(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-12-26
(54)【発明の名称】官能基化N-アセチルガラクトサミンアナログ
(51)【国際特許分類】
C07H 5/06 20060101AFI20241219BHJP
C07H 15/26 20060101ALI20241219BHJP
A61K 47/60 20170101ALI20241219BHJP
A61K 47/54 20170101ALI20241219BHJP
C07H 21/00 20060101ALI20241219BHJP
A61K 31/7088 20060101ALI20241219BHJP
A61K 48/00 20060101ALI20241219BHJP
C12N 15/11 20060101ALN20241219BHJP
C12N 15/87 20060101ALN20241219BHJP
【FI】
C07H5/06 CSP
C07H15/26
A61K47/60
A61K47/54
C07H21/00
A61K31/7088
A61K48/00
C12N15/11 Z ZNA
C12N15/87 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024529546
(86)(22)【出願日】2022-12-13
(85)【翻訳文提出日】2024-07-16
(86)【国際出願番号】 US2022081413
(87)【国際公開番号】W WO2023114746
(87)【国際公開日】2023-06-22
(32)【優先日】2021-12-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523460578
【氏名又は名称】ホンジーン バイオテック コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】プーン, ウィング シー.
(72)【発明者】
【氏名】グアン, シャオヤン
(72)【発明者】
【氏名】ユー, デイビッド
(72)【発明者】
【氏名】ゾウ, ルイミン
(72)【発明者】
【氏名】リー, シャオジュン
(72)【発明者】
【氏名】スー, マイケル
(72)【発明者】
【氏名】ジャオ, ガン
(72)【発明者】
【氏名】ドゥ, ゲンユー
(72)【発明者】
【氏名】ヤオ, ユン-チャオ
(72)【発明者】
【氏名】ラウ, アルドリッチ エヌ.ケー.
【テーマコード(参考)】
4C057
4C076
4C084
4C086
【Fターム(参考)】
4C057AA30
4C057BB02
4C057CC03
4C057DD02
4C057JJ55
4C057MM01
4C076AA95
4C076CC41
4C076DD60
4C076DD66
4C076EE23
4C076EE59
4C076FF70
4C084AA13
4C084NA13
4C086AA01
4C086AA03
4C086AA04
4C086EA16
4C086MA01
4C086MA04
4C086NA13
(57)【要約】
本出願の実施形態は、官能基化N-アセチルガラクトサミンアナログ、それを作製する方法およびその使用に関する。特に、一価または三価N-アセチルガラクトサミンアナログは、官能基を含有する幅広いリンカーを利用することによって調製することができる。これらの官能基化N-アセチルガラクトサミンアナログは、オリゴヌクレオチドベースの治療剤の標的化された送達の調製に使用され得る。本開示の追加的な態様は、式(I)、(Ia)、(Ib)、(Ic)、(Id-1)、(Id-2)、(Id-3)、(Id-4)、(Id-5)、(Id-6)、(Id-7)、(Id-8)、(II)、(IIa)、(IIb)、(IIc)、(IId)、(IIe-1)、(IIe-2)、(IIe-3)、(IIe-4)、(IIe-5)、(IIe-6)、(IIe-7)または(IIe-8)の本明細書に記載されている化合物をオリゴヌクレオチドと反応させるステップを含む、合成オリゴヌクレオチドを調製する方法に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I):
【化66】
の化合物または薬学的に許容されるその塩であって、式中、
R
1、R
2およびR
3はそれぞれ、独立して、水素、ベンジルまたは-C(=O)R
8であり、
R
4は、-C(=O)C
1~6アルキルまたは-C(=O)C
1~6ハロアルキルであり、
R
5は、ヒドロキシ保護基であり、
R
6は、水素、ホスホルアミダイト部分、-C(=O)CH
2CH
2C(=O)R
6Aまたは-P(OR
6B)NR
6CR
6Dであり、
Y
1は、NR
7、NR
7C(=O)、O、C(=O)Oまたは結合であり、
L
1、L
2およびL
3はそれぞれ、独立して、結合、-C(=O)-、-C(=S)-、-S(=O)
2-、-C(=O)NR
9-、-C(=S)NR
9-、-C(=O)O-、-C(=S)O-、-NR
9C(=O)NR
9-、-NR
9C(=S)NR
9-、-OP(=O)(OH)O-、-OP(=S)(OH)O-、-O-、-S-、-NR
9-、必要に応じて置換されているC
1~10アルキレン、必要に応じて置換されているC
6~10アリーレン、必要に応じて置換されているC
3~10シクロアルキレン、必要に応じて置換されている5~10員のヘテロアリーレン、必要に応じて置換されている5~10員のヘテロシクリレンまたは必要に応じて置換されている2~15員のヘテロアルキレンであり、ここで1個または複数の炭素原子がC(=O)、O、SまたはNにより置き換えられており、ただし、L
1、L
2およびL
3のうちの少なくとも1つは結合ではなく、
L
4は、結合または必要に応じて置換されているC
1~8アルキレンであり、
R
7およびR
9はそれぞれ、独立して、水素、無置換C
1~6アルキルまたは置換C
1~6アルキルであり、
R
8はそれぞれ、独立して、C
1~6アルキル、C
1~6ハロアルキルまたは必要に応じて置換されているフェニルであり、
R
6Aは、-OH、-OR
10または-NR
11R
12であり、
R
6B、R
6CおよびR
6Dはそれぞれ、独立して、H、C
1~6ハロアルキルまたは無置換もしくは置換C
1~6アルキルであり、
R
10は、無置換もしくは置換C
1~6アルキルまたはヒドロキシ保護基であり、
R
11およびR
12はそれぞれ、独立して、H、無置換もしくは置換C
1~6アルキルまたはアミノ保護基であり、
mおよびnはそれぞれ、独立して、1、2、3、4、5または6であり、
xは、0、1、2、3、4、5または6であり、
R
Nはそれぞれ、独立して、ハロ、シアノ、ヒドロキシ、アミノ、無置換C
1~6アルキル、置換C
1~C
6アルキル、C
1~C
6ハロアルキル、ヒドロキシ(C
1~C
6アルキル)、アミノ(C
1~C
6アルキル)、(C
1~C
6アルキル)アミノ、C
1~C
6アルコキシ、C
1~C
6ハロアルコキシ、(C
1~C
6アルコキシ)C
1~C
6アルキルまたは-O(C
1~C
6アルコキシ)C
1~C
6アルキルであるか、または同一炭素原子に結合している2つの隣接R
Nは、オキソ(=O)を形成する、
化合物または薬学的に許容されるその塩。
【請求項2】
xが0である、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
式(Ia):
【化67】
よっても表されるか、または薬学的に許容されるその塩である、請求項1に記載の化合物。
【請求項4】
L
4がC
1~6アルキレンである、請求項1から3のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項5】
Y
1がC(O)Oであり、前記化合物が、式(Ib):
【化68】
によっても表されるか、または薬学的に許容されるその塩である、請求項1から4のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項6】
Y
1がNHC(=O)であり、前記化合物が、式(Ic):
【化69】
よっても表されるか、または薬学的に許容されるその塩である、請求項1から4のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項7】
L
4が結合である、請求項1から3のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項8】
Y
1が結合である、請求項1から4および7のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項9】
R
1、R
2およびR
3がそれぞれ、独立して、H、-C(=O)CH
3または-C(=O)Phである、請求項1から8のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項10】
R
1、R
2およびR
3がそれぞれ、-C(=O)CH
3である、請求項9に記載の化合物。
【請求項11】
R
4が-C(=O)CH
3または-C(=O)CF
3である、請求項1から10のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項12】
L
1、L
2およびL
3がそれぞれ、独立して、結合、C
1~10アルキレン、または3~15員のヘテロアルキレンであり、ここで1個または複数の炭素原子がC(=O)、OまたはNにより置き換えられている、請求項1から11のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項13】
前記3~15員のヘテロアルキレンが、1~5つの-OCH
2CH
2-繰り返し単位を含むPEGリンカーである、請求項12に記載の化合物。
【請求項14】
mとnの両方が1、2または3である、請求項1から13のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項15】
R
5が、(4-メトキシフェニル)ジフェニルメチル、ビス(4-メトキシフェニル)フェニルメチル(DMTr)、トリス(4-メトキシフェニル)メチル、9-フェニルキサンテン-9-イルまたは9-(4-メトキシフェニル)キサンテン-9-イルから選択されるトリチル型のヒドロキシ保護基である、請求項1から14のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項16】
R
6が-C(=O)CH
2CH
2C(=O)OHである、請求項1から15のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項17】
R
6が、
【化70】
である、請求項1から15のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項18】
前記化合物が、
【化71】
【化72】
ならびに薬学的に許容されるその塩からなる群より選択され、式中、Acが-C(O)CH
3であり、mおよびnがそれぞれ、独立して、1または2であり、R
6が、-C(=O)CH
2CH
2C(=O)OHまたは
【化73】
である、請求項1に記載の化合物。
【請求項19】
L
1、L
2およびL
3がそれぞれ、独立して、結合、C
1~10アルキレン、3~15員のヘテロアルキレン(ここで1個または複数の炭素原子が、C(=O)、OもしくはNにより置き換えられている)または1~5つの-OCH
2CH
2-繰り返し単位を含むPEGリンカーである、請求項18に記載の化合物。
【請求項20】
構造:
【化74】
【化75】
【化76】
を有するか、または薬学的に許容されるその塩である、請求項18または19に記載の化合物。
【請求項21】
式(II):
【化77】
の化合物または薬学的に許容されるその塩であって、式中、
R
1a、R
1b、R
1c、R
2a、R
2b、R
2c、R
3a、R
3bおよびR
3cはそれぞれ、独立して、水素、ベンジルまたは-C(=O)R
8であり、
R
4a、R
4bおよびR
4cはそれぞれ、独立して、-C(=O)C
1~6アルキルまたは-C(=O)C
1~6ハロアルキルであり、
R
5は、ヒドロキシ保護基であり、
R
6は、水素、ホスホルアミダイト部分、-C(=O)CH
2CH
2C(=O)R
6Aまたは-P(OR
6B)NR
6CR
6Dであり、
Y
2は、結合、NR
7、NR
7C(=O)、C(=O)OまたはOであり、
X
1、X
2およびX
3がそれぞれ、独立して、-O(CH
2)
1~3-、-NH(CH
2)
1~3-、-C(=O)(CH
2)
1~3-または-NHC(=O)(CH
2)
1~3-であり、
L
1a、L
1b、L
1c、L
2a、L
2b、L
2c、L
3a、L
3bおよびL
3cはそれぞれ、独立して、結合、-C(=O)-、-C(=S)-、-S(=O)
2-、-C(=O)NR
9-、-C(=S)NR
9-、-C(=O)O-、-C(=S)O-、-NR
9C(=O)NR
9-、-NR
9C(=S)NR
9-、-OP(=O)(OH)O-、-OP(=S)(OH)O-、-O-、-S-、-NR
9-、必要に応じて置換されているC
1~10アルキレン、必要に応じて置換されているC
6~10アリーレン、必要に応じて置換されているC
3~10シクロアルキレン、必要に応じて置換されている5~10員のヘテロアリーレン、必要に応じて置換されている5~10員のヘテロシクリレンまたは必要に応じて置換されている2~15員のヘテロアルキレンであり、ここで1個または複数の炭素原子がC(=O)、O、SまたはNにより置き換えられており、ただし、L
1a、L
1bおよびL
1cのうちの少なくとも1つは結合ではなく、L
2a、L
2bおよびL
2cのうちの少なくとも1つは結合ではなく、L
3a、L
3bおよびL
3cのうちの少なくとも1つは結合ではなく、
L
4は、結合、必要に応じて置換されているC
1~8アルキレンまたは-(CH
2)
1~3(OCH
2CH
2)
1~5OCH
2-であり、
L
5は、結合、必要に応じて置換されているC
1~10アルキレン、または必要に応じて置換されている2~15員のヘテロアルキレンであり、ここで1個または複数の炭素原子がC(=O)、O、SまたはNにより置き換えられており、
R
7およびR
9はそれぞれ、独立して、水素、無置換C
1~6アルキルまたは置換C
1~6アルキルであり、
R
8はそれぞれ、独立して、C
1~6アルキル、C
1~6ハロアルキルまたは必要に応じて置換されているフェニルであり、
R
6Aは、-OH、-OR
10または-NR
11R
12であり、
R
6B、R
6CおよびR
6Dはそれぞれ、独立して、H、C
1~6ハロアルキルまたは無置換もしくは置換C
1~6アルキルであり、
R
10は、無置換もしくは置換C
1~6アルキルまたはヒドロキシ保護基であり、
R
11およびR
12はそれぞれ、独立して、H、無置換もしくは置換C
1~6アルキルまたはアミノ保護基であり、
mおよびnはそれぞれ、独立して、1、2、3、4、5または6であり、
kは、0または1であり、
xは、0、1、2、3、4、5または6であり、
R
Nがそれぞれ、独立して、ハロ、シアノ、ヒドロキシ、アミノ、無置換C
1~6アルキル、置換C
1~C
6アルキル、C
1~C
6ハロアルキル、ヒドロキシ(C
1~C
6アルキル)、アミノ(C
1~C
6アルキル)、(C
1~C
6アルキル)アミノ、C
1~C
6アルコキシ、C
1~C
6ハロアルコキシ、(C
1~C
6アルコキシ)C
1~C
6アルキルまたは-O(C
1~C
6アルコキシ)C
1~C
6アルキルであるか、または同一炭素原子に結合している2つの隣接R
Nは、オキソ(=O)を形成する、
化合物または薬学的に許容されるその塩。
【請求項22】
kが0であり、R
7がHであり、前記化合物が、式(IIa):
【化78】
によっても表されるか、または薬学的に許容されるその塩である、請求項21に記載の化合物。
【請求項23】
xが0である、請求項21または22に記載の化合物。
【請求項24】
式(IIb):
【化79】
によっても表されるか、または薬学的に許容されるその塩である、請求項21または22に記載の化合物。
【請求項25】
L
4がC
1~6アルキレンである、請求項21から24のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項26】
Y
2がC(O)Oであり、前記化合物が、式(IIc):
【化80】
によっても表されるか、または薬学的に許容されるその塩である、請求項21から25のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項27】
Y
2がNHC(O)であり、前記化合物が、式(IId):
【化81】
によっても表されるか、または薬学的に許容されるその塩である、請求項21から25のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項28】
L
4が結合である、請求項21から24のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項29】
Y
2が結合である、請求項21から25および28のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項30】
L
5が、1個または複数の炭素原子がC(=O)、OまたはNにより置き換えられた2~15員のヘテロアルキレンである、請求項21から29のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項31】
L
5が-C(=O)-(CH
2)
1~5である、請求項30に記載の化合物。
【請求項32】
L
5が結合である、請求項21から29のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項33】
X
1およびX
3がそれぞれ、-C(=O)CH
2CH
2-であり、X
2が、-C(=O)CH
2-である、請求項21から32のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項34】
X
1およびX
3がそれぞれ、-NHC(=O)CH
2CH
2-であり、X
2が、-NHC(=O)CH
2-である、請求項21から32のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項35】
X
1、X
2およびX
3がそれぞれ、-OCH
2-、-NHCH
2-、-C(=O)CH
2CH
2-、-C(=O)CH
2-、-NHC(=O)CH
2CH
2-または-NHC(=O)CH
2-である、請求項21から32のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項36】
L
1a、L
1b、L
1c、L
2a、L
2b、L
2c、L
3a、L
3bおよびL
3cがそれぞれ、独立して、結合、C
1~10アルキレン、または3~15員のヘテロアルキレンであり、ここで1個または複数の炭素原子がC(=O)、OまたはNにより置き換えられている、請求項21から35のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項37】
前記3~15員のヘテロアルキレンが、1~5つの-OCH
2CH
2-繰り返し単位を含むPEGリンカーである、請求項36に記載の化合物。
【請求項38】
R
1a、R
1b、R
1c、R
2a、R
2b、R
2c、R
3a、R
3bおよびR
3cがそれぞれ、独立して、H、-C(=O)CH
3または-C(=O)Phである、請求項21から37のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項39】
R
1a、R
1b、R
1c、R
2a、R
2b、R
2c、R
3a、R
3bおよびR
3cがそれぞれ、-C(=O)CH
3である、請求項38に記載の化合物。
【請求項40】
R
4a、R
4bおよびR
4cがそれぞれ、-C(=O)CH
3または-C(=O)CF
3である、請求項21から39のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項41】
mとnの両方が1、2または3である、請求項21から40のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項42】
R
5が、(4-メトキシフェニル)ジフェニルメチル、ビス(4-メトキシフェニル)フェニルメチル(DMTr)、トリス(4-メトキシフェニル)メチル、9-フェニルキサンテン-9-イルまたは9-(4-メトキシフェニル)キサンテン-9-イルから選択されるトリチル型のヒドロキシ保護基である、請求項21から41のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項43】
R
6が-C(=O)CH
2CH
2C(=O)OHである、請求項21から42のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項44】
R
6が、
【化82】
である、請求項21から42のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項45】
以下
【化83】
【化84】
【化85】
【化86】
ならびに薬学的に許容されるその塩からなる群より選択され、式中、
X
1、X
2およびX
3はそれぞれ、-OCH
2-、-NHCH
2-、-C(=O)CH
2CH
2-、-C(=O)CH
2-、-NHC(=O)CH
2CH
2-もしくは-NHC(=O)CH
2-であるか、またはX
1およびX
3はそれぞれ、-C(=O)CH
2CH
2-であり、X
2は、-C(=O)CH
2-であるか、またはX
1およびX
3はそれぞれ、-NHC(=O)CH
2CH
2-であり、X
2は、-NHC(=O)CH
2-であり、
Acは、-C(O)CH
3であり、
mおよびnはそれぞれ、独立して、1または2であり、
R
5は、DMTrであり、
R
6は、-C(=O)CH
2CH
2C(=O)OHまたは
【化87】
である、請求項21に記載の化合物。
【請求項46】
構造:
【化88】
【化89】
【化90】
を有するか、または薬学的に許容されるその塩である、請求項45に記載の化合物。
【請求項47】
請求項1から46のいずれか一項に記載の化合物をオリゴヌクレオチドと反応させるステップを含む、合成オリゴヌクレオチドを調製する方法。
【請求項48】
前記オリゴヌクレオチドが、1~100核酸塩基長を有する、請求項47に記載の方法。
【請求項49】
前記反応が固体支持体上で行われる、請求項47または48に記載の方法。
【請求項50】
請求項47から49のいずれか一項に記載の方法によって調製される、オリゴヌクレオチド。
【請求項51】
請求項1から45のいずれか一項に記載の化合物を含む、固体支持体であって、前記化合物は、式(I)または(II)の化合物のR
6を介して前記固体支持体に共有結合により結合している、固体支持体。
【請求項52】
前記化合物が、部分:
【化91】
を介して前記固体支持体に共有結合により結合しており、式中、Wは、OまたはNHであり、破線は、必要に応じて追加のリンカーを介する前記固体支持体との接続を指し、波線は、前記化合物のR
6に共有結合している酸素原子の前記化合物の残りの部分への結合点を指す、請求項51に記載の固体支持体。
