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特表2024-546638新規な非イオン性界面活性剤及びそれを製造するための方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-12-26
(54)【発明の名称】新規な非イオン性界面活性剤及びそれを製造するための方法
(51)【国際特許分類】
   C08G 65/26 20060101AFI20241219BHJP
   C09K 23/42 20220101ALI20241219BHJP
【FI】
C08G65/26
C09K23/42
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024533054
(86)(22)【出願日】2022-12-15
(85)【翻訳文提出日】2024-06-03
(86)【国際出願番号】 US2022052917
(87)【国際公開番号】W WO2023114343
(87)【国際公開日】2023-06-22
(31)【優先権主張番号】63/290,379
(32)【優先日】2021-12-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】502141050
【氏名又は名称】ダウ グローバル テクノロジーズ エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100128495
【弁理士】
【氏名又は名称】出野 知
(74)【代理人】
【識別番号】100208225
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 修二郎
(74)【代理人】
【識別番号】100144417
【弁理士】
【氏名又は名称】堂垣 泰雄
(72)【発明者】
【氏名】チアオ ユイセン
(72)【発明者】
【氏名】ニマ ニクビン
(72)【発明者】
【氏名】ワンリン ユー
【テーマコード(参考)】
4D077
4J005
【Fターム(参考)】
4D077BA02
4D077BA03
4D077DD29Y
4D077DD29Z
4D077DD38Y
4D077DD38Z
4J005AA04
4J005AA11
4J005AA12
4J005BB04
(57)【要約】
親水性ポリ(アルキレンオキシド)ポリマーのブロックに連結した疎水性ポリ(アルキレンオキシド)ポリマーのブロックを含有する非イオン性界面活性剤において、ポリマーの生分解性は、疎水性ブロックが二酸化炭素の存在下で重合されてポリ(アルキレンカーボネート)単位が疎水性ブロックに付加される場合に改善され、アルキレンカーボネート単位は、疎水性ポリマーブロックの1~40重量%を構成する。得られる非イオン性界面活性剤は、アルキレンカーボネート単位を含まない関連する界面活性剤と比較して、同様の界面活性剤性能を有するが、改善された生分解性を有し得る。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
非イオン性界面活性剤であって、
a)アルキレンエーテル繰り返し単位及びアルキレンカーボネート繰り返し単位の合計重量に基づいて、平均して60~99重量%のアルキレンエーテル繰り返し単位及び1~40重量%のアルキレンカーボネート繰り返し単位を含有する疎水性ポリマーブロックと、
b)アルキレンエーテル繰り返し単位を含有する親水性ポリマーブロックと、を含む、非イオン性界面活性剤。
【請求項2】
前記疎水性ポリマーブロックが、エーテル又はエステル連結基によって前記繰り返し単位のうちの1つに結合した1~30個の炭素原子を有する脂肪族部分を更に含む、請求項1に記載の非イオン性界面活性剤。
【請求項3】
前記疎水性ポリマーブロックが、アルキレンカーボネート繰り返し単位及びアルキレンエーテル繰り返し単位の合計重量に基づいて、平均して5~35重量%のアルキレンカーボネート繰り返し単位を含有する、請求項1又は2に記載の非イオン性界面活性剤。
【請求項4】
前記疎水性ポリマーブロックが、アルキレンカーボネート繰り返し単位及びアルキレンエーテル繰り返し単位の合計重量に基づいて、平均して8~30重量%のアルキレンカーボネート繰り返し単位を含有する、請求項1又は2に記載の非イオン性界面活性剤。
【請求項5】
前記疎水性ポリマーブロックが、2~35の平均重合度を有する、請求項1~4のいずれか一項に記載の非イオン性界面活性剤。
【請求項6】
前記親水性ポリマーブロックが、3~70の平均重合度を有する、請求項1~5のいずれか一項に記載の非イオン性界面活性剤。
【請求項7】
前記非イオン性界面活性剤が、平均して30~90重量%の前記親水性ポリマーブロックを含有する、請求項1~6のいずれか一項に記載の非イオン性界面活性剤。
【請求項8】
前記疎水性ポリマーブロックの前記アルキレンエーテル繰り返し単位及びアルキレンカーボネート繰り返し単位中のアルキレン基が、平均して3~6個の炭素原子を含有し、親水性ポリマーブロックの前記アルキレンエーテル繰り返し単位中のアルキレン基が、平均して2~2.5個の炭素原子を含有する、請求項1~7のいずれか一項に記載の非イオン性界面活性剤。
【請求項9】
50ppm~1500ppmの臨界ミセル濃度を有する、請求項2~8のいずれか一項に記載の非イオン性界面活性剤。
【請求項10】
以下の式6
【化1】
を満たし、式中、
・Rが、1~30個の炭素原子を含有する有機部分であり、
・Lが、エーテル連結基(-O-)又はエステル連結基(-CO-)であり、
・各R及びRが、独立して、水素、又は各繰り返し単位においてR及びRが合わせて平均して1~4個の炭素原子を含有するように選択されるアルキル部分であり、
・各R及びRが、独立して、水素、又は各繰り返し単位においてR及びRが合わせて平均して2~2.7個の炭素原子を含有するように選択されるアルキル部分であり、
・括弧()の間の前記繰り返し単位が、前記疎水性ポリマーブロックを形成し、前記括弧の外側の前記繰り返し単位が、前記親水性ポリマーブロックを形成し、
・aが、平均0.7~18の繰り返し単位の数であり、bが、平均2~35の繰り返し単位の数であり、cが、平均3~70の繰り返し単位の数であり、
・前記疎水性ポリマーブロック中の前記アルキレンエーテル繰り返し単位及び前記アルキレンカーボネート繰り返し単位が、ランダムに、若しくは交互に分布していてもよく、又は前記疎水性ポリマーブロックが、より高い濃度若しくはより低い濃度のアルキレンカーボネート単位を含有するセグメントを有していてもよく、連結基Lに接続した第1の単位が、アルキレンエーテル単位又はアルキレンカーボネート単位であってもよい、請求項1~9のいずれか一項に記載の非イオン性界面活性剤。
【請求項11】
請求項1~10のいずれか一項に記載の非イオン性界面活性剤を製造するためのプロセスであって、
a)第1のアルキレンオキシド成分が、二酸化炭素、アルコール又は有機酸及び触媒の存在下で、疎水性ポリマーブロックが、アルキレンエーテル繰り返し単位及びアルキレンカーボネート繰り返し単位の合計重量に基づいて、平均して60~99重量%のアルキレンエーテル繰り返し単位及び1~40重量%のアルキレンカーボネート繰り返し単位を含有するように形成される条件下で重合される第1の重合工程と、
b)第2のアルキレンオキシド成分が、工程(a)からの疎水性ポリマーブロック及び触媒の存在下で、アルキレンエーテル繰り返し単位を含有する親水性ポリマーブロックが、前記疎水性ブロックに接続して形成されるような条件下で重合される第2の重合工程と、を含む、プロセス。
【請求項12】
前記第1の重合工程及び前記第2の重合工程の両方における前記触媒が、複金属シアン化物触媒を含む、請求項11に記載のプロセス。
