(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-12-26
(54)【発明の名称】ポリマーファウラントを除去するための方法及び組成物
(51)【国際特許分類】
C07C 51/50 20060101AFI20241219BHJP
C07C 57/075 20060101ALI20241219BHJP
【FI】
C07C51/50
C07C57/075
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024529817
(86)(22)【出願日】2022-12-02
(85)【翻訳文提出日】2024-05-20
(86)【国際出願番号】 US2022051667
(87)【国際公開番号】W WO2023107345
(87)【国際公開日】2023-06-15
(31)【優先権主張番号】202111489084.6
(32)【優先日】2021-12-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】510250467
【氏名又は名称】エコラボ ユーエスエー インコーポレイティド
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100146466
【氏名又は名称】高橋 正俊
(74)【代理人】
【識別番号】100202418
【氏名又は名称】河原 肇
(74)【代理人】
【識別番号】100191444
【氏名又は名称】明石 尚久
(72)【発明者】
【氏名】コン モン
【テーマコード(参考)】
4H006
【Fターム(参考)】
4H006AA02
4H006AB46
4H006AD40
4H006BB11
4H006BS10
(57)【要約】
【課題】モノマー製造プロセスにおいて形成されるファウラントを溶解するための組成物及び方法の提供。
【解決手段】組成物は、アミド含有化合物及び溶媒を含んでもよい。重合阻害剤又は分散剤などの他の成分が、任意選択的に、組成物中に含まれてもよい。アミド含有化合物は、例えば、ジメチルアセトアミドであってもよい。溶媒は、例えば、メタノール又はトルエンであってもよい。ファウラントは、ポリマーを含む。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
モノマー製造プロセスにおいてファウラントを溶解する方法であって、前記方法は、
前記プロセスにおいて媒体に組成物を添加することであって、前記組成物がアミド含有化合物を含み、前記媒体が前記ファウラントを含むことと、
前記アミド含有化合物を前記ファウラントと接触させることと、
前記ファウラントを溶解することと含む、方法。
【請求項2】
前記アミド含有化合物が、以下の式:
【化1】
を含み、式中、R
1、R
2、及びR
3が、独立して、水素、アルキル基、アルケニル基、及びアリール基からなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
R
1、R
2、及びR
3の少なくとも2つが、CH
3である、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記アミド含有化合物が、以下の式:
【化2】
を含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記アミド含有化合物の重量平均分子量が、約45g/mol~約300g/molである、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記組成物が、少なくとも2つの異なるアミド含有化合物を含む、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記モノマーが、アクリル酸、メタクリル酸、アクリレート、メタクリル酸エステル、アクリロニトリル、及びこれらの任意の組合せからなる群から選択される、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記組成物が、溶媒を更に含む、請求項1~7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記溶媒が、炭化水素、エーテル、エステル、アルコール、テトラヒドロフラン、及びそれらの任意の組合せからなる群から選択される、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記溶媒が、炭化水素、テトラヒドロフラン、エーテル、及びそれらの任意の組合せからなる群から選択され、前記モノマーが、アクリル酸である、請求項8又は9に記載の方法。
【請求項11】
前記溶媒が、アルコール、炭化水素、及びそれらの任意の組合せからなる群から選択され、前記モノマーが、メタクリル酸エステル、アクリレート、及びそれらの任意の組合せからなる群から選択される、請求項8又は9に記載の方法。
【請求項12】
前記炭化水素が、約5~約20個の炭素原子を含む、請求項8~11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記炭化水素が、トルエン、ケロシン、キシレン、又はそれらの任意の組合せから選択される、請求項8~11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記組成物が、約10重量%~約90重量%の前記アミド含有化合物と、約90重量%~約10重量%の前記溶媒とを含む、請求項8~13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記モノマー製造プロセスの構成要素が、前記媒体を含む、請求項1~14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
