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特表2024-546584BCL-2阻害剤、WEE-1阻害剤及び他の化学療法剤の三剤療法の組み合わせ
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-12-26
(54)【発明の名称】BCL-2阻害剤、WEE-1阻害剤及び他の化学療法剤の三剤療法の組み合わせ
(51)【国際特許分類】
   A61K 31/496 20060101AFI20241219BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20241219BHJP
   A61K 31/519 20060101ALI20241219BHJP
   A61K 45/00 20060101ALI20241219BHJP
   A61K 31/706 20060101ALI20241219BHJP
   A61K 31/69 20060101ALI20241219BHJP
   A61K 31/573 20060101ALI20241219BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20241219BHJP
   A61P 35/02 20060101ALI20241219BHJP
   A61P 35/04 20060101ALI20241219BHJP
【FI】
A61K31/496
A61P43/00 121
A61K31/519
A61K45/00
A61K31/706
A61K31/69
A61K31/573
A61P35/00
A61P35/02
A61P35/04
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024529281
(86)(22)【出願日】2022-12-14
(85)【翻訳文提出日】2024-05-15
(86)【国際出願番号】 US2022081600
(87)【国際公開番号】W WO2023114877
(87)【国際公開日】2023-06-22
(31)【優先権主張番号】63/265,444
(32)【優先日】2021-12-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/375,510
(32)【優先日】2022-09-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】518346476
【氏名又は名称】リキュリウム アイピー ホールディングス リミテッド ライアビリティー カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】110002860
【氏名又は名称】弁理士法人秀和特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ドネイト,フェルナンド
(72)【発明者】
【氏名】イザディ,フーマン
(72)【発明者】
【氏名】マ,ジアンフィ
(72)【発明者】
【氏名】サマター,アフメド アブディ
(72)【発明者】
【氏名】バンカー,ケビン デュアン
(72)【発明者】
【氏名】ファン,ピーター キンファ
【テーマコード(参考)】
4C084
4C086
【Fターム(参考)】
4C084AA19
4C084AA22
4C084MA02
4C086AA01
4C086AA02
4C086CB05
4C086DA10
4C086DA43
4C086EA11
4C086GA16
4C086MA02
4C086MA03
4C086MA04
4C086NA05
4C086ZB26
4C086ZB27
4C086ZC75
(57)【要約】
がん及びアミロイドーシスを含む疾患又は病態の治療のための、Bcl-2阻害剤、具体的には化合物(A)の、化合物(B)(WEE1阻害剤)及び化合物(C)(抗がん剤、例えば、アザシチジン、ベンダムスチン、ボルテゾミブ、カルフィルゾミブ、イキサゾミブ、ブスルファン、カルボプラチン、シタラビン、シクロホスファミド、クラドリビン、シスプラチン、カペシタビン、デシタビン、デキサメタゾン、エトポシド、フルダラビン、ゲムシタビン、ダウノルビシン、ドキソルビシン、イホスファミド、メトトレキサート及びビンクリスチン)、又は前述のうちのいずれかの薬学的に許容される塩との組み合わせが、本明細書に開示される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
疾患又は病態を治療するための化合物の組み合わせの使用であって、前記組み合わせが、有効量の化合物(A)、有効量の化合物(B)及び有効量の化合物(C)、又は前述のうちのいずれかの薬学的に許容される塩を含み、
化合物(A)が、
【化1】

又はその薬学的に許容される塩からなる群から選択されるBcl-2阻害剤であり、
化合物(B)が、
【化2】

又はその薬学的に許容される塩であり、
化合物(C)が、アザシチジン、ベンダムスチン、ボルテゾミブ、カルフィルゾミブ、イキサゾミブ、ブスルファン、カルボプラチン、シタラビン、シクロホスファミド、クラドリビン、シスプラチン、カペシタビン、デシタビン、デキサメタゾン、エトポシド、フルダラビン、ゲムシタビン、ダウノルビシン、ドキソルビシン、イホスファミド、メトトレキサート及びビンクリスチン、又は前述のうちのいずれかの薬学的に許容される塩からなる群から選択される薬剤である、使用。
【請求項2】
前記BCL-2阻害剤が、
【化3】

又はその薬学的に許容される塩である、請求項1に記載の使用。
【請求項3】
前記BCL-2阻害剤が、
【化4】

又はその薬学的に許容される塩である、請求項1に記載の使用。
【請求項4】
前記BCL-2阻害剤が、
【化5】

又はその薬学的に許容される塩である、請求項1に記載の使用。
【請求項5】
前記BCL-2阻害剤が、
【化6】

又はその薬学的に許容される塩である、請求項1に記載の使用。
【請求項6】
前記BCL-2阻害剤が、
【化7】

又はその薬学的に許容される塩である、請求項1に記載の使用。
【請求項7】
化合物(C)が、アザシチジンである、請求項1~6のいずれか一項に記載の使用。
【請求項8】
化合物(C)が、ボルテゾミブである、請求項1~6のいずれか一項に記載の使用。
【請求項9】
化合物(C)が、デキサメタゾンである、請求項1~6のいずれか一項に記載の使用。
【請求項10】
前記疾患又は病態が、トリプルネガティブ乳がん、多発性骨髄腫、急性骨髄性白血病、肺がん及びアミロイドーシスからなる群から選択される、請求項1~9のいずれか一項に
記載の使用。
【請求項11】
前記疾患又は病態が、トリプルネガティブ乳がんである、請求項10に記載の使用。
【請求項12】
前記トリプルネガティブ乳がんが、局所乳がんである、請求項11に記載の使用。
【請求項13】
前記トリプルネガティブ乳がんが、転移性乳がんである、請求項11に記載の使用。
【請求項14】
前記トリプルネガティブ乳がんが、再発性乳がんである、請求項11に記載の使用。
【請求項15】
前記トリプルネガティブ乳がんが、化学療法剤、PARP阻害剤及びPD-L1阻害剤からなる群から選択される1つ以上の薬剤で以前に治療されている、請求項11~14のいずれか一項に記載の使用。
【請求項16】
前記トリプルネガティブ乳がんが、女性に存在している、請求項11~15のいずれか一項に記載の使用。
【請求項17】
前記対象が、閉経前の女性である、請求項16に記載の使用。
【請求項18】
前記対象が、閉経周辺期の女性である、請求項16に記載の使用。
【請求項19】
前記対象が、閉経期の女性である、請求項16に記載の使用。
【請求項20】
前記トリプルネガティブ乳がんが、閉経後の女性に存在している、請求項16に記載の使用。
【請求項21】
前記トリプルネガティブ乳がんが、男性に存在している、請求項11~15のいずれか一項に記載の使用。
【請求項22】
前記トリプルネガティブ乳がんが、15pg/mL超~350pg/mLの範囲の血清エストラジオール濃度を有する対象に存在している、請求項11~21のいずれか一項に記載の使用。
【請求項23】
前記トリプルネガティブ乳がんが、15pg/mL以下の血清エストラジオール濃度を有する対象に存在している、請求項11~21のいずれか一項に記載の使用。
