(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-12-25
(54)【発明の名称】非空気圧式タイヤの支持構造を保護するためのシステム及び方法
(51)【国際特許分類】
B29C 33/02 20060101AFI20241218BHJP
B60C 7/00 20060101ALI20241218BHJP
B29D 30/02 20060101ALI20241218BHJP
【FI】
B29C33/02
B60C7/00 H
B29D30/02
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024537817
(86)(22)【出願日】2022-12-14
(85)【翻訳文提出日】2024-06-21
(86)【国際出願番号】 US2022081490
(87)【国際公開番号】W WO2023129811
(87)【国際公開日】2023-07-06
(32)【優先日】2021-12-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】512028220
【氏名又は名称】ブリヂストン バンダグ エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】テリル,ウェイド エル.
(72)【発明者】
【氏名】シュラプコール,メルル アール.
(72)【発明者】
【氏名】トムチキク,アレクサンダー ジー.
(72)【発明者】
【氏名】ゼック,チャド エム.
(72)【発明者】
【氏名】ウェスタウェイ,テリー エー.
【テーマコード(参考)】
3D131
4F202
4F501
【Fターム(参考)】
3D131BB19
3D131CC03
4F202AA45
4F202AC03
4F202AH20
4F202AR02
4F202AR06
4F202CA21
4F202CB01
4F202CU01
4F202CY01
4F202CY11
4F202CY21
4F501TB07
4F501TN01
(57)【要約】
【解決手段】 非空気圧式タイヤを作製する方法は、非空気圧式タイヤ構造を提供することと、第1のディスク及び第2のディスクを提供することとを含む。方法は、第1のディスクを非空気圧式タイヤ構造の第1の側に固着することと、第2のディスクを非空気圧式タイヤ構造の第2の側に固着することと、を更に含む。方法はまた、周方向において非空気圧式タイヤ構造の上部の周りにエラストマートレッドを提供することと、エラストマートレッドの周りに硬化エンベロープを固着することと、を含む。エラストマートレッドの周りへの硬化エンベロープの固着は、硬化エンベロープの第1の端部を非空気圧式タイヤ構造の第1の側に固着するステップと、硬化エンベロープの第2の端部を非空気圧式タイヤ構造の第2の側に固着するステップと、を含む。方法は、硬化エンベロープ内に熱を加えることを更に含む。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
非空気圧式タイヤを作製する方法であって、
タイヤ構造を提供することであって、前記タイヤ構造が、
第1の直径を有する下部リングと、
前記第1の直径よりも大きい第2の直径を有する上部リングであって、前記下部リングと実質的に同軸である、上部リングと、
前記下部リングと前記上部リングとの間に延在する支持構造と、を含む、提供することと、
第1のディスク及び第2のディスクを提供することであって、前記第1及び第2のディスクの各々は、上部直径と、下部直径を画定する中央開口部と、を有する、提供することと、
前記第1のディスクを前記タイヤ構造の第1の側に固着することと、
前記第2のディスクを前記タイヤ構造の第2の側に固着することと、
周方向において前記上部リングの上部の周りにエラストマートレッドを提供することと、
前記エラストマートレッドの周りに硬化エンベロープを固着することであって、前記硬化エンベロープの第1の端部を前記支持構造の下方の位置で前記タイヤ構造の前記第1の側に固着するステップと、前記硬化エンベロープの第2の端部を前記支持構造の下方の位置で前記タイヤ構造の前記第2の側に固着するステップと、を含む、固着することと、
前記硬化エンベロープ内に熱を加えることと、を含む、方法。
【請求項2】