前記構成要素が、吸収カラム、ストリッパー、回収カラム、精製カラム、生成物カラム、リボイラー、使用済み酸タンク、前述の構成要素のいずれかを接続する導管、及びそれらの任意の組合せからなる群から選択される、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記組成物が、前記媒体に、連続的又は断続的に添加される、請求項1~16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
前記組成物が、1:10~1:1の重量比でアルカリ洗浄水と組み合わされ、前記媒体に添加される、請求項1~17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
前記組成物及び溶解したファウラントが、媒体から除去される、請求項1~18のいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
約10ppm~約10,000ppmの、前記アミド含有化合物が、前記媒体に添加される、請求項1~19のいずれか一項に記載の方法。
【請求項21】
前記媒体が、約0.5重量%~約5重量%の、前記アミド含有化合物を含む、請求項1~20のいずれか一項に記載の方法。
【請求項22】
前記組成物が、重合阻害剤及び/又は分散剤を更に含む、請求項1~21のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、概して、モノマー製造プロセスに関する。より詳細には、本開示は、モノマー製造プロセス中に生成される、ポリマーファウラントを溶解するための方法及び組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
メタクリル酸メチル、メタクリル酸、メタクリルアミド、又は他のモノマーの重合は、望ましくないが、これらのモノマーを製造するためのプロセス中では、非常に一般的である。メタクリル酸メチル製造プロセスにおいて、メタクリル酸メチル、メタクリル酸、及び他のモノマーから形成されるポリマーは、使用済み媒体と共に、プロセスから流出する。形成されたポリマーの多くは、使用済み媒体よりも低い密度を有するので、浮遊して装置上に堆積する可能性があり、その結果、操作上の問題が生じる可能性がある。
【0003】
ポリマーファウリングに対抗するために使用される、一般的な方法は、オリゴマーの形成を阻害するための、阻害剤の使用を含む。方法はまた、媒体に分散剤を適用することを含んでもよい。しかしながら、これらの方法は、媒体中のポリマーの量が多い場合には、限られた効果を有する。ファウリングを防止するこれらの方法は、様々な程度に有効であるが、それらは、実施するのに、時間がかかり、及び/又は費用がかかる可能性がある。更に、ファウリングを除去又は防止する際のそれらの効率は、低い傾向がある。
【発明の概要】
【0004】
本開示は、モノマー製造プロセス中に形成される、ポリマーファウラントを溶解するための方法及び組成物を提供する。
【0005】
いくつかの実施形態では、本開示は、モノマー製造プロセスにおいて、ポリマーを溶解する方法を提供する。この方法は、プロセスにおいて媒体に組成物を添加することを含み、組成物は、アミド含有化合物を含み、媒体は、ポリマーを含む。この方法は、アミド含有化合物をポリマーと接触させて、ポリマーを溶解させることを更に含む。
【0006】
いくつかの実施形態では、アミド含有化合物は、以下の式を含む:
【化1】
式中、R
1、R
2、及びR
3は、独立して、水素、アルキル基、アルケニル基、及びアリール基から選択される。いくつかの実施形態では、R
1、R
2、及びR
3の少なくとも2つは、CH
3である。
【0007】
特定の実施形態では、アミド含有化合物は、以下の式を含む:
【化2】
【0008】
いくつかの実施形態では、アミド含有化合物は、約45g/mol~約300g/molの、重量平均分子量を有する。
【0009】
特定の実施形態では、組成物は、少なくとも2つの異なるアミド含有化合物を含む。
【0010】
いくつかの実施形態では、モノマーは、アクリル酸、メタクリル酸、アクリレート、メタクリル酸エステル、アクリロニトリル、及びそれらの任意の組合せからなる群から選択される。
【0011】
いくつかの実施形態において、組成物は、溶媒を更に含む。溶媒は、例えば、炭化水素、エーテル、エステル、アルコール、テトラヒドロフラン、及びそれらの任意の組合せから選択されてもよい。
【0012】
特定の実施形態では、溶媒は、炭化水素、テトラヒドロフラン、エーテル、及びそれらの任意の組合せからなる群から選択され、モノマーは、アクリル酸である。
【0013】
特定の実施形態では、溶媒は、アルコール、炭化水素、及びそれらの任意の組合せからなる群から選択され、モノマーは、メタクリル酸エステル、アクリレート、及びそれらの任意の組合せからなる群から選択される。
【0014】
いくつかの実施形態では、炭化水素は、約5~約20個の炭素原子を含む。特定の実施形態では、炭化水素は、トルエン、ケロシン、又はそれらの任意の組合せから選択される。
【0015】
いくつかの実施形態では、組成物は、約10重量%~約90重量%のアミド含有化合物、及び約90重量%~約10重量%の、溶媒を含む。
