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特表2024-546614電子バイオセンサ向け一体化シリコン・プラットフォーム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-12-26
(54)【発明の名称】電子バイオセンサ向け一体化シリコン・プラットフォーム
(51)【国際特許分類】
   G01N 27/00 20060101AFI20241219BHJP
   G01N 33/53 20060101ALI20241219BHJP
   G01N 33/543 20060101ALI20241219BHJP
   C12N 15/09 20060101ALN20241219BHJP
   C12N 15/10 20060101ALN20241219BHJP
【FI】
G01N27/00 J
G01N33/53 M
G01N33/53 Z
G01N33/543 545F
G01N33/543 541A
C12N15/09 110
C12N15/10 114Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024531607
(86)(22)【出願日】2022-12-06
(85)【翻訳文提出日】2024-05-28
(86)【国際出願番号】 EP2022084646
(87)【国際公開番号】W WO2023104818
(87)【国際公開日】2023-06-15
(31)【優先権主張番号】17/643,324
(32)【優先日】2021-12-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】390009531
【氏名又は名称】インターナショナル・ビジネス・マシーンズ・コーポレーション
【氏名又は名称原語表記】INTERNATIONAL BUSINESS MACHINES CORPORATION
【住所又は居所原語表記】New Orchard Road, Armonk, New York 10504, United States of America
(74)【代理人】
【識別番号】100112690
【弁理士】
【氏名又は名称】太佐 種一
(74)【代理人】
【識別番号】100120710
【弁理士】
【氏名又は名称】片岡 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】シュウ、ヴィンス
(72)【発明者】
【氏名】ザファー、スフィ
(72)【発明者】
【氏名】ヴンシュ、ベンジャミン
【テーマコード(参考)】
2G060
【Fターム(参考)】
2G060AA15
2G060AA19
2G060AD06
2G060DA12
2G060DA13
2G060FA07
2G060FA10
2G060FA14
2G060JA07
2G060KA09
(57)【要約】
構造体、装置、および方法が開示される。サンプル流体を受け入れ、センシング面を含むリザーバによって受け入れられた検体溶液を調製する、マイクロ流体システムを含むシリコン基板は、半導体デバイスに電気的に接続される。構造体は、サンプル流体を受け入れるための構成要素と、サンプル流体を調製するための構成要素と、サンプル流体が対象配列を含むときにレポータ種を分割するためのCRISPRシステムと、サンプル流体およびCRISPR生成物から、分割されたレポータ種を分離するための選別構成要素と、分割されたレポータ種を含む検体溶液を受け入れるためのキャビティと、キャビティ内のセンシング面とを含む。センシング面は、検体溶液内の反応事象によって誘起される電気信号を検出する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
サンプル流体を受け入れるための構成要素と、
前記サンプル流体を調製するための構成要素と、
前記サンプル流体が対象配列を含むときにレポータ種を分割するためのCRISPRシステムと、
前記サンプル流体およびCRISPR生成物から、前記分割されたレポータ種を分離するための選別構成要素と、
前記選別構成要素から、前記分割されたレポータ種を含む検体溶液を受け入れるためのキャビティと、
前記キャビティ内のセンシング面であって、前記センシング面は、前記検体溶液内の反応事象によって誘起された電気信号を検出する、センシング面と、
前記センシング面に電気的に接続された半導体デバイスとを備える構造体。
【請求項2】
各レポータ種が、
核酸と、
前記核酸の第1の端部に結合されたレポータ・リガンドと、
前記核酸の第2の端部に結合されたビードとを含む、請求項1に記載の構造体。
【請求項3】
前記選別構成要素が、前記ビードより小さい細孔直径を有するフィルタを含む、請求項2に記載の構造体。
【請求項4】
前記ビードが磁性粒子であり、前記選別構成要素が磁石を含む、請求項2または3に記載の構造体。
【請求項5】
前記反応事象が、前記レポータ種と、前記センシング面をコーティングする分子との間に化学結合形成を有する、請求項1ないし4のいずれか一項に記載の構造体。
【請求項6】
さらにマイクロ流体チャネルを含む、請求項1ないし5のいずれか一項に記載の構造体。
【請求項7】
前記半導体デバイスが、電界効果トランジスタ(FET)デバイスとバイポーラ接合トランジスタ(BJT)デバイスとからなるグループから選択される、請求項1ないし6のいずれか一項に記載の構造体。
【請求項8】
前記選別構成要素が、決定論的横方向変位アレイを含む、請求項1ないし7のいずれか一項に記載の構造体。
【請求項9】
半導体デバイスと、
1つまたは複数のマイクロ流体システムを含むシリコン基板であって、各マイクロ流体システムが、
サンプル流体がそこを通じて流れ込むことができる入口と、
レポータ種と、前記サンプル流体内に対象配列が存在する際に、前記レポータ種を分割するCRISPRシステムとを含むキャビティと、
前記分割されたレポータ種を検体溶液に分離するための構成要素と、
前記半導体デバイスに電気的に接続されたセンシング面と、
前記検体溶液が前記センシング面にその中で接触するリザーバであって、前記リザーバが、前記分割されたレポータ種が存在する際に反応事象を誘起するための構成要素を含む、リザーバとを有する、シリコン基板とを備える装置。
【請求項10】
前記半導体デバイスが、電界効果トランジスタ(FET)デバイスとバイポーラ接合トランジスタ(BJT)デバイスとからなるグループから選択される、請求項9に記載の装置。
【請求項11】
前記半導体デバイスがナノワイヤ・デバイスである、請求項9または10に記載の装置。
【請求項12】
前記シリコン基板が、個々のウェル内に前記1つまたは複数のマイクロ流体システムのうちの複数のマイクロ流体システムを有する、請求項9ないし11のいずれか一項に記載の装置。
【請求項13】
各マイクロ流体システムがさらに、埋込電極によって制御される流体ゲートを有する、請求項9ないし12のいずれか一項に記載の装置。
【請求項14】
シリコン基板上に1つまたは複数のマイクロ流体システムを設けることであって、各マイクロ流体システムが、
サンプル流体を受け入れるための構成要素と、
前記サンプル流体を調製するための構成要素と、
前記サンプル流体が対象配列を含むときにレポータ種を分割するためのCRISPRシステムと、
前記サンプル流体およびCRISPR生成物から、前記分割されたレポータ種を分離するための選別構成要素と、
前記選別構成要素から、前記分割されたレポータ種を含む検体溶液を受け入れるためのキャビティと、
前記キャビティ内のセンシング面であって、前記センシング面は、前記検体溶液内の反応事象によって誘起された電気信号を検出する、センシング面とを有する、1つまたは複数のマイクロ流体システムを設けることと、
前記センシング面に電気的に接続された半導体デバイスを設けることとを含む方法。
【請求項15】
各レポータ種が、
核酸と、
前記核酸の第1の端部に結合されたレポータ・リガンドと、
前記核酸の第2の端部に結合されたビードとを含む、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
各マイクロ流体システムがさらに、埋込電極によって制御される流体ゲートを有する、請求項14または15に記載の方法。
【請求項17】
前記シリコン基板が、個々のウェル内に前記1つまたは複数のマイクロ流体システムのうちの複数のマイクロ流体システムを有する、請求項14ないし16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
