(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-12-26
(54)【発明の名称】霧化装置及びマイクロ波加熱モジュール
(51)【国際特許分類】
A24F 40/46 20200101AFI20241219BHJP
H05B 6/80 20060101ALI20241219BHJP
A24F 40/51 20200101ALI20241219BHJP
A24F 40/40 20200101ALI20241219BHJP
A24F 40/57 20200101ALI20241219BHJP
【FI】
A24F40/46
H05B6/80 Z
A24F40/51
A24F40/40
A24F40/57
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024533824
(86)(22)【出願日】2022-11-03
(85)【翻訳文提出日】2024-06-05
(86)【国際出願番号】 CN2022129645
(87)【国際公開番号】W WO2023124523
(87)【国際公開日】2023-07-06
(31)【優先権主張番号】202111656580.6
(32)【優先日】2021-12-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】519403945
【氏名又は名称】深▲せん▼麦時科技有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100091683
【氏名又は名称】▲吉▼川 俊雄
(74)【代理人】
【識別番号】100179316
【氏名又は名称】市川 寛奈
(72)【発明者】
【氏名】杜靖
(72)【発明者】
【氏名】卜桂華
(72)【発明者】
【氏名】程志文
(72)【発明者】
【氏名】梁峰
【テーマコード(参考)】
3K090
4B162
【Fターム(参考)】
3K090AA03
3K090AA20
3K090AB20
3K090EB13
3K090EB14
4B162AA03
4B162AA22
4B162AB12
4B162AC01
4B162AC22
4B162AC50
4B162AD06
4B162AD22
(57)【要約】
霧化装置及びマイクロ波加熱モジュール(10)のうち、マイクロ波加熱モジュール(10)は、キャビティ(1)、導体ロッド(2)、マイクロ波供給装置(3)及び測温装置(6)を含む。キャビティ(1)は柱状をなすとともに底部が閉塞している。キャビティ(1)の側壁には供給孔(11)が設けられており、これにより、マイクロ波供給装置(3)は供給孔(11)を通じてキャビティ(1)内にマイクロ波を供給する。導体ロッド(2)はキャビティ(1)内の底部に設けられる。導体ロッド(2)はキャビティ(1)の底部に接続されて導電する。測温装置(6)は、キャビティ(1)内に設けられて、キャビティ(1)内に挿入されるエアロゾル形成基質(7)の測温に用いられる。マイクロ波加熱モジュール(10)の測温装置(6)がキャビティ(1)内のエアロゾル形成基質(7)の霧化温度をより正確に把握して、ユーザに速やかに温度に基づき動作及び調整させることで、エアロゾル形成基質(7)中の有害物質の放出量を制御する。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
キャビティ(1)、導体ロッド(2)、マイクロ波供給装置(3)及び測温装置(6)を含み、
前記キャビティ(1)は柱状をなすとともに底部が閉塞しており、前記キャビティ(1)の側壁には供給孔(11)が設けられており、これにより、前記マイクロ波供給装置(3)は前記供給孔(11)を通じて前記キャビティ(1)内にマイクロ波を供給し、
前記導体ロッド(2)は前記キャビティ(1)内の底部に設けられ、前記導体ロッド(2)はキャビティ(1)の底部に接続されて導電し、
前記測温装置(6)は、前記キャビティ(1)内に設けられて、前記キャビティ内に挿入されるエアロゾル形成基質の測温に用いられることを特徴とするマイクロ波加熱モジュール。
【請求項2】
前記導体ロッド(2)の中央部には収容孔(22)が開設されており、前記測温装置(6)は前記収容孔(22)内に挿設されることを特徴とする請求項1に記載のマイクロ波加熱モジュール。
