(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-12-26
(54)【発明の名称】可変レート実時間遅延フィルタ
(51)【国際特許分類】
H04B 7/08 20060101AFI20241219BHJP
【FI】
H04B7/08 420
H04B7/08 372A
【審査請求】未請求
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2024533838
(86)(22)【出願日】2022-12-08
(85)【翻訳文提出日】2024-08-02
(86)【国際出願番号】 US2022052326
(87)【国際公開番号】W WO2023107654
(87)【国際公開日】2023-06-15
(32)【優先日】2021-12-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】513180451
【氏名又は名称】ヴィアサット,インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】ViaSat,Inc.
(74)【代理人】
【識別番号】110001302
【氏名又は名称】弁理士法人北青山インターナショナル
(72)【発明者】
【氏名】キーゼル,グレゴリー エヌ.
(72)【発明者】
【氏名】ギブソン,チャールズ アール.
(57)【要約】
入力データ信号を受信し、出力デシメート信号を提供する可変レート実時間遅延(VR-TTD)デシメータのシステム、方法、及び装置が開示される。このVR-TTDデシメータは、入力データ信号を受信するためのVR-TTDデシメータ入力と、出力デシメート信号を出力するためのVR-TTDデシメータ出力と、時間遅延制御信号及び所望のレート信号を受信し、入力データ信号の粗いフィルタリング、細かいフィルタリング及びデシメーションを制御する数値制御発振器(NCO)と、出力デシメート信号を生成するためのアキュムレータであって、前記アキュムレータは、NCOにより制御された複数のシフトレジスタを含む、アキュムレータとを含む。このシステムは、複数の経路からコヒーレントに加算された出力信号を提供するビームフォーマを含むことができ、各経路は、複数の経路のそれぞれの信号にVR-TTDを提供するVR-TTDデシメータを含む。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
システムであって、
出力信号を提供するビームフォーマと、
少なくとも第1の経路及び第2の経路を含む複数の経路であって、前記第1の経路は、アンテナ素子のアレイの第1のアンテナ素子から第1の入力信号を受信するように構成され、前記第2の経路は、前記アンテナ素子のアレイの第2のアンテナ素子から第2の入力信号を受信するように構成され、前記アンテナ素子のアレイは、リモートソースからRF信号を受信するように構成された、複数の経路とを含み、
前記第1の経路は、
前記第1の入力信号を受信し、第1のI信号及び第1のQ信号を出力する第1のI/Q変換器と、
前記第1のI信号及び前記第1のQ信号にそれぞれ基づいて、第1のデシメートされたI信号及び第1のデシメートされたQ信号を出力する第1の可変レート実時間遅延(VR-TTD)デシメータとを含み、
前記第2の経路は、
前記第2の入力信号を受信し、第2のI信号及び第2のQ信号を出力する第2のI/Q変換器と、
前記第2のI信号及び前記第2のQ信号にそれぞれ基づいて、第2のデシメートされたI信号及び第2のデシメートされたQ信号を出力する第2のVR-TTDデシメータとを含み、
前記ビームフォーマは、前記第1のデシメートされたI信号及び前記第2のデシメートされたI信号を受信して加算し、ビームフォーマI信号を出力するように構成され、
前記ビームフォーマは、前記第1のデシメートされたQ信号及び前記第2のデシメートされたQ信号を受信して加算し、ビームフォーマQ信号を出力するように構成され、
前記出力信号は、前記ビームフォーマI信号及び前記ビームフォーマQ信号を含む、システム。
【請求項2】
前記第1の経路は、前記第1のI/Q変換器から前記第1のI信号及び前記第1のQ信号を受信し、第1のデジタルI信号及び第1のデジタルQ信号を出力する第1のデジタル周波数変換器を更に含み、
前記第2の経路は、前記第2のI/Q変換器から前記第2のI信号及び前記第2のQ信号を受信し、第2のデジタルI信号及び第2のデジタルQ信号を出力する第2のデジタル周波数変換器を更に含み、
前記第1のVR-TTDデシメータは、前記第1のデジタルI信号及び前記第1のデジタルQ信号にそれぞれ基づいて、前記第1のデシメートされたI信号及び前記第1のデシメートされたQ信号を出力し、
前記第2のVR-TTDデシメータは、前記第2のデジタルI信号及び前記第2のデジタルQ信号にそれぞれ基づいて、前記第2のデシメートされたI信号及び前記第2のデシメートされたQ信号を出力する、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記第1のVR-TTDデシメータは、マルチレートデシメーションフィルタである、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記第1のVR-TTDデシメータは、
時間遅延制御信号及び所望のレート信号を受信し、出力サンプル時間信号を提供する数値制御発振器(NCO)と、
前記出力サンプル時間信号に基づいて複数の係数を提供するルックアップテーブル(LUT)であって、前記複数の係数は、細かい時間遅延を実現し、複数のそれぞれの調整済み信号を生成するためにデジタル入力信号と乗算される、ルックアップテーブル(LUT)と、
粗い遅延信号に基づいて前記複数の調整済み信号を提供する粗い遅延インデックスセレクタと、
アキュムレータシフトレジスタのアレイのそれぞれのシフトレジスタにおいて、前記複数の調整済み信号のそれぞれを受信し、前記複数の調整済み信号を蓄積して前記出力信号を生成するアキュムレータシフトレジスタのアレイとを更に含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
前記第1のVR-TTDデシメータは、前記時間遅延制御信号及び前記所望のレート信号を生成するコントローラを更に含む、請求項4に記載のシステム。
【請求項6】
前記第1の入力信号は位相シフタなしでフィルタリングされる、請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
前記NCO、前記LUT、前記粗い遅延インデックスセレクタ、及び前記アキュムレータシフトレジスタのアレイは、共同で粗い時間遅延、細かい時間遅延、及びフィルタリングを提供する、請求項4に記載のシステム。
【請求項8】
前記NCOは、時間と共に遅延値の間を補間し、過渡効果を自動的に平滑化する、請求項4に記載のシステム。
【請求項9】
前記ルックアップテーブルは、高分解能のsinc関数を記憶する、請求項4に記載のシステム。
【請求項10】
入力データ信号を受信し、出力デシメート信号を提供する可変レート実時間遅延(VR-TTD)デシメータであって、前記VR-TTDデシメータは、
前記入力データ信号を受信するVR-TTDデシメータ入力と、
前記出力デシメート信号を出力するVR-TTDデシメータ出力と、
時間遅延制御信号及び所望のレート信号を受信し、前記入力データ信号の粗いフィルタリング、細かいフィルタリング及びデシメーションを制御する数値制御発振器(NCO)と、
前記出力デシメート信号を生成するアキュムレータであって、前記アキュムレータは、NCOにより制御された複数のシフトレジスタを備える、アキュムレータとを含む、可変レート実時間遅延(VR-TTD)デシメータ。
【請求項11】
前記NCOは、出力サンプル時間信号、粗い遅延信号、及び出力サンプルイネーブル信号を生成し、前記VR-TTDデシメータは、
前記出力サンプル時間信号に基づいて複数のシンボル係数を提供するルックアップテーブルであって、前記複数のシンボル係数は、それぞれの調整済み信号を生成するために前記入力データ信号によって乗算される、ルックアップテーブルと、
前記それぞれの調整済み信号を提供するために前記アキュムレータの前記複数のシフトレジスタのそれぞれを選択する粗い遅延インデックスセレクタとを更に含む、請求項10に記載のVR-TTDデシメータ。
