(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-12-26
(54)【発明の名称】継電器
(51)【国際特許分類】
H01H 50/54 20060101AFI20241219BHJP
H01H 50/38 20060101ALI20241219BHJP
【FI】
H01H50/54 D
H01H50/38 H
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024532390
(86)(22)【出願日】2021-12-31
(85)【翻訳文提出日】2024-07-16
(86)【国際出願番号】 CN2021143465
(87)【国際公開番号】W WO2023103128
(87)【国際公開日】2023-06-15
(31)【優先権主張番号】202111486449.X
(32)【優先日】2021-12-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】524202281
【氏名又は名称】三友聯衆集団股▲ふん▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】SANYOU CORPORATION LIMITED
【住所又は居所原語表記】No. 27, Central Second Road Puxin Lake Tangxia Town Dongguan, Guangdong 523000, China
(74)【代理人】
【識別番号】110002262
【氏名又は名称】TRY国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】于 栄愛
(72)【発明者】
【氏名】唐 俊平
(72)【発明者】
【氏名】陳 炳其
(72)【発明者】
【氏名】匡 毅超
(72)【発明者】
【氏名】叶 祖豪
(57)【要約】
本発明は継電器を開示し、スイッチ装置の技術分野に関し、固定ベース、固定接点、可動接触板、プッシュロッド、電磁アセンブリ、リセット用弾性部材、弾性アセンブリ、第1透磁シート及び第2透磁シートを備え、第1透磁シートが可動接触板の固定接点に向かう側に設置され、第2透磁シートが可動接触板の固定接点から離れる側に設置され、第1透磁シートと第2透磁シートとがいずれも可動接触板を流れる電流により磁化されることができ、且つ第2透磁シートが第1透磁シートと閉磁気回路を形成することができる。本発明の継電器において、電流が可動接触板を流れるとき、固定接点及び可動接触板の可動接点を流れる大電流による電動反発力の一部を相殺するために第1透磁シートと第2透磁シートとの間に電磁吸引力があり、弾性アセンブリが電磁アセンブリの電磁吸引力の変化につれて適応する逆方向の弾力を与えることができ、体積が小さく及びコイル電力が小さいという特徴を維持する上で、継電器の動作安定性を向上させることを実現しやすくする。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
継電器であって、
固定ベース(1)と、
前記固定ベース(1)に対して固定される固定接点(2)と、
前記固定接点(2)に対応するように可動接点が設置される可動接触板(3)と、
プッシュロッド(4)であって、固定ベース(1)に対して滑り、前記可動接触板(3)が前記プッシュロッド(4)の滑り方向に平行する方向に沿って前記プッシュロッド(4)に対して移動可能に設置されるプッシュロッド(4)と、
前記プッシュロッド(4)が滑るように駆動するための電磁アセンブリ(5)と、
前記可動接点と前記固定接点(2)との離脱のために弾性力を与えるためのリセット用弾性部材(6)と、
少なくとも1組の弾性アセンブリ(7)であって、その弾性力が前記プッシュロッド(4)及び前記可動接触板(3)に作用し、前記弾性アセンブリ(7)が少なくとも2つの弾性部材(701)を含む少なくとも1組の弾性アセンブリ(7)と、
第1透磁シート(8)と、
第2透磁シート(9)と、を備え、
前記第1透磁シート(8)が前記可動接触板(3)の前記固定接点(2)に向かう側に設置され、前記第2透磁シート(9)が前記可動接触板(3)の前記固定接点(2)から離れる側に設置され、前記第1透磁シート(8)と第2透磁シート(9)とがいずれも可動接触板(3)を流れる電流により磁化されることができ、且つ前記第2透磁シート(9)が前記第1透磁シート(8)と閉磁気回路を形成することができ、
前記電磁アセンブリ(5)は前記プッシュロッド(4)が滑るように駆動し、前記プッシュロッド(4)が少なくとも一方の前記弾性部材(701)により前記可動接触板(3)を駆動して移動させることで前記可動接点及び前記固定接点(2)を閉じた後、前記プッシュロッド(4)が滑り続けるにつれて、残りの前記弾性部材(701)の弾性力が前記可動接触板(3)に作用し、それにより前記可動接点と前記固定接点(2)との間の当接押圧力を増大させることを特徴とする継電器。
【請求項2】
前記第1透磁シート(8)の前記第2透磁シート(9)に向かう側に第1磁気吸引面(801)が設置され、前記第2透磁シート(9)の前記第1透磁シート(8)に向かう側に第2磁気吸引面(901)が設置され、前記第1磁気吸引面(801)と前記第2磁気吸引面(901)とが正対して設置されることを特徴とする請求項1に記載の継電器。
【請求項3】
前記第1透磁シート(8)及び前記第2透磁シート(9)のうちの一方に摺動突起(10)が設置され、他方に前記摺動突起(10)が滑る滑り溝(11)が開設されることを特徴とする請求項1に記載の継電器。
【請求項4】
前記第1透磁シート(8)及び前記第2透磁シート(9)のうちの一方が平板状であり、他方がU字型を呈し、
又は、前記第1透磁シート(8)と前記第2透磁シート(9)とがいずれもU字型に設置され、
又は、前記第1透磁シート(8)と前記第2透磁シート(9)とがいずれもL字型に設置されることを特徴とする請求項1に記載の継電器。
【請求項5】
前記弾性アセンブリ(7)は第1弾性部材(701a)及び第2弾性部材(701b)を含み、第1弾性部材(701a)と前記第2弾性部材(701b)とがいずれも圧縮ばねであり、且つ前記第1弾性部材(701a)と前記第2弾性部材(701b)とがいずれも前記可動接触板(3)の前記固定接点(2)から離れる側に設置されることを特徴とする請求項1に記載の継電器。
【請求項6】
前記弾性アセンブリ(7)は第1弾性部材(701a)及び第2弾性部材(701b)を含み、第1弾性部材(701a)と前記第2弾性部材(701b)とがいずれも引張ばねであり、且つ前記第1弾性部材(701a)と前記第2弾性部材(701b)とがいずれも前記可動接触板(3)の前記固定接点(2)に向かう側に設置されることを特徴とする請求項1に記載の継電器。
【請求項7】
前記弾性アセンブリ(7)は第1弾性部材(701a)及び第2弾性部材(701b)を含み、第1弾性部材(701a)が引張ばねであり、前記第2弾性部材(701b)が圧縮ばねであり、前記第1弾性部材(701a)が前記可動接触板(3)の前記固定接点(2)に向かう側に位置し、前記第2弾性部材(701b)が前記可動接触板(3)の前記固定接点(2)から離れる側に位置することを特徴とする請求項1に記載の継電器。
【請求項8】
前記可動接触板(3)に貫通溝(301)が開設され、前記プッシュロッド(4)が前記貫通溝(301)を貫通して設置され、且つ前記可動接触板(3)が前記プッシュロッド(4)に対して摺動可能であることを特徴とする請求項1に記載の継電器。
【請求項9】
前記可動接触板(3)の両側に1つの案内板(12)がそれぞれ設置され、2つの前記案内板(12)は間隔を保持して前記可動接触板(3)が摺動する案内通路(1201)を形成することを特徴とする請求項1に記載の継電器。
【請求項10】
同一の前記弾性アセンブリ(7)において、各前記弾性部材(701)が嵌め込んで設置されることを特徴とする請求項5又は6に記載の継電器。
【請求項11】
同一の前記弾性アセンブリ(7)において、各前記弾性部材(701)が伸縮方向に沿って平行に設置されることを特徴とする請求項5~7のいずれか1項に記載の継電器。
【請求項12】
同一の前記弾性アセンブリ(7)において、各前記弾性部材(701)の弾性係数が同じであることを特徴とする請求項1に記載の継電器。
【請求項13】
同一の前記弾性アセンブリ(7)において、各前記弾性部材(701)の弾性係数の大きさが異なることを特徴とする請求項1に記載の継電器。
