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特表2024-546640洋上風力タービンのための支持構造体及び支持構造体を設置するプロセス
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-12-26
(54)【発明の名称】洋上風力タービンのための支持構造体及び支持構造体を設置するプロセス
(51)【国際特許分類】
   F03D 13/25 20160101AFI20241219BHJP
   E04H 12/00 20060101ALI20241219BHJP
   F03D 13/10 20160101ALI20241219BHJP
【FI】
F03D13/25
E04H12/00 A
F03D13/10
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024533084
(86)(22)【出願日】2022-12-08
(85)【翻訳文提出日】2024-05-31
(86)【国際出願番号】 EP2022084964
(87)【国際公開番号】W WO2023117461
(87)【国際公開日】2023-06-29
(31)【優先権主張番号】21315287.9
(32)【優先日】2021-12-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522178393
【氏名又は名称】トタルエナジーズ・ワンテック
【氏名又は名称原語表記】TOTALENERGIES ONETECH
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100112357
【弁理士】
【氏名又は名称】廣瀬 繁樹
(74)【代理人】
【識別番号】100114018
【弁理士】
【氏名又は名称】南山 知広
(74)【代理人】
【識別番号】100153729
【弁理士】
【氏名又は名称】森本 有一
(74)【代理人】
【識別番号】100211177
【弁理士】
【氏名又は名称】赤木 啓二
(72)【発明者】
【氏名】フランソワ ブーンフール
【テーマコード(参考)】
3H178
【Fターム(参考)】
3H178AA20
3H178AA25
3H178AA43
3H178BB35
3H178BB77
3H178CC22
3H178DD67X
(57)【要約】
本発明は、洋上風力タービンのための支持構造体(1)に関し、当該支持構造体(1)は、海底(Sb)に固定されるようになっている第1の構造体部分(A)であって、支持構造体(1)の長手方向軸(Y)を中心として有する第1の円(XI)上に規則的に分布し、支持構造体(1)の長手方向軸(Y)に沿って延在する少なくとも3つのダミー脚部(3)を備え、ダミー脚部(3)は、海底(Sb)に面するように設計された下端部(3a)と、下端部(3a)に対向する上端部(3b)とを備え、第1の構造体部分(A)はまた、少なくとも3つのダミー脚部(3)に連結された海底(Sb)への少なくとも3つのアンカー装置(5)を備える、第1の構造体部分(A)と、第1の構造体部分(A)の少なくとも3つのダミー脚部(3)の上端部(3b)に取り付けられた下端部(Ba)を備える、第2の構造体部分とを備え、第1の構造体部分(A)の少なくとも1つのアンカー装置(5)は、支持構造体(1)の長手方向軸(Y)を中心として有する第2の円(X2)上の2つの隣接するダミー脚部(3)の間に角度を付けて配置される。本発明はまた、風力発電所設置のための当該支持構造体(1)を設置するプロセスに関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
洋上風力タービンのための支持構造体(1)であって、前記支持構造体(1)が、
海底(Sb)に固定されるようになっている第1の構造体部分(A)であって、前記支持構造体(1)の長手方向軸(Y)を中心として有し、前記支持構造体(1)の前記長手方向軸(Y)に沿って延在する第1の円(X1)上に規則的に分布された少なくとも3つのダミー脚部(3)を備え、前記ダミー脚部(3)が、海底(Sb)に面するように設計された下端部(3a)と、前記下端部(3a)に対向する上端部(3b)とを備え、前記第1の構造体部分(A)が、前記少なくとも3つのダミー脚部(3)に連結された海底(Sb)への少なくとも3つのアンカー装置(5)も備える、第1の構造体部分(A)と、
