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特表2024-546650高周波電力変換用の制御可能転換ネットワーク
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-12-26
(54)【発明の名称】高周波電力変換用の制御可能転換ネットワーク
(51)【国際特許分類】
   H03H 7/38 20060101AFI20241219BHJP
   H05H 1/46 20060101ALI20241219BHJP
【FI】
H03H7/38 B
H05H1/46 R
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024533309
(86)(22)【出願日】2022-12-15
(85)【翻訳文提出日】2024-08-05
(86)【国際出願番号】 US2022052962
(87)【国際公開番号】W WO2023114367
(87)【国際公開日】2023-06-22
(31)【優先権主張番号】63/289,809
(32)【優先日】2021-12-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】596060697
【氏名又は名称】マサチューセッツ インスティテュート オブ テクノロジー
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100138759
【弁理士】
【氏名又は名称】大房 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100201743
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 和真
(72)【発明者】
【氏名】ペロー,デービッド・ジェイ
(72)【発明者】
【氏名】ラファ・イスラム,カンドーカー・エヌ
【テーマコード(参考)】
2G084
【Fターム(参考)】
2G084AA02
2G084DD55
2G084HH08
2G084HH23
2G084HH24
2G084HH25
(57)【要約】
一態様において、ソースと負荷との間で高周波(RF)信号を転換するためのシステムは、ソースおよび負荷のそれぞれに接続された第1のポートおよび第2のポートと、第1のポートに接続された第1のフィルタと、第2のポートに接続された第2のフィルタであって、第1のフィルタおよび第2のフィルタのうちの少なくとも一方が、動的周波数チューニング(DFT)を使用して可変リアクタンスを提供するよう動作可能である、第2のフィルタと、第1のフィルタと第2のフィルタとの間に接続された2ポートスイッチングネットワークであって、複数のスイッチを備える、スイッチングネットワークと、スイッチングネットワークおよびソースに結合されたコントローラであって、スイッチングパターンに従って複数のスイッチを動作させ、RF信号の周波数を動的に調整して、第1のポートと第2のポートとの間で制御可能なインピーダンス整合を行うよう構成される、コントローラとを具備することができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ソースと負荷との間で高周波(RF)信号を転換するためのシステムであって、
前記ソースおよび前記負荷のそれぞれに接続された第1のポートおよび第2のポートと、
前記第1のポートに接続された第1のフィルタと、
前記第2のポートに接続された第2のフィルタであって、前記第1のフィルタおよび前記第2のフィルタのうちの少なくとも一方が、動的周波数チューニング(DFT)を使用して可変リアクタンスを提供するよう動作可能である、第2のフィルタと、
前記第1のフィルタと前記第2のフィルタとの間に接続され、複数のスイッチを備える2ポートスイッチングネットワークと、
前記スイッチングネットワークおよび前記ソースに結合されたコントローラであって、スイッチングパターンに従って前記複数のスイッチを動作させ、前記RF信号の周波数を動的に調整して、前記第1のポートと前記第2のポートとの間で制御可能なインピーダンス整合を行うよう構成されるコントローラと
を備える、システム。
【請求項2】
前記第1のフィルタが、前記RF信号の基本電圧を抽出するよう構成される、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記第1のフィルタが、前記第1のポートの端子に亘って並列に接続されたキャパシタおよびインダクタを備える、請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
前記第2のフィルタが、前記RF信号の基本電流を抽出するよう構成される、請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
前記第2のフィルタが、前記第2のポートの一方の端子に直列に接続されたキャパシタおよびインダクタを備える、請求項4に記載のシステム。
【請求項6】
前記コントローラが、前記RF信号と同期して、および前記RF信号に対して制御可能な位相ずれで、前記複数のスイッチを動作させる、請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
前記コントローラが、前記RF信号に対する角度βで定められたスイッチングパターンに従って、前記2つ以上のスイッチを動作させる、請求項1に記載のシステム。
【請求項8】
前記コントローラが、負荷抵抗RおよびリアクタンスXによってβを計算するよう構成される、請求項7に記載のシステム。
【請求項9】
前記コントローラが、負荷抵抗RおよびリアクタンスXによってスイッチング周波数を選択するよう構成される、請求項7に記載のシステム。
【請求項10】
前記負荷が、プラズマ負荷を含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項11】
前記コントローラが、10マイクロ秒以下で行われる少なくとも2倍を超える電力ステップの際に、前記第1のポートと前記第2のポートとの間の制御可能なインピーダンス整合を行うよう構成される、請求項1に記載のシステム。
【請求項12】
前記スイッチングネットワークの前記複数のスイッチが、ブリッジに配置された4つのスイッチを含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項13】
前記4つのスイッチが、
前記第1のフィルタの第1の端子に接続された第1の端子を有し、前記第2のフィルタの第1の端子に接続された第2の端子を有する、第1のスイッチと、
前記第1のフィルタの第2の端子に接続された第1の端子を有し、前記第2のフィルタの第2の端子に接続された第2の端子を有する、第2のスイッチと、
前記第1のスイッチの前記第2の端子に、および前記第2のフィルタの前記第1の端子に接続された第1の端子を有する、第3のスイッチと、
前記第2のスイッチの前記第2の端子に、および前記第2のフィルタの前記第2の端子に接続された第1の端子を有し、前記第3のスイッチの第2の端子に接続された第2の端子を有する、第4のスイッチと
を含む、請求項12に記載のシステム。
【請求項14】
前記4つのスイッチが、
前記第1のフィルタの第1の端子に接続された第1の端子を有し、前記第2のフィルタの第1の端子に接続された第2の端子を有する、第1のスイッチと、
前記第2のフィルタの前記第1の端子に、および前記第1のスイッチの前記第2の端子に接続された第1の端子を有し、前記第1のフィルタの第2の端子に接続された第2の端子を有する、第2のスイッチと、
前記第1のフィルタの前記第2の端子に、および前記第2のスイッチの前記第2の端子に接続された第1の端子を有し、前記第2のフィルタの第2の端子に接続された第2の端子を有する、第3のスイッチと、
前記第2のフィルタの前記第2の端子に、および前記第3のスイッチの前記第2の端子に接続された第1の端子を有し、前記第1のフィルタの第3の端子に接続された第2の端子を有する、第4のスイッチと
を含む、請求項12に記載のシステム。
【請求項15】
前記4つのスイッチが、単方向遮断の双方向通過スイッチを含む、請求項12に記載のシステム。
【請求項16】
ソースと負荷との間で高周波(RF)信号を転換する制御可能転換ネットワークであって、
