(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-12-25
(54)【発明の名称】流動性が改善されたバイオマス顆粒製造方法
(51)【国際特許分類】
C12N 1/12 20060101AFI20241218BHJP
C12N 11/02 20060101ALI20241218BHJP
C12P 7/64 20220101ALN20241218BHJP
【FI】
C12N1/12 C
C12N11/02
C12P7/64
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024539717
(86)(22)【出願日】2022-12-01
(85)【翻訳文提出日】2024-06-28
(86)【国際出願番号】 KR2022019336
(87)【国際公開番号】W WO2023128332
(87)【国際公開日】2023-07-06
(31)【優先権主張番号】10-2021-0190175
(32)【優先日】2021-12-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】507406611
【氏名又は名称】シージェイ チェルジェダン コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】弁理士法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】イ,イン
(72)【発明者】
【氏名】ジョン,ア・ヨン
(72)【発明者】
【氏名】アン,ジュンガプ
(72)【発明者】
【氏名】イム,ジン‐ソン
【テーマコード(参考)】
4B033
4B064
4B065
【Fターム(参考)】
4B033NA11
4B033NB43
4B033NB57
4B033NC04
4B033ND02
4B064AD87
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4B065BD33
4B065BD39
4B065BD50
4B065CA13
4B065CA41
4B065CA60
(57)【要約】
本発明は、流動性が改善されたバイオマス製造方法に関し、本発明の流動性が改善されたバイオマス製造方法で製造されたバイオマスは、噴霧してコーティング過程で固体のコア成分を利用して、コア成分がないか同じバイオマス乾燥物を使用することに比べて自然密度(Bulk density)が増加して、自由流動(free-flowing)が可能な乾燥剤品を確保することができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
1)バイオマス発酵液または濃縮液を製造するステップ;および
2)コア物質に前記1)の発酵液または濃縮液を噴霧してコーティングしてバイオマス顆粒を形成するステップ;を含む、バイオマス顆粒の製造方法。
【請求項2】
前記1)ステップのバイオマス発酵液または濃縮液は、スキゾキトリウム属またはトラウストキトリウム属微細藻類を含む、請求項1に記載のバイオマス顆粒の製造方法。
【請求項3】
前記2)ステップのコア物質は、アミノ酸または植物由来タンパク質である、請求項1に記載のバイオマス顆粒の製造方法。
【請求項4】
前記アミノ酸は、リジン、メチオニン、トリプトファン、ヒスチジンおよびアルギニンからなる群より選択されるいずれか一つ以上である、請求項3に記載のバイオマス顆粒の製造方法。
【請求項5】
前記植物由来タンパク質は、濃縮大豆タンパク質または大豆粕である、請求項3に記載のバイオマス顆粒の製造方法。
【請求項6】
前記2)ステップは、流動層顆粒機を利用して行われる、請求項1に記載のバイオマス顆粒の製造方法。
【請求項7】
前記2)ステップは、ボトムスプレーコーティング方式で行われる、請求項1に記載のバイオマス顆粒の製造方法。
【請求項8】
前記バイオマス顆粒は、コア物質を全体バイオマス顆粒重量に対して5~30重量%含むものである、請求項1に記載のバイオマス顆粒の製造方法。
【請求項9】
前記バイオマス顆粒は、コア物質を含有し、タンパク質含有量が全体バイオマス顆粒重量に対して15重量%以上である、請求項8に記載のバイオマス顆粒の製造方法。
【請求項10】
前記バイオマス顆粒は、流動性がCarr’s index15以下に改善されたものである、請求項1に記載のバイオマス顆粒の製造方法。