前記第1の構造体部分(A)の前記少なくとも3つのダミー脚部(3)の前記上端部(3b)に取り付けられた下端部(Ba)を備える、第2の構造体部分(B)とを備え、
前記第1の構造体部分(A)の少なくとも1つのアンカー装置(5)が、前記支持構造体(1)の前記長手方向軸(Y)を中心として有する第2の円(X2)上の2つの隣接するダミー脚部(3)の間に角度を付けて配置されている、支持構造体(1)。
【請求項2】
前記第1の構造体部分(A)が、2つの隣接するダミー脚部(3)の間の前記海底(Sb)への1つのみのアンカー装置(5)を備え、アンカー装置(5)を接合する前記第2の円(X2)の半径と、前記アンカー装置(5)を囲む前記2つのダミー脚部(3)を接合する前記第1の円(X1)の半径との間の角度(α)が同じである、請求項1に記載の支持構造体(1)。
【請求項3】
支持構造体(1)であって、前記第1の構造体部分(A)が、2つの隣接するダミー脚部(3)の間の前記海底(Sb)への少なくとも2つのアンカー装置(5)を備え、これらの少なくとも2つのアンカー装置(5)が、各側に対称的に、及び/又は前記2つのダミー脚部(3)から等距離にあり、前記支持構造体(1)の前記長手方向軸(Y)を通過する中心直線上に直接分布される、請求項1に記載の支持構造体(1)。
【請求項4】
前記第1の構造体部分(A)の前記海底(Sb)への前記アンカー装置(5)を含む前記第2の円(X2)が、前記ダミー脚部(3)を含む前記第1の円(X1)よりも大きい半径を有する、請求項1から3のいずれか一項に記載の支持構造体(1)。
【請求項5】
前記第1の構造体部分(A)の前記海底(Sb)への前記アンカー装置(5)を含む前記第2の円(X2)が、前記ダミー脚部(3)を含む前記第1の円(X1)よりも小さい半径を有する、請求項1から3のいずれか一項に記載の支持構造体(1)。
【請求項6】
前記第1の構造体部分(A)の前記海底(Sb)への前記アンカー装置(5)を含む前記第2の円(X2)と、前記ダミー脚部(3)を含む前記第1の円(X1)とが、同じ半径を有する、請求項1から3のいずれか一項に記載の支持構造体(1)。
【請求項7】
前記海底(Sb)への前記アンカー装置(5)が、前記海底に打ち込まれるか又は穿孔されるように設計されたパイル(7)を受容し、それに固定されるように構成されたスリーブである、請求項1から6のいずれか一項に記載の支持構造体(1)。
【請求項8】
前記スリーブの少なくとも1つの端部(5a、5b)が、前記パイル(7)のための案内部分を備える、請求項7に記載の支持構造体(1)。
【請求項9】
前記海底(Sb)への前記アンカー装置(5)が吸引バケットである、請求項1から6のいずれか一項に記載の支持構造体(1)。
【請求項10】
前記第1の構造体部分(A)の前記ダミー脚部(3)の前記上端部(3b)が、それぞれ、受容開口部又はピンのうちの1つを備え、前記第2の構造体部分(B)の前記下端部(Ba)が、それぞれ、ピン又は受容開口部のうちの1つを備え、前記ピン及び前記受容開口部が、互いに嵌合するように構成されている、請求項1から9のいずれか一項に記載の支持構造体(1)。
【請求項11】
風力発電所設置のための支持構造体(1)を設置するプロセスであって、前記プロセスが、
少なくとも1つの第1の構造体部分(A)の現場で輸送するステップであって、前記第1の構造体部分(A)が、前記支持構造体(1)の長手方向軸(Y)を中心として有する第1の円(X1)上に規則的に分布され、前記支持構造体(1)の前記長手方向軸(Y)に沿って延在する少なくとも3つのダミー脚部(3)を備え、前記ダミー脚部(3)が、海底(Sb)に面するように設計された下端部(3a)と、前記下端部(3a)に対向する上端部(3b)とを備え、前記第1の構造体部分(A)がまた、前記少なくとも3つのダミー脚部(3)に連結された前記海底(Sb)への少なくとも3つのアンカー装置(5)を備え、前記第1の構造体部分(A)の前記海底(Sb)への少なくとも1つのアンカー装置(5)が、前記支持構造体(1)の前記長手方向軸(Y)を中心として有する第2の円(X2)上の2つの隣接するダミー脚部(3)の間に角度を付けて配置される、輸送するステップと、
前記第1の構造体部分(A)を前記海底(Sb)に設置するステップと、
