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特表2024-546509非空気式タイヤ用のバンド及びトレッド組立体を製造するためのシステム及び方法
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  • 特表-非空気式タイヤ用のバンド及びトレッド組立体を製造するためのシステム及び方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-12-24
(54)【発明の名称】非空気式タイヤ用のバンド及びトレッド組立体を製造するためのシステム及び方法
(51)【国際特許分類】
   B60C 7/00 20060101AFI20241217BHJP
   B29D 30/02 20060101ALI20241217BHJP
   B60C 19/00 20060101ALI20241217BHJP
【FI】
B60C7/00 H
B29D30/02
B60C19/00 K
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024538644
(86)(22)【出願日】2022-12-14
(85)【翻訳文提出日】2024-06-27
(86)【国際出願番号】 US2022081488
(87)【国際公開番号】W WO2023129809
(87)【国際公開日】2023-07-06
(31)【優先権主張番号】63/295,563
(32)【優先日】2021-12-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】512028220
【氏名又は名称】ブリヂストン バンダグ エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】テリル,ウェイド エル.
(72)【発明者】
【氏名】シュラップコール,メルル アール.
(72)【発明者】
【氏名】トムチック,アレクサンダー ジー.
(72)【発明者】
【氏名】ゼック,チャド エム.
(72)【発明者】
【氏名】ウェスタウェイ,テリー エー.
【テーマコード(参考)】
3D131
4F501
【Fターム(参考)】
3D131BB19
3D131CC03
3D131CC05
3D131LA40
4F501TB07
4F501TE11
4F501TE21
(57)【要約】
【解決手段】 非空気式タイヤ用の周方向トレッド及びバンドを組み立てるためのシステムは、非空気式タイヤ用のバンド及び周方向トレッドを受け入れるように寸法決めされた硬化ラップを含む。硬化ラップは弁を備える。システムはまた、硬化ラップの第1の側部を周方向トレッドに固定し、硬化ラップの第2の側部を硬化ラップの第1の側部に固定するように構成された締結具を含む。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
非空気式タイヤ用のバンド及びトレッド組立体を製造する方法であって、
バンドを設けることと、
前記バンドの上面の周りに円周方向にエラストマートレッドを設けることと、
そこから延在する弁を有する可撓性ラップを設けることであって、前記可撓性ラップが、第1の端部及び第2の端部を有することと、
前記第1の端部が前記第2の端部に重なるように、前記バンド及び前記エラストマートレッドの周りに前記可撓性ラップを配置することと、
前記バンド及び前記エラストマートレッドの周りに前記可撓性ラップを固定することと、
前記可撓性ラップ内に熱を加えることとを含む、方法。
【請求項2】
前記可撓性ラップが、前記第1の端部が前記エラストマートレッドの上方で前記第2の端部に重なるように、前記バンド及び前記エラストマートレッドの周りに配置される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記バンド及び前記エラストマートレッドの周りに前記可撓性ラップを固定することが、前記可撓性ラップをストラップで固定することを含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記可撓性ラップが、前記第1の端部が前記バンドの下で前記第2の端部に重なるように、前記バンド及び前記エラストマートレッドの周りに配置される、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記バンド及び前記エラストマートレッドの周りに前記可撓性ラップを固定することが、前記可撓性ラップを弧状バンドで固定することを含む、請求項2に記載の方法。
