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特表2024-546637眼科手術中の光変調用システム及び方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-12-26
(54)【発明の名称】眼科手術中の光変調用システム及び方法
(51)【国際特許分類】
   A61F 9/007 20060101AFI20241219BHJP
【FI】
A61F9/007 200C
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024533038
(86)(22)【出願日】2022-11-30
(85)【翻訳文提出日】2024-06-03
(86)【国際出願番号】 IB2022061616
(87)【国際公開番号】W WO2023105356
(87)【国際公開日】2023-06-15
(31)【優先権主張番号】63/265,156
(32)【優先日】2021-12-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】319008904
【氏名又は名称】アルコン インコーポレイティド
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100153729
【弁理士】
【氏名又は名称】森本 有一
(74)【代理人】
【識別番号】100211177
【弁理士】
【氏名又は名称】赤木 啓二
(72)【発明者】
【氏名】ポール アール.ハレン
(72)【発明者】
【氏名】ミハイル オフチニコフ
(57)【要約】
本開示は、一般に、眼科外科手術のための照明デバイス、システム及び方法に関する。本開示の特定の態様は、画像化システムから受信したデータに基づいて、眼腔内の組織に送達される光の量を監視及び判定する照明システムを提供する。特定の態様では、組織に送達される光の量が過剰であると判定された場合、照明システムは、送達される光に関連する少なくとも1つのパラメータを修正して、その光毒性効果を低減及び/又は排除することができる。特定の態様では、組織に送達される光の量が過剰であると判定された場合、照明システムは外科医に警告を発し、外科医は送達された光に関連付けられた少なくとも1つのパラメータの修正をトリガして、その光毒性効果を軽減及び/又は排除することができる。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
照明システムであって、
眼腔を照らすための光線を生成するように構成された光源であって、
システムコントローラとデータ通信し、前記光源を駆動して前記光線を生成するように構成された光ドライバを含む、光源を含み、
前記システムコントローラは、
実行可能な命令を含むメモリと、
前記メモリとデータ通信するプロセッサであって、前記照明システムに、
前記眼腔内の組織に送達される光の量を判定することであって、前記判定は、前記システムコントローラ及び前記光源に関連付けられた画像化システムから受信したデータに少なくとも部分的に基づいて行われる、判定することと、
前記眼腔内の前記組織に送達される前記判定された光の量に基づいて、前記光源によって生成された前記光線に関連付けられた少なくとも1つのパラメータであって、波形タイプ、パルスレート、パルス幅、及びパルス繰り返し周波数(PRF)のうちの少なくとも1つを含む少なくとも1つのパラメータを、前記光ドライバを用いて修正させることと、
を行わせる前記命令を実行するように構成されている、プロセッサと、
を含む、照明システム。
【請求項2】
前記眼腔内の前記組織に送達される前記光の量の前記判定が、前記光源に関連付けられたプローブの遠位端と前記眼腔内の前記組織との間の距離に更に基づき、前記プローブの前記遠位端は、前記システムコントローラに通信可能に結合されたセンサを含む、請求項1に記載の照明システム。
【請求項3】
前記眼腔内の前記組織に送達される前記光の量の前記判定が、前記眼腔内の前記組織に前記光が送達される持続時間に更に基づく、請求項1に記載の照明システム。
【請求項4】
前記生成された光線の前記少なくとも1つのパラメータの修正は、前記眼腔内の前記組織の光耐性に更に基づく、請求項1に記載の照明システム。
【請求項5】
前記判定された光の量が累積送達光(CDL)である、請求項1に記載の照明システム。
【請求項6】
前記判定された光の量が黄斑累積送達光(mCDL)である、請求項1に記載の照明システム。
【請求項7】
前記生成された光線の前記少なくとも1つのパラメータが、前記生成された光線のデューティサイクルを含む、請求項1に記載の照明システム。
【請求項8】
前記生成された光線の前記デューティサイクルが、方形波形に修正される、請求項7に記載の照明システム。
【請求項9】
前記生成された光線の前記デューティサイクルが、正弦波形に修正される、請求項8に記載の照明システム。
【請求項10】
前記生成された光線の前記少なくとも1つのパラメータが、前記生成された光線の総強度を含む、請求項1に記載の照明システム。
【請求項11】
前記生成された光線の前記少なくとも1つのパラメータが、約450nm~約495nm(青色波長)の前記生成された光線の光の波長の強度を含む、請求項1に記載の照明システム。
【請求項12】
前記眼腔内の組織に送達される前記光の量を判定することが光子計数を含む、請求項1に記載の照明システム。
【請求項13】
前記パルスレートが、約450nm~約495nm(青色波長)の前記生成された光線の光の波長のパルスレートを含む、請求項12に記載の照明システム。
【請求項14】
前記生成された光線の前記少なくとも1つのパラメータの修正が、前記眼腔内の色素の存在に更に基づく、請求項1に記載の照明システム。
【請求項15】
前記命令が、前記照明システムに、前記眼腔を画像化するために前記光線を受信する画像化センサのフレームレートとほぼ等しくなるように前記パルスレートを設定させるように更に実行可能である、請求項12に記載の照明システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、眼科処置中の光エネルギーに対する網膜の曝露を定量化するための自動化された方法に関する。特定の眼科外科手術は、患者の眼の硝子体腔内の網膜及び周辺組織の高倍率化及び画像化を必要とする。そのような処置の間、網膜は、主に手で操作される光パイプ/内照射器、又は他の適切な指向性光源によって放出される、明るい光によって照明される。硝子体切除術は、そのような指向性光が硝子体腔を照明するために使用される代表的な処置である。当該技術分野では理解されるように、硝子体切除術は、裂けた若しくは分離した網膜、黄斑の穴、又は罹患/損傷した眼球組織へのアクセス及び修復を容易にするために、硝子体液ゲルを正確に除去することを伴う。白内障手術及び他の眼科処置も同様に、照明及び画像化の目的で、内部及び外部からの指向性光を使用する。
【背景技術】
【0002】
網膜は、眼球の後部内面に位置する薄くて高度にデリケートなライニングであり、脳の付属器官として機能する。すなわち、網膜の感覚神経細胞、複雑な神経回路、及びシナプス結合は、入射光に応答して対応する神経インパルスを発生し、これが最終的に視神経を介して脳幹に伝達される。デリケートな網膜組織の光感受性に起因して、網膜表面に入射する指向性光エネルギーは、光毒性のリスクをもたらし、このリスクは高度に多様で要因依存的である。
【0003】
現在、眼科処置中の光出力は、ワーストケースの想定を使用するモデルに対して特徴付けられている。個々の外科医の手術用照明技術、照明技術における差、手術時間の長さには大きいばらつきがあるため、ワーストケースモデルを使用する予測が実際の光毒性のリスク又は曝露と一致することはまれである。その結果、外科医は、過剰な光毒性通知及び偽アラームによって、手術中に気が散ってしまう場合がある。
【0004】
解剖学的に、眼は、前眼部及び後眼部の2つの別個の領域に分割される。前眼部は水晶体を含み、角膜の最外層(角膜内皮)から後部水晶体嚢まで延びている。房水は、水晶体と角膜との間の空間を満たし、眼圧の維持を助ける。後眼部は、眼の水晶体嚢の裏側にある部分を含む。後眼部は前硝子体面から網膜まで延びており、網膜には硝子体の後硝子体面が直接接触している。後眼部は前眼部よりもはるかに大きい。
【0005】
後眼部は、眼の体積の3分の2を占める無色透明なゲル状の物質である硝子体を含み、眼に生まれる前から形状形態を与えている。それはコラーゲンとヒアルロン酸ナトリウムが約1%、水が99%で構成されている。硝子体の前部境界は硝子体前面であり、水晶体後嚢に接触し、一方、硝子体後面はその後部境界を形成し、網膜と接触している。硝子体は房水のように自由に流れるわけではなく、通常の解剖学的付着部位を持っている。これらの部位の1つは硝子体基部で、鋸状縁を覆う3~4mm(ミリメートル)幅の帯である。視神経乳頭、黄斑、血管アーケードも付着部位である。硝子体の主な機能は、網膜を所定の位置に保持し、眼球の完全性と形状を維持し、動きによる衝撃を吸収し、水晶体を後方で支持することである。房水とは対照的に、硝子体は継続的に置き換えられない。硝子体離水として知られるプロセスでは、硝子体のコラーゲンが破壊され、網膜剥離を引き起こす可能性がある。
【0006】
硝子体切除術やその他の硝子体網膜手術は、一般的に眼の後眼部で行われ、後眼部の多くの重篤な症状の治療に利用されている。例えば、硝子体網膜手術は、加齢性黄斑変性症(AMD)、糖尿病性網膜症(DR)、糖尿病性硝子体出血、黄斑円孔、網膜剥離、網膜上膜、サイトメガロウイルス(CMV)網膜炎、及び他の多くの眼疾患等の症状を治療するために行われる。
【0007】
眼科外科医は通常、後眼部の鮮明な拡大画像を提供する顕微鏡又はその他の観察システムを使用して網膜硝子体手術を行う。長さ約1mmのいくつかの小さな切開が毛様体扁平部の強膜に行われる。次に、外科医は、手術中に眼の圧力と形状を維持するための輸液ラインや、硝子体を切断又は切除して除去するための器具などの顕微手術器具を、切開を通して挿入する。多くの場合、小さな光ファイバを含む内照射器が眼に挿入されて照明が提供される。この照明は、キセノンランプやLED(発光ダイオード)光源などの光源によって生成され、光ファイバによって眼に運ばれる。
