(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-12-26
(54)【発明の名称】MRI用のオーディオ・システム
(51)【国際特許分類】
A61B 5/055 20060101AFI20241219BHJP
【FI】
A61B5/055 390
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024530428
(86)(22)【出願日】2022-10-26
(85)【翻訳文提出日】2024-06-19
(86)【国際出願番号】 NO2022050245
(87)【国際公開番号】W WO2023106924
(87)【国際公開日】2023-06-15
(32)【優先日】2021-12-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】NO
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】524192188
【氏名又は名称】ノルディックニューロラボ エイエス
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】弁理士法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ビルケランド、オーラブ
(72)【発明者】
【氏名】カルヴェネス、ニコライ
【テーマコード(参考)】
4C096
【Fターム(参考)】
4C096AB42
4C096AB44
4C096AD19
4C096FC10
(57)【要約】
本発明は、磁気共鳴画像法MRIデバイスの動作中に使用するために構成された、オーディオ・システム、並びにその構成要素及び/又はユニットを説明する。さらに、ヘッドホン4のセットは、MRIオーディオ・システムで使用するため、及びMRI検査を受ける予定の患者8による使用のために構成され、ヘッドホン4は、並列に置かれヘッドホン4のカップ26内に配置されたMEMSスピーカ要素のアレイ22を備える。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
磁気共鳴画像法(MRI)のために構成されたオーディオ・システムであって、
制御ルーム(10)に置かれた少なくとも1つのオーディオ・ソース(11)と、
前記制御ルーム(10)に置かれ、前記少なくとも1つのオーディオ・ソース(11)とのワイヤレス及び/又はケーブル相互接続及び通信のために構成された制御ルーム・インターフェース・ユニット(1)と、
磁気ルーム(5)に置かれた磁気ルーム・インターフェース・ユニット(3)であって、前記磁気ルーム(5)全体が、前記磁気ルーム(5)の内側に配置された金属シールド(15)によってシールドされる、磁気ルーム・インターフェース・ユニット(3)と、
少なくとも1つの光ファイバを備え、長さに比べて比較的小さい直径を有ししたがって高い減衰を電磁波にもたらす前記導波路(2)内に配置された光ケーブル(16)であって、前記導波路(2)が、前記磁気ルーム(5)と前記制御ルーム(10)とを接続し、前記光ケーブル(16)の前記少なくとも1つの光ファイバを備え、前記光ケーブル(16)が、前記磁気ルーム(5)の前記金属シールド(15)が貫通されることがないような様式で前記制御ルーム・インターフェース・ユニット(1)と前記磁気ルーム・インターフェース・ユニット(3)とを接続する、光ケーブル(16)と、
シールド・ボックス(9)と、
MRI検査を受ける予定の患者(8)による使用のために構成されたヘッドホン(4)のセットと
を備え、
前記シールド・ボックス(9)が、前記シールド・ボックス(9)と前記ヘッドホン(4)との間のシグナリングの移送のために構成されたシールド・ケーブル(17)を介して前記ヘッドホン(4)に接続され、前記シールド・ボックス(9)が、前記シールド・ケーブル(17)を介して前記ヘッドホン(4)にエネルギーを供給するための少なくとも1つのバッテリを備え、
前記磁気ルーム・インターフェース・ユニット(3)が、前記磁気ルーム・インターフェース・ユニット(3)のRFアンテナ(13)と前記シールド・ボックス(9)のRFアンテナ(18)とを介したワイヤレス通信、及び/又は、前記磁気ルーム・インターフェース・ユニット(3)と前記シールド・ボックス(9)とを接続する光ケーブル(12)、のうちの少なくとも1つによる相互通信のために前記シールド・ボックス(9)と相互接続され、
前記ヘッドホン(4)が、並列に置かれ前記ヘッドホン(4)のカップ(26)内に配置された非磁気MEMSスピーカ要素のアレイ(22)を備える、
MRIオーディオ・システム。
【請求項2】
前記ヘッドホン(4)が、前記患者(8)の口の近くの前記カップ(26)の内側に据えられた少なくとも1つのMEMSマイクロホン(25)をさらに備える、請求項1に記載のMRIオーディオ・システム。
【請求項3】
前記制御ルーム・インターフェース・ユニット(1)が、前記制御ルーム・インターフェース・ユニット(1)のRFアンテナ(14)を介したワイヤレス通信、及び/又は前記制御ルーム・インターフェース・ユニット(1)と前記少なくとも1つのオーディオ・ソース(11)とを接続するケーブル(32)による有線接続、のうちの少なくとも1つによる相互通信のために前記少なくとも1つのオーディオ・ソース(11)と相互接続される、請求項1又は2に記載のMRIオーディオ・システム。
【請求項4】
前記制御ルーム・インターフェース・ユニット(1)と前記少なくとも1つのオーディオ・ソース(11)との間の前記ワイヤレス通信が、少なくとも1つのワイヤレス・トランシーバを介したワイヤレス通信である、請求項3に記載のMRIオーディオ・システム。
【請求項5】
前記磁気ルーム・インターフェース・ユニット(3)が、前記ヘッドホン(4)にエネルギーを供給するための、前記シールド・ボックス(9)の前記少なくとも1つのバッテリを充電するために構成された充電ユニットをさらに備え、前記少なくとも1つのバッテリが、再充電可能である、請求項1から4までのいずれか一項に記載のMRIオーディオ・システム。
【請求項6】
前記磁気ルーム(5)の内側に配置された前記金属シールド(15)が、ファラデー・ケージである、請求項1から5までのいずれか一項に記載のMRIオーディオ・システム。
【請求項7】