前記アンカー装置(5)を用いて前記少なくとも1つの第1の構造体部分(A)を前記海底(Sb)に固定するステップと、
少なくとも1つの第2の構造体上部(B)の現場で輸送するステップと、
前記少なくとも1つの第2の構造体部分(B)を前記少なくとも1つの第1の構造体部分(A)上に水中で持ち上げて積み重ねるステップと、
前記少なくとも1つの第2の構造体部分(B)を前記第1の構造体部分(A)上に固定するステップとを含む、プロセス。
【請求項12】
プロセスであって、前記アンカー装置(5)がスリーブであり、前記プロセスが、前記海底(Sb)に前記第1の構造体部分(A)を設置するステップの前に、前記海底(Sb)にパイル(7)を挿入して、各前記第1の構造体部分(A)の受容領域を形成する予備ステップを含み、
前記海底(Sb)に前記第1の構造体部分(A)を設置する前記ステップが、前記予め設置されたパイル(7)を前記アンカー装置(5)の前記スリーブに挿入することからなる、請求項11に記載のプロセス。
【請求項13】
前記パイル(7)の挿入の予備ステップ中に前記パイル(7)の挿入を案内するために、テンプレートが前記海底(Sb)上に落とされ、前記テンプレートが、第1の構造体部分(A)のための受容領域の形成後に除去され、別の第1の構造体部分(A)のための別の受容領域を形成するために再使用される、請求項12に記載のプロセス。
【請求項14】
前記アンカー装置(5)がスリーブであり、前記第1の構造体部分(A)を前記海底(Sb)に固定するステップが、
前記パイル(7)を前記スリーブを通して前記海底(Sb)に挿入する第1のサブステップ、
及び前記スリーブを前記パイル(7)上に固定する第2のサブステップからなる、請求項11に記載のプロセス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、洋上風力タービンのための支持構造体、及びそのような支持構造体を設置するプロセスに関する。より詳細には、本発明は、平均深度が約80~150mの海底に載置され固定される支持構造体に関する。
【背景技術】
【0002】
約50mのより浅い深度では、洋上風力タービンのためにジャケット構造体のような支持構造体を使用することがよく知られている。このような支持構造体は海底に載置され、アンカー装置を用いて地面に固定される。支持構造体は、風力タービンマストを受容するために海面上に延在する。一般に、この支持構造体は1つの部品で作られ、深度が深いほど、支持構造体を高くしなければならない。
【0003】
約80~150mのより深い深度の場合、支持構造体は、そのような深度に達するのに十分な高さでなければならない。このような高さは、支持構造体を海底に設置する際に問題となり得る。実際、支持構造体は、一般的に、現場で輸送バージを用いて垂直に運ばれ、フローティングクレーンによって持ち上げられて海底に配置される。そのような深度の場合、輸送バージ及びフローティングクレーンは、より大きくかつより重くなければならず、これは、特に風力発電所のためのいくつかの支持構造体の連続設置の場合、コストを増加させ、設置の平面化に影響を与える。更に、海底に穿孔されたパイルのように、どのアンカー装置が使用されるかに応じて、深度のために固定がより複雑になる場合がある。
【0004】
本発明の1つの目的は、約80~150mの平均深度に適合された洋上風力タービンのための支持構造体及び強化されたアンカー装置を提供することである。本発明の別の目的はまた、風力発電所のための支持構造体の適合された設置プロセスを提供することである。
【0005】
この目的のために、本発明は、洋上風力タービンのための支持構造体に関し、当該支持構造体が、
海底に固定されるようになっている第1の構造体部分であって、当該第1の構造体部分が、支持構造体の長手方向軸(Y)を中心として有し、支持構造体の当該長手方向軸に沿って延在する第1の円上に規則的に分布された少なくとも3つのダミー脚部を備え、当該ダミー脚部が、海底に面するように設計された下端部と、下端部に対向する上端部とを備え、第1の構造体部分がまた、少なくとも3つのダミー脚部に連結された海底への少なくとも3つのアンカー装置を備える、第1の構造体部分と、
第1の構造体部分の少なくとも3つのダミー脚部の上端部に取り付けられた下端部を備える、第2の構造体部分とを備え、
