(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-12-26
(54)【発明の名称】自動車用ロック、特に、自動車ドア用ロック
(51)【国際特許分類】
E05B 79/10 20140101AFI20241219BHJP
E05B 77/26 20140101ALI20241219BHJP
E05B 81/16 20140101ALI20241219BHJP
B60J 5/00 20060101ALI20241219BHJP
【FI】
E05B79/10
E05B77/26
E05B81/16
B60J5/00 M
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024533854
(86)(22)【出願日】2022-12-01
(85)【翻訳文提出日】2024-06-27
(86)【国際出願番号】 EP2022084008
(87)【国際公開番号】W WO2023110421
(87)【国際公開日】2023-06-22
(31)【優先権主張番号】102021133209.5
(32)【優先日】2021-12-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】510222604
【氏名又は名称】キーケルト アクツィーエンゲゼルシャフト
(74)【代理人】
【識別番号】100107456
【氏名又は名称】池田 成人
(74)【代理人】
【識別番号】100162352
【氏名又は名称】酒巻 順一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100123995
【氏名又は名称】野田 雅一
(72)【発明者】
【氏名】シュテッフェン, トビアス
【テーマコード(参考)】
2E250
【Fターム(参考)】
2E250AA21
2E250HH01
2E250JJ37
2E250LL01
2E250QQ02
2E250QQ04
(57)【要約】
本発明は、少なくとも1つの解除レバー(2)と1つの作動レバー(4)とを有する作動レバーチェーン(2,4)を備えた自動車用ロック、特に自動車ドア用ロックに関する。また、「固定された」位置において、作動レバー(4)を解除レバー(2)から機械的に分離し、「固定されていない」位置において、2つのレバー(2、4)を互いに機械的に結合する固定装置(5、6、7)も実装される。本発明によれば、固定装置(5,6,7)は、作動レバー(4)に支持され、主に直線的に移動可能であり、作動レバー(4)を解除レバー(2)から/に選択的に機械的に結合解除/結合するための結合スライド(5)を有する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの解除レバー(2)と1つの作動レバー(4)とを有する作動レバーチェーン(2,4)と、「固定された」位置において、前記作動レバー(4)を前記解除レバー(2)から機械的に結合解除し、「固定されていない」位置において、2つのレバー(2,4)を互いに機械的に結合する固定装置(5,6,7)と、を有する自動車用ロック、特に自動車ドア用ロックであって、
前記固定装置(5,6,7)が、前記作動レバー(4)を前記解除レバー(2)から/に選択的に機械的に結合解除/結合するために、前記作動レバー(4)に支持され、主に直線的に移動可能な結合スライド(5)を有することを特徴とする、自動車用ロック。
【請求項2】
前記結合スライド(5)は、前記固定装置(5,6,7)の別の構成部品としての固定レバー(6)を用いて作用させることができることを特徴とする、請求項1に記載の自動車用ロック。
【請求項3】
前記結合スライド(5)がバネ(11)を用いて、その「係合」位置の方向に作用することを特徴とする、請求項1又は2に記載の自動車用ロック。
【請求項4】
その「固定された」位置において、前記固定レバー(6)が、その「係合解除された」位置への前記バネ(11)の力に抗して前記結合スライド(5)に作用することを特徴とする、請求項2又は3に記載の自動車用ロック。
【請求項5】
前記結合スライド(5)は、前記作動レバー(4)の凹部(4a)に案内されていることを特徴とする、請求項1~4のいずれか一項に記載の自動車用ロック。
【請求項6】
前記結合スライド(5)は、前記作動レバー(4)上のガイド要素(4b)が貫通する長手方向孔(5a)を有することを特徴とする、請求項1~5のいずれか一項に記載の自動車用ロック。
