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特表2024-546675積層二次巻線とAC結合出力を備えたダブルエンドデュアル磁気DC-DCスイッチングパワーコンバータ
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  • 特表-積層二次巻線とAC結合出力を備えたダブルエンドデュアル磁気DC-DCスイッチングパワーコンバータ 図1A
  • 特表-積層二次巻線とAC結合出力を備えたダブルエンドデュアル磁気DC-DCスイッチングパワーコンバータ 図1B
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  • 特表-積層二次巻線とAC結合出力を備えたダブルエンドデュアル磁気DC-DCスイッチングパワーコンバータ 図2B
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  • 特表-積層二次巻線とAC結合出力を備えたダブルエンドデュアル磁気DC-DCスイッチングパワーコンバータ 図6
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  • 特表-積層二次巻線とAC結合出力を備えたダブルエンドデュアル磁気DC-DCスイッチングパワーコンバータ 図8
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-12-26
(54)【発明の名称】積層二次巻線とAC結合出力を備えたダブルエンドデュアル磁気DC-DCスイッチングパワーコンバータ
(51)【国際特許分類】
   H02M 3/28 20060101AFI20241219BHJP
【FI】
H02M3/28 H
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024533961
(86)(22)【出願日】2022-12-06
(85)【翻訳文提出日】2024-06-06
(86)【国際出願番号】 US2022051983
(87)【国際公開番号】W WO2023107468
(87)【国際公開日】2023-06-15
(31)【優先権主張番号】17/546,642
(32)【優先日】2021-12-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】524059674
【氏名又は名称】レイセオン カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100229448
【弁理士】
【氏名又は名称】中槇 利明
(72)【発明者】
【氏名】ペリー,マーティー
(72)【発明者】
【氏名】シャラー,ロバート ジェイ.
【テーマコード(参考)】
5H730
【Fターム(参考)】
5H730AA14
5H730AS01
5H730BB27
5H730BB42
5H730BB57
5H730BB82
5H730BB85
5H730BB88
5H730EE02
5H730EE13
5H730EE19
5H730FG05
(57)【要約】
他のすべてが等しい場合、両端のデュアル磁気DC-DC SPC(「電圧ダブラ」)のトポロジは、従来のトポロジの2倍の出力電圧を提供する。電圧ダブラは、デュアル磁気回路の2次構成が並列である従来のトポロジと比較して、2次構成が直列に積層されている点が異なる。出力電流は負荷にDC結合されるのではなく、AC結合されるため、出力電圧が2倍になる。AC結合のため、電圧ダブラは、二次コンデンサのバランスを自動的に維持するように構成されている。磁気のリセット中、一次巻線は短絡され、両方の同期整流器スイッチが閉じる。変圧器の動作により、出力コンデンサは出力に接続され、電荷均等化によって各コンデンサの電圧が等しくなるようになる。
【選択図】図2A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1及び第2の変換セルであって、各変換セルが、一次巻線及び二次巻線を有する変圧器T1またはT2、ならびに二次ループ内で前記二次巻線に接続された出力コンデンサC1またはC2及び同期整流器スイッチS1またはS2を含み、前記第1及び第2の変換セルが、前記一次巻線を直列接続し、前記出力コンデンサC1及びC2を出力にわたって直列接続するように積層された、第1及び第2の変換セルと、
前記直列接続された一次巻線に結合された複数の一次スイッチを含む、入力回路と、
状態A及びCで前記直列接続された一次巻線の両端に交流入力電圧Vinを生成し、状態B及びDで入力電圧Vinを切断して前記一次巻線を短絡するように前記複数の一次スイッチを制御するための制御回路と、を含み、
状態A及びCにおいて、前記制御回路が、前記同期整流器スイッチS1及びS2を互いに逆向きに切り替えて前記二次巻線を前記出力に交互に接続して、前記交流入力電圧Vinの交互の半サイクルで二次巻線電流を出力コンデンサC1及びC2を介してAC結合して、出力電圧Vout=VC1+VC2であるように出力電流を前記出力に供給し、
状態B及びDにおいて、前記制御回路が、両方の同期整流器スイッチを閉じて、前記出力コンデンサC1及びC2を前記出力に接続して、電圧VC1及びVC2を等化し、
Vout=Vin*(D/N)が成り立ち、ここで、Dはデューティ比であり、Nは第1及び第2の変圧器の巻数比である、ダブルエンドデュアル磁気DC-DCスイッチングパワーコンバータ(SPC)。
【請求項2】
出力コンデンサC1が、出力コンデンサC2に等しい、請求項1に記載のダブルエンドデュアル磁気DC-DC SPC。
【請求項3】
状態A及びCにおいて、同期整流器スイッチS1またはS2が開である前記出力コンデンサC1またはC2が、出力電圧Voutの半分を提供し、同期整流器スイッチS1またはS2が閉である前記二次巻線電流が、対向する出力コンデンサC1またはC2を介してAC結合されて、前記出力電圧Voutの残りの半分を提供し、VC1=VC2=Vout/2である、請求項1に記載のダブルエンドデュアル磁気DC-DC SPC。
【請求項4】
