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特表2024-546631燃焼後炭素回収を伴うコンバインドサイクル発電プラント蒸気インテグレーションを改善するためのシステム
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  • 特表-燃焼後炭素回収を伴うコンバインドサイクル発電プラント蒸気インテグレーションを改善するためのシステム 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-12-26
(54)【発明の名称】燃焼後炭素回収を伴うコンバインドサイクル発電プラント蒸気インテグレーションを改善するためのシステム
(51)【国際特許分類】
   F01K 17/06 20060101AFI20241219BHJP
   F01K 23/10 20060101ALI20241219BHJP
   F02C 6/18 20060101ALI20241219BHJP
   F22B 1/18 20060101ALI20241219BHJP
【FI】
F01K17/06
F01K23/10 X
F02C6/18 A
F22B1/18 E
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024532965
(86)(22)【出願日】2021-12-29
(85)【翻訳文提出日】2024-07-29
(86)【国際出願番号】 US2021065455
(87)【国際公開番号】W WO2023129149
(87)【国際公開日】2023-07-06
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】515322297
【氏名又は名称】ゼネラル エレクトリック テクノロジー ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】General Electric Technology GmbH
【住所又は居所原語表記】Brown Boveri Strasse 8, 5400 Baden, Switzerland
(74)【代理人】
【識別番号】100105588
【弁理士】
【氏名又は名称】小倉 博
(72)【発明者】
【氏名】サマック、マジェド
【テーマコード(参考)】
3G081
【Fターム(参考)】
3G081BA02
3G081BA11
3G081BC07
(57)【要約】
【課題】コンバインドサイクル(CC)発電プラントの蒸気インテグレーションを改善するためのシステムを提供する。
【解決手段】排排熱回収ボイラ(HRSG)は、ガスタービンの排ガスを受け取って蒸気タービンに排出する。二重リボイラ設備は、第1のリボイラ及び第2のリボイラを含んでおり、第1のリボイラは蒸気タービンから排出される蒸気を受け取って、蒸気から抽出した熱を、炭素回収設備で循環される溶媒の加熱に使用し、第2のリボイラは、蒸気を加熱のため第1のリボイラに送る。蒸気エジェクタは外部流を受け取って、その外部流を蒸気タービンからの蒸気と混合する。フラッシュドラムは、第1のリボイラから余剰蒸気を回収し、回収した余剰蒸気の一部をHRSGと蒸気タービンを含む蒸気サイクル設備に排出する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンバインドサイクル(CC)発電プラント(200)であって、当該CC発電プラント(200)が、
排熱回収ボイラ(HRSG)(114)及び蒸気タービン(104)を備える蒸気サイクル設備(170)であって、HRSG(114)が、ガスタービン(102)からの排ガス(112)を受け取るように配向したHRSG入口(116)及び第1の蒸気流(120)を排出するように配向した第1のHRSG出口(118)を備えている、蒸気サイクル設備(170)と、
第1のリボイラ(130)及び第2のリボイラ(134)を備える二重リボイラ設備(128)であって、第1のリボイラ(130)が第1のHRSG出口(118)と流体連通して結合しており、第1のリボイラ(130)が、蒸気タービン(104)から排出される循環流(126)を受け取って、循環流(126)から抽出した熱を、炭素回収設備(132)で循環される溶媒の加熱に用いるように構成されており、第2のリボイラ(134)が、炭素回収設備(132)からの排出液流(158)の第1の部分(156)を受け取るように配向していて、第2のリボイラ(134)が、第1の外部供給源(136)からの外部流(172)から抽出した熱を用いて第1の部分(156)を予熱し、予熱した第1の部分(156)を加熱用に第1のリボイラ(130)に送るように構成されている、二重リボイラ設備(128)と