前記ソースおよび前記負荷のそれぞれに接続された第1のポートおよび第2のポートと、
前記第1のポートに接続され、前記RF信号の基本電圧を抽出するよう構成される第1のフィルタと、
前記第2のポートに接続され、前記RF信号の基本電流を抽出するよう構成される第2のフィルタであって、前記第1のフィルタおよび前記第2のフィルタのうちの少なくとも一方が、動的周波数チューニング(DFT)を使用して可変リアクタンスを提供するよう動作可能である、第2のフィルタと、
前記第1のフィルタと前記第2のフィルタとの間に接続されたスイッチングネットワークであって、4つのスイッチを有するブリッジ回路を備えるスイッチングネットワークと
を備える、制御可能転換ネットワーク。
【請求項17】
前記第1のフィルタが、前記第1のポートの端子に亘って並列に接続されたキャパシタおよびインダクタを備える、請求項16に記載の制御可能転換ネットワーク。
【請求項18】
前記第2のフィルタが、前記第2のポートの一方の端子に直列に接続されたキャパシタおよびインダクタを備える、請求項16に記載の制御可能転換ネットワーク。
【請求項19】
前記4つのスイッチが、
前記第1のフィルタの第1の端子に接続された第1の端子を有し、前記第2のフィルタの第1の端子に接続された第2の端子を有する、第1のスイッチと、
前記第1のフィルタの第2の端子に接続された第1の端子を有し、前記第2のフィルタの第2の端子に接続された第2の端子を有する、第2のスイッチと、
前記第1のスイッチの前記第2の端子に、および前記第2のフィルタの前記第1の端子に接続された第1の端子を有する、第3のスイッチと、
前記第2のスイッチの前記第2の端子に、および前記第2のフィルタの前記第2の端子に接続された第1の端子を有し、前記第3のスイッチの第2の端子に接続された第2の端子を有する、第4のスイッチと
を含む、請求項16に記載の制御可能転換ネットワーク。
【請求項20】
前記4つのスイッチが、
前記第1のフィルタの第1の端子に接続された第1の端子を有し、前記第2のフィルタの第1の端子に接続された第2の端子を有する、第1のスイッチと、
前記第2のフィルタの前記第1の端子に、および前記第1のスイッチの前記第2の端子に接続された第1の端子を有し、前記第1のフィルタの第2の端子に接続された第2の端子を有する、第2のスイッチと、
前記第1のフィルタの前記第2の端子に、および前記第2のスイッチの前記第2の端子に接続された第1の端子を有し、前記第2のフィルタの第2の端子に接続された第2の端子を有する、第3のスイッチと、
前記第2のフィルタの前記第2の端子に、および前記第3のスイッチの前記第2の端子に接続された第1の端子を有し、前記第1のフィルタの第3の端子に接続された第2の端子を有する、第4のスイッチと
を含む、請求項16に記載の制御可能転換ネットワーク。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
[0001]この出願は、2021年12月15日に出願された米国仮特許出願第63/289,809号の、米国特許法第119条に基づく利益を主張し、参照により本明細書にその全体が組み入れられる。
【背景技術】
【0002】
[0002]エッチングなどの多くの半導体処理用途では、プラズマ負荷に高周波(RF:radio frequency)電力を伝送する必要がある。RF増幅器から必要な電力を高効率で効果的に供給するには、プラズマ負荷の可変インピーダンスを、RF増幅器またはRF発生器に必要なインピーダンスに動的に整合させる必要がある。さらに、所望の機能性を実現させるには、この電力伝送が、プラズマの負荷インピーダンスが急激に変動しても、広い帯域幅で広い電力範囲にわたって正確に制御できる(たとえば、命令された電力の大きく急速なステップに対して制御できるようにする)必要がある。最後に、広い空間領域にわたる正確なプラズマ制御を行う必要があるので、(たとえば、多重に空間的に分散したアプリケータの)多重出力に対するRF電力伝送を別々に制御できるRF電力伝送システムが求められている。
【0003】
<可変インピーダンス整合>
[0003]RF電力増幅器/発生器/インバータの効果的な使用を容易にし、また負荷に対する電力制御を容易にするために、多くの場合、RFソースとプラズマ負荷との間で、動的に調整可能なインピーダンス整合を行う必要がある。かかるシステムで適切に制御されたインピーダンス整合を維持することは、RF電力増幅器の高い効率を維持し、負荷への所望の電力伝送を可能にし、RF電力の制御精度を確保するために重要となる可能性がある。これは通常、「可変インピーダンス整合ネットワーク」と呼ばれることもある、可変整合ネットワーク(TMN:Tunable Matching Network)、「自動整合ユニット」(AMU:Automatic Matching Unit)、または「アンテナチューニングユニット」(ATU:Antenna Tuning Unit)を使用して実現され、指定された動作範囲にわたってRFソースと負荷との間のインピーダンス整合を感知して動的に調整することができる。
【0004】
[0004]図1は、インピーダンスZを有するソース102と、インピーダンスZを有する負荷104との間に結合されたTMN106を備えた、RFシステム100を示している。デジタル回路および/またはアナログ回路を使用して実現され得るコントローラ108は、TMN106の動作を制御するための制御信号を、TMN106に供給するよう結合されている。TMN106は、かかる制御信号に応じた、所望のインピーダンスの転換特性を有する。すなわち、TMN106は、TMN106によってソース102および/または負荷104に示されるインピーダンスを調整、チューニング、変更、またはさもなければ操作するよう制御され得る。TMN106は、たとえば、ソース102からTMN106へ所望のインピーダンスZS,INを示し、負荷104からTMN106へ所望のインピーダンスZL,INを示すよう制御され得る。
【0005】
[0005]ソース102、TMN106、コントローラ108、およびRFシステム100の他の素子は、電源電圧(たとえば、VDC)およびグランド(図示せず)に結合され得る。コントローラ108は、場合によっては、ソース102に結合された任意選択のフィードフォワード回路(図示せず)および/または負荷104に結合された任意選択のフィードバック回路(図示せず)から受信された情報に少なくとも部分的に基づいて、TMN106の動作を制御してもよい。フィードフォワード情報は、TMN106の実効入力インピーダンス、RF波形のタイミング、指定された信号レベルおよび/またはインピーダンスレベルなどに関する情報を含む場合がある。フィードバック情報は、実効負荷インピーダンスおよび/または負荷から反射された電力、RF波形のタイミングなどに関する測定情報を含む場合がある。
【0006】
[0006]動的なインピーダンス整合を実現する1つの方法は、受動部品の値が動的に調整され得る整合ネットワーク(L型ネットワーク、T型ネットワーク、またはΠ型ネットワークなど)を含む。図1Aは、負荷124のインピーダンスをソース(入力)122のインピーダンスに整合させるステップアップL型整合トポロジに基づく、理想的に損失のない集中定数素子(lumped-element)TMN120の例示的な実施態様を示している。TMN120の実施態様は、「ステップアップ」インピーダンス整合を行うことができる調整可能な素子126a、126bを備える。かかる技術で整合され得るインピーダンスの範囲が、スミスチャート140を使用して図1Bに示されている。調整可能な素子126a、126bは、機械駆動式の調整可能なキャパシタ、スイッチトキャパシタおよび/またはインダクタバンク、バラクタ(静電容量を調節するために、バラクタのバイアス電圧が調整される)、ならびに実効インピーダンスを調節するために受動蓄エネルギー素子がRF周波数で切り替えられる、位相切替インピーダンス変調、すなわちPSIM:phase-switched impedance modulationなど、様々な相異なる調整メカニズムとして設けられ得る。この種の様々な手法は、整合させることが可能な負荷インピーダンスの範囲、整合が行われ得る分解能、および所望のインピーダンス整合が実現され得る速度(たとえば、部品の調整速度によって制限される)に基づいて特徴づけられる場合がある。
【0007】
