(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-12-26
(54)【発明の名称】粉末粒子の等価直径を決定するプロセスと装置
(51)【国際特許分類】
G01N 15/02 20240101AFI20241219BHJP
G01N 15/08 20060101ALI20241219BHJP
【FI】
G01N15/02 E
G01N15/08 H
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024533126
(86)(22)【出願日】2022-12-07
(85)【翻訳文提出日】2024-06-03
(86)【国際出願番号】 EP2022084834
(87)【国際公開番号】W WO2023110587
(87)【国際公開日】2023-06-22
(32)【優先日】2021-12-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】318010867
【氏名又は名称】ハー.ツェー.スタルク タングステン ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
【住所又は居所原語表記】Nymphenburger Strase 84, 80335 Munchen GERMANY
(74)【代理人】
【識別番号】110000408
【氏名又は名称】弁理士法人高橋・林アンドパートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】セウベルリッヒ,ティーノ
(72)【発明者】
【氏名】ゼウグナー,アレキサンデル
(72)【発明者】
【氏名】メーゼ-マルクトシエフエル,ユリアネ
(57)【要約】
本発明は、粉末の粒子の等価直径を決定するためのプロセス、およびこのようなプロセスを実行するための装置に関する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
粉末粒子の等価直径Dを決定するためのプロセスであって、前記等価直径が、Q(t)対△p(t)から非線形な特性を記録することによって決定され、Q(t)は、時間の関数としての体積流量であり、△p(t)は、時間の関数としての圧力差である、プロセス。
【請求項2】
前記特性が前記圧力差△p(t)と前記体積流量Q(t)との間の非線形関係を記述し、
Δp(t)は、圧縮された粉末試料中を流れる測定ガスの、前記流れ方向に生じる前記時間依存性差を示し、
Q(t)は、時間と共に一定に増加する、前記測定ガスの前記体積流量を示し、
dQ(t)/dt=q
0、q
0=const.、q
0>0、であり、q
0は前記体積流量変化率を示す、請求項1に記載のプロセス。
【請求項3】
前記特性は、前記圧力差△p(t)と前記体積流量Q(t)との間の非線形関係を記述し、
△p(t)は、前記圧縮された粉末サンプルの上流側の圧力p
upと、前記圧縮された粉末サンプルの下流側の圧力p
downとの間の、前記流れの方向に生じ、一定の変化率で時間と共に変化する前記圧力差を示し、
dΔp(t)/dt=p
0、p
0=const.、p
0>0であり、
Q(t)は前記測定ガスの前記時間依存性体積流量を示し、p
0は前記圧力変化率を示す、請求項1に記載のプロセス。
【請求項4】
前記工程が以下の工程:
i)圧縮された粉末試料を提供すること、
ii)前記圧縮された粉末試料の前記質量と高さに基づいて、前記圧縮された粉末試料の前記空隙率を決定すること、
iii)測定ガスを前記圧縮された粉末試料に流し、△pを時間の関数△p(t)として、またはQを時間の関数Q(t)として連続的に変化させて非線形特性を得ることにより、前記コンダクタンスL
Rを確立すること、ここで、△p(t)は、前記圧縮された粉末サンプルの上流側の前記圧力p
upと、前記圧縮された粉末サンプルの下流側の前記圧力p
downとの間の前記流れ方向に生じる前記時間依存圧力差を示し、Q(t)は前記測定ガスの前記体積流量を示し、L
R=Q/△pであり、
iv)ii)で確立された前記圧縮された粉末試料の前記空隙率を考慮に入れ、Q(t)対Δp(t)の前記非線形特性から導出することにより、前記等価直径Dを確立すること、
を含む、先の請求項の少なくとも一つに記載の方法。
【請求項5】
ステップiii)および/またはiv)において、前記特性の前記ゼロ点(Δp=0、Q=0)に対応しない少なくとも2つの異なる測定点を得る、先の請求項の少なくとも一つに記載のプロセス。
【請求項6】
1分間に少なくとも5つの測定点が設定され、より好ましくは1分間に少なくとも12の測定値が設定される、先の請求項の少なくとも一つに記載のプロセス。
【請求項7】
前記体積流量Q(t)を選択的に変化させることによって、または前記圧力p
up(t)を選択的に変化させることによって、△p(t)とQ(t)の間の関係の前記非線形特性が確立される、先の請求項の少なくとも一つに記載のプロセス。
【請求項8】
Δp(t)とQ(t)の前記関係の前記非線形特性Q(t)対Δp(t)が、前記粉末ペレットの上流の前記圧力p
up(t)の時間経過として確立される、先の請求項の少なくとも一つに記載のプロセス。
【請求項9】
前記プロセスが以下の工程:
i)圧縮された粉末サンプルを提供すること、
ii)前記圧縮された粉末試料の前記質量と高さに基づいて、前記圧縮粉末試料の空隙率を決定すること、
iii)前記圧縮された粉末試料の上流側の前記圧力p
upと前記圧縮された粉末試料の下流側の前記圧力p
downとの間の前記圧力差△p(t)が、時間的に一定である速度p
0で変化するように、前記圧縮された粉末試料を流れる測定ガスの体積流量Q(t)を設定すること、ここで、p
0=d△p(t)/dtであり、
iv)Q(t)対Δp(t)の非線形特性から前記コンダクタンスL
Rを確立すること、
iv)ii)で確立された前記圧縮された粉末試料の前記空隙率を考慮に入れ、前記非線形特性から導出することにより、前記等価直径Dを確立する、請求項8に記載のプロセス。
【請求項10】
△p(t)とQ(t)の前記関係の前記非線形特性を、前記体積流量Q(t)の連続的な上昇に伴う前記粉末ペレットの上流の前記圧力p