状態B及びDにおいて、前記出力コンデンサC1及びC2が、変圧器T1及びT2の実効漏れインダクタンスを介して直列に接続され、Voutを形成し、VC1とVC2を等化して、前記出力コンデンサC1とC2との間の電荷の不均衡をリセットする、請求項1に記載のダブルエンドデュアル磁気DC-DC SPC。
【請求項5】
各変圧器T1及びT2が、P個の二次巻線を含み、P>1であり、各二次巻線が、出力コンデンサC1またはC2及び二次ループ内の同期整流器スイッチS1またはS2に接続されており、前記第1及び第2の変換セル内の前記P個の二次ループが、それぞれ積層され直列接続され、i=1からPまでに対して実効出力容量C1(i)及びC2(i)を直列接続して、出力電圧Vout(i)=VC1(i)+VC2(i)をP個の出力のそれぞれにわたって生成する、請求項1に記載のダブルエンドデュアル磁気DC-DC SPC。
【請求項6】
前記一次巻線が直列接続され、前記二次ループが並列接続され、実効出力容量Ceff1を提供するQ>1個の第1の変換セルを含む第1の変換セクションと、
前記一次巻線が直列接続され、前記二次ループが並列接続され、実効出力容量Ceff2を提供するQ個の第2の変換セルを含む第2の変換セクションと、をさらに含み、
前記第1及び第2の変換セクションが、すべての前記一次巻線を直列接続し、前記実効出力容量Ceff1及びCeff2を直列接続するように積層され、出力電圧Vout=VCeff1+VCeff2を生成する、請求項1に記載のダブルエンドデュアル磁気DC-DC SPC。
【請求項7】
前記一次巻線が直列接続され、前記二次ループが直列接続され、実効出力容量Ceff1を提供するR>1個の第1の変換セルを含む第1の変換セクションと、
前記一次巻線が直列接続され、前記二次ループが直列接続され、実効出力容量Ceff2を提供するR個の第2の変換セルを含む第2の変換セクションと、をさらに含み、
前記第1及び第2の変換セクションが、すべての前記一次巻線を直列接続し、前記実効出力容量Ceff1及びCeff2を直列接続するように積層され、出力電圧Vout=VCeff1+VCeff2を生成する、請求項1に記載のダブルエンドデュアル磁気DC-DC SPC。
【請求項8】
第1及び第2の変換セクションであって、各変換セクションが、少なくとも1つの変換セルを含み、各変換セルが、一次巻線及び少なくとも1つの二次巻線を有する変圧器を含み、1つ以上の二次ループが、それぞれ、1つの二次巻線、出力コンデンサ、及び同期整流器スイッチを接続し、各変換セクションが、1つ以上の出力iの実効静電容量Ceff1(i)及びCeff2(i)を規定するために並列または直列に接続された1つ以上の二次ループを含み、前記第1及び第2の変換セクションが、前記一次巻線を直列接続し、それぞれの出力にわたって実効出力静電容量Ceff1(i)及びCeff2(i)を直列接続するように積層された、第1及び第2の変換セクションと、
前記直列接続された一次巻線に結合された複数の一次スイッチを含む、入力回路と、
状態A及びCで前記直列接続された一次巻線の両端に交流入力電圧Vinを生成し、状態B及びDで入力電圧Vinを切断して前記一次巻線を短絡するように前記複数の一次スイッチを制御するための制御回路と、を含み、
状態A及びCにおいて、前記制御回路が、前記第1及び第2の変換セクションの前記同期整流器スイッチを互いに逆に切り替えて、前記二次巻線を前記出力に交互に接続し、前記交流入力電圧Vinの交互の半サイクルで二次巻線電流を実効出力容量Ceff1(i)及びCeff2(i)を介してAC結合し、出力電圧Vout(i)=VCeff1(i)+VCeff2(i)となるように、前記1つ以上の出力のそれぞれに出力電流を供給し、
状態B及びDにおいて、前記制御回路が、両方の同期整流器スイッチを閉じて、出力容量Ceff1(i)及びCeff2(i)を前記それぞれの出力に接続して、電圧VCeff1(i)及びVCeff2(i)を等化し、
Vout(i)=Vin*(D/Neff(i))が成り立ち、ここで、Dはデューティ比であり、Neff(i)は各出力の変圧器の実効巻数比である、ダブルエンドデュアル磁気DC-DCスイッチングパワーコンバータ(SPC)。
【請求項9】
状態A及びCにおいて、同期整流器スイッチS1またはS2が開である前記実効出力容量C1effまたはC2effが、前記出力電圧Vout(i)の半分を提供し、同期整流器スイッチS1またはS2が閉である前記二次巻線電流が、対向する実効出力容量C1effまたはC2effを介してAC結合され、前記出力電圧Voutの残りの半分を供給し、VC1eff(i)=VC2eff(i)=Vout(i)/2である、請求項8に記載のダブルエンドデュアル磁気DC-DC SPC。
【請求項10】
状態B及びDにおいて、前記実効出力容量C1eff(i)及びC2eff(i)が、前記変圧器の実効漏れインダクタンスを介して共に接続され、VC1eff(i)とVC2eff(i)を等化し、前記実効出力容量C1effとC2effの間の電荷の不均衡をリセットする、請求項8に記載のダブルエンドデュアル磁気DC-DC SPC。
【請求項11】
各変圧器が、複数の二次巻線を含み、各二次巻線が、二次ループ内の出力コンデンサC1またはC2及び同期整流器スイッチS1またはS2に接続されており、前記第1及び第2の変換セクション内の対応する複数の二次ループが、それぞれ積層され、直列接続され、実効出力容量C1(i)及びC2(i)を直列接続し、複数の出力のそれぞれに対して出力電圧Vout(i)=VC1(i)+VC2(i)を生成する、請求項8に記載のダブルエンドデュアル磁気DC-DC SPC。
【請求項12】
前記一次巻線が直列接続され、前記二次ループが並列接続され、実効出力容量Ceff1を提供する複数の第1の変換セルを含む第1変換セクションと、
前記一次巻線が直列接続され、前記二次ループが並列接続され、実効出力容量Ceff2を提供する同じ複数の第2変換セルを含む第2変換セクションと、をさらに含み、
前記第1及び第2の変換セクションが、すべての前記一次巻線を直列接続し、前記実効出力容量Ceff1及びCeff2を直列接続するように積層され、出力電圧Vout=VCeff1+VCeff2を生成する、請求項8に記載のダブルエンドデュアル磁気DC-DC SPC。
