(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-12-26
(54)【発明の名称】車両の充電ソケット用の支持部
(51)【国際特許分類】
B62D 25/12 20060101AFI20241219BHJP
B60K 1/04 20190101ALI20241219BHJP
B62D 25/08 20060101ALI20241219BHJP
B62D 25/04 20060101ALI20241219BHJP
【FI】
B62D25/12 B
B60K1/04 Z ZHV
B62D25/08 G
B62D25/04 A
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024532241
(86)(22)【出願日】2022-11-14
(85)【翻訳文提出日】2024-07-18
(86)【国際出願番号】 EP2022081845
(87)【国際公開番号】W WO2023104442
(87)【国際公開日】2023-06-15
(32)【優先日】2021-12-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】524017168
【氏名又は名称】アンペア エス.ア.エス.
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】フィリップ, ルーシー
【テーマコード(参考)】
3D004
3D203
3D235
【Fターム(参考)】
3D004AA01
3D004AA15
3D004BA02
3D004CA15
3D203AA02
3D203AA31
3D203AA33
3D203BB39
3D203BB54
3D203DA39
3D235AA01
3D235BB25
3D235BB41
3D235CC15
3D235FF10
3D235FF15
3D235FF43
3D235HH02
3D235HH08
3D235HH51
(57)【要約】
本発明は、充電ソケットを介して再充電することができる電気またはハイブリッド自動車の開き扉、特にボンネット(9)のヒンジ(4)用の支持部(10)に関し、支持部(10)は、支持部(10)に対して上記充電ソケットを固定するための手段を備える。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
充電ソケット(6)を介して再充電することができる電気またはハイブリッドタイプの自動車(1)の開き蓋、特にボンネット(9)のヒンジ(4)用の支持部(10)であって、前記支持部(10)に対して前記充電ソケット(6)を保持するための手段(60)を備えることを特徴とする、支持部(10)。
【請求項2】
前記支持部(10)を位置決めするためのテンプレートと協働するようになされた、前記支持部(10)を心出しする手段(40)と、
前記支持部(10)に対して前記充電ソケット(6)を位置決めするための手段(50)と
をさらに備えることを特徴とする、請求項1に記載の支持部(10)。
【請求項3】
前記支持部(10)に対して前記充電ソケット(6)を位置決めするための前記手段(50)が、円形孔(51)および長円孔(52)を備えることを特徴とする、請求項2に記載の支持部(10)。
【請求項4】
前記充電ソケット(6)を保持する前記手段(60)が、開口(61)、特に雌ねじを切られた開口または前記支持部(10)の残り部分に固定されたナット(62)を備える開口を備え、特に前記ナット(62)が前記支持部(10)の前記残り部分に溶接されることを特徴とする、請求項1から3のいずれか一項に記載の支持部(10)。
【請求項5】
前記支持部(10)が実質的にU字形であり、前記U字が、第1の脚(11)および第2の脚(12)を備えることを特徴とする、請求項1から4のいずれか一項に記載の支持部(10)。
【請求項6】
少なくとも曲げおよび/または型打抜きによって、板材、特に鋼板から得られることを特徴とする、請求項1から5のいずれか一項に記載の支持部(10)。
【請求項7】
カウル側面補強部(3)と、請求項5と組み合わされた請求項1、2、3、4または6のいずれか一項に記載の支持部(10)とを備える装置(70)であって、前記支持部(10)が、前記カウル側面補強部(3)に固定されること、および前記支持部(10)が、実質的に垂直で長手方向の面内に延在し、前記第1の脚(11)が、下方に延出し、かつ前方に配置され、前記第2の脚(12)が、下方に延出し、かつ後方に配置されること、を特徴とする、装置(70)。
