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特表2024-546652アイオノマーポリアミド、プライマー、物品、及びこれらを作製する方法
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  • 特表-アイオノマーポリアミド、プライマー、物品、及びこれらを作製する方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-12-26
(54)【発明の名称】アイオノマーポリアミド、プライマー、物品、及びこれらを作製する方法
(51)【国際特許分類】
   C08G 69/42 20060101AFI20241219BHJP
   C08J 7/043 20200101ALI20241219BHJP
   C09D 5/00 20060101ALI20241219BHJP
   C09D 177/00 20060101ALI20241219BHJP
   C09J 7/50 20180101ALI20241219BHJP
【FI】
C08G69/42
C08J7/043 Z CFD
C09D5/00 D
C09D177/00
C09J7/50
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024533801
(86)(22)【出願日】2022-10-31
(85)【翻訳文提出日】2024-06-05
(86)【国際出願番号】 IB2022060487
(87)【国際公開番号】W WO2023105313
(87)【国際公開日】2023-06-15
(31)【優先権主張番号】63/286,640
(32)【優先日】2021-12-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】505005049
【氏名又は名称】スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100130339
【弁理士】
【氏名又は名称】藤井 憲
(74)【代理人】
【識別番号】100135909
【弁理士】
【氏名又は名称】野村 和歌子
(74)【代理人】
【識別番号】100133042
【弁理士】
【氏名又は名称】佃 誠玄
(74)【代理人】
【識別番号】100171701
【弁理士】
【氏名又は名称】浅村 敬一
(72)【発明者】
【氏名】カルグトカー,ラジディープ エス.
(72)【発明者】
【氏名】アモス,デイビッド ティー.
(72)【発明者】
【氏名】ウー,ティエンイー
(72)【発明者】
【氏名】ピーターソン,ジェフリー エー.
(72)【発明者】
【氏名】ジェット,ベッキー エー.
【テーマコード(参考)】
4F006
4J001
4J004
4J038
【Fターム(参考)】
4F006AA35
4F006AB38
4F006BA01
4F006EA05
4F006EA06
4J001DA01
4J001DD18
4J001EA16
4J001EB09
4J001EB26
4J001EB36
4J001EB37
4J001EB71
4J001EC05
4J001EC29
4J001EC33
4J001EC44
4J001EC83
4J001EC86
4J001FB07
4J001FB08
4J001FC07
4J001FC08
4J001FD03
4J001FD05
4J001GB02
4J001GB03
4J001JA12
4J001JA17
4J001JB13
4J004AA10
4J004AB01
4J004CA01
4J004CB03
4J004CC03
4J004CE01
4J038DH001
4J038GA13
4J038NA24
4J038PA07
4J038PA19
4J038PC08
(57)【要約】
ダイマー酸である第1の二酸と、アイオノマー成分と、オキシアルキレンジアミンである第1のジアミンと、一級ジアミン及び/又は二級ジアミンを含む少なくとも1つの第2のジアミンと、任意選択的に少なくとも1つの第2の二酸と、を含む重合性組成物の反応生成物を含むアイオノマーポリアミド膜が提供される。アイオノマー成分は、アイオノマー二酸、アイオノマージエステル、又はアイオノマージアミンである。本開示はまた、水及び/又は低級アルコール中に分散されたアイオノマーポリアミドを含有するプライマーも提供する。更に、基材と、基材上に配置されたアイオノマーポリアミド又はプライマーと、を含む物品が提供される。アイオノマーポリアミドを作製する方法、及び物品を作製する方法を含む方法が更に提供される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
重合性組成物の反応生成物を含むアイオノマーポリアミドであって、前記重合性組成物が、
a)ダイマー酸である第1の二酸と、
b)アイオノマー二酸、アイオノマージエステル、及び/又はアイオノマージアミンであるアイオノマー成分と、
c)オキシアルキレンジアミンである第1のジアミンと、
d)一級ジアミン及び/又は二級ジアミンを含む少なくとも1つの第2のジアミンと、
e)任意選択的に、少なくとも1つの第2の二酸と、
を含み、
前記アイオノマーポリアミドを形成するために使用された、前記ダイマー酸と、前記少なくとも1つの第2の二酸と、任意のアイオノマー二酸又はジエステルと、の組み合わせの総モルに各々基づいて、前記ダイマー酸のモル分率は0.40~0.99であり、前記アイオノマー成分のモル分率は0.01~0.20であり、前記少なくとも1つの第2の二酸のモル分率は0~0.60であり、
前記アイオノマーポリアミドを形成するために使用された、前記オキシアルキレンジアミンと、前記少なくとも1つの第2のジアミンと、任意のアイオノマージアミンと、の組み合わせの総モルに各々基づいて、前記オキシアルキレンジアミンのモル分率は0.005~0.10であり、前記少なくとも1つの第2のジアミンのモル分率は0.90~0.995である、アイオノマーポリアミド。
【請求項2】
前記オキシアルキレンジアミンが、エチレンオキシド及びプロピレンオキシドの各々を含む、請求項1に記載のアイオノマーポリアミド。
【請求項3】
前記アイオノマーポリアミドが酸終端又はアミン終端されている、請求項2に記載のアイオノマーポリアミド。
【請求項4】
前記少なくとも1つの第2のジアミンが脂肪族ジアミン及び脂環式ジアミンを含む、請求項1~3のいずれか一項に記載のアイオノマーポリアミド。
【請求項5】
前記少なくとも1つの第2のジアミンが、式(III):
【化1】
(式中、
R5は、両方のR5が水素原子となることはないことを条件として、独立して、直鎖若しくは分枝鎖アルキル、シクロアルキル、アリール、ヘテロアルキル、ヘテロアリール、水素原子から選択されるか、
又は、それらのR5基は、アルキレン若しくは分枝鎖アルキレンであって、複素環式化合物を形成し、
R6は、アルキレン、分枝鎖アルキレン、シクロアルキレン、置換若しくは非置換アリーレン、又はヘテロアルキレンである)
のものである、請求項1~4のいずれか一項に記載のアイオノマーポリアミド。
【請求項6】
前記ダイマー酸が300g/mol~1400g/molの数平均分子量を有する、請求項1~5のいずれか一項に記載のアイオノマーポリアミド。
【請求項7】
前記重合性組成物がジオールを含まない、請求項1~6のいずれか一項に記載のアイオノマーポリアミド。
【請求項8】
前記アイオノマーポリアミドが、式(I)又は式(II):
【化2】
【化3】
(式中、
R1は、独立して、前記ダイマー酸の残基、前記アイオノマー二酸若しくはジエステルの残基、又は任意の他の二酸モノマーの残基から選択され、
R2は、独立して、一級ジアミン又は二級ジアミンの残基から選択され、
R3は、独立して、アルキレン基又はアリーレン基から選択され、
R4は、独立して、H、アルキル基、アルケニル基、アリール基、シクロアルキル基から選択されるか、又は2つのR4基は、アルキレン若しくは分枝鎖アルキレンであり、複素環式化合物を形成する)
の構造のものである、請求項1~7のいずれか一項に記載のアイオノマーポリアミド。
【請求項9】
最大20重量パーセントの請求項1~8のいずれか一項に記載のアイオノマーポリアミドを含む、プライマー。
【請求項10】
前記アイオノマーポリアミドが、80~90重量パーセントの水と、10~20重量パーセントのC2~C4脂肪族アルコールと、任意のpH調整剤と、を含む溶媒中に分散されている、請求項9に記載のプライマー。
【請求項11】
前記アイオノマーポリアミドが水中に分散されている、請求項9に記載のプライマー。
【請求項12】
前記アイオノマーポリアミドが酸終端又はアミン終端されており、前記プライマーが2~6又は8~11のpHを有する、請求項9~11のいずれか一項に記載のプライマー。
【請求項13】
基材と、前記基材の主表面上に配置された請求項1~8のいずれか一項に記載のアイオノマーポリアミドの層と、を含む物品。
【請求項14】
前記アイオノマーポリアミドの層の主表面上に配置された接着剤を更に含み、前記接着剤が少なくとも1つのペンダントカルボン酸基を含むポリマーを含む、請求項13に記載の物品。
【請求項15】
前記アイオノマーポリアミドの層が、1マイクロメートル未満、0.5マイクロメートル未満、又は0.25マイクロメートル未満の平均厚さを有する、請求項13又は14に記載の物品。
【請求項16】
基材と、前記基材の主表面上に配置された請求項9~12のいずれか一項に記載のプライマーの層と、を含む物品。
【請求項17】
前記基材が極性ポリマー材料を含む、請求項13~16のいずれか一項に記載の物品。
【請求項18】
アイオノマーポリアミドを作製する方法であって、
a)ダイマー酸である第1の二酸と、
b)アイオノマー二酸、アイオノマージエステル、及び/又はアイオノマージアミンであるアイオノマー成分と、
c)オキシアルキレンジアミンである第1のジアミンと、
d)一級ジアミン及び/又は二級ジアミンを含む少なくとも1つの第2のジアミンと、
e)任意選択的に、少なくとも1つの第2の二酸と、
を含む重合性組成物の成分を反応させることを含み、
前記アイオノマーポリアミドを形成するために使用された前記ダイマー酸、前記少なくとも1つの第2の二酸と、任意のアイオノマー二酸又はジエステルと、の組み合わせの総モルに各々基づいて、前記ダイマー酸のモル分率が0.40~0.99であり、前記アイオノマー成分のモル分率が0.01~0.20であり、前記少なくとも1つの第2の二酸のモル分率が0~0.60であり、
前記アイオノマーポリアミドを形成するために使用された、前記オキシアルキレンジアミンと、前記少なくとも1つの第2のジアミンと、任意のアイオノマージアミンと、の組み合わせの総モルに各々基づいて、前記オキシアルキレンジアミンのモル分率が0.005~0.10であり、前記少なくとも1つの第2のジアミンのモル分率が0.70~0.995である、方法。
【請求項19】
物品を作製する方法であって、
基材の主表面上に請求項9~12のいずれか一項に記載のプライマーをコーティングすることと、
前記基材を配向させることと、
を含む、方法。
【請求項20】
前記プライマーを加熱又は乾燥させることのうちの少なくとも1つを更に含み、それによって、1マイクロメートル未満、0.5マイクロメートル未満、又は0.25マイクロメートル未満の平均厚さを有する前記アイオノマーポリアミドの層を得る、請求項19に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、概して、アイオノマーポリアミドに関する。
【発明の概要】
【0002】