【請求項13】
前記第1のアルキレンオキシド成分が、1分子当たり平均して3~6個の炭素原子を含み、前記第2のアルキレンオキシド成分が、1分子当たり平均して2~2.7個の炭素原子を含む、請求項11又は12に記載のプロセス。
【請求項14】
前記第1の重合工程で形成された前記疎水性ポリマーブロックへの二酸化炭素の取り込みが5~20重量%である、請求項11~13のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項15】
前記第2の重合工程における前記疎水性ポリマーブロックに対する前記第2のアルキレンオキシド成分の重量比が0.4~9である、請求項11~14のいずれか一項に記載のプロセス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、非イオン性界面活性剤の分野に関する。
【背景技術】
【0002】
エトキシル化脂肪族アルコールは、周知であり、非イオン性界面活性剤として使用するために市販されている。エトキシル化脂肪族アルコール及び酸は、脂肪族アルコール又は酸の残部である疎水性脂肪族部分に結合した繰り返しエチレンエーテル単位を有する親水性ポリマー又はオリゴマーを含有する。例としては、ラウリルアルコールエトキシレート、ステアリルアルコールエトキシレート及びベヘニルアルコールエトキシレートが挙げられる。それらは、疎水性脂肪族アルコール(重合を開始する部位を提供し、ポリマーの末端に結合する)の存在下で、エチレンオキシドを重合して親水性ポリマーを形成することによって製造することができる。例えば、米国特許出願公開第2010/0317824(A1)号を参照されたい。
【0003】
多くの変形が知られている。いくつかの非イオン性界面活性剤において、疎水性セグメントは、まず、親水性ポリマーのブロックを重合する前に、疎水性ポリマーのブロックを重合することによって伸長される。例えば、米国特許第9,874,079(B2)号は、まず、プロピレンオキシド及び/又はブチレンオキシドを重合し、次いで、エチレンオキシドの第2の重合によって製造された非イオン性界面活性剤を記載している。
【0004】
いくつかの非イオン性界面活性剤において、疎水性ポリマーブロックは、アルキレンカーボネート単位を含有し、これはアルキレンオキシドと二酸化炭素とを共重合することによって製造することができる。それらを製造するための例及びプロセスは、米国特許第4,488,982号及び米国特許第9,676,905(B2)に記載されている。例えば、米国特許第8,580,911(B2)号は、アルキレンカーボネート単位を含有する疎水性ポリマーブロックと、連結部分と、アルキレンエーテル単位を含有し得る親水性ポリマーブロックと、を有する界面活性剤を記載している。米国特許第4,866,143号は、(a)約1~15モル%の二酸化炭素含有量を有するポリオキシアルキレンポリエステル、糖類、糖類ポリオキシアルキレネート、ポリカーボネート、及びそれらの混合物から選択される親水性セグメントと、(b)交互又はランダムの順序で配置されたアルキレン及びアルキレンカーボネート単位を含む疎水性セグメントと、を含有し、約25~50モル%の全二酸化炭素含有量及び約300~10,000の全分子量を有するポリマーを形成する、非イオン性界面活性剤を記載している。
【0005】
特定の複金属シアン化物触媒は、単独で、又は二酸化炭素の存在下で、酸又はアルコールスターターを使用して、アルキレンオキシドを重合するのに有用である。例えば、米国特許第6,429,342(B1)号及び同第9,676,905(B2)号を参照されたい。
【0006】
有用な特性を有する非イオン性界面活性剤の異なる変形を探求することが望ましい。
【発明の概要】
【0007】
本発明の第1の態様は、非イオン性界面活性剤であって、
a)アルキレンエーテル繰り返し単位及びアルキレンカーボネート繰り返し単位の合計重量に基づいて、平均して60~99重量%のアルキレンエーテル繰り返し単位及び1~40重量%のアルキレンカーボネート繰り返し単位を含有する疎水性ポリマーブロックと、
b)アルキレンエーテル繰り返し単位を含有する親水性ポリマーブロックと、を含む、非イオン性界面活性剤である。
【0008】
明確にするために、この文書において、「ポリマー」という用語は、数個の繰り返し単位のみ、又は2個の繰り返し単位のみを有するブロックを含むため、「ポリマー」という用語は、他の刊行物において「ダイマー」又は「オリゴマー」と呼ばれ得るブロックと読まれる場合がある。同様に、「重合」という用語はまた、他の刊行物が「ダイマー化」又は「オリゴマー化」と呼ばれ得る反応も包含する。
【0009】
本発明の第2の態様は、非イオン性界面活性剤を製造するためのプロセスであって、
a)第1のアルキレンオキシド成分が、二酸化炭素、アルコール又は有機酸及び触媒の存在下で、疎水性ポリマーブロックが、アルキレンエーテル繰り返し単位及びアルキレンカーボネート繰り返し単位の合計重量に基づいて、平均して60~99重量%のアルキレンエーテル繰り返し単位及び1~40重量%のアルキレンカーボネート繰り返し単位を含有するように形成される条件下で重合される第1の重合工程と、
b)第2のアルキレンオキシド成分が、工程(a)からの疎水性ポリマーブロック及び触媒の存在下で、アルキレンエーテル繰り返し単位を含有する親水性ポリマーブロックが、疎水性ブロックに接続して形成されるような条件下で重合される第2の重合工程と、を含む、プロセスである。
【0010】
特定の実施形態では、疎水性ポリマーブロック中のアルキレンカーボネート単位の存在は、本発明の非イオン性界面活性剤に、増強された生分解性を与え得るか、又は疎水性ポリマーブロックに、増強された疎水性を与え得る。加えて、ポリエーテルポリカーボネートブロックを製造するための二酸化炭素の使用は、二酸化炭素の大気中への放出を防止又は遅延させる方法での二酸化炭素の使用を可能にする。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の界面活性剤は、2工程で製造される。第1の工程において、疎水性ポリマーブロックは、触媒及び有機酸又はアルコール(重合のための開始部位として機能する)の存在下で第1のアルキレンオキシド成分及び二酸化炭素を重合することによって製造される。有機酸又はアルコールは、いくつかの参考文献で「スターター化合物」と呼ばれている。第2の工程において、親水性ポリマーブロックは、触媒及び第1の工程の重合からの疎水性ポリマーブロックの存在下で第2のアルキレンオキシド成分を重合することによって疎水性ブロックに接続される。
【0012】
第1の重合工程
第1の重合工程は、スターター化合物と呼ばれるアルコール又は有機酸の存在下で行われる。いくつかの実施形態では、スターター化合物はアルコールであり、いくつかの実施形態では、スターター化合物はカルボン酸である。いくつかの実施形態では、スターター化合物は、脂肪族である。脂肪族スターター化合物は、飽和又は一価不飽和又は多価不飽和であってもよい。いくつかの実施形態では、飽和である。いくつかの実施形態では、スターター化合物は、メチル分岐又はエチル分岐などの1つ以上のアルキル分岐を含有する。いくつかの実施形態では、スターター化合物は、1分子当たり平均して少なくとも1個又は少なくとも2個又は少なくとも3個又は少なくとも4個又は少なくとも6個の炭素原子を含有する。いくつかの実施形態では、スターター化合物は、1分子当たり平均して多くとも30個の炭素原子又は多くとも26個の炭素原子又は多くとも24個の炭素原子又は多くとも20個の炭素原子を含有する。いくつかの実施形態では、スターターは、疎水性である。スターター化合物の例としては、メタノール、エタノール、ブタノール、ヘキサノール、オクタノール、ノナノール、デカノール、ウンデカノール、ドデカノール、トリデカノール、テトラデカノール、ペンタデカノール、ヘキサデカノール、ヘプタデカノール、オクタデカノール、ノナデカノール、エイコサノール、2-エチルヘキサノール、2-プロピルヘプタノール、2-ブチルオクタノール、及び任意の上述のアルコールの混合物が挙げられる。スターター化合物の他の例としては、植物油に由来するC8~10、C12~14、C10~14、C10~16、C12~16、及びC16~18脂肪族アルコール、Shell Chemicals製のNEODOLの商品名でのオキソアルコール、Alfol、Safol、Marlipal、Isochem、Lial、Alchemの商品名でのアルコール製品、及びSasol製のIsofol、並びにExxonMobil製のExxalアルコールが挙げられる。