【請求項11】
アミノ酸または植物由来タンパク質のコア物質、およびバイオマス発酵液または濃縮液を含み、前記コア物質は、前記バイオマス発酵液または濃縮液でコーティングされたものである、流動性が改善されたバイオマス顆粒。
【請求項12】
前記バイオマス顆粒は、コア物質を全体バイオマス顆粒重量に対して5~30重量%含むものである、請求項11に記載のバイオマス顆粒。
【請求項13】
前記バイオマス発酵液または濃縮液は、スキゾキトリウム属またはトラウストキトリウム属微細藻類を含むものである、請求項11に記載のバイオマス顆粒。
【請求項14】
前記アミノ酸は、リジン、メチオニン、トリプトファン、ヒスチジンおよびアルギニンからなる群より選択されるいずれか一つ以上である、請求項11に記載のバイオマス顆粒。
【請求項15】
前記植物由来タンパク質は、濃縮大豆タンパク質または大豆粕である、請求項11に記載のバイオマス顆粒。
【請求項16】
前記バイオマス顆粒は、コア物質を含有し、タンパク質含有量が全体バイオマス顆粒重量に対して15重量%以上である、請求項11に記載のバイオマス顆粒。
【請求項17】
前記バイオマス顆粒は、流動性がCarr’s index15以下に改善されたものである、請求項11に記載のバイオマス顆粒。
【請求項18】
前記バイオマス顆粒は、請求項1の製造方法で製造されたものである、請求項11~17のいずれか一項に記載のバイオマス顆粒。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願の相互引用]
本出願は、2021年12月28日付韓国特許出願第10-2021-0190175号に基づいた優先権の利益を主張し、当該韓国特許出願の文献に開示されたすべての内容は本明細書の一部として含まれる。
【0002】
本発明は、特定コア成分にバイオマス発酵液または濃縮液を噴霧してコーティングするステップを含む、流動性が改善されたバイオマス顆粒製造方法に関する。
【背景技術】
【0003】
微細藻類は、地球上で最も長く生存してきた生物の一つであり、バイオマスを生産するだけでなく大気から二酸化炭素を捉える役割を果たす。通常バイオマス(biomass)は、太陽エネルギーを受けて有機物を合成する植物体と、これらを餌とする動物、微生物などの生物有機体を総称する。微細藻類から由来したバイオマスを乾燥させる目的は、バイオディーゼル、オメガ3などの高付加価値物質への転換において収率が良いためである。
【0004】
これと関連して、韓国公開特許10-2012-0055918号には、トラウストキトリド系微細藻類を利用した繊維質系バイオマスからバイオオイルの製造方法、韓国公開特許10-2012-0125194号には、ビール産業廃水に微細藻類を培養してバイオマスを生産する方法、韓国登録特許10-1298942号には、微細藻類を利用したバイオマスの生産方法が開示されている。
【0005】
通常、乾燥バイオマスを生産する過程は大きく、培養した微細藻類を収穫する過程と収穫された微細藻類から水分を除去する脱水および乾燥過程とに分けられる。乾燥バイオマスを生産するためにはまず、培養した微細藻類を収穫しなければならない。微細藻類を収穫する技術には、膜ろ過法、凝集法、遠心分離法などがあり、このうち、量産化の可能性の高い技術として膜ろ過法が主に使用される。
【0006】
一方、収穫された微細藻類から水分を除去する一般的な乾燥方法としては、ドラム乾燥機や噴霧乾燥機を使用する方法がある。バイオマスは、酸化感受性成分を含んでいる発酵液で、酸化感受性成分は脂質、特に高度不飽和脂肪酸を含む場合が多い。脂質の含有量が多いため、一般に使用するドラム乾燥機や噴霧乾燥機を介して乾燥する場合、粒度およびバルク密度が悪く、流動性が低く、実際製品としての活用には限界がある。
【0007】
そこで、本発明者らは、バイオマスの物性を改善するための方法を開発しようと努力した。その結果、特定コア成分を流動層顆粒機に添加し、流動層顆粒機の下部でバイオマス発酵液を噴霧してコーティングしてバイオマス顆粒を製造した場合、コア成分がないか同じバイオマス乾燥物を添加した場合に比べて自然密度(Bulk density)が増加し、自由流動(free-flowing)が可能であることを確認して本発明を完成した。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】韓国特許出願第10-2021-0190175号
【特許文献2】韓国公開特許10-2012-0055918号公報