【請求項13】
前記一次巻線が直列接続され、前記二次ループが直列接続され、実効出力容量Ceff1を提供する複数の第1の変換セルを含む第1変換セクションと、
前記一次巻線が直列接続され、前記二次ループが直列接続され、実効出力容量Ceff2を提供する同じ複数の第2変換セルを含む第2変換セクションと、をさらに含み、
前記第1及び第2の変換セクションが、すべての前記一次巻線を直列接続し、前記実効出力容量Ceff1及びCeff2を直列接続するように積層され、出力電圧Vout=VCeff1+VCeff2を生成する、請求項8に記載のダブルエンドデュアル磁気DC-DC SPC。
【請求項14】
第1及び第2の変換セクションであって、各変換セクションが、少なくとも1つの変換セルを含み、各変換セルが、一次巻線及びP個の二次巻線を有する変圧器を含み、P個の二次ループが、それぞれ、1つの二次巻線、出力コンデンサ、及び同期整流器スイッチを接続し、各変換セクションが、並列接続されたQ個の二次ループと、Q個の二次ループのそれぞれに対して直列接続されたR個の二次ループを含み、O個の出力のそれぞれについて、i=1からOまでに対して実効静電容量Ceff1(i)及びCeff2(i)を規定し、O、P、Q、Rは1以上の整数であり、前記第1及び第2の変換セクションが、前記一次巻線を直列接続し、前記O個の出力のそれぞれにわたって実効出力静電容量Ceff1(i)及びCeff2(i)を直列接続するように積層される、第1及び第2の変換セクションと、
前記直列接続された一次巻線に結合された複数の一次スイッチを含む、入力回路と、
状態A及びCで前記直列接続された一次巻線の両端に交流入力電圧Vinを生成し、状態B及びDで入力電圧Vinを切断して前記一次巻線を短絡するように前記複数の一次スイッチを制御するための制御回路と、を含み、
状態A及びCにおいて、前記制御回路が、前記第1及び第2の変換セクションの前記同期整流器スイッチを互いに逆に切り替えて、前記二次巻線を前記出力に交互に接続し、前記交流入力電圧Vinの交互の半サイクルで二次巻線電流を実効出力容量Ceff1(i)及びCeff2(i)を介してAC結合し、出力電圧Vout(i)=VCeff1(i)+VCeff2(i)となるように、前記O個の出力のそれぞれに出力電流を供給し、
状態B及びDにおいて、前記制御回路が、両方の同期整流器スイッチを閉じて、出力容量Ceff1(i)及びCeff2(i)をそれぞれの出力に接続して、電圧VCeff1(i)及びVCeff2(i)を等化し、
Vout(i)=Vin*(D/Neff(i))が成り立ち、ここで、Dはデューティ比で、Neff(i)はそれぞれの前記O個の出力の変圧器の実効巻数比である、ダブルエンドデュアル磁気DC-DCスイッチングパワーコンバータ(SPC)。
【請求項15】
状態A及びCにおいて、同期整流器スイッチS1またはS2が開である前記実効出力容量Ceff1(i)またはCeff2(i)が、前記出力電圧Vout(i)の半分を提供し、同期整流器スイッチS1またはS2が閉である前記二次巻線電流が、対向する実効出力容量Ceff1(i)またはCeff2(i)を介してAC結合されて、前記出力電圧Vout(i)の残りの半分を提供し、VC1eff(i)=VC2eff(i)=Vout(i)/2である、請求項14に記載のダブルエンドデュアル磁気DC-DC SPC。
【請求項16】
状態B及びDにおいて、前記実効出力容量Ceff1(i)またはCeff2(i)が、変圧器の実効漏れインダクタンスを介して互いに接続され、前記変圧器が、VC1及びVC2を等化して、前記実効出力容量Ceff1(i)またはCeff2(i)の間の電荷の不均衡をリセットする、請求項14に記載のダブルエンドデュアル磁気DC-DC SPC。
【請求項17】
O=P=Q=R=1である、請求項14に記載のダブルエンドデュアル磁気DC-DC SPC。
【請求項18】
P=0>1であり、各二次巻線が二次ループ内で出力コンデンサ及び同期整流器スイッチS1またはS2に接続されており、前記第1及び第2の変換セクション内にある前記P個の二次ループが、O個出力の両端でそれぞれ積層され、かつ直列接続されている、請求項14に記載のダブルエンドデュアル磁気DC-DC SPC。
【請求項19】
Q>1であり、各変換セクションが、前記一次巻線が直列接続され、前記二次ループが並列接続された複数のQ個の変換セルを含む、請求項14に記載のダブルエンドデュアル磁気DC-DC SPC。
【請求項20】
R>1であり、各変換セクションが、前記一次巻線が直列接続され、前記二次ループが直列接続された複数のR個の変換セルを含む、請求項14に記載のダブルエンドデュアル磁気DC-DC SPC。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連技術の相互参照
本特許出願は、2021年12月9日に出願された米国特許出願第17/546,642号に対する優先権の利益を主張し、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本発明は、DC-DC電力変換に関し、より詳細には、ダブルエンドデュアル磁気DC-DCスイッチングパワーコンバータ(SPC)に関する。
【背景技術】
【0003】
DC-DCパワーコンバータは、負荷に電力を供給するために、非安定化DC入力電圧を、通常では異なるレベルの安定化DC出力電圧に変換する電力処理回路である。DC-DCコンバータに対する多種多様なトポロジが長年にわたって導入されてきたが、そのすべてが昇圧用途やバス変換用途に適しているわけではない。さらに、小型サイズと高効率の必要性により、利用可能なトポロジにさらなる制限が課せられる。サイズが小さいことは電力密度が高いことを意味し、電力密度は、コンバータの体積に対する出力電力能力の比率である。
【0004】
DC-DCスイッチングパワーコンバータ(SPC)は、エネルギー貯蔵セクション、パルス幅変調器(PWM)などのスイッチング制御回路、一次スイッチ、及び整流器を備えている。エネルギー貯蔵セクションは、DC入力電圧の選択的な印加に応答して、電流と調整されたDC出力電圧を生成する。スイッチング制御回路、一次スイッチ、及び整流器は、エネルギー貯蔵セクションへのDC入力電圧の印加を制御して、調整されたDC出力電圧の値を設定する。