前記半導体デバイスが、電界効果トランジスタ(FET)デバイスとバイポーラ接合トランジスタ(BJT)デバイスとからなるグループから選択される、請求項14ないし17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
前記キャビティがリザーバを有し、前記検体溶液が前記センシング面に前記リザーバの中で接触し、前記リザーバが、前記分割されたレポータ種が存在する際に前記反応事象を誘起するための構成要素を含む、請求項14ないし18のいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
前記1つまたは複数のマイクロ流体システムを設けることが、サンプル調製キャビティ内にCRISPR試剤を前もって装填することを含む、請求項14ないし19のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、電子バイオセンサに関し、より詳細には、半導体デバイスと一体化されたCRISPRベースの電子センサに関する。
【背景技術】
【0002】
CRISPR(クラスタ化規則的離間短パリンドローム・リピート:Clustered Regularly Interspaced Short Palindromic Repeats)システムは、RNA分子とDNA分子に対する分子はさみとして働く。CRISPRベースの診断システムは、所与の疾患に関連する、対象の核酸配列の同定に主に依存し、対象の核酸配列は、検出できる結果を作り出すために非特異的なレポータ分子の二次的分割事象を誘起する。例えば、レポータ分子は、蛍光信号または比色分析信号を生成することができる。
【発明の概要】
【0003】
さまざまな実施形態は、サンプル流体を受け入れるための構成要素と、サンプル流体を調製するための構成要素と、サンプル流体が対象配列を含むときにレポータ種を分割するためのCRISPRシステムと、サンプル流体およびCRISPR生成物から、分割されたレポータ種を分離するための選別構成要素とを含む構造体を対象とする。いくつかの実施形態では、レポータ種は、核酸と、核酸の第1の端部に結合されたレポータ・リガンドと、核酸の第2の端部に結合されたビードとを含む。選別構成要素は、ビードよりも小さい細孔直径を有するフィルタを含むことができる。いくつかの実施形態では、ビードは磁性であり得る。これらの実施形態では、選別構成要素は磁石を含み得る。いくつかの実施形態では、選別構成要素は、決定論的横方向変位アレイを含む。構造体はさらに、分割されたレポータ種を含む検体溶液を受け入れるためのキャビティ、およびキャビティ内のセンシング面を含む。センシング面は、検体溶液内の反応事象によって誘起される電気信号を検出する。反応事象は、レポータ種とセンシング面をコーティングしている分子との間の化学結合形成を含むことができる。構造体はさらに、センシング面に電気的に接続された、電界効果トランジスタ(FET)デバイスまたはバイポーラ接合トランジスタ(BJT)デバイスなどの半導体デバイスを含む。構造体はさらに、マイクロ流体チャネルを含むことができる。
【0004】
さらなる実施形態は、半導体デバイスと、1つまたは複数のマイクロ流体システムを有するシリコン基板とを含む装置を対象とする。半導体デバイスは、例えば、FETデバイス、BJTデバイス、または、ナノワイヤ・デバイスとすることができる。いくつかの実施形態では、シリコン基板は、個々のウェル内に複数のマイクロ流体システムを有する。各マイクロ流体システムは、サンプル流体がそこを通じて流れ込むことができる入口と、レポータ種を含むキャビティと、サンプル流体内に対象配列が存在する際にレポータ種を分割するCRISPRシステムとを含む。各マイクロ流体システムはさらに、分割されたレポータ種を検体溶液に分離するための構成要素と、半導体デバイスに電気的に接続されたセンシング面と、検体溶液がセンシング面にその中で接触するリザーバとを含む。リザーバは、分割されたレポータ種が存在する際に反応事象を誘起するための構成要素を含む。いくつかの実施形態では、各マイクロ流体システムは、埋込電極によって制御される流体ゲートを有する。
【0005】
さらなる実施形態は、シリコン基板上に1つまたは複数のマイクロ流体システムを設けることを含む方法を対象とする。いくつかの実施形態では、シリコン基板は、個々のウェル内に複数のマイクロ流体システムを有する。各マイクロ流体システムは、サンプル流体を受け入れるための構成要素と、サンプル流体を調製するための構成要素と、サンプル流体が対象配列を含むときにレポータ種を分割するためのCRISPRシステムと、サンプル流体およびCRISPR生成物から、分割されたレポータ種を分離するための選別構成要素とを含む。いくつかの実施形態では、レポータ種は、核酸と、核酸の第1の端部に結合されたレポータ・リガンドと、核酸の第2の端部に結合されたビードとを含む。CRISPRリガンドをサンプル調製キャビティ内に前もって装填することができる。構造体はさらに、分割されたレポータ種を含む検体溶液を受け入れるためのキャビティと、キャビティ内のセンシング面とを含む。このキャビティは、検体溶液がセンシング面にその中で接触するリザーバを含み得る。リザーバは、分割されたレポータ種が存在する際に反応事象を誘起するための構成要素を含み得る。センシング面は、検体溶液内の反応事象によって誘起される電気信号を検出する。各マイクロ流体システムは、埋込電極によって制御される流体ゲートを含み得る。方法はさらに、センシング面に電気的に接続された、電界効果トランジスタ(FET)デバイスまたはバイポーラ接合トランジスタ(BJT)デバイスなどの半導体デバイスを提供することを含む。
【0006】
本願に含まれる図面は、本明細書に組み込まれて、本明細書の一部を構成する。図面は、本開示の実施形態を図解し、記述と一緒に本開示の原理を説明する働きをする。図面は、単に、ある特定の実施形態の例示であり、本開示を制限するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本開示のいくつかの実施形態による、バイオセンサ・デバイスを図解するブロック図である。
図2】本開示のいくつかの実施形態による、マイクロ流体バイオセンサ構造体の断面図を図解する概略図である。
図3】本開示のいくつかの実施形態による、レポータ種の二次的分割のプロセスを図解する概略図である。
図4A】本開示のいくつかの実施形態による、例示の分離チャネルの断面図を図解する概略図である。
図4B】本開示のいくつかの実施形態による、例示の分離チャネルの断面図を図解する概略図である。
図4C】本開示のいくつかの実施形態による、例示の分離チャネルの断面図を図解する概略図である。
図5】本開示のいくつかの実施形態による、例示の検出モジュール構造体を図解する概略図である。
図6】本開示のいくつかの実施形態による、例示の検出モジュール構造体を図解する概略図である。
図7】本開示のいくつかの実施形態による、基板上に複数のマイクロ流体システムを含むバイオセンサ構造体を図解する概略図である。
図8A】本開示のいくつかの実施形態による、バッテリのウェルを含む構造体を図解する概略図である。
図8B】本開示のいくつかの実施形態による、バッテリのウェルを含む構造体を図解する概略図である。
図8C】本開示のいくつかの実施形態による、バッテリのウェルを含む構造体を図解する概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明は、さまざまな変更および代替の形態を対象とするが、その詳細が、図面において例として示されており、詳細に説明されることになる。しかしながら、本発明を、記述された特定の実施形態に限定することを意図するものではないことが、理解されるべきである。代わりに、その意図は、本発明の思想および範囲内にあるすべての修正、均等物、および代替物をカバーすることである。
【0009】
本発明の実施形態は一般に、を対象とする。本開示は、必ずしもそのような用途に限定されるものではなく、本開示のさまざまな態様がこのコンテキストを用いてさまざまな例を論じることによって理解されるであろう。
【0010】
本開示のさまざまな実施形態が、関連する図面を参照して本明細書において記述される。本開示の範囲から逸脱せずに代替の実施形態を創案することができる。さまざまな繋がりおよび位置関係(例えば、上に、より下に、隣接して、など)が、以下の記述および図面における要素間に明記されることに留意されたい。これらの繋がりまたは位置関係あるいはその両方は、別様に明記されていない限り、直接的とするかまたは間接的とすることができ、本開示は、この点を制限することを意図するものではない。したがって、エンティティの結合は、直接的または間接的のうちのどちらかの結合を指すことができ、エンティティ間の位置関係は、直接的または間接的な位置関係とすることができる。間接的な位置関係の例として、本記述において、層「B」の上に層「A」を形成することへの言及は、層「A」および層「B」の、関連性のある特徴および機能性が中間層(複数可)によって実質的に変更されない限り、1つまたは複数の中間層(例えば、層「C」)が層「A」と層「B」との間にある状況を含む。
