(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-12-25
(54)【発明の名称】熱回収蒸気発生器及び二酸化炭素の捕捉を伴うガスタービンを含む発電システム及び方法
(51)【国際特許分類】
F01K 23/10 20060101AFI20241218BHJP
F02C 3/34 20060101ALI20241218BHJP
F02C 6/18 20060101ALI20241218BHJP
【FI】
F01K23/10 U
F02C3/34
F02C6/18 A
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024538387
(86)(22)【出願日】2023-01-20
(85)【翻訳文提出日】2024-06-24
(86)【国際出願番号】 EP2023025027
(87)【国際公開番号】W WO2023143863
(87)【国際公開日】2023-08-03
(31)【優先権主張番号】102022000001352
(32)【優先日】2022-01-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】517029381
【氏名又は名称】ヌオーヴォ・ピニォーネ・テクノロジー・ソチエタ・レスポンサビリタ・リミタータ
【氏名又は名称原語表記】Nuovo Pignone Tecnologie S.R.L.
(74)【代理人】
【識別番号】110002871
【氏名又は名称】弁理士法人坂本国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】アルベラティ,ジャンルカ
(72)【発明者】
【氏名】アミデイ,シモーネ
(72)【発明者】
【氏名】グアダニョーリ,ダミアーモ
【テーマコード(参考)】
3G081
【Fターム(参考)】
3G081BA02
3G081BA11
3G081BC08
(57)【要約】
【解決手段】 ガスタービンシステム(1)は、ガスタービンエンジン(3)と、ガスタービンエンジン(3)に燃料を送給するように適合された第1の燃料ライン(4)と、ガスタービンエンジン(3)から排気された煙道ガスを受容するように適合された熱回収蒸気発生器(11)と、熱回収蒸気発生器(11)のポストバーナ(37)に燃料を送給するように適合された第2の燃料ライン(39)と、を備える。二酸化炭素捕捉ユニット(31)は、熱回収蒸気発生器(11)の煙突(25)に流体結合されている。再循環ライン(33)は、熱回収蒸気発生器(11)の煙突(25)から熱回収蒸気発生器(11)内のポストバーナ(37)に煙道ガスを再循環させる。二酸化炭素戻りライン(51、61)は、二酸化炭素捕捉ユニット(31)からの二酸化炭素含有ガスのストリームをガスタービンエンジン(3)又はポストバーナ(37)に向かって再循環させる。本明細書ではまた、二酸化炭素の捕捉が向上した発電方法も開示される。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガスタービンシステム(1)であって、
ガスタービンエンジン(3)と、
前記ガスタービンエンジン(3)に燃料を送給するように適合された第1の燃料ライン(4)と、
前記ガスタービンエンジン(3)から排気された煙道ガスを受容するように適合された熱回収蒸気発生器(11)と、
前記熱回収蒸気発生器(11)のポストバーナ(37)に燃料を送給するように適合された第2の燃料ライン(39)と、
前記熱回収蒸気発生器(11)の煙突(25)に流体結合されており、前記熱回収蒸気発生器(11)から排気された前記煙道ガスから二酸化炭素を捕捉するように適合された二酸化炭素捕捉ユニット(31)と、
前記熱回収蒸気発生器(11)の前記煙突(25)から前記熱回収蒸気発生器(11)内の前記ポストバーナ(37)に煙道ガスを再循環させるように適合された再循環ライン(33)と、
前記二酸化炭素捕捉ユニット(31)によって少なくとも部分的に処理された二酸化炭素含有ガスのストリームを、前記ガスタービンエンジン(3)及び前記ポストバーナ(37)のうちの少なくとも1つに向かって再循環させるように適合された少なくとも1つの二酸化炭素戻りライン(51、61)と、を備える、ガスタービンシステム(1)。
【請求項2】
前記熱回収蒸気発生器(11)によって発生させた蒸気を膨張させ、そこから機械動力を生成するように適合された蒸気タービン(15)を含む底部熱力学サイクル(13)を更に備える、請求項1に記載のガスタービンシステム(1)。
【請求項3】
前記蒸気タービン(15)に駆動結合された発電機(17)を更に備える、請求項2に記載のガスタービンシステム(1)。
【請求項4】
前記ガスタービンエンジン(3)に駆動結合された発電機(5)を更に備える、請求項1、2、又は3に記載のガスタービンシステム(1)。
【請求項5】
