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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-12-25
(54)【発明の名称】時間測定装置
(51)【国際特許分類】
   G04F 5/00 20060101AFI20241218BHJP
   G04G 3/00 20060101ALI20241218BHJP
   G04G 99/00 20100101ALI20241218BHJP
【FI】
G04F5/00 Z
G04G3/00 K
G04G99/00 302Z
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024555263
(86)(22)【出願日】2022-11-14
(85)【翻訳文提出日】2024-05-15
(86)【国際出願番号】 EP2022081832
(87)【国際公開番号】W WO2023088847
(87)【国際公開日】2023-05-25
(31)【優先権主張番号】102021129880.6
(32)【優先日】2021-11-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523233020
【氏名又は名称】リアライゼーション デサル アーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】110001416
【氏名又は名称】弁理士法人信栄事務所
(72)【発明者】
【氏名】ボンケ,マイケル
【テーマコード(参考)】
2F002
【Fターム(参考)】
2F002AA12
2F002BB05
2F002CB01
(57)【要約】
本発明は、時計(100)、特に腕時計に関し、少なくとも1つの電光変換器(10;11、12)を有する電光変換器装置(1)と、光電変換器装置(2)と、第1の導波路(61)を介して光電変換器装置(2)内に至る第1の信号経路(3)と、直接又は第2の導波路(62)を介して光電変換器装置(2)内に至る第2の信号経路(4)と、制御装置(5)と、有用信号生成装置(103)とを備える。第1の信号経路(3)及び第2の信号経路(4)は、第1の信号経路(3)内の第1のクロック光信号の伝搬時間と第2の信号経路(4)内の第2のクロック光信号の伝搬時間とが互いに異なるように設計される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
時計(100)、特に腕時計であって、
少なくとも1つの電光変換器(10;11、12)を有する電光変換器装置(1)と、
光電変換器装置(2)と、
第1の導波路(61)を介して光電変換器装置(2)内に至る第1の信号経路(3)と、
直接又は第2の導波路(62)を介して光電変換器装置(2)内に至る第2の信号経路(4)と、
制御装置(5)と、
有用信号生成装置(103)とを備え、
前記電光変換器装置(1)は、第1のクロック光信号を前記第1の導波路(61)内に供給し、第2のクロック光信号を前記第2の信号経路(4)内に供給するように構成され、
前記光電変換器装置(2)は、前記第1のクロック光信号に基づいて第1の電気信号を生成し、前記第2のクロック光信号に基づいて第2の電気信号を生成するように構成され、
前記第1の信号経路(3)及び前記第2の信号経路(4)は、前記第1の信号経路(3)内の前記第1のクロック光信号の通過時間と前記第2の信号経路(4)内の前記第2のクロック光信号の通過時間とが互いに異なるように構成され、
前記制御装置(5)は、前記第1の電気信号と前記第2の電気信号との間の位相差に基づいて制御信号を生成し、前記2つの光信号を生成するために前記制御信号によって前記電光変換器装置(1)を駆動するように構成され、
前記有用信号生成装置(103)は、前記制御信号の周波数に基づいて、時間をクロックする有用信号を生成するように構成され、
前記時計は、前記有用信号に基づいて時刻を表示するための時計表示装置(106)を備える、
時計。
【請求項2】
前記制御装置(5)は、位相比較器(50)と、前記位相比較器(50)の出力信号を積分するためのループフィルター(51)と、前記ループフィルターの出力信号によって駆動可能な発振器(52)とを備える、請求項1に記載の時計(100)。
【請求項3】
前記駆動可能な発振器(52)は、電圧制御発振器であるか、又はトリマーコンデンサを有する調整可能な圧電振動結晶を備える、請求項2に記載の時計(100)。
【請求項4】
前記制御装置(5)は、ハードウェア及び/又はソフトウェアとして実装される、請求項1~3のいずれか一項に記載の時計(100)。
【請求項5】
前記電光変換器装置(1)は、クロック光信号を生成するように構成された単一の電光変換器(10)と、前記クロック光信号を前記第1のクロック光信号と前記第2のクロック光信号とに分割するように構成された光分割器(13)とを備える、請求項1~4のいずれか一項に記載の時計(100)。
【請求項6】
前記電光変換器は第1の電光変換器(11)であり、前記電光変換器装置(1)は第2の電光変換器(12)を備え、前記第1の電光変換器(11)は前記第1のクロック光信号を生成するように構成され、前記第2の電光変換器(12)は前記第2のクロック光信号を生成するように構成される、請求項1~4のいずれか一項に記載の時計(100)。
【請求項7】
前記光電変換器装置(2)は、前記第1のクロック光信号と前記第2のクロック光信号とから形成される重畳信号を生成するための単一の光電変換器(20)と、前記重畳信号から前記第1の電気信号と前記第2の電気信号とを生成するように構成された信号分割器(23)とを備える、請求項1~6のいずれか一項に記載の時計(100)。
【請求項8】
前記光電変換器装置(2)は、第1の光電変換器(21)及び第2の光電変換器(22)を備え、前記第1の信号経路(3)は前記第1の光電変換器(21)を備え、前記第2の信号経路(4)は前記第2の光電変換器(22)を備え、
前記第1の光電変換器(21)は、前記第1のクロック光信号に基づいて前記第1の電気信号を生成するように構成され、前記第2の光電変換器(22)は、前記第2のクロック光信号に基づいて前記第2の電気信号を生成するように構成される、
請求項1~6のいずれか一項に記載の時計(100)。
【請求項9】
前記第1の光電変換器(21)は前記第2の光電変換器(22)と同一に構成される、請求項8に記載の時計(100)。
【請求項10】
前記第2の導波路(62)は前記第1の導波路(1)より短い、請求項1~9のいずれか一項に記載の時計(100)。
【請求項11】
前記第1の導波路(61)及び前記第2の導波路(62)は、
所定の温度で、前記第1の導波路(61)内の前記第1のクロック光信号の通過時間と前記第2の導波路(62)内の前記第2のクロック光信号の通過時間とが互いに異なり、かつ、
所定の温度からの所定の温度偏差の場合の前記第1の導波路(61)内の前記第1のクロック光信号の通過時間の変化が、同じ所定の温度偏差の場合の前記第2の導波路(62)内の前記第2のクロック光信号の通過時間の変化と同じになるように構成される、
請求項10に記載の時計(100)。
【請求項12】
前記第1の導波路(61)及び前記第2の導波路(62)は、光が通過し得る材料及び/又は長さ及び/又は断面設計において異なる、請求項11に記載の時計(100)。
【請求項13】
前記第1の導波路(61)の反射端(612)にリフレクタ(7)が配置され、このリフレクタによって前記第1のクロック光信号を前記第1の導波路(61)内に反射することができ、前記第1の信号経路(3)は、反射された前記第1のクロック光信号を、前記第1の導波路(61)の供給端(611)で前記第1の信号経路(3)の前記光電変換器(21;20)内に出力することができるように構成される、請求項7~12のいずれか一項に記載の時計(100)。
【請求項14】
前記第1の信号経路(3)は、前記第1の導波路(61)の前記供給端(611)に光分割器(6;13)を備え、この分割器は反射された前記第1のクロック光信号を前記第1の光電変換器(21)内に出力するように構成される、請求項13に記載の時計(100)。
【請求項15】
前記光分割器(6;13)は、部分的に透明なミラー又はファイバ分割器を備える、請求項14に記載の時計(100)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、時間測定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来技術から、クォーツ時計及び自動巻き又は手巻き機械式時計が知られている。クォーツ時計は、水晶発振器の周波数によって時を刻む。一方、自動巻き式機械時計(自動巻き時計とも呼ばれる)および手巻き式機械式時計は、一般に、脱進機として知られているものを制御するテンプの振動によって制御される。航法装置等の他の時間測定装置は、通常、クォーツ時計と同様に、水晶発振器の周波数によって時間測定がクロックされる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明の目的は、できる限り精密な時間測定装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
以下、少なくとも1つ又は2つの並列な電光変換器を備える電光変換器装置と、特に1つ又は2つの並列な光電変換器を備える光電変換器装置と、第1の信号経路と、第2の信号経路と、制御装置と、有用信号生成装置と、を備える時間測定装置について説明する。
【0005】
第1の信号経路は、導波路(第1の導波路と称する)を備え、電光変換器装置から導波路を介して光電変換器装置/光電変換器装置内に至る。その結果、第1の信号経路は、導波路に加えて、少なくとも一部、光電変換器装置を備えることもできる。
【0006】
第2の信号経路は、電光変換器装置から、直接、又は第2の導波路を介して、光電変換器装置/光電変換器装置内に至る。したがって、第2の信号経路は、少なくとも一部、光電変換器装置を備え、任意選択で第2の導波路を備える。
【0007】
電光変換器装置は、第1のクロック光信号を生成して導波路内に供給し、第2のクロック光信号を第2の信号経路内に供給するように構成される。光電変換器装置は、第1のクロック光信号に基づいて第1の電気信号を生成し、第2のクロック光信号に基づいて第2の電気信号を生成するように構成される。さらに、第1の信号経路及び第2の信号経路は、第1の信号経路内の第1のクロック光信号の通過時間と第2の信号経路内の第2のクロック光信号の通過時間とが互いに異なるように構成される。特に、制御信号に基づいて、2つの信号経路用に、同一の周波数で位相シフトなしの2つの光信号(第1及び第2の光信号)が電光変換器装置内で生成されることが規定される。2つの光信号は、2つの信号経路内の通過時間の相違によってのみ、位相シフトが異なる。
【0008】
制御装置は、第1の電気信号と第2の電気信号との間の位相差に基づいて制御信号を生成し、2つの光信号を生成するために、前記制御信号によって電光変換器装置を駆動するように構成される。なお、電光変換器装置を制御するための制御信号は、制御装置の出力信号に対応する。本発明の文脈において、制御装置は特に制御ユニットとも称され得る。
【0009】
有用信号生成装置は、制御信号の周波数に基づいて、時間をクロックする有用信号を生成するように構成される。
【0010】