を備える、CC発電プラント(200)。
【請求項2】
第2のリボイラ(134)が、第2のHRSG出口(138)、処理温水源及び廃熱源の1以上を含む第1の外部供給源(136)と流体連通している、請求項1に記載のCC発電プラント(200)。
【請求項3】
第1のリボイラ(130)が、炭素回収設備(132)からの排出液流(158)の第2の部分(162)を受け取るようにさらに構成されている、請求項1に記載のCC発電プラント(200)。
【請求項4】
第1のHRSG出口(118)と第1のリボイラ(130)との間で流体連通して結合した蒸気エジェクタ(148)をさらに備えており、蒸気エジェクタ(148)が、第2の外部供給源(150)の流体流を受け取って、循環流(126)と第2の外部供給源(150)の流体流とを混合するように構成されている、請求項1に記載のCC発電プラント(200)。
【請求項5】
第1のリボイラ(130)にその下流で流体連通して結合したフラッシュドラム(152)をさらに備えており、フラッシュドラム(152)が、第1のリボイラ(130)から余剰蒸気を回収して、回収した余剰蒸気を蒸気サイクル設備(170)に排出するように構成されている、請求項1に記載のCC発電プラント(200)。
【請求項6】
フラッシュドラム(152)が、第2のリボイラ(134)にその下流で流体連通して結合しており、かつ第2のリボイラ(134)から回収した余剰蒸気の一部を蒸気サイクル設備(170)に排出するように構成されている、請求項5に記載のCC発電プラント(200)。
【請求項7】
ガスタービン(102)からの炭素系排出物を回収するように構成された炭素回収設備(132)をさらに備える、請求項1に記載のCC発電プラント(200)。
【請求項8】
コンバインドサイクル(CC)発電プラント(200)の蒸気インテグレーションを改善するためのシステムであって、当該システムが、
排熱回収ボイラ(HRSG)(114)及び蒸気タービン(104)を備える蒸気サイクル設備(170)であって、HRSG(114)が、ガスタービン(102)からの排ガス(112)を受け取るように配向したHRSG入口(116)及び第1の蒸気流(120)を排出するように配向した第1のHRSG出口(118)を備えている、蒸気サイクル設備(170)と、第1のリボイラ(130)及び第2のリボイラ(134)を備える二重リボイラ設備(128)であって、第1のリボイラ(130)が第1のHRSG出口(118)と流体連通して結合しており、第1のリボイラ(130)が、蒸気タービン(104)から排出される循環流(126)を受け取って、循環流(126)から抽出した熱を、炭素回収設備(132)で循環される溶媒の加熱に用いるように構成されており、第2のリボイラ(134)が、炭素回収設備(132)からの排出液流(158)の第1の部分(156)を受け取るように配向していて、第2のリボイラ(134)が、第1の外部供給源(136)からの外部流(172)から抽出した熱を用いて第1の部分(156)を予熱し、予熱した第1の部分(156)を加熱用に第1のリボイラ(130)に送るように構成されている、二重リボイラ設備(128)と、
第1のHRSG出口(118)と第1のリボイラ(130)との間で流体連通して結合した蒸気エジェクタ(148)であって、第2の外部供給源(150)の流体流を受け取って、循環流(126)と第2の外部供給源(150)の流体流とを混合するように構成されている蒸気エジェクタ(148)と、
第1のリボイラ(130)にその下流で流体連通して結合したフラッシュドラム(152)であって、第1のリボイラ(130)から余剰蒸気を回収して、回収した余剰蒸気の一部を蒸気サイクル設備(170)に排出するように構成されているフラッシュドラム(152)と
を備える、システム。
【請求項9】
炭素回収設備(132)が、ガスタービン(102)からの炭素系排出物を回収するように構成されている、請求項8に記載のシステム。
【請求項10】
第1のリボイラ(130)が、さらに、炭素回収設備(132)からの排出液流(158)の第2の部分(162)を受け取って、第2の部分(162)を加熱するように構成されている、請求項8に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