【請求項12】
前記NCOに前記時間遅延制御信号及び前記所望のレート信号を提供するコントローラであって、前記NCOは、前記時間遅延制御信号に基づいて前記出力サンプル時間信号を生成するように構成された、コントローラを更に含む、請求項11に記載のVR-TTDデシメータ。
【請求項13】
前記VR-TTDデシメータはマルチレートデシメーションフィルタである、請求項10に記載のVR-TTDデシメータ。
【請求項14】
前記VR-TTDデシメータは、位相シフタなしでフィルタリングするように構成される、請求項10に記載のVR-TTDデシメータ。
【請求項15】
前記ルックアップテーブル、前記粗い遅延インデックスセレクタ、前記アキュムレータ、及び前記NCOは、粗い時間遅延、細かい時間遅延、及びフィルタリングを共同で提供する、請求項11に記載のVR-TTDデシメータ。
【請求項16】
前記数値制御発振器は、時間と共に遅延値の間を補間し、過渡効果を自動的に平滑化する、請求項10に記載のVR-TTDデシメータ。
【請求項17】
可変レート実時間遅延(VR-TTD)フィルタリングを提供する方法であって、前記方法は、
入力データ信号を受信するステップと、
時間遅延制御信号及び所望のレート信号を数値制御発振器(NCO)で受信するステップと、
出力サンプル時間信号、粗い遅延信号、及び出力サンプルイネーブル信号を前記NCOで生成するステップと、
デシメータ出力信号をアキュムレータで蓄積するステップであって、前記デシメータ出力信号は、前記NCOからの前記出力サンプル時間信号、前記粗い遅延信号、及び前記出力サンプルイネーブル信号に基づく前記入力データ信号の細かい遅延、粗い遅延及びフィルタリングを含む、蓄積するステップとを含む、方法。
【請求項18】
前記出力サンプル時間信号に基づいてルックアップテーブル(LUT)内の複数のシンボル係数をルックアップするステップと、
それぞれの調整済み信号を生成するために、前記入力データ信号に前記それぞれのシンボル係数を乗算するステップと、
粗い遅延インデックスセレクタで、前記粗い遅延信号に基づいて、前記それぞれの調整済み信号を選択して前記アキュムレータのそれぞれのシフトレジスタに提供するステップと、
前記出力サンプルイネーブル信号に基づいて、前記アキュムレータの前記それぞれのシフトレジスタに提供されたそれらの信号を前記デシメータ出力信号に加算するステップとを含む、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記時間遅延制御信号をコントローラで生成するステップと、
前記所望のレート信号を前記コントローラで生成するステップとを更に含む、請求項18に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本願は、2021年12月8日に出願された「可変レート実時間遅延フィルタ」と題された米国仮出願第63/287,509号の優先権を主張し、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本開示は、一般に、無線通信の分野に関し、より具体的には、可変レート実時間遅延フィルタ及びその応用に関する。
【背景技術】
【0003】
実時間遅延フィルタは、例えば、動作帯域幅が広く、アレイ内に多くの素子があるビームフォーミングアレイにおいて有用である。帯域幅が小さく、アレイ内の素子の数が少ない状況では、これらの実時間遅延フィルタに位相シフタを使用することが可能である。位相シフタの実施形態は実用的であり、比較的安価である。しかし、位相シフタは、ビームスクイントを引き起こす可能性があり、この場合、ビームは、周波数に応じて異なる方向を向く。従って、広帯域/多素子ビームフォーミングアレイ用の改良されたフィルタが望ましい。
【発明の概要】
【0004】
例示的な実施形態において、システムが開示される。このシステムは、出力信号を提供するビームフォーマと、複数の経路とを含む。複数の経路は、少なくとも第1の経路及び第2の経路を含む。第1の経路は、アンテナ素子のアレイの第1のアンテナ素子から第1の入力信号を受信するように構成され、第2の経路は、アンテナ素子のアレイの第2のアンテナ素子から第2の入力信号を受信するように構成され、アンテナ素子のアレイは、リモートソースからRF信号を受信するように構成される。この例示的な実施形態において、第1の経路は、第1の入力信号を受信し、第1のI信号及び第1のQ信号を出力する第1のI/Q変換器と、第1のI信号及び第1のQ信号にそれぞれ基づいて、第1のデシメートされたI信号及び第1のデシメートされたQ信号を出力する第1の可変レート実時間遅延(VR-TTD)デシメータとを含む。この例示的な実施形態において、第2の経路は、第2の入力信号を受信し、第2のI信号及び第2のQ信号を出力する第2のI/Q変換器と、第2のI信号及び第2のQ信号にそれぞれ基づいて、第2のデシメートされたI信号及び第2のデシメートされたQ信号を出力する第2のVR-TTDデシメータとを含む。ビームフォーマは、第1のデシメートされたI信号及び第2のデシメートされたI信号を受信して加算し、ビームフォーマI信号を出力するように構成され得る。ビームフォーマは、第1のデシメートされたQ信号及び第2のデシメートされたQ信号を受信して加算し、ビームフォーマQ信号を出力するように構成され得る。そして、出力信号は、ビームフォーマI信号及びビームフォーマQ信号を含み得る。
【0005】
例示的な実施形態において、入力データ信号を受信し、出力デシメート信号を提供する可変レート実時間遅延(VR-TTD)デシメータが開示される。この例示的な実施形態において、VR-TTDデシメータは、入力データ信号を受信するVR-TTDデシメータ入力と、出力デシメート信号を出力するVR-TTDデシメータ出力と、時間遅延制御信号及び所望のレート信号を受信し、入力データ信号の粗いフィルタリング、細かいフィルタリング及びデシメーションを制御する数値制御発振器(NCO)と、出力デシメータ信号を生成するアキュムレータであって、アキュムレータは、NCOにより制御された複数のシフトレジスタを含む、アキュムレータとを含む。
【0006】
例示的な実施形態において、可変レート実時間遅延(VR-TTD)フィルタリングを提供する方法が開示され、前記方法は、入力データ信号を受信するステップと、時間遅延制御信号及び所望のレート信号を数値制御発振器(NCO)で受信するステップと、出力サンプル時間信号、粗い遅延信号、及び出力サンプルイネーブル信号をNCOで生成するステップと、アキュムレータで、NCOからの出力サンプル時間信号、粗い遅延信号、及び出力サンプルイネーブル信号に基づいて、入力データ信号の細かい遅延、粗い遅延、及びフィルタリングを含むデシメータ出力信号を蓄積するステップとを含む。
【図面の簡単な説明】
【0007】
本発明の上記及び他の特徴は、添付の図面を参照して以下の説明を読むことにより、本発明が関連する当業者に明らかになるであろう。
【0008】
【
図1】
図1は、ビームフォーミングシステムを示す。
【
図2】
図2は、例示的な実施形態によるビームフォーミングシステムを示す。
【
図3A】
図3Aは、例示的な実施形態による可変レート実時間遅延フィルタを示す。
【
図3B】
図3Bは、例示的な実施形態による別の可変レート実時間遅延フィルタを示す。
【
図4】
図4は、例示的な実施形態による、可変レート実時間遅延フィルタリングを提供する方法である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
例示的な実施形態は、当業者が本発明を実施できるように十分に詳細に本明細書に記載されているが、本発明の精神と範囲から逸脱することなく、他の実施形態も実現可能であり、論理的な電気的及び機械的な変更を加えることができることを理解されたい。従って、以下の詳細な説明は、例示のみを目的として提示される。
【0010】
