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特表2024-546525廃熱回収ユニットのための熱ダンパ及び熱ダンパを備える廃熱回収ユニット
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  • 特表-廃熱回収ユニットのための熱ダンパ及び熱ダンパを備える廃熱回収ユニット 図1
  • 特表-廃熱回収ユニットのための熱ダンパ及び熱ダンパを備える廃熱回収ユニット 図2
  • 特表-廃熱回収ユニットのための熱ダンパ及び熱ダンパを備える廃熱回収ユニット 図3
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-12-25
(54)【発明の名称】廃熱回収ユニットのための熱ダンパ及び熱ダンパを備える廃熱回収ユニット
(51)【国際特許分類】
   F28F 27/00 20060101AFI20241218BHJP
   F28F 9/26 20060101ALI20241218BHJP
   F22B 1/18 20060101ALI20241218BHJP
   F22B 37/26 20060101ALI20241218BHJP
【FI】
F28F27/00 511F
F28F9/26
F22B1/18 B
F22B37/26 A
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024535823
(86)(22)【出願日】2023-01-04
(85)【翻訳文提出日】2024-06-14
(86)【国際出願番号】 EP2023025001
(87)【国際公開番号】W WO2023135026
(87)【国際公開日】2023-07-20
(31)【優先権主張番号】102022000000296
(32)【優先日】2022-01-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】517029381
【氏名又は名称】ヌオーヴォ・ピニォーネ・テクノロジー・ソチエタ・レスポンサビリタ・リミタータ
【氏名又は名称原語表記】Nuovo Pignone Tecnologie S.R.L.
(74)【代理人】
【識別番号】110002871
【氏名又は名称】弁理士法人坂本国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】ナシーニ,エルネスト
(72)【発明者】
【氏名】サンティーニ,マルコ
(72)【発明者】
【氏名】ジェナリー,ジョバンニ
【テーマコード(参考)】
3L021
3L065
【Fターム(参考)】
3L021AA04
3L021AA05
3L021BA03
3L021DA05
3L065FA19
(57)【要約】
【解決手段】 本開示は、熱源からの排出流体と廃熱回収システムの作動流体との間で熱を交換するように構成された主熱交換器(13)を備える廃熱回収ユニット(10)に関し、廃熱回収ユニット(10)は、過渡状態中に排出流体と、代替的に冷却流体又は当該作動流体の一部若しくは全部との間で熱を交換するように構成された追加熱交換器(12)を備える。
【選択図】図1

【特許請求の範囲】
【請求項1】
廃熱回収ユニット(10)であって、熱源からの高温排出流体流と廃熱回収システムの作動流体流との間で熱を交換するように構成された主熱交換器(13)を備え、前記廃熱回収ユニット(10)は、前記主熱交換器(13)の上流に配置された追加の熱交換器(12)を備え、前記追加の熱交換器(12)は、前記高温排出流体流と冷却流体流との間で熱を交換するように構成されている、廃熱回収ユニット(10)。
【請求項2】
ダイバータが前記追加の熱交換器(12)の下流に配置されており、前記ダイバータは、前記主熱交換器(13)及びバイパスダクト(14)に向けられる前記高温排出流体流の量を制御するように構成されている、請求項1に記載の廃熱回収ユニット(10)。
【請求項3】
ダイバータが前記追加の熱交換器(12)の上流に配置されており、前記ダイバータは、前記主熱交換器(13)及びバイパスダクト(14)に向けられる前記高温排出流体流の量を制御するように構成されている、請求項1に記載の廃熱回収ユニット(10)。
