより好ましい。さらに、総計の異性体含有量、すなわちi-オレフィンおよびi-パラフィンの合計含有量は、より低く調整され得、これは熱分解のあいだのコーク生成を低減することに寄与し、これは減少されたMAPD生成に関係すると推定される。特には、生成物中の高いMAPD含有量は、不安定な中間体であるシクロプロピン(C32)またはシクロプロペン(C34)が高いレベルで存在しているかもしれないことを示していると推定される。これらの中間体は、特に強力なコークス生成促進剤であり、および、多芳香族の生成に迅速に寄与する。
【0163】
液化廃プラスチックを提供する工程は、液化廃プラスチックを提供するために固体廃プラスチックを解重合する段階を含み得る。
【0164】
液化廃プラスチックフィードを提供する工程は、固体廃プラスチックを前処理する段階をさらに含むことができる。前処理段階は、固体廃プラスチックを他の廃棄物、例えば紙、金属および/または堆肥化可能な廃棄物から分離することを含み得る。前処理段階は、固体廃プラスチックを水で洗浄することを含んでいてもよい。前処理段階は、固体廃プラスチックを乾燥することを含んでいてもよい。前処理段階は、例えば固体廃プラスチックを切断する、固体廃プラスチックを細断する、および/または、固体廃プラスチックを粉砕するなどの固体廃プラスチックのサイズを減少させることを含んでいてもよい。前処理段階は、固体廃プラスチックを溶融することを含んでいてもよい。この点に関して、溶融とは、本質的にポリマー骨格を分解することなく、固体廃プラスチックを溶融物に変換することを意味する。
【0165】
固体廃プラスチックを解重合する段階は、液化廃プラスチックを提供するための熱解重合を含み得る。固体廃プラスチックを解重合する段階は、廃プラスチック熱水液化油(HTL油)を提供するための熱水液化を含んでいてもよい。固体廃プラスチックを解重合する段階は、廃プラスチック熱分解油(WPPO)を提供するための熱分解を含んでいてもよく、ここで熱分解は、熱的非触媒性熱分解または熱的触媒性熱分解であり得る。本明細書において、廃プラスチック熱水液化油および廃プラスチック熱分解油は、いずれも、液化廃プラスチックの画分、より特にはその液体(NTP)画分の実施形態である。
【0166】
本発明において使用可能な解重合プロセスの具体的な条件を以下に示されている。
【0167】
一般に、水熱液化および熱分解の両方が熱液化プロセスである。
【0168】
廃プラスチックの水熱液化(HTL)において、廃プラスチックは、超臨界水または亜臨界もしくは臨界に近い水と、典型的には250℃~550℃、好ましくは280℃~400℃の温度で;典型的には5MPa~50MPaの絶対圧、好ましくは7MPa~30MPaで;典型的には0.1h~10h、好ましくは0.5h~6hである接触時間で、接触される。水熱液化は、典型的には、非酸化的条件下で行われる。非酸化的条件は、例えば、液化装置を例えば窒素などの不活性ガスでパージすることによって達成され得る。温度および接触時間を低下させることにより、より少ないガス状(NTP)生成物およびより多い液体(NTP)生成物が得られ得る。
【0169】
典型的には、水熱液化は、他の液化方法よりも廃プラスチック中の水分に対してより寛容である。従って、HTLのための廃プラスチックは、熱分解の場合よりもより少ない乾燥のための労力しか必要としないであろう。全体として、HTLは、より少ないエネルギー消費で液化を達成し得る。さらに、HTLにおいて、プロセスの過程で放出されやすい水素イオンが、ヘテロ原子の開裂を促進し得、および、コークス形成ラジカルを安定化し得る。したがって、HTLは、より少ないヘテロ原子を含む液化廃プラスチックを提供し得る。さらに、HTLプロセスから得られるLWPは、例えば熱分解、および特には水蒸気分解などの下流の処理においてより少ないコーキングが存在し得るような品質を有する。
【0170】
熱的非触媒性熱分解は、典型的には、300℃~850℃、好ましくは400℃~800℃の範囲の温度を用いる。このプロセスは、典型的には、大気圧で、通常、非酸化的条件下で、特には空気の非存在下で行われる。非酸化的条件は、例えば、液化装置を例えば窒素などの不活性ガスでパージすることによって達成され得る。
【0171】
熱的触媒性熱分解は、典型的には、250℃~500℃、好ましくは300℃~450℃の範囲の温度を用いる。このプロセスは、典型的には、大気圧で、通常、非酸化的条件下で、特には空気の非存在下で行われる。このプロセスは、典型的には、固体触媒、好ましくは酸性固体触媒、例えば酸性FCC触媒、酸性ゼオライト触媒、または酸性シリカ-アルミナ触媒、いくつか名前を挙げるとすれば例えばZSM-5もしくはH-超安定Y型ゼオライトなどを用いる。非酸化的条件は、例えば、液化装置を例えば窒素などの不活性ガスでパージすることによって達成され得る。
【0172】
液化廃プラスチックフィードは、好ましくは、任意的に前処理された解重合固体廃プラスチックまたはその画分、好ましくは、任意的に前処理された熱解重合廃プラスチックまたはその画分を含む。固体廃プラスチックは、好ましくは、選別された廃プラスチックを含む。固体廃プラスチックは、ポリオレフィン富化廃プラスチックを含み得る。固体廃プラスチックは、特には、ポリエチレン富化廃プラスチックを含み得る。
【0173】
固体廃プラスチックが、15wt.-%以下、好ましくは10wt.-%以下、より好ましくは5wt.-%以下である、固体廃プラスチックの総計の重量に対する酸素含有量を有していることが好ましい。酸素含有量(wt.-%)は、式(100wt.-%)-(CHN含有量+灰分含有量)を用いた差分によって決定され得、ここで、CHN含有量は、ASTM D5291に従って決定されて、炭素、水素および窒素の複合含有量を指し、ならびに、灰分含有量は、ASTM D482/EN15403に従って決定される灰分含有量を指す。
