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特表2024-546473アレルギー検査のための神経血管超音波分析
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-12-24
(54)【発明の名称】アレルギー検査のための神経血管超音波分析
(51)【国際特許分類】
   A61B 8/14 20060101AFI20241217BHJP
【FI】
A61B8/14
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024534017
(86)(22)【出願日】2022-12-06
(85)【翻訳文提出日】2024-08-02
(86)【国際出願番号】 US2022081044
(87)【国際公開番号】W WO2023107969
(87)【国際公開日】2023-06-15
(31)【優先権主張番号】63/265,028
(32)【優先日】2021-12-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.Blu-ray
(71)【出願人】
【識別番号】519222933
【氏名又は名称】ロマ リンダ ユニヴァーシティ
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100119013
【弁理士】
【氏名又は名称】山崎 一夫
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【弁理士】
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100139712
【弁理士】
【氏名又は名称】那須 威夫
(74)【代理人】
【識別番号】100141553
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 信彦
(74)【代理人】
【識別番号】100170209
【弁理士】
【氏名又は名称】林 陽和
(72)【発明者】
【氏名】バッセル マーク
【テーマコード(参考)】
4C601
【Fターム(参考)】
4C601DD03
4C601DE01
4C601EE09
(57)【要約】
被験者におけるアレルギー反応の存在を判定するための神経血管超音波分析のコンピュータ実装方法を開示する。方法は、被験者の潜在的アレルゲンへの曝露後に、被験者の領域に超音波プローブが配置された時点で領域に超音波を送信することと、プローブによって受け取られたドップラー情報に基づいて、被験者の循環系の変化を表す情報を生成することと、情報を処理することに基づいて食物アレルギーを検出することと、を含む。本開示の方法のための非一時的コンピュータ可読媒体及び装置も開示する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被験者におけるアレルギー反応の存在を判定するための神経血管超音波(US)分析システムであって、
前記被験者の体内構造を含む領域にUS波を送信するように構成されたUSプローブと、
前記USプローブに通信可能に結合されたプロセッサと、
を備え、前記プロセッサは、
前記USプローブを介して、前記領域からの前記US波の反射を表す第1の情報を受け取り、
前記第1の情報を処理することに基づいて、前記体内構造又はその特性を表す第2の情報を生成し、
前記第2の情報を処理することに基づいて、前記被験者の循環系の変化を表す第3の情報を生成し、
前記第3の情報に基づいて、前記被験者における潜在的アレルゲンに対する前記アレルギー反応の存在を判定し、
前記プロセッサに通信可能に結合されたユーザインターフェイスを介して、前記アレルギー反応の存在を示す第4の情報を出力する、
ための命令を実行するように構成される、神経血管US分析システム。
【請求項2】
前記第3の情報は、
前記循環系に関連する免疫反応の変化を表す第5の情報、
前記循環系に対する補償量を表す第6の情報、及び、
前記循環系による血管循環の変化を表す第7の情報、
のうちの1つ又は2つ以上を含む、請求項1に記載の神経血管US分析システム。
【請求項3】
前記プロセッサは、
前記領域に関連する四肢について、順行性拍動指数、順行性体積流量、逆行性拍動指数及び逆行性体積流量のうちの少なくとも1つを決定し、
前記順行性拍動指数、前記順行性体積流量、前記逆行性拍動指数及び前記逆行性体積流量のうちの少なくとも1つから成る前記四肢の神経血管指数を決定する、
ことによって、前記第2の情報を生成するための命令を実行するように構成される、請求項1に記載の神経血管US分析システム。
【請求項4】
前記プロセッサは、前記神経血管指数及び所定の四肢スコアに基づいて、前記四肢の動静脈(AV)短絡スコアを決定するための命令を実行するように構成される、請求項3に記載の神経血管US分析システム。
【請求項5】
前記プロセッサは、前記被験者の前記四肢及び少なくとも1つのさらなる四肢のそれぞれの順向性体積流量の合計に基づいて累積順向性体積流量スコアを決定するための命令を実行するように構成される、請求項3に記載の神経血管US分析システム。
【請求項6】
前記プロセッサは、
前記累積順向性体積流量スコアの減少を判定し、
前記累積順向性体積流量スコアの減少に基づいて、前記循環系に関連する免疫反応の変化を表す第5の情報を生成する、
ことによって、前記第3の情報を生成するための命令を実行するように構成される、請求項5に記載の神経血管US分析システム。
【請求項7】
前記プロセッサは、
前記循環系に対する補償量の増加を判定し、
前記循環系に対する補償量の増加に基づいて、前記循環系に対する補償量を表す第6の情報を生成する、
ことによって、前記第3の情報を生成するための命令を実行するように構成される、請求項1に記載の神経血管US分析システム。
【請求項8】
前記プロセッサは、
前記循環系を循環する前記体内構造又はその特性の量の減少を判定し、
前記循環系を循環する前記体内構造又はその特性の量の減少に基づいて、前記循環系による血管循環の変化を表す第7の情報を生成する、
ことによって、前記第3の情報を生成するための命令を実行するように構成される、請求項1に記載の神経血管US分析システム。
【請求項9】
前記プロセッサは、前記被験者の前記潜在的アレルゲンへの曝露後に、前記アレルギー反応の存在を示す前記第4の情報を出力するように構成される、請求項1に記載の神経血管US解析システム。
【請求項10】
前記プロセッサは、
前記被験者の前記潜在的アレルゲンへの曝露前に、前記アレルギー反応の存在を示す曝露前の第4の情報を出力してベースライン測定値を確立し、
前記被験者の前記潜在的アレルゲンへの曝露後に、前記ベースライン測定値及び曝露後測定値に基づいて、前記アレルギー反応の存在を示す前記第4の情報を出力する、
ように構成される、請求項1に記載の神経血管US分析システム。
【請求項11】
前記被験者の前記領域は、前記被験者の複数の検査領域のうちの第1の領域を含み、前記複数の検査領域は、
腕の橈骨側の第1の領域及び第2の領域と、
腕の尺骨側の第1の領域及び第2の領域と、
脚の内側下部の第1の領域、第2の領域及び第3の領域と、
脚の外側下部の第1の領域、第2の領域及び第3の領域と、
を含む、請求項1に記載の神経血管US分析システム。
【請求項12】
前記領域は、被験者の上肢又は下肢を含み、前記上肢は、近位橈骨、近位尺骨、遠位橈骨及び遠位尺骨のうちの1つ又は2つ以上を含み、前記下肢は、近位脛骨、近位腓骨内部構造、遠位脛骨及び遠位腓骨内部構造のうちの1つ又は2つ以上を含む、請求項1に記載の神経血管US分析システム。
【請求項13】
アレルギー反応の存在を判定するための神経血管超音波(US)分析のための動作を実行するためにプロセッサによって実行可能な命令を含む非一時的コンピュータ可読媒体であって、前記動作は、
前記プロセッサを介して、前記プロセッサに通信可能に結合されたUSプローブに、被験者の体内構造を含む領域にUS波を送信するように命令することと、
前記プロセッサを介して、前記領域からの前記US波の反射を表す第1の情報を受け取ることと、
前記プロセッサを介して、前記第1の情報を処理することに基づいて、前記体内構造又はその特性を表す第2の情報を生成することと、
前記プロセッサを介して、前記第2の情報を処理することに基づいて、前記被験者の循環系の変化を表す第3の情報を生成することと、
前記プロセッサを介して、前記第3の情報に基づいて、前記被験者における潜在的アレルゲンに対するアレルギー反応の存在を判定することと、
前記プロセッサを介して、前記プロセッサに通信可能に結合されたユーザインターフェイスに、前記アレルギー反応の存在を示す第4の情報を出力するように命令することと、
を含む、非一時的コンピュータ可読媒体。
【請求項14】
前記第3の情報は、
前記循環系に関連する免疫反応の変化を表す第5の情報、
前記循環系に対する補償量を表す第6の情報、及び、
前記循環系による血管循環の変化を表す第7の情報、
のうちの1つ又は2つ以上を含み、
前記アレルギー反応の存在を判定することは、前記第5の情報、前記第6の情報及び前記第7の情報のうちの1つ又は2つ以上が1又は2以上のそれぞれの閾値よりも大きいと判定することを含む、請求項13に記載の非一時的コンピュータ可読媒体。
【請求項15】
前記体内構造又はその特性を表す前記第2の情報を生成することは、
前記被験者の上肢又は下肢を含む1又は2以上の四肢について、順行性拍動指数、順行性体積流量、逆行性拍動指数、逆行性体積流量、又はこれらの組み合わせを決定することと、
前記順行性拍動指数、前記順行性体積流量、前記逆行性拍動指数、前記逆行性体積流量、又はこれらの組み合わせから成る前記1又は2以上の四肢の神経血管指数を決定することと、
を含む、請求項13に記載の非一時的コンピュータ可読媒体。
【請求項16】
前記第3の情報を生成することは、
前記1又は2以上の四肢のそれぞれの順向性体積流量の合計に基づいて累積順向性体積流量スコアの減少を判定することと、
前記累積順向性体積流量スコアの減少に基づいて、前記循環系に関連する免疫反応の変化を表す第5の情報を生成することと、
を含み、前記第3の情報は、前記第5の情報を含む、請求項15に記載の非一時的コンピュータ可読媒体。
【請求項17】
前記第3の情報を生成することは、
前記循環系に対する補償量の増加を判定することと、
前記循環系に対する補償量の増加に基づいて、前記補償量を表す第6の情報を生成することと、
を含み、前記第3の情報は、前記第6の情報を含む、請求項13に記載の非一時的コンピュータ可読媒体。
【請求項18】
前記第3の情報を生成することは、
前記循環系を循環する前記体内構造又はその特性の量の減少を判定することと、
前記体内構造又はその特性の量の減少に基づいて、血管循環の変化を表す第7の情報を生成することと、
を含み、前記第3の情報は、前記第7の情報を含む、請求項13に記載の非一時的コンピュータ可読媒体。
【請求項19】
被験者におけるアレルギー反応の存在を判定するための神経血管超音波(US)分析(NUA)のコンピュータ実装方法であって、
プロセッサを介して、前記プロセッサに通信可能に結合されたUSプローブに、前記被験者の体内構造を含む領域にUS波を送信するように命令することと、
前記プロセッサを介して、前記領域からの前記US波の反射を表す第1の情報を受け取ることと、
前記プロセッサを介して、前記第1の情報を処理することに基づいて、前記体内構造又はその特性を表す第2の情報を生成することと、
前記プロセッサを介して、前記第2の情報を処理することに基づいて、前記被験者の循環系の変化を表す第3の情報を生成することと、
を含み、前記第3の情報は、
前記循環系に関連する免疫反応の変化を表す情報、
前記循環系に対する補償量を表す情報、及び、
血管循環の変化を表す情報、
のうちの1つ又は2つ以上を含み、前記コンピュータ実装方法は、
前記プロセッサを介して、前記第3の情報に基づいて、前記被験者における潜在的アレルゲンに対するアレルギー反応の存在を判定することと、
前記プロセッサを介して、前記プロセッサに通信可能に結合されたユーザインターフェイスに、前記アレルギー反応の存在を示す第4の情報を出力するように命令することと、
をさらに含む、コンピュータ実装方法。
【請求項20】
前記アレルギー反応の存在を判定することは、前記免疫反応の変化を示す情報、前記補償量を示す情報、及び前記血管循環の変化を示す情報のうちの1つ又は2つ以上が1又は2以上のそれぞれの閾値よりも大きいと判定することを含む、請求項19に記載のコンピュータ実装方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
〔関連出願との相互参照〕
本出願は、2021年12月6日に出願された米国仮特許出願第63/265,028号に対する優先権及びその利益を主張するものである。この参考出願の内容は、その全体が引用により本出願に組み入れられる。
【0002】
本開示は、神経血管超音波分析に関し、具体的には、神経血管超音波分析を使用してアレルギーを評価する方法、システム及び装置に関する。
【背景技術】
【0003】
アレルギーは、アレルゲンとしても知られている異物の摂取又はこのような異物への暴露後に発生する、異物に対する免疫系反応である。アレルゲンは、通常はほとんどの人々に反応を引き起こさず、花粉、ほこり又はペットのふけなどの環境物質であることができる。いくつかの事例では、アレルゲンがピーナッツ、ゴマ、乳製品などの食品であることができる。アレルゲンに対するアレルギー反応は、免疫系反応の重症度に応じて、不快、軽い炎症、又は致死的緊急事態となり得る。微量のアレルゲン、特に摂取食物アレルゲンは、消化不良、じんましん、気道の腫れ、アナフィラキシー及び/又はショック(全身性血圧低下)を含む、不快な、時には生命にかかわる徴候及び症状を引き起こすことがある。食物アレルギーは、3歳未満の小児の6~8%及び成人の最大3%に影響を与えると推定される。既知の治療法は存在しないが、成長と共に食物アレルギーが見られなくなる子供もいる。さらに、食物アレルギーは、免疫系反応を伴わない、食物アレルギーに比べて深刻な症状ではない食物不耐症として誤診されやすい。従って、被験者の健康及び幸せにとっては、食物アレルギーの正確な診断、又は被験者の症状の原因であるアレルギーの排除が重要である。臨床医らは、被験者をアレルギーと診断する前に、食物曝露の履歴及び症状、アレルギーの家系、理学的診察、皮膚検査、血中IgE検査、除外食(elimination diet)、及び/又は食物経口負荷試験(oral food challenge)を含む多くの要因を考慮する。しかしながら、現在利用可能な検査手順では、食物アレルギーを確定的に、とりわけ比較的容易に確認又は反証することができない。従って、被験者の食物又は環境アレルゲンに対するアレルギーを効果的かつ確実に検出する方法及びシステムが必要とされている。
【発明の概要】
【0004】
アレルギー反応の存在を判定するための神経血管イメージング及び超音波(US)分析のコンピュータ実装方法を開示する。本開示の方法のための非一時的コンピュータ可読媒体及び装置も開示する。