【請求項4】
前記追加の熱交換器(12)は高級材料で作られている、請求項1に記載の廃熱回収ユニット(10)。
【請求項5】
前記追加の熱交換器(12)は、前記廃熱回収ユニット(10)の取り外し可能な部分として構成されている、請求項1に記載の廃熱回収ユニット(10)。
【請求項6】
前記廃熱回収ユニット(10)は、作動流体供給ライン(18)と、第1の端部において前記作動流体供給ライン(18)に接続され、第2の端部において前記追加の熱交換器(12)に接続されたバイパス流ライン(19)と、第1の端部において前記作動流体供給ライン(18)に接続され、第2の端部において主熱交換器供給ライン(2)の第1の端部に接続された主流ライン(21)と、を備え、前記廃熱回収ユニット(10)は、一方の端部において前記追加の熱交換器(12)の作動流体出口に接続され、第2の端部において前記主熱交換器供給ライン(2)の前記第1の端部に接続された予熱作動流体ライン(23)を更に備え、前記主熱交換器供給ライン(2)の前記第2の端部は、前記主熱交換器(13)に接続されている、請求項1に記載の廃熱回収ユニット(10)。
【請求項7】
セパレータ(24)が、前記予熱作動流体ライン(23)の下流かつ前記主熱交換器供給ライン(2)の上流に配置されている、請求項6に記載の廃熱回収ユニット(10)。
【請求項8】
蒸気流ライン(26)が、第1の端部において前記分離器(24)の上側部分と接続され、第2の端部において前記主熱交換器供給ライン(2)の前記第1の端部と接続されており、液体流ライン(25)が前記分離器(24)の下側部分と接続されている、請求項7に記載の廃熱回収ユニット(10)。
【請求項9】
前記主流ライン(21)が、前記主熱交換器供給ライン(2)に沿って配置された温度センサ(28)に接続された弁(22)を備える、請求項6に記載の廃熱回収ユニット(10)。
【請求項10】
前記廃熱回収ユニットは、第1の端部においてサービス冷却流体回路(200)に接続され、第2の端部において前記追加の熱交換器(12)の前記入口に接続された冷却流体供給ライン(190)と、第1の端部において前記追加の熱交換器(12)の前記出口に接続され、第2の端部において前記サービス冷却流体回路(200)に接続された冷却流体出口ラインと、を備え、前記廃熱回収ユニット(10)は、前記主熱交換器(13)に接続された作動流体供給ライン(2)を備える、請求項1に記載の廃熱回収ユニット(10)。
【請求項11】
熱交換器(130)が、前記追加の熱交換器(12)の下流の前記冷却流体と前記主熱交換器(13)の上流の前記作動流体との間で熱を交換するように構成されている、請求項10に記載の廃熱回収ユニット(10)。
【請求項12】
前記廃熱回収ユニット(10)は、貫流熱回収蒸気発生器(OTSG)である、請求項1に記載の廃熱回収ユニット(10)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、廃熱回収ユニットのための熱ダンパ及び熱ダンパを備える廃熱回収ユニットに関する。本明細書に開示される実施形態は、特に、限定するものではないが、ガスタービン及び/又はエンジン発電機又は機械駆動用途など、熱力学機械のための改善された廃熱回収ユニットに関し、廃熱回収ユニットは、熱ダンパ、より具体的には廃熱回収システムの作動流体の予熱器を備える。
【背景技術】
【0002】
廃熱は、ほとんどすべての機械的及び熱的プロセスにおいて発生する。廃熱源としては、例えば、大気中に排出される高温燃焼ガス、環境中に放出される温水、工業プロセスから出る加熱生成物、及び高温機器表面から伝達される熱が挙げられる。したがって、廃熱源は、集合状態(主に流体及び気体)、温度範囲、及びそれらの発生頻度に関して異なる。廃熱の大部分は、工業プロセス及びエネルギー生成プロセスにおいて失われている。
【0003】
廃熱の回収は、有用なエネルギー源を提供し、全体的なエネルギー消費を低減するために、廃熱温度に応じて、様々な廃熱回収技術を通して行うことができる。
【0004】
典型的には、廃熱は、排出流体を介して熱源から廃熱回収システムに伝達される。廃熱回収システムは、典型的には、廃熱回収ユニット、すなわち、熱源の排出流体の残留エンタルピーを廃熱回収システムの作動流体に伝達するように構成された熱交換器を含む。