up(t)の時間経過として得る、先の請求項の少なくとも一つに記載のプロセス。
【請求項11】
前記プロセスが以下の工程:
i)圧縮された粉末試料を提供すること、
ii)前記圧縮された粉末試料の前記質量と高さに基づいて、前記圧縮された粉末試料の空隙率を決定すること、
iii)前記圧縮された粉末試料を通って流れる測定ガスの一定体積流量変化率q
0を設定すること、ここで、dQ(t)/dt=q
0であり、q
0=constであり、
iv)前記コンダクタンスL
Rを、Q(t)対△p(t)の非線形特性から確定すること、ここで、△p(t)は、時間の関数として、前記圧縮された粉末試料の上流側の前記圧力p
up(t)と前記圧縮された粉末試料の下流側の前記圧力p
down(t)との間の前記圧力差であり、
iv)ii)で確立された前記圧縮された粉末試料の前記空隙率を考慮に入れ、前記非線形特性から導出することにより、前記等価直径Dを確立する、請求項10に記載のプロセス。
【請求項12】
前記粉末サンプルの圧縮が、規定された力で行われる、先の請求項の少なくとも一つに記載のプロセス。
【請求項13】
前記圧縮が自動化された方法で行われる、請求項12に記載のプロセス。
【請求項14】
測定される圧縮された粉末試料を入れたサンプル管を受け取るための受け取り手段、データp
up(t)、およびp
down(t)若しくは△p(t)、およびQ(t)を取得するためのデータ取得手段、データ処理ユニット、データ出力手段、プロセスコンピュータ、圧力制御手段、ガスのための入口手段と出口手段、ならびに前記ガスの前記体積流量をフィードバック制御するための制御装置を備える、先の請求項の少なくとも一つに記載のプロセスによって粉末試料の前記等価直径Dを決定するための装置。
【請求項15】
圧縮された粉末試料を調製するための自動圧縮手段をさらに含む、請求項14に記載の装置。
【請求項16】
前記圧力および体積流量のための複数のレギュレータをさらに有する、請求項14または15の少なくとも一つに記載の装置。
【請求項17】
並列に接続された複数の測定ステーション、中央制御・評価ユニット、および前記測定ステーションを管理するための中央プロセスコンピュータを有する、請求項14から16の少なくとも一つに記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粉末の粒子の等価直径を決定するためのプロセス、およびそのようなプロセスを実行するための装置に関する。
【背景技術】
【0002】
粒径は混合物中の個々の粒子の大きさを表し、例えば冶金やセメント産業で使用されるような無機粉末の特性評価に不可欠なパラメータである。粒径は、材料固有の特性として機能し、これにより、異なる品質の粉末を容易に、正確に、かつ再現性よく識別することができる。
【0003】
粒径の決定では、通常、粒が完全な球形ではないという事実を考慮した等価直径を用いる。等価直径は、ふるい直径を用いて説明することができる。例えば、直径1mmの球体と直径1mmの細長い粒は、いずれもふるい端の長さが1mmの正方形の穴に入ることができる。例えば、直径1mmを超える丸みを帯びた扁平な粒でも、穴の対角線を考慮すれば入ることができる。粒の形状は異なる場合においても、等価直径が1mmであると記載される。一般に、等価直径は同じ体積の球体の直径を基準にしている。特に、密度が一定でほぼ球形の材料では、すべての球が同じ大きさを持つ、理論的に導出可能な球体充填物の特性を採用することができる。実システムの特性、例えば流体力学的特性が測定された場合、得られた値は理論システムに従って割り当てることができる。
【0004】
今日の観点から、固体非多孔質粒子の粒径の尺度として、等価直径を決定することができる多くの方法が利用可能である。例えば、レーザー回折法のほか、ふるい分析、沈降分析、またはBET法による表面積の測定などが知られている。主にカーバイド工業の分野では、FSSS法(Fisher Sub Sieve Sizer)が数十年にわたり広く普及しており、炭化タングステンのような異なる硬質材料や金属粉末の分類と比較のための基本となっている。このような方法の利用では、比較的狭い単峰性の粒径分布が重要な前提となっている。
【0005】
工業的規模で普及しているFSSS法は、1940年代に生まれたものであり、圧縮粉末サンプルのガス透過性に基づいている。この方法により、同一体積の球の直径に相当する平均粒径を測定することができる。この測定方法、およびこれに対応する市販の装置は、ASTM B330-Standard Test Methods for Estimating Average Particle Size of Metal Powders and Related Compounds Using Air Permeabilityという規格に詳しく記載されている。等価直径を求めるには、定義された粉末ペレットにガスの流れを通し、圧力差が測定される(
図5a参照)。Carman-Kozeny式(1)を用い、圧力損失とガス流量の比から等価直径(D)を求めることができる。
【0006】
【0007】
ここで、Δpは圧力差[Pa]、Lは流した試験片の長さ[m]、μは測定ガスの動的粘度[Pa・s]、Φはフォームファクター(通常は1に設定)、εは空隙率[-]、Aは流れ方向に垂直な試験片の断面積[m2]、Qは体積流量[m3/s]、Dは同一体積の球体の等価直径[m]である。
【0008】
等価直径を計算するには、以下の式(2)と(3)が用いられる。ここで、mは試料の質量[kg]、ρは測定する材料の物理密度[kg/m3]、Lは流した試料の長さ[m]である。
【0009】
【0010】
これにより、次のような関係が得られる。
【0011】
【0012】
透過率とガス拡散の一般的な物理的関係は、Terence Allenに要約されている:Chapter 1:“Permeability and gas diffusion”,January 1,1997,PARTICLE SIZE MEASUREMENT-Vol.2:SURFACE AREA AND PORE SIZE DETERMINATION,CHAPMAN&HALL,GB,ページ1-38.