【請求項24】
前記トリプルネガティブ乳がんが、10pg/mL以下の血清エストラジオール濃度を有する対象に存在している、請求項11~21のいずれか一項に記載の使用。
【請求項25】
前記疾患又は病態が、アミロイドーシスである、請求項1~10のいずれか一項に記載の使用。
【請求項26】
前記疾患又は病態が、多発性骨髄腫である、請求項1~10のいずれか一項に記載の使用。
【請求項27】
前記疾患又は病態が、急性骨髄性白血病である、請求項1~10のいずれか一項に記載の使用。
【請求項28】
前記疾患又は病態が、肺がんである、請求項1~10のいずれか一項に記載の使用。
【請求項29】
前記肺がんが、非小細胞肺がんである、請求項28に記載の使用。
【請求項30】
前記肺がんが、小細胞肺がんである、請求項28に記載の使用。
【請求項31】
前記疾患又は障害は、以前に治療されたことがない、請求項1~13又は16~30のいずれか一項に記載の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(任意の優先権出願を参照することによる組み込み)
例えば、本出願とともに出願される出願データシート又は請求において、外国又は国内優先権の主張が確認されるあらゆる出願が、米国特許法施行規則1.57並びに規則4.18及び20.6に基づき、参照により本明細書に組み込まれ、これには、参照により全体が本明細書に組み込まれる2021年12月15日に出願された米国仮出願第63/265,444号及び2022年9月13日に出願された同第63/375,510号が含まれる。
【0002】
(発明の分野)
本出願は、化学、生化学、及び医学の分野に関する。より具体的には、併用療法、並びに、本明細書に記載の併用療法を用いて疾患及び/又は病態を治療する方法が本明細書に開示される。
【背景技術】
【0003】
がんは、身体の他の部分に浸潤又は拡散する可能性がある異常な細胞増殖を伴う疾患群である。今日のがん治療には、手術、ホルモン療法、放射線、化学療法、免疫療法、標的療法、及びそれらの組み合わせが含まれる。生存率は、がんのタイプによって、かつがんが診断されるステージによって変化する。2019年には、米国において約180万人ががんと診断され、推定606,880人ががんで死亡している。したがって、有効ながん治療の必要性が依然として存在する。
【発明の概要】
【0004】
本明細書に記載のいくつかの実施形態は、有効量の化合物(A)、有効量の化合物(B)及び有効量の化合物(C)、又は前述のうちのいずれかの薬学的に許容される塩を含み得る、化合物の組み合わせに関する。
【0005】
本明細書に記載のいくつかの実施形態は、疾患又は病態を治療するための化合物の組み合わせの使用に関し、組み合わせは、有効量の化合物(A)、有効量の化合物(B)及び有効量の化合物(C)、又は前述のうちのいずれかの薬学的に許容される塩を含む。本明細書に記載の他の実施形態は、疾患又は病態を治療するための薬品の製造における化合物の組み合わせの使用に関し、組み合わせは、有効量の化合物(A)、有効量の化合物(B)及び有効量の化合物(C)、又は前述のうちのいずれかの薬学的に許容される塩を含む。本明細書に記載の更に他の実施形態は、疾患又は病態の治療に使用するための、有効量の化合物(A)、有効量の化合物(B)及び有効量の化合物(C)、又は前述のうちのいずれかの薬学的に許容される塩の組み合わせに関する。本明細書に記載のなおも更に他の実施形態は、有効量の化合物(A)、有効量の化合物(B)及び有効量の化合物(C)、又は前述のうちのいずれかの薬学的に許容される塩を組み合わせて投与することを含み得る、疾患又は病態を治療するための方法に関する。
【0006】
いくつかの実施形態では、疾患又は病態は、本明細書に記載のがん、例えば、トリプルネガティブ乳がん、多発性骨髄腫、急性骨髄性白血病及び/又はアミロイドーシスであり得る。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1-1】図1-1~図1-2は、Bcl-2阻害剤の例を提供する。
図1-2】図1-1~図1-2は、Bcl-2阻害剤の例を提供する。
図2-1】図2-1~図2-6は、化合物(C)薬剤の例を提供する。
図2-2】図2-1~図2-6は、化合物(C)薬剤の例を提供する。
図2-3】図2-1~図2-6は、化合物(C)薬剤の例を提供する。
図2-4】図2-1~図2-6は、化合物(C)薬剤の例を提供する。
図2-5】図2-1~図2-6は、化合物(C)薬剤の例を提供する。
図2-6】図2-1~図2-6は、化合物(C)薬剤の例を提供する。
図3】CTGアッセイに基づく、OPM-2細胞株における細胞生存率に対する、化合物(1A)又はその薬学的に許容される塩、化合物(B)又はその薬学的に許容される塩、及び化合物(C)を単独で又は組み合わせて使用することの効果を示す。
図4】CTGアッセイに基づく、MOLM13及びHL60細胞株における細胞生存率に対する、化合物(1A)又はその薬学的に許容される塩、化合物(B)又はその薬学的に許容される塩、及び化合物(C)を単独で又は組み合わせて使用することの効果を示す。
図5】HL-60白血病異種移植モデルにおける腫瘍体積に対する、化合物(1A)又はその薬学的に許容される塩、化合物(B)又はその薬学的に許容される塩及び化合物(C)を単独で又は組み合わせて使用することの効果を示す。
図6】OPM-2多発性骨髄腫モデルにおける腫瘍体積に対する、化合物(1A)又はその薬学的に許容される塩、化合物(B)又はその薬学的に許容される塩及び化合物(C)を単独で又は組み合わせて使用することの効果を示す。
図7】KMS-12-BM多発性骨髄腫モデルにおける腫瘍体積に対する、化合物(1A)又はその薬学的に許容される塩、化合物(B)又はその薬学的に許容される塩及び化合物(C)を単独で又は組み合わせて使用することの効果を示す。
図8】MDA-MB-436トリプルネガティブ乳がんモデルにおける腫瘍体積に対する、化合物(1A)又はその薬学的に許容される塩、化合物(B)又はその薬学的に許容される塩及び化合物(C)を単独で又は組み合わせて使用することの効果を示す。
図9】H23非小細胞肺がんモデルにおける腫瘍体積に対する、化合物(1A)又はその薬学的に許容される塩、及び化合物(B)又はその薬学的に許容される塩を単独で又は組み合わせて使用することの効果を示す。
図10】DMS53小細胞肺がんモデルにおける腫瘍体積に対する、化合物(1A)又はその薬学的に許容される塩、及び化合物(B)又はその薬学的に許容される塩を単独で又は組み合わせて使用することの効果を示す。
【発明を実施するための形態】
【0008】
定義
別段の定めがない限り、本明細書で使用される全ての技術及び科学用語は、当業者によって一般的に理解されるものと同じ意味を有する。本明細書で参照される全ての特許、出願、公開出願及び他の出版物は、別段明記しない限り、参照によりそれらの全体が組み込まれる。本明細書のある用語に対して複数の定義が存在する場合、別段明記しない限り、この節にある定義が優先される。
【0009】
「薬学的に許容される塩」という用語は、化合物の塩であって、それが投与される生物に著しい刺激をもたらさず、化合物の生物活性及び特性を無効にしない、化合物の塩を指す。いくつかの実施形態では、塩は、化合物の酸付加塩である。薬学的塩は、化合物を無機酸、例えば、ハロゲン化水素酸(例えば、塩酸又は臭化水素酸)、硫酸、硝酸、及びリン酸(2,3-ジヒドロキシプロピルニ水素ホスファートなど)と反応させることによって得られ得る。薬学的塩はまた、化合物を有機酸、例えば、脂肪族若しくは芳香族カルボン酸若しくはスルホン酸、例えば、ギ酸、酢酸、コハク酸、乳酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、アスコルビン酸、ニコチン酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸、トリフルオロ酢酸、安息香酸、サリチル酸、2-オキソペンタン二酸、