第1の構造体部分の少なくとも1つのアンカー装置が、支持構造体の長手方向軸を中心として有する第2の円上の2つの隣接するダミー脚部の間に角度を付けて配置される。
【0006】
第1の構造体部分が、2つの隣接するダミー脚部の間の海底へのアンカー装置を1つだけ備えてもよく、アンカー装置を接合する第2の円の半径と、当該アンカー装置を囲む2つのダミー脚部を接合する第1の円の半径との間の角度が、同じであってもよい。
【0007】
第1の構造体部分が、2つの隣接するダミー脚部の間の海底への少なくとも2つのアンカー装置を備えてもよく、これらの少なくとも2つのアンカー装置が、各側に対称的に、及び/又は2つのダミー脚部から等距離の中心直線上に直接分布されてもよく、支持構造体の長手方向軸を通過してもよい。
【0008】
第1の構造体部分の海底へのアンカー装置を含む第2の円が、ダミー脚部を含む第1の円よりも大きい半径を有してもよい。
【0009】
第1の構造体部分の海底へのアンカー装置を含む第2の円が、ダミー脚部を含む第1の円よりも小さい半径を有してもよい。
【0010】
第1の構造体部分の海底へのアンカー装置を含む第2の円と、ダミー脚部を含む第1の円とが、同じ半径を有してもよい。
【0011】
海底へのアンカー装置が、海底に打ち込まれるか又は穿孔されるように設計されたパイルを受容し、パイルに固定されるように構成されたスリーブであってもよい。
【0012】
スリーブの少なくとも1つの端部が、パイルのための案内部分を備え得る。
【0013】
海底へのアンカー装置が吸引バケットであってもよい。
【0014】
第1の構造体部分のダミー脚部の上端部が、それぞれ、受容開口部又はピンのうちの1つを備えてもよく、第2の構造体部分の下端部が、それぞれ、ピン又は受容開口部のうちの1つを備えてもよく、ピン及び受容開口部が、ともに嵌合するように構成されてもよい。
【0015】
本発明がまた、風力発電所設置のための支持構造体を設置するプロセスに関し、当該プロセスが、
少なくとも1つの第1の構造体部分の現場で輸送するステップであって、当該第1の構造体部分が、支持構造体の長手方向軸を中心として有する第1の円上に規則的に分布され、支持構造体の当該長手方向軸に沿って延在する少なくとも3つのダミー脚部を備え、当該ダミー脚部が、海底に面するように設計された下端部と、下端部に対向する上端部とを備え、第1の構造体部分がまた、少なくとも3つのダミー脚部に連結された海底への少なくとも3つのアンカー装置を備え、第1の構造体部分の海底への少なくとも1つのアンカー装置が、支持構造体の長手方向軸を中心として有する第2の円上の2つの隣接するダミー脚部の間に角度を付けて配置される、輸送するステップと、
第1の構造体部分を海底に設置するステップと、
アンカー装置を用いて少なくとも1つの第1の構造体部分を海底に固定するステップと、
少なくとも1つの第2の構造体上部の現場で輸送するステップと、
少なくとも1つの第2の構造体部分を少なくとも1つの第1の構造体部分上に水中で持ち上げて積み重ねるステップと、
少なくとも1つの第2の構造体部分を第1の構造体部分上に固定するステップとを含む。
【0016】
アンカー装置がスリーブであってもよく、プロセスが、海底に第1の構造体部分を設置するステップの前に、海底にパイルを挿入して各第1の構造体部分のための受容領域を形成する予備ステップを含んでもよく、
第1の構造体部分を海底に設置するステップが、予め設置されたパイルをアンカー装置のスリーブに挿入することからなってもよい。
【0017】
テンプレートが、パイルの挿入の予備ステップ中にパイルの挿入を案内するために海底に落とされてもよく、当該テンプレートが、第1の構造体部分のための受容領域の形成後に除去されてもよく、別の第1の構造体部分のための別の受容領域を形成するために再使用されてもよい。
【0018】
アンカー装置がスリーブであってもよく、第1の構造体部分を海底に固定するステップが、
パイルをスリーブを通して海底に挿入する第1のサブステップ、
及びスリーブをパイルに固定する第2のサブステップからなってもよい。
【0019】
本発明の更なる特徴及び利点は、例示的かつ非限定的な例として与えられる以下の説明を、添付図面を参照して読むことにより、より明確に明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】洋上風力タービンのための支持構造体の概略的な表現の側面図である。