前記ヘッドホン(4)が、前記ヘッドホン(4)の外側に置かれ、ヘッド・コイルで遮られないように据えられ、前記MRルーム(5)内の周辺ノイズを記録するように構成されたフィードフォワード・マイクロホン(24)と、前記ヘッドホン(4)のイヤーマフの内側に配置され、前記患者(8)の耳の近くにあり、前記患者(8)に提示された音、及び/又は前記患者(8)に聞こえる音を記録するために構成されたフィードバック・マイクロホン(23)とをさらに備える、請求項1から6までのいずれか一項に記載のMRIオーディオ・システム。
【請求項8】
磁気共鳴画像法(MRI)オーディオ・システムで使用するため、及び磁気共鳴画像法(MRI)検査を受ける予定の患者(8)による使用のために構成されたヘッドホン(4)のセットであって、
並列に置かれ前記ヘッドホン(4)の前記カップ(26)内に配置されたMEMSスピーカ要素のアレイ(22)
を備える、
ヘッドホン(4)のセット。
【請求項9】
前記患者(8)の口の近くの前記カップ(26)の内側に据えられた患者の声用の少なくとも1つのMEMSマイクロホン(25)をさらに備え、前記ヘッドホン(4)が、ヘッド・コイルによって遮られず、MRルーム(5)内のノイズを記録するように構成されるように据えられたフィードフォワード・マイクロホン(24)、及び前記患者(8)に提示された音を記録するように構成され、イヤーマフの内側に据えられたフィードバック・マイクロホン(23)を備える、請求項8に記載のヘッドホン(4)のセット。
【請求項10】
前記ヘッドホン(4)が、オーバーイヤー・ヘッドホンである、請求項8又は9に記載のヘッドホン(4)のセット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、磁気共鳴画像法(MRI:magnetic resonance imaging)デバイスの動作中に使用するための、オーディオ・システム並びにその構成要素及び/又はユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
医療分野では、磁気共鳴画像法(MRI)は、患者の医療状態を診断するための、一般に使用される非侵襲的技法である。また、機能MRI(fMRI:functional MRI)では、MRIスキャナが脳活動を測定するために使用され、したがって、脳の重要な機能領域のマップを提供する。機能MRI(fMRI)は、脳手術を計画するために臨床的に使用され、研究者及び/又は科学者はfMRIを使用して脳生理学を研究し、薬剤有効性を評価し、将来の臨床使用への移行を期待して、精神疾患など、脳及び脳疾患を理解する。典型的には、MRIシステム・オペレータは、大きい均質磁場のMRI磁石ボア内に患者を置き、MRIシステムは、傾斜磁場及び無線周波数(RF:radiofrequency)パルスのセットに患者を晒す。MRIシステムは、患者の原子核から放出された非常に小さいRF信号を測定し、情報を処理してMRIシステム内の患者の体の一部の画像を再現する。MRIは、50MHz~300MHzの周波数範囲内の高エネルギー・パルスを生成する。周波数は、強い固定磁場及び勾配磁場によって決まる。
【0003】
MRI磁石ボアは、特にヘッド・コイル内では小さく、多くの患者に窮屈な感じを誘引することがある。MRIシステムは、MRIシステムが傾斜磁場を変化させるときに騒々しいノイズを生み出す。MRI検査中のノイズ・レベルは、傾斜コイル内の電流の変動により、110~130dBを上回るレベルに達することがある。これらの騒々しいノイズは、患者とオペレータとの通信における著しい難題、並びに、患者の不安及び不快感の増大につながることがある。これらのノイズ・レベルは、MRIスキャンを受ける患者にとって有害であることさえある。これらの条件では、MRI画像が成功するための20分~60分のプロセス中、最大20%の患者が十分に静止したままでいない。多くの患者がノイズによって一般に苦しむ状態になるので、患者は、しばしば、鎮静剤を投与されるか、麻酔をかけられなければならない。それでも、対話式の脳機能が研究されることになる場合、鎮静剤の投与は適切ではない。当技術分野で知られているように、MRIシステム・オペレータは、十分なガイダンス及び意思疎通、並びにことによると、いくつかのタイプのエンターテイメントを患者に提供することによって、患者の窮屈な感じ及び不安を低減させること又は取り除くことができる。
【0004】
MRIスキャナは、常にオンの非常に強い磁石である。強磁性及び/又は金属性の物体は、MRI磁石ボアに引き寄せられることになり、物体の質量がかなり大きい場合、これは、重大な事故又はことによると致命的な事故につながることがある。
【0005】
また、MRIスキャナは、シールドされていない電子機器にダメージを与えるかこれを故障させ得る、非常に強い無線トランスミッタである。定常波を生成する可能性もある。これは、熱の蓄積につながることがあり、これに触れた人への強力な電気放出につながることがある。
【0006】
さらに、MRIスキャナは、無線周波数(RF)信号に対して非常に感度のよいレシーバである。全てのデジタル電子機器がRFを放射し、MR(磁気共鳴)画像を劣化させるかことによると破壊することもある。
【0007】
MRIスキャナは、水素原子の原子核からの信号を使用して画像を生成する。水素を含む患者の近くにあるどの材料も、患者の一部として解釈される恐れがある。また、一部の材料は、MR画像を構築するために必要なRF信号をブロックし、画像品質を劣化させることもある。さらに、多くの従来の材料が、磁場の歪み及びアーチファクトを作り出す。したがって、材料は、MR画像の品質に影響しないように慎重に選択及びテストされなければならない。
【0008】
患者と接触して使用される材料は、生体適合性規格に従って認定されなければならない。さらに、材料は、洗浄剤及び消毒剤に耐え、並びに/又は、取替可能な衛生的なカバーの選択肢を有していなければならない。また、材料は、患者の頭及び耳に対して快適でなければならず、痛み及び不安を潜在的に増大させる圧点を導入してはならない。これらの材料要件全てを組み合わせることは、MRI環境における製品のデザインを特に困難なものにする。
【0009】