第1の態様では、アイオノマーポリアミドが提供される。アイオノマーポリアミドは、a)ダイマー酸である第1の二酸と、b)アイオノマー二酸、アイオノマージエステル、及び/又はアイオノマージアミンであるアイオノマー成分と、c)オキシアルキレンジアミンである第1のジアミンと、d)一級ジアミン及び/又は二級ジアミンを含む少なくとも1つの第2のジアミンと、e)任意選択的に、少なくとも1つの第2の二酸と、を含む重合性組成物の反応生成物を含む。アイオノマーポリアミドを形成するために使用された、ダイマー酸と、少なくとも1つの第2の二酸と、任意のアイオノマー二酸又はジエステルと、の組み合わせの総モルに各々基づいて、ダイマー酸のモル分率は0.40~0.99であり、アイオノマー成分のモル分率は0.01~0.20であり、少なくとも1つの第2の二酸のモル分率は0~0.60である。アイオノマーポリアミドを形成するために使用された、オキシアルキレンジアミンと、少なくとも1つの第2のジアミンと、任意のアイオノマージアミンと、の組み合わせの総モルに各々基づいて、オキシアルキレンジアミンのモル分率は0.005~0.10であり、少なくとも1つの第2のジアミンのモル分率は0.70~0.995である。
【0003】
第2の態様では、プライマーが提供される。プライマーは、最大20重量パーセントの第1の態様によるアイオノマーポリアミドを含む。
【0004】
第3の態様では、物品が提供される。物品は、基材と、基材の主表面上に配置された第1の態様によるアイオノマーポリアミドの層と、を含む。
【0005】
第4の態様では、別の物品が提供される。物品は、基材と、基材の主表面上に配置された第2の態様によるプライマーの層と、を含む。
【0006】
第5の態様では、アイオノマーポリアミドを作製する方法が提供される。方法は、a)ダイマー酸である第1の二酸と、b)アイオノマー二酸、アイオノマージエステル、及び/又はアイオノマージアミンであるアイオノマー成分と、c)オキシアルキレンジアミンである第1のジアミンと、d)一級ジアミン及び/又は二級ジアミンを含む少なくとも1つの第2のジアミンと、e)任意選択的に、少なくとも1つの第2の二酸と、を含む重合性組成物の成分を反応させることを含む。アイオノマーポリアミドを形成するために使用された、ダイマー酸と、少なくとも1つの第2の二酸と、任意のアイオノマー二酸又はジエステルと、の組み合わせの総モルに各々基づいて、ダイマー酸のモル分率は0.40~0.99であり、アイオノマー成分のモル分率は0.01~0.20であり、少なくとも1つの第2の二酸のモル分率は0~0.60である。アイオノマーポリアミドを形成するために使用された、オキシアルキレンジアミンと、少なくとも1つの第2のジアミンと、任意のアイオノマージアミンと、の組み合わせの総モルに各々基づいて、オキシアルキレンジアミンのモル分率は0.005~0.10であり、少なくとも1つの第2のジアミンのモル分率は0.70~0.995である。
【0007】
第6の態様では、物品を作製する方法が提供される。方法は、基材の主表面上に第2の態様によるプライマーをコーティングすることと、基材を配向させることと、を含む。
【0008】
本開示の上記の概要は、開示される実施形態の各々、又は本開示の全ての実装形態を記載することを意図していない。以下の記載は、例示的な実施形態をより詳細に例示する。本出願にわたり数箇所において、例のリストを通して指針が提供されており、これらの例は、様々な組み合わせで用いることができる。それぞれの事例において、記載されたリストは、代表的な群としての役割のみを果たすものであり、排他的なリストとして解釈されるべきではない。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本開示による例示的な物品の概略断面図である。
【0010】
図2】本開示による別の例示的な物品の概略断面図である。
【0011】
図3】本開示によるアイオノマーポリアミドを作製する例示的な方法のフローチャートである。
【0012】
図4】本開示による物品を作製する例示的な方法のフローチャートである。
【0013】
上記で特定された図は、本開示の様々な実施形態を記載するものであるが、本明細書で言及される通り、他の実施形態もまた企図される。全ての場合において、本開示は、限定ではなく代表例として、本発明を提示する。これらの図は、必ずしも一定の比率の縮尺ではない。図面で使用されている同様の番号は、同様の構成要素を示す。しかしながら、所与の図における構成要素を示すための番号の使用は、同じ番号で示されている別の図内の構成要素を限定することを意図していないことが理解されよう。
【発明を実施するための形態】
【0014】
用語解説
【0015】
層(コーティング、基材、接着剤など)の厚さは、その最小寸法であると理解されるべきである。それは、一般に、「z」寸法と呼ばれ、層の主表面間の距離を指す。
【0016】
本明細書で使用される場合、「硬化性」という用語は、例えば、加熱して溶媒を除去すること、加熱して、重合、化学的架橋、放射線誘起重合又は架橋を生じさせることなどにより、硬化又は固化され得る材料を指す。本明細書で使用される場合、「重合性組成物」は、開始(例えば、フリーラジカル重合開始)時に付加重合を起こすことができるか、又は共反応性モノマーが適切な条件下で組み合わされる場合に縮合重合を起こすことができる硬化性組成物を意味する。
【0017】
「主鎖」という用語は、ポリマーの主な連続鎖を指す。
【0018】
「脂肪族」という用語は、C1~C40、好適にはC1~C30の、直線(straight)鎖又は分枝鎖アルケニル、アルキル、又はアルキニルを指し、これは、O、N、又はSなどの1つ以上のヘテロ原子によって中断又は置換されていても、そうでなくてもよい。
【0019】
「脂環式」という用語は、環化脂肪族C3~C30、好適にはC3~C20基を指し、O、N、又はSなどの1つ以上のヘテロ原子によって中断されるものを含む。
【0020】
「アルキル」という用語は、アルカンのラジカルである一価の基を指し、非置換アルキル基と置換アルキル基との両方を含む、直線鎖、分枝鎖、環式、及び二環式アルキル基並びにこれらの組み合わせを含む。別段の指示がない限り、アルキル基は、典型的には、1~30個の炭素原子を含有する。いくつかの実施形態では、アルキル基は、1~20個の炭素原子、1~10個の炭素原子、1~6個の炭素原子、1~4個の炭素原子、又は1~3個の炭素原子を含有する。「アルキル」基の例としては、メチル、エチル、n-プロピル、n-ブチル、n-ペンチル、イソブチル、t-ブチル、イソプロピル、n-オクチル、n-ヘプチル、エチルヘキシル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、アダマンチル、ノルボルニルなどが挙げられるが、これらに限定されない。本明細書で使用される場合、「Me」は、メチル基を指す。
【0021】
「アルキレン」という用語は、アルカンの基である二価の基を指し、直鎖(linear)、分枝鎖、環状、二環式、又はこれらの組み合わせである基を含む。別段の指示がない限り、アルキレン基は、典型的には、1~30個の炭素原子を有する。いくつかの実施形態では、アルキレン基は、1~20個の炭素原子、1~10個の炭素原子、1~6個の炭素原子、又は1~4個の炭素原子を有する。「アルキレン」基の例としては、メチレン、エチレン、1,3-プロピレン、1,2-プロピレン、1,4-ブチレン、1,4-シクロヘキシレン、及び1,4-シクロヘキシルジメチレンが挙げられる。
【0022】
「アルケニル」及び「エン」の各々は、1つ以上の炭素-炭素二重結合を有する一価の直鎖又は分枝鎖不飽和脂肪族基、例えば、ビニルを指す。
【0023】
「芳香族」という用語は、炭素環式芳香族基と、ヘテロ原子、O、N、又はSのうちの1つ以上を含有する複素環式芳香族基との両方、及び一緒に縮合したこれらの芳香族基のうちの1つ以上を含有する縮合環系を含む、C3~C40、好適にはC3~C30の芳香族基を指す。
【0024】
「アリール」という用語は、芳香族であり、任意選択的に炭素環である、一価の基を指す。アリールは、少なくとも1つの芳香環を有する。任意の更なる環は、不飽和、部分飽和、飽和、又は芳香族であってもよい。任意選択的に、芳香環は、芳香環に縮合された1つ以上の更なる炭素環を有してもよい。別段の指示がない限り、アリール基は、典型的には、6~30個の炭素原子を含有する。いくつかの実施形態では、アリール基は6~20個、6~18個、6~16個、6~12個、又は6~10個の炭素原子を含有する。アリール基の例としては、フェニル、ナフチル、ビフェニル、フェナントリル、及びアントラシルが挙げられる。
【0025】
「アリーレン」という用語は、芳香族であり、任意選択的に炭素環である、二価の基を指す。アリーレンは、少なくとも1つの芳香環を有する。任意選択的に、芳香環は、芳香環に縮合された1つ以上の更なる炭素環を有してもよい。任意の更なる環は、不飽和、部分飽和、又は飽和であってもよい。特に明記しない限り、アリーレン基は、多くの場合、6~20個の炭素原子、6~18個の炭素原子、6~16個の炭素原子、6~12個の炭素原子、又は6~10個の炭素原子を有する。
【0026】
「アラルキル」という用語は、アリール基で置換されたアルキル基である一価の基(例えば、ベンジル基など)を指す。「アルカリール」という用語は、アルキル基で置換されたアリールである一価の基(例えば、トリル基など)を指す。別段の指示がない限り、どちらの基においても、アルキル部分は、多くの場合、1~10個の炭素原子、1~6個の炭素原子、又は1~4個の炭素原子を有し、アリール部分は、多くの場合、6~20個の炭素原子、6~18個の炭素原子、6~16個の炭素原子、6~12個の炭素原子、又は6~10個の炭素原子を有する。
【0027】
本明細書で使用される場合、「アラルキレン」は、アリール基で置換されたアルキレン基又はアリーレン基に結合したアルキレン基である二価の基を指す。「アルカリーレン」という用語は、アルキル基で置換されたアリーレン基又はアルキレン基に結合したアリーレン基である二価の基を指す。別段の指示がない限り、どちらの基においても、アルキル部分又はアルキレン部分は、典型的には、1~20個の炭素原子、1~10個の炭素原子、1~6個の炭素原子、又は1~4個の炭素原子を有する。別段の指示がない限り、どちらの基においても、アリール部分又はアリーレン部分は、典型的には、6~20個の炭素原子、6~18個の炭素原子、6~16個の炭素原子、6~12個の炭素原子、又は6~10個の炭素原子を有する。
【0028】
本明細書で使用される場合、「(メタ)アクリレート」という用語は、アクリレート、メタクリレート、又はこれらの組み合わせを指す省略表現であり、「(メタ)アクリル(acrylic)」は、アクリル、メタクリル、又はこれらの組み合わせを指す省略表現であり、「(メタ)アクリル(acryl)」は、アクリル及びメタクリル基を指す省略表現である。「アクリル」は、アクリレート、メタクリレート、アクリルアミド、及びメタクリルアミドなどのアクリル酸の誘導体を指す。「(メタ)アクリル(acryl)」は、少なくとも1つのアクリル又はメタクリル基を有するモノマー又はオリゴマーであって、2つ以上の基を含有する場合は脂肪族セグメントによって連結されている、モノマー又はオリゴマーを意味する。本明細書で使用される場合、「(メタ)アクリレート官能性化合物」は、とりわけ(メタ)アクリレート部分を含む化合物である。
【0029】
本明細書で使用される場合、「非晶質ポリアミド」は、示差走査熱量測定(differential scanning calorimetry、DSC)によって測定されるとき、50ジュール毎グラム(J/g)以下の加熱-冷却-加熱サイクルの第2の加熱ランプからの融解エンタルピーを有するポリアミドを指す。ポリアミドの融解エンタルピーは、示差走査熱量計(TA Instruments,New Castle,DEから商品名Q200 SERIES DSCで入手可能)でのDSCによって、以下のパラメータ:(-30.00℃)で平衡化、次いで20.00℃/分で200.00℃までランプ加熱、次いで、20.00℃/分で(-30.00℃)までランプ冷却、次いで、20.00℃/分で200.00℃までランプ加熱、による加熱/冷却/加熱サイクル手順を使用して、1秒当たり1データ点のデータ収集速度で測定される。融解エンタルピーは、商用のソフトウェア(TA Instrumentsから商品名UNIVERSAL ANALYSIS2000ソフトウェアで入手可能)を使用して、35℃~85℃の範囲における吸熱転移の線形積分によって評価される。