【請求項8】
前部ピラー(5)を備え、前記第2の脚(12)が、前記前部ピラー(5)に固定されることを特徴とする、請求項7に記載の装置(70)。
【請求項9】
自動車(1)用の車体(2)であって、請求項7または8に記載の装置(70)と、充電ソケット(6)と、フェンダ(7)と、前記フェンダ(7)に固定されたボウル(30)とを備え、前記ボウル(30)が、前記充電ソケット(6)のための通路開口(31)を備え、前記充電ソケット(6)が、前記ボウル(30)の前記開口(31)に対して心出しされているかまたは実質的に心出しされている、ことを特徴とする、車体(2)。
【請求項10】
請求項9に記載の車体(2)、または請求項7もしくは8に記載の装置(70)、または請求項1から6のいずれか一項に記載の支持部(10)を備えることを特徴とする自動車(1)。
【請求項11】
請求項9に記載の車体(2)を組み立てる方法であって、
充電ソケット(6)を介して再充電することができる電気またはハイブリッドタイプの車両の車体部分(2’)と、前記支持部(10)と、前記充電ソケット(6)と、前記フェンダ(7)と、前記ボウル(30)とを供給するステップと、
前記車体部分(2’)に対して前記支持部(10)を位置決めするためのテンプレートを前記車体部分(2’)に固定するステップと、
心出し手段(40)によって前記支持部(10)を心出しするステップと、
任意選択で後に続く前記位置決めテンプレートを取り外すステップの前に、前記支持部(10)を保持する手段(15)によって前記支持部(10)を固定するステップと、
位置決め手段(50)によって、前記充電ソケット(6)を前記支持部(10)に位置決めするステップと、
前記フェンダ(7)を位置決めし、固定するステップと、
特に、前記充電ソケット(6)を前記支持部(10)の残り部分に保持する手段(60)を締め付けることにより、前記ボウル(30)の前記開口(31)に対して前記充電ソケット(6)を心出しすることによって、前記充電ソケット(6)を固定するステップと
を含むことを特徴とする、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、充電ソケットを保持する手段を備える、自動車ボンネットのヒンジ用の支持部に関する。本発明は、また、そのような支持部を備える装置に関する。本発明は、また、そのような装置を備える車体に関する。本発明は、また、そのような車体、そのような装置、またはそのような支持部を備える車両に関する。本発明は、また、そのような車体を組み立てる方法に関する。
【背景技術】
【0002】
電気車両(EV)と呼ばれる電気タイプ、またはプラグインハイブリッド電気車両(PHEV)と呼ばれる再充電式ハイブリッドタイプの自動車は、そのような車両を牽引および/または推進するために使用する電気エネルギーを貯蔵する手段を備える。そのような車両は、車両の貯蔵手段を電流源に接続することを可能にする電気ソケットを備える。それによって、一般に、車両に装備したソケットに相補的なコネクタが一方の端部に取り付けられ、他方の端部で電源回路網に接続されたケーブルが、そのような回路網から車両の貯蔵手段へ電気エネルギーを伝送することが可能になる。
【0003】
そのようなソケットを、そのような車両、一般に前部フェンダへ装着することは複雑である。
【0004】
一方で、そのようなソケットは、嵩張り、および/またはかなり大きな断面を有しかつ/もしくは曲げるのが難しいことのある電気ケーブル布線を通すために、背後に空間を必要とする。他方、そのような車両の一生の間にそのようなソケットが受ける、ケーブルの相補的コネクタの接続/切り離しサイクル数を前提として、そのようなソケットは、車両に強固に固定されていなければならない。
【発明の概要】
【0005】
本発明の目的は、上記の短所を克服する充電ソケット支持部を提供することである。さらに、本発明は、品質感の要件を満たすために、充電ソケットの最適な位置決めを可能にする。
【0006】
この目的を達成するために、本発明は、充電ソケットを介して再充電することができる電気またはハイブリッドタイプの自動車の開き蓋、特にボンネットのヒンジ用の支持部であって、支持部に対して上記充電ソケットを保持するための手段を備える支持部に関する。
【0007】
支持部は、