【請求項3】
前記測温装置(6)は中空のプローブ(61)及び測温モジュール(62)を含み、前記測温モジュール(62)は前記プローブ(61)内に挿設され、前記プローブ(61)の外端は閉塞していることを特徴とする請求項1に記載のマイクロ波加熱モジュール。
【請求項4】
前記測温モジュール(62)は熱電対又は光ファイバを含むことを特徴とする請求項3に記載のマイクロ波加熱モジュール。
【請求項5】
前記プローブ(61)は前記導体ロッド(2)とオーミック接触することを特徴とする請求項3に記載のマイクロ波加熱モジュール。
【請求項6】
前記マイクロ波供給装置(3)は、前記供給孔(11)から前記キャビティ(1)内に挿入されて、前記キャビティ(1)の内壁面及び/又は前記導体ロッド(2)の表面に接触して導通することで、前記キャビティ(1)内にマイクロ波を供給し、
前記導体ロッド(2)の外壁面と前記キャビティ(1)の内壁面との間には誘電体(4)が設けられていることを特徴とする請求項1~5のいずれか1項に記載のマイクロ波加熱モジュール。
【請求項7】
前記キャビティ(1)は導電性の金属材質であることを特徴とする請求項6に記載のマイクロ波加熱モジュール。
【請求項8】
前記キャビティ(1)の内壁面には第1導電層(12)がコーティングされていることを特徴とする請求項6に記載のマイクロ波加熱モジュール。
【請求項9】
前記導体ロッド(2)は、中空又は中実の構造であり、且つ外壁が導電性であることを特徴とする請求項1~5のいずれか1項に記載のマイクロ波加熱モジュール。
【請求項10】
前記導体ロッド(2)は導電性材料であることを特徴とする請求項1~5のいずれか1項に記載のマイクロ波加熱モジュール。
【請求項11】
前記導体ロッド(2)の外壁面には第2導電層(21)がコーティングされていることを特徴とする請求項1~5のいずれか1項に記載のマイクロ波加熱モジュール。
【請求項12】
前記マイクロ波供給装置(3)は一文字形であり、且つ、一端が前記導体ロッド(2)の側壁面に接触して導通することを特徴とする請求項6に記載のマイクロ波加熱モジュール。
【請求項13】
前記マイクロ波供給装置(3)はL形であり、一端が前記キャビティ(1)の底面に接触して導通することを特徴とする請求項6に記載のマイクロ波加熱モジュール。
【請求項14】
前記誘電体(4)は、前記導体ロッド(2)よりも低いか、前記導体ロッド(2)と整列しているか、前記導体ロッド(2)よりも高く且つ前記キャビティ(1)よりも低いか、前記キャビティ(1)の高さと整列しているか、前記キャビティ(1)よりも高いことを特徴とする請求項6に記載のマイクロ波加熱モジュール。
【請求項15】
前記誘電体(4)の内周には、中央部に向かって突出する位置決め部が設けられていることを特徴とする請求項14に記載のマイクロ波加熱モジュール。
【請求項16】
前記位置決め部は、隆起及びリブであることを特徴とする請求項15に記載のマイクロ波加熱モジュール。
【請求項17】
前記誘電体(4)の材質は、酸化アルミニウム、コランダム、ムライト、フォルステライト、酸化マグネシウム、ジルコニア、酸化ケイ素、ジルコン、窒化ホウ素、窒化アルミニウム、リシア輝石、εが30~40の間のBaTiO3系磁器、MgTiO3、CaTiO3系磁器、SrTiO3、Ba(Zn,Nb)O3系、Ba(Sr,Ta)O3系、及び、εが70~90の間のBaO-Nd2O3-TiO2、BaO-Sm2O3-TiO2希土類混晶系のうちの1種類又は少なくとも2種類の組み合わせを含むことを特徴とする請求項6に記載のマイクロ波加熱モジュール。
【請求項18】
前記キャビティ(1)には、更に、エアロゾル形成基質(7)を固定するための固定装置(5)が設けられており、前記固定装置(5)の材質はマイクロ波を通過可能とすることを特徴とする請求項1~5のいずれか1項に記載のマイクロ波加熱モジュール。
【請求項19】
前記固定装置(5)の材質の誘電正接は0.1よりも小さいことを特徴とする請求項18に記載のマイクロ波加熱モジュール。
【請求項20】
前固定装置(5)の材質はプラスチックであることを特徴とする請求項18に記載のマイクロ波加熱モジュール。
【請求項21】