【0030】
本明細書で使用される場合、「樹脂」は、重合性組成物中に存在する全ての重合性成分(モノマー、オリゴマー及び/又はポリマー)を含有する。樹脂は、ただ1つの重合性成分化合物又は異なる重合性化合物の混合物を含有し得る。
【0031】
本明細書で使用される場合、ポリマーの「ガラス転移温度」(T)という用語は、ポリマーのガラス状態からゴム状状態への遷移を指し、示差走査熱量測定(DSC)を使用して、例えば窒素流中で1分当たり10℃の加熱速度で測定することができる。好適なDSC法及び分析モードは、Matsumoto,A.et.al.,I.Polym.Sci.A.,Polym.Chem.1993,31,2531-2539に記載されている通りである。
【0032】
「好ましい(preferred)」及び「好ましくは(preferably)」という言葉は、特定の状況下で特定の利益を提供できる、本開示の実施形態を指す。しかしながら、他の実施形態もまた、同じ又は他の状況下で好ましい場合がある。更に、1つ以上の好ましい実施形態の記載は、他の実施形態が有用ではないことを示唆するものではなく、本開示の範囲から他の実施形態を排除することを意図するものではない。
【0033】
本出願では、「a」、「an」、及び「the」などの用語は、単数の実体のみを指すことを意図するものではなく、一般的なクラスを含み、その具体例は、例示のために使用され得る。「a」、「an」、及び「the」という用語は、「少なくとも1つの」という用語と互換的に使用される。リストに後続する「~のうちの少なくとも1つ」及び「~のうちの少なくとも1つを含む」という語句は、リスト内の項目のうちのいずれか1つ、及びリスト内の2つ以上の項目の任意の組み合わせを指す。
【0034】
本明細書で使用される場合、「又は」という用語は、内容がそうでない旨を明確に指示しない限り、概して「及び/又は」を含む通常の意味で使用される。「及び/又は」という用語は、列挙された要素のうちの1つ若しくは全て、又は列挙された要素のうちのいずれか2つ以上の組み合わせを意味する。
【0035】
また、本明細書では、全ての数は「約」という用語、好ましくは「正確に」という用語で修飾されると想定される。測定量との関連において本明細書で使用される場合、「約」という用語は、測定を行い、測定の目的及び使用した測定機器の精度に見合う水準の注意を払う当業者によって予測されるような測定量の変動を指す。また、本明細書では、端点による数値範囲の記載は、その範囲内に包含される全ての数及びその端点を含む(例えば、1~5は、1、1.5、2、2.75、3、3.80、4、5などを含む)。
【0036】
特性又は属性に対する修飾語として本明細書で使用する場合、「概して」という用語は、別段具体的に定義されない限り、その特性又は属性が、当業者によって容易に認識できるものであるが、絶対的な精度も完全な一致も必要とするものではないこと(例えば、定量化可能な特性に関しては、±20%の範囲内)を意味する。「実質的に」という用語は、別段具体的に定義されない限り、高い近似度(例えば、定量化可能な特性に関しては、±10%の範囲内)を意味するが、この場合もまた、絶対的な精度も完全な一致も必要とするものではない。同じ、等しい、均一な、一定の、厳密に、などの用語は、絶対的な精度又は完全な一致を必要とするものではなく、特定の状況に適用可能な、通常の公差又は測定誤差の範囲内にあるものと理解される。
【0037】
本明細書で使用される場合、組成物が成分を本質的に含まないという文脈において、「本質的に含まない」という用語は、組成物が、組成物の総重量に基づいて、1重量%(wt.%)未満、0.5wt.%以下、0.25wt.%以下、0.1wt.%以下、0.05wt.%以下、0.001wt.%以下、又は0.0001wt.%以下の成分を含有することを指す。
【0038】
プライマー組成物の無溶剤加工によって提示される課題の1つは、厚さが実質的に約2マイクロメートル未満の欠陥のない薄いプライマーコーティングの押出プロセスによる作製が困難であることである。一方、溶媒系プライマーの普及により、厚さ1マイクロメートル未満のプライマーコーティングを作製するために利用可能なコーティング装置が存在する。したがって、そのようなコーティング装置を使用して非常に薄いプライマーコーティングを供給する代替技術を提供することは有用であろう。
【0039】
他のポリアミド形成コモノマーの中でもオキシアルキレンジアミンに基づく水溶性ポリアミドは、当該技術分野において既知である(例えば、Ahmedらの米国特許第5,866,675号を参照されたい)。しかしながら、そのようなポリアミドの欠点は、オキシアルキレンを含有することにより、そのようなポリアミドの性能が製品使用中の湿度条件に敏感になることである。カチオン性に帯電した水溶性ポリアミドも当該技術分野において既知である(例えば、Keimらの米国特許第3,058,873号を参照されたい)。そのようなポリアミドの欠点は、そのようなカチオン性水溶性ポリアミドが、ポリアミド主鎖に沿って第四級アンモニウム基が存在することに起因して、熱的に不安定であることが知られている点である。主鎖からペンダントしているスルホン酸アニオンの金属塩を有するポリアミドは、当該技術分野において既知であり、ナイロン繊維をカチオン染料で染色するための親水性組成物を調製するために、又は水溶性リソグラフィー組成物を作出するために使用されてきた。例えば、米国特許第3,709,865号(Lofquistら)は、スルホン化ポリアミドを調製するために使用されるアジピン酸及びヘキサメチレンジアミンなどのナイロン6,6モノマーから、より極性の低いカプロラクタムモノマーへ変更しても、スルホン化モノマーの不溶性金属塩がもたらされることを開示している。予想外に、本開示によるスルホン化ポリアミドアイオノマーは、0.40以上のモル分率のダイマー酸を有するように首尾よく調製することができ、カプロラクタムを用いて調製されたスルホン化ポリアミドよりも有意に大きい疎水性をもたらすことが発見された。
【0040】
ペンダントカルボン酸基を有する様々なポリマー及び極性基材(例えば、バッキング)のための有効なプライマーとして機能することができる、水分散性であるが耐水性のダイマー酸系アイオノマーポリアミドを調製できることが発見された。本明細書に記載のアイオノマーポリアミドは、一般的なコーティング装置を使用して薄層(例えば、2マイクロメートル未満)として適用することができる。
【0041】
本開示によるアイオノマーポリアミドは、好ましくは、それらの主鎖中にエステル結合を含まず、そのようなポリアミドは、スルホン化ポリエステル又はスルホン化ポリエステルアミドよりも熱的及び加水分解的に安定となる。ダイマー酸モノマーを含めると、非晶質(例えば、結晶相が少ないか全く存在しない)で、かつダイマー酸中の三官能性のために2より大きい多分散性であることによって特徴付けられる、非晶質分枝鎖ポリアミドアイオノマーが得られる。ダイマー酸モノマーを含めることはまた、アイオノマーポリアミド中に有意なバイオベースの内容物をもたらす。無溶媒合成、水ベースのコーティング及びバイオベースの内容物は、環境的に好都合なプライマー技術を提供する。更に、アイオノマーポリアミドは、鉱油などの疎水性物質及びフタル酸ジオクチルなどの可塑剤に対する改善されたバリアとして機能するという更なる利益を有し得る。
【0042】
アイオノマーポリアミド
第1の態様では、アイオノマーポリアミドが提供される。アイオノマーポリアミドは、
【0043】
a)ダイマー酸である第1の二酸と、
【0044】
b)アイオノマー成分と、
【0045】
c)オキシアルキレンジアミンである第1のジアミンと、
【0046】
d)一級ジアミン及び/又は二級ジアミンを含む少なくとも1つの第2のジアミンと、
【0047】
e)任意選択的に、少なくとも1つの第2の二酸と、を含む重合性組成物の反応生成物を含み、
【0048】
アイオノマーポリアミドを形成するために使用された、ダイマー酸と、アイオノマー成分と、少なくとも1つの第2の二酸と、の組み合わせの総モルに各々基づいて、ダイマー酸のモル分率は0.40~0.99であり、アイオノマー成分のモル分率は0.01~0.20であり、少なくとも1つの第2の二酸のモル分率は0~0.60であり、アイオノマーポリアミドを形成するために使用された、オキシアルキレンジアミンと、少なくとも1つの第2のジアミンと、任意のアイオノマージアミンと、の組み合わせの総モルに各々基づいて、オキシアルキレンジアミンのモル分率は0.005~0.10であり、少なくとも1つの第2のジアミンのモル分率は0.70~0.995である。
【0049】
列挙した成分(例えば、二酸、ジアミンなど)の特定の群の全てのモル分率の合計は、最大1.0まで加算されることを理解するべきである。
【0050】
好ましくは、重合性組成物はジオールを本質的に含まず(例えば、含まない)、その結果、エステル結合を本質的に含まないアイオノマーポリアミドが得られる。上記したように、ポリマー中にエステル結合が存在すると、ポリマーの熱安定性及び加水分解安定性が低下する。
【0051】
重合性組成物の成分a)~d)の各々を、以下に詳細に記載する。
【0052】
a)第1の二酸
【0053】
重合性組成物は、第1の二酸を含む。第1の二酸は、ダイマー酸である。ダイマー酸は、典型的には1つ以上の不飽和脂肪酸をダイマー化することによって形成されるジカルボン酸であるダイマー化酸である。
【0054】
いくつかの実施形態では、ジカルボン酸ダイマー酸は、少なくとも1つのアルキル又はアルケニル基を含んでもよく、12~100個の炭素原子、16~100個の炭素原子、又は18~100個の炭素原子を含有してもよく、2つのカルボン酸基を有することによって特徴付けられる。ダイマー酸は、飽和であっても、部分不飽和であってもよい。いくつかの実施形態では、ダイマー酸は、脂肪酸のダイマーであってもよい。「脂肪酸」という語句は、本明細書で使用される場合、5~22個の炭素原子を含有し、末端カルボン酸基によって特徴付けられるアルキル基又はアルケニル基から構成される有機化合物を意味する。有用な脂肪酸は、「Fatty Acids in Industry:Processes,Properties,Derivatives,Applications」,Chapter 7,pp 153-175,Marcel Dekker,Inc.,1989に開示されている。いくつかの実施形態では、ダイマー酸は、オレイン酸又はトール油脂肪酸などの18個の炭素原子を有する不飽和脂肪酸のダイマー化によって形成され得る。ダイマー酸は、多くの場合、少なくとも部分不飽和であり、多くの場合、36個の炭素原子を含有する。ダイマー酸は、比較的高い分子量であってもよく、様々な比の様々な大きな又は比較的高い分子量の置換シクロヘキセンカルボン酸、主に炭素数36のジカルボン酸ダイマー酸を含む混合物で構成されてもよい。成分構造は、以下に示すように、非環式、環式(単環式若しくは二環式)又は芳香族であり得る。
【化1】
【化2】
【0055】