【0174】
固体廃プラスチックは、好ましくは、廃プラスチックを含み、ここで、DSCによって測定される、70~130℃の温度範囲における溶融エンタルピーと130~180℃の温度範囲における溶融エンタルピーとの間の比、E70-130℃/E130-180℃は、50%~100%、好ましくは60%以上、または70%以上である。
【0175】
同様に、固体廃プラスチックは、好ましくは、廃プラスチックを含み、ここで、1168cm-1におけるFT-IRピークの強度I1168と1168cm-1および716cm-1におけるピークの総計の強度I1168+I716との間の強度比、I1168/[I1168+I716]は、0~0.3、好ましくは0.2以下である。
【0176】
強度比I1168/[I1168+I716]は、廃プラスチック材料中のポリエチレンの含有量を測定する場合に特に有用であることが見出されており(参照:Larsenら、「Determining the PE fraction in recycled PP」、Polymer testing、96巻、2021年4月、107058)、0.3以下の比が、本発明において好ましいと考えられる。Larsenらの論文はさらに、本発明で使用可能なFT-IR法、および、本発明において融解エンタルピーを測定するためのDSC法を記載している。
【0177】
液化廃プラスチックフィードは、好ましくは、150℃以下、好ましくは120℃以下、または100℃以下の初留点を有する。
【0178】
好ましくは、液化廃プラスチックフィードは、固体廃プラスチックの液化、その後の気液分離および任意的な分画、ならびに任意的なさらなる前処理によって得られる。液化廃プラスチックフィードは、液化廃プラスチック(LWP)の任意の画分、好ましくは液化プロセス流出物の脱気画分、または、液化廃プラスチックの液体画分および/またはワックス状画分、またはそれらの2つまたはそれ以上の混合物を含んでいてもよく、またはそれらから構成されていてもよい。LWPのワックス状画分はまた、しばしば、テトラヒドロフラン抽出可能なLWP画分とも称される。特には、LWPフィードは、LWPのナフサ画分および/または中間蒸留(MD)画分を含んでいてもよく、またはそれらから構成されていてもよい。前述されたように、本明細書で言及された任意の画分は、分画前、または、分留後、または、分留前および分留後に前処理され得る。
【0179】
本発明において、LWPのナフサ画分は、好ましくは、20℃以上、好ましくは25℃以上、または30℃以上であるT5温度、および、180℃以下のT95温度を有する、より好ましくは、30~180℃、40~180℃、または40~165℃であるT5~T95沸点範囲を有する画分である。T5温度とT95温度の差(T95-T5)は、少なくとも20℃、例えば20℃~150℃、20℃~120℃、または30℃~80℃の範囲などであり得る。LWPのMD画分は、160℃以上のT5温度と360℃以下のT95温度とを有する画分であり、より好ましくは160~360℃、160~330℃、または165~300℃のT5~T95沸点範囲を有する画分である。T5温度とT95温度との差は、少なくとも40℃、例えば40℃~200℃、40℃~150℃、または50℃~100℃の範囲であり得る。沸点および沸点範囲は、特に断りのない限り、大気圧すなわち常圧101.325kPaを基準とする。T5温度(5vol回収率)およびT95温度(95vol%回収)ならびにその他の温度は、EN ISO 3405-2019に従って測定され得る。
【0180】
工程(b)における熱分解は、水蒸気分解を含んでいてもよい。水蒸気分解は、種々の不純物に対して(特に、触媒性プロセスと比較して)寛容であるため、この分解技術は、本発明において一般的に好ましい。
【0181】
熱分解リアクターへのフィード(総計のクラッカーフィードとも称される)は、20~300重量ppm、好ましくは20~250重量ppm、より好ましくは20~100重量ppm、およびさらにより好ましくは50~65重量ppmの硫黄を含み得る。熱分解リアクターへのフィードとは、液化廃プラスチックフィード、任意のコフィード、および任意の添加物を指す。
【0182】
任意の従来の熱分解添加剤が分解工程(b)に添加され得る。このような従来の熱分解添加剤の例としては、例えばジメチルジサルファイド(DMDS)または二硫化炭素(CS2)などの硫黄含有種(硫黄添加剤)が挙げられる。DMDSは特に好ましい硫黄添加剤である。硫黄添加剤は、LWPフィードおよび任意のコフィードを熱分解に供給する前に、LWPフィードと、任意のコフィードと、またはその両方と、混合され得る。代替的または追加で、硫黄添加剤は、硫黄添加剤を含む希釈剤、好ましくは水蒸気を熱分解炉中に注入することによって添加され得る。
【0183】
熱分解工程(b)は、750℃~920℃、好ましくは750℃~890℃、より好ましくは800℃~880℃、およびさらに好ましくは820℃~860℃の範囲から選択されるコイル出口温度(COT)下で実施され得る。
【0184】
従来のフィードを熱分解に付す場合、高い分解温度は、エチレン生産に有利に働く傾向がある。しかしながら、本発明のLWPフィードを含むクラッカーフィードを適用した場合、驚くべきことに、同じエチレン収率が、より低いCOTで達成され得ることが見出された。この効果は、LWP中に一般的に存在する高いオレフィン含有量と少なくとも部分的に関連していると推定される。
【0185】