請求項1~20のいずれか1項に記載のマイクロ波加熱モジュールを含むことを特徴とする霧化装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、霧化の分野に関し、より具体的には、霧化装置及びマイクロ波加熱モジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、非燃焼・加熱ベイパー発生基質の加熱温度は250~350℃の間である。通常燃焼型のタバコと比較して、非燃焼・加熱タバコは、従来のタバコの味わいを保ちながら、タバコ葉中の有害物質が喫煙者に及ぼす害を大幅に減少可能とする。また、高温燃焼による分解過程が発生しないため、タバコ葉中のタールや有害物質の放出量が減少し、受動喫煙の害を大幅に低下させることが可能である。
【0003】
通常のマイクロ波加熱は体積が大きくなるため、体積要求のある霧化装置分野への応用には不利である。また、マイクロ波加熱の場合には内部の温度を把握しにくく、温度が高すぎても低すぎてもエアロゾル形成基質の加熱には不利となる。よって、ユーザが調整しやすいよう、リアルタイムで温度を検出する必要がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明が解決しようとする技術的課題は、従来技術における上記の欠点に対し、霧化装置及びマイクロ波加熱モジュールを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明が技術的課題を解決するために採用する技術方案は以下の通りである。
【0006】
キャビティ、導体ロッド、マイクロ波供給装置及び測温装置を含むマイクロ波加熱モジュールを構成する。
【0007】
前記キャビティは柱状をなすとともに底部が閉塞している。前記キャビティの側壁には供給孔が設けられており、これにより、前記マイクロ波供給装置は前記供給孔を通じて前記キャビティ内にマイクロ波を供給する。
【0008】
前記導体ロッドは前記キャビティ内の底部に設けられる。前記導体ロッドはキャビティの底部に接続されて導電する。
【0009】
前記測温装置は、前記キャビティ内に設けられて、前記キャビティ内に挿入されるエアロゾル形成基質の測温に用いられる。
【0010】
好ましくは、前記導体ロッドの中央部には収容孔が開設されており、前記測温装置は前記収容孔内に挿設される。
【0011】
好ましくは、前記測温装置は、中空のプローブ及び測温モジュールを含む。前記測温モジュールは前記プローブ内に挿設され、前記プローブの外端は閉塞している。
【0012】
好ましくは、前記測温モジュールは熱電対又は光ファイバを含む。
【0013】
好ましくは、前記プローブは前記導体ロッドとオーミック接触する。
【0014】
好ましくは、前記マイクロ波供給装置は、前記供給孔から前記キャビティ内に挿入されて、前記キャビティの内壁面及び/又は前記導体ロッドの表面に接触して導通することで、前記キャビティ内にマイクロ波を供給する。
【0015】
前記導体ロッドの外壁面と前記キャビティの内壁面との間には誘電体が設けられている。
【0016】
好ましくは、前記キャビティは導電性の金属材質である。
【0017】
好ましくは、前記キャビティの内壁面には第1導電層がコーティングされている。
【0018】
好ましくは、前記導体ロッドは、中空又は中実の構造であり、且つ外壁が導電性である。
【0019】
好ましくは、前記導体ロッドは導電性材料である。
【0020】
好ましくは、前記導体ロッドの外壁面には第2導電層がコーティングされている。
【0021】
好ましくは、前記マイクロ波供給装置は一文字形であり、且つ、一端が前記導体ロッドの側壁面に接触して導通する。
【0022】
好ましくは、前記マイクロ波供給装置はL形であり、一端が前記キャビティの底面に接触して導通する。
【0023】
好ましくは、前記誘電体は、前記導体ロッドよりも低いか、前記導体ロッドと整列しているか、前記導体ロッドよりも高く且つ前記キャビティよりも低いか、前記キャビティの高さと整列しているか、前記キャビティよりも高い。
【0024】
好ましくは、前記誘電体の内周には、中央部に向かって突出する位置決め部が設けられている。
【0025】
好ましくは、前記位置決め部は隆起及びリブである。
【0026】