【請求項53】
前記化合物が、オリゴヌクレオチド配列に組み込まれている、請求項51または52に記載の固体支持体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
分野
本出願は、官能基化N-アセチルガラクトサミンアナログおよびその調製方法に関する。本明細書において開示されている官能基化N-アセチルガラクトサミンアナログは、オリゴヌクレオチドベースの治療剤の標的化されたin vivo送達に使用され得る。
【0002】
配列表への参照
本出願は、電子フォーマットの配列表と共に出願されている。この配列表は、2022年12月12日に作製された、1.90KBのサイズの「HGENE.013WO_Sequence_Listing.xml」と題するファイルとして提供される。この配列表の電子フォーマットにおける情報は、その全体が参照により本明細書に組み込まれている。
【背景技術】
【0003】
背景
関連技術の説明
オリゴヌクレオチドベースの薬物は、様々な疾患を処置する能力を有する強力な典型になる。N-アセチルガラクトサミン(GalNAc)は、アシアロ糖タンパク質受容体(ASGPR)とのその高い親和性から利点が得られる、十分に明確にされている肝臓に標的化された部分である。アシアロ糖タンパク質受容体は、クラスリン媒介性エンドサイトーシスにより、循環GalNAcコンジュゲートオリゴの摂取およびそのクリアランスを促すことができる。他のオリゴコンジュゲートに比べた、GalNAcコンジュゲートの最強の属性は、内在化および細胞輸送効率であり、これらによって、前臨床種およびヒト対象において、非常に低用量でほぼ完全なmRNAノックダウンが可能となる。このような差別化要因は、肝細胞における、ASGPRの高い膜密度および迅速なサイクルに関係しており、この場合、ASGPRが内在化し、リサイクルされて細胞表面に戻る。ASGPRの内在化および細胞表面への再利用には、わずか15分間しか必要としない。
【0004】
ASGPRは、ヒト系において、H1およびH2と表される2つの相同なサブユニットからなり、これらは、それぞれ、2:1および5:1の推定される比率で非共有結合ヘテロオリゴマー複合体を形成する。どちらのサブユニットも、カルシウム依存性Gal/GalNAc認識ドメイン(CRD)を有する、単回膜貫通タンパク質である。肝細胞表面における天然受容体表面では、これらの結合部位は、25~30Å離れている。モノ、ジ、トリまたはテトラGalNAc糖のすべてのコンジュゲーションが、肝細胞へのオリゴヌクレオチドの送達効率を向上することができる。多価リガンドの結合序列は、テトラアンテナリー>トリアンテナリー>>ジアンテナリー>>モノアンテナリーである。テトラアンテナリーリガンド中に存在する第4のGalNAc部分は、親和性を顕著に増大させることはないので、細胞-表面受容体の結合要件は、トリアンテナリー構造によって大きく飽和されていると考えられる。科学者は、相互距離が20Åを有するトリアンテナリーGalNAcアナログが、ASGPRと最も高い親和性を示すという意見の一致に到達している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
三価および一価GalNAcアナログが、以前に報告されている。オリゴヌクレオチド治療剤は、ヌクレアーゼ媒介性分解への感受性、速やかな排出、生体内分布の不良、不十分な膜透過性、免疫刺激および潜在的に顕著なオフターゲット作用を含めた、薬理学的な難題を有する。したがって、薬物送達を改善する新規官能基化GalNAcアナログの調製が必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
概要
本開示の一部の態様は、式(I)の化合物:
【化1】
または薬学的に許容されるその塩(式中、
R
1、R
2およびR
3はそれぞれ、独立して、水素、ベンジルまたは-C(=O)R
8であり、
R
4は、-C(=O)C
1~6アルキルまたは-C(=O)C
1~6ハロアルキルであり、
R
5は、ヒドロキシ保護基であり、
R
6は、水素、ホスホルアミダイト部分、-C(=O)CH
2CH
2C(=O)R
6Aまたは-P(OR
6B)NR
6CR
6Dであり、
Y
1は、NR
7、NR
7C(=O)、O、C(=O)Oまたは結合であり、
L
1、L
2およびL
3はそれぞれ、独立して、結合、-C(=O)-、-C(=S)-、-S(=O)
2-、-C(=O)NR
9-、-C(=S)NR
9-、-C(=O)O-、-C(=S)O-、-NR
9C(=O)NR
9-、-NR
9C(=S)NR
9-、-OP(=O)(OH)O-、-OP(=S)(OH)O-、-O-、-S-、-NR
9-、必要に応じて置換されているC
1~10アルキレン、必要に応じて置換されているC
6~10アリーレン、必要に応じて置換されているC
3~10シクロアルキレン、必要に応じて置換されている5~10員のヘテロアリーレン(hetetroarylene)、必要に応じて置換されている5~10員のヘテロシクリレンまたは必要に応じて置換されている2~15員のヘテロアルキレンであり、ここで1個または複数の炭素原子がC(=O)、O、SまたはNにより置き換えられており、ただし、L
1、L
2およびL
3のうちの少なくとも1つは結合ではなく、
L
4は、結合または必要に応じて置換されているC
1~8アルキレンであり、
R
7およびR
9はそれぞれ、独立して、水素、無置換C
1~6アルキルまたは置換C
1~6アルキルであり、
R
8はそれぞれ、独立して、C
1~6アルキル、C
1~6ハロアルキルまたは必要に応じて置換されているフェニルであり、
R
6Aは、-OH、-OR
10または-NR
11R
12であり、
R
6B、R
6CおよびR
6Dはそれぞれ、独立して、H、C
1~6ハロアルキルまたは無置換もしくは置換C
1~6アルキルであり、
R
10は、無置換もしくは置換C
1~6アルキルまたはヒドロキシ保護基であり、
R
11およびR
12はそれぞれ、独立して、H、無置換もしくは置換C
1~6アルキルまたはアミノ保護基であり、
mおよびnはそれぞれ、独立して、1、2、3、4、5または6であり、
xは、0、1、2、3、4、5または6であり、
R
Nはそれぞれ、独立して、ハロ、シアノ、ヒドロキシ、アミノ、無置換C
1~6アルキル、置換C
1~C
6アルキル、C
1~C
6ハロアルキル、ヒドロキシ(C
1~C
6アルキル)、アミノ(C
1~C
6アルキル)、(C
1~C
6アルキル)アミノ、C
1~C
6アルコキシ、C
1~C
6ハロアルコキシ、(C
1~C
6アルコキシ)C
1~C
6アルキルまたは-O(C
1~C
6アルコキシ)C
1~C
6アルキルであるか、または同一炭素原子に結合している2つの隣接R
Nは、オキソ(=O)を形成する)に関する。
【0007】
本明細書において記載されている化合物の一部の実施形態では、式(I)の化合物は、式(Ia)の構造:
【化2】
または薬学的に許容されるその塩を有することができる。
【0008】
一部のさらなる実施形態では、式(I)の化合物は、式(Ib)の構造:
【化3】
または薬学的に許容されるその塩を有することができる。
【0009】
一部のさらなる実施形態では、式(I)の化合物は、式(Ic)の構造:
【化4】
または薬学的に許容されるその塩を有することができる。
【0010】
一部の実施形態では、式(I)の化合物は、以下:
【化5】
ならびに薬学的に許容されるその塩からなる群より選択される構造を有することができ、式中、Acは、-C(O)CH
3であり、mおよびnはそれぞれ、独立して、1または2であり、R
6は、-C(=O)CH
2CH
2C(=O)OHまたは
【化6】
である。一部のさらなる実施形態では、L
1、L
2およびL
3はそれぞれ、独立して、結合、C
1~10アルキレン、3~15員のヘテロアルキレン(ここで1個または複数の炭素原子が、C(=O)、OもしくはNにより置き換えられている)または1~5つの-OCH
2CH
2-繰り返し単位を含むPEGリンカーである。
【0011】
本開示の一部の態様は、式(II)の化合物:
【化7】
または薬学的に許容されるその塩(式中、
R
1a、R
1b、R
1c、R
2a、R
2b、R
2c、R
3a、R
3bおよびR
3cはそれぞれ、独立して、水素、ベンジルまたは-C(=O)R
8であり、
R
4a、R
4bおよびR
4cはそれぞれ、独立して、-C(=O)C
1~6アルキルまたは-C(=O)C
1~6ハロアルキルであり、
R
5は、ヒドロキシ保護基であり、
R
6は、水素、ホスホルアミダイト部分、-C(=O)CH
2CH
2C(=O)R
6Aまたは-P(OR
6B)NR
6CR
6Dであり、
Y
2は、結合、NR
7、NR
7C(=O)、C(=O)OまたはOであり、
X
1、X
2およびX
3はそれぞれ、独立して、-O(CH
2)
1~3-、-NH(CH
2)
1~3-、-C(=O)(CH
2)
1~3-または-NHC(=O)(CH
2)
1~3-であり、
L
1a、L
1b、L
1c、L
2a、L
2b、L
2c、L
3a、L
3bおよびL
3cはそれぞれ、独立して、結合、-C(=O)-、-C(=S)-、-S(=O)
2-、-C(=O)NR
9-、-C(=S)NR
9-、-C(=O)O-、-C(=S)O-、-NR
9C(=O)NR
9-、-NR
9C(=S)NR
9-、-OP(=O)(OH)O-、-OP(=S)(OH)O-、-O-、-S-、-NR
9-、必要に応じて置換されているC
1~10アルキレン、必要に応じて置換されているC
6~10アリーレン、必要に応じて置換されているC
3~10シクロアルキレン、必要に応じて置換されている5~10員のヘテロアリーレン、必要に応じて置換されている5~10員のヘテロシクリレンまたは必要に応じて置換されている2~15員のヘテロアルキレンであり、ここで1個または複数の炭素原子がC(=O)、O、SまたはNにより置き換えられており、ただし、L
1a、L
1bおよびL
1cのうちの少なくとも1つは結合ではなく、L
2a、L
2bおよびL
2cのうちの少なくとも1つは結合ではなく、L
3a、L
3bおよびL
3cのうちの少なくとも1つは結合ではなく、
L
4は、結合、必要に応じて置換されているC
1~8アルキレンまたは-(CH
2)
1~3(OCH
2CH
2)
1~5OCH
2-であり、
L
5は、結合、必要に応じて置換されているC
1~10アルキレン、または必要に応じて置換されている2~15員のヘテロアルキレンであり、ここで1個または複数の炭素原子がC(=O)、O、SまたはNにより置き換えられており、
R
7およびR
9はそれぞれ、独立して、水素、無置換C
1~6アルキルまたは置換C
1~6アルキルであり、
R
8はそれぞれ、独立して、C
1~6アルキル、C
1~6ハロアルキルまたは必要に応じて置換されているフェニルであり、
R
6Aは、-OH、-OR
10または-NR
11R
12であり、
R
6B、R
6CおよびR
6Dはそれぞれ、独立して、H、C
1~6ハロアルキルまたは無置換もしくは置換C
1~6アルキルであり、
R
10は、無置換もしくは置換C
1~6アルキルまたはヒドロキシ保護基であり、
R
11およびR
12はそれぞれ、独立して、H、無置換もしくは置換C
1~6アルキルまたはアミノ保護基であり、
mおよびnはそれぞれ、独立して、1、2、3、4、5または6であり、
kは、0または1であり、
xは、0、1、2、3、4、5または6であり、
R
Nはそれぞれ、独立して、ハロ、シアノ、ヒドロキシ、アミノ、無置換C
1~6アルキル、置換C
1~C
6アルキル、C
1~C
6ハロアルキル、ヒドロキシ(C
1~C
6アルキル)、アミノ(C
1~C
6アルキル)、(C
1~C
6アルキル)アミノ、C
1~C
6アルコキシ、C
1~C
6ハロアルコキシ、(C
1~C
6アルコキシ)C
1~C
6アルキルまたは-O(C
1~C
6アルコキシ)C
1~C
6アルキルであるか、または同一炭素原子に結合している2つの隣接R
Nは、オキソ(=O)を形成する)に関する。
【0012】
一部の実施形態では、式(II)の化合物は、式(IIa)の構造:
【化8】
または薬学的に許容されるその塩を有することができる。
【0013】
一部の実施形態では、式(II)の化合物は、式(IIb)の構造:
【化9】
または薬学的に許容されるその塩を有することができる。
【0014】
一部の実施形態では、式(II)の化合物は、式(IIc)の構造:
【化10】
または薬学的に許容されるその塩を有することができる。
【0015】
一部の実施形態では、式(II)の化合物は、式(IId)の構造:
【化11】
または薬学的に許容されるその塩を有することができる。
【0016】
一部の実施形態では、式(I)の化合物は、以下:
【化12】
【化13】
【化14】
ならびに薬学的に許容されるその塩からなる群より選択される構造を有することができ、式中、
X
1、X
2およびX
3はそれぞれ、-OCH
2-、-NHCH
2--、-C(=O)CH
2CH
2-、-C(=O)CH
2-、-NHC(=O)CH
2CH
2-もしくは-NHC(=O)CH
2-であるか、またはX
1およびX
3はそれぞれ、-C(=O)CH
2CH
2-であり、X
2は、-C(=O)CH
2-であるか、またはX
1およびX
3はそれぞれ、-NHC(=O)CH
2CH
2-であり、X
2は、-NHC(=O)CH
2-であり、
Acは、-C(O)CH
3であり、
mおよびnはそれぞれ、独立して、1または2であり、
R
5は、DMTrであり、
R
6は、-C(=O)CH
2CH
2C(=O)OHまたは
【化15】
である。
【0017】
本開示の追加的な態様は、式(I)、(Ia)、(Ib)、(Ic)、(Id-1)、(Id-2)、(Id-3)、(Id-4)、(Id-5)、(Id-6)、(Id-7)、(Id-8)、(II)、(IIa)、(IIb)、(IIc)、(IId)、(IIe-1)、(IIe-2)、(IIe-3)、(IIe-4)、(IIe-5)、(IIe-6)、(IIe-7)または(IIe-8)の本明細書に記載されている化合物をオリゴヌクレオチドと反応させるステップを含む、合成オリゴヌクレオチドを調製する方法に関する。一部の実施形態では、オリゴヌクレオチドは、1~100核酸塩基長を有することができる。一部の実施形態では、反応は、固体支持体上で行うことができる。
【発明を実施するための形態】
【0018】
詳細な説明
本明細書において開示されている化合物は、オリゴヌクレオチドを送達するための、新規な方法を提供する新規官能基化GalNAcアナログに関する。一部の実施形態では、本明細書において開示されている官能基化GalNAcアナログは、オリゴヌクレオチドの5’末端または任意の内部位置へのGalNAcアナログの組込みを可能にする、ホスホルアミダイト部分を含有することができる。一部の他の実施形態では、本明細書において開示されている官能基化GalNAcアナログは、オリゴヌクレオチドの3’末端に本明細書に記載されているGalNAcアナログを導入することができる、固体支持体上でのGalNAcアナログの組込みを可能にするコハク酸エステル部分を含有することができる。
【0019】
定義
特に定義されない限り、本明細書において使用される技術用語および科学用語はすべて、当業者によって一般的に理解されるものと同じ意味を有する。本明細書において言及されている特許、出願、公開出願および他の刊行物はすべて、特に明記しない限り、それらの全体が参照により組み込まれている。本明細書における用語に関して複数の定義がある場合、特に明記しない限り、この項目にある定義が優先する。本明細書および添付の特許請求の範囲において使用される場合、単数形「a」、「an」および「the」は、文脈が明確に他を指示しない限り、複数の指示対象を含む。他のものを示さない限り、質量分光法、NMR、HPLC、タンパク質化学、生化学、組換えDNA技法および薬理学の従来の方法が使用される。「または」または「および」の使用は、特に明記しない限り、「および/または」を意味する。さらに、用語「含むこと(including)」、ならびに「含む(include)」、「含む(includes)」および「含まれた(included)」などの他の形態の使用は、限定ではない。
【0020】
本開示は、上記に詳細に例示および説明されてきたが、このような説明は、例示または例と見なされるべきであり、制限とは見なされるべきではない。本開示は、開示されている実施形態に限定されない。開示される実施形態に対する変形は、本開示の検討および添付の特許請求の範囲から、特許請求されている開示の実施時に、当業者によって理解されて行われ得る。
【0021】
本明細書において引用されている参照文献はすべて、それらの全体が参照により本明細書に組み込まれている。参照により組み込まれている刊行物および特許または特許出願が本明細書に含まれる開示と矛盾する範囲内で、本明細書は、このような矛盾する資料のいずれよりも優先する、および/または上位にあることが意図されている。
【0022】
特に定義しない限り、用語(技術用語および科学用語を含む)はすべて、当業者に対するそれらの通常の慣用的な意味が与えられているべきであり、本明細書において明示的にそのように定義されていない限り、特別なまたは慣用化された意味に限定されるべきではない。本開示のある特定の特色または態様を記載する場合、特定の専門用語の使用は、その専門用語が関係する本開示の特色または態様のあらゆる具体的な特徴を含むことに限定するために、専門用語が本明細書において再定義されていることを暗示すると解釈されるべきではないことに留意すべきである。
【0023】
値の範囲が提示されている場合、上限値および下限値、ならびにその範囲の上限値と下限値との間の介在する各値が、実施形態の範囲内に包含されることが理解される。
【0024】
本明細書において使用する場合、「R」基のいずれも、表示されている原子に結合することができる置換基を表す。R基は、置換されていてもよく、または無置換であってもよい。2つの「R」基が、「一緒になって」と記載されている場合、R基およびそれらが結合している原子は、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリールまたは複素環を形成することができる。例えば、非限定的に、R
aおよびR
b、ならびにそれが結合している原子が、「一緒になって」または「一緒に結合して」と示されている場合、それは、それらが共有結合により互いに結合して、環:
【化16】
を形成することを意味する。
【0025】
基が、「必要に応じて置換されている」と記載されている場合は常に、その基は、無置換であってもよく、または示されている置換基のうちの1つもしくは複数により置換されていてもよい。同様に、基が、「置換されている」と記載されている場合、その置換基は、示されている置換基のうちの1つもしくは複数から選択されてもよい。置換基が示されていない場合、示されている「必要に応じて置換されている」または「置換」基は、アルキル(例えば、C1~C6アルキル);アルケニル(例えば、C2~C6アルケニル);アルキニル(例えば、C2~C6アルキニル);C3~C8カルボシクリル(例えば、C3~C8シクロアルキル、C3~C8シクロアルケニルまたはC3~C8シクロアルキニル(cyclalkynyl)から個々におよび独立して選択される、1つまたは複数の基であってもよいことが意図され、これらはそれぞれ、例えば、ハロ、C1~C6アルキル、C1~C6アルコキシ、C1~C6ハロアルキル、C1~C6ハロアルコキシ、(C1~C6アルコキシ)C1~C6アルキルまたは-O(C1~C6アルコキシ)C1~C6アルキル);(C3~C7カルボシクリル)C1~C6アルキル(例えば、ハロ、C1~C6アルキル、C1~C6アルコキシ、C1~C6ハロアルキル、C1~C6ハロアルコキシ、(C1~C6アルコキシ)C1~C6アルキルまたは-O(C1~C6アルコキシ)C1~C6アルキルにより必要に応じてさらに置換されていてもよい);5~10員のヘテロシクリル(例えば、ハロ、C1~C6アルキル、C1~C6アルコキシ、C1~C6ハロアルキル、C1~C6ハロアルコキシ、(C1~C6アルコキシ)C1~C6アルキルまたは-O(C1~C6アルコキシ)C1~C6アルキルにより必要に応じてさらに置換されていてもよい);(5~10員のヘテロシクリル)C1~C6アルキル(例えば、ハロ、C1~C6アルキル、C1~C6アルコキシ、C1~C6ハロアルキル、C1~C6ハロアルコキシ、(C1~C6アルコキシ)C1~C6アルキルまたは-O(C1~C6アルコキシ)C1~C6アルキルにより必要に応じてさらに置換されていてもよい);アリール(例えば、ハロ、C1~C6アルキル、C1~C6アルコキシ、C1~C6ハロアルキル、C1~C6ハロアルコキシ、(C1~C6アルコキシ)C1~C6アルキルまたは-O(C1~C6アルコキシ)C1~C6アルキルにより必要に応じてさらに置換されていてもよい);(アリール)C1~C6アルキル(例えば、ハロ、C1~C6アルキル、C1~C6アルコキシ、C1~C6ハロアルキル、C1~C6ハロアルコキシ、(C1~C6アルコキシ)C1~C6アルキルまたは-O(C1~C6アルコキシ)C1~C6アルキルにより必要に応じてさらに置換されていてもよい);5~10員のヘテロアリール(ハロ、C1~C6アルキル、C1~C6アルコキシ、C1~C6ハロアルキル、C1~C6ハロアルコキシ、(C1~C6アルコキシ)C1~C6アルキルまたは-O(C1~C6アルコキシ)C1~C6アルキルにより必要に応じてさらに置換されていてもよい);(5~10員のヘテロアリール)C1~C6アルキル(ハロ、C1~C6アルキル、C1~C6アルコキシ、C1~C6ハロアルキル、C1~C6ハロアルコキシ、(C1~C6アルコキシ)C1~C6アルキルまたは-O(C1~C6アルコキシ)C1~C6アルキルにより必要に応じてさらに置換されていてもよい);ハロ(例えば、フルオロ、クロロ、ブロモ、ヨード);シアノ;ヒドロキシ;保護ヒドロキシ;アルコキシ(例えば、C1~C6アルコキシ);ハロアルキル(例えば、-CF3などのC1~C6ハロアルキル);ハロアルキル(例えば、-OCF3などのC1~C6ハロアルコキシ);(C1~C6アルコキシ)C1~C6アルキル;-O(C1~C6アルコキシ)C1~C6アルキル;(C1~C6ハロアルコキシ)C1~C6アルキル;-O(C1~C6ハロアルコキシ)C1~C6アルキル;アリールオキシ;スルフヒドリル(メルカプト);アルキルチオ(例えば、C1~C6アルキルチオ);アリールチオ;アジド;ニトロ;O-カルバミル;N-カルバミル;O-チオカルバミル;N-チオカルバミル;C-アミド;N-アミド;S-スルホンアミド;N-スルホンアミド;C-カルボキシ;保護C-カルボキシ;O-カルボキシ;アシル;シアネート;イソシアナト;チオシアナト;イソチオシアナト;シリル;スルフェニル;スルフィニル;スルホニル;トリハロメタンスルホニル;トリハロメタンスルホンアミド;アミノ(それらの保護誘導体を含む);一置換アミノ(例えば、NH(C1~C6アルキル);二置換アミノ(例えば、N(C1~C6アルキル)2);オキソ(=O);およびチオオキソ(=S)により必要に応じてさらに置換されていてもよい。
【0026】