【0005】
例えば、熱力学システムなどの機械の余熱、すなわち最終的に煙道ガスを通してシステムによって排出される熱と、システムによって利用されなかった熱源の一部分は、多くの場合、依然として十分に高いエンタルピー含有量を有し、熱力学サイクルを使用して機械的エネルギーに有効に変換され得る。そのような例示的な場合によれば、廃熱回収システムは、典型的には、機械からの煙道ガスに蓄えられた熱を作動流体に伝達するように構成された熱交換器を含むだけでなく、ブレイトンサイクルシステム及び/若しくはスターリングサイクルシステムの膨張ユニット/群及び圧縮ユニット/群、並びに/又はランキンサイクルシステムの膨張ユニット/群を含むか、あるいは残留熱を追加の媒体に更に伝達するための熱交換器を含む。
【0006】
しかしながら、廃熱回収ユニット、特に廃熱回収ユニットの熱交換器は、過渡状態の間のそれらの最も高温であるセクションの起こり得る過熱及びそれらの最も低温であるセクションの過度の冷却に起因する欠点を有する。実際、高温の煙道ガスが熱交換器自体に入り始めたときに熱交換器が作動流体を空にし始めた場合、高温の煙道ガスが熱交換器に入ると、温度の急速な変動に起因して、熱衝撃、すなわち熱交換面の材料の内部応力が発生する。熱衝撃は亀裂を生じることがあり、その結果、熱交換器の材料の寿命が短くなる。同様に、作動流体がなく、高温の煙道ガスによって加熱される同じ熱交換器が、低温の作動流体で充填され始める場合、最初に充填されたセクションにおいて熱衝撃が生じる可能性がある。一方、高温の煙道ガスが熱交換器自体に入るときに熱交換器が既に作動流体で充填され始めている場合、特に廃熱回収ユニットが上記の例示的な場合に従って動作している場合だけでなく、高温の煙道ガスが廃棄物焼却設備から到来する場合にも、高温の煙道ガスの温度は非常に急速に低下し、酸の限界点に達する可能性があり、煙道ガスから凝縮される結果として生じる液体酸は、排出煙道ガスの収集、冷却、及び排出に使用される機器に深刻な腐食問題を引き起こす可能性がある。その結果、廃熱回収ユニットの耐用年数が影響を受け、潜在的に短縮される。
【0007】
排気煙道ガスダイバータを備えた廃熱回収ユニットは、熱交換表面への全排気ガス流量に直接対処するものではなく、熱衝撃を部分的に軽減する。それにもかかわらず、ダイバータは有効な解決策を提供せず、その理由は、部分的な開放におけるそれらの使用が排気ガス流に影響を及ぼし、渦及び騒音を引き起こすからである。更に、ダイバータの幾何形状の小さな変動であっても、排気ガス特性と組み合わされて無効な規制につながることから、ダイバータは制御するのが困難である。
【0008】
更に、現在、市場は生産の柔軟性を要求しており、これは、開始及び停止サイクル並びに負荷変動などの過渡状態の増加を意味するので、これらの欠点はますます重大になっている。石油及びガス市場は特に、頻繁な負荷変動を必要とし、過渡状態の数も増加させる。結果として、回収システムは、高い始動/停止頻度を有する熱源にますますさらされている。
【0009】
これらの熱衝撃及び腐食の問題を解決するために、従来技術によれば、廃熱回収ユニットは、高温における高い耐食性及び良好な機械的強度を有するHi-Crステンレス鋼、Ni合金などの材料で作られる。
【0010】
一方、これらの材料は非常に高価であり、これらの重要な問題を完全には解決しない。
【発明の概要】
【0011】
本開示によれば、廃熱回収ユニットには、廃熱回収ユニットの主熱交換器のサイズと比較して小さい熱交換器として構成され、かつ、熱源から到来する過剰な熱を吸収するために廃熱回収ユニットの上流に設置される、すなわち過渡状態の間に、廃熱回収ユニットはあまり過酷でない動作サイクルに耐えるので、廃熱回収ユニットが適切な様式で動作することを可能にする、熱ダンパが設けられることが提案される。熱ダンパは、作動流体予熱器として構成することができ、すなわち、廃熱回収システムの作動流体は、熱ダンパ内の熱源からの高温流体と熱を交換する冷却流体として使用され、温度の最も重要な過渡状態を吸収する機能を有し、したがって、熱応力に耐え、廃熱回収ユニットの残りの部分、すなわち主熱交換器をこれらの状態から「解放」する。更に、廃熱回収システムの作動流体を予熱することによって、熱ダンパは、廃熱回収ユニットの主熱交換器の最も低温のセクションにおける酸凝縮を回避する。