前記二酸化炭素戻りラインが、前記二酸化炭素捕捉ユニット(31)の二酸化炭素排出ダクト(43)と、前記第1の燃料ライン(4)及び前記第2の燃料ライン(39)のうちの少なくとも1つに流体結合された燃料処理スキッド(53)とに流体結合された二酸化炭素分流ライン(51)を備え、使用時に、前記二酸化炭素分流ライン(51)を通して分流された二酸化炭素が、前記燃料中にブレンドされる、請求項1~4のいずれか一項に記載のガスタービンシステム(1)。
【請求項6】
前記二酸化炭素戻りラインが、前記二酸化炭素捕捉ユニット(31)と、前記ガスタービンエンジン(3)の空気圧縮機(3.1)の吸引側とに流体結合された冷却煙道ガス再循環ライン(61)を備え、使用時に、前記冷却煙道ガス再循環ライン(61)が、ある量の冷却煙道ガスを前記二酸化炭素捕捉ユニット(31)から前記ガスタービンエンジン(3)の前記空気圧縮機(3.1)に分流する、請求項1~5のいずれか一項に記載のガスタービンシステム(1)。
【請求項7】
前記ガスタービンエンジン(3)のタービンセクション(3.3)の排出に流体結合された入口と、前記ガスタービンエンジン(3)の前記空気圧縮機(3.1)の前記吸引側に流体結合された出口とを有するタービン再循環ライン(71)を更に備え、使用時に、前記ガスタービンエンジン(3)の前記タービンセクション(3.3)からのある量の煙道ガスが、前記タービン再循環ライン(71)を通して前記ガスタービンエンジン(3)の前記空気圧縮機(3.1)の前記吸引側に再循環される、請求項1~6のいずれか一項に記載のガスタービンシステム(1)。
【請求項8】
前記タービン再循環ライン(71)が、冷却器(73)を含む、請求項7に記載のガスタービンシステム(1)。
【請求項9】
前記タービン再循環ライン(71)が、フロー処理ユニット(75)を含む、請求項7又は8に記載のガスタービンシステム(1)。
【請求項10】
ガスタービンシステムを用いて電力を発生させるための方法であって、前記方法が、
ガスタービンエンジン(3)に空気及び燃料を送給し、それによって機械動力を発生させるステップと、
前記ガスタービンエンジン(3)から排気された煙道ガスを、熱回収蒸気発生器(11)を通して流すステップと、
前記熱回収蒸気発生器(11)のポストバーナ(37)に燃料を送給するステップと、
前記熱回収蒸気発生器において蒸気を発生させるステップと、
前記熱回収蒸気発生器(11)から排気された前記煙道ガスの一部を前記ポストバーナ(37)に再循環させるステップと、
前記熱回収蒸気発生器から排気された残りの前記煙道ガスを二酸化炭素捕捉ユニット(31)において処理し、前記煙道ガスから二酸化炭素を除去するステップと、
前記二酸化炭素捕捉ユニット(31)からの二酸化炭素含有ガスのストリームを前記ガスタービンエンジン(3)及び前記ポストバーナ(37)のうちの少なくとも1つに向かって再循環させるステップと、を含む、方法。
【請求項11】
前記熱回収蒸気発生器(11)によって発生させた前記蒸気を使用して、蒸気タービン(15)を含む底部熱力学サイクル(13)において機械動力を発生させるステップを更に含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記蒸気タービンによって発生させた前記機械動力を電力に変換するステップを更に含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記ガスタービンエンジン(3)によって発生させた機械動力を電力に変換するステップを更に含む、請求項10、11、又は12に記載の方法。
【請求項14】
前記二酸化炭素含有ガスのストリームを再循環させる前記ステップが、再循環された前記二酸化炭素含有ガスのストリームと、前記ガスタービンエンジン(3)及びポスト燃焼器(37)のうちの少なくとも1つに送給される燃料とをブレンドするステップを含む、請求項10~13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記二酸化炭素含有ガスのストリームを再循環させる前記ステップが、前記二酸化炭素捕捉ユニット(31)において冷却された煙道ガスを前記ガスタービンエンジン(3)の吸引側に分流するステップを含む、請求項10~14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
前記ガスタービンエンジン(3)の排出側から排気された煙道ガスを前記ガスタービンエンジン(3)の吸引側に再循環させるステップを更に含む、請求項10~15のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ガスタービンシステムの煙道ガスから二酸化炭素を除去することに関する。具体的には、本明細書に開示される実施形態は、ポスト燃焼によって複合ガスタービンサイクルの煙道ガスから二酸化炭素を除去することに関する。
【背景技術】
【0002】
