(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-12-26
(54)【発明の名称】打抜きプレスを動作させるための方法
(51)【国際特許分類】
B30B 13/00 20060101AFI20241219BHJP
B30B 1/26 20060101ALI20241219BHJP
B30B 15/14 20060101ALI20241219BHJP
B30B 15/30 20060101ALI20241219BHJP
B21D 43/02 20060101ALI20241219BHJP
B21D 28/00 20060101ALI20241219BHJP
【FI】
B30B13/00 G
B30B1/26
B30B15/14 A
B30B15/30 107
B21D43/02 E
B21D28/00 Z
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024533942
(86)(22)【出願日】2021-12-08
(85)【翻訳文提出日】2024-07-31
(86)【国際出願番号】 EP2021084780
(87)【国際公開番号】W WO2023104302
(87)【国際公開日】2023-06-15
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】591119554
【氏名又は名称】ブルーデラー アーゲー
【氏名又は名称原語表記】BRUDERER AKTIENGESELLSCHAFT
(74)【代理人】
【識別番号】100108143
【氏名又は名称】嶋崎 英一郎
(72)【発明者】
【氏名】ビューラー,マニュエル
(72)【発明者】
【氏名】クライス,クリスチアン
【テーマコード(参考)】
4E048
4E089
4E090
【Fターム(参考)】
4E048AD01
4E089EA01
4E089EA07
4E089EB01
4E089EC01
4E089ED02
4E089EE03
4E090BA02
4E090CC01
4E090GA03
4E090GA06
4E090HA04
(57)【要約】
本発明は、静止した固定板に対して打抜きプレスの加工区域の中で動作する、クランク駆動により駆動されるプレスプランジャを用いて、及び処理すべき材料の帯を打抜きプレスの加工区域に間欠的に送り込むためのサーボ送り装置を用いて、打抜きプレスを動作させる方法に関する。打抜きモードでは、プレスプランジャは、プレスプランジャが固定板から最大距離にある第1の移動死点(0°)と、プレスプランジャが固定板から最小距離にある第2の移動死点(180°)との間で、クランク駆動により往復移動する。この処理では、材料の帯は、サーボ送り装置により、第1の移動死点(0°)を中心に、クランク駆動の第1の回転角の期間(3)の中である一定の長さだけ加工区域の中に押し込まれ、送り休止中に第2の回転角の期間の中で処理される。サーボ送り駆動の送り移動は、クランク駆動(4)の回転に電気的に同期して第1の回転角の期間(3)の中で従う電気的に規定された送り移動プロファイル(5)に従って行われる。第1の回転角の期間(3)の中でプレス停止(6)がトリガされたときに、送り移動プロファイル(5)とクランク駆動(4)の回転との同期は解消され、クランク駆動(4)の回転に関係なく、最後まで前記送り移動プロファイル(5)を移動する。本発明によるこの動作モードは、プレスプランジャのクランク駆動と角度的に同期して動作するサーボ送りのための送り軸の最大トルク要件を低減し、その結果、より小さな、したがってより費用効果が高いサーボ駆動を使用できる、又は所与のサーボ駆動を用いてより大きな荷重を移動できる。
【選択図】
図1a
【特許請求の範囲】
【請求項1】
工作機械の第1の部分を用いてクランク又は偏心駆動により駆動されるプレスプランジャを用いて打抜きプレスを動作させるための方法であって、
前記プレスプランジャは、前記工作機械の関連する第2の部分を用いて、及び機械加工すべき材料の帯を前記打抜きプレスの加工区域に間欠的に送り込むためのサーボ送り装置を用いて、静止している固定板に対して前記打抜きプレスの前記加工区域の中で動作し、
前記打抜きプレスの意図する打抜き動作では、
a)前記プレスプランジャは、前記プレスプランジャが前記固定板から最大距離にあり、かつ前記工作機械が最大開いた状態にある第1の移動死点(0°)と、前記プレスプランジャが前記固定板から最小距離にあり、かつ前記工作機械が最大閉じた状態にある第2の移動死点(180°)との間で、前記クランク又は偏心駆動により往復移動し、
b)前記材料の帯は、前記クランク又は偏心駆動の第1の回転角の期間(3)の中で前記第1の移動死点(0°)を中心に前記サーボ送り装置により前記加工区域の中にある一定の長さだけ前進させられ、前記第2の移動死点(180°)の前及び前記第2の移動死点(180°)まで前記第1の回転角の期間(3)の外側に及ぶ、前駆クランク又は偏心駆動の第2の回転角の期間の中で、送り休止状態で前記工作機械を用いて機械加工され、
c)前記サーボ送り装置の送り移動は、前記第1の回転角の期間(3)の中で前記クランク又は偏心駆動(4)の回転と電気的に同期して従う、電気的に規定された送り移動プロファイル(5)に従って行われる
方法であって、
前記第1の回転角の期間(3)の中でプレス停止(6)がトリガされたときに、前記送り移動プロファイル(5)と前記クランク又は偏心駆動(4)の前記回転との前記同期は解消され、前記クランク又は偏心駆動(4)の前記回転に関係なく、前記送り移動プロファイル(5)に最後まで従うことを特徴とする方法。
【請求項2】
前記プレス停止(6)をトリガするときに、又は前記送り移動プロファイル(5)と前記クランク又は偏心駆動(4)の前記回転との前記同期が解消されたときに前記送り移動プロファイル(5)に従った回転速度に対応する回転速度で、前記送り移動プロファイル(5)に最後まで従う、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記プレス停止(6)がトリガされた後に、前記クランク又は偏心駆動(4)の前記回転が、後続の第1の回転角の期間の前に、又は後続の第1の回転角の期間の中に入る前に、ある一定の回転角で停止にならない場合には、後続の第1の回転角の期間に到達した後に、再度前記送り移動プロファイル(5)に完全に連続して従う、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
後続の第1の回転角の期間(3)に到達した後に、この後続の第1の回転角の期間に入ったときに前記クランク又は偏心駆動(4)の前記回転と同期する場合には、前記送り移動プロファイル(5)に従う回転速度に対応する回転速度で、再度前記送り移動プロファイル(5)に完全に従う、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記プレス停止(6)をトリガした後に、後続の第1の回転角の期間の前に、又は後続の第1の回転角の期間に入る前に、前記クランク又は偏心駆動(4)の前記回転が、ある特定の回転角で停止にならず、この特定の回転角において、又は後続の第1の回転角の期間に入ったときに、1つ又は複数の条件が満たされない場合には、特に、前記クランク又は偏心駆動の回転速度がある一定の回転速度(B)に達しない場合には、新しい開始リクエストが行われるまで前記サーボ送り装置の送り移動はさらに行われない、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項6】
