(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-12-25
(54)【発明の名称】組成物
(51)【国際特許分類】
A61K 36/899 20060101AFI20241218BHJP
A61P 3/06 20060101ALI20241218BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20241218BHJP
A61K 45/00 20060101ALI20241218BHJP
A61K 9/20 20060101ALI20241218BHJP
A61K 47/02 20060101ALI20241218BHJP
A61K 36/062 20060101ALI20241218BHJP
A61K 36/29 20060101ALI20241218BHJP
A61K 36/28 20060101ALI20241218BHJP
A61K 36/752 20060101ALI20241218BHJP
A61K 36/8962 20060101ALI20241218BHJP
A61K 36/53 20060101ALI20241218BHJP
A61K 36/82 20060101ALI20241218BHJP
A61K 36/73 20060101ALI20241218BHJP
A61K 36/9066 20060101ALI20241218BHJP
A61K 35/748 20150101ALI20241218BHJP
【FI】
A61K36/899
A61P3/06
A61P43/00 121
A61K45/00
A61K9/20
A61K47/02
A61K36/062
A61K36/29
A61K36/28
A61K36/752
A61K36/8962
A61K36/53
A61K36/82
A61K36/73
A61K36/9066
A61K35/748
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024535884
(86)(22)【出願日】2023-01-02
(85)【翻訳文提出日】2024-06-14
(86)【国際出願番号】 EP2023050012
(87)【国際公開番号】W WO2023126537
(87)【国際公開日】2023-07-06
(32)【優先日】2022-01-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522297410
【氏名又は名称】メダ ファーマ エス.ピー.エイ.
【氏名又は名称原語表記】MEDA Pharma S.p.A.
【住所又は居所原語表記】Via Valosa di Sopra 9,20900 Monza,Italy
(74)【代理人】
【識別番号】110002114
【氏名又は名称】弁理士法人河野国際特許商標事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100128624
【氏名又は名称】穂坂 道子
(74)【代理人】
【識別番号】100138483
【氏名又は名称】村上 晃一
(74)【代理人】
【識別番号】100173521
【氏名又は名称】篠原 淳司
(72)【発明者】
【氏名】ゲルフィ、エレナ
(72)【発明者】
【氏名】モスコーニ、マヌエル ロベルト
【テーマコード(参考)】
4C076
4C084
4C087
4C088
【Fターム(参考)】
4C076AA37
4C076BB01
4C076CC21
4C076DD25Q
4C076DD29
4C076DD41
4C076DD46
4C076EE31
4C076EE33
4C084AA19
4C084MA35
4C084NA03
4C084ZC33
4C084ZC75
4C087AA01
4C087AA02
4C087BC11
4C087BC80
4C087MA02
4C087MA35
4C087MA52
4C087NA03
4C087ZC33
4C087ZC75
4C088AB74
4C088AC04
4C088BA23
4C088BA32
4C088MA35
4C088NA03
4C088ZC33
(57)【要約】
本発明は、CaCO3の添加によって安定化された紅麹発酵米を含む固形経口組成物に関する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