【請求項14】
同一の前記弾性アセンブリ(7)において、先に弾力を発生させた弾性部材(701)の弾性係数が後に弾力を発生させた弾性部材(701)の弾性係数よりも小さいことを特徴とする請求項13に記載の継電器。
【請求項15】
同一の前記弾性アセンブリ(7)において、後に弾力を発生させた弾性部材(701)の弾性係数が先に弾力を発生させた弾性部材(701)の弾性係数よりも小さいことを特徴とする請求項13に記載の継電器。
【請求項16】
前記電磁アセンブリ(5)はコイルホルダ(501)、コイル(502)、固定鉄芯(503)、継鉄(504)及び接極子(505)を含み、前記コイル(502)が前記固定鉄芯(503)の外に套設され、前記固定鉄芯(503)と前記継鉄(504)とがいずれも前記コイルホルダ(501)に固定され、前記接極子(505)が前記プッシュロッド(4)に固定して接続され、前記コイル(502)に通電するとき、前記継鉄(504)及び前記固定鉄芯(503)に磁束が発生し、且つ該磁束は閉磁路を形成することで前記接極子(505)を駆動して前記固定鉄芯(503)に接近するように移動させる傾向があることを特徴とする請求項1に記載の継電器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スイッチ装置の技術分野に関し、特に継電器に関する。
【背景技術】
【0002】
新エネルギー業界の急速な発展に伴い、各車メーカー及びバッテリパックメーカーの故障による短絡電流に対する要件もますます高まっており、体積が小さく及びコイル電力が小さいという特徴を維持する上で、継電器は短絡に耐えられる機能を有し、システムに故障による大電流が発生する際に可動ばねが受けた電動反発力に抵抗できるように求められる。
【0003】
現在、市場に求められる入力された代表的な耐短絡性は、8000Aで5msにわたって燃焼も爆発もしないように求められるが、従来技術における継電器は体積が小さく及びコイル電力が小さいという特徴を維持する上で十分な接点圧力を与えることができず、故障による短絡電流が発生する場合に可動接点と固定接点との間に電動反発力が発生してしまい、接点圧力は可動ばねが受けた電動反発力に抵抗できない場合、可動リードと固定リードとが弾かれ、それにより可動接点と固定接点との接触安定性に影響してしまい、従って、市場要件を満たすことが困難である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来技術に記載の少なくとも1つの欠陥を克服するために、本発明は継電器を提供し、それにより既存の継電器の電動反発力による安定性がより低い問題を最適化する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明がこの問題を解決するために用いた技術案は以下のとおりである。
本発明の一態様によれば、本発明に係る継電器は、固定ベースと、固定ベースに対して固定される固定接点と、固定接点に対応するように可動接点が設置される可動接触板と、プッシュロッドであって、固定ベースに対して滑り、可動接触板がプッシュロッドの滑り方向に平行する方向に沿ってプッシュロッドに対して移動可能に設置されるプッシュロッドと、プッシュロッドが滑るように駆動するための電磁アセンブリと、可動接点と固定接点との離脱のために弾性力を与えるためのリセット用弾性部材と、少なくとも1組の弾性アセンブリであって、その弾性力がプッシュロッド及び可動接触板に作用し、弾性アセンブリが少なくとも2つの弾性部材を含む少なくとも1組の弾性アセンブリと、第1透磁シートと、第2透磁シートと、を備え、第1透磁シートが可動接触板の固定接点に向かう側に設置され、第2透磁シートが可動接触板の固定接点から離れる側に設置され、第1透磁シートと第2透磁シートとがいずれも可動接触板を流れる電流により磁化されることができ、且つ第2透磁シートが第1透磁シートと閉磁気回路を形成することができ、電磁アセンブリはプッシュロッドが滑るように駆動し、プッシュロッドが少なくとも一方の弾性部材により可動接触板を駆動して移動させることで可動接点及び固定接点を閉じた後、プッシュロッドが滑り続けるにつれて、残りの弾性部材の弾性力が可動接触板に作用し、それにより可動接点と固定接点との間の当接押圧力を増大させる。
【0006】
これにより、可動接触板と固定接点とが閉じられた場合、電流は可動接触板の一端から他端へ流れることができ、第1透磁シートと第2透磁シートとが互いに接近することにより閉磁気回路を形成するため、電流が可動接触板を流れるとき、電流の変化につれて第1透磁シートと第2透磁シートとの間に磁気回路を形成し、このとき、第1透磁シートと第2透磁シートとの間に電磁吸引力があり、電磁吸引力は固定接点及び可動接触板の可動接点を流れる大電流による電動反発力の一部を相殺することができ、
また、可動接点及び固定接点を閉じた場合、電磁アセンブリはプッシュロッドがリセット用弾性部材の弾力を克服して移動するように駆動することにより、プッシュロッドが可動接触板を駆動して固定接点に接近する方向へ移動させるようにし、可動接触板上の可動接点が固定接点に当接されて閉じることを実現し、可動接点及び固定接点が閉じられたコンパクト性及び信頼性を確保するために、可動接点が固定接点に当接されて閉じられた後で、電磁アセンブリはプッシュロッドが前へ移動し続けるように駆動し続け、固定接点が可動接点を介して可動接触板に当接押圧され、それにより可動接触板がプッシュロッドの移動方向と逆の方向に沿ってプッシュロッドに対して滑るようにし、且つ弾性アセンブリの各弾性部材が前後に逆方向の弾性力を発生させるようにし、弾性アセンブリが可動接触板に対して発生した逆方向の弾性力は徐々に増加し、このように設置する理由は、弾性アセンブリに発生した弾性力が可動接触板に作用するだけでなく、プッシュロッドにも作用するためであり、これにより、それは可動接触板と固定接点との当接を維持するために弾性当接押圧力を与えることができ、プッシュロッドの移動も妨害し、可動接触板が固定接点へ移動するように駆動する過程において、電磁アセンブリが供給する駆動力の変化速度は異なり、具体的に、可動接点と固定接点とが当接する前及び可動接点と固定接点とが当接した後の所定期間内に、電磁アセンブリの駆動力は比較的小さく且つ変化速度が比較的小さく、弾性アセンブリに発生した逆方向の弾性力が大きすぎる場合、電磁アセンブリの駆動力が不足することによる電磁アセンブリにおける接極子及び固定鉄芯が閉じることができず、安定性がより低く、接点が離脱しやすい問題が発生してしまうが、電磁アセンブリにおける接極子及び固定鉄芯が徐々に閉じるように接近する過程において、電磁アセンブリの駆動力が増大し且つ駆動力の増大速度が比較的大きく、このとき、電磁アセンブリに発生した駆動推力は比較的大きな逆方向の弾性力に抵抗することができ、従って、弾性アセンブリの少なくとも2つの弾性部材の弾性力の重ね合わせは比較的大きな逆方向の弾性力を可動接触板に与えることにより、可動接触板上の可動接点と固定接点との密接な当接を維持し、継電器が比較的大きな短絡電流により比較的大きな電動反発力を発生させても、このときに弾性アセンブリに発生した逆方向の弾性力がこの異常な動作に抵抗することもでき、且つ第1透磁シートと第2透磁シートとの間に発生した互いに作用する電磁力が可動接点と固定接点との接触安定性を更に維持し、また、弾性アセンブリが電磁アセンブリの電磁吸引力の変化につれて適応する逆方向の弾力を与えることができるため、体積が小さく及びコイル電力が小さいという特徴を維持する上で、継電器の動作安定性を向上させることにより実際の応用過程における需要を満たすことを実現しやすくする。
【0007】
更に、第1透磁シートの第2透磁シートに向かう側に第1磁気吸引面が設置され、第2透磁シートの第1透磁シートに向かう側に第2磁気吸引面が設置され、第1磁気吸引面と前記第2磁気吸引面とが正対して設置される。
【0008】
これにより、第1透磁シートと第2透磁シートとが互いに接近し、可動接触板を電流が流れる場合、可動接触板は第1透磁シート及び第2透磁シートを磁化して、第1磁気吸引面及び第2磁気吸引面に磁性が逆で互いに吸引し合う磁極を発生させ、これにより、該電磁力の作用によって第1透磁シートと第2透磁シートとの間に吸引力を発生させ、両者を互いに接近させ、それにより固定接点及び可動接触板の可動接点を流れる大電流による電動反発力の一部を相殺する。
【0009】
更に、第1透磁シート及び第2透磁シートのうちの一方に摺動突起が設置され、他方に摺動突起が滑る滑り溝が開設される。