本開示は、広義には、コンバインドサイクル発電プラントに関するものであり、具体的には、燃焼後炭素回収と共に使用される蒸気インテグレーションを改善するためのシステムに関する。
【0002】
少なくとも幾つかの公知の発電プラントでは、石炭、石油、泥炭、廃棄物、バイオ燃料、天然ガスなどの炭素及び水素含有燃料の燃焼で得られるエネルギーを発生させる。かかる燃料は、炭素及び水素の他に、酸素、水分及び/又は汚染物質を含んでいることがある。そのため、かかる燃料の燃焼は、灰、二酸化炭素(CO)、硫黄化合物(多くは「SO」と呼ばれる硫黄酸化物の形態)、窒素化合物(多くは「NO」と呼ばれる窒素酸化物の形態)、塩素、水銀その他の微量元素の形態の汚染物質を含むガス流を発生しかねない。
【0003】
少なくとも幾つかの公知の発電プラントでは、排ガス流を大気中に放出する前に、ガス流からの汚染物質の除去を促進するために回収システムが用いられることがある。例えば、ある公知の発電プラントでは、大気中への放出量を低減するため、燃焼後の二酸化炭素(CO)を回収して地下に貯留するための炭素回収システムが用いられる。しかし、炭素回収プロセスには電力が必要とされるので、炭素回収プロセスは全体的な効率が低下し、発電プラントの発電が制限されかねない。そのため、かかる発電プラントシステムの少なくとも幾つかは、発電効率の低下した状態で運転される。
【0004】
そこで、燃焼後炭素回収を伴う発電プラントシステムの蒸気インテグレーションを改善できれば望ましい。蒸気インテグレーションの改善は、蒸気タービンで生成される電力量を増加させることによって燃焼後炭素回収の使用に伴う発電プラントの発電効率減少の軽減に資する可能性がある。
【発明の概要】
【0005】
一態様では、コンバインドサイクル発電プラントを提供する。発電プラントは、排熱回収ボイラ(HRSG)及び蒸気タービンを備える蒸気サイクル設備を備える。HRSGは、ガスタービンからの排ガスを受け取るように配向したHRSG入口と、第1の蒸気流を排出するように配向した第1のHRSG出口とを含む。二重リボイラ設備は、第1のリボイラと第2のリボイラとを含む。第1のリボイラは、第1のHRSG出口に流体連通して結合していて、蒸気タービンから排出される循環流を加熱して、循環流から抽出した熱を、炭素回収設備で循環される溶媒の加熱に用いるように構成されている。第2のリボイラは、炭素回収設備からの排出液流の第1の部分を受け取るように配向し、第1の外部供給源からの外部流から抽出した熱を用いて第1の部分を予熱し、予熱した第1の部分を加熱用に第1のリボイラに送る。
【0006】
別の態様では、コンバインドサイクル発電プラントを提供する。発電プラントは、排熱回収ボイラ(HRSG)及び蒸気タービンを備える蒸気サイクル設備を備える。HRSGは、ガスタービンからの排ガスを受け取るように配向したHRSG入口と、第1の蒸気流を排出するように配向した第1のHRSG出口とを含む。二重リボイラ設備は、第1のリボイラと第2のリボイラとを含む。第1のリボイラは、第1のHRSG出口に流体連通して結合し、蒸気タービンから排出される循環流を加熱して、循環流から抽出した熱を、炭素回収設備で循環される溶媒の加熱に用いるように構成されている。第2のリボイラは、炭素回収設備からの排出液流の第1の部分を受け取るように配向し、第1の外部供給源からの外部流から抽出した熱を用いて第1の部分を予熱し、予熱した第1の部分を加熱用に第1のリボイラに送る。発電プラントは、第1のHRSG出口と第1のリボイラとの間で流体連通して結合した蒸気エジェクタも含んでおり、蒸気エジェクタは、第2の外部供給源の流体流を受け取って、循環流と第2の外部供給源の流体流とを混合するように構成されている。発電プラントは、第1のリボイラにその下流で流体連通して結合したフラッシュドラムも含んでおり、フラッシュドラムは、第1のリボイラから余剰蒸気を回収して、回収した余剰蒸気の一部を蒸気サイクル設備に排出するように構成されている。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】例示的なコンバインドサイクル発電プラントの概略図。
