(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-12-26
(54)【発明の名称】多器具手術デバイス
(51)【国際特許分類】
A61F 9/007 20060101AFI20241219BHJP
【FI】
A61F9/007 130E
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024533029
(86)(22)【出願日】2022-11-29
(85)【翻訳文提出日】2024-06-03
(86)【国際出願番号】 IB2022061545
(87)【国際公開番号】W WO2023105346
(87)【国際公開日】2023-06-15
(32)【優先日】2021-12-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】319008904
【氏名又は名称】アルコン インコーポレイティド
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100153729
【氏名又は名称】森本 有一
(74)【代理人】
【識別番号】100211177
【氏名又は名称】赤木 啓二
(72)【発明者】
【氏名】アレクサンダー ドッペルシュタイン
(72)【発明者】
【氏名】レト グリューブラー
(57)【要約】
複数の異なる器具を収容する手術のためのデバイス。器具は、手術部位からのデバイスの係脱を必要としない仕方で、手術の過程で互いに交換又は変更され得る。その結果、患者へのデバイスの再挿入の必要性、及び手術部位に何度も往復することに伴う他の危険が最小限に抑制され得る。一実施形態では、デバイスは、手術部位において別のカニューレを使用するのを避けるために、カニューレアーキテクチャを備える。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者の手術部位における手術のための多器具デバイスであって、前記デバイスが、
管状ガイドと、
前記手術中、第1の用途を容易にするために、前記デバイスの本体から前記管状ガイドを通って伸展する第1の格納式器具と、
前記手術中、第2の用途を容易にするために、前記本体から前記管状ガイドを通って伸展する第2の格納式器具であって、前記第1の格納式器具が前記第2の格納式器具の前記伸展時に前記管状ガイドを通って格納される、第2の格納式器具と
を備える、多器具デバイス。
【請求項2】
前記格納式器具が、硝子体切除プローブ、鉗子、バックフラッシュデバイス、鋏、ソフトティップカニューレ、レーザ工具、スクレーパ、照明器具、及びジアテルミー機器からなる群から選択される、請求項1に記載の多器具デバイス。
【請求項3】
前記器具が伸展する端部とは反対側にある端部において前記本体に結合されたバックフラッシュ、ソフトティップカニューレ、及び硝子体切除術チューブのうちの1つを更に備える、請求項1に記載の多器具デバイス。
【請求項4】
前記管状ガイドが、前記手術部位においてカニューレと連結するように構成される、請求項1に記載の多器具デバイス。
【請求項5】
前記第1の器具の前記伸展を容易にする第1のアクチュエータと、前記第2の器具の前記伸展を容易にする第2のアクチュエータとを更に備える、請求項1に記載の多器具デバイス。
【請求項6】
前記アクチュエータが、外科医が前記器具を区別するために、視覚的に判別可能なインジケータを設けられる、請求項5に記載の多器具デバイス。
【請求項7】
前記視覚的に判別可能なインジケータが異なる色のものである、請求項6に記載の多器具デバイス。
【請求項8】
手術のための多器具デバイスであって、
管状ガイドと、
前記手術中、第1の用途を容易にするために、前記デバイスの本体から前記管状ガイドを通って伸展する第1の格納式器具と、
前記手術中、第2の用途を容易にするために、前記デバイスの前記本体から前記管状ガイドを通って伸展する第2の格納式器具であって、前記第1の格納式器具が前記第2の格納式器具の前記伸展時に前記管状ガイドを通って格納される、第2の格納式器具と
を備える、多器具デバイス。
【請求項9】
前記格納式器具が、硝子体切除プローブ、鉗子、バックフラッシュデバイス、ソフトティップカニューレ、鋏、レーザ工具、スクレーパ、照明器具、及びジアテルミー機器からなる群から選択される、請求項8に記載の多器具デバイス。
【請求項10】
前記器具が伸展する端部とは反対側にある端部において前記本体に結合されたソフトティップカニューレ、バックフラッシュ、及び硝子体切除術チューブのうちの1つを更に備える、請求項8に記載の多器具デバイス。
