(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-12-26
(54)【発明の名称】再循環ループにおける凝縮を制御する回転床除湿システムおよび方法
(51)【国際特許分類】
B01D 53/26 20060101AFI20241219BHJP
B01D 53/06 20060101ALI20241219BHJP
【FI】
B01D53/26 220
B01D53/06 100
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024533241
(86)(22)【出願日】2022-12-12
(85)【翻訳文提出日】2024-08-02
(86)【国際出願番号】 US2022052564
(87)【国際公開番号】W WO2023114144
(87)【国際公開日】2023-06-22
(32)【優先日】2021-12-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】512033006
【氏名又は名称】マンターズ コーポレイション
【氏名又は名称原語表記】MUNTERS CORPORATION
(74)【代理人】
【識別番号】100073184
【氏名又は名称】柳田 征史
(74)【代理人】
【識別番号】100175042
【氏名又は名称】高橋 秀明
(74)【代理人】
【識別番号】100224775
【氏名又は名称】南 毅
(72)【発明者】
【氏名】アゴスティ,マイケル エー
(72)【発明者】
【氏名】ラローサ,フランシス ジョン ザ セカンド
【テーマコード(参考)】
4D012
4D052
【Fターム(参考)】
4D012CA01
4D012CA12
4D012CA15
4D012CC04
4D012CD01
4D012CE01
4D012CE02
4D012CE03
4D012CF02
4D012CF04
4D012CF10
4D012CJ02
4D012CJ05
4D012CK03
4D052CB00
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4D052DB03
4D052FA05
4D052GA01
4D052GA03
4D052GA04
4D052GB01
4D052GB02
4D052GB03
(57)【要約】
回転収着床システムは、再生可能な収着材料の回転する収着剤塊を含み、運転サイクルにおいて、所定の体積の収着剤塊が、第1ゾーンに戻る前に、第1、第2、第3、および第4ゾーンを連続的に通過する。処理流体流が第1ゾーンを通るように向けられ、再生流体流が第3ゾーンを通るように向けられ、再循環流体流が、処理流体流と再生流体流とは関係なく、第2および第4ゾーンを通るように閉ループで再循環する。再循環流体流の乾球温度および露点の少なくとも一方を含む、再循環流体流の少なくとも1つのパラメータが監視され、再循環流体流はその少なくとも1つのパラメータに基づいて制御される。再循環流体流は、パージ、単離、およびパージ/再生ループのどの1つ以上であって差し支えない。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
再生可能な収着材料の回転する塊を含む収着床システムを使用して、処理流体流の収着質濃度を減少させる方法であって、
運転サイクルにおいて、所定の体積の収着剤塊が、第1ゾーンに戻る前に、少なくとも第1、第2、第3、および第4ゾーンを連続的に通過するように収着剤塊を回転させる工程、
前記第1ゾーン内の前記収着剤塊に処理流体流を通過させる工程、
前記第3ゾーン内の前記収着剤塊に再生流体流を通過させる工程、
前記処理流体流と前記再生流体流とは関係なく、前記第4ゾーン内と前記第2ゾーン内の前記収着剤塊の間で、閉ループで再利用流体流を再利用する工程、
前記再利用流体流における少なくとも1つのパラメータであって、該再利用流体流の乾球温度および露点の少なくとも一方を含む少なくとも1つのパラメータを監視する工程、および
前記少なくとも1つのパラメータに基づいて前記再利用流体流を制御する工程、
を有してなる、方法。
【請求項2】
前記制御する工程が、前記少なくとも1つのパラメータに基づいて前記再利用流体流の流量を制御する、請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記少なくとも1つのパラメータが、前記再利用流体流の前記乾球温度と前記露点の両方を含む、請求項1記載の方法。
【請求項4】
前記制御する工程が、前記再利用流体流の前記乾球温度と前記露点の比較に基づいて該再利用流体流の流量を制御する、請求項3記載の方法。
【請求項5】
