(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-12-26
(54)【発明の名称】疾患の治療のための二環式化合物の使用
(51)【国際特許分類】
A61K 31/519 20060101AFI20241219BHJP
A61P 25/28 20060101ALI20241219BHJP
C07D 487/04 20060101ALN20241219BHJP
【FI】
A61K31/519
A61P25/28
C07D487/04 147
C07D487/04 CSP
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024530446
(86)(22)【出願日】2022-12-16
(85)【翻訳文提出日】2024-05-22
(86)【国際出願番号】 US2022053113
(87)【国際公開番号】W WO2023114456
(87)【国際公開日】2023-06-22
(32)【優先日】2021-12-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2022-02-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】518426332
【氏名又は名称】アティラ・ファーマ・インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】Athira Pharma, Inc.
(74)【代理人】
【識別番号】110000796
【氏名又は名称】弁理士法人三枝国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】カワス リーン
(72)【発明者】
【氏名】チャーチ ケビン
(72)【発明者】
【氏名】テイラー ロバート
(72)【発明者】
【氏名】ジョンストン ジュエル
(72)【発明者】
【氏名】ボートマン ダグラス
【テーマコード(参考)】
4C086
【Fターム(参考)】
4C086AA01
4C086AA02
4C086CB09
4C086GA16
4C086MA01
4C086MA04
4C086MA52
4C086MA66
4C086NA14
4C086ZA02
4C086ZA15
(57)【要約】
本明細書で提供されるのは、肝細胞増殖因子を調節するための化合物及びその組成物である。いくつかの実施形態において、化合物及び組成物は、神経障害を含む疾患の治療のために提供される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
軽度認知障害を、それを必要とする対象において治療する方法であって、有効量の式(I)の化合物:
【化1】
またはその薬学的に許容される塩を投与することを含む方法(式中、
Lは、直接結合、-C(=O)-、-(CR
aR
b)
m-C(=O)-、-C(=O)-(CR
aR
b)
m-、または-(CR
aR
b)
m-であり、
各R
a及びR
bは、独立して、H、C
1-C
6アルキル、C
2-C
6アルケニル、またはC
2-C
6アルキニルであり、
R
1a及びR
1bは、独立して、H、C
1-C
6アルキル、C
2-C
6アルケニル、C
2-C
6アルキニル、C
1-C
6アルコキシ、ハロ、またはC
6-C
10アリールアルキルであり、
R
2は、H、オキソ、またはチオキソであり、
R
3は、C
2-C
6アルキル、C
3-C
6アルケニル、C
3-C
6アルキニル、C
3-C
12シクロアルキル、C
3-C
6シクロアルキルアルキル、C
6-C
10アリールアルキル、5~10員ヘテロアリールアルキル、または5~10員ヘテロシクリルアルキルであり、
ここで、前記5~10員ヘテロアリールアルキルまたは5~10員ヘテロシクリルアルキルは、窒素及び酸素から選択される1~3個のヘテロ原子を含有し、
R
4は、C
6-C
10アリール、5~10員ヘテロアリール、または5~10員ヘテロシクリルであり、
ここで、前記5~10員ヘテロアリールまたは5~10員ヘテロシクリルは、窒素及び酸素から選択される1~3個のヘテロ原子を含有し、
各R
5は、独立して、C
1-C
6アルキル、オキソ、またはハロであり、
R
6は、H、C
1-C
6アルキル、またはオキソであり、
R
7は、Hまたはオキソであり、
mは、1または2であり、
nは、0~3の整数であり、
ここで、各C
1-C
6アルキル、C
2-C
6アルケニル、C
2-C
6アルキニル、C
3-C
12シクロアルキル、C
3-C
12シクロアルキルアルキル、C
6-C
10アリール、C
6-C
10アリールアルキル、5~10員ヘテロアリール、5~10員ヘテロアリールアルキル、5~10員ヘテロシクリル、及び5~10員ヘテロシクリルアルキルは、ヒドロキシル、ハロ、アミノ、C
1-C
6ハロアルキル、C
1-C
6アルコキシ、C
1-C
6ハロアルコキシ、シアノ、-(C=O)NH
2、ニトロ、-SO
2(C
1-C
6アルキル)、及び-CO
2Hから選択される1~5個の置換基で任意選択により置換される)。
【請求項2】
Lが、-C(=O)-または-(CR
aR
b)
m-である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
Lが-C(=O)-である、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
Lが-(CR
aR
b)
m-である、請求項1または2に記載の方法。
【請求項5】
R
a及びR
bがそれぞれHであり、mが1である、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
R
1a及びR
1bが、それぞれ独立して、H;ハロ、-CO
2H、及び-C(=O)NH
2から選択される1~3個の置換基で任意選択により置換されたC
1-C
6アルキル;C
1-C
6アルコキシ;ハロ;またはハロ及びアミノから選択される1~3個の置換基によって任意選択により置換されたC
6-C
10アリールアルキルである、請求項1~5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
R
1a及びR
1bが、それぞれ独立して、H、メチル、フルオロ、2-メチルブチル、-CH
2F、メトキシ、-CH
2CO
2H、-CH
2C(=O)NH
2、ベンジル、または4-アミノベンジルである、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
R
1a及びR
1bが、それぞれ独立して、HまたはC
1-C
3アルキルである、請求項6に記載の方法。
【請求項9】
R
1aがメチルであり、R
1bがHである、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
R
1a及びR
1bがそれぞれHである、請求項8に記載の方法。
【請求項11】
R
2がHである、請求項1~10のいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
R
2がチオキソである、請求項1~10のいずれか1項に記載の方法。
【請求項13】
R
2がオキソである、請求項1~10のいずれか1項に記載の方法。
【請求項14】
R
3が、C
3-C
6アルキル、C
3-C
6アルケニル、C
3-C
6アルキニル、C
3-C
12シクロアルキル、C
3-C
6シクロアルキルアルキル、C
6-C
10アリールアルキル、5~10員ヘテロアリールアルキル、または5~10員ヘテロシクリルアルキルであり、ここで、前記アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、アリールアルキル、ヘテロアリールアルキル、またはヘテロシクリルアルキルは、ヒドロキシル、ハロ、アミノ、C
1-C
6ハロアルキル、C
1-C
6アルコキシ、C
1-C
6ハロアルコキシ、シアノ、-(C=O)NH
2、ニトロ、-SO
2(C
1-C
6アルキル)、及び-CO
2Hから選択される1~5個の置換基で任意選択により置換される、請求項1~13のいずれか1項に記載の方法。
【請求項15】
R
3が、ハロ、C
1-C
3アルコキシ、ヒドロキシ、-NH
2、-SO
2(C
1-C
3アルキル)、及び-C(=O)NH
2から選択される1~3個の置換基によって任意選択により置換されたC
2-C
6アルキル;C
2-C
6アルケニル;C
3-C
6シクロアルキルアルキル;5~6員ヘテロアリールアルキル;5~6員ヘテロシクリルアルキル;またはC
6アリールアルキルである、請求項1~13のいずれか1項に記載の方法。
【請求項16】
R
3が、C
1-C
3アルコキシ、ヒドロキシ、-NH
2、及び-SO
2(C
1-C
3アルキル)から選択される1~3個の置換基によって置換されたC
2アルキルである、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
R
3が以下である、請求項14~16のいずれか1項に記載の方法:
【化2】
【請求項18】
R
3が、以下である、請求項17に記載の方法:
【化3】
【請求項19】
R
4が、ハロ、ヒドロキシル、C
1-C
6ハロアルキル、及びC
1-C
6ハロアルコキシから選択される1~3個の置換基で任意選択により置換されたC
6-C
10アリールである、請求項1~18のいずれか1項に記載の方法。
【請求項20】
R
4が、-CF
3、-OCHF
2、-OH、フルオロ、及びクロロから選択される1~3個の置換基で置換されたフェニルである、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
R
4が、以下である、請求項20に記載の方法:
【化4】
【請求項22】
R
4が、以下である、請求項21に記載の方法:
【化5】
【請求項23】
R
4が、ハロ、ヒドロキシル、C
1-C
6ハロアルキル、及びC
1-C
6ハロアルコキシから選択される1~3個の置換基で任意選択により置換された5~10員ヘテロアリールである、請求項1~18のいずれか1項に記載の方法。
【請求項24】
R
4が、ハロ、ヒドロキシル、C
1-C
6ハロアルキル、及びC
1-C
6ハロアルコキシから選択される1~3個の置換基で任意選択により置換されたピリジルまたはインドリルである、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
R
4が、
【化6】
である、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
R
4が、
【化7】
である、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
R
4が、ハロ、ヒドロキシル、C
1-C
6ハロアルキル、及びC
1-C
6ハロアルコキシから選択される1~3個の置換基で任意選択により置換された5~10員ヘテロシクリルである、請求項1~18のいずれか1項に記載の方法。
【請求項28】
R
4がインドリニルである、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
R
4が、
【化8】
である、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
-L-R
4が、以下である、請求項1~26のいずれか1項に記載の方法:
【化9】
【請求項31】
nが0である、請求項1~30のいずれか1項に記載の方法。
【請求項32】
nが1である、請求項1~30のいずれか1項に記載の方法。
【請求項33】
R
5が、オキソまたはハロである、請求項32に記載の方法。
【請求項34】
R
5が、オキソまたはフルオロである、請求項33に記載の方法。
【請求項35】
R
6がHである、請求項1~34のいずれか1項に記載の方法。
【請求項36】
R
7がオキソである、請求項1~35のいずれか1項に記載の方法。
【請求項37】
前記化合物が、式(V)またはその薬学的に許容される塩である、請求項1~10、13~31、35、及び36のいずれか1項に記載の方法:
【化10】
【請求項38】
Lが、-C(=O)-または-CH
2-であり、
R
1a及びR
1bが、独立して、H、または-CO
2Hで任意選択により置換されたC
1-C
3アルキルであり、
R
3が、C
4-C
5アルキル、C
4-C
5アルケニル、またはC
3-C
5シクロアルキルで置換されたC
1-C
3アルキルであり、
R
4が、-CF
3、-OCHF
2、-OH、フルオロ、及びクロロから選択される1~3個の置換基で置換されたフェニルまたはピリジルである、請求項37に記載の方法。
【請求項39】
表1Aの化合物及びその薬学的に許容される塩から選択される化合物の有効量を、それを必要とする対象に投与することを含む、軽度認知障害を治療する方法。
【請求項40】
前記対象における認知症の進行を遅らせる、先行する請求項のいずれか1項に記載の前記方法。
【請求項41】
前記対象の認知機能を改善するか、または認知機能障害の進行を遅らせる、先行する請求項のいずれか1項に記載の前記方法。
【請求項42】
前記化合物が経口投与または静脈内投与により投与される、先行する請求項のいずれか1項に記載の前記方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、概して、軽度認知障害などの疾患を治療するための化合物及び組成物の使用に関する。
【背景技術】
【0002】
肝細胞増殖因子(HGF)は、胚及び器官の発達、再生、及び炎症を含む、多数の生物学的プロセスに関与する多面的タンパク質因子である。HGFは、皮質、運動、感覚、交感神経及び副交感神経の神経細胞の発達及び成熟に重要な役割を果たしている。HGFは、不活性なpro-HGFとして翻訳され分泌されるが、切断されると、それにより生じたαサブユニットとβサブユニットがジスルフィド結合によって接続され、活性型ヘテロ二量体を形成する。HGFの発現は、主に、線維芽細胞、軟骨芽細胞、脂肪細胞、及び内皮細胞などの間葉細胞で生じている。また、ニューロン、アストロサイト、及び上衣細胞を含む中枢神経系(CNS)における発現も示されている(Nakamura and Mizuno,2010)。HGFの全ての生物学的活性は、HGFに対して唯一の既知の受容体として機能する膜貫通型受容体型チロシンキナーゼであるMETを媒介する。METは、様々な生物学的プロセスへの関与が知られており、発達、再生、及び損傷への反応における役割が示されている。HGFがMETの細胞外ドメインに結合すると、METタンパク質がホモ二量体化し、細胞内ドメインの自己リン酸化が生じる。MET細胞内ドメインがリン酸化すると、Gab1、GRB2、ホスホリパーゼC、及びStat3を含む様々なエフェクタータンパク質の動員及びリン酸化につながる(Gherardi et al.,2012;Organ and Tsao,2011)。次いで、これらのエフェクタータンパク質は、なかでもPI3K/Akt、Ras/Raf/MAPK、RAC1/CDC42、RAP/FAKを含む下流のシグナル伝達経路と相互作用して、遺伝子制御、細胞骨格の再編成、細胞周期の進行、細胞の接着、生存、及び増殖を含め、様々な細胞成分に影響する(Organ and Tsao,2011)。
【0003】
HGFは、発達(Nakamura et al.,2011)、ホメオスタシス(Funakoshi and Nakamura,2003)、細胞死の抑制、及び再生(Matsumoto et al.,2014)における役割が示されているので、HGF/METシグナル伝達系の刺激は、種々の疾患状態の治療薬にとって理想的な標的である。肝臓、腎臓、胃腸管、心臓血管系、肺、皮膚、神経系、及び筋系を含む多種多様な組織種の疾患及び損傷に対して、HGF活性の調節による治療が提案されている(Matsumoto et al.,2014)。しかしながら、HGF/METシグナル伝達活性の調節に有用な効果の高い化合物は、まだ探索も発見もされていない。
【0004】
当該分野では進歩がみられるが、HGF調節疾患の治療のための改善された化合物及び方法が依然として求められている。したがって、一態様において、神経変性疾患の治療に使用するための、HGFを調節する化合物が提供される。
【発明の概要】
【0005】
ある特定の実施形態において、本明細書に記載されるのは、疾患の治療のために肝細胞増殖因子(HGF)を調節するための化合物及びその組成物である。非限定的な例示的実施形態には、以下が含まれる。
【0006】
実施形態1.それを必要とする対象における軽度認知障害を処置する方法であって、式(I)の化合物:
【化1】
またはその薬学的に許容される塩の有効量を投与することを含む方法(式中、
Lは、直接結合、-C(=O)-、-(CR
aR
b)
m-C(=O)-、-C(=O)-(CR
aR
b)
m-、または-(CR
aR
b)
m-であり、
各R
a及びR
bは、独立して、H、C
1-C
6アルキル、C
2-C
6アルケニル、またはC
2-C
6アルキニルであり、
R
1a及びR
1bは、独立して、H、C
1-C
6アルキル、C
2-C
6アルケニル、C
2-C
6アルキニル、C
1-C
6アルコキシ、ハロ、またはC
6-C
10アリールアルキルであり、
R
2は、H、オキソ、またはチオキソであり、
R
3は、C
2-C
6アルキル、C
3-C
6アルケニル、C
3-C
6アルキニル、C
3-C
12シクロアルキル、C
3-C
6シクロアルキルアルキル、C
6-C
10アリールアルキル、5~10員ヘテロアリールアルキル、または5~10員ヘテロシクリルアルキルであり、
ここで、前記5~10員ヘテロアリールアルキルまたは5~10員ヘテロシクリルアルキルは、窒素及び酸素から選択される1~3個のヘテロ原子を含有し、
R
4は、C
6-C
10アリール、5~10員ヘテロアリール、または5~10員ヘテロシクリルであり、
ここで、前記5~10員ヘテロアリールまたは5~10員ヘテロシクリルは、窒素及び酸素から選択される1~3個のヘテロ原子を含有し、
各R
5は、独立して、C
1-C
6アルキル、オキソ、またはハロであり、
R
6は、H、C
1-C
6アルキル、またはオキソであり、
R
7は、Hまたはオキソであり、
mは、1または2であり、
nは、0~3の整数であり、
ここで、各C
1-C
6アルキル、C
2-C
6アルケニル、C
2-C
6アルキニル、C
3-C
12シクロアルキル、
C
3-C
12シクロアルキルアルキル、C
6-C
10アリール、C
6-C
10アリールアルキル、5~10員ヘテロアリール、5~10員ヘテロアリールアルキル、5~10員ヘテロシクリル、及び5~10員ヘテロシクリルアルキルは、ヒドロキシル、ハロ、アミノ、C
1-C
6ハロアルキル、C
1-C
6アルコキシ、C
1-C
6ハロアルコキシ、シアノ、-(C=O)NH
2、ニトロ、
-SO
2(C
1-C
6アルキル)、及び-CO
2Hから選択される1~5個の置換基で任意選択により置換される)。
【0007】
実施形態2.Lが-C(=O)-または-(CRaRb)m-である、実施形態1の方法。
【0008】
実施形態3.Lが-C(=O)-である、実施形態1または2の方法。
【0009】
実施形態4.Lが-(CRaRb)m-である、実施形態1または2の方法。
【0010】
実施形態5.Ra及びRbがそれぞれHであり、mが1である、実施形態4の方法。
【0011】
実施形態6.R1a及びR1bが、それぞれ独立して、H;ハロ、-CO2H、及び-C(=O)NH2から選択される1~3個の置換基で任意選択により置換されたC1-C6アルキル;C1-C6アルコキシ;ハロ;またはハロ及びアミノから選択される1~3個の置換基によって任意選択により置換されたC6-C10アリールアルキルである、実施形態1~5のいずれか1つの方法。
【0012】
実施形態7.R1a及びR1bが、それぞれ独立して、H、メチル、フルオロ、2-メチルブチル、-CH2F、メトキシ、-CH2CO2H、-CH2C(=O)NH2、ベンジル、または4-アミノベンジルである、実施形態6の方法。
【0013】
実施形態8.R1a及びR1bが、それぞれ独立して、HまたはC1-C3アルキルである、実施形態6の方法。
【0014】
実施形態9.R1aがメチルであり、R1bがHである、実施形態8の方法。
【0015】
実施形態10.R1a及びR1bがそれぞれHである、実施形態8の方法。
【0016】
実施形態11.R2がHである、実施形態1~10のいずれか1つの方法。
【0017】
実施形態12.R2がチオキソである、実施形態1~10のいずれか1つの方法。
【0018】
実施形態13.R2がオキソである、実施形態1~10のいずれか1つの方法。
【0019】
実施形態14.R3が、C3-C6アルキル、C3-C6アルケニル、C3-C6アルキニル、C3-C12シクロアルキル、C3-C6シクロアルキルアルキル、C6-C10アリールアルキル、5~10員ヘテロアリールアルキル、または5~10員ヘテロシクリルアルキルであり、ここで、前記アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、アリールアルキル、ヘテロアリールアルキル、またはヘテロシクリルアルキルは、ヒドロキシル、ハロ、アミノ、C1-C6ハロアルキル、C1-C6アルコキシ、C1-C6ハロアルコキシ、シアノ、-(C=O)NH2、ニトロ、-SO2(C1-C6アルキル)、及び-CO2Hから選択される1~5個の置換基で任意選択により置換される、実施形態1~13のいずれか1つの方法。
【0020】
実施形態15.R3が、ハロ、C1-C3アルコキシ、ヒドロキシ、-NH2、-SO2(C1-C3アルキル)、及び-C(=O)NH2から選択される1~3個の置換基によって任意選択により置換されたC2-C6アルキル;C2-C6アルケニル;C3-C6シクロアルキルアルキル;5~6員ヘテロアリールアルキル;5~6員ヘテロシクリルアルキル;またはC6アリールアルキルである、実施形態1~13のいずれか1つの方法。
【0021】
実施形態16.R3が、C1-C3アルコキシ、ヒドロキシ、-NH2、及び-SO2(C1-C3アルキル)から選択される1~3個の置換基によって置換されたC2アルキルである、実施形態15の方法。
【0022】
実施形態17.R
3が以下である、実施形態14~16のいずれか1つの方法:
【化2】
【0023】
実施形態18.R
3が以下である、実施形態17の方法:
【化3】
【0024】
実施形態19.R4が、ハロ、ヒドロキシル、C1-C6ハロアルキル、及びC1-C6ハロアルコキシから選択される1~3個の置換基で任意選択により置換されたC6-C10アリールである、実施形態1~18のいずれか1つの方法。
【0025】
実施形態20.R4が、-CF3、-OCHF2、-OH、フルオロ、及びクロロから選択される1~3個の置換基で置換されたフェニルである、実施形態19の方法。
【0026】
実施形態21.R
4が以下である、実施形態20の方法:
【化4】
【0027】
実施形態22.R
4が以下である、実施形態21の方法:
【化5】
【0028】
実施形態23.R4が、ハロ、ヒドロキシル、C1-C6ハロアルキル、及びC1-C6ハロアルコキシから選択される1~3個の置換基で任意選択により置換された5~10員ヘテロアリールである、実施形態1~18のいずれか1つの方法。
【0029】
実施形態24.R4が、ハロ、ヒドロキシル、C1-C6ハロアルキル、及びC1-C6ハロアルコキシから選択される1~3個の置換基で任意選択により置換されたピリジルまたはインドリルである、実施形態23の方法。
【0030】
実施形態25.R
4が、
【化6】
である、実施形態24の方法。
【0031】
実施形態26.R
4が、
【化7】
である、実施形態25の方法。
【0032】
実施形態27.R4が、ハロ、ヒドロキシル、C1-C6ハロアルキル、及びC1-C6ハロアルコキシから選択される1~3個の置換基で任意選択により置換された5~10員ヘテロシクリルである、実施形態1~18のいずれか1つの方法。
【0033】
実施形態28.R4がインドリニルである、実施形態27の方法。
【0034】
実施形態29.R
4が、
【化8】
である、実施形態28の方法。
【0035】
実施形態30.-L-R
4が以下である、実施形態1~26のいずれか1つの方法:
【化9】
【0036】
実施形態31.nが0である、実施形態1~30のいずれか1つの方法。
【0037】
実施形態32.nが1である、実施形態1~30のいずれか1つの方法。
【0038】
実施形態33.R5がオキソまたはハロである、実施形態32の方法。
【0039】
実施形態34.R5がオキソまたはフルオロである、実施形態33の方法。
【0040】
実施形態35.R2がHである、実施形態1~34のいずれか1つの方法。
【0041】
実施形態36.R2がオキソである、実施形態1~35のいずれか1つの方法。
【0042】
実施形態37.前記化合物が、式(V)で表される、実施形態1~10、13~31、35、及び36のいずれか1つの方法:
【化10】
【0043】
実施形態38
Lが、-C(=O)-または-CH2-であり、
R1a及びR1bが、独立して、H、または-CO2Hで任意選択により置換されたC1-C3アルキルであり、
R3が、C4-C5アルキル、C4-C5アルケニル、またはC3-C5シクロアルキルで置換されたC1-C3アルキルであり、
R4が、-CF3、-OCHF2、-OH、フルオロ、及びクロロから選択される1~3個の置換基で置換されたフェニルまたはピリジルである、実施形態37の方法。
【0044】
実施形態39.表1Aの化合物及びその薬学的に許容される塩から選択される化合物の有効量を投与することを含む、それを必要とする対象における軽度認知障害を処置する方法。
【0045】
実施形態40.先行する実施形態のいずれか1つの方法であって、前記対象における認知症の進行を遅らせる前記方法。
【0046】
実施形態41.先行する実施形態のいずれか1つの方法であって、前記対象における認知機能を改善し、及び/または認知機能障害の進行を遅らせる前記方法。
【発明を実施するための形態】
【0047】
定義
特に定義されない限り、本明細書で使用される全ての技術用語及び科学用語は、本開示が属する技術分野の当業者によって一般的に理解されている意味と同じ意味を有する。以下の説明において、本開示の様々な実施形態の完全な理解を提供するために、いくつかの具体的な詳細が記載される。前述の一般的な説明及び以下の詳細な説明は、例示的及び説明的なものにすぎず、特許請求されるいかなる主題も限定するものではないことを理解されたい。参照により本明細書に援用される任意の資料が本開示の明示的な内容と矛盾する場合には、その明示的な内容が優先される。本出願において、単数形の使用は、特に明記しない限り、複数形を含む。本明細書及び添付する特許請求の範囲において使用される場合、単数形「a」、「an」、及び「the」は、文脈上特に明らかな指示のない限り、複数の指示対象を含むことに留意しなければならない。本出願において、「または」の使用は、特に記載のない限り、「及び/または」を意味する。更に、「含むこと(including)」という用語、ならびに「含む(include)」、「含む(includes)」、及び「含まれる(included)」などの他の形態の使用は、限定的でない。
【0048】
文脈上異なる解釈を要する場合を除き、本明細書及び特許請求の範囲を通して、「含む(comprise)」という語ならびに「含む(comprises)」及び「含むこと(comprising)」などのその変形は、オープンで包括的な意味であり、すなわち、「~が挙げられるが、これらに限定されない」と解釈されるものとする。
【0049】
本発明の記載において、任意の濃度範囲、パーセンテージ範囲、比率範囲、または整数範囲は、特に指定のしない限り、列挙される範囲内の任意の整数の値を含み、必要に応じて、その分数(整数の1/10及び1/100など)を含むものと理解される。また、ポリマーのサブユニット、サイズ、または厚さなどの任意の物理的特徴に関して本明細書で列挙される任意の数範囲は、特に指定のない限り、その列挙される範囲内の任意の整数を含むものと理解される。本明細書で使用される場合、「約」及び「およそ」という用語は、特に指定のない限り、示された範囲、値、または構造の±20%、±10%、±5%、または±1%を意味する。
【0050】
「一実施形態(one embodiment)」または「実施形態(an embodiment)」に対する本明細書全体を通した言及は、実施形態に関連して記載される特定の特徴、構造または特色が本開示の少なくとも1つの実施形態に含まれることを意味する。したがって、本明細書全体の様々な箇所で出現する「一実施形態」または「実施形態」の語句は、必ずしも全て同じ実施形態を言及しているわけではない。更に、特定の特徴、構造、または特色は、1つ以上の実施形態における任意の好適な方法で組み合わせることができる。
【0051】
「アミノ」は、-NH2ラジカルを指す。
【0052】
「カルボキシ」または「カルボキシル」は、-CO2Hラジカルを指す。
【0053】
「シアノ」は、-CNラジカルを指す。
【0054】
「ヒドロキシ」または「ヒドロキシル」は、-OHラジカルを指す。
【0055】
「ニトロ」は、-NO2ラジカルを指す。
【0056】
「オキソ」は、=O置換基を指す。
【0057】
「チオキソ」は、=S置換基を指す。
【0058】
「チオール」は、-SH置換基を指す。
【0059】
「アルキル」は、炭素原子及び水素原子のみからなる非分枝状または分枝状の飽和炭化水素鎖ラジカルであって、1~12個の炭素原子(C1-C12アルキル)、好ましくは、1~8個の炭素原子(C1-C8アルキル)、1~6個の炭素原子(C1-C6アルキル)、または1~3個の炭素原子(C1-C3アルキル)を有し、分子の残りの部分に単結合によって結合しているもの、例えば、メチル、エチル、n-プロピル、1-メチルエチル(イソ-プロピル)、n-ブチル、n-ペンチル、1,1-ジメチルエチル(t-ブチル)、3-メチルヘキシル、2-メチルヘキシルなどを指す。本明細書で特に明記しない限り、アルキル基は、任意選択により置換される。
【0060】
「アルケニル」は、炭素原子及び水素原子のみからなる非分枝状または分枝状の不飽和炭化水素鎖ラジカルであって、1つ以上の炭素-炭素二重結合を含有し、2~12個の炭素原子(C2-C12アルケニル)、好ましくは、2~8個の炭素原子(C2-C8アルケニル)または2~6個の炭素原子(C2-C6アルケニル)を有し、分子の残りの部分に単結合によって結合しているもの、例えば、エテニル、プロパ-1-エニル、ブタ-1-エニル、ペント-1-エニル、ペンタ-1,4-ジエニルなどを指す。本明細書で特に明記しない限り、アルケニル基は、任意選択により置換される。
【0061】
「アルキニル」は、炭素原子及び水素原子のみからなる非分枝状または分枝状の不飽和炭化水素鎖ラジカルであって、1つ以上の炭素-炭素三重結合を含有し、2~12個の炭素原子(C2-C12アルキニル)、好ましくは、2~8個の炭素原子(C2-C8アルキニル)または2~6個の炭素原子(C2-C6アルキニル)を有し、分子の残りの部分に単結合によって結合しているもの、例えば、エチニル、プロピニル、ブチニル、ペンチニル、ヘキシニルなどを指す。本明細書で特に明記しない限り、アルキニル基は、任意選択により置換される。
【0062】
「アルコキシ」は、式-ORaのラジカルを指し、式中、Raは、1~12個の炭素原子を含有する、上に定義されるアルキルラジカルである。好ましいアルコキシ基は、アルキルラジカル中に、1~6個の炭素原子(すなわち、C1-C6アルコキシ)または1~3個の炭素原子(すなわち、C1-C3アルコキシ)を有する。本明細書で特に明記しない限り、アルコキシ基は、任意選択により置換される。
【0063】
「芳香環」は、同じ原子群による他の接続配置と比べて向上した安定性を示す共鳴結合の環を持つ分子の環状平面部分(すなわち、ラジカル)を指す。一般に、芳香環は、共有結合した同一平面上の原子を含有し、偶数であるが4の倍数ではない数(すなわち、4n+2π電子(式中、n=0、1、2、3など))のπ電子を含む(例えば、交互の二重結合及び単結合)。芳香環には、フェニル、ナフテニル、イミダゾリル、ピロリル、ピリジニル、ピリミジニル、ピラジニル、ピリドニル、ピリダジニル、ピリミドニルが含まれるが、これらに限定されない。本明細書で特に明記しない限り、芳香環は、任意選択により置換される全てのラジカルを含む。
【0064】
「アリール」は、6~18個の炭素原子及び少なくとも1つの芳香環(すなわち、C6-C18アリール)を含み、好ましくは、6~10個の炭素原子(すなわち、C6-C10アリール)を有する、炭素環式環系ラジカルを指す。本開示の実施形態の目的上、アリールラジカルは、縮合または架橋された環系を含み得る、単環式、二環式、三環式または四環式の環系である。アリールラジカルには、アセアントリレン、アセナフチレン、アセフェナントリレン、アントラセン、アズレン、ベンゼン、クリセン、フルオランテン、フルオレン、as-インダセン、s-インダセン、インダン、インデン、ナフタレン、フェナレン、フェナントレン、フェニル、プレイアデン、ピレン、及びトリフェニレンから誘導されるアリールラジカルが含まれるが、これらに限定されない。本明細書で特に明記しない限り、アリール基は、任意選択により置換される。
【0065】
「アリールアルキル」は、式-Rb-Rcのラジカルを指し、式中、Rbは、アルキレン鎖であり、Rcは、上に定義される1つ以上のアリールラジカルであり、例えば、ベンジル、ジフェニルメチルなどである。アリールアルキル基は、C6-C10アリールラジカルに接続されたC1-C10アルキレン鎖(すなわち、C6-C10アリールアルキル)を含有し得る。本明細書で特に明記しない限り、アリールアルキル基は、任意選択により置換される。
【0066】
「シクロアルキル」は、炭素原子及び水素原子のみからなる安定した非芳香族の単環式または多環式の炭素環式ラジカルであって、縮合または架橋された環系を含み得、3~15個の炭素原子(すなわち、C3-C15シクロアルキル)、好ましくは、3~10個の炭素原子(すなわち、C3-C10シクロアルキル)または3~6個の炭素原子(すなわち、C3-C6シクロアルキル)を有し、飽和または不飽和であり、分子の残りの部分に単結合によって結合しているものを指す。単環式ラジカルには、例えば、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、及びシクロオクチルが含まれる。シクロアルキルにはまた、同一炭素原子上に2つの置換位置がある場合、「スピロシクロアルキル」も含まれる。多環式ラジカルには、例えば、アダマンチル、ノルボルニル、デカリニル、7,7-ジメチル-ビシクロ[2.2.1]ヘプタニルなどが含まれる。本明細書で特に明記しない限り、シクロアルキル基は、任意選択により置換される。
【0067】
「シクロアルキルアルキル」は、式-Rb-Rcのラジカルを指し、式中、Rbは、アルキレン鎖であり、Rcは、上に定義される1つ以上のシクロアルキルラジカルであり、例えば、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、及びシクロオクチルなどである。シクロアルキルアルキル基は、C3-C12シクロアルキルラジカルに接続されたC1-C10アルキレン鎖(すなわち、C3-C12シクロアルキルアルキル)またはC3-C6シクロアルキルラジカルに接続されたC1-C10アルキレン鎖(すなわち、C3-C6シクロアルキルアルキル)を含有し得る。本明細書で特に明記しない限り、シクロアルキルアルキル基は、任意選択により置換される。
【0068】
「縮合」は、本開示の化合物中の既存の環構造に縮合された本明細書に記載される任意の環構造を指す。縮合環がヘテロシクリル環またはヘテロアリール環である場合、縮合ヘテロシクリル環または縮合ヘテロアリール環の一部となる既存の環構造上の任意の炭素原子が窒素原子で置き換えられる。
【0069】
「ハロ」または「ハロゲン」は、ブロモ、クロロ、フルオロ、またはヨードを指す。
【0070】
「ハロアルキル」は、上に定義される1つ以上のハロラジカルによって置換された、上に定義されるアルキルラジカル、例えば、トリフルオロメチル、ジフルオロメチル、トリクロロメチル、2,2,2-トリフルオロエチル、1,2-ジフルオロエチル、3-ブロモ-2-フルオロプロピル、1,2-ジブロモエチルなどを指す。好ましいハロアルキル基には、1~6個の炭素原子を有し、1つ以上のハロラジカルによって置換されているアルキル基(すなわち、C1-C6ハロアルキル)が含まれる。ハロラジカルは全て同じであってもよいし、ハロラジカルが異なってもよい。本明細書で特に明記しない限り、ハロアルキル基は、任意選択により置換される。
【0071】
「ハロアルコキシ」は、式-ORaのラジカルを指し、式中、Raは、1~12個の炭素原子を含有する、本明細書に定義されるハロアルキルラジカルである。好ましいハロアルコキシ基には、1~6個の炭素原子(すなわち、C1-C6ハロアルコキシ)または1~3個の炭素原子(C1-C3ハロアルコキシ)を有し、1つ以上のハロラジカルによって置換されているアルコキシ基が含まれる。ハロラジカルは全て同じであってもよいし、ハロラジカルが全て異なってもよい。本明細書で特に明記しない限り、ハロアルコキシ基は、任意選択により置換される。
【0072】
「ヘテロアリール」は、窒素、酸素、及び硫黄から独立して選択される1つ以上の環ヘテロ原子を含む、単環、多環、または複数の縮合環を有する芳香族基(例えば、5~14員環系)を指す。本明細書で使用される場合、ヘテロアリールは、環内に、1~10個の環炭素原子と、窒素、酸素及び硫黄から独立して選択される1~4個のヘテロ原子とを含む。好ましいヘテロアリール基は、窒素、酸素、及び硫黄から選択される1~4個のヘテロ原子を含有する5~10員環系(すなわち、5~10員ヘテロアリール)ならびに窒素、酸素、及び硫黄から選択される1~4個のヘテロ原子を含有する5~6員環系(すなわち、5~6員ヘテロアリール)を有する。本開示の実施形態の目的上、ヘテロアリールラジカルは、縮合または架橋された環系を含み得る、単環式、二環式、三環式または四環式の環系であり得る。ヘテロアリール基の例としては、ピロリル、ピラゾリル、ピリジニル、ピラジニル、ピリミジニル、ピリダジニル、キナゾリニル、キノキサリニル、キノリニル、キヌクリジニル、イソキノリニル、テトラヒドロキノリニル、チアゾリル、チアジアゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル、トリアジニル及びチオフェニル(すなわち、チエニル)が挙げられる。ヘテロアリールは、ピリジン-N-オキシドなどの1つ以上のN-オキシド(N-O-)部分を含み得る。本明細書で特に明記しない限り、ヘテロアリール基は、任意選択により置換される。
【0073】
「ヘテロアリールアルキル」は、式-Rb-Rcのラジカルを指し、式中、Rbは、アルキレン鎖であり、Rcは、上に定義される1つ以上のヘテロアリールラジカルである。ヘテロアリールアルキル基は、5~10員ヘテロアリール基に接続されたC1-C10アルキレン鎖(すなわち、5~10員ヘテロアリールアルキル)または5~6員ヘテロアリール基に接続されたC1-C10アルキレン鎖(すなわち、5~6員ヘテロアリールアルキル)を含有し得る。本明細書で特に明記しない限り、ヘテロアリールアルキル基は、任意選択により置換される。
【0074】
「ヘテロシクリル」は、窒素、酸素、及び硫黄から独立して選択される1つ以上の環ヘテロ原子を含む、飽和または不飽和の環状アルキル基を指す。「ヘテロシクリル」という用語は、ヘテロシクロアルケニル基(すなわち、少なくとも1つの二重結合を有するヘテロシクリル基)、架橋ヘテロシクリル基、縮合ヘテロシクリル基、及びスピロヘテロシクリル基を含む。ヘテロシクリルは、単環または多環であり得、ここで、多環は、縮合、架橋、またはスピロであってよく、1つ以上のオキソ(C=O)またはN-オキシド(N-O-)部分を含み得る。少なくとも1つのヘテロ原子を含有する任意の非芳香族環は、結合に関係なく、ヘテロシクリルとみなされる(すなわち、炭素原子またはヘテロ原子を介して結合することができる)。更に、ヘテロシクリルという用語は、分子の残りの部分への結合に関係なく、アリール環、またはヘテロアリール環に縮合し得る少なくとも1つのヘテロ原子を含有する任意の非芳香族環を包含することが意図される。本明細書で使用される場合、ヘテロシクリルは、1~10個の環炭素原子、1~8個の炭素原子、1~6個の炭素原子、または1~4個の炭素原子と、窒素、硫黄及び酸素から独立して選択される1~5個の環ヘテロ原子、1~4個のヘテロ原子、1~3個のヘテロ原子、または1~2個のヘテロ原子とを有する。好ましいヘテロシクリルは、窒素及び酸素から選択される1~4個のヘテロ原子を含む環系で5~10員(すなわち、5~10員ヘテロシクリル)または窒素及び酸素から選択される1~4個のヘテロ原子を含む環系で5~8員(すなわち、5~8員ヘテロシクリル)を有する。ヘテロシクリル基の例としては、ジオキソラニル、チエニル[1,3]ジチアニル、デカヒドロイソキノリル、イミダゾリニル、イミダゾリジニル、イソチアゾリジニル、イソキサゾリジニル、モルホリニル、オクタヒドロインドリル、オクタヒドロイソインドリル、2-オキソピペラジニル、2-オキソピペリジニル、2-オキソピロリジニル、オキサゾリジニル、ピペリジニル、ピペラジニル、4-ピペリドニル、ピロリジニル、ピラゾリジニル、キヌクリジニル、チアゾリジニル、テトラヒドロフリル、トリチアニル、テトラヒドロピラニル、チオモルホリニル、チアモルホリニル、1-オキソ-チオモルホリニル及び1,1-ジオキソ-チオモルホリニルが挙げられる。本明細書で特に明記しない限り、ヘテロシクリル基は、任意選択により置換される。
【0075】
「ヘテロシクリルアルキル」は、式-Rb-Rcのラジカルを指し、式中、Rbは、アルキレン鎖であり、Rcは、上に定義される1つ以上のヘテロシクリルラジカルである。ヘテロシクリルアルキル基は、5~10員ヘテロシクリルラジカルに接続されたC1-C10アルキレン鎖(すなわち、5~10員ヘテロシクリルアルキル)または5~8員ヘテロシクリルラジカルに接続されたC1-C10アルキレン鎖(すなわち、5~8員ヘテロシクリルアルキル)を含有し得る。本明細書で特に明記しない限り、ヘテロシクリルアルキル基は、任意選択により置換される。
【0076】
いくつかの実施形態において、本明細書で使用される「置換された」という用語は、上記の基または他の置換基(例えば、C1-C6アルキル、C2-C6アルケニル、C2-C6アルキニル、C3-C12シクロアルキル、C3-C12シクロアルキルアルキル、アリール、及びヘテロアリール)のいずれかにおいて、少なくとも1つの水素原子(例えば、1、2、3、または全ての水素原子)が限定するものではないが、F、Cl、Br、及びIなどのハロゲン原子(すなわち、「ハロ」);ヒドロキシル基またはアルコキシ基などの基中の酸素原子(例えば、アルコキシまたはハロアルコキシ);アミン(例えば、-NH2)、アミド(例えば、-(C=O)NH2)、及びニトロなどの基中の窒素原子;F、Cl、Br、及びIなどの1つ以上のハロゲンを含むアルキル基(例えば、ハロアルキル);ならびにシアノなどの非水素原子への結合によって置き換えられていることを意味する。
【0077】