【0016】
いくつかの実施形態では、モノマー製造プロセスの構成要素は、媒体を含む。ある特定の実施形態では、構成要素は、吸収カラム、回収カラム、精製カラム、ストリッパー、生成物カラム、リボイラー、使用済み酸タンク、前述の構成要素のいずれかを接続する導管、及びそれらの任意の組合せからなる群から選択される。
【0017】
いくつかの実施形態では、組成物は、媒体に、連続的又は断続的に添加される。
【0018】
いくつかの実施形態では、組成物は、約1:10~約1:1の重量比でアルカリ洗浄水と組み合わされ、媒体に添加される。
【0019】
特定の実施形態では、組成物及び溶解したポリマーは、媒体から除去される。
【0020】
いくつかの実施形態では、約10ppm~約10,000ppmのアミド含有化合物が、媒体に添加される。いくつかの実施形態では、媒体は、約0.5重量%~約5重量%の、アミド含有化合物を含む。
【0021】
特定の実施形態では、組成物は、重合阻害剤、及び/又は分散剤を更に含む。
【0022】
前述は、後に続く発明を実施するための形態がより良好に理解され得るように、本開示の特徴及び技術的利点を概括的に概説した。本願の特許請求の範囲の主題を形成する、本開示の更なる特徴及び利点は、以下に説明される。開示される概念及び具体的な実施形態は、本開示と同じ目的を実行するためのその他の実施形態を修正又は設計するための基礎として容易に利用され得ることが、当業者により理解されるべきである。このような同等の実施形態が、添付の特許請求の範囲に明記される本開示の趣旨及び範囲から逸脱しないこともまた、当業者によって認識されるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0023】
発明の詳細な説明を、以下の図面に対する具体的な参照と共に本明細書において以下に説明する。
【0024】
【
図1】水分離カラムに関する、本開示の一実施形態の概略図を示す。
【0025】
【
図2】使用済み酸タンクに関する、本開示の一実施形態の概略図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0026】
様々な実施形態が以下に記載され、いくつかは、図面を参照する。実施形態の様々な要素の関係性及び機能は、以下の詳細な説明を参照することによってより深く理解され得る。しかしながら、実施形態は、図面に例解されるもの、及び/又は以下に明示されるものに、限定されない。図面は必ずしも縮尺通りではなく、場合によっては、本明細書で開示される実施形態の理解に必要ではない詳細が、省略されている場合があることを、理解されるべきである。
【0027】
別段の指示がない限り、単独で又は別の基の一部として本明細書に記載されるアルキル基は、例えば、主鎖に1~約60個の炭素原子、例えば、1~約30個の炭素原子を含有する、任意選択的に置換された線状又は分岐状の飽和一価炭化水素置換基である。非置換アルキル基の例としては、メチル、エチル、n-プロピル、i-プロピル、n-ブチル、i-ブチル、s-ブチル、t-ブチル、n-ペンチル、i-ペンチル、s-ペンチル、t-ペンチルなどが挙げられる。
【0028】
単独で又は別の基(例えば、アリーレン)の一部として本明細書で使用される場合の「アリール(aryl)」又は「アル(ar)」という用語は、フェニル、ビフェニル、ナフチル、置換フェニル、置換ビフェニル、又は置換ナフチルなどの、環部分に約6~約12個の炭素を含む単環式又は二環式基などの、任意選択的に置換された同素環式芳香族基を指す。「アリール」という用語はまた、ヘテロアリール官能基も含む。「アリール」という用語は、ヒュッケル則に従って、平面状であり、4n+2n電子を含む環状置換基に適用されることが理解される。
【0029】
「シクロアルキル」は、例えば、約3~約8個の炭素原子、好ましくは約4~約7個の炭素原子、より好ましくは約4~約6個の炭素原子を含む環状アルキル置換基を指す。そのような置換基の例としては、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチルなどが挙げられる。環状アルキル基は、非置換であり得るか、又はメチル基、エチル基などのアルキル基で更に置換され得る。
【0030】
本開示の化合物は、好適な置換基で置換され得る。本明細書で使用される場合の「好適な置換基」という用語は、化学的に許容される官能基、好ましくは化合物の活性を打ち消さない部分を意味することを意図している。そのような好適な置換基としては、ハロ基、ペルフルオロアルキル基、ペルフルオロアルコキシ基、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、ヒドロキシ基、オキソ基、メルカプト基、アルキルチオ基、アルコキシ基、アリール又はヘテロアリール基、アリールオキシ又はヘテロアリールオキシ基、アラルキル又はヘテロアラルキル基、アラルコキシ又はヘテロアラルコキシ基、HO-(C=O)-基、複素環基、シクロアルキル基、アミノ基、アルキル及びジアルキルアミノ基、カルバモイル基、アルキルカルボニル基、アルコキシカルボニル基、アルキルアミノカルボニル基、ジアルキルアミノカルボニル基、アリールカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アルキルスルホニル基、並びにアリールスルホニル基が挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、好適な置換基としては、ハロゲン、非置換C1~C12アルキル基、非置換C4~C6アリール基、又は非置換C1~C10のアルコキシ基が挙げられ得る。当業者であれば、多くの置換基が追加の置換基によって置換され得ることを理解するであろう。