【0012】
結果として、熱ダンパのみが、高温における良好な機械的強度を有する高品質の材料で製造される必要があり、一方、廃熱回収ユニットの残りの部分は、より卑な材料で作られ、したがってより安価である。
【0013】
熱ダンパは、貴金属で作られているという事実にもかかわらず、それでもなお依然として、廃熱回収ユニットの残りの部分よりも短い寿命を有する。結果として、熱ダンパは、廃熱回収ユニットの残りの部分とは別個に、容易に交換されるように設計される。
【0014】
したがって、一態様では、本明細書に開示される主題は、廃熱回収ユニットのための熱ダンパを対象とする。特に、熱ダンパは、廃熱回収システムの作動流体の予熱器として構成される。加えて、本明細書に開示される主題は、高温及び高温流体と低温流体との間の大きな温度差による最も厳しい熱衝撃を吸収することによって予熱器が機能する、廃熱回収ユニットのための予熱器を動作させる方法を対象とする。
【0015】
別の態様では、本明細書に開示される主題は、廃熱回収ユニットの熱交換器の入口セクションに入る前に廃熱回収システムの作動流体を予熱することを可能にし、したがって、熱源からの排出流体中の攻撃的成分の存在による熱交換器の最も低温の部分における酸凝縮を防止する、廃熱回収ユニットのための予熱器を対象とする。
【0016】
更に別の態様によれば、本明細書に開示される主題は、排出流体の温度に従って予熱器を通る作動流体の流量を変化させ、廃熱回収ユニットの熱交換器に到達する排出流体の温度を適切に低下させることを可能にし、したがって廃熱回収ユニットの熱交換器の最も高温の出口セクションの表面温度を制限するために、廃熱回収ユニットのための予熱器を動作させる方法を対象とする。
【0017】
したがって、本明細書に開示される主題は、熱ダンパ、特に廃熱回収ユニットのための作動流体予熱器、及び廃熱回収ユニットのための予熱器を動作させる方法であって、廃熱回収ユニットがより安価な材料で作られることを可能にし、高価で高性能の材料の必要性を予熱器に限定し、したがって使用される材料のコストの全体的な節約を可能にする方法を対象とする。
【0018】
別の態様によれば、本明細書に開示される主題は、熱ダンパ、特に廃熱回収ユニットのための作動流体予熱器と、主熱交換器への損傷の可能性を低減すると同時に、任意の危機的状態を熱ダンパに集中させることによって廃熱回収ユニット全体の可用性を増加させることを可能にする廃熱回収ユニットのための予熱器を動作させる方法とを対象とし、熱ダンパは、容易に保守可能及び/又は交換可能なデバイスである。
【図面の簡単な説明】
【0019】
本発明の実施形態、及び予想されるそれらの利点の多くのより完全な理解は、以下の発明を実施するための形態を参照し、添付図面に関連付けて考慮することによってそれらがより良好に理解されるため、容易に得られるであろう。
図1図1は、第1の実施形態による廃熱回収システムの新規な改良された廃熱回収ユニットであって、熱ダンパ、特に作動流体予熱器を含む廃熱回収ユニットの概略図を示す。
図2図2は、第2の実施形態による廃熱回収システムの新規な改良された廃熱回収ユニットであって、熱ダンパ、特に作動流体予熱器を含む廃熱回収ユニットの概略図を示す。
図3図3は、熱ダンパ、特に、図1又は図2のシステムの廃熱回収ユニットのための作動流体予熱器の簡略化された実施形態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0020】
一態様によれば、本主題は、熱ダンパ、特に作動流体予熱器を含む廃熱回収ユニットを対象とし、熱ダンパは、高級材料(高クロム鋼、Ni合金など)で作られ、一方の側に熱源からの可変流量の排出流体が供給され、他方の側に可変流量の冷却流体、好ましくは廃熱回収システムの作動流体(CO、ボイラ給水/蒸気、有機流体)が供給される小型熱交換器(コイル)として構成される。
【0021】
別の態様によれば、排出流体流量制御デバイス(ダイバータ)が当該熱ダンパの下流又は上流に配置され得る。
【0022】