【0013】
スターター化合物の例は、以下の式1を満たし、
-L-H 式1
式中、Rは、有機部分であり、Lは、-O-又は-CO-のいずれかである。Rの実施形態は、上述の炭素原子数、飽和又は不飽和及び分岐を反映し得る。
【0014】
スターター化合物を、第1のアルキレンオキシド成分及び二酸化炭素が重合して、(a)第1のアルキレンオキシド成分の開環からのアルキルエーテル単位並びに(b)第1のアルキレンオキシド成分と二酸化炭素との反応からのアルキルカーボネート単位の両方を含有する疎水性ポリマーブロックを形成するような条件下で、第1のアルキレンオキシド成分、二酸化炭素及び触媒と接触させる。2つの反応の例を以下に示す。
【0015】
【化1】
式中、R及びLは、以前に与えられた説明を有し、各R及びRは、独立して、水素又はアルキル基であり、bは、アルキレンエーテル単位の数であり、aは、アルキレンカーボネート単位の数である。明確にするために、反応(1)及び(2)の両方が同時に起こり、アルキレンエーテル単位及びアルキレンカーボネート単位の両方を含有するコポリマーを製造してもよく、各反応の相対速度(並びにアルキレンエーテル単位及びアルキレンカーボネート単位の相対的割合)は、選択される触媒及び反応条件に応じて変動し得る。
【0016】
第1の重合工程において疎水性ポリマーブロックを製造するために使用される第1のアルキレンオキシド成分は、単一のアルキレンオキシド、又は複数のアルキレンオキシドの混合物を含んでいてもよい。第1のアルキレンオキシド成分中のアルキレンオキシド分子は、主に少なくとも3個の炭素原子を含有する。第1のアルキレンオキシド成分のいくつかの実施形態は、平均して、1分子当たり少なくとも3個の炭素原子、又は1分子当たり少なくとも3.25個若しくは少なくとも3.5個の炭素原子を含む。第1のアルキレンオキシド成分のいくつかの実施形態は、平均して、1分子当たり多くとも6個又は多くとも5個又は多くとも4個の炭素原子を含む。第1のアルキレンオキシド成分の一般的な例としては、プロピレンオキシド及びブチレンオキシド、並びにプロピレンオキシド及びブチレンオキシドの混合物が挙げられる。
【0017】
第1のアルキレンオキシド成分は、エチレンオキシドの量が、得られるポリマーブロックが疎水性のままであるほど十分に少ない場合、少量のエチレンオキシドを含有してもよい。多くの実施形態では、第1のアルキレンオキシド成分中のエチレンオキシドの量は、アルキレンオキシドの総量に基づいて、20モル%未満、又は10モル%未満、又は5モル%未満、又は3モル%未満である。いくつかの実施形態では、第1のアルキレンオキシド成分は、エチレンオキシドを本質的に含有しない(0モル%)。
【0018】
第1のアルキレンオキシド成分は、式3を満たすことができる。
【0019】
【化2】
式中、各々のR及びRは、独立して、水素又はアルキル基である。R及びRの例示的な実施形態は、以前に与えられた第1のアルキレンオキシド成分の説明を満たす。いくつかの実施形態では、R及びRを合わせて、平均して少なくとも1個若しくは少なくとも1.5個の炭素原子又は少なくとも2個の炭素原子を含有する。いくつかの実施形態では、R及びRを合わせて、平均して多くとも6個の炭素原子又は多くとも5個の炭素原子又は多くとも4個の炭素原子原子又は多くとも3個の炭素原子又は多くとも2個の炭素原子原子を含有する。
【0020】
第1の重合も、二酸化炭素の存在下で行われる。二酸化炭素の量は、使用される触媒及び反応条件に応じて変わり、それは二酸化炭素が疎水性ポリマーブロックに組み込まれる有効性を支配する。いくつかの実施形態では、反応条件は、疎水性ポリマーブロックへの二酸化炭素の平均取り込みが少なくとも5重量%又は少なくとも10重量%又は少なくとも12重量%又は少なくとも15重量%であるように選択される。いくつかの実施形態では、反応条件は、疎水性ポリマーブロックへの二酸化炭素の平均取り込みが、20重量%以下、又は18重量%以下、又は15重量%以下であるように選択される。
【0021】
アルキルカーボネート単位の形成を優先的に触媒する触媒及び反応条件では、第1のアルキレンオキシド成分に対する二酸化炭素の重量比は、任意選択的に、少なくとも5%又は少なくとも10%又は少なくとも12%又は少なくとも15%であってもよい。任意選択的に、多くとも20%又は多くとも18%又は多くとも15%であってもよい。実質的なアルキレンエーテル単位の形成を触媒する触媒及び反応条件については、例示的な第1のアルキレンオキシド成分に対する二酸化炭素の重量比は、これらより大きくてもよい。
【0022】
第1の重合工程は、触媒の存在下で行われる。アルキレンオキシドのカチオン重合において、適切な触媒の例としては、プロトン酸(HClO4、HCl)、ルイス酸(SnCl4、BF3など)、有機金属化合物、又はより複雑な試薬が挙げられる。アルキレンオキシドのアニオン重合において、好適な触媒の例としては、アルカリ金属又はアルカリ土類金属のアルコキシド、水酸化物、炭酸塩又は他の化合物などの塩基が挙げられる。
【0023】
いくつかの触媒は、アルキレンカーボネート単位若しくはアルキレンエーテル単位の形成を優先的に触媒するか、又は両方の反応を触媒することが知られている。例えば、米国特許第8,247,520(B2)号は、アルキレンエーテル単位をほとんど形成することなく、アルキレンカーボネート単位の形成をほとんど独占的に触媒する金属錯体触媒を記載している。Coates,G.et al.「Cobalt-Based Complexes for the Copolymerization of Propylene Oxide and CO2:Active and Selective Catalysts for Polycarbonate Synthesis」Angew.Chem.Int.Ed.2003,42,5484-5487も参照されたい。一方で、国際出願第2018/089566号は、アルキレンカーボネート及びアルキレンエーテル形成の両方を触媒する複金属シアン化物触媒が記載されている。反応条件は、どの反応が優勢であるかを決定する。
【0024】
本発明のいくつかの実施形態では、触媒は、複金属シアン化物(double metal cyanide、「DMC」)触媒を含有する。複金属シアン化物触媒及びそれらの製造は、米国特許第6,291,388(B1)号、同第6,355,845(B1)号、同第6,429,342(B1)号、同第6,642,423(B1)号、同第9,040,657(B1)号、及び国際公開第01/90217 A1号及び同第2018/089566 A1号などの特許で考察されている。例示的なDMC触媒は、次の式4によって表すことができる。
[M(CN)(X)[M(X)・nM 式4