前記エラストマートレッドの周りへの前記硬化エンベロープの前記固着が、前記硬化エンベロープの各端部をアークバンドで固着することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記エラストマートレッドの周りへの前記硬化エンベロープの前記固着が、前記硬化エンベロープの前記第1の端部を前記下部リングの下面に固着することと、前記硬化エンベロープの第2の端部を前記下部リングの前記下面に固着することと、を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記タイヤ構造をリム上に取り付けることを更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記エラストマートレッドの周りへの前記硬化エンベロープの前記固着が、前記硬化エンベロープの前記第1の端部を前記リムに固着することと、前記硬化エンベロープの前記第2の端部を前記リムに固着することと、を含む、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記エラストマートレッドの周りへの前記硬化エンベロープの前記固着が、前記硬化エンベロープの前記第1の端部を前記第1のディスクに固着することと、前記硬化エンベロープの前記第2の端部を前記第2のディスクに固着することと、を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記第1のディスクの前記上部直径が、前記第2のディスクの前記上部直径に等しく、前記第1のディスクの前記下部直径が、前記第2のディスクの前記下部直径に等しい、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記第1のディスクの前記上部直径が、前記上部リングの前記第2の直径に等しく、前記第1のディスクの前記下部直径が、前記下部リングの前記第1の直径に等しい、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
周方向トレッド及び非空気圧式タイヤ構造を組み立てるためのシステムであって、前記非空気圧式タイヤ構造が、上部リングと、下部リングと、前記上部リングと前記下部リングとの間に延在している支持構造と、を有する、システムにおいて、
非空気圧式タイヤ構造及び周方向トレッドを受容するように寸法決めされた硬化エンベロープと、
前記非空気圧式タイヤ構造の第1の側に固着されるように構成された第1のディスクと、
前記非空気圧式タイヤ構造の第2の側に固着されるように構成された第2のディスクと、
前記硬化エンベロープの第1の側を前記非空気圧式タイヤ構造に固着するように構成された第1の締結具と、
前記硬化エンベロープの第2の側を前記非空気圧式タイヤ構造に固着するように構成された第2の締結具と、を備える、システム。
【請求項10】
前記第1のディスクが、第1の上部直径と、第1の下部直径を画定する第1の中央開口部と、を有し、前記第2のディスクが、第2の上部直径と、第2の下部直径を画定する第2の中央開口部と、を有する、請求項9に記載のシステム。
【請求項11】
前記第1の上部直径が、前記第2の上部直径に等しく、前記第1の下部直径が、前記第2の下部直径に等しい、請求項10に記載のシステム。
【請求項12】
前記第1のディスク及び前記第2のディスクの各々が、アルミニウム、炭素繊維、及びポリマー材料からなる群から選択される材料から構築されている、請求項9に記載のシステム。
【請求項13】
前記第1の締結具が、アークバンドであり、前記第2の締結具が、アークバンドである、請求項9に記載のシステム。
【請求項14】
前記第1の締結具が、前記硬化エンベロープの前記第1の側を前記非空気圧式タイヤ構造に直接固着するように構成されており、前記第2の締結具が、前記硬化エンベロープの前記第2の側を前記非空気圧式タイヤ構造に直接固着するように構成されている、請求項9に記載のシステム。
【請求項15】
前記第1の締結具が、前記硬化エンベロープの前記第1の側をリムに固着するように構成されており、前記第2の締結具が、前記硬化エンベロープの前記第2の側を前記リムに固着するように構成されている、請求項9に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、非空気圧式タイヤ、並びにそれを作製するシステム及び方法に関する。より具体的には、本開示は、トレッドを非空気圧式タイヤ構造に適用するシステム及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