前記再利用流体流の前記乾球温度が前記露点より低い場合、該再利用流体流の流量を減少させる、請求項4記載の方法。
【請求項6】
前記再利用流体流の前記乾球温度が前記露点より高い場合、該再利用流体流の流量を増加させる、請求項4記載の方法。
【請求項7】
前記処理流体流を実質的に閉ループで再循環させて、生成物を脱水するまたはその乾燥度を維持する工程をさらに含む、請求項1記載の方法。
【請求項8】
前記再利用流体流がパージ流体流である、請求項1記載の方法。
【請求項9】
前記再利用流体流が単離流体流である、請求項1記載の方法。
【請求項10】
前記再利用流体流がパージ/再生流体流である、請求項1記載の方法。
【請求項11】
回転収着床システムにおいて、
再生可能な収着材料の回転する収着剤塊であって、運転サイクルにおいて、所定の体積が、第1ゾーンに戻る前に、少なくとも第1、第2、第3、および第4ゾーンを連続的に通過する収着剤塊、
前記第1ゾーンを通るように向けられる処理流体流、
前記第3ゾーンを通るように向けられる再生流体流、
前記処理流体流と前記再生流体流とは関係なく、前記第2および第4ゾーンを通るように閉ループで再循環する再利用流体流、
前記再利用流体流における少なくとも1つのパラメータであって、該再利用流体流の乾球温度および露点の少なくとも一方を含む少なくとも1つのパラメータを測定するように作られたセンサ、および
測定された少なくとも1つのパラメータに基づいて前記再利用流体流を制御するように作られた制御装置、
を含む、回転収着床システム。
【請求項12】
前記制御装置が、前記少なくとも1つのパラメータに基づいて前記再利用流体流の流量を制御する、請求項11記載のシステム。
【請求項13】
前記少なくとも1つのパラメータが、前記再利用流体流の前記乾球温度と前記露点の両方を含む、請求項11記載のシステム。
【請求項14】
前記制御装置が、前記再利用流体流の前記乾球温度と前記露点の比較に基づいて該再利用流体流の流量を制御する、請求項13記載のシステム。
【請求項15】
前記再利用流体流の前記乾球温度が前記露点より低い場合、該再利用流体流の流量が減少させられる、請求項14記載のシステム。
【請求項16】
前記再利用流体流の前記乾球温度が前記露点より高い場合、該再利用流体流の流量が増加させられる、請求項14記載のシステム。
【請求項17】
前記制御装置が、生成物を脱水するまたはその乾燥度を維持するために実質的に閉ループでの前記処理流体流の再循環を制御する、請求項11記載のシステム。
【請求項18】
前記再利用流体流がパージ流体流である、請求項11記載のシステム。
【請求項19】
前記再利用流体流が単離流体流である、請求項11記載のシステム。
【請求項20】
前記再利用流体流がパージ/再生流体流である、請求項11記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【引用文献】
【0001】
本出願は、米国特許第7101414号および米国特許出願公開第2020/0001226号の開示をここに引用する。
【技術分野】
【0002】
本発明は、広く、回転床収着システムに関し、より詳しくは、パージ、単離、およびパージ/再生ループの1つ以上を備えた回転床収着システムに関する。本発明は、そのようなシステムを設計する方法および作動させる方法にも関する。
【背景技術】
【0003】
処理または収着流体流と呼ばれることもある第1の流体流から収着質を収集し、それを、より濃縮された形態で、脱着または再生流体流と呼ばれることもある第2の流体流に移送するために、回転床収着システムが長い間、使用されてきた。一般に除去される収着質に、水蒸気、揮発性有機化合物(「VOC」)、亜酸化窒素(「NOx」)などがある。
【0004】
回転床収着システム内にパージゾーンを組み込むことが公知である。再循環パージループを備えた収着床システムの例が、特許文献1に開示されている。回転収着床の収着ゾーンと脱着ゾーンとの間の交差汚染を減少させるために、1つ以上の単離流体流またはループを使用することも公知である。特許文献2には、異なる目的を達成するために、1つ以上の単離ループが使用されているいくつかの実施の形態が記載されている。特許文献3では、処理流体流および再生流体流とは関係なく、閉ループで再循環する単離流体流が使用され、その再循環流体流は、再生ゾーンを通過する前に、第5のゾーンを通過する、すなわち、パージ/再生ループが使用される。
【0005】
多くの回転床収着システムにおいて、現行の設計では、一組または二組の作動条件、典型的にピークの最悪条件に基づいて、固定速度ファンが利用される。オフピークまたは少量気流条件では、再利用空気のループで凝縮が起こり得、これにより、メンテナンスの問題が生じ、使用できる乾燥剤ホイールのタイプが限定される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】米国特許第4701189号明細書