【特許文献3】韓国公開特許10-2012-0125194号公報
【特許文献4】韓国登録特許10-1298942号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本出願の目的は、
1)バイオマス発酵液または濃縮液を製造するステップと、
2)コア物質に1)の発酵液または濃縮液を噴霧してコーティングしてバイオマス顆粒を形成するステップと、を含む、バイオマス顆粒の製造方法を提供することにある。
【0010】
本出願の他の目的は、アミノ酸または植物由来タンパク質であるコア物質、およびバイオマス発酵液または濃縮液を含み、コア物質は、バイオマス発酵液または濃縮液でコーティングされたものである、流動性が改善されたバイオマス顆粒を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、
1)バイオマス発酵液または濃縮液を製造するステップと、
2)コア物質に1)の発酵液または濃縮液を噴霧してコーティングしてバイオマス顆粒を形成するステップと、を含む、バイオマス顆粒の製造方法を提供する。
【0012】
ステップ1)のバイオマス発酵液または濃縮液はスキゾキトリウム(Schizochytrium)属またはトラウストキトリウム(Thraustochytrium)属微細藻類を培養して得ることができる。
【0013】
バイオマス発酵液または濃縮液は、スキゾキトリウム(Schizochytrium)属またはトラウストキトリウム(Thraustochytrium)属微細藻類を含むことができる。
【0014】
本明細書において、使用される用語、「スキゾキトリウム(Schizochytrium)属」は、トラウストキトリアレス目のヤブレツボカビ(Thraustochytriaceae)科に属する属名の一つで、用語「スキゾキトリウム属(genus Schizochytrium)」と同様の意味で使用され得。また、用語「トラウストキトリウム(Thraustochytrium)属」は、トラウストキトリアレス目のヤブレツボカビ(Thraustochytriaceae)科に属する属名の一つで、用語「トラウストキトリウム属(genus Thraustochytrium)」と同様の意味で使用され得。また、用語「微細藻類(microalgae)」は、葉緑素で光合成をする植物のうち、肉眼で見ることができず顕微鏡でしか見ることができず、水中で自由に浮遊して生きている生物を意味し、植物プランクトン(Phytoplankton)とも呼ばれる。
【0015】
ステップ2)のコア物質は、タンパク質であってもよく、アミノ酸または植物由来タンパク質であってもよい。
【0016】
コア物質において、アミノ酸は、リジン(Lysine、Lys)、メチオニン(Methionine、Met)、トリプトファン(Tryptophan、Trp)、ヒスチジン(Histidine、His)およびアルギニン(Arginine、Arg)からなる群より選択されるいずれか一つ以上であってもよいが、これに限定されない。
【0017】
コア物質において、植物由来タンパク質は濃縮大豆タンパク質(Soy Protein Concentrate、SPC)または大豆粕(Soy Bean Molasses、SBM)であってもよいが、これに限定されない。
【0018】
ステップ2)は、流動層顆粒機を利用して行われる。顆粒に製造しようとするバイオマス固形分およびコア物質は、流動層顆粒機内部で流動化させ、バイオマス固形分およびコア物質をコーティングするためのバイオマス発酵液または濃縮液は、流動層顆粒機の下部から噴射する。
【0019】
ステップ2)は、ボトムスプレーコーティング(bottom spray coating)方式またはトップスプレーコーティング(top spray coating)方式で行われ、好ましくはボトムスプレーコーティング方式で行われる。ボトムスプレーコーティング方式の場合、トップスプレーコーティング方式に比べてコア物質の量が少なくても顆粒/噴霧してコーティングすることが可能であるという長所がある。
【0020】
また、本発明は、アミノ酸または植物由来タンパク質のコア物質、およびバイオマス発酵液または濃縮液を含み、コア物質は、バイオマス発酵液または濃縮液でコーティングされたものである、流動性が改善されたバイオマス顆粒を提供する。
【0021】