二酸化炭素は、温室効果ガスの最も大きい割合を示し、温室効果ガスは、気候変動及び環境温度の上昇の主な原因である。数多くの人間の活動は、二酸化炭素の生成を伴う。それらの中でも、石炭、石油、及び天然ガスを含む化石燃料を使用した発電が大きな役割を果たしている。近年、大気中への二酸化炭素の排出を低減することを目的とする技術的解決策の研究を活気づけるための試みにおいて、多くの政府は、温室効果ガス排出量1トンごとに炭素税を適用している。最終的に税金によって生じる追加費用を負担する企業並びに消費者は、温室効果ガス排出量を低減し、ひいては、支払う炭素税の額を制限するために、化石燃料から再生可能エネルギー資源に切り替える、又は新しい技術を採用するなどのステップを踏むことになる。
【0003】
二酸化炭素排出量は、代替的なエネルギー資源に切り替えることによって、又は化石燃料の燃焼によって生成された煙道ガスから二酸化炭素を捕捉することによって低減することができ、かつ大気中への二酸化炭素の排出を防止することができる。煙道ガスから二酸化炭素を捕捉して大気中に放出される温室効果ガスの量を低減することを目的とした、いくつかの手法が開発されてきた。
【0004】
大規模な発電プラントを設計する場合は、熱エネルギーを有用な機械エネルギーに、最終的には電気エネルギーに変換する熱サイクルの効率に加えて、二酸化炭素の捕捉を向上させるための有効な手段を実装することがますます重要になる。
【0005】
ガスタービンエンジンにおける化石燃料の燃焼などの燃焼プロセスによって生成された煙道ガスから二酸化炭素を除去する際の主な問題は、煙道ガス中の二酸化炭素の低い濃度、及び煙道ガスの低い圧力(ほぼ周囲圧力)によって表される。これらの要因によって、捕捉プロセスが非効率的で高価になる。二酸化炭素の捕捉は、炭素税に関する節約が、資本的支出並びにシステムを運用するためのコストの両方で、二酸化炭素捕捉プロセスのコストよりも高い場合にだけ、二酸化炭素排出量を低減する有効な方法になる。
【0006】
実際には、二酸化炭素捕捉システムは、建設に費用がかかり、空間要求が高いだけでなく、運用するためにかなりの電力も必要である。
【0007】
ガスタービン複合サイクルは、頂部ガスタービンサイクル(Brytonサイクル)と、ガスタービンの煙道ガスから熱を回収して蒸気タービンの追加の動力を生成する底部蒸気サイクル(Hirnサイクル又はランキンサイクル)と、を含む。ガスタービンからの煙道ガスは、熱回収蒸気発生器(heat recovery steam generator、HRSG)において冷却して過熱蒸気を発生させ、次いで、蒸気タービン内で膨張させて機械動力を発生させる。ほぼ周囲圧力及び約90℃で排出された煙道ガスの二酸化炭素のモル百分率は、約3~3.5%である。二酸化炭素捕捉ユニットにおいてかかるCO2リーン煙道ガスを処理することは、非効率的であり、また、プラント全体の効率に悪影響を及ぼすことが判明している。
【0008】
廃熱回収ボイラと二酸化炭素回収ユニットとを含む複合サイクル及び単純なガスタービンサイクルの実施形態は、欧州特許第3756752号に開示されている。これらの既知の実施形態では、ガスタービン発電施設からの煙道ガスストリームは、第1の煙道ガスストリーム及び第2の煙道ガスストリームに分けられる。第1の煙道ガスストリームは、第1の廃熱回収ボイラを通って流れ、第2の煙道ガスストリームは、第1の廃熱回収ボイラをバイパスする。第1の煙道ガスストリームの一部が、スタックを通して環境に放出され得る。残りの第1の煙道ガスストリーム及び第2の煙道ガスストリームは、一緒に合流し、選択的触媒除去のための酸化窒素除去ユニットと組み合わせられた更なる廃熱回収ボイラを通して送給される。酸化窒素除去ユニットには、酸化窒素との触媒反応のために還元剤が送給される。酸化窒素除去ユニットを通って流れる煙道ガスの温度は、酸化窒素除去ユニット内で最適な温度が達成されるように、第1及び第2の煙道ガスストリームのフローレートと、第1の廃熱回収ボイラの下流の環境に放出される煙道ガスの量とを変調することによって調整される。酸化窒素除去ユニットを通って流れる煙道ガスから酸化窒素が除去されると、煙道ガスは、二酸化炭素捕捉ユニットにおいて処理される。煙道ガスから二酸化炭素が除去され、二酸化炭素のない煙道ガスが環境中に放出される。捕捉された二酸化炭素は、圧縮されて、貯蔵又は輸送する目的で更に処理することができる。これらの既知のシステムは、二酸化炭素捕捉施設の効率を効果的に向上させない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
したがって、煙道ガス中の二酸化炭素含量を濃縮して、二酸化炭素の捕捉をより効率的にするためのシステム及び方法を提供することが有益である。
【0010】
