(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-12-24
(54)【発明の名称】中毒および神経障害を治療する方法
(51)【国際特許分類】
A61K 31/4745 20060101AFI20241217BHJP
A61K 31/4045 20060101ALI20241217BHJP
A61K 31/498 20060101ALI20241217BHJP
A61K 31/343 20060101ALI20241217BHJP
A61K 31/437 20060101ALI20241217BHJP
A61K 31/55 20060101ALI20241217BHJP
A61K 31/5377 20060101ALI20241217BHJP
A61K 31/4439 20060101ALI20241217BHJP
A61K 31/496 20060101ALI20241217BHJP
A61P 29/00 20060101ALI20241217BHJP
A61P 25/30 20060101ALI20241217BHJP
A61P 25/00 20060101ALI20241217BHJP
A61P 25/28 20060101ALI20241217BHJP
A61P 25/24 20060101ALI20241217BHJP
A61P 21/02 20060101ALI20241217BHJP
A61P 25/08 20060101ALI20241217BHJP
A61P 25/04 20060101ALI20241217BHJP
A61P 37/06 20060101ALI20241217BHJP
A61P 25/16 20060101ALI20241217BHJP
A61P 9/10 20060101ALI20241217BHJP
A61P 25/32 20060101ALI20241217BHJP
A61P 25/34 20060101ALI20241217BHJP
A61P 25/36 20060101ALI20241217BHJP
A61K 31/403 20060101ALI20241217BHJP
【FI】
A61K31/4745 ZNA
A61K31/4045
A61K31/498
A61K31/343
A61K31/437
A61K31/55
A61K31/5377
A61K31/4439
A61K31/496
A61P29/00
A61P25/30
A61P25/00
A61P25/28
A61P25/24
A61P21/02
A61P25/08
A61P25/04
A61P37/06
A61P25/16
A61P9/10
A61P25/32
A61P25/34
A61P25/36
A61K31/403
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024534661
(86)(22)【出願日】2022-12-10
(85)【翻訳文提出日】2024-08-09
(86)【国際出願番号】 US2022081330
(87)【国際公開番号】W WO2023108165
(87)【国際公開日】2023-06-15
(32)【優先日】2021-12-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】524219614
【氏名又は名称】ジーエーティーシー ヘルス コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】100114775
【氏名又は名称】高岡 亮一
(74)【代理人】
【識別番号】100121511
【氏名又は名称】小田 直
(74)【代理人】
【識別番号】100202751
【氏名又は名称】岩堀 明代
(74)【代理人】
【識別番号】100208580
【氏名又は名称】三好 玲奈
(74)【代理人】
【識別番号】100191086
【氏名又は名称】高橋 香元
(72)【発明者】
【氏名】ジェンキンス,イアン
(72)【発明者】
【氏名】ティンダー,ロバート
(72)【発明者】
【氏名】ナラヤン,ヴァイシュナビ
(72)【発明者】
【氏名】ティペッツ,ノア
(72)【発明者】
【氏名】ミルザイ,サマン
(72)【発明者】
【氏名】リリー,パトリック シー.
(72)【発明者】
【氏名】リリー,グウェンドリン シー.
(72)【発明者】
【氏名】ウフェンズ,ジェイソン
【テーマコード(参考)】
4C086
【Fターム(参考)】
4C086AA01
4C086AA02
4C086BA05
4C086BC13
4C086BC17
4C086BC50
4C086BC73
4C086CB05
4C086CB09
4C086CB11
4C086GA07
4C086GA08
4C086MA01
4C086MA04
4C086NA05
4C086ZA02
4C086ZA06
4C086ZA08
4C086ZA12
4C086ZA16
4C086ZA22
4C086ZA94
4C086ZB08
4C086ZB11
(57)【要約】
実施形態は、神経可塑性を刺激することにより中毒および神経障害を治療することにおける使用のための治療小分子を含む。治療小分子は、FOS、JUN、BDNF、CDC42およびCCL2の上流の制御因子に影響することにより神経可塑性を高めかつ神経の機能を改善できる。治療小分子はまた、アミロイドβ(a4)との結合を介してアミロイドプラークの低減に役立ち得る。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
式A1、B1、C1、D1、E1、F1、G1、H1、A2、B2、C2、D2、E2、F2、G2、H2、A3、B3、C3、D3およびE3の化合物、またはその類似体:
【化1】
【請求項2】
式A1、B1、C1、D1、E1、F1、G1、H1、A2、B2、C2、D2、E2、F2、G2、H2、A3、B3、C3、D3、E3の化合物またはその類似体の有効量の投与を含む病気を治療する方法。
【請求項3】
前記病気は、炎症、中毒、外傷性脳損傷、アルツハイマー病およびうつ病の1種または複数である、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記病気は、神経障害である、請求項2に記載の方法。
【請求項5】
前記神経障害は、急性脊髄損傷、アルツハイマー病、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、運動失調、ベル麻痺、脳腫瘍、脳動脈瘤、てんかんおよび発作、ギラン・バレー症候群、頭痛、頭部損傷、水頭症、髄膜炎、多発性硬化症、筋ジストロフィー、神経皮膚症候群、パーキンソン病、脳卒中、頭痛、脳炎および重症筋無力症の1種または複数である、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記有効量は、4mg~80mgである、請求項2に記載の方法。
【請求項7】
前記有効量は、4mg~1.2gである、請求項2に記載の方法。
【請求項8】
それを必要としている対象において病気を治療するために神経可塑性を高めるまたは神経機能を改善する方法であって、式Iの化合物、またはその類似体を投与することを含む、方法。
【請求項9】
前記病気は、炎症、外傷後ストレス障害(PTSD)、外傷性脳損傷、うつ病、急性脊髄損傷、アルツハイマー病、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、運動失調、ベル麻痺、脳腫瘍、脳動脈瘤、てんかんおよび発作、ギラン・バレー症候群、頭痛、頭部損傷、水頭症、髄膜炎、多発性硬化症、筋ジストロフィー、神経皮膚症候群、パーキンソン病、脳卒中、頭痛、脳炎および重症筋無力症の1種または複数である、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
式Iの化合物またはその類似体の有効量の投与を含む樹状突起分枝の強力な阻害を逆転させる方法。
【請求項11】
FOSB、CDC42およびENTPD4の1種または複数の発現を調節するステップをさらに含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
式A1、B1、C1、D1、E1、F1、G1、H1、A2、B2、C2、D2、E2、F2、G2、H2、A3、B3、C3、D3、E3の化合物またはその類似体の有効量の投与を含むチアミン代謝の障害を回復する方法。
【請求項13】
式A1、B1、C1、D1、E1、F1、G1、H1、A2、B2、C2、D2、E2、F2、G2、H2、A3、B3、C3、D3、E3の化合物またはその類似体の有効量の投与を含む脳におけるチアミン代謝を高める方法。
【請求項14】
式A1、B1、C1、D1、E1、F1、G1、H1、A2、B2、C2、D2、E2、F2、G2、H2、A3、B3、C3、D3、E3の化合物またはその類似体の有効量の投与を含む神経興奮閾値を回復する方法。
【請求項15】
式A1、B1、C1、D1、E1、F1、G1、H1、A2、B2、C2、D2、E2、F2、G2、H2、A3、B3、C3、D3、E3の化合物またはその類似体の有効量の投与を含むCCL2レベルを下げることによる病気を治療する方法。
【請求項16】
前記病気は、炎症である、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
式A1、B1、C1、D1、E1、F1、G1、H1、A2、B2、C2、D2、E2、F2、G2、H2、A3、B3、C3、D3、E3の化合物またはその類似体の有効量の投与を含む炎症を低減する方法。
【請求項18】
式A1、B1、C1、D1、E1、F1、G1、H1、A2、B2、C2、D2、E2、F2、G2、H2、A3、B3、C3、D3、E3の化合物またはその類似体の有効量の投与を含む神経機能を改善する方法。
【請求項19】
式A1、B1、C1、D1、E1、F1、G1、H1、A2、B2、C2、D2、E2、F2、G2、H2、A3、B3、C3、D3、E3の化合物またはその類似体の有効量の投与を含む樹状突起分枝の阻害を逆転させるおよび/または神経代謝を改善する方法。
【請求項20】
(a)神経障害を有する患者を特定するステップおよび(b)神経可塑性を促進するために治療分子を投与するステップを含む神経障害を治療する方法であって、
前記治療分子は、式A1、B1、C1、D1、E1、F1、G1、H1、A2、B2、C2、D2、E2、F2、G2、H2、A3、B3、C3、D3、E3の化合物またはその類似体である、方法。
【請求項21】
前記神経障害は、急性脊髄損傷、アルツハイマー病、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、運動失調、ベル麻痺、脳腫瘍、脳動脈瘤、てんかんおよび発作、ギラン・バレー症候群、頭痛、頭部損傷、水頭症、髄膜炎、多発性硬化症、筋ジストロフィー、神経皮膚症候群、パーキンソン病、脳卒中、頭痛、脳炎および重症筋無力症の1種または複数である、請求項19に記載の方法。
【請求項22】
式A1、B1、C1、D1、E1、F1、G1、H1、A2、B2、C2、D2、E2、F2、G2、H2、A3、B3、C3、D3、E3の化合物またはその類似体の有効量の投与を含むアミロイドプラークを低減させる方法。
【請求項23】
式A1、B1、C1、D1、E1、F1、G1、H1、A2、B2、C2、D2、E2、F2、G2、H2、A3、B3、C3、D3、E3の化合物またはその類似体の有効量の投与を含む中毒を治療するまたは予防するための方法。
【請求項24】
前記中毒は、例えば、ニコチン、コカイン、オピオイドアゴニスト、モルヒネ、ヘロイン(他のアヘン剤)、アンフェタミン、コカイン、および/またはアルコールの1種または複数である、請求項23に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本出願は、2021年12月10日出願の米国特許仮出願第63/288,365号に対する優先権を主張する。この仮出願の内容は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
配列表の参照
本出願は、ASCIIフォーマットで電子申請された配列表を含み、この配列表は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0003】
発明の分野
本発明は、治療用途を有する小分子に関し、特に、それは、神経障害および中毒などの病気を治療するための新規小分子ならびに方法に関する。
【背景技術】
【0004】
中毒は、有害な結果にもかかわらず報酬刺激における衝動的な関与により特徴づけられる生物心理社会的障害として定義できる。中毒は、米国で1970万人を超える人々に影響を及ぼし、大きな財政的および人的損害の原因である。全体の経済的コストは、全てのタイプの糖尿病および全ての癌のものよりも大きい。これらのコストは、例えば、薬物の直接有害作用および関連する保健医療コスト、長期の合併症、生産性の低下および関連する福祉費用、事故、自殺、殺人および投獄から生ずる。現在まで、有効な薬理学的介入はほとんどなく、および中毒の脳に対する損傷を完全に解決するものはなかった。
【0005】
物質使用障害(SUD)は、かなり有害で不都合な結果に反する薬物の持続的使用として定義できる。個人は次第に薬物に依存するようになるので、使用の中断は、不快気分などの禁断症状をもたらす。物質使用障害は、慢性的罪悪感、繰り返される試みに関わらず物質を消費することを低減または停止できないこと、飲酒運転および生理学的禁断症状などの種々の精神的/感情的、身体的、および行動的障害を特徴とする。依存の発生は、衝動的薬物使用から強迫的薬物乱用へ進展する神経行動学的障害として概念化されている。
【0006】
用語「行動嗜癖(behavioral addiction)」は、自然報酬-これは、本質的に報われる(即ち、望ましいまたは魅力的な)行動である-に関与する強迫的衝動として定義できる。前臨床証拠は、自然報酬への反復的なおよび過剰な曝露によるΔFosBの発現の顕著な増加が、薬物中毒で起こるものと同じ行動的効果および神経可塑性を誘導することを実証した。
【0007】
中毒の脳疾患モデル(BDMA)は、慢性の再発性脳疾患として中毒を特定し、中毒に対する効果的治療は薬学的および他の医療介入を含むことを示唆する。BDMAは、SUDは慢性の再発性脳疾患であること、および再発は症状であり、かつ疾患の予測される経過の一部であることを主張する。他の疾患でのように、SUDは、行動的、環境的、および生物学的影響を含む、複数の原因を有し得る。2種の特定のタンパク質、ΔFosBおよびBDNFが、中毒およびSUDに関連付けられている。
【0008】
タンパク質fosBは、FosBおよびG0/G1スイッチ調節タンパク質3(G0S3)としても知られ、ヒトではFBJマウス骨肉腫ウィルス癌遺伝子相同体B(FOSB)遺伝子によりコードされるタンパク質である。ΔFosBスプライスバリアントは、中毒の発生および維持において、中心的で、非常に重要な(必要十分な)役割を果たすとして特定された。ΔFosB過剰発現(即ち、顕著な遺伝子関連表現型を生成する異常におよび過剰に高レベルのΔFosB発現)は、報償システム全体を通して中毒関連神経可塑性の発生を誘発し、かつ中毒に特徴的な行動表現型を生成する。
【0009】
脳由来神経栄養因子(BDNF)、またはアブリニューリンは、ヒトでは、BDNF遺伝子によりコードされるタンパク質である。BDNFは、中枢神経系および末梢神経系の特定のニューロンに作用し、既存のニューロンの生存の支援に役立ち、および新規のニューロンおよびシナプスの成長および分化を促進する。
【0010】
神経可塑性(Neuroplasticity)は、神経可塑性(neural plasticity)、または脳可塑性としても知られ、成長または再編成を通して脳中のニューラルネットワークを変化させる能力である。これらの変化は、新規結合を作る個々のニューロン経路~皮質再マッピングのような系統的調節に及ぶ。神経可塑性の例は、新規能力を学習すること、環境の影響、実践および精神的ストレスに起因する、回路およびネットワークの変化を含む。神経可塑性は以前には、小児期中にのみ現れると考えられたが、最近の研究は、脳の多くの状況は、成人期にわたりさらに変えることができる(即ち、「可塑的」である)ことを実証した。しかし、発達中の脳は、成体の脳よりもより高度の可塑性を示す。活性依存的可塑性は、健康的な発育、学習、記憶および脳損傷からの回復のための重要な意義を有し得る。
【0011】
最近の研究に基づき、遺伝子発現の調節が、薬物中毒の機序として提案されている。潜在的遺伝子の中で特に、FosBおよび/またはBDNFの誘導または阻害が、提案されている。しかし、FosBまたはBDNFとの直接的相互作用はまだ、中毒の脳の機能障害に対する顕著な改善をもたらしていない。研究は、カンナビノイド療法、頭蓋刺激およびケタミン治療でわずかな改善を示した。しかし、このような改善は、医学界で広く受け入れられていない。
【0012】
中毒に対する従来の治療は一般的に効果がないので、中毒を治療するための医薬品が必要とされている。このような治療は、神経可塑性の促進を介して治療効果を有するはずである。従って、本発明の実施形態は、外傷後ストレス障害(PTSD)および大うつ病性障害(MDD)などの他の障害と共に中毒を治療するための治療用ペプチドを含む。
【発明の概要】
【0013】
本明細書で記述および請求される本発明は、限定されないが、この概要で示されるまたは記述されるまたは参照されるものを含む、多くの特性および実施形態を有する。本明細書で記述および請求される本発明は、限定でなく例示のみのために含まれる、この発明の概要で特定される特徴または実施形態に、またはそれらにより限定されない。
【0014】
生検用脳組織から得られた分子機序の新規解釈に基づき、出願者らは、中毒脳の再構築および中毒の解消のためのいくつかの根底にある機序を特定した。技術は、外傷後ストレス障害(PTSD)および大うつ病性障害(MDD)などの病気を治療することにおいて有望な多くのシグナル伝達機序を明らかにした。本明細書で記載される実施形態では、出願者らは、このような病気を治療するための、特定の標的に対する治療方法を示す。
【0015】
従って、本発明の目的は、神経可塑性を刺激する新規化合物を提供することである。本発明の別の目的は、神経障害および/または中毒を治療するための新規化合物を提供することである。
【0016】
一実施形態は、小分子治療薬を用いて神経可塑性を刺激することにより、神経障害および/または中毒を治療する方法である。
【0017】
一実施形態は、小分子治療薬を用いて神経可塑性を刺激する方法である。別の実施形態は、小分子治療薬を用いて神経可塑性を刺激することにより、神経障害および/または中毒を予防する方法である。
【0018】
出願者らは、式Iの化合物、またはその類似体を提供する:
【化1】
【0019】
別の実施形態では、本発明は、化合物、またはその薬学的に許容可能なその塩を提供し、化合物は、A1、B1、C1、D1、E1、F1、G1、H1、A2、B2、C2、D2、E2、F2、G2、H2、A3、B3、C3、D3およびE3から選択される:
【化2】
【0020】
一実施形態では、本明細書で記載の化合物は、神経可塑性を改善することにおいて有用である。別の実施形態は、対象において神経可塑性を刺激する方法であり、神経可塑性を改善することは、神経障害または中毒などの病気を予防するおよび/または治療する。
【0021】
一実施形態は、式Iの化合物の治療的有効量を投与することを含む、対象において神経障害を治療する方法である。
【0022】
一実施形態は、A1、B1、C1、D1、E1、F1、G1、H1、A2、B2、C2、D2、E2、F2、G2、H2、A3、B3、C3、D3およびE3から選択される化合物の治療的有効量を投与することを含む、対象において神経障害を治療する方法である。
【0023】
一実施形態は、認知機能障害を有するまたはその危険のある、または認知機能の低下の危険のある対象において、上記認知機能障害を治療するための、上記認知機能障害の進行を遅延させるまたは遅くするための、または認知機能の低下の速度を下げるための方法であり、方法は、本明細書で開示される化合物の治療量を投与することを含む。
【0024】
一実施形態は、治療量の式Iの化合物を投与することにより病気を治療する方法である。病気は、例えば、不安症、炎症、中毒、外傷後ストレス障害(PTSD)、外傷性脳損傷、うつ病、急性脊髄損傷、アルツハイマー病、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、運動失調、ベル麻痺、脳腫瘍、脳動脈瘤、てんかんおよび発作、ギラン・バレー症候群、頭痛、頭部損傷、水頭症、髄膜炎、多発性硬化症、筋ジストロフィー、神経皮膚症候群、パーキンソン病、脳卒中、頭痛、脳炎および重症筋無力症であり得る。
【0025】
一実施形態は、A1、B1、C1、D1、E1、F1、G1、H1、A2、B2、C2、D2、E2、F2、G2、H2、A3、B3、C3、D3およびE3から選択される化合物の治療量を投与することによを病気を治療する方法である。病気は、例えば、炎症、中毒、外傷後ストレス障害(PTSD)、外傷性脳損傷、うつ病、急性脊髄損傷、アルツハイマー病、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、運動失調、ベル麻痺、脳腫瘍、脳動脈瘤、てんかんおよび発作、ギラン・バレー症候群、頭痛、頭部損傷、水頭症、髄膜炎、多発性硬化症、筋ジストロフィー、神経皮膚症候群、パーキンソン病、脳卒中、頭痛、脳炎および重症筋無力症であり得る。
【0026】
一実施形態は、式Iの化合物の治療的有効量を投与することを含む、対象において中毒を治療する方法である。
【0027】
一実施形態は、A1、B1、C1、D1、E1、F1、G1、H1、A2、B2、C2、D2、E2、F2、G2、H2、A3、B3、C3、D3およびE3から選択される化合物の治療的有効量を投与することを含む、対象において中毒を治療する方法である。中毒は、例えば、ニコチン、コカイン、オピオイドアゴニストに対する中毒、または刺激剤、ニコチン、モルヒネ、ヘロイン、他のアヘン剤、アンフェタミン、コカイン、および/またはアルコールに対する依存症であり得る。
【0028】
一実施形態は、(a)神経障害を有する患者を特定するステップ、および(b)神経可塑性を促進するために治療分子を投与するステップ、を含む神経障害を治療する方法である。治療分子は、式Iの化合物または式Iの類似体であり得る。
【0029】
一実施形態は、(a)神経障害を有する患者を特定するステップ、および(b)神経可塑性を促進するために治療分子を投与するステップ、を含む神経障害を治療する方法である。治療分子は、A1、B1、C1、D1、E1、F1、G1、H1、A2、B2、C2、D2、E2、F2、G2、H2、A3、B3、C3、D3およびE3から選択できる。
【0030】
一実施形態は、(a)中毒を有する患者を特定するステップ、および(b)神経可塑性を促進するために治療分子を投与するステップ、を含む中毒を治療する方法である。治療分子は、式Iの化合物または式Iの類似体であり得る。
【0031】
一実施形態は、(a)中毒を有する患者を特定するステップ、および(b)神経可塑性を促進するために治療分子を投与するステップ、を含む中毒を治療する方法である。治療分子は、A1、B1、C1、D1、E1、F1、G1、H1、A2、B2、C2、D2、E2、F2、G2、H2、A3、B3、C3、D3およびE3から選択できる。
【0032】
一実施形態は、式Iの化合物の治療的有効量を投与することによりFOSB、CDC42およびENTPD4の発現比を再度釣り合わせることを介する、樹状突起分枝の強力な阻害を逆転させる方法である。
【0033】
一実施形態は、A1、B1、C1、D1、E1、F1、G1、H1、A2、B2、C2、D2、E2、F2、G2、H2、A3、B3、C3、D3およびE3から選択される化合物の治療的有効量を投与することによりFOSB、CDC42およびENTPD4の発現比を再度釣り合わせることを介する、樹状突起分枝の強力な阻害を逆転させる方法である。
【0034】