【0008】
このような処置中は、眼内を適切に照明することが重要である。しかし、過度の及び/又は強い照明は、網膜、特に光受容体及び網膜色素上皮(RPE)に光誘発損傷を引き起こす可能性がある。例えば、照明に使用される光の波長、光源のパワー、例えば網膜への内照射器の近接性による光の強度、及び累積送達光(CDL)は全て、網膜に対する光毒性効果に寄与する可能性がある。
【0009】
したがって、当該技術分野で必要なのは、眼科外科手術中の眼への光誘発損傷を軽減するための改良された照明システムである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本明細書に開示されるのは、眼科処置中に指向性光エネルギーに対する患者の網膜の曝露を正確に定量化するための、自動化された光毒性防止方法及びシステムである。そのような処置中の光エネルギーの毒性ポテンシャルは、網膜と光源との間の直線距離、網膜の曝露された表面領域、その領域が光エネルギーに曝露された時間の長さ、並びに光エネルギーのスペクトルコンテンツ及び強度を含む、複数の要因に基づいて広く変化する。処置中の網膜の作業画像を測定し、且つ累積エネルギースペクトル密度の点から光エネルギー分布を定量化することにより、真の光エネルギー曝露及びそれに伴う毒性リスクが外科医に与えられる。これにより、外科医又は他の担当臨床医は、網膜の照明に関して、より多くの情報に基づく決定を行うことが可能になる。本教示の利点には、ことによると光毒性の危険性警告が現れる前のより長い持続時間に対する、より高い強度の光の使用及び/又は異なるスペクトルコンテンツの光の適用の可能性を含む。いったん光毒性の危険性が示されると、いくつかの実施形態では、光源の制御設定を調整する可能性とともに、適切な警告又は通知が発出される。
【課題を解決するための手段】
【0011】
例示的な実施形態では、眼科処置中の患者の網膜の光曝露を定量化するためのシステムは、光源、カメラ、指示デバイス、及び電子制御ユニット(ECU)を含む。光源は、眼科処置中に患者の網膜を指向性光で照明し、それによって照明された網膜表面を生成するように構成されている。これが起こると、カメラは、照明された網膜表面のデジタル又はアナログ画像データを収集する。カメラと通信しているECUは、画像データを受信し、その後、網膜に入射する指向性光エネルギーの累積スペクトルエネルギー密度を計算する。次いで、ECUは、上記の指示デバイスを介して入射光エネルギー情報を表示し、それ自体が、本明細書に記載されるような複数の可能な構成を有する。別の実施形態では、ECUは、光源と通信することができ、可能性のある光毒性の評価に基づいて、光源に対する制御動作を実行するように続行することができる。
【0012】
本明細書で使用される場合、「累積エネルギースペクトル密度」という用語は、経時的に統合されて異なる波長にわたって広がる入射光のエネルギー密度、すなわち、電磁スペクトルの特定の帯域幅における光エネルギーに対する網膜の累積曝露、並びにそのような光の関連する周波数及び強度に対する曝露を指す。制御動作は、送達/入射光の累積エネルギースペクトル密度が光毒性閾値を超えていることに応じて実行され、この閾値は、ユーザ/外科医によって判定されたプリセット値であってもよく、又は較正に基づいてもよく、且つ指示デバイスを作動させることを含む。
【0013】
本明細書に記載されたECUは、網膜の照明の開始を起点として、眼科処置の過程にわたって指向性光のエネルギーレベルを統合する。言い換えれば、統合は、光源がオンにされたときにトリガされるのではなく、網膜のアクティブ照明が開始されたときに、すなわち、光エネルギーが網膜に入射すると開始する。
【0014】
ECUは、任意選択的に、上記の累積エネルギースペクトル密度を複数の異なる累積密度として判定して、より高いレベルの精度を提供することができる。一例として、ECUは、光パイプ/プローブ及びシャンデリアなどの複数の光源に基づいて、累積光エネルギーを計算することができる。別の例では、ECUは、照明された網膜表面の複数の異なる領域又はゾーンに対して累積密度を計算することができる。そのような実施形態では、ECUは、ゾーンのいずれか1つの累積エネルギースペクトル密度が光毒性閾値を超えていることに応じて制御動作を実行することができ、閾値自体は、網膜の曝露領域にわたる光感度の潜在的な差を考慮するためのいくつかのゾーン固有の閾値であってもよい。
【0015】
本明細書で企図される指示デバイスは、特定の実施形態では、表示画面を含む。ECUは、表示画面を介して、照明された網膜表面の光エネルギー分布パターン又は「ヒートマップ」を、外科医に自動的に提示する。したがって、ヒートマップは、累積エネルギースペクトル密度の分布を代表するものであり、それによって、網膜に送達された、比較的高い又は低いエネルギー濃度の位置をピンポイントで特定する。眼底画像は、そのようなヒートマップの任意の背景として使用されて、すなわち、ヒートマップをオーバーレイとして提示するか、又は眼底画像の上部に表示されて、不釣り合いに高い量の入射光エネルギーに対して曝露される領域などの、局所的な「ホットスポット」に対応するゾーンを正確に示すことができる。任意選択的なアプローチには、閾値を超える表示画像の部分に黄色のハイライトを追加するのと同様の方法で、オーバーレイの色を変更することが含まれる。
【0016】
本開示のいくつかの態様では、ECUは、光毒性閾値を超えていることに応じて、光源の制御設定を自動的に調整するように構成され得る。例えば、指向性光の波長及び/又は強度は、外科医による手動介入なしで必要に応じて修正されてもよい。そのような実施形態における制御動作は、ECUを介してリアルタイムで波長及び/又は強度を自動的に調整することを含み得る。
【0017】
眼科処置中の患者の網膜の光エネルギー曝露を定量化するための方法もまた開示される。方法の実施形態は、眼科処置中に患者の網膜を光源からの指向性光で照明し、それによって照明された網膜表面を生成することと、カメラを使用して、照明された網膜表面の画像データを収集することと、を含む。方法はまた、ECUを介してカメラから画像データを受信することと、次いで、ECUを介して、眼科処置中に網膜に入射する指向性光エネルギーの累積エネルギースペクトル密度を計算することと、を含む。累積エネルギースペクトル密度が光毒性閾値を超えていることに応じて、方法は、ECUを介して制御動作を実行することを含み、制御動作は、可能性のある光毒性を示し、制御動作は、指示デバイスを作動させることを含む。
【0018】
可能な実施形態におけるECUは、プロセッサ、プロセッサと通信して光源と通信する入力/出力(I/O)回路、指示デバイス、カメラ、及びメモリを含む。メモリには、コンピュータ読み取り可能命令が記録されており、プロセッサによる命令の実行により、ECUに、眼科処置中にカメラから収集された画像データを受信させる。収集された画像データは、照明された網膜表面を示している。命令の実行はまた、ECUに、眼科処置中に網膜に入射する指向性光エネルギーの累積エネルギースペクトル密度を計算させ、且つ累積エネルギースペクトル密度が光毒性閾値を超えていることに応じて、指示デバイスを作動させることを含む、可能性のある光毒性を示す制御動作を実行させる。閾値は、以前の手術の経験及び外科医の医学的判断に基づく、外科医が任意に設定した値であってもよい。或いは、閾値は、適切な安全閾値を定量化する較正プロセスに基づいてもよい。
【0019】
特定の実施形態によれば、照明システムが提供される。この照明システムは、眼腔を照らすための光線を生成するように構成された光源であって、システムコントローラとデータ通信し、光源を駆動して光線を生成するように構成された光ドライバを含む、光源を含み、システムコントローラは、実行可能な命令を含むメモリと、メモリとデータ通信するプロセッサであって、照明システムに、眼腔内の組織に送達される光の量を判定することであって、この判定は、システムコントローラ及び光源に関連付けられた画像化システムから受信したデータに少なくとも部分的に基づいて行われる、判定することと、眼腔内の組織に送達される判定された光の量に基づいて、光源によって生成された光線に関連付けられた少なくとも1つのパラメータを、光ドライバを用いて修正させることと、を行わせる命令を実行するように構成されている、プロセッサと、を含む。
【0020】
本開示の上述した特徴及び利点並びに他のあり得る特徴及び利点は、添付の図面と関連して考慮した場合、本開示を実行する最良の形態の以下の詳細な説明から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】代表的な眼科処置中に可能性のある光毒性又は曝露状態を防止するために、光曝露を定量化するための自動化システムを使用する手術室セットアップの概略図である。
図2図1に示される自動化システムの一実施形態の概略図である。
図3】本開示の態様による、例示的な眼底画像ベースのヒートマップの概略図である。
図4図1に示される自動化システムを使用して光エネルギー曝露を定量化するための例示的な方法を説明するフローチャートである。
図5】本開示の特定の実施形態による、眼の中に配置された例示的な照明システムを示す。
図6】本開示の特定の実施形態による、図5の照明システムなどの照明システムを使用する方法のフロー図を示す。
図7】本開示の特定の実施形態による、図5の照明システムの例示的な構成要素を示す。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本開示の前述の特徴及び他の特徴は、以下の説明及び添付の特許請求の範囲を付随する図面と併せて読めば、より十分に明らかになる。
【0023】