図2】第1の実施形態による支持構造体のための第1の構造体部分の概略的な表現の上面図である。
図3】第2の実施形態による支持構造体のための第1の構造体部分の概略的な表現の上面図である。
図4】第3の実施形態による支持構造体のための第1の構造体部分の概略的な表現の上面図である。
図5】第4の実施形態による支持構造体のための第1の構造体部分の概略的な表現の上面図である。
図6】2つの異なる実施形態によるアンカー装置の側面図である。
図7】2つの異なる実施形態によるアンカー装置の側面図である。
図8】第1の構造体部分と第2の構造体部分との間の接合部の概略的な表現の側面図である。
図9】2つの異なる実施形態による洋上風力タービンのための支持構造体の概略的な表現の側面図である。
図10】2つの異なる実施形態による洋上風力タービンのための支持構造体の概略的な表現の側面図である。
図11】2つの異なる実施形態による、支持構造体を設置するプロセスの2つのチャートである。
図12】2つの異なる実施形態による、支持構造体を設置するプロセスの2つのチャートである。
【0021】
これらの図において、同一の要素には同じ参照番号が付与されている。以下の実装形態は例である。本明細書は1つ以上の実施形態について言及するが、これは、それぞれの言及が同じ実施形態に関すること、又は特徴が単一の実施形態にのみ適用されることを意味するわけではない。異なる実施形態の個々の特徴はまた、他の実施形態を提供するために組み合わせられるか又は交換され得る。
【発明を実施するための形態】
【0022】
図1は、洋上風力タービンのための支持構造体1を示す。この支持構造体1は、支持構造体1を形成するために積み重ねられるように設計された第1の構造体A及び第2の構造体Bを備える。
【0023】
第1の構造体部分Aは、海底Sbに固定されるように構成されている。第1の構造体部分Aは、支持構造体1の長手方向軸Yを中心として有する第1の円X1上に規則的に分布された少なくとも3つのダミー脚部3を備える。ダミー脚部3は、支持構造体1の当該長手方向軸Yに沿って延在している。図2は、第1の円X1上に三角形パターンで配置された3つのダミー脚部3を有する第1の構造体部分Aの第1の例の上面図を示す。図3は、第1の円X1上に正方形パターンで配置された4つのダミー脚部3を有する第1の構造体部分Aの第2の例の上面図を示す。3つ又は4つを超えるダミー脚部を有する他の例も可能である。
【0024】
図1に示すように、ダミー脚部3は、海底Sbに面するように設計された下端部3aと、下端部3aに対向する上端部3bとを備える。ダミー脚部3は、支持構造体1の長手方向軸Yに平行であり得、又はこの長手方向軸Yに対して傾斜し得る。ダミー脚部3が傾斜している場合、ダミー脚部3の下端部3aは、好ましくは、その上端部3bよりも中心長手方向軸Yから離れている。第1の円X1は、ダミー脚部3が長手方向軸Yに平行であっても、長手方向軸Yに対して傾斜していても、ダミー脚部3の下端部3aによって画定されてもよい。
【0025】
第1の構造体部分Aはまた、少なくとも3つのダミー脚部3に連結された海底Sbへの少なくとも3つのアンカー装置5を備える。図2及び図3に示すように、第1の構造体部分Aの少なくとも1つのアンカー装置5は、2つの隣接するダミー脚部3の間に角度を付けて配置され、すなわち、長手方向軸Yを2つの隣接するダミー脚部3に接続する半径によって画定される弧内に配置される。少なくとも1つのアンカー装置5は、支持構造体1の長手方向軸Yを中心として有する第2の円X2上に配置される。
【0026】
アンカー装置5がダミー脚部3と比較してオフセットされているという事実は、アンカー装置5が海底Sbに固定されるときに、支持構造体1、特に第1の構造体部分Aに対する損傷のリスクを低減する。これは、アンカー装置5が海底Sbに打ち込まれたパイル7で固定される場合に特に有利である。更に、第1の構造体部分Aのアンカー装置5が2つの隣接するダミー脚部3の間に角度を付けて配置されるという事実は、従来のスカートパイル接続と比較して、構造の重量及び製造コストを有利に低減する。
【0027】
図2及び図3に示す第1の実施形態によれば、第1の構造体部分Aの海底Sbへのアンカー装置5を含む第2の円X2と、ダミー脚部3を含む第1の円X1とが、同じ半径を有する。
【0028】