熱分解工程(b)は、例えば1.3bar~6.0bar、好ましくは1.3bar~3.0barの範囲から選択されるコイル出口圧力(COP)などの従来の条件下で実施され得る。特に指定のない場合、圧力は絶対圧に関する。
【0186】
例えば水蒸気分解における水蒸気などの熱分解希釈剤を適用する場合、熱分解工程(b)は、好ましくは、0.10~1.00、好ましくは0.25~0.85の範囲内である、熱分解希釈剤、好ましくは水蒸気とLWPフィードおよび任意のコフィードとの間のフローレート比(希釈剤のフローレート[kg/h]/LWPフィードおよび任意のコフィードのフローレート[kg/h])で実施される。
【0187】
工程(c)は、熱分解流出物からリサイクル流を回収すること、および、1つまたは複数の任意の水素化処理および/またはさらなる後処理の後、LWPフィードとのコフィードとして熱分解工程(b)内の熱分解にリサイクル流を付すことを含み得る。未変換反応物をリサイクルすることは、全体的な収益性、および、熱分解プロセスの全体的な収率、および/または、例えばエチレンおよびプロピレンなどの特にエチレンの所望の生成物の全体的な収率を向上させる。1つまたは複数の任意の水素化処理は、特には、ジオレフィンの温和なまたは選択的な水素化、任意にはその後のアルカンへの完全な水素化を含み得る。
【0188】
工程(c)は、熱分解リアクターの流出物から他の画分を分離することをさらに含んでいてもよい。好ましくは、工程(c)は、熱分解リアクターの流出物からプロピレンを含む少なくとも1つの画分を分離することを含む。他の画分、例えば少なくともブテンを含む画分、少なくともエタンを含む画分、少なくともプロパンを含む画分、少なくともブタンを含む画分、少なくとも水素を含む画分などもまた、分離され得る。これらの画分は、本方法の生成物画分であり得る。これらの画分は、単一の段階で分離されてもよく、または複数の後続の段階で分離されてもよい。好ましくは、C2炭化水素に富む画分が分離され、および、この画分が次いで、少なくとも、エテンを含む画分とエタンを含む画分とにさらに分離される。C2炭化水素に富む画分、例えば30wt.-%~100wt.-%、好ましくは少なくとも40wt.-%のC2炭化水素を含む画分などのこのような分離は、エテンを含む画分およびエタンを含む画分を提供するために、C2スプリッタに送られ得る。同様に、C3炭化水素に富む画分が分離されてもよく、および、この画分が次いで、少なくとも、プロペンを含む画分とプロパンを含む画分とにさらに分離される。C3炭化水素に富む画分、例えば30wt.-%~100wt.-%、好ましくは少なくとも40wt.-%のC3炭化水素を含む画分などのこのような分離は、プロペンを含む画分およびプロパンを含む画分を提供するために、C3スプリッタに送られ得る。C3炭化水素に富む画分は、C2炭化水素に富む画分が分離された後に分離されてもよく、同じ段階で分離されてもよい。これらの画分のそれぞれは、本方法の生成物画分として回収されてもよく、または、本方法の生成物画分を提供するためにさらに精製または後処理されてもよい。
【0189】
液化廃プラスチックフィードを提供する工程(a)は、1つまたは複数の任意的な前処理段階を含み得る。前処理段階は、液化廃プラスチックまたはその画分が前処理に付される段階である。
【0190】
前処理は、液化廃プラスチックを乾燥することを含み得る。乾燥は、例えば相分離、蒸発、および/または吸湿剤などの従来の手段によって達成され得る。
【0191】
前処理は、液化廃プラスチックフィードからの固体粒子の分離を含み得る。このような固体粒子は、チャー又は他の固体を含み得る。固体粒子の分離は、例えば沈降、遠心分離、デカンテーションおよび/または濾過などの従来の手段によって達成され得る。沈降は、重力沈降および/または誘導沈降を含み得る。
【0192】
前処理は、液化廃プラスチックフィードからのガス状(NTP)成分の分離を含み得る。このような分離は、例えば気液分離および/または分画などの公知の手段によって達成され得る。
【0193】
前処理は、液化廃プラスチックフィードの選択的水素化および/または温和な水素化を含み得る。選択的なおよび/または温和な水素化は、ジエンおよび/またはアルキンのモノオレフィンまたはアルカンへの選択的水素化を包含し得るが、温和な水素化は本質的にジエンおよび/またはアルキンをモノオレフィンまたはアルカンに変換するが、好ましくは本質的にモノオレフィンをアルカンに変換しない。好ましくは、前処理は本質的にモノオレフィンをアルカンに変換することを含まず、および、特に好ましくはモノオレフィンのアルカンへの完全水素化を含まない。選択的なおよび/または温和な水素化は、特には、MAPDのモノオレフィンまたはアルカンへの選択的な水素化を包含し得るが、温和な水素化は本質的にMAPDをモノオレフィンまたはアルカンに変換するが、好ましくは本質的にモノオレフィンをアルカンに変換しない。
【0194】
本方法は、複数の熱分解炉を提供すること、および、複数の熱分解炉の少なくとも1つにおいて熱分解工程(b)を行うことを含み得る。特には、複数の熱分解炉から分解生成物を得、複合分解生成物を形成するために得られた熱分解流出物を混合し、および任意には、CO、CO2、MAPD、およびC22の少なくとも1つを除去するために、複合分解生成物の少なくとも一部分を精製処理に付すことが可能である。これらのうち、MAPDおよびアセチレンは、続いて、例えばエチレンおよびプロピレンなどの価値の高い生成物へと変換され得る。
【0195】