一実施形態は、式Iの化合物の治療的有効量を投与することにより、チアミン代謝の障害を回復する方法である。
【0035】
一実施形態は、A1、B1、C1、D1、E1、F1、G1、H1、A2、B2、C2、D2、E2、F2、G2、H2、A3、B3、C3、D3およびE3から選択される化合物の治療的有効量を投与することにより、チアミン代謝の障害を回復する方法である。
【0036】
一実施形態は、式Iの化合物の治療的有効量を投与することにより、脳のチアミン代謝の存在を高める方法である。
【0037】
一実施形態は、A1、B1、C1、D1、E1、F1、G1、H1、A2、B2、C2、D2、E2、F2、G2、H2、A3、B3、C3、D3およびE3から選択される化合物の治療的有効量を投与することにより、脳のチアミン代謝の存在を高める方法である。
【0038】
一実施形態は、式Iの化合物の治療的有効量を投与することにより、神経代謝を改善する方法である。
【0039】
一実施形態は、A1、B1、C1、D1、E1、F1、G1、H1、A2、B2、C2、D2、E2、F2、G2、H2、A3、B3、C3、D3およびE3から選択される化合物の治療的有効量を投与することにより、神経代謝を改善する方法である。
【0040】
一実施形態は、式Iの化合物の治療的有効量を投与することにより、神経興奮閾値を回復する方法である。
【0041】
一実施形態は、A1、B1、C1、D1、E1、F1、G1、H1、A2、B2、C2、D2、E2、F2、G2、H2、A3、B3、C3、D3およびE3から選択される化合物の治療的有効量を投与することにより、神経興奮閾値を回復する方法である。
【0042】
一実施形態は、式Iの化合物の治療的有効量を投与することにより、CCL2の相対存在量を低減する方法である。
【0043】
一実施形態は、A1、B1、C1、D1、E1、F1、G1、H1、A2、B2、C2、D2、E2、F2、G2、H2、A3、B3、C3、D3およびE3から選択される化合物の治療的有効量を投与することにより、CCL2の相対存在量を低減する方法である。
【0044】
一実施形態は、式Iの化合物の治療的有効量を投与することにより、CCL2の低減を介して炎症を低下させる方法である。
【0045】
一実施形態は、A1、B1、C1、D1、E1、F1、G1、H1、A2、B2、C2、D2、E2、F2、G2、H2、A3、B3、C3、D3およびE3から選択される化合物の治療的有効量を投与することにより、CCL2の低減を介して炎症を低下させる方法である。
【0046】
一実施形態は、式Iの化合物の治療的有効量を投与することにより、神経機能を改善する方法である。
【0047】
一実施形態は、A1、B1、C1、D1、E1、F1、G1、H1、A2、B2、C2、D2、E2、F2、G2、H2、A3、B3、C3、D3およびE3から選択される化合物の治療的有効量を投与することにより、神経機能を改善する方法である。
【0048】
一実施形態は、式Iの化合物または式Iの類似体の治療的有効量を投与することにより、アミロイドβ(a4)との結合を介してアミロイドプラークを低減する方法である。従って、別の実施形態は、式Iの化合物または式Iの類似体の治療的有効量を投与することにより、パーキンソン病を治療する方法である。
【0049】
一実施形態は、式Iの化合物または式Iの類似体の治療的有効量を投与することにより、アミロイドβ(a4)との結合を介してアミロイドプラークを低減する方法である。従って、別の実施形態は、A1、B1、C1、D1、E1、F1、G1、H1、A2、B2、C2、D2、E2、F2、G2、H2、A3、B3、C3、D3およびE3から選択される化合物の治療的有効量を投与することにより、パーキンソン病を治療する方法である。
【0050】
一実施形態では、本明細書で開示される治療化合物の有効量は、約4ミリグラム(mg)である。一実施形態では、安全性の上限は、約1.2グラムである。一実施形態では、臨床投与のための用量範囲は、約4mg~80mgである。
【0051】
さらに別の態様では、本明細書は、神経障害または中毒の予防または治療のための薬物の調製物における治療小分子またはそれを含む医薬組成物の使用を提供する。
【0052】
本発明の態様の他の特徴および利点は、本発明の原理を例で示す添付図面と合わせて、以下のより詳細な説明から明らかとなるであろう。
添付図面は、本発明の態様を説明する。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【
図1】原子に番号を付した式Iの化合物(「Somahol」)の化学構造を示す。
【
図3】5-HT7受容体により調節される分子シグナル伝達経路を示す。
【
図4】隣接遺伝子と相互作用するRNアーゼIを示す。
【
図7】隣接遺伝子と相互作用するSLC39A8を示す。
【
図8】隣接遺伝子と相互作用するC9ORF135を示す。
【
図9】隣接遺伝子と相互作用するENTPD4を示す。
【
図10】足場分子を示す。いくつかの実施形態では、ヒドロキシルおよび/またはカルボニル基を、別の官能基で置換できる。
【
図11】5-HT2AヒトセロトニンGPCR細胞ベースのアゴニストアレスチンアッセイの結果のグラフである。
【
図12】5-HT6ヒトセロトニンGPCR細胞ベースのアゴニストアレスチンアッセイの結果のグラフである。
【
図13】TrkBヒトRTKキナーゼ細胞ベースのアゴニスト機能アッセイの結果のグラフである。
【
図14】5-HT7ヒトセロトニンGPCR細胞ベースのアゴニストcAMPアッセイの結果のグラフである。
【
図15】5-HT2BヒトセロトニンGPCR細胞ベースのアゴニストカルシウムフラックスアッセイの結果のグラフである。
【
図16】各分子:A1、B1、C1、D1、E1、F1、G1、H1、A2、B2、C2、D2、E2、F2、G2、H2、A3、B3、C3、D3およびE3からのアゴニストアッセイの結果の表である。
【発明を実施するための形態】
【0054】
定義
「一実施形態(one embodiment)/態様」または「ある実施形態(an embodiment)/態様」への本明細書での参照は、その実施形態/態様に関して記載された特定の特徴、構造、または特性が本開示の少なくとも1つの実施形態/態様に含まれるということを意味する。本明細書中の種々の箇所における「一実施形態/態様では」または「ある実施形態/態様では」という語句の使用は、必ずしも全てが同じ実施形態/態様を参照せず、他の実施形態/態様の相互に排他的な別のまたは代替の実施形態/態様も参照しない。さらに、種々の特徴が、記載され、これらは、いくつかの実施形態/態様により示されてよく他の実施形態/態様により示されなくてよい。同様に、種々の要件が、記載され、これらは、いくつかの実施形態/態様についての要件であり得るが、他の実施形態/態様についてそうでなくてよい。実施形態および態様は、特定の事例では、同じ意味で用いられ得る。
【0055】
本明細書中で使用される用語は一般に、本開示の文脈内で、およびそれぞれの用語が使われる特定の文脈において、当技術分野でのそれらの通常の意味を有する。本開示を記載するために使われる特定の用語は、下で、または本明細書の別の場所で考察されて、本開示の記載に関する実践者への追加の手引きを提供する。同じことが2つ以上の方法で述べられ得ることは理解されよう。
【0056】
従って、代替の用語および同義語が、本明細書で考察されるいずれかの1つまたは複数の用語に対して使われてよい。ある用語が本明細書で詳しく述べられるまたは考察されるかどうかには、何ら特別な意味はない。特定の用語に対する同義語が、提供される。1つまたは複数の同義語の記述は、他の同義語の使用を排除するものではない。本明細書で考察される任意の用語の例を含む、本明細書中のどこかでの例の使用は、例示的な目的のみのためであり、本開示のまたは例示される任意の用語の範囲と意味をさらに限定すると意図されない。同様に、本開示は、本明細書で提示される種々の実施形態に限定されない。
【0057】
本開示の範囲をさらに限定する意図なしに、本開示の実施形態による機器、装置、方法およびそれらの関連する結果が、下で与えられる。見出しまたは小見出しは、読者の便宜上、実施例で使用され得るが、本開示の範囲を限定するものではないことに留意されたい。別に定めのない限り、本明細書で使われる全ての技術および科学用語は、本開示が属する当業者により通常理解されるものと同じ意味を有する。矛盾がある場合には、定義を含み、本文書が支配する。
【0058】
適用可能な場合、用語「約(about)」または「通常(generally)」は、本明細書および添付の特許請求の範囲で使用される場合、および別段の指示がない限り、±20%の余地を意味する。また、適用可能な場合には、本明細書および添付の特許請求の範囲で使用される用語「実質的に(substantially)」は、別段の指示がない限り、±10%の余地を意味する。上記用語の全ての使用は、参照範囲が適用され得るように数値化できるとは限らないことを理解されたい。
【0059】
用語「活性剤(active agent)」または「有効成分(active ingredient)」は、生物学的に活性であるか、あるいは、それが投与される対象に対して生物学的または生理学的効果を誘導する、物質、化合物、または分子を指す。換言すれば、「活性剤(active agent)」または「有効成分(active ingredient)」は、組成物の効果の全部または一部の原因である組成物の成分を指す。活性剤は、主要な活性剤であってよく、または換言すれば、組成物の効果の全部または一部の原因である組成物の成分であってよい。活性剤は、二次的薬剤であってよく、または換言すれば、組成物の追加の一部および/または他の効果の原因である組成物の成分であってよい。「医薬組成物」は、治療ペプチドなどの活性剤と、インビトロ、インビボまたはエクスビボで診断または治療用途に好適な無菌組成物中で、不活性なまたは活性な、担体の組み合わせを含んでよい。
【0060】
用語「類似体」または「化学的類似体」は、別の化合物(即ち、Somahol)と類似の構造を有するが、特定の成分に関してそれと異なる、化合物を指す。それは、1つまたは複数の原子、官能基、または部分構造(これらは、他の原子、基、または部分構造と置換される)において異なってよい。
【0061】
単独でまたは別の基の一部として本明細書で用いられる用語「アルキル」は、1~20個の炭素を含む直鎖および分岐鎖の両方の飽和炭化水素を指す。アルキル基の例は、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、tert-ブチル、ペンチル、ヘキシル、イソヘキシル、ヘプチル、4,4-ジメチルペンチル、オクチル、2,2,4-トリメチルペンチル、ノニル、デシル、ウンデシル、ドデシル、およびこれらの種々の分岐鎖異性体である。
【0062】
単独でまたは別の基の一部として本明細書で用いられる用語「アルキレン」は、1~20個の炭素を含む、上述のアルキル基の二価のラジカルを指す。アルキレン基の例は、メチレン、エチレン、トリメチレン、テトラメチレン、ペンタメチレン、ヘキサメチレン、ヘプタメチレン、オクタメチレン、およびこれらの種々の分岐鎖異性体である。
【0063】
単独でまたは別の基の一部として本明細書で用いられる用語「アルケニル」は、2~20個の炭素、好ましくは1~12個の炭素、より好ましくは2~8個の炭素、および1~6個の二重結合を含む直鎖および分岐鎖の両方の飽和炭化水素を含む。アルケニル基の例は、ビニル、2-プロペニル、2-ブテニル、3-ブテニル、3-ペンテニル、4-ペンテニル、2-ヘキセニル、3-ヘキセニル、2-ヘプテニル、4-ヘプテニル、3-オクテニル、3-ノネニル、4-デセニル、3-ウンデセニル、および4,8,12-テトラデカトリエニルである。
【0064】
単独でまたは別の基の一部として本明細書で用いられる用語「アルキニル」は、2~?個の炭素、好ましくは2~12個の炭素、およびより好ましくは2~8個の炭素、ならびに1~6個の三重結合および場合により1~3個の二重結合を含む直鎖および分岐鎖の両方の飽和炭化水素を含む。アルキニル基の例は、2-プロピニル、3-ブチニル、4-ペンチニル、2-ヘキシニル、4-ヘプチニル、3-オクチニル、3-ノニニル、4-デシニル、3-ウンデシニルおよび4-ドデシニルである。
【0065】
単独でまたは別の基の一部として本明細書で用いられる用語「アルカノイル」または「アシル」は、カルボニル基に付着されたアルキル基を指す。本発明との関係において、用語「アルカノイル」および「アシル」は、同じ意味を有する。従って、Cnアルカノイルまたはアシル基は、カルボニル基に付着されたCn-1アルキル基である。アルカノイルまたはアシル基の例は、アセチル、プロピオニルおよびブチロイルである。
【0066】
単独でまたは別の基の一部として本明細書で用いられる用語「アルコキシ」は、酸素原子に連結された1~20個の炭素、好ましくは1~10個の炭素、より好ましくは1~8個の炭素を含むアルキル基を指す。アルコキシ基の例は、メトキシ、エトキシ、n-プロポキシ、イソプロポキシ、n-ブトキシ、イソブトキシ、tert-ブトキシ、ペントキシ、ヘキシルオキシ、イソヘキシルオキシ、ヘプチルオキシ、4,4-ジメチルペントキシ、オクチルオキシ、2,2,4-トリメチルペントキシ、ノニルオキシ、デシルオキシル、ウンデシルオキシ、ドデシルオキシ、およびこれらの種々の分岐鎖異性体である。
【0067】
単独でまたは別の基の一部として本明細書で用いられる用語「シクロアルキル」は、単環式アルキル、二環式アルキルおよび三環式アルキル系を含む1~3個の環、ならびに環系の一部を形成する合計3~20個の炭素原子、好ましくは3~10個の炭素を含む飽和環状炭化水素基を含む。シクロアルキル基の非限定的例は、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル、シクロデシル、シクロドデシル、アダマンチルおよびビシクロ[3.3.3]ウンデカニルである。
【0068】
単独でまたは別の基の一部として本明細書で用いられる用語「シクロアルケニル」は、1または2個の二重結合を含み、単環式アルキル、二環式アルキルおよび三環式アルキル系を含み、かつ環系の一部として、合計4~12個の炭素、好ましくは5~?個の炭素を含む、1~3個の環を有する部分不飽和環状炭化水素基を含む。シクロアルケニル基の例としては、シクロブテニル、シクロペンテニル、シクロヘキセニル、シクロヘプテニル、シクロオクテニル、シクロヘキサンジイルおよびシクロヘプタンジイルが挙げられるが、これらに限定されない。
【0069】
単独でまたは別の基の一部として本明細書で用いられる用語「アリール」は、フェニルまたはナフチル(1-ナフチルおよび2-ナフチルを含む)などの環部中に6~10個の炭素を含み、かつシクロアルキルなどの1~3個の追加の縮合炭素環を任意に含んでもよい、単環式または二環式芳香族基を指す。アリール基の例は、フェニル、1-ナフチル、2-ナフチルおよびテトラヒドロナフチルである。
【0070】
単独でまたは別の基の一部として本明細書で用いられる用語「ヘテロシクリル」は、窒素、酸素および/または硫黄からなる群より選択される1~2個のヘテロ原子を含む、5-、6-、7-員飽和または部分不飽和環を指し、このような環は任意に、アリール、シクロアルキル、ヘテロアリールまたはヘテロシクリル環に融合されてもよい。ヘテロシクリル基は、炭素原子またはヘテロ原子を介して連結される。
【0071】
単独でまたは別の基の一部として本明細書で用いられる用語「ヘテロアリール」は、窒素、酸素または硫黄からなる群より選択される1、2、3または4個のヘテロ原子を含む、5-または6-員芳香環を指し、このような環は、アリール、シクロアルキル、ヘテロアリールまたはヘテロシクリル環に任意に融合されてもよい。ヘテロアリール基がアリールに融合される場合、それは、「二環式ヘテロアリール」と呼ばれる。
【0072】
本明細書で用いられる用語「グリコシル」は、1-O-β-D-ガラクトピラノシル(ガラクトース)、1-O-β-D-グルコピラノシル(グルコース)および1-O-α-D-グルコピラノシル-α-D-グルコピラノシル(トレハロース)を指す。
【0073】
用語「機能的パートナー」は、機能を支持するようにシステム中で作用する1種または複数の化合物(例えば、遺伝子またはタンパク質)を指す。機能的パートナーは、1種または複数の中間体(例えば、遺伝子、小分子またはタンパク質)を介して機能できる。
【0074】
用語「樹状突起」は、他の神経細胞から受け取った電気化学的刺激を細胞体、またはそこから樹状突起が突き出るニューロンの神経細胞体に伝える、神経細胞の分岐した原形質延長部(protoplasmic extension)を指す。電気的刺激は、樹状突起樹全体にわたる種々の位置に存在するシナプスを介して上流ニューロン(通常、それらの軸索を介して)により樹状突起に伝達される。樹状突起は、無脊椎動物を含む動物の成体期中に可塑的変化ができるように見える。神経樹状突起は、流入刺激を計算できる機能単位として知られる種々のコンパートメントを有する。これらの機能単位は、入力の処理に関与し、スパイン、枝、または枝群(groupings of branches)などの樹状突起のサブドメインから構成される。従って、樹状突起構造における変化をもたらす可塑性は、細胞中の情報伝達および処理に影響するであろう。発生の間、樹状突起の形態は、細胞のゲノム内の内在性プログラムおよび他の細胞からのシグナルなどの外因性因子により形づくられる。しかし成体期には、外因性シグナルが、発生の間の内因性シグナルに比べてより影響が大きくなりかつ樹状突起構造でのより大きな変化を引き起こす。
【0075】
用語「外傷後ストレス障害」または「PTSD」は、性的暴行、戦争、自動車衝突、暴力、などの外傷性イベントへの曝露のため発症し得る精神的および行動的障害を指す。症状は、イベントに関連した動揺させる思考、感情、または夢、外傷に関連するきっかけに対する精神的または身体的苦悩、トラウマに関連するきっかけを避けようとする試み、人の考え方や感じ方の変化、および闘争-逃走応答の増加を含み得る。PTSDは、大うつ病などの他の精神障害とは異なる脳および身体での生化学的変化を引き起こす。
【0076】
用語「外傷性脳損傷」または「TBI」は、外力により引き起こされる脳への傷害を指す。TBIは、重症度(軽度の外傷性脳損傷[mTBI/脳振盪]~重症頭部外傷にわたる)、機序(閉鎖性または穿通性の頭部外傷)、または他の特徴(例えば、特定の場所でのまたは広がった領域での発生)を基準に分類できる。TBIは、認知、身体的および精神社会的機能の一時的または永久的な障害に繋がる可能性がある。TBIは、単一の病態生理学的イベントではなく、複雑な疾患過程であり、かつ構造的損傷および一次および二次傷害機序の両方に起因する機能障害を引き起こす。一次障害は、外力への曝露時に起こりかつ挫傷、血管への損傷(出血)、およびニューロンの軸索が引き伸ばされ引き裂かれる軸索剪断作用を含む、脳組織の即時機械的破壊の結果である。二次傷害は、一次障害後に数分~数ヶ月にわたり発生し、最終的に脳細胞死、組織損傷および萎縮につながる代謝の、細胞のおよび分子のイベントのカスケードの結果である。
【0077】
用語「アルコール依存症」は、現在または過去の過剰飲酒、アルコールに対する強力な欲求、飲酒に関連する反復される問題にも関わらず継続される使用およびアルコール消費の制御不能を通常含む、慢性病状を指す。
【0078】
用語「多発性硬化症」または「MS」は、免疫系と神経細胞の間の複雑な相互作用を伴う中枢神経系(CNS)の炎症性の脱髄性疾患を指す。
【0079】
用語「神経障害」は広く、神経系の障害を指す。神経障害は、脳ならびに人体および脊髄全体の神経に影響を与え得る。脳、脊髄または他の神経中の構造的、生化学的または電気的異常が、一連の症状を生じ得る。神経障害は、例えば、急性脊髄損傷、アルツハイマー病、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、運動失調、ベル麻痺、脳腫瘍、脳動脈瘤、てんかんおよび発作、ギラン・バレー症候群、頭痛、頭部損傷、水頭症、髄膜炎、多発性硬化症、筋ジストロフィー、神経皮膚症候群、パーキンソン病、脳卒中、頭痛、脳炎および重症筋無力症を含む。
【0080】
用語「転写制御」は、それにより細胞がRNAへのDNAの変換(転写)を調節し、それにより遺伝子活性を調節する、手段を指す。単一の遺伝子は、転写されるRNAのコピー数を変えることから、遺伝子が転写される際の時間的制御までの、様々な方法で調節され得る。この制御は、細胞または生物が種々の細胞内および細胞外シグナルに応答することを可能にし、従って応答を開始する。転写因子は、所与の遺伝子の発現を調節するために特定のDNA配列に結合するタンパク質である。
【0081】
用語「オキシトシン」または「OT」は、視床下部の視索上部(SON)および脳室周囲(PVN)核中に位置する巨大細胞ニューロンにより合成されるノナペプチドを指す。それは、多種多様の中枢効果および末梢効果を発揮する。しかし、その最もよく知られ最も確立された役割は、出産中の子宮収縮および授乳中の乳汁分泌の刺激である。オキシトシンはまた、心臓血管の調節および種々の社会的行動に影響を与える。OTの作用は全て、1種類のOT受容体(OTR)により媒介される。これは、Gタンパク質共役受容体スーパーファミリーに属する膜貫通型受容体である。主要なシグナル伝達経路は、Gq/PLC/Ins3経路であるが、MAPKおよびRhoA/Rhoキナーゼ経路もまた、活性化され、増大したプロスタグランジン産生および子宮筋細胞に対する直接収縮性効果に寄与する。
【0082】
用語「タンパク質fosB」、「FosB」、「G0/G1スイッチ調節タンパク質3」またはG0S3」は、ヒトではFBJマウス骨肉腫ウィルス癌遺伝子相同体B(FOSB)遺伝子によりコードされるタンパク質を指す。FOS遺伝子ファミリーは、4つのメンバー:FOS、FOSB、FOSL1、およびFOSL2を含む。これらの遺伝子は、JUNファミリー(例えば、c-Jun、JunD)のタンパク質と二量体化でき、それにより、転写因子複合体AP-1を形成する、ロイシンジッパータンパク質をコードする。従って、FOSタンパク質は、細胞増殖、分化、および形質転換の調節に関連するとされている。
【0083】
用語「脳由来神経栄養因子」、「BDNF」、または「アブリニューリン」は、ヒトにおいて、BDNF遺伝子によりコードされるタンパク質を指す。BDNFは、成長因子のニューロトロフィンファミリーのメンバーであり、これは、標準的神経成長因子に関連する。神経栄養因子は、脳および周辺部で見出される。FOS、JUN、BDNF、CDC42、CCL2は上流相互作用のコホート活性を介する。Fos遺伝子ファミリーは、4つのメンバー:FOS、FOSB、FOSL1、およびFOSL2を含む。これらの遺伝子は、JUNファミリーのタンパク質と二量体化できそれにより、転写因子複合体AP-1を形成する、ロイシンジッパータンパク質をコードする。従って、FOSタンパク質は、細胞増殖、分化、および形質転換の制御因子として関連付けられている。いくつかの事例では、FOS遺伝子の発現はまた、アポトーシス細胞死とも関連付けられている。
【0084】
用語「c-Jun」は、ヒトにおいて、JUN遺伝子によりコードされるタンパク質を指す。c-Junは、c-fosと組み合わせて、AP-1初期応答転写因子を形成する。それは最初に、Fos結合タンパク質p39として特定され、後になって初めて、JUN遺伝子の産物として再発見された。c-Junは最初に、発癌性転写因子転写因子として発見された。癌原遺伝子c-Junは、ウィルス腫瘍性タンパク質v-Jun(P05411)の細胞相同体である。ヒトJUNは、特定の標的DNA配列と直接相互作用して遺伝子発現を調節する、ウィルスタンパク質と高度に類似性するタンパク質をコードする。
【0085】
用語「脳由来神経栄養因子」、「BDNF」、または「アブリニューリン」は、ヒトにおいて、BDNF遺伝子によりコードされるタンパク質を指す。BDNFは、成長因子のニューロトロフィンファミリーのメンバーであり、これは、標準的神経成長因子に関連する。
【0086】