本発明の有利な実施形態によれば、時間測定装置は、時計表示装置を備える時計、特に腕時計とすることができる。この場合、時計表示装置は、有用信号に基づいて時刻を表示するように構成される。本発明のさらなる有利な実施形態によれば、時間測定装置は、航法装置時間測定装置とすることができる。航法装置の動作モードは、時間測定、具体的には少なくとも3つの衛星から航法装置まで無線信号が要する時間の測定に基づく。時間測定が正確であればあるほど、航法装置の位置決定の精度が高くなる。時間測定装置が時計でない場合、時間測定装置は好ましくはアプリケーション指向のユニットを備えることができる。アプリケーション指向のユニットは、ソフトウェア及び/又はハードウェアとして実装することができる。時間測定装置が航法装置時間測定装置である場合、アプリケーション指向のユニットは、有用信号を比較信号として、航法装置の位置を決定するように構成された位置決定ユニットとすることができる。
【0011】
本発明による時間測定装置は、第1の信号経路の導波路が周波数決定要素、特に排他的周波数決定要素であるという利点を有する。換言すれば、時間測定装置のクロック用の周波数として使用される周波数(クロック周波数)は、特に排他的に第1の信号経路の導波路を通る光の通過時間に基づく。これは特に、上述の第2の信号経路及び制御装置の設置によって達成される。その結果、時間測定装置の電子部品、特に電光変換器装置及び光電変換器装置によって生じる、あまり安定せず計算可能でない信号遅延が、導波路内の光通過時間に起因するクロック周波数にほとんど又は全く影響を与えない。特に、電光変換器装置の応答時間と光電変換器装置の応答時間とを、クロック周波数の決定から排除することが可能である。すなわち、換言すれば、電光変換器装置によって電気信号を光信号に変換する過程の持続時間、および光電変換器装置によって光信号を電気信号に変換する過程の持続時間も、時間測定装置のクロックに関連する周波数を決定する際に考慮に入れない。
【0012】
時計として構成された光制御式時間測定装置の利点は、クロックパルスの生成が、時計の動きや位置(水平又は垂直)などの影響から独立していることである。したがって、特に本発明による光制御式腕時計は、着用者の手首の動きによってテンプの振動が抑制または加速され、時計仕掛けのゼンマイの張力のかかり具合が脱進機に影響を与え、その結果テンプ/脱進機タンデムの周波数にも影響を与え、さらにゼンマイの位置がテンプの振動特性に影響を与える機械式振動装置を備えた腕時計よりも著しく精度が高い。時間測定装置が航法装置時間測定装置である場合、本発明は、水晶発振器に基づく時間測定を有する航法装置と比較して、航法の精度を高めることを可能にする。
【0013】
さらに、周波数決定振動結晶を備える時間測定装置の場合に生じる問題、例えば、時間の経過と共に振動結晶内に不純物が侵入することによって、又は他の時間的な状況によって生じる振動周波数の偏差、いわゆる振動結晶の「エージング」は、提案された光制御式時間測定装置の場合には生じない。さらに、圧電振動結晶によるクロックパルスの生成も、テンプによるクロックパルスの生成と同様に、機械的振動、詳細には振動結晶の圧電励起機械振動に基づく。この種の機械振動は、提案された時間測定装置におけるクロック光信号よりも減衰を受けやすい。したがって、本発明による光制御式時間測定装置は、圧電振動結晶の振動によってクロックパルスが生成される時間測定装置よりも正確である。
【0014】
さらに、本発明による光制御式時間測定装置は、既に説明したように第1の信号経路の導波路内の光通過時間に基づく時間測定装置のクロック周波数の選択に関して、高い柔軟性を提供する。クロック周波数は、時間測定装置の各要件及び/又は時計/腕時計として構成される時間測定装置の所有者/着用者のデザイン要求に従って容易に選択することができる。したがって、例えば、クロック周波数が特定の値を有するように、第1の信号経路の導波路を簡単に設計することが可能である。
【0015】
電光変換器装置、第1の信号経路、第2の信号経路及び制御装置は、有利にはループ、特に制御ループを形成する。
【0016】
有利には、時間測定装置、特に有用信号生成装置は、有用信号の周波数を読み出すためのインターフェースを備えることができる。
【0017】
第1の電気信号及び第2の電気信号も有利にはクロック信号であることは理解されよう。なぜなら、第1の光信号及び第2の光信号はクロック信号だからである。
【0018】
第1のクロック光信号及び/又は第2のクロック光信号は、それぞれ特にアナログクロック光信号、特に正弦波光信号とすることができる。対応して、第1の電気信号及び/又は第2の電気信号は、それぞれ特にアナログ電気信号、特に正弦波電気信号とすることができる。ただし、正弦波形以外の形状、例えば矩形波形も、前記光信号又は電気信号に対して可能である。アナログ形式の代わりに、第1のクロック光信号及び/又は第2のクロック光信号は、それぞれ特にデジタル(パルス状)とすることができる。対応して、第1の電気信号及び/又は第2の電気信号は、それぞれ特にデジタル(パルス状)電気信号とすることができる。
【0019】
制御装置は好ましくは、位相比較器と、位相比較器の出力信号を積分するためのループフィルター(LF)と、ループフィルターの出力信号によって駆動可能な発振器とを備える。この場合、電光変換器装置を制御するための制御信号は、駆動可能な発振器の出力信号に対応するか、又は少なくとも駆動可能な発振器の出力信号に基づく。
【0020】
本発明の文脈において、位相比較器は、位相周波数検出器又は位相検出器とも称され得る。位相比較器は、第1の電気信号の位相と第2の電気信号の位相とを互いに比較し、それらの間で生じる位相差を出力信号として出力するように構成される。
【0021】
特にパルス状電気信号の場合、位相比較器は有利には、入力される第1の電気パルス(第1の電気信号)と入力される第2の電気パルス(第2の電気信号)から、どちらのパルスが先に検出されるかに応じて、「アップ」信号と「ダウン」信号とを生成するように構成される。
【0022】
位相比較器は好ましくは、第1の入力と、第2の入力と、第1の特にクロックエッジ制御のDフリップフロップ(DFF)と、第2の特にクロックエッジ制御のDフリップフロップ(DFF)と、ANDゲートとを備える。各Dフリップフロップは、D入力(セット入力)と、Q出力と、リセット入力(「リセット」)と、クロック入力とを備える。各DフリップフロップのD入力にはハイレベルが存在する。第1の入力は第1のDフリップフロップのクロック入力とAND ゲートの第1の入力とに接続され、第2の入力は第2のDフリップフロップのクロック入力とANDゲートの第2の入力とに接続される。第1のDフリップフロップのリセット入力と第2のDフリップフロップのリセット入力とは、ANDゲートの出力に接続される。第1のDフリップフロップのQ出力は、減算器によって第2のDフリップフロップのQ出力に接続される。第1のDフリップフロップのクロック入力及び/又は第2のDフリップフロップのクロック入力は、有利には反転されない。特に、上述の接続それぞれの接続、好ましくは各接続は、直接接続である。すなわち特に、各場合に相互接続される素子の間に、さらなる素子は配置されない。
【0023】
ループフィルターは有利には、位相比較器の出力信号を積分し、特にそれを直流電圧に変換するように構成される積分器として形成される。位相比較器に入力される電気信号(第1の電気信号及び第2の電気信号)の位相シフトが大きいほど、後続の駆動可能な発振器用にループフィルターによって生成される直流電圧が高くなる。或いは、ループフィルターは有利にはRCエレメント又はチャージポンプとコンデンサにより構成される配置とすることができる。ループフィルターのトポロジーは、使用される駆動可能な発振器の種類に依存しない。RCエレメントは、1つ又は複数のオーム抵抗器と1つ又は複数のコンデンサとから構成される回路を意味すると理解される。
【0024】
駆動可能な発振器は好ましくは電圧制御発振器とすることができる。
【0025】
或いは、駆動可能な発振器は好ましくはトリマーコンデンサを有する調整可能な圧電振動結晶を備えることができる。トリマーコンデンサは、第1の信号経路の導波路内の光通過時間に基づいて生じる周波数に圧電振動結晶をトリミングするように構成される。これは、ループフィルターがトリマーコンデンサを駆動して、前記コンデンサが圧電振動結晶の発振周波数を、第1の導波路内の光の通過時間に基づく周波数に対応するように設定することを意味する。
【0026】
このために、第1の信号経路の導波路の長さと圧電振動結晶の発振周波数とが予め互いに整合される。この整合は、有利には所定の温度(目標温度とも称する)で行われる。第1の信号経路の導波路の側では、これは、光速に対する導波路の長さを測定することによって行うことができ、それにより、例えば光パルスが導波路を通過するのに要する時間が、計画された発振周波数の逆数に対応する。同時に、圧電振動結晶のカットは、圧電振動結晶が発振する発振周波数(主周波数)が計画値又は実質的に計画値に対応するように測定される。換言すれば、圧電振動結晶は、第1の信号経路の導波路によって指定されるのと同じ周波数で自発的に発振するようにカットされる。例えば、第1の信号経路の導波路が第1の光信号の周波数10MHzをもたらすように構成される場合、圧電振動結晶は、圧電振動結晶の発振周波数(主周波数)も10MHzになるようにカットされる。
【0027】
圧電振動結晶は好ましくは電気石結晶である。ただし、他の圧電振動結晶をトリマーコンデンサと組み合わせて使用することも可能である。例えば、ここでは水晶結晶を使用することもできる。
【0028】
さらに有利なのは、温度変化の場合に、圧電振動結晶がなお導波路内の光の通過時間から生じる周波数で発振するように、トリマーコンデンサが圧電振動結晶の発振周波数を発振周波数の範囲内で変更できる場合である。これは、例えば5℃の温度変化の場合、圧電振動結晶として構成された電気石結晶では、80Hzの周波数変化が生じ得ることを意味する。しかしながら、制御ループにより、全体の配置は常に同一に発振するか、又は温度変化による周波数も変化するが、電気石結晶の周波数が変化するのとは異なる方法で変化する。制御ループにより、トリマーコンデンサが常に電気石結晶を第1の信号経路の導波路によって指定される周波数に低減するので、電気石結晶が対応して制御可能であり、80Hzの変化を可能にする場合が特に有利である。
【0029】
トリマーコンデンサは好ましくはバラクタとすることができる。
【0030】
有利には、制御装置は、ハードウェア及び/又はソフトウェアとして実装することができる。すなわち、制御装置は、完全にハードウェア又はソフトウェアとして、或いは一部はハードウェアとして、一部はソフトウェアとして実装することができる。
【0031】
光電変換器装置は好ましくは、第1の光電変換器及び第2の光電変換器を備える。この場合、第1の信号経路は有利には第1の光電変換器を備え、第2の信号経路は第2の光電変換器を備える。第1の光電変換器は、第1のクロック光信号に基づいて第1の電気信号を生成するように構成され、第2の光電変換器は、第2のクロック光信号に基づいて第2の電気信号を生成するように構成される。2つの光電変換器を備える時間測定装置の実施形態は、第1の電気信号と第2の電気信号とを互いに別個に容易に生成できるという利点を有する。有利には、第1の光電変換器は第2の光電変換器と同一に構成される。換言すれば、第1の光電変換器と第2の光電変換器とは好ましくは同一に構成される。これにより、第1の光電変換器の応答時間が第2の光電変換器の応答時間と同一であることが保証される。その結果、第1の光電変換器によって生じる信号遅延と第2の光電変換器によって生じる信号遅延との大きさが同じであることを保証することができる。さらに、これにより、第1の信号経路の導波路内の光通過時間が排他的に周波数決定的であることを保証することができる。なぜなら前記信号遅延は、制御装置によって相互に除去されるからである。