前記プレス停止(6)がトリガされ前記送り移動プロファイル(5)に完全に従った後に、後続の第1の回転角の期間の前に、又は後続の第1の回転角の期間に入る前に、前記プレス停止(6)をトリガした後に前記クランク又は偏心駆動(4)の前記回転がある一定の回転角で停止になるかどうかにかかわりなく、新しい開始リクエスト(7)までサーボ送り装置の送り移動はさらに行われない、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項7】
工作機械の第1の部分を用いてクランク又は偏心駆動により駆動されるプレスプランジャを用いて打抜きプレスを動作させるための方法であって、
前記プレスプランジャは、前記工作機械の関連する第2の部分を用いて、及び機械加工すべき材料の帯を前記打抜きプレスの加工区域に間欠的に送り込むためのサーボ送り装置を用いて、静止している固定板に対して前記打抜きプレスの前記加工区域の中で作動し、
前記打抜きプレスの意図する打抜き動作では、
a)前記プレスプランジャは、前記プレスプランジャが前記固定板から最大距離にあり、かつ前記工作機械が最大開いた状態にある第1の移動死点(0°)と、前記プレスプランジャが前記固定板から最小距離にあり、かつ前記工作機械が最大閉じた状態にある第2の移動死点(180°)との間で、前記クランク又は偏心駆動により往復移動し、
b)前記材料の帯は、前記クランク又は偏心駆動の第1の回転角の期間(3)の中で前記第1の移動死点(0°)を中心に前記サーボ送り装置によりある一定の長さだけ前記加工区域の中に前進させられ、前記第2の移動死点(180°)の前及び前記第2の移動死点(180°)まで前記第1の回転角の期間(3)の外側に及ぶ、前駆クランク又は偏心駆動の第2の回転角の期間の中で、送り休止状態で前記工作機械を用いて機械加工され、
c)前記サーボ送り装置の送り移動は、前記第1の回転角の期間(3)の中で前記クランク又は偏心駆動(4)の回転と電気的に同期した電気的に規定された送り移動プロファイル(5)に従って行われる
方法であって、
前記第1の回転角の期間(3)の外側でプレス停止(6)がトリガされたときに、前記プレス停止(6)の前記トリガの後に前記クランク又は偏心駆動(4)の前記回転が、後続の第1の回転角の期間の前に、又は後続の第1の回転角の期間に入る前に、ある一定の回転角で最後に停止にならない場合には、前記送り移動プロファイル(5)と前記クランク又は偏心駆動(4)の前記回転との前記同期は、前記第1の回転角の期間に到達したときに解消され、次いで前記クランク又は偏心駆動(4)の前記回転に関係なく、前記送り移動プロファイル(5)に従うことを特徴とする方法。
【請求項8】
前記送り移動プロファイル(5)と前記クランク又は偏心駆動(4)の前記回転との前記同期が解消されたときに前記送り移動プロファイルに従った回転速度に対応する回転速度で、前記送り移動プロファイル(5)に従う、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記プレス停止(6)がトリガされ前記送り移動プロファイル(5)に引き続き従った後に、後続の第1の回転角の期間の前に、又は後続の第1の回転角の期間の中に入る前に、前記クランク又は偏心駆動(4)の前記回転が、ある一定の回転角で停止にならない場合には、後続の第1の回転角の期間に到達した後に、再度前記送り移動プロファイル(5)に完全に連続して従う、請求項7又は8に記載の方法。
【請求項10】
後続の第1の回転角の期間に到達した後に、この後続の第1の回転角の期間に入ったときに前記クランク又は偏心駆動(4)の前記回転と同期する場合には、前記送り移動プロファイル(5)に従う回転速度に対応する速度で、再度前記送り移動プロファイル(5)に完全に従う、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記プレス停止(6)がトリガされ前記送り移動プロファイル(5)に引き続き従った後に、後続の第1の回転角の期間の前に、又は後続の第1の回転角の期間に入る前に、前記クランク又は偏心駆動(4)の前記回転が、ある一定の回転角で停止にならず、この一定の回転角において、又は後続の第1の回転角の期間(3)に入ったときに、1つ又は複数の条件が満たされない場合には、特に、前記クランク又は偏心駆動の回転速度が、ある一定の回転速度(B)に達しない場合には、最初の新しい開始リクエスト(7)まで前記サーボ送り装置の送り移動はさらに行われない、請求項7又は8に記載の方法。
【請求項12】
前記プレス停止(6)がトリガされ前記送り移動プロファイル(5)に引き続き従った後に、後続の第1の回転角の期間の前に、又は後続の第1の回転角の期間に入る前に、前記クランク又は偏心駆動(4)の前記回転がある一定の回転角で停止になるかどうかと無関係に、新しい開始リクエスト(7)まで前記サーボ送り装置の送り移動はさらに行われない、請求項7又は8に記載の方法。
【請求項13】
工作機械の第1の部分を用いてクランク又は偏心駆動により駆動されるプレスプランジャを用いて打抜きプレスを動作させるための方法であって、
前記プレスプランジャは、前記工作機械の関連する第2の部分を用いて、及び機械加工すべき材料の帯を前記打抜きプレスの加工区域に間欠的に送り込むためのサーボ送り装置を用いて、静止している固定板に対して前記打抜きプレスの前記加工区域の中で作動し、
前記打抜きプレスの意図する打抜き動作では、
a)前記プレスプランジャは、前記プレスプランジャが前記固定板から最大距離にあり、かつ前記工作機械が最大開いた状態にある第1の移動死点(0°)と、前記プレスプランジャが前記固定板から最小距離にあり、かつ前記工作機械が最大閉じた状態にある第2の移動死点(180°)との間で、前記クランク又は偏心駆動により往復移動し、
b)前記材料の帯は、前記クランク又は偏心駆動の第1の回転角の期間(3)の中で前記第1の移動死点(0°)を中心に前記サーボ送り装置によりある一定の長さだけ前記加工区域の中に前進させられ、前記第2の移動死点(180°)の前及び前記第2の移動死点(180°)まで前記第1の回転角の期間(3)の外側に及ぶ、前記クランク又は偏心駆動の第2の回転角の期間の中で、送り休止状態で前記工作機械を用いて機械加工され、
c)前記サーボ送り装置の送り移動は、前記第1の回転角の期間(3)の中で前記クランク又は偏心駆動(4)の回転と電気的に同期した電気的に規定された送りプロファイル(5)に従って行われる
方法であって、