本明細書において使用する場合、「a」および「b」が整数である「Ca~Cb」とは、アルキル基中の炭素原子数、またはシクロアルキル、アリール、ヘテロアリールもしくはヘテロシクリル基の環原子の数を指す。すなわち、アルキル、シクロアルキルの環、およびアリールの環は、「a」~「b」個(両端の値を含む)の炭素原子を含有することができる。同様に、ヘテロアリールの環およびヘテロシクリルの環は、「a」~「b」個(両端の値を含む)の合計環原子を含有することができる。したがって、例えば、「C1~C4アルキル」基とは、1~4個の炭素を有するすべてのアルキル基、すなわち、CH3-、CH3CH2-、CH3CH2CH2-、(CH3)2CH-、CH3CH2CH2CH2-、CH3CH2CH(CH3)-および(CH3)3C-を指す。C3~C4シクロアルキル基とは、3~4個の炭素原子を有するすべてのシクロアルキル基、すなわち、シクロプロピルおよびシクロブチルを指す。同様に、「4~6員のヘテロシクリル」基とは、4~6個の合計環原子を有するすべてのヘテロシクリル基、例えば、アゼチジン、オキセタン、オキサゾリン、ピロリジン、ピペリジン、ピペラジン、モルホリンなどを指す。アルキル、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリールまたはヘテロシクリル基に関して、「a」および「b」が指定されていない場合、これらの定義において記載されている最も幅広い範囲と見なされるべきである。本明細書において使用する場合、用語「C1~C6」は、C1、C2、C3、C4、C5およびC6、ならびに2つの数字のいずれかによって規定される範囲を含む。例えば、C1~C6アルキルは、C1、C2、C3、C4、C5およびC6アルキル、C2~C6アルキル、C1~C3アルキルなどを含む。同様に、C3~C8カルボシクリルまたはシクロアルキルはそれぞれ、3、4、5、6、7および8個の炭素原子を含有する炭化水素環、またはC3~C7シクロアルキルもしくはC5~C6シクロアルキルなどの2つの数のいずれかによって規定される範囲を含む。
【0027】
本明細書において使用する場合、「アルキル」とは、完全に飽和の(二重結合も三重結合もない)炭化水素基を含む、直鎖または分岐鎖炭化水素を指す。アルキル基は、1~20個の炭素原子を有することができる(本明細書において、アルキル基が現れる場合は常に、「1~20」などの数値範囲とは、所与の範囲の各整数を指す;例えば、「1~20個の炭素原子」は、アルキル基が、1個の炭素原子、2個の炭素原子、3個の炭素原子など、20個まで(20個を含む)の炭素原子からなることができることを意味するが、本明細書の定義は、数値範囲が指定されていない、用語「アルキル」が出現することもまた包含する)。アルキル基はまた、1~10個の炭素原子を有する、中サイズのアルキルとすることができる。アルキル基はまた、1~6個の炭素原子を有する低級アルキルとすることができる。化合物のアルキル基は、「C1~C4アルキル」または類似の表示として表すことができる。単なる例として、「C1~C4アルキル」は、アルキル鎖中の1~4個の炭素原子が存在することを示し、すなわち、アルキル鎖は、メチル、エチル、プロピル、イソ-プロピル、n-ブチル、イソ-ブチル、sec-ブチルおよびt-ブチルから選択される。典型的なアルキル基は、決して以下に限定されないが、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、三級ブチル、ペンチル(直鎖または分岐)およびヘキシル(直鎖または分岐)を含む。アルキル基は、置換されていてもよく、または無置換であってもよい。
【0028】
本明細書において使用する場合、「アルケニル」とは、1つまたは複数の二重結合を含有する、直鎖または分岐鎖炭化水素を指す。アルケニル基は、2~20個の炭素原子を有してもよい。単なる例として、「C2~C6アルケニル」は、アルケニル鎖中に2~6個の炭素原子が存在することを示し、すなわち、アルケニル鎖は、エテニル、プロペン-1-イル、プロペン-2-イル、プロペン-3-イル、ブテン-1-イル、ブテン-2-イル、ブテン-3-イル、ブテン-4-イル、1-メチル-プロペン-1-イル、2-メチル-プロペン-1-イル、1-エチル-エテン-1-イル、2-メチル-プロペン-3-イル、ブタ-1,3-ジエニル、ブタ-1,2,-ジエニルおよびブタ-1,2-ジエン-4-イルからなる群より選択される。典型的なアルケニル基は、決して以下に限定されないが、エテニル、プロペニル、ブテニル、ペンテニルおよびヘキセニルなどを含む。アルケニル基は、置換されていてもよく、または無置換であってもよい。
【0029】
本明細書において使用する場合、「アルキニル」とは、1つまたは複数の三重結合を含有する、直鎖または分岐鎖炭化水素を指す。アルキニル基は、2~20個の炭素原子を有してもよい。単なる例として、「C2~C4アルキニル」は、アルキニル鎖中に2~6個の炭素原子が存在することを示し、すなわち、アルキニル鎖は、エチニル、プロピン-1-イル、プロピン-2-イル、ブチン-1-イル、ブチン-3-イル、ブチン-4-イルおよび2-ブチニルからなる群より選択される。典型的なアルキニル基は、決して以下に限定されないが、エチニル、プロピニル、ブチニル、ペンチニルおよびヘキシニルなどを含む。アルキニル基は、置換されていてもよく、または無置換であってもよい。
【0030】
本明細書において使用する場合、「シクロアルキル」とは、完全に飽和した(二重結合も三重結合もない)、単環式または多環式炭化水素環系を指す。2つまたはそれより多い環から構成される場合、環は、縮合様式、架橋様式またはスピロ様式で一緒に結合していてもよい。本明細書において使用する場合、用語「縮合した」とは、2個の原子および1つの結合を共通して有する、2つの環を指す。本明細書において使用する場合、用語「架橋シクロアルキル」とは、シクロアルキルが非隣接原子を連結する1個または複数の原子の連結を含有する、化合物を指す。本明細書において使用する場合、用語「スピロ」とは、共通した1個の原子を有する2つの環を指し、2つの環は、架橋によって連結されていない。シクロアルキル基は、環中に3~10個の原子、環中に3~8個の原子、または環中に3~6個の原子を含有することができる。シクロアルキル基は、無置換であってもよく、または置換されていてもよい。単環式シクロアルキル基の例は、以下に決して限定されないが、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチルおよびシクロオクチルを含む。二環式縮合シクロアルキル基の例は、デカヒドロナフタレニル、ドデカヒドロ-1H-フェナレニルおよびテトラデカヒドロアントラセニルである。二環式架橋シクロアルキル基の例は、ビシクロ[1.1.1]ペンチル、アダマンタニルおよびノルボルナニルである。二環式スピロシクロアルキル基の例としては、スピロ[3.3]ヘプタンおよびスピロ[4.5]デカンが挙げられる。
【0031】
本明細書において使用する場合、「カルボシクリル」とは、非芳香族の単環式または多環式炭化水素環系を指す。環は、2つまたはそれより多い環から構成される場合、本明細書に記載されている通り、縮合様式、架橋様式またはスピロ様式で一緒に結合していてもよい。カルボシクリル基は、環中に3~30個の原子、環中に3~20個の原子、環中に3~10個の原子、環中に3~8個の原子、または環中に3~6個の原子を含有することができる。カルボシクリル基は、無置換であってもよく、または置換されていてもよい。カルボシクリル基の例には、以下に決して限定されないが、本明細書で定義されているシクロアルキル基、1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン、2,3-ジヒドロ-1H-インデン、5,6,7,8-テトラヒドロキノリンおよび6,7-ジヒドロ-5H-シクロペンタ[b]ピリジンの非芳香族部分が挙げられる。
【0032】
本明細書において使用する場合、「アリール」とは、環全体に完全に非局在化したパイ-電子系を有する、炭素環式(すべてが炭素)単環式または多環式芳香族環系(2つの炭素環式環が化学結合を共有する縮合環系を含む)を指す。アリール基中の炭素原子の数は、様々であり得る。例えば、アリール基は、C6アリール基またはC10アリール基とすることができる。アリール基の例には、以下に限定されないが、ベンゼンおよびナフタレンを含む。アリール基は、置換されていてもよく、または無置換であってもよい。
【0033】
本明細書において使用する場合、「ヘテロアリール」とは、以下に限定されないが、窒素、酸素および硫黄を含む、炭素以外の元素である、1個または複数のヘテロ原子(例えば、1、2または3個のヘテロ原子)を含有する、単環式または多環式芳香族環系(完全に非局在化したパイ-電子系を有する環系)を指す。ヘテロアリール基の環中の原子の数は、様々であり得る。例えば、ヘテロアリール基は、9個の炭素原子と1個のヘテロ原子;8個の炭素原子と2個のヘテロ原子;7個の炭素原子と3個のヘテロ原子;8個の炭素原子と1個のヘテロ原子;7個の炭素原子と2個のヘテロ原子;6個の炭素原子と3個のヘテロ原子;5個の炭素原子と4個のヘテロ原子;5個の炭素原子と1個のヘテロ原子;4個の炭素原子と2個のヘテロ原子;3個の炭素原子と3個のヘテロ原子;4個の炭素原子と1個のヘテロ原子;3個の炭素原子と2個のヘテロ原子;または2個の炭素原子と3個のヘテロ原子などの、環中に5~10個の原子、環中に6~10個の原子、または環中に5~6個の原子を含有することができる。さらに、用語「ヘテロアリール」は、少なくとも1つのアリール環および少なくとも1つのヘテロアリール環または少なくとも2つのヘテロアリール環などの2つの環が、少なくとも1つの化学結合を共有する、縮合環系を含む。ヘテロアリール環の例には、以下に限定されないが、フラン、フラザン、チオフェン、ベンゾチオフェン、フタラジン、ピロール、オキサゾール、ベンゾオキサゾール、1,2,3-オキサジアゾール、1,2,4-オキサジアゾール、チアゾール、1,2,3-チアジアゾール、1,2,4-チアジアゾール、ベンゾチアゾール、イミダゾール、ベンゾイミダゾール、インドール、インダゾール、ピラゾール、ベンゾピラゾール、イソオキサゾール、ベンゾイソオキサゾール、イソチアゾール、トリアゾール、ベンゾトリアゾール、チアジアゾール、テトラゾール、ピリジン、ピリダジン、ピリミジン、ピラジン、プリン、プテリジン、キノリン、イソキノリン、キナゾリン、キノキサリン、シンノリンおよびトリアジンが挙げられる。ヘテロアリール基は、置換されていてもよく、または無置換であってもよい。
【0034】
本明細書において使用する場合、「ヘテロシクリル」とは、3員、4員、5員、6員、7員、8員、9員および10員の単環式、二環式および三環式環系を指し、炭素原子は、1~5個のヘテロ原子と一緒になって、前記環系を構成する。複素環は、このような様式で位置する1つまたは複数の不飽和結合を必要に応じて含有することができるが、完全に非局在化したパイ-電子系が、環の全体にわたり存在しない(すなわち、ヘテロシクリル基は芳香族ではない)。ヘテロ原子とは、以下に限定されないが、酸素、硫黄および窒素を含む、炭素以外の元素のことである。複素環は、定義が、ラクタム、ラクトンおよび環式カルバメートなどのオキソ系を含むよう、1つまたは複数のカルボニル官能基をさらに含有してもよい。2つまたはそれより多い環から構成される場合、環は、縮合様式、架橋様式またはスピロ様式で一緒に結合していてもよい。本明細書において使用する場合、用語「縮合した」とは、2個の原子および1つの結合を共通して有する、2つの環を指す。本明細書において使用する場合、用語「架橋ヘテロシクリル」とは、ヘテロシクリルが非隣接原子を連結する1個または複数の原子の連結を含有する、化合物を指す。本明細書において使用する場合、用語「スピロ」とは、共通した1個の原子を有する2つの環を指し、2つの環は架橋によって連結されていない。ヘテロシクリル基は、環中に3~10個の原子、環中に3~8個の原子、環中に3~6個の原子、または環中に5~6個の原子を含有することができる。例えば、5個の炭素原子と1個のヘテロ原子;4個の炭素原子と2個のヘテロ原子;3個の炭素原子と3個のヘテロ原子;4個の炭素原子と1個のヘテロ原子;3個の炭素原子と2個のヘテロ原子;2個の炭素原子と3個のヘテロ原子;1個の炭素原子と4個のヘテロ原子;3個の炭素原子と1個のヘテロ原子;または2個の炭素原子と1個のヘテロ原子。さらに、ヘテロシクリル基中のいずれの窒素も、四級化されていてもよい。ヘテロシクリル基は、ヘテロシクリル基中の炭素原子を介して(C連結型)、または窒素原子などのヘテロシクリル基中のヘテロ原子によって(N結合型)分子の残りに連結し得る。ヘテロシクリル基は、無置換であってもよく、または置換されていてもよい。このような「ヘテロシクリル」基の例としては、以下に限定されないが、アジリジン、オキシラン、チイラン、アゼチジン、オキセタン、1,3-ジオキシン、1,3-ジオキサン、1,4-ジオキサン、1,2-ジオキソラン、1,3-ジオキソラン、1,4-ジオキソラン、1,3-オキサチアン、1,4-オキサチイン、1,3-オキサチオラン、1,3-ジチオール、1,3-ジチオラン、1,4-オキサチアン、テトラヒドロ-1,4-チアジン、2H-1,2-オキサジン、マレイミド、スクシンイミド、バルビツール酸、チオバルビツール酸、ジオキソピペラジン、ヒダントイン、ジヒドロウラシル、トリオキサン、ヘキサヒドロ-1,3,5-トリアジン、イミダゾリン、イミダゾリジン、イソオキサゾリン、イソオキサゾリジン、オキサゾリン、オキサゾリジン、オキサゾリジノン、チアゾリン、チアゾリジン、モルホリン、オキシラン、ピペリジンN-オキシド、ピペリジン、ピペラジン、ピロリジン、アゼパン、ピロリドン、ピロリジオン、4-ピペリドン、ピラゾリン、ピラゾリジン、2-オキソピロリジン、テトラヒドロピラン、4H-ピラン、テトラヒドロチオピラン、チアモルホリン、チアモルホリンスルホキシド、チアモルホリンスルホンおよびそれらのベンゾ縮合アナログ(例えば、ベンゾイミダゾリジノン、テトラヒドロキノリンおよび/または3,4-メチレンジオキシフェニル)が挙げられる。スピロヘテロシクリル基の例としては、2-アザスピロ[3.3]ヘプタン、2-オキサスピロ[3.3]ヘプタン、2-オキサ-6-アザスピロ[3.3]ヘプタン、2,6-ジアザスピロ[3.3]ヘプタン、2-オキサスピロ[3.4]オクタンおよび2-アザスピロ[3.4]オクタンが挙げられる。
【0035】
本明細書において使用する場合、「アルキレン」とは、2つの結合点を介して、分子の残りに結合している、炭素と水素しか含まない、分岐または直鎖の完全に飽和したジラジカル化学基を指す。単なる例として、「C1~C10アルキレン」は、アルキレン鎖中に1~10個の炭素原子が存在することを示す。非限定例には、エチレン(-CH2CH2-)、プロピレン(-CH2CH2CH2-)、ブチレン(-CH2CH2CH2CH2-)およびペンチレン(-CH2CH2CH2CH2CH2-)が挙げられる。
【0036】
本明細書において使用する場合、「アルケニレン」とは、2つの結合点を介して、分子の残りに結合している、炭素と水素しか含まず、かつ少なくとも1つの炭素-炭素二重結合を含有する、直鎖または分岐鎖ジラジカル化学基を指す。アルケニレン基は、「C2~C10アルケニレン」または類似の表示として表すことができる。単なる例として、「C2~C10アルケニレン」は、アルケニレン鎖中に2~10個の炭素原子が存在することを指す。
【0037】
本明細書において使用する場合、「アルキニレン」とは、2つの結合点を介して、分子の残りに結合している、炭素と水素しか含まず、かつ少なくとも1つの炭素-炭素三重結合を含有する、直鎖または分岐鎖ジラジカル化学基を指す。アルキニレン基は、「C2~C10アルケニレン」または類似の表示として表すことができる。単なる例として、「C2~C10アルキニレン」は、アルキニレン鎖中に2~10個の炭素原子が存在することを示す。
【0038】
本明細書において使用する場合、「ヘテロアルキレン」とは、炭素骨格中に1個または複数のヘテロ原子を含有する、本明細書において定義されているアルキレン基(すなわち、1個または複数の炭素原子が、ヘテロ原子、例えば、窒素原子(N)、酸素原子(S)または硫黄原子(S)により置き換えられているアルキレン基)を指す。例えば、-CH2-は、-O-、-S-または-NH-により置き換えられていてもよい。ヘテロアルキレン基は、以下に限定されないが、エーテル、チオエーテル、アミノ-アルキレンおよびアルキレン-アミノ-アルキレン部分を含む。一部の実施形態では、ヘテロアルキレンは、1つ、2つ、3つ、4つまたは5つの-CH2CH2O-単位を含んでもよい。代替としておよび/またはさらに、1個または複数の炭素原子はまた、オキソ(=O)により置換されて、カルボニルになることができる。例えば、-CH2-は、-C(=O)-により置き換えられてもよい。炭素原子が、カルボニル基により置き換えられている場合、それは、-CH2-の-C(=O)-による置き換えを指すことが理解される。炭素原子が、窒素原子により置き換えられている場合、それは、-CH-の-N-による置き換えを指す。炭素原子が、酸素原子または硫黄原子により置き換えられている場合、それは、-CH2-の-O-または-S-による置き換えを指す。
【0039】
本明細書において使用する場合、「アラルキル」および「(アリール)アルキル」とは、上記の通り、置換基として、アルキレン基を介して連結した、上で定義した、アリール基を指す。アラルキルのアルキレン基およびアリール基は、置換されていてもよく、または無置換であってもよい。例としては、以下に限定されないが、ベンジル、2-フェニルアルキル、3-フェニルアルキルおよびナフチルアルキルが挙げられる。一部の実施形態では、アルキレンは、1つ、2つ、3つ、4つ、5つまたは6つのメチレン単位を含有する無置換直鎖である。
【0040】
本明細書において使用する場合、「ヘテロアラルキル」および「(ヘテロアリール)アルキル」とは、上で定義した通り、置換基として、アルキレン基を介して連結した、上で定義した、ヘテロアリール基を指す。ヘテロアラルキルのアルキレン基およびヘテロアリール基は、置換されていてもよく、または無置換であってもよい。例としては、以下に限定されないが、2-チエニルアルキル、3-チエニルアルキル、フリルアルキル、チエニルアルキル、ピロリルアルキル、ピリジルアルキル、イソオキサゾリルアルキルおよびイミダゾリルアルキルおよびそれらのベンゾ縮合アナログが挙げられる。一部の実施形態では、アルキレンは、1つ、2つ、3つ、4つ、5つまたは6つのメチレン単位を含有する無置換直鎖である。
【0041】
本明細書において使用する場合、「(ヘテロシクリル)アルキル」とは、上で定義した通り、置換基として、アルキレン基を介して連結した、上で定義した複素環式基またはヘテロシクリル基を指す。(ヘテロシクリル)アルキルのアルキレン基およびヘテロシクリル基は、置換されていてもよく、または無置換であってもよい。例には、以下に限定されないが(テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)メチル、(ピペリジン-4-イル)エチル、(ピペリジン-4-イル)プロピル、(テトラヒドロ-2H-チオピラン-4-イル)メチルおよび(1,3-チアジナン-4-イル)メチルが挙げられる。一部の実施形態では、アルキレンは、1つ、2つ、3つ、4つ、5つまたは6つのメチレン単位を含有する無置換直鎖である。
【0042】
本明細書において使用する場合、「シクロアルキルアルキル」および「(シクロアルキル)アルキル」とは、置換基として、アルキレン基を介して連結した、シクロアルキル基(本明細書で定義されている)を指す。例としては、以下に限定されないが、シクロプロピルメチル、シクロブチルメチル、シクロペンチルエチルおよびシクロヘキシルプロピルが挙げられる。一部の実施形態では、アルキレンは、1つ、2つ、3つ、4つ、5つまたは6つのメチレン単位を含有する無置換直鎖である。
【0043】
本明細書において使用する場合、「アルコキシ」は、式-ORを指し、Rは、本明細書で定義されているアルキル基である。アルコキシ基の非限定的なリストとしては、メトキシ、エトキシ、n-プロポキシ、1-メチルエトキシ(イソプロポキシ)、n-ブトキシ、イソ-ブトキシ、sec-ブトキシおよびtert-ブトキシが挙げられる。アルコキシは、置換されていてもよく、または無置換であってもよい。
【0044】
本明細書において使用する場合、「ハロアルキル」は、水素原子のうちの1個または複数が、ハロゲンによって置き換えられている、アルキル基(例えば、モノ-ハロアルキル、ジ-ハロアルキルおよびトリ-ハロアルキル)を指す。このような基としては、以下に限定されないが、クロロメチル、フルオロメチル、ジフルオロメチル、トリフルオロメチルおよび1-クロロ-2-フルオロメチル、2-フルオロイソブチルが挙げられる。ハロアルキルは、置換されていてもよく、または無置換であってもよい。
【0045】
本明細書において使用する場合、「ハロアルコキシ」は、水素原子のうちの1個または複数が、ハロゲンによって置き換えられているアルコキシ基(例えば、モノ-ハロアルコキシ、ジ-ハロアルコキシおよびトリ-ハロアルコキシ)を指す。このような基としては、以下に限定されないが、クロロメトキシ、フルオロメトキシ、ジフルオロメトキシ、トリフルオロメトキシおよび1-クロロ-2-フルオロメトキシ、2-フルオロイソブトキシが挙げられる。ハロアルコキシは、置換されていてもよく、または無置換であってもよい。
【0046】
本明細書において使用する場合、「アミノ」とは-NH2基を指す。用語「一置換アミノ基」とは、本明細書において使用する場合、水素原子の1個が置換基によって置き換えられている、アミノ(-NH2)基を指す。用語「二置換アミノ基」とは、本明細書において使用する場合、2個の水素原子の各々が置換基によって置き換えられている、アミノ(-NH2)基を指す。用語「必要に応じて置換されているアミノ」とは、本明細書において使用する場合、-NRARB基を指し、RAおよびRBは、本明細書で定義されている通り、独立して、水素、アルキル、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、アラルキルまたはヘテロシクリル(アルキル)である。
【0047】
本明細書において使用する場合、「アルキルアミノ」または「(アルキル)アミノ」とは、-NRARB基を指し、RAおよびRBは、水素または上で定義されているアルキルであり、RAおよびRBの少なくとも一方は、アルキルである。(アルキル)アミンのアルキル部分には、例えば、C1~C6アルキル基が挙げられる。
【0048】
本明細書において使用する場合、「アミノアルキル」または「(アミノ)アルキル」とは、水素原子のうちの1個または複数が、本明細書で定義されているアミノ基または「-NRARB」基によって置き換えられている、アルキル基を指す。アミノアルキルのアルキル部分には、例えば、C1~C6アルキルが挙げられる。
【0049】
用語「ハロゲン原子」または「ハロゲン」は、本明細書において使用する場合、フッ素、塩素、臭素およびヨウ素などの、元素の周期表の列7の放射安定原子(radio-stable atom)のいずれか1つを意味する。
【0050】
本明細書において使用する場合、「アルコキシアルキル」または「(アルコキシ)アルキル」とは、C2~C8アルコキシアルキルまたは(C1~C6アルコキシ)C1~C6アルキルなどのアルキレン基を介して連結されているアルコキシ基、例えば-(CH2)1~3-OCH3を指す。
【0051】
本明細書において使用する場合、「-O-アルコキシアルキル」または「-O-(アルコキシ)アルキル」とは、-O-(C1~C6アルコキシ)C1~C6アルキルなどの-O-(アルキレン)基を介して連結されているアルコキシ基、例えば-O-(CH2)1~3-OCH3を指す。