図4に示す第2の実施形態によれば、第1の構造体部分Aの海底Sbへのアンカー装置5を含む第2の円X2は、ダミー脚部3を含む第1の円X1よりも大きい半径を有する。
【0029】
図示しない第3の実施形態によれば、第1の構造体部分Aの海底Sbへのアンカー装置5を含む第2の円X2は、ダミー脚部3を含む第1の円X1よりも小さい半径を有する。
【0030】
図2図4において、第1の構造体部分Aは、2つの隣接するダミー脚部3の間の海底Sbへの1つのアンカー装置5のみを備える。この特定の実施形態では、図3に示すように、(軸Yからの)アンカー装置5を接合する半径と、(軸Yからの)当該アンカー装置5を囲む2つのダミー脚部3を接合する半径との間の角度αは同じである。
【0031】
例えば図5に示す別の実施形態も可能であり、第1の構造体部分Aは、2つの隣接するダミー脚部3の間に少なくとも2つのアンカー装置5を備える。図5に示す例では、2つのアンカー装置5のみが表されているが、3つ以上のアンカー装置5も可能である。この実施形態では、これらの少なくとも2つのアンカー装置5は、好ましくは、各側に対称的に、及び/又は2つのダミー脚部3から等距離にあり、支持構造体1の長手方向軸Yを通過する中心直線上に直接分布される。上述した第1、第2、及び第3の実施形態の第1の円X1の半径と比較して異なる第2の円X2の半径は、この実施形態についても可能である。
【0032】
図6及び図7に示すように、アンカー装置5は、パイル7を受容してパイル7に固定されるように構成されたスリーブであってもよい。これらのパイルは、海底Sbに打ち込まれるか又は穿孔されるように設計されている。スリーブ5は、海底Sbに面するように設計された下端部5aと、下端部5bに対向する上端部5bとを備え得る。スリーブ5は、パイル7と相補的な中空形状を有してもよい。パイル7は、スリーブ5の中空部に挿入されている。スリーブ5及びパイル7は、グラウトによって、例えばセメントグラウト12によって、又は溶接若しくは水圧手段によるスエージ加工のような他の手段によって、互いに固定されてもよい。
【0033】
スリーブ5はまた、パイル7が上端部5b又は下端部5aによってスリーブ5内に挿入されるかどうかに応じて、パイル7の挿入を容易にするために、その上端部5b及び/又は下端部5aに案内部分を備えてもよい。この案内部分は、例えば、スリーブ5の端部5a、5bに漏斗を形成するフレア部分からなってもよい。
【0034】
アンカー装置5はまた、吸引バケット(図示せず)のような他の要素、又は重力ベースの構造としての何らかのコンクリート基礎を備えてもよい。
【0035】
第1の構造体部分Aは、好ましくは、側方ブレーシングシステムによって支持されたダミー脚部3を備える溶接されたスペースフレームからなるジャケット構造体であってもよい。
【0036】
図1に示すように、第2の構造体部分Bは、第1の構造体部分Aの少なくとも3つのダミー脚部3の上端部3bに取り付けられた下端部Baを備える。第2の構造体部分Bはまた、好ましくは、支持構造体1の長手方向軸Yに沿って延在し、側方ブレーシングシステムによって支持される脚を備える溶接されたスペースフレームからなるジャケット構造体であってもよい。
【0037】
第2の構造体部分Bは、第1の構造体部分Aのダミー脚部3の上端部3bに連結されるように設計された下端部Baを備える。図8に示すように、第1の構造体部分Aのダミー脚部3の上端部3bは、受容開口部又はピンのうちの1つをそれぞれ備え、第2の構造体部分Bの下端部Baは、ピン又は受容開口部のうちの1つをそれぞれ備える。ピン及び受容開口部は、互いに嵌合するように構成される。ピンは、グラウトによって、例えば、セメントグラウト14によって、又は溶接若しくは水圧手段によるスエージ加工のような他の手段によって、受容開口部内に固定されてもよい。受容開口部へのピンの挿入を容易にするために、当該受容開口部は案内部分を備えてもよい。この案内部分は、受容開口部の入口に漏斗を形成するフレア部分からなってもよい。ピンはまた、ダミー脚部3の上端部3bと第2の構造体部分Bの下端部Baとの間の力の伝達を可能にするために、受容開口部と接触するストッパ要素17を備えてもよい。図8に示す例では、受容開口部はダミー脚部3の上端部3bに配置され、ピンは第2の構造体部分Bの下端部Baに配置される。
【0038】