【0005】
電力密度は、パワーコンバータの重要な特性である。高い電力密度を達成するには、損失を低くし、磁気素子を最適化する必要がある。超高密度パワーコンバータでは、磁気素子は、通常、不要な寄生素子を減らした最もコンパクトなサイズを実現するために平面状に実装される。コンバータの性能を実現するために、総巻線数の低減による平面磁気の最適化が望まれる。
【0006】
ダブルエンドDC-DC SPCは、当技術分野では周知のものであり、高電力密度を達成するための基本的なトポロジである。実施例は、ハーフブリッジコンバータとフルブリッジコンバータを含む。ダブルエンドコンバータの特徴は、入力電源が交互スイッチングサイクルにて逆極性で一次側に印加されることにより、シングルエンドトポロジと比較してRMS(二乗平均平方根)電流を低減できることである。
【0007】
ダブルエンドデュアル磁気SPCは、従来のハーフブリッジ及びフルブリッジコンバータの利点に加えて、磁気統合の利点を備えており、それにより、トランスとエネルギー貯蔵磁気素子が、出力で合計されるデュアル対向インターリーブ素子に結合される。デュアル磁気回路の二次構成は並列であり、このトポロジでは合計出力電流が常に出力に直接的に結合(DC結合)されるため、出力コンデンサは、フィルタ素子としてのみ機能し、コンバータ動作のいずれの状態でも出力電圧を直接サポートしない。
【0008】
図1A及び図1Bに示すように、ダブルエンドデュアル磁気SPC10の従来のトポロジは、一対の変圧器T1、T2と、従来のダブルエンド構成の通り、変圧器T1、T2の一次巻線14、16にわたって交流電圧Vinを生成するためのダブルエンド入力回路12(スイッチS1、S2、S3、及びS4)と、を含む。T1、T2は、変圧器と誘導器を組み合わせたものである。第2の変圧器T2は、スイッチS1、S4の第1のオン期間中、第1の変圧器T1のフィルタ誘導器として機能し、第1の変圧器T1は、スイッチS2、S3の第2のオン期間中、第2の変圧器T2のフィルタ誘導器として機能する。図1Bに示すように、変圧器は理想的なものではなく、一次巻線と並列のインダクタンスLmagと直列インダクタンスLkを含んでいる。本明細書で使用される「一次巻線電流」i1(またはi2)は、インダクタンスLmagを流れる電流である。
【0009】
各変圧器T1、T2は二次巻線18または20を含み、2つの変圧器T1、T2の一次対二次巻線比N=Np/Nsは同一であってもよい。各二次巻線18、20は、スイッチ(S5、S6)に接続されており、フォワードコンバータの場合のようにエネルギー伝送を可能にし、フライバックコンバータの場合のように蓄積されたエネルギーの放出も行う。これら2つの変圧器の動作は、同時に発生することがある。出力コンデンサCout22は、出力フィルタリングを提供するために負荷(図示せず)の両端に接続されている。従来のトポロジの場合、出力電圧Voutは次式で与えられ、
Vout=Vin*(D/2*N) (1)
式中、Dはデューティ係数(S1が信号クロックの周期に近い時間の比率)、Nは一次巻線と二次巻線の巻数比である。
【0010】
米国特許第6,765,810号は、同期整流器スイッチS5、S6の制御を組み込んだスイッチングパターンを開示している。同期整流器スイッチは、出力整流ステージで従来の受動ダイオード整流器の代わりになり、その結果、損失が低減され、効率が向上する。この特定の実装では、一次磁気が電源Vinから切り離されている状態の間、スイッチングパターンは、4つの一次スイッチ(S1、S2、S3、S4)をすべて開き、同期整流器スイッチS5、S6を閉じて磁気をリセットする。一次回路内でリセット期間中にエネルギーが回ることがある。
【0011】
フルブリッジダブルエンドデュアル磁気コンバータをスイッチングするための他のパターンも可能である。例えば、A状態からB状態、かつC状態からD状態への移行中の損失を最小限に抑えるために、B状態及びD状態の間に二重の対向する磁気素子の一次端子を短絡するパターンが使用され得る。B状態及びD状態の間、T1とT2の一次端子は、S2とS4を閉じることによって短絡される。この手法により、リセット期間中のエネルギーがより適切に閉じ込められる。T1とT2の一次端子を短絡する他の手段も実現できる。例えば、状態B及びD中にS1とS3が閉じられるか、または短絡が、交互サイクルでS1、S3とS2、S4の間で交互になることもできる。一次側の部分的または完全な短絡を達成する様々なパターンが、当業者によって開発され得る。
【発明の概要】
【0012】
以下は、本発明のいくつかの態様の基本的な理解を提供するための、本発明の簡略された概要である。本概要は、本発明の主要な、または重要な要素を特定すること、または本発明の範囲を描写したりすることを意図したものではない。その唯一の目的は、後で提示される、より詳細な説明、及び特許請求の範囲への前置きとして、本発明のいくつかの概念を簡略化された形式で提示することである。
【0013】
本発明は、ダブルエンドデュアル磁気DC-DC SPCのための異なるトポロジを提供し、これは、以下では簡潔化のために「電圧ダブラ」と称し、他の条件がすべて等しい場合には従来のトポロジの2倍の出力電圧を提供する。電圧ダブラは、デュアル磁気回路の2次構成が並列である従来のトポロジと比較して、2次構成が直列に積層されている点が異なる。二次出力が直列の場合、状態テーブルは、各二次巻線の出力コンデンサ(C1、C2)が、交互の半サイクルで出力にエネルギーを供給するという点で大きく異なる。電圧ダブラの出力電流は、DC結合されている場合と比較して、A状態とC状態の間、負荷へAC結合される。直列構成により、出力電圧Voutは、二次側で均等に分割され、そのため、特定の一連の条件(Vin、D、及びN)では、出力電圧Vout=Vin*(D/N)は、従来のトポロジのものの2倍になる。
【0014】