【請求項6】
前記可撓性ラップが、前記弁が前記バンドの下に延在するように、前記バンド及び前記エラストマートレッドの周りに配置される、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記可撓性ラップが、前記弁が前記エラストマートレッドの上方に延在するように、前記バンド及び前記エラストマートレッドの周りに配置される、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記可撓性ラップ内に圧力を加えることを更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記可撓性ラップが、ブチルゴム、他のゴム化合物、ネオプレン、多糸、及びラテックスからなる群から選択される材料から構築される、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
非空気式タイヤ用の周方向トレッド及びバンドを組み立てるためのシステムであって、
非空気式タイヤ用のバンド及び周方向トレッドを受け入れるように寸法決めされた硬化ラップであって、弁を備える硬化ラップと、
前記硬化ラップの第1の側部を前記周方向トレッドに固定し、前記硬化ラップの第2の側部を前記硬化ラップの前記第1の側部に固定するように構成された締結具とを含む、システム。
【請求項11】
前記締結具がストラップである、請求項10に記載のシステム。
【請求項12】
前記硬化ラップが、ブチルゴム、他のゴム化合物、ネオプレン、多糸、及びラテックスからなる群から選択される材料から構築される、請求項10に記載のシステム。
【請求項13】
前記硬化ラップの前記第1の側部が、前記硬化ラップの前記第2の側部に重なる、請求項10に記載のシステム。
【請求項14】
前記硬化ラップの前記第1の側部が、2~3インチの距離だけ前記硬化ラップの前記第2の側部に重なる、請求項13に記載のシステム。
【請求項15】
前記締結具が弧状バンドである、請求項10に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、非空気式タイヤ及びそのシステム及び製造方法に関する。より具体的には、本開示は、非空気式タイヤ用のバンドにトレッドを適用するシステム及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
タイヤが非膨張状態又は膨張不足状態で走行することを可能にする種々のタイヤの構造が開発されている。非空気式タイヤは膨張を必要としないが、「ランフラットタイヤ」は、パンクして加圧空気が完全に又は部分的に失われた後に、長期間、比較的高速で動作し続けることができる。非空気式タイヤは、複数のスポーク、ウェビング、又は下部リングを上部リングに接続する他の支持構造体を含み得る。接着剤又はセメントを用いて、予備硬化トレッドを非空気式の上部リングに接着することが知られている。
【発明の概要】
【0003】
一実施形態では、非空気式タイヤ用のバンド及びトレッド組立体を製造する方法は、バンドを設けることと、バンドの上面の周りに円周方向にエラストマートレッドを設けることとを含む。本方法は、そこから延在する弁を有する可撓性ラップを設けることを更に含む。可撓性ラップは、第1の端部及び第2の端部を有する。本方法はまた、第1の端部が第2の端部に重なるように、バンド及びエラストマートレッドの周りに可撓性ラップを配置することを含む。本方法は、バンド及びエラストマートレッドの周りに可撓性ラップを固定することと、可撓性ラップ内に熱を加えることとを更に含む。
【0004】
別の実施形態では、非空気式タイヤ用の周方向トレッド及びバンドを組み立てるためのシステムは、非空気式タイヤ用のバンド及び周方向トレッドを受け入れるように寸法決めされた硬化ラップを含む。硬化ラップは弁を備える。システムはまた、硬化ラップの第1の側部を周方向トレッドに固定し、硬化ラップの第2の側部を硬化ラップの第1の側部に固定するように構成された締結具を含む。
【0005】
更に別の実施形態では、非空気式タイヤを製造する方法は、上部バンドを設けることと、上部バンドの上面の周囲にエラストマートレッドを円周方向に設けることとを含む。本方法は、エラストマートレッド及び上部バンドの周りに硬化ラップを固定することと、上部バンド及びトレッド組立体を形成するために硬化ラップ内に熱を加えることとを更に含む。本方法はまた、下部バンドに接続された支持構造体を設けることと、上部バンド及びトレッド組立体を支持構造体に添着することとを含む。