ダイマー酸は、オレイン酸、リノール酸、ダイズ酸、又はトール油酸などの不飽和単官能性カルボン酸を、それらのオレフィン性不飽和基を介して、酸性粘土などの触媒の存在下で縮合させることによって調製されてもよい。ダイマー酸(名目上C36の二塩基酸)における様々な構造の分布は、それらの製造に使用される不飽和酸に依存する。典型的には、オレイン酸は、約38%の非環、約56%の単環及び二環、並びに約6%の芳香族を含有するジカルボン酸ダイマーを与える。ダイズ酸は、約24%の非環、約58%の単環及び二環、並びに約18%の芳香族を含有するジカルボン酸ダイマーを与える。トール油酸は、約13%の非環、約75%の単環及び二環、並びに約12%の芳香族を含有するジカルボン酸ダイマー酸を与える。ダイマー化手順はまた、トリマー酸を生成する。特定の実施形態では、ダイマー酸は、10モル%未満の三酸含量を含む。商用のダイマー酸生成物は、典型的には、ある範囲のジカルボン酸含量を生成するために蒸留によって精製される。有用なダイマー酸は、少なくとも80%のジカルボン酸、より好ましくは90%のジカルボン酸含量、更により好ましくは少なくとも95%のジカルボン酸含量を含有する。特定の用途では、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる米国特許第3,595,887号に開示されているように、不飽和の水素化を含む色低減技術によってダイマー酸を更に精製することが有利であり得る。水素化ダイマー酸はまた、高温での酸化安定性の増加を実現し得る。他の有用なダイマー酸は、Kirk-Othmer Encyclopedia of Chemical Technology,Organic Chemicals:Dimer Acids(ISBN 9780471238966),copyright 1999-2014,John Wiley and Sons,Inc.に開示されている。市販のジカルボン酸ダイマー酸は、例えば、商品名EMPOE1008及びEMPOL1061(両方とも、BASF,Florham Park,New Jerseyから)並びにPRIPOL 1006、PRIPOL 1009、PRIPOL 1013、PRIPOL 1017及びPRIPOL 1025(全て、Croda Inc.,Edison,New Jerseyから)で入手可能である。
【0056】
場合によっては、ダイマー酸は、300グラム毎モル(g/mol)以上、350g/mol、400g/mol、450g/mol、500g/mol、550g/mol、600g/mol、650g/mol、700g/mol、750g/mol、又は800g/mol以上、かつ1400g/mol以下、1350g/mol、1300g/mol、1250g/mol、1200g/mol、1150g/mol、1000g/mol、950g/mol、800g/mol、750g/mol、又は700g/mol以下の数平均分子量を有する。別の言い方をすれば、ダイマー酸は、300g/mol~1400g/mol、300g/mol~1200g/mol、300g/mol~1000g/mol、又は300g/mol~800g/molの数平均分子量を有し得る。数平均分子量は、ゲル浸透クロマトグラフィー(gel permeation chromatography、GPC)を使用して測定され得る。いくつかの実施形態では、ダイマー酸中の炭素原子の数は、12~100個、20~100個、30~100個、12~80個、20~80個、30~80個、12~60個、20~60個、又は更には30~60個であり得る。
【0057】
アイオノマーポリアミドを形成するために使用された、ダイマー酸と、少なくとも1つの第2の二酸と、任意のアイオノマー二酸又はジエステルと、の組み合わせ(例えば、全ての二酸の合計)の総モルに基づく、ダイマー酸のモル分率は、アイオノマーポリアミドを形成するために使用された、ダイマー酸と、少なくとも1つの第2の二酸と、任意のアイオノマー二酸又はジエステルと、の組み合わせの総モルに基づいて、0.40以上、0.42、0.45、0.47、0.50、0.52、0.55、0.57、0.60、0.62、0.65、0.67、0.70、0.72、又は0.75以上、かつ0.99以下、0.98、0.97、0.96、0.95、0.94、0.93、0.92、0.91、0.90、0.87、0.85、0.82、0.80、0.77、0.75、0.72、0.70、0.67、0.65、0.62、又は0.60以下である。別の言い方をすれば、ダイマー酸のモル分率は、アイオノマーポリアミドを形成するために使用された、ダイマー酸と、少なくとも1つの第2の二酸と、任意のアイオノマー二酸又はジエステルと、の組み合わせの総モルに基づいて、0.40~0.95、0.50~0.90、又は0.60~0.85であり得る。
【0058】
b)アイオノマー成分
【0059】
重合性組成物は、アイオノマー成分を含む。アイオノマー成分は、アイオノマー二酸、アイオノマージエステル、及び/又はアイオノマージアミンのいずれかであり得る。「二酸」という用語は、二酸の総モルを指すために本明細書で使用される場合、ジエステルを包含することを理解するべきである。その理由は、両方の基がアミンと反応してアミド結合を形成するためである。それらの違いは、酸がアミンと反応してアミド結合及び水副生成物を形成するのに対して、エステルはアミンと反応してアミド結合及び対応するアルコールを形成することである。典型的には、本開示による重合性組成物は、1.01~1.2又は1.01~1.05モル過剰のアミンを含有するが、特定の実施形態では、代わりに、等モル比(1.0:1.0)又はモル過剰(例えば、1.05)の酸を含有する。モル過剰の酸モノマーは酸終端アイオノマーポリアミドをもたらし、モル過剰のアミンモノマーはアミン終端ポリアミドをもたらす。アイオノマージアミンの使用は、アミン終端ポリアミドの形成に寄与し得る。
【0060】
予想外に、アイオノマー成分を組み込んだアイオノマーポリアミドは、典型的には疎水性材料であるものにイオン電荷が存在するため、プライマーとしての使用に好適であることが発見された。
【0061】
好適なアイオノマー二酸及びアイオノマージエステルとしては、硫酸ナトリウムイソフタレート(sodium sulfate isophthalate、SSIP)などのフタレートアイオノマーが挙げられる。アイオノマーは、典型的には、フタレート、イソフタレート、テレフタレート、及び/又はナフタレートから誘導される1つ以上のジカルボン酸又はジエステル部分を含有する。対イオンは、H+、又はカリウム、リチウム、亜鉛、マグネシウム、カルシウム、コバルト、鉄、及び/若しくはアンチモンなどの他の金属イオンであることができる。いくつかの実施形態では、アイオノマー成分は、アリール基を含む。アイオノマー二酸又はジエステルは、好ましくは、ジメチル5-スルホイソフタレートのナトリウム塩(sodium salt of dimethyl 5-sulfoisophthalate、DMSSIP)を含み得る。別の好適なアイオノマー二酸は、以下の式(V):
【化3】
【0062】
(式中、R11は、アンモニウム、ナトリウム、リチウム、及びカリウムから選択される)のものである。
【0063】
1,3位又は1,4位に酸置換基を有するそのようなアイオノマー二酸は、米国特許第3,389,549号(David)に詳細に記載されている。
【0064】
好適なアイオノマージアミンとしては、スルホンアルキルアルキレンジアミン、例えば、N-N(H)-R9-NH-(CH-SOR10の式(式中、R9は、2~12個の炭素原子を有するアルキレン又はシクロアルキレンであり、yは、4~6の整数であり、R10は、H又はアルカリ金属である)を有するものが挙げられる。別の好適なアイオノマージアミンは、以下の式(VI):
【化4】
【0065】
(式中、R12及びR13は、独立して、H及び低級アルキルから選択され、R14は、H、アンモニウムラジカル、第I族アルカリ金属、及び第II族アルカリ土類金属から選択される)のものである。場合によっては、R12及びR13は、同じである。
【0066】
そのようなアイオノマージアミンは、米国特許第3,454,535号(Bodesheimら)及び同第3,184,436号(Magat)に詳細に記載されている。
【0067】
上記したように、アイオノマー成分のモル分率は、アイオノマーポリアミドを形成するために使用された、ダイマー酸と、少なくとも1つの第2の二酸と、任意のアイオノマー二酸若しくはジエステルと、の組み合わせ、又はアイオノマーポリアミドを形成するために使用された、オキシアルキレンジアミンと、少なくとも1つの第2のジアミンと、任意のアイオノマージアミンと、の組み合わせのいずれかの総モルに基づいて、0.01~0.20である。したがって、アイオノマー成分のモル分率は、0.01以上、0.02、0.03、0.04、0.05、0.06、0.07、0.08、0.09、又は0.10以上、かつ0.20以下、0.19、0.18、0.17、0.16、0.15、0.14、0.13、0.12、0.11、又は0.10以下である。
【0068】
c)第1のジアミン
【0069】
重合性組成物は、第1のジアミンを含む。第1のジアミンは、オキシアルキレンジアミンである。いくつかの実施形態では、オキシアルキレンジアミンは、エチレンオキシド及びプロピレンオキシドの各々を含む。好適なオキシアルキレンジアミンとしては、Hunstman Corporation(The Woodlands,TX)から商品名JEFFAMINE EDシリーズ(ED-600、ED-900、及びED-2003を含む)で市販されているもの、並びにBASF(Florham Park,New Jersey)から商品名BAXXODUR EC(例えば、EC301、EC302、及びEC303)で市販されているPPG系ジアミンが挙げられる。選択実施形態では、JEFFAMINE ED-2003は、その分子量がおよそ2000g/molであるため、オキシアルキレンジアミンとして好ましい。
【0070】
上記したように、オキシアルキレンジアミンのモル分率は、アイオノマーポリアミドを形成するために使用された、オキシアルキレンジアミンと、少なくとも1つの第2のジアミンと、任意のアイオノマージアミンと、の組み合わせ(例えば、全てのジアミンの合計)の総モルに基づいて、0.005~0.10、例えば、0.01~0.03である。したがって、オキシアルキレンジアミンのモル分率は、アイオノマーポリアミドを形成するために使用された、オキシアルキレンジアミンと、少なくとも1つの第2のジアミンと、任意のアイオノマージアミンと、の組み合わせの総モルに基づいて、0.005以上、0.006、0.007、0.008、0.009、0.010、0.012、0.015、0.017、0.020、0.022、0.025、0.027、0.030、0.032、0.035、0.037、0.040、0.042、0.045、0.047、0.050、0.052、0.055、0.057、又は0.060以上、かつ0.100以下、0.095、0.090、0.085、0.080、0.075、0.070、0.065、0.060、0.055、0.050、0.045、0.040、0.035、0.030、又は0.025以下である。
【0071】
特定の実施形態では、オキシアルキレンジアミン対アイオノマー成分のモル比は、好ましくは、0.10モルのオキシアルキレン対1.0モルのアイオノマー成分(すなわち、0.10:1.0)~2.0:1.0、例えば、0.15:1.0~1.0:1.0、又は更には0.20:1.0~0.50:1.0モルのオキシアルキレンジアミン対アイオノマー成分である。オキシアルキレンジアミン対アイオノマー成分のモル比が0.10:1.0未満である場合、分散液は大きな粒子を含有する傾向があり、比が1.0:1.0をはるかに超える場合、分散液は過度に濃厚な(例えば、ハンドローション)粘稠度を有する傾向がある。
【0072】
d)第2のジアミン
【0073】
重合性組成物は、少なくとも1つの第2のジアミンを含む。「少なくとも1つの第2のジアミン」は、重合性組成物が、成分c)として上に詳細に記載された第1のジアミン、及びアイオノマー成分が成分b)に関して上に詳細に記載されたアイオノマージアミンである場合にはアイオノマー成分、に加えて、それらとは異なる1つ以上のジアミン成分を含有することを意味する。多くの場合、少なくとも1つの第2のジアミンは、2つ以上の異なるジアミン、例えば、2つのジアミン、3つのジアミン、4つのジアミンなどを含む。
【0074】
いくつかの実施形態では、ジアミン成分は、1つ以上の二級ジアミン又は1つ以上の二級/一級ハイブリッドジアミン、及び任意選択的に1つ以上の一級ジアミン、例えば、一級ジアミンと二級ジアミンとの両方を含み得る。
【0075】