【0005】
本開示は、いくつかの態様では、被験者におけるアレルギー反応の存在を判定するための神経血管US分析システムを提供する。神経血管US分析システムは、被験者の領域にUS波を送信するように構成されたUSプローブを含む。領域は体内構造を含む。神経血管US分析システムは、USプローブに通信可能に結合されたプロセッサを含む。プロセッサは、USプローブを介して、領域からのUS波の反射を表す第1の情報を受け取り、第1の情報を処理することに基づいて、体内構造又はその特性を表す第2の情報を生成し、第2の情報を処理することに基づいて、被験者の循環系の変化を表す第3の情報を生成し、第3の情報に基づいて、被験者における潜在的アレルゲンに対するアレルギー反応の存在を判定し、プロセッサに通信可能に結合されたユーザインターフェイスを介して、アレルギー反応の存在を示す第4の情報を出力する、ための命令を実行するように構成される。
【0006】
いくつかの実施形態では、第3の情報が、循環系に関連する免疫反応の変化を表す第5の情報、循環系に対する補償量を表す第6の情報、及び循環系による血管循環の変化を表す第7の情報のうちの1つ又は2つ以上を含む。いくつかの実施形態では、プロセッサが、領域に関連する四肢について、順行性拍動指数、順行性体積流量、逆行性拍動指数及び逆行性体積流量のうちの少なくとも1つを決定し、順行性拍動指数、順行性体積流量、逆行性拍動指数及び逆行性体積流量のうちの少なくとも1つから成る四肢の神経血管指数を決定することによって、第2の情報を生成するための命令を実行するように構成される。いくつかの実施形態では、プロセッサが、神経血管指数及び所定の四肢スコアに基づいて、四肢の動静脈(AV)短絡スコアを決定するための命令を実行するように構成される。いくつかの実施形態では、プロセッサが、被験者の四肢及び少なくとも1つのさらなる四肢のそれぞれの順向性体積流量(anterograde volume flows)の合計に基づいて累積順向性体積流量スコアを決定するための命令を実行するように構成される。いくつかの実施形態では、プロセッサが、累積順向性体積流量スコアの減少を判定し、累積順向性体積流量スコアの減少に基づいて、循環系に関連する免疫反応の変化を表す第5の情報を生成することによって、第3の情報を生成するための命令を実行するように構成される。
【0007】
いくつかの実施形態では、プロセッサが、循環系に対する補償量の増加を判定し、循環系に対する補償量の増加に基づいて、循環系に対する補償量を表す第6の情報を生成することによって、第3の情報を生成するための命令を実行するように構成される。いくつかの実施形態では、プロセッサが、循環系を循環する体内構造又はその特性の量の減少を判定し、循環系を循環する体内構造又はその特性の量の減少に基づいて、循環系による血管循環の変化を表す第7の情報を生成することによって、第3の情報を生成するための命令を実行するように構成される。
【0008】
いくつかの実施形態では、プロセッサが、被験者の潜在的アレルゲンへの曝露後に、アレルギー反応の存在を示す第4の情報を出力するように構成される。いくつかの実施形態では、プロセッサが、被験者の潜在的アレルゲンへの曝露前に、アレルギー反応の存在を示す曝露前の第4の情報を出力してベースライン測定値を確立し、被験者の潜在的アレルゲンへの曝露後に、ベースライン測定値及び曝露後測定値に基づいて、アレルギー反応の存在を示す第4の情報を出力するように構成される。
【0009】
いくつかの実施形態では、被験者の領域が、被験者の複数の試検査領域のうちの第1の領域を含む。複数の検査領域は、腕の橈骨側の第1の領域及び第2の領域と、腕の尺骨側の第1の領域及び第2の領域と、脚の内側下部の第1の領域、第2の領域及び第3の領域と、脚の外側下部の第1の領域、第2の領域及び第3の領域と、を含むことができる。いくつかの実施形態では、体内構造が、被験者の領域に関連する動脈を含む。いくつかの実施形態では、領域が、被験者の上肢又は被験者の下肢を含む。上肢は、近位橈骨、近位尺骨、遠位橈骨及び遠位尺骨のうちの1つ又は2つ以上を含むことができ、下肢は、近位脛骨、近位腓骨内部構造、遠位脛骨及び遠位腓骨内部構造のうちの1つ又は2つ以上を含むことができる。
【0010】
本開示は、いくつかの態様では、アレルギー反応の存在を判定するための神経血管超音波(US)分析のための動作を実行するためにプロセッサによって実行可能な命令を含む非一時的コンピュータ可読媒体を提供する。動作は、プロセッサを介して、プロセッサに通信可能に結合されたUSプローブに、被験者の領域にUS波を送信するように命令することを含む。領域は体内構造を含む。動作は、プロセッサを介して、領域からのUS波の反射を表す第1の情報を受け取ることと、プロセッサを介して、第1の情報を処理することに基づいて、体内構造又はその特性を表す第2の情報を生成することと、プロセッサを介して、第2の情報を処理することに基づいて、被験者の循環系の変化を表す第3の情報を生成することと、プロセッサを介して、第3の情報に基づいて、被験者における潜在的アレルゲンに対するアレルギー反応の存在を判定することと、プロセッサを介して、プロセッサに通信可能に結合されたユーザインターフェイスに、アレルギー反応の存在を示す第4の情報を出力するように命令することと、を含む。
【0011】
いくつかの実施形態では、第3の情報が、循環系に関連する免疫反応の変化を表す第5の情報、循環系に対する補償量を表す第6の情報、及び循環系による血管循環の変化を表す第7の情報のうちの1つ又は2つ以上を含む。いくつかの実施形態では、アレルギー反応の存在を判定することが、第5の情報、第6の情報及び第7の情報のうちの1つ又は2つ以上が1又は2以上のそれぞれの閾値よりも大きいと判定することを含む。いくつかの実施形態では、体内構造又はその特性を表す第2の情報を生成することが、被験者の1又は2以上の四肢について、順行性拍動指数、順行性体積流量、逆行性拍動指数、逆行性体積流量、又はこれらの組み合わせを決定することと、順行性拍動指数、順行性体積流量、逆行性拍動指数、逆行性体積流量、又はこれらの組み合わせから成る1又は2以上の四肢の神経血管指数を決定することと、を含む。いくつかの実施形態では、1又は2以上の四肢が上肢又は下肢を含む。いくつかの実施形態では、第3の情報を生成することが、1又は2以上の四肢のそれぞれの順向性体積流量の合計に基づいて累積順向性体積流量スコアの減少を判定することと、累積順向性体積流量スコアの減少に基づいて、循環系に関連する免疫反応の変化を表す第5の情報を生成することと、を含む。いくつかの実施形態では、第3の情報が第5の情報を含む。
【0012】
いくつかの実施形態では、第3の情報を生成することが、循環系に対する補償量の増加を判定することと、循環系に対する補償量の増加に基づいて、補償量を表す第6の情報を生成することとを含む。いくつかの実施形態では、第3の情報が第6の情報を含む。いくつかの実施形態では、第3の情報を生成することが、循環系を循環する体内構造又はその特性の量の減少を判定することと、体内構造又はその特性の量の減少に基づいて、血管循環の変化を表す第7の情報を生成することと、を含む。いくつかの実施形態では、第3の情報が第7の情報を含む。
【0013】
本開示は、いくつかの態様では、被験者におけるアレルギー反応の存在を判定するための神経血管超音波(US)分析(NUA)のコンピュータ実装方法を提供する。いくつかの実施形態では、コンピュータ実装方法が、プロセッサを介して、プロセッサに通信可能に結合されたUSプローブに、被験者の領域にUS波を送信するように命令することを含む。領域は体内構造を含む。コンピュータ実装方法は、プロセッサを介して、プロセッサを介して、領域からのUS波の反射を表す第1の情報を受け取ることと、プロセッサを介して、第1の情報を処理することに基づいて、体内構造又はその特性を表す第2の情報を生成することと、プロセッサを介して、第2の情報を処理することに基づいて、被験者の循環系の変化を表す第3の情報を生成することと、を含む。第3の情報は、循環系に関連する免疫反応の変化を表す情報、循環系に対する補償量を表す情報、及び血管循環の変化を表す情報のうちの1つ又は2つ以上を含む。コンピュータ実装方法は、プロセッサを介して、第3の情報に基づいて、被験者における潜在的アレルゲンに対するアレルギー反応の存在を判定することと、プロセッサを介して、プロセッサに通信可能に結合されたユーザインターフェイスに、アレルギー反応の存在を示す第4の情報を出力するように命令することと、を含む。
【0014】
いくつかの実施形態では、アレルギー反応の存在を判定することが、免疫反応の変化を示す情報、補償量を示す情報、及び血管循環の変化を示す情報のうちの1つ又は2つ以上が1又は2以上のそれぞれの閾値よりも大きいと判定することを含む。
【0015】
当業者には、本明細書の詳細な説明及び添付図を読んだ後に本開示のその他の態様及び特徴が明らかになるであろう。
【0016】
同様の特徴を同様の参照によって示す添付図面に、本明細書で説明する実施形態を限定ではなく一例として示す。さらに、これらの図面では、本明細書で説明する発明概念を曖昧にしないように従来の細部を省略していることもある。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本開示の実施形態による、食物アレルギー検出のための神経血管超音波分析のコンピュータ実装システムの概略例を示す図である。
【0018】
図2】本開示の実施形態による、被験者における食物アレルギー検出のための神経血管超音波分析のコンピュータ実装方法の例を示す図である。
【0019】
図3A】本開示の実施形態による、食物アレルギー検出のための神経血管超音波分析に関する情報を生成するコンピュータ実装方法、具体的には超音波の反射を表す第1の情報を処理することに基づいて体内構造又はその特性を表す第2の情報を生成する方法の一例を示す図である。
【0020】
図3B】本開示の実施形態による、食物アレルギー検出のための神経血管超音波分析に関する情報を生成するコンピュータ実装方法、具体的には超音波の反射を表す第1の情報を処理することに基づいて体内構造又はその特性を表す第2の情報を生成する別の方法の一例を示す図である。
【0021】
図4A】本開示の実施形態による、食物アレルギー検出のための神経血管超音波分析に関する情報を生成するコンピュータ実装方法、具体的には第2の情報を処理することに基づいて被験者の循環系の変化を表す第3の情報を生成する方法の一例を示す図である。
【0022】
図4B】本開示の実施形態による、食物アレルギー検出のための神経血管超音波分析に関する情報を生成するコンピュータ実装方法、具体的には第2の情報を処理することに基づいて被験者の循環系の変化を表す第3の情報を生成する別の方法の一例を示す図である。
【0023】
図4C】本開示の実施形態による、食物アレルギー検出のための神経血管超音波分析に関する情報を生成するコンピュータ実装方法、具体的には第2の情報を処理することに基づいて被験者の循環系の変化を表す第3の情報を生成する別の方法の一例を示す図である。
【0024】
図5】本開示の実施形態による、食物アレルギー検出のための神経血管超音波分析のコンピュータ実装方法のためのシステムで使用されるネットワークアーキテクチャの例を示す図である。
【0025】
図6】本開示の実施形態による、食物アレルギー検出のための神経血管超音波分析のコンピュータ実装方法を提供する装置の例を示す図である。
【0026】
図7】本開示の実施形態による、血管変化のコンピュータ支援神経血管超音波分析のためのシステムで使用されるネットワークアーキテクチャの例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
いくつかの具体的な実施形態に関連して本開示を説明するが、本開示をその実施形態に限定することは意図していないと理解されるであろう。むしろ、本開示は、添付の特許請求の範囲によって定められる本開示の趣旨及び範囲内に含めることができる全ての代替物、修正物及び同等物を対象とするように意図される。
【0028】
以下の説明では、様々な実施形態について説明する。実施形態を完全に理解できるように、説明を目的として具体的な構成及び詳細を示す。しかしながら、当業者には、これらの具体的な詳細を伴わずとも実施形態を実施できることが明らかであろう。さらに、説明する実施形態を曖昧にしないように、周知の特徴については省略又は単純化していることがある。
【0029】
上述したように、被験者のアレルギーを効果的かつ確実に検出する方法及びシステムを提供することが特に望ましい。実際に、アレルゲンは、神経血管系に部分的アナフィラキシーなどの蓄積外傷(cumulative trauma)を引き起こすことがある。この外傷は肥満細胞症を引き起こして、将来の知覚される脅威に対する免疫過剰反応の原因になる恐れがある。びまん性神経幹炎症も、片頭痛、線維筋痛症、末梢神経障害、及び/又は様々な病気のための従来の医療介入に対する反応の欠如につながる恐れがある。
【0030】
食物アレルギーを検出する従来の手段は抗体検査に依拠するものであるが、抗体検査用の血液を採取する位置によって測定値にばらつきが生じることがある。食物アレルギー検出のゴールドスタンダードは単純に食物除外食であるが、このプロセスは困難で時間がかかる主観的なものである。本開示の様々な実施形態によるシステム及び方法は、人間又はその他の哺乳類の被験者における食物アレルギーを検出するための従来のアプローチに見られる上記の及びその他の欠陥のうちの1つ又は2又は3以上を克服することができる。さらに、食物アレルギーを参照して複数の実施形態を説明するが、本開示の実施形態は環境アレルギーの診断に利用することもできる。いくつかの実施形態では、アレルゲンが、植物生成物又は動物生成物としてのタンパク質又は炭水化物であることができる。アレルゲンは、花粉アレルゲン、室内アレルゲン、カビアレルゲン、昆虫アレルゲン、食物アレルゲン、或いはこれらのいずれかの組み合わせ、又は誘導体であることができる。例えば、アレルゲンは、ピーナッツ、木の実、卵、貝類、大豆、牛乳、グルテン、又はこれらのいずれかの組み合わせに由来することができる。
【0031】
理解を容易にするために、本明細書ではいくつかの非限定的な用語定義を示す。本明細書で使用する「体内構造」という用語及びその変形形態は、組織、器官及び器官系のうちの少なくとも1つを含む。組織は、1又は2以上の機能を果たすように組織化された2又は3以上の細胞を意味する。組織のタイプとしては、神経組織、上皮組織、結合組織及び筋肉組織などが挙げられる。神経組織の例としては、脳組織、脊髄組織、神経などが挙げられる。上皮組織の例としては、皮膚組織、消化管(GI)内壁などが挙げられる。結合組織の例としては、体内液(血液、血漿、リンパ液、これらのいずれかの組み合わせなど)、軟骨、骨、靭帯、腱、脂肪組織(adipose tissue又はfat tissue)などが挙げられる。筋肉組織の例としては、骨格筋、心筋、平滑筋などが挙げられる。臓器は、1又は2以上の機能を果たすように組織化された2又は3以上のタイプの組織を含む。臓器の例としては、心臓、肺、胃、腎臓、皮膚、肝臓などが挙げられる。臓器系は、(i)1又は2以上の機能を果たすように協働する少なくとも2つの臓器、又は(ii)1又は2以上の機能を果たすように協働する少なくとも1つの臓器及び少なくとも1つの組織を含む。臓器系の一例は、血管、体内液及び少なくとも1つの臓器又は組織を含むことができる血管系である。臓器系の別の例は、心臓、血管及び体内液を含むことができる心臓血管系である。臓器系の他の例としては、リンパ系、消化器系、内分泌系、内臓器系、筋肉系、神経系、生殖器系、呼吸器系、骨格系、泌尿器系、免疫系、循環器系などが挙げられる。