[0007]プラズマ用途など、電力および負荷インピーダンスの広い範囲にわたって高速応答を必要とする用途で使用するための、改善されたインピーダンス制御技術および構造体が求められている。
【0008】
<高速電力制御>
[0008]もう1つの課題は、現代のRFプラズマ処理で使用されるプラズマ「パルス送り」で行われ得るような、大きな電力ステップの際にRF電力を正確に制御することである。大きな電力ステップの際に、著しい短期間(たとえば、数十マイクロ秒)の、RF電力のオーバシュートが発生する可能性があり、これは、半導体処理用途において有害な影響をもたらす可能性がある。これは、インピーダンス整合を十分高速に適合させることで対処され得る可能性があるが、非常に高速な(たとえば、10マイクロ秒)時間規模でのRF電力伝送の短期間制御および制限は、それ自体に対処する価値のある現象と考えられる場合がある。これに対処する1つの可能性は、大きい命令ステップおよび大きい負荷インピーダンスの変化に直面しても十分広い帯域幅での電力制御能力を有する、RF電力増幅器またはRF発生器の開発である。
【0009】
<多重出力式電力分配制御>
[0009]さらに興味深い領域は、(場合によっては単一のRF電力ソースからの)多重出力に対するRF電力を別々に制御できる、RF電力伝送システムの開発である。多重出力が、プラズマの空間制御および均一性の調整を可能にし得る。相互ロードプル効果に対処できる複数の「並列」伝送システムは1つの可能性であるが、単一のRF発生器/電力増幅器ならびに/または単一のRFソースおよび整合システムからの多重出力(たとえば、2つ、3つ、またはさらに多くの出力)に拡張可能なシステムを開発するなら、それも望ましい。
【発明の概要】
【0010】
<制御可能転換ネットワーク>
[0010]本明細書では、上記で説明された課題に対処するための、改善されたRF電力変換構造体および技術について説明されている。ここで紹介される重要な手法は、RF入力からRF出力への制御可能な電圧転換を実現させることができる、2ポートスイッチングネットワークの使用である。スイッチングネットワークは、転換されるべきRF信号と同期して動作し、ほぼ、制御可能な変圧器として作用することができる。スイッチングネットワークは、すなわち、RF信号に対するスイッチングのタイミングに応じて、動的に可変な有効巻数比を有するよう作用することができる。
【0011】
[0011]本開示の一態様によれば、ソースと負荷との間で高周波(RF)信号を転換するためのシステムは、ソースおよび負荷のそれぞれに接続された第1のポートおよび第2のポートと、第1のポートに接続された第1のフィルタと、第2のポートに接続された第2のフィルタであって、第1のフィルタおよび第2のフィルタのうちの少なくとも一方が、動的周波数チューニング(DFT:dynamic frequency tuning)を使用して可変リアクタンスを提供するよう動作可能である、第2のフィルタと、第1のフィルタと第2のフィルタとの間に接続された2ポートスイッチングネットワークであって、複数のスイッチを備える、スイッチングネットワークと、スイッチングネットワークおよびソースに結合されたコントローラであって、スイッチングパターンに従って複数のスイッチを動作させ、RF信号の周波数を動的に調整して、第1のポートと第2のポートとの間で制御可能なインピーダンス整合を行うよう構成される、コントローラとを具備することができる。
【0012】
[0012]いくつかの実施形態では、第1のフィルタは、RF信号の基本電圧を抽出するよう構成されてもよい。いくつかの実施形態では、第1のフィルタは、第1のポートの端子に亘って並列に接続されたキャパシタおよびインダクタを備えてもよい。いくつかの実施形態では、第2のフィルタは、RF信号の基本電流を抽出するよう構成されてもよい。いくつかの実施形態では、第2のフィルタは、第2のポートの一方の端子に直列に接続されたキャパシタおよびインダクタを備えてもよい。いくつかの実施形態では、コントローラは、RF信号と同期して、およびRF信号に対して制御可能な位相ずれで、複数のスイッチを動作させてもよい。いくつかの実施形態では、コントローラは、RF信号に対する角度βで定められたスイッチングパターンに従って、2つ以上のスイッチを動作させてもよい。いくつかの実施形態では、コントローラは、負荷抵抗RおよびリアクタンスXによってβを計算するよう構成されてもよい。いくつかの実施形態では、コントローラは、負荷抵抗RおよびリアクタンスXによってスイッチング周波数を選択するよう構成されてもよい。
【0013】
[0013]いくつかの実施形態では、負荷は、プラズマ負荷を含んでもよい。いくつかの実施形態では、コントローラは、10マイクロ秒以下で行われる少なくとも2倍を超える電力ステップの際に、第1のポートと第2のポートとの間の制御可能なインピーダンス整合を行うよう構成されてもよい。
【0014】
[0014]いくつかの実施形態では、複数のスイッチは、ブリッジ回路に配置された4つのスイッチを含んでもよい。いくつかの実施形態では、4つのスイッチは、単方向遮断、双方向通過スイッチを含んでもよい。
【0015】
[0015]いくつかの実施形態では、4つのスイッチは、第1のフィルタの第1の端子に接続された第1の端子を有し、第2のフィルタの第1の端子に接続された第2の端子を有する、第1のスイッチと、第1のフィルタの第2の端子に接続された第1の端子を有し、第2のフィルタの第2の端子に接続された第2の端子を有する、第2のスイッチと、第1のスイッチの第2の端子に、および第2のフィルタの第1の端子に接続された第1の端子を有する、第3のスイッチと、第2のスイッチの第2の端子に、および第2のフィルタの第2の端子に接続された第1の端子を有し、第3のスイッチの第2の端子に接続された第2の端子を有する、第4のスイッチとを含んでもよい。
【0016】
[0016]いくつかの実施形態では、4つのスイッチは、第1のフィルタの第1の端子に接続された第1の端子を有し、第2のフィルタの第1の端子に接続された第2の端子を有する、第1のスイッチと、第2のフィルタの第1の端子に、および第1のスイッチの第2の端子に接続された第1の端子を有し、第1のフィルタの第2の端子に接続された第2の端子を有する、第2のスイッチと、第1のフィルタの第2の端子に、および第2のスイッチの第2の端子に接続された第1の端子を有し、第2のフィルタの第2の端子に接続された第2の端子を有する、第3のスイッチと、第2のフィルタの第2の端子に、および第3のスイッチの第2の端子に接続された第1の端子を有し、第1のフィルタの第3の端子に接続された第2の端子を有する、第4のスイッチとを含んでもよい。
【0017】
[0017]本開示の別の態様によれば、ソースと負荷との間で高周波(RF)信号を転換する制御可能転換ネットワークは、ソースおよび負荷のそれぞれに接続された第1のポートおよび第2のポートと、第1のポートに接続され、RF信号の基本電圧を抽出するよう構成される、第1のフィルタと、第2のポートに接続され、RF信号の基本電流を抽出するよう構成される、第2のフィルタであって、第1のフィルタおよび第2のフィルタのうちの少なくとも一方が、動的周波数チューニング(DFT)を使用して可変リアクタンスを提供するよう動作可能である、第2のフィルタと、第1のフィルタと第2のフィルタとの間に接続されたスイッチングネットワークであって、4つのスイッチを有するブリッジ回路を備える、スイッチングネットワークとを備えてもよい。
【0018】
[0018]いくつかの実施形態では、第1のフィルタは、第1のポートの端子に亘って並列に接続されたキャパシタおよびインダクタを備えてもよい。いくつかの実施形態では、第2のフィルタは、第2のポートの一方の端子に直列に接続されたキャパシタおよびインダクタを備えてもよい。いくつかの実施形態では、4つのスイッチは、上記で説明された形で接続されてもよい。
【0019】
[0019]上記で具体的に記載されていない他の実施形態を形成するために、本明細書で説明されている様々な実施形態の個々の要素が組み合わされてもよいことを理解されたい。単一の実施形態の文脈で説明されている様々な要素が、別々に、または任意の好適な部分的組合せで設けられてもよい。また、本明細書で具体的には説明されていない他の実施形態も、添付の特許請求の範囲内にあることを理解されたい。
【0020】