【請求項11】
患者において手術を行う方法であって、前記方法が、
多器具手術デバイスの本体から延びる管状ガイドを手術位置に係合させることと、
第1の用途のために、前記管状ガイドを通して前記手術デバイスの第1の器具を前記手術位置の内部領域に進めることと、
前記ガイドを前記手術位置に係合したままの状態で、前記手術デバイスの前記第1の器具を第2の器具と変更することと
を含む、方法。
【請求項12】
前記手術位置にカニューレを予め配置して、前記手術位置への前記ガイドの前記係合をサポートすることを更に含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記用途の際、構造支持体として前記ガイドを採用することと、前記用途の際、前記内部領域に前記ガイドを進めることとのうちの一方を更に含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記手術位置の前記係合のために前記ガイドのナイフを採用することであって、前記ガイドがカニューレアーキテクチャを備える、ことを更に含む、請求項11に記載の方法。
【請求項15】
前記多器具デバイスが、前記管状ガイドに対して前記本体の反対側から延びるチューブを備え、前記方法が、ソフトティップカニューレ用途、バックフラッシュ用途、及び硝子体切除術用途のうちの1つを容易にするために前記チューブを採用することを更に含む、請求項11に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
長年にわたって、低侵襲手術処置の分野において多くの劇的な進歩が起こってきた。それに応じて、患者の自然な損傷及び治癒時間は劇的に減少した。例えば、眼科手術の領域では、以前は接近困難であった損傷又は悪化している組織を、今や低侵襲処置により修復又は直接処置できることもある。例えば、硝子体切除とは、患者の眼から硝子体液の一部又は全部を除去することである。手術が濁った硝子体液の除去に限定されるいくつかの場合、硝子体切除が処置の大部分を占め得る。しかしながら、硝子体切除は、白内障手術、網膜修復手術、黄斑上膜又は多くの他の問題に対処する手術を伴い得る。
【0002】
眼科手術及び硝子体切除の例を見ると、硝子体液自体は透明なゲルであり、眼に予め配置されたカニューレを通して挿入された細長い針によって除去され得る。より具体的には、硝子体切除プローブは、上記のような針がツールから現れた状態で外科医によって把持位置で保持される手術ツールである。針は、硝子体液を除去するための中央チャネルを備える。更に、カニューレは、毛様体扁平部などの眼の前部のオフセットされた位置に戦略的に配置された構造的支持のための導管を提供する。このようにして、プローブ針は、患者の水晶体又は角膜への損傷を回避するように案内を介して眼内に挿入され得る。
【0003】
針は、一般に、上記のように毛様体扁平部を経る切開の位置に予め位置決めされたカニューレ及びトロカールアセンブリによって案内及び支持される。これにより、針は、手術処置を実施するために眼の内部へと確実に通過することができる。当然のことながら、硝子体切除用のプローブ針と同様に、様々な異なる手術目的のための他の様々な手術器具をカニューレ及びトロカールアセンブリを通して同様に通過させることができる。他の様々な手術器具としては、鉗子、鋏、照明器具、及び他の器具が挙げられる。
【0004】
ある手術の過程で、2つ以上の異なる種類の操作器具が必要とされ得ることは一般的である。例えば、手術をサポートするために照明器具を配置し、そのまま残した状態で、硝子体切除プローブなど、より積極的に介入する器具すなわち「操作」器具が使用され、抜去され、別のものと交換されることがある。硝子体切除術がある期間行われた後、硝子体切除プローブで適切に対処できなかった出血又は他の問題に対処するために鉗子又は鋏が使用される例を考える。このことは、かなり鋭利なプローブ又は針で眼内に様々に何度も往復することを含む。例えば、硝子体切除プローブが眼に挿入され、眼から抜去された後、上記の鉗子が別途挿入され、抜去され、また場合により更に再度硝子体切除プローブが挿入され、その後で抜去される。
【0005】