【0032】
本明細書で使用する「循環系(circulatory system、circulation system)」という用語、及びこれらの変形形態は、心臓、少なくとも一方の肺、少なくとも1種類の体内液、及び体内の組織と器官との間で少なくとも1種類の体内液を輸送するように機能する少なくとも1つの血管(例えば、血管、リンパ管など)を含む器官系を意味する。循環系による循環には多くのタイプが存在する。一例として、(i)肺循環、(ii)全身循環、及び(iii)冠循環が挙げられる。肺循環は、(例えば、心臓から肺へ、そして再び心臓へなどの)心臓と肺との間の体内液の輸送を含む。全身循環は、心臓及び肺を除く組織と臓器との間の体内液の輸送を含む。冠循環は、心臓の組織を通じた体内液の輸送を含む。
【0033】
本明細書で使用する「神経血管(neurovascular)」、「NV」という用語、及びこれらの変形形態は、神経系及び血管系に関連する1又は2以上の体内構造を意味する。このような構造の例としては、互いに結合又は接続された血管及び神経が挙げられる。
【0034】
本明細書で使用する「動静脈(arteriovenous)」、「AV」という用語、及びこれらの変形形態は、動脈と静脈との間の関係を意味する。例えば、AV異常は、毛細血管を伴わない動脈と静脈との間の接続又は結合を含む。
【0035】
本明細書で使用する「動静脈短絡(arteriovenous shunting)」、「AV短絡(AV shunting)」、「短絡(shunting)」という用語、及びこれらの変形形態は、第2のタイプの循環に進む代わりに第1のタイプの循環を繰り返すことを含む異常な循環プロセスを意味する。例えば、正常な循環プロセスは、肺循環の後に全身循環を行うことを含む。この例に関して言えば、全身循環に進む代わりに肺循環が繰り返された時にAV短絡が発生する。この結果、AV短絡によって異常循環過程が生じる。本明細書で使用する「動静脈シャント(arteriovenous shunt)」、「AVシャント(AV shunt)」、「シャント(shunt)」という用語、及びこれらの変形形態は、流体などの体内構造が毛細血管を通過することなく動脈と静脈との間を通過することを意味する。
【0036】
本明細書で使用する「ソノグラム(sonogram)」という用語、及びその変形形態は、超音波(US)を使用して生成される画像(例えば、音像など)を意味する。例えば、ソノグラムを生成することは、身体部分にUSを向けること、身体部分の下部の体内構造から反射された1又は2以上のエコーを受け取ること、及びこれらのエコーを処理して体内構造又はその特性を表すソノグラムを生成することを含む。本明細書で使用する「超音波(ultrasound)」、「US」という用語、及びこれらの変形形態は、高周波数(例えば、20キロヘルツ(KHz)以上の周波数など)を有する1又は2以上の音波を意味する。USには様々な用途がある。診断用US又は医療用USと呼ばれるUSの例示的な用途としては、医療状況内での診断(例えば、医療診断など)のために、身体部分にUSを向けて身体部分の下部の体内構造又はその特性を表すソノグラムを生成することが挙げられる。診断用USの例としては、以下に限定するわけではないが、ドップラーUS、二重US、及び体内流体、体内流体の特性、体内流体に関連する体内構造、体内流体に関連する体内構造の特性、又はこれらのいずれかの組み合わせを表すソノグラムを作成できる他のいずれかのUS又はUSの組み合わせが挙げられる。
【0037】
本明細書で使用する「神経血管超音波分析(neurovascular ultrasound analysis)」、「NV超音波分析(NV ultrasound analysis)」、「神経血管US分析(neurovascular US analysis)」、「NUA」、及びその変形形態は、被験者の1又は2以上の異常又は病状を検出するために被験者へのUSの適用に基づいてNV情報を処理する1又は2以上の技術の1又は2以上の実施形態を意味する。本明細書に開示するNUAの1つの実施形態は、被験者の潜在的アレルゲン(例えば、食品物質、環境化合物)への曝露後に被験者の身体部分にUSを適用することと、USを適用することに応答して第1の情報を受け取ることと、身体部分にUSを適用することによって生成された第1の情報を処理することに基づいて、身体部分下の体内液又はその特性を表す第2の情報を生成することと、被験者の循環系の変化を表す第3の情報を生成することと、第3の情報を処理することに基づいて被験者が潜在的アレルゲンに対してアレルギー体質であると判定することと、を含む。NUAの1つの実施形態は、被験者の潜在的アレルゲンへの曝露後に被験者の身体部分にUSを適用して、(i)順向性循環の量の変化、(ii)1又は2以上の動脈と1又は2以上の神経との間の循環の質、(iii)神経血管循環(neurovascular circulation)の変化、又は(iv)これらのいずれかの組み合わせ、を判定することを含む。他の実施形態は、本明細書で行う説明及び添付図から明らかである。
【0038】
本明細書で使用する「被験者」は、(人間、サルなどの人間以外の霊長類などの)霊長類及び(マウスなどの)非霊長類を含む哺乳類などの動物を意味する。本開示のいくつかの態様では、被験者が人間である。いくつかの態様では、被験者が新生児、乳児又は子供などの小児被験者である。他の態様では、被験者が成人被験者である。
【0039】
本開示(例えば、詳細な説明の一部又は全部、以下の請求項のうちの1つ又は2つ以上など)で使用する「A、B又はCのうちの少なくとも1つ」という表現は、Aのみ、Bのみ、Cのみ、AとBの組み合わせ、BとCの組み合わせ、AとCの組み合わせ、及びAとBとCの組み合わせを含む。すなわち、「A、B又はCのうちの少なくとも1つ」という表現は、A、B、C、或いはA、B及びCから成る要素群のうちの1つ又は2つ以上を含むようなこれらの組み合わせを意味し、A、B及びCがカテゴリー的に又は別様に関連しているかどうかにかかわらず、列挙する要素A、B及びCの各々のうちの少なくとも1つを必要とするものであると解釈すべきではない。さらに、要素を紹介する上での「a(英文不定冠詞)」又は「the(英文定冠詞)」の使用は、複数の要素を排除するものとして解釈すべきではない。また、「A、B及び/又はC」という記載は、「A、B又はCのうちの少なくとも1つ」と等しい。本開示では、「a(英文不定冠詞)」の使用は「1又は2以上」又は「少なくとも1つ」を意味する。例えば、「あるモジュール(a module)」は、「1又は2以上のモジュール」又は「少なくとも1つのモジュール」を意味する。
【0040】
いくつかの態様では、アレルギー検査のための神経血管超音波分析(NUA)を行うコンピュータ実装方法、システム及び装置を提供する。本開示のNUAは、アレルゲンに対する被験者の反応を評価し、アレルゲンへの曝露の結果としての循環のいずれかの変化を決定して提示できる、成果ベースのツール(outcome-based tool)を含む。NUAは、被験者のいずれかの好適な数の部位を超音波パルスドップラー検査で検査することを含むことができる。いくつかの実施形態では、効率的かつ信頼できるアレルギー検出を行うために被験者の8つの部位を検査する。被験者が潜在的アレルゲンに曝される前及び後の両方に、順向性循環及び逆向性循環の体積流量及び拍動指数などの超音波測定を記録することができる。すなわち、それぞれの領域の超音波測定値を測定して記録することにより、各個々の領域でベースラインを確立することができる。その後、関連する波形の各部分を分析して潜在的アレルゲンに対するアレルギー反応の指示を出力するコントローラによってこれらの超音波測定値を評価する。本実施形態は、神経周囲の神経血管循環の質に定量化できる値を提供するように設計されたツールである神経血管指数(NVI)を提供することもできる。また、NVIは、ズームアウトして(例えば、評価範囲を広げて)神経血管系全体の循環を評価し、又はズームインして(例えば、評価範囲を狭めて)小神経線維などの特定の皮膚神経周囲の循環を調べる能力をユーザに提供する。さらに、NVIは、ユーザが神経血管系を通じた循環を比較して、特定の神経に対する神経血管課題の原因に関する推定を行うことを可能にする。実際には、NVIは、神経血管系に対する自律神経課題の有無、自律神経に対する神経血管課題が存在する場所、及び/又は被験者の1つの四肢から別の四肢への血管の偏りの有無を区別して定量化することができる。
【0041】
ある実施形態では、NUA法が、超音波装置を配置して単一の領域又は部位を評価し、そこから2つの測定値を収集することから開始する。この部位の測定値は、拍動指数及び体積流量を含む。拍動指数及び体積流量の順向性バージョン及び逆向性バージョンの両方を評価する。一般に、超音波は、(正確な画像ではなく)音波に対する構造の影響を調べて、検査中の構造の影響及び制御の結果を提示するレーダーとして機能することができる。超音波装置が動脈を検査している時には、NVIを介して評価されるパルスドップラー波形に応答して、(i)超音波装置のトランスデューサ(例えば、プローブ)の下方の毛細血管抵抗レベル、(ii)トランスデューサの下方の平滑筋の神経制御レベル、(iii)トランスデューサの上方の動脈制御、及び(iv)トランスデューサの上方の毛細血管抵抗を含む4つの個別属性を決定することができる。これらの個別に及び/又はいずれかの好適な組み合わせで評価される4つの測定値は、検査される動脈に関連するトランスデューサ直下の神経への神経血管循環の質を示す。
【0042】
トランスデューサの下方の毛細血管抵抗が増加すると、検査される動脈の波形の拍動性及び体積流量が独特な形で変化し、NVIは波形を評価してこの波形に固有の特定の数字を関連付ける。同様に、超音波装置の下方の細動脈の神経血管循環の交感神経調節が循環不足によって損なわれている場合、NVIはその特定の波形の変化を定量化する。これらのドップラー波形の変化の定量化は、潜在的アレルゲンへの曝露前後での観察と、本明細書における、大血管系と微小血管系との間の密接な相乗関係に基づいて評価を行って提供するNVIの新規モデル(例えば、NVIモデル)の開発とに基づく。実際に、パルスドップラー波形を発展させる又はこれに影響を与える4つの力は、微小血管循環と大血管との間の関係から導出される。1つの力が際立って別の力が低下する場合には、虚血又は血流低下を生じる可能性が高い障害として定義される。この大血管系と微小血管系との間の不均衡を伴う障害はパルスドップラー波形において明らかになり、NVIにおいてNVIモデルを使用して定量化される。これらのタイプの不均衡は、神経血管の鬱血又は虚血を引き起こすことがある。NVI及びその関連するNVIモデルは、障害の数を捕捉してアレルギー反応を示す不足率(percent deficit)を形成するために開発されたものである。従って、本実施形態は、アレルギー反応を定量化し、これを使用して被験者の特定のアレルギーを厳密に確認又は反証することができる。
【0043】
これまで、NVIモデルを実装して本明細書に開示するシステム及び方法を開発するために50箇所以上の身体部位を評価した。例えば、これらの身体部位は脳血管を含む。身体部位は、大動脈、外腸骨及び内腸骨などの体内の太い血管も含む。これらの太い血管は、超音波装置の血管プローブ又は内臓プローブを使用して評価できるのに対し、細い血管は、超音波装置の筋骨格系プローブを使用して測定される。いくつかの実施形態では、近位上腕及び遠位上腕(近位橈骨及び近位尺骨、遠位橈骨及び遠位尺骨)で測定値が採取される。測定値は、両脚(近位脛骨及び腓骨領域、遠位脛骨及び腓骨領域)、足の8~10箇所の異なる領域、手の5箇所以上の領域、上腕、総腓骨動脈及び深腓骨動脈、及び膝窩動脈などで採取することもできる。後述するように、本開示のいくつかの実施形態は、アレルギー診断の精度及び信頼性を高めるために10箇所の身体部位又は領域を評価する。
【0044】
プローブが血管の循環を検出することに基づいて、パルス画像が取得され、プローブに通信可能に結合されたコントローラに記憶(例えば、「凍結」)される。その後に、プローブを操作するユーザが、血管(大小両方)の体積流量を順行及び逆行の両方で測定し、血管(大小両方)の拍動指数を順行及び逆行の両方でさらに測定することができる。測定値は、被験者のベースラインとしてコントローラ内に記憶される。被験者による制御量の食品の摂取又は制御量の環境アレルゲンとの接触などの被験者の潜在的アレルゲンへの曝露後に、上述した測定値を再び採取して被験者のベースラインと比較する。各測定値の不足(deficit)を計算して全ての不足を合計する。いくつかの実施形態では、個々のベースラインを構築する代わりに、アレルゲン後の測定値を神経周囲の完全に機能している微小血管系と比較することによって不足を計算する。測定値を採取して、個々の測定値の理想的な割合と比較する。これらの不足は、左右の上肢大繊維、左右の下肢大繊維、左右の上肢小繊維及び左右の下肢小繊維などの他の神経に関する不足の次に評価される。また、不足は、左右の内臓、NRと中心大動脈(central aorta)、左右の脊髄路領域(spinal track regions)などに分割することもできる。
【0045】
本開示のいくつかの態様では、被験者におけるアレルギー反応の存在を判定するNUAシステムを提供する。NUAシステムは、被験者の領域にUS波を送信するように構成されたUSプローブを含む。領域は体内構造を含む。NUAシステムは、USプローブに通信可能に結合されたプロセッサを含む。プロセッサは、USプローブを介して、領域からのUS波の反射を表す第1の情報を受け取り、第1の情報を処理することに基づいて、体内構造又はその特性を表す第2の情報を生成し、第2の情報を処理することに基づいて、被験者の循環系の変化を表す第3の情報を生成し、第3の情報に基づいて、被験者における潜在的アレルゲンに対するアレルギー反応の存在を判定し、プロセッサに通信可能に結合されたユーザインターフェイスを介して、アレルギー反応の存在を示す第4の情報を出力する、ための命令を実行するように構成される。
【0046】
