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特表2024-546666集積装置を備えた3次元形状モジュール及び方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-12-26
(54)【発明の名称】集積装置を備えた3次元形状モジュール及び方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 25/04 20230101AFI20241219BHJP
   B29C 45/14 20060101ALI20241219BHJP
   B29C 51/12 20060101ALI20241219BHJP
   B29C 51/16 20060101ALI20241219BHJP
   B29C 51/10 20060101ALI20241219BHJP
   H05K 1/03 20060101ALI20241219BHJP
【FI】
H01L25/04 Z
B29C45/14
B29C51/12
B29C51/16
B29C51/10
H05K1/03 610H
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024533903
(86)(22)【出願日】2022-12-05
(85)【翻訳文提出日】2024-06-28
(86)【国際出願番号】 NL2022050699
(87)【国際公開番号】W WO2023106915
(87)【国際公開日】2023-06-15
(31)【優先権主張番号】21212559.5
(32)【優先日】2021-12-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】595115802
【氏名又は名称】ネーデルランセ オルハニサチエ フォール トゥーヘパスト-ナツールウェーテンシャッペルック オンデルズク テーエヌオー
【氏名又は名称原語表記】Nederlandse Organisatie voor toegepast-natuurwetenschappelijk onderzoek TNO
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ハーケマ、ステファン
(72)【発明者】
【氏名】テーニセン、ジャン-ピエール
【テーマコード(参考)】
4F206
4F208
【Fターム(参考)】
4F206AA39
4F206AD05
4F206AD07
4F206AH33
4F206JA07
4F206JB12
4F206JL02
4F208AA19
4F208AA28
4F208AA31
4F208AC03
4F208AD05
4F208AD07
4F208AD08
4F208AD19
4F208AG03
4F208AH33
4F208AH37
4F208AR02
4F208AR12
4F208MA01
4F208MA02
4F208MA03
4F208MB01
4F208MB11
4F208MC01
4F208MC02
4F208MG11
4F208MH06
4F208MJ05
(57)【要約】
本開示の態様は、集積電子装置10を備える熱成形構造電子モジュール1およびその製造方法に関する。モジュールは、熱可塑性キャリア基板3と配線を有する電子装置10とそれらの間にバッファ層とを含む熱成形スタックを提供することと、前記キャリア基板3および前記バッファ層2の可塑化条件で前記スタックを熱成形すること(103)とを含む方法によって製造することができ、前記熱機械的バッファ層2は、熱成形中の前記熱可塑性キャリア基板3の貯蔵弾性率の0.005%~25%、好ましくは0.01~10%、最も好ましくは0.02~2.5%範囲内の貯蔵弾性率を有する熱可塑性組成物を含む。
【選択図】図1B
【特許請求の範囲】
【請求項1】
1つまたは複数の集積電子装置(10)を含む熱成形構造電子モジュール(1)を製造する方法(100)であって、
熱可塑性キャリア基板(3)の面(3b)に沿って熱機械的バッファ層(2)を適用する工程(101)と、
電子配線(11)および前記1つまたは複数の電子装置(10)を前記バッファ層(20p)上に提供して(102)スタック(20p)を形成し、前記電子配線(11)および前記少なくとも1つの電子装置(10)は、前記キャリア基板(3)とは反対側の前記バッファ層(2)の後面(20b)に沿って配置され、続いて、
前記キャリア基板(3)および前記バッファ層(2)の可塑化条件で圧力および熱を加えて金型内において、前記キャリア基板(3)と前記電子装置(10)および対応する電子配線(11)がその上に設けられた前記バッファ層(2)とを備えた前記スタック(20p)を熱成形スタック(20)に熱成形(103)して、および、
前記熱機械的バッファ層(2)は、熱成形中の前記熱可塑性キャリア基板(3)の貯蔵弾性率の0.01%~10%の範囲内である貯蔵弾性率を有する熱可塑性組成物(2m)から構成される。
【請求項2】
前記キャリア基板(3)とは反対側の前記熱成形スタック(20)の後面(20b)に沿って構造支持材料(5m)のバッキング層(5)を設けること(104)をさらに含み、前記バッキング層は、前記1つまたは複数の電子装置(10)および前記対応する電子配線(11)の少なくとも一部を封入する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記スタック(20p)を熱成形するための熱が、前記スタックのキャリア側から主に供給される、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記熱可塑性組成物(2m)が、熱成形中の前記熱可塑性キャリア基板(3)の貯蔵弾性率の0.02~2.5%の範囲内の貯蔵弾性率を有する、先行する請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項5】
前記電子配線(11)は、前記スタックを熱成形する(103)前および熱成形中に、前記バッファ層(2)によってのみ支持される、先行する請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項6】
構造支持材料(5m)の前記バッキング層(5)を提供することが、射出成形型と前記熱成形スタック(20)の後面(20b)との間に画定された空間内に熱可塑性ポリマー組成物を射出成形することを含み、前記熱機械的バッファ層(2)が、熱成形中の熱可塑性キャリア基板(3)の貯蔵弾性率の0.02~2.5%の範囲の弾性率を有する、請求項2~5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
前記方法が、前記熱成形の前に前記熱機械バッファ層(2)をガス抜きすることを含む、先行する請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項8】
熱成形中の前記圧力が30~70バールの範囲であり、熱成形中の前記温度が145~165℃の範囲である、先行する請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項9】
前記方法は、前記バッファ層を適用する前に、配置される前記電子装置のうちの少なくとも1つの位置に従ってグラフィックパターンを画定するグラフィック層(4)を前記キャリア基板(3)の前記面(3b)上に適用すること(106)をさらに含む、先行する請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項10】
構造電子モジュール(1)であって、
熱可塑性キャリア基板(3)、
1つまたは複数の電子装置(10)および対応する電子配線、ならびに、
前記熱可塑性キャリア基板(3)の面(3b)に沿って前記熱可塑性キャリア基板と前記1つまたは複数の電子装置(10)および対応する電子配線(11)との間に配置された熱機械的バッファ層(2)、を備えた熱成形スタック(20)を有し、
前記電子配線(11)および前記1つまたは複数の電子装置(10)は、前記キャリア基板(3)とは反対側の前記バッファ層(2)の後面によって支持され、および、