図2】代替的なコンバインドサイクル発電プラントの概略図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本願に記載の実施形態は、燃焼後炭素回収と併用するためのコンバインドサイクル発電プラントの蒸気インテグレーションを改善するためのシステムに関する。具体的には、本願に記載のシステムは、炭素回収プロセスの運転に付随する効率低下及び発電量低下の影響の軽減に資するため、二重リボイラ設備、蒸気エジェクタ及びフラッシュドラムを使用する。さらに具体的には、二重リボイラ設備及び蒸気エジェクタは、蒸気タービンから抽気される蒸気量を低減することによって、蒸気タービンの発電量の増大を促進する。さらに、フラッシュドラムは、炭素回収プロセスで使用した蒸気を回収して、回収した蒸気を蒸気タービンに戻すことによって、蒸気タービンの発電量の増大を促進する。
【0009】
別途記載されていない限り、本明細書において、「略」、「実質的に」及び「約」などの近似的表現は、それらで修飾された用語が、絶対的又は厳密なものではなく、当業者に自明の近似的なものにすぎないことを示す。したがって、「約」、「略」及び「実質的に」のような用語で修飾された値はその厳密な数値に限定されない。少なくとも幾つかの事例では、近似表現は、その値を測定する機器の精度に対応する。さらに、別途記載されていない限り、「第1」、「第2」などの用語は、本願では符号にすぎず、それらが付されたものに、数的、位置的又は階層的要件を課すものではない。さらに、例えば「第2」という場合、例えば「第1」以下又は「第3」以上のものの存在を必要とするものでも、排除するものでもない。
【0010】
図1は、例示的なコンバインドサイクル発電プラント100の概略説明図である。例示的な実施形態では、発電プラント100は、ガスタービン102及び蒸気タービン104を含む。ガスタービン102は、直流に連結した圧縮機セクション106、燃焼器108及びタービンセクション110を含む。運転中、燃焼器108は、圧縮機セクション106からの空気及び燃料供給源からの燃料を受け取って、燃料と空気を用いて燃料空気混合気を生じさせ、燃焼して燃焼ガスを発生させる。燃焼ガスは、タービンセクション110を流れ、タービンセクション110から排ガス流112として排出される。例示的な実施形態では、発電プラント100は、蒸気サイクル設備170も含む。蒸気サイクル設備170は、排熱回収ボイラ(HRSG)114及び蒸気タービン104を含む。幾つかの実施形態では、蒸気サイクル設備170は、凝縮器(図示せず)及び1以上の循環ポンプ(図示せず)を始めとする他の部品を含んでいてもよい。HRSG114は、ガスタービン102からの排ガス流112を受け取るように配向したHRSG入口116、第1の蒸気流120を排出するように配向した第1のHRSG出口118、及び排ガス流140を排出する第2のHRSG出口138を含む。蒸気タービン104は、第1の蒸気流120を受け取る中圧蒸気タービン122、及び中圧蒸気タービン122の下流側の低圧蒸気タービン124を含む。蒸気タービン104は循環流126を排出するが、幾つかの実施形態では、蒸気タービン104は、低圧蒸気タービン124の下流に追加の圧力蒸気タービンを含んでいてもよい。
【0011】
例示的な実施形態では、発電プラント100は、二重リボイラ設備128も含む。二重リボイラ設備128は、循環流126を受け取って、循環流126から抽出した熱を、炭素回収設備132で循環する溶媒の加熱に用いる第1のリボイラ130を含む。二重リボイラ設備128は、炭素回収設備132から排出液流158の第1の部分156を受け取って、第1の外部供給源136からの外部流172から抽出した熱を用いて第1の部分156を予熱し、予熱した第1の部分156を加熱用に第1のリボイラ130に送る第2のリボイラ134をさらに含む。外部流172は、液体であっても或いは気体であってもよい。幾つかの実施形態では、第1の部分156は、発電プラント100内部の供給源から抽出した熱を用いて予熱してもよい。第1のリボイラ130及び第2のリボイラ134は、炭素回収設備132からの排出液流158の第2の部分162を受け取って、第2の部分162を蒸気サイクル設備170に排出する。HRSG114は、排ガス流140を第2のHRSG出口138を介して炭素回収設備132に排出する。排ガス流140は、複数の排ガス及び二酸化炭素ガスを含む。炭素回収設備132は、複数の排ガスを二酸化炭素ガスから分離する。炭素回収設備132は、次いで、第1の炭素回収設備出口180を介して複数の排ガスを排出し、第2の炭素回収設備出口182を介して二酸化炭素ガスを排出する。
【0012】