【0052】
本明細書において使用する場合、「アリールオキシ」および「アリールチオ」とは、Rが、以下に限定されないが、フェニルなどの上で定義したアリールである、RO-およびRS-を指す。アリールオキシおよびアリールチオはどちらも、置換されていてもよく、または無置換であってもよい。
【0053】
「スルフェニル」基とは、Rが、上で定義した通り、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、カルボシクリル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、アラルキルまたはヘテロシクリル(アルキル)とすることができる、「-SR」基を指す。スルフェニルは、置換されていてもよく、または無置換であってもよい。
【0054】
「スルフィニル」基とは、Rが、スルフェニルに関して定義されているものと同じとすることができる、「-S(=O)-R」基を指す。スルフィニルは、置換されていてもよく、または無置換であってもよい。
【0055】
「スルホニル」基とは、Rが、スルフェニルに関して定義されているものと同じとすることができる、「SO2R」基を指す。スルホニルは、置換されていてもよく、または無置換であってもよい。
【0056】
「O-カルボキシ」基とは、Rが、本明細書で定義されている通り、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、カルボシクリル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、アラルキルまたはヘテロシクリル(アルキル)とすることができる、「RC(=O)O-」基を指す。O-カルボキシは、置換されていてもよく、または無置換であってもよい。
【0057】
用語「エステル」および「C-カルボキシ」とは、Rが、O-カルボキシに関して定義されているものと同じとすることができる、「-C(=O)OR」基を指す。エステルまたはC-カルボキシは、置換されていてもよく、または無置換であってもよい。
【0058】
「トリハロメタンスルホニル」基とは、Xがハロゲンである、「X3CSO2-」基を指す。
【0059】
「トリハロメタンスルホンアミド」基とは、Xが、ハロゲンであり、Rが、本明細書で定義されている通り、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、カルボシクリル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、アラルキルまたはヘテロシクリル(アルキル)である、「X3CS(O)2N(R)-」基を指す。
【0060】
「メルカプト」基は、「-SH」基を指す。
【0061】
「S-スルホンアミド」基とは、RAおよびRBが、本明細書で定義されている通り、独立して、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、カルボシクリル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、アラルキルまたはヘテロシクリル(アルキル)とすることができる、「-SO2N(RARB)」基を指す。S-スルホンアミドは、置換されていてもよく、または無置換であってもよい。
【0062】
「N-スルホンアミド」基とは、RおよびRAが、本明細書で定義されている通り、独立して、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、カルボシクリル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、アラルキルまたはヘテロシクリル(アルキル)とすることができる、「RSO2N(RA)-」基を指す。N-スルホンアミドは、置換されていてもよく、または無置換であってもよい。
【0063】
「O-カルバミル」基とは、RAおよびRBが、S-スルホンアミドに関して定義されているものと同じとすることができる、「-OC(=O)N(RARB)」基を指す。O-カルバミルは、置換されていてもよく、または無置換であってもよい。
【0064】
「N-カルバミル」基とは、RおよびRAが、N-スルホンアミドに関して定義されているものと同じとすることができる、「ROC(=O)N(RA)-」基を指す。N-カルバミルは、置換されていてもよく、または無置換であってもよい。
【0065】
「O-チオカルバミル」基とは、RAおよびRBが、S-スルホンアミドに関して定義されているものと同じとすることができる、「-OC(=S)-N(RARB)」基を指す。O-チオカルバミルは、置換されていてもよく、または無置換であってもよい。
【0066】
「N-チオカルバミル」基とは、RおよびRAが、N-スルホンアミドに関して定義されているものと同じとすることができる、「ROC(=S)N(RA)-」基を指す。N-チオカルバミルは、置換されていてもよく、または無置換であってもよい。
【0067】
「C-アミド」基とは、RAおよびRBが、S-スルホンアミドに関して定義されているものと同じとすることができる、「-C(=O)N(RARB)」基を指す。C-アミドは、置換されていてもよく、または無置換であってもよい。
【0068】
「N-アミド」基とは、RおよびRAが、N-スルホンアミドに関して定義されているものと同じとすることができる、「RC(=O)N(RA)-」基を指す。N-アミドは、置換されていてもよく、または無置換であってもよい。
【0069】
置換基の数が指定されない場合(例えば、ハロアルキル)、1つまたは複数の置換基が存在してもよい。例えば、「ハロアルキル」は、1個もしくは複数の同じまたは異なるハロゲンを含むことができる。
【0070】
1個または複数のキラル中心を有する本明細書に記載されている化合物のいずれにおいても、絶対立体化学が明示的に表示されていない場合、各中心は、独立して、R立体配置もしくはS立体配置、またはそれらの混合物とすることができることが理解される。したがって、本明細書において提供される化合物は、鏡像異性体として純粋であってもよく、鏡像異性体に富んでもよく、または立体異性体混合物であってもよく、すべてのジアステレオマー体および鏡像異性体を含む。さらに、EまたはZとして定義することができる、幾何異性体を生じる1つまたは複数の二重結合を有する本明細書に記載されているあらゆる化合物において、各二重結合は、独立して、EまたはZ、それらの混合物であってもよいことが理解される。立体異性体は、所望の場合、立体選択的合成および/またはキラルなクロマトグラフィーカラムによる立体異性体の分離などの方法によって得られる。同様に、記載されているあらゆる化合物において、すべての互変異性形態もまた含まれることが意図されることが理解される。
【0071】
置換基がジラジカルとして図示されている場合(すなわち、分子の残りに対して2つの結合点を有する)は常に、置換基は、他のものを示さない限り、あらゆる方向の立体配置で結合され得ることを理解すべきである。したがって、例えば、-AE-または
【化17】
として図示されている置換基は、Aが分子の最も左の結合点で結合しているように配向されている置換基、ならびにAが分子の最も右の結合点において結合している場合を含む。さらに、基または置換基が、
【化18】
として図示され、Lが、結合として定義されている場合、または存在しない場合、このような基または置換基は、
【化19】
と等価である。
【0072】
本明細書に開示されている化合物が、満たされていない原子価を使用する場合、原子価は、水素および/または重水素によって満たされるべきであることが理解されるべきである。
【0073】
本明細書において記載されている化合物は、同位体により、あるいは以下に限定されないが、発色団もしくは蛍光部分、生物発光標識または化学発光標識の使用を含む別の他の手段によって標識され得ることが理解される。重水素などの同位体による置換は、例えば、in vivo半減期の増大または投与量要件の低減などの、より大きな代謝安定性に起因するある特定の治療的利点をもたらすことがある。化合物構造中に表されている各化学元素は、前記元素の任意の同位体を含むことができる。例えば、化合物構造中、水素原子は、明示的に開示されていることがあるか、または該化合物中に存在することが理解される。水素原子が存在することがある化合物の任意の位置において、水素原子は、以下に限定されないが、水素-1(プロチウム)、水素-2(ジュウテリウム)および水素-3(トリチウム)を含む、水素の任意の同位体とすることができる。したがって、本明細書において、化合物を言及する場合、文脈が他のものを明白に指示しない限り、すべての潜在的な同位体形態を包含する。
【0074】
本明細書に記載されている方法および製剤は、好ましい実施形態の化合物の結晶形態、アモルファス相および/または薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物および配座異性体、ならびに同じタイプの活性を有するこれらの化合物の代謝産物および活性代謝産物の使用を含むことが理解される。配座異性体は、立体構造異性体である構造体である。立体構造異性とは、構造式が同じであるが、回転結合の周りの原子の立体構造が異なる(配座異性体)分子の現象である。特定の実施形態では、本明細書において記載されている化合物は、水、エタノールなどの薬学的に許容される溶媒との溶媒和された形態で存在する。他の実施形態では、本明細書において記載されている化合物は、溶媒和されていない形態で存在する。溶媒和物は、化学量論量または非化学量論量のいずれかの溶媒を含有し、水、エタノールなどの薬学的に許容される溶媒との結晶化の過程の間に形成されることがある。水和物は、溶媒が水である場合に形成されるか、または溶媒がアルコールである場合にはアルコレートが形成される。さらに、本明細書において提供される化合物は、溶媒和されていない形態および溶媒和された形態で存在することができる。一般に、溶媒和された形態は、本明細書において提供されている化合物および方法のために、溶媒和されていない形態と等価であると考えられる。好ましい実施形態の化合物が提供され得る他の形態には、アモルファス形態、ミル粉砕形態およびナノ微粒子形態が含まれる。
【0075】
同様に、好ましい実施形態の化合物などの本明細書において記載されている化合物は、本明細書に記載されている形態(例えば、薬学的に許容される塩、結晶形態、アモルファス形態、溶媒和物形態、鏡像異性体、互変異性形態など)のいずれかの化合物を含むことが理解される。
【0076】
本明細書において使用する場合、あらゆる保護基、アミノ酸および他の化合物に関する略称は、他のものを示さない限り、その一般的な使用、認識されている略称、またはIUPAC-IUB Commission on Biochemical Nomenclature(Biochem. 11:942-944 (1972)を参照されたい)に準拠する。
【0077】
用語「保護基(単数および複数)」とは、本明細書において使用する場合、分子中に存在する基が望ましくない化学反応を受けるのを阻止するため、分子に付加される任意の原子または原子群を指す。保護基部分の例は、T. W. Greene and P. G. M. Wuts, Protective Groups in Organic Synthesis, 3. Ed. John Wiley & Sons, 1999およびJ.F.W. McOmie, Protective Groups in Organic Chemistry Plenum Press, 1973に記載されており、それらのどちらも、好適な保護基を開示する限定的な目的で、参照により本明細書に組み込まれている。保護基部分は、それらが、ある特定の反応条件に対して安定であり、当分野から公知の方法論を使用する都合のよい段階で容易に除去されるように選択され得る。保護基の非限定的なリストとしては、ベンジル(Bn);置換ベンジル;アルキルカルボニル(例えば、t-ブトキシカルボニル(BOC)、アセチル(すなわち、-C(=O)CH3またはAc)またはイソブチリル(iBu));アリールアルキルカルボニル(例えば、ベンジルオキシカルボニルまたはベンゾイル(すなわち、-C(=O)PhまたはBz));置換メチルエーテル(例えば、メトキシメチルエーテル(MOM));置換エチルエーテル(例えば、メトキシエチルエーテル(MOE));置換ベンジルエーテル;テトラヒドロピラニルエーテル;シリルエーテル(例えば、トリメチルシリル(TMS)、トリエチルシリル、トリイソプロピルシリル、t-ブチルジメチルシリル(TBDMS)、トリ-イソ-プロピルシリルオキシメチル(TOM)またはt-ブチルジフェニルシリル);エステル(例えば、安息香酸エステル);カーボネート(例えば、メトキシメチルカーボネート);スルホネート(例えば、トシレートまたはメシレート);非環状ケタール(例えば、ジメチルアセタール);環状ケタール(例えば、1,3-ジオキサンまたは1,3-ジオキソラン);非環状アセタール;環状アセタール;非環状ヘミアセタール;環状ヘミアセタール;環状ジチオケタール(例えば、1,3-ジチアンまたは1,3-ジチオラン);およびトリアリールメチル基(例えば、トリチル;モノメトキシトリチル(MMTr);4,4’-ジメトキシトリチル(DMTr);または4,4’,4“-トリメトキシトリチル(TMTr))が挙げられる。
【0078】
ヒドロキシ保護基の例としては、非限定的に、アセチル、t-ブチル、t-ブトキシメチル、メトキシメチル、テトラヒドロピラニル、1-エトキシエチル、1-(2-クロロエトキシ)エチル、p-クロロフェニル、2,4-ジニトロフェニル、ベンジル、2,6-ジクロロベンジル、ジフェニルメチル、p-ニトロベンジル、ビス(2-アセトキシエトキシ)メチル(ACE)、2-トリメチルシリルエチル、トリメチルシリル、トリエチルシリル、t-ブチルジメチルシリル、t-ブチルジフェニルシリル、トリフェニルシリル、[(トリイソプロピルシリル)オキシ]メチル(TOM)、ベンゾイルホルメート、クロロアセチル、トリクロロアセチル、トリフルオロ-アセチル、ピバロイル、ベンゾイル、p-フェニルベンゾイル、9-フルオレニルメチルカーボネート、メシレート、トシレート、トリフェニルメチル(トリチル)、モノメトキシトリチル、ジメトキシトリチル(DMT)、トリメトキシトリチル、1(2-フルオロフェニル)-4-メトキシピペリジン-4-イル(FPMP)、9-フェニルキサンチン-9-イル(ピキシル(Pixyl))および9-(p-メトキシフェニル)キサンチン-9-イル(MOX)が挙げられる。さらに一般的に使用されるヒドロキシル保護基としては、非限定的に、ベンジル、2,6-ジクロロベンジル、t-ブチルジメチルシリル、t-ブチルジフェニルシリル、ベンゾイル、メシレート、トシレート、ジメトキシトリチル(DMT)、9-フェニルキサンチン-9-イル(ピキシル)および9-(p-メトキシフェニル)キサンチン-9-イル(MOX)が挙げられる。
【0079】
ホスフェートおよびリンヒドロキシ基を保護するために一般的に使用される保護基の例としては、非限定的に、メチル、エチル、ベンジル(Bn)、フェニル、イソプロピル、tert-ブチル、アリル、シクロヘキシル(cHex)、ピバロイルオキシメチル(-CH2-O-C(=O)C(CH3)3、またはPOM)、4-メトキシベンジル、4-クロロベンジル、4-ニトロベンジル、4-アシルオキシベンジル、2-メチルフェニル、2,6-ジメチルフェニル、2-クロロフェニル、ジフェニルメチル、4-メチルチオ-l-ブチル、2-(S-アセチルチオ)エチル(SATE)、2-シアノエチル、2-シアノ-1,1-ジメチルエチル(CDM)、4-シアノ-2-ブテニル、2-(トリメチルシリル)エチル(TSE)、2-(フェニルチオ)エチル、2-(トリフェニルシリル)エチル、2-(ベンジルスルホニル)エチル、2,2,2-トリクロロエチル、2,2,2-トリブロモエチル、2,3-ジブロモプロピル、2,2,2-トリフルオロエチル、チオフェニル、2-クロロ-4-トリチルフェニル、2-ブロモフェニル、2-[N-イソプロピル-N-(4-メトキシベンゾイル)アミノ]エチル、4-(N-トリフルオロアセチルアミノ)ブチル、4-オキソペンチル、4-トリチルアミノフェニル、4-ベンジルアミノフェニルおよびモルホリノが挙げられる。より一般的に使用されるホスフェートおよびリン保護基としては、非限定的に、メチル、エチル、ベンジル(Bn)、フェニル、イソプロピル、tert-ブチル、4-メトキシベンジル、4-クロロベンジル、2-クロロフェニル、2-シアノエチルおよびPOMが挙げられる。
【0080】
アミノ保護基の例としては、非限定的に、2-トリメチルシリルエトキシカルボニル(Teoc)、1-メチル-1-(4-ビフェニリル)エトキシカルボニル(Bpoc)、t-ブトキシカルボニル(BOC)、アリルオキシカルボニル(Alloc)、9-フルオレニルメチルオキシカルボニル(Fmoc)およびベンジル-オキシカルボニル(Cbz)などのカルバメート保護基;ホルミル、アセチル、トリハロアセチル、ベンゾイルおよびニトロフェニルアセチルなどのアミド保護基;2-ニトロベンゼンスルホニルなどのスルホンアミド保護基;ならびにフタルイミドおよびジチアスクシノイルなどのイミン保護基および環状イミド保護基が挙げられる。
【0081】
用語「脱離基」は、本明細書において使用する場合、化学反応における別の原子または部分によって置き換えられることが可能な任意の原子または部分を指す。より詳細には、一部の実施形態では、「脱離基」とは、求核置換反応において置き換えられる原子または部分を指す。一部の実施形態では、「脱離基」は、強酸の共役塩基である任意の原子または部分である。好適な脱離基の例としては、以下に限定されないが、トシレートおよびハロゲンが挙げられる。脱離基の非限定的な特徴および例は、例えば、Organic Chemistry, 2d ed., Francis Carey (1992), pages 328-331; Introduction to Organic Chemistry, 2d ed., Andrew Streitwieser and Clayton Heathcock (1981), pages 169-171;およびOrganic Chemistry, 5th ed., John McMurry (2000), pages 398 and 408に見出すことができ、これらのすべてが、脱離基の特徴および例を開示する限定目的で、参照により本明細書に組み込まれている。
【0082】
用語「薬学的に許容される塩」は、本明細書において使用する場合、幅広い用語であり、当業者にとってその通常の慣用的な意味が与えられており(および、特別なまたはカスタマイズ化された意味に限定されない)、投与される生物に著しい刺激を引き起こさず、化合物の生物活性および特性を抑止しない、化合物の塩を非限定的に指す。一部の実施形態では、塩は、化合物の酸付加塩である。薬学的な塩は、化合物を、ハロゲン化水素酸(hydrohalic acid)(例えば、塩酸または臭化水素酸)、硫酸、硝酸およびリン酸などの無機酸と反応させることによって得ることができる。薬学的な塩はまた、化合物を脂肪族もしくは芳香族カルボン酸またはスルホン酸、例えば、ギ酸、酢酸(AcOH)、プロピオン酸、グリコール酸、ピルビン酸、マロン酸、マレイン酸、フマル酸、トリフルオロ酢酸(TFA)、安息香酸、桂皮酸、マンデル酸、コハク酸、乳酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、アスコルビン酸、ニコチン酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸(toluensulfonic acid)、サリチル酸、ステアリン酸、ムコン酸、酪酸、フェニル酢酸、フェニル酪酸、バルプロ酸、1,2-エタンジスルホン酸、2-ヒドロキシエタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、2-ナフタレンスルホン酸またはナフタレンスルホン酸などの有機酸と反応させることによって得ることができる。薬学的な塩は、化合物を塩基と反応させて、アンモニウム塩、アルカリ金属塩(リチウム、ナトリウムまたはカリウム塩など)、アルカリ土類金属塩(カルシウム、マグネシウムまたはアルミニウム塩など)、ジシクロヘキシルアミン、N-メチル-D-グルカミン、トリス(ヒドロキシメチル)メチルアミン、(C1~C7アルキル)アミン、シクロヘキシルアミン、ジシクロヘキシルアミン、トリエタノールアミン、エチレンジアミン、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、トロメタミンなどの有機塩基の塩、およびアミノ酸(アルギニンおよびリシンなど)との塩;または無機塩基(水酸化アルミニウム、水酸化カルシウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、水酸化ナトリウムなど)の塩などの塩を形成させることによって得ることもできる。一部の実施形態では、本明細書において記載されている化合物は、トリフルオロ酢酸塩の形態にあってもよい。
【0083】
本明細書において使用する場合、「ヌクレオチド」は、窒素含有複素環式塩基、糖、および1つまたは複数のリン酸基を含む。それらは、核酸配列のモノマー単位である。RNA中では、糖は、リボースであり、DNA中では、デオキシリボース、すなわち、リボース中に存在するヒドロキシル基のない糖である。窒素含有複素環式塩基は、プリン塩基またはピリミジン塩基とすることができる。プリン塩基としては、アデニン(A)およびグアニン(G)、ならびにデアザプリンなどのそれらの修飾された誘導体またはアナログが挙げられる。ピリミジン塩基としては、シトシン(C)、チミン(T)およびウラシル(U)、ならびにそれらの修飾された誘導体またはアナログが挙げられる。デオキシリボースのC-1原子は、ピリミジンのN-1またはプリンのN-9に結合している。
【0084】
本明細書において使用する場合、「ヌクレオシド」は、ヌクレオチドと構造的に類似しているが、ホスフェート部分がない。ヌクレオシドアナログの例は、標識が塩基に連結され、糖分子に結合したホスフェート基が存在しないものである。用語「ヌクレオシド」は、当業者によって理解されるその通常の意味で、本明細書で使用される。例としては、以下に限定されないが、リボース部分を含むリボヌクレオシド、およびデオキシリボース部分を含むデオキシリボヌクレオシドが挙げられる。修飾されたペントース部分は、酸素原子が炭素により置き換えられている、および/または炭素が硫黄原子もしくは酸素原子で置き換えられている、ペントース部分である。「ヌクレオシド」は、置換塩基および/または糖部分を有することができるモノマーである。さらに、ヌクレオシドは、より大きなDNAおよび/またはRNAポリマーならびにオリゴマーに組み込まれ得る。
【0085】
用語「プリン塩基」は、当業者によって理解されるその通常の意味で、本明細書において使用され、その互変異性体を含む。同様に、用語「ピリミジン塩基」は、当業者によって理解されるその通常の意味で、本明細書において使用され、その互変異性体を含む。必要に応じて置換されているプリン塩基の非限定的なリストとしては、プリン、デアザプリン、7-デアザプリン、アデニン、7-デアザアデニン、グアニン、7-デアザグアニン、ヒポキサンチン、キサンチン、アロキサンチン、7-アルキルグアニン(例えば、7-メチルグアニン)、テオブロミン、カフェイン、尿酸およびイソグアニンが挙げられる。ピリミジン塩基の例としては、以下に限定されないが、シトシン、チミン、ウラシル、5,6-ジヒドロウラシルおよび5-アルキルシトシン(例えば、5-メチルシトシン)が挙げられる。