用語「CDC42」または「細胞分裂制御タンパク質42相同体」は、細胞周期の調節に関与するタンパク質を指す。ヒトCdc42は、Rhoファミリーの低分子のGTPアーゼであり、これは、細胞形態、細胞遊走、エンドサイトーシスおよび細胞周期進行を含む多様な細胞機能を制御する、シグナル伝達経路を調節する。
【0087】
用語「CCL2」、「ケモカイン(C-Cモチーフ)リガンド2」または「単球化学誘引物質タンパク質1(MCP1)」または「低分子誘導性サイトカインA2」は、CCケモカインファミリーに属する低分子のサイトカインを指す。CCL2は、組織傷害または感染症のいずれかにより生じた炎症部位に単球、メモリーT細胞、および樹状細胞を動員する。CCL2は、乾癬、関節リウマチおよびアテローム性動脈硬化症などの、単球性浸潤により特徴づけられるいくつかの疾患の病原体に関連付けられている。
【0088】
神経可塑性(Neuroplasticity)は、神経可塑性(neural plasticity)、または脳可塑性としても知られ、成長または再編成を通して脳中のニューラルネットワークを変化させる能力である。これらの変化は、新規結合を作る個々のニューロン経路から皮質の再マッピングのような系統的調節にわたる。神経可塑性の例は、新規能力、環境の影響、実践および精神的ストレスの学習に起因する回路およびネットワークの変化を含む。活性依存的可塑性は、健康的な発育、学習、記憶および脳損傷からの回復のための重要な意義を有し得る。
【0089】
用語「STRING」は、遺伝子またはタンパク質間の関係の図形表示を指す。タンパク質間の機能的連結はしばしば、それらをコードする遺伝子間のゲノム関連性から推定でき、同じ機能のために必要とされる遺伝子の群は、類似の種のカバー率を示す傾向があり、しばしばゲノム上で近接して存在し(原核生物において)、かつ遺伝子融合イベントに関与する傾向がある。データベースSTRINGは、これらの関連性の調査および分析のための、あらかじめ計算された世界的リソースである。3つのタイプの証拠は概念的に異なり、かつ予測される相互作用の数は極めて大きいので、個別の予測の有意性を評価および比較できることが必須である。従って、STRINGは、予測毎に単一の信頼度スコアに統合された、共通の参照セットに対する異なるタイプの関連性のベンチマークに基づくユニークな採点フレームワークを含む。タンパク質相互作用を重み付けした、推定されるネットワークのグラフ表示は、高レベルの機能的連結を提供し、生物学的過程におけるモジュール方式の分析を促進する。
【0090】
用語「樹状突起分枝」または「樹状分岐」は、それによりニューロンが新規樹状突起樹および枝を形成して新規シナプスを生成する、多段階の生物学的過程を指す。樹状成長のためのこの能力は、学習および記憶形成において役割を果たすと考えられる。
【0091】
用語「チアミン」または「ビタミンB1」は、主にミトコンドリアに局在する、多数の酵素に対し補因子として機能する、必須栄養素を指す。いくつかのチアミン依存性酵素は、エネルギー代謝および核酸の生合成に関与し、一方で他のものは、抗酸化剤機構の一部である。脳は、ミトコンドリアのATP産生に対するその大きい依存性のため、チアミン欠損に対して極めて脆弱である。これは、急速な成長の間(即ち、周産期間および子供)により明白であり、その際チアミン欠損は通常栄養障害または遺伝的欠陥のいずれかに関連する。チアミン欠損は、軽度神経学的および精神症状(錯乱、記憶減退、および睡眠障害)から、重度脳症、運動失調、うっ血性心不全、筋攣縮およびさらには死亡に及ぶ多数の状態に寄与する。
【0092】
用語「対象」または「患者」は、任意の単一の動物、より好ましくは治療が望ましい哺乳類(非ヒト動物、例えば、イヌ、CAT、ウマ、ウサギ、動物園の動物、雌ウシ、ブタ、ヒツジ、および非ヒト霊長類)を指す。最も好ましくは、本明細書における患者は、ヒトである。
【0093】
本明細書で使用される用語「薬学的に許容可能な担体」という用語は、薬学的投与に適合する任意のすべての溶媒、分散媒、コーティング、等張剤および吸収遅延剤などを指す。薬学的に活性な物質に対するこのような媒体および薬剤の使用は、当該分野において周知である。組成物はまた、補助的な、追加の、または強化された治療作用を提供する他の活性化合物を含み得る。
【0094】
本明細書で使用される用語「薬学的に許容可能な組成物」は、1種または複数の薬学的に許容可能な担体と共に処方された本明細書で開示される少なくとも1種の化合物を含む組成物を指す。
【0095】
本明細書で使用される「予防」という用語は、それにより疾患の発生が抑制または遅延される全ての作用を意味する。
【0096】
用語「治療すること(treating)」または「治療(treatment)」は、(1)疾患を抑制すること(即ち、病態および/または総体症状の更なる進展を阻止すること);および(2)疾患の重症度を低減することなどの疾患を改善すること(即ち、病態および/または総体症状を回復させること)、の1つまたは複数を指す。
【0097】
用語「投与」は、特定の好適な方法による、患者への一定量の予め決定された物質のある量の導入を指す。本明細書で開示される組成物は、それが目的の組織に到達できる限り、例えば、限定されないが、吸入、腹腔内、静脈内、筋肉内、皮下、皮内、経口、局所、鼻腔内、肺内、または直腸内投与の一般的経路のいずれかを介して投与され得る。
【0098】
範囲を含む、全ての数字表記、例えば、pH、温度、時間、および分子量は、当該技術分野での慣例に従い、近似値として理解されるべきである。本明細書で使われる場合、用語「約」は、与えられる文脈で適切なように、述べられる量の変化(+)または(-)1%、5%または10%を含意し得る。必ずしも明示的に述べられないが、本明細書で記載される試薬は、単に例示的であること、および当技術分野において既知のものと等価であることは理解されたい。
【0099】
多くの既知で有用な化合物などは、様々な種類の投与についての標準的文献である、Remington’s Pharmaceutical Sciences(13th Ed),Mack Publishing Company,Easton,PAで見つけることができる。本明細書で使用される場合、「製剤」という用語は、少なくとも1種の有効成分と、賦形剤とも一般的に呼ばれる、独立して活性または不活性であってよい1種または複数の他の成分の組み合わせを意味する。用語「製剤」は、ヒトまたは動物に対する投与のための薬学的に許容可能な組成物を指しても指さなくてもよく、貯蔵または研究目的のために有用な中間体である組成物を含んでよい。
【0100】
本明細書で使われる他の技術的用語は、種々の技術的辞書により例示されるように、それらが使用される当該技術分野における通常の意味を有する。これらの非限定例で考察される特定の値および構成は、様々であってよく、単に少なくとも1つの実施形態を説明するために言及され、かつそれらの範囲を限定すると意図されない。
発明を実施するための形態
【0101】
前述の一般的説明と後述の詳細な説明の両方は、例示的で説明的であり、請求される本願の技術のさらなる説明を提供すると意図されることを理解されたい。本願の技術の追加の特徴と利点は、下の記述で示され、一部にはその記述から明らかである、または本願の技術の実施により知り得るであろう。本願の技術の利点は、明細書およびこれに関する請求項において特に指摘される構成により実現されおよび達成されるであろう。
【0102】
Somahal
一実施形態は、式Iの化合物、またはその類似体(「Somahol」とも呼ばれる)であり、タンパク質-タンパク質相互作用、畳み込みニューラルネットワーク、経路モデル化および標的受容体部位活性化試験を含むマルチオミックおよび生物情報学ツールの組み合わせの分析により開発された化合物である。
【化3】
*IUPAC名:(4Z)-4-{N-[(4-アミノ-2-メチルピリミジン-5-イル)メチル]ホルムアミド}-5-{[(2Z)-3-{N-[(4-アミノ-2-メチルピリミジン-5-イル)メチル]ホルムアミド}-6-[(2-{[2-(4-ヒドロキシ-1H-インドール-3-イル)エチル](メチル)アミノ}プロパノイル)オキシ]ヘキサ-2-エン-2-イル]ジスルファニル}ヘキサ-4-エン-1-イル 2-{[2-(4-ヒドロキシ-1H-インドール-3-イル)エチル](メチル)アミノ}プロパノエート)
【0103】
構造および合成
実施形態は、SomahalならびにSomaholの実施形態の合成の方法を含む。実施形態は、式A1、B1、C1、D1、E1、F1、G1、H1、A2、B2、C2、D2、E2、F2、G2、H2、A3、B3、C3、D3およびE3の化合物ならびにこれらの類似体の合成の方法を含む。
【0104】
【化4】
化合物A2およびB2
25mgのインドールを、3mLのトルエンおよび1mLのアセトンならびに20μLの酢酸と共に、14mLの開口試験チューブに充填した。反応混合物を、30分間還流温度に加熱した。30分後、反応混合物を、冷却させ、25mgのホウ化水素ナトリウムを固体として加え、混合物を1時間撹拌した。5mLの水を加え、反応混合物を抽出した。最上層を収集し、硫酸ナトリウムで乾燥し、続いて減圧下で褐色油に濃縮し、これを、シリカゲルクロマトグラフィー(Isco Combiflash、12g、Redisep Gold、酢酸エチル、ヘプタン勾配、15分間にわたり0-100%酢酸エチル)で精製して、21mgの目的のイソプロピル化アミン生成物を得た。
【0105】
生成物画分をその後、組み合わせ、減圧下(SpeedVac)で濃縮し、得られた油を、スクリーニングで使用した。
【0106】
【化5】
化合物D2およびE2
25mgのインドールを、3mLのトルエンおよび1mLのアルデヒドならびに20μLの酢酸と共に、14mLの開口試験チューブに充填した。反応混合物を、30分間還流温度に加熱した。30分後、反応混合物を冷却させた。5mLの水を加え、反応混合物を抽出した。最上層を、収集し、硫酸ナトリウムで乾燥し、続いて減圧下で褐色油に濃縮し、これを、シリカゲルクロマトグラフィー(Isco Combiflash、120g、Redisep Gold、酢酸エチル、ヘプタン勾配、15分間にわたり0-100%酢酸エチル)で精製して、10mgの目的の三環式インドール生成物を得た。
【0107】
生成物画分をその後、組み合わせ、減圧下(SpeedVac)で濃縮し、得られた油を、スクリーニングで使用した。
【0108】
【化6】
化合物2
1.57gのブロモアセチルクロリドを、5mLのジクロロメタンと共に、滴加漏斗に充填し、15mLのジクロロメタンに溶解した1,47gの4-メトキシインドール(1)を含む50mLの三つ口丸底フラスコに装着した。固体として75mgの三塩化アルミニウムを加え、反応混合物を、窒素でパージし、室温で30分間撹拌した。塩化ブロモアセチル溶液をその後、撹拌される反応混合物に30分間かけて滴加し、反応混合物を室温で15時間撹拌した。反応混合物をその後、完了について試験し、15mLの0.1M酒石酸ナトリウムカリウムを、シリンジを用いて加え、混合物をさらに5分間撹拌し、その後分液漏斗に移した。
【0109】
有機層を次に、15mLの飽和ブライン溶液で抽出し、収集し硫酸ナトリウム上で乾燥した。溶媒を、ロータリーエバポレーターにより除去し、溶液を、シリカゲルクロマトグラフィー(Isco Combiflash、120g、Redisep Gold、酢酸エチル、ヘプタン勾配、15分間にわたり0-100%酢酸エチル)により精製した。主要生成物画分を集め、ロータリーエバポレーターにより濃縮し、この時点で生成物を、酢酸エチルの除去後に沈殿させた。生成物をその後、濾別し、10mLのヘプタンで洗浄し、使用の前に減圧下で乾燥して、1.95gの化合物2(73%)を得た。
【0110】
化合物C2、A3、B3およびE3
撹拌棒を装着した1ドラムバイアル中で、500uLのn-メチルピロリドンに溶解した50mgの化合物2を、4当量のアミンと組み合わせ全て一度に充填した。反応混合物を、撹拌しながらアルミニウム加熱ブロック中で60℃に加熱し、RP-C18 UPLCにより試験して3時間後に完了と決定した。
【0111】
2mLの水を加えて、反応をクエンチし、混合物を分液漏斗に移し、そこで10mLの酢酸エチル、3mLの0.1M NaOHを加え、有機層を抽出し、続いて5mLの飽和ブライン溶液で抽出した。有機層をその後、硫酸ナトリウム上で乾燥させ、混合物を回転蒸発により濃縮し、そこでそれをシリカゲルフラッシュクロマトグラフィー(Isco Combiflash、12g、Redisep Gold、酢酸エチル、ヘプタン勾配、15分間にわたり0-100%酢酸エチル)により精製した。
【0112】
生成物画分をその後、組み合わせ、減圧下(SpeedVac)で濃縮し、得られた油を、スクリーニングで使用した。
【0113】
【化7】
化合物F2
23mgの出発生成物(上で「1」として参照される)を、3mLのトルエン、15mgの2(上記)、および20uLの酢酸と共に、14mLの開口試験チューブに充填した。反応混合物を、30分間還流温度に加熱した。30分後、反応混合物を冷却させ、その後25mgのホウ化水素ナトリウムを、固体として加え、混合物を1時間撹拌した。5mLの水を加え、反応混合物を抽出した。最上層を、収集し、硫酸ナトリウムで乾燥し、続いて減圧下で褐色油に濃縮し、これを、シリカゲルクロマトグラフィー(Isco Combiflash、12g、Redisep Gold、酢酸エチル、ヘプタン勾配、15分間にわたり0-100%酢酸エチル)により精製して、18mgの目的のアミン生成物、3(上に示す)を得た。
【0114】
生成物画分をその後、組み合わせ、減圧下(SpeedVac)で濃縮し、得られた油を、スクリーニングで使用した。
【0115】
【化8】
化合物G2、H2、C3、D3
実施形態はまた、化合物G2、H2、C3およびD3の合成の方法も含む。化合物を、当該技術分野で既知の方法により調製した(例えば、国際公開第2021/176599A1号を参照)。手短に説明すると、0.5mmolのアリールヒドラジン、0.5mmolのケトン、4mLのエタノールおよび6当量の37%HClを8mLの密閉バイアルに充填した。反応混合物を、一晩100℃に加熱した。翌日に、溶媒を、ロータリーエバポレーターにより除去し、化合物を、10mLのジクロロメタンに溶解し、10mLの0.1MのHClで2回抽出した。ジクロロメタン層を、硫酸ナトリウムで乾燥し、油へと濃縮した。
【0116】
油を、シリカゲルフラッシュクロマトグラフィー(Isco Combiflash、12g、Redisep Gold、メタノール、ジクロロメタン(両方共、2%の水酸化アンモニウム含有)勾配、15分間にわたり0-50%メタノール)により精製した。生成物画分をその後、組み合わせ、減圧下(SpeedVac)で濃縮し、得られた油を、スクリーニングで使用した。
【0117】
類似体
実施形態は、Somaholの類似体も含む。
図1は、番号を付した原子を有するSomaholの構造を示す。分子は、炭素6と7の間および43と44の間に5個以上の追加のメチル基を含み得る。部分10および48の酸素は、ヒドロキシル基により置換され得る。硫黄は、リンにより置換され得る。あるいは、硫黄は、脂肪酸鎖に付着された三リン酸骨格により置換され得、または硫黄は、マグネシウム含浸コレステロールなどの種々の形態でのリポタンパク質により置換され得る。さらに、炭素(54および55)共有結合は、位置54でカリウムおよびリン酸または他の塩の反復などの塩成分を用いてイオン結合により置換され得る。54を越える位置の官能基は、別の反復のリン酸中心に直接付着できる。
【0118】
実施形態はまた、本明細書で開示される治療分子のプロドラッグも含む。
【0119】
一実施形態では、本明細書で記載の1種または複数の治療分子は、シナプス神経可塑性を刺激できる。シナプス神経可塑性は、シナプス前活性の変化に応答して強くなるまたは弱くなるるシナプスの性質として定義できる。この可塑性はしばしば、特定のニューロン上のシナプスの数の変化として現れ、それにより長期の尺度で脳全体の神経接続を変える。生検用脳組織から得られた分子機序に基づき、出願者らは、中毒脳の再構築および中毒の解消のための機序を特定した。出願者らは、式Iの化合物(即ち、Somahol)が脳に対し有益な効果を有し、それが大脳辺縁系の再構築を促進する可能性があることを提案する。
【0120】
理論に束縛されるものではないが、出願者らは、分子が、上流の相互作用のコホート活性を介してFOS、JUN、BDNF、CDC42およびCCL2の上流の制御因子に影響することを提案する。これらの直接の上流の相互作用は、直接結合、Ga12アゴニズム、タンパク質の調節的アセチル化およびアセチルコリン生合成を含むアセチルCoA代謝のアロステリック調節、アセチル化の促進を介する増大されたMDH2コード化、およびコエンザイム模倣を介するTHDP経路のアゴニズムを介する全ての5-HT受容体アゴニズムのコホートである。
【0121】
出願者らの機構モデルに基づき、これらの相互作用の下流効果は、FosB、JUN、BDNFの刺激の恒常性をもたらし、5-HT7R、5-HT2AR、オキシトシン、G共役タンパク質、ミトコンドリアの刺激および下流のフィードバックの組み合わされた活性化を介してCCL2の相対存在量を低減する。この下流の繋がりにおける活性は、オキシトシン、アセチルコリンおよびドーパミンの促進を含む。
【0122】
従って、一実施形態では、Somahol(または他の治療分子)は、5-HT受容体などの中枢および末梢神経系中で見出される1種または複数のGタンパク質共役受容体およびリガンド開口型イオンチャネルを調節できる。いくつかの実施形態では、Somahol(または他の治療分子)は、FOS、JUN、BDNF、CDC42またはCCL2などの1種または複数の癌原遺伝子に影響を与する。一実施形態では、Somaholは、オキシトシン、アセチルコリンおよび/またはドーパミンのレベルを調節する。
【0123】
これらの組み合わされた活性は、神経可塑性の増大に関与する。例えば、本明細書で記載の治療分子は、CDC42刺激を含むGa12シグナル伝達を介して樹状突起形成を効果的に改善する、アロステリックおよび直接結合の両方による機序を示し得る。分子は、特に大脳辺縁皮質、帯状回、縫線核、海馬傍回、歯状回、海馬、海馬台、扁桃体、中隔野および視床下部におけるオキシトシン、アセチルコリンおよびドーパミンに対する上述の効果を含む高められた神経ホルモンシグナル伝達に対する効果を示し得る。
【0124】
経路
神経系の不可欠な特性は、生理学的および環境的刺激に応答して機能的結合性を再構築するその能力である。神経ペプチドを含む内因性シグナルは、神経系可塑性を支配する。特に、オキシトシンは、活性依存性回路変化を媒介するその役割について認識されている。これらのオキシトシン依存性変化は、シナプスレベルで起こり、結果として、回路の細胞組成を成形する。
【0125】
図2は、オキシトシンシグナル伝達経路を示す。オキシトシンシグナル伝達の変化は、神経成熟を乱し、短期および長期病理学的結果を有する可能性がある。オキシトシンシグナル伝達の異常な調節は、神経発達障害の病因論に関連付けられる。最近の調査は、神経発達障害におけるシナプス機能不全を示した。従って、病原性機序は、治療的介入の標的であり得る。
【0126】
神経伝達物質セロトニン(5-HT)は、行動阻害、食欲抑制、気分、認知機能、体温調節および常習行為などの行動学的および精神心理学的機能において主要な役割を果たす。セロトニン(5-HT)神経伝達物質系は、特に興味深く、複数の5-HT受容体は、アルコールおよび薬物自己投与および薬物依存の発生において重要な役割を演じると考えられる。セロトニン受容体アゴニストは、1種または複数のセロトニン受容体のアゴニストである。それらは、神経伝達物質およびホルモンであり、セロトニン受容体の内因性リガンドである、セロトニン(5-ヒドロキシトリプタミン、5-HT)と同様の様式でセロトニン受容体を活性化する。
図3は、5-HT受容体および関連作用を示す。Somaholは選択的に、5-HT7受容体(即ち、5-HT
7R)を活性化し、これは最終的に、樹状突起伸長部を活性化する。
【0127】
従って、いくつかの実施形態では、Somahol(または他の治療分子)は、行動阻害、食欲抑制、気分、認知機能、体温調節および常習行為の1種または複数を調節できる。他の実施形態では、Somaholは、中毒、アルコール依存症を治療するために、および/または薬物依存の発生を防止するために投与され得る。
【0128】
Somaholは、そのアゴニスト能力について調査された。最小のK
i値は、5-HT2Bおよび5-HT7受容体で観察された。種々の5-HT受容体アゴニズム(下表1に示す)は、DJ-1(PARK7)およびアミロイドβ(a4)で高い結合親和性を示す分子の他の部分と関連する。この分子はまた、現在調査されている機序により、タンパク質、MARCS、VATA、VATB、THY1およびHPLN1の相対存在量を高める。
【表1】
【0129】
5-HT
7受容体は、体温調節、サーカディアンリズム、学習記憶、ならびに睡眠に関与する。この受容体はまた、気分調節にも関与することが推測され、それはうつ病の治療における有用な標的であり得ることを示唆する。
図2は、5-HT
7受容体により調節されるシグナル伝達経路の概略図である。左部分は、Gsタンパク質により媒介される効果を収載する。同様に、右部分は、G12媒介シグナル伝達の過程を収載する。
【0130】
いくつかの実施形態では、Somaholは、5-HT7受容体アゴニストとして患者に投与され得る。いくつかの実施形態では、Somaholは、サーカディアンリズム、学習および記憶、睡眠、気分調節および/またはうつ病を調節できる。
【0131】
いくつかの実施形態では、本明細書で開示される治療分子は、5-HT7受容体アゴニストとして患者に投与され得る。いくつかの実施形態では、分子は、サーカディアンリズム、学習および記憶、睡眠、気分調節および/またはうつ病を調節できる。分子は、A1、B1、C1、D1、E1、F1、G1、H1、A2、B2、C2、D2、E2、F2、G2、H2、A3、B3、C3、D3および/またはE3であり得る。
【0132】
RNアーゼ1
膵臓型リボヌクレアーゼは、ヒトにおいてRNアーゼ1遺伝子によりコードされる酵素である。遺伝子は、リボヌクレアーゼAスーパーファミリーのサブセットである、分泌性リボヌクレアーゼの膵臓型のメンバーをコードする。コードされるエンドヌクレアーゼは、ピリミジン塩基の3’側の内部リン酸ジエステルRNA結合を切断する。
図4は、隣接遺伝子とのRNアーゼ1の相互作用を示す。
【0133】
RNアーゼ1の機能的パートナーとしては、下記が挙げられる:
1.RNH1:リボヌクレアーゼ阻害剤;RNアーゼ1、RNアーゼ2、およびANGを阻害するリボヌクレアーゼ阻害剤。この遺伝子は、レドックス恒常性に関与し得る。
2.SE14L2:SEC14様タンパク質2;担体タンパク質。いくつかの疎水性分子に結合し、異なる細胞性部位間のそれらの移動を促進する。αトコフェロールに高親和性で結合する。また、他のトコフェロールおよびトコトリエノールにより弱い親和性で結合する。αトコフェロールとのその結合を介する転写活性化因子活性を有し得る。いくつかのスクアレン構造をおそらく認識しおよび結合し、それは、細胞中でスクアレンの代謝活性プールへの移動を増やすことにより、コレステロール生合成を調節し得ることを示唆する。
3.ANXA5(アネキシンA5)このタンパク質は、血液凝固カスケードに関与するトロンボプラスチン特異的複合体の間接的阻害剤として機能する、抗凝固剤タンパク質である。
4.RNアーゼT2(リボヌクレアーゼT2)このタンパク質は、リボヌクレアーゼ活性を有し、酸性pHでより高い活性を有する。それは同様に、リボソームRNAのリソソーム分解に関与し(類似性により)、細胞RNA異化作用に関与し得る。
5.MB(ミオグロビン)MBは、酸素の予備物資として役割を果たし、筋肉内での酸素の移動を促進する。
6.C2orf49(Ashwn;染色体2オープンリーディングフレーム49)。
7.ALB(血清アルブミン)それは、血漿の主要タンパク質であり、水、Ca(2+)、Na(+)、K(+)、脂肪酸、ホルモン、ビリルビンおよび薬物に対し良好な結合能力を有する。その主要な機能は、血液の膠質浸透圧の調節である。血漿中の主要な亜鉛輸送体であり、通常全ての血漿亜鉛の約80%を結合する。