【0013】
Journal of Chromatography A,1144(2007)48-54に掲載された論文“Pressure drop characteristics of poly(high internal phase emulsion) monoliths”において、I.Junkarらは、液体クロマトグラフィーの圧力損失に対する空隙率の影響を扱っており、空隙率を計算するモデルに焦点を当てている。
【0014】
S.Jungらは、“Packing density, permeability, and separation efficiency of packed microchips at different particle-aspect ratios”,Journal of Chromatography A,1216(2009)264-273において、HPLCマイクロチップの充填密度、圧力損失と流量の関係、透水性、および分離効率について検討している。
【0015】
GB2025069は、試料提供における問題を扱っており、プロセス、特にプレスされた粉末ペレットを調製するプルセスを提案している。
【0016】
特許第3125263号には、半導体セラミックスの調製方法が記載されており、この方法では、Carman-Kozeny式を用いてセラミックス粒子の粒径が決定され、粒径制御剤を添加することで粒径が制御される。
【0017】
特許第5033678号には、Carman-Kozeny式に基づいて粒径を決定するためのプロセスと装置が開示されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
先行技術に記載された方法は、Carman-Kozeny式によって特徴付けられ、このため、流された粉末充填物の圧力損失を一般的に計算することができるが、この式は定常状態にのみ適用されるという欠点があり、これは、体積流量または圧力の時間的変化がないことを意味する。つまり、体積流量や圧力が時間的に変化しないことを意味している。利用可能な測定セットアップでは、圧力や体積流量を選択的に変化させることは技術的に不可能である。
【0019】
Carman-Kozeny式のQ/Δpの項は、バルクのコンダクタンスLRと呼ぶことができる。単位が[m3/(s・Pa)]のコンダクタンスLRは、測定対象の粒子系の構造に依存する特性量を表し、抵抗の電気コンダクタンスが1/R=I/Uで記述されるオームの法則R=U/Iと比較することができる。Carman-Kozeny式によれば、コンダクタンスLRは、定義された流量、すなわち定義された一定体積流量Qにおける圧力損失Δpを測定することによって決定することができる。ただし、ここでは、すべての量が定常状態であり、時間的変化を受けないことが必須である。コンダクタンスを使用する場合、Carman-Kozeny式は以下の形に変化される。
【0020】
【0021】
この方法で粒径を決定すると、粒径を大まかに推定することができる。LRについてより正確な値を求めるには、異なる体積流量で測定を繰り返す必要がある。しかしながら、測定のたびに測定システムで定常状態が得られるまで待たなければならないため、この種の測定には時間がかかり、その結果コストがかかる。したがって、この種の測定では、1回の測定に必要な時間と達成できる精度との間に不利な不一致が生じる。
【0022】
超硬合金工業の分野で確立された測定システムは、特にFSSSプロセスによるものも含め、上記の不一致の他にいくつかの欠点がある。したがって、等価直径を決定するために採用される一つのパラメータは、試料の空隙率であり、これは、通常、測定装置上のノモグラムを使用し、圧縮された円柱状試料の高さから目視判断によって得られるが、それに対応する不正確さがあり、その結果、ランダム誤差が生じ、広い測定スプレッドの一因となる。他の欠点として、FSSSプロセスの測定方法は1点測定しか予定していないため、さらに誤差が生じる可能性がある。さらに、関連規格ASTM B330の最新号では、FSSS法は将来的に標準的な方法ではなくなると指摘されており、その理由として装置やスペアパーツの不足、技術サポートの不足が挙げられている。
【0023】
このような背景の下、本発明の目的は、粉末粒子の等価直径を決定するための測定プロセスおよび対応する装置を提供することである。提供されるプロセスは、1回の測定に必要な時間を延長することなく、測定値の精度の向上、ひいては測定の広がりの低減を達成することが想定される。
【課題を解決するための手段】
【0024】
この目的を達成するために、本発明は、各測定において定常状態を待つことなくコンダクタンスLRを決定できるプロセスを提供するというアプローチに従う。本発明によれば、これは、一定の体積流量Qはもはや使用されず、時間と共に増加する体積流量Q=Q(t)が使用されるという事実によって達成される。動的な体積流の条件下では、従来の測定方法が基礎としていたQと△pとの間の直線関係は取り除かれる。むしろ、本発明によるプロセス従うQと△pの関係の決定は、単純な商の計算ではなく、多変量回帰による非線形特性から行われる。