式中、M及びMは、それぞれ金属であり、Mは、Mとは異なる遷移金属であり、各Xは、Mイオンと配位するシアン化物以外の基を表し、Mは、遷移金属であり、Aは、アニオンを表し、b、c及びdは、静電的に中性な錯体を反映する数であり、rは、4~6であり、tは、0~2であり、x及びyは、金属塩M 中の電荷を均衡させる整数であり、nは、0又は正の整数である。前述の式は、多くの場合にDMC触媒錯体内に存在するt-ブタノールなどの中性錯化剤の存在は反映していない。例示的な実施形態では、rは、4又は6であり、tは0である。場合によっては、r+tは、6に等しい。
【0025】
例えば、M及びMは、各々、Zn2+、Fe2+、Co2+、Ni2+、Mo4+、Mo6+、Al3+、V4+、V5+、Sr2+、W4+,W6+、Mn2+、Sn2+、Sn4+、Pb2+、Cu2+、La3+及びCr3+の群から独立して選択される金属イオンであってもよい。M及びMは、各々、Fe3+、Fe2+、Co2+、Co3+、(V3+、Cr3+、Mn2+、Mn3+、Ir3+、Ni2+、R3+、Ru2+、Y4+、V5+、Pd2+及びPt2+の群から選択されてもよい。上記のうち、酸化状態が+3であるものを、M及びM金属(例えば、Co3+及びFe3+)として使用することができる。好適なアニオンAとしては、塩化物イオン、臭化物イオン及びヨウ化物イオンなどのハロゲン化物イオン、硝酸イオン、硫酸イオン、カーボネートイオン、シアン化物イオン、シュウ酸イオン、チオシアネート、イソシアネート、過塩酸、イソチオシアネート、メタンスルホネートなどのアルカンスルホネート、p-トルエンスルホネートなどのアリーレンスルホネート、トリフルオロメタンスルホネート(トリフレート)及びC1-4カルボキシレートなどが挙げられるが、これらに限定されない。
【0026】
DMC触媒の例示的な種類は、t-ブタノールと錯体化した亜鉛ヘキサシアノコバルテートである。例示的な複金属シアン化物触媒は、CovestroからArcol Catalyst 3として市販されている。
【0027】
いくつかの実施形態では、DMC触媒は、国際公開第2018/089566A1号に記載されているように、ハロゲン化物アニオン又はシアン化物を含有しない触媒促進剤と共に使用される。例えば、触媒促進剤は、少なくとも1つのアルコキシド、アリールオキシ、カルボキシレート、アシル、ピロホスフェート、ホスフェート、チオホスフェート、ジチオホスフェート、リン酸エステル、チオリン酸エステル、アミド、シロキシド、水素化物、カルバメート、又は炭化水素アニオンに結合した、マグネシウム、第3族~15族金属、又はランタニド系列金属であり、ここで、マグネシウム、第3族~15族金属、又はランタニド系列金属化合物は、ハロゲン化物アニオン及びシアン化物を含まない。いくつかの例示的な実施形態では、促進剤中の金属は、マグネシウムである。例示的なプロモーターは、米国特許第9,040,657号(第9~12欄)において考察されている。
【0028】
DMC触媒によるアルキレンオキシドの重合は、触媒の活性化を必要とする場合がある。活性化中に、DMC触媒は、不活性形態から、活性の状態である限りアルキレンオキシドを速やかに重合する高活性形態へと、系内で変換されると考えられる。活性化は、任意選択的にスターター化合物、アルキレンオキシド及び/又は二酸化炭素の存在下で、触媒を加熱することによって行われてもよい。触媒活性化期間は、典型的には、最初にアルキレンオキシド(例えばプロピレンオキシド)を反応器に導入した後の不確定な時間である。重合プロセスの開始時に少量のアルキレンオキシド及びスターター化合物を導入し、次いで触媒が活性化されるまで(例えば、最初に投入したアルキレンオキシドが消費されたことに起因する反応器圧力の低下に示されるような)、アルキレンオキシド供給を続ける前に、待機することが一般的である。
【0029】
触媒は、完全な重合が始まる前の予備段階中に(例えば、セミバッチプロセスにおいて)活性化されてもよく、又は触媒は、重合段階中に(例えば、連続プロセスにおいて)重合反応器中で活性化されてもよい。予備段階における触媒活性化は、任意選択的に反応器中に二酸化炭素を存在させて、又は存在させずに、実施してもよい。連続操作では、新しい未活性化触媒、アルキレンオキシド、二酸化炭素、及びスターターが反応器に連続的に導入されるため、触媒の活性化は、重合と同時に行われてもよい。
【0030】
予備活性化を含むプロセスにおいて、触媒活性化は、活性化温度で行われてもよく、重合段階の少なくとも一部は、活性化温度とは異なる重合温度で行われてもよい。活性化温度は、重合温度より高くても低くてもよい。いくつかの実施形態では、活性化温度は、重合温度より高い。いくつかの実施形態では、活性化温度は、50℃以上、120℃以上、及び/又は150℃以上であり得る。いくつかの実施形態では、重合温度は、50℃以上であり得る。いくつかの実施形態では、活性化温度及び/又は重合温度は、独立して165℃未満であってもよい。例えば、重合温度は、50℃~165℃(例えば、65℃~155℃、80℃~150℃、及び/又は90℃~140℃)の範囲内であり得る。いくつかの実施形態では、活性化温度と重合温度との間の差は、少なくとも10℃、少なくとも20℃、少なくとも30℃、少なくとも40℃、及び/又は少なくとも50℃であり得る。任意選択的に、活性化温度と重合温度は、同じ温度であってもよい。
【0031】
いくつかの実施形態では、反応条件は、少なくとも114又は少なくとも171又は少なくとも228の重量平均分子量を有する疎水性ポリマーブロックを提供するように選択されてもよい。いくつかの実施形態では、反応条件は、多くとも2000又は多くとも1500又は多くとも750の重量平均分子量を有する疎水性ポリマーブロックを提供するように選択されてもよい。いくつかの実施形態では、反応条件は、疎水性ポリマーブロックの重合度が平均して少なくとも2又は少なくとも3又は少なくとも4であるように選択される。いくつかの実施形態では、反応条件は、疎水性ポリマーブロックの重合度が平均して多くとも35又は多くとも25又は多くとも13になるように選択される。
【0032】
第1の重合工程は、アルキレンカーボネート単位及びアルキレンエーテル単位がポリマー全体にランダムに分布している疎水性ポリマーブロックをもたらす単一重合であってもよい。あるいは、第1の重合工程は、異なるモノマー混合物を用いて2つ以上の段階で実施されてもよく、その結果、得られる疎水性ポリマーブロックは、より高い濃度及びより低い濃度のアルキレンカーボネート単位を有するセグメントを含有する。例えば、第1の重合工程は、スターター化合物に最も近い繰り返し単位が主にアルキレンエーテル繰り返し単位を含むように、第1のアルキレンオキシド成分のみで開始してもよく、次いで、ポリ(アルキレンエーテル)セグメントがポリ(アルキレンカーボネート)単位を含有するセグメントでキャップされるように、二酸化炭素を後で重合に導入してもよい。
【0033】
第1の重合工程は、疎水性ポリマーブロックを生成し、これは以下に更に記載される。疎水性ポリマーブロックは、第2の重合工程の前に回収されてもよく、又は第2の重合工程の重合は、反応器中のアルキレンオキシドモノマー及び二酸化炭素含有量を調節することによって系内で開始され得る。
【0034】
疎水性ポリマーブロック
第1の重合工程で製造された疎水性ポリマーブロックは、原材料から予想される構造を有する。それらは、繰り返しアルキレンエーテル単位及びアルキレンカーボネート単位を含有する。多くの実施形態では、疎水性ポリマーブロックは、エーテル(-O-)又はエステル(-CO-)結合によって1つの繰り返し単位に結合した有機部分を更に含む。有機部分は、スターター化合物の残基であり、多くの実施形態では、疎水性ポリマーブロックの一端をキャップする。
【0035】
疎水性ポリマーブロックの重量平均分子量及び重合度の例は、以前に記載されている。疎水性ポリマーブロック中のアルキレン基は、上述の第1のアルキレンオキシド成分中のアルキレン基に対応する。