又はナフタレンスルホン酸と反応させることによって得られ得る。薬学的塩はまた、化合物を塩基と反応させて、塩、例えば、アンモニウム塩、アルカリ金属塩、例えば、ナトリウム、カリウム、又はリチウム塩、アルカリ土類金属塩、例えば、カルシウム又はマグネシウム塩、炭酸塩の塩、重炭酸塩の塩、有機塩基の塩、例えば、ジシクロヘキシルアミン、N-メチル-D-グルカミン、トリス(ヒドロキシメチル)メチルアミン、C-Cアルキルアミン、シクロへキシルアミン、トリエタノールアミン、エチレンジアミン、並びにアルギニン及びリシンなどのアミノ酸を有する塩を形成することによって得ることができる。化合物(A)、(B)及び(C)の化合物に関して、当業者は、窒素ベースの基(例えば、NH)のプロトン化によって塩が形成される場合、窒素ベースの基が正電荷と会合し得(例えば、NHがNH になり得る)、正電荷のバランスは、負の電荷を持つ対イオン(Clなど)によってとられ得ることを理解する。
【0010】
1つ以上のキラル中心を有する本明細書に記載の任意の化合物において、絶対立体化学が明示的に示されない場合、各中心が独立して、R配置若しくはS配置、又はこれらの混合物であってもよいことが理解される。したがって、本明細書に提供される化合物は、鏡像異性的に純粋な、鏡像異性的に富化されたた、ラセミ混合物、ジアステレオマー的に純粋な化合物、ジアステレオマー的に富化された化合物、又は立体異性混合物であってもよい。加えて、E又はZと定義され得る幾何異性体を生成する1つ以上の二重結合を有する、本明細書に記載される任意の化合物において、各二重結合が独立して、E又はZ、これらの混合物であってもよいことが理解される。同様に、記載される任意の化合物において、全ての互変異性形態もまた含まれるよう意図されることが理解される。
【0011】
本明細書に開示される化合物が充填されていない原子価を有する場合、その原子価が、水素又はその同位体、例えば、水素-1(軽水素)及び水素-2(重水素)で充填されることを理解されたい。
【0012】
本明細書に記載の化合物が同位体で標識され得ることが理解される。重水素などの同位体での置換は、例えば、インビボ半減期の増加又は必要投薬量の低減など、より大きい代謝安定性に起因するある特定の治療上の利点をもたらし得る。化合物構造において表される各化学元素は、当該元素の任意の同位体を含み得る。例えば、化合物構造において、水素原子は、化合物中に存在すると明確に開示され得るか、又は理解され得る。水素原子が存在し得る化合物の任意の位置において、水素原子は、水素-1(軽水素)及び水素-2(重水素)を含むが、これらに限定されない、水素の任意の同位体であり得る。したがって、本明細書における化合物に対する言及は、文脈が明確にそうでないと示さない限り、全ての可能な同位体形態を包含する。
【0013】
本明細書に記載の方法及び組み合わせが、結晶形態(多形体としても既知であり、化合物の同じ元素組成の異なる結晶充填配置を含む)、非晶相、塩、溶媒和物、及び水和物を含むことが理解される。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の化合物は、水、エタノールなどの薬学的に許容される溶媒を有する溶媒和形態で存在する。他の実施形態では、本明細書に記載の化合物は、非溶媒和形態で存在する。溶媒和物は、化学量論量又は非化学量論量のいずれかの溶媒を含有し、水、エタノールなどの薬学的に許容される溶媒での結晶化プロセス中に形成されてもよい。溶媒が水である場合に水和物が形成されるか、又は溶媒がアルコールである場合にアルコラートが形成される。加えて、本明細書に提供される化合物は、非溶媒和形態並びに溶媒和形態で存在することができる。概して、溶媒和形態は、本明細書に提供される化合物及び方法の目的で、非溶媒和形態と同等であるとみなされる。
【0014】
値の範囲が提供される場合、上限及び下限、並びにその範囲の上限と下限との間に介在する各値が、実施形態内に包含されることが理解される。
【0015】
本出願で使用される用語及び語句並びにこれらの変化形、特に添付の特許請求の範囲にあるものは、別段明記しない限り、限定的ではなく非限定的であると解釈されるべきである。上記の例として、「含むこと(including)」という用語は、「限定することなく含
むこと」、「含むが、これらに限定されないこと」などを意味するよう解釈されるべきであり、本明細書で使用される場合、「含むこと(comprising)」という用語は、「含むこと(including)」、「含有すること」、又は「特徴とする」と同義語であり、包括的又
は非限定的であり、追加の列挙されていない要素又は方法のステップを除外せず、「有すること」という用語は、「少なくとも有すること」と解釈されるべきであり、「含む(include)」という用語は、「含むが、これらに限定されない」と解釈されるべきであり、
「例」という用語は、考察中の項目の徹底的又は限定的なリストではなく例示的な実例を提供するために使用され、「好ましくは」、「好ましい」、「所望の」又は「望ましい」のような用語、並びに同様の意味の単語の使用は、ある特定の特徴がその構造又は機能にとって重大、本質的又は重要でさえあるということを暗示するものとしてではなく、むしろ単に特定の実施形態で利用される場合又はされない場合がある代替又は追加の特徴を強調することが意図されるものとして理解されるべきである。加えて、「含むこと(comprising)」という用語は、「少なくとも有すること」又は「少なくとも含むこと」という語句の同意語として解釈されるものとする。プロセスの文脈で使用される場合、「含むこと」という用語は、プロセスが少なくとも列挙されたステップを含むが、追加のステップを含んでもよいことを意味する。化合物、組成物、又はデバイスの文脈で使用される場合、「含むこと」という用語は、化合物、組成物、又はデバイスが少なくとも列挙された特徴又は構成要素を含むが、追加の特徴又は構成要素も含み得ることを意味する。
【0016】
本明細書の実質的にいかなる複数形及び/又は単数形の用語の使用に関しても、当業者は、文脈及び/又は用途に応じて適切に、複数形から単数形、及び/又は単数形から複数形に変換することができる。様々な単数形/複数形の入れ替えは、明確にするために本明細書で明示的に記載され得る。不定冠詞「a」又は「an」は、複数を除外しない。ある特定の手段が相互に異なる従属請求項に列挙されるという単なる事実は、利益を得るためにこれらの手段の組み合わせを使用することができないということを示すものではない。特許請求の範囲中のいかなる参照符号も、その範囲を限定するものと解釈されるべきではない。
【0017】
化合物
本明細書に開示されるいくつかの実施形態は、疾患又は病態を治療するための化合物の組み合わせの使用に関し、組み合わせは、有効量の化合物(A)、有効量の化合物(B)及び有効量の化合物(C)、又は前述のうちのいずれかの薬学的に許容される塩を含み得る。本明細書に提供されるように、化合物(A)又はその薬学的に許容される塩は、Bcl-2阻害剤であり得、化合物(B)又はその薬学的に許容される塩は、WEE1阻害剤であり得、化合物(C)又はその薬学的に許容される塩は、化学療法剤などの薬剤であり得る。
【0018】
化合物(A)(その薬学的に許容される塩を含む)は、
【0019】
【化1】

(その薬学的に許容される塩を含む)から選択され得る。化合物(B)は、
【0020】
【化2】

(その薬学的に許容される塩を含む)であり得る。化合物(C)(その薬学的に許容される塩を含む)は、アザシチジン、ベンダムスチン、ボルテゾミブ、カルフィルゾミブ、イキサゾミブ、ブスルファン、カルボプラチン、シタラビン、シクロホスファミド、クラドリビン、シスプラチン、カペシタビン、デシタビン、デキサメタゾン、エトポシド、フルダラビン、ゲムシタビン、ダウノルビシン、ドキソルビシン、イホスファミド、メトトレキサート及びビンクリスチン、又は前述のうちのいずれかの薬学的に許容される塩から選択される薬剤であり得る。
【0021】
前述のうちのいずれかの薬学的に許容される塩を含む、化合物(A)、化合物(B)、及び化合物(C)の組み合わせの実施形態は、表1に提供される。表1において、番号1A~5Aは、図1に提供される化合物(A)(その薬学的に許容される塩を含む)に対応し、「B」は、化合物(B)(その薬学的に許容される塩を含む)を示し、番号1~22は、その薬学的に許容される塩を含む、図2に提供される化合物(C)(その薬学的に許容される塩を含む)に対応する。
【0022】
【表1-1】
【0023】
【表1-2】
【0024】
本明細書に記載の組み合わせにおける化合物の投与の順序は、変化し得る。いくつかの