紅色酵母米とCaCO
3を含む組成物。
【請求項2】
前記紅色酵母米とCaCO
3の比が1:5~5:1であることを特徴とする、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記紅色酵母米とCaCO
3の比が1:2~2:3であることを特徴とする、請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
前記紅色酵母米とCaCO
3の比が2:3であることを特徴とする、請求項1に記載の組成物。
【請求項5】
前記紅色酵母米とCaCO
3の比が1:2であることを特徴とする、請求項1に記載の組成物。
【請求項6】
前記紅色酵母米が、モナコリンKで0.5~2.0w/w%に規格化されていることを特徴とする、請求項1~5に記載の組成物。
【請求項7】
前記紅色酵母米が、モナコリンKで1.75w/w%に規格化されていることを特徴とする、請求項1~6に記載の組成物。
【請求項8】
高コレステロール血症又は高脂血症の治療又は予防に使用するための、請求項1~7のいずれかに記載の組成物。
【請求項9】
Berberis aristata、フィトステロール及び/又はフィトスタノール、Cynara cardunculus抽出物、Citrus bergamia抽出物、Allium sativum、Salvia miltiorrhiza、ポリコサノール、Camellia sinensis抽出物、Melannurca campana抽出物、Curcuma longa、並びにクルクミノイド、スピルリナ、キトサン、ベータグルカン、グルコマンナンから選択される一つ以上の成分を追加で含む、請求項1~8のいずれかに記載の組成物。
【請求項10】
コエンザイムQ10、アスタキサンチン、葉酸、オルトシフォンから選択される一つ以上の成分を追加で含む、請求項1~9のいずれかに記載の組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、モナコリンK(MK)で規格化された紅麹発酵米をベースとし、モナコリンKの安定性を改善するために炭酸カルシウムの添加を使用した、固形経口組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
紅麹発酵米、別名、紅色酵母米(RYR)は、伝統的には、天然食品着色剤として、かつ肉及び魚の食品防腐剤として、何世紀にもわたって使用されてきた。これは、一連の活性薬剤化合物であるモナコリン(3-ヒドロキシ-3-メチルグルタリル-コエンザイムAレダクターゼ阻害剤として示される)を含むその生物活性成分の多くが血清コレステロールレベルを低下させることができることが発見されたため、近年、人気のある栄養補助食品になっている(Lin et al.,Appl Microbiol Biotechnol 2008;77,965-973)。
【0003】
紅色酵母米中に見られる生物活性化合物の中で、モナコリンは、高脂血症を制御するそれらの薬理学的効果について周知である。モナコリンKは、血漿中のコレステロールを低下させるのに最も有効な化合物であると考えられている。これは、ロバスタチン及びメビノリンと構造的に同一である(Klimek,Wang,and Ogunkanmi,P&T 2009,34 No6,313-316)。
【0004】
モナコリンKは、紅色酵母米及び医薬剤形では安定性が乏しいことが周知である。安定性分析によれば、モナコリンKは、紅色酵母米粉末の長期貯蔵中、特に大気保存条件下で、高温保存(40~50℃)で不安定ではあったことが示されている(Sani Jirasatid et al.,Journal of Food Engineering 116(2013)436~443)。
【0005】
さらなる研究は、モナコリンは高温多湿(相対湿度75%、60℃)と日光の条件下で著しく減少することが明らかとなった。モナコリンK及びそのヒドロキシ酸形態は、高温(80℃)で脱水分解されデヒドロモナコリンKに変化する一方、モナコリンK、J、及びLは、高湿度(92.5% RH、25℃)の条件下で対応するヒドロキシル酸形態に変化する。この観察は、紅色酵母米粉末中のモナコリンが光感受性及び熱感受性であるという結果を示している(Yong-Guo Li,Journal of Pharmaceutical and Biomedical Analysis 39(2005)82-90。
