(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-12-24
(54)【発明の名称】新たな注射用併用製剤
(51)【国際特許分類】
A61K 9/52 20060101AFI20241217BHJP
A61K 45/06 20060101ALI20241217BHJP
A61P 29/00 20060101ALI20241217BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20241217BHJP
A61K 31/706 20060101ALI20241217BHJP
A61K 31/454 20060101ALI20241217BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20241217BHJP
A61K 47/02 20060101ALI20241217BHJP
A61K 47/04 20060101ALI20241217BHJP
A61K 9/50 20060101ALI20241217BHJP
A61K 31/405 20060101ALI20241217BHJP
【FI】
A61K9/52
A61K45/06
A61P29/00
A61P43/00 121
A61K31/706
A61K31/454
A61P35/00
A61K47/02
A61K47/04
A61K9/50
A61K31/405
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024534207
(86)(22)【出願日】2022-12-08
(85)【翻訳文提出日】2024-06-27
(86)【国際出願番号】 GB2022053128
(87)【国際公開番号】W WO2023105227
(87)【国際公開日】2023-06-15
(32)【優先日】2021-12-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(32)【優先日】2022-06-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(32)【優先日】2022-09-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】515318175
【氏名又は名称】ナネクサ・アクチボラグ
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100133765
【氏名又は名称】中田 尚志
(72)【発明者】
【氏名】ヨハンソン,アンドレス
(72)【発明者】
【氏名】ロース,マルテン
(72)【発明者】
【氏名】ヘルルプ,ヨエル
(72)【発明者】
【氏名】ウエストベルク,ダビッド
【テーマコード(参考)】
4C076
4C084
4C086
【Fターム(参考)】
4C076AA64
4C076AA65
4C076AA67
4C076AA94
4C076AA95
4C076BB11
4C076BB15
4C076BB16
4C076CC04
4C076CC27
4C076DD27
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4C084AA20
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4C084ZB261
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4C084ZC751
4C084ZC752
4C086AA01
4C086AA02
4C086BC15
4C086BC21
4C086EA16
4C086GA07
4C086MA03
4C086MA05
4C086MA63
4C086MA66
4C086NA05
4C086NA13
4C086ZB11
4C086ZB26
4C086ZC75
(57)【要約】
医薬製剤又は獣医学的製剤であって、(a)薬学的又は獣医学的に許容される徐放性成分との混合物の生物学的に活性な薬剤と、(b)抗炎症剤と、(c)薬学的又は獣医学的に許容される注射用担体と、を含む、医薬製剤又は獣医学的製剤が提供される。徐放性成分はまた、抗炎症剤にも適用され得る。製剤は、注射後に炎症反応を生じさせることなく、生物学的に活性な成分の遅延放出又は持続放出を提供し得、好ましくは、(1)約10nm~約700μmである重量、数、又は体積に基づく平均直径を有する複数の粒子であって、その粒子が、気相堆積技術によって塗布された少なくとも1つのコーティング材料を含むコーティングでコーティングされた生物学的に活性な薬剤を含む固体コアを含み、(2)その粒子が、薬学的に許容される又は獣医学的に許容されるビヒクルを含む担体系に懸濁されており、(3)その製剤が、任意選択で、気相堆積技術によって塗布された少なくとも1つのコーティング材料を含むコーティングでコーティングされた粒子の形態である、抗炎症剤を更に含む、複数の粒子の形態で提供される。当該コーティングされた粒子は、好ましくは原子層堆積を介して合成される。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
注射用医薬製剤又は獣医学的製剤であって、
(a)薬学的又は獣医学的に許容される徐放性成分との混合物の生物学的に活性な薬剤と、
(b)抗炎症剤と、
(c)薬学的又は獣医学的に許容される注射用担体と、を含む、注射用医薬製剤又は獣医学的製剤。
【請求項2】
デポーを形成するための皮下注射又は筋肉内注射に好適である、請求項1に記載の製剤。
【請求項3】
徐放性成分がまた、本発明の製剤内の前記抗炎症剤にも適用される、請求項1又は2に記載の製剤。
【請求項4】
前記徐放性成分が、前記生物学的に活性な薬剤及び前記抗炎症剤の徐放を、本質的に同じ速度で、かつ/又は本質的に同じ期間にわたって、提供する、請求項3に記載の製剤。
【請求項5】
(a)約10nm~約700μmである重量、数、又は体積に基づく平均直径を有する複数の粒子であって、その粒子が、気相堆積技術によって塗布された少なくとも1つのコーティング材料を含むコーティングでコーティングされた生物学的に活性な薬剤を含む固体コアを含む、複数の粒子を含み、
(b)その粒子が、薬学的に許容される又は獣医学的に許容されるビヒクルを含む担体系に懸濁されており、かつ
(c)その製剤が、抗炎症剤を更に含む、先行請求項のいずれか一項に記載の製剤。
【請求項6】
前記コーティング材料が、1つ以上の金属酸化物を含む、請求項5に記載の製剤。
【請求項7】
前記コーティング材料が、酸化亜鉛を含む、請求項6に記載の製剤。
【請求項8】
前記コーティング材料が、約1:10(例えば、約1:6又は約1:1)と、最大で約10:1(例えば、約6:1)の原子比との間である原子比で、酸化亜鉛と、1つ以上の他の金属及び/又はメタロイド酸化物との少なくとも1つの別個の混合物を含む、請求項5~7のいずれか一項に記載の製剤。
【請求項9】
前記1つ以上の他の金属及び/又はメタロイド酸化物が、酸化アルミニウム及び/又は二酸化シリコンから選択される、請求項8に記載の製剤。
【請求項10】
前記コアが、前記コアを取り囲む1つ以上の個別の層でコーティングされている、請求項5~9のいずれか一項に記載の製剤。
【請求項11】
コーティング材料の2つ以上の個別の層が、前記コアに順次塗布される、請求項10に記載の製剤。
【請求項12】
前記コーティング材料の2~10個の個別の層が塗布される、請求項11に記載の製剤。
【請求項13】
前記粒子の前記重量、数、又は体積に基づく平均直径が、約1μm~約50μmである、請求項5~12のいずれか一項に記載の製剤。
【請求項14】
前記コーティングの総厚が、約0.5nm~約2μmである、請求項5~13のいずれか一項に記載の製剤。
【請求項15】
前記気相堆積技術が、原子層堆積である、請求項5~14のいずれか一項に記載の製剤。
【請求項16】
滅菌の注射用及び/又は注入用剤形の形態の、先行請求項のいずれか一項に記載の製剤。
【請求項17】
デポー製剤を形成する外科的投与装置を介して投与可能である形態の、請求項16に記載の製剤。
【請求項18】
前記生物学的に活性な薬剤が、患者に投与された場合、炎症反応を生じさせるか、又はそのような反応を生じさせると予想され得る、先行請求項のいずれか一項に記載の製剤。
【請求項19】
前記生物学的に活性な薬剤が、抗腫瘍剤、トポイソメラーゼ阻害剤、免疫調節剤、免疫刺激剤、免疫抑制剤、化学療法剤、成長因子、血管拡張剤、放射性医薬品、及びそれらの組み合わせの群から選択される、請求項18に記載の製剤。
【請求項20】
前記生物学的に活性な薬剤が、サイトカイン、タンパク質、ワクチン、又はペプチドである、請求項18又は19に記載の製剤。
【請求項21】
前記生物学的に活性な薬剤が、ダラツムマブ、イサツキシマブ、アクチノマイシン、アザシチジン、アザチオプリン、ベンダムスチン、ベキサロテン、ブレオマイシン、ボルテゾミブ、ボスチニブ、ブスルファン、カバジタキセル、カペシタビン、カルボプラチン、クロラムブシル、クラドリビン、クロファラビン、シタラビン、ダブラフェニブ、ダカルバジン、ダクチノマイシン、ダウノルビシン、デシタビン、ドセタキセル、ドキシフルリジン、ドキソルビシン、エピルビシン、エポチロン、エストラムスチン、エトポシド、エベロリムス、フルダラビン、フルオロウラシル、グアデシタビン、ゲムシタビン、ヒドロキシ尿素、イダルビシン、イホスファミド、イリノテカン、イキサゾミブ、カルフィルゾミブ、ロムスチン、メクロレタミン、メルファラン、メルカプトプリン、メスナ、メトトレキサート、ミトタン、ミトキサントロン、ネララビン、オキサリプラチン、パクリタキセル、パノビノスタット、ペメトレキセド、ピクサントロン、プロカルバジン、テガフール、テモゾロミド、テニポシド、チオグアニン、チオテパ、トポテカン、トラベクテジン、バルルビシン、ベネトクラクス、ビンブラスチン、ビンクリスチン、ビンデシン、ビンフルニン、ビノレルビン、ベンダムスチン、ブレオマイシン、カルボプラチン、クロラムブシル、シスプラチン、シクロホスファミド、シクロスポリン、シタラビン、ダカルバジン、ダクチノマイシン、ダウノルビシン、ドセタキセル、ドキソルビシン、エピルビシン、エトポシド、エベロリムス、フルオロウラシル、ゲムシタビン、イホスファミド、イリノテカン、メルカプトプリン、メスナ、メトトレキサート、ミダゾラム、マイトマイシン、オキサリプラチン、パクリタキセル、プロカルバジン、テムシロリムス、チオグアニン、ビンブラスチン、ビンクリスチン、ビノレルビン、サリドマイドとして、ポマリドミド、レナリドミド、アプレミラスト、これらの活性成分のうちのいずれかの薬学的に許容される塩、及びそれらの組み合わせの群から選択される、請求項18~20のいずれか一項に記載の製剤。
【請求項22】
前記生物学的に活性な薬剤が、アザシチジン及びレナリドミドの群から選択される、請求項21に記載の製剤。
【請求項23】
前記抗炎症剤が、ブチルピラゾリジン、酢酸誘導体又は関連物質、オキシカム、プロピオン酸誘導体、フェナメート、コキシブ、非ステロイド性抗炎症剤、コルチコステロイド、キノリン、金製剤、抗ヒスタミン剤、及びそれらの組み合わせから選択される、先行請求項のいずれか一項に記載の製剤。
【請求項24】
前記抗炎症剤が、フェニルブタゾン、モフェブタゾン、オキシフェンブタゾン、クロフェゾン、ケブゾン、インドメタシン、スリンダク、トルメチン、ゾメピラク、ジクロフェナク、アルクロフェナク、ブマジゾン、エトドラク、ロナゾラク、フェンチアザク、アセメタシン、ジフェンピラミド、オキサメタシン、プログルメタシン、ケトロラク、アセクロフェナク、ブフェキサマク、ピロキシカム、テノキシカム、ドロキシカム、ロルノキシカム、メロキシカム、イブプロフェン、ナプロキセン、ケトプロフェン、フェノプロフェン、フェンブフェン、ベノキサプロフェン、スプロフェン、ピルプロフェン、フルルビプロフェン、インドプロフェン、チアプロフェン酸、オキサプロジン、イブプロキサム、デキシブプロフェン、フルノキサプロフェン、アルミノプロフェン、デクスケトプロフェン、ベダプロフェン、カルプロフェン、テポキサリン、メフェナム酸、トルフェナム酸、フルフェナム酸、メクロフェナム酸、フルニキシン、セレコキシブ、ロフェコキシブ、バルデコキシブ、パレコキシブ、エトリコキシブ、ルミラコキシブ、フィロコキシブ、ロベナコキシブ、マバコキシブ、シミコキシブ、ナブメトン、ニフルム酸、アザプロパゾン、グルコサミン、ベンジダミン、グルコサミノグリカンポリ硫酸塩、プロクアゾン、オルゴテイン、ニメスリド、フェプラゾン、ジアセレイン、モルニフルメート、テニダップ、オキサセプロール、コンドロイチン硫酸、ポリ硫酸ペントサン、アミノプロピオニトリル、11-デヒドロコルチコステロン、11-デオキシコルチコステロン、11-デオキシコルチゾール、11-ケトプロゲステロン、11β-ヒドロキシプレグネノロン、11β-ヒドロキシプロゲステロン、11β,17α,21-トリヒドロキシプレグネノロン、17α,21-ジヒドロキシプレグネノロン、17α-ヒドロキシプレグネノロン、17α-ヒドロキシプロゲステロン、18-ヒドロキシ-11-デオキシコルチコステロン、18-ヒドロキシコルチコステロン、18-ヒドロキシプロゲステロン、21-デオキシコルチゾール、21-デオキシコルチゾン、21-ヒドロキシプレグネノロン(プレベジオロン)、アルドステロン、コルチコステロン(17-デオキシコルチゾール)、コルチゾール(ヒドロコルチゾン)、コルチゾン、プレグネノロン、プロゲステロン、フルゲストン(フルロゲストン)、フルオロメトロン、メドリソン(ヒドロキシメチルプロゲステロン)、プレベジオロンアセテート(21-アセトキシプレグネノロン)、クロロプレドニゾン、クロプレドノール、ジフルプレドネート、フルドロコルチゾン、フルオシノロン、フルペロロン、フルプレドニゾロン、ロテプレドノール、メチルプレドニゾロン、プレドニカルベート、プレドニゾロン、プレドニゾン、チキソコルトール、トリアムシノロン、アルクロメタゾン、ベクロメタゾン、ベタメタゾン、クロベタゾール、クロベタゾン、クロコルトロン、デスオキシメタゾン、デキサメタゾン、ジフロラゾン、ジフルオコルトロン、フルクロロロン、フルメタゾン、フルオコルチン、フルオコルトロン、フルプレドニデン、フルチカゾン、フルチカゾンフロエート、ハロメタゾン、メプレドニゾン、モメタゾン、モメタゾンフロエート、パラメタゾン、プレドニリデン、リメキソロン、ウロベタゾール(ハロベタゾール)、アムシノニド、ブデソニド、シクレソニド、デフラザコルト、デソニド、ホルモコルタールフルクロロノンアセトニド(フルクロロニド)、フルドロキシコルチド(フルランドレノロン、フルランドレノリド)、フルニソリド、フルオシノロンアセトニド、フルオシノニド、ハルシノニド、トリアムシノロンアセトニド、オキシシンコフェン、金チオリンゴ酸ナトリウム、金チオ硫酸ナトリウム、オーラノフィン、オーロチオグルコース、オーロチオプロール、ペニシラミン、ブシラミン、アクリバスチン、アリメマジン、アンタゾリン、アステミゾール、アザタジン、アゼラスチン、バミピン、ビラスチン、ブロムジフェンヒドラミン、ブロムフェニラミン、ブクリジン、セチリジン、シンナリジン、シクリジン、シプロヘプタジン、デプトロピン、デスロラタジン、デキスブロムフェニラミン、デキスクロルフェニラミン、ジフェニルピラリン、ジメンヒドリナート、ジメチンデン、ドキシラミン、エバスチン、エピナスチン、フェニンダミン、フェニラミン、フェキソフェナジン、ヒスタピロジン、ヒドロキシエチルプロメタジン(hydroxietylprometazin)、イソチペンジル、カルビノキサミン、ケトチフェン、キフェナジン、クレマスチン、クロルシクリジン、クロルフェナミン、クロルフェノキサミン、クロロピラミン、レボセチリジン、ロラタジン、メブヒドロリン、メキタジン、メクロジン、メピラミン、メタピリレン、メトジラジン、ミゾラスチン、オキサトミド、オキソメマジン、ピメチキセン、プロメタジン、ピロブタミン、ルパタジン、セキフェナジン、タラスチン、テナリジン、テルフェナジン、チアジナム、チエチルペラジン、トンジルアミン、トリメトベンザミド、トリペレナミン、トリプロリジン、トリトクバリン、これらの活性成分のうちのいずれかの薬学的に許容される塩、及びそれらの組み合わせの群から選択される、先行請求項のいずれか一項に記載の製剤。
【請求項25】
前記抗炎症剤が、本発明の製剤の一部を形成する前記固体コア内に前記生物学的に活性な薬剤とともに製剤化される、請求項5~24のいずれか一項に記載の製剤。
【請求項26】
前記抗炎症剤が、前記担体系内に溶解及び/又は懸濁されている、先行請求項のいずれか一項に記載の製剤。
【請求項27】
前記抗炎症剤が、約10nm~約700μmである前記重量、数、又は体積に基づく平均直径を有する追加の粒子の形態で提供され、前記抗炎症剤を含むコアを含み、そのコアが、少なくとも部分的に、前記生物学的に活性な薬剤と同じ又は異なる時間スケールにわたって前記抗炎症剤の放出を可能にする1つ以上のコーティング材料によってコーティングされている、請求項26に記載の製剤。
【請求項28】
前記コーティングが、請求項5~12のいずれか一項に記載のとおりである、請求項27に記載の製剤。
【請求項29】
請求項5~28のいずれか一項に記載の製剤を調製するためのプロセスであって、コーティングされた粒子が、コーティング材料の前記層(複数可)を前記コア及び/又は以前にコーティングされたコアに塗布すること、前記気相堆積技術によって作製される、プロセス。
【請求項30】
(i)固体コアを、コーティング材料の第1の個別の層でコーティングし、
(ii)次いで、ステップ(i)からの前記コーティングされたコアを、脱凝集プロセスステップに供し、
(iii)次いで、ステップ(ii)からの前記脱凝集したコーティングされたコアを、コーティング材料の第2の個別の層でコーティングし、
(iv)ステップ(ii)及び(iii)を繰り返して、必要な数の個別の層を取得する、請求項29に記載のプロセス。
【請求項31】
コーティングの塗布間に行われる脱凝集ステップが、ふるい分けを含む、請求項30に記載のプロセス。
【請求項32】
前記ふるい分けが、振動ふるい分けを含む、請求項31に記載のプロセス。
【請求項33】
前記振動ふるい分けが、ふるいに結合された振動プローブを制御することを含む、請求項32に記載のプロセス。
【請求項34】
前記ふるい分けが、音波ふるい分けを含む、請求項31に記載のプロセス。
【請求項35】
前記コーティングされた粒子が、コーティング後に前記担体系と混合される、請求項5~28のいずれか一項に記載の製剤を調製するための、プロセス。
【請求項36】
注射若しくは注入手段に接続され、かつ/又はそれに関連付けられるリザーバー内に含まれた請求項1~28のいずれか一項に記載の製剤を含む、注射用及び/又は注入用剤形。
【請求項37】
デポー製剤を形成する外科的投与装置である、請求項36に記載の剤形。
【請求項38】
請求項1~28のいずれか一項に記載のコーティングされた粒子及び前記担体系が、別個に収容され、注射又は注入の前及び/又は最中に混合が生じる、請求項36又は37に記載の剤形。
【請求項39】
患者における疾患又は病態の治療方法であって、請求項1~28のいずれか一項に記載の製剤又は請求項36~38のいずれか一項に記載の剤形の投与を含み、前記製剤又は前記剤形で用いられる前記生物学的に活性な薬剤が、前記疾患又は病態における使用に好適である、方法。
【請求項40】
患者における疾患又は病態の治療方法であって、
(A)請求項1~28のいずれか一項に記載の製剤、又は抗炎症剤若しくは任意のかかる製剤を含有する請求項36~38のいずれか一項に記載の剤形を含まないことを条件として、他の全ての点において、請求項1~28のいずれか一項に記載の製剤である製剤であって、前記製剤又は前記剤形に用いられる前記生物学的に活性な薬剤が、前記疾患又は病態における使用に好適である、製剤、及び
(B)上記で定義されるか、又は本発明による担体系などの1つ以上の薬学的又は獣医学的に許容される賦形剤との混合物の抗炎症剤を含む医薬製剤、の投与を含み、
その方法において、成分(A)及び(B)が、各々、互いに併せた投与に好適である形態で提供される、方法。
【請求項41】
患者における疾患又は病態の治療方法であって、その方法が、請求項40に記載の成分(A)を、請求項40に記載の成分(B)と関連付け、したがって、2つの成分を互いに併せた投与に好適なものにすることを含む、方法。
【請求項42】
患者における疾患又は病態の治療方法であって、
(i)関連する疾患又は病態を有する患者に、請求項40に記載の成分(A)を投与することと、
(ii)その患者が、かかる投与後に炎症反応を示す場合、
a.請求項1~28のいずれか一項に記載の製剤、
b.請求項36~38のいずれか一項に記載の剤形、又は
c.請求項40に記載の成分(B)を、
前記患者に投与することと、を含む、方法。
【請求項43】
前記疾患又は病態が、がんであり、前記製剤に用いられる前記生物学的に活性な薬剤が、注射用抗がん薬物である、請求項39~42のいずれか一項に記載の治療方法。
【請求項44】
請求項39~42のいずれか一項に記載の治療方法における使用のための注射用抗がん薬物。
【請求項45】
請求項39~42のいずれか一項に記載の治療方法のための医薬品の製造のための注射用抗がん薬物の、使用。
【請求項46】
前記生物学的に活性な薬剤が、アザシチジン又はレナリドミドである、請求項43に記載の方法、請求項44に記載の使用のための化合物、又は請求項45に記載の使用。
【請求項47】
パーツキットであって、
(I)請求項40に記載の成分(A)及び(B)のうちの一方を、
(II)その成分を2つの成分のうちの他方と併せて使用するための指示書とともに含む、パーツキット。
【請求項48】
互いに併せた使用のために、併用パックの別個の成分として、一緒に包装及び提示される、請求項40に記載の成分(A)及び(B)を含む、パーツキット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、薬物送達の分野における使用のための新たな製剤に関する。
【背景技術】
【0002】
本明細書における明らかに以前に公開された文書の列挙又は考察は、文書が最新技術又は共通の一般知識の一部であるという承認として必ずしも受け取られるべきではない。
【0003】
薬物送達の分野では、薬物放出のプロファイルを制御する能力が非常に重要である。最適な薬物動態プロファイルを確実にするために、活性成分が、投与後に、インビボで所望のかつ予測可能な速度で放出されることを確実にすることが望ましい。
【0004】
任意の持続放出組成物の場合、その放出プロファイルが、活性成分の初期の最小の急速放出、すなわち投与直後に血漿中の薬物濃度が高くなることを示すことも非常に重要である。そのような「バースト」放出は、望ましくない、高濃度の活性成分をもたらし、治療ウィンドウが狭い薬物、又は細胞毒性薬などの高血漿中濃度で毒性のある薬剤の場合には、危険な場合がある。
【0005】
活性成分の注射用懸濁液の場合、懸濁された粒径が、それらが針を通して注射され得るように制御されることを確実にすることも重要である。大きい凝集粒子が存在する場合、それら粒子は、針(それを通して懸濁液が注射される)を塞ぐことになるだけでなく、注射液中に安定した懸濁液を形成しないであろう(すなわち、それら粒子は代わりに、注射液の底に沈む傾向があるであろう)。
【0006】