実施形態では、化合物(A)(その薬学的に許容される塩を含む)は、化合物(B)又はその薬学的に許容される塩の前に、かつ化合物(C)(その薬学的に許容される塩と併せて)の前に投与することができる。他の実施形態では、化合物(A)(その薬学的に許容される塩を含む)は、化合物(B)又はその薬学的に許容される塩の前に、かつ化合物(C)(その薬学的に許容される塩と併せて)の投与後に投与することができる。更に他の実施形態では、化合物(A)(その薬学的に許容される塩を含む)は、化合物(C)又はその薬学的に許容される塩の前に、かつ化合物(B)又はその薬学的に許容される塩の投与後に投与することができる。なおも更に他の実施形態では、化合物(A)(その薬学的に許容される塩を含む)は、化合物(B)又はその薬学的に許容される塩の後に、かつ化合物(C)又はその薬学的に許容される塩の後に投与することができる。
【0025】
いくつかの実施形態では、化合物(B)(その薬学的に許容される塩を含む)は、化合物(A)又はその薬学的に許容される塩の前に、かつ化合物(C)(その薬学的に許容される塩と併せて)の前に投与することができる。他の実施形態では、化合物(B)(その薬学的に許容される塩を含む)は、化合物(A)(その薬学的に許容される塩と併せて)の前に、かつ化合物(C)又はその薬学的に許容される塩の後に投与することができる。更に他の実施形態では、化合物(B)(その薬学的に許容される塩を含む)は、化合物(C)又はその薬学的に許容される塩の前に、かつ化合物(A)(その薬学的に許容される塩を含む)の後に投与することができる。なおも更に他の実施形態では、化合物(B)又はその薬学的に許容される塩は、化合物(A)(その薬学的に許容される塩と併せて)の後に、かつ化合物(C)又はその薬学的に許容される塩の後に投与することができる。
【0026】
いくつかの実施形態では、化合物(C)(その薬学的に許容される塩を含む)は、化合物(A)又はその薬学的に許容される塩の前に、かつ化合物(B)(その薬学的に許容される塩と併せて)の前に投与することができる。他の実施形態では、化合物(C)(その薬学的に許容される塩を含む)は、化合物(A)又はその薬学的に許容される塩の前に、かつ化合物(B)又はその薬学的に許容される塩の後に投与することができる。更に他の実施形態では、化合物(C)(その薬学的に許容される塩を含む)は、化合物(B)(その薬学的に許容される塩を含む)の前に、かつ化合物(A)(その薬学的に許容される塩と併せて)の後に投与することができる。なおも更に他の実施形態では、化合物(C)又はその薬学的に許容される塩は、化合物(A)(その薬学的に許容される塩と併せて)の後に、かつ化合物(B)又はその薬学的に許容される塩の後に投与することができる。
【0027】
いくつかの実施形態では、化合物(A)(その薬学的に許容される塩を含む)は、化合物(B)又はその薬学的に許容される塩、及び化合物(C)又はその薬学的に許容される塩と同時に投与することができる。他の実施形態では、化合物(B)(その薬学的に許容される塩を含む)は、化合物(A)若しくはその薬学的に許容される塩、及び/又は化合物(C)若しくはその薬学的に許容される塩と同時に投与することができる。
【0028】
本明細書に記載の化合物の組み合わせの使用について、いくつかの利点が存在し得る。例えば、複数の経路を同時に攻撃する化合物を組み合わせることは、組み合わせの化合物が単剤療法として使用される場合と比較して、本明細書に記載されるものなどのがんの治療においてより有効であり得る。
【0029】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載される組み合わせ(例えば、化合物(A)、化合物(B)及び化合物(C)(前述のうちのいずれかの薬学的に許容される塩を伴う)は、化合物(B)などの本明細書に記載の化合物、又はその薬学的に許容される塩に起因し得る副作用の数及び/又は重症度を減少させることができる。他の実施形態では、本明細書に記載される組み合わせ(化合物(A)、化合物(B)及び化合物(C)などの(前述のうちのいずれかの薬学的に許容される塩を伴う))は、化合物(B)又はその薬学的
に許容される塩に起因し得る副作用の数及び/又は重症度を減少させることができる。
【0030】
本明細書に記載の化合物の組み合わせを使用すると、相加効果、相乗効果、又は強い相乗効果をもたらすことができる。本明細書に記載の化合物の組み合わせは、拮抗的ではない効果をもたらし得る。
【0031】
いくつかの実施形態では、化合物(A)(その薬学的に許容される塩を含む)、化合物(B)(その薬学的に許容される塩と併せて)、化合物(C)(その薬学的に許容される塩を含む)の本明細書に記載される組み合わせは、相加効果をもたらし得る。他の実施形態では、本明細書に記載される組み合わせ(化合物(A)、化合物(B)及び化合物(C)などの(前述のうちのいずれかの薬学的に許容される塩を伴う))は、相乗効果をもたらし得る。更に他の実施形態では、本明細書に記載される組み合わせ(例えば、化合物(A)、化合物(B)及び化合物(C)(前述のうちのいずれかの薬学的に許容される塩を伴う))は、強い相乗効果をもたらし得る。なおも更に他の実施形態では、本明細書に記載される組み合わせ(例えば、化合物(A)、化合物(B)及び化合物(C)(前述のうちのいずれかの薬学的に許容される塩を伴う))は、拮抗的ではない。
【0032】
本明細書で使用される場合、「拮抗的」という用語は、化合物を組み合わせた場合の活性が、各化合物の活性を個々に(すなわち、単一の化合物として)測定した場合のその組み合わせの各化合物の活性の総和と比較してより低いことを意味する。本明細書で使用される場合、「相乗効果」という用語は、化合物を組み合わせた場合の活性が、各化合物の活性を個々に測定した場合のその組み合わせの各化合物の個々の活性の総和より高いことを意味する。本明細書で使用される場合、「相加効果」という用語は、化合物を組み合わせた場合の活性が、各化合物の活性を個々に測定した場合のその組み合わせの各化合物の個々の活性の総和にほぼ等しいことを意味する。
【0033】
本明細書に記載される組み合わせを利用する可能な利点は、各化合物が単剤療法として投与される場合と比較して、本明細書に開示される疾患状態(トリプルネガティブ乳がん、多発性骨髄腫、急性骨髄性白血病及び/又はアミロイドーシスなどの)の治療において有効である化合物の必要量が低減することであり得る。例えば、本明細書に記載の組み合わせで使用される化合物(B)、又はその薬学的に許容される塩の量は、単剤療法として投与される場合に疾患マーカー(例えば、腫瘍サイズ)の同じ低減を達成するために必要な化合物(B)、又はその薬学的に許容される塩の量と比較して、より少ない場合がある。本明細書に記載される組み合わせを利用する別の可能な利点は、異なる作用機序を有する2つ以上の化合物の使用が、化合物が単剤療法として投与される場合と比較して、耐性の発生に対してより高い障害を引き起こすことである。本明細書に記載の組み合わせを利用する更なる利点として、本明細書に記載の組み合わせの各化合物間にほとんど又は全く交差耐性がないこと、本明細書に記載の組み合わせの各化合物の排出(elimination)の
経路が異なること、及び/又は本明細書に記載の組み合わせの化合物間の重複毒性(overlapping toxicity)がほとんどないこと、を挙げることができる。
【0034】
薬学的組成物
化合物(A)(その薬学的に許容される塩を含む)は、薬学的組成物中に提供され得る。化合物(B)(その薬学的に許容される塩を含む)は、薬学的組成物中に提供され得る。同様に、化合物(C)(その薬学的に許容される塩を含む)は、薬学的組成物に提供され得る。化合物(A)、化合物(B)及び化合物(C)の例は、本明細書に記載されている。
【0035】
「薬学的組成物」という用語は、本明細書に開示される1つ以上の化合物及び/又は塩と、希釈剤、担体、及び/又は賦形剤などの他の化学構成成分との混合物を指す。薬学的
組成物は、生物への化合物の投与を容易にする。薬学的組成物はまた、化合物を、無機又は有機酸、例えば、塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸、及びサリチル酸と反応させることによって得られ得る。薬学的組成物は、概して、意図される具体的な投与経路に合わせて調整されることになる。