前記第1の回転角の期間(3)の外側でプレス停止(6)がトリガされたときに、前記送り移動プロファイル(5)と前記クランク又は偏心駆動(4)の前記回転との前記同期は解消され、新しい開始リクエスト(7)が行われるまで前記サーボ送り装置の送り移動はさらに行われないことを特徴とする方法。
【請求項14】
前記プレス停止が行われた後に前記意図する打抜き動作を再び始めるために前記プレスを再開するときに、前記サーボ送り装置の送り移動、特に前記クランク又は偏心駆動の前記回転と同期した前記サーボ送り装置の送り移動は、早くても次に続く第1の回転角の期間の中で行われる、請求項1~13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
後続の第1の回転角の期間の前に、ある特定の回転角で1つ又は複数の条件が満たされたときだけ、又は次の後続の第1の回転角の期間又は後続の第1の回転角の期間に入ったときだけ、特に前記クランク又は偏心駆動のある特定の回転速度(B)に到達したときだけ、送り移動は行われる、請求項13に記載の方法。
【請求項16】
工作機械の第1の部分を用いてクランク又は偏心駆動により駆動されるプレスプランジャを用いる請求項1~15の方法の1つによる動作のための打抜きプレスであって、
前記プレスプランジャは、前記工作機械の関連する第2の部分を用いて、及び機械加工すべき材料の帯を前記打抜きプレスの加工区域に間欠的に送り込むためのサーボ送り装置を用いて、静止している固定板に対して前記打抜きプレスの前記加工区域の中で動作し、
それにより、前記打抜きプレスの意図する打抜き動作では、
a)前記プレスプランジャは、前記プレスプランジャが前記固定板から最大距離にあり、かつ前記工作機械が最大開いた状態にある第1の移動死点(0°)と、前記プレスプランジャが前記固定板から最小距離にあり、かつ前記工作機械が最大閉じた状態にある第2の移動死点(180°)との間で、前記クランク又は偏心駆動により往復移動し、
b)前記材料の帯は、前記クランク又は偏心駆動の第1の回転角の期間(3)の中で前記第1の移動死点(0°)を中心に前記サーボ送り装置によりある一定の長さだけ前記加工区域の中に前進させられ、前記第2の移動死点(180°)の前及び前記第2の移動死点(180°)まで前記第1の回転角の期間(3)の外側に及ぶ、前駆クランク又は偏心駆動の第2の回転角の期間の中で、送り休止状態で前記工作機械を用いて機械加工され、
c)前記サーボ送り装置の送り移動は、前記第1の回転角の期間(3)の中で前記クランク又は偏心駆動(4)の回転と電気的に同期した電気的に規定された送り移動プロファイル(5)に従って行われる
打抜きプレスであって、
前記第1の回転角の期間(3)の中でプレス停止(6)がトリガされたときに、前記送り移動プロファイル(5)と前記クランク又は偏心駆動(4)の前記回転との同期を解消し、前記送り移動プロファイル(5)が前記クランク又は偏心駆動(4)の前記回転に関係なく、最後まで移動できるようにする、
及び/又は
前記第1の回転角の期間(3)の外側で前記プレス停止(6)がトリガされたときに、前記プレス停止(6)の前記トリガの後に前記クランク又は偏心駆動(4)の前記回転が、後続の第1の回転角の期間の前に、又は後続の第1の回転角の期間に入る前に、ある一定の回転角で停止にならない場合には、前記第1の回転角の期間に到達したときに、前記送り移動プロファイル(5)と前記クランク又は偏心駆動(4)の前記回転の前記同期を解消し、次いで前記送り移動プロファイル(5)が前記クランク又は偏心駆動(4)の前記回転に関係なく、移動できるようにする、
制御ユニットを備えることを特徴とする打抜きプレス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、打抜きプレスを動作させるための方法、及び独立請求項の前提部分による方法に従って動作させるための打抜きプレスに関する。
【背景技術】
【0002】
処理すべき材料の帯を供給するためのサーボ送り(servo feeds)は、現代の打抜きプレスにおいてますます使用されており、この打抜きプレスでは、漸進的切断処理を使用して材料の帯から製品が打ち抜かれる。このサーボ送りは、プレスプランジャのクランク駆動に強制的かつ機械的に連結された機械送りとは対照的に、柔軟に制御することができる。サーボ送りを用いる場合、帯材料は、(カムによりトリガされた)送り信号に応答して所定の送り長さ全体だけ送り込まれるか、又は機械送りの動作に類似して、プレスプランジャのクランク駆動と、ある角度で同期した電気的に規定された送りプロファイルに従って送り込まれる。後者の動作モードは、カムによりトリガされた変形形態よりも、プレスプランジャに対して、送り工程が常に拡大されるという非常に有利な点があり、電気的に規定された送りプロファイルのあらゆる地点(支持点)で目標位置の達成を監視でき、必要に応じて補正できる。これにより、以下の2つの例から理解できるように、処理において、全体としてより高いレベルの安全性に帰着する。
【0003】
例1:300°~60°の送り位相(feed phase)、すなわち上死点(0°)を中心として対称である、20mmの送り長さ。0°での、すなわち送り長さの半分(10mm)での、前記機械での送り制御。角度同期に起因して、送り制御がトリガされたときにプレスの即時停止を開始できる。カムによりトリガされた送りを用いる場合、送り長さは、積極的誘導がまったくないので、工程が終了したときにしか監視できない。したがって、送り制御は、送りが終了したときにしか即時停止をトリガできない。これにより、角度が同期した送りと比較して、送り位相の半分より長いプレスの制動角に帰着する。
【0004】
例2:例えばプレス過負荷(処理誤差)に起因する、即時停止のトリガ。プレスは、制動角に起因して、ちょうど送り位相の範囲内で停止になる。力により誘導された送り(force-guided feed)を用いる場合、少量の帯材料だけが前方に送り込まれるのに対して、カムによりトリガされた送り(cam-triggered feed)を用いる場合、帯材料の送り長さ全体が前記機械の中に押し込まれ、それにより、機械損傷の危険性が高まる。
【0005】
しかしながら、プレスプランジャのクランク駆動と同期した角度で帯材料を送り込む、今日公知のサーボ送りの不利な点は、サーボ送りが、開始条件に応じて大きな加速度を、及びそれに従って大きなトルクを送り軸に供給しなければならないので、比較的強力なサーボ駆動を必要とし、これは、対応する投資費用と関連づけられ、運ばれる帯材料に関する制約につながる可能性があることである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
したがって、本発明の目的は、サーボ送りの角度同期動作の有利な点を保持するが、上記で記述する不利な点を有しない、又は少なくとも部分的に回避する技術的解決手段を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この目的は、独立特許請求項の主題によって達成される。
【0008】