【図面の簡単な説明】
【0006】
添付の図面では、以下に提供される詳細な説明とともに、特許請求される本発明の例示的な実施形態を説明する構造が例解される。同様の要素は、同一の参照番号で特定される。単一の構成要素として示される要素を、多数の構成要素に置き換えてもよく、多数の構成要素として示される要素を、単一の構成要素に置き換えてもよいことを理解されたい。図面は正確な縮尺ではなく、特定の要素の比率が例解のために誇張されている場合がある。
図1図1は、非空気式タイヤの一実施形態の正面図である。
図2図2は、非空気式タイヤの代替的な実施形態の正面図である。
図3図3は、非空気式タイヤ用のトレッド及び上部バンド組立体の一実施形態の正面図を示す概略図である。
図4図4は、非空気式タイヤ用のトレッド及び上部バンド組立体の周りに固定された硬化ラップの斜視図である。
図5図5は、非空気式タイヤ用のトレッド及び上部バンド組立体の周りに固定された硬化ラップの内部の部分斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下は、本明細書において用いられる選択用語の定義を含む。これらの定義には、用語の範囲に該当し、実施のために使用され得る構成要素の様々な例及び/又は形態が含まれる。例は、限定を意図するものではない。用語の単数形及び複数形は、いずれも定義の範囲内であり得る。
【0008】
「軸方向の」及び「軸方向に」は、タイヤの回転軸と平行な方向を指す。
【0009】
「周方向の」及び「周方向に」は、軸方向に対して垂直であるトレッドの表面の外周に沿って延在する方向を指す。
【0010】
「径方向の」及び「径方向に」は、タイヤの回転軸に対して垂直な方向を指す。
【0011】
本明細書で使用するとき、「トレッド」は、通常の膨張度及び通常の荷重において、道路又は地面と接触するタイヤの部分を指す。
【0012】
以下の説明で使用される同様の用語によって一般的なタイヤ構成要素が説明されるが、当然のことながら、用語は若干異なる含意を有するため、当業者は、以下の用語のうちのいずれも、一般的なタイヤ構成要素の説明に使用される別の用語と純粋に交換可能であるとは考えないであろうことを理解されたい。
【0013】
本明細書では、方向は、タイヤの回転軸を基準にして述べられる。「上向きの」及び「上向きに」という用語は、タイヤのトレッドに向かう一般的な方向を指し、「下向きの」及び「下向きに」は、タイヤの回転軸に向かう一般的な方向を指す。したがって、「上部の」及び「下部の」又は「頂部の」及び「底部の」など相対的な方向用語が要素に関連して使用されるとき、「上部の」又は「頂部の」要素は、「下部」又は「底部」の要素よりもトレッドの近くに離間配置される。追加的に、「上」又は「下」など相対的な方向用語が要素に関連して使用されるとき、別の要素の「上」にある要素は、他の要素よりもトレッドに近い。
【0014】
「内向きの」及び「内向きに」という用語は、タイヤの赤道面に向かう一般的な方向を指し、「外向きの」及び「外向きに」は、タイヤの赤道面から離れ、タイヤのサイドウォールに向かう一般的な方向を指す。したがって、「内部」及び「外部」など相対的な方向用語が要素と関連して使用されるとき、「内部」要素は、「外部」要素よりもタイヤの赤道面の近くに離間配置される。
【0015】
図1は、非空気式タイヤ10の一実施形態を図示する。非空気式タイヤ10は、単に例示的な図であり、限定することを意図するものではない。図示される実施形態では、非空気式タイヤ10は、タイヤ10が装着されているリム(図示せず)と係合する、略環状の下部リング20を備える。略環状の下部リング20は、内側表面23及び外側表面24を有し、エラストマー材料又は金属から作製され得る。
【0016】
非空気式タイヤ10は、相互接続されたウェブ40を囲む略環状の上部リング30を更に備え、ウェブは、略環状の下部リング20に接続された支持構造体である。代替的な実施形態では、複数のスポーク又は他の支持構造体が、下部リングを上部リングに接続する。上部リング30は、接地面領域32の周り及び接地面領域を含む範囲48において変形するように構成することができ、これにより、振動が減少し、乗り心地が向上する。
【0017】