【0006】
したがって、増加した安定性を示すモナコリンKを紅色酵母米製剤中に提供することが、本発明の目的である。
【発明の概要】
【0007】
本発明は、紅色酵母米とCaCO3を含む組成物を提供する。
【0008】
驚くべきことに、本出願人は、紅色酵母米とCaCO3を含む組成物が、統計的に有意な効果を示す安定性を改善したことを見出した。
【0009】
[定義]
組み合わせの様々な成分の割合は、他の成分に対して定義される。他の成分に基づく特定の成分の重量%(重量パーセント)は、特定の成分の重量(質量)を、組成物の重量に基づく重量(質量)で割って、100を乗じたもの、すなわち、以下である。
【数1】
【0010】
紅麹発酵米又は紅色酵母米は、室温で数日間、紅麹菌(Monascus purpureus)で発酵させ、その結果、紅色になった、調理された白米の伝統的な中国調製物(Chinese preparation)である。
【0011】
本発明との関連で使用される紅色酵母米は、モナコリンKで0.5~2.0%(w/w)に規格化され得る。
【0012】
モナコリンKで1.75%に規格化された紅色酵母米が特に好ましい。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明は、紅色酵母米とCaCO3(炭酸カルシウム)を含む組成物を提供する。
【0014】
一実施形態では、本発明は、モナコリンKで1.75%w/wに規格化された紅色酵母米と、CaCO3を1:5~5:1の重量比で含む組成物を提供する。
【0015】
好ましくは、本発明は、モナコリンKで1.75%w/wに規格化された紅色酵母米と、CaCO3を2:1の重量比で含む組成物を提供する。
【0016】
より好ましくは、本発明は、モナコリンKで1.75%w/wに規格化された紅色酵母米と、CaCO3を1:2の重量比で含む組成物を提供する。
【0017】
より好ましくは、本発明は、モナコリンKで1.75%w/wに規格化された紅色酵母米と、CaCO3を2:3の重量比で含む組成物を提供する。
【0018】
更なる実施形態では、前述の組成物は、Berberis aristata、フィトステロール及び/又はフィトスタノール、Cynara cardunculus抽出物、Citrus bergamia抽出物、Allium sativum、Salvia miltiorrhiza、ポリコサノール、Camellia sinensis抽出物、Melannurca campana抽出物、Curcuma longa、並びにクルクミノイド、スピルリナ、キトサン、ベータグルカン、グルコマンナン、コエンザイムQ10、アスタキサンチン、葉酸、及びオルトシフォンから選択される一つ以上の成分を追加で含み得る。
【0019】
[本発明の使用]
本発明は、高コレステロール血症又は高脂血症の治療又は予防に使用するための、本明細書に開示される組成物の使用も提供する。
【0020】
本発明は、高コレステロール血症又は高脂血症の治療又は予防のための、薬剤の製造のための本明細書に開示される組成物の使用を提供する。
【0021】
本発明は、本明細書に開示される組成物を、それを必要とする患者に投与することを含む、高コレステロール血症又は高脂血症の治療又は予防のための方法も提供する。
【0022】
高コレステロール血症(及び高脂血症)は、冠動脈疾患、脳血管疾患、及び末梢動脈疾患の周知の危険因子である。実際には、基礎血漿コレステロールレベルのあらゆる低下は、心血管系合併症(心筋梗塞、脳卒中、末梢閉塞性動脈疾患)の発生率の比例的低下と相関している。この相関は、一次予防に関連する最初の臨床事象の前に既に存在し、二次予防に関連する最初の臨床ベント後の心血管事象の前にも存在する。
【0023】
[投薬量]
本発明の組成物は、高コレステロール血症及び高脂血症の治療又は予防に有用である。
【0024】
本組成物は、概して、その投与を必要とする対象、例えば、ヒト又は動物、典型的にはヒトに投与される。
【0025】
本組成物は、典型的には、治療的又は予防的に有用な量で投与される。
【0026】
本組成物は、有益な治療効果を維持するために長期間にわたって投与されてもよく、又は短期間のみ投与されてもよい。
【0027】