したがって、当該技術分野では、効果的及び/又は改善された薬物の輸送及び送達システムに対する一般的な必要性が存在する。
【0007】
原子層堆積(ALD)は、様々な材料(有機材料、生物学的材料、ポリマー材料、及び、特に、金属酸化物などの無機材料が含まれる)を含む薄膜を固体基材上に堆積させるために用いられる技術である。これは、汎用性の高いアプリケーションにおける材料、構造、デバイス、及びシステムの原子及び近原子スケール製造(ACSM)を可能にする技術である(例えば、Zhang et al.Nanomanuf.Metrol.2022,https://doi.org/10.1007/s41871-022-00136-8を参照されたい)。ALDは、その自己限定的な特性に基づいて、成長サイクルの数を調整することによってのみ制御される原子レベルの厚さを達成することができる。更に、多層を堆積することができ、各層の特性を原子レベルでカスタマイズすることができる。
【0008】
ALDは、その原子レベルの制御のために、例えば、次世代の半導体の製造、又は高度な触媒の原子レベルの合成、並びにナノ構造、ナノクラスター、及び単一原子の正確な製造のための重要な技術として使用される(例えば、上記のZhang et al.を参照されたい)。
【0009】
この技術は通常、低圧及び高温で実行される。膜コーティングが、ALD反応器チャンバー内の固体基材を、気相で気化した反応物に交互にさらすことによって生成される。基材は、シリコンウェハー、粒状材料、又は小さい粒子(例えば、マイクロ粒子又はナノ粒子)であり得る。
【0010】
コーティングされた基材は、固体コーティングによって化学反応(分解)及び物理的変化から保護される。ALDは、溶媒内での基質材料の放出速度を制御するために使用することができる可能性もある。これにより、ALDが医薬品活性成分の製剤化に使用される可能性がある。
【0011】
ALDでは、金属含有物であり得る第1の前駆体がALD反応器チャンバーに供給され(いわゆる「前駆体パルス」で)、基材の表面に吸着された原子又は分子の単分子層を形成する。次いで、過剰な第1の前駆体が、反応器からパージされ、次いで、水などの第2の前駆体が反応器にパルス注入される。これが第1の前駆体と反応し、基材表面に、例えば、金属酸化物の単分子層を形成する。その後のパージパルスの後、第1の前駆体の更なるパルスが続き、したがって、同じ事象の新たなサイクル(いわゆる「ALDサイクル」)が開始される。
【0012】
膜コーティングの厚さは、とりわけ、実施されるALDサイクルの数によって制御される。
【0013】
通常のALDプロセスでは、任意の1つのサイクル中で、原子又は分子の単分子層のみが生成されるため、これらの単分子層の間に識別可能な物理的界面は形成されず、本質的に基材の表面で連続帯になる。
【0014】
国際特許出願第2014/187995号では、いくつかのALDサイクルが実行され、その後、得られたコーティングされた基材を反応器から定期的に取り出し、再分散/撹拌ステップを実行して、前駆体の吸着に利用可能な新たな表面を提示するプロセスが記載されている。
【0015】
撹拌ステップは、主にナノ粒子及びマイクロ粒子で観察される問題を解決するために行われる。つまり、ALDコーティングプロセス中に粒子の凝集が起こり、そのような粒子間の接触点によって「ピンホール」が形成される。再分散/撹拌ステップは、コーティングされた基材を水に入れ、超音波処理することによって実行されたが、その結果、脱凝集が生じ、コーティングされた活性物質の個々の粒子間の接触点が破壊された。
【0016】
次いで、粒子を反応器に装填し直し、粉末のALDコーティング及び粉末の脱凝集のステップを3回繰り返した(合計4回の一連のサイクル)。このプロセスにより、かなりの程度までピンホールのないコーティングされた粒子の形成が可能になることがわかっている(Hellrup et al,Int.J.Pharm.,529,116(2017)も参照されたい)。
【0017】
以下に記載されるように、ALDを使用して、金属酸化物コーティング層で薬物の微粒子をコーティングし、次いで、コーティングされた粒子を水性ビヒクルに懸濁させた、新規の注射用医薬品を試験した場合、ヒト患者において、予期しない炎症反応が観察された。この問題は、注射用のAPIのALDコーティングされた懸濁液と併せて抗炎症剤を用いることによって低減され得る。
【発明の概要】
【0018】
発明の開示
本発明の第1の態様によれば、注射用医薬製剤又は獣医学的製剤であって、
(a)薬学的又は獣医学的に許容される徐放性成分との混合物の生物学的に活性な薬剤と、
(b)抗炎症剤と、
(c)薬学的又は獣医学的に許容される注射用担体と、を含む、注射用医薬製剤又は獣医学的製剤が提供され、
この製剤は、以下、「本発明の製剤」と称される。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】
図1は、アザシチジンを投与された患者の血漿濃度-時間プロファイルを示す。
【
図2】
図2は、アザシチジンを投与された患者の血漿濃度-時間プロファイルを示す。
【
図3】
図3は、本発明の製剤の皮下投与後のミニブタの血漿中濃度-時間プロファイルを示す。
【
図4】
図4は、抗炎症剤であるインドメタシンを含む混合された酸化物でコーティングされた微粒子とともに、本発明の皮下共投与製剤の局所炎症反応に対する正の影響を示す。
【発明を実施するための形態】
【0020】
「薬学的又は獣医学的に許容される徐放性成分」とは、(例えば、腫瘍内、又はより好ましくは皮下若しくは筋肉内)注射後のいわゆる「デポー」又は「デポー組成物」の形成、並びにしたがって、活性成分(複数可)の制御放出、持続放出(sustained release)、及び長時間作用性又は持続放出(prolonged release)を提供する成分を含む。そのような成分には、水性(又は水混和性)成分(例えば、ゼラチン又はポリビニルピロリドンの水溶液)、油性ベース(又は水不混和性)成分、ポリマーベースのマイクロスフェア成分、又はポリマーベースのインサイチュゲル形成成分が含まれる。
【0021】
親水性ポリマーは、種々の機構によって、例えば、温度(ポリ(D,L-ラクチド-co-グリコリド)(PLGA)/ポリエチレングリコール(PEG)トリブロックコポリマー(PLGA-PEG-PLGA)、ポリエチレングリコール-ポリ(L-アラニン)(PEG-PLA)、ポリ(N-イソプロピルアクリルアミド)、又は可溶性細胞外マトリックス(ECM)/メチルセルロースなど)、pH(PEG-ジアクリレート(PEGDA)、アクリル酸若しくはアルギン酸塩など)、又はイオン濃度(アルギン酸塩/多層カーボンナノチューブ、アルギン酸塩/PEG/ヒアルロン酸、又はアルギン酸塩/PEGなど)のいずれかによって駆動された局所環境においてインサイチュでゲルを形成し得る。親水性ポリマーは、代替的には、例えば、ペプチド、例えば、フィブロネクチン結合モチーフ(RADA16-GG-RGDS)又はコラーゲン1型由来モチーフ(RADA16-GGFPGERGVEGPGP)を有するRADA16ペプチド(RADARADARADARADA)、フルオレニルメトキシカルボニル(FMOC)ジペプチド、Nap-GFFYGGGWRESAI/TIP-1架橋剤、又はロイシン-α/β-デヒドロフェニルアラニンなどの自己組織化によって、インサイチュでゲルを形成し得る。親水性ポリマーは、代替的に、例えば、種々の機構によって、例えば、光開始(ゼラチン-メタクリレート、又はゼラチン-メタクリレート/ヒアルロン酸(HA)-メタクリレートなど)、又は反応性前駆体(例えば、8-アームPEGシステイン/N-ヒドロキシスクシンイミド、カルボキシメチルキトサン/デキストラン、又はコンニャクグルコマンナン-チラミン/ヘパリン-チラミン)のいずれかによって、駆動された共有結合によって、インサイチュでゲルを形成し得る。
【0022】
親水性インサイチュゲル形成ポリマーは、例えば、天然又は合成源に由来し得る。天然に存在するポリマーの例としては、キトサン、アルギン酸塩、ヒアルロン酸(HA)、デキストラン、デンプンなどの多糖類、又はアルブミン、コラーゲン、又はゼラチンなどのタンパク質が挙げられる。ナノ粒子製剤用の合成ポリマーの例としては、ポリ(エチレングリコール)(PEG)、ポリアクリルアミド(PAM)、ポリ(N-イソプロピルアクリルアミド)(PNIPAAM)、ポリ(ビニルアルコール)(PVA)、ポリ(ビニルエーテル)(PVE)、ポリ(N,Nジエチルアクリルアミド)(PDEAM)、ポリ(N-ビニルカプロラクタム)(PNVCa)、ポリ(メチルメタクリレート)(PMMA)、又はポリ(オリゴ(エチレングリコール)メチルエーテルメタクリレート)(PoEGMA)などのポリエステル、ポリ無水物、又はポリ-アルキル-シアノアクリレートが挙げられる。例えば、コポリマー、例えば、複数の骨格基が一緒に架橋され得るポリ(D,L-ラクチド-co-グリコリド)(PLGA)/PEGトリブロックコポリマー(PLGA-PEG-PLGA)、又はポリマーメッシュが、既に組み立てられたポリマー足場内のオリゴマー鎖の結合から構築され得る相互浸透ネットワーク(IPN)のいずれかなどのより複雑なヒドロゲル系が使用され得る。
【0023】
ポリマーは、例えば、整形外科用薬物溶出インプラントとして、制御された薬物放出を達成するために、酸化チタン(チタニア)ナノチューブ上の分解可性ポリマーコーティングなどの他の材料と組み合わせてもよい。
【0024】
水和イオン塩、例えば、リン酸カルシウム又は硫酸カルシウムは、水和中に懸濁液として注入され得、それらが生体適合性及び生分解性の両方であると考えられるため、医療用薬物デポー用途に使用され得る。
【0025】
徐放性成分は、前述の生物学的に活性な薬剤単独に適用され得るか、又は本発明の製剤内の抗炎症剤にも適用され得る。徐放性成分が両方の活性剤に適用される場合、これらの徐放性成分は、それらの組成及び/又は機能に関して同じであってもよく、又は異なっていてもよい。
【0026】
それぞれの活性剤にどのような徐放性成分が適用されても、対象への本発明の製剤の腫瘍内又は、好ましくは、皮下若しくは筋肉内注射後、少なくとも当該生物学的に活性な薬剤の徐放を提供する少なくとも1つのデポー組成物が形成される。
【0027】
徐放性成分が生物学的に活性な薬剤及び抗炎症剤の両方に適用される場合、対象への本発明の製剤の腫瘍内又は、より好ましくは、皮下若しくは筋肉内注射後、経時的に、本質的に同じ速度で、かつ/又は本質的に同じ期間にわたって、当該生物学的に活性な薬剤及び当該抗炎症剤の徐放を提供するデポーが形成されることが好ましい。
【0028】
換言すれば、生物学的に活性な薬剤及び抗炎症剤の両方が、投与後にデポーを形成する(又は一緒に単一のデポー組成物を形成する)ことが好ましく、それらが同時放出プロファイルを有することを意味する。すなわち、生物学的に活性な薬剤及び抗炎症剤の両方の放出は、延長された(及び/又は本質的に同じ)期間にわたって均一及び/又は一定である。
【0029】
「生物学的に活性な薬剤及び抗炎症剤の本質的に同じ放出速度並びに/又は本質的に同じ期間にわたる」とは、単位時間(例えば、μg/時間又はμg/日)当たりにデポー組成物(複数可)又はそれらのそれぞれの徐放デポー組成物(複数可)から放出される活性成分の量が本質的に同じであるだけでなく、(これに加えて、及び/又はこれの代わりに)全体の放出が、注射後、本質的に同じ延長期間にわたって行われ得ることも含まれる。この文脈における「本質的に同じ」とは、血漿中のそれぞれの活性成分の濃度の関連する変化(注射後の特定の時点で、日常的であり、及び/又は当業者にとって標準的な技術を使用して測定され得る)が、互いの±20%などの±30%を含む、互いの約±50%以内であることを含む。
【0030】
生物学的に活性な薬剤及び抗炎症剤の経時的な、本質的に同じ速度で、及び本質的に同じ期間にわたる持続放出の特徴は、例えば腫瘍組織、より特に筋肉組織及び/又は皮下組織に注射され、それに曝露される場合、局所的な炎症を引き起こす可能性があるか、又は引き起こすと予想される生物学的に活性な薬剤の投与を可能にし得ると考えられる。皮下又は筋肉内注射が、多くの場合、持続放出に使用されるが、そのような投与経路に対する1つの重要な制限は、そのような経路が、多くの場合非刺激性の生物学的に活性な薬剤に限定されることである(例えば、Muralidhar et al,Asian Journal of Biomaterial Research,3,6(2017)を参照されたい)。本発明は、例えば、局所レベルで炎症を引き起こす可能性があるという点で、刺激性であり、刺激性である可能性があり、かつ/又は刺激性であると予想される生物学的に活性な薬剤の使用を可能にし得ると考えられる。
【0031】
更に、炎症は、腫瘍成長を促進するための重要な変異及び適切な環境の両方を提供し得、したがって、様々な悪性腫瘍の確立、進行、及び/又は攻撃性において役割を果たし得る。多くの抗炎症剤は、腫瘍自体又は腫瘍微小環境を変化させ、潜在的に移動を減少させ、アポトーシスを増加させ、他の療法に対する感受性を増加させ得る(例えば、Rayburn et al,Molecular and Cell Pharmacology,1(1),29(2009)を参照されたい)。本発明は、例えば、腫瘍組織に注射され、それに曝露された場合、局所炎症を引き起こし、引き起こす可能性があり、かつ/又は引き起こすと予想される生物学的に活性な薬剤の使用を可能にし得ると考えられる。
【0032】
したがって、本発明の実施形態では、注射用医薬品又は獣医学的製剤であって、
(a)腫瘍組織、例えば、筋肉組織及び/又は皮下組織に注射され、それに曝露される場合、局所炎症を引き起こすか、引き起こす可能性があるか、又は引き起こすことが予想される生物学的に活性な薬剤と、
(b)抗炎症剤と、
(c)対象への組成物の腫瘍内、又はより好ましくは皮下若しくは筋肉内注射後に、経時的に、当該生物学的に活性な薬剤及び任意選択で当該抗炎症剤の徐放を提供するデポー組成物を形成する、1つ以上の徐放性成分と、を含む、注射用医薬品又は獣医学的製剤が提供される。
【0033】
本発明のこの態様によれば、製剤は、麻酔剤及び/又は鎮痛剤を含まないことが好ましい。
【0034】
更に、本発明のこの後者の態様によれば、1つ以上の徐放性成分が、当該生物学的に活性な薬剤及び当該抗炎症剤の両方の徐放を提供する場合、そのような放出は、好ましくは、抗炎症剤が、(前述のように)当該組織へのその放出中に当該生物学的に活性な薬剤から生じる炎症の程度を低減するように、本質的に同じ速度で、本質的に同じ期間にわたってである。
【0035】
「局所的な炎症を引き起こすか、引き起こす可能性があるか、又は引き起こすと予想される薬剤」とは、実験後に(例えば、以下に記載)、又は他の場所(例えば、文献又は製品ラベルから)から受信した情報に基づいて、そのような局所的な炎症を引き起こすと知られており、かつ/又は予想される薬剤(以下に記載されるものを含む)が含まれる。
【0036】
別の実施形態では、注射用医薬製剤又は獣医学的製剤であって、
(a)注射用抗がん薬物(例えば、アザシチジン又はレナリドミドなど以下に定義される)と、
(b)抗炎症剤と、
(c)対象への当該組成物の腫瘍内、又はより好ましくは皮下若しくは筋肉内注射後に、経時的に、当該抗がん薬物及び(任意選択で)当該抗炎症剤の徐放を提供するデポー組成物を形成する、徐放性成分と、を含む、注射用医薬品又は獣医学的製剤が提供される。
【0037】
本発明の文脈では、「デポー組成物」、「デポー形成組成物」及び「デポー製剤」という用語は、薬物のより少ない頻度の投与を可能にするために経時的にゆっくりと放出する組成物を指す場合に互換的に使用される。
【0038】
注射後の生物学的に活性な薬剤の徐放は、気相堆積技術によって塗布された少なくとも1つのコーティング材料で、当該生物学的に活性な薬剤を含む、小さな注射用(例えば、マイクロ)粒子をカプセル化することによって得られることが好ましい。
【0039】
したがって、本発明の好ましい態様では、医薬製剤又は獣医学的製剤であって、
(a)約10nm~約700μmである重量、数、又は体積に基づく平均直径を有する複数の粒子であって、その粒子が、気相堆積技術によって塗布された少なくとも1つのコーティング材料を含むコーティングでコーティングされた生物学的に活性な薬剤を含む固体コアを含み、
(b)その粒子が、薬学的に許容される又は獣医学的に許容されるビヒクルを含む担体系に懸濁されており、かつ
(c)その製剤が、抗炎症剤を更に含む、複数の粒子を含む、医薬製剤又は獣医学的製剤が提供され、
この製剤はまた、以下、「本発明の製剤」と称される。
【0040】
本発明のこの態様によれば、少なくとも生物学的に活性な薬剤は、上記のようにコーティングされることが好ましい。また、本発明のこの態様にも含まれる抗炎症剤は、本明細書に記載の徐放性成分と併せて提供されてもよく、又はされなくてもよい。そのように提供される場合、そのような徐放性成分は、当該抗炎症剤を含むコア上の同様のコーティングの形態であってもよく、又はそうでなくてもよく、そのコーティングは、気相堆積技術によって塗布された少なくとも1つのコーティング材料を含む。
【0041】
「固形」という用語は、閉じ込められていないときにその形状及び密度を保持し、及び/又は分子が一般にそれらの間の反発力が許す限り強く圧縮されている物質のあらゆる形態を含むことが当業者によく理解されるであろう。本発明のこの態様による固体コアは、コーティング材料の層を堆積することができる少なくとも固体の外面を有する。固体コアの内部も中実であってもよく、代わりに中空であってもよい。例えば、粒子が反応容器に入れられる前に噴霧乾燥される場合、それらは噴霧乾燥技術のために中空であってもよい。
【0042】
本発明の製剤は、薬理学的に有効な量の当該生物学的に活性な薬剤を含む。好ましくは、本発明の製剤のこの態様の固体コアは、当該薬理学的に有効な量の生物学的に活性な薬剤を含む。
【0043】
そのような固体コアは、本質的に生物学的に活性な薬剤からなり得るか、又はそれを含み得る(この薬剤は、以下、「薬物」、並びに「医薬品活性成分(API)」及び/又は「活性成分」と互換的に称され得る)。「生物学的に活性な薬剤」という用語にはまた、バイオ医薬品及び/又は生物製剤も含まれる。生物学的に活性な薬剤はまた、異なるAPI粒子又は2つ以上のAPIを含む粒子のいずれかとして、2つ以上の異なるAPIの混合物を含み得る。
【0044】
生物学的に活性な薬剤(複数可)から「本質的になる」とは、前述の固体コアが本質的に生物学的に活性な薬剤(複数可)のみを含み、すなわち、賦形剤、担体などの非生物学的活性物質(下記参照)を含まないことを含む。これは、コアが、約2%未満を含む約3%未満などの約5%未満、例えば約1%未満のそのような他の賦形剤及び/又は活性物質を含み得ることを意味する。
【0045】
代替法では、生物学的に活性な薬剤を含むコアは、アジュバント、希釈剤、又は担体などの1つ以上の薬学的に許容される賦形剤などの1つ以上の医薬成分との混合物のそのような薬剤を含み得、かつ/又は本発明の製剤に含まれる必須の抗炎症剤のうちの1つ以上を含む他の生物学的に活性な成分を含み得る。したがって、生物学的に活性な薬剤は、本発明の製剤に含まれる必須の抗炎症剤のうちの1つ以上など、別の活性物質と組み合わせて(例えば、混合物として、又は複合体として)提供され得る。
【0046】
生物学的に活性な薬剤は、結晶性、部分結晶性、及び/又はアモルファス状態で提供され得る。生物学的に活性な薬剤は、物理的形態に関係なく、ほぼ室温(例えば、約18℃)及びほぼ大気圧で、固体状態にあるか、又は固体状態に変換され得る任意の物質を更に含み得る。そのような薬剤はまた、気相堆積(例えば、ALD)反応器中でコーティングされている間、固体の形態のままである必要があり、また、コーティングされている間、又は前述のコーティング材料の層のうちの少なくとも1つによって覆われた後、物理的又は化学的に顕著に分解してはならない(すなわち、約10%w/w以下)。
【0047】
本明細書で使用される場合、「生物学的に活性な薬剤」という用語、又は類似及び/若しくは関連する表現は、概して、とりわけ哺乳動物、そして特にヒトの対象(患者)を含む、生きている対象においてある種の生理学的効果(特定の疾患の状態又は病態に対する治療的又は予防的能力があるかどうか)を生じることができる任意の薬剤又は薬物を指す。
【0048】
生物学的に活性な薬剤は、例えば、鎮痛剤、麻酔薬、抗ADHD剤、食欲低下剤、抗中毒性剤、抗菌剤、抗微生物剤、抗真菌剤、抗ウイルス剤、抗寄生虫剤、抗原虫剤、駆虫剤、外部寄生虫駆除剤、ワクチン、抗がん剤、代謝拮抗剤、アルキル化剤、抗腫瘍剤、トポイソメラーゼ阻害剤、免疫調節剤、免疫刺激剤、免疫抑制剤、アナボリックステロイド、抗凝固剤、抗血小板剤、抗けいれん剤、抗認知症剤、抗うつ剤、解毒剤、抗高脂血症剤、抗痛風剤、抗マラリア剤、抗片頭痛剤、抗パーキンソン剤、抗掻痒剤、抗乾癬剤、鎮吐剤、抗肥満剤、抗喘息剤、抗生物質、抗糖尿病剤、抗てんかん薬、抗線維素溶解剤、抗出血剤、鎮咳薬、降圧薬、抗ムスカリン剤、抗マイコバクテリア剤、抗酸化剤、抗精神病剤、抗発熱剤、抗リウマチ剤、抗不整脈剤、不安緩解剤、媚薬、強心配糖体、強心剤、エンテオゲン、エンタクトゲン、陶酔剤、オレキシジェニック、抗甲状腺剤、抗不安薬、催眠薬、神経弛緩薬、収斂薬、静菌剤、ベータ遮断薬、カルシウムチャネル遮断薬、ACE阻害薬、アンジオテンシンII受容体拮抗薬、レニン阻害薬、ベータアドレナリン受容体遮断薬、血液製剤、代替血液、気管支拡張薬、心臓不整脈薬(a cardiac inotropic agent)、化学療法薬、凝固剤、コルチコステロイド、咳抑制剤、利尿剤、デリリアント剤、去痰剤、受精剤、性ホルモン、気分安定剤、粘液溶解剤、神経保護剤、向知性薬、神経毒素、ドーパミン作動薬、抗パーキンソン病薬、フリーラジカル捕捉剤、成長因子、フィブラート、胆汁酸封鎖剤、瘢痕形成薬、グルココルチコイド、ミネラルコルチコイド、止血剤、幻覚剤、視床下部-下垂体ホルモン、免疫剤、下剤、止瀉剤、脂質調節剤、筋弛緩剤、副交感神経刺激薬、副甲状腺カルシトニン、セレニック、スタチン、覚醒剤、覚醒促進剤、充血除去薬、食餌性ミネラル、ビホスホネート、咳止め薬、眼科薬、オントロジー薬、H1拮抗薬、H2拮抗薬、プロトンポンプ阻害薬、プロスタグランジン、放射性医薬品、ホルモン、鎮静薬、抗アレルギー剤、食欲刺激剤、ステロイド、交感神経刺激薬、血栓溶解薬、甲状腺剤、血管拡張薬、キサンチン、勃起不全改善薬、胃腸薬、ヒスタミン受容体拮抗薬、角質溶解剤、抗アンギナル剤、非ステロイド性抗炎症剤、COX-2阻害剤、ロイコトリエン阻害剤、マクロライド、NSAID、栄養剤、オピオイド鎮痛剤、オピオイドアンタゴニスト、カリウムチャネル活性化剤、プロテアーゼ阻害剤、抗骨粗鬆症薬、認知増強薬、抗尿失禁剤、栄養油、抗良性前立腺肥大剤、必須脂肪酸、非必須脂肪酸、放射性医薬品、老化治療薬、ビタミン、又はこれらのうちのいずれかの混合物から選択され得る。
【0049】