第2の構造体部分Bの上端部Bbは、海面Sl上に配置されるように構成され、また、洋上タービンのマストを受容するためにプラットフォーム8を備えてもよい。
【0039】
第2の構造体部分Bの上端部Bbの断面寸法は、下端部Baの断面寸法よりも小さい表面であってもよい。したがって、第2の構造体部分Bの脚部は、支持構造体1の長手方向軸Yと比較して傾斜していてもよい。
【0040】
支持構造体1は、80~150mの深度を有する場所に配置されるように構成される。一例として、約100mの深度に対して、第1の構造体部分Aは、30~40mの高さを有し得、第2の構造体部分Bは、60~70mの高さを有し得る。より深い深度では、第1の構造体は、図9に示されるように、より高くてもよい。
【0041】
図1及び図9に示されるように、第2の構造体部分Bは、例えば60mから70mの間の第2の構造体部分Bのために、一体であってもよい。より高い第2の構造体部分Bに対して、第2の構造体部分Bは、図10に示されるように、2つのサブ構造体B1、B2に分割され得る。2つのサブ構造体B1及びB2は、支持構造体1の設置中に積み重ねられて互いに連結されてもよい。これらの2つのサブ構造体B1及びB2は、第1の構造体部分A及び第2の構造体部分Bを接続する手段と同様の手段10によって互いに取り付けられ得る。第2の構造体部分Bのこの分割は、第2の構造体部分Bの輸送及び保管のために、また設置のために特に有利である。実際、サブ構造体B1及びB2は、より低く、より軽量であるため、それらの輸送は、より小さい輸送バージによって行われることができ、それらの設置は、より小さいフローティングクレーンによって行われることができる。
【0042】
支持構造体1の製造プロセスを容易にするために、より高く、より複雑な第2の構造体部分Bは、標準化され、一定の高さを有し得る。これにより、第2の構造体部分Bの製造の自動化及び標準化を可能にし、それらの製造のためのロボット手段の使用を可能にする。したがって、第2の構造体部分Bを大量生産し、世界中又は地域の様々な分野で利用できるように保管することが可能である。高さが低く単純な第1の構造体部分Aは、支持構造体1が設置される場所の深度に嵌合するように容易に調整され得る。第1の構造体部分Aは、支持構造体1の場所の近くの国において、例えば現地の作業員によってより局所的に製造されてもよく、現地の仕様及び深度に適合されてもよい。
【0043】
本発明はまた、上述したような風力発電所設置のための支持構造体1を設置するプロセス100に関する。そのようなプロセスのステップは、図11に表される。
【0044】
このプロセスは、1つ又はいくつかの第1の構造体部分Aの現場での輸送の第1のステップ101を含む。上述したように、第1の構造体部分Aは、支持構造体1の長手方向軸Yを中心として有し、支持構造体1の当該長手方向軸Yに沿って延在する第1の円X1上に規則的に分布された少なくとも3つのダミー脚部3を含む。ダミー脚部3は、海底Sbに面するように設計された下端部3aと、下端部3aに対向する上端部3bとを備える。第1の構造体部分Aはまた、少なくとも3つのダミー脚部3に連結された少なくとも3つのアンカー装置5を備える。第1の構造体部分Aの少なくとも1つのアンカー装置5は、2つの隣接するダミー脚部3の間に角度を付けて配置され、すなわち、長手方向軸Yを2つの隣接するダミー脚部3に接続する半径によって画定される弧内に配置される。少なくとも1つのアンカー装置5はまた、支持構造体Aの長手方向軸Yを中心として有する第2の円X2上に配置される。前述したように、第1の構造体部分Aは、輸送バージによって現場に運ぶことができる。第1の構造体部分Aがより小さくかつより軽いので、いくつかの第1の構造体部分Aを同じ輸送バージ上に配置することができ、それらを垂直に配置して次の設置ステップを容易にすることができる。
【0045】
第2のステップ102は、海底Sbに第1の構造体部分Aを設置するステップである。この第2のステップ102は、フローティングクレーンを用いて実行することができる。第1の構造体部分Aがより小さく、より軽いので、コストを制限し、低減するために、フローティングクレーンをより小さくすることができる。
【0046】