一態様によれば、本明細書では、ガスタービンエンジンと、ガスタービンエンジンに燃料を送給するように適合された第1の燃料ラインと、ガスタービンエンジンから排気された煙道ガスを受容するように適合された熱回収蒸気発生器と、を含む、ガスタービンシステムが開示される。当該システムは、熱回収蒸気発生器のポストバーナに燃料を送給するように適合された第2の燃料ラインを更に含む。二酸化炭素捕捉ユニットは、熱回収蒸気発生器の煙突に流体結合されて、熱回収蒸気発生器から排気された煙道ガスから二酸化炭素を捕捉するように適合されている。リサイクルラインは、熱回収蒸気発生器の煙突からの煙道ガスを熱回収蒸気発生器内のポストバーナに再循環させて、二酸化炭素捕捉ユニットを通って流れる煙道ガス中の二酸化炭素濃度を高める。
【0011】
二酸化炭素捕捉ユニットによって処理される煙道ガス中の二酸化炭素濃度を更に高めるために、本明細書に開示される実施形態によれば、二酸化炭素捕捉ユニットによって少なくとも部分的に処理された二酸化炭素含有ガスのストリームを、ガスタービンエンジン、ポストバーナ、又はその両方に向かって再循環させるように、少なくとも1つの二酸化炭素戻りラインが提供されている。
【0012】
したがって、ガスタービンエンジンによって生成された機械動力を使用して、圧縮機又は圧縮機トレインなどの回転機械を駆動することができる。いくつかの実施形態では、機械動力は、完全に又は部分的に電力に変換することができる。
【0013】
熱回収蒸気発生器によって生成された蒸気は、製紙産業などの高温蒸気が必要とされる任意のプロセスにおいて使用することができる。蒸気に含有される熱出力はまた、地域暖房などの空調又は暖房の目的にも使用することができる。
【0014】
いくつかの実施形態では、熱回収蒸気発生によって発生した蒸気は、更なる機械動力及び/又は電力を発生させるために、ランキンサイクル又はHirnサイクルなどの底部熱サイクルにおいて作動流体として使用される。
【0015】
有利な実施形態では、本開示のガスタービンシステムは、電気エネルギー、機械エネルギー、及び熱エネルギーを提供するために、天然ガス液化プラントの一部とすることができる。
【0016】
下でより詳細に説明されるように、本開示によるシステムの例示的な実施形態を参照すると、二酸化炭素含有ストリームは、二酸化炭素捕捉ユニットの下流に分流することができ、その場合、ストリームは、大部分の二酸化炭素を含有する。他の実施形態では、二酸化炭素含有ガスのストリームは、例えば冷却アンモニアプロセスシステムの直接接触式冷却器内で、二酸化炭素捕捉ユニットによって冷却された、熱回収蒸気発生器からの煙道ガスからなり得るか、又はそれを含有し得る。
【0017】
二酸化炭素捕捉ユニットから戻された二酸化炭素含有ガスのフローは、ガスタービンエンジンの空気圧縮機の吸引側に送給することができる。この選択肢は、例えば、再循環された二酸化炭素含有ガスのストリームが、冷却アンモニアプロセスの直接接触式冷却器によって排出された冷却煙道ガスを含有する場合に特に有益である。他の実施形態では、二酸化炭素は、ガスタービンエンジンの燃焼器及び/又は熱回収蒸気発生器のポスト燃焼器に送給する燃料スキッドに再循環され得る。
【0018】
更なる態様によれば、本明細書では、ガスタービンシステムを用いて電力を発生させるための方法であって、以下のステップ、すなわち、
ガスタービンエンジンに空気及び燃料を送給して、それによって機械動力を発生させるステップと、
ガスタービンエンジンから排気された煙道ガスを、熱回収蒸気発生器を通して流すステップと、
熱回収蒸気発生器のポストバーナに燃料を供給するステップと、
熱回収蒸気発生器において蒸気を発生させるステップと、
熱回収蒸気発生器から排気された煙道ガスの一部をポストバーナに再循環させるステップと、
熱回収蒸気発生器から排気された残りの煙道ガスを二酸化炭素捕捉ユニットにおいて処理して、煙道ガスから二酸化炭素を除去するステップと、
二酸化炭素捕捉ユニットからの二酸化炭素含有ガスのストリームを当該ガスタービンエンジン及び当該ポストバーナのうちの少なくとも1つに向かって再循環させるステップと、を含む、方法が開示される。
【0019】
本開示のシステム及び方法の更なる実施形態は、下で概説されて、添付の特許請求の範囲に記載されている。
【図面の簡単な説明】
【0020】
ここで、添付図面を簡単に参照する。
【
図1】
図1は、一実施形態による、ポスト燃焼及び二酸化炭素の捕捉を伴う複合ガスタービンサイクルを含むシステムを例解する。
【
図2】
図2は、更なる実施形態による、ポスト燃焼及び二酸化炭素の捕捉を伴う複合ガスタービンサイクルを含むシステムを例解する。
【
図3】
図3は、更なる実施形態による、ポスト燃焼及び二酸化炭素の捕捉を伴う複合ガスタービンサイクルを含むシステムを例解する。
【
図4】
図4は、なお更なる実施形態による、ポスト燃焼及び二酸化炭素の捕捉を伴う複合ガスタービンサイクルを含むシステムを例解する。
【
図5】
図5は、
図1~
図4のシステムにおいて使用することができる、二酸化炭素の捕捉のための冷却アンモニアプロセスの概略図を例解する。
【
図6】
図6は、本開示の方法を要約するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0021】