タイヤが非膨張状態又は膨張不足状態で走行することを可能にする種々のタイヤ構築物が開発されている。非空気圧式タイヤは膨張を必要としないが、「ランフラットタイヤ」は、パンクして加圧空気が完全に又は部分的に失われた後に、長期間、かつ相対的に高速で動作し続け得る。非空気圧式タイヤは、複数のスポーク、ウェビング、又は下部リングを上部リングに接続する他の支持構造体を含み得る。接着剤又はセメントを用いて、事前硬化されたトレッドを非空気圧式タイヤの上部リングに接着することが知られている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
一実施形態では、非空気圧式タイヤを作製する方法は、第1の直径を有する下部リングと、第1の直径よりも大きい第2の直径を有する上部リングであって、上部リングが、下部リングと実質的に同軸である、上部リングと、下部リングと上部リングとの間に延在する支持構造と、を有する、タイヤ構造を提供することを含む。方法は、第1のディスク及び第2のディスクを提供することを更に含む。第1及び第2のディスクの各々は、上部直径と、下部直径を画定する中央開口部と、を有する。方法はまた、第1のディスクをタイヤ構造の第1の側に固着することと、第2のディスクをタイヤ構造の第2の側に固着することと、を含む。方法は、周方向において上側リングの上部の周りにエラストマートレッドを提供することと、エラストマートレッドの周りに硬化エンベロープを固着することと、を更に含む。エラストマートレッドの周りへの硬化エンベロープの固着は、硬化エンベロープの第1の端部を支持構造の下方の位置でタイヤ構造の第1の側に固着するステップと、硬化エンベロープの第2の端部を支持構造の下方の位置でタイヤ構造の第2の側に固着するステップと、を含む。方法はまた、硬化エンベロープ内に熱を加えることを含む。
【0004】
別の実施形態では、周方向トレッド及び非空気圧式タイヤ構造を組み立てるためのシステムであって、非空気圧式タイヤ構造が、上部リングと、下部リングと、上部リングと下部リングとの間に延在する支持構造と、を有する、システムが提供される。システムは、非空気圧式タイヤ構造及び周方向トレッドを受容するように寸法決めされた硬化エンベロープと、非空気圧式タイヤ構造の第1の側に固着されるように構成された第1のディスクと、非空気圧式タイヤ構造の第2の側に固着されるように構成された第2のディスクと、を含む。システムはまた、硬化エンベロープの第1の側を非空気圧式タイヤ構造に固着するように構成された第1の締結具と、硬化エンベロープの第2の側を非空気圧式タイヤ構造に固着するように構成された第2の締結具と、を含む。
【0005】
更に別の実施形態では、非空気圧式タイヤを作製する方法は、非空気圧式タイヤ構造を提供することと、第1のディスク及び第2のディスクを提供することと、を含む。方法は、第1のディスクを非空気圧式タイヤ構造の第1の側に固着することと、第2のディスクを非空気圧式タイヤ構造の第2の側に固着することと、を更に含む。方法はまた、周方向において非空気圧式タイヤ構造の上部の周りにエラストマートレッドを提供することと、エラストマートレッドの周りに硬化エンベロープを固着することと、を含む。エラストマートレッドの周りへの硬化エンベロープの固着は、硬化エンベロープの第1の端部を非空気圧式タイヤ構造の第1の側に固着するステップと、硬化エンベロープの第2の端部を非空気圧式タイヤ構造の第2の側に固着するステップと、を含む。方法は、硬化エンベロープ内に熱を加えることを更に含む。
【図面の簡単な説明】
【0006】
添付の図面では、以下に提供される詳細な説明とともに、特許請求される本発明の例示的な実施形態を説明する構造が例解される。同様の要素は、同一の参照番号で特定される。単一の構成要素として示される要素を、多数の構成要素に置き換えられ得、多数の構成要素として示される要素が、単一の構成要素で置き換えられ得ることを理解されたい。図面は正確な縮尺ではなく、特定の要素の比率が例解のために誇張されている場合がある。
【0007】
【
図1】
図1は、非空気圧式タイヤの一実施形態の正面図である。
【
図2】
図2は、非空気圧式タイヤの代替的な実施形態の正面図である。
【
図3】
図3は、非空気圧式タイヤ用の硬化エンベロープの一実施形態の斜視図を例解する概略図である。
【
図4】
図4は、保護ディスクの一実施形態の正面図を例解する概略図である。
【
図5】
図5は、非空気圧式タイヤに固着された保護ディスクの一実施形態の正面図を例解する概略図である。