生物学的に活性な薬剤はまた、サイトカイン、ペプチド模倣物、ペプチド、タンパク質、トキソイド、血清、抗体、ワクチン、ヌクレオシド、ヌクレオチド、遺伝物質の一部分、核酸、又はそれらの混合物であり得る。治療用ペプチド/タンパク質の非限定的な例は、以下のとおりである:レピルジン、セツキシマブ、ドルナーゼアルファ、デニロイキンジフチトックス、エタネルセプト、ビバリルジン、ロイプロリド、アルテプラーゼ、インターフェロンアルファ-n1、ダルベポエチンアルファ、レテプラーゼ、エポエチンアルファ、サーモンカルシトニン、インターフェロンアルファ-n3、ペグフィルグラスチム、サルグラモスティム、セクレチン、ペグインターフェロンアルファ-2b、アスパラギナーゼ、チロトロピンアルファ、抗血友病因子、アナキンラ、グラミシジンD、静脈内免疫グロブリン、アニストレプラーゼ、インスリン(通常)、テネクテプラーゼ、メノトロピン、インターフェロンガンマ-1b、インターフェロンアルファ-2a(組換え)、凝固因子VIIa、オプレルベキン、パリフェルミン、グルカゴン(組換え)、アルデスロイキン、ボツリヌス毒素B型、オマリズマブ、ルトロピンアルファ、インスリンリスプロ、インスリングラルギン、コラゲナーゼ、ラスブリカーゼ、アダリムマブ、イミグルセラーゼ、アブシキシマブ、アルファ-1-プロテイナーゼ阻害剤、ペガスパルガーゼ、インターフェロンベータ-1a、ペガデマーゼウシ、ヒト血清アルブミン、エプチフィバチド、ヨウ素化血清アルブミン、インフリキシマブ、フォリトロピンベータ、バソプレシン、インターフェロンベータ-1b、ヒアルロニダーゼ、リツキシマブ、バシリキシマブ、ムロモナブ、ジゴキシン免疫Fab(ヒツジ)、イブリツモマブ、ダプトマイシン、トシツモマブ、ペグビソマント、ボツリヌス毒素A型、パンクレリパーゼ、ストレプトキナーゼ、アレムツズマブ、アルグルセラーゼ、カプロマブ、ラロニダーゼ、ウロフォリトロピン、エファリズマブ、血清アルブミン、コリオゴナドトロピンアルファ、抗胸腺細胞グロブリン、フィルグラスチム、凝固因子IX、ベカプレミン、アガルシダーゼベータ、インターフェロンアルファ-2b、オキシトシン、エンフビルチド、パリビズマブ、ダクリズマブ、ベバシズマブ、アルシツモマブ、エクリズマブ、パニツムマブ、ラニビズマブ、イデュルスルファーゼ、アルグルコシダーゼアルファ、エクセナチド、メカセルミン、プラムリンチド、ガルスルファーゼ、アバタセプト、コシントロピン、コルチコトロピン、インスリンアスパート、インスリンデテミール、インスリングルリシン、ペガプタニブ、ネシリチド、チマルファシン、デフィブロチド、天然アルファインターフェロン/マルチフェロン、酢酸グラチラマー、ペルオタクト、テイコプラニン、カナキヌマブ、イピリムマブ、スロデキシド、トシリズマブ、テリパラチド、ペルツズマブ、リロナセプト、デノスマブ、リラグルチド、セマグルチド、ゴリムマブ、ベラタセプト、ブセレリン、ベラグルセラーゼアルファ、テサモレリン、ブレンツキシマブベドチン、タリグルセラーゼアルファ、ベリムマブ、アフリベルセプト、アスパラギナーゼエルウィニアクリサンテミ、オクリプラスミン、グルカルピダーゼ、テデュグルチド、ラキシバクマブ、セルトリズマブアスティムリマブペゴル、インスリンイソファン、エポエチンゼータ、オビヌツズマブ、フィブリノリシン、別名プラスミン、フォリトロピンアルファ、ロミプロスチム、ルシナクタント、ナタリズマブ、アリスキレン、ラグウィード花粉抽出物、セクキヌマブ、ソマトトロピン(組換え)、ドロトレコギンアルファ、アレファセプト、OspAリポタンパク質、ウロキナーゼ、アバレリックス、セルモレリン、アプロチニン、ジェムツズマブオゾガマイシン、サツモマブペンデチド、アルビグルチド、アンチトロンビンアルファ、アンチトロンビンIII(ヒト)、アスフォターゼアルファ、アテゾリズマブ、自家培養軟骨細胞、ベラクタント、ブリナツモマブ、C1エステラーゼ阻害剤(ヒト)、凝固因子XIII Aサブユニット(組換え)、コーンスタットアルファ、ダラツムマブ、デシルジン、デュラグルチド、エロスルファーゼアルファ、エボロクマブ、フィブリノーゲン濃縮物(ヒト)、フィルグラスチム-sndz、胃内因性因子、B型肝炎免疫グロブリン、ヒトカルシトニン、ヒトクロストリジウムテタニトキソイド免疫グロブリン、ヒト狂犬病ウイルス免疫グロブリン、ヒトRho(D)免疫グロブリン、ヒトRho(D)免疫グロブリン、ヒアルロニダーゼ(ヒト、組換え)、イダルシズマブ、免疫グロブリン(ヒト)、ベドリズマブ、ウステキヌマブ、ツロクトコグアルファ、ツベルクリン精製タンパク質誘導体、シモクトコグアルファ、シルツキシマブ、セベリパーゼアルファ、サクロシダーゼ、ラムシルマブ、プロトロンビン複合体濃縮物、ポーラクタントアルファ、ペンブロリズマブ、ペグインターフェロンベータ-1a、オファツムマブ、オビルトキサキシマブ、ニボルマブ、ネシツムマブ、メトレレプチン、メトキシポリエチレングリコール-エポエチンベータ、メポリズマブ、イキセキズマブ、インスリンデグルデク、インスリン(ブタ)、インスリン(ウシ)、サイログロブリン、炭疽病免疫グロブリン(ヒト)、抗阻害剤凝固複合体、ブロダルマブ、C1エステラーゼ阻害剤(組換え)、絨毛性ゴナドトロピン(ヒト)、絨毛性ゴナドトロピン(組換え)、凝固因子X(ヒト)、ジヌツキシマブ、エフモロクトコグアルファ、第IX因子複合体(ヒト)、A型肝炎ワクチン、ヒトバリセラゾスター免疫グロブリン、イブリツモマブチウキセタン、レノグラスチム、ペグロチカーゼ、プロタミ硫酸塩、プロテインS(ヒト)、シプリューセル-T、ソマトロピン(組換え)、スソクトコグアルファ、及びトロンボモジュリンアルファ。
【0050】
本発明に従って使用され得る薬物の非限定的な例は、オールトランスレチノイン酸(トレチノイン)、アルプラゾラム、アロプリノール、アミオダロン、アムロジピン、アスパラギナーゼ、アステミゾール、アテノロール、アザチオプリン、アゼラチン、ベクロメタゾン、ベンダムスチン、ブレオマイシン、ブデソニド、ブプレノルフィン、ブタルビタール、カペシタビン、カルバマゼピン、カルビドパ、カルボプラチン、セフォタキシム、セファレキシン、クロラムブシル、コレスチラミン、シプロフロキサシン、シサプリド、シスプラチン、クラリスロマイシン、クロナゼパム、クロザピン、シクロホスファミド、シクロスポリン、シタラビン、ダカルバジン、ダクチノマイシン、ダウノルビシン、ジアゼパム、ジクロフェナクナトリウム、ジゴキシン、ジピリダモール、ジバルプロエックス、ドブタミン、ドセタキセル、ドキソルビシン、ドキサゾシン、エナラプリル、エピルビシン、エルロチニブ、エストラジオール、エトドラク、エトポシド、エベロリムス、ファモチジン、フェロジピン、クエン酸フェンタニル、フェキソフェナジン、フィルグラスチム、フィナステリド、フルコナゾール、フルニソリド、フルオロウラシル、フルルビプロフェン、フルララナー、フルボキサミン、フロセミド、ゲムシタビン、グリピジド、グリブリド、イブプロフェン、イホスファミド、イマチニブ、インドメタシン、イリノテカン、硝酸イソソルビド、イソトレチノイン、イスラジピン、イトラコナゾール、ケトコナゾール、ケトプロフェン、ラモトリジン、ランソプラゾール、ロペラミド、ロラタジン、ロラゼパム、ロバスタチン、メドロキシプロゲステロン、メフェナム酸、メルカプトプリン、メスナ、メトトレキサート、メチルプレドニゾロン、ミダゾラム、ミトマイシン、ミトキサントロン、モキシデクチン、モメタゾン、ナブメトン、ナプロキセン、ニセルゴリン、ニフェジピン、ノルフロキサシン、オメプラゾール、オキサリプラチン、パクリタキセル、フェニロイン、ピロキシカム、プロカルバジン、キナプリル、ラミプリル、リスペリドン、リツキシマブ、セルトラリン、シンバスタチン、スリンダック、スニチニブ、テムシロリムス、テルビナフィン、テルフェナジン、チオグアニン、トラスツズマブ、トリアムシノロン、バルプロ酸、ビンブラスチン、ビンクリスチン、ビノレルビン、ゾルピデム、又はこれらのうちのいずれかの薬学的に許容される塩である。
【0051】
本発明の製剤は、アルプラゾラム、クロルジアゼポキシド、クロバザム、クロラゼプ酸、ジアゼパム、エスタゾラム、フルラゼパム、ロラゼパム、オキサゼパム、クアゼパム、テマゼパム、トリアゾラム、及びこれらのいずれかの薬学的に許容される塩などのベンゾジアジピンを含み得る。
【0052】
本発明の製剤においても用いられ得る麻酔薬は、局所的又は全身的であり得る。言及され得る局部麻酔薬には、アミロカイン、アンブカイン、アルチカイン、ベンゾカイン、ベンゾナテート、ブピバカイン、ブタカイン、ブタニリカイン、クロロプロカイン、シンコカイン、コカイン、シクロメチカイン、ジブカイン、ジペロドン、ジメトカイン、ユーカイン、エチドカイン、ヘキシルカイン、フォモカイン、フォトカイン、ヒドロキシプロカイン、イソブカイン、レボブピバカイン、リドカイン、メピバカイン、メプリルカイン、メタブトキシカイン、ニトラカイン、オルソカイン、オキセタカイン、オキシブプロカイン、パラエトキシカイン、フェナカイン、ピペロカイン、ピリドカイン、プラモカイン、プリロカイン、プリロカイン、プロカイン、プロカインアミド、プロパラカイン、プロポキシカイン、ピロカイン、キニソカイン、ロピバカイン、トリメカイン、トリカイン、トロパコカイン、又はこれらのうちのいずれかの薬学的に許容される塩が含まれる。
【0053】
精神科薬もまた本発明の製剤に用いられ得る。言及され得る精神科薬には、5-HTP、アカンプロセート、アゴメラチン、アリメマジン、アンフェタミン、デキサンフェタミン、アミスルプリド、アミトリプチリン、アモバルビタール、アモバルビタール/セコバルビタール、アモキサピン、アンフェタミン(複数可)、アリピプラゾール、アセナピン、アトモキセチン、バクロフェン、ベンペリドール、ブロムペリドール、ブプロピオン、ブスピロン、ブトバルビタール、カルバマゼピン、抱水クロラール、クロルプロマジン、クロルプロチキセン、シタロプラム、クロメチアゾール、クロミプラミン、クロニジン、クロザピン、シクロバルビタール/ジアゼパム、シプロヘプタジン、シチシン、デシプラミン、デスベンラファキシン、デキサンフェタミン、デキストロメチルフェニデート、ジフェンヒドラミン、ジスルフィラム、ジバルプロエックスナトリウム、ドキセピン、ドキシラミン、デュロキセチン、エナント酸、エスシタロプラム、エゾピクロン、フルオキセチン、フルペンチキソール、フルフェナジン、フルスピリレン、フルボキサミン、ガバペンチン、グルテチミド、グアンファシン、ハロペリドール、ヒドロキシジン、イロペリドン、イミプラミン、ラモトリジン、レベチラセタム、レボメプロマジン、レボミルナシプラン、リスデキサンフェタミン、リチウム塩、ルラシドン、メラトニン、メルペロン、メプロバメート、メタンフェタミン、ネタドン、メチルフェニデート、ミアンセリン、ミルタザピン、モクロベミド、ナルメフェン、ナルトレキソン、ナイアプラジン、ノルトリプチリン、オランザピン、オンダンセトロン、オキシカルバゼピン、パリペリドン、パロキセチン、ペンフルリドール、ペントバルビタール、ペラジン、ペリシアジン、ペルフェナジン、フェネルジン、フェノバルビタール、ピモジド、プレガバリン、プロメタジン、プロチペンジル、プロトリプチリン、クエチアピン、ラメルテオン、レボキセチン、レボキセチン、レセルピン、リスペリドン、塩化ルビジウム、セコバルビタール、セレギリン、セルチンドール、セルトラリン、オキシベートナトリウム、バルプロ酸ナトリウム、バルプロ酸ナトリウム、スルピリド、チオリダジン、チオチキセン、チアネプチン、チザニジン、トピラメート、トラニルシプロミン、トラゾドン、トリフルオペラジン、トリミプラミン、トリプトファン、バレリアン、バルプロ酸(2.3:1の比率)、バレニクリン、ベンラファキシン、ビラゾドン、ボルチオキセチン、ザレプロン、ジプラシドン、ゾルピデム、ゾピクロン、ゾテピン、ズクロペンチキソール、及びこれらのうちのいずれかの薬学的に許容される塩が含まれる。
【0054】
本発明の製剤に用いられ得るオピオイド鎮痛薬には、ブプレノルフィン、ブトルファノール、コデイン、フェンタニル、ヒドロコドン、ヒドロモルフォン、メペリジン、メタドン、モルヒネ、ノメタドン、アヘン、オキシコドン、オキシモルフォン、ペンタゾシン、タペンタドール、トラマドール、及びこれらのうちのいずれかの薬学的に許容される塩が含まれる。
【0055】
本発明の製剤に用いられ得るオピオイド拮抗薬には、ナロキソン、ナロルフィン、ニコナロルフィン、ジプレノルフィン、レバロルファン、サミドルファン、ナロデイン、アルビモパン、メチルナルトレキソン、ナロキセゴール、6β-ナルトレキソン、アキセロプラン、ベベノプラン、メチルサミドルファン、ナルデメジン、好ましくはナルメフェン、特にナルトレキソン、及びこれらのうちのいずれかの薬学的に許容される塩が含まれる。
【0056】
本発明の製剤に含まれ得る抗がん剤には、アクチノマイシン、アファチニブ、オールトランスレチノイン酸、アムサクリン、アナグレリド、アルセニクトリオキシド、アキシチニブ、アザシチジン、アザチオプリン、ベンダムスチン、ベキサロテン、ブレオマイシン、ボルテゾミブ、ボスチニブ、ブスルファン、カバジタキセル、カペシタビン、カルボプラチン、クロラムブシル、クラドリビン、クロファラビン、シタラビン、ダブラフェニブ、ダカルバジン、ダクチノマイシン、ダサチニブ、ダウノルビシン、デシタビン、ドセタキセル、ドキシフルリジン、ドキソルビシン、エピルビシン、エポチロン、エルロチニブ、エストラムスチン、エトポシド、エベロリムス、フルダラビン、フルオロウラシル、ゲフィチニブ、グアデシタビン、ゲムシタビン、ヒドロキシカルバミド、ヒドロキシ尿素、イダルビシン、イデラリシブ、イホスファミド、イマチニブ、イリノテカン、イキサゾミブ、カボザンチニブ、カルフィルゾミブ、クリゾチニブ、ラパチニブ、ロムスチン、メクロレタミン、メルファラン、メルカプトプリン、メスナ、メトトレキサート、ミトタン、ミトキサントロン、ネララビン、ニロチニブ、ニラパリブ、オラパリブ、オキサリプラチン、パクリタキセル、パノビノスタット、パゾパニブ、ペメトレキセド、ピクサントロン、ポナチニブ、プロカルバジン、レゴラフェニブ、ルキソリチニブ、ソニデギブ、ソラフェニブ、スニチニブ、テガフール、テモゾロミド、テニポシド、チオグアニン、チオテパ、トポテカン、トラベクテジン、バルルビシン、バンデタニブ、ベムラフェニブ、ベネトクラクス、ビンブラスチン、ビンクリスチン、ビンデシン、ビンフルニン、ビノレルビン、ビスモデギブ、及びこれらのうちのいずれかの薬学的に許容される塩が含まれる。
【0057】
そのような化合物は、以下のがんのうちのいずれか1つで使用され得る:腺嚢胞がん、副腎腺がん、アミロイドーシス、肛門がん、運動失調-毛細血管拡張症、非定型ほくろ症候群、基底細胞がん、胆管がん、Birt-Hogg Dube、管症候群、膀胱がん、骨がん、脳腫瘍、乳がん(男性の乳がんを含む)、がん様腫瘍、頚部がん、大腸がん、乳管がん、子宮内膜がん、食道がん、胃がん、胃腸間質腫瘍、HER2陽性、乳がん、膵島細胞腫瘍、若年性ポリポーシス症候群、腎臓がん、喉頭がん、急性リンパ芽球性白血病、全てのタイプの急性リンパ球性白血病、急性骨髄性白血病、成人白血病、小児白血病、慢性リンパ球性白血病、慢性骨髄性白血病、肝がん、小葉がん、肺がん、小細胞肺がん、ホジキンリンパ腫、非ホジキンリンパ腫、悪性神経膠腫、黒色腫、髄膜腫、多発性骨髄腫、骨髄異形成症候群、鼻咽頭がん、神経内分泌腫瘍、口腔がん、骨肉腫、卵巣がん、膵臓がん、膵臓神経内分泌腫瘍、副甲状腺がん、陰茎がん、腹膜がん、プーツ・イェガース症候群、下垂体腫瘍、多発性赤血球腫、前立腺がん、腎細胞がん、網膜芽細胞腫、唾液腺がん、肉腫、カポシ肉腫、皮膚がん、小腸がん、胃がん、精巣がん、胸腺腫、甲状腺がん、子宮(子宮内膜)がん、膣がん、ウィルムス腫瘍。
【0058】
言及され得るがんには、骨髄異形成症候群及びサブタイプ、例えば、急性骨髄性白血病、不応性貧血又は環状鉄芽球を伴う不応性貧血(好中球減少症又は血小板減少症を伴うか、輸血が必要な場合)、芽球増加を伴う不応性貧血、移行期の芽球増加を伴う不応性貧血、及び慢性骨髄性(骨髄単球性)白血病白血病が含まれる。
【0059】
本発明の製剤における使用について言及され得る他の薬物には、サリドマイドなどの免疫調節イミド薬物、並びにポマリドミド、レナリドミド、及びアプレミラストなどのそれらの類似体、並びにこれらのうちのいずれかの薬学的に許容される塩が含まれる。言及され得る他の薬物には、化合物21(C21、3-[4-(1H-イミダゾール-1-イルメチル)フェニル]-5-(2-メチルプロピル)チオフェン-2-[(N-ブチルオキシルカルバメート)-スルホンアミド]などのアンジオテンシンII受容体2型アゴニスト及びその薬学的に許容される(例えば、ナトリウム)塩が含まれる。
【0060】
好ましい抗がん剤としては、低~中リスク骨髄異形成症候群における多発性骨髄腫及び貧血の治療に有用であるレナリドミド、及び特に、骨髄異形成症候群のある特定のサブタイプの治療に有用であるアザシチジンが挙げられる。
【0061】
言及され得る他の好ましい生物学的に活性な薬剤としては、2型糖尿病の治療及び糖尿病に関連する心血管合併症の予防に有用であるリラグルチドが挙げられる。
【0062】
代替的に、本明細書に記載の製剤はまた、生物学的に活性な薬剤の代わりに(又はそれに加えて)、診断剤(すなわち、それ自体は直接的な治療活性を有さないが、バイオイメージング用の造影剤(contrast agents)又は造影剤(contrast media)などの病態の診断に使用され得る薬剤)を含み得る。
【0063】
本発明の製剤は、特に、本発明の製剤(コーティング又は担体系を含む)の任意の成分又は成分の組み合わせが、例えば皮下の注射後、炎症反応を引き起こし得るという事実を考慮して、前述の生物学的に活性な薬剤のいずれかのうちの1つ以上を含み得る。
【0064】
しかしながら、特に言及され得る生物学的に活性な薬剤には、生物学的に活性な薬剤が、それ自体で、又は本発明の製剤の形態で、患者に投与された場合、炎症反応を生じさせ得るか、又はそのような反応を生じさせると予想され得るものが挙げられる。
【0065】
この点で、本発明の製剤における使用について特に言及され得る生物学的に活性な薬剤には、例えば、抗腫瘍剤、トポイソメラーゼ阻害剤、免疫調節剤(サリドマイド、ポマリドミド、レナリドミド、及びアプレミラストなど)、免疫刺激剤、免疫抑制剤、化学療法剤、成長因子、血管拡張剤、及び放射線医薬品が挙げられる。
【0066】
この点で言及され得る特定の生物学的に活性な薬剤には、上で列挙された特定の抗がん剤、特に、アクチノマイシン、アザシチジン、アザチオプリン、ベンダムスチン、ベキサロテン、ブレオマイシン、ボルテゾミブ、ボスチニブ、ブスルファン、カバジタキセル、カペシタビン、カルボプラチン、クロラムブシル、クラドリビン、クロファラビン、シタラビン、ダブラフェニブ、ダカルバジン、ダクチノマイシン、ダウノルビシン、デシタビン、ドセタキセル、ドキシフルリジン、ドキソルビシン、エピルビシン、エポチロン、エストラムスチン、エトポシド、エベロリムス、フルダラビン、フルオロウラシル、グアデシタビン、ゲムシタビン、ヒドロキシ尿素、イダルビシン、イホスファミド、イリノテカン、イキサゾミブ、カルフィルゾミブ、ロムスチン、メクロレタミン、メルファラン、メルカプトプリン、メスナ、メトトレキサート、ミトタン、ミトキサントロン、ネララビン、オキサリプラチン、パクリタキセル、パノビノスタット、ペメトレキセド、ピクサントロン、プロカルバジン、テガフール、テモゾロミド、テニポシド、チオグアニン、チオテパ、トポテカン、トラベクテジン、バルルビシン、ベネトクラクス、ビンブラスチン、ビンクリスチン、ビンデシン、ビンフルニン、及びビノレルビン、並びにこれらのうちのいずれかの薬学的に許容される塩のうちのいずれか1つ以上が含まれる。
【0067】
この点で言及され得る更なる生物学的に活性な薬剤としては、ある特定のサイトカイン、タンパク質、及びワクチン、並びにダラツムマブ及びイサツキシマブなどの治療用ペプチド/タンパク質が挙げられる。
【0068】
この点で言及され得る他の薬物には、ベンダムスチン、ブレオマイシン、カルボプラチン、クロラムブシル、シスプラチン、シクロホスファミド、シクロスポリン、シタラビン、ダカルバジン、ダクチノマイシン、ダウノルビシン、ドセタキセル、ドキソルビシン、エピルビシン、エトポシド、エベロリムス、フルオロウラシル、ゲムシタビン、イホスファミド、イリノテカン、メルカプトプリン、メスナ、メトトレキサート、ミダゾラム、マイトマイシン、オキサリプラチン、パクリタキセル、プロカルバジン、テムシロリムス、チオグアニン、ビンブラスチン、ビンクリスチン、ビノレルビン、又はこれらのうちのいずれかの薬学的に許容される塩が含まれる。言及され得る特定の薬物は、シスプラチンである。
【0069】
本発明の関連する態様に従ってコーティングされるコアに用いられ得る非生物学的に活性なアジュバント、希釈剤、及び担体は、炭水化物、例えばラクトース及び/若しくはトレハロースなどの糖、並びにマンニトール、ソルビトール、及びキシリトールなどの糖アルコールなどの水に可溶である薬学的に許容される物質、又は塩化ナトリウムなどの薬学的に許容される無機塩を含み得る。好ましい担体/賦形剤材料には、糖及び糖アルコールが含まれる。そのような担体/賦形剤材料は、生物学的に活性な薬剤が、例えば、一般的に記載されるようなペプチド、タンパク質、若しくは遺伝物質の一部などの複雑な高分子である、かつ/又はワクチンを含む前述の特定のペプチド/タンパク質である場合に特に有用である。このように高分子複合体を賦形剤に埋め込むと、コーティング用のコアがより大きくなり、したがって、コーティングされた粒子がより大きくなることが多い。
【0070】
本発明のこの態様の好ましい実施形態では、前述のコアは、ナノ粒子、又はより好ましくはマイクロ粒子の形態で提供される。好ましい重量、数、又は体積に基づく平均直径は、約50nm(例えば、約100nm、例えば、約250nm)~約30μm、例えば、約500nm~約100μm、より具体的には、約1μm~約50μm(約25μmなど、例えば、約20μm)である。
【0071】
本明細書で使用される場合、「重量に基づく基準平均直径」という用語は、平均粒径が、重量による粒径分布、すなわち、各サイズクラスにおける既存の分率(相対量)が、例えば、ふるい分け(例えば、湿式ふるい分け)によって得られる重量分率として定義される分布から特徴付けられ、かつ定義されることを含むように当業者に理解されるであろう。本明細書で使用される場合、「数に基づく平均直径」という用語は、平均粒径が、数による粒径分布、すなわち、各サイズクラスにおける既存の分率(相対量)が、例えば、顕微鏡検査によって測定された数分率として定義される分布から特徴付けられ、かつ定義されることを含むように当業者に理解されるであろう。本明細書で使用される場合、「体積に基づく平均直径」という用語は、平均粒径が、体積による粒径分布、すなわち、各サイズクラスにおける既存の分率(相対量)が、例えば、レーザー回折によって測定された体積分率として定義される分布から特徴付けられ、かつ定義されることを含むように当業者に理解されるであろう。当業者はまた、面積に基づく平均直径などの平均直径を表現する他の好適な方法があり、平均直径のこれらの他の表現は、本明細書で使用されるものと交換可能であることを理解するであろう。例えば、Malvern Instruments,Ltd(Worcestershire,UK)及びShimadzu(Kyoto,Japan)が販売する機器など、この分野でよく知られている他の機器を用いて、粒径を測定し得る。
【0072】
粒子は、球形であり得、すなわち、それらは、約20未満、より好ましくは約10未満、例えば約4未満、特に約2未満のアスペクト比を有し、及び/又は粒子の少なくとも約90%、平均値の約50%以下、例えば、その値の約30%以下、例えば、その値の約20%以下における半径(重心から粒子表面まで測定)の変動を有し得る。
【0073】