ガスタービンエンジン及びポスト燃焼器を有する熱回収蒸気発生器を含むシステムにおける二酸化炭素捕捉効率を向上させるために、二酸化炭素含有ガスのストリームを、二酸化炭素捕捉ユニットから分流して、ガスタービンエンジンに、熱回収蒸気発生器のポスト燃焼器に、又はその両方に再循環させる。具体的には、二酸化炭素含有ガスのストリームは、二酸化炭素捕捉ユニットの二酸化炭素排出から分流することができ、その場合、再循環されたストリームは、主に二酸化炭素を含有する。代替的に又は組み合わせて、熱回収蒸気発生器から排気された煙道ガスは、二酸化炭素捕捉プロセスの第1のステップとして、二酸化炭素捕捉ユニットのセクションにおいて冷却される。冷却煙道ガスの一部分は、分流されてガスタービンエンジンに再循環され、残りの冷却煙道ガスは、二酸化炭素捕捉ユニットを通して更に処理される。
【0022】
ここで、図面を参照すると、
図1は、ガスタービンエンジン及び二酸化炭素捕捉ユニットを含む発電システム1の第1の実施形態を例解している。
【0023】
システム1は、第1の発電機5に駆動結合されたガスタービンエンジン3を備える。ガスタービンエンジン3は、発電機5を駆動するように適合された任意の種類のガスタービンを含むことができる。例えば、ガスタービンエンジン3としては、ヘビーデューティガスタービン、又は航空転用ガスタービン、例えば、1スプール、1.5スプール、2スプール、又は3-スプールガスタービンエンジンが挙げられ得る。
【0024】
ガスタービンエンジン3は、概して、1つ以上の空気圧縮機、例えば低圧空気圧縮機及び高圧空気圧縮機を含み得る、空気圧縮機セクション3.1を含む。ガスタービンエンジン3は、燃料ライン4及びタービンセクション3.3を通して燃料が送給されるガスタービン燃焼器3.2を更に含む。タービンセクション3.3は、1つ以上のタービンホイールを含み得る。1つ以上のシャフト6は、タービンホイールを空気圧縮機及び第1の発電機5に接続する。
【0025】
第1の発電機5は、システムの電気デバイス及び機械に給電することができる電気配電網7に電気的に接続することができる。具体的には、第1の発電機5によって発生させた電力を使用して電気モータに給電することができ、その結果、ターボ機械などの機械、例えば、圧縮機又は圧縮機トレインを駆動する。
【0026】
他の実施形態では、ガスタービンエンジン3は、機械動力から電力に変換せずに、ガスタービンエンジン3によって発生した機械動力を使用して被駆動機械を直接駆動するように、被駆動機械に、例えば圧縮機又は圧縮機トレインに駆動結合することができる。
【0027】
いくつかの実施形態では、ガスタービンエンジン3によって直接的又は間接的に給電される圧縮機又は圧縮機トレインは、天然ガスを液化するように適合された天然ガス液化システムの冷媒圧縮機、又は天然ガスパイプライン用のガス圧縮機、などであり得る。
【0028】
ガスタービンエンジン3の排出端部は、煙道ガスダクト9を通して熱回収蒸気発生器11に流体結合されている。本明細書の下でより詳細に説明されるように、熱回収蒸気発生器は、ガスタービンエンジン3の煙道ガスから熱を除去して、それによって蒸気を発生させる。
図1の実施形態では、システム1は、複合ガスタービンサイクルであり、熱回収蒸気発生器において発生した蒸気は、第2の発電機17に駆動結合することができる蒸気タービン15を含む底部サイクル13において使用される。蒸気タービン15は、高温の加圧蒸気に含有される熱出力の一部を機械動力に変換して、発電機17を駆動する。この後者は、電気配電網7に結合することができる。
【0029】
図1に示される実施形態では、蒸気タービン15は、高圧蒸気タービンセクション15.1と、低圧蒸気タービンセクション15.2と、を含む。他の実施形態では、図示されていないが、異なる数の蒸気タービンセクションが予測され得る。
【0030】
過熱蒸気は、過熱蒸気ライン15.3を通して高圧蒸気タービンセクション15.1の入口に送給することができる。高圧蒸気タービンセクション15.1からの部分的に膨張した蒸気は、蒸気戻りライン15.4を通して熱回収蒸気発生器11に戻して、第2の過熱蒸気ライン15.5を通して低圧蒸気タービンセクション15.2に送給される前に、より低い圧力で再度過熱することができる。
【0031】
他の実施形態では、2回過熱することが回避され得、又は2回を超えて過熱することが想定され得る。
【0032】
底部サイクル13は、凝縮器19と、水ダクト23に沿って熱回収蒸気発生器11に加圧水を再度循環させるポンプ21と、を更に備える。
【0033】
図面に示される実施形態では、底部サイクルは、再生を伴うランキンサイクルである。
図1に示される例示的な実施形態では、部分的に膨張した蒸気の部分フローは、再生ライン15.6において、低圧蒸気タービンセクション15.2から又はその上流の地点から分流されて、熱回収蒸気発生器11に到達する前に、(15.7において)ポンプ21によって送達される低温加圧水に加えられる。