これらの請求項によれば、本発明の第1の態様は、工作機械の第1の部分を用いてクランク又は偏心駆動により駆動されるプレスプランジャを用いて打抜きプレスを動作させるための第1の方法であって、プレスプランジャは、工作機械の関連する第2の部分を用いて、及び処理すべき材料の帯を打抜きプレスの加工区域に間欠的に送り込むためのサーボ送り装置を用いて、静止している固定板に対して打抜きプレスの加工区域内で動作する第1の方法に関する。
【0009】
本発明によるこの第1の方法では、プレスプランジャは、打抜きプレスの意図する打抜き動作の間に、プレスプランジャが固定板から最大距離にあり、かつ工作機械が最大開いた位置にある第1の移動死点と、プレスプランジャが固定板から最小距離にあり、かつ工作機械が最大閉じた位置にある第2の移動死点との間で、クランク又は偏心駆動により往復移動する。据付けの固定板に対して、プレスプランジャが上方から作動する典型的な打抜きプレスでは、これらの移動死点は、プレスプランジャの上死点(「TDC(top dead point)」とも呼ばれる)及び下死点(「BDC(bottom dead point)」とも呼ばれる)である。
【0010】
材料の帯は、第1の移動死点を中心にクランク又は偏心駆動の第1の回転角の期間の中でサーボ送り装置によりある一定の長さだけ加工区域の中に前進させられ、第2の移動死点の前及び第2の移動死点まで第1の回転角の期間の外側に及ぶ、クランク又は偏心駆動の第2の回転角の期間の中で、送り休止状態で工作機械を用いて処理される。
【0011】
サーボ送り装置の送り移動は、打抜きプレスの意図する打抜き動作の間に、電気的に規定された送り移動プロファイル(feed movement profile)に従って行われ、これは第1の回転角の期間の中でクランク又は偏心駆動の回転と電気的に同期している。
【0012】
本発明によれば、第1の回転角の期間の中でプレス停止がトリガされたときに、送り移動プロファイルとクランク又は偏心駆動の回転との同期は解消され、クランク又は偏心駆動の回転に関係なく、終了まで送り移動プロファイルに従う。
【0013】
本発明によるこの第1の動作方法は、プレスプランジャのクランク駆動と角度的に同期して動作するサーボ送りのための送り軸(feed axes)の最大トルク要件を低減し、その結果、より小さな、したがって、より費用効果が高いサーボ駆動を使用できる、又は所与のサーボ駆動を用いてより大きな荷重を移動できる。
【0014】
好ましくは、プレス停止がトリガされたときに、又は送り移動プロファイルとクランク又は偏心駆動の回転との同期が解消されたときに送り移動プロファイルに従った回転速度に対応する回転速度で、送り移動プロファイルに従う。これにより、プレスのクランク又は偏心駆動のさらに進んだ回転が第2の回転角の期間に到達し得る前に、送り工程を完了することが確実になる。
【0015】
プレス停止をトリガした後に、クランク又は偏心駆動の回転が、後続の第1の回転角の期間の前に、又は後続の第1の回転角の期間に入る前に、ある一定の回転角で停止にならない場合には、第1の変形形態によれば、後続の第1の回転角の期間に到達した後に、再度送り移動プロファイルに完全に従うことが好ましい。
【0016】
後続の第1の回転角の期間に到達した後に、この後続の第1の回転角の期間に入ったときにクランク又は偏心駆動の回転と同期する場合には、送り移動プロファイルに従う回転速度に対応する回転速度で、再度送り移動プロファイルに完全に従うことが好ましい。これにより、プレスのクランク又は偏心駆動の回転が、後続の第2の回転角の期間に到達する前に送り工程を完了することが確実になる。
【0017】
第2の変形形態によれば、後続の第1の回転角の期間の前に、又は後続の第1の回転角の期間に入る前に、クランク又は偏心駆動の回転が、ある特定の回転角で停止にならず、この特定の回転角において、又は後続の第1の回転角の期間に入ったときに、1つ又は複数の条件が満たされない場合には、例えば、クランク又は偏心駆動の回転速度が、ある特定の回転速度に達しない場合には、新しい開始リクエストが行われるまでサーボ送り装置の送り移動はさらに行われないことが有利である。
【0018】
第3の変形形態によれば、プレス停止がトリガされ送り移動プロファイルに完全に従った後に、後続の第1の回転角の期間の前に、又は後続の第1の回転角の期間に入る前に、プレス停止がある一定の回転角でトリガされた後にクランク又は偏心駆動の回転が停止になるかどうかと無関係に、新しい開始リクエストが行われるまでサーボ送り装置の送り移動はさらに行われないことが好ましい。
【0019】
3つの変形形態のうちどちらが好ましいか、又はより好ましくないかは、それぞれの動作条件、及び製造すべき製品に大きく依存する。例えば、製造中の機械侵入深度の点で、他よりも決定的に重要ではない製品があり、その結果、制動モードで、又はプレスが開始したときに、低いストローク速度でさえ、使用可能な製品を依然として作り出すことができる。第1の変形形態は、そのような製品に特に適している。
【0020】
機械侵入深度が重大な意味を持つ製品については、第2の変形形態及び第3の変形形態による処理は、第1の変形形態よりも適しており、材料の帯を送り込むことなく多数の打抜きを行うことにより品質の損失をもたらす可能性がある場合には、第2の変形形態は、第3の変形形態よりも好まれるべきである。
【0021】
本発明の第2の態様は、工作機械の第1の部分を用いてクランク又は偏心駆動により駆動されるプレスプランジャを用いて打抜きプレスを動作させるための他の方法であって、プレスプランジャは、工作機械の関連する第2の部分を用いて、及び処理すべき材料の帯を打抜きプレスの加工区域に間欠的に送り込むためのサーボ送り装置を用いて、静止している固定板に対して打抜きプレスの加工区域の中で動作する方法に関する。
【0022】
本発明による第1の方法のように、本発明によるこの第2の方法では、プレスプランジャは、クランク又は偏心駆動により、打抜きプレスの意図する打抜き動作の間に、プレスプランジャが固定板から最大距離にあり、かつ工作機械が最大開いた第1の移動死点と、プレスプランジャが固定板から最小距離にあり、かつ工作機械が最大閉じた第2の移動死点との間で移動する。プレスプランジャが、据付けの固定板に対して上方から作動する典型的な打抜きプレスでは、これらの移動死点は、プレスプランジャの上死点(「TDC」とも呼ばれる)及び下死点(「BDC」とも呼ばれる)である。
【0023】
この処理では、材料の帯は同じく、第1の移動死点を中心にクランク又は偏心駆動の第1の回転角の期間の中でサーボ送り装置によりある一定の長さだけ加工区域の中に前進させられ、第2の移動死点の前及び第2の移動死点まで第1の回転角の期間の外側に及ぶ、クランク又は偏心駆動の第2の回転角の期間の中で、送り休止状態で工作機械を用いて機械加工される。
【0024】
本発明による第1の方法のように、サーボ送り装置の送り移動は、打抜きプレスの意図する打抜き動作において、第1の回転角の期間の中でクランク又は偏心駆動の回転と電気的に同期した電気的に規定された送り移動プロファイルに従って行われる。
【0025】