実例として、望まれないノイズを減衰させるために車両及び/又は飛行機において、並びに旅行者のヘッドホンにおいて、ノイズ・キャンセリングが当初使用されてきた。それでも、これらのデバイスの全ては、マイクロホン又は加速度計がその場所で音波をキャプチャし、ノイズ・キャンセリング信号を生み出すように処理されることが可能な電気信号に音波をコンバートすることを要求する。さらに、動電ラウドスピーカ(あらゆる場所で使用される伝統的なスピーカ)は、MRIスキャナにリスクをもたらすことになる内部磁石を有する。また、これは、MRI磁石ボア内の強い外部磁場に投入されたとき、意図されたようには機能しなくなる。したがって、このようなデバイスは、MRIスキャナ/デバイス/機械において遭遇される変動する高い磁場の結果として、過熱又は劣化の恐れがあるはずの金属又は半導体内容物が原因で、このようなMRIスキャナ/デバイス/機械には適していない。
【0010】
受動型ノイズ減衰がすぐれている従来のヘッドホンは、神経/脳の画像化のために使用されるヘッド・コイルに適合させるには単純に厚すぎる(30~50mm)。実例としてジーメンス64及び32チャネルなどの一般に使用されるヘッド・コイルに適合させるためには、圧縮された構造幅(つまり、ヘッドホンの各イヤーマフの厚さ)は、15mmを超えるべきではない。
【0011】
MRIスキャンに患者を晒すときに対処されなければならないいくつかの重大なエリアがある。第1に、MRIデバイスによって生成される強い場が、MRIオーディオ・システムの正常な動作を妨げてはならない。第2に、MRIシステムからの大きなRFパルスが、MRIオーディオ・システムに害を与えること又は加熱することがあってはならない。第3に、MRIオーディオ・システムは、MRI画像品質を劣化させるのに十分なRFエネルギーを放出してはならない。第4に、MRIオーディオ・システムのRF信号を封じ込めるために使用されるファラデー・シールドが、MRI画像の異常を生み出してはならない。第5に、MRIオーディオ・システムの、ヘッドホンなどのいくつかの構成要素がMRIシステム内に適合し、広範囲の患者を快適に収容しなければならない。第6に、MRIオーディオ・システムは、手頃な価格であり、信頼でき、使用しやすくなければならない。
【0012】
したがって、改善されたMRIオーディオ・システムが望まれる。本発明は、新しく且つ改善されたMRIオーディオ・システムを提供することによって、これらの問題及びその他を解決しようとする。
【発明の概要】
【0013】
磁気共鳴画像法(MRI)検査中に使用するための、改善されたMRIオーディオ・システム、及び、ヘッドホンの改善されたセットを提供することが本発明の目的であり、どの方式又は様式でも、何らかのMR(磁気共鳴)画像の劣化又はことによると破壊に寄与することがないような、実例として非磁気MEMS(Microelectromechanical system)技術に基づく、材料及び構成要素がここで使用されることになる。
【0014】
MRIスキャン中に使用するために、改善されたMRIオーディオ・システムを提供することが本発明のもう1つの目的であり、MRIオーディオ・システムは、臨床及び研究MRI使用のために規制承認される。改善されたMRIオーディオ・システムは、使用の容易さ及び安心、ヘッド・コイル互換性、十分なノイズ減衰及び音質、システム安定性及び信頼性、並びに、魅力的な当初価格、及び低い維持コストを提供することも意図されている。
【0015】
本発明のさらにもう1つの目的は、MRIオーディオ・システム用の改善されたヘッドホンを提供すること、したがって、要求されるノイズ減衰をもたらすこと、追加のイヤー・プラグの使用を回避すること、及び、神経/脳のMRIスキャンのために使用される共通のヘッド・コイルに適合できるようにするコンパクトなデザインを有することである。
【0016】
本発明のさらにもう1つの目的は、自動音声機能及び患者アラームの使用を可能にするMRIスキャナOEM(original equipment manufacturer)システムとの統合を可能にするオーディオ・システムを提供することである。
【0017】
本発明の主な特徴は、独立請求項で示される。本発明の追加の特徴は、従属請求項で示される。
【0018】
本発明は、磁気共鳴画像法(MRI)のために構成されたオーディオ・システムに関する。MRIオーディオ・システムは、制御ルームに置かれた少なくとも1つのオーディオ・ソースと、制御ルームに置かれ、前記少なくとも1つのオーディオ・ソースとのワイヤレス及び/又はケーブル相互接続及び通信のために構成された制御ルーム・インターフェース・ユニットと、磁気ルームに置かれた磁気ルーム・インターフェース・ユニットであって、磁気ルーム全体が、磁気ルームの内側に配置された金属シールドによってシールドされる、磁気ルーム・インターフェース・ユニットと、少なくとも1つの光ファイバを備え、長さに比べて比較的小さい直径を有ししたがって高い減衰を電磁波にもたらす導波路内に配置された光ケーブルであって、導波路が、磁気ルームと制御ルームとを接続し、光ケーブルの前記少なくとも1つの光ファイバを備え、光ケーブルが、磁気ルームの金属シールドが貫通されることがないような様式で制御ルーム・インターフェース・ユニットと磁気ルーム・インターフェース・ユニットとを接続する、光ケーブルと、シールド・ボックスと、MRI検査を受ける予定の患者による使用のために構成されたヘッドホンのセットとを備える。シールド・ボックスは、シールド・ボックスとヘッドホンとの間のシグナリングの移送のために構成されたシールド・ケーブルを介してヘッドホンに接続される。シールド・ボックスは、シールド・ケーブルを介してヘッドホンにエネルギーを供給するための少なくとも1つのバッテリを備える。磁気ルーム・インターフェース・ユニットは、磁気ルーム・インターフェース・ユニットのRFアンテナとシールド・ボックスのRFアンテナとを介したワイヤレス通信、及び/又は磁気ルーム・インターフェース・ユニットとシールド・ボックスとを接続する光ケーブル、のうちの少なくとも1つによる相互通信のためにシールド・ボックスと相互接続される。ヘッドホンは、並列に置かれヘッドホンのカップ内に配置された非磁気MEMSスピーカ要素のアレイを備える。
【0019】
ヘッドホンは、患者の口の近くのカップの内側に据えられた少なくとも1つのMEMSマイクロホンをさらに備えることができる。
【0020】