一実施形態では、略環状の下部リング20及び略環状の上部リング30は、相互接続されたウェブ40と同じ材料から作製される。特定の一実施形態では、下部リング20、上部リング30、及びウェブ40の各々は、鋼で構築される。代替的な実施形態では、下部リング20、上部リング30、及びウェブ40の各々は、他の金属、炭素繊維、樹脂、又はポリウレタン、ポリエステル、ナイロン、若しくはポリ塩化ビニル(PVC)などのポリマー材料から構築される。しかしながら、他の材料が使用されてもよく、リング及びスポークは列挙された材料に限定されないことが理解されるべきである。
【0018】
代替的な実施形態では、略環状の下部リング、略環状の上部リング、及び相互接続されたウェブのうちの少なくとも1つは、異なる材料から作製される。例えば、上部リング30はスチールバンドであってもよく、一方、下部リング20及びウェブ40は、他の金属、炭素繊維、樹脂、又はポリウレタン、ポリエステル、ナイロン、若しくはポリ塩化ビニル(PVC)などのポリマー材料から構築される。
【0019】
図示される実施形態では、相互接続されたウェブ40は、複数の略多角形の開口部50を画定する、ウェブ要素42の少なくとも2つの半径方向に隣接する層56、58を有する。他の実施形態(図示せず)では、他のウェブ構成を用いてもよい。
【0020】
図1に示すように、略環状の上部リング30は、周方向トレッド70が取り付けられている半径方向外側表面34を有し得る。周方向トレッド70は、天然ゴム又は合成ゴムなどのエラストマー材料で構築されてもよい。トレッド70は、複数のリブを画定する複数の周方向溝を有することができる。トレッドは、溝、リブ、ブロック、ラグ、サイプ、スタッド、及び他の要素などのトレッド要素を含み得ることを理解されたい。剪断バンド若しくは他の剪断要素又は補強構造(図示せず)が、上部リング30とトレッド70との間に配置されてもよい。あるいは、剪断バンド又は他の剪断要素がトレッド内に配置されてもよい。
【0021】
一実施形態では、周方向トレッド70は、上部リング30と周方向トレッド70との間に感圧接着剤は配置されずに、上部リング30の上部に添着される。そのような一実施形態では、周方向トレッド70は、上部リング30の上部に直接接合される。別のそのような実施形態では、硬化ゴムのストリップ(図示せず)又は感温接着剤が、周方向トレッド70と上部リング30との間に配置される。
【0022】
図2は、非空気式タイヤ100の代替的な実施形態の正面図である。非空気式タイヤ100は、第1の直径を有するインナーリング110と、第1の直径よりも大きい第2の直径を有するアウターリング120とを備える。アウターリング120は、インナーリング110と実質的に同軸である。図示される実施形態では、インナーリング110は、ハブHに取り付けられているものとして示されている。複数のスポーク130は、インナーリング110とアウターリング120との間に延在している。「支持構造体」という用語は、ウェビング(図1のウェブ40など)又はスポーク(図2のスポーク130など)のいずれかを指し得ることを理解されたい。
【0023】
一実施形態では、下部リング110、上部リング120、及びスポーク130の各々は、同じ材料から構築される。特定の一実施形態では、下部リング110、上部リング120、及びスポーク130の各々は、鋼で構築される。代替的な実施形態では、下部リング110、上部リング120、及びスポーク130の各々は、他の金属、炭素繊維、樹脂、又はポリウレタン、ポリエステル、ナイロン、若しくはポリ塩化ビニル(PVC)などのポリマー材料から構築される。しかしながら、他の材料が使用されてもよく、リング及びスポークは列挙された材料に限定されないことが理解されるべきである。
【0024】
代替的な実施形態では、下部リング110、上部リング120、及びスポーク130のうちの1つ以上は、異なる材料から構築される。例えば、上部リング120はスチールバンドであってもよいが、下部リング120及びスポーク130は、他の金属、炭素繊維、樹脂、又はポリウレタン、ポリエステル、ナイロン、若しくはポリ塩化ビニル(PVC)などのポリマー材料から構築される。
【0025】
図示される実施形態では、上部リング120の周りに周方向トレッド140が配置されている。周方向トレッド140は、天然ゴム又は合成ゴムなどのエラストマー材料で構築されてもよい。トレッド140は、複数のリブを画定する複数の周方向溝を有することができる。トレッドは、溝、リブ、ブロック、ラグ、サイプ、スタッド、及び他の要素などのトレッド要素を含み得ることを理解されたい。剪断バンド若しくは他の剪断要素又は補強構造(図示せず)が、上部リング120とトレッド140との間に配置されてもよい。あるいは、剪断バンド又は他の剪断要素がトレッド内に配置されてもよい。
