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特表2024-546594近視抑制解決策を決定するためのシステム及び方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-12-26
(54)【発明の名称】近視抑制解決策を決定するためのシステム及び方法
(51)【国際特許分類】
   A61F 9/013 20060101AFI20241219BHJP
   A61B 3/103 20060101ALI20241219BHJP
   G02C 7/04 20060101ALI20241219BHJP
【FI】
A61F9/013
A61B3/103
G02C7/04
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024529822
(86)(22)【出願日】2022-12-08
(85)【翻訳文提出日】2024-05-20
(86)【国際出願番号】 EP2022085043
(87)【国際公開番号】W WO2023104988
(87)【国際公開日】2023-06-15
(31)【優先権主張番号】21306746.5
(32)【優先日】2021-12-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】518007555
【氏名又は名称】エシロール・アンテルナシオナル
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ビョルン・ドローブ
(72)【発明者】
【氏名】ジル・ガルサン
(72)【発明者】
【氏名】ジャン-リュック・ペラン
(72)【発明者】
【氏名】ダミアン・パイユ
【テーマコード(参考)】
2H006
4C316
【Fターム(参考)】
2H006BB01
2H006BC03
4C316AA03
4C316AA09
4C316AA13
4C316AA16
4C316AA19
4C316AB14
4C316FA01
4C316FC12
4C316FY09
4C316FY10
4C316FZ01
(57)【要約】
近視の被験者によって使用される最初の近視抑制解決策の修正を決定するためのシステム(60)であって、前記近視の被験者の個人的特徴の値と、前記近視の被験者による前記最初の近視抑制解決策の使用条件に関する環境パラメータの値とをメモリ内に有する1つ以上のメモリ(10)を含み、i)前記近視の被験者の近視を引き起こす前記個人的特徴の役割に紐付けられる個人スコアを決定することであって、前記個人スコアは個人的特徴の前記値に依存する、決定することと、ii)前記近視の被験者の近視を引き起こす前記環境パラメータの役割に紐付けられる環境スコアを決定することであって、前記環境スコアは前記環境パラメータの前記値に依存する、決定することと、iii)前記個人及び前記環境スコアに基づいて前記被験者のための前記最初の近視抑制解決策の前記修正を決定することとをするようにプログラムされた1つ以上のプロセッサ(20)を含む、システム(60)。システムは、入力装置(40)と、データ取得システム(30)とを含むことができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被験者によって使用される近視抑制解決策を決定するためのシステム(60)であって、1つ以上のメモリ(10)と、1つ以上のプロセッサ(20)とを含み、
前記1つ以上のメモリ(10)が、
前記被験者の個人的特徴の値と、
前記被験者による前記近視抑制解決策の使用条件に関する環境パラメータの値と
をメモリ内に有し、
前記1つ以上のプロセッサ(20)が、
i)前記被験者の個人的特徴の前記値に応じて前記被験者の個人スコアを決定することであって、前記個人スコアは、前記被験者の近視を引き起こす前記個人的特徴の役割に紐付けられる、個人スコアを決定することと、
ii)前記環境パラメータの前記値に応じて前記被験者による前記近視抑制解決策の前記使用条件の環境スコアを決定することであって、前記環境スコアは、前記被験者の近視を引き起こす前記環境パラメータの役割に紐付けられる、環境スコアを決定することと、
iii)前記個人スコア及び環境スコアに基づいて前記被験者のための前記近視抑制解決策を決定することと、
をするようにプログラムされる、システム(60)。
【請求項2】
前記1つ以上のプロセッサ(20)が、ステップiii)において、第1の近視抑制解決策又は前記被験者によって現在使用されている近視抑制解決策の修正を決定するようにプログラムされ、前記近視抑制解決策が、以下の動作、
近方視活動中の遠近調節の遅れを補正又は低減することと、
周辺の遠視性デフォーカスを補正若しくは低減するか又は近視性デフォーカスをもたらすことと、
網膜刺激を与えることと、
前記被験者の周辺視野に異なるコントラストを提供することと、
眼の色収差又は特定の波長への網膜の曝露を低減するために、前記被験者の眼に入る特定の波長を有する光の量を制限することと、
眼伸長を阻止するために特定の波長を有する光を前記眼に提供することと、
動的に変化する光刺激を与えることと、
網膜及強膜のムスカリン性受容体を調節するための薬剤を提供することと、
前記眼の角膜を整形して屈折異常を低減することと、
拡張された焦点深度を誘起するために前記眼の前記角膜を整形することと、
前記角膜の形状を平坦化することによって網膜周辺部における近視性デフォーカス及び/又は光学収差をもたらすことと、
前記眼の強膜及び/又は前記眼の角膜及び/又は前記眼の脈絡膜を補強又は強化することと、
のうちの1つ又は前記動作のうちのいくつかを同時に実施するための1つ以上の装置を含む、請求項1に記載のシステム(60)。
【請求項3】
前記装置が、医薬用点眼薬供給装置、多焦点眼鏡レンズ、微細構造を有する眼鏡レンズ、角膜矯正レンズ若しくは多焦点ソフトコンタクトレンズ、及び/又は前記被験者の眼の網膜の前方に位置する、光刺激を使用して少なくとも1つの網膜刺激を与えるための装置を含む、請求項2に記載のシステム(60)。
【請求項4】
前記1つ以上のプロセッサ(20)が、前記近視抑制解決策と前記個人スコア及び前記環境スコアとを関連付ける所定且つ一定の関係を使用して前記近視抑制解決策を決定するようにプログラムされる、請求項1に記載のシステム(60)。
【請求項5】
前記1つ以上のプロセッサ(20)が、前記個人スコア及び前記環境スコアに基づいて最終スコアを決定し、前記最終スコアを考慮に入れて前記近視抑制解決策を決定するようにプログラムされる、請求項4に記載のシステム(60)。
【請求項6】
前記1つ以上のプロセッサ(20)が、前記個人スコアと前記個人スコア及び前記環境スコアの合計との比率として前記最終スコアを算出するようにプログラムされる、請求項5に記載のシステム(60)。
【請求項7】
前記1つ以上のプロセッサ(20)が、機械学習アルゴリズムを使用して前記近視抑制解決策と前記最終スコアとの関係を確立及び/又は更新するようにプログラムされる、請求項1に記載のシステム(60)。
【請求項8】
前記1つ以上のメモリ(10)に保存された前記被験者の個人的特徴の前記値が、以下の個人的特徴、すなわち、
近視の両親及び近視の兄弟姉妹の人数及び/又は前記被験者の両親及び/又は近視の兄弟姉妹の近視のレベル、
近視のリスクを示す前記被験者の遺伝子型のアレルの数、
前記被験者の少なくとも一方の眼の眼生体測定パラメータ、
前記被験者の少なくとも一方の眼の眼生体力学パラメータ、
前記被験者の検眼に関する特徴、
前記被験者の病歴、
前記被験者の性別、
前記被験者の年齢、
前記被験者の知能指数及び/又は一般的な学業成績、
前記被験者の出生季節及び/又は生年月日、
前記被験者の民族性及び/又は地理的起源、
のうちの1つ以上の値を含む、請求項1に記載のシステム(60)。
【請求項9】
前記メモリ(10)に保存された環境パラメータの前記値が、前記被験者の以下の環境パラメータ、すなわち、
近作業を達成するのに費やされる時間及び/又は近作業のための作業距離、
屋外及び/又は屋内で費やされる時間、
環境の種類、
居住国及び/又は居住市及び/又は住居の種類、
活動及び/又は生活習慣、
近方視作業の実行中に使用される照明の種類、
前記近視抑制解決策の使用に費やされる時間、
読書姿勢、
前記近視の矯正不足のレベル、
遠近調節パラメータ、
両眼視パラメータ、
レンズ使用のパラメータ、
のうちの1つ以上の値を含む、請求項1に記載のシステム(60)。
【請求項10】
前記1つ以上のプロセッサ(20)が、前記個人的特徴及び前記環境パラメータの前記値の平均値又は加重平均値として前記個人スコア及び前記環境スコアの各々をそれぞれ算出するようにプログラムされる、請求項1に記載のシステム(60)。
【請求項11】
前記システム(60)が、検証時に1つ以上の眼状態パラメータの各々の実際値を取得するための取得装置(30)を含み、
前記被験者が最初の近視抑制解決策を使用し、前記1つ以上のメモリは、前記最初の近視抑制解決策が実施されている間の経時的な各眼状態パラメータの統計的進行に関する統計データをメモリ内に有し、
前記1つ以上のプロセッサ(20)が、
前記最初の近視抑制解決策が使用されている間の経時的な各眼状態パラメータの前記統計的進行に関する前記統計データに基づいて、前記検証時に前記1つ以上の眼状態パラメータの各々に紐付けられる大きさの予測値を、及び各眼状態パラメータの前記実際値に基づいて前記大きさの実際値を決定し、
各眼状態パラメータについて前記大きさの前記実際値を前記大きさの前記予測値と比較する、
ようにプログラムされ、
前記検証時における前記被験者の眼の近視度数が前記1つ以上の眼状態パラメータの少なくとも1つについて予測される近視度数よりも高いことを前記比較が示す場合、前記1つ以上のプロセッサ(20)は、ステップi)~iii)を実行するようにプログラムされる、