前記熱機械的バッファ層(2)は、前記熱成形スタック(20)の熱成形温度を包含する温度範囲にわたって前記熱可塑性キャリア基板(3)の貯蔵弾性率(G3)の0.01%~10%の範囲内の貯蔵弾性率(G2)を有する熱可塑性組成物(2m)からなる。
【請求項11】
前記熱可塑性組成物(2m)が、前記熱成形中の前記熱可塑性キャリア基板(3)の貯蔵弾性率の0.02~2.5%の範囲内の貯蔵弾性率を有する、請求項10に記載の構造電子モジュール。
【請求項12】
前記電子配線(11)は、前記バッファ層(2)によってのみ支持される、請求項10または11に記載の構造電子モジュール(1)。
【請求項13】
前記キャリア基板(3)とは反対側の前記熱成形スタックの前記後面(20b)に沿って設けられた構造支持材料(5m)の剛性バッキング層(5)をさらに備え、前記バッキング層は、前記電子装置(10)と、対応する前記電子配線(11)の少なくとも一部とを封入する、請求項10~11のいずれかに記載の構造電子モジュール(1)。
【請求項14】
前記キャリア基板(3)および前記バッファ層(2)が、合わせた厚さ300~600μmを有し、前記バッファ層(2)が、50μm~300μmの範囲の厚さを有し、前記基板が、前記積層体を熱成形する間に10~50MPaの貯蔵弾性率を有する、請求項10~13のいずれか1項に記載の構造電子モジュール。
【請求項15】
前記キャリア基板(3)と前記バッファ層(2)との間にグラフィック層(4)をさらに備える、請求項10~14のいずれか1項に記載の構造電子モジュール(1)。
【請求項16】
前記熱可塑性キャリア基板(3)および前記バッファ層(2)の各々が、可視光に対して透明または少なくとも半透明である、請求項10~15のいずれか1項に記載の構造電子モジュール(1)。
【請求項17】
前記キャリア基板(3)は、200~400μmの範囲の厚さを有するポリカーボネート系層であり、前記バッファ層は、50~300μmの範囲の厚さを有し、前記バッファ層は、150℃で0.01MPa以上の貯蔵弾性率を有する、請求項10~16のいずれか1項に記載の構造電子モジュール(1)。
【請求項18】
前記キャリア基板(3)が、ポリカーボネートおよび/またはポリメチルメタクリレートを含む組成物(3m)から形成され、前記バッファ材料が、ポリウレタンおよび/またはポリビニルブチラールを含む組成物から形成される、請求項10~17のいずれか1項に記載の構造電子モジュール(1)。
【請求項19】
請求項10~18のいずれか1項に記載のモジュールまたは請求項1~9のいずれか一項に記載の方法によって得ることができるモジュールを含む自動車部品(1000)であって、前記キャリア基板(3)が、ポリカーボネートを含む組成物(3m)から形成される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、電子モジュール及びその製造方法に関する。特に、本開示は、1つまたは複数の集積電子装置を含む構造モジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
インモールド構造電子部品は、多くの商業的供給者から入手可能である。これらの部品は、3次元形状モジュール内の電子機能に有利に組み合わせる。用途としては、自動車部品、ヒューマンインタラクション装置が含まれる。製造中、これらの部品は、多くの加熱工程、及び高温及び高圧での形成(成形)工程を経ている。処理の様々な段階において、様々な構成要素間の線熱膨張係数間の不整合と、熱成形中の加圧との組み合わせは、構成要素間の応力を引き起こし、最終製品において目に見える構造欠陥および/または許容できない外観上の欠陥をもたらす可能性がある。
【0003】
欠陥を軽減する方法は、キャリア基板の厚さを増加させることであり得る。しかしながら、これは、装置のコストを増加させ、電子部品と成形装置の外面との間の距離を増加させる。
【0004】
あるいは、製品を形成した後に電子部品を提供することが想定され得る。しかしながら、特に、成形品に厚い基板のコンポーネントが含まれると共に、一般的にはまだ剛性、つまり、その後の配置および接合ステップでデバイスと配線をサポートするために厚い基板が必要な場合、これは製造工程を複雑にする。
【0005】
EP3787381A1は、カバー基板と、その上において電子装置を支持する電子基板と、カバー基板と電子回路基板との間に設けられた熱可塑性層とを備える熱成形電子装置モジュールを開示している。この配置は積層されて多層積層体として形成され、その間に電子装置が熱可塑性層に埋め込まれる。しかしながら、デバイスと、対応する配線と、電子キャリアとの間には、機械的応力が存在し続ける可能性があり、これは、特に比較的小さい曲げ半径の場合、熱成形時の外観上の欠陥の発生、および/または、プリント回路の亀裂などの重要な機能の損失を引き起こす可能性がある。
【発明の概要】
【0006】
本開示の態様は、1つまたは複数の集積電子装置を備える構造電子モジュール、および製造方法に関する。有利なことに、この方法は、比較的薄い前面キャリア基板を有する装置を形成することができ、それによって欠陥の形成が効果的に緩和される一方で、構造的完全性および製造の容易さ、例えば電子部品の位置決めに関する利点を保持するという点で、既知の方法の1つまたは複数の欠点に対処するインモールド構造電子装置の製造を可能にする。
【0007】
モジュールは、熱成形積層体を備える。前記積層体は、前記構造電子モジュールの三次元幾何学形状の外面に従って成形される。前記成形積層体は、バッキング層を備えることができ、1つ以上の集積電子装置、例えば、湾曲デバイスを有する三次元的に形成された成形モジュールをもたらす。前記モジュールは、有利には、前記前面層とバッキング層との間で保護される様々な一体型電子部品を含むことができる。好適な電子部品の非限定的なリストは、LEDおよび/またはOLEDライトガイドまたはディスプレイ配置などのディスプレイまたは標識デバイス、トランシーバ、タッチ、圧力、温度および/または近接センサなどのセンサ、ならびに振動発生器などのアクチュエータを含む。
【0008】
前記積層体は、熱可塑性キャリア基板と、1つまたは複数の電子装置と、対応する電子配線と、熱機械バッファ層とを備える。有利には、前記1つまたは複数の電子装置および対応する電子配線は、前記キャリア基板とは反対側の前記積層体の後面に沿って設けられる。したがって、前記積層体は、前記キャリアと前記1つまたは複数の電子デバイスと対応する電子配線との間に配置されたバッファ層上に組み立てられたキャリア基板と1つまたは複数の電子装置と対応する電子配線とを含むものと考えることができる。前記電子装置および対応する電子配線は、有利には、PCBなどの従来のキャリア基板の存在なしに、前記バッファ上に直接組み立てることができる。
【0009】
有利には、前記電子部品は、市販の表面実装型デバイス(SMD)、例えば、剛性部品とすることができ、可撓性電子装置を提供する必要性を軽減する。加えて、前記モジュールは、有利には、電気回路、例えば、電源トラックおよび/または装置間の電気的相互接続装置および/または外部端子を含むことができる。前記キャリアは、通常、前記モジュールの前面を画定する。前記バッファは、前記熱可塑性キャリア基板と前記1つまたは複数の電子装置と対応する電子配線との間に配置される。
【0010】
有利には、前記モジュールは、所定の三次元幾何学的形状に従って成形することができ、それにより、成形前に、例えば平面基板上で、電子部品の位置決めおよび配線を行うことができる。
【0011】
有利には、本明細書に開示される前記電子モジュールは、少なくとも通常の使用中に自立性を含む構造特性を提供しながら、一体化された電子部品を有する一体型ユニットとして形成することができる。
【0012】
前記電子モジュールは、例えば、3D形状の自動車部品又はヒューマンインタラクション装置の部品として形成することができる。前記モジュールは、例えば、ダッシュボード、センターコンソールユニット、または、1つまたは複数の一体型電子装置を有するヒューマンインタラクション装置の一部として適用することができる。
【0013】