当然のことながら、眼内に入ったり出たりするたびに、患者の眼内への器具の挿入に伴う危険は増える。挿入するたびに漏出の危険にさらされ、損傷を避けるためには、外科医自身の目で、ツールの適切な位置決めの調整及び再調整を行う必要がある。外科医は、繰り返し着実に器具を運ばなければならない。器具のサイズが小さくなり続けていることを考えると、この困難は大きくなり得る。例えば、従来約23ゲージであり得た針は、約25又は27ゲージとなり得る。これは、約0.5mm(ミリメートル)をわずかに下回るサイズから約0.4mm未満のサイズまで針の直径が小さくなることを意味する。硝子体切除プローブ針は、長さが数ミリメートルであって中空である可能性があることを考慮すると、この益々細くなるゲージの器具はやや柔軟である可能性がある。眼において動作させるために寸法を定められた他の器具も同様に、小さいゲージサイズにおいてやや柔軟である。
【0006】
別の外科医、看護師、又は他の人もまた、例えば、抜去する器具を取り除くのを助けるため、又は挿入する器具を選択して手渡すために、器具の往復に関与することがあるという事実によって、眼内へと余計に往復することに起因して損傷の可能性が更に高くなる。つまり、このような他の人もまた、例えば、適切な器具を手渡すように、又は外科医との不安定な接触を避けるように、往復のたびに注意を払わなければならないということである。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
患者の手術部位においてカニューレによってサポートされ得る手術(例えば、眼科手術)のためのツールが提供される。本明細書で提供される例は眼科手術に関するものであり得るが、本ツールは、他の手術タイプ(例えば、腹部などの他の位置におけるタイプのもの)にも使用され得ることを理解されたい。本ツールは、カニューレと連結するための管状ガイドを備える。手術中、眼における第1の用途を容易にするために、本ツールの本体からカニューレを通って伸展することができる第1の格納式器具が備えられる。手術中、眼における第2の用途を容易にするために、ツール本体からカニューレを通って伸展することができる第2の格納式器具もまた備えられる。更に、第1の格納式器具は、第2の格納式器具の伸展時に管状ガイドを通って格納可能である。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】多器具眼科手術デバイスの一実施形態の側面斜視図である。
【
図2】
図1の多器具眼科手術デバイスの選択内部アーキテクチャの分解図である。
【
図3】
図1の多器具眼科手術デバイスの本体内にある
図2の選択内部アーキテクチャの側面断面図である。
【
図4】多器具オプションを提示された外科医の視点から見た多器具眼科手術デバイスの上面概略図である。
【
図5A】
図1の多器具眼科手術デバイスの第1の器具によって行われる手術処置の斜視断面図である。
【
図5B】
図1の多器具眼科手術デバイスの第2の器具によって行われる
図5Aの手術処置の斜視断面図である。
【
図6】多器具眼科手術デバイスを用いて低侵襲眼科手術を行う一実施形態を要約するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下の説明では、本開示の理解を提供するために、多数の詳細が記述される。しかしながら、説明される実施形態は、これらの特定の詳細なしに実施され得ることが当業者に理解されるであろう。更に、具体的に説明する実施形態において依然として企図される多数の変形形態又は修正形態が採用され得る。
【0010】
特定のタイプの手術器具処置を参照して実施形態を説明する。特に、硝子体切除プローブ及び様々な鉗子が様々な図面において取り上げられている。しかしながら、本明細書で詳述されるツール及び技法は、そのような器具が本明細書で具体的に言及されるか否かにかかわらず、眼科手術を更に発展させる多種多様な異なる手術器具の使用を含み得る。つまり、本明細書における実施形態は、これらの器具、又はバックフラッシュ、ソフトティップカニューレ、鋏、レーザ、スクレーパ、照明器具、若しくはジアテルミー機器などの他の記載された器具に限定されることを意味しない。
【0011】
更に、本明細書では主に硝子体切除術及び鉗子処置について論じるが、本明細書において詳述する多器具プローブ又はデバイスの実施形態は、網膜剥離、黄斑上膜、黄斑円孔、飛蚊症、糖尿病性網膜症、又は様々な他の眼の状態に対処するために用いられ得る。実際、手術処置中に患者の眼内へと往復する回数を最小限に抑制するために複数の器具の種類をサポートする手術デバイスが利用可能である限り、評価できる利点が実現され得る。
【0012】
ここで