[0020]開示されている主題を生み出し、使用するやり方は、詳細な説明を図面と共に参照することによって理解される可能性があり、図面では、同様の参照番号は同様の要素を特定するものである。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】[0021]可変インピーダンス整合ネットワーク(TMN)を備えた、従来技術のRFシステムの構成図である。
図1A】[0022]ステップアップL型整合トポロジに基づく、理想的に損失のない集中定数素子TMNの例示的な実施態様を示す、回路図である。
図1B】[0023]図1Aに示されたようなTMNを使用して、所望の50オームの入力インピーダンスに整合され得る、負荷インピーダンスの範囲を示すスミスチャートである。
図2】[0024]本開示の実施形態による、制御可能転換ネットワーク(CTN:controllable transformation network)を備えるRFシステムの構成図である。
図2A】[0025]いくつかの実施形態による、制御可能変圧器として作用する2ポートスイッチングネットワークおよび実効可変リアクタンスを使ってCTNが実現され得る手法を示す回路図である。
図2B】いくつかの実施形態による、制御可能変圧器として作用する2ポートスイッチングネットワークおよび実効可変リアクタンスを使ってCTNが実現され得る手法を示す回路図である。
図3】[0026]いくつかの実施形態による、入力側フィルタ、スイッチングネットワーク、および出力側フィルタを備えるCTNアーキテクチャを示す構成図である。
図3A】[0027]いくつかの実施形態による、図3のCTNアーキテクチャの実施態様を示す回路図である。
図3B】いくつかの実施形態による、図3のCTNアーキテクチャの実施態様を示す回路図である。
図4】[0028]RFソースおよび負荷に接続された、図3Aの回路を示す回路図である。
図4A】[0029]いくつかの実施形態による、図4のようなCTN回路を制御するために使用されてもよい、スイッチングパターンおよび関連する波形を示す図である。
図5A】[0030]いくつかの実施形態による、図3のCTNアーキテクチャの別の実施態様を示す回路図である。
図5B】いくつかの実施形態による、図3のCTNアーキテクチャの別の実施態様を示す回路図である。
図6】[0031]本開示による、図4図5A、または図5BなどのCTN回路でのスイッチングによって生じ得る、代表的な波形を示す図である。
図7】[0032]いくつかの実施形態による、図4図5A、または図5BなどのCTN回路で生成され得る、理想的な制御角度の曲線を示す図である。
図8】[0033]図8Aおよび図8Bは、いくつかの実施形態による、図4図5A、または図5BなどのCTN回路で使用され得る、他のスイッチングパターンおよび関連する波形を示す図である。
図9】[0034]いくつかの実施形態による、多重出力式CTNを示す回路図である。
図10】[0035]いくつかの実施形態による、整合およびRF電力分配が組み合わされた、多重出力式RF電力伝送システムの構成図である。
図11】[0036]いくつかの実施形態による、制御可能転換電力増幅器(CTPA:controllable transformation power amplifier)の回路図である。
図11A】[0037]いくつかの実施形態による、図11のCTPAで使用されてもよい、例示的なスイッチングパターンを示す図である。
図12】[0038]いくつかの実施形態による、別のCTPAの回路図である。
図12A】[0039]いくつかの実施形態による、図12のCTPAで使用されてもよい、例示的なスイッチングパターンを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
[0040]図面は、必ずしも縮尺通りではなく、またシステムのすべての要素を網羅しているわけではなくて、全般的に、本明細書で保護されることが求められる概念、構造体、および技術を示すことに重点が置かれている。
【0023】
<制御可能な転換ネットワーク>
[0041]図2は、インピーダンスZを有するRFソース202と、インピーダンスZを有する負荷204との間の、可変インピーダンス整合を行うために使用され得る、制御可能転換ネットワーク(CTN)206を備えた、RFシステム200を示している。デジタル回路および/またはアナログ回路を使用して実現され得るコントローラ208は、CTN206の動作を制御するために、制御信号210をCTN206に供給するよう結合されている。CTN206は、かかる制御信号に応じて、所望のインピーダンス転換特性を有する。すなわち、CTN206は、CTN206からソース202および/または負荷204に示されるインピーダンスを調整、チューニング、変更、またはさもなければ操作するように制御され得る。CTN206は、たとえば、負荷204から示されるインピーダンスZの変動に直面しても、CTN206のソース側ポートでソース202に所望のインピーダンスZS,INを示し、またCTN206から負荷204に所望の出力インピーダンスZを示すよう制御され得る。コントローラ208はまた、たとえば、ソースのRF信号の周波数を動的に調整するために、ソース202へ、制御信号212を供給するよう結合されてもよい。コントローラ208は、いくつかの実施形態では、線211で表されるように、負荷を調べるインピーダンス測定値などの信号を、負荷204から受信してもよい。
【0024】
[0042]ソース202、CTN206、コントローラ208、およびRFシステム200の他の素子は、電源電圧(たとえば、VDC)およびグランド(図示せず)に結合され得る。
【0025】
[0043]図2Aに目を向けると、例示的なCTN220は、制御可能な電圧転換(たとえば、可変な整合)を実現させるよう構成された、2ポートスイッチングネットワーク222を備えることができる。2ポートスイッチングネットワーク222は、CTN220の一方の側のRFインピーダンスレベルZからCTN220の他方の側のRFインピーダンスレベルZへの転換を行う、主要な手段として作用する。この場合、RF入力は、ソースまたは負荷のいずれか一方に対応してもよく、RF出力は、他方に対応してもよい。スイッチングネットワーク222は、転換されるべきRF信号と同期して動作してもよく、図2Aに示されるように、ほぼ制御可能な変圧器として作用してもよい(具体的な実施態様については、後続の図に関連して下記で説明される)。すなわち、スイッチングネットワークは、RF信号に対するスイッチングのタイミングに応じて、動的に可変な有効巻数比(N:N)を有するよう作用することができる。
【0026】
[0044]2次チューニング手段224は、RFソースと負荷との間の可変インピーダンス整合を行うために使用され得るCTNを実現するために、スイッチングネットワーク222に結合されてもよい。図2Aの2次チューニング手段224は、直列リアクタンスのチューニングを行ってもよい。2次チューニング手段224は、リアクタンス性インピーダンスjXを有する可変リアクタンスXであってもよく、下記でさらに説明されるように、スイッチングネットワーク222に結合されたフィルタによって実現される。可変リアクタンスは、いくつかの実施形態では、高い品質係数「Q」の共振タンクおよび動的周波数チューニング(DFT)によって実現され得る。DFTは、周波数に敏感に反応するリアクタンス性またはサセプタンス性ネットワークにより提供されるインピーダンスまたはアドミタンスが、望ましい形で変更されるように、RF電源またはソースの周波数が調整される技術であり、プラズマおよび他の用途でのインピーダンスチューニングに使用されている。
【0027】
[0045]2次チューニング手段224は、図2Aの例では、スイッチングネットワーク222の一方の出力端子に結合されている。
【0028】
[0046]図2BはCTN240の別の例を示しており、サセプタンス性アドミタンスY=jBなどの2次チューニング手段244は、2ポートスイッチングネットワーク242の両方の入力端子に亘って結合されている。図2Bの2次チューニング手段244は、シャントサセプタンスのチューニングを行ってもよい。
【0029】
[0047]図3は、いくつかの実施形態によるCTNを実現するために使用され得るアーキテクチャを示している。例示的なCTNアーキテクチャ300は、図示のように結合された第1(または「入力」)RFポート302、第1(または「入力側」)フィルタ304、スイッチングネットワーク306、第2(または「出力側」)フィルタ308、および第2(または「出力」)RFポート310を備えることができる。第1のRFポート302は、RFソースまたは負荷のいずれか一方に結合されてもよく、第2のRFポート310は、他方に結合されてもよい。