前記モジュールは、熱可塑性キャリア基板の面に沿って熱機械的バッファ層を適用することと、前記バッファ層上に電子配線および1つまたは複数の電子装置を配置、提供することと、前記キャリア基板とは反対側の裏面に沿って配置された前記電子配線および少なくとも1つの前記電子装置を有する積層体を形成することと、続いて、前記キャリア基板および前記電子装置及び対応する電子配線がその上に配置、提供された前記バッファ層を含む前記積層体を熱成形することと、を含む方法によって形成することができる。回路の提供に続いて、形成された前記回路上に(複数の)前記電子装置を組み立て、相互接続する次のステップを行うことができる。配線(回路)は、典型的には、最初に前記バッファ上に設けられ、例えば、前記バッファ層上に直接印刷される。続いて、前記形成された回路上に(複数の)前記電子装置を組み立て、相互接続する。
【0014】
有利には、前記電子部品および配線は、前記キャリアを形成、成形する前に設けることができる。前記電子部品および配線を平坦なキャリア(前記バッファの前記背面)上に配置することは、基板の成形後に前記部品を提供することに依存する代替手段よりも、製造可能性および/または信頼性の点で有意な利点を提供する。有利には、前記電子配線および1つまたは複数の前記電子装置を前記バッファ層上に直接設けることによって、前記積層体を熱成形する前に、電子配線を前記バッファ層のみによって支持することができる。これにより、前記電子部品を支持するための専用キャリア、例えばPCBを省くことができ、これにより、前記積層体の全体の厚さおよび剛性が低減される。
【0015】
熱成形中または熱成形前に、熱が前記積層体に加えられると、前記熱可塑性キャリア基板およびバッファ層の温度が処理温度よりも上昇する。以下でより詳細に説明されるように、熱は、前記キャリア基板の面上への方向から前記積層体に供給され得る。これは、有利には、前記積層体内に温度勾配を確立することに寄与することができ、それによって、前記キャリアの温度は、前記バッファ層およびその上に配置された前記導電性トラックおよび部品における温度よりも高くすることができる。
【0016】
前記キャリア基板および前記バッファ層の前記材料は、前記バッファ層が熱成形中の前記キャリア基板の弾性率よりも実質的に低く、好ましくは少なくとも50%低い貯蔵弾性率を有する熱可塑性組成物からなるように選択される。より具体的には、本発明者らは、驚くべきことに、前記バッファ材料の貯蔵弾性率が、前記熱成形中の前記熱可塑性キャリア基板の貯蔵弾性率の0.005%~25%、好ましくは0.01%~10%、最も好ましくは0.02%~2.5%の範囲内にある貯蔵弾性率を有するときに、前記電子装置および対応する電子配線の本質的な機能性を保持しながら欠陥の形成を効果的に軽減することができることを見出した。加えて、前記デバイスは、本明細書に開示されるような外観上の利点と、集積電子装置と形成された前記モジュールの外面との間の距離を最小限に抑えることによる機能性の向上を相乗的に組み合わせることで、比較の薄いキャリア基板を用いて有利に製造することができる。
【0017】
理論に束縛されるものではないが、構造的および外観上の損傷の軽減は、熱成形プロセス中の温度を包含する温度範囲にわたる前記キャリアおよび電子部品に関する前記バッファの最適化された機械的特性、可塑性、ならびに前記電子装置および前記対応する配線の提供によって説明することができる。
【0018】
特に、本発明者らは、熱成形条件中の前記キャリア層に対する前記バッファの比較的低い貯蔵弾性率が、前記キャリアよりも大きく変形することを可能にし、これにより、比較的硬い電子装置及び対応する配線への機械的応力を下げることを可能にし、そうでなければ機械的応力が前面基板に直接伝わるため、前記キャリアの目に見える変形および/または防湿層やグラフィックパターンなどの機能中間層のひび割れなどの欠陥が発生する可能性があることを発見した。同時に、本発明者らは、貯蔵弾性率の下限が、加工条件下で塑性変形を制限することによって、本質的な機能性、例えば、印刷回路の亀裂の損失を防ぐために、前記バッファが熱成形中に前記部品および前記配線に十分な支持を提供することを確実にすることを発見した。
【0019】
したがって、特性の相乗的組合せによって、前記バッファ層は、熱成形プロセス中の熱的および機械的応力による機能的および外観上の損傷の両方を効果的に緩和することができる。バッファ層が厚ければ厚いほど、緩和効果は強くなり得る。しかしながら、機能的な観点からは、より薄いバッファ層及びキャリア基板が好ましいが、これは、機能的な電子部品、例えばセンサ又はディスプレイ部品がモジュールの外部前面により近づけることを可能にするからである。
【0020】
有利には、熱成形のための熱は、主に、またはさらに本質的に排他的に、前記電気部品および前記バッファとは反対側の前記キャリア基板の面上への方向から前記積層体に供給され得る。直接加熱は、前記キャリア側から前記積層体を照射する(例えば、IR)ことによって提供することができる。代替的に、または追加的に、直接加熱は、金型のキャリア側を加熱することによって提供することができる。したがって、温度勾配を前記積層体内に確立することができ、それによって、前記キャリアの温度は、前記バッファ層およびその上に配置された前記導電性トラックおよび部品における温度よりも高くすることができる。前記積層体を前記キャリア側から有利に加熱し、前記バッファ、配線、および/または電子機器を比較的低い温度に保つことにより、比較的柔らかいバッファや、(プリント)配線や電気部品などの温度に敏感な要素にかかる熱負荷を有利に軽減することができる。直接加熱は、熱負荷が低減され、配線を支持する位置でのバッファ材料の流れを軽減するので、熱成形中の配線の潜在的な損傷を最小限にする。前記バッファ、配線、および/または電気部品への熱負荷をさらに低減するために、前記積層体をバッファ側から冷却することができる。
【0021】
非常に好ましい実施形態では、前記モジュールは、構造支持材料のバッキング層を含む。前記バッキング層は、有利には、前記熱成形積層体に構造的支持を提供すると共に、1つまたは複数の前記電子装置および前記対応する電子配線の少なくとも一部を封入し、これにより、前記積層体及び前記モジュール全体に剛性を提供しながら、これらの電子部品を後方向から保護し、積層体を有利には比較的薄くすることを可能にする。
【0022】
前記積層体の比較的薄い複合厚さは、総弾性率に対するキャリアおよび/またはバッファの全体的な寄与を有利に低減し、重要な点として、電子装置、例えば、ディスプレイまたはセンサが、モジュールの外部前面からごく接近することを可能にする。有利には、キャリア基板および前記バッファ層は、600μm未満、またはさらには400または300μm未満の複合厚さを有することができる。いくつかの実施形態では、前記キャリアは、有利には、約350または250μm程度の薄さであり得、任意選択でさらに小さく、例えば、150~250μmであり得る。前記バッファ層の厚さは、所望の用途に従って選択することができ、それによって、層が厚くなると、製造中の外観上の欠陥の形成をますます低減する。本発明者らは、驚くべきことに、50μm~300μm、またはさらには50~150μmの範囲の前記バッファ層の厚さが、前記モジュールの製造中の外観上の欠陥および構造上の欠陥の両方を軽減するのに十分であることを発見した。
【0023】
有利には、前記バッキング層は、例えば、エポキシ樹脂による硬化性組成物を前記予備成形積層体の裏面に沿って塗布することによって、前記キャリア基板と反対側の前記熱成形積層体の裏面に沿って直接設けることができる。有利には、前記バッキング層は、射出成形によって提供することができる。好ましい実施形態では、熱可塑性ポリマー組成物は、射出成形型と熱成形積層体の後面との間に画定された空間内に射出される。本発明者らは、驚くべきことに、熱成形積層体内の欠陥は、バッキング層が射出成形によって熱成形積層体に適用されても、さらに防止され得ることを発見した。
【0024】
本発明者らは、射出成形中の欠陥形成の軽減が、射出成形条件中の最小の構造的完全性も有するバッファに相関することを見出した。特に、発明者らは、150℃で少なくとも0.01MPaの貯蔵弾性率を有するバッファ材料が、射出成形条件中のバッファ層の流れをさらに効果的に低減することを発見した。したがって、相対的に、熱機械的バッファ層の貯蔵弾性率は、処理中の熱可塑性キャリアの貯蔵弾性率の0.005~25%、好ましくは0.01~10%、最も好ましくは0.02%~2.5%の範囲内であることが好ましいことが見出された。