【0036】
アルキレンカーボネート繰り返し単位は、アルキレンカーボネート単位及びアルキレンエーテル単位の合計重量(スターター化合物の残部を除く)に基づいて、平均して疎水性ポリマーブロックの1~40重量%を構成する。いくつかの実施形態では、アルキレンカーボネート単位は、アルキレンカーボネート単位及びアルキレンエーテル単位の合計重量に基づいて、平均して疎水性ポリマーブロックの少なくとも2重量%又は少なくとも5重量%又は少なくとも8重量%又は少なくとも10重量%を構成する。いくつかの実施形態では、アルキレンカーボネート単位は、アルキレンカーボネート単位及びアルキレンエーテル単位の合計重量に基づいて、平均して疎水性ポリマーブロックの多くとも35重量%又は多くとも30重量%又は多くとも25重量%を構成する。
【0037】
アルキレンエーテル繰り返し単位は、アルキレンカーボネート単位及びアルキレンエーテル単位の合計重量(スターター化合物の残部を除く)に基づいて、平均して疎水性ポリマーブロックの60~99重量%を構成する。いくつかの実施形態では、アルキレンエーテル単位は、アルキレンカーボネート単位及びアルキレンエーテル単位の合計重量に基づいて、平均して疎水性ポリマーブロックの多くとも98重量%又は多くとも95重量%又は多くとも92重量%又は多くとも90重量%を構成する。いくつかの実施形態では、アルキレンエーテル単位は、アルキレンカーボネート単位及びアルキレンエーテル単位の合計重量に基づいて、平均して疎水性ポリマーブロックの少なくとも65重量%又は少なくとも70重量%又は少なくとも75重量%を構成する。
【0038】
いくつかの実施形態では、アルキレンカーボネート単位に対するアルキレンエーテル単位の平均モル比は、疎水性ポリマーブロック中で少なくとも3:1又は少なくとも4:1又は少なくとも5:1である。いくつかの実施形態では、アルキレンカーボネート単位に対するアルキレンエーテル単位の平均モル比は、疎水性ポリマーブロック中で多くとも20:1、又は多くとも15:1、又は多くとも10:1である。いくつかの実施形態では、疎水性ポリマーブロックの少なくとも20モル%は、又は少なくとも30モル%、又は少なくとも40モル%、又は少なくとも50モル%、又は少なくとも60モル%、又は少なくとも70モル%は、少なくとも1つのアルキレンカーボネート単位を含有する。いくつかの実施形態では、疎水性ポリマーブロックの最大100モル%が、少なくとも1つのアルキレンカーボネート単位を含有する。
【0039】
いくつかの実施形態では、疎水性ポリマーブロックは、以下の式5の構造を有する。
【0040】
【化3】
式中、
・R、R、R及びLは、各々、以前に定義された意味及び実施形態を有する。例えば、Rは、1~30個の炭素原子を含有する脂肪族部分であってもよい。例えば、R及びRは、各々独立して、水素、又は各繰り返し単位について平均して1~6個の炭素原子を含有するアルキル部分であってもよい。
・bは、アルキレンエーテル繰り返し単位の数であり、aは、アルキレンカーボネート繰り返し単位の数であり、選択されたそのようなアルキレンカーボネート繰り返し単位は、アルキレンカーボネート単位及びアルキレンエーテル単位の合計重量に基づいて、平均して疎水性ポリマーブロックの1~40重量%を構成し、アルキレンエーテル繰り返し単位は、平均して疎水性ポリマーブロックの60~99重量%を構成する。a及びbの例は、以前に記載した例示的な重合度及び繰り返し単位の比に対応する。
・アルキレンエーテル繰り返し単位及びアルキレンカーボネート繰り返し単位の両方は、疎水性ポリマーブロック全体に分布していてもよく、Lに接続した第1の単位は、アルキレンエーテル単位又はアルキレンカーボネート単位のいずれかであってもよい。
【0041】
第2の重合工程
第2の重合工程において、疎水性ポリマーブロックを、触媒の存在下で、疎水性ポリマーブロックに結合した親水性ポリマーブロックを形成するのに適した条件下で、第2のアルキレンオキシド成分と接触させる。
【0042】
第2のアルキレンオキシド成分は、エチレンオキシドを含む。第2のアルキレンオキシド成分は、エチレンオキシドの部分が、得られるポリマーブロックが親水性であるように十分に高い場合、他のアルキレンオキシドコモノマーを更に含んでもよい。他のアルキレンオキシドコモノマーのいくつかの実施形態は、1分子当たり多くとも8個の炭素原子又は1分子当たり多くとも6個の炭素原子を含む。他のアルキレンオキシドコモノマーのいくつかの実施形態は、少なくとも3個の炭素原子を含む。他のアルキレンオキシドコモノマーの一般的な例としては、プロピレンオキシド及びブチレンオキシドが挙げられる。多くの実施形態では、他のアルキレンオキシドコモノマーの量は、アルキレンオキシドの総量に基づいて、50モル%以下、又は30モル%以下、又は20モル%以下、又は10モル%以下である。他のアルキレンオキシドコモノマーの量は、0モル%以上であってもよい。それに対応して、多くの実施形態では、第2のアルキレンオキシド成分は、少なくとも50モル%又は少なくとも70モル%又は少なくとも80モル%又は少なくとも90モル%のエチレンオキシド、最大100モル%のエチレンオキシドを含有する。第2のアルキレンオキシド成分は、1分子当たり平均して少なくとも2個の炭素原子を含有する。いくつかの実施形態では、第2のアルキレンオキシド成分は、平均して、1分子当たり多くとも2.7個の炭素原子、又は1分子当たり多くとも2.5個の炭素原子、又は1分子当たり多くとも2.3個の炭素原子を含有する。
【0043】
例示的な第2のアルキレンオキシド成分は、式6を満たすことができる。
【0044】
【化4】
式中、各R及びRは、独立して、水素、又は得られるポリマーが親水性であるように選択されるアルキル基である。一部の実施形態では、R及びRは、合わせて、平均して少なくとも0個の炭素原子を含有する。いくつかの実施形態では、R及びRは、合わせて、平均して、多くとも1個の炭素、又は多くとも0.5個の炭素原子、又は多くとも0.25個の炭素原子、又は多くとも0.15個の炭素原子、又は多くとも0.1個の炭素原子を含有する。
【0045】
第2の重合工程は、触媒の存在下で行われる。触媒は、第1の重合工程で使用される触媒と同じ説明及び例示的な実施形態を有する。触媒は、第1の重合工程で使用される触媒と同じであってもよいし、又は異なっていてもよい。いくつかの実施形態では、第2の重合工程で使用される触媒の少なくとも一部は、第1の重合工程からの疎水性ポリマーブロック中に含有される残留触媒である。
【0046】
アルキレンオキシドのカチオン重合において、適切な触媒の例としては、プロトン酸(HClO、HCl)、ルイス酸(SnCl、BFなど)、有機金属化合物、又はより複雑な試薬が挙げられる。アルキレンオキシドのアニオン重合において、好適な触媒の例としては、アルカリ金属又はアルカリ土類金属のアルコキシド、水酸化物、炭酸塩又は他の化合物などの塩基が挙げられる。本発明のいくつかの実施形態では、第2の重合工程で使用される触媒は、前述のような複金属シアン化物触媒(「DMC触媒」)を含有する。いくつかの実施形態では、DMC触媒は、前述のような促進剤と共に使用される。
【0047】
第2の重合工程における重合条件は、第1の重合工程と同じ限界及び例示的な実施形態を有し、第2の重合が疎水性ポリマーブロックに接続した親水性ポリマーブロックを生成するように選択される。
【0048】
第2の重合工程において、疎水性ポリマーブロック(スターターの重量を含む)に対する第2のアルキレンオキシド成分の重量比は、第2の重合工程の生成物が界面活性であるように選択される。いくつかの実施形態では、第2の重合における疎水性ポリマーブロックに対する第2のアルキレンオキシド成分の重量比は、少なくとも0.3又は少なくとも0.4又は少なくとも0.5である。いくつかの実施形態では、第2の重合における疎水性ポリマーブロックに対する第2のアルキレンオキシド成分の重量比は、多くとも6又は多くとも9又は多くとも11である。