使用中、二重リボイラ設備128は、蒸気タービン104から抽出される蒸気量を減少させることによって、蒸気タービン104の発電量の増大を促進する。
【0013】
図2は、コンバインドサイクル発電プラント200の別の実施形態の概略図である。代替的な実施形態では、発電プラント200は、ガスタービン102及び蒸気タービン104を含む。ガスタービン102は、直流に連結した圧縮機セクション106、燃焼器108及びタービンセクション110を含む。運転中、燃焼器108は、圧縮機セクション106からの空気及び燃料供給源からの燃料を受け取って、燃料と空気を用いて燃料空気混合気を生じさせ、燃焼して燃焼ガスを発生させる。燃焼ガスは、タービンセクション110を流れ、タービンセクション110から排ガス流112として排出される。発電プラント200は、さらに蒸気サイクル設備170を含む。蒸気サイクル設備は、排熱回収ボイラ(HRSG)114及び蒸気タービン104を含む。幾つかの実施形態では、蒸気サイクル設備170は、凝縮器(図示せず)及び1以上の循環ポンプ(図示せず)を始めとする他の部品を含んでいてもよい。HRSG114は、ガスタービン102からの排ガス流112を受け取るように配向したHRSG入口116、第1の蒸気流120を排出するように配向した第1のHRSG出口118、排ガス流140を排出する第2のHRSG出口138、及び第2の蒸気流144を排出する第3のHRSG出口142を含む。蒸気タービン104は、第2の蒸気流144を受け取る高圧蒸気タービン146、高圧蒸気タービン146の下流側で第1の蒸気流120を受け取る中圧蒸気タービン122、及び中圧蒸気タービン122の下流側の低圧蒸気タービン124を備える。蒸気タービン104は循環流126を排出する。幾つかの実施形態では、蒸気タービン104は、低圧蒸気タービン124の下流に追加の圧力蒸気タービンを含んでいてもよい。
【0014】
図2に示す代替的な実施形態は、循環流126及び第2の外部供給源150からの流体流を受け取る蒸気エジェクタ148も含んでいる。循環流126を第2の外部供給源150からの流体流と混合してから、蒸気混合物154を蒸気エジェクタ148から排出する。
【0015】
さらに、代替的な実施形態は、蒸気エジェクタ148の下流側に二重リボイラ設備128を含む。二重リボイラ設備128は、蒸気エジェクタ148から排出される蒸気混合物154を受け取って、蒸気混合物154から抽出した熱を、炭素回収設備132で循環する溶媒の加熱に用いる第1のリボイラ130を含む。二重リボイラ設備128は、炭素回収設備132から排出液流158の第1の部分156を受け取る第2のリボイラ134も含む。第2のリボイラ134は、第1の外部供給源136から受けた外部流172から抽出した熱を用いて第1の部分156を予熱し、予熱した第1の部分156を加熱用に第1のリボイラ130に流す。外部流172は、液体であっても或いは気体であってもよい。幾つかの実施形態では、第1の部分156は、発電プラント100内部の供給源から抽出した熱を用いて予熱してもよい。
【0016】
代替的な実施形態は、二重リボイラ設備128の下流側にフラッシュドラム152も含む。第1のリボイラ130及び第2のリボイラ134は、炭素回収設備132から排出液流158の第2の部分162を受け取って、第2の部分162をフラッシュドラム152に排出する。フラッシュドラム152は、回収した蒸気流164を蒸気タービン104の低圧蒸気タービン124に排出する。さらに、フラッシュドラム152は、第2の部分162を蒸気サイクル設備170に排出する。HRSG114は、排ガス流140を第2のHRSG出口138を介して炭素回収設備132に排出する。排ガス流140は、複数の排ガス及び二酸化炭素ガスを含む。炭素回収設備132は、複数の排ガスを二酸化炭素ガスから分離する。炭素回収設備132は、次いで第1の炭素回収設備出口180を介して複数の排ガスを排出し、第2の炭素回収設備出口182を介して二酸化炭素ガスを排出する。
【0017】
使用中、二重リボイラ設備128、蒸気エジェクタ148及びフラッシュドラム152は、蒸気タービン104による発電量の増大を促進する。二重リボイラ設備128及び蒸気エジェクタ148は、蒸気タービン104から抽出される蒸気の量を減少させることによって、このような発電量増大を促進する。フラッシュドラム152は、炭素回収設備132で使用された蒸気を回収し、回収した蒸気を蒸気タービン104に戻すことによって、このような発電量増大を促進する。
【0018】
本発明の追加の態様を、以下の実施態様項に示す。