本開示の実施形態が本明細書で説明される。しかしながら、開示される実施形態は単なる例示であり、他の実施形態が様々な代替形態を取り得ることが理解されよう。図は、必ずしも縮尺通りに描かれてはいない。一部の特徴は、特定の構成要素の詳細を示すために誇張又は最小限にされ得る。したがって、本明細書に開示される特定の構造的及び機能的な詳細は、限定的に解釈されるべきではなく、単に、本開示を様々に採用することを当業者に教示するための代表的な基礎として解釈されるべきである。当業者であれば理解するように、図面のうちのいずれか1つを参照して示されて説明される様々な特徴を、1つ以上の他の図面に示された特徴と組み合わせて、明示的に図示又は説明されていない実施形態を作り出すことができる。図示された特徴の組み合わせは、典型的なアプリケーションのための代表的な実施形態を提供する。しかしながら、本開示の教示と一致する特徴の様々な組み合わせ及び修正が、特定の適用又は実施のために望まれることもある。
【0024】
以下の説明では、特定の用語が参照のみを目的として使用される場合があり、そのため、それらは、限定を意図するものではない。例えば、「上方」及び「下方」などの用語は、参照される図面内における方向を指す。「前部」、「後部」、「前方」、「後方」、「左」、「右」、「後部」、及び「側部」などの用語は、議論している構成要素又は要素を説明する本文及び関連図面を参照することによって明確になる、一貫しているが、任意の基準系の範囲内での構成要素又は要素の部分の向き及び/又は位置を説明するものである。更に、「第1」、「第2」、「第3」などの用語は、別々の構成要素を説明するために使用され得る。そのような用語には、具体的に上述された語、それらの派生語及び類似の意味の語を含み得る。
【0025】
図面を参照すると、同様の参照番号は同様の構成要素を指し、代表的な眼科手術室10が、図1に概略的に示されている。当業者であれば理解するように、そのような手術室10は、多軸手術ロボット12及び手術台14を備え得る。手術室10が代表的な網膜硝子体手術又は他の外科的若しくは診断的手順を実行するために使用される場合、手術ロボット12は、眼科顕微鏡16に接続され、外科医は、それを通して高倍率で患者の眼球の解剖学的構造を見ることができる。関連するハードウェア及びソフトウェアを使用して、外科医は、高倍率画像18及び92、例えば、その網膜25を見ることができ、これは、対応する高解像度医療表示画面20及び90を介して達成され得る。
【0026】
また、図1の例示的な手術室10内には、電子制御ユニット(ECU)50を含むキャビネット22が存在し、ECU 50の例示的な実施形態は、図2に示されており、以下に詳細に説明される。表示画面20と共働して示されているキャビネット22は、他の実施形態では、手術室10内の他の箇所に配置されてもよい。そのようなキャビネット22は、軽量で容易に除菌できる構造、例えば塗装されたアルミニウム又はステンレス鋼で構成することができ、これは、ECU 50を収容し、その構成ハードウェアをダスト、デブリ、及び湿気の侵入の可能性から保護するために使用される。
【0027】
本開示の範囲内では、手術室10内で行われる網膜硝子体手術処置は、網膜25の照明のための指向性タスク照明の使用を伴う。そのような光は、図2に示されるように、主に光源32によって放出され、追加の照明は、眼科顕微鏡16に取り付けられた外部ランプ17によって提供される。経時的に、多数の変動要因に基づいて、そのような光の使用は、網膜25の光感受性機能に影響を与える光毒性リスクをもたらす可能性がある。そのようなリスクを軽減するために、本開示のECU 50は、網膜25の光エネルギー曝露を自動的に定量化するように構成されており、正確に導出されたアラーム又は警告を担当外科医に送達することを最終目標としている。ECU 50はまた、以下に示されるような、任意選択的な曝露低減アクティブ制御動作を実行することができる。
【0028】
図2を参照すると、代表的な患者の眼30が、眼科処置13、この例では侵襲的な網膜硝子体手術を受けている様子が示されている。このタイプの眼科処置13の過程中、上記の光源32は、患者の眼30の硝子体腔15内に挿入される。光源32から放出される光LLは、図1の顕微鏡ランプ17からの一部の光と同様に、照明タスクに応じた所定の波長範囲内にあてはまる。光源32は、いくつかの実施形態では、光パイプ又は内照射器として具現化されてもよく、場合によっては、制御可能な強度及び/又はスペクトルコンテンツ、すなわち、電磁スペクトル内の光の特定の波長及び関連する色を伴う。例示的なアプリケーションには、外科医が視認性を改善するためにブルーライトシフトを望む場合が想定されてもよく、光源32は、場合によっては、外科医からのコマンドに応じてその出力スペクトルを調整するように構成される。限定されないが、赤色/緑色/青色(RGB)レーザ、発光ダイオード(LED)、ハロゲン電球などの様々な照明技術が、光LLを放出するために使用されてもよい。
【0029】
眼科処置13の間、外科医はまた、網膜25上又は網膜25に近接した所与の手術タスクを実行するために、硝子体腔15内に手術用ツール34を挿入する場合がある。手術用ツール34の非限定的な例示的実施形態には、鉗子、押出ハンドピース、ブレード付き硝子体切除術プローブ、ハサミ、照明付き若しくは照明なしレーザプローブ、及び/又は輸液ツールとしてのデバイスが含まれる。光源32に関して、指向性光LLは、その遠位端E1から放出され、指向性光LLは、網膜25の曝露された表面に入射して、照明された網膜表面25Iを生成する。光源32は、指向性光(矢印LL)の信頼性の高い生成及び伝達を確実にするのに適したフィルタ付き壁コンセント又は電池パック及び電力インバータなどの、付随するフィルタ付き電源(PS)37に結合される。
【0030】
眼科処置13の過程中、デジタル若しくはアナログカメラ36又は別の高解像度医療用画像化デバイスが、照明された網膜表面25Iの画像データ38を収集し、その後、収集された画像データ38をECU 50に送信して、光毒性アルゴリズム(L-TOX ALGO)70に従って処理する。アルゴリズム70によって可能になる方法は、図4に示されており、以下に詳細に説明される。指示デバイス(IND)40も同様に、ECU 50と通信しており、ECU 50からの指示制御信号(矢印CC40)に応じて作動/オンにするように構成されている。指示制御信号(矢印CC40)に応じて、且つ指示デバイス40の特定の構成に応じて、指示デバイス40は、適切な可聴、可視、及び/又は触知アラーム若しくは警告を提供することができる。
【0031】
例えば、指示デバイス40は、スピーカとして具現化されてもよく、その場合、指示制御信号(矢印CC40)は、指示デバイス40に可聴トーンを鳴らせることができる。或いは、指示デバイス40は、指示制御信号(矢印CC40)の受信により、容易に識別可能な方法で、例えば赤色光を使用して、指示デバイス40に点灯させるように、色分けされたランプを含んでもよい。いずれの実施形態でも、ECU 50はまた、指示デバイス40の一部として表示画面20及び/又は90を使用して、照明された網膜表面25I上の光エネルギー濃度又は分布パターンの直感的なグラフィカル描写を提示することができる。
【0032】
本開示の範囲内では、光毒性アラームの発生率は、上述のタイプのモデル化されたワーストケースシナリオ上で動作する従来のアプローチに対して低減される。代わりに、いくつかの実施形態におけるECU 50は、強度、波長、温度、及び/又は他の関連する出力パラメータを示す光源32からの電子フィードバック信号として、光出力データ(矢印FBL)を受信するように構成される。そのような実施形態におけるECU 50は、その後、照明された網膜表面25Iにわたる光源32からの指向性光LLの実際の分布及びエネルギースペクトル密度を定量化する。
【0033】
なおも図2を参照すると、ECU 50は、眼科処置13の間にリアルタイムでカメラ36から収集された画像データ38を受信するように構成されており、受信した収集された画像データ38は、照明された網膜表面25Iを示し、各構成画像画素に対する対応する光強度レベルを記述している。ECU 50は、眼科処置13の過程中に網膜25に入射する指向性光LLの累積エネルギースペクトル密度を推定又は計算し、ECU 50は、異なる実施形態では、デジタル画像データ38及び場合によっては光出力データ(矢印FBL)を使用してそのようにする。上記のように、本明細書で使用される「累積エネルギースペクトル密度」という用語は、電磁スペクトルの異なる波長にわたる光エネルギー密度、すなわち、光毒性リスクに関連する特定の波長範囲における光エネルギー密度を考慮する。ECU 50は、その後、1つ以上の対応する光毒性閾値に対する可能性のある光毒性を示す、適切な制御動作を実行する。
【0034】
ECU 50は、例示的な明瞭さ及び単純さのためにユニット型ボックスとして概略的に示されているが、ECU 50は、中央処理装置(CPU)又は他のプロセッサ52と、CPU 52によって読み取られ得るデータ/命令の提供時に参加する非一時的(例えば、有形)媒体をその各々が含む、十分な量のメモリ54と、を有する、1つ以上のネットワーク化デバイスを含み得る。アルゴリズム70を具現化する命令は、メモリ54に記憶され、CPU 52によって実行されて、本明細書に記載される様々な機能を実行することができ、したがって、本方法を可能にする。メモリ54は、不揮発性媒体及び揮発性媒体を含むがこれらに限定されない、多くの形態を取り得る。
【0035】
理解されるように、不揮発性媒体としては、光ディスク及び/若しくは磁気ディスク又は他の永続的なメモリを挙げることができ、揮発性媒体としては、動的ランダムアクセスメモリ(DRAM)、静的RAM(SRAM)などが挙げられ得る。これらのいずれか又は全てが、ECU 50のメインメモリを構成し得る。入力/出力(I/O)回路56は、カメラ36、光源32、指示デバイス40、並びに表示画面20及び/又は90を含む、眼科処置13の間に使用される様々な周辺デバイスへの接続及び通信を容易にするために使用され得る。局部発振器又は高速クロック、信号バッファ、フィルタなどを含むが、これらに限定されない、図示されていないが、当該技術分野では一般的な他のハードウェアがECU 50の一部として含まれ得る。