- 支持部を位置決めするためのテンプレートと協働するようになされた、支持部を心出しする手段と、
- 支持部に対して上記充電ソケットを位置決めするための手段と
をさらに備え得る。
【0008】
支持部に対して上記充電ソケットを位置決めするための手段は、円形孔および長円孔を備え得る。
【0009】
上記充電ソケットを保持する手段は、開口、特に雌ねじを切られた開口、または支持部の残り部分に固定されたナットを備える開口を備え得、特にナットは支持部の残り部分に溶接される。
【0010】
支持部は、実質的にU字形であり得、そのU字は、第1の脚および第2の脚を備える。
【0011】
支持部は、少なくとも曲げおよび/または型打抜きによって、板材、特に鋼板から得ることができる。
【0012】
本発明は、また、カウル側面補強部と、上記で定義された支持部とを備える装置であって、支持部が、カウル側面補強部に固定され、支持部が、実質的に垂直で長手方向の面内に延在し、第1の脚が、下方に延出し、前方に配置され、第2の脚が、下方に延出し、後方に配置された装置に関する。
【0013】
装置は、前部ピラーを備え得、第2の脚が、前部ピラーに固定され得る。
【0014】
本発明は、また、上記で定義された装置と、充電ソケットと、フェンダと、フェンダに固定されたボウルとを備え、ボウルが、充電ソケットのための通路開口を備え、充電ソケットが、ボウルの開口に対して心出しされ、または実質的に心出しされている、自動車用の車体に関する。
【0015】
本発明は、また、上記で定義された車体、上記で定義された装置、または上記で定義された支持部を備える自動車に関する。
【0016】
本発明は、また、上記で定義された車体を組み立てる方法に関し、その方法は、
- 充電ソケットを介して再充電することができる電気またはハイブリッドタイプの車両の車体部分と、支持部と、充電ソケットと、フェンダと、ボウルとを揃えるステップと、
- 車体部分に対して支持部を位置決めするためのテンプレートを車体部分に固定するステップと、
- 心出し手段によって支持部を心出しするステップと、
- 任意選択で位置決めテンプレートを取り外すステップの前に、支持部を保持する手段によって支持部を固定するステップと、
- 位置決め手段によって、充電ソケットを支持部に位置決めするステップと、
- フェンダを位置決めし、固定するステップと、
- 特に、充電ソケットを支持部の残り部分に保持する手段を締め付けることにより、ボウルの開口に対して充電ソケットを心出しすることによって、充電ソケットを固定するステップと
を含む。
【0017】
本発明のこれら対象、特徴、および利点は、添付図面に関して非限定的に示される、実施形態および方法を実行する形態の下記の説明で詳細に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図2】一実施形態による車両の車体の部分図である。
【
図3】一実施形態によるボウルおよび充電ソケットの詳細図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
自動車が直線で移動する方向が、長手方向Xであるとして定義される。慣例によって、地面に平行な面内に位置し、長手方向に垂直な方向を、横方向Yと名付ける。他の2つに垂直な第3の方向を垂直方向Zと名付ける。したがって、直線基準座標XYZが使用され、Xは、車両の前後方向、すなわち後方に向いた長手方向であり、Yは、右向きの横方向であり、Zは、上向きの垂直方向である。前方向は、自動車が、長手方向において通常移動する方向に対応し、後方向とは反対側である。
【0020】
図1は、一実施形態による車両1、特に自動車を概略的に示す。車両は、電気タイプまたは再充電式ハイブリットタイプである。したがって、車両は、車両1を牽引および/または推進するために使用する電気エネルギーを貯蔵するための電気エネルギー貯蔵手段8、好ましくはバッテリを備える。車両1は、車体2を備える。
【0021】
図1および2に示されるように、車体2は、電気エネルギー充電または再充電ソケット6を備える。
図1および4に示されるように、車両1または車体2は、車両の前部に配置されたボンネット9を備える。車両1、または車体2は、
図4に示されるように、左側に配置された、ボンネット9用のヒンジ4をさらに備える。好ましくは、車両1または車体2は、右側に配置された、ボンネット9用の別のヒンジを備える。
【0022】