【0030】
[0048]第1のフィルタ304は、図3に示されているように、基本電圧選択フィルタを含んでもよく、第2のフィルタ308は、基本電流選択フィルタを含んでもよい。フィルタ304、308の一方または両方は、DFTと共に使用され、可変リアクタンスを有することができる。スイッチングネットワーク306は、第1のポート302で供給されるRF信号と同期して切り替えられ、可変的な転換を行うことができる。スイッチングネットワーク306およびフィルタ304、308は、一体になって、第1のRFポート302と第2のRFポート310との間の、広い帯域幅での制御可能なインピーダンス整合を可能にする。
【0031】
[0049]図3Aおよび図3Bは、図3のアーキテクチャを利用するCTN回路の実施態様の例を示している。この概略の手法の、多くの実施態様が可能であることが理解されよう。
【0032】
[0050]図3Aに目を向けると、例示的な回路320は、基本電圧選択フィルタ324に結合された第1のRFポート322と、基本電流選択フィルタ328に結合された第2のRFポート330とを備える。スイッチ326a~326dを備えるスイッチングネットワークは、図示のように、フィルタ324と328との間に結合され得る。スイッチ326a~326dは、いくつかの例では、電界効果トランジスタ(FET:field-effect transistor)、高電子移動度トランジスタ(HEMT:high-electron-mobility transistor)、バイポーラ接合トランジスタ(BJT:bipolar junction transistor)、またはヘテロ接合バイポーラトランジスタ(HBT:heterojunction bipolar transistor)として備えられてもよいが、場合によっては、他の能動部品または受動部品が使用されてもよい。概して、任意のタイプの単方向遮断、双方向通過スイッチング素子が使用されてもよい。これは概ね、本明細書に示されるか、または説明されているCTNの実施態様の、いずれにも当てはまる。
【0033】
[0051]基本電圧選択フィルタ324は、図示のように、第1のRFポート322の端子に亘って並列に結合された第1のキャパシタ324aおよび第1のインダクタ324bを備えることができる。基本電流選択フィルタ328は、第2のRFポート330の一方の端子と、スイッチ326cおよび326dの中間点との間に直列に結合された、第2のキャパシタ328aおよび第2インダクタ328bを備えることができる。
【0034】
[0052]フィルタ324および328は、それぞれ、転換されているRF信号の基本電圧および基本電流を抽出するように設計されていてもよい。したがって、キャパシタ324a、328aおよびインダクタ324b、328bの値は、回路320が配置される所与のRF用途での公称動作周波数に基づいて選択されてもよい。これらはまた、接続するそれぞれのインピーダンスレベルを考慮して、高い周波数選択性または正味の品質係数Qを提供するよう選択されてもよい。これは概ね、本明細書に示されるか、または説明されているCTNの実施態様のいずれにも当てはまる。
【0035】
[0053]図3Bに目を向けると、別の例示的な回路340は、基本電圧選択フィルタ344に結合された第1のRFポート342と、基本電流選択フィルタ348に結合された第2のRFポート350とを備える。スイッチ346a、346bを備えるスイッチングネットワークは、図示のように、フィルタ344と348との間に結合され得る。基本電圧選択フィルタ344は、第1のRFポート342の端子に亘って並列に結合された第1のキャパシタ344aおよび第1のインダクタ344bを備えることができる。基本電流選択フィルタ348は、第2のRFポート350の一方の端子と、スイッチ346aおよび346bの中間点との間に直列に結合された、第2のキャパシタ348aおよび第2インダクタ348bを備えることができる。図3Bでは、2つのスイッチ346a、346bしか示されていないが、スイッチは双方向遮断および双方向通過型であるため、図示のスイッチのそれぞれが、場合によっては、2つの単方向遮断双方向通過スイッチ(たとえば、「逆」直列において)または2つの双方向遮断単方向通過スイッチ(たとえば、「逆」並列において)として実現されてもよい。
【0036】
[0054]図4は、図4Aと共に、いくつかの実施形態による、図3AのCTN回路をベースとする、CTN回路の実施態様のスイッチング動作を示している。
【0037】
[0055]例示的な回路400は、図示のように、基本電圧選択フィルタ404に結合された第1のRFポート402、基本電流選択フィルタ408に結合された第2のRFポート410、およびフィルタ404と408との間に結合されたスイッチングネットワーク406を備える。図4の例では、ソース412(たとえば、電圧ソース)が第1のポート402に結合され、負荷413(たとえば、抵抗負荷)が第2のポート410に結合されている。他の例では、負荷が第1のポート402に結合されていてもよく、ソースが第2のポート410に結合されていてもよい。
【0038】
[0056]ソース412は、図に示されているように、入力インピーダンスZを知り、入力として、電圧Vおよび電流Iを有するRF信号を供給することができる。ソース412は、図示されていない、インピーダンスZであってもよい、ある等価出力インピーダンス(またはテブナン(Thevenin)の出力インピーダンス)を有してもよい。負荷413は、インピーダンスZを有し、電圧Vおよび電流Iを有する、転換/変換されたRF信号(transformed/converted RF signal)を受信することができる。基本電圧選択フィルタ404は、入力RF信号をフィルタ処理して、フィルタ処理されたRF信号をスイッチングネットワーク406の第1のポート414へ供給でき、フィルタ処理されたRF信号は、電圧Vおよび電流Iを有し、Zは、ポート414でのインピーダンスを示す。インピーダンスZとは、第1のポートでの基本複素電圧成分の基本複素電流成分との比を意味する。スイッチングネットワーク406は、図示のように配置され、1つまたは複数のスイッチングパターン(すなわち「スイッチング波形」)に従って動作できる、4つのスイッチ406w~406zを備える。コントローラ(たとえば、図2のコントローラ208)は、より詳細には、スイッチングパターンに従って、その時々にスイッチをオンおよびオフするために、個々のスイッチ406w~406zへ制御信号を供給することができる。スイッチングネットワーク406は、その結果、第2のポート416で転換されたRF信号を出力することができ、転換されたRF信号は、電圧Vおよび電流Iを有し、Zは、基本複素電圧成分Vの基本複素電流成分Iとの比を表し、したがってポート416でのインピーダンスを示す。基本電流選択フィルタ408は、転換されたRF信号をフィルタ処理して、出力信号を、インピーダンスZを有する負荷413に供給でき、出力信号は、電圧Vおよび電流Iを有する。
【0039】
[0057]図4Aに目を向けると、図4の回路400では、第1のポート414から第2のポート416への基本電圧のステップダウン(すなわち、VからV)、およびこれらのポート間での基本電流のステップアップ(すなわち、IからI)は、スイッチング角度βに応じて制御され得、ここでβは、0とπとの間である。
【0040】
[0058]第1のプロット420は、角度(ωt)を表す水平軸420xと、電圧を表す垂直軸420yとを有する。第2のプロット430は、角度(ωt)を表す水平軸430xと、電流を表す垂直軸430yとを有する。4つのスイッチ406w~406zのそれぞれが、RFサイクルごとにβに応じて1回オンとオフとを切り替えられ得、ただ1つのサイクルだけが、図4Aに示されている。たとえば、凡例440で示されているように、角度0とβとの間ではスイッチ406w、406x、406yがオン、スイッチ406zがオフであり得、角度βとπとの間ではスイッチ406x、406y、406zがオン、スイッチ406wがオフであり得、角度πとπ+βとの間ではスイッチ406y、406z、406wがオン、スイッチ406xがオフであり得、π+βと2πとの間ではスイッチ406z、406w、406xがオン、スイッチ406yがオフであり得る。実際には、スイッチングコンバータの技術分野で知られているように、ゼロ電圧スイッチングの遷移を可能にするために、スイッチWおよびZ、ならびにスイッチXおよびYなどの相補型スイッチ対間に、タイミング図には示されていない、いくらかの追加のデッドタイム(相補型の対の両方のスイッチがオフに保持されるとき)が存在する可能性があることを認識されたい。角度-φは、システムの所望の動作で生じる可能性のある、電圧Vの基本成分と電流Iの基本成分との間の位相のずれを表している。