【0025】
驚くべきことに、このような測定法は、より正確な測定を可能にし、短い測定時間でより少ない測定の広がりをもたらすことが判明している。
【0026】
したがって、本発明は、まず、粉末粒子の等価直径Dを決定するためのプロセスに関連しており、上記等価直径は、Q(t)対△p(t)から非線形特性を記録することによって決定され、ここで、Q(t)は、時間の関数としての体積流量を意味し、△p(t)は、時間の関数としての圧力差を意味する。特に、Q(t)対△p(t)の時間的に等価な値の組をプロットすることによって特性が得られ、好ましくは、Q(t)がx軸にプロットされ、△p(t)がy軸にプロットされる。
【0027】
本発明の範囲では、Qは圧縮された粉末試料を流れる測定ガスの体積流量を示す。
【0028】
Q(t)は、時間の関数としての体積流量を意味する。
【0029】
Δpは、測定ガスが圧縮された粉末試料を通過するときに流れ方向に生じる圧力変化を示し、圧縮された粉末試料の上流側の圧力pupと圧縮された粉末試料の下流側の圧力pdownの差から計算することができる。
【0030】
Δp(t)は、時間の関数としての圧力差を示す。
【0031】
本発明プロセスによれば、等価直径の決定の基礎となる非線形特性の記録は、時間と共に増加する測定ガスの体積流量Q(t)を調整することによって、または時間と共に変化する圧力差△p(t)によって達成することができる。
【0032】
したがって、本発明によるプロセスの好ましい実施形態では、特性は、圧力差△p(t)と体積流量Q(t)との間の非線形関係を記述する。
・ここで、Δp(t)は、圧縮された粉末試料中を流れる測定ガスの流れ方向に生じる差を示し、
・ここで、Q(t)は、測定ガスの体積流量を示し、この体積流量は時間と共に一定に増加し、ここで、
・dQ(t)/dt=q0、q0=const.であり、q0>0であり、
q0は、体積流量変化率[L/s2]を示す。
【0033】
好ましい実施形態によれば、絶えず増加する体積流量Q(t)=q0×tがシステムに課され、一方、圧力は上流側で連続的に測定され、同時にサンプルが流された下流側でも測定される。このように、すべての量は時間とともに連続的に変化するため、システムは定常状態にない。むしろ、圧力と体積流量は時間に依存する量であり、一定の体積流量変化率q0[L/s2]が好ましい。
【0034】
本発明によるプロセスの代替的に好ましい実施形態では、非線形特性は、圧力差△p(t)と体積流量Q(t)との間の関係を記述し、△p(t)は、圧縮された粉末サンプルの上流の圧力pupと圧縮された粉末サンプルの下流の圧力pdownとの間の、一定の変化率で経時的に変化する流れ方向の圧力差である。ここで、
dΔp(t)/dt=p0、p0=const.、p0>0であり、
Q(t)は測定ガスの体積流量を意味し、これは時間と共に絶えず増加し、p0は圧力変化率[Pa/s]を意味する。
【0035】
この好ましい実施形態によれば、圧縮された粉末サンプル上の圧力差は、時間的に一定の速度p0[Pa/s]で変化する。同時に、対応する圧力差を生成するのに必要な測定ガスの体積流量が測定される。両者の量は時間と共に連続的に変化するため、システムは定常状態に達しない。好ましい実施形態によれば、一定の圧力変化率p0が好ましい。
【0036】
上述したように、FSSS法のような等価直径に基づいて粒径を測定する従来の方法は、一定の体積流量で動作するため、構造によって異なる測定装置内のガス体積と試料内のガス体積が測定ガスで満たされるまで、すなわち流入体積流量が流出体積流量に等しくなり、システムが定常状態になるまで待たなければ、信頼できる値を得ることができないという欠点がある。定常状態に達するには、粉末試料によっては数分かかることもある。この状態に達するまで待たないと、誤った評価となる。システムが定常状態になるまで各測定で十分な時間を与えられると、特に体積流量の異なる複数の測定を行う場合、測定時間が不釣り合いに長くなる。
【0037】
本発明によるプロセスの範囲内では、驚くべきことに、測定ガスの体積流量を一定に設定せず、体積流量Qまたは圧力差△pを時間の関数として変化させることにより、従来の方法で発生する測定の不確実性を克服できることが見出された。
【0038】
したがって、本発明による測定方法は、一定の体積流量に基づくものではなく、定義された体積流量変化率に基づくものである。圧力の変化も同様である。このようにして、測定値の精度が著しく向上するだけでなく、測定時間も従来の測定方法と比較して有利に短縮することができる。
【0039】
これに基づいて、好ましい実施形態では、本発明によるプロセスは以下の工程を含む。
i)圧縮された粉末試料を提供する。
ii)圧縮粉末試料の質量と高さに基づいて、圧縮粉末試料の空隙率を決定する。
iii)測定ガスを圧縮粉末試料に流し、△pを時間△p(t)の関数として、またはQを時間Q(t)の関数として連続的に変化させて非線形特性を得ることにより、コンダクタンスLRを確立する。