【0011】
以下の定義および短縮形は、請求項および明細書の解釈のために使用されることになる。本明細書で使用されるとき、用語「備える」、「備えている」、「含む」、「含んでいる」、「有する」、「有している」、「含有する」、もしくは「含有している」、またはそれらの任意の他の変形は、非網羅的な包含をカバーすることを意図するものである。例えば、要素のリストを含む組成物、混合物、プロセス、方法、物品、または装置は、必ずしもそれらの要素に限定されるものではないが、明確に列挙されていない、または、そのような組成物、混合物、プロセス、方法、物品、もしくは装置に固有である、他の要素を含むことができる。さらに、本明細書で使用される単語「提供している」は、作成している、購入している、取得している、合成している、利用可能にしている、など、またはそれらの組合せなどのさまざまな行為を指すことができる。
【0012】
以下の説明のために、「上の」、「下の」、「右の」、「左の」、「垂直の」、「水平の」、「頂部の」、「底部の」という用語、およびその派生語は、描かれた図面において配向された記述された構造および方法に関するものとする。「の上にある」、「の頂上に」、「の頂部に」、「の上に」、「の上に配置された」、または「の頂上に配置された」という用語は、第1の構造体などの第1の要素が第2の構造体などの第2の要素上に存在することを意味しており、境界面構造体などの介在要素が、第1の要素と第2の要素との間に存在することができる。「直接接触」という用語は、第1の構造体などの第1の要素と、第2の構造体などの第2の要素とが、2つの要素の境界面にいかなる中間導電性の絶縁層も半導体層もなく、接続されることを意味する。例えば、「第2の要素に対して選択的な第1の要素」などの「に対して選択的な」という用語が、第1の要素がエッチングされることが可能であり、第2の要素がエッチング停止として働くことができることを意味することが留意されるべきである。
【0013】
本明細書で使用されるとき、要素または構成要素に先行する冠詞「1つの:a」および「1つの:an」は、要素または構成要素の実例(すなわち、発生)の数に関して非制限的であることを意図する。したがって、「1つの:a」または「1つの:an」は、1つまたは少なくとも1つを含むと読解されるべきであり、要素または構成要素の単数形単語形態もまた、数が明らかに単数形であることを意味していない限り、複数を含む。
【0014】
本明細書で使用されるとき、「発明」または「本発明」という用語は、非制限用語であり、特定の発明のいずれかの単一の態様を指すことを意図するものではなく、しかし、本明細書および特許請求の範囲に記述されたすべての可能な態様または態様の組合せあるいはその両方を包含するものである。
【0015】
別様に言及されていない限り、本明細書で示される範囲(例えば、時間、濃度、温度など)は、端点と、端点同士間のすべての数との両方を含む。別様に明記されていない限り、チルド(~)、または、「約」、「ほぼ」、「およそ」、「よりわずかに少ない」、およびそれらの変形などの用語の使用は、出願時に利用可能な器材に基づく特定の量の測定結果に関連する誤差の程度を含むことを意図するものである。例えば、「約」は、所与の値の、値の範囲の、または値の1つもしくは複数の範囲の端点の±8%もしくは5%または2%の範囲を含むことができる。別様に示されていない限り、範囲に関連したこのような用語の使用は、範囲の両端部に適用され(例えば、「およそ1g~5g」は、「およそ1g~およそ5g」と解釈されるべきである)、範囲のリストに関連して、リストの各範囲に適用される(例えば、「約1g~5g、5g~10gなど」は、「約1g~約5g、約5g~約10gなど」と解釈されるべきである)。
【0016】
材料化合物が、列挙された要素、例えばSiNまたはSiGeに関して記述されることになることをさらに理解すべきである。これらの化合物は化合物内の異なる割合の要素を含み、例えば、SiGeはSiGe(1-x)を含み、但し、xは1以下である、などである。さらに、他の要素が、化合物に含まれることが可能であり、さらに本原理に従って機能することができる。さらなる要素を含む化合物は、本明細書では合金と称されることになる。
【0017】
簡潔にするために、半導体デバイスおよび集積回路(IC)製造に関する従来技法は、本明細書において詳述される場合があり、または詳述されない場合もある。さらに、本明細書に記述されたさまざまなタスクおよびプロセス・ステップは、本明細書に詳述されていない追加のステップまたは機能を有する、より包括的な手順またはプロセスに組み込むことができる。特に、半導体デバイスおよび半導体ベースのICの製作のさまざまなステップがよく知られており、そのため、本明細書では、簡潔性のために、多くの従来ステップは、簡潔にのみ言及されることとなるか、またはよく知られたプロセスを詳述せずに完全に省略されることとなる。当業者であれば、本明細書に記述されているように、どこにマスキング、およびパターニング・プロセスを利用して、特定された層および開口を形成し、特定された選択的エッチング・プロセスを実行するのか理解するはずであるので、マスキング、パターニング、およびリソグラフィプロセスのすべてが示されるのではないことに留意すべきである。
【0018】
一般に、パッケージングされてICとなるマイクロチップを形成するために使用されるさまざまなプロセスは、4つの一般的なカテゴリ、すなわち、薄膜堆積、除去/エッチング、半導体ドーピングおよびパターニング/リソグラフィに分かれる。
【0019】
堆積は、材料をウェハ上に、成長させ、被せ、または別の方法で転写する任意のプロセスである。利用可能な技術には、物理気相堆積(PVD)、化学気相堆積(CVD)、電気化学堆積(ECD)、分子線エピタキシ(MBE)、およびより最近ではとりわけ、原子層堆積(ALD)がある。別の堆積技術は、プラズマ内のエネルギーを使用してウェハ表面での反応を誘起するプロセスであるプラズマ強化化学気相堆積(PECVD)であり、プラズマ内のエネルギーを使用しない場合、ウェハ表面での反応を誘起するには、従来型CVDに関連するより高い温度を必要とすることになる。PECVD堆積中のエネルギー値が高いイオンのボンバードはさらに、薄膜の電気および機械特性を改善することができる。
【0020】
除去/エッチングは、ウェハから材料を除去する任意のプロセスである。例には、エッチング・プロセス(湿式または乾式のどちらか)、および化学的機械的平坦化(CMP)などがある。除去プロセスの1つの例はイオン・ビーム・エッチング(IBE)である。一般に、IBE(またはフライス削り)は、乾式プラズマ・エッチング法を指しており、乾式プラズマ・エッチング法は、リモートのブロード・ビーム・イオン/プラズマ源を利用して、物理的不活性ガスまたは化学的反応性ガス手段あるいはその両方によって、基板材料を除去する。他の乾式プラズマ・エッチング技法のように、IBEには、エッチング速度、異方性、選択性、均一性、アスペクト比、および基板損傷の最小化などの利点がある。乾式除去プロセスの別の例は反応性イオン・エッチング(RIE)である。一般に、RIEは化学反応性プラズマを使用して、ウェハ上に堆積させた材料を除去する。RIEを用いて、プラズマが、低圧(真空)のもとで電磁場によって生成される。RIEプラズマからの高エネルギー・イオンがウェハ表面を攻撃し、ウェハ表面と反応して材料を除去する。
【0021】
半導体ドーピングは、例えばトランジスタのソースおよびドレインを、一般に、拡散によってまたはイオン注入によってあるいはその両方によってドーピングすることによる電気特性の修正である。これらのドーピング・プロセスの後には炉アニーリングまたは急速熱アニーリング(「RTA」)が続く。アニーリングは注入されたドーパントを活性化する働きをする。導体(例えば、ポリシリコン、アルミニウム、銅など)と絶縁体(例えば、さまざまな形態の二酸化ケイ素、窒化ケイ素など)との両方の薄膜が使用されて、トランジスタおよびその構成要素を接続および絶縁する。半導体基板のさまざまな領域の選択的ドーピングにより、電圧の印加に伴い基板の導電度を変化させることができる。これらのさまざまな構成要素の構造体を作成することにより、数百万個のトランジスタが構築され一緒に配線されて、現代のマイクロエレクトロニクス・デバイスの複雑な回路を形成することができる。