【0032】
或いは、光電変換器装置は単一の光電変換器を備える。光電変換器装置は有利には、第1のクロック光信号を第1の電気信号に変換し、第2のクロック光信号を第2の電気信号に変換するように構成される。このために、光電変換器装置は、2つの信号経路からの2つの光信号を重畳信号として受信し、好ましくは重畳信号から第1の電気信号及び第2の電気信号を生成するように構成された信号分割器を備える。この変形例では、第1の信号経路は有利には、第1の導波路と、電光変換器装置の光分割器と、単一の光電変換器と、信号分割器の第1の信号分割器信号経路とを備えることができる。第2の信号経路は有利には、単一の光電変換器と、信号分割器の第2の信号分割器信号経路とを備えることができる。この場合、光分割器は好ましくは半透明ミラーを備える。さらに、この場合、第1の信号経路の第1の導波路は好ましくは時間測定装置の単一の導波路とすることができる。
【0033】
本発明の第1の有利な実施形態によれば、電光変換器装置は単一の電光変換器と1つの光分割器とのみを備える。単一の電光変換器は、制御信号に基づいてクロック光信号を生成するように構成され、光分割器はクロック光信号を第1のクロック光信号と第2のクロック光信号とに分割するように構成される。電光変換器装置に単一の電光変換器を設けることにより、比較的低いエネルギー消費で第1のクロック光信号及び第2のクロック光信号を生成する時間測定装置を提供することができる。光分割器は、好ましくは部分的に透明なミラー、特に部分的に透明な凹面ミラーを備えることができる。
【0034】
本発明の第2の有利な実施形態によれば、上述の電光変換器は第1の電光変換器であり、電光変換器装置はさらに第2の電光変換器を備える。換言すれば、第2の有利な実施形態の電光変換器装置は、2つの電光変換器を備える。両方の電光変換器は1つの制御信号によって駆動され、それによって好ましくは周波数及び位相が同一の光信号を生成する。この場合、第1の電光変換器は第1のクロック光信号を生成するように構成され、第2の電光変換器は第2のクロック光信号を生成するように構成される。2つの電光変換器を有する電光変換器装置を設計することにより、第1の光信号及び第2の光信号を大きな技術的支出なしに提供することができる。さらに、2つの光信号が互いに別個に生成されるので、第1の光信号及び第2の光信号の品質が保証される。さらに、2つの光信号の強度を別々に設定することが可能である。特に、十分な電力供給を確保できる時間測定装置では、2つの電光変換器を設けることが有利である。
【0035】
本発明の有利な実施形態によれば、第2の光電変換器を電光変換器装置の直ぐ隣に配置することができる。特に、第2の光電変換器を電光変換器装置に直接接続することができる。本発明の別の有利な実施形態では、第2の信号経路の第2の導波路を第1の信号経路の第1の導波路と平行に延在させることができる。その結果、電光変換器装置、特に第2の電光変換器は、第2の導波路を介して光電変換器装置に接続される。この場合、第2の導波路は好ましくは第1の導波路より短く、特に第1の導波路よりもはるかに短い。第1の導波路は好ましくは、第2の導波路の導波路の長さの少なくとも3倍、好ましくは少なくとも10倍、より好ましくは少なくとも30倍の長さである。なお、第2の導波路の設置は、電光変換器装置が単一の電光変換器を備えるか、2つの電光変換器を備えるかに依存しない。
【0036】
本発明による時間測定装置では、第1の信号経路と1つ又は2つの電光変換器を備える電光変換器装置に導波路を設けることができ、或いは第1の信号経路と、第2の光信号経路と、1つ又は2つの電光変換器を備える電光変換器装置に導波路を設けることができる。導波路を1つだけ(第1の信号経路の導波路)設けるべきか、2つ設けるべきか、及び/又は電光変換器を1つだけ設けるべきか、2つ設けるべきかという判断は、機能の目的又は時間測定装置の特定の所定のパラメータ、例えば最大電力消費量などに依存する。
【0037】
理解を深めるために、さらに留意すべきは、単一の電光変換器を備える電光変換器装置の場合、第1のクロック光信号及び第2のクロック光信号は当初、1つの単一の光信号、詳細には上述のクロック光信号を表すことである。前記信号は、単一の電光変換器によって生成され、放射され、次いで光分割器による分割によって2つの信号経路、すなわち第1の信号経路及び第2の信号経路に分割される。この場合、第1の信号経路は有利には周波数決定的であると理解される。第2の信号経路とは対照的に、第1の信号経路は導波路(第1の導波路)を備えることができ、第2の信号経路は光電変換器装置内に直接導くことができる。或いは、第2の信号経路も導波路(第2の導波路)を備えることができ、この導波路は有利には第1の信号経路の導波路より短い。この場合、第1の光信号は第1の信号経路のより長い導波路(第1の導波路)を通過し、第2の光信号は第2の信号経路のより短い導波路(第2の導波路)を通過する。これは、第1の光信号の通過時間が第2の光信号の通過時間より長いことを意味する。両方の光信号が、それぞれの導波路を通過した後、及び対応する電気信号への変換後、制御装置、特に位相比較器に到達するので、「第1のクロック光信号」と称される光信号は、「第2のクロック光信号」と称される光信号より遅れて到達する。したがって、時間的な観点から見ると、「第1のクロック光信号」と称される光信号は実際には第2の信号であり、「第2のクロック光信号」と称される光信号は、制御装置、特に位相比較器に到達する際に実際には第1の信号である。
【0038】
時間測定装置が第1の導波路と第2の導波路とを備える場合、第1の導波路と第2の導波路とは好ましくは、所定の温度(目標温度)で、第1の導波路内の第1のクロック光信号の通過時間と第2の導波路内の第2のクロック光信号の通過時間とが互いに異なるように構成される。さらに、第1の導波路及び第2の導波路は、好ましくは、所定の温度からの所定の温度偏差の場合の第1の導波路内の第1のクロック光信号の通過時間の変化が、(所定の温度からの)同じ所定の温度偏差の場合の第2の導波路内の第2のクロック光信号の通過時間の変化と同じになるように構成される。換言すれば、第1の導波路及び第2の導波路は好ましくは、いかなる温度変化のために、対応する導波路を通るそれぞれの光信号の走行持続時間において全く同じ変化を示すように構成される。例えば、温度が所定の温度から5℃上昇し、前記温度上昇のために、第1のクロック光信号が第1の導波路を通過するのに要する時間が「n1」ナノ秒だけ増加する場合、第2の導波路も、同じ温度上昇の場合に、第2のクロック光信号の通過時間が「n1」ナノ秒だけ増加する。温度が例えば2℃低下し、そのために第1のクロック光信号が第1の導波路を「n2」ナノ秒だけ速く通過する場合、第2のクロック光信号が第2の導波路を通過する時間も「n2」ナノ秒だけ短くなる。
【0039】
時間測定装置のこの実施形態では、上述したように、電光変換器装置及び光電変換器装置によって生じる信号遅延を時間測定装置のクロック周波数の決定から除去できるだけでなく、第1の導波路内の光通過時間に影響を与える所定の温度からの温度偏差も補償することができる。したがって、所定の温度から逸脱する温度の場合にも、時間測定装置の精度を保証することができる。
【0040】
提案された温度補償は、温度センサによって現在の温度を測定し、現在の温度と所定の温度との間の温度偏差に基づいてパルスカウンタ(バイナリカウンタ)を調整する温度補償よりも、時間測定装置のより正確なクロックをもたらす可能性があることに留意されたい。その理由は、温度センサがそれぞれの導波路、特に第1の導波路の温度及び/又はそれぞれの導波路、特に第1の導波路の周囲の温度を非常に正確に検出することを、必ずしも常に保証できないからである。さらに、温度測定自体が変化した温度によって影響を受ける可能性があるため、パルスカウンタの調整を正しく行うことができない。したがって、温度変化に基づいて設定される周波数変化が補償される、パルスカウンタによる下流の電子補償には、エラーの可能性がある。これらの理由から、導波路側での温度補償の方がより正確である。
【0041】
制御装置は、第1の電気信号と第2の電気信号との間の時間差、換言すれば位相差から生じる周波数を常に正確に再現するので、周波数はいかなる温度変化が存在しても、またいかなる時間遅れをそれぞれの導波路が結果としてもたらしても、常に同じままである。なぜなら、各場合において、温度変化から生じる第1の導波路の時間遅れは、他の導波路の時間遅れとまさに同じだからである。両者の差は常に同じである。したがって、制御装置、特に駆動可能な発振器から出力される制御信号の周波数は、いかなる温度変化にもかかわらず常に同じである。
【0042】
なお、それぞれの導波路の周囲の温度、及び/又はそれぞれの導波路の温度は、温度として理解され得る。所定の温度は、特に第1の導波路が、時間測定装置のクロック用に達成されるべき基準周波数を可能にするように構成される温度に対応する。所定の温度は特に25℃とすることができる。なお、温度偏差は、現在の温度と所定の温度との間の温度差である。この場合、現在の温度を測定する必要はないことにさらに留意されたい。
【0043】
温度変化の場合の導波路内の光の走行時間の変化、この場合は所定の温度からの温度偏差の場合の第1の導波路及び第2の導波路内の光の走行時間の変化を引き起こす主な要因は、それぞれの膨張係数から見える導波路の長手方向の伸張と、それぞれの導波路内の屈折率の変化による光速の変化である。したがって、第1の導波路及び/又は第2の導波路の膨張係数及び/又は屈折率を目的を持って選択又は設定することにより、所定の温度からの温度偏差の場合に、第1の導波路及び第2の導波路内の光通過時間の同じ変化を達成することができる。
【0044】
この点で、第1の導波路及び第2の導波路は、特に光信号が通過する材料及び/又は長さ及び/又は断面設計の点で互いに異なる。この場合、第2の導波路は特に第1の導波路より短い。第1の導波路及び/又は第2の導波路の光が通過する材料及び/又は長さ及び/又は断面設計の選択により、前記導波路の膨張係数及び/又は屈折率を設定することができる。
【0045】
第1の導波路及び/又は第2の導波路の膨張係数は好ましくは0.41x10-6-1~8x10-6-1の間とすることができる。
【0046】
特に、第1の導波路の膨張係数と第2の導波路の膨張係数との比は、1:30~1:4の間、特に1:16とすることができる。
【0047】
本発明の有利な実施形態によれば、第1の導波路は中空コアファイバとして構成され、第2の導波路は中実コアファイバとして構成される。特に、第2の導波路は、単一モードファイバ又はマルチモードファイバとすることができる。この場合、第1の導波路の膨張係数と第2の導波路の膨張係数との比は有利には1:16である。
【0048】