【0010】
これにより、摺動突起と滑り溝との滑り係合によって第2透磁シートの第1透磁シートに対する滑りを安定化させ、オフセット現象の発生を回避する。
【0011】
更に、第1透磁シート及び第2透磁シートのうちの一方が平板状であり、他方がU字型を呈する。
【0012】
更に、第1透磁シートと第2透磁シートとがいずれもU字型に設置される。
【0013】
更に、第1透磁シートと第2透磁シートとがいずれもL字型に設置される。
【0014】
更に、弾性アセンブリは第1弾性部材及び第2弾性部材を含み、第1弾性部材と第2弾性部材とがいずれも圧縮ばねであり、且つ第1弾性部材と第2弾性部材とがいずれも可動接触板の固定接点から離れる側に設置される。
【0015】
これにより、一実施形態として、圧縮ばねを弾性部材として用い、可動接触板がプッシュロッドの移動方向と逆の方向に沿って移動する場合、可動接触板にその運動方向と逆方向の弾性当接押圧力を与え、それにより継電器を比較的大きな短絡電流が流れることによる電動反発力に抵抗して、可動接点の固定接点からの離脱を回避する。
【0016】
更に、弾性アセンブリは第1弾性部材及び第2弾性部材を含み、第1弾性部材と第2弾性部材とがいずれも引張ばねであり、且つ第1弾性部材と第2弾性部材とがいずれも可動接触板の固定接点に向かう側に設置される。
【0017】
これにより、別の実施形態として、引張ばねを弾性部材として用い、引張ばねが可動接触板に接続され、プッシュロッドは可動接触板が固定接点に当接された後で前へ移動し続ける過程において、プッシュロッドに対して移動する可動接触板が引張ばねを引っ張り、且つ可動接触板の移動につれて複数の引張ばねが徐々に可動接触板に弾性張力を与え、それにより可動接触板に与えたその運動方向と逆方向の弾性張力を徐々に増大させ、これにより、継電器を比較的大きな短絡電流が流れることによる電動反発力に抵抗して、可動接点の固定接点からの離脱を回避する。
【0018】
更に、弾性アセンブリは第1弾性部材及び第2弾性部材を含み、第1弾性部材が引張ばねであり、第2弾性部材が圧縮ばねであり、第1弾性部材が可動接触板の固定接点に向かう側に位置し、第2弾性部材が可動接触板の固定接点から離れる側に位置する。
【0019】
これにより、更に別の実施形態として、可動接触板が固定接点に当接された後で、プッシュロッドが前へ移動し続ける過程において、可動接触板の両側に位置する第1弾性部材及び第2弾性部材が前後に固定接点の一方側に向かう方向の弾力を可動接触板に与え、同様に可動接触板と固定接点との間に当接圧力を発生させることもでき、比較的大きな短絡電流による電動反発力に抵抗して、接点が閉じられた安定性を維持することができる。
【0020】
更に、可動接触板に貫通溝が開設され、プッシュロッドが貫通溝を貫通して設置され、且つ可動接触板がプッシュロッドに対して摺動可能である。
【0021】
これにより、可動接触板がプッシュロッドに沿って相対的に摺動可能であるようにし、プッシュロッドは可動接触板が動く移動ガイドとされることができ、可動接触板の移動過程に発生し得る位置ずれ現象を回避し、可動接点及び固定接点が閉じられ及び切断された信頼性を実現することに寄与する。
【0022】
更に、可動接触板の両側に1つの案内板がそれぞれ設置され、2つの案内板は間隔を保持して可動接触板が摺動する案内通路を形成する。
【0023】
これにより、可動接触板の両側に案内板を設置することにより、可動接触板が摺動する案内通路を形成し、それにより可動接触板に移動ガイドを提供し、可動接触板が横転又は水平回転する可能性を低減し、可動接点及び固定接点が安定して閉じられ及び切断された信頼性を実現することに寄与する。
【0024】
更に、同一の弾性アセンブリにおいて、各弾性部材が嵌め込んで設置される。
【0025】
これにより、同一の弾性アセンブリにおける各弾性部材を嵌め込んで設置し、このように、占有空間を減少させることができ、製品の小型化設計に寄与する。
【0026】
更に、長さが比較的短い弾性部材は長さが比較的長い弾性部材の外側に套設され、又は長さが比較的長い弾性部材は長さが比較的短い弾性部材の外側に套設される。
【0027】
更に、同一の弾性アセンブリにおいて、各弾性部材が伸縮方向に沿って平行に設置される。
【0028】
これにより、十分な空間がある場合、更に弾性アセンブリの各弾性部材を独立して平行に配置するように設置してもよい。
【0029】
更に、同一の弾性アセンブリにおいて、各弾性部材の弾性係数の大きさが同じである。
【0030】
更に、同一の弾性アセンブリにおいて、各弾性部材の弾性係数の大きさが異なる。
【0031】
これにより、同一の弾性アセンブリにおける各弾性部材の弾性係数が異なるように設定することで、電磁アセンブリの駆動力の変化過程に一層適合して、最終的に最適な逆方向の弾性力を与えることで電動反発力を相殺して可動接点と固定接点との接続を安定化させることができる。
【0032】
更に、同一の弾性アセンブリにおいて、先に弾力を発生させた弾性部材の弾性係数が後に弾力を発生させた弾性部材の弾性係数よりも小さい。
【0033】
これにより、可動接触板が固定接点に当接されてから移動する場合、同一の弾性アセンブリにおいて、弾性係数が小さな弾性部材は弾性係数が大きな弾性部材よりも逆方向の弾性力を先に発生させ、このように、可動接点と固定接点とが接触したばかりのときに電磁アセンブリが供給可能な比較的小さな駆動力に適応することができ、プッシュロッドが前へ移動し続けるにつれて、逆方向の弾性力の印加に参加する弾性部材の弾性係数が徐々に大きくなり、即ち一層大きな逆方向の弾性力を与え、即ちその後で電磁アセンブリが供給する駆動力が徐々に大きくなる過程に適応することができ、更に、このような設置は電磁アセンブリの駆動力の変化過程に一層適合して、最終的に最適な逆方向の弾性力を与えることで電動反発力を相殺して可動接点と固定接点との接続を安定化させる。
【0034】
更に、同一の弾性アセンブリにおいて、後に弾力を発生させた弾性部材の弾性係数が先に弾力を発生させた弾性部材の弾性係数よりも小さい。
【0035】
更に、弾性アセンブリが1組設置され、弾性アセンブリが可動接触板の中心位置に位置する。
【0036】
これにより、このような設置は可動接触板が受けた力のバランスを取ることができ、十分な逆方向の弾性力を与えることで電動反発力に抵抗する上で、比較的少ない弾性アセンブリを用い、構造を簡素化し、組立工程を減少させる。
【0037】
更に、弾性アセンブリが少なくとも2組設置され、弾性アセンブリが可動接触板の中心に関して対称に設置される。
【0038】
これにより、少なくとも2組の弾性アセンブリによってバランスを取った十分な逆方向の弾性力を可動接触板に与える。
【0039】
更に、電磁アセンブリはコイルホルダ、コイル、固定鉄芯、継鉄及び接極子を含み、コイルが固定鉄芯の外に套設され、固定鉄芯と継鉄とがいずれもコイルホルダに固定され、接極子がプッシュロッドに固定して接続され、コイルに通電するとき、継鉄及び固定鉄芯に磁束が発生し、且つ該磁束は閉磁路を形成することで接極子を駆動して固定鉄芯に接近するように移動させる傾向がある。
【0040】
これにより、コイルに通電するとき、固定鉄芯及び継鉄に電磁束が発生するが、磁束により形成された磁路は閉じられた傾向があり、そうすると、接極子が鉄芯に接近する方向へ移動するように吸引し、更にプッシュロッドが移動するように駆動し、それにより継電器における可動接点及び固定接点が閉じられたことを実現し、コイルへの通電を遮断すると、電磁束が消失し、そうすると、プッシュロッドが弾性アセンブリ及びリセット用弾性部材の弾性作用によってリセットする。
【発明の効果】
【0041】
上記技術案から分かるように、本発明の実施例は少なくとも以下の利点及びプラス効果を有する。
第1)として、可動接触板及び固定接点が閉じられた後で、電流が可動接触板を流れる場合、電流の変化につれて第1透磁シートと第2透磁シートとの間に、固定接点及び可動接触板の可動接点を流れる大電流による電動反発力の一部を相殺するために第1透磁シートと第2透磁シートとの間に電磁吸引力があり、且つ、可動接点が固定接点に当接されて閉じられた後で、電磁アセンブリはプッシュロッドがその移動方向に沿って前へ移動し続けるように駆動し続け、固定接点が可動接点を介して可動接触板に当接押圧され、それにより可動接触板がプッシュロッドの上でプッシュロッドの移動方向と逆の方向に沿って滑るようにし、且つ順に弾性アセンブリの各弾性部材が前後に弾性力を発生させるようにし、それにより弾性アセンブリに発生した弾力が可動接触板に作用して固定接点に対して当接押圧力を発生させるだけでなく、該弾力が更にプッシュロッドに作用し、電磁アセンブリに発生した駆動力の方向と逆であり、弾性アセンブリが弾力を発生させて徐々に大きくする過程は、電磁アセンブリの変化に適応し、且つ最終的に比較的大きな逆方向の弾性力を与えることで電動反発力に抵抗することができ、体積が小さく及びコイル電力が小さいという特徴を維持する上で、可動接点と固定接点との接触安定性を維持して、継電器の動作安定性を向上させることにより実際の応用過程における需要を満たすことを実現しやすくする。