工程(b)における熱分解は、コフィードの存在下で実施され得る。コフィードの存在は、総計のクラッカーフィードのジオレフィン含有量を低下させるために使用され得る。コフィードはまた、LWPフィードが高ハロゲン含有量を有する場合(これは使用済みの廃プラスチックにおいて通常のことである)、スチームクラッカーフィード(総計のクラッカーフィード)のハロゲン含有量を低減させるために伊能し得る。最後に、例えば従来のスチームクラッカーフィード(例えば従来のナフサフィードなど)などのコフィードを添加することは、本発明の利点を維持したまま、コーキング傾向を低減させ得る。この点に関して、総計のクラッカーフィードとは、分解希釈剤を除く、熱分解工程(b)へ供給される材料を意味し、および従って、総計のクラッカーフィードは、少なくともLWPフィードを含み、および、少なくとも1つのコフィードおよび/または少なくとも1つの添加剤をさらに含んでいてもよい。しかしながら、ジオレフィン含有量が、LWPフィード中で低い場合、より少ないコフィードが、分解前にLWPフィードを「希釈する(diluting)」ために必要とされる。コフィードは、好ましくは、総計のクラッカーフィードの特性が、コフィードの添加により、LWPフィードの上述の特性のより好ましい値に向かってシフトされるようなものである。
【0196】
コフィードは、炭化水素フィード、特には化石炭化水素フィードであり得る。化石(fossil)という用語は、原油由来と称されることもある。コフィードは、好ましくは化石ナフサフィードである。化石ナフサフィードは、例えば、フルレンジナフサまたは軽質ナフサであり得る。本発明において、ナフサは、好ましくは、少なくとも30℃、例えば30℃~80℃の範囲などの初留点、および、最大で200℃、例えば100℃~200℃の範囲などの最終沸点を有する。フルレンジナフサは、少なくとも35℃の初留点、および、最大で180℃の最終沸点を有する。ライトナフサは、少なくとも30℃の初留点、および、最大で120℃の最終沸点を有する。
【0197】
少なくとも1つのコフィードは、特には、https://www.spglobal.com/platts/PlattsContent/_assets/_files/en/our-methodology/methodology-specifications/europe-africa-refined-products-methodology.pdfから入手可能な、以下のオープンナフサ仕様“Platts specification guide to refined oil products”(その2021年9月版)を満たす化石ナフサフィードであり得る。
15℃における比重が、最大で0.735g/mL、
リード蒸気圧が、最大で12.5psi、
色が、少なくとも+20セイボルト、
初留点が、少なくとも30℃、
最終沸点が、最大で180℃、
パラフィン含有量が、少なくとも65体積%、オレフィン含有量が、最大で1体積%、残りがナフテンおよび芳香族である、
硫黄含有量が、最大で500ppm、
2S含有量が、最大で10ppm、
鉛含有量が、最大で50ppb、
有機塩化物の含有量が、最大で3ppm、
MTBE含有量が、最大で50ppmである、
総計の酸素含有物含有量が、最大で100ppm、
水銀含有量が最大で5ppb。
【0198】
総計のクラッカーフィード中のLWPフィードの含有量は、好ましくは少なくとも2wt.-%、より好ましくは少なくとも5wt.-%、少なくとも10wt.-%、少なくとも15wt.-%、少なくとも20wt.-%、少なくとも25wt.-%、少なくとも30wt.-%、少なくとも35wt.-%、少なくとも40wt.-%、少なくとも45wt.-%、少なくとも50wt.-%、少なくとも55wt.-%、または少なくとも60wt.-%である。総計のクラッカーフィード中のLWPフィードの含有量は、例えば、2wt.-%~100wt.-%、5wt.-%~80wt.-%、または10wt.-%~70wt.-%の範囲であり得る。
【0199】
工程(b)における熱分解は、好ましくは、0wt.-%~35wt.-%、好ましくは最大で30wt.-%、最大で25wt.-%、最大で20wt.-%、最大で15wt.-%、または最大で10wt.-%の芳香族およびナフテンの総計の含有量を有するコフィードの存在下で行われ得る。
【0200】
さらに、工程(b)における熱分解は、0wt.-%~3.0wt.-%、好ましくは最大で1.0wt.-%、好ましくは最大で0.75wt.-%、好ましくは最大で0.50wt.-%、最大で0.30wt.-%、または最大で0.10wt.-%の総計のオレフィン含有量を有する、および/または、0wt.-%~1.0wt.-%、好ましくは最大で0.50wt.-%、最大で0.30wt.-%、最大で0.10wt.-%、または最大で0.05wt.-%の総計の酸素含有物含有量を有するコフィードの存在下で行われ得る。
【0201】
工程(b)における熱分解は、再生可能な炭化水素コフィード、例えばHVO炭化水素コフィードなどの存在下で行われ得る。本発明において、HVO炭化水素は、主にパラフィンを生成する植物油および/または動物脂肪の触媒性水素化処理によって得られ得る。
【0202】