【0041】
[0059]プロット420を参照すると、波形422はVを表し、波形424はVを表している。Vは、見て分かるように、スイッチ406xがオフのとき、βとπとの間でゼロであり、スイッチ406yがオフのとき、π+βと2πとの間でゼロである。他のところでは、VはVと一致する(すなわち、波形422と424とは重なる)。
【0042】
[0060]プロット430を参照すると、波形432はIを表し、波形434はIを表している。Iは、見て分かるように、スイッチ406xがオフのとき、βとπとの間でゼロであり、スイッチ406yがオフのとき、π+βと2πとの間でゼロである。他のところでは、IはIと一致する(すなわち、波形432と434とは重なる)。この理想化されたものは、前述のデッドタイムと共に、実際に生じる可能性のある電圧VおよびIの遷移を無視している。
【0043】
[0061]スイッチングネットワーク406は、実際上、ポート414と416との間の電圧および電流波形の基本成分に対する、理想的でない変圧器のように作用する。スイッチングネットワーク406は、角度βに応じて、ポート414、416での電圧および/または電流の基本成分間に位相ずれが存在する可能性があるという点で、理想的ではない。スイッチングネットワークは、それにもかかわらず、実際上、第1のポート414から第2のポート416への、基本電圧のタイミング依存のステップダウンおよび基本電流のステップアップを提供するよう作用する。いくつかの実施形態では、スイッチングネットワークを通したどんな位相ずれの影響も、2次制御ハンドル(たとえば、入力および/または出力フィルタネットワークを使用するなど、アドミタンスjBおよび/またはインピーダンスjYに関連するDFT)を使用して補正され、これにより、ポート414と416との間の総合的なインピーダンス整合を実現させることができる。
【0044】
[0062]図4の回路トポロジで使用される、図4Aのスイッチングパターンと組み合わされることの利点は、スイッチングパターンが、デバイスごとに、RFサイクルごとに、ただ1種類のスイッチングサイクルしか必要とせず、スイッチングパターンに適切なデッドタイムが含まれているときに損失を低く抑えるために、すべてのスイッチング遷移がゼロ電圧スイッチング(ZVS:zero-voltage switching)で行われ得ることである。もちろん、インピーダンス整合を提供するために、他の多くのトポロジおよびスイッチングパターンが、2ポートスイッチング構造体および関連する素子を使って実現されてもよい。
【0045】
[0063]図5Aおよび図5Bは、本開示の実施形態による別のCTN回路の実施態様の、2つの相異なる図を示している。例示的な回路500は、図4の回路400に類似しており、両方とも図3のCTNアーキテクチャに基づいている。ここで、基本電圧選択フィルタは、インダクタ502(L)および2つのキャパシタ504a、504b(C)を備え、スイッチングネットワークは、4つのスイッチ506w~506zを備え、基本電流選択フィルタは、インダクタ508およびキャパシタ510を備える。
【0046】
[0064]回路500は、したがって、図4の実施態様とは異なり、図示のように、スイッチングネットワークの左半分のブリッジと右半分のブリッジとの間に、複製されたキャパシタCを備える。各キャパシタ504a、504b(C)は、動作中、RFサイクルの半分で使用され得る。すなわち、動作の各半サイクルにおいて、一方のブリッジレッグが短絡され得、他方が、制御可能な転換のためのスイッチングを行うことができ、したがって、キャパシタ504a、504bのうちの一方が各半サイクルで使用される。
【0047】
[0065]例示的な回路500は、第2のポート514における負荷から第1のポート512におけるソースへ、インピーダンスをステップアップさせるものとして示されている。回路500はまた、第1のポート512における負荷インピーダンスを、第2のポート514におけるソースインピーダンスへステップダウンさせることにより、逆方向に動作することもできる。
【0048】
[0066]図5の回路500で使用されるスイッチングパターン/波形は、図4Aに示されているものと同じか、または類似しており、切替えタイミングも同様であり得る。各デバイス(すなわち、スイッチ)は、したがって、サイクルごとに1回切り替わり、すべてのデバイスがZVSで切り替わる。いくつかの実施形態では、基本電流選択フィルタ(すなわち、インダクタ508およびキャパシタ510、またはL-C)が高い品質係数で実現されており、RF周波数の変更が、これにより(すなわち、DFTにより)示される実効インピーダンスを変化させるために使用され得る。すなわち、コントローラ(たとえば、図2のコントローラ208)は、制御信号を送信して、RF電源(たとえば、図2のソース202)の周波数を調整することができる。したがって、いくつかの実施形態によれば、DFTが、負荷インピーダンス、転換ネットワークおよび/または入力フィルタネットワークの影響の、リアクタンス補正を行うために使用され得る。適切なDFTおよびスイッチング制御角度βを使って、負荷インピーダンスRの実数部以上の、所望の抵抗性入力インピーダンスZが実現され得る。
【0049】
[0067]可変実効リアクタンス(すなわち、単一ポートの素子)が使用される多くの整合システムに比べて、図4図5A、および図5Bの実施形態は、可変変圧器(すなわち、可変2ポートデバイス)として作用する、2ポートスイッチングネットワークを利用する。
【0050】
[0068]図6は、信号角度(ωt)を表す水平軸600x、および正規化された信号f(t)の値を表す垂直軸600yを有する、プロット600である。図4図5A、および図5Bの制御可能転換ネットワークによって行われる電圧、電流、およびインピーダンスの転換は、以下で定義される波形f(t)602の基本成分の振幅および位相に関する情報を使用して決定され得る。
【0051】
【数1】
【0052】
[0069]この波形の基本成分は、次式で表され得る。
【0053】
【数2】
【0054】
この式では、
【数3】
【0055】
[0070]図4Aの波形を分析すると、入力インピーダンスZを所望の値Zに一致させるための、2次側リアクタンスXcompおよびスイッチング角度βの理想的な値を特定することができる。特定の理想的な制御変数は、次式を解くことにより求められ得る。
【0056】
【数4】
【0057】
[0071]上記の式を使用すると、図7に示されているような一連の曲線が生成され得る。第1のプロット700は、スイッチング角度β(水平軸700x、度)に対してプロットされたR/Z(垂直軸700y)の曲線702を含む。第2のプロット720は、スイッチング角度β(水平軸720x、度)に対してプロットされたXnet/R(垂直軸720y)の曲線722を含む。
【0058】
[0072]702、704と同様の曲線が、図4図4A図5A、および図5Bのものを含むがこれらに限定されるものではない、本明細書で開示される様々なCTN回路の実施態様およびスイッチングパターンについて、本明細書で開示されている全体的な概念および技術を使用して生成されてもよい。
【0059】
[0073]曲線702、722は、負荷抵抗RおよびリアクタンスXによって、2次側リアクタンスXcompおよびスイッチング角度βを選択/計算する(ならびに、場合によってはXcompおよびβの理想的な選択/計算を行う)ために使用され得る(ここで、Xcomp=Xnet-X)。Xcompおよびβを選択するために、具体的には、以下の手順に従ってもよい。
【0060】
1.既知の負荷抵抗R、負荷リアクタンスX、および所望のインピーダンス値Zから始める。
2.曲線702を使用してβを求める。
3.曲線722を使用してXnet/Rを求め、ひいてはXnetを求める。
4.Xnet/RからXcompを決定する。ここで、XcompはXnetとXとの差である。