第2)として、弾性部材アセンブリはいずれも圧縮ばねを用いてもよく、可動接触板に弾性当接押圧力を与え、それにより継電器を比較的大きな短絡電流が流れることによる電動反発力に抵抗して、可動接点の固定接点からの離脱を回避する。
第3)として、弾性部材アセンブリはいずれも引張ばねを用いてもよく、可動接触板に弾性張力を与え、それにより継電器を比較的大きな短絡電流が流れることによる電動反発力に抵抗して、可動接点の固定接点からの離脱を回避する。
第4)として、弾性部材は圧縮ばねと引張ばねの組合せを用いてもよく、可動接触板に弾性力を与えることもでき、それにより継電器を比較的大きな短絡電流が流れることによる電動反発力に抵抗して、可動接点の固定接点からの離脱を回避する。
第5)として、同一の弾性アセンブリにおいて、各弾性部材の弾性係数が異なり、且つ弾性部材の弾性係数は弾性部材が圧縮され又は引っ張られる順序に従って順次逓増し、電磁アセンブリの駆動力の変化過程に一層適応し、且つ最終的に最適な逆方向の弾性力を与えることで電動反発力を相殺して可動接点と固定接点との接続を安定化させ、体積が小さく及びコイル電力が小さいという特徴を維持する上で、継電器の動作安定性を向上させることにより実際の応用過程における需要を満たすことを実現することに更に寄与する。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【
図1】
図1は本発明の実施例1における継電器の可動接点及び固定接点が切断状態にあるときの内部構造模式図である。
【
図2】
図2は本発明の実施例1における継電器の可動接点及び固定接点が閉状態にあるときの内部構造模式図である。
【
図3】
図3は弾性アセンブリ及びリセット用弾性部材の合力と電磁アセンブリの磁性吸引力とが接極子と固定鉄芯との距離に従って変化する模式図である。
【
図4】
図4は本発明の実施例1におけるプッシュロッドに取り付けられる各部材の分解模式図である。
【
図5】
図5は本発明の実施例1における可動接触板及び固定接点が閉じられた後で電流Iが流れるときの模式図である。
【
図6】
図6は本発明の実施例1における第1種類の第1透磁シート及び第2透磁シートの構造模式図である。
【
図7】
図7は本発明の実施例1における第2種類の第1透磁シート及び第2透磁シートの構造模式図である。
【
図8】
図8は本発明の実施例1における第1種類の弾性アセンブリの設置方式の模式図である。
【
図9】
図9は本発明の実施例1における第2種類の弾性アセンブリの設置方式の模式図である。
【
図10】
図10は本発明の実施例2における継電器の内部構造模式図である。
【
図11】
図11は本発明の実施例4における継電器の内部構造の部分模式図である。
【
図14】
図14は本発明の実施例5における弾性アセンブリの構造概略図である。
【
図15】
図15は本発明の実施例6における弾性アセンブリの構造概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0043】
より良く理解及び実施するために、以下に本発明の実施例の図面を参照しながら、本発明の実施例の技術案を明確且つ完全に説明する。
【0044】
本発明の説明において、説明すべきことは、用語「上」、「下」、「前」、「後」、「左」、「右」、「垂直」、「水平」、「頂」、「底」「内」、「外」などで指示する方位又は位置関係は図面に示される方位又は位置関係であり、本発明を説明しやすくし及び説明を簡素化するためのものに過ぎず、指す装置又は素子が必ず特定の方位を有し、特定の方位で構成及び操作しなければならないことを指示又は暗示するのではなく、従って、本発明を制限するものと理解されるべきではない。
【0045】
特に定義しない限り、本明細書に使用されるすべての技術用語及び科学用語は本発明の技術分野に属する当業者が一般的に理解する意味と同じである。本明細書において、本発明の明細書に使用される用語は具体的な実施例を説明するためのものであり、本発明を制限するように意図されるのではない。
【0046】
実施例1
図1~
図2を参照し、本発明は継電器を開示し、固定ベース1、固定接点2、可動接触板3、プッシュロッド4、電磁アセンブリ5、リセット用弾性部材6及び弾性アセンブリ7を備え、固定ベース1は上カバー101及び台座102を含み、上カバー101及び台座102内に固定接点2、可動接触板3、プッシュロッド4、電磁アセンブリ5、リセット用弾性部材6及び弾性アセンブリ7を取り付けるための収容室(図示せず)が形成される。
【0047】
固定接点2が固定ベース1に対して固定され、可動接触板3に固定接点2に対応する可動接点(図示せず)が設置され、可動接点が固定接点2に向かって設置され、本実施例では、可動接点及び固定接点2がそれぞれ2つ設置され、可動接点は固定接点2に当接され、且つ可動接触板3により電気的に導通することができ、プッシュロッド4は固定ベース1に対して移動可能に設置され、可動接触板3に接続されており、可動接触板3が往復移動するように駆動することで可動接点を固定接点2に接近させ、又はそれから離れさせることができ、電磁アセンブリ5はプッシュロッド4に接続されており、通電時にプッシュロッド4が移動するように駆動するためのものであり、リセット用弾性部材6はプッシュロッド4に接続されており、プッシュロッド4にリセット用弾性力を与えるためのものであり、弾性アセンブリ7は少なくとも1組設置され、各組の弾性アセンブリ7がいずれも少なくとも2つの弾性部材701を含み、
図1~
図2を参照し、いくつかの可能な実施形態では、可動接触板3はプッシュロッド4に摺動可能に接続され、可動接触板3が摺動する方向はプッシュロッド4のロッド本体方向に沿い、即ちプッシュロッド4の移動方向に平行し、
具体的に、可動接触板3に貫通溝301が開設され、プッシュロッド4が貫通溝301を貫通して設置され、且つ可動接触板3がプッシュロッド4に対してプッシュロッド4のロッド本体方向に沿って摺動可能である。
【0048】
弾性アセンブリ7は可動接触板3に当接押圧用弾性力を与えるためのものであり、それにより固定接点2に当接されるように維持することで、接点が閉じられた電流による電動反発力に抵抗する。
【0049】
電磁アセンブリ5はプッシュロッド4が移動するように駆動し、且つ可動接触板3が固定接点2に接近するように駆動することで可動接点及び固定接点2を閉じた後、電磁アセンブリ5はプッシュロッド4が前へ移動するように駆動し続け、可動接触板3が固定接点2により当接押圧されてプッシュロッド4に対して滑るとともに、弾性アセンブリ7における各弾性部材701が前後に弾性力を発生させるようにする。
【0050】
図1、
図2、
図4及び
図5を参照し、継電器は第1透磁シート8及び第2透磁シート9を更に備え、第1透磁シート8が可動接触板3の固定接点2に向かう側に設置され、第2透磁シート9が可動接触板3の固定接点2から離れる側に設置され、第1透磁シート8と第2透磁シート9とがいずれも可動接触板3を流れる電流により磁化されることができ、且つ第2透磁シート9が第1透磁シート8の表面に密着して閉磁気回路を形成することができ、
図1~
図2を参照し、いくつかの可能な実施形態では、第1透磁シート8はプッシュロッド4に固定され、且つ可動接触板3の固定接点2に向かう側に位置し、
第2透磁シート9は少なくとも部分的に可動接触板3の固定接点2から離れる側の表面に密着し、第2透磁シート9は第1透磁シート8に向かって設置され、第1透磁シート8に接近して閉磁気回路を形成することができる。
【0051】
図1~
図2を参照し、第1透磁シート8は可動接触板3の固定接点2に向かう側に設置され、且つプッシュロッド4に固定され、
第2透磁シート9は可動接触板3の固定接点2から離れる側に設置され、且つ可動接触板3を支持し、