【請求項7】
前記固定レバー(6)は、電動駆動装置(8)を介して軸(10)を中心に旋回可能に設計されていることを特徴とする、請求項1~6のいずれか一項に記載の自動車用ロック。
【請求項8】
前記固定レバー(6)には、その位置を監視するセンサ(7)、特に、マイクロスイッチ(7)が割り当てられていることを特徴とする、請求項1~7のいずれか一項に記載の自動車用ロック。
【請求項9】
前記センサ(7)は、前記電動駆動装置(8)と共に制御ユニット(9)に接続されていることを特徴とする、請求項8に記載の自動車用ロック。
【請求項10】
前記制御ユニット(9)は、必要に応じて、前記電動駆動装置(8)、従って前記固定レバー(6)を解除し、それが作用すると、前記作動レバー(4)が、固定された前記固定レバー(6)を旋回させ、それによって前記結合スライド(5)を「係合」させることを特徴とする、請求項9に記載の自動車用ロック。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[0001]本発明は、少なくとも1つの解除レバーおよび1つの作動レバーを有する作動レバーチェーンと、「固定された」位置において作動レバーを解除レバーから機械的に結合解除し、「固定されていない」位置において2つのレバーを互いに機械的に結合する固定装置とを有する自動車用ロック、特に自動車ドア用ロックに関する。
【0002】
[0002]従って、その「固定された」位置において、固定装置は、作動レバーチェーンが中断されることを確実にし、その結果、作動レバーは、作動レバーチェーンの端部に設けられた実質的にキャッチ部及び爪部からなる閉鎖されたロック機構に作用することができない。これは、作動レバーチェーンが作用しても、機械的に開放または切断された作動レバーチェーンを介して当該ロック機構を開放することができないことを意味する。一方、固定装置がその「固定されていない」機能位置をとる場合、問題の作動レバーチェーンは閉鎖され、端部に設けられたロック機構を開放することができる。この目的のために、解除レバーは、通常、ロック機構の構成部品として爪部に作用し、爪部がキャッチ部との係合から持ち上げられることを保証する。次に、キャッチ部はバネの助けを借りて開放し、以前に捕捉されたロックピンを解除する。関連する自動車ドア用ロックおよび自動車ドアも開放することができる。
【0003】
[0003]本出願人の欧州特許出願EP 1 319 781 A2による例としてここに記載された一般的なタイプの自動車用ロックの場合、詳細な手順は、固定装置がチャイルド安全装置として設計されるようなものである。この目的のために、チャイルド安全装置は制御レバーに働き、制御レバーは、その係合位置において、作動レバーがトリガされたときにロックレバーを伴出し、その係合解除位置において、ロックレバーを作動レバーの運動から結合解除する。チャイルド安全装置自体は、この目的のために偏心器およびピンを有し、通常、手動で旋回可能である。
【0004】
[0004]しかしながら、利便性の理由から、このような固定装置、特にチャイルド安全装置は、ますます電動駆動装置を装備するようになってきている。実際には、これは、一方では「固定された」、他方では「固定されていない」という意味での異なる位置を実現し実施するために、関連する電動駆動装置がチャイルド安全装置全体に作用しなければならないという問題をしばしば提起する。これは、次に、多くの場合、電動駆動装置の比較的拡張的な設計をもたらし、また、コストを増加させる。本発明は全体としてこれを改善しようとするものである。
【発明の概要】
【0005】
[0005]本発明は、そのような自動車用ロック、特に自動車ドア用ロックを、労力及び製造コストが低減されるように更に開発するという技術的目的に基づいている。
【0006】
[0006]この技術的目的を達成するために、一般的な自動車ロック、特に、自動車ドア用ロックは、本発明の範囲内で、固定装置が、作動レバーに支持され、主に直線的に移動可能であり、作動レバーを解除レバーから/に選択的に機械的に結合解除/結合するための結合スライドを有することを特徴とする。
【0007】