図1を参照すると、実時間遅延を実装するシステム100は、複数の信号経路101、102、103などを含む。各信号経路(101、102、103)は、アンテナ素子のアレイのそれぞれのアンテナ素子に関連付けられる。アンテナ素子は、リモート送信機(ソース)からRF信号を受信し得る。各アンテナ素子でリモートソースから受信したRF信号は、ソースとアンテナとの間のジオメトリから生じる異なる遅延が発生する可能性がある。従って、各信号経路は、ビームフォーマ170が全ての経路をコヒーレントに合計できるように、これらのジオメトリ誘導の伝搬効果を補償するように構成される。場合によっては、各信号経路はまた、その信号経路及び/又は対応するアンテナ素子に固有であり得るエラー又は他の条件を補償するように構成される。
【0011】
複数の信号経路のそれぞれは、同相(I)信号及び直交(Q)信号を生成するI/Q変換器110と、I信号及びQ信号の一方又は両方に粗い位相遅延を適用する粗い遅延120と、粗い遅延成分からのI信号及びQ信号の一方又は両方に細かい位相遅延(例えば、粗い位相遅延と比較してより少ない量の遅延)を適用する細かい遅延130と、(他の機能の中でも)アンチエイリアスフィルタリング、インターフェース抑制、又は他の動作を提供するフィルタ140と、デジタル周波数変換器150と、デシメート素子160とを含む。例示的な実施形態において、デジタル周波数変換器150は、デシメート素子160を通過するために特定の周波数帯域を選択するように構成される。デジタル周波数変換器150は、対象信号とデシメータの通過帯域を一致させるために周波数同調を実行し得る。デシメート素子は、入力信号(例えば、入力信号のI信号及びQ信号)のサンプルレートを低減させるように構成され得る。様々な実施形態によれば、デジタル周波数変換器150及びデシメート素子160の組み合わせにより、ユーザが出力のためにシステムのスペクトル内の任意の場所を中心とする周波数の可変幅帯域を選択することを容易にする。I/Q変換器110、粗い遅延120、細かい遅延130、フィルタ140、及び/又はデジタル周波数変換器150は、任意の適切な順序で配置されてもよく、
図1に示される順序に限定されない。
【0012】
いくつかの実施形態において、信号経路101、102、103は、それぞれの入力信号を別々のI信号及びQ信号に分割しなくてもよく、代わりに入力信号に対して動作してもよい。システム100は、複数の信号経路のそれぞれの各デシメート素子160からの信号を受信し、コヒーレントに結合するビームフォーマ170を更に含み得る。信号経路の数が少ない場合、システム100内のそのような素子(120、130、140)の数は通常、管理可能である。しかし、多くのアレイ素子(それぞれが信号経路の1つに対応する)が存在する場合、素子の数は、各経路の素子の数と経路の数との倍数であるため、システムは、法外に高価で、大きく、非効率的になる。更に、システム100は、例えば、ソースとアンテナ素子のアレイ(例えば、衛星を含むソース)との間の相対移動を追跡するときの変化に起因して生じる、許容できないほど大きな過渡の影響を受けやすい。これらの過渡は、本明細書で更に説明する可変レート実時間遅延デシメータ(VR-TTD)を使用して大幅に低減することができる。
【0013】
ここで
図2を参照し、例示的な実施形態において、システム200は、少なくとも第1の経路201及び第2の経路202を含む複数の経路と、ビームフォーマ270とを含む。システム200は、第Nの経路203を更に含み得る。例示的な実施形態において、各経路(1~N)は、アンテナ素子のアレイのそれぞれのアンテナ素子に関連付けられる。アンテナ素子のアレイは、各経路がそれぞれのアンテナ素子から信号を受信し得るように、送信元からRF入力信号を受信し得る。例示的な実施形態において、第1の経路201は、第1のアンテナ素子から第1の入力信号を受信するように構成され、第2の経路202は、第2のアンテナ素子から第2の入力信号を受信するように構成され、第Nの経路203は、第Nのアンテナ素子から第Nの入力信号を受信するように構成される。第1、第2、及び第Nの入力信号はそれぞれ、それぞれの経路に関連付けられたアナログーデジタル変換器を介してアナログからデジタルに変換され得る。
【0014】
各経路201、202、203は、(例えば、送信元の位置、ビームステアリング、アンテナ素子のジオメトリなどの間の関係に起因して)異なる時間遅延で入力信号を受信し得る。様々な例示的実施形態によれば、全ての信号経路がビームフォーマ270でコヒーレントな方法で結合できるように、各経路内でこれらN個の経路を通る信号の実時間遅延を調整することが望ましい場合がある。別の例示的な実施形態において、各経路は、例えばアンテナ素子の較正に基づいて補償を実行するように構成される。
【0015】
例示的な実施形態において、第1の経路201は、第1のI/Q変換器211、第1のデジタル周波数変換器251、及び第1の可変レート実時間遅延(VR-TTD)デシメータ281を含む。例示的な実施形態において、第2の経路202は、第2のI/Q変換器212、第2のデジタル周波数変換器252、及び第2のVR-TTDデシメータ282を含む。例示的な実施形態において、第Nの経路203は、第NのI/Q変換器213、第Nのデジタル周波数変換器253、及び第NのVR-TTDデシメータ283を含む。更に、経路1~Nの各々は、独自のI/Q変換器、デジタル周波数変換器、及びVR-TTDデシメータを含み得る。例示的な実施形態において、第1の経路201、第2の経路202、及び第Nの経路203までの任意の追加の経路は、各経路のデジタル入力信号(即ち、それぞれのADCの出力)の可変レート実時間遅延フィルタリングをそれぞれ提供するように構成される。更に、経路1~Nの各々は、それぞれのデジタル入力信号を受信し、そのデジタル入力信号の可変レート実時間遅延フィルタリングを提供し得る。他の例示的な実施形態において、I/Q変換器(211、212、213)及びデジタル周波数変換器(251、252、253)のうちの1つ以上はオプションである。I/Q変換器(211、212、213)を含まない例示的な実施形態において、
図2、
図3A及び
図3Bに関して以下に説明する処理は、I成分とQ成分とに分離することなく、デジタル入力信号に対して実行され得る。
【0016】
例示的な実施形態において、第1のI/Q変換器211は、第1のデジタル入力信号を受信し、第1のI信号及び第1のQ信号を出力するように構成される。第1のI信号及び第1のQ信号は互いに直交する。同様に、第2のI/Q変換器212は、第2のデジタル入力信号を受信し、互いに直交する第2のI信号及び第2のQ信号を出力するように構成される。第NのI/Q変換器213は、第Nのデジタル入力信号を受信し、互いに直交する第NのI信号及び第NのQ信号を出力するように構成される。
【0017】
各経路がそれぞれのI/Q変換器(211、212、213)及びそれぞれのデジタル周波数変換器(251、252、253)を含む例示的な実施形態において、第1のデジタル周波数変換器251は、第1のI/Q変換器211から第1のI信号及び第1のQ信号を受信し、第1のデジタルI信号及び第1のデジタルQ信号を出力するように構成される。同様に、第2のデジタル周波数変換器252は、第2のI/Q変換器212から第2のI信号及び第2のQ信号を直接受信し、第2のデジタルI信号及び第2のデジタルQ信号を出力するように構成され、第Nの周波数変換器253は、第NのI/Q変換器213から第NのI信号及び第NのQ信号を直接受信し、第NのデジタルI信号及び第NのデジタルQ信号を出力するように構成される。デジタル周波数変換器(251、252、253)は、それぞれの信号の周波数成分をデシメータの通過帯域に合わせるために、それぞれのデジタルI/Q信号の周波数シフトを実行し得る。デジタル周波数変換器(251、252、253)は、VR-TTDデシメータ(281、282、283)の出力信号の出力周波数帯域の「中心」を決定し得る。
【0018】
例示的な実施形態において、第1のVR-TTDデシメータ281は、第1のデジタルI信号及び第1のデジタルQ信号を受信し、第1のデシメートされたI信号及び第1のデシメートされたQ信号をその出力信号として出力するように構成される。同様に、第2のVR-TTDデシメータ282は、第2のデジタルI信号及び第2のデジタルQ信号を受信し、第2のデシメートされたI信号及び第2のデシメートされたQ信号を出力するように構成される。第NのVR-TTDデシメータ283は、第NのデジタルI信号及び第NのデジタルQ信号を受信し、第NのデシメートされたI信号及び第NのデシメートされたQ信号を出力するように構成される。例示的な実施形態において、第1のVR-TTDデシメータ281、第2のVR-TTDデシメータ282、及び第NのVR-TTDデシメータ283は、マルチレートデシメーションフィルタである。例示的な実施形態において、VR-TTDデシメータ(281、282、283)は、出力周波数帯域の幅を選択する。本明細書で更に詳細に説明するように、VR-TTDデシメータ(281、282、283)は、粗い遅延、細かい遅延、及びフィルタリングが統合された可変レート実時間遅延フィルタリングを提供するように構成される。