【
図6】
図6は、非空気圧式タイヤ及びハブアセンブリに固着された保護ディスクの一実施形態の正面図を例解する概略図である。
【
図7】
図7は、アークバンド及びラチェットアセンブリの一実施形態の正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下は、本明細書において用いられる選択用語の定義を含む。これらの定義には、用語の範囲に該当し、実施のために使用され得る構成要素の様々な例及び/又は形態が含まれる。例は、限定を意図するものではない。用語の単数形及び複数形は、いずれも定義の範囲内であり得る。
【0009】
「軸方向の」及び「軸方向に」は、タイヤの回転軸と平行な方向を指す。
【0010】
「周方向の」及び「周方向に」は、軸方向に対して垂直であるトレッドの表面の外周に沿って延在する方向を指す。
【0011】
「径方向の」及び「径方向に」は、タイヤの回転軸に対して垂直な方向を指す。
【0012】
本明細書で使用するとき、「トレッド」は、通常の膨張度及び通常の荷重において、道路又は地面と接触するタイヤの部分を指す。
【0013】
以下の説明で使用される同様の用語によって一般的なタイヤ構成要素が説明されるが、当然のことながら、用語は若干異なる含意を有するため、当業者は、以下の用語のうちのいずれも、一般的なタイヤ構成要素の説明に使用される別の用語と純粋に交換可能であるとは考えないであろうことを理解されたい。
【0014】
本明細書では、方向は、タイヤの回転軸を基準にして述べられる。「上向きの」及び「上向きに」という用語は、タイヤのトレッドに向かう一般的な方向を指し、「下向きの」及び「下向きに」は、タイヤの回転軸に向かう一般的な方向を指す。したがって、「上部の」及び「下部の」又は「頂部の」及び「底部の」など相対的な方向用語が要素に関連して使用されるとき、「上部の」又は「頂部の」要素は、「下部」又は「底部」の要素よりもトレッドの近くに離間される。追加的に、「上」又は「下」など相対的な方向用語が要素に関連して使用されるとき、別の要素の「上」にある要素は、他の要素よりもトレッドに近い。
【0015】
「内向きの」及び「内向きに」という用語は、タイヤの赤道面に向かう一般的な方向を指し、「外向きの」及び「外向きに」は、タイヤの赤道面から離れ、タイヤのサイドウォールに向かう一般的な方向を指す。したがって、「内部」及び「外部」など相対的な方向用語が要素と関連して使用されるとき、「内部」要素は、「外部」要素よりもタイヤの赤道面の近くに離間される。
【0016】
図1は、非空気圧式タイヤ10の一実施形態を例解する。非空気圧式タイヤ10は、単に例解であり、限定することを意図するものではない。例解される実施形態では、非空気圧式タイヤ10は、タイヤ10が取り付けられているリム(図示せず)と係合する、略環状の下部リング20を含む。略環状の下部リング20は、内側表面23及び外側表面24を有し、エラストマー材料又は金属から作製され得る。
【0017】
非空気圧式タイヤ10は、相互接続されたウェブ40を囲む略環状の上部リング30を更に含み、ウェブは、略環状の下部リング20に接続された支持構造である。代替的な実施形態では、複数のスポーク又は他の支持構造が、下部リングを上部リングに接続している。上部リング30は、接地面領域32の周りの、及びそれを含むエリア48において変形するように構成することができ、これにより、振動が減少し、乗り心地が向上する。
【0018】
一実施形態では、略環状の下部リング20及び略環状の上部リング30は、相互接続されたウェブ40と同じ材料から作製されている。特定の一実施形態では、下部リング20、上部リング30、及びウェブ40の各々は、鋼で構築されている。代替的な実施形態では、下部リング20、上部リング30、及びウェブ40のそれぞれは、他の金属、炭素繊維、樹脂、又はポリウレタン、ポリエステル、ナイロン、若しくはポリ塩化ビニル(polyvinyl chloride、PVC)などのポリマー材料から構築されている。しかしながら、他の材料が使用され得、リング及びスポークは列挙された材料に限定されないことが理解されるべきである。
【0019】
代替的な実施形態では、略環状の下部リング、略環状の上部リング、及び相互接続されたウェブのうちの少なくとも1つは、異なる材料から作製されている。例えば、上部リング30は鋼バンドであり得、一方、下部リング20及びウェブ40は、他の金属、炭素繊維、樹脂、又はポリウレタン、ポリエステル、ナイロン、若しくはポリ塩化ビニル(PVC)などのポリマー材料から構築されている。