【0086】
本明細書において使用する場合、「誘導体」または「アナログ」は、修飾された塩基部分および/または修飾された糖部分を有する合成ヌクレオシドまたはヌクレオチド誘導体を意味する。このような誘導体およびアナログは、例えば、Scheit, Nucleotide Analogs (John Wiley & Son, 1980)およびUhlman et al., Chemical Reviews 90:543-584, 1990に議論されている。ヌクレオチドアナログはまた、ホスホロチオエート、ホスホロジチオエート、アルキル-ホスホネート、ホスホルアニリデート(phosphoranilidate)、ホスホルアミダイトおよびホスホロアミデート連結を含む、修飾されたホスホジエステル連結を含むことができる。「誘導体」および「アナログ」は、本明細書において使用する場合、互換的に使用されてもよく、本明細書において定義されている用語「ヌクレオチド」および「ヌクレオシド」によって包含される。
【0087】
本明細書において使用する場合、用語「ホスフェート」は、当業者によって理解されるその通常の意味で使用され、そのプロトン化形態を含む(例えば、
【化20】
および
【化21】
)。本明細書において使用する場合、用語「モノホスフェート」、「ジホスフェート」および「トリホスフェート」は、当業者によって理解される通り、それらの通常の意味で使用され、プロトン化形態を含む。
【0088】
式(I)の一価GalNAcアナログ
本開示の一部の実施形態は、本明細書に記載されている式(I)の化合物または薬学的に許容されるその塩:
【化22】
(式中、
R
1、R
2およびR
3はそれぞれ、独立して、水素、ベンジルまたは-C(=O)R
8であり、
R
4は、-C(=O)C
1~6アルキルまたは-C(=O)C
1~6ハロアルキルであり、
R
5は、ヒドロキシ保護基であり、
R
6は、水素、ホスホルアミダイト部分、-C(=O)CH
2CH
2C(=O)R
6Aまたは-P(OR
6B)NR
6CR
6Dであり、
Y
1は、NR
7、NR
7C(=O)、O、C(=O)Oまたは結合であり、
L
1、L
2およびL
3はそれぞれ、独立して、結合、-C(=O)-、-C(=S)-、-S(=O)
2-、-C(=O)NR
9-、-C(=S)NR
9-、-C(=O)O-、-C(=S)O-、-NR
9C(=O)NR
9-、-NR
9C(=S)NR
9-、-OP(=O)(OH)O-、-OP(=S)(OH)O-、-O-、-S-、-NR
9-、必要に応じて置換されているC
1~10アルキレン、必要に応じて置換されているC
6~10アリーレン、必要に応じて置換されているC
3~10シクロアルキレン、必要に応じて置換されている5~10員のヘテロアリーレン、必要に応じて置換されている5~10員のヘテロシクリレンまたは必要に応じて置換されている2~15員のヘテロアルキレンであり、ここで1個または複数の炭素原子がC(=O)、O、SまたはNにより置き換えられており、ただし、L
1、L
2およびL
3のうちの少なくとも1つは結合ではなく、
L
4は、結合または必要に応じて置換されているC
1~8アルキレンであり、
R
7およびR
9はそれぞれ、独立して、水素、無置換C
1~6アルキルまたは置換C
1~6アルキルであり、
R
8はそれぞれ、独立して、C
1~6アルキル、C
1~6ハロアルキルまたは必要に応じて置換されているフェニルであり、
R
6Aは、-OH、-OR
10または-NR
11R
12であり、
R
6B、R
6CおよびR
6Dはそれぞれ、独立して、H、C
1~6ハロアルキルまたは無置換もしくは置換C
1~6アルキルであり、
R
10は、無置換もしくは置換C
1~6アルキルまたはヒドロキシ保護基であり、
R
11およびR
12はそれぞれ、独立して、H、無置換もしくは置換C
1~6アルキルまたはアミノ保護基であり、
mおよびnはそれぞれ、独立して、1、2、3、4、5または6であり、
xは、0、1、2、3、4、5または6であり、
R
Nはそれぞれ、独立して、ハロ、シアノ、ヒドロキシ、アミノ、無置換C
1~6アルキル、置換C
1~C
6アルキル、C
1~C
6ハロアルキル、ヒドロキシ(C
1~C
6アルキル)、アミノ(C
1~C
6アルキル)、(C
1~C
6アルキル)アミノ、C
1~C
6アルコキシ、C
1~C
6ハロアルコキシ、(C
1~C
6アルコキシ)C
1~C
6アルキルまたは-O(C
1~C
6アルコキシ)C
1~C
6アルキルであるか、または同一炭素原子に結合している2つの隣接R
Nは、オキソ(=O)を形成する)
を提供する。
【0089】
式(I)の化合物の一部の実施形態では、xは0である。一部の実施形態では、xは1である。一部の実施形態では、xは2である。このような実施形態では、同一炭素原子に結合した2つの隣接RNは、オキソ(=O)を形成する。一部の実施形態では、xは3である。一部の実施形態では、xは4である。このような実施形態では、第1の炭素原子に結合した第1の対の2個の隣接するRNは、第1のオキソ(=O)基を形成し、第2の炭素原子に結合した第2の対の2個の隣接するRNは、第2のオキソ(=O)基を形成する。一部の実施形態では、xは5である。一部の実施形態では、xは6である。このような実施形態では、第1の炭素原子に結合した第1の対の2個の隣接するRNは、第1のオキソ(=O)基を形成し、第2の炭素原子に結合した第2の対の2個の隣接するRNは、第2のオキソ(=O)基を形成し、第3の炭素原子に結合した第3の対の2個の隣接するRNは、第3のオキソ(=O)基を形成する。
【0090】
式(I)の化合物の一部の実施形態では、本化合物はまた、式(Ia):
【化23】
または薬学的に許容されるその塩によって表される。
【0091】
式(I)または(Ia)の化合物の一部の実施形態では、Y1はNR7である。一部の実施形態では、Y1はNR7C(=O)である。このような実施形態では、R7はHである。他のこのような実施形態では、R7は、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチルまたはt-ブチルなどのC1~4アルキルである。一部の実施形態では、Y1はOである。一部の実施形態では、Y1はC(=O)Oである。一部の実施形態では、Y1は結合である。
【0092】
式(I)または(Ia)の一部の実施形態では、L4はC1~6アルキレンである。このような実施形態では、L4は、-CH2-、-(CH2)2-、-(CH2)3-、-(CH2)4-、-(CH2)5-または-(CH2)6-である。一部の他の実施形態では、L4は結合である。
【0093】
式(I)または(Ia)の化合物の一部の実施形態では、Y
1はC(=O)Oであり、L
4はC
1~6アルキレンであり、本化合物はまた、式(Ib):
【化24】
または薬学的に許容されるその塩によって表される。
【0094】
式(I)または(Ia)の化合物の一部の実施形態では、Y
1はNHC(=O)であり、L
4はC
1~6アルキレンであり、本化合物はまた、式(Ic):
【化25】
または薬学的に許容されるその塩によって表される。
【0095】
式(I)、(Ia)、(Ib)または(Ic)の化合物の一部の実施形態では、R1、R2およびR3はそれぞれ、独立して、水素、ベンジルまたは-C(=O)R8であり、R8は、C1~6アルキル、C1~6ハロアルキルまたは必要に応じて置換されているフェニルである。一部の実施形態では、R1はC(=O)CH3である。一部の実施形態では、R1はC(=O)Phである。一部の実施形態では、R2はC(=O)CH3である。他の実施形態では、R2はC(=O)Phである。一部の実施形態では、R3はC(=O)CH3である。他の実施形態では、R3はC(=O)Phである。一部の実施形態では、R1、R2およびR3はそれぞれ、C(=O)CH3である。一部の他の実施形態では、R1、R2およびR3はそれぞれ、Hである。一部の他の実施形態では、R1、R2およびR3はそれぞれ、C(=O)Phである。一部の実施形態では、R4は、-C(=O)C1~6アルキルである。他の実施形態では、R4は、-C(=O)C1~6ハロアルキルである。一実施形態では、R4は、-C(=O)CH3である。別の実施形態では、R4は、-C(=O)CF3である。
【0096】
式(I)、(Ia)、(Ib)または(Ic)の化合物の一部の実施形態では、R5は、トリチル型ヒドロキシ保護基である。一実施形態では、R5は、(4-メトキシフェニル)ジフェニルメチル(すなわち、モノメトキシトリチル(MMTr))である。別の実施形態では、R5は、ビス(4-メトキシフェニル)フェニルメチル(すなわち、4,4’-ジメトキシトリチル(DMTr))である。さらに別の実施形態では、R5は、トリス(4-メトキシフェニル)メチル(すなわち、4,4’,4”-トリメトキシトリチル(TMTr))である。さらなる実施形態では、R5は、9-フェニルキサンテン-9-イルまたは9-(4-メトキシフェニル)キサンテン-9-イルである。
【0097】
式(I)、(Ia)、(Ib)または(Ic)の化合物の一部の実施形態では、R
6は水素である。他の実施形態では、R
6は、ホスホルアミダイト部分である。さらに他の実施形態では、R
6は、-C(=O)CH
2CH
2C(=O)R
6Aであり、R
6Aは、-OH、-OR
10または-NR
11R
12である。一部の実施形態では、R
11およびR
12はそれぞれ、独立して、H、必要に応じて置換されているC
1~6アルキルまたはアミノ保護基である。他の実施形態では、R
6は-P(OR
6B)NR
6CR
6Dであり、R
6B、R
6CおよびR
6Dはそれぞれ、独立して、H、C
1~6ハロアルキルまたは必要に応じて置換されているC
1~6アルキルである。一実施形態では、R
6は、-C(=O)CH
2CH
2C(=O)OHである。別の実施形態では、R
6は、
【化26】
である。
【0098】
式(I)、(Ia)、(Ib)または(Ic)の化合物の一部の実施形態では、L
1、L
2およびL
3はそれぞれ、独立して、結合、-C(=O)-、-C(=S)-、-S(=O)
2-、-C(=O)NR
9-、-C(=S)NR
9-、-C(=O)O-、-C(=S)O-、-NR
9C(=O)NR
9-、-NR
9C(=S)NR
9-、-OP(=O)(OH)O-、-OP(=S)(OH)O-、-O-、-S-、-NR
9-、必要に応じて置換されているC
1~10アルキレン、または必要に応じて置換されている2~15員のヘテロアルキレンであり、ここで1個または複数の炭素原子(炭素に結合している水素と一緒になって)がC(=O)、O、SまたはNにより置き換えられており、ただし、L
1、L
2およびL
3のうちの少なくとも1つは結合ではない。一部のこのような実施形態では、R
9は、H、無置換もしくは置換C
1~6アルキル、例えば、メチルまたはトリフルオロメチルである。一部のさらなる実施形態では、L
1は、結合、C
1~10アルキレン、または2~15員のヘテロアルキレンであり、ここで1個または複数の炭素原子(すなわち、CH
2)がC(=O)、OまたはNにより置き換えられている。一部の実施形態では、L
1は、C
1~5アルキレンである。他の実施形態では、L
1は、1~5単位のPEGを含む3~15員のヘテロアルキレンである(すなわち、L
1は、-(CH
2CH
2O)
1~5-である)。このような実施形態では、L
1は、-(CH
2CH
2O)
2(CH
2)
2-などの-(CH
2CH
2O)
1~5(CH
2)
1~5-である。一部の他の実施形態では、L
1は、2~10員または2~6員の直鎖ヘテロアルキレンであり、1個、2個または3個の炭素原子が、NまたはC(=O)によって置き換えられている。さらなる実施形態では、L
1は、2~6員のヘテロアルキレンであり、1個の炭素が、C(=O)またはNによって置き換えられている。一部の実施形態では、L
2は、-C(=O)-、-C(=O)NR
9-、-NR
9-、または2~15員のヘテロアルキレンであり、ここで1個または複数の炭素原子がC(=O)、OまたはNにより置き換えられている。一部のこのような実施形態では、R
9は、Hまたはメチルである。他の実施形態では、L
2は、1~5単位のPEGを含む3~15員のヘテロアルキレンである(すなわち、L
2は、-(CH
2CH
2O)
1~5-である)。一部の他の実施形態では、L
2は、2~10員または2~6員の直鎖ヘテロアルキレンであり、1個、2個または3個の炭素原子が、NまたはC(=O)によって置き換えられている。さらなる実施形態では、L
2は、2~6員のヘテロアルキレンであり、1個の炭素が、C(=O)またはNによって置き換えられている。一部のさらなる実施形態では、L
3は、結合、C
1~10アルキレン、または2~15員のヘテロアルキレンであり、ここで1個または複数の炭素原子がC(=O)、OまたはNにより置き換えられている。一部の実施形態では、L
3は、C
1~5アルキレン、例えば、C
1、C
2、C
3、C
4またはC
5アルキレンである。このような実施形態では、L
3は、-(CH
2)-、-(CH
2)
2-、-(CH
2)
3-または-(CH
2)
4-である。他の実施形態では、L
3は、1~5単位のPEGを含む3~15員のヘテロアルキレンである(すなわち、L
3は、-(CH
2CH
2O)
1~5-である)。一部の他の実施形態では、L
3は、2~10員または2~6員の直鎖ヘテロアルキレンであり、1個、2個または3個の炭素原子が、窒素またはC(=O)によって置き換えられている。さらなる実施形態では、L
3は、2~6員のヘテロアルキレンであり、1個の炭素が、C(=O)またはNによって置き換えられている。一部の実施形態では、L
1だけが結合である。一部の実施形態では、L
2だけが結合である。一部の実施形態では、L
3だけが結合である。他の実施形態では、L
1、L
2およびL
3のうちの2つは、それぞれ、結合である。他の実施形態では、L
1、L
2およびL
3のうちの少なくとも1つは、必要に応じて置換されているC
6~10アリーレン(例えば、フェニレン)、必要に応じて置換されているC
3~10シクロアルキレン(例えば、C
3~7シクロアルキレン)、必要に応じて置換されている5~10員のヘテロアリーレン(例えば、O、NもしくはSから選択される1個、2個もしくは3個のヘテロ原子を含有する5員または6員のヘテロアリーレン)および必要に応じて置換されている5~10員のヘテロシクリレン(例えば、ピペリジレン、ピペラジニレンまたはモルホリニレンなどの5員または6員のヘテロシクリレン)を含めた、環または環系である。-L
1-L
2-L
3-の非限定例としては、-(CH
2CH
2O)
1~10-
、-(CH
2)
0~6-(CH
2CH
2O)
1~8-(CH
2)
0~6-、-(CH
2CH
2O)
2-(CH
2)
2-、-(CH
2CH
2O)
3-(CH
2)
2-
【化27】
が挙げられる。
【0099】
式(I)、(Ia)または(Ib)の化合物の一部の実施形態では、mは1であり、nは2である。他の実施形態では、mは2であり、nは1である。他の実施形態では、mとnの両方が1である。他の実施形態では、mとnの両方が2である。他の実施形態では、mとnの両方が3である。
【0100】
式(I)の化合物のさらなる実施形態は、以下:
【化28】
【化29】
および薬学的に許容されるその塩を含み、L
1、L
2およびL
3は、本明細書において定義されており、Acは、-C(O)CH
3であり、mおよびnはそれぞれ、独立して、1または2であり、R
6は、-C(=O)CH
2CH
2C(=O)OHまたは
【化30】
である。さらなる実施形態では、L
1、L
2およびL
3はそれぞれ、独立して、結合、C
1~10アルキレン、3~15員のヘテロアルキレン(ここで1個または複数の炭素原子が、C(=O)、OもしくはNにより置き換えられている)または1~5つの-OCH
2CH
2-繰り返し単位を含むPEGリンカーである。
【0101】
式(I)の化合物の追加的な非限定例は、以下:
【化31】
【化32】
または薬学的に許容されるその塩を含む。
【0102】
式(II)の三価GalNAcアナログ
一部の実施形態は、本明細書に記載されている、式(II)の化合物または薬学的に許容されるその塩:
【化33】
または薬学的に許容されるその塩(式中、
R
1a、R
1b、R
1c、R
2a、R
2b、R
2c、R
3a、R
3bおよびR
3cはそれぞれ、独立して、水素、ベンジルまたは-C(=O)R
8であり、
R
4a、R
4bおよびR
4cはそれぞれ、独立して、-C(=O)C
1~6アルキルまたは-C(=O)C
1~6ハロアルキルであり、
R
5は、ヒドロキシ保護基であり、
R
6は、水素、ホスホルアミダイト部分、-C(=O)CH
2CH
2C(=O)R
6Aまたは-P(OR
6B)NR
6CR
6Dであり、
Y
2は、結合、NR
7、NR
7C(=O)、C(=O)OまたはOであり、
X
1、X
2およびX
3はそれぞれ、独立して、-O(CH
2)
1~3-、-NH(CH
2)
1~3-、-NHC(=O)(CH
2)
1~3-または-C(=O)(CH
2)
1~3-であり、
L
1a、L
1b、L
1c、L
2a、L
2b、L
2c、L
3a、L
3bおよびL
3cはそれぞれ、独立して、結合、-C(=O)-、-C(=S)-、-S(=O)
2-、-C(=O)NR
9-、-C(=S)NR
9-、-C(=O)O-、-C(=S)O-、-NR
9C(=O)NR
9-、-NR
9C(=S)NR
9-、-OP(=O)(OH)O-、-OP(=S)(OH)O-、-O-、-S-、-NR
9-、必要に応じて置換されているC
1~10アルキレン、必要に応じて置換されているC
6~10アリーレン、必要に応じて置換されているC
3~10シクロアルキレン、必要に応じて置換されている5~10員のヘテロアリーレン、必要に応じて置換されている5~10員のヘテロシクリレンまたは必要に応じて置換されている2~15員のヘテロアルキレンであり、ここで1個または複数の炭素原子がC(=O)、O、SまたはNにより置き換えられており、ただし、L
1a、L
1bおよびL
1cのうちの少なくとも1つは結合ではなく、L
2a、L
2bおよびL
2cのうちの少なくとも1つは結合ではなく、L
3a、L
3bおよびL
3cのうちの少なくとも1つは結合ではなく、
L
4は、結合、必要に応じて置換されているC
1~8アルキレンまたは-(CH
2)
1~3(OCH
2CH
2)
1~5OCH
2-であり、
L
5は、結合、必要に応じて置換されているC
1~10アルキレン、または必要に応じて置換されている2~15員のヘテロアルキレンであり、ここで1個または複数の炭素原子がC(=O)、O、SまたはNにより置き換えられており、
R
7およびR
9はそれぞれ、独立して、水素、無置換C
1~6アルキルまたは置換C
1~6アルキルであり、
R
8はそれぞれ、独立して、C
1~6アルキル、C
1~6ハロアルキルまたは必要に応じて置換されているフェニルであり、
R
6Aは、-OH、-OR
10または-NR
11R
12であり、
R
6B、R
6CおよびR
6Dはそれぞれ、独立して、H、C
1~6ハロアルキルまたは無置換もしくは置換C
1~6アルキルであり、
R
10は、無置換もしくは置換C
1~6アルキルまたはヒドロキシ保護基であり、
R
11およびR
12はそれぞれ、独立して、H、無置換もしくは置換C
1~6アルキルまたはアミノ保護基であり、
mおよびnはそれぞれ、独立して、1、2、3、4、5または6であり、
kは、0または1であり、
xは、0、1、2、3、4、5または6であり、
R
Nはそれぞれ、独立して、ハロ、シアノ、ヒドロキシ、アミノ、無置換C
1~6アルキル、置換C
1~C
6アルキル、C
1~C
6ハロアルキル、ヒドロキシ(C
1~C
6アルキル)、アミノ(C
1~C
6アルキル)、(C
1~C
6アルキル)アミノ、C
1~C
6アルコキシ、C
1~C
6ハロアルコキシ、(C
1~C
6アルコキシ)C
1~C
6アルキルまたは-O(C
1~C
6アルコキシ)C
1~C
6アルキルであるか、または同一炭素原子に結合している2つの隣接R
Nは、オキソ(=O)を形成する)
を提供する。
【0103】
式(II)の化合物の一部の実施形態では、kは0である。一部の実施形態では、kは1である。一部の実施形態では、R7は水素である。他の実施形態では、R7は、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチルまたはt-ブチルなどのC1~4アルキルである。
【0104】
式(II)の化合物の一部の実施形態では、kは0であり、R
7はHであり、本化合物はまた、式(IIa):
【化34】
または薬学的に許容されるその塩によって表される。
【0105】
式(II)または(IIa)の化合物の一部の実施形態では、xは0である。一部の実施形態では、xは1である。一部の実施形態では、xは2である。このような実施形態では、同一炭素原子に結合した2つの隣接RNは、オキソ(=O)を形成する。一部の実施形態では、xは3である。一部の実施形態では、xは4である。このような実施形態では、第1の炭素原子に結合した第1の対の2個の隣接するRNは、第1のオキソ(=O)基を形成し、第2の炭素原子に結合した第2の対の2個の隣接するRNは、第2のオキソ(=O)基を形成する。一部の実施形態では、xは5である。一部の実施形態では、xは6である。このような実施形態では、第1の炭素原子に結合した第1の対の2個の隣接するRNは、第1のオキソ(=O)基を形成し、第2の炭素原子に結合した第2の対の2個の隣接するRNは、第2のオキソ(=O)基を形成し、第3の炭素原子に結合した第3の対の2個の隣接するRNは、第3のオキソ(=O)基を形成する。
【0106】
式(II)の化合物の一部の実施形態では、kは0であり、R
7はHであり、本化合物はまた、式(IIb):
【化35】
または薬学的に許容されるその塩によって表される。
【0107】
式(II)、(IIa)または(IIb)の化合物の一部の実施形態では、Y2はNR7である。一部の実施形態では、Y2はNR7C(=O)である。このような実施形態では、R7はHである。他のこのような実施形態では、R7は、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチルまたはt-ブチルなどのC1~4アルキルである。一部の実施形態では、Y2はC(=O)Oである。一部の実施形態では、Y2はOである。一部の実施形態では、Y2は結合である。
【0108】
式(II)、(IIa)または(IIb)の化合物の一部の実施形態では、L4は、直鎖の無置換C1~6アルキレン、例えば、C1、C2、C3、C4またはC5アルキレンである。このような実施形態では、L4は、-(CH2)-、-(CH2)2-、-(CH2)3-または-(CH2)4-である。一部の他の実施形態では、L4は結合である。
【0109】
式(II)の化合物の一部の実施形態では、kは0であり、R
7はHであり、Y
2はC(=O)Oであり、本化合物はまた、式(IIc):
【化36】
または薬学的に許容されるその塩によって表される。
【0110】
式(II)の化合物の一部の実施形態では、kは0であり、R
7はHであり、Y
2はNHC(=O)であり、本化合物はまた、式(IId):