8.DNアーゼ1(デオキシリボヌクレアーゼ1)いくつかの特徴の中で特に、DNアーゼ1は、アポトーシスによる細胞死に関与するようである。それは、G-ACTINに特異的に結合し、アクチン重合を阻止する。
9.CYCS(シトクロムc;電子運搬タンパク質)酸化型のシトクロムcヘム基は、シトクロムレダクターゼのシトクロムc1サブユニットのヘム基から電子を受け取ることができる。シトクロムcはその後、ミトコンドリアの電子輸送鎖の最終タンパク質担体である、シトクロムオキシダーゼ複合体にこの電子を輸送する。
10.P4HB(タンパク質ジスルフィドイソメラーゼ)この多機能タンパク質は、ジスルフィド結合の形成、切断および転移を触媒する。細胞表面で、それは、細胞に付着したタンパク質のジスルフィド結合を切断するレダクターゼとして機能するように見える。従って、それは、細胞外表面タンパク質の構造的修飾をもたらし得る。細胞内で、それは、新生タンパク質のジスルフィド結合を形成/再配列するように見える。高濃度で、それは、誤って折り畳まれたタンパク質の凝集を抑制するシャペロンとして機能する。低濃度で、それは、凝集を促進する(抗シャペロン活性)。
【0134】
従って、いくつかの実施形態では、Somahol(または本明細書で開示される他の治療分子)は、RNアーゼ1レベルおよび/または活性を調節するために投与され得る。いくつかの実施形態では、RNアーゼ1の機能的パートナーは、RNH1、SE14L2、ANXA5、RNASET2、MB、C2orf49、ALB、DNASE1、CYCSおよびP4HBの1種または複数を含む。
図1は、隣接遺伝子または「機能的パートナー」とのRNアーゼ1の相互作用を示す。
【0135】
CCL2
ケモカイン(C-Cモチーフ)リガンド2(CCL2)は、単球化学誘引物質タンパク質1(MCP1)および低分子誘導性サイトカインA2と呼ばれることもある。CCL2は、CCケモカインファミリーに属する低分子サイトカインである。それは、単球および好塩基球を誘引するが、好中球または好酸球を誘引しない。それはまた、単球抗腫瘍活性を高め、乾癬、関節リウマチまたはアテローム性動脈硬化症のような単球性浸潤により特徴づけられる疾患の病因に関連付けられている。最近の研究は、CCL2治療神経幹細胞が、自己複製、増殖およびニューロン分化の顕著に高められた能力を示したことを示した。同様に、
図5は、CCL2の隣接遺伝子との相互作用を示す。
【0136】
CCL2の機能的パートナーとしては、下記が挙げられる:
1.CCR2(C-Cケモカイン受容体2型;CCL2、CCL7およびCCL13ケモカインに対する受容体)。CCR2は、βデフェンシンDEFB106A/DEFB106Bの受容体である。それは、細胞内カルシウムイオンレベルを高めることによりシグナルを伝達する(類似性により)。CCL2結紮時に、それは、PI3Kカスケードの活性化、低分子Gタンパク質Racおよび葉状仮足突出部により、走化性および遊走誘導を媒介する。
2.IL10(インターロイキン-10)IL10は、活性化マクロファージにより、およびヘルパーT細胞により産生される、IFNγ、IL-2、IL-3、TNFおよびGM-CSFを含む、多数のサイトカインの合成を抑制する。
3.IL4(インターロイキン-4)IL4は、少なくともいくつかのB細胞活性化プロセスならびに他の細胞型の活性化プロセスに関与する。それは、DNA合成の共刺激分子である。それは、休止B細胞上のクラスII MHC分子の発現を誘導する。それは、IgEおよびIgG1の分泌および細胞表面発現の両方を強化する。それはまた、リンパ球および単球の両方上のIgE(CD23)の低親和性Fc受容体の発現を調節する。それはまた、マクロファージ中のIL31RA発現を正に調節する。
4.IL6(インターロイキン-6)IL6は、広範な生物学的機能を有するサイトカインである。それは、急性期応答の強力な誘発剤である。それは、B細胞のIg分泌細胞への最終分化で重要な役割を果たし、リンパ球および単球分化に関与する。それは、B細胞、T細胞、肝細胞、造血前駆細胞およびCNSの細胞に作用する。T(H)17細胞の生成に必要とされる。それはまた、マイオカインとして作用し、筋肉収縮後に血流中に排出され、油脂の分解を高めるために、およびインスリン抵抗性を改善するために作用する。
5.STAT3(シグナル伝達性転写因子3)STAT3は、インターロイキン、KITLG/SCF、(LEP)および他の成長因子に対する細胞応答を媒介するシグナル伝達物質および転写活性化剤である。活性化されると、それは、標的遺伝子のプロモーター領域に、NCOA1またはMED1などの活性化補助因子を動員する。活性化されたFGFR1、FGFR2、FGFR3およびFGFR4に対する細胞応答を媒介し得る。種々の急性期プロテイン遺伝子のプロモーター中で特定されるインターロイキン-6(IL-6)応答配列に結合する。それは、IL31RAを介してIL31により活性化される。
6.IL13(インターロイキン-13;サイトカイン)IL3は、炎症性サイトカイン産生を抑制する。それは、インターフェロンγ合成の調節において、IL2と相乗作用し、炎症性および免疫応答の調節において重要であり得る。マクロファージ中のIL31RA発現を正に調節する。
7.CXCL8(インターロイキン-8)IL-8は、好中球、好塩基球、およびT細胞を誘引するが、単球を誘引しない、走化性因子である。それはまた、好中球活性化に関与する。それは、炎症性刺激に応答して、いくつかの細胞型から放出される。IL-8(6-77)は、好中球活性化に対し5~10倍高い活性を有し、IL-8(5-77)は、好中球活性化に対し増大された活性を有し、IL-8(7-77)は、IL-8(1-77)と比較して、受容体CXCR1およびCXCR2に対しより高い親和性を有する。
8.JUN(転写因子AP-1)JUNは、エンハンサー七量体モチーフ5’-TGA[CG]TCA-3’を認識し結合する転写因子である。それは、HIPK3によりリン酸化されると、NR5A1活性を促進し、cAMPシグナル伝達経路刺激時の増大されたステロイド産生遺伝子発現をもたらし、結腸直腸癌(CRC)細胞におけるUSP28の活性化KRAS媒介転写活性化に関与する。それは、結腸直腸癌(CRC)細胞中のUSP28プロモーターに結合し、塩基性ロイシンジッパータンパク質である。
9.TNF この遺伝子は、腫瘍壊死因子(TNF)スーパーファミリーに属する多機能炎症促進性サイトカインをコードする。このサイトカインは主に、マクロファージにより分泌される。それは、その受容体TNFRSF1A/TNFR1およびTNFRSF1B/TNFBRに結合し、従って、それらを介して機能する。このサイトカインは、細胞増殖、分化、アポトーシス、脂質代謝、および凝固を含む広い範囲の生物学的過程の調節に関与する。このサイトカインは、自己免疫疾患、インスリン抵抗性、乾癬、関節リウマチ、強直性脊椎炎、結核、常染色体優性多発性嚢胞腎および癌を含む、種々の疾患に関連付けられている。この遺伝子中の変異は、脳マラリア、敗血性ショック、およびアルツハイマー病に対する感受性に影響する。マウスにおけるノックアウト研究はまた、このサイトカインの神経保護機能も示唆した。
10.FOS Fos遺伝子ファミリーは、4つのメンバー:FOS、FOSB、FOSL1、およびFOSL2からなる。これらの遺伝子は、JUNファミリーのタンパク質と二量体化でき、それにより転写因子複合体AP-1を形成する、ロイシンジッパータンパク質をコードする。従って、FOSタンパク質は、細胞増殖、分化、および形質転換の制御因子として関連付けられている。いくつかの事例では、FOS遺伝子の発現はまた、アポトーシス細胞死とも関連付けられている。
【0137】
従って、いくつかの実施形態では、Somahol(または本明細書で開示される他の治療分子)は、CCL2レベルおよび/または活性を調節するために投与され得る。いくつかの実施形態では、CCL2の機能的パートナーは、CR2、IL10、IL4、IL6、STAT3、IL13、CXCL8、JUN、TNFおよびFOSの1種または複数を含む。
【0138】
FOSB
タンパク質fosBは、FOS、FosBおよびG0/G1スイッチ調節タンパク質3(G0S3)としても知られ、ヒトではFBJマウス骨肉腫ウィルス癌遺伝子相同体B(FOSB)遺伝子によりコードされるタンパク質である。
図5は、隣接遺伝子とのFOS相互作用を示す。
図6は、隣接遺伝子とのFosB相互作用を示す。
【0139】
FOSBの機能的パートナーとしては、下記が挙げられる:
1.JUN この遺伝子は、トリ肉腫ウィルス17の推定される形質転換遺伝子である。それは、ウィルスタンパク質と高度に類似するタンパク質をコードし、特定の標的DNA配列と直接相互作用して遺伝子発現を調節する。この遺伝子は、イントロンがなく、ヒト悪性腫瘍における転座と欠失の両方に関与する染色体領域である、1p32-p31にマップされる。
2.JUND このイントロンのない遺伝子によりコードされるタンパク質は、JUNファミリーのメンバーであり、AP1転写因子複合体の機能的成分である。このタンパク質は、p53依存性の老化およびアポトーシスから細胞を保護すると提案されている。選択的翻訳開始部位の使用は、異なるアイソフォームの産生をもたらす。
3.JUNB 転写因子jun-B;一次成長因子応答後の遺伝子活性の調節に関与する転写因子である。DNA配列5’-TGA[CG]TCA-3’に結合する;bZIPファミリーに属する。
4.FOS Fos遺伝子ファミリーは、4つのメンバー:FOS、FOSB、FOSL1、およびFOSL2からなる。これらの遺伝子は、JUNファミリーのタンパク質と二量体化でき、それにより転写因子複合体AP-1を形成する、ロイシンジッパータンパク質をコードする。従って、FOSタンパク質は、細胞増殖、分化、および形質転換の制御因子として関連付けられている。いくつかの事例では、FOS遺伝子の発現はまた、アポトーシス細胞死とも関連付けられている。
5.CDK5 この遺伝子は、サイクリン依存性キナーゼタンパク質ファミリーのメンバーであるプロリン標的化セリン/トレオニンキナーゼをコードする。ファミリーの他のメンバーとは異なり、この遺伝子によりコードされるタンパク質は、細胞周期調節を直接調節しない。その代わり、このタンパク質は、哺乳類有糸分裂後中枢神経系ニューロンにおいて高レベルで発現され、シナプス可塑性および細胞骨格形成、エンドサイトーシスおよびエキソサイトーシス、ならびにアポトーシスに必要とされるタンパク質のリン酸化を介して神経遊走などの広範なプロセスで機能する。ヒトでは、検出不能レベルのタンパク質を生じるこの遺伝子のアレルバリアントは、致死性常染色体劣性遺伝脳回欠損-7に関連付けられている。選択的スプライシングは、複数の転写バリアントを生ずる。
6.EP300 この遺伝子は、アデノウィルスE1A関連細胞性p300転写性共活性剤タンパク質をコードする。それは、クロマチン再構築を介して転写を調節し細胞増殖および分化のプロセスで重要である、ヒストンアセチルトランスフェラーゼとして機能する。それは、リン酸化されたCREBタンパク質に特異的に結合することにより、cAMP遺伝子調節を媒介する。この遺伝子はまた、HIF1A(低酸素誘導性因子1α)の共活性剤として特定され、従って、VEGFなどの低酸素誘導遺伝子の刺激に関与する。この遺伝子の欠損は、ルービンスタイン-テービ症候群の原因であり、また上皮癌の一因でもあり得る。
7.MAFG グロビン遺伝子発現は、αおよびβ遺伝子クラスターの上流数kbに配置されるエンハンサー様遺伝子座調節領域に位置する核内転写因子erythroid-2(NFE2)配列エンハンサーを介して調節される(Blankら、1997で概括されている[PubMed 9166829])。NFE2 DNA結合活性は、ユビキタスな低分子Mafタンパク質(MafF、MIM604877;MafG;またはMafK、MIM600197)および組織制限的なタンパク質p45 NFE2(MIM601490)を含むヘテロ二量体からなる。両サブユニットは、塩基性ロイシンジッパー(bZIP)タンパク質の活性化剤タンパク質1様スーパーファミリーのメンバーである。
8.EGR1 この遺伝子によりコードされるタンパク質は、C2H2型フィンガータンパク質のEGRファミリーに属する。それは、核タンパク質であり、転写制御因子として機能する。それが活性化する標的遺伝子の産物は、分化および有糸分裂誘発に必要とされる。研究は、これが癌サプレッサー遺伝子であることを示唆する。
9.MYC(Myc癌原遺伝子タンパク質) MYCは、非特異的方式でDNAを結合する転写因子であるが、さらにまたコア部配列5’-CAC[GA]TG-3’を特異的に認識する。成長関連遺伝子の転写を活性化する。VEGFAプロモーターに結合し、VEGFA産生およびそれに続く発芽による血管新生を促進する;ベーシック・ヘリックス・ループ・ヘリックスタンパク質である。
10.HIST1H2BA ヒストンは、真核生物における染色体の繊維のヌクレオソーム構造に関与する塩基性核タンパク質である。ヌクレオソームは、4つのコア部ヒストン(H2A、H2B、H3、およびH4)のそれぞれの対からなるヒストン八量体の周りに巻き付いた約146bpのDNAからなる。クロマチン繊維は、ヌクレオソーム間のDNAと、リンカーヒストンH1の相互作用を介してさらに圧縮されて、より高次のクロマチン構造を形成する。この遺伝子は、イントロン無しであり、ヒストンH2Bファミリーの精巣/精子特異的メンバーである複製依存性ヒストンをコードする。この遺伝子の転写物は、回文終止配列を含む。
【0140】
従って、いくつかの実施形態では、Somahol(または本明細書で開示される他の治療分子)は、FosBレベルおよび/または活性を調節するために投与され得る。いくつかの実施形態では、FosBの機能的パートナーは、JUN、JUND、JUNB、FOS(即ち、別のメンバー)、CDK5、EP300、MAFG、EGR1、MYCおよびHIST1H2BAの1種または複数を含む。
【0141】
SLC39A8
SLC39A8遺伝子は、溶質キャリア遺伝子のSLC39ファミリーのメンバーをコードし、これは、亜鉛輸送体の構造的特徴を示す。コードされるタンパク質は、グリコシル化され、細胞膜およびミトコンドリア中で見出され、炎症の開始時に亜鉛の細胞内導入において機能する。それはまた、有害カチオンカドミウムの一次輸送体であると考えられ、これは、たばこの煙中で見出される。異なるアイソフォームをコードする複数転写物バリアントが、この遺伝子で見つかった。この遺伝子の追加の選択的スプライスによる転写物バリアントが報告されたが、それらの完全長の性質は知られていない。
図7は、隣接遺伝子と相互作用するSLC39A8を示す。
【0142】
SLC39A8の機能的パートナーとしては、下記が挙げられる:
1.SLC30A1(亜鉛輸送体1) SLC30A1は、細胞からの亜鉛輸送に関与し得る;カチオン拡散促進物質(CDF)輸送体(TC2.A.4)に属する。
2.SLC39A14(亜鉛輸送体ZIP14) SLC39A14は、亜鉛取り込み選好を有する広範囲にわたる金属イオン輸送体である。それはまた、非トランスフェリン結合鉄の細胞取り込みを媒介する;ZIP輸送体(TC2.A.5)ファミリーに属する。
3.SLC39A2 この遺伝子は、金属イオン輸送体のZIPファミリーのメンバーをコードする。コードされるタンパク質は、亜鉛輸送体として機能する。この遺伝子中の変異は、頸動脈疾患に対する感受性と関連付けられ得る。複数の転写物バリアントが、記載されている。
4.SLC39A1 この遺伝子は、亜鉛-鉄パーミアーゼファミリーのメンバーをコードする。コードされるタンパク質は、細胞膜に局在化し、亜鉛取込み輸送体として作用する。この遺伝子は、前立腺癌、乳癌、およびアルツハイマー病に関連付けられている
。選択的スプライシングは、複数の転写バリアントを生ずる。
5.SLC39A9(亜鉛輸送体ZIP9) この遺伝子は、亜鉛流入輸送体として作用し得る;ZIP輸送体(TC2.A.5)ファミリーに属する。
6.SLC30A10 この遺伝子は、肝臓中で高度に発現され、マンガンにより誘導可能である。そのタンパク質産物は、マンガンレベルの維持に重要であるように見え、亜鉛よりマンガンに対しより高い特異性を有する。機能喪失型変異は、ジストニアおよび成人発症パーキンソニズムを含む、多形性表現型を生ずるように見える。選択的スプライスによる転写物バリアントが、この遺伝子について観察されている。
7.SLC30A7 亜鉛は、多数の酵素、核内転写因子、およびホルモンに対する補因子として、および細胞内および細胞間シグナルイオンとして、機能する。SLC30A7などのカチオン拡散促進物質ファミリーの亜鉛輸送体(ZNT)/SLC30亜科のメンバーは、亜鉛の細胞流出を可能にする。
8.SLC30A6 この遺伝子は、亜鉛輸送体として機能するタンパク質のファミリーのメンバーをコードする。このタンパク質は、ゴルジおよび小胞中の亜鉛の細胞内レベルを調節できる。この遺伝子の発現は、アルツハイマー病脳プラーク中で変わる。
9.SLC30A5 この遺伝子は、亜鉛輸送体タンパク質のSLC30A/ZnTファミリーのメンバーをコードする。ZnTタンパク質は、細胞性亜鉛流出および膜結合型のオルガネラ中への亜鉛隔離の両方を媒介する。コードされるタンパク質は、亜鉛輸送体6とのヘテロ二量体として初期分泌経路に関与し、また、膵臓ベータ細胞の分泌顆粒中への亜鉛隔離を調節し得る。複数のアイソフォームをコードする選択的スプライスによる転写物バリアントが、この遺伝子について観察され、この遺伝子の偽遺伝子は、染色体19の長腕上に位置する。
10.SLC39A11 亜鉛輸送体ZIP11;細胞性亜鉛輸送体として機能する。
【0143】
従って、いくつかの実施形態では、Somahol(または本明細書で開示される他の治療分子)は、SLC39A8レベルおよび/または活性を調節するために投与され得る。いくつかの実施形態では、SLC39A8の機能的パートナーは、SLC30A1、SLC39A14、SLC39A2、SLC39A1、SLC39A9、SLC30A10、SLC30A7、SLC30A6、SLC30A5およびSLC39A11の1種または複数を含む。
【0144】
C9orf135
C9ORF135は、229-アミノ酸タンパク質をコードする遺伝子である。それは、ホモ・サピエンスゲノムの染色体9上の9q12.21に位置する。このタンパク質は、アミノ酸124~140に膜貫通ドメインを有し、アミノ酸75にグリコシル化部位を有する。C9orf135は、神経発生と関連付けられている。
図8は、隣接遺伝子と相互作用するC9ORF135を示す。
【0145】
C9orf135の機能的パートナーとしては、下記が挙げられる:
1.TPRG1(腫瘍タンパク質P63調節1) TPRG1はタンパク質コード遺伝子である。TPRG1に関連する疾患は、混合脂肪肉腫を含む。この遺伝子の重要なパラログは、TPRG1Lである。
2.DRICH1(アスパラギン酸リッチ1) DRICH1は、タンパク質コード遺伝子である。DRICH1に関連する疾患は、小児期急性リンパ性白血病および網膜色素変性症49を含む。この遺伝子の重要なパラログは、C22orf42である。
3.CCDC42(コイルドコイルドメイン含有タンパク質42) CCDC42は、精子形成に必要とされる。
4.ODF4 この遺伝子は、成熟精子の尾部の外側の密な繊維中に局在するタンパク質をコードする。このタンパク質は、精子尾部中におけるいくつかの重要な役割を有すると考えられる。選択的スプライシングは、複数の転写バリアントを生ずる。
5.HDDC2(HDドメイン含有2) HDDC2ファミリーに属する。
6.FAM160B1(FHIP2A、FHF複合体サブユニットHOOK相互作用タンパク質2A) タンパク質コード遺伝子である。FHIP2Aに関連する疾患は、症候性知的障害および無涙症、アカラシア、および精神発達遅滞症候群を含む。この遺伝子の重要なパラログは、FHIP2Bである。
7.IGSF3 この遺伝子によりコードされるタンパク質は、いくつかのV型免疫グロブリン様ドメインを含む免疫グロブリン様膜タンパク質である。この遺伝子における変異は、両側性鼻涙管閉塞(LCDD)と関連付けられている。
8.POU51 この遺伝子は、胚発生および幹細胞多能性で重要な役割を果たすPOUホメオドメインを含む転写因子をコードする。成体組織中でのこの遺伝子の異常発現は、腫瘍形成に関連する。この遺伝子は、染色体21上のユーイング肉腫遺伝子との転座に関与することがあり、これもまた、腫瘍形成をもたらす。選択的スプライシング、ならびにAUGと非AUG翻訳開始コドンのどちらかの選択的使用は、複数のアイソフォームを生じる。AUG開始コドンの1つは、ヒト集団において多形性である。関連偽遺伝子が、染色体1、3、8、10、および12で特定されている。
9.LRCH2 この遺伝子は、ロイシンリッチ反復およびカルポニン相同ドメイン含有タンパク質ファミリーのメンバーをコードする。これらのファミリーメンバーは、アクチンフィラメントとの相互作用を媒介する一種のドメインであるC末端カルポニン相同ドメインに加えて、複数のN末端ロイシンリッチ反復を含む。これらのタンパク質は、動物種全体にわたり保存され、類似のショウジョウバエ属タンパク質の研究は、細胞骨格の足場タンパク質としての機能を示す。この遺伝子の選択的スプライシングは、複数の転写バリアントを生ずる。
10.CLRN3(Clarin3) CLRN3は、タンパク質コード遺伝子である。CLRN3に関連する疾患は、アッシャー症候群および胃管状腺癌を含む。この遺伝子の重要なパラログは、CLRN2である。
【0146】
従って、いくつかの実施形態では、Somahol(または本明細書で開示される他の治療分子)は、C9orf135レベルおよび/または活性を調節するために投与され得る。いくつかの実施形態では、C9orf135の機能的パートナーは、TPRG1、DRICH1、CCDC42、ODF4、HDDC2、FAM160B1、IGSF3、POU51、LRCH2およびCLRN3の1種または複数を含む。
【0147】
ENTPD4
ENTPD4遺伝子は、アピラーゼタンパク質ファミリーのメンバーをコードする。アピラーゼは、カルシウムまたはマグネシウム依存的方式でヌクレオチド二リン酸および三リン酸の加水分解を触媒する酵素である。コードされるタンパク質は、エンドアピラーゼであり、リソソームからのヌクレオチド回収に関与し得る。複数のアイソフォームをコードする選択的スプライスによる転写物バリアントが、この遺伝子について観察され、これらのアイソフォームは、二価の陽イオン依存および基質特異性において異なり得る。
図9は、隣接遺伝子と相互作用するENTPD4を示す。
【0148】
ENTPD4の機能的パートナーとしては、下記が挙げられる:
1.ADSSL1 この遺伝子は、アデニロコハク酸シンターゼタンパク質ファミリーのメンバーをコードする。コードされる筋肉特異的酵素は、アデノシン一リン酸(AMP)へのイノシン一リン酸(IMP)の変換における第1ステップを触媒することにより、プリンヌクレオチドサイクルに関与する。この遺伝子の変異は、青年期発症型の遠位型ミオパチーを引き起こし得る。選択的スプライシングは、複数の転写バリアントを生ずる。
2.ITPA(イノシン三リン酸ピロホスファターゼ) ITPAは、非標準プリンヌクレオチドイノシン三リン酸(ITP)、デオキシイノシン三リン酸(DITP)ならびに2’-デオキシ-N-6-ヒドロキシルアミノプリン三リン酸(dHAPTP)およびキサントシン 5’-三リン酸(XTP)をそれらのそれぞれの一リン酸誘導体へと加水分解するピロホスファターゼである。この酵素は、デオキシ型とリボース型を区別しない。おそらくRNAおよびDNA前駆物質プールから非標準プリンを排除し、従ってRNAおよびDNA中へのそれらの組み込みを防ぎ染色体病変を回避する。
3.ATIC この遺伝子は、新規プリン生合成経路の最後の2つのステップを触媒する二官能性タンパク質をコードする。N末端ドメインは、ホスホリボシルアミノイミダゾールカルボキサミドホルミルトランスフェラーゼ活性を有し、C末端ドメインは、IMPシクロヒドロラーゼ活性を有する。この遺伝子における変異は、AICA-リボシド尿症を生ずる。