本発明によれば、本発明によるこの第2の方法では、第1の回転角の期間の外側でプレス停止がトリガされたときに、プレス停止のトリガの後にクランク又は偏心駆動の回転が、後続の第1の回転角の期間の前に、又は後続の第1の回転角の期間に入る前に、ある一定の回転角で最後に静止にならない場合には、送り移動プロファイルとクランク又は偏心駆動の回転との同期は、第1の回転角の期間に到達したときに解消され、次いでクランク又は偏心駆動の回転に関係なく、送り移動プロファイルに完全に従う。
【0026】
本発明によるこの第2の動作方法はまた、プレスプランジャのクランク駆動と角度的に同期して動作するサーボ送りのための送り軸の最大トルク要件を低減し、その結果、より小さな、したがって、より費用効果が高いサーボ駆動を使用できる、又は所与のサーボ駆動を用いてより大きな荷重を移動できる。
【0027】
送り移動プロファイルとクランク又は偏心駆動の回転との同期が解消されたときに送り移動プロファイルに従った回転速度に対応する回転速度で、送り移動プロファイルに従うことが好ましい。これにより、プレスのクランク又は偏心駆動の回転が第2の回転角の期間に到達できる前に送り工程を完了することが確実になる。
【0028】
プレス停止がトリガされ送り移動プロファイルに引き続き従った後に、クランク又は偏心駆動の回転が、後続の第1の回転角の前に、又は後続の第1の回転角の期間に入る前に、ある一定の回転角で停止にならない場合には、本発明による第2の方法の第1の変形形態によれば、後続の第1の回転角の期間に到達した後に、再度送り移動プロファイルに完全に従うことが好ましい。
【0029】
後続の第1の回転角の期間に到達した後に、この後続の第1の回転角の期間に入ったときにクランク又は偏心駆動の回転と送り移動プロファイルが同期する場合には、送り移動プロファイルに従う回転速度に対応する回転速度で、再度送り移動プロファイルに完全に従うことが有利である。これにより、プレスのクランク又は偏心駆動の回転が、後続の第2の回転角の期間に到達できる前に送り工程を完了することが確実になる。
【0030】
本発明による第2の方法の第2の変形形態によれば、プレス停止がトリガされその後、送り移動プロファイルに従った後に、後続の第1の回転角の期間の前に、又は後続の第1の回転角の期間に入る前に、クランク又は偏心駆動の回転が、ある一定の回転角で停止にならず、この一定の回転角において、又は後続の第1の回転角の期間に入ったときに、1つ又は複数の条件が満たされない場合には、例えば、クランク又は偏心駆動の回転速度が、ある一定の回転速度に達しない場合には、新しい開始リクエストが行われるまでサーボ送り装置の送り移動をさらに遂行しないことが有利である。
【0031】
本発明による第2の方法の第3の変形形態によれば、プレス停止がトリガされその後、送り移動プロファイルに引き続き従った後に、後続の第1の回転角の期間の前に、又は後続の第1の回転角の期間に入る前に、クランク又は偏心駆動の回転がある一定の回転角で停止になるかどうかとは無関係に、新しい開始リクエストが行われるまでサーボ送り装置の送り移動をさらに行わないことが好ましい。
【0032】
3つの変形形態のうちどれがより好ましいか、又はより好ましくないかはまた、本発明によるこの第2の方法では、それぞれの動作条件、及び製造すべき製品に大きく依存する。例えば、製造中に機械侵入深度の点で他よりも決定的に重要ではない製品があり、その結果、制動モードで低いストローク速度でさえ、又は打抜きプレスが始動したときに、使用可能な製品を作り出す。第1の変形形態は、そのような製品に特に適している。機械侵入深度が重大な意味を持つ製品については、第2の変形形態及び第3の変形形態による処理は、第1の変形形態よりも適しており、それにより、材料の帯を送り込むことなく多数の打抜きを行うことにより品質の損失をもたらす可能性がある場合には、第2の変形形態は、第3の変形形態よりも好まれるべきである。
【0033】
本発明による第1の方法及び第2の方法のさらに好ましい実施形態では、プレス停止が行われた後にプレスが再開されて意図する打抜き動作を再び始めるときに、サーボ送り装置の送り移動は、早くても次に続く第1の回転角の期間の中で行われる。この送り移動は、好ましくは、再度クランク又は偏心駆動の回転と同期する。
【0034】
有利な変形形態によれば、後続の第1の回転角の期間の前に、ある特定の回転角で1つ又は複数の条件が満たされたときだけ、又は次の第1の回転角の期間又は後続の第1の回転角の期間に入ったときだけ、特に前記クランク又は偏心駆動のある一定の回転速度に到達したときだけ、送り移動は行われる。この変形形態は、機械侵入深度の点で重大な意味を持つ製品の製造に特に適している。
【0035】
本発明の第3の態様は、本発明の第1の態様又は第2の態様による方法の1つに従って動作させるための打抜きプレスに関する。前記打抜きプレスは、工作機械の第1の部分を用いてクランク又は偏心駆動により駆動されるプレスプランジャを有し、前記プレスプランジャは、意図する動作の間に、前記工作機械の関連する第2の部分を用いて、据付けの固定板に対して打抜きプレスの加工区域の中で作動する。前記打抜きプレスはまた、処理すべき材料の帯を打抜きプレスの加工区域に間欠的に送り込むためのサーボ送り装置を有する。
【0036】
打抜きプレスは、打抜きプレスの意図する打抜き動作で、プレスプランジャが、プレスプランジャが固定板から最大距離にあり、かつ工作機械が最大開いた第1の移動死点と、プレスプランジャが固定板から最小距離にあり、かつ工作機械が最大閉じた第2の移動死点との間で、クランク又は偏心駆動により往復移動するように設計される。
【0037】
それに加えて、材料の帯が、サーボ送り装置により第1の移動死点を中心にクランク又は偏心駆動の第1の回転角の期間の中でサーボ送り装置によりある一定の距離だけ加工区域の中に前進させられ、第2の移動死点の前及び第2の移動死点まで第1の回転角の期間の外側に及ぶ、クランク又は偏心駆動の第2の回転角の期間の中で、送り休止状態で工作機械を用いて処理されるように、打抜きプレスは設計される。
【0038】
その上、打抜きプレスは、サーボ送り装置の送り移動が、第1の回転角の期間の中でクランク又は偏心駆動の回転と電気的に同期した電気的に規定された送り移動プロファイルに従って行われるように設計される。
【0039】
本発明によれば、打抜きプレスは、第1の回転角の期間の中でプレス停止がトリガされたときに、送り移動プロファイルとクランク又は偏心駆動の回転との同期を解消し、クランク又は偏心駆動の回転に関係なく、送り移動プロファイルに最後まで従うことができるようにする制御ユニット(control unit)を備える。
【0040】
代わりに又は追加で、第1の回転角の期間の外側でプレス停止がトリガされたときに、プレス停止がトリガされた後にクランク又は偏心駆動の回転が、後続の第1の回転角の期間の前に、又は後続の第1の回転角の期間に入る前に、ある一定の回転角で停止にならない場合には、制御ユニットは、第1の回転角の期間に到達したときに、送り移動プロファイルとクランク又は偏心駆動の回転との同期を取り消し、次いでクランク又は偏心駆動の回転に関係なく、送り移動プロファイルに完全に従うことができるように、制御ユニットは設計される。