図1を参照すると、多器具眼科手術デバイス100の一実施形態の側面斜視図が示されている。具体的には、デバイス100は、いくつかの様々な眼科手術デバイスの用途で一般的なように、外科医の手袋をはめた手175において手で保持された状態で示されている。図示の実施形態が一般のものと異なるのは、単一のデバイス100が多種多様な異なる用途をサポートし得るということである。これにより、ある眼科手術の過程で、デバイス100を別のデバイスのために取り去る必要性は最小限に抑制される。つまり、非常に鋭く薄い器具で眼550(
図5A及び
図5B参照)内に新たに往復する回数も最小限に抑制され得る。
【0013】
図示のように、外科医の親指は、所定のアクチュエータ150の押下器155に配置される。これにより、
図3を更に参照すると、外科医は、眼科手術の一部として、ある処置のために所定の器具(例えば、310)を選択し得る。図示の実施形態では、デバイス100は、選択された器具310を受け入れるための管状ガイド110が現れる本体125を備える。
【0014】
図5A及び
図5Bを更に参照すると、管状ガイド110は、眼科手術を通してずっと、又は少なくとも特定の器具交換(例えば、500及び310)の間、カニューレ530と係合したままであり得る。よって、本明細書で使用される場合、「眼内への往復回数を最小限に抑制する」などの用語は、ある器具が引き抜かれず、眼550内に進められる別の器具と交換されないことを意味するものではない。むしろ、この用語は、この器具交換が、管状ガイド110をカニューレ530と係合させたままで行われるという事実を強調するものである。よって、眼550の観点からすれば、新たな係合の必要がない。したがって、眼550の立場から見ると、ガイド110がずっと所定の位置に留まっていると仮定すると、器具の交換は、従来の意味での「新しい往復」にはならなくなり得る。
【0015】
引き続き
図1を参照すると、図示のデバイス100の実施形態は、6つの異なる器具のための6つの異なるアクチュエータ150を収容する。このことは
図4によく示されており、
図4は、外科医の視点から見たデバイス100及び手術オプションをよく示している。追加的に、図示の実施形態では、バックフラッシュチューブ160が示されており、バックフラッシュチューブ160は、専用のバックフラッシュ器具を通して、又は更には別の手術用途をサポートしているガイド110を通して送達され得るバックフラッシュ流体の使用をサポートし得る。よって、後者の場合、デバイス100は実質的に7つの異なる手術用途をサポートする。追加的に、チューブ160は、本明細書で更に詳述するように、硝子体切除術をサポートし得ることに留意されたい。
【0016】
当然のことながら、デバイス100によって収容され得る異なる用途又は器具の種類の数は、いかなる特定の数にも設定されない。数は、2から8以上に及び得る。長年にわたって器具サイズをできる限り小さくしてきたことにより、図示されている6つの器具にバックフラッシュを加えた実施形態が可能な実施形態となった。いくつかの実施形態では、本体125を外科医にとって十分に薄型なものにするため、デバイス100は意図的にいくつかの器具オプションのみに制限され得る。例えば、硝子体切除術に基づく手術計画を準備する場合、選択されるデバイス100は、硝子体切除プローブの器具に加えて、手術計画にしたがって必要となる可能性が最も高い他の器具の種類を1つ又は2つ(又は他の数)を備え得る。
【0017】
複数の器具オプションがあるデバイス100を利用することにより、眼内への往復が潜在的には1回まで減るだけでなく、単数性という他の利点も得られることに注目されたい。例えば、単一のデバイス100とは、複数の異なる器具のために製造、包装、滅菌、及び保管が単一回であることを意味する。よって、様々な領域において無駄の削減及び効率の向上が実現される。
【0018】
次に
図2を参照すると、
図1の多器具眼科手術デバイス100の選択内部アーキテクチャの分解斜視図が示されている。具体的には、2つの器具アクチュエータ150が、上記の押下器155とともに示されている。アクチュエータ150は、デバイス本体125の外側に沿って目に見える状態で案内される。一実施形態では、押下器155及びアクチュエータ150が器具の種類を示すように色分けされた状態で外部から見えることが利用されている。例えば、黄色のアクチュエータ150は硝子体切除プローブ器具との関連を示すことができ、青色のアクチュエータ150は鉗子器具との関連を示すことができる。
【0019】
図1では分からないが、選択された器具を進めるために、各アクチュエータ150に結合された駆動マンドレル230がある。