任意選択的に、少なくとも1つの第2のジアミンは、アルキル基、アルキレン基、アリール基、シクロアルキル基、又はこれらの任意の組み合わせを含む。例えば、少なくとも1つの第2のジアミンは脂肪族ジアミン及び脂環式ジアミンの各々を含むことができる。
【0076】
いくつかの実施形態では、好適な二級又は二級/一級ハイブリッドアミンは、
式(IV):R7-NH-R8-NH-R7(IV)
【0077】
(式中、R8は、
【0078】
アルキレン(例えば、-CHCHCH-)、
【0079】
分枝鎖アルキレン(-CHCH(Me)CH-)、
【0080】
シクロアルキレン(例えば、-シクロヘキシレン-CH-シクロヘキシレン-)、
【0081】
置換若しくは非置換アリーレン(例えば、-1,4-フェニレン-)、
【0082】
ヘテロアルキレン(例えば、-CHCH-O-CHCH-若しくは任意の他のJeffamine)、又は
【0083】
ヘテロシクロアルキレン(例えば、-CH-フラン環-CH-)であり、
【0084】
各R7は、独立して、
【0085】
直鎖若しくは分枝鎖アルキル(例えば、-Me、-イソプロピル)、
【0086】
シクロアルキル(例えば、-シクロヘキシル)、
【0087】
アリール(例えば、-フェニル)、
【0088】
ヘテロアルキル(例えば、-CHCH-O-CH)、
【0089】
ヘテロアリール(例えば、-2置換-ピリジル)、又は
【0090】
水素原子
【0091】
(但し、両方のR1が水素原子となることはないことを条件する)であるか、あるいは
【0092】
それらのR7基は、アルキレン又は分枝鎖アルキレンであって、複素環式化合物(例えば、ピペラジン)を形成する)を有し得る。
【0093】
好適な二級ジアミンとしては、例えば、ピペラジン、1,3-ジ-4-ピペリジルプロパン、4,4’-メチレンビス[N-sec-ブチルアニリン]、及びシクロヘキサンアミン、4,4’-メチレンビス[N-(1-メチルプロピル)-を挙げることができる。いくつかの実施形態では、好適な二級/一級ハイブリッドジアミン(すなわち、二級アミンと一級アミンとを有するジアミン)としては、例えば、2-アミノエチルピペラジンが挙げられる。いくつかの実施形態では、二級/一級ハイブリッドジアミンは、存在していなくてもよいか、又は二級/一級ハイブリッドジアミンのモル分率は、第2のジアミンの総モルに基づいて、0.50未満、0.40以下、0.30、0.20、0.10、若しくは0.05以下となるように存在していてもよい。いくつかの実施形態では、好適な二級ジアミン又は二級/一級ハイブリッドジアミンの数平均分子量は、30g/mol~5000g/mol、30g/mol~500g/mol、又は50g/mol~100g/molであり得る。
【0094】
いくつかの実施形態では、少なくとも1つの第2のジアミン成分は、(任意選択の)二級又は二級/一級ハイブリッドアミンに加えて、脂肪族又は芳香族一級アミンなどの一級ジアミンを含んでもよい。好適な一級アミンとしては、例えば、エチレンジアミン、m-キシリレンジアミン、1,6-ヘキサンジアミン、o-トルイジン、又は1,3-ベンゼンジメタンアミンが挙げられる。いくつかの実施形態では、好適な一級ジアミンの数平均分子量は、30g/mol~5000g/mol、30g/mol~500g/mol、又は50g/mol~100g/molであり得る。
【0095】
選択実施形態では、少なくとも1つの第2のジアミンは、式(III):
R5-NH-R6-NH-R5(III)
【0096】
(式中、R5は、両方のR5が水素原子となることはないことを条件として、独立して、直鎖若しくは分枝鎖アルキル、シクロアルキル、アリール、ヘテロアルキル、ヘテロアリール、水素原子から選択されるか、又は、それらのR5基は、アルキレン若しくは分枝鎖アルキレンであって、複素環式化合物を形成し、
【0097】
R6は、アルキレン、分枝鎖アルキレン、シクロアルキレン、置換若しくは非置換アリーレン、又はヘテロアルキレンである)のものである。
【0098】
上記したように、少なくとも1つの第2のジアミンのモル分率は、アイオノマーポリアミドを形成するために使用された、オキシアルキレンジアミンと、少なくとも1つの第2のジアミンと、任意のアイオノマージアミンと、の組み合わせ(例えば、全てのジアミンの合計)の総モルに基づいて、0.70~0.995である。したがって、少なくとも1つの第2のジアミンのモル分率は、アイオノマーポリアミドを形成するために使用された、オキシアルキレンジアミンと、少なくとも1つの第2のジアミンと、任意のアイオノマージアミンと、の組み合わせの総モルに基づいて、0.700以上、0.710.0.720、0.730、0.740、0.750、0.760、0.770、0.780、0.790、0.800、0.810.0.820、0.830、0.840、0.850、0.860、0.870、0.880、0.890、0.900、0.905、0.910、0.915、0.920、0.925、0.930、0.935、0.940、0.945、0.950、0.955、又は0.960以上、かつ0.995以下、0.995、0.990、0.985、0.980、0.975、0.970、0.965、0.960、0.955、0.950、0.945、0.940、0.935、0.930、0.910、0.890、0.870、0.850、0.830、0.810、0.790、0.770、又は0.750以下である。
【0099】
e)第2の二酸
【0100】
重合性組成物は、任意選択的に、少なくとも1つの第2の二酸を含む。「少なくとも1つの第2の二酸」は、重合性組成物が、成分a)として上に詳細に記載された第1の二酸(すなわち、ダイマー酸)、及びアイオノマー成分が成分b)に関して上に詳細に記載されたアイオノマー二酸又はアイオノマージエステルである場合にはアイオノマー成分、に加えて、それらとは異なる1つ以上の二酸成分を含有することを意味する。
【0101】
好適な例示的な二酸としては、例えば、ヘキサン二酸、ノナン二酸、ドデカン二酸、1,3-ベンゼンジカルボン酸、1,4-ベンゼンジカルボン酸、及び11-アミノウンデカン酸が挙げられるが、これらに限定されない。
【0102】
上記したように、アイオノマーポリアミドを形成するために使用された、ダイマー酸と、少なくとも1つの第2の二酸と、任意のアイオノマー二酸又はジエステルと、の組み合わせ(例えば、全ての二酸の合計)の総モルに基づく、少なくとも1つの第2の二酸のモル分率は、0~0.60である。別の言い方をすれば、少なくとも1つの第2の二酸のモル分率は、アイオノマーポリアミドを形成するために使用された、ダイマー酸と、少なくとも1つの第2の二酸と、任意のアイオノマー二酸又はジエステルと、の組み合わせの総モルに基づいて、0(すなわち、存在しない)、0.01以上、0.02、0.05、0.07、0.10、0.12、0.15、0.17、0.20、0.22、0.25、0.27、0.30、0.32、又は0.35以上、かつ0.60以下、0.58、0.57、0.56、0.55、0.54、0.53、0.52、0.51、0.50、0.47、0.45、0.42、0.40、0.37、0.35、0.32、0.30、0.27、0.25、0.22、又は0.20以下であり得る。
【0103】
重合性組成物の反応生成物
【0104】
上記したように、重合性組成物の反応生成物は、アイオノマーポリアミドである。好ましくは、アイオノマーポリアミドは酸終端又はアミン終端されている。アイオノマーポリアミドは典型的にはエステル基を含まない。アイオノマーポリアミドは、摂氏25度未満、20℃以下、15℃、10℃、5℃、0℃、-5℃、-10℃、-15℃、-20℃、-25℃、-30℃以下、かつ-50℃以上のガラス転移温度を有する。
【0105】
選択実施形態では、アイオノマーポリアミドは、式(I)又は式(II):
【化5】
【0106】
(式中、R1は、独立して、ダイマー酸(例えば、上記のダイマー酸のいずれか)の残基、アイオノマー二酸若しくはジエステル(例えば、上記のアイオノマー二酸若しくはジエステルのいずれか)の残基、又は任意の他の二酸モノマー(例えば、上記の少なくとも1つの第2の二酸のいずれか)の残基から選択される。
【0107】
R2は、独立して、一級ジアミン又は二級ジアミン(例えば、上記の一級又は二級ジアミンのいずれか)の残基から選択され、
【0108】
R3は、独立して、アルキレン基又はアリーレン基から選択され、
【0109】
R4は、独立して、H、アルキル基、アルケニル基、アリール基、シクロアルキル基から選択されるか、又は2つのR4基は、アルキレン若しくは分枝鎖アルキレンであり、複素環式化合物を形成する)の構造のものである。
【0110】
特定の実施形態では、少なくとも1つのR2はオキシアルキレンジアミンの残基であり、少なくとも1つのR3はアリーレン基である。
【0111】
プライマー
第2の態様では、本開示は、プライマーを提供する。プライマーは、最大20重量パーセントの上に詳細に記載された第1の態様によるアイオノマーポリアミドを含む。任意選択的に、アイオノマーポリアミドは酸終端又はアミン終端されており、プライマーは2~6又は8~12のpHを有する。
【0112】
典型的には、本開示の少なくとも特定の実施形態によるアイオノマーポリアミドは、有利なことに、水性組成物中に分散されたままとするために界面活性剤を必要としないため、特定の実施形態では、プライマーは、界面活性剤を本質的に含まない(例えば、含まない)。しかしながら、場合によっては、プライマーが高速コーティングプロセスで使用される場合、界面活性剤がプライマーに含まれ得る。
【0113】
いくつかの実施形態では、アイオノマーポリアミドは、80~90重量パーセントの水と、10~20重量パーセントのC2~C4脂肪族アルコール(水とC2~C4脂肪族アルコールとの合計は100パーセントに等しい)と、任意のpH調整剤と、を含む溶媒中に分散される。そのような溶媒ブレンドから、予想外に、C2~C4脂肪族アルコールを、例えば摂氏60~80度などの高温でストリッピングすることが可能である。したがって、いくつかの実施形態では、アイオノマーポリアミドは、水中に分散され、有利なことに、水性プライマー分散液を提供する。理論に束縛されることを望むものではないが、アイオノマーポリアミドの非イオン性部分は、約50ナノメートル~1000ナノメートルのサイズの液滴を形成することができ、アイオノマーポリアミドのイオン性部分は、水と相互作用して、アイオノマーポリアミドを水中に分散させたままにするのを助けると考えられる。驚くべきことに、最大20重量パーセントの量でアイオノマーポリアミドを含有する水性分散液は、1カ月以上、2カ月、3カ月、4カ月、5カ月、6カ月、7カ月、8カ月、9カ月、10カ月、11カ月、又は更には12カ月以上にわたって安定であり得ることが発見された。
【0114】
物品
【0115】
第3の態様では、本開示は、物品を提供する。図1を参照すると、例示的な物品100の概略断面図が示されている。第3の態様の実施形態では、物品100は、基材110と、基材110の主表面112上に配置されたアイオノマーポリアミド(上に詳細に記載された第1の態様による)の層120と、を含む。選択実施形態では、アイオノマーポリアミドは、摂氏25度で0.01メガパスカル(MPa)以上、例えば、0.02MPa、0.04MPa、0.06MPa、0.08MPa、0.10MPa、0.12MPa、0.14MPa、0.16MPa、0.18MPa、0.20MPa、0.25MPa、0.30MPa、0.35MPa、0.40MPa、0.45MPa、0.50MPa、0.60MPa、0.70MPa、0.80MPa、0.90MPa、1MPa、1.1MPa、1.2MPa、1.3MPa、1.4MPa、1.5MPa、1.6MPa、1.7MPa、1.8MPa、1.9MPa、又は2MPa以上、かつ3MPa以下の低い剪断弾性率(例えば、基材とアイオノマーポリアミドとの間の)を含む感圧接着剤(pressure sensitive adhesive、PSA)の特性を示し得る。
【0116】