【0036】
本開示の範囲内では、ECU 50は、ソフトウェアでプログラムされ、ハードウェアで装備され、したがって、眼科処置13の持続時間にわたって網膜25に入射する指向性光LLの経時的なパワーレベルを統合するように構成される。このようにして、ECU 50は、上記の累積エネルギースペクトル密度を導出する。換言すれば、光源32がオンにされている全持続時間を考慮するのではなく、すなわち、光源32からの指向性光LLが網膜25の任意の部分を実際に照明するかどうかに関して考慮するのではなく、ECU 50は、代わりに、網膜25上の分散光LLからのスペクトルエネルギーの分布及び集中を、より意味のある期間、例えば、1分あたりのワット、1時間あたりのワットなどで評価し、場合によっては、網膜25の異なるゾーン間を識別する。
【0037】
図3を簡単に参照すると、図2の網膜25は、代表的な眼底画像42として示されている。当該技術分野では理解されるように、眼底画像は、網膜25の様々な主要構造、主に視神経板44、網膜動脈46、及びそこから派生する周辺静脈、並びに黄斑48のカラー、白黒、又はグレースケール画像である。眼底画像42は、眼科診療において遍在するため馴染みがあり、表示されるヒートマップ45の背景として使用されてもよい。そのような構成では、ECU 50は、照明された網膜表面25Iを複数の仮想ゾーンにデジタル的に分割又は他の方法で分離し、且つ複数のゾーンの各々の1つが、対応する累積エネルギースペクトル密度を有するように、累積エネルギースペクトル密度を照明された網膜表面25Iにマッピングするように構成され得る。
【0038】
そのような構成では、ECU 50は、図2の眼科処置13の間にヒートマップ45を眼底画像42上に任意選択的にオーバーレイし、この情報を、図1の表示画面20及び/又は90を介してリアルタイムで提示することができる。このように、ヒートマップ45は、一見して、図2に示される照明された網膜表面25Iにわたる累積エネルギースペクトル密度の分布又は濃度を示す情報を直感的に提供する。そのようなアプローチは、網膜25全体を等しい光感受性を有するものとして、又は図2の指向性光LLに対して等しい曝露を受けるものとして扱うことに対して、より大きいレベルの粒状性又は局所的な精度を提供する。
【0039】
図2の代表的な眼科処置13を実行する過程では、外科医は、硝子体腔15の周りで遠位端E1を移動させることが期待される場合がある。その結果、網膜25の曝露された全表面領域は、不均等に照明され、且つ網膜25に対する遠位端E1の位置/距離及び向き、並びに指向性光LLの強度及び他の毒性関連スペクトルコンテンツに大きく依存する程度で照明される可能性がある。その結果、図2の照明された網膜表面25Iのゾーンは、複雑な外科的修復を実行する際に外科医が網膜25の特定の領域に手間取るときなど、他のゾーンに対してより大きい密度又は濃度の指向性光LLを受ける場合がある。したがって、定性的な観点から、より大きい累積光エネルギー密度を受けるゾーンは、ECU 50によって局所的な「ホットスポット」であると考えられ得る。2つのそのようなゾーンは、図3では、ゾーンZ1及びZ2として概略的に表され、ゾーンZ1及びZ2は、もっぱら図示の目的のために黄斑48を挟むように示されている。
【0040】
本開示のECU 50は、空間的に、すなわち、網膜25の表面領域にわたって、及び時間的に、すなわち、曝露持続時間に関して、の両方で、パワーを統合することによって、そのような不均衡を処理するように装備されている。ECU 50は次いで、複数の異なるゾーンZ1及び/又はZ2のうちの少なくとも1つ、又は照明された網膜表面25I全体の累積エネルギースペクトル密度が、対応する光毒性閾値を超えていることに応じて、適切な制御動作を実行する。そのような閾値は、上記のように、異なる実施形態では、同じであってもゾーン固有であってもよく、ECU 50は、例えば、網膜25の組織が他よりも光に対して回復力があるゾーンにおいてより高い閾値を使用する。
【0041】
更に他の実施形態では、網膜25に入射する指向性光LLの全積算エネルギースペクトル密度が、例えば、1ミリメートル平方あたりのワット(W/mm2)単位で使用されてもよく、再び場合によっては、上記のように網膜25の異なるゾーンに対して異なる光毒性閾値が適用される。例えば、網膜25の光受容体が他よりも密に集中しているゾーンは、他のゾーンに対してより低い、対応する光毒性閾値を有してもよく、有効な「ロッドあたりのワット」又は「コーンあたりのワット」レベルの精度が、本開示の範囲内で実現可能である。そのような光毒性閾値は、術後の履歴又は他の要因に基づいて経時的に調整されて、改善された長期的な結果を提供することができる。
【0042】
ここで図4を参照すると、方法は、アルゴリズム70を具現化するコンピュータ読み取り可能命令の実行によって可能になる。すなわち、図2に示されるECU 50のメモリ(M)に記憶又は記録された命令の実行により、ECU 50のプロセッサ52及び他のハードウェアに方法を実行させることができる。したがって、明瞭化のために、以降、そのような方法を方法70と呼ぶ。
【0043】
方法70の代表的な実施形態は、眼科処置13の間に、図1の顕微鏡ランプ17からのいくつかの追加光とともに、光源32からの指向性光LLで図2の患者の網膜25を照明し、集合指向性光LLが、照明された網膜表面25Iを生成することを含む、論理ブロックB72で開始する。したがって、論理ブロックB72の実施に先行する手術ステップは、眼30内に切開を作成することと、カニューレを挿入することと、光源32を硝子体腔15内に挿入することと、を含み得る。いったん光源32の遠位端E1が硝子体腔15内に存在し、電源37によって通電されると、いくつかの実施形態では、光源32は、ECU 50への光出力データ(矢印FBL)の送信を開始する。そのような光出力データ(矢印FBL)は、ここでも、主に光源32の寄与であるが、いくつかの実施形態では、顕微鏡ランプ17によって放出される光を記述してもよい。方法70は、その後、論理ブロックB74に進む。
【0044】
図4の論理ブロックB74は、光源32から光出力データ(矢印FBL)を受信することを伴ってもよく、光出力データは、患者の網膜を照明する際に光源によって放出される指向性光の強度及びスペクトルコンテンツを記述する。論理ブロックB74はまた、カメラ36を使用して図2の画像データ38を収集することを含み、画像データ38は、場合によっては、照明された網膜表面25Iの2次元画像又は3次元画像を含む。カメラ36は、いくつかの実施形態では、図1の眼科顕微鏡16と統合されてもよく、又はカメラ36は、別々のデバイスであってもよい。収集された画像データ38はデジタル的な実施形態では画像ピクセルから形成されるため、論理ブロックB74は、例えばその強度を含む、構成画像ピクセルの各々の対応する照明レベルを記述する、付随する定量性情報を含み得る。
【0045】
論理ブロックB74の一部として、画像データ38は、適切な転送導体を介してECU 50に送信される。したがって、論理ブロックB74はまた、ECU 50を介してカメラ36から収集された画像データ38を受信することを含む。論理ブロックB72において提供される光出力データ(矢印FBL)と連動して、画像データ38は、ECU 50が、光源32からの指向性光(LL)のパワー、強度、波長、及び他の関連エネルギースペクトルコンテンツ、並びに網膜25にわたるその分布を推定することを可能にする。次に、方法70は、論理ブロックB76に進む。
【0046】
論理ブロックB76において、ECU 50は、次に、論理ブロックB72の光出力データ(矢印FBL)及び論理ブロックB74の画像データ38を使用して、網膜25に入射する指向性光LLの累積エネルギースペクトル密度を推定又は計算する。収集された画像データ38のみに基づいて行われる実施形態では、推定は、例えば、収集された画像データ38を含む画像内に存在する明るさ、色、分布、及び他の要因に基づくモデルを使用して行われてもよい。光出力データ(矢印FBL)を使用する実施形態では、例えば、光源32のパワー、光源32の広がり関数、網膜25からの光源32の距離、及び網膜組織が光LLに曝露される時間の長さの予見を用いて、より正確な結果を享受することができる。
【0047】
論理ブロックB76は、照明された網膜表面25I全体にわたって平均又は正規化されたエネルギースペクトル密度を計算することを含んでもよく、又はECU 50は、ゾーン固有の方法で複数の離散的なエネルギースペクトル密度を計算してもよい。後者のアプローチを使用する場合、例えば図3に示されているように、外科医は、網膜25の表面全体にわたる光エネルギー濃度の不均衡に気付かされる。いったんECU 50が累積エネルギースペクトル密度又はゾーン固有のエネルギースペクトル密度を計算すると、方法は、論理ブロックB78に進む。
【0048】
論理ブロックB78において、図2のECU 50は、次に、累積エネルギースペクトル密度をそれぞれの光毒性閾値と比較する。方法70は、光毒性閾値のいずれも超えていない場合、論理ブロックB72を繰り返す。方法70は、1つ以上の光毒性閾値を超えたとECU 50が判定すると、代替的に論理ブロックB80に進む。
【0049】
論理ブロックB80は、累積エネルギースペクトル密度が光毒性閾値を超えていることに応じて、ECU 50を介して制御動作を実行することを伴う。上記のように、制御動作は、可能性のある光毒性を示しており、且つ指示デバイス40を作動させることを含む。論理ブロックB80の一部として、ECU 50は、ECU 50が所与の状況において多くの可能な制御動作のうちのどれを実行すべきかを判定する際に、論理ブロックB78において所与の光毒性閾値が超えた大きさを考慮してもよい。すなわち、制御動作は、光毒性閾値の超過分と累積エネルギースペクトル密度との間の差の大きさに比例することができ、ECU 50は、場合によっては、大きさが増加するにつれて対応するアラームをエスカレートさせる。
【0050】