【0049】
いくつかの実施形態では、得られる親水性ポリマーブロックは、少なくとも100又は少なくとも150又は少なくとも200の重量平均分子量を有する。いくつかの実施形態では、得られる親水性ポリマーブロックは、多くとも3000又は多くとも2000又は多くとも1500の重量平均分子量を有する。いくつかの実施形態では、得られる親水性ポリマーブロックは、少なくとも3又は少なくとも4又は少なくとも5の重合度を有する。いくつかの実施形態では、得られる親水性ポリマーブロックは、多くとも70又は多くとも40又は多くとも35の重合度を有する。
【0050】
アルキレンカーボネート単位の量が、ポリマーブロックが親水性のままであるほど十分に低い場合、第2の重合工程は、アルキレンカーボネート単位が形成されるように、少量の二酸化炭素の重合を含んでもよい。例えば、米国特許第4,866,143号は、約1~15モル%の残留二酸化炭素含有量を有するアルキレンエーテル及びアルキレンカーボネート単位を含有する親水性ポリマーブロックを含有する非イオン性界面活性剤を記載している。いくつかの実施形態では、第2の重合工程における二酸化炭素の組み込みは、10モル%以下、又は5モル%以下、又は3モル%以下である。いくつかの実施形態では、第2の重合工程中に親水性ポリマーブロックに組み込まれる二酸化炭素は本質的にない(0モル%)。
【0051】
第2の重合工程の生成物は、非イオン性界面活性剤である。界面活性剤は、無希釈の生成物として回収されてもよい。任意選択的に、水又は有機溶媒(例えば、エタノール又はイソプロパノール)が、粘度を低下させるために添加されてもよい。
【0052】
残留アルキレンオキシドは、周囲温度又は高温での窒素スパージング若しくはフラッシング又は高減圧の適用などの公知の手段によって界面活性剤生成物から除去することができる。
【0053】
使用される触媒及び界面活性剤の要件に応じて、残留触媒は、濾過又はイオン交換などの公知の手段によって除去することができ、又は残留触媒は、酢酸、プロピオン酸又はリン酸などの酸で塩基性触媒を中和するなど、中和することができる。DMC触媒を除去するための公知の方法は、多くの場合、触媒を沈殿させるか、又は粒状吸着剤上に吸着させ、次いで沈殿物又は吸着剤を濾過することを伴う。それらを記載する例示的な方法及びソースは、米国特許公開第2019/0119444(A1)号に記載されている。他の方法も効果的な可能性がある。
【0054】
界面活性剤
第2の重合の生成物は、非イオン性界面活性剤である。非イオン性界面活性剤は、アルキルエーテル繰り返し単位及びアルキルカーボネート繰り返し単位の両方を含有する疎水性ポリマーのブロックを含有する。非イオン性界面活性剤は、アルキルエーテル繰り返し単位を含有する親水性ポリマーのブロックを更に含有する。
【0055】
多くの実施形態では、疎水性ポリマーブロックは、エーテル又はエステル結合(L=-O-又は-CO-)によって1つの繰り返し単位に結合した有機部分(R)を更に含む。有機部分は、第1の重合工程からのスターター化合物の残部である。いくつかの実施形態では、脂肪族又はアルキルである。いくつかの実施形態では、有機部分は、平均して少なくとも1個又は2個又は3個又は4個の炭素原子又は6個の炭素原子を含有する。いくつかの実施形態では、有機部分は、平均して多くとも30個の炭素原子、又は多くとも26個の炭素原子、又は多くとも24個の炭素原子、又は多くとも20個の炭素原子を含有する。多くの実施形態では、有機部分は、疎水性ポリマーブロックの一端をキャップし、親水性ポリマーブロックは、疎水性ポリマーブロックの反対の端をキャップする。
【0056】
疎水性ポリマーブロックの含有量及びサイズは、以前に記載されている。
【0057】
親水性ポリマーブロック中のアルキレンエーテル繰り返し単位は、第2の重合工程で使用される第2のアルキレンオキシド成分を反映する。多くの実施形態では、親水性ポリマーブロックのアルキレンエーテル繰り返し基中のアルキル基は、親水性ブロック中の繰り返し単位の少なくとも50モル%、又は繰り返し単位の少なくとも70モル%若しくは少なくとも80モル%若しくは少なくとも90モル%のエチレンオキシド、最大100モル%について、エチレン基である。他の繰り返し単位は、第2の重合工程におけるコモノマーの説明を反映する。いくつかの実施形態では、他の繰り返し単位中のアルキル基は、6個以下の炭素原子又は4個以下の炭素原子又は3個以下の炭素原子を含有する。いくつかの実施形態では、親水性ポリマーブロック中のアルキレン基は、平均して、アルキレン基当たり2~2.7個の炭素原子、又は2~2.5個の炭素原子、又は2~2.3個の炭素原子を含有する。
【0058】
親水性ポリマーブロックの分子量及び重合度は、以前に記載されている。いくつかの実施形態では、界面活性剤は、平均して少なくとも20重量%、又は少なくとも30重量%、又は少なくとも40重量%の親水性ポリマーブロックを含有する。いくつかの実施形態では、界面活性剤は、平均して多くとも90重量%、又は多くとも80重量%、又は多くとも70重量%の親水性ポリマーブロックを含有する。いくつかの実施形態では、界面活性剤(スターター化合物の残部を含む)中の疎水性ポリマーブロックは、平均して界面活性剤の少なくとも10重量%、又は少なくとも20重量%、又は少なくとも30重量%を構成する。いくつかの実施形態では、界面活性剤(スターター化合物の残部を含む)中の疎水性ポリマーブロックは、平均して界面活性剤の多くとも80重量%、又は多くとも70重量%、又は多くとも60重量%を構成する。
【0059】
非イオン性界面活性剤の例は、以下の式7を満たすことができる。
【0060】
【化5】
式中、
・Rは、前述した有機部分であり、
・Lが、エーテル連結基(-O-)又はエステル連結基(-CO-)であり、
・各R及びRは、独立して、水素、又は第1のアルキレンオキシド成分を説明する際に前述したアルキル部分であり、
・各R及びRは、独立して、水素、又は第2のアルキレンオキシド成分を説明する際に前述したアルキル部分であり、
・括弧()の間の繰り返し単位が、疎水性ポリマーブロックを形成し、括弧の外側の繰り返し単位が、親水性ポリマーブロックを形成し、
・bは、疎水性ポリマーブロック中のアルキレンエーテル繰り返し単位の数であり、aは、疎水性ポリマーブロック中のアルキレンカーボネート繰り返し単位の数であり、cは、親水性ポリマーブロック中のアルキレンエーテル繰り返し単位の数であり、アルキレンエーテル繰り返し単位が、疎水性ポリマーブロックの60~99重量%を構成し、アルキレンカーボネート繰り返し単位が、疎水性ポリマーブロックの1~40重量%を構成するように選択され、
・疎水性ポリマーブロック中のアルキレンエーテル繰り返し単位及びアルキレンカーボネート繰り返し単位が、ランダムに、若しくは交互に分布していてもよく、又は疎水性ポリマーブロックが、より高い濃度若しくはより低い濃度のアルキレンカーボネート単位を含有するセグメントを有していてもよく、連結基Lに接続した第1の単位が、アルキレンエーテル単位又はアルキレンカーボネート単位であってもよい。
【0061】
式7において、R、R、R及びRは、前述の例示的な実施形態を有する。式6のいくつかの実施形態では、
・aは、少なくとも0.5又は0.7又は1であり、
・aは、多くとも18又は13又は7であり、
・bは、少なくとも2又は3又は4であり、
・bは、多くとも35又は25又は13であり、
・cは、少なくとも3又は4又は5であり、
・cは、多くとも70又は40又は30である。
【0062】