バイオマス発酵液または濃縮液は、スキゾキトリウム(Schizochytrium)属またはトラウストキトリウム(Thraustochytrium)属の微細藻類を含むことができる。
【0022】
「バイオマス発酵液または濃縮液」は、コア物質をコーティングするコーティング層を形成することができ、本明細書において、「バイオマス発酵液または濃縮液」は、用語「コーティング液」と同様の意味で使用され得る。
【0023】
コーティングは、ボトムスプレーコーティング方式で行われてもよい。
【0024】
バイオマス顆粒は、コア物質を全体バイオマス顆粒重量に対して5重量%以上含むことができ、5~30重量%、5~25重量%、10~30重量%、10~25重量%、15~30重量%、15~25重量%含有するであってもよい。
【0025】
コア物質において、アミノ酸はリジン(Lysine、Lys)、メチオニン(Methionine、Met)、トリプトファン(Tryptophan、Trp)、ヒスチジン(Histidine、His)およびアルギニン(Arginine、Arg)からなる群より選択されるいずれか一つ以上であってもよいが、これに限定されない。
【0026】
コア物質において、植物由来タンパク質は、濃縮大豆タンパク質(Soy Protein Concentrate、SPC)または大豆粕(Soy Bean Molasses、SBM)であるが、これに限定されない。
【0027】
バイオマス顆粒は、アミノ酸または植物由来タンパク質をコア物質として含有し、タンパク質含有量が、全体バイオマス顆粒重量に対して15重量%以上、10重量%以上、5重量%以上であってもよい。
【0028】
バイオマス顆粒は、
1)バイオマス発酵液または濃縮液を製造するステップ;および
2)コア物質に1)の発酵液または濃縮液を噴霧してコーティングしてバイオマス顆粒を形成するステップ;を含む、バイオマス顆粒の製造方法で製造されたものであってもよい。
【0029】
バイオマス顆粒は、安息角(°)が、33°以下であってもよく、31°以下であってもよく、30°以下であってもよい。
【0030】
安息角は、顆粒の流動性を評価するための方法の一つであって、一定量の顆粒を流させて形成される三角形形態の顆粒の山盛りの角度を、安息角測定器を利用して測定したものをいい、三角形の底面と高さを測定してtanθを求めて角度を計算できる。安息角が小さいほど流動性が良いと評価することができる。
【0031】
バイオマス顆粒は、Carr’s index値が15%以下であってもよく、14%以下であってもよく、13%以下であってもよい。
【0032】
Carr’s indexは、顆粒の流動性を評価するための方法の一つであって、測定された顆粒の充填密度と自然密度を利用して下記計算式に代入して計算することができる。
【0033】
[計算式]
Carr’s Index=(充填密度-自然密度)/充填密度×100
Carr’s index値が小さいほど流動性が良いと評価することができる。
【0034】
バイオマス顆粒は、アミノ酸または植物由来タンパク質をコア物質として含有してタンパク質の含有量が高い。また、安息角が低く、Carr’s index値が低く、流動性が改善されて従来の方法で製造されたバイオマス粉末に比べて活用性が高い。
【発明の効果】
【0035】
本発明の流動性が改善されたバイオマス製造方法で製造されたバイオマスは、噴霧してコーティング過程で、固体のコア成分を利用するため、コア成分がないか同じバイオマス乾燥物を使用することに比べて、自然密度(Bulk density)が増加して、自由流動(free-flowing)が可能な乾燥剤品を確保することができる。
【発明を実施するための形態】
【0036】
以下、本発明を実施例を通してより詳細に説明する。しかし、これらの実施例は、一つ以上の具体例を例示的に説明するためのもので、本発明の範囲がこれらの実施例に限定されるものではない。
【0037】
<微細藻類発酵液の用意>
バイオマス粉末を製造するために、発酵槽からSchizochytrium発酵液を回収した。具体的に、Schizochytrium sp.菌株を5Lの発酵槽で総培養液に対して35%のGlucose炭素源を供給して60時間培養を行った。種菌培養(Seed culture)の目的で滅菌されたMJW02培地を利用して500mLフラスコ(flask)で30℃、150rpmの条件で約20時間培養を行った。種菌培養(Seed culture)されたフラスコは、5L発酵槽(fermenter)に分注および接種され、滅菌されたMJW02培地および培養環境30℃、500rpm、1.5vvm、pH5~8の条件で培養を行った。