【0025】
したがって、特性の相乗的な組み合わせによって、バッファ層は、射出成形を含むすべての関連する処理ステップ中の機能上および外観上の損傷の両方を効果的に軽減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
本開示の装置、システム、および方法のこれらおよび他の特徴、態様、および利点は、以下の説明、添付の特許請求の範囲、および添付の図面からよりよく理解されるであろう、
図1A図1Aは、熱成形前の積層体を示し、
図1B図1Bは、熱成形構造電子モジュールを製造する態様を示し、
図2A図2Aは、熱成形構造電子モジュールを製造するさらなる態様を示し、
図2B図2Bは、熱成形構造電子モジュールを示し、
図3A図3A、3Bは、比較例の図であり、
図3B図3A、3Bは、比較例の図であり、
図4A図4A~Cは、不良を含む熱成形積層体およびモジュールを示し、および、
図4B図4A~Cは、不良を含む熱成形積層体およびモジュールを示し、および、
図4C図4A~Cは、不良を含む熱成形積層体およびモジュールを示し、および、
図5A図5~10は、例示的な実験結果を提供する。
図5B図5~10は、例示的な実験結果を提供する。
図6A図5~10は、例示的な実験結果を提供する。
図6B図5~10は、例示的な実験結果を提供する。
図7A図5~10は、例示的な実験結果を提供する。
図7B図5~10は、例示的な実験結果を提供する。
図8A図5~10は、例示的な実験結果を提供する。
図8B図5~10は、例示的な実験結果を提供する。
図9A図5~10は、例示的な実験結果を提供する。
図9B図5~10は、例示的な実験結果を提供する。
図10A図5~10は、例示的な実験結果を提供する。
図10B図5~10は、例示的な実験結果を提供する。
【発明を実施するための形態】
【0027】
特定の実施形態を説明するために使用される用語は、本発明を限定するものではない。本明細書で使用される場合、単数形「a」、「an」および「the」は、文脈が明らかにそうでないことを示さない限り、複数形も含むことが意図される。「および/または」という用語は、関連する列挙された項目のうちの1つまたは複数の任意のおよびすべての組合せを含む。用語「comprises」および/または「comprising」は、述べられた特徴の存在を特定するが、1つまたは複数の他の特徴の存在または追加を排除しないことが理解されるであろう。方法の特定のステップが別のステップの後と呼ばれる場合、別段の指定がない限り、特定のステップを実施する前に、前記他のステップに直接続くか、または1つ以上の中間ステップを実施することができることがさらに理解されるであろう。同様に、構造または構成要素間の接続が記載される場合、この接続は、特に明記しない限り、直接的に、または中間構造または構成要素を介して確立され得ることが理解されよう。
【0028】
本明細書に記載される貯蔵弾性率は、ISO6721-11に従って、動的機械分析(DMA)手順を使用して決定することができる。
【0029】
本発明は、本発明の実施形態が示されている添付の図面を参照して、以下でより詳しく説明される。図面において、システム、構成要素、層、および領域の絶対的および相対的なサイズは、明確にするために誇張されている場合がある。実施形態は、理想化された本発明の実施形態および中間構造の概略図および/または断面図を参照して説明することができる。本明細書および図面において、同様の番号は、全体を通して同様の要素を指す。相対的な用語およびその派生語は、そのとき記載されている方向、または議論中の図面に示されているような方向を指すと解釈されるべきである。これらの相対的な用語は、説明の便宜上のものであり、特に明記しない限り、システムが特定の方向に構築または操作されることを必要としない。
【0030】
図1Aは、熱成形前の平面(平坦)積層体20pを示す。図1Bおよび2Aは、熱成形構造電子モジュールの製造の実施形態の態様を示し、図1Bは、積層体を熱成形する前の製造に関する態様を示し、図2Aは、熱成形およびバッキング層の提供に関する態様を示す。図2Bは、バッキング層5によって支持された熱成形積層体20を含む構造電子モジュール1を示す。
【0031】
本開示のいくつかの態様は、湾曲デバイス1の製造に関する。例えば、(面外)曲率は、平面積層体20pに変形プロセスを適用することによって導入することができる。好ましくは、変形プロセスは、熱成形を含む。例えば、変形プロセスは、積層体の熱成形のために、予め定義されたマクロ形状、例えば型を積層体に適用することを含む。熱成形は、一般に、熱可塑性(熱軟化プラスチック)材料の基板が柔軟な成形温度に加熱される製造プロセスとして理解される。典型的には、そのガラス転移温度(Tg)を超え、その融点を下回ると、熱可塑性物質の物理的特性は、関連する相変化なしに劇的に変化する。加熱された基板は、例えば型を用いて特定の形状に形成され、使用可能な製品を作り出すためにトリミングされ得る。典型的には、積層体は、図2Aに示されるように、型50の中または上に延ばすことができるほど十分に高い温度まで加熱され、完成した形状になるまで冷却される。
【0032】
熱成形の特に好ましいバージョンは、高圧成形としても知られている。熱成形の別のバージョンは、真空成形として知られているが、より高い温度を必要とする場合がある。例えば、機械を使用して、積層体を加熱し、高圧および/または真空を使用して、積層体を金型上で延ばすことができる。この方法は、典型的には、サンプル部品およびプロトタイプ部品に使用される。他のまたはさらなる用途では、生産機械を利用して、基板を加熱および形成し、任意選択で、連続高速プロセスで形成された部品を積層体からトリミングすることができる。あるいは、または熱成形に加えて、射出成形、ブロー成形、回転成形、および高温でプラスチックを処理する他の形態などの他の変形プロセスも、本教示の適用のために使用することができる。したがって、本明細書で熱成形プロセスまたは温度を参照する場合、これは、他の同様のプロセスにも適用可能であり得る。いくつかの実施形態では、例えば、図2Bに示されるように、バッキング層5は、射出成形によって、例えば、金型を使用して、積層体の裏面20b上に適用される。例えば、熱可塑性材料が溶融され、金型22と積層体との間に射出される。代替的に、または追加的に、熱硬化性材料または硬化性組成物、例えばエポキシ樹脂を、積層体の裏面に適用することができる。
【0033】
一実施形態では、例えば図1Aに示されるように、積層体20pは、熱可塑性キャリア基板3を含む。さらに、積層体は、対応する電子配線11と共に1つ以上の電子装置10を含む。熱機械バッファ層は、熱可塑性キャリア基板と1つ以上の電子装置10および対応する電子配線との間において、熱可塑性キャリア基板3の面、後方面3bに沿って配置される。バッファ層2およびキャリア基板3の両方は、それぞれの熱可塑性組成物2m、3mを含むか、または本質的にそれらからなり、より詳細に説明するように、それらは同一ではないが、熱成形中に異なる物理的特性を有するように意図的に選択される。任意選択的に、バッファ層は、バッファ層の積層体、例えば、キャリアに対する接着強度が低い組成物の層および接着中間層を含む積層体から形成することができる。接着剤中間層を含むことは、有利には、本明細書に特定されるような適切な熱機械的特性を有するが、その上に配置されたキャリアおよび/またはグラフィック層に対する接着性が比較的乏しい/弱い材料に対して、使用可能なバッファ材料の範囲を広げる。任意選択的に、追加の、例えば、局所的なグラフィック層、バッファ層、および/または接着層を適用して、層をより良好に接着し、および/またはSMDおよび/または他の構成要素を被覆することができる。
【0034】