既に説明したように、導波路を通る光の走行時間の温度変化に対する応答は、導波路の長さ変化によってだけでなく、少なくとも光導波材料の屈折率の変化によっても規定される。したがって、例えば純粋なガラスを通る光速の変化は、変化した屈折率のために、導波路の長手方向の伸張と比べても非常に大きな時間遅れを生じさせる。空気の屈折率の温度変化による変化は、これに反して、非常に小さい。これにより、温度変化に対する中空コアファイバの応答と、中実コアファイバ、すなわち例えば単一モードファイバ又はマルチモードファイバの応答との間に非常に大きな差が生じる。
【0049】
中空コアファイバは通常、ゲルマニウムがドープされていない純粋な石英ガラスから製造されるが、中実コアファイバは通常ゲルマニウムがドープされているので、2つのファイバタイプ間の膨張係数の差は重大である(中空コアファイバの膨張係数は約0.41x10-6であるのに対し、中実コアファイバの膨張係数は約8x10-6である)。膨張係数と屈折率の変化の両方が温度上昇時に導波路を通る光の走行時間の増加をもたらし、膨張と屈折率変化の両方が中空コアファイバの場合よりも中実コアファイバの場合の方がはるかに大きな効果を有するので、温度変化による2つのファイバタイプの場合の走行時間変化には非常に大きな差が生じる。
【0050】
これは、制御装置、特に位相比較器によって第1の導波路と第2の導波路とを対向させることに役立つ。最終的には、2つの導波路の差だけが、周波数決定光導波路として残る。しかしながら、導波路の長さが時間測定装置の精度に非常に決定的であるので、可能であれば、第2の導波路はできるだけ短く、第1の導波路はできるだけ長くすべきである。これを達成するために、温度変化に対する応答の比はできるだけ大きくすべきである。なぜなら、2つの導波路の長さの比は、温度変化に対する応答の比に比例するはずだからである。
【0051】
さらに、この温度補償方法を簡単に扱うため、(長手方向の伸張と屈折率の変化による)温度変化に対する応答が両方のファイバタイプの場合に線形に伸びるべきであることに留意する。
【0052】
導波路側での温度補償は、現在の温度の低下が検出された場合に、第1の導波路及び/又は第2の導波路の温度変化、したがってそれぞれの導波路内の光通過時間の変化が防止されるように、第1の導波路及び/又は第2の導波路を加熱することによっても可能である。しかしながら、第1の導波路及び/又は第2の導波路の加熱は、非常に複雑で、多くの電力を消費する可能性があり、さらにこの目的に使用される加熱装置が絶対的に完全ではなく、したがって時間測定装置の特定の不正確さ自体を生じさせるリスクがある。
【0053】
好ましくは、第1の信号経路の導波路(第1の導波路)の反射端にリフレクタが配置され、このリフレクタによって第1のクロック光信号を第1の信号経路の導波路内に反射することができる。この場合、第1の信号経路は、反射された第1のクロック光信号を、第1の信号経路の導波路の供給端で第1の光電変換器内に出力することができるように構成される。したがって、第1の信号経路の導波路の長さが一定の場合、光電変換器装置によって取得されるまでに光が走行しなければならない経路が2倍になる。したがって、時間測定装置のよりコンパクトな設計で、時間測定装置のクロック用の所望の基準周波数を達成することができる。さらに、その結果、第1の信号経路の導波路、したがって時間測定装置のコストを削減することができる。これは、第1の信号経路の導波路が中空コアファイバとして構成される場合に、時間測定装置の精度の観点から特に有利である。なぜなら中空コアファイバは製造又は提供が非常に面倒だからである。例えば、長さ20mの中空コアファイバは、時間測定装置の総コストの95%以上を占めるであろう。したがって、第1の信号経路の導波路の反射端にリフレクタを設けることにより、時間測定装置の原価をほぼ50%削減することができる。
【0054】
リフレクタは好ましくは凹面ミラーとして構成される。この場合、凹面ミラーは有利には、導波路から出てくる発散光を再コリメートするように構成される。特に、凹面ミラーは球面凹面ミラーとすることができる。しかしながら、リフレクタは、特に反射端で出現する光信号を反射するのに適した、他の種類のミラーとすることも可能である。本発明の別の有利な実施形態によれば、リフレクタは、反射端、すなわち対応する導波路の対応する出力の直ぐ上に配置される平面ミラーとして構成することができる。このために、エンドキャップを導波路の反射端の直ぐ上に有利に配置することができ、このエンドキャップの内面、すなわち導波路の反射端に面するエンドキャップの表面がミラー化される。これにより、反射後にほとんど又は全く光が失われないようにすることができる。ミラー化エンドキャップを備える本発明の実施形態は、例えば反射端に凹面ミラーに加えて別個のエンドキャップが配置される場合、別個の部品及び関連する調整を省略できるという更なる利点を有する。
【0055】
第1の信号経路は好ましくは、導波路の供給端に光分割器を備え、この分割器は反射された第1のクロック光信号を第1の光電変換器内に出力するように構成される。光分割器は好ましくは半透明ミラー又はファイバ分割器を備える。
【0056】
好ましくは、電光変換器装置は、光分割器と電光変換器との間にレンズをさらに備えることができる。レンズは特に、電光変換器によって放射された光を、光が平行方向に伝搬するように屈折させるように構成される。このために、集光レンズを有利に使用することができる。この場合、集光レンズの焦点は有利には、電光変換器によって生成された光が放射される点に位置する。しかしながら、レンズは、電光変換器によって放射される発散光を集め、特に第1の導波路の中心にその光を集束させるように構成することもできる。
【0057】
本発明の文脈において、レンズは有利には単一のレンズ素子又は少なくとも2つのレンズ素子を備える光学系を備えることができる。
【0058】
好ましくは、電光変換器装置のそれぞれの電光変換器は、半導体レーザー又は発光ダイオードを備える。すなわち、時間測定装置の上述の実施形態の場合、電光変換器装置の単一の電光変換器又は第1の電光変換器及び/又は第2の電光変換器は、それぞれ半導体レーザー又は発光ダイオードを備える。半導体レーザーは特にピグテール半導体レーザーとすることができる。対応して、発光ダイオードはピグテール発光ダイオードとすることができる。
【0059】
好ましくは、それぞれの光電変換器はフォトダイオードを備える。フォトダイオードは、対応するクロック光信号を対応する電気信号に変換するように構成される。
【0060】
本発明の文脈において、有用信号生成装置は電子的有用信号生成装置とも称され得る。
【0061】
上述の有用信号を生成するために、有用信号生成装置は好ましくはパルスカウンタ(バイナリカウンタ)を備えることができる。この場合、パルス発生器は有利には制御信号をカウントするように構成される。この場合、有用信号生成装置は有利に、制御信号のカウント値が所定のカウント値に等しいときに有用信号を生成するように構成される。所定のカウント値は有利には、第1の信号経路の導波路内の光通過時間に基づく周波数に設定される。
【0062】
或いは、上述の有用信号を生成するために、有用信号生成装置は有利には周波数分周器を備えることができる。周波数分周器は、制御信号の周波数を分周するように構成される。この場合、有用信号は有利には周波数分周器の出力信号に対応する。この場合、制御信号の周波数は特に2の倍数、特に2のべき乗、例えば524288Hz又は1048576Hzに対応することができる。この場合、制御信号の周波数は有利には、周波数分周器によって1Hz又は8Hzなどの他の周波数に分解することができる。分解された周波数は、例えば時計として構成された時間測定装置の場合、時計表示装置が時刻を表示するための基準となる有用信号に対応する。例えば8Hzの周波数を有する有用信号の場合、機械式時計表示装置の秒針のジャンプが1秒間に8回起こるので、観察者にはもはや「ジャンプ」とは知覚されないことに留意されたい。
【0063】
有用信号を生成するために、周波数分周器とパルスカウンタとの組合せも可能である。この場合、周波数分周器は有利には、信号の点でパルスカウンタの前に配置される。有利な態様では、制御信号の周波数を、第1ステップで周波数分周器によって、特に複数回半分にして、中間周波数を達成することができる。第2ステップでは、中間周波数をパルスカウンタによって所望の周波数又は有用周波数とすることができる。この場合、有用信号生成装置は有利に、周波数分周器の出力信号のカウント値が所定のカウント値に等しいときに、有用信号を生成するように構成される。この場合、所定のカウント値は有利には、周波数分周器によって達成された中間周波数に基づいて設定される。振動結晶の周波数を第1ステップで半分にする、特に複数回半分にして中間周波数を達成し、第2ステップで中間周波数を所望の周波数にカウントダウンするという手法は、制御信号が高い周波数、例えば8.88MHz又は10MHzを有する時間測定装置の場合に特に有利である。このようにして、制御信号の周波数を単にカウントダウンするのと比べて、電力を節約することができる。
【0064】
制御信号がアナログの場合、有用信号生成装置は有利にはアナログ制御信号をデジタル信号に変換するための装置を備える。
【0065】
時計として構成された時間測定装置の有利な実施形態によれば、時計表示装置は機械式時計表示装置である。この場合、時計は好ましくは、機械式時計表示装置を動かすことができる駆動装置を備える。この場合、駆動装置は有利には有用信号によって駆動可能である。特に、時計表示装置は時針及び/又は分針及び/又は秒針を備えることができる。
【0066】
有利には、時計はさらに時計仕掛けを備えることができる。この場合、駆動装置は時計仕掛けを駆動するように構成される。時計表示装置は時計仕掛けに接続され、時計仕掛けによって動かすことができる。時計仕掛けは好ましくは、少なくとも時車及び/又は分車及び/又は秒車、及び/又は第3輪を備える。
【0067】
駆動装置は好ましくはステッピングモータとして構成される。
【0068】
時計として構成された時間測定装置の有利な実施形態によれば、時計表示装置は、有用信号に基づいて時刻を表示するように構成される電子式時計表示装置である。
【0069】
さらに、時間測定装置は好ましくは、電光変換器装置及び/又は制御装置及び/又は有用信号生成装置及び/又は駆動装置、及び/又は時間測定装置が時計として構成される場合で、電子式時計表示装置として構成される場合の時計表示装置、に電力を供給するように構成される電源装置を備える。
【0070】
電源装置は好ましくは少なくとも1つの電池を備えることができる。少なくとも1つの電池は好ましくはエネルギーハーベスティング装置によって充電することができる。エネルギーハーベスティング装置は好ましくは、少なくとも1つの熱電発電器及び/又は少なくとも太陽電池を備えることができる。熱電発電器は特に1つ又は複数の熱電素子を備えることができる。
【0071】
なお、本発明の文脈において、第1の信号経路の導波路は、時間測定装置が第1の信号経路の導波路という単一の導波路のみを備える場合でも、第1の導波路とも称され得る。
【0072】
本発明の更なる詳細、利点及び特徴は、添付図面を参照しながら実施形態の以下の説明から明らかになる。ここで同一の又は機能的に同一の構成要素は、各場合に同じ参照符号で示される。
【図面の簡単な説明】
【0073】
図1図1は、本発明の第1の実施形態による時間測定装置の簡略化された概略図である。
図2図2は、第1の実施形態による時間測定装置の領域の簡略化された概略図である。
図3図3は、第1の実施形態による時間測定装置の位相比較器の回路図である。