[0007]別の有利な実施形態において、結合スライドは、固定装置の別の構成部品として、固定レバーの助けを借りて作用することができる。加えて、結合スライドは、バネの助けを借りて、その「係合」位置の方向にも作用する。その結果、その「固定された」位置において、固定レバーは、その「係合解除された」位置への前述のバネの力に抗して結合スライドに作用する。最後に、これに関連して、設計は、固定レバーが電動駆動装置を介して軸を中心に旋回可能に設計されるようなものである。
【0008】
[0008]本発明の範囲では、固定装置の構成部品としての固定レバーは、有利には、電動駆動装置によって制御され、その軸を中心に旋回することができる。原理的には、固定レバーの手動操作および制御ももちろん考えられ、本発明に包含される。電動駆動装置を使用することにより、固定装置は、たとえば、ダッシュボードから遠隔で容易に作用させることができる。
【0009】
[0009]固定装置は、一般に、チャイルド安全装置、すなわち、自動車の後方側部扉に典型的に使用される固定装置である。電動駆動装置を使用して固定レバーに作用させることにより、固定装置またはチャイルド安全装置は、ダッシュボード上のスイッチまたは対応するメニュー制御装置を使用して、運転者または乗員が容易にオン/オフを切り換えることができる。これにより、動作が容易になり、特に便利である。
【0010】
[0010]本発明のさらなる利点は、固定レバーをその軸を中心に旋回させるための電動駆動装置を、特に簡単かつコンパクトな方法で実現し、実装することができ、したがってコスト効率が良いことである。これは、電動駆動装置と固定レバーの助けを借りて、固定装置の「固定された」位置では、それに割り当てられたバネの力に抗して結合スライドに作用してその「結合解除された」位置になるか、または「固定された」位置がとられる間、それをこの「結合解除された」位置に保持することだけが必要だからである。
【0011】
[0011]この「結合解除」位置にある固定レバーに電動駆動装置が作用しなくなる(または作用しなくなる)とすぐに、問題のバネは、その助けを借りて、結合レバーがその「係合」位置の方向に作用することを保証する。その結果、結合スライドは、その「結合解除」位置に容易にかつ僅かな力で電動駆動装置によって保持することができ、結合スライドがもはや固定レバーによって作用されなくなると、バネの力によって支持されて、その「係合」位置に自動的に戻る。
【0012】
[0012]この手順はまた、いわゆる「オーバーライド」機能を実現し、実装する可能性を開く。換言すれば、この場合、作動レバーの単一の行程は、自動車用ロックをロック解除し且つ開放するのに十分である。作動レバーの問題の行程は、固定レバーがもはや電動駆動装置によって作用されないという事実に対応することができ、その結果、結合スライドはバネの力によって「係合」位置に移動する。この「係合」位置において、作動レバーチェーンが閉鎖されているので、作動レバーのこの単一の行程の間に、係合した結合スライドが解除レバーに直ちに作用することができ、解除レバーは、説明したように、爪部をキャッチ部とのラッチ係合から持ち上げる。これらは全て、非常に小さな力で達成され、その結果、労力が軽減され、エネルギ入力が低くなり、特に利点が得られる。
【0013】
[0013]別の有利な実施形態において、結合スライドは、通常、作動レバーの凹部内に案内される。さらに、結合スライドは、作動レバー上のガイド要素が通過する長手方向孔を有することが有利である。一方の凹部と他方の長手方向孔との接合設計は、結合スライドが作動レバーによって支持されるだけでなく、上述したように、作動レバーに対して主に直線的に移動可能であることを保証する。作動レバーの凹部は、結合スライドを案内し、結合スライドは、結合スライドの長手方向孔を貫通して係合する作動レバーのガイド要素によって更に支持される。
【0014】
[0014]固定レバーは、電動駆動装置に結合されるだけでなく、通常、その位置を監視するセンサを有することが有利である。センサはスイッチ、特にマイクロスイッチとすることができる。また、通常、センサと電動駆動装置は共通の制御ユニットに接続されるように設計されている。制御ユニットの助けを借りて、電動駆動装置、従って固定レバーを有利に作用させることができる。加えて、制御装置は、「固定装置オン」または「固定装置オフ」という意味で、固定装置に関する任意の動作コマンドを実装し、実現することができる。
【0015】