L、R1a、R1b、R2、R3、R4、R5、R6、及びR7に関する各選択は、特に明記しない限り、全ての原子価が置換によって満たされることを条件に、上記のように任意選択により置換されることが理解される。具体的には、L、R1a、R1b、R2、R3、R4、R5、R6、及びR7に関する各選択は、特に明記しない限り、かかる置換によって安定な分子が得られるということを条件に(例えば、H及びハロなどの基は、任意選択により置換されない)、任意選択により置換される。
【0078】
本明細書で使用される「軽度認知障害」及び「MCI」とは、加齢に伴う認知機能の変化と初期の認知症との中間に位置する認知機能の低下を指す。MCIを示す人は、過去からの低下を示す認知障害の証拠を示すが、日常生活において実質的に自立して機能することができる。軽度認知障害は認知症の前駆症状かもしれないが、認知症として分類されるほど重度ではない認知障害が含まれる。MCIは、学習・記憶、言語、視覚・空間能力、実行機能、精神運動機能を含むが、これらに限定されない1つ以上の認知機能に影響を及ぼす可能性がある。例えば、Knopman et al.,2014,Mayo Clin Proc,89(10):1452-1459を参照のこと。
【0079】
化合物または組成物の「有効量」または「治療上有効な量」は、本明細書の開示に基づいて望まれる意図された結果をもたらす化合物または組成物の量を指す。有効量は、細胞培養または実験動物における標準的な製薬手順によって、例えば、限定するものではないが、ED50(集団の50%において治療上有効な用量)及びLD50(集団の50%にとって致死的な用量)を決定することによって、決定することができる。いくつかの実施形態において、有効量の化合物は、対象(すなわち、ヒト患者)における症状の軽減もしくは阻害または生存の延長をもたらす。結果には、化合物の複数回投与が必要とされ得る。
【0080】
対象の疾患の「治療すること」または「治療」は、1)疾患の素因があるもしくはその症状をまだ呈していない患者において疾患の発生を予防すること、2)疾患を阻害することもしくはその発症を抑止すること、または3)疾患を緩和することもしくは寛解をもたらすことを指す。本明細書で使用される場合、「治療」または「治療すること」は、臨床結果を含む有益な、または望ましい結果を得るためのアプローチである。本開示の目的上、有益な、または望ましい結果には、次のうちの1つ以上が含まれるが、これらに限定されない:対象の疾患もしくは障害に起因する1つ以上の症状を軽減すること、疾患もしくは障害の程度を低減すること、疾患もしくは障害を安定化すること(例えば、疾患または障害の悪化を防止することまたは遅延させること)、疾患もしくは障害を発生もしくは再発を遅延させること、疾患もしくは障害の進行を遅延もしくは緩徐させること、疾患もしくは障害の状態を改善すること、疾患もしくは障害の寛解(部分的または全体的であるかに関わらない)を提供すること、疾患もしくは障害の治療に必要な1つ以上の他の薬物の用量を低減すること、疾患もしくは障害の治療に使用される別の薬物の効果を増強すること、疾患もしくは障害の進行を遅延させること、生活の質を向上させること、及び/または生存期間を延長させること。疾患または障害の病理的帰結の軽減もまた「治療」に包含される。本発明の方法は、これらの治療の様態のうちのいずれか1つ以上を企図する。
【0081】
本明細書で使用される場合、「個体(複数可)」、「対象(複数可)」及び「患者(複数可)」という用語は、任意の哺乳動物を意味する。例としては、マウス、ラット、ハムスター、モルモット、ブタ、ウサギ、ネコ、イヌ、ヤギ、ヒツジ、ウシ、及びヒトが挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態において、哺乳動物は、ヒトである。
【0082】
本明細書で使用される「治療効果」という用語は、本明細書に記載される治療上の利益及び/または予防上の利益を包含する。治療効果には、疾患もしくは状態の出現を遅延もしくは排除すること;疾患もしくは状態の症状の発症を遅延もしくは排除すること;疾患もしくは状態の進行を緩徐、停止、もしくは逆転させること;疾患もしくは状態の部分もしくは完全寛解をもたらすこと;またはこれらの任意の組み合わせが含まれる。
【0083】
「共投与」、「~と組み合わせて投与される」という用語、及びその文法上の等価物は、本明細書で使用される場合、ヒトを含む動物への2つ以上の剤の投与により、両方の剤及び/またはそれらの代謝産物が同時に対象内に存在することを包含する。共投与は、別々の組成物における同時投与、別々の組成物における異なる時点での投与、または両方の剤が存在する一組成物での投与を含む。
【0084】
「薬学的に許容される」は、動物またはヒトの医薬用途に適した医薬組成物の調製に有用な化合物、塩、組成物、剤形及び他の材料を指す。
【0085】
「薬学的に許容される塩」には、酸付加塩及び塩基付加塩の両方が含まれる。
【0086】
「薬学的に許容される酸付加塩」は、その遊離塩基の生物学的有効性及び特性を保持し、生物学的にまたは別様に望ましくないものではない塩を指し、例えば、限定するものではないが、塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸などの無機酸と形成されるもの、及び限定するものではないが、酢酸、2,2-ジクロロ酢酸、アジピン酸、アルギン酸、アスコルビン酸、アスパラギン酸、ベンゼンスルホン酸、安息香酸、4-アセトアミド安息香酸、ショウノウ酸、カンファー-10-スルホン酸、カプリン酸、カプロン酸、カプリル酸、炭酸、ケイ皮酸、クエン酸、シクラミン酸、ドデシル硫酸、エタン-1,2-ジスルホン酸、エタンスルホン酸、2-ヒドロキシエタンスルホン酸、ギ酸、フマル酸、ガラクタル酸、ゲンチシン酸、グルコヘプトン酸、グルコン酸、グルクロン酸、グルタミン酸、グルタル酸、2-オキソ-グルタル酸、グリセロリン酸、グリコール酸、馬尿酸、イソ酪酸、乳酸、ラクトビオン酸、ラウリン酸、マレイン酸、リンゴ酸、マロン酸、マンデル酸、メタンスルホン酸、ムチン酸、ナフタレン-1,5-ジスルホン酸、ナフタレン-2-スルホン酸、1-ヒドロキシ-2-ナフトエ酸、ニコチン酸、オレイン酸、オロト酸、シュウ酸、パルミチン酸、パモ酸、プロピオン酸、ピログルタミン酸、ピルビン酸、サリチル酸、4-アミノサリチル酸、セバシン酸、ステアリン酸、コハク酸、酒石酸、チオシアン酸、p-トルエンスルホン酸、トリフルオロ酢酸、ウンデシレン酸などの有機酸と形成されるものである。
【0087】
「薬学的に許容される塩基付加塩」は、その遊離酸の生物学的有効性及び特性を保持し、生物学的にまたは別様に望ましくないものではない塩を指す。これらの塩は、遊離酸に無機塩基または有機塩基を付加することから調製される。無機塩基から誘導される塩には、ナトリウム、カリウム、リチウム、アンモニウム、カルシウム、マグネシウム、鉄、亜鉛、銅、マンガン、アルミニウムの塩などが含まれるが、これらに限定されない。好ましい無機塩は、アンモニウム、ナトリウム、カリウム、カルシウム、及びマグネシウムの塩である。有機塩基から誘導される塩には、一級、二級及び三級アミン、天然置換アミンを含む置換アミン、環状アミン、ならびに塩基性イオン交換樹脂、例えば、アンモニア、イソプロピルアミン、トリメチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、ジエタノールアミン、エタノールアミン、デアノール、2-ジメチルアミノエタノール、2-ジエチルアミノエタノール、ジシクロヘキシルアミン、リシン、アルギニン、ヒスチジン、カフェイン、プロカイン、ヒドラバミン、コリン、ベタイン、ベネタミン、ベンザチン、エチレンジアミン、グルコサミン、メチルグルカミン、テオブロミン、トリエタノールアミン、トロメタミン、プリン、ピペラジン、ピペリジン、N-エチルピペリジン、ポリアミン樹脂の塩などが含まれるが、これらに限定されない。特に好ましい有機塩基は、イソプロピルアミン、ジエチルアミン、エタノールアミン、トリメチルアミン、ジシクロヘキシルアミン、コリン、及びカフェインである。
【0088】
いくつかの実施形態において、薬学的に許容される塩には、四級アミンアルキルハライド塩(例えば、臭化メチル)などの四級アンモニウムが含まれる。
【0089】
本明細書で使用される場合、「治療薬剤」は、生物学的、薬学的、または化学的な化合物または他の部分を指す。非限定的な例としては、単純または複雑な有機分子もしくは無機分子、ペプチド、タンパク質、オリゴヌクレオチド、抗体、抗体誘導体、抗体断片、ビタミン誘導体、炭水化物、毒素、または化学療法化合物が挙げられる。様々な化合物、例えば、小分子及びオリゴマー(例えば、オリゴペプチド及びオリゴヌクレオチド)、ならびに様々なコア構造に基づく合成有機化合物を合成することができる。加えて、植物または動物の抽出物などの様々な天然源からスクリーニングのための化合物を得ることもできる。
【0090】
「in vivo」という用語は、対象の体内で生じる事象を指す。
【0091】
本開示の実施形態は、異なる原子質量または質量数を有する原子によって置き換えられた1つ以上の原子を有することによって同位体標識がなされた全ての薬学的に許容される式(I)の化合物(すなわち、式(I)の化合物の「同位体形態」)を包含することも意図される。式(I)の化合物に導入することができる同位体の例としては、水素、炭素、窒素、酸素、リン、フッ素、塩素、及びヨウ素の同位体、例えば、2H、3H、11C、13C、14C、13N、15N、15O、17O、18O、31P、32P、35S、18F、36Cl、123I、及び125Iが挙げられる。これらの放射性標識化合物は、例えば、作用部位もしくは作用様式、または薬理学的に重要な作用部位への結合親和性を特徴付けることによって、化合物の有効性を決定または測定することを支援するのに有用であり得る。ある特定の同位体標識された式(I)の化合物、例えば、放射性同位体を組み込んだものは、薬物及び/または基質の組織分布研究に有用である。放射性同位体のトリチウム、すなわち、3H、及び炭素-14、すなわち、14Cは、その組み込みが容易であり、検出手段が整っているという点から、この目的に特に有用である。
【0092】
重水素、すなわち、2Hなどのより重い同位体での置換は、より高い代謝安定性、例えば、in vivo半減期の延長または必要な投与量の減少から得られる特定の治療上の利点をもたらし得ることから、状況によっては好ましい場合もある。
【0093】
11C、18F、15O及び13Nなどのポジトロン放出同位体での置換は、基質受容体の占有率を調べるためのポジトロン放出断層撮影(PET)研究において有用であり得る。同位体標識された式(I)の化合物は、一般的に、当業者に知られている従来技術によって、またはこれまで用いていた非標識試薬の代わりに適切な同位体標識された試薬を使用して以下に記述される実施例に記載されるものに類似するプロセスによって、調製することができる。
【0094】
ある特定の実施形態は、本開示の化合物のin vivo代謝産物を包含することも意図される。そのような産物は、主に酵素的プロセスに起因して、例えば、投与された化合物の酸化、還元、加水分解、アミド化、エステル化などから生じ得る。したがって、実施形態は、その代謝産物が生成されるのに十分な期間にわたって、本開示の化合物を哺乳動物に投与することを含むプロセスによって生じる化合物を含む。そのような産物は、典型的に、放射標識された本開示の化合物をラット、マウス、モルモット、サル、またはヒトなどの動物に検出可能な用量で投与し、代謝が生じるのに十分な時間を置き、尿、血液または他の生体サンプルからその変換産物を単離することによって特定される。
【0095】
「安定した化合物」及び「安定した構造」とは、反応混合物から有用な純度まで単離し、有効な治療薬剤へ製剤化する際にそのまま残存するのに十分な堅牢性を有する化合物を示すことを意味する。
【0096】
多くの場合、結晶化により、本開示の化合物の溶媒和物が生成される。本明細書で使用される場合、「溶媒和物」という用語は、式(I)の化合物のうちの1つ以上の分子を1つ以上の溶媒分子とともに含む集合体を指す。いくつかの実施形態において、溶媒は水であり、この場合、溶媒和物は水和物である。あるいは、他の実施形態において、溶媒は、有機溶媒である。したがって、式(I)の化合物は、一水和物、二水和物、半水和物、セスキ水和物、三水和物、四水和物などを含む水和物、ならびに対応する溶媒和物として存在し得る。いくつかの態様において、式(I)の化合物は、真の溶媒和物であり、他の場合では、本開示の化合物は、偶発的な水を単に保持しているか、または水と何らかの偶発的な溶媒の混合物である。
【0097】
「任意選択の」または「任意選択により」とは、その後に記載される状況の事象が生じても生じなくてもよいこと、また、その記載が当該事象または状況が生じる場合及び生じない場合を含むことを意味する。例えば、「任意選択により置換されたアリール」とは、アリールラジカルが置換されても置換されなくてもよいこと、また、その記載が置換されたアリールラジカルと置換を持たないアリールラジカルの両方を含むことを意味する。更なる置換基が際限なく付加された置換基(例えば、置換アリールが置換アルキルを有し、その置換アルキル自体が置換アリール基で置換され、その置換アリール基が更に置換ヘテロアルキル基で置換されているなど)を定義することによって到達される高分子または類似の無限の構造は、本明細書中に含まれることを意図していない。同様に、上の定義は、許容されない置換パターン(例えば、5個のフッ素で置換されたメチル、または2つの隣接する酸素環原子を有するヘテロアリール基)を含むことを意図していない。そのような許容されない置換パターンは、当業者によく知られている。
【0098】
「医薬組成物」または「薬学的に許容される組成物」は、本開示の化合物と、生物学的に活性な化合物を哺乳動物、例えば、ヒトに送達するのに当該技術分野において一般に認められている媒体との製剤を指す。そのような媒体には、そのための薬学的に許容される全ての担体、希釈剤、または賦形剤が含まれる。
【0099】
「薬学的に許容される担体、希釈剤または賦形剤」は、限定するものではないが、ヒトまたは飼育動物での使用が許容されるものとして米国食品医薬品局から承認を受けている、あらゆる補助剤、担体、賦形剤、流動化剤、甘味剤、希釈剤、防腐剤、色素/着色剤、風味向上剤、界面活性剤、湿潤剤、分散剤、懸濁化剤、安定剤、等張化剤、溶媒、または乳化剤を含む。
【0100】
式(I)の化合物、またはその薬学的に許容される塩もしくは同位体形態は、幾何学的非対称性をもたらす1つ以上の中心を含有し得、したがって、絶対立体化学の観点から(R)-もしくは(S)-またはアミノ酸の場合は(D)-もしくは(L)-と定義される、エナンチオマー、ジアステレオマー、及び他の立体異性体を生じ得る。したがって、実施形態は、そのような全ての可能な異性体、ならびにそのラセミ体及び光学的に純粋な形態を含む。光学的に活性な(+)及び(-)、(R)-及び(S)-、または(D)-及び(L)-異性体は、キラルシントンもしくはキラル試薬を使用して調製することができ、または、従来技術、例えば、クロマトグラフィー及び分別晶析を使用して分割することもできる。個々のエナンチオマーを調製/単離するための従来技術には、好適な光学的に純粋な前駆体からのキラル合成、または、例えば、キラル高速液体クロマトグラフィー(HPLC)を使用するラセミ体(または塩もしくは誘導体のラセミ体)の分割が含まれる。本明細書に記載される化合物がオレフィン二重結合または他の幾何学的不斉中心を含有する場合、特に明記しない限り、化合物は、E幾何異性体とZ幾何異性体の両方を含むことが意図される。同様に、全ての互変異性体もまた含まれることが意図される。
【0101】
「立体異性体」は、同じ結合によって結合された同じ原子からなるが、互換性はない、異なる三次元構造を有する化合物を指す。本開示は、様々な立体異性体及びその混合物を企図するものであり、分子を互いに重ね合わせることができない鏡像である2つの立体異性体を指す「エナンチオマー」を含む。
【0102】
「ジアステレオマー」は、少なくとも2つの不斉原子を有するが、互いに鏡像ではない立体異性体である。
【0103】
「互変異性体」は、分子のある原子から同じ分子の別の原子へプロトンが移動するものを指す。したがって、実施形態は、本開示の化合物の互変異性体を含む。
【0104】
本明細書に使用される化学命名プロトコル及び構造図は、ACD/Name Version 9.07ソフトウェアプログラム及び/またはChemDraw Ultra Version 11.0.1ソフトウェア命名プログラム(CambridgeSoft)を使用した、修正版のI.U.P.A.C.命名法である。本明細書で採用される複雑な化学名では、置換基は、典型的に、その置換基が結合する基の前にその名が付けられる。例えば、シクロプロピルエチルは、シクロプロピル置換基を有するエチル骨格を含む。以下に記載される場合を除き、本明細書の化学構造図では、一部の炭素原子上の全ての結合を除き、全ての結合が特定されており、炭素原子上の結合は、原子価を満たすのに十分な水素原子に結合していることが想定される。
【0105】
本発明の様々な特徴は、単一の実施形態の文脈において説明され得るが、その特徴は、別々にまたは任意の好適な組み合わせで提供されてもよい。反対に、本発明は、明確を期すために、別々の実施形態の文脈で本明細書に記載され得るが、本発明は、単一の実施形態で実施されてもよい。
【0106】
化合物
一態様において、本明細書で提供されるのは、式(I)の化合物:
【化11】
またはその薬学的に許容される塩であり、式中、
Lは、直接結合、-C(=O)-、-(CR
aR
b)
m-C(=O)-、-C(=O)-(CR
aR
b)
m-、または-(CR
aR
b)
m-であり、
各R
a及びR
bは、独立して、H、C
1-C
6アルキル、C
2-C
6アルケニル、またはC
2-C
6アルキニルであり、
R
1a及びR
1bは、独立して、H、C
1-C
6アルキル、C
2-C
6アルケニル、C
2-C
6アルキニル、C
1-C
6アルコキシ、ハロ、またはC
6-C
10アリールアルキルであり、
R
2は、H、オキソ、またはチオキソであり、
R
3は、C
2-C
6アルキル、C
3-C
6アルケニル、C
3-C
6アルキニル、C
3-C
12シクロアルキル、C
3-C
6シクロアルキルアルキル、C
6-C
10アリールアルキル、5~10員ヘテロアリールアルキル、または5~10員ヘテロシクリルアルキルであり、
ここで、前記5~10員ヘテロアリールアルキルまたは5~10員ヘテロシクリルアルキルは、窒素及び酸素から選択される1~3個のヘテロ原子を含有し、
R
4は、C
6-C
10アリール、5~10員ヘテロアリール、または5~10員ヘテロシクリルであり、
ここで、前記5~10員ヘテロアリールまたは5~10員ヘテロシクリルは、窒素及び酸素から選択される1~3個のヘテロ原子を含有し、
各R
5は、独立して、C
1-C
6アルキル、オキソ、またはハロであり、
R
6は、H、C
1-C
6アルキル、またはオキソであり、
R
7は、Hまたはオキソであり、
mは、1または2であり、
nは、0~3の整数であり、
ここで、各C
1-C
6アルキル、C
2-C
6アルケニル、C
2-C
6アルキニル、C
3-C
12シクロアルキル、C
3-C
12シクロアルキルアルキル、C
6-C
10アリール、C
6-C
10アリールアルキル、5~10員ヘテロアリール、5~10員ヘテロアリールアルキル、5~10員ヘテロシクリル、及び5~10員ヘテロシクリルアルキルは、ヒドロキシル、ハロ、アミノ、C
1-C
6ハロアルキル、C
1-C
6アルコキシ、C
1-C
6ハロアルコキシ、シアノ、-(C=O)NH
2、ニトロ、-SO
2(C
1-C
6アルキル)、及び-CO
2Hから選択される1~5個の置換基で任意選択により置換される。
【0107】
いくつかの実施形態において、Lは、直接結合である。いくつかの実施形態において、Lは、-C(=O)-または-(CRaRb)m-である。いくつかの実施形態において、Lは、-C(=O)-である。いくつかの実施形態において、Lは、-(CRaRb)m-である。いくつかの実施形態において、Lは、-(CRaRb)m-C(=O)-または-C(=O)-(CRaRb)m-である。いくつかの実施形態において、Lは、-(CRaRb)m-C(=O)-である。いくつかの実施形態において、Lは、-C(=O)-(CRaRb)m-である。
【0108】
いくつかの実施形態において、各Ra及びRbは、独立して、H、C1-C6アルキル、C2-C6アルケニル、またはC2-C6アルキニルである。いくつかの実施形態において、各Ra及びRbは、独立して、H、C1-C3アルキル、C2-C4アルケニル、またはC2-C4アルキニルである。いくつかの実施形態において、Ra及びRbは、それぞれHである。いくつかの実施形態において、Raは、Hである。いくつかの実施形態において、Raは、メチル、エチル、またはプロピルなどのC1-C6アルキルである。いくつかの実施形態において、Raは、ビニルまたはプロペニルなどのC2-C6アルケニルである。いくつかの実施形態において、Raは、エチニルまたはプロピニルなどのC2-C6アルキニルである。いくつかの実施形態において、Rbは、Hである。いくつかの実施形態において、Rbは、メチル、エチル、またはプロピルなどのC1-C6アルキルである。いくつかの実施形態において、Rbは、ビニルまたはプロペニルなどのC2-C6アルケニルである。いくつかの実施形態において、Rbは、エチニルまたはプロピニルなどのC2-C6アルキニルである。
【0109】
いくつかの実施形態において、R1a及びR1bは、独立して、H、C1-C6アルキル、C2-C6アルケニル、C2-C6アルキニル、C1-C6アルコキシ、ハロ、またはC6-C10アリールアルキルである。いくつかの実施形態において、R1aは、Hである。いくつかの実施形態において、R1aは、メチル、エチル、またはプロピルなどのC1-C6アルキルである。いくつかの実施形態において、R1aは、ビニルまたはプロペニルなどのC2-C6アルケニルである。いくつかの実施形態において、R1aは、エチニルまたはプロピニルなどのC2-C6アルキニルである。いくつかの実施形態において、R1aは、メトキシ、エトキシ、またはプロポキシなどのC1-C6アルコキシである。いくつかの実施形態において、R1aは、フルオロ、クロロ、またはブロモなどのハロである。いくつかの実施形態において、R1aは、ベンジルなどのC6-C10アリールアルキルである。いくつかの実施形態において、R1bは、Hである。いくつかの実施形態において、R1bは、メチル、エチル、またはプロピルなどのC1-C6アルキルである。いくつかの実施形態において、R1bは、ビニルまたはプロペニルなどのC2-C6アルケニルである。いくつかの実施形態において、R1bは、エチニルまたはプロピニルなどのC2-C6アルキニルである。いくつかの実施形態において、R1bは、メトキシ、エトキシ、またはプロポキシなどのC1-C6アルコキシである。いくつかの実施形態において、R1bは、フルオロ、クロロ、またはブロモなどのハロである。いくつかの実施形態において、R1bは、ベンジルなどのC6-C10アリールアルキルである。
【0110】
いくつかの実施形態において、R1a及びR1bは、それぞれ独立して、H;ハロ、-CO2H、及び-C(=O)NH2から選択される1~3個の置換基で任意選択により置換されたC1-C6アルキル;C1-C6アルコキシ;ハロ;またはハロ及びアミノから選択される1~3個の置換基によって任意選択により置換されたC6-C10アリールアルキルである。いくつかの実施形態において、R1aは、フルオロまたはクロロなどの1~3個のハロで置換されたC1-C6アルキルである。いくつかの実施形態において、R1aは、1~3個の-CO2H基で置換されたC1-C6アルキルである。いくつかの変形形態において、R1aは、1~2個のCO2H基で置換されたC1-C3アルキル、例えば、-CH2CO2Hまたは-CH2CH2CO2Hである。いくつかの実施形態において、R1aは、1~3個の-C(=O)NH2基で置換されたC1-C6アルキルである。いくつかの実施形態において、R1aは、1~2個の-C(=O)NH2基で置換されたC1-C3アルキル、例えば、-CH2C(=O)NH2または-CH2CH2C(=O)NH2である。いくつかの実施形態において、R1aは、ハロ及びアミノから選択される1~3個の置換基によって置換されたC6-C10アリールアルキルである。いくつかの実施形態において、R1aは、フルオロ、クロロ、またはブロモなどの1~3個のハロによって置換されたC6-C10アリールアルキルである。いくつかの実施形態において、R1aは、1~3個のアミノによって置換されたC6-C10アリールアルキルである。いくつかの実施形態において、R1bは、フルオロまたはクロロなどの1~3個のハロで置換されたC1-C6アルキルである。いくつかの実施形態において、R1bは、1~3個の-CO2H基で置換されたC1-C6アルキルである。いくつかの変形形態において、R1bは、1~2個のCO2H基で置換されたC1-C3アルキル、例えば、-CH2CO2Hまたは-CH2CH2CO2Hである。いくつかの実施形態において、R1bは、1~3個の-C(=O)NH2基で置換されたC1-C6アルキルである。いくつかの実施形態において、R1bは、1~2個の-C(=O)NH2基で置換されたC1-C3アルキル、例えば、-CH2C(=O)NH2または-CH2CH2C(=O)NH2である。いくつかの実施形態において、R1bは、ハロ及びアミノから選択される1~3個の置換基によって置換されたC6-C10アリールアルキルである。いくつかの実施形態において、R1bは、フルオロ、クロロ、またはブロモなどの1~3個のハロによって置換されたC6-C10アリールアルキルである。いくつかの実施形態において、R1bは、1~3個のアミノによって置換されたC6-C10アリールアルキルである。いくつかの実施形態において、R1a及びR1bは、それぞれ独立して、H、メチル、フルオロ、2-メチルブチル、-CH2F、メトキシ、-CH2CO2H、-CH2C(=O)NH2、ベンジル、または4-アミノベンジルである。いくつかの実施形態において、R1a及びR1bは、それぞれ独立して、HまたはC1-C3アルキルである。いくつかの実施形態において、R1aはメチルであり、R1bはHである。いくつかの実施形態において、R1a及びR1bは、それぞれHである。いくつかの実施形態において、R1a及びR1bの一方は、Hであり、他方は、メチルなどのC1-C3アルキルである。
【0111】
いくつかの実施形態において、R2は、H、オキソ、またはチオキソである。いくつかの実施形態において、R2は、Hである。いくつかの実施形態において、R2は、オキソである。いくつかの実施形態において、R2は、チオキソである。
【0112】
いくつかの実施形態において、R3は、C3-C6アルキル、C3-C6アルケニル、C3-C6アルキニル、C3-C12シクロアルキル、C3-C6シクロアルキルアルキル、C6-C10アリールアルキル、5~10員ヘテロアリールアルキル、または5~10員ヘテロシクリルアルキルであり、ここで、5~10員ヘテロアリールアルキルまたは5~10員ヘテロシクリルアルキルは、窒素及び酸素から選択される1~3個のヘテロ原子を含有する。いくつかの実施形態において、R3は、プロピル、ブチル、ペンチル、またはヘキシルなどのC3-C6アルキルである。いくつかの実施形態において、R3は、C4-C6アルキルである。いくつかの実施形態において、R3は、C3-C6アルケニルである。いくつかの実施形態において、R3は、C4-C6アルケニルである。いくつかの実施形態において、R3は、C3-C6アルキニルである。いくつかの実施形態において、R3は、C4-C6アルキニルである。いくつかの実施形態において、R3は、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、またはシクロヘキシルなどのC3-C12シクロアルキルである。いくつかの実施形態において、R3は、C3-C6シクロアルキルである。いくつかの実施形態において、R3は、-(CH2)1-3(C3-C6シクロアルキル)などのC3-C6シクロアルキルアルキルである。いくつかの実施形態において、R3は、ベンジルなどのC6-C10アリールアルキルである。いくつかの実施形態において、R3は、-(CH2)1-3(5~10員ヘテロアリール)または-(CH2)1-3(5~6員ヘテロアリール)などの5~10員ヘテロアリールアルキルである。いくつかの実施形態において、5~10員ヘテロアリールアルキルは、1~2個の窒素原子を含有する。いくつかの実施形態において、R3は、-(CH2)1-3(5~10員ヘテロシクリル)または-(CH2)1-2(5~6員ヘテロシクリル)などの5~10員ヘテロシクリルアルキルである。いくつかの実施形態において、5~10員ヘテロシクリルアルキルは、1~2個の窒素原子を含有する。
【0113】
いくつかの実施形態において、R
3は、ハロ及び-C(=O)NH
2から選択される1~3個の置換基によって任意選択により置換されたC
3-C
6アルキル、C
2-C
6アルケニル、またはC
3-C
6シクロアルキルアルキルである。いくつかの実施形態において、R
3は、ハロ、C
1-C
3アルコキシ、ヒドロキシ、-NH
2、-SO
2(C
1-C
3アルキル)、及び-C(=O)NH
2から選択される1~3個の置換基によって任意選択により置換されたC
2-C
6アルキル;C
2-C
6アルケニル;C
3-C
6シクロアルキルアルキル;5~6員ヘテロアリールアルキル;5~6員ヘテロシクリルアルキル;またはC
6アリールアルキルである。いくつかの実施形態において、R
3は、C
1-C
3アルコキシ、ヒドロキシ、-NH
2、及び-SO
2(C
1-C
3アルキル)から選択される1~3個の置換基によって置換されたC
2アルキルである。いくつかの実施形態において、R
3は、以下である:
【化12】
いくつかの実施形態において、R
3は、以下である:
【化13】
いくつかの実施形態において、R
3は、2-メチルブチルである。
【0114】
いくつかの実施形態において、R4は、C6-C10アリール、5~10員ヘテロアリール、または5~10員ヘテロシクリルであり、ここで、5~10員ヘテロアリールまたは5~10員ヘテロシクリルは、窒素及び酸素から選択される1~3個のヘテロ原子を含有する。いくつかの実施形態において、R4は、フェニルなどのC6-C10アリールである。いくつかの実施形態において、R4は、1~2個の窒素原子を含有する5~10員ヘテロアリールである。いくつかの実施形態において、R4は、5~10員ヘテロシクリルである。いくつかの実施形態において、R4は、1~2個の窒素原子を含有する5~9員ヘテロシクリルである。いくつかの実施形態において、R4は、1~2個の酸素原子を含有する5~9員ヘテロシクリルである。いくつかの実施形態において、R4は、1個の窒素原子及び1個の酸素原子を含有する5~9員ヘテロシクリルである。
【0115】
いくつかの実施形態において、R
4は、ハロ、ヒドロキシル、C
1-C
6ハロアルキル、及びC
1-C
6ハロアルコキシから選択される1~3個の置換基で任意選択により置換されたC
6-C
10アリールである。いくつかの実施形態において、R
4は、-CF
3、-OCHF
2、-OH、フルオロ、及びクロロから選択される1~3個の置換基で置換されたフェニルである。いくつかの実施形態において、R
4は、以下である:
【化14】
いくつかの実施形態において、R
4は、以下である:
【化15】
【0116】
いくつかの実施形態において、R
4は、ハロ、ヒドロキシル、C
1-C
6ハロアルキル、及びC
1-C
6ハロアルコキシから選択される1~3個の置換基で任意選択により置換された5~10員ヘテロアリールである。いくつかの実施形態において、R
4は、ハロ、ヒドロキシル、C
1-C
6ハロアルキル、及びC
1-C
6ハロアルコキシから選択される1~3個の置換基で任意選択により置換されたピリジルまたはインドリルである。いくつかの実施形態において、R
4は、
【化16】
である。いくつかの実施形態において、R
4は、ハロ、ヒドロキシル、C
1-C
6ハロアルキル、及びC
1-C
6ハロアルコキシから選択される1~3個の置換基で置換されたピリジルである。いくつかの実施形態において、R
4は、
【化17】
である。いくつかの実施形態において、R
4は、ハロ、ヒドロキシル、C
1-C
6ハロアルキル、及びC
1-C
6ハロアルコキシから選択される1~3個の置換基で任意選択により置換された5~10員ヘテロシクリルである。いくつかの実施形態において、R
4は、インドリニルである。
【化18】
【0117】
いくつかの実施形態において、-L-R
4は、-CH
2(フェニル)または-C(O)(フェニル)であり、ここで、フェニルは、C
1-C
3ハロアルキル、C
1-C
3ハロアルコキシ、ハロ、及びヒドロキシから選択される1~3個の置換基によって置換される。いくつかの実施形態において、-L-R
4は、-CH
2(ピリジル)または-C(O)(ピリジル)であり、ここで、ピリジルは、C
1-C
3ハロアルキル、C
1-C
3ハロアルコキシ、ハロ、及びヒドロキシから選択される1~3個の置換基によって置換される。いくつかの実施形態において、-L-R
4は、以下である:
【化19】
【0118】
いくつかの実施形態において、各R5は、独立して、C1-C6アルキル、オキソ、またはハロである。いくつかの実施形態において、R5は、メチル、エチル、またはプロピルなどのC1-C6アルキルである。いくつかの実施形態において、R5は、オキソである。いくつかの実施形態において、R5は、フルオロ、クロロ、またはブロモなどのハロである。いくつかの実施形態において、R5は、オキソまたはハロである。いくつかの実施形態において、R5は、オキソまたはフルオロである。
【0119】
いくつかの実施形態において、R6は、H、C1-C6アルキル、またはオキソである。いくつかの実施形態において、R6は、Hである。いくつかの実施形態において、R6は、メチル、エチル、またはプロピルなどのC1-C6アルキルである。いくつかの実施形態において、R6は、オキソである。
【0120】
いくつかの実施形態において、R7は、Hまたはオキソである。いくつかの実施形態において、R7は、Hである。いくつかの実施形態において、R7は、オキソである。
【0121】
いくつかの実施形態において、mは、1である。他の実施形態において、mは、2である。
【0122】
いくつかの実施形態において、nは、0である。他の実施形態において、nは、1~3の整数である。いくつかの実施形態において、nは、1である。いくつかの実施形態において、nは、2である。いくつかの実施形態において、nは、3である。
【0123】
式(I)のいずれかの実施形態またはその変形形態において、各C1-C6アルキル、C2-C6アルケニル、C2-C6アルキニル、C3-C12シクロアルキル、C3-C12シクロアルキルアルキル、C6-C10アリール、C6-C10アリールアルキル、5~10員ヘテロアリール、5~10員ヘテロアリールアルキル、5~10員ヘテロシクリル、及び5~10員ヘテロシクリルアルキルは、ヒドロキシル、ハロ(フルオロ、クロロ、またはブロモなど)、アミノ、C1-C6ハロアルキル(-CF3または-CHF2など)、C1-C6アルコキシ(メトキシまたはエトキシなど)、C1-C6ハロアルコキシ(-OCHF2または-OCF3など)、及び-(C=O)NH2から選択される1~3個の置換基で任意選択により置換される。
【0124】
いくつかの実施形態において、式(I)の化合物は、式(II)、(IIa)、(IIb)、(IIc)、(IId)、もしくは(IIe)の化合物:
【化20】
またはその薬学的に許容される塩であり、式中、L、R
1a、R
1b、R
3、R
4、R
5、R
6、R
7、及びnは、式(I)について記載されるとおりである。いくつかの実施形態において、化合物は、式(II)またはその薬学的に許容される塩で表される。いくつかの実施形態において、化合物は、式(IIa)またはその薬学的に許容される塩で表される。いくつかの実施形態において、化合物は、式(IIb)またはその薬学的に許容される塩で表される。いくつかの実施形態において、化合物は、式(IIc)またはその薬学的に許容される塩で表される。いくつかの実施形態において、化合物は、式(IId)またはその薬学的に許容される塩で表される。いくつかの実施形態において、化合物は、式(IIe)またはその薬学的に許容される塩で表される。
【0125】
いくつかの実施形態において、式(I)の化合物は、式(IIIa)、(IIIb)、(IIIc)、もしくは(IIId)の化合物:
【化21】
またはその薬学的に許容される塩であり、式中、R
1a、R
1b、R
3、R
5、R
6、及びnは、式(I)について記載されるとおりであり、Rは、式(I)について記載されるように、ヒドロキシル、ハロ、アミノ、C
1-C
6ハロアルキル、C
1-C
6ハロアルコキシなどの1つ以上の任意の置換基を表す。いくつかの実施形態において、化合物は、式(IIIa)またはその薬学的に許容される塩で表される。いくつかの実施形態において、化合物は、式(IIIb)またはその薬学的に許容される塩で表される。いくつかの実施形態において、化合物は、式(IIIc)またはその薬学的に許容される塩で表される。いくつかの実施形態において、化合物は、式(IIId)またはその薬学的に許容される塩で表される。
【0126】
いくつかの実施形態において、式(I)の化合物は、式(IVa)、(IVb)、(IVc)、もしくは(IVd)の化合物:
【化22】
またはその薬学的に許容される塩であり、式中、R
5及びnは、式(I)について記載されるとおりであり、Rは、式(I)について記載されるように、ヒドロキシル、ハロ、アミノ、C
1-C
6ハロアルキル、C
1-C
6ハロアルコキシなどの1つ以上の任意の置換基を表す。いくつかの実施形態において、化合物は、式(IVa)またはその薬学的に許容される塩で表される。いくつかの実施形態において、化合物は、式(IVb)またはその薬学的に許容される塩で表される。いくつかの実施形態において、化合物は、式(IVc)またはその薬学的に許容される塩で表される。いくつかの実施形態において、化合物は、式(IVd)またはその薬学的に許容される塩で表される。
【0127】
いくつかの実施形態において、式(I)の化合物は、式(V)の化合物:
【化23】
またはその薬学的に許容される塩であり、式中、L、R
1a、R
1b、R
3、及びR
4は、式(I)について記載されるとおりである。いくつかの実施形態において、Lは、-C(=O)-または-CH
2-であり、R
1a及びR
1bは、独立して、H、または-CO
2Hで任意選択により置換されたC
1-C
3アルキルであり、R
3は、C
4-C
5アルキル、C
4-C
5アルケニル、またはC
3-C
5シクロアルキルで置換されたC
1-C
3アルキルであり、R
4は、-CF
3、-OCHF
2、-OH、フルオロ、及びクロロから選択される1~3個の置換基で置換されたフェニルまたはピリジルである。いくつかの変形形態において、R
1a及びR
1bの一方は、Hであり、他方は、メチルなどのC
1-C
3アルキルである。
【0128】
本明細書の説明において、ある部分に関するあらゆる説明、変形形態、実施形態、または態様は、他の部分に関するあらゆる説明、変形形態、実施形態、または態様と、あたかも各々及び全ての説明の組み合わせが具体的かつ個別に列挙されているのと同じように、組み合わせることができることが理解される。例えば、式(I)のLに関して本明細書で提供されるあらゆる説明、変形形態、実施形態、または態様は、R1a、R1b、R2、R3、R4、R5、R6、R7、及びnに関するあらゆる説明、変形形態、実施形態、または態様と、あたかも各々及び全ての組み合わせが具体的かつ個別に列挙されているのと同じように、組み合わせることができる。式(I)に関する全ての説明、変形形態、実施形態、または態様は、該当する場合、本明細書で詳述される他の式に対しても、あたかも全ての式に関する各々及び全ての説明、変形形態、実施形態、または態様が個別かつ独立して列挙されているのと同じように、同様に適用され、同様に記載されるものと理解される。例えば、式(I)に関する全ての説明、変形形態、実施形態、または態様は、該当する場合、式(II)、(IIa)、(IIb)、(IIc)、(IId)、(IIe)、(IIIa)、(IIIb)、(IIIc)、(IIId)、(IVa)、(IVb)、(IVc)、(IVd)、及び(V)などの本明細書で詳述される式のいずれに対しても、あたかも全ての式に関する各々及び全ての説明、変形形態、実施形態、または態様が個別かつ独立して列挙されているのと同じように、同様に適用され、同様に記載される。
【0129】
いくつかの実施形態において、表1化合物から選択される化合物の、またはその薬学的に許容される塩が提供される。表1中のものを含む本開示に記載されるいくつかの化合物は、特定の立体異性体及び/または非立体化学的形態として示されるが、表1のものを含む本開示の化合物のいずれかの任意のエナンチオマー形態またはジアステレオマー形態を含む任意または全ての立体化学的形態、及び任意の互変異性体または他の形態も本明細書に記載されるものと理解される。
またはその薬学的に許容される塩。
【0130】
いくつかの実施形態において、式(I)の化合物は、化合物3a、3b、9、10、13、15、16、18、21、23-29、31-41、43-48、50、52、または54ではない。
【0131】
いくつかの実施形態において、表1Aの化合物から選択される化合物またはその薬学的に許容される塩が提供される。表1A中のものを含む本開示に記載されるいくつかの化合物は、特定の立体異性体及び/または非立体化学的形態として示されるが、表1Aのものを含む本開示の化合物のいずれかの任意のエナンチオマー形態またはジアステレオマー形態を含む任意または全ての立体化学的形態、及び任意の互変異性体または他の形態も本明細書に記載されるものと理解される。
またはその薬学的に許容される塩。
【0132】
本発明の記載において、示される式の置換基及び/または変数の組み合わせは、そのような関与が安定した化合物をもたらす場合にのみ許容されることが理解される。
【0133】
更に、遊離塩基または遊離酸の形態で存在する式(I)の全ての化合物は、当業者に知られている方法によって、適切な無機または有機の塩基または酸と処理することで、その薬学的に許容される塩に変換され得る。式(I)の化合物の塩は、標準的な技法によって、その遊離塩基または遊離酸の形態に変換することができる。
【0134】
合成方法
式(I)の化合物、またはその薬学的に許容される塩、同位体形態、もしくは立体異性体は、当該技術分野において知られている有機化学合成法を使用することによって、調製することができる。一般に、出発成分は、Sigma Aldrich、Lancaster Synthesis,Inc.、Maybridge、Matrix Scientific、TCI、及びFluorochem USAなどの供給元から入手してもよいし、当業者に知られている資料に従って合成してもよいし(例えば、Advanced Organic Chemistry:Reactions,Mechanisms,and Structure,5th edition(Wiley,December 2000)参照)、本明細書に記載されるように調製されてもよい。
【0135】
一般的な反応スキーム1.