ここで、△p(t)は、圧縮された粉末サンプルの上流側の圧力pupと圧縮された粉末サンプルの下流側の圧力pdownとの流れ方向に生じる圧力差を示す。
Q(t)は測定ガスの体積流量を示し、LR=Q/△pである。
iv)ii)で確立された圧縮された粉末試料の空隙率を考慮に入れ、Q(t)対Δp(t)の非線形特性から導出することにより、等価直径Dを確立する。
【0040】
圧力差Δpは、試料内を流れる前の測定用ガスの圧力pupと、試料内を流れた後の測定用ガスの圧力pdownを測定することによって求めることができる。
【0041】
好ましくは、乾燥空気、窒素、アルゴン、ヘリウム、二酸化炭素からなる群から選択されるガスが測定ガスとして採用される。測定ガスは、予想される粒径の関数として選択することができ、より粗い粒径には、より高い粘度の測定ガスを使用することが有利であることが証明されている。測定ガスは、測定される粉末試料と化学反応を起こさないことが特徴である。
【0042】
本発明によるプロセスの範囲内において、測定時間が短縮される一方で測定値の精度が改善されることは、非線形特性Q(t)対△p(t)を含むことによって達成され、このことは、その評価がゼロ点への参照を排除することを特徴とする。したがって、本発明によるプロセスの実施形態は、ステップiii)において、特性のゼロ点(△p=0またはQ=0)に対応しない少なくとも2つの異なる測定点が確立されることが好ましい。好ましくは、本発明によるプロセスの範囲内において、毎分少なくとも5個の測定点、より好ましくは毎分少なくとも12個の測定点が確立される。
【0043】
△pとQの関係の非線形特性を記録するために要求される測定値は、時間tとともにパラメータを変化させることで得てもよい。好ましい実施形態では、△pとQの関係の非線形特性は、体積流量Q(t)を変化させることによって確立される。代替的に好ましい実施形態では、ΔpとQの関係の非線形特性は、圧力up(t)の時間経過として確立される。
【0044】
特に好ましい実施形態では、△pとQとの間の関係の非線形特性は、定義された体積流量Q(t)における粉末ペレットの上流の圧力pup(t)の時間経過として確立され、この圧力もまた時間の関数であり、体積流量は、特定の時間間隔において一定の値だけ増加する。したがって、好ましい実施形態では、本発明によるプロセスは以下の工程を含む。
i)圧縮された粉末試料を提供する。
ii)圧縮された粉末試料の質量と高さに基づいて、圧縮された粉末試料の空隙率を決定する。
iii)圧縮された粉末試料を流れる測定用ガスの一定体積流量変化率q0を設定する。ここで、
dQ(t)/dt=q0、であり、q0=定数である。
iv)コンダクタンスLRを、Q(t)対△p(t)の非線形特性から確定する。△p(t)は、時間の関数としての、圧縮された粉末サンプルの上流の圧力pupと圧縮された粉末サンプルの下流の圧力pdownの間の圧力差である。
iv)ii)で確立された圧縮された粉末試料の空隙率を考慮に入れ、非線形特性から導出することにより、等価直径Dを確立する。
【0045】
別の好ましい実施形態では、△p(t)とQ(t)の関係の非線形特性は、体積流量Q(t)が連続的に上昇するときの粉末ペレットの上流側の圧力pup(t)の時間経過として得られる。驚くべきことに、いずれの場合においても、測定値の特に狭い分布が得られることが判明している。したがって、本発明による上記工程が以下の工程を含む実施形態が好ましい。
i)圧縮された粉末サンプルを提供する。
ii)圧縮された粉末試料の質量と高さに基づいて、圧縮された粉末試料の空隙率を決定する。
iii)圧縮された粉末試料の上流側の圧力pupと圧縮された粉末試料の下流側の圧力pdownとの間の圧力差△p(t)が時間的に一定である速度p0で変化するように、圧縮された粉末試料を流れる測定ガスの体積流量Q(t)を設定する。
iv)Q(t)対Δp(t)の非線形特性からコンダクタンスLRを確立する。
iv)ii)で確立された圧縮された粉末試料の空隙率を考慮に入れ、非線形特性から導出することにより、等価直径Dを確立する。
【0046】
本発明の範囲内において、驚くべきことに、一定の圧力または一定の体積流量のいずれかが設定される従来の測定方法と比較し、これら二つの量の一方を規定された方法で変更することにより、測定値の精度が向上することが見出された。理論に束縛されることなく、精度が向上するのは、発生した測定誤差が数回にわたって測定され、その後除去できるからであると想定される。本発明の好ましい実施形態では、これは多変量回帰によって行われる。
【0047】
圧縮された粉末サンプルの空隙率は、本発明による等価直径の決定に含まれる別のパラメータとして挙げることができる。
【0048】