工程(b)における熱分解は、フィッシャー・トロプシュ炭化水素の存在下で行われ得る。フィッシャー・トロプシュベースの炭化水素は、それらが通常、低い量の芳香族、オレフィン、ナフテンおよびヘテロ原子を含んでいるため、特に好ましい。フィッシャー・トロプシュ炭化水素は、一酸化炭素および水素を含む合成ガスの触媒性変換により得られ、典型的には、主にn-パラフィンである、炭化水素鎖の実質的なガウス分布をもたらす。フィッシャー・トロプシュベースの炭化水素は、化石起源、再生可能起源、またはその両方であり得る。化石および再生可能の区別は、生物起源炭素の含有量に基づいて行われ得る。具体的には、炭化水素を含む任意の有機化合物の再生可能起源または化石起源は、例えばDIN 51637(2014)、ASTM D6866(2020)およびEN 16640(2017)などの再生可能な供給源からの炭素含有量を分析するための適切な方法によって測定され得る。これらの方法は、再生可能または生物由来の炭素原子が、化石由来の炭素原子に比べて、多くの数の不安定な放射性炭素(14C)原子を含むという事実に基づいている。したがって、12Cおよび14Cの同位体比を分析することによって、再生可能なまたは生物学的な供給源または原料由来の炭素化合物と化石供給源または原料由来の炭素化合物とを区別することが可能である。したがって、該同位体の特定の比率が、再生可能な炭素化合物を同定し、および、それを再生可能ではない炭素化合物から区別するために、「タグ」として使用され得る。同位体比は化学反応の過程で変化しない。したがって、同位体比は、再生可能な化合物、成分、および組成物を同定し、ならびに、リアクターフィード、リアクター流出物、分離された生成物画分、およびそれらの様々なブレンド中の再可能ではない化石物質からそれらを区別するために、使用され得る。本明細書で使用される場合、生物学的または再生可能な供給源からの炭素の含有量は、ASTM D6866(2020)またはEN 16640(2017)に従って、材料中の総計の炭素(TC)の重量パーセントとしての材料中の生物起源炭素の量を意味する生物起源炭素含有量として表される。
【0203】
工程(c)内において、本発明の方法は、CO、CO2、MAPD、およびC22の少なくとも1つを除去するために、熱分解流出物の少なくとも一部を後処理(または精製処理)に付す段階を含み得る。例えば1つまたは複数の流出物画分のさらなる分画などの他の後処理が、同様に行われ得る。
【0204】
本発明はさらに、3.0以下である、n-オレフィンに対するi-オレフィンの含有比を有する熱分解のためのLWPフィードを提供する。LWPフィードは、好ましくは、任意的に前処理された液化廃プラスチックまたはその画分、例えば任意的に前処理された廃プラスチック熱分解油またはその画分を含む。加えて、本発明は、ポリエチレン富化廃プラスチックの解重合から得られる任意的に前処理された液化廃プラスチックまたはその画分である、熱分解のためのLWPフィードを提供する。
【0205】
本発明のLWPフィードは、好ましくは、本発明の方法の工程(b)において熱分解に付されるLWPフィードについて記載される特性の1つ、1つ以上、または全てを有する。
【実施例
【0206】
以下では、本発明を非限定的な実施例によって示す。しかしながら、実施例は本発明の好ましい実施形態を示すものであり、特に、実施例に記載された数値および範囲は、本明細書に開示された他の範囲および値と組み合わせて、本発明を具体化する新たな範囲を与えてもよいことを理解されたい。
【0207】
以下の実施例および比較例においては、種々のLWPフィードが、熱分解の一実施形態として、水蒸気分解に付された。LWPフィードは、PIONA法を用いて、n-パラフィン、i-パラフィン、n-オレフィン、i-オレフィン、ジ-オレフィン、ナフテンおよび芳香族の相対含有量を測定するために、分解前に分析された。このPIONA法は、一般に、例えばLWPフィードなどの材料の組成を決定するために、本発明において使用され得る。
【0208】
PIONA法は、Pyl et al, Journal of Chromatography A, 1218 (2011) 3217-3223に記載されている。
【0209】
解重合された選別されたポリエチレンベースの廃プラスチック由来のフィードが脱気され、および、中間留分(PE_MD;沸点範囲、IBP~FBP、約160~350℃)およびナフサ範囲画分(PE_N;約35~190℃の沸点範囲)に分画された。ナフサ画分および中間留分が、炭素数あたりのn-パラフィン(nP)、i-パラフィン(iP)、n-オレフィン(nO)、i-オレフィン(iO)、ジオレフィン(diO)、パラフィン系ナフテン(pN)、オレフィン系ナフテン(oN)および芳香族(A)の含有量を与えるために、PIONAによって分析された。結果(数値は四捨五入された)は、以下の通りであった。
【0210】
【表1】
【0211】
同様に、イソパラフィンの高い含有量を有するフィードが提供された。これらのフィードは、解重合された選別されたポリプロピレン原料のナフサ留分(PP_N;約35-190℃の沸点範囲)および中間留分(PP_MD;約160-350℃の沸点範囲)であった。これらのフラクションのPIONA分析が以下に示されている(数値は四捨五入された)。
【0212】
【表2】
【0213】
それぞれのサンプルの重要な特徴は、以下の表にまとめられており、ここで、n_totは総計のn-パラフィンおよびn-オレフィンを意味し、および、i_totは総計のi-パラフィンおよびi-オレフィンを意味する:
【0214】
【表3】
【0215】
さらに、以下のPIONA分析結果を有する化石ナフサ(FN)コフィードが提供された。
【0216】
【表4】
【0217】
実施例および2ならびに比較例1および2
LWPベースのフィードPE_N、PE_MD、PP_NおよびPP_MDが、それぞれ20wt.-%の廃プラスチック由来フィードおよび80wt.-%の化石ナフサフィードを含むフィードストック(総計のクラッカーフィード)を与えるように、化石ナフサコフィードとブレンドされた。
【0218】