4.ENPP3 この遺伝子によりコードされるタンパク質は、細胞外のヌクレオチドの加水分解に関与する一連のエクトエンザイムに属する。これらのエクトエンザイムは、ATPアーゼおよびATPピロホスファターゼ活性を有し、II型膜貫通型タンパク質である。関連するラットmRNAの発現が、未成熟グリア細胞のサブセットおよび消化管中で見つけられた。対応するラットタンパク質は、膵臓、小腸、結腸、および肝臓で検出された。ヒトmRNAは、神経膠腫細胞、前立腺、および子宮で発現される。ヒトタンパク質の発現は、子宮、好塩基球、およびマスト細胞中で検出された。1つはタンパクをコードし、もう一つ非タンパクをコードしない、2つの転写物バリアントが、この遺伝子で見つかった。
5.ADSS この遺伝子は、アデノシン一リン酸へのイノシン一リン酸の変換の最初のステップを触媒する、酵素アデニロコハク酸シンテターゼをコードする。この遺伝子の偽遺伝子は、染色体17上で見出される。
6.ENPP1 この遺伝子は、エクトヌクレオチドピロホスファターゼ/ホスホジエステラーゼ(ENPP)ファミリーのメンバーである。コードされるタンパク質は、2つの同一のジスルフィド結合サブユニットを含むII型膜貫通型糖タンパク質である。このタンパク質は、広範な特異性を有し、ヌクレオチドおよびヌクレオチド糖のリン酸ジエステル結合ならびにヌクレオチドおよびヌクレオチド糖のピロリン酸結合を含む、種々の基質を切断する。このタンパク質は、ヌクレオシド5’三リン酸をそれらの対応する一リン酸へと加水分解するように機能し、またジアデノシンポリリン酸も加水分解し得る。この遺伝子の変異は、「特発性」乳児動脈石灰化症、脊椎の後部長手方向靱帯の骨形成(OPLL)、およびインスリン抵抗性に関連付けられている。
7.ENTPD6 ENTPD6は、E型ヌクレオチダーゼ(ヌクレオチド三リン酸分解酵素)に類似する。CD39などのヌクレオチド三リン酸分解酵素は、細胞外ヌクレオチドの異化作用を媒介する。ENTPD6は、ヌクレオチド三リン酸分解酵素の特徴である4つのアピラーゼ保存領域を含む。選択的スプライシングは、異なるアイソフォームをコードする複数の転写バリアントを生ずる。
8.ENTPD5 この遺伝子によりコードされるタンパク質は、E型ヌクレオチダーゼ(ヌクレオチド三リン酸分解酵素)/エクト-ATPアーゼ/アピラーゼに類似する。CD39などのヌクレオチド三リン酸分解酵素は、細胞外ヌクレオチドの異化作用を媒介する。ENTPD5は、ヌクレオチド三リン酸分解酵素の特徴である4つのアピラーゼ保存領域を含む。
9.PKM この遺伝子は、解糖作用に関与するタンパク質をコードする。コードされるタンパク質は、ホスホエノールピルビン酸からADPへのホスホリル基の転移を触媒するピルビン酸キナーゼである。このタンパク質は、甲状腺ホルモンと相互作用することが示され、甲状腺ホルモンにより誘導される細胞性代謝効果を媒介し得る。このタンパク質は、ヒト細胞の侵入での淋菌付着に関与する細菌性外膜タンパク質である、Opaタンパク質を結合すると見出され、このタンパク質の細菌性病因における役割を示唆する。少数の別個のアイソフォームをコードする、いくつかの選択的スプライスによる転写物バリアントが、報告されている。
10.UMPS この遺伝子は、ウリジン5’-一リン酸シンターゼをコードする。コードされるタンパク質は、新規プリン生合成経路の最後の2つのステップを触媒する二官能性タンパク質である。最初の反応は、オロチジン-5’-一リン酸へとオロチン酸を変換する、N末端酵素オロト酸ホスホリボシルトランスフェラーゼにより実施される。終わりの反応は、ウリジン一リン酸へとオロチジン-5’-一リン酸を変換する、C末端酵素OMPデカルボキシラーゼにより実施される。この遺伝子における欠損は、遺伝性オロト酸尿症の原因である。選択的スプライシングは、複数の転写バリアントを生ずる。
【0149】
従って、いくつかの実施形態では、Somaholは、ENTPD4レベルおよび/または活性を調節するために投与され得る。いくつかの実施形態では、ENTPD4の機能的パートナーは、ADSSL1、ITPA、ATIC、ENPP3、ADSS、ENPP1、ENTPD6、ENTPD5、PKMおよびUMPSの1種または複数を含む。
【0150】
OXT
オキシトシンは、動物およびヒトの生殖および社会的行動に関与する神経ペプチドである。オキシトシンは、シナプスおよび細胞可塑性機序の両方を介して動作して、脳回路を配線し直して感覚刺激のニューロン表現を高める。この高められた感覚性サリエンスは、複雑な挙動の形成および維持の両方を促進する。次の3つのオキシトシンシグナル伝達遺伝子:OXT(オキシトシンのための構造遺伝子)、OXTR(オキシトシン受容体)、およびCD38(オキシトシン分泌)はしばしば、ヒトの社会的行動に関連付けられている。この遺伝子は、プロセスされてオキシトシンおよびニューロフィジンIを産生する、前駆体タンパク質をコードする。オキシトシンは、その担体タンパク質ニューロフィジンIと共に視床下部中で不活性前駆物質として合成される、後部下垂体ホルモンである。ニューロフィジンと共に、それは、神経分泌小胞中にパッケージされ、神経下垂体の神経終末に軸索性に輸送され、そこでそれは、貯蔵されるかまたは血流中に分泌される。前駆物質は、活性化されるように見え、一方でそれは、軸後部下垂体へと索に沿って輸送される。このホルモンは、出産および授乳の間に、平滑筋を収縮させる。それはまた、認知、耐性、適応および複雑な性行動および母性行動、ならびに水排泄および心血管系機能の調節に関与する。
【0151】
OXTの機能的パートナーとしては、下記が挙げられる:
1.OXTR(オキシトシン受容体;オキシトシンのための受容体) この遺伝子によりコードされるタンパク質は、Gタンパク質結合受容体ファミリーに属し、オキシトシンの受容体として作用する。その活性は、ホスファチジルイノシトール-カルシウムセカンドメッセンジャー系を活性化する、Gタンパク質により媒介される。オキシトシン-オキシトシン受容体系は、出産中の子宮で重要な役割を果たす。
2.NPS(神経ペプチドS) NPSは、覚醒状態および不安を調節する。それは、重要な食欲抑制の役割(類似性により)を果たす。その受容体NPSR1にナノモルの親和性で結合して、細胞内のカルシウム濃度を高める。
3.TRH(プロ甲状腺刺激ホルモン放出ホルモン) この遺伝子は、チロトロピン放出ホルモンファミリーのメンバーをコードする。コードされるプロタンパク質の切断は、トリペプチド視床下部調節性ホルモンである、成熟チロトロピン放出ホルモンを放出する。ヒトのプロタンパク質は、6つのチロトロピン放出ホルモントリペプチドを含む。チロトロピン放出ホルモンは、甲状腺刺激ホルモン、ならびにプロラクチンの調節および放出に関与する。このホルモンの欠損は、視床下部甲状腺機能低下症に関連付けられている。
4.CCK(コレシストキニン) このペプチドホルモンは、胆嚢収縮および腸中での膵臓酵素の放出を誘導する。この遺伝子は、いくつかのガストリン/コレシストキニンタンパク質ファミリーのメンバーをコードする。コードされるプレプロタンパクは、タンパク分解的にプロセスされて、ペプチドホルモンコレシストキニン-8、-12、-33などを含む、複数のタンパク質産物を生成する。コードされるペプチドは、胃酸分泌および食物摂取を調節することが示されている。コレシストキニン-8の硫酸化型は、脳中のニューロン活動を調節し得る。選択的スプライシングは、複数の転写バリアントを生ずる。
5.GNRH1 この遺伝子は、タンパク分解的にプロセスされてゴナドトロピン放出ホルモン(GnRH)ペプチドファミリーのペプチドのメンバーであるペプチドを生成する、プレプロタンパクをコードする。選択的スプライシングは、複数の転写物バリアントを生じ、それらの少なくとも1つは分泌され、その後切断されて、ゴナドリベリン-1およびGnRH関連ペプチド1を生成する。ゴナドリベリン-1は、生殖に重要な黄体形成および卵胞刺激ホルモンの放出を刺激する。この遺伝子における変異は、低ゴナドトロピン性性腺機能低下症に関連付けられている。
6.AVP この遺伝子は、バソプレシン/オキシトシンファミリーのメンバーおよびタンパク分解的にプロセスされて複数のタンパク質産物を生成する、プレプロタンパクをコードする。これらの産物は、神経ペプチドホルモンアルギニンバソプレシン、および2つの他のペプチドのニューロフィジン2およびコペプチンを含む。アルギニンバソプレシンは、視床下部の視索上部核および室傍核中で合成される後部下垂体ホルモンである。その担体タンパク質であるニューロフィジン2と共に、それは、神経分泌小胞中にパッケージされ、神経下垂体の神経終末に軸索性に輸送され、そこでそれは、貯蔵されるか、または血流中に分泌される。前駆物質は、活性化されると考えられ、一方でそれは、軸索に沿って後部下垂体に輸送される。アルギニンバソプレシンは、酸塩基の輸送システムを介してpH調節を高めることにより、成長因子として作用する。それは、腎臓に対し直接抗利尿作用を有し、また末梢血管の血管収縮を引き起こす。このホルモンは、出産および授乳の間、平滑筋を収縮させことができる。それはまた、認知、耐性、適応および複雑な性行動および母性行動、ならびに水排泄および心血管系機能の調節に関与する。この遺伝子における変異は、常染色体優性神経下垂体尿崩症(ADNDI)を引き起こす。この遺伝子は、染色体20上の関連遺伝子オキシトシンを有する遺伝子クラスター中に存在する。
7.AVPR1A この遺伝子によりコードされるタンパク質は、アルギニンバソプレシンの受容体として作用する。この受容体は、AVPR1B、V2RおよびOXT受容体を含む、Gタンパク質結合受容体の亜科に属する。その活性は、ホスファチジルイノシトール-カルシウムセカンドメッセンジャー系を刺激する、Gタンパク質により媒介される。この受容体は、細胞収縮および増殖、血小板凝集、凝固因子の放出およびグリコーゲン分解を媒介する。
8.HCRT この遺伝子は、タンパク分解的プロセシングにより、2つの成熟神経ペプチドのオレキシンAおよびオレキシンBを生じる視床下部神経ペプチド前駆体タンパク質をコードする。オレキシンAおよびオレキシンBは、オーファンGタンパク質結合受容体HCRTR1およびHCRTR2に結合し、睡眠および覚醒状態の調節において機能する。この神経ペプチドの配置はまた、摂食行動、代謝、および恒常性に関与し得る。
9.AVPR1B この遺伝子によりコードされるタンパク質は、アルギニンバソプレシンの受容体として作用する。この受容体は、AVPR1A、V2RおよびOXT受容体を含む、Gタンパク質結合受容体の亜科に属する。その活性は、ホスファチジルイノシトール-カルシウムセカンドメッセンジャー系を刺激する、Gタンパク質により媒介される。この受容体は主に、下垂体前葉中に位置し、そこでそれは、ACTH放出を刺激する。それは、ACTH分泌下垂体腺腫中でならびに異所性ACTH症候群の原因である気管支カルチノイド中で高レベルで発現される。この遺伝子のスプラスされたアンチセンス転写物が報告されたが、その機能は知られていない。
10.TAC1 この遺伝子は、タキキニンペプチドホルモンファミリーの4つの産物:物質PおよびニューロキニンA、ならびに関連ペプチドの神経ペプチドKおよび神経ペプチドγをコードする。これらのホルモンは、神経受容体および平滑筋細胞と相互作用する、神経伝達物質として機能すると考えられている。それらは、行動応答を誘導しかつ、血管拡張剤および分泌促進物質として機能することが知られている。物質Pは、抗菌および抗真菌特性を有する抗菌性ペプチドである。異なるアイソフォームをコードする複数転写物バリアントが、この遺伝子で見つかっている。
【0152】
従って、いくつかの実施形態では、Somahol(または本明細書で開示される他の治療分子)は、オキシトシンレベルおよび/または活性を調節するために投与され得る。いくつかの実施形態では、オキシトシンの機能的パートナーは、OXTR、NPS、TRH、CCK、GNRH1、AVP、AVPR1A、HCRT、AVPR1BおよびTAC1の1種または複数を含む。
【0153】
使用の方法
Somaholおよび類似体は、当該技術分野において周知であるように、治療される障害および患者の年齢、状態、および体重に応じて、種々の形態で投与され得る。例えば、組成物が経口投与される場合、それらは、錠剤、顆粒、粉剤、またはシロップとして処方され得る;または非経口的投与のために、それらは、注射薬(静脈内、筋肉内、または皮下注射用の)、液滴注入製剤、または坐剤として処方され得る。任意の好適な投与経路または投与方法を、治療または予防に有効量の治療用ペプチドを患者に提供するために採用できる。例示的投与経路および方法は、非経口(例えば、静脈内、動脈内、筋肉内、皮下、腫瘍内)、経口、局所(経鼻、経皮、皮内または眼内)、粘膜(例えば、経鼻、舌下、頬側、直腸、腟)、吸入、結節内、脊髄内、頭蓋内、腹腔内、気管内、膀胱内、髄腔内、腸内、肺内、結節内、腔内、眼窩内、関節内および経尿道、ならびにカテーテルまたはステントによる局所送達を含む。
【0154】
本明細書記載の方法は、慢性疼痛および中枢性の過敏化に関連する多数の障害を治療するために使用され得る。これらの傷害としては、例えば、線維筋痛症、関節リウマチ、変形性関節症、慢性関節症、腫瘍および/または椎間板ヘルニアに関連する脊椎神経圧迫症候群、慢性背部痛、慢性関節痛、三叉神経痛、慢性疼痛に関連する慢性代謝神経障害、片頭痛、炎症性疼痛、幻肢痛を含む手術後の痛み症候群、外傷後ストレス障害、過敏性腸症候群、自律神経ニューロパチー、くも膜炎、慢性限局性疼痛症候群、外陰部痛、および中枢性の過敏化経路の活性化に関連する慢性疼痛症候群が挙げられる。
【0155】
本開示による治療小分子を含む医薬組成物は、任意の薬学的に許容可能な担体または賦形剤中で処方され得る。本明細書で使用される場合、用語「薬学的に許容可能な担体」は、生理学的に適合性のあるありとあらゆる溶媒、分散媒、コーティング、抗菌剤および抗真菌剤、等張剤および吸収遅延剤等を含む。医薬組成物は、好適な固相またはゲル相担体または賦形剤を含んでよい。例示的担体または賦形剤は、炭酸カルシウム、燐酸カルシウム、種々の糖、デンプン、セルロース誘導体、ゼラチン、およびポリエチレングリコールなどの高分子を含む。薬学的に許容可能な担体の例は、水、生理食塩水、リン酸緩衝生理食塩水、デキストロース、グリセロール、エタノール等の内の1種または複数、ならびにそれらの組み合わせを含む。多くの場合、組成物中に等張剤、例えば、糖、マンニトール、ソルビトールなどのポリアルコール、または塩化ナトリウムを含むことが好ましいであろう。薬学的に許容可能な担体は、治療薬の貯蔵寿命または有効性を高める、湿潤剤または乳化剤、防腐剤または緩衝剤などの少量の補助物質をさらに含み得る。
【0156】
治療小分子は、非経口的投与に好適な医薬組成物中に組み込まれ得る。好適な緩衝液は、限定されないが、コハク酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム、リン酸ナトリウムまたはリン酸カリウムを含む。塩化ナトリウムは、0~300mM(液体剤形用に最適には150mM)の濃度で、溶液の毒性を変えるために使用され得る。凍結保護物質は、主に0~10%スクロース(最適には0.5~1.0%)が、凍結乾燥剤形のために含まれ得る。他の好適な凍結保護物質は、トレハロースおよびラクトースを含む。増量剤は、主に1~10%マンニトール(最適には2~4%)が、凍結乾燥剤形のために含まれ得る。安定剤は、主に1~50mMのL-メチオニン(最適には5~10mM)が、液体および凍結乾燥剤形の両方で使用され得る。他の好適な増量剤は、グリシン、アルギニンを含み、0~0.05%未満のポリソルベート80(最適には0.005~0.01%)として含まれ得る。追加の界面活性物質としては、限定されないが、ポリソルベート20およびBRIJ界面活性物質が挙げられる。
【0157】
治療小分子配合物は、好ましくは減圧下で、凍結乾燥され無菌粉末として貯蔵され、その後注入の前に静菌水(例えば、ベンジルアルコール防腐剤を含む)または無菌水で再構成され得る。医薬組成物は、注入、例えば、ボーラス注入、または点滴による非経口投与用に処方され得る。
【0158】
治療小分子は、予防措置として(即ち、病気を回避するために)1回または複数回投与され得る。あるいは、治療小分子は、1回でまたは一連の治療にわたり患者に適宜投与され、診断以後からいつでも患者に投与されてよい。治療小分子は、単独療法として、または当該状態の治療に有用な他の薬物または治療法と併せて、投与されてよい。
【0159】
本発明の特定の実施形態が、発明者らに既知の本発明を実施するための最良の形態を含み、本明細書に記載される。当然のことながら、これらの記載される実施形態に対する変形形態は、これまでの記載を読めば、当業者に明らかとなるであろう。発明者は、当業者が必要に応じてこのような変更を採用することを予期しており、および発明者らは、本発明が本明細書で具体的に記載される方法とは別の方法で実施されることを意図する。従って、本発明は、適用法で認められる本明細書に添付の請求項に記載される主題の全ての変形物および等価物を含む。さらに、その全ての可能な変形物における上述の実施形態のあらゆる組み合わせは、本明細書で特に指示がない限り、またはさもなければ文脈と明確に矛楯することがない限り、本出願に包含される。
【0160】
本発明の代替実施形態、要素、またはステップのグループ分けは、本発明を限定するものと解釈されるべきではない。各グループのメンバーは、個別にまたは、本明細書で開示される他のグループメンバーとの任意の組み合わせで参照され請求されてよい。グループの1つまたは複数のメンバーが、利便性および/または特許性の理由で、グループに含まれるか、またはグループから除去される場合があることが予測される。何らかのこのような包含または削除が生じた場合、明細書は、修正され従って添付の請求項で使用される全てのマーカッシュグループの記述要件を満たすグループを含むものと見なされる。
【0161】
投与
本開示による治療分子を含む医薬組成物は、任意の薬学的に許容可能な担体または賦形剤中で処方され得る。本明細書で使用される場合、用語「薬学的に許容可能な担体」は、生理学的に適合性のあるすべての溶媒、分散媒、コーティング、抗菌剤および抗真菌剤、等張剤および吸収遅延剤等を含む。医薬組成物は、好適な固相またはゲル相担体または賦形剤を含み得る。例示的担体または賦形剤は、炭酸カルシウム、燐酸カルシウム、種々の糖、デンプン、セルロース誘導体、ゼラチン、およびポリエチレングリコールなどの高分子を含む。薬学的に許容可能な担体の例は、水、生理食塩水、リン酸緩衝生理食塩水、デキストロース、グリセロール、エタノール等の内の1種または複数、ならびにそれらの組み合わせを含む。多くの場合、組成物中に等張剤、例えば、糖、マンニトール、ソルビトールなどのポリアルコール、または塩化ナトリウムを含むことが好ましいであろう。薬学的に許容可能な担体は、治療薬の貯蔵寿命または有効性を高める少量の補助物質、例えば、湿潤剤または乳化剤、防腐剤または緩衝剤をさらに含み得る。
【0162】
医薬組成物中の治療薬は、「治療的有効量」または「予防的有効量」で処方され得る。「治療的有効量」は、所望の治療結果を達成するために必要な用量でかつ期間の間、効果的な量を指す。治療的有効量は、治療される状態、状態の重症度および経過、投与方法、薬剤が予防目的で投与されるか、治療目的で投与されるかどうか、特定の薬剤の生物学的利用度、個体において治療小分子が目的の応答を誘発する能力、前治療、患者の年齢、体重および性別、患者の臨床歴および薬剤に対する応答、使用する治療小分子のタイプ、主治医の自由裁量、などに応じて変化し得る。治療的有効量はまた、治療上有益な効果がなんらかの毒性のまたは有害な作用を上回る量である。「予防的有効量」は、所望の予防結果を達成するために、必要な用量でおよび期間の間、効果的な量を指す。
【0163】
SOMAHOL(または本明細書で開示される他の治療分子)を含む溶液は、1回または一連の治療にわたり患者に適切に投与され、診断以後からいつでも患者に投与されてよい。あるいは、それは、予防的措置(即ち、病気を回避するために)として投与され得る。液剤は、単独療法として、または当該状態の治療に有用な他の薬物または治療法と併せて、投与されてよい。
【0164】
一般命題として、本明細書で開示される治療分子の治療的有効量または予防的有効量は、1回または複数回の投与によるかに関係なく、約1ng/kg体重~約100mg/kg体重の範囲で投与される。特定の実施形態では、各治療小分子は、約1ng/kg体重~約10mg/kg体重、約1ng/kg体重~約1mg/kg体重、約1ng/kg体重~約100g/kg体重、約1ng/kg体重~約10g/kg体重、約1ng/kg体重/日~約1g/kg体重、約1ng/kg体重~約100ng/kg体重、約1ng/kg体重~約10ng/kg体重、約10ng/kg体重~約100mg/kg体重、約10ng/kg体重~約10mg/kg体重、約10ng/kg体重~約1mg/kg体重、約10ng/kg体重/~約100g/kg体重、約10ng/kg体重~約10mg/kg体重、約10ng/kg体重~約1mg/kg体重、10ng/kg体重~約100ng/kg体重/、約100ng/kg体重~約100mg/kg体重、約100ng/kg体重~約10mg/kg体重、約100ng/kg体重~約1mg/kg体重、約100ng/kg体重~約100mg/kg体重、約100ng/kg体重~約10mg/kg体重、約100ng/kg体重~約1mg/kg体重、約1mg/kg体重~約100mg/kg体重、約1mg/kg体重~約10mg/kg体重/日、約1mg/kg体重~約1mg/kg体重、約1mg/kg体重~約100mg/kg体重、約1mg/kg体重~約10mg/kg体重、約10mg/kg体重~約100mg/kg体重、約10mg/kg体重~約10mg/kg体重、約10mg/kg体重~約1mg/kg体重/日、約10mg/kg体重~約100mg/kg体重、約100mg/kg体重/日~約100mg/kg体重、約100mg/kg体重/日~約10mg/kg体重、約100mg/kg体重/日~約1mg/kg体重、約1mg/kg体重~約100mg/kg体重、約1mg/kg体重~約10mg/kg体重、約10mg/kg体重~約100mg/kg体重/日の範囲で投与される。
【0165】
いくつかの実施形態では、本明細書で開示される治療分子は、個別投与当り約10ng~約100ng、個別投与当り約10ng~約1g、個別投与当り約10ng~約10g、個別投与当り約10ng~約100mg、個別投与当り約10ng~約1mg、個別投与当り約10ng~約10mg、個別投与当り約10ng~約100mg、注入当り約10ng~約1000mg、個別投与当り約10ng~約10,000mg、個別投与当り約100ng~約1mg、個別投与当り約100ng~約10mg、個別投与当り約100ng~約100mg、個別投与当り約100ng~約1mg、個別投与当り約100ng~約10mg、個別投与当り約100ng~約100mg、注入当り約100ng~約1000mg、個別投与当り約100ng~約10,000mg、個別投与当り約1mg~約10mg、個別投与当り約1mg~約100mg、個別投与当り約1mg~約1mg、個別投与当り約1mg~約10mg、個別投与当り約1mg~約100mg、注入当り約1mg~約1000mg、個別投与当り約1mg~約10,000mg、個別投与当り約10mg~約100mg、個別投与当り約10mg~約1mg、個別投与当り約10mg~約10mg、個別投与当り約10mg~約100mg、注入当り約10mg~約1000mg、個別投与当り約10mg~約10,000mg、個別投与当り約100mg~約1mg、個別投与当り約100mg~約10mg、個別投与当り約100mg~約100mg、注入当り約100mg~約1000mg、個別投与当り約100mg~約10,000mg、個別投与当り約1mg~約10mg、個別投与当り約1mg~約100mg、注入当り約1mg~約1000mg、個別投与当り約1mg~約10,000mg、個別投与当り約10mg~約100mg、注入当り約10mg~約1000mg、個別投与当り約10mg~約10,000mg、注入当り約100mg~約1000mg、個別投与当り約100mg~約10,000mgおよび個別投与当り約1000mg~約10,000mgの範囲で投与される。治療小分子は、毎日、2、3、4、5、6、7または10日毎に、または1、2、3または4週毎に投与され得る。