【0034】
他の実施形態では、再生が省略され得、又は異なる温度及び圧力レベルでの1回を超える再生ステップが予測され得る。
【0035】
他の実施形態では、図示されていないが、システム1は、ガスタービンエンジン3を通して機械動力を発生させて、熱回収蒸気発生器11において加熱蒸気を発生させる、コジェネレイティブシステムであり得、加熱蒸気は、蒸気タービンにおいて発電以外の目的に使用される。
【0036】
熱回収蒸気発生器11からの排気煙道ガスは、煙突25を通して排出される。排気煙道ガスは、まだある量の残留酸素を含有しており、これは、煙道ガスの二酸化炭素含量を増加させる目的で、熱回収蒸気発生器11のポスト燃焼プロセスにおいて少なくとも部分的に利用される。
【0037】
煙突25からの煙道ガスストリームは、ライン29を通して二酸化炭素捕捉ユニット31に送給される主ストリームと、送風機35を含む再循環ライン33を通して、熱回収蒸気発生器に、より具体的には、熱回収蒸気発生器11のポストバーナ37に再度送給される再循環されたストリームとに分けられる。参照番号39は、ポストバーナ37に燃料を送給する燃料ラインを示す。ガスタービンエンジン3からの煙道ガスは、再循環ライン33からの再循環された煙道ガスストリームと混合され、かつ燃料ライン39からの燃料と混合されて、ポストバーナ37において燃料を燃焼させる。
【0038】
ポストバーナ37におけるポスト燃焼は、二酸化炭素のモル百分率(%mol)を高め、かつ二酸化炭素捕捉ユニット31に送達される煙道ガス中の残留酸素含有量を低減する。熱回収蒸気発生器11のポスト燃焼によって発生した追加の熱出力は、追加量の蒸気を発生させ、すなわち、燃料ライン39を通して送給される燃料の燃焼によって利用可能になる熱出力がより高くなるため、熱回収蒸気発生器によって発生する蒸気の量は、ポストバーナを含まない熱回収蒸気発生器によって発生する蒸気の量に対して増加する。
【0039】
二酸化炭素捕捉ユニット31は、任意の好適な二酸化炭素捕捉技術に基づくことができる。いくつかの実施形態では、二酸化炭素捕捉ユニット31は、いわゆる冷却アンモニアプロセス(chilled ammonia process、CAP)に基づくことができ、アンモニア溶液を使用して煙道ガスを冷却し、そこから二酸化炭素を除去する。他の実施形態によれば、二酸化炭素捕捉ユニット31は、例えば、混合塩プロセス(mixed salt process、MSP)を行い得るか、若しくは膜分離施設を含み得、又は任意の他の技術的及び経済的に実現可能な二酸化炭素捕捉プロセスに基づくことができる。
【0040】
二酸化炭素分離の性質及び二酸化炭素捕捉ユニット31によって使用される削減プロセスにかかわらず、二酸化炭素捕捉ユニット31における煙道ガス処理の効果は、ライン29を通して送給された煙道ガスから二酸化炭素の少なくとも一部を除去することである。ライン41を通して、二酸化炭素の量が低減された又は二酸化炭素を含有しないCO2リーン煙道ガスが大気中に放出される。煙道ガスから除去された二酸化炭素は、ほぼ全体的に二酸化炭素からなるストリームを形成し、これは、二酸化炭素排出ダクト43を通して送給される。排出ダクト43からの二酸化炭素は、例えば放棄された油田及びガス田、深含塩層、又はこの目的に適合された他の貯蔵場所などの、適切なCO2貯蔵場所に貯蔵することができる。
【0041】
いくつかの実施形態では、熱回収蒸気発生器11によって発生した蒸気の一部分は、二酸化炭素捕捉ユニット31の動作に使用することができ、そこには、水蒸気ライン47を通して熱回収蒸気発生器11から蒸気を直接送達することができる。水蒸気ライン47に加えて又はその代わりに、蒸気は、蒸気タービン15からの、具体的には、線47Xによって絵的に表されるように低圧蒸気タービンセクション15.2からの、又は高圧蒸気タービンセクション15.1(図示せず)からの部分的に膨張した蒸気を分流するラインも通して、二酸化炭素捕捉ユニット31に送達することができる。
【0042】
二酸化炭素捕捉ユニット31を通して処理される煙道ガス中の二酸化炭素濃度がより高いおかげで、再循環ライン33を通した排気ガスの再循環及びポストバーナ37におけるポスト燃焼は、二酸化炭素捕捉ユニット31の効率を向上させる。システム1の全体的な効率は、ポストバーナを運転するために必要な燃料の量が増加することによって下げられるが、二酸化炭素を捕捉する効率の向上は、温室効果ガス排出量の大幅な(約90%の)低減により、システムを経済的に有用にし、かつ環境に優しくする。
【0043】
ライン29を通して二酸化炭素捕捉ユニット31に送達される煙道ガスの二酸化炭素のモル百分率は、3~3.2%(ポスト燃焼のない、又は熱回収蒸気発生器において排気煙道ガスを再循環させない、ガスタービン煙道ガス中の通常の二酸化炭素モル百分率)から約8.2~8.5%に増加し得る。
【0044】