いくつかの実施形態では、界面活性剤は、試験方法に記載されるように測定される場合、少なくとも20ppm又は少なくとも50ppm又は少なくとも100ppmの臨界ミセル濃度(CMC)を有する。いくつかの実施形態では、界面活性剤は、試験方法に記載されるように測定される場合、多くとも2000ppm又は多くとも1500ppm又は多くとも1000ppm又は多くとも500ppmの臨界ミセル濃度(CMC)を有する。
【0063】
いくつかの実施形態では、0.1重量%の界面活性剤を含有する水溶液は、試験方法に記載されるように測定される場合、多くとも40ダイン/cm、又は多くとも35ダイン/cm、又は多くとも32ダイン/cmの表面張力を有する。最小の所望の表面張力は存在しないが、いくつかの実施形態では、0.1重量%の界面活性剤を含有する水溶液は、試験方法に記載されるように測定される場合、少なくとも25ダイン/cm又は少なくとも27ダイン/cmの表面張力を有する。
【0064】
界面活性剤中にアルキルカーボネート繰り返し単位を含めることにより、界面活性剤の生分解性を高めることができる。生分解性は、試験方法に記載されているように、DCO2によって測定することができる。いくつかの実施形態では、本発明の界面活性剤は、試験方法に従って28日間試験した後に少なくとも60%の生分解性%(DCO2)を有する。
【0065】
試験方法
炭素13 NMR:試料を、10mmNMRチューブ中、0.025MのCr(AcAc)を含むアセトン-d6中のおよそ50%溶液として調製する。データは、クライオプローブを備えたBruker Avance III 400MHz分光計を使用して、160回の一過性スキャン及び6秒のパルス反復遅延を使用して収集する。取得を、25000Hzのスペクトル幅及び32Kデータポイントのファイルサイズを使用して実行する。
【0066】
表面張力及び臨界ミセル濃度:試料の表面張力及び臨界ミセル濃度(CMC)は、水中25℃で、Wilhelmyプレートを使用して、KRUSS Tensiometer K-100で得られる。濃度による表面張力の変化は、脱イオン水に界面活性剤を漸増式に添加することによって測定され、CMC値は、Force Tensiometer K100用のKRUESS LabDesk Softwareを使用して決定される。
【0067】
Draves濡れ:ASTM D 2281-68(Standard Test Method for Evaluation of Wetting Agents by the Skein Test)の手順に従って、Draves濡れ時間を試験する。試験は、0.1重量%濃度の界面活性剤及び室温で行われる。
【0068】
生分解性:生分解性は、OECD Guideline No. 301B:CO Evolution Testを用いて測定される。活性汚泥接種物を2つの公共廃棄物処理施設から収集し、29.9~30.0mg/L(乾燥固体)の濃度で規定の無機培地に懸濁させる。各界面活性剤をシリカゲル粉末上にコーティングし、これを12~24mg/Lの濃度で接種された無機培地(各汚泥混合物に対して2つ)を含有する2ッ組の試験瓶に分散させ、これは30~52mg/Lの理論二酸化炭素収率(ThCO)に相当するものであった。反応混合物を暗所で20~24℃の一定温度でインキュベートし、±1℃以内に維持する。自動レスピロメータシステムを使用して、生分解反応混合物中の二酸化炭素生成量を6時間間隔で連続的に記録する。
【0069】
測定DCO2(OECD Guidelineにおいて分解%と呼ばれる)は、以下の式によって計算される。
CO2=([生成したCOのmg数]/[ThCO×添加した試験物質のmg数])×100
式中、ThCOは、完全に鉱化されたときの試験化合物の既知又は測定された炭素含有量から生成されるように計算された二酸化炭素の量であり、また、OECD Guideline 301のAnnex IV.2に示されているように、試験化合物1mg当たりに発生した二酸化炭素のmg数として表される。
【実施例
【0070】
実施例1:疎水性ポリマー中間体の合成:
本発明の実施例以下の成分を、表1に示す量で500mLのステンレス鋼反応器に添加する。2-エチル-1-ヘキサノール(出発材料として)、Arcol 3 DMC(Double Metal Cyanide)触媒、及びアルミニウムトリ-sec-ブトキシド(触媒促進剤として)。反応器を閉じ、窒素スパージングしつつ室温で一晩置き、雰囲気を不活性化する。反応器を10psigの乾燥窒素で加圧し、160℃まで加熱し、1時間保持して促進剤を熱分解させる。反応器を周囲温度まで冷却し、圧力を解放し、窒素スパージングを続ける。
【0071】
次に、反応器を表1に示す反応温度まで1時間にわたって連続スパージングしつつ加熱し、反応の間中、その温度に維持する。次いで、窒素スパージングを止め、反応器を分離する。15mLの量のプロピレンオキシドを、1.5mL/分より低い流量で反応器に供給する。供給を停止し、圧力を初期圧力まで低下させるか、又は熱発生がおさまるまで低下させる。次いで、プロピレンオキシド及び二酸化炭素を反応器に供給して、表2に示す量を得た。所望の量の試薬を添加した後、プロピレンオキシド供給及び二酸化炭素供給を停止し、反応器圧力を低下させる。
【0072】
反応器圧力がそれ以上低下しなくなったら、二酸化炭素を反応器本体を通してスパージングしつつ、反応器をスクラバーにゆっくり通気する。反応器雰囲気が周囲圧力に達したら、スパージングを30分間継続させ、その後、雰囲気を窒素で置き換え、反応器を周囲温度まで冷却させる。反応器を冷却しながら、供給ライン中の残留プロピレンオキシドを窒素で急速に流すことによって一掃する。反応器が周囲温度になったら、疎水性ポリマー中間体生成物を集める。疎水性ポリマー中間体生成物は、残留DMC触媒及び促進剤を含有する。
【0073】
【表1】
*測定されず
†生分解性は、疎水性中間ブロックで測定される。本願発明者らの経験は、親水性ブロックを付加することが生分解性を増加させることを示す。
【0074】
炭素-13 NMRによる疎水性ポリマー中間体の分析により、生成物が式8を満たすことが確認される。
【0075】
【化6】
式中、a及びbは表1に示される。
【0076】
比較例:反応器は、インペラ、窒素ライン及び酸化物供給ラインに接続された浸漬管(1/4インチOD)、並びに反応器のヘッド内の別個の窒素及びベントラインを備えた2000mLのParrステンレス鋼(316SS)反応器である。加熱は、外部電気バンドヒーターによって提供され、冷却は、内部コイルを通して循環される水によって提供され、流量制御は、リサーチ制御弁によって提供される。プロセス制御は、反応器からの圧力及び温度入力を使用してSiemens PCS7で達成される。圧力差によって駆動される中間供給タンクから酸化物が供給され、インライン流量計で測定され、流量制御弁で制御される。
【0077】
水酸化カリウム及び2-エチルヘキサノールを丸底フラスコ中で混合し、続いて75℃で回転蒸発によりストリッピングして、500ppm未満の最終含水量にする。触媒されるアルコールを反応器に投入し、窒素パッド/脱パッドシーケンス(6サイクル)によって不活性化する。反応器を、窒素加圧下で100~130℃まで加熱する。プロピレンオキシドを、58psia未満の圧力を維持しながら反応器に投入し、完了時に1時間温浸する。生成物を65℃まで冷却し、反応器から排出する。粗生成物を氷酢酸で中和する。得られた生成物は、2-エチルヘキサノールに結合したプロピレンカーボネートの平均して約5個の繰り返し単位を有するオリゴマーである。次いで、生分解性を本発明の実施例(中間体1、中間体2、及び中間体3)と直接比較するために、生成物を100ppmのDMC触媒と混合する。
【0078】