更に別の態様によれば、熱ダンパ、特に作動流体予熱器を通る流量を変化させることによって、廃熱回収ユニットの熱交換器に到達する排出流体温度が適切に下げられ、したがって廃熱回収ユニットの熱交換器の最も高温の出口セクションの表面温度が制限され、作動流体は、廃熱回収ユニットの熱交換器の入口セクションに入る前に予熱され、したがって排出流体中の攻撃的成分による酸凝縮が防止される。
【0023】
制御システムの表面温度を向上させるために、温度インジケータ3、28などの制御機器を、熱ダンパの制御温度のフィードバックとして廃熱回収ユニットの主コイルに設置することができる。
【0024】
更に、別の態様によれば、ORCシステム、すなわち有機流体を作動流体として使用する廃熱回収システムであって、有機流体を直接加熱する(すなわち中間流体なしで)ように構成されたシステムの場合、熱ダンパには、安全な流体(HO、COなど)の中から選択された冷却流体が供給されて、過渡状態中に熱ダンパのコイルのみに生じる可能性がある最も暖かい温度を有するようにし、それにより、高温による有機流体の熱劣化の問題なしに、廃熱回収ユニットの主熱交換器のコイルで有機流体を直接加熱することができる。安全流体によって吸収された熱は、有機作動流体自体を予熱するために使用することができる。
【0025】
最後に、代替の例示的な態様によれば、熱ダンパ、特に作動流体予熱器が設けられた廃熱回収ユニットは、貫流熱回収蒸気発生器(once through heat recovery steam generator、OTSG)において、あるいは自然循環又は強制循環のいずれかを用いた熱回収蒸気発生器(heat recovery steam generator、HRSG)において使用することができる。
【0026】
ここで図面を参照すると、図1は、特に作動流体予熱器として動作し、本発明の例示的な実施形態に従って示される熱ダンパを含む廃熱回収ユニットを示す。
【0027】
図1を参照して示される1つの特定の実施形態では、廃熱回収ユニット10は、3つの部分を含む本体11と、本明細書において以下で作動流体予熱器12とも呼ばれる熱ダンパ12と、主熱交換器13と、バイパスダクト14と、を含む。主熱交換器13及びバイパスダクト14は共に、予熱器12の下流に配置される。加えて、ダイバータが予熱器12と主熱交換器13との間の接続部に沿って配置され、ダイバータは、主熱交換器13への排気ガス流量を制御するためのダイバータ熱交換器セクション15と、バイパスダクトへの排気ガス流量を制御するためのダイバータバイパスセクション16と、を備える。ダイバータ熱交換器セクション15とダイバータバイパスセクション16は、同じアクチュエータ7が一方の開放と他方の閉鎖を同時に動作させ、ダイバータを通る一定流量の通過を可能にするように、機械的に連結される。代替的に、ダイバータ熱交換器セクション15とダイバータバイパスセクション16は、異なるアクチュエータによって動作させることもできる。
【0028】
図1の廃熱回収ユニット10は、高温排気ガス流とランキンサイクル廃熱回収システムの作動流体流(一般に二相流)との間で熱を交換するように構成されているが、本明細書で以下に説明するように、単相流で動作するのにも適している。
【0029】
図1に示される例示的な実施形態では、弁群9は、作動流体供給ライン18を通る作動流体流量を調整するように構成される。作動流体供給ライン18は、弁20の介在により予熱器12に接続されたバイパス流ライン19と、弁22の介在により主熱交換器供給ライン2を通して主熱交換器13に接続された主流ライン21と、に分岐されている。予熱流体流ライン23は、作動流体流が二相流である場合、特に作動流体がランキンサイクル廃熱回収システムの作動流体である場合に、予熱器12から分離器24に向けられる。分離器24は、二相の予熱された流体を予熱された液体画分と予熱された蒸気画分とに分離するように構成されている。予熱液体流ライン25及び予熱蒸気流ライン26は、分離器24からの予熱された液体画分及び予熱された蒸気画分をそれぞれ収集するように構成されている。予熱蒸気流ライン26は、主熱交換器供給ライン2を通って主熱交換器13まで通される。過熱流体流ライン27は、主熱交換器13からの出口から収集器8に向けられる。
【0030】
図1を参照すると、作動流体流がランキンサイクル廃熱回収システムの作動流体流である場合、本開示による廃熱回収ユニット10のための熱ダンパ12の動作は以下の通りである。