電子配線11は、一般に、電子装置10に配線を相互接続する、1つまたは複数の電子導電性トラック12および導電性相互接続部13、ボンドを含む。回路とも呼ばれる配線は、印刷方法、順方向転写、およびマイクロパターニングを含む、公知の付加的または減法的製造方法によって提供することができる。示されるように、導電性相互接続部13は、電子装置10のボンドパッド部分10aへの導電性接続を提供するアンダーフィル部分を含む。
【0035】
図2Aおよび図2Bを参照してより詳細に説明するように、積層体は、典型的には構造電子モジュールの幾何学的形状の外面に従って、非平面湾曲形状に熱成形、成形される。図3Bに示すように、キャリア基板3は、エンドユーザに対して直接視認性を有する電子モジュール1の外面を画定するか、またはさらには構成することができる。不合格品を最小限に抑えるためには、製造中の構造的欠陥および目に見える欠陥、例えば外観上の欠陥の両方を軽減することが重要である。
【0036】
ここに記載されるように、バッファに含まれる熱可塑性材料2mは、好ましくは、熱成形中のキャリア基板の組成物3mの貯蔵弾性率(G3)より少なくとも75%低い、好ましくは少なくとも90%低い、最も好ましくは少なくとも97.5%低い貯蔵弾性率(G2)を有する(G2/G3<0. 5、好ましくは<0. 1)。より具体的には、バッファ材料は、熱成形中の熱可塑性キャリア基板の貯蔵弾性率の0.0005%から25%、好ましくは0.01%から10%、最も好ましくは0.02%~2.5%の範囲内の貯蔵弾性率を有する。実際の熱成形条件において、本発明者らは、キャリアが熱成形中に10~100MPaの範囲の貯蔵弾性率を有することが好ましいことを発見した。熱成形条件は、一般に、圧力と熱成形温度との適切な組み合わせを含み、圧力は、一般に10~100バール、より具体的には30~70バールの範囲である。ポリカーボネート(PC)ベースのキャリアの場合、圧力は典型的には40~60バールであり、温度は典型的には145~165℃であり、その場合の貯蔵弾性率は約10MPaと約50MPaの間である。G’が50MPaの場合、これは、貯蔵弾性率(G2)の0.01および0.02%の下限が、それぞれ、≧0.005MPaおよび≧0.01MPaに対応することを意味する。25%および10%の上限は、それぞれ、150℃での弾性率≦12.5MPaおよび≦5MPaに対応する。他のキャリア/材料については、例えばPMMAベースの対応するパラメータは、例えば熱成形条件を包含する温度範囲にわたる動的機械分析(DMA)によって容易に決定することができる。他のキャリア材料、例えば、PVC、PMMAなどについて、発明者らは、熱成形が、同様の柔軟性を提供する条件下で、例えば、貯蔵弾性率が10~100MPa、好ましくは10~40MPaの範囲である材料を加熱することによって行われることを発見している。正確な熱成形温度は、材料の特性に依存し、実験的に決定することができる。熱成形は、キャリア/材料のガラス転移温度(Tg)より20度低い温度から20度高い温度までの範囲の温度 (Tf)で行われる(Tg-20≦Tf≦Tg+20)。流れを回避するために、熱成形温度は、好ましくは、キャリアの溶融転移未満である。
【0037】
好ましいキャリア基板は、10~100バール、より具体的には30~70バールの圧力範囲で熱成形、塑性変形することができる組成物を含む。典型的には、第1の熱可塑性材料11mは、160℃未満、好ましくは150℃未満のガラス転移温度を有する。バッファ(熱可塑性組成物2m)は、キャリアよりもかなり低いガラス転移温度を有し、典型的には少なくとも10度低い。
【0038】
好適なキャリア材料としては、ポリカーボネート(PC)系組成物、ポリ(メチルメタクリレート)(PMMA)系組成物、ABS(アクリロニトリルブタジエンスチレン)、PETG(ポリエチレンテレフタレートの熱成形可能なバージョン)、PVC (ポリ塩化ビニル)、バイオベースPC及びポリエチレンフラノエート(PEF)組成物等が挙げられるが、これらに限定されない。
【0039】
キャリアと同様に、バッファは、熱可塑性組成物2mを含むか、または本質的に熱可塑性組成物2mから構成される。いくつかの実施形態では、バッファは、熱可塑性エラストマーを含む。熱可塑性ゴムと呼ばれることもある熱可塑性エラストマー(TPE)は、熱可塑性と弾性の両方の特性を持つ材料で構成されるコポリマーまたはポリマーの物理的混合物(通常はプラスチックおよびゴム)の一種である。
【0040】
好ましい実施形態において、バッファは、熱可塑性ポリウレタン(TPU)またはポリビニルブチラール(PVB)を含む。したがって、例えば、PMMAとTPUとの組み合わせは、100~130℃前後の処理温度で熱成形することができ、PCとTPUとの組み合わせは、145~165℃前後の処理温度で熱成形することができる。
【0041】
いくつかの好ましい実施形態では、特に自動車用途の場合、キャリア基板3(前面基板)は、一般に受け入れられている工業標準材料であるポリカーボネート(PC)から作製される。他の用途、特に自動車産業以外では、他の組成物が好ましい場合がある。例えば、PMMAまたはABSは、ハンドヘルドユーザインターフェース装置にとってより好ましい場合がある。
【0042】
いくつかの実施形態では、第2の熱可塑性材料12mは、熱可塑性エラストマーを含む。熱可塑性ゴムと呼ばれることもある熱可塑性エラストマー(TPE)は、熱可塑性およびエラストマー特性の両方を有する材料からなるコポリマーまたはポリマーの物理的混合物(通常はプラスチックおよびゴム)の一種である。例えば、第2の熱可塑性材料12mは、室温を実質的に超える温度に加熱されると実質的に軟化し、例えば、80~140℃の範囲で軟化する。好ましい実施形態では、第2の熱可塑性材料12mは、熱可塑性ポリウレタン(TPU)またはポリビニルブチラール(PVB)を含む。したがって、例えば、PMMAとTPUとの組み合わせは、100~130℃前後の処理温度で熱成形することができ、PCとTPUとの組み合わせは、145~165℃前後の処理温度で熱成形することができる。
【0043】
いくつかの好ましい実施形態では、熱可塑性キャリア基板3およびバッファ層2は、透明であるか、または少なくとも半透明であり、例えば、スモーク状または曇り状である。これは、1つまたは複数の電子装置に向かう、および/または1つまたは複数の電子装置からの光の伝播、例えば、ディスプレイ装置からの可視光の外向き伝播、および/または、光、例えば、サブセンサおよび埋め込みセンサに向かうIR光の内向き伝播を可能にする。
【0044】
一実施形態では、例えば、図1Bに示されるように、この方法は、熱可塑性キャリア基材3の面3bに沿って熱機械バッファ層2を適用すること101を含む。本発明者らは、特に、比較的薄いバッファ層を、例えば20μm未満、10μm未満、5μmまでの厚さで印刷することによって確実に適用することができることを発見した。より厚い層、例えば>20μmの層は、好ましくは、適切な厚さを有する1つまたは複数の箔をキャリア上に積層することによって適用される。
【0045】
いくつかの好ましい実施形態では、この方法は、グラフィック層4を適用すること106をさらに含む。いくつかの実施形態では、例えば、図示のように、パターンは、バッファの堆積の前にキャリア基板の面3bに適用される。代替的に、または追加的に、グラフィックパターンは、例えば、その堆積の直後に、またはキャリアへのその積層の前に、バッファ層上に適用することができる。グラフィック層4は、有利には、配置される電子装置のうちの少なくとも1つの位置に従ってグラフィックパターンを画定することができる。用途に応じて、グラフィック層は、下にある電子部品及び/又は配線を視界から隠すように構成されてもよく、例えば、図示のように連続的な黒色層である。代替的に又は追加的に、グラフィック層又はその一部は、下層の構成要素の位置、例えば、基礎となるセンサまたはヒューマンインタラクション要素の位置または周囲を示すパターンに注意を引くように構成されてもよい。
【0046】
もちろん、この方法は、スタックの熱成形特性に実質的に影響を及ぼさない限り、1つ以上の他の層、例えば、傷防止層、非粘着性表面仕上げ、および/またはマット/光沢表面層の堆積を含むことができる。機能に応じて、これらの層は、キャリアおよび/またはバッファ層の1つまたは複数の面、例えば、バッファを受容する面の反対側のキャリアの外面に設けることができる。もちろん、このような層は、熱成形後に、例えば、スプレーすることによりモジュール上に設けることもできる。