【0020】
例解される実施形態では、相互接続されたウェブ40は、複数の略多角形の開口部50を画定する、ウェブ要素42の少なくとも2つの半径方向に隣接する層56、58を有する。他の実施形態(図示せず)では、他のウェブ構成が用いられ得る。
【0021】
図1に示すように、略環状の上部リング30は、周方向トレッド70が取り付けられている半径方向外側表面34を有し得る。周方向トレッド70は、天然ゴム又は合成ゴムなどのエラストマー材料、その他のエラストマー材料で構築され得る。トレッド70は、複数のリブを画定する複数の周方向溝を有し得る。トレッドが、溝、リブ、ブロック、ラグ、サイプ、スタッド、及び他の要素などのトレッド要素を含み得ることを理解されたい。剪断バンド若しくは他の剪断要素又は補強構造(図示せず)が、上部リング30とトレッド70との間に配置され得る。代替的に、剪断バンド又は他の剪断要素がトレッド内に配置され得る。
【0022】
一実施形態では、周方向トレッド70は、上部リング30の上部に固定されており、上部リング30と周方向トレッド70との間に感圧接着剤は配置されていない。そのような一実施形態では、周方向トレッド70は、上部リング30の上部に直接結合されている。別のそのような実施形態では、硬化ゴムのストリップ(図示せず)又は温度感受性接着剤が、周方向トレッド70と上部リング30との間に配置されている。
【0023】
図2は、非空気圧式タイヤ100の代替的な実施形態の正面図である。非空気圧式タイヤ100は、第1の直径を有するインナーリング110と、第1の直径よりも大きい第2の直径を有するアウターリング120と、を含む。アウターリング120は、下部リング110と実質的に同軸である。例解される実施形態では、インナーリング110は、ハブHに取り付けられているものとして示されている。複数のスポーク130は、インナーリング110とアウターリング120との間に延在している。「支持構造」という用語は、ウェビング(
図1における40など)又はスポーク(
図2におけるスポーク130など)のいずれかを指し得ることを理解されたい。
【0024】
一実施形態では、下部リング110、上部リング120、及びスポーク130の各々は、同じ材料から構築されている。特定の一実施形態では、下部リング110、上部リング120、及びスポーク130の各々は、鋼で構築されている。代替的な実施形態では、下部リング110、上部リング120、及びスポーク130の各々は、他の金属、炭素繊維、樹脂、又はポリウレタン、ポリエステル、ナイロン、若しくはポリ塩化ビニル(PVC)などのポリマー材料から構築されている。しかしながら、他の材料が使用され得、リング及びスポークは列挙された材料に限定されないことを理解されたい。
【0025】
代替的な実施形態では、下部リング110、上部リング120、及びスポーク130のうちの1つ以上は、異なる材料から構築されている。例えば、上部リング120は鋼バンドであり得るが、下部リング120及びスポーク130は、他の金属、炭素繊維、樹脂、又はポリウレタン、ポリエステル、ナイロン、若しくはポリ塩化ビニル(PVC)などのポリマー材料から構築されている。
【0026】
例解される実施形態では、上部リング120の周りに周方向トレッド140が配置されている。周方向トレッド140は、天然ゴム又は合成ゴムなどのエラストマー材料、その他のエラストマー材料で構築され得る。周方向トレッド140は、複数のリブを画定する複数の周方向溝を有し得る。周方向トレッドが、溝、リブ、ブロック、ラグ、サイプ、スタッド、及び他の要素などのトレッド要素を含み得ることを理解されたい。剪断バンド若しくは他の剪断要素又は補強構造(図示せず)が、上部リング120とトレッド140との間に配置され得る。代替的に、剪断バンド又は他の剪断要素がトレッド内に配置され得る。
【0027】
一実施形態では、周方向トレッド140は、上部リング120の上部に固定されており、上部リング120と周方向トレッド140との間に感圧接着剤は配置されていない。そのような一実施形態では、周方向トレッド140は、上部リング120の上部に直接結合されている。別のそのような実施形態では、硬化ゴムのストリップ(図示せず)又は温度感受性接着剤が、周方向トレッド140と上部リング120との間に配置されている。
【0028】