それにもかかわらず、本発明のこの態様によれば、任意の形状への粒子のコーティングも可能である。例えば、不規則な形状(例えば、「レーズン」形状)、針形状、薄片形状又は直方体形状の粒子をコーティングし得る。非球形粒子の場合、サイズは、例えば同じ重量、体積、又は表面積の対応する球形粒径として示され得る。中空粒子、並びに繊維状又は「もつれた」粒子などの細孔、隙間などを有する粒子もまた、本発明に従ってコーティングされ得る。
【0074】
粒子は、それらがコーティングされるのに好適な形態で得ても、その形態で、例えば、特定された重量ベースの平均直径(本明細書で定義される)への粒径縮小プロセス(例えば、粉砕、切断、ミリング、又は研削)によって、例えば、湿式研削、乾式研削、エアジェットミリング(極低温微粉化を含む)、遊星ボールミリングなどのボールミリング、並びにエンドランナーミル、ローラーミル、振動ミル、ハンマーミル、ローラーミル、流体エネルギーミル、ピンミルなどを利用することによって、得てもよい。代替的に、粒子は、例えば、噴霧乾燥、凍結乾燥、噴霧凍結乾燥、真空乾燥、超臨界流体の使用を含む沈殿、若しくは他のトップダウン法(すなわち、例えば、研削などによって、大きい粒径を小さくすること)、又はボトムアップ法(すなわち、例えば、ゾルゲル技術、結晶化などによって、小さい粒径を大きくすること)によって、好適なサイズ及び形状に直接調製され得る。代替的に、ナノ粒子は、ガス凝縮、摩滅、化学沈殿、イオン注入、熱分解、水熱合成などのようなよく知られた技術によって作製され得る。
【0075】
粒子を、(コアを含む粒子が最初に提供される方法に応じて)それらの生成に由来し得る不純物を除去するために、洗浄及び/又は綺麗にし、次いで、それらを乾燥させる必要があり得る。乾燥は、蒸発、噴霧乾燥、真空乾燥、凍結乾燥、流動床乾燥、マイクロ波乾燥、IR放射、ドラム乾燥などを含む、当業者に知られている多くの技術によって実施され得る。乾燥される場合、コアは、次いで、研削、スクリーニング、ミリング、及び/又は乾式超音波処理によって脱凝集され得る。代替的に、コアは、例えば、粒子を真空及び/又は高温に曝露することによって、その表面上に吸収され得る任意の揮発性物質を除去するために処理され得る。
【0076】
コアの表面は、コーティング材料の第1の層を塗布する前に、例えば、過酸化水素、オゾン、フリーラジカル含有反応物で処理することによって、又はコアの表面にフリー酸素ラジカルを創出するためにプラズマ処理を適用することによって、化学的に活性化され得る。これにより、例えば、ALD前駆体のコア上に有利な吸着部位/核形成部位が生成され得る。
【0077】
本発明の前述の好ましい態様による生物学的に活性な薬剤を含むコアにコーティング(複数可)を塗布する好ましい方法には、ALDなどの気相技術、又は原子層エピタキシー(ALE)、分子層堆積(MLD、ALDと同様の技術であるが、原子の代わりに分子(通常、有機分子)が各パルスで堆積する点で異なる)、分子層エピタキシー(MLE)、化学気相堆積(CVD)、原子層CVD、分子層CVD、物理蒸着(PVD)、スパッタリングPVD、反応性スパッタリングPVD、蒸着PVD及び二元反応シーケンス化学などの関連技術が含まれる。ALDは、本発明による好ましいコーティング方法である。
【0078】
当該コアに塗布され得るコーティング材料は、それらが本質的に無毒でなければならないという点で、薬学的に許容され得る。
【0079】
コーティング材料は、ポリアミド、ポリイミド、ポリ尿素、ポリウレタン、ポリチオ尿素、ポリエステル、又はポリイミンなどの有機材料又はポリマー材料を含み得る。コーティング材料はまた、金属又は別の元素と、アルコール、カルボン酸、アミン、又はニトリルとの間の組み合わせである材料を含む、ハイブリッド材料(有機材料と無機材料との間のような)を含み得る。しかしながら、コーティング材料は、無機材料を含むことが好ましい。
【0080】
無機コーティング材料は、1つ以上の金属若しくはメタロイドを含み得るか、又は金属若しくはメタロイド、酸化物、窒化物、硫化物、セレン化物、炭酸塩、及び/又は他の三元化合物などのような1つ以上の金属含有又はメタロイド含有化合物を含み得る。金属、及びメタロイド、水酸化物、特に酸化物、特に金属酸化物が好ましい。
【0081】
言及され得る金属には、アルカリ金属、アルカリ土類金属、貴金属、遷移金属、遷移後金属、ランタニドなどが含まれる。言及され得る金属及びメタロイドには、アルミニウム、チタン、マグネシウム、鉄、ガリウム、亜鉛、ジルコニウム、ニオブ、ハフニウム、タンタル、ランタン、及び/又はシリコン、より好ましくは、アルミニウム、チタン、マグネシウム、鉄、ガリウム、亜鉛、ジルコニウム、及び/又はシリコン、特にアルミニウム、シリコン、チタン及び/又は亜鉛が含まれる。
【0082】
上記のように、本発明の製剤は、(例えば、無機)コーティング材料の2つ以上の個別の層を含み得るため、それらの層の性質及び化学組成(複数可)は、層ごとに異なり得る。
【0083】
個々の層はまた、金属酸化物若しくはメタロイド酸化物などの2つ以上の無機材料の混合物を含み得、かつ/又は層の特性を改変するために、異なる無機若しくは有機材料の複数の層若しくは複合体を含み得る。
【0084】
言及され得るコーティング材料には、酸化アルミニウム(Al2O3)、二酸化チタン(TiO2)、酸化鉄(FexOy、例えば、FeO及び/又はFe2O3及び/又はFe3O4)、酸化ガリウム(Ga2O3)、酸化マグネシウム(MgO)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化ニオブ(Nb2O5)、酸化ハフニウム(HfO2)、酸化タンタル(Ta2O5)、酸化ランタン(La2O3)、二酸化ジルコニウム(ZrO2)、及び/又は二酸化シリコン(SiO2)を含むものが含まれる。好ましいコーティング材料には、酸化アルミニウム、二酸化チタン、酸化鉄、酸化ガリウム、酸化マグネシウム、酸化亜鉛、二酸化ジルコニウム、及び二酸化シリコンが含まれる。より好ましいコーティング材料には、酸化鉄、二酸化チタン、硫化亜鉛、より好ましくは酸化亜鉛、二酸化シリコン、及び/又は酸化アルミニウムが含まれる。
【0085】
当該の関連する製剤のコーティングされたコア中の(個別又は集合ベースでの)コーティング材料の層は、本質的に(例えば、約90%超などの約80%超、例えば、約98%などの約95%であり得る)酸化鉄、二酸化チタン、又はより好ましくは酸化亜鉛、酸化シリコン、及び/又は酸化アルミニウムからなり得る。
【0086】
本明細書に記載のプロセスは、コアに塗布されるコーティング材料(複数可)が酸化亜鉛、二酸化シリコン、及び/又は酸化アルミニウムを含む場合に、特に有用である。
【0087】
更に好ましくは、無機コーティング材料は、酸化亜鉛、より具体的には、
(i)酸化亜鉛(ZnO)と、
(ii)1つ以上の他の金属及び/又はメタロイド酸化物との混合物を含み、
原子比((i):(ii))が、少なくとも約1:10(例えば、約1:6)と、最大で約10:1(例えば、約6:1)との間である。
【0088】
好ましくは、原子比((i):(ii))が、少なくとも約1:1と、最大で約6:1との間である。
【0089】
酸化亜鉛及び1つ以上の他の金属及び/又はメタロイド酸化物の混合物を含むコーティングは、以下、「混合酸化物」コーティング又はコーティング材料(複数可)と称される。
【0090】
したがって、生物学的に活性な薬剤を含有するコアは、酸化亜鉛、及び1つ以上の他の金属及び/又はメタロイド酸化物の混合物を含むコーティング材料で、少なくとも約2.5:1(例えば、少なくとも約3.25:1又は少なくとも約2.75:1(3:1を含む))などの少なくとも約2.25:1を含む、少なくとも約1:10(例えば、少なくとも1:2などの少なくとも約1:4を含む少なくとも約1:6)、好ましくは少なくとも約1:1(例えば、少なくとも約2:1などの少なくとも約1.5:1)であり、かつ、最大で約4:1(例えば、最大で約3.75:1)を含む最大で約4.5:1などの最大で約5.5:1又は最大で約5:1を含む約6:1などの最大で(すなわち、それ以下)約10:1である酸化亜鉛対他の酸化物(複数可)の原子比で、コーティングされ得る。
【0091】
ALDでは、ほとんどの場合、連続する反応の最初のものは、ヒドロキシ基(-OH)又は一級若しくは二級アミノ基(-NH2若しくはRが、例えばアルキル基などの脂肪族基である-NHR)などのコーティングされる表面にいくつかの官能基又は遊離電子対又はラジカルを伴う。個々の反応は、有利には、次の反応を行う前に、全ての過剰な試薬及び反応生成物が本質的に除去されるような条件下で、別個に実施される。
【0092】
したがって、ALDが用いられる場合、上記の混合酸化物コーティングは、第1の亜鉛含有前駆体、他の金属含有前駆体、又はメタロイド含有前駆体をALD反応器チャンバーに供給し(いわゆる「前駆体パルス」で)、粒子の表面に吸着された原子又は分子の亜鉛含有単分子層、他の金属含有単分子層、又はメタロイド含有単分子層を形成することによって調製され得る。次いで、第2の前駆体(例えば、水)を反応器内にパルスし、第1の前駆体と反応させ、基材表面上に亜鉛、金属又はメタロイド酸化物の単分子層をそれぞれ形成する。その後のパージパルスの後、第1の前駆体の更なるパルスが続き、したがって、同じ事象の新たなサイクル(いわゆる「ALDサイクル」)が開始される。
【0093】
1つ以上の他の金属及び/又はメタロイド酸化物に対する酸化亜鉛の原子比が(例えば)約1:1と、最大で約6:1との間である混合酸化物コーティングを作製するために、当業者は、他の酸化物(複数可)の1つのALDサイクル(すなわち単分子層)ごとに、約1~約6のALDサイクルの酸化亜鉛も堆積されなければならないことを理解するであろう。例えば、3:1の原子比(亜鉛:他の酸化物)の混合酸化物コーティングが形成される場合、3つの亜鉛含有前駆体パルスの後に、それぞれ第2の前駆体パルスが続き、酸化亜鉛の3つの単分子層が形成され、次いで、他の金属及び/又はメタロイド含有前駆体の1つのパルスが続き、第2の前駆体パルスが続き、他の金属及び/又はメタロイドの酸化物の1つの単分子層が形成される。代替的に、酸化亜鉛の6つの単分子層の後に、約3:1の全体的な原子比を提供するように、他の酸化物の2つの単分子層、又は任意の他の組み合わせが続いてもよい。この点で、関連する酸化物を生成するためのパルスの順序は、結果として生じる原子比が最終的に関連する範囲内にある限り、重要ではない。
【0094】
そのような混合された酸化物コーティングが用いられる場合、他の金属又はメタロイド酸化物材料は、好ましくは、酸化アルミニウム(Al2O3)及び/又は二酸化シリコン(SiO2)のうちの一方若しくは他方、又は両方を含む。
【0095】
本発明による複数のコーティングされた粒子を調製する方法が更に提供され、コーティングされた粒子は、気相堆積技術によって、固体コア及び/又は以前にコーティングされた固体コア上に混合された酸化物を形成する少なくとも2つの金属及び/又はメタロイド酸化物の前駆体を塗布することによって作製される。金属酸化物又はメタロイド酸化物を形成するための前駆体は、多くの場合、水、酸素、オゾン、及び/又は過酸化水素などの酸素前駆体、並びに金属及び/又はメタロイド化合物、典型的には有機金属化合物又は有機メタロイド化合物を含む。
【0096】
前駆体の非限定的な例は以下のとおりである。酸化亜鉛の前駆体は、水及びジエチル亜鉛などのジC1-C5アルキル亜鉛であり得る。酸化アルミニウムの前駆体は、水及びトリメチルアルミニウムなどのトリC1-C5アルキルアルミニウムであってもよい。酸化シリコン(シリカ)の前駆体は、酸素前駆体としての水、並びにシラン、アルキルシラン、アミノシラン、及びオルトケイ酸テトラエチルエステルであり得る。酸化鉄の前駆体としては、酸素、酸素前駆体としてオゾン及び水、並びにジC1-C5アルキル鉄、ジシクロプロピル鉄、及びFeCl3が挙げられる。当業者は、どの前駆体が本明細書に開示される目的に好適であるかを認識していることが理解されるであろう。
【0097】
ALDでは、コーティング材料の層は、約20℃~約800℃、又は約40℃~約200℃、例えば、約50℃~約100℃などの約40℃~約150℃のプロセス温度で塗布され得る。最適なプロセス温度は、コアに用いられる前駆体及び/若しくは物質(生物学的に活性な薬剤を含む)の反応性、並びに/又はコア物質(複数可)の融点に依存する。約30℃~約100℃などのより低い温度が用いられることが好ましい。特に、上記方法の一実施形態では、約20℃~約80℃、例えば、約30℃~約70℃、例えば、約40℃~約60℃、例えば、約50℃の温度が採用される。
【0098】
約50℃~約100℃などの低温でALDを使用して酸化亜鉛を含むコーティングを塗布する場合、アモルファス層を形成する酸化アルミニウム及び酸化チタンなどの他のコーティング材料とは異なり、コーティング材料は、その性質上大部分が結晶性であることを見出した。
【0099】
理論に制限されることなく、酸化亜鉛は結晶性であるため、酸化亜鉛のみがコーティング材料として採用される場合、ALDによって堆積される酸化亜鉛の隣接する結晶間に界面が形成され得、これによって、酸化亜鉛が部分的に溶解する担体系、媒体、又は溶媒(例えば、水性溶媒系)が、その中に懸濁後に侵入し得ることが理解される。これは、作製することが意図されるデポー形成組成物には速すぎる溶解を引き起こし得ると考えられる。
【0100】
更に、以前の研究では、水性媒体に懸濁した場合、酸化亜鉛でコーティングされた活性成分を含む製剤の相対的な生物学的利用能が、コーティングされていない活性成分よりも低いことが示されている。この相対的な生物学的利用能の低下は、活性成分が全身循環に放出され得る前の活性成分の分解によるものであると考えている。上記のような酸化亜鉛コーティング内の結晶界面を通る水の貫通は、コーティングされた粒子の内部内の活性成分の加水分解をもたらすと考えられる。
【0101】
これらの問題は、本明細書に記載の混合酸化物コーティングを作製することによって緩和され得る。特に、完全にではないが、主に酸化亜鉛で構成される、本明細書に記載の混合酸化物コーティングを形成することにより、本質的に非晶質、又は結晶性材料と非晶質材料との間の複合材料であるように見えるコーティング、及び/又は水などの注射ビヒクルの侵入を低減し得るコーティングで活性成分をコーティングすることができた。この点で、前述の知覚された界面の存在は、本発明の混合酸化物態様を、不均一な方法(他の酸化物が界面によって形成された間隙を「充填する」方法)、又は均質な方法(最初に界面が潜在的に回避される方法で、堆積中に混合酸化物材料の真の複合材料が形成される方法)のいずれかで採用することによって、減少又は完全に回避され得るように思われる。
【0102】
使用される気相堆積反応器チャンバーは、任意選択で、及び/又は好ましくは、固定気相堆積反応器チャンバーであってもよい。「固定」という用語は、気相堆積反応器チャンバーの文脈において、例えば、関連する機械によって引き起こされるような無視できる動き及び/又は振動を除外して、気相堆積技術を実行するために使用中に反応器チャンバーが固定されたままであることを意味すると理解されるであろう。
【0103】
更に、いわゆる「ストップフロー」プロセスが採用され得る。ストップフロープロセスを使用して、第1の前駆体が反応器チャンバーに供給されると、第1の前駆体が反応器チャンバーからパージされる前に、第1の前駆体は、所定の期間(浸漬時間とみなされ得る)、反応器チャンバー内のコアに接触させられ得る。所定の期間の間、好ましくは、気体の流れをもたらし得るポンプの実質的な欠如、及び/又はコアの機械的撹拌の実質的な欠如がある。
【0104】
ストップフロープロセスの採用は、各ガスが粉末などの高いアスペクト比の基材に適合して拡散することを可能にすることによって、コーティングの均一性を高めることができる。前駆体が表面上で反応するのにより多くの時間が与えられるため、反応性が遅い前駆体を使用する場合、利点は更に顕著になり得る。これは、特に、本発明による混合酸化物コーティングを堆積させるときに明らかであり得る。例えば、本明細書に記載されるように混合された酸化亜鉛/酸化アルミニウムコーティングを堆積させるとき、我々は、ジエチル亜鉛(DEZ)などの亜鉛含有前駆体が、例えば、トリメチルアルミニウム(TMA)などのアルミニウム含有前駆体よりも基材の表面に向かって低い反応確率を有することを見出した。
【0105】
良好なシェル完全性及びより制御された放出プロファイルを有するコーティングを生成することに加えて、そのようなストップフロープロセスの採用は、特定のコーティング組成物を達成する能力を改善し得る。
【0106】
例えば、上記のように、得られたシェル内の亜鉛とアルミニウムとの間の原子比が3:1であるコーティングを製造するために気相技術を採用しようとすると、前駆体の連続的な流れを使用して材料を堆積させる場合よりも、ストップフロープロセスを使用して3:1に非常に近い比率が達成され得ることがわかった。
【0107】
好ましくは、及び/又は任意選択で、「マルチパルス」技術を採用して、第1の前駆体、第2の前駆体、又は両方の前駆体を反応器チャンバーに供給してもよい。
【0108】
そのようなマルチパルス技術を使用して、それぞれの前駆体を、複数の「サブパルス」として反応器チャンバーに供給され得、各々は、1つの連続したパルスとしてではなく、例えば、(気相堆積反応器のサイズ及び性質に応じて)1秒から約1分のような短い期間持続する。前駆体は、各サブパルスの後、所定の期間、例えば、約1~500秒、約2~250秒、約3~100秒、約4~50秒、又は約5~10秒、例えば9秒、反応器チャンバー内のコアに接触させてもよい。繰り返しになるが、気相堆積反応器のサイズ及び性質に応じて、この時間は、最大数分(例えば、最大約30分)まで延長することができる。サブパルスの導入、続いて一定期間の浸漬時間は、所定の回数、例えば、約5~1000回、約10~250回、又は約20~50回、単一のステップで繰り返され得る。
【0109】
好ましくは、2つ以上の別個の層又はコーティング材料(本明細書では「コーティング」又は「シェル」とも称され、これらの用語は全て、本明細書で互換的に使用される)が、生物学的に活性な薬剤を含む固体コアに順次塗布される(すなわち、「別個に塗布される」)。
【0110】
「別個の層、コーティング、又はシェル」の「別個の塗布」とは、固体コアがコーティング材料の第1の層でコーティングされ、次いで得られたコーティングされたコアが、何らかの形態の脱凝集プロセスに供されることを意味する。この点で、本明細書で定義されるコーティング材料(複数可)の個別の層の数は、これらの断続的な脱凝集ステップの数に対応し、最終的な機械的脱凝集は、コーティング材料の最終層の塗布の前に行われる。
【0111】
言い換えれば、「気相堆積(例えばALD)サイクル」を数回繰り返して、例えば10、25、又は100サイクルからなり得るサイクルの「気相堆積(例えばALD)セット」を提供することができる。しかしながら、この一連のサイクルの後、コーティングされたコアは、何らかの形態の脱凝集ステップに供され、次いで、これには、更なる一連のサイクルが続く。
【0112】
このプロセスは、必要に応じて何度も繰り返され得、この点で、本明細書で定義されるコーティング材料(複数可)の個別の層の数は、これらの断続的な脱凝集ステップの数に対応し、最終的な機械的脱凝集は、コーティング材料の最終的な層(一連のサイクル)の塗布の前に行われる。
【0113】
「解凝集」及び「脱凝集」という用語は、コーティングされた粒子を指すときに互換的に使用され、コーティングされた粒子凝集体の解凝集は、好ましくは、機械的ふるい分け技術によって行われる。
【0114】
コーティングされたコアは、ALD反応器などのコーティング装置から取り出され、その後、例えば、国際特許出願第2014/187995号に記載されているように、外部脱凝集ステップに供され得る。そのような外部脱凝集ステップは、湿った状態又は乾いた状態での超音波処理などの撹拌を含み得るか、又は好ましくは、反応器から出された得られた固体生成物塊を、次のコーティングステップのために粒子をコーティング装置に戻す前に、例えば、以下に記載されるように、粒子を脱凝集させるために、例えば、ふるい又はメッシュを通すことによって、ふるいにかけることを含み得る。ここでも、このプロセスは、最終的なコーティングを塗布する前に、必要な回数及び/又は適切な回数だけ継続することができる。
【0115】
外部脱凝集プロセスでは、脱凝集は、代替的に、湿った状態又は乾いた状態のコーティングされた粒子を、ノズルエアロゾル発生、ミリング、粉砕、撹拌、高剪断混合及び/又は均質化のうちの1つ以上に供することによって、行うことができる。脱凝集のステップ(複数可)が湿った状態の粒子に対して実行される場合、脱凝集した粒子は、次のコーティングステップの前に、(コアに関して前述したように)乾燥されるべきである。
【0116】
しかしながら、かかる外部プロセスにおいて、脱凝集ステップ(複数可)は、1つ以上のふるい分けステップを含み、これは、ジェットふるい分け、手動ふるい分け、振動ふるい振盪、水平ふるい振盪、タップふるい分け、又は(好ましくは)以下に記載されるような音波ふるい分け、又はこれらのふるい分けステップの任意の組み合わせを含む同様のプロセスを含み得る。好適な音波シフターのメーカーとしては、Advantech Manufacturing、Endecott、及びTsutsuiが挙げられる。
【0117】
機械的ふるい分けステップのうちの少なくとも1つは、振動ふるい分け技術を含むことが更に好ましい。
【0118】
そのような振動ふるい分け技術は、ふるいに結合された振動モータを含み、当該コアをコーティングすることによって形成された固体生成物塊を、反応器の内部又は(好ましくは)外部(すなわち、外側)に位置し得るふるいに振動的に通す手段を提供し得、任意の粒子凝集体を、コーティング材料の第2の及び/又は更なる層に供する前に、コーティングされたコアを当該振動的に通す際に脱凝集するように構成される。このプロセスは、コーティング材料の最終層を塗布する前に、必要な回数及び/又は適切な回数だけ繰り返される。
【0119】
振動的に通す手段は、ふるいに結合された振動モータを備える。振動モータは、電力が供給されるときに振動及び/又は回転するように構成される。例えば、振動モータは、逆の圧電効果の結果として、電界が印加されるときに形状を変化させる圧電材料を含む圧電振動モータであり得る。圧電材料の形状の変化は、圧電振動モータの音響又は超音波振動を引き起こす。
【0120】
代替的に、振動モータは、電力がモータに供給されるときに回転される質量を含む偏心回転質量(ERM)振動モータであってもよい。質量は回転軸から偏心し、質量の回転によりモータが不均衡になり、振動及び/又は回転する。更に、ERM振動モータは、モータに対して異なる位置に配置された複数の質量を含み得る。例えば、ERM振動モータは、各々がモータの反対側の端部に配置された上部質量及び下部質量を含み得る。各質量及び他の質量に対するその角度を変化させることによって、ERM振動モータの振動及び/又は回転を変化させることができる。
【0121】
振動モータは、電力が供給されるときにモータの振動及び/又は回転がふるいに伝達される様式でふるいに結合される。
【0122】