接点が切断された状態において、第2透磁シート9は第1透磁シート8の表面に密着して閉磁気回路を形成することができ、接点が閉じられた場合、第2透磁シート9は第1透磁シート8の表面と隙間を形成することができる。
【0052】
図3を参照し、Y軸は力(電磁アセンブリ5の電磁吸引力、弾性アセンブリ7及びリセット用弾性部材6全体の逆方向の弾性力、単位がニュートン/Nである)の大きさの変化を代表し、X軸は電磁アセンブリ5における接極子505と固定鉄芯503との距離の変化を代表し、単位がミリメートル/mmであり、図中の曲線aは電磁アセンブリ5におけるコイル502に発生した電磁吸引力が接極子505と固定鉄芯503との距離に従って変化する状況を示し、曲線bは弾性アセンブリ7が2つの弾性部材701を用いて可動接触板3に与えた逆方向の弾性力が接極子505と固定鉄芯503との距離に従って変化する状況を示す。
【0053】
可動接点及び固定接点2を閉じる過程において、x
0~x
1区間に、電磁アセンブリ5が可動接触板3を駆動して固定接点2へ移動させる過程において、可動接点と固定接点2とが接触する前に、駆動力が比較的小さく且つ変化速度が比較的小さく、従って、可動接触板3が固定接点2に当接されて閉じられた(
図3におけるx
1位置)まで、電磁アセンブリ5の駆動力は主にリセット用弾性部材6の逆方向の弾性力を克服し、
閉じられたコンパクト性及び信頼性を確保するために、可動接点が固定接点2に当接されて閉じられた後で、電磁アセンブリ5はプッシュロッド4がその移動方向に沿って前へ移動し続けるように駆動し続け、固定接点2は可動接点により可動接触板3に当接押圧され、可動接触板3はプッシュロッド4の上でプッシュロッド4の移動方向と逆の方向に沿って滑り、0~x
1区間に、弾性アセンブリ7に弾性作用が発生し、該弾力が可動接触板3に作用し、可動接触板3を固定接点2に当接押圧させることで、可動接点及び固定接点2が閉じられた安定性を維持し、該弾性作用が更にプッシュロッド4に作用し、プッシュロッド4の移動方向と逆であり、電磁駆動アセンブリの駆動抵抗を構成し、
可動接点と固定接点2とが当接する前及び可動接点と固定接点2とが当接した後の所定期間内に、電磁アセンブリ5の駆動力が比較的小さいため、弾性アセンブリ7は接点が閉じられた初期に比較的小さな弾性反力を発生させる必要があり、
図3に示すように、区間x
1~x
2区間に、1つのみの弾性部材701が弾性力を与え、そうでない場合に可動接点が固定接点2に接触する際に弾性アセンブリ7に発生した逆方向の弾性力が比較的大きければ、電磁アセンブリ5の駆動に比較的大きな影響を与えてしまい、例えば、弾性アセンブリ7に発生した弾性力とリセット用弾性力との合力は電磁アセンブリ5がプッシュロッド4に対して発生した駆動力よりも大きい場合、プッシュロッド4は電磁アセンブリ5の駆動によって移動することができず、このため、電磁アセンブリ5における接極子505及び固定鉄芯503が閉じることができず、接点が閉じられた安定性が比較的低く、接点が離脱する現象が発生しやすく、
そして、電磁アセンブリ5における接極子505と固定鉄芯503との距離が縮小するにつれて、電磁アセンブリ5の駆動力が増大し続け、且つ駆動力の増大速度が増加し、電磁アセンブリ5に発生した推力が徐々に一層大きな逆方向の弾性力に抵抗できるようになり、従って、x
2~x
3区間に、他方の弾性部材701が作用し、前の弾性部材701と一緒に弾性力を与え、このように、最終的に電磁アセンブリ5の接極子505及び固定鉄芯が閉じられた後で、2つの弾性部材701が共同で固定接点2に当接押圧される逆方向の弾力を可動接触板3に与えることにより、可動接触板3上の可動接点と固定接点2との密接な当接を維持し、継電器を比較的大きな短絡電流が流れて比較的大きな電動反発力が発生しても、このときに弾性アセンブリ7がこの異常な動作に抵抗して、可動接点と固定接点2との接触安定性を維持することもでき、弾性アセンブリ7は電磁アセンブリ5の電磁吸引力の変化につれて適応する逆方向の弾力を与えることができ、体積が小さく及びコイル502電力が小さいという特徴を維持する上で、継電器の動作安定性を向上させることにより実際の応用過程における需要を満たすことを実現しやすくする。
【0054】
図5を参照し、可動接触板3上の可動接点及び固定接点2が閉じられた後で、例示的に、電流Iが図示の方向に沿って可動接触板3の一端の固定接点2から他端の固定接点2へ流れるとき、可動接触板3における通電電流Iの磁気効果によって、第1透磁シート8と第2透磁シート9とで形成された閉磁路において電磁気を形成することで、第1透磁シート8と第2透磁シート9とが互いに吸引し合うようにし、更に固定接点2に向かう方向の圧力を可動接触板3に与え、可動接触板3上の可動接点及び固定接点2が閉じられたコンパクト性を更に向上させ、継電器が大電流の衝撃を受けた場合に使用される信頼性を向上させる。
【0055】
図4及び
図5を参照し、第1透磁シート8の第2透磁シート9に向かう側に第1磁気吸引面801が設置され、第2透磁シート9の第1透磁シート8に向かう側に第2磁気吸引面901が設置され、第1磁気吸引面801と前記第2磁気吸引面901とが正対して設置される。
【0056】
これにより、電流Iが
図5に示される方向に沿って可動接触板3を流れるとき、第1磁気吸引面801をN極として磁化させ、第2磁気吸引面901をS極として磁化させ、第1磁気吸引面801と第2磁気吸引面901とが互いに吸引し合い、これにより、該電磁力の作用によって第1透磁シート8と第2透磁シート9とが互いに接近するようにし、それにより固定接点2及び可動接触板の可動接点を流れる大電流による電動反発力の一部を相殺する。
【0057】
図4を参照し、可能な実施形態として、第1透磁シート8及び第2透磁シート9のうちの一方に摺動突起10が設置され、他方に摺動突起10が滑る滑り溝11が開設される。
【0058】
これにより、摺動突起10と滑り溝11との滑り係合によって第2透磁シート9の第1透磁シート8に対する滑りを安定化させ、オフセット現象の発生を回避する。
【0059】
本実施例では、摺動突起10が第1透磁シート8に設置され、滑り溝11が第2透磁シート9に開設される。
【0060】
当然ながら、他の可能な実施形態では、摺動突起10が更に第2透磁シート9に設置されてもよいが、滑り溝11が第1透磁シート8に設置される。
【0061】
図4を参照し、本実施例では、第1透磁シート8は平板状を呈し、第2透磁シート9はU字型に設置され、可動接触板3の下表面に密着する水平端902と、水平端902の両端に設置される垂直端903とを含み、第2磁気吸引面901が垂直端903の端部に設置される。
【0062】
当然ながら、他の可能な実施形態では、第1透磁シート8がU字型に設置されてもよいが、第2透磁シート9が平板状に設置される。
【0063】
図6を参照し、他の可能な実施形態では、第1透磁シート8と第2透磁シート9とがいずれも互いに係合されるL字型を呈してもよい。
【0064】
図7を参照し、他の可能な実施形態では、第1透磁シート8と第2透磁シート9とがいずれも互いに係合されるU字型を呈してもよい。
【0065】
可能な実施形態として、
図1及び
図2を参照し、各組の弾性アセンブリ7はいずれも第1弾性部材701a及び第2弾性部材701bを含み、第1弾性部材701aと第2弾性部材701bとがいずれも可動接触板3の同一側に設置される。
【0066】
更に、可能な実施形態として、第1弾性部材701aと第2弾性部材701bとがいずれも圧縮ばねである。
【0067】
図1及び
図2を参照し、プッシュロッド4に第1制限部材401及び第2制限部材402が設置され、第1制限部材401がプッシュロッド4の端部に位置し、第2制限部材402が可動接触板3の固定接点2から離れる側に位置し、第1弾性部材701a及び第2弾性部材701bの長さが等しくなく、第1弾性部材701aの長さが第2弾性部材701bよりも大きく、第1弾性部材701aと第2弾性部材701bとがいずれも第2制限部材402と可動接触板3との間に位置し、且ついずれも固定接点2に向かう側の方向の弾性力を可動接触板3に与えることができる。
【0068】
当然ながら、第2弾性部材701bの長さが第1弾性部材701aよりも大きくてもよく、両者を区別しやすくするために、第1弾性部材701aの長さが第2弾性部材701bよりも大きい実施形態の構造及び原理を説明する。
【0069】