タイヤ10又はタイヤ100のような非空気圧式タイヤを作製するために、製造業者は、第1の直径を有する下部リング(下部リング20又は下部リング110など)と、第1の直径よりも大きい第2の直径を有する上部リング(上部リング30又は上部リング120など)と、下部リングと上部リングとの間に延在している支持構造(ウェブ40又はスポーク130など)と、を含む、タイヤ構造を提供する。製造業者は、また、エラストマートレッド(トレッド70又はトレッド140など)を提供し、トレッドを上部リングの周りに巻き付ける。製造業者は、タイヤ構造及び周方向トレッドの周りに、
図3に示す硬化エンベロープ200などの硬化エンベロープを固着する。
【0029】
引き続き
図3を参照すると、硬化エンベロープ200は、周方向トレッド及び非空気圧式タイヤ構造を受容するように寸法決めされており、非空気圧式タイヤ構造は、上部リングと、下部リングと、支持構造と、を含む。硬化エンベロープ200は、第1の端部220及び第2の端部230で終端する一対の側部210を有する。第1及び第2の端部220、230は各々、硬化エンベロープ200の内径IDを画定する。内径IDは、9インチ(23cm)~24インチ(61cm)であり得る。側部210は平坦であるとして示されているが、それらは所望に応じて湾曲又は輪郭付けされ得ることを理解されたい。
【0030】
硬化エンベロープはまた、外径ODを画定する上部240を有する。外径ODは、28インチ(71cm)~60インチ(152cm)であり得る。頂部240は平坦であるとして示されているが、所望に応じて湾曲又は輪郭形成され得ることを理解されたい。一実施形態では、硬化エンベロープ200の側部210は、4~51インチ(10~130cm)の長さを有する。換言すれば、外径ODは、内径IDよりも4~51インチ大きい。
【0031】
硬化エンベロープ200は、ブチルゴム、他のゴム化合物、ネオプレン、多糸、ラテックス、又は他の可撓性材料のシートであり得る。材料シートは、0.008インチ(0.02cm)~0.12インチ(0.3cm)の厚さを有し得る。材料シートは、非空気圧式タイヤの支持構造上の任意の鋭い縁部によって損傷又は引き裂かれる可能性がある。追加的に、材料シートは、非空気圧式タイヤの支持構造を損傷する可能性がある。したがって、支持構造のために保護装置を使用することが有利である。
【0032】
保護装置の一例は保護ディスクである。
図4は、保護ディスク300の一実施形態の正面図を例解する概略図である。保護ディスク300は、上部直径310と、下部直径330を画定する中央開口部320と、を有する。保護ディスクは、アルミニウム、炭素繊維、又はポリマー材料から構築され得る。代替的に、保護ディスクは、十分に剛性であり、かつ硬化エンベロープ内に加えられる熱及び圧力に耐えることができる、任意の材料から構築され得る。
【0033】
一実施形態では、ディスク300の上部直径310は、非空気圧式タイヤ構造の上部リングの第1の直径に等しく、ディスク300の下部直径330は、非空気圧式タイヤ構造の下部リングの第2の直径に等しい。代替的な実施形態では、ディスク300の上部直径310は、非空気圧式タイヤ構造の上部リングの第1の直径よりも大きく又は小さくあり得る。同様に、ディスク300の下部直径330は、非空気圧式タイヤ構造の下部リングの第2の直径よりも大きく又は小さくあり得る。
【0034】
第1のディスク及び第2のディスクを含む一対の保護ディスクを使用し得る。第1のディスクは、タイヤ構造の第1の側に固着され得、第2のディスクは、タイヤ構造の第2の側に固着され得る。第1及び第2のディスクは、硬化エンベロープがタイヤ構造に固着される前にタイヤ構造に固着され得る。一実施形態では、第1のディスクの上部直径は、第2のディスクの上部直径に等しく、第1のディスクの下部直径は、第2のディスクの下部直径に等しい。代替的な実施形態では、第1及び第2のディスクは、異なる寸法を有し得る。
【0035】
図5は、
図2の非空気圧式タイヤ100のタイヤ構造に固着された保護ディスク300の正面図を例解する概略図である。しかしながら、非空気圧式タイヤ100は単なる例示であり、保護ディスク300は任意の非空気圧式タイヤ構造に固着され得ることを理解されたい。
図5には片側のみが示されているが、タイヤの他方の側にも同様の配設が採用され得る。
【0036】