例示的な実施例は、図3の代表的なゾーンZ1及びZ2に対して光毒性閾値レベルを確立することを含む。眼科処置13の経過を通じて、ECU 50は、ゾーンZ1及びZ2を含む、照明された網膜表面25Iの異なる領域又はゾーンにおいて、経時的に送達される指向性光LLのパワーを自動的に統合する。ECU 50は、図1の表示画面20及び/又は90を介して、図3のヒートマップ45の色分けされたバージョンを表示することができ、これにより、外科医は、特定のゾーンが他のゾーンに対して過剰照射されているかどうかを一目で見分けることが可能になる。実施形態では、ECU 50は、ゾーンを黄色から赤色に徐々にカラーリングするなど、そのゾーンの累積エネルギースペクトル密度が増加するにつれて「よりホットな」ゾーンの色を修正することができる。所与のゾーンに対する所与の光毒性閾値を跨ぐと、ECU 50は、図2の指示デバイス40、例えば、ランプ又は可聴アラーム音を作動させることができる。
【0051】
加えて、本開示の範囲内のECU 50は、光源32の設定を自動的に調整することによって、所与の光毒性閾値レベルを超えていることに応答することができる。そのようなオプションは、外科医によって選択可能であり、又は他の実施形態において選択的にバイパス又はオーバーライドされ得る。そのような事象における代表的な制御動作は、図2の電源37からのパワーレベルを調整して光源32のパワーを下げること、並びに/又は眼科処置13の過程中に光源32によって放出される指向性光LLの波長及び/若しくは強度を変更することを含み得る。後者の制御動作は、紫外光/紫色光/青色光のコンテンツを低減するようにそのスペクトルコンテンツを変更することを包含することができ、それによって、細部が少なくなるという潜在的な犠牲は伴うものの、眼にとってより安全なエネルギーを作成する。
【0052】
図1及び図2のECU 50、図3の直感的なヒートマップ45、及び図4に示されるアルゴリズム70を使用することにより、図2に示される眼科処置13を実行する外科医は、より現実的且つ局所的な方法で、説明した光源32から網膜25上に入射光LLを方向付けることに伴う光毒性リスクを気付かされる。光毒性アラームは、所与のエネルギースペクトル密度固有の閾値を超えない限り、またそれを超えるまではトリガされないため、本アプローチは、従来のワーストケースモデル化シナリオに対して、偽アラームの数を減少させるのに役立つはずである。
【0053】
更に、偽アラームの割合を低減することにより、外科医に向上した信頼レベルを提供する。眼科処置13を実行する過程で鳴るアラームは、言い換えれば、真のアラームである可能性が非常に高く、その結果、何の動作もなしで黙殺又は無視される可能性は低くなる。実施形態は、スタンドアローンであってもよく、すなわち、ECU 50及びその付随するロジックが、既存の眼科顕微鏡16、カメラ36、及び光源32とともに使用されてもよい。或いは、図4の方法70を実行する際のECU 50のプログラムされた機能がシームレスであるように、説明したハードウェアのいずれか又は全てを統合することができる。
【0054】
本明細書に記載されるように、構成要素の遠位端、遠位セグメント、又は遠位部は、その構成要素の使用中に患者の身体により近い端部、セグメント、又は部分を指すことに留意されたい。一方、構成要素の近位端、近位セグメント、又は近位部は、患者の身体からより遠く離れた端部、セグメント、又は部分を指す。
【0055】
本明細書に記載されるデバイス及びシステムは、眼科外科的デバイス及びシステムを参照して一般的に記載されるが、本出願の範囲から逸脱することなく、他の手術用のデバイス及びシステムなどの、他のデバイス及びシステムと共に実装され得る。
【0056】
本明細書で使用される場合、「約」という用語は、公称値からの+/-10%の変動を指し得る。このような変動は、本明細書で提供されるいずれの値にも含まれ得ることを理解されたい。
【0057】
本開示は、概して、外科手術のための照明デバイス及びシステムに関し、より具体的には、眼科外科手術のための内照射デバイスとシステム並びに関連する使用方法に関する。硝子体網膜手術では、網膜剥離やその他の合併症による視力の回復を容易にするために、光ファイバ照明器を使用して後眼部を照らすことがある。しかし、送達される累積光量(例えば、ルーメン)、照明持続時間(例えば、硝子体網膜手術は通常20~120分間続く)、及び照明器の遠位端が網膜に非常に近いことによる光の強度(例えば、硝子体網膜手術では平均6mm)は、網膜内の光受容体に損傷を与える可能性がある。更に、従来の眼科用照明システムで利用されることのある青色光スペクトルは、他の波長の可視光スペクトルよりも光受容体にダメージを与えることが十分に文書化されている。したがって、本開示の態様は、硝子体網膜手術及び他の眼科処置中の網膜への光誘発損傷を排除するか、又は少なくとも軽減するための改良された照明システムを提供する。
【0058】
本開示の特定の態様は、光源の光ドライバとデータ通信するコントローラを含む照明システムを提供する。眼科処置(例えば、硝子体網膜手術)中に光源によって光線が生成され、眼内に伝播される間に、コントローラは、コントローラに関連付けられた画像化システムから受信したデータに基づいて、眼腔内の組織(例えば、網膜)に送達される光の量を判定(すなわち、定量化)するように構成され得る。特定の態様では、コントローラが組織に送達される光の量が過剰であると判定した場合、コントローラは、光ドライバを介して、光源によって生成される光線に関連付けられた少なくとも1つのパラメータを自動的に修正することができる。特定の態様では、コントローラが、組織に送達される光の量が過剰であると判定した場合、コントローラは、光源によって生成される光線に関連付けられた少なくとも1つのパラメータの修正を外科医がトリガできるように、組織に送達される光の量が過剰であることを外科医に警告することができる。いくつかの実施形態では、コントローラは、光源によって生成された光線に関連付けられた少なくとも1つのパラメータの修正を自動的にトリガすることができる。少なくとも1つのパラメータの例には、光線の全て又は特定の波長のデューティサイクル、パルスレート、強度などが含まれる。光線を修正することで、組織に対する光線の光毒性効果を軽減し、したがって患者の眼への損傷のリスクを軽減し、眼科処置の安全性を向上させることができる。
【0059】
図5は、本開示の特定の実施形態による、眼科外科手術中に眼150の眼腔を照らすための例示的な照明システム100を示す。照明システム100は、一般に、光源(例:光エンジン)110、光ドライバ120、及びコントローラ130を含む。光源110は、硝子体網膜手術などの眼科外科手術に適した任意のタイプの照明光源を含む。したがって、光源110は、図5において光線114として示される適切な照明光を生成するように構成することができ、これは、網膜152を含む眼150の後眼部を照明するためのものである。特定の実施形態では、光源110は、赤緑青(RGB)LED光源又はスーパールミネセントダイオード(SLED)光源などの発光ダイオード(LED)ベースの光源である。しかしながら、キセノン又はハロゲンベースの光源、UV(紫外線)光源、白色光源などの他のタイプの光源も更に企図される。特定の実施形態では、光源110は、手術用コンソール内の照明モジュールの一部であり、他の実施形態では、光源110は独立した光エンジンである。更に他の実施形態では、光源110は、内照射器102のハンドピース104などの内照射器のハンドピース内に配置されており、これについては以下で更に詳しく説明する。例えば、特定の実施形態では、ハンドピース104は、ハンドピース104のハウジング又は構造内に光源110を収容する。
【0060】
図5に示すように、光源110には更に、光源110及び/又は光ドライバ120とデータ通信しているコントローラ130から受信した入力(例えば、制御信号)に従って、光源110を駆動して光線114を生成する光ドライバ120が含まれる。例えば、光ドライバ120には、光源110の電力変換、負荷、調整、及び下流の保護を提供する電子電力調整デバイスが含まれてもよい。光源110の構成要素として描かれているが、特定の実施形態では、光ドライバ120は、光源110とは別個の又は異なるデバイス又は構成要素であってもよい。特定の実施形態では、光ドライバ120は、コントローラ130から受信した制御信号に従って、光源110を駆動して光線114を生成し、その後、光線114を変調又は修正するように構成される。変調され得る光線114の例示的なパラメータには、光源110によって生成される光線114の全て又は特定の波長の強度、波形、周波数、パルスレート、パルス繰り返し周波数(PRF)などが含まれる。眼科外科手術中の光線114の1つ以上のパラメータの変調は、眼150に送達される累積光量の低減及び/又は光線114の有害なスペクトルの最小化を促進し、それによって光によって誘発される眼150、特に網膜152の損傷のリスクを低減することができる。
【0061】
コントローラ130は、眼150、その組織(例えば、網膜152)、又はその組織の領域(例えば、網膜152の黄斑)に送達される光の量を、そのような光の量が適切であるかどうかを判定する(例えば、定量化する)ように、更に、光ドライバ120に、そのような光の量が過剰であるかどうかの判定に応答するものであり得る、光源110を駆動するための1つ以上のタスクを実行させるように、構成されている。特定の実施形態では、コントローラ130は観察デバイス140とデータ通信する。特定の実施形態では、観察デバイス140は、眼150の眼腔の拡大されたデジタル的に最適化された観察を提供するように構成されている。本開示で利用できる適切な観察デバイス140の例には、テキサス州フォートワースのAlcon社から入手可能なNGENUITY(登録商標)3D視覚化システムなどの3次元(3D)デジタル観察システムが含まれる。特定の実施形態では、観察デバイス140には、眼150内で放射される光線114を検出するために画像プロセッサとデータ通信する画像化センサ142が含まれる。適切な画像化センサの例としては、電荷結合素子(CCD)センサや、相補型金属酸化膜半導体(CMOS)センサなどのアクティブピクセルセンサ(APS)などがある。したがって、コントローラ130は、観察デバイス140から放射された光線114に関連付けられた画像化データを連続的又は定期的に受信し、その画像化データを利用して、眼150に送達される光の量、及びそのような光の量が過剰であるかどうかを判定することができる。例えば、コントローラ130は、人工知能プロセスを介して画像化データを分析することができる。