【0041】
本発明のさらに好ましい実施形態は、従属請求項から、及び本発明による方法の異なる変形形態を概略的に例示する図面を参照した以下の記述から得られる。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【
図1a】プレス停止信号6のときの、及びプレスが停止した後の、すなわち、遅いプレスストローク率(100ストローク/分)で、送り位相3の範囲内の停止信号6での、電気的に規定された送り移動プロファイル5と打抜きプレスのクランク軸4の回転との間の同期状況の略図を示す。
【
図1b】プレス停止信号6のときの、及びプレスが停止した後の、すなわち、遅いプレスストローク率(100ストローク/分)で、送り位相3の外側の停止信号6での、電気的に規定された送り移動プロファイル5と打抜きプレスのクランク軸4の回転との間の同期状況の略図を示す。
【
図2a】
図1aに示す状況について、打抜きプレスのクランク駆動の回転角ZZにわたり以下の動作パラメータの進捗を示す。 A=停止信号 B=回転速度の実際の誘導値(1/分) C=回転速度の仮想誘導値(1/分) D=実際の送り位置(°) E=実際の送り回転速度(°/秒)
図1aと同じ部類に入る。
【
図2b】
図1bに示す状況について、打抜きプレスのクランク駆動の回転角ZZにわたり以下の動作パラメータの進捗を示す。 A=停止信号 B=回転速度の実際の誘導値(1/分) C=回転速度の仮想誘導値(1/分) D=実際の送り位置(°) E=実際の送り回転速度(°/秒)
図1bと同じ部類に入る。
【
図3a】プレス停止信号6のときの、及びプレスが停止した後の、すなわち、速いプレスストローク率(1000ストローク/分)で、送り位相3の範囲内の停止信号6での、電気的に規定された送り移動プロファイル5と打抜きプレスのクランク軸4の回転との間の同期状況の略図を示す。
【
図3b】プレス停止信号6のときの、及びプレスが停止した後の、すなわち、速いプレスストローク率(1000ストローク/分)で、送り位相3の外側の停止信号6での、電気的に規定された送り移動プロファイル5と打抜きプレスのクランク軸4の回転との間の同期状況の略図を示す。
【
図4a】
図3aに示す状況について、打抜きプレスのクランク駆動の回転角ZZにわたり以下の動作パラメータの進捗を示す。 A=停止信号 B=回転速度の実際の誘導値(1/分) C=回転速度の仮想誘導値(1/分) D=実際の送り位置(°) E=実際の送り回転速度(°/秒)
図3aと同じ部類に入る。
【
図4b】
図3bに示す状況について、打抜きプレスのクランク駆動の回転角ZZにわたり以下の動作パラメータの進捗を示す。 A=停止信号 B=回転速度の実際の誘導値(1/分) C=回転速度の仮想誘導値(1/分) D=実際の送り位置(°) E=実際の送り回転速度(°/秒)
図3bと同じ部類に入る。
【
図5】プレス開始信号7のときの、及びプレスが開始した後の、すなわち、送り位相3内の開始信号7及び速いプレスストローク率(1000ストローク/分)への加速における、電気的に規定された送り移動プロファイル5と打抜きプレスのクランク軸4の回転との間の同期状況の略図を示す。
【
図6】プレス開始信号7のときの、及びプレスが開始した後の、すなわち、送り位相3の外側の開始信号7及び速いプレスストローク率(1000ストローク/分)への加速における、電気的に規定された送り移動プロファイル5と打抜きプレスのクランク軸4の回転との間の同期状況の略図を示す。
【
図7】
図5に示す状況について、打抜きプレスのクランク駆動の回転角ZZにわたり以下の動作パラメータの進捗を示す。 A=停止信号又は開始信号 B=回転速度の実際の誘導値(1/分) C=回転速度の仮想誘導値(1/分) D=実際の送り位置(°) E=実際の送り回転速度(°/秒)
図5と同じ部類に入る。
【
図8】
図6に示す状況について、打抜きプレスのクランク駆動の回転角ZZにわたり以下の動作パラメータの進捗を示す。 A=開始信号 B=回転速度の実際の誘導値(1/分) C=回転速度の仮想誘導値(1/分) D=実際の送り位置(°) E=実際の送り回転速度(°/秒)
図6と同じ部類に入る。
【
図9】プレス停止信号6のときの、及びプレスが停止した後の、すなわち、時期尚早の送り停止で、速いプレスストローク率(1000ストローク/分)で、送り位相3の範囲内の停止信号6での、電気的に規定された送り移動プロファイル5と打抜きプレスのクランク軸4の回転との間の同期状況の略図を示す。
【
図10】プレス停止信号6のときの、及びプレスが停止した後の、すなわち、時期尚早の送り停止で、速いプレスストローク率(1000ストローク/分)で、送り位相3の外側の停止信号6での、電気的に規定された送り移動プロファイル5と打抜きプレスのクランク軸4の回転との間の同期状況の略図を示す。
【
図11】
図9に示す状況について、打抜きプレスのクランク駆動の回転角ZZにわたり以下の動作パラメータの進捗を示す。 A=停止信号 B=回転速度の実際の誘導値(1/分) C=回転速度の仮想誘導値(1/分) D=実際の送り位置(°) E=実際の送り回転速度(°/秒)
図9と同じ部類に入る。
【
図12】
図10に示す状況について、打抜きプレスのクランク駆動の回転角ZZにわたり以下の動作パラメータの進捗を示す。 A=停止信号 B=回転速度の実際の誘導値(1/分) C=回転速度の仮想誘導値(1/分) D=実際の送り位置(°) E=実際の送り回転速度(°/秒)
図10と同じ部類に入る。
【
図13】プレス開始信号7のときの、及びプレスが開始した後の、すなわち、遅延した送り開始で、速いプレスストローク率(1000ストローク/分)で送り位相3の外側の開始信号7での、電気的に規定された送り移動プロファイル5と打抜きプレスのクランク軸4の回転との間の同期状況の略図を示す。
【
図14】
図13に示す状況について、打抜きプレスのクランク駆動の回転角ZZにわたり以下の動作パラメータの進捗を示す。 A=開始信号 B=回転速度の実際の誘導値(1/分) C=回転速度の仮想誘導値(1/分) D=実際の送り位置(°) E=実際の送り回転速度(°/秒)
図13と同じ部類に入る。
【発明を実施するための形態】
【0043】
図1a、
図1b、
図3a、
図3b、
図9、及び
図10は、プレス停止信号6のときの(左側の表現)、及びプレスが停止した後の(右側の表現)、電気的に規定された送り移動プロファイル5と打抜きプレスのクランク軸4の回転との間の同期状況の略図をそれぞれ示す。
図5、
図6、
図13、及び
図14は、プレス開始信号7のときの(左側の表現)、及びプレスが開始した後の(右側の表現)、電気的に規定された送り移動プロファイル5と打抜きプレスのクランク軸4の回転との間の同期状況の、類似する略図をそれぞれ示す。
【0044】