【0038】
実施例1.コア物質種類によるバイオマス顆粒の製造
実施例1-1.コア物質としてリジンを含有するバイオマス顆粒の製造
発酵が終了したバイオマス発酵液を乾燥し、コア物質としてリジンを含有するバイオマス顆粒を製造した。
【0039】
具体的に、流動層顆粒機(Daesung Machinery、PD-40)を活用し、バイオマス固形分(g)とコア物質としてリジン50gを投入し、注入空気温度100~130℃、乾燥機内部温度60~80℃にし、バイオマス発酵液1400~1600gをボトムスプレーコーティング(bottom spray coating)方式で2時間程度噴霧乾燥して流動層顆粒を形成した。コア物質を最終乾燥完了した試料内の20%水準で製造した。投入された発酵液含有量(g)および最終試料内のコア物質の含有量(%)を表1に示す。表1において、バイオマス固形分(g)は、バイオマス発酵液に含まれている固形分を計算したものである。
【0040】
実施例1-2.コア物質としてメチオニンを含有するバイオマス顆粒の製造
表1に記載された含有量を適用して、実施例1-1の製造方法と同様な方法でコア物質としてメチオニンを含有するバイオマス顆粒を製造した。
【0041】
実施例1-3.コア物質としてトリプトファンを含有するバイオマス顆粒の製造
表1に記載された含有量を適用して、実施例1-1の製造方法と同様な方法でコア物質としてトリプトファンを含有するバイオマス顆粒を製造した。
【0042】
実施例1-4.コア物質としてヒスチジンを含有するバイオマス顆粒の製造
表1に記載された含有量を適用して、実施例1-1の製造方法と同様な方法でコア物質としてヒスチジンを含有するバイオマス顆粒を製造した。
【0043】
実施例1-5.コア物質としてアルギニンを含有するバイオマス顆粒の製造
表1に記載された含有量を適用して、実施例1-1の製造方法と同様な方法でコア物質としてアルギニンを含有するバイオマス顆粒を製造した。
【0044】
【0045】
実施例1-6.コア物質として濃縮大豆タンパク(Soy Protein Concentrate)を含有するバイオマス顆粒の製造
発酵が終了したバイオマス発酵液を乾燥してコア物質として濃縮大豆タンパクを含有するバイオマス顆粒を製造した。
【0046】
具体的に、流動層顆粒機(Daesung Machinery)を活用して、60~80℃の温度条件でコア物質として濃縮大豆タンパク50gにバイオマス発酵液1485gをボトムスプレーコーティング(bottom spray coating)方式で噴霧乾燥して流動層顆粒を形成した。コア物質を最終乾燥完了した試料内の20%水準で製造した。投入された発酵液含有量(g)および最終試料内のコア物質の含有量(%)を下記表2に示す。
【0047】
実施例1-7.コア物質として大豆粕(Soy bean Molasses)を含有するバイオマス顆粒の製造
表2に記載された含有量を適用して、実施例1-6で製造した方法と同様の方法でコア物質として大豆粕を含有するバイオマス顆粒を製造した。
【0048】
【表2】
比較例1.コア物質を含有しないバイオマス顆粒の製造
流動層顆粒機(Daesung Machinery)を活用して60~80℃の温度条件でコア物質なしにバイオマス発酵液1520gをバイオマス固形分190gにボトムスプレーコーティング(bottom spray coating)方式で噴霧乾燥して流動層顆粒を形成した。バイオマス固形分(g)含有量と噴霧されたバイオマス発酵液の含有量を下記表3に示す。
【0049】
比較例2.コア物質としてバイオマス粉末を含有するバイオマス顆粒の製造
表3に記載された含有量を適用して、実施例1-1で製造した方法と同様の方法でコア物質としてバイオマス粉末を含有するバイオマス顆粒を製造した。バイオマス粉末は、噴霧乾燥機(アインシステム)を利用して注入温度150℃、乾燥機内部温度80℃で乾燥して製造した。
【0050】
【表3】
実験例1.コア物質の種類によるバイオマス顆粒の特徴評価
実験例1-1.コア物質の種類によるバイオマス顆粒の水分含有量、安息角および流動性分析
コア物質の種類によるバイオマス顆粒の流動性を評価するために、実施例1-1~実施例1-7、比較例1および比較例2で製造した各バイオマス顆粒の水分含有量、安息角および流動性を下記のように分析した。