【0031】
「置換アルキル」にあるような「置換」という用語は、当該基(すなわち、このアルキル基)において、炭素原子に結合した少なくとも1つの水素原子が、ヒドロキシ(-OH)、アルキルチオ、ホスフィノ、アミド(-CON(RA)(RB)(式中、RA及びRBは、独立して、水素、アルキル、又はアリールである))、アミノ(-N(RA)(RB)(式中、RA及びRBは、独立して、水素、アルキル、又はアリールである))、ハロ(フルオロ、クロロ、ブロモ、又はヨード)、シリル、ニトロ(-NO2)、エーテル(-ORA(式中、RAは、アルキル又はアリールである))、エステル(-OC(O)RA(式中、RAは、アルキル又はアリールである))、ケト(-C(O)RA(式中、RAは、アルキル又はアリールである))、ヘテロシクロなどの一つ又は複数の置換基で置き換えられていることを意味する。
【0032】
「置換」という用語が可能性のある置換基のリストを導入する場合、この用語は、その基の全メンバーに適用されることが意図される。すなわち、「任意選択的に置換されたアルキル又はアリール」という語句は、「任意選択的に置換されたアルキル又は任意選択的に置換されたアリール」と解釈されるべきである。
【0033】
「ポリマー」、「コポリマー」、「重合する」、「共重合する」などという用語、2つのモノマー残基を含むポリマー、及び2つの異なるモノマーを共に重合することを含むだけでなく、2つより多くのモノマー残基を含む(コ)ポリマー、及び2つより多い又はより多い他のモノマーをともに重合することを含む。例えば、本明細書に開示されるポリマーは、ターポリマー、テトラポリマー、4つより多くの異なるモノマーを含むポリマー、並びに2つの異なるモノマー残基を含むか、それらからなるか、又は本質的にそれらからなるポリマーを含む。加えて、本明細書に開示される「ポリマー」はまた、単一のタイプのモノマー単位を含むポリマーである、ホモポリマーを含み得る。
【0034】
別段指定のない限り、本開示のポリマーは、直線状、分岐状、架橋、構造化、合成、半合成、天然であり得、及び/又は機能的に修飾され得る。本開示のポリマーは、例えば、溶液、乾燥粉末、液体、又は分散液の形態にあり得る。
【0035】
「ファウル」、及び「ファウリング」という用語は、機器の表面上に、異物の層を形成、付加、及び/又は堆積させるプロセスを指す。
【0036】
「ファウラント」という用語は、装置の表面上の、異物の層又は堆積物を指す。ファウラントは、媒体中に、懸濁、溶解、及び/又は分散されてもよい。一般に、ファウラントは、ポリマーの凝集から形成されてもよく、任意選択的に、無機材料を含んでもよい。
【0037】
「溶解する」、又は「溶解している」という用語は、ファウラントが、凝集塊からポリマー粒子(一つ又は複数のポリマーの群)に還元されることを意味する。ポリマー粒子は、固相から液相に転移し得る。いくつかの態様では、溶解することは、ポリマーを分解すること、及び/又はそれらの分子量を減少させることを含む。一旦溶解すると、ファウラントは、例えば、プロセス流を通して除去することができる。いくつかの実施形態では、凝集塊を溶解させることは、プロセス流中に、ポリマー粒子を拡散させることを含む。
【0038】
「重量%」、「体積%」、又は「モル%」という用語は、構成要素を含む物質の、総重量、総体積、又は総モル数に基づく、構成要素の、重量、体積、又はモル百分率を、各々指す。
【0039】
例示的な実施形態では、モノマー製造プロセスにおいてポリマーを溶解する方法が、提供される。この方法は、プロセスにおいて媒体に組成物を添加することを含み、組成物は、アミド含有化合物を含み、媒体は、ポリマーを含む。アミド含有化合物は、ポリマーと接触して、ポリマーを溶解する。
【0040】
理論に束縛されるものではないが、ポリマーを溶解するプロセスは、以下のように起こると考えられる:アミド含有化合物と、メタクリル酸メチル、アクリル酸、アクリロニトリルなどのポリマーから形成されるファウラントとは、同様の溶解特性を有する。ファウラントは、撚糸のボールのように、絡み合ったポリマー鎖に類似してもよい。第一に、アミド含有化合物は、ファウラントに浸透し、分子鎖を緩める。第二に、緩められたポリマー及び/又はポリマー粒子は、固相から液相に転移する。同時に、アミド含有化合物は、媒体中に放出される。最後に、溶解したポリマー及びアミド含有化合物は、例えば、媒体から形成されたプロセス流によって、除去することができる。
【0041】
本開示の方法及び組成物は、一つ又は複数の反応性モノマーを製造するために使用される、任意のプロセスに関連して有用である。例えば、製造プロセスが、重合又は自己重合することができる一つ又は複数のモノマーを生成する場合、本開示の方法及び組成物は、そのようなプロセスにおいて有用であり得る。いくつかの態様では、反応性モノマーは、アクリル酸、メタクリル酸、アクリレート、メタクリル酸エステル、アクリロニトリル、及びこれらの任意の組合せからなる群から選択される。
【0042】
組成物