熱回収蒸気発生器11によって放出される煙道ガス中の二酸化炭素のモル百分率が増加するという観点から、より良好な結果をもたらすために、二酸化炭素排出ダクト43を燃料処理スキッド53に接続する二酸化炭素分流ライン51が提供されており、燃料処理スキッドは、ガスタービン燃焼器3.2(燃料ライン4)に、及び/又はポストバーナ37(燃料ライン39)に燃料を提供することができる。120バール程度に加圧された排出ダクト43からの二酸化炭素は、燃料とブレンドされ、燃料/CO2混合物は、ガスタービン燃焼器3.2に、又はポストバーナ37に、又はその両方に送達される。燃料に加えられる二酸化炭素の量は、燃焼プロセスに悪影響を与えない程度であるが、熱回収蒸気発生器11の煙突25における排気煙道ガス中の総二酸化炭素の割合を増加させ、したがって、二酸化炭素捕捉ユニット31によって行われる二酸化炭素捕捉プロセスの効率を向上させる。
【0045】
図1に示されるシステムに関して、熱回収蒸気発生器11によって放出されて、二酸化炭素捕捉ユニット31に送達される排気煙道ガス中には、約8.7~8.8%(モル)の割合の二酸化炭素が予測され得る。煙道ガス中の二酸化炭素モル含有量の増加は、二酸化炭素捕捉ユニット31によって行われる二酸化炭素捕捉プロセスの効率に関して有益である。
【0046】
いくつかの実施形態では、
図1に概略的に示されるように、補助酸化剤供給ライン60は、ポストバーナ37に酸化剤(空気、純酸素、又は他の酸素含有ガス状混合物)を送給することができる。
【0047】
図1の参照を続けながら、
図2には、本開示によるシステムの更なる実施形態が例解されている。同じ参照番号は、
図1に既に示されて、上で説明されたシステムの同じ又は同等の構成要素又は部品を表しており、再度詳細に説明されない。
【0048】
図2のシステム1では、二酸化炭素分流ライン51が省略されており、二酸化炭素捕捉ユニット31によって送達される二酸化炭素ストリームの全てが二酸化炭素排出ダクト43を通して除去される。
【0049】
二酸化炭素捕捉ユニット31の二酸化炭素の捕捉効率を向上させるために、
図3の実施形態は、二酸化炭素捕捉ユニット31をガスタービンエンジン3の空気入口に接続する、煙道ガス再循環ライン61を提供している。再循環ライン61の入口は、冷却煙道ガスが存在する、二酸化炭素捕捉ユニット31のセクションに流体結合することができる。例えば、煙道ガス再循環ライン61は、約5℃~約20℃の、好ましくは約5℃~約15℃の範囲の温度の煙道ガスを回収し得る。
【0050】
図5は、二酸化炭素を捕捉するための既知の冷却アンモニアプロセスプラントの概略図を例解する。かかるシステムに関する詳細は、例えば、Ola Augustonsらの「Chilled Ammonia Process Scale-up and Lessons Learned」に開示されており、www.sciencedirect.comで、Greenhouse Ga Control Technologiesに関する第13回国際会議、GHGT-13,2016年11月14~18日、Lausanne,CHにおいて提示された論文が入手可能である。全体として81と記されたシステムは、直接接触式冷却器83を備え、ガスタービンからの煙道ガスは、二酸化炭素吸収装置85に送達される前に冷却される。このシステムは、再生器87と、ストリッパ89と、水洗浄ステーション91と、直接接触式加熱器93と、を更に備え、吸収器85において二酸化炭素が除去された煙道ガスは、環境中に排出される前に加熱される。システムの構造及び動作は既知であるので説明しない。更に、
図5の概略は、冷却アンモニア処理システムの単なる一例として提供されている。システムの基本レイアウトに対するいくつかの修正が既知である。
【0051】
概して、直接接触式冷却器83を出た冷却煙道ガスの一部分は、冷却煙道ガス再循環ライン61に沿って、
図1~
図4の空気圧縮機3.1の吸引側に向かって再循環され得る。
【0052】
ライン61を通して再循環される冷却煙道ガスは、ガスタービンエンジン3の空気圧縮機3.1の吸引側に送給されて、空気圧縮機3.1によって吸引された空気とブレンドされる。
【0053】
冷却煙道ガスを再循環させる効果は2倍である。一方で、ガスタービン燃焼器3.2に進入するストリームの二酸化炭素の割合が増加し、その結果、二酸化炭素のモル百分率を増加させて、熱回収蒸気発生器11に進入する煙道ガスの残留酸素量を低減する。ライン33及び送風機35を通して再循環させる排気煙道ガスの低減を予測することができ、その結果、煙道ガスを再循環させるのに必要な電力量を低減する。
【0054】
その一方で、ライン61を通して再循環させる煙道ガスの温度は、通常、周囲温度よりも低いので、ガスタービンエンジン3によって行われる上部熱力学サイクルの熱効率の向上が予測される。
【0055】
図1及び
図2の参照を続けながら、
図3は、システム1の更なる実施形態を例解しており、
図1及び
図2の改善点が単一のシステムに組み合わせられて、二酸化炭素捕捉ユニット31によって処理される煙道ガス中に高い二酸化炭素濃度を提供する。システムの同じ部品及び構成要素を示すために、