【0051】
具体的に、水分含有量は、食品コードの一般性分試験法に従って、乾燥減量法で測定した。試料3~5gを正確に秤量し、105℃の乾燥オーブンに入れて3時間以上乾燥し、常温のデシケーターで30分以上冷やした後重量を測定した。再び1~2時間乾燥オーブンで乾燥し、冷却して重量を秤量した後、含有量になるまで繰り返し測定した。
【0052】
安息角は、安息角測定器を利用し、顆粒を一定量流して形成される三角形形態の顆粒の山盛の角度を測定した。三角形の底面と高さを測定してtanθを求めて角度を計算することができる。流動性は、安息角の値を利用して下記表4を基準に評価した。測定されたバイオマス顆粒の水分含有量、安息角および流動性の評価結果を下記表5に示す。
【0053】
【0054】
【表5】
その結果、表5に示されたように、コア物質として、リジン、メチオニン、トリプトファン、ヒスチジン、アルギニンのアミノ酸を含むバイオマス顆粒と濃縮大豆タンパク、大豆粕の植物由来タンパク質を含むバイオマス顆粒が、コア物質を含有しないバイオマス顆粒やコア物質としてバイオマス粉末を含有するバイオマス顆粒に比べて水分含有量が低く、安息角が小さく、より良い流動性を有することを確認した。
【0055】
実験例1-2.コア物質の種類によるバイオマス顆粒の自然密度、充填密度、Carr’s Indexおよび流動性の分析
コア物質の種類によるバイオマス顆粒の流動性を評価するために、実施例1-1~実施例1-7、比較例1および比較例2で製造した各バイオマス顆粒の自然密度、充填密度、Carr’s indexおよび流動性(flowability)を下記のように分析した。
【0056】
具体的に、自然密度は次の方法で測定した。空の容器の質量を測定した後、試料を容器上端まで十分に充填し、容器の上に積まれている試料を平板に切った後質量を測定した。質量を測定した後、測定された値の差が0.3%以内になるまで5回以上繰り返した。測定された値を下記計算式に代入して自然密度計算した。
【0057】
[計算式]
自然密度=(空の容器に粉末を充填した重量(g)-空の容器の重量(g))/容器の体積(100cm2)
【0058】
充填密度は次の方法で測定した。空の容器の質量を測定した後、補助円筒を上に連結し、試料を補助容器上端まで十分に充填した。その後、タッピングを1000回以上、体積変化がないまで行い、補助容器を除去した後、試料を平板に切って、質量を測定した。測定された値の差が0.3%以内になるまで5回以上繰り返した。測定された値を下記計算式に代入して充填密度を計算した。
【0059】
[計算式]
充填密度=(タッピング後の粉末が完全に充填された円筒の重量(g)-円筒の重量(g))/円筒の体積(100cm2)
【0060】
Carr’s indexは、流動性を示す間接指標として多く活用されるもので、測定された充填密度と自然密度を利用して下記計算式に代入して計算した。この値が小さいほど流動性が良いものと評価することができる。
【0061】
[計算式]
Carr’s Index=(充填密度-自然密度)/充填密度×100
【0062】
流動性は、Carr’s indexの値を利用して下記表6を基準に評価した。測定されたバイオマス顆粒の自然密度、充填密度、Carr’s indexおよび流動性(flowability)の評価結果を下記表7に示す。
【0063】
【0064】
【表7】
その結果、表7に示されたように、コア物質として、リジン、メチオニン、トリプトファン、ヒスチジン、アルギニンのアミノ酸を含むバイオマス顆粒と濃縮大豆タンパク、大豆粕の植物由来タンパク質を含むバイオマス顆粒が、コア物質を含有しないバイオマス顆粒やコア物質としてバイオマス粉末を含有するバイオマス顆粒に比べて自然密度が高く、Carr’s index値が顕著に低い値を示し、流動性が良いことを確認した。
【0065】
実施例2.コア物質(リジンおよび濃縮大豆タンパク)の含有量によるバイオマス顆粒の製造
実施例2-1.最終試料内のコア物質として、リジンを7.4%含有するバイオマス顆粒の製造
コア物質の含有量による流動性の差を評価するために、実施例1-1と同様の方法で表8に記載された含有量を適用して、最終試料内のコア物質としてリジンを7.4%含有するバイオマス顆粒を製造した。
【0066】
実施例2-2.最終試料内のコア物質としてリジンを9.1%含有するバイオマス顆粒の製造