【0047】
1つまたは複数の電子装置10および対応する電子配線11、12、13は、バッファ層2上に配置され102、位置決めされ、提供される。いくつかの構成要素については、これらを印刷することが好ましい場合がある。電子配線11、12、13は、バッファ層2上に直接設けられることが理解されるであろう。本明細書で上記に規定されているように、回路とも呼ばれる配線は、付加製造法または減法製造法を含む、当技術分野で知られている製造方法によって提供することができる。その後、回路をバッファ層2上に直接設けることに続いて、1つまたは複数の電子装置10が設けられる。1つ以上の電子装置10は、例えば導電性接着剤組成物によって回路に機能的に接続されることが理解されるであろう。任意選択的に、回路と熱機械的バッファ層2との間に追加のグラフィック層4を設けることができる。
【0048】
なお、配線およびバッファは、PCBなどの専用支持体上に電気構成要素および/または配線を事前に組み立てる必要なく、バッファおよび/またはグラフィカル層によってのみ支持され得る。バッキング層の製造および/または追加に続いて、バッキングは、追加の支持を提供することができる。
【0049】
好ましくは、回路線12は、熱機械的バッファ層2上に印刷される。例えば、回路線12は、導電性インク、例えば銀(Ag)を含む導電性インクを用いて印刷され、好ましくは、バッファ層2がキャリア3に積層された後であるが熱成形の前に、バッファ層2上に印刷される。印刷された線12は、一般に、最終的な導電性を付与するために熱硬化を必要とする。典型的には、回路線は、電子装置10の堆積の前に硬化される。また、他の構成要素は、積層と熱成形ステップとの間に適用することが好ましいが、これらのプロセスは、原理的には、積層前にバッファ層12に適用することもできる。典型的には、回路線は、バッファ層12上に配置された電子部品に電気的に接続される。表面実装デバイスの場合、配線、例えば、プリントトラックへの相互接続は、好ましくは、導電性接着剤組成物によって実現される。これらおよび他の構成要素は、バッファ層2上、前面キャリア基板3上、および/またはバッファ層2および/または任意のバッキング層5などのさらなる層を通る垂直相互接続を介して、回路線12(たとえば、印刷された)を備える電気回路に接続され得る。典型的には、等方性導電性接着剤(ICA)組成物13は、電子装置10の配線および/または電気相互接続、例えば、足10a上に堆積され得る。発明者らは、本明細書に開示されるようなキャリアおよびバッファ層の組み合わせが、所望の導電率レベルが達成されるまで、最大で120℃までの典型的な温度での配線および/またはICAの熱硬化を可能にすることを見出した。好ましくは、硬化は、より低い温度、例えば、約70~90℃で行われる。任意選択的に、回路および接着剤は、1つのステップで同時に硬化させることができ、2つの別個の硬化ステップおよび適用ステップを含む方法と比べて、バッファのトータルの熱曝露を低減する。温度を下げることにより、スタックの外観を改善することができる。好ましくは、ICAは、比較的柔らかい、例えばゴム状の材料、例えばシリコーンベースのICAである。シリコーンベースのICA材料は、熱成形中のキャリアと装置との間の機械的応力の伝達を軽減することが発見された。
【0050】
バッファおよび電気部品の堆積に続いて、スタックは、熱成形103に供されると共に、任意であるが、非常に好ましくは、バッキング層5が設けられる。図2Aは、熱成形構造電子モジュールを製造するこれらの態様を概略的に示す。スタック20pは、熱可塑性キャリア基板3と、1つまたは複数の電子装置および対応する電子配線(図示せず)と、熱可塑性キャリア基板と、例えば図1Bに関連して説明した手順に従って得られ、形成される構造電子モジュールの外面に応じて幾何学的に形作られた部分51を有する金型50を横切って配置される1つまたは複数の電子装置との間の熱機械バッファ層2と、を備える。熱および圧力(T,P)の適用下で、スタック20pは、型に応じて成形された3D熱成形スタック20に形成される。熱は、放射熱(IR照射)または直接接触のうちの1つまたは複数によって、例えば金型の壁を介して、適切に提供することができる。圧力、例えば、モールド50とキャリアとの間の真空、および/またはバッファ層からスタックに作用する過圧は、積層体とモールドとの追従/接触を保証するために適切に適用され得る。
【0051】
成形中における装置、配線、および/またはバッファへの熱負荷を最小限に抑えるために、例えば、バッファへの方向からの照射よりもキャリアへの方向からの優先的な照射および/または熱の大部分の供給によって、または、キャリアに面する金型の部分を加熱し、バッファに面する金型の部分を加熱しない、またはバッファに面した金型の部分を冷却することによって、キャリアに対して前方から優先的に加熱することが好ましい。したがって、スタック内に温度勾配を確立することができ、それによって、キャリアの温度を、バッファ層およびその上に配置された導電トラックおよび構成要素における温度よりも高くすることができる。発明者らは、熱成形中におけるスタックのバッファ側の温度が、スタックがキャリア側から加熱(片面加熱)されるときのスタックのキャリア側の温度よりも10度低くなり得ることを実験的に確認した。これにより、バッファは、熱成形条件の間において、比較的高い弾性率を保持することができる。
【0052】
熱成形103の際に、3D形状のスタックが実現され、電子部品10及び配線11がその後面に沿って配置される。図においては、スタック20は、スタック10の前方面20fを見る方向から描かれている。キャリアとは反対側の後面20bに沿ったバッファおよび電子部品の位置は、破線のボックスによって示される。
【0053】
いくつかの実施形態では、本方法は、熱機械バッファ層2をガス抜きすることを含む。例えば、バッファを高温例えば80~100℃にさらし、任意選択的に減圧例えば0.1バール未満にする。バッファからのガスの放出は、高温、例えば、硬化、および/または熱成形での後続の処理工程中に気泡形成または他の不整合を引き起こし得る揮発性物質、例えば水または溶媒残留物の量を減らす。好ましくは、ガス抜きは、電子部品および/または配線を配置する前に、キャリア上へのバッファ層の堆積後に行う。代替的に、または追加的に、ガス抜きは、熱成形の直前および/または射出成形の前に、例えば、処理ステップ間の部品の保管中にバッファに(再び)入った可能性がある揮発性物質を除去するために、実施することができる。代替的に又は追加的に、バッファ材料のシートは、積層前にガス抜きすることができる。
【0054】
熱成形後、任意であるが、非常に好ましい、バッキング層5を提供する工程104がある。図2A及び2Bに示されるように、バッキング層5は、スタックの後面20bに沿って設けられる。バッキング層は、1つまたは複数の電子装置10-1、10-2と、対応する電子配線12-1、12-2の少なくとも一部とを封入する。
【0055】
バッキング層5は、スタックに剛性を与え電子機器10と配線を後方から保護し、一体化された電子機能性を有する3D形状のモジュールをもたらすことにより熱成形および電気構成要素が外観に対して最小限の影響、例えば審美性を有する構造支持材料5mから形成される。
【0056】
好ましい実施形態では、バッキング層は、熱可塑性材料5mで形成される。有利には、バッキング層は、裏面射出成形によって適用することができる。射出成形は、様々な幾何学的形状の剛性要素の形成を可能にする周知の方法である。一般に、射出成形は、溶融状態に加熱されたプラスチック材料を金型に押し込むことを含む。冷却後、硬質製品を得ることができ、それにより、型は、製品の幾何学的形状を画定することができる。したがって、好ましい実施形態では、この方法は、射出成形金型と熱成形積層体20の後面20bとの間に画定された空間内に熱可塑性ポリマー組成物を射出成形することを含む。
【0057】