好ましくは、前記誘電体の材質は、酸化アルミニウム、コランダム、ムライト、フォルステライト、酸化マグネシウム、ジルコニア、酸化ケイ素、ジルコン、窒化ホウ素、窒化アルミニウム、リシア輝石、εが30~40の間のBaTiO3系磁器、MgTiO3、CaTiO3系磁器、SrTiO3、Ba(Zn,Nb)O3系、Ba(Sr,Ta)O3系、及び、εが70~90の間のBaO-Nd2O3-TiO2、BaO-Sm2O3-TiO2希土類混晶系のうちの1種類又は少なくとも2種類の組み合わせを含む。
【0027】
好ましくは、前記キャビティには、更に、エアロゾル形成基質を固定するための固定装置が設けられている。前記固定装置の材質はマイクロ波を通過可能とする。
【0028】
好ましくは、前記固定装置の材質の誘電正接は0.1よりも小さい。
【0029】
好ましくは、前固定装置の材質はプラスチックである。
【0030】
霧化装置は前記マイクロ波加熱モジュールを含む。
【発明の効果】
【0031】
本発明の霧化装置及びマイクロ波加熱モジュールを実施することで、以下の有益な効果を有する。即ち、マイクロ波加熱モジュールの測温装置がキャビティ内のエアロゾル形成基質の霧化温度をより正確に把握して、ユーザに速やかに温度に基づき動作及び調整させることで、エアロゾル形成基質中の有害物質の放出量を制御する。
【0032】
以下に、図面と実施例を組み合わせて、本発明につき更に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【
図1】
図1は、本発明の実施例における霧化装置のモジュールの概略図である。
【
図2】
図2は、本発明の実施例におけるマイクロ波加熱モジュールの立体構造の概略図である。
【
図3】
図3は、
図1のマイクロ波加熱モジュールの断面構造の概略図である。
【
図4】
図4は、マイクロ波加熱の共振空洞の概略構造図である。
【
図5】
図5は、誘電体が導体ロッドよりも高い場合の概略図である。
【
図6】
図6は、誘電体が導体ロッドよりも低い場合の概略図である。
【
図7】
図7は、誘電体と導体ロッドの高さが整列している場合の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
本発明の技術的特徴、目的及び効果がより明瞭に理解されるよう、図面を参照して本発明の具体的実施形態につき詳細に説明する。
【0035】
図1に示すように、本発明の好ましい実施例における霧化装置は、マイクロ波加熱モジュール10、制御モジュール20、電池モジュール30、マイクロ波発生装置40を含む。電池モジュール30は、制御モジュール20、マイクロ波発生装置40に電気的に接続されて、制御モジュール20、マイクロ波発生装置40に電気を供給し、マイクロ波供給装置40にマイクロ波を発生させる。制御モジュール20は、マイクロ波発生装置40が出力するマイクロ波パワー、加熱時間、オン/オフ間隔等のパラメータを制御するために用いられる。
【0036】
図2を組み合わせて、マイクロ波加熱モジュール10は、キャビティ1、導体ロッド2及びマイクロ波供給装置3を含む。キャビティ1にはエアロゾル形成基質7を挿入可能である。また、エアロゾル形成基質はタバコ葉等とすることができる。マイクロ波発生装置40はマイクロ波供給装置3に接続される。マイクロ波供給装置3は、マイクロ波発生装置40とキャビティ1の間に設けられて、マイクロ波発生装置40が発生したマイクロ波をキャビティ1内に伝送し、マイクロ波によりキャビティ1内のエアロゾル形成基質7を加熱するために用いられる。
【0037】
キャビティ1は柱状をなしており、一端が閉塞している。また、キャビティ1の側壁には供給孔11が設けられている。導体ロッド2はキャビティ1内の底部に設けられる。導体ロッド2は、キャビティ1の底部に接続されて導電する。
【0038】
マイクロ波供給装置3は、供給孔11からキャビティ1内に挿入されて、キャビティ1の内壁面及び/又は導体ロッド2の表面に接触して導通することで、キャビティ1内にマイクロ波を供給する。
【0039】
好ましくは、本実施例において、導体ロッド2の外壁面とキャビティ1の内壁面との間には誘電体4が設けられている。
【0040】
図4を組み合わせて、以下のλ/4共振空洞の動作原理に従う。
【0041】