出力コンデンサ(C1及びC2)はエネルギーを蓄積してから負荷に供給するため、C1及びC2での電圧は、例えば、タイミングやコンポーネント許容誤差、及び入力または出力での過渡イベントが異なることにより、VC1=VC2=Vout/2の理想的な状態からドリフトする可能性がある。このことは、DC結合された従来のトポロジでは問題にならない。電圧ダブラは、二次コンデンサの均衡を自動的に維持するように構成されている。状態B及びDの間、一次巻線が短絡され、両方の同期整流器スイッチが閉じられる。変圧器の動作により、コンデンサC1及びC2が出力に接続され、電荷均等化により各コンデンサの電圧が等しくなる。従って、出力コンデンサ間の電荷均衡は、サイクルごとに自動的に強制される。状態B及びDのリセット期間は、磁気のリセットと出力コンデンサの電荷均衡の両方に使用される。
【0015】
一実施形態では、「変換セル」は、一次巻線と少なくとも1つの二次巻線を有する変圧器を含み、各巻線は一対の端子間に接続される。各二次巻線は、出力コンデンサと同期整流器スイッチ(SRS)に接続されてループを形成する。電圧ダブラは、第1及び第2の変換セクションを含み、各セクションは、複数の出力、負荷に供給される電力の増加または電圧の増加をサポートするために、分離、並列接続、直列接続、またはそれらの組み合わせが可能な1つ以上の変換セルを含む。第1セクションと第2セクションは、一次巻線を直列接続し、1つ以上の出力にわたる実効出力容量を直列接続するために「積層」される。
【0016】
制御回路は、複数の一次スイッチを制御して、状態A及びCでは直列接続された一次巻線の両端に交流入力電圧Vinを生成し、状態B及びDで入力電圧Vinを切断して一次巻線を短絡する。状態A及びCにおいて、制御回路は、第1変換セクションと第2変換セクションの同期整流器スイッチを互いに逆に切り替えて、二次巻線を出力に交互に接続し、実効出力容量C1eff及びC2effを介して二次巻線電流をAC結合し、出力電圧Vout=VC1eff+VC2effとなるように、交流入力電圧Vinの交互の半サイクルで各出力において出力電流を供給する。状態B及びDでは、制御回路は両方の同期整流器スイッチを閉じて、実効出力容量C1eff及びC2effを出力に接続し、電圧VC1effとVC2effを等化する。Vout=Vin*(D/Neff)では、Dはデューティ比で、Neffは、第1及び第2の変圧器の実効巻数比である。
【0017】
基本トポロジでは、各変換セクションは、単一の二次巻線を有する単一の変換セルを含む。出力コンデンサC1及びC2は、単一出力の両端に直列接続され、Vout=VC1+VC2=Vin*(D/N)を生成し、ここで、Nは第1及び第2の変圧器の巻数比である。
【0018】
別の実施形態では、電圧ダブラは、変圧器T1及びT2の単一の対からO個の出力(O>1)を生成するように構成されている。各変換セクションは、P=O個の二次巻線を有する単一の変換セルを含む。第1及び第2のセクション内のP個のループは、「積層」され、直列接続されて、i=1~Oに対してVout(i)=VC(i)+VC2(i)を生成する。出力電圧は、各二次巻線の巻数に応じて同じ場合と異なる場合がある。この構成では、単一の変圧器対を使用して複数の負荷に電力を供給する。総負荷電力が電圧ダブラの電力定格を超えない限り、各負荷は必要に応じて電力を引き出すことができる。代替的には、電圧ダブラは単一の二次巻線(P=1)を備えた変換セルを使用して構成され得、追加の変圧器の対を追加することによりO個の出力をサポートする。
【0019】
別の実施形態では、電圧ダブラは、Voutで負荷に供給され得る出力電力を増加させるように構成される。各変換セクションは、それぞれ単一の二次巻線を有するQ個の変換セルを含む。Q個のループは、所定の変換セクション内で並列に接続されており、これによりQ個の変圧器は、実効容量を介して追加の電流を供給し、より多くの電力を負荷に供給する。さらに、複数の変圧器に電力を分割することで損失が低減される。代替的に、負荷に供給される出力電力は変化し得ないが、各変換セルは、出力電力の1/2Qを供給することだけが必要とされる。
【0020】
別の実施形態では、電圧ダブラは、負荷に供給され得る出力電圧Voutを増加させるように構成されている。各変換セクションは、それぞれ単一の二次巻線を有するR個の変換セルを含む。R個のループは、所定の変換セクション内で直列接続されており、R個の変圧器が、実効容量を介して電流を供給し、各変換セクションによって生成された電圧をR倍にする。セクションごとに1つの変換セルが、出力電圧Voutを生成する場合、この構成は、出力電圧Vout*=R*Voutを生成する。代替的に、Voutは変化し得ないが、各変換セルは、1/2R*Voutを提供することだけが必要になる。
【0021】
一般的なトポロジでは、変換セクションの各々は、各変換セクション内で分離、並列接続、直列接続、またはそれらの組み合わせが提供される(O/P)*Q*R個の変換セルを含むことができ、負荷に供給される電力が増加した、または負荷に供給される出力電圧が増加したO個の出力をサポートする。
本発明のこれら及び他の特徴及び利点は、添付の図面と併せて、以下の好ましい実施形態の詳細な説明から当業者には明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1A】上述したように、出力電流が出力にDC結合されるダブルエンドデュアル磁気DC-DCスイッチングパワーコンバータ(SPC)の既知の実施形態の概略図である。
図1B】上述したように、出力電流が出力にDC結合されるダブルエンドデュアル磁気DC-DCスイッチングパワーコンバータ(SPC)の既知の実施形態の概略図である。
図2A】二次巻線が積層され、出力電流が出力にAC結合される電圧ダブラの一実施形態の概略図である。
図2B】二次巻線が積層され、出力電流が出力にAC結合される電圧ダブラの一実施形態の状態図である。
図2C】二次巻線が積層され、出力電流が出力にAC結合される電圧ダブラの一実施形態の例示的なスイッチングパターンである。
図3】状態Aにある図2Aに示す電圧ダブラの同等回路の概略図である。
図4】状態Bにある図2に示す電圧ダブラの同等回路の概略図である。
図5】3つの動作モードを提供する代替スイッチングパターンの表である。
図6】単一の一次巻線とP個の二次巻線を有する単一の変圧器を含む変換セルの一実施形態である。