これにより、第1制限部材401及び第2制限部材402が可動接触板3及び弾性アセンブリ7を制限し、圧縮ばねを弾性素子として用い、且つ第1弾性部材701aの長さが第2弾性部材701bよりも大きく、可動接触板3が固定接点2に当接された後で、プッシュロッド4が前へ移動し続ける過程において、可動接触板3がプッシュロッド4の移動方向と逆の方向に沿って移動して前後に第1弾性部材701a及び第2弾性部材701bを圧縮し、弾性アセンブリ7が可動接触板3に与えた弾力は可動接触板3がプッシュロッド4の逆方向に沿って移動する距離の増加につれて増大し、これにより、電磁アセンブリ5における接極子505及び固定鉄芯が閉じられて駆動を停止した後、弾性アセンブリ7が可動接触板3に十分な当接押圧用弾力を与え、可動接触板3の可動接点と固定接点2との安定した接続を維持し、接点を比較的大きな短絡電流が流れることによる電動反発力に抵抗することができ、安定性が比較的高い。
【0070】
更に、本実施例では、第1制限部材401がクランプであり、クランプとプッシュロッド4との係着接続により可動接触板3の移動を制限し、それにより可動接触板3がプッシュロッド4の端部から離脱することを回避し、このような構造を設置することにより容易に組み立てることができる。
【0071】
図4及び
図5を参照し、本実施例では、プッシュロッド4は本体403と、本体403の端部に設置される軸被覆部404とを含み、軸被覆部404の寸法を本体403の寸法よりも小さくすることにより、該軸被覆部404と本体403とが制限用段付き部405を形成するようにし、第1透磁シート8に軸被覆部404が貫通する接続孔802が開設され、接続孔802により第1透磁シート8を軸被覆部404に套設し、且つ第1透磁シート8を段付き部405に接させ、更にクランプにより軸被覆部404に接続して、第1透磁シート8をプッシュロッド4に固定する。
【0072】
第2制限部材402がクランプとして設置されてもよく、又は、第2制限部材402とプッシュロッド4とが一体成形するように設置される。
【0073】
可能な実施形態として、
図1、
図2、
図8及び
図9を参照し、更に、同一の弾性アセンブリ7において、各弾性部材701が嵌め込んで設置される。
【0074】
これにより、弾性アセンブリ7の各弾性部材701を嵌め込んで設置し、このように、占有空間を減少させることができ、製品の小型化設計に寄与する。
【0075】
可能な実施形態として、弾性部材701は嵌め込み方式で設置される場合に、長さの比較的短い弾性部材701が長さの比較的長い弾性部材701の外側に套設され、即ち第2弾性部材701bが第1弾性部材701aの外側に套設され、又は、長さの比較的長い弾性部材701が長さの比較的短い弾性部材701の外側に套設され、即ち第1弾性部材701aが第2弾性部材701bの外側に套設されるように設置されてもよく、このような2つの実施形態はいずれも弾性アセンブリ7のコンパクト化及び小型化を実現することができる。
【0076】
可能な実施形態として、
図1、
図2及び
図8を参照し、第2制限部材402及び可動接触板3のうちの一方が第1弾性部材701aの一端に固定され、第2制限部材402及び可動接触板3のうちの他方が第1弾性部材701aの他端に接続されたり、当接されたり、又は隙間を維持したりする。
【0077】
好適なものとして、第2制限部材402が第1弾性部材701aの一端に固定され、可動接触板3が第1弾性部材701aの他端に当接され、第1弾性部材701aに一定の初期変形量が発生し、それにより可動接触板3を第1制限部材401の表面に密着させ、隙間が残されることに起因して継電器が倒置される場合に滑ったり、衝突したりして異常な雑音が発生することを回避する。
【0078】
当然ながら、継電器が正置状態で使用される場合には、第1弾性部材701aが可動接触板3の下表面に当接されるように設置されてもよく、このとき、該圧縮ばねに非常に小さな当接押圧用弾性力を発生させることで可動接触板3の質量を支持する。
【0079】
第2弾性部材701bはその長さが制限されるため、可動接触板3が固定接点2に当接押圧されずにプッシュロッド4に対して移動するとき、第2弾性部材701bと可動接触板3の板面との間に隙間を維持する。
【0080】
これにより、可動接触板3が固定接点2に当接押圧されてからプッシュロッド4に対して移動するとき、可動接触板3は第2制限部材402の方向へ滑り、可動接触板3は先に長さが比較的長い第1弾性部材701aを圧縮して弾性力を発生させ、可動接触板3と第2制限部材402との距離が短縮するにつれて、可動接触板3は一層短い第2弾性部材701bに当接押圧されて、それに弾性作用を生じさせ、これにより、弾性アセンブリ7の各弾性部材701が押圧されて徐々に弾力を発生させて、電磁アセンブリ5の電磁力の変化に適応するようにする。
【0081】
いくつかの可能な実施形態では、第2透磁シート9が可動接触板3に固定して接続され、固定方式は接着、溶接を含むが、それらに限らない。
【0082】
図1及び
図2を参照し、いくつかの可能な実施形態では、第2透磁シート9が第1弾性部材701aにより可動接触板3の表面に当接され、それにより第2透磁シート9を可動接触板3の表面に密着させる。
【0083】
図9を参照し、いくつかの可能な実施形態では、更に、圧縮ばねの中央位置がプッシュロッド4に固定され、圧縮ばねの両端が可動接触板3及び第2制限部材402のうちの少なくとも一方に当接され、又は圧縮ばねの両端が可動接触板3及び第2制限部材402といずれも隙間を維持するように設置されてもよい。
【0084】
図1及び
図2を参照し、更に、本実施例では、弾性アセンブリ7が1組設置され、弾性アセンブリ7が可動接触板3の中心位置に位置する。
【0085】
これにより、このような設置は可動接触板3の受力のバランスを取ることができ、電動反発力に抵抗するために十分な逆方向の弾性力を与えた上で、比較的少ない弾性アセンブリ7を用い、構造を簡素化し、組立工程を減少させる。
【0086】
更に、いくつかの可能な実施形態では、同一の弾性アセンブリ7において、各弾性部材701の弾性係数が同じである。
【0087】
更に、別のいくつかの可能な実施形態では、同一の弾性アセンブリ7において、各弾性部材701の弾性係数が異なる。
【0088】
最適なものとして、同一の弾性アセンブリ7において、各弾性部材701の弾性係数は弾性力を発生させた前後順位の増加につれて増大し、即ち先に弾力を発生させた弾性部材701の弾性係数が後に弾力を発生させた弾性部材701の弾性係数よりも小さく、本実施例では、第1弾性部材701aの弾性係数が第2弾性部材701bの弾性係数よりも小さく、先に圧縮された弾性部材701の弾性係数が後に圧縮された弾性部材701の弾性係数よりも小さく、つまり、先に圧縮された弾性部材701の剛性が後に圧縮された弾性部材701の剛性よりも小さいが、弾性部材701が変形過程において発生した弾力は弾性係数に関わり、そうすると、先に圧縮された弾性部材701が可動接触板3に対して比較的小さな逆方向の弾力を発生させ、後に圧縮された弾性部材701が可動接触板3に対して余分に増加した一層大きな逆方向の弾力を発生させる。
【0089】
これにより、異なる弾性部材701の弾性係数を相違に設定することにより、可動接触板3が固定接点2に当接されてから移動するとき、弾性係数が小さな弾性部材701は弾性係数が大きな弾性部材701よりも逆方向の弾性力を先に発生させ、このように、電磁アセンブリ5が初期に供給可能な比較的小さな駆動力に適応することができ、プッシュロッド4が前へ移動し続けるにつれて、逆方向の弾性力の印加に参加する弾性部材701の弾性係数は徐々に増大し、即ち一層大きな逆方向の弾性力を与え、即ちその後で電磁アセンブリ5が供給する駆動力が徐々に増大する過程に適応することができ、このような設置は電磁アセンブリ5の駆動力の変化過程に一層適合し、且つ最終的に最適な逆方向の弾性力を与えることで電動反発力を相殺して可動接点と固定接点2との接続を安定化させ、従って、電磁アセンブリ5の小体積及び低電力の設計を更に実現しやすくする。
【0090】
当然ながら、他の可能な実施形態では、後に弾力を発生させた弾性部材701の弾性係数が先に弾力を発生させた弾性部材701の弾性係数よりも小さいように更に設定されてもよい。
【0091】
当然ながら、他の可能な実施形態では、弾性アセンブリ7が少なくとも3つの弾性部材701を含むように設置される場合、弾性部材701の弾性係数は弾性作用の発生順位の増加につれて、弾性係数が増大してから減少するように設定されてもよい。
【0092】