【特許文献2】米国特許第7101414号明細書
【特許文献3】米国特許出願公開第2020/0001226号明細書
【発明の概要】
【0007】
本発明は、処理空気の入口側にあるローター材料を冷却し、再生ゾーンに入る前に、ローターを予め暖める再利用パージループを使用する。パージループなどの再循環ループにおける凝縮を防ぐことができる。
【0008】
本発明の1つの態様によれば、再生可能な収着材料の回転する塊を含む収着床システムを使用して、処理流体流の収着質濃度を減少させる方法は、運転サイクルにおいて、所定の体積の収着剤塊が、第1ゾーンに戻る前に、少なくとも第1、第2、第3、および第4ゾーンを連続的に通過するように収着剤塊を回転させる工程;第1ゾーン内の収着剤塊に処理流体流を通過させる工程;第3ゾーン内の収着剤塊に再生流体流を通過させる工程;処理流体流と再生流体流とは関係なく、第4ゾーン内と第2ゾーン内の収着剤塊の間で、閉ループで再利用流体流を再利用する工程;その再利用流体流における少なくとも1つのパラメータを監視する工程;およびその少なくとも1つのパラメータに基づいて再利用流体流を制御する工程を有してなる。
【0009】
本発明の別の態様によれば、回転収着床システムは、再生可能な収着材料の回転する収着剤塊であって、運転サイクルにおいて、所定の体積が、第1ゾーンに戻る前に、少なくとも第1、第2、第3、および第4ゾーンを連続的に通過する収着剤塊;第1ゾーンを通るように向けられる処理流体流;第3ゾーンを通るように向けられる再生流体流;処理流体流と再生流体流とは関係なく、第2および第4ゾーンを通るように閉ループで再循環する再利用流体流;その再利用流体流における少なくとも1つのパラメータを測定するように作られたセンサ;および測定された少なくとも1つのパラメータに基づいて再利用流体流を制御するように作られた制御装置を含む。
【0010】
ここに用いられているように、「運転サイクル」は、収着剤塊が収着過程と脱着過程の両方を経る最中の収着剤塊の移動経路を意味する。「連続的に」という用語は、相対的順序を称するが、あるものが別のものに直ちに続くことを必ずしも必要としない。この実施の形態において、例えば、第1ゾーンと第2ゾーンとの間に別のゾーンが配置されている場合でさえ、それでも、収着剤塊が、第1ゾーン、第2ゾーンなどを連続的に通過すると言うことは、間違いないであろう。
【0011】
本発明のこれらと他の態様のより良い理解は、本発明の好ましい実施の形態が図示され、説明された、図面と添付の説明を参照することによって得られるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明による回転床収着システムの好ましい実施の形態を示す概略流れ図
【
図2】本発明による回転床収着システムの好ましい実施の形態における収着剤塊のゾーンの概略図
【
図3】乾球温度が露点より高いときの、回転床収着システムの好ましい実施の形態における様々な位置での運転データ
【
図4】これも乾球温度が露点より高いときの、回転床収着システムの好ましい実施の形態における様々な位置での運転データ
【
図5】乾球温度が露点より低いときの、回転床収着システムの好ましい実施の形態における様々な位置での運転データ
【
図6】所定のパージ体積での回転床収着システムの性能分析を示すチャート
【
図7】本発明の好ましい実施の形態によるプロセスを示す流れ図
【発明を実施するための形態】
【0013】
図1は、本発明による回転床収着システム10の好ましい実施の形態を示している。このシステムは、運転サイクルにおいて、4つのゾーン、すなわち、第1ゾーン1、第2ゾーン2、第3ゾーン3、および第4ゾーン4を連続的に通過する再生可能な収着材料を収容する、またはそれが被覆された従来の構造の回転するディスク形状の多孔質塊またはローター11を備える。収着剤ローター11は、公知のローター機構(図示せず)によって矢印Aで示される方向に、その軸の周りで回転させられる。ローター11の回転方向に順番に、4つのゾーンが、処理空気が中を流れる処理ゾーン1、再利用または再循環空気が中を流れる第1の再利用ゾーン2、加熱された再生空気が中を流れる再生ゾーン3、および処理ゾーンの前に再利用空気が中を流れる第2の再利用ゾーン4として識別することができる。この例では、再利用空気はパージ空気であり、ゾーン2は、ローターを予め暖めるためにパージ空気が中を流れる第1の(暖め)パージゾーンであり、一方で、ゾーン4は、処理ゾーンの前にローターを冷却するためにパージ空気が中を流れる第2の(冷却)パージゾーンである。