ふるい及び振動モータは、振動がマウントに実質的に伝達されるか、又はマウントによって減衰されることなく、ふるい及びモータがマウントに対して自由に振動するように、懸架手段を介してマウント(例えば、床に配置可能なフレームなど)から懸架され得る。これにより、振動モータ及びふるいは、障害物なしで振動及び/又は回転することができ、また、振動ふるい分けプロセス中に生成されるノイズを低減する。懸架手段は、ふるい及び/又はモータをマウントに結合する1つ以上のばね又はベローズ(すなわち、エアクッション又は同等のクッション手段)を含み得る。かかるプロセスを実施するのに好適な振動ふるい又はシフターのメーカーとしては、例えば、Russell Finex、SWECO、Filtra Vibracion、VibraScreener、Gough Engineering、及びFarley Greeneが挙げられる。
【0123】
好ましくは、振動ふるい分け技術は、ふるいに結合された振動プローブを制御することを更に含む。振動プローブは、振動モータによって引き起こされる振動の周波数とは別の周波数でふるいを振動させるように制御され得る。好ましくは、振動プローブは、振動モータによって引き起こされる振動よりも高い周波数でふるいを振動させ、より好ましくは、周波数は超音波範囲内にある。
【0124】
振動プローブによってふるいに追加の振動を提供することにより、ふるいの目詰まりの発生を減らし、ふるいが過負荷になる可能性を減らし、ふるいのメッシュを清掃するのに必要な時間を減らす。
【0125】
好ましくは、上記の振動ふるい分け技術は、少なくとも1g/分のスループットでコーティングされた粒子をふるい分けることを含む。より好ましくは、振動ふるい分け技術は、4g/分以上のスループットでコーティングされた粒子をふるい分けることを含む。
【0126】
スループットは、ふるいのメッシュの面積、ふるいのメッシュサイズ、粒子のサイズ、粒子の粘着性、粒子の静的性質に依存する。これらの機能のいくつかを組み合わせることで、はるかに高いスループットが可能になる。したがって、振動ふるい分け技術は、より好ましくは、最大1kg/分又はそれ以上のスループットでコーティングされた粒子をふるい分けることを含み得る。
【0127】
上記のスループットのいずれも、既知の機械的ふるい分け、又はふるい分け技術の使用に対する大幅な改善を表す。例えば、我々は、音波ふるい分けは、装置を保存するために必要な15分間の冷却時間を介して15分間のふるい分けを伴うことを見出した。20gのコーティングされた粒子をふるい分けるためには、9セットの15分の活性ふるい分け時間、すなわち、255分の(冷却を含む)合計時間が必要であった。比較すると、前述の振動ふるい分け技術を使用することによって、20gのコーティングされた粒子は、最大で20分間、又はより好ましくはわずか5分間、又はそれ以下で連続的にふるい分けられ得る。
【0128】
ふるいのメッシュサイズは、ふるいにかけられた粒子又は音波ふるいにかけられた粒子のサイズのふるいのメッシュサイズに対する比率が、約1:1超、好ましくは約1:2、及び任意選択で約1:4であるように決定され得る。サイズのメッシュサイズは、約20μm~約100μm、好ましくは約20μm~約60μmの範囲であり得る。
【0129】
適切なふるいメッシュは、穴あきプレート、マイクロプレート、グリッド、菱形、スレッド、ポリマー又はワイヤー(編まれたワイヤーふるい)を含み得るが、ステンレス鋼などの金属から形成されることが好ましい。
【0130】
驚くべきことに、振動ふるい分け技術内でステンレス鋼メッシュを使用することは、音波ふるい分けなどの機械的ふるい分け技術の一部として、より柔らかいポリマーふるい分けを使用することと同様に、粒子コーティングに優しい。
【0131】
また、ふるい粉の既知の問題は、潜在的に危険な静電気の発生である。スチールメッシュは、粉末から静電気を除去するという利点があるが、ポリマーメッシュではそうではない。ポリマーメッシュは、音波シフターで使用する必要がある。
【0132】
更に、音波がメッシュを振動させるのではなくメッシュを通って移動するため、既知の音波シフターのメッシュサイズは、約100μmに制限される。その制限は、ふるいで振動を生成するために音波に依存しないため、振動ふるい分け技術のために使用することに対して存在しない。したがって、本明細書に記載の振動ふるい分け技術は、代替の機械的ふるい分け技術が使用された場合よりも大きな粒子をふるい分けることを可能にする。
【0133】
(例えば振動)ふるいが反応器の外部(すなわち、反応器の外側)に位置する場合、本発明の製剤のコーティングされたコアを作製するプロセスは、コーティングされた粒子を撹拌に供する前に、コーティングされた粒子を気相堆積反応器から排出し、脱凝集したコーティングされた粒子を、少なくとも1つのコーティング材料の更なる層を、再導入された粒子に塗布する前に、気相堆積反応器に再導入することを含む。
【0134】
本発明者らは、外部脱凝集後、コーティング材料の別個の層を塗布すると、可視及び識別可能な界面が生じることを見出した。これは、コーティングされた粒子を、本発明に従って分析することによって観察することができ、例えば、TEMによって、電子透過性の高い領域として観察される。この点で、界面間の層の厚さは、ALD反応器内で、及び個々の外部撹拌ステップ間で実行される各シリーズのサイクル数に直接対応する。
【0135】
ALDコーティングプロセスでは、コーティングが原子レベルで起こるため、そのような明確な物理的界面は、典型的には、観察することがより困難である。
【0136】
理論に制限されることなく、真空条件のALD反応器からコーティングされた粒子を取り出し、新しくコーティングされた表面を大気にさらすと、最も外側の原子層の緩和と再構築による構造の再編成がもたらされると考えられる。このようなプロセスは、表面の自由エネルギーを減少させる熱力学的傾向によって駆動される、表面(及び表面近く)の原子の再編成を伴うと考えられる。
【0137】
更に、種(例えば、空気中に常に存在する炭化水素)の表面吸着は、炭化水素で形成されたコーティングの反応、並びに大気中の酸素などによる表面修飾と同様に、この現象に寄与する可能性がある。したがって、そのような界面を化学的に分析すると、ALDなどのコーティングプロセスに由来しない微量の汚染物質又はコアの一部を形成するAPIなどのコア材料が含まれている可能性がある。
【0138】
代替法では、コーティングされたコアは、連続プロセスによって、当該装置から取り出されることなく、内部で前述の脱凝集プロセスに供され得る。そのようなプロセスは、好ましくは、当該コアをコーティングすることによって形成された固体生成物塊を、反応器内に配置されたふるいを強制的に通すことを含み、ふるいは、第二のコーティング及び/又は更なるコーティングに供される前に、当該反応器内で適用された強制手段によってコーティングされたコアを強制すると、粒子の凝集体を脱凝集するように構成される。このプロセスは、本明細書に記載されているように、最終的なコーティングを塗布する前に、必要な回数及び/又は適切な回数だけ継続される。
【0139】
反応容器内に脱凝集ステップ(ふるいなど)を置くことは、粒子を反応器から取り出す必要のない連続プロセスによって、コーティングを塗布することができることを意味する。したがって、粒子を手で取り扱う必要はなく、凝集粒子を脱凝集するために外部の機械も必要ない。これにより、コーティングプロセスが実施される時間が大幅に短縮されるだけでなく、より便利になり、有害な(例えば、有毒な)材料が人員によって取り扱われるリスクが軽減される。また、手作業を制限することでプロセスの再現性を高め、汚染のリスクが軽減される。
【0140】
反応器の内部又は外部で実施されるかどうかにかかわらず、粒子凝集体は、好ましくは、それらをふるいに通す強制手段によって分解され、したがって、凝集体を個々の粒子又は所望及び所定のサイズの凝集体に分離する(それによって、脱凝集を達成する)。後者に関して、場合によっては、個々の一次粒径が非常に小さい(すなわち、1μm未満)ため、「完全な」脱凝集(すなわち、凝集体が個々の粒子に分解される)を達成することは不可能である。代わりに、脱凝集は、ふるいのメッシュのサイズによって決定されるように、より大きい凝集体を所望のサイズの二次粒子のより小さい凝集体に分解することによって達成される。次いで、より小さい凝集体を気相技術でコーティングして、小さい凝集体粒子の形態で完全にコーティングされた「粒子」を形成する。このように、「粒子」という用語は、本発明の文脈で脱凝集及びコーティングされた粒子を指す場合、個々の(一次)粒子及び所望のサイズの凝集(二次)粒子の両方を指す。
【0141】
いずれにせよ、所望の粒径(それが個々の粒子であろうと所望のサイズの凝集体であろうと)は、維持され、更に、ふるい分けによるそのような脱凝集後の粒子への気相コーティング機構の継続的な適用は、粒子上に完全なコーティングを形成し、したがって、完全にコーティングされた粒子(個々の又は所望のサイズの凝集体)が形成されることを意味する。
【0142】
上記の繰り返されるコーティング及び脱凝集プロセスは、反応器の内部又は外部で実施されるかどうかにかかわらず、少なくとも1回、好ましくは2回、より好ましくは5回を含む4回などの3回、より特に6回、例えば、7回、及び約100回以下、例えば、約30回以下を含む、約40回以下などの約50回以下、2~20回など、例えば、3~15回、10回など、例えば、9又は8回、より好ましくは6又は7回、特に、4又は5回実施され得る。
【0143】
反応器の内部又は外部で実施されるかどうかにかかわらず、少なくとも1つのふるい分けステップが実施されることが好ましく、更に、そのステップは、好ましくは、上記のような振動ふるい分けステップを含む。更に、最終的なふるい分けステップは、コーティング材料の最終的な層(一連のサイクル)の塗布の前に行われる振動的なふるい分けステップを含むことが好ましい。しかしながら、ふるい分けステップのうちの2つ以上(各々を含む)が、本明細書に記載される振動ふるい分け技術、ステップ、又はプロセスを含むことが更に好ましい。
【0144】
これらのステップの好ましい繰り返しは、任意の振動ふるい分け技術の改善されたスループットを更に有益にする。
【0145】
コーティングの総厚(全ての別個の層/コーティング/シェルを意味する)は、平均で約0.5nm~約2μmの範囲にある。
【0146】
各個々の層/コーティング/シェルの最小の厚さは、平均で約0.1nmの範囲にある(約0.5nm、例えば、約0.75nm、例えば1nmを含む)。
【0147】
各個々の層/コーティング/シェルの最大の厚さは、コアのサイズ(最初は)、及びその後の以前に塗布されたコーティングを有するコアのサイズに依存することになり、そのコア、又は以前にコーティングが塗布されたコアの平均で平均直径(すなわち、重量、数、又は体積に基づく平均直径)の約100分の1になり得る。
【0148】
好ましくは、平均直径が約100nm~約1μmである粒子の場合、コーティングの総厚は、平均で約1nm~約5nmでなければならず、平均直径が約1μm~約20μmの粒子の場合、コーティングの厚さは、平均で約1nm~約10nmでなければならず、平均直径が約20μm~約700μmの粒子の場合、コーティングの厚さは、平均で約1nm~約100nmでなければならない。
【0149】
コーティング/シェルを塗布した後、超音波処理などの1つ以上の脱凝集ステップを実行すると、コーティングされた粒子が、より厚いコーティングを塗布した直後、本質的に、より緊密に「結合」又は「接着」されるため、層/コーティングにおいて摩耗、ピンホール、破損、間隙、亀裂、及び/又は空隙(以下「亀裂」)が生じることがわかった。これにより、脱凝集が起こると、生物学的に活性な成分を含むコアが外部環境にさらされる可能性がある。
【0150】
患者に投与する前に、懸濁液中に粒子を提供することが意図されるので、コーティングにピンホール又は亀裂のない脱凝集した一次粒子を提供する必要がある。そのような亀裂は、投与直後の活性成分の血漿中濃度において、望ましくない初期ピーク(バースト)をもたらすであろう。
【0151】
本明細書に記載される脱凝集ステップのうちの1つ以上を実施することで、コーティング材料の最終層において、生じるピンホール、間隙、又は亀裂が顕著に少なくなり、その層/コーティングで完全に被覆されるだけでなく、医薬製剤化前及び/又は中に形成されたコーティング材料の層を破壊しない様式で、粒子が容易に(例えば、ボルテックスなどの非侵襲的な技術を使用して)脱凝集され得る様式で被覆される粒子が生じることを、我々は発見した。
【0152】
この点で、(例えば、混合酸化物などの無機)コーティングは、典型的に、活性成分(複数可)を含む当該固体コアを完全に取り囲み、囲み、及び/又はカプセル化する。このようにして、関連する活性成分が可溶性である溶媒と薬物が直接接触することに起因する最初の薬物濃度バーストのリスクを最小限に抑える。これは、体液だけでなく、そのようなコーティングされた粒子が注射前に懸濁され得る任意の媒体も含み得る。
【0153】
したがって、本発明のこの態様の更なる実施形態では、本明細書に開示されるような粒子が提供され、当該コアを取り囲み、囲み、及び/又はカプセル化する当該コーティングは、コーティングは、本質的に、当該コアを完全に取り囲み、囲み、及び/又はカプセル化するように、コアの表面の少なくとも約50%、例えば、少なくとも約65%、例えば、少なくとも約75%、例えば、少なくとも約80%、より具体的には、少なくとも約90%、例えば、少なくとも約91%、例えば、少なくとも約92%、例えば、少なくとも約93%、例えば、少なくとも約94%、例えば、少なくとも約95%、例えば、少なくとも約96%、例えば、少なくとも約97%、例えば、少なくとも約98%、例えば、少なくとも約99%、例えば、おおよそ若しくは約100%をカバーする。
【0154】
本明細書で使用される場合、「本質的に完全にコーティングして、当該コアを完全に取り囲み、囲み、及び/又はカプセル化する」という用語は、固体コアの表面の少なくとも約98%、又は少なくとも約99%の被覆を意味する。
【0155】
代替法では、本明細書に記載のプロセスは、活性成分が制御されない方法で放出され得る当該亀裂が本質的に存在しない、脱凝集したコーティングされた粒子をもたらし得る。
【0156】
放出を制御するという点で本質的な機能に影響を及ぼすことなく、いくつかの軽微な亀裂が当該コーティングに現れることがあるが、更なる実施形態では、粒子の少なくとも約90%が、当該コアを取り囲み、囲み、及び/又はカプセル化するコーティングに亀裂を示さない、本明細書に開示されるような粒子が提供される。一実施形態では、少なくとも約91%、例えば、少なくとも約92%、例えば、少なくとも約93%、例えば、少なくとも約94%、例えば、少なくとも約95%、例えば、少なくとも約96%、例えば、少なくとも約97%、例えば、少なくとも約98%、例えば、少なくとも約99%、例えば、おおよそ100%の粒子は、当該亀裂を示さない。
【0157】
代替的に、コーティング(複数可)に「本質的に当該亀裂がない」とは、コーティングされた粒子の表面の約1%未満が、摩耗、ピンホール、破損、間隙、亀裂及び/又は空隙(それを通して活性成分が潜在的に(例えば、元素に)さらされる)を含むことを意味する。
【0158】
コーティング材料の層は、まとめて、粒子の表面積にわたって本質的に均一な厚さであり得る。「本質的に均一な」厚さはとは、本発明の組成物中に存在するコーティングされた粒子の約25%などの少なくとも約10%、例えば、約50%であるコーティングの厚さの変動の程度が、TEMで測定した場合、平均の厚さの約±20%以下(±50%以下を含む)であることを意味する。
【0159】
本明細書に記載の別個のコーティングの間(例えば、別個の脱凝集ステップの間)、及び/又はコーティングが塗布されている間のいずれかに、薬学的に許容され、本質的に非毒性のコーティング材料などの異なるコーティング材料も加えて塗布され得る。そのような材料は、層(複数可)の特性を改変するために、当該混合酸化物の複数の層又は複合体、及び1つ以上の異なる無機若しくは有機材料を含み得る。
【0160】
本発明による複数のコーティングされた粒子は、塗布されたコーティングにおいて、本質的に前述の亀裂(それを通して活性成分が潜在的に(例えば、外部環境に)露出される)がないが、それを更なる医薬製剤の処理に供する前に、2つの更なる任意選択的なステップが複数のコーティングされた粒子に適用され得る。
【0161】
第1の任意選択ステップは、前述の最終的な脱凝集ステップの後に、最終的なオーバーコーティング層の塗布を含み得、その外側の「オーバーコーティング」層/コーティング、又は「シーリングシェル」(これらの用語は、本明細書において互換的に使用される)の厚さは、以前に塗布された別個の層/コーティング/シェル(又は「サブシェル」)よりも薄くなければならない。
【0162】
したがって、厚さは、最も広い以前に塗布されたサブシェルの厚さの平均で約0.7倍以下(例えば、約0.6倍)であり得る。代替的に、厚さは、塗布される最後のサブシェルの厚さの平均で約0.7倍以下(例えば、約0.6倍)であり得、かつ/又は以前に塗布された全てのサブシェルの平均の厚さの平均で約0.7倍以下(例えば、約0.6倍)であり得る。厚さは、最大約20μmの粒子の場合、平均で約0.3nm~約10nmの範囲であり得る。より大きい粒子の場合、厚さは、コーティングされた粒子の重量、数、又は体積に基づく平均直径の平均で約1/1000以下であり得る。
【0163】
そのようなシーリングシェルの役割は、粒子に「シーリング」オーバーコーティング層を提供し、それらの亀裂を覆うことであり、そのため、そのシーリングシェルで完全に覆われているだけでなく、医薬製剤化前及び/又は中に下に形成されたサブシェルを破壊しない様式で、粒子が容易に(例えば、ボルテックスなどの非侵襲的な技術を使用して)脱凝集され得る様式で覆われる粒子が生じる。
【0164】
本明細書に記載の理由から、シーリングシェルは、酸化亜鉛を含まないことが好ましい。一方、シールシェルは、二酸化シリコン、又はより好ましくは酸化アルミニウムを含み得る。
【0165】
第2の任意選択ステップは、壊れた及び/又は亀裂の入ったシェル/コーティングを有する少数の残りの粒子を、全ての粒子が、活性成分が可溶性であるが(例えば、少なくとも約0.1mg/mLの溶解度で)、コーティング中の最も可溶性の低い物質が不溶性である(例えば、約0.1μg/mL以下の溶解度で)溶媒に懸濁される処理に供され、続いて、例えば、遠心分離、沈降、凝集、及び/又は濾過によって、溶媒から固体粒子を分離し、その結果、主に無傷の粒子が残ることを確実にすることを含み得る。
【0166】
上記の任意選択ステップは、前に考察されたように、活性成分の血漿中濃度における(おそらく)望ましくない初期ピーク(バースト)の可能性を更に潜在的に低減する手段を提供する。
【0167】
プロセスの最後に、コーティングされた粒子は、コアを乾燥させるための前述した技術のうちの1つ以上を使用して、乾燥させることができる。乾燥は、1つ以上の薬学的に許容される賦形剤(例えば、糖又は糖アルコール)の不在下又は存在下で起こり得る。
【0168】
代替的に、プロセスの最後に、分離された粒子は、その後の保存及び/又は患者への投与のために、溶媒(例えば、水、本明細書で定義される1つ以上の薬学的に許容される賦形剤を伴い、又は伴わずに)に再懸濁され得る。
【0169】
コーティング材料の第1の層を塗布する前に、又は順次のコーティングの間に、コア及び/又は部分的にコーティングされた粒子は、1つ以上の代替の及び/又は予備的な表面処理に供され得る。この点で、異なる材料(すなわち、無機材料(複数可)以外)を含む1つ以上の中間層を、例えば、コーティングステップ(複数可)/堆積処理中の前駆体との望ましくない反応からコア又は部分的にコーティングされた粒子を保護するため、コーティング効率を増強するため、又は凝集を低減するために、関連する表面に塗布することができる。
【0170】
中間層は、例えば、コーティングされる粒子の凝集を低減し、その後のコーティングに好適な親水性表面を提供する目的で、1つ以上の界面活性剤を含み得る。この点に関して、好適な界面活性剤としては、Tweenシリーズ(例えば、Tween80)などのよく知られた非イオン性、アニオン性、カチオン性、又は双性イオン性の界面活性剤が挙げられる。代替的に、コアの一部として(又はコアとして)用いられる活性成分が、コーティング(例えば、ALD)プロセス中に気相に存在し得る1つ以上の前駆体化合物と反応しやすい場合、コアを、予備的な表面処理に供することができる。
【0171】
この性質の「中間」層/表面処理の適用は、代替的に、液相非コーティング技術、続いて、凍結乾燥、噴霧乾燥、又は他の乾燥方法によって達成されて、コーティング材料がその後塗布され得る表面層を、粒子に提供し得る。
【0172】
本発明の製剤の粒子の外面はまた、例えば、コーティング材料の最終層の外面に、1つ以上の化学化合物又は部分を付着させることよって、例えば、ナノ粒子が投与される患者内の粒子の標的化送達を増強する化学化合物又は部分を用いて、誘導体化又は官能化され得る。そのような化合物は、有機分子(例えば、PEG)ポリマー、抗体若しくは抗体断片、又は受容体結合タンパク質若しくはペプチドなどであり得る。
【0173】
代替的に、その部分は、シラン官能基を含む部分などのアンカー基であり得る(例えば、Herrera et al,J.Mater.Chem.,18,3650(2008)及びUS8,097,742を参照されたい)。別の化合物(例えば所望の標的化化合物)は、共有結合若しくは非共有結合(水素結合若しくはファンデルワールス結合を含む)、又はそれらの組み合わせによって、かかるアンカー基に結合され得る。
【0174】
かかるアンカー基の存在は、体内の特定の部位への標的化送達のための汎用性ツールを提供し得る。代替的に、PEGなどの化合物を使用すると、粒子が血流内でより長く循環し、肝臓又は脾臓に蓄積されないようにすることができる(身体が粒子を排除する自然な機構であり、疾患組織への送達を防止する可能性がある)。
【0175】
本発明の製剤は、例えば、医学、診断、及び/又は獣医学の実践において使用され得る。
【0176】
本発明の医薬(又は獣医学的)製剤は、異なるタイプの粒子、例えば、異なる官能化(前述のように)を含む異なる活性成分を含む粒子、異なるサイズ、及び/若しくは異なる厚さのコーティングの粒子、又はそれらの組み合わせを含み得る。単一の医薬製剤において、異なるコーティング厚さ及び/又は異なるコアサイズを有する粒子を組み合わせることにより、患者への投与後の薬物放出が、特定の期間にわたって制御(例えば、変動若しくは延長)され得る。
【0177】
本発明の製剤は、全身的に、例えば、注射又は注入によって、静脈内又は動脈内(血管内又は他の血管周囲のデバイス/剤形(例えば、ステント)によるものを含む)、筋肉内、骨内、脳内、脳室内、滑膜内、胸骨内、髄腔内、病巣内、頭蓋内、腫瘍内、皮膚、皮内、皮下、経皮、腹腔内に薬学的に(又は獣医学的)に許容される剤形の形態で、投与され得る。上記のように、好ましい投与経路には、腫瘍内、より好ましくは皮下及び/又は筋肉内が含まれる。
【0178】
本発明の製剤の調製は、本明細書に記載の活性成分(コーティングされた粒子を含む)を適切な薬学的又は獣医学的に許容される担体系に組み込むことを含み、意図する投与経路及び標準的な薬務を考慮して達成され得る。したがって、適切な担体系は、用いられる生物学的に活性な薬剤(複数可)に対して化学的に不活性であり、使用条件下で有害な副作用又は毒性を有さないことが必要である。そのような薬学的に許容される担体はまた、本発明の製剤の粒子からの生物学的に活性な薬剤の即時放出又は改変された放出を付与し得る。