組み合わせの各々の成分の典型的な1日用量は、体重1kg当たり100pg~100mg、より典型的には体重1kg当たり5ng~25mg、より通常では体重1kg当たり10ng~15mg(例えば、10ng~10~20mg、より典型的には1kg当たり1μg~1kg当たり20mg、例えば、1kg当たり1μg~10mg)の範囲内とすることができるが、必要に応じてより高い用量又はより低い用量が投与されてもよい。
【0028】
本組成物は、例えば、0.1~1000mg、1~800mg、5~700mg、10~500mg、25~400mg、又は50~350mgの用量の範囲内で経口投与されてもよい。
【0029】
本組成物の一日用量の特定の例は、100、200、300、600、900、1200、1500、及び1800mgである。
【0030】
モナコリンKで1.75w/w%に規格化された紅色酵母米の組成物の場合、この投薬量範囲は、典型的には、0.2mg~約35mgのモナコリンKの一日用量に対応する。
【0031】
一日用量は、一日一回、一日二回、又は一日三回など、一日を通して複数回に分けて投与され得る。
【0032】
[製剤]
一実施形態では、本発明による紅色酵母米組成物、例えば、医薬組成物は、経口剤形として提供される。経口剤形としては、錠剤(コーティングあり若しくはコーティングなし)、カプセル(硬質シェル若しくは軟質シェル)、カプレット、丸剤、トローチ剤、シロップ、溶液、散剤、顆粒剤、エリキシル剤及び懸濁剤、舌下錠剤、ウエハ、又は口腔パッチなどのパッチが挙げられる。
【0033】
したがって、本発明の一実施形態では、本発明による紅色酵母米組成物は、錠剤で提示される。
【0034】
典型的には、錠剤は、一つ以上の薬学的に許容される賦形剤を含む。薬学的に許容される賦形剤は、例えば、担体(例えば、固体、液体、若しくは半固体担体)、アジュバント、希釈剤、充填剤若しくは増量剤、造粒剤、コーティング剤、放出制御剤、結合剤、崩壊剤、滑沢剤、防腐剤、抗酸化剤、緩衝剤、懸濁剤、増粘剤、香味剤、甘味料、味覚マスキング剤、安定剤、又は医薬組成物に従来使用されている任意の他の賦形剤から選択することができる。
【0035】
好ましくは、本発明の組成物は、一つ以上の薬学的に許容される充填剤又は増量剤とともに製剤化される。
【0036】
賦形剤の例としては、ステアリン酸マグネシウム、二酸化ケイ素、カルボキシメチルセルロース、クロスポビドン、並びにヒドロキシプロピルセルロース及びマルトデキストリンが挙げられる。
【0037】
一実施形態では、紅色酵母米組成物は、カプセルで提供される。
【0038】
典型的には、カプセルは、一つ以上の薬学的又は栄養補助的に許容される賦形剤を含む。薬学的又は栄養補助的に許容される賦形剤は、例えば、担体(例えば、固体、液体、若しくは半固体担体)、アジュバント、希釈剤、充填剤若しくは増量剤、造粒剤、コーティング剤、放出制御剤、結合剤、崩壊剤、滑沢剤、防腐剤、抗酸化剤、緩衝剤、懸濁剤、増粘剤、香味剤、甘味料、味覚マスキング剤、安定剤、又は医薬組成物に従来使用されている任意の他の賦形剤から選択することができる。
【0039】
賦形剤の例としては、ステアリン酸マグネシウム、二酸化ケイ素、マルトデキストリン、カルボキシメチルセルロース、クロスポビドン、並びにヒドロキシプロピルセルロースが挙げられる。
製剤の例
【表1】
【実施例】
【0040】
[紅色酵母米組成物の安定性分析]
安定性試験の目的は、RYRとCaCO3の異なる比率が、モナコリンKを含む組成物の安定性プロファイルに及ぼす影響を比較することであった。
【0041】
錠剤の調製を通常の方法で行った。
【0042】
以下の錠剤組成物を分析した:
A 2:3の比率のRYR/CaCO3
B 2:1の比率のRYR/CaCO3
C 1:2の比率のRYR/CaCO3
D 1:2の比率のRYR/CaHPO4
【0043】
保存条件は、25℃、65%RH、30℃、75%RH、40℃、75%RHであった。
【0044】
試料を0、3、6、12、18、及び24ヶ月後に分析した。
【0045】
【0046】
結果は、RYRとCaCO3を含む組成物は、RYRとCaHPO4を含む組成物と比較して、モナコリンK濃度に関して安定性が改善されたことを示す。
【0047】
特に安定なのは、RYRとCaCO3を2:3及び1:2の比率で含む組成物である。
【国際調査報告】