【0022】
半導体リソグラフィは、基板へのパターンの連続転写のための半導体基板上への3次元レリーフ像またはパターンの形成である。半導体リソグラフィでは、パターンは、フォトレジストと呼ばれる感光性ポリマーによって形成される。トランジスタと、回路の数百万個のトランジスタを接続する多くのワイヤとを構成する複雑な構造体を構築するため、リソグラフィおよびエッチング・パターン転写ステップが複数回繰り返される。ウェハ上に印刷される各パターンは、これまでに形成されたパターンと整合され、徐々に、導体、絶縁体、および選択的にドーピングされた領域が蓄積されて最終デバイスを形成する。
【0023】
次に、本開示の態様に、より具体的に関連する技術の概要に進み、CRISPR(クラスタ化規則的離間短パリンドローム・リピート)システムは、RNA分子とDNA分子とに対する分子はさみとして働く。CRISPRベースの診断システムは、疾患に関連する対象配列の同定に主に依存し、対象配列は、読み取りできる蛍光信号または比色分析信号を作り出すために非特異的レポータ分子の二次的分割事象を誘起する。これらの評価は、デング熱、ジカ熱、HPV、COVID-19などのウイルスを検出するために使用されている。CRISPRベースの診断システムは、非常に高い特定性でアトモル感度を達成することができるが、このシステムの評価実行時間は、非常に長いサンプル調製ステップと、対象配列を増産するために訓練されたラボの専門家との必要性によって妨げられる。例えば、尿、唾液、および血液などの臨床サンプルは、遠心分離、サンプル破壊などの処理ステップによる対象の核酸の抽出を必要とする。
【0024】
本開示の実施形態は、これらおよび他の問題を克服することができる。実施形態は、サンプルから回答までのCRISPRベースのバイオセンサを含み、このバイオセンサは、半導性のデバイス(例えば、バイポーラ接合トランジスタ(BJT)、電界効果トランジスタ(FET)、またはナノワイヤ)と一体化されたマイクロ流体システムを使用して、サンプル流体内に存在する対象配列を検出することができる。サンプル流体が対象配列を含むとき、CRISPRシステムは、例えば、pHの変化または化学結合形成によって引き起こされる電気信号に基づいて電子的に検出することができるレポータ分子を作り出す。電気センサは光検出器よりも高感度であり得る。これにより、対象の核酸を抽出および増産する必要なくより小さいサンプル体積の使用を可能にすることができる。
【0025】
さらに、開示されたセンサは、変倍、小型化、自動化のためのシリコン技術を用いた適合性を提供する。例えば、検出前のサンプル処理、濃縮、およびサンプルのフィルタリングのためのモジュールは、シリコン技術と一体化させることができる。シリコン製造はさらに、光センサと比較してより小さい専有面積で小型化および高スループット・センシングを可能にする。開示されたマイクロ流体バイオセンサの区画(例えば、リザーバ、チャネルなど)は、低いサンプル体積の使用を可能にするように最適化することができる。例えば、MEMSベースのマイクロ製造技法を使用して、プラットフォームを小型化および変倍することができる。さらなる実施形態では、開示されたバイオセンサは、試剤を紙にスポット乾燥させ、ワックス印刷を用いて、半導体デバイスに電気的に接続されたセンシング面に繋がるマイクロ流体チャネルを作成することによってマクロスケールで一体化され得る。
【0026】
前述の利点が例示の利点であり、限定するものと解釈されるべきではないことを理解されたい。本開示の実施形態は、本開示の思想および範囲内に留まりながら、前述の利点をすべて、もしくはいくらかを含む、または全く含まないことが可能である。
【0027】
次に、同様の符号が同じまたは類似要素を表す図面に言及すると、図1は、本開示のいくつかの実施形態による、バイオセンサ100の構成要素を示すブロック図である。バイオセンサ100は、半導体技術と一体化されたマイクロスケールまたはマクロスケールあるいはその両方の流体システムを含むことができる。バイオセンサは、サンプル処理モジュール110、分離モジュール120、および検出モジュール130を含む。サンプル処理モジュール110は、サンプル調製試剤、CRISPRシステム、およびレポータ種を含むことができる。分離モジュール120は、分割されたレポータ種を含み得る検体流体を作り出すために二次的分割生成物を分離するための構成要素を含むことができる。検出モジュール130は、半導体デバイスに電気的に接続されたセンシング面を有する、検体流体のためのリザーバを含むことができる。モジュール110、120、および130は、図2~8(C)に関してよりはるかに詳細に論じられるさまざまな構造体(例えば、チャネル、フィルタ、リザーバ、電極、ビアホールなど)および反応物(例えば、CRISPR関連の酵素、レポータ種、および他の試剤)などを含むことができる。
【0028】
このプラットフォームは、試剤を、例えば、サンプル処理モジュール110の一部とすることができる紙にスポット乾燥させ、ワックス印刷を用いて、マイクロ流体チャネルを作成することによってマクロスケールで半導体技術と一体化され得る。バイオセンサ100プラットフォームはさらに、(例えば、プラットフォームを小型化および変倍するためにMEMSベースのマイクロ製造技法を採用することによって)マイクロスケールで半導体技術と一体化され得る。
【0029】
図2は、本開示のいくつかの実施形態による、マイクロ流体バイオセンサ構造体200の断面図を図解する概略図である。構造体200は、図1のモジュール110、120、および130を含むマイクロ流体デバイスであり得る。これらのモジュール110、120、130の構成要素(例えば、チャネル、リザーバ、電極、半導体デバイスへの導電性接点など)は、パターニングされ、シリコンウェハなどの基板203に埋め込まれ得る。しかしながら、他の実施形態では、基板203は、石英などの別の材料でできていてもよい。基板203の材料は、ラボオンチップまたは他のマイクロ流体デバイス製造プロセスを支持する当業者に知られた任意の好適な材料または材料の組合せであり得、それは単一の層または複数の副層であり得る。
【0030】
例示された構造体200は、外部環境からの保護を提供するカバー206層を有し得る。いくつかの実施形態では、カバー層206の少なくとも一部分は、ガラスまたはポリメチルメタクリレートなどの透明材料でできている。透明カバー層206により、より複雑な合格基準または評価が可能になり得、間違った期待に反する結果を回避することができる(例えば、検体小滴をセンシング面に再度送ることによって、または検体小滴のセンシング面の上での適正な位置合わせおよび滞留時間を確保することによって)。
【0031】
基板203を貫通するビアホール210A、210B、210C、および210D(集合的に210)があり得る。ビア210は、(例えばビア210Dを介した)電気構成要素の接続のみならず、(例えばビア210Aを介した)サンプルの、ならびに(例えばビア210Bおよび210Cを介した)試剤の装填を可能にするRIEまたは関連プロセスによって規定され得る。試剤の装填は、印刷、注入、気相堆積、機械的挿入、テーピング、または試剤のビア210Bおよび210Cへの滴下を含み得る。次いで、ビア210Bおよび210Cへの試剤装填は、試剤の損失または損傷(例えば、洩れ、酸化など)を防止するために、実質的に不浸透性のおよび機械的に堅牢な薄膜または膜226によって裏側から封止することができる。本明細書において、「裏側」とは、基板203の、カバー層206と対向する側を指す。封止には、基板203表面でのシリコン/シリカへの化学結合、圧着またはクランピングによる機械的接着、熱封止などがあり得る。試剤は、任意の相(気、液、固など)で装填することができ、装填前に流体ゲート216(下記参照)が形成されて閉鎖されているとき、試剤が隣接するキャビティの中に混合することまたは移動することを防止することができる。いくつかの実施形態では、ビアホール210は、試剤装填中に一時的且つ選択的にマスキングが外されて、異なる段階セットには異なる試剤パッケージを充填することを可能にすることができる。
【0032】
さらなる層/構造体(図示せず)がバイオセンサ200に含まれ得る。例えば、いくつかの実施形態では、マルチチャネルデバイス用に相互接続層があり得る。別の例では、バイオセンサ構造体100/200は、サンプルおよび試剤の分配のための3次元流体ネットワークを含み得る。同時の試験プロセスを実行するために、チップ/基板203上に複数のリアクタ・ウェルがあり得る。例えば、個々のウェル(例えば、図8(A)~8(C)参照)にはバイオセンサ100のアレイがあり得る。さまざまなサンプルまたは他の流体/溶液が、ウェルと同じ層上に形成されたチャネルを介して、またはさらなるリソグラフィ・ステップで形成された上層から、ウェルに誘導され得る。