図4図4は、図3の位相比較器のフローダイアグラムである。
図5図5は、本発明の第2の実施形態による時間測定装置の領域の簡略化された概略図である。
図6図6は、本発明の第3の実施形態による時間測定装置の領域の簡略化された概略図である。
図7図7は、本発明の第4の実施形態による時間測定装置の領域の簡略化された概略図である。
図8図8は、本発明の第5の実施形態による時間測定装置の領域の簡略化された概略図である。
図9図9は、本発明の第6の実施形態による時間測定装置の領域の簡略化された概略図である。
図10図10は、本発明の第7の実施形態による時間測定装置の領域の簡略化された概略図である。
図11図11は、本発明の第8の実施形態による時間測定装置の領域の簡略化された概略図である。
図12図12は、本発明の第9の実施形態による時間測定装置の領域の簡略化された概略図である。
図13図13は、本発明の第10の実施形態による時間測定装置の領域の簡略化された概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0074】
以下、図1~4を参照しながら、本発明の第1の実施形態による時間測定装置100について詳細に説明する。
【0075】
図1から明らかなように、時間測定装置100は時計、特に腕時計として構成され、したがってリストバンド160用の2つの接続部140を備える。しかしながら、時間測定装置100は壁掛け時計、フロアクロック、テーブルクロック、又は他の種類の置き時計とすることもできる。
【0076】
時間測定装置100はさらに、時計ケース110と、その中に配置されたタイムピースガラス150と、文字盤120と、車輪170と、時、分、秒を表示するための3本の針130とを備える。針130は、時刻を表示するための機械式時計表示装置106の部品である。
【0077】
さらに、時間測定装置100は、タイミング発生器アセンブリ101と、時計仕掛け105と、時計仕掛け105を駆動するための駆動装置104とを備える。駆動装置104は特にステッピングモータとして構成される。時計仕掛け105は機械式時計表示装置106に接続され、時計表示装置106の針130が動くようになっている。特に、時計仕掛け105は、少なくとも時車、分車及び秒車を備え、これらはそれぞれ針130の1つに接続される。
【0078】
タイミング発生器アセンブリ101は、時間測定装置100のクロックに関連する周波数を決定するように構成される。タイミング発生器アセンブリ101の一部は、制御信号の周波数に基づいて、時間をクロックする有用信号を生成するように構成された有用信号生成装置103である。このために、有用信号生成装置103は、パルスカウンタを備えることができる。制御信号がアナログ信号である場合、有用信号生成装置103においてアナログ制御信号をデジタル(パルス状)信号に変換するための装置を設けることができる。
【0079】
駆動装置104は、有用信号に基づいて駆動され、時計仕掛け105を動かす。
【0080】
図2から、時間測定装置100は、さらに電光変換器装置1と、光電変換器装置2と、第1の信号経路3と、第2の信号経路4と、制御装置(制御ユニット)5とを備えることが分かる。これらの構成要素はタイミング発生器アセンブリ101の部品であり、発振システム102を形成する。この実施形態では、光電変換器装置2は、第1の光電変換器21と第2の光電変換器22とを備える。第1の光電変換器21及び/又は第2の光電変換器22は、それぞれフォトダイオードを備えることができる。
【0081】
第1の信号経路3は、導波路(第1の導波路)61を備え、電光変換器装置1から導波路61を介して光電変換器装置2に至る。その結果、第1の信号経路3は、導波路61に加えて、第1の光電変換器21を備える。第2の信号経路4は、電光変換器装置1から光電変換器装置2に至り、したがって第2の光電変換器22を備える。したがって、第1の信号経路3と第2の信号経路4は、それぞれ光電変換器装置2を一部に備える。
【0082】
電光変換器装置1は、第1のクロック光信号を第1の信号経路3、特に導波路61内に供給し、第2のクロック光信号を第2の信号経路4内に供給するように構成される。このために、電光変換器装置1は、単一の電光変換器10と光分割器13とを備える。特に半導体レーザー又は発光ダイオードを備えることができる電光変換器10は、クロック光信号を生成するように構成される。この場合、光分割器13は、電光変換器10によって生成され得るクロック光信号を、第1のクロック光信号と第2のクロック光信号とに分割するように構成される。
【0083】
光電変換器装置2は、第1のクロック光信号に基づいて第1の電気信号を生成し、第2のクロック光信号に基づいて第2の電気信号を生成することができる。特に、第1の光電変換器21は第1の電気信号を生成するように構成され、第2の光電変換器22は第2の電気信号を生成するように構成される。
【0084】
第1の光電変換器21と第2の光電変換器22とは有利には同一に構成される。換言すれば、2つの光電変換器21、22は構造的に同一であり、第1の光電変換器21によって生じる信号遅延は第2の光電変換器22によって生じる信号遅延と同じである。この場合、第2の光電変換器22は、電光変換器装置1、特に光分割器13の直後に配置される。特に、第2の光電変換器22は光分割器13に直接接続される。この実施形態では、説明の都合上、第2の光電変換器22と光分割器13との直接の接続が線で示されていることを、この時点で留意されたい。
【0085】
したがって、第1の信号経路3と第2の信号経路4とは、第1の信号経路3内の第1のクロック光信号の通過時間と第2の信号経路4内の第2のクロック光信号の通過時間とが互いに異なるように構成される。特に、構造的に同一の光電変換器21、22のために、第1の信号経路3内の第1のクロック光信号の通過時間は、第2の信号経路4内の第2のクロック光信号の通過時間と、導波路61内の第1のクロック光信号の通過時間だけ異なる。
【0086】
しかしながら、第1の実施形態の変形例によれば、第1の光電変換器21と第2の光電変換器22とを異なるように構成すること、及び/又は電光変換器10を導波路を介して第2の光電変換器22に接続することも可能である。後者の場合、導波路は第2の信号経路4の一部である。この場合、第2の信号経路4の導波路は、第1の信号経路3の導波路61より短く、特にはるかに短い。この場合、第1の信号経路3の導波路61は、好ましくは第2の信号経路4の導波路の長さの少なくとも10倍、好ましくは少なくとも30倍の長さである。この実施形態では、第1の信号経路3の導波路61は第1の導波路と称することができ、第2の信号経路4の導波路は第2の導波路と称することができる。
【0087】
制御装置5は、第1の電気信号と第2の電気信号との間の位相差に基づいて、上述の制御信号を生成し、この制御信号の周波数に基づいて有用信号生成装置103によって有用信号を生成することができ、かつ2つの光信号を生成するために前記有用信号によって電光変換器装置1を制御するように構成される。
【0088】
特に、2つの信号経路3、4用に、制御信号に基づいて、同一の周波数で位相シフトなしの2つの光信号(第1及び第2の光信号)が電光変換器装置1内で生成されることが規定される。2つの光信号は、2つの信号経路3、4内の通過時間の相違によってのみ、位相シフトが異なる。
【0089】
このために、制御装置5は、位相比較器50と、位相比較器50の出力信号を積分するためのループフィルター51と、ループフィルター51の出力信号によって駆動可能な発振器52とを備える。
【0090】
位相比較器50は、第1の入力501と第2の入力502とを有する。第1の入力501は第1の電気信号を受信するように構成され、第2の入力502は第2の電気信号を受信するように構成される。このために、第1の入力501は第1の光電変換器21に接続され、第2の入力502は第2の光電変換器22に接続される。位相比較器50は、第1の電気信号の位相と第2の電気信号の位相とを互いに比較し、それらの間で生じる位相差を出力信号として出力するように構成される。位相比較器50の正確な設計及び動作モードは、後で図3及び4を参照してより詳細に説明する。
【0091】
ループフィルター51は有利には、位相比較器50の出力信号を積分し、これを直流電圧に変換するように構成される積分器として形成される。或いは、RCエレメント又はチャージポンプとコンデンサとからなる配置をループフィルター51として使用することができる。入力される第1の電気信号の時間持続時間と入力される第2の電気信号の時間持続時間との差が大きいほど、後続の駆動可能な発振器52用にループフィルター51によって生成される直流電圧が高くなる。
【0092】
駆動可能な発振器52は、電圧制御発振器(VCO)として構成される。或いは、駆動可能な発振器52は、トリマーコンデンサを有する調整可能な圧電振動結晶を備えることができる。この場合、トリマーコンデンサは特にバラクタとして構成することができる。好ましくは電気石結晶を圧電振動結晶として使用することができる。
【0093】
駆動可能な発振器52の出力信号は、電光変換器装置1、特に電光変換器10を制御するための制御信号に対応するか、又は少なくともそれに基づく。
【0094】
時間測定装置100の用途又は実施形態に応じて、制御装置5はハードウェア及び/又はソフトウェアとして実装することができる。すなわち、制御装置5の構成要素は、専らソフトウェア又はハードウェアとして実装されるか、又は制御装置5はハードウェアとソフトウェアとの組合せとして構成される。
【0095】
電光変換器装置1、制御装置5、有用信号生成装置103及び駆動装置104に電力を供給するために、時間測定装置100は電源装置を備える。
【0096】
電源装置は、少なくとも1つの電池を備えることができる。少なくとも1つの電池は好ましくは、少なくとも1つの熱電発電器及び/又は少なくとも太陽電池を備えるエネルギーハーベスティング装置によって充電することができる。
【0097】
電光変換器装置1と、第1の信号経路3と、第2の信号経路4と、光電変換器装置2と、電光変換器装置1と信号接続されている制御装置5とによって、制御ループ、特に位相同期ループが形成される。すなわち、上述の発振システム102は、制御ループ、特に位相同期ループとして構成される。
【0098】
制御ループは、電光変換器10がクロックされる制御信号の周波数に係合し、それによって発振システム102の周波数を一定値に凍結することができる。特に、制御ループにより、駆動可能な発振器52の出力信号を位相比較器50の入力信号に係合させ、それによって時間測定装置100のクロックの出発点として機能する発振システム102の一定で常に同一の周波数を保証することができる。
【0099】
図3は、位相比較器50の正確な設計が分かる回路図である。図4は、位相比較器50のフローダイアグラムである。
【0100】
図3から、位相比較器50は、第1の入力501と、第2の入力502と、第1の特にクロックエッジ制御のDフリップフロップ(DFF)53と、第2の特にクロックエッジ制御のDフリップフロップ(DFF)54と、AND ゲート55とを備えることが分かる。
【0101】
第1のDフリップフロップ53は、D入力(セット入力)531と、Q出力534と、リセット入力533(「reset」)と、非反転クロック入力532とを備える。対応して、第2のDフリップフロップ54は、D入力(セット入力)541と、Q出力544と、リセット入力543(「reset」)と、非反転クロック入力542とを備える。クロック入力532、542は、それぞれ正(立上り)信号エッジにのみ反応する。