本明細書に開示される組成物は、アミド含有化合物を含む。いくつかの実施形態では、組成物は、溶媒を含んでもよい。アミド含有化合物は、組成物の、約10重量%~約100重量%で、組成物中に存在してもよく、溶媒は、組成物の、約90重量%~約0重量%で、存在してもよい。例えば、アミド含有化合物は、組成物の、約10重量%~約100重量%、約15重量%~約100重量%、約20重量%~約100重量%、約25重量%~約100重量%、約30重量%~約100重量%、約35重量%~約100重量%、約40重量%~約100重量%、約45重量%~約100重量%、約50重量%~約100重量%、約55重量%~約100重量%、約60重量%~約100重量%、約65重量%~約100重量%、約70重量%~約100重量%、約75重量%~約100重量%、約80重量%~約100重量%、約85重量%~約100重量%、約90重量%~約100重量%、又は約95重量%~約100重量%で、存在してもよい。いくつかの実施形態では、アミド含有化合物は、組成物の、約25重量%~約75重量%、約30重量%~約70重量%、約35重量%~約65重量%、約40重量%~約60重量%、又は約45重量%~約55重量%である。いくつかの実施形態では、アミド含有化合物は、組成物の、約25重量%、約30重量%、約35重量%、約40重量%、約45重量%、約50重量%、約55重量%、約60重量%、約65重量%、約70重量%、約80重量%、約85重量%、約90重量%、約95重量%、又は約100重量%である。
【0043】
いくつかの実施形態では、組成物は、2つ以上のアミド含有化合物を含む。例えば、組成物は、少なくとも2つの異なるアミド含有化合物を含んでもよい。いくつかの実施形態では、組成物は、3つ、4つ、5つ、又はそれ以上のアミド含有化合物を含む。
【0044】
組成物は、溶媒を含んでもよい。溶媒は、組成物の、約90重量%~約0重量%、約85重量%~約0重量%、約80重量%~約0重量%、約75重量%~約0重量%、約70重量%~約0重量%、約65重量%~約0重量%、約60重量%~約0重量%、約55重量%~約0重量%、約50重量%~約0重量%、約45重量%~約0重量%、約40重量%~約0重量%、約35重量%~約0重量%、約30重量%~約0重量%、約25重量%~約0重量%、約20重量%~約0重量%、約15重量%~約0重量%、約10重量%~約0重量%、又は約5重量%~約0重量%で、存在してもよい。いくつかの実施形態では、溶媒は、組成物の、約95重量%~約5重量%、約90重量%~約10重量%、約85重量%~約15重量%、約80重量%~約20重量%、約75重量%~約25重量%、約70重量%~約30重量%、約65重量%~約35重量%、約60重量%~約40重量%、又は約55重量%~約45重量%で、存在する。いくつかの実施形態では、溶媒は、組成物の、約0.001重量%、約0.01重量%、約0.1重量%、約1重量%、約5重量%、約10重量%、約15重量%、約20重量%、約25重量%、約30重量%、約35重量%、約40重量%、約45重量%、約50重量%、約55重量%、約60重量%、約65重量%、約70重量%、約75重量%、約80重量%、約85重量%、又は約90重量%で、存在してもよい。
【0045】
いくつかの態様では、アミド含有化合物は、約45g/mol~約300g/mol、約50g/mol~約275g/mol、約55g/mol~約250g/mol、約60g/mol~約225g/mol、約65g/mol~約200g/mol、約70g/mol~約175g/mol、約75g/mol~約150g/mol、約100g/mol~約125g/mol、約73g/mol~約270g/mol、又は約73g/mol~約120g/molの、重量平均分子量を有する。いくつかの実施形態では、アミド含有化合物は、約45g/mol、約50g/mol、約55g/mol、約60g/mol、約65g/mol、約70g/mol、約75g/mol、約80g/mol、約85g/mol、約90g/mol、約95g/mol、約100g/mol、約105g/mol、約110g/mol、約115g/mol、約120g/mol、約125g/mol、約130g/mol、約135g/mol、約140g/mol、約145g/mol、約150g/mol、約155g/mol、約160g/mol、約165g/mol、約170g/mol、約175g/mol、約180g/mol、約185g/mol、約190g/mol、約195g/mol、約200g/mol、約205g/mol、約210g/mol、約215g/mol、約220g/mol、約225g/mol、約230g/mol、約235g/mol、約240g/mol、約245g/mol、約250g/mol、約260g/mol、約265g/mol、約270g/mol、約275g/mol、約280g/mol、約285g/mol、約290g/mol、約295g/mol、又は約300g/molの、分子量を有する。いくつかの実施形態では、アミド含有化合物の分子量は、約45g/mol、約73g/mol、約120g/mol、約270g/mol、又は約300g/molである。
【0046】
いくつかの実施形態では、アミド含有化合物は、式Iの構造を含む。
【化3】
【0047】
いくつかの実施形態では、R
1、R
2、及びR
3は、独立して、水素、アルキル、アルケニル、及びアリールからなる群から選択される。いくつかの実施形態では、R
1、R
2、又はR
3の少なくとも1つは、CH
3である。別の態様では、R
1、R
2、又はR
3の少なくとも2つは、CH
3である。例示的な実施形態では、アミド含有化合物は、式IIの構造を含む。
【化4】
【0048】
別の実施形態では、アミド含有化合物は、ジメチルホルムアミド「DMF」(CAS番号68-12-2)、ジメチルアセトアミド「DMAC」(CAS127-19-5)、及びN,N-ジエチルプロピオンアミド(CAS1114-51-8)からなる群から選択される。