【0166】
他の特定の実施形態では、本明細書で開示される治療分子の量は、約0.0006mg、0.001mg、0.003mg、0.006mg、0.01mg、0.03mg、0.06mg、0.1mg、0.3mg、0.6mg、1mg、3mg、6mg、10mg、30mg、60mg、100mg、300mg、600mg、1000mg、2000mg、5000mgまたは10,000mgの用量で投与され得る。予想される通り、投与量は、患者の状態、サイズ、年齢および状態に依存する。
【0167】
この実施形態の他の態様では、本明細書で開示される医薬組成物化合物は、神経障害などの病気の徴候/症状を、例えば、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、または少なくとも95%低減させる。この実施形態のさらに他の態様では、本明細書で開示される医薬組成物は、神経障害などの病気の徴候/症状を、例えば、約5%~約100%、約10%~約100%、約20%~約100%、約30%~約100%、約40%~約100%、約50%~約100%、約60%~約100%、約70%~約100%、約80%~約100%、約10%~約90%、約20%~約90%、約30%~約90%、約40%~約90%、約50%~約90%、約60%~約90%、約70%~約90%、約10%~約80%、約20%~約80%、約30%~約80%、約40%~約80%、約50%~約80%、または約60%~約80%、約10%~約70%、約20%~約70%、約30%~約70%、約40%~約70%、または約50%~約70%低減させる。
【0168】
本明細書で開示される医薬組成物は、個体への通例の投与を可能にする十分な量である。この実施形態のいくつかの態様では、本明細書で開示される医薬組成物は、例えば、少なくとも5mg、少なくとも10mg、少なくとも15mg、少なくとも20mg、少なくとも25mg、少なくとも30mg、少なくとも35mg、少なくとも40mg、少なくとも45mg、少なくとも50mg、少なくとも55mg、少なくとも60mg、少なくとも65mg、少なくとも70mg、少なくとも75mg、少なくとも80mg、少なくとも85mg、少なくとも90mg、少なくとも95mg、または少なくとも100mgの医薬組成物であり得る。この実施形態の他の態様では、本明細書で開示される医薬組成物は、例えば、少なくとも5mg、少なくとも10mg、少なくとも20mg、少なくとも25mg、少なくとも50mg、少なくとも75mg、少なくとも100mg、少なくとも200mg、少なくとも300mg、少なくとも400mg、少なくとも500mg、少なくとも600mg、少なくとも700mg、少なくとも800mg、少なくとも900mg、少なくとも1,000mg、少なくとも1,100mg、少なくとも1,200mg、少なくとも1,300mg、少なくとも1,400mg、または少なくとも1,500mgの医薬組成物であってよい。この実施形態のさらに他の態様では、本明細書で開示される医薬組成物は、例えば、約5mg~約100mg、約10mg~約100mg、約50mg~約150mg、約100mg~約250mg、約150mg~約350mg、約250mg~約500mg、約350mg~約600mg、約500mg~約750mg、約600mg~約900mg、約750mg~約1,000mg、約850mg~約1,200mg、または約1,000mg~約1,500mgの範囲であってよい。この実施形態のさらに他の態様では、本明細書で開示される医薬組成物は、例えば、約10mg~約250mg、約10mg~約500mg、約10mg~約750mg、約10mg~約1,000mg、約10mg~約1,500mg、約50mg~約250mg、約50mg~約500mg、約50mg~約750mg、約50mg~約1,000mg、約50mg~約1,500mg、約100mg~約250mg、約100mg~約500mg、約100mg~約750mg、約100mg~約1,000mg、約100mg~約1,500mg、約200mg~約500mg、約200mg~約750mg、約200mg~約1,000mg、約200mg~約1,500mg、約5mg~約1,500mg、約5mg~約1,000mg、または約5mg~約250mgの範囲であってよい。
【0169】
本明細書で開示される医薬組成物は、本明細書で開示される医薬組成物を溶解するために十分な量で溶媒、乳剤または他の希釈剤を含み得る。この実施形態の他の態様では、本明細書で開示される医薬組成物は、溶媒、乳剤または希釈剤を、例えば、約90%(v/v)未満、約80%(v/v)未満、約70%(v/v)未満、約65%(v/v)未満、約60%(v/v)未満、約55%(v/v)未満、約50%(v/v)未満、約45%(v/v)未満、約40%(v/v)未満、約35%(v/v)未満、約30%(v/v)未満、約25%(v/v)未満、約20%(v/v)未満、約15%(v/v)未満、約10%(v/v)未満、約5%(v/v)、または約1%(v/v)未満の量で含んでよい。この実施形態の他の態様では、本明細書で開示される医薬組成物は、溶媒、乳剤または他の希釈剤を、例えば、約1%(v/v)~90%(v/v)、約1%(v/v)~70%(v/v)、約1%(v/v)~60%(v/v)、約1%(v/v)~50%(v/v)、約1%(v/v)~40%(v/v)、約1%(v/v)~30%(v/v)、約1%(v/v)~20%(v/v)、約1%(v/v)~10%(v/v)、約2%(v/v)~50%(v/v)、約2%(v/v)~40%(v/v)、約2%(v/v)~30%(v/v)、約2%(v/v)~20%(v/v)、約2%(v/v)~10%(v/v)、約4%(v/v)~50%(v/v)、約4%(v/v)~40%(v/v)、約4%(v/v)~30%(v/v)、約4%(v/v)~20%(v/v)、約4%(v/v)~10%(v/v)、約6%(v/v)~50%(v/v)、約6%(v/v)~40%(v/v)、約6%(v/v)~30%(v/v)、約6%(v/v)~20%(v/v)、約6%(v/v)~10%(v/v)、約8%(v/v)~50%(v/v)、約8%(v/v)~40%(v/v)、約8%(v/v)~30%(v/v)、約8%(v/v)~20%(v/v)、約8%(v/v)~15%(v/v)、または約8%(v/v)~12%(v/v)の範囲の量で含んでよい。
【0170】
本明細書で開示される医薬組成物中の本明細書で開示される医薬組成物の最終濃度は、任意の所望の濃度であり得る。この実施形態の一態様では、医薬組成物中の医薬組成物の最終濃度は、治療的有効量であってよい。この実施形態の他の態様では、医薬組成物中の医薬組成物の最終濃度は、例えば、少なくとも0.00001mg/mL、少なくとも0.0001mg/mL、少なくとも0.001mg/mL、少なくとも0.01mg/mL、少なくとも0.1mg/mL、少なくとも1mg/mL、少なくとも10mg/mL、少なくとも25mg/mL、少なくとも50mg/mL、少なくとも100mg/mL、少なくとも200mg/mL、少なくとも500mg/mLであってよい。この実施形態の他の態様では、医薬組成物中の医薬組成物の最終濃度は、例えば、約0.00001mg/mL~約3,000mg/mL、約0.0001mg/mL~約3,000mg/mL、約0.01mg/mL~約3,000mg/mL、約0.1mg/mL~約3,000mg/mL、約1mg/mL~約3,000mg/mL、約250mg/mL~約3,000mg/mL、約500mg/mL~約3,000mg/mL、約750mg/mL~約3,000mg/mL、約1,000mg/mL~約3,000mg/mL、約100mg/mL~約2,000mg/mL、約250mg/mL~約2,000mg/mL、約500mg/mL~約2,000mg/mL、約750mg/mL~約2,000mg/mL、約1,000mg/mL~約2,000mg/mL、約100mg/mL~約1,500mg/mL、約250mg/mL~約1,500mg/mL、約500mg/mL~約1,500mg/mL、約750mg/mL~約1,500mg/mL、約1,000mg/mL~約1,500mg/mL、約100mg/mL~約1,200mg/mL、約250mg/mL~約1,200mg/mL、約500mg/mL~約1,200mg/mL、約750mg/mL~約1,200mg/mL、約1,000mg/mL~約1,200mg/mL、約100mg/mL~約1,000mg/mL、約250mg/mL~約1,000mg/mL、約500mg/mL~約1,000mg/mL、約750mg/mL~約1,000mg/mL、約100mg/mL~約750mg/mL、約250mg/mL~約750mg/mL、約500mg/mL~約750mg/mL、約100mg/mL~約500mg/mL、約250mg/mL~約500mg/mL、約0.00001mg/mL~約0.0001mg/mL、約0.00001mg/mL~約0.001mg/mL、約0.00001mg/mL~約0.01mg/mL、約0.00001mg/mL~約0.1mg/mL、約0.00001mg/mL~約1mg/mL、約0.001mg/mL~約0.01mg/mL、約0.001mg/mL~約0.1mg/mL、約0.001mg/mL~約1mg/mL、約0.001mg/mL~約10mg/mL、または約0.001mg/mL~約100mg/mLの範囲であってよい。
【0171】
本明細書のいくつかの態様は、一部には、病気(例えば、神経障害)もしくは中毒に罹りやすい個体、または病気もしくは中毒に罹患している個体を治療することを開示する。本明細書で使用される場合、「治療」という用語は、病気の徴候/症状を低減させるまたは取り除くこと;または徴候/症状を無くすことを指す。例えば「治療する」という用語は、病気により特徴づけられる状態の症状を、例えば、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%少なくとも95%、または少なくとも100%低減させることを指し得る。当業者であれば、特定の種類の病気に関連する特有の症状または指標を理解し、個体が本明細書で開示される治療の対象となり得るか否かを決定する方法を理解するであろう。
【0172】
この実施形態のいくつかの態様では、本明細書で開示される医薬組成物の治療的有効量は、病気の徴候/症状を、例えば、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、または少なくとも100%低減させる。この実施形態の他の態様では、本明細書で開示される医薬組成物の治療的有効量は、病気の徴候/症状を、例えば、最大で10%、最大で15%、最大で20%、最大で25%、最大で30%、最大で35%、最大で40%、最大で45%、最大で50%、最大で55%、最大で60%、最大で65%、最大で70%、最大で75%、最大で80%、最大で85%、最大で90%、最大で95%、または最大で100%低減させる。この実施形態のさらに他の態様では、本明細書で開示される医薬組成物の治療的有効量は、病気の徴候/症状を、例えば、約10%~約100%、約10%~約90%、約10%~約80%、約10%~約70%、約10%~約60%、約10%~約50%、約10%~約40%、約20%~約100%、約20%~約90%、約20%~約80%、約20%~約20%、約20%~約60%、約20%~約50%、約20%~約40%、約30%~約100%、約30%~約90%、約30%~約80%、約30%~約70%、約30%~約60%、または約30%~約50%低減させる。
【0173】
この実施形態のさらに他の態様では、本明細書で開示される医薬組成物の治療的有効量は通常、約0.001mg/kg~約100mg/kgの範囲であり、例えば、3、5、7、10または14日毎に投与される。この実施形態のいくつかの態様では、本明細書で開示される医薬組成物の有効量は、例えば、少なくとも0.001mg/kg、少なくとも0.01mg/kg、少なくとも0.1mg/kg、少なくとも1.0mg/kg、少なくとも5.0mg/kg、少なくとも10mg/kg、少なくとも15mg/kg、少なくとも20mg/kg、少なくとも25mg/kg、少なくとも30mg/kg、少なくとも35mg/kg、少なくとも40mg/kg、少なくとも45mg/kg、または少なくとも50mg/kgであり、例えば、3、5、7、10または14日毎に投与され得る。この実施形態の他の態様では、本明細書で開示される医薬組成物の有効量は、例えば、約0.001mg/kg~約10mg/kg、約0.001mg/kg/day~約15mg/kg、約0.001mg/kg~約20mg/kg、約0.001mg/kg~約25mg/kg、約0.001mg/kg~約30mg/kg、約0.001mg/kg~約35mg/kg、約0.001mg/kg~約40mg/kg、約0.001mg/kg~約45mg/kg、約0.001mg/kg~約50mg/kg、約0.001mg/kg~約75mg/kg、または約0.001mg/kg~約100mg/kgの範囲であり、例えば、3、5、7、10または14日毎に投与され得る。この実施形態のさらに他の態様では、本明細書で開示される医薬組成物の有効量は、例えば、約0.01mg/kg~約10mg/kg、約0.01mg/kg~約15mg/kg、約0.01mg/kg~約20mg/kg、約0.01mg/kg~約25mg/kg、約0.01mg/kg~約30mg/kg、約0.01mg/kg~約35mg/kg、約0.01mg/kg~約40mg/kg、約0.01mg/kg~約45mg/kg、約0.01mg/kg~約50mg/kg、約0.01mg/kg~約75mg/kg、または約0.01mg/kg~約100mg/kgの範囲であり、例えば、3日毎、5、7、10または14日毎に投与され得る。この実施形態のさらに他の態様では、本明細書で開示される医薬組成物の有効量は、約0.1mg/kg~約10mg/kg、約0.1mg/kg~約15mg/kg、約0.1mg/kg~約20mg/kg、約0.1mg/kg~約25mg/kg、約0.1mg/kg~約30mg/kg、約0.1mg/kg~約35mg/kg、約0.1mg/kg~約40mg/kg、約0.1mg/kg~約45mg/kg、約0.1mg/kg~約50mg/kg、約0.1mg/kg~約75mg/kg、または約0.1mg/kg~約100mg/kgの範囲であり、例えば、3、5、7、10または14日毎に投与され得る。
【0174】
投与量は、一回用量または、累積投与量(逐次投与)であってよく、かつ当業者により容易に決定できる。例えば、病気または中毒感染症の治療は、本明細書で開示される医薬組成物の有効量の1回のみの投与を含み得る。あるいは、病気または中毒の治療は、例えば、1日1回、1日2回、1日3回、数日毎に1回、または1週間に1回などの期間の範囲にわたって行われる医薬組成物の有効量の複数回の投与を含み得る。投与のタイミングは、個体の症状の重症度などの因子に応じて、個体毎に変わってよい。例えば、本明細書で開示される医薬組成物の有効量は、不確定期間、または個体がそれ以上治療を必要としなくなるまで、1日1回、個体に投与できる。当業者なら、個体の状態が治療の全過程にわたりモニターされること、および投与される本明細書で開示の医薬組成物の有効量がそれに応じて調節できることをわかるであろう。
【0175】
一実施形態では、本明細書で開示される治療薬は、神経障害などの病気の徴候/症状を、同じ治療薬を受けていない患者に比べて、例えば、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、または少なくとも95%低減させることができる。この実施形態の他の態様では、神経障害などの病気の徴候/症状は、同じ治療薬を受けていない患者に比べて、例えば、約10%~約100%、約20%~約100%、約30%~約100%、約40%~約100%、約50%~約100%、約60%~約100%、約70%~約100%、約80%~約100%、約10%~約90%、約20%~約90%、約30%~約90%、約40%~約90%、約50%~約90%、約60%~約90%、約70%~約90%、約10%~約80%、約20%~約80%、約30%~約80%、約40%~約80%、約50%~約80%、または約60%~約80%、約10%~約70%、約20%~約70%、約30%~約70%、約40%~約70%、または約50%~約70%低減される。
【0176】
さらなる実施形態では、治療小分子およびその誘導体は、2時間、3時間、4時間、5時間、6時間、7時間、8時間、9時間、10時間、11時間、12時間、13時間、14時間、15時間、16時間、17時間、18時間、19時間、20時間、21時間、22時間、23時間、1日間、2日間、3日間、4日間、5日間、6日間、7日間、1週間、2週間、3週間、4週間、1か月間、2か月間、3か月間、4か月間またはそれを越える期間の半減期を有する。
【0177】
ある実施形態では、本明細書で開示される治療分子の投与の期間は、1日、2日、3日、4日、5日、6日、7日、8日、9日、10日、11日、12日、13日、14日間、3週、4週、5週、6週、7週、8週、9週、10週、11週、12週間、4か月、5か月、6か月、7か月、8か月、9か月、10か月、11か月、12か月の間、またはそれを越える期間である。さらなる実施形態では、投与が停止される期間は、1日、2日、3日、4日、5日、6日、7日、8日、9日、10日、11日、12日、13日、14日間、3週、4週、5週、6週、7週、8週、9週、10週、11週、12週間、4ヶ月、5ヶ月、6ヶ月、7ヶ月、8ヶ月、9ヶ月、10ヶ月、11ヶ月、12ヶ月の間、またはそれを超える期間である。
【0178】
この実施形態のいくつかの態様では、本明細書で開示される治療薬の治療的有効量は、神経障害などの病気の徴候/症状を、例えば、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、または少なくとも100%低減させる。この実施形態の他の態様では、本明細書で開示される治療薬の治療的有効量は、神経障害などの病気の徴候/症状を、例えば、最大で10%、最大で15%、最大で20%、最大で25%、最大で30%、最大で35%、最大で40%、最大で45%、最大で50%、最大で55%、最大で60%、最大で65%、最大で70%、最大で75%、最大で80%、最大で85%、最大で90%、最大で95%、または最大で100%低減させる。この実施形態のさらに他の態様では、本明細書で開示される治療的有効量は、神経障害などの病気の徴候/症状を、例えば、約10%~約100%、約10%~約90%、約10%~約80%、約10%~約70%、約10%~約60%、約10%~約50%、約10%~約40%、約20%~約100%、約20%~約90%、約20%~約80%、約20%~約20%、約20%~約60%、約20%~約50%、約20%~約40%、約30%~約100%、約30%~約90%、約30%~約80%、約30%~約70%、約30%~約60%、または約30%~約50%低減させる。
【0179】
ある実施形態では、本明細書で開示される治療分子による治療は、神経障害などの病気の回復時間を、例えば、約10%~約100%、約10%~約90%、約10%~約80%、約10%~約70%、約10%~約60%、約10%~約50%、約10%~約40%、約20%~約100%、約20%~約90%、約20%~約80%、約20%~約20%、約20%~約60%、約20%~約50%、約20%~約40%、約30%~約100%、約30%~約90%、約30%~約80%、約30%~約70%、約30%~約60%、または約30%~約50%短縮する。
【0180】
ある実施形態では、本明細書で開示される治療分子による治療は、禁断症状などの中毒の徴候/症状を、例えば、約10%~約100%、約10%~約90%、約10%~約80%、約10%~約70%、約10%~約60%、約10%~約50%、約10%~約40%、約20%~約100%、約20%~約90%、約20%~約80%、約20%~約20%、約20%~約60%、約20%~約50%、約20%~約40%、約30%~約100%、約30%~約90%、約30%~約80%、約30%~約70%、約30%~約60%、または約30%~約50%低減させる。
【0181】
ある実施形態では、本明細書で開示される治療分子による治療は、例えば、約10%~約100%、約10%~約90%、約10%~約80%、約10%~約70%、約10%~約60%、約10%~約50%、約10%~約40%、約20%~約100%、約20%~約90%、約20%~約80%、約20%~約20%、約20%~約60%、約20%~約50%、約20%~約40%、約30%~約100%、約30%~約90%、約30%~約80%、約30%~約70%、約30%~約60%、または約30%~約50%患者における神経可塑性を高めるおよび/または神経機能を改善する。
【0182】
一実施形態では、組成物の用量は、毎日、週2回、毎週、隔週、または毎月、投与され得る。治療の期間は、1週間、2週間、1か月、2か月、4か月、6か月、8か月、1年の間、またはそれを越える期間であり得る。初期の用量は、維持用量より多くてよい。一実施形態では、用量は、少なくとも0.01mg/kg、少なくとも0.25mg/kg、少なくとも0.3mg/kg、少なくとも0.5mg/kg、少なくとも0.75mg/kg、少なくとも1mg/kg、少なくとも2mg/kg、少なくとも3mg/kg、少なくとも4mg/kg、少なくとも5mg/kg、少なくとも6mg/kg、少なくとも7mg/kg、少なくとも8mg/kg、少なくとも9mg/kg、少なくとも10mg/kg、少なくとも15mg/kg、少なくとも20mg/kg、少なくとも25mg/kg、または少なくとも30mg/kgの毎週の用量の範囲である。一実施形態では、毎週の用量は、最大で1.5mg/kg、最大で2mg/kg、最大で2.5mg/kg、最大で3mg/kg、最大で4mg/kg、最大で5mg/kg、最大で6mg/kg、最大で7mg/kg、最大で8mg/kg、最大で9mg/kg、最大で10mg/kg、最大で15mg/kg、最大で20mg/kg、最大で25mg/kg、または最大で30mg/kgであってよい。特定の態様では、毎週の用量は、5mg/kg~20mg/kgの範囲であってよい。代替態様では、毎週の用量は、10mg/kg~15mg/kgの範囲であってよい。
【0183】
本明細書はまた、対象に投与するための医薬組成物を提供する。本明細書で開示される医薬組成物は、薬学的に許容可能なキャリア、賦形剤、または希釈剤をさらに含み得る。本明細書で使用される場合、「薬学的に許容可能な」という用語は、組成物が、有害な副作用なしに治療効果を達成するのに十分であり、かつ疾患のタイプ、患者の年齢、体重、健康状態、性別、および薬物感受性、投与経路、投与モード、投与頻度、治療期間、本明細書で開示される組成物と組み合わせてまたは同時に使用される薬物、および医学で既知の他の因子に応じて、容易に決定され得ることを意味する。
【0184】
本明細書で医薬組成物は、薬学的に許容可能な担体をさらに含み得る。経口投与のために、担体は、限定されないが、結合剤、潤滑剤、崩壊剤、賦形剤、可溶化剤、分散剤、安定化剤、懸濁化剤、着色剤、および/または風味剤を含み得る。注射可能配合物のために、担体は、緩衝剤、保存剤、鎮痛薬、可溶化剤、等張剤、および安定化剤を含み得る。局所投与用の配合物のために、担体は、塩基、賦形剤、潤滑剤、および保存剤を含み得る。
【0185】
開示される組成物は、上述の薬学的に許容可能な担体と組み合わせて、種々の剤形へと処方され得る。例えば、経口投与のために、医薬組成物は、錠剤、トローチ剤、カプセル剤、エリキシル剤、懸濁液、シロップまたはウェハへと処方され得る。注射可能配合物のために、医薬組成物はまた、単回剤形としてアンプル中に、または複数回投与容器中に処方され得る。医薬組成物は、液剤、懸濁剤、錠剤、丸薬、カプセル、および長時間作用性配合物へと処方され得る。
【0186】