【0031】
作動流体供給ライン18を通る作動流体は液体である。廃熱回収システムが始動されると、弁22を閉じ、弁20を開くことによって、作動流体供給ライン18からの作動流体流量の公称値に対して低減された、制御された流量の作動流体が予熱器12に向けられる。予熱器12において、作動流体は、高温排気ガス流17と熱交換することによって加熱され、その後、予熱流体流ライン23を通って分離器24に向けられる。分離器24において、予熱された作動流体流は、予熱された液体画分と予熱された蒸気画分とに分離される。分離器24内の予熱された液体画分の量は、予熱液体流ライン25の弁5を操作するレベルインジケータ4を介して制御される。典型的には、予熱液体流ライン25の予熱された液体流は、熱サイクルにおいて回収されることができる。予熱された蒸気画分は、予熱蒸気流ライン26及び主熱交換器供給ライン2を通って主熱交換器13に向けられ、排気ガス17と更に熱交換し、過熱蒸気流として収集器8に収集される。
【0032】
分離器24の機能は、ランキンサイクル廃熱回収システムの一部である図1の廃熱回収ユニットが始動されるときに不可欠である。実際、システムが始動されるとき、高温排気ガス流は主熱交換器13のコイルの一方の側に存在し、予熱された蒸気画分の流れはコイルの他方の側に存在する。予熱された蒸気画分との接触は、より低い熱交換係数のために、液体流によって引き起こされ得る冷却と比較して、主熱交換器13の温度のより低い冷却を引き起こす。更に、予熱された蒸気画分の温度は、液体画分よりも高い。したがって、予熱された蒸気は、主熱交換器13のコイルへの熱衝撃を低減する。更なる利点は、蒸気がすべての主熱交換器13に迅速に充填され、始動を完了するのに必要な時間が短縮されるという事実によるものである。
【0033】
始動段階が進行するにつれて、主熱交換器13及び主熱交換器供給ライン2の内側の蒸気画分の圧力は上昇し、温度も上昇する。主熱交換器13から分離器24への起こり得る逆流は、予熱蒸気流ライン26上に配置された逆止弁260によって防止される。加えて、より高い圧力が下流に存在する場合、分離器24内部の圧力も増大し得るので、分離器24からの起こり得る逆流は、予熱流ライン23上に配置された逆止弁230によって防止される。設定された温度を測定すると、温度インジケータ28は弁22を操作して、液体作動流体供給ライン18を通って流れ、主流ライン21を通って方向付けられ、予熱蒸気流ライン26の予熱蒸気と混合され、その後、主熱交換器供給ライン2を通って主熱交換器13に送られる液体作動流体の量を徐々に増加させる。
【0034】
始動が続く限り、主熱交換器供給ライン2及び主熱交換器13に沿った温度のより滑らかな変化を得るために、温度インジケータ28が設定温度を測定したとき、インジケータ4上の制御レベルは除外され、弁5は閉鎖され、その結果、分離器24は予熱された液体画分で充填される。その結果、予熱された液体画分は、主熱交換器供給ライン2を通って主熱交換器13に送られる。次に、弁22が開放されて、徐々に増加する量の液体作動流体が、液体作動流体供給ライン18から主流ライン21に流れ、予熱された液体画分と混合され、続いて主熱交換器供給ライン2を通って主熱交換器13に送られる。したがって、供給ライン2は、弁22を通ってライン21から到来する液体との混合と、上昇圧力との両方を考慮すると、液体画分よりも更に少ない蒸気画分を含む。
【0035】
別の代替的な解決策は、温度インジケータ28が設定温度を測定するとき、弁22が開放され、同時に弁20が閉鎖されることである。その結果、液体作動流体供給ライン18を流れるすべての液体作動流体は、主流ライン21及び主熱交換器供給ライン2を通って主熱交換器13に送られる。
【0036】
予熱がもはや必要でなくなると、バイパス流ライン19上の弁20及び予熱流体流ライン23上の弁6を閉鎖することによって、また、予熱流体流ライン23に沿って配置されたベント/ドレイン29を開放して、流体を熱ダンパ12から追い出すことによって、熱ダンパ12はシステムから除外される。
【0037】