いくつかの実施形態では、第3の情報が、循環系に関連する免疫反応の変化を表す第5の情報、循環系に対する補償量を表す第6の情報、及び循環系による血管循環の変化を表す第7の情報のうちの1つ又は2つ以上を含む。いくつかの実施形態では、プロセッサが、領域に関連する四肢について、順行性拍動指数、順行性体積流量、逆行性拍動指数及び逆行性体積流量のうちの少なくとも1つを決定し、順行性拍動指数、順行性体積流量、逆行性拍動指数及び逆行性体積流量のうちの少なくとも1つから成る四肢の神経血管指数を決定することによって、第2の情報を生成するための命令を実行するように構成される。いくつかの実施形態では、プロセッサが、神経血管指数及び所定の四肢スコアに基づいて、四肢の動静脈(AV)短絡スコアを決定するための命令を実行するように構成される。いくつかの実施形態では、プロセッサが、被験者の四肢及び少なくとも1つのさらなる四肢のそれぞれの順向性体積流量の合計に基づいて累積順向性体積流量スコアを決定するための命令を実行するように構成される。いくつかの実施形態では、プロセッサが、累積順向性体積流量スコアの減少を判定し、累積順向性体積流量スコアの減少に基づいて、循環系に関連する免疫反応の変化を表す第5の情報を生成することによって、第3の情報を生成するための命令を実行するように構成される。
【0047】
いくつかの実施形態では、プロセッサが、循環系に対する補償量の増加を判定し、循環系に対する補償量の増加に基づいて、循環系に対する補償量を表す第6の情報を生成することによって、第3の情報を生成するための命令を実行するように構成される。いくつかの実施形態では、プロセッサが、循環系を循環する体内構造又はその特性の量の減少を判定し、循環系を循環する体内構造又はその特性の量の減少に基づいて、循環系による血管循環の変化を表す第7の情報を生成することによって、第3の情報を生成するための命令を実行するように構成される。いくつかの実施形態では、プロセッサが、被験者の潜在的アレルゲンへの曝露後に、アレルギー反応の存在を示す第4の情報を出力するように構成される。いくつかの実施形態では、プロセッサが、被験者の潜在的アレルゲンへの曝露前に、アレルギー反応の存在を示す曝露前の第4の情報を出力してベースライン測定値を確立し、被験者の潜在的アレルゲンへの曝露後に、ベースライン測定値及び曝露後測定値に基づいて、アレルギー反応の存在を示す第4の情報を出力するように構成される。いくつかの実施形態では、ベースライン測定値が、被験者の潜在的アレルゲンへの曝露前に取得又は決定された測定値であり、被験者の正常状態を反映することができる。
【0048】
いくつかの実施形態では、NUAが、アレルゲンに反応する免疫活性化、及び免疫活性化後の心臓補償に基づく。免疫反応はヒスタミン放出及び心臓補償を含み、これらはアレルゲンへの曝露に応答して(NVI法を通じて分析される)波形変化及び体積流量の増加をもたらす。いくつかの実施形態では、ベースライン生成対照(baseline-generated control)に対するアレルギー検出の陽性基準が、(1)現在値と対応する対照値との差分率が1.5を上回って増加し、又は0.85未満だけ減少すること、(2)UEが1.25を上回って増加し、LEが0.8を上回って減少すること、(3)AV短絡がUE優位からLE優位に変化すること、(4)総AV短絡が0.15よりも大きく変化すること、又は(5)これらのいずれかの組み合わせ、を決定することを含む。
【0049】
食物アレルギーの検出のためのいくつかの実施形態では、本開示のNUAは、食物導入後のマクロ/ミクロ関係を評価することと、免疫反応を評価することと、免疫反応に対する心臓補償を評価することと、を含む。上記の及び以下の説明に関して理解すべきこととして、本開示の方法、システム及び装置は、臨床環境において食物アレルギーを検査して被験者のアレルギー誘発性/非アレルギー誘発性食物を識別するために使用することができる。これらの方法、システム及び装置は、アレルギー検出の非主観性、容易さ及び侵襲性の低減を含む、先行する抗体検出又は食物除外食を凌ぐ顕著な利点をもたらす。
【0050】
ある例では、アレルギー検出のための神経血管(NV)超音波(US)分析(NUA)のためのコンピュータ実装システムを開示する。図1に、本開示の態様によるコンピュータ実装NUAシステム100の例を示す。理解されるように、NUAシステム100は、被験者の少なくとも1つの四肢の少なくとも1つの領域101の一連の制御された物理的変化をモニタすることに基づいてアレルギーを検出することができる。四肢は、手、腕、脚、足首又は足などの上肢又は下肢であることができるが、さらに他の例では、頸部又は背部などの被験者の他の様々な部位を標的にすることもできる。被験者の領域101は、表面105(例えば、表皮)の下方に配置されるとともに少なくとも部分的に被験者の四肢内に配置される体内構造103を含む。いくつかの実施形態では、体内構造103が、流体107が流れる動脈又は血管を含む。体内構造103は、体内構造103内の流体107の流れを直接的又は間接的に制御できる循環系111に関連する。
【0051】
本実施形態のNUAシステム100はUS装置120も含む。US装置120は、被験者の領域101上又は領域101内に配置されるUSプローブ121を含む。上述したように、USプローブ121は、被験者のベースライン応答を確立するために使用できるとともに、被験者の潜在的アレルゲンへの曝露後のアレルゲンに対するアレルギー反応を分析するために使用することができる。本実施形態のUSプローブ121は、ケーブル123を介して、以下ではコントローラ125と呼ぶ1又は2以上のコンピュータに通信可能に結合される。他の実施形態では、USプローブ121及びコントローラ125が無線で通信可能に結合される。
【0052】
図示のように、US装置120は、コントローラ125からの命令などに基づいて、USプローブ107を介して領域101内にUS波を放出する。NUAシステム100のコントローラ125は、USプローブ107から、領域101からのUS波の反射を表す第1の情報を受け取る。NUAシステム100は、コントローラ125などを介して第1の情報を処理することに基づいて、体内構造103又はその特性を表す第2の情報を生成する。NUAシステム100のコントローラ125は、第2の情報を処理することに基づいて、被験者の循環系111の変化を表す第3の情報を生成する。従って、NUAシステム100は、第3の情報を処理することに基づいてアレルギーを検出し、NUAシステム100のユーザに出力するための、アレルギーの検出を表す第4の情報を生成することができる。以下では、NUAシステム100によって生成され処理され使用される情報に関するさらなる非限定的な例を示した後に、NUAシステム100のコンポーネント及び構成のいくつかの例を示す。理解されるように、NVIはアレルギー検出のための身体炎症情報の提示及び分析を行い、アレルゲン曝露後の炎症測定値の増加はアレルギー反応を示す。さらに、被験者においてアレルギー反応が検出された場合には、検出されたアレルギーに関連する症状を緩和するために人間被験者に抗アレルギー薬を投与することができる。いくつかの実施形態では、アレルギー薬が、抗ヒスタミン剤、コルチコステロイド、気管支拡張剤、肥満細胞安定化剤、ロイコトリエン阻害剤、セリン肺プロテアーゼ阻害剤、又はこれらのいずれかの組み合わせ又は誘導体であることができる。いくつかの実施形態では、抗ヒスタミン剤が、H1-抗ヒスタミン剤、H2-抗ヒスタミン剤、H3-抗ヒスタミン剤、H4-抗ヒスタミン剤、又はこれらのいずれかの組み合わせであることができる。
【0053】
図2は、本明細書に開示するNUAシステムを介して被験者の食物アレルギーを検出する例示的なコンピュータ実装方法200を示すブロック図である。いくつかの実施形態では、方法200が、USプローブ107及び/又は図1のコントローラ125のプロセッサによって実行される。図2では、方法200がブロック201から開始して、USプローブから被験者の領域内にUS波を送信する。いくつかの実施形態では、USプローブが、コントローラからの1又は2以上の命令に応答してUS波を送信する。各検査領域では、ユーザ又は医療提供者が被験者の領域上又は領域内にUSプローブを配置することができる。医療提供者は、アレルゲン又は食物に対するアレルギー反応を分析するために、被験者による食物の摂取後又は直後にUSプローブを配置することができる。いくつかの実施形態では、被験者がアレルゲンに曝されてから所定の期間後にアレルゲンに対するアレルギー反応を評価することができる。いくつかの実施形態では、被験者がアレルゲンに対して目に見える又は知覚できる反応を示した後にアレルギー反応を評価することができる。さらに、いくつかのNUAの実施形態は、10箇所の異なる身体部位又は領域で採取されたUS測定値に基づいてアレルギー診断を容易にする。いくつかの実施形態では、領域が、腕の橈骨側の2つの領域、腕の尺骨側の2つの領域、脚の下内側(例えば、脛骨)の3つの領域、及び脚の下外側(例えば、腓骨)の3つの領域などの、4つの上肢領域及び6つの下肢領域を含む。いくつかの実施形態では、アレルゲン暴露前にUSを介して10個の領域の各々を測定し、アレルゲン暴露後に再びこれらの領域を測定することができる。
【0054】
ブロック203において、領域からのUS波の反射を表す第1の情報を受け取る。例えば、プロセッサは、USプローブから第1の情報を受け取ることができる。いくつかの実施形態では、第1の情報が領域に関連するドップラー波形を含む。ブロック205において、第1の情報を処理することに基づいて体内構造又はその特性を表す第2の情報を生成する。いくつかの実施形態では、プロセッサが、領域に関連するドップラー波形のメトリックを分析することによって第2の情報を生成する。第2の情報を生成するいくつかの例については、以下で図3A図3Bの方法300、350に関してさらに詳細に説明する。例えば、以下でさらに詳細に説明するいくつかの実施形態の第2の情報は、順行性拍動指数(PI)、順行性体積流量(VF)、逆行性PI、逆行性VF、AV短絡スコア、及び/又は累積順行性VFスコアを含むことができる。
【0055】
ブロック207において、第2の情報を処理することに基づいて被験者の循環系の変化を表す第3の情報を生成する。いくつかの実施形態のプロセッサは、(1)循環系に関連する免疫反応の変化を表す第5の情報、(2)循環系に対する補償量を表す第6の情報、及び/又は(3)循環系による血管循環の変化を表す第7の情報を含む第3の情報を生成する。第3の情報の実施形態のための第5、第6及び/又は第7の情報を生成するいくつかの実施形態については、以下で図4A図4Cの方法に関して説明する。ブロック211において、第3の情報を処理することに基づいてアレルギー反応又は食物アレルギーの存在を判定(例えば、検出)する。例えば、いくつかの実施形態のプロセッサは、第3の情報のそれぞれの値を対応する個別基準値又は一般的基準値のいずれか一方と比較することに応答して、第3の情報がアレルギー反応の存在を示すと判定することができる。いくつかの実施形態では、プロセッサが、(1)免疫反応の変化が免疫反応閾値よりも大きいことを表す第5の情報、(2)循環系補償の量が補償閾値よりも大きいことを表す第6の情報、及び/又は(3)血管循環の変化が血管循環閾値よりも大きいことを表す第7の情報に応答して、第3の情報がアレルギー反応の存在を示すと判定することができる。ブロック213において、アレルギー反応の存在を表す第4の情報を生成する。いくつかの実施形態では、プロセッサが、プロセッサに通信可能に結合されたユーザインターフェイスを介して、いずれかの好適な視覚及び/又は可聴アラートを介して第4の情報を出力することができる。これらの実施形態では、NUAシステムが、正しい情報に基づいて被験者を対応するアレルゲンから隔離できるように医療提供者及び/又は被験者にアレルギーの指示を提示することが望ましい。
【0056】
本明細書に開示するように、NUAのための方法は、検査したアレルゲンに対するアレルギー反応度合いの決定を容易にする。例えば、NUAは、被験者の体内で検知された炎症の定量化に基づいて、被験者がアレルゲンに対して無反応、低度の反応、中程度の反応、又は重度の反応を有することを示すことができる。実際には、NVIがアレルギー検出のために身体炎症情報の提示及び分析を行い、アレルゲン暴露後の炎症測定値の増加はアレルギー反応を示す。
【0057】
図3Aは、(方法200のブロック205に例示するような)第1の情報を処理することに基づいて体内構造又はその特性を表す第2の情報を生成する例示的なコンピュータ実装方法300を示すブロック図である。いくつかの実施形態では、方法300の全部又は一部をNUAシステムのプロセッサ又はコントローラによって実行することができる。さらに、方法300は、左上肢、左下肢、右上肢及び右下肢のうちの1つ又は2つ以上などの、被験者の各好適な四肢について繰り返すことができる。図3Aでは、ブロック301において、被験者の標的四肢の順行性拍動指数(PI)を決定する。本明細書で使用する拍動性指数は、ピーク収縮期流速と最小拡張期流速との間の差分を、心周期全体を通じて記録された平均流速で除算したものとして定義される。ブロック303において、標的四肢の順行性体積流量(VF)を決定する。ブロック305において、標的四肢の逆行性PIを決定する。ブロック307において、標的四肢の逆行性VFを決定する。当業者であれば理解するように、順行性測定値は順流方向に関して評価され、逆行性測定値は逆流方向に関して評価される。
【0058】
ブロック311において、標的四肢の累積神経血管指数(NVI)を決定する。NVIは、順向性PI、順向性VF、逆向性PI及び逆向性VFのうちの1つ又は2つ以上を含む。いくつかの実施形態では、本明細書に開示するNUAシステムの精度及び信頼性をさらに高めるように、閾値数の順向性PI、順向性VF、逆向性PI及び逆向性VFを評価することができる。例えば、いくつかの実施形態では、NUAシステムが、閾値数が2、3又は4であることを規定することができる。順向性PI、順向性VF、逆向性PI及び逆向性VFのうちの1つ又は2つ以上を累積NVIの決定に利用しない実施形態では、ブロック301~307のうちの対応する1つ又は2つ以上を省略することができる。いくつかの実施形態では、順向性PI、順向性VF、逆向性PI及び/又は逆向性VFが、体内構造又はその特性を表す第2の情報に対応する。
【0059】
いくつかの実施形態では、NUA評価が、検査したアレルゲンに反応するいずれかの正常範囲外の波形変動性変化(waveform variability changes)を評価する。これらの実施形態の一部では、NVIの正常範囲が7~14である。しかしながら、変動性変化に基づくアレルギー検出のための範囲は、いずれかの好適なものを確立することができると理解されたい。いくつかの実施形態では、NUA評価が、正常変動外の増加又は減少などのいずれかの異常な順向性体積流量変化を評価する。このような体積流量の変化は、(1)対照の1.5倍を超えるような、炎症に反応した心臓の変化(例えば、増加)を示す順向性体積流量の増加、(2)検査したアレルゲンに反応したヒスタミン放出を示す順向性体積流量の減少、及び/又は(3)心臓に対する検査領域の位置に関連したパターン変化を示す上肢増加と下肢減少との組み合わせを含む。
【0060】