車体2は、フェンダ7をさらに備える。フェンダ7は、前部フェンダ、たとえば
図1および2に示された左前部フェンダである。車体2は、充電ソケットを取り囲むようになされたボウル30をさらに備える。ボウル30は、フェンダ7に、またはフェンダ7に対して固定されている。
図2および3に示されるように、ボウル30は、充電ソケット6のための通路開口31を備える。好ましくは、充電ソケットが使用されないとき、カバー20が、充電ソケット6およびボウル30を覆い隠す。
【0023】
車両1または車体2は、
図4に示される装置70をさらに備える。
【0024】
装置70は、図示のように、左側のフェンダ7の場合は左側のカウル側面補強部3を備える。
【0025】
好ましくは、装置70は、前部ピラー5をさらに備える。フェンダ7が左側なら、その前部ピラー5は左側に配置されている。
【0026】
当然、充電ソケットを右側、右前部泥除けに装着することを望む場合は、カウル側面補強部、前部ピラー、およびヒンジは、車両の右側のカウル側面補強部、前部ピラー、およびヒンジである。
【0027】
車両または装置70は、支持部10をさらに備える。
【0028】
支持部10は、ボンネット9のヒンジ4を受け止めるようになされていることに留意されたい。たとえば、
図5および6に示されるように、支持部は、上側部分13を備え、その上側部分は、好ましくは平面または実質的に平面であり、長手および横方向面内、または実質的に長手および横方向面内に延在する。ヒンジ4は、たとえばスクリュー・ナットタイプの手段によって、たとえば上側部分13に固定される。好ましくは、ヒンジ4に形成された孔を通り抜ける2つのスクリューと協働するように、2つの雌ねじが切られた孔14が、上側部分13に形成される。
【0029】
有利には、支持部10は、板材、たとえば予め切り出された板材を曲げることによって得られる。たとえば、支持部は、板材を型打抜きすることによって直接、または補足的に得られる。好ましくは、板材は鋼製である。板材の厚さは、たとえば1mm~3mm、好ましくは2mm程度である。有利には、特に剛性を増すために、支持部10は、1つまたは複数の折返し縁部16を備える。
【0030】
図4~6に示されるように、支持部は、全体的にU字形を有し、そのU字の2つの枝または脚は、車体に搭載されると下方に延出する。言い換えれば、支持部10は、実質的にU字形であり、そのU字が、第1の脚11および第2の脚12を備える。より正確には、支持部10は、カウル側面補強部3に支持部を固定するための保持手段15を備える。保持手段15は、
図5および6に示されるように、支持部10のたとえば上側部分に形成された、たとえば合わせて3つのたとえば孔または開口17を備える。たとえば、孔17は、正方形を有する。有利には、保持手段15は、支持部を前部ピラー5に固定することを可能にする。保持手段15は、
図5および6に示されるように、支持部10のたとえば第2の脚12に形成された、たとえば合わせて2つのたとえば孔または開口18を備える。たとえば、孔18は、正方形を有する。このようにして、支持部10を保持するために、スクリュー、ボルト、またはリベットが、これら孔17、18ならびにカウル側面補強部3および/または前部ピラー5と協働することができる。したがって、たとえば、ナットまたは雌ねじを切られた孔が、カウル側面補強部および/または前部ピラーに、またはそれらに対して設けられる。
【0031】
第1の脚11は、上記で明示したように下方に延出し、前側に配置されていることに留意されたい。第2の脚12は、やはり下方に延出し、後側に配置されている。言い換えれば、好ましくは、第1の脚11は、第2の脚12の前方にある。好ましくは、第1の脚11および第2の脚12は、実質的に同一の垂直で長手方向の面内で延出する。好ましくは、支持部10は、第1の脚11と第2の脚12との間の、同じ垂直で長手方向の面内に延在する連結部分19を備える。
【0032】
支持部10は、充電ソケット6を支持部10に対して保持する手段60をさらに備える。図示の実施形態では、保持手段60は、開口61を備える。有利には、保持手段60は、支持部10の残り部分に、たとえば溶接されて取り付け固定されたナット62を備える。あるいは、開口61は、支持部にタップ加工される。好ましくは、2つの孔61および/またはナット62が第1の脚11に設けられ、2つの孔61および/またはナット62が第2の脚12に設けられる。好ましくは、各脚の2つの孔および/またはナットは、支持部10への充電ソケット6の最適な保持を増進するために、可能な限り離隔される。好ましくは、4つの孔および/またはナットは、支持部10への充電ソケット6の最適な保持を増進するために、可能な限り離隔される。当然、ソケットを支持部に固定するために、より少ない孔および/またはナット、より多い孔またはナット、さらには別のシステムをも用いることができる。