図3の断面図を更に参照すると、駆動マンドレル230は、任意の器具の延長部と考えることができる。例えば、鉗子310は、関連するアクチュエータ150を押し下げ、駆動マンドレル230が押し下げられることによって、
図3で選択される器具として示されている(
図2にも示されているように)。外科医は、独力で、指1本のみでこの作動を適切に駆動することもできる。
図3の図では、鉗子器具は鉗子310と関連する駆動マンドレル230とで作られることが分かる。
【0020】
引き続き
図2及び
図3を参照すると、駆動マンドレル230は、センターキャップ200を通って案内される。センターキャップ200は、ある器具の前進及び別の器具の協調した後退を制御する機械的な役割を果たす。追加的に、バックフラッシュチューブ160に結合された内部チューブ210が、キャップ200を通って、手術処置のためのガイド110を通して適用する流体を外科医の所望時に供給するように配置される。当然のことながら、用途が硝子体切除術である場合、チューブ160、210は硝子体の取り込みを容易にし得る。更に、デバイス100の内部アーキテクチャは、カッターの往復運動を駆動するために(例えば、駆動の動作のためにデバイス100への追加のチューブ(例えば、空気供給チューブ)/供給ライン(例えば、電気供給ライン)を使用し得る内部電気駆動又は空気圧駆動を介して)、実質的により多くの機能を備え得る。
【0021】
図3を具体的に参照すると、選択された器具310は、センターキャップ200内から現れる特定の鉗子である。センターキャップ200は、
図4に示すようないくつかの器具を同時に収容するのに十分な容積を持つプロファイルのものであることに留意されたい。最新の眼科手術器具、特にマンドレル部分230は、25又は27ゲージ(又は他のゲージ)であることがあり、このような配置に適している。しかしながら、同時に、キャップ200はまた、いくつかの実施形態では、複数の器具が同時にキャップ200の出口を占有することのない程度に下端において先細になっている。これらの線に沿って、外科医が押下器155において器具を選択すると、管状ガイド110内に既にあり得る器具を引き抜くために、自動解除がトリガされ得る。よって、新たに選択された器具がガイド110に到達する前に、以前に伸展された器具がキャップ200内に後退し得る。このようにして、複数の器具がガイド110内に詰まって動けなくなることを避けることができる。更に、新たに選択された器具が伸展すると、手術処置のために器具を安定にするための従来の自動ロックがキャップ200内でトリガされ得る。示唆されるように、このロックは、外科医が押下器155で別の選択をするまで維持され得る。
【0022】
次に
図4を参照すると、多器具眼科手術デバイス100の概略上面図が、デバイス100を利用する外科医の視点から示されている。例えば、単にデバイス100の上部を見るだけで、外科医には多くの異なる器具オプションが提示され得る。図では、6つの異なる器具が分解して示されている(例えば、310)。しかしながら、上で示したように、外科医は、異なるスライダ又はアクチュエータ150の色分けによって、実際に、器具オプションの判別可能な表示を提示され得る。外科医はそれに応じて押下器155を選択し得る。当然のことながら、色分けは必須ではない。アクチュエータ150又は他の隣接するデバイスの機能には、ラベルを付けられてもよいし、又は何らかの他の形態のインジケータが利用されてもよい。
【0023】
図4を引き続き参照すると、図示された特定の多器具デバイス100は、デバイス100を通ってガイド110(
図3参照)から中心方向に流れるバックフラッシュの適用を支持し得るバックフラッシュチューブ160による追加的な適用支持体も備えることを想起されたい。更に、図示の実施形態では、器具はサイズの異なるジョー又は鉗子ツール310である。しかしながら、鉗子310及びバックフラッシュチューブ160に加えて、器具オプションは、鋏、レーザ、スクレーパ、照明器具、ソフトティップカニューレ、ジアテルミー機器、又は更には硝子体切除プローブ500(
図5A参照)を含み得る。
【0024】
次に
図5Aを参照すると、
図1の多器具眼科手術デバイス100の第1の器具500によって行われる手術処置の斜視断面図が示されている。本実施形態では、
図1の外科医の片手175は、硝子体切除プローブ500に関連するアクチュエータ150を手動で選択している。予め配置されたカニューレ530が、強膜570においてオフセットして配置される。このようにして、より繊細な角膜590及び水晶体580が回避され得る。