ブロック313において、個々の神経の累積NVIの標準偏差変化の検査を介して、検査したアレルゲンに対する身体順応を決定する。本明細書で説明して以下の実施例2に示すように、標準偏差分析は特定の免疫反応を定量化するために実行される。例えば、神経に沿ったベースライン測定値と曝露後測定値との間の差分が統計的に有意であることを示す標準偏差分析に応答してアレルギー診断を確認することができる。本明細書に開示するように、評価できる特定の個々の神経としては、腓骨神経、脛骨神経、背部神経、及び頚部神経が挙げられる。いくつかの実施形態では、標準偏差分析又はそのデータが、体内構造又はその特性を表す第2の情報に対応する。
【0061】
図3Bは、(方法200のブロック205に例示するような)第1の情報を処理することに基づいて体内構造又はその特性を表す第2の情報を生成する例示的なコンピュータ実装方法350を示すブロック図である。いくつかの実施形態では、方法350の全部又は一部をNUAシステムのプロセッサ又はコントローラによって実行することができる。さらに、方法350は、左上肢、左下肢、右上肢及び右下肢のうちの1つ又は2つ以上などの、被験者の各好適な四肢について繰り返すことができる。いくつかの実施形態では、方法350を方法300と組み合わせて、又は方法300と並行して実行することができる。他の実施形態では、方法300、350の一方のみを実行することもできる。
【0062】
図3Bでは、ブロック351において、図3Aのブロック301で上述したような被験者の標的四肢の順向性PIを決定する。ブロック353において、標的四肢の順向性VFを決定する。ブロック355において、標的四肢の逆行性PIを決定する。ブロック357において、標的四肢の逆行性VFを決定する。ブロック361において、標的四肢の累積神経血管指数(NVI)を決定する。NVIは、順向性PI、順向性VF、逆向性PI及び逆向性VFのうちの1つ又は2つ以上から成る。いくつかの実施形態では、図3Bのこれらのステップが図3Aの上述したステップに対応することができる。
【0063】
ブロック363において、四肢の累積NVI及び所定の標的四肢スコアに基づいて動静脈(AV)短絡スコアを決定する。ブロック365において、1又は2以上の標的四肢の順向性VFの合計に基づいて累積順向性VFスコアを決定する。いくつかの実施形態では、AV短絡スコア及び/又は累積順向性VFスコアが、体内構造又はその特性を表す第2の情報にも対応する。
【0064】
上述したように、いくつかの実施形態の循環系の変化を表す第3の情報は、(1)循環系に関連する免疫反応の変化に関する情報(例えば、第5の情報)、(2)循環系に対する補償量に関する情報(例えば、第6の情報)、及び/又は(3)循環系による血管循環の変化(例えば、第7の情報)を含むことができる。以下では、理解を容易にするために、図4A図4Cを示してこれらの各成分について個別に説明する。しかしながら、図4A図4Cの方法のうちの1つ又は2つ以上は、同時に又はいずれかの好適な順序で順次に実行することができる。さらに、図4A図4Cの方法は、本明細書に開示するNUAシステムのプロセッサ又は他のいずれかの好適なコンポーネントによって実行することができる。
【0065】
図4Aは、(方法200のブロック207に例示するような)第2の情報を処理することに基づいて被験者の循環系の変化を表す第3の情報を生成する例示的なコンピュータ実装プロセス400を示すブロック図である。図4Aでは、ブロック401において累積順向性VFスコアの減少を判定する。例えば、累積順向性VFスコアは、第1の期間には第1の値を有しており、さらに低い第2の期間にはさらに低い第2の値を有していると判定することができる。ブロック403において、累積順向性VFスコアの減少に基づいて循環系に関連する免疫反応の変化を表す第5の情報を生成する。いくつかの実施形態では、累積順向性VFスコア及び対応する判定された減少を、方法350のブロック365を介して生成することができる。このような実施形態では、累積順向性VFスコアが第2の情報に対応し、累積順向性VFスコアの減少が第3の情報及び/又は第5の情報に対応する。
【0066】
これに加えて又は代えて、図4Bは、(方法200のブロック207に例示するような)第2の情報を処理することに基づいて被験者の循環系の変化を表す第3の情報を生成する例示的なコンピュータ実装方法430を示すブロック図である。図4Bでは、ブロック431において、循環系に対する補償量の増加を判定する。本明細書に開示するように、免疫活性化は、心臓又は循環系の補償を誘発してドップラー波形の変化を生じることができる。この波形変化は、本開示のNUAシステムのUSプローブ及び/又はコントローラを介して検出し、評価することができる。ブロック433において、循環系に対する補償量の増加に基づいて、循環系に対する補償量を表す第6の情報を生成する。このような実施形態では、ドップラー波形の変化が第2の情報に対応し、ドップラー波形の変化に基づく循環系の補償量の増加が第3の情報及び/又は第6の情報に対応する。
【0067】
これに加えて又は代えて、図4Cは、(方法200のブロック207に例示するような)第2の情報を処理することに基づいて被験者の循環系の変化を表す第3の情報を生成する例示的なコンピュータ実装方法460を示すブロック図である。図4Cでは、ブロック461において、循環系を循環する体内構造又はその特性の量の減少を判定する。ブロック463において、循環系を循環する体内構造又はその特性の量の減少に基づいて、循環系による脈管循環の変化を表す第7の情報を生成する。このような実施形態では、循環系を循環する体内構造又はその特性の量が第2の情報に対応し、血管循環の変化が第3の情報及び/又は第7の情報に対応する。
【0068】
図5は、説明した実施形態のうちの1つ又は2つ以上と共に使用できる例示的なデータ処理システム500を示すブロック図である。例えば、システム500は、いずれかのデータ処理システム(例えば、図1図4に関連して上述した動作又は方法のいずれかを実行する上述したシステムのうちの1つ又は2つ以上など)を表すことができる。システム500は、多くの異なるコンポーネントを含むことができる。これらのコンポーネントは、集積回路(IC)、その一部、個別電子装置(discrete electronic devices)、或いはコンピュータシステムのマザーボード又はアドインカードなどの回路基板に適合された他のモジュール、若しくはコンピュータシステムのシャーシ内に別様に組み込まれたコンポーネントとして実装することができる。また、システム500は、コンピュータシステムの全てではないが多くのコンポーネントの俯瞰図を示すように意図される。それにもかかわらず、いくつかの実装ではさらなるコンポーネントが存在することもでき、他の実装では図示のコンポーネントを異なる形でさらに配置することもできると理解されたい。システム500は、デスクトップコンピュータシステム、ラップトップコンピュータシステム、タブレットコンピュータシステム、サーバコンピュータシステム、携帯電話機、メディアプレーヤ、携帯情報端末(PDA)、パーソナルコンピュータ、ネットワークルータ又はハブ、無線アクセスポイント(AP)又はリピータ、セットトップボックス、又はこれらの組み合わせを表すことができる。さらに、単一の機械又はシステムのみを示しているが、「機械」又は「システム」という用語は、本明細書で説明する方法論のいずれかを実行する命令を個別に又は共同で実行する機械群又はシステム群も含むと解釈されたい。
【0069】
1つの実施形態では、システム500が、(単複の)プロセッサ501、メモリ503、(単複の)ネットワークインターフェイス装置505、(単複の)入力/出力(I/O)装置506、さらなるI/O装置507、(単複の)ストレージデバイス508、バス又は相互接続部710を介したスタンドアロンシステム/装置511を含む。システム500はネットワーク512も含む。(単複の)プロセッサ501は、単一のプロセッサコア又は複数のプロセッサコアを含む単一のプロセッサ又は複数のプロセッサを表すことができる。(単複の)プロセッサ501は、マイクロプロセッサ、中央処理装置(CPU)又はグラフィックプロセッシングユニット(GPU)などの1又は2以上の汎用プロセッサを表すことができる。具体的には、(単複の)プロセッサ501は、複合命令セットコンピュータ(CISC)、縮小命令セットコンピュータ(RISC)、又は超長命令語(VLIW)コンピュータアーキテクチャプロセッサ、又は命令セットの組み合わせを実装するプロセッサであることができる。(単複の)プロセッサ501は、特定用途向け集積回路(ASIC)、特定用途向け命令セットプロセッサ(ASIP)、セルラー又はベースバンドプロセッサ、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、デジタルシグナルプロセッサ(DSP)、物理処理ユニット(PPU)、イメージプロセッサ、オーディオプロセッサ、ネットワークプロセッサ、グラフィックプロセッサ、グラフィックプロセッシングユニット(GPU)、ネットワークプロセッサ、通信プロセッサ、暗号プロセッサ、コプロセッサ、埋め込みプロセッサ、浮動小数点ユニット(FPU)、又は命令を処理できるいずれかのロジックなどの1又は2以上の特定用途向けプロセッサであることができる、
【0070】
超低電圧プロセッサなどの低電力マルチコアプロセッサソケットであることができる(単複の)プロセッサ501は、システムの様々なコンポーネントと通信するためのメインプロセッシングユニット及び中央ハブとして機能することができる。このような(単複の)プロセッサは、1又は2以上のシステムオンチップ(SoC)集積回路(IC)として実装することができる。(単複の)プロセッサ501内には、神経血管超音波(NUA)ロジック/モジュール528Aが完全に又は少なくとも部分的に存在することができる。1つの実施形態では、NUAロジック/モジュールが、図1図4に関連して上述した動作又は方法の一部又は全部を(単複の)プロセッサ501が実行することを可能にする。これに加えて又は代えて、(単複の)プロセッサ501は、本明細書で説明する主題(例えば、動作、方法論など)を実施又は実行するための命令を実行するように構成することもできる。
【0071】
システム500は、ディスプレイコントローラ、グラフィックプロセッシングユニット(GPU)及び/又はディスプレイ装置を含むことができる任意のグラフィックサブシステムと通信するグラフィックインターフェイスをさらに含むことができる。(単複の)プロセッサ501は、1つの実施形態では所与のシステムメモリ量を提供するように複数のメモリデバイスを介して実装できるメモリ503と通信することができる。メモリ503は、ランダムアクセスメモリ(RAM)、ダイナミックRAM(DRAM)、シンクロナスDRAM(SDRAM)、スタティックRAM(SRAM)、又は他のタイプのストレージデバイスなどの1又は2以上の揮発性ストレージ(又はメモリ)デバイスを含むことができる。メモリ503は、(単複の)プロセッサ501又は他のいずれかの装置によって実行される一連の命令を含む情報を記憶することができる。例えば、様々なオペレーティングシステム、デバイスドライバ、ファームウェア(例えば、入出力基本システム又はBIOS)及び/又はアプリケーションからの実行可能なコード及び/又はデータをメモリ503にロードし、(単複の)プロセッサ501によって実行することができる。オペレーティングシステムは、いずれかの種類のオペレーティングシステムであることができる。メモリ503内には、NUAロジック/モジュール528Bが完全に又は少なくとも部分的に存在することもできる。
【0072】
1つの実施形態では、メモリ503が、NUAロジック/モジュールを実行可能命令として含む。別の実施形態では、DAMロジック/モジュールによって表される命令が、(単複の)プロセッサ501によって実行された時に、図1図4に関連して上述した動作又は方法のいずれか、全部又は一部を(単複の)プロセッサ501に実行させる。
【0073】
システム500は、(単複の)ネットワークインターフェイス装置505、任意の(単複の)入力装置及び他の任意の(単複の)I/O装置507を含む、装置506などのI/O装置をさらに含むことができる。ネットワークインターフェイス装置505は、有線又は無線トランシーバ及び/又はネットワークインターフェイスカード(NIC)を含むことができる。無線トランシーバは、WiFiトランシーバ、赤外線トランシーバ、Bluetoothトランシーバ、WiMaxトランシーバ、無線セルラーテレフォニートランシーバ、衛星トランシーバ(例えば、全地球測位システム(GPS)トランシーバ)、又はその他の無線周波数(RF)トランシーバ、或いはこれらの組み合わせであることができる。NICはイーサネットカードであることができる。
【0074】
(単複の)入力装置は、マウス、タッチパッド、(ディスプレイ装置と一体化できる)タッチ感知式画面、スタイラスなどのポインタ装置、及び/又はキーボード(例えば、物理キーボード又はタッチ感知式画面の一部として表示される仮想キーボード)を含むことができる。例えば、入力装置は、タッチ画面に結合されたタッチ画面コントローラを含むことができる。タッチ画面及びタッチ画面コントローラは、例えば以下に限定するわけではないが、静電容量技術、抵抗技術、赤外線技術及び表面弾性波技術を含む1又は2以上のタッチ感度技術、並びにタッチ画面との1又は2以上の接点を決定するための他の近接センサアレイ又はその他の素子を使用して接触及び移動又はその中断を検出することができる。
【0075】
I/O装置506はオーディオ装置を含むことができる。オーディオ装置は、音声認識機能、音声複製機能、デジタル録音機能及び/又は電話機能などの音声対応機能を容易にするためにスピーカ及び/又はマイクを含むことができる。他のI/O装置507としては、(単複の)ユニバーサルシリアルバス(USB)ポート、(単複の)パラレルポート、(単複の)シリアルポート、プリンタ、ネットワークインターフェイス、バスブリッジ(例えば、PCI-PCIブリッジ)、(単複の)センサ(例えば、加速度センサ、ジャイロスコープ、地磁気センサ、光センサ、コンパス、近接センサなどのモーションセンサ)、又はこれらの組み合わせを挙げることができる。(単複の)装置は、写真又はビデオクリップの記録などのカメラ機能を容易にするために利用される、電荷結合素子(CCD)又は相補型金属酸化膜半導体(CMOS)光学センサなどの光学センサを含むことができる画像処理サブシステム(例えば、カメラ)をさらに含むことができる。システム500の具体的な構成又は設計にもよるが、いくつかのセンサはセンサハブ(図示せず)を介して相互接続部710に結合できる一方で、キーボード又は熱センサなどの他の装置は埋め込みコントローラ(図示せず)によって制御することができる。
【0076】