【化37】
または薬学的に許容されるその塩によって表される。
【0111】
式(II)、(IIa)、(IIb)、(IIc)または(IId)の化合物の一部の実施形態では、L5は、2~15員のヘテロアルキレンであり、ここで1個または複数の炭素原子がC(=O)、OまたはNにより置き換えられている。このような実施形態では、L5は、-C(=O)-(CH2)1~5-である。一実施形態では、L5は、-C(=O)-(CH2)3-である。別の実施形態では、L5は、-C(=O)-(CH2)2-である。一部の他の実施形態では、L5は結合である。
【0112】
式(II)、(IIa)、(IIb)、(IIc)または(IId)の化合物の一部の実施形態では、R1a、R2a、R3a、R1b、R2b、R3b、R1c、R2cおよびR3cはそれぞれ、独立して、水素、ベンジルまたは-C(=O)R8であり、R8は、C1~6アルキル、C1~6ハロアルキルまたは必要に応じて置換されているフェニルである。一部の実施形態では、R1aは、C(=O)CH3である。一部の実施形態では、R1aは、C(=O)Phである。一部の実施形態では、R2aは、C(=O)CH3である。他の実施形態では、R2aは、C(=O)Phである。一部の実施形態では、R3aは、C(=O)CH3である。他の実施形態では、R3aは、C(=O)Phである。一部の実施形態では、R1a、R2aおよびR3aはそれぞれ、C(=O)CH3である。一部の他の実施形態では、R1a、R2aおよびR3aはそれぞれ、Hである。一部の他の実施形態では、R1a、R2aおよびR3aはそれぞれ、C(=O)Phである。一部の実施形態では、R4aは、-C(=O)C1~6アルキルである。他の実施形態では、R4aは、-C(=O)C1~6ハロアルキルである。一実施形態では、R4aは、-C(=O)CH3である。別の実施形態では、R4aは、-C(=O)CF3である。一部の実施形態では、R1bは、C(=O)CH3である。一部の実施形態では、R1bは、C(=O)Phである。一部の実施形態では、R2bは、C(=O)CH3である。他の実施形態では、R2bは、C(=O)Phである。一部の実施形態では、R3bは、C(=O)CH3である。他の実施形態では、R3bは、C(=O)Phである。一部の実施形態では、R1b、R2bおよびR3bはそれぞれ、C(=O)CH3である。一部の他の実施形態では、R1b、R2bおよびR3bはそれぞれ、Hである。一部の他の実施形態では、R1b、R2bおよびR3bはそれぞれ、C(=O)Phである。一部の実施形態では、R4bは、-C(=O)C1~6アルキルである。他の実施形態では、R4bは、-C(=O)C1~6ハロアルキルである。一実施形態では、R4bは、-C(=O)CH3である。別の実施形態では、R4bは、-C(=O)CF3である。一部の実施形態では、R1cは、C(=O)CH3である。一部の実施形態では、R1cは、C(=O)Phである。一部の実施形態では、R2cは、C(=O)CH3である。他の実施形態では、R2cは、C(=O)Phである。一部の実施形態では、R3cは、C(=O)CH3である。他の実施形態では、R3cは、C(=O)Phである。一部の実施形態では、R1c、R2cおよびR3cはそれぞれ、C(=O)CH3である。一部の他の実施形態では、R1c、R2cおよびR3cはそれぞれ、Hである。一部の他の実施形態では、R1c、R2cおよびR3cはそれぞれ、C(=O)Phである。一部の実施形態では、R4cは、-C(=O)C1~6アルキルである。他の実施形態では、R4cは、-C(=O)C1~6ハロアルキルである。一実施形態では、R4cは、-C(=O)CH3である。別の実施形態では、R4cは、-C(=O)CF3である。
【0113】
式(II)、(IIa)、(IIb)、(IIc)または(IId)の化合物の一部の実施形態では、R5は、トリチル型ヒドロキシ保護基である。一実施形態では、R5は、(4-メトキシフェニル)ジフェニルメチル(すなわち、モノメトキシトリチル(MMTr))である。別の実施形態では、R5は、ビス(4-メトキシフェニル)フェニルメチル(すなわち、4,4’-ジメトキシトリチル(DMTr))である。さらに別の実施形態では、R5は、トリス(4-メトキシフェニル)メチル(すなわち、4,4’,4”-トリメトキシトリチル(TMTr))である。さらなる実施形態では、R5は、9-フェニルキサンテン-9-イルまたは9-(4-メトキシフェニル)キサンテン-9-イルである。
【0114】
式(II)、(IIa)、(IIb)、(IIc)または(IId)の化合物の一部の実施形態では、R
6は水素である。他の実施形態では、R
6は、ホスホルアミダイト部分である。さらに他の実施形態では、R
6は、-C(=O)CH
2CH
2C(=O)R
6Aであり、R
6Aは、-OH、-OR
10または-NR
11R
12である。一部の実施形態では、R
11およびR
12はそれぞれ、独立して、H、必要に応じて置換されているC
1~6アルキルまたはアミノ保護基である。他の実施形態では、R
6は-P(OR
6B)NR
6CR
6Dであり、R
6B、R
6CおよびR
6Dはそれぞれ、独立して、H、C
1~6ハロアルキルまたは必要に応じて置換されているC
1~6アルキルである。一実施形態では、R
6は、-C(=O)CH
2CH
2C(=O)OHである。別の実施形態では、R
6は、
【化38】
である。
【0115】
式(II)、(IIa)、(IIb)、(IIc)または(IId)の化合物の一部の実施形態では、X1およびX3はそれぞれ、-NH(=O)CH2CH2-であり、X2は、-NHC(=O)CH2-である。他の実施形態では、X1およびX3はそれぞれ、-C(=O)CH2CH2-であり、X2は、-C(=O)CH2-である。一実施形態では、X1、X2およびX3はそれぞれ、-OCH2-である。別の実施形態では、X1、X2およびX3はそれぞれ、-NHCH2-である。別の実施形態では、X1、X2およびX3はそれぞれ、-C(=O)CH2CH2-である。別の実施形態では、X1、X2およびX3はそれぞれ、-C(=O)CH2-である。別の実施形態では、X1、X2およびX3はそれぞれ、-NHC(=O)CH2CH2-である。別の実施形態では、X1、X2およびX3はそれぞれ、-NHC(=O)CH2-である。
【0116】
式(II)、(IIa)、(IIb)、(IIc)または(IId)の化合物の一部の実施形態では、L
1a、L
1b、L
1c、L
2a、L
2b、L
2c、L
3a、L
3bおよびL
3cはそれぞれ、独立して、結合、-C(=O)-、-C(=S)-、-S(=O)
2-、-C(=O)NR
9-、-C(=S)NR
9-、-C(=O)O-、-C(=S)O-、-NR
9C(=O)NR
9-、-NR
9C(=S)NR
9-、-OP(=O)(OH)O-、-OP(=S)(OH)O-、-O-、-S-、-NR
9-、必要に応じて置換されているC
1~10アルキレン、または必要に応じて置換されている2~15員のヘテロアルキレンであり、ここで1個または複数の炭素原子(炭素に結合している水素と一緒になって)がC(=O)、O、SまたはNにより置き換えられており、ただし、L
1a、L
1bおよびL
1cのうちの少なくとも1つは結合ではなく、L
2a、L
2bおよびL
2cのうちの少なくとも1つは結合ではなく、L
3a、L
3bおよびL
3cのうちの少なくとも1つは結合ではない。一部のこのような実施形態では、R
9は、H、無置換もしくは置換C
1~6アルキル、例えば、メチルまたはトリフルオロメチルである。一部のさらなる実施形態では、L
1a、L
1bおよびL
1cはそれぞれ、独立して、結合、C
1~10アルキレン、または2~15員のヘテロアルキレンであり、ここで1個または複数の炭素原子(すなわち、CH
2)がC(=O)、OまたはNにより置き換えられている。一部の実施形態では、L
1a、L
1bおよびL
1cはそれぞれ、独立して、C
1~5アルキレンである。他の実施形態では、L
1a、L
1bおよびL
1cはそれぞれ、独立して、1~5単位のPEGを含む3~15員のヘテロアルキレンである(すなわち、L
1a、L
1bおよびL
1cはそれぞれ、独立して、-(CH
2CH
2O)
1~5-である)。一部の他の実施形態では、L
1a、L
1bおよびL
1cはそれぞれ、独立して、2~10員または2~6員の直鎖ヘテロアルキレンであり、1個、2個または3個の炭素原子が、NまたはC(=O)によって置き換えられている。さらなる実施形態では、L
1a、L
1bおよびL
1cはそれぞれ、独立して、2~6員のヘテロアルキレンであり、1個の炭素が、C(=O)またはNによって置き換えられている。一部の実施形態では、L
2a、L
2bおよびL
2cはそれぞれ、独立して、-C(=O)-、-C(=O)NR
9-、-NR
9-、または2~15員のヘテロアルキレンであり、ここで1個または複数の炭素原子がC(=O)、OまたはNにより置き換えられている。一部のこのような実施形態では、R
9は、Hまたはメチルである。他の実施形態では、L
2a、L
2bおよびL
2cはそれぞれ、独立して、1~5単位のPEGを含む3~15員のヘテロアルキレンである(すなわち、L
2a、L
2bおよびL
2cはそれぞれ、独立して、-(CH
2CH
2O)
1~5-である)。一部の他の実施形態では、L
2a、L
2bおよびL
2cはそれぞれ、独立して、2~10員または2~6員の直鎖ヘテロアルキレンであり、1個、2個または3個の炭素原子が、NまたはC(=O)によって置き換えられている。さらなる実施形態では、L
2a、L
2bおよびL
2cはそれぞれ、独立して、1個の炭素がC(=O)またはNにより置き換えられた2~6員のヘテロアルキレンである。一部のさらなる実施形態では、L
3a、L
3bおよびL
3cはそれぞれ、独立して、結合、C
1~10アルキレン、または2~15員のヘテロアルキレンであり、ここで1個または複数の炭素原子がC(=O)、OまたはNにより置き換えられている。一部の実施形態では、L
3a、L
3bおよびL
3cはそれぞれ、独立して、C
1~5アルキレンである。他の実施形態では、L
3a、L
3bおよびL
3cはそれぞれ、独立して、1~5単位のPEGを含む3~15員のヘテロアルキレンである(すなわち、L
3a、L
3bおよびL
3cはそれぞれ、独立して、-(CH
2CH
2O)
1~5-である)。一部の他の実施形態では、L
3a、L
3bおよびL
3cはそれぞれ、独立して、2~10員または2~6員の直鎖ヘテロアルキレンであり、1個、2個または3個の炭素原子が、窒素またはC(=O)によって置き換えられている。さらなる実施形態では、L
3a、L
3bおよびL
3cはそれぞれ、独立して、2~6員のヘテロアルキレンであり、1個の炭素が、C(=O)またはNによって置き換えられている。一部の実施形態では、L
1だけが結合である。一部の実施形態では、L
2a、L
2bおよびL
2cだけが結合である。一部の実施形態では、L
3a、L
3bおよびL
3cだけが結合である。他の実施形態では、L
1a、L
2aおよびL
3aのうちの2つは、それぞれ、結合である。他の実施形態では、L
1b、L
2bおよびL
3bのうちの2つは、それぞれ、結合である。他の実施形態では、L
1c、L
2cおよびL
3cのうちの2つは、それぞれ、結合である。他の実施形態では、L
1a、L
2aおよびL
3aのうちの少なくとも1つ、L
1b、L
2bおよびL
3bの1つ、ならびに/またはL
1c、L
2cおよびL
3cのうちの1つは、必要に応じて置換されているC
6~10アリーレン(例えば、フェニレン)、必要に応じて置換されているC
3~10シクロアルキレン(例えば、C
3~7シクロアルキレン)、必要に応じて置換されている5~10員のヘテロアリーレン(例えば、O、NもしくはSから選択される1個、2個もしくは3個のヘテロ原子を含有する5員または6員のヘテロアリーレン)および必要に応じて置換されている5~10員のヘテロシクリレン(例えば、ピペリジレン、ピペラジニレンまたはモルホリニレンなどの5員または6員のヘテロシクリレン)を含めた、環または環系である。-L
1a-L
2a-L
3a-、-L
1b-L
2b-L
3b-または-L
1c-L
2c-L
3c-の非限定例としては、-(CH
2CH
2O)
1~10-
、-(CH
2)
0~6-(CH
2CH
2O)
1~8-(CH
2)
0~6-、-(CH
2CH
2O)
2-(CH
2)
2-、-(CH
2CH
2O)
3-(CH
2)
2-
【化39】
【化40】
が挙げられる。
【0117】
式(II)、(IIa)、(IIb)、(IIc)または(IId)の化合物の一部の実施形態では、mは1であり、nは2である。他の実施形態では、mは2であり、nは1である。他の実施形態では、mとnの両方が1である。他の実施形態では、mとnの両方が2である。他の実施形態では、mとnの両方が3である。
【0118】
式(II)の化合物のさらなる実施形態は、以下:
【化41】
【化42】
【化43】
からなる群より選択される式または薬学的に許容されるその塩を有する(式中、
X
1、X
2およびX
3はそれぞれ、-OCH
2-、-NHCH
2-、-C(=O)CH
2CH
2-、-C(=O)CH
2-、-NHC(=O)CH
2CH
2-もしくは-NHC(=O)CH
2-であるか、またはX
1およびX
3はそれぞれ、-C(=O)CH
2CH
2-であり、X
2は、-C(=O)CH
2-であるか、またはX
1およびX
3はそれぞれ、-NHC(=O)CH
2CH
2-であり、X
2は、-NHC(=O)CH
2-であり、
Acは、-C(O)CH
3であり、
mおよびnはそれぞれ、独立して、1または2であり、
R
5は、DMTrであり、
R
6は、-C(=O)CH
2CH
2C(=O)OHまたは
【化44】
である)。
【0119】
式(II)の化合物の追加的な非限定例は、以下:
【化45】
【化46】
【化47】
または薬学的に許容されるそれらの塩を含む。
【0120】
本明細書において記載されている化合物のいずれかの実施形態では、R6が、コハク酸エステル部分(-C(O)CH2CH2C(O)OH)を含む場合、本化合物は、必要に応じて、リンカーを介して、コハク酸エステル部分から固体支持体に結合していてもよい。
【0121】
本明細書において記載されている化合物のいずれかの実施形態では、R
6が、
【化48】
などのホスホルアミダイト部分を含む場合、本化合物を使用して、別のヌクレオシドの5’-OH、またはオリゴヌクレオチドの5’-OH末端と反応させてもよい。追加的な実施形態としては、本明細書に記載されている反応によって調製されるオリゴヌクレオチドが含まれる。
【0122】
GalNAc化合物とコンジュゲートした固体支持体
本出願の一部の実施形態は、例えば、本化合物のR
6を介して、これらに共有結合により結合した、本明細書に記載されている式(I)の化合物((Ia)~(Ic)および(Id-1)~(Id-8)を含む)または式(II)の化合物((IIa)~(IId)および(IIe-1)~(IIe-8)を含む)を含む固体支持体に関する。一実施形態では、R
6は、-C(=O)CH
2CH
2C(=O)OHである。別の実施形態では、R
6は、-C(=O)CH
2CH
2C(=O)NH
2である。さらなる実施形態では、本化合物は、部分:
【化49】
(式中、Wは、OまたはNHであり、破線は、必要に応じて追加のリンカーを介する固体支持体との接続を指し、波線は、(化合物のR
6に共有結合している)酸素原子の化合物の残りの部分への結合点を指す)を介して固体支持体に共有結合により結合している。さらなる実施形態では、固体支持体に結合したヌクレオシドは、化合物の-OR
5官能基からの固相オリゴ合成のための開始点として働き、脱保護後に遊離ヒドロキシ基を露出させることができる。非限定的実施形態では、固体支持体は、制御孔ガラス(controlled pore glass)(CPG)またはマクロ孔質ポリスチレン(MPPS)またはSiO
2粒子を含んでもよい。
【0123】
オリゴヌクレオチド合成における官能基化GalNAcアナログ
本出願の一部の実施形態は、本明細書に記載されている化合物をオリゴヌクレオチドと反応させるステップを含む、合成オリゴヌクレオチドを調製する方法に関する。一部の実施形態では、オリゴヌクレオチドは、1~100塩基長、5~50塩基長、または10~30塩基長を含む。さらなる実施形態では、反応は、固体支持体上で行われる。
【0124】
工程1:脱保護(脱トリチル化)
DMTr基は、不活性溶媒(ジクロロメタンまたはトルエン)中、2%トリクロロ酢酸(TCA)または3%ジクロロ酢酸(DCA)などの酸の溶液により除去される。形成したオレンジ色のDMTr陽イオンを洗浄して除く。この工程により、遊離の5’末端ヒドロキシル基を有する、固体支持体に結合したオリゴヌクレオチド前駆体がもたらされる。
【0125】
工程2:カップリング
アセトニトリル中のヌクレオシドホスホルアミダイト(またはいくつかのホスホルアミダイトの混合物)の0.02~0.2M溶液を、酸性アゾール触媒である1H-テトラゾール、5-エチルチオ-1H-テトラゾール、2-ベンジルチオテトラゾール、4,5-ジシアノイミダゾールまたはいくつかの類似化合物の0.2~0.7M溶液によって活性化する。この混合は、通常、非常に、短時間であり、固体支持体を含有する反応器に構成成分を送達しながら、オリゴヌクレオチド合成装置(以下を参照されたい)の流体ラインで行われる。次に、支持体に結合した物質よりも1.5~20倍過剰の活性化されたホスホルアミダイトを開始固体支持体(第1のカップリング)、または支持体に結合したオリゴヌクレオチド前駆体(カップリング後)に接触させ、オリゴヌクレオチド前駆体の5’-ヒドロキシ基が、入来するヌクレオシドホスホルアミダイトの活性化されたホスホルアミダイト部分と反応して、ホスファイトトリエステル連結を形成する。この反応はまた、特に、ホスホルアミダイトの希釈溶液を使用した場合、水の存在に非常に敏感であり、無水アセトニトリル中で一般に行われる。カップリングの完了時に、未結合試薬および副生物のいずれも、洗浄により除去される。
【0126】
工程3:キャッピング
キャッピングステップは、固体支持体に結合した物質に、無水酢酸および触媒としての1-メチルイミダゾール(または頻度は多くないが、DMAP)の混合物により処理することによって行われ、ホスホルアミダイト方法では、2つの目的を果たす。カップリング反応の完了後、低い割合の固体支持体に結合した5’-OH基(0.1~1%)が未反応のままであり、一般に(n-1)ショートマーと称される内部塩基の欠失したオリゴヌクレオチドの形成を防止するため、さらなる鎖伸長を恒久的に阻止する必要がある。未反応5’-ヒドロキシ基は、かなりの程度まで、キャッピング混合物によってアセチル化される。
【0127】
工程4:酸化
新しく形成した三配位ホスファイトトリエステル連結は、天然物ではなく、オリゴヌクレオチド合成の条件下での安定性は限られる。弱塩基(ピリジン、ルチジンまたはコリジン)の存在下での、支持体に結合した物質のヨウ素および水による処理によって、ホスファイトトリエステルは、天然に存在するリン酸ジエステルのヌクレオシド間連結の保護前駆体である、四配位リン酸トリエステルへと酸化される。酸化は、tert-ブチルヒドロペルオキシドまたは(1S)-(+)-(10-カンファースルホニル)-オキサジリジン(CSO)を使用する無水条件で行われてもよい。酸化ステップは、硫黄化(sulfurization)ステップと置き換えると、オリゴヌクレオチドホスホロチオエートを得ることができる。後者の場合、硫黄化ステップは、キャッピング前に行われるのが最良である。
【0128】
固相合成では、アセンブルされるオリゴヌクレオチドは、その3’-末端ヒドロキシ基を介して固体支持物質に共有結合され、鎖アセンブリの全過程にわたり、固体支持物質に結合したままである。固体支持体は、その寸法が合成のスケールに依存するカラム内に入れられ、0.05mL~数リットルの間で様々にすることができる。鎖アセンブリの終了時に、オリゴヌクレオチドが固体支持体から放出されて、カラムまたはウェルから溶出する。最も多く使用される固相物質の2種は、制御孔ガラス(CPG)およびマクロ孔質ポリスチレン(MPPS)である。
【0129】
有機固相合成およびペプチド合成とは対照的に、オリゴヌクレオチドの合成は、非膨潤性固体支持体または低膨潤性固体支持体上で最良に進められる。最も多く使用される固相物質の2種は、制御孔ガラス(CPG)およびマクロ孔質ポリスチレン(MPPS)である。
【0130】
CPGは、その細孔サイズによって一般に規定される。オリゴヌクレオチド化学では、500、1000、1500、2000および3000Åの細孔サイズを使用して、それぞれ、約50、80、100、150および200マーのオリゴヌクレオチドの調製が可能となる。さらなる加工に好適な本来の(native)CPGを作製するために、この物質の表面を(3-アミノプロピル)トリエトキシシランで処理して、アミノプロピルCPGを得る。アミノプロピルアームは、さらに延長されて、長鎖アミノアルキル(LCAA)CPGをもたらすことができる。次に、アミノ基は、オリゴヌクレオチド合成に好適なリンカーのための固定点として使用される。
【0131】
オリゴヌクレオチド合成に好適なMPPSは、細孔形成剤(porogeneous agent)の存在下、ジビニルベンゼン、スチレンおよび4-クロロメチルスチレンの重合により得られる、低膨潤性の、高度に架橋されたポリスチレンである。得られたマクロ孔質クロロメチルMPPSは、アミノメチルMPPSに変換される。
【実施例】
【0132】
上で議論した実施形態の一部の態様が、以下の実施例においてさらに詳細に開示されており、これらの実施例は、本開示の範囲を限定することを決して意図するものではない。当業者は、本明細書の上記および特許請求の範囲に記載されている通り、多数の他の実施形態が、本出願の組成物、キットおよび方法の範囲にやはり収まることを認識している。
(実施例1)
一価GalNAcアナログの調製に関する一般手順
スキーム1
【化50】
【0133】
1,3,5-トリス(2-ヒドロキシエチル)-1,3,5-トリアジナン-2,4,6-トリオン(26.1g、100mmol)のピリジン(200mL)溶液に、塩化4,4’-ジメトキシトリフェニルメチル(33.8g、100mmol)を加え、この混合物を室温で18時間、撹拌した。次に、混合物を真空で濃縮した。DCM/MeOH(DCM中の0~20%MeOH)により溶出するカラムクロマトグラフィーによって残留物を精製し、化合物B(21.3g、38%)が無色油状物として得られた。MS:実測値:[M+Na]+=586.3;計算値:[M+Na]+=586.6。
【0134】
工程2:化合物Bを溶媒に溶解し、TEAを加え、次いで、TBSClを加える。反応の完了を確認し、反応混合物を精製すると、化合物Cが得られる。
【0135】
工程3:化合物CをDCMに溶解し、TEAを加え、次いで、DMAPおよび無水コハク酸を加えて、化合物4を得る。
【化51】
【0136】
化合物12は、化合物4の調製に関して上に記載されている同様の手順に従って調製することができる。
スキーム2
【化52】
【0137】