【0014】
収着質(例えば、水蒸気)を搬送する処理流体流12が第1ゾーン1内の収着剤ローター11に通過させられ、そこで、収着質が収着剤ローター11上に収着される(すなわち、取り込まれる)。収着剤塊から出る処理流体流は、収着剤塊に入る処理流体流と比べて、減少した収着質濃度を有する。処理流体流を配管(図示せず)に押し通すために、ファン、ブロワー、または他の流体移動装置13を使用することができる。一例として、収着質は水蒸気であり、システム10は除湿システムまたは除湿機として機能する。
【0015】
再生流体流14が、処理流体流12の流れと反対方向に、第3ゾーン3内の収着剤ローター11に通される。収着剤ローター11内に収集された処理流体流からの収着剤(この例では、水蒸気)は、この再生流体流中に放出される。収着剤塊11を通過する前に、再生流体流14を加熱するために、ヒーター15を設けることができる。処理流体流に関するように、再生流体流を推進させるために、ファン、ブロワー、または他の流体移動装置16を使用することができる。
【0016】
再生流体流14は、閉ループ回路であると
図1に示されていないが、当業者には、その流体流を閉ループで再循環させられることが認識されれよう。例えば、収着剤塊を出た際に、再生流体流を冷却して、その流体流から蒸気を凝縮させ、次いで、収着剤塊に通して戻される前に、再加熱することができる。
【0017】
図示された実施の形態において、パージ流体流17は、処理流体流12および再生流体流14とは関係なく、第2ゾーン2および第4ゾーン4内の収着剤塊11の間で、閉ループで再利用される。パージ流体流17が収着剤塊11を通って流れる方向は、収着剤塊11の回転方向においてパージゾーンの直後のゾーンを通って流体が流れるのと同じ方向であることが好ましい。
図1において、例えば、パージ流体流17は、再生流体流14が第3ゾーン3を通って流れるのと同じ方向に、第2ゾーン2を通過し、処理流体流12が第1ゾーン1を通って流れるのと同じ方向に、第4ゾーン4を通過する。あるいは、そのパージ流体流が収着剤塊を通って流れる方向は、収着剤塊の回転方向にパージゾーンの直後のゾーンを通る流体流の方向と反対であっても差し支えない。パージ流体流を推進するために、ファン、ブロワー、または他の流体移動装置18が提供される。ファン18は、可変速度タイプのものであることが好ましく、パージループを通る流体の流量を変化させるために制御することができる。可変速度式ファンではなく、ダンパーやリストリクターなど、流体流を変更するための他の公知の手段を利用しても差し支えない。下記により詳しく述べるように、作動パラメータに基づいてファン18を制御するために、周知の設計の制御装置が使用される。
【0018】
パージループは、ローターの処理ゾーンから廃熱を回収し、再生ゾーンの前にローターを予熱するために廃熱を使用する一方で、処理ゾーンの前にローターを冷却もする。先に述べたように、特定の条件下で、パージ流中の水分は凝縮し得、これは、システムの損傷とメンテナンスの問題をもたらし得ると同時に、特定のシステムに使用できる乾燥剤のタイプを制限し得る。より詳しくは、再利用空気流の乾球温度が露点温度より低く低下すると、凝縮が生じることがある。空気流の体積を減少させることにより、これらの条件をなくすことができる。好ましい実施の形態において、このシステムは、再利用パージゾーン内の気流を変化させて、乾球温度を空気流中の露点温度より高い値に維持するために、可変速度式ファン18並びに温湿度センサ20を使用する。制御装置22は、センサ20からのデータを監視し、空気の露点と乾球温度を計算しまたは調べ、ファン18の速度を変更することによって、ループの気流を調節する。非限定例として、パージ体積が525SCFM(約892m
3/h)に設定されている回転床収着システムを検討する。
図3に示された条件下では、冷却パージ(すなわち、再生ゾーン3の直後に冷却パージゾーン4を通過した空気流)において、乾球温度は52.8°F(約11.6℃)であり、露点は52°F(約11.1℃)であり、パージ空気中の水分は凝縮しないことになる。同じシステムであるが、450SCFM(約765m
3/h)に設定されたパージ体積で、乾球温度が51.8°F(約11℃)であり、露点が50°F(約10℃)である、
図4に示された条件下でも、パージ空気中の水分は凝縮しないことになる。他方で、600SCFM(約1020m
3/h)に設定された同じシステムのパージ体積で、乾球温度が54.7°F(約12.6℃)であり、露点が55°F(約12.8℃)である、
図5に示された条件下では、パージ空気中の水分は凝縮することになる。
【0019】