本発明の特定の実施形態を示している水蒸気分解実験は、ベンチスケールの装置で実施された。これらの実施例および比較例で使用された水蒸気分解ユニットの主要部分、分析装置および較正手順は、以下の刊行物:K.M. Van Geem, S.P. Pyl, M.F. Reyniers, J. Vercammen, J. Beens, G.B. Marin, On-line analysis of complex hydrocarbon mixtures using comprehensive two-dimensional gas chromatography, Journal of Chromatography A. 1217 (2010) 6623-6633およびJ.B. Beens, U. A. T. Comprehensive two-dimensional gas chromatography - a powerful and versatile technique. Analyst. 130 (2005) 123-127に詳細に記載されている。
【0219】
ベンチスケール装置が、図1が参照されて説明される。フィードセクションは、水蒸気分解フィードストックおよび水の、それぞれリザーバ1および2から、リアクターコイル3への供給を制御する。液体のフローは、高精度:読み値の±0.2%を提供するために、Bronkhorst(商標)CORI-FLOW(商標)シリーズ質量流量計が備えられたcoriolis流量計制御のポンプ4(Bronkhorst、オランダ)により制御された。CORI-FLOW(商標)質量流量計は、例えば圧力、温度、密度、導電率および粘度などの操作条件が変化したとしても信頼性の高い性能を達成するために、先進的なコリオリ式質量流量センサーを採用している。ポンピング周波数は、CORI-FLOW(商標)質量流量計のコントローラーにより自動的に調整された。体積フローレートとは対照的に、質量フローレートは、温度または圧力における変化に影響されず、全てのストリームが毎秒、つまり実質的に連続的に測定された。水蒸気が希釈剤として使用され、および、蒸発されたフィードストックと同じ温度に加熱された。フィードストックおよび水蒸気の両方は、それぞれ電気加熱式オーブン5および6で加熱された。オーブン5および6から下流側で、フィードストックおよび水蒸気が、石英ビーズで充填された電気加熱式オーブン7内で混合され、これは、リアクターコイル3に入る前のフィードストックおよび希釈剤流の効率的かつ均一な混合を可能にした。フィードストックおよび希釈剤流の混合物は、矩形の電気加熱式炉8内に垂直に配置されたリアクターコイル3に入った。軸方向のリアクターコーディネートに沿って配置された8個の熱電対Tが、種々の位置でのプロセスガス温度を測定した。矩形炉8は、特定の温度プロファイルを設定するために、独立して制御され得る8つの別々のセクションに分割された。リアクターコイル3内の圧力は、リアクターコイル3の出口から下流に配置された背圧調整器(図示せず)によって制御された。リアクターの入口および出口に配置された、2つの圧力変換器(図示せず)は、それぞれコイル入口圧力(CIP)およびコイル出口圧力(COP)を示した。リアクター出口では、窒素が、分析測定用の内部標準として、および、リアクター流出物のクエンチにある程度寄与するために、リアクター流出物に注入された。リアクター流出物は、オンラインで、すなわち水蒸気分解セットアップの運転中に、高温(350℃)でサンプリングされた。すなわち、バルブベースのサンプリングシステムおよび均一に加熱された移送ラインを介して、リアクター流出物のガス状サンプルが、水素炎イオン化検出器(FID)および質量分析計(MS)に連結された包括的な二次元ガスクロマトグラフ(GC×GC)9に注入された。バルブ式サンプリングシステムの高温6ポート2方向サンプリングバルブが、オーブン内に配置され、ここで温度は、流出物サンプルの露点より高い温度に保たれた。さらなる下流では、リアクター流出物が、約80℃に冷却された。水および凝縮されたより重質な生成物(熱分解ガソリン(PyGas)および熱分解燃料油(PFO))が、ノックアウト容器およびサイクロン10によって除去され、一方、流出物流の残りは、直接ベントに送られた。ベントに到達する前に、流出物の一部がリファイナリガス分析器(RGA)11で分析するために取り出された。水冷式熱交換器および脱水機を使用した残りの全ての水の除去の後、この流出物画分は、内蔵ガスサンプリングバルブシステム(80℃)を使用して、いわゆるリファイナリガス分析器(RGA)11に自動的に注入された。
【0220】
水蒸気分解実験は、0.5の希釈(H2O希釈剤の供給率[kg/h]/フィードおよびコフィードの供給率[kg/h])で(H2O:HC比とも称される)、1.7bar(絶対)のCOPで、ならびに、以下の表に示されるように変化されているCOTで、実施された。水蒸気分解流出物が分析され、そして、主要生成物、および主要副生成物および廃棄物の生成物収率は以下である(数値はwt.-%で示されている):
【0221】
【表5】
【0222】
上記のデータからわかるように、低い(または非常に低くさえある)n-オレフィンに対するi-オレフィンの比を有するLWPベースのフィード(PE_NおよびPE_MD)を含む総計のクラッカーフィードは、エチレン収率を増加させる傾向がある一方、3.0を超える(PP_N)または4.6まで高くさえもある(PP_D)n-オレフィンに対するi-オレフィンの比を有するLWPベースのフィードを含む総計のクラッカーフィードは、増加されたイソブテン収率を示しながらエチレン収率を減少させる傾向がある。加えて、プロピレン収率は、一般的に、高いi-オレフィン含有量を有するLWPベースのフィードによって有利になるが、この効果は、LWPフィードおよび本発明の総計の熱分解フィードが高いエチレンおよびプロピレン収率に向かって最適化され得るように、COTを変化させることによって補償され得る。エチレンは、イソブテン(i-C48)と比較してより価値のある生成物であるため、本発明によるLWPフィードは、この点に関して結果として得られる分解生成物の価値という観点から明らかにより好ましい。