MRIオーディオ・システムのヘッドホンは、フィードフォワード(FF:feedforward)マイクロホン/マイク及びフィードバック(FB:feedback)マイクロホン/マイクをさらに備えることができる。FFマイクは、ヘッドホンの外側に置かれ、ヘッド・コイルで遮られないように据えられることが可能である。また、FFマイクは、MRルーム内の周辺ノイズを記録するように構成されることが可能である。FBマイクは、ヘッドホンのイヤーマフ内側且つ患者の耳の近くに配置されることが可能である。また、FBマイクは、患者に提示される及び/又は患者に聞こえる音を記録するために構成されることが可能である。
【0021】
制御ルーム・インターフェース・ユニットは、制御ルーム・インターフェース・ユニットのRFアンテナを介したワイヤレス通信、及び/又は制御ルーム・インターフェース・ユニットと前記少なくとも1つのオーディオ・ソースとを接続するケーブルによる有線接続、のうちの少なくとも1つによる相互通信のために前記少なくとも1つのオーディオ・ソースと相互接続されることが可能である。
【0022】
制御ルーム・インターフェース・ユニットと前記少なくとも1つのオーディオ・ソースとの間のワイヤレス通信は、少なくとも1つのワイヤレス・トランシーバを介したワイヤレス通信であることが可能である。
【0023】
磁気ルーム・インターフェース・ユニットは、ヘッドホンにエネルギーを供給するための、シールド・ボックスの前記少なくとも1つのバッテリを充電するために構成された充電ユニットをさらに備えることができる。前記少なくとも1つのバッテリは、再充電可能であることが可能である。
【0024】
磁気ルームの内側に配置された金属シールドは、ファラデー・ケージであることが可能である。
【0025】
本発明は、また、磁気共鳴画像法(MRI)オーディオ・システムで使用するため、及び磁気共鳴画像法(MRI)検査を受ける予定の患者による使用のために構成されたヘッドホンのセットに関する。ヘッドホンは、並列に置かれヘッドホンのカップ内に配置されたMEMSスピーカ要素のアレイを備える。
【0026】
ヘッドホンのセットは、患者の口の近くのカップの内側に据えられた患者の声用の少なくとも1つのMEMSマイクロホンをさらに備えることができる。ヘッドホンは、ヘッド・コイルによって遮られず、MRルーム内のノイズを記録できるように据えられたフィードフォワード・マイクロホンを備えることができる。ヘッドホンは、患者に提示された音を記録し、イヤーマフの内側に据えられたフィードバック・マイクロホンをさらに備えることができる。
【0027】
ヘッドホンは、オーバーイヤー又はサーカムオーラル・ヘッドホンであることが可能である。
【0028】
本発明のこれら及び他の態様は図面から明らかであり、図面を参照しながら実例としてさらに説明されることになる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【
図1】本発明によるMRI用のオーディオ・システムの図である。
【
図2】MRIオーディオ・システムの制御ルーム・インターフェース・ユニットの図である。
【
図3】MRIオーディオ・システムの磁気ルーム・インターフェース・ユニットの図である。
【
図4】MRIオーディオ・システムのシールド・バッテリ・ボックス及びMRIヘッドホンがどのように機能しているかを示す図である。
【
図5A】MEMS要素に基づくMRIオーディオ・システム内のMRIヘッドホンの図である。
【
図5B】ホルダ又はスピーカ・プレート上にシーリングと共に配置された1つのMEMS要素を示す
図5Aからの一部の引き伸ばされた/拡大された図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
微小電気機械システム(MEMS)は、修正された半導体製造技法が微小機械部品を作るために使用される製造技術である。MEMS技術は数年前から存在しており、MEMSマイクロホンは、今日広く使用されている。一方、MEMSラウドスピーカは、ほんの数年前に利用可能になった新しい技術である。基礎をなす技術は、逆圧電効果に基づく。圧電ラウドスピーカと違って、MEMSラウドスピーカは、豊かなラウド・オーディオ、及び20Hz~20kHzの広い周波数レスポンスを有する。これらのラウドスピーカの共鳴周波数は、20kHzに近いかこれより高い。これは、20kHz未満の共鳴を有する伝統的なラウドスピーカに対する改善である。MEMSラウドスピーカは、多くの市場において動電ラウドスピーカを置き換えることができると思われている。MEMS要素は、自動プロセスを使用してマウントされる。MEMS要素は、同調/マッチングを必要としない。MEMS要素は、小さく堅牢であり、極めて少ない電力を使用する。
【0031】
本発明は、MRIオーディオ・システム、並びにその構成要素及び/又はユニットに関し、MRIシステムは、MEMSマイクロホン、MEMSラウドスピーカ、及びMEMSヘッドホンなどの非磁気MEMS構成要素に基づく。
【0032】
図1は、本発明によるMRIオーディオ・システムを示している。MRIオーディオ・システムは、制御ルーム・インターフェース・ユニット(CRI)1を備える。制御ルーム・インターフェース・ユニット1は、実例としてコンピュータ、セル/モバイル・フォン、タブレット及び/若しくはiPad(登録商標)(R)、並びに/又は同様のものなどの、エンド・ユーザのオーディオ・ソース11と、磁気ルーム5を行き来する光信号との間のインターフェースである。制御ルーム・インターフェース・ユニット1は、制御ルーム10に置かれる。
【0033】
制御ルーム・インターフェース・ユニット1は、RFアンテナ14を備えることができる。RFアンテナ14は、少なくとも1つのオーディオ・ソース11(実例としてコンピュータ、モバイル・フォン、タブレット、iPad(登録商標)(R)などであるがこれらに限定されない)をMRIオーディオ・システムに(制御ルーム・インターフェース・ユニット1を介して)接続するために構成されることが可能である。追加又は代替として、前記少なくとも1つのオーディオ・ソース11は、実例として適切なケーブル32などの有線接続によって、MRIオーディオ・システムの制御ルーム・インターフェース・ユニット1に接続されることが可能である。放射線技師はMRI検査中、制御ルーム10におり、MRIオーディオ・システムを介して、検査される予定の患者8と通信できることになる。
【0034】