更に、電磁アセンブリ5はコイルホルダ501、コイル502、固定鉄芯503、継鉄504及び接極子505を含み、コイル502が固定鉄芯503の外に套設され、固定鉄芯503と継鉄504とがいずれもコイルホルダ501に固定され、接極子505がプッシュロッド4に固定して接続され、コイル502に通電するとき、継鉄504及び固定鉄芯503に磁束が発生し、且つ該磁束は閉磁路を形成することで接極子505を駆動して固定鉄芯503に接近するように移動させる傾向がある。
【0093】
これにより、コイル502に通電するとき、固定鉄芯503及び継鉄504に電磁束が発生するが、磁束により形成された磁路は閉じられた傾向があり、そうすると、接極子505が鉄芯に接近する方向へ移動するように吸引し、更にプッシュロッド4を駆動して移動させ、それにより継電器における可動接点及び固定接点2が閉じられたことを実現し、接極子505が徐々に固定鉄芯503に接近する過程、即ち両者の距離が徐々に減少する過程において、コイル502が印加可能な磁性吸引力の変化曲線は
図3におけるa曲線に示され、コイル502への通電を遮断すると、電磁束が消失し、そうすると、プッシュロッド4が弾性アセンブリ7及びリセット用弾性部材6の弾性作用によってリセットする。
【0094】
本発明の実施例の実施過程及び原理については、以下の通りである。
接点が閉じられた場合、コイル502に通電して固定鉄芯503及び継鉄504に電磁束を発生させるが、磁束により形成された磁路は閉じられた傾向があり、そうすると、接極子505が鉄芯に接近する方向へ移動するように吸引し、更にプッシュロッド4を駆動して移動させて、可動接点を固定接点2に密着して閉じさせ、
可動接触板3上の可動接点及び固定接点2が閉じられた後で、電流が可動接触板3の一端の固定接点2から他端の固定接点2へ流れるとき、可動接触板3における通電電流Iの磁気効果によって、第1透磁シート8と第2透磁シート9とで形成された閉磁路において電磁気を形成し、それにより第1透磁シート8と第2透磁シート9とが互いに吸引し合うようにし、更に固定接点2に向かう方向の圧力を可動接触板3に与え、可動接触板3上の可動接点及び固定接点2が閉じられたコンパクト性を更に向上させ、大電流の衝撃を受けた場合の信頼性を向上させ、
可動接点が固定接点2に当接されて閉じられた後で、電磁アセンブリ5はプッシュロッド4がその移動方向に沿って前へ移動し続けるように駆動し続け、固定接点2が可動接点を介して可動接触板3に当接押圧され、それにより可動接触板3がプッシュロッド4の上でプッシュロッド4の移動方向と逆の方向に沿って第2制限部材402に接近する方向へ滑るようにし、即ち可動接触板3が第2制限部材402に接近する方向へ移動し、且つ順に弾性アセンブリ7の各弾性部材701を圧縮し、具体的に、
図3におけるx
1に示される位置において、可動接触板3は先に長さが比較的長い第1弾性部材701aを圧縮することにより、弾性アセンブリ7が可動接触板3に対して比較的小さな逆方向の弾性力を発生させるようにし、このとき、弾性アセンブリ7及びリセット用弾性部材6の合力は電磁アセンブリ5がプッシュロッド4に供給した前へ移動する駆動力よりも小さく、電磁アセンブリ5はこの場合にプッシュロッド4が前へ移動するように押動することができ、
電磁アセンブリ5はプッシュロッド4が前へ移動するように駆動し続ける過程において、可動接触板3は固定接点2に当接押圧されて第2制限部材402に接近する方向へ移動し続け、
図3におけるx
2に示される位置において、X=0mmになるまで、可動接触板3は徐々に長さが比較的短い第2弾性部材701bに当接押圧されることにより、第2弾性部材701bが可動接触板3に対しても逆方向の弾性力を発生させるようにし、第2弾性部材701bに発生した弾性力と第1弾性部材701aに発生した弾性力とを重ね合わせて、比較的大きな逆方向の弾性力を可動接触板3に与え、それにより可動接触板3と固定接点2との当接を維持するために安定した当接押圧力を与えることで、継電器を流れる可能性のある比較的大きな短絡電流による電動反発力に抵抗して、可動接点及び固定接点2が閉じられた安定性を維持する。
【0095】
コイル502への通電を遮断すると、電磁束が消失し、そうすると、プッシュロッド4が先に弾性アセンブリ7及びリセット用弾性部材6の共同作用によってリセットする。
【0096】
実施例2
図10を参照し、本発明は別の継電器を開示し、以上の実施例に基づいて、本実施例と以上の実施例との相違点は、
本実施例では、第1弾性部材701aと第2弾性部材701bとがいずれも引張ばねであり、第1弾性部材701aと第2弾性部材701bとがいずれも第2制限部材402と可動接触板3との間に位置し、引張ばねの一端が第1制限部材401に固定され、他端が可動接触板3に接続され、第1弾性部材701aの長さが第2弾性部材701bよりも大きく、且つそれらがいずれも固定接点2に向かう側の方向の弾性力を可動接触板3に与えることができることだけである。
【0097】
これにより、別の実施形態として、引張ばねを弾性部材701として用い、引張ばねが可動接触板3に接続され、プッシュロッド4は可動接触板3が固定接点2に当接されてから前へ移動し続ける過程において、プッシュロッド4に対して移動する可動接触板3は各弾性部材701が前後に引っ張られるように駆動し、それにより引張ばねが可動接触板3にその運動方向と逆の方向の弾性張力を与え、これにより、継電器を比較的大きな短絡電流が流れることによる電動反発力に抵抗して、可動接点が固定接点2から離脱することを回避する。
【0098】
同一の弾性アセンブリ7の弾性部材701の長さが異なるため、可動接触板3が固定接点2に当接押圧されて移動しない場合、長さが比較的短い弾性部材701は引っ張られるように維持するが、長さが比較的長い弾性部材701は緩めるように維持し、長さが比較的短い弾性部材701のみに依存して小さな弾性力を与えることで可動接触板3の重力のバランスを取って、可動接触板3の安定化を維持する。
【0099】
本発明の実施例の使用過程及び原理については、以下の通りである。
実施例1の実施過程との相違点は、可動接点が固定接点2に当接されて閉じられた後で、電磁アセンブリ5はプッシュロッド4がその移動方向に沿って前へ移動し続けるように駆動し続け、固定接点2が可動接点を介して可動接触板3に当接押圧され、それにより可動接触板3がプッシュロッド4の上でプッシュロッド4の移動方向と逆の方向に沿って滑るようにし、即ち可動接触板3が第1制限部材401から離れる方向へ移動して、順に弾性アセンブリ7の各弾性部材701を引っ張り、具体的に、
図3におけるx
1に示される位置において、可動接触板3は先に長さが比較的短い第2弾性部材701bを引っ張ることにより、該弾性部材701が可動接触板3に対して比較的小さな逆方向の弾性力を発生させるようにし、プッシュロッド4が前へ移動し続ける運動への影響が減少し、電磁アセンブリ5はプッシュロッド4が前へ移動するように駆動し続ける過程において、可動接触板3は固定接点2に当接押圧されて第2制限部材402に接近する方向へ移動し続け、
図3におけるx
2に示される位置において、X=0mmになるまで、可動接触板3は徐々に長さが比較的長い第1弾性部材701aを引っ張ることにより、第1弾性部材701aが可動接触板3に対しても逆方向の弾性力を発生させるようにし、この弾性力が前面弾性部材701に発生した弾性力と重ね合わせて、可動接触板3に比較的大きな逆方向の弾性力を与え、それにより可動接触板3と固定接点2との当接を維持するために安定した当接押圧力を与えることで、継電器を流れる可能性のある比較的大きな短絡電流による電動反発力に抵抗して、可動接点及び固定接点2が閉じられた安定性を維持することだけである。
【0100】
実施例3
本発明は別の継電器を開示し、以上の実施例に基づいて、本実施例と以上の実施例との相違点は、
本実施例では、第1弾性部材701aが引張ばねであり、第2弾性部材701bが圧縮ばねであり、第1弾性部材701aが第1制限部材401と可動接触板3との間に位置し、第2弾性部材701bが第2制限部材402と可動接触板3との間に位置し、第1弾性部材701aと第2弾性部材701bとがいずれも固定接点2に向かう側の方向の弾性力を可動接触板3に与えることができることだけである。
【0101】
これにより、更に別の実施形態として、可動接触板3が固定接点2に当接された後で、プッシュロッド4が前へ移動し続ける過程において、可動接触板3の両側に位置する第1弾性部材701a及び第2弾性部材701bが前後に固定接点2に向かう側の方向の弾力を可動接触板3に与え、具体的に、第1弾性部材701aが先に弾性張力を発生させて可動接触板3と固定接点2との当接を維持させるが、第2弾性部材701bが後に弾性圧力を発生させて、第1弾性部材701aの弾性張力と重ね合わせて、更に可動接触板3と固定接点2との当接のために当接押圧用接触力を与えてもよい。