【0223】
同様に、望ましくない生成物、すなわちアセチレン(C22)、プロパジエン(PD)およびメチルアセチレン(MeAc;プロピン)は、本発明のフィードを使用する場合、あまり多くならない。具体的には、高いi-オレフィンの含有量を有するフィード、すなわちPP_NおよびPP_MDは、特に、プロピレン生成物流に続くMeAcを形成する傾向があることがわかる。この生成物は、未処理の場合、生成物流の汚損、オリゴマー化/重合を引き起こし、および、重合触媒毒としても作用し得る。
【0224】
この結果はまた、CO(一酸化炭素)の生成が、i-オレフィンに富むフィード中で増加される一方、CO2の生成は、フィードによってほとんど影響されないことを示している。COは、重合触媒にとって深刻な毒であり、および、エチレン流およびプロピレン流からの除去が必要とされる。比較例は、それらが、本発明の実施例と比較してより高いCO生成量を有しているという点でより低い性能を示している。
【0225】
さらに、以下の表から、650℃での6時間のあいだの連続した分解のあいだに蓄積されたコーキングの量が定量された別個のコーキング実験において測定されたように、コーキング傾向が、低いi-オレフィン含有量のナフサ範囲画分に関してはるかに低く、一方、それはi-オレフィンに富んだフィードに基づくナフサ画分に関してはさらに増大されるということがわかる。定量は、以下のデコーキング手順を使用してリアクターコイルをデコーキングする際に精製されたCOおよびCO2の体積濃度を測定する赤外線メーターを用いて行われた:
全ヒーティングゾーンにおける温度:850℃
水蒸気のフロー:0.05kg/h
空気のフロー:0.05kg/h
CO2の値が1vol.%を下回った後:リアクターを完全にデコーキングするために、水フローが停止され、および、リアクター温度が全ゾーンにおいて900℃まで上昇される。
【0226】
流出物中のCOおよびCO2のvol%がゼロとなった時点で、デコーキングが終了された。
【0227】
【表6】
【0228】
参考例1~5
n-デカン(nC10)を主に含むモデルフィードが、本発明の実施形態の効果を説明するために、以下の表に従って製造された。これらのモデルフィードは、液化廃プラスチックに基づくものではないが、特定のタイプの成分、すなわちモノオレフィン、非共役ジオレフィン、および共役ジオレフィンの影響を示している。
【0229】
【表7】
【0230】
これらのモデルフィードは、次いで、1.7barのコイル出口圧力で、0.5のH2O:HC比で、750℃、800℃、および880℃で分解された。
【0231】
水蒸気分解流出物が分析され、および、生成物および副生成物の収率が以下の表に示されている。加えて、3つの温度(低温から高温まで)で分解した後、リアクターがデコーキングされ、そして、その量がg単位で記録された。
【0232】
【表8】
【0233】
nOモデルフィードは、40wt.-%の総計のオレフィン含有量を有する脱気されたナフサ範囲のLWPフィードのモデルであり、一方、iOモデルフィードは、40wt.-%の総計のオレフィン含有量を有し、および、高い(無限の)i-オレフィン/n-オレフィン比を有する脱気されたナフサ範囲のLWPフィードのモデルである。i-オレフィンの高い含有量は、エチレン収率の顕著な低下をもたらし、および、加えてより多くのコーキングおよび顕著により高いプロパジエンの収率を引き起こすことが明らかにわかる。n-diO(非共役)とi-diO(共役)との比較は、共役ジオレフィンを含むモデルフィードは、明らかに、最も高いコーキング傾向を有していることを示している。
図1
【手続補正書】
【提出日】2024-08-06
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
液化廃プラスチックをアップグレードするための方法であって、以下の
(a)液化廃プラスチックフィードを提供する工程、
(b)前記液化廃プラスチックフィードを熱分解リアクター中で熱分解する工程、および
(c)前記熱分解リアクターの流出物から、エチレンを含む少なくとも1つの画分を分離する工程
を含み、
前記液化廃プラスチックフィードが、3.0以下のn-オレフィンに対するi-オレフィンの含有比を有することを特徴とする方法。
【請求項2】
前記液化廃プラスチックフィードが、2.5以下、2.0以下、1.5以下、1.0以下、0.80以下、0.60以下、または0.50以下のn-オレフィンに対するi-オレフィンの含有比を有する請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記液化廃プラスチックフィードが、少なくとも40wt%、好ましくは少なくとも50wt%、少なくとも55wt%、少なくとも60wt%、少なくとも65wt%または少なくとも70wt%のi-オレフィン、n-オレフィン、i-パラフィンおよびn-パラフィンの総計の含有量を有する請求項記載の方法。
【請求項4】
前記液化廃プラスチックフィードが、1.5wt.-%以下、好ましくは1.0wt.-%以下、より好ましくは0.5wt.-%以下のガス状(NTP)成分の総計の含有量を有する請求項記載の方法。
【請求項5】