制御ルーム・インターフェース・ユニット1は、物理制御インターフェース20に、実例としてUSB又は他の適切なケーブル19を使用して、接続されることになる。物理制御インターフェースは、音量を調節すること、押して話すこと、消音等のための、ボタン、ノブ、及び/又は類似のコントロールから成る。制御ルーム・インターフェース・ユニット1は、また、物理制御インターフェース20の一部として又は別々に、外部スピーカ及びマイクロホン・インターフェース21に接続できることになる。前記外部スピーカ及びマイクロホン・インターフェース21は、必要に応じて、MEMS要素(実例としてマイクロホン及び/又は(ラウド)スピーカ)に基づくことが可能である。これらのインターフェースは、オーディオ入力及び/又は音響レベルのオペレータ制御を含む、患者8とオペレータとの間の双方向通信を容易にすることになる。
【0035】
患者8は、磁気ルーム5内におり、MRI検査中にMRI磁石ボア7へと移動されている患者ベッド6に横たえて置かれる。MRI磁石ボア7内側では、磁界強度は、数テスラのものであることが可能である。磁気ルーム5全体は、磁気ルーム5の内側に配置された金属シールド15によってシールドされる。金属シールド15は、実例として、ファラデー・ケージであることが可能であるがこれらに限定されない。
【0036】
制御ルーム10に置かれるか配置された制御ルーム・インターフェース・ユニット1は、磁気ルーム5に置かれるか配置されたMRIオーディオ・システムの構成要素、特にその磁気ルーム・インターフェース・ユニット3に、光ファイバ・ケーブル16を介して接続される。光ファイバ・ケーブル16は、導波路2内に配置される。導波路2は、光ファイバ・ケーブル16を制御ルーム10から磁気ルーム5に送り込むために使用される。導波路2は、実例として、長さに比べて比較的小さい直径を有し、したがって電磁波に高い減衰を与える、金属管であることが可能である。小さい直径の金属管である前記導波路2は、MRによって使用される周波数範囲における電磁波の、実例として約100dBmの典型的な減衰を有することができる。制御ルーム10内の制御ルーム・インターフェース・ユニット1から磁気ルーム5内の磁気ルーム・インターフェース・ユニット3への、及び逆もまた同様の全てのシグナリングは、磁気ルーム5のファラデー・ケージ・シールディング15を貫通しないように、導波路2を通じて光ファイバ・ケーブル16を渡っていく。光ファイバ・ケーブル16は、制御及びオーディオ信号を搬送することになる。
【0037】
磁気ルーム・インターフェース・ユニット3は、RFアンテナ13を備えることができる。RFアンテナ13は、MRIオーディオ・システムのヘッドホン・セット4に、ヘッドホン・セット4のアンテナ18を介して接続するために構成されることが可能である。ヘッドホン4は、オーバーイヤー・ヘッドホンであることが可能である。ヘッドホン4は、ワイヤレスであることが可能である。少なくとも1つの統合されたマイクロホン25を使用して、ヘッドホン4は、MRIスキャン中の患者8とオペレータ(図示せず)との間の双方向通信を可能にする。前記少なくとも1つの統合されたマイクロホン25は、MEMSマイクロホンであることが可能である。したがって、MRIオーディオ・システムは、制御ルーム10内のオーディオ・ソース11からの(つまりオペレータ又はOEMシステムからの)聴覚信号が、スキャナ又は磁気ルーム5に入り、患者8に提示されることを可能にすることになる。
【0038】
磁気ルーム・インターフェース・ユニット3は、シールド・ルーム5の内側のワイヤレス通信を担当する。磁気ルーム・インターフェース・ユニット3は、ヘッドホン4のバッテリ充電も担当することができる。
【0039】
磁気ルーム5の内側では、MRIオーディオ・システムは、シールド・ボックス9をさらに備える。シールド・ボックス9は、ヘッドホン4にエネルギーを供給することになる1つ又は複数のバッテリ(図示せず)をシールド・ボックス9内に保管するために構成されることが可能である。前記1つ又は複数のバッテリは、再充電可能であることが可能である。シールド・ボックス9は、さらに、光及び/又はワイヤレス・オーディオ信号のためのインターフェースとしての役割を果たすために構成されることが可能である。シールド・ボックス9は、完全にシールドされなければならない。1つ又は複数のケーブル17は、シールド・ボックス9とヘッドホン4とを相互接続することができる。ケーブル17は、可能な限り短くあるべきである。シールド・ボックス9からヘッドホン4へのケーブル17も、完全にシールドされなければならない。
【0040】
ヘッドホン4は、ケーブル17を介してシールド・ボックス9に接続されたイヤーマフを有する。イヤーマフは、スピーカ・ドライバを備える回路基板30、及び能動型ノイズ・キャンセリング(ANC:active noise cancellation)用の回路を含んでいる。磁気ルーム・インターフェース・ユニット3との間でオーディオをワイヤレスで送受信するための、実例として少なくとも1つのRFアンテナといったアンテナ18は、イヤーマフの内側で見つけることができる。ヘッドホン4の左及び右のイヤーマフへのオーディオRF伝送は、磁気ルーム・インターフェース・ユニット3から等時間隔で起こる。任意選択として、ケーブル・シグナリングは、光ファイバ・ケーブル12を介して実施されることが可能である。
【0041】
任意選択の光ファイバ・ケーブル12は、ワイヤレス通信がエンド・ユーザ(図示せず)によって望まれることがない場合、又は、RFアンテナ13、18を介したワイヤレス通信が突然若しくは予期せず若しくは意図的にできなくなるか、オフになった場合に、使用されることが可能である。光ファイバ・ケーブルは、また、非圧縮オーディオ、並びに/又は、より高いサンプリング・レート・エンド、これによる、より高い忠実度及び低減されたレイテンシを有するオーディオを移送するオプションを与える。
【0042】
図2は、MRIオーディオ・システムの制御ルーム・インターフェース・ユニット1を詳細に示している。制御ルーム・インターフェース・ユニット(CRI)1は、異なるオーディオ・ソース11をインターフェースするために使用される。このユニットの目的は、異なるオーディオ・ソース11からのシグナリングを、磁気ルーム5にファイバ・ケーブル16を介して送信されることになる光フォーマットにコンバートすることである。他の方向には、患者8からのオーディオが、ファイバ・ケーブル16を介して制御ルーム10に送り返され、次いで、スピーカのラウドスピーカ、及びマイクロホン・インターフェース21を介して、オペレータが利用できるようにされることになる。
【0043】