(単複の)プロセッサ501には、データ、アプリケーション及び1又は2以上のオペレーティングシステムなどの情報を永続的に記憶できるように1又は複数の大容量ストレージデバイス(図示せず)を結合することもできる。様々な実施形態では、より薄くて軽いシステム設計を可能にするとともにシステムの応答性を高めるように、この大容量ストレージを、ソリッドステートデバイス(SSD)を介して実装することができる。しかしながら、他の実施形態では、システム活動の再始動時に高速パワーアップが行われるようにパワーダウンイベント中にコンテキスト状態及びその他のこのような情報の不揮発性記憶を可能にするSSDキャッシュとして機能する少量のSSDストレージを有するハードディスクドライブ(HDD)を主に使用して大容量ストレージを実装することもできる。また、例えば任意のシリアル周辺機器インターフェイス(SPI)を介して(単複の)プロセッサ501にフラッシュデバイスを結合することもできる。このフラッシュデバイスは、基本入力/出力ソフトウェア(BIOS)及びその他のファームウェアを含む、システムソフトウェアの不揮発性ストレージを提供することができる。
【0077】
NUAロジック/モジュール528Cは、ハードウェア、ソフトウェア又はこれらの組み合わせから形成される特殊なスタンドアロンコンピュータシステム/装置511の一部であることができる。1つの実施形態では、NUAロジック/モジュール528Cが、図1図4に関連して上述した動作又は方法のいずれか、全部又は一部を実行する。
【0078】
ストレージデバイス508は、NUAロジック/モジュール528Dなどの1又は2以上の命令セット又はソフトウェアを記憶した(機械可読記憶媒体又はコンピュータ可読媒体としても知られている)コンピュータアクセス可能記憶媒体509を含むことができる。
【0079】
1つの実施形態では、記憶媒体508に記憶された(単複の)命令又はソフトウェアが、図1図4に関連して上述した1又は2以上の方法論又は機能を具現化する。別の実施形態では、ストレージデバイス508が、NUAロジック/モジュールを実行可能命令として含む。NUAロジック/モジュールによって表される命令は、(単複の)プロセッサ501によって実行された時に、図1図4に関連して上述した動作又は方法のいずれか、全部又は一部をシステム500に実行させる。
【0080】
コンピュータ可読記憶媒体509は、上述したNUAロジック/モジュールのソフトウェア機能の一部又は全部を永続的に記憶することができる。例示的な実施形態では、コンピュータ可読記憶媒体509を単一の媒体として示しているが、「コンピュータ可読記憶媒体」という用語は、1又は2以上の命令セットを記憶する単一の媒体又は複数の媒体(例えば、集中型又は分散型データベース、及び/又は関連するキャッシュ及びサーバ)を含むものと解釈されたい。また、「コンピュータ可読記憶媒体」という用語は、システム500によって実行される命令セットを記憶又は符号化できるとともに、開示する方法論のうちのいずれか1つ又は2つ以上をシステム500に実行させるいずれかの媒体を含むと解釈されたい。従って、「コンピュータ可読記憶媒体」という用語は、以下に限定するわけではないが、固体メモリ、光及び磁気媒体、又は他のいずれかの非一時的機械可読媒体を含むものと解釈されたい。
【0081】
なお、システム500をデータ処理システムの様々なコンポーネントと共に示しているが、コンポーネントを相互接続するいずれかの特定のアーキテクチャ又は態様を表すことは意図しておらず、従って詳細は本明細書で説明する実施形態とは無関係である。また、ネットワークコンピュータ、ハンドヘルドコンピュータ、携帯電話機、サーバ、及び/又はさらに少ない又は場合によっては多くのコンポーネントを有する他のデータ処理システムを本明細書で説明する実施形態と共に使用することもできると理解されるであろう。
【0082】
本開示は、いくつかの態様では、被験者におけるアレルギー反応の存在を判定するNUAシステムを提供する。神経血管US分析システムは、被験者の領域にUS波を送信するように構成されたUSプローブを含む。領域は体内構造を含む。神経血管US分析システムは、USプローブに通信可能に結合されたプロセッサを含む。プロセッサは、USプローブを介して、領域からのUS波の反射を表す第1の情報を受け取り、第1の情報を処理することに基づいて、体内構造又はその特性を表す第2の情報を生成し、第2の情報を処理することに基づいて、被験者の循環系の変化を表す第3の情報を生成し、第3の情報に基づいて、被験者における潜在的アレルゲンに対するアレルギー反応の存在を判定し、プロセッサに通信可能に結合されたユーザインターフェイスを介して、アレルギー反応の存在を示す第4の情報を出力する、ための命令を実行するように構成される。いくつかの実施形態では、第3の情報が、循環系に関連する免疫反応の変化を表す第5の情報、循環系に対する補償量を表す第6の情報、及び循環系による血管循環の変化を表す第7の情報のうちの1つ又は2つ以上を含む。
【0083】
図6に、本開示の態様による、神経血管超音波分析(NUA)のためのコンピュータ実装方法をシステム内に提供する例示的な装置600を示す。具体的には、装置600内に一連のコンポーネント例602~618が提供される。従って、ある実施形態によれば、装置600は図1の例におけるコンピュータ装置であることができる。ある例では、装置600が、本開示に基づく発達した能力を有する超音波装置であることができる。例えば、超音波装置は、この発達した能力により、先行例において言及した第1、第2、第3及び第4の信号の各々から判別特徴(discriminant features)を識別して処理することができる。従って、超音波診断装置600は、マイクロプロセッサ602、分類器610及び信号修正要素612が第1、第2及び第3の信号の各々から判別特徴を生成又は提供するための命令をメモリ604内に含む。第1、第2及び第3の信号の各々における判別特徴は、神経障害問題が識別され管理されているとの判定を支援する、2次元平面内でクラスタリングされる速度値を含むことができる。
【0084】
図示の装置例600は、数ある選択肢の中でもとりわけ、ダイナミックランダムアクセスメモリ(DRAM)又はフラッシュメモリなどのデバイス上の物理的メモリ604に記憶された命令を実行する少なくとも1つのメインマイクロプロセッサ602を含む。当業者には明らかなように、装置600は、装置のデータストレージ又はメモリ604として機能するハードドライブ又はソリッドステートメモリなどの多くのタイプのメモリ、データストレージ又はコンピュータ可読媒体を含むことができる。少なくとも1つのマイクロプロセッサ602によって実行されるアプリケーション命令を(メモリ604とは別の)追加データストレージデバイスに記憶し、必要に応じて装置600の動作のためにメモリ604にロードすることができる。マイクロプロセッサ602は、いくつかの実施形態では処理用のデータ及び命令を一時的に記憶するために使用される内部メモリを有することもできる。装置600は、他の装置と情報を共有するのに役立つ(メモリ604の一部としての、又はメモリ604とは別の)取り外し可能メモリをサポートすることもできる。装置は、装置に電力を供給する1又は2以上の電力コンポーネント616を含むこともできる。当業者であれば容易に理解するように、電力コンポーネントは、数ある選択肢の中でもとりわけ、充電式バッテリ、内部電源、又は外部電力を受け取るためのポートを使用して装置に電力を供給するためのバッテリ区画(battery compartment)を含むことができる。
【0085】
コンピュータ装置は、タッチ画面、有機発光ダイオード(OLED)又は液晶ディスプレイ(LCD)などの少なくとも1つのタイプのディスプレイ要素606を含むことができ、又はこのようなディスプレイ要素606と通信することができる。いくつかの装置は複数のディスプレイ要素を含むことができ、またLED及びプロジェクタなどを含むこともできる。装置は、少なくとも1つの通信又はネットワーキングコンポーネント614を含むことができ、様々なタイプのデータ又はその他の電子通信の送受信を可能にすることができる。通信は、インターネット、イントラネット、ローカルエリアネットワーク(LAN)、5G又はその他のセルラーネットワーク、又はWi-Fiネットワークなどのいずれかの好適なタイプのネットワークを介して行うことができ、或いはとりわけBLUETOOTH(登録商標)又はNFCなどの伝送プロトコルを利用することもできる。装置は、ユーザ又は他のソースから入力を受け取ることができる少なくとも入力要素618を含むことができる。この入力装置は、例えばボタン、ダイヤル、スライダ、タッチパッド、ホイール、ジョイスティック、キーボード、マウス、トラックボール、カメラ、マイク、キーパッド、或いはその他のこのような装置又はコンポーネントを含むことができる。いくつかの実施形態では、様々な装置を無線リンク又はその他のこのようなリンクによって接続することもできる。いくつかの実施形態では、ユーザが装置又は物理的入力機構に接触する必要なく装置を制御できるように、ビジュアル及びオーディオコマンド又はジェスチャの組み合わせを介して装置を制御することができる。また、装置600は、ドップラーオーディオ信号などの信号の供給及び受信を行うプローブ送信/受信要素608を含むこともできる。ある動作例では、ドップラー信号をオーディオ信号に変換することもでき、血流の速度が高いほど高音域の音が得られ、速度が低いほど低音域の音が得られる。分類器610は、オーディオ信号の、又はドップラーオーディオサウンドから直接、判別特徴を分類するニューラルネットワーク分類器であることができる。判別特徴は、フーリエ変換されたオーディオ信号、又はオーディオ信号から提示される非変換速度値であることができる。
【0086】
様々な実施形態と共に利用される大半の機能は、医療提供者又はエンティティが又は医療提供者又はエンティティのために運営できるコンピューティング環境で動作することができる。これに加えて又は代えて、クラウド環境の一部として割り当てられた1又は複数の専用コンピューティングリソースが存在することもできる。図7に、本開示の態様による、食物アレルギーを検出する神経血管超音波分析(NUA)のためのコンピュータ実装方法のためのシステムにおいて使用される例示的なネットワークアーキテクチャ又は環境700を示す。また、例示的なネットワークアーキテクチャ又は環境700は、NUA検出プロセスの共有、又はNUA検出プロセスの遠隔制御のために使用することもできる。リソースは、複数のオペレーティングシステム及びアプリケーションのうちのいずれかを利用することができ、いずれかの数のワークステーション又はサーバ702、704を含むことができる。様々な実施形態は、とりわけTCP/IP又はFTPなどの様々な商用プロトコルのいずれかを使用して通信をサポートする、少なくとも1つのクラウド又はインターネットベースのネットワーク706を利用することができる。他のネットワーク例706としては、例えばローカルエリアネットワーク、ワイドエリアネットワーク、仮想プライベートネットワーク、インターネット、イントラネット、及びこれらの様々な組み合わせが挙げられる。サーバ712は、分類器610の一部などの提供物(offering)をホストするために使用することができる。この結果、システムの精度を高めるための試験用ニューラルネットワーク又は訓練用ニューラルネットワークを提供するように分類器を再訓練できるようになる。ある例では、検出されたアレルギーを有する被験者の波形が識別されると、ネットワークを訓練するために波形の値又は点が記憶される。NUA検出が行われると、第2のネットワークの訓練に使用できる新たな値又は点の形で波形が改善される。次に、将来の人間被験者のために、人間被験者を2つのネットワークに照らして試験して、各将来の人間被験者から取得された波形をどこに分類するかを決定する。分類が正常な血流パターンを示す場合、被験者の状態はアレルギー体質でないと判定される。さらに、分類が被験者におけるアレルギー反応を示す場合には、検出されたアレルギーに関連する症状を緩和するために人間被験者に抗アレルギー薬を投与することができる。いくつかの実施形態では、アレルギー薬が、抗ヒスタミン剤、コルチコステロイド、気管支拡張剤、肥満細胞安定化剤、ロイコトリエン阻害剤、セリン肺プロテアーゼ阻害剤、又はこれらのいずれかの組み合わせ又は誘導体であることができる。いくつかの実施形態では、抗ヒスタミン剤が、H1-抗ヒスタミン剤、H2-抗ヒスタミン剤、H3-抗ヒスタミン剤、H4-抗ヒスタミン剤、又はこれらのいずれかの組み合わせであることができる。
【0087】
ニューラルネットワークプロセスは複雑なデータ集約型プロセスであるため、分類器又は分類器718の一部はサーバ712から動作させることができる。NUA検出の各セッションのデータは暗号化し、状態の重症度の指示を除いて匿名性を有するデータストレージ714に記憶することができる。セッション情報716は進行中のNUA検出にとって有用であり、セッションの完了後にはセッション情報716からデータストレージ714にデータを移動させることができる。その後、分類器718を改善するためにデータを分類器に移動させることができる。ある例では、ニューラルネットワークとは別に、サポートベクターマシン(SVM)又はk-最近傍アルゴリズムを使用することもできる。ニューラルネットワークの場合と同様に、プローブから受け取られた信号のオーディオバージョンから、フーリエ変換及び線形予測係数を含むピッチ又はその他の特徴を抽出することができる。これらの特徴は、データの訓練又はクラスタへの分類に使用される。
【0088】
サーバ708、710、712によって実行される機能は、ユーザ装置702、704からの要求に応答してプログラム又はスクリプトを実行するように構成された命令によって成立させることができる。このようなプロセスは、いずれかの好適なプログラミング言語で書かれた1又は2以上のスクリプト又はプログラムとして実装できる1又は2以上のアプリケーションを実行することを含むことができる。サーバ708、710、712は、データ要求に対応して他のこのような動作を実行する1又は2以上のデータベースサーバを含むこともできる。環境700は、上述したような様々なデータストア及び他のメモリ及び記憶媒体のうちのいずれかを含むこともできる。システムがコンピュータ化装置を含む場合、このような各装置は、バス又はその他のこのような機構を介して電気的に結合できるハードウェア要素を含むことができる。当業者であれば容易に理解するように、要素例としては、上述したように、少なくとも1つの中央処理装置(CPU)、並びにディスクドライブ、光学ストレージデバイス、ランダムアクセスメモリ(RAM)又はリードオンリメモリ(ROM)などのソリッドステートストレージデバイス、取り外し可能媒体装置、メモリカード、フラッシュカードなどの1又は2以上のストレージデバイスが挙げられる。このような装置は、装置の少なくとも1つのプロセッサによって実行可能な命令を記憶する1又は2以上のコンピュータ可読記憶媒体を含み又は利用することもできる。装置例としては、オペレーティングシステム及び様々なアプリケーションプログラムを含む、メモリ内に配置された複数のソフトウェアアプリケーション、モジュール、サービス又はその他の要素を挙げることもできる。なお、別の実施形態は、上述した形態からの数多くの変形形態を有することができると理解されたい。
【0089】