【0179】
皮下、腫瘍内及び/又は筋肉内注射、より好ましくは皮下及び/又は筋肉内注射の後にデポー組成物を形成するために、本発明の製剤は、滅菌の注射可能及び/又は注入可能な剤形、例えば、本発明の製剤の滅菌の水性又は油性懸濁液の形態であり得る。
【0180】
水性担体系を含む本発明の製剤は、当該技術分野で既知の技術に従って、(コーティングされているか、又はそうでない)粒子の滅菌の水性懸濁液として製剤化され得る。水性媒体は、少なくとも約50%の水を含有すべきであるが、リンゲル溶液などの他の水性賦形剤を含み得、また、極性共溶媒(例えば、エタノール、グリセロール、プロピレングリコール、1,3-ブタンジオール、様々な分子量のポリエチレングリコール、及びテトラグリコール)、粘度増加剤、又は増粘剤(例えば、カルボキシメチルセルロース、微結晶性セルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、エチルヒドロキシエチルセルロース、グリコール酸デンプンナトリウム、ポロキサマー、例えば、ポロキサマー407、ポリビニルピロリドン、シクロデキストリン、例えば、ヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリン、ポリビニルピロリドン、及び様々な分子量のポリエチレングリコール)、均質懸濁を達成するための界面活性剤/湿潤剤(例えば、ソルビタンエステル、ラウリル硫酸ナトリウム、モノグリセリド、ポリオキシエチレンエステル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシルグリセリド、及び好ましくは、Tween(ポリソルベート)、例えば、Tween80及びTween20)を含み得る。好ましい成分には、等張性修飾剤(例えば、乳酸ナトリウム、デキストロース、特に塩化ナトリウム)、pH調節剤及び/又は緩衝剤(例えば、クエン酸、クエン酸ナトリウム、特にリン酸緩衝剤、例えば、リン酸水素二ナトリウム水和物、リン酸ナトリウム、リン酸二水素ナトリウム一水和物、及びこれらの組み合わせが含まれ、これらは、塩酸及び水酸化ナトリウムなどの標準的な無機酸及び塩基と組み合わせて採用され得る)、並びにマンニトール、クロスカルメロースナトリウム、及びヒアルロン酸などの他の成分が含まれる。
【0181】
代替法では、油性、又は油ベースの担体系は、ミグリオール(例えば、812N)、プロピレングリコールジカプリロカプレート(Miglyol840、C8/C10エステル)、トリカプリリン(Miglyol油)、ゲルシレ43/01、コリソルブGTA、ラブラフィルを含む、モノ、ジ、又はトリグリセリドなどの固定油を含み得る1つ以上の薬学的又は獣医学的に許容される液体脂質を含み得る。担体系はまた、ポリソルベート20、ポリソルベート60、ポリソルベート80などのポリソルベート、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリエチレングリコール300、ポリエチレングリコール400、ポリエチレングリコール600などのグリコール、並びに/又は天然及び/若しくは精製された薬学的に許容される油、例えば、オリーブ油、ピーナッツ油、大豆油、コーン油、綿実油、ゴマ油、ヒマシ油、オレイン酸、及びそれらのポリオキシエチル化バージョン(例えば、ソルビタントリオレート、lauroglycol 90、capryol PGMC、PEG-60水素化ヒマシ油、ポリオキシル35ヒマシ油)を含み得る。より好ましい担体系としては、モノ、ジ、及び/又はトリグリセリドが挙げられ、アルキル鎖トリグリセリド(例えば、C6-C12アルキル鎖トリグリセリド)などの中鎖トリグリセリドが最も好ましい。
【0182】
そのような注射用懸濁液は、好適な分散剤又は湿潤剤(例えば、Tween80などのTween)、及び懸濁剤を採用することにより、当業者によく知られた技術に従って製剤化され得る。
【0183】
本発明の製剤は、均一かつ注射液内で安定な(すなわち、沈降しない)懸濁液を形成することができ、かつ針を通して注射することができるサイズ分布を有する(例えば、コーティングされた)粒子の注射用懸濁液の形態で更に製剤化され得る。
【0184】
この点で、本発明の製剤は、「均質」ではない懸濁液、したがって活性成分の過少又は過剰投与のリスクをもたらす沈降を防止するのに十分な粘性である媒体を含み得る。任意の所与の複数のコーティングされた粒子について、これは、(前述のように)既知の粘度調整剤の添加によって、又はより好ましくは、より粘性の高い担体系自体を提供することによって達成され得る。
【0185】
本発明の製剤は、通常の保管条件下で保管し得、それらの物理的及び/又は化学的完全性を維持し得る。
【0186】
「物理的及び化学的完全性を維持する」という表現は、本質的に、化学的安定性及び物理的安定性を意味する。
【0187】
「化学的安定性」とは、本発明の製剤を、通常の保管条件下で、化学的分解(degradation)又は分解(decomposition)の程度がわずかなまま、(適切な医薬品包装の有無にかかわらず)保管することができることを含む。「化学的安定性」という用語はまた、「立体化学的」及び/又は「構成的」安定性を含み、これは、活性成分の分子内の1つ以上のキラル中心でのラセミ化などの立体化学的変換に対する耐性を意味する。
【0188】
「物理的安定性」とは、本発明の製剤は、物理的変換(例えば、上記のような沈降)の程度がわずかなまま、又はコーティングされた粒子の性質及び/若しくは完全性の変化、例えば、コーティング自体若しくは活性成分の変化(溶解、溶媒和、固相相転移などを含む)がわずかなまま、通常の保管条件下で、(適切な医薬品包装の有無にかかわらず)保管され得ることを含む。
【0189】
本発明の製剤の「通常の保管条件」の例としては、長期間(すなわち、約12か月間以上、例えば、約6か月間)にわたる、約-50℃~約+80℃(好ましくは、約50℃などの約-25℃~約+75℃)の温度、及び/又は約0.1~約2バールの圧力(好ましくは、大気圧)、及び/又は約460ルクスの紫外線/可視光への曝露、及び/又は約5~約95%(好ましくは、約10~約40%)の相対湿度が挙げられる。
【0190】
このような条件下では、本発明の製剤は、必要に応じて、約15%未満、より好ましくは約10%未満、とりわけ約5%未満が、化学的及び/又は物理的に劣化/分解されていることが見出され得る。当業者は、温度及び圧力の上記の上限及び下限が通常の保管条件の極値を表し、これらの極値の特定の組み合わせが通常の保管中に経験されないことを理解する(例えば、50℃の温度及び圧力0.1バール)。
【0191】
本発明の製剤は、デポー製剤を形成するために外科的投与装置、例えば針、カテーテルなどを介して投与可能な液体、ゾル、又はゲルの形態であり得る。
【0192】
いずれにしても、好適な製剤の調製は、日常的な技術を使用して当業者によって、独創的な方法を用いずに達成され得る。したがって、本発明の製剤及びそれを含む剤形は、医薬製剤の調製のために当該技術分野で使用される従来の医薬添加剤及び/又は賦形剤で製剤化され得、その後、標準的な技術を使用して様々な種類の医薬製剤及び/又は剤形に組み込まれ得る(例えば、Lachman et al.,‘The Theory and Practice of Industrial Pharmacy’,Lea & Febiger,3rd edition(1986)、‘Remington:The Science and Practice of Pharmacy’,Troy(ed.),University of the Sciences in Philadelphia,21st edition(2006)、及び/又は‘Aulton’s Pharmaceutics:The Design and Manufacture of Medicines’,Aulton and Taylor(eds.),Elsevier,4th edition,2013)、及びそこで言及されている文書を参照されたい。その全ての文書における関連する開示は、参照により本明細書に組み込まれる)。
【0193】
本発明の製剤に用いられ得る抗炎症剤には、ブチルピラゾリジン(フェニルブタゾン、モフェブタゾン、オキシフェンブタゾン、クロフェゾン、ケブゾン、及びスクシブゾンなど)、酢酸誘導体及び関連物質(インドメタシン、スリンダク、トルメチン、ゾメピラク、ジクロフェナク、アルクロフェナク、ブマジゾン、エトドラク、ロナゾラク、フェンチアザク、アセメタシン、ジフェンピラミド、オキサメタシン、プログルメタシン、ケトロラク、アセクロフェナク、及びブフェキサマクなど)、プロピオン酸誘導体(ピロキシカム、テノキシカム、ドロキシカム、ロルノキシカム、メロキシカム、イブプロフェン、ナプロキセン、ケトプロフェン、フェノプロフェン、フェンブフェン、ベノキサプロフェン、スプロフェン、ピルプロフェン、フルルビプロフェン、インドプロフェン、チアプロフェン酸、オキサプロジン、イブプロキサム、デキシブプロフェン、フルノキサプロフェン、アルミノプロフェン、デクスケトプロフェン、ベダプロフェン、カルプロフェン、及びテポキサリンなど)、フェナメート(メフェナム酸、トルフェナム酸、フルフェナム酸、メクロフェナム酸、及びフルニキシンなど)、コキシブ(セレコキシブ、ロフェコキシブ、バルデコキシブ、パレコキシブ、エトリコキシブ、ルミラコキシブ、フィロコキシブ、ロベナコキシブ、マバコキシブ、及びシミコキシブなど)、その他の非ステロイド性抗炎症剤(ナブメトン、ニフルム酸、アザプロパゾン、グルコサミン、ベンジダミン、グルコサミノグリカンポリ硫酸塩、プロクアゾン、オルゴテイン、ニメスリド、フェプラゾン、ジアセレイン、モルニフルメート、テニダップ、オキサセプロール、コンドロイチン硫酸、ポリ硫酸ペントサン、及びアミノプロピオニトリルなど)、コルチコステロイド(11-デヒドロコルチコステロン、11-デオキシコルチコステロン、11-デオキシコルチゾール、11-ケトプロゲステロン、11β-ヒドロキシプレグネノロン、11β-ヒドロキシプロゲステロン、11β,17α,21-トリヒドロキシプレグネノロン、17α,21-ジヒドロキシプレグネノロン、17α-ヒドロキシプレグネノロン、17α-ヒドロキシプロゲステロン、18-ヒドロキシ-11-デオキシコルチコステロン、18-ヒドロキシコルチコステロン、18-ヒドロキシプロゲステロン、21-デオキシコルチゾール、21-デオキシコルチゾン、21-ヒドロキシプレグネノロン(プレベジオロン)、アルドステロン、コルチコステロン(17-デオキシコルチゾール)、コルチゾール(ヒドロコルチゾン)、コルチゾン、プレグネノロン、プロゲステロン、フルゲストン(フルロゲストン)、フルオロメトロン、メドリソン(ヒドロキシメチルプロゲステロン)、プレベジオロンアセテート(21-アセトキシプレグネノロン)、クロロプレドニゾン、クロプレドノール、ジフルプレドネート、フルドロコルチゾン、フルオシノロン、フルペロロン、フルプレドニゾロン、ロテプレドノール、メチルプレドニゾロン、プレドニカルベート、プレドニゾロン、プレドニゾン、チキソコルトール、トリアムシノロン、アルクロメタゾン、ベクロメタゾン、ベタメタゾン、クロベタゾール、クロベタゾン、クロコルトロン、デスオキシメタゾン、デキサメタゾン、ジフロラゾン、ジフルオコルトロン、フルクロロロン、フルメタゾン、フルオコルチン、フルオコルトロン、フルプレドニデン、フルチカゾン、フルチカゾンフロエート、ハロメタゾン、メプレドニゾン、モメタゾン、モメタゾンフロエート、パラメタゾン、プレドニリデン、リメキソロン、ウロベタゾール(ハロベタゾール)、アムシノニド、ブデソニド、シクレソニド、デフラザコルト、デソニド、ホルモコルタールフルクロロノンアセトニド(フルクロロニド)、フルドロキシコルチド(フルランドレノロン、フルランドレノリド)、フルニソリド、フルオシノロンアセトニド、フルオシノニド、ハルシノニド、及びトリアムシノロンアセトニドなど)、キノリン(オキシシンコフェンなど)、金製剤(金チオリンゴ酸ナトリウム、金チオ硫酸ナトリウム、オーラノフィン、オーロチオグルコース、及びオーロチオプロールなど)、ペニシラミン及び類似の薬剤(ブシラミンなど)、抗ヒスタミン剤(アクリバスチン、アリメマジン、アンタゾリン、アステミゾール、アザタジン、アゼラスチン、バミピン、ビラスチン、ブロムジフェンヒドラミン、ブロムフェニラミン、ブクリジン、セチリジン、シンナリジン、シクリジン、シプロヘプタジン、デプトロピン、デスロラタジン、デキスブロムフェニラミン、デキスクロルフェニラミン、ジフェニルピラリン、ジメンヒドリナート、ジメチンデン、ドキシラミン、エバスチン、エピナスチン、フェニンダミン、フェニラミン、フェキソフェナジン、ヒスタピロジン、ヒドロキシエチルプロメタジン(hydroxietylprometazin)、イソチペンジル、カルビノキサミン、ケトチフェン、キフェナジン、クレマスチン、クロルシクリジン、クロルフェナミン、クロルフェノキサミン、クロロピラミン、レボセチリジン、ロラタジン、メブヒドロリン、メキタジン、メクロジン、メピラミン、メタピリレン、メトジラジン、ミゾラスチン、オキサトミド、オキソメマジン、ピメチキセン、プロメタジン、ピロブタミン、ルパタジン、セキフェナジン、タラスチン、テナリジン、テルフェナジン、チアジナム、チエチルペラジン、トンジルアミン、トリメトベンザミド、トリペレナミン、トリプロリジン、及びトリトクバリンなど)が含まれる。前述した抗炎症剤のうちのいずれか1つ以上の組み合わせが使用され得る。
【0194】
好ましい抗炎症剤としては、コルチコステロイド及び非ステロイド性抗炎症薬物、例えば、ジクロフェナク、ケトプロフェン、メロキシカム、アセクロフェナク、フルルビプロフェン、パレコキシブ、ケトララックトロメタミン、インドメタシン、又はこれらの化合物のうちのいずれかの薬学的に許容される塩が挙げられる。本発明に従って使用され得る好ましいコルチコステロイドには、ヒドロコルチゾン、トリアムシノロン、より好ましくは、メチルプレドニゾロン、プレドニゾロン、デキサメタゾン、ベタメタゾン、又はこれらの化合物うちのいずれかの薬学的に許容される塩が含まれる。上記のコルチコステロイド及び非ステロイド性抗炎症薬物のうちの1つ以上の組み合わせが使用され得る。
【0195】
しかしながら、本発明の製剤では、生物学的に活性な薬剤は、抗炎症剤と「組み合わされ」、これは、それぞれの活性成分が、次いで一緒に投与される両方の活性剤を含む組み合わせ調製物として提示される(すなわち、製剤化される)ことを意味する。
【0196】
本発明の製剤においては、抗炎症剤は、
(1)生物学的に活性な薬剤及び徐放性成分(例えば、コーティングされた粒子内の固体コアの形態で)とともにそれを製剤化し、次いで、得られた組成物を、本発明の製剤(この製剤は、以下、「組み合わせ調製物」と称される)の担体系内に懸濁させること、又は
(2)それを、本発明の製剤(この製剤は、以下、「併用調製物」と称される)の担体系内に溶解させること、及び/又は懸濁させること、
によって適切な用量で他の生物学的に活性な薬剤と共存し得る。
【0197】
上記の実施形態(2)では、抗炎症剤は、前述の(他の)生物学的に活性な薬剤を含有する他の成分(例えば、コア)とは別個の任意の形態で、本発明の製剤中に提供され得る。これは、例えば、本発明の製剤の一部も形成する担体系/ビヒクル中に抗炎症剤を直接溶解若しくは懸濁させることによって、又はその放出が、(他の)生物学的に活性な薬剤と同様に、注射後に制御され得る形態でそれを提供することによって達成され得る。
【0198】
後者の選択肢は、例えば、抗炎症剤を、前述の1つ以上の徐放性成分と組み合わせた形態、より好ましくは、本発明の製剤の担体系に懸濁された(例えば、追加の)粒子の形態で提供することによって達成され得、その追加の粒子は、約10nm~約700μmである重量、数、又は体積に基づく平均直径を有し、その抗炎症剤を含むコアを含み、そのコアは、少なくとも部分的に、本前述の1つ以上のコーティング材料によってコーティングされ、これは、同じ、又は異なる時間スケールにわたって抗炎症剤の放出を可能にし得る(このような製剤は、以下、「併用懸濁液」と称される)。
【0199】
そのような併用懸濁液では、抗炎症剤を含むコーティングされたコアは、それらの化学組成(複数可)及び/又は物理的形態(複数可)の点で異なる場合があるが、上記の理由から、用いられるコーティングは、本発明の製剤に用いられるものと同じ又は類似であることが好ましい。
【0200】
これは、抗炎症剤が、前述の1つ以上の無機コーティング、例えば、金属、又はメタロイド、酸化物、例えば、酸化鉄、二酸化チタン、硫化亜鉛、より好ましくは、酸化亜鉛、二酸化シリコン、及び/又は酸化アルミニウムなどの1つ以上の金属含有、又はメタロイド含有の化合物を含む1つ以上の無機コーティング材料でコーティングされていることを意味し得、このコーティング材料は、(個別又は集合ベースで)そのような酸化物から本質的に(例えば、約90%超などの約80%超、例えば、約98%などの約95%である)なり、より特に、無機コーティングは、
(i)酸化亜鉛と、
(ii)1つ以上の他の金属及び/又はメタロイド酸化物との混合物を含み、
原子比((i):(ii))が、少なくとも約1:10(少なくとも約)1:6など及び、最大で約10:1(約6:1など)である。
【0201】
好ましくは、原子比((i):(ii))は、少なくとも約1:1及び、最大で約6:1である。
【0202】
本発明のこの態様によれば、製剤は、コーティングされた粒子の約10重量%(約20重量%など、例えば、約50重量%)~約90重量%などの約1重量%~約99重量%を含み得、残りは、担体系及び/又は他の賦形剤によって構成されている。
【0203】
本発明の更なる態様によれば、本発明の製剤を調製するためのプロセスが提供され、このプロセスは、生物学的に活性な成分を、当該1つ以上の徐放性成分と一緒に(例えば、本明細書に記載の生物学的に活性な成分を含有するコーティングされた粒子を作るために)、本明細書に記載の抗炎症剤及び担体系と混合することを含む。
【0204】
上記のプロセスは、
(A)生物学的に活性な成分、抗炎症剤、及び1つ以上の徐放性成分(例えば、両方の活性成分を含有する、本明細書に記載のコーティングされたコアの形態で)を含む、前述で定義される組み合わせ調製物を作製すること、並びに/又は
(B)当該生物学的に活性な成分を1つ以上の徐放性成分(例えば、前述のコーティングされたコアの形態で)と一緒に含む成分を別個に提供し、これを当該抗炎症剤と混合すること(任意選択で、1つ以上の(異なるの同じ)徐放性成分と関連して、したがって、コーティングされていないか、又は前述のようにコーティングされた粒子の形態であり得る)、次いで、
上記成分(A)及び/又は(B)を、必要な場合及び/又は適切な場合に、本明細書に記載の担体系と一緒に、(例えば更に)抗炎症剤とともに混合すること、を更に含み得る。
【0205】
本発明の更なる実施形態では、患者における医学的病態の治療方法が提供され、この方法は、
(1)第1の注射用医薬製剤又は獣医学的製剤であって、
(a)生物学的に活性な薬剤あって、当該薬剤が医学的病態に有用である、生物学的に活性な薬剤と、
(b)その第1の製剤の対象への腫瘍内又はより好ましくは皮下及び/若しくは筋肉内注射の後に、対象内で当該生物学的に活性な薬剤の徐放を提供するデポー組成物(例えば、本明細書に定義される複数のコーティングされたコア)を形成する徐放性成分と、
(c)本明細書に定義される担体系と、を含む、第1の注射用医薬製剤又は獣医学的製剤を作製することと、
(2)対象にその第1の製剤を腫瘍内、又はより好ましくは皮下及び/若しくは筋肉内に(必要に応じて)注射することと、
(3)局所的な炎症反応が観察される場合、前述又は後述の原理のうちの1つ以上に従って、当該患者に抗炎症剤を投与することと、を含む。
【0206】
本発明の2つの更なる態様では、以下が提供される。
・生物学的に活性な薬剤であって、当該薬剤が有用である医学的病態を治療する方法における使用のための生物学的に活性な薬剤、及び
・生物学的に活性な薬剤の使用であって、当該薬剤が有用である医学的状態を治療する方法における使用のための医薬品の製造のための使用。
この使用/方法は、
(1)第1の注射用医薬製剤又は獣医学的製剤であって、
(a)生物学的に活性な薬剤あって、当該薬剤が医学的病態に有用である、生物学的に活性な薬剤と、
(b)その第1の製剤の対象への腫瘍内又はより好ましくは皮下及び/若しくは筋肉内注射の後に、対象内で当該生物学的に活性な薬剤の徐放を提供するデポー組成物(例えば、本明細書に定義される複数のコーティングされたコア)を形成する徐放性成分と、
(c)本明細書に定義される担体系と、を含む、第1の注射用医薬製剤又は獣医学的製剤を作製することと、
(2)対象にその第1の製剤を腫瘍内、又はより好ましくは皮下及び/若しくは筋肉内に(必要に応じて)注射することと、
(3)局所的な炎症反応が観察される場合、前述又は後述の原理のうちの1つ以上に従って、当該患者に抗炎症剤を投与することと、を含む。
【0207】
本発明のこの実施形態の好ましい態様では、抗炎症剤の投与は、当該抗炎症剤、及び徐放性成分(例えば、本明細書に定義される当該抗炎症剤を含む複数のコーティングされたコア)、及び対象への製剤の腫瘍内、又は好ましくは皮下若しくは筋肉内注射の後に、抗炎症効果を提供するために対象内で当該抗炎症剤の徐放性を提供するデポー組成物を形成する担体系を含む、第2の注射用医薬製剤又は獣医学的製剤の作製を更に含み得る。
【0208】
この点で、抗炎症剤の当該投与は、当該抗炎症剤の非存在下で当該生物学的に活性な薬剤によって治療され得る病態の治療の一部として、その第2の製剤を対象に腫瘍内又はより好ましくは皮下及び/若しくは筋肉内注射することを含み得る。そのような抗炎症剤の投与は、生物学的に活性な薬剤の投与と本質的に同時に(例えば、約1分間、又は同時に)行われ得るか、又は標準的な安全性基準に従って、当該注射の前(例えば、最大約10分前)、又は注射後の任意の時点で、複数の機会に行われ得る。
【0209】
代替法では、当該抗炎症剤は、注射点の周りの皮膚の表面に局所的な製剤の形態で塗布されてもよい。当該抗炎症剤を含むそのような局所用製剤は、例えば、クリーム、ローション、ゲル、ムース、軟膏、テープ、及び包帯、溶液などの形態で、市販されている、かつ/又は、日常的な技術を使用して作製されてもよく、標準的な安全基準に従って、当該注射の前(例えば、最大約10分前)、当該注射の間(すなわち、例えば、約1分間の間に、又は同時に)、又は当該注射の後の任意の時間に、複数の機会に塗布されてもよい。好ましい局所用非ステロイド性抗炎症組成物としては、ジクロフェナク、イブプロフェン、ジクロフェナク、エルテナク、エトリコキシブ、フェルビナク、フルフェナメート、フルルビプロフェン、インドメタシン、イブプロフェン、ケトプロフェン、ニメスリド、ピケトプロフェン、及びピロキシカムが挙げられ得る。好ましいコルチコステロイドベースの局所組成物としては、クロベタゾン、ヒドロコルチゾン、ベクロメタゾン、クロベタゾール、フルチカゾン、及びモメタゾンが挙げられ得る。
【0210】
生物学的に活性な薬剤及び抗炎症剤が同時に投与される場合、更なる実施形態では、患者における医学的病態の治療方法が提供され、この方法は、
(1)注射用医薬製剤又は獣医学的製剤であって、
(a)腫瘍組織、又はより好ましくは筋肉組織及び/若しくは皮下組織に注射され、それに曝露される場合、局所炎症を引き起こすか、引き起こす可能性があるか、又は引き起こすことが予想される生物学的に活性な薬剤と、