第4の態様では、本開示は、別の物品を提供する。再び図1を参照すると、第4の態様の実施形態では、物品100は、基材110と、基材110の主表面112上に配置されたアイオノマープライマー(上に詳細に記載された第2の態様による)の層120と、を含む。
【0117】
物品は、好ましくは、摂氏25度で5メガパスカル(MPa)超、例えば、6MPa以上、7MPa、8MPa、9MPa、10MPa、11MPa、12MPa、13MPa、14MPa、15MPa、16MPa、17MPa、18MPa、19MPa、又は更には20MPa以上の剪断弾性率(例えば、基材とアイオノマーポリアミド又はプライマーとの間の)を示す。
【0118】
任意選択的に、第3の態様又は第4の態様の物品は、接着剤を更に含む。図2を参照すると、例示的なシステム200の概略断面図が示されている。物品200は、基材210と、基材210の主表面212上に配置されたアイオノマーポリアミド(上に詳細に記載された第1の態様による)又はプライマー(上に詳細に記載された第2の態様による)の層220と、を含む。物品200は、アイオノマーポリアミド又はプライマーの層220の主表面222上に配置された接着剤230を更に含む。接着剤は、少なくとも1つのペンダントカルボン酸基を含むポリマーを含み得る。更に、コモノマーとしてアクリル酸を有するアクリル接着剤は、例示的な物品における使用に好適である。
【0119】
有利なことに、本開示による任意の物品において、アイオノマーポリアミド又はプライマーの層は、1マイクロメートル未満、例えば、0.9マイクロメートル以下、0.8マイクロメートル、0.7マイクロメートル、0.6マイクロメートル、0.5マイクロメートル、0.4マイクロメートル、0.3マイクロメートル、0.2マイクロメートル、又は0.1マイクロメートル以下の平均厚さを有することができる。場合によっては、乾燥プライマー(例えば、アイオノマーポリアミドの層)は、1マイクロメートル未満、0.5マイクロメートル未満、又は0.25マイクロメートル未満、かつ0.05マイクロメートル以上の平均厚さを有する。
【0120】
例示的な基材は、金属、セラミック、又はポリマー、例えば、熱可塑性ポリマーのうちの少なくとも1つであり得る。第3の態様又は第4の態様のいずれかの物品において、基材は、極性ポリマー材料を任意選択的に含む。有利なことに、アイオノマーポリアミドは、極性基(例えば、ペンダントカルボン酸基)を有する様々なポリマーのための特に有効なプライマーであり得る。
【0121】
ポリマー基材は、ポリエステル、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ナフタレンジカルボン酸をベースとするコポリエステル若しくはポリエステルブレンド;ポリカーボネート;ポリスチレン;スチレン-アクリロニトリル;セルロースアセテート;ポリエーテルスルホン;ポリ(メタ)アクリレート、例えば、ポリメチルメタクリレート;ポリウレタン;ポリ塩化ビニル;ポリシクロ-オレフィン;ポリイミド;ガラス;紙;又はこれらの組み合わせ若しくはブレンドを含む様々な材料のいずれかを含み得る。特定の例としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリメチルメタクリレート、ポリ塩化ビニル、及びセルローストリアセテートが挙げられる。望ましい例としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、セルローストリアセテート、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリメチルメタクリレート、ポリイミド、ポリアミド、又はこれらのブレンドが挙げられる。基材はまた、幅出し操作での配向前にコーティングされるキャストウェブ基材などの配向性フィルムでもあり得る。
【0122】
方法
【0123】
第5の態様では、本開示は、アイオノマーポリアミドを作製する方法を提供する。方法は、
【0124】
a)ダイマー酸である第1の二酸と、
【0125】
b)アイオノマー二酸、アイオノマージエステル、及び/又はアイオノマージアミンであるアイオノマー成分と、
【0126】
c)オキシアルキレンジアミンである第1のジアミンと、
【0127】
d)一級ジアミン及び/又は二級ジアミンを含む少なくとも1つの第2のジアミンと、
【0128】
e)任意選択的に、少なくとも1つの第2の二酸と、を含む重合性組成物の成分を反応させることを含み、
【0129】
アイオノマーポリアミドを形成するために使用された、ダイマー酸と、少なくとも1つの第2の二酸と、任意のアイオノマー二酸又はジエステルと、の組み合わせの総モルに各々基づいて、ダイマー酸のモル分率は0.40~0.99であり、アイオノマー成分のモル分率は0.01~0.20であり、少なくとも1つの第2の二酸のモル分率は0~0.60であり、アイオノマーポリアミドを形成するために使用された、オキシアルキレンジアミンと、少なくとも1つの第2のジアミンと、任意のアイオノマージアミンと、の組み合わせの総モルに各々基づいて、オキシアルキレンジアミンのモル分率は0.005~0.10であり、少なくとも1つの第2のジアミンのモル分率は0.70~0.995である。
【0130】
アイオノマーポリアミドは、上に詳細に記載された第1の態様の任意の実施形態によるものである。
【0131】
図3を参照すると、アイオノマーポリアミドを作製する例示的な方法のフローチャートが示されている。この方法では、ステップ310は、a)ダイマー酸である第1の二酸と、b)アイオノマー二酸、アイオノマージエステル、及び/又はアイオノマージアミンであるアイオノマー成分と、c)オキシアルキレンジアミンである第1のジアミンと、d)一級ジアミン及び/又は二級ジアミンを含む少なくとも1つの第2のジアミンと、e)任意選択的に、少なくとも1つの第2の二酸と、を含む重合性組成物の成分を反応させることを含み、アイオノマーポリアミドを形成するために使用された、ダイマー酸と、少なくとも1つの第2の二酸と、任意のアイオノマー二酸又はジエステルと、の組み合わせの総モルに各々基づいて、ダイマー酸のモル分率は0.40~0.99であり、アイオノマー成分のモル分率は0.01~0.20であり、少なくとも1つの第2の二酸のモル分率は0~0.60であり、アイオノマーポリアミドを形成するために使用された、オキシアルキレンジアミンと、少なくとも1つの第2のジアミンと、任意のアイオノマージアミンと、の組み合わせの総モルに各々基づいて、オキシアルキレンジアミンのモル分率は0.005~0.10であり、少なくとも1つの第2のジアミンのモル分率は0.70~0.995である。
【0132】
アイオノマーポリアミドは、重合性組成物の成分a)~d)(及び任意選択的にe)の間の従来の縮合反応に従って形成され得る。いくつかの実施形態では、反応させることは、重合性組成物を還流させ、続いて蒸留することを含む。
【0133】
上記したように、米国特許第3,709,865号(Lofquistら)は、スルホン化ポリアミドを調製するために使用されるアジピン酸及びヘキサメチレンジアミンなどのナイロン6,6モノマーから、より極性の低いカプロラクタムモノマーへ変更しても、スルホン化モノマーの不溶性金属塩がもたらされることを開示している。例えば、スルホン化材料が多すぎると、相分離により合成が困難になる。したがって、アイオノマーポリアミドが、上記の成分、特に疎水性の傾向があるダイマー酸を使用して首尾よく合成され得ることは予想外であった。
【0134】
1つ以上のpH調整剤を添加することによって水相のpHを8~12の範囲、より好ましくは8~10の範囲に変更することによって付与された向上した安定性を有する酸終端アイオノマーポリアミド分散液が調製されてもよい。pH変更は、分散プロセス自体の間に、1つ以上のブレンステッド塩基、例えば、水酸化ナトリウム若しくは水酸化アンモニウム、又は有機塩基、例えば、トリエチルアミンを添加することによって、達成される。水相のpHを2~6の範囲、より好ましくは3~5の範囲に変更することによって付与された向上した安定性を有するアミン終端アイオノマーポリアミド分散液が調製されてもよい。この変更は、分散プロセス自体の間に、1つ以上のブレンステッド酸、例えば、塩酸、又は有機酸、例えば、酢酸を添加することによって、達成される。特定の実施形態では、酢酸が好ましい酸であり、水酸化ナトリウム又は水酸化カリウムのいずれかが好ましい塩基である。更に、そのようなpH調整剤は、コーティングが作製されるときにフラッシュオフされ得るため、アイオノマーポリアミド又はプライマーの得られた層中にもはや残っていない。
【0135】
第6の態様では、物品を作製する方法が提供される。方法は、
【0136】
基材の主表面上に、上に詳細に記載された第2の態様によるプライマーをコーティングすることと、
【0137】
基材を配向させることと、を含む。
【0138】
図4を参照すると、物品を作製する例示的な方法のフローチャートが示されている。この方法では、ステップ410は、基材の主表面上に第2の態様によるプライマーをコーティングすることを含み、ステップ420は、基材を配向させることを含む。多くの場合、基材は、基材上にプライマーをコーティングする前に、長さ(例えば、機械)方向に配向される。したがって、基材が二軸配向される場合、プライマーは、横方向の配向(例えば、テンター配向)のために基材上にのみ存在し得る。あるいは、任意の配向、すなわち一軸配向又は二軸配向のいずれかの前に、基材上にプライマーをコーティングすることが可能である。
【0139】
任意選択的に、方法は、プライマーを加熱又は乾燥させることのうちの少なくとも1つを行い、それによって、1マイクロメートル未満、例えば、0.9マイクロメートル以下、0.8マイクロメートル、0.7マイクロメートル、0.6マイクロメートル、0.5マイクロメートル、0.4マイクロメートル、0.3マイクロメートル、0.2マイクロメートル、又は0.1マイクロメートル以下の平均厚さを有するアイオノマーポリアミドの層を得るステップ430を更に含む。場合によっては、乾燥プライマー(例えば、アイオノマーポリアミドの層)は、1マイクロメートル未満、0.5マイクロメートル未満、又は0.25マイクロメートル未満、かつ0.05マイクロメートル以上の平均厚さを有する。
【0140】
追加の任意選択のステップ、すなわち、アイオノマーポリアミドの層の主表面上に接着剤の層を適用するステップ440が、図4に示されている。接着剤は、第3及び第4の態様に関して上記した任意の接着剤であり得る。
【0141】
例示的な実施形態
第1の実施形態では、本開示は、アイオノマーポリアミドを提供する。アイオノマーポリアミドは、ダイマー酸である二酸と、アイオノマー二酸、アイオノマージエステル、及び/又はアイオノマージアミンであるアイオノマー成分と、オキシアルキレンジアミンである第1のジアミンと、一級ジアミン及び/又は二級ジアミンを含む少なくとも1つの第2のジアミンと、任意選択的に、少なくとも1つの第2の二酸と、を含む重合性組成物の反応生成物を含む。アイオノマーポリアミドを形成するために使用された、ダイマー酸と、少なくとも1つの第2の二酸と、任意のアイオノマー二酸又はジエステルと、の組み合わせの総モルに各々基づいて、ダイマー酸のモル分率は0.40~0.99であり、アイオノマー成分のモル分率は0.01~0.20であり、少なくとも1つの第2の二酸のモル分率は0~0.60である。アイオノマーポリアミドを形成するために使用された、オキシアルキレンジアミンと、少なくとも1つの第2のジアミンと、任意のアイオノマージアミンと、の組み合わせの総モルに各々基づいて、オキシアルキレンジアミンのモル分率は0.005~0.10であり、少なくとも1つの第2のジアミンのモル分率は0.70~0.995である。
【0142】
第2の実施形態では、本開示は、オキシアルキレンジアミンがエチレンオキシド及びプロピレンオキシドの各々を含む、第1の実施形態によるアイオノマーポリアミドを提供する。
【0143】