他方では、医薬製剤に好適な担体、賦形剤、および希釈剤の例は、限定されないが、ラクトース、スクロース、ソルビトール、マンニトール、キシリトール、エリスリトール、マルチトール、デンプン、アラビアゴム、アルギネート、ゼラチン、リン酸カルシウム、ケイ酸カルシウム、セルロース、メチルセルロース、微結晶セルロース、ポリビニルピロリドン、水、メチルヒドロキシ安息香酸、プロピルヒドロキシ安息香酸、滑石、ステアリン酸マグネシウムおよび鉱物油を含む。加えて、医薬製剤は、充填剤、抗凝固剤、潤滑剤、保水剤、風味剤、および防腐剤をさらに含み得る。
【0187】
さらに、本明細書で開示される医薬組成物は、錠剤、丸薬、粉剤、顆粒、カプセル、懸濁液、内服用液剤、乳剤、シロップ、無菌水溶液、非水性溶媒、凍結乾燥製剤および坐剤からなる群より選択される任意の製剤の形態を有し得る。
【0188】
組成物は、患者の身体に好適な単一剤形へと処方され、好ましくは皮膚、静脈内、筋肉内、動脈内、髄内、脊髄内、脳室内、肺、吸入、経皮、皮下、腹腔内、鼻腔内、結腸内、局所、舌下、腟、または直腸の投与介する経口、非経口経路により投与されるように、医薬品分野で典型的な方法により小分子薬物に有用な製剤へと処方されるが、これらに限定されない。
【0189】
組成物は、種々の薬学的に許容可能な担体、例えば、生理食塩水または有機溶媒と混合することにより使用され得る。安定性または吸光率を高めるために、グルコース、スクロースまたはデキストランなどの炭水化物、アスコルビン酸またはグルタチオンなどの抗酸化剤、キレート化剤、低分子量タンパク質、または他の安定剤が使用され得る。
【0190】
本明細書で開示される医薬組成物の投与量および頻度は、治療される疾患、投与経路、患者の年齢、性別、および体重、ならびに疾患重症度などの種々の因子に加えて、有効成分のタイプにより決定される。
【0191】
本明細書で開示される組成物の総有効投与量は、患者に単回用量で投与され得るか、または分割治療プロトコルに従い、複数回投与で長期間にわたり投与され得る。本明細書で開示される医薬組成物では、有効成分の含量は、疾患の重症度に応じて変わってよい。好ましくは、本明細書で開示される小分子の合計一日量は、約0.0001μg~約500mg/1kgの患者の体重であり得る。しかし、小分子の有効量は、医薬組成物の投与経路および治療頻度に加えて、患者の年齢、体重、健康状態、性別、疾患重症度、食事、および分泌比率を含む各種要因を考慮して決定される。これを考慮して、当業者は、本明細書で開示される医薬組成物の特定の使用にために好適な有効量を容易に決定し得る。本明細書で開示される医薬組成物は、好適な効果を示す限り、製剤、ならびに投与経路およびモードに特に限定されない。
【0192】
さらに、医薬組成物は、単独で、または予防的または治療的効力を示す他の医薬製剤と組み合わせて、または同時に投与される得る。
【0193】
種々の実施形態では、製剤は、限定されないが、製剤中に生物活性剤(本明細書で記載のウィルス、タンパク質、抗体、ペプチドなど)の組み合わせを含み得る。例えば、本明細書で記載の製剤は、限定されないが疾患を含む、1種または複数の状態を治療するために、単一の生物活性剤を含み得る。本明細書で開示される製剤はまた、ある実施形態では、限定されないが、単一または複数の状態に対する2種以上の異なる生物活性剤を含み得る。製剤中の複数の生物活性剤の使用は、例えば、同じまたは異なる適応症を対象とすることができる。同様に、別の実施形態では、製剤中の複数の生物活性剤は、例えば、病的状態および一次治療により引き起こされた1つまたは複数の副作用の両方を治療するために使用できる。さらなる実施形態では、複数の生物活性剤はまた、限定されないが、例えば、同時の、病的状態の治療および病的状態の進行の監視を含む、異なる医療目的を達成するために本明細書で記載される製剤中に含まれ得る。追加の実施形態では、本明細書で例示されるもの、ならびに当該技術分野において周知の他の組み合わせなどの複数の、同時の治療法は、患者コンプライアンスに対し特に有用である。理由は、単一の組成物が、いくつかのまたは全ての示唆される治療および/または診断に十分であり得るためである。当業者は、広範囲の併用療法のために混合できる生物活性剤を分かるであろう。同様に、種々の実施形態では、製剤は、小分子と共に、および1種または複数の小分子医薬品に加えて1種または複数の生物活性剤の組み合わせと共に使用され得る。従って、種々の実施形態では、製剤は、1、2、3、4、5または6種もしくは更に多くの異なる生物活性剤を、ならびに1種または複数の小分子医薬品と組み合わせた1種または複数の生物活性剤を含んで提供される。
【0194】
種々の実施形態では、製剤は、1種または複数の防腐剤および/または当該技術分野において既知の添加物を含み得る。同様に、製剤は、限定されないが、種々の既知の送達製剤へとさらに処方できる。例えば、ある実施形態では、製剤は、界面活性剤、補助剤、生分解性ポリマー、ヒドロゲル、などを含んでよく、このような任意の成分、それらの化学的および機能的特性は、当技術分野において既知である。同様に当該技術分野で知られているのは、投与後に、生物活性剤の急速な、持続的なまたは遅延された放出を促進する製剤である。記載される製剤は、これらのまたは当該技術分野において既知の他の製剤成分を含むように製造され得る。
【0195】
組成物は従って、埋め込み装置またはカテーテルを介して、経時的に、または持続点滴として、単一用量として、または2種以上の用量(これは、所望の分子の同じ量を含んでも、含まなくてもよい)として、投与され得る。適切な投与量の更なる精密化は、当業者により日常的に行われ、かつ当業者により日常的に実施される作業の範囲内である。適切な投与量は、適切な用量反応データの使用により確認され得る。種々の実施形態では、本明細書で記載される製剤中の生物活性剤は、限定されないが、慢性状態に対する長期投与などの、長時間にわたり、患者に投与され得る。組成物は、固体、半固体またはエアロゾルであってよく、医薬組成物は、錠剤、ジェルタブ、ロゼンジ、経口溶解ストリップ、カプセル、シロップ、経口懸濁剤、乳剤、顆粒、スプリンクルまたはペレットとして処方される。
【0196】
ある実施形態では、経口、直腸、腟、非経口、肺、舌下、および/または鼻腔内の送達製剤のために、錠剤が、必要に応じて1種または複数の補助成分または添加物と共に、圧縮もしくは型成形により作製され得る。ある実施形態では、圧縮錠剤は、例えば、必要に応じ結合剤(例えば、限定されないが、ポビドン、ゼラチン、ヒドロキシプロピルメチルセルロース)、潤滑剤、不活性希釈剤、防腐剤、崩壊剤(例えば、限定されないが、グリコール酸ナトリウムデンプン、架橋ポビドン、架橋カルボキシルメチルセルロースナトリウム)、および/または界面活性剤または分散剤と混合された、粉末または顆粒などの易流動性形態の有効成分を好適な打錠機(tabletting machine)中で圧縮することにより調製される。
【0197】
ある実施形態では、成形錠剤は、例えば、限定されないが、不活性液体希釈剤で湿潤された粉末状の化合物の混合物を、好適な打錠機で成形することにより作製される。ある実施形態では、錠剤は、必要に応じ被覆されまたは刻み目を付けられ、および例えば、限定されないが、目的の放出プロファイルを与えるために種々の比率でヒドロキシプロピルメチルセルロースを用いて、有効成分の緩慢なおよび制御された放出を提供するように処方され得る。ある実施形態では、錠剤は、必要に応じ、限定されないが、薄膜、ショ糖被覆、または腸溶コーティングなどの被覆を与えられて、胃以外の腸の一部での放出を提供し得る。ある実施形態では、錠剤およびカプセル製造のための工程、装置、および受託製造会社は、当該技術分野において周知である。
【0198】
ある実施形態では、カプセル製剤は、限定されないが、ゼラチンカプセルまたはヒドロキシメチルプロピルセルロース(HMPC)から作製されるものなどの植物カプセルを含む、硬カプセルまたは軟カプセルを利用できる。ある実施形態では、カプセルのタイプは、ゼラチンカプセルである。ある実施形態では、カプセルは、限定されないが、Miranda Internationalなどの市販の業者から、またはPharmaceutical Capules,2.sup.nd Ed.,F.Podczeck and B.Jones,2004で詳細に記載されるような、産業界で周知のカプセル製造技術を採用して入手できるものなどの、カプセル充填器を用いて充填され得る。ある実施形態では、カプセル製剤は、限定されないが、Chao Center for Industrial Pharmacy & Contract Manufacturing,located at Purdue Research Parkなどの委託製造センターを用いて作製され得る。
【0199】
パッケージングおよび投与のための装置は、限定されないが、投与される物質の体積、貯蔵状態、熟練保健開業医が投与するかまたは患者自己コンプライアンスかどうか、投与計画、地政学的環境(例えば、発展途上国の場合の極限温度条件への曝露など)、および他の実施上の配慮点などの、種々の考察により決定され得る。
【0200】
注入装置は、ペン型注入器、自動注入装置、安全注射器、注入ポンプ、噴射ポンプ、注入ポンプ、薬剤充填済みガラス注射器、薬剤充填済みプラスチック注射器を含み、および無針注射器は、液体充填済みであってよく、または例えば、凍結乾燥物質と共に使用するために、二重室であってよい。このような使用のための注射器の例は、Vetter GmbH,Ravensburg,Germanyから入手できるLyo-Ject(商標)、二重室プレフィルリオシリンジである。別の例は、LyoTipであり、これは、LyoTip、Inc.,Camarillo,California,U.S.A.から入手可能である凍結乾燥製剤を都合良く送達するように設計された、プリフィルシリンジである。注射による投与は、限定されないが、必要に応じて、静脈内、筋肉内、腹腔内、または皮下であってよい。非注射経路による投与は、限定されないが、必要に応じて、経鼻、経口、経眼、経皮、または肺を介してであってよい。
【0201】
特定の実施形態では、キットは、本明細書で記載の1種または複数の製剤を投与するための1種または複数の単室または多室注射器(例えば、液体注射器およびリオシリンジ)を含み得る。種々の実施形態では、キットは、注射器への充填および対象への投与の準備ができている形態で、部分真空下でバイアル中に密封された、非経口、皮下、筋肉内またはIV投与用の製剤成分を含み得る。この場合、組成物は、部分真空下でその中に配置され得る。全てのこれらの実施形態などは、キットは、前述のいずれかに従い1種または複数のバイアルを含んでよく、各バイアルは、対象への投与のための単一の単位用量を含む。
【0202】
キットは、本明細書に記載のように配置される、凍結乾燥物を含んでよく、それは再構成時に、それに従いて組成物を提供する。種々の実施形態では、キットは、凍結乾燥物および凍結乾燥物を再構成するための無菌希釈剤を含み得る。
【0203】
また、本明細書で記載されるのは、本明細書で開示される製剤の有効量を対象に投与することを含む、治療を必要としている対象を治療するための方法である。製剤の治療的有効量または投与量は、対象の疾患または状態および実際の臨床設定に依存する。
【0204】
ある実施形態では、本明細書で記載される製剤は、任意の好適な経路により、特に非経口(皮下、筋肉内、静脈内および皮内を含む)投与により投与され得る。好ましい経路は、レシピエントの状態および年齢、ならびに治療される疾患により変化することも理解されよう。最も効果的な投与手段および量を決定する方法は、当業者に既知であり、限定されないが、治療に使用される組成物、治療の目的、治療される対象により変化するであろう。単回または複数回の投与が、行われてよく、限定されないが、投与のレベルおよびパターンは、治療する医師により選択される。好適な投与製剤および薬剤を投与する方法は、当技術分野において既知である。
【0205】
本明細書で記載される製剤は、薬物の製造に使用でき、かつ従来の手順に基づく投与によりヒトおよび他の動物の治療のために使用できる。
【0206】
また本明細書で提供されるのは、アミノ酸の組み合わせを用いて好適なウィルス製剤を開発するためのコンビナトリアル手法である。これらの方法は、安定な液体または凍結乾燥医薬組成物、および特に薬学的ウィルス製剤を開発するために効果的である。
【0207】
本明細書で記載される実施形態による組成物は、望ましい溶解度、粘度、シリンジ通過性および安定性などの、望ましい特性を有する。本明細書で記載される実施形態による凍結乾燥物は、また、望ましい回収率、安定性およびシリンジ通過性および再構成などの、望ましい特性を有する。
【0208】
いくつかの実施形態では、医薬製剤のpHは、少なくとも約3.5、3.75、4、4.25、4.5、4.75、5、5.25、5.5、5.75、6、6.25、6.5、6.75、7、7.25、7.5、7.75、8、8.25、8.5、8.75、または9である。
【0209】
ある実施形態では、医薬製剤のpHは、約3~約9、約4~約19、約5~約9、約6~約8、約6~約7、約6~約9、約5~約6、約5~約7、約5~約8、約4~約9、約4~約8、約4~約7、約4~約6、約4~約5、約3~約8、約3~約7、約3~約6、約3~約5、約3~約4、約7~約8、約7~約9、約7~約10である。
【0210】
実施例
以下の非限定的実施例は、現時点で考えられる代表的実施形態のより完全な理解を容易にするために、例示の目的のみで提供される。これらの実施例は、製剤の成分が組み合わされる全ての可能な状況のほんの一部であることが意図される。従って、これらの実施例は、製剤の成分のタイプおよび量、および/または方法および使用に関するものを含む、本明細書で記載される実施形態のいずれかを限定するものと解釈されるべきではない。
【0211】
実施例1
PTSD評価のためのげっ歯類モデル
最近の研究は、げっ歯類モデルが、ストレス誘導および障害発生をシミュレートできることを示した。例えば、Verbitsky et al.Translational Psychiatry(2020)10:132を参照されたい。PTSDモデルの開発に使用される物理的ストレス要因は、電気ショック、水中外傷、拘束/固定化ストレス、および単一の長期ストレスを含む。ストレスタイプ、強度、持続期間、および頻度を操作することにより、前臨床モデルは、種々の行動試験により測定される、コアPTSD表現型を反映する。PTSDの治療に適応される2種の薬物:セルトラリンおよびパロキセチン、が存在する。
【0212】
この実施例で、ラットは、種々のストレス(例えば、電気ショック、拘束/固定化ストレスおよび水中外傷)に曝露される。ラットはその後、Somaholで治療され、PTSDの徴候/症状について試験される。治療されるラット集団は、対照群と比較される。
【0213】
結果は、Somahol(または本明細書で開示される他の治療分子)で治療されたラットが、対照群よりも急速にPTSDから回復することを示した。
【0214】
実施例2
中毒評価のためのげっ歯類モデル
ヒトにおける薬物中毒の2つの基本的な特徴(即ち、使用に対する制御の喪失およびその結果の薬物の過剰ままたは衝動的な使用)は、いくつかの異なる方法を用いて動物でモデル化されている。獲得を評価する簡便な方法は、毎日の実験のセッション中に、薬物へのアクセスを動物に与えることであり、送達は、オペラント応答(即ち、レバー押し)を条件として利用可能である。従って、この実施例は、中毒を研究するために効果的な動物モデルに関する。最近の研究は、げっ歯類モデルが物質乱用および中毒をシミュレートできることを示した。例えば、Linch et al.Comparative Medicine(2010)Vol.60,No.3を参照されたい。
【0215】
ラットは、げっ歯類静脈内薬物自己投与パラダイムに供される。具体的には、ラットは、頸静脈に長期留置カテーテルを移植される。カテーテルは、背側でラットを出て、そこで、それは薬物充填シリンジに付着されたテザーおよび配管システム(tether-and-tubing system)に連結される。能動的レバーに対する応答は、薬物の注入をもたらす。
【0216】
薬物自己投与の獲得がその後、摂取の基準レベルに達するのに必要とされるセッションの数として測定され、これは、投与量および薬物利用能のために標準化および調節され得る。非能動的レバー押しに対する能動レバー押し応答の比率は、摂取基準と共に使用される。全ての試験動物は、それらは自己投与を獲得したかどうかに関係なく、分析に含められ、注目点は、如何に急速に自己投与の獲得が起こるか、および薬物自己投与を獲得する各群中の動物の割合である。
【0217】
上述のように、ラットは、オピオイド薬に曝露される。2つのラット集団が、曝露される:第1の集団はその後、Somaholで治療され、第2の集団(即ち、対照)は、未治療のままにされるか、または生理食塩水を注射される。治療されたラットの集団は、対照群と比較される。具体的には、非能動的レバー押しに対する能動的レバー押し応答の比率が、集団間で比較される。結果は、Somaholで治療したラットのより低い比率のレバー押し応答を示す。結果は、Somahol(または本明細書で開示される他の治療分子)が、中毒を防止する、および/または中毒からの回復を助けることを示唆する。
【0218】
実施例3
TBIのための動物モデル
次の実施例は、外傷性脳損傷(TBI)を試験するために効果的な動物モデルに関する。最近の研究は、げっ歯類モデルが物質乱用および中毒をシミュレートできることを示した。例えば、Xiong et al.Nat Rev Neurosci.2013 February;14(2):128-142.doi:10.1038/nrn3407を参照されたい。動物TBIモデルは、下記を含む:
・液体打撃法(Fluid percussion injury)モデル
・制御皮質衝撃損傷モデル(Controlled cortical impact injury model)
・穿通性弾道様脳損傷モデル(Penetrating ballistic-like brain injury model)
・重量落下TBIモデル(Weight drop TBI model)
・ブラストTBIモデル(Models of blast TBI)
・軽度TBIモデル(Mild TBI model)
【0219】
この実施例では、液体打撃法モデル(FPI)が、FPI後のラットに対するSomaholの効果を試験するために使用される。FPIモデルでは、損傷は、開頭を介して無傷の硬膜への流体圧力パルスを生成するために振り子によるリザーバーの流体へのピストンの打撃により加えられ、それは、中央でまたは正中線のまわりのいずれかで行われる。ラットでは、LFPIは、限局性の皮質挫傷および拡散した皮質下(海馬および視床など)のニューロン損傷の組み合わせを生成し、これは、数分の衝撃内に起こり、12時間までにニューロン消失に進行し、損傷後7日まで、他の脳領域へ顕著に拡大しない。損傷部位下の挫傷皮質は、数週間にわたり拡大して、グリアで覆われた空洞になり、進行する細胞死のため損傷後1年間まで拡大を続ける。数日~数ヶ月にわたり、進行性変性カスケードが、同側海馬、視床、内側隔壁、線条体および扁桃体を含む、選択的に脆弱な脳領域で持続する。LFPIは、TBIの患者で一般的に認められる運動および記憶障害などの神経行動学的(neurobehavioural)および認知障害を生じる。認知障害および神経学的障害は、重度LFPI後1年を超えて持続する。
【0220】
この手法は、MRIおよび慢性行動学的後遺症で認められる組織変化、構造変化により定量される、LFPI文献で観察されるものに類似の急性および慢性のTBIの特徴を生じる。
【0221】
この実施例で、ラットは、振り子の打撃を加えられる。ラットはその後、Somaholで治療され、TBIの徴候/症状について試験される。治療されたラットの集団は、対照群と比較される。結果は、Somahol(または本明細書で開示される他の治療分子)で治療されたラットが、対照群よりも急速にTBIからの回復することを示した。
【0222】
実施例4
多発性硬化症のための動物モデル
次の実施例は、多発性硬化症(MS)を試験するために効果的な動物モデルに関する。3つの最も特徴付けられたMS動物モデルは、(1)実験的自己免疫性/アレルギー性脳脊髄炎(EAE);(2)タイラーマウス脳脊髄炎ウィルス(TMEV)感染症として知られるウィルス誘導慢性脱髄性疾患、および(3)毒素誘導脱髄、である。EAEは、MSの自己免疫性病因をより良く反映するモデルであり、かつ潜在的実験的治療薬を試験するために有用である。MSは、CNSの慢性的な免疫媒介性の炎症性疾患である(例えば、Frohman et al.,2006を参照)。MSの最も試験された動物モデルは、実験的自己免疫性脳脊髄炎(EAE)であり、そこではCNS成分に対する自己免疫が、塩基性ミエリンタンパク質由来の自己抗原による免疫化を介して感受性マウスにおいて誘導される。
【0223】
この実施例で、EAEは、タンパク質またはペプチドによる能動免疫化を介して、または脳炎惹起性T細胞の受動的導入により、誘導される。いずれの場合も、関連する免疫原は、ミエリン塩基性タンパク質(MBP)、プロテオリピドタンパク質(PLP)またはミエリンオリゴデンドロサイト糖タンパク質(MOG)などの自己CNSタンパク質由来である。PLPの免疫優性エピトープ(PLP139-151)によるSJL/Jマウスの免疫化は、再発寛解型(RR)疾患経過を誘導し(例えば、Tuohy et al.,1989を参照)、一方でC57Bl6/Jマウスで免疫優性MOG35-55ペプチドにより誘導される疾患は、慢性的な性質のものである。
【0224】
この実施例では、ラットが対象であり、EAEが、2つのラット集団で誘導される。第1の集団はまた、Somahol(または本明細書で開示される他の治療分子)で治療され、第2の集団(即ち、対照)は、未治療のままにされるか、または生理食塩水を注射される。治療されるラットの集団は、MSの徴候/症状(例えば、炎症)に関し、対照群と比較される。結果は、Somaholで治療したラットが、より重篤でないMSの徴候/症状を示すことを実証した。これは、Somahol(または本明細書で開示される他の治療分子)が、自己免疫および関連障害に耐性を付与することを示唆する。
【0225】
実施例5
5-HT2AヒトセロトニンGPCR細胞ベースのアゴニストアレスチンアッセイ
本実施例は、GPCR細胞ベースのアッセイで決定される、安定に遺伝子導入されたU2OS細胞におけるヒト5-HT2A受容体に対する化合物の効力(EC50)および有効性(最大応答)を評価するために実施された。
【0226】
最初に、細胞を、ホワイトウオール384ウエルマイクロプレートに合計体積20μLで播種し、37℃で一晩インキュベートした後、試験した。アゴニスト測定のために、細胞を、試料とインキュベートして、応答を誘導した。試料ストックの中間希釈を行って、アッセイ緩衝液中で5x試料を生成した。5μLの5x試料を、細胞に加え、37℃で120分間インキュベートした。最終アッセイビークル濃度は、1%であった。結果は、対照リガンドの最大応答に対するパーセント有効性として表される。アッセイ体積は、384ウェルプレート中の20μlであった。化合物を、5μlの5x化合物の量で加え、化合物が元々DMSO中である場合、溶媒中で100xに希釈した。アッセイを、最大許容DMSO濃度が1%であるように実施した。アッセイを、37℃で120分間実施した。基準アゴニストは、セロトニンであった。
【0227】
結果を
図11に示す。5-HT2A受容体外部タンパク質のアミノ酸配列は、配列番号1である:
アミノ酸配列(細胞外部分1-75、133-148、216-233、347-362 -> PDZドメイン469-471 -> アゴニズムもまた、155-160、336-340で示される)
10 20 30
MDILCEENTS LSSTTNSLMQ LNDDTRLYSN
40 50 60
DFNSGEANTS DAFNWTVDSE NRTNLSCEGC
70 80 90
LSPSCLSLLH LQEKNWSALL TAVVIILTIA
100 110 120
GNILVIMAVS LEKKLQNATN YFLMSLAIAD
130 140 150