【化24】
一般的な反応スキーム1は、式(I)の化合物を調製するための例示的な方法を提供する。一般的な反応スキーム1におけるR
1a、R
1b、R
2、R
3、R
4、R
5、R
6、R
7、L、及びnは、本明細書に定義されるとおりである。Xは、所望の反応を促進するために選択される反応性部分である(例えば、ハロ)。P
1及びP
2は、好適な保護基である。L’は、L’-R
4と二級アミンとの間の反応から所望のL部分が生じるように選択される。構造A1の化合物は、購入するか、または当該技術分野において知られている方法に従って調製される。A1とA2を適切なカップリング条件(例えば、T
3P及び塩基)下で反応させて、A1とA2との間のカップリング反応による生成物A3を得る。次いで、A3とA4を好適なカップリング条件(例えば、T
3P及び塩基)下で反応させて、化合物A5を得る。次いで、化合物A5を環化(例えば、ギ酸を使用)し、脱保護(例えば、ピペリジンを使用)して、化合物A6を得る。次いで、化合物A6を化合物A7と反応させることで、示される式(I)の最終化合物が得られる。
【0136】
一般的な反応スキーム2.
【化25】
式(I)の化合物の代替合成方法を一般的な反応スキーム2に示す。一般的な反応スキーム2におけるR
1a、R
1b、R
2、R
3、R
4、R
5、R
6、R
7、L、及びnは、本明細書に定義されるとおりである。P
2は、好適な保護基である。各Xは、所望の反応を促進するために選択される反応性部分である(例えば、ハロ)。L’は、L’-R
4と二級アミンとの間の反応から所望のL部分が生じるように選択される。中間体A5を、R
3基に除去可能な保護基P
3(例えば、パラ-メトキシベンジル)を用いて調製し、中間体A8を得る。次いで、A8を環化(例えば、ギ酸を使用)し、脱保護(例えば、ピペリジンを使用)して、化合物A9を得る。次いで、化合物A9をA7と反応させて、化合物A10を得る。次いで、化合物A10を脱保護して(例えば、硝酸セリウムアンモニウムにより)、化合物A11を得る。次いで、化合物A11をA12と反応させることで、式(I)の最終化合物が得られる。
【0137】
一般的な反応スキーム3.
【化26】
一般的な反応スキーム2に示される方法に関連する方法を一般的な反応スキーム3に示す。この方法では、二環式コアの2個のアミン窒素原子を脱保護して化合物A10を得、次いで、A7と反応させて化合物A11を得る。その後、A12との反応により、式(I)の最終化合物が得られる。
【0138】
式(I)の化合物の調製には様々な代替戦略が当業者に利用可能であることに留意されたい。例えば、式(I)の他の化合物は、適切な出発原料を使用して類似の方法に従って調製することができる。
【0139】
本明細書に記載される化合物を調製するプロセスにおいて、中間体化合物の官能基を好適な保護基によって保護する必要があり得ることは、当業者には理解されるであろう。そのような官能基には、ヒドロキシ、アミノ、及びカルボン酸が含まれ得る。ヒドロキシに対して好適な保護基には、トリアルキルシリルまたはジアリールアルキルシリル(例えば、t-ブチルジメチルシリル、t-ブチルジフェニルシリルまたはトリメチルシリル)、テトラヒドロピラニル、ベンジルなどが含まれる。アミノ及びアミジノに対して好適な保護基には、t-ブトキシカルボニル、ベンジルオキシカルボニルなどが含まれる。カルボン酸に対して好適な保護基には、アルキル、アリール、またはアリールアルキルエステルが含まれる。保護基は、当業者に知られている、または本明細書に記載される標準的技術に従って、任意選択により付加または除去される。保護基の使用は、Green,T.W.and P.G.M.Wutz,Protective Groups in Organic Synthesis(1999),3rd Ed.,Wileyに詳述されている。当業者であれば理解するように、保護基は、Wang樹脂、Rink樹脂または2-クロロトリチル-クロリド樹脂などのポリマー樹脂であってもよい。
【0140】
医薬組成物及び製剤
更なる態様において、本明細書で提供されるのは、医薬組成物である。医薬組成物は、前述の化合物のいずれか1つ(または複数)と、薬学的に許容される担体とを含む。いくつかの実施形態において、医薬組成物は、経口投与用に製剤化される。他の実施形態において、医薬組成物は、注入用に製剤化される。更に多くの実施形態において、医薬組成物は、式(I)の化合物、またはその薬学的に許容される塩、同位体形態、もしくは立体異性体と、追加の治療薬剤とを含む。そのような治療薬剤の非限定的な例は、本明細書において、以下に記載される。
【0141】
好適な投与経路には、経口、静脈内、直腸、エアロゾル、非経口、眼科、肺、経粘膜、経皮、膣、耳、鼻、及び局所投与が含まれるが、これらに限定されない。加えて、例に過ぎないが、非経口送達には、筋肉内、皮下、静脈内、髄内注射だけでなく、髄腔内、直接室内、腹腔内、リンパ管内、及び鼻腔内注射が含まれる。
【0142】
ある特定の実施形態において、式(I)の化合物、またはその薬学的に許容される塩、同位体形態、もしくは立体異性体は、全身的ではなく局所的に、例えば、多くの場合、デポ調製剤または持続放出性製剤で、化合物を器官に直接注射することにより、投与される。特定の実施形態において、長期作用型製剤は、埋め込み(例えば、皮下または筋肉内)または筋肉内注射によって投与される。更に、他の実施形態において、薬物は、標的化薬物送達系、例えば、器官特異的抗体でコーティングされたリポソームで送達される。このような実施形態において、リポソームは、当該器官に対して標的化され、当該器官に選択的に取り込まれる。更に他の実施形態において、式(I)の化合物、またはその薬学的に許容される塩、同位体形態、もしくは立体異性体は、速放性製剤の形態、持続放出性製剤の形態、または中間放出製剤の形態で提供される。更に他の実施形態において、本明細書に記載される化合物は、局所投与される。
【0143】
式(I)の化合物,またはその薬学的に許容される塩、同位体形態、もしくは立体異性体は、広範な投与量範囲にわたって有効である。例えば、成人の治療において、1日あたり0.01~1000mg、0.5~100mg、1~50mg、及び1日あたり5~40mgの投与量が、いくつかの実施形態において使用される投与量の例である。例示的な投与量は、1日あたり10~30mgである。正確な投与量は、投与経路、化合物が投与される形態、治療対象、治療対象の体重、ならびに主治医の選好及び経験に依存し得る。
【0144】
いくつかの実施形態において、式(I)の化合物、またはその薬学的に許容される塩、同位体形態、もしくは立体異性体は、単回用量で投与される。典型的に、そのような投与は、剤を迅速に導入するために、注射、例えば、静脈内注射による。しかしながら、他の経路も適宜使用される。本開示の化合物の単回投与はまた、急性状態(例えば、外傷性脳損傷)の治療にも使用され得る。
【0145】
いくつかの実施形態において、式(I)の化合物、またはその薬学的に許容される塩、同位体形態、もしくは立体異性体は、複数回用量で投与される。いくつかの実施形態において、投薬は、1日あたり約1回、2回、3回、4回、5回、6回または6回を超える。他の実施形態において、投薬は、およそ月1回、2週に1回、週1回、または1日おきに1回である。別の実施形態において、式(I)の化合物、またはその薬学的に許容される塩、同位体形態、もしくは立体異性体と、別の治療薬剤は、約1回/日~約6回/日で一緒に投与される。別の実施形態において、式(I)の化合物、またはその薬学的に許容される塩、同位体形態、もしくは立体異性体と、治療薬剤の投与は、約7日未満継続される。更に別の実施形態において、投与は、約6、10、14、28日、2ヶ月、6ヶ月、または1年を超えて継続される。場合によっては、連続投与が可能であり、必要な限り維持される。
【0146】
式(I)の化合物、またはその薬学的に許容される塩、同位体形態、もしくは立体異性体の投与は、必要な限り継続され得る。いくつかの実施形態において、式(I)の化合物、またはその薬学的に許容される塩、同位体形態、もしくは立体異性体は、1、2、3、4、5、6、7、14、または28日間を超えて投与される。いくつかの実施形態において、式(I)の化合物、またはその薬学的に許容される塩、同位体形態、もしくは立体異性体は、28、14、7、6、5、4、3、2、または1日間未満、投与される。いくつかの実施形態において、式(I)の化合物、またはその薬学的に許容される塩、同位体形態、もしくは立体異性体は、継続的に、例えば、慢性的な影響の治療(例えば、認知症)に対して、長期投与される。
【0147】
いくつかの実施形態において、式(I)の化合物、またはその薬学的に許容される塩、同位体形態、もしくは立体異性体は、複数の投与量で投与される。化合物の薬物動態学における対象者間の変動性により、最適な治療には投与レジメンの個別化が必要であることは当該技術分野において知られている。化合物の投与量は、本開示に照らして、日常的な実験によって見出すことができる。
【0148】
いくつかの実施形態において、式(I)の化合物、またはその薬学的に許容される塩、同位体形態、もしくは立体異性体は、医薬組成物に製剤化される。具体的な実施形態において、医薬組成物は、活性化合物を薬学的に使用することができる調製物に加工することを容易にする賦形剤及び助剤を含む1つ以上の生理学的に許容される担体を使用して、従来の様式で製剤化される。適切な製剤は、選択される投与経路による。任意の薬学的に許容される技術、単体、及び賦形剤は、明細書に記載される医薬組成物を製剤化するのに好適に使用される:Remington:The Science and Practice of Pharmacy,Nineteenth Ed(Easton,Pa.:Mack Publishing Company,1995);Hoover,John E.,Remington’s Pharmaceutical Sciences,Mack Publishing Co.,Easton,Pennsylvania 1975;Liberman,H.A.and Lachman,L.,Eds.,Pharmaceutical Dosage Forms,Marcel Decker,New York,N.Y.,1980;及びPharmaceutical Dosage Forms and Drug Delivery Systems,Seventh Ed.(Lippincott Williams & Wilkins1999)。
【0149】
本明細書で提供されるのは、式(I)の化合物、またはその薬学的に許容される塩、同位体形態、もしくは立体異性体と、薬学的に許容される希釈剤(複数可)、賦形剤(複数可)、または担体(複数可)とを含む、医薬組成物である。また、本明細書で提供されるのは、式(I)の化合物、またはその薬学的に許容される塩、同位体形態、もしくは立体異性体と、薬学的に許容される希釈剤(複数可)、賦形剤(複数可)、または担体(複数可)とを含む、医薬組成物を投与するための方法である。
【0150】
ある特定の実施形態において、化合物は、併用療法として、式(I)の化合物、またはその薬学的に許容される塩、同位体形態、もしくは立体異性体が、他の治療薬剤と混合された医薬組成物として投与される。以下の方法のセクション及び本開示全体を通して記載される有効成分の全ての組み合わせが本明細書に包含される。具体的な実施形態において、医薬組成物は、1つ以上の式(I)の化合物、またはその薬学的に許容される塩、同位体形態、もしくは立体異性体を含む。
【0151】
医薬組成物は、本明細書で使用される場合、式(I)の化合物、またはその薬学的に許容される塩、同位体形態、もしくは立体異性体と、担体、安定剤、希釈剤、分散剤、懸濁化剤、増粘剤、及び/または賦形剤などの他の化学成分との混合物を指す。ある特定の実施形態において、医薬組成物は、化合物の生物体への投与を容易にする。いくつかの実施形態において、本明細書で提供される治療または使用の方法を実施するには、治療上有効な量の本明細書で提供される式(I)の化合物、またはその薬学的に許容される塩、同位体形態、もしくは立体異性体が、治療すべき疾患、障害または医学的状態を有する哺乳動物に医薬組成物で投与される。具体的な実施形態において、哺乳動物は、ヒトである。ある特定の実施形態において、治療上有効な量は、疾患の重症度、対象の年齢及び相対的な健康、使用される化合物の効力、ならびに他の要因に応じて異なる。本明細書に記載される化合物は、単独で、または1つ以上の治療薬剤との組み合わせで混合物の構成成分として使用される。
【0152】
一実施形態において、1つ以上の式(I)の化合物、またはその薬学的に許容される塩、同位体形態、もしくは立体異性体は、水溶液に製剤化される。具体的な実施形態において、水溶液は、例に過ぎないが、ハンク溶液、リンゲル液、または生理食塩水緩衝液などの生理学的に適合性のある緩衝液から選択される。他の実施形態において、1つ以上の式(I)の化合物、またはその薬学的に許容される塩、同位体形態、もしくは立体異性体は、経粘膜投与用に製剤化される。具体的な実施形態において、経粘膜用製剤は、透過すべき障壁(例えば、血液脳関門)に適した浸透剤を含む。本明細書に記載される化合物が他の非経口注射用に製剤化される更に他の実施形態において、適切な製剤は、水性溶液または非水性溶液を含む。具体的な実施形態において、そのような溶液は、生理学的に適合性のある緩衝液及び/または賦形剤を含む。
【0153】
別の実施形態において、式(I)の化合物、またはその薬学的に許容される塩、同位体形態、もしくは立体異性体は、経口投与用に製剤化される。化合物は、活性化合物を、例えば、薬学的に許容される担体または賦形剤と合わせることによって製剤化される。種々の実施形態において、式(I)の化合物、またはその薬学的に許容される塩、同位体形態、もしくは立体異性体は、例に過ぎないが、錠剤、散剤、丸剤、糖衣錠、カプセル剤、液剤、ゲル剤、シロップ剤、エリキシル剤、スラリー、懸濁剤などを含む経口剤形に製剤化される。
【0154】
ある特定の実施形態において、経口使用のための医薬調製物は、1つ以上の固体賦形剤を式(I)の化合物、またはその薬学的に許容される塩、同位体形態、もしくは立体異性体のうちの1つ以上と混合し、任意選択により、得られた混合物を粉砕し、顆粒の混合物を加工し、所望により好適な助剤を加えた後、錠剤または糖衣錠コアを得ることによって、得られる。好適な賦形剤は、特に、ラクトース、スクロース、マンニトール、またはソルビトールを含む糖;セルロース調製物、例えば、トウモロコシデンプン、小麦デンプン、米デンプン、ジャガイモデンプン、ゼラチン、トラガカントガム、メチルセルロース、微結晶セルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ナトリウムカルボキシメチルセルロースなど;またはその他のもの、例えば、ポリビニルピロリドン(PVPまたはポビドン)またはリン酸カルシウムなどのフィラーである。具体的な実施形態において、崩壊剤が任意選択により添加される。崩壊剤には、例に過ぎないが、架橋型クロスカルメロースナトリウム、ポリビニルピロリドン、寒天、またはアルギン酸もしくはアルギン酸ナトリウムなどのその塩が含まれる。
【0155】
一実施形態において、糖衣錠コア及び錠剤などの剤形は、1つ以上の好適なコーティングを備える。具体的な実施形態において、濃縮された糖液が剤形のコーティングに使用される。糖液は、例に過ぎないが、アラビアゴム、タルク、ポリビニルピロリドン、カーボポールゲル、ポリエチレングリコール、及び/または二酸化チタン、ラッカー液、ならびに好適な有機溶媒または溶媒混合液などの追加の成分を任意選択により含有する。また識別のために、染料及び/または色素もコーティングに任意選択により添加される。更に、染料及び/または色素は、活性化合物の用量の異なる組み合わせを特徴付けるために、任意選択により利用される。
【0156】
ある特定の実施形態において、治療上有効な量の式(I)の化合物、またはその薬学的に許容される塩、同位体形態、もしくは立体異性体のうちの少なくとも1つは、他の経口剤形に製剤化される。経口剤形には、ゼラチンで作られたプッシュフィットカプセル剤、ならびにゼラチン及びグリセロールまたはソルビトールなどの可塑剤で作られた密封軟カプセル剤が含まれる。具体的な実施形態において、プッシュフィットカプセル剤は、1つ以上のフィラーと混合された有効成分を含有する。フィラーには、例に過ぎないが、ラクトース、デンプンなどの結合剤、及び/またはタルクまたはステアリン酸マグネシウムなどの滑沢剤、ならびに、任意選択により安定剤が含まれる。他の実施形態において、軟カプセル剤は、好適な液体中に溶解または懸濁された1つ以上の活性化合物を含有する。好適な液体には、例に過ぎないが、1つ以上の脂肪油、流動パラフィン、または液体ポリエチレングリコールが含まれる。加えて、安定剤が任意選択により添加される。
【0157】
他の実施形態において、治療上有効な量の本明細書に記載される式(I)の化合物、またはその薬学的に許容される塩、同位体形態、もしくは立体異性体のうちの少なくとも1つは、頬側または舌下投与用に製剤化される。頬側または舌下投与に好適な製剤には、例に過ぎないが、錠剤、ロゼンジ剤、またはゲル剤が含まれる。更に他の実施形態において、式(I)の化合物、またはその薬学的に許容される塩、同位体形態、もしくは立体異性体は、ボーラス注射または持続注入に好適な製剤を含む、非経口注射用に製剤化される。具体的な実施形態において、注射用製剤は、単位剤形(例えば、アンプル)または多回投与容器で提供される。注射剤には、防腐剤が任意選択により添加される。更に他の実施形態において、医薬組成物は、油性または水性ビヒクル中の無菌懸濁液、溶液または乳濁液として、非経口注射に好適な形態で製剤化される。非経口注射製剤は、任意選択により、懸濁化剤、安定化剤及び/または分散剤などの製剤化を含有する。具体的な実施形態において、非経口投与用の医薬製剤は、水溶性形態である活性化合物の水溶液を含む。追加の実施形態において、1つまたは複数の活性化合物(例えば、式(I)の化合物、またはその薬学的に許容される塩、同位体形態、もしくは立体異性体)の懸濁液は、適切な油性注射用懸濁液として調製される。本明細書に記載される医薬組成物での使用に好適な親油性溶媒またはビヒクルには、例に過ぎないが、ゴマ油などの脂肪油、またはオレイン酸エチルもしくはトリグリセリドなどの合成脂肪酸エステル、またはリポソームが含まれる。ある特定の具体的な実施形態において、水性注射用懸濁液は、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ソルビトール、またはデキストランなどの懸濁液の粘度を増加させる物質を含有する。任意選択により、懸濁液は、好適な安定剤または化合物の溶解度を高めて高度に濃縮された溶液の調製を可能にする剤を含有する。あるいは、他の実施形態において、有効成分は、使用前に、好適なビヒクル、例えば、無菌パイロジェンフリー水で構成するための粉末形態である。
【0158】
更に他の実施形態において、式(I)の化合物、またはその薬学的に許容される塩、同位体形態、もしくは立体異性体は、局所投与される。化合物は、溶液、懸濁液、ローション、ゲル、ペースト、薬用スティック、香膏、クリームまたは軟膏などの様々な局所投与可能な組成物に製剤化される。そのような医薬組成物は、任意選択により、溶解剤、安定剤、張度向上剤、緩衝液及び防腐剤を含有する。
【0159】
更に他の実施形態において、式(I)の化合物、またはその薬学的に許容される塩、同位体形態、もしくは立体異性体は、経皮投与用に製剤化される。具体的な実施形態において、経皮製剤は、経皮送達デバイス及び経皮送達パッチを採用し、ポリマーまたは接着剤中に溶解及び/または分散された親油性乳濁液または緩衝水溶液であり得る。種々の実施形態において、そのようなパッチは、薬剤の連続的なパルス送達またはオンデマンド送達用に構成することができる。更なる実施形態において、式(I)の化合物、またはその薬学的に許容される塩、同位体形態、もしくは立体異性体の経皮送達は、イオントフォレシスパッチなどの手段によって達成される。ある特定の実施形態において、経皮パッチは、式(I)の化合物、またはその薬学的に許容される塩、同位体形態、もしくは立体異性体の制御送達を提供する。具体的な実施形態において、吸収速度は、速度制御膜を使用することによって、または化合物をポリマーマトリックスまたはゲル内に閉じ込めることによって、遅くなる。代替的な実施形態において、吸収を高めるために、吸収促進剤が使用される。吸収促進剤または担体は、皮膚の通過を助ける薬学的に許容される吸収性溶媒を含む。例えば、一実施形態において、経皮デバイスは、支持部材、化合物を任意選択により担体とともに含むリザーバー、化合物を長時間にわたって制御された所定の速度で宿主の皮膚に送達する任意選択の速度制御バリア、及びデバイスを皮膚に固定する手段を備えた包帯の形態である。
【0160】
他の実施形態において、式(I)の化合物、またはその薬学的に許容される塩、同位体形態、もしくは立体異性体は、吸入による投与用に製剤化される。吸入による投与に好適な様々な形態には、エアロゾル、ミストまたは粉末が含まれるが、これらに限定されない。式(I)の化合物、またはその薬学的に許容される塩、同位体形態、もしくは立体異性体のいずれかの医薬組成物は、好適な噴射剤(例えば、ジクロロジフルオロメタン、トリクロロフルオロメタン、ジクロロテトラフルオロエタン、二酸化炭素または他の好適なガス)の使用により、加圧パックまたはネブライザーからのエアロゾルスプレーによる提示の形態で簡便に送達される。具体的な実施形態において、加圧エアロゾルの投与単位は、計量された量を送達するバルブを提供することによって、決定される。ある特定の実施形態において、例に過ぎないが、吸入器または吹入器で使用するためのゼラチン製のカプセル及びカートリッジは、化合物と、ラクトースまたはデンプンなどの好適な粉末基材との粉末混合物を含有するように製剤化される。
【0161】
更に他の実施形態において、式(I)の化合物、またはその薬学的に許容される塩、同位体形態、もしくは立体異性体は、カカオ脂または他のグリセリドなどの従来の坐剤用基材、及びポリビニルピロリドン、PEGなどの合成ポリマーなどを含有する、浣腸剤、直腸ゲル、直腸フォーム、直腸エアロゾル、坐剤、ゼリー坐剤、または停留浣腸などの経直腸組成物に製剤化される。組成物の坐剤形態において、限定するものではないが、任意選択によりカカオ脂と組み合わせた脂肪酸グリセリドの混合物などの低融点ワックスが最初に溶融する。
【0162】
ある特定の実施形態において、医薬組成物は、活性化合物を薬学的に使用することができる調製物に加工することを容易にする賦形剤及び助剤を含む1つ以上の生理学的に許容される担体を使用して、任意の従来の様式で製剤化される。適切な製剤は、選択される投与経路による。任意の薬学的に許容される技術、担体、及び賦形剤が任意選択により好適に使用される。式(I)の化合物、またはその薬学的に許容される塩、同位体形態、もしくは立体異性体を含む医薬組成物は、例に過ぎないが、従来の混合、溶解、造粒、糖衣錠製造、研和、乳化、カプセル化、封入または圧縮プロセスなどの従来の様式で製造される。
【0163】
医薬組成物は、少なくとも1つの薬学的に許容される担体、希釈剤または賦形剤と、有効成分として少なくとも1つの本明細書に記載される式(I)の化合物、またはその薬学的に許容される塩、同位体形態、もしくは立体異性体、とを含む。有効成分は、遊離酸もしくは遊離塩基の形態、または薬学的に許容される塩の形態である。加えて、本明細書に記載される方法及び医薬組成物は、N-オキシド、結晶形態(多形としても知られる)、及び同じ種類の活性を有するこれらの化合物の活性代謝産物の使用を含む。本明細書に記載される化合物の全ての互変異性体は、本明細書に提示される化合物の範囲内に含まれる。更に、式(I)の化合物、またはその薬学的に許容される塩、同位体形態、もしくは立体異性体は、水、エタノールなどの薬学的に許容される溶媒などとの溶媒和物だけでなく、非溶媒和物も包含する。本明細書で提示される化合物の溶媒和物もまた本明細書で開示されるものとみなされる。加えて、医薬組成物は、任意選択により、他の医療用または医薬用剤、担体、補助剤、例えば、防腐剤、安定化剤、湿潤剤もしくは乳化剤、溶液促進剤、浸透圧を調節するための塩、緩衝液、及び/または他の治療上価値のある物質を含む。
【0164】
式(I)の化合物、またはその薬学的に許容される塩、同位体形態、もしくは立体異性体を含む組成物の調製方法は、化合物を1つ以上の薬学的に許容される不活性賦形剤または担体とともに製剤化して、固体、半固体、または液体を形成することを含む。固体組成物には、散剤、錠剤、分散性顆粒剤、カプセル剤、カシェ剤、及び坐剤が含まれるが、これらに限定されない。液体組成物には、化合物を溶解した溶液、化合物を含む乳濁液、または式(I)の化合物、もしくはその薬学的に許容される塩、同位体形態、もしくは立体異性体を含むリポソーム、ミセル、もしくはナノ粒子を含有する溶液が含まれる。半固体組成物には、ゲル剤、懸濁剤、及びクリーム剤が含まれるが、これらに限定されない。本明細書に記載される医薬組成物の形態は、液体溶液または懸濁液、使用前に液体中の溶液または懸濁液にするのに好適な固体形態、または乳濁液としての形態を含む。これらの組成物はまた、任意選択により、湿潤剤または乳化剤、pH緩衝液などの微量の無毒の補助物質を含有する。
【0165】
いくつかの実施形態において、少なくとも1つの式(I)の化合物、またはその薬学的に許容される塩、同位体形態、もしくは立体異性体を含む医薬組成物は、例示的に、薬剤が溶液中、懸濁液中またはその両方で存在する液体の形態をとる。典型的に、組成物が溶液または懸濁液として投与される場合、剤の第1の部分が溶液中に存在し、剤の第2の部分が液体マトリックス中の懸濁液である微粒子形態で存在する。いくつかの実施形態において、液体組成物は、ゲル製剤を含む。他の実施形態において、液体組成物は、水性である。
【0166】
ある特定の実施形態において、有用な水性懸濁液は、懸濁化剤などの1つ以上のポリマーを含有する。有用なポリマーには、セルロース系ポリマー、例えば、ヒドロキシプロピルメチルセルロースなどの水溶性ポリマー、及び水架橋型カルボキシル含有ポリマーなどの非水溶性ポリマーが含まれる。本明細書に記載されるある特定の医薬組成物は、例えば、カルボキシメチルセルロース、カルボマー(アクリル酸ポリマー)、ポリ(メチルメタクリレート)、ポリアクリルアミド、ポリカルボフィル、アクリル酸/ブチルアクリレートコポリマー、アルギン酸ナトリウム及びデキストランから選択される粘膜接着性ポリマーを含む。
【0167】
有用な医薬組成物はまた、任意選択により、式(I)の化合物、またはその薬学的に許容される塩、同位体形態、もしくは立体異性体の溶解を補助する可溶化剤を含む。「可溶化剤」とは、一般に、剤のミセル溶液または真の溶液の形態をもたらす剤を含む。ある特定の許容される非イオン性界面活性剤、例えば、ポリソルベート80が可溶化剤として有用であり、眼科領域で許容されるグリコール、ポリグリコール、例えば、ポリエチレングリコール400、及びグリコールエーテルも可能である。
【0168】
更に、有用な医薬組成物は、任意選択により、1つ以上のpH調整剤または緩衝剤、例えば、酢酸、ホウ酸、クエン酸、乳酸、リン酸及び塩酸などの酸;水酸化ナトリウム、リン酸ナトリウム、ホウ酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、乳酸ナトリウム及びトリスヒドロキシメチルアミノメタンなどの塩基;ならびにクエン酸/デキストロース、炭酸水素ナトリウム及び塩化アンモニウムなどの緩衝剤を含む。そのような酸、塩基及び緩衝液は、組成物のpHを許容可能な範囲に維持するために必要な量で含まれる。
【0169】
更に、有用な組成物はまた、任意選択により、組成物のオスモル濃度を許容可能な範囲にするのに必要な量で1つ以上の塩を含む。そのような塩には、ナトリウム、カリウムまたはアンモニウムカチオン及び塩化物、クエン酸塩、アスコルビン酸塩、ホウ酸塩、リン酸塩、炭酸水素塩、硫酸塩、チオ硫酸、または亜硫酸水素塩アニオンを有するものが含まれ、好適な塩には、塩化ナトリウム、塩化カリウム、チオ硫酸ナトリウム、亜硫酸水素ナトリウム、及び硫酸アンモニウムが含まれる。
【0170】
他の有用な医薬組成物は、任意選択により、微生物の活性を抑制するために1つ以上の防腐剤を含む。好適な防腐剤には、メルフェン及びチオメルサールなどの水銀含有物質;安定化二酸化塩素;ならびに塩化ベンザルコニウム、臭化セチルトリメチルアンモニア、及び塩化セチルピリジニウムなどの四級アンモニウム化合物が含まれる。
【0171】
更なる他の有用な組成物は、物理的安定性を高めるため、または他の目的のために、1つ以上の界面活性剤を含む。好適な非イオン性界面活性剤には、ポリオキシエチレン脂肪酸グリセリド及び植物油、例えば、ポリオキシエチレン(60)硬化ヒマシ油;ならびにポリオキシエチレンアルキルエーテル及びアルキルフェニルエーテル、例えば、オクトキシノール10、オクトキシノール40が含まれる。
【0172】
更なる他の有用な組成物は、必要に応じて、化学的安定性を高めるために1つ以上の抗酸化剤を含む。好適な抗酸化剤には、例に過ぎないが、アスコルビン酸及び二亜硫酸ナトリウムが含まれる。
【0173】
ある特定の実施形態において、水性懸濁組成物は、単回用量の再密閉不可能な容器中に包装される。あるいは、複数回投与の再密閉可能な容器が使用され、この場合、組成物中に防腐剤を含めるのが典型的である。
【0174】
代替的な実施形態において、疎水性医薬化合物のための他の送達系が採用される。リポソーム及び乳濁液は、本明細書で有用な送達ビヒクルまたは担体の例である。ある特定の実施形態において、N-メチルピロリドンなどの有機溶媒も採用される。追加の実施形態において、式(I)の化合物、またはその薬学的に許容される塩、同位体形態、もしくは立体異性体は、治療薬剤を含有する疎水性固体ポリマーの半透過性マトリックスなどの徐放性システムを使用して送達される。様々な徐放性材料が本明細書において有用である。いくつかの実施形態において、徐放性カプセル剤は、数週間から最大100日以上にわたって化合物を放出する。治療薬の化学的性質及び生物学的安定性に応じて、タンパク質の安定性のための追加の戦略が採用される。
【0175】
ある特定の実施形態において、本明細書に記載される製剤は、1つ以上の抗酸化剤、金属キレート剤、チオール含有化合物及び/または他の一般的な安定化剤を含む。そのような安定化剤の例としては、(a)約0.5%~約2%w/vのグリセロール、(b)約0.1%~約1%w/vのメチオニン、(c)約0.1%~約2%w/vのモノチオグリセロール、(d)約1mM~約10mMのEDTA、(e)約0.01%~約2%w/vのアスコルビン酸、(f)0.003%~約0.02%w/vのポリソルベート80、(g)0.001%~約0.05%w/v.のポリソルベート20、(h)アルギニン、(i)ヘパリン、(j)硫酸デキストラン、(k)シクロデキストリン、(l)ペントサンポリ硫酸及び他のヘパリン類似物質、(m)マグネシウム及び亜鉛などの二価カチオン、または(n)それらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。
【0176】
いくつかの実施形態において、本開示の医薬組成物中に提供される式(I)の化合物の濃度は、100%、90%、80%、70%、60%、50%、40%、30%、20%、19%、18%、17%、16%、15%,14%、13%、12%、11%、10%、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%、1%、0.5%、0.4%、0.3%、0.2%、0.1%、0.09%、0.08%、0.07%、0.06%、0.05%、0.04%、0.03%、0.02%、0.01%、0.009%、0.008%、0.007%、0.006%、0.005%、0.004%、0.003%、0.002%、0.001%、0.0009%、0.0008%、0.0007%、0.0006%、0.0005%、0.0004%、0.0003%、0.0002%、または0.0001%w/w、w/vまたはv/v未満である。
【0177】
いくつかの実施形態において、本開示の医薬組成物中に提供される式(I)の化合物の濃度は、90%、80%、70%、60%、50%、40%、30%、20%、19.75%、19.50%、19.25%、19%、18.75%、18.50%、18.25%、18%、17.75%、17.50%、17.25%、17%、16.75%、16.50%、16.25%、16%、15.75%、15.50%、15.25%、15%、14.75%、14.50%、14.25%、14%、13.75%、13.50%、13.25%、13%、12.75%、12.50%、12.25%、12%、11.75%、11.50%、11.25%、11%、10.75%、10.50%、10.25%、10%、9.75%、9.50%、9.25%、9%、8.75%、8.50%、8.25%、8%、7.75%、7.50%、7.25%、7%、6.75%、6.50%、6.25%、6%、5.75%、5.50%、5.25%、5%、4.75%、4.50%、4.25%、4%、3.75%、3.50%、3.25%、3%、2.75%、2.50%、2.25%、2%、1.75%、1.50%、125%、1%、0.5%、0.4%、0.3%、0.2%、0.1%、0.09%、0.08%、0.07%、0.06%、0.05%、0.04%、0.03%、0.02%、0.01%、0.009%、0.008%、0.007%、0.006%、0.005%、0.004%、0.003%、0.002%、0.001%、0.0009%、0.0008%、0.0007%、0.0006%、0.0005%、0.0004%、0.0003%、0.0002%、または0.0001%w/w、w/v、またはv/v超である。