【0033】
支持部10は、充電ソケット6を支持部10に対して位置決めする手段50をさらに備える。図示の実施形態では、位置決め手段50は、円形孔51および長円孔52を備える。好ましくは、一方の孔が第1の脚11に形成され、他方の孔が第2の脚12に形成される。有利には、両孔51、52は、支持部に対するソケットの位置決めの高度な精度を増進するために、可能な限り離隔させる。
【0034】
支持部10は、車体部分2’に対して支持部10を位置決めするためのテンプレートと協働するようになされた、支持部10を心出しする手段40をさらに備える。図示の実施形態では、心出し手段40は、テンプレートによる位置決めを制御するようになされた円形孔41、および長円孔42またはボタン穴スロットを備える。孔41、42は、連結部分19に形成される。テンプレートと協働するこれら孔41、42によって、支持部は、長手方向および垂直方向に正確に位置決めされる。
【0035】
車体2を組み立てる方法を実施する形態が、次いで説明される。
【0036】
最初に含まれるのは、充電ソケット6を介して再充電することができる電気またはハイブリッドタイプの車両の車体部分2’を揃えるステップである。支持部10、充電ソケット6、フェンダ7およびボウル30をさらに揃える。車体部分2’が、前部ピラー5および/またはカウル側面補強部3をすでに備えることが好ましいことに留意されたい。好ましくは、ボウル30は、フェンダ7に面して、またはフェンダ7にすでに固定されている。
【0037】
これに、位置決めテンプレート(図示せず)を車体部分2’に固定するステップが続く。たとえば、位置決めテンプレートを、前部ピラー5および/または車体部分2’の前部にさらに配置されている別の要素に固定する。
【0038】
これに、心出し手段40によって支持部10を心出しまたは案内するステップが続く。すなわち、孔41、42を、位置決めテンプレートに対して支持部を心出しおよび位置決めするために使用する。一方の孔が円形であり、他方の孔が長円であることが好ましいことが思い出されよう。
【0039】
次のステップは、支持部10を保持する手段15によって、支持部10を固定するステップである。より正確には、開口17を、たとえばスクリュー、ボルト、またはリベットによって、支持部をカウル側面補強部3に固定するために使用し、開口18を、たとえばスクリュー、ボルト、またはリベットによって、支持部を前部ピラー5に固定するために使用する。
【0040】
あるいは、支持部10を、カウル側面補強部3および/または前部ピラー5に溶接する。
【0041】
任意選択で、位置決めテンプレートを取り除くステップを実施する。
【0042】
これに、位置決め手段50によって、充電ソケット6を支持部10に、または支持部10に面して位置決めするステップが続く。位置決め手段50は、互いに広く離隔された円形孔51と長円孔52を備えることが好ましいことが思い出されよう。たとえば、充電ソケット6または支持部10に一時的にまたはそうではなく固定された、肩付きまたは肩無しのスクリュー、ピン、またはロッドが、支持部に対してソケットを位置決めするように孔51、52と協働する。
【0043】
これに、フェンダ7を車体部分2’に位置決めし固定するステップが続く。ボウル30が、フェンダ7にすでに固定されていることが好ましいことが思い出されよう。
【0044】
これに、充電ソケット6をボウル30の開口31に対して心を出しながら、または心出し後に、充電ソケット6を固定するステップが続く。心出しが意味するのは、ソケットを取り囲む間隙J、すなわちソケット6とボウル30の開口31との間の隙間Jが、一定または実質的に一定になることである(
図2および3)。間隙Jは、たとえば1mm~5mmである。このステップは、好ましくは、充電ソケット6を支持部10の残り部分に保持するための手段60を締め付けることによって実施される。すなわち、好ましくは、支持部10の脚11、12に配置された雌ねじを切られた孔またはナット62が、充電ソケット6を貫通するスクリューと協働する。したがって、この固定ステップは、それらスクリューを締め付けることによって実施される。