(b)抗炎症剤と、
(c)対象への製剤の腫瘍内、又はより好ましくは皮下若しくは筋肉内注射(適切な場合)後に、対象内で、当該生物学的に活性な薬剤及び(任意選択で)当該抗炎症剤の徐放を提供するデポー組成物を形成する、1つ以上の徐放性成分と、
(d)本明細書に定義される担体系と、
を含む、注射用医薬製剤又は獣医学的製剤を作製することと、
(2)その製剤を対象に腫瘍内に、又はより好ましくは皮下若しくは筋肉内注射して、当該抗炎症剤の不在下で当該生物学的に活性な薬剤によって治療され得る病態を治療することと、
を含む。
【0211】
本発明の2つの更なる態様では、以下が提供される。
・生物学的に活性な薬剤であって、当該薬剤が有用である医学的病態を治療する方法における使用のための生物学的に活性な薬剤、及び
・生物学的に活性な薬剤の使用であって、当該薬剤が有用である医学的状態を治療する方法における使用のための医薬品の製造のための使用、
この使用/方法は、
(1)注射用医薬製剤又は獣医学的製剤であって、
(a)腫瘍組織、又はより好ましくは筋肉組織及び/若しくは皮下組織に注射され、それに曝露される場合、局所炎症を引き起こすか、引き起こす可能性があるか、又は引き起こすことが予想される生物学的に活性な薬剤と、
(b)抗炎症剤と、
(c)対象への製剤の腫瘍内、又はより好ましくは皮下若しくは筋肉内注射(適切な場合)後に、対象内で、当該生物学的に活性な薬剤及び(任意選択で)当該抗炎症剤の徐放を提供するデポー組成物を形成する、1つ以上の徐放性成分と、
(d)本明細書に定義される担体系と、
を含む、注射用医薬製剤又は獣医学的製剤を作製することと、
(2)その製剤を対象に腫瘍内に、又はより好ましくは皮下若しくは筋肉内注射して、当該抗炎症剤の不在下で当該生物学的に活性な薬剤によって治療され得る病態を治療することと、を含む。
【0212】
「局所的な炎症を引き起こす、引き起こす可能性がある、又は引き起こすことが予想される薬剤」という用語は、本明細書で定義されるとおりである。
【0213】
本発明のこの後者の態様に関する疑義を避けるために、当該抗炎症剤は、注射用担体と混合する前に、
・当該炎症活性剤と、当該1つ以上の徐放性成分と一緒に組み合わされ得る、
・炎症活性剤と別個に1つ以上の徐放性成分と組み合わされ得る、かつ/又は
・1つ以上の徐放性成分と組み合わせられない場合がある。
【0214】
本発明の製剤は、デポー製剤を形成するために、外科的投与装置(例えば、注射用の針、カテーテルなどを備える注射器)を介して投与可能な滅菌の注射用及び/又は注入用剤形の形態で提供され得る。
【0215】
更に、本発明の製剤を含む注射可能及び/又は注入可能な剤形が提供され、当該製剤は、注射若しくは注入手段(例えば、注射用の針、カテーテルなどを備える注射器)に接続され、かつ/又はそれに関連付けられるリザーバー内に含まれる。
【0216】
代替的に、本発明の製剤は、好適な注射可能及び/又は注入可能な投与手段(例えば、注射用の針を備える注射器)に装填される前に保存され得るか、又はかかる投与手段に装填される直前に調製され得る。
【0217】
したがって、滅菌の注射用及び/又は注入用剤形は、本発明の製剤が予め装填されていてもよい注射若しくは注入手段と連通しているレセプタクル若しくはリザーバーを含んでいてもよく、使用前の時点で装填されていてもよく、又は本発明の製剤及び担体系のコーティングされた粒子が別個に収容されており、注射又は注入の前及び/若しくは最中に混合が起こる1つ以上のリザーバーを含んでいてもよい。
【0218】
したがって、
(1)前述の1つ以上の徐放性成分と組み合わせた生物学的に活性な成分、及び任意選択で前述の1つ以上の徐放性成分と組み合わせた抗炎症剤と、
(2)本発明の製剤の担体系と、を、
注射前に成分(1)を(2)と(及び任意選択で本発明の任意の態様に関して本明細書に記載の製剤化された更なる抗炎症剤)混合するためのエンドユーザーへの指示書とともに含む、パーツキットが更に提供される。
【0219】
加えて、
(1)前述の1つ以上の徐放性成分と組み合わせた生物学的に活性な成分と、
(2)本発明の製剤の担体系と、を、
エンドユーザーへの
(i)注射前に、成分(1)を(2)と混合し、
(ii)注射の後、局所的な炎症反応が観察される場合、前述又は後述の原理のうちの1つ以上に従って、当該患者に抗炎症剤を投与する指示書とともに含む、パーツキットが提供される。
【0220】
(a)本発明の製剤のコーティングされた粒子(それらの粒子が、生物学的に活性な成分を含有するか、抗炎症剤を含有するか、又は例えば、前述の組み合わせ調製物中でそのような活性成分の両方を含有するかにかかわらず、)、及び
(b)本発明の製剤の担体系、及び
(c)必要かつ/又は適切な場合、コーティングされていない、又は前述のコーティングされた粒子の形態であり得る抗炎症剤を含む、パーツキット、
並びに本発明の製剤のコーティングされた粒子(上記(a)に記載)を、それらの粒子を本発明による担体系(b)(及び任意選択で当該抗炎症剤(c))と混合するためのエンドユーザーへの指示書とともに含む、パーツキットが更に提供される。
【0221】
上に記載されたが、少なくとも2つのチャンバーを含むことによって改変され、そのチャンバーのうちの一方内に、本発明の製剤のコーティングされた粒子(直前の段落の(1)又は(a)に記載)が配置され、その他方内に、直前の段落の(2)又は(b)の本発明の製剤の担体系が配置され、混合が注射又は注入の前及び/又は最中に生じる、事前に装填された注射可能及び/又は注入可能な剤形が更に提供される。そのような剤形では、抗炎症剤が、任意選択でそれらのチャンバーのいずれか又は両方に含まれ得る。
【0222】
上記に加えて、対象は、本発明の製剤とは別個の、前述の抗炎症剤のうちの1つ以上を受けてもよく(又は既に受けていてもよい)、これは、以下のいずれかでの治療の前に、それに加えて、及び/又はそれに続いて、これらの抗炎症剤のうちの1つ以上を所定の用量で受けることを意味する:
・本発明の製剤、又は
・抗炎症剤を含まないという条件で、他の全ての点で、本発明の製剤である製剤。
【0223】
後者の場合、生物学的に活性な薬剤及び抗炎症剤を含む製剤が、異なる製剤で別個に(同時に又は連続して)投与される。
【0224】
したがって、患者の治療方法が更に提供され、これは、
(A)本発明の医薬製剤、又は抗炎症剤を含まないことを条件として、他の全ての点で本発明の製剤である製剤、及び
(B)前述で定義されるか、又は本発明による担体系などの1つ以上の薬学的又は獣医学的に許容される賦形剤との混合物の抗炎症剤を含む医薬製剤、の投与を含み、
その方法において、成分(A)及び(B)が、各々、互いに併せた投与に好適である形態で提供される(以下、「併用方法」と称される)。
【0225】
本発明の2つの更なる態様では、以下が提供される:
・生物学的に活性な薬剤であって、当該薬剤が有用である医学的病態を治療する方法における使用のための生物学的に活性な薬剤、及び
・生物学的に活性な薬剤の使用であって、当該薬剤が有用である医学的状態を治療する方法における使用のための医薬品の製造のための使用、
この使用/方法は、上で定義された併用方法を含む。
【0226】
上記の併用方法の成分(B)は、その化学組成及び/又は物理的形態が成分(A)と異なる場合があり、例えば、その抗炎症剤を、本発明の製剤で用いられるものと同一若しくは異なり得る担体系/ビヒクル中に直接溶解又は懸濁させることによって、又は(他の)生物学的に活性な薬剤と同様に、その放出がまた、注射後に制御され得る形態で提供することによって作製され得る。
【0227】
この点において、上記成分(B)はまた、本発明の製剤と本質的に同一又は少なくとも類似する形態であってもよく、又は抗炎症剤を含まないが、代わりに、例えば、担体系に懸濁された複数の粒子の形態であることを条件として、他の全ての点で本発明の製剤である製剤であってもよく、その粒子は、
(a)約10nm~約700μmである、重量、数、又は体積に基づく平均直径を有し、
(b)その抗炎症剤を含む固体コアを含み、そのコアは、少なくとも部分的に、前述の1つ以上のコーティング(例えば、無機コーティング)、例えば、金属、又はメタロイド、酸化物、例えば、酸化鉄、二酸化チタン、硫化亜鉛、より好ましくは、酸化亜鉛、二酸化シリコン、及び/又は酸化アルミニウムなどの1つ以上の金属含有、又はメタロイド含有の化合物を含む1つ以上の無機コーティング材料でコーティングされており、このコーティング材料は、(個別又は集合ベースで)そのような酸化物から本質的に(例えば、約90%超などの約80%超、例えば、約98%などの約95%である)なり、より特に、無機コーティングは、
(i)酸化亜鉛と、
(ii)1つ以上の他の金属及び/又はメタロイド酸化物との混合物を含み、
原子比((i):(ii))が、少なくとも約1:10(約1:6など)及び、最大で約10:1(約6:1など)である。
【0228】
好ましくは、原子比((i):(ii))は、少なくとも約1:1及び、最大で約6:1である。
【0229】
いずれにせよ、疑義を避けるために、本明細書で開示されている、及び/又は特許請求されている、本発明の製剤のための、好ましい態様を含む全ての態様は、概して、組み合わせ調製物、併用調製物、若しくは併用懸濁液として、又は併用方法若しくは併用パックの一部として提供されているかにかかわらず、上記の1つ以上の抗炎症剤を含むコーティングされたコアの態様、及び/又は優先物として等しく適用可能である。疑義を避けるために、そのような態様、好み及び特徴は、単独で又は組み合わせて、本発明のこれらの態様を参照することにより本明細書に組み込まれる。
【0230】
本発明の更なる態様によれば、上記に定義される併用方法が提供され、この方法は、上記に定義される成分(A)を上記に定義される成分(B)と関連付けることを含み、したがって、2つの成分を互いに併用して投与するのに好適なものにする。
【0231】
2つの成分を互いに「関連付ける」ことによって、併用方法の成分(A)及び(B)が、
(i)別個の製剤として(すなわち、互いに独立して)提供され得、その後、併用療法において互いに併せて使用するために一緒にされるか、又は
(ii)併用療法において互いに併せて使用するための「併用パック」の別個の成分として一緒に包装及び提示され得ることを含む。
【0232】
したがって、併用治療で互いに併せた使用のために、併用パックの別個の成分として一緒に包装及び提示される、前述で定義された併用方法の成分(A)及び(B)を含むパーツキット、並びに
(I)本明細書に記載の成分(A)及び(B)のうちの一方を、
(II)その成分を2つの成分のうちの他方と併せて使用するための指示書とともに含むパーツキットが更に提供される。
【0233】
前述のとおり、本明細書に記載の併用方法は、適切な量/用量の生物学的に活性な薬剤を含む2つ以上の製剤、及び/又は前述の繰り返し投与を提供するために、適切な量/用量の抗炎症剤を含む2つ以上の製剤を含み得る。
【0234】
この点で、本明細書に記載の併用方法に関して、「~と併せた投与」は、併用方法の成分(A)及び(B)が、関連する病態の治療の過程にわたって、連続的に、別個に、及び/又は同時に投与されることを含む。
【0235】
したがって、「~と併せて」という用語は、2つの製剤のうちの一方又は他方が(任意選択で反復して)、他の成分の投与前、投与後、及び/又は同時に投与され得ることを含む。この文脈で使用される場合、「同時投与される」及び「~と同時に投与される」という用語は、個々の用量の生物学的に活性な薬剤及び抗炎症剤が、互いの48時間(例えば、24時間)以内に投与されることを含む。
【0236】
本発明による併用方法又は製品のうちのいずれかに関して、それぞれの製剤は、関連する生物学的に活性な薬剤のみを含む製剤が、治療の同じ過程にわたって、抗炎症剤の非存在下で投与された(例えば、本明細書に記載のように繰り返して)場合よりも、対象にとってより大きな有益な効果を関連する病態の治療の過程にわたって可能にし得る様式で、任意選択で繰り返して、互いに併せて投与される。
【0237】
併用方法又は製品が、治療に関して、及び治療過程にわたって、より大きな有益な効果を提供するかどうかの決定は、治療される病態及び/又はその重症度に依存するが、当業者によって慣習的に達成され得る。
【0238】
例えば、医師は、関連する病態を有する患者を治療するために、本発明の製剤、又は抗炎症剤を含まないことを条件として、他の全ての点で本発明の製剤である製剤を最初に投与し、次いで、その人が炎症反応(これは、活性成分自体及び/又は製剤の任意の他の成分によって引き起こされ得る)を示すことを見出し得る。
【0239】
次いで、医師は、上記のような、以下:
・上記の併用方法若しくは併用パックの成分(B)、
・組み合わせ調製物、
・併用調製物、及び/又は
・併用懸濁液
のうちの1つ以上を投与し得、そのいずれもが、前述したように抗炎症剤を含む。
【0240】
本発明による組み合わせ調製物、併用調製物、併用懸濁液、並びに/又は併用方法及び併用パックを含む本発明の全ての製剤は、ヒト医学において使用され得る。特に、それらは、使用が承認されているか、又はそうでなければ有用であることが知られているかのいずれかである、議題の関連する生物学的に活性な薬剤における任意の適応症において使用され得る。
【0241】
本発明による組み合わせ調製物、併用調製物、併用懸濁液、並びに/又は併用方法及び併用パックを含む本発明の製剤のいて用いられ得る生物学的に活性な薬剤及び抗炎症剤は、(例えば、薬学的に許容される)塩の形態で提供され得、これには、当該技術分野で既知であり、Martindale-The Complete Drug Reference,38th Edition,Pharmaceutical Press,London(2014)及びそこで言及されている文書(その全ての文書における関連する開示は、参照により本明細書に組み込まれる)などの医学文献に議題の薬物について記載されている任意のそのような塩が含まれる。
【0242】
そうでなければ、生物学的に活性な薬剤の薬学的に許容される塩としては、酸付加塩及び塩基付加塩が挙げられる。そのような塩は、慣用的手段により、例えば、生物学的に活性な化合物の遊離酸又は遊離塩基形態と、1当量以上の適切な酸又は塩基とを、任意選択で溶媒中、又は塩が不溶である媒体中で反応させ、次いで、標準的技法を用いて(例えば、真空中、凍結乾燥又は濾過によって)、当該溶媒又は当該媒体を除去することにより、形成されてもよい。塩はまた、例えば、好適なイオン交換樹脂を使用して、塩の形態の生物学的に活性な化合物の対イオンを別の対イオンと交換することなどによって、当業者に既知の技法を使用して調製され得る。
【0243】
本発明の製剤は、薬理学的に有効な量の関連する生物学的に活性な薬剤を含み得る。「薬理学的に有効な量」という用語は、単独で又は別の活性成分と組み合わせて投与されるかどうかにかかわらず、治療患者に所望の生理学的変化(治療効果など)を与えることができるそのような活性成分の量を指す。患者におけるそのような生物学的若しくは医学的反応、又はそのような効果は、客観的(すなわち、何らかの試験若しくはマーカーによって測定可能)又は主観的(すなわち、対象が効果の兆候を与える、若しくは感じる)であり得、治療されている疾患若しくは障害の症状の少なくとも部分的な緩和、又は当該疾患若しくは障害の治癒若しくは予防が含まれる。
【0244】
本発明による組み合わせ調製物、併用調製物、併用懸濁液、並びに/又は併用方法及び併用パックを含む、本発明の製剤に用いられ得る任意の活性剤の量は、関連する病態においてその薬理学的効果を発揮するのに十分である必要がある。
【0245】
したがって、患者に投与され得る活性成分の用量は、合理的及び/又は関連する時間枠にわたって治療反応に影響を与えるのに十分でなければならない。当業者は、正確な用量及び組成並びに最も適切な送達レジメンの選択が、活性成分の性質だけでなく、とりわけ製剤の薬理学的特性、投与経路、治療される病態の性質及び重症度、レシピエントの体調及び精神状態、並びに治療される患者の年齢、状態、体重、性別、及び反応、疾患の病期/重症度、並びに患者間の遺伝的差異によっても影響されることを認識している。
【0246】
本発明の製剤の投与は、連続的又は断続的であり得るので(例えば、ボーラス注入によって)、そのような他の活性成分の投与量はまた、投与のタイミング及び頻度によって決定され得る。
【0247】
いずれにしても、医師又は他の当業者は、個々の患者に最も好適な任意の特定の活性成分の実際の投与量を日常的に決定することができ、上記の関連する活性成分の投与量には、当該技術分野で知られており、医学文献(Martindale-The Complete Drug Reference,38th Edition,Pharmaceutical Press,London(2014)及びその中で言及されている文書)に対象の薬物について記載されているものが含まれ、これらの文書の全てにおける関連ある開示は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0248】
この点で、本発明の製剤、並びに本明細書に記載の使用及び方法は、多様な薬学的に活性な化合物の製剤化を可能にする。本発明の製剤は、含まれる生物学的に活性な薬剤に応じて、多種多様な障害を効果的に治療するために使用され得る。
【0249】
本発明の製剤の使用は、その製剤に含まれる生物学的に活性な成分に関して、任意のバースト効果(投与直後の濃度最大値によって特徴付けられる)を低減することによって、及び/又は血漿中濃度-時間プロファイルにおけるCmaxを低減することによって(したがって、その製剤からの生物学的に活性な成分の放出の長さを増加させる)、溶解速度及び/又は薬物動態プロファイルを制御し得る。
【0250】
本明細書に記載の製剤及びプロセスは、特定の生物学的に活性な薬剤による関連する病態の治療において、同じ活性成分について先行技術に記載され得る任意の同様の治療よりも、医師及び/又は患者にとってより便利であり得、より効果的であり得、より毒性が低くあり得、より広い範囲の活性を有し得、より強力であり得、より少ない副作用をもたらし得、又は、他の有用な薬理学的特性を有し得るという利点を有し得る。
【0251】
本明細書で「約」という言葉が用いられる場合はいつでも、例えば、量(例えば、数、濃度、寸法(サイズ及び/若しくは重量)、用量、期間、薬物動態パラメータなど)、相対量(パーセンテージ、重量比、サイズ比、原子比、アスペクト比、割合、倍数、分率など)、相対湿度、ルクス、温度又は圧力の文脈では、そのような変数は、概算であり、したがって、本明細書で指定された数値から±10%などの±15%、例えば±5%、好ましくは±2%(例えば±1%)変動し得ることが理解されるであろう。これは、そもそもそのような数値がパーセンテージで表されている場合でも当てはまる(例えば、「約15%」は、数値10の±15%を意味し得、これは8.5%~11.5%のいずれでもある)。
【0252】
本発明は、以下の比較例2に記載される臨床試験における治療プロトコールによるアザシチジンを投与された2人の患者の血漿濃度-時間プロファイルを示す、
図1及び
図2を参照して、以下の実施例によって示されるが、決して限定されるものではない。
図3は、本発明の製剤の皮下投与後のミニブタの血漿中濃度-時間プロファイルを示し、
図4は、抗炎症剤であるインドメタシンを含む混合された酸化物でコーティングされた微粒子とともに、本発明の皮下共投与製剤の局所炎症反応に対する正の影響を示す。
【実施例】
【0253】
比較例1
コーティングされたアザシチジン微粒子
アザシチジン(MSN Labs,India)の微粒子の試料をジェットミリングによって調製した。レーザー回折によって決定された粒径分布は、以下のとおりであった。D10 1.2μm、D50 3.8μm、D90 11.3μm。
【0254】
粉末をALD反応器(Picosun、SUNALE(商標)R-シリーズ、Espoo,Finland)に装填し、50℃の反応器温度で24回のALDサイクルを実施した。コーティングシーケンスは、3つのALDサイクルの前駆体としてジエチル亜鉛及び水を用いた3つのALDサイクル、続いてトリメチルアルミニウム及び水の1つのサイクルを6回繰り返し、亜鉛:アルミニウムの原子比が3:1の混合酸化物層を形成した。第1の層の厚さは、約4~約8nmであった(ALDサイクル数から推定)。
【0255】
粉末を反応器から取り出し、音波シフターを使用して、粉末をメッシュサイズが20μmのポリマーふるいに通すことによって、脱凝集させた。
【0256】
得られた脱凝集した粉末を、ALD反応器に再装填し、更に24回のALDサイクルを前と同様に実施し、前述の比で、混合酸化物の第2の層を形成し、続いて反応器から抽出し、上記のように音波ふるい分け手段によって脱凝集させ、それに続いて再装填して第3の層を形成し、脱凝集させ、次いで再装填して最後の第4の層を形成した。
【0257】
薬物負荷(すなわち、粉末中のアザシチジンのw/w%)を決定するために、4.6×250mm、3μm粒子、C18カラム(Luna、Phenomenex、USA))を使用して、223nmに設定されたダイオードアレイ検出器(Shimadzu、Japan)を備えたHPLC(Prominence-i(Shimadzu、Japan))を用いた。ナノシェルコーティングを、DMSO中の5Mのリン酸に溶解し、次いで、スラリーをDMSOで希釈してから、濾過し(0.2μm RC、Lab Logistics Group、Germany)、HPLCで更に分析した(n=2)。薬物負荷は、81.3%と決定された。
【0258】
比較例2
第Ia相臨床試験:
Hyonate vet(Boehringer Ingelheim Animal Health、ヒアルロン酸ナトリウム(10mg/mL)、塩化ナトリウム(8.5mg/mL)、リン酸二ナトリウム(0.223mg/mL)、リン酸一水素二ナトリウム(40μg/mL)、HCl及びNaOHを含む、pH調整のための水溶液)に懸濁され、かつアザシチジンによる治療を既に受けている患者において、中間2以上のリスクのMDS、CMML、又はAMLの治療のための皮下注射として投与された、上記比較例1のコーティングされたアザシチジン微粒子の薬物動態、忍容性、及び安全性を評価するためのオープンパイロット第Ia相臨床試験を実施した。
【0259】
AUC0-24h、AUC0-last、AUC0-∞)、Cmax、Clast、終末t1/2、分布体積Vd及びクリアランスを含む薬物動態パラメータを測定した。
【0260】
局所耐性を、注射部位の検査によって測定した。疼痛、圧痛性紅斑/発赤、及び硬化/腫脹を、4段階の尺度で評価した。1は軽度とみなされ、4は潜在的に生命を脅かすとみなされる。
【0261】
これは、スクリーニングフェーズ、治療フェーズ、中間解析、及びフォローアップフェーズからなる6人の患者を試験に含めることを意図していた。
【0262】
包含基準には以下が含まれた:
・試験固有の手順の前に書面によるインフォームドコンセント。
・18歳以上の患者
・スクリーニング時のボディマス指数(BMI)>19かつ<32kg/m2BSA
・以下と診断された患者のための少なくとも6サイクルの治療サイクル当たり100mg/m2BSA×5又は×4に対応するアザシチジンによる、現在の治療:
a.国際予後スコアリングシステム(IPSS)による中間体2及び高リスク骨髄異形成症候群(MDS)
b.10~29%の骨髄芽球を有する慢性骨髄単球性白血病(CMML)