試料を測定するために、幾何学的に定義された粉末ペレットを準備することができる。断面積が高さ方向に一定で、法線ベクトルが押圧力の方向に平行な形状を選択することが有利である。この要件は、立方体または円柱によって有利に満たされ、円柱形状の形状が優先される。したがって、本発明によるプロセスのステップii)における圧縮された粉末試料の空隙率の測定が、円柱形状の粉末ペレットを用いて行われる実施形態が好ましい。当業者であれば知っているように、圧縮された粉末試料の空隙率は、その質量、断面積および高さ(式(3))から決定することができ、この場合、測定ガスの流れ方向における粉末ペレットの大きさが、その高さとみなされる。粉末ペレットの取り扱いを改良するため、後者はサンプル管に入れるのが好ましい。
【0049】
本発明によるプロセスの範囲内において、特に粉末ペレットの高さの不正確な決定に起因し、測定誤差が生じることが判明した。この誤差の原因を最小化するために、測定される試料がそれぞれ規定された力で圧縮されると有利であることが証明されている。したがって、本発明によるプロセスの実施形態は、測定される粉末試料の圧縮が規定された力で行われることが好ましい。好ましくは、0.5から3MPa、好ましくは1から2MPaの機械的圧力が圧縮のために適用される。
【0050】
均一な試料調製および圧縮された粉末試料の高さの正確な測定を達成するためには、試料調製および測定が少なくとも部分的に自動化されていると有利であることが証明されている。したがって、圧縮された粉末試料を調製するための粉末試料の圧縮を自動化した実施形態が好ましい。このようにして、空隙率の均一かつ再現性のある測定が達成される。
【0051】
等価直径の決定における別の困難は、適切な装置の提供が限られていることである。したがって、本発明はさらに、本発明によるプロセスを実行するための装置に関する。この装置は、圧縮された粉末試料が入ったサンプル管を受け取るための受け取り手段、データpup(t)およびpdown(t)、または△p(t)およびQ(t)を取得するためのデータ取得手段、データ処理ユニット、データ出力手段、プロセスコンピュータ、少なくとも1つの圧力制御手段と、測定ガスのための入口手段および出口手段、および測定ガスの体積流量をフィードバック制御するための少なくとも1つの制御装置とを含む。
【0052】
好ましくは、圧力制御手段と体積流量をフィードバック制御するレギュレータは電子レギュレータである。
【0053】
好ましくは、本発明による装置は、測定ガスが入口手段を通して装置内に導入され、測定ガスが出口手段を通して再び装置から出る前に圧縮された粉末試料を通って流れように操作される。
【0054】
一体化された試料の提供を確実にするために、好ましい実施形態では、本発明による装置は、圧縮された粉末試料を調製するための自動化された押圧手段をさらに有する。
【0055】
圧力と体積流量の微調整を達成するために、本発明による装置は、好ましくは、測定ガスの圧力および/または体積流量に対して異なるレギュレータを有する。異なるレギュレータを使用することにより、異なる測定範囲をカバーすることができる。
【0056】
好ましい実施形態において、本発明による装置はさらに、並列に接続された複数の測定ステーション、中央制御および評価ユニット、および測定ステーションを管理するための中央プロセスコンピュータを有する。このようにして、測定装置の効率を高めることができる。さらに、並列測定ステーションでの試料の同時測定により、測定スタッフを経済的に雇用することができる。測定される粉末に課される要求に応じて、作動する測定ステーションの測定範囲を変えることができる。好ましくは、本発明による装置は、0.2から200μm、より好ましくは0.2から100μmの粒径範囲をカバーする。本発明による時間の関数としての体積流量の変化に起因し、十分に多量のガスを供給することができ、これにより、粗い粒子のために低い圧力損失しかもたらさない粉末を測定することもできる。
【0057】
本発明は、さらに以下の項目に関することができる。
【0058】
項目1:粉末粒子の等価直径Dを決定するためのプロセスであって、上記等価直径が、多点測定によって決定されることを特徴とするプロセス。
【0059】
項目2:上記プロセスが以下の工程を包含することを特徴とする、項目1に記載のプロセス。
i)粉末ペレットの形態の粉末試料を提供する。
ii)パウダーペレットの質量と高さに基づいて、パウダーペレットの空隙率を決定する。
iii)測定流体をパウダーペレットに流し、ΔpまたはQを経時的に変化させて特性を得ることで、ΔpとQの比を確立する。
ここで、△pは、流れ方向に生じる、粉末ペレットの上流側の圧力pupと粉末ペレットの下流側の圧力pdownとの差を表し、
Qは測定流体の体積流量を示す。
iv)ii)で確立されたパウダーペレットの空隙率を考慮に入れ、特性から導出することにより等価直径Dを確立する。
【0060】
項目3:ステップiii)および/またはiv)において、特性のゼロ点(△p=0およびQ=0)に対応しない少なくとも2つの異なる測定点を取得することを特徴とする、先の項目1の少なくとも一つに記載のプロセス。
【0061】
項目4:体積流量Q(t)を選択的に変化させることによって、または圧力pup(t)を選択的に変化させることによって、△pとQとの間の関係の特性が確立されることを特徴とする、先の項目の少なくとも1つに記載のプロセス。
【0062】