打抜きプレスのクランク駆動のクランク軸の1回転(360°)を円の形で示し、プレスプランジャの第1の移動死点を0°の位置として最上部に示し、第2の移動死点を180°の位置として最下部に示す。回転方向は反時計回りである。送り位相3(特許請求の範囲による第1の回転角の期間)は、斜線付きで示され、300°の送り開始角度1と60°の送り停止角度2の間に及ぶ。ここに図示する例すべてでは、制動処理は、プレスが上始点で、すなわち0°で停止するように、制動距離(反応時間+機械的制動時間)を考慮して開始される。
【0045】
図1a及び
図1bは、いずれの場合も遅いプレスストローク率(100ストローク/分)で動作する間に、送り位相3の範囲内で停止信号6を1度用いた(
図1a)、及び送り位相3の外側で停止信号6を1度用いた(
図1b)、プレス停止信号6のときの、及びプレスが停止した後の、電気的に規定された送り移動プロファイル5と打抜きプレスのクランク軸4の回転との間の同期状況の略図を示す。
【0046】
プレス停止信号のときの、電気的に規定された送り移動プロファイル5と打抜きプレスのクランク軸4の回転との間の同期状況を示す左側の例示から理解できるように、クランク軸4の実際の回転は、サーボプレス送りの電気的に規定された送り移動プロファイル5の移動のための実際の誘導値の役割を果たすことから、送りプロファイル5、及びクランク軸4の回転は、停止信号6まで互いに同期して動作する。
【0047】
図示する状況に関して、打抜きプレスのクランク駆動の回転角にわたり、さまざまな動作パラメータの推移を示す
図2aと共に
図1aの概要で理解できるように、停止リクエスト6は、送り位相3の範囲内のほぼ330°でトリガされ(曲線A)を参照されたい)、それにより、プレス駆動のための打抜きプレスのクラッチは開き、ブレーキは作動する。停止リクエスト6が検出された直後、実際の誘導値(曲線B)を参照されたい)として打抜きプレスのクランク軸の回転速度を介して行われる、電気的に規定された送り移動プロファイル5と打抜きプレスのクランク軸4の回転との間の同期は解消され、残りの送り位相3全体にわたり、停止リクエスト6のときに存在する実際の誘導値B)に対応する仮想誘導値(曲線C)を参照されたい)に代わる。実際の誘導値B)から仮想誘導値C)へのこの変化を
図2aで破線矢印により示す。実際の送り位置(曲線D)を参照されたい)及び実際の送り回転速度(曲線E)を参照されたい)の進捗から理解できるように、送り移動プロファイルは、まるで停止リクエスト6がまったくなかったかのように、仮想誘導値C)で完遂される。仮想誘導値の回転速度は、送り位相3の終了2で(420°又は60°で)ゼロに設定される(曲線C)を参照されたい)。さらに理解できるように、クランク軸4の回転は、ここに示す遅いプレスストローク率で、送り位相の範囲内で、0°の上死点UTで、停止していた(曲線B)を参照されたい)。
【0048】
送り位相3の外側で停止リクエスト6を用いる状況を
図1b及び
図2bに同じように示す。図示する例では、停止リクエスト6は、270°で、すなわち送り位相3の前にトリガされ、さらにまた送り位相の前に検出される。曲線A)及び曲線B)から理解できるように、クランク軸4は、制動されず回転し送り位相3の中に入り、送り位相3の中でだけ制動される。この場合、実際の誘導値(曲線B)を参照されたい)として打抜きプレスのクランク軸の回転速度B)を介して行われる、電気的に規定された送り移動プロファイル5と打抜きプレスのクランク軸4の回転との間の同期は、送り位相3に入るときに既存の停止リクエスト6に起因して解消され、残りの送り位相3全体にわたり、停止リクエスト6のときに存在する実際の誘導値B)に対応する仮想誘導値C)(曲線C)を参照されたい)に代わる。実際の誘導値B)から仮想誘導値C)へのこの変化を
図2bで破線矢印により示す。実際の送り位置(曲線D)を参照されたい)及び実際の送り回転速度(曲線E)を参照されたい)の曲線から理解できるように、送り移動プロファイルは、まるで停止リクエスト6がまったくなかったかのように、仮想誘導値C)で完遂される。仮想誘導値の回転速度は、送り位相3の終了2で(420°又は60°で)ゼロに設定される(曲線C)を参照されたい)。さらにまた理解できるように、クランク軸4の回転は、ここに示す遅いプレスストローク率で、送り位相の上死点UTの間の0°又は360°で停止していた(曲線B)を参照されたい)。
【0049】
図3a、
図3b、及び
図4a、
図4bは、
図1a、
図1b、及び
図2a、
図2bに似た例を示すが、速いプレスストローク率(1000ストローク/分)での回転に関する例を示す。
【0050】
図2a又は
図2bと
図4a又は
図4bの比較から理解できるように、遅いプレスストローク率を用いるプレスの動作との最も明白な差は、第1の送り位相の範囲内で、上死点でプレスをもはや停止できないことである。電気的に規定された送り移動プロファイル5と打抜きプレスのクランク軸4の回転との間の同期の解消に関する挙動、及び仮想誘導値C)を用いて送りプロファイル5の終了まで従うことに関する挙動は、遅いプレスストローク率と同様に、第1の送り位相3(300°~420°)に関して同一である。
【0051】
この場合、クランク軸4は、送り位相3の範囲内で停止リクエスト6が行われるときも(
図3a及び
図4a)、送り位相の少し前に停止リクエスト6が行われるときも(
図3b及び
図4b)回転し、第1の送り位相3を通して制動されず、第2の送り位相の少し前に600°で制動され、その結果、第2の送り位相で720°の上死点で停止する。
【0052】
図2a及び
図2bに示すような遅いプレスストローク率を用いるプレスの動作と同様に、送り位相3で停止リクエスト6のときに、又は第1の送り位相3の中に入ったときの停止リクエスト6のときに、実際の誘導値(曲線B)を参照されたい)として打抜きプレスのクランク軸の回転速度B)を介して行われる、電気的に規定された送り移動プロファイル5と打抜きプレスのクランク軸4の回転との間の同期は解消され、仮想誘導値C)(曲線C)を参照されたい)に代わる。仮想誘導値C)は、残りの送り位相3全体にわたり、停止リクエスト6のときに存在する、又は第1の送り位相3の中に入るときに存在する実際の誘導値B)に対応する。実際の誘導値B)から仮想誘導値C)へのこの変化を
図4a及び
図4bで破線矢印により示す。実際の送り位置(曲線D)を参照されたい)及び実際の送り回転速度(曲線E)を参照されたい)の曲線から理解できるように、第1の送り位相3での送り移動プロファイルは、まるで停止リクエスト6がまったくなかったかのように、この第1の仮想誘導値C)で完遂される。仮想誘導値の回転速度は、第1の送り位相3の終了2で(420°又は60°で)ゼロに設定され、後続の第2の送り位相3の開始で、打抜きプレスのクランク軸4の現在の回転速度B)に設定される(一点鎖線矢印を参照されたい)。
【0053】
実際の送り位置(曲線D)を参照されたい)及び実際の送り回転速度(曲線E)を参照されたい)の曲線から理解できるように、送り移動プロファイルは、第2の仮想誘導値C)で完遂され、第2の送り位相3でのクランク軸4の回転は、720°又は0°の上死点(曲線B)を参照されたい)で停止する。理解できるように、第2の仮想誘導値C)では、達成された送りの実際の最大回転速度E)は、第1の送り位相3での約半分の大きさでしかない。第2の仮想誘導値のこの回転速度は、第2の送り位相3の終了2で(780°又は60°で)ゼロに設定される(曲線C)を参照されたい)。