【0036】
本明細書で使用される場合、「担体」は、細胞又は組織への化合物の組み込みを促進する化合物を指す。例えば、限定することなく、ジメチルスルホキシド(dimethyl sulfoxide、DMSO)は、対象の細胞又は組織への多くの有機化合物の取り込みを容易にする、一般的に利用される担体である。
【0037】
本明細書で使用される場合、「希釈剤」は、明らかな薬理活性はないが、薬学的に必要又は望ましくあり得る、薬学的組成物中の成分を指す。例えば、希釈剤は、製造及び/又は投与には質量が小さ過ぎる、効力のある薬物のかさ増しのために使用され得る。それはまた、注射、摂取、又は吸入によって投与される薬物を溶解させるための液体であり得る。当該技術分野において希釈剤の一般的な形態は、限定することなく、ヒト血液のpH及び等張性を模するリン酸緩衝生理食塩水などの、緩衝水溶液である。
【0038】
本明細書で使用される場合、「賦形剤」は、限定するものではないが、かさ、稠度、安定性、結合能力、潤滑、崩壊能力などを組成物に提供するために、薬学的組成物に添加される、本質的に不活性の物質を指す。例えば、酸化防止剤及び金属キレート剤などの安定剤は、賦形剤である。一実施形態では、薬学的組成物は、酸化防止剤及び/又は金属キレート剤を含む。「希釈剤」は、ある種の賦形剤である。
【0039】
いくつかの実施形態では、化合物(B)(その薬学的に許容される塩と併せて)は、化合物(A)(その薬学的に許容される塩を含む)、及び/又は化合物(C)(その薬学的に許容される塩を含む)を含む薬学的組成物中に提供され得る。いくつかの実施形態では、化合物(C)(その薬学的に許容される塩と併せて)は、化合物(A)(その薬学的に許容される塩を含む)、及び/又は化合物(B)(その薬学的に許容される塩を含む)を含む薬学的組成物中に提供され得る。他の実施形態では、化合物(B)(その薬学的に許容される塩と併せて)は、化合物(A)(その薬学的に許容される塩を含む)を含む薬学的組成物とは別である薬学的組成物で投与することができる。更に他の実施形態では、化合物(B)(その薬学的に許容される塩と併せて)は、化合物(C)(その薬学的に許容される塩を含む)を含む薬学的組成物とは別である薬学的組成物で投与することができる。更に他の実施形態では、化合物(C)又はその薬学的に許容される塩は、化合物(A)(その薬学的に許容される塩と併せて)を含む薬学的組成物とは別である薬学的組成物で投与することができる。いくつかの実施形態では、化合物(A)又はその薬学的に許容される塩は、化合物(B)又はその薬学的に許容される塩を含む薬学的組成物とは別である薬学的組成物で投与することができる。他の実施形態では、化合物(A)又はその薬学的に許容される塩は、化合物(B)又はその薬学的に許容される塩を含む薬学的組成物とは別であり、かつ化合物(C)又はその薬学的に許容される塩を含む薬学的組成物とは別である薬学的組成物で投与することができる。
【0040】
本明細書に記載の薬学的組成物は、ヒト患者にそれ自体で、あるいはそれらが、併用療法におけるような他の活性成分、又は担体、希釈剤、賦形剤、若しくはそれらの組み合わせと混合される薬学的組成物において、投与することができる。適切な製剤化は、選択される投与経路に依存する。本明細書に記載の化合物の製剤化及び投与のための技術は、当業者に既知である。
【0041】
本明細書に開示の薬学的組成物は、例えば、従来の混合、溶解、顆粒化、糖衣錠作製、
水簸、乳化、封入、包括、又は錠剤化プロセスによって、それ自体が既知である様式で製造され得る。追加的に、活性成分が、その意図した目的を達成するために有効な量で含有される。本明細書に開示の薬学的組み合わせで使用される化合物の多くは、薬学的に適合する対イオンを有する塩として提供されてもよい。
【0042】
筋肉内、皮下、静脈内、髄内注射、くも膜下、直接心室内、腹腔内、鼻腔内、及び眼内注射を含む、経口、直腸、肺内、局所、エアロゾル、注射、注入、及び非経口送達が挙げられるが、これらに限定されない、化合物、塩、及び/又は組成物を投与する複数の技術が当該技術分野において存在する。いくつかの実施形態では、化合物(A)(その薬学的に許容される塩を含む)は、経口投与することができる。いくつかの実施形態では、化合物(B)(その薬学的に許容される塩を含む)は、静脈内、経口、筋肉内、皮下及び/又は局所的に投与することができる。いくつかの実施形態では、化合物(C)(その薬学的に許容される塩を含む)は、経口投与することができる。いくつかの実施形態では、化合物(A)(その薬学的に許容される塩を含む)は、化合物(B)(その薬学的に許容される塩と併せて)と同じ投与経路によって、対象に提供され得る。他の実施形態では、化合物(A)(その薬学的に許容される塩を含む)は、化合物(B)(その薬学的に許容される塩と併せて)と異なる投与経路によって、対象に提供され得る。更に他の実施形態では、化合物(C)(その薬学的に許容される塩を含む)は、化合物(B)(その薬学的に許容される塩と併せて)と同じ投与経路によって、対象に提供され得る。なおも更に他の実施形態では、化合物(C)(その薬学的に許容される塩を含む)は、化合物(B)(その薬学的に許容される塩と併せて)と異なる投与経路によって、対象に提供され得る。
【0043】
また、全身的な様式ではなく局所的な様式で、例えば、多くの場合、デポー製剤又は持続放出製剤として化合物を患部に直接注射する又は埋め込むことによって化合物、塩、及び/又は組成物を投与してもよい。更に、標的化した薬物送達システムで、例えば、組織特異的抗体でコーティングされたリポソームで化合物を投与することができる。リポソームは、器官に対して標的化され、器官により選択的に取り込まれるであろう。例えば、呼吸器の疾患又は病態を標的とするための鼻腔内又は肺内送達が望ましい場合がある。
【0044】
組成物は、所望される場合、活性成分を含有する1つ以上の単位剤形を収容し得る、パック又はディスペンサデバイス中に提供されてもよい。パックは、例えば、ブリスタパックなどの金属又はプラスチック箔を含み得る。パック又はディスペンサデバイスには、投与に関する使用説明書が添付され得る。パック又はディスペンサはまた、医薬品の製造、使用、又は販売を規制する行政機関によって規定された形態の、容器に関連付けられた注意書きが添付され得、その注意書きは、ヒト又は動物投与のための薬物の形態の機関による承認を反映する。そのような注意書きは、例えば、処方薬に関し米国食品医薬品局によって承認されたラベル、又は承認された製品添付文書であり得る。適合する薬学的担体中で製剤化される本明細書に記載の化合物及び/又は塩を含むことができる組成物はまた、示された状態の治療のために調製され、適切な容器内に配置され、ラベル付けされてもよい。
【0045】
使用及び治療方法
本明細書に提供されるように、いくつかの実施形態では、有効量の化合物(A)、有効量の化合物(B)のうちの1つ以上及び有効量の化合物(C)のうちの1つ以上、又は前述のうちのいずれかの薬学的に許容される塩を含む組み合わせなどの、本明細書に記載の化合物の組み合わせは、それを必要とする対象において、疾患又は病態(本明細書に記載の疾患又は病態、例えば、トリプルネガティブ乳がん、多発性骨髄腫、急性骨髄性白血病及び/又はアミロイドーシスを含む)を治療するために使用することができる。
【0046】
本明細書に開示されるいくつかの実施形態は、トリプルネガティブ乳がんを治療するた
めの化合物の組み合わせの使用に関し、組み合わせは、有効量の化合物(A)、有効量の化合物(B)、又は前述のうちのいずれかの薬学的に許容される塩を含んでもよく、化合物(A)は、
【0047】
【化3】

又はその薬学的に許容される塩であり得る。
【0048】
本明細書で使用される場合、「対象」とは、治療、観察、又は実験の対象である動物を指す。「動物」には、冷血及び温血の脊椎動物及び無脊椎動物、例えば、魚、甲殻類、爬虫類、及び特に、哺乳動物が含まれる。「哺乳動物」としては、マウス、ラット、ウサギ、モルモット、イヌ、ネコ、ヒツジ、ヤギ、ウシ、ウマ、霊長類、例えば、サル、チンパンジー、及び類人猿、及び特に、ヒトが挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、対象は、ヒトであり得る。いくつかの実施形態では、対象は、小児及び/又は乳児、例えば、発熱した小児又は乳児であり得る。他の実施形態では、対象は、成人であり得る。