【0102】
第1のDフリップフロップ53のD入力531にはハイレベルが存在する。位相比較器50の第1の入力501は、第1のDフリップフロップ53のクロック入力532とAND ゲート55の第1の入力551とに接続され、位相比較器50の第2の入力502は、第2のDフリップフロップ54のクロック入力542とAND ゲート55の第2の入力552とに接続される。第1のDフリップフロップ53のリセット入力533と第2のDフリップフロップ54のリセット入力543とは、AND ゲート55の出力553に接続される。第1のDフリップフロップ53のQ出力534は、減算器56によって第2のDフリップフロップ54のQ出力544に接続される。特に、説明した接続は直接接続、すなわちそれぞれ相互接続される構成要素間にさらなる構成要素を接続することなく行われる。
【0103】
図3の回路図の「REF」という表示は、第1の電気信号に対応する「基準信号」を表す。「VCO」という表示は「電圧制御発振器」を表し、第2の電気信号に対応するVCO信号を示す。「PD」という表示は「位相差」を表し、位相比較器50の出力信号に対応する。「reset」はリセット信号を示し、「up」はアップ信号を表し、「down」はダウン信号を表す。アップ信号は第1のDフリップフロップ53の出力信号に対応し、ダウン信号は第2のDフリップフロップ54の出力信号に対応する。
【0104】
位相比較器50の動作モードは、以下、図4のフローダイアグラムを参照して説明する。
【0105】
VCO信号(第2の電気信号)の第1の立上りエッジの場合、第2(下側)のDフリップフロップ54はD入力541のハイレベルを取り込み、第2のDフリップフロップ54のQ出力544をハイレベルに設定する。その結果、ダウン信号は「high」になる(矢印201)。
【0106】
第1の信号経路3の導波路61内の光の遅延時間の後、REF入力とも称される位相比較器50の第1の入力501に立上りエッジが現れ、第1(上側)のDフリップフロップ53もD入力531からハイレベルを取り込み、Q出力534でアップ信号を「high」に設定する(矢印202)。
【0107】
フリップフロップの両方の出力信号が「ハイレベル」のときにフリップフロップのリセットが行われる従来の位相比較器50とは対照的に、図3の位相比較器50の場合、第1のDフリップフロップ53と第2のDフリップフロップ54のリセットは、位相比較器50の両方の入力信号、すなわちVCO信号とREF信号とが「high」のときに行われる。しかしながら、VCO信号は、REF信号の立上りエッジが位相比較器50に到達する前に再び「ローレベル」になる。
【0108】
このため、2つのDフリップフロップ53、54のリセットは、VCO信号の次のエッジが再び「ハイレベル」になった後でのみ行われる。この時点で、REF信号もまだ「high」であり、リセット信号が生成される(矢印203)。
【0109】
ダウン信号(矢印204)とアップ信号(矢印205)は、リセット信号によってリセットされる。第1のダウンパルスはアップパルスより長いので、その結果、位相比較器50に続くループフィルター51に1度だけ不正確な信号が到達する。しかしながら、制御の大きな時定数のために、単一の不正確なパルスは重要ではない。
【0110】
修正されたリセットにより、位相比較器50の第1の入力501(REF入力)に次に立上りエッジが続き、その結果アップ信号は「ハイ」になる(矢印206)。
【0111】
VCO信号の後続の立上りエッジもダウン信号を一時的に「ハイレベル」に設定する(矢印207)。REF信号とVCO信号の両方、すなわちAND ゲート55の両方の入力が今や「high」(矢印208)なので、AND ゲート55の出力553にリセット信号が現れ、ダウン信号(矢印209)とアップ信号(矢印210)の両方がリセットされる。
【0112】
アップ信号はダウン信号より長い時間「ハイレベル」なので、その結果、駆動可能な発振器52の周波数が増加する。これは、駆動可能な発振器52が所望の周波数で係合するまで、同じ方法で次のサイクルで繰り返される。
【0113】
説明した回路は、2つの光電変換器21、22によって生成され得る入力される電気信号、詳細には第1の電気信号と第2の電気信号との時間的な並べ替えを問題なく保証する。したがって、位相比較器50は、制御ループを自己生成周波数で係合させることを可能にする。特に、位相比較器50の説明した回路は、開始時(オン後)にVCO信号の周期T=1/fが第1の信号経路3の導波路61内の第1の電気信号の通過時間より大きい場合に有利である。開始時(オン後)にVCO信号の周期T=1/fが第1の信号経路3の導波路61内の第1の電気信号の通過時間より大きくない場合、位相比較器50用に従来の位相比較器を使用することもできる。
【0114】
時計として構成された提案の時間測定装置100は、特に発振システム102が電子部品による遅延から解放され、時間測定装置100のクロックに関連する発振システム102の周波数が原理的に、特に排他的に、第1の信号経路3の導波路61を通る第1のクロック光信号の走行の持続時間、又は第1の信号経路3の導波路61内の光速及び導波路61の長さに依存するという利点を有する。
【0115】
図5は、本発明の第2の実施形態による時計として構成された時間測定装置100に関する。
【0116】
第2の実施形態による時間測定装置100は、発振システム102の以下の設計によって第1の実施形態による時間測定装置100と異なる。
【0117】
この場合、第1の信号経路3は第1の導波路61を備え、第2の信号経路4は第2の導波路62を備える。すなわち、電光変換器装置1は、第1の導波路61を介して第1の光電変換器21に接続され、第2の導波路62を介して第2の光電変換器22に接続される。特に、電光変換器装置1の光分割器13と第2の光電変換器22との間に直接の接続がある第1の実施形態による時間測定装置100とは対照的に、第2の光電変換器22は、第2の導波路62を介して電光変換器装置1の光分割器13に接続される。第1の導波路61と第2の導波路62は特に互いに平行に延在することができる。
【0118】
第1の導波路61と第2の導波路62とは、所定の温度で、第1の導波路61内の第1のクロック光信号の通過時間と第2の導波路62内の第2のクロック光信号の通過時間とが互いに異なるように構成される。
【0119】
さらに、第1の導波路61及び第2の導波路62は、所定の温度からの所定の温度偏差の場合の第1の導波路61内の第1のクロック光信号の通過時間の変化が、同じ所定の温度偏差の場合の第2の導波路62内の第2のクロック光信号の通過時間の変化と同じになるように構成される。これは、例えば温度変化のために第1のクロック光信号の通過時間が「n」ナノ秒だけ増加する場合、第2の導波路62は、同じ温度変化の場合に、第2の導波路62内の第2のクロック光信号の通過時間も「n」ナノ秒だけ増加するように構成されることを意味する。
【0120】
このために、第1の導波路61と第2の導波路62とは、光が通過し得る材料及び/又は長さ及び/又は断面設計の点で異なることができる。この場合、第2の導波路62は第1の導波路61より短い。この場合、第1の導波路61は、好ましくは第2の導波路62の導波路の長さの少なくとも10倍、好ましくは少なくとも30倍の長さである。
【0121】
特に、第1の導波路61は中空コアファイバとして構成することができ、第2の導波路62は中実コアファイバとして構成することができる。この場合、特に第2の導波路62は、単一モードファイバ又はマルチモードファイバとすることができる。この場合、第1の導波路61の膨張係数と第2の導波路62の膨張係数との比は、1:30~1:4の間、特に1:16とすることができる。
【0122】
時計として構成された第2の実施形態による時間測定装置100は、特に第1の導波路61の元の長さと屈折率との変化をもたらす第1の導波路61の温度変化を補償することができるという利点を有する。特に、このために温度センサと有用信号生成装置103のパルスカウンタ用の周波数指定の再調整とを省略することができ、その結果、測定不正確さを除去することができる。
【0123】
図6は、本発明の第3の実施形態による時計として構成された時間測定装置100に関する。
【0124】
第3の実施形態による時間測定装置100は、発振システム102の以下の設計によって第1の実施形態による時間測定装置100と異なる。
【0125】
この場合、電光変換器装置1は、第1の電光変換器11と第2の電光変換器12とを備える。第1の電光変換器11は第1のクロック光信号を生成するように構成され、第2の電光変換器12は第2のクロック光信号を生成するように構成される。第1の電光変換器11は、半導体レーザー又は発光ダイオードとして構成することができる。第2の電光変換器12についても同じことが当てはまる。第1の実施形態とは対照的に、2つの電光変換器11、12が設けられるために、電光変換器装置1は光分割器を備えない。
【0126】
特に、第1の電光変換器11は、第1のクロック光信号を第1の信号経路3内に供給するように構成され、第2の電光変換器12は、第2のクロック光信号を第2の信号経路4内に供給するように構成される。第1の信号経路3は、第1の導波路61を含む。第2の信号経路4は、第2の電光変換器12を第2の光電変換器22に接続する第2の導波路62を備える。この設計が温度補償を伴わず、電子部品の処理時間の除去のみを伴うので、第2の導波路62は必須ではない。第2の信号経路4は、第2の電光変換器12を第2の光電変換器22に直接接続することもできる。
【0127】
時間測定装置100のこの実施形態では、第1の電光変換器11と第2の電光変換器12の両方が、制御装置5によって生成され得る制御信号によって制御される。
【0128】
既に説明したように、2つの電光変換器を設けることにより、光分割器を省略することができ、これにより発振システム102の設計を簡素化し、ひいては時間測定装置100全体を製造する際の支出を削減することができる。さらに、第1のクロック光信号と第2のクロック光信号とを互いに独立して容易に生成することができる。
【0129】
図7は、本発明の第4の実施形態による時計として構成された時間測定装置100に関する。
【0130】
第4の実施形態による時間測定装置100は、発振システム102の以下の設計によって第3の実施形態による時間測定装置100と異なる。
【0131】
第1の信号経路3は第1の導波路61を備え、第2の信号経路4は第2の導波路62を備える。第1の導波路61及び第2の導波路62は、一方では所定の温度で第1の導波路61内の第1のクロック光信号の通過時間と第2の導波路62内の第2のクロック光信号の通過時間とが互いに異なり、他方では第1の導波路61及び第2の導波路62が所定の温度からの所定の温度偏差の場合の第1の導波路61内の第1のクロック光信号の通過時間の変化が同じ所定の温度偏差の場合の第2の導波路62内の第2のクロック光信号の通過時間の変化と同じになるように構成される。
【0132】
このために、第1の導波路61及び/又は第2の導波路62の光が通過し得る材料及び/又は長さ及び/又は断面設計を適宜選択することができる。この場合、第2の導波路62は第1の導波路61より短い。この場合、第1の導波路61は、好ましくは第2の導波路62の導波路の長さの少なくとも3倍、好ましくは少なくとも10倍、より好ましくは少なくとも30倍の長さである。