【0049】
R1、R2、又はR3がアルキルである場合、アルキルは、1~60個の炭素原子、1~50個の炭素原子、1~40個の炭素原子、1~30個の炭素原子、1~25個の炭素原子、1~20個の炭素原子、1~15個の炭素原子、1~10個の炭素原子、又は1~5個の炭素原子を含んでもよい。いくつかの実施形態では、R1、R2、及び/又はR3は、C1アルキル、C2アルキル、C3アルキル、C4アルキル、C5アルキル、C6アルキル、C7アルキル、C8アルキル、C9アルキル、又はC10アルキルである。
【0050】
R1、R2、又はR3がアルケニルである場合、アルケニルは、1~60個の炭素原子、1~50個の炭素原子、1~40個の炭素原子、1~30個の炭素原子、1~25個の炭素原子、1~20個の炭素原子、1~15個の炭素原子、1~10個の炭素原子、又は1~5個の炭素原子を含んでもよい。いくつかの実施形態では、R1、R2、及び/又はR3は、C1アルケニル、C2アルケニル、C3アルケニル、C4アルケニル、C5アルケニル、C6アルケニル、C7アルケニル、C8アルケニル、C9アルケニル、又はC10アルケニルである。
【0051】
溶媒は、炭化水素、エーテル、エステル、アルコール、テトラヒドロフラン、及びそれらの任意の組合せからなる群から選択されてもよい。溶媒が炭化水素を含む場合、炭化水素は、約5~約25個の炭素原子、約5~約20個の炭素原子、約5~約15個の炭素原子、又は約5~約10個の炭素原子を含んでもよい。いくつかの実施形態では、溶媒は、トルエン、ケロシン、キシレン、及びこれらの任意の組合せから選択される、炭化水素を含む。
【0052】
例示的な実施形態では、溶媒は、炭化水素、テトラヒドロフラン、エーテル、及びそれらの任意の組合せからなる群から選択され、モノマーは、アクリル酸である。別の例示的な実施形態では、溶媒は、アルコール、炭化水素、及びそれらの任意の組合せからなる群から選択され、モノマーは、メタクリル酸エステル、アクリレート、及びそれらの任意の組合せからなる群から選択される。
【0053】
組成物の使用方法
本明細書に開示される組成物は、例えば、モノマー製造プロセス、又は反応性モノマーを含み得る任意のプロセスにおいて、使用されてもよい。組成物は、プロセスにおいて、媒体に添加されてもよい。媒体は、ファウラントを含む。組成物のアミド含有化合物は、ファウラントと接触して、これを溶解する。
【0054】
モノマー製造プロセスは、複数の構成要素を含んでもよく、構成要素は、媒体を含んでもよい。組成物は、媒体に、連続的に添加されてもよい。いくつかの実施形態では、組成物は、媒体に、連続的又は断続的に添加されてもよい。特定の実施形態では、組成物は、製造構成要素の洗浄サイクル中に、添加されてもよい。洗浄サイクルに添加する場合、組成物を、製造構成要素に導入する前に、アルカリ洗浄水と組み合わせて、約1:10(組成物対洗浄液)~約1:1の重量比を有する、混合物を形成してもよい。いくつかの態様では、組成物とアルカリ洗浄水との混合物が、媒体に添加される。
【0055】
組成物は、手動で、自動的に、又はそれらの組合せで、媒体に添加されてもよい。いくつかの実施形態では、組成物は、媒体に添加され、及び/又はモノマー製造プロセスの構成要素に直接添加される。組成物は、媒体及び/又は一つ又は複数の構成要素に、注入されてもよい。構成要素は、媒体を含んでもよい。一例として、組成物は、供給パイプライン及び/又はトルエンパイプラインに、注入されてもよい。媒体は、例えば、粗アクリル酸又は溶媒を含有してもよい。
【0056】
いくつかの実施形態では、構成要素は、吸収カラム、ストリッパー、回収カラム、精製カラム、生成物カラム、リボイラー、使用済み酸タンク、供給パイプライン、トルエンパイプライン、前留における一つ又は複数のトレイ、前述の構成要素のいずれかを接続する導管、及びそれらの任意の組合せからなる群から選択される。
【0057】
組成物の添加位置は、例えば、ファウラントの存在又はファウラントの存在が疑われることに基づいて、選択されてもよい。いくつかの実施形態では、組成物は、ファウラントを含む位置の上流である、モノマー製造プロセスにおける位置に添加されてもよい。いくつかの実施形態では、組成物は、例えば、ファウラントによって遮断された位置への、直接注入によって添加される。
【0058】
ファウラントは、分散剤による除去に適さない体積を有する場合がある。いくつかの実施形態では、ファウラントは、体積で、約0.5mL3~約50mL3、約0.5mL3~約45mL3、約0.5mL3~約40mL3、約0.5mL3~約35mL3、約0.5mL3~約30mL3、約0.5mL3~約25mL3、約0.5mL3~約20mL3、約0.5mL3~約15mL3、約0.5mL3~約10mL3、又は約0.5mL3~約5mL3の、範囲である。いくつかの実施形態では、ファウラントは、約0.5mL3、約1mL3、約1.5mL3、約2mL3、約2.5mL3、約3mL3、約3.5mL3、約4mL3、約4.5mL3、約5mL3、約5.5mL3、約6mL3、約6.5mL3、約7mL3、約7.5mL3、約8mL3、約8.5mL3、約9mL3、約9.5mL3、約10mL3、約10.5mL3、約11mL3、約11.5mL3、約12mL3、約12.5mL3、約13mL3、約13.5mL3、約14mL3、約14.5mL3、又は約15mL3の、体積を有する。
【0059】