【0178】
いくつかの実施形態において、医薬組成物中に提供される式(I)の化合物、またはその薬学的に許容される塩、同位体形態、もしくは立体異性体の濃度は、およそ0.0001%~およそ50%、およそ0.001%~およそ40%、およそ0.01%~およそ30%、およそ0.02%~およそ29%、およそ0.03%~およそ28%、およそ0.04%~およそ27%、およそ0.05%~およそ26%、およそ0.06%~およそ25%、およそ0.07%~およそ24%、およそ0.08%~およそ23%、およそ0.09%~およそ22%、およそ0.1%~およそ21%、およそ0.2%~およそ20%、およそ0.3%~およそ19%、およそ0.4%~およそ18%、およそ0.5%~およそ17%、およそ0.6%~およそ16%、およそ0.7%~およそ15%、およそ0.8%~およそ14%、およそ0.9%~およそ12%、またはおよそ1%~およそ10%w/w、w/vまたはv/vの範囲である。
【0179】
いくつかの実施形態において、医薬組成物中に提供される式(I)の化合物、またはその薬学的に許容される塩、同位体形態、もしくは立体異性体の濃度は、およそ0.001%~およそ10%、およそ0.01%~およそ5%、およそ0.02%~およそ4.5%、およそ0.03%~およそ4%、およそ0.04%~およそ3.5%、およそ0.05%~およそ3%、およそ0.06%~およそ2.5%、およそ0.07%~およそ2%、およそ0.08%~およそ1.5%、およそ0.09%~およそ1%、または、およそ0.1%~およそ0.9%w/w、w/vまたはv/vの範囲である。
【0180】
いくつかの実施形態において、医薬組成物中に提供される式(I)の化合物、またはその薬学的に許容される塩、同位体形態、もしくは立体異性体の量は、10g、9.5g、9.0g、8.5g、8.0g、7.5g、7.0g、6.5g、6.0g、5.5g、5.0g、4.5g、4.0g、3.5g、3.0g、2.5g、2.0g、1.5g、1.0g、0.95g、0.9g、0.85g、0.8g、0.75g、0.7g、0.65g、0.6g、0.55g、0.5g、0.45g、0.4g、0.35g、0.3g、0.25g、0.2g、0.15g、0.1g、0.09g、0.08g、0.07g、0.06g、0.05g、0.04g、0.03g、0.02g、0.01g、0.009g、0.008g、0.007g、0.006g、0.005g、0.004g、0.003g、0.002g、0.001g、0.0009g、0.0008g、0.0007g、0.0006g、0.0005g、0.0004g、0.0003g、0.0002g、または0.0001g以下である。
【0181】
いくつかの実施形態において、本開示の医薬組成物中に提供される式(I)の化合物、またはその薬学的に許容される塩、同位体形態、もしくは立体異性体の量は、0.0001g、0.0002g、0.0003g、0.0004g、0.0005g、0.0006g、0.0007g、0.0008g、0.0009g、0.001g、0.0015g、0.002g、0.0025g、0.003g、0.0035g、0.004g、0.0045g、0.005g、0.0055g、0.006g、0.0065g、0.007g、0.0075g、0.008g、0.0085g、0.009g、0.0095g、0.01g、0.015g、0.02g、0.025g、0.03g、0.035g、0.04g、0.045g、0.05g、0.055g、0.06g、0.065g、0.07g、0.075g、0.08g、0.085g、0.09g、0.095g、0.1g、0.15g、0.2g、0.25g、0.3g、0.35g、0.4g、0.45g、0.5g、0.55g、0.6g、0.65g、0.7g、0.75g、0.8g、0.85g、0.9g、0.95g、1g、1.5g、2g、2.5g、3g、3.5g、4g、4.5g、5g、5.5g、6g、6.5g、7g、7.5g、8g、8.5g、9g、9.5g、または10g超である。
【0182】
いくつかの実施形態において、医薬組成物中に提供される式(I)の化合物、またはその薬学的に許容される塩、同位体形態、もしくは立体異性体の量は、0.0001~10g、0.0005~9g、0.001~8g、0.005~7g、0.01~6g、0.05~5g、0.1~4g、0.5~4g、または1~3gの範囲である。
【0183】
キット/製品
本明細書に記載される治療用途で使用するために、キット及び製品も提供される。いくつかの実施形態において、そのようなキットは、バイアル、チューブなどの1つ以上の容器を受容するように区分されたケース、パッケージ、または容器を備え、容器(複数可)のそれぞれは、本明細書に記載される方法で使用される個々の要素のうちの1つを含む。好適な容器には、例えば、ボトル、バイアル、シリンジ、及び試験管が含まれる。容器は、ガラスまたはプラスチックなどの様々な材料から形成される。
【0184】
本明細書で提供される製品は、包装材料を含有する。医薬品の包装に使用される包装材料には、例えば、米国特許第5,323,907号、同第5,052,558号及び同第5,033,252号に見出されるものが含まれる。医薬品の包装材料の例としては、ブリスターパック、ボトル、チューブ、吸入器、ポンプ、バッグ、バイアル、容器、シリンジ、ボトル、ならびに選択された製剤及び意図された投与及び治療の様式に適した任意の包装材料が挙げられるが、これらに限定されない。例えば、容器(複数可)は、任意選択により組成物中に、または本明細書で開示される別の剤と組み合わせて、本明細書に記載される1つ以上の化合物を含む。容器(複数可)は、任意選択により、無菌アクセスポートを有する(例えば、容器は、皮下注射針によって貫通可能な栓を有する静脈内注射用溶液バッグまたはバイアルである)。そのようなキットは、任意選択により、本明細書に記載される方法での使用に関する識別情報もしくはラベルまたは説明書とともに化合物を含む。
【0185】
例えば、キットは、典型的に、式(I)の化合物、またはその薬学的に許容される塩、同位体形態、もしくは立体異性体の使用について、商業的及び使用者の視点から望ましい様々な材料(試薬(任意選択により濃縮された形態)及び/またはデバイスなど)のうちの1つ以上をそれぞれ含む、1つ以上の追加の容器を含む。そのような材料の非限定的な例としては、限定するものではないが、緩衝液、希釈剤、フィルター、針、シリンジ、担体、パッケージ、容器、バイアル、及び/または内容物及び/または使用に関する説明が記載されたチューブラベル、ならびに使用に関する説明が記載された添付文書が挙げられる。説明書一式も典型的に含まれる。ラベルは、任意選択により、容器上にあるか、または容器に付属する。例えば、ラベルを形成する文字、数字または他の文字が容器自体に付着、成形またはエッチングされる場合、ラベルは、容器上にあり、容器を保持する入れ物または担体内に、例えば、添付文書として、ラベルがある場合、ラベルは、容器に付属する。加えて、ラベルは、内容物が特定の治療用途に使用されることを示すために使用される。加えて、ラベルは、本明細書に記載される方法など、内容物の使用に関する指示を示す。ある特定の実施形態において、医薬組成物は、本明細書で提供される化合物を含有する1つ以上の単位剤形を含有するパックまたはディスペンサーデバイスで提示される。パックは、例えば、ブリスターパックなどの金属箔またはプラスチック箔を含有する。あるいは、パックまたはディスペンサーデバイスは、投与に関する説明書が添付されている。あるいは、パックまたはディスペンサーは、医薬品の製造、使用、または販売を規制する政府機関が定める形式で容器に付属される表示が添付されており、この表示は、ヒトまたは獣医学的投与に関する薬物の形態に対して当局の承認を反映するものである。そのような表示は、例えば、米国食品医薬品局によって承認された処方薬に対するラベル、または承認された製品の添付文書である。いくつかの実施形態において、適合性のある薬学的担体に製剤化された式(I)の化合物、またはその薬学的に許容される塩、同位体形態、もしくは立体異性体を含有する組成物は、調製され、適切な容器に入れられ、指定される状態の治療のためのラベルが貼られる。
【0186】
使用/治療の方法
本開示の実施形態は、肝細胞増殖因子を調節することを、それを必要とする対象に行うための方法であって、当該対象に、有効量の本明細書で開示される化合物(例えば、式(I)の化合物、またはその薬学的に許容される塩、同位体形態、もしくは立体異性体)を投与することを含む、方法が提供される。いくつかの実施形態において、本明細書に記載される化合物は、肝細胞増殖因子を活性化する。肝細胞増殖因子の調節(例えば、阻害または活性化)は、当該技術分野において知られている多種多様な方法で評価及び実証することができる。キット及び市販のアッセイは、肝細胞増殖因子が調節(例えば、阻害または活性化)されたかどうか、及びその程度を決定するために利用することができる。
【0187】
いくつかの実施形態において、本明細書で提供されるのは、肝細胞増殖因子を調節することを、それを必要とする対象に行うために使用するための、式(I)の化合物、またはその薬学的に許容される塩である。いくつかの実施形態において、本明細書で提供されるのは、肝細胞増殖因子を調節することを、それを必要とする対象に行うための医薬を製造するための、式(I)の化合物、またはその薬学的に許容される塩である。
【0188】
出願人は、式(I)の化合物が、関心の高い特定の疾患に関連して、有望な活性を示すことを発見した。したがって、一態様において、本明細書で提供されるのは、肝細胞増殖因子を調節することを、それを必要とする対象に行うための方法であって、当該対象に、有効量の式(I)の化合物、またはその薬学的に許容される塩、同位体形態、もしくは立体異性体を投与することを含む、方法である。いくつかの実施形態において、本明細書で提供されるのは、肝細胞増殖因子を活性化することを、それを必要とする対象に行うための方法であって、当該対象に、有効量の式(I)の化合物、またはその薬学的に許容される塩、同位体形態、もしくは立体異性体を投与することを含む、方法である。
【0189】
より具体的な特定の実施形態において、調節することは、疾患、状態または損傷を治療することを含む。
【0190】
いくつかの実施形態において、疾患、状態、または損傷は軽度認知障害である。軽度認知障害は、神経変性疾患による認知症の前駆症状である場合もあれば、例えば肝臓障害などの他の要因に起因する場合もある。
【0191】
いくつかの実施形態では、それを必要とする対象において軽度認知障害を治療する方法であって、有効量の式(I)の化合物、またはその薬学的に許容される塩、同位体形態もしくは立体異性体を、前記対象に投与することを含む方法が提供される。
【0192】
また、本明細書で提供されるのは、それを必要とする対象における軽度認知障害の治療、またはその進行を遅らせるための方法であって、有効量の式(I)の化合物、またはその薬学的に許容される塩、同位体形態もしくは立体異性体を、前記対象に投与することを含む方法である。また、本明細書で提供されるのは、軽度認知障害を有する対象における認知症の治療、またはその進行を遅らせるための方法であって、有効量の式(I)の化合物、またはその薬学的に許容される塩、同位体型もしくは立体異性体を、前記対象に投与することを含む方法である。
【0193】
更なる態様において、本明細書で提供されるのは、軽度認知機能障害を有する対象において認知機能障害を予防するための方法であって、有効量の式(I)の化合物、またはその薬学的に許容される塩、同位体形態もしくは立体異性体を、前記対象に投与することを含む方法である。いくつかの実施形態において、本明細書で提供されるのは、軽度認知機能障害を有する対象において認知機能を改善し、及び/または認知機能障害の進行を遅らせる方法であって、有効量の式(I)の化合物、またはその薬学的に許容される塩、同位体形態もしくは立体異性体を、前記対象に投与することを含む方法である。
【0194】
上記の方法の実施形態は、哺乳動物に、治療上有効な量の式(I)の化合物、またはその薬学的に許容される塩、同位体形態、もしくは立体異性体を投与することを含む。本明細書で開示される方法は、概して、神経細胞または神経系に関連する疾患及び損傷を治療、保護または逆転させるための、式(I)の化合物、またはその薬学的に許容される塩、同位体形態、もしくは立体異性体の投与に関する。すなわち、本開示の実施形態は、認知症の治療を含む神経変性疾患の治療、予防もしくは逆転;外傷性損傷の修復;及び/または認知機能障害の予防に関する。本開示の特定の実施形態は、認知症の治療;外傷性損傷の修復;認知機能の改善;及び/または認知機能不全の進行を遅らせることを含む、軽度認知障害の治療、予防または逆転に向けられている。
【0195】
いくつかの実施形態において、本開示は、げっ歯類及び哺乳動物(例えば、ヒト)を含むがこれらに限定されない対象におけるタンパク質の活性(例えば、肝細胞増殖因子)を、有効量の式(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩、同位体形態、もしくは立体異性体を対象に投与することによって、調節する方法を提供する。いくつかの実施形態において、肝細胞増殖因子の調節は、肝細胞増殖因子の活性化である。いくつかの実施形態において、調節のパーセンテージは、25%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、または90%を超える。いくつかの実施形態において、阻害のパーセンテージは、25%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、または90%を超える。
【0196】
いくつかの実施形態において、本開示は、細胞における肝細胞増殖因子活性を、肝細胞増殖因子の活性を調節するのに十分な量の式(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩、同位体形態、もしくは立体異性体と当該細胞を接触させることによって、調節する方法を提供する。いくつかの実施形態において、本開示は、組織における肝細胞増殖因子活性を、組織における肝細胞増殖因子の活性を調節するのに十分な量の式(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩、同位体形態、もしくは立体異性体と当該組織を接触させることによって、調節する方法を提供する。いくつかの実施形態において、本開示は、生物における肝細胞増殖因子活性を、生物における肝細胞増殖因子の活性を調節するのに十分な量の式(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩、同位体形態、もしくは立体異性体と当該生物を接触させることによって、調節する方法を提供する。いくつかの実施形態において、本開示は、動物における肝細胞増殖因子活性を、動物における肝細胞増殖因子の活性を調節するのに十分な量の式(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩、同位体形態、もしくは立体異性体と当該動物を接触させることによって、調節する方法を提供する。いくつかの実施形態において、本開示は、哺乳動物における肝細胞増殖因子活性を、哺乳動物における肝細胞増殖因子の活性を調節するのに十分な量の式(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩、同位体形態、もしくは立体異性体と当該哺乳動物を接触させることによって、調節する方法を提供する。いくつかの実施形態において、本開示は、ヒトにおける肝細胞増殖因子活性を、ヒトにおける肝細胞増殖因子の活性を調節するのに十分な量の式(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩、同位体形態、もしくは立体異性体と当該ヒトを接触させることによって、調節する方法を提供する。他の実施形態において、本開示は、肝細胞増殖因子活性によって媒介される疾患を治療することを、そのような治療を必要とする対象において行う方法を提供する。いくつかの変形形態において、式(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩、同位体形態、もしくは立体異性体による肝細胞増殖因子の調節は、肝細胞増殖因子の活性化に関与する。
【0197】
他の実施形態は、他の経路または同じ経路の他の要素または重複する標的酵素群を調節することが知られている治療薬剤が、式(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩、同位体形態、もしくは立体異性体と組み合わせて使用される、併用療法のための方法を提供する。一態様において、そのような治療法は、1つ以上の式(I)の化合物、またはその薬学的に許容される塩、同位体形態、もしくは立体異性体と、相乗的または相加的な治療効果をもたらす、治療薬剤、治療用抗体、及び他の治療形態との組み合わせが含まれるが、これらに限定されない。
【0198】
現在、多くの治療薬剤が当該技術分野において知られており、式(I)の化合物、またはその薬学的に許容される塩、同位体形態、もしくは立体異性体と組み合わせて使用することができる。いくつかの実施形態において、治療薬剤は、メマンチン、コリンエステラーゼ阻害薬、抗うつ薬、抗不安薬、及び/または抗精神病薬から選択される。いくつかの実施形態は、回想療法、認知活性化療法、現実見当識訓練、身体活動などを含む治療法の使用を含む。
【0199】
例示的なコリンエステラーゼ阻害薬としては、ドネペンジル、ガランタミン、及びリバスチグミンを挙げることができ、記憶及び判断に関与する脳内化学物質の分解を遅らせるのを助ける。メマンチンは、学習及び記憶に必要な別の脳内化学物質を制御するのに役立ち得る。ある特定の態様において、メマンチンは、中等度から重度の認知症に対する併用薬としてドネペジルとともに使用することもできる。抗うつ薬には、選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)が含まれ得るが、これらに限定されない。抗不安薬には、ロラゼパム(Ativan)またはオキサゼパム(Serax)が含まれ得るが、これらに限定されない。本明細書に記載される方法のいくつかの実施形態は、アリピプラゾール(Abilify)、ハロペリドール(Haldol)、オランザピン(Zyprexa)、及びリスペリドン(Risperdal)などの抗精神病薬の使用または投与を含み得る。
【0200】
いくつかの実施形態において、式(I)の化合物、またはその薬学的に許容される塩、同位体形態、もしくは立体異性体は、潤滑剤としても知られる液体または固体の組織バリアとともに製剤化または投与される。組織バリアの例としては、多糖、ポリグリカン、セプラフィルム、インターシード及びヒアルロン酸が挙げられるが、これらに限定されない。
【0201】
いくつかの実施形態において、式(I)の化合物、またはその薬学的に許容される塩、同位体形態、もしくは立体異性体とともに投与される治療薬剤には、吸入によって有用に送達される任意の好適な治療薬剤、例えば、鎮痛薬、例えば、コデイン、ジヒドロモルフィン、エルゴタミン、フェンタニル、またはモルヒネ;狭心症の調製物、例えば、ジルチアゼム;抗アレルギー薬、例えば、クロモグリケート、ケトチフェンまたはネドクロミル;抗感染薬、例えば、セファロスポリン、ペニシリン、ストレプトマイシン、スルホンアミド、テトラサイクリンまたはペンタミジン;抗ヒスタミン薬、例えば、メタピリレン;抗炎症薬、例えば、ベクロメタゾン、フルニソリド、ブデソニド、チプレダン、トリアムシノロンアセトニドまたはフルチカゾン;鎮咳剤、例えば、ノスカピン;気管支拡張薬、例えば、エフェドリン、アドレナリン、フェノテロール、フォルモテロール、イソプレナリン、メタプロテレノール、フェニレフリン、フェニルプロパノールアミン、ピルブテロール、レプロテロール、リミテロール、サルブタモール、サルメテロール、テルブタリン、イソエタリン、ツロブテロール、オルシプレナリンまたは(-)-4-アミノ-3,5-ジクロロ-α-[[[6-[2-(2-ピリジニル)エトキシ]ヘキシル]-アミノ]メチル]ベンゼンメタノール;利尿薬、例えば、アミロライド;抗コリン作用薬、例えば、イプラトロピウム、アトロピンまたはオキシトロピウム;ホルモン、例えば、コルチゾン、ヒドロコルチゾンまたはプレドニゾロン;キサンチン、例えば、アミノフィリン、コリンテオフィリナート、リシンテオフィリナートまたはテオフィリン;及び治療用タンパク質及びペプチド、例えば、インスリンまたはグルカゴンが含まれる。治療薬剤は、適切な場合、治療薬剤の活性及び/または安定性を最適化するために、塩の形態(例えば、アルカリ金属塩もしくはアミン塩または酸付加塩として)またはエステルとして(例えば、低級アルキルエステル)または溶媒和物(例えば、水和物)として使用されることは、当業者に明らかである。
【0202】
式(I)の化合物、またはその薬学的に許容される塩、同位体形態、もしくは立体異性体と組み合わせることができる更なる治療薬剤は、Hardman、Limbird及びGilmanによって編集されたGoodman and Gilman’s ”The Pharmacological Basis of Therapeutics” Tenth EditionまたはPhysician’s Desk Referenceに見出され、いずれもその全体が参照により本明細書に援用される。
【0203】
式(I)の化合物、またはその薬学的に許容される塩、同位体形態、もしくは立体異性体は、治療される状態に応じて、本明細書で開示される治療薬剤と組み合わせて使用することができる。したがって、いくつかの実施形態において、1つ以上の式(I)の化合物、またはその薬学的に許容される塩、同位体形態、もしくは立体異性体は、上記の他の治療薬剤と共投与される。併用療法で使用される場合、式(I)の化合物、またはその薬学的に許容される塩、同位体形態、もしくは立体異性体は、第2の治療薬剤と同時に、または別々に投与される。この併用投与には、同一剤形での同時投与、別個の剤形での同時投与、及び別個の投与が含まれ得る。すなわち、式(I)の化合物、またはその薬学的に許容される塩、同位体形態、もしくは立体異性体、及び上記の治療薬剤のいずれかは、同一剤形に一緒に製剤化し、同時に投与することができる。あるいは、式(I)の化合物、またはその薬学的に許容される塩、同位体形態、もしくは立体異性体、及び上記の治療薬剤のいずれかは、両方とも別個の製剤に存在し、これを同時投与することができる。別の代替において、式(I)の化合物、またはその薬学的に許容される塩、同位体形態、もしくは立体異性体を投与した直後に上記の治療薬剤のいずれかを投与することができ、その逆も同様である。別個の投与プロトコルのいくつかの実施形態において、式(I)の化合物、またはその薬学的に許容される塩、同位体形態、もしくは立体異性体、及び上記の治療薬剤のいずれかは、数分間隔、または数時間間隔、または数日間隔で投与される。
【0204】
以下に提供される実施例及び調製は、式(I)の化合物、またはその薬学的に許容される塩、同位体形態、もしくは立体異性体、及びかかる化合物の調製方法を更に例示し、実証するものである。本開示の範囲は、以下の実施例及び調製の範囲によっていかなる点においても限定されるものではないことを理解されたい。以下の実施例において、また本明細書及び特許請求の範囲を通して、単一の立体中心を持つ分子は、特に記述のない限り、ラセミ混合物として存在する。2つ以上の立体中心を持つ分子は、特に記述のない限り、ジアステレオマーのラセミ混合物として存在する。単一のエナンチオマー/ジアステレオマーは、当業者に知られている方法によって得ることができる。
【実施例】
【0205】
以下の実施例は、例示の目的で提供される。式(I)の化合物、またはその薬学的に許容される塩、同位体形態、もしくは立体異性体の調製方法は、本明細書で提供されるか、当業者であれば、導き出すことができる。
【0206】
以下に提供される実施例及び調製は、本開示の化合物及びかかる化合物の試験方法を更に例示し、実証するものである。本開示の範囲は、以下の実施例の範囲によっていかなる点においても限定されるものではないことを理解されたい。
【0207】
記載される実施例の化学反応は、本明細書で開示されるいくつかの他の化合物を調製するために容易に適合させることができ、本開示の化合物を調製するための代替方法は、本開示の範囲内であるとみなされる。例えば、例示されていない本開示による化合物の合成は、当業者に明らかな修正によって、例えば、干渉基を適切に保護することによって、記載される試薬以外の当該技術分野で知られている他の好適な試薬を利用することによって、または反応条件、試薬、及び出発原料を常法に修正することによって、実施することができる。あるいは、本明細書で開示されるまたは当該技術分野において知られている他の反応は、本開示の化合物の調製に適用可能であると認識されるであろう。
【0208】
以下の実施例で特に指示がない限り、化合物は、ラセミ混合物として単離される。
【0209】
本出願では、以下の略語が該当する
略語
AcOH:酢酸
CAN:硝酸セリウムアンモニウム
DAST:三フッ化ジエチルアミノ硫黄
DCM:ジクロロメタン
DIPEA:N,N-ジイソプロピルエチルアミン
DMEM:ダルベッコ改変イーグル培地
DMF:ジメチルホルムアミド
DMSO:ジメチルスルホキシド
EMEM:イーグル最小必須培地
EtOAc:酢酸エチル
EtOH:エタノール
FBS:ウシ胎児血清
Fmoc:フルオレニルメトキシカルボニル
HATU:(1-[ビス(ジメチルアミノ)メチレン]-1H-1,2,3-トリアゾロ[4,5-b]ピリジニウム3-オキシドヘキサフルオロホスファート
LC/MS:液体クロマトグラフィー質量分析
Me:メチル
MeOH:メタノール
PBS:リン酸緩衝生理食塩水
Pic-BH3:ピコリンボラン
PMB:パラ-メトキシベンジルエーテル
分取HPLC:分取高速液体クロマトグラフィー
rtまたはRT:室温
TFA:トリフルオロ酢酸
TLC:薄層クロマトグラフィー
T3P:プロパンホスホン酸無水物。
【0210】
合成例
実施例S1.(6S)-6-メチル-8-(2-メチルブチル)ヘキサヒドロ-4H-ピラジノ[1,2-a]ピリミジン-4,7(6H)-ジオンの合成。この出発原料化合物を調製するための合成ルートをスキーム1に示す。
スキーム1.
【化27】
ステップ1:(9H-フルオレン-9-イル)メチル(2S)-1-((2,2-ジメトキシエチル)(2-メチルブチル)アミノ)-1-オキソプロパン-2-イルカルバマートの合成。ジクロロメタン(100mL)中の化合物(S)-2-(((9H-フルオレン-9-イル)メトキシ)カルボニルアミノ)プロパン酸(5.0g、16.07)の攪拌溶液に、T
3P(15.2mL、24.1)及びDIPEA(5.6mL、32.1mmol)を室温で加えた。反応混合物を室温で15分間攪拌し、N-(2,2-ジメトキシエチル)-2-メチルブタン-1-アミン(2.81g、32.1mmol.)を加え、攪拌を室温で8時間続けた。反応をTLCによってモニタリングした。完了後、反応混合物を氷冷水(100mL)でクエンチし、ジクロロメタン(2×100mL)で抽出した。合わせた有機層を無水Na
2SO
4で乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮して、粗製化合物を得た。粗製化合物をフラッシュカラムクロマトグラフィー(100-200メッシュシリカゲル、40%酢酸エチル/石油エーテルで溶出)によって精製して、純化合物(9H-フルオレン-9-イル)メチル(2S)-1-((2,2-ジメトキシエチル)(2-メチルブチル)アミノ)-1-オキソプロパン-2-イルカルバマート(5.2g、69.1%)をゴム状化合物として得た。
【0211】
ステップ2:(2S)-2-アミノ-N-(2,2-ジメトキシエチル)-N-(2-メチルブチル)プロペンアミドの合成。DMF(230mL)中の(9H-フルオレン-9-イル)メチル(2S)-1-((2,2-ジメトキシエチル)(2-メチルブチル)アミノ)-1-オキソプロパン-2-イルカルバマート(34.0g、72.6mmol)の攪拌溶液にDMF中20%ピペリジン(70mL)を0℃で加えた。反応混合物を室温で2時間攪拌した。反応をTLCによってモニタリングした。反応の完了後、過剰のDMF(100mL)を加え、次いで、過剰のn-ヘキサン(3×200mL)で洗浄した。DMF層を回収し、氷冷水(1000mL)中に注ぎ、10%メタノール-ジクロロメタン(3×500mL)で抽出した。合わせた有機層を無水Na2SO4で乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮して、(2S)-2-アミノ-N-(2,2-ジメトキシエチル)-N-(2-メチルブチル)プロパンアミド(20.4g、68.4%)をゴム状の固体として得た。
【0212】
ステップ3:(9H-フルオレン-9-イル)メチル3-((2S)-1-((2,2-ジメトキシエチル)(2-メチルブチル)アミノ)-1-オキソプロパン-2-イルアミノ)-3-オキソプロピルカルバマートの合成。ジクロロメタン中に3-(((9H-フルオレン-9-イル)メトキシ)カルボニルアミノ)プロパン酸(20.2g、81.2mmol)を室温で攪拌した攪拌溶液(500mL)にT3P(80mL、121.8mmol)及びDIPEA(28.6mL、160.4mmol)を加え、混合物を10分間攪拌した。これに(2S)-2-アミノ-N-(2,2-ジメトキシエチル)-N-(2-メチルブチル)プロパンアミド(25.5381.2mmol)を加え、攪拌を室温で16時間続けた。反応の進行をTLCによってモニタリングした。完了後、反応混合物を水(500mL)でクエンチし、混合物をジクロロメタン(2×500mL)で抽出した。合わせた有機層をNa2SO4で乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮して、粗生成物を得た。粗製化合物をフラッシュカラムクロマトグラフィー(100-200メッシュシリカゲル、70%酢酸エチル/石油エーテルで溶出)によって精製して、純化合物(9H-フルオレン-9-イル)メチル3-((2S)-1-((2,2-ジメトキシエチル)(2-メチルブチル)アミノ)-1-オキソプロパン-2-イルアミノ)-3-オキソプロピルカルバマート(21.2g、78.6%)をゴム状化合物として得た。
【0213】
ステップ4:(6S)-(9H-フルオレン-9-イル)メチル6-メチル-8-(2-メチルブチル)-4,7-ジオキソオクタヒドロ-1H-ピラジノ[1,2-a]ピリミジン-1-カルボキシラートの合成。(9H-フルオレン-9-イル)メチル3-((2S)-1-((2,2-ジメトキシエチル)(2-メチルブチル)アミノ)-1-オキソプロパン-2-イルアミノ)-3-オキソプロピルカルバマート(21.0g、38.9mmol)の攪拌溶液にギ酸(105mL)を加えた。反応混合物を室温で12時間攪拌した。反応の進行をTLCによってモニタリングした。完了後、反応混合物を減圧下で濃縮して、粗製化合物を得た。粗製化合物を飽和NaHCO3(200mL)水溶液中に取り、次いで、酢酸エチル(3×500mL)で抽出した。合わせた有機層をブライン溶液(500mL)で洗浄し、次いで、合わせた有機層を無水Na2SO4で乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮した。粗製化合物をフラッシュカラムクロマトグラフィー(100-200メッシュシリカゲル、50%酢酸エチル/石油エーテルで溶出)によって精製して、純化合物(6S)-(9H-フルオレン-9-イル)メチル=6-メチル-8-(2-メチルブチル)-4,7-ジオキソオクタヒドロ-1H-ピラジノ[1,2-a]ピリミジン-1-カルボキシラート(25g、69.0%)をゴム状物として得た。
【0214】
ステップ5:(6S)-6-メチル-8-(2-メチルブチル)テトラヒドロ-1H-ピラジノ[1,2-a]ピリミジン-4,7(6H,8H)-ジオンの合成。0℃のDMF(70mL)中の(6S)-(9H-フルオレン-9-イル)メチル6-メチル-8-(2-メチルブチル)-4,7-ジオキソオクタヒドロ-1H-ピラジノ[1,2-a]ピリミジン-1-カルボキシラート(14.0g、29.4mmol)の攪拌溶液にDMF中20%ピペリジン(30mL)を加えた。反応混合物を室温まで昇温させ、2時間攪拌した。反応をTLCによってモニタリングした。出発原料が完全に消費されたら、追加のDMFを加え(50mL)、次いで、混合物を過剰のn-ヘキサン(3×200mL)で洗浄した。DMF層を氷冷水(1000mL)中に注ぎ、10%メタノール-ジクロロメタン(3×500mL)で抽出した。合わせた有機層を無水Na2SO4で乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮して、所望の粗製化合物(6S)-6-メチル-8-(2-メチルブチル)テトラヒドロ-1H-ピラジノ[1,2-a]ピリミジン-4,7(6H,8H)-ジオン(6.25g、83.8%)を固体として得た。
【0215】
実施例S2.化合物1aの合成。化合物1aを調製するための合成ルートをスキーム2に示す。
スキーム2.