比較例は、10%DCO2を達成するのに4.6日かかり、28日後に33.8DCO2,±9.86を達成する。
【0079】
実施例2:ポリエーテルカーボネート界面活性剤の調製:
ある量(表2に示す)の実施例1からの疎水性ポリマー中間生成物(表2に示す)(DMC触媒及び促進剤を含有する)を、開放実験室雰囲気中の500mLステンレス鋼反応器に添加する。更なる触媒及び促進剤を、表2に示す量に達するように添加する。反応器を閉じ、窒素スパージングしつつ室温で一晩置き、雰囲気を不活性化する。次に、反応器を表2に示す反応温度まで1時間にわたって連続スパージングしつつ加熱し、反応の間中、その温度に維持する。次いで、窒素スパージングを止め、反応器を分離する。
【0080】
5gの量のエチレンオキシドを、0.4g/分の流量を用いて反応器に添加する。供給を停止し、圧力を初期圧力まで低下させるか、又は熱発生がおさまるまで低下させる。次いで、表2に示される量に達するまで、更なるエチレンオキシドを反応器に供給する。エチレンオキシド供給が完了した後、反応器中の残留エチレンオキシドをその温度で温浸させ、次いで、窒素を反応器本体を通してスパージングしながら、残留圧力をスクラバーに排気する。反応器雰囲気が周囲圧力に達した後、スパージングを30分間継続し、反応器を周囲温度まで冷却する。反応器が周囲温度になったら、生成物が回収される。
【0081】
炭素-13 NMRによる疎水性ポリマー中間体の分析により、海綿活性剤が式9を満たすことが確認される。
【0082】
【化7】
式中、a、b及びcは表2に示される。
【0083】
比較非イオン性界面活性剤(CE1及びCE2)は、実施例1で製造した比較疎水性ブロックと同じ手順を使用して製造する。本発明の実施例(IE1及びIE2)並びに比較例(CE1及びCE2)において、上に列挙した試験方法を用いて以下の測定を行い、結果を表2に列挙する。0.1重量%の界面活性剤を含有する水溶液中の表面張力、臨界ミセル濃度、及び0.1重量%の界面活性剤を含有する水溶液中でのDraves濡れ時間。
【0084】
【表2】
【0085】
表2の性能試験は、本発明の非イオン性界面活性剤が、カーボネート結合を含有しない非イオン性界面活性剤と同様の界面活性剤性能を示すことを示す。表1の生分解性試験は、本発明の非イオン性界面活性剤が、カーボネート結合を含まない非イオン性界面活性剤よりも高い生分解性を有することを示す。
【手続補正書】
【提出日】2024-08-07
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
非イオン性界面活性剤であって、
a)アルキレンエーテル繰り返し単位及びアルキレンカーボネート繰り返し単位の合計重量に基づいて、平均して60~99重量%のアルキレンエーテル繰り返し単位及び1~40重量%のアルキレンカーボネート繰り返し単位を含有する疎水性ポリマーブロックと、
b)アルキレンエーテル繰り返し単位を含有する親水性ポリマーブロックと、を含む、非イオン性界面活性剤。
【請求項2】
前記疎水性ポリマーブロックが、エーテル又はエステル連結基によって前記繰り返し単位のうちの1つに結合した1~30個の炭素原子を有する脂肪族部分を更に含む、請求項1に記載の非イオン性界面活性剤。
【請求項3】
前記疎水性ポリマーブロックが、アルキレンカーボネート繰り返し単位及びアルキレンエーテル繰り返し単位の合計重量に基づいて、平均して5~35重量%のアルキレンカーボネート繰り返し単位を含有する、請求項1又は2に記載の非イオン性界面活性剤。
【請求項4】
前記疎水性ポリマーブロックが、アルキレンカーボネート繰り返し単位及びアルキレンエーテル繰り返し単位の合計重量に基づいて、平均して8~30重量%のアルキレンカーボネート繰り返し単位を含有する、請求項1又は2に記載の非イオン性界面活性剤。
【請求項5】
前記疎水性ポリマーブロックが、2~35の平均重合度を有する、請求項1又は2に記載の非イオン性界面活性剤。
【請求項6】
前記親水性ポリマーブロックが、3~70の平均重合度を有する、請求項1又は2に記載の非イオン性界面活性剤。
【請求項7】
前記非イオン性界面活性剤が、平均して30~90重量%の前記親水性ポリマーブロックを含有する、請求項1又は2に記載の非イオン性界面活性剤。
【請求項8】
前記疎水性ポリマーブロックの前記アルキレンエーテル繰り返し単位及びアルキレンカーボネート繰り返し単位中のアルキレン基が、平均して3~6個の炭素原子を含有し、親水性ポリマーブロックの前記アルキレンエーテル繰り返し単位中のアルキレン基が、平均して2~2.5個の炭素原子を含有する、請求項1又は2に記載の非イオン性界面活性剤。
【請求項9】
50ppm~1500ppmの臨界ミセル濃度を有する、請求項2に記載の非イオン性界面活性剤。
【請求項10】
以下の式6
【化1】
を満たし、式中、
・Rが、1~30個の炭素原子を含有する有機部分であり、
・Lが、エーテル連結基(-O-)又はエステル連結基(-CO-)であり、
・各R及びRが、独立して、水素、又は各繰り返し単位においてR及びRが合わせて平均して1~4個の炭素原子を含有するように選択されるアルキル部分であり、
・各R及びRが、独立して、水素、又は各繰り返し単位においてR及びRが合わせて平均して2~2.7個の炭素原子を含有するように選択されるアルキル部分であり、
・括弧()の間の前記繰り返し単位が、前記疎水性ポリマーブロックを形成し、前記括弧の外側の前記繰り返し単位が、前記親水性ポリマーブロックを形成し、
・aが、平均0.7~18の繰り返し単位の数であり、bが、平均2~35の繰り返し単位の数であり、cが、平均3~70の繰り返し単位の数であり、
・前記疎水性ポリマーブロック中の前記アルキレンエーテル繰り返し単位及び前記アルキレンカーボネート繰り返し単位が、ランダムに、若しくは交互に分布していてもよく、又は前記疎水性ポリマーブロックが、より高い濃度若しくはより低い濃度のアルキレンカーボネート単位を含有するセグメントを有していてもよく、連結基Lに接続した第1の単位が、アルキレンエーテル単位又はアルキレンカーボネート単位であってもよい、請求項1又は2に記載の非イオン性界面活性剤。
【請求項11】
請求項1又は2に記載の非イオン性界面活性剤を製造するためのプロセスであって、
a)第1のアルキレンオキシド成分が、二酸化炭素、アルコール又は有機酸及び触媒の存在下で、疎水性ポリマーブロックが、アルキレンエーテル繰り返し単位及びアルキレンカーボネート繰り返し単位の合計重量に基づいて、平均して60~99重量%のアルキレンエーテル繰り返し単位及び1~40重量%のアルキレンカーボネート繰り返し単位を含有するように形成される条件下で重合される第1の重合工程と、
b)第2のアルキレンオキシド成分が、工程(a)からの疎水性ポリマーブロック及び触媒の存在下で、アルキレンエーテル繰り返し単位を含有する親水性ポリマーブロックが、前記疎水性ブロックに接続して形成されるような条件下で重合される第2の重合工程と、を含む、プロセス。
【請求項12】
前記第1の重合工程及び前記第2の重合工程の両方における前記触媒が、複金属シアン化物触媒を含む、請求項11に記載のプロセス。
【請求項13】
前記第1のアルキレンオキシド成分が、1分子当たり平均して3~6個の炭素原子を含み、前記第2のアルキレンオキシド成分が、1分子当たり平均して2~2.7個の炭素原子を含む、請求項11に記載のプロセス。
【請求項14】
前記第1の重合工程で形成された前記疎水性ポリマーブロックへの二酸化炭素の取り込みが5~20重量%である、請求項11に記載のプロセス。
【請求項15】
前記第2の重合工程における前記疎水性ポリマーブロックに対する前記第2のアルキレンオキシド成分の重量比が0.4~9である、請求項11に記載のプロセス。
【国際調査報告】