組成物がファウラントと接触すると、ファウラントのポリマーは溶解し、溶解したポリマー及び組成物の構成要素は、媒体から除去され得る。いくつかの実施形態では、組成物の成分及び溶解したポリマーは、媒体と共に流れ、構成要素を出て、例えば、廃棄物容器に収集され得る。
【0060】
図1は、水分離カラム11を含む、本開示の例を示す。カラム11は、アクリル酸製造プロセスなどの、モノマー製造プロセスの一部であってもよい。組成物は、例えば、トルエンタンク7から、供給パイプライン3又はトルエン補給パイプライン5に、注入13a及び/又は13bされてもよい。水分離カラムからの生成物は、前留分カラム9を通って出る。
【0061】
図2は、使用済み酸タンク15を示しており、これは、使用済み酸と、メタクリル酸メチル製造プロセスからの重合メタクリレートなどのファウラントとを、貯蔵する。ファウラントは底に沈み、焼却炉17へのパイプライン21を妨害する。しかしながら、妨害物は、本明細書に開示される組成物と接触させることによって、溶解/除去することができる。例えば、組成物は、13c及び/又は13dにおいて、反応器からの供給流19に、廃酸タンク15に、及び/又は焼却炉17へのパイプライン21に、添加されてもよい。
【0062】
溶解されるべきファウラントの量に応じて、約10ppm~約10,000ppmのアミド含有化合物が、媒体に添加される。いくつかの実施形態では、アミド含有化合物は、約10ppm~約1%、約10ppm~約10,000ppm、約50ppm~約9,500ppm、約100ppm~約9,000ppm、約150ppm~8,500ppm、約200ppm~約8,000ppm、約250ppm~約7,500ppm、約300ppm~約7,000ppm、約350ppm~約6,500ppm、約400ppm~約6,000ppm、約450ppm~約5,500ppm、又は約500ppm~約5,000ppmの量で、添加されてもよい。いくつかの実施形態では、アミド含有化合物は、約200ppm~2,000ppm、又は500ppm~1,500ppmの量で、モノマー製造プロセスに添加される。例示的な実施形態では、アミド含有化合物は、約100ppm~5,000ppmの量で、製造プロセスの、構成要素及び/又は媒体に添加されてもよい。いくつかの実施形態では、組成物は、製造プロセスに、直接注入されてもよい。
【0063】
いくつかの態様では、モノマー製造プロセスに添加されるアミド含有化合物の量は、単一の構成要素(例えば、回収カラム、若しくはリボイラー)、又はモノマー製造プロセスアセンブリ全体の、いずれかに存在する、全媒体の重量%に基づいて、測定されてもよい。媒体に添加されるアミド含有化合物の量は、媒体の、約0.5重量%~約5重量%、約0.75重量%~約5重量%、約1重量%~約5重量%、約1.25重量%~約5重量%、約1.5重量%~約5重量%、約1.75重量%~約5重量%、約2重量%~約5重量%、約2.25重量%~約5重量%、約2.5重量%~約5重量%、約2.75重量%~約5重量%、又は約3重量%~約5重量%であってもよい。
【0064】
組成物に加えて、方法は、重合阻害剤、及び/又は分散剤の添加を、更に含んでもよい。いくつかの実施形態では、組成物は、重合阻害剤、及び/又は分散剤を含む。重合阻害剤の例としては、フェノール化合物、アミン、キノン、ニトロキシル化合物、並びにある種の無機錯体(例えば、テトラメチルピペリジノオキシ、銅塩、フェノチアジン(PTZ)、ヒドロキノン(HQ)、及びモノメチルヒドロキノンエーテル(MEHQ))が挙げられるが、これらに限定されない。これらの阻害剤は、重合反応を中断し、ポリマーの形成を防止するように設計される。
【0065】
分散剤は、化学的又は物理的相互作用を介して、既存のポリマー粒子上に吸着し、ポリマー粒子上に絶縁層を形成するように設計されており、これにより、粒子が凝集するのを防止し、それによって、粒子をプロセス媒体中に懸濁させたままにする。分散剤の例としては、スルホン化炭化水素、例えば、ドデシルベンゼンスルホネート、ポリイソブチレンコハク酸エステル、アルキルフェノールエトキシレート、アルキルフェノールホルムアルデヒド樹脂、脂肪酸エステル、脂肪酸アミド、脂肪アルコールエトキシレート、多糖エステルなどが挙げられるが、これらに限定されない。
【0066】
以下の実施例を参照することによって上記をよりよく理解してもよく、これらは例示を目的とするものであり、本開示又はその適用の範囲をいかなる方法でも限定することを意図していない。
【実施例】
【0067】
本開示の様々な組成物の、ファウラントを溶解する能力を、試験した。組成物が、表1及び表2に記載される。
【0068】
【0069】
【0070】
アクリル酸ポリマーを含むファウラント(本明細書では、アクリル酸ファウラントと呼ばれる)を、モノマー製造プロセスから収集した。2つの別個の試験管を設置し、アクリル酸プラントから収集した、約2mLのアクリル酸ファウラントを、各試験管に添加した。第一の試験管に、ジメチルアセトアミドを含有する、組成物約10mLを添加した。対照として、トール油脂肪酸混合物を含有する、溶液約10mLを、第二の試験管に添加した。第一の試験管は、ジメチルアセトアミドがファウラントを溶解することができたことを示したが、第二の試験管中のファウラントは凝集したままであり、試験管の底に沈んだ。両方の試験管を12時間静置した後でも、ファウラントは、第一の試験管に溶解したままであった。
【0071】
重合メタクリル酸メチルを含むファウラントを使用して、同様の実験を行い、重合アクリロニトリルを含むファウラントを使用して、他の実験を行った。
【0072】