【0102】
これにより、本実施例の解決手段を用いれば、同様に可動接触板3と固定接点2との間に当接圧力を発生させることもでき、比較的大きな短絡電流による電動反発力に抵抗して、接点が閉じられた安定性を維持することができる。
【0103】
当然ながら、第1弾性部材701aを圧縮ばねとして設置し、第1弾性部材701aを引張ばねとすることは、以上の設置方式を参照して調整することで発明の目的を実現してもよい。
【0104】
実施例4
図11~
図13を参照し、本発明は別の継電器を開示し、以上の実施例1~3のうちのいずれか1つの実施例に基づいて、本実施例と上記実施例との相違点は、
本実施例では、可動接触板3の両側に1つの案内板12がそれぞれ設置され、2つの案内板12は間隔を維持して可動接触板3が摺動する案内通路1201を形成することだけである。
【0105】
可動接触板3の両側に案内板12を設置することにより、可動接触板3が摺動する案内通路1201を形成し、それにより可動接触板3に移動ガイドを提供し、可動接触板3が横転又は水平回転する可能性を低減し、可動接点及び固定接点2が安定して閉じられ及び切断された信頼性を実現することに寄与する。
【0106】
いくつかの可能な実施形態では、案内板12がプッシュロッド4に固定される。
【0107】
他の可能な実施形態では、案内板12は固定ベース1に設置されており、固定ベース1に固定され、又は固定ベース1に対して移動可能に設置されてプッシュロッド4が動くにつれて動くことができる。
【0108】
いくつかの可能な実施形態では、プッシュロッド4の端部に固定板13が接続され、2つの案内板12が固定板13に固定され、可動接触板3が弾性部材により固定板13に接続され、可動接触板3が2つの案内板12の間に形成された案内通路1201において案内板12に接近し又はそれから離れる方向へ摺動する。
【0109】
更に、第1透磁シート8は案内板12の固定板13から離れる端に固定され、且つ可動接触板3の上表面に密着可能である。
【0110】
第2透磁シート9は可動接触板3の下方に設置されており、可動接触板3の下表面に密着可能である。
【0111】
更に、いくつかの可能な実施形態では、可動接触板3が案内通路1201から離脱することを回避するために、案内板12の固定板13から離れる側に制限板14が更に設置される。
【0112】
更に、いくつかの可能な実施形態では、弾性部材701が引張ばねとして設置される場合、引張ばねは一端が制限板14に接続され、他端が可動接触板3に接続され、弾性部材701が圧縮ばねとして設置される場合、圧縮ばねは一端が固定板13に接続され、他端が可動接触板3に接続される。
【0113】
図11~
図13に示すように、第1透磁シート8が制限板14に固定され、弾性部材701が圧縮ばねであり、圧縮ばねが第2透磁シート9を支えることにより、第2透磁シート9を可動接触板3の下表面に当接させる。
【0114】
本発明の実施例の動作原理は上記実施例と類似し、ここで詳細な説明は省略する。
【0115】
実施例5
図14を参照し、本発明は別の継電器を開示し、実施例1に基づいて、本実施例と実施例1との相違点は、
同一の弾性アセンブリ7において、各弾性部材701がその伸縮方向に沿って平行に設置されることだけである。
【0116】
これにより、十分な空間がある場合、弾性アセンブリ7の少なくとも2つの弾性部材701を独立して平行に配置するように更に設置してもよい。
【0117】
第2制限部材402が板状に設置され、弾性アセンブリ7が少なくとも2組設置され、
図14に示すように、弾性アセンブリ7が2組設置され、各弾性アセンブリ7が可動接触板3の中心に関して対称に設置される。
【0118】
実施例6
図15を参照し、本発明は別の継電器を開示し、実施例1に基づいて、本実施例と実施例1との相違点は、
図15に示すように、弾性アセンブリ7が3組設置され、各弾性アセンブリ7が可動接触板3の中心に関して対称に設置されることだけである。
【0119】
これにより、少なくとも2組の弾性アセンブリ7によってバランスを取った十分な逆方向の弾性力を可動接触板3に与える。
【0120】
実施例7
本発明は別の継電器を開示し、実施例1又は実施例2に基づいて、本実施例と実施例1又は実施例2との相違点は、
弾性アセンブリ7は第1弾性部材701a及び第2弾性部材701bを含み、第3弾性部材(図示せず)を更に含んでもよく、第1弾性部材701a、第2弾性部材701b及び第3弾性部材の長さがそれぞれL1、L2、L3であり、ただし、L1>L2>L3であることだけである。
【0121】
本実施例の動作原理は以下のとおりである。
実施例1に基づいて、実施例1との相違点は、
図3を参照し、曲線cは弾性アセンブリ7が3つの弾性部材701を用いて可動接触板3に与えた逆方向の弾性力が接極子505と固定鉄芯503との距離に従って変化する状況を示すことである。
【0122】
x0~x3区間に、弾性アセンブリ7は主に第1弾性部材701a及び第2弾性部材701bに依存して弾力を与え、0~x3の区間に、第3弾性部材が弾性作用を生じさせ、それが発生した弾性力が第1弾性部材701a及び第2弾性部材701bに発生した弾性力と重ね合わせて、共同で可動接触板3の可動接点及び固定接点2に当接押圧力を与え、更に、該弾性力曲線を電磁アセンブリ5が供給可能な駆動力に接近させ、接点の接触安定性を維持する。
【0123】
実施例8
本発明は別の継電器を開示し、実施例5に基づいて、本実施例と実施例5又は実施例2との相違点は、
弾性アセンブリ7は第1弾性部材701a及び第2弾性部材701bを含み、第3弾性部材(図示せず)を更に含んでもよく、第1弾性部材701a、第2弾性部材701b及び第3弾性部材の長さが等しく、又は等しくないことだけである。
【0124】
要するに、本発明に係る継電器は、第1透磁シート8及び第2透磁シート9が設置され、可動接触板3及び固定接点2が閉じられた後で、電流が可動接触板3を流れるとき、電流の変化につれて第1透磁シート8と第2透磁シート9との間に閉磁気回路を形成し、固定接点2及び可動接触板3の可動接点を流れる大電流による電動反発力の一部を相殺するために第1透磁シート8と第2透磁シート9との間に電磁吸引力があり、弾性アセンブリ7に設置された少なくとも2つの弾性部材701によって可動接点が固定接点2に接触した後で可動接触板3に逆方向の弾性力を与えるのであり、単一の弾性部材701を用いることに比べて、弾性アセンブリ7は電磁アセンブリ5が供給する駆動力の変化過程に適応することができ、且つ最終状態において比較的大きな逆方向の弾性力を与えることができ、電磁アセンブリ5の駆動力に対する適用性がより高く、電磁アセンブリ5はプッシュロッド4が前へ移動するように駆動し続けることに対する影響を軽減することができるだけでなく、電動反発力の可動接点及び固定接点2が閉じられたことへの影響に抵抗するために比較的強い逆方向の弾性力を与えることもでき、体積が小さく及びコイル502電力が小さいという特徴を維持する上で、継電器の動作安定性を向上させることにより実際の応用過程における需要を満たす。
【0125】
本発明の解決手段に開示される技術手段は上記実施形態に開示される技術手段に限らず、以上の技術的特徴を任意に組み合わせてなる技術案を更に含む。指摘すべきことは、当業者であれば、本発明の原理を逸脱せずに、更に種々の改良及び潤色を行うことができ、これらの改良及び潤色は本発明の保護範囲として見なされるべきである。
【符号の説明】
【0126】
1 固定ベース
101 上カバー
102 台座
2 固定接点
3 可動接触板
301 貫通溝
4 プッシュロッド
401 第1制限部材
402 第2制限部材
403 本体
404 軸被覆部
405 段付き部
5 電磁アセンブリ
501 コイルホルダ
502 コイル
503 固定鉄芯
504 継鉄
505 接極子
6 リセット用弾性部材
7 弾性アセンブリ
701 弾性部材
701a 第1弾性部材
701b 第2弾性部材
8 第1透磁シート
801 第1磁気吸引面
802 接続孔
9 第2透磁シート
901 第2磁気吸引面
902 水平端
903 垂直端
10 摺動突起
11 滑り溝
12 案内板
1201 案内通路
13 固定板
14 制限板
【国際調査報告】