MLLGFLVMPV SMLTILYGYR WPLPSKLCAV
160 170 180
WIYLDVLFST ASIMHLCAIS LDRYVAIQNP
190 200 210
IHHSRFNSRT KAFLKIIAVW TISVGISMPI
220 230 240
PVFGLQDDSK VFKEGSCLLA DDNFVLIGSF
250 260 270
VSFFIPLTIM VITYFLTIKS LQKEATLCVS
280 290 300
DLGTRAKLAS FSFLPQSSLS SEKLFQRSIH
310 320 330
REPGSYTGRR TMQSISNEQK ACKVLGIVFF
340 350 360
LFVVMWCPFF ITNIMAVICK ESCNEDVIGA
370 380 390
LLNVFVWIGY LSSAVNPLVY TLFNKTYRSA
400 410 420
FSRYIQCQYK ENKKPLQLIL VNTIPALAYK
430 440 450
SSQLQMGQKK NSKQDAKTTD NDCSMVALGK
460 470
QHSEEASKDN SDGVNEKVSC V
【0228】
実施例6
5-HT6ヒトセロトニンGPCR細胞ベースのアゴニストアレスチンアッセイ
本実施例は、GPCR細胞ベースのアッセイで決定される、安定に遺伝子導入されたDLD1細胞中におけるヒト5-HT6受容体に対する化合物の効力(EC50)および有効性(最大応答)を評価するために実施された。
【0229】
最初に、細胞を、ホワイトウオール384ウエルマイクロプレートに合計体積20μLで播種し、37℃で一晩インキュベートした後、試験した。アゴニスト測定のために、細胞を、試料とインキュベートして、応答を誘導した。試料ストックの中間希釈を行って、アッセイ緩衝液中で5x試料を生成した。5μLの5x試料を、細胞に加え、37℃で120分間インキュベートした。最終アッセイビークル濃度は、1%であった。結果は、対照リガンドの最大応答に対するパーセント有効性として表される。アッセイ体積は、384ウェルプレート中の20μlであった。化合物を、5μlの5x化合物の量で加え、化合物が元々DMSO中である場合、溶媒中で100xに希釈した。アッセイを、最大許容DMSO濃度が1%であるように実施した。アッセイを、37℃で120分間実施した。基準アゴニストは、セロトニン/5-HTであった。結果を
図12に示す。
【0230】
実施例7
TRKBヒトRTKキナーゼ細胞ベースのアゴニスト機能アッセイ
本実施例はPathHunter受容体型チロシンキナーゼ(RTK)細胞ベースのアッセイで決定される、、安定に遺伝子導入されたU2OS細胞におけるヒトTrkB受容体に対する化合物の効力(EC50)および有効性(最大応答)を評価するために実施された。
【0231】
最初に、細胞を、ホワイトウオール384ウエルマイクロプレートに合計体積20μLで播種し、37℃で一晩インキュベートした後、試験した。アゴニスト測定のために、細胞を、試料とインキュベートして、応答を誘導した。試料ストックの中間希釈を行って、アッセイ緩衝液中で5x試料を生成した。5μLの5x試料を、細胞に加え、37℃で120分間インキュベートした。最終アッセイビークル濃度は、1%であった。結果は、対照リガンドの最大応答に対するパーセント有効性として表される。アッセイ体積は、384ウェルプレート中の20μlであった。化合物を、5μlの5x化合物の量で加え、化合物が元々DMSO中である場合、溶媒中で100xに希釈した。アッセイを、最大許容DMSO濃度が1%であるように実施した。アッセイを、室温で180分間実施した。基準アゴニストは、BDNFであった。結果を
図13に示す。
【0232】
実施例8
5-HT7ヒトセロトニンGPCR細胞ベースのアゴニストcAMPアッセイ
本実施例は、GPCR細胞ベースのcAMPアッセイで決定される、安定に遺伝子導入されたDLD1細胞におけるヒト5-HT7受容体に対する化合物の効力(EC50)および有効性(最大応答)を評価するために実施された。
【0233】
最初に、細胞を、ホワイトウオール384ウエルマイクロプレートに合計体積15μLで播種し、37℃で一晩インキュベートした後、試験した。測定の前に、細胞播種培地を、15μLのアッセイ緩衝液(HBSS+10mMのHEPES)と交換した。手短に説明すると、試料ストックの中間希釈を行って、アッセイ緩衝液中で4x試料を生成した。5μLの4x試料を、細胞に加え、37℃で30分間インキュベートした。最終アッセイビークル濃度は、1%であった。結果は、対照リガンドの最大応答に対するパーセント有効性として表される。
【0234】
アッセイ体積は、384ウェルプレート中の20μlであった。化合物を、5μlの4x化合物の量で加え、化合物が元々DMSO中である場合、溶媒中で100xに希釈した。アッセイを、最大許容DMSO濃度が1%であるように実施した。アッセイを37℃で30分間実施した。基準アゴニストは、セロトニン/5-HTであった。
【0235】
結果を
図14に示す。5-HT7受容体外部タンパク質のアミノ酸配列は、配列番号2である:
アミノ酸配列(細胞外部分1-83、139-157、223-236、347-367 -> 全ての外部部位でまたはその間で可能なPDZドメイン):
10 20 30
MMDVNSSGRP DLYGHLRSFL LPEVGRGLPD
40 50 60
LSPDGGADPV AGSWAPHLLS EVTASPAPTW
70 80 90
DAPPDNASGC GEQINYGRVE KVVIGSILTL
100 110 120
ITLLTIAGNC LVVISVCFVK KLRQPSNYLI
130 140 150
VSLALADLSV AVAVMPFVSV TDLIGGKWIF
160 170 180
GHFFCNVFIA MDVMCCTASI MTLCVISIDR
190 200 210
YLGITRPLTY PVRQNGKCMA KMILSVWLLS
220 230 240
ASITLPPLFG WAQNVNDDKV CLISQDFGYT
250 260 270
IYSTAVAFYI PMSVMLFMYY QIYKAARKSA
280 290 300
AKHKFPGFPR VEPDSVIALN GIVKLQKEVE
310 320 330
ECANLSRLLK HERKNISIFK REQKAATTLG
340 350 360
IIVGAFTVCW LPFFLLSTAR PFICGTSCSC
370 380 390
IPLWVERTFL WLGYANSLIN PFIYAFFNRD
400 410 420
LRTTYRSLLQ CQYRNINRKL SAAGMHEALK
430 440 450
LAERPERPEF VLRACTRRVL LRPEKRPPVS
460 470
VWVLQSPDHH NWLADKMLTT VEKKVMIHD
【0236】
実施例9
5-HT2BヒトセロトニンGPCR細胞ベースのアゴニストカルシウムフラックスアッセイ
本実施例は、安定に遺伝子導入されたHEK293細胞におけるヒト5-HT2B受容体に対する化合物の効力(EC50)および有効性(最大応答)を評価するために実施された。アッセイ原理は、カルシウム動員ベースアッセイである。
【0237】
最初に、細胞を、ホワイトウオール384ウエルマイクロプレートに合計体積20μLで播種し、37℃で一晩インキュベートした。測定の前に、細胞播種培地を、20μLの色素添加液(1x色素、1x添加物Aおよび2.5mMのプロベネシドを含むHBSS+20mMのHEPES)と交換した。プレートを、37℃で45分間インキュベートし、続いて室温で15分間インキュベートした。
【0238】
10μlのアッセイ緩衝液(HBS+20mMのHEPES)を、細胞に加えた。試料ストックの中間希釈を行って、アッセイ緩衝液中で4x試料を生成した。アッセイプレート、化合物プレートを、FLIPR装置にロードした。10μLの試料を、カルシウム測定開始の5秒後にFLIPRオンボードロボットを用いて加えた。最終アッセイビークル濃度は、1%であった。結果は、対照リガンドの最大応答に対するパーセント有効性として表される。
【0239】
アッセイ体積は、384ウェルプレート中の30μlであった。化合物を、10μlの4x化合物の量で加え、化合物が元々DMSO中である場合、溶媒中で100xに希釈した。アッセイを、最大許容DMSO濃度が1%であるように実施した。アッセイを、37℃で実施し、結果を、化合物が添加されると読み取った。基準アゴニストは、セロトニンであった。
【0240】
結果を
図15に示す。5-HT2A受容体外部タンパク質のアミノ酸配列は、配列番号3である:
5-HT2B受容体外部タンパク質
アミノ酸配列(細胞外部分1-56、114-129、193-216、346-360):
10 20 30
MALSYRVSEL QSTIPEHILQ STFVHVISSN
40 50 60
WSGLQTESIP EEMKQIVEEQ GNKLHWAALL
70 80 90
ILMVIIPTIG GNTLVILAVS LEKKLQYATN
100 110 120
YFLMSLAVAD LLVGLFVMPI ALLTIMFEAM
130 140 150
WPLPLVLCPA WLFLDVLFST ASIMHLCAIS
160 170 180
VDRYIAIKKP IQANQYNSRA TAFIKITVVW
190 200 210
LISIGIAIPV PIKGIETDVD NPNNITCVLT
220 230 240
KERFGDFMLF GSLAAFFTPL AIMIVTYFLT
250 260 270
IHALQKKAYL VKNKPPQRLT WLTVSTVFQR
280 290 300
DETPCSSPEK VAMLDGSRKD KALPNSGDET
310 320 330
LMRRTSTIGK KSVQTISNEQ RASKVLGIVF
340 350 360
FLFLLMWCPF FITNITLVLC DSCNQTTLQM
370 380 390
LLEIFVWIGY VSSGVNPLVY TLFNKTFRDA
400 410 420
FGRYITCNYR ATKSVKTLRK RSSKIYFRNP
430 440 450
MAENSKFFKK HGIRNGINPA MYQSPMRLRS
460 470 480
STIQSSSIIL LDTLLLTENE GDKTEEQVSY V
【0241】
実施例10
撹乱された転写アッセイ
アッセイは、次の3つの段階で試験した神経細胞からなる:1.ベースラインの健康な細胞、2.麻酔薬により撹乱された細胞、3.治療薬リードn、n+1、などにより治療された細胞。
【0242】
プレートn
-HGHを含む標準的な促進手順でニューロンを成長させる
-HGH投与を停止し、平衡を樹立する
-細胞の100ugまたは1/3を採取し、試験管にバーコードをマークする
-RNA later溶液に入れる、
--20℃で貯蔵する
-37℃のインキュベーションにおいて48時間麻酔薬で残りの細胞を刺激する
-残りの細胞の100ugまたは1/2を採取し、試験管にバーコードをマークする
-RNA later溶液に入れる、
--20℃で貯蔵する
-細胞を洗浄する
-37℃のインキュベーションにおいて24時間治療標的で治療する
-残りの細胞を採取し、試験管にバーコードをマークする
-RNA later溶液に入れる、
--20℃で貯蔵する
【0243】
対照プレート
-HGHを含む標準的な促進手順でニューロンを成長させる
-HGH投与を停止し、平衡を樹立する
-細胞の1/3または100ugを採取し、試験管にバーコードをマークする
-RNA later溶液に入れる、
--20℃で貯蔵する
【0244】
37℃のインキュベーションにおいて48時間麻酔薬で残りの細胞を刺激する。その後、細胞の100ugまたは1/2を最低限採取し、試験管にバーコードをマークする。RNA later溶液に入れ、-20℃で貯蔵する。次に、細胞を洗浄し、37℃で24時間細胞をインキュベートする。100μgの細胞を採取し、試験管にバーコードをマークし、RNA later溶液に入れ、-20℃で貯蔵する。
【0245】
実施例11
インシリコ構造スクリーニング-5HT受容体結合候補
5HT受容体結合分子の採点セットを、プロドラッグ様活性を含む合成手法をガイドするAI出力を評価するために作製する。このAI採点を次いで、ドッキングおよび活性と比較して、プロドラッグ、フラグメントまたは完全薬物候補としての合成のために、最も有望な分子を特定する。
【0246】
AUTODOCK
Autodockを使う目的は、化合物活性と構造の間の関連性を生成することであり-これは次に、これらの構造をインシリコで評価することにより、新規薬物候補の設計に使用できる。インシリコモデルの品質をその後、Biacoreアッセイ、および活性と比較して、結合親和性とアゴニスト/アンタゴニスト活性の間の関連性を理解することができる。
【0247】
スクリーニングは、種々の5H1結晶構造へ分子をドッキングして一連の数値スコアを生成することを含み得る。このような構造は、同じタンパク質のアゴニストおよびアンタゴニスト両方の結合分子を含み得る。
【0248】
一次標的は下記である:
-5-HT2A
-5-HT2B
-5-HT7
-TrkB。
【0249】
図16は、各分子:A1、B1、C1、D1、E1、F1、G1、H1、A2、B2、C2、D2、E2、F2、G2、H2、A3、B3、C3、D3およびE3からのアゴニストアッセイの結果の表である。
各分子は、10μMの濃度で試験された。示されるように、分子は、各アッセイ:アレスチン、カルシウムフラックス、アレスチン、cAMP、細胞ベースキナーゼ、で試験された。標的は、それぞれ、HTR2A、HTR2B、HTR6、HTR7DおよびTrkBであった。
【0250】
本発明の特定の実施形態が、本発明を実施するための発明者らに既知の最良の形態を含み、本明細書に記載される。当然のことながら、ここに記載した実施形態に対する変形形態は、これまでの記載を読めば、当業者に明らかとなるであろう。発明者は、当業者が必要に応じてこのような変更を採用することを予期しており、また、発明者らは、本明細書で具体的に記載された方法とは別の方法で本発明が実施されることを意図する。従って、本発明は、適用法で認められている本明細書に添付の請求項に記載の主題の全ての変形物および等価物を含む。さらに、その全ての可能な変形物における上述の実施形態の任意の組み合わせもまた、本明細書で特に指示がない限り、または別の理由で文脈と明確に矛楯することがない限り、本出願に包含される。
【0251】
本発明の代替実施形態、要素、またはステップのグループ分けは、限定として解釈されるべきではない。各グループのメンバーは、個別に、または本明細書で開示される他のグループメンバーとの任意の組み合わせでを参照され請求されてよい。グループの1つまたは複数のメンバーが、利便性、および/または特許性の理由で、グループに含まれてよく、またはグループから除去されてよいことが予測される。何らかのこのような包含または削除が生じた場合、明細書は、修正され、従って添付の請求項で使用される全てのマーカッシュグループの記述要件を満たすグループを含むものと見なされる。
【0252】
別段の指示がない限り、本明細書および請求項で使われる特性、項目、量、パラメータ、性質、期間、などを表す全ての数字は、全ての場合において、「約」という語で修飾されるとして理解されるべきである。本明細書で使用する場合、用語の「約」は、そのように限定された、特性、項目、量、パラメータ、性質、期間が、表示された特性、項目、量、パラメータ、性質、期間の値より、プラスまたはマイナス10%高いまたは低い範囲を包含することを意味する。従って、特に指示がない限り、明細書および添付請求項に記載の数値パラメータは、変わってもよい近似値である。控えめに言っても、また、請求項の範囲に対する均等論の適用を限定しようとするものでもないが、各々の数値表示は少なくとも、報告された有効桁数を考慮に入れて、および通常の丸め技術を適用することにより解釈されなければならない。本発明の広い範囲を記載する数値範囲および値は近似値であるにもかかわらず、具体例な実施例に記載の数値範囲および値は、可能な限り正確に報告される。いずれの数値範囲および値も、しかしながら、それらの各試験測定で認められる標準的なずれに起因して必然的に生じる一定の誤差を本質的に含む。本明細書における値の範囲の記載は、その範囲内に入るそれぞれ別々の値を個別に参照する省略表現法として機能することを意図されるに過ぎない。本明細書で特に指示がない限り、数値範囲のそれぞれの個別値は、あたかもそれが個別に本明細書中に記述されるかのように明細書中に組み込まれる。
【0253】
本発明を記載する文脈において(特に、次の請求項の文脈において)使用される用語「a」、「an」、「the」は、別段の指示がない限り、または文脈と明らかに矛盾することがない限り、単数形および複数形の両方を包含すると解釈されるべきである。本明細書で記載される全ての方法は、本明細書で別段の指示がない限り、または文脈上明らかに矛盾することがない限り、任意の好適な順序で実施されてよい。本明細書で提供されるいずれかのおよび全ての例、または例示的表現(例えば、「(など)such as」)の使用は、単に本出願をより明らかにすると意図され、別に請求される本出願の範囲に制限を課すものではない。明細書中のどの用語も、本出願の実施に必須のいずれかの非請求要素を示すものと解釈されるべきではない。
【0254】
本明細書で開示される具体的実施形態は、~から構成される(consisting of)、または本質的に~から構成される(consisting essentially of)という言い方を使って請求項中でさらに制限できる。請求項で用いられる場合、出願されたもの、または補正により追加されたものを問わず、「~からなる」という移行語は、請求項に明示されない要素、段階または成分を一切除外する。「~から実質的になる」という移行語は、明示される材料または段階および基礎となる新規な特徴に実質的には影響を及ぼさない材料または段階に請求項の範囲を限定する。そのように請求された本発明の実施形態は、本質的にまたは明示的に記載され、本明細書で可能になる。
【0255】
本発明の代替実施形態、要素、またはステップのグループ分けは、限定するとして解釈されるべきではない。各グループのメンバーは、個別に、または本明細書で開示される他のグループメンバーとの任意の組み合わせで参照され請求されてよい。グループの1つまたは複数のメンバーが、利便性および/または特許性の理由で、グループに含められるか、またはグループから除去される場合があることが予測される。何らかのこのような包含または削除が生じた場合、明細書は、修正され、従って添付の請求項で使用される全てのマーカッシュグループの記述要件を満たすグループを含むものと見なされる。
【0256】
本明細書で言及され、特定された全ての特許、特許公報、および他の出版物は、例えば、このような出版物に記載され、本発明との関係で使用可能な組成物および方法を説明し、開示するために、個別に、明示的に参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。これらの出版物は、本出願の出願日に先立つそれらの開示のためにのみ提供される。この点に関するいずれも、本発明者らが、先行発明または何らかの他の理由でこのような開示に先行する権利がないことを容認すると解釈されるべきではない。これらの文書の内容に関する日付または表現は、出願者らに入手可能な情報に基づき、かつこれらの文書の日付または内容の正確さに関して何ら承認するものではない。
【0257】
最後に、本明細書の態様は、特定の実施形態に言及することにより強調されるが、当業者は、これらの開示される実施形態は、本明細書で開示される主題の原理の例示に過ぎないことを容易に認識するであろうことを理解されたい。従って、開示される主題は、本明細書で記載の特定の方法、プロトコル、および/または試薬、などに決して限定されないことを理解されたい。従って、開示主題または開示主題の代替構成物に対する種々の修正もしくは変更が、本明細書の趣旨から逸脱することなく本明細書の教示に従い行われてよい。最後に、本明細書で使用される用語は、特定の実施形態のみを説明する目的のためであり、本発明の範囲を制限すると意図されず、本発明の範囲は請求項によってのみ規定される。従って、本発明は、正確に示され説明されるものに限定されない。
【0258】
配列表
配列番号1(5-HT2A受容体外部タンパク質)
MDILCEENTS LSSTTNSLMQ LNDDTRLYSN
DFNSGEANTS DAFNWTVDSE NRTNLSCEGC
LSPSCLSLLH LQEKNWSALL TAVVIILTIA
GNILVIMAVS LEKKLQNATN YFLMSLAIAD
MLLGFLVMPV SMLTILYGYR WPLPSKLCAV
WIYLDVLFST ASIMHLCAIS LDRYVAIQNP
IHHSRFNSRT KAFLKIIAVW TISVGISMPI
PVFGLQDDSK VFKEGSCLLA DDNFVLIGSF
VSFFIPLTIM VITYFLTIKS LQKEATLCVS
DLGTRAKLAS FSFLPQSSLS SEKLFQRSIH
REPGSYTGRR TMQSISNEQK ACKVLGIVFF
LFVVMWCPFF ITNIMAVICK ESCNEDVIGA
LLNVFVWIGY LSSAVNPLVY TLFNKTYRSA
FSRYIQCQYK ENKKPLQLIL VNTIPALAYK
SSQLQMGQKK NSKQDAKTTD NDCSMVALGK
QHSEEASKDN SDGVNEKVSC V
配列番号2(5-HT7受容体外部タンパク質)
MMDVNSSGRP DLYGHLRSFL LPEVGRGLPD
LSPDGGADPV AGSWAPHLLS EVTASPAPTW
DAPPDNASGC GEQINYGRVE KVVIGSILTL
ITLLTIAGNC LVVISVCFVK KLRQPSNYLI
VSLALADLSV AVAVMPFVSV TDLIGGKWIF
GHFFCNVFIA MDVMCCTASI MTLCVISIDR
YLGITRPLTY PVRQNGKCMA KMILSVWLLS
ASITLPPLFG WAQNVNDDKV CLISQDFGYT
IYSTAVAFYI PMSVMLFMYY QIYKAARKSA
AKHKFPGFPR VEPDSVIALN GIVKLQKEVE
ECANLSRLLK HERKNISIFK REQKAATTLG
IIVGAFTVCW LPFFLLSTAR PFICGTSCSC
IPLWVERTFL WLGYANSLIN PFIYAFFNRD
LRTTYRSLLQ CQYRNINRKL SAAGMHEALK
LAERPERPEF VLRACTRRVL LRPEKRPPVS
VWVLQSPDHH NWLADKMLTT VEKKVMIHD
配列番号3(5-HT2B受容体外部タンパク質)
MALSYRVSEL QSTIPEHILQ STFVHVISSN
WSGLQTESIP EEMKQIVEEQ GNKLHWAALL
ILMVIIPTIG GNTLVILAVS LEKKLQYATN
YFLMSLAVAD LLVGLFVMPI ALLTIMFEAM
WPLPLVLCPA WLFLDVLFST ASIMHLCAIS
VDRYIAIKKP IQANQYNSRA TAFIKITVVW
LISIGIAIPV PIKGIETDVD NPNNITCVLT
KERFGDFMLF GSLAAFFTPL AIMIVTYFLT
IHALQKKAYL VKNKPPQRLT WLTVSTVFQR
DETPCSSPEK VAMLDGSRKD KALPNSGDET
LMRRTSTIGK KSVQTISNEQ RASKVLGIVF
FLFLLMWCPF FITNITLVLC DSCNQTTLQM
LLEIFVWIGY VSSGVNPLVY TLFNKTFRDA
FGRYITCNYR ATKSVKTLRK RSSKIYFRNP
MAENSKFFKK HGIRNGINPA MYQSPMRLRS
STIQSSSIIL LDTLLLTENE GDKTEEQVSY
【配列表】
【国際調査報告】