[実施態様項1]
コンバインドサイクル(CC)発電プラントであって、当該CC発電プラントが、排熱回収ボイラ(HRSG)及び蒸気タービンを備える蒸気サイクル設備であって、HRSGが、ガスタービンからの排ガスを受け取るように配向したHRSG入口及び第1の蒸気流を排出するように配向した第1のHRSG出口を備えている、蒸気サイクル設備と、第1のリボイラ及び第2のリボイラを備える二重リボイラ設備であって、第1のリボイラが第1のHRSG出口と流体連通して結合しており、第1のリボイラが、蒸気タービンから排出される循環流を受け取って、循環流から抽出した熱を、炭素回収設備で循環される溶媒の加熱に用いるように構成されており、第2のリボイラが、炭素回収設備からの排出液流の第1の部分を受け取るように配向していて、第2のリボイラが、第1の外部供給源からの外部流から抽出した熱を用いて第1の部分を予熱し、予熱した第1の部分を加熱用に第1のリボイラに送るように構成されている、二重リボイラ設備とを備える、CC発電プラント。
[実施態様項2]
第2のリボイラが、第2のHRSG出口、処理温水源及び廃熱源の1以上を含む第1の外部供給源と流体連通している、実施態様項1に記載のCC発電プラント。
[実施態様項3]
第1のリボイラが、さらに、炭素回収設備からの排出液流の第2の部分を受け取るように構成されている、実施態様項1又は実施態様項2に記載のCC発電プラント。
[実施態様項4]
第1のHRSG出口と第1のリボイラとの間で流体連通して結合した蒸気エジェクタをさらに備えており、蒸気エジェクタが、第2の外部供給源の流体流を受け取って、循環流と第2の外部供給源の流体流とを混合するように構成されている、実施態様項1乃至実施態様項3のいずれか1項に記載のCC発電プラント。
[実施態様項5]
第1のリボイラにその下流で流体連通して結合したフラッシュドラムをさらに備えており、フラッシュドラムが、第1のリボイラから余剰蒸気を回収して、回収した余剰蒸気を蒸気サイクル設備に排出するように構成されている、実施態様項1乃至実施態様項4のいずれか1項に記載のCC発電プラント。
[実施態様項6]
フラッシュドラムが、第2のリボイラにその下流で流体連通して結合しており、かつ第2のリボイラから回収した余剰蒸気の一部を蒸気サイクル設備の排出に含むように構成されている、実施態様項1乃至実施態様項5のいずれか1項に記載のCC発電プラント。
[実施態様項7]
ガスタービンからの炭素系排出物を回収するように構成された炭素回収設備をさらに備える、実施態様項1乃至実施態様項6のいずれか1項に記載のCC発電プラント。
[実施態様項8]
コンバインドサイクル(CC)発電プラントの蒸気インテグレーションを改善するためのシステムであって、当該システムが、排熱回収ボイラ(HRSG)及び蒸気タービンを備える蒸気サイクル設備であって、HRSGが、ガスタービンからの排ガスを受け取るように配向したHRSG入口及び第1の蒸気流を排出するように配向した第1のHRSG出口を備えている、蒸気サイクル設備と、第1のリボイラ及び第2のリボイラを備える二重リボイラ設備であって、第1のリボイラが第1のHRSG出口と流体連通して結合しており、第1のリボイラが、蒸気タービンから排出される循環流を受け取って、循環流から抽出した熱を、炭素回収設備で循環される溶媒の加熱に用いるように構成されており、第2のリボイラが、炭素回収設備からの排出液流の第1の部分を受け取るように配向していて、第2のリボイラが、第1の外部供給源からの外部流から抽出した熱を用いて第1の部分を予熱し、予熱した第1の部分を加熱用に第1のリボイラに送るように構成されている、二重リボイラ設備と、第1のHRSG出口と第1のリボイラとの間で流体連通して結合した蒸気エジェクタであって、第2の外部供給源の流体流を受け取って、循環流と第2の外部供給源の流体流とを混合するように構成されている蒸気エジェクタと、第1のリボイラにその下流で流体連通して結合したフラッシュドラムであって、第1のリボイラから余剰蒸気を回収して、回収した余剰蒸気の一部を蒸気サイクル設備に排出するように構成されているフラッシュドラムとを備える、システム。
[実施態様項9]
炭素回収設備が、ガスタービンからの炭素系排出物を回収するように構成されている、実施態様項8に記載のシステム。
[実施態様項10]
第1のリボイラが、さらに、炭素回収設備からの排出液流の第2の部分を受け取って、第2の部分を加熱するように構成されている、実施態様項8又は実施態様項9に記載のシステム。