図7】P=2の一対の変換セルが、単一の変圧器対から一対の出力電圧を生成するように構成された電圧ダブラの一実施形態である。
図8】P=1の変換セルが並列に接続されて、追加の変圧器対を導入し、Voutにおいて負荷に供給される出力電力を増加させる、電圧ダブラの実施形態である。
図9】P=1の変換セルが直列に接続されて、追加の変圧器対を導入し、負荷においてVoutを増加させる電圧ダブラの実施形態である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本発明は、ダブルエンドデュアル磁気DC-DC SPCのための異なるトポロジを提供し、これは、以下では簡潔化のために「電圧ダブラ」と称し、他の条件すべてが等しい場合には従来のトポロジの2倍の出力電圧を提供する。電圧ダブラは、デュアル磁気回路の2次構成が並列である従来のトポロジと比較して、2次構成が直列に積層されている点が異なる。二次出力が直列の場合、状態テーブルは、各二次巻線の出力コンデンサ(C1、C2)が、交互の半サイクルで出力にエネルギーを供給するという点で大きく異なる。電圧ダブラの出力電流は、DC結合されている場合と比較して、A状態とC状態の間、負荷へAC結合される。直列構成により、出力電圧Voutは、二次側で均等に分割され、そのため、特定の一連の条件(Vin、D、及びN)では、出力電圧Vout=Vin*(D/N)は、従来のトポロジのものの2倍になる。
【0024】
出力コンデンサ(C1及びC2)はエネルギーを蓄積してから負荷に供給するため、C1及びC2での電圧は、例えば、タイミングやコンポーネント許容誤差、及び入力または出力での過渡イベントが異なることにより、VC1=VC2=Vout/2の理想的な状態からドリフトする可能性がある。このことは、DC結合された従来のトポロジでは問題にならない。電圧ダブラは、二次コンデンサの均衡を自動的に維持するように構成されている。状態B及びDの間、一次巻線が短絡され、両方の同期整流器スイッチが閉じられる。変圧器の動作により、コンデンサC1及びC2が出力に接続され、電荷均等化により各コンデンサの電圧が等しくなる。従って、出力コンデンサ間の電荷均衡は、サイクルごとに自動的に強制される。状態B及びDのリセット期間は、磁気のリセットと出力コンデンサの電荷均衡の両方に使用される。
【0025】
「変換セル」は、一次巻線と少なくとも1つの二次巻線を有する変圧器を含み、各巻線は一対の端子間に接続される。各二次巻線は、出力コンデンサと同期整流器スイッチ(SRS)に接続されて2次ループを形成する。電圧ダブラは、第1及び第2の変換セクションを含み、各セクションは、複数の出力、負荷に供給される電力の増加または電圧の増加をサポートするために、分離、並列接続、直列接続、またはそれらの組み合わせが可能な1つ以上の変換セルを含む。第1及び第2のセクションは、一次巻線を直列接続し、1つ以上の出力にわたる実効出力容量を直列接続するために「積層」される。
【0026】
ここで図2A図2B及び図2C図3、ならびに図4を参照すると、電圧ダブラ100の基本トポロジの実施形態は、従来のダブルエンド構成に従って、出力108においてDC出力電圧Voutに変換されて負荷(図示せず)に電力を供給する交流電圧Vinを生成するための一対の積層型変換セクション102及び104と、ダブルエンド入力回路106(スイッチS1、S2、S3、及びS4)と、を含む。変換セクション102及び104のそれぞれは、もう1つの変換セル110及び112をそれぞれ含む(この構成では1つだけ)。変換セル110は、一次巻線114及び二次巻線116を有する第1の変圧器T1を含む。二次ループ118は、二次巻線116、出力コンデンサC1及びSRSS5を接続する。変換セル112は、一次巻線120及び二次巻線122を有する第2の変圧器T2を含む。二次ループ124は、二次巻線122、出力コンデンサC2及びSRSS5を接続する。C1とC2は等しいことが好ましいが、必ずしも等しい必要はない。巻線比N=Np/Ns(式中、Npは一次巻線、Nsは二次巻線)は、両方のセルで同じである。慣例に従って、一次巻線と二次巻線のそれぞれは、単一巻線であっても、並列巻線と直列巻線の組み合わせであってもよい。変換セクション102及び104は、一次巻線114及び120を直列接続し、出力108と接地との間に出力コンデンサC1及びC2を直列接続するために「積層」される。
【0027】
T1、T2は、変圧器と誘導器を組み合わせたものである。第2の変圧器T2は、スイッチS1、S4の第1のオン期間中、第1の変圧器T1のフィルタ誘導器として機能し、第1の変圧器T1は、スイッチS2、S3の第2のオン期間中、第2の変圧器T2のフィルタ誘導器として機能する。先に図1Bに示したように、変圧器は理想的なものではなく、一次巻線と並列のインダクタンスLmagと直列インダクタンスLkを含んでいる。前に定義した「一次巻線電流」i1(またはi2)は、インダクタンスLmagを流れる電流である。
【0028】
二次巻線電流i3及びi4は、それぞれ二次巻線116及び122を通って流れ、i5及びi6は、それぞれ出力コンデンサC1及びC2を通って流れ、出力108において負荷電流i7を形成する。
【0029】
一般に、図2Bの状態テーブル126に示されるように、A、B、C及びDの4つの状態によって説明され得る3つの動作モードがある。基本モードは、以下の通りであり、1:二次巻線が閉じた二次スイッチを介して関連する出力コンデンサに接続する間に、入力電源Vinを所定の極性でデュアル対向磁気の一次巻線に接続する、2:両方の二次巻線を閉じた二次スイッチを介して関連する出力コンデンサに同時に接続する間に、一次巻線を短絡する、3:モード1と同じであるが、極性が反転されており、反対側の2次巻線が閉じた2次スイッチを介して関連する出力コンデンサに接続される、サイクルは4つの状態で構成され、サイクルは、モード1にモード2が続き、その後モード3が続き、その後モード2が続き、その後モード1が続き、それを繰り返す。
【0030】
制御回路126は、スイッチS1、S2、S3、及びS4を制御して、状態A及びCにおいて、直列接続された一次巻線の両端に交流入力電圧Vinを生成し、状態B及びDにおいて、入力電圧Vinを切断して一次巻線を短絡する。