【0045】
本解決策は、車両、特に前部フェンダへの充電ソケットの装着を簡略化する。すなわち、充電ソケットは、嵩張り、および/または、かなりの断面を有しかつ/もしくは曲げるのが難しいことのある電気ケーブル配線を通すために、背後に空間を必要とするものの、支持部10は、充電ソケットを受け止め、位置決めし、堅固に、信頼性高く、かつ耐久的に保持することを可能にする。それによって、電源ケーブルの相補的コネクタの接続/切り離しサイクル数に伴う充電ソケット6への負荷に拘わらず、充電ソケット6は、車両の使用期間全体に亘って正確に位置決めされたままになる。支持部10によって付与される剛性および/または強固性は、電源ケーブルの充電ソケットへの、または充電ソケットからの接続/切り離し中のソケットのいかなる遊びおよび/または動きも、僅かでさえ、防止し、それによって、そのような車両のユーザによる車両の高い品質感に寄与する。この剛性は、特に、第1の脚11の縁部領域、第2の脚12の縁部領域、および/または2つの脚11、12間の連結部分19の縁部領域での折返し縁部16の存在によって実現されることに留意されたい。その代わりに、あるいはそれに加えて、型打抜き形体を用いて、所望の剛性および/または強固性に寄与することもできる。
【0046】
支持部10が、さらに、ボンネット9のヒンジ4を保持する働きをすることが思い出されよう。言い換えれば、支持部10は、ヒンジ4の支持機能、および充電ソケット6の支持機能を果たす。その結果、車体のこの高さでの空間不足にも拘わらず、寸法連鎖の「環」の数を減少させる。具体的には、たとえば、寸法連鎖は、充電ソケット6を通り抜け、次いで、ヒンジ4および充電ソケット6の支持部10を通り、次いで、部品を取り付け、またはヒンジ支持部およびフェンダ7の支持部の位置を設定するためのテンプレートを通り、次いで、フェンダ7の支持部を通り、最後にフェンダ7を通る。共通のテンプレートが所定位置に設置されれば、本解決策は、ヒンジの支持部、充電ソケット、およびフェンダ支持部の位置決め間の一貫性を実現する。
【0047】
寸法連鎖におけるこの削減は、特にカウル側面補強部3向けのテンプレート連結を不要にすることによって、フェンダ7に対する充電ソケット6の心出しの向上に寄与する。
【0048】
さらに、本解決策は、変化させずに済むフェンダ7の支持部など、他の要素に影響を与えない。さらに、本解決策は、複雑でコストの掛かる新たなテンプレートを作る必要がない。
【0049】
要するに、充電ソケット6の支持機能は、ヒンジ支持部の前部での下方延出部(第1の脚11)、および、車体の構造物、この場合は前部ピラー5に固定するための、ヒンジ支持部の下方および後方延出部(第2の脚12)によって達成される。
【0050】
上述のように、たとえば4つの孔61および/またはナット62が、充電ソケット6を固定しその位置を保持するのに寄与する。たとえば、2つの孔51、52が、支持部10に対する充電ソケット6の位置決めを制御することを可能にする。
【0051】
本解決策によって、ボウル30はフェンダ7に支持され、充電ソケットの支持部10は車体に支持されているものの、充電ソケット6とボウルの開口31とのずれ、したがってソケット6とフェンダ7とのずれが、制御される。言い換えれば、ユーザが見るソケット6とボウル30の開口31との最終間隙Jは、一定である。したがって、品質感が満たされる。
【0052】
さらに、本解決策は、部品の数の削減を可能にし(2つの機能用の単一の支持部、単一のテンプレート)、それは、ロジスティックス、保管、および/または取扱い、ならびに当然コストの点で有利である。
【0053】
最後に、本解決策は、特にコンパクトである。本解決策は、材料を殆ど必要とせず、かつそれにより量においても少なくなるので安価である。
【0054】
したがって、本発明による本解決策は、再充電式電気またはハイブリッド車両への充電ソケットの装着を簡略化する所望の目的を達成し、以下の利点を有することに留意されたい。すなわち、
- 本解決策は、経済的であり、板材の切断、曲げ、および/または型打抜きなどの通常の製造方法を採用し、
- 本解決策は、前部ピラーの前方にほんの僅かな空間しか有さず、かつ/または長手方向に僅かな長さで前方へ延在するボンネットを有する車両であっても、全ての範囲の車両に用いることができる。
【国際調査報告】