第3の実施形態では、本開示は、オキシアルキレンジアミンのモル分率が、アイオノマーポリアミドを形成するために使用された、オキシアルキレンジアミンと、少なくとも1つの第2のジアミンと、任意のアイオノマージアミンと、の組み合わせの総モルに基づいて、0.005~0.10又は0.01~0.03である、第1の実施形態又は第2の実施形態によるアイオノマーポリアミドを提供する。
【0144】
第4の実施形態では、本開示は、アイオノマーポリアミドが酸終端又はアミン終端されている、第2の実施形態又は第3の実施形態によるアイオノマーポリアミドを提供する。
【0145】
第5の実施形態では、本開示は、少なくとも1つの第2のジアミンが、アルキル基、アルキレン基、アリール基、シクロアルキル基、又はこれらの任意の組み合わせを含む、第1~第4の実施形態のいずれか1つによるアイオノマーポリアミドを提供する。
【0146】
第6の実施形態では、本開示は、少なくとも1つの第2のジアミンが、一級ジアミンと二級ジアミンとの両方を含む、第1~第5の実施形態のいずれか1つによるアイオノマーポリアミドを提供する。
【0147】
第7の実施形態では、本開示は、少なくとも1つの第2のジアミンが脂肪族ジアミン及び脂環式ジアミンを含む、第1~第6の実施形態のいずれか1つによるアイオノマーポリアミドを提供する。
【0148】
第8の実施形態では、本開示は、少なくとも1つの第2のジアミンが、式(III):
R5-NH-R6-NH-R5 (III)
のものである、第1~第7の実施形態のいずれか1つによるアイオノマーポリアミドを提供する。
【0149】
R5は、両方のR5が水素原子となることはないことを条件として、独立して、直鎖若しくは分枝鎖アルキル、シクロアルキル、アリール、ヘテロアルキル、ヘテロアリール、水素原子から選択されるか、又は、それらのR5基は、アルキレン若しくは分枝鎖アルキレンであって、複素環式化合物を形成する。R6は、アルキレン、分枝鎖アルキレン、シクロアルキレン、置換若しくは非置換アリーレン、又はヘテロアルキレンである。
【0150】
第9の実施形態では、本開示は、アイオノマー成分が、アリール基を含む、第1~第8の実施形態のいずれか1つによるアイオノマーポリアミドを提供する。
【0151】
第10の実施形態では、本開示は、アイオノマー成分が、ジメチル5-スルホイソフタレートのナトリウム塩を含む、第1~第9の実施形態のいずれか1つによるアイオノマーポリアミドを提供する。
【0152】
第11の実施形態では、本開示は、ダイマー酸のモル分率が、アイオノマーポリアミドを形成するために使用された、ダイマー酸と、少なくとも1つの第2の二酸と、任意のアイオノマー二酸又はジエステルと、の組み合わせの総モルに基づいて、0.40~0.95、0.50~0.90、又は0.60~0.85である、第1~第10の実施形態のいずれか1つによるアイオノマーポリアミドを提供する。
【0153】
第12の実施形態では、本開示は、ダイマー酸が300g/mol~1400g/molの数平均分子量を有する、第1~第11の実施形態のいずれか1つによるアイオノマーポリアミドを提供する。
【0154】
第13の実施形態では、本開示は、ダイマー酸が36個の炭素原子を含む、第1~第12の実施形態のいずれか1つによるアイオノマーポリアミドを提供する。
【0155】
第14の実施形態では、本開示は、ダイマー酸が、10モル%未満の三酸含量を含む、第1~第13の実施形態のいずれか1つによるアイオノマーポリアミドを提供する。
【0156】
第15の実施形態では、本開示は、重合性組成物がジオールを含まない、第1~第14の実施形態のいずれか1つによるアイオノマーポリアミドを提供する。
【0157】
第16の実施形態では、本開示は、アイオノマーポリアミドがエステル基を含まない、第1~第15の実施形態のいずれか1つによるアイオノマーポリアミドを提供する。
【0158】
第17の実施形態では、本開示は、アイオノマーポリアミドが摂氏25度未満のガラス転移温度を有する、第1~第16の実施形態のいずれか1つによるアイオノマーポリアミドを提供する。
【0159】
第18の実施形態では、本開示は、アイオノマーポリアミドが式(I)又は式(II):
【化6】
の構造のものである、第1~第17の実施形態のいずれか1つによるアイオノマーポリアミドを提供する。
【0160】
R1は、独立して、ダイマー酸の残基、アイオノマー二酸若しくはジエステルの残基、又は任意の他の二酸モノマーの残基から選択される。R2は、独立して、一級ジアミン又は二級ジアミンの残基から選択される。R3は、独立して、アルキレン基又はアリーレン基から選択される。R4は、独立して、H、アルキル基、アルケニル基、アリール基、シクロアルキル基から選択されるか、又は2つのR4基は、アルキレン若しくは分枝鎖アルキレンであり、複素環式化合物を形成する。
【0161】
第19の実施形態では、本開示は、少なくとも1つのR2がオキシアルキレンジアミンの残基であり、少なくとも1つのR3がアリーレン基である、第18の実施形態によるアイオノマーポリアミドを提供する。
【0162】
第20の実施形態では、本開示は、少なくとも1つの第2の二酸が存在し、少なくとも1つの二酸のモル分率は、アイオノマーポリアミドを形成するために使用された、ダイマー酸と、少なくとも1つの第2の二酸と、任意のアイオノマー二酸又はジエステルと、の組み合わせの総モルに基づいて、0.01~0.50である、第1~第19の実施形態のいずれか1つによるアイオノマーポリアミドを提供する。
【0163】
第21の実施形態では、本開示は、オキシアルキレンジアミン対アイオノマー成分のモル比が、0.10モルのオキシアルキレン対1.0モルのアイオノマー成分~2.0:1.0、0.15:1.0~1.0:1.0、又は0.20:1.0~0.50:1.0モルのオキシアルキレンジアミン対アイオノマー成分である、第1~第20の実施形態のいずれか1つによるアイオノマーポリアミドを提供する。
【0164】
第22の実施形態では、本開示は、アイオノマー成分が、アイオノマー二酸を含む、第1~第21の実施形態のいずれか1つによるアイオノマーポリアミドを提供する。
【0165】
第23の実施形態では、本開示は、アイオノマー成分が、アイオノマージエステルを含む、第1~第22の実施形態のいずれか1つによるアイオノマーポリアミドを提供する。
【0166】
第24の実施形態では、本開示は、アイオノマー成分が、アイオノマージアミンを含む、第1~第23の実施形態のいずれか1つによるアイオノマーポリアミドを提供する。
【0167】
第25の実施形態では、本開示は、プライマーを提供する。プライマーは、最大20重量パーセントの第1~第19の実施形態のいずれか1つによるアイオノマーポリアミドを含む。
【0168】
第26の実施形態では、本開示は、アイオノマーポリアミドが、80~90重量パーセントの水と、10~20重量パーセントのC2~C4脂肪族アルコールと、任意のpH調整剤と、を含む溶媒中に分散されている、第25の実施形態によるプライマーを提供する。
【0169】
第27の実施形態では、本開示は、アイオノマーポリアミドが水中に分散されている、第25の実施形態によるプライマーを提供する。
【0170】
第28の実施形態では、本開示は、アイオノマーポリアミドが酸終端又はアミン終端されており、プライマーが2~6又は8~11のpHを有する、第25~第27の実施形態のいずれか1つによるプライマーを提供する。
【0171】
第29の実施形態では、本開示は、界面活性剤を本質的に含まない、第25~第28の実施形態のいずれか1つによるプライマーを提供する。
【0172】
第30の実施形態では、本開示は、物品を提供する。基材と、基材の主表面上に配置された第1~第19の実施形態のいずれか1つによるアイオノマーポリアミドの層と、を含む、物品。
【0173】
第31の実施形態では、本開示は、アイオノマーポリアミドの層の主表面上に配置された接着剤を更に含む、第30の実施形態による物品を提供する。
【0174】
第32の実施形態では、本開示は、接着剤が、少なくとも1つのペンダントカルボン酸基を含むポリマーを含む、第30の実施形態又は第31の実施形態による物品を提供する。
【0175】
第33の実施形態では、本開示は、アイオノマーポリアミドの層が、1マイクロメートル未満、0.5マイクロメートル未満、又は0.25マイクロメートル未満の平均厚さを有する、第30~第32の実施形態のいずれか1つによる物品を提供する。
【0176】
第34の実施形態では、本開示は、アイオノマーポリアミドが、摂氏25度で0.01~3メガパスカル(MPa)の剪断弾性率を示す、第30~第33の実施形態のいずれか1つによる物品を提供する。
【0177】
第35の実施形態では、本開示は、物品を提供する。物品は、基材と、基材の主表面上に配置された第20~第23の実施形態のいずれか1つによるプライマーの層と、を含む。
【0178】
第36の実施形態では、本開示は、プライマー層が、摂氏25度で5MPa超の剪断弾性率を示す、第35の実施形態による物品を提供する。
【0179】
第37の実施形態では、本開示は、基材が極性ポリマー材料を含む、第30~第36の実施形態のいずれか1つによる物品を提供する。
【0180】
第38の実施形態では、本開示は、アイオノマーポリアミドを作製する方法を提供する。方法は、アイオノマーポリアミドは、ダイマー酸である第1の二酸と、アイオノマー二酸、アイオノマージエステル、及び/又はアイオノマージアミンであるアイオノマー成分と、オキシアルキレンジアミンである第1のジアミンと、一級ジアミン及び/又は二級ジアミンを含む少なくとも1つの第2のジアミンと、任意選択的に、少なくとも1つの第2の二酸と、を含む重合性組成物の成分を反応させることを含む。アイオノマーポリアミドを形成するために使用された、ダイマー酸と、少なくとも1つの第2の二酸と、任意のアイオノマー二酸又はジエステルと、の組み合わせの総モルに各々基づいて、ダイマー酸のモル分率は0.40~0.99であり、アイオノマー成分のモル分率は0.01~0.20であり、少なくとも1つの第2の二酸のモル分率は0~0.60である。アイオノマーを形成するために使用された、オキシアルキレンジアミンと、少なくとも1つの第2のジアミンと、任意のアイオノマージアミンと、の組み合わせの総モルに各々基づいて、オキシアルキレンジアミンのモル分率は0.005~0.10であり、少なくとも1つの第2のジアミンのモル分率は0.70~0.995である。
【0181】
第39の実施形態では、本開示は、アイオノマーポリアミドが、第1~第24の実施形態のいずれか1つによるものである、第38の実施形態による方法を提供する。
【0182】
第40の実施形態では、本開示は、反応させることが、重合性組成物を還流させ、続いて蒸留することを含む、第38の実施形態又は第39の実施形態による方法を提供する。
【0183】
第41の実施形態では、本開示は、1つ以上のpH調整剤を添加することによって、アイオノマーポリアミドを含有する組成物のpHを調整することを更に含む、第38~第40の実施形態のいずれか1つによる方法を提供する。
【0184】
第42の実施形態では、本開示は、物品を作製する方法を提供する。方法は、基材の主表面上に第25~第29の実施形態のいずれか1つによるプライマーをコーティングすることと、基材を配向させることと、を含む。
【0185】
第43の実施形態では、本開示は、配向させることが、二軸配向を含む、第42の実施形態による方法を提供する。
【0186】
第44の実施形態では、本開示は、プライマーを加熱又は乾燥させることのうちの少なくとも1つを更に含み、それによって、1マイクロメートル未満、0.5マイクロメートル未満、又は0.25マイクロメートル未満の平均厚さを有するアイオノマーポリアミドの層を得る、第42の実施形態又は第43の実施形態による方法を提供する。
【0187】
第45の実施形態では、本開示は、アイオノマーポリアミドの層の主表面上に接着剤の層を適用することを更に含む、第44の実施形態による方法を提供する。
【0188】