これらの実験は、フタル酸ジメチルと、全組成物の約30重量%~約100重量%のジメチルアセトアミドをと含む組成物が、ファウラントを溶解するのに非常に有効であることを示した。概して、試験管に添加したジメチルアセトアミドの量が増加するにつれて、溶解したファウラントの量が増加した。いくつかの実験では、約1:1の比の、アミド含有化合物及び溶媒を含有する組成物が、ファウラントを効率的に溶解した。
【0073】
更に、これらの実験は、フタル酸ジメチルと、約30重量%~約100重量%のジメチルホルムアミドとを含む組成物が、ファウラントを溶解するのに非常に有効であることを示した。概して、試験管に添加したジメチルホルムアミドの量が増加するにつれて、溶解したファウラントの量が増加した。
【0074】
実験は、アクリル酸から生成されたファウラント物質を溶解し、アクリル酸のプロセス媒体に戻して添加されたときに溶解したままであるという、組成物の有効性を示した。第一の試験管に、約10mLのアクリル酸を添加した。第二の試験管に、約10mLのキシレンを添加した。約2.5mLのアクリル酸ファウラント溶液を、各試験管に添加した。アクリル酸ファウラント溶液は、ジメチルアセトアミド、及び約2mLの溶解ファウラントを含有していた。より多量のプロセス媒体(すなわち、アクリル酸、又はキシレン)に添加した場合であっても、溶解したファウラントは、いずれの管においても沈降せず、又は沈殿物を形成しなかった。
【0075】
ある場合には、試験管を振盪し、他の場合には、試験管を振盪しなかった。振盪は、組成物の有効性を増加させるようであったが、振盪は、ファウラントを溶解させるために必要ではなかった。
【0076】
本明細書で開示及び特許請求される組成物及び方法の全ては、本開示を考慮して、過度の実験を伴わずに作製及び実行され得る。本発明は、多くの異なる形態で具現化され得、本発明の特定の好ましい実施形態が、本明細書で詳細に説明される。本開示は、本発明の原理の例示であり、本発明を例解された特定の実施形態に限定することを意図するものではない。加えて、異なるように明示的に述べられない限り、「a(ある1つの)」という用語は、「少なくとも1つ(at least one)」又は「一つ又は複数(one or more)」を含むことを意図している。例えば、「ある1つの溶媒(a solvent)」は、「少なくとも1つの溶媒(at least one solvent)」又は「一つ又は複数の溶媒(one or more solvents)」を含むことを意図する。
【0077】
絶対的な用語又は近似的な用語のいずれかで示される任意の範囲は、両方を包含することを意図しており、本明細書で使用される任意の定義は、明確にすることを意図するものであり、限定することを意図するものではない。本発明の広範な範囲を明記する数値範囲及びパラメータは、近似値ではあるものの、特定の実施例で明記される数値は、可能な限り正確に報告される。しかしながら、いかなる数値も、それらのそれぞれの試験測定値において見られる標準偏差に必然的に起因する特定の誤差を本質的に含む。更に、本明細書に開示される全ての範囲は、その中に包含されるあらゆる部分範囲(全ての小数値及び全体値を含む)を包含するものとして理解されるべきである。
【0078】
本明細書に開示される任意の組成物は、本明細書に開示される任意の要素、成分、及び/若しくは原料、又は本明細書に開示される要素、成分、若しくは原料のうちの2つ以上の任意の組合せを含み得るか、それらからなり得るか、又はそれらから本質的になり得る。
【0079】
本明細書に開示される任意の方法は、本明細書に開示される任意の方法工程、又は本明細書に開示される方法工程のうちの2つ以上の任意の組合せを含み得るか、それらからなり得るか、又はそれらから本質的になり得る。
【0080】
「含む(including)」、「含有する(containing)」、又は「によって特徴付けられる(characterized by)」と同義である「含む(comprising)」という移行句は、包括的又はオープンエンドであり、追加の列挙されていない要素、成分、原料、及び/又は方法工程を除外しない。
【0081】
「からなる(consisting of)」という移行句は、特許請求の範囲に明記されていない任意の要素、成分、原料、及び/又は方法工程を除外する。
【0082】
「から本質的になる(consisting essentially of)」という移行句は、特許請求の範囲を、特定の要素、成分、原料及び/又は工程、並びに特許請求される発明の基本的及び新規特徴に実質的に影響を及ぼさないものに限定する。
【0083】
特に明記されていない限り、本明細書で言及される全ての分子量は、重量平均分子量であり、全ての粘度は、ニート(希釈されていない)ポリマーを用いて25℃で測定した。
【0084】
本明細書で使用される場合、「約」という用語は、それらのそれぞれの試験測定値において見られる標準偏差から生じる誤差内にある引用された値を指し、それらの誤差が判定され得ない場合、「約」は、例えば、引用された値の5%以内を指し得る。
【0085】
更に、本発明は、本明細書に記載される様々な実施形態のうちのいくつか又は全てのあらゆる可能な組合せを包含する。また、本明細書に記載される本発明の好ましい実施形態に対する様々な変更及び修正が、当業者にとって明らかであろうこともまた、理解されるべきである。このような変更及び修正は、本発明の趣旨及び範囲を逸脱することなく、かつその意図される利点を縮小することなく行われ得る。したがって、このような変更及び修正は、添付の特許請求の範囲によって網羅されることが意図される。
【国際調査報告】