様々なタイプの非一時的コンピュータ可読記憶媒体は、本明細書で説明し示唆するような様々な目的で使用することができる。例えば、これらの目的としては、少なくとも1つのプロセッサが実行できる、システムに様々な動作を実行させるための命令又はコードを記憶することが挙げられる。媒体は、いくつかの実装では取り外し可能であることができる揮発性メモリ及び不揮発性メモリを含む様々なタイプの媒体のいずれかに対応することができる。媒体は、様々なコンピュータ可読命令、データ構造、プログラムモジュール及びその他のデータ又はコンテンツを記憶することができる。媒体のタイプとしては、例えばRAM、DRAM、ROM、EEPROM、フラッシュメモリ、ソリッドステートメモリ、及びその他のメモリ技術が挙げられる。光学(例えば、Blu-ray又はデジタル多用途ディスク(DVD))ストレージデバイス又は磁気ストレージデバイス(例えば、ハードドライブ又は磁気テープ)などを含む他のタイプの記憶媒体を使用することもできる。当業者であれば、本明細書に示す開示及び教示に基づいて、様々な実施形態を実装する他の手法及び/又は方法を理解するであろう。
【0090】
本開示は、いくつかの態様では、NUAがアレルギー反応を検出する動作を実行するために1又は2以上のプロセッサが実行できる命令を含む非一時的コンピュータ可読媒体を提供する。動作は、プロセッサを介して、プロセッサに通信可能に結合されたUSプローブに、被験者の領域にUS波を送信するように命令することを含む。領域は体内構造を含む。動作は、プロセッサを介して、領域からのUS波の反射を表す第1の情報を受け取ることと、プロセッサを介して、第1の情報を処理することに基づいて、体内構造又はその特性を表す第2の情報を生成することと、プロセッサを介して、第2の情報を処理することに基づいて、被験者の循環系の変化を表す第3の情報を生成することと、プロセッサを介して、第3の情報に基づいて、被験者における潜在的アレルゲンに対するアレルギー反応の存在を判定することと、プロセッサを介して、プロセッサに通信可能に結合されたユーザインターフェイスに、アレルギー反応の存在を示す第4の情報を出力するように命令することと、を含む。いくつかの実施形態では、第3の情報が、循環系に関連する免疫反応の変化を表す第5の情報、循環系に対する補償量を表す第6の情報、及び循環系による血管循環の変化を表す第7の情報のうちの1つ又は2つ以上を含む。いくつかの実施形態では、アレルギー反応の存在を判定することが、第5の情報、第6の情報及び第7の情報のうちの1つ又は2つ以上が1又は2以上のそれぞれの閾値よりも大きいと判定することを含む。いくつかの実施形態では、体内構造又はその特性を表す第2の情報を生成することが、被験者の1又は2以上の四肢について、順行性拍動指数、順行性体積流量、逆行性拍動指数、逆行性体積流量、又はこれらの組み合わせを決定することと、順行性拍動指数、順行性体積流量、逆行性拍動指数、逆行性体積流量、又はこれらの組み合わせから成る1又は2以上の四肢の神経血管指数を決定することと、を含む。いくつかの実施形態では、1又は2以上の四肢が上肢又は下肢を含む。いくつかの実施形態では、第3の情報を生成することが、1又は2以上の四肢のそれぞれの順向性体積流量の合計に基づいて累積順向性体積流量スコアの減少を判定することと、累積順向性体積流量スコアの減少に基づいて、循環系に関連する免疫反応の変化を表す第5の情報を生成することと、を含む。いくつかの実施形態では、第3の情報が第5の情報を含む。いくつかの実施形態では、第3の情報を生成することが、循環系に対する補償量の増加を判定することと、循環系に対する補償量の増加に基づいて、補償量を表す第6の情報を生成することとを含む。いくつかの実施形態では、第3の情報が第6の情報を含む。いくつかの実施形態では、第3の情報を生成することが、循環系を循環する体内構造又はその特性の量の減少を判定することと、体内構造又はその特性の量の減少に基づいて、血管循環の変化を表す第7の情報を生成することと、を含む。いくつかの実施形態では、第3の情報が第7の情報を含む。
【0091】
1つの実施形態では、図7の環境が、1又は2以上のコンピュータネットワーク又は直接接続を使用して通信リンクを介して相互接続された複数のコンピュータシステム及びコンポーネントを利用する分散コンピューティング環境であることができる。しかしながら、当業者であれば、このようなシステムは、説明したコンポーネントよりも少ない又は多くの数のコンポーネントを有するシステムでも同様に動作することができると理解するであろう。従って、本明細書における様々なシステム及びサービスの描写は本質的に例示であり、本開示の範囲を限定するものではないと解釈されたい。
【0092】
様々な態様は、サービス指向アーキテクチャの一部などの少なくとも1つのサービス又はウェブサービスの一部として実装することができる。ウェブサービスなどのサービスは、いずれかの好適なタイプのメッセージングを使用して通信することができ、例えば拡張可能マークアップ言語(XML)フォーマットのメッセージなどを使用して(「シンプルオブジェクトアクセスプロトコル(Simple Object Access Protocol)」から派生した)SOAPなどの適切なプロトコルを使用して交換することができる。このようなサービスによって提供又は実行されるプロセスは、Webサービス記述言語(WSDL)などの適切な言語で書くことができる。WSDLなどの言語を使用することで、様々なSOAPフレームワークでのクライアント側コードの自動生成などの機能を可能にすることができる。
【0093】
サーバを利用する実施形態では、サーバが、HTTPサーバ、FTPサーバ、CGIサーバ、データサーバ、Javaサーバ及びビジネスアプリケーションサーバを含む様々なサーバ又は中層アプリケーションのいずれかを実行することができる。(単複の)サーバは、Java(登録商標)、C、C#又はC++などのいずれかのプログラミング言語、或いはPerl、Python(登録商標)、Tool Command Language(TCL)などのいずれかのスクリプト言語、及びこれらの組み合わせで書かれた1又は2以上のスクリプト又はプログラムとして実装できる1又は2以上のWebアプリケーションなどを実行することにより、ユーザ装置からの要求に応答してプログラム又はスクリプトを実行することもできる。サーバは、以下に限定するわけではないが、Oracle(登録商標)社、Microsoft(登録商標)社、Sybase(登録商標)社、及びIBM(登録商標)社から市販されているものを含むデータベースサーバを含むこともできる。
【0094】
環境は、上述したような様々なデータストア及びその他のメモリ及び記憶媒体を含むことができる。これらは、1又は2以上のコンピュータに対してローカルな(及び/又はコンピュータに常駐する)記憶媒体上、又はネットワークを横切ってコンピュータの一部又は全部から離れた場所などの様々な場所に存在することができる。特定の一連の実施形態では、当業者に周知のストレージエリアネットワーク(「SAN」)内に情報が存在することができる。同様に、コンピュータ、サーバ又はその他のネットワーク装置による機能を実行するのに必要ないずれかのファイルも適宜にローカルに及び/又はリモートに記憶することができる。システムがコンピュータ化装置を含む場合、このような各装置は、例えば少なくとも1つの中央処理装置(CPU)、少なくとも1つの入力装置(例えば、マウス、キーボード、コントローラ、タッチ画面又はキーパッド)及び少なくとも1つの出力装置(例えば、ディスプレイ装置、プリンタ又はスピーカ)を含む、バスを介して電気的に結合できるハードウェア要素を含むことができる。このようなシステムは、ディスクドライブ、光学ストレージデバイス、ランダムアクセスメモリ(「RAM」)又はリードオンリメモリ(「ROM」)などのソリッドステートストレージデバイス、取り外し可能媒体装置、メモリカード、及びフラッシュカードなどの1又は2以上のストレージデバイスを含むこともできる。
【0095】
このような装置は、コンピュータ可読記憶媒体リーダ、通信装置(例えば、モデム、ネットワークカード(無線又は有線)、赤外線通信装置など)、及び上述したようなワーキングメモリを含むことができる。コンピュータ可読記憶媒体リーダは、リモート、ローカル、固定及び/又は取り外し可能ストレージデバイスを表すコンピュータ可読記憶媒体、並びにコンピュータ可読情報を一時的に及び/又はより永続的に含み、記憶し、送信し、検索する記憶媒体に接続することができ、又はこのような媒体を受け取るように構成することができる。システム及び様々な装置は、オペレーティングシステム、及びクライアントアプリケーション又はウェブブラウザなどのアプリケーションプログラムを含む、少なくとも1つのワーキングメモリデバイス内に配置された複数のソフトウェアアプリケーション、モジュール、サービス又はその他の要素を含むこともできる。なお、別の実施形態は、上述した形態からの数多くの変形形態を有することができると理解されたい。例えば、カスタマイズハードウェアを使用することも、及び/又は特定の要素をハードウェア、(アプレットなどのポータブルソフトウェアを含む)ソフトウェア、又はこれらの両方で実装することもできる。さらに、ネットワーク入力/出力装置などの他のコンピュータ装置への接続を採用することもできる。
【0096】
1つのニューロンに課される血管制限は複雑であり、神経血管循環の調節及び促進に遠位及び近位で関与する複数のシステムを含む。これらのシステムは、調節システムの近位的及び遠位的な機能低下又は機能亢進を通じて近位的及び遠位的に循環に影響を及ぼす可能性がある損傷した血管系を遠位的又は局所的に有することがある。
【0097】
上述した説明では、実施形態を完全に理解できるように、具体的な構成、寸法及びプロセスなどの数多くの具体的な詳細を示した。他の例では、実施形態を不必要に曖昧にしないように周知のプロセス及び超音波技術については詳細に説明していない。本明細書全体における「1つの実施形態」、「ある実施形態」、「別の実施形態」、「他の実施形態」、「いくつかの実施形態」、及びこれらの変形形態についての言及は、実施形態に関連して説明する特定の特徴、構造、構成又は特性が少なくとも1つの実施形態に含まれることを意味する。従って、本明細書全体を通じて様々な箇所で見られる「1つの実施形態では」、「ある実施形態では」、「別の実施形態では」、「他の実施形態では」、「いくつかの実施形態では」との表現又はこれらの変形形態は、必ずしも同じ実施形態を指しているわけではない。さらに、特定の特徴、構造、構成又は特性は、1又は2以上の実施形態においていずれかの好適な形で組み合わせることもできる。
【0098】
以下の説明及び特許請求の範囲では、「結合された(coupled)」及び「接続された(connected)」という用語をその派生語と共に使用していることがある。これらの用語は、互いに同義語として意図するものではないと理解されたい。「結合された」は、互いに直接物理的又は電気的に接触していることも又はそうでないこともある2又は3以上の要素又はコンポーネントが互いに協働又は相互作用することを示すために使用するものである。「接続された」は、互いに結合している2又は3以上の要素又はコンポーネント間における通信の確立を示すために使用するものである。
【0099】
詳細な説明のいくつかの部分は、コンピュータメモリ内のデータビットに対する演算のアルゴリズム及び記号表現の観点から示したものである。これらのアルゴリズム的な記述及び表現は、データ処理技術における当業者が自らの研究内容を他の当業者に最も効果的に伝えるために使用する方法である。ここでは、一般にアルゴリズムとは、望ましい結果をもたらす首尾一貫した一連の動作であると考えられる。これらの動作は物理量の物理的操作を必要とするものである。しかしながら、これらの及び同様の用語は、全て適切な物理量に関連付けられるべきものであり、またこれらの量に与えられた便利な表記にすぎないことに留意されたい。上記の説明から明らかなように、特に別途述べていない限り、説明全体を通じて、以下の特許請求の範囲に記載するような用語を利用した説明は、コンピュータシステムのレジスタ及びメモリ内の物理(電子)量として表されるデータを操作し、コンピュータシステムのメモリ、レジスタ、又はその他のこのような情報記憶装置、送信又はディスプレイ装置内の物理量として同様に表される他のデータに変形させるコンピュータシステム又は同様の電子コンピュータシステムの動作及び処理を意味すると理解されたい。
【0100】
本明細書で説明した実施形態は、コンピュータプログラム(例えば、本明細書で説明した動作など)を実行する装置を含み、又はこのような装置に関することができる。このようなコンピュータプログラムは、少なくとも1つの非一時的コンピュータ可読媒体に記憶される。機械可読媒体は、機械(例えば、コンピュータ)が読み取ることができる形態で情報を記憶するいずれかの機構を含む。例えば、機械可読(例えば、コンピュータ可読)媒体は、機械(例えば、コンピュータ)可読記憶媒体(例えば、リードオンリメモリ(「ROM」)、ランダムアクセスメモリ(「RAM」)、磁気ディスク記憶媒体、光記憶媒体、フラッシュメモリデバイス)を含む。
【0101】
上述した動作又は方法のうちの少なくとも2つの動作又は方法の1又は2以上の実施形態については順番に説明しているが、これらの動作又は方法のうちのいずれか2つ又は3つ以上を異なる順序で実行することもできると理解されたい。さらに、これらの動作又は方法のうちの少なくとも2つ又は3つ以上は、順次にではなく並行して実行することもできる。本明細書で説明した実施形態は、いずれかの特定のプログラミング言語を参照しながら説明したものではない。開示する主題の様々な実施形態は、様々なプログラミング言語を使用して実装することができると理解されるであろう。本明細書で説明した実施形態の様々な態様を利用する際には、処理システムのコンポーネントのうちの少なくとも1つのコンポーネントの電力及び性能を高めるようにこれらのコンポーネントを管理するために、本明細書で説明した実施形態のうちの少なくとも1つの実施形態の組み合わせ、修正又は変形が可能であると理解されたい。従って、これらの実施形態には、以下の特許請求の範囲に示す本開示の概念のうちの少なくとも1つの概念の幅広い趣旨及び範囲から逸脱することなく様々な修正を加えることができる。従って、本明細書及び図面は限定的な意味ではなく例示的な意味で捉えるべきである。
【0102】
開示する概念のうちの1又は2以上の概念の(例えば、ソフトウェア及び/又はハードウェア開発プロジェクトなどの)いずれかの実施の開発においては、(例えば、システム関連及び/又はビジネス関連の制約の順守などの)開発者の個別の目標を達成するために、数多くの決定を行わなければならない。これらの目標は実装毎に変化することができ、この変化は、本明細書で説明した実施形態に示す本開示の概念のうちの1又は2以上の概念の実際の実装に影響を与えることができる。このような開発努力は複雑で時間が掛かる場合もあるが、当業者にとっては、本明細書で説明した実施形態に示す1又は2以上の発明概念の設計及び/又は実装における日常的な取り組みであることができる。
【0103】