[0015]特定の実施例において、所望の「固定装置オン」または「チャイルド安全ロックオン」機能位置は、電動駆動装置に作用する制御ユニットに対応し、電動駆動装置は、次に、作動レバー上の結合スライドが、旋回する固定レバーの助けを借りてバネの力に抗して作用され、結合スライドがその「係合解除」位置をとるように、固定レバーをその軸の周りに旋回させる。したがって、作動レバーのいかなる作動も、解除レバーに対するアイドリング運動に対応し、したがって、閉鎖されたロック機構にも対応する。したがって、このロック機構は開放することができない。
【0016】
[0016]一方、「固定装置オフ」または「チャイルド安全ロックオフ」機能位置が実現され、実装される場合、制御ユニットは、電動駆動装置が固定レバーを旋回させない(または、もはや旋回させない)ことを保証する。これは、固定レバーがその初期位置または静止位置に戻ることを意味し、これは、固定レバーの位置を監視するセンサを使用して検証することができる。この結果、その「係合」位置の方向に結合スライドに作用するバネは、作動レバーチェーンが閉鎖されることを確実にし、従って、作動レバーに対する対応する作用は、上述したような所望のロック機構の開放に直ちに変換される。言い換えれば、制御ユニットは、必要に応じて、電動駆動装置、したがって固定レバーを解除することができ、その結果、作動レバーが作用されると、作動レバーは、結合スライドを介して固定された固定レバーを旋回させ、それによって結合スライドを「係合」するだけでなく、このようにして生産され閉鎖された作動レバーチェーンによって、ロック機構を一度に開放することもできる。これは、上述の「オーバーライド」機能の意味で、「ロック解除」および「開放」機能位置を一度に実現し、実装することができることを意味する。これは特に便利であり、また、従来技術と比較して、少ない設計努力で、かつ、電動駆動装置に電力を供給するためのエネルギ消費を低減して実現することができる。
【0017】
[0017]さらに、電動駆動装置への電気エネルギの供給が絶えた場合、固定レバーは、通常、結合スライドに割り当てられたバネの力に抗して結合スライドをその「係合解除」位置に保持することができない(または最早できない)。これは、結合スライドが(自動的に)「係合」位置に移動し、作動レバー及び係合された結合スライドが、結果として閉鎖される作動レバーチェーンを介してロック機構に作用するために使用されることができるので、電動駆動装置のいかなる故障も容易に制御することができることを意味する。
【0018】
[0018]作動レバーチェーンは、チャイルド安全装置を実装する場合には、内部作動レバーチェーンとして設計されることが理解される。したがって、外部作動レバーチェーンおよびその機能は影響を受けない。これらが主な利点である。
【0019】
[0019]以下、例示的な実施形態のみを示す図面を用いて、より詳細に本発明を説明する。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】
図1は、作動レバーが「固定装置オフ」位置で作用されたときの本発明による自動車ロックを示す。
【
図2】
図2は、作動レバーが「固定装置オフ」位置で作用されたときの本発明による自動車ロックを示す。
【
図3】
図3は、作動レバーが「固定装置オフ」位置で作用されたときの本発明による自動車ロックを示す。
【
図4】
図4は、作動レバーが「固定装置オフ」位置で作用されたときの本発明による自動車ロックを示す。
【
図5】
図5は、「固定装置オン」機能位置における自動車用ロックの動作を示す。
【
図6】
図6は、「固定装置オン」機能位置における自動車用ロックの動作を示す。
【
図7】
図7は、休止位置における固定装置の作動を示す。
【
図8】
図8は、休止位置における固定装置の作動を示す。
【発明の詳細な説明】
【0021】
[0020]図面は、自動車ドア用ロックに限定されない自動車用ロックを示す。このロックは、実質的にキャッチ部と爪部とからなる、
図1に表示されているだけのロック機構1を有する。
図1に示す機能位置において、ロック機構1は閉鎖された状態にある。この場合、爪部はキャッチ部とラッチ係合している。ロック機構1を開放するために、解除レバー2は、
図1および
図2からさらに
図3への移行に見られるように、その軸3を中心に時計回りに旋回されなければならない。
図3に示す機能位置において、ロック機構1は開放されており、すなわち、爪部は解除レバー2によってキャッチ部とのラッチ係合から持ち上げられている。次に、キャッチ部はバネの助けを借りて開放され、以前に捕捉されたロック用ピンを解除する。ロック機構1とそれに伴う自動車用ロック全体および関連する自動車用ドアが開放される。