項目5:△pとQとの間の関係の特性が、粉末ペレットの上流の圧力pup(t)の時間経過として確立されることを特徴とする、項目1から項目3の少なくとも1つに記載のプロセス。
【0063】
項目6:△pとQとの関係の特性が、体積流量Q(t)が連続的に増加しているときのパウダーペレットの上流側の圧力pup(t)の時間経過として得られることを特徴とする、先の項目の少なくとも1つに記載のプロセス。
【0064】
項目7:上記粉末ペレットが、規定された力を用いて測定される粉末サンプルを加圧することによって得られることを特徴とする、先の項目の少なくとも1つに記載のプロセス。
【0065】
項目8:上記プレスが自動化された方法で行われることを特徴とする、項目7に記載のプロセス。
【0066】
項目9:測定される粉末ペレットを有するサンプル管を受容するための受容手段、データpupおよびpdown、または△p、およびQを取得するためのデータ取得手段、データ処理ユニット、データ出力手段、圧力制御手段、流体のための入口手段および出口手段、および測定ガスの体積流量をフィードバック制御するための制御装置を含むことを特徴とする、先の項目の少なくとも1つに従うプロセスによって粉末サンプルの等価直径Dを決定するための装置。
【0067】
項目10:粉末ペレットを調製するための自動プレス手段をさらに含むことを特徴とする、項目9に記載の装置。
【0068】
項目11:圧力および体積流量のための複数のレギュレータをさらに有することを特徴とする、項目9と10のうちの少なくとも1つに記載の装置。
【0069】
項目12:並列に接続された複数の測定ステーション、および測定ステーションを管理するための中央制御および評価ユニットを有することを特徴とする、項目9と10のうちの少なくとも1つに記載の装置。
【図面の簡単な説明】
【0070】
【
図1a】粒径0.8μmのWC粉末の測定からシステムが定常的な、直線的に増加する状態に移行するに必要な時間の影響を表すプロット。
【
図1b】従来の1点測定における不十分なセットアップ時間から生じる誤差を表すプロット。
【
図3a】従来のFSSS法と本発明によるプロセスとのガウス分布曲線の形での測定分散。
【
図3b】従来のFSSS法と本発明によるプロセスとのガウス分布曲線の形での測定分散。
【
図4a】従来のFSSS法と本発明によるプロセスとのガウス分布曲線の形での測定分散。
【
図4b】従来のFSSS法と本発明によるプロセスとのガウス分布曲線の形での測定分散。
【
図5a】FSSS法に従って粒子径を決定するためのフィッシャーサブシーブサイザーで使用される従来の測定セットアップ。
【
図5b】従来の測定方法で得られた、粒度決定に関連する圧力差と体積流量の測定値の典型的な時間経過を示すプロット。
【
図6a】体積流量Q(t)が常に上昇する実施形態における、本発明によるプロセスを実現するための測定セットアップ。
【
図6b】本発明によるプロセスによる圧力と体積流量の時間変化を示すプロット。
【
図7a】圧力が常に上昇する実施形態における、本発明によるプロセスを実現するための測定セットアップ。
【
図7b】、本発明によるプロセスを使用した場合の体積流量と圧力差の時間依存性の変化を示すプロット。
【発明を実施するための形態】
【0071】
本発明の利点は、以下の図によって説明されるが、これらは本発明の思想を限定するものとして理解されるべきではない。
【0072】
図1aおよび
図1bは、セットアップ時間、すなわち粒径0.8μmのWC粉末の測定からシステムが定常的な、直線的に増加する状態に移行するに必要な時間の影響を示している。この場合、セットアップ時間は8分と設定されており、10個の測定値を持つ従来の1点測定では、測定時間は80分となる。短すぎるセットアップ時間が測定に与える影響は、Q(t)対Δp(t)の比の偏差の違いにはっきりと見ることができる。
図1aの枠で囲んだ部分を拡大して
図1bに示す。
図1bは、従来の1点測定における不十分なセットアップ時間から生じる誤差を示している。
図1bは、
図1aでマークしたセグメントと、従来のFSSS法の測定範囲に相当する1点測定の対応する測定値を示している。図から理解されるように、従来の1点測定では、十分なセットアップ時間でも大幅にずれた結果が得られる(グラフ1および2)。対照的に、本発明によるプロセスでは、多点測定のため、測定時間が短くても、極めて精密な測定が可能である(グラフ3)。この種の測定では、7%の相対誤差が確立された。一点測定の測定点では、最大35%の偏差が観察された。
【0073】
図2は、マルチポイント測定の特性を示している。ここで、等価直径を確定するために使用する特性のセグメントを適切に選択することにより、相対誤差を1.5%に低減することができる。さらに、p(t)曲線を作成することにより、多点測定によって測定時間を8分に短縮することができる。本発明によるプロセスでは、曲線領域を含む特性全体を使用することを可能にするため、特性の適切なセグメントの選択が不要になり、また、システムが定常状態に達するまで待つ必要がない。これにより、測定時間をさらに短縮することができる。さらに、曲線が弱いが大きな曲率を示すような測定状況もある。このような場合、直線的な経過をたどるまで非常に時間がかかり、測定時間の短縮という点では不利になる。