【0049】
本明細書で使用される場合、「治療する」、「治療すること」、「治療」、「治療的」、及び「療法」という用語は、必ずしも疾患又は病態の完全な治癒又は消滅を意味するとは限らない。疾患又は病態の任意の所望されない兆候又は症状の任意の程度までの任意の緩和が、治療及び/又は療法とみなされ得る。更に、治療は、対象の健康又は外観についての全体的な感覚を悪化させ得る行為を含み得る。
【0050】
「有効量」という用語は、示される生物学的又は薬学的応答を誘発する、活性化合物又は薬剤の量を示すために使用される。例えば、有効量の化合物、塩又は組成物は、疾患又は病態の症状を予防、緩和、若しくは改善するか、又は治療されている対象の生存を延長するために必要な量であってもよい。この応答は、組織、系、動物、又はヒトにおいて生じる場合があり、治療されている疾患又は病態の兆候又は症状の緩和を含む。有効量の判定は、本明細書に提供される本開示を考慮して、十分当業者の能力の範囲内である。用量として必要とされる本明細書に開示される化合物の有効量は、投与経路、治療されているヒトを含む動物のタイプ、及び考慮中の特定の動物の身体特性に依存するであろう。用量は、所望の効果を達成するように調整され得るが、体重、食生活、併用投薬及び医療分野
の当業者が認識するであろう他の要因などの要因に依存するであろう。
【0051】
例えば、化合物又は放射線の有効量は、(a)がんによって引き起こされる1つ以上の症状の低減、緩和、若しくは消失、(b)腫瘍サイズの低減、(c)腫瘍の除去、及び/又は(d)腫瘍の長期疾患安定化(増殖停止)、をもたらす量である。
【0052】
いくつかの実施形態では、疾患又は病態は、トリプルネガティブ乳がんであり得る。いくつかの実施形態では、トリプルネガティブ乳がんは、局所トリプルネガティブ乳がんであり得る(本明細書で使用される場合、「局所」乳がんは、がんが身体の他の領域に広がっていないことを意味する)。他の実施形態では、トリプルネガティブ乳がんは、転移性トリプルネガティブ乳がんであり得る。対象は、以前に治療されたことのない乳がんを有してもよい。
【0053】
いくつかの実施形態では、対象にトリプルネガティブ乳がんが存在してもよく、対象は女性であってもよい。女性が中年に近づくと、女性は閉経の段階になり得る。いくつかの実施形態では、対象は閉経前の女性であってもよい。他の実施形態では、対象は、閉経周辺期の女性であってもよい。更に他の実施形態では、対象は、閉経期の女性であってもよい。なおも更に他の実施形態では、対象は、閉経後の女性であってもよい。他の実施形態では、対象にトリプルネガティブ乳がんが存在してもよく、対象は男性であってもよい。対象の血清エストラジオール濃度は変化してもよい。いくつかの実施形態では、対象の血清エストラジオール濃度(E2)は、15pg/mL超~350pg/mLの範囲内であってもよい。他の実施形態では、対象の血清エストラジオール濃度(E2)は、15pg/mL以下であってもよい。他の実施形態では、対象の血清エストラジオール濃度(E2)は、10pg/mL以下であってもよい。
【0054】
いくつかの実施形態では、疾患又は病態は、アミロイドーシスであり得る。アミロイドーシスは、タンパク質のミスフォールディング及び組織に沈着する高度に秩序化されたアミロイド線維への凝集によって引き起こされる疾患の群を指す。アミロイドーシスのタイプのいくつかには、アミロイド軽鎖(amyloid light-chain、AL)アミロイドーシス、
アミロイドA型(amyloid type A、AA)アミロイドーシス、透析関連アミロイドーシス(dialysis-related amyloidosis、DRA)、家族性又は遺伝性アミロイドーシス、加齢性(老人性)全身性アミロイドーシス、及び臓器特異的アミロイドーシスが含まれる。治療せずに放置すると、アミロイドーシスは進行性の臓器損傷をもたらす可能性がある。現在のアミロイドーシス治療には、化学療法、幹細胞移植療法、ステロイド療法、基礎疾患の治療、及びそれらの組み合わせが含まれる。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の併用療法は、アミロイドーシスを治療するために使用することができる。いくつかの実施形態では、アミロイドーシスは、アミロイド軽鎖(AL)アミロイドーシス、アミロイドA型(AA)アミロイドーシス、透析関連アミロイドーシス(DRA)、家族性又は遺伝性アミロイドーシス、加齢性(老人性)全身性アミロイドーシス、臓器特異的アミロイドーシス及びそれらの組み合わせから選択され得る。対象は、以前に治療されたことのないアミロイドーシスを有してもよい。
【0055】
いくつかの場合では、治療に続いて、対象は、疾患又は病態が再燃又は再発する場合がある。本明細書で使用される場合、「再燃」及び「再発」という用語は、当業者によって理解されるように、それらの通常の意味で使用される。例えば、乳がんは、再発性乳がんであり得る。いくつかの実施形態では、対象は、以前の治療後に再燃している。例として、本明細書に記載の薬剤でトリプルネガティブ乳がんを以前に治療されたことがあった対象は、トリプルネガティブ乳がんの再発を有し得る。再発性トリプルネガティブ乳がんと診断されている対象が以前に治療された例示的な薬剤の非限定的なリストには、本明細書に記載のものなどの、化学療法剤、PARP阻害剤及び/又はPD-L1阻害剤が含まれ
る。追加的な例として、アミロイドーシスは、再発性アミロイドーシスであり得る。いくつかの実施形態では、対象は、ALアミロイドーシスの以前の治療後に再燃している。
【0056】
いくつかの実施形態では、疾患又は病態は、多発性骨髄腫であり得る。いくつかの実施形態では、疾患又は病態は、急性骨髄性白血病(acute myeloid leukemia、AML)であり得る。本明細書に記載の他の疾患及び病態と同様に、対象は、以前に治療された後に再燃している場合がある。例えば、多発性骨髄腫と診断された対象は、抗CD38モノクローナル抗体、プロテアソーム阻害剤及び/又は免疫調節剤で以前に治療されている場合がある。いくつかの実施形態では、急性骨髄性白血病と診断された対象は、化学療法剤で以前に治療されている場合がある。
【0057】
治療で使用するために必要とされる化合物、塩、及び/又は組成物の量は、選択された特定の化合物又は塩だけはなく、投与経路、治療されている疾患又は病態の性質及び/又は症状、並びに患者の年齢及び病態によっても変化し、最終的に、主治医若しくは臨床医の判断によることになる。薬学的に許容される塩の投与の場合、投薬量は、遊離塩基として計算され得る。当業者によって理解されるように、ある特定の状況において、特に進行性の疾患若しくは状態を効果的かつ積極的に治療するために、本明細書に記載の投薬量範囲を超えるか、又ははるかに超えさえする量で、本明細書に開示の化合物を投与することが必要であり得る。
【0058】
当業者には容易に明らかになるように、投与される有用なインビボ投薬量及び特定の投与様式は、年齢、体重、苦痛の重症度、治療される哺乳動物種、用いられる特定の化合物、及びこれらの化合物が用いられる特定の用途に応じて変動するであろう。有効な投薬量レベル、つまり所望の結果を達成するために必要な投薬量レベルの判定は、慣習的な方法、例えば、ヒト臨床試験、インビボ研究及びインビトロ研究を使用して、当業者によって達成することができる。例えば、化合物(A)、(B)及び/若しくは(C)、又は前述のうちのいずれかの薬学的に許容される塩の有用な投与量は、動物モデルにおけるそれらのインビトロ活性及びインビボ活性を比較することによって判定され得る。そのような比較は、シスプラチン及び/又はゲムシタビン)などの確立された薬物との比較によって行われ得る。
【0059】
投薬量の量及び間隔は、活性部分が調節作用又は最小有効濃度(minimal effective concentration、MEC)を維持するのに十分である血漿濃度を提供するように、個々に調