λ/4同軸共振空洞は、一端が短絡し、一端が開放された同軸ケーブルで構成される。
【0042】
λ/4同軸ケーブル共振空洞の開放端は遮断状態の円形導波管により実現される。2つの端面の境界条件に基づき、共振時には、空洞長lがλ0/4の奇数倍に等しくなる。即ち、l=[(2p-1)λ0]/4(p=1,2,3,・・・)となる。そのため、λ/4同軸ケーブル共振空洞の共振波長は下記の通りとなる。
【0043】
【0044】
λ/4同軸ケーブル共振空洞のQ値は下記の通りとなる。
【0045】
【0046】
λ/4同軸共振空洞とλ/2同軸共振空洞との違いは、端面の導体損失が1つ少なくなることである。
【0047】
λ/2及びλ/4同軸ケーブル共振空洞の横方向サイズの選択は、下記条件により決定すべきである。
【0048】
(1)同軸ケーブル共振空洞が、高次モードを生じることなくTEMモードで動作するよう保証するために、π(d+D)/2<λ0minとすべきである。即ち、π(a+b)<λ0minとすべきである。
【0049】
(2)同軸ケーブル共振空洞が高いQ0値を有するよう保証するために、2≦(D/d)≦6)とすべきである。即ち、2≦(b/a)≦6)とすべきである。
【0050】
(3)λ/4同軸ケーブル共振空洞の場合には、更に、開放端の円形導波管が遮断状態となるよう保証する必要があり、1.71D<λ0minとすべきである。即ち、3.41b<λ0minとすべきである。
【0051】
共振空洞の長さlの計算式から明らかなように、λ/4同軸共振空洞の最小サイズ≒電磁波長の1/4である。2.45GHzの電磁波は空気中での波長が約12.24cmとなるため、このとき、lは約3.06cmとなる。lを短くしたい場合には、電磁波の波長を短くする必要がある。また、材料内での電磁波の波長は、下記の式で計算可能である。
【0052】
【0053】
誘電材料の場合、μrは一般的にlとなる。εrが大きいほど波長は短くなり、lも短く設計できるため、キャビティ1の小型化を実現可能となる。
【0054】
マイクロ波加熱モジュール10は、キャビティ1の内部に高誘電材料を充填することで、共振空洞の長さを縮小可能としている。これにより、キャビティ1の体積の縮小が実現され、霧化装置の小型化に有利となる。キャビティ内にはエアロゾル形成基質7を投入可能である。マイクロ波によりエアロゾル形成基質7をマイクロ波加熱することで、タバコ葉中の有害物質が喫煙者に及ぼす害を大幅に減少させられる。また、高温燃焼による分解過程が発生しないため、タバコ葉中のタールや有害物質の放出量が減少し、受動喫煙の害を大幅に低下させることが可能となる。
【0055】
いくつかの実施例において、キャビティ1は導電性の金属材質である。一般的に、材質は、アルミニウム、銅、金、銀、ステンレス鋼等の導電性金属である。また、その他の実施例において、キャビティ1の内壁面には、例えば、金メッキ、銀メッキ、銅メッキ等の第1導電層12がコーティングされていてもよい。
【0056】
更に、いくつかの実施例において、導体ロッド2は、中空又は中実の構造であり、且つ外壁が導電性である。これにより、マイクロ波がキャビティ1に供給されたあと、キャビティ1内にマイクロ波放射が形成される。
【0057】
また、導体ロッド2は、導電性材料であり、好ましくは、導電性の金属材料としてもよいし、その他の高導電性材料としてもよい。
【0058】
その他の実施例では、導体ロッド2を非金属材料とし、且つ、導体ロッド2の外壁面に第2導電層21をコーティングしてもよい。第2導電層21は、例えば、金メッキ、銀メッキ、銅メッキ等の金属薄膜メッキ層である。
【0059】
図3に示すように、いくつかの実施例において、一般的に、マイクロ波供給装置3は同軸コネクタであり、一端がマイクロ波源であるマイクロ波発生装置40に接続され、他端が供給口を介してキャビティ1に挿入される。通常、マイクロ波供給装置3は一文字形となっており、且つ、キャビティ1内に挿入される一端が導体ロッド2の側壁面に接触して導通する。
【0060】
図5に示すように、その他の実施例では、マイクロ波供給装置3をL形とし、且つ、キャビティ1内に挿入される一端がキャビティ1の底面に接触して導通してもよい。或いは、マイクロ波供給装置3におけるキャビティ1に挿入される一端の形状は、円弧形等のその他の形状であってもよく、キャビティ1の内壁面又は導体ロッド2の外壁面に接触して導通可能であればよい。