【0062】
特定の実施形態では、図5に示すように、内照射器102は、上述の画像化センサ142と同様の画像化センサ144を含むことができる。このような実施形態では、眼150に送達される光の量、及びそのような光の量が過剰であるかどうかを判定するために、画像化センサ142に加えて、又はそれに代えて、コントローラ130によって画像化データが画像化センサ144から受信されてもよい。
【0063】
特定の実施形態では、眼150に送達される光の量が過剰であると判定すると、コントローラ130は、ユーザ、例えば眼外科医に警告を発し、眼150に送達される光の量が過剰であることを忠告するように構成され得る。特定の実施形態では、警告には、光源110に関連付けられ、光線114の所望の修正されたパラメータに対応する所定の設定に従って、光線114の光毒性を低減するために光線114の1つ以上のパラメータを修正するための多数の所定のオプションが含まれ得るか、又は伴い得る。警告は、可聴警告、視覚警告、及び/又は触覚警告の形式をとることができる。例えば、特定の実施形態では、警告は、観察デバイス140、コントローラ130、又は手術用コンソールに関連付けられた表示デバイス、又は外科医が装着するヘッドマウントディスプレイ又はホログラフィックゴーグルなどの、外科医が見るための表示デバイスに表示され得る。特定の実施形態では、警告には、手術用コンソールから発せられる可聴警告が含まれ得る。警告に基づいて、外科医は次にコントローラ130をトリガし(例えば、フットペダル、画面上のボタン又はアナログボタンの押下などによる)、光ドライバ120に、例えば光源110に関連付けられた1つ以上の設定に従って、光線114の1つ以上のパラメータを修正させることができる。1つ以上の設定は、事前に決定(定義又はプリセットなど)されてもよく、及び/又は供給される光の量が過剰であると判定される状況に固有のものであってもよい。特定の実施形態では、光線114の修正されたパラメータは、光線114の光毒性が低減された状態に対応し、外科医には視覚的に認識できないほどであり得る。
【0064】
特定の他の実施形態では、眼150に送達される光の量が過剰であると判定されると、コントローラ130は、例えば所定の設定に従って、光源110によって生成される光線114の1つ以上のパラメータを光ドライバ120が修正するように自動的に構成されてもよい。したがって、このような実施形態では、外科医からの入力は必要なく、光線114の変化は外科医にとって視覚的に認識できないほどであり得る。
【0065】
特定の実施形態では、コントローラ130は、硝子体網膜手術用コンソールなどの手術用コンソール内に統合され、コントローラ130は、手術用コンソール内に統合された1つ以上のプロセッサ及び/又はメモリデバイスを含むか、又はそれらを指す。特定の他の実施形態では、コントローラ130は、例えば、手術用コンソール、光源110、及び/又は光ドライバ120、及び手術環境内の他のデバイスと無線又は有線通信するスタンドアローンのデバイス又はモジュールである。特定の実施形態では、コントローラ130は、手術用コンソールに関連付けられたプロセッサが実行するように構成された一組のソフトウェア命令を指す。特定の態様では、コントローラ130の動作は、部分的にはコントローラ130及び/又は手術用コンソールに関連付けられたプロセッサによって実行され、部分的にはパブリッククラウド又はプライベートクラウドで実行されてもよい。
【0066】
図5には、眼150に挿入された内照射器102も示されており、これは、照明システム100とともに利用されて、光源110によって生成された光を眼150に導くことができる。内照射器102には、シャフト又は「チューブ」106の近位端に結合されたハンドピース104が含まれる。ハンドピース104は、外科医に内照射器102の掴める部分を提供し、眼150内のチューブ106の深さと位置を操作する、そして放出された光線114を方向付ける手段を容易にするように構成されている。チューブ106は、実質的に中空の金属合金シャフト(例えば、ステンレス鋼又はニチノール)又は皮下チューブであり、強膜切開109又は眼150の強膜を通した小さな切開部を通して配置された挿入カニューレ108を介して眼150に挿入されるように構成されている。
【0067】
特定の実施形態では、チューブ106はハンドピース104に固定的に結合されており、外科医はハンドピース104を回転させることによってチューブ106を回転させ、例えば網膜152上への光線114の入射を調整することができる。特定の他の実施形態では、チューブ106はハンドピース104に対して回転可能である。図5のチューブ106はまっすぐなシャフトとして示されているが、他の実施形態では、他の形態を有するチューブ106が含まれる。例えば、チューブ106の全体又は一部を湾曲させて、まっすぐなチューブ106では照明しにくい眼の領域に光を供給することができる。このような実施形態では、チューブ106の湾曲部分は、ニチノールなどの超弾性合金又は形状記憶合金で形成されてもよい。特定の実施形態では、内照射器102及びその構成要素は、眼科手術で使用するための器具キットである。
【0068】
内照射器102は、光源110によって生成された光線114を、光ケーブル112を介して内照射器102に送り込み、チューブ106の遠位端から排出する1本以上の光ファイバを収容するように更に構成されている。特に、チューブ106の中空部分は、光ファイバを収納するように構成された内部区画を含む。光ファイバは、光ファイバアレイ(例えば、規則的な線形配列又は2次元パターン配列の複数の光ファイバ)及び/又はシングルコア若しくはマルチコア光ファイバ(例えば、複数のコアを有するシングルモード(SM)又はマルチモード(MM)ファイバ)を含み得る。一般に、光ファイバには、光の伝送に適したあらゆるタイプのファイバが含まれ得る。
【0069】
図6は、本開示の特定の実施形態による、図5の照明システム100などの照明システムを使用する方法200のフロー図を示す。方法200は、眼科外科手術中に利用して、従来の照明システムが過剰な光を提供することによって生じる可能性のある、眼、特に網膜への光誘発損傷を軽減することができる。
【0070】
方法200は動作210から始まり、ここで照明光が生成され、例えば観察デバイス140で眼150を観察するために眼150の眼腔に伝播される。210では、コントローラ130が制御信号を光ドライバ120に送信し、これにより光ドライバ120が光源110を駆動して光線114を生成する。次に、光線114は、光源110に光学的に結合され、例えば眼150に挿入された内照射器102を通って延びる、1つ以上の光ファイバを介して眼150に伝播され得る。
【0071】
動作210と同時に実行され得る220において、コントローラ130は、眼150、眼150の組織(例えば、網膜152)、又は眼150の組織の領域(例えば、網膜152の黄斑)に送達される光の量を判定する。特定の実施形態では、コントローラ130は、例えば内照射器102から放射される光線114を連続的又は定期的に監視して、眼150に送達される光の量を判定することができる。特定の実施形態では、コントローラ130は、例えば網膜152から反射された光線114を継続的又は定期的に監視して、眼150に送達される光の量を判定することができる。例えば、特定の実施形態では、コントローラ130は、観察デバイス140の画像化センサ142及び/又は内照射器102の遠位端に配置された画像化センサ144とデータ通信することができ、その両方が、眼150に送達される光の量を判定するために、放出又は反射された光線114に関連する画像化データをコントローラ130に提供することができる。光線114がパルス光線である実施形態では、画像化センサ142及び/又は144は、眼150の画像捕捉を容易にするために、光線114のパルスレートに等しくなるように設定されたフレームレートを有してもよく、又はその逆であってもよい。パルス光線114のパルスレートを画像化センサ142のフレームレートと調整することにより、画像化センサ142及び/又は144は光線114のパルス中にのみ眼150の画像を捕捉するため、連続照明光を利用する場合と比較して、眼150に送達される光の総量を、ユーザの視覚では知覚できない程度に低減することができる。
【0072】
特定の実施形態では、コントローラ130は、220で累積送達光(CDL)を判定する。特定の他の実施形態では、コントローラ130は、220で黄斑累積送達光(mCDL)を判定する。特定の実施形態では、眼150に送達される光の量は、内照射器102によって発せられる光線114の強度(例えば、ある持続時間にわたって)、及び/又は例えば画像化センサ142及び/又は画像化センサ144に(例えば、一定期間にわたって)反射されて戻ってくる光線114の強度に基づいて判定される。例えば、そのような実施形態では、ある持続時間にわたって画像化センサ142及び/又は画像化センサ144によって捕捉された信号の強度は、内照射器102によって眼150に放射されるか、又は眼150によって反射されて画像化センサ142及び/又は画像化センサ144に戻ってくる光線114に関連付けることができるものであり、眼150に送達される光の量を判定するために利用され得る。更なる実施形態では、眼150に送達される光の量は、光子計数を利用して判定される。特定の実施形態では、光強度は、光の伝達距離が増加するにつれて減少するため、コントローラ130は、内照射器102の遠位端から、例えば網膜152若しくは黄斑などの網膜152の領域までの距離、又は、網膜152から例えば画像化センサ144までの距離を更に考慮することができる。したがって、光線114が眼150内で移動する距離は、眼150に伝達される光の量の判定に更に役立ち得る。特定の実施形態では、判定は、眼150の眼腔内の色素の存在に基づいて更に行われ、これは、クロモ硝子体切除術などの特定の眼科外科手術中に利用されて、眼組織及び解剖学的平面の視覚化を支援することができる。このような実施形態では、色素は、眼150に送達される光の量を遮断及び/又は減少させる可能性がある。