熱成形および射出成形の下での欠陥形成の複合的な軽減のために、熱機械的バッファ層2は、150℃で0.005MPaを超える弾性率を有する。好ましくは、バッファ層2は、150℃で≧0.01MPaのより高い弾性率を有する。(150℃での弾性率によって示されるような)より高い弾性率を有する材料は、射出成形中の変形に対してより弾力的である。したがって、いくつかの実施形態では、バッファは、150℃で≧0.13MPaの弾性率、あるいは150℃で≧0.14MPaの弾性率を有する。
【0058】
したがって、好ましい実施形態では、この方法は、キャリア基板3とは反対側の熱成形スタック20の後面20bに沿って構造支持材料5mのバッキング層5を提供すること104を含み、前記バッキング層は、1つまたは複数の電子装置10と、対応する電子配線11の少なくとも一部とを封入する。
【0059】
好ましくは、バッキング層5を提供することは、射出成形型と熱成形積層体20の後面20bとの間に画定された空間内に熱可塑性ポリマー組成物5mを射出成形することを含む。バッキング層5が裏面射出成形によって提供される場合、バッファ材料5mは、好ましくは、熱成形を包含する温度範囲にわたって、キャリアの弾性率(G3)の0.005~25%、好ましくは0.01~10%、最も好ましくは0.02%~2.5%の範囲の弾性率G2を有するように選択されることが理解されよう。バッキング層を形成するポリマー組成物5mは、一般に、280~320℃の範囲の温度に加熱される。もちろん、金型およびその中のスタックは、この温度まで加熱されない。注入された材料が高温であるにもかかわらず、発明者らは、驚くべきことに、スタック、特にバッファは、バッファ材3mが本明細書で指定される弾性率を有するように選択される場合、構成要素および回路を支持するのに十分に硬いままであり得ることを発見した。特に、発明者らは、バッファ材料が150℃で≧0.01MPaの弾性率を有するとき、形成された構造電子モジュール1において顕著な構造的または目に見える損傷が無いことを発見した。
【0060】
射出成形の代替として、バッキング層は、硬化性または熱硬化性の液体組成物をキャスティング、例えば真空キャスティングまたは流れキャスティングすることによって適用することができる。キャスティングは、有利には、射出成形と比較して、バッファに伝わる力および/または熱負荷を軽減する。したがって、バッキング層は、室温付近で、例えば25~60℃の範囲内で硬化/固化し、電子部品、配線、および/またはバッファ層への熱負荷を低減する組成物、例えばエポキシ樹脂を含むか、または本質的にそれから構成される。しかしながら、射出成形とは対照的に、キャスティングは、一般に、構造電子モジュール1の背面形状を画定するために、その後の処理、例えば、後続の層の追加を必要とする。そのような熱硬化性または硬化性組成物のキャスティングは、バッファがキャリアの0.005~0.02%の弾性率の範囲の弾性率を有する場合、特に好ましいことがある。
【0061】
図2Bは、熱可塑性組成物5mから構成されるバッキング層5の熱成形および射出成形104の後に得られる構造電子モジュール1の実施形態を概略的に示す。図示されるようなデバイスは、それぞれがそれぞれの配線12-1、12-2によって接続された2つの電子装置10-1、10-2を含む。図示のように、グラフィック層は、2つの異なる部分4-bおよび4-wを含むパターンを含む。第1の部分4-bは、黒インクなどの不透明または不透明な材料の層であり、その下に横たわっている装置10-1および配線を視界から隠す。第2の部分4-wは、透明または少なくとも半透明の部分、または窓であり、装置10-2への/からの光の伝播を可能にする。キャリア基板とは反対側の熱成形スタックの面に沿って設けられた構造支持材料5mの剛性バッキング層5は、モジュール1に構造支持を提供しながら、電子装置10-1、10-2および対応する電子配線の少なくとも一部を封入する。
【0062】
キャリア基板3がポリカーボネートを含む組成物から形成される特定の実施形態では、モジュールは自動車部品として適用することができる。好ましくは、バッファ層は、TPUまたはPVBを含む組成物から形成される。より好ましくは、キャリアおよびバッファ層は、300~600μmの範囲の合計厚さを有する。最も好ましくは、バッファ層は、TPUまたはPVBを含む組成物から形成され、キャリアおよびバッファ層は、175~250μmの範囲の合計厚さを有する。
【0063】
実験結果
【0064】
ここで、本発明を、以下の非限定的な実施例を参照してさらに説明する。
【0065】
キャリアおよびバッファ材料の様々な組み合わせの混合および適合において、発明者らは、多数の異なるキャリア材料およびバッファ材料、ならびにそれらの組み合わせ、ならびに3D形状構造電子モジュールの製造における構造的および可視的損傷の両方を緩和することに対するそれらの効果を試験した。特に、発明者らは、全ての試験した組み合わせについて、熱成形による視覚的および構造的欠陥は、バッファ材料の貯蔵弾性率が、熱成形中のキャリアの貯蔵弾性率の0.005%~25%、好ましくは0.01%および10%、より好ましくは0.02%~2.5%の範囲内である場合に軽減されることを発見した。
【0066】
サンプルは、異なる厚さのキャリア、特に、ポリカーボネートの250μmおよび500μmの厚さのフィルムについて、バッファ層を有さない熱成形モジュールと比較したところ、より薄いキャリアは、より深刻な欠陥を示し、より厚い基板は、より深刻ではないが、それでもはっきりと見える欠陥を示す。他の担体/組成物も同様の結果をもたらす。
【0067】
図3AおよびBおよび4Aは、熱成形前にいかなるバッファ層も存在しない状態でキャリア層を通して見られるように250μmのPCキャリア基板に沿って接着されたSMD装置(チップ)の写真を提供し、それによって、図3Aの画像は、120℃で硬化された例を示し、図3Bは、80℃で硬化された他の同様のサンプルに関する。左側の顕微鏡写真は偏光で、右側の顕微鏡写真は非偏光で得られる。図から分かるように、チップの位置における視覚的欠陥(円によってマークされている)は、熱成形の前であっても、明確に識別可能である。80℃での硬化は欠陥を幾分減少させるが、どちらもすでに不良品とみなされており、熱成形後は視認性がさらに高まる。硬化したAg-インク(デュポンから入手可能なME604またはタイヨーから入手可能なAg-ink Elepaste TR 70901)で形成された配線は、少なくとも熱成形前にそれほど顕著ではない。図4Aは、総厚が500μmのPCサンプルについて同等の問題が存在することを示している。
【0068】
図4Bは、PVB系バッファ層上に配置された配線およびデバイスを含む試料(詳細はS27を参照)の顕微鏡写真を示す。図に示されるように、目に見える欠陥は、熱成形前に実質的に存在しない。本発明による他のバッファは、同等の結果を示した。
【0069】
図4Cは、テストに使用される電子デバイス10および対応する電子的相互接続配線を後方方向(バッファ側)から見た図である。図に示されるように、2つの異なるタイプのSMD装置、10-0402および10-0603(Franell、0402:0.1μFセラミックコンデンサケースおよび0603:抵抗器ケース)とマークされたものが試験された。配線12は、Ag-インク(Taiyo, TR 70901)で形成した。
【0070】
図5~8は、比較サンプルの光学顕微鏡写真、および熱成形スタックのいくつかの例示的な実施例の領域の図を示す。全ての顕微鏡写真は、同一の条件(偏光)下で得られた。全ての試料は、別段の指定がない限り、同様の条件下で熱成形した。報告された貯蔵弾性率値は、ISO 6721-11に従ってDMAにより測定した。偏光下で以下に説明する欠陥の視認性は、欠陥の視認性の最終スコアを示す。しかしながら、スコアリング(スケール1~5)はまた、非偏光下および視射角下での目視観察を含み、これらは紙上で再現することが困難である。本明細書で使用される場合、1のスコアの以下は、最悪の性能を示す。5のスコアは最良の性能を示し、1~2のスコアは一般に拒否される。
【0071】
図5Aは、250μmのPC基板を含み、バッファを含まず、硬化が120℃であった比較例S7に関する。トラックは、タイヨー銀インクから形成され、120°10分で硬化され、ICAおよびアンダーフィルとSMD結合され、120°でそれぞれ10分間硬化された。熱成形は、片面加熱で平均151.5℃で行った。