常に図1を参照すると、作動流体流が単相の作動流体流である場合、本開示による廃熱回収ユニット10のための熱ダンパ12の動作は、弁22を調整し、開閉弁20を開放することによって、作動流体供給ライン18からの作動流体を、バイパス流ライン19を通して予熱器12に向けられるバイパス流と、主流ライン21及び主熱交換器供給ライン2を通して主熱交換器13に向けられる主流と、に分割することによって動作される。予熱器12において、作動流体は、高温排気ガス流17と熱交換することによって加熱され、予熱された作動流体流は、その後、主熱交換器13に入る前に主流と混合するように方向付けられる。分離器24は、予熱された作動流体流によって横切られる(作動流体流が単相の作動流体流である場合、システムはまた、分離器24及び関連する付属部品を備えなくてもよい)。混合流は、主熱交換器供給ライン2を通って主熱交換器13に向けられ、排気ガス17と更に熱交換し、過熱流体流として収集器8内に収集される。したがって、作動流体流が単相の作動流体流である場合にも、本開示による熱ダンパは、主熱交換器13に向けられる作動流体流の温度を制御することによって熱衝撃及び酸凝縮を防止するために重要である。
【0038】
図2を参照すると、図1を参照して示された実施形態の同じ構成要素には同じ参照番号が使用されているが、本開示による熱ダンパ12は、有機流体直接加熱(すなわち、中間流体なし)を用いる有機ランキンサイクル(organic Rankine cycle、ORC)システムと共に使用するのにも適している。そのような場合、熱ダンパ12は、サービス冷却流体回路200から安全流体(HO、COなど)を供給される別個の回路の一部として実現される。したがって、安全流体は、熱を交換し、排気ガス流17を冷却する。有機流体は、主熱交換器13に直接供給され、より低い温度の排気ガス流と熱交換することによって、したがって過度に高い温度による有機流体の熱劣化の問題なしに、廃熱回収ユニット10のコイル内で直接加熱される。安全流体によって吸収された熱は、主熱交換器13に向けられる前に、別の外部熱交換器130において有機作動流体を予熱するために回収されることができる。この解決策は、ランキンサイクル廃熱回収システムで使用される自然循環ボイラ及び強制循環ボイラの両方に適用することができる。
【0039】
本開示による廃熱回収ユニットのための予熱器の簡略化された概略図を示す図3を参照すると、予熱器12は、損傷の場合に予熱器12の保守及び/又は交換を容易にするために、廃熱回収ユニット10の本体11の取り外し可能な部分として構成されている。図3の例示的な実施形態では、予熱器12は、フレーム31によって支持された管巣30から構成される。フランジ32は、低温流体バイパス流ライン19を低温流体コレクタ33及び管巣30の入口側に取り外し可能に結合するように構成されている。管巣30の出口側は、予熱流体コレクタ34として配置され、フランジ35に接続され、予熱流体コレクタ34を予熱流ライン23に取り外し可能に結合するように構成された流れ23に向けられる。
【0040】
予熱器12をダイバータの上流に配置することにより、高温排気ガス流17が完全にバイパスダクト14に向けられる場合であっても、予熱器12が高温排気ガス流17の温度を下げることができることに留意されたい。その結果、図1に示す実施形態のようにバイパスダクト14が本体11と一体化されている場合であっても、熱交換表面13をより安価な材料で作製することができる。実際、バイパスダクト14の下流側の流れが少なくとも部分的に熱交換表面13に向け直される場合であっても、その温度は、熱交換表面13の熱衝撃を引き起こすほど高くはない。しかしながら、同じ理由で、ダイバータダンパ15を閉鎖することによって排気ガスが予熱器12をバイパスすることができないので、予熱器12は、廃熱回収ユニットが始動された後に作動流体が予熱器に入るときの極端な熱衝撃に耐え得るように設計されなければならない。バイパスダクトが本体11と一体化されず、別個の本体として実現される場合、予熱器12の位置は、ダイバータの下流とすることができる。
【0041】
本発明の態様は、様々な特定の実施形態に関して説明されてきたが、当業者には、特許請求の範囲の趣旨及び範囲を逸脱することなく多くの修正、変更、及び省略が可能であることが、当業者には明らかであろう。
Barzano & Zanardo Roma S.p.A.
図1
図2
図3
【国際調査報告】