【0033】
サンプル処理モジュール110はサンプル装填入口213を含むことができる。入口213は、サンプルを受け入れるためのキャビティ(チャネルまたはリザーバあるいはその両方)を含むことができる。サンプルは、外部環境に通じているビアホール210Aを通じて装填することができ、ビアホール210Aから引き込まれることになる。いくつかの実施形態では、サンプルは、ピペット、シリンジなどを用いて装填される。さらなる実施形態では、サンプル流体は、流体の中にバイオセンサ200のすべてまたは一部を浸すことによって導入することができる。例えば、バイオセンサ200は、池または他の水域、土壌、生体などの環境内に据え付けられ(例えば、埋め込まれ、接着され、懸架され、など)得る。バイオセンサ200はさらに、表面でのインターフェースのために機械または器具の包装または外皮に組み込む、錠剤または静脈内機構に封入するなどすることができる。いくつかの実施形態では、バイオセンサ200は、デバイスを配置する(例えば、ロボット制御で)ために用いられるプローブ・ステーションまたはスタイラス上に据え付けることができる。
【0034】
サンプル流体は、さらにサンプル処理モジュール110内に流れ込む前に、流体ゲート216A(下記参照)によって入口213キャビティ内で動けなくされ得る。いくつかの実施形態では、サンプル処理モジュール110は、サンプル流体から細胞の砕片、大きなタンパク質などを除去するために、入口213と第1の流体ゲート216Aとの間に配置されたサイズ・フィルタ215を含む。デバイスを通る流体の移動は、当技術分野で知られているさまざまなマイクロ流体技法(例えば、毛細ポンプ)を用いた受動的な輸送によって促進することができる。能動的な輸送技法もまた、いくつかの実施形態において使用され得る。特定の毛細ポンプチャネル/構造は本明細書に示されていないが、当業者によって、さまざまなチャネル構成が、上記で一層詳しく論じたパターニング技法(例えばRIE)を用いて形成され得ることが理解されるであろう。
【0035】
サンプル試験プロセスの各段階は、閉鎖されると構造体(例えば、チャネルおよびリザーバ)間のバリアとして働く液作動バルブ/ゲート(「流体ゲート」)216A、216B、216Cおよび216D(集合的に216)によって、上段/後段プロセスから隔離され得る。いくつかの実施形態では、バイオセンサ200は、より大きなまたはより少ない個数の流体ゲート216を含むことができる。各流体ゲート216が開くタイミングは、所与の段階における行為の完了まで液相の流れを停止させるように前もってセットされ得る。適切な時刻に流体ゲート216を開くためにさまざまな技法を使用することができる。例えば、流体ゲート216は、サンプル流体によって溶解させることができるバリアを有してもよい。これは、繰り返し開閉することができ、より高価になり得る流体ゲート216が不必要な場合に、単一使用のバイオセンサにとって特に有益であり得る。
【0036】
いくつかの実施形態では、流体ゲート216のうちの少なくとも1つは電子制御される。これにより、サンプル試験プロセスがデジタル的に規定され、起動され、任意選択でフィードバックによって(例えば、センサ(複数可)またはユーザ入力指令あるいはその両方から)案内されることが可能になり得る。電気信号は外部ソースまたはオンチップ・エレクトロニクスあるいはその両方によって制御される直流(DC)電圧とすることができる。いくつかの実施形態では、流体ゲート216は、バリア材料を、ジュール熱を印加して融解させるまたは別の方法で破ることによって作動させることができる。電気信号はさらに、圧電気、電気ひずみなどによってバリア除去をもたらし得る。いくつかの実施形態では、流体ゲート216のうちの少なくとも1つは、電気信号を印加して、ピンニング・ロケーションでの流体の表面張力を変化させることによって可逆的に作動させることができる毛細ピンニング・ロケーションであり得る。
【0037】
流体ゲート216を作動させるための電極(図示せず)は、従来の半導体処理技法(例えばダマシン・プロセス)を用いて基板203に埋め込まれ得る。いくつかの実施形態では、電極は銅(Cu)である。しかしながら、電極として働くことができる任意の材料(例えば、アルミニウム(Al)、チタン(Ti)、タンタル(Ta)、窒化チタン(TiN)、窒化タンタル(TaN)、タングステン(W)など)を使用することができる。いくつかの実施形態では、各電極の少なくとも一部分は、貴金属(例えば、金(Au)、白金(Pt)、ロジウム(Rh)、パラジウム(Pd)など)などのより不活性な材料によって表面を覆うことができる。これにより、酸化/腐食、浸食、不純物などによる損傷から防護を行うことによって、生体サンプルおよび流体との電極の適合性が改善され得る。
【0038】
サンプル処理モジュール110はさらにサンプル調製キャビティ217を含むことができる。流体ゲート216Aが開かれると、サンプル流体は、少なくとも1つのチャネルを含み得るサンプル調製キャビティ217に流れ込むことができる。サンプル調製キャビティ217はさらに、1つまたは複数のリザーバを含み得る。サンプル処理ステップのための反応物が、サンプル調製キャビティ217内に存在する。これらの反応物は、サンプル調製試剤、レポータ種(図3参照)、およびCRISPR-Casシステム(「CRISPRシステム」)を含むことができ、ビアホール210Bを通じてキャビティ217内に前もって装填され得る。前もって装填された反応物は、サンプルの流入前には実質的には乾燥していてもよい。例えば、反応物は、サンプル流体内で溶解させられる前に、反応物が反応、分解などをするのを遅延させるまたは防止するために、少なくとも乾燥して/十分に濃縮されていてもよい。
【0039】
サンプル調製試剤は、(例えば、細胞構成要素を粉々にするための)破壊試剤と、核酸の劣化を防止するための安定化試剤とを含むことができる。サンプル調製キャビティ217は、動電学的ミキサー、サンプルの濃度を増大させるための構成要素、加熱装置などの、本明細書に示されていない1つのさらなる追加調製構成要素を含むことができる。これらの調製構成要素により、さらなる器材または調製ステップを必要とすることなく、サンプルをバイオセンサ200に直接投入することが可能になり得る。しかしながら、1つまたは複数の調製ステップ(例えば、混合、溶解など)がさらに、いくつかの実施形態におけるサンプルの装填前に実行され得る。
【0040】
サンプル調製キャビティ217内のCRISPRシステムは、対象配列に相補的なガイドRNAまたはDNA(「RNA/DNA」)を含む。対象配列をガイドRNA/DNAに結合することにより、CRISPR関連のエンドヌクレアーゼ・タンパク質(例えば、Cas9、Cas12、Cas13など)が活性化する。この活性化により、非特異的レポータRNA/DNAが既知の特定のアミノ酸配列で切断される二次的なヌクレアーゼ活動(「二次的分割」)が誘起される。CRISPRシステムは、当業者に知られている任意の適切なCRISPR技術(例えば、SHERLOCK(特定の高感度酵素レポータUnLOCKing)、DETECTR(DNAエンドヌクレアーゼ標的CRISPRトランス・レポータ)など)と一致し得る。対象配列がサンプル内に存在するとき、その結果もたらされる二次的分割により、後段の検出のために分割されたレポータ分子が作り出され得る。これは図3に図解されている。
【0041】
図3は、本開示のいくつかの実施形態による、レポータ種303の二次的分割のプロセス300を図解する概略図である。レポータ種303は、レポータ核酸(「レポータ配列」)316の第1の端部に結合されたビード313(例えば、マイクロまたはナノ粒子)と、レポータ配列316の第2の端部に結合されたレポータ・リガンド319とを含む。レポータ・リガンド319の例には、ビオチン、DNA断片、酵素などの生体分子があり得る。いくつかの実施形態では、レポータ・リガンド319は、DNA折り紙に埋め込まれた、またはナノ粒子に表面結合された酵素である。プロセス300は、分割されたビード306および分割されたレポータ分子(「分割されたレポータ」)309をもたらす。分割されたビード306は、分割されたレポータ核酸316のセグメント317に結合されたビード313を含む。分割されたレポータ309は、レポータ・リガンド319に結合された分割された核酸316の残りのセグメント318を含む。分割されたレポータ309は、分離モジュール120において、分割されたビード306および残りの非分割レポータ種303から分離され得る。