工程1:GalNAc(10g、25.7mmol)および化合物1(15.4g、102.7mmol)をDCM(100mL)に溶解し、次に、CF3SO3H(0.34mL、3.85mmol)を加えた。この反応混合物をアルゴン下で一晩、還流し、次に、室温まで冷却した。次に、この混合物を1M NaHCO3(51mL)に注ぎ入れて、有機層を分離し、水、ブラインにより洗浄し、NasSO4で乾燥させた。ろ過後、有機層を真空下で濃縮乾固した。粗生成物をヘキサン/酢酸エチル(1/1)からDCM/MeOH(2%から8%までのMeOH)までを使用するカラム精製によって精製した。純粋な画分を採集し、真空下で濃縮乾固し、化合物2が定量的収率で得られた。MS:実測値:[M+H]=505.7;計算値:[M+H]=505.2。
【0138】
工程2:化合物2(0.224g、0.44mmol)をTHF(3mL)に入れ、Pd/C(22mg、10重量%)を加えた。この反応混合物に1分間、H2を勢いよく流し、このフラスコをセプタムで密封する。水素を充填したバルーンをフラスコに挿入し、室温で3時間、撹拌し、セライトバッドに通してろ過した。パッドを酢酸エチルにより洗浄し、合わせた有機相を真空下で濃縮乾固し、定量的収率で化合物3となった。MS:実測値:[M+H]=479.6;計算値:[M+H]=479.2。化合物3は、さらに精製することのない状態であり得る。
【0139】
工程3:上記からの化合物3(0.44mmol)をDMF(2.2mL)に溶解し、次に、DIEA(0.77mL、4.4mmol)を加える。この混合物をアルゴン下、溶解するまで撹拌する。化合物4(0.19g、0.44mmol)、次いで、HBTU(0.19g、0.49mmol)を加える。この反応混合物を室温で一晩、撹拌し、EtOAc(20mL)により希釈する。この混合物を飽和NaHCO3(20mL)、ブライン(20mL)により抽出し、有機相をNa2SO4で乾燥させる。ろ過後、この溶液を濃縮乾固すると、粗製化合物5が得られる。
【0140】
工程4:化合物5をピリジン-HFにより脱保護し、TBS基を除去して一級アルコールを得て、未保護ヒドロキシ基を無水コハク酸または
【化53】
と反応させることによって、上記を化合物6に変換する。
(実施例2)
三価GalNAcアナログの調製に関する一般手順
スキーム3
【化54】
【0141】
工程1:化合物3をDMFに溶解し、次に、HBTUおよびDIEAを添加し、次いで、化合物7を添加する。反応の完了を確認し、反応混合物を精製すると、化合物8が得られる。
【0142】
工程2:化合物8をMeOHおよびTFAに溶解し、次に、Pd(OH)2を加え、この反応混合物を水素化する。反応の完了を確認し、反応混合物を精製すると、化合物9が得られる。
【0143】
工程3:化合物9をDMFに溶解し、次に、HBTUおよびDIEAを添加し、次いで、化合物4を添加する。反応の完了を確認し、反応混合物を精製すると、化合物10が得られる。
【0144】
工程4:化合物10をピリジン-HFにより脱保護し、TBS基を除去して未保護ヒドロキシ基を得て、一級アルコールを無水コハク酸または
【化55】
と反応させることによって、上記を化合物11に変換する。
(実施例3)
一価GalNAcアナログの調製に関する一般手順
スキーム4
【化56】
【0145】
化合物13:工程1:丸底フラスコ中、撹拌しながらHO-PEG2-CH2CO2H(5.0g、30.5mmol)およびKHCO3(3.65g、36.5mmol)をDMF(61.0mL)に溶解した。臭化ベンジル(4.35mL、36.5mmol)を滴下して加え、この反応混合物を室温で一晩、撹拌した。揮発物を真空で除去し、残留物をDCMに溶解した。沈殿物をろ過によって除去し、ろ液を濃縮した。粗製物質をシリカカラム(溶離液:DCM中の0~15%MeOH)によって精製した。純粋な画分を採集し、真空下で濃縮乾固すると、油状物(4.02g、51.9%収率)が得られた。MS:実測値:[M+H]=255.4;計算値:[M+H]=255.1。
【0146】
工程2:上記の油状物(4.02g、15.8mmol)および過アシル化(peracylated)GalNAc(4.10g、10.5mmol)をDCE(40.4mL)に溶解した。次に、Sc(OTf)3(0.36g、0.74mmol)を加えた。この反応混合物を一晩、90℃まで加熱した。この反応混合物を室温まで冷却し、激しく撹拌しながら、飽和NaHCO3(50mL)に注ぎ入れた。有機層を分離して、水相をDCM(2×50mL)により抽出した。合わせた有機相をNa2SO4で乾燥させ、ろ過して、濃縮乾固した。粗製物質を順相シリカカラム(溶離液:DCM中の0~10%MeOH)によって精製した。画分を採集し、真空下で濃縮乾固すると、黄色油状物(7.23g、118%収率)が得られた。MS:実測値:[M+H]=584.4;計算値:[M+H]=584.2。
【0147】
工程3:Arパージ下、工程2からの生成物をMeOH(62mL)および10%Pd/C(200mg、1.86mmol)に溶解した。空気を真空下で除去し、H2バルーンを挿入した。この反応混合物を室温で2時間、撹拌し、セライトパッドに通してろ過した。このパッドをMeOHで2回、洗浄し、揮発物を真空で除去した。粗製物質をC18逆相カラム(溶離液:水中の0~90%MeCN)によって精製した。純粋な画分を採集し、真空下で濃縮乾固すると、化合物13が油状物(3.72g、71.8%収率)として得られた。MS:実測値:[M-H]=492.4;計算値:[M-H]=492.2。
【0148】
化合物15:化合物13(850mg、1.724mmol)、およびHATU(1.310mg、3.448mmol)、次いでDIEA(889mg、6.896mmol)をアルゴン下、DCM(50.0mL)に溶解した。次に、化合物14(1.065g、1.89mmol)を加えた。反応混合物を室温で12時間、撹拌し、ジクロロメタン(50mL)により希釈した。次に、この混合物にブライン(40mL)を加え、有機相を分離した。水相をジクロロメタン(20mL×2)により抽出し、合わせた有機相をNa2SO4で乾燥させ、ろ過して濃縮乾固すると、黄色固体が得られた。粗生成物をDCM/MeOH(0~10%MeOH)を使用するカラム精製によって精製した。純粋な画分を採集し、真空下で濃縮乾固すると、化合物15(865mg、48%)が得られた。MS:実測値:[M+NH4]=1055.7;計算値:[M+NH4]=1055.4。
【0149】
化合物16:50mLのRBフラスコ中で、化合物15(370mg、0.356mmol)をDCM(20mL)に溶解した。2-シアノエチルN,N-ジイソプロピルクロロホスホルアミダイト(126mg、0.535mmol)およびDIEA(138mg、1.07mmol)を加えた。この反応混合物を室温で2時間、撹拌した。反応の完了をTLCによって確認した。次に、この混合物を飽和NaHCO3(10mL)に注ぎ入れて、DCM(20mL)を加えた。有機層を分離して、水(30mL)およびブライン(30mL)により洗浄した。次に、有機層をNa2SO4で乾燥させた。ろ過後、有機層を真空下で濃縮乾固した。次に、粗生成物をDCM/TEA(0%~10%TEA)を使用するカラム精製によって精製した。純粋な画分を採集し、真空下で濃縮乾固すると、化合物16(248mg、56%)が得られた。MS:実測値:[M+NH4]=1255.4;計算値:[M+NH4]=1255.5。31P-NMR (ジアステレオマーの混合物, DMSO-d6): δ147.343.
【0150】
化合物17:工程1:100mLのRBフラスコ中で、化合物15(406mg、0.392mmol)をDCM(20mL)に溶解した。無水コハク酸(47mg、0.497mmol)およびTEA(118mg、1.175mmol)を加えた。この反応混合物を室温で12時間、撹拌した。反応の完了をTLCによって確認した。次に、この混合物を飽和NaHCO
3(40mL)に注ぎ入れて、DCM(50mL)を加えた。有機層を分離し、水(30mL)およびブライン(30mL)により洗浄した。次に、有機層をNa
2SO
4により乾燥させ、ろ過して真空下で濃縮乾固した。粗生成物をDCM/MeOH(0~10%MeOH)を使用するカラム精製によって精製した。純粋な画分を採集し、真空下で濃縮乾固すると、対応するコハク酸エステル
【化57】
(128mg、29%)が得られた。MS:実測値:[M+NH
4]=1155.7;計算値:[M+NH
4]=1155.4。
【0151】
工程2:50mLのRBフラスコ中、工程1からのコハク酸エステル(41mg、0.036mmol)をMeCN(5mL)に溶解した。HATU(13.7mg、0.036mmol)およびDIEA(14mg、0.108mmol)を加えた。次に、5分後、LCAA CPG(1000Å、0.5g)を加えた。この反応混合物を室温で3時間、撹拌した。ろ過後、このCPGをMeCN(50mL×3)およびTHF(50mL×3)で洗浄し、次に、真空下で乾燥した。キャッピングA試薬:(THF/無水酢酸/ピリジン80/10/10v/v/v、1.25mL)。およびキャッピングB試薬:(1-メチルイミダゾール/THF、16/84、v/v、1.25mL)をフラスコに加え、この混合物を室温で2時間、撹拌した。ろ過後、キャッピングされたCPGをEtOH(50mL×3)、EtOH/10%ピリジン(50mL×3)、THF(50mL×3)およびDCM(50mL×3)により洗浄した。次に、このキャッピングされたCPG化合物17を真空下で乾燥した。負荷(loading)は、UV-Vis(498nm)による標準DMTrアッセイによって、41μmol/gと求まった。
(実施例4)
三価GalNAcアナログの調製に関する一般手順
スキーム5
【化58】
【0152】
化合物7の合成:DCMおよび25%Na2CO3水溶液(50mL/50mL)中の化合物18(4.46g、10.7mmol)の溶液に、CbzCl(5.49g、32.1mmol)を加え、得られた反応混合物を室温で43時間、撹拌した。TLCにより反応の完了が示された。この混合物をH2O/DCM(25mL/25mL)により希釈し、次に、水層をDCM(20mL×2)により抽出し、有機相をH2O/ブライン(25mL/25mL)により洗浄した。合わせた有機層をNa2SO4で乾燥させ、ろ過して濃縮すると、粗製化合物19(6.0g)が白色固体として得られ、これをさらに精製することなく使用した。
【0153】
化合物19(6.0g、10.7mmol)を室温でDCM中の25%TFA(60mL)に溶解し、この反応混合物を室温で2時間、撹拌した。TLCにより反応の完了が示された。この混合物を真空で濃縮し、残留物をEA/ヘキサン(10mL/30mL)によって再結晶した。化合物7(3.62g、2工程で89%)が白色固体として得られた。MS:実測値:[M-H]-=380.5;計算値:[M-H]-=380.4。
【0154】
化合物21の合成:化合物3(3.62g、9.49mmol)の無水DCM(45mL)溶液に、ペンタフルオロフェニルトリフルオロアセテート(13.3g、47.4mmol)およびDIPEA(19.8mL、113.9mmol)を加えた。この反応混合物を室温で2時間、撹拌した。TLCにより反応の完了が示された。この混合物をH2O/DCM(25mL/50mL)により希釈した。水層をDCM(25mL×2)により抽出した。合わせた有機層をNa2SO4で乾燥させ、ろ過して濃縮した。カラムクロマトグラフィー(ヘキサン中の0~20%酢酸エチルで溶出)によって残留物を精製すると、化合物21(4.46g、53%)が無色油状物として得られた。MS:実測値:[M+NH4]+=897.3;計算値:[M+NH4]+=897.5。
【0155】
化合物23の合成:化合物22(23g、41.9mmol)の酢酸エチル(150mL)溶液に、N2雰囲気下、トリフルオロ酢酸(4.78g、41.9mmol)およびPd/C(2.3g、10%)を加えた。次に、この混合物をH2と交換し、H2雰囲気下、17時間、室温で撹拌した。TLCにより反応の完了が示された。この混合物をセライトによってろ過し、濃縮すると、化合物23(18g、68%)が褐色泡状物として得られた。MS:実測値:[M+H]+=523.7;計算値:[M+H]+=523.6。
【0156】
化合物24の合成:化合物23(4.34g、6.82mmol)および化合物21(1.0g、1.14mmol)の無水DCE(34mL)溶液に、Et3N(1.38g、13.6mmol)を加えた。この反応混合物を室温で21時間、撹拌した。TLCにより反応の完了が示された。この混合物をH2O/DCM(15mL/15mL)により希釈した。水層をDCM(25mL×2)により抽出した。合わせた有機層をNaHCO3水溶液(15mL×2)およびブライン(15mL×2)によって洗浄し、Na2SO4で乾燥させ、ろ過して濃縮した。DCM/MeOH(DCM中の0~15%MeOH)により溶出するカラムクロマトグラフィーによって残留物を精製すると、化合物24(803mg、37%)が明褐色泡状物として得られた。MS:実測値:[M+2H/2]+=948.5;計算値:[M+2H/2]+=948.49。
【0157】
化合物25の合成:化合物24(5.6g、3.0mmol)のMeOH(150mL)溶液に、N
2雰囲気下、トリフルオロ酢酸(342mg、3.0mmol)およびPd/C(560mg、10%)を加えた。次に、この混合物をH
2と交換し、H
2雰囲気下、18時間、室温で撹拌した。TLCにより反応の完了が示された。この混合物をセライトによってろ過し、濃縮すると、化合物25(5.41g、97%)が褐色泡状物として得られた。MS:実測値:[M+H]
+=1761.4;計算値:[M+H]
+=1761.9。
(実施例5)
トリアジナンの調製に関する一般手順
スキーム6
【化59】
【0158】
化合物26の合成:化合物B(21.3g、38mmol)のピリジン(100mL)溶液に、塩化p-トルエンスルホニル(7.2g、38mmol)を加え、この混合物を室温で18時間、撹拌した。この混合物を真空で濃縮した。DCM/MeOH(DCM中の0~15%MeOH)により溶出するカラムクロマトグラフィーによって残留物を精製すると、化合物26(15.8g、57%)が黄色油状物として得られた。MS:実測値:[M+Na]+=740.6;計算値:[M+Na]+=740.8。
【0159】
化合物27の合成:化合物26(15.8g、21.6mmol)のDMF(200mL)溶液に、NaN3(4.2g、64.8mmol)を加え、この混合物を75℃に加熱し、6時間、撹拌した。TLCにより反応の完了が明らかになった。この混合物をH2O/EA(75mL/75mL)により希釈し、水層をEA(50mL×2)で抽出した。合わせた有機層をH2O(50mL×2)およびブライン(50mL×2)によって洗浄し、Na2SO4で乾燥させ、ろ過して濃縮した。DCM/MeOH(DCM中の0~15%MeOH)により溶出するカラムクロマトグラフィーによって残留物を精製すると、化合物27(6.88g、54%)が白色泡状物として得られた。MS:実測値:[M2+NH4]+=1194.7;計算値:[M2+NH4]+=1194.5。
【0160】
化合物14の合成:化合物27(6.88g、11.7mmol)のピリジン(100mL)溶液に、PPh3(4.6g、18mmol)を加え、この混合物を室温で6時間、撹拌した。TLCにより反応の完了が明らかになり、次に、H2O中の30~33%NH3(30mL)を加えた。この混合物をさらに3時間、撹拌し、次に、この混合物を濃縮した。カラムクロマトグラフィー(DCM中の0~10%MeOHにより溶出)によって残留物を精製すると、化合物14(5.10g、77%)が白色泡状物として得られた。MS:実測値:[M2+H]+=1125.8;計算値:[M2+H]+=1125.5。
【0161】
化合物29の合成:化合物14(2.0g、3.56mmol)のDCM(40mL)溶液に、イミダゾール(728mg、10.7mmol)およびTBSCl(804mg、5.36mmol)を加え、この混合物を室温で17時間、撹拌した。TLCにより反応の完了が明らかになった。この混合物を真空で濃縮した。カラムクロマトグラフィー(DCM中の0~5%MeOHにより溶出)によって残留物を精製すると、化合物29(2.35g、98%)が無色油状物として得られた。MS:実測値:[2M+H]+=1354.0;計算値:[2M+H]+=1354.7。
【0162】
化合物30の合成:化合物29(1.2g、1.77mmol)のDCM(35mL)溶液に、Et3N(536mg、5.31mmol)および無水コハク酸(230mg、2.30mmol)を加え、この混合物を室温で1.5時間、撹拌した。TLCにより反応の完了が明らかになった。この混合物をH2O/DCM(15mL/15mL)により希釈した。水層をDCM(15mL×2)により抽出した。合わせた有機層をH2O(10mL×2)およびブライン(10mL×2)によって洗浄し、Na2SO4で乾燥させ、ろ過して濃縮した。カラムクロマトグラフィー(DCM中の0~5%MeOHにより溶出)によって残留物を精製すると、化合物30(1.23g、89%)が白色泡状物として得られた。MS:実測値:[M-H]-=775.5;計算値:[M-H]-=775.3。
【0163】
化合物31の合成:化合物30(1.23g、1.58mmol)のTHF(35mL)溶液に、THF中の1.0M TBAF(1.58mL、1.58mmol)を加え、この混合物を室温で2.5時間、撹拌した。TLCにより反応の完了が明らかになった。この混合物を濃縮した。カラムクロマトグラフィー(DCM中の0~10%MeOHにより溶出)によって残留物を精製すると、化合物31(740mg、71%)が白色泡状物として得られた。MS:実測値:[M+NH4]+=680.6;計算値:[M+NH4]+=680.3。
【0164】
化合物32の合成:化合物29(1.2g、1.77mmol)のDCM(35mL)溶液に、Et3N(536mg、5.31mmol)およびグルタル酸無水物(262mg、2.30mmol)を加え、この混合物を室温で1.5時間、撹拌した。TLCにより反応の完了が明らかになった。この混合物をH2O/DCM(15mL/15mL)により希釈した。水層をDCM(15mL×2)により抽出した。合わせた有機層をH2O(10mL×2)およびブライン(10mL×2)によって洗浄し、Na2SO4で乾燥させ、ろ過して濃縮した。カラムクロマトグラフィー(DCM中の0~5%MeOHにより溶出)によって残留物を精製すると、化合物32(1.40g、99%)が白色泡状物として得られた。MS:実測値:[M+NH4]+=808.9;計算値:[M+NH4]+=808.4。
【0165】
化合物33の合成:化合物32(1.4g、1.76mmol)のTHF(35mL)溶液に、THF中の1.0M TBAF(1.76mL、1.76mmol)を加え、この混合物を室温で2時間、撹拌した。TLCにより反応の完了が明らかになった。この混合物を濃縮した。カラムクロマトグラフィー(DCM中の0~10%MeOHにより溶出)によって残留物を精製すると、化合物33(710mg、53%)が白色泡状物として得られた。MS:実測値:[M+NH
4]
+=694.6;計算値:[M+NH
4]
+=694.3。
(実施例6)
三価GalNAcアナログの調製に関する一般手順
スキーム7
【化60】
【化61】
【0166】
化合物34の合成:化合物31(226mg、0.34mmol)および化合物25(533mg、0.28mmol)の無水DCE(15mL)溶液に、Et3N(113mg、1.12mmol)およびHATU(213mg、0.56mmol)を加えた。この反応混合物を室温で71時間、撹拌した。TLCにより反応の完了が示された。この混合物をH2O/DCM(15mL/15mL)により希釈した。水層をDCM(10mL×2)により抽出した。合わせた有機層をNaHCO3水溶液(10mL×2)およびブライン(10mL×2)によって洗浄し、Na2SO4で乾燥させ、ろ過して濃縮した。カラムクロマトグラフィー(DCM中の0~15%MeOHにより溶出)によって残留物を精製すると、化合物34(323mg、48%)が明褐色泡状物として得られた。MS:実測値:[M+2H/2+NH4]2+=1221.0;計算値:[M+2H/2+NH4]2+=1221.7。
【0167】
化合物35の合成:化合物34(323mg、0.13mmol)のDCM(13mL)溶液に、Et3N(60mg、0.65mmol)および無水コハク酸(35mg、0.35mmol)を加え、この混合物を室温で17時間、撹拌した。TLCにより反応の完了が明らかになった。この混合物をH2O/DCM(10mL/10mL)により希釈した。水層をDCM(10mL×2)により抽出した。合わせた有機層をH2O(10mL×2)およびブライン(10mL×2)によって洗浄し、Na2SO4で乾燥させ、ろ過して濃縮すると、化合物35(280mg、86%)が白色泡状物として得られた。MS:実測値:[M+2H/2+NH4]2+=1270.8;計算値:[M+2H/2+NH4]2+=1271.0。
【0168】
化合物37の合成:トリGalNAcコハク酸エステル化合物35(280mg、0.105mmol)の無水アセトニトリル(7mL)溶液に、HATU(40mg、0.105mmol)およびDIPEA(41mg、0.315mmol)を加えた。この混合物を室温で10分間、撹拌した。予め処理したLCAA CPG500Å(1.40g、負荷:75μmol/g)を加えた。得られた混合物を、25℃で3時間、ゆっくりと撹拌した。次に、この混合物をろ過し、CPGをアセトニトリル(7mL×3)およびTHF(7mL×3)で、逐次洗浄した。このCPGを減圧下で3時間、乾燥した。負荷は、UV-Vis(498nm)による標準DMTrアッセイによって、48μmol/gと求まった。
【0169】
CPGに、無水THF(5.6mL)中のAc2O(0.7mL)およびピリジン(0.7mL)の混合物を加えた。得られた混合物を、25℃で30分間、ゆっくりと撹拌した。次に、この混合物をろ過し、このCPGをTHF(7mL×3)、MeOH中の10%ピリジン(7mL×3)、MeOH(7mL×3)、アセトニトリル(7mL×2)およびDCM(7mL×1)により逐次、洗浄した。キャッピングされたCPGを減圧下で3時間、乾燥すると、化合物37が得られた(1.61g、負荷は、UV-Vis(498nm)による標準DMTrアッセイによって、49μmol/gと求まった)。ニンヒドリン試験:陰性。
【0170】
化合物36の合成:化合物34(728mg、0.30mmol)の無水DCM(15mL)溶液に、ジイソプロピルアンモニウムテトラゾリド(13mg、0.075mmol)およびビス(ジイソプロピルアミノ)(2-シアノエトキシ)ホスフィン(181mg、0.60mmol)を加えた。この反応混合物を室温で21時間、撹拌した。TLCにより反応の完了が示された。この混合物をNaHCO
3水溶液/DCM(10mL/10mL)により希釈した。水層をDCM(10mL×2)により抽出した。合わせた有機層をNaHCO
3水溶液(10mL×2)によって洗浄し、Na
2SO
4で乾燥させ、ろ過して濃縮した。残留物をCH
3CN(35mL)に溶解し、ヘキサン(10mL×2)で抽出し、CH
3CN相を濃縮した。カラムクロマトグラフィー(DCM中の1%Et
3N)中の0~5%MeOHにより溶出)によって残留物を精製すると、トリGalNAcアミダイト化合物36(548mg、70%)が明黄色泡状物として得られた。MS:実測値:[M+2H/2+NH
4]
2+=1320.8;計算値:[M+2H/2+NH
4]
2+=1321.1。
31PNMR (ジアステレオマーの混合物, ブロードな一重線, DMSO-d
6): δ147.35.