前記液化廃プラスチックフィードが、10wt.-%以上、例えば15wt.-%以上、20wt.-%以上、または30wt.-%以上の総計のオレフィン含有量を有し、および、好ましくは90wt.-%以下、より好ましくは80wt.-%以下、70wt.-%以下、または60wt.-%以下の総計のオレフィン含有量を有する請求項記載の方法。
【請求項6】
前記液化廃プラスチックフィードが、10以上、好ましくは12以上、15以上、または20以上のジオレフィンに対するモノオレフィンの含有比を有する請求項記載の方法。
【請求項7】
前記液化廃プラスチックフィードが、2.0以下、好ましくは1.7以下、1.5以下、1.0以下、0.90以下、0.80以下、0.70以下、0.60以下、0.50以下、0.40以下、0.30以下、0.20以下、0.15以下、0.10以下、0.09以下、0.08以下、0.07以下、0.06以下、0.05以下、または0.04以下のn-パラフィンに対するi-パラフィンの含有比を有する請求項記載の方法。
【請求項8】
前記液化廃プラスチックフィードが、5wt.-%以上、好ましくは10wt.-%以上、12wt.-%以上、15wt.-%以上、17wt.-%以上、19wt.-%以上、または20wt.-%以上の総計のパラフィン含有量を有する請求項記載の方法。
【請求項9】
前記液化プラスチックフィードが、20wt.-%以上、好ましくは23wt.-%以上、25wt.-%以上、27wt.-%以上、または30wt.-%以上のn-パラフィンおよびn-オレフィンの総計の含有量を有する;および/または
前記液化廃プラスチックフィードが、0.40以上、好ましくは0.50以上、0.60以上、0.70以上、0.80以上、0.90以上、1.00以上、1.20以上、1.40以上、1.60以上、1.80以上、2.00以上、2.50以上、または3.00以上の総計のi-パラフィンおよびi-オレフィンに対する総計のn-パラフィンおよびn-オレフィンの含有比([nP]+[nO])/([iP]+[iO])を有する;および/または
前記液化廃プラスチックフィードが、60wt.-%以下、好ましくは55wt.-%以下、または50wt.-%以下のn-オレフィン、i-オレフィンおよびジオレフィンの総計の含有量([nO]+[iO]+[diO])を有する;および/または
前記液化廃プラスチックフィードが、5以上、好ましくは8以上、または10以上のジオレフィンに対する総計のn-オレフィンおよびi-オレフィンの含有比(([nO]+[iO])/[diO])を有する;および/または
前記液化廃プラスチックフィードが、50wt.-%以下、好ましくは40wt.-%以下、30wt.-%以下、または20wt.-%以下のi-パラフィンおよびi-オレフィンの総計の含有量を有する
請求項記載の方法。
【請求項10】
前記液化廃プラスチックフィードが、10wt.-%以下、好ましくは8wt.-%以下、6wt.-%以下、または5wt.-%以下のC9 i-オレフィンの総計の含有量を有する;および/または
前記液化廃プラスチックフィードが、5.0wt.-%以下、好ましくは4.0wt.-%以下、3.0wt.-%以下、2.5wt.-%以下、2.0wt.-%以下、1.5wt.-%以下、または1.0wt.-%以下のジオレフィンの含有量を有する;および/または
前記液化廃プラスチックフィードが、5.0wt.-%以下、より好ましくは4.0wt.-%以下、3.0wt.-%以下、2.0wt.-%以下、1.0wt.-%以下、0.75wt.-%以下、または0.50wt.-%以下の共役ジオレフィンの含有量を有する
請求項記載の方法。
【請求項11】
前記液化廃プラスチックフィードが、2wt.-%以上、好ましくは5wt.-%以上、10wt.-%以上、15wt.-%以上、20wt.-%以上、または25wt.-%以上のn-オレフィンの含有量を有する請求項記載の方法。
【請求項12】
前記工程(b)における前記熱分解が、水蒸気分解を含む請求項記載の方法。
【請求項13】
前記工程(b)における前記熱分解が、コフィード、好ましくは炭化水素コフィード、より好ましくは化石ナフサコフィード、例えばフルレンジナフサまたは軽質ナフサから選択される化石ナフサフィードなどの存在下で行われる請求項記載の方法。
【請求項14】
前記液化廃プラスチックフィードを提供する前記工程(a)が、液化廃プラスチックまたはその画分が前処理に付される少なくとも1つの前処理段階を含み、ならびに、前記前処理が、好ましくは、前記液化廃プラスチックまたはその画分を、乾燥、脱塩、反応性抽出、溶媒抽出、吸着、酸化、還元、前記液化廃プラスチックからの固体粒子の分離、前記液化廃プラスチックからのガス状(NTP)成分の分離、および、前記液化廃プラスチックの選択的なおよび/または温和な水素化からなる群より選択される少なくとも1つの処理へと付すことを含む請求項記載の方法。
【請求項15】
前記液化廃プラスチックフィードが、40wt.-%~100wt.-%、例えば50wt.-%~100wt.-%、55wt.-%~100wt.-%、60wt.-%~100wt.-%、65wt.-%~100wt.-%、70wt.-%~100wt.-%の範囲である、i-オレフィン、n-オレフィン、i-パラフィンおよびn-パラフィンの総計の含有量を有している請求項記載の方法。
【請求項16】
3.0以下である、n-オレフィンに対するi-オレフィンの含有比を有する、熱分解のための液化廃プラスチックフィード。
【請求項17】
前記液化廃プラスチックフィードが、請求項2~11または15のいずれか1項にさらに規定されるとおりである請求項16記載の液化廃プラスチックフィード。
【請求項18】
ポリエチレンに富む廃プラスチックの解重合を含むプロセスから得られる任意的に前処理された液化廃プラスチックまたはその画分である熱分解のための液化廃プラスチックフィード。
【国際調査報告】