【0022】
[0021]図示の自動車用ロックの基本構造は、少なくとも解除レバー2と作動レバー4とを装備した作動レバーチェーン2,4を備える。また、「固定された」位置において作動レバー4を解除レバー2から機械的に結合解除し、「固定されない」位置において2つのレバー2、4を互いに機械的に結合する固定装置5、6、7も実施される。
【0023】
[0022]この目的のために、固定装置5,6,7は、作動レバー4上に支持され、主に直線的に移動可能な結合スライド5を有する。結合スライド5は、以下により詳細に説明するように、作動レバー4を解除レバー2から/に機械的に結合解除/結合するために使用することができる。この目的のために、結合スライド5は、固定装置5、6、7、特に固定装置5、6、7の構成部品としての固定レバー6の助けを借りて作用させることができる。結合スライド5および固定レバー6に加えて、固定装置5,6,7は、固定レバー6の位置を監視するセンサ7も有する。例示的な実施形態によれば、センサ7はスイッチであり、特にマイクロスイッチ7である。
【0024】
[0023]さらに、特に
図1と
図7の比較図は、固定レバー6がその軸10を中心に旋回することができる電動駆動装置8も設けられていることを示している。この目的のために、電動駆動装置8は、固定レバー6をその軸10を中心に反時計回りおよび時計回りの方向に旋回させることができるスライドまたは調整スライドを有する。たとえば、
図8への移行において
図7の機能位置から開始する固定レバー6の軸10を中心とした旋回運動は、
図8に示されるように、固定装置5,6,7が
図7の「オフ」機能位置から固定装置5,6,7の「オン」機能位置に移動することに対応する。固定装置5,6,7を
図8内の機能位置から再びオフに切り換えるためには、本実施形態に係る電動駆動装置8をオフに切り換えればよい。次いで、固定レバー6は、
図7に示されるように、(バネの助けを借りて)その「オフ」位置に戻る。
【0025】
[0024]センサまたはマイクロスイッチ7と同様に、電動駆動装置8は、共通の制御ユニット9に接続される。その結果、制御ユニット9は、固定レバー6の位置、すなわちセンサ7が作用するか否かに応じて、電動駆動装置8を制御することができる。固定レバー6の位置、たとえば、
図7による休止位置であって、電動駆動装置8の助けを借りて作用されない位置は、固定装置5,6,7が全体として「オフ」機能位置をとるという事実に対応することが分かる。これとは対照的に、
図8による固定装置5,6,7の「オン」機能位置は、電動駆動装置8が軸10を中心に固定レバー6を時計回りに旋回させ、固定レバー6が結合スライド5と接触して「係合されない」位置に移動させることに対応する。同時に、
図7および
図8の2つの拡大された個々の図が明確に示すように、センサ7が作用される。
【0026】
[0025]結合スライド5は、作動レバー4に対してほぼ直線に移動可能に支持されている。さらに、単に表示されているバネ11は、結合スライド5が
図1から
図4に示された「係合された」位置の方向に作用することを確実にする。結合スライド5が固定レバー6の助けによりバネ11の力に抗して作用されるとすぐに、結合スライド5は、
図5および
図6に示されるように、その「係合解除」位置に移動する。これは、たとえば、
図7から
図8への移行に見られるように、固定レバー6及びそれと共に固定装置5、6、7全体が「固定された」又は「オン」の機能位置をとるという事実に対応する。
【0027】
[0026]結合スライド5は、その全体が作動レバー4の凹部4a内に案内されていることが分かる。また、結合スライド5自体にも長手方向孔5aが装備されている。これに関連して、設計はさらに、結合スライド5がガイド要素4bの助けを借りて作動レバー4上の所定の位置に保持されるようになっている。この目的のために、作動レバー4上のガイド要素4bは、結合スライド5上の前述の長手方向孔5aを貫通する。さらに、作動レバー4上の問題のガイド要素4bは、問題の長手方向孔5aの上方で係合する。
【0028】