【0054】
図5は、送り位相3内でプレス開始信号7のときの、及び開始信号7でプレスが開始した後の、かつ、速いプレスストローク率(1000ストローク/分)までの打抜きプレスの加速のときの、電気的に規定された送り移動プロファイル5と打抜きプレスのクランク軸4の回転との間の同期状況の略図を示す。
【0055】
プレス開始信号7のときの、電気的に規定された送り移動プロファイル5と打抜きプレスのクランク軸4の回転との間の同期状況を示す左側の表現から理解できるように、プレスは、開始リクエスト7が発生したときに、すなわち、最後の送り位相3の中間で、0°の静止状態にあり、一方、打抜きプレスの前記送りは、最後の送り位相を完了しており、最後の送り位相3の終了2で60°にある。開始リクエスト7が認識されるとすぐに、打抜きプレスの制動は開き、クラッチは閉じられ、プレスのクランク軸は回転し始め、所望の速度まで加速する。
【0056】
図示する状況に関して、打抜きプレスのクランク駆動の回転角にわたるさまざまな動作パラメータの表現を示す
図7と併せて、
図5の右側の表現から理解できるように、電気的に規定された送り移動プロファイル5と打抜きプレスのクランク軸4の回転との間の同期は、クランク軸4の回転が60°又は420°で送り位相の終了2に到達するとすぐに行われる(
図7の曲線B)及び曲線C)を参照されたい)。この時点以後、クランク軸4の実際の回転はサーボプレス送りの電気的に規定された送り移動プロファイル5に従うための実際の誘導値B)の役割を果たすことから、送りプロファイル5、及びクランク軸4の回転は、互いに同期して動作する。それに応じて、後続の送り位相では、クランク軸4の実際の回転に同期して、サーボプレス送りの電気的に規定された送り移動プロファイル5に従う。送りの実際の位置及び送りの実際の回転速度の対応する曲線を曲線D)及び曲線E)に示す。
【0057】
図6は、送り位相3前にプレス開始信号7のときの、及び開始信号7でプレスが開始した後の、かつ、速いプレスストローク率(1000ストローク/分)までの打抜きプレスの加速のときの、電気的に規定された送り移動プロファイル5と打抜きプレスのクランク軸4の回転との間の同期状況の略図を示す。
【0058】
プレス開始信号7のときの、電気的に規定された送り移動プロファイル5と打抜きプレスのクランク軸4の回転との間の同期状況を示す左側の例示から理解できるように、この場合のプレスは、開始リクエスト7が発生したときに270°で、すなわち、来るべき送り位相3の30°前で静止状態にあり、一方、打抜きプレスの送りは、最後の送り位相を完了しており、最後の送り位相3の終了2で60°にある。開始リクエスト7が認識されるとすぐに、打抜きプレスの制動は開き、クラッチは閉じられ、プレスのクランク軸は回転し始め、所望の速度まで加速する。
【0059】
図示する状況に関して、打抜きプレスのクランク駆動の回転角にわたるさまざまな動作パラメータの推移を示す
図8と併せて、右側の例示から理解できるように、電気的に規定された送り移動プロファイル5と打抜きプレスのクランク軸4の回転との間の同期は、開始信号7が検出されるとすぐに、すなわち、クランク軸の移動の開始から行われる。このために、システムは、仮想誘導値C)から実際の誘導値B)に切り替わる。この時点以後、クランク軸4の実際の回転が、サーボプレス送りの電気的に規定された送り移動プロファイル5を動作させるための実際の誘導値B)の役割を果たすことから、送りプロファイル5、及びクランク軸4の回転は、互いに同期して動作する。それに応じて、後続の送り位相では、さらにまたクランク軸4の実際の回転に同期して、サーボプレス送りの電気的に規定された送り移動プロファイル5に従う。送りの実際の位置及び送りの実際の回転速度の対応する曲線を曲線D)及び曲線E)に示す。
【0060】
図9及び
図11は、
図3a及び
図4aに似た例を示すが、40°又は400°で、すなわち、送り位相3の終了に向けて、停止リクエスト6を伴い、さらにまた、早期送り停止が望ましい動作変形形態、すなわち、開始した送り移動を実行した後に、次の開始リクエストまで、これ以上送り移動を行うべきではない動作変形形態に関する。
【0061】
それに応じて、第2の送り位相3の開始1まで、停止信号6の角度位置が少し異なることを除いて、
図11の曲線は、
図4aの曲線とほとんど同一であるので、この場合、
図3a及び
図4aに関係する説明を参照することができる。
図3a及び
図4aの例と対照的に、第1の送り位相3を完了した後にさらに送り移動がまったくないので、曲線C)、曲線D)、及び曲線E)は、第1の送り位相3が完了した後にもはや変化しない。
【0062】
図10及び
図12は、
図3b及び
図4bに似た表現を示すが、即時送り停止が望ましい動作変形形態、すなわち、次の開始リクエストまで、これ以上送り移動を行うべきではない動作変形形態に関する。
【0063】
理解できるように、停止リクエスト6が検出された直後、実際の誘導値(曲線B)を参照されたい)として打抜きプレスのクランク軸の回転速度を介して行われる、電気的に規定された送り移動プロファイル5と打抜きプレスのクランク軸4の回転との間の同期は解消され、ゼロの回転速度に対応する仮想誘導値(曲線C)を参照されたい)に代わる。実際の誘導値B)から仮想誘導値C)へのこの変化を、
図12で破線矢印により示す。実際の送り位置(曲線D)を参照されたい)及び実際の送り回転速度(曲線E)を参照されたい)の曲線から理解できるように、送り位相3に入ったときに送り移動はまったくない。クランク軸4は、制動されずに第1の送り位相3を通して回転し、第2の送り位相の少し前に600°で制動され、その結果、第2の送り位相で720°の上死点で停止する。
【0064】
図13及び
図14は、
図6及び
図8に似た例を示すが、遅延した前進の開始が望ましい動作変形形態、例えば、クランク軸のある一定の最小回転速度B)に到達した後にだけ、遅延した前進の開始が望ましい動作変形形態に関する。この例では、クランク軸の必要とされる最小回転速度は、800回転/分である。この最小回転速度は、先発の送り位相3で到達するので、送りプロファイル5の移動のための実際の誘導値(曲線B)を参照されたい)として打抜きプレスのクランク軸4の回転速度を介して行われる、電気的に規定された送り移動プロファイル5と打抜きプレスのクランク軸の回転との間の同期は、先発の送り位相の終了後にだけ行われ、送り移動は、後続の第2の送り位相でだけ引き続いて行われる。送り位相の外側で最小回転速度に到達する場合、電気的に規定された送り移動プロファイル5とクランク軸4の回転との間の同期は、最小回転速度に到達するとすぐに行われる。
【0065】
本発明の好ましい実施態様は本明細書に記載されているが、本発明はそれに限定されるものではなく、請求項の範囲内において他の形で実施しうることが明瞭に留意されるべきである。
【国際調査報告】