本発明の利点及び実施形態を以降の実施例によって更に説明するが、これらの実施例において述べられる特定の材料及びそれらの量、並びに他の条件及び詳細は、本発明を不当に制限するものと解釈されるべきではない。全ての部及び百分率は、別段の指示がない限り、重量に基づく。
【実施例
【0189】
別段の記載がない限り、又は文脈から明らかでない限り、実施例及び本明細書の他の箇所における全ての部、百分率、比などは、重量に基づく。材料表(以下)に、実施例で使用した材料及びそれらの供給元を記載する。
【表1】
【0190】
ポリアミド合成のための一般的手順
メカニカルスターラー、熱電対、100ミリリットル受けフラスコを取り付けた蒸留ヘッド、及び窒素ガス入口/出口ポートを備えた1リットルガラス樹脂フラスコに、PS30を除く表1に記載した原料の全てを入れた。フラスコの内容物を、窒素雰囲気下で撹拌しながら、電気マントル及びコントローラーを使用して160℃まで加熱した。反応混合物を60分間還流させた後、蒸留ヘッドコンデンサーのコールドフィンガーを蒸留に切り替えた。水の発生速度が遅くなったら、バッチ温度を225℃まで上げ、窒素雰囲気下で撹拌しながら一晩保持した。20~30ミリメートルの水銀真空を、5~10分間かけてフラスコに導入した。真空を2時間保持した後、窒素ガスをフラスコに導入した。PS30を添加し、15分間撹拌した後、反応器を分解し、内容物をシリコーン剥離紙で裏打ちしたアルミニウムトレーに注いだ。内容物を、室温まで自然冷却し、回収した。
【0191】
ポリアミド分散液E1~E7の調製のための一般的手順
表1からのダイマー酸系アイオノマーポリアミド、イソプロパノール、水性水酸化ナトリウム、及び脱イオン水を、オーバーヘッドスターラー、熱電対、及び500ミリリットル受けフラスコを取り付けた蒸留ヘッドを備えたフラスコに、表3に記載のように入れた。その混合物を窒素下で2時間撹拌しながら84℃まで加熱すると、透明な溶液が形成された。次いで、イソプロパノールを大気圧条件下で留去すると、乳白色の分散液が得られた。フラスコの内容物を周囲温度まで自然冷却し、E1~E7として回収した(表3)。E1~E7の固形分を、固体%の測定のための一般的手順に従って各分散液について測定した。
【0192】
固体%の測定のための一般的手順
およそ1グラムのポリアミド分散液を、風袋を量ったアルミニウムパンに入れた。分散液の正確な重量を記録した。アルミニウムパンを、105℃の温度設定の強制空気オーブンに2時間入れた。この時間の後、パンをオーブンから取り出し、少なくとも2分間冷却した。パン及び内容物の重量を記録した。固体%は、次式に従って計算した:
【数1】
【0193】
アイオノマーポリアミドプライマーコーティングの調製のための一般的手順
キャスト(未配向)PETフィルムに対してMayerロッドコーティングを使用して、アイオノマーポリアミドコーティングを有する二軸配向PETフィルムを調製した後、コーティングされたフィルムを、70~80℃を超え、かつPETフィルムの固有T未満の温度の強制空気オーブンにおいてバッチオーブン乾燥させた。乾燥させたら、次いで、コーティングされたPETキャストフィルムを、150ミリメートル×250ミリメートルのシートに切断し、次いで、これを実験室規模のバッチテンターオーブン(Karo IV lab stretcher,Brueckner Maschinenbau GmbH & Co.KG,Germany)(以下「Karo」と呼ぶ)に装填した。Karoは、2つのオーブンを有し、1つは、上記したようなコーティング層を有するか又は有しないフィルムを加熱するために使用されるオーブンを、上記したようなポリマーフィルムの製造幅出し又は製造配向をシミュレートするためにフィルムを一軸又は二軸のいずれかで延伸するのに十分な、フィルム基材によって決定されている温度まで予熱するためのものであった。最初の延伸が完了したら、次いで、配向フィルム及びコーティングを、上記したような配向フィルムの加工において典型的に見出されるはるかに高い温度でのポリマーフィルム及びコーティングのヒートセット又はアニーリングをシミュレートする第2のオーブンに移動させた。
【0194】
Karoフィルム配向機の第1の予熱ゾーンの温度は、配向されるフィルムのTに近く、PETフィルムの場合、90℃~105℃であり、フィルムの予熱の時間は、フィルム及びコーティングが、フィルムを所望のように一軸及び又は二軸で十分に延伸するのに十分な温度に達するのに必要な時間量に左右された。予熱オーブンの典型的な時間は、250マイクロメートル~1270マイクロメートル(10~50ミル)厚のキャストPETフィルムについて20秒~60秒であった。ポリマーフィルム及び/又はコーティングが十分な温度になったら、フィルムを、MD(機械方向)及びTD(横方向)として知られる一方向又は両方向に、PETフィルムに一般的な引張比(draw ratio)としても知られる典型的な延伸寸法で、延伸した。一般的な延伸比は、元のサイズに対してMD方向に1:1~2:1、TD方向に1:1~5:1、より典型的には、MD方向に1.1~1:1.5、TD方向に3:1~4:1であった。
【0195】
ポリマーフィルムをKaroの延伸ゾーンで配向させたら、次いで、フィルムを、Karoフィルム配向機のアニーリング「ヒートセット」オーブン又はゾーンに移した。Karoのアニーリングゾーンにおける温度は、通常のフィルム製造の典型的な温度で、200℃~260℃、より一般的には215~255℃であり、これにより、上記した製造フィルム配向に典型的である、配向PETフィルム及び/又はコーティングの一般的なアニーリング、ヒートセットをシミュレートした。
【0196】
湿潤、乾燥及び延伸乾燥(例えば、Karoでの延伸後)プライマーコーティングの厚さを、測定し、報告した。延伸乾燥プライマーコーティング厚は、延伸前の乾燥コーティング厚を、総Karo延伸で割ることによって計算した。
【0197】
感圧接着剤転写テープの調製
およそ56マイクロメートル厚の架橋された除去可能な感圧接着剤層を、83/15/2w/w部のIOA/2EHA/AAのブレンドから調製した。接着剤層を、除去可能なシリコーンコーティングされた剥離ライナー上で硬化かつ架橋するためのin situ UV重合(光開始剤、2,4-トリアジン架橋剤及び最大351nmのUV源)によって調製して、感圧接着剤転写テープを得た。
【0198】
接着剤でコーティングされた、配向され下塗り処理されたフィルムの調製
およそ12.7センチメートル×25.4センチメートル(5インチ×10インチ)寸法のプライマーコーティングされた配向フィルムを、プライマーコーティング側を上に向けて(露出させて)平坦な表面上に置いた。PSA接着剤転写テープを、15センチメートル(6インチ)幅のゴムローラーを使用して手で2回前後に転がすことによって、その接着剤表面をプライマー表面と接触させて、露出したプライマー表面に積層した。配向フィルム、プライマーコーティング、及び接着剤層、及びエンボス加工されたライナーを順に有する構造体を得た。
【0199】
接着剤試料の調製のための一般的手順
およそ12.7センチメートル×25.4センチメートル(5インチ×10インチ)寸法のプライマーコーティングされた配向フィルムを、プライマーコーティング側を上に向けて(露出させて)平坦な表面上に置いた。感圧接着剤転写テープの調製に従って調製した接着剤転写テープを、15センチメートル(6インチ)のゴムローラーを使用して手で2回前後に転がすことによって、その接着剤表面をプライマー表面と接触させて、露出したプライマー表面に積層した。配向フィルム、プライマーコーティング、及び接着剤層、及びエンボス加工されたライナーを順に有する構造体を得た。
【0200】
プライマー-PSA結合試験法の一般的手順
接着剤試料を、接着剤試料の調製のための一般的手順に従って調製した。接着剤試料を、4.5ポンド(2.0キログラム)のローラーを使用して、1秒当たり0.51センチメートル(1分当たり12インチ)で2回通過させて、平坦な陽極酸化アルミニウムプレートに結合させた。プレートへの積層後、接着剤試料を、Model 2000/2100 TL-2300 IMASS Peel Tester(IMASS Inc.,Accord,MA)を使用して、90度の角度で1秒当たり0.51センチメートル(1分当たり12インチ)で除去した。試料長さ7.5センチメートル(3インチ)にわたる平均荷重を、各試料について試験し、記録した。接着試験は、73°F(22.8℃)及び相対湿度(RH)50%の制御された環境で行った。
【0201】
アイオノマーポリアミドP1~P7の調製
アイオノマーポリアミドP1~P7を、ポリアミド合成のための一般的手順に従って調製した。モノマー及び添加剤の量を表1に明示し、モル分率組成を表2に明示する。典型的な収量は600~700グラムであった。
【表2】
【表3】
【0202】
アイオノマーポリアミド分散液E1~E7の調製
アイオノマーポリアミド分散液E1~E7を、ポリアミド分散液E1~E7の調製のための一般的手順に従って調製した。材料の量を表3に明示する。
【表4】
【0203】
アイオノマーポリアミドコーティングE8~E10の調製
実施例E1~E3を、キャスト(未配向)ポリエチレンテレフタレート(polyethylene terephthalate、PET)フィルム上にコーティングし、次いで基材PETを二軸配向して、それぞれコーティングE8~E10を得た。表3からの水ベースのポリアミド分散液を、Mayerロッドを用いてPET(ポリエチレンテレフタレート)キャストフィルム上に5マイクロメートルの湿潤コーティング厚にコーティングした。次いで、コーティング及びキャストフィルムを、80℃で3分間、強制空気オーブン中で乾燥させ、乾燥したコーティング及びフィルムを取り出して室温まで冷却した。
【0204】
Karoフィルム配向機に装填するために、フィルム及びコーティングのキャストウェブ片を、150ミリメートル×250ミリメートルにトリミングした。Karoフィルム配向機を次のように予熱した。予熱オーブンゾーン100℃及びアニーリングオーブンゾーン225℃。コーティングし、トリミングしたフィルム試料を、Karo配向フレーム装填位置に装填し、適所にクリップ留めして、加熱及び延伸中にそれらをしっかりと保持した。次いで、Karoフィルム試料を、100℃で50秒間予熱し、次いで延伸オーブンゾーンで1.5×3.8倍に延伸した。延伸後、フィルム及びコーティングをアニーリングゾーン(225℃)に移動させ、15秒間ヒートセットした。次いで、完成したフィルム及びコーティング試料をKaroフィルム延伸機の装填位置に戻し、クリップが配向フィルム試料を解放した後にクリップから取り出した。Karoフィルム配向機の設定を表4に明示する。
【表5】
【0205】
全ての試料がコーティングされ、延伸され、ヒートセットされるまで、この手順を繰り返した。次いで、これらの試料をトリミングして、延伸プロセスから残った過剰なフィルムを除去し、接着剤コーティングの準備を整えた。配向後のコーティングを有する最終フィルムサイズは、初期フィルムサイズに延伸比を乗じたものである。フィルム延伸後の目標コーティング厚は、以下のように計算される:
乾燥コーティング厚=(アイオノマーポリアミド分散液固体%)×(湿潤コーティング厚)
【0206】
E8~E10の延伸比は、以下の式に従って計算した:
【数2】
【0207】
フィルムのKaro延伸後の最終コーティング厚=(乾燥コーティング厚)/(延伸比)。
【表6】
【0208】
アイオノマーポリアミドコーティングの接着性能試験
フィルムE8~E10を、接着試料の調製のための一般的手順に従って接着剤転写テープに手で積層した。構造体を表6に記載した条件で7日間エージングした。接着剤試料を、プライマー-PSA結合試験法の一般的手順に従った剥離試験によって、PSA対プライマー結合について試験した。結果を表6にまとめる。
【表7】
【0209】
本発明の範囲及び趣旨を逸脱しない本発明の予見可能な改変及び変更が、当業者には明らかとなろう。本発明は、例示目的のために本出願に記載されている実施形態に限定されるものではない。
図1
図2
図3
図4
【国際調査報告】