【0061】
[0074]上記の手順は、RFソースと負荷との間のインピーダンス整合を、位相ずれを最小限に抑えながら行うために、開示されている様々なCTNシステムおよび回路内で実施され、および/または適用されてもよい。たとえば、図2のコントローラ208は、図7に示されている曲線と同様の曲線を生成し、上記の手順を使用してRF周波数およびスイッチング角度βを迅速に選択および調整するよう構成された、ハードウェアおよび/またはソフトウェアを備えてもよく、ここで補正リアクタンスXcompは、LおよびCによってもたらされる正味のリアクタンスを用いた、動的周波数チューニングによって生成される。別の例として、選択されたスイッチング角度βは、図4図5A、および図5Bの回路のいずれにも適用され得る。
【0062】
[0075]上記のモデルでは、入力フィルタネットワークが共振状態にあり(すなわち、無限のシャントインピーダンスを示す)、出力側リアクタンスの所望の値が、DFTまたは他の何らかの手段によって達成可能であると想定されてもよい。さらに、入力フィルタおよび出力フィルタは、スイッチングネットワークによって生成される高調波に対処し、場合によっては図示されていない追加のフィルタ処理を含んでいると想定されてもよい。
【0063】
[0076]いくつかの実施形態では、広帯域幅システム内のコントローラは、図7の理想的な曲線に従うだけでなく、フィードバックとフィードフォワードとの何らかの組合せを使用して、Xnetから制御変数Xcompを選択することもできる。これは、動作条件が変化するにつれて制御ポイントを動的に決定するための、デジタルプリディストーション、適応型フィードフォワードなどの使用を含んでもよい。
【0064】
[0077]図7の曲線は、出力フィルタネットワークを使用して、整合のための可変リアクタンスを生成することを想定しているが、いくつかの実施形態では、高いQ値の入力側タンクも同様に使用され得、インピーダンス整合を実現させるために、入力側シャントフィルタのサセプタンスВ(アドミタンスYの虚数部)が、スイッチングネットワークの動作と併せてDFTによってチューニングされ得る。整合を実現するために、場合によっては、入力側と出力側との両方のサセプタンス/リアクタンスが一緒に使用されてもよい。出力(スイッチングネットワークによって扱われる無効電力を削減する)または入力(下記で説明される多重出力の場合に、整合を容易にする)において、より高いQ値のフィルタネットワークを使用することが、利点をもたらす場合がある。本開示の実施形態によれば、一方または両方が、可変リアクタンスを生成するために、DFTまたは他の何らかの手段(たとえばスイッチトリアクタンスバンク、PSIMネットワーク、バラクタ、機械的に可変なリアクタンスなど)を通じて活用されてもよい。
【0065】
[0078]図8Aおよび図8Bは、図2のRFシステム、図3のCTNアーキテクチャ、および/または図4図5A、および図5BのCTN回路の実施態様などのCTNベースのRF整合システム、アーキテクチャ、および回路内で使用され得る、他のスイッチングパターンを示している。これらのパターンは、固定周波数動作で整合を行う機能を含み、場合によっては制御能力を向上させる可能性がある。
【0066】
[0079]図8Aは、角度(ωt)を表す水平軸800x、電圧を表す垂直軸800y、Vを表す第1の波形802、およびVを表す第2の波形804を有するプロット800を示している(ここで、VおよびVは、以前に論じられたように、スイッチングネットワークの相異なるポートでの電圧に対応する)。この例では、各半サイクルで相異なるスイッチング角度β1およびβ2を使用する。スイッチング遷移は、より詳細には、角度0、β1、π、およびβ2+πで行われ得る。この場合も、相補型スイッチ対間に起こり得るデッドタイムが存在する可能性がある。これは、基本的な電圧転換と、スイッチングネットワークを通したある程度の位相ずれとの両方を、制御可能にすることができる。これは、さらなるチューニングのために、またはある範囲にわたる固定周波数動作(たとえば、DFTなし)を可能にするのに、有益な場合がある。
【0067】
[0080]図8Bは、角度(ωt)を表す水平軸820x、電圧を表す垂直軸820y、Vを表す第1の波形822、およびVを表す第2の波形824を有するプロット820を示している(ここで、VおよびVは、以前に論じられたように、スイッチングネットワークの相異なるポートにおける電圧に対応する)。この例では、スイッチング角度αおよびβで定められる、半サイクルあたり2回のスイッチング遷移を利用する。スイッチング遷移は、より詳細には、角度α、β、α+π、およびβ+πで行われ得る。この場合も、本発明の属する技術分野で知られているように、示されていない相補型スイッチ対間の追加のデッドタイムが存在する可能性がある。追加のスイッチング遷移が、スイッチングネットワークを通した位相ずれの制御において、さらなる自由度をもたらすが、本明細書では、追加された遷移は、ZVSでのスイッチングにあまり適さない可能性があることを理解されたい。したがって、いくつかの実施形態では、図8Bのスイッチングパターンを使用しながらもZVSでのスイッチングを容易にするために、さらなる回路が追加されてもよい。注目すべきは、スイッチング角度α=π-βを選択した場合、スイッチングネットワークによる転換は位相ずれを示さず、基本成分の「理想的な変圧器」のように作用することである。別法として、スイッチング角度αおよびβが、一緒に選択され、転換比と位相ずれとの両方を制御し、固定周波数でのインピーダンス整合を可能にすることができる。
【0068】
[0081]図9に目を向けると、上記で開示された構造体および技術は、多重出力(たとえば、N=2つ、3つ、5つの出力など)を扱うCTNベースのインピーダンス整合システムを実現するために拡張され得る。多重出力式CTN回路900は、図示のように、ソース902をN個の負荷904a~904nに整合させることができる。例示的な回路900は、入力側フィルタ906(たとえば、基本電圧選択フィルタ)、N個のスイッチングネットワーク908a~908n、およびN個の出力側フィルタ910a~910n(たとえば、基本電流選択フィルタ)を備える。
【0069】
[0082]DFTが、図9のシステムを制御するために使用され、(たとえば、Q値の高い入力側フィルタネットワーク、およびQ値の低い共振に近い出力側フィルタを使用する)1つのチューニングハンドルを提供することができる。各スイッチングネットワークは、別個の制御角度β(または図8に示されているような1組の制御角度)を有することができる。これらの組合せで、1組の負荷インピーダンスがソースに所望の入力ポートインピーダンスZを提示することを可能にし、一方で、複数の負荷インピーダンスZL1からZLNの間で電力がどのように分配されるかを制御可能にすることができる。これは、したがって、図10のRF電力伝送システム1000で示されているように、広い帯域幅の可変な整合ネットワークと、制御可能なRF電力分配器との組合せを表している。
【0070】
<制御可能転換電力増幅器>
[0083]図11に目を向けると、上記で説明されたように、広い帯域幅で高度に可変な負荷インピーダンスへのRF電力の生成、および制御された伝送を実現させることができる、RFインバータ(または電力増幅器もしくはRF発生器)が求められている。いくつかの実施形態によれば、上記で説明されたスイッチングネットワーク、CTN、および関連技術が、まさにこれらの特性を有する電力増幅器システムを実現するために活用され得る。1つの手法は、従来の(たとえば、スイッチトモード)RF増幅器を、CTNとカスケード接続することである。もう1つの手法は、制御可能転換電力増幅器(CTPA)を実現することである。
【0071】
[0084]図11は、いくつかの実施形態によるCTPAの例を示している。例示的なCTPA1100は、図示のように、電圧ソース1102、入力ポート1104、入力側フィルタ1106、4つのスイッチ1108w~1108zを備えたスイッチングネットワーク1108、出力ポート1110、出力側フィルタ1112、および負荷1116に接続され得る別のポート1114を備える。CTPA1100は、入力側では、「逆D級」または「電流モードD級」スイッチング電力増幅器と同様のやり方で動作できるが、制御可能な電圧転換(およびしたがって電力制御)を実現させるために、組込みスイッチングネットワーク1108のスイッチング角度が制御される。