【化28】
ジクロロメタン(20mL)中に4-(トリフルオロメチル)安息香酸(0.232g、0.91mmol)を室温で攪拌した溶液にT
3P(1.2mL、1.37mmol)及びDIPEA(0.42mL、1.82mmol)を加え、混合物を15分間攪拌した。これに(6S)-6-メチル-8-(2-メチルブチル)テトラヒドロ-1H-ピラジノ[1,2-a]ピリミジン-4,7(6H,8H)-ジオン(0.310g、0.91mmol)を加え、攪拌を8時間続けた。反応の進行をTLCによってモニタリングした。反応の完了後、混合物を水(50mL)でクエンチし、ジクロロメタン(2×50mL)で抽出した。合わせた有機層をNa
2SO
4で乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮した。粗製化合物を分取HPLCによって精製した。純粋なフラクションを合わせ、減圧下で濃縮して、次いで、凍結乾燥して、1a(0.340g、65.3%)を固体として得た。分取HPLC法:移動相A:10mM炭酸水素アンモニウム水;移動相B:アセトニトリル;カラム:X-Selectフェニルヘキシル(150×19mm 5μ);流速:16mL/分。MS(ESI)m/z[M+H]
+:426.05。
【0216】
実施例S3.化合物2aの合成。化合物2aを調製するための合成ルートをスキーム3に示す。
スキーム3.
【化29】
室温のジクロロメタン(15mL)中の4-(ジフルオロメトキシ)安息香酸(0.37g、1.968mmol)の溶液にDIPEA(0.8ml、5.904mmol)及びT
3P(2.0mL、3.936mmol)を加えた。混合物を30分間攪拌し、次いで、(6S)-6-メチル-8-(2-メチルブチル)ヘキサヒドロ-4H-ピラジノ[1,2-a]ピリミジン-4,7(6H)-ジオン(0.4g、1.578mmol)を加え、攪拌を16時間続けた。反応の進行をTLC及びLC/MSによってモニタリングした。反応混合物をジクロロメタン(100mL)で希釈し、水(50mL)及び飽和塩化ナトリウム溶液(50mL)で洗浄し、次いで、硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮した。粗生成物を分取HPLCによって精製した。純粋なフラクションを回収し、凍結乾燥して、2a(380mg46%)を固体として得た。分取HPLC条件:移動相A:10mM炭酸水素アンモニウム水;移動相B:アセトニトリル;カラム:Kromosilフェニル(150×25mm 10μ);流速:25mL/分。MS(ESI)m/z[M+H]
+:424.11。
【0217】
実施例S4.化合物3aの合成。化合物3aを調製するための合成ルートをスキーム4に示す。
スキーム4.
【化30】
メタノール(20mL)中に(6S)-6-メチル-8-(2-メチルブチル)テトラヒドロ-1H-ピラジノ[1,2-a]ピリミジン-4,7(6H,8H)-ジオン(0.500g、1.97mmol)を室温で攪拌した溶液に4-ヒドロキシベンズアルデヒド(0.289g、1.97mmol)及び酢酸(0.23mL、3.95mmol)を加えた。反応混合物を室温で5分間攪拌した。これにピコリンボラン(0.253g、2.37mmol)を加え、攪拌を48時間続けた。反応の進行をTLCによってモニタリングした。完了後、反応混合物を氷冷水(50mL)でクエンチし、混合物を10%メタノール-ジクロロメタン(3×40mL)で抽出した。合わせた有機層をNa
2SO
4で乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮した。粗製化合物を分取HPLCによって精製した。純粋なフラクションを合わせ、減圧下で濃縮して、次いで、凍結乾燥して、3a(0.180g、46.09%)を固体として得た。分取HPLC法:移動相A:10mM炭酸水素アンモニウム水;移動相B:アセトニトリル;カラム:Kromosilフェニル(150×25mm 10μ);流速:25mL/分。MS(ESI)m/z[M+H]
+:360.11。
【0218】
実施例S5.化合物4aの合成。化合物4aを調製するための合成ルートをスキーム5に示す。
スキーム5.
【化31】
室温のDMF(15mL)中の6-ヒドロキシニコチン酸(0.340g2.446mmol)の溶液にDIPEA(1.30mL、7.338mmol)及びHATU(1.39g、3.669mmol)を加えた。得られた反応混合物を30分間攪拌し、次いで、(6S)-6-メチル-8-(2-メチルブチル)ヘキサヒドロ-4H-ピラジノ[1,2-a]ピリミジン-4,7(6H)-ジオン(0.495g、1.956mmol.)を加え、混合物を16時間攪拌した。反応の進行をTLC及びLC/MSによってモニタリングした(TLC系:10%メタノール/ジクロロメタン、Rf:0.15、検出:UV)。反応混合物を冷水(100mL)でクエンチし、10%メタノール/ジクロロメタン(3×100mL)で抽出した。合わせた有機層を冷水(50mL)及び冷ブライン溶液(50mL)で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮した。粗生成物を分取HPLCによって精製した。純粋なフラクションを回収し、凍結乾燥して、4a(160mg、21.8%)を固体として得た。分取HPLC法:移動相A:0.01mM炭酸水素アンモニウム水;移動相B:アセトニトリル;カラム:X-Selectフェニルヘキシル(150×19mm、5μ);流速:15mL/分。MS(ESI)m/z[M+H]
+:375.05。
【0219】
実施例S6.化合物5aの合成。化合物5aを調製するための合成ルートをスキーム6に示す。
スキーム6.
【化32】
DMF(20mL)中に(6S)-6-メチル-8-(2-メチルブチル)テトラヒドロ-1H-ピラジノ[1,2-a]ピリミジン-4,7(6H,8H)-ジオン(0.5g、1.97mmol)及び1-(ブロモメチル)-4-(トリフルオロメチル)ベンゼン(0.470g、1.97mmol)を室温で攪拌した溶液にK
2CO
3(0.546g、3.95mmol)を加え、混合物を8時間攪拌した。反応の進行をTLCによってモニタリングした。完了後、混合物を水(100mL)でクエンチし、酢酸エチル(3×50mL)で抽出した。合わせた有機層をNa
2SO
4で乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮した。粗製化合物を分取HPLCによって精製した。純粋なフラクションを合わせ、減圧下で濃縮して、次いで、凍結乾燥して、5a(0.270g、63.8%)をゴム状物として得た。分取HPLC法:移動相A:10mM炭酸水素アンモニウム水;移動相B:アセトニトリル;カラム:Kromosil C
18(150×25mm 10μ);流速:25mL/分。MS(ESI)m/z[M+H]
+:412.2。
【0220】
実施例S7.化合物6aの合成。化合物6aを調製するための合成ルートをスキーム7に示す。
スキーム7.
【化33】
DMF(20mL)中に(6S)-6-メチル-8-(2-メチルブチル)テトラヒドロ-1H-ピラジノ[1,2-a]ピリミジン-4,7(6H,8H)-ジオン(0.500g、1.97mmol)及び1-(ブロモメチル)-4-(ジフルオロメトキシ)ベンゼン(0.466g、1.97mmol)を室温で攪拌した溶液にK
2CO
3(0.546g、9.95mmol)を加えた。反応混合物を室温で18時間攪拌した。反応の進行をTLCによってモニタリングした。完了後、反応混合物を水(100mL)でクエンチし、酢酸エチル(3×50mL)で抽出した。合わせた有機層をNa
2SO
4で乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮した。粗製化合物を分取HPLCによって精製した。純粋なフラクションを合わせ、減圧下で濃縮し、次いで、凍結乾燥して、6a(0.178g、41.5%)を半固体として得た。分取HPLC法:移動相A:10mM炭酸水素アンモニウム水;移動相B:アセトニトリル;カラム:X-Select C
18(250×19mm、5μ);流速:18mL/分。MS(ESI)m/z[M+H]
+:410.11。
【0221】
実施例S8.化合物7aの合成。化合物7aを調製するための合成ルートをスキーム8に示す。
スキーム8.
【化34】
メタノール(20mL)中に化合物(6S)-6-メチル-8-(2-メチルブチル)テトラヒドロ-1H-ピラジノ[1,2-a]ピリミジン-4,7(6H,8H)-ジオン(0.500g、1.97mmol)を室温で攪拌した溶液に6-ヒドロキシニコチンアルデヒド(0.243g、1.97mmol)及び酢酸(0.25mL、3.95mmol)を加え、混合物を5分間攪拌した。これにピコリンボラン(0.318g、2.96mmol)を加え、攪拌を96時間続けた。反応の進行をTLCによってモニタリングした。完了後、反応混合物を氷冷水(50mL)でクエンチし、10%メタノール-ジクロロメタン(3×40mL)で抽出した。合わせた有機層をNa
2SO
4で乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮した。粗製化合物を分取HPLCによって精製した。純粋なフラクションを合わせ、減圧下で濃縮して、次いで、凍結乾燥して、7a(0.164g、42%)を固体として得た。分取HPLC法:移動相A:10mM炭酸水素アンモニウム水;移動相B:アセトニトリル;カラム:X-BRIDGE C
18(250×19mm、5μ);流速:18mL/分。MS(ESI)m/z[M+H]
+:361.11。
【0222】
実施例S9.化合物8aの合成。化合物8aを調製するための合成ルートをスキーム9に示す。
スキーム9.
【化35】
ステップ1:(6S)-1-(4-(ベンジルオキシ)ベンゾイル)-6-メチル-8-(2-メチルブチル)ヘキサヒドロ-4H-ピラジノ[1,2-a]ピリミジン-4,7(6H)-ジオンの合成。ジクロロメタン(20mL)中に4-(ベンジルオキシ)安息香酸(0.360g、1.42mmol)を室温で攪拌した溶液にT
3P(1.2mL、1.7mmol)及びDIPEA(0.55mL、2.84mmol)を加え、混合物を15分間攪拌した。これに(6S)-6-メチル-8-(2-メチルブチル)テトラヒドロ-1H-ピラジノ[1,2-a]ピリミジン-4,7(6H,8H)-ジオン(0.400g、1.42mmol)を加え、攪拌を室温で16時間続けた。反応の進行をTLCによってモニタリングした。完了後、反応混合物を水(50mL)でクエンチし、ジクロロメタン(2×50mL)で抽出した。合わせた有機層をNa
2SO
4で乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮して、0.9gの粗製材料を得た。粗製材料をLC/MSによって分析すると、54.59%の所望生成物を示した。粗製材料を精製することなく次のステップで使用した。
【0223】
ステップ2:化合物8aの合成。メタノール(20mL)中に(6S)-1-(4-(ベンジルオキシ)ベンゾイル)-6-メチル-8-(2-メチルブチル)テトラヒドロ-1H-ピラジノ[1,2-a]ピリミジン-4,7(6H,8H)-ジオン(0.900g)を室温で攪拌した溶液に10%Pd-C(0.200g)をN2雰囲気下で加えた。反応混合物をH2バルーン下、室温で8時間攪拌した。反応の進行をTLCによってモニタリングした。完了後、反応混合物をセライトに通して濾過し、減圧下で蒸発させ、粗製化合物を得た。粗製化合物をジクロロメタン(50mL)中に溶解し、NaHCO3水溶液(20mL)及びブライン溶液(20mL)で洗浄した。濾液をNa2SO4で乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮した。粗製化合物をジエチルエーテルでトリチュレートして、8a(0.330g、82%)を固体として得た。MS(ESI)m/z[M+H]+:374.11。
【0224】
実施例S10.化合物9の合成。化合物9を調製するための合成ルートをスキーム10に示す。
スキーム10.
【化36】
ステップ1:(9H-フルオレン-9-イル)メチル2-(sec-ブチル(2,2-ジメトキシエチル)アミノ)-2-オキソエチルカルバマートの合成。0℃まで冷却したジクロロメタン(100mL)中の2-(((9H-フルオレン-9-イル)メトキシ)カルボニルアミノ)酢酸(10g、33.6mmol)の攪拌溶液に、DIPEA(11.88mL、67.3mmol)、N-(2,2-ジメトキシエチル)ブタン-2-アミン(10.84g、67.3mmol)及びT
3P(53.0mL、84.1mmol)を加え、反応混合物を室温で16時間攪拌した。反応の進行をTLCによってモニタリングした。反応の完了後、氷冷水(100mL)を加え、酢酸エチル(2×150mL)で抽出した。合わせた有機層を無水Na
2SO
4で乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮して、所望の粗生成物を得た。粗製化合物をフラッシュカラムクロマトグラフィー(100-200メッシュシリカゲル)によって精製し、20-25%酢酸エチル/石油エーテルで溶出して、(9H-フルオレン-9-イル)メチル2-(sec-ブチル(2,2-ジメトキシエチル)アミノ)-2-オキソエチルカルバマート(10.8g、72.9%)を固体として得た。
【0225】
ステップ2:2-アミノ-N-sec-ブチル-N-(2,2-ジメトキシエチル)アセトアミドの合成。0℃まで冷却したDMF(20mL)中の(9H-フルオレン-9-イル)メチル2-(sec-ブチル(2,2-ジメトキシエチル)アミノ)-2-オキソエチルカルバマート(10.8g、24.5mmol)の溶液にピペリジン(2.4mL)を加え、反応混合物を室温で2時間攪拌した。反応の進行をTLCによってモニタリングした。TLCにより出発原料の完全な消費が示されたら、反応混合物を石油エーテル(2×100mL)で希釈し、次いで、水を加え、混合物を分離した。水層をジクロロメタン(2×150mL)で抽出した。合わせた有機層を無水Na2SO4で乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮して、所望の純生成物2-アミノ-N-sec-ブチル-N-(2,2-ジメトキシエチル)アセトアミド(3.6g、67.2%)を固体として得た。
【0226】
ステップ3:(9H-フルオレン-9-イル)メチル-3-(2-(sec-ブチル(2,2-ジメトキシエチル)アミノ)-2-オキソエチルアミノ)-3-オキソプロピルカルバマートの合成。ジクロロメタン(40mL)中の2-アミノ-N-sec-ブチル-N-(2,2-ジメトキシエチル)アセトアミド(3.6g、16.5mmol)の攪拌溶液にDIPEA(31.91mL、49.5mmol)、3-(((9H-フルオレン-9-イル)メトキシ)カルボニルアミノ)プロパン酸(5.14g、16.5mmol)及びT3P(39.13g、33mmol)を0℃で加えた。反応混合物を室温で16時間攪拌した。反応の進行をTLCによってモニタリングした。反応の完了後、反応水(100mL)を加え、有機相を分離した。水相をジクロロメタン(2×150mL)で抽出した。合わせた有機層をNa2SO4で乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮して、粗生成物を得た。粗生成物を、シリカを使用するカラムクロマトグラフィーによって精製した(230-400メッシュ;溶離液として23-25%酢酸エチル/石油エーテル)。回収した純粋なフラクションを減圧下で濃縮して、(9H-フルオレン-9-イル)メチル-3-(2-(sec-ブチル(2,2-ジメトキシエチル)アミノ)-2-オキソエチルアミノ)-3-オキソプロピルカルバマート(4.1g、48.6%)をゴム状物として得た。
【0227】
ステップ4:(9H-フルオレン-9-イル)メチル8-sec-ブチル-4,7-ジオキソオクタヒドロ-1H-ピラジノ[1,2-a]ピリミジン-1-カルボキシラートの合成。酢酸(2mL)中の(9H-フルオレン-9-イル)メチル-3-(2-(sec-ブチル(2,2-ジメトキシエチル)アミノ)-2-オキソエチルアミノ)-3-オキソプロピルカルバマート(4.1g、8.01mmol)の溶液に室温で16時間攪拌した。反応の進行をTLCによってモニタリングした。TLCにより出発原料の完全な消費が示されたら、反応混合物を濃縮し、得られた塊を水で希釈し、ジクロロメタン(2×100mL)で抽出した。合わせた有機層をNa2SO4で乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮して、生成物(9H-フルオレン-9-イル)メチル8-sec-ブチル-4,7-ジオキソオクタヒドロ-1H-ピラジノ[1,2-a]ピリミジン-1-カルボキシラート(3.2g、89.3%)をゴム状物として得た。
【0228】
ステップ5:8-sec-ブチルテトラヒドロ-1H-ピラジノ[1,2-a]ピリミジン-4,7(6H,8H)-ジオンの合成。0℃まで冷却したDMF(20mL)中の(9H-フルオレン-9-イル)メチル8-sec-ブチル-4,7-ジオキソオクタヒドロ-1H-ピラジノ[1,2-a]ピリミジン-1-カルボキシラート(3.2g、7.1mmol)の溶液にピペリジン(0.7mL、1.0当量)を加え、反応混合物を室温で2時間攪拌した。反応の進行をTLCによってモニタリングした。TLCにより出発原料の完全な消費が示されたら、反応混合物石油エーテル(2×50mL)で洗浄して、非極性不純物を除去した。冷水を加え、ジクロロメタン(2×100mL)で抽出した。合わせた有機層をNa2SO4で乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮して、純生成物8-sec-ブチルテトラヒドロ-1H-ピラジノ[1,2-a]ピリミジン-4,7(6H,8H)-ジオン(900mg、55.9%)を固体として得た。
【0229】
ステップ6:化合物9の合成。メタノール(10mL)中の(8-(sec-ブチル)ヘキサヒドロ-4H-ピラジノ[1,2-a]ピリミジン-4,7(6H)-ジオン(0.500g、2.2mmol)及び4-ヒドロキシベンズアルデヒド(0.271g、2.2mmol)の攪拌溶液に酢酸(0.27mL、2.0当量)及びピコリンボラン(0.285g、2.6mmol)を室温で加えた。反応混合物を室温で48時間攪拌した。反応の進行をTLCによってモニタリングした。完了後、反応混合物を氷冷水(10mL)でクエンチし、酢酸エチル(2×20mL)で抽出した。合わせた有機層をNa2SO4で乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮して、粗生成物を得た。粗製化合物をLC/MSによって分析した。粗製LC/MSデータは、8.28%の所望の質量を示した。粗製化合物をシリカゲル(100-200)上でのカラムクロマトグラフィーによって精製して、所望の化合物を50-70%酢酸エチル/石油エーテルで溶出した。溶出したフラクションのLC/MSは、72.16%の所望の質量を示し、これを分取HPLCによって更に精製した。分取HPLC精製後、フラクションを回収し、減圧下で濃縮し、次いで、凍結乾燥して、9(0.168g、22.8%)を固体として得た。分取HPLC法:移動相A:10mM炭酸水素アンモニウム水;移動相B:アセトニトリル;カラム:X-BRIDGE C18(150×19mm 5μ);流速:18mL/分。MS(ESI)m/z[M+H]+:332.2。
【0230】
実施例S11.化合物10の合成。化合物10を調製するための合成ルートをスキーム11に示す。
スキーム11.
【化37】
0℃のDMF(4mL)中の6-メチル-8-(2-メチルブチル)ヘキサヒドロ-4H-ピラジノ[1,2-a]ピリミジン-4,7(6H)-ジオン(250mg、0.98mmol)及び4-クロロ安息香酸(170mg、1.09mmol)の溶液に、HATU(413mg、1.08mmol)、続いて、DIPEA(0.35mL、1.97mmol)を加えた。反応混合物を室温で12時間攪拌した。完了後、反応混合物を氷冷水(50mL)でクエンチし、水層をEtOAc(50mL×2)で抽出した。有機層を冷H
2O(30mL)、続いて、飽和ブライン(30mL)で洗浄し、Na
2SO
4で乾燥させ、減圧下で濃縮した。得られた粗製物をカラムクロマトグラフィー(シリカ100-200メッシュ;30%EtOAc/ヘキサン)によって精製して、1-(4-クロロベンゾイル)-6-メチル-8-(2-メチルブチル)ヘキサヒドロ-4H-ピラジノ[1,2-a]ピリミジン-4,7(6H)-ジオン10(150mg、0.383mmol、収率39.2%)を固体として得た。MS(ESI)m/z[M+H]
+:392.05。
1H NMR(400MHz,DMSO-d
6)δ0.66-0.89(m,6H)0.91-1.42(m,4H)1.57-1.78(m,1H)2.16-2.35(m,2H)2.55-2.65(m,2H)3.08-3.23(m,2H)3.28-3.40(m,1H)3.51-3.64(m,2H)4.76-4.89(m,1H)5.88-6.02(m,1H)7.46-7.56(m,4H)。
【0231】
実施例S12.化合物11の合成。化合物11を調製するための合成ルートをスキーム12に示す。
スキーム12.
【化38】
0℃のDMF(4mL)中の6-メチル-8-(2-メチルブチル)ヘキサヒドロ-4H-ピラジノ[1,2-a]ピリミジン-4,7(6H)-ジオン(250mg、0.98mmol)及び4-フルオロ安息香酸(153mg、1.09mmol)の溶液に、HATU(413mg、1.08mmol)、続いて、DIPEA(0.35mL、1.97mmol)を加えた。反応混合物を室温で12時間攪拌した。完了後、反応混合物を氷冷水(50mL)でクエンチし、水層をEtOAc(50mL×2)で抽出した。有機層を冷H
2O(30mL)、続いて、飽和ブライン(30mL)で洗浄し、Na
2SO
4で乾燥させ、減圧下で濃縮した。得られた粗製をカラムクロマトグラフィー(シリカ100-200メッシュ;30%EtOAc/ヘキサン)によって精製して、1-(4-フルオロベンゾイル)-6-メチル-8-(2-メチルブチル)ヘキサヒドロ-4H-ピラジノ[1,2-a]ピリミジン-4,7(6H)-ジオン11(140mg、0.37mmol、収率38.0%)を固体として得た。MS(ESI)m/z[M+H]
+:376.05。
1H NMR(400MHz,DMSO-d6)δ0.69-0.81(m,3H)0.86(t,J=7.23Hz,3H)0.95-1.14(m,2H)1.20-1.43(m,4H)1.59-1.80(m,2H)2.26(d,J=16.95Hz,1H)2.55-2.72(m,1H)3.20-3.31(m,2H)3.35-3.39(m,1H)3.52-3.70(m,2H)4.73-4.89(m,1H)7.33(t,J=8.73Hz,2H)7.61(dd,J=8.23,5.73Hz,2H)。
【0232】
実施例S13.化合物12の合成。化合物12を調製するための合成ルートをスキーム13に示す。
スキーム13.
【化39】
0℃のDMF(4mL)中の6-メチル-8-(2-メチルブチル)ヘキサヒドロ-4H-ピラジノ[1,2-a]ピリミジン-4,7(6H)-ジオン(250mg、0.98mmol)及び3-クロロ-4-(トリフルオロメチル)安息香酸(242mg、1.09mmol)の溶液に、HATU(413mg、1.08mmol)、続いて、DIPEA(0.35mL、1.97mmol)を加えた。反応混合物を室温で12時間攪拌した。完了後、反応混合物を氷冷水(50mL)でクエンチし、水層をEtOAc(50mL×2)で抽出した。有機層を冷H
2O(30mL)、続いて、飽和ブライン(30mL)で洗浄し、Na
2SO
4で乾燥させ、減圧下で濃縮した。得られた粗製物をカラムクロマトグラフィー(シリカ100-200メッシュ;30%EtOAc/ヘキサン)によって精製して、1-(3-クロロ-4-(トリフルオロメチル)ベンゾイル)-6-メチル-8-(2-メチルブチル)ヘキサヒドロ-4H-ピラジノ[1,2-a]ピリミジン-4,7(6H)-ジオン12(250mg、0.55mmol、収率55.2%)を固体として得た。MS(ESI)m/z[M+H]
+:460.0。
1H NMR(400MHz,DMSO-d6)δ0.74-0.93(m,6H)0.98-1.19(m,2H)1.28-1.46(m,3H)1.64-1.81(m,1H)2.22(d,J=17.45Hz,1H)2.57-2.70(m,1H)3.14(dd,J=13.21,6.23Hz,1H)3.25-3.31(m,2H)3.44-3.57(m,1H)3.61-3.87(m,2H)4.78-4.90(m,1H)5.89-6.05(m,1H)7.72(d,J=7.98Hz,1H)7.90-8.02(m,2H)。
【0233】
実施例S14.中間体化合物8-(4-メトキシベンジル)-6-メチルヘキサヒドロ-4H-ピラジノ[1,2-a]ピリミジン-4,7(6H)-ジオンの合成。この中間体化合物を調製するための合成ルートをスキーム14に示す。
スキーム14.
【化40】
ステップ1:2,2-ジエトキシ-N-(4-メトキシベンジル)エタン-1-アミンの合成。500mL丸底フラスコにアニスアルデヒド(12mL、90.22mmol)及び2,2-ジエトキシエタンアミン(10g、75.18mmol)を仕込んだ。反応混合物を100℃で1時間加熱した。反応混合物を室温で冷却し、これに、EtOH(100mL)、続いて、NaBH
4(4.28g、112.7mmol)を加えた。得られた反応混合物を室温で16時間攪拌した。出発原料が完全に消費されたら(TLCによるモニタリング)、反応混合物を減圧下で濃縮した。得られた粗製物をEtOAc(300mL)中に溶解した。有機層をブライン(100mL)で洗浄し、Na
2SO
4で乾燥させ、真空下で濃縮して、粗生成物を得た。得られた粗生成物をカラムクロマトグラフィー(シリカ100-200メッシュ;70%EtOAc/ヘキサン)によって精製して、2,2-ジエトキシ-N-(4-メトキシベンジル)エタン-1-アミン(15g、59.28mmol、収率78%)を液体として得た。MS(ESI)m/z[M+H]
+:254.3。
【0234】
ステップ2:(9H-フルオレン-9-イル)メチル=(1-((2,2-ジエトキシエチル)(4-メトキシベンジル)アミノ)-1-オキソプロパン-2-イル)カルバマート。0℃に維持した無水DMF(140mL)中の(((9H-フルオレン-9-イル)メトキシ)カルボニル)アラニン(32g、102.76mmol)の攪拌溶液に、HATU(42g、110.67mmol)、DIPEA(21.06mL、118.57mmol)、続いて、2,2-ジエトキシ-N-(4-メトキシベンジル)エタン-1-アミン(20g、79.05mmol)を加えた。反応混合物を室温で16時間攪拌した。出発原料が完全に消費されたら、反応混合物を氷冷水(300mL)でクエンチし、水層をEtOAc(200mL×2)で抽出した。有機層を冷H2O(200mL)、続いて、ブライン(100mL)で洗浄し、Na2SO4で乾燥させ、減圧下で濃縮して、粗生成物を得た。得られた粗製物をカラムクロマトグラフィー(シリカ100-200メッシュ;50%EtOAc/ヘキサン)によって精製して、(9H-フルオレン-9-イル)メチル(1-((2,2-ジエトキシエチル)(4-メトキシベンジル)アミノ)-1-オキソプロパン-2-イル)カルバマート(28g、51.22mmol、収率64.8%)をゴム状液体として得た。MS(ESI)m/z[M+H-EtOH]+:501.2。
【0235】
ステップ3:2-アミノ-N-(2,2-ジエトキシエチル)-N-(4-メトキシベンジル)プロパンアミドの合成。CH2Cl2(30mL)中の(9H-フルオレン-9-イル)メチル(1-((2,2-ジエトキシエチル)(4-メトキシベンジル)アミノ)-1-オキソプロパン-2-イル)カルバマート(28g、51.22mmol)の溶液にジエチルアミン(200mL)を加えた。反応混合物を室温で3時間攪拌した。出発原料が完全に消費されたら(TLCによるモニタリング)、反応混合物を濃縮し、得られた粗製物をカラムクロマトグラフィー(シリカ100-200メッシュ;5%MeOH/DCM)によって精製して、2-アミノ-N-(2,2-ジエトキシエチル)-N-(4-メトキシベンジル)プロパンアミド(14.5g、44.75mmol、収率87%)を粘稠性液体として得た。MS(ESI)m/z[M+H-EtOH]+:279.05。
【0236】
ステップ4:(9H-フルオレン-9-イル)メチル=(3-((1-((2,2-ジエトキシエチル)(4-メトキシベンジル)アミノ)-1-オキソプロパン-2-イル)アミノ)-3-オキソプロピル)カルバマートの合成。0℃に維持した無水DMF(120mL)中の3-((((9H-フルオレン-9-イル)メトキシ)カルボニル)アミノ)プロパン酸(14.78g、47.53mmol)の攪拌溶液に、HATU(18.06g、47.53mmol)、DIPEA(9.21mL、51.85mmol)、続いて、2-アミノ-N-(2,2-ジエトキシエチル)-N-(4-メトキシベンジル)プロパンアミド(14g、43.20mmol)を加えた。反応混合物を室温で16時間攪拌した。完了後、反応混合物を氷冷水(200mL)でクエンチし、水層をEtOAc(200mL×2)で抽出した。有機層を冷H2O(500mL)、続いて、飽和ブライン(200mL)で洗浄し、Na2SO4で乾燥させ、減圧下で濃縮した。得られた粗製物をカラムクロマトグラフィー(シリカ100-200メッシュ;30%EtOAc/ヘキサン)によって精製して、(9H-フルオレン-9-イル)メチル=(3-((1-((2,2-ジエトキシエチル)(4-メトキシベンジル)アミノ)-1-オキソプロパン-2-イル)アミノ)-3-オキソプロピル)カルバマート(18g、29.14mmol、収率67.44%)を粘稠性液体として得た。MS(ESI)m/z[M+H-EtOH]+:572。
【0237】
ステップ5:(9H-フルオレン-9-イル)メチル8-(4-メトキシベンジル)-6-メチル-4,7-ジオキソヘキサヒドロ-2H-ピラジノ[1,2-a]ピリミジン-1(6H)-カルボキシラートの合成。ギ酸(120mL)中の(9H-フルオレン-9-イル)メチル=(3-((1-((2,2-ジエトキシエチル)(4-メトキシベンジル)アミノ)-1-オキソプロパン-2-イル)アミノ)-3-オキソプロピル)カルバマート(18g、29.14mmol)の溶液を室温で12時間攪拌した。完了後、反応混合物を濃縮し、得られた粗製物をカラムクロマトグラフィー(シリカ100-200メッシュ;30%EtOAc/ヘキサン)によって精製して、(9H-フルオレン-9-イル)メチル8-(4-メトキシベンジル)-6-メチル-4,7-ジオキソヘキサヒドロ-2H-ピラジノ[1,2-a]ピリミジン-1(6H)-カルボキシラート(14.5g、27.58mmol、収率94%)を固体として得た。MS(ESI)m/z[M+H]+:526。
【0238】
ステップ6:8-(4-メトキシベンジル)-6-メチルヘキサヒドロ-4H-ピラジノ[1,2-a]ピリミジン-4,7(6H)-ジオンの合成。CH2Cl2(150mL)中の(9H-フルオレン-9-イル)メチル8-(4-メトキシベンジル)-6-メチル-4,7-ジオキソヘキサヒドロ-2H-ピラジノ[1,2-a]ピリミジン-1(6H)-カルボキシラート(14g、26.63mmol)の溶液にジエチルアミン(100mL)を加え、反応混合物を室温で3時間攪拌した。出発原料が完全に消費されたら(TLCによるモニタリング)、反応混合物を濃縮し、得られた粗製物をカラムクロマトグラフィー(シリカ100-200メッシュ;5%MeOH/DCM)によって精製して、8-(4-メトキシベンジル)-6-メチルヘキサヒドロ-4H-ピラジノ[1,2-a]ピリミジン-4,7(6H)-ジオン(7g、23.07mmol、収率87%)を粘着性固体として得た。MS(ESI)m/z[M+H]+:304。
【0239】
実施例S15.中間体化合物8-(4-メトキシベンジル)-6-メチルヘキサヒドロ-4H-ピラジノ[1,2-a]ピリミジン-4,7(6H)-ジオンの合成。この中間体化合物を調製するための合成ルートをスキーム15に示す。
スキーム15.