【0133】
特に、第1の導波路61は中空コアファイバとして構成することができ、第2の導波路62は中実コアファイバ、特に単一モードファイバ又はマルチモードファイバとして構成することができる。この場合、第1の導波路61の膨張係数と第2の導波路62の膨張係数との比は、1:30~1:4の間、特に1:16とすることができる。
【0134】
第4の実施形態による時間測定装置100は、第1の導波路61の元の長さと屈折率との変化をもたらす第1の導波路61の温度変化を補償できるという利点を有する。特に、このために温度センサを省略することができ、その結果、測定不正確さを除去することができる。
【0135】
図8は、本発明の第5の実施形態による時計として構成された時間測定装置100に関する。
【0136】
第5の実施形態による時間測定装置100は、第3又は第4の実施形態によるものと本質的に、特に第1の信号経路3を備える発振システム102の領域の設計によって異なる。
【0137】
図8から分かるように、電光変換器装置1は、第1の電光変換器11に加えて、第1の電光変換器11の後に、第1の電光変換器11から第1の導波路61への方向にレンズ14を備える。レンズ14は特に凸レンズとして構成され、第1の電光変換器11から異なる方向に放射される光を、レンズ14の後で光線がコリメートされるように屈折させる役割を果たす。換言すれば、レンズ14は、第1の電光変換器11の発散光をコリメートするように構成される。図8では、レンズ14は単一のレンズ素子として示されている。しかしながら、レンズ14を少なくとも2つのレンズ素子を備える光学系として構成することも可能である。
【0138】
本発明の文脈では供給端611と称される第1の導波路61の第1の端部に、光分割器6が配置されている。特に、光分割器6は第1の導波路61とレンズ14との間に配置される。この場合、光分割器6はファイバ分割器として構成される。
【0139】
本発明の文脈では反射端612と称される第1の導波路61の第2の端部に、リフレクタ7が配置されている。第1の導波路61内に供給端611で供給され、反射端612で第1の導波路61から出てくる光は、リフレクタ7によって第1の導波路61内に反射することができる。
【0140】
このために、特に凹面ミラーをリフレクタ7として使用することができる。この場合、凹面ミラーは、第1の導波路61から出てくる発散光を再コリメートするように構成される。特に、凹面ミラーは球面凹面ミラーとすることができる。しかしながら、リフレクタ7を、特に反射端612から出てくる光ビームを反射するのに適した他の種類のミラーとすることも可能である。
【0141】
この実施形態では、第1の信号経路3は、第1の導波路61と、光分割器6と、リフレクタ7と、第1の光電変換器21とを備える。
【0142】
第1の電光変換器11から第1の導波路61、特に第1の導波路61の供給端611への方向では、光分割器6は第1の光信号を通過させるように構成され、第1の導波路61、特に第1の導波路61の反射端612から第1の電光変換器11への方向では、光分割器6は反射された第1の光信号6を第1の光電変換器21内に出力するように構成される。
【0143】
時間測定装置100の動作中、第1の電光変換器11は、レンズ14及び光分割器6を介して、第1のクロック光信号を第1の導波路61内に供給する。第1の光信号は、反射端612でリフレクタ7によって第1の導波路61内に反射され、光分割器6によって第1の光電変換器21内に出力される。すなわち、光分割器6そのものが反射された第1のクロック光信号に対して、換言すれば光がリフレクタ7から光分割器6への方向に第1の導波路61内を通過するときに、作用する。
【0144】
第1の光電変換器21は、第1の光信号を第1の電気信号に変換し、この第1の電気信号は、既に上述したように、制御装置5の位相比較器50、特に位相比較器50の第1の入力501に伝達される。
【0145】
第5の実施形態による時間測定装置100は、この場合、光路、すなわち第1のクロック光信号が第1の導波路61内を走行する経路が、第1の導波路61の長さの2倍になるという利点を提供する。したがって、第1の導波路61の長さが同じままで、第1の光信号の光路を2倍にすることができ、これにより時間測定装置100のクロックの精度を高めることができる。或いは、第1の光信号の光路が同じままで、第1の導波路61の長さを半分にすることができ、これにより時間測定装置100内のスペースを節約し、第1の導波路61への投資、すなわち支出を半分にすることができる。
【0146】
図9は、本発明の第6の実施形態による時計として構成された時間測定装置100に関する。
【0147】
第6の実施形態による時間測定装置100は、第5の実施形態によるものと本質的に第1の電光変換器11の設計によって異なる。
【0148】
この場合、第1の電光変換器11は、ピグテール半導体レーザー又はピグテール発光ダイオードとして構成される。その結果、第6の実施形態による時間測定装置100の場合、第5の実施形態による時間測定装置100に設けられているレンズ14を省略することができる。
【0149】
図10は、本発明の第7の実施形態による時計として構成された時間測定装置100に関する。
【0150】
第7の実施形態による時間測定装置100は、第5の実施形態によるものと本質的に、特に第1の信号経路3を備える発振システム102の領域の設計によって異なる。
【0151】
第7の実施形態による時間測定装置100の場合、供給レンズ8が第1の導波路61の供給端611に直接取り付けられている。供給レンズ8は、第1の導波路61内に入る光をコリメートするように構成される。
【0152】
光分割器6は、供給レンズ8とレンズ14との間に配置される。特に、光分割器6は部分的に透明なミラーとして構成され、反射された第1のクロック光信号を第1の光電変換器21内に出力する役割を果たす。すなわち、第1の導波路61、特に第1の導波路61の供給端611から第1の電光変換器11への方向では、光分割器6は、反射された第1のクロック光信号を第1の光電変換器21内に出力するように構成される。リフレクタ7によって反射された第1のクロック光信号の出力は、前記光信号が部分的に透明なミラーによって第1の光電変換器21に反射されることによって行われる。第1の電光変換器11から第1の導波路61、特に第1の導波路61の供給端611への方向では、光分割器6は、第1の電光変換器11によって生成された第1の光信号を通過させる。
【0153】
時間測定装置100の動作中、第1の電光変換器11が生成する第1の光信号は、レンズ14、光分割器6及び供給レンズ8を介して第1の導波路61内に供給される。
【0154】
第1の導波路61の反射端612で、第1の光信号はリフレクタ7によって第1の導波路61内に反射され、供給レンズ8及び光分割器6を介して第1の光電変換器21内に供給される。第1の光電変換器21は、第1の光信号を電気信号に変換し、この電気信号は次いで制御装置5の位相比較器50の第1の入力501に導かれる。
【0155】
図11は、本発明の第8の実施形態による時計として構成された時間測定装置100に関する。
【0156】
第8の実施形態による時間測定装置100は、第7の実施形態によるものと本質的に、この場合光電変換器装置2が単一の電光変換器10を備え、時間測定装置100が単一の導波路61と、電光変換器10によって生成されるクロック光信号を第1のクロック光信号と第2のクロック光信号とに分割するための光分割器13とを備えることによって異なる。さらに、光分割器13は、リフレクタ7によって反射された第1のクロック光信号を第1の光電変換器21内に出力するように構成される。すなわち、光分割器13は、分割機能と出力機能という2つの機能を有する。
【0157】
光分割器13は特に部分的に透明なミラーとして構成され、供給レンズ8とレンズ14との間に配置される。さらに、第2の光電変換器22は、単一の電光変換器10によって生成された光のうち、光分割器13として機能する部分的に透明なミラーによって反射される部分が第2の光電変換器22内に供給されるように配置される。
【0158】
この場合、本発明の文脈において、光分割器13は特に電光変換器装置1の一部と理解することができる。部分的に透明なミラーで反射し、第2の光電変換器22に到達する光は、第2のクロック光信号に対応する。したがって、第2の信号経路4は第2の光電変換器22を備える。第1の信号経路3は、供給レンズ8と、単一の導波路61と、リフレクタ7と、光分割器13と、第1の光電変換器21とを備える。部分的に透明なミラーを通過する光は、第1のクロック光信号に対応する。
【0159】
図12は、本発明の第9の実施形態による時計として構成された時間測定装置100に関する。
【0160】
時間測定装置100は、単一の電光変換器10と、電光変換器装置1を形成する光分割器13と、単一の光電変換器20と信号分割器23とを備える光電変換器装置2と、単一の導波路61と、リフレクタ7と、供給窓9とを備える。
【0161】
リフレクタ7は、導波路61の反射端612の直ぐ上に配置され、有利には平面ミラーとして構成される。このために、有利にはエンドキャップを導波路61の反射端612に直接配置することができ、このエンドキャップの内面、すなわち導波路61の反射端612に面するエンドキャップの表面がミラー化される。これにより、反射後にほとんど又は全く光が失われないようにすることができる。
【0162】
供給窓9は、導波路61の供給端611に直接配置される。光を入れるように構成されるエンドキャップを供給窓9として使用することができる。この場合、光分割器13は、部分的に透明なミラー、特に部分的に透明な凹面ミラーとして構成され、電光変換器10から導波路61への方向に、電光変換器10の後に配置することができる。したがって、電光変換器10から放射される光の第1の部分は、部分的に透明な凹面ミラーによって反射及びコリメートされ、供給窓9を介して導波路61内に供給される。部分的に透明な凹面ミラーは、半透明集光ミラーとも称され得る。この光の部分は、第1のクロック光信号に対応する。電光変換器10から放射される光の第2の部分は、半透明ミラーを通過し、光電変換器20内に供給される。光の第2の部分は、第2のクロック光信号に対応する。図12から分かるように、部分的に透明な凹面ミラーの凹面が電光変換器10に面している。
【0163】
第1のクロック光信号と第2の光信号とは、2つの光信号が異なる長さの経路を走行し、したがって時間的にずれるので、光電変換器20によって異なる時間に取得される。光電変換器装置20は、第1のクロック光信号に基づいて第1の電気信号を生成し、第2のクロック光信号に基づいて第2の電気信号を生成する。第1の電気信号と第2の電気信号もまた時間的にずれた信号である。時間測定装置100の動作中、第1のクロック光信号と第2のクロック光信号とは重畳信号を形成する。したがって、換言すれば、光電変換器20は、第1のクロック光信号と第2のクロック光信号とから形成される重畳信号を生成するように構成される。
【0164】
しかしながら、第1の電気信号と第2の電気信号の両方が同じ光電変換器20によって生成されるという事実のために2つの電気信号を互いに区別することができるようにするために、上述の信号分割器23が設けられる。詳細には、信号分割器23は、第1の電気信号と第2の電気信号とを互いに分割又は分離するように構成され、それにより前記信号を制御装置5、特に位相比較器50の第1の入力501及び第2の入力502にそれぞれ導くことができる。換言すれば、信号分割器23は、重畳信号から第1の電気信号と第2の電気信号とを生成するように構成される。