【0031】
状態A及びCにおいて、制御回路は、第1変換セクションと第2変換セクションの同期整流器スイッチを互いに逆に切り替えて、二次巻線を出力に交互に接続し、実効出力コンデンサC1及びC2を介して二次巻線電流(例えば、i3/2及びi4/2)をAC結合し、出力電圧Vout=VC1+VC2となるように、交流入力電圧Vinの交互の半サイクルで出力108において出力電流i7を供給する。図3に示すように、状態Aにある電圧ダブラの等価回路130は、残りの半分を提供する出力コンデンサC1を通じて二次巻線電流i4の電流源132によって供給されるAC結合された負荷電流i7=i5=i4/2を有する出力コンデンサC1(VC1=Vout/2)によって、1/2Voutがサポートされていることを示す。二次巻線電流i4の半分は、出力コンデンサC2を再充電するための電流i6として使用され、i4に戻り、二次巻線電流i4の半分は負荷に供給され、出力コンデンサC1を放電するためにi5として戻り、i4に戻る。状態Cでは、等価回路が反転し、C2が1/2Voutをサポートし、AC結合された負荷電流i7=i6=i3/2が残りの半分に提供する。従って、従来のトポロジと比較して、電圧ダブラの出力電流は、A状態とC状態の間、負荷へAC結合される。
【0032】
従って、電圧ダブラは、従来のトポロジの2倍である出力電圧Vout、すなわち、
Vout=Vin*(D/N) (2)
を生成し、ここで、Dはデューティ比であり、Nは第1及び第2の変圧器の巻数比である。他のすべてが等しい場合、電圧ダブラ100は、従来のトポロジの2倍の出力電圧Voutを生成する。電力が一定の場合、供給される負荷電流は、従来のトポロジの半分になる。
【0033】
状態B及びDにおいて、制御回路は、同期整流器スイッチの両方を閉じて、出力コンデンサC1及びC2を出力108に接続し、電圧VC1とVCを等しくする。変圧器の動作により、コンデンサC1及びC2が出力に接続され、電荷均等化により各コンデンサの電圧が等しくなる。従って、出力コンデンサ間の電荷均衡は、サイクルごとに自動的に強制される。状態B及びDのリセット期間は、磁気のリセットと出力コンデンサの電荷均衡の両方に使用される。図4に示すように、状態BまたはDにおける電圧ダブラの等価回路140は、状態BまたはDの間に、出力コンデンサC1及びC2が変圧器T1及びT2の実効漏れインダクタンス142(Lk*2)/N2を介して負荷電流i7を供給する(i3+i4)/4に等しい電流源144と共に接続されていることを示す。C1とC2は直列接続されてVoutを形成する。これによりコンデンサ電圧がリセットされ、2つの出力コンデンサ間の電荷の不均衡がリセットされる。
【0034】
ここで図2Cを参照すると、状態テーブル126を生成するために電圧ダブラ100に適用できるスイッチングパターン150の一実施形態が示されている。
【0035】
状態Aでは、スイッチS1、S4、S6がオン(閉)であり、スイッチS2、S3、S5がオフ(開)であり、一次巻線電流の合計(i4=i1+i2)に等しい二次巻線電流が二次巻線122を通って流れるようにする。この電流の半分は、出力コンデンサC2を介してVout=VC1+VC2である出力にAC結合されている。
【0036】
状態B及びDでは、スイッチS2、S4、S5、S6がオン(閉)であり、スイッチS1、S3がオフ(開)であり、入力電圧Vinが切断され、一次巻線114と120が短絡される。SRSスイッチS5及びS6を閉じると、出力コンデンサC1及びC2を出力に接続し、二次電流の合計を2で割った値に等しい負荷電流i7=(i3+i4)/4が供給され、電圧VC1とVC2を等化して、コンデンサ間のいずれかの電荷不均衡を設定する。
【0037】
状態Cでは、スイッチS2、S3、S5がオン(閉)であり、スイッチS1、S4、S6がオフ(開)であり、それによって、一次巻線に逆極性の入力電圧が印加され、二次巻線電流が、一次巻線電流(i3=i1+i2)の合計に等しくなり、二次巻線126を通って流れるようにする。この電流の半分は、出力コンデンサC2を介して(Vout=VC1+VC2)である出力にAC結合される。
【0038】
3つの異なるモードと4つの状態をサポートするスイッチングパターンには多くの異なる順列があり、様々な図で識別される変圧器のドット表記を考慮した場合の電圧ダブラトポロジについて、それらの数が図5の表160に示されている。これらは、S1、S2、S3、及びS4をサイクルする異なる方法または交互の方法で構成され、交互の極性とそれに続く短絡状態を実現する。さらに、変圧器のドット表記に応じてパターンが改変されることもできる。例えば、図2Aに示すドット表記では、T1とT2の一次接合はVoutとなり、状態A(S6が閉じ、S5が開く)の間、T1の一次側にはVin-Voutの電圧が印加され、T2の一次側にはVoutが印加される。変圧器のドット表記が改変されると、S6が開き、S5が閉じた状態Aでの構成でT1の一次側にはVoutの電圧が印加され、T2の一次側にはVin-Voutの電圧が印加されるということが考案できる。この場合、T1とT2の一次接合は方形波になり、状態A及びCでは電圧はVin-Voutになり、状態B及びDでは電圧はVoutになる。
【0039】
図2Aに示す分圧器の基本トポロジは、同じまたは異なるVoutで複数の出力を提供したり、各出力でより多くの電力を提供したり、各出力でより高い出力電圧Voutを提供したり、またはそれらの組み合わせを提供したりするために、拡張または一般化されることができる。これは、各変換セクションに複数の変換セルを提供し、それらのセルをセクション間で接続する(複数の出力)またはセクション内で並列または直列に接続すること(電力または電圧の上昇)によって達成される。
【0040】
図6に示すように、変換セル200は、単一の一次巻線204とP個(Pは1以上の整数)の二次巻線206を有する単一の変圧器202を含む。セルは、P個の二次ループ208を含み、それぞれが二次巻線206、出力コンデンサ210、及びSRS212のうちの1つを接続する。パッケージ214は、一次巻線204の両側に一対の端子1と2、第1の二次ループの出力コンデンサ210の両側に一対の端子3と4、第2の2次ループ内の出力コンデンサ210の両側に一対の端子5と6、などを含む。