【化41】
ステップ1:8-(4-メトキシベンジル)-6-メチル-1-(4-(トリフルオロメチル)ベンゾイル)ヘキサヒドロ-4H-ピラジノ[1,2-a]ピリミジン-4,7(6H)-ジオンの合成。0℃に維持したDMF(100mL)中の4-(トリフルオロメチル)安息香酸(5.26g、27.69mmol)の溶液に、HATU(10.52g、27.69mmol)、DIPEA(12.30mL、69.23mmol)、続いて、8-(4-メトキシベンジル)-6-メチルヘキサヒドロ-4H-ピラジノ[1,2-a]ピリミジン-4,7(6H)-ジオン(7g、23.07mmol)を加え、反応混合物を室温で12時間攪拌した。完了後、反応混合物を氷冷水(200mL)でクエンチし、水層をEtOAc(200mL×2)で抽出した。有機層を冷H
2O(200mL)、続いて、飽和ブライン(150mL)で洗浄し、Na
2SO
4で乾燥させ、減圧下で濃縮した。得られた粗製物をカラムクロマトグラフィー(シリカ100-200メッシュ;30%EtOAc/ヘキサン)によって精製して、8-(4-メトキシベンジル)-6-メチル-1-(4-(トリフルオロメチル)ベンゾイル)ヘキサヒドロ-4H-ピラジノ[1,2-a]ピリミジン-4,7(6H)-ジオン(9g、18.92mmol、収率82.04%)を固体として得た。MS(ESI)m/z[M+H]
+:476.15及びMS(ESI)m/z[M+Na]
+:498.05。
【0240】
ステップ2:6-メチル-1-(4-(トリフルオロメチル)ベンゾイル)ヘキサヒドロ-4H-ピラジノ[1,2-a]ピリミジン-4,7(6H)-ジオンの合成。0℃に維持したCH3CN:H2O(2:1、150mL)中の8-(4-メトキシベンジル)-6-メチル-1-(4-(トリフルオロメチル)ベンゾイル)ヘキサヒドロ-4H-ピラジノ[1,2-a]ピリミジン-4,7(6H)-ジオン(9g、18.92mmol)の溶液にCAN(31.15g、56.82mmol)を加え、反応混合物を室温で3時間攪拌した。反応の進行をTLCによってモニタリングした。完了後、反応混合物をNaHCO3(200mL)の飽和水溶液でクエンチし、EtOAc(200mL×2)で抽出した。合わせた有機層をH2O(200mL)、続いて、飽和ブライン溶液(150mL)で洗浄し、Na2SO4で乾燥させ、減圧下で濃縮した。得られた粗製物をカラムクロマトグラフィー(シリカ100-200メッシュ;10%MeOH/DCM)によって精製して、6-メチル-1-(4-(トリフルオロメチル)ベンゾイル)ヘキサヒドロ-4H-ピラジノ[1,2-a]ピリミジン-4,7(6H)-ジオン(3.5g、9.85mmol、収率52.8%)を固体として得た。MS(ESI)m/z[M+H+CH3CN]+:397.0。1H NMR(400MHz,DMSO-d6)δ1.25-1.46(m,3H)2.15-2.30(m,1H)2.56-2.69(m,1H)3.16(d,J=4.99Hz,1H)3.22-3.30(m,1H)3.42-3.72(m,2H)4.70-4.87(m,1H)5.85-5.95(m,1H)7.75(d,J=7.98Hz,2H)7.86(d,J=7.98Hz,2H)8.11(brs,1H)。
【0241】
実施例S16.最終化合物の合成のための一般手順A。
DMF(2mL)中の6-メチル-1-(4-(トリフルオロメチル)ベンゾイル)ヘキサヒドロ-4H-ピラジノ[1,2-a]ピリミジン-4,7(6H)-ジオン(200mg,0.56mmol)の溶液に、KOtBu(THF中1M、1.69mmol、1.69mL)、続いて、アルキルハライド(1.12mmol)を加え、反応混合物を120℃のマイクロ波照射に1時間曝した。反応混合物を室温まで冷却し、H2O(25mL)でクエンチした。水層をEtOAc(10mL×3)で抽出した。合わせた有機層をブラインで洗浄し、濃縮した。粗生成物をCombiFlashによって精製した。
【0242】
実施例S17.化合物15の合成。
化合物15は、(ブロモメチル)シクロペンタンをアルキルハライドとして使用して、一般手順Aによって合成した。MS(ESI)m/z[M+H]+:438.65。1H NMR(400MHz,DMSO-d6)δ1.02-1.26(m,3H)1.28-1.42(m,2H)1.44-1.76(m,6H)1.80-2.08-2.33(m,2H)2.55-2.71(m,1H)3.22(dd,J=12.96,7.48Hz,1H)3.26-3.32(m,1H)3.39(d,J=6.98Hz,1H)3.49-3.57(m,1H)3.59-3.74(m,1H)3.76-3.91(m,1H)4.80-4.90(m,1H)5.95-6.05(m,1H)7.72-7.79(m,2H)7.84-7.91(m,2H)。
【0243】
実施例S18.化合物16の合成。
化合物16は、ブロモメチルシクロブタンをアルキルハライドとして使用して、一般手順Aによって合成した。MS(ESI)m/z[M+H]+:424.15。1H NMR(400MHz,DMSO-d6)δ1.29-1.44(m,2H)1.58-1.89(m,4H)1.90-2.08(m,2H)2.16-2.31(m,1H)2.55-2.70(m,2H)3.18-3.31(m,1H)3.25-3.26(m,1H)3.34-3.42(m,1H)3.36-3.57(m,2H)3.60-3.69(n,1H)3.71-3.83(m,1H)4.75-4.89(m,1H)5.90-6.05(m,1H)7.70-7.79(m,2H)7.87(d,J=8.31Hz,2H)。
【0244】
実施例S19.化合物19の合成。
化合物19は、(2-ブロモエチル)シクロペンタンをアルキルハライドとして使用して、一般手順Aによって合成した。MS(ESI)m/z[M+H]+:452.35。1H NMR(400MHz,DMSO-d6)δ0.94-1.18(m,3H)1.26-1.61(m,9H)1.66-1.83(m,2H)2.16-2.31(m,1H)2.56-2.70(m,1H)3.16-3.28(m,1H)3.35-3.56(m,3H)3.60-3.73(m,1H)3.77-3.90(m,1H)4.72-4.92(m,1H)5.94-6.06(m,1H)7.77(d,J=7.98Hz,2H)7.87(d,J=7.98Hz,2H)。
【0245】
実施例S20.化合物20の合成。
化合物20は、(2-ブロモエチル)シクロブタンをアルキルハライドとして使用して、一般手順Aによって合成した。MS(ESI)m/z[M+H]+:438.25。1H NMR(400MHz,DMSO-d6)δ1.27-1.44(m,3H)1.50-1.71(m,4H)1.71-1.88(m,2H)1.93-2.09(m,2H)2.13-2.34(m,2H)2.56-2.70(m,2H)3.25-3.32(m,1H)3.35-3.42(m,1H)3.45-3.55(m,1H)3.59-3.72(m,1H)3.74-3.90(m,1H)4.75-4.89(m,1H)5.94-6.05(m,1H)7.71-7.79(m,2H)7.87(d,J=8.31Hz,2H)。
【0246】
実施例S21.化合物21の合成。
化合物21は、1-ブロモブタンをアルキルハライドとして使用して、一般手順Aによって合成した。MS(ESI)m/z[M+H]+:412.20。1H NMR(400MHz,DMSO-d6)δ0.81-0.97(m,3H)1.15-1.57(m,7H)2.15-2.31(m,1H)2.57-2.69(m,1H)3.14-3.28(m,1H)3.35-3.60(m,3H)3.62-3.73(m,1H)3.74-3.92(m,1H)4.75-4.91(m,1H)5.94-6.06(m,1H)7.76(d,J=7.34Hz,2H)7.87(d,J=7.83Hz,2H)。
【0247】
実施例S22.化合物22の合成。
化合物22は、4-ブロモブタ-1-エンをアルキルハライドとして使用して、一般手順Aによって合成した。MS(ESI)m/z[M+H]+:410.20。1H NMR(400MHz,DMSO-d6)δ1.28-1.45(m,3H)2.14-2.38(m,3H)2.55-2.69(m,1H)3.36-3.57(m,4H)3.58-3.72(m,1H)3.75-3.89(m,1H)4.75-4.90(m,1H)4.98-5.19(m,2H)5.69-5.84(m,1H)5.93-6.05(m,1H)7.76(d,J=7.98Hz,2H)7.88(d,J=7.98Hz,2H)。
【0248】
実施例S23.化合物23の合成。
化合物23は、1-ブロモ-2-メチルプロパンをアルキルハライドとして使用して、一般手順Aによって合成した。MS(ESI)m/z[M+H]+:412.25。1H NMR(400MHz,DMSO-d6)δ0.80-0.96(m,6H)1.30-1.48(m,3H)1.85-2.03(m,1H)2.15-2.31(m,1H)2.57-2.70(m,1H)3.06-3.16(m,1H)3.18-3.28(m,1H)3.36-3.45(m,1H)3.44-3.57(m,1H)3.60-3.74(m,1H)3.73-3.87(m,1H)4.77-4.92(m,1H)5.93-6.07(m,1H)7.76(d,J=7.48Hz,2H)7.87(d,J=7.48Hz,2H)。
【0249】
実施例S24.化合物24の合成。
化合物24は、2-ブロモプロパンをアルキルハライドとして使用して、一般手順Aによって合成した。MS(ESI)m/z[M+H]+:398.55。1H NMR(400MHz,DMSO-d6)δ1.10(d,J=5.49Hz,6H)1.28-1.45(m,3H)2.16-2.24(m,1H)2.56-2.71(m,1H)3.34-3.40(m,1H)3.44-3.79(m,3H)4.59-4.72(m,1H)4.75-4.90(m,1H)5.86-6.00(m,1H)7.79(d,J=7.98Hz,2H)7.83-7.92(m,2H)。
【0250】
実施例S25.中間体化合物1-(4-(ジフルオロメトキシ)ベンゾイル)-6-メチルヘキサヒドロ-4H-ピラジノ[1,2-a]ピリミジン-4,7(6H)-ジオンの合成。この中間体化合物を調製するための合成ルートをスキーム16に示す。
スキーム16.
【化42】
ステップ1:1-(4-(ジフルオロメトキシ)ベンゾイル)-8-(4-メトキシベンジル)-6-メチルヘキサヒドロ-4H-ピラジノ[1,2-a]ピリミジン-4,7(6H)-ジオンの合成。0℃に維持したDMF(25mL)中の4-(ジフルオロメトキシ)安息香酸(1.71g、9.08mmol)の溶液に、HATU(3.45g、9.08mmol)、DIPEA(4.34mL、24.8mmol)、続いて、8-(4-メトキシベンジル)-6-メチルヘキサヒドロ-4H-ピラジノ[1,2-a]ピリミジン-4,7(6H)-ジオン(2.5g、8.25mmol)を加え、反応混合物を室温で12時間攪拌した。完了後、反応混合物を氷冷水(50mL)でクエンチし、水層をEtOAc(100mL×2)で抽出した。有機層を冷H
2O(100mL)、続いて、飽和ブライン(100mL)で洗浄し、Na
2SO
4で乾燥させ、減圧下で濃縮した。得られた粗製物をカラムクロマトグラフィー(シリカ100-200メッシュ;30%EtOAc/ヘキサン)によって精製して、1-(4-(ジフルオロメトキシ)ベンゾイル)-8-(4-メトキシベンジル)-6-メチルヘキサヒドロ-4H-ピラジノ[1,2-a]ピリミジン-4,7(6H)-ジオン(3.5g、7.38mmol、収率89.5%)を固体として得た。MS(ESI)m/z[M+H]
+:474.12。
【0251】
ステップ2:1-(4-(ジフルオロメトキシ)ベンゾイル)-6-メチルヘキサヒドロ-4H-ピラジノ[1,2-a]ピリミジン-4,7(6H)-ジオンの合成。0℃に維持したCH3CN:H2O(2:1、45mL)中の1-(4-(ジフルオロメトキシ)ベンゾイル)-8-(4-メトキシベンジル)-6-メチルヘキサヒドロ-4H-ピラジノ[1,2-a]ピリミジン-4,7(6H)-ジオン(3.0g、6.34mmol)の溶液にCAN(12.0g、21.90mmol)を加え、反応混合物を室温で3時間攪拌した。反応の進行をTLCによってモニタリングした。完了後、反応混合物をNaHCO3(100mL)の飽和水溶液でクエンチし、EtOAc(200mL×2)で抽出した。合わせた有機層をH2O(250mL)、続いて、飽和ブライン溶液(250mL)で洗浄し、Na2SO4で乾燥させ、減圧下で濃縮した。得られた粗製物をカラムクロマトグラフィー(シリカ100-200メッシュ;10%MeOH/DCM)によって精製して、1-(4-(ジフルオロメトキシ)ベンゾイル)-6-メチルヘキサヒドロ-4H-ピラジノ[1,2-a]ピリミジン-4,7(6H)-ジオン(2.0g、5.66mmol、収率89.6%)を固体として得た。MS(ESI)m/z[M+H]+:353.95。1H NMR(400MHz,DMSO-d6)δ1.10-1.39(m,3H)2.17-2.18(m,1H)2.52-2.68(m,1H)3.18-3.27(m,2H)3.44-3.71(m,2H)4.69-4.83(m,1H)5.75-5.92(m,1H)7.24(d,J=7.83Hz,2H)7.32(t,J=72.0Hz,1H)7.57(d,J=8.31Hz,2H)8.04(brs,1H)。
【0252】
実施例S26.最終化合物の合成のための一般手順B。
0℃に維持したDMF(4mL)中の1-(4-(ジフルオロメトキシ)ベンゾイル)-6-メチルヘキサヒドロ-4H-ピラジノ[1,2-a]ピリミジン-4,7(6H)-ジオン(200mg、0.56mmol)の溶液にNaH(122mg、2.8mmol、55%鉱油分散物)を加え、反応混合物を同じ温度で15分間攪拌した。この反応混合物に、アルキルハライド(1.6mmol)を加え、反応混合物を室温まで昇温させ、3時間攪拌した。完了後、反応混合物を氷冷H2O(15mL)でクエンチし、水層をEtOAc(15mL×3)で抽出した。合わせた有機層をブラインで洗浄し、濃縮した。粗生成物をCombiFlashによって精製した。
【0253】
実施例S27.化合物13の合成。
化合物13は、(ブロモメチル)シクロペンタンをアルキルハライドとして使用して、一般手順Bによって合成した。MS(ESI)m/z[M+H]+:436.05。1H NMR(400MHz,DMSO-d6)δ1.07-1.16(m,3H)1.32(d,J=6.48Hz,3H)1.41-1.73(m,7H)2.06-2.21(m,1H)2.21-2.34(m,1H)2.54-2.70(m,1H)3.14-3.29(m,1H)3.35-3.45(m,1H)3.52-3.69(m,1H)3.75-3.93(m,1H)4.75-4.91(m,1H)5.88-5.99(m,1H)7.27(d,J=8.48Hz,2H)7.35(t,J=72.0Hz,1H)7.61(d,J=8.98Hz,2H)。
【0254】
実施例S28.化合物14の合成。
化合物14は、(ブロモメチル)シクロブタンをアルキルハライドとして使用して、一般手順Bによって合成した。MS(ESI)m/z[M+H]+:421.14。1H NMR(400MHz,DMSO-d6)δ1.16-1.25(m,1H)1.27-1.43(m,3H)1.54-1.73(m,2H)1.73-1.86(m,2H)1.89-2.03(m,2H)2.24(d,J=17.12Hz,1H)2.53-2.69(m,2H)3.20-3.28(m,1H)3.29-3.40(m,1H)3.40-3.66(m,2H)3.69-3.87(m,1H)4.75-4.86(m,1H)5.74-6.02(m,1H)7.26(d,J=8.31Hz,2H))7.33(t,J=72.0Hz,1H)7.59(d,J=8.31Hz,2H)。
【0255】
実施例S29.化合物17の合成。
化合物20は、1-ブロモブタンをアルキルハライドとして使用して、一般手順Bによって合成した。MS(ESI)m/z[M+H]+:410.0。1H NMR(400MHz,DMSO-d6)δ0.81-0.96(m,3H)1.15-1.39(m,4H)1.40-1.55(m,2H)2.26(d,J=16.95Hz,1H)2.53-2.70(m,2H)3.12-3.30(m,2H)3.38-3.46(m,1H)3.56-3.74(m,2H)3.75-3.92(m,1H)4.84(q,J=6.81Hz,1H)5.86-6.06(m,1H)7.28(d,J=7.98Hz,2H)7.36(t,J=72.0Hz,1H)7.62(d,J=8.48Hz,2H)。
【0256】
実施例S30.化合物18の合成。
化合物18は、4-ブロモブタ-1-エンをアルキルハライドとして使用して、一般手順Bによって合成した。MS(ESI)m/z[M+H]+:408.06。1H NMR(400MHz,DMSO-d6)δ1.16-1.45(m,3H)2.18-2.33(m,3H)2.53-2.70(m,1H)3.36-3.46(m,3H)3.51-3.72(m,2H)3.74-3.90(m,1H)4.84(q,J=6.65Hz,1H)4.91-5.15(m,2H)5.67-5.84(m,1H)5.86-6.03(m,1H)7.29(d,J=8.48Hz,2H)7.36(t,J=72.0Hz,1H)7.61(d,J=8.48Hz,2H)。
【0257】
実施例S31.化合物27の合成。
化合物27は、2-(ブロモメチル)テトラヒドロフランをアルキルハライドとして使用して、一般手順Bによって合成した。MS(ESI)m/z[M+H]+:438.1。1H NMR(400MHz,CDCl3)δ7.48-7.55(m,2H),7.20-7.30(m,2H),6.40-6.76(m,1H),5.90-6.20(m,1H),5.16-5.26(m,1H),4.06-4.17(m,2H),3.82-3.92(m,4H),3.61-3.77(m,2H),2.83-2.99(m,1H),2.47-2.59(m,2H),2.01-2.12(m,4H),1.49(s,3H)。
【0258】
実施例S32.化合物28の合成。
化合物28は、(2-ブロモエチル)ベンゼンをアルキルハライドとして使用して、一般手順Bによって合成した。MS(ESI)m/z[M+H]+:458.10。1H NMR(400MHz,CDCl3)δ7.40-7.50(m,2H),7.20-7.28(m,2H),7.33-7.43(m,5H),6.40-6.76(m,1H),5.90-6.20(m,1H),5.16-5.26(m,1H),3.72-3.96(m,2H),3.44-3.52(m,1H),3.25-3.35(m,2H),2.83-2.99(m,2H),2.47-2.59(m,1H),2.42-2.60(m,1H),2.30-2.57(m,1H),1.49(s,3H)。
【0259】
実施例S33.化合物29の合成。
化合物29は、4-(2-ブロモエチル)ピリジンをアルキルハライドとして使用して、一般手順Bによって合成した。MS(ESI)m/z[M+H]+:459.10。1H NMR(400MHz,CDCl3)δ8.50-8.58(m,2H),7.24-7.46(m,4H),7.18(d,J=7.99Hz,2H),6.40-6.76(m,1H),5.90-6.20(m,1H),5.16-5.26(m,1H),3.72-3.96(m,2H),3.44-3.52(m,1H),3.25-3.35(m,2H),2.83-2.99(m,2H),2.47-2.59(m,1H),2.42-2.60(m,1H),2.30-2.57(m,1H),1.49(s,3H)。
【0260】
実施例S34.化合物30の合成。
化合物30は、(3-ブロモプロピル)シクロプロパンをアルキルハライドとして使用して、一般手順Bによって合成した。MS(ESI)m/z[M+H]+:459.10。1H NMR(400MHz,CDCl3)δ8.50-8.58(m,2H),7.24-7.46(m,4H),7.18(d,J=7.99Hz,2H),6.40-6.76(m,1H),5.90-6.20(m,1H),5.16-5.26(m,1H),3.72-3.96(m,2H),3.44-3.52(m,1H),3.25-3.35(m,2H),2.83-2.99(m,2H),2.47-2.59(m,1H),2.42-2.60(m,1H),2.30-2.57(m,1H),1.49(s,3H)。
【0261】
実施例S35.化合物31の合成。
化合物31は、(2-ブロモエチル)シクロプロパンをアルキルハライドとして使用して、一般手順Bによって合成した。MS(ESI)m/z[M+H]+:422.2。1H NMR(400MHz,CDCl3)δ7.48(d,J=8.01Hz,2H),7.20-7.28(m,2H),6.40-6.76(m,1H),5.90-6.20(m,1H),5.16-5.26(m,1H),3.72-3.96(m,1H),3.46-3.64(m,5H),2.46-2.64(m,2H),1.43-1.56(m,5H),0.43-0.65(m,2H),0.75-0.85(m,2H)。
【0262】
実施例S36.化合物32の合成。
化合物32は、1-ブロモ-2-メトキシエタンをアルキルハライドとして使用して、一般手順Bによって合成した。MS(ESI)m/z[M+H]+:412.1。1H NMR(400MHz,DMSO-d6)δ7.52-7.62(m,2H),7.16-7.34(m,3H),5.85-5.95(m,1H),4.80-4.90(m,1H),3.85-3.95(m,1H),3.70-3.80(m,2H),3.25-3.46(m,5H),3.22(s,3H),2.62-2.72(m,1H),2.20-2.30(m,1H),1.49(s,3H)。
【0263】
実施例S37.化合物33の合成。
化合物33は、1-ブロモ-3-メトキシプロパンをアルキルハライドとして使用して、一般手順Bによって合成した。MS(ESI)m/z[M+H]+:426.20。1H NMR(400MHz,DMSO-d6)δ7.52-7.62(m,2H),7.16-7.34(m,3H),5.85-5.95(m,1H),4.80-4.90(m,1H),3.85-3.95(m,1H),3.70-3.80(m,2H),3.58-3.68(m,2H),3.45-3.55(m,4H),3.22(s,3H),2.62-2.72(m,1H),2.20-2.30(m,2H),1.49(s,3H)。
【0264】
実施例S38.化合物36の合成。
化合物36は、(2-ブロモエチル)メチルスルホンをアルキルハライドとして使用して、一般手順Bによって合成した。MS(ESI)m/z[M+H]+:459.95。1H NMR(400MHz,クロロホルム)δ7.49(d,J=8.01Hz,2H),7.15-7.26(m,2H),6.40-6.76(m,1H),5.90-6.20(m,1H),5.15-5.25(m,1H),3.86-3.97(m,3H),3.66-3.77(m,2H),3.38-3.49(m,3H),2.97(s,3H),2.59-2.69(m,2H),1.49(s,3H)。
【0265】
実施例S39.化合物34の合成。
ステップ1.DMF(6mL)中の1-(4-(ジフルオロメトキシ)ベンゾイル)-6-メチルヘキサヒドロ-4H-ピラジノ[1,2-a]ピリミジン-4,7(6H)-ジオン(0.300g、0.849mmol)の溶液に、Cs2CO3(0.827g、2.547mmol)、続いて、(2-ブロモエトキシ)(tert-ブチル)ジメチルシラン(0.243g、1.018mmol)を0℃で加え、反応混合物を密封管中120℃で1時間加熱した。反応の進行をTLCによってモニタリングした。完了後、反応混合物を氷冷水(30mL)でゆっくりとクエンチし、EtOAc(50mL)で抽出した。合わせた有機層を氷冷ブライン溶液(3×30mL)で洗浄し、Na2SO4で乾燥させ、減圧下で濃縮して、8-(2-((tert-ブチルジメチルシリル)オキシ)エチル)-1-(4-(ジフルオロメトキシ)ベンゾイル)-6-メチルヘキサヒドロ-4H-ピラジノ[1,2-a]ピリミジン-4,7(6H)-ジオン(0.250g、粗製)を得た。粗製化合物を、更なる精製を実施することなく、次の反応にそのまま使用した。MS(ESI)m/z[M+H]+:512.10。
【0266】
ステップ2.THF(5mL)中の8-(2-((tert-ブチルジメチルシリル)オキシ)エチル)-1-(4-(ジフルオロメトキシ)ベンゾイル)-6-メチルヘキサヒドロ-4H-ピラジノ[1,2-a]ピリミジン-4,7(6H)-ジオン(0.250g、0.4886mmol)の溶液にTBAF(3mL)を温度0℃で加えた。反応混合物を室温に戻し、6時間攪拌した。反応の進行をTLCによってモニタリングした。完了後、反応混合物を氷冷水(5mL)でゆっくりとクエンチし、EtOAc(2×10mL)で抽出した。合わせた有機層を氷冷ブライン溶液(10mL)で洗浄し、Na2SO4で乾燥させ、減圧下で濃縮して、粗製化合物を得た。得られた粗製化合物をカラムクロマトグラフィー(シリカゲル60-120メッシュ;10%MeOH/DCM)によって精製して、1-(4-(ジフルオロメトキシ)ベンゾイル)-8-(2-ヒドロキシエチル)-6-メチルヘキサヒドロ-4H-ピラジノ[1,2-a]ピリミジン-4,7(6H)-ジオン(0.102g、収率52%)を白色固体として得た。MS(ESI)m/z[M+H]+:398.2。1H NMR(400MHz,DMSO-d6)δ7.52-7.62(m,2H),7.16-7.34(m,3H),5.92-6.02(m,1H),6.78-6.88(m,2H),3.86-3.92(m,1H),3.47-3.62(m,6H),3.21-3.31(m,1H),2.57-2.67(m,1H),2.25-3.35(m,1H),1.49(s,3H)。
【0267】
実施例S40.化合物35の合成。
ステップ1.DMF(6mL)中の1-(4-(ジフルオロメトキシ)ベンゾイル)-6-メチルヘキサヒドロ-4H-ピラジノ[1,2-a]ピリミジン-4,7(6H)-ジオン(0.300g、0.849mmol)の溶液に、NaH(0.050g、1.274mmol)、続いて、2-ブロモアセトニトリル(0.112g、0.933mmol)を0℃で加え、反応混合物を室温で1時間静置した。反応の進行をTLCによってモニタリングした。完了後、反応混合物を氷冷水(70mL)でゆっくりとクエンチし、EtOAc(100mL)で抽出した。合わせた有機層を氷冷ブライン溶液(100mL)で洗浄し、Na2SO4で乾燥させ、減圧下で濃縮して、粗製化合物を得た。得られた粗製化合物をカラムクロマトグラフィー(シリカゲル60-120メッシュ;10%MeOH/DCM)によって精製して、2-(1-(4-(ジフルオロメトキシ)ベンゾイル)-6-メチル-4,7-ジオキソオクタヒドロ-8H-ピラジノ[1,2-a]ピリミジン-8-イル)アセトニトリル(0.120g、収率36%)を白色固体として得た。MS(ESI)m/z[M+H]+:393.05。
【0268】
ステップ2.エタノール(5mL)中の2-(1-(4-(ジフルオロメトキシ)ベンゾイル)-6-メチル-4,7-ジオキソオクタヒドロ-8H-ピラジノ[1,2-a]ピリミジン-8-イル)アセトニトリル(0.120g、0.305mmol)の溶液に、濃縮HCl(0.100mL)、続いて、酸化白金(0.012g、0.030mmol)を室温で加え、反応混合物を水素ガス雰囲気下で3時間加熱した。反応の進行をTLCによってモニタリングした。完了後、反応混合物をセライトパッドに通して濾過した。セライトパッドをエタノール(20mL)で洗浄し、濾液を減圧下で濃縮して、粗製化合物を得た。粗製化合物をnペンタンでトリチュレートして、8-(2-アミノエチル)-1-(4-(ジフルオロメトキシ)ベンゾイル)-6-メチルヘキサヒドロ-4H-ピラジノ[1,2-a]ピリミジン-4,7(6H)-ジオン(0.110g、収率90%))を白色固体として得た。MS(ESI)m/z[M+H]+:397.05。1H NMR(400MHz,DMSO d6)δ7.96(s,2H),7.55-7.65(m,2H),7.20-7.35(m,3H),5.90-6.20(m,1H),4.85-4.95(m,1H),3.82-3.92(m,1H),3.55.-3.85(m,2H),3.35-3.45(m,3H),2.95-3.05(m,2H),2.60-2.70(m,1H),2.20-2.30(m,1H),1.35(s,3H)。
【0269】
実施例S41.最終化合物の合成のための一般手順C。
DMF(5mL)中の1-(4-(ジフルオロメトキシ)ベンゾイル)-6-メチルヘキサヒドロ-4H-ピラジノ[1,2-a]ピリミジン-4,7(6H)-ジオン(0.200g、0.566mmol)の溶液に、Cs2CO3(0.735g、2.264mmol、4当量)、続いて、アルキルハライド(0.679mmol、1.2当量)を0℃で加え、反応混合物をマイクロ波照射下、50℃で1時間加熱した。反応の進行をTLCによってモニタリングした。完了後、反応混合物を氷冷水(6mL)でゆっくりとクエンチし、EtOAc(20mL×3)で抽出した。合わせた有機層を飽和ブライン溶液(10mL)で洗浄し、Na2SO4で乾燥させ、減圧下で濃縮して、粗製化合物を得た。得られた粗製化合物をカラムクロマトグラフィーによって精製して、最終化合物を得た。
【0270】
実施例S42.化合物25の合成。
化合物25は、2-(2-ヨードエチル)フランをアルキルハライドとして使用して、一般手順Cによって合成した。MS(ESI)m/z[M+H]+:448.10。1H NMR:δ7.40-7.50(m,2H),7.28-7.38(m,1H),7.15-7.25(m,2H),6.39-6.78(m,1H),6.25-6.35(m,1H),5.90-6.12(m,2H),5.25-5.35(m,1H),5.10-5.20(m,1H),3.70-3.80(m,1H),3.50-3.60(m,1H),3.20-3.40(m,2H),2.95-3.05(m,3H),2.45-2.60(m,2H),1.59(s,3H)。
【0271】
実施例S43.化合物26の合成。
化合物26は、2-(2-ブロモエチル)チオフェンをアルキルハライドとして使用して、一般手順Cによって合成した。MS(ESI)m/z[M+H]+:464.1。1H NMR(400MHz,CDCl3)δ7.40-7.48(m,2H),7.15-7.26(m,3H),6.85-6.95(m,2H),6.39-6.95(m,2H),5.90-6.20(m,1H),5.15-5.25(m,1H),3.72-3.96(m,2H),3.47-3.54(m,1H),3.32-3.42(m,3H),3.10-3.20(m,2H),2.42-2.56(m,2H),1.49(s,3H)。
【0272】
実施例S44.中間体化合物1-(4-(ジフルオロメトキシ)ベンジル)-6-メチルヘキサヒドロ-4H-ピラジノ[1,2-a]ピリミジン-4,7(6H)-ジオンの合成。
【化43】
ステップ1:(9H-フルオレン-9-イル)メチル6-メチル-4,7-ジオキソヘキサヒドロ-2H-ピラジノ[1,2-a]ピリミジン-1(6H)-カルボキシラートの合成。TFA(10mL)中の(9H-フルオレン-9-イル)メチル8-(4-メトキシベンジル)-6-メチル-4,7-ジオキソヘキサヒドロ-2H-ピラジノ[1,2-a]ピリミジン-1(6H)-カルボキシラート(1.0g、26.63mmol)の溶液をマイクロ波で、130℃で2時間攪拌した。出発原料が完全に消費されたら(TLCによるモニタリング)、反応混合物を真空下で濃縮し、粗生成物を酢酸エチル(100ml)及び炭酸水素ナトリウムの飽和溶液で抽出した。有機層を無水Na
2SO
4で乾燥させ、真空下で濃縮し、カラムクロマトグラフィー(シリカ100-200メッシュ;5%MeOH/DCM)によって精製して、(9H-フルオレン-9-イル)メチル6-メチル-4,7-ジオキソヘキサヒドロ-2H-ピラジノ[1,2-a]ピリミジン-1(6H)-カルボキシラート(300mg、収率42%)を粘着性固体として得た。MS(ESI)m/z[M+H]
+:406。
【0273】
ステップ2:6-メチルヘキサヒドロ-4H-ピラジノ[1,2-a]ピリミジン-4,7(6H)-ジオンの合成。CH2Cl2(5mL)中の(9H-フルオレン-9-イル)メチル6-メチル-4,7-ジオキソヘキサヒドロ-2H-ピラジノ[1,2-a]ピリミジン-1(6H)-カルボキシラート(300mg、0.74mmol)の溶液にジエチルアミン(6mL)を加えた。反応混合物を室温で3時間攪拌した。出発原料が完全に消費されたら(TLCによるモニタリング)、反応混合物を濃縮し、粗生成物をカラムクロマトグラフィー(シリカ100-200メッシュ;10%MeOH/DCM)によって精製して、6-メチルヘキサヒドロ-4H-ピラジノ[1,2-a]ピリミジン-4,7(6H)-ジオン(120mg、収率92%)を白色固体として得た。MS(ESI)m/z[M+H]+:184。
【0274】
ステップ3:1-(4-(ジフルオロメトキシ)ベンジル)-6-メチルヘキサヒドロ-4H-ピラジノ[1,2-a]ピリミジン-4,7(6H)-ジオンの合成。DMF(8.0mL)中の6-メチルヘキサヒドロ-4H-ピラジノ[1,2-a]ピリミジン-4,7(6H)-ジオン(0.700g、3.820mmol)の溶液にK2CO3(1.58g、11.46mmol)を室温で加え、10分間攪拌した。得られた反応混合物に1-(ブロモメチル)-4-(ジフルオロメトキシ)ベンゼン(1.086g、4.584mmol)を加え、反応混合物を80℃で6時間加熱した。反応の進行をTLCによってモニタリングした。完了後、反応混合物を室温まで冷却し、水(50mL)でクエンチし、EtOAc(50mL×2)で抽出した。合わせた有機層を飽和ブライン溶液(20mL)で洗浄し、Na2SO4で乾燥させ、減圧下で濃縮した。粗生成物をカラムクロマトグラフィー(シリカ100-200メッシュ;5%MeOH/DCM)によって精製して、1-(4-(ジフルオロメトキシ)ベンジル)-6-メチルヘキサヒドロ-4H-ピラジノ[1,2-a]ピリミジン-4,7(6H)-ジオン(0.550g、収率43.0%)をオフホワイトの固体として得た。MS(ESI)m/z[M+H]+:340.34。
【0275】
実施例S45.最終化合物の合成のための一般手順D。
DMF(2mL)中の1-(4-(ジフルオロメトキシ)ベンジル)-6-メチルヘキサヒドロ-4H-ピラジノ[1,2-a]ピリミジン-4,7(6H)-ジオン(0.100g,0.2949mmol)の溶液に、NaH(0.021g、0.8847mmol)を0℃で加え、続いて、適切なアルキルハライド(2当量)を加え、反応混合物を室温まで昇温させ、5時間攪拌した。反応の進行をTLCによってモニタリングした。完了後、反応混合物をNaHCO3の飽和水溶液(2mL)でゆっくりとクエンチし、EtOAc(10mL×2)で抽出した。合わせた有機層をH2O(5mL)、続いて、飽和ブライン溶液(5mL)で洗浄し、Na2SO4で乾燥させ、減圧下で濃縮した。粗製材料をCombiflashカラムクロマトグラフィー(5%MeOH/DCM)によって精製して、最終生成物を得た。
【0276】
実施例S46.化合物37の合成。
化合物37は、4-ブロモ-1,1,1-トリフルオロブタンをアルキルハライドとして使用して、一般手順Dによって合成した。MS(ESI)m/z[M+H]+:354.2。1H NMR(400MHz,CDCl3):δ1.41(d,J=7.13Hz,3H),1.71-1.86(m,2H),2.01-2.15(m,2H),2.26-2.35(m,1H),2.60-2.67(m,1H),2.89-3.01(m,1H),3.07-3.15(m,1H),3.21-3.34(m,2H),3.46-3.65(m,2H),3.81-3.95(m,2H),4.35-4.41(m,1H),5.20-5.29(m,1H),6.53(t,J=72.0Hz,1H),7.08-7.16(m,2H),7.30-7.36(m,2H)。
【0277】
実施例S47.化合物38の合成。