【0074】
図3a、
図3b、
図4a、および
図4bは、それぞれ、従来のFSSS法と本発明によるプロセスとのガウス分布曲線の形での測定分散の比較を示す。
【0075】
精度を確認するため、既知の粒径を持つ試料を、FSSS法と本発明によるプロセスにより、統計的に有意な回数の測定を数回行った。最初の測定では、粒径0.6μmの炭化タングステン粉末を選択した。2つの方法を比較すると、上流圧力が一定で作動する装置を使用するFSSS法による測定(
図3a)では、測定値のばらつきが明らかに大きいことがわかる。したがって、従来技術では、このような装置では体積流量に対する圧力損失しか測定できない。対照的に、本発明によるプロセスによる同じ粉末ロットの測定では、測定値の分布が著しく狭くなり(
図3b)、これは本発明によるプロセスの精度が高いことを証明している。
【0076】
粒径1.50μmの炭化タングステン粉末を測定した場合も同様であった。ここでも、FSSS法で試料を測定すると測定値に大きなばらつきが生じるが(
図4a)、本発明によるプロセスでは測定値の分布が狭くなる(
図4b)。
【0077】
図5aは、従来技術、例えばFSSS法に従って粒子径を決定するためのフィッシャーサブシーブサイザーで使用される従来の測定セットアップを模式的に示す。ガス貯蔵器(1)が測定ガスをセットアップに供給する。定圧レギュレーター(2)を介し、試料に一定の上流圧力p
1(p
up)が与えられる。測定ガスは、ホルダー(4)内の圧縮された粉末試料(5)を通過して流れ、その結果、試料の下流側の圧力p
2が上昇する(p
down)。この圧力p
2は、井戸型マノメーター(3)によって示される。バルブ(6)と井戸型マノメーター(3)の組み合わせは、体積流量測定装置に相当する。バルブ(6)を使用することで、アナログ表示パネルから粒度を読み取ることができるようにシステムをプリセットすることができる。井戸型マノメーター(3)の使用には、試料の下流側の気体体積が徐々に増加し、この影響を相殺するために試料に追加の気体を流さなければならないという欠点がある。このため、測定値の設定が遅れる。したがって、このシステムで測定値を決定するには、すべての測定値が定常状態になるまで待たなければならない。
【0078】
図5bは、従来の測定方法で得られた、粒度決定に関連する圧力差と体積流量の測定値の典型的な時間経過を示している。しばらくすると、システムは定常状態になり、値は一定になる。この状態になると、カルマン-コゼニー方程式の商ΔQ/pを用いて値を読み取り、評価に用いることができる。グラフからわかるように、概ね正しい結果が得られるのは、約300秒の測定時間からである。
【0079】
図6aは、体積流量Q(t)が常に上昇する実施形態における、本発明によるプロセスの実現を模式的に示している。ガス貯蔵器(1)がセットアップに測定ガスを供給する。測定ガスの常時上昇する体積流量は、体積流量制御装置(8)によって設定される。測定ガスは、ホルダー(4)内の圧縮された粉末試料(5)の中を流れる。2つの電子圧力計が、試料(5)の中を流れる前の測定ガスの圧力p
1(=p
up)と、試料(5)の中を流れた後の測定ガスの圧力p
2(=p
down)を同時に測定する。したがって、時間と共に変化する体積流量Q(t)に対する時間依存圧力差Δp(t)=(p1(t)-p2(t))は、このセットアップを使用して確立することができる。確立されたΔp(t)とQ(t)の値から、等価直径を決定するためのQ(t)対Δp(t)の非線形特性を導き出すことができる。
【0080】
図6bは、本発明によるプロセスによる圧力と体積流量の時間変化を示す。体積流量Q(t)は時間とともに絶えず増加するので、時間(t)の代わりに体積流量Q(t)を横軸として直接使用することができる。そして、等価直径の決定は、Q(t)対△p(t)の全特性を用いて行われる。このように、本発明によるプロセスには、システムの定常状態が得られるまで待つ必要がないという利点がある。
【0081】
図7aは、圧力が常に上昇する実施形態における、本発明によるプロセスの実現を模式的に示している。ガス貯蔵器(1)が測定ガスをセットアップに供給する。制御ユニット(7)を使用することにより、常時上昇する圧力がシステムに与えられる。同時に、システム応答として流量計(6)を用いて測定ガスの体積流量を測定し、ガスがホルダー(4)内の圧縮された粉末試料(5)を通過した後の圧力p
2を測定する(p
down)。すべての特性値は時間依存量として記録される。
【0082】
図7bは、本発明によるプロセスを使用した場合の体積流量と圧力差の時間依存性の変化を示している。等価直径の決定は、Q(t)対△p(t)の非線形特性全体を用いて行われる。このように、本発明によるプロセスには、システムの定常状態が得られるまで待つ必要がないという利点がある。
【国際調査報告】