【0019】
例示的な実施形態において、ビームフォーマ270は、第1のデシメートされたI信号、第1のデシメートされたQ信号、第2のデシメートされたI信号、第2のデシメートされたQ信号、第NのデシメートされたI信号、及び第NのデシメートされたQ信号を受信するように構成される。より一般的には、ビームフォーマ270は、複数の信号経路(例えば、201、202、…203)のうちのN個の経路からN個のデシメートされたI/Q信号ペアを受信するように構成され得る。例示的な実施形態において、ビームフォーマ270は、N個のデシメートされたI/Q信号ペアを合計して出力信号を形成するように更に構成される。この例示的な実施形態において、出力信号は、ビームフォーマI信号及びビームフォーマQ信号を含み、ビームフォーマI信号は、N個のデシメートされたI信号の合計に基づき、ビームフォーマQ信号はN個のデシメートされたQ信号の合計に基づく。VR-TTDデシメータ(281、282、283)は、ビームフォーマ270が各信号経路(201、202、203)からの信号をコヒーレントに結合できるように、連携して適切な遅延調整を有する出力信号を提供する。
【0020】
システム200は、デジタルI/Q信号で信号を処理するが、他の例示的な実施形態において、システム200の信号経路(201、202、203)は、それぞれのアナログーデジタル(ADC)変換器からの単一の(又は別個のI/Q部分なしで結合された)信号を処理し得る。このようなシステムは、同様に複数の信号経路を含み、各経路は、本明細書で説明されるものと同様に機能するVR-TTDデシメータを含む。
【0021】
図示するように、システム200は、システム100と比較して、経路ごとに中間周波数(例えば、それぞれの経路入力信号が中間ステップとしてシフトされる周波数)で動作する信号処理素子の数が少ない。この点において、システム200は、システム100よりもコンピューティングリソース及び不動産を大幅に効率的に利用することができる。より具体的には、システム200のVR-TTDデシメータ281、282、283は、システム100の別々の個々の成分(例えば、それぞれの中間周波数で動作するシステム100の粗い遅延、細かい遅延、及びフィルタ成分)によって行われる、粗い時間遅延(例えば、数百ナノ秒オーダーの遅延)、細かい時間遅延(例えば、ピコ秒オーダーの遅延)、及びフィルタリング(例えば、デシメーションを可能にするため)の態様を組み合わせるように構成される。これらの機能をVR-TTDデシメータ281、282、283の単一成分に統合することによって、システム200は、システム100と同じ又は類似の機能をより効率的に提供する。システム200のそのような効率の節約は、システム100と比べて20%を超える可能性があり、この場合、中間周波数での処理の減少によって少なくとも部分的に節約がもたらされる。これらの機能をVR-TTDデシメータ281、282、283に統合することにより、各経路の入力信号の帯域幅は、対応する経路においてより早く低減されるため、システム全体の消費電力及びコストを削減することを可能にする。
【0022】
ここで
図3Aを参照すると、VR-TTDデシメータ300の例示的な実施形態が更に詳細に説明される。VR-TTDデシメータ300は、VR-TTDフィルタとも呼ばれてもよく、
図2を参照して上述したVR-TTDデシメータ(281、282、283)に対応し得る。例示的な実施形態において、VR-TTDデシメータ300は、マルチレートデシメーションフィルタである。例示的な実施形態において、VR-TTDデシメータ300は、デジタル周波数変換器(図示せず)からデジタル入力信号を受信し、デシメータ出力信号をビームフォーマ(図示せず)に提供するように構成される。例示的な実施形態において、VR-TTDデシメータ300は、デジタル周波数変換器からデジタル入力信号の入力データサンプル301を受信するためのVR-TTDデシメータ入力を含む。本明細書で使用されるように、データサンプル301はデジタル入力信号を含む。デジタル入力信号は、第1のデジタルI信号及び第1のデジタルQ信号を含んでもよく、又はデジタル入力信号は単一の入力信号であり得る。例示的な実施形態において、VR-TTDデシメータ300は、デシメータ出力信号の出力デシメートサンプル399を出力するためのVR-TTDデシメータ出力を含み、デシメータ出力信号は、第1のデシメートされたI信号及び第1のデシメートされたQ信号を含み、又はデシメータ出力信号は、単一の出力信号を含んでもよい。
【0023】
いくつかの実施形態において、VR-TTDデシメータ300は、1つ以上のソフトウェアプロセスを実行して制御信号を生成し、NCO320に提供するように構成されたコントローラ310を更に含む。言い換えると、コントローラ310は、入力データサンプル301のフィルタリングを制御するように構成され得る。様々な例示的な実施形態によれば、コントローラ310は、VR-TTDデシメータ300の一部を形成するか、又はVR-TTDデシメータ300とは別個である(VR-TTDデシメータ300の近くにあるか、又は離れている)。例示的な実施形態において、コントローラ310は、ソフトウェアプロセスを動作させて時間遅延制御信号311を生成し、NCO320に提供する任意の適切なプロセッサを含む。コントローラ310は、所望のレート信号312を生成し、NCO320に提供するように更に構成され得る。
【0024】
コントローラ310は、(1)アンテナアレイとリモートソースとの間の相対的なジオメトリに基づく、(2)信号経路内のエラー(任意の適切な較正ルーチンによって決定されるような)に基づく、(3)信号経路などの時間遅延エラーに基づく、及び/又は(4)入力データサンプル301のフィルタリングを制御するように構成された、任意の適切なアルゴリズム及び/又はプロセスを使用して、時間遅延制御信号311及び所望のレート信号312を決定するように構成され得る。
【0025】
例示的な一実施形態において、第1のビームフォーマに関連付けられたVR-TTDデシメータの第1のセットの所望のレートは、第2のビームフォーマに関連付けられたVR-TTDデシメータの第2のセットの所望のレートと異なってもよい。しかし、所望のレートは、単一のビームフォーマのVR-TTDデシメータについて一致してもよく、又は同じであってもよい。いくつかの実施形態において、所望のレートは、VR-TTDデシメータ300のデシメーションレートに対応する。
【0026】
上記で紹介したように、VR-TTDデシメータ300は、出力デシメートサンプル399を生成するときに、入力データサンプル301をフィルタリング/デシメートするために、粗い遅延及び細かい遅延を適用することができる。例示的な実施形態において、VR-TTDデシメータ300は、VR-TTDデシメータ300の様々な成分により使用された複数の信号を生成するように構成された数値制御発振器(NCO)320を含む。例えば、VR-TTDデシメータ300は、NCO320からサンプルイネーブル信号321を受信するように構成されたアキュムレータ350と、NCO320から粗い遅延信号322を受信するように構成された粗い遅延インデックスセレクタ340と、NCO320から出力サンプル時間信号323を受信するように構成されたルックアップテーブル(LUT)330とを更に含む。
【0027】