図1及び
図2において使用される同じ参照番号が
図3において使用されており、再度詳細に説明されない。
【0056】
図3では、二酸化炭素捕捉ユニット31によって処理される煙道ガス中の二酸化炭素含量を増加させるために、冷却煙道ガス再循環ライン61及び二酸化炭素分流ライン51が組み合わせて使用される。
【0057】
図1、
図2、及び
図3の参照を続けながら、
図4には、ガスタービンエンジン3の空気圧縮機3.1の吸引側における二酸化炭素の含有量を向上させるための代替的な実施形態が例解されている。
図1及び
図2において使用される同じ参照番号は、
図1及び
図2に関連して既に説明した、同じ又は同等の部品及び構成要素を示しており、再度詳細に説明されない。
【0058】
図4の実施形態では、排気煙道ガス再循環ライン71は、ガスタービンエンジン3の排出端部をその入口に接続する。したがって、燃焼プロセスにより大気と比較してより高い割合の二酸化炭素を含有するタービンセクション3.3から排出された煙道ガスの一部が周囲空気とブレンドされて、ガスタービン燃焼器3.2に送達される燃焼空気中の二酸化炭素の割合を増加させる。これは、煙突25の煙道ガス中の、最終的には二酸化炭素捕捉ユニット31を通して処理される煙道ガス中の二酸化炭素のより高い濃度をもたらす。
【0059】
排気煙道ガス再循環ライン71内の再循環された排気煙道ガスは、新鮮な空気とブレンドされる前に、排気煙道ガス再循環ライン71に沿って配置された冷却器73内で冷却される。排気煙道ガス再循環ライン71内の再循環煙道ガスは、ガスタービンエンジン3の動作に悪影響を及ぼし得る粒子状物質又は他の汚染物質を排気煙道ガスから除去すること目的としたフロー処理を受けることができる。この目的のために、排気煙道ガス再循環ライン71に沿って、好ましくは冷却器73の下流に、一般的なフロー処理ユニット75が提供されている。
【0060】
排気煙道ガス再循環ライン71内を流れる再循環された排気煙道ガスから除去された熱エネルギー(矢印Q)は、システム1の1つ以上のセクションにおいて、又は別個のプロセス若しくはシステム(図示せず)において使用することができる。例えば、冷却器73からの熱を使用して、ポストバーナ37及び/又はガスタービン燃焼器3.2に送給される燃料を予熱することができる。冷却器73からの熱エネルギーQはまた、例えば、凝縮器19からの水を、熱回収蒸気発生器11に送達される前に予熱するために、二酸化炭素捕捉ユニット31及び/又は底部サイクル13において利用することができる。
【0061】
図4では、冷却煙道ガス再循環ライン61(
図2及び3)が省略されている。しかしながら、同じシステムにおける再循環ライン71及び61の組み合わせは除外されない。追加的に、本明細書ではまた、組み合わされた再循環ライン61及び71を含むが、二酸化炭素分流ライン51を省略したシステム1も開示されている。
【0062】
図6は、本開示の方法を要約するフローチャートである。
図6に例解される方法は、ガスタービンエンジン3に空気及び燃料を送給して、それによって機械動力を発生させる、ステップ101を含む。ステップ102では、ガスタービンエンジン3から排気された煙道ガスを、熱回収蒸気発生器11を通して流す。更なるステップ103では、熱回収蒸気発生器11のポストバーナ37に燃料を送給して、熱回収蒸気発生器内で蒸気を発生させる(ステップ104)。上で説明したように、熱回収蒸気発生器から排気された煙道ガスは、部分的にポストバーナに再循環され(ステップ105)、一方で、煙道ガスの残りの部分は、そこから二酸化炭素を除去するために、二酸化炭素捕捉ユニット31において処理される(ステップ106)。二酸化炭素捕捉ユニットからの二酸化炭素含有ガスのストリームは、ガスタービンエンジン及び/又はポストバーナに向かって戻される(ステップ107)。
【0063】
例示的な実施形態は、上記で開示され、添付の図面に示されている。以下の特許請求の範囲で定義される本発明の範囲から逸脱することなく、本明細書に具体的に開示されているものに、様々な変更、省略、及び追加を行ってもよいことが、当業者には理解されるであろう。
【0064】
例えば、ポスト燃焼器に低品質燃料を、及び必要に応じて追加の酸素を送給するために、追加の燃料送給ライン26及び追加の酸素又は空気送給ライン28を提供することができる。燃料スキッド53を介してガスタービンエンジンに供給される燃料は、ガス状燃料又は任意の他の高品質燃料であり得るが、追加の燃料送給ライン26は、例えば、燃料スキッド53によって供給される燃料とは異なる燃料、石炭、他のプロセスからの廃棄物、例えば通常は燃焼させることが意図される生成物、などの、卑燃料を供給することができる。必要に応じて、追加の燃料送給ライン内に燃料プレ処理ユニットを提供することができ、又はポスト燃焼器又は熱回収蒸気発生器の排出に燃焼ガスポスト処理ユニットを提供することができる。
【国際調査報告】