請求項1に記載のシステム(60)。
【請求項12】
前記1つ以上のメモリ(10)が、前記最初の近視抑制解決策の抑制目標をメモリ内に有し、
前記1つ以上のプロセッサ(20)が、
前記最初の近視抑制解決策の抑制性能指数を決定し、
前記抑制性能指数を前記抑制目標と比較し、
前記抑制性能指数が前記抑制目標を下回る場合、前記抑制性能指数が前記抑制目標を下回る根本原因を特定し、
ステップiii)において、前記根本原因を考慮に入れて前記被験者のための修正された近視抑制解決策を決定する、
ようにプログラムされる、請求項11に記載のシステム(60)。
【請求項13】
前記1つ以上のメモリ(10)に保存された前記環境パラメータの前記値が、前記最初の近視抑制解決策の使用時間若しくは使用頻度に関する、又は前記最初の近視抑制解決策の使用条件への前記被験者のコンプライアンスのレベルに関するパラメータの値を含み、
前記検証時における前記被験者の前記眼の前記近視度数が予測される近視度数よりも高いことを前記比較が示す場合、前記1つ以上のプロセッサ(20)が、
前記最初の近視抑制解決策の使用時間若しくは使用頻度に関する、又は前記最初の近視抑制解決策の使用条件への前記被験者のコンプライアンスのレベルに関する前記パラメータの前記値を、対応する閾値と比較し、
前記使用時間、前記使用頻度、又は前記コンプライアンスが前記閾値を上回ることを前記比較が示す場合にのみステップi)~iii)を実行する、
ようにプログラムされる、請求項11に記載のシステム(60)。
【請求項14】
前記使用時間、前記使用頻度、又は前記コンプライアンスのレベルが前記閾値以下であることを前記比較が示す場合、前記1つ以上のプロセッサ20が、
前記近視抑制解決策の使用時間若しくは使用頻度又は前記被験者の前記コンプライアンスのレベルを増加させるための、前記最初の近視抑制解決策の調整、又は
別の近視抑制解決策への前記最初の近視抑制解決策の変更、
によって前記修正された近視抑制解決策を決定するようにプログラムされる、請求項13に記載のシステム(60)。
【請求項15】
被験者によって使用される近視抑制解決策を決定するための方法であって、
前記被験者の個人的特徴の値と、前記被験者による前記近視抑制解決策の使用条件に関する環境パラメータの値とを提供するステップと、
前記被験者の個人的特徴の前記値に応じて前記被験者の個人スコアを決定するステップであって、前記個人スコアは、前記被験者の近視を引き起こす前記個人的特徴の役割に紐付けられる、前記決定するステップと、
前記環境パラメータの前記値に応じて前記被験者による前記近視抑制解決策の前記使用条件の環境スコアを決定するステップであって、前記環境スコアは、前記被験者の近視を引き起こす前記環境パラメータの役割に紐付けられる、前記決定するステップと、
前記個人スコア及び前記環境スコアに基づいて前記被験者のための前記近視抑制解決策を決定するステップと、
を含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、近視の被験者によって使用される近視抑制解決策を決定するためのシステム及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
数多くの文献には、被験者、特に子供の近視進行を抑制するための装置及び方法が記載されている。
【0003】
近視は、眼の角膜及び水晶体の合焦能力に比べて、眼球が長すぎる場合に起こる。これによって、光線が直接網膜の表面にではなく、網膜の前方の点に焦点を合わせる。
【0004】
結果として、近視の被験者には遠くの物がぼやけて見える。
【0005】
眼科用レンズ、コンタクトレンズ、又は薬剤などの、近視進行を遅らせる様々な種類の装置及び製品が知られている。
【0006】
また、近視進行を遅らせるための、これらの装置及び製品の様々な利用が知られている。それゆえ、1つ以上の装置及び/又は製品とそれらの特定用途とを関連付ける様々な近視抑制解決策が知られており、所与の被験者における近視進行を抑えようと試みるアイケアの専門家によって実施されている。
【0007】
各被験者は、異なる近視抑制解決策に対して異なって反応し得る。それゆえ、既知の異なる近視抑制解決策は、異なる被験者に対して異なる有効性を有し得る。その上、各近視抑制解決策の有効性は、時間及び他の実施条件に応じて変化し得る。
【0008】
それゆえ、被験者に対して実施された近視抑制解決策の効果及び/又は有効性を監視することは、効率的な近視抑制解決策が常に被験者に提案されることを確実にするために必要である。
【0009】
被験者によって使用される近視抑制解決策の決定及びこの近視抑制解決策の修正は、通常、アイケアの専門家の経験及び知識に基づいてアイケアの専門家によって決定される。それゆえ、修正が、一定でない方法で実行される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
これに関連して、本発明の1つの目的は、被験者によって使用される近視抑制解決策を決定するためのシステムを客観的に提供することである。このシステムは、被験者によって使用される近視抑制解決策を選択するか又は被験者によって既に使用されている近視抑制解決策を修正するかの決定をアイケアの専門家が下すのに役立つように設計される。
【課題を解決するための手段】
【0011】
これは、本開示によれば、被験者によって使用される近視抑制解決策を決定するための請求項1に記載のシステムを提供することによって達成される。
【0012】
以下の説明及び特許請求の範囲では、「近視抑制解決策」は、
- 近視の被験者の近視進行を遅らせる又は阻止するために、
- 正視又は僅かに遠視の被験者が近視になることを防止するために、或いは換言すれば、被験者を正視又は僅かに遠視の状態に保つために、
- 近視前症の被験者の近視発症を遅延させるために
使用される装置及び方法を示す。
【0013】
前近視の被験者は、以下の論文“IMI-Defining and Classifying Myopia:A Proposed Set of Standards for Clinical and Epidemiological Studies,Feb 2019”において定義されている。
【0014】
そして、本開示による装置及び方法は、正視、遠視、前近視、又は近視のいずれかである被験者に使用することができる。
【0015】
以下の説明において、「近視抑制解決策を決定する」という表現は、被験者が近視抑制解決策を現在使用していない場合に第1の近視抑制解決策を決定すること、又は被験者によって既に使用されている最初の近視抑制解決策の修正を決定することを含む。
【0016】
一般的に、本開示によるシステムは、被験者に応じて、被験者における近視の特定の原因を考慮に入れて、客観的な方法によって近視抑制解決策を決定することを可能にする。
【0017】
以下では、近視抑制解決策の決定は、
- 非近視抑制解決策から近視抑制解決策への変更、すなわち、第1の近視抑制解決策の決定、
- 例えば、加入値、例えばレンズの球面値、薬剤の用量、装置の装着継続時間などの、この近視抑制解決策の実施パラメータを修正することによる、被験者によって現在使用されている近視抑制解決策の調整、
- 被験者によって使用されている近視抑制解決策が、異なる近視抑制解決策に置き換えられる、近視抑制解決策の変更
を含み得る。したがって、「修正」という表現が使用される場合、被験者によって最初に使用された近視抑制解決策が、修正された実施パラメータを用いて保持されるか又は別の近視抑制解決策に置き換えられるかのいずれかを意味する。
【0018】
多くの異なる基本的な近視抑制解決策が知られており、以下の説明に記載されている。以下で考慮される近視抑制解決策は、1つの基本的な近視抑制解決策、又は組み合わされた、すなわち同時に実施される、いくつかの基本的な近視抑制解決策を含み得る。
【0019】
最初の近視抑制解決策が単に調整されるだけである場合、近視抑制解決策は、同じ種類のままである。近視抑制解決策は、以下に記載されるような、同じ単一の基本的な近視抑制解決策、又は2つ以上の基本的な近視抑制解決策の同じ組み合わせであり得る。前記最初の近視抑制解決策の基本的な近視抑制解決策のうちの1つの基本的な近視抑制解決策の少なくとも1つの実施パラメータが調整される。例えば、アトロピンの濃度若しくは用量が修正され、及び/又はもたらされるデフォーカスが調整される。
【0020】
一般的に、ここに記載される近視抑制解決策の実施パラメータは、
- 薬剤の濃度、用量、点眼の頻度、
- 球面、加入度、波長フィルタのカットオフレベル、周辺部における度数分布、マイクロレンズの位置、密度、サイズ、幾何学形状及び/又は度数、散乱成分の寸法、密度、及び/又は強度、眼科用レンズの装着継続時間などの眼科用レンズの光学的特徴の値、
- 曲率プロファイル、フィッティング、角膜整形のためのレンズの装着継続時間など
を含み得る。
【0021】
近視抑制解決策が変更される場合、使用される近視抑制解決策の種類も変更される。変更は、前記最初の近視抑制解決策で実施された基本的な近視抑制解決策の少なくとも1つを少なくとも1つの他の基本的な近視抑制解決策に置き換えることを含み得る。変更は、異なる近視抑制解決策を得るために、既に使用されている最初の近視抑制解決策に1つ又は複数の基本的な近視抑制解決策を追加すること又は既に使用されている最初の近視抑制解決策から1つ又は複数の基本的な近視抑制解決策を除外することを含み得る。
【0022】
本開示によるシステムの他の利点及び非限定的な特徴は、請求項2~14に記載されている。
【0023】
本開示はまた、被験者によって使用される近視抑制解決策を決定するための請求項15に記載の方法に関する。
【0024】
添付図面を参照する以下の説明により、本開示を構成するもの及びそれを達成し得る方法が明らかになるであろう。本開示は、図面に示される実施形態に限定されない。
【0025】
したがって、請求項で言及された特徴に参照記号が続く場合、そのような記号は、請求項の理解度を高める目的のためにのみ含まれ、請求項の範囲を限定するものではないことが理解されるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】システムの概略図である。
図2図1のシステムによって実施される方法の様々なステップの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
図1は、システム60の概略図を示す。
【0028】
以下に記載されるように、システム60は、1つ以上のメモリ10と、1つ以上のプロセッサ20とを含み、前記1つ以上のメモリ10は、
- 前記被験者の個人的特徴の値と、
- 前記被験者による近視抑制解決策の使用条件に関する環境パラメータの値と
をメモリ内に有し、
前記1つ以上のプロセッサ20は、
i)前記被験者の個人的特徴の前記値に応じて前記被験者の個人スコアを決定することであって、前記個人スコアは、前記被験者の近視を引き起こす前記個人的特徴の役割に紐付けられる、個人スコアを決定することと、
ii)前記環境パラメータの前記値に応じて前記被験者による近視抑制解決策の前記使用条件の環境スコアを決定することであって、前記環境スコアは、前記被験者の近視を引き起こす前記環境パラメータの役割に紐付けられる、環境スコアを決定することと、
iii)前記個人及び環境スコアに基づいて前記被験者のための前記近視抑制解決策を決定することと
をするようにプログラムされる。
【0029】
本開示はまた、被験者によって使用される近視抑制解決策を決定するための関連する方法であって、以下のステップ、すなわち、
- 前記被験者の個人的特徴の値と、前記被験者による前記近視抑制解決策の使用条件に関する環境パラメータの値とを提供するステップと、
- 前記被験者の個人的特徴の前記値に応じて前記被験者の個人スコアを決定するステップであって、前記個人スコアは、前記被験者の近視を引き起こす前記個人的特徴の役割に紐付けられる、決定するステップと、
- 前記環境パラメータの前記値に応じて前記被験者による近視抑制解決策の前記使用条件の環境スコアを決定するステップであって、前記環境スコアは、前記被験者の近視を引き起こす前記環境パラメータの役割に紐付けられる、決定するステップと、
- 前記個人スコア及び前記環境スコアに基づいて前記被験者のための前記近視抑制解決策を決定するステップと
を含む、関連する方法に関する。
【0030】
実際に、近視抑制解決策の決定は、第1の近視抑制解決策の決定、又は被験者によって現在使用されている近視抑制解決策の修正の決定を含む。
【0031】
被験者が最初に近視抑制解決策としていかなる装置又は方法も使用しない場合、ステップiii)において第1の近視抑制解決策が決定される。被験者が最初に近視抑制解決策を使用する場合、前記修正は、被験者のための調整又は変更された近視抑制解決策を決定することを含む。
【0032】
本開示によるシステム及び方法は、関連する測定及びデータ収集を通じて所与の被験者の近視進行の根本原因を特定することを可能にする。次いで、本開示によるシステム及び方法は、根本原因に基づいて被験者に対して第1の近視抑制解決策を推奨することを可能にする。
【0033】
本開示のシステム及び方法はまた、第1の近視抑制解決策が実施されている間の所与の期間内に近視進行の閾値を決定し、考慮に入れることを可能にする。
【0034】
被験者は、所与の期間後に再検査され、関連する測定及びデータ収集を通じて近視進行の根本原因が再び特定される。
【0035】
被験者の近視進行が予測以上に速い場合、本開示のシステム及び方法は、第1の近視抑制解決策が機能しなかった理由を特定することを可能にし、それに応じて前記第1の近視抑制解決策の修正を推奨する。
【0036】
前記システム及び方法は、近視抑制解決策を決定することを可能にする。この解決策は、アイケアの専門家に推奨される。前記解決策を決定する間に、前記システム及び方法はまた、前記1つ以上のメモリに保存された1組の利用可能な近視抑制解決策を分類し得る。利用可能な解決策の順序付けリストは、最も推奨されるものから最も推奨されないものまでの分類によって作成され得る。
【0037】
任意の既知の利用可能な近視抑制解決策が、本開示によるシステムにおいて考慮され得る。
【0038】
現在までに、多くの異なる近視抑制解決策が説明され、試験されており、被験者の近視進行を抑えるために現在使用されている。
【0039】
それゆえ、以下のリストは、一例として提供されており、網羅的でも限定的でもない。
【0040】
以下において、前記近視抑制解決策は、以下の動作の1つ又は以下の動作のいくつかを同時に実施するための1つ以上の装置を含む。
【0041】
以下の各動作、すなわち、
- 近方視活動中の遠近調節の遅れを補正又は低減することと、
- 周辺の遠視性デフォーカスを補正するか又は近視性デフォーカスをもたらすことと、
- 網膜刺激を与えることと、
- 被験者の周辺視野に異なるコントラストを提供することと、
- 眼の色収差、特定の波長への網膜の曝露を低減するために、被験者の眼に入る特定の波長を有する光の量を制限することと、
- 眼伸長を阻止するために特定の波長を有する光を眼に提供することと、
- 動的に変化する光刺激を与えることと、
- 網膜及強膜のムスカリン性受容体を調節するための薬剤を提供することと、
- 眼の角膜を整形して屈折異常を低減することと、
- 拡張された焦点深度を誘起するために眼の角膜を整形することと、
- 角膜の形状を平坦化することによって網膜周辺部における近視性デフォーカス及び/又は光学収差をもたらすことと、
- 眼の強膜及び/又は眼の角膜及び/又は眼の脈絡膜を補強又は強化することと
は、基本的な近視抑制解決策に相当する。
【0042】
眼の遠近調節の遅れは、残留屈折誤差をもたらす、遠近調節要求と遠近調節反応との差として定義される。
【0043】
実際に、これらの動作は、近視を抑制するための5種類の装置、すなわち、
- 眼鏡と一体化された眼科用レンズ、
- 被験者の眼に直接装着されたコンタクトレンズ、
- 例えば室内で日常光を再現するための又は眼伸長に関与する波長の放出を避けるための光源、
- 眼伸長に関与する、眼に入る色のうちのいくつかの色の量を修正するための装置、
- 医薬品
を用いて実行される。
【0044】
近視を抑制するための各装置は、上に列挙された1つ又は複数の動作を実行し得る。各近視抑制解決策では、近視を抑制するための1つ又は複数の装置が使用され得る。
【0045】
前記装置は、特に、医薬用点眼薬供給装置、多焦点眼鏡レンズ、微細構造を有する眼鏡レンズ、角膜矯正レンズ若しくは多焦点ソフトコンタクトレンズ、及び/又は被験者の眼の網膜の前方に位置する、光刺激を使用して少なくとも1つの網膜刺激を与えるための装置を含み得る。
【0046】
例えば、近方視活動中の遠近調節の遅れの補正又は低減は、近方視作業に使用されるレンズの領域に正の球面度数を有するレンズを使用して行われる。このレンズは、レンズの近方視領域に位置する正の球面を有するゾーンを含む二焦点レンズ又は近方視領域に加入度を有する累進レンズであり得る。
【0047】
近視を抑制するために使用される多焦点レンズの一例は、2つの光学ゾーンを有するプリズム二焦点レンズ又は累進屈折力レンズ(PAL)であり得る。遠方視領域(レンズの上部)に位置するゾーンは、眼の近視性屈折異常を補償する一方で、近方視(レンズの下部)領域に位置するゾーンは、近端を見るための遠近調節要求、ひいては遠近調節の遅れを低減する。
【0048】
周辺の遠視性デフォーカスを補正すること又は近視性デフォーカスをもたらすことは、レンズの周辺に正の球面度数を有するレンズを使用することによって達成され得る。
【0049】
被験者の眼の網膜の前方に位置する、複数の光刺激を使用するカスタマイズされたレンズであって、
- 前記眼の異常屈折を矯正するための処方に基づく、第1の屈折度数を有する屈折領域と、
- 複数の少なくとも3つの光学要素であって、少なくとも1つの光学要素が、眼の異常屈折の進行を遅らせるために、眼の網膜上に画像を集束させない光学関数を有する、光学要素と
を含む、レンズが使用され得る。
【0050】
周辺視野に異なるコントラストを提供することは、レンズの周辺に散乱要素を挿入することによって達成され得る。
【0051】
眼に入る色のうちの一部の色、例えば赤色光の量の修正は、例えばレンズ又はデジタルスクリーンフィルタと一体化された、特定のフィルタを使用して達成され得る。
【0052】
眼伸長を阻止するために特定の波長を有する光を眼に提供することは、眼伸長を調節するドーパミン受容体を誘発する波長を有する光に眼をさらすことを伴う光療法によって達成され得る。
【0053】
動的に変化する光刺激を与えることは、時間周波数に応じた正弦波変調の白色光に眼をさらすことによって達成され得る。
【0054】
網膜及強膜のムスカリン性受容体を調節するための薬剤の提供は、例えば、点眼薬を使用して被験者の眼に直接送達される局所アトロピンを提供することによって達成され得る。近視抑制のために試みられた他の薬理学的手法は、局所チモロール、非選択的βアドレナリン拮抗薬、及び経口7-メチルキサンチン(7-MX)、アデノシン拮抗薬、銅を含有する点眼薬、リシルオキシダーゼ活性の補因子を含む。
【0055】
眼に与えられ得る薬剤の効果は、典型的には、少なくとも数時間持続する。これは、薬剤の使用が、1つ又は複数の他の基本的な近視抑制解決策と共に実施される場合、同時であるとみなされる理由である。
【0056】
角膜矯正治療としても知られる、角膜の整形は、特別に設計されたガス透過性コンタクトレンズを被験者の眼に装着することによって実行される。コンタクトレンズは典型的には、眼の角膜を整形して近視の屈折異常を低減するために、平坦化されている。コンタクトレンズは典型的には、夜間に装着されるので、朝にコンタクトレンズが取り外されたときに角膜の形状が整形又は矯正されている。
【0057】
角膜の形状を平坦化することによって網膜周辺部における近視性デフォーカス及び/又は光学収差をもたらすことは、例えば角膜矯正治療を用いることによって達成され得る。
【0058】
ホマトロピン点眼薬は、“The effect of adrenergic and cholinergic agents on anterior scleral thickness and Schlemm’s canal in young healthy adults”,Sander et al. published in Investigative Ophthalmology & Visual Science (IOVS) April 2014,Vol.55,558 (https://iovs.arvojournals.org/article.aspx?articleid=2271190&resultClick=1)に記載されているように、眼の強膜及び/又は眼の脈絡膜を補強又は強化するために使用することができる。UV-A光でリボフラビンを活性化することによる角膜コラーゲンの架橋は、“Differential Regional Stiffening of Sclera by Collagen Cross-linking“by Gawargious and al.in Investigative Ophthalmology & Visual Science July 2019,Vol.60,4359.(https://iovs.arvojournals.org/article.aspx?articleid=2746058&resultClick=1)に記載されているように、角膜剛性を高めるために臨床的に使用されている。
【0059】
iVeena Delivery Systems,Inc.のIVMED-85(登録商標)(銅ベース)などの、薬理学的治療は、例えばthe Review of Myopia ManagementのWebサイト(https://reviewofmm.com/advancing-myopia-therapy-with-ivmed-85)で言及されているように、角膜を平坦化し、強膜を補強するために使用され得る。
【0060】
実際に、前記1つ以上のメモリ10は、利用可能な近視抑制解決策のデータベースを含む。
【0061】
基本的な近視抑制解決策の全ての可能な組み合わせが考慮に入れられ、したがって、前記メモリ10内の前記データベースに含まれ得る。
【0062】
通常、任意の他の近視抑制解決策との組み合わせでのアトロピンなどの医薬品の使用の組み合わせなどの、2つの基本的な近視抑制解決策の組み合わせが考慮される。近方視領域における正の球面ゾーンを用いて網膜刺激を与えるレンズの組み合わせも考慮することができる。
【0063】
本開示のシステムでは、前記1つ以上のメモリ10は、前記被験者の個人的特徴の1つ以上の値をメモリ内に有する。
【0064】
前記1つ以上のメモリに保存された前記被験者の個人的特徴の前記値は、例えば、以下の個人的特徴、すなわち、
- 限定されるものではないが、近視の両親及び近視の兄弟姉妹がいる場合はその人数及び/又は被験者の両親の近視のレベル、近視のリスクを示す被験者の遺伝子型のアレルの数、被験者の性別、被験者の年齢、知能指数、及び/又は被験者の一般的な学業成績、被験者の生年季節及び/又は生年月日、被験者の民族性及び/又は地理的起源などの、被験者の個人特徴、家族特徴、又は歴史的特徴、
- 限定されるものではないが、眼形状、軸長、前房深度、脈絡膜厚、水晶体厚、角膜形状若しくは角膜厚、被験者のサイズ、瞳孔間距離などの、被験者の少なくとも一方の眼の眼生体測定パラメータ、
- 限定されるものではないが、角膜剛性、強膜剛性などの、被験者の少なくとも一方の眼の眼生体力学パラメータ、
- 限定されるものではないが、中心屈折度、周辺屈折度、斜位、コントラスト感度、色感度、眼の球面又は円筒屈折度、プリズム、遠近調節の振幅、輻輳近点、利き目、周辺屈折度などの、被験者の検眼に関する特徴、
- 限定されるものではないが、近視発症年齢、以前の使用された視覚矯正機器、病状、近視進行速度の変化、眼の生体パターンの変化、網膜上のオン/オフ受容野の変化、ドライアイなどの、被験者の病歴
のうちの1つ以上の値を含む。
【0065】
システムに記憶される1つ以上の個人的特徴の値は、正規化された値であり得る。1組の個人的特徴の可能値及び対応する正規化された値の一例が、以下の表1に示されている。
【0066】
【表1】
【0067】
前記1つ以上のメモリ10はまた、前記被験者による前記近視抑制解決策の使用条件に関する環境パラメータの1つ以上の値をメモリ内に有する。
【0068】
環境パラメータの前記値は、被験者の以下の環境パラメータ、すなわち、
- 例えば時間単位で表現される、近作業を達成するのに費やされる時間、及び/又は例えばジオプトリ単位で表現される、近作業のための作業距離などの、被験者の視覚挙動に関する特徴、
- 屋外及び/又は屋内で費やされる時間、
- 限定されるものではないが、農村又は都市環境などの、環境の種類、
- 居住国及び/又は居住市及び/又は、限定されるものではないが、個人住宅、アパートなどの、住居の種類、
- 活動及び/又は生活習慣、
- 限定されるものではないが、明るい光又は薄暗い光、光学機器を使用する際の通常の時間帯、光環境などの、近方視作業の実行中に使用される照明の種類、
- 以下では使用時間とも呼ばれる、近視抑制解決策の使用に費やされる時間、
- 視聴距離、眼とスマートフォン、本又はノートとの間の読書距離を含む読書姿勢、読書、テレビ視聴、ラップトップでの仕事などの、いくつかの特定の作業を実行するときの頭又は眼の傾斜、頭の傾き、文書の傾き、文書と頭との相対位置などの、被験者の姿勢の特徴、
- 前記近視の矯正不足のレベル、
- 限定されるものではないが、遠近調節の遅れのレベル、遠近調節の振幅、遠近調節機能などの、遠近調節パラメータ、
- 限定されるものではないが、近方視での斜位、融像幅、立体視などの、両眼視パラメータ、
- 限定されるものではないが、近方視作業で使用される累進レンズ又は二焦点レンズの遠方視又は近方視ゾーンなどの、レンズ使用パラメータ
のうちの1つ以上の値を含む。
【0069】
システムに記憶される1つ以上の環境パラメータの値は、正規化された値であり得る。1組の環境パラメータの可能値及び対応する正規化された値の一例が、以下の表2に示されている。
【0070】
【表2】
【0071】
本開示によるシステム60は、個人的特徴及び環境パラメータの前記値を取得するための任意の必要な装置を含む。特に、前記システム60は、被験者の少なくとも一方の眼の眼生体測定パラメータ、眼生体力学パラメータ、及び/又は被験者の検眼に関する特徴などの、前記個人的特徴の値の1つ以上を測定するように適合された任意の測定装置を含み得る。
【0072】
客観的又は主観的な評価基準が、例えば、被験者の少なくとも一方の眼の眼形状、軸長、前房深度、脈絡膜厚、水晶体厚、角膜形状、角膜剛性、強膜剛性を測定するために考慮される。
【0073】
本開示によるシステム60はまた、前記1つ以上のメモリにデータを手動で入力するための入力装置40、又は遠隔地からデータを取り出すための通信装置を含み得る。
【0074】
前記値のいくつかは、前記被験者にアンケート調査を受けさせ、前記1つ以上のメモリに値を手動で入力することによって得られ得る。
【0075】
本システムで考慮される被験者の個人的特徴及び環境パラメータは、近視を引き起こす役割を果たし得る及び/又は前記被験者の眼の現在使用されている近視抑制解決策の有効性に影響を及ぼし得る理由から選択される。
【0076】
上に記載された個人的特徴は、近視の内的原因とみなされ得るが、その一方で、環境パラメータは、近視の外的原因を定義する。
【0077】
本開示によれば、前記システム60の前記1つ以上のプロセッサ20は、先に記載されたステップi)、ii)、及びiii)を実行するようにプログラムされる。
【0078】
ステップi)及びii)
ステップi)において、前記1つ以上のプロセッサは、前記被験者の個人的特徴の前記値に応じて前記被験者の個人スコアを決定するようにプログラムされ、前記個人スコアは、前記被験者の近視を引き起こす前記個人的特徴の役割に紐付けられる。
【0079】
特に、被験者の個人的特徴の値は、この個人スコアが被験者の眼の近視を引き起こす内的原因の全体的な重みを表すように、前記個人スコアに組み込まれる。この個人スコアは、被験者の内的根本原因指数に相当する。
【0080】
ステップii)において、前記1つ以上のプロセッサは、前記環境パラメータの前記値に応じて前記被験者による近視抑制解決策の前記使用条件の環境スコアを決定するようにプログラムされ、前記環境スコアは、前記被験者の近視を引き起こす前記環境パラメータの役割に紐付けられる。
【0081】
特に、環境パラメータの値は、この環境スコアが被験者の眼の近視を引き起こす外的原因の全体的な重みを表すように、前記環境スコアに組み込まれる。この環境スコアは、被験者の外的根本原因指数に相当する。
【0082】
個人スコアは、近視を引き起こし及び/又は前記被験者の現在使用されている近視抑制解決策の有効性に影響を及ぼす前記個人的特徴の役割を表す。個人スコアの上昇は、被験者の近視を引き起こす個人的特徴の役割の高まりを示す。個人スコアの上昇は、内的原因が果たす役割の高まりを示す。
【0083】
環境スコアは、近視を引き起こし及び/又は前記被験者の現在使用されている近視抑制解決策の有効性に影響を及ぼす前記環境パラメータの役割を表す。環境スコアの上昇は、被験者の近視を引き起こす環境パラメータの役割の高まりを示す。環境スコアの上昇は、外的原因が果たす役割の高まりを示す。
【0084】
実際に、前記1つ以上のプロセッサ20は、前記個人的特徴の値又は前記環境パラメータの値の平均値又は加重平均値として前記個人スコア及び前記環境スコアをそれぞれ算出するようにプログラムされる。
【0085】
個人スコア及び環境スコアが、それぞれ、前記個人的特徴の値又は前記環境パラメータの値の加重平均値として決定される場合、考慮に入れられる重みは、機械学習技術又は古典的な疫学的統計手法などの、様々な方法で決定され得る。
【0086】
全ての個人的特徴及び全ての環境パラメータの重みは、例えば1に設定され得る。
【0087】
個人スコア及び環境スコアは、前記個人的特徴及び環境パラメータの値の平均値としてそれぞれ決定される。これらは、例えば、個人的特徴又は環境パラメータの正規化された値の合計を考慮される値の数で割ったものとして決定される。
【0088】
重みは、予め決定され固定され得るか、又は機械学習技術を使用することと、被験者の過去の全てのデータを含めることによって、同じ被験者に対する新たな計算ごとに更新することができる。
【0089】
重みは、全ての被験者から又は被験者の所定の母集団から収集されたデータを含むデータベース上で実行される機械学習技術に基づいて更新されてもよい。
【0090】
ステップiii)
ステップiii)において、前記1つ以上のプロセッサ20は、前記個人スコア及び環境スコアに基づいて前記被験者のための前記近視抑制解決策を決定するようにプログラムされる。
【0091】
これは、例えば、近視抑制解決策と前記個人スコア及び前記環境スコアとを関連付ける所定且つ一定の関係を使用することによって達成される。
【0092】
決定された近視抑制解決策は、例えば前記システム60(図1)の画面50に表示される。
【0093】
一般的に、システム60は、決定された近視抑制解決策をアイケアの専門家に示す信号を発するための装置を含む。
【0094】
実施形態では、前記1つ以上のプロセッサ20は、前記個人スコア及び前記環境スコアに基づいて最終スコアを決定し、最終スコアを考慮に入れて前記近視抑制解決策の前記修正を決定するようにプログラムされる。
【0095】
例えば、前記1つ以上のプロセッサは、前記個人スコアと前記個人スコア及び前記環境スコアの合計との比率として前記最終スコアを算出するようにプログラムされる。
【0096】
最終スコアは、近視を引き起こし及び/又は被験者によって現在使用されている近視抑制解決策の有効性に影響を及ぼす主要な役割を個人的特徴及び環境パラメータのどちらが果たしているかを示す。換言すれば、最終スコアは、被験者の近視の根本原因が主に内的原因であるか主に外的原因であるかを示す。最終スコアは、根本原因指数に相当する。
【0097】
システム60の前記1つ以上のメモリ10は、例えば、最終スコアの各可能値を近視抑制解決策に関連付けるデータベースを含む。
【0098】
このデータベースは、前記近視抑制解決策の前記修正と前記個人スコア及び前記環境スコアとの前記関係を提供する。
【0099】
このようなデータベースの例は、表3に示されている。
【0100】
【表3】
【0101】
実施形態では、表3の最終スコアは、使用される用量に応じて修正することができる。例えば、アトロピンの場合、最終スコアは、高用量が使用される場合には1になる可能性があり、低用量が使用される場合には0.7になる可能性がある。
【0102】
次いで、システム60の1つ以上のプロセッサ20は、前記データベースで算出された最終スコアの値にどの近視抑制解決策が関連付けられるかを決定することによって近視抑制解決策を決定するようにプログラムされる。
【0103】
ステップiii)において、1つ以上のプロセッサ20は、前記近視抑制解決策の推奨をアイケアの専門家に返す。その推奨は、例えば前記画面50に表示される。
【0104】
この近視抑制解決策は、最終スコアに反映される近視の根本原因を考慮に入れている。
【0105】
前記1つ以上のプロセッサは、機械学習アルゴリズム、例えばベイズモデルを使用して前記近視抑制解決策の前記修正と前記最終スコアとの前記関係を確立するようにプログラムされる。
【0106】
例えば、各エントリが個人スコア及び環境スコア並びに使用される解決策の値を含む、N個のエントリを含むデータベースを用いて、機械学習アルゴリズムは、個人スコア及び環境スコアと使用される近視抑制解決策とを紐付ける関数、すなわち、f(個人スコア、環境スコア)=最終スコア(近視抑制解決策)を確立することによって解決策を提供するように訓練することができる。
【0107】
別の実施形態では、前記1つ以上のプロセッサは、機械学習アルゴリズムを使用して前記近視抑制解決策と前記最終スコアとの前記関係を更新するようにプログラムされる。
【0108】
初期の関係が科学理論と臨床結果とに基づいて最初に確立され得るが、ますます多くの症例がシステムに記録されるにつれて、決定され使用された近視抑制解決策が記録され、その後の結果が記録され、重み付けされて計算に入れられる。時間の経過に伴って、機械学習アルゴリズムを訓練するために使用できるデータベースが得られる。このデータベースは、各近視抑制解決策に関連する最終スコアの範囲の改善を可能にし、母集団の生活習慣に応じた及び/又は地理的位置に基づくその漸進的進化を可能にする。また、旧世代よりも効率的であり得る、新世代の近視抑制解決策が導入される場合にシステムを更新することも可能にする。
【0109】
個人的特徴及び環境パラメータの第1の値は、アイケアの専門家への1回目の受診中に決定され得る。最終スコアの第1の値は、前記被験者によって使用される第1の近視抑制解決策を決定するためのシステムによって決定され、考慮に入れられる。
【0110】
そして、個人的特徴及び環境パラメータの将来値は、アイケアの専門家への将来の受診の際に決定され得る。被験者の個人的特徴及び環境パラメータが経時変化し得るため、最終スコアの将来値が決定される。次に、被験者によって使用される第1の近視解決策は、最終スコアのこの将来値を考慮に入れて修正され得る。その後、システムは、そのような修正を決定する。最終スコアの更新と、被験者によって現在使用されている近視抑制解決策のその後の修正は、ある時間間隔で実行され得る。
【0111】
特に、被験者によって現在使用されている近視矯正が予測効率を有しない場合、個人及び環境スコア並びに最終スコアを決定することによって、この効率欠如の根本原因が内的原因に紐付けられるか外的原因に紐付けられるかの判定が可能となる。
【0112】
より正確には、被験者の将来の個人及び環境スコアを決定し、これらのスコアを被験者の前回の個人及び環境スコアと比較することによって、どのスコアが主に変化したか、ひいては、近視抑制解決策の非効率性の根本原因が主に内的原因であるか外的原因であるかを判定することが可能である。
【0113】
概略的には、近視抑制解決策が非効率であることが主に内的原因による場合、それは、現在使用されている近視抑制解決策が被験者に適合しておらず、別の異なる近視抑制解決策に変更されるべきであることを示す。近視抑制解決策が不十分であることが主に外的原因による場合、それは、効率の欠如が、近視抑制解決策の使用に又は適していない近視抑制解決策の実施パラメータに関する被験者のコンプライアンスの欠如に紐付けられ得ることを示す。現在使用されている近視抑制解決策の実施パラメータは、コンプライアンス及び/又は効果を高めるために修正されるべきである。
【0114】
別の実施形態では、前記1つ以上のプロセッサ20は、決定木を使用してどれが被験者の近視の根本原因であるかを判断し、第1の近視抑制解決策を又は現在使用されている近視抑制解決策の修正を決定するようにプログラムされる。
【0115】
別の実施形態では、前記又は複数のプロセッサ20は、ベイズモデル又は他の機械学習アルゴリズムを使用してどの根本原因の妥当性が最も高いかを定め、予期される最良の有効性を有する近視抑制解決策を決定するようにプログラムされる。
【0116】
本開示の方法の第1の実施例では、アイケアの専門家への1回目の受診中に第1の被験者について以下のデータが収集される。右眼の等価球面屈折度は-2.50Dであり、左眼の等価球面屈折度は-2.25Dである。
【0117】
この1回目の受診時に本開示によるシステムの前記1つ以上のメモリに記憶された個人的特徴の値は、表4の第2の列にまとめられている。
【0118】
【表4】
【0119】
加重平均を算出するための重みは全て、1に設定される。
【0120】
前記1つ以上のプロセッサによってこの1回目の受診時に算出される個人スコアは、2/3=0.66に等しい。
【0121】
この1回目の受診時に本開示によるシステムの前記1つ以上のメモリに記憶された環境パラメータの値は、表5の第2の列にまとめられている。
【0122】
【表5】
【0123】
その子供はサッカーばかりしてあまり勉強しない。環境パラメータは、近視のリスクを高める又は近視を引き起こす要因がないことを示す。加重平均を算出するための重みは全て1に設定される。
【0124】
前記1つ以上のプロセッサによって算出された環境スコアは、1回目の受診時には0に等しい。
【0125】
第1の被験者の最終スコアは、比率0.66/(0.66+0)=1として算出される。最終スコア1は、システム60に記憶された表3によって高用量のアトロピンの推奨に関連付けられる。それゆえ、システム60は、ステップiii)において、近視抑制解決策が高用量のアトロピンであると決定する。
【0126】
第1の被験者は1年後に戻って来る。この2回目の受診時には、右眼の等価球面屈折度は-3.50Dであり、左眼の等価球面屈折度は-3Dである。
【0127】
この2回目の受診時に本開示によるシステム60の前記1つ以上のメモリ10に記憶された個人的特徴の値は、表4の第3の列にまとめられている。
【0128】
加重平均を算出するための重みは全て1に設定される。
【0129】
前記1つ以上のプロセッサ20によってこの第2の受診時に算出される個人スコアは、2/3=0.66に等しい。
【0130】
この第2の受診時に本開示によるシステム60の前記1つ以上のメモリ10に記憶された環境パラメータの値は、表5の第3の列にまとめられている。
【0131】
環境パラメータは、近視のリスクを高める又は近視を引き起こす要因がないことを示す。加重平均を算出するための重みは全て1に設定される。
【0132】
2回目の受診時に前記1つ以上のプロセッサによって算出された環境スコアは、0に等しい。
【0133】
2回目の受診時の第1の被験者の最終スコアは、比率0.66/(0.66+0)=1として算出される。最終スコア1は、システムによって高用量のアトロピンの推奨に関連付けられる。システムは、修正なしの同一の近視抑制解決策であると判定する。
【0134】
しかしながら、近視が進行しているときに、現在使用されているアトロピン点眼薬の効率が予測以上に低いと1つ以上のプロセッサが判定した場合、例えば、1年以内の眼の屈折度の絶対値の増加が所定の閾値を上回る場合、システム、例えば、効率を高めるためにアトロピン点眼薬の用量を増加させることによって、現在の近視抑制解決策の実施の修正を推奨し得る。この変形例を以下に説明する。
【0135】
第1の被験者は、1年後(1回目の受診の2年後)に再び戻って来る。この3回目の受診時には、右眼の等価球面屈折度は-4.00Dであり、左眼の等価球面屈折度は-3.75Dである。
【0136】
ここで、その子供は、勉強ばかりし、近見内斜位を有する。
【0137】
この第3の受診時に本開示によるシステムの前記1つ以上のメモリ10に記憶された個人的特徴の値は、表4の第4の列にまとめられている。
【0138】
加重平均を算出するための重みは全て1に設定される。
【0139】
前記1つ以上のプロセッサによってこの第2の受診時に算出される個人スコアは、2/3=0.66に等しい。
【0140】
この第3の受診時に本開示によるシステムの前記1つ以上のメモリ10に記憶された環境パラメータの値は、表5の第4の列にまとめられている。
【0141】
第1の被験者の生活習慣が変化したため、環境パラメータの値が変化していた。加重平均を算出するための重みは全て1に設定される。
【0142】
3回目の受診時に前記1つ以上のプロセッサ20によって算出された環境スコアは、0.5に等しい。
【0143】
3回目の受診時の第1の被験者の最終スコアは、比率0.66/(0.66+0.5)=0.56として算出される。最終スコア0.56は、システムによって角膜矯正治療の推奨に関連付けられる。システム60は、アトロピン点眼薬から角膜矯正治療への近視抑制解決策の変更を決定する。
【0144】
本開示の方法の第2の実施例では、アイケアの専門家への1回目の受診中に第2の被験者について以下のデータが収集される。右眼の等価球面屈折度は-4.50Dであり、左眼の等価球面屈折度は-4.00Dである。
【0145】
この1回目の受診時にシステム60の前記1つ以上のメモリ10に記憶された個人的特徴の値は、表6の第2の列にまとめられている。
【0146】
【表6】
【0147】
加重平均を算出するための重みは全て1に設定される。
【0148】
前記1つ以上のプロセッサによってこの1回目の受診時に算出される個人スコアは、1.33/3=0.44に等しい。
【0149】
この1回目の受診時に本開示によるシステム60の前記1つ以上のメモリ10に記憶された環境パラメータの値は、表7の第2の列にまとめられている。
【0150】
【表7】
【0151】
その子供は、勉強ばかりし、大都市のアパートに居住している、これらは、近視のリスクを高める条件である。彼女は、近見内斜位であり、矯正不足が0.75Dであり、遠近調節の遅れが1.5Dであり、現在の近視抑制解決策を1日当たり5時間だけ使用する。それゆえ、環境パラメータは近視を促進する。加重平均を算出するための重みは全て1に設定される。
【0152】
1回目の受診時に前記1つ以上のプロセッサによって算出された環境スコアは、4.8/5=0.96に等しい。
【0153】
第1の被験者の最終スコアは、比率0.44/(0.44+0.96)=0.31として算出される。最終スコア0.31は、表3によってプリズム二焦点レンズの推奨と関連付けられる。それゆえ、システムは、プリズム二焦点レンズを決定するようにプログラムされる。
【0154】
第2の被験者は6カ月後に戻って来る。この2回目の受診時には、1回目の受診から近すぎるため、屈折度が決定されない。しかしながら、第2の被験者の眼軸長の増加は、0.22ミリメートルに等しい。この増加は、以下に述べるような近視の進行を示す。
【0155】
この2回目の受診時に本開示によるシステム60の前記1つ以上のメモリ10に記憶された個人的特徴の値は、表6の第3の列にまとめられている。
【0156】
加重平均を算出するための重みは全て1に設定される。
【0157】
前記1つ以上のプロセッサ20によってこの2回目の受診時に算出される個人スコアは、1.33/3=0.44に等しい。
【0158】
この2回目の受診時にシステム60の前記1つ以上のメモリ10に記憶された環境パラメータの値は、表7の第3の列にまとめられている。
【0159】
環境パラメータの値は同じである。近視抑制解決策の1日当たりの使用時間に関連付けられた新たなパラメータが利用可能である。加重平均を算出するための重みは全て1に設定される。
【0160】
2回目の受診時に前記1つ以上のプロセッサ20によって算出された環境スコアは、4.8/5=0.96に等しい。
【0161】
第1の被験者の最終スコアは、比率0.44/(0.44+0.96)=0.31として算出される。最終スコア0.31は、プリズム二焦点レンズの決定に関連付けられる。それゆえ、システム60は、プリズム二焦点レンズを推奨するようにプログラムされる。
【0162】
そして、近視抑制解決策の変更は、システムによって推奨されない。
【0163】
しかしながら、軸長が増加していると、システムは、例えば、効率を高めるために1日当たりの使用時間を増加させることによって、現在の近視抑制解決策の実施を調整することを推奨し得る。この変形例を以下に更に詳細に説明する。
【0164】
システム60の実施形態では、前記被験者が近視抑制解決策を既に使用している場合、システムは、前記近視抑制解決策の修正を決定するときに、現在使用されている近視抑制解決策の効率の欠如を考慮に入れるようにプログラムされる。
【0165】
次に、前記システム60は、検証時に1つ以上の眼状態パラメータの実際値を取得するための取得装置30を含み、実施される方法は、検証時に1つ以上の眼状態パラメータの前記実際値を取得するステップ100を含む(図2)。
【0166】
検証時間は、例えば、アイケアの専門家への将来の受診の時点である。
【0167】
各眼状態パラメータは、各眼状態パラメータが被験者の近視度数に紐付けられ、被験者の近視度数に応じて変化するという意味で、被験者の近視度数を表す。眼状態パラメータの値は、近視度数の増加に伴ってそれぞれ増加又は減少し、近視度数の減少に伴ってそれぞれ減少又は増加し得る。
【0168】
近視度数は、例えば、眼の近視を矯正するために必要な眼又はレンズの屈折度の絶対値によって定量化され得る。近視度数は、例えば、ジオプトリ単位で測定された、眼が必要とする理想的な視度矯正の度数の観点から説明され得る。
【0169】
実際に、近視度数を表す各眼状態パラメータは、眼の光学的及び/又は物理的特徴を含み得る。各眼状態パラメータは、特に、眼軸長、被験者の眼の等価球面屈折度、眼の脈絡膜厚、若しくはこれらの組み合わせ、又はこれらの若しくは累積の軸伸長減少の速度に基づき得る。
【0170】
眼軸長は、近視度数の増加に伴って増加し、近視度数の減少に伴って減少する一方で、等価球面屈折度は、近視の球面度数が負の値を有するので、近視度数の増加に伴って減少し、近視度数の減少に伴って増加する。以下では、球面等価屈折度の絶対値のみが考慮される。
【0171】
累積軸伸長絶対減少量(CARE)は、治療全体にわたる累積的な治療効果である。
【0172】
例えば、眼軸伸長が、1年目で0.35mm、2年目で0.29mm、3年目で0.25mmである場合、1年後のCAREは0.35mmであり、2年後のCAREは0.64mmであり、3年後のCAREは0.89mmである。
【0173】
眼軸長(AL)は、角膜の前面と中心窩のレベルで測定された網膜色素上皮との間の距離である。眼軸長は通常、Aスキャン超音波検査又は光コヒーレンス生体測定によって測定される。
【0174】
球面等価屈折度は、球面度数と円柱度数の半分との合計を加算することによって算出される。例えば、-3.00-1.00×180の眼鏡矯正では、等価球面屈折度=-3.00D+1/2(-1.00D)=-3.00D-0.50D=-3.50Dの等価球面屈折度である。
【0175】
前記1つ以上の眼状態パラメータの前記実際値を決定するための前記装置30は、好ましくは、前記被験者に関する前記実際値を測定するための装置を含む。変形例では、前記装置30は、この実際値を取り出すように、又はおそらく別の場所にある、別の装置によって実行された測定から実際値を推定するようにプログラムされた装置を含み得る。
【0176】
前記装置30は、例えば、フォロプタ及び/又は生体測定装置、或いはAスキャン超音波検査又は光コヒーレンス生体測定又は毛様体筋麻痺性自動屈折のための装置などの、これらの値を決定するのに適した任意の装置を含む。
【0177】
眼の等価球面屈折度及び/又は眼軸長を決定するためのこれらの装置及び方法は、最先端技術でよく知られており、本開示の目的ではない。したがって、これらの装置及び方法は、ここでは詳細に説明しない。
【0178】
前記1つ以上のメモリ10は、前記近視抑制解決策が実施されている間の経時的な前記1つ以上の眼状態パラメータの統計的進行に関する統計データをメモリ内に有する。
【0179】
前記最初の近視抑制解決策が実施されている間の経時的な前記眼状態パラメータの統計的進行に関する前記統計データは、例えば、最初の近視抑制解決策が実施されている間の経時的な前記眼状態パラメータの平均進行を含み得る。前記統計データはまた、最初の近視抑制解決策が実施されている間の前記眼状態パラメータの標準偏差の経時進行などの、眼状態パラメータ値の分散に関するデータを含み得る。
【0180】
これらの統計データは、利用可能な各近視抑制解決策を実施している間の所与の期間内の近視進行の閾値を含み得る。これらの閾値は、いくつかの方法、すなわち、
- 経験的に定義された平均有効性からの偏差、又は平均有効性の百分率で、
- 近視進行の予測モデルに基づいて、
- 専門家の経験に基づいて
定義することができる。
【0181】
そのような閾値は、例えば、近視進行(眼軸長又は等価球面屈折度など)を表す大きさの予測値として表現され得る。
【0182】
したがって、前記1つ以上のプロセッサは、
- 前記近視抑制解決策が使用されている間の経時的な前記眼状態パラメータの統計的進行に関する前記統計データに基づいて、前記検証時に各眼状態パラメータに紐付けられた大きさの予測値を(図2のブロック150)及び眼状態パラメータの前記実際値に基づいて前記大きさの実際値(図2のブロック100)を決定し、
- 各眼状態パラメータについて前記大きさの前記実際値を前記大きさの前記予測値と比較する(図2のブロック200)
ようにプログラムされる。
【0183】
前記大きさは、眼状態パラメータ自体であり得る。前記大きさは、前記眼状態パラメータの有効な進行パラメータ又は近視抑制解決策の有効性を定量化する大きさを含み得る。
【0184】
前記近視抑制解決策の有効性は、装着者の近視を抑制する際に所望の又は意図された結果をもたらすこの近視抑制解決策の能力を表す大きさとして定義される。有効性は、例えば、100%が最大有効性であり、0%が最小有効性である、百分率値として定量化され得る。
【0185】
典型的には、近視抑制解決策の有効性は、被験者の対照群と被験者の試験群とを含む前記臨床試験中に決定され得る。
【0186】
ここに記載される例では、前記大きさは、
- 眼の軸長又は等価球面屈折度又は脈絡膜厚、
- 有効な進行パラメータ、例えば、軸長又は等価球面屈折度又は脈絡膜厚に基づいて決定された、経時的な眼の近視度数の進行を表す、例えば、上で定義された絶対的な有効な進行パラメータ又は有効な進行パラメータの百分率、
- 近視抑制解決策の有効性に紐付けられたパラメータ、
- 近視進行を監視するために使用することもできるぼけ指数
であり得る。PCT出願の特許文献である国際公開第2020120595号パンフレットは、何をもって所与のレンズを装着した所与の子供の進行とすべきかを決定する方法を記載している。使用される大きさは、最後の受診から経過した期間に依存し得る。
【0187】
期間は、数日、数カ月、1学期、又は1年のいずれかとすることができる。
【0188】
各期間に対する大きさ及びその測定方法は、継続時間に固有のものである。すなわち、
- 脈絡膜厚は、数日の経過時間に対して使用される、
- 軸長及び/又は脈絡膜厚は、経過時間が1カ月~6カ月である場合に測定され、
- 屈折度及び/又は軸長は、経過時間が1年以上である場合に測定される。
【0189】
屈折度は、例えば毛様体筋麻痺性自動屈折によって測定される。
【0190】
被験者の近視が統計的に前記近視抑制解決策で予測されるよりもゆっくりと又は予測されたように進行していることをこの比較が示す場合、1つ以上のプロセッサ20は、近視抑制解決策が維持されるべきである、すなわち、現在の近視抑制解決策を修正しないと決定する(図2の経路202及びブロック300)ようにプログラムされる。
【0191】
前記検証時における被験者の眼の近視度数が予測される近視度数よりも高いことを前記比較が示す場合、前記1つ以上のプロセッサ20は、ステップi)~iii)を実行する(図2の経路201)ようにプログラムされる。
【0192】
これらのステップによって、システムが被験者の予測以上に速い近視進行の根本原因を考慮に入れることが可能となる。
【0193】
かかる実施形態の一例では、例えば、2つの異なる眼状態パラメータが考慮に入れられる。これらの眼状態パラメータは、眼の等価球面屈折度(SER)及び軸長(AL)である。他の眼状態パラメータも考慮に入れられ得る。
【0194】
アイケアの専門家への被験者の受診中に、システム60の装置を用いて被験者の眼の等価球面屈折度及び軸長の値が測定される。
【0195】
前記システム60の1つ以上のプロセッサ20は、前記1つ以上のメモリ10の統計データを使用し、被験者の個人的特徴及び環境パラメータの値を任意選択的に考慮に入れて、前記等価球面屈折度及び軸長の予測値を決定する。
【0196】
特に、等価球面屈折度及び軸長及び現在の近視抑制解決策を使用してからの経過時間の予め決定された実際値が、好ましくは、考慮に入れられる。
【0197】
各眼状態パラメータの実際値は、この眼状態パラメータの対応する予測値と比較される(図2のブロック200)。
【0198】
被験者の近視が統計的に前記近視抑制解決策で予測されるよりも速く進行していることをこの比較が示す場合、1つ以上のプロセッサ20は、追加のステップを実行して現在の近視抑制解決策の修正を決定する(経路201)ようにプログラムされる。
【0199】
この実施形態の具体的な実施において、前記近視抑制解決策の性能指数は、前記大きさの前記実際値に対して特定され得るか又は前記実際値から推定され得る。性能指数は、例えば、眼の等価球面屈折度、眼軸長、又は眼軸長伸長若しくは増加に等しい場合がある。
【0200】
抑制目標は、大きさの前記予測値に対して特定され得るか又は前記予測値から推定され得る。抑制目標は、前記1つ以上のメモリに記憶される。代替的に、前記抑制目標は、所定の固定値を有し得る。
【0201】
この場合、1つ以上のプロセッサは、次に、前記近視抑制解決策の前記抑制性能指数を決定し、前記抑制性能指数を前記抑制目標と比較するようにプログラムされる。
【0202】
前記抑制性能指数が前記抑制目標を下回る場合、1つ以上のプロセッサは、前記抑制性能指数が前記抑制目標を下回る根本原因を特定し、前記根本原因にも基づいて前記被験者のための前記近視抑制解決策の前記修正を決定するようにプログラムされる。根本原因は、例えば、前記最終スコアを算出することによって特定される。
【0203】
システム60の有利な実施形態では、前記1つ以上のメモリ10に保存された前記環境パラメータの前記値は、前記近視抑制解決策の使用時間若しくは使用頻度に関する又は前記近視抑制解決策の使用条件への被験者のコンプライアンスレベルに関するパラメータの値を含む。
【0204】
使用時間は、近視抑制解決策でアイウェアとしてコンタクトレンズ又は眼科用レンズが使用される場合の装着時間を含み得る。
【0205】
前記検証時における被験者の眼の近視度数が予測される近視度数よりも高いこと、又は性能指数が前記抑制目標を下回ることを前記比較が示す場合、前記1つ以上のプロセッサ20は、
- ステップi)~iii)を実行する前の予備ステップ400において、前記近視抑制解決策の使用時間若しくは使用頻度に関する又は前記近視抑制解決策の使用条件への被験者のコンプライアンスレベルに関する前記パラメータの前記値を対応する閾値と比較し、
- 使用時間、使用頻度、又はコンプライアンスが前記閾値を上回ることを前記比較が示す場合にのみステップi)~iii)を実行する(図2の経路401)
ようにプログラムされる。
【0206】
使用時間、使用頻度、又はコンプライアンスレベルが前記閾値以下である(図2の経路402)ことを前記比較が示す場合、前記1つ以上のプロセッサ20は、前記近視抑制解決策の前記修正が、
- 前記近視抑制解決策の使用時間若しくは使用頻度又は被験者のコンプライアンスレベルを増加させるための近視抑制解決策の調整600、又は
- 別の近視抑制解決策への前記近視抑制解決策の変更700
のいずれかであると判定するようにプログラムされる。
【0207】
より正確には、前記1つ以上のプロセッサ20は、使用時間、使用頻度、又はコンプライアンスレベルを使用時間、使用頻度、又はコンプライアンスレベルの最大値と比較する(図2のブロック500)ようにプログラムされ、現在の使用時間、使用頻度、又はコンプライアンスレベルがこの最大値を下回る場合、使用時間又は使用頻度又はコンプライアンスレベルを増加させるための近視抑制解決策の調整が、システムによって推奨される(図2のブロック600)。
【0208】
そうでなければ、使用時間、使用頻度、又はコンプライアンスレベルが既に最大であるか又はこれを増加させることができない場合、システム60は、例えばメモリ内の統計データに基づいて、次善の予測される有効性を有する新たな異なる近視抑制解決策を決定する(図2のブロック700)ようにプログラムされる。
【0209】
次善の近視解決策は、被験者に対して実際に算出された最終スコアに最も近い最終スコアの範囲に関連付けられた近視解決策であり得る。
【0210】
使用時間、使用頻度、及び/又はコンプライアンスレベルが前記閾値を上回ることを前記比較が示す場合(経路401)、前記1つ以上のプロセッサは、ステップi)及びii)を実行し、それにより、被験者の近視の根本原因を再評価するようにプログラムされる。
【0211】
次いで、1つ以上のプロセッサ20は、ステップi)(図2のブロック800)及びステップii)(図2のブロック900)を実行して前記個人スコア及び前記環境スコアを決定するようにプログラムされる。
【0212】
1つ以上のプロセッサ20は、前記個人スコア及び前記環境スコアに基づいて前記最終スコアを決定する(図2のブロック1100)ようにプログラムされる。
【0213】
次のステップでは、前記1つ以上のプロセッサ20は、前記検証時に決定された最終スコアを、このスコアに対して決定された前回値と比較する(ブロック1200)ようにプログラムされる。
【0214】
根本原因が変化した場合、個人スコア又は環境スコアが変化したことと、最終スコアの新たな値が、被験者によって既に使用されている近視抑制解決策と異なる近視抑制解決策に関連付けられることを意味し、ステップiii)において、1つ以上のプロセッサ20は、前記近視抑制解決策の修正を決定する(図2の経路1202及びブロック1600)ようにプログラムされる。修正は、表3による最終スコアの新たな値に関連付けられた近視抑制解決策の変更を含む。
【0215】
根本原因が変化していない場合、個人スコア及び環境スコアが変化していないこと、及び/又は最終スコアが、被験者によって既に使用されている近視抑制解決策と同じ近視抑制解決策に関連付けられることを意味し、ステップiii)において、1つ以上のプロセッサ20は、前記検証時における被験者の眼の近視度数が前記1つ以上の眼状態パラメータの全てについて予測される近視度数よりも高いことを前記大きさの各実際値とこの大きさの対応する予測値との比較が示すかどうか、又は前記検証時における被験者の眼の近視度数が予測される近視度数よりも低いことを前記大きさの少なくとも1つの値が示すかどうかを確認する(図2の経路1201及びブロック1300)ようにプログラムされる。
【0216】
前記検証時における被験者の眼の近視度数が予測される近視度数よりも高いことを前記大きさの全ての値が示す場合、1つ以上のプロセッサ20は、近視抑制解決策の効果を高めるために、この近視抑制解決策の実施パラメータの調整、例えばアトロピンの用量の増加又はレンズの屈折度の増加を含む近視抑制解決策の修正を決定する(図2のブロック1400)ようにプログラムされる。
【0217】
前記検証時における被験者の眼の近視度数が予測される近視度数よりも低いことを前記大きさの少なくとも1つの値が示す場合、1つ以上のプロセッサ20は、例えば、前記1つ以上のメモリ内の統計データに従って、次善の有効性を有する近視抑制解決策を決定することによって、又は現在の近視抑制解決策を別の解決策と組み合わせた異なる近視抑制解決策を決定することによって、異なる近視抑制解決策のための近視抑制解決策の変更を含む近視抑制解決策の修正を決定する(図2のブロック1500)ようにプログラムされる。
【0218】
被験者によって現在使用されている近視抑制解決策が予測以上に良好に機能している場合、3つの異なるシナリオ、すなわち、
- 使用される矯正レンズの球面のみの調整、
- より簡単に使用できる前記近視抑制解決策の(球面と異なる)別の実施パラメータ(もしあれば)の調整、
- より簡単に使用できる別の近視抑制解決策(もしあれば)への変更
がある。
【0219】
本開示は、コンピュータで実施される方法と、方法を実行するために使用されるシステムとを含む。システムは、スマートフォン、タブレット、及び/又はアイケアの専門家が日常的な制御に使用でき並びに患者が自宅での監視の一環として使用できる器具インターフェースを含み得る。
【0220】
アイケアの専門家によって使用される場合、制御/データ入力の時間間隔は、例えば6カ月~1年である。アイケアの専門家は、等価球面屈折度、軸長、及び脈絡膜厚などの、眼状態パラメータを使用する。
【0221】
それにもかかわらず、装着時間などの環境パラメータは、日常的に被験者自身に対して/被験者自身が直接監視することができる。視力などの個人的特徴の変化は、補完的なツールを用いて数週間の間隔で監視することができる。
【0222】
言換すれば、方法は、異なる有意な時間間隔をおいて収集された入力データを用いて実施することができ、入力データは、その後に集計される。
【0223】
方法及びシステム60の上記の実施形態の2つの実施例が以下に記載されている。
【0224】
前述の第1の例では、第1の被験者は6歳の少年である。先に説明したように、第1の被験者に対して算出された最終スコアは、1回目の受診時には1である。
【0225】
表3によれば、この最終スコアに関連付けられた近視抑制解決策はアトロピンである。次に、システム60は、近視抑制解決策がアトロピン点眼薬であると決定する。
【0226】
システムの1つ以上のメモリは、年齢、性別、及び他の個人的特徴に基づいて、既存の臨床試験から算出された、アトロピンを用いた第1の被験者の予測される近視進行閾値が、6カ月後には、軸伸長、すなわち軸方向長さの増加が最大0.20mm、1年後には、軸伸長が0.40mm、等価球面屈折度の絶対値の増加が0.60Dであることをメモリ内に有する。
【0227】
2回目の受診で、第1の被験者は1年後に戻って来る。第1の被験者の等価球面屈折度は0.75Dだけ進行し、軸長は0.44mmだけ進行していた。等価球面屈折度と軸長の両方の進行が、所定の閾値よりも大きい。
【0228】
アトロピン点眼薬の定期的な点眼についての第1の被験者のコンプライアンスは満足のいくものであり、最終スコア、したがって近視の根本原因は、過去1年にわたって変化していない。最終スコアは依然として1に等しい。
【0229】
先に記載されたステップによれば、1つ以上のプロセッサ20は、近視抑制解決策の効果を高めるための現在の近視抑制解決策の調整を含む近視抑制解決策の修正を決定するようにプログラムされる。システム60は、アトロピンの用量を増加させることを含む修正を決定する。
【0230】
年齢、性別、及び他の個人的特徴に基づいて、低用量のアトロピンを用いた第1の被験者の予測される近視進行閾値は依然として、6カ月後には、軸伸長が最大0.20mm、1年後には、軸伸長が0.40mm、等価球面屈折度の絶対値の増加が0.60Dである。
【0231】
3回目の受診時には、第1の被験者の等価球面屈折度は0.75Dだけ進行し、軸長は0.44mmだけ進行していた。両方の進行は、所定の閾値よりも高い。
【0232】
決定された最終スコア、したがって根本原因指数は、近作業の増加に起因して0.56である。先述のように、第1の被験者は、アトロピンから角膜矯正治療に切り替えられる。実際に、表3によれば、最も近い近視抑制解決策は、角膜矯正治療である。
【0233】
上述の第2の例では、第2の被験者は15歳の少女である。1回目の受診時に決定された最終スコアは0.31である。システムは、第2の被験者の第1の近視抑制解決策がプリズム二焦点レンズであるべきであると決定する。
【0234】
年齢、性別、及び他の個人的特徴に基づいて、既存の臨床試験から算出された、プリズム二焦点レンズを装着した第2の被験者の予測される近視進行閾値は、6カ月後には、軸伸長が最大0.15mm、1年後には、軸伸長が0.30mm、等価球面屈折度の絶対値の増加が0.50Dである。
【0235】
2回目の受診時に、過去6カ月にわたって測定された軸伸長は、0.22mm、すなわち、所定の閾値よりも0.07mm大きかった。
【0236】
次に、1つ以上のプロセッサは、近視抑制解決策の使用時間を使用時間閾値と比較するようにプログラムされる。この場合、1つ以上のプロセッサは、使用時間が使用時間閾値を下回ると判定する。第2の被験者は、学校では眼鏡をかけていない。
【0237】
システム60は、近視抑制解決策の修正が、使用時間又はコンプライアンスを増加させるための現在の近視抑制解決策の調整を含むと判定する。
【0238】
アイケアの専門家による調査後に、使用時間が短い理由は、フレームが良好にフィットせず、痛みをもたらすからであった。
【0239】
フレームは、快適であるように再びフィットさせる。第2の被験者は、使用時間を増加させるように促される。
【0240】
近視抑制解決策の他の可能な調整は、
- 近方視活動中の遠近調節の遅れの補正又は低減に関する解決策についての加入度数又はより正の球面度数の増加又は減少、
- 周辺視野に対応する領域における周辺の遠視性デフォーカスを補正する解決策についての正の球面度数の増加又は減少、
- 被験者の眼の網膜の前方に位置する、複数の光刺激を使用して網膜刺激を与える解決策についての小型レンズの数及び/又は小型レンズの正の範囲の度数の増加又は減少、
- 被験者の周辺視野に異なる低いコントラストを提供する解決策についてのコントラストを高めるためのレンズの周辺部の透過率の低下、
- 被験者の周辺視野に異なる低いコントラストを提供する解決策についてのコントラストを低下させるためのレンズの周辺部の透過率の増加、
- 特定のフィルタを使用して眼の色収差を低減するために眼に入る赤色光の量を制限する解決策についての赤色光の量の増加又は減少、
- 眼伸長を阻止するために特定の波長を有する光を眼に提供する解決策についての波長の透過率の増加又は減少、
- 点滅など動的に変化する光刺激を提供する解決策についての周波数の増加又は減少、
- 網膜及び強膜のムスカリン性受容体を調節するための薬剤を提供する解決策についての用量の増加又は減少、
- より平坦なベースカーブ及び/又はより平坦な中心ゾーンを提供するための、角膜矯正解決策で使用されるレンズの形状の修正
を含み得る。
【0241】
前記再診のスケジュールを定義するために考慮に入れるべきパラメータは、以下の通りとすることができる。
- 年齢と近視レベルとの組み合わせ:より若い年齢で近視レベルが高いほど、期間が短くなる、例えば2回の再診間の期間が3カ月以下に等しいことを意味する、
- 近視進行ペース:急速に進行するリスクが高いほど、次の受診までの期間が短くなる、例えば3カ月以下に等しい、
- 近視抑制解決策の予測される有効性:有効性が低いほど、再診がより早くなるように決定される、例えば、3カ月以下に等しい、
- 標準的な近視管理プログラム又はパッケージに従った所定のスケジュール:3カ月、6カ月、又は1年とすることができる頻度に応じて行われる定期的な受診。
図1
図2
【国際調査報告】