節されてもよい。MECは、化合物ごとに変化するが、インビボ及び/又はインビトロデータから推定することができる。MECを達成するために必要な投薬量は、個々の特性及び投与経路に依存するであろう。しかしながら、血漿濃度を判定するためには、HPLCアッセイ又はバイオアッセイを使用することができる。投薬量間隔もまた、MEC値を使用して判定することができる。組成物は、10~90%の期間、好ましくは30~90%及び最も好ましくは50~90%にわたって、MECを超える血漿レベルを維持する計画を使用して投与されるべきである。局所投与又は選択的取り込みの場合、薬物の有効局所濃度は、血漿濃度に関係しない場合がある。
【0060】
毒性又は臓器機能不全により、投与の終了、中断、又は調節の方法及び時期については、主治医が承知しているであろうことに留意されたい。反対に、主治医は、臨床応答が適切ではない(毒性を除外する)場合、治療をより高いレベルに調節することも承知しているであろう。対象となる疾患の管理において投与される用量の大きさは、治療される疾患又は病態の重症度及び投与経路によって変化するであろう。疾患又は病態の重症度は、例えば、ある程度は、標準的な予後評価方法によって評価され得る。更に、用量及び恐らく用量頻度はまた、個々の患者の年齢、体重及び応答によっても変化するであろう。上で考察されたものと同等のプログラムが、獣医学で使用され得る。
【0061】
本明細書に開示の化合物、塩、及び組成物は、既知の方法を使用して有効性及び毒性に関して評価され得る。例えば、ある特定の化学部分を共有する特定の化合物又は化合物のサブセットについての毒性学は、哺乳動物の細胞株、好ましくはヒトの細胞株などの細胞株に対するインビトロ毒性を評価することによって確立され得る。そのような研究の結果は、多くの場合、哺乳動物、又は特にヒトなどの動物における毒性を予測する。代替的に、マウス、ラット、ウサギ、イヌ又はサルなどの動物モデルにおける特定の化合物の毒性は、既知の方法を使用して判定され得る。特定の化合物の有効性は、インビトロ方法、動物モデル、又はヒト臨床試験などのいくつかの認められた方法を使用して確立され得る。有効性を決定するためのモデルを選択する場合、当業者は、適切なモデル、用量、投与経路及び/又はレジメンを選択するにあたり最先端の技術を指針とすることができる。
【実施例
【0062】
特許請求の範囲の範囲を決して限定するものではない、更なる実施形態が、以下の実施例において更に詳細に開示される。
【0063】
細胞増殖は、CellTiter-Glo(登録商標)発光細胞生存率アッセイを使用して測定した。このアッセイは、血清を補充した培地で培養された細胞への単一の試薬(CellTiter-Glo(登録商標)試薬)の直接の添加を伴った。OPM-2、MOLM-13及びHL-60細胞を、ATCC推奨に従って培養し、ウェル当たり10,000個の細胞を播種した。
【0064】
化合物(1A)、化合物(B)及びデキサメタゾン又はアザシチジンをDMSOストック溶液(10mM)として調製した。OPM-2細胞株については、デキサメタゾンを使用して化合物を3回試験した。MOLM-13及びHL-60細胞株化合物を、アザシチジンを使用して3回試験した。それぞれの濃度を図3及び4に示し、表2及び3に要約する。プレートを37℃、5%COで、72時間インキュベートし、次いで、室温(room
temperature、RT)でおよそ30分間平衡化した。等量のCellTiter-Glo(登録商標)試薬(100μL)を各ウェルに添加した。プレートをオービタルシェーカで2分間混合して細胞溶解を誘導し、次いで、室温で10分間インキュベートして、発光シグナルを安定化させた。CellTiter-Gloプロトコルに従ってSpectraMAX,M5eプレートリーダーを使用して、発光(RLU(relative light unit、
相対発光量))を記録した。阻害パーセントは、次式:%阻害=(RLU×100/(細胞バックグラウンドのRLU))を使用して計算した。
【0065】
【表2】
【0066】
【表3】
【0067】
異種移植腫瘍モデル
マウスに、腫瘍発生のために血清を含まない100μLのIMDMマトリゲル混合物(1:1比)中の95%生存腫瘍細胞(1×10)の単細胞懸濁液で、右脇腹の皮下にHL-60細胞を接種した。平均腫瘍サイズがおよそ214mm(個々の腫瘍サイズの範囲は185~245mm)に達した時点で治療を開始した。動物を、各々10匹の動物の治療群にランダムに配分し、ビヒクル及び示された化合物を、図5及び表4に示す、示された投与量及び頻度で投薬した。図5において、下の線は、化合物(1A)25mg/kg p.o.qd×21+化合物(B)30mg/kg p.o.pd×21+アザシチジン1mg/kg IP 5日投薬2日休薬×3サイクルであり、下から2番目の線は、化合物(1A)+化合物(B)であり、下から3番目の線は、化合物(1A)+アザシチジンであり、下から4番目の線は、化合物(1A)であり、上の線は、ビヒクルであり、上から2番目の線は、化合物(B)であり、残りの2つの線は、アザシチジン(三角形で示す)及び化合物(B)+アザシチジン(菱形で示す)である。腫瘍体積を週に2回評価して、腫瘍体積を経時的に計算し、マウスを毒性の兆候の代理として週に2回秤量した。腫瘍増殖阻害(tumor growth inhibition、TGI)は、次式:TGI=(1-(Td
-T0)/(Cd-C0))×100%を使用して計算した。Td及びCdは、治療動物及び対照動物の平均腫瘍体積であり、T0及びC0は、試験開始時の治療動物及び対照動物の平均腫瘍体積である。腫瘍退縮を、個々の腫瘍体積(tumor volume、TV)減少(初期TVと比較した末期TV)として定義した。図5及び表4は、25mg/kgの化合物(1A)、30mg/kgの化合物(B)及び1mg/kgのアザシチジンの単剤、二剤及び三剤治療を例示する。化合物(1A)(25mg/kg)+化合物(B)(30mg/kg)とアザシチジンとの組み合わせは、18日目に90%の腫瘍増殖阻害を呈した。
【0068】
【表4】
【0069】
マウスに、腫瘍発生のために血清を含まない100μLのIMDMマトリゲル混合物(
1:1比)中の95%生存腫瘍細胞(1×10)の単細胞懸濁液で、右脇腹の皮下にOPM-2細胞を接種した。平均腫瘍サイズがおよそ200mm(個々の腫瘍サイズの範囲は185~225mm)に達した時点で治療を開始した。動物を、各々10匹の動物の治療群にランダムに配分し、ビヒクル及び示された化合物を、図6及び表5に示す、示された投与量及び頻度で投薬した。図6において、下の線は、化合物(1A)100mg/kg p.o.qd×21+化合物(B)60mg/kg p.o.pd×21+ボルテゾミブ0.5mg/kg IP BIW(週2回)×3であり、下から2番目の線は、化合物(1A)+化合物(B)であり、下から3番目の線は、化合物(B)+ボルテゾミブであり、下から4番目の線は、化合物(B)であり、上の線は、ビヒクルであり、上から2番目は、ボルテゾミブであり、上から3番目の線(四角形で示す)は、化合物(1A)であり、上から4番目の線は、化合物(1A)+ボルテゾミブである。腫瘍体積を週に2回評価して、腫瘍体積を経時的に計算し、マウスを毒性の兆候の代理として週に2回秤量した。腫瘍増殖阻害(TGI)は、次式:TGI=(1-(Td-T0)/(Cd-C0))×100%を使用して計算した。Td及びCdは、治療動物及び対照動物の平均腫瘍体積であり、T0及びC0は、試験開始時の治療動物及び対照動物の平均腫瘍体積である。腫瘍退縮を、個々の腫瘍体積(TV)減少(初期TVと比較した末期TV)として定義した。図6及び表5は、100mg/kgの化合物(1A)、60mg/kgの化合物(B)及び0.5mg/kgのボルテゾミブの単剤、二剤及び三剤治療を例示する。化合物(1A)(100mg/kg)+化合物(B)(60mg/kg)とボルテゾミブとの組み合わせは、17日目に87%の腫瘍増殖阻害を呈した。追加的に、三剤併用は、単剤及び二剤併用と比較して、腫瘍滞留をもたらした。
【0070】
【表5】
【0071】