図6のチャートは、特定位置に関する年間ビンデータ(yearly bin data)を示す。600SCFM(約1020m
3/h)のパージ体積を使用すると、同じ条件下で付加利益が与えられるが、他方で、望ましくない凝縮がもたらされることがある。すなわち、600SCFM(約1020m
3/h)のパージ流により、システムはより効率的に作動できるが、凝縮の危険を冒す。本発明は、凝縮が生じる条件が存在するときに気流を低下させ、条件により高気流が許されるときに、気流を増加させることによって、この凝縮の懸念に対処する。気流の減少により、空気流中の凝縮の可能性が排除される。これにより、オペレーターは、パージ流を手動で変える必要なく、他の作動パラメータを変えることができる。このシステムは、システムが作動している実際の露点(duty point)に基づいて、パージ流の作動を自動的に調節する。乾球温度と露点温度との差の設定点は、選択的に変えることができる。この例では、その差は1.5°F(約0.83℃)に設定されている。このことは、パージ気流は、測定露点温度より1.5°F(約0.83℃)高い乾球温度を維持するために変えられることを意味する。
【0020】
図7の流れ図を参照して、サンプル作動を説明する。最初に、システムを入力パラメータで起動させ、プロセスファン13、再生ファン16、およびパージ循環ファン18をそれらの初期設定点で作動させ、ローターを設定速度で駆動させ、再生ヒーター15を稼働させる。起動後、ステップS1で、パージループの冷却側での気流温度と湿度をセンサ20で測定し、制御装置22が、冷却パージ流の乾球温度と露点温度を計算する。ステップS2で、制御装置22は、冷却パージ空気の乾球温度が、少なくとも差分設定点の差(この例では、1.5°F(約0.83℃))だけ露点温度より低いか否かを判定する。もし「はい」であれば、凝縮が起こるかもしれないので、プロセスはステップS3に進み、パージ再循環ファンの速度を、パージ気流の速度を減少させるために設定量だけ減少させる。これにより、乾球温度が上昇する、および/または露点温度が低下することになる。ステップS2後に「いいえ」であれば、プロセスはステップS4に進み、そこで、制御装置22は、冷却パージ空気の乾球温度が、少なくとも差分設定点の差だけ露点温度より高いか否かを判定する。もし「はい」であれば、パージ気流を増加させて、システムの効率を増すために、プロセスはステップS5に進み、パージ再循環ファンの速度を、パージ気流の速度を増加させるために設定量だけ増加させる。これにより、乾球温度が低下する、および/または露点温度が上昇することになる。ステップS4後に「いいえ」であれば(またはステップS3後に)、プロセスはステップS1に戻り、そこで、制御装置22は、センサ20からの最新の読取り値に基づいて、冷却パージ流の乾球温度と露点温度を再び計算し、このプロセスを連続的に繰り返す。したがって、制御装置22は、パージ気流に凝縮が生じず、システムが最大許容効率で動作することを確実にするように、冷却パージ流の乾球温度と露点温度との間の差の絶対値が、設定差以下であることを確実にする。
【0021】
上述の例では、条件を監視し、気流をパージループで制御した。しかしながら、本発明は、床収着システムにおける他の再利用気流ループにも適用できる。例えば、特許文献1および特許文献3において、監視および制御は、単離ループ、パージループ、およびパージ/再生ループの1つ以上で行うことができる。
【0022】
上述した例では、気流は、再循環ファンの速度を制御することによって、再利用ループにおいて制御した。しかしながら、本発明は、制御可能なバッフル、ダンパー、またはリストリクターなど、気流を調節するための他の手段も使用することができる。
【0023】
上述した好ましい実施の形態において、当業者は、特定流量、圧力、温度、相対湿度などの選択は、収着システムの特定の用途に依存することを認識し、所定の用途にとって適切な選択を行うことができるであろう。
【0024】
先に述べられた実施の形態は、本発明の好ましい実施の形態を表し、説明目的のためだけに与えられている。それらは、本発明の範囲を限定する意図はない。具体的な構成、構造、条件などが示され、説明されてきたが、それらは限定するものではない。本発明の範囲内で改変および変更が考えられ、本発明の範囲は、付随の特許請求の範囲によってしか限定されないことが意図されている。
【符号の説明】
【0025】
1 第1ゾーン、処理ゾーン
2 第2ゾーン、第1の再利用ゾーン
3 第3ゾーン、再生ゾーン
4 第4ゾーン、第2の再利用ゾーン
10 回転床収着システム
11 収着剤ローター、収着剤塊
12 処理流体流
13、16、18 流体移動装置、ファン
14 再生流体流
15 ヒーター
17 パージ流体流
20 温湿度センサ
【国際調査報告】