【0073】
230において、眼150に送達される光の量を判定すると、コントローラ130は、その量が過剰であるかどうか(例えば、そこから光誘発損傷が生じる可能性が高いかどうか)を判定する。このような判定は人工知能プロセスに基づくことができ、いくつかの要因を考慮することができる。例えば、特定の実施形態では、230での判定は、例えば網膜152又は黄斑などの網膜152の領域の光耐性を考慮する。
【0074】
230において、コントローラ130が、眼150に送達される光の量が過剰ではないと判定した場合、コントローラ130は、動作220及び230を繰り返し、送達される光の量を監視し続け得る。しかしながら、コントローラ130が、眼150に送達される光の量が過剰であると判定した場合、特定の実施形態では、240で、コントローラは、外科医に警告を発して、眼150に送達される光の量が過剰であることを忠告することができる。上で説明したように、警告は、可聴警告、視覚警告、及び/又は触覚警告の形態であってもよい。特定の実施形態では、警告は、観察デバイス140に関連付けられた表示デバイス、手術用コンソール(例えば、3D有機発光ダイオード(OLED)表示デバイス)、又は外科医が装着するヘッドマウントディスプレイやホログラフィックゴーグルなどの手術環境内の表示デバイスに表示される視覚的な警告である。特定の実施形態では、警告は、手術用コンソール又は類似のデバイスによって鳴らされる可聴警告であり、視覚警告の代わりとなるか、又は視覚警告に加えることができる。特定の実施形態では、警告は、眼150に送達される光の判定された量を外科医に提供し、及び/又は光源110に関連付けられた所定の設定に従って、光線114の光毒性を低減するために光線114の1つ以上のパラメータを修正するための所定のオプションを外科医に提供することができる。次に、外科医は、光源110の設定の自身の選択に基づいて、又は警告で提供される所定のオプションの1つを選択することによって(例えば、フットペダルを介して、画面上のボタン又はアナログボタンを押して)、コントローラ104をトリガして、光ドライバ120に、光源110に関連付けられた1つ以上の設定に従って光線114の1つ以上のパラメータを修正させ、光線114の光毒性を低減することができる(例えば、光線114をより限定された波形に切り替える)。
【0075】
外科医に警告する代わりに、又はそれに加えて、240で、眼150に送達される光の量が過剰であるとコントローラ130が判定した場合、コントローラ130は、光ドライバ120に、光源110によって生成される光線114の1つ以上のパラメータを、光源110の所定の設定に従って自動的に修正させてもよい。このような実施形態では、外科医からの入力は必要なく、これにより、光源110の設定を調整するために外科医が処置を一時停止する必要があるなど、眼科外科手術中の処置の非効率が低減され得る。
【0076】
光毒性を低減するために外科医又はコントローラ130によって修正され得る光線114の1つ以上のパラメータは、光線114の全て又は特定の可視波長のパラメータを含み得る。例えば、特定の実施形態では、修正される1つ以上のパラメータには、光線114の全ての可視波長に対するそのようなパラメータが含まれる。しかし、他の実施形態では、修正される1つ以上のパラメータは、特定の可視波長、例えば約450nm(ナノメートル)~約495nmの青色波長などのより有害な波長に対するパラメータのみを含む。更に他の実施形態では、異なる波長の光の1つ以上のパラメータを差動的に変調することができる。例えば、このような実施形態では、有害な青色光は、光線114の可視光スペクトルの残りの部分よりも制限された方法で変調され得る。
【0077】
光線114の1つ以上のパラメータには、光線114の全て又は特定の可視波長の波形タイプ、デューティサイクル、パルスレート、パルス幅、強度などが含まれる。例えば、特定の実施形態では、光線114の全て又は特定の可視波長の波形タイプは、正弦波形、三角波形、方形波形などの間で修正されてもよい。特定の実施形態では、光線114の全ての可視波長の総強度が低減されてもよい。特定の他の実施形態では、特定の可視波長、例えば約450nmから約495nmの間の青色波長のみの強度を低下させることができる。特定の実施形態では、光線114の全ての可視波長のパルスレートが修正されてもよい。特定の他の実施形態では、青色波長のみのパルスレートが修正される。光線114のパルスレートが修正される実施形態では、パルスレートは、例えば画像化センサ142及び/又は144のフレームレートと等しくなるように設定することができ、それにより、照明された眼150の妨げられない画像捕捉を可能にすると同時にそこに送達される光の量を低減することができる。したがって、光線114の修正は、例えば観察デバイス140上で眼150を見るとき、外科医にとって視覚的に知覚できない可能性がある。
【0078】
図7は、図5に示す照明システム100の構成要素が、眼科外科手術中に使用される他のデバイスとともにどのように通信し、相互に動作するかを示す例示的な図である。図に示すように、照明システム100には、コントローラ130、光源110、及び光ドライバ120が含まれるが、これらに限定されるわけではなく、これらは手術用コンソール302と統合されてもよい。コントローラ130には、データ通信ネットワーク350との接続用の相互接続310とネットワークインタフェース312が含まれている。コントローラ104は、中央処理装置(CPU)316と、メモリ318と、ストレージ320とを更に含む。CPU316は、メモリ318内のアプリケーションデータを取得して保存するだけでなく、メモリ318に格納されている命令を取得して実行することもできる。相互接続310は、CPU316、ネットワークインタフェース312、メモリ318、ストレージ320、光ドライバ120、並びに観察デバイス140及び/又は内照射器102などの間で、命令及びアプリケーションデータを送信する。CPU316は、単一のCPU、複数のCPU、複数の処理コアを有する単一のCPUなどを表し得る。メモリ318は、ランダムアクセスメモリなどの揮発性メモリを表す。
【0079】
ストレージ320は、ディスクドライブなどの不揮発性メモリであり得る。単一のユニットとして示されているが、ストレージ320は、固定ディスクドライブ、着脱式メモリカード若しくは光学ストレージ、ネットワーク接続ストレージ(NAS)、又はストレージエリアネットワーク(SAN)などの、固定又は着脱式記憶装置の組み合わせであってもよい。ストレージ320には、光源設定332及び/又は、コントローラ130によって眼150に送達される光の量が過剰であると判定される1つ以上の特定の状況に対する光源設定332のマッピングが含まれてもよい。光源設定332は、光源110に関連付けられた対応する設定で光源110を駆動するための事前設定された命令を含み得る。
【0080】
メモリ318は、命令を含む光定量化モジュール322を備え、この命令は、CPU316によって実行されると、コントローラ130が、観察デバイス140及び/又は内照射器102からの画像化データに基づいて、眼150に送達される光の量、及びその光の量が多すぎるかどうかを判定することを可能にする。特定の実施形態では、メモリ318は、命令を含む光修正モジュール324を更に含み、この命令は、CPU316によって実行されると、コントローラ130が、光ドライバ120を介して、光源110によって生成される光線114の1つ以上のパラメータを、光源設定332に基づいて修正できるようにする。
【0081】
上述したように、本開示の実施形態は、眼科外科手術中に眼に送達される光の量を自動的に定量化又は計算するように構成された照明システムを提供し、これは、内照射の固定距離及び照明光の固定強度を仮定する現在の方法よりも正確であり得る。特定の態様では、定量化された光の量が過剰であり、したがって光毒性レベルに達していると判定された場合、照明システムは、照明光を自動的に修正してその光毒性を低減することができる。特定の態様では、定量化された光の量が過剰であると判定された場合、照明システムは、外科医が照明光の修正を開始できるように、送出される光の量が過剰であることを外科医に警告することができる。照明光を修正してその光毒性の影響を軽減することにより、患者の眼への損傷の危険性が軽減され、眼科処置の全体的な安全性が向上し得る。
【0082】
本明細書で使用される場合、項目のリスト「の少なくとも1つ」を指す語句は、単一の要素を含む、それらの項目の任意の組み合わせを指す。例として、「a、b又はcの少なくとも1つ」は、a、b、c、a-b、a-c、b-c及びa-b-c並びに複数の同じ要素の任意の組み合わせ(例えば、a-a、a-a-a、a-a-b、a-a-c、a-b-b、a-c-c、b-b、b-b-b、b-b-c、c-c並びにc-c-c又はa、b及びcの他の任意の順序)を網羅することを意図される。
【0083】
上記の説明は、当業者が、本明細書に記述する様々な実施形態を実施できるようにするために与えられている。これらの実施形態に対する様々な修正形態は、当業者には容易に明らかであり、本明細書で定義する一般的な原理は、他の実施形態に適用され得る。したがって、特許請求の範囲は、本明細書に示す実施形態に限定されることを意図されるものではなく、特許請求の範囲の文言に一致する全範囲が認められるべきである。
【0084】