マウスに、腫瘍発生のために血清を含まない100μLのIMDMマトリゲル混合物(1:1比)中の95%生存腫瘍細胞(1×10)の単細胞懸濁液で、右脇腹の皮下にKMS-12-BM細胞を接種した。平均腫瘍サイズがおよそ193mm(個々の腫瘍サイズの範囲は185~220mm)に達した時点で治療を開始した。動物を、各々10匹の動物の治療群にランダムに配分し、ビヒクル及び示された化合物を、図7及び表6に示す、示された投与量及び頻度で投薬した。図7において、下の線は、化合物(1A)100mg/kg p.o.qd×21+化合物(B)60mg/kg p.o.pd×21+デキサメタゾン1mg/kg IP 5日投薬2日休薬×3であり、下から2番目の線は、化合物(1A)+化合物(B)であり、下から3番目の線は、化合物(B)+デキサメタゾンであり、下から4番目の線(三角形で示す)は、化合物(B)であり、上の線は、ビヒクルであり、上から2番目の線は、デキサメタゾンであり、上から3番目の線は、化合物(1A)であり、残りの線は、化合物(1A)+デキサメタゾンである。腫瘍体積を週に2回評価して、腫瘍体積を経時的に計算し、マウスを毒性の兆候の代理として週に2回秤量した。腫瘍増殖阻害(TGI)は、次式:TGI=(1-(Td-T0)/(
Cd-C0))×100%を使用して計算した。Td及びCdは、治療動物及び対照動物の平均腫瘍体積であり、T0及びC0は、試験開始時の治療動物及び対照動物の平均腫瘍体積である。腫瘍退縮を、個々の腫瘍体積(TV)減少(初期TVと比較した末期TV)として定義した。腫瘍退縮率は、式:(1-(Td/T0))×100%を使用して計算した。図7及び表6は、100mg/kgの化合物(1A)、60mg/kgの化合物(B)及び1mg/kgのデキサメタゾンの単剤、二剤及び三剤治療を例示する。化合物(1A)(100mg/kg)+化合物(B)(60mg/kg)とデキサメタゾンとの組み合わせは、10日目に113%の腫瘍増殖阻害、及び21日目に79%の腫瘍退縮を呈した。
【0072】
【表6】
【0073】
マウスに、腫瘍発生のために血清を含まない100μLのDMDMマトリゲル混合物(1:1比)中の95%生存腫瘍細胞(1×10)の単細胞懸濁液で、右脇腹の皮下にMDA-MB-436細胞(TNBC乳がん細胞株)を接種した。平均腫瘍サイズがモデルごとにおよそ210mm(個々の腫瘍体積は180~240mm)に達した時点で治療を開始した。動物を、各々8匹の動物の治療群にランダムに配分し、ビヒクル及び示された化合物を、図8及び表7に示す、示された投与量及び頻度で投薬した。図8において、上の線(丸形で示す)は、ビヒクル対照であり、上から2番目の線(菱形で示す)は、化合物(1A)(200mg/kg 10mL/kg p.o.qd×40)であり、上から3番目の線(三角形で示す)は、化合物(B)(60mg/kg 10mL/kg p.o.qd×40)。下の線(丸形で示す)は、化合物(1A)(200mg/kg 10mL/kg p.o.qd×40)+化合物(B)(60mg/kg 10mL/kg p.o.qd×40)である。腫瘍体積を週に2回評価して、腫瘍体積を経時的に計算し、マウスを毒性の兆候の代理として週に2回秤量した。腫瘍増殖阻害(TGI)は、次式:TGI=(1-(Td-T0)/(Cd-C0))×100%を使用して計算した。Td及びCdは、治療動物及び対照動物の平均腫瘍体積であり、T0及びC0は、試験開始時の治療動物及び対照動物の平均腫瘍体積である。腫瘍退縮を、個々の腫瘍体積(TV)減少(初期TVと比較した末期TV)として定義した。図8及び表7は、200mg/kgでの化合物(1A)の単剤治療が60%の有効性をもたらし、60mg/kgでの化合物(B)を用いた単剤治療が55%の有効性をもたらしたことを例示する。対照的に、化合物(1A)(200mg/kg)と化合物(B)(60mg/kg)との組み合わせは、40日目に83%の有意なTGIを呈した。
【0074】
【表7】
【0075】
多発性骨髄腫モデル
(11;14)における転座を含む(すなわち、KMS-12BM)か、又は(11;14)における転座を含まない(すなわち、OPM-2)多発性骨髄腫(Multiple myeloma、MM)細胞株を選択する。MMモデルにおける化合物活性は、アミロイドーシス(例えば、ALアミロイドーシス)モデル及び/又は患者における活性を予測することが理解される。
【0076】
化合物(A)のデキサメタゾンとの組み合わせ効果を、KMS-12-BMマウスモデルにおいて研究する。マウスに、腫瘍発生のために血清を含まない200μLのRPMI-1640マトリゲル混合物(1:1比)中の95%生存腫瘍細胞(1×10)の単細胞懸濁液で、右脇腹の皮下にKMS-12-BM細胞を接種する。平均腫瘍サイズがおよそ200mm(個々の腫瘍サイズの範囲は180~220mm)に達した時点で治療を開始する。動物を、各々10匹の治療群にランダムに配分し、各群に、ビヒクル及び化合物を、所定の投与量及び頻度で投薬した。腫瘍体積を週に2回評価して、腫瘍体積を経時的に計算し、マウスを毒性の兆候の代理として週に2回秤量する。腫瘍増殖阻害(TGI)を、次式:TGI=(1-(T-T)/(C-C))×100%を使用して計算する。T及びCは、治療動物及び対照動物の平均腫瘍体積であり、T及びCは、実験開始時の治療動物及び対照動物の平均腫瘍体積である。
【0077】
化合物(A)のボルテゾミド(bortezomide)との組み合わせ効果を、KMS-12-BMマウスモデルにおいて研究する。マウスに、腫瘍発生のために血清を含まない200μLのRPMI-1640マトリゲル混合物(1:1比)中の95%生存腫瘍細胞(1×10)の単細胞懸濁液で、右脇腹の皮下にKMS-12-BM細胞を接種する。平均腫瘍サイズがおよそ200mm(個々の腫瘍サイズの範囲は180~220mm)に達した時点で治療を開始する。動物を、各々10匹の治療群にランダムに配分し、各群に、ビヒクル及び示された化合物を、所定の投与量及び頻度で投薬した。腫瘍体積を週に2回評価して、腫瘍体積を経時的に計算し、マウスを毒性の兆候の代理として週に2回秤量する。腫瘍増殖阻害(TGI)を、次式:TGI=(1-(T-T)/(C-C))×100%を使用して計算する。T及びCは、治療動物及び対照動物の平均腫瘍体積であり、T及びCは、実験開始時の治療動物及び対照動物の平均腫瘍体積である。
【0078】
肺がんモデル
化合物(1A)と化合物(B)との組み合わせを利用して、HL-60細胞の代わりにH23(非小細胞肺)細胞又はDMS53(小細胞肺細胞)細胞を用いて、国際公開第2021/127044号に提供される異種移植腫瘍モデルを使用して、データを生成した。データは、化合物(1A)+化合物(B)の二重併用が、各々の前述の化合物が単剤として使用される場合の有効性と比較して、増加した有効性を有することを実証している。結果を図9及び図10に示す。両方の図に示すように、化合物(1A)及び化合物(B)の二重併用の有効性は、異なる投薬スケジュールを使用しても維持された。図9において
、上の線は、(丸形で示すビヒクルであり)、上から2番目の線(菱形で示す)は、化合物(1A)であり、下から2番目の線((三角形で示す)は、化合物(B)であり、下の線(丸形で示す)は、化合物(1A)+化合物(B)である。図10において、上の線は、(丸形で示すビヒクルであり)、上から2番目の線(四角形で示す)は、化合物(B)であり、下から2番目の線(菱形で示す)は、化合物(1A)であり、下の線(菱形で示す)は、化合物(1A)+化合物(B)である。
【0079】
表2~6及び図3図7のデータは、化合物(A)-Bcl-2阻害剤、化合物(B)-WEE1阻害剤及び抗がん薬(デキサメタゾン、ボルテゾミブ及びアザシチジン)の三剤併用が、多発性骨髄腫(KMS-12-BM及びOPM-2)及び白血病(MOLM13及びHL60)などの単剤及び二剤と比較して、がんを治療するためにより有効性が高いことを実証している。加えて、表7並びに図9及び図10に示すように、化合物(A)-Bcl-2阻害剤及び化合物(B)-WEE1阻害剤の二重併用は、がん、例えば、非小細胞肺がん及び小細胞肺がんに対して有効である。
【0080】
更に、上文は、明確さ及び理解のために、図及び実施例としてある程度詳細に記述されているが、本開示の趣旨を逸脱することなく数多くの様々な修正がなされ得ることが、当業者によって理解されるであろう。したがって、本明細書に開示の形態は例解的であるにすぎず、本開示の範囲を限定することは意図されていないが、むしろ本開示の真の範囲及び趣旨に沿った全ての修正及び代替形態を包含することも明確に理解するべきである。
図1-1】
図1-2】
図2-1】
図2-2】
図2-3】
図2-4】
図2-5】
図2-6】
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
【国際調査報告】