【0019】
技術的問題に対して本システムによって提供される技術的解決策の1以上として、(i)炭素回収プロセスの運転に付随する発電プラントシステムの効率減少の軽減、(ii)発電プラントシステムの発電量の増大、(iii)発電プラントシステムの蒸気タービンから抽出される蒸気量の低減、並びに(iv)炭素回収プロセスから回収されて発電プラントシステムの蒸気タービンに戻される蒸気量の増加が挙げられる。
【0020】
本願に記載の方法は、発電プラントシステムを用いて実施することができ、以下のステップ:a)排熱回収ボイラ(HRSG)を用いてガスタービンから排ガスを受け取るステップ、b)第1のリボイラ及び第2のリボイラを含む二重リボイラ設備を用いて、蒸気タービンから又は蒸気タービンの下流側の蒸気エジェクタから蒸気を受け取るステップ、c)二重リボイラ装置によって受け取った蒸気から抽出した熱を、炭素回収設備で循環される溶媒の加熱に用いるステップ、及びd)フラッシュドラムを用いて炭素回収設備から余剰の蒸気を回収するステップの1以上を実行することによって、技術的効果を奏することができる。
【0021】
以上の説明は、例示にすぎず、開示した本発明の技術的範囲から逸脱せずに、記載した実施形態に様々な変更をなすことができることは当業者には明らかであろう。例えば、本願に記載したプロセスステップについて、例えば、時間、温度又はサイクル間の時間間隔等を変更し得る。本発明の技術的範囲に属するその他の変更は、本開示に接した当業者には自明であり、かかる変更は特許請求の範囲の技術的範囲に属する。
【0022】
コンバインドサイクル発電プラントの例示的な実施形態について詳細に説明してきた。蒸気インテグレーションを改善する方法は、本願に記載の特定の実施形態に限定されるものではなく、本方法のステップは、本願に記載の他のステップとは独立及び別個に利用してもよい。例えば、本願に記載の方法は、本願に記載のコンバインドサイクル発電プラントでの実施に限定されない。例示的な実施形態は、その他の多くの用途に関して実施及び利用し得る。
【0023】
本発明の様々な実施形態の特定の特徴が、ある図面には記載され、他の図面には記載されていないこともあるが、これは便宜上のものにすぎない。本明細書において「幾つかの実施形態」という場合、記載された特徴を備える追加の実施形態の存在を除外するものとして解釈すべきではない。本発明の原理に則して、ある図面に記載された特徴は、他の図面に記載されたいかなる特徴との組合せとして参照及び/又は特許請求の範囲に記載することができる。
【0024】
本発明は、種々の具体的実施形態の観点から説明されているが、当業者は、本発明が特許請求の範囲の精神及び範囲内で修正して実施され得ることを認識するであろう。
【0025】
特許請求の範囲に「~ための手段」又は「~ためのステップ」等の文言が明示的に記載されている場合のように、伝統的なミーンズ・プラス・ファンクション(means-plus-function)の文言が明示的に記載されている場合を除いて、本願に添付された特許請求の範囲の解釈は米国特許法112(f)条に拠らない。
【0026】
本明細書では、本発明を最良の形態を含めて開示するとともに、装置又はシステムの製造・使用及び方法の実施を始め、当業者が本発明を実施できるようにするため、例を用いて説明してきた。本発明の特許性を有する範囲は、特許請求の範囲によって規定され、当業者に自明な他の例も包含する。かかる他の例は、特許請求の範囲と文言上の差のない部品を有しているか、或いは特許請求の範囲の文言と非本質的な差しかない均等な部品を有していれば、特許請求の範囲に記載された技術的範囲に属する。
【符号の説明】
【0027】
100 コンバインドサイクル発電プラント
102 ガスタービン
106 圧縮機セクション
108 燃焼器
110 タービンセクション
104 蒸気タービン
112 排ガス流
114 排熱回収ボイラ(HRSG)
116 HRSG入口
118 第1のHRSG出口
120 第1の蒸気流
122 中圧蒸気タービン
124 低圧蒸気タービン
126 循環流
128 二重リボイラ設備
130 第1のリボイラ
132 炭素回収設備
134 第2のリボイラ
138 第2のHRSG出口
146 高圧蒸気タービン
148 蒸気エジェクタ
152 フラッシュドラム
156 排出液流の第1の部分
158 排出液流
162 排出液流の第2の部分
170 蒸気サイクル設備
200 コンバインドサイクル発電プラント
図1
図2
【国際調査報告】