例示的な実施形態において、NCO320は、VR-TTDデシメータ300のリアルタイム制御を提供するように構成される。NCO320は、フィルタリング動作全体に影響を与えるために、LUT330、粗い遅延インデックスセレクタ340、及びアキュムレータ350を調整するように構成される。例示的な実施形態において、NCO320は、所望の時間遅延制御信号311及び/又は所望のレート信号312を受信するように構成される。NCO320は、VR-TTDデシメータ300の全体的な機能を有効にするために、受信した所望の時間遅延制御信号311及び/又は所望のレート信号312に部分的に基づいて、出力サンプル時間信号323、粗い遅延信号322、及びサンプルイネーブル信号321の値を共同で制御するように構成される。
【0028】
例示的な実施形態において、NCO320は、オーバーフロー検出及び関連する制御ロジックを有するフィードバックアキュムレータ(図示せず)を含む。NCO320は、コントローラ310により提供された所望のレート信号312によって指定されたレートで増分する。NCO320がオーバーフロー又は「ロールオーバー」するたびに、新しい出力サンプルが示され、NCO320は、「フラグ」又は「ロールオーバー」信号とも呼ばれ得るサンプルイネーブル信号321を生成するように構成される。サンプルイネーブル信号321は、アキュムレータ350のシフトレジスタに提供され得る。サンプルイネーブル信号321は、アキュムレータが各レジスタに存在する合計をいつシフトすべきかをアキュムレータ350に指示し得る(例えば、シフトレジスタ0をシフトレジスタ1に、1を2に、2を3に、4を5に、及び5を出力デシメート信号399になど)。
【0029】
例示的な実施形態において、NCO320は、時間遅延制御信号を受信し、コントローラ310からの時間遅延制御信号311に基づいて出力サンプル時間信号323を生成するように構成される。出力サンプル時間信号323は、NCOの「位相」であり、入力データサンプル301に対する出力デシメート信号399の現在のフラクショナル時間を表す。従って、NCOは、出力デシメート信号399と入力データサンプル301との間に所望のオフセットを提供するために、出力サンプル時間信号323を生成する。例示的な実施形態において、NCO320は、コントローラ310が入力サンプルレートと出力サンプルレートとの間の任意の比≦1を指定できるようにするのに適した高分解能NCOである。例えば、
図3Aは、4つの部分(380A、380B、380C、380D)に分割されたsinc関数の例を示す。sinc関数は、任意の適切な数の部分に分割することができ、部分の数が多いほど、sinc関数は理想的なフィルタにより近づく。例示的な実施形態において、sinc関数は、理想的な補間フィルタ応答関数であり得る。他の実施形態において、sinc関数は、理想的な補間フィルタ応答から修正され得る。出力サンプル時間信号323は、sinc関数部分(380A、380B、380C、380D)のそれぞれのx軸上の時間に対応し、対応するx軸時間における係数についてy軸の値を選択し得る。各sinc関数のx軸時間の範囲は、任意の適切な時間量にすることができ、時間量の増加は、スペクトル分解能を向上させるように構成される。出力サンプル時間信号323は、出力サンプル時間信号323がLUT330から各シンボル係数を取得して出力するためのインデックスとして全てのシンボル係数LUT(シンボル0係数、シンボル1係数、シンボル2係数、又はシンボル3係数)に提供されるように、係数LUTへのインデックスとしてLUT330に提供される。
【0030】
例示的な実施形態において、VR-TTDデシメータ300は、複数のシンボル係数LUT(例えば、シンボル0係数LUT、シンボル1係数LUT、シンボル2係数LUT、及びシンボル3係数LUT)を含むLUT330を含む。更に、任意の適切な数の係数LUTが使用されてもよく、より多くのLUTがより大きなスループットを提供する。例示的な実施形態において、LUT330内の各シンボル係数LUTは、フィルタのオーバーサンプリングされたsinc関数インパルス応答、又はその一部を記憶する。しかしながら、いくつかの実施形態において、記憶された応答は、所望のスペクトル特性要件に適合するように変更された応答である。LUT330は、読み取り専用メモリ(ROM)モジュールのベクトル、又はデータの即時検索に適した任意の他の適切な記憶媒体を含み得る。各モジュールは、フィルタのオーバーサンプリングされたインパルス応答の連続部分を記憶し得る。各LUT内のインパルス応答サンプルの数は、出力サンプル時間の分解能(例えば、xエントリ)と一致する可能性がある。例示的な実施形態において、完全なインパルス応答は、VR-TTDデシメータ300がアキュムレータシフトレジスタ(後述する)を使用して出力サンプルを増分的に構築できるように複数のブロックに分割される。
【0031】
LUT330は、それぞれのシンボル係数LUTから適切な乗算係数を出力するように構成され、適切な乗算係数は、上述したように、出力サンプル時間信号323によって識別される。これらの乗算係数は、それぞれの乗算器に提供され、入力データサンプル301に対して同時に乗算される。これらの乗算の結果(調整された入力データサンプル)は、粗い遅延インデックスセレクタ340により処理された「信号」が任意の適用された細かい遅延を含むように、粗い遅延インデックスセレクタ340に提供される。
【0032】
例示的な実施形態において、粗い遅延インデックスセレクタ340は、各乗算器の出力(それぞれが調整済み信号)を、粗い遅延インデックスセレクタ340によって選択されたような、アキュムレータ350の選択されたシフトレジスタに提供するように構成される。粗い遅延インデックスセレクタ340は、粗い遅延信号322を受信し、粗い遅延信号322に基づいてどの乗算器がどのアキュムレータシフトレジスタに接続されるかを選択するように構成される。
【0033】
例示的な実施形態において、NCO320は、時間遅延制御信号311を受信し、コントローラ310からの時間遅延制御信号311に基づいて粗い遅延信号322を生成するように構成される。粗い遅延信号322は、時間遅延制御信号311の経時的な変化に基づいて決定され得る。例えば、時間遅延制御信号311が変化しない場合、粗い遅延信号322は、調整された入力データサンプルの時間遅延に変化を生じさせない可能性がある。しかし、時間遅延制御信号311が変化する場合、NCO320は、変化の大きさ(及び、場合によっては変化率)を計算し、調整された入力データサンプルに適用された遅延量を粗く変化させる粗い遅延信号322を生成し得る。一実施形態において、NCO320は、1サイクル内の変化全体を考慮するように構成され、他の実施形態において、複数のサイクル(例えば、100又は任意の適切な数のサイクル)にわたる時間遅延の変化全体を考慮するように構成され、これにより、時間遅延制御信号311の変化に対する粗い遅延応答を平滑化する。
【0034】
例示的な実施形態において、アキュムレータ350は、複数のアキュムレータシフトレジスタ(例えば、350a、350b、…350n)又はアキュムレータシフトレジスタのアレイを更に含み、アキュムレータシフトレジスタのアレイにおけるそれぞれのシフトレジスタは、粗い遅延インデックスセレクタ340によって指示されたようなそれぞれの乗算器出力信号(調整済み信号)を受信するように構成される。各シフトレジスタは、それぞれの乗算器出力信号からの信号を蓄積(加算)するように構成される(例えば、シフトレジスタに記憶された値をそれぞれの乗算器出力信号から受信した調整済み信号に加算する)。アキュムレータ350は、サンプルイネーブル信号321を受信し、そのサンプルイネーブル信号321に基づいて、NCO320のロールオーバーごとに各レジスタに記憶された値を次の上位レジスタにシフトするように更に構成される。別の言い方をすると、各乗算器は、調整済み信号を出力するように構成され、その調整済み信号は、(粗いフィルタリングを実装するために)粗い遅延インデックスセレクタによって適切なレジスタに送られ、その調整済み信号は、それぞれのシフトレジスタに既に存在する値に追加される。任意の適切な数のレジスタが使用され得る。レジスタ(350a~350n)の数は、LUT330内のシンボル係数の数よりも多くてもよい。
【0035】
係数LUT330におけるインパルス応答の時間分割を伴うアキュムレータ350の共同動作は、出力デシメート信号399を増分的に蓄積するように構成される。NCOのロールオーバーが複数回発生すると、アキュムレータ350の各シフトレジスタは、次の上位シフトレジスタにシフトされ、最終出力デシメートサンプル399は、インパルス応答全体が使用されるまで増分的に作成される。