第3のステップ103は、アンカー装置5を用いて第1の構造体部分Aを海底Sbに固定するステップである。アンカー装置5に応じて、この第3のステップ103は、例えば、パイル7が海底に打ち込まれるか又は穿孔されるか、吸引バケットによって、又は重力ベースの構造としての何らかのコンクリート基礎によって、異なるように実行され得る。しかしながら、アンカー装置5がダミー脚部3と比較してオフセットされているという事実により、支持構造体1に対する損傷のリスクが低減される。これは、アンカー装置5が海底Sbに打ち込まれたパイル7で固定される場合に特に有利である。
【0047】
これらの3つのステップ101、102、及び103は、第1の構造体部分Aの設置の同じキャンペーン中に実行されてもよい。第2の構造体部分Bの設置の他の後続のステップは、第1のキャンペーンの直後の設置の別のキャンペーン中に後で実行されてもよく、又は遅延されてもよい。
【0048】
第4のステップ104は、1つ又はいくつかの第2の構造体上部Bを現場で輸送するステップである。前述のように、第2の構造体部分Bは、輸送バージによって現場に運ばれ得る。第2の構造体部分Bは、全体として支持構造体1と比較して小型で軽量であるため、いくつかの第2の構造体部分Bを同じ輸送バージ上に配置することができ、次の設置ステップを容易にするために垂直に配置することができる。
【0049】
第5のステップ(105)は、水中で第1の構造体部分(A)上に第2の構造体部分(B)を持ち上げて積み重ねるステップである。この第5のステップ105は、フローティングクレーンを用いて実行することができる。第2の構造体部分Bは、全体として支持構造体1と比較してより小さくかつより軽いので、コストを制限するためにフローティングクレーンをより小さくすることができる。
【0050】
第6のステップ106は、第1の構造体部分A上に第2の構造体部分Bを固定するステップである。前述したように、この固定は、グラウト、溶接、又は水圧手段によるスエージ加工などの異なる手段によって実行することができる。
【0051】
このプロセス100は、設置のコストを削減することを可能にするだけでなく、任意選択で標準クレーン、スリング、及びウィンチを装備し、任意選択で別個のフローティングクレーンの支援を受けた従来の輸送バージ又は船舶を用いた設置自体も可能にする。実際、2つの部分A及びBからなる支持構造体1は、一体の支持構造体の場合よりもはるかに小さい輸送バージ及びフローティングクレーンを用いて、より大きい支持構造体1を設置することを可能にする。更に、考慮される輸送バージ又は船舶の積載能力に応じて、部分A及び/又はBの積み重ねの全高が、クレーンが各個々の部分A及び/又はBをそれぞれ持ち上げ、分離し、セットアップすることを妨げない場合、現場での輸送及び設置を考慮して、複数の部分A及び/又は複数の部分Bを積み重ねることが可能であり得る。このプロセスは、従来の手段を使用してこれまで容易にアクセス可能でなかった水深における支持構造体1の設置に特に有用である。
【0052】
アンカー装置5がスリーブである場合、プロセス100は、海底Sbに第1の構造体部分Aを設置するステップ101の前に、海底Sbにパイル7を挿入して各第1の構造体部分Aの受容領域を形成する予備ステップ101aを含み得る。この場合、第1の構造体部分Aを海底Sbに設置するステップ101は、予め設置されたパイル7をアンカー装置5のスリーブにドッキングすることからなる。
【0053】
パイル7の挿入の予備ステップ101a中にパイル(7)の挿入を案内するために、テンプレートを海底Sb上に落とされ得る。このテンプレートは、第1の構造体部分Aのための受容領域の形成後に除去され、別の第1の構造体部分Aのための別の受容領域を形成するために再使用され得る。
【0054】
アンカー装置5もスリーブである図12に示す別の実施形態では、パイル7は、第1の構造体部分Aの設置前ではなく、設置後に配置される。したがって、第1の構造体部分Aを海底Sbに固定するステップ103は、パイル7をスリーブ5を通して海底Sbに挿入する第1のサブステップ103aからなる。第2のサブステップ103bでは、スリーブ5とパイル7とが互いに固定される。この実施形態では、第1の構造体部分Aは、パイル7のテンプレートとして使用される。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
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図11
図12
【国際調査報告】