【0061】
いくつかの実施例において、
図6に示すように、誘電体4は導体ロッド2よりも低くなっている。また、
図7に示すように、誘電体4は導体ロッド2と整列していてもよい。また、
図3及び
図5に示すように、誘電体4は導体ロッド2よりも高く、キャビティ1よりも低くてもよい。また、その他の実施例において、誘電体4はキャビティ1の高さと整列していてもよいし、キャビティ1より高くてもよい。
【0062】
図3及び
図5に示すように、誘電体4が導体ロッド2よりも高く、キャビティ1よりも低い場合、或いは、誘電体4とキャビティ1の高さが整列している場合、或いは、誘電体4がキャビティ1よりも高い場合といったいくつかの状況において、誘電体4は、更に、エアロゾル形成基質7を固定する作用も有する。即ち、誘電体4の内孔径はエアロゾル形成基質7の直径よりもやや大きくなっており、エアロゾル形成基質7が誘電体4の内孔に挿入されて固定される。
【0063】
好ましくは、誘電体4の内周には、中央部に向かって突出する位置決め部(図示しない)が設けられており、誘電体4内に挿入されるエアロゾル形成基質7を位置決め及び係合可能とする。通常、位置決め部は隆起及びリブであり、エアロゾル形成基質7を固定可能であるとともに、誘電体4の内壁面とエアロゾル形成基質7の間にガス経路を形成してベイパーを流動させることも可能とする。
【0064】
その他いくつかの実施例において、
図6及び
図7に示すように、誘電体4が導体ロッド2よりも低い場合、或いは、導体ロッド2と整列している場合に、誘電体4によりエアロゾル形成基質7を固定しにくいときには、キャビティ1にエアロゾル形成基質7を固定するための固定装置5を更に設けてもよい。固定装置5の材質は、マイクロ波を通過させてエアロゾル形成基質7をマイクロ波霧化可能なものである。
【0065】
更に、固定装置5の材質の誘電正接は0.1よりも小さい。また、固定装置5の材質はプラスチックである。具体的には、peek、即ち、ポリエーテルエーテルケトンとしてもよい。
【0066】
いくつかの実施例において、誘電体4の材質は、酸化アルミニウム、コランダム、ムライト、フォルステライト、酸化マグネシウム、ジルコニア、酸化ケイ素、ジルコン、窒化ホウ素、窒化アルミニウム、リシア輝石及び各種のガラス誘電体材料等や、εが30~40の間のBaTiO3系磁器、MgTiO3、CaTiO3系磁器、SrTiO3、Ba(Zn,Nb)O3系、Ba(Sr,Ta)O3系、及び、εが70~90の間のBaO-Nd2O3-TiO2、BaO-Sm2O3-TiO2希土類混晶系のうちの1種類又は少なくとも2種類の組み合わせを含んでもよい。
【0067】
好ましくは、誘電体4の材料は、酸化アルミニウム、ジルコニアである。
【0068】
図3、
図5、
図6、
図7に示すように、キャビティ1内のエアロゾル形成基質7の霧化温度をより正確に把握して、ユーザに速やかに温度に基づき動作及び調整させるために、キャビティ1内には、更に、キャビティ内に挿入されるエアロゾル形成基質を測温するための測温装置6が設けられている。好ましくは、導体ロッド2の中央部には収容孔22が開設されている。測温装置6は収容孔22内に挿設されて、キャビティ1の中央部の温度値を検知する。
【0069】
更に、本実施例において、測温装置6は、中空のプローブ61及び測温モジュール62を含む。測温モジュール62はプローブ61内に挿設され、プローブ61の外端は閉塞している。通常、測温モジュール62は熱電対又は光ファイバを含み、好ましくは熱電対を含む。
【0070】
中央のプローブは、熱電対(ptc/ntc)を用いて測温することが可能である。測温装置6のケーシングであるプローブ61は導体ロッド2とオーミック接触する。
【0071】
理解し得るように、上記の各技術的特徴は、制限なく任意に組み合わせて使用することが可能である。
【0072】
以上の記載は本発明の実施例にすぎず、これにより本発明の権利範囲は制限されない。本発明の明細書及び図面の内容を用いてなされる等価の構造又は等価のフローの変更、或いは、その他関連の技術分野における直接的又は間接的な運用は、いずれも同様の理由で本発明の権利保護の範囲に含まれる。
【国際調査報告】