【0042】
図2に示される構造体200の分離モジュール120は、流体ゲート216Bによってサンプル処理キャビティ217から分離され得る分離チャネル218を含む。分離モジュール120はさらに、追加のチャネルまたはリザーバあるいはその両方と、分割されたレポータ309からビード(例えば、分割されたビード306および非分割レポータ303)を分離するための少なくとも1つの選別構成要素と、出口ビアとを含むことができる。分離チャネル218において使用され得る分離モジュール120構成要素の例は、図4(A)~(C)に対してより詳細に論じられる。
【0043】
図4(A)、4(B)、および4(C)は、本開示のいくつかの実施形態による、例の分離チャネル403、413、および423の断面図400、410、および420を示している。分離チャネル403、413、および423は、分離モジュール120(図1)に含まれ得る分離チャネルの例である。いくつかの実施形態では、バイオセンサ200(図2)の分離チャネル218は、分離チャネル403、413、または423と実質的に類似し得る。しかしながら、分割されたレポータを分割されたビードおよび非分割レポータから分離するため、任意の適切な分離構造体/技法を使用することができる。図4(A)~(C)では、混合物409、419、および429は、図3で示されたレポータ種303、分割されたビード306、および分割されたレポータ309と実質的に同じ、または類似の種を含む。混合物409、419、および429中の種の流れ方向は、太い矢印で示されている。
【0044】
図4(A)は、磁性選別構成要素406を含む分離チャネル403を示している。磁性選別構成要素406は、混合物409中の種を磁性ビードによって分離するために使用され得る。例えば、非分割レポータ種303および分割されたビード306は、磁性ビード313を有することができる。磁性選別構成要素406は、磁性非分割レポータ種303および分割されたビード306を引き寄せ、保持することができる一方、分割されたレポータ309がチャネル403を通り抜けることをできるようにする。
【0045】
図4(B)は、サイズ選別構成要素416を含む分離チャネル413を示している。サイズ選別構成要素416は、混合物419における種303および306のビード313の直径よりも小さい細孔を有するサイズ・フィルタであり得る。サイズ・フィルタは、磁性ビードまたは非磁性ビードを捕捉するために使用され得る。分割されたビード306および非分割レポータ303はサイズ・フィルタによって拘留されるが、分割されたレポータ309は、分離チャネル413を通り抜けることができる。
【0046】
図4(C)は、決定論的横方向変位(DLD)アレイを用いてサイズに基づき選別する分離チャネル423を示している。分離チャネル423は、ピラー・アレイ選別構成要素426を含むことができる。例えば、選別構造体426は、ナノまたはマイクロピラー・アレイに基づく流体コロイド分離構造であり得る。選別構造体426のピラー・アレイは、図4(C)において、灰色および白色の菱形パターンによって表される。これは例示のためであり、当業者によって理解されるように、DLD選別のために使用されるコロイド分離構造を精確に描くことを意図するものではない。選別チャネル423では、ピラー・アレイ426は、最大サイズを越えた粒子(非分割レポータ種303および分割されたビード306)の流路を廃棄チャネル、出口、またはリザーバ427、あるいはその組合せに逸らすようにすることができ、一方、より小さい種(分割されたレポータ309)は、選別チャネル426を通り抜けて、検出モジュール130の構成要素であり得る次のキャビティ428に入る。いくつかの実施形態では、ピラー・アレイ426には、半導体デバイス209に電気的に接続されたセンシング面を有するピラーがあり得る。
【0047】
図4(A)~(C)に示される分離チャネルが図解例であり、本開示と別様に矛楯しない当業者に知られている何らかの好適な分離機構が企図されることを理解されたい。さらに、任意の本数の分離チャネルおよび任意の、分離チャネルの組合せを使用することができる。例えば、分離モジュールは、磁性分離チャネル403とサイズ選別分離チャネル413との両方を含むことができる。
【0048】
再び図2に戻ると、分離チャネル218(例えば、分離チャネル403、413、または423あるいはその組合せ)を通過する流体部分は、本明細書では「検体溶液」と称され、検出モジュール130における分割されたレポータ309の存在について試験される。図2では、バイオセンサ200の検出モジュール130は検出部キャビティ219を含む。検体溶液は、流体ゲート216Cを通り抜けて移動し検出部キャビティ219に入る。検出部キャビティ219は、分割されたレポータ分子の濃度を増大させるための動電学的構成要素(図示せず)を任意選択で含むことができ、それにより電気信号モニタリング中の信号対雑音比を改善することができる。
【0049】
検出部キャビティ219はさらに、分割されたレポータが検体溶液内に存在しているとき、電子的に検出され得る反応事象を誘起するための反応物を有することができる。いくつかの実施形態では、試剤は、裏側のビアホール210C(上記参照)を通じて前もって装填することができる。検出部キャビティ219内の試剤は、分割されたレポータに対するレポータ・リガンドのタイプに適した任意の材料とすることができる。
【0050】
検出部キャビティ219は、いくつかの実施形態において、流体ゲート216Dによってセンシング・リザーバ223から一時的に分離することができる。しかしながら、他の実施形態では、検出部キャビティ219およびセンシング・リザーバ223は結合されて、例えば単一のリザーバになってもよい。流体ゲート216Dのタイミングはさらに、センシング面233で検出されるように、反応事象のタイプに基づいて調整されてもよい。例えば、レポータ・リガンドがDNA断片であるとき、流体ゲート216Dは、等温増幅反応が検出部キャビティ219内で実行される期間の後に開かれてもよい。さらに、ビオチン・レポータ・リガンドを含む分割されたレポータは、分離チャネル218からストレプトアビジン修正型センシング面233に直接進行してもよい。レポータ・リガンドがDNA断片である検出可能な結合事象の別の例では、センシング面233は相補的なDNA鎖でコーティングされてもよい。
【0051】
さらなる実施形態では、センシング面233は、pH変化または電荷変化あるいはその両方によって引き起こされる電流の差に基づいて、レポータ・リガンドの存在を検出することができる。これらの実例では、センサ材料は、pH変化または電荷変化あるいはその両方を誘起するためにリガンドと反応するための材料であり得る。例えば、レポータ・リガンドが酵素(例えば、グルコース・オキシダーゼまたは西洋わさびペルオキシダーゼ)を含む場合、センサ・キャビティ219またはセンサ・リザーバ223あるいはその両方は、適切な酵素基質(例えばグルコース)を含むことができる。基質の結合は、溶液のpHおよび電荷を変化させる酵素触媒性反応に帰着し得る。レポータ・リガンドがDNA折り紙を含むとき、検体溶液のpH変化または電荷変化あるいはその両方がさらに、DNAの糖リン酸バックボーンによって引き起こされ得る。別の例では、レポータ・リガンドがDNA断片である場合、分割されたレポータは、等温増幅試剤と混合することができる。これにより、DNA断片を増産することによって室温でpH変化または電荷変化あるいはその両方が誘起され得る。
【0052】
センシング面233の上/近傍での化学結合形成またはpH変化あるいはその両方は、電圧が基準電極(図5および6参照)によってセンサ・リザーバ223内の検体溶液に印加されたときに、半導体デバイス209によって検出され得る。センシング面233は、溶液内の電気信号を検出するために任意の好適な構造を有することができる。いくつかの実施形態では、表面233は、ワイヤ、2次元または3次元の矩形または丸みのある構造、ピラーのアレイなどとすることができる。センシング面233は、裏側の配線ビア210Dを通じて導電性金属トレース236およびコネクタ239によって、半導体デバイス209に電気的に接続することができる。導電性金属トレース236を形成するために使用され得る金属の例には、銀(Ag)、金(Au)、タングステン(W)、ニッケル(Ni)、チタン(Ti)、モリブデン(Mo)、タンタル(Ta)、銅(Cu)、白金(Pt)、ルテニウム(Ru)、イリジウム(Jr)、ロジウム(Rh)、およびレニウム(Re)、ならびにその合金があり得る。しかしながら、任意の適切な導電性材料(例えば、金属窒化物、ケイ素化合物など)を使用しても良い。コネクタ239は、いくつかの実施形態では、導電性金属はんだボールとすることができる。しかしながら、金属スタッドなどの任意の適切なコネクタ239を使用することができる。センシング面233に接続された半導体デバイス209は、電界効果トランジスタ(FET)またはバイポーラ接合トランジスタ(BJT)デバイスとすることができる(例えば図5および6参照)。いくつかの実施形態では、FETデバイスは、シリコン・ナノワイヤFETである。しかしながら、マイクロ流体用途に適した任意のFETデバイスを使用することができる。