コア物質の含有量による流動性の差を評価するために、実施例1-1と同様の方法で表8に記載された含有量を適用して最終試料内のコア物質としてリジンを9.1%含有するバイオマス顆粒を製造した。
【0067】
実施例2-3.最終試料内のコア物質としてリジンを11.5%含有するバイオマス顆粒の製造
コア物質の含有量による流動性の差を評価するために、実施例1-1と同様の方法で表8に記載された含有量を適用して最終試料内のコア物質としてリジンを11.5%含有するバイオマス顆粒を製造した。
【0068】
実施例2-4.最終試料内のコア物質としてリジンを16.4%含有するバイオマス顆粒の製造
コア物質の含有量による流動性の差を評価するために、実施例1-1と同様の方法で表8に記載された含有量を適用して最終試料内のコア物質としてリジンを16.4%含有するバイオマス顆粒を製造した。
【0069】
実施例2-5.最終試料内のコア物質としてリジンを28.7%含有するバイオマス顆粒の製造
コア物質の含有量による流動性の差を評価するために、実施例1-1と同様の方法で表8に記載された含有量を適用して最終試料内のコア物質としてリジンを28.7%含有するバイオマス顆粒を製造した。
【0070】
【表8】
実施例2-6.最終試料内のコア物質として濃縮大豆タンパク(SPC)を7.3%含有するバイオマス顆粒の製造
コア物質の含有量による流動性の差を評価するために、実施例1-1と同様の方法で表9に記載された含有量を適用して最終試料内のコア物質として濃縮大豆タンパク(SPC)を7.3%含有するバイオマス顆粒を製造した。
【0071】
実施例2-7.最終試料内のコア物質として濃縮大豆タンパク(SPC)を9.0%含有するバイオマス顆粒の製造
コア物質の含有量による流動性の差を評価するために、実施例1-1と同様の方法で表9に記載された含有量を適用して最終試料内のコア物質として濃縮大豆タンパク(SPC)を9.0%含有するバイオマス顆粒を製造した。
【0072】
実施例2-8.最終試料内のコア物質として濃縮大豆タンパク(SPC)を12.0%含有するバイオマス顆粒の製造
コア物質の含有量による流動性の差を評価するために、実施例1-1と同様の方法で表9に記載された含有量を適用して最終試料内のコア物質として濃縮大豆タンパク(SPC)を12。0%含有するバイオマス顆粒を製造した。
【0073】
実施例2-9.最終試料内のコア物質として濃縮大豆タンパク(SPC)を16.7%含有するバイオマス顆粒の製造
コア物質の含有量による流動性の差を評価するために、実施例1-1と同様の方法で表9に記載された含有量を適用して最終試料内のコア物質として濃縮大豆タンパク(SPC)を16.7%含有するバイオマス顆粒を製造した。
【0074】
実施例2-10.最終試料内のコア物質として濃縮大豆タンパク(SPC)を27.8%含有するバイオマス顆粒の製造
コア物質の含有量による流動性の差を評価するために、実施例1-1と同様の方法で表9に記載された含有量を適用して最終試料内のコア物質として濃縮大豆タンパク(SPC)を27.8%含有するバイオマス顆粒を製造した。
【0075】
【表9】
実験例2.コア物質の含有量の差によるたバイオマス顆粒の流動性評価
実験例2-1.コア物質の含有量によるバイオマス顆粒の水分含有量、安息角および流動性の分析
コア物質の含有量によるバイオマス顆粒の流動性を評価するために、実施例2-1~実施例2-10で製造した各バイオマス顆粒の水分含有量、安息角および流動性を実験例1-1と同様の方法で分析してその結果を下記表10および表11に示す。
【0076】
【0077】
【表11】
その結果、噴霧されたバイオマス発酵液含有量が増加するほど、および最終試料内のコア物質含有量が低くなるほど、顆粒の大きさが増加したが、安息角の値は大きく変化せず、水分の含有量は減ったことを確認した。
【0078】
実験例2-2.コア物質の含有量によるバイオマス顆粒の自然密度、充填密度、Carr’s Indexおよび流動性の分析
コア物質の含有量によるバイオマス顆粒の流動性を評価するために、実施例2-1~実施例2-10で製造した各バイオマス顆粒の自然密度、充填密度、Carr’s indexおよび流動性(flowability)を実験例1-2と同様な方法で分析して、その結果を下記表12および表13に示す。
【0079】
【0080】
【表13】
その結果、噴霧されたバイオマス発酵液が増加するほど、すなわち、最終試料内のコア物質含有量が低くなるほど、Carr’s index値が減少して流動性は増加することを確認した。
【国際調査報告】