制御ルーム・インターフェース・ユニット1は、RFアンテナ14を介したワイヤレス・デバイス(実例として、モバイル・フォン、タブレット、ラップトップ、PCなど)への容易な接続のためのワイヤレス・トランシーバを備えることができる。USBインターフェース19を介して、接続されたPCは、制御ルーム・インターフェース・ユニット1を外部スピーカと見なすことができるようになる。自動音声コマンドをMRIオーディオ・システムにルーティングするためのOEM(相手先商標製品製造業者)デバイスに接続するため、又は他のオーディオ・ソースに接続するために、デジタル入力及びアナログ・ライン・イン・オーディオ・インターフェースが必要とされることがある。デジタル出力及びアナログ・ライン・アウト・オーディオ・インターフェースは、患者8の声をOEMデバイス/機器にルーティングするため、及び/又は他のオーディオ・シンクに接続するために使用されることが可能である。オーディオ・コーデックは、アナログ及びデジタル両方のオーディオ入力インターフェースのいずれかから選択可能な、マイクロコントローラ・ユニット(MCU:microcontroller unit)へのデジタル・オーディオ出力インターフェースを有することができる。オーディオ・コーデックは、アナログ及びデジタル両方のオーディオ出力インターフェースのいずれかに、MCUからのオーディオ信号を出力可能なデジタル・オーディオ入力インターフェースを有することができる。光トランシーバは、導波路2を通る光ファイバ・ケーブル16を介して磁気ルーム・インターフェース・ユニット3に制御及びオーディオ・データを移送するために、マイクロコントローラ・ユニット(MCU)上のシリアル・インターフェースに接続されることが可能である。このデバイス1は、アナログ及びデジタル両方のいくつかのオーディオ入力ストリームのいずれかから選択されることが可能な、デジタル(I2S/I2S=IC間音響/集積回路間音響)オーディオ出力を有することができる。
【0044】
自動音声は、実例として静かに横たわっているように患者8に命令するために、OEMによって使用される自動音声コマンドである。MRIオーディオ・システムは、自動音声コマンドを保存し、自動音声コマンドを新しいヘッドホン4を介して患者8に提示できなければならない。
【0045】
図3は、MRIオーディオ・システムの磁気ルーム・インターフェース・ユニット3を詳細に示している。磁気ルーム・インターフェース・ユニット(MIU:magnetic room interface unit)3は、磁気ルーム5の内側にあるワイヤレス・アクセス・ポイントをサーブする。ワイヤレス・アクセス・ポイントは、いくつかの双方向音声チャネルをサーブすることができる。患者チャネルは、患者の意思疎通のために使用され、個人チャネルが、人員と通信するために使用される。異なる音声チャネルが、全てのチャネルにブロードキャストされるか、単一のチャネルにユニキャストされることが可能である。オペレータ・ルーム10の内側にいるオペレータには、異なるチャネルの受信者を選択する選択肢がある。信号は、光ファイバ16を介して制御ルーム10を行き来して送信される。磁気ルーム・インターフェース・ユニット(MIU)3は、ヘッドホン4用の(バッテリ充電器を有する)充電ユニット(つまり、ヘッドホン4用のシールド・ボックス9内の再充電可能な1つ又は複数のバッテリ)としての役割も果たすことができる。ヘッドホン4用の1つ又は複数のバッテリが再充電される必要があるとき、充電端子(図示せず)を有するボックス9は、充電端子33(
図3の+/-参照)を有するこのMIUユニット3の中に置かれることになり、MIU3は、MRIスキャナの20mT安全ラインの外側、つまり、MRI磁石ボア7からの安全な距離に据えられる。
【0046】
オペレータ・ルーム10からのオーディオ信号は、光ファイバ16を介してMIU3に移送される。
図3の少なくとも1つの光トランシーバは、光信号と電気信号との間でコンバートする。オーディオ信号は、次いで、RFアンテナ13を有するワイヤレス・インターフェース(ワイヤレス・トランシーバ)を介して、又は任意選択として第2のファイバ12のインターフェースを介して、ヘッドホン4にMRルーム5の内側で移送される。磁気ルーム・インターフェース・ユニット3は、前記磁気ルーム・インターフェース・ユニット3を制御するために、並びに、オーディオ及び/又はデータ制御のために構成された、マイクロコントローラ・ユニット(MCU)をさらに備える。前記少なくとも1つの光トランシーバのそれぞれは、制御及びオーディオ・データを移送するために、マイクロコントローラ・ユニット(MCU)上のシリアル・インターフェースに接続されることが可能である。
【0047】
図4は、シールド・ボックス9と一緒にヘッドホン4がどのように機能しているかを詳細に示している。任意選択の光ファイバ12用のインターフェースとしての役割も果たすシールド・バッテリ・ボックス9は、ヘッドホン4の左及び右のイヤーマフに、比較的短いケーブル17を介して接続される。ケーブル17は、一方又は両方のイヤーマフに接続されてもよい。バッテリ・ボックス9は、バッテリ・ボックス9内のMCUによって、及びヘッドホン4のイヤーマフ内の電子機器(実例としてMCU、ANC、及びMEMSドライバなど)によって必要とされる電圧にバッテリ電圧を、少なくとも1つの電圧調整器の助けを借りてコンバートすることになる。
【0048】
オーディオは、ワイヤレス・インターフェース18、13を介して、又は任意選択としてファイバ・インターフェース12を介して伝送される(受信及び/又は送信される)。他の方向に、患者8のマイクロホン25からの信号が、マイクロコントローラ・ユニット(MCU)によって処理され、前記磁気ルーム・インターフェース・ユニット3のワイヤレス・トランシーバ又は光トランシーバに送信されることになる。
【0049】
MRI磁石ボア7の内側の強磁場により、強磁性物質を使用することはできない。伝統的な動電ラウドスピーカは磁石を含んでおり、MRI磁石ボア7の内側で使用されることは不可能である。
【0050】
このデザインは、非磁気MEMSスピーカのアレイ22を使用して音波を生成することになる。MEMS(微小電気機械システム)は、機械要素及び電子機器がシリコン基板レベルで実装される技術である。MEMSマイクロホンは、以前から存在しているものであるが、MEMSラウドスピーカは、ほんの数年前に市販で利用可能になった新しい技術である。単一のMEMSスピーカ要素は、空気を移動させる限定的な能力を有しており、したがって、インイヤー用途のために使用されることしか可能ではない。単一の要素からの限定的な音圧レベル(SPL)を補償するために、複数のMEMS要素22が、並列に置かれることが可能である。