【0026】
一実施形態では、周方向トレッド140は、上部リング120と周方向トレッド140との間に感圧接着剤が配置されずに、上部リング120の上部に添着される。そのような一実施形態では、周方向トレッド140は、上部リング120の上部に直接接合される。別のそのような実施形態では、硬化ゴムのストリップ(図示せず)又は感温接着剤が、周方向トレッド140と上部リング120との間に配置される。
【0027】
タイヤ10又はタイヤ100などの非空気式タイヤを製造するために、製造者は、バンド(上部リング30又は上部リング120など)及びエラストマートレッド(トレッド70又はトレッド140など)を設け、次いで、上部リングの周りにトレッドを巻き付ける。次に、製造者は、第1の端部及び第2の端部を有する可撓性ラップを設け、第1の端部が第2の端部に重なるように、バンド及びエラストマートレッドの周りにラップを配置する。次に、製造者は、バンド及びエラストマートレッドの周りにラップを固定し、ラップ内に熱を加える。
【0028】
エラストマートレッドがバンドに硬化された後、製造者は、バンドの直径よりも小さい直径を有する下部リング(下部リング20又は下部リング110など)と、下部リングから延在する支持構造体(ウェブ40又はスポーク130など)とを備えるタイヤ構造体を設ける。次に、製造者は、バンドを支持構造体に添着する。例えば、製造者は、接着剤を用いて、又は溶接若しくはろう付けプロセスを通して、バンドを支持構造体に添着してもよい。
【0029】
図3は、バンドの円周の周りに延在するトレッド220を有するバンド210を備える予備硬化組立体200の一実施形態の正面図を示す概略図である。バンド210は、図1及び図2の上部リング30又は上部リング120と同じであってもよい。トレッド220は、未硬化又は部分硬化状態であってもよいことを除いて、図1及び図2のトレッド70又はトレッド140と同じであってもよい。あるいは、トレッド220は硬化トレッドであってもよい。
【0030】
一実施形態では、グリーンゴム又は感温接着剤のストリップ(図示せず)が、トレッド220又はバンド210のいずれかに最初に塗布される。代替的な実施形態では、トレッド220は、バンド210上に直接配置される。
【0031】
図4及び図5は、非空気式タイヤのためのトレッド及び上部バンド組立体の予備硬化組立体の周りに固定される、硬化ラップ300の斜視図及び部分斜視図をそれぞれ提供する。硬化ラップ300は、周方向トレッド及びバンドを受け入れるように寸法決めされる。硬化ラップ300は、弁310、第1の端部、第2の端部を有する。
【0032】
硬化ラップ300は、ブチルゴム、他のゴム化合物、ネオプレン、多糸、ラテックス、又は他の可撓性材料のシートであってもよい。材料シートは、0.008インチ(0.02cm)~0.12インチ(0.3cm)の厚さを有してもよい。硬化ラップ300はまた、複数の材料シートによって形成されてもよい。
【0033】
硬化ラップ300は、第1の端部が第2の端部に重なるように、バンド及びエラストマートレッドの予備硬化組立体の周りに配置される。一実施形態では、硬化ラップ300の第1の側部は、2~3インチ(5~8cm)の距離だけ硬化ラップの第2の側部に重なる。次に、硬化ラップ300は、バンド及びエラストマートレッドの周りに固定される
【0034】
図示される実施形態では、硬化ラップ300は、第1の端部がエラストマートレッドの上方で第2の端部に重なるように、バンド及びエラストマートレッドの予備硬化組立体の周りに配置される。次に、硬化ラップ300は、ストラップ320で固定される。この実施形態では、弁310は、図5に示されるように、バンドの下に延在する。代替的な実施形態では、弁はエラストマートレッドの上方に延在してもよい。
【0035】
代替的な実施形態では、硬化ラップは、第1の端部がバンドの下で第2の端部に重なるように、バンド及びエラストマートレッドの予備硬化組立体の周りに配置される。そのような実施形態では、硬化ラップは、弧状バンドなどの締結具によって固定されてもよい。そのような一実施形態では、弁は、エラストマートレッドの上方に延在してもよい。別の実施形態では、弁はバンドの下に延在してもよい。
【0036】