【0165】
この場合、第1の信号経路3は、導波路61と、リフレクタ7と、電光変換器装置1の光分割器13と、単一の光電変換器20と、第1の信号分割器信号経路231とを備え、第2の信号経路4は、単一の光電変換器20と第2の信号分割器信号経路232とを備える。
【0166】
第9の実施形態による時間測定装置100は、特に単一の導波路、単一の電光変換器、及び単一の光電変換器のみが必要であるという利点を有する。
【0167】
図13は、本発明の第10の実施形態による時計として構成された時間測定装置100に関する。
【0168】
第10の実施形態による時間測定装置100は、この場合光電変換器装置2が第1のクロック光信号に基づいて第1の電気信号を生成するための第1の光電変換器21と、第2のクロック光信号に基づいて第2の電気信号を生成するための第2の光電変換器22とを備える点において、第9の実施形態によるものと異なる。
【0169】
部分的に透明なミラー、特に部分的に透明な凹面ミラーとして構成される光分割器13は、単一の電光変換器10によって生成される光信号のうち、部分的に透明なミラーによって反射され、第1のクロック光信号に対応する部分が導波路61内に供給されるように、単一の導波路61に対して配置されることは理解されよう。図12から分かるように、部分的に透明な凹面ミラーの凹面が電光変換器10に面している。さらに、部分的に透明なミラーと、第1の光電変換器21と、第2の光電変換器22とは、リフレクタ7によって反射された第1のクロック光信号が第1の光電変換器21に到達し、単一の電光変換器10によって生成された光信号のうち、部分的に透明なミラーを通過し、第2のクロック光信号に対応する部分が第2の光電変換器22に到達するように、互いに対して配置される。
【0170】
第1のクロック光信号の一部が第2の光電変換器22に到達し、第2のクロック光信号の一部が第1の光電変換器21に到達するのを防止するために、セパレータ24が有利には第1の光電変換器21と第2の光電変換器22との間に配置される。セパレータ24は特に光電変換器装置2の一部とすることができる。有利には、セパレータ24は隔壁として構成することができる。
【0171】
この場合、第1の信号経路3は、導波路61と、リフレクタ7と、電光変換器装置1の光分割器13と、第1の光電変換器21とを備え、第2の信号経路4は、第2の光電変換器22を備える。
【0172】
説明した実施形態では、上述したように、凹面ミラー又は平面ミラーをリフレクタ7として使用することができることに留意されたい。特にリフレクタ7が平面ミラーとして構成される場合、これを第1の導波路61の反射端612に直接配置することが特に有利である。
【0173】
説明した実施形態による時間測定装置100は時計として構成されているが、本発明は他の用途分野でも使用される。例えば、上述の時間測定装置100は、駆動装置104、時計仕掛け105及び機械式時計表示装置106なしで、航法装置内で使用することができる。代わりに、この種の時間測定装置100は、本発明の文脈では航法装置時間測定装置とも称されるが、好ましくはアプリケーション指向のユニットを備えることができる。特に、アプリケーション指向のユニットは、有用信号生成装置103によって生成される有用信号に基づいて航法装置の位置を決定するように構成された位置決定ユニットとすることができる。アプリケーション指向のユニットは、ソフトウェア及び/又はハードウェアとして実装することができる。
【0174】
本発明の上記の説明に加えて、その補足的な開示のために、図1~13における本発明の例示的な表現を明示的に参照する。
【符号の説明】
【0175】
1 電光変換器装置
2 光電変換器装置
3 第1の信号経路
4 第2の信号経路
5 制御装置
6 光分割器
7 リフレクタ
8 供給レンズ
9 供給窓
10 電光変換器
11 第1の電光変換器
12 第2の電光変換器
13 光分割器
14 レンズ
20 光電変換器
21 第1の光電変換器
22 第2の光電変換器
23 信号分割器
24 セパレータ
50 位相比較器
51 ループフィルター
52 駆動可能な発振器
53 第1のDフリップフロップ
54 第2のDフリップフロップ
55 ANDゲート
56 減算器
61 第1の導波路
62 第2の導波路
100 時間測定装置
101 タイミング発生器アセンブリ
102 発振システム
103 有用信号生成装置
104 駆動装置
105 時計仕掛け
106 時計表示装置
110 時計ケース
120 文字盤
130 針
140 接続部
150 タイムピースガラス
160 リストバンド
170 車輪
201 矢印
202 矢印
203 矢印
204 矢印
205 矢印
206 矢印
207 矢印
208 矢印
209 矢印
210 矢印
231 第1の信号分割器信号経路
232 第2の信号分割器信号経路
501 第1の入力
502 第2の入力
531 D入力
532 クロック入力
533 リセット入力
534 Q出力
541 D入力
542 クロック入力
544 Q出力
551 第1の入力
552 第2の入力
611 供給端
612 反射端
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
【手続補正書】
【提出日】2024-05-15
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
時計(100)、特に腕時計であって、
少なくとも1つの電光変換器(10;11、12)を有する電光変換器装置(1)と、
光電変換器装置(2)と、
第1の導波路(61)を介して光電変換器装置(2)内に至る第1の信号経路(3)と、
直接又は第2の導波路(62)を介して光電変換器装置(2)内に至る第2の信号経路(4)と、
制御装置(5)と、
有用信号生成装置(103)とを備え、
前記電光変換器装置(1)は、第1のクロック光信号を前記第1の導波路(61)内に供給し、第2のクロック光信号を前記第2の信号経路(4)内に供給するように構成され、
前記光電変換器装置(2)は、前記第1のクロック光信号に基づいて第1の電気信号を生成し、前記第2のクロック光信号に基づいて第2の電気信号を生成するように構成され、
前記第1の信号経路(3)及び前記第2の信号経路(4)は、前記第1の信号経路(3)内の前記第1のクロック光信号の通過時間と前記第2の信号経路(4)内の前記第2のクロック光信号の通過時間とが互いに異なるように構成され、
前記制御装置(5)は、前記第1の電気信号と前記第2の電気信号との間の位相差に基づいて制御信号を生成し、前記2つの光信号を生成するために前記制御信号によって前記電光変換器装置(1)を駆動するように構成され、
前記有用信号生成装置(103)は、前記制御信号の周波数に基づいて、時間をクロックする有用信号を生成するように構成され、
前記時計は、前記有用信号に基づいて時刻を表示するための時計表示装置(106)を備える、
時計。
【請求項2】
前記制御装置(5)は、位相比較器(50)と、前記位相比較器(50)の出力信号を積分するためのループフィルター(51)と、前記ループフィルターの出力信号によって駆動可能な発振器(52)とを備える、請求項1に記載の時計(100)。
【請求項3】
前記駆動可能な発振器(52)は、電圧制御発振器であるか、又はトリマーコンデンサを有する調整可能な圧電振動結晶を備える、請求項2に記載の時計(100)。
【請求項4】
前記制御装置(5)は、ハードウェア及び/又はソフトウェアとして実装される、請求項1~3のいずれか一項に記載の時計(100)。
【請求項5】
前記電光変換器装置(1)は、クロック光信号を生成するように構成された単一の電光変換器(10)と、前記クロック光信号を前記第1のクロック光信号と前記第2のクロック光信号とに分割するように構成された光分割器(13)とを備える、請求項1~のいずれか一項に記載の時計(100)。
【請求項6】
前記電光変換器は第1の電光変換器(11)であり、前記電光変換器装置(1)は第2の電光変換器(12)を備え、前記第1の電光変換器(11)は前記第1のクロック光信号を生成するように構成され、前記第2の電光変換器(12)は前記第2のクロック光信号を生成するように構成される、請求項1~のいずれか一項に記載の時計(100)。
【請求項7】
前記光電変換器装置(2)は、前記第1のクロック光信号と前記第2のクロック光信号とから形成される重畳信号を生成するための単一の光電変換器(20)と、前記重畳信号から前記第1の電気信号と前記第2の電気信号とを生成するように構成された信号分割器(23)とを備える、請求項1~のいずれか一項に記載の時計(100)。
【請求項8】
前記光電変換器装置(2)は、第1の光電変換器(21)及び第2の光電変換器(22)を備え、前記第1の信号経路(3)は前記第1の光電変換器(21)を備え、前記第2の信号経路(4)は前記第2の光電変換器(22)を備え、
前記第1の光電変換器(21)は、前記第1のクロック光信号に基づいて前記第1の電気信号を生成するように構成され、前記第2の光電変換器(22)は、前記第2のクロック光信号に基づいて前記第2の電気信号を生成するように構成される、
請求項1~のいずれか一項に記載の時計(100)。
【請求項9】
前記第1の光電変換器(21)は前記第2の光電変換器(22)と同一に構成される、請求項8に記載の時計(100)。
【請求項10】
前記第2の導波路(62)は前記第1の導波路(1)より短い、請求項1~のいずれか一項に記載の時計(100)。
【請求項11】
前記第1の導波路(61)及び前記第2の導波路(62)は、
所定の温度で、前記第1の導波路(61)内の前記第1のクロック光信号の通過時間と前記第2の導波路(62)内の前記第2のクロック光信号の通過時間とが互いに異なり、かつ、
所定の温度からの所定の温度偏差の場合の前記第1の導波路(61)内の前記第1のクロック光信号の通過時間の変化が、同じ所定の温度偏差の場合の前記第2の導波路(62)内の前記第2のクロック光信号の通過時間の変化と同じになるように構成される、
請求項10に記載の時計(100)。
【請求項12】
前記第1の導波路(61)及び前記第2の導波路(62)は、光が通過し得る材料及び/又は長さ及び/又は断面設計において異なる、請求項11に記載の時計(100)。
【請求項13】
前記第1の導波路(61)の反射端(612)にリフレクタ(7)が配置され、このリフレクタによって前記第1のクロック光信号を前記第1の導波路(61)内に反射することができ、前記第1の信号経路(3)は、反射された前記第1のクロック光信号を、前記第1の導波路(61)の供給端(611)で前記第1の信号経路(3)の前記光電変換器(21;20)内に出力することができるように構成される、請求項7に記載の時計(100)。
【請求項14】
前記第1の信号経路(3)は、前記第1の導波路(61)の前記供給端(611)に光分割器(6;13)を備え、この分割器は反射された前記第1のクロック光信号を前記第1の光電変換器(21)内に出力するように構成される、請求項13に記載の時計(100)。
【請求項15】
前記光分割器(6;13)は、部分的に透明なミラー又はファイバ分割器を備える、請求項14に記載の時計(100)。
【国際調査報告】