【0051】
MRIオーディオ・システムは、サーカムオーラル(オーバーイヤー)ヘッドホン4を実装することになる。順方向に、オーディオ信号が、光ファイバ・ケーブル12、又はワイヤレス・インターフェース18、13を介して受信される。マイクロコントローラ・ユニットは、プロトコルをデコードし、オーディオ・データを抽出し、オーディオ・データを能動型ノイズ・キャンセリング(ANC)ユニットに送り出すことになる。このANCデバイスは、フィードフォワード・マイクロホン(FFマイク)24及びフィードバック・マイクロホン(FBマイク)23からの入力を使用して、オーディオ信号を作り変えることになる。FFマイク24は、環境ノイズ信号を記録することになる。FBマイク23は、受動的に減衰された環境ノイズ信号を、(並列の非磁気MEMSスピーカのアレイ22からの)オーディオ信号と一緒に記録することになる。環境ノイズ信号は、環境ノイズを低減させるために、オーディオ信号と逆位相で組み合わされることが可能である。オーディオ信号と一緒の受動的に減衰された環境ノイズは、環境ノイズ信号を低減させるために、オーディオ信号と単独で組み合わされることが可能である。
【0052】
図5Aは、非磁気MEMS要素に基づくMRIオーディオ・システムのMRIヘッドホン4を示している。ヘッドホン4は、主要なOEM(相手先商標製品製造業者)からの一般に使用されるヘッド・コイルに適合し、共通のMRIシーケンス中に、少なくとも30dB SNR(単数レーティング)のノイズ減衰を示すことになる。製品は、研究及び臨床両方のfMRI及びMRI用途のために使用されることになる。ヘッドホン4は、ヘッドバンドと接続された2つのイヤーマフから成る。各イヤーマフは、受動型減衰をもたらし、MEMSアレイ22、スピーカ・ドライバ用の回路基板30、及び能動型ノイズ・キャンセリング回路のためのホルダ、並びにヘッドバンド用の固定として機能する剛性カップ26から成る。ヘッドホン4の各イヤーマフの各剛性カップ26の上に、イヤーパッド29が配置されることが可能であり、したがって、患者8の耳に多少の空間を提供する。カップ26の内側には、さらなる受動型ノイズ減衰をもたらすための、音響吸収材料から作られることが可能な、ライナ27がある。各個々のMEMSスピーカ要素22の前にあるシーリング31と組み合わされたMEMSホルダ・プレート28は、MEMSスピーカ22が十分な音圧レベルを生成するために要求される、MEMSスピーカ22の前方容積と後方容積との間の耐圧分離を提供している。各個々のMEMSスピーカ要素22の前方容積は、スピーカ22を伴うドライバと患者8の耳との間に配置されたカップ26内の空間である、患者8の耳に提供される空気の全容積であり、この空間/前方容積は閉じられている(つまり実質的/実用的に気密であるように患者及びイヤーパッド29で密封されている)。各個々のMEMSスピーカ要素22の後方容積は、MEMSスピーカ要素22を伴うドライバの背後の空気の容積であり、カップ26上に配置されたライナ27の方に向いている。
【0053】
図5Bは、シーリング31によってホルダ又はスピーカ・プレート28上に配置されたMEMS要素22のうちの1つを示す、
図5Aからの特定の部分の引き伸ばされた/拡大された図である。前方及び後方容積も、
図5Bに示されている。
【0054】
ヘッドホン4は、シールド・ボックス9からバッテリ駆動される。バッテリは再充電可能であることが可能であり、MRI磁石ボア7の強磁場の内側で動作しなければならない。電子機器のバッテリ及び部品は、MR画像に影響を及ぼすRFノイズの生成が確実にないようにするために、又は、RF、静的磁場、若しくは傾斜磁場によって構成要素が確実に影響を及ぼされるようにするために、完全なシールド・ボックス9内に置かれることになる。DC電圧バイアスが、MEMS要素のために利用可能でなければならない。このDC電圧は、複数のバッテリ・セルを直列に接続すること、及び/又は、1つ若しくは複数のDC/DCコンバータを使用して1つ若しくは複数のバッテリからの電圧を増加させることによって、達成されることが可能である。
【0055】
聴覚保護のデザインは、受動型ノイズ・キャンセリングを提供する材料及び幾何学を利用しなければならない。ヘッドホンのデザインにスリムなフォーム・ファクタを利用するとき、能動型ノイズ・キャンセリングが、1kHz未満の周波数の音を減衰させるのに不可欠になる。
【0056】
MRI検査中、MRI機械/スキャナは、約120dBを超える音圧レベルを生み出すことがある。MRIオーディオ・システムは、少なくとも約30dB SNR(単数レーティング)の減衰をもたらすことを目指している。これは、受動型ノイズ・キャンセリングと能動型ノイズ・キャンセリングとの組合せによって達成されることになる。能動型ノイズ・キャンセリングは、2つのマイクロホン23、24を使用する。イヤーマフの内側にある1つのマイクロホン23は、患者8に聞こえるものと同じ音を記録するために患者の耳の近くにある。第2のマイクロホン24は、ヘッドホン4の外側に置かれることになり、周辺ノイズを記録することになる。前記ANCで使用される2つのマイクロホン23、24は、MEMSマイクロホンであることが可能である。回路基板30上のANCチップは、これら2つの信号及び印加された音を使用して、患者8に聞こえる信号のノイズ部分を低減させることになる音響信号を構築することになる。患者マイクロホン25は、カップ26の内側且つ患者8の口の近くに据えられるべきである。
【0057】
本発明の追加の修正、変化、及び適合は、以下の特許請求の範囲で定義されるような本発明の範囲から逸脱することなく、当業者にこれら自体を提案することになる。
【手続補正書】
【提出日】2023-01-25
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
磁気共鳴画像法(MRI)のために構成されたオーディオ・システムであって、
制御ルーム(10)に置かれた少なくとも1つのオーディオ・ソース(11)と、
前記制御ルーム(10)に置かれ、前記少なくとも1つのオーディオ・ソース(11)とのワイヤレス及びケーブル相互接続及び通信
のうちの少なくとも1つのために構成された制御ルーム・インターフェース・ユニット(1)と、