[0027]ここで、制御ユニット9は、必要に応じて電動駆動装置8、ひいては固定レバー6を解除するか、または解除することができるように構成されている。この場合、作動レバー4が作動されると、まず、前に固定された固定レバー6が旋回されることを確実にする。これにより、結合スライド5が「係合」し、作動レバー4が移動し続けると、係合した結合スライド5は最終的に解除レバー2に作用して、解除レバー2がその軸3を中心に時計回りの運動を行い、ロック機構1を開放する。これには、「オーバーライド」アクションが含まれる。これは、固定装置5,6,7が作動レバー4の(単一の)行程によって最初に「固定されず」、同時にロック機構1が解除レバー2を介して開放されることを意味する。
【0029】
[0028]動作モードは次のとおりである。
図1から
図4は、まず、作動レバー4の助けを借りて、すなわち、固定装置5、6、7の「固定されていない」位置での自動車用ロックの作動を示す。これには、結合スライド5の「係合された」機能位置を含む。この機能位置において、
図1から
図2への移行に見られるように、作動レバー4が作用してロック機構を開放する場合、これは作動レバー4の軸4bを中心とした、すなわち反時計回りの旋回運動に相当する。実際には、作動レバー4の当該軸4bは、ガイド要素4bによって画定される。これは、
図1から
図2への移行において見られ、作動レバー4は、そこに示された反時計回り方向に、問題の軸4bを中心とした旋回運動を完了している。
【0030】
[0029]作動レバー4がその軸4bを中心に反時計回りに旋回運動することは、
図1から
図2へ、さらに
図3への移行中に、結合スライド5が停止ラグ5bと共に解除レバー2の延長アーム2aに対して移動することができることを意味し、このようにして、特に
図2と
図3の一連の図から理解することができるように、解除レバー2がその軸3を中心に時計回りに運動することを確実にする。解除レバー2が軸3を中心に時計回りに運動することにより、解除レバー2の解除アーム2bが閉鎖されたロック機構1に作用して、キャッチ部と係合している爪部が係合状態から持ち上げられる。キャッチ部はバネの助けを借りて開放し、ロックピンが解除され、自動車用ロックとそれに関連する自動車ドアが開放される。
【0031】
[0030]
図3による図のロック機構1のこの開放された状態から出発して、作動レバー4がその軸4bを中心に反時計回り方向にもはや作用されないという事実は、作動レバー4が
図4に示されたその静止位置に戻される結果となる。これは、
図4に示された休止位置の方向に作動レバー4に作用するバネ(明示的には示されていない)によって確保することができる。
【0032】
[0031]
図4から
図5への移行において、
図4に示す休止状態において、固定装置5,6,7が作用していることが分かる。これは、主に
図7および
図8に示された電動駆動装置8の助けを借りて、固定レバー6がその軸10を中心に時計回りに旋回されたという事実に対応する。これは連続した
図4と
図5を見れば最もよく理解できる。固定レバー6が軸10を中心に時計回りに旋回することにより、固定レバー6は、このプロセス中に結合スライド5の停止ラグ5bに係合し、最終的には結合スライド5の外形部5cに当接する。
【0033】
[0032]
図5の休止位置から出発して、作動レバー4がその軸4bを中心に反時計回り方向に再び作用される場合、これは、結合スライド5の停止ラグ5bが解除レバー2の延長アーム2aと係合することができない(またはもはや係合することができない)という事実に対応する。これは、軸10を中心に時計回りに旋回される固定レバー6が、
図4から
図5への移行中に、バネ11の力に抗して、かつ例示的な実施形態において「右へ」結合スライド5を移動させたためである。固定レバー6がその「オン」機能位置をとり、その結果、
図5~
図6に示すように、固定装置5、6、7もその「オン」機能位置をとるとすぐに、センサまたはマイクロスイッチ7は、固定レバー6によって同時に作用される。これは、
図5から
図7までの拡大された詳細な図から最もよく理解することができる。いずれにしても、
図5から
図6への移行中の作動レバー4の開放運動は、閉鎖されたロック機構1に作用しないという全体的な効果を有する。これは、作動レバーチェーン2、4がロック機構1に対してアイドリング行程を行うことを意味する。この移動が終了し、作動レバー4が作用しなくなると、
図7に示すように、作動レバー4はその静止位置に戻る。
【0034】
[0033]
図7の機能位置から分かるように、この場合、固定装置5,6,7は「オフ」位置をとっているが、