化合物38は、(2-ブロモエチル)シクロペンタンをアルキルハライドとして使用して、一般手順Dによって合成した。MS(ESI)m/z[M+H]+:436.2。1H NMR(400MHz,CDCl3)δ1.01-1.15(m,2H),1.41(d,J=7.13Hz,3H),1.45-1.62(m,8 H),1.66-1.80(m,2H),2.23-2.34(m,1H),2.58-2.72(m,1H),2.89-2.98(m,1H),3.04-3.18(m,2H),3.23-3.33(m,1H),3.43-3.54(m,1H),3.55-3.65(m,1H),3.78-3.93(m,1H),4.31-4.39(m,1H),5.15-5.26(m,1H),6.53(t,J=72.0Hz,1H),7.13(d,J=8.50Hz,2H),7.34(d,J=8.50Hz,2H)。
【0278】
実施例S48.化合物39の合成。
化合物39は、4-ブロモブタ-1-エンをアルキルハライドとして使用して、一般手順Dによって合成した。MS(ESI)m/z[M+H]+:394.2。1H NMR(400MHz,CDCl3)δ1.41(d,J=7.13Hz,3H),2.23-2.35(m,3H),2.60-2.71(m,1H),2.92-3.01(m,1H),3.06-3.14(m,1H),3.22-3.46(m,3H),3.53-3.64(m,1H),3.79-3.93(m,2H),4.28-4.38(m,1H),4.91-5.00(m,2H),5.16-5.26(m,1H),5.64-5.76(m,1H),6.52(t,J=72.0Hz,1H),7.10-7.16(m,2H),7.30-7.36(m,2H)。
【0279】
実施例S49.化合物40の合成。
化合物40は、(2-ブロモエチル)シクロブテンをアルキルハライドとして使用して、一般手順Dによって合成した。MS(ESI)m/z[M+H]+:422.25。1H NMR(400MHz,CDCl3)δ1.41(d,J=7.13Hz,3H),1.56-1.65(m,4H),1.73-1.92(m,2H),1.95-2.07(m,2H),2.14-2.25(m,1H),2.26-2.35(m,1H),2.59-2.72(m,1H),2.91-2.99(m,1H),3.04-3.14(m,2H),3.23-3.43(m,2H),3.53-3.63(m,1H),3.87(q,J=13.38Hz,2H),4.29-4.39(m,1H),5.17-5.24(m,1H),6.53(t,J=72.0Hz,1H),7.13(d,J=8.63Hz,2H),7.30-7.37(m,2H)。
【0280】
実施例S50.化合物41の合成。
化合物41は、1-ブロモブタンをアルキルハライドとして使用して、一般手順Dによって合成した。MS(ESI)m/z[M+H]+:396.05。1H NMR(400MHz,DMSO-d6)δ0.86(t,J=7.34Hz,3H),1.14-1.24(m,2H),1.24-1.30(m,2H),1.38-1.50(m,2H),1.98-2.10(m,1H),2.53-2.61(m,2H),2.64-2.77(m,2H),3.07-3.25(m,3H),3.32-3.41(m,1H),3.62-3.73(m,1H),3.87-3.93(m,2H),4.49-4.58(m,1H),4.84-4.94(m,1H),7.15(d,J=8.56Hz,2H),7.22(t,J=72.0Hz,1H),7.43(d,J=8.56Hz,1H)。
【0281】
実施例S51.化合物52の合成。
化合物52は、2-トリフルロメチル-1-ブロモエタンをアルキルハライドとして使用して、一般手順Dによって合成した。MS(ESI)m/z[M+H]+:420.16。1H NMR(400MHz,CDCl3)δppm 7.31-7.38(m,2H),7.11-7.16(m,2H),6.31-6.73(m,1H),5.26(q,J=7.21Hz,1H),4.23-4.44(m,2H),3.98-4.13(m,1H),3.80-3.93(m,3H),3.59(t,J=11.07Hz,1H),3.10(dd,J=11.51,3.75Hz,1H),2.90-2.99(m,1H),2.62-2.72(m,1H),2.32(dd,J=4.38,2.38Hz,1H),2.28(dd,J=4.31,2.31Hz,1H),1.48(d,J=7.25Hz,1H),1.41(d,J=7.13Hz,3H)。
【0282】
実施例S52.最終化合物の合成のための一般手順E。
氷/水浴中に浸したフラスコ内でDMF(6mL)中に6-メチル-8-(2-メチルブチル)ヘキサヒドロ-4H-ピラジノ[1,2-a]ピリミジン-4,7(6H)-ジオン(0.300g、1.184mmol)を攪拌した溶液に、炭酸セシウム(0.771g、2.368mmol、2当量)、続いて、適切なアルキルハライド(1.1当量)を加えた。フラスコを浴槽から取り出し、TLCにより出発原料の完全な消費が示されるまで攪拌した。反応混合物を氷冷水(70mL)中に注ぎ、水層をEtOAc(100mL)で抽出した。有機層を氷冷ブライン(50mL×3)で洗浄し、無水Na2SO4で乾燥させ、減圧下で濃縮した。粗生成物を分取HPLCによって精製して、最終化合物を得た。
【0283】
実施例S53.化合物42の合成。
化合物42は、4-(ブロモメチル)-2-クロロ-1-(トリフルオロメチル)ベンゼンをアルキルハライドとして使用して、一般手順Eによって合成した。MS(ESI)m/z[M+H]+:362.2。1H NMR(400MHz,DMSO-d6)δ0.75-0.89(m,3H),0.82-0.87(m,3H),0.96-1.13(m,1H),1.23-1.31(m,4H),1.64-1.75(m,1H),2.06-2.09(m,1H),2.55-2.62(m,1H),2.65-2.76(m,1H),3.05-3.15(m,1H),3.15-3.26(m,3H),3.64-3.74(m,1H),3.84-3.95(m,2H),4.52-4.60(m,1H),4.86-4.94(m,1H),7.17(t,J=8.76Hz,2H),7.41(dd,J=8.19,5.82Hz,2H)。
【0284】
実施例S54.化合物43の合成。
化合物43は、4-(ブロモメチル)-2-クロロ-1-(トリフルオロメチル)ベンゼンをアルキルハライドとして使用して、一般手順Eによって合成した。MS(ESI)m/z[M+H]+:446.2。1H NMR(400MHz,DMSO-d6)0.72-0.80(m,3H),0.80-0.87(m,3H),0.96-1.10(m,1H),1.21-1.27(m,1H),1.28-1.34(m,3H),1.62-1.79(m,1H),2.00-2.13(m,1H),2.53-2.65(m,1H),2.66-2.76(m,1H),3.00-3.10(m,1H),3.17-3.29(m,3H),3.62-3.72(m,1H),4.00-4.08(m,2H),4.55-4.65(m,1H),4.85-4.95(m,1H),7.52-7.60(m,1H),7.73(s,1H),7.80-7.88(m,1H)。
【0285】
実施例S55.化合物44の合成。
DCE(15mL)中の6-メチル-8-(2-メチルブチル)ヘキサヒドロ-4H-ピラジノ[1,2-a]ピリミジン-4,7(6H)-ジオン(0.420g、1.657mmol)及び1H-インドール-3-カルバルデヒド(0.264g、1.823mmol)の溶液に酢酸(1mL、1.657mmol)を加え、反応混合物を80℃で1時間加熱した。得られた反応混合物に、NaBH4(0.188g、4.973mmol)を分割して加え、反応混合物を80℃で加熱し、4時間攪拌した。TLC分析(5%MeOH/DCM)により出発原料の完全な消費が示されたら、反応混合物を水(40mL)で希釈し、水層をDCM(100mL)で抽出した。有機層をブライン(50mL)で洗浄し、無水Na2SO4で乾燥させ、減圧下で濃縮した。得られた粗製物をカラムクロマトグラフィー(シリカ100-200メッシュ;5%MeOH/DCM)によって精製し、続いて、水(30mL)で洗浄し、減圧下で乾燥させて、化合物44(0.250g、収率39%)をオフホワイトの固体として得た。MS(ESI)m/z[M+H]+:383.4。1H NMR(400MHz,DMSO-d6)δ0.70(t,J=7.09Hz,3H),0.75-0.82(m,3H),0.91-1.11(m,1H),1.22-1.31(m,3H),1.57-1.72(m,1H),1.97-2.07(m,1H),2.55-2.70(m,2H),2.83(dt,J=10.91,2.74Hz,1H),2.95-3.07(m,1H),3.10-3.26(m,3H),3.54-3.69(m,1H),3.96-4.04(m,1H),4.06-4.15(m,1H),4.54-4.64(m,1H),4.84-4.95(m,1H),6.94-7.02(m,1H),7.04-7.13(m,1H),7.29-7.40(m,2H),7.65(d,J=7.95Hz,1H),10.95(s,1H)。
【0286】
実施例S56.中間体化合物1-(4-フルオロベンジル)-6-メチルヘキサヒドロ-4H-ピラジノ[1,2-a]ピリミジン-4,7(6H)ジオンの合成。
DMF(3mL)中の6-メチルヘキサヒドロ-4H-ピラジノ[1,2-a]ピリミジン-4,7(6H)-ジオン(250mg、1.40mmol)の溶液に、炭酸カリウム(580mg、4.20mmol)、続いて、4-フルオロベンジルブロミド(0.320g、1.70mmol)を加え、温度80℃で3時間攪拌した。完了後、反応混合物をTLCによってモニタリングした(5%MeOH/DCM)。反応混合物を氷冷水(50mL)中に注ぎ、水層をEtOAc(50mL)で抽出した。有機層を無水Na2SO4で乾燥させ、減圧下で濃縮した。得られた粗製物をカラムクロマトグラフィー(シリカ100-200メッシュ;5%MeOH/DCM)によって精製して、1-(4-フルオロベンジル)-6-メチルヘキサヒドロ-4H-ピラジノ[1,2-a]ピリミジン-4,7(6H)ジオン(160mg、収率70%)を白色固体として得た。MS(ESI)m/z[M+H]+:292。
【0287】
実施例S56.化合物45の合成。
氷冷浴下の0℃のDMF(3mL)中の1-(4-フルオロベンジル)-6-メチルヘキサヒドロ-4H-ピラジノ[1,2-a]ピリミジン-4,7(6H)ジオン(80mg、0.2739mmol)の溶液にNaH(20mg、0.2739mmol)を加え、20分間攪拌し、次いで、3時間後、(2-ブロモエチル)シクロブタン(67mg、0.41mmol)を加えた。出発原料が完全に消費されたら(TLCによるモニタリング)、反応混合物を氷冷水でクエンチし、酢酸エチルで抽出した。有機層を無水Na2SO4で乾燥させ、減圧下で濃縮した。得られた粗製物をカラムクロマトグラフィー(シリカ100-200メッシュ;5%MeOH/DCM)によって精製して、8-(2-シクロブチルエチル)-1-(4-フルオロベンジル)-6-メチルヘキサヒドロ-4H-ピラジノ[1,2-a]ピリミジン-4,7(6H)-ジオン(13mg、収率16%)をゴム状液体として得た。MS(ESI)m/z[M+H]+:374。1H NMR(400MHz,CD3Cl3):δ7.30-7.40(m,2H),7.00-7.10(m,2H),5.15-5.25(m,1H),4.25-4.35(m,1H),3.80-3.95(m,2H),3.55-3.65(m,1H),3.25-3.45(m,2H),3.05-3.20(m,2H),2.90-3.0(m,1H),2.60-2.70(m,1H),2.15-2.40(m,2H),1.75-2.10(m,4H),1.55-1.65(m,4H),1.20-1.30(m,3H)。
【0288】
実施例S57.化合物46の合成。
氷冷浴下の0℃のDMF(3mL)中の1-(4-フルオロベンジル)-6-メチルヘキサヒドロ-4H-ピラジノ[1,2-a]ピリミジン-4,7(6H)ジオン(80mg、0.2739mmol)の溶液にNaH(20mg、0.2739mmol)を加え、20分間攪拌し、次いで、3時間後、(2-ブロモエチル)シクロペンタン(72mg、0.41mmol)を加え、出発原料の完了をTLCによってモニタリングし、反応混合物を氷冷水でクエンチし、酢酸エチルで抽出した。有機層を無水Na2SO4で乾燥させ、減圧下で濃縮した。得られた粗製物をカラムクロマトグラフィー(シリカ100-200メッシュ;5%MeOH/DCM)によって精製して、8-(2-シクロペンチルエチル)-1-(4-フルオロベンジル)-6-メチルヘキサヒドロ-4H-ピラジノ[1,2-a]ピリミジン-4,7(6H)-ジオンをゴム状液体として得た。
【0289】
実施例S58.中間体化合物6-(フルオロメチル)-8-(2-メチルブチル)ヘキサヒドロ-4H-ピラジノ[1,2-a]ピリミジン-4,7(6H)-ジオン塩酸塩の合成。
ステップ1:N-(2,2-ジエトキシエチル)-2-メチルブタン-1-アミンの合成。攪拌した未処理の2,2-ジエトキシエタン-1-アミン(20.0g、0.137mmol)に2-メチルブタナール(11.60g、0.137mmol)を室温で加え、反応混合物を100℃まで3時間加熱した。得られた反応混合物に、エタノール(200mL)、続いて、NaBH4(15.40g、0.413mmol)を室温でゆっくりと加え、反応混合物を16時間攪拌した。出発原料が完全に消費されたら(TLCによるモニタリング)、反応混合物を室温まで冷却し、NH4Clの飽和溶液(100mL)でゆっくりとクエンチした。水層をEtOAc(200mL×2)で抽出した。合わせた有機層をブライン(400mL)で洗浄し、Na2SO4で乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮して、粗製化合物を得た。得られた粗製物をカラムクロマトグラフィー(シリカ100~200メッシュ;10%MeOH/DCM)によって精製して、N-(2,2-ジエトキシエチル)-2-メチルブタン-1-アミン(25.8g、収率88%)を無色の液体として得た。MS(ESI)m/z[M+H]+:204.3。1H NMR(400MHz,DMSO-d6)δ0.80-0.89(m,6H)1.11(t,J=6.98Hz,6H)1.35-1.48(m,2H)2.28-2.32(m,1H)2.41-2.45(m,1H)2.55(d,J=5.49Hz,2H)3.42-3.52(m,2H)3.57-3.65(m,2H)4.49(t,J=5.49Hz,1H)。
【0290】
ステップ2:(9H-フルオレン-9-イル)メチル(1-((2,2-ジエトキシエチル)(2-メチルブチル)アミノ)-3-ヒドロキシ-1-オキソプロパン-2-イル)カルバマート。0℃に維持した無水DMF(150mL)中の(((9H-フルオレン-9-イル)メトキシ)カルボニル)セリン(15.0g、45.81mmol)の攪拌溶液に、HATU(26.0g、68.80mmol)、DIPEA(23.92mL、137.61mmol)、続いて、N-(2,2-ジエトキシエチル)-2-メチルブタン-1-アミン(12.10g、59.63mmol)を加えた。反応混合物を室温で4時間攪拌した。出発原料が完全に消費されたら、反応混合物を氷冷水(500mL)でクエンチし、水層をEtOAc(250mL×2)で抽出した。合わせた有機層を冷H2O(200mL)、続いて、ブライン(200mL)で洗浄し、Na2SO4で乾燥させ、減圧下で濃縮して、粗生成物を得た。粗製材料をカラムクロマトグラフィー(シリカ100-200メッシュ;80%EtOAc/ヘキサン)によって精製して、(9H-フルオレン-9-イル)メチル(1-((2,2-ジエトキシエチル)(2-メチルブチル)アミノ)-3-ヒドロキシ-1-オキソプロパン-2-イル)カルバマート(21.0g、収率89.43%)を黄色の粘着性固体として得た。MS(ESI)m/z[M+Na]+:535.35。
【0291】
ステップ3:2-アミノ-N-(2,2-ジエトキシエチル)-3-ヒドロキシ-N-(2-メチルブチル)プロペンアミドの合成。0℃に維持した無水DCM(110mL)中の(9H-フルオレン-9-イル)メチル(1-((2,2-ジエトキシエチル)(2-メチルブチル)アミノ)-3-ヒドロキシ-1-オキソプロパン-2-イル)カルバマート(21.0g、41.01mmol)の攪拌溶液にジエチルアミン(58mL、2.80倍量)を加え、反応混合物を室温で3時間攪拌した。出発原料が完全に消費されたら(TLCによるモニタリング)、反応混合物を減圧下で濃縮して、粗生成物を得た。得られた粗製物をカラムクロマトグラフィー(シリカ100-200メッシュ;5%MeOH/DCM)によって精製して、2-アミノ-N-(2,2-ジエトキシエチル)-3-ヒドロキシ-N-(2-メチルブチル)プロペンアミド(9.50g、収率80%)を黄色の粘着性固体として得た。MS(ESI)m/z[M+H]+:291.4。
【0292】
ステップ4:(9H-フルオレン-9-イル)メチル(3-((1-((2,2-ジエトキシエチル)(2-メチルブチル)アミノ)-3-ヒドロキシ-1-オキソプロパン-2-イル)アミノ)-3-オキソプロピル)カルバマートの合成。0℃に維持した無水DMF(95mL)中の3-((((9H-フルオレン-9-イル)メトキシ)カルボニル)アミノ)プロパン酸(9.50g、30.54mmol)の攪拌溶液に、HATU(17.40g、45.81mmol)、DIPEA(16.0mL、91.62mmol)、続いて、2-アミノ-N-(2,2-ジエトキシエチル)-3-ヒドロキシ-N-(2-メチルブチル)プロパンアミド(13.20g、45.81mmol)を室温で加え、反応混合物を16時間攪拌した。完了後、反応混合物を氷冷水(200mL)でクエンチし、水層をEtOAc(200mL×2)で抽出した。有機層を冷H2O(500mL)、続いて、飽和ブライン(200mL)で洗浄し、Na2SO4で乾燥させ、減圧下で濃縮した。粗製化合物をカラムクロマトグラフィー(シリカ100-200メッシュ;80%EtOAc/ヘキサン)によって精製して、(9H-フルオレン-9-イル)メチル(3-((1-((2,2-ジエトキシエチル)(2-メチルブチル)アミノ)-3-ヒドロキシ-1-オキソプロパン-2-イル)アミノ)-3-オキソプロピル)カルバマート(8.0g、収率31.0%)を黄色の粘稠性油状物として得た。MS(ESI)m/z[M-H]-:582.2。
【0293】
ステップ5:(9H-フルオレン-9-イル)メチル6-(ヒドロキシメチル)-8-(2-メチルブチル)-4,7-ジオキソヘキサヒドロ-2H-ピラジノ[1,2-a]ピリミジン-1(6H)-カルボキシラートの合成。室温のギ酸(48.0mL、6.0倍量)中の(9H-フルオレン-9-イル)メチル(3-((1-((2,2-ジエトキシエチル)(2-メチルブチル)アミノ)-3-ヒドロキシ-1-オキソプロパン-2-イル)アミノ)-3-オキソプロピル)カルバマート(8.0g、13.77mmol)の攪拌溶液及び反応混合物を16時間攪拌した。完了後、反応混合物を減圧下で濃縮して、(9H-フルオレン-9-イル)メチル6-(ヒドロキシメチル)-8-(2-メチルブチル)-4,7-ジオキソヘキサヒドロ-2H-ピラジノ[1,2-a]ピリミジン-1(6H)-カルボキシラート(6.0g、粗製)を茶色の半固体として得た。粗製化合物を更に精製することなく次の反応にそのまま使用した。MS(ESI)m/z[M+H]+:492.2。
【0294】
ステップ6:6-(ヒドロキシメチル)-8-(2-メチルブチル)ヘキサヒドロ-4H-ピラジノ[1,2-a]ピリミジン-4,7(6H)-ジオンの合成。CH2Cl2(36.0mL)中の(9H-フルオレン-9-イル)メチル6-(ヒドロキシメチル)-8-(2-メチルブチル)-4,7-ジオキソヘキサヒドロ-2H-ピラジノ[1,2-a]ピリミジン-1(6H)-カルボキシラート(6.0g、12.20mmol)の溶液にジエチルアミン(18.0mL)を0℃で加え、反応混合物を室温で3時間攪拌した。出発原料が完全に消費されたら(TLCによるモニタリング)、反応混合物を減圧下で濃縮して、粗製化合物を得た。粗製材料をカラムクロマトグラフィー(シリカ100-200メッシュ;5%MeOH/DCM)によって精製して、6-(ヒドロキシメチル)-8-(2-メチルブチル)ヘキサヒドロ-4H-ピラジノ[1,2-a]ピリミジン-4,7(6H)-ジオン(3.0g、収率93.75%)を無色の粘稠性油状物として得た。MS(ESI)m/z[M+H]+:270.20。
【0295】
ステップ7:tert-ブチル6-(ヒドロキシメチル)-8-(2-メチルブチル)-4,7-ジオキソヘキサヒドロ-2H-ピラジノ[1,2-a]ピリミジン-1(6H)-カルボキシラートの合成。CH2Cl2(60mL)中の6-(ヒドロキシメチル)-8-(2-メチルブチル)ヘキサヒドロ-4H-ピラジノ[1,2-a]ピリミジン-4,7(6H)-ジオン(3.0g、11.15mmol)の溶液に、トリエチルアミン(4.5mL、33.45mmol)、続いて、Boc無水物(3.78mL、16.72mmol)を0℃で加え、反応混合物を室温で16時間攪拌した。出発原料が完全に消費されたら(TLCによるモニタリング)、反応混合物を氷冷水(30mL)でゆっくりとクエンチし、DCM(40mL)で抽出した。有機層をブライン(30mL)で洗浄し、Na2SO4で乾燥させ、減圧下で濃縮した。粗製化合物をカラムクロマトグラフィー(シリカ100-200メッシュ;10%MeOH/DCM)によって精製して、tert-ブチル6-(ヒドロキシメチル)-8-(2-メチルブチル)-4,7-ジオキソヘキサヒドロ-2H-ピラジノ[1,2-a]ピリミジン-1(6H)-カルボキシラート(8.0g、収率31.0%)を黄色の粘稠性油状物として得た。MS(ESI)m/z[M+H]+:370.25。
【0296】
ステップ8:tert-ブチル6-(フルオロメチル)-8-(2-メチルブチル)-4,7-ジオキソヘキサヒドロ-2H-ピラジノ[1,2-a]ピリミジン-1(6H)-カルボキシラートの合成。DCM(30mL)中の6-(ヒドロキシメチル)-8-(2-メチルブチル)-4,7-ジオキソヘキサヒドロ-2H-ピラジノ[1,2-a]ピリミジン-1(6H)-カルボキシラート(1.50g、4.065mmol)の溶液にDAST(1.97g、12.19mmol)を-78℃で加え、15分間攪拌した。反応混合物を室温まで昇温させ、3時間攪拌した。反応の完了後(TLCによるモニタリング)、反応混合物を飽和NaHCO3溶液(15mL)でクエンチし、水層をEtOAc(100mL×2)で抽出した。合わせた有機層を飽和ブライン(50mL)で洗浄し、Na2SO4で乾燥させ、減圧下で濃縮して、粗製化合物を得た。粗製材料をカラムクロマトグラフィー(シリカ100-200メッシュ;5%MeOH/DCM)によって精製して、tert-ブチル6-(フルオロメチル)-8-(2-メチルブチル)-4,7-ジオキソヘキサヒドロ-2H-ピラジノ[1,2-a]ピリミジン-1(6H)-カルボキシラート(0.800g、収率72.0%)を無色の粘稠性油状物として得た。MS(ESI)m/z[M+H]+:372.2。
【0297】
ステップ9:6-(フルオロメチル)-8-(2-メチルブチル)ヘキサヒドロ-4H-ピラジノ[1,2-a]ピリミジン-4,7(6H)-ジオン塩酸塩の合成。1,4-ジオキサン(5mL)中のtert-ブチル6-(フルオロメチル)-8-(2-メチルブチル)-4,7-ジオキソヘキサヒドロ-2H-ピラジノ[1,2-a]ピリミジン-1(6H)-カルボキシラート(1.0g、2.695mmol)の攪拌溶液に、ジオキサン中4M HCl(5mL)を0℃で加え、反応混合物を室温で3時間攪拌した。出発原料が完全に消費されたら(TLCによるモニタリング)、反応混合物を炭酸水素ナトリウムの飽和溶液(10mL)でクエンチし、酢酸エチル(20mL×3)で抽出した。合わせた有機層を飽和ブライン(10mL)で洗浄し、Na2SO4で乾燥させ、減圧下で濃縮して、6-(フルオロメチル)-8-(2-メチルブチル)ヘキサヒドロ-4H-ピラジノ[1,2-a]ピリミジン-4,7(6H)-ジオン塩酸塩(0.630g、粗製)を茶色の粘着性油状物として得た。MS(ESI)m/z[M+H]+遊離塩基:271.00。
【0298】
実施例S59.化合物47の合成。
DMF(1.5mL)中の6-(フルオロメチル)-8-(2-メチルブチル)ヘキサヒドロ-4H-ピラジノ[1,2-a]ピリミジン-4,7(6H)-ジオン塩酸塩(0.150g、0.550mmol)の溶液に、K2CO3(0.381g、2.760mmol)、続いて、1-(ブロモメチル)-4-(ジフルオロメトキシ)ベンゼン(0.261g、1.100mmol)を加え、反応混合物を室温で16時間攪拌した。完了後(TLCによるモニタリング)、反応混合物を氷冷水(6mL)でゆっくりとクエンチし、EtOAc(20mL×3)で抽出した。合わせた有機層を飽和ブライン溶液(10mL)で洗浄し、Na2SO4で乾燥させ、減圧下で濃縮して、粗製化合物を得た。粗製化合物を分取HPLCによって精製して、1-(4-(ジフルオロメトキシ)ベンジル)-6-(フルオロメチル)-8-(2-メチルブチル)ヘキサヒドロ-4H-ピラジノ[1,2-a]ピリミジン-4,7(6H)-ジオン(0.040g、収率17.0%)を白色固体として得た。MS(ESI)m/z[M+H]+:428.10。1H NMR(400MHz,CDCl3)δ7.34(d,J=8.01,2H),7.11(d,J=8.01,2H),6.32-6.69(m,1H),5.14-5.25(m,2H),4.60-4.76(m,2H),3.84-3.97(m,2H),3.35-3.45(m,2H),3.12-3.40(m,4H),2.85-3.05(m,1H),2.65-2.75(m,1H),2.29-2.34(m,1H),1.65-1.75(m,1H),1.30-1.40(m,1H),1.05-1.18(m,1H),0.80-0.90(m,6H)。
【0299】
実施例S60.化合物48の合成。
DMF(3.4mL)中の6-(フルオロメチル)-8-(2-メチルブチル)ヘキサヒドロ-4H-ピラジノ[1,2-a]ピリミジン-4,7(6H)-ジオン塩酸塩(0.340g、1.253mmol)の溶液に、Cs2CO3(0.814g、2.506mmol)、続いて、1-(ブロモメチル)-4-(トリフルオロメチル)ベンゼン(0.598g、2.506mmol)を加え、反応混合物を室温で16時間攪拌した。完了後(TLCによるモニタリング)、反応混合物を氷冷水(6mL)でゆっくりとクエンチし、EtOAc(20mL×3)で抽出した。合わせた有機層を飽和ブライン溶液(10mL)で洗浄し、Na2SO4で乾燥させ、減圧下で濃縮して、粗製化合物を得た。粗製化合物を分取HPLCによって精製して、6-(フルオロメチル)-8-(2-メチルブチル)-1-(4-(トリフルオロメチル)ベンジル)ヘキサヒドロ-4H-ピラジノ[1,2-a]ピリミジン-4,7(6H)-ジオン(0.045g、収率8.0%)を白色固体として得た。MS(ESI)m/z[M+H]+:430.10。1H NMR(400MHz,CDCl3)δ7.34(d,J=8.01,2H),7.11(d,J=8.01,2H),5.14-5.25(m,2H),4.60-4.76(m,2H),3.84-3.97(m,2H),3.35-3.45(m,2H),3.12-3.40(m,4H),2.85-3.05(m,1H),2.65-2.75(m,1H),2.29-2.34(m,1H),1.65-1.75(m,1H),1.30-1.40(m,1H),1.05-1.18(m,1H),0.80-0.90(m,6H)。
【0300】
実施例S61.中間体化合物メチル2-(1-(4-(ジフルオロメトキシ)ベンジル)-8-(2-メチルブチル)-4,7-ジオキソオクタヒドロ-2H-ピラジノ[1,2-a]ピリミジン-6-イル)アセタートの合成。
ステップ1:メチル3-((((9H-フルオレン-9-イル)メトキシ)カルボニル)アミノ)-4-((2,2-ジエトキシエチル)(2-メチルブチル)アミノ)-4-オキソブタノアートの合成。無水DMF(30mL)中に2-((((9H-フルオレン-9-イル)メトキシ)カルボニル)アミノ)-4-メトキシ-4-オキソブタン酸(1.90g、9.475mmol)を0℃で攪拌した溶液に、HATU(3.60g、1.137mmol)、続いて、DIPEA(2.70mL、1.895mmol)を加え、反応混合物を同じ温度で10分間攪拌した。得られた反応混合物にN-(2,2-ジエトキシエチル)-2-メチルブタン-1-アミン(3.50g、9.475mmol)を加え、次いで、混合物を室温まで昇温させ、6時間攪拌した。出発原料が完全に消費されたら(TLCによるモニタリング)、反応混合物を氷冷水(100mL)でクエンチし、水層をEtOAc(50mL×2)で抽出した。合わせた有機層を冷H2O(50mL)、続いて、ブライン(50mL)で洗浄し、Na2SO4で乾燥させ、減圧下で濃縮して、粗生成物を得た。粗製材料を、50%EtOAc/n-ヘキサンを使用するCombiFlashカラムクロマトグラフィーによって精製して、メチル3-((((9H-フルオレン-9-イル)メトキシ)カルボニル)アミノ)-4-((2,2-ジエトキシエチル)(2-メチルブチル)アミノ)-4-オキソブタノアート(4.30g、収率83.0%)を白色固体として得た。MS(ESI)m/z[M+H-EtOH]+:509.2。
【0301】
ステップ2:メチル3-アミノ-4-((2,2-ジエトキシエチル)(2-メチルブチル)アミノ)-4-オキソブタノアートの合成。CH2Cl2(27.0mL)中のメチル=3-((((9H-フルオレン-9-イル)メトキシ)カルボニル)アミノ)-4-((2,2-ジエトキシエチル)(2-メチルブチル)アミノ)-4-オキソブタノアート(1.36g、2.451mmol)の溶液に、ジエチルアミン(1.53mL、14.71mmol)を室温で加え、反応混合物を3時間攪拌した。出発原料が完全に消費されたら(TLCによるモニタリング)、反応混合物を減圧下で濃縮して、粗製化合物を得た。粗製化合物を、5%MeOH/DCMを使用するCombiFlashカラムクロマトグラフィーによって精製して、メチル3-アミノ-4-((2,2-ジエトキシエチル)(2-メチルブチル)アミノ)-4-オキソブタノアート(0.700g、収率86%)を黄色の粘稠性液体として得た。MS(ESI)m/z[M+H-EtOH]+:287.68。
【0302】
ステップ3:メチル3-(3-((((9H-フルオレン-9-イル)メトキシ)カルボニル)アミノ)プロパンamido)-4-((2,2-ジエトキシエチル)(2-メチルブチル)アミノ)-4-オキソブタノアートの合成。0℃に維持した無水DMF(10mL)中の3-((((9H-フルオレン-9-イル)メトキシ)カルボニル)アミノ)プロパン酸(0.490g、1.594mmol)の攪拌溶液に、HATU(0.720g、1.913mmol)、DIPEA(0.555mL、3.188mmol)を加え、続いて、メチル=3-アミノ-4-((2,2-ジエトキシエチル)(2-メチルブチル)アミノ)-4-オキソブタノアート(0.530g、1.594mmol)を加えた。反応混合物を室温まで昇温させ、6時間攪拌した。完了後、反応混合物を氷冷水(20mL)でクエンチし、水層をEtOAc(20mL×2)で抽出した。有機層を冷H2O(10mL)、続いて、飽和ブライン(20mL)で洗浄し、Na2SO4で乾燥させ、減圧下で濃縮した。粗製化合物を、5%MeOH/DCMを使用するCombiflashカラムクロマトグラフィーによって精製して、メチル=3-(3-((((9H-フルオレン-9-イル)メトキシ)カルボニル)アミノ)プロパンアミド)-4-((2,2-ジエトキシエチル)(2-メチルブチル)アミノ)-4-オキソブタノアート(0.630g、収率70%)をオフホワイトの固体として得た。MS(ESI)m/z[M+H-EtOH]+:580.20。
【0303】
ステップ4:(9H-フルオレン-9-イル)メチル6-(2-メトキシ-2-オキソエチル)-8-(2-メチルブチル)-4,7-ジオキソヘキサヒドロ-2H-ピラジノ[1,2-a]ピリミジン-1(6H)-カルボキシラートの合成。メチル3-(3-((((9H-フルオレン-9-イル)メトキシ)カルボニル)アミノ)プロパンアミド)-4-((2,2-ジエトキシエチル)(2-メチルブチル)アミノ)-4-オキソブタノアート(0.300g、0.4794mmol)の攪拌溶液にギ酸(1.5mL)を室温で加え、反応混合物を16時間攪拌した。完了後、反応混合物を濃縮し、得られた粗製物をカラムクロマトグラフィー(シリカ100-200メッシュ;0-5%MeOH/DCM)によって精製して、(9H-フルオレン-9-イル)メチル6-(2-メトキシ-2-オキソエチル)-8-(2-メチルブチル)-4,7-ジオキソヘキサヒドロ-2H-ピラジノ[1,2-a]ピリミジン-1(6H)-カルボキシラート(0.200g、収率80%)を黄色の固体として得た。MS(ESI)m/z[M+H]+:534.67。
【0304】
ステップ5:メチル2-(8-(2-メチルブチル)-4,7-ジオキソオクタヒドロ-2H-ピラジノ[1,2-a]ピリミジン-6-イル)アセタートの合成。CH2Cl2(0.5mL)中の(9H-フルオレン-9-イル)メチル6-(2-メトキシ-2-オキソエチル)-8-(2-メチルブチル)-4,7-ジオキソヘキサヒドロ-2H-ピラジノ[1,2-a]ピリミジン-1(6H)-カルボキシラート(0.240g、0.4499mmol)の溶液にジエチルアミン(0.280mL)を加え、反応混合物を室温で3時間攪拌した。出発原料が完全に消費されたら(TLCによるモニタリング)、反応混合物を濃縮し、粗製材料を、0-5%MeOH/DCMを使用するCombiflashカラムクロマトグラフィーによって精製して、メチル2-(8-(2-メチルブチル)-4,7-ジオキソオクタヒドロ-2H-ピラジノ[1,2-a]ピリミジン-6-イル)アセタート(0.130g、収率93%)を白色固体として得た。MS(ESI)m/z[M-H]+:310.4。
【0305】
ステップ6:メチルメチル2-(1-(4-(ジフルオロメトキシ)ベンジル)-8-(2-メチルブチル)-4,7-ジオキソオクタヒドロ-2H-ピラジノ[1,2-a]ピリミジン-6-イル)アセタートの合成。DMF(30mL)中のメチル2-(8-(2-メチルブチル)-4,7-ジオキソオクタヒドロ-2H-ピラジノ[1,2-a]ピリミジン-6-イル)アセタート(3.08g、9.890mmol)の溶液にK2CO3(4.10g、29.66mmol)を室温で加え、反応混合物を80℃で15分間攪拌した。得られた反応混合物に1-(ブロモメチル)-4-(ジフルオロメトキシ)ベンゼン(3.48g、14.36mmol)を加え、攪拌混合物を80℃まで2時間加熱した。完了後、反応混合物を氷冷水(200mL)でクエンチし、水層をEtOAc(200mL×2)で抽出した。有機層を冷H2O(200mL)、続いて、飽和ブライン(150mL)で洗浄し、Na2SO4で乾燥させ、減圧下で濃縮した。粗製化合物を、Combiflashカラムクロマトグラフィー(5%MeOH/DCM)によって精製して、メチル2-(1-(4-(ジフルオロメトキシ)ベンジル)-8-(2-メチルブチル)-4,7-ジオキソオクタヒドロ-2H-ピラジノ[1,2-a]ピリミジン-6-イル)アセタート(2.20g、収率48%)を黄色の固体として得た。MS(ESI)m/z[M-CH3]+:454.10。
【0306】
実施例S61.化合物49の合成。
THF(22.0mL)中のメチル2-(1-(4-(ジフルオロメトキシ)ベンジル)-8-(2-メチルブチル)-4,7-ジオキソオクタヒドロ-2H-ピラジノ[1,2-a]ピリミジン-6-イル)アセタート(2.20g、4.705mmol)の溶液に、NaOH(0.560g、14.11mmol)、続いて、水(4mL)を加え、反応混合物を室温で3時間攪拌した。反応の進行をTLCによってモニタリングした。完了後、反応混合物を減圧下で濃縮した。粗製残渣を水(10mL)中に溶解し、6N HCl(10mL)でゆっくりと酸性化し、5分間攪拌した。得られた固体沈殿をブフナー漏斗に通して濾過し、減圧下で乾燥させて、2-(1-(4-(ジフルオロメトキシ)ベンジル)-8-(2-メチルブチル)-4,7-ジオキソオクタヒドロ-2H-ピラジノ[1,2-a]ピリミジン-6-イル)酢酸(0.85g、収率40%)を白色固体として得た。MS(ESI)m/z[M+H]+:454.10。1H NMR(400MHz,CDCl3)δ7.28-7.38(m,2H),7.11(d,J=7.99Hz,2H),6.33-6.71(m,1H),5.36-5.40(m,1H),4.70-4.80(m,1H),4.65-4.75(m,1H),3.80-4.00(m,2H),3.55-3.65(m,1H),3.35-3.45(m,1H),2.85-3.30(m,6H),2.70-2.80(m,1H),2.25-2.35(m,1H),1.65-1.76(m,1H),1.25-1.35(m,1H),1.10-1.20(m,1H),0.8-0.9(m,6H)。