【0036】
従って、例示的な実施形態において、出力デシメート信号には、入力信号の粗い遅延、細かい遅延、及びデシメーションが組み込まれる。別の言い方をすると、VR-TTDデシメータ300は、NCO320、LUT330、粗い遅延インデックスセレクタ340、及びアキュムレータ350の共同動作を通じて、粗い時間遅延、細かい時間遅延、及びフィルタリングを提供するように構成される。例示的な実施形態において、フィルタ全体の可変レート挙動は、NCOの位相変化の増分がどれだけ速いか遅いかに基づいて有効になり、それ自体はコントローラ310からの所望のレート信号312に基づく。
【0037】
例示的な一実施形態において、コントローラ310からの時間遅延値は固定値であり、粗い遅延インデックスは変化しない。しかし、他の例示的な実施形態において、コントローラ310からの時間遅延値は変化し、NCO320は、値の変化を検出し、それに応じてその位相を調整する。この例示的な実施形態において、NCOの値が出力サンプル時間信号323を表すため、NCOの位相シフトは実質的に、時間シフトである。時間遅延の変化が小さい場合、NCO320は、出力サンプル時間信号323を調整し、それに対応してアキュムレータ350へのサンプルイネーブル信号321のタイミングを変更する。
【0038】
時間遅延の変化が大きい場合、NCO320は、複数のサンプルのシフト、即ち複数のオーバーフロー又は複数のアンダーフローのいずれかを経験する可能性がある。この例示的な実施形態において、NCO320は、粗い遅延信号322を調整することによって、時間遅延の変化中に出力信号に現れる過渡歪みを低減するように構成される。例えば、時間遅延が大幅に増加すると、粗い遅延信号322が減少し得るため、粗い遅延インデックスセレクタ340は、シフトレジスタチェーンでサンプルの蓄積をより早く行わせ、フィルタ遅延全体を増加させる。別の例において、時間遅延が大幅に減少すると、粗い遅延信号322が増加し得るため、粗い遅延インデックスセレクタ340は、シフトレジスタチェーンでサンプルの蓄積を後で行い、フィルタ遅延全体を減少させる。従って、VR-TTDデシメータ300は、粗い遅延インデックスがアキュムレータシフトレジスタの範囲内に留まる限り、時間遅延の大きなジャンプを処理するように構成される。
【0039】
従って、例示的な実施形態において、NCO320からの出力サンプルイネーブル信号321、粗い遅延信号322、及び出力サンプル時間値323は、出力信号過渡が低減されるように共同で遷移するように構成される。例示的な実施形態において、VR-TTDデシメータ300は、位相シフタなしでフィルタリングするように構成される。別の例示的な実施形態において、NCO320は、時間と共に遅延値の間を補間し、過渡効果を自動的に平滑化する。
【0040】
例示的な一実施形態において、VR-TTDデシメータ300により導入された細かい時間遅延は、高分解能のルックアップテーブル(LUT)を用いて実装される。このような実装は、細かい時間遅延を導入するために必要な計算リソースの数を削減し、システム100と比較してレイテンシを改善し、消費電力を削減する。更に、コンパクトさにより、そうでなければ時間遅延の変化によって引き起こされる過渡を低減させる。過渡を低減するために成分を統合するだけでなく、NCO320は、時間と共に遅延値の間を補間し、過渡効果を自動的に平滑化するように構成される。従って、ビームフォーマを含む例示的なシステムの実施形態は、出力信号に大きな過渡を導入することなく、移動物体を追跡するために経路時間遅延を徐々に調整するように構成される。
【0041】
ストリーミングI/Qデータを処理する場合に特に懸念されるのは、フィルタ係数が更新されるときの過渡影響である。例示的な実施形態において、VR-TTDデシメータ300は、システム100内の対応する成分(例えば、粗い遅延120、細かい遅延130、フィルタ140、及びデシメート160のブロック)などのより大きなフットプリントの回路と比較して、更新(例えば、ビームが新しい方向を向いている場合)による過渡応答を小さくするために、比較的小さなフットプリントを含む。更に、少数のクロックサイクルにわたって時間遅延の変化を徐々に適用することにより、遅延を瞬間的に適用するのではなく、遅延を徐々に適用することで、遅延の変化による過渡効果を更に低減することが可能である。
【0042】
ここで
図3Bを簡単に参照すると、
図2及び
図3Aは、本明細書では受信コンテキストで説明されるが、例示的な実施形態において、VR-TTDデシメータ300は、VR-TTDデシメータ300Bによって示されるように、わずかな変更を伴う送信コンテキストでも使用され得る。送信コンテキストでは、一般的な動作は、
図3Aの説明に従うが、逆に、回路300Bは、結果として生じる数学的演算に適応するように適合される。例えば、シフトレジスタのアレイ351は、蓄積を実行しないが、むしろ、シフトレジスタのアレイ351の各シフトレジスタの出力(例えば、送信されるデータでポピュレートされる)は、それぞれのLUT出力(シンボル0~3係数)によって乗算され、アンテナ素子に送信するための送信出力補間サンプル399Bを生成するために加算される。一般に、例示的な受信の実施形態において、フィルタは、デシメータ/ダウンサンプラであり、複数の入力サンプルを使用して、累積を使用して各出力サンプルを生成し、対照的に、例示的な送信の実施形態において、フィルタは、補間器/アップサンプラであり、各入力サンプル301Bから複数の出力サンプル399Bを生成する。
【0043】
例示的な実施形態によれば、
図4を参照すると、可変レート実時間遅延(VR-TTD)フィルタリング/デシメーションを提供する方法400が開示されている。例示的な一実施形態において、この方法は、入力データサンプルを受信するステップ(410)と、時間遅延制御信号311及び所望のレート信号312をNCO320で受信するステップ(420)とを含む。上記で論じたように、時間遅延制御信号311及び所望のレート信号312は、コントローラ310によって提供され得る。コントローラ310は、適切な時間遅延制御信号311及び所望のレート信号312を生成し、(1)ソースアンテナと受信アンテナ素子との間の相対的な幾何学的関係に起因する入力データ信号の遅延を補償するために、(2)受信又は送信チェーンにおける許容誤差及びエラーを補償するために、(3)テーパーやヌルなどの他のビーム制御を提供するために、(4)アンテナ素子の較正に基づいて補償を実行するために、及び/又は(5)コヒーレントなビームフォーミングを提供するために、VR-TTDフィルタリングを提供するためにNCO320に提供するように構成され得る。
【0044】
方法400は、NCO320で、時間遅延制御信号311及び/又は所望のレート信号312に基づいて、出力サンプル時間信号323、粗い遅延信号322、及び出力サンプルイネーブル信号321を生成するステップ(430)を更に含み得る。
【0045】
方法400は、デシメータ出力信号399をアキュムレータ350で累積するステップ(470)を更に含み得る。例えば、調整済み信号は、粗い遅延信号322及び出力サンプル時間信号323に基づいて生成され得、アキュムレータの適切なレジスタに蓄積され得、レジスタはデシメータ出力信号399に蓄積される。デシメータ出力信号は、NCO320からの出力サンプル時間信号323、粗い遅延信号322、及び出力サンプルイネーブル信号321に基づく入力データサンプル301の細かい遅延、粗い遅延、及びフィルタリングを含み得る。
【0046】
方法400は、出力サンプル時間信号323に基づいてルックアップテーブル内の複数のシンボル係数をルックアップするステップ(440)と、入力データサンプル301にそれぞれのシンボル係数を乗算して、調整済み信号を生成するステップ(450)とを更に含み得る。高分解能のsinc関数(又はそこから生成された値)は、VR-TTDデシメータが広範囲の帯域幅及びデシメーションレートに対応できるように、細かい時間遅延を提供するためにLUTに記憶され得る。VR-TTDデシメータ300は、時間遅延が変更されるときにフィルタ係数を更新するための計算が必要とされないように、sinc関数にLUTを使用するように構成される。
【0047】
方法400は、粗い遅延信号に基づいて、アキュムレータのそれぞれのシフトレジスタに提供するためにそれぞれの調整済み信号を粗い遅延インデックスセレクタで選択するステップ(460)を更に含み得る。従って、例示的な実施形態において、粗い時間遅延は、粗い遅延インデックスセレクタにより有効されたレジスタサンプルの選択によって提供される。
【0048】
方法400は、任意の適切な順序で実行される、前述のステップの全て又は全てより少ないものの任意の適切な組み合わせを含んでもよい。
【0049】
例示的な実施形態において、VR-TTDデシメータ300は、非VR-TTDデシメータよりも、完全デジタルアレイのリソースをより効率的に利用するように構成される。例えば、VR-TTDデシメータ300は、使用可能な帯域幅、消費されるスループット、平坦性、及び任意選択でビームの数の間のトレードオフをサポートするように構成され得る。フィルタの使用可能な帯域幅が低いと、I/Qストリームは、使用できないスペクトルを補うためにより高いレートで動作し得る。例示的な実施形態において、完全デジタルアレイは、そのバックプレーンがサポートできるスループットの量によって制約を受けることが多い。各ビームは、スループット制限の量を消費する。アレイから送信できるビームの数は、ビームの帯域幅(ビームー帯域幅積)の関数であり得る。
【0050】
例示的な一実施形態において、各VR-TTDデシメータ300は、他の信号の処理に同じハードウェアを再利用できるようにオーバークロックすることができる。例えば、VR-TTDデシメータ300が利用可能な時間の半分で信号Aに対してフィルタリングを実行するためにオーバークロックされた場合、信号Bに切り替え、残りの時間でその信号Bに対してフィルタリングを実行することができる。代替の例示的な実施形態において、単一のVR-TTDデシメータ300をオーバークロックし、複数の信号経路で使用することにより、複数の信号経路にわたって同じVR-TTDデシメータ300を再利用できるようにし、システム全体のハードウェア成分及びコストを削減することができる。例えば、VR-TTDデシメータ300が利用可能な時間の半分で第1の信号経路Aに対してフィルタリングを実行するためにオーバークロックされた場合、同じVR-TTDデシメータを第2の信号経路Bに切り替え、残りの時間でその信号に対してフィルタリングを実行することができる。従って、VR-TTDデシメータ300は、同じ持続時間内で第1の信号又は第1の信号経路のみを処理することができるVR-TTDデシメータ300と比較して、少なくとも2倍速く動作するようにオーバークロックされ得る。いくつかの実施形態において、VR-TTDデシメータ300のオーバークロックは、本明細書で説明される所望のレートに直接関係しない。例えば、VR-TTDデシメータ300における信号処理のスループットレート(例えば、100e6サンプル/秒)及び所望のレート(出力サンプル当たり0.5=2の入力サンプル)の間には違いがあり得る。いくつかの実施形態において、VR-TTDデシメータ300は、オーバークロックされない場合よりも速く入力信号Aを処理するためにオーバークロックされ得る。従って、VR-TTDデシメータ300をオーバークロックすることにより、(1)デジタルクロックサイクルごとに同じ信号からの複数の入力サンプルを処理するために、又は(2)複数の信号からのサンプルを処理するために、VR-TTDデシメータ300のスループットを向上させることができる。本明細書の説明では、VR-TTDデシメータを使用してデジタルクロックサイクルごとに1つの入力サンプルを処理することに言及したが、必ずしもそうである必要はない。
【0051】
さらなる例示的な実施形態において、VR-TTDデシメータ300は、キャプチャされた帯域幅内でチャネル選択を提供する。例えば、所望のレート信号312は、キャプチャされる帯域幅を変更するために入力信号がどの程度デシメートされるか(例えば、1/2、1/4など)を指示するように構成され得、チャネル選択により、どのデシメーション部分が処理されるかを識別できる。例示的な実施形態において、この設計で実装されたVR-TTDデシメータ300は、大きな使用可能な帯域幅を提供する。
【0052】
例示的な実施形態において、VR-TTDデシメータ300は、並列再利用可能なブロックとしてハードウェアに実装され、乗算器は、複数のビームで同じフィルタブロックを使用するためにオーバークロックすることができる。ビームの帯域幅が減少するため、VR-TTDデシメータ300は、より多くのビームをサポートするために、オーバークロックする(より頻繁に再利用する)ことができる。あるいは、ビームの帯域幅が増加するため、VR-TTDデシメータ300は、電力を節約するためにアンダークロックする(使用頻度を下げる)ことができる。例示的な実施形態において、VR-TTDデシメータ300は、過渡応答が低い遅いターゲットを追跡するために使用することができ、又は過渡があまり問題にならない複数のターゲットの間をホッピングするために使用することができる。いくつかの実施形態において、システム200の複数のインスタンスは、一意に配置された複数の送信元からの信号の受信を可能にするために(例えば、より大きなシステム全体内で)使用され得る。例えば、第1のデジタルビームフォーマ270を備える第1のシステム200では、信号は、1つの衛星から受信することができる。しかしながら、10個のそれぞれのデジタルビームフォーマ270を有する10個のシステム200を使用するより大きなシステム全体は、10個の衛星から信号を受信し、これらの信号を並行して処理することができる。いくつかの実施形態において、これらのシステム200のVR-TTDデシメータ(より大きなシステム全体で多数のシステム200が使用されるとき)は、より大きなシステム全体のコスト及びサイズを削減するために、オーバークロックされ、システム200間で共有され得る。複数のデジタルビームフォーマが存在し、それらの間で成分を共有すると、コスト及びサイズが下がる一方で、より大きなシステム全体が複数のミッションを果たすことを可能にする。
【0053】
利益、他の利点、及び問題の解決策は、特定の実施形態に関して上記で説明された。しかし、利益、利点、問題の解決策、及び任意の利益、利点、又は解決策を発生させるか、又はより顕著にする可能性のある任意の要素(複数可)は、請求項のいずれか又は全ての重要な、必要な、又は本質的な特徴又は要素として解釈されるべきではない。本明細書で使用されるように、「含む(includes)」、「含む(including)」、「備える(comprises)」、「備える(comprising)」、又は任意の他の変形形態は、要素のリストを備えるプロセス、方法、物品、又は装置が、それらの要素のみを含むのではなく、そのようなプロセス、方法、物品、又は装置に明示的に列挙されもせず、固有でもない他の要素を含み得るように、非排他的な包括を網羅することを意図する。更に、本明細書に記載される要素は、「必須」又は「重要」と明示的に記載されない限り、本発明の実施に必要なものではない。
【手続補正書】
【提出日】2023-12-12
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
システムであって、
出力信号を提供するビームフォーマと、
複数の経路であって、前記複数の経路の各経路は、アンテナ素子のアレイのそれぞれのアンテナ素子から入力データ信号を受信するように構成され、前記アンテナ素子のアレイは、リモートソースからRF信号を受信するように構成される、複数の経路とを含み、
前記複数の経路の各経路は、
前記それぞれの入力データ信号を受信するVR-TTDデシメータ入力を有する可変レート実時間遅延(VR-TTD)デシメータを含み、前記それぞれのVR-TTDデシメータは、
それぞれの時間遅延制御信号をそれぞれの数値制御発振器(NCO)で受信し、
それぞれの所望の信号レートに関連付けられたそれぞれの所望のレート制御信号を前記それぞれのNCOで受信し、
前記それぞれの入力データ信号のそれぞれの信号サンプルレートを制御するために、粗いフィルタリング、細かいフィルタリング、及びデシメーションを制御し、
前記それぞれの所望のレート制御信号に基づいて、それぞれの出力サンプルレートを有するそれぞれのデシメートされた出力信号を生成するように構成され、
前記ビームフォーマは、前記複数の経路のそれぞれから前記それぞれのデシメートされた出力信号を受信し、前記それぞれのデシメートされた出力信号に基づいて前記出力信号を生成するように構成され、
前記それぞれのデシメートされた出力信号はそれぞれ、前記可変リアルタイム調整可能な所望のレート制御信号のそれぞれに基づいて、前記それぞれのVR-TTDデシメータの各々をリアルタイムで制御するために任意のサンプルレートでビームフォーミングできるようにリアルタイムで調整できる可変実時間遅延及び可変出力サンプルレートを有する、システム。
【請求項2】
各経路は、
前記それぞれの入力データ信号を受信し、それぞれのI信号及びQ信号を生成するI/Q変換器と、
前記I/Q変換器から前記それぞれのI信号及びQ信号を受信し、それぞれのデジタルI信号及びQ信号を出力するデジタル周波数変換器とを更に含み、
前記それぞれのVR-TTDデシメータ入力は、前記それぞれのデジタルI信号を受信するためのそれぞれのI信号入力と、前記それぞれのデジタルQ信号を受信するためのそれぞれQ信号入力とを含み、
前記それぞれのVR-TTDデシメータは、前記それぞれのデジタルI信号及びQ信号にそれぞれ基づいて、前記それぞれのデシメートされた出力信号として、それぞれのデシメートされたI信号及びQ信号を生成するように構成される、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記各VR-TTDデシメータはマルチレートデシメーションフィルタである、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記各VR-TTDデシメータは、
前記それぞれの時間遅延制御信号及び前記それぞれの所望のレート制御信号を受信し、それぞれの出力サンプル時間信号を提供する前記それぞれの数値制御発振器(NCO)と、
前記それぞれの出力サンプル時間信号に基づいて複数の係数を提供するためのルックアップテーブル(LUT)であって、前記複数の係数は、細かい時間遅延を実装し、複数のそれぞれの調整済み信号を生成するために、前記それぞれの入力データ信号によって乗算される、ルックアップテーブル(LUT)と、
粗い遅延信号に基づいて前記複数の調整済み信号を提供する粗い遅延インデックスセレクタと、
前記複数の調整済み信号のそれぞれを前記アキュムレータシフトレジスタのアレイのそれぞれのシフトレジスタで受信し、前記複数の調整済み信号を蓄積して、前記それぞれのデシメートされた出力信号を生成するアキュムレータシフトレジスタのアレイとを更に含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
前記それぞれのVR-TTDデシメータは、前記それぞれの時間遅延制御信号及び前記それぞれの所望のレート制御信号を生成するためのコントローラを更に含む、請求項4に記載のシステム。
【請求項6】
前記それぞれの入力データ信号は、位相シフタを有さない単一のそれぞれのVR-TTDデシメータ成分においてフィルタリングされ、デシメートされる、請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
前記NCO、前記LUT、前記粗い遅延インデックスセレクタ、及び前記アキュムレータシフトレジスタのアレイは、単一のそれぞれのVR-TTDデシメータ成分において粗い時間遅延、細かい時間遅延、及びフィルタリングを共同で提供する、請求項4に記載のシステム。
【請求項8】
前記NCOは、時間と共に遅延値の間を補間し、過渡効果を自動的に平滑化する、請求項4に記載のシステム。
【請求項9】
前記ルックアップテーブルは、高分解能のsinc関数を記憶する、請求項4に記載のシステム。
【請求項10】
可変リアルタイム調整可能な所望の信号レートに基づいて、VR-TTDデシメータをリアルタイムで制御するために、入力データ信号を受信し、出力デシメート信号を提供する可変レート実時間遅延(VR-TTD)デシメータであって、前記VR-TTDデシメータは、
前記入力データ信号を受信するVR-TTDデシメータ入力と、
前記出力デシメート信号を出力するVR-TTDデシメータ出力と、
時間遅延制御信号及び所望のレート制御信号を受信し、前記時間遅延制御信号及び前記所望のレート制御信号に基づいて、前記入力データ信号の粗いフィルタリング、細かいフィルタリング及びデシメーションを制御する数値制御発振器(NCO)と、
前記所望のレート制御信号に基づいて、レートを有する出力デシメート信号を生成するためのアキュムレータであって、前記アキュムレータは、前記NCOにより制御された複数のシフトレジスタを含む、アキュムレータとを含む、可変レート実時間遅延(VR-TTD)デシメータ。
【請求項11】
前記NCOは、出力サンプル時間信号、粗い遅延信号、及び出力サンプルイネーブル信号を生成し、前記VR-TTDデシメータは、
前記出力サンプル時間信号に基づいて複数のシンボル係数を提供するルックアップテーブルであって、前記複数のシンボル係数は、それぞれの調整済み信号を生成するために前記入力データ信号によって乗算される、ルックアップテーブルと、
前記それぞれの調整済み信号を提供するために前記アキュムレータの前記複数のシフトレジスタのそれぞれを選択する粗い遅延インデックスセレクタとを更に含む、請求項10に記載のVR-TTDデシメータ。
【請求項12】
前記NCOに前記時間遅延制御信号及び前記所望のレート信号を提供するコントローラであって、前記NCOは、前記時間遅延制御信号に基づいて前記出力サンプル時間信号を生成するように構成された、コントローラを更に含む、請求項11に記載のVR-TTDデシメータ。
【請求項13】
前記VR-TTDデシメータはマルチレートデシメーションフィルタである、請求項10に記載のVR-TTDデシメータ。
【請求項14】
前記VR-TTDデシメータは、位相シフタなしでフィルタリングするように構成される、請求項10に記載のVR-TTDデシメータ。
【請求項15】
前記ルックアップテーブル、前記粗い遅延インデックスセレクタ、前記アキュムレータ、及び前記NCOは、粗い時間遅延、細かい時間遅延、及びフィルタリングを共同で提供する、請求項11に記載のVR-TTDデシメータ。
【請求項16】
前記数値制御発振器は、時間と共に遅延値の間を補間し、過渡効果を自動的に平滑化する、請求項10に記載のVR-TTDデシメータ。
【請求項17】
可変リアルタイム調整可能な所望のレート制御信号に基づいて、VR-TTDデシメータをリアルタイムで制御するための可変レート実時間遅延(VR-TTD)フィルタリングを提供する方法であって、前記方法は、
入力データ信号を受信するステップと、
時間遅延制御信号及び所望のレート制御信号を数値制御発振器(NCO)で受信するステップと、
出力サンプル時間信号、粗い遅延信号、及び出力サンプルイネーブル信号を前記NCOで生成するステップと、
デシメータ出力信号をアキュムレータで蓄積するステップであって、前記デシメータ出力信号は、前記NCOからの前記出力サンプル時間信号、前記粗い遅延信号、及び前記出力サンプルイネーブル信号に基づいて前記入力データ信号の細かい遅延、粗い遅延及びフィルタリングを含み、前記デシメータ出力信号は、前記所望のレート制御信号に基づくレートを有する、蓄積するステップと、を含む方法。
【請求項18】
前記出力サンプル時間信号に基づいてルックアップテーブル(LUT)内の複数のシンボル係数をルックアップするステップと、
それぞれの調整済み信号を生成するために、前記入力データ信号に前記それぞれのシンボル係数を乗算するステップと、
粗い遅延インデックスセレクタで、前記粗い遅延信号に基づいて、前記それぞれの調整済み信号を選択して前記アキュムレータのそれぞれのシフトレジスタに提供するステップと、
前記出力サンプルイネーブル信号に基づいて、前記アキュムレータの前記それぞれのシフトレジスタに提供されたそれらの信号を前記デシメータ出力信号に加算するステップとを含む、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記時間遅延制御信号をコントローラで生成するステップと、
前記所望のレート制御信号を前記コントローラで生成するステップとを更に含む請求項18に記載の方法。
【国際調査報告】