c.世界保健機関(WHO)分類による急性骨髄性白血病(AML)
・米国東海岸がん臨床試験グループ(Eastern Cooperative Oncology Group)(ECOG)パフォーマンスステータス0、1、又は2
・スクリーニング来院前の最後のアザシチジン治療サイクルの開始時の臨床診療による血液学の回復及び臨床化学的評価
・出産の可能性のない女性被験者(記録された卵管結紮又は子宮摘出術又は両側卵巣摘出術を有する閉経前の女性、又は12か月の無月経として定義される閉経後の女性として定義される)
・男性患者は、適切な避妊法を使用することに同意した
・試験手順、来院スケジュール、試験の制限、及び要件に従う意思と能力
【0263】
除外基準には以下が含まれた:
・患者が、スクリーニング前の30日以内(又はスクリーニング前の試験薬の半減期が5回のうち、いずれか長い方)に試験薬を含む他の試験/介入試験に参加していること
・過去5年以内の悪性疾患の診断(合併症のない皮膚の基底細胞がん、子宮頚部又は乳房の上皮内がん、又は高い治癒確率で切除又は照射された他の局所悪性腫瘍を除く)
・患者が試験に参加することを妨げる任意の重大な病状、検査異常、又は精神疾患
・過去12か月以内のアルコール乱用又は薬物乱用歴
・検査異常の存在を含む、患者が試験に参加した場合に容認できないリスクにさらされる任意の状態
・試験責任医師が判断した参加不適合のその他の理由。
【0264】
試験における患者の持続時間は、約2~3か月であることが意図された。この時間枠は、3~4週間のスクリーニング期間、続いて、1日目~4日目まで、コーティングされていないアザシチジン(Vidaza(登録商標)又はアザシチジンのジェネリック医薬品(Mylan)、注射用水に懸濁した注射用凍結乾燥粉末)、両方とも100mg/m2のBSA、25mg/mLの毎日の注射を含む、治療段階の約4週間で構成された。
【0265】
試料を、4日目(試験薬の開始前)に薬物動態分析のために採取した。平均最大血漿中濃度(Cmax)は、562ng/mLであり、0.433時間のtmax後に生じた。平均半減期は6.82時間であった。平均AUCinfは、1120ng時間/mLであった。
【0266】
5日目に、上記の試験薬懸濁液の単回投与(100mg/m2BSA、100mg/mL)を行った。試料を、5日目~8日目、次いで10日目、12日目、15日目、17日目及び19日目の各日に、薬物動態分析のために採取するとした。
【0267】
また、試験段階の後、最後のアザシチジン用量を単回用量のアザシチジン比較薬(上記のように)に置き換え、同日にフォローアップ来院を予定することが意図された。
【0268】
しかし、登録された2人の患者が段階に供された後、安全性データのレビューを担当した内部安全性委員会の会議の後、研究は保留された。
【0269】
注射部位で中等度に分類される硬化及び炎症(発赤及び軽度の疼痛)が両方の患者に示されたことに留意した。それ以上の患者を試験に登録せず、2人の患者からの生検結果の追加の専門家レビュー/分析を要請することが決定された。
【0270】
それにもかかわらず、試験薬の投与後の2人の患者の血漿中濃度時間曲線が、それぞれ
図1及び
図2に示され、注射された試験薬製剤からのアザシチジンの明確な定常状態の持続放出を示す。血漿中濃度時間曲線は、半対数スケール(正方形)でグラフに示される。平均最大血漿中濃度(C
max)は、94.8ng/mLであり、(T
max)1.02時間後に生じた。平均半減期は15.2時間であった。平均AUC
infは、495ng時間/mLであった。
【0271】
実施例1
本発明の併用製剤
アザシチジン及びインドメタシンの併用を含む本発明の様々な製剤は、以下のように調製される。
【0272】
(A)100:1~1:10の重量比のアザシチジン及びインドメタシンの微粒子の混合物をジェットミリングによって調製する。レーザー回折によって決定される粒径分布は、0.1~100μmの平均粒径である。
【0273】
得られた粉末は、上記の比較例1に記載のようにALDによってコーティングされ、ビヒクル中で製剤化され、上記の比較例2に記載のように、MDSに罹患している患者の治療に使用される。
【0274】
(B)100:1~1:10の重量比でアザシチジンとインドメタシンの例えば共沈殿混合物を含む微粒子を調製する。レーザー回折によって決定される粒径分布は、0.1~100μmの平均粒径である。
【0275】
微粒子は、上記の比較例1に記載のようにALDによってコーティングされ、ビヒクル中で製剤化され、上記の比較例2に記載のように、MDSに罹患している患者の治療に使用される。
【0276】
(C)2組の微粒子試料をジェットミリングによって別々に調製する。第1のセットは、アザシチジンを含み、第2のセットは、インドメタシンを含む。レーザー回折によって決定される、試料の両方のセットにおける粒径分布は、0.1~100μmである。
【0277】
両方のセットの試料は、上記の比較例1に記載のように、ALDによって別々にコーティングされ、第1のセットと第2のセットの粉末との間の重量比が100:1~1:10の間である製剤中で混合される。
【0278】
混合粉末は、ビヒクル中で製剤化され、上記の比較例2に記載のように、MDSに罹患している患者の治療に使用される。
【0279】
(D)上記の比較例1に記載のように、アザシチジンの試料を調製し、上記の比較例2に記載のように、ビヒクル中で製剤化する。インドメタシン粒子を含む追加の製剤を同様に調製する。
【0280】
両方の製剤は、MDSに罹患している患者の治療のために、上記の比較例2に記載のように、異なる部位に本質的に同時の注射のために使用される。2つの異なる注射におけるアザシチジン及びインドメタシンの重量に対する用量比は、100:1~1:10である。
【0281】
(E)アザシチジンのコーティングされた粒子は、本質的に、上記の比較例1に記載のように調製され、溶解及び/又は懸濁したインドメタシンを更に含む、上記の比較例2に記載のビヒクル中で製剤化される。
【0282】
この製剤は、上記の比較例2に記載のように、MDSに罹患している患者の治療に使用される。
【0283】
上記(A)~(E)の全ての場合において、皮下投与部位(及び形成されたデポー)における炎症反応は、インドメタシンの抗炎症特性によって抑制される。
【0284】
比較例3
混合された酸化物でコーティングされたアザシチジン微粒子II
実施例1に記載のものと同じ手順を実施して、80.1%と決定された薬物負荷を有するコーティングされたアザシチジン微粒子を製造した。
【0285】
比較例4
混合酸化物コーティングされたアザシチジン微粒子III
30回のALDサイクルを50℃の反応器温度で実施し、ジエチル亜鉛及び水を前駆体として用いた2回のALDサイクルのコーティングシーケンスに続いて、トリメチルアルミニウム及び水の1サイクルを10回繰り返して、2:1の亜鉛:アルミニウムの原子比を有する混合酸化物層を形成することを除いて、実施例1に記載の本質的に同じ手順を実施した。第1の層の厚さは、約5~約10nmであると推定された。
【0286】
粉末を反応器から取り出し、音波シフターを使用して粉末をメッシュサイズが20μmのポリマーふるいに通すことによって脱凝集させ、次いで脱凝集した粉末をALD反応器に再装填し、更に30回のALDサイクルを上記のように実施し、同じ比率で混合酸化物の第2の層を形成し、上記のように音波シフトを使用して反応器から抽出し、脱凝集を行い、プロセスを繰り返して合計8層を形成した。
【0287】
薬物負荷は、69.1%と決定された。
【0288】
比較例5
混合された酸化物でコーティングされたインドメタシン微粒子
インドメタシン(Recce Pharmaceuticals、Australia)の微粒子の試料をジェットミリングによって調製した。レーザー回折によって決定された粒径分布は、以下のとおりであった。D10 1.2μm、D50 3.8μm、D90 11.3μm。
【0289】
実施例1に記載のものと同じALDコーティング及び断続的な脱凝集プロセスを実施して、亜鉛:アルミニウムの原子比が3:1の4つの別個の混合酸化物層を有するコーティングされたインドメタシン微粒子を形成した。
【0290】
薬物負荷は、80.1%と決定された。
【0291】
比較例6
混合された酸化物でコーティングされたラクトース微粒子
ラクトース(InhaLac(登録商標)400、Meggle、Germany)の微粒子の試料を使用した。公称粒径分布は以下のとおりであった:D10 0.8~1.6μm、D50 4.0~11.0μm、D90 15~35.0μm。
【0292】
粉末をALD反応器(Picosun、SUNALE(商標)R-シリーズ、Espoo,Finland)に装填し、50℃の反応器温度で48回のALDサイクルを実施した。コーティングシーケンスは、3つのALDサイクルの前駆体としてジエチル亜鉛及び水を用いた3つのALDサイクル、続いてトリメチルアルミニウム及び水の1つのサイクルを12回繰り返し、亜鉛:アルミニウムの原子比が3:1の混合酸化物層を形成した。第1の層の厚さは、約8~16nmであった(ALDサイクル数から推定)。
【0293】
粉末を反応器から取り出し、音波シフターを使用して、粉末をメッシュサイズが20μmのポリマーふるいに通すことによって、脱凝集させた。
【0294】
得られた脱凝集した粉末を、ALD反応器に再装填し、以前と同様に更に48回のALDサイクルを実施し、前述の比率で混合酸化物の第2の層を形成し、続いて反応器から抽出した。
【0295】
レーザー回折によって決定されたコーティングされたラクトース微粒子の粒径分布は、以下のとおりであった。D10 2.1μm、D50 7.6μm、D90 23.4μm。
【0296】
実施例2
本発明の併用製剤II
上記の比較例3からのコーティングされた微粒子を、上記の比較例5からのコーティングされたインドメタシン微粒子とともに、ガラスバイアル内のHyonate vetに一緒に懸濁して、以下の表1に示されるように、各コーティングされた活性成分の最終濃度を得た。ここで、製剤は、以下で言及される方法でも同定される。
【表1】
【0297】
比較例7
混合された酸化物でコーティングされたアザシチジン、インドメタシン、及びラクトース微粒子を含む製剤
上記の実施例2に記載の手順に従って、100mg/mL及び200mg/mLの最終濃度のアザシチジンのコーティングされた微粒子(それぞれ、以下、「製剤B」及び「製剤E」と称される)、それぞれ、「製剤C」(インドメタシン)及び「製剤A」(ラクトース)と標識された、インドメタシン(上記の比較例5から)、及びラクトースのコーティングされた微粒子(上記の比較例6から)の2.2mLのHyanoate vet中の100mg/mLの最終濃度の懸濁液を生成した。
【0298】
実施例3
ミニブタ試験I
この試験(デンマークのScantox A/Sで実施された)の目的は、ミニブタへの皮下注射によって投与される本発明に従って製剤化されたアザシチジンの局所耐性及び薬物動態、並びに本発明に従って製剤化されたアザシチジン及び本明細書に記載されているように製剤化されたインドメタシンの投与後の局所耐性を評価することであった。
【0299】
ミニブタは、このタイプの試験において十分に受け入れられた適合性と、ヒトとミニブタとの間の皮膚生理学的な類似性のために、試験モデルとして選択された。重篤な局所反応のリスクを低減するために、フル用量に達する前に、同等のヒト臨床用量の1/4及び1/2に相当する2用量から始まるスタガード用量スキームを選択した。
【0300】
この動物は、試験に割り当てられたときに体重が24.9kgであり、科学的目的で使用される動物の保護に関する2010年9月22日のEU指令2010/63/EUに従って収容された。要するに、標準的なミニブタ食餌、食餌当たり約350gの量で1日2回(朝と午後)提供された。食餌の量は、動物の妥当な成長を可能にするために、試験の過程中に調整され得る。脱水草(Compact Gras、Hartog B.V.、Netherands)の供給も毎日与えられ、動物は家庭用品質の飲料水に自由にアクセスできた。
【0301】
処置開始の1週間前に、動物を首の筋肉内注射(1.0mL/10kg体重)によって麻酔し、合計6つの注射部位(約2×2cm)を首の後ろに入れ墨した。
【0302】
次いで、動物を処置の3日前に再び麻酔し、試験中に血液試料を採取するために耳静脈カテーテルを移植した。試験中の疼痛処置のために、動物は、移植直前に、メロキシカム5mg/mL(0.08mL/kg)の後肢に筋肉内注射を与えられ、次の2日間、1日1回投与された。
【0303】
動物は、200mgのアンピシリン/mL(0.05mL/kg)の静脈内注射を受けた。カテーテルを10mLの滅菌生理食塩水で洗浄し、0.5mLのTauroLock Hep500(500IE/mLのヘパリンを含むタウロリジンクエン酸塩)を使用してロックした。ストッパー、例えば、バイオネクターIVアクセスシステムをルアーに適用した。
【0304】
血液試料採取と血液試料採取の間に、TauroLockTM Hep500がカテーテルにヘパリンロックを生成する。
【0305】
試験製剤の単回投与が、以下の表2に示されるように、6つのマークされた注射部位の各々において皮下注射によって与えられた。
【表2】
【0306】
局所耐性
試験の1日目に、動物を麻酔し、上記の表2に示されるように、関連する用量体積の注射部位1、2及び3において、製剤A及びBを皮下投与した。試験の41目に、上記の表2に示されるように、動物を麻酔し、関連する用量体積の注射部位5及び6で製剤D及びCを皮下投与した。
【0307】
これらの注射を、局所耐性について評価した。
【0308】
各場合において、注射の前に、被験材料の沈降及び結果として生じる正しい用量からの逸脱を避けるために、各注射のために試料を後退させる直前に、関連する試料バイアルを3回反転させた。
【0309】
不健康の全ての臨床的徴候及び行動の変化を毎日記録した。加えて、投与前/投与に関連して、投与後30分以内に用量関連の観察を実施し、正常からの任意の逸脱を記録した。
【0310】
注射部位を、投与から30分後、2時間後及び6時間後に撮影し、採点し、記録し、次いで採点が提示されなくなるまで毎日記録した。10日目以降、写真は撮影されず、採点が提示されないか、又は試験が終了するまで、注射部位は2日ごとに採点されただけであった。
【0311】
注射部位5及び6を、投与後から30分後、並びに2時間後及び6時間後、並びに48日目まで毎日、撮影し、採点し、記録した。その後、注射部位の写真撮影はされず、注射部位は、採点が提示されないか、又は試験が終了するまで、週2回のみ採点された。
【0312】
特に、出血、紅斑、腫脹(サイズの適応/測定)、硬さ/硬化及び壊死、並びに炎症性又はアレルギー反応の他のいずれかの兆候に注意を払った。パラメータは、以下のグレーディングシステム、0(存在しない)、1(最小)、2(わずか)、3(中等度)、及び4(マーク付き)に従って採点された。
【0313】
2日目に、動物から血液試料を採取し、臨床病理パラメータを評価した。5日目に追加の試料採取を行った。血液試料が採取される前に、動物を一晩絶食させたが、水は得ることができた。
【0314】
血液学のために、少なくとも2.5mLのK3 EDTA安定化血液を採取した。この試料から、バックアップ塗抹標本を調製し、後に手作業で白血球百分率を測定できるように、May-Grunwald及びGiemsaで染色した。塗抹標本を分析せず、試験の終了時に廃棄した。凝固試験については、1.8mLのクエン酸塩安定化血液を採取した。実験室調査のためのパラメータ、方法及び単位を以下の表3に提示する。
【表3】
【0315】
約3mLの血液を、血清用の凝固活性剤を有するチューブ内で臨床化学のために採取した。実験室調査のためのパラメータ、方法及び単位を以下の表4に提示する。
【表4】
【0316】
全厚生検は、注射部位1から3日目及び7日目、並びに注射部位2及び3から2日目及び6日目に採取した。組織病理学的評価で比較するために、単一の対照生検を注射部位の外側で採取した。注射部位5及び6から43日目及び47日目に全厚生検を行った。
【0317】
生検採取の前に動物を麻酔し、生検の最初のサンプリングの約30分前に、疼痛の反応を防ぐために10mg/mL(0.02mL/kg)のメタドンを筋肉内注射した。
【0318】
生検を8mmのパンチを使用して収集し、リン酸緩衝中性4%ホルムアルデヒド中に固定した。固定後、標本をトリミングし、処理した。標本をパラフィンに埋め込み、約5μmの公称厚さで切断し、ヘマトキシリン及びエオシンで染色し、光学顕微鏡で検査した。全ての病理学的所見は、Instem Provantis(登録商標)(バージョン9.3.0.0)に直接入力した。組織学的変化は、5段階の尺度(最小、軽度、中等度、顕著及び重度)で分類した。
【0319】
薬物動態(PK)
試験の22日目に、上記の表4に示されるように、動物を麻酔し、関連する用量体積で注射部位4で製剤Bを皮下投与した。この注射は、PKパラメータについて評価した。
【0320】
注射の前に、試験材料の沈降及び結果として生じる正しい用量からの逸脱を避けるために、各注射のために上述のように試料を後退させる直前に、関連する試料バイアルを3回反転させた。
【0321】
投与日に、血液試料を、以下の時点、すなわち治療前、及び治療から30分、2時間、6時間、10時間、24時間、48時間、72時間、120時間、及び168時間後に採取した。
【0322】
約3mLの血液試料を頸静脈/双頸静脈幹から採取した。血液を、抗凝固剤としてK2-EDTAを含有するバキュテイナーにサンプリングした。バキュテイナーを、遠心分離(10分、1270G、+4℃)まで氷水中に置いた。各血漿試料を約0.5mLの2つのアリコートに分割し、クライオチューブに移し、採取後90分以内に-18℃以下で凍結した。最初のセットの試料は、分析のためにドライアイス(約-70℃)で送付された(出荷は、サーモロガーなしで送付された)。第2のセットの試料を、バックアップ試料として-18℃以下で保存した。バックアップ試料は、一次試料を受領してから数日後に出荷された。
【0323】
血漿中のアザシチジンを、UPLC-MS/MSによって決定した。アザシチジンを、DMF:アセトニトリル(5:95)を使用して、タンパク質沈殿によって血漿から抽出した。直線相クロマトグラフィーカラムに注入した後、物質をアセトニトリル及び水性勾配で溶出させ、MS/MSで検出した。
【0324】
個々の血漿中濃度プロファイルを、ソフトウェアPKanalix(バージョン2020)を使用して非コンパートメント薬物動態分析に供した。
【0325】
投与前の試料で得られた血漿中濃度がLLOQを下回った場合、データポイントはゼロとして入力された。LLOQを下回る他の全ての濃度は、LLOQの値の半分(1/2*LLOQ)として入力した。Tmax後のLLOQを下回る連続データポイントをモデリング及び分析から除外した。
【0326】
最大血漿中濃度(Cmax)及びそれが生じる時間(Tmax)を、データの目視検査によって推定した。
【0327】
時刻0から最後の定量可能な濃度の時点までの曲線下の面積(AUC(0-t))、及び時刻0から無限大までの曲線下の面積(AUCinf)を、線形/対数台形法に従って計算した。外挿された面積(AUC(外挿された%))が20%を超える場合、AUCinfの信頼性は低いとみなした。
【0328】
半減期T1/2をln2/1zとして計算し、1zは除去率定数であった。半減期は、少なくとも3つのデータポイントを含めることができる場合にのみ計算された。回帰直線が0.80未満のRsqをもたらした場合、結果は信頼性があるととみなされなかった。
【0329】
最後の血液試料/処置の採取後、動物はもはや試験の一部ではなくなり、終了させた。
【0330】
結果
注射部位1で、製剤A(ラクトース)を投与した後、最初に反応は観察されなかった。しかしながら、14日目に、軟腫脹が観察された(最大10×15mm、かろうじて知覚できた)。
【0331】
注射部位2(アザシチジン、50mg)で製剤Bを投与した翌日、硬い腫脹(最大40×20mm)が観察され、少なくとも28日間持続した。最小~わずかな紅斑が、2日目及び3日目に、並びに7日目から再び観察された。注射部位4(また、アザシチジン、50mg)で製剤Bを投与した翌日、軟腫脹(最大10×10mm、かろうじて知覚できた)、これは投与後11日まで続いた(23日目~33日目)。23日目から28日目まで、最小限の紅斑が観察された。
【0332】
しかしながら、注射部位3(アザシチジン、100mg)で製剤Bを投与した翌日、注射部位で硬く、境界明瞭な腫脹(最大55×30mm)が少なくとも28日間続いた。軽度の紅斑は、2日目及び3日目に、並びに7日目から再び観察された。
【0333】
逆に、注射部位5で製剤Dを投与した翌日(アザシチジン50mg+インドメタシン50mg)、注射部位の反応はまったく観察されなかった。
【0334】
PKパラメータに関して、50mgのコーティングされたアザシチジン(注射部位4)の単回皮下投与は、
図3に示されるように、持続放出プロファイルを伴う全身曝露を示した。持続時間は120時間であり、曝露の47%が投与後の最初の12時間以内に観察された。
【0335】
病理組織学的結果は、以下のことを示した。
注射部位2:3日目に中等度の炎症及び中等度の壊死、7日目に軽度の炎症及び中等度の壊死。
注射部位5 45日目(注入後3日目)の中等度の炎症及び軽度の壊死、並びに49日目(注入後7日目)の最小の炎症及び最小の壊死。
【0336】
製剤D(混合された酸化物でコーティングされたアザシチジン及び混合された酸化物でコーティングされたインドメタシンの併用)の皮下投与は、製剤B(混合された酸化物でコーティングされたアザシチジン単独)の皮下投与よりも皮膚反応が少ないと結論付けた。
【0337】
実施例4
ミニブタ試験II
上記の実施例3に記載のものと同様の試験を、5匹のミニブタで実施した。
到着日に、無作為化スキームを使用して、動物に最終番号を与えた。動物は、固有の数値コードを持つチップを受けた。
【0338】
処置開始の約1週間前に、上記の実施例3に記載のものと同じ方法で、2つの注射部位をミニブタの頚部にマークした
【0339】
動物の治療スケジュールは、以下の表5に示されるとおりであり、関連する実施例及び上記の比較に従って調製された特定の製剤を参照する。25mg/mLの濃度を有するアザシチジンの市販の注射用製剤であるVidaza(登録商標)(Mylan)は、「コーティングされていない」アザシチジンの等価用量を提供するとみなすことができる。
【表5】
【0340】
上記の実施例3に記載のものと本質的に同じ処置プロトコールに従った。各動物について、該当する製剤の皮下注射を、1日目(各動物の注射部位1)及び8日目(各動物の注射部位2)に上記用量体積で投与した。
【0341】
観察を、29日目の剖検で、上記の実施例3に記載のものと本質的に同じ方法で実施した。
【0342】
mm
3での炎症性腫脹のサイズが、以下のように
図4に示されている。
動物1/注射部位1(50mgのアザシチジン、より低濃度の粒子、菱形)、
動物3/注射部位1(50mgのアザシチジン、より高濃度の粒子、三角形)、
動物2/注射部位2(50mgのアザシチジン+より低濃度の粒子50mgのインドメタシン、クロス)、及び
動物5/注射部位2(50mgのアザシチジン+25mgのインドメタシン、正方形)。
【0343】
図4は、インドメタシンとのアザシチジンの投与の大きな影響を明確に示す。
【国際調査報告】