【0053】
いくつかの実施形態では、検出モジュール130は、光センシング・モダリティ(例えば、比色分析、蛍光分析など)と結合されて、対象配列の存在または不在を示すさらなるデータを提供することができる。これらの実例には、光センシングと適合したレポータ種が含まれてもよい。これらは、光センシングを含むCRISPRのための任意の適切なレポータを含むことができる。いくつかの実施形態では、同じレポータ・リガンドが電気的のみならず光学的にも検出され得る。光モダリティは、一体型オンチップ・オプトエレクトロニクス・システムの一部であり得る。オプトエレクトロニクス・システムは、センサ、エミッタ、フォトニクス、導波管、フィルタ、スプリッタ、および光信号を電子信号に翻訳するためのモジュレータなどの構成要素を含むことができる。
【0054】
図5および6は、本開示のいくつかの実施形態による、例示の検出モジュール構造体500および600を図解する概略図である。構造体500および600は、検出モジュール130の構成要素であってもよく、半導体デバイス503および603(BJTデバイス503およびFETデバイス603)、センシング面506および606、ならびにセンサ・リザーバ509および609を含み得る。センシング面506および606は任意選択で、生体分子によって機能的にすることができる。いくつかの実施形態では、半導体デバイス503および603、センシング面506および606、ならびにセンサ・リザーバ509および609は、半導体デバイス209、センシング面233、およびセンシング・リザーバ223(図2)とそれぞれ実質的に、類似しているかまたは同じであり得る。
【0055】
図5に示されるバイポーラ接合トランジスタ(BJT)デバイス503は、エミッタ領域、ベース領域、およびコレクタ領域を含む半導体基板504を有する。導電性接点507は、基板504のベース領域をセンシング面506に接続することができ、センシング面506は、センサ・リザーバ509内の検体溶液の中に浸すことができる。他の実施形態(図示せず)では、導電性接点507はセンシング面を設けることができ、接点の少なくとも一部分は、センサ・リザーバ509内に浸される。
【0056】
例えば、接点507は導電性面を含む延長したベース構成要素とすることができる。延長ベース構成要素(センシング面)の第1の端部は検体溶液の中に浸すことができるが、第2の端部は基板504のベース領域に接続される。いくつかの実施形態では、センシング面506または導電性接点507あるいはその両方は、窒化チタン(TiN)薄膜とすることができる。例えば、延長ベース構成要素506/507は、タングステンまたは任意の他の導電性ワイヤの上に堆積されたTiN薄膜を含むことができる。いくつかの実施形態では、TiN薄膜は、ワイヤの上に約100nmの厚さまでスパッタ堆積され得る。センサ・リザーバ509が、基板504の全ベース領域の真上にあってもよく、または、センシング面506が、延長ベース構成要素/導電性接点507によってベース領域に接続されてもよい。
【0057】
基準電極508(例えば、Ag/AgCl基準電極)がさらに、センサ・リザーバ509内の検体溶液と接触している。センシング信号(コレクタ電流I)は、ベース電圧Vおよびコレクタ電圧Vをゼロに設定しつつ、(NPN BJTに対して負の極性およびPNP BJTに対して正の極性の)印加されたエミッタ電圧Vを変動させることによって測定することができる。しかしながら、任意の適切な電圧(例えば、-2Vから2Vまで)を印加することができる。センサ・リザーバ509内の分割されたレポータの存在によって誘起された反応事象は、センシング面506におけるコレクタ電流Iの検出可能な変化を引き起こすことができる。
【0058】
ここで図6に進むと、FETデバイス613は、3つの末端部を含む半導体基板614を有する。3つの末端部は、ドレイン領域、ソース領域、およびゲート構造体617として知られる。ゲート構造体617は、基板614のチャネル領域(ソースとドレインとの間)の上にゲート誘電体(白)を含むことができる。ゲート構造体617はさらに、センサ・リザーバ619内の検体溶液の中に浸したときセンシング面616として働くことができるゲート導体(灰色)を含む。いくつかの実施形態では、センシング面616を提供するために、ゲート導体のより大きい部分またはより小さい部分が浸漬される。センサ・リザーバ619が、全ゲート導体の真上にあってもよく、または、センシング面616が、延長ゲート導体によってゲート構造体617に接続されてもよい。いくつかの実施形態では、FETデバイス613のセンシング面は、金、銀、または銅(例えば、50nm~150nmの厚さを有する)などの金属薄膜であってもよい。
【0059】
FETデバイス613は、基板614のドレインおよびソース領域と、検体溶液と接触している基準電極618とにおいて電圧を印加することによって、センシング信号としてドレイン電流Iを測定することができる。例えば、ドレイン、ソース、および基準電極に印加される電圧はそれぞれ約|25|mV、0V、および0V~|1V|とすることができる。しかしながら、当業者によって理解されるように、任意の適切な電圧を印加することができる。センサ・リザーバ619内に、分割されたレポータが存在することによって誘起された反応事象により、センシング面616において、ドレイン電流Iの検出可能な変化が発生する可能性がある。
【0060】
図7は、本開示のいくつかの実施形態による、基板上に複数のマイクロ流体システムを含むバイオセンサ構造体700を図解する概略図である。構造体700はウェル703Aおよび703B(集合的に703)を含む基板709を有する。ウェル703はマイクロスケールまたはナノスケールの構造体であり得る。例えば、ウェル703は、約10nmから500nm、約500nm~100μmなどの直径および幅を有し得る。いくつかの実施形態では、マクロスケール・バイオセンサにおいてなど、ウェル703は100μmより大きくてもよい。センシング面706Aおよび706B(集合的に706)は、それぞれウェル703Aおよび703Bに埋め込まれる。センシング面706は半導体デバイスに電気的に接続される(図5および6参照)。ウェル703はさらに、電圧を検体に印加するための基準電極(図示せず)を含む。図7には示されていないが、チャネル、リザーバ、金属トレース、流体ゲートなどのさらなる構成要素もまた、ウェル703内にあり得る。例えば、各ウェル703は、個々の実験用器具またはリアクタとして働くことができ、図1および2におけるバイオセンサ100および200に対して記述されたような構成要素を含み得る。
【0061】
化学的または生化学的あるいはその両方の変化を、センシング面706で、複数のウェル703を用いてモニタすることができる。各ウェル703は隔離された環境として、単一のチップ上で、複数の独立した実験用器具を同時にモニタおよび相互参照させることを可能にし得る。いくつかの実施形態では、基板709は3つ以上のウェル703およびセンシング面706を有する(例えば、図8(A)~8(C)参照)。各システム/ウェル703は、自立型実験用器具とみなすことができる。ウェル703は、任意選択で、各セル703の内容物をカプセル化および隔離するために、不混和性相または封止材で裏封止または上封止され得る。
【0062】
図8(A)~8(C)は、本開示のいくつかの実施形態による、バッテリのウェルを含む構造体800、810、および820を図解する概略図である。構造体800、810、および820はそれぞれ、基板803、813、および823それぞれにその内/上に複数のウェルを含む。ウェルは、図7に示されるウェル703と実質的に類似していてもよく、上記でより詳細に論じられたバイオセンサ構成要素を含むことができる。構造体800、810、および820に流れ込む流体(例えば、サンプル、検体など)の流れ方向は、ブロック矢印によって示されている。
【0063】