この例では、保護ディスク300は、保護ディスク300の上部直径310がタイヤ構造の上部リング120に当接し、保護ディスク300の下部直径330がタイヤ構造の下部リング110に当接するように、タイヤ構造の側部に固着されている。したがって、支持構造は見えない。しかしながら、保護ディスク300の上部直径310は、タイヤ構造の上部リングの上方又は下方に延在し得ることを理解されたい。同様に、保護ディスク300の下部直径330は、タイヤ構造の下部リングの上又は下に延在し得る。
【0037】
保護ディスク300がタイヤ構造に固着され、トレッド140がタイヤ構造の上部リング120の周りに延在された後、硬化エンベロープ200の第1の端部220は、支持構造の下方の位置でタイヤ構造の第1の側に固着され得、硬化エンベロープ200の第2の端部230は、支持構造の下方の位置でタイヤ構造の第2の側に固着され得る。
【0038】
一実施形態では、エラストマートレッド及びタイヤ構造の周りに硬化エンベロープ200を固着することは、
図7に示されるアークバンド600などのアークバンドで硬化エンベロープの各端部を固着することを含む。例解された実施形態では、アークバンド600は、第1の端部610と、第2の端部620と、を有する。ラチェットアセンブリ700は、本体710を含み、本体710に枢動可能に接続されたハンドル720が、枢動点730で接続されている。本体710は、第1の端部610から離間した第1の位置で、かつ第2の端部620の近くの第2の位置で、アークバンド600に接続されている。ハンドル720は、アークバンドのサイズを第1の直径から第2の直径に変更するために、第1の配向と第2の配向との間で枢動され得る。
【0039】
一実施形態では、エラストマートレッド及びタイヤ構造の周りに硬化エンベロープ200を固着することは、硬化エンベロープの第1の端部を内側リングの下面に固着することと、硬化エンベロープの第2の端部を内側リングの下面に固着することと、を含む。代替的な実施形態では、エラストマートレッド及びタイヤ構造の周りに硬化エンベロープ200を固着することは、硬化エンベロープの第1の端部を第1のディスクに固着することと、硬化エンベロープの第2の端部を第2のディスクに固着することと、を含む。
【0040】
別の代替的な実施形態では、タイヤ構造は、保護ディスクがタイヤ構造に固着される前にリムに取り付けられ得る。例えば、
図6は、非空気圧式タイヤ及びハブアセンブリに固着された保護ディスク300の一実施形態の正面図を例解する概略図である。この例では、タイヤ構造の下部リング110は、ハブ(又はリム)Hに取り付けられる。タイヤ構造がハブに取り付けられた後、保護ディスク300は、保護ディスク300の上部直径310がタイヤ構造の上部リング120に当接し、保護ディスク300の下部直径330がタイヤ構造の下部リング110に当接するように、タイヤ構造の側面に固着される。したがって、支持構造は見えない。しかしながら、保護ディスク300の上部直径310は、タイヤ構造の上部リングの上方又は下方に延在し得ることを理解されたい。同様に、保護ディスク300の下部直径330は、タイヤ構造の下部リングの上方又は下方に延在し得る。
【0041】
保護ディスク300がタイヤ構造に固着され、トレッド140をタイヤ構造の上部リング120の周りに延在させた後、硬化エンベロープの第1の端部がハブ(又はリム)Hに固着され、硬化エンベロープの第2の端部がハブ(又はリム)Hに固着される。
【0042】
いずれの実施形態においても、硬化エンベロープがタイヤ構造に固着された後、硬化エンベロープ内に熱及び圧力が加えられる。一実施形態では、熱は、200°F~300°F(90℃~150℃)の温度で加えられる。エラストマートレッドは、トレッドが上部リングの周りに提供される前に事前形成された任意の所望のトレッド要素を有する、事前硬化されるか又は部分的に硬化されたトレッドであり得る。エラストマートレッドは、事前硬化されているか又は部分的に硬化されているので、エラストマートレッドを上部リングに結合するのに十分な温度まで加熱されるにすぎない。
【0043】
一実施形態では、グリーンゴム又は温度感受性接着剤のストリップが、エラストマートレッド又は上部リングのいずれかに最初に適用される。このような実施形態では、加えられた熱により、生ゴム又は接着剤がエラストマートレッドを上部リングに結合させる。
【0044】