【0072】
図5Bは、硬化が80℃であったことを除いてS7と同一である比較例S11に関する。トラックはタイヨー銀インクから形成し、80℃で10分間硬化され、ICAおよびアンダーフィルとSMD結合され、80℃でそれぞれ30分間、1時間硬化された。熱成形は、片面加熱で平均150.0℃で行った。
【0073】
図6Aは、150℃でG’~1 10-4MPaを有する70μmのポリエステル系TPUバッファを含む例S15に関する。バッファとPCの合計厚さは320μmである。トラックはタイヨー銀インクから形成し、80℃で10分間硬化させ、ICAおよびアンダーフィルとSMD結合させ、80℃でそれぞれ30分間、1時間硬化された。熱成形は、片面加熱で平均149.5℃で行った。比較サンプルS7およびS11と比較して、SMD装置および配線の視認性は著しく低下している。
【0074】
図6Bは、150℃でG’~1.5 10-2MPaを有する90μmのポリエステル系TPU複合バッファを含む例S20に関する。バッファおよびキャリアの合計厚さは340μmである。トラックはタイヨー銀インクから形成し、80℃で10分間硬化させ、ICAおよびアンダーフィルとSMD結合させ、80℃でそれぞれ30分間、1時間硬化された。熱成形は、片面加熱で平均148℃で行った。比較サンプルS7およびS11と比較すると、SMD装置および配線の視認性は著しく低下する。S15と比較すると、銀線およびチップ-0402の視認性はいくらか低減される。
【0075】
図7Aは、150℃で約2.5 10-1MPaのG’を有する100μmのポリエーテル系TPUバッファを含む例S24に関する。バッファとPCの合計厚さは350μmである。トラックはタイヨー銀インクから形成し、80℃で10分間硬化させ、ICAおよびアンダーフィルとSMD結合させ、80℃でそれぞれ30分間、1時間硬化された。熱成形は、片面加熱で平均154℃で行った。比較サンプルS7およびS11と比較すると、SMD装置および配線の視認性は著しく低下する。S20およびS15と比較すると、銀線の視認性は類似しているが、SMD装置の視認性は、許容可能なスコアであるが、いくらか不良である。
【0076】
図7Bは、150℃でG’~1.4 10-1MPaを有する260μmのPVB系バッファを含む例S27に関する。バッファとPCの合計厚さは510μmである。トラックはタイヨー銀インクから形成し、80℃で10分間硬化させ、ICAおよびアンダーフィルとSMD結合させ、80℃でそれぞれ30分、1時間硬化された。熱成形は、片面加熱で平均145℃で行った。比較サンプルS7およびS11、ならびにサンプルS15、S20、およびS24と比較すると、SMD装置および配線の視認性が著しく低下する。
【0077】
図8Aは、250μmの厚さを有する2層のPCに相当する厚さを有する比較例S35に関する。トラックはタイヨー銀インクから形成し、80℃で10分間硬化させ、ICAおよびアンダーフィルとSMD結合させ、80℃でそれぞれ30分、1時間硬化された。熱成形は、片面加熱で平均157.5℃で行った。図示のように、配線に関連する欠陥は、PCの単一層に対して低減される。しかしながら、SMDに関連する欠陥は、より厚い(および2倍の高価な)PC基板を使用するにもかかわらず、十分に軽減されない(0603型デバイスの非常に高いコントラストのため、比較的コントラストが悪いことに留意されたい)。
【0078】
図8Bは、熱成形後の銀配線の視認性に関する欠陥スコアの概要を示す。菱形でマークされたエントリは、本発明によるサンプルに関する。閉じた菱形(ブロック)でマークされたエントリは、80℃での硬化に対応する。開いた菱形(赤)でマークされたエントリは、120℃での硬化に対応する。バツ印と開いた四角でマークされたエントリは、(バッファなしで)比較項目である。図に示されるように、低い硬化温度の使用、およびバッファ層の組み込みは、それぞれ、同等またはより低い全体厚さで銀トラック関連する欠陥の視認性を効果的に低減し、バッファおよび低いTでの硬化の組み合わせは、最良の性能を提供する。
【0079】
図9Aは、熱成形後の0402型型SMD装置の視認性に関する欠陥スコアの概要を示す。エントリマーキングは、図8Bと一致する。図に示されるように、バッファ層の組み込みは、同等またはより低い全体の厚さにおけるSMD関連欠陥の視認性を効果的に低減する。硬化温度が低いほど性能が向上する。
【0080】
図9Bは、熱成形後の0603型SMD装置の視認性に関する欠陥スコアの概要を示す。エントリマーキングは、図8B及び図9Aと一致する。図に示されるように、バッファ層の組み込みは、同等またはより低い全体の厚さにおけるSMD関連欠陥の視認性を効果的に低減する。硬化温度が低いほど性能が向上する。
【0081】
図10AおよびBは、自動車内のヒューマンインタラクション装置の一部として使用することができる熱成形構造電子モジュール1の写真を示す。図10Bは、バッキング層を設ける前の、バッファ層2に沿った配線11および装置10を示す背面図を提供する。図10Aは、バッキング層の適用前の同じ部品の正面図(回転)を提供する。図に示されるように、斜めからの厳しい照明であるにもかかわらず、欠陥は本質的に識別不能である。
【0082】
高温圧力形成は、通常、Tg付近の温度で行われ、それによって、加えられる圧力は、層を完全に軟化および/または液化する必要性を軽減することに留意されたい。薄い印刷トラックは、下にあるサポート(その弾性率によって特徴付けられる)の剛性が低下したり、液体になったりするにつれて、特に損傷(破損など)に対して敏感であることが判明したため、このプロセスを印刷電子機器/配線に特に適したものにする。熱成形のための温度は、単一の理想的な温度として解釈されるべきではなく、むしろ中心点(軟化温度またはTgとして報告される)の周りの温度範囲として解釈される。このように、例えば温度及び/又は圧力に関して、処理条件を調整するための余地がある。本明細書に開示されるように、発明者らは、驚くべきことに、基板およびバッファの弾性率が本明細書に開示されているように臨界範囲内に留まるようにすることで、既知の解決策と比較して外観上の欠陥を低減できることを発見した。理論に拘束されるものではないが、所与のバッファ組成物のためのこのような条件は、例えば、比較的低い温度(例えば、約10℃)および圧力(典型的には、約20~30バールの範囲)の組み合わせでの熱成形によって実現され得る。
【0083】
明瞭さおよび簡潔な説明のために、特徴は、同じまたは別個の実施形態の一部として本明細書で説明されるが、本発明の範囲は、説明される特徴のすべてまたはいくつかの組合せを有する実施形態を含み得ることが理解されよう。もちろん、上記の実施形態またはプロセスのいずれか1つは、1つまたは複数の他の実施形態またはプロセスと組み合わせて、設計および利点の発見とマッチングをさらに改善できることは理解されるであろう。
【0084】
添付の特許請求の範囲の解釈において、「含む」という語は、所与の特許請求の範囲に列挙されたもの以外の他の要素または行為の存在を排除しないことを理解されたい;要素に先行する「a」または「an」という語は、複数のそのような要素の存在を排除しない;特許請求の範囲における任意の参照符号は、それらの範囲を限定しない;いくつかの「手段」は、同じまたは異なるアイテム(複数)または実装された構造もしくは機能によって表され得る;開示されたデバイスまたはその一部は、特に明記しない限り、組み合わせたり、さらに別の部分に分離したりすることができる。1つの請求項が別の請求項に参照する場合、これは、それらのそれぞれの特徴の組み合わせによって達成される相乗的利点を示し得る。しかし、特定の手段が相互に異なる請求項に記載されているという単なる事実は、これらの手段の組み合わせが有利に使用できないことを示すものではない。したがって、本実施形態は、請求項のすべての実用的な組み合わせを含むことができ、各請求項は、文脈によって明確に除外されない限り、原則として先行する請求項を参照することができる。
図1A
図1B
図2A
図2B
図3A
図3B
図4A
図4B
図4C
図5A
図5B
図6A
図6B
図7A
図7B
図8A
図8B
図9A
図9B
図10A
図10B
【国際調査報告】