いずれの実施形態においても、硬化エンベロープがバンド及びエラストマートレッドの予備硬化組立体に固定された後、熱及び圧力が硬化エンベロープ内に加えられる。一実施形態では、熱は、200°F~300°F(90℃~150℃)の温度で加えられる。エラストマートレッドは、トレッドが上部リングの周りに設けられる前に予め形成された任意の所望のトレッド要素を有する、予備硬化又は部分硬化されたトレッドであってもよい。エラストマートレッドは予備硬化又は部分硬化されているので、トレッドは、トレッドを上部リングに結合するのに十分な温度まで加熱されるだけである。
【0037】
「含む(includes)」又は「含む(including)」という用語が、本明細書又は特許請求の範囲で使用される範囲において、特許請求項で移行語として用いられる際に解釈されるように、「備える(comprising)」という用語と同様に、包括的であることが意図される。更に、「又は(or)」という用語が用いられる(例えば、A又はB)範囲において、「A若しくはB、又は両方」を意味することが意図される。本出願人らが「両方ではなくA又はBのみ」を示すことを意図する場合、「両方ではなくA又はBのみ(only A or B but not both)」という用語が用いられる。したがって、本明細書における「又は」という用語の使用は、排他的ではなく、包括的である。Bryan Garner,A Dictionary of Modern Legal Usage 624(2d.Ed.1995)を参照されたい。また、「中に(in)」又は「中へ(into)」という用語が、本明細書又は特許請求の範囲において使用される範囲において、「上に(on)」又は「上へ(onto)」を追加的に意味することが意図される。更に、「接続する(connect)」という用語が本明細書又は特許請求の範囲において使用される範囲において、「~と直接接続する(directly connected to)」だけではなく、別の1つ以上の構成要素を介して接続するなどのように「~と間接的に接続する(indirectly connected to)」ことも意味することが意図される。
【0038】
本出願をその実施形態の説明によって例解し、またその実施形態をかなり詳細に説明してきたが、添付の特許請求の範囲の範囲をこのような詳細に制限するか、又はいかなる形式でも限定することは、出願人らの意図するものではない。追加の利点及び変更が、当業者には容易に明らかとなるであろう。したがって、そのより広い態様における本出願は、図示及び説明される、特定の詳細、代表的な装置及び方法、並びに用例に限定されるものではない。このため、出願人の一般的な発明概念の趣旨又は範囲から逸脱することなく、そのような詳細からの逸脱がなされてもよい。
図1
図2
図3
図4
図5
【手続補正書】
【提出日】2024-06-27
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
非空気式タイヤ用のバンド及びトレッド組立体を製造する方法であって、
バンドを設けることと、
前記バンドの上面の周りに円周方向にエラストマートレッドを設けることと、
そこから延在する弁を有する可撓性ラップを設けることであって、前記可撓性ラップが、第1の端部及び第2の端部を有することと、
前記第1の端部が前記第2の端部に重なるように、前記バンド及び前記エラストマートレッドの周りに前記可撓性ラップを配置することと、
前記バンド及び前記エラストマートレッドの周りに前記可撓性ラップを固定することと、
前記可撓性ラップ内に熱を加えることとを含む、方法。
【請求項2】
前記可撓性ラップが、前記第1の端部が前記エラストマートレッドの上方で前記第2の端部に重なるように、前記バンド及び前記エラストマートレッドの周りに配置され、前記バンド及び前記エラストマートレッドの周りに前記可撓性ラップを固定することが、前記可撓性ラップをストラップで固定することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記バンド及び前記エラストマートレッドの周りに前記可撓性ラップを固定することが、前記可撓性ラップを弧状バンドで固定することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記可撓性ラップが、前記弁が前記バンドの下に延在するように、前記バンド及び前記エラストマートレッドの周りに配置される、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記可撓性ラップ内に圧力を加えることを更に含む、請求項1に記載の方法。

【国際調査報告】