本明細書に開示するNUAシステム、方法及び装置による超音波画像診断は、近位に位置するシステム又は遠位に位置するシステムのいずれかを含む被験者のどのシステムが検査したアレルゲンによって損なわれる可能性があるかを識別するために特に有用である。超音波画像診断は、超音波プローブの周囲のどの神経が影響を受けた可能性があるかを識別するために使用することもできる。従って、超音波画像診断は、神経循環に影響を与えているシステム、及び超音波プローブに近接した神経血管構造において発生しているいずれかの虚血のレベルを識別する。この識別は、被験者のアレルギー反応の定量的かつ効率的な検出を容易にする。
【0104】
さらに詳細には、本実施形態に従って発生したモニタされたアレルギー反応は、特定の神経上のいずれかの地点で神経血管炎症を発生させ、その地点からの神経伝導を低下させる可能性がある。一般に、神経伝導は独自の神経内膜循環(endoneurial circulation)を推進し、神経発火が低下すると神経内膜循環が低速化して神経発火がさらに低下する。要するに、神経血管炎症は正のフィードバックループを生じる。この結果、多孔性毛細血管から体液が漏出する神経虚血を含む正のフィードバックループの免疫介入が開始し、従って神経上膜毛細血管(epineurial capillaries)からの循環が閉鎖される結果、経神経連絡毛細血管(transperineural communicating capillaries.)の神経周囲閉塞(perineurial occlusion)が生じる恐れがある。本明細書に開示するNUAの実施形態の神経血管指数(NVI)は、この下流炎症を生じさせる領域の検出を容易にする。
【0105】
神経障害は、上流側又は末梢側で発生する電気的/神経内膜虚血(electrical/endoneurial ischemia)の減少の組み合わせであり、この場合、外側/内側の水圧の低下と共に局所抵抗が増加する。この水圧の低下は、被験者の四肢の遠位側で発生することが多い。ユーザは、システムの大きなマクロ血管像又は状態及び/又はシステムの小血管又は詳細を評価するために、上述したNVI関連測定値を評価することができる。島皮質、前中心皮質又は後中心皮質、又は遠位神経などに電気的破壊が存在する場合には、近位神経測定値と遠位神経測定値の間に分離が生じるようになる。最も一般的な分離は、近位測定値の減少及び遠位測定値の増加である。一般に、遠位測定値は、順向性又は順向性神経発火によって駆動される強力な神経内膜血流の恩恵を受けない。循環は、動脈から小血管への局所的押し出し(local arterial to small vessel push)のみによって行われる。これが発生すると、心臓に最も近い水圧押し出し(hydraulic push)がより深い循環流によってより多くの神経毛細血管抵抗に打ち勝つので、2つの測定値間に分離が生じる。しかしながら、この循環は乱流になって動脈への逆流が生じるため、より近位部のドップラー超音波画像は欠損が多い波形になる。
【0106】
対照的に、被験者の遠位領域では、心臓から離れた水圧押し出しの強度が低下するため波形の欠損が減少する。この関係は、強力な神経内膜循環系の不在時には神経上膜循環がより表面的かつきれいである一方で抵抗が少ないことを示す。しかしながら、神経上膜循環と共に、より深い毛細血管虚血に伴っていくらかのAV短絡が起きることがある。この近位神経と遠位神経との間のNVI測定値の乖離度合いは、NUAシステムのユーザに神経内膜毛細血管の鬱血度合いの理解をもたらすことができる。乖離が大きければ大きいほど鬱血も大きく、逆もまた同様である。
【0107】
いくつかの実施形態では、上肢(UE)及び下肢(LE)NVI測定値の検査が、被験者内の循環のシステムレベルビューをもたらす。本明細書に開示するNUAの実施形態を装備したユーザは、小繊維UE NVI測定値を小繊維LE NVI測定値と比較し、小繊維NVI測定値を大繊維NVI測定値と比較し、及び/又は最適な個々の神経に検査の焦点を合わせ直すことができる。内臓炎症は、脊椎傍神経節(paravertebral ganglion)に虚血を生じさせることによって、同側LEに供する隣接する交感神経に影響を与えることができるので、内臓炎症もNVI測定値で評価することができる。ユーザは、神経根循環を評価することもできる。神経根循環に関する識別できる主なシステム及び問題のいくつかの例としては、微小血管循環内への入力が変化する自律神経障害、小繊維変性及びその度合い、大繊維変性及びその度合い、虚血の影響を受ける個々の神経、並びにシステム全体の一般的炎症及びその度合いなどが挙げられる。NUA法は、神経障害の(大血管から微小血管への)局所的な水圧的原因対系統的/局所的な電気的(神経内膜)原因の検査も容易にする。
【0108】
従って、アレルギー検出のためのNUAシステムのNVIベースの実施形態は、ある人物が総合的に経験している炎症の度合いに関する客観的で定量化可能な推定値を提供することができる。医療専門家は、h因子(神経上膜)循環とe因子(神経内膜)循環との加算によって特定の被験者の炎症の重症度を評価し、虚血が主に神経の筋膜の外側又は内側のいずれに存在するかなどの虚血バイアス(ischemic bias)を識別することができる。また、両因子を加算することで、被験者が検査した特定のアレルゲンに対してアレルギー体質である度合いを推定するために医療専門家が使用できる総虚血因子が得られる。後述する非限定的な実施例には、本明細書に開示するNUA法によるアレルギー検出のためのこれらの因子のいくつかの使用を例示する。
【0109】
実際には、上述したように、食物アレルギーは伝統的に診断が困難であった。しかしながら、NVI測定値に記録された変化は、特定のタイプの食物への曝露後の微小血管系と大血管系との間の関係の改善又は悪化を示した。当業者であれば理解できるように、本明細書に開示するNUAの方法及びシステムは、食品又は医薬品、及びこれらが特定の罹患した被験者の微小血管循環にどのような影響を与えるかに関する研究を支援することができる。
【0110】
以下の実施例を参照することにより、本開示の実施形態をさらに理解することができる。
【実施例
【0111】
神経血管超音波分析(NUA)の本実施形態は、アレルゲンに対するアレルギー反応についての被験者の非主観的かつ非侵襲的評価を容易にする。本開示の実施形態では、被験者の四肢の領域上又は領域内にUSプローブを配置する。本実施例では、被験者の領域の個人化されたベースラインNVI測定値を決定するために、被験者を特定のアレルゲンに曝す前に左上肢(LUE)及び左下肢(LLE)のいくつかの領域を評価する。曝露後NVI測定値を決定するために、制御された特定のアレルゲンへの曝露後にも被験者を評価した。ベースライン試験及び曝露後試験中には、USプローブが領域内にUS波を放出し、本開示の実施形態に従ってNUA評価を行った。
【0112】
本明細書に開示するように、NUAのための方法は、検査したアレルゲンに対するアレルギー反応度合いの決定を容易にする。例えば、NUAは、被験者の体内で検知された炎症の定量化に基づいて、被験者がアレルゲンに対して無反応、低度の反応、中程度の反応、又は重度の反応を有することを示すことができる。後述する本実施例では、虚血性バイアスを識別するために、アレルゲンに対する被験者のアレルギー反応の重症度を、上述したh因子(神経上膜)及びe因子(神経内膜)を評価する神経血管指標(NVI)に関して評価した。実際に、NVIは、アレルギー検出のために身体炎症情報を提示して分析し、アレルゲン暴露後の炎症測定値の増加はアレルギー反応を示す。
【0113】
いくつかの実施形態では、NUA評価が、検査したアレルゲンに反応するいずれかの正常範囲外の波形変動性変化を評価する。これらの実施形態の一部では、NVIの正常範囲が7~14であり、検査領域が被験者の頚部、背部、脛骨神経及び/又は腓骨神経を含む。いくつかの実施形態では、NUA評価が、正常変動外の増加又は減少などのいずれかの異常な順向性体積流量変化も評価する。このような体積流量の変化は、(1)対照の1.5倍を超えるような、炎症に反応した心臓の変化(例えば、増加)を示す順向性体積流量の増加、(2)検査したアレルゲンに反応したヒスタミン放出を示す順向性体積流量の減少、及び/又は(3)心臓に対する検査領域の位置に関連したパターン変化を示す上肢(UI)増加と下肢(LE)減少との組み合わせを含む。
【0114】
以下に示すように、いくつかの完全な又はフルスペクトルNUAの実施形態は、10箇所の異なる身体部位で採取したUS測定値に基づいてロバストなアレルギー検出を提供する。いくつかの実施形態では、これらの部位が、腕の橈骨側に2つ、腕の尺骨側に2つ、脚の下内側(例えば、脛骨)に3つ、脚の下外側(例えば、腓骨)に3つなどの4つのUE領域及び6つのLE領域を含む。アレルゲン暴露前に10箇所のUS測定値を全て収集し、アレルゲン暴露後に再び収集する。
【0115】
アレルギー検出のための神経血管超音波分析の実施例1
最初に検査したアレルゲンの初期測定値及び対応する結果を以下の表1~4に示す。表1には、被験者のLUE及びLLEのベースラインNVI測定値を示す。表2には、被験者のLUE及びLLEの曝露後NVI測定値を示す。表3には、大繊維神経の個々の神経の結果を示す。表4には、被験者内のアレルギー検出のためのNUAの結果を示す。表3及び表4の結果については後述する。
表1:左上肢及び左下肢のベースラインNVI測定値


表2:左上肢及び左下肢の曝露後NVI測定値


表3:大繊維神経の個々の神経結果


表4:アレルギー検出のためのNUAの結果

【0116】
いくつかの実施形態では、個別に生成されたベースラインに対するアレルギー検出の陽性基準が、(1)曝露後総NVI測定値と対応するベースライン総NVI測定値との間の変化率が1.5を上回って増加し、又は0.85未満だけ減少すること、(2)曝露後にUE NVI測定値が1.25を上回って増加し、LE NVI測定値が0.8を上回って減少すること、(3)AV短絡がUE優位からLE優位に変化すること、(4)総AV短絡が0.15よりも大きく変化すること、又は(5)これらのいずれかの組み合わせ、を決定することを含む。
【0117】
NUAシステムは、上記の表4に従って、検査したアレルゲンに対して被験者が確実なアレルギー反応を有すると判定する。例えば、対照と曝露後測定値との間でAV短絡が-0.538÷-0.229=2.349だけ変化しており、これは0.15という閾値よりも大きい。また、曝露後総NVI測定値と対応するベースライン総NVI測定値との間の変化率は101.560÷124.620=0.815であり、これは0.85という閾値未満である。なお、アレルギー反応は、1つの陽性基準に到達することによって確認することができると理解されたい。さらに、陽性基準は、さらなる試験が行われてより多くのデータが蓄積するにつれ、図6図7の上述した分類器又はニューラルネットワークの訓練の一部としてそれぞれ調整することができる。
【0118】
アレルギー検出のための神経血管超音波分析の実施例2
実施例2には、検査した潜在的アレルゲンに対する被験者の反応を分析するための、本明細書に開示するNUAのさらなる実装を示す。すなわち、実施例2は、一般に実施例1と同じ手順に従うが、被験者の体内のいずれかの関連する炎症を定量化するアレルゲン固有データを提供する。本実施形態では、検査したアレルゲンはパンである。このような実施形態では、パンアレルギーの陽性診断表示がセリアック病(Celiac disease)を表すことができる。表5に、パンを摂取する前の被験者のLUE及びLLEのベースラインNVI測定値を示す。表6には、パン摂取後の被験者のLUE及びLLEの曝露後NVI測定値を示す。表7には、被験者のアレルギー検出のためのNUAの結果を示す。表7の結果については後述する。
表5:左上肢及び左下肢のベースラインNVI測定値


表6:左上肢及び左下肢の曝露後NVI測定値


表7:アレルギー検出のためのNUAの結果

【0119】
NUAシステムは、上記の表7に従って、このNUAのステップにおいて、検査したアレルゲンに対して被験者が有意なアレルギー反応を示していないと判定することができる。一例として、対照と曝露後測定値との間でAV短絡が0.014÷0.103=0.136だけ変化しており、これは0.15という閾値未満である。また、陽性基準は、さらなる試験が行われてより多くのデータが蓄積するにつれ、図6図7の上述した分類器又はニューラルネットワークの訓練の一部としてそれぞれ調整することができる。
【0120】
さらに、表8に、左側NVIスコアの標準偏差を示す。本例では、分析した上肢の神経が、近位橈骨神経、近位尺骨神経、遠位橈骨神経、及び遠位尺骨神経を含む。分析した下肢の神経は、近位腓骨神経、近位PTA神経、遠位腓骨神経、及び遠位PTA神経を含む。さらに、表9に、特定の神経の3点分析を示す。NVIスコアの標準偏差も示す。図示のように、検査したアレルゲンへの被験者の曝露後には、NUAを介して統計的に有意な変化が検出されている。従って、検査したアレルゲンに対して被験者がアレルギーを有していると確実に診断することができる。
表8:左側NVIスコアの標準偏差


表9:3点神経特異的分析

【0121】
神経血管超音波分析の有効性統計の実施例3
表10に、本明細書に開示するNVI分析技術を使用して実行した場合及び使用せずに実行した場合の特定の神経内促進治療(INF(TF))評価の有効性統計値を示す。図示のように、痛みの質評価尺度(Pain Quality Assessment Scale:PQAS)の様々な因子の統計的有意性はP値を介して表される。P値は、一般にNVI分析を含む評価では低く、本開示のNUA技術に基づく対応する観察因子について高い統計的有意性を示す。
表10:NVI分析を含まない場合対含む場合のNUAの有効性統計

【0122】
本開示よりも前には、微小血管循環を推定又は定量化する方法は存在しなかった。さらに効果的なことに、本開示のNUA方法及びシステムの機器又は装置は、循環系全体、並びに大神経及び小神経の両方を含む個々の神経を評価することができる。これらの機器又は装置は、神経障害患者にみられる特定の自律神経調節障害をさらに評価することができる。本明細書に開示するNUA方法及びシステムは、微小血管系の像を積極的に評定して提供しながらこれらの要求に対処する。実際に、本明細書に開示する方法、システム及び装置は、非主観性、容易性の向上及び被験者への侵襲性の低減などの、先行するアレルギー評価方法を凌ぐ複数の顕著な利点をもたらす。
【0123】
従って、本明細書で説明した本開示は、目的を遂行するとともに、言及した及び内在する目的及び利点を達成するように良好に適合される。本開示の目的で複数の具体的な実施形態を示したが、方法及びシステムの細部には所望の結果を達成するための数多くの変更が存在し、このような変更を行うことができる。当業者には、これらの及びその他の同様の修正が容易に明らかになり、本明細書に開示する本開示の趣旨及び添付の特許請求の範囲内にはこれらの修正も含まれるように意図される。
図1
図2
図3A
図3B
図4A
図4B
図4C
図5
図6
図7
【国際調査報告】