【0041】
図2Aに示す電圧ダブラの基本トポロジを形成するには、P=1の変換セルの単一対を積層し、第1の変換セルの端子2を第2の変換セルの端子2に接続して、一次変換セルを直列接続し、第1の変換セルの端子3を第2変換セルの端子3に接続して、出力コンデンサを直列接続する。第1の変換セルの端子4は、接地に接続され、第2の変換セルの端子4は、出力を提供する。スイッチングネットワークは、両方のセルの端子1に接続されることができ、出力においてVout=VC1+VC2=Vin*(D/N)を生成するように駆動される。
【0042】
ここで図7を参照すると、別の実施形態では、電圧ダブラ220は、変圧器T1及びT2の単一対からO個の出力(この例ではO=2)を生成するように構成されている。各変換セクション222、224は、P=O=2個の二次巻線を有する単一の変換セル200を含む。第1のセクション222及び第2のセクション224のそれぞれにある2つの二次ループは、スイッチングネットワーク226によって駆動されるときに、i=1からOに対してVout(i)=VC(i)+VC2(i)を生成するために、それぞれ「積層」されて、直列接続される。この構成では、単一の変圧器対を使用して複数の負荷に電力を供給する。総負荷電力が電圧ダブラの電力定格を超えない限り、各負荷は必要に応じて電力を引き出すことができる。
【0043】
例えば、変換セクション222内の変換セルの端子2は、変換セクション224内の変換セルの端子2に接続され、一次巻線を直列接続する。変換セクション222内の変換セルの端子4は、変換セクション224内の変換セルの端子3に接続され、各セル内の第1の二次ループを直列接続し、変換セクション222内の変換セルの端子3において第1の出力を提供する。変換セクション222内の変換セルの端子6は、変換セクション224内の変換セルの端子5に接続され、各セル内の第2の二次ループを直列接続し、変換セクション222内の変換セルの端子5において第2の出力を提供する。出力電圧Vout_1とVout_2は、各二次巻線の巻数に応じて同じになる場合もあれば、異なる場合もある。
【0044】
ここで図8を参照すると、別の実施形態では、電圧ダブラ230は、Voutを犠牲にすることなく負荷に供給され得る出力電力を増加させるように構成されている。各変換セクション232、234は、それぞれが単一の二次巻線を有するQ個の変換セル200を含み、この例ではQ=2である。Q個の二次ループは、所定の変換セクション内で並列に接続される。変換セクションは、一次巻線を直列接続し、実効静電容量C1eff及びC2effを有する並列の組み合わせを直列接続するために「積層」される。スイッチングネットワーク236によって駆動されるとき、Q個の変圧器は、出力電圧Voutを犠牲にすることなく、より多くの電力を負荷に供給するために、実効容量C1eff、C2effを介して各二次ループに追加の電流を供給する。さらに、複数の変圧器に電力を分割することで損失が低減される。代替的に、負荷に供給される出力電力は変化し得ないが、各変換セルは、出力電力の1/2Qを供給することだけが必要とされる。
【0045】
例えば、変換セクション232では、上部変換セル200の端子2が下部変換セル200の端子1に接続され、変換セクション234では、上部変換セル200の端子1が下部変換セル200の端子2に接続され、一次巻線を直列接続する。各変換セクションでは、変換セルの端子3のすべてが共に接続され、端子4のすべてが共に接続され、各セクション内のセルが並列接続される。Voutの出力は、変換セクション232のすべての端子3の接続部で得られ、変換セクション234の端子4は接地されている。
【0046】
ここで図9を参照すると、別の実施形態では、電圧ダブラ240は、負荷に供給され得る出力電圧Voutを増加させるように構成されている。各変換セクション242、244は、それぞれが単一の二次巻線を有するR個の変換セルを含み、この例ではR=2になっている。2つの二次ループは、所定の変換セクション内で直列に接続される。変換セクション242、244は、一次巻線を直列接続し、4つの二次ループすべてを直列接続するために「積層」される。スイッチングネットワーク246によって駆動されると、各セクションのR個の変圧器は、各二次ループ及び実効容量を介して電流を供給し、各変換セクションによって生成された電圧をR倍にする。セクションごとに1つの変換セルが、出力電圧Voutを生成する場合、この構成は、出力電圧Vout*=R*Voutを生成する。代替的に、Voutは変化し得ないが、各変換セルは、1/2R*Voutを提供することだけが必要になる。
【0047】
例えば、端子1及び2は、図8に示すものと同じ方法で接続されることができ、一次巻線を直列接続する。各変換セクションでは、出力は上部変換セル200の端子3で取得され、端子4は下部変換セル200の端子3に接続される。二次ループは、変換セクション242からの開放端子4と変換セクション244からの開放端子3とを接続することにより、変換セクション間で直列接続される。出力は、変換セクション242から端子3で取得され、変換セクション244からの端子4は接地される。
【0048】
一般的なトポロジでは、変換セクションの各々は、各変換セクション内で分離、並列接続、直列接続、またはそれらの組み合わせが提供される(O/P)*Q*R個の変換セルを含むことができ、負荷に供給される電力が増加した、または負荷に供給される出力電圧が増加したO個の出力をサポートする。
【0049】
本発明のいくつかの例示的な実施形態を図示し説明してきたが、当業者であれば多数の変形及び代替実施形態を想定するであろう。そのような変形例及び代替的な実施形態が企図されており、添付の特許請求の範囲に定義されるように、本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく実施することができる。
図1A
図1B
図2A
図2B
図2C
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
【国際調査報告】