【0072】
[0085]図11Aは、図11のCTPAで使用され得るスイッチングパターンおよび関連する波形1120および1140の例を示している。
【0073】
[0086]スイッチングパターンおよび関連する波形1120によれば、角度0とβとの間では、スイッチ1108w、1108x、1108yがオンで、スイッチ1108zがオフであり、角度βとπとの間では、スイッチ1108x、1108y、1108zがオンで、スイッチ1108wがオフであり、角度πとπ+βとの間では、スイッチ1108y、1108z、1108wがオンで、スイッチ1108xがオフであり、角度π+βと2πとの間では、スイッチ1108z、1108w、1108xがオンで、スイッチ1108yがオフである。
【0074】
[0087]スイッチングパターンおよび関連する波形1140によれば、角度0(おおよそ)とβとの間では、スイッチ1108zを除くすべてのスイッチがオンであり、角度βとπ(おおよそ)との間では、スイッチ1108wを除くすべてのスイッチがオンであり、角度π(おおよそ)とπ+βとの間では、スイッチ1108xを除くすべてのスイッチがオンであり、角度π+βと2π(おおよそ)との間では、スイッチ1108yを除くすべてのスイッチがオンである。
【0075】
[0088]図11Aに示されているスイッチング波形の重なりは、デバイスのZVSでのスイッチングを行いながらDFTを使用可能にするなど、高いQ値の入力側共振を有するすべてのデバイスのZVSでのスイッチングを維持する一方で、スイッチング周波数の変更を可能にするために使用されてもよい。(制御範囲は、入力側共振周波数以下のスイッチング周波数に最適である可能性がある。)高いQ値の出力ネットワークを使ったスイッチング周波数のDFTは、負荷リアクタンスの変動の管理を可能にする。
【0076】
[0089]図11の回路および図11Aの対応するスイッチングパターンは、広範囲で急速に変化する負荷インピーダンスへの高速電力制御を扱うことができる、電力増幅器を提供することができる。スイッチング角度βおよびスイッチング周波数fswの制御が、負荷リアクタンスおよび抵抗値の広い範囲に必要な制御ハンドルを提供する。また、たとえば図9の手法と同様の手法を使用して、提案された電力増幅器システムの多重出力版を実現できることも理解されたい。
【0077】
[0090]さらに、他の電力増幅器のトポロジが、かかるスイッチングネットワーク/制御可能転換ネットワークおよびそれに関連する制御部と統合されてもよいことが理解されよう。たとえば、図12は、多重出力を提供する選択肢を含む、電圧モードD級の構成をベースとして実現された回路1200を示している。図12Aは、図12の回路で使用され得るスイッチングパターン1220を示している。
【0078】
[0091]本明細書で使用されている用語「プロセッサ」および「コントローラ」は、機能、動作、または一連の動作を実行する電子回路を説明するために使用される。機能、動作、または一連の動作は、電子回路にハードコーディングされるか、またはメモリデバイスに保持されている命令によってソフトコーディングされる場合もある。機能、動作、または一連の動作は、デジタル値を使用して、またはアナログ信号を使用して実行され得る。プロセッサまたはコントローラは、いくつかの実施形態では、アナログASICもしくはデジタルASICであり得る特定用途向け集積回路(ASIC:application specific integrated circuit)、関連するプログラムメモリを備えたマイクロプロセッサ、および/またはアナログもしくはデジタルであり得る個別の電子回路で具現化され得る。プロセッサまたはコントローラは、機能、動作、または一連の動作の一部を実行する、内部プロセッサまたはモジュールを内蔵することができる。モジュールは、同様に、モジュールの機能、機能、動作、または一連の動作の一部を実行する、内部プロセッサまたは内部モジュールを内蔵することができる。
【0079】
[0092]本明細書で使用されている用語「予め設定された」は、値または信号を指す場合、製造時に工場で、またはその後に外部手段、たとえばプログラミングによって設定または固定される値または信号を指すために使用される。本明細書で使用されている用語「所定の」は、値または信号を指す場合、製造後、動作中に回路によって特定される値または信号を指すために使用される。
【0080】
[0093]本明細書の図に示されている電子回路は、アナログブロックまたはデジタルブロックの形で示されている場合があるが、アナログブロックは、同じまたは同様の機能を実行するデジタルブロックで置き換えられ得、デジタルブロックは、同じまたは同様の機能を実行するアナログブロックに置き換えられ得ることが理解されよう。アナログからデジタルへの変換またはデジタルからアナログへの変換は、図に明示的に示されていない場合があるが、理解されたい。
【0081】
[0094]前述の詳細な説明において、様々な機能が、本開示を合理化する目的で、1つまたは複数の個々の実施形態にまとめられている。この開示方法は、各請求項が、そこに明示的に列挙されているものよりも多くの機能を必要とするという意図を反映していると解釈されるべきではない。むしろ、開示されている各実施形態のすべてよりも少ない機能で、発明の態様が存在する場合がある。
【0082】
[0095]本開示における「一実施形態」、「実施形態」、「いくつかの実施形態」、またはかかる句の変形への言及は、説明されている実施形態が、特定の機能、構造、または特性を有することができ、すべての実施形態が、特定の機能、構造、または特性を有することができることを示している。さらに、かかる句は、必ずしも同じ実施形態を指すとは限らない。さらに、特定の機能、構造、または特性が、明示的に説明されているかどうかに関わらず、他の実施形態に関連するかかる機能、構造、または特性に影響を与えるように、本発明の属する分野の技術者の知識に関連して説明されている場合。
【0083】
[0096]開示された主題は、その適用において、以下の説明に記載されたか、または図面に示された、構成の詳細および構成要素の配置に限定されるものではない。開示された主題は、他の実施形態が可能であり、および様々なやり方で実践され、実行され得る。したがって、本発明の属する分野の技術者は、この開示が基づく概念が、開示されている主題の複数の目的を実行するために、他の構造、方法、およびシステムの設計の基礎として、容易に利用されてもよいことを理解されよう。したがって、特許請求の範囲は、開示された主題の精神および範囲から逸脱しない限り、かかる同等の構造物を含むものとみなされるべきである。
【0084】
[0097]開示されている主題は、前述の例示的な実施形態において説明され、例示されてきたが、本開示は、ただ単に例として著わされており、開示されている主題の実施態様の詳細において、多くの変更が、開示されている主題の精神および範囲から逸脱することなく、行われてもよいことを理解されたい。
【0085】
[0098]本明細書で引用されたすべての刊行物および参考文献は、その全体が参照により本明細書に明示的に組み入れられる。
図1
図1A
図1B
図2
図2A
図2B
図3
図3A
図3B
図4
図4A
図5A
図5B
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図11A
図12
図12A
【手続補正書】
【提出日】2024-08-05
【手続補正1】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】全図
【補正方法】変更
【補正の内容】
図1
図1A
図1B
図2
図2A
図2B
図3
図3A
図3B
図4
図4A
図5A
図5B
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図11A
図12
図12A
【手続補正書】
【提出日】2024-08-06
【手続補正1】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】全図
【補正方法】変更
【補正の内容】
図1
図1A
図1B
図2
図2A
図2B
図3
図3A
図3B
図4
図4A
図5A
図5B
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図11A
図12
図12A
【国際調査報告】