図8(A)は、埋め込まれたバッテリのウェル809A~C(集合的に809)を含む基板803と、上層チャネル806とを有する構造体800の断面図を示す。線/湾曲した矢印は、チャネル806からウェル809に入れられる流体の流れ方向を表す。図8(A)には示されていないが、ウェル809は、図7に示されたセンシング面706に実質的に類似しているセンシング面を含む。
【0064】
図8(B)は、本開示のいくつかの実施形態による、直線的チャネル816およびバッテリのウェルを含むチップ基板813を有する構造体810の上面図を示す。図8(C)は、チャネル826A~C(集合的に826)とウェルとのエリア・アレイを含むチップ基板823を有する構造体820の上面図を示す。図8(C)では、「チャネル826」は水平(流入方向)チャネルと垂直(流入に対して直角)チャネルとの両方を指す。図8(B)および8(C)に示されるウェル(白円)およびセンシング面(灰色四角形)は、図7に示されたウェル703およびセンシング面706と実質的に類似し得る。
【0065】
いくつかの実施形態では、チップ(例えば、基板813または823)に組み込まれた複数のシステム/ウェルは、1回の使用に対してセンシング「ピクセル」として働くことができる。複数のピクセル(センシング面)が起動されることにより、複数の事象の同時モニタリング、空間的に調和された事象のモニタリング、外部環境事象の時間依存モニタリングなどが可能になり得る。いくつかの実施形態では、バッテリのウェルを使用して、複数のセンシング・デバイスを並列に同時に供給することができる積層(3次元)流体ネットワークを形成することができる。これにより、単一の流体サンプルにおける複数のバイオマーカー対象物によるヘルスケアに対する多重化複合評価などのシリコンベースのマイクロ流体技術を可能にすることができる。
【0066】
本明細書で論じられたプロセスおよびその添付図面は限定するものと解釈されるべきではない。当業者であれば、条件、構成要素、方法などが変化するさまざまな技法を使用することができ、それにより、最終的に生体分子センシング半導体デバイスがもたらされることが理解されるはずである。さらに、条件は、任意選択で、プロセス中に変更することができる。さらにいくつかの実施形態では、当業者に理解されるように、本開示の範囲内に依然として留まったまま、プロセスが追加され、省略され、または代替の順序で実行され得る。プロセスが単一のエンティティによって、または複数のエンティティによって実行され得ることがさらに留意されるべきである。例えば、第1のエンティティは、バイオセンサ・デバイスを製造することができ、第2のエンティティは、デバイスを用いてサンプルを試験することができる。
【0067】
本開示のさまざまな実施形態の説明は、例示の目的で提示されているが、網羅的であることは意図されておらず、説明された実施形態に限定されない。説明された実施形態の範囲および思想から逸脱しない多くの修正および変形が、当業者にとって明らかであろう。本明細書で用いられた用語は、実施形態の原理、実際の用途、または市場で見出される技術にわたる技術的改良を最良に説明するように、または当業者が、本明細書で記述される実施形態を理解することを可能にするように選ばれた。
図1
図2
図3
図4A
図4B
図4C
図5
図6
図7
図8A
図8B
図8C
【手続補正書】
【提出日】2024-11-05
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
サンプル流体を受け入れるための構成要素と、
前記サンプル流体を調製するための構成要素と、
前記サンプル流体が対象配列を含むときにレポータ種を分割するためのCRISPRシステムと、
前記サンプル流体およびCRISPR生成物から、前記分割されたレポータ種を分離するための選別構成要素と、
前記選別構成要素から、前記分割されたレポータ種を含む検体溶液を受け入れるためのキャビティと、
前記キャビティ内のセンシング面であって、前記センシング面は、前記検体溶液内の反応事象によって誘起された電気信号を検出する、センシング面と、
前記センシング面に電気的に接続された半導体デバイスとを備える構造体。
【請求項2】
各レポータ種が、
核酸と、
前記核酸の第1の端部に結合されたレポータ・リガンドと、
前記核酸の第2の端部に結合されたビードとを含む、請求項1に記載の構造体。
【請求項3】
前記選別構成要素が、前記ビードより小さい細孔直径を有するフィルタを含む、請求項2に記載の構造体。
【請求項4】
前記ビードが磁性粒子であり、前記選別構成要素が磁石を含む、請求項2または3に記載の構造体。
【請求項5】
前記反応事象が、前記レポータ種と、前記センシング面をコーティングする分子との間に化学結合形成を有する、請求項1ないしのいずれか一項に記載の構造体。
【請求項6】
さらにマイクロ流体チャネルを含む、請求項1ないしのいずれか一項に記載の構造体。
【請求項7】
前記半導体デバイスが、電界効果トランジスタ(FET)デバイスとバイポーラ接合トランジスタ(BJT)デバイスとからなるグループから選択される、請求項1ないしのいずれか一項に記載の構造体。
【請求項8】
前記選別構成要素が、決定論的横方向変位アレイを含む、請求項1ないしのいずれか一項に記載の構造体。
【請求項9】
半導体デバイスと、
1つまたは複数のマイクロ流体システムを含むシリコン基板であって、各マイクロ流体システムが、
サンプル流体がそこを通じて流れ込むことができる入口と、
レポータ種と、前記サンプル流体内に対象配列が存在する際に、前記レポータ種を分割するCRISPRシステムとを含むキャビティと、
前記分割されたレポータ種を検体溶液に分離するための構成要素と、
前記半導体デバイスに電気的に接続されたセンシング面と、
前記検体溶液が前記センシング面にその中で接触するリザーバであって、前記リザーバが、前記分割されたレポータ種が存在する際に反応事象を誘起するための構成要素を含む、リザーバとを有する、シリコン基板とを備える装置。
【請求項10】
前記半導体デバイスが、電界効果トランジスタ(FET)デバイスとバイポーラ接合トランジスタ(BJT)デバイスとからなるグループから選択される、請求項9に記載の装置。
【請求項11】
前記半導体デバイスがナノワイヤ・デバイスである、請求項9または10に記載の装置。
【請求項12】
前記シリコン基板が、個々のウェル内に前記1つまたは複数のマイクロ流体システムのうちの複数のマイクロ流体システムを有する、請求項9または10に記載の装置。
【請求項13】
各マイクロ流体システムがさらに、埋込電極によって制御される流体ゲートを有する、請求項9または10一項に記載の装置。
【請求項14】
シリコン基板上に1つまたは複数のマイクロ流体システムを設けることであって、各マイクロ流体システムが、
サンプル流体を受け入れるための構成要素と、
前記サンプル流体を調製するための構成要素と、
前記サンプル流体が対象配列を含むときにレポータ種を分割するためのCRISPRシステムと、
前記サンプル流体およびCRISPR生成物から、前記分割されたレポータ種を分離するための選別構成要素と、
前記選別構成要素から、前記分割されたレポータ種を含む検体溶液を受け入れるためのキャビティと、
前記キャビティ内のセンシング面であって、前記センシング面は、前記検体溶液内の反応事象によって誘起された電気信号を検出する、センシング面とを有する、1つまたは複数のマイクロ流体システムを設けることと、
前記センシング面に電気的に接続された半導体デバイスを設けることとを含む方法。
【請求項15】
各レポータ種が、
核酸と、
前記核酸の第1の端部に結合されたレポータ・リガンドと、
前記核酸の第2の端部に結合されたビードとを含む、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
各マイクロ流体システムがさらに、埋込電極によって制御される流体ゲートを有する、請求項14または15に記載の方法。
【請求項17】
前記シリコン基板が、個々のウェル内に前記1つまたは複数のマイクロ流体システムのうちの複数のマイクロ流体システムを有する、請求項14または15に記載の方法。
【請求項18】
前記半導体デバイスが、電界効果トランジスタ(FET)デバイスとバイポーラ接合トランジスタ(BJT)デバイスとからなるグループから選択される、請求項14または15に記載の方法。
【請求項19】
前記キャビティがリザーバを有し、前記検体溶液が前記センシング面に前記リザーバの中で接触し、前記リザーバが、前記分割されたレポータ種が存在する際に前記反応事象を誘起するための構成要素を含む、請求項14または15に記載の方法。
【請求項20】
前記1つまたは複数のマイクロ流体システムを設けることが、サンプル調製キャビティ内にCRISPR試剤を前もって装填することを含む、請求項14または15に記載の方法。
【国際調査報告】