【0307】
実施例S62.化合物50の合成。
THF(5mL)中の2-(1-(4-(ジフルオロメトキシ)ベンジル)-8-(2-メチルブチル)-4,7-ジオキソオクタヒドロ-2H-ピラジノ[1,2-a]ピリミジン-6-イル)酢酸(0.470g、1.036mmol)の溶液に1,1’-カルボニルジイミダゾール(0.500g、3.109mmol)を室温で加え、反応混合物を15分間攪拌した。得られた反応混合物にNH3(10mL)を加え、反応混合物を室温で3時間攪拌した。反応の進行をTLCによってモニタリングした。完了後、反応混合物を氷冷水(6mL)でゆっくりとクエンチし、EtOAc(20mL×3)で抽出した。合わせた有機層を飽和ブライン溶液(10mL)で洗浄し、Na2SO4で乾燥させ、減圧下で濃縮して、粗製化合物を得た。得られた粗製化合物を、5%MeOH/DCMを使用するCombiflashカラムクロマトグラフィー、続いて、分取HPLCによって精製して、2-(1-(4-(ジフルオロメトキシ)ベンジル)-8-(2-メチルブチル)-4,7-ジオキソオクタヒドロ-2H-ピラジノ[1,2-a]ピリミジン-6-イル)アセトアミド(0.070g、収率15%)を白色固体として得た。MS(ESI)m/z[M+H]+:453.20。1H NMR(400MHz,CDCl3)δ7.30-7.40(m,2H),7.05-7.15(m,2H),6.39-6.70(m,1H),5.20-5.40(m,2H),4.75-4.85(m,1H),3.95-4.05(m,1H),3.75-3.85(m,1H),3.50-3.60(m,1H),3.30-3.40(m,1H),3.05-3.25(m,2H),2.85-2.95(m,2H),2.55-2.70(m,1H),2.25-2.35(m,1H),1.70-1.80(m,2H),1.30-1.40(m,2H),1.05-1.20(m,2H),0.75-0.90(m,6H)。
【0308】
実施例S63.中間体化合物1-(3-クロロ-4-(トリフルオロメチル)ベンジル)-6-メチルヘキサヒドロ-4H-ピラジノ[1,2-a]ピリミジン-4,7(6H)-ジオンの合成。
DMF(7mL)中の6-メチルヘキサヒドロ-4H-ピラジノ[1,2-a]ピリミジン-4,7(6H)-ジオン(500mg、2.732mmol)の溶液に、炭酸カリウム(1.13g、8.196mmol)、続いて、4-(ブロモメチル)-2-クロロ-1-(トリフルオロメチル)ベンゼン(0.894g、3.278mmol)を加え、温度80℃で12時間攪拌した。反応の完了後、TLCによってモニタリングした(5%MeOH/DCM)。反応混合物を氷冷水(50mL)中に注ぎ、水層をEtOAc(50mL)で抽出した。有機層を無水Na2SO4で乾燥させ、減圧下で濃縮した。得られた粗製物をカラムクロマトグラフィー(シリカ100-200メッシュ;5%MeOH/DCM)によって精製して、1-(3-クロロ-4-(トリフルオロメチル)ベンジル)-6-メチルヘキサヒドロ-4H-ピラジノ[1,2-a]ピリミジン-4,7(6H)-ジオン(320mg、収率42%)を白色固体として得た。MS(ESI)m/z[M+H]+:376.34。
【0309】
実施例S64.最終化合物の合成のための一般手順F。
0℃のDMF(2mL)中の1-(3-クロロ-4-(トリフルオロメチル)ベンジル)-6-メチルヘキサヒドロ-4H-ピラジノ[1,2-a]ピリミジン-4,7(6H)-ジオン(150mg、0.400mmol)の溶液にCs2CO3(4当量)を加え、20分間攪拌し、次いで、適切なアルキルハライド(1.2当量)を室温で加え、反応混合物を80℃で加熱し、12時間攪拌した。出発原料が消費されたら(TLCによるモニタリング)、反応混合物を氷冷水でクエンチし、酢酸エチルで抽出した。有機層を無水Na2SO4で乾燥させ、減圧下で濃縮した。得られた粗製物をカラムクロマトグラフィー(シリカ100~200メッシュ;5%MeOH/DCM)によって精製して、最終化合物を得た。
【0310】
実施例S65.化合物51の合成。
化合物51は、(2-ブロモエチル)シクロブタンをアルキルハライドとして使用して、一般手順Fによって合成した。MS(ESI)m/z[M+H]+:458.2。1H NMR(400MHz,CDCl3)δppm7.70(d,J=8.07Hz,1H),7.54(s,1H),7.33(d,J=8.68Hz,1H),4.34(dd,J=10.64,3.55Hz,1H),3.87-3.99(m,2H),3.61(t,J=11.13Hz,1H),3.25-3.42(m,2H),3.08-3.19(m,2H),2.89-2.98(m,1H),2.64-2.74(m,1H)2.29-2.38(m,1H)2.17-2.27(m,1H)1.97-2.09(m,2H)1.72-1.92(m,3H)1.58-1.66(m,4H)1.55(br。s,3H)。
【0311】
実施例S66.化合物54の合成。
化合物54は、(2-ブロモエチル)シクロペンタンをアルキルハライドとして使用して、一般手順Fによって合成した。MS(ESI)m/z[M+H]+:472.15。1H NMR(400MHz,CDCl3)δppm7.69(d,J=8.11Hz,1H)7.52-7.56(m,1H)7.33(d,J=7.89Hz,1H),5.23(q,J=7.23Hz,1H),4.36(dd,J=10.52,3.29Hz,1H),3.87-3.98(m,2H),3.63(t,J=11.07Hz,1H),3.46-3.56(m,1H),3.25-3.35(m,1H),3.12-3.23(m,2H),2.87-2.97(m,1H),2.60-2.70(m,1H),2.29-2.37(m,1H),1.66-1.82(m,2H),1.54-1.63(m,1H),1.51(d,J=,2.63Hz,2H),1.42(d,J=7.23Hz,3H),1.26(br。s,2H)1.04-1.16(m,2H)0.80-0.92(m,2H)。
【0312】
実施例S67.化合物53の合成。
ステップ1:(9H-フルオレン-9-イル)メチル(1-((2,2-ジエトキシエチル)(2-メチルブチル)アミノ)-4-メチル-1-オキソペンタン-2-イル)カルバマートの合成。無水DMF(200mL)中の(((9H-フルオレン-9-イル)メトキシ)カルボニル)ロイシン(20.0g、56.58mmol)の攪拌溶液に、HATU(21.50g、56.58mmol)、続いて、DIPEA(10.62mL、61.10mmol)を0℃で加え、反応混合物を同じ温度で10分間攪拌した。得られた反応混合物にN-(2,2-ジエトキシエチル)-2-メチルブタン-1-アミン(11.48g、56.58mmol)を室温で加え、反応混合物を3時間攪拌した。出発原料が完全に消費されたら(TLCによるモニタリング)、反応混合物を氷冷水(100mL)でクエンチし、水層をEtOAc(50mL×2)で抽出した。合わせた有機層を冷H2O(50mL×2)、続いて、ブライン(50mL)で洗浄し、Na2SO4で乾燥させ、減圧下で濃縮して、粗生成物を得た。粗生成物を、5%MeOH/DCMを使用するCombiFlashカラムクロマトグラフィーによって精製して、(9H-フルオレン-9-イル)メチル=(1-((2,2-ジエトキシエチル)(2-メチルブチル)アミノ)-4-メチル-1-オキソペンタン-2-イル)カルバマート(14.5g、収率47.57%)を白色固体として得た。MS(ESI)m/z[M+H]+:539.04。
【0313】
ステップ2:2-アミノ-N-(2,2-ジエトキシエチル)-4-メチル-N-(2-メチルブチル)ペンタンアミドの合成。CH2Cl2(50mL)中の(9H-フルオレン-9-イル)メチル(1-((2,2-ジエトキシエチル)(2-メチルブチル)アミノ)-4-メチル-1-オキソペンタン-2-イル)カルバマート(8.50g、15.77mmol)の溶液にジエチルアミン(16mL、157.7mmol)を加え、反応混合物を室温で3時間攪拌した。出発原料が完全に消費されたら(TLCによるモニタリング)、反応混合物を減圧下で濃縮して、粗製化合物を得た。粗製化合物を、5%MeOH/DCMを使用するCombiFlashカラムクロマトグラフィーによって精製して、2-アミノ-N-(2,2-ジエトキシエチル)-4-メチル-N-(2-メチルブチル)ペンタンアミド(3.60g、収率72%)を黄色の粘稠性液体として得た。MS(ESI)m/z[M+H-EtOH]+:272.10。
【0314】
ステップ3:(9H-フルオレン-9-イル)メチル=(3-((1-((2,2-ジエトキシエチル)(2-メチルブチル)アミノ)-4-メチル-1-オキソペンタン-2-イル)アミノ)-3-オキソプロピル)カルバマートの合成。0℃に維持した無水DMF(35mL)中の3-((((9H-フルオレン-9-イル)メトキシ)カルボニル)アミノ)プロパン酸(3.80g、12.28mmol)の攪拌溶液にHATU(6.48g、17.05mmol)及びDIPEA(4.90mL、28.42mmol)を加え、続いて、2-アミノ-N-(2,2-ジエトキシエチル)-4-メチル-N-(2-メチルブチル)ペンタンアミド(3.60g、11.37mmol)を加えた。反応混合物を室温に戻し、3時間攪拌した。完了後、反応混合物を氷冷水(20mL)でクエンチし、水層をEtOAc(30mL×2)で抽出した。有機層を冷H2O(10mL)、続いて、飽和ブライン(20mL)で洗浄し、Na2SO4で乾燥させ、減圧下で濃縮した。粗製化合物を、5%MeOH/DCMを使用するCombiflashカラムクロマトグラフィーによって精製して、(9H-フルオレン-9-イル)メチル(3-((1-((2,2-ジエトキシエチル)(2-メチルブチル)アミノ)-4-メチル-1-オキソペンタン-2-イル)アミノ)-3-オキソプロピル)カルバマート(3.8g、収率55%)をオフホワイトの固体として得た。MS(ESI)m/z[M+H-EtOH]+:565.30。
【0315】
ステップ4:(9H-フルオレン-9-イル)メチル6-イソブチル-8-(2-メチルブチル)-4,7-ジオキソヘキサヒドロ-2H-ピラジノ[1,2-a]ピリミジン-1(6H)-カルボキシラートの合成。(9H-フルオレン-9-イル)メチル6-イソブチル-8-(2-メチルブチル)-4,7-ジオキソヘキサヒドロ-2H-ピラジノ[1,2-a]ピリミジン-1(6H)-カルボキシラート(3.80g、6.231mmol)の攪拌溶液にギ酸(20mL)を室温で加え、反応混合物を16時間攪拌した。完了後、反応混合物を減圧下で濃縮した。粗製化合物をカラムクロマトグラフィー(シリカ100-200メッシュ;0-5%MeOH/DCM)によって精製して、(9H-フルオレン-9-イル)メチル6-イソブチル-8-(2-メチルブチル)-4,7-ジオキソヘキサヒドロ-2H-ピラジノ[1,2-a]ピリミジン-1(6H)-カルボキシラート(3.60g、収率94%)を黄色の固体として得た。MS(ESI)m/z[M+H]+:518.23。
【0316】
ステップ5:6-イソブチル-8-(2-メチルブチル)ヘキサヒドロ-4H-ピラジノ[1,2-a]ピリミジン-4,7(6H)-ジオンの合成。CH2Cl2(36mL)中の(9H-フルオレン-9-イル)メチル6-イソブチル-8-(2-メチルブチル)-4,7-ジオキソヘキサヒドロ-2H-ピラジノ[1,2-a]ピリミジン-1(6H)-カルボキシラート(3.60g、6.954mmol)の溶液にジエチルアミン(6.8mL、69.54mmol)を加え、反応混合物を室温で16時間攪拌した。出発原料が完全に消費されたら(TLCによるモニタリング)、反応混合物を減圧下で濃縮し、粗生成物を10-50%酢酸エチル/n-ヘキサンを使用するCombiflashカラムクロマトグラフィーによって精製して、6-イソブチル-8-(2-メチルブチル)ヘキサヒドロ-4H-ピラジノ[1,2-a]ピリミジン-4,7(6H)-ジオン(1.20g、収率60%)を白色固体として得た。MS(ESI)m/z[M+H]+:296.10。
【0317】
ステップ6:1-(4-(ジフルオロメトキシ)ベンジル)-6-イソブチル-8-(2-メチルブチル)ヘキサヒドロ-4H-ピラジノ[1,2-a]ピリミジン-4,7(6H)-ジオンの合成。DMF(5mL)中の6-イソブチル-8-(2-メチルブチル)ヘキサヒドロ-4H-ピラジノ[1,2-a]ピリミジン-4,7(6H)-ジオン(0.170g、0.576mmol)の溶液にK2CO3(0.159g、1.152mmol)を0℃で加え、反応混合物を10分間攪拌した。得られた反応混合物に1-(ブロモメチル)-4-(ジフルオロメトキシ)ベンゼン(0.150g、0.632mmol)を室温で加え、3時間攪拌した。完了後、反応混合物を氷冷水(200mL)でクエンチし、水層をEtOAc(20mL×2)で抽出した。有機層を冷H2O(20mL)、続いて、飽和ブライン(15mL)で洗浄し、Na2SO4で乾燥させ、減圧下で濃縮した。得られた粗製化合物を分取HPLCによって精製して、1-(4-(ジフルオロメトキシ)ベンジル)-6-イソブチル-8-(2-メチルブチル)ヘキサヒドロ-4H-ピラジノ[1,2-a]ピリミジン-4,7(6H)-ジオン(0.103g、収率40%)を白色固体として得た。MS(ESI)m/z[M+H]+:452.3。1H NMR(400MHz,DMSO d6)δ7.42(d,J=8.8Hz,2H),7.14-7.24(m,3H),5.0-5.10(m,1H),4.50-4.60(m,1H),3.90-4.00(m,2H),3.60-3.70(m,1H),3.02-3.40(m,4H),2.70-2.85(m,2H),2.0-2.10(m,1H),1.50-1.70(m,4H),1.20-1.35(m,1H),1.0-1.10(m,1H),0.70-0.98(m,12H)。
【0318】
生物学的実施例
実施例B1.ホスホ-MET ELISA。
化合物のHGF/MET系に対する効力について、ホスホ-MET(pMET)ELISAキット(Cell Signaling)を使用してスクリーニングした。低濃度(1ng/mL)及び高濃度(10ng/mL)のHGFを有する試料でpMETレベルを検出した。
【0319】
HEK293細胞を6ウェルマルチプレートに継代して調製し、DMEM+10%FBS中、37℃、5%CO2で、およそ90%のコンフルエントになるまで成長させた。次いで、細胞を血清不含成長培地中で少なくとも8時間飢餓状態にした。
【0320】
例示的な化合物をDMEM+0.1%FBS中に調製し、希釈し、1ng/mLの組み換えHGFタンパク質(R&D Systems)を含む処理培地に加えた。細胞を37℃及び5%CO2で15分間、トリプリケートでインキュベートした。次いで、試料を180μLの氷冷RIPA(放射性免疫沈降アッセイ)緩衝液で処理し、細胞を氷上で15分間溶解した。ライセートを16,000gの遠心分離で15分間清澄化し、上清を維持した。ライセートのBCAアッセイを使用して試料を正規化して、試料全体のタンパク質濃度を決定した。
【0321】
pMET Sandwich ELISAキット(Cell Signalingカタログ番号7227C)のELISAウェルに50~100μgの総タンパク質ライセートをロードし、各ウェルのタンパク質が確実に均等になるようにロードした。ELISAを製造元の説明書に従って処理した。発色後、光学プレートリーダーで450nmの吸光度を読み取った。
【0322】
効力の測定値は、ピーク効果を使用し、次式に従って、HGF用量1ng/mL~10ng/mLの間の試験化合物による投与処理を1~10のスケールに沿ってスケーリングすることによって決定した:
y =1+(x-A)*(10-1)/(B-A)
式中、yは、正規化したデータポイントであり、xは、生データポイントであり、Aは、1ng/mLでの平均HGFであり、Bは、10ng/mLでの平均HGFである。算出した効力の結果を表2に示す。
【0323】
実施例B2.細胞拡散挙動アッセイ
MDCK細胞を通常の条件下で培養し、増殖に伴って自然に強固なコロニーが形成されるのを観察した。MDCK細胞は、HGF処理に対して、互いに遠ざかる(拡散する)ことによって反応することから、それを定量することで細胞集団のHGF/MET活性化の量を評価できる。この実験では、MDCK細胞を96ウェルフォーマットでプレーティングし、HGF及び例示的な化合物で処理し、蛍光染色し、広視野で撮像し、拡散挙動を定量した。定量は、撮像した総染色面積と比較した連続した細胞群の数(正規化した粒子数)を分析することによって決定した。
【0324】
MDCK細胞は、黒色壁面イメージングプレートに低密度でプレーティングし、DMEM+10%FBS中、37℃及び5%CO2で一晩接着させた。次いで、細胞をFBS不含DMEM中(「飢餓培地」)で2時間飢餓状態にした。例示的な化合物を含有する試料は、5ng/mLのHGFタンパク質を含む、FBS不含DMEM(「処理培地」)中で調製した。0、5、10、及び20ng/mLのHGF濃度を使用して、各プレートの対照曲線も作成した。飢餓培地を処理培地に置き換え、細胞を37℃及び5%CO2で24時間インキュベートした。
【0325】
インキュベーション後、処理培地を冷エタノールに置き換え、4℃で20分間インキュベートすることによって、細胞を固定した。次いで、細胞をPBSで洗浄し、次いで、染色溶液(蛍光小麦胚芽凝集素;WGA488、PBS中20μg/mL)で洗浄することによって、再水和した。細胞を染色溶液とともに室温で30分間インキュベートした後、染色溶液を新しいPBSに置換した。
【0326】
iCyteハイコンテントイメージャーを緑色の波長で使用して細胞領域を撮像した。画像をバイナリー変換し、粒径及び粒子数を分析した。分析のために、他の細胞に接触していない個々の細胞または分離した細胞コロニーを粒子として識別し、細胞数の違いを考慮して、粒子数を総シグナル面積で正規化した。粒子数の増加は、個々の細胞が拡散挙動応答で互いに遠ざかったことを示す。化合物の効力は、HGF処理単独と比較した正規化した粒子数の統計的増加によって評価した。結果を表3に示す。
【0327】
実施例B3.溶解度アッセイ。
水溶性は、バイオアベイラビリティを予測するのに役立つ重要な薬物特性である。一般に、水溶性が100μg/ml未満の化合物は、薬物として不十分である。化合物の溶解度を評価するために、例示的な化合物を3~300μMの濃度範囲で用いて、比濁法による溶解度アッセイを実施した。
【0328】
化合物の溶解度を比濁法によって評価するために、試験化合物をまず10mMの濃度で有機溶媒(DMSO)中に溶解した。次いで、この化合物の溶液を、96ウェルアッセイプレートで、3~300μMの希釈系列で水性溶媒(PBS)により希釈した。溶液を37℃で2時間インキュベートした。
【0329】
溶解限度を超える試験化合物を入れたウェルでは、化合物が沈殿し、光の通過を効果的に遮断するため、波長620nmである紫外線の吸光度シグナルが増加する。濁りにより、吸光度が対照読み取り値よりも10%を超えて上昇する場合、化合物を試験濃度で不溶性であるとみなした。結果を表4に示す。
【0330】
実施例B4.透過性アッセイ。
生物学的に利用可能な薬物は、消化管の内壁の細胞膜を透過する必要がある。例示的な化合物の透過性を推定するために、並行人工膜透過性アッセイ(PAMPA)をin vitroで実施した。
【0331】
試験化合物は、分画した各薬物の濃度を決定するために、最終読み取りプレートで標準曲線を有する必要がある。各化合物について、リン酸緩衝生理食塩水(PBS)中0~200μMの6点標準曲線を作成した。
【0332】
試験化合物溶液(PBS中300μL)をPAMPAプレートのドナー(下)ウェルに5反復で加え、PBSビヒクル(200μL)をドナープレートのローディング量に合うように適切なウェルのアクセプター(上)ウェルに加えた。次いで、PAMPAプレートの下と上を一緒に挟むようにした。次いで、PAMPAプレートを室温で5時間インキュベートした。インキュベーション後、150μLのドナー溶液を、対応する標準曲線を有するUV対応プレートに加えた。150μLのアクセプターウェル溶液を、当該化合物の対応する標準曲線及びドナーウェル試料に隣接して加えた。次いで、UVプレートリーダーを使用してプレートを読み取った。
【0333】
次いで、透過性及び膜保持率を次式に基づいて算出した:
透過性(cm/s):(Pe)(cm/s)={-ln[1-CA(t)/Ceq]}/[A*(1/VD+1/VA)*t]
(等式1)
式中:
A=フィルター面積(0.3cm2);
VD=ドナーウェル体積(0.3mL);
VA=アクセプターウェル体積(0.2mL);
t=インキュベーション時間(秒);
CA(t)=時点tにおけるアクセプターウェルの化合物濃度;
CD(t)=時点tにおけるドナーウェルの化合物濃度;及び
Ceq = [CD(t)*VD+CA(t)*VA]/(VD+VA)
膜保持率(R)=1-[CD(t)*VD+CA(t)*VA]/(C0*VD)
(等式2)
式中:
CD(t)、VD、CA(t)、及びVAは、等式1について定義するとおり;及び
C0=ドナーウェルの初期濃度(200uM)。
【0334】
【0335】
実施例B5.細胞毒性アッセイ。
この実験は、細胞毒性の予備的評価を得るために設計した。化合物を高濃度で試験し、乳酸脱水素酵素(LDH)の培地への放出を溶解/死細胞の測定として測定することによって、肝細胞(HepG2)培養において何らかの細胞毒作用が観察されるかどうかを判断した。
【0336】
HepG2細胞を96ウェル細胞培養プレートにプレーティングし、EMEM+10%FBS中、37℃、5%CO2で一晩接着させた。処理を完全培地(EMEM+10%FBS)で行い、0.1~100μMの希釈系列の試験化合物を含めた。既知である細胞毒のセリバスタチンを陽性アッセイ対照として使用し、最終濃度0.5μMで調製した。
【0337】
成長培地を処理培地(DMSO中に溶解した試験化合物を含有するEMEM+10%FBS)に置き換え、細胞を試験化合物とともに48時間インキュベートした。インキュベーション期間終了後、各ウェルの上清培地を新しいプレートに移し、LDHアッセイ作業液を加えた。LDHアッセイ溶液は、培地中の乳酸脱水素酵素(溶解した細胞の存在下でのみ培地中にみられる細胞内タンパク質)の量に比例して比色反応を生じるものである。発色反応を波長490nmの吸光度の測定によって定量した。
【0338】
アッセイのシグナル範囲は、陰性対照処理では何の操作も行わず、溶解対照試料では全細胞を完全溶解することによって決定した。このアッセイでは、細胞毒性のレベルが陰性対照試料よりも20%を超えて増加する化合物を細胞毒性があるとみなした。結果を表6に示す。
【0339】
実施例B6.in vitro安定性アッセイ。
体内条件に曝されたときの化合物安定性によって、バイオアベイラビリティを推定することができる。動物に存在する様々な条件下での安定特性の初期評価として、例示的な化合物の安定性を人工体液区画バッテリーで試験した。次の溶液における化合物の安定性について試験した:人工胃液(SGF:34.2mMのNaCl、pH1.2)、消化酵素ペプシンを含む人工胃液(SGF+酵素:SGFに3.2mg/mlのペプシンを含む)、ブタパンクレアチン酵素混合物を含む人工腸液(SIF+酵素:28.7mMのNaH2PO4、105.7mMのNaCl、pH6.8、10mg/mlのパンクレアチン)、ラット血漿、及びヒト血漿。
【0340】
試験化合物を上記溶液中、最終濃度5μMで37℃でインキュベートし、次の時点で試料を抜き取った:0、1、2、及び4時間。反応を停止し、定量のために、内部標準(アセトニトリル、200ng/mLのブセチン)を含有する過剰のクエンチ溶液を加えることによって調製した。各試料中の試験化合物及び内部標準をLC-MS/MSによって定量し、ブセチンに対して内部正規化した後、試験化合物の濃度を0時間の時点の濃度に対するパーセンテージとして表した。次いで、該当する試験溶液の安定性を4時間の時点での残存パーセントによって決定した。結果を表7に示す。
【0341】
実施例B7.in vivo薬物動態学。
例示的な化合物を選択した経路で投与した後、採血し、血漿中の化合物を定量することを使用して、化合物の薬物動態学(PK)プロファイルを決定した。試験化合物をDMSO中に溶解し、次いで、生理食塩水または生理食塩水及びポリエチレングリコールのいずれかの適切なビヒクル中に化合物を希釈することによって、少なくとも250グラムの雌雄混合スプラーグドーリーラットに化合物を投与した。投与は、尾静脈穿刺(IV)または強制経口投与(PO)のいずれかによって行い、動物には体重に応じて1mL/kgで化合物を投与した。投与後、選択した間隔(10、20、40、60、120、及び360分)で、尾静脈採血により血液を採取した。次いで、全血を遠心分離によって処理して血漿を得た。血漿試料中の化合物含量をLC-MS/MSによって定量し、内部標準及び標準曲線と比較して濃度を正確に決定した。
【0342】
次いで、血漿中濃度を各時点で平均し、時間の関数としてプロットした。曲線の積分によって曲線下面積を算出し、Cmaxは血漿中で到達した最高濃度であり、TmaxはCmaxの時点によって決定した。結果を表8に示す。
【0343】
実施例B8.経口アベイラビリティの算出。
経口バイオアベイラビリティは、経口投与用の低分子治療薬の開発に重要である。経口バイオアベイラビリティ(%F)の算出は、IV投与を最大可能曝露量として使用し、PO投与後の曝露率を決定して、in vivo薬物動態データ(実施例B7)を比較することによってなされる。これらの試験において、PO投与からの用量補正AUCをIV投与からの用量補正AUCで割り、100を乗じて、%Fを得た。結果を表9に示す。
【0344】
実施例B9.非特異的タンパク質結合。
例示的な化合物の血漿及び組織の曝露量を標的組織または体液中のタンパク質結合に対する非特異的親和性によってスケーリングし、標的との相互作用に利用することができる化合物の画分を決定した。非特異的結合を、雌雄混合スプラーグドーリーラットから採取した血漿及び脳ホモジネートで測定した。
【0345】
既知の濃度の試験化合物を血漿または脳ホモジネートと混合し、迅速な平衡透析(RED)デバイスのドナーチャンバーで、受けチャンバーに空のPBS緩衝液を入れてインキュベートした。オービタルシェーカーインキュベーターで37℃で4時間インキュベーションした後、各チャンバー内の化合物をLC-MS/MSによって定量した。次式を使用して非結合画分(f
u,組織)を算出した:
【数1】
式中:
f
u,組織は、組織中の非結合画分であり、
f
u,ホモジネートは、緩衝液チャンバー中の濃度と試料チャンバー中の濃度の比であり、
Dは、試料を得るために使用した希釈係数である。
【0346】
【0347】
実施例B10.in vivo組織分布。
標的組織に対する分布率は、治療用分子の重要な特徴である。例示的な化合物の組織分布を雌雄混合スプラーグドーリーラットで実施した。試験化合物を尾静脈注射(IV)を介して送達し、組織をTmax(投与後10分)で採取した。動物にイソフルランで深く麻酔をかけ、全血を右心房から採取し、遠心分離によって処理し、血漿を得た。次いで、組織の血系汚染を防ぐために、左心室にPBSを投与して完全に動物を灌流した。
【0348】
組織を採取してホモジナイズし、標的組織中の化合物含量をLC-MS/MSによって定量した。化合物の組織濃度を血漿濃度で割り、100を乗じることによって、組織分布率を決定した。結果を表11に示す。
【0349】
実施例B11.in vivo有効性:モリス水迷路におけるスコポラミン誘導空間記憶障害。
例示的な化合物2a及び6aを、化学的に誘導されたラットの空間記憶障害を回復させる能力についてモリス水迷路で評価した。水迷路は、26~28℃の水を約30cmの深さまで満たした大型円形タンク(直径2.1m)からなり、水を白色塗料で濁らせた。円形プラットフォーム(直径13cm)を水面から2~3cm下に来るように固定した。試験動物の空間定位を助けるために、タンクの周りに高コントラストの視覚的手がかりを置いた。試験は、動物を、無作為に割り当てられた3つの出発地点のうちの1つにタンク壁面を向くように水中に入れ、最大120秒間、動物を泳がせて隠れたプラットフォームを探させることからなった。動物がプラットフォームを探し出すまでにかかった時間を逃避潜時として記録した。動物を1日5回、試験と試験の間に30秒間の休憩を取って試験した。試験は、合計で連続8日間行った。
【0350】
動物は、処理に応じて群(N=8/群)に分けた。対照動物には空のビヒクルのみを投与した。スコポラミン群には、試験の30分前に、無菌生理食塩水中に溶解した3mg/kgのスコポラミンを腹腔内(IP)注射によって投与した。試験化合物群には、試験の40分前に、48%無菌生理食塩水、50%ポリエチレングリコール(PEG-400)、及び2%DMSO中に溶解した様々な濃度の試験化合物を強制経口投与(PO)によって投与した。各動物について、逃避潜時を毎日5試験で連続8日間記録した。逃避潜時の曲線変化を二元配置ANOVA及びボンフェローニ事後検定によって統計的に分析した。結果を表12に示す。
【0351】
例示的な化合物1aを、化学的に誘導されたラットの空間記憶障害を回復させる能力についてモリス水迷路で評価した。水迷路は、23~26℃の水を約30cmの深さまで満たした大型円形タンク(直径1.5m)からなり、水を白色塗料で濁らせた。円形プラットフォームを水面から2~3cm下に来るように固定した。試験動物の空間定位を助けるために、タンクの周りに高コントラストの視覚的手がかりを置いた。試験は、動物を、無作為に割り当てられた3つの出発地点のうちの1つにタンク壁面を向くように水中に入れ、最大90秒間、動物を泳がせて隠れたプラットフォームを探させることからなった。動物がプラットフォームを探し出すまでにかかった時間を逃避潜時として記録した。動物を1日5回、試験と試験の間に30秒間の休憩を取って試験した。試験は、合計で連続5日間行った。
【0352】
動物は、処理に応じて群(N=12/群)に分けた。対照動物には空のビヒクルのみを投与した。スコポラミン群には、試験の30分前に、無菌生理食塩水中に溶解した2mg/kgのスコポラミンを腹腔内(IP)注射によって投与した。試験化合物群には、試験の40分前に、78%無菌生理食塩水、20%ポリエチレングリコール(PEG-400)、及び2%DMSO中に溶解した様々な濃度の試験化合物を強制経口投与(PO)によって投与した。各動物について、逃避潜時を毎日5試験で連続5日間記録した。逃避潜時の曲線変化を二元配置ANOVA及びボンフェローニ事後検定によって統計的に分析した。結果を表12に示す。
【0353】
実施例B12.in vitroにおける化合物1aによる神経毒性からの広範な保護。
HGF/METシグナル伝達の活性化は、ニューロンを含む細胞を細胞死から守ることが期待されている。例示化合物のHGF/MET増強特性を実証するために、我々は、様々なメカニズムでニューロン死を引き起こす化学的障害にさらされた培養初代ニューロンの生存率を改善する化合物1aの能力を試験した。過酸化水素(H2O2)処理は、有毒な酸化ストレスを生じさせる。細菌由来のリポ多糖類(LPS)治療は炎症性細胞死を引き起こします。細菌由来のリポ多糖(LPS)処理は、炎症性細胞死を誘導する。過剰なグルタミン酸(Glut)処理は、ニューロン培養に興奮毒性を引き起こす。1-メチル-4-フェニルピリジニウム(MPP+)処理は、ミトコンドリア機能の阻害により細胞死を引き起こす。
【0354】
ラット一次皮質ニューロン培養を、10%FBSを含むB27/GDNF/BDNF添加完全ニューロベース培地中、37℃、5%CO2で成熟まで培養し、384ウェルプレートに5,000細胞/ウェルで播種した。その後、培養細胞を1uM、100nM、10nM、1nM、または0.1nMの化合物1aで15分間処理した。次に、細胞を以下の濃度で24時間、個々の条件的傷害:H2O21uM、LPS1uM、グルタミン酸 25 uM、MPP+500 uM、に供した。すべての治療には、5ng/mlの濃度の組み換えヒト HGF(R&D Systems)が含まれていました。
【0355】
神経保護を定量化するために、細胞生存率をCell Titer-Glo Luminescent Cell Viability Assay(Promega、Cat #G7571)を用いて測定した。データは、細胞生存率100%としたDMSO+HGF対照に対して正規化した。各群(n=4)の統計解析は、Tukeyの多重比較検定による一元配置分散分析を用いて行った。
【0356】
結果を表13に示す。データは、対傷害対照の統計的有意差として報告されており、NS=有意ではない、+=p<0.05、++=p<0.01、+++=p<0.001である
【0357】
本試験では、化合物1aの投与は、試験したすべての傷害に対して、幅広い濃度で効果的な神経保護治療として作用した。この結果は、化合物1aによるHGF/METシグナル伝達の増強が、培養ラットニューロンに対して強力な神経保護効果を発揮することを示している。
【0358】
実施例B13:スコポラミン誘発認知障害の抑制。
軽度認知障害は、正常な神経伝達物質のシグナル伝達を阻害する様々な化合物を投与することで、齧歯類モデルで評価することができる。スコポラミンは、NMDA受容体のようなグルタミン酸作動性受容体だけでなく、ムスカリン性アセチルコリン受容体やニコチン受容体にも拮抗することがよく知られている化合物である。したがって、スコポラミンを投与すると認知機能障害が起こり、これはさまざまな認知課題で評価することができる。HGF/MET系を積極的に調節することで、NMDA受容体の活性化が促進され、認知促進効果が得られる。化合物1aと化合物5aの2つの試験化合物について、スコポラミン誘発性認知機能障害に対する保護能を評価した。
【0359】
本研究では、さもなければ健常なオスのCD-1マウス(試験開始時4~5週齢)に、0.89mg/kgのスコポラミン(生理食塩水に溶解)を急性投与することで、軽度認知障害をモデル化した。試験化合物はスコポラミン曝露の0.5時間前に経口投与し、認知能力はスコポラミン曝露の0.5時間後(試験化合物曝露の1時間後)にT迷路自発交代課題で評価した。実験プロトコルは、1回のセッションで構成され、1回の「強制選択」試行から始まり、14回の「自由選択」試行が続いた。最初の「強制選択」試行では、動物はスタートアームに5秒間拘束され、その後、左右いずれかのゴールアームが水平のドアでふさがれている間に解放された。マウスが開放されたゴールアームに入り、スタート位置に戻った後、左右のゴールドアが開けられ、動物に左右のゴールアームを自由に選択させた(「自由選択試行」)。動物が4本の前足をアームに入れたとき、アームに入ったとみなした。正常な動物はそれまで探索されていなかったアームを探索することを選択し、これは自発的交代として記録される。前に入った腕を探索することは、その動物が前に探索した腕をもはや覚えていないことを示し、認知欠損行動とみなされる。14回の自由選択試行を行うか、または10分経過するかのどちらかが先に起こった時点でセッションを打ち切り、動物を迷路から追い出した。
【0360】
分析変数には自発的交代の割合(式)が含まれ、結果を表14に示す。この割合は、連続する試行でT字迷路の異なるゴールアームに入ることと定義し(例:左-右-左-右)、式を用いて計算した:(交代率=交代回数/14*100)。どちらの化合物も、スコポラミンのみの対照群と比較して、自発的交代回数の割合が増加することによって示されるように、スコポラミンによる認知障害の程度を減弱させた。統計解析は、Dunnetの多重比較事後検定による一元配置分散分析で行った。
【0361】
理解を明瞭にする目的で、本発明を図示及び例によってある程度詳細に説明してきたが、これらの説明及び実施例は、本発明の範囲を限定するものと解釈されるべきではない。本明細書で引用される全ての特許及び科学文献の開示は、その全体が参照により本明細書に援用される。
【国際調査報告】