磁気ルーム(5)に置かれた磁気ルーム・インターフェース・ユニット(3)であって、前記磁気ルーム(5)全体が、前記磁気ルーム(5)の内側に配置された金属シールド(15)によってシールドされる、磁気ルーム・インターフェース・ユニット(3)と、
少なくとも1つの光ファイバを備え、長さに比べて比較的小さい直径を有ししたがって高い減衰を電磁波にもたらす前記導波路(2)内に配置された光ケーブル(16)であって、前記導波路(2)が、前記磁気ルーム(5)と前記制御ルーム(10)とを接続し、前記光ケーブル(16)の前記少なくとも1つの光ファイバを備え、前記光ケーブル(16)が、前記磁気ルーム(5)の前記金属シールド(15)が貫通されることがないような様式で前記制御ルーム・インターフェース・ユニット(1)と前記磁気ルーム・インターフェース・ユニット(3)とを接続する、光ケーブル(16)と、
シールド・ボックス(9)と、
MRI検査を受ける予定の患者(8)による使用のために構成されたヘッドホン(4)のセットと
を備え、
前記シールド・ボックス(9)が、前記シールド・ボックス(9)と前記ヘッドホン(4)との間のシグナリングの移送のために構成されたシールド・ケーブル(17)を介して前記ヘッドホン(4)に接続され、前記シールド・ボックス(9)が、前記シールド・ケーブル(17)を介して前記ヘッドホン(4)にエネルギーを供給するための少なくとも1つのバッテリを備え、
前記磁気ルーム・インターフェース・ユニット(3)が、
i)前記シールド・ボックス(9)との、前記磁気ルーム・インターフェース・ユニット(3)のRFアンテナ(13)と
前記ヘッドホン(4)用のRFアンテナ(18)とを介したワイヤレス通信、及び
、ii)前記磁気ルーム・インターフェース・ユニット(3)と前記シールド・ボックス(9)とを接続する光ケーブル(12)、のうちの少なくとも1つによる相互通信のために前記シールド・ボックス(9)と相互接続され、
前記ヘッドホン(4)が、並列に置かれ前記ヘッドホン(4)のカップ(26)内に配置された非磁気MEMSスピーカ要素のアレイ(22)を備える、
MRIオーディオ・システム。
【請求項2】
前記ヘッドホン(4)が、前記患者(8)の口の近くの前記カップ(26)の内側に据えられた少なくとも1つのMEMSマイクロホン(25)をさらに備える、請求項1に記載のMRIオーディオ・システム。
【請求項3】
前記制御ルーム・インターフェース・ユニット(1)が、
i)前記制御ルーム・インターフェース・ユニット(1)のRFアンテナ(14)を介したワイヤレス通信、及び
ii)前記制御ルーム・インターフェース・ユニット(1)と前記少なくとも1つのオーディオ・ソース(11)とを接続するケーブル(32)による有線接続、のうちの少なくとも1つによる相互通信のために前記少なくとも1つのオーディオ・ソース(11)と相互接続される、請求項1又は2に記載のMRIオーディオ・システム。
【請求項4】
前記制御ルーム・インターフェース・ユニット(1)と前記少なくとも1つのオーディオ・ソース(11)との間の前記ワイヤレス通信が、少なくとも1つのワイヤレス・トランシーバを介したワイヤレス通信である、請求項3に記載のMRIオーディオ・システム。
【請求項5】
前記磁気ルーム・インターフェース・ユニット(3)が、前記ヘッドホン(4)にエネルギーを供給するための、前記シールド・ボックス(9)の前記少なくとも1つのバッテリを充電するために構成された充電ユニットをさらに備え、前記少なくとも1つのバッテリが、再充電可能である、請求項1から4までのいずれか一項に記載のMRIオーディオ・システム。
【請求項6】
前記磁気ルーム(5)の内側に配置された前記金属シールド(15)が、ファラデー・ケージである、請求項1から5までのいずれか一項に記載のMRIオーディオ・システム。
【請求項7】
前記ヘッドホン(4)が、前記ヘッドホン(4)の外側に置かれ、ヘッド・コイルで遮られないように据えられ、前記MRルーム(5)内の周辺ノイズを記録するように構成されたフィードフォワード・マイクロホン(24)と、前記ヘッドホン(4)のイヤーマフの内側に配置され、前記患者(8)の耳の近くにあり、
i)前記患者(8)に提示された音、及び
ii)前記患者(8)に聞こえる音
のうちの少なくとも1つを記録するために構成されたフィードバック・マイクロホン(23)とをさらに備える、請求項1から6までのいずれか一項に記載のMRIオーディオ・システム。
【請求項8】
磁気共鳴画像法(MRI)オーディオ・システムで使用するため、及び磁気共鳴画像法(MRI)検査を受ける予定の患者(8)による使用のために構成されたヘッドホン(4)のセットであって、
受動型減衰をもたらす剛性カップ(26)をそれぞれが備える、左及び右のイヤーマフ、
前記2つのイヤーマフを接続するヘッドバンド、
シールド・ケーブル(17)によって前記2つのイヤーマフの一方又は両方に接続され、前記シールド・ケーブル(17)を介して前記ヘッドホンにエネルギーを供給するための、少なくとも1つのバッテリを中に収容するために構成されたシールド・ボックス(9)、
前記イヤーマフの内側に配置され、磁気ルーム・インターフェース・ユニット(3)との間でオーディオをワイヤレスで送受信するために構成された少なくとも1つのRFアンテナ(18)、及び
並列に置かれ前記ヘッドホン(4)の前記カップ(26)内に配置されたMEMSスピーカ要素のアレイ(22)
を備え、
各カップ(26)が、前記MEMSスピーカ要素のアレイ(22)、スピーカ・ドライバ用の回路基板(30)、及び能動型ノイズ・キャンセリング回路のためのホルダ、並びに前記ヘッドバンド用の固定として機能するために構成される、
ヘッドホン(4)のセット。
【請求項9】
前記患者(8)の口の近くの前記カップ(26)の内側に据えられた患者の声用の少なくとも1つのMEMSマイクロホン(25)をさらに備え、前記ヘッドホン(4)が、ヘッド・コイルによって遮られず、MRルーム(5)内のノイズを記録するように構成されるように据えられたフィードフォワード・マイクロホン(24)、及び前記患者(8)に提示された音を記録するように構成され、イヤーマフの内側に据えられたフィードバック・マイクロホン(23)を備える、請求項8に記載のヘッドホン(4)のセット。
【請求項10】
前記ヘッドホン(4)が、オーバーイヤー・ヘッドホンである、請求項8又は9に記載のヘッドホン(4)のセット。
【国際調査報告】