【0025】
硝子体切除術において、プローブ器具500は、カニューレ530を通して予め配置されたガイド110を通して進められる。図示の実施形態では、ガイドは完全にカニューレ530を貫通して、眼550の内部に到達している。しかしながら、他の実施形態では、ガイド110は、器具のための構造支持体を提供し、眼550内への横断を回避して、カニューレ530に安定して連結する役割を果たし得る。図示の実施形態では、硝子体切除プローブ器具500は、照明器具525によって照らされた、硝子体が除去される領域575の近くに導かれる。具体的には、バックフラッシュチューブ160及び内部チューブ210を介して吸引が行われ、硝子体又は他の物質の取り込みのためにポート577が使用される(
図2も参照)。
【0026】
説明の便宜上、
図5A及び
図5Bは、外科医が使用する器具を切り替えたいと考え得る状況を示している。例えば、図示の処置において、出血又は他の損傷した組織が存在することがあり、その場合、外科医は、プローブ500での更なる取り込み前の期間、鉗子器具310を使用することを好むことがある。よって、
図5Bを具体的に参照すると、外科医は、硝子体切除プローブ500を鉗子310に切り替えるためには、適切なアクチュエータ150を押下して別の器具を選択するだけである(
図1も参照)。
【0027】
上記の器具の切り替えは、デバイス100の再配置を一切必要としないことに留意されたい。実際、一般的にそうであるように、第2の器具310も第1の器具500と同じ領域575に導かれるのである。つまり、外科医は所与の問題に対して、別の器具で対処することに決めただけである。カニューレ530を通してデバイス100を再度挿入する必要はない。よって、新しい器具310を選択するためにデバイス100の背面を短時間見た後でも、デバイス100が既に領域575を指しているため、領域575を再度見ることは外科医にとっても容易である。眼550内への余計な往復の回避はまた、外科医が同様に、硝子体及び鉗子310によって破壊されたか又は他の仕方で対処された組織の取り込みのために硝子体切除術の用途を再開することを決定するときにも回避される。
【0028】
図5A及び
図5Bの実施形態では、ガイド110はカニューレ530を通して示されている。上述のように、ガイド110は、代わりに、構造支持体を提供し、カニューレ530と連結する際に安定に静止して、処置をサポートする役割を果たすことができる。しかしながら、更に別の実施形態では、ガイド110の先端はナイフを備え、カニューレのアーキテクチャを持つことができる。よって、カニューレ530の別途の使用は、本明細書で詳述されるように、ガイド110が、任意の数の器具の送達をサポートする支持体及びカニューレの組み合わせデバイスとして振る舞うことによって、回避され得る。
【0029】
次に
図6を参照すると、多器具眼科手術デバイスを用いて低侵襲眼科手術を行う一実施形態を要約するフローチャートが示されている。615及び630に示すように、カニューレは、デバイスの管状ガイドを受けやすくするのを助けるために、眼の表面位置に予め配置されてもされなくてもよい。更に、645及び660に示すように、管状ガイドは、眼の内部領域に横断してもよいし、どちらかといえば構造支持体の役割を果たしてもよい。いずれにせよ、デバイスは、手術処置のためにガイドを通って内部領域に手術器具を更に前進させるのを助ける(675参照)。更に、690に示すように、ガイドを所定の位置にしたままの状態で、第1の器具を第2の器具に変更することもできる。実際、この種の交換は、眼からガイドを外す必要なく、同じデバイス且つ多くの異なる器具で繰り返すことができる。よって、新しい器具による新しい往復が行われるたびにデバイスが再係合することに伴う危険は回避され得る。
【0030】
前述の説明は、現在の好ましい実施形態を参照して提示されている。しかしながら、開示されているが上記で詳述されていない他の実施形態及び/又は実施形態の特徴が採用されてもよい。更に、これらの実施形態が属する技術分野及び技術の当業者は、説明された構造及び動作方法における更に他の改変形態及び変更形態が、これらの実施形態の原理及び範囲から有意に逸脱することなく実施され得ることを理解するであろう。加えて、前述の説明は、説明し、添付の図面に示す正確な構造にのみ関係するものとして読まれるべきではなく、むしろ、それらの最大限且つ最も適正な範囲を有することになる以下の特許請求の範囲と整合し、それらを支持するものとして読まれるべきである。
【国際調査報告】