請求項内で要素を単数形で言及していても、特に明記しない限り、「1つ且つ唯一」ではなく、「1つ以上」を意味することを意図する。具体的に別段の定めがない限り、「いくつかの(some)」という用語は、1つ以上を指す。当業者に知られている又は後に知られることになる、本開示全体を通して説明した様々な態様の要素に対する全ての構造的及び機能的等価物は、本明細書に参照により明示的に組み込まれ、特許請求の範囲に包含されることが意図される。その上、本明細書に開示したものは、そのような開示が特許請求の範囲に明示的に列挙されているか否かにかかわらず公衆に献呈されることが意図されるものではない。請求項のいかなる要素も、要素が語句「~のための手段」を用いて明示的に記載されない限り又は方法クレームの場合、要素は、語句「~のためのステップ」を用いて記載されない限り、米国特許法第112条(f)の規定に基づいて解釈されない。本明細書では、用語「例示的」は、「例、実例又は図示の役割を果たす」意味で使用される。本明細書で「例示的」として記載される任意の態様は、必ずしも他の態様よりも好ましい又は有利であると解釈されるべきではない。
【0085】
いくつかの実施形態では、照明システムは、眼腔を照明するための光線を生成するように構成された光源を含み、光源は、システムコントローラとデータ通信し、光源を駆動して光線を生成するように構成された光ドライバを含み、システムコントローラは、実行可能な命令を含むメモリと、メモリとデータ通信するプロセッサであって、照明システムに、眼腔内の組織に送達される光の量を判定させ、この判定は、システムコントローラ及び光源に関連付けられた画像化システムから受信したデータに少なくとも部分的に基づいて行われ、組織に送達される光の量が過剰かどうかを判定させ、そして、組織に送達される光の量が過剰であると判定された場合、組織に送達される光の量が過剰であることをユーザに警告させる命令を実行するように構成されたプロセッサと、を含む。いくつかの実施形態では、警告は、手術用コンソールの表示デバイスに表示される視覚警告である。いくつかの実施形態では、警告は、ユーザが着用する表示デバイスに表示される視覚警告である。いくつかの実施形態では、警告は、手術用コンソールによって鳴らされる音声警告である。
【0086】
いくつかの実施形態では、眼科処置中の患者の網膜の光曝露を定量化するためのシステムが提供され、システムは、眼科処置中に患者の網膜を指向性光で照明して照明された網膜表面を生成するように構成された光源と、照明された網膜表面の画像データを収集された画像データとして収集するように構成されたカメラと、指示デバイスと、指示デバイス及びカメラと通信する電子制御ユニット(ECU)とを含み、ECUは、照明された網膜表面を示すカメラからの画像を受信し、収集された画像データを使用して、眼科処置中に網膜に入射する指向性光の累積エネルギースペクトル密度を推定し、累積エネルギースペクトル密度が光毒性閾値を超えていることに応じて、指示デバイスを作動させることを含む、可能性のある光毒性を示す制御動作を実行するように構成されている。更に、ECUは、光源と通信しており、そこから光出力データを受信するように構成されており、光出力データは、患者の網膜を照明する光の強度及びスペクトルコンテンツを記述している。いくつかの実施形態では、ECUは、照明された網膜表面を複数の仮想ゾーンに分割し、且つ複数の仮想ゾーンの各々の1つが、対応する累積エネルギースペクトル密度を有するように、累積エネルギースペクトル密度を照明された網膜表面にマッピングするように構成されている。いくつかの実施形態では、光毒性閾値は、複数のゾーン固有の光毒性閾値を含み、ECUは、累積エネルギースペクトル密度から、複数のゾーンの各々に対するそれぞれの累積エネルギースペクトル密度を判定し、且つその後、複数の仮想ゾーンのうちの1つのそれぞれの累積エネルギースペクトル密度がゾーン固有の光毒性閾値のうちの対応する1つを超えていることに応じて、制御動作を実行する、ように構成されている。いくつかの実施形態では、指示デバイスはスピーカを含み、制御動作は、スピーカを介して可聴アラームを鳴らすことを含む。いくつかの実施形態では、指示デバイスは色分けされたランプを含み、制御動作は、色分けされたランプを照明することを含む。いくつかの実施形態では、指示デバイスは表示画面を含み、制御動作は、表示画面を介して累積エネルギースペクトル密度を示す情報を表示することを含む。いくつかの実施形態では、ECUは、表示画面を介して照明された網膜表面のヒートマップを表示するように構成されており、ヒートマップは、照明された網膜表面にわたる累積エネルギースペクトル密度の分布を示している。いくつかの実施形態では、デジタル画像データは、患者の網膜の眼底画像を含み、ヒートマップは、眼底画像がヒートマップの背景を形成するように、眼底画像上に表示される。いくつかの実施形態では、ECUは、光源の制御設定を選択的に調整するように構成されており、制御動作は、制御設定として、眼科処置中にリアルタイムで指向性光の波長及び/又は強度レベルを調整することを含む。いくつかの実施形態では、光源は、可変強度及び/又はスペクトルコンテンツを有する光パイプ又は内照射器である。
【0087】
いくつかの実施形態では、眼科処置中の患者の網膜の光曝露を定量化するための方法が提供され、方法は、眼科処置中に光源からの指向性光で患者の網膜を照明し、それによって照明された網膜表面を生成することと、カメラを使用して、照明された網膜表面の画像データを収集された画像データとして収集することと、電子制御ユニット(ECU)を介してカメラから収集された画像データを受信することと、眼科処置中に網膜に入射する指向性光の累積エネルギースペクトル密度を、ECUを介して推定することと、累積エネルギースペクトル密度が光毒性閾値を超えていることに応じて、ECUを介して、光毒性の可能性を示し、指示デバイスを作動させることを含む、制御動作を実行することと、を含む。いくつかの実施形態では、この方法は、更に、ECUを介して照明された網膜表面を複数の仮想ゾーンに分割することと、ECUを介して累積エネルギースペクトル密度を照明された網膜表面にマッピングし、複数のゾーンのそれぞれが対応する累積エネルギースペクトル密度を有するようにすることと、を含む。いくつかの実施形態では、光毒性閾値には複数のゾーン固有の光毒性閾値が含まれ、方法は更に、複数の仮想ゾーンの1つの累積エネルギースペクトル密度がゾーン固有の光毒性閾値の対応する1つを超えたことに応答して、ECUを介して制御動作を実行することを含む。いくつかの実施形態では、この方法は、更に、ECUを介して、光源から光出力データを受信することであって、光出力データは、患者の網膜を照明する際に光源によって放出される指向性光の強度及びスペクトルコンテンツを記述しており、累積エネルギースペクトル密度を推定することは、光出力データからの強度及びスペクトルコンテンツを使用することを含む、受信することを含む。いくつかの実施形態では、指示デバイスは、スピーカ及び色分けされたランプを含み、制御動作を実行することは、スピーカを介して可聴アラームを鳴らすことと、色分けされたランプを照明することと、を含む。いくつかの実施形態では、指示デバイスは、表示画面を含み、制御動作は、表示画面を介して累積エネルギースペクトル密度を示すヒートマップを表示することを含み、ヒートマップは、照明された網膜表面にわたる累積エネルギースペクトル密度の分布を示している。いくつかの実施形態では、制御動作を実行することは、ECUを介して光源の制御設定を選択的に調整することであって、制御設定が、指向性光の波長及び/又は強度レベルを含む、選択的に調整すること、を含む。
【0088】
いくつかの実施形態では、眼科処置中に患者の網膜の光曝露を定量化するための電子制御ユニット(ECU)が提供され、ECUは、眼科処置中に光源と通信し、それによって照明された網膜表面を生成し、ECUは、プロセッサと、プロセッサ、光源、指示デバイス、及びカメラと通信する入出力(I/O)回路と、コンピュータ読み取り可能な命令が記録されたメモリとを含み、プロセッサによるコンピュータ読み取り可能な命令の実行により、ECUに、眼科処置中にカメラから、患者の網膜の照明された網膜表面を示す収集された画像データを受信させ、光源から、患者の網膜を照明する際に光源によって発せられる指向性光の強度及びスペクトルコンテンツを記述する光出力データを受信させ、眼科処置中に照明された網膜表面を提供する光源からの指向性光の累積エネルギースペクトル密度を計算させ、累積エネルギースペクトル密度が光毒性閾値を超えていることに応じて、指示デバイスの作動させることを含んで、光毒性の可能性を示す制御動作を実行させる。いくつかの実施形態では、プロセッサによるコンピュータ読み取り可能命令の実行により、ECUに、照明された網膜表面を複数の仮想ゾーンに分割させ、複数の仮想ゾーンの各々の1つが、対応する累積エネルギースペクトル密度を有するように、累積エネルギースペクトル密度を照明された網膜表面にマッピングさせ、ここで光毒性閾値は、複数のゾーン固有の光毒性閾値を含み、ここでECUは、累積エネルギースペクトル密度として、複数の仮想ゾーンの各々に対するそれぞれの累積エネルギースペクトル密度を判定し、且つその後、複数の仮想ゾーンのうちの1つのそれぞれの累積エネルギースペクトル密度がゾーン固有の光毒性閾値のうちの対応する1つを超えていることに応じて、制御動作を実行する。
【0089】
詳細な説明及び図面は、本開示をサポートし、説明するものであるが、本開示の範囲は、特許請求の範囲によってのみ定義される。特許請求の範囲に記載された開示を実施するための最良の態様及び他の実施形態のいくつかを詳細に説明したが、添付の特許請求の範囲において定義された開示を実施するための様々な代替的な設計及び実施形態が存在する。更に、図面に示された実施形態又は本明細書で言及された様々な実施形態の特徴は、必ずしも互いに独立した実施形態として理解されるべきではない。むしろ、ある実施形態の例のうちの1つで説明された特性のそれぞれは、他の実施形態からの1つ又は複数の他の望ましい特性と組み合わせることが可能であり、その結果、言葉で説明されていないか又は図面を参照することによって説明されていない他の実施形態を得ることができる。したがって、このような他の実施形態は、添付の特許請求の範囲の枠組み内に含まれる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
【国際調査報告】