(実施例7)
三価GalNAcアナログの調製に関する一般手順
スキーム8
【化62】
【化63】
【化64】
【0171】
化合物40の合成:DCMおよび25%Na2CO3水溶液(200mL/200mL)中の化合物38(16.87g、33.3mmol)の溶液にCbzCl(17.04g、100mmol)を加え、得られた反応混合物を室温で20時間、撹拌した。TLCにより反応の完了が示された。この混合物をH2O/DCM(100mL/100mL)により希釈し、次に、水層をDCM(50mL×2)により抽出し、有機相をH2O/ブライン(50mL/50mL)により洗浄した。合わせた有機層をNa2SO4で乾燥させ、ろ過して濃縮した。酢酸エチル/ヘキサン(ヘキサン中の5~20%酢酸エチル)で溶出したカラムクロマトグラフィーによって残留物を精製すると、化合物39(20.57g)が無色油状物として得られた。次に、化合物39(20.57g、32.15mmol)を室温でDCM中の25%TFA(150mL)に溶解し、次に、この反応混合物を室温で3時間、撹拌した。TLCにより反応の完了が示された。この混合物を濃縮すると、化合物40(15.2g、2工程で97%)が白色固体として得られた。MS:実測値:[M-H]-=470.5;計算値:[M-H]-=470.5。
【0172】
化合物41の合成:化合物39(12.62g、26.72mmol)の無水DCM(130mL)溶液に、ペンタフルオロフェニルトリフルオロアセテート(37.43g、133.6mmol)およびDIPEA(55mL、317.04mmol)を加えた。この反応混合物を室温で1時間、撹拌した。TLCにより反応の完了が示された。この混合物をH2O/DCM(25mL/50mL)により希釈した。水層をDCM(25mL×2)により抽出した。合わせた有機層をNa2SO4で乾燥させ、ろ過して濃縮した。酢酸エチル/ヘキサン(ヘキサン中の0~20%酢酸エチル)で溶出したカラムクロマトグラフィーによって残留物を精製すると、化合物41(4.61g、18%)が無色油状物として得られた。MS:実測値:[M+H]+=970.4;計算値:[M+H]+=970.6。
【0173】
化合物43の合成:化合物42(10g、15.72mmol)および化合物41(2.5g、2.58mmol)の無水DCE(50mL)溶液に、Et3N(3.2g、13.6mmol)を加えた。この反応混合物を室温で45時間、撹拌した。TLCにより反応の完了が示された。この混合物をH2O/DCM(15mL/15mL)により希釈した。水層をDCM(20mL×2)により抽出した。合わせた有機層をNaHCO3水溶液(15mL×2)およびブライン(15mL×2)によって洗浄し、Na2SO4で乾燥させ、ろ過して濃縮した。DCM/MeOH(DCM中の0~15%MeOH)により溶出するカラムクロマトグラフィーによって残留物を精製すると、化合物43(2.5g、48%)が明褐色泡状物として得られた。MS:実測値:[M+2H/2]+=993.6;計算値:[M+2H/2]+=993.5。
【0174】
化合物44の合成:化合物43(3.1g、1.56mmol)のMeOH(120mL)溶液に、N2雰囲気下、トリフルオロ酢酸(178mg、3.0mmol)およびPd/C(310mg、10%)を加えた。次に、この混合物をH2と交換し、H2雰囲気下、6時間、室温で撹拌した。TLCにより反応の完了が示された。この混合物をセライトによってろ過し、濃縮すると、化合物44(3.0g、98%)が褐色油状物として得られた。MS:実測値:[M+2H/2]2+=926.6;計算値:[M+2H/2]2+=926.5。
【0175】
化合物45の合成:化合物33(1.28g、1.89mmol)および化合物44(3.0g、1.52mmol)の無水DCE(60mL)溶液に、Et3N(640mg、6.32mmol)およびHATU(1.2g、3.16mmol)を加えた。この反応混合物を室温で26時間、撹拌した。TLCにより反応の完了が示された。この混合物をH2O/DCM(25mL/25mL)により希釈し、水層をDCM(20mL×2)で抽出した。合わせた有機層をNaHCO3水溶液(20mL×2)およびブライン(20mL×2)によって洗浄し、Na2SO4で乾燥させ、ろ過して濃縮した。DCM/MeOH(DCM中の0~10%MeOH)により溶出するカラムクロマトグラフィーによって残留物を精製すると、化合物45(2.79g、73%)が白色泡状物として得られた。MS:実測値:[M+2H/2+NH4]2+=1272.8;計算値:[M+2H/2+NH4]2+=1273.1。
【0176】
化合物46の合成:化合物45(790mg、0.31mmol)のDCM(15mL)溶液に、Et3N(157mg、1.55mmol)および無水コハク酸(81.8mg、0.82mmol)を加え、この混合物を室温で5時間、撹拌した。TLCにより反応の完了が明らかになった。この混合物をH2O/DCM(10mL/10mL)により希釈した。水層をDCM(10mL×2)により抽出した。合わせた有機層をH2O(10mL×2)およびブライン(10mL×2)によって洗浄し、Na2SO4で乾燥させ、ろ過して濃縮すると、化合物46(744mg、92%)が白色泡状物として得られた。MS:実測値:[M+2H/2+NH4]2+=1322.9;計算値:[M+2H/2+NH4]2+=1323.1。
【0177】
化合物48の合成:トリGalNAcコハク酸エステル化合物46(744mg、0.258mmol)の無水アセトニトリル(17.35mL)溶液に、HATU(98mg、0.258mmol)およびDIPEA(100mg、0.776mmol)を加えた。この混合物を室温で10分間、撹拌した。予め処理したLCAA CPG500Å(3.45g、負荷:75μmol/g)を加えた。得られた混合物を、25℃で3時間、ゆっくりと撹拌した。次に、この混合物をろ過し、CPGをアセトニトリル(17mL×3)およびTHF(17mL×3)で、逐次洗浄した。このCPGを減圧下で3時間、乾燥した。負荷は、UV-Vis(498nm)による標準DMTrアッセイによって、53μmol/gと求まった。
【0178】
CPGに、無水THF(13.8mL)中のAc2O(1.725mL)およびピリジン(1.725mL)の混合物を加えた。得られた混合物を、25℃で30分間、ゆっくりと撹拌した。次に、この混合物をろ過し、CPGをTHF(17mL×3)、MeOH中の10%ピリジン(17mL×3)、MeOH(17mL×3)、アセトニトリル(17mL×2)およびDCM(17mL×1)により逐次、洗浄した。キャッピングされたCPGを減圧下で3時間、乾燥すると、トリGalNAc CPG生成物である化合物48が得られた(3.73g、負荷は、UV-Vis(498nm)による標準DMTrアッセイによって、53μmol/gと求まった)。ニンヒドリン試験:陰性。
【0179】
化合物47の合成:化合物45(1.0g、0.398mmol)の無水DCM(20mL)溶液に、ジイソプロピルアンモニウムテトラゾリド(17.1mg、0.10mmol)およびビス(ジイソプロピルアミノ)(2-シアノエトキシ)ホスフィン(240mg、0.797mmol)を加えた。この反応混合物を室温で21時間、撹拌した。TLCにより反応の完了が示された。この混合物をNaHCO
3水溶液/DCM(10mL/10mL)により希釈した。水層をDCM(10mL×2)により抽出した。合わせた有機層をNaHCO
3水溶液(10mL×2)によって洗浄し、Na
2SO
4で乾燥させ、ろ過して濃縮した。残留物をCH
3CN(35mL)に溶解し、ヘキサン(10mL×2)で抽出し、CH
3CN相を濃縮した。カラムクロマトグラフィー((DCM中の1%Et
3N)中の0~5%MeOHにより溶出)によって残留物を精製すると、トリGalNAcアミダイト化合物47(745mg、70%)が白色泡状物として得られた。MS:実測値:[M+2H/2+NH
4]
2+=1373.1;計算値:[M+2H/2+NH
4]
2+=1373.9。
31PNMR (ジアステレオマーの混合物, 一重線, DMSO-d
6): δ148.05.
(実施例8)
一価GalNAcアナログの調製に関する一般手順
スキーム9
【化65】
【0180】
化合物50:化合物49(1.6g、2.85mmol)、TBDMSCl(889mg、5.89mmol)およびイミダゾール(580mg、8.54mmol)をDCM(20mL)に溶解した。この反応混合物を室温で一晩、撹拌し、TLCによってモニタリングした。溶媒を除去し、残留物にDCM/MeOH(10%MeOH)によるFCCを施すと、化合物50(1.42g、74%)が白色固体として得られた。MS:実測値:[M+H]=677.7;計算値:[M+H]=677.3。
【0181】
化合物51:化合物50(1.42g、2.1mmol)のDCM(20mL)溶液に、グルタル酸無水物(287mg、2.52mmol)およびトリエチルアミン(424mg、4.2mmol)を加えた。反応をLCMSによってモニタリングした。完了すると、この混合物をエバポレートすると、粗製化合物51が形成し、これを次の工程に直接、使用した。MS:実測値:[M-H]=789.6;計算値:[M-H]=789.4。
【0182】
化合物52:化合物51(2.1mmol)のTHF(20mL)溶液に、TBAF(2.3mmol)を加えた。反応をTLCによってモニタリングした。完了すると、この混合物を濃縮し、EA/TEA(100/1)からEA/TEA/MeOH(100/1/10)までを使用してFCCを施すと、化合物52(1.1g、77%)が無色油状物として得られた。MS:実測値:[M-H]=675.5;計算値:[M-H]=675.3。
【0183】
化合物53:化合物52(1.0g、1.5mmol)のDMF(10mL)溶液に、HATU(855mg、2.3mmol)およびTEA(417μL、3.0mmol)を加えた。この反応混合物を室温で30分間、撹拌し、この後に、化合物23(1.24g、1.95mmol)を加えた。この反応混合物を室温において一晩、撹拌し、TLCによりモニタリングした。完了すると、水(100mL)を添加することによって、この反応をクエンチした。混合物をDCM(100mL)により抽出し、有機層を水(100ml×3)およびブライン(100mL)により洗浄した。有機相を硫酸ナトリウムにより乾燥させ、ろ過して濃縮乾固し、次に、これをDCMからDCM/MeOH(0~10%MeOH)までを使用してFCCを施すと、化合物53(240mg、20%)が淡黄色固体として得られた。MS:実測値:[M+H]=1181.8;計算値:[M+H]=1181.5。
【0184】
化合物54:化合物53(190mg、0.17mmol)およびジイソプロピルアンモニウムテトラゾリド(7.3mg、0.043mmol)をDCM(2mL)に溶解し、次いで、3-((ビス(ジイソプロピルアミノ)ホスファニル)オキシ)プロパンニトリル(102mg、0.34mmol)を添加した。この反応物を室温において撹拌し、LCMSによりモニタリングした。完了すると、反応を飽和炭酸水素ナトリウム(3mL)によってクエンチし、飽和炭酸水素ナトリウム(3×3mL)およびブライン(3mL)で洗浄した。有機層を硫酸ナトリウムにより乾燥させ、ろ過して濃縮した。残留物をアセトニトリル(3mL)に溶解し、ヘプタン(3×3mL)により洗浄した。アセトニトリル層を濃縮し、DCM/TEA(DCM中の0.5%TEA)からTEA/DCM/MeOH(0.5/100/10)までを使用してFCCを施すと、化合物54(52mg、20%)が白色固体として得られた。MS:実測値:[M+H]=1382.1;計算値:[M+H]=1382.5。31PNMR (ジアステレオマーの混合物, ブロードな一重線): δ= 147.320.
【0185】
化合物55:工程1:化合物53(50mg、0.042mmol)のDCM(1mL)溶液に、無水コハク酸(6.3mg、0.06mmol)およびトリエチルアミン(8.6mg、0.085mmol)を加えた。この反応混合物を一晩、撹拌し、LCMSによってモニタリングした。完了すると、この混合物を濃縮し、粗製コハク酸エステル生成物を次の工程に直接、使用した。MS:実測値:[M+H]=1281.9;計算値:[M+H]=1281.5。
【0186】
工程2:工程1からの粗製コハク酸エステル、LCAA CPG(0.3g、1000Å)、TBTU(20mg、1.5当量)、TEA(8.5mg、2当量)をアセトニトリル(3.5mL)中に分散させた。この混合物を回転式蒸発器に入れて、摂氏25度で2時間、撹拌した。この混合物をろ過し、CPGをアセトニトリル(3×3mL)、THF(3×3mL)およびMTBE(3×3mL)で洗浄し、次に、乾燥すると、キャッピングされていないCPGが得られた。次に、無水酢酸(0.14mL)、ピリジン(0.14mL)およびNMI(0.14mL)を含むTHF(3.5mL)中に、キャッピングされていないCPGを分散させた。この混合物を回転式蒸発器に入れて、摂氏25度で1時間、撹拌した。次に、この混合物をろ過して、キャッピングされたCPGをピリジン/10%エタノール(3×3mL)、エタノール(3×3mL)、MeCN(3×3mL)、THF(3×3mL)およびMTBE(3×3mL)で洗浄して乾燥すると、所望のCPG化合物55が得られた。負荷は、UV-Vis(498nm)による標準DMTrアッセイによって、23μmol/gと求まった。
(実施例9)
GalNAcコンジュゲートオリゴヌクレオチドの調製
【0187】
GalNAcコンジュゲートオリゴヌクレオチドを市販のDMTr-ヌクレオシド-スクシニル-CPG(1000Å、Glen Research、Sterling、Va)から始めて、DNA/RNA合成装置で合成する。オリゴヌクレオチドをアセンブルする際に有用な標準合成サイクルは、(a)固相に結合した物質の脱トリチル化、(b)カップリング剤の存在下での、固体支持体に結合した物質への、配列によって必要とされるヌクレオシドホスホルアミダイト構成要素のカップリング、(c)固体支持体に結合した未反応のヒドロキシ基の、無水酢酸およびN-メチルイミダゾールの混合物でのキャッピング、および(d)固体支持体に結合したホスファイトトリエステル基の酸化のステップを含む。所望のオリゴヌクレオチドをアセンブルするのに適切なサイクルは、調製時の配列によって要求される通りに繰り返した。
【0188】
固体支持体からのGalNAcコンジュゲートオリゴヌクレオチドの最終的な放出、ヌクレオシド間ホスフェートおよびモノサッカライド残基の脱保護は、以下の標準条件下での処理によって行う。上記の条件下での脱保護が完了すると、液相を採集して、真空で乾燥するまでエバポレートした。この残留物を水(1mL)に溶解し、逆相HPLCおよびES MSによって分析した。
【0189】
オリゴヌクレオチド合成における、モノおよびトリGalNAcコンジュゲートホスホルアミダイトに対する新規リンカー設計の利用を実証するため、トレイル(trail):5’-X-TTTTTTTTTT(配列番号1)-3’(Xは、本明細書に記載されているGalNAcコンジュゲートホスホルアミダイトを表す)に対する配列を設計した。以下の化合物:化合物X1、化合物X2および化合物X3を生成した。
【0190】
オリゴヌクレオチド(化合物X1~X3)は、MerMade6合成装置(LGC、Biosearch Technologies)から固相ホスホルアミダイト法によって合成した。DMT-dT固体支持体を空のカラムに詰めて、このカラムを合成装置に設置した。合成スケールは、200nmolである。オリゴヌクレオチド合成のサイクルは、以下のステップ:(1)ジクロロメタン中、45秒間で2回、3%トリクロロ酢酸を用いる脱トリチル化と、その後のアセトニトリル洗浄、(2)アセトニトリルおよび0.5Mの活性化剤(アセトニトリル中のテトラゾール)中、1分間で2回、0.1M DMT-dT-CE-ホスホルアミダイト(5‘-O-(4,4’-ジメトキシトリチル)-チミジン-3’-シアノエチルホスホルアミダイト)とのカップリングとその後のアセトニトリル洗浄、(3)ヨウ素(水/ピリジン/THF2/20/78中の0.015Mヨウ素)による45秒間の酸化と、その後のアセトニトリル洗浄、および(4)無水酢酸、ピリジンおよびTHFの混合物による、45秒間のキャッピングとその後のアセトニトリル洗浄を含んだ。固体支持体から延ばしたT10を合成するため、ステップ(1)~(4)を9回、繰り返した。新規モノまたはトリGalNAcコンジュゲートホスホルアミダイトをカップリングするための最後のサイクルは、試料の脱トリチル化、酸化およびキャッピングステップを含む一方、カップリングは、モノGalNAcの場合、3分間で2回、およびトリGalNAcの場合、6分間で2回、アセトニトリル中の0.1Mホスホルアミダイトと0.5Mの活性化剤との混合物を使用し、次いで、アセトニトリル洗浄する。
【0191】
合成後、オリゴヌクレオチドが結合した固体支持体を55℃で2時間、切断および脱保護のため、水酸化アンモニウム水溶液とメチルアミンとの1:1混合物で処理した。完了すると、液相を採集し、真空濃縮器で熱乾燥した。乾燥した残留物を水に溶解し、逆相HPLC(Agilent1260)およびLC-MS(Applied Biosystems4000Q-Trap)によって分析した。Seq X1の場合、HPLCグラジエントは、緩衝液A:水中の50mM酢酸トリエチルアンモニウム、ならびに緩衝液B:水中の50mM酢酸トリエチルアンモニウム80%およびアセトニトリル20%を用いて、20分間で、20%から60% Bとした。トリGalNAcを有するSeq X2およびX3の場合、HPLCグラジエントは、20分間で30%から70% Bとした。各配列(化合物X1~X3)に関する、保持時間(RT)、MSの計算値、MSの実測値および完全長生成物純度(FLP)を表1および表2に列挙する。
表1. 20%から60%までのBのHPLCグラジエントによるオリゴヌクレオチド中のモノGalNAcコンジュゲートホスホルアミダイトの利用試験
【表1】
表2. 30%から70%までのBのHPLCグラジエントによるオリゴヌクレオチド中のトリGalNAcコンジュゲートホスホルアミダイトの利用試験
【表2】
(実施例10)
固体支持体上でのGalNAcコンジュゲートオリゴヌクレオチドの調製
【0192】
オリゴヌクレオチド合成における、モノおよびトリGalNAcコンジュゲート固体支持体に対する新規なリンカー設計の利用を実証するため、試験(trial):5’-TTTTTTTTTT(配列番号1)-Y-3’(Yは、モノまたはトリGalNAcコンジュゲート固体支持体を表す)に対する配列を設計した。以下の支持体結合化合物:化合物Y1、化合物Y2、化合物Y3および化合物Y4を生成した。
【0193】
オリゴヌクレオチド(化合物Y1~Y4)は、固相ホスホルアミダイト法によって合成した。新規DMTモノ/トリGalNAcコンジュゲート固体支持体(Y)を空のカラムに詰めて、MerMade6合成装置に設置した。合成スケールは0.5~1μmolである。オリゴヌクレオチド合成のサイクルは、以下のステップ:(1)ジクロロメタン中、45秒間で2回、3%トリクロロ酢酸を用いる脱トリチル化と、その後のアセトニトリル洗浄、(2)アセトニトリルおよび0.5Mの活性化剤(アセトニトリル中のテトラゾール)中、1分間で2回、0.1M DMT-dT-CE-ホスホルアミダイト(5‘-O-(4,4’-ジメトキシトリチル)-チミジン-3’-シアノエチルホスホルアミダイト)とのカップリングとその後のアセトニトリル洗浄、(3)ヨウ素(水/ピリジン/THF2/20/78中の0.015Mヨウ素)による45秒間の酸化と、その後のアセトニトリル洗浄、および(4)無水酢酸、ピリジンおよびTHFの混合物による、45秒間のキャッピングとその後のアセトニトリル洗浄を含む。GalNAcコンジュゲート固体支持体から延ばしたT10を合成するため、ステップ(1)~(4)を10回、繰り返し、アセトニトリル洗浄を伴う最後の脱トリチル化によって完了した。
【0194】
合成後、オリゴヌクレオチドが結合した固体支持体を55℃で2時間、切断および脱保護のため、水酸化アンモニウム水溶液とメチルアミンとの1:1混合物で処理した。完了すると、液相を採集し、真空濃縮器で熱乾燥した。乾燥した残留物を水に溶解し、逆相HPLC(Agilent1260)およびLC-MS(Applied Biosystems 4000Q-Trap)によって分析した。Y1およびY2の場合、HPLCグラジエントは、緩衝液A:水中の50mM酢酸トリエチルアンモニウム、ならびに緩衝液B:水中の50mM酢酸トリエチルアンモニウム80%およびアセトニトリル20%を用いて、20分間で、20%から60% Bとした。トリGalNAcを有するY3およびY4の場合、HPLCグラジエントは、20分間で30%から70% Bとした。各配列(化合物Y1~Y4)に関する、保持時間(RT)、MSの計算値、MSの実測値および完全長生成物純度(FLP)を表3および表4に列挙する。
表3. 20%から60%までのBのHPLCグラジエントによるオリゴヌクレオチド中のモノGalNAcコンジュゲートCPGの利用試験
【表3】
表4. 30%から70%までのBのHPLCグラジエントによるオリゴヌクレオチド中のトリGalNAcコンジュゲートCPGの利用試験
【表4】
【0195】
本出願は、その特定の実施形態を参照して記載されているが、本出願の真の趣旨および範囲から逸脱することなく、様々な変更がなされてもよいこと、および等価物が置き換えられてもよいことが当業者によって理解されるべきである。さらに、本出願の目的、趣旨および範囲に対して、特定の状況、材料、物質の組成、プロセス、プロセスステップまたはステップを適応させるよう多数の修正が行われてもよい。すべてのこのような修正は、それに添付されている特許請求の範囲内にあることが意図されている。
【配列表】
【国際調査報告】