「含む(includes)」又は「含む(including)」という用語が、本明細書又は特許請求の範囲で使用される範囲において、特許請求項で移行語として用いられる際に解釈されるように、「備える(comprising)」という用語と同様に、包括的であることが意図される。更に、「又は(or)」という用語が用いられる(例えば、A又はB)範囲において、「A若しくはB、又は両方」を意味することが意図される。本出願人らが「両方ではなくA又はBのみ」を示すことを意図する場合、「両方ではなくA又はBのみ(only A or B but not both)」という用語が用いられる。したがって、本明細書における「又は」という用語の使用は、排他的ではなく、包括的である。Bryan Garner,A Dictionary of Modern Legal Usage 624(2d.Ed.1995)を参照されたい。また、「中に(in)」又は「中へ(into)」という用語が、本明細書又は特許請求の範囲において使用される範囲において、「上に(on)」又は「上へ(onto)」を追加的に意味することが意図される。更に、「接続する(connect)」という用語が本明細書又は特許請求の範囲において使用される範囲において、「~と直接接続する(directly connected to)」だけではなく、別の1つ以上の構成要素を介して接続するなどのように「~と間接的に接続する(indirectly connected to)」ことも意味することが意図される。
【0045】
本出願をその実施形態の説明によって例解し、またその実施形態をかなり詳細に説明してきたが、添付の特許請求の範囲の範囲をこのような詳細に制限するか、又はいかなる形式でも限定することは、出願人らの意図するものではない。追加の利点及び変更が、当業者には容易に明らかとなるであろう。したがって、そのより広い態様における本出願は、図示及び説明される、具体的な詳細、代表的な装置及び方法、並びに例解的な実施例に限定されるものではない。このため、出願人の一般的な発明概念の趣旨又は範囲から逸脱することなく、そのような詳細からの逸脱がなされ得る。
【手続補正書】
【提出日】2024-06-21
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
非空気圧式タイヤを作製する方法であって、
タイヤ構造を提供することであって、前記タイヤ構造が、
第1の直径を有する下部リングと、
前記第1の直径よりも大きい第2の直径を有する上部リングであって、前記下部リングと実質的に同軸である、上部リングと、
前記下部リングと前記上部リングとの間に延在する支持構造と、を含む、提供することと、
第1のディスク及び第2のディスクを提供することであって、前記第1及び第2のディスクの各々は、上部直径と、下部直径を画定する中央開口部と、を有する、提供することと、
前記第1のディスクを前記タイヤ構造の第1の側に固着することと、
前記第2のディスクを前記タイヤ構造の第2の側に固着することと、
周方向において前記上部リングの上部の周りにエラストマートレッドを提供することと、
前記エラストマートレッドの周りに硬化エンベロープを固着することであって、前記硬化エンベロープの第1の端部を前記支持構造の下方の位置で前記タイヤ構造の前記第1の側に固着するステップと、前記硬化エンベロープの第2の端部を前記支持構造の下方の位置で前記タイヤ構造の前記第2の側に固着するステップと、を含む、固着することと、
前記硬化エンベロープ内に熱を加えることと、を含む、方法。
【請求項2】
前記エラストマートレッドの周りへの前記硬化エンベロープの前記固着が、前記硬化エンベロープの各端部をアークバンドで固着することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記エラストマートレッドの周りへの前記硬化エンベロープの前記固着が、前記硬化エンベロープの前記第1の端部を前記下部リングの下面に固着することと、前記硬化エンベロープの第2の端部を前記下部リングの前記下面に固着することとを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記タイヤ構造をリム上に取り付けることを更に含み、前記エラストマートレッドの周りへの前記硬化エンベロープの前記固着が、前記硬化エンベロープの前記第1の端部を前記リムに固着することと、前記硬化エンベロープの前記第2の端部を前記リムに固着することと、を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記第1のディスクの前記上部直径が、前記第2のディスクの前記上部直径に等しく、前記第1のディスクの前記下部直径が、前記第2のディスクの前記下部直径に等しい、請求項1に記載の方法。
【国際調査報告】