図8では、固定装置5,6,7は「オン」機能位置で示されている。この結果、結合スライド5は、
図7の「係合された」位置から
図8の「係合されない」機能位置に、またその逆に動かされる。
【0035】
[0034]言い換えれば、
図8および固定装置5,6,7の「オン」機能位置において、電動駆動装置8は、固定レバー6がそこに示された位置をとることを確実にし、そうすることによって、バネ11の力に抗して結合スライド5に作用して、
図8に示された右端位置になる。固定装置5, 6, 7のこの「オン」機能位置から始めて、制御ユニット9が電動駆動装置8に作用しなくなるとすぐに、電動駆動装置8は必要に応じて固定レバー6を解除する。ここで、固定レバー6は、
図7に示されるような固定レバー6の機能位置に達するまで、結合スライド5に作用するバネ11の助けを借りて、
図8の機能位置からその軸10を中心に反時計回りに旋回可能である。これは、固定装置5、6、7の「オフ」位置および結合スライド5の「係合される」状態に対応する。
図8内の機能位置から
図7への移行は、作動レバー4がその軸4bを中心に反時計回り方向に作用することによって電動駆動装置8が作用しなくなったときにも簡単に行うことができる。
【符号の説明】
【0036】
1…ロック機構、
2…解除レバー、
2a…延長アーム、
2b…解除アーム、
3…軸、
4…作動レバー、
4a…凹部、
4b…ガイド要素/軸、
2,4…作動レバーチェーン、
5…結合スライド、
5a…長手方向孔、
5b…停止ラグ、
5c…外形部、
6…固定レバー、
7…センサ、マイクロスイッチ、
5,6,7…固定装置、
8…電動駆動装置、
9…制御ユニット、
10…軸、
11…バネ。
【手続補正書】
【提出日】2024-08-06
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの解除レバー(2)と1つの作動レバー(4)とを有する作動レバーチェーン(2,4)と、「固定された」位置において、前記作動レバー(4)を前記解除レバー(2)から機械的に結合解除し、「固定されていない」位置において、2つのレバー(2,4)を互いに機械的に結合する固定装置(5,6,7)と、を有する自動車用ロック、特に自動車ドア用ロックであって、
前記固定装置(5,6,7)が、前記作動レバー(4)を前記解除レバー(2)から/に選択的に機械的に結合解除/結合するために、前記作動レバー(4)に支持され、主に直線的に移動可能な結合スライド(5)を有することを特徴とする、自動車用ロック。
【請求項2】
前記結合スライド(5)は、前記固定装置(5,6,7)の別の構成部品としての固定レバー(6)を用いて作用させることができることを特徴とする、請求項1に記載の自動車用ロック。
【請求項3】
前記結合スライド(5)がバネ(11)を用いて、その「係合」位置の方向に作用することを特徴とする、請求項2に記載の自動車用ロック。
【請求項4】
その「固定された」位置において、前記固定レバー(6)が、その「係合解除された」位置への前記バネ(11)の力に抗して前記結合スライド(5)に作用することを特徴とする、請求項3に記載の自動車用ロック。
【請求項5】
前記結合スライド(5)は、前記作動レバー(4)の凹部(4a)に案内されていることを特徴とする、請求項
4に記載の自動車用ロック。
【請求項6】
前記結合スライド(5)は、前記作動レバー(4)上のガイド要素(4b)が貫通する長手方向孔(5a)を有することを特徴とする、請求項
5に記載の自動車用ロック。
【請求項7】
前記固定レバー(6)は、電動駆動装置(8)を介して軸(10)を中心に旋回可能に設計されていることを特徴とする、請求項
6に記載の自動車用ロック。
【請求項8】
前記固定レバー(6)には、その位置を監視するセンサ(7)、特に、マイクロスイッチ(7)が割り当てられていることを特徴とする、請求項
7に記載の自動車用ロック。
【請求項9】
前記センサ(7)は、前記電動駆動装置(8)と共に制御ユニット(9)に接続されていることを特徴とする、請求項8に記載の自動車用ロック。
【請求項10】
前記制御ユニット(9)は、必要に応じて、前記電動駆動装置(8)、従って前記固定レバー(6)を解除し、それが作用すると、前記作動レバー(4)が、固定された前記固定レバー(6)を旋回させ、それによって前記結合スライド(5)を「係合」